(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】電気化学装置および電子装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20250115BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20250115BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20250115BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20250115BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20250115BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20250115BHJP
H01G 11/80 20130101ALI20250115BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/178
H01M50/119
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01G11/78
H01G11/80
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537843
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 CN2021140364
(87)【国際公開番号】W WO2023115375
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514257398
【氏名又は名称】東莞新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】DONGGUAN AMPEREX TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.1 Industrial West Road,Songshan Lake High-tech Industrial Development Zone, Dongguan City, Guangdong Province, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】戴 文杰
(72)【発明者】
【氏名】周 新輝
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5E078AA10
5E078AA11
5E078AB02
5E078EA04
5E078HA02
5E078HA13
5H011AA01
5H011BB03
5H011CC02
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD06
5H011DD13
5H011EE04
5H011FF04
5H011KK01
5H028AA07
5H028BB04
5H028BB05
5H028CC02
5H028CC12
5H028CC24
5H028EE01
5H028EE06
5H028HH05
5H029AJ11
5H029AK03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029BJ04
5H029BJ14
5H029CJ03
5H029CJ05
5H029DJ02
5H029EJ01
5H029EJ12
5H029HJ04
(57)【要約】
電気化学装置であって、筺体と、電極組立体と、タブと、を備える。筺体は、本体部と、第1部とを含む。第2方向において、本体部は、対向して配置された第1壁と第2壁とを含み、第3方向において、本体部は、対向して配置された第1側壁と第2側壁とを含む。第1部は、第1側壁と第2壁とを接続する第1シールエッジと、第1シールエッジを接続する第2シールエッジと、を含み、第2シールエッジは、第1シールエッジと第1側壁との間に設けられている。筐体は、対向して配置される第1筐体と第2筐体とを含む。第1筐体は第1ポリマー層を有し、第2筐体は第2ポリマー層を有し、第1ポリマー層と第2ポリマー層とは接着してコロイドを形成する。第1方向に垂直な断面において、第1シールエッジと第1側壁との間には第1接続点がある。第1側壁は、第1接続点において、第1側壁の輪郭に沿って外側に延びる第1直線を形成する。コロイドは第1部と第1直線とに囲まれて形成された空間内に位置する。本出願は、さらに電子装置を提供する。本出願は、使用寿命および安全性を改善する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、電極組立体と、タブと、を備える電気化学装置であって、
前記筺体は、本体部と第1部とを含み、前記電極組立体は、本体部に設けられ、前記タブは、前記電極組立体と電気的に接続されて前記筺体から突出しており、
前記電極組立体に対して前記タブが突出する方向を第1方向とし、前記電極組立体の厚さ方向を第2方向とし、前記第1方向と前記第2方向とに直交する方向を第3方向とし、
前記第2方向において、前記本体部は、対向して設けられた第1壁と第2壁とを含み、前記第3方向において、前記本体部は、対向して設けられた第1側壁と第2側壁とを含み、
前記第1部は、前記第1側壁と前記第2壁とを接続する第1シールエッジと、前記第1シールエッジを接続する第2シールエッジと、を含み、前記第2シールエッジは、前記第1シールエッジと前記第1側壁との間に設けられ、
前記筐体は、対向して設けられた第1筐体と第2筐体とを含み、前記第1筐体は第1ポリマー層を有し、前記第2筐体は第2ポリマー層を有し、前記第1ポリマー層と前記第2ポリマー層とは接着してコロイドを形成し、前記コロイドは第1部に位置し、
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1シールエッジと前記第1側壁との間には第1接続点があり、前記第1側壁は、前記第1接続点において、前記第1側壁の輪郭に沿って外側に延在する第1直線を形成し、前記コロイドは前記第1部と前記第1直線とに囲まれて形成された空間内に位置する、ことを特徴とする電気化学装置。
【請求項2】
前記第1接続点を通り、前記第2方向に沿って延在する直線を第2直線と定義し、前記コロイドは、前記第1部と前記第2直線とに囲まれて形成される空間内に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記第2方向において、前記第1シールエッジの長さと前記第2シールエッジの長さとの和をLとし、前記第2方向において、前記電極組立体の厚さをHとすると、3/4H≦L≦5/4Hである、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記第2シールエッジは、前記第1シールエッジと接続する第1端と、前記第1端に対向して設けられた第2端とを含み、前記電極組立体は、前記第2方向に対して垂直な第1面を有し、前記第2方向において、前記第1面の両側に位置する前記電極組立体の厚さが同一であり、前記第1面は前記第2端と前記第2壁との間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記第1シールエッジは、第1領域と、第2領域とを含み、前記第2領域は、前記第1領域と前記第2シールエッジとの間に接続されており、前記第1領域の厚さは、前記第2領域の厚さより大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1領域と前記第2領域との間に第2接続点が設けられており、前記電極組立体は、前記第2方向に対して垂直な第1面を有し、前記第2方向において、前記第1面の両側に位置する前記電極組立体の厚さが同一であり、前記第2接続点は前記第1面と前記第2壁との間に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第2領域と前記第2シールエッジとの間に第3接続点が設けられており、前記電極組立体は、前記第2方向に対して垂直な第2面を有し、前記第2方向において、前記第2面と前記第2壁との間に位置する前記電極組立体の厚さは、前記電極組立体全体の厚さの3/4であり、前記第2方向において、前記第3接続点は前記第2面と前記第2壁との間に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記第1シールエッジは第3領域をさらに含み、前記第1領域は、前記第2領域と前記第3領域との間に接続されており、前記第3領域内における前記第1ポリマー層は、前記第2ポリマー層と接着していなく、
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1シールエッジと前記第1側壁との間には第1接続点があり、前記第1接続点を通り、且つ前記第2方向に沿って延在する直線を第2直線と定義すると、前記第3領域は、前記第2直線の一側に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記第1筺体は、前記第1ポリマー層に積層して設けられた第1金属層をさらに含み、前記第2筺体は、前記第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含み、
前記第1方向に垂直な断面において、前記第3領域が前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた部分の面積をA
1とし、前記第1領域が前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた部分の面積をA
2とすると、0.5≦A
1/A
2≦3である、ことを特徴とする請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項10】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1領域内の前記コロイドは、角点を含み、前記角点は、前記第3領域に向けて突出しており、
前記第1筺体は、前記第1ポリマー層に積層して設けられた第1金属層をさらに含み、前記第2筺体は、前記第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含み、
前記角点を通り、且つ第2直線に平行する第3直線を定義し、前記第3直線は、前記第1シールエッジの前記第1金属層と前記第1ポリマー層との境界線と第1交点で交差し、前記第3直線は、前記第1シールエッジの前記第2金属層と前記第2ポリマー層との境界線と第2交点で交差するし、前記第1交点と前記第2交点との距離をL
3、前記角点と、前記第1領域と前記第2領域の境界線との距離をL
4とすると、0.1≦L
3/L
4≦0.6である、ことを特徴とする請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項11】
前記電気化学装置は、
前記第2シールエッジと前記第1側壁の外表面とを接着する第1接着材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項12】
前記電気化学装置は、
前記第1側壁の内面と前記電極組立体とを接着する第2接着材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項13】
前記電気化学装置は、
前記第1壁または前記第2壁の少なくとも一方の内面と、前記電極組立体とを接着する第3接着材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項14】
前記電極組立体は、捲回構造であり、前記電極組立体は、第1電極シートと、第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に設けられた分離膜とを含み、
前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体上に設けられた第1活物質層とを備え、前記第1集電体は第1面を有し、前記電極組立体の最外周の外側表面は前記第1面である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項15】
