(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】CPGアジュバント帯状疱疹ワクチンの免疫原性
(51)【国際特許分類】
A61K 39/39 20060101AFI20250115BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250115BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20250115BHJP
A61K 39/25 20060101ALI20250115BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20250115BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20250115BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250115BHJP
C12N 15/117 20100101ALI20250115BHJP
C07K 14/04 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
A61K39/39 ZNA
A61K47/18
A61P31/22
A61K39/25
A61P25/00
A61P25/02
A61P29/00
C12N15/117 Z
C07K14/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537869
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 US2022082311
(87)【国際公開番号】W WO2023122774
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522354344
【氏名又は名称】ダイナヴァックス テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Dynavax Technologies Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【氏名又は名称】大栗 由美
(74)【代理人】
【識別番号】100155125
【氏名又は名称】池田 直俊
(72)【発明者】
【氏名】ジャンセン,ロバート エス.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076BB15
4C076CC01
4C076CC06
4C076CC35
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4C085AA03
4C085AA38
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4C085CC01
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4C085DD62
4C085DD84
4C085EE06
4C085FF01
4C085FF02
4C085FF14
4C085FF24
4C085GG03
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA50
4H045CA03
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、有効量のVZV糖タンパク質E抗原、および非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)モチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物の投与による、それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させるための方法に関する。免疫原性組成物は、帯状疱疹および/または帯状疱疹後神経痛の予防のために好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させる方法であって、
免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫と比べて、VZVに対する細胞媒介免疫を増加させるために有効な量で免疫原性組成物中に存在する、i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含む免疫原性組成物をヒト対象に投与することを含み、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物が、ヒト対象に投与され、第2の用量が、第1の用量の2か月~6か月後に投与される、方法。
【請求項2】
免疫原性組成物が、約25μg~約150μgのgE抗原、および約750μg~約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
免疫原性組成物が、約50μg~約100μgのgE抗原、および約1500μg~約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
免疫原性組成物が、約25μg、約50μg、約75μg、約100μg、約125μgまたは約150μgのgE抗原、および約750μg、約1500μg、約3000μgまたは約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原、および約3000μgまたは6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫応答を増加させる方法であって、
i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含む免疫原性組成物をヒト対象に投与することを含み、免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原および約3000μgまたは約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、方法。
【請求項7】
免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原、および約3000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原、および約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項9】
オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含むか、またはすべてのヌクレオチド連結が、ホスホロチオエート連結である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドが、1本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
gE抗原が、全長VZV gE抗原の膜貫通ドメインおよびビリオン内ドメインを欠く組換えタンパク質である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
gE抗原が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
gE抗原が、配列番号5のアミノ酸配列、または配列番号5と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
組換えタンパク質が、哺乳動物細胞において産生される、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
免疫原性組成物が、アルミニウム塩アジュバントをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
アルミニウム塩アジュバントが、アモルファスヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウムカリウムからなる群の1種または複数を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
アルミニウム塩アジュバントが、水酸化アルミニウムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
免疫原性組成物が、約0.25mg~約1.25mgのAl3+を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
免疫原性組成物が、約0.50mg、約0.75mgまたは約1.00mgのAl3+を含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
免疫原性組成物が、約0.75mgのAl3+を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
免疫原性組成物が、薬学的に許容される緩衝剤をさらに含む、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
緩衝剤が、リン酸塩含有緩衝剤ではない、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
緩衝剤が、Tris緩衝剤である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
免疫原性組成物が、サポニン、TLR4アゴニストおよびリポソームの1種または複数を含まない、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
免疫原性組成物が、QS21、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL1)、ジオレオイルホスファチジルコリンおよびコレステロールの1種または複数を含まない、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:15~1:120(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:15~1:60(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:60、約1:80または約1:120(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、約1:30(wt/wt)または約1:60(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
オリゴヌクレオチドおよびAl3+が、8:1~2:1(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、オリゴヌクレオチドおよびAl3+が、約8:1(wt/wt)または約4:1(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ヒト対象が、18歳以上である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ヒト対象が、50歳以上である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ヒト対象が、50~69歳である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ヒト対象が、潜伏VZV感染を有すると疑われている、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ヒト対象が、水痘または帯状疱疹に対して以前にワクチン接種を受けていなかった、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ヒト対象が、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物を受け、第2の用量が、第1の用量の1か月~1年後に投与される、請求項6~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
第2の用量が、第1の用量の2か月~6か月後に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
第2の用量が、第1の用量の約2か月後に投与される、請求項1~5および35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
免疫原性組成物が、筋肉内注射によって投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
VZVに対する細胞媒介免疫の増加またはVZVに対する免疫応答の増加が、gE抗原反応性活性化CD4+T細胞の頻度の増加を含み、活性化CD4+T細胞が、インターロイキン-2、インターフェロン-ガンマ、腫瘍壊死因子-アルファおよびCD40L(CD154)から選択される2種以上の活性化マーカーを発現する、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
免疫原性組成物の投与が、免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する体液性免疫と比べて、対象におけるVZVに対する体液性免疫の増加をもたらす、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
VZVに対する体液性免疫の増加が、gE抗原反応性IgGの濃度の増加を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
VZVに対する体液性免疫の増加が、gEおよび/またはVZV中和抗体の濃度の増加を含む、請求項39または請求項40に記載の方法。
【請求項42】
細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約2か月後までに対象において誘発される、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第2の用量の免疫原性組成物の投与の約1か月後までに対象において誘発される、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3か月間対象において維持される、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
免疫原性組成物の投与が、gE抗原を含む免疫原性組成物を受けていない対照対象のリスクと比べて、帯状疱疹を発生する対象のリスクを低減する、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
免疫原性組成物の投与が、任意選択で、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3年の期間、帯状疱疹の発生から対象を予防する、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
