(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】エラストマーをリサイクルする方法、リサイクルエラストマー、およびリサイクルエラストマーの使用
(51)【国際特許分類】
C08J 11/10 20060101AFI20250115BHJP
C08C 19/08 20060101ALI20250115BHJP
C08C 19/28 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C08J11/10
C08C19/08 ZAB
C08C19/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024537887
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 BR2022050170
(87)【国際公開番号】W WO2023115173
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】BR1020210257164
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524232945
【氏名又は名称】デ ソウザ,ルイース フェリペ ホドモンテ
(71)【出願人】
【識別番号】524232956
【氏名又は名称】デ ソウザ,レオナルド カンポス ホドモンテ
(71)【出願人】
【識別番号】524232967
【氏名又は名称】アルヴァレス,ベルナルド バヘト
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100139310
【氏名又は名称】吉光 真紀
(72)【発明者】
【氏名】アルヴァレス,ベルナルド バヘト
【テーマコード(参考)】
4F401
4J100
【Fターム(参考)】
4F401AA05
4F401AA06
4F401CA66
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4J100AS00P
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4J100HC34
4J100HC36
4J100HC69
4J100HD13
4J100HE12
(57)【要約】
本発明は、硫黄をベースとする、または過酸化物で架橋された加硫エラストマーから固形廃棄物をリサイクルする方法に関する。これに関連して、本発明は、高温を使用することなく、オゾンおよび脱架橋剤の存在下でのラジカル脱架橋によって前記廃棄物をリサイクルすることを提案する。本発明はまた、前記方法によって得られるリサイクルエラストマーおよび前記リサイクルエラストマーの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー廃棄物をリサイクルする方法であって、
1)脱架橋剤を溶媒に溶解し、このようにして形成された溶液を前記エラストマー廃棄物に添加するステップであって、前記脱架橋剤が過酸化物、過硫酸塩、もしくは類似物またはそれらの混合物から選択される、ステップ、
2)撹拌を促進し、その後静置するステップ、
3)水を添加するステップ、および
4)オゾンを添加するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
脱架橋剤の量が約0.5~約30部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
過酸化物が、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、オキシビスパーオキサイドなど、またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど、またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が、ハロゲン化もしくは芳香族もしくは類似の有機溶媒、またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒が、トルエンおよび/またはキシレンであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
溶媒の量が、約4~約10部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ステップ2)において、撹拌が約30分間行われ、静置が1時間~24時間行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップ3)において、水の量が最大500部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ステップ4)において、オゾンが、約30mg/L~約50mg/Lの流速で4時間~6時間バブリングされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
エラストマー廃棄物をリサイクルする方法であって、