前記電極組立体は、捲回構造であり、前記電極組立体は、第1電極シートと、第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に設けられた分離膜とを含み、前記電極組立体の最外周が前記分離膜である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項16】
前記本体部は、前記第1方向において、対向して配置された第1端壁および第2端壁をさらに含み、前記筺体は、前記第1端壁を接続する第2部をさらに備え、前記タブは前記第2部のエッジから前記筺体の外へ突出している、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項17】
前記第2方向において、前記第2部は、前記第1壁よりも前記第2壁に近く、前記第2方向において、前記第1端壁は、前記タブの両側に位置する第1端面と第2端面とを含み、前記第1端面は、前記第2部と前記第1壁とを接続し、前記第2端面は、前記第2部と前記第2壁とを接続する、ことを特徴とする請求項16に記載の電気化学装置。
【請求項18】
前記電気化学装置は、
前記第1端面と前記第2部の前記エッジとを接着する第4接着材を備えていてもよい、ことを特徴とする請求項17に記載の電気化学装置。
【請求項19】
前記第1ポリマー層は、第1ポリマー材料を含み、前記第2ポリマー層は、第2ポリマー材料を含み、前記第1ポリマー材料および前記第2ポリマー材料は、それぞれ独立に、ポリプロピレン、プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれかに記載電気化学装置を含むことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エネルギー貯蔵技術分野に関し、特に、電気化学装置およびそれを有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学装置(バッテリー等)は、電子携帯機器、電動工具および電気自動車などの電子製品に広く使用されており、電気化学装置に対する安全性能の要求がますます高まっている。
【0003】
電気化学装置の製造過程では、上下層の封入フィルムをシールヘッドによりヒートシールして筐体を形成し、電極組立体と電解液とを筐体内に封止する必要がある。機械乱用(落下、衝突、振動)が生じると、筐体が破れて液漏れや短絡に至る恐れがあり、電気化学装置の寿命や安全性を低下する。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における欠点に鑑み、電気化学装置を提案する必要がある。
また、当該電気化学装置を有する電子装置を提供する必要がある。
【0005】
本出願は、筺体と、電極組立体と、タブと、を備える電気化学装置を提供する。筺体は、本体部と第1部とを含み、電極組立体は、本体部に設けられ、タブは、電極組立体と電気的に接続されて筺体から突出している。電極組立体に対してタブが突出する方向を第1方向とし、電極組立体の厚さ方向を第2方向とし、第1方向と第2方向とに直交する方向を第3方向とすると、第2方向において、本体部は、対向して配置された第1壁と第2壁とを含み、第3方向において、本体部は、対向して配置された第1側壁と第2側壁とを含む。第1部は、第1側壁と第2壁とを接続する第1シールエッジと、第1シールエッジを接続する第2シールエッジと、を含み、第2シールエッジは、第1シールエッジと第1側壁との間に設けられている。筐体は、対向して配置される第1筐体と第2筐体とを含む。
【0006】
第1筐体は第1ポリマー層を有し、第2筐体は第2ポリマー層を有し、第1ポリマー層と第2ポリマー層とは接着してコロイドを形成し、コロイドは第1部に位置する。第1方向に垂直な断面において、第1シールエッジと第1側壁との間には第1接続点を有する。第1側壁は、第1接続点において、第1側壁の輪郭に沿って外側に延びる第1直線を形成する。コロイドは第1部と第1直線とに囲まれて形成された空間内に位置する。
【0007】
本出願は、コロイドの範囲を限定することで、機械乱用時に第1接続点に対するコロイドの衝撃力が低減し、さらに接続点における破裂リスクが低減し、第1部の機械的強度が向上する。また、機械乱用時にコロイドが電極組立体へ突き当たるリスクを低減し、電気化学装置の寿命および安全性を向上する。
【0008】
いくつかの可能な実施形態において、第1接続点を通り第2方向に沿って延びる直線を第2直線として定義する。コロイドは、第1部と第2直線とで囲まれて形成される空間内に位置する。コロイドの位置を規定することで、機械乱用時に第1接続点に対するコロイドの衝撃力がより低減され、コロイドが電極組立体に突き当たるリスクもより低減される。また、第1直線と第2直線と第2壁との間に電解液を収容する緩衝空間を形成することで、機械乱用が発生した時に第1部が電解液によって突き破れることによる液漏れのリスクを低減し安全性を高めることができる。
【0009】
いくつかの可能な実施形態において、第2方向において、第2方向における第1シールエッジの長さと第2シールエッジの長さとの和をLとし、第2方向において、電極組立体の厚さをHとすると、3/4H≦L≦5/4Hである。これにより、L値が小さすぎると第1部の封止強度が低下することを改善し、電極組立体や電解液によって第1部が突き破れるリスクを低減するとともに、L値が大きすぎるとコストアップやエネルギー密度の低下が生じる問題も改善している。
【0010】
いくつかの可能な実施形態において、第2シールエッジは、第1シールエッジと接続する第1端と、第1端に対向して配置される第2端とを含む。電極組立体は第2方向に垂直な第1面を有し、第2方向において、第1面の両側に位置する電極組立体の厚さが同一である。第1面は、第2端と第2壁との間に位置する。そのため、第2端の位置が低い(すなわち、第2シールエッジ長さが大きい)ときに第1部が第1側壁から離れやすくなるリスクが低減される。
【0011】
いくつかの可能な実施形態において、第1シールエッジは、第1領域と、第2領域とを含み、第2領域は、第1領域と第2シールエッジとの間に接続されている。第1領域の厚さは、第2領域の厚さよりも大きい。
【0012】
いくつかの可能な実施形態において、第1方向に垂直な断面において、第1領域と第2領域との間に第2接続点が設けられる。電極組立体は、第2方向に対して垂直な第1面を有する。第2方向において、第1面の両側に位置する電極組立体の厚さが同一である。第2接続点は、第1面と第2壁との間に位置する。第2接続点の位置を規定することにより、第1領域の第2方向における寸法が小さくされるとともに、封止強度がより大きい第2領域の第2方向における寸法が大きくされ、第1部の封止強度が向上される。
【0013】
いくつかの可能な実施形態において、第1方向に垂直な断面において、第2領域と第2シールエッジとの間に第3接続点が設けられる。電極組立体は第2方向に垂直な第2面を有し、第2方向において、第2面と第2壁との間に位置する電極組立体の厚さは、電極組立体全体の厚さの3/4である。第2方向において、第3接続点は、第2面と第2壁との間に位置する。よって、第3接続点が高い(すなわち、第2シールエッジ長が大きい)ときに、第1部が第1側壁から離れやすくなるリスクが低減される。
【0014】
いくつかの可能な実施形態において、第1シールエッジは、第3領域を含み、第1領域は、第2領域と第3領域との間に接続されている。第3領域内における第1ポリマー層は、第2ポリマー層と接着していない。第1方向に垂直な断面において、第1シールエッジと第1側壁との間には第1接続点がある。第1接続点を通り、第2方向に沿って延びる直線を第2直線と定義し、第3領域は、第2直線の一側に設けられている。第3領域を配置することにより、機械乱用時における第1接続点へのコロイドの衝撃力をより低減し、コロイドが電極組立体に突き当たるリスクもより低減される。また、第3領域は電解液を収容する緩衝空間を形成し、機械乱用が発生した時に第1部が電解液によって突き破れて液漏れするリスクを低減し安全性を高めることができる。
【0015】
いくつかの可能な実施形態において、第1筐体は、第1ポリマー層に積層して設けられる第1金属層をさらに含む。第2筺体は、第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含む。第1方向に垂直な断面において、第3領域が第1金属層と第2金属層との間に設けられた部分の面積をA1とし、第1領域が第1金属層と第2金属層との間に設けられた部分の面積をA2としたとき、0.5≦A1:A2≦3である。これにより、A1とA2との比が小さすぎると、第1側壁との接続部において第1部が折れにくくなるという問題が改善され、折り曲げ後の電気化学装置の第3方向の寸法が小さくなり、体積エネルギー密度が向上する。また、A1とA2との比が大きすぎると、第1部の封止強度が低下するリスクも低減される。
【0016】
いくつかの可能な実施形態において、第1方向に垂直な断面において、第1領域内のコロイドは、角点を含み、角点は、第3領域に向けて突出している。第1筺体は、第1ポリマー層に積層して設けられた第1金属層をさらに含み、第2筺体は、第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含む。第3直線は、角点を通り、第2直線に平行し、第3直線は、第1シールエッジの第1金属層と第1ポリマー層との境界線と第1交点で交差し、第3直線は、第1シールエッジの第2金属層と第2ポリマー層と第2交点で交差する。第1交点と第2交点との距離をL3、角点と、第1領域と第2領域の境界線との距離をL4とすると、0.1≦L4/L3≦0.6である。これにより、L3とL4の比が小さすぎたり大き過ぎたりすると、第2領域のヒートシールが不十分になるという問題が改善され、第1部の封止強度が向上する。
【0017】
いくつかの可能な実施形態において、第2シールエッジと第1側壁の外表面とを接着する第1接着材をさらに備える。このため、第1部が離れるリスクが低減される。
【0018】
いくつかの可能な実施形態において、第1側壁の内面と前記電極組立体とを接着する第2接着材を備える。このように、機械乱用が発生したときに、第3方向において電極組立体が筺体内で暴れるリスクを小さくすることができ、ひいては筺体の第1部に対する電極組立体の衝撃を小さくして安全性を高めることができる。
【0019】
いくつかの可能な実施形態において、第1壁または第2壁の少なくとも一方の内面と、電極組立体とを接着する第3接着材をさらに備える。このように、機械乱用が発生したときに、第2方向において電極組立体が筺体内で暴れるリスクを小さくすることができ、ひいては、筺体の第2部に対する電極組立体の衝撃を小さくして安全性を高めることができる。
【0020】
いくつかの可能な実施形態において、電極組立体は、捲回構造である。電極組立体は、第1電極シートと、第2電極シートと、第1電極シートと第2電極シートとの間に設けられた分離膜とを含む。第1電極シートは、第1集電体と、第1集電体上に設けられた第1活物質層とを備える。第1集電体は第1面を有し、電極組立体の最外周の外側表面は第1面である。コロイドが電極組立体に衝撃を与えたとしても、第1面が外側表面であるため、電極組立体の外側表面に活物質を設けた際に、活物質が脱落し易くなることが改善される。一方、第1集電体は、電極組立体の硬度を大きくすることができ、電極組立体を保護する働きをする。
【0021】
いくつかの可能な実施形態において、電極組立体は、捲回構造である。電極組立体は、第1電極シートと、第2電極シートと、第1電極シートと第2電極シートとの間に設けられた分離膜とを含む。電極組立体の最外周は分離膜である。分離膜は、電極組立体と筺体との間の摩擦力を増し、電極組立体と第1接着材又は第2接着材との接着力を高め、電極組立体を筺体内により一層好適に固定することができる。また、分離膜は保護層を形成することができ、この部分の分離膜内側の電極シートの摩耗による短絡リスクを回避し、電極組立体の機械的衝撃に対する耐性を高めることができる。
【0022】
いくつかの可能な実施形態において、本体部は、第1方向において、対向して配置された第1端壁および第2端壁をさらに含む。筺体は、第1端壁を接続する第2部をさらに備え、タブは第2部のエッジから筺体の外へ突出している。第2部は、第1方向で本体部を閉塞でき、液漏れのリスクをより低減できる。
【0023】
いくつかの可能な実施形態において、第2方向において、第2部は、第1壁よりも第2壁に近い。第2方向において、第1端壁は、タブの両側に位置する第1端面と第2端面とを含み、第1端面は、第2部と第1壁とを接続し、第2端面は、第2部と第2壁とを接続する。
【0024】
いくつかの可能な実施形態において、電気化学装置は、第1端面と第2部のエッジとを接着する第4接着材をさらに含む。第4接着材は、第2部のエッジから露出した金属層を被覆することができ、安全性を高めることができる。