免疫原性組成物の投与が、任意選択で、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3年の期間、帯状疱疹後神経痛の発生から対象を予防する、請求項39~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後7日(ワクチン接種の日およびその後6日)以内の1つまたは複数の応答型局所反応の発生のリスクの低減に関連する、請求項39~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
応答型局所反応が、通常の毎日の活動を妨げる痛みを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後7日(ワクチン接種の日およびその後6日)以内の1つまたは複数の応答型全身反応の発生のリスクの低減に関連する、請求項39~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
応答型全身反応が、通常の毎日の活動を妨げる疲労、頭痛および/もしくは筋肉痛、ならびに/または39℃を上回る発熱を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後42日(ワクチン接種の日およびその後41日)以内のギランバレー症候群の発生のリスクの低減に関連する、請求項39~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させる方法における使用のための免疫原性組成物であって、方法が、
免疫原性組成物をヒト対象に投与することを含み、免疫原性組成物が、免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫と比べて、VZVに対する細胞媒介免疫を増加させるために有効な量で免疫原性組成物中に存在する、i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含み、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物が、ヒト対象に投与され、第2の用量が、第1の用量の2か月~6か月後に投与される、免疫原性組成物。
【請求項54】
それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させるための医薬の製造における免疫原性組成物の使用であって、
免疫原性組成物が、免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫と比べて、VZVに対する細胞媒介免疫を増加させるために有効な量で免疫原性組成物中に存在する、i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含み、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物が、ヒト対象に投与され、第2の用量が、第1の用量の2か月~6か月後に投与される、使用。
【請求項55】
免疫原性組成物が、約25μg~約150μgのgE抗原、および約750μg~約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項53または請求項54に記載の組成物または使用。
【請求項56】
免疫原性組成物が、約50μg~約100μgのgE抗原、および約1500μg~約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項53または請求項54に記載の組成物または使用。
【請求項57】
免疫原性組成物が、約25μg、約50μg、約75μg、約100μg、約125μgまたは約150μgのgE抗原、および約750μg、約1500μg、約3000μgまたは約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項53または請求項54に記載の組成物または使用。
【請求項58】
免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原、および約3000μgまたは6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項57に記載の組成物または使用。
【請求項59】
それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫応答を増加させる方法における使用のための免疫原性組成物であって、免疫原性組成物が、
i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含み、免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原および約3000μgまたは約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、免疫原性組成物。
【請求項60】
それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫応答を増加させるための医薬の製造における免疫原性組成物の使用であって、
免疫原性組成物が、i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含み、免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原および約3000μgまたは約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、使用。
【請求項61】
免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原、および約3000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項58~60のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項62】
免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原、および約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項58~60のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項63】
オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含むか、またはすべてのヌクレオチド連結が、ホスホロチオエート連結である、請求項53~62のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項64】
オリゴヌクレオチドが、1本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである、請求項53~63のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項65】
gE抗原が、全長VZV gE抗原の膜貫通ドメインおよびビリオン内ドメインを欠く組換えタンパク質である、請求項53~64のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項66】
gE抗原が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項65に記載の組成物または使用。
【請求項67】
gE抗原が、配列番号5のアミノ酸配列、または配列番号5と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項65に記載の組成物または使用。
【請求項68】
組換えタンパク質が、哺乳動物細胞において産生される、請求項65~67のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項69】
免疫原性組成物が、アルミニウム塩アジュバントをさらに含む、請求項53~68のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項70】
アルミニウム塩アジュバントが、アモルファスヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウムカリウムからなる群の1種または複数を含む、請求項69に記載の組成物または使用。
【請求項71】
アルミニウム塩アジュバントが、水酸化アルミニウムを含む、請求項69に記載の組成物または使用。
【請求項72】
免疫原性組成物が、約0.25mg~約1.25mgのAl3+を含む、請求項69~71のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項73】
免疫原性組成物が、約0.50mg、約0.75mgまたは約1.00mgのAl3+を含む、請求項69~71のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項74】
免疫原性組成物が、約0.75mgのAl3+を含む、請求項73に記載の組成物または使用。
【請求項75】
免疫原性組成物が、薬学的に許容される緩衝剤をさらに含む、請求項69~74のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項76】
緩衝剤が、リン酸塩含有緩衝剤ではない、請求項75に記載の組成物または使用。
【請求項77】
緩衝剤が、Tris緩衝剤である、請求項75に記載の組成物または使用。
【請求項78】
免疫原性組成物が、サポニン、TLR4アゴニストおよびリポソームの1種または複数を含まない、請求項53~77のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項79】
免疫原性組成物が、QS21、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL1)、ジオレオイルホスファチジルコリンおよびコレステロールの1種または複数を含まない、請求項53~77のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項80】
gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:15~1:120(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:15~1:60(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、請求項53~79のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項81】
gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、約1:15、約1:20、約1:30、約1:40、約1:60、約1:80または約1:120(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、約1:30(wt/wt)または約1:60(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、請求項53~80のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項82】
オリゴヌクレオチドおよびAl3+が、8:1~2:1(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、オリゴヌクレオチドおよびAl3+が、約8:1(wt/wt)または約4:1(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、請求項75~81のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項83】
ヒト対象が、18歳以上である、請求項53~82のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項84】
ヒト対象が、50歳以上である、請求項53~83のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項85】
ヒト対象が、50~69歳である、請求項84に記載の組成物または使用。
【請求項86】
ヒト対象が、潜伏VZV感染を有すると疑われている、請求項53~85のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項87】
ヒト対象が、水痘または帯状疱疹に対して以前にワクチン接種を受けていなかった、請求項53~86のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項88】
ヒト対象が、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物を受け、第2の用量が、第1の用量の1か月~1年後に投与される、請求項59~87のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項89】
第2の用量が、第1の用量の2か月~6か月後に投与される、請求項88に記載の組成物または使用。
【請求項90】
第2の用量が、第1の用量の約2か月後に投与される、請求項53~58および89のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項91】
免疫原性組成物が、筋肉内注射によって投与される、請求項53~90のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項92】
VZVに対する細胞媒介免疫の増加またはVZVに対する免疫応答の増加が、gE抗原反応性活性化CD4+T細胞の頻度の増加を含み、活性化CD4+T細胞が、インターロイキン-2、インターフェロン-ガンマ、腫瘍壊死因子-アルファおよびCD40L(CD154)から選択される2種以上の活性化マーカーを発現する、請求項53~91のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項93】
免疫原性組成物の投与が、免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する体液性免疫と比べて、対象におけるVZVに対する体液性免疫の増加をもたらす、請求項53~92のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項94】
VZVに対する体液性免疫の増加が、gE抗原反応性IgGの濃度の増加を含む、請求項93に記載の組成物または使用。
【請求項95】
VZVに対する体液性免疫の増加が、gEおよび/またはVZV中和抗体の濃度の増加を含む、請求項93または請求項94に記載の組成物または使用。
【請求項96】