1)水、界面活性剤および脱架橋剤を含む溶液を調製し、形成された前記溶液をエラストマー残渣に添加するステップであって、前記脱架橋剤が、「反応性溶媒」である、ステップ、
2)撹拌を促進し、その後静置するステップ、ならびに
3)オゾンを添加するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記「反応性溶媒」が、REDが1未満の溶媒からなることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記「反応性溶媒」が、式(I)
【化1】
(式中、Rは水素またはCH
3であり、R’は炭素数1~4のアルキル基である)
で表されるアクリレートもしくはメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼンなど、またはそれらの混合物の群から選択される化合物からなることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
「反応性溶媒」の量が、約0.5~約30部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤が、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびエトキシル化もしくは類似のノニルフェノールまたはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
界面活性剤の量が最大約2.5部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
水の量が最大500部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
ステップ2)において、撹拌が約30分間行われ、静置が1時間~24時間行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
ステップ3)において、オゾンが、約30mg/L~約50mg/Lの流速で4時間~6時間バブリングされることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法によって得られることを特徴とする、リサイクルエラストマー。
【請求項21】
請求項11に記載の方法によって得られることを特徴とする、リサイクルエラストマー。
【請求項22】
請求項1または11に記載の方法により得られるリサイクルエラストマーの使用であって、物品を製造するためのバージンエラストマーを含む原料の一部を置き換えることを特徴とする、使用。
【請求項23】
履物、建築、自動車または白物家電産業用の物品を製造するためであることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
リサイクルエラストマーの使用量が60%以上であることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
他のポリマーとの混合物であることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫黄をベースとする、または過酸化物で架橋された加硫エラストマーの固形廃棄物をリサイクルする方法、および前記方法によって得られるリサイクルエラストマーに関する。
【0002】
本発明はまた、リサイクルエラストマーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
エラストマーは、架橋に関連するその固有の特性により、製造および消費後の廃棄物を発生させ、通常は焼却される加硫ゴムの廃棄に関連する深刻な環境問題を引き起こす。これに関連して、ゴムのリサイクルは、エラストマーをバージンゴムと相溶性のある加工可能な材料に変換することからなる。
【0004】
ゴムをリサイクルするための最も効率的な方法は、主鎖の構造はそのままの状態で、熱的、化学的または機械的手段によって架橋を切断することである。これに関連して、例えば熱などの当該技術分野で知られている多くの方法は、リサイクルされるエラストマー材料の架橋を切断するために使用される高温に関する問題を提示しており、これは高いエネルギー消費と再生される材料の劣化、および望ましくない二次反応を意味する。さらに、ゴムをリサイクルするための機械的方法の関連では、一般的に使用される高いせん断速度によって架橋がランダムに切断され、バージンゴムで再度架橋することが不可能なリサイクル製品が生成されるのが一般的である。
【0005】
一方、ケミカルリサイクルでは、架橋を選択的に切断し、ガラス転移点(Tg)を低下させることで、ポリマー鎖がより動きやすくなり、それらをバージンエラストマーに組み込むことが可能になる。バージンエラストマーを得るために行われる加硫反応および/または架橋反応の効率によって、ケミカルリサイクル方法は、関与する架橋のエネルギーに応じて、より複雑になることもあれば、それほど複雑にならないこともある。
【0006】