【0025】
いくつかの可能な実施形態において、第1ポリマー層は、第1ポリマー材料を含み、第2ポリマー層は、第2ポリマー材料を含む。第1ポリマー材料および第2ポリマー材料は、それぞれ独立に、ポリプロピレン、プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種である。
本発明はさらに、上記電気化学装置を含む電子装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本出願の一実施形態にかかる電気化学装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電気化学装置のII-II断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電気化学装置のIII-III断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す電気化学装置の封止前の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す電気化学装置における第1筺体の断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す電気化学装置における第2筺体の断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す電気化学装置における第1部の折り曲げ前の正面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す電気化学装置における第1部の折り曲げ前の断面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す電気化学装置における第1部の1回目の折り曲げ後の断面図である。
【
図10】
図10は、他の実施形態における電気化学装置の第1部の折り曲げ前の概略構成図である。
【
図12】
図12は、他の実施形態における
図3に示す電気化学装置の部分拡大図である。
【
図13】
図13は、
図3に示す電気化学装置の第1接続点付近における破裂発生を示す部分拡大図である。
【
図14】
図14は、他の実施形態における
図3に示す電気化学装置の部分拡大図である。
【
図15B】
図15Bは、
図15Aに示した、第1領域と、第3領域との第1金属層と第2金属層との間における面積の模式図である。
【
図16】
図16は、他の実施形態における
図3に示す電気化学装置の部分拡大図である。
【
図17】
図17は、他の実施形態における電気化学装置の断面図である。
【
図18】
図18は、本出願の一実施形態にかかる電子装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、以下の詳細な説明において上記の図面と併せてさらに説明される。
【0028】
以下、本出願の実施形態における図面を参照して以下に明確かつ完全に説明する。なお、記載された各実施形態は、本出願の実施形態の一部に過ぎず、すべての実施形態ではないことは明らかである。本明細書において用いられる技術および科学の用語は、特に定義されない限り、本開示の技術分野に属する当業者が通常理解する意味合いと同義である。本願明細書において使用される用語は、具体的な実施例を記述する目的のみであり、本願を制限することを意図するものではない。
【0029】
以下、本出願の実施形態について詳細に説明する。本出願は多くの異なる形態に展開することが可能であり、ここで説明した実施形態の例示に限定して解釈されるべきではない。これらの例示的な実施形態を提供することに、本出願を当業者に完全かつ詳細に伝えることができる。
【0030】
また、簡潔かつ明確化にするため、図面において、種々のコンポーネント、層のサイズや厚さが拡大されている場合ある。全文を通して、同じ数値は、同じ要素を指している。本明細書において、用語「および/または」または「及び/又は」は、一または複数の関連列挙項目のいずれかとすべての組み合わせを含む。また、要素Aを要素Bと「連接」または「接続」する場合、要素Aが要素Bに直接接続されてもよいし、中間要素Cが存在して要素Aと要素Bとが間接的に接続されてもよい。
【0031】
また、本明細書の実施形態を説明する際に「{可(できる、または、よい)}と記載されている場合、「本明細書の1つまたは複数の実施形態」を意味する。
【0032】
本明細書において用いられる専門用語は、具体的な実施形態を説明するためのものであり、本出願を限定することを意図するものではない。なお、単数の形式は、文脈から明示的に示さない限り、複数の形式も含む意味で用いられる。さらに、用語「含む」は、本明細書において用いられる際に、記載された特徴、数値、ステップ、操作、要素および/またはコンポーネントが存在するということを意味するが、一つまたは複数の他の特徴、数値、ステップ、操作、要素、コンポーネントおよび/またはその組み合わせが存在する、または追加するということを除外するものではない。
【0033】
図示のように、一方の要素又は特徴と他方の要素(複数の要素)又は特徴(複数の特徴)との関係を記述するために、空間関連用語、例えば「上」等は、本明細書で説明の便宜上用いることができる。なお、空間関連用語は、図示される方向の他、機器又は装置が使用又は操作の方向によって異なる方向を含むことを意図する。例えば、他の要素または特徴の「上方」または「上」に位置する要素は、図中の機器をひっくり返せば、他の要素または特徴の「下方」または「下」に位置するように記述される。従って、「上」という用語は、上下を含む方向を意味することができる。第1、第2、第3等の用語は、様々な要素、コンポーネント、エリア、レイヤー及び/又は部分を記述することができるが、これら用語によってこれらの要素、コンポーネント、エリア、レイヤー及び/又は部分が制限されない。これらの用語は、一の要素、コンポーネント、エリア、レイヤー又は部分と、他の要素、コンポーネント、エリア、レイヤー又は部分とを区別するために用いられている。従って、実施形態の教示を逸脱しない範囲で、以下の第1要素、コンポーネント、エリア、レイヤー又は部分を、第2要素、コンポーネント、エリア、レイヤーや部分と呼ぶことができる。
【0034】
図1~
図3を参照して、本開示の一実施形態は、筺体10と、電極組立体20と、電解液(図示せず)と、第1タブ30と、第2タブ40とを備える電気化学装置100を提供する。電極組立体20は、筺体10の内部に位置する。いくつかの実施例において、電気化学装置100は、筺体10の内部に位置する電解液(図示せず)を含んでいてもよい。第1タブ30及び第2タブ40は、それぞれ電極組立体20を電気的に接続し、筺体10から突出している。第1タブ30及び第2タブ40は、外装部材(図示せず)を接続することができる。
【0035】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、電極組立体20は、捲回構造であり、第1電極シート21と、第2電極シート22と、第1電極シート21と第2電極シート22との間に設けられた分離膜23とを含む。第1電極シート21と、分離膜23と、第2電極シート22とを積層して捲回することにより電極組立体20を形成する。第1電極シート21は、第1集電体210と、第1集電体210上に設けられた第1活物質層211とを備える。第2電極シート22は、第2集電体220と、第2集電体220上に設けられた第2活物質層221とを備える。ここで、
図3に示すように、電極組立体20は、紙面に垂直な捲回中心軸Oを有している。捲回方向Dは、
図3に示すように、捲回中心軸Oを中心に反時計回りの方向である。捲回方向Dにおいて、電極組立体20は、順に接続された第1セグメント201、第1折り曲げセグメント202、第2セグメント203及び第2折り曲げセグメント204を含む。第1セグメント201および第2セグメント203は、対向配置されたストレートセグメントであってもよい。またいくつかの実施例において、第1セグメント201および第2セグメント203は、折り曲げセグメントであってもよく、本出願では特に制限しない。
【0036】
図2に示すように、いくつかの実施形態では、第1タブ30は、複数の接続部31と、1つのアタプタ部32と、を有する。接続部31は、第1集電体210と接続する。アタプタ部32は、接続部31と接続して筐体10から突出する。ここで、接続部31は、第1集電体210と一体成型(すなわち、接続部31は第1集電体210を裁断して形成される)または溶接により固定される。アタプタ部32は、複数の接続部31と溶接固定されている。
【0037】
他の実施例では、電極組立体20は、第1電極シート21、分離膜23、第2電極シート22の順に積層してなる積層構造であってもよい。
【0038】
第1電極シート21は、正極シートまたは負極シートのいずれであってもよい。これに対応して、第1集電体210は、正極集電体または負極集電体であってもよく、第1活物質層211は、正極活物質層または負極活物質層であってもよい。いくつかの実施例において、第1電極シート21は正極シートであり、第2電極シート22は負極シートである。
【0039】
正極集電体としては、アルミニウム箔又はニッケル箔を用いることができ、負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔又は炭素系集電体のうちの少なくとも一つを用いることができる。
【0040】
正極活物質層は正極活物質を含み、正極活物質は、金属イオン(例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン等、以下、リチウムイオンを例にとる)を可逆的に挿入及び脱離する化合物(すなわち、リチウム化インターカレート化合物)を含む。いくつかの実施例において、正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を含んでもよい。リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムと、コバルト、マンガン及びニッケルよりなる群から選択される少なくとも1種の元素と、を含むいくつかの実施例において、正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、リチウムニッケルマンガンコバルト三元材料(NCM)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム三元材料(NCA)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、ニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.5O4)またはリン酸鉄リチウム(LiFePO4)から選択される少なくとも一種である。
【0041】
負極活物質層は、負極活物質を含み、当該分野で知られている活性イオンの可逆的な脱離が可能な負極活物質を用いることができ、本出願では特に限定しない。例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン、カーボンファイバー、メソカーボンマイクロビーズ、ケイ素系材料、スズ系材料、チタン酸リチウム、またはリチウムと合金化可能な他の金属のうちの1種または2種以上を組み合わせたものを含んでもよいし、これらに限定されない。ここで、グラファイトは、人造グラファイト、天然グラファイト、及び変性グラファイトから選択される1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。ケイ素系材料は、単体ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素炭素複合体、ケイ素合金から選択される1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。錫系材料は、単体錫、錫酸化物、錫合金から選択される1種又は2種以上の組み合わせであってもよい。
【0042】
分離膜23は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド又はアラミドのうちの少なくとも1種を含む。例えば、ポリエチレンは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンから選択される少なくとも一種を含む。ポリエチレンとポリプロピレンが短絡リスクを低下させるのに優れており、シャットダウン効果により電気化学装置100の安定性を向上させることができる。
【0043】
図1及び