細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約2か月後までに対象において誘発される、請求項93~95のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項97】
細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第2の用量の免疫原性組成物の投与の約1か月後までに対象において誘発される、請求項93~95のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項98】
細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3か月間対象において維持される、請求項93~97のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項99】
免疫原性組成物の投与が、gE抗原を含む免疫原性組成物を受けていない対照対象のリスクと比べて、帯状疱疹を発生する対象のリスクを低減する、請求項93~98のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項100】
免疫原性組成物の投与が、任意選択で、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3年の期間、帯状疱疹の発生から対象を予防する、請求項93~98のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項101】
免疫原性組成物の投与が、任意選択で、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3年の期間、帯状疱疹後神経痛の発生から対象を予防する、請求項93~98のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項102】
免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後7日(ワクチン接種の日およびその後6日)以内の1つまたは複数の応答型局所反応の発生のリスクの低減に関連する、請求項93~101のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項103】
応答型局所反応が、通常の毎日の活動を妨げる痛みを含む、請求項102に記載の組成物または使用。
【請求項104】
免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後7日(ワクチン接種の日およびその後6日)以内の1つまたは複数の応答型全身反応の発生のリスクの低減に関連する、請求項93~103のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項105】
応答型全身反応が、通常の毎日の活動を妨げる疲労、頭痛および/もしくは筋肉痛、ならびに/または39℃を上回る発熱を含む、請求項104に記載の組成物または使用。
【請求項106】
免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後42日(ワクチン接種の日およびその後41日)以内のギランバレー症候群の発生のリスクの低減に関連する、請求項93~105のいずれか一項に記載の組成物または使用。
【請求項107】
i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;ii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原;およびiii)少なくとも1つの賦形剤を含む免疫原性組成物であって、
gE抗原が、哺乳動物細胞において産生される組換えタンパク質であり、約25μg~約150μgの量で免疫原性組成物中に存在し、オリゴヌクレオチドが、約750μg~約6000μgの量で免疫原性組成物中に存在し、少なくとも1つの賦形剤が、薬学的に許容される緩衝剤を含む、免疫原性組成物。
【請求項108】
i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;ii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原;およびiii)少なくとも1つの賦形剤を含む免疫原性組成物であって、
gE抗原が、哺乳動物細胞において産生される組換えタンパク質であり、約100μgの量で免疫原性組成物中に存在し、オリゴヌクレオチドが、約3000μgまたは約6000μgの量で免疫原性組成物中に存在し、少なくとも1つの賦形剤が、薬学的に許容される緩衝剤を含む、免疫原性組成物。
【請求項109】
約100μgのgE抗原、および約3000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項107または請求項108に記載の免疫原性組成物。
【請求項110】
約100μgのgE抗原、および約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、請求項107または請求項108に記載の免疫原性組成物。
【請求項111】
gE抗原が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項107~110のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項112】
gE抗原が、配列番号5のアミノ酸配列、または配列番号5と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項107~110のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項113】
水酸化アルミニウムアジュバントをさらに含み、免疫原性組成物が、約0.25mg~約1.25mgのAl3+を含む、請求項107~112のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項114】
約0.75mgのAl3+を含む、請求項113に記載の免疫原性組成物。
【請求項115】
緩衝剤が、リン酸塩含有緩衝剤ではない、請求項107~114のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【請求項116】
緩衝剤が、Tris緩衝剤である、請求項107~115のいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年12月23日に出願された米国仮出願第63/293,510号に対する優先権およびその利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子配列表に対する言及
電子配列表(377882008440SEQLIST.xml;サイズ:10,729バイト;および作成日:2022年12月20日)の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、有効量のVZV糖タンパク質E抗原、および非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)モチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物の投与による、それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させるための方法に関する。免疫原性組成物は、帯状疱疹および/または帯状疱疹後神経痛の予防のために好適である。
【背景技術】
【0004】
帯状疱疹(shingles)としても公知の帯状疱疹(Herpes zoster)(HZ)は、潜伏水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされ、典型的には、局所の皮節性発疹として現れる(Eshlemanら、Future Virology、6巻(3号):341~355頁、2011年;およびCohen、N Engl J Med、369巻(3号):255~263頁、2013年)。免疫老化(免疫学的応答能の年齢依存性減少)および免疫不全(疾患または医薬によって引き起こされる)は、HZの発生についての最も重要なリスク因子である。帯状疱疹、ならびに合併症、例えば、ヘルペス後神経痛および入院に対する人々のリスクは、VZV特異的T細胞媒介免疫(CMI)の加齢関連の低下と密接に関連して、50歳以降に急に増加し、これは、潜伏VZVの再活性化の防止および再活性化したウイルスの増殖の防止において重要と考えられる(Levinら、J Infect Dis、197巻(6号):825~835頁、2008年;Weinbergら、J Infect Dis、201巻(7号):1024~1030頁、2010年;ならびにWeinbergおよびLevin、Curr Top Microbiol Immunol、342巻:341~357頁、2010年)。HZワクチンは、VZV特異的メモリーT細胞をブーストすると考えられ、HZに対する保護のために必要な現在知られていない閾値を下回るそれらの低下を防止する(Oxmanら、Vaccine、29巻(20号):3625~3627頁、2011年)。
【0005】
HZワクチンの利用可能性に先立って、米国では、毎年ほぼ100万人がHZに罹患している。2020年に、ワクチン未接種の成人におけるHZの発生は、毎年1000人あたり9.92人(95%CI、9.82~10.01)であった。これは、一般に、50~54歳の群における7.20/1000人から≧80歳の群における13.99/1000人まで、年齢とともに増加した。すべてのHZの症例の半分は、60歳以上の人で起こり、85歳まで生きている個人が、その人生の間に、HZを有する機会は50%であると推定されている(Doolingら、MMWR、67巻:103~108頁、2018年)。
【0006】
米国では、50歳以上の個人における帯状疱疹の予防のために、2つのワクチンが利用可能であった。ZOSTAVAX(登録商標)は、Merck & Co.,Inc.(Whitehouse Station、NJ)によって販売されている弱毒生ウイルスワクチンである。SHINGRIX(登録商標)は、GlaxoSmithKline(Research Triangle Park、NC)によって販売されている組換えAS01Bアジュバントサブユニットワクチンである。1対1の臨床試験は実施されなかったが、予防接種の実施に関する諮問委員会は、2017年に、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛に対する改善された有効性の評価に基づいてZOSTAVAX(登録商標)よりもSHINGRIX(登録商標)の優先的な使用を推奨することを辛くも表明した(Doolingら、MMWR、67巻:103~108頁、2018年)。SHINGRIX(登録商標)のぎりぎりの賛成投票(8対7)は、反応原性についての懸念に関連した。SHINGRIX(登録商標)のフェーズIII研究は、プラセボレシピエントの3.1%に対して16.5%のワクチンレシピエントがグレード3の有害事象を発生したこと、およびプラセボレシピエントの2.4%に対して10.8%のワクチンレシピエントがグレード3の全身事象(筋肉痛、疲労、頭痛、震え、発熱および胃腸症状)を発生したことを報告した(Lalら、N Eng J Med、372巻:2087~2096頁、2015年;およびCunninghamら、N Eng J Med、375巻:1019~1032頁、2016年)。SHINGRIX(登録商標)ワクチン接種後の比較的高レベルの深刻な副反応は、患者における第2回投与のコンプライアンスレベルに負の影響を与える可能性があると認識され(Bharuchaら、Human Vaccines & Immunotherapeutics、13巻:1789~1797頁、2017年)、これは、HZに対して保護されるために両方の投与を受ける患者の必要性を考慮すると、根強い懸念であった。ZOSTAVAX(登録商標)は、一部の患者において帯状疱疹および重篤な帯状疱疹関連疾患を引き起こしたことを訴える訴訟の結果、2020年に、米国市場から撤退した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、優れた安全性プロファイルを有するHZワクチンに対する満たされていない医療上の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、有効量のVZV糖タンパク質E抗原、および非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)モチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物の投与による、それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させるための方法に関する。免疫原性組成物は、帯状疱疹および/または帯状疱疹後神経痛の予防のために好適である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、減算された非刺激(バックグラウンド)応答で、VZV gEに及ぶ一連の重複ペプチドの存在下でのPBMCのインキュベーション後の、2、3および4つの活性化のマーカーを発現するVZV gE反応性CD4+T細胞の頻度を示す。PBMCを、0週目に、研究対象から得た血液試料から単離した(ベースライン)。
【
図2】
図2は、減算された非刺激(バックグラウンド)応答で、VZV gEに及ぶ一連の重複ペプチドの存在下でのPBMCのインキュベーション後の、2、3および4つの活性化のマーカーを発現するVZV gE反応性CD4+T細胞の頻度を示す。PBMCを、8週目に、研究対象から得た血液試料から単離した(最初の注射の約4週間後)。
【
図3】
図3は、減算された非刺激(バックグラウンド)応答で、VZV gEに及ぶ一連の重複ペプチドの存在下でのPBMCのインキュベーション後の、2、3および4つの活性化のマーカーを発現するVZV gE反応性CD4+T細胞の頻度を示す。PBMCを、12週目に、研究対象から得た血液試料から単離した(2回目の注射の約4週間後)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、有効量のVZV糖タンパク質E抗原、および非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)モチーフを含むオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物の投与による、それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させるための方法に関する。免疫原性組成物は、帯状疱疹(HZ)および/または帯状疱疹後神経痛(PHN)の予防のために好適である。
【0011】