加硫システムは、例えば、それらの硫黄および促進剤の含有量によって分類することができ、硫黄含有量がゴム100部あたり0.3~1.0部(pcr)であり、促進剤含有量がゴム100部あたり2.0~6.0部(pcr)である場合に効率的であると考えられる。効率的なシステムは、モノスルフィド結合(C-S-C)およびジスルフィド結合(C-S-S-C)の形成を誘導し、これは、ポリマーとの硫黄結合の存在により材料の熱的および酸化的安定性を高めるが、これはまた、交換、再配列、または切断ができないことに関連しており、主鎖を切断することなく機械的張力を緩和することはできない。これに関連して、脱架橋反応にはより多くのエネルギーが必要となる。したがって、高温とせん断を伴って化学試薬を使用する熱的および/または機械的ケミカルリサイクル法を使用するのが一般的であるが、これは上述の材料劣化と二次反応に関連した問題を引き起こすだけでなく、エネルギーの要求が高く長時間に及ぶことによるコスト増も引き起こす。これに関連して、望ましい機械的特性の維持と、リサイクルエラストマーに関連するコストとが、そのリサイクル方法に関連していることに注意することが重要である。さらに、これに関連して知られている方法によれば、相溶化剤だけでなく大量の有機溶媒を使用するのが普通である。
【0007】
過酸化物架橋方法では、飽和しているゴム、または架橋を形成できる反応性基を含まないゴムを架橋するために、有機過酸化物が使用される。架橋剤としての過酸化物は、ポリマー鎖に浸透しないが、ポリマーマトリックスの隣接する鎖間にC-C結合を形成するラジカルを生成する。過酸化物架橋は、EPM、EPDM、EVAなどの飽和合成ゴムの開発とともに重要性を増した。C-C結合の結合エネルギーは、S-S結合やC-S結合の結合エネルギーよりもさらに高いため、現在存在するリサイクル代替物は、上記で説明したような限界があるか、または硫黄ベースの結合を脱架橋することにのみ効率的で、過酸化物ベースの架橋を切断することには効率的ではない。
【0008】
最新技術には、エラストマー廃棄物を含むポリマー廃棄物を、オゾンや他の脱架橋剤を使用してリサイクルすることを想定した文献が含まれる。
【0009】
文献米国特許第5373067号明細書は、エチレン酢酸ビニル(EVA)をベースとするポリマー材料をリサイクルする方法について言及している。さらに、この文献は、バージンEVAと併用してリサイクル材料を原料として使用することを提案している。米国特許第5373067号明細書の本質的な目的は、ポリマーを完全に破壊することなくEVA残渣を変換すること、すなわち、官能基を切断することなく、特定の結合を切断して分子の制御された切断に限定することである。この目的のために、米国特許第5373067号明細書の方法は、ポリマー材料を微粒子状にすること(すなわち、機械的方法を伴う)、得られたポリマー微粒子を、材料のポリマーネットワーク内での拡散および前記ネットワークの拡張に適した有機溶媒に取り込むこと、および反応媒体を脱架橋剤としてオゾン電流にさらすことを含み、初期材料の解重合をもたらし、活性部位を形成する。バージンエラストマーに関連する原料としてのリサイクルエラストマーの使用に関して、この文献は、バージンEVAと同一の機械的特性およびレオロジー特性を有する製品を得るために、リサイクル材料をわずか20%使用することの実現可能性を示している。
【0010】
Prestes,S.M.D.による「Reuse of crosslinked EVA waste through chemical recycling」と題する論文も、EVA廃棄物の解重合を扱っている。より具体的には、この文献は、後で元のセグメント自体に再挿入するための、履物部門からのEVA廃棄物のリサイクルについて扱っている。これに関連して、この文献は、解重合されたEVA廃棄物をバージンPVCと共に使用することを提案している。Prestes,S.M.D.は、過酸化水素による脱架橋およびオゾンによる脱架橋を含む、ケミカルリサイクルのさまざまな方法を開示している。オゾンによるリサイクル法が最も満足のいく結果を示し、ポリマー材料を膨潤させるために1,2,4トリクロロベンゼンを含む反応媒体中で実施された。
【0011】
文献中国特許出願公開第109749757号明細書は、ゴムポリマー材料の熱劣化および熱媒体に関連する不純物の形成という技術的問題も考慮した、ゴム/プラスチック廃棄物のリサイクル製品およびその調製方法を開示している。これに関連して、中国特許出願公開第109749757号明細書は、熱分解による廃ゴム/プラスチックの再生と、非熱分解による廃ゴム/プラスチックの再生の組合せを含む、ゴム/プラスチック廃棄物のリサイクル製品を調製する方法を提案している。これに関連して、熱的方法からの変換エネルギーを非熱分解方法に組み込むことが教示されている。
【0012】
Roojらによる「New Route for Devulcanization of Natural Rubber and the Properties of DevulcanizedRubber」と題する論文は、脱架橋剤として過酸化ベンゾイルを使用した天然ゴムの脱硫について言及している。これに関連して、Roojらは、化学的方法と機械化学的方法を教示している。化学的方法では、脱硫はキシレン中で約80℃の温度で行われる。さらに、この文献は、ゴムを再加硫し、それをさまざまな割合でバージンゴムと混合して使用することを提案している。