図3を参照すると、筺体10は、本体部13と、第1部11aとを含む。電極組立体20は、本体部13内に設けられている。第1タブ30が電極組立体20から突出する方向(すなわち電極組立体20から第1タブ30に至る方向)を第1方向D
1とし、電極組立体20の厚さ方向を第2方向D
2とし、第1方向D
1及び第2方向D
2に垂直な方向を第3方向D
3と定義する。いくつかの実施例において、電極組立体20が捲回構造である場合、第1方向D
1は、捲回中心軸O方向である。第2方向D
2は、第1セグメント201又は第2セグメント203における各層の第1電極シート21の積層方向である。第1セグメント201と第2セグメント203とが対向して配置されたストレートセグメントである場合には、第2方向D
2は、第1セグメント201の表面又は第2セグメント203の表面に対しても垂直な方向である。第3方向は、第1セグメント201又は第2セグメント203における第1電極シート21の延在方向である。他の実施例において、電極組立体20が積層構造である場合には、第2方向D
2は、第1電極シート21の積層方向である。
【0044】
第2方向D2において、本体部13は、対向して設けられる第1壁131および第2壁132を含む。第1壁131が位置する面は、第1方向D1および第3方向D3に延在し、第2壁132が位置する面は、第1方向D1および第3方向D3に延在する。第3方向D3において、本体部13は、対向して設けられる第1側壁133aおよび第2壁133bを含む。第2方向D2において、第1側壁133aは、第1壁131と第2壁132との間に接続され、第2側壁133bは、第1壁131と第2壁132との間に接続される。第1部11aが折り曲られて第1側壁133aに設けられることにより、電気化学装置100の第3方向D3の寸法が小さくなり、スペース利用率及びエネルギー密度が向上する。第1方向D1において、本体部13は、対向して設けられる第1端壁134と、第2端壁135と、を含む。第1端壁134が位置する面は、第2方向D2及び第3方向D3に延在し、第2端壁135が位置する面は、第2方向D2及び第3方向D3に延在する。第2の方向D2において、第1端壁134は、第1壁131と第2壁132との間に接続され、第2端壁135は、第1壁131と第2壁132との間に接続されている。いくつかの実施例において、筐体10は、第3部11bをさらに有する。第3部は、第2側壁133bと接続する。
【0045】
図3に示すように、いくつかの実施例において、第2方向D
2において、第1壁131と第1セグメント201とが対向して設けられ、第2壁132と第2セグメント203とが対向して設けられる。第3方向D
3において、第1側壁133aは、第1折り曲げセグメント202に対向して設けられ、第2側壁133bは、第2折り曲げセグメント204に対向して設けられる。なお、ある方向において両者が対向して設けられているとは、その方向において両者の投影がほとんど重なっていることを意味する。電気化学装置100は、化成後の真空引きにより、化成時に発生するガスや電解液の過剰分を排出する必要があるため、電極組立体20の側壁の形状によっては、第1側壁133a及び第2側壁133bが一定の円弧、すなわち第1側壁133a及び第2側壁133bが共に円弧面となっていてもよい。
【0046】
図1および
図2を併せて参照すると、筐体10は、第2部12aをさらに含んでもよい。第2部12aは、第1端壁134と接続する。このとき、第1タブ30及び第2タブ40は、いずれも第2部12aのエッジから筺体10の外へ突出している。第1タブ30が接続部31及びアタプタ部32を備える場合、アタプタ部32は、第2部12aのエッジから筺体10の外へ突出している。いくつかの実施例において、第2部12aは折れ曲がっている必要はなく、すなわち、第2部12aは第1端壁134に対して略垂直である。このとき、第1タブ30が筺体10から突出する方向を第1方向D
1とする。他のいくつかの実施例において、第2部12aは、第1端壁134まで折り曲られることで、電気化学装置100の第1方向D
1の寸法を小さくなり、スペース利用率とエネルギー密度が向上される。第2部12aが第1端壁134上に折り曲られることにより、第2部12aに設けられた一部の第1タブ30(アタプタ部32)も第1端壁134上に折り曲られる。このとき、アタプタ部32は、第2部12aの延在方向において第1方向D
1に対して垂直している。
【0047】
いくつかの実施例において、電気化学装置100は、第1絶縁接着剤300と、第2絶縁接着剤400とをさらに含む。第1絶縁接着剤300は、第1タブ30と第2部12aとを密閉接続するものであり、且つ第1絶縁接着剤300の一部が第2部12a外に設けられている。第2絶縁接着剤400は、第2タブ40と第2部12aとを密閉接続するものであり、且つ第2絶縁接着剤400の一部が第2部12a外に設けられている。
【0048】
図4を参照すると、電気化学装置100の封止前の概略構成図である。筺体10は、第2方向D
2に対向して設けられる第1筺体101と第2筺体102を含む。いくつかの実施例において、第1筺体101に対して第2筺体102が折り曲られている。筺体10が第1部11a、第2部12a、及び第3部11bを含む場合、第1筺体101及び第2筺体102の折り曲箇所の対応する電極組立体20は、第1タブ30及び第2タブ40の尻尾から離れる。第1筐体101は、互いに接続された第1筐体領域101aと第2筐体領域101bとを含む。第2筐体領域101bの3つの側辺は、第1筐体領域101aに囲まれている。第2筐体102は、互いに接続された第3筐体領域102aと第4筐体領域102bとを含む。第4筐体領域102bの3つの側辺は、第3筐体領域102aに囲まれている。筺体10は、第1筺体101と第2筺体102によって封止されて形成する。具体的には、第1筺体101の第2筺体領域101bに第1凹部1010が設けられ、第2筺体102の第4筺体領域102bに第2凹部1020が設けられている。このように、第1筐体101および第2筐体102が封止されると、第1筐体領域101aと第3筐体領域102aとが接続されて、第1部11a、第2部12aおよび第3部11bが形成する。第2筐体領域101b及び第4筐体領域102bは、共に電極組立体20を収容する本体部13を構成している。もちろん、他の実施例において、第2筐体102を平板構造であってよい。第1筐体101及び第2筐体102を封止した後に、第2筐体102の第4筐体領域102bによって第1凹部1010を閉塞して本体部13を形成する。
【0049】
第1筐体101と第2筐体102は、一枚の封止フィルムを折り重ねたものであってもよく、すなわち、第1筐体101と第2筐体102の材料はいずれも多層シートである。
図5に示すように、第1筐体101は、順に積層して設けられる第1保護層1011、第1金属層1012、および第1ポリマー層1013を有してもよい。第1ポリマー層1013は、第1保護層1011よりも電極組立体20に近い。第1保護層1011の材質は、高分子樹脂であってもよく、第1金属層1012を保護し、第1金属層1012が外力によって破損するリスクを低減するとともに、外部環境の空気の浸透を遅らせ、電気化学装置100内部が正常に動作する環境を維持する。いくつかの実施例において、第1保護層1011の材質は、エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドから選択される少なくとも一種であってよい。第1保護層1011の厚さは、15~35μmの範囲であってもよい。第1金属層1012は、外部環境への水分の浸透を遅らせ、外力による電極組立体20への損傷を軽減させるために用いることができる。いくつかの実施例において、第1金属層1012は、アルミニウム箔層またはスチール箔層である。第1金属層1012の厚さは、20μm~120μmの範囲であってもよい。第1ポリマー層1013は、加熱溶融する性質を有し、封止に用いることができ、多層シートが電解液中の有機溶媒により溶解または膨潤するリスクを低減することができる。第1ポリマー層1013は、電解液中の電解質が第1金属層1012に接触して金属層が腐食するリスクを低減するためにも用いられる。いくつかの実施例において、第1ポリマー層1013はポリマー材料を含み、ポリプロピレン、プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートから選択される少なくとも1種のポリマー材料である。第1ポリマー層1013の厚さは、10μm~40μmの範囲であってもよい。いくつかの実施例において、第1筐体101は、第1保護層1011と第1金属層1012との間に設けられ、第1保護層1011と第1金属層1012とを接着可能な第1接着層(図示せず)および第2接着層(図示せず)をさらに含んでもよい。第2接着層は、第1金属層1012と第1ポリマー層1013との間に設けられ、第1金属層1012と第1ポリマー層1013とを接着するために用いることができる。
【0050】
図6に示すように、第2筐体102は、順に積層して設けられる第2保護層1021、第2金属層1022、第2ポリマー層1023を含んでもよい。なお、第1筐体101と第2筐体102とが1枚の封止フィルムで折り重ねて得られた場合、第2保護層1021、第2金属層1022および第2ポリマー層1023の材質は、それぞれ、第1保護層1011、第1金属層1012および第1ポリマー層1013の材質と同じである。
【0051】
図5及び
図6に示すように、筐体10を準備する際、第1筐体101と第2筐体102のエッジに一定の温度及び圧力を加えながら、封止デバイスのヘッドにより第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023を互いに溶融させて接着させ、第1コロイド110(
図3に示す)を得ることができる。第1コロイド110は、第1部11aに位置する。ここで、
図3、
図11及び
図12を併せて参照すると、第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023は、第1部11aのみならず、本体部13にも位置しており、第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023は、本体部13内において互いに離間して設けられており、すなわち接着されていない。したがって、本出願の第1コロイド110とは、第1部11a内において第1ポリマー層1013と第2ポリマー層1023とが溶融し、互いに接着している部分を意味する。第1ポリマー層1013と第2ポリマー層1023とが分離して接着しない領域は、第1コロイド110内には含まれない。区別を容易にするために、
図11及び
図12では、第1コロイド110と、接着されていない第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023とを、それぞれ異なる充填方式で示している。しかし、これは、第1コロイド110と、接着されていない第1ポリマー層1013と第2ポリマー層1023とが、異なるポリマーで作製されていることを意味するものではなく、両者の間に顕著な限界はない。第1部11aが溶融して第1コロイド110を形成するので、第3方向D
3において、電極組立体20を収容する本体部13を閉塞することができ、液漏れのリスクを低減する。
【0052】
筐体10が第2部12a及び第3部11bを更に有している場合、第2部12aには、第1ポリマー層1013と第2ポリマー層1023とが溶融して密着した第2コロイド(図示せず)が設けられている。第2部12aは、第1方向D1において本体部13を閉塞でき、液漏れのリスクを低減する。第1絶縁接着剤300と第2絶縁接着剤400を設けた場合、第1絶縁接着剤300は、第1タブ30と第1金属層1012又は第2金属層1022との間で短絡が発生するリスクを低減するのにも用いられる。そして、封止時に、第1絶縁接着剤300は、第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023と溶融して接着して、液漏れのリスクを低減する。同様に、第2絶縁接着剤400は、第2タブ40と第1金属層1012又は第2金属層1022との間の短絡のリスクを低減するためにも用いられ、かつ、封止時に第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023と溶融して接着し、液漏れのリスクを低減する。第3部101bに、第1ポリマー層1013と第2ポリマー層1023とが互いに溶融して接着した第3コロイド(図示せず)が設けられていてもよい。
【0053】