タンパク質サブユニットワクチンの反応原性は、各種の要因によって影響され得、そのうちの最重要なものは、免疫原性を改善するために含まれるアジュバントの性質である。モデルタンパク質抗原と組み合わされた異なるアジュバント系(AS)のアジュバントは、健康なヒト対象の免疫化によって比較された。AS01Bアジュバントは、比較対照アジュバント(AS01E、AS03A、AS04およびミョウバン)よりも高いレベルの局所性および全身性の反応原性を誘導することが見出された(Leroux-Roelsら、Clin Immunol、169巻:16~27頁、2016年)。これは、AS01Bが、SHINGRIX(登録商標)(GlaxoSmithKline、Research Triangle Park、NCによって販売された組換えAS01Bアジュバントサブユニット帯状疱疹ワクチン)の反応原性プロファイルに関して大いに寄与していることを示唆する。
【0012】
Z-1018は、例示的な非感染性ワクチンであり、これは、実施例1に記載される50~69歳の個人において2か月離して投与される2回の筋肉内(IM)投与として、帯状疱疹(HZ)(帯状疱疹(shingles))の予防のための能動的ブースター免疫接種のために開発されている。Z-1018は、糖タンパク質E(gE)抗原から構成されており、水酸化アルミニウム(ミョウバン)ありおよびなしで、CpG 1018(登録商標)アジュバントと混合することによってアジュバント化されている。CpG 1018(登録商標)アジュバント(Dynavax Technologies Corporation)は、トール様受容体9(TLR9)に対するアゴニストであるシチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)免疫刺激配列を含有する、合成の22塩基ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(PS ODN)である。
【0013】
一般的技法および定義
本開示の実施は、他に指示されない限り、当技術分野の技能の範囲内である、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技法を用いる。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、他に指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「an(1種の)」賦形剤は、1種または複数の賦形剤を含む。
【0015】
本明細書において使用される「含む(comprising)」という語句はオープンエンドであり、そのような実施形態が、追加の要素を含んでいてもよいことを示す。対照的に、「からなる(consisting of)」という語句はクローズドであり、そのような実施形態が、追加の要素を含まない(微量の不純物を除く)ことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」という語句は部分的にクローズドであり、そのような実施形態が、そのような実施形態の基本的な特徴を著しく変更しない要素をさらに含んでいてもよいことを示す。
【0016】
値への言及において本明細書で使用される「約」という用語は、その値の90%~110%を包含する(例えば、約3000μgのCpG 1018(登録商標)アジュバントは、2700μg~3300μgのCpG 1018(登録商標)アジュバントを指す)。
【0017】
本明細書において互換的に使用される場合、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、1本鎖DNA(ssDNA)、2本鎖DNA(dsDNA)、1本鎖RNA(ssRNA)および2本鎖RNA(dsRNA)、修飾オリゴヌクレオチドならびにオリゴヌクレオシド、またはそれらの組合せを含む。オリゴヌクレオチドは、直鎖状もしくは環状の構成であり得るか、またはオリゴヌクレオチドは、直鎖状および環状のセグメントの両方を含有することができる。オリゴヌクレオチドは、一般に、ホスホジエステル連結を通して接続されたヌクレオシドのポリマーであるが、代替の連結、例えば、ホスホロチオエートエステルも、オリゴヌクレオチドにおいて使用されてもよい。ヌクレオシドは、糖に結合した、プリン(アデニン(A)もしくはグアニン(G)、またはそれらの誘導体)、またはピリミジン(チミン(T)、シトシン(C)もしくはウラシル(U)、またはそれらの誘導体)塩基からなる。DNA中の4種のヌクレオシド単位(または塩基)は、デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、チミジンおよびデオキシシチジンと呼ばれる。ヌクレオチドは、ヌクレオシドのリン酸エステルである。
【0018】
「CpG」、「CpGモチーフ」および「シトシン-リン酸-グアノシン」という用語は、本明細書において使用される場合、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシンジヌクレオチドを指し、これは、オリゴヌクレオチド中に存在する場合、インビトロ、インビボおよび/またはエクスビボで測定可能な免疫応答に貢献する。測定可能な免疫応答の例としては、限定されるものではないが、抗原特異的抗体産生、サイトカインの分泌、NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球、Bリンパ球などのリンパ球集団の活性化または拡大増殖などが挙げられる。好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、Th1型応答を優先的に活性化する。
【0019】
物質の「有効量」または「十分量」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な量であり、そして、例えば、「有効量」は、それが適用される状況に依存する。免疫原性組成物を投与する状況において、有効量は、免疫応答を刺激するために十分な抗原およびTLR9アゴニストを含有する(好ましくは、抗原に対する抗体の血清保護レベル)。
【0020】
本開示において、「個体」および「対象」という用語は、ヒトを指す。
【0021】
免疫原性組成物への言及において本明細書で使用される「用量」という用語は、任意の時に対象によって摂取される(対象に投与される、または対象によって受け取られる)免疫原性組成物の測定部分を指す。
【0022】
本明細書において使用される「単離された」および「精製された」という用語は、天然に関連する少なくとも1種の構成要素から取り出された(例えば、その元の環境から取り出された)材料を指す。「単離された」という用語は、組換えタンパク質への言及において使用される場合、タンパク質を産生した宿主細胞の培養培地から取り出されたタンパク質を指す。
【0023】
応答またはパラメーターの「刺激」は、目的のパラメーターを除いてそうでなければ同じ条件と比較した場合に、または代替的に別の条件と比較して、応答もしくはパラメーターが誘発されることおよび/または増強されることを含む(例えば、TLRアゴニストの非存在下と比較して、TLRアゴニストの存在下でのTLRシグナル伝達の増加)。例えば、免疫応答の「刺激」は、応答の増加を意味する。測定されるパラメーターに応じて、増加は、5倍~500倍以上、または5倍、10倍、50倍もしくは100倍から500倍、1,000倍、5,000倍もしくは10,000倍であり得る。
【0024】
本明細書において使用される場合、「免疫化」という用語は、抗原に対する哺乳動物対象の反応を増加させるプロセス、したがって、感染症に抵抗もしくはそれを克服する、および/または疾患に抵抗するその能力を改善するプロセスを指す。
【0025】
本明細書において使用される「ワクチン接種」という用語は、哺乳動物対象の身体へのワクチンの導入を指す。
【0026】
「アジュバント」は、抗原を含む組成物に添加された場合に、曝露の際に哺乳動物レシピエントにおける抗原に対する免疫応答を増強または強化する物質を指す。
【0027】
I.免疫原性組成物およびキット
本開示は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫応答を刺激するための免疫原性組成物であって、VZV糖タンパク質E(gE)抗原およびトール様受容体9(TLR9)アゴニストを含み、TLR9アゴニストが、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpGまたはシトシン-リン酸-グアノシンとも称される)モチーフを含む8~35ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、ヒト対象におけるgE抗原に対する免疫応答を刺激するために有効な量で免疫原性組成物中に存在する、免疫原性組成物に関する。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、VZV gE抗原が吸着されたアルミニウム塩アジュバントをさらに含む。いくつかの好ましい実施形態において、本開示は、VZVに対する細胞媒介免疫を増加させるための免疫原性組成物に関する。
【0028】
特に、本開示は、i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;ii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原;およびiii)少なくとも1つの賦形剤を含む免疫原性組成物であって、gE抗原が、哺乳動物細胞において産生される組換えタンパク質であり、約25μg~約150μgの量で免疫原性組成物中に存在し、オリゴヌクレオチドが、約750μg~約6000μgの量で免疫原性組成物中に存在し、少なくとも1つの賦形剤が、薬学的に許容される緩衝剤を含む、免疫原性組成物に関する。
【0029】
例示的な実施形態において、免疫原性組成物は、i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;ii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原;およびiii)少なくとも1つの賦形剤を含み、gE抗原は、哺乳動物細胞において産生される組換えタンパク質であり、約100μgの量で免疫原性組成物中に存在し、オリゴヌクレオチドは、約3000μgまたは約6000μgの量で免疫原性組成物中に存在し、少なくとも1つの賦形剤は、薬学的に許容される緩衝剤を含む。
【0030】
A.オリゴヌクレオチドトール様受容体9(TLR9)アゴニスト
トール様受容体(TLR)は、樹状細胞および他の自然免疫細胞中ならびにその上で発現され、侵入する病原体の存在に対する応答を刺激するための最も重要な受容体の1つである。ヒトは、構造が類似しているが、ウイルスまたは細菌の異なる部分を認識する、複数の種類のTLRを有する。特異的TLRを活性化することによって、適応応答を増強するために利用され得る特異的な種類の自然免疫応答を刺激および制御することが可能である。
【0031】
TLR9(CD289)は、微生物DNA中で見出される非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)モチーフを認識し、これは、合成CpG含有オリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)を使用して模倣することができる。CpG-ODNは、抗体産生を増強すること、およびTヘルパー1(Th1)細胞応答を刺激することが公知である(Coffmanら、Immunity、33巻:492~503頁、2010年)。構造および生物学的機能に基づいて、CpG-ODNは、3つの一般的なクラス:CpG-A、CpG-BおよびCpG-Cに分けられている(Campbell、Methods Mol Biol、1494巻:15~27頁、2017年)。B細胞活性化の程度は、B細胞活性化が、弱いCpG-A ODN、良好なCpG-C ODN、および強いCpG-B ODNのクラスの間で変わる。本開示のオリゴヌクレオチドTLR9アゴニストは、好ましくは、良好なB細胞活性化因子(CpG-C ODN)、またはより好ましくは強いB細胞活性化因子(CpG-B ODN)である。
【0032】
最適なオリゴヌクレオチドTLR9アゴニストは、多くの場合、一般式:5’-プリン-プリン-CG-ピリミジン-ピリミジン-3’、または5’-プリン-プリン-CG-ピリミジン-ピリミジン-CG-3’に従う回文配列を含有する(米国特許第6,589,940号)。TLR9アゴニズムはまた、ある特定の非回文CpG富化ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドにより観察されるが、ヌクレオチド配列中の変化によって影響を受ける場合がある。加えて、TLR9アゴニズムは、CpGジヌクレオチド内のシトシンのメチル化によって無効化される。したがって、いくつかの実施形態において、TLR9アゴニストは、配列5’-AACGTTCG-3’を含む8~35ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド長よりも長く、オリゴヌクレオチドは、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、または24ヌクレオチド長未満である。いくつかの実施形態において、TLR9アゴニストは、配列5’-AACGTTCGAG-3’(配列番号3)を含む10~35ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20ヌクレオチド長よりも長く、オリゴヌクレオチドは、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、または24ヌクレオチド長未満である。
【0033】
Dynavax Technologies Corporation(Emeryville、CA)の研究者は、種にわたる共投与抗原に対する免疫応答を実質的に増強することができる特異的配列を含む、22塩基長のホスホロチオエート連結オリゴデオキシヌクレオチドのCpG 1018(登録商標)アジュバントを特定した(Campbell、Methods Mol Biol、1494巻:15~27頁、2017年)。CpG 1018(登録商標)アジュバント(5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’、配列番号1として記載される)を、インビトロおよびインビボの免疫刺激活性についてのオリゴヌクレオチドの広範なパネルのスクリーニング後に選択した。CpG 1018(登録商標)アジュバントは、マウス、ウサギ、イヌ、ヒヒ、カニクイザルおよびヒトにおいて活性なCpG-B ODNである。そのため、いくつかの好ましい実施形態において、TLR9アゴニストは、配列番号1の配列を含む、22~35ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドである。
【0034】