【0013】
Colomらによる「Assessment of the devulcanization process of EPDM waste from roofing systems by combined thermomechanical/microwave procedures」と題する論文は、熱機械的脱硫方法とマイクロ波脱硫方法を組み合わせたエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)廃棄物の処理について言及している。これに関連して、Colomらは、高い処理温度を伴う脱架橋剤として過酸化ベンゾイルにも言及している。
【0014】
このように、高温、特殊な装置および相溶化剤の使用を必要とせず、その元の加硫/架橋方法に関係なく、さまざまなエラストマーを対象とするエラストマーのリサイクル方法が、最先端技術にはまだ欠けており、したがって、物品の製造に大量のリサイクル材料を使用することができ、配合する物品によっては、リサイクルエラストマーを100%使用することさえできる。
【0015】
以下により詳細に説明するように、本発明は、実用的かつ効率的な方法で上述した最先端技術の問題を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、高温、特殊な装置および相溶化剤を使用することなく固形エラストマー廃棄物をリサイクルする方法に関する。より具体的には、本発明は、溶媒媒体中、オゾンおよび脱架橋剤の存在下で実施されるラジカル脱架橋を含む方法、およびこのようにして得られるリサイクルエラストマーを想定する。
【0017】
本発明はまた、前述の方法により得られるリサイクルエラストマー、およびそれらを含む物品の製造におけるそれらの使用に関する。
【0018】
本発明の目的は、ポリマー材料を分解することなくエラストマーをケミカルリサイクルするための処理ルートを提供することである。したがって、本発明の目的は、加硫ゴムをベースとする新しい物品の組成物において、バージンエラストマーを大幅に置き換えることができるリサイクルエラストマーを得ることでもある。これに関連して、本発明は、提案された方法によって得られる大量のリサイクルエラストマーの使用、あるいはリサイクルエラストマーのみから物品を製造することさえも想定している。
【0019】
本発明の前述の目的および他の利点は、以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】オゾン存在下での過酸化ベンゾイルによるラジカル形成経路を示す。
【
図2】オゾンの存在下での過硫酸塩によるラジカル形成経路を示す。
【
図3】オゾン存在下でのスチレンによるラジカル形成経路を示す。
【
図4】バージンSBRと、30重量%のバージンSBRと70重量%のリサイクルSBRとのブレンドからなる試験片を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、溶媒媒体中、室温で、オゾンおよび脱架橋剤の存在下で行われる固形エラストマー廃棄物のケミカルリサイクルに関する。
【0022】
より具体的には、既存の最新技術とは異なり、本発明は、脱架橋剤と、前記脱架橋剤中でフリーラジカルを形成するための開始剤としてのオゾンとを組み合わせて使用する。これらのラジカルはポリマーマトリックスの架橋を攻撃し、その脱架橋を促進する。これに関連して、オゾンはエラストマーの脱架橋方法と同時に作用する。
【0023】
本発明によれば、前記脱架橋剤は、過酸化物、過硫酸塩、またはこれらもしくは類似物の混合物、あるいは代替的に「反応性溶媒」からなる。
【0024】
過酸化物は、例えば、半減期(操作温度で質量の半分が分解するのに要する時間)を有する。高温での過酸化物中のラジカルの形成に基づく当技術分野の従来の方法では、形成されるラジカルの濃度は、過酸化物の熱分解により減少する。このシナリオでは、オゾンの存在下でのラジカルの形成は、過酸化物の半減期にわたってラジカルの濃度が減少するのを防ぐため、より効率的になる。過硫酸塩の場合、非常に反応性の高いフリーラジカルを生成するが、高温ではさらに分解を受けやすくなる(実際、分解は約40℃の温度で起こる)。脱架橋剤として過酸化物および/または過硫酸塩、あるいは代わりに「反応性溶媒」、および開始剤としてオゾンを併用すると、ポリマーマトリックスの架橋を攻撃するフリーラジカルの形成が可能になる。これに関連して、オゾンは脱架橋方法で同時に作用することに加え、高温を使用せずにラジカル形成を行うことができるため、脱架橋剤とポリマー材料の分解がなく、ラジカル形成をさらに効率的にする。
図1および
図2は、それぞれ、オゾン存在下での過酸化ベンゾイルと過硫酸塩によるラジカル形成について提案された経路を示している。
【0025】
過酸化物および過硫酸塩の両方の場合、エラストマーのポリマーマトリックスへのこれらの薬剤の含浸を促進し、次いでオゾンとの反応およびその結果としての架橋への攻撃を行うために、ビヒクルとして溶媒を使用することが必要である。本発明によれば、溶媒は、脱架橋されるエラストマーを膨潤させるのに適した溶解度パラメータに従って選択される。