図10に示すように、他の実施例において、筐体10は、第3部11bを含まない。第1部11a及び第2部12aに加えて、第2端壁135と接続する第4部12bをさらに備える。このとき、第1タブ30及び第2タブ40は、共に第2部12aから突出してもよい。あるいは、第1タブ30及び第2タブ40は、共に第4部12bから突出してもよい。あるいは、第1タブ30は、第2部12aから突出し、第2タブ40は、第4部12bから突出する。この場合、封止前において、第1筺体101と第2筺体102の折り曲げ箇所は、第1部11aと対向する第2側壁133bに位置する。
【0054】
他のいくつかの実施例において、封止前において、第1筐体101と第2筐体102は、1枚の封止フィルムを折り重ねて得られるのではなく、互いに独立した2枚の封止フィルムである。2枚の封止フィルムの4つの縁を封止することにより、第1部11a、第2部12a、第3部11bおよび第4部12bが同時に得られる。
【0055】
図7から
図9を併せて参照すると、封止後、第1部11aを2回折り曲げてダブルヘミング構造を形成する。
図7及び
図8は、第1部11aが折り曲げられる前の構成を示しており、このとき第1部11aの延在方向は、第3方向D
3と略平行である。
図9は、第1部が1回目に折り曲げられた構成を示し、
図3は、第1部が2回目に折り曲げられた構成を示す。例えば、
図8に示すように、まず1回目に第1部11aの一部を折り曲げて、第1部11aのエッジから露出した金属層を保護し、金属層露出後に外界との短絡が容易となるリスクを小さくして安全性を高める。そして、
図3に示すように、第1部11aを第1側壁133aへ2回目に折り曲げる。このため、
図3に示すように、第1部11aは、第1シールエッジ111と第2シールエッジ112とを含む。第1シールエッジ111は、第1側壁133aと第2壁132とを接続する。第2シールエッジ112は、第1シールエッジ111と接続し、第1シールエッジ111と第1側壁133aとの間に設けられる。第2シールエッジ112は1回目の折り曲げにより形成し、第1シールエッジ111は2回目の折り曲げにより形成する。あるいは、別の実施例において、ダブルヘミング構造の折り曲げ順序は、まず1回目に第1部11aを第1側壁133aに折り曲げた後、2回目に第1部11aの一部を折り曲げ、第1部11aのエッジから露出した金属層を保護するようにしても良い。2回の折り曲げの順序は、状況に応じて選択することができ、本出願では特に制限しない。
【0056】
図11及び
図12に示すように、第1方向D
1に垂直な断面(すなわち、当該断面が位置する面が第2方向D
2及び第3方向D
3に延在する)において、第1シールエッジ111と第1側壁133aとの間には、第1接続点Aを有する。ここで、第1接続点Aは、第1シールエッジ111の第1側壁133aと対向する外面と第1側壁133aの外面との接続点である。第1側壁133aは、第1接続点Aを起点とし、第1側壁133aの輪郭に沿って外向きに延在して第1直線X
1を形成し、第1直線X
1と第2壁132とは、交点1320で交差する。ここで、交点1320は、第1直線X
1と第2壁132の外面との交点である。本出願では、第1直線X
1は、第1方向D
1に垂直な断面において、第1部11aと本体部13との境界線である。このため、第1方向D
1に垂直な断面においても、交点1320は、第2壁132と第1シールエッジ111の第1側壁133aから離れた他の外面との境界点となる。第1コロイド110は、第1直線X
1と第1部11aとに囲まれて形成された空間内に位置する。第1部11aを封止する際に、封止位置における第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023が溶融して第1コロイド110を形成し、一方の圧力が小さい位置に第1コロイド110を押し出す(すなわち第2シールエッジ112から第1シールエッジ111に押し出す)。そのため、第1方向D
1に垂直な断面において、第1コロイド110は角点110a(すなわちバンプ)を形成する可能性があり、角点110aは、主体部13の内部に向かって突出している。例えば、第1コロイド110が一方側へ押し出され、第1方向D
1に垂直な断面において主体部13の内部に向かって突出する曲線を形成するとき、角点110aは、第1コロイド110のエッジのうち最も形状が突出する位置である。例えば、第1コロイド110が円弧に類似したエッジを形成する場合、角点110aは、第1コロイド110のエッジのうち最も曲率半径が小さい点であってよい。
図11に示すように、いくつかの実施例において、第1方向D
1に垂直な断面において、第1コロイド110のエッジ(すなわち、角点110a)は、第1直線X
1から離れて配置される。
図12に示すように、他のいくつかの実施例において、第1コロイド110のエッジ(すなわち、角点110aにおいて)は、第1直線X
1に接してもよい。いくつかの実施例において、第1側壁133aが円弧面であるとき、第1直線X
1は、第1接続点Aを通る接線である。
【0057】
図13に示すように、第1筐体と第2筐体とを封止して第1部を形成する場合、側壁は第1部と接続する箇所(すなわち、第1接続点A)の延在方向に変化が発生し、第1部を折り曲げ後、第1接続点Aにおける延在方向の変化の度合いがさらに大きくなり、第1接続点Aが本体部内部に向かって突出する。そのため、機械乱用時に第1接続点Aにおいて応力集中が起こりやすく、筐体が破裂リスクがあり、液漏れを起こし、電気化学装置の寿命を低下させる。そして、溶融して接着後に形成される第1コロイドは硬度が大きく、第1接続点Aは第1コロイドに近いため、筐体の第1接続点A付近における屈曲性が低下する。このことは、第1接続点Aに応力集中が発生し易くなり、ひいては疲労損傷が発生し、筺体が破裂してしまう。また、第1コロイドが電極組立体に突き当たりやすくなり、両者の接触位置に応力が集中して電極組立体が破損したり、サイクル性能が低下したりする(接触位置に応力が集中して活物質層が集電体表面から脱落して微小短絡となり、自己放電が増大する)。本出願は、第1コロイド110の範囲を限定することで、機械乱用時に第1接続点Aに対する第1コロイド110の衝撃力が低減し、さらに第1接続点Aにおける破裂リスクが低減し、第1部11aの機械的強度が向上する。また、機械乱用時に第1コロイド110が電極組立体20に突き当たるリスクを低減し、電気化学装置100のサイクル性能や寿命を向上させるのにも有利である。また、第1コロイド110の範囲を限定することで、封止時に突出した第1コロイド110が電極組立体20の沈み込みに影響する問題も改善される。
【0058】
図14及び
図16に示すように、別の実施例において、第1コロイド110のエッジが第1直線X
1と離れて配置されたときに、第1接続点Aを通って第2方向D
2に延在する直線を第2直線X
2と定義し、第2直線X
2は第1部11aの第1側壁133aから離れた外面と交点1100で交差する。第1コロイド110は、第2直線X
2と第1部11aとに囲まれて形成された空間内に位置する。
図14に示すように、いくつかの実施例において、第1コロイド110のエッジは第2直線X
2から離れて設けられる。
図16に示すように、他のいくつかの実施例において、第1コロイド110のエッジは、第2直線X
2に接してもよい。第1コロイド110の範囲を規定することで、機械乱用時に第1接続点Aに対する第1コロイド110の衝撃力がより低減され、第1コロイド110が電極組立体20に突き当たるリスクもより低減される。また、第1コロイド110は第2直線X
2を超えないので、第1直線X
1、第2直線X
2および第2壁132の間には電解液を収容するための緩衝空間が形成される。したがって、この緩衝空間は、機械乱用時に電解液が第1コロイド110に直接衝突する事態を改善し、第1部11aが電解液によって突き破れて液漏れするリスクを低減し、安全性を高めることができる。
【0059】
図3に示すように、いくつかの実施例において、第2方向D
2において、第1シールエッジ111の長さL
1と第2シールエッジ112の長さL
2の和をLと定義し、第2方向D
2において、電極組立体20の厚さをHとすると、3/4H≦L≦5/4Hである。本出願は、上記の関係を満たすようにL値を設定することにより、L値が小さすぎると第1部11aの封止強度が低下することを改善し、電極組立体20や電解液によって第1部11aが突き破れるリスクを低減するとともに、L値が大きすぎるとコストアップやエネルギー密度の低下が生じる問題も改善している。
【0060】
本願における寸法の測定は、例えば、電極組立体20の厚さH、第1シールエッジ111の長さL1、第2シールエッジ112の長さL2等は、複数のサンプル点を測定して平均値を取ることができる。
【0061】
図11、
図12、
図14、
図16に示すように、いくつかの実施例において、第2シールエッジ112は、第1シールエッジ111を接続する第1端1121と、第1端1121に対向して設けられる第2端1122とを含む。ここで、第1端1121は、第2シールエッジ112と第1シールエッジ111との間の折り曲げ箇所である。第2端1122は、第1部11aが第1側壁133aから離れた末端、すなわち第1部11aにおける第1金属層1012と第2金属層1022とが露出した箇所であり、第2端1122の位置は、第2シールエッジ112の第2方向D
2における長さを反映している。電極組立体20は、第2方向D
2に直交する第1面P
1を有しており、第1面P
1は一つの仮想的な面である。第2方向D
2において、第1面P
1の両側に位置する電極組立体20の厚さが同一である。すなわち、第1面P
1は、第2方向D
2における電極組立体20の中心面である。第1面P
1は、第2端1122と第2壁132との間に位置する。第2シールエッジ112の第2端1122の位置を規定することで、第2端1122の位置が低い(すなわち、第2シールエッジ112の長さが大きい)場合に、第1部11aが第1側壁133aから離れてやすくなるリスクが低減される。
【0062】
図11、
図12、
図14及び
図16に示すように、いくつかの実施例では、第1部11aを封止する際に、封止位置における第1ポリマー層1013及び第2ポリマー層1023が溶融して第1コロイド110を形成し、第1コロイド110を一方の圧力が小さい位置に押し出されて、本体封止領域よりも厚さが大きいコロイドオーバ領域を形成する。すなわち、第1シールエッジ111は、第1コロイド110が一方側に押し出されてコロイドオーバー領域が形成される第1領域1111(すなわちコロイドオーバ領域)と、封止ヘッドと直接接触して封止ヘッドによって直接熱プレスされることで形成される第2領域1112(すなわち本体封止領域)と、を含む。第2領域1112は、第1領域1111と第2シールエッジ112との間に接続されている。第1領域1111の封止強度は、第2領域1112の封止強度よりも小さい。一般的に、第1シールエッジ111から第2シールエッジ112までの延在方向に沿って、第2領域1112の長さは、第1領域1111の長さより短い。いくつかの実施例において、第1シールエッジ111から第2シールエッジ112までの延在方向に沿って、第1領域1111の厚さH
1は、徐々に減少してもよく(すなわち、H
1は一定値ではない)、第2領域1112の厚さH
2は、徐々に減少していてもよく(すなわちH
2は一定値ではない)、第1領域1111の厚さH
1は、第2領域1112の厚さH
2よりも大きい(すなわち単位長さあたりの第1領域1111における第1コロイド110の含有量が、単位長さあたりの第2領域1112における第1コロイド110の含有量よりも多い)。また他の幾つかの実施例において、第1領域1111は、加熱プレス時に封止ヘッドと接触する領域であってもよく、本願は制限していない。例えば、ヘッドは異形ヘッドであり、第1領域1111を封止するための上下ヘッド距離が相対的に大きく、上下ヘッドを直接加熱プレスすることより相対的に厚さの大きい第1領域1111を形成する。
【0063】
幾つかの具体的な実施例において、第2シールエッジ112から第1シールエッジ111までの延在方向に沿って、第2領域1112の厚さの変化は10μm以下であり、第1領域1111の厚さの変化は10μmより大きい。すなわち、第2領域1112は相対的に厚さの変化が緩やかであり、第1領域1111は第2領域1112と比べて厚さの変化が大きい。ここで、上記厚さの変化は、第2シールエッジ112から第1シールエッジ111までの延在方向に沿って、第1領域1111または第2領域1112の対向して設けられる両端における厚さの増大の値である。第1領域1111と第2領域1112との間の境界線の特定には、以下の工程を採用することができる。電気化学装置100の断面図を取得し、断面視において、第1端1121を起点として、所定の間隔ごとに、第1シールエッジ111上に一のサンプリング点を選択し、そのサンプリング点における第1シールエッジ111の厚さを特定する。サンプリング点における厚さと第1端1121との厚さの差が10μm未満の場合、サンプリング点は第2領域1112に属すると判定する。そして、選択されたサンプリング点における第1シールエッジ111の厚さと、第1端1121の厚さとの差が10μmとなるまで、所定の間隔で次のサンプリング点を選択し続ける。この場合、第1端1121から選択されたサンプリング点までの範囲が第2領域1112となり、第1シールエッジ111の残りの範囲が第1領域1111となる。