例示的なオリゴヌクレオチドTLR9アゴニストであるCpG 1018(登録商標)アジュバントは、CpG-ODNであるが、本開示は、完全なDNA分子に限定されない。すなわち、いくつかの実施形態において、TLR9アゴニストは、CpGおよび回文配列がデオキシリボ核酸であり、これらの領域外の1つまたは複数の核酸がリボ核酸である、DNA/RNAキメラ分子である。いくつかの実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、直鎖状である。他の実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、環状であるか、またはヘアピンループを含む。CpGオリゴヌクレオチドは、1本鎖または2本鎖であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、修飾を含有していてもよい。修飾としては、限定されるものではないが、3’OHまたは5’OH基の修飾、ヌクレオチド塩基の修飾、糖構成要素の修飾、およびリン酸基の修飾が挙げられる。修飾された塩基は、修飾された塩基がワトソン・クリック塩基対形成によるその天然相補体に対して同じ特異性を維持している限り(例えば、回文部分は依然として自己相補性である)、CpGオリゴヌクレオチドの回文配列に含まれていてもよい。いくつかの実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、非正準塩基を含む。いくつかの実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態において、修飾ヌクレオシドは、2’-デオキシ-7-デアザグアノシン、2’-デオキシ-6-チオグアノシン、アラビノグアノシン、2’-デオキシ-2’置換-アラビノグアノシン、および2’-O-置換-アラビノグアノシンからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、TLR9アゴニストは、配列5’-TCG1AACG1TTCG1-3’(配列番号2)を含むオリゴヌクレオチドであり、ここで、G1は、2’-デオキシ-7-デアザグアノシンである。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列5’-TCG1AACG1TTCG1-X-G1CTTG1CAAG1CT-5’を含み、ここで、G1は、2’-デオキシ-7-デアザグアノシンであり、Xは、グリセロールである(5’-配列番号2-3’-X-3’-配列番号2-5’)。
【0036】
CpGオリゴヌクレオチドは、リン酸基の修飾を含有していてもよい。例えば、ホスホジエステル連結に加えて、リン酸修飾としては、限定されるものではないが、メチルホスホネート、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート(架橋または非架橋)、ホスホトリエステル、およびホスホロジチオエートが挙げられ、任意の組合せで使用されてもよい。また、他の非リン酸連結が使用されてもよい。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格のみを含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格のみを含む。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、リン酸骨格中にリン酸連結の組合せ、例えば、ホスホジエステルおよびホスホロチオエート連結の組合せを含む。ホスホロチオエート骨格を有するオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル骨格を有するものよりも免疫原性が高くあり得、宿主への注射後に分解に対してより抵抗性であると思われる(Braunら、J Immunol、141巻:2084~2089頁、1988年;およびLatimerら、Mol Immunol、32巻:1057~1064頁、1995年)。本開示のCpGオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つ、2つ、または3つのヌクレオチド間ホスホロチオエートエステル連結を含む。いくつかの実施形態において、複数のCpGオリゴヌクレオチド分子が、少なくとも1種の賦形剤を含む医薬組成物中に存在する場合、ホスホロチオエートエステル連結の両方の立体異性体が、複数のCpGオリゴヌクレオチド分子に存在する。いくつかの実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間連結のすべてが、ホスホロチオエート連結であるか、または前記の別の方法で、CpGオリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート骨格を有する。
【0037】
例示的な実施形態において1.0ml用量である免疫原性組成物の単位用量は、約750μg~約6000μgのCpG オリゴヌクレオチド、好ましくは、約3000μgまたは約6000μgのCpG オリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、1.0ml用量の免疫原性組成物は、約750、1000、1250または1500μg以上のCpG オリゴヌクレオチド、および約6000、5000、4000、または3000μg以下のCpG オリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、1.0ml用量の免疫原性組成物は、約750μg、1500μg、3000μg、または6000μgのCpGオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、1.0ml用量の免疫原性組成物は、約3000μgのCpGオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態において、1.0ml用量の免疫原性組成物は、約6000μgのCpGオリゴヌクレオチドを含む。
【0038】
本明細書に記載されるCpGオリゴヌクレオチドは、他に指示されない限り、それらの薬学的に許容される塩の形態である。例示的な塩基性塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム、リチウムおよびカリウムの塩などのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムの塩などのアルカリ土類金属塩、亜鉛塩、N-Me-D-グルカミン、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド、コリン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、t-ブチルアミンなどの有機塩基(例えば、有機アミン)との塩、ならびにアルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩などが挙げられる。いくつかの実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、アンモニウム、ナトリウム、リチウムまたはカリウムの塩の形態である。1つの好ましい実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、ナトリウム塩の形態である。
【0039】
B.水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)糖タンパク質E(gE)抗原
本開示の免疫原性組成物のVZV gE抗原は、gEまたはその断片を含む。好ましい実施形態において、gE抗原は、VZV反応性抗体によって認識され、および/またはgEのペプチド断片は、VZV反応性T細胞によって認識される。いくつかの実施形態において、gE抗原は、組換えタンパク質であるが、他の実施形態において、gE抗原は、VZVビリオンから精製されている。いくつかの好ましい実施形態において、gE抗原は、単離された抗原である。いくつかの実施形態において、gE抗原は、融合タンパク質ではない。いくつかの好ましい実施形態において、本開示の免疫原性組成物のgE抗原は、弱毒生VZVまたは全不活化VZVの一部ではない。
【0040】
いくつかの実施形態において、VZV gE抗原は、全長VZV gE抗原の膜貫通ドメインおよびビリオン内ドメインを欠く切断型組換えタンパク質である。いくつかの実施形態において、組換えタンパク質は、哺乳動物細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生される。代表的なgEのアミノ酸配列は、GenBank番号AQT34120.1として記載されている。いくつかの実施形態において、gE抗原は、GenBank番号AQT34120.1の残基39~585からのアミノ酸配列、またはそれと少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態において、gEのアミノ酸配列は、配列番号4として記載されている。
MGTVNKPVVG VLMGFGIITG TLRITNPVRA SVLRYDDFHI DEDKLDTNSV
YEPYYHSDHA ESSWVNRGES SRKAYDHNSP YIWPRNDYDG FLENAHEHHG
VYNQGRGIDS GERLMQPTQM SAQEDLGDDT GIHVIPTLNG DDRHKIVNVD
QRQYGDVFKG DLNPKPQGQR LIEVSVEENH PFTLRAPIQR IYGVRYTETW
SFLPSLTCTG DAAPAIQHIC LKHTTCFQDV VVDVDCAENT KEDQLAEISY
RFQGKKEADQ PWIVVNTSTL FDELELDPPE IEPGVLKVLR TEKQYLGVYI
WNMRGSDGTS TYATFLVTWK GDEKTRNPTP AVTPQPRGAE FHMWNYHSHV
FSVGDTFSLA MHLQYKIHEA PFDLLLEWLY VPIDPTCQPM RLYSTCLYHP
NAPQCLSHMN SGCTFTSPHL AQRVASTVYQ NCEHADNYTA YCLGISHMEP
SFGLILHDGG TTLKFVDTPE SLSGLYVFVV YFNGHVEAVA YTVVSTVDHF
VNAIEERGFP PTAGQPPATT KPKEITPVNP GTSPLIRYAA WTGGLA
いくつかの実施形態において、gE抗原は、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、gEのアミノ酸配列は、配列番号5として記載されている。
MGTVNKPVVG VLMGFGIITG TLRITNPVRA SVLRYDDFHT DEDKLDTNSV
YEPYYHSDHA ESSWVNRGES SRKAYDHNSP YIWPRNDYDG FLENAHEHHG
VYNQGRGIDS GERLMQPTQM SAQEDLGDDT GIHVIPTLNG DDRHKIVNVD
QRQYGDVFKG DLNPKPQGQR LIEVSVEENH PFTLRAPIQR IYGVRYTETW
SFLPSLTCTG DAAPAIQHIC LKHTTCFQDV VVDVDCAENT KEDQLAEISY
RFQGKKEADQ PWIVVNTSTL FDELELDPPE IEPGVLKVLR TEKQYLGVYI
WNMRGSDGTS TYATFLVTWK GDEKTRNPTP AVTPQPRGAE FHMWNYHSHV
FSVGDTFSLA MHLQYKIHEA PFDLLLEWLY VPIDPTCQPM RLYSTCLYHP
NAPQCLSHMN SGCTFTSPHL AQRVASTVYQ NCEHADNYTA YCLGISHMEP
SFGLILHDGG TTLKFVDTPE SLSGLYVFVV YFNGHVEAVA YTVVSTVDHF
VNAIEERGFP PTAGQPPATT KPKEITPVNP GTSPLLR
いくつかの実施形態において、gE抗原は、配列番号5のアミノ酸配列、または配列番号5と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、gEのアミノ酸配列は、切断型gEに対応する(米国特許出願公開第2021/0187099号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、gEのアミノ酸配列は、配列番号6:
MGTVNKPVVG VLMGFGIITG TLRITNPVRA SVLRYDDFHX DEDKLDTNSV
YEPYYHSDHA ESSWVNRGES SRKAYDHNSP YIWPRNDYDG FLENAHEHHG
VYNQGRGIDS GERLMQPTQM SAQEDLGDDT GIHVIPTLNG DDRHKIVNVD
QRQYGDVFKG DLNPKPQGQR LIEVSVEENH PFTLRAPIQR IYGVRYTETW
SFLPSLTCTG DAAPAIQHIC LKHTTCFQDV VVDVDCAENT KEDQLAEISY
RFQGKKEADQ PWIVVNTSTL FDELELDPPE IEPGVLKVLR TEKQYLGVYI
WNMRGSDGTS TYATFLVTWK GDEKTRNPTP AVTPQPRGAE FHMWNYHSHV
FSVGDTFSLA MHLQYKIHEA PFDLLLEWLY VPIDPTCQPM RLYSTCLYHP
NAPQCLSHMN SGCTFTSPHL AQRVASTVYQ NCEHADNYTA YCLGISHMEP
SFGLILHDGG TTLKFVDTPE SLSGLYVFVV YFNGHVEAVA YTVVSTVDHF
VNAIEERGFP PTAGQPPATT KPKEIXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXX
に記載され、ここで、
40位のXは、IまたはTであり、
526~546位のいずれか1つのXは、存在するか、または欠落しており、
526位のXは、存在する場合、Tであり、
527位のXは、存在する場合、Pであり、
528位のXは、存在する場合、Vであり、
529位のXは、存在する場合、Nであり、
530位のXは、存在する場合、Pであり、
531位のXは、存在する場合、Gであり、
532位のXは、存在する場合、Tであり、
533位のXは、存在する場合、Sであり、
534位のXは、存在する場合、Pであり、
535位のXは、存在する場合、Lであり、
536位のXは、存在する場合、IまたはLであり、
537位のXは、存在する場合、Rであり、
538位のXは、存在する場合、Yであり、
539位のXは、存在する場合、Aであり、
540位のXは、存在する場合、Aであり、
541位のXは、存在する場合、Wであり、
542位のXは、存在する場合、Tであり、
543位のXは、存在する場合、Gであり、
544位のXは、存在する場合、Gであり、
545位のXは、存在する場合、Lであり、
546位のXは、存在する場合、Aであり、
その結果、配列番号6のアミノ酸配列は、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545または546アミノ酸長である。いくつかの実施形態において、gE抗原は、配列番号6のアミノ酸配列、または配列番号6と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0044】