【0026】
好ましくは、溶媒は、ハロゲン化有機溶媒もしくは芳香族有機溶媒またはそれらもしくは類似物の混合物、最も好ましくはトルエンまたはキシレンから選択される。
【0027】
エラストマーなどの共有結合架橋鎖を有するポリマーでは、溶媒系の相溶性のためポリマーマトリックスは膨潤する。このようにして、溶媒流体は架橋を壊すことなくエラストマー鎖の間に挿入される。ポリマーの溶媒への溶解性は、ポリマー間の類似性または化学的親和性に依存する。前記親和性は、ポリマーの溶解性を予測するために使用される溶解度パラメータによって定義される。ポリマーを溶解させる、または単に膨潤させるためには、ポリマー鎖のセグメントと溶媒との間の相互作用が、溶媒間相互作用およびポリマー間相互作用よりも大きくなければならない。
【0028】
溶解度パラメータ(δ)が高いポリマーは、その分子を分離するために大量のエネルギーを必要とする。δ値の低い第2の化合物を第1の化合物に加えた場合、そのエネルギーはδ値の高い分子を分離するのに十分ではなく、その結果、非混和性が生じる(BARTON, 1983)。溶解度パラメータは、分子を分離するのに必要な最小内部エネルギーに関連しているため、異なる溶解度パラメータと異なる分子の溶液形成との関係を確立することが可能である。Hildebrandによれば、溶液の場合、溶媒と溶質の混合熱は、溶解度パラメータの差の2乗に比例し、下式で示される(CHARLES E. CARRAHER, 2003)。
ΔHm=VsVp(δs-δp)2
式中、VsおよびVpは溶媒およびポリマーの部分体積であり、モル分率に総体積を掛けたものとして定義される。
【0029】
Charles M.Hansenは、1966年に、可溶化に対する分子間相互作用力の影響を評価するために、Hildebrandパラメータの補正を開発し、相互作用の種類ごとにパラメータを作成した。極性流体に関しては、考慮すべき3つの関連する分子間力がある。
- ロンドン分散力(D) - すべての非極性分子に存在し、場合によっては極性分子間にさえ存在する。ロンドンは、これらの力を分子内の電子の動きと関連付けた。瞬間的に誘起される双極子は、隣接する分子の分極を誘起し、引力を引き起こす可能性がある。
- 永久双極子力(P) - 分子の極性または静電的側面の尺度。この歪みにより、分子の一方の側がよりプラスに、もう一方の側がよりマイナスになり、双極子が形成され、ある分子の双極子のマイナス端が別の分子の双極子のプラス端に近づく。
- 水素橋(H) - 最も強い分子間力であり、特殊なタイプの永久双極子である。水素橋は、分子内で水素原子がフッ素、酸素、または窒素などの非常に電気陰性度の高い元素と結合し、非常に強い双極子を形成している場合に生じる。水素プロトンは、他の類似分子の負領域に引き寄せられ、分子間結合の強いネットワークが形成される。
【0030】
上記の3つの分子間引力を用いて、極性流体の溶解度パラメータδとしてHansenが提案した式は、次のとおりである。
【0031】
【0032】
HANSEN溶解度空間における溶媒とポリマーとの間のHansen溶解度パラメータの距離Dは、次の関係によって計算される。
【0033】
【0034】
溶解度パラメータの1つの値が高いほど、そのパラメータによって表される分子間相互作用に関連するエネルギーが高くなり、その分子を分離するのに必要なエネルギー量が高くなる。
【0035】
相対凝集エネルギーまたは相対エネルギー差(RED)は、溶解度パラメータの半径または距離D(これはHansen比である)と、溶解度パラメータとの比である。
RED=D/δ
ここで
RED<1は、ポリマー溶媒親和性が高いことを示し、
RED=1は、ポリマー溶媒親和性が低いことを示し、
RED>1は、溶媒とポリマーの親和性がないことを示す。
【0036】
あるいは、この提案は、脱架橋剤として、およびポリマーマトリックスの膨潤を促進するために、前述の方法において「反応性溶媒」を使用することも想定している。したがって、本発明の範囲内では、前述の「反応性溶媒」は、ビヒクルとしておよび脱架橋剤として同時に作用する成分からなる。したがって、「反応性溶媒」は、オゾンの存在下で脱架橋に必要なラジカルを生成することができる。
【0037】
これに関連して、「反応性溶媒」は、REDが1未満の溶媒からなる。好ましくは、「反応性溶媒」は、式(I)
【0038】
【化1】
(式中、Rは水素またはCH
3であり、R’は炭素数1~4のアルキル基である)
で表されるアクリレートまたはメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼンまたはそれらもしくは類似物の混合物の群から選択される化合物からなる。
【0039】
図3は、オゾンの存在下でのスチレンとのラジカル形成のための提案されたルートを示す。
【0040】
上記の目的を達成するために、本発明は、エラストマーをリサイクルする方法であって、
1)脱架橋剤を溶媒に溶解し、このようにして形成された溶液を固形エラストマー廃棄物に添加するステップ、
2)撹拌し、その後廃棄物の粒径に応じた時間静置するステップ、
3)水を添加するステップ、および