【0064】
第1部11aを封止する際に、封止位置における第1ポリマー層1013と第2ポリマー層1023とが溶融して第1コロイド110を形成した後、第1コロイド110を第2シールエッジ112の第2端1122に押し出す可能性もある。すなわち、第2シールエッジ112は、第2端1122においても厚さの大きいコロイドオーバー領域が形成される可能性がある。第1シールエッジ111のコロイドオーバー領域と、第2シールエッジ112のコロイドオーバー領域とは、離れて設けられている。上述した第1領域1111と第2領域1112の範囲を特定するにあたって、第2シールエッジ112のコロイドオーバー領域は考慮しない。
【0065】
図11、
図12、
図14および
図16に示すように、前記第1方向D
1に垂直な断面において、第1領域1111と第2領域1112との間には、第1領域1111と第2領域1112との境界線から選択される第2接続点Bが設けられている。第2接続点Bの位置は、第2方向D
2における第1領域1111及び第2領域1112の長さを反映している。いくつかの実施例において、第2接続点Bは、第1面P
1と第2壁132との間に位置ずる。第2接続点Bの位置を規定することにより、第1領域1111の第2方向D
2における寸法が小さくされるとともに、封止強度がより大きい第2領域1112の第2方向D
2における寸法が大きくされ、第1部11aの封止強度が向上される。そのため、第1部11aが電解液により突き破れることによる液漏れのリスクが低減され、安全性が向上する。
【0066】
いくつかの実施例において、第1方向D
1に垂直な断面において、第2領域1112と第2シールエッジ112との間に第3接続点Cが設けられる。第3接続点Cは、第2領域1112と第1領域1111との折り曲げ点、すなわち第1端1111の上記断面における交点である。第3接続点Cの位置も、第2方向D
2における第2シールエッジ112の長さを反映している。電極組立体20は、第2方向D
2に直交する第2面P
2をさらに有し、第2面P
2は一つの仮想的な面である。第2方向D
2において、第2面P
2と第2壁132との間に位置する電極組立体20の厚さは、電極組立体20の総厚さの3/4である。第2方向D
2において、第3接続点Cは、第2面P
2と第2壁132との間に位置する。すなわち、第2方向D
2において、第3接続点Cは、電極組立体20の総厚さの3/4以下であるので、第3接続点Cが高い(すなわち、第2シールエッジ112の長さが大きい)ときに、第1部11aが第1側壁133aから離れやすくなるリスクが低減される。
図14に示すように、第1コロイド110のエッジが第1直線X
1から離れて設けられる場合、第1シールエッジ111は第3領域1113をさらに含み、第1領域1111は、第2領域1112と第3領域1113との間に接続される。第3領域1113内の第1ポリマー層1013は第2ポリマー層1023と接着しない、すなわち第1ポリマー層1013と第2のポリマー層1023とが互いに溶融して形成された第1コロイド110は、第3領域1113内に設けられていない。このとき、角点110aは、第3領域1113に向かって突出している。第1領域1111および第3領域1113の詳しい位置は、
図15Aを参照されたい。
【0067】
図14及び
図15Aに示すように、第1接続点Aを通り、第2方向D
2に延在する直線を第2直線X
2と定義し、第3領域113は、第2直線X
2の電極組立体20から離れる一側に設けられている。第3領域1113を配置することにより、機械乱用時における第1接続点Aへの第1コロイド110の衝撃力をより低減し、第1コロイド110が電極組立体20に突き当たるリスクもより低減される。また、第3層1113は、電解液を収容する緩衝空間を形成している。したがって、この緩衝空間は、機械乱用時に電解液が第1コロイド110に直接衝突する事態を改善し、第1部11aが電解液によって突き破れて液漏れするリスクを低減し、安全性を高めることができる。
【0068】
図15Bを参照すると、いくつかの実施例において、第1方向D
1に垂直な断面において、第3領域1113が第1金属層1012と第2金属層1022との間に設けられた部分の面積をA
1とし、第1領域1111が第1金属層1012と第2金属層1022との間に設けられた部分の面積をA
2としたとき、0.5≦A
1/A
2≦3である。本願では、上記の関係を満たすようにA
1/A
2を設定することにより、A
1とA
2との比が小さすぎる(即ちコロイドオーバー領域が大きい)と、第1側壁133aとの接続部において第1部11aが折れにくくなるという問題が改善され、折り曲げ後の電気化学装置の第3方向D
3の寸法が小さくなり、体積エネルギー密度が向上する。また、A
1とA
2との比が大きすぎると、第1部11aの封止強度が低下するリスクも低減される。あるいは、ある好ましい実施形態において、1≦A
1/A
2≦2である。当該範囲内において、第1部分11aは、高い封止強度を有するとともに、第1側壁133aとの接続部で折れ曲がりやすい。ここで、A
1は、画像法により測定することができ、測定ステップは、以下のステップを含む。第1方向D
1に垂直な断面において、第1部11aの断面を切り取り、第1方向D
1において、上述した断面を含む画像を第1画像として採集する。面積がS
0であることが分かっている参照ターゲットとなる画像として第2画像を採集する。第1画像のうち第3領域1113に対応する画素点の数n
1を算出し、第2画像のうち参照ターゲットに対応する画素点の数n
0を算出する。面積A
0、数n
1および数n
0に基づいて第3領域1113の面積A
1を算出する。即ち、A
1=(S
0×n
0)/n
1である。同様に、A
2も画像法により測定できる。
【0069】
図14に示すように、いくつかの実施例において、第1方向D
1に垂直な断面において、第3直線X
3は、角点110aを通り、第2直線X
2と平行である。第3直線X
3は、第1シールエッジ111の第1金属層1012と第1ポリマー層1013との境界線と第1交点J
1で交差し、第3直線X
3は、第1シールエッジ11の第2金属層1022と第2ポリマー層1023との境界線と第2交点J
2で交差する。第1交点J
1と第2交点J
2との距離をL
3(第1シールエッジ111から前記第2シールエッジ112までの延在方向に沿った第1領域1111の厚さH1の最大値を示す)とし、第2方向D
2において、角点110aと、第1領域1111と第2領域1112との境界線との距離をL
4(第2方向D
2における第1領域1111の長さを示す)とすると、0.1≦L
3/L
4≦0.6である。幾つかの実施例において、第1方向D
1に垂直な断面において、角点110aの第1シールエッジ111の両側からの距離は同じであってもよい。このとき、第3直線X
3は第1シールエッジ111のいずれかの側に垂直である。本願では、L
3/L
4が上記の関係を満たすように設けることにより、L
4に対するL3の比が小さすぎる(すなわち、第1領域1111の厚さが小さい)場合や、L
4に対するL
3の比が大きすぎる(すなわち、第1領域1111の長さが小さい)場合に、第2領域1112のヒートシールが不十分になる問題を改善し、第1部11aの封止強度が向上する。あるいは、ある好ましい実施例において、0.3≦L
3/L
4≦0.5である。当該範囲内において、第1部11aは、高い封止強度を有する。ただし、L
3、L
4は直接測定法により測定することができ、測定ステップは、以下のステップを含む。第1方向D
1に垂直な断面で第1部11aの断面を切り出し、上述した方法でL
3及びL
4を断面上で標記した後、L
3、L
4の数値をノギスやその他の適切な測定具で直接測定するか、或いは上記断面の画像を採集して画像内で測定する。
【0070】
図3に示すように、いくつかの実施例において、電気化学装置100は、第1接着材50をさらに有する。第1接着材50は、第2シールエッジ112と第1側壁133aの外面とを接着することにより、第2シールエッジ112を第1側壁133aに固定し、第1部11aが離れてしまうリスクをさらに低減する。ただし、第1接着材50は両面テープ又はホットメルトであってもよく、第1接着材50は連続して設けられている。両面テープにおける接着層の材質は、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ゴム及びシリカゲルから選ばれる1つ又は複数であればよく、ホットメルトは、ポリオレフィン系ホットメルト、ポリウレタン系ホットメルト、エチレン及びその共重合体系ホットメルト、ポリエステル系ホットメルト、ポリアミド系ホットメルト、スチレン及びそのブロック共重合体系ホットメルトから選ばれる1つ又は複数であればよく、本出願は特に制限していない。
【0071】
電気化学装置100は、第2接着材60をさらに備えていてもよい。第2接着材60は、第1側壁133aの内面と電極組立体20とを少なくとも接着することにより、電極組立体20を筺体10内に固定する。このように、機械乱用が発生したときに、第3方向D
3において電極組立体20が筺体10内で暴れるリスクを小さくすることができ、ひいては筺体10の第1部11aに対する電極組立体20の衝撃を小さくして安全性を高めることができる。なお、第2接着材60は、両面テープ又はホットメルトであってもよい。
図3に示すように、幾つかの具体的な実施例において、第2接着材60の数は2つであり、それぞれ第1側壁133aと第2側壁133bの内面を接着する。
【0072】
電気化学装置100は、第3接着材70をさらに備えていてもよい。第3接着材70は、第1壁131または第2壁132の少なくとも一方の内面と電極組立体20とを接着する。このように、機械乱用が発生したときに、第2方向D
2において電極組立体20が筺体10内で暴れるリスクを小さくすることができ、ひいては、筺体10の第2部12aに対する電極組立体20の衝撃を小さくして安全性を高めることができる。なお、第3接着材70は、両面テープ又はホットメルトであってもよい。
図3に示すように、幾つかの具体的な実施例において、第3接着材70の数は2つであり、第1壁131の内面と第2壁132の内面とがそれぞれ接着される。
【0073】
図2に示すように、いくつかの実施例では、第2方向D
2において、第2部12aは、第1壁131よりも第2壁132に近い。第2方向D
2において、第1端壁は、第1タブ30の両側に位置する第1端面1341と第2端面1342とを含み、第1端面1341は、第2部12aと第1壁131とを接続し、第2端面1342は、第2部12aと第2壁132とを接続する。すなわち、第1端面1341が深いピット面であり、第2端面1342が浅いピット面である。
【0074】
さらに、電気化学装置100は、第1端面1341と第2部12aのエッジとを接着する第4接着材80を備えていてもよい。第4接着材80は、第2部12aのエッジから露出した金属層を被覆することができ、安全性を高めることができる。第3接着材70は、第1タブ30及び第2タブ40が第2部12aのエッジからはみ出すように、第2部12aのエッジ全体を覆っていない。第4接着材80は、片面テープ、両面テープ、またはホットメルトであってよい。片面テープにおける接着層の材質は、アクリレート、ポリウレタン、ゴム、およびシリカゲルから選択される一種または複数種であってよく、本願では特に制限していない。
【0075】
図3に示すように、いくつかの実施例において、第1集電体210は、対向する第1面2101と第2面2102を有する。電極組立体20が捲回構造である場合、電極組立体20の最外周の外側表面は第1面2101である。従って、機会乱用時に第1コロイド110が電極組立体20に衝撃を与えたとしても、第1面2101が外側表面であるため、電極組立体20の外側表面に活物質を設けた際に、活物質が脱落し易くなることが改善される。一方、第1集電体210は、電極組立体20の硬度を大きくすることができ、電極組立体20を保護する働きをする。
【0076】