例示的な実施形態において1.0ml用量である免疫原性組成物の単位用量は、約15μg~約150μgのgE抗原、好ましくは、約25μg~約125μgのgE抗原、好ましくは、約80~約120μgのgE抗原、または約100μgのgE抗原を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、1.0ml単位用量の免疫原性組成物は、約25μg、約50μg、約75μg、約100μg、約125μgまたは約150μgのgE抗原を含んでいてもよい。
【0045】
C.追加の構成要素
本開示の免疫原性組成物は、1種または複数の追加の構成要素、例えば、1種または複数の賦形剤、別のアジュバントおよび/または追加の抗原を含んでいてもよい。
【0046】
1.賦形剤
本開示の薬学的に許容される賦形剤としては、例えば、溶媒、増量剤、緩衝化剤、浸透圧調整剤、および保存剤が挙げられる(Pramanickら、Pharma Times、45巻:65~77頁、2013年)。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、溶媒、増量剤、緩衝化剤、および浸透圧調整剤の1種または複数として機能する賦形剤を含んでいてもよい(例えば、食塩水中の塩化ナトリウムは、水性媒体および浸透圧調整剤の両方としての機能を果たし得る)。
【0047】
いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、溶媒として水性媒体を含む。好適な媒体としては、例えば、滅菌水、食塩水溶液、リン酸緩衝食塩水、およびリンゲル液が挙げられる。いくつかの実施形態において、組成物は、等張である。
【0048】
免疫原性組成物は、緩衝化剤を含んでいてもよい。緩衝化剤は、pHを制御して、処理、貯蔵、および任意選択で再構成の間の活性薬剤の分解を阻害する。好適な緩衝剤としては、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、硫酸塩またはTrisを含む塩が挙げられる。好ましい実施形態において、緩衝剤は、リン酸塩含有緩衝剤ではない。いくつかの好ましい実施形態において、緩衝剤は、Tris緩衝剤である。他の好適な緩衝剤としては、例えば、アルギニン、グリシン、ヒスチジン、およびリジンなどのアミノ酸が挙げられる。緩衝化剤は、塩酸または水酸化ナトリウムをさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、緩衝化剤は、6~9の範囲内で組成物のpHを維持する。いくつかの実施形態において、pHは、6、7、または8より高い(下限)。いくつかの実施形態において、pHは、9、8、または7未満である(上限)。すなわち、pHは、下限が上限未満である約6~9の範囲である。いくつかの実施形態において、pHは、約6.5、約7.0または約7.5である。
【0049】
免疫原性組成物は、浸透圧調整剤を含んでいてもよい。好適な浸透圧調整剤としては、例えば、デキストロース、グリセロール、塩化ナトリウム、グリセリン、およびマンニトールが挙げられる。
【0050】
免疫原性組成物は、増量剤を含んでいてもよい。増量剤は、医薬組成物が投与前に凍結乾燥される場合に特に有用である。いくつかの実施形態において、増量剤は、凍結もしくは噴霧乾燥の間および/または貯蔵の間に、活性薬剤の安定化およびその分解の防止に役立つ保護剤である。好適な増量剤は、糖(単糖、二糖および多糖)、例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、グルコース、およびラフィノースである。
【0051】
免疫原性組成物は、保存剤を含んでいてもよい。好適な保存剤としては、例えば、抗酸化剤および抗菌剤が挙げられる。しかしながら、好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、無菌条件下で調製され、単回使用容器中にあり、そのため、保存剤の包含は必要とされない。
【0052】
2.追加のアジュバント
アジュバントは、当技術分野において公知であり、限定されるものではないが、ミョウバン(アルミニウム塩)、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、リポソーム、および微小粒子、例えば、ポリ(ラクチド-co-グリコシド)微小粒子が挙げられる(Shahら、Methods Mol Biol、1494巻:1~14頁、2017年)。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、gE抗原が吸着されたアルミニウム塩アジュバントをさらに含む。いくつかの実施形態において、アルミニウム塩アジュバントは、アモルファスヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウムカリウムからなる群の1種または複数を含む。いくつかの実施形態において、アルミニウム塩アジュバントは、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムの一方または両方を含む。いくつかの実施形態において、アルミニウム塩アジュバントは、水酸化アルミニウムからなる。
【0053】
いくつかの実施形態において、例示的な実施形態において1.0ml用量の免疫原性組成物である単位用量は、約0.25~約1.25mgのAl3+、好ましくは、約0.50~約1.00mgのAl3+を含む。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、約0.50mg、約0.75mgまたは約1.00mgのAl3+、好ましくは、約0.75mgのAl3+を含む。
【0054】
他の実施形態において、免疫原性組成物は、追加のアジュバントをさらに含む。追加の好適なアジュバントとしては、限定されるものではないが、水中スクアレンエマルジョン(例えば、MF59またはAS03)、TLR3アゴニスト(例えば、ポリ-ICまたはポリ-ICLC)、TLR5アゴニスト(細菌フラジェリン)、ならびにTLR7および/またはTLR8アゴニスト(イミダゾキノリン誘導体、例えば、イミキモドおよびレシキモド)が挙げられる(Coffmanら、Immunity、33巻:492~503頁、2010年)。獣医学的使用のため、および非ヒト動物における抗体の産生のために、フロイントアジュバント(完全および不完全の両方)の分裂促進構成要素を使用することができる。しかしながら、好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、サポニン、TLR4アゴニストおよびリポソームの1種または複数を含まない。いくつかの好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、QS21、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL1)、ジオレオイルホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの1種または複数を含まない。
【0055】
D.キット
本開示は、i)VZV gE抗原、およびCpGオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物;ならびにii)免疫原性組成物を投与して、それを必要とするヒト対象におけるgE抗原に対する免疫応答を刺激するための使用説明書のセットを含むキットも提供する。加えて、本開示は、i)VZV gE抗原を含む第1の組成物、(ii)CpGオリゴヌクレオチドを含む第2の組成物、iii)第1の組成物を第2の組成物と混合して、免疫原性組成物を調製するための使用説明書、および任意選択でiv)免疫原性組成物を投与して、それを必要とするヒト対象におけるgE抗原に対する免疫応答を刺激するための使用説明書のさらなるセットを含むキットを提供する。いくつかの好ましい実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む。いくつかの好ましい実施形態において、gE抗原に対する免疫応答を刺激することは、ヒト対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫を増加させることを含む。
【0056】
またさらなる好ましい実施形態において、本開示は、i)VZV gE抗原を含む第1の組成物;ii)CpG オリゴヌクレオチドを含む第2の組成物;iii)アルミニウム塩アジュバントを含む第3の組成物、iv)第1、第2および第3の組成物から免疫原性組成物を調製するための使用説明書;ならびに任意選択でv)免疫原性組成物を投与して、それを必要とするヒト対象におけるgE抗原に対する免疫応答を刺激するための使用説明書のさらなるセットを含むキットを提供する。いくつかの好ましい実施形態において、CpGオリゴヌクレオチドは、5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む。いくつかの好ましい実施形態において、gE抗原に対する免疫応答を刺激することは、ヒト対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫を増加させることを含む。
【0057】
キットは、適切に包装された免疫原性組成物を含んでいてもよい。例えば、免疫原性組成物が凍結乾燥粉末である場合、粉末が弾力性の栓を通して注射液体(例えば、滅菌水、食塩水など)によって容易に再懸濁され得るように、弾力性の栓を備えたバイアルが通常使用される。いくつかの実施形態において、キットは、投与のためのデバイス(例えば、注射器および針)を含む。免疫原性組成物の使用に関する使用説明書は、一般に、意図される使用の方法のための投薬量、スケジュールおよび投与の経路についての情報を含む。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物は、例えばヒト対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫を増加させるための、VZVに対する免疫応答を刺激するためのものである。
【0058】
II.使用の方法
本開示は、VZVに対する免疫応答を刺激するための方法であって、VZV糖タンパク質E(gE)抗原、およびCpGオリゴヌクレオチドを含む免疫原性組成物を、ヒト対象におけるgE抗原に対する免疫応答を刺激するために、ヒト対象に投与することを含む方法に関する。好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、筋肉内注射によって、任意選択で約1.0mLの体積(例えば、単位用量)で投与されるべきである。いくつかの実施形態において、筋肉内注射は、それを必要とするヒト対象の上腕の三角筋に対してである。
【0059】
免疫応答を刺激することとは、免疫応答を増加させることを意味し、これは、デノボ免疫応答を誘発すること(例えば、初回ワクチン接種レジメンの結果として)、または既存の免疫応答を増強すること(例えば、ブースターワクチン接種レジメンの結果として)から生じ得る。いくつかの実施形態において、免疫応答を刺激することには、限定されるものではないが、サイトカイン産生を刺激すること、Bリンパ球増殖を刺激すること、抗体産生を刺激すること、インターフェロン経路関連遺伝子発現を刺激すること、化学誘引物質関連遺伝子発現を刺激すること、および形質細胞様樹状細胞の成熟を刺激することからなる群の1つまたは複数が含まれる。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態において、本開示の方法は、免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫と比べて、対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫を増加させるために好適である。いくつかの実施形態において、VZVに対する細胞媒介免疫の増加は、gE抗原反応性活性化CD4+T細胞の頻度の増加を含み、活性化CD4+T細胞は、インターロイキン-2、インターフェロン-ガンマ、腫瘍壊死因子-アルファおよびCD40L(CD154)から選択される2種以上の活性化マーカーを発現する。いくつかの実施形態において、細胞媒介免疫は、フローサイトメトリーによって測定される。いくつかの実施形態において、gE抗原反応性活性化CD4+T細胞は、対象の末梢血単核細胞中に存在する。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態において、本開示の方法は、対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫、および対象におけるVZVに対する体液性免疫の両方を増加させるために好適である。いくつかの実施形態において、免疫原性組成物の投与は、免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する体液性免疫と比べて、対象におけるVZVに対する体液性免疫の増加をもたらす。いくつかの実施形態において、VZVに対する体液性免疫の増加は、gE抗原反応性IgGの濃度の増加を含む。いくつかの実施形態において、gE抗原反応性IgGは、ELISAによって測定される。いくつかの実施形態において、VZVに対する体液性免疫の増加は、VZV反応性抗体の濃度の増加を含む。いくつかの実施形態において、VZV反応性抗体の濃度の増加は、gEおよび/またはVZV中和抗体の濃度の増加を含む。
【0062】
ヒト対象は、典型的には、18歳以上である。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、健康な男性または女性の成人である。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、50歳以上である。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、50~69歳である。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、潜伏VZV感染を有すると疑われている。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、免疫原性組成物の投与前に、小児(12歳以下)、青年(13~17歳)または若年成人(18~25歳)の時に、水痘に罹患した。他の実施形態において、ヒト対象は、VZVに感染していないか、またはVZVに感染していたことが知られていない。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、水痘または帯状疱疹に対して以前にワクチン接種されていなかった。いくつかの実施形態において、ヒト対象は、18歳以上であり、公知の疾患または療法によって引き起こされる免疫不全または免疫抑制を患っている。
【0063】
本開示のいくつかの方法において、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物は、ヒト対象に投与され、第2の用量は、第1の用量の1か月~1年後に投与される。いくつかの実施形態において、第2の用量は、第1の用量の2か月~6か月後に投与される。いくつかの実施形態において、第2の用量は、第1の用量の約2か月後に投与される。例示的な実施形態において、それぞれの用量は、筋肉内注射によって、1mL用量を投与される。