4)オゾンを添加するステップ
を含む、方法を提供する。
【0041】
好ましい実施形態では、固形エラストマー廃棄物のケミカルリサイクルのための方法が提案され、この方法は、ステップ1)において、約0.5~約30部(廃棄物100部あたり)の脱架橋剤を約4~約10部(廃棄物100部あたり)の溶媒に溶解し、形成された溶液をエラストマー廃棄物に添加することであって、脱架橋剤は過酸化物または過硫酸塩から選択され、溶媒はハロゲン化有機溶媒および/または芳香族有機溶媒から選択される、添加すること、ステップ2)において、約30分間撹拌し、1時間~24時間静置すること、ステップ3)において、最大500部(廃棄物100部あたり)の水を添加すること、ならびにステップ4)において、約30mg/L~約50mg/Lの流速で4時間~6時間オゾンをバブリングすることを含む。
【0042】
好ましくは、過酸化物は、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、オキシビスパーオキサイドなど、またはそれらの混合物からなる群から選択され、過硫酸塩は、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
あるいは、本発明は、「反応性溶媒」を介してエラストマーをリサイクルする方法を提案する。この場合、方法はオゾンおよび「反応性溶媒」の存在下で実施される。これに関連して、本発明は、エラストマーをリサイクルする方法であって、
1)水、界面活性剤および「反応性溶媒」を含む溶液を調製し、形成された溶液を固形エラストマー廃棄物に添加するステップ、
2)撹拌し、その後廃棄物の粒径に応じた時間静置するステップ、ならびに
3)オゾンを添加するステップ
を含む、方法を提供する。
【0044】
好ましい実施形態では、エラストマー廃棄物のケミカルリサイクルのための方法が提案され、この方法は、ステップ1)において、最大500部(廃棄物100部あたり)の水、最大約2.5部(廃棄物100部あたり)の界面活性剤および約0.5~30部(廃棄物100部あたり)の「反応性溶媒」を含む溶液を調製し、形成された溶液をエラストマー廃棄物に添加することであって、界面活性剤が、好ましくは、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびエトキシル化ノニルフェノールからなる群から選択される、添加すること、ステップ2)において、約30分間撹拌し、1時間~24時間静置すること、ならびにステップ3)において、約30mg/L~約50mg/Lの流速で、4時間~6時間オゾンをバブリングすることを含む。
【0045】
本発明はまた、本明細書で提案される方法により得られるリサイクルエラストマーに関する。
【0046】
さらに、本発明は、物品の製造におけるリサイクルエラストマーの使用であって、前記リサイクルエラストマーが、本明細書で定義された方法によって得られ、60%を超える大量のそれぞれのバージンエラストマーからなる原料を置き換える、使用を提案する。さらに、本発明は、本明細書で定義された方法により得られるリサイクルエラストマーを、それぞれのバージンエラストマーの完全な代替品として使用すること、すなわち、リサイクルエラストマーを100%使用することを提案する。さらに、本発明は、他のポリマーからなる原料を置き換えるために、本明細書で定義された方法により得られるリサイクルエラストマーを使用することを提案する。これに関連して、本発明は、とりわけ履物、建築、自動車および白物家電産業用の物品の製造におけるリサイクルエラストマーの使用を想定している。
【0047】
提示された実施例は、本明細書で提案された本発明の範囲を例示するものである。
【実施例】
【0048】
試験が実施され、本発明のケミカルリサイクル方法によりリサイクルされた材料は、対応するバージン材料と同様の技術的品質を有し、したがって、リサイクル材料と初期ポリマーマトリックスとの相溶性および混和性が存在することが示された。
【0049】
[実施例1]
密度、硬度および耐摩耗性
表1は、脱架橋剤として過酸化ベンゾイルを使用し、本発明の方法を使用してケミカルリサイクルされたSBR70重量%とバージンSBR30重量%からなる試料について、バージンSBR試料と比較して行った密度、硬度および耐摩耗性試験の結果を示す。
【0050】
【0051】
見てわかるように、リサイクル材料の組み込みは、標準試料で観察された機械的特性には影響を及ぼさなかった(実際、これらの特性は改善された)。
図4は、バージンSBR、およびバージンSBR30%と本発明によるリサイクルSBR70%とのブレンドからなる試験片の外見を示す。
【0052】
[実施例2]
弾性率、破断時張力、伸びおよび硬度
表2は、脱架橋剤として過酸化ベンゾイルと過硫酸アンモニウム、および「反応性溶媒」としてスチレンを使用し、バージンポリマー、および本発明の方法を使用してケミカルリサイクルされたポリマーブレンドからなる5つの試料と、それぞれのバージンポリマーについて実施した弾性率、破断時張力、伸びおよび硬さ(ショアA)の試験結果を示す。
【0053】
【0054】
使用したブラックEPDMは、ほとんどがEPDM樹脂で構成されている(ただし、フィラー濃度が25重量%未満のPEとのブレンドもある)。