図17を参照して、本開示の他の実施形態は、さらに電気化学装置200を提供する。電極組立体20の最外周が分離膜23である点において、上述した電気化学装置100と異なる。すなわち、本実施例では、分離膜23を延長して分離膜23で仕上げる。分離膜23は、電極組立体20と筺体10との間の摩擦力を増し、電極組立体20と第1接着材50又は第2接着材60との接着力を高め、電極組立体20を筺体10内により一層好適に固定することができる。また、分離膜23は保護層を形成することができ、この部分の分離膜23内側の電極シートの摩耗による短絡リスクを回避し、電極組立体20の機械的衝撃に対する耐性を高めることができる。
【0077】
なお、本出願の電気化学装置100(または電気化学装置200)は、電気化学反応を起こす装置を全て含む。具体的には、電気化学装置100は、一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池、キャパシタ(例えばスーパーキャパシタ)をすべて含む。電気化学装置100は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池およびリチウムイオンポリマー二次電池を含むリチウム二次電池であってもよい。
【0078】
図18を参照する、本出願の一実施形態は、電気化学装置100(または電気化学装置200)を含む電子機器1を提供する。
【0079】
なお、本出願の電気化学装置100は、様々な分野の電子装置1に適用される。本出願の電子装置1は、ノートパソコン、ペン入力型コンピュータ、モバイルパソコン、電子書籍プレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型複写機、携帯型プリンター、ヘッドセットステレオイヤホン、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯CD機、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯型レコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、アシスト自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ、家庭用大型蓄電池およびリチウムイオンキャパシター等であり、これらに限定されない。
【0080】
以下、実施例および比較例により、本出願を詳細に説明する。ここで、電気化学装置をソフトパック電池とする例を挙げ、具体的な製造方法とテスト方法を結合して本出願を説明する。当業者であれば、本出願に記載の製造方法はあくまで例であり、他のいかなる適当な製造方法も本出願の範囲内であると理解されたい。
【0081】
実施例1
(1)負極シートの調製:負極活物質人造グラファイト、導電性カーボンブラック(SuperP)と、スチレンブタジエンゴム(SBR)とを、重量比96:1.5:2.5で混合し、溶媒として脱イオン水を加え、固形分70重量%のスラリーを調製し、均一に攪拌する。厚さ10μmの負極集電体銅箔の一方の表面にスラリーを均一に塗布し、110℃で乾燥させ、コーディングの厚さが150μmの片面に負極活物質層が塗布された負極シートを得る。この負極シートの他方の面に、以上の工程を繰り返すことにより、負極活物質層が両面に塗布された負極シートを得る。
(2)正極シートの調製:正極活物質コバルト酸リチウム(LiCoO2)、導電性カーボンブラック(SuperP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、重量比97.5:1.0:1.5で混合し、溶媒としてN-メチルピロリドン(NMP)を加え、固形分75重量%のスラリーを調製し、均一に攪拌する。厚さ12μmの正極集電体アルミニウム箔の一方の表面にスラリーを均一に塗布し、90℃で乾燥させて、正極活物質層の厚さが100μmの正極シートを得る。正極集電体アルミニウム箔の他方の面に、上記の工程を繰り返すことにより、正極活物質層が両面に塗布された正極シートを得る。
(3)電解液の調製:乾燥アルゴン雰囲気中で、まず、有機溶媒エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とを、質量比EC;EMC:DEC=30:50:20で混合した後、有機溶媒にリチウム塩ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を加えて溶解し、均一に混合し、リチウム塩の濃度が1.15mol/Lの電解液を得る。
(4)電極組立体の作製:分離膜、両面塗布負極シート、分離膜、両面塗布正極シートを順次積層して捲回する。電極組立体の厚さをHとする。電極組立体は、1つの正極タブと1つの負極タブとからなり、正極タブはアルミニウム(Al)であり、負極タブはニッケル(Ni)であり、2つのタブは並べて設けられ、分離膜は、厚さ15μmのポリエチレン(PE)フィルムを用いる。
(5)電極組立体の組み立て:打ち抜き成形したアルミニウムプレパラート(厚さ150μm)を組み立て治具内にピットを上向きにし、電極組立体を分離膜面を上向きにしてピット内に置き、アルミニウムプレパラートのエッジにおける電極組立体のタブと対応する領域にタブゴムを設ける。
(6)注液封止:アルミニウムモールドのピット内に電解液を注入し、電極組立体の全てのタブをアルミニウムモールド外に引き出す。封止デバイスのヘットを用いてアルミモールドのエッジを加圧して第1部を形成する。第1部の第1シールエッジと第2シールエッジの長さの和Lと、電極組立体の厚さHが等しい。
(7)折り曲げ:第1部を2回折り曲げてダブルヘミング構造を形成して、電池を得る。実施例1の電池を用いて、第1方向D1と垂直する断面方向に電池の断面を切り出して、測定したところ、第3領域の面積A1と第1領域の面積A2とが、A1/A2=0.4となる。第1交点と第2交点との距離をL3、角点と、第1領域と第2領域の境界線との距離をL4は、L3/L4=0.3となる。第1領域と第2領域との間の第2接続点の位置は、第1面以下である。
【0082】
実施例2~7及び比較例1
実施例1と異なる点は、第1コロイドの範囲、LとHの関係および/または第2接続点の位置である。ここで、第1コロイドの範囲は、ヘッドの温度や圧力を制御することにより調節することができる。ヘッドの幅を調節することによりLを調節し、ひいてはLとHとの関係を調節する。第1シールエッジと第2シールエッジとの間の折り曲げ箇所の位置を調節することにより第2接続点の位置を調節する。
【0083】
そして、各実施例および比較例の電池について、それぞれ、微転落テスト、転落テスト、ロールテスト、封止強度テストおよびエネルギー密度テストを行う。各実施例毎および各比較例毎の電池を10個ずつ取りテストし、対応するテスト結果を表1に記録する。
【0084】
微転落テストステップ:1)25℃の環境条件で電池を0.2C直流で0%SOC(State of Charge、充電状態)まで放電する。5分間静置する。再び0.5C定電流で50%SOCまで充電した後、定電圧で0.05Cまで充電する。5分間静置して電池の電圧と内部抵抗を測定する。2)電池を冶具ボックスに入れ、一回りとして、自動転落設備で電池の底面、左側面、右側面、正面、背面、天面の順に着地するように10cm位置から鋼板上に転落させ、1サイクルとして計100回り即ち600回転落させ、計3サイクルテストする。3)さらに、表面、裏面微転落テストを行い、1サイクル計500回り、即ち1000回転落させ、計3サイクルテストする。4)微転落完了後の電池を、温度(60±3)℃、相対湿度90%の環境に置き、14日間静置した後第1接続点における破損及び液漏れの有無を検査し、電池の電圧及び内部抵抗を記録する。電圧降下<0.2Vかつ第1接続点に破裂が発生していなければ、電池は微転落テストを通過したと判断する。
【0085】
転落テストステップ:1)電池を冶具ボックスに入れ、転落高さを1.8mに変更し、一回りとして自動転落設備で電池付き冶具ボックスを、冶具ボックス頭底面、左側面、右側面、正面、背面、天面から着地するように、順に1.8m位置から鋼板上に転落させ、1サイクルは計3回り、即ち18回転落させる。2)一回りずつ落下させて電池の電圧を測定し、電池の発火・液漏れが発生したら落下の継続を停止し、そうでなければ、計3回りテストする。3)落下完了後に電池を解体し、第1部が離れず、第1接続点が破裂しておらず、かつ、電極組立体表面に凹みが生じていなければ、電池が転落テストを通過したと判断する。
【0086】
ドラムテストのステップ:1)25度の環境条件下で電池の充電状態を100%まで充填し、電池電圧は4.4Vである。2)電池を治具ボックスに入れ、電池の背部を接着テープで治具に接着し、さらに治具上のネジを締め、電池を入れた治具をドラムテスターにセットしてテストを行い、テスト完了後24h静置する。ただし、ドラム速度7回転/分、転落高さ1m、計1000回回転する。ドラムテスト後の電池が液漏れ、発火、爆発等の現象が見られなければ、電池はドラムテストを通過したと判断する。
【0087】
【0088】
表1において、微転試験通過率0/10は、テスト済みの10個の電池のうちテストを通過した電池数が0個であることを示している。微転落通過率10/10は、テスト済みの10個の電池のうちテストを通過した電池数が10個であることを示している。その他の比例値の意味は、このように類推する。
【0089】
表1データから、比較例1に比べて、実施例1では第1コロイドが第1直線を超えていないため、微転落テスト、転落テスト及びドラムテスト通過率が高く、安全性も高いことが分かる。
【0090】
第1コロイドが第1直線を超えていないことを満たす前提では、L値と第2接続点の位置はいずれもテスト結果にさらに影響する。実施例1、3、4と比較して、実施例2ではL値が小さく、実施例5のL値は大きく、3/4H≦L≦5/4Hを満たしていないため、連絡テスト通過率は相対的に低減している。実施例6では、実施例1と比較して、第2接続点が第1面以上となっているため、転落テスト通過率が相対的に低減している。
【0091】
第1コロイドが第1直線を超えていないことを満たす前提では、実施例1に比べて、実施例7の第1コロイドが第2直線を超えていないため、転落テスト通過率が相対的に向上している。
【0092】
実施例8~22
実施例1との違いは、A1/A2とL3/L4比の値が異なる。ヘッドのコロイドオーバー槽の構造を調節することでA1/A2とL3/L4を調節することができる。
【0093】
そして、各実施例の電池について、それぞれ、封止強度テストおよびエネルギー密度テストを行う。対応するテスト結果を表2に記す。
【0094】
封止強度テストのステップ:1)第1部を筐体から取り外してサンプル1とする。2)サンプル1を幅Lが8mmのテストストリップに裁断し、こテストストリップがシール領域全体を完全に保存しつつ、シール領域の両側の包装ケースも健全に破壊されていないようにして、サンプル2を得る。3)高鉄テンション機を用いて、シール領域内で2層の筺体が互いに分離するように、両側の筺体を180°の角度で引き裂く。4)上記2層が分離時の安定引張力Fを記録し、封止強度σ=F/Lを算出する。
【0095】
エネルギー密度テストのステップ:(1)電池を25℃環境下で、充電速度1Cで3.0Vから4.4Vまで充電し、さらに放電速度0.1Cで3.0Vまで放電し、0.1C放電容量を測定すると、0.1C放電エネルギー密度=0.1C放電容量/電池の体積である。
【0096】
【0097】
表2のデータから、実施例1及び実施例15と比較して、実施例8-14は、0.5≦A1/A2≦3を満たすため、高い体積エネルギー密度と、高い封止強度とを有することがわかる。実施例16及び実施例22と比較して、実施例17-21は、0.1≦L3/L4≦0.6を満たすため、高い封止強度を有する。
【0098】
以上の実施例は、本出願の技術的な態様を説明するためにのみ用いられるものであり、本出願を限定するものではない。以上のより良い実施例を参照して本出願を詳細に説明したが、当業者は、本出願の技術的態様の精神および範囲を逸脱することなく、本願の技術的態様を変更または同等に置換することができることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0099】
1 電子装置
10 筺体
11a 第1部
11b 第3部
12a 第2部
12b 第4部
13 本体部
20 電極組立体
21 第1電極シート
22 第2電極シート
23 分離膜
30 第1タブ
31 接続部
32 アダプタ部
40 第2タブ
50 第1接着材
60 第2接着材
70 第3接着材
80 第4接着材
100、200 電気化学装置
101 第1筺体
102 第2筺体
110 第1コロイド
110a 角点
111 第1シールエッジ
112 第2シールエッジ
131 第1壁