【0064】
実施形態の列挙
1.それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する細胞媒介免疫を増加させる方法であって、
免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する細胞媒介免疫と比べて、VZVに対する細胞媒介免疫を増加させるために有効な量で免疫原性組成物中に存在する、i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含む免疫原性組成物をヒト対象に投与することを含む、方法。
2.免疫原性組成物が、約25μg~約150μgのgE抗原、および約750μg~約6000μgのオリゴヌクレオチドを含み、任意選択で、免疫原性組成物が、約50μg~約100μgのgE抗原、および約1500μg~約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、実施形態1に記載の方法。
3.免疫原性組成物が、約25μg、約50μg、約75μg、約100μg、約125μgまたは約150μgのgE抗原、および約750μg、約1500μg、約3000μgまたは約6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、実施形態1に記載の方法。
4.免疫原性組成物が、約100μgのgE抗原、および約3000μgまたは6000μgのオリゴヌクレオチドを含む、実施形態3に記載の方法。
5.それを必要とするヒト対象における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)に対する免疫応答を増加させる方法であって、
i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;およびii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原を含む免疫原性組成物をヒト対象に投与することを含み、免疫原性組成物が、約100mcgのgE抗原および約3000mcgまたは約6000mcgのオリゴヌクレオチドを含む、方法。
6.オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つのホスホロチオエート連結を含むか、またはすべてのヌクレオチド連結が、ホスホロチオエート連結である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.オリゴヌクレオチドが、1本鎖オリゴデオキシヌクレオチドである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
8.gE抗原が、全長VZV gE抗原の膜貫通ドメインおよびビリオン内ドメインを欠く組換えタンパク質である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.組換えタンパク質が、哺乳動物細胞において産生される、実施形態8に記載の方法。
10.免疫原性組成物が、アルミニウム塩アジュバントをさらに含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
11.アルミニウム塩アジュバントが、アモルファスヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウムおよび硫酸アルミニウムカリウムからなる群の1種または複数を含む、実施形態10に記載の方法。
12.アルミニウム塩アジュバントが、水酸化アルミニウムを含む、実施形態10に記載の方法。
13.免疫原性組成物が、約0.25mg~約1.25mgのAl3+を含む、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法。
14.免疫原性組成物が、約0.50mg、約0.75mgまたは約1.00mgのAl3+を含む、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法。
15.免疫原性組成物が、約0.75mgのAl3+を含む、実施形態14に記載の方法。
16.免疫原性組成物が、サポニン、TLR4アゴニストおよび/またはリポソームを含まない、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
17.免疫原性組成物が、QS21、3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL1)、ジオレオイルホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールを含まない、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
18.gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:15~1:120(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:15~1:60(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
19.gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:15、1:30、1:60、1:20、1:40、1:80、1:30、1:60または1:120(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:30(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、gE抗原およびオリゴヌクレオチドが、1:60(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
20.オリゴヌクレオチドおよびAl3+が、8:1~2:1(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、オリゴヌクレオチドおよびAl3+が、8:1(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在し、任意選択で、オリゴヌクレオチドおよびAl3+が、4:1(wt/wt)の比で免疫原性組成物中に存在する、実施形態13~19のいずれか1つに記載の方法。
21.ヒト対象が、18歳以上である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
22.ヒト対象が、50歳以上である、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
23.ヒト対象が、50~69歳である、実施形態22に記載の方法。
24.ヒト対象が、潜伏VZV感染を有すると疑われている、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
25.ヒト対象が、水痘または帯状疱疹に対して以前にワクチン接種を受けていなかった、実施形態1~24のいずれか1つに記載の方法。
26.ヒト対象が、第1の用量および第2の用量の免疫原性組成物を受け、第2の用量が、第1の用量の1か月~1年後に投与される、実施形態1~25のいずれか1つに記載の方法。
27.第2の用量が、第1の用量の2か月~6か月後に投与され、任意選択で、第2の用量が、第1の用量の約2か月後に投与される、実施形態26に記載の方法。
28.免疫原性組成物が、筋肉内注射によって投与される、実施形態1~27のいずれか1つに記載の方法。
29.VZVに対する細胞媒介免疫の増加が、gE抗原反応性活性化CD4+T細胞の頻度の増加を含み、活性化CD4+T細胞が、インターロイキン-2、インターフェロン-ガンマ、腫瘍壊死因子-アルファおよびCD40L(CD154)から選択される2種以上の活性化マーカーを発現する、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
30.免疫原性組成物の投与が、免疫原性組成物の投与前の対象におけるVZVに対する体液性免疫と比べて、対象におけるVZVに対する体液性免疫の増加をもたらす、実施形態1~29のいずれか1つに記載の方法。
31.VZVに対する体液性免疫の増加が、gE抗原反応性IgGの濃度の増加を含む、実施形態30に記載の方法。
32.VZVに対する体液性免疫の増加が、gEおよび/またはVZV中和抗体の濃度の増加を含む、実施形態30または実施形態31に記載の方法。
33.細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第1の用量の免疫原性組成物の投与の約2か月後までに対象において誘発される、実施形態30~32のいずれか1つに記載の方法。
34.細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第2の用量の免疫原性組成物の投与の約1か月後までに対象において誘発される、実施形態30~32のいずれか1つに記載の方法。
35.細胞媒介免疫の増加および体液性免疫の増加が、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3か月間対象において維持される、実施形態30~34のいずれか1つに記載の方法。
36.免疫原性組成物の投与が、gE抗原を含む免疫原性組成物を受けていない対照対象のリスクと比べて、帯状疱疹を発生する対象のリスクを低減する、実施形態30~35のいずれか1つに記載の方法。
37.免疫原性組成物の投与が、任意選択で、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3年の期間、帯状疱疹の発生から対象を予防する、実施形態30~35のいずれか1つに記載の方法。
38.免疫原性組成物の投与が、任意選択で、第2の用量の免疫原性組成物の投与後少なくとも3年の期間、帯状疱疹後神経痛の発生から対象を予防する、実施形態30~35のいずれか1つに記載の方法。
39.免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後7日(ワクチン接種の日およびその後6日)以内の1つまたは複数の応答型局所反応の発生のリスクの低減に関連する、実施形態30~38のいずれか1つに記載の方法。
40.応答型局所反応が、通常の毎日の活動を妨げる痛みを含む、実施形態39に記載の方法。
41.免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後7日(ワクチン接種の日およびその後6日)以内の1つまたは複数の応答型全身反応の発生のリスクの低減に関連する、実施形態30~40のいずれか1つに記載の方法。
42.応答型全身反応が、通常の毎日の活動を妨げる疲労、頭痛および/もしくは筋肉痛、ならびに/または39℃を上回る発熱を含む、実施形態41に記載の方法。
43.免疫原性組成物が、gE抗原およびAS01Bアジュバントを含む比較対照組成物と比べて、第1の用量および/または第2の用量の投与後42日(ワクチン接種の日およびその後41日)以内のギランバレー症候群の発生のリスクの低減に関連する、実施形態30~42のいずれか1つに記載の方法。
44.実施形態1~43のいずれか1つに記載の方法における使用のための免疫原性組成物。
45.i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;ii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原;およびiii)少なくとも1つの賦形剤を含む免疫原性組成物であって、
gE抗原が、哺乳動物細胞において産生される組換えタンパク質であり、約25μg~約150μgの量で免疫原性組成物中に存在し、オリゴヌクレオチドが、約750μg~約6000μgの量で免疫原性組成物中に存在し、少なくとも1つの賦形剤が、薬学的に許容される緩衝剤を含む、免疫原性組成物。
46.i)5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’(配列番号1)の配列を含む、非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン(CpG)を含有するオリゴヌクレオチド;ii)切断型VZV糖タンパク質E(gE)抗原;およびiii)少なくとも1つの賦形剤を含む免疫原性組成物であって、
gE抗原が、哺乳動物細胞において産生される組換えタンパク質であり、約100μgの量で免疫原性組成物中に存在し、オリゴヌクレオチドが、約3000μgまたは約6000μgの量で免疫原性組成物中に存在し、少なくとも1つの賦形剤が、薬学的に許容される緩衝剤を含む、免疫原性組成物。
47.水酸化アルミニウムアジュバントをさらに含み、免疫原性組成物が、約0.25mg~約1.25mgのAl3+を含む、実施形態45または実施形態46に記載の免疫原性組成物。
48.免疫原性組成物が、約0.75mgのAl3+を含む、実施形態47に記載の免疫原性組成物。
49.緩衝剤が、リン酸塩含有緩衝剤ではない、実施形態45~48のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
50.緩衝剤が、Tris緩衝剤である、実施形態45~48のいずれか1つに記載の免疫原性組成物。
【実施例】
【0065】
略称:CMI(細胞媒介免疫);CpG(非メチル化シチジン-ホスホ-グアノシン);CTRL(対照);gE(糖タンパク質E);ELISA(酵素結合免疫吸着測定法);GMC(幾何平均濃度);GMFI(幾何平均倍数増加);HZ(帯状疱疹);IFNγ(インターフェロン-ガンマ);IL-2(インターロイキン-2);IM(筋肉内);mcgまたはμg(マイクログラム);mclまたはμl(マイクロリットル);PBMC(末梢血単核細胞);TLR9(トール様受容体9);TNFαまたはTNF(腫瘍壊死因子-アルファ);VRR(ワクチン応答率);およびVZV(水痘帯状疱疹ウイルス)。
【実施例1】
【0066】
ヒト対象における、AS01Bアジュバント組換え帯状疱疹ワクチンと比較した、CpGアジュバント組換え帯状疱疹ワクチンの安全性、忍容性および免疫原性
この実施例は、2か月の経過にわたって投与された2用量のSHINGRIX(登録商標)(AS01Bでアジュバント化されたVZV gEを含むワクチン、GlaxoSmithKline、Research Triangle Park、NC)の投与に対して2か月の経過にわたる2用量のZ-1018(CpG 1018(登録商標)アジュバントでアジュバント化された組換えVZV gEを含むワクチン、Dynavax Technologies Corporation、Emeryville、CA)の投与の効果を比較するための、健康な成人において実施されたフェーズI臨床試験の説明を提供する。
【0067】
抗原:組換えVZV糖タンパク質E(gE)は、膜貫通アンカーおよびカルボキシ末端ドメインを欠くgEの切断型バージョンを発現する遺伝子操作されたチャイニーズハムスター卵巣宿主細胞の細胞培養によって得られ、したがって、上清に分泌された。細胞培養は、アルブミン、抗生物質または動物由来タンパク質なしであるが、アミノ酸を含有する培地によって支持された。gEは、クロマトグラフィーによって精製され、記載される将来の使用のために凍結乾燥された(Haumontら、Virus Res、40巻:199~204頁、1996年)。フェーズI臨床試験のために、VZV gEは商業的に得られた。
【0068】
主要目標:Z-1018の安全性および忍容性を評価すること。エンドポイントには、有害事象の評価:応答型局所および全身注射後反応;有害事象;ならびに重篤な有害事象の評価が含まれる。
【0069】
二次的目標:2回目の注射の4週間後で、SHINGRIX(登録商標)と比較して、Z-1018の免疫原性を評価すること。エンドポイントには、1)以下の活性化マーカー:IFNγ、IL-2、TNFαおよびCD40Lの少なくとも2つを発現するCD4+T細胞の数;2)VZV gE抗原に対するIgG抗体の幾何平均濃度(GMC);ならびに3)ワクチン応答率(VRR)の決定が含まれる。所望のエンドポイントは、PBMCにおけるgEと反応性のCD4+T細胞の増加であり、これは、IFNγ、IL-2、TNFαおよびCD40Lの2種以上の発現のベースラインに対して、2倍以上の増加を有する。
【0070】
探索的目標:Z-1018の免疫原性をさらに評価すること。エンドポイントには、1)gE 中和抗体のレベル;2)T細胞表現型;3)B細胞表現型;および4)末梢血単核細胞(PBMC)遺伝子発現プロファイルの評価が含まれる。
【0071】
研究設計。この研究は、50~69歳の健康なボランティアにおける、ミョウバンありおよびなしの、帯状疱疹gE抗原をオリゴデオキシヌクレオチド、トール様受容体9(TLR9)アゴニストアジュバント(CpG 1018(登録商標)アジュバント)と組み合わせる、治験帯状疱疹(HZ)ワクチン(Z-1018)の2用量(1日目および8週目)の無作為化実対照用量漸増多施設研究として実施した。対象を、以下の通り、漸増用量レベルのZ-1018またはSHINGRIX(登録商標)を受けるように無作為化した:
i)Z-1018用量レベル1:100mcgのgE+3000mcgのCpG 1018(登録商標)アジュバント;
ii)Z-1018用量レベル1a:100mcgのgE+3000mcgのCpG 1018(登録商標)アジュバント+ミョウバン;
iii)Z-1018用量レベル2:100mcgのgE+6000mcgのCpG 1018(登録商標)アジュバント;
iv)Z-1018用量レベル2a:100mcgのgE+6000mcgのCpG 1018(登録商標)アジュバント+ミョウバン:または
v)SHINGRIX(登録商標)。
【0072】
すべての対象は、2用量のそれらの割り当てられた処置を受け、安全性および免疫原性の評価を受けた。対象は、最後の研究の注射後12週間(すなわち、8週目での2回目の注射後12週間=最初の注射後20週間)、安全性について追跡された。すべての対象は、ワクチン接種前の採血を行い、1日目に割り当てられた処置ワクチンを受けた。ワクチン接種後の抗体レベルを測定するための採血および探索的な評価を、8、12および20週目に行った。対象は、採血後、8週目に、第2の用量のそれらの割り当てられた処置を受けた。安全性評価を、ベースライン(1日目)、8日目、4週目、12週目、16週目および20週目に行った。研究のスクリーニングおよび処置パートにおける対象の参加の期間は、約24週間であった。
研究集団。50~69歳の健康な男性および女性対象を選択した。除外基準は、以下の基準のいずれか1つを含んでいた:ヒト免疫不全ウイルスに対する血清陽性;帯状疱疹の病歴;水痘または帯状疱疹に対する以前のワクチン接種;最初の注射の14日以内に任意の非生ワクチンを受けている;最初の注射の28日以内に任意の生ワクチン、全身コルチコステロイド(吸入ステロイドは許容される)、免疫モジュレーターもしくは免疫抑制薬、顆粒球刺激因子、または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子を受けている;化学療法を受けている、または受けると予期される;過去5年以内にがんの診断を有する;および自己免疫疾患の病歴。
【0073】
研究処置。治験薬製品(Z-1018)または実対照薬(SHINGRIX(登録商標))を、1日目および8週目に、三角筋に、単回筋肉内(IM)注射として投与した。
【0074】
1ml用量のZ-1018は、3000mcgまたは6000mcgの用量のCpG 1018(登録商標)アジュバント(Dynavax Technologies Corporation. Emeryville、CA)と組み合わされた(750mcgのAl3+の用量の水酸化アルミニウム[ミョウバン]なしまたはあり)、100mcgのgEを含有する。CpG 1018(登録商標)アジュバントは、標準的な固相化学技法によって調製された1本鎖の22塩基ホスホロチオエート2’-デオキシリボ-オリゴヌクレオチドである(5’-TGACTGTGAA CGTTCGAGAT GA-3’、配列番号1に記載)。CpG 1018(登録商標)アジュバントは、およそ7150ダルトンのモル質量を有する。Z-1018中のミョウバンは、Croda International Plc(East Yorkshire、UK)によって販売されているALHYDROGEL(登録商標)ワクチンアジュバントである。
【0075】
0.5ml用量のSHINGRIX(登録商標)は、AS01Bアジュバント(1mgのジオレオイルホスファチジルコリン[DOPC]、250mcgのコレステロール、Salmonella minnesota製の50mcgの3-O-デスアシル-4’-モノホスホリルリピドA[MPL]、およびQuillaja saponaria Molina製の50mcgのQS-21サポニン、画分21を含有するリポソーム製剤)と組み合わされた、50mcgのgEを含有する。
【0076】
免疫原性評価。gEに対するIgG抗体(抗gE)、ならびにgEに対するTおよびB細胞応答を、ベースライン(1日目)、8週目、12週目、および20週目に評価した。gEに対する中和応答を、ベースライン(1日目)、8週目、12週目、および20週目に評価した。
【0077】
安全性解析集団は、研究中のデータを有していな対象を除いて、少なくとも1用量の研究ワクチンを受けたすべての対象を含む。
【0078】
免疫原性解析のためのパープロトコール(PP)集団は、2用量の研究ワクチンを受け、主要なプロトコールの違反を有さず(統計分析の計画に規定)、12週目での研究来院ウィンドウ内に得られたCD4+T細胞を有する、すべての対象を含む。
【0079】
免疫原性解析のための改変治療企図解析(mITT)集団は、少なくとも1用量の研究ワクチンを受け、注射後の免疫原性評価を有する、すべての適格な対象を含む。
【0080】
免疫原性解析のために、gEに対するIgGおよび中和抗体についての応答率を評価した。細胞媒介免疫(CMI)応答のために、≧2つの活性化マーカーを発現するCD4+T細胞の頻度を測定した。加えて、幾何平均濃度(GMC)を、8および12週目に、gEに対する抗体について評価した。幾何平均比(GMR)(例えば、8週目対1日目、12週目対1日目)を、用量レベルによって、gEに対する抗体について評価した。TおよびB細胞表現型、ならびに安全性データを、記述的に解析する。
【0081】
VZV糖タンパク質E(gE)ELISA。平底マイクロプレートのウェルを、0.1mcgのVZV gE抗原で終夜コーティングし、洗浄し、5%のウシ血清アルブミンを含有する緩衝液中でブロッキングし、再洗浄した。標準、対照およびヒト血清試料(1:50以上の希釈)を、二反復で、マイクロプレートのウェルに添加し、これを、室温で1.0~1.5時間インキュベートした。使用した標準は、抗VZV免疫グロブリン世界保健機関標準(National Institute for Biological Standards and Control、カタログ番号W1044)であった。洗浄した後、検出抗体(1:50,000希釈)を、マイクロプレートのすべてのウェルに添加し、これを、室温で1.0~1.25時間インキュベートした。使用した検出抗体は、マウス抗ヒトIgG-ペルオキシダーゼ(Jackson ImmunoResearch、カタログ番号209-035-98)であった。洗浄した後、3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン基質(Life Technologies、カタログ番号002023)を、マイクロプレートのすべてのウェルに添加し、約10分間反応させた後、発色を、1Nの硫酸停止溶液の添加によって停止した。吸光度を測定し、濃度を、Tecan SPARKマイクロプレートリーダーおよびMagellanデータ解析ソフトウェアを使用して決定した。
【0082】
細胞内染色アッセイ。PBMCを、研究対象から得られた血液試料から単離し、凍結保存した。凍結PBMCを、穏やかに解凍し、ベンゾナーゼを含有する完全培地中で洗浄し、ベンゾナーゼなしの完全培地中、6ウェル細胞培養プレートに移した。細胞を、5%のCO2、37℃のインキュベーター中、終夜休ませた。休ませた細胞を、洗浄し、カウントし、新鮮な完全培地に再懸濁した。細胞生存率が少なくとも60~70%であった場合、細胞を、96ウェル細胞培養プレートのウェルに分配し、以下を含有する完全培地中で刺激した:DMSO(0.8%)、VZV gEタンパク質に及ぶ一連のペプチド(11aa重複を有する15mer)(1mcg/ウェル)。細胞を、5%のCO2、37℃のインキュベーター中で2時間刺激した後、モネンシンおよびブレフェルジンAを含有する阻害剤ミックスをそれぞれのウェルに添加し、細胞培養プレートを、さらに16~18時間、インキュベーターに戻した。次いで、細胞を洗浄し、生/死生存率色素に再懸濁し、暗所で、室温で20分間インキュベートした。洗浄した後、細胞を、冷Cytofix-Cytopermに再懸濁し、暗所で、2~8℃で20分間インキュベートした。細胞を、再び洗浄し、Perm/洗浄緩衝液に再懸濁した。ペレット化された細胞を、CD3、CD4、CD8、IFNγ、IL-2、TNFαおよびCD40Lに対する蛍光標識化抗体を含む細胞内染色パネルミックスに再懸濁し、暗所で、室温で20分間インキュベートした。染色された細胞を、洗浄し、染色緩衝液に再懸濁し、Attune NxTフローサイトメーターを使用する分析まで、2~8℃で保管した。
【0083】
結果-安全性および忍容性
注射後反応および有害事象を、少なくとも1用量の研究ワクチンを受けたすべての対象を含む安全性解析集団において評価した。安全性解析集団の特徴を表1に示す。男性よりも多くの女性がZ-1018群に存在したが、Shingrix(登録商標)群は、より性別のバランスがとれていた。平均年齢は、すべての研究群にわたって類似していた。
【0084】
【0085】
反応原性の全体的な割合を表2に示す。安全性解析集団の局所および全身反応原性率を、それぞれ、表3および表4に示す。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
この研究において、Z-1018群のほとんどの参加者は、いくらかの反応原性を報告したが、ほとんどの反応は、軽度または中等度であった。注射部位の痛みは、最も一般的な局所反応であった。疲労は、最も一般的に報告された全身反応であったが、悪心および下痢は、最も頻繁に報告された胃腸症状であった。Z-1018群における局所または全身反応の報告率において、明確な用量応答はなかったが、より重度の反応が、Z-1018 6mg+ミョウバン群において、他の3つのZ-1018群よりも報告された。
【0090】
任意の局所および全身反応の報告率は、Z-1018よりも、Shingrix(登録商標)後により高かった。加えて、中等度または重度の反応の報告の数は、Z-1018の任意の製剤よりも、Shingrix(登録商標)後により多かった。安全性解析集団からの観察は、Z-1018のすべての製剤が、Shingrix(登録商標)よりも良好な忍容性プロファイルを有することを示す。
【0091】
結果-免疫原性
VZV gE反応性の体液性および細胞性免疫応答を、2用量の研究ワクチンを受け、主要なプロトコールの違反を有さず、2回目の注射の4週間後の研究来院ウィンドウ内に得られたCD4+T細胞を有していた、すべての対象を含む、パープロトコール集団において評価した。パープロトコール集団の特徴を表5に示す。すべてのZ-1018群は、Shingrix(登録商標)群よりも、幾分多くの女性を有していたが、年齢は、すべての群の間で、十分にバランスがとれていた。
【0092】
【0093】
抗gE IgG抗体のレベル(IU/mL)を、表6の幾何平均濃度(GMC)、表7の幾何平均倍数増加(GMFI)、および表8のワクチン応答率として示す。
【0094】
【0095】
【0096】
【0097】
12週間で達したGMCは、4つのZ-1018群すべてにわたって同等であった。Z-1018群のGMCは、Shingrix(登録商標)群におけるよりも低かった。しかしながら、群にわたる結論は、Shingrix(登録商標)群のより高いベースラインGMCのために、導くのが困難である。12週間で、すべてのZ-1018群のGMFIは、Shingrix(登録商標)と同等であったか、またはそれよりも高かった。Z-1018群の間で、最も高いGMFIは、ミョウバンありおよびなしのZ-1018 6mg群において観察された。高いVRRは、12週目ですべてのZ-1018群群において達成され、Shingrix(登録商標)と同等であった。
【0098】
2種以上の活性化マーカーを発現するgE反応性CD4+T細胞(本明細書において「CD4+(2+)T細胞」と称する)のレベルを、表9および
図1~3の10
6個のCD4+T細胞あたりの頻度中央値、表10の幾何平均倍数増加(GMFI)、および表11のワクチン接種前に対するワクチン接種後の2倍の増加を有する対象のパーセンテージとして示す。
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
活性化マーカー(IFNγ、IL-2、TNFαおよびCD40Lの2種以上)の異なる組合せを発現するgE反応性CD4+(2+)T細胞の頻度は、8週目で、すべての群にわたって類似していた。しかしながら、gE反応性CD4+(2+)T細胞の頻度は、12週目で、4つのZ-1018群よりも、Shingrix(登録商標)についてより高かった。Z-1018群について、Shingrix(登録商標)と同様に、4つの活性化マーカーすべてを発現するgE反応性CD4+T細胞が、最も高い頻度で存在した。ベースラインに対する12週目でのCD4+(2+)T細胞頻度におけるロバストなGMFIが、4つのZ-1018群すべてにおいて観察された。12週目で、CD4+(2+)T細胞頻度に基づく高いワクチン応答率が、それぞれのZ-1018群において見られ、Shingrix(登録商標)と同等であった。4つのZ-1018群についての免疫原性データの要約を表12に示す。
【0103】
【0104】
前述の開示は、明確性および理解の目的で実例および実施例によっていくらか詳細に記載したが、ある特定の変更および改変を行ってもよいことは当業者に明らかであろう。したがって、実施例は、添付の特許請求の範囲によって詳しく示される本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【配列表】
【国際調査報告】