132 第2壁
133a 第1側壁
133b 第2側壁
134 第1端壁
135 第2端壁
201 第1セグメント
202 第1折り曲げセグメント
203 第2セグメント
204 第2折り曲げセグメント
210 第1集電体
211 第1活物質層
220 第2集電体
300 第1絶縁接着剤
400 第2絶縁接着剤
1010 第1凹部
1011 第1保護層
1012 第1金属層
1013 第1ポリマー層
1020 第2凹部
1021 第2保護層
1022 第2金属層
1023 第2ポリマー層
1111 第1領域
1112 第2領域
1113 第3領域
1121 第1端
1122 第2端
1341 第1端面
1342 第2端面
2101 第1表面
2102 第2表面
A 第1接続点
B 第2接続点
C 第3接続点
X1 第1直線
X2 第2直線
X3 第3直線
H、H1、H2 厚さ
P1 第1面
P2 第2面
O 捲回中心軸
D 捲回方向
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
L1、L2、L3、L4 長さ
1320、1100 交点
J1 第1交点
J2 第2交点
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、電極組立体と、タブと、を備える電気化学装置であって、
前記筺体は、本体部と第1部とを含み、前記電極組立体は、本体部に設けられ、前記タブは、前記電極組立体と電気的に接続されて前記筺体から突出しており、
前記電極組立体に対して前記タブが突出する方向を第1方向とし、前記電極組立体の厚さ方向を第2方向とし、前記第1方向と前記第2方向とに直交する方向を第3方向とし、
前記第2方向において、前記本体部は、対向して設けられた第1壁と第2壁とを含み、前記第3方向において、前記本体部は、対向して設けられた第1側壁と第2側壁とを含み、
前記第1部は、前記第1側壁と前記第2壁とを接続する第1シールエッジと、前記第1シールエッジを接続する第2シールエッジと、を含み、前記第2シールエッジは、前記第1シールエッジと前記第1側壁との間に設けられ、
前記筐体は、対向して設けられた第1筐体と第2筐体とを含み、前記第1筐体は第1ポリマー層を有し、前記第2筐体は第2ポリマー層を有し、前記第1ポリマー層と前記第2ポリマー層とは接着してコロイドを形成し、前記コロイドは第1部に位置し、
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1シールエッジと前記第1側壁との間には第1接続点があり、前記第1側壁は、前記第1接続点において、前記第1側壁の輪郭に沿って外側に延在する第1直線を形成し、前記コロイドは前記第1部と前記第1直線とに囲まれて形成された空間内に位置する、ことを特徴とする電気化学装置。
【請求項2】
前記第1接続点を通り、前記第2方向に沿って延在する直線を第2直線と定義し、前記コロイドは、前記第1部と前記第2直線とに囲まれて形成される空間内に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
前記第2方向において、前記第1シールエッジの長さと前記第2シールエッジの長さとの和をLとし、前記第2方向において、前記電極組立体の厚さをHとすると、3/4H≦L≦5/4Hである、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記第2シールエッジは、前記第1シールエッジと接続する第1端と、前記第1端に対向して設けられた第2端とを含み、前記電極組立体は、前記第2方向に対して垂直な第1面を有し、前記第2方向において、前記第1面の両側に位置する前記電極組立体の厚さが同一であり、前記第1面は前記第2端と前記第2壁との間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項5】
前記第1シールエッジは、第1領域と、第2領域とを含み、前記第2領域は、前記第1領域と前記第2シールエッジとの間に接続されており、前記第1領域の厚さは、前記第2領域の厚さより大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1領域と前記第2領域との間に第2接続点が設けられており、前記電極組立体は、前記第2方向に対して垂直な第1面を有し、前記第2方向において、前記第1面の両側に位置する前記電極組立体の厚さが同一であり、前記第2接続点は前記第1面と前記第2壁との間に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項7】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第2領域と前記第2シールエッジとの間に第3接続点が設けられており、前記電極組立体は、前記第2方向に対して垂直な第2面を有し、前記第2方向において、前記第2面と前記第2壁との間に位置する前記電極組立体の厚さは、前記電極組立体全体の厚さの3/4であり、前記第2方向において、前記第3接続点は前記第2面と前記第2壁との間に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記第1シールエッジは第3領域をさらに含み、前記第1領域は、前記第2領域と前記第3領域との間に接続されており、前記第3領域内における前記第1ポリマー層は、前記第2ポリマー層と接着していなく、
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1シールエッジと前記第1側壁との間には第1接続点があり、前記第1接続点を通り、且つ前記第2方向に沿って延在する直線を第2直線と定義すると、前記第3領域は、前記第2直線の一側に設けられている、ことを特徴とする請求項
5に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記第1筺体は、前記第1ポリマー層に積層して設けられた第1金属層をさらに含み、前記第2筺体は、前記第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含み、
前記第1方向に垂直な断面において、前記第3領域が前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた部分の面積をA
1とし、前記第1領域が前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた部分の面積をA
2とすると、0.5≦A
1/A
2≦3である、ことを特徴とする請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項10】
前記第1筺体は、前記第1ポリマー層に積層して設けられた第1金属層をさらに含み、前記第2筺体は、前記第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含み、
前記第1方向に垂直な断面において、前記第3領域が前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた部分の面積をA
1
とし、前記第1領域が前記第1金属層と前記第2金属層との間に設けられた部分の面積をA
2
とすると、1≦A
1
/A
2
≦2である、ことを特徴とする請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項11】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1領域内の前記コロイドは、角点を含み、前記角点は、前記第3領域に向けて突出しており、
前記第1筺体は、前記第1ポリマー層に積層して設けられた第1金属層をさらに含み、前記第2筺体は、前記第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含み、
前記角点を通り、且つ第2直線に平行する第3直線を定義し、前記第3直線は、前記第1シールエッジの前記第1金属層と前記第1ポリマー層との境界線と第1交点で交差し、前記第3直線は、前記第1シールエッジの前記第2金属層と前記第2ポリマー層との境界線と第2交点で交差するし、前記第1交点と前記第2交点との距離をL
3、前記角点と、前記第1領域と前記第2領域の境界線との距離をL
4とすると、0.1≦L
3/L
4≦0.6である、ことを特徴とする請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項12】
前記第1方向に垂直な断面において、前記第1領域内の前記コロイドは、角点を含み、前記角点は、前記第3領域に向けて突出しており、
前記第1筺体は、前記第1ポリマー層に積層して設けられた第1金属層をさらに含み、前記第2筺体は、前記第2ポリマー層に積層して設けられた第2金属層をさらに含み、
前記角点を通り、且つ第2直線に平行する第3直線を定義し、前記第3直線は、前記第1シールエッジの前記第1金属層と前記第1ポリマー層との境界線と第1交点で交差し、前記第3直線は、前記第1シールエッジの前記第2金属層と前記第2ポリマー層との境界線と第2交点で交差するし、前記第1交点と前記第2交点との距離をL
3
、前記角点と、前記第1領域と前記第2領域の境界線との距離をL
4
とすると、0.3≦L
3
/L
4
≦0.5である、ことを特徴とする請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項13】
前記電気化学装置は、
前記第2シールエッジと前記第1側壁の外表面とを接着する第1接着材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項14】
前記電気化学装置は、
前記第1側壁の内面と前記電極組立体とを接着する第2接着材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項15】
前記電気化学装置は、
前記第1壁または前記第2壁の少なくとも一方の内面と、前記電極組立体とを接着する第3接着材をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項16】
前記電極組立体は、捲回構造であり、前記電極組立体は、第1電極シートと、第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に設けられた分離膜とを含み、
前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体上に設けられた第1活物質層とを備え、前記第1集電体は第1面を有し、前記電極組立体の最外周の外側表面は前記第1面である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項17】
前記電極組立体は、捲回構造であり、前記電極組立体は、第1電極シートと、第2電極シートと、前記第1電極シートと前記第2電極シートとの間に設けられた分離膜とを含み、前記電極組立体の最外周が前記分離膜である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項18】
前記本体部は、前記第1方向において、対向して配置された第1端壁および第2端壁をさらに含み、前記筺体は、前記第1端壁を接続する第2部をさらに備え、前記タブは前記第2部のエッジから前記筺体の外へ突出している、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項19】
前記第2方向において、前記第2部は、前記第1壁よりも前記第2壁に近く、前記第2方向において、前記第1端壁は、前記タブの両側に位置する第1端面と第2端面とを含み、前記第1端面は、前記第2部と前記第1壁とを接続し、前記第2端面は、前記第2部と前記第2壁とを接続する、ことを特徴とする請求項1
8に記載の電気化学装置。
【請求項20】
前記電気化学装置は、
前記第1端面と前記第2部の前記エッジとを接着する第4接着材を備えていてもよい、ことを特徴とする請求項1
9に記載の電気化学装置。
【請求項21】
前記第1ポリマー層は、第1ポリマー材料を含み、前記第2ポリマー層は、第2ポリマー材料を含み、前記第1ポリマー材料および前記第2ポリマー材料は、それぞれ独立に、ポリプロピレン、プロピレン共重合体、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一種である、ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項22】
請求項1~
21のいずれかに記載電気化学装置を含むことを特徴とする電子装置。
【国際調査報告】