【0055】
見てわかるように、リサイクル材料の組み込みは、標準的なブラックEPDM試料で観察された機械的特性には影響を与えなかった(実際、これらの特性は改善された)。ブラックEPDM材料は、対応するリサイクル材料を70重量%混合した場合の同じ材料と比較して、またリサイクルブラックEPDM材料のみからなる試料と比較しても、劣った特性を示している。
【0056】
[実施例3]
示差走査熱量測定(DSC)分析
表3および表4は、それぞれ、脱架橋剤として過酸化ベンゾイルおよび過硫酸アンモニウム、ならびに「反応性溶媒」としてスチレンを使用し、本発明の方法によりケミカルリサイクルされた固形SBR廃棄物からなる試料について行ったDSC分析で、使用したパラメータおよび得られた結果を、これらの方法を経ない固形SBR廃棄物の試料と比較して示す。
【0057】
【0058】
【0059】
分析した試料のTg値が低下したことは、本発明が提案する脱架橋機構の効率を実証している。得られたデータは、相互架橋の減少によりポリマーマトリックスの移動度が大きくなったことを裏付けている。DSCで示されるTgの低下は、架橋の破壊に関連するものであり、ポリマー構造の劣化に関連するものではないことに留意すべきである。
【0060】
上記の実施例からわかるように、本発明により、高温、特殊な装置または相溶化剤の使用を必要とせず、元の加硫/架橋方法に関係なくさまざまなエラストマーを対象とする、エラストマーの効果的なケミカルリサイクル方法を実現することが可能となる。さらに、この方法により、比較的簡単な工業プラントを使用して、日単位で多量のバッチの廃棄物をリサイクルすることができる。ただし、本明細書で提案される本発明は、新しい加硫ゴムベースの物品の混合組成物においてバージンエラストマー(バージンゴム)を大幅に置き換えることができるリサイクル残渣を提供するため、エネルギー消費の点で大きな節約を促進し、再生不可能な資源からエラストマー材料を消費する必要性を低減する。したがって、提案された方法は包括的で汎用性があり、同じ工業プラントを使用して、数種類の硫黄または過酸化物ベースのエラストマー廃棄物(例えば、架橋PEおよびPP、EPM、EPDM、EVA、SBRなど)をリサイクルすることができる。
【0061】
本明細書で提案される方法によって達成されるより効率的な脱架橋反応により、60%を超える量のリサイクル材料を使用することが可能であり、配合される物品によっては、最大100%のリサイクルエラストマーを配合することが可能である。さらに、リサイクルエラストマーは、それぞれのポリマーマトリックスとの、および他のポリマーとの混合物への相溶性および混和性が高いという利点を有する。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラストマー廃棄物をリサイクルする方法であって、
1)脱架橋剤を溶媒に溶解し、このようにして形成された溶液を前記エラストマー廃棄物に添加するステップであって、前記脱架橋剤が過酸化物、過硫酸塩、もしくは類似物またはそれらの混合物から選択される、ステップ、
2)撹拌を促進し、その後静置するステップ、
3)水を添加するステップ、および
4)オゾンを添加するステップ
を含
み、
前記溶媒が、トルエンおよび/またはキシレンであり、
過酸化物が、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、オキシビスパーオキサイドなど、またはそれらの混合物からなる群から選択され、
過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど、またはそれらの混合物からなる群から選択され、
ステップ4)において、オゾンが、30mg/L~50mg/Lの流速で4時間~6時間バブリングされることを特徴とする、方法。
【請求項2】
脱架橋剤の量
が0.5
~30部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒の量が、4~10部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップ2)において、撹拌が30分間行われ、静置が1時間~24時間行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ3)において、水の量が最大500部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
エラストマー廃棄物をリサイクルする方法であって、
1)水、界面活性剤および脱架橋剤を含む溶液を調製し、形成された前記溶液をエラストマー残渣に添加するステップであって、前記脱架橋剤が、「反応性溶媒」である、ステップ、
2)撹拌を促進し、その後静置するステップ、ならびに
3)オゾンを添加するステップ
を含み、
前記界面活性剤が、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびエトキシル化もしくは類似のノニルフェノールまたはそれらの混合物からなる群から選択され、
前記「反応性溶媒」が、式(I)
【化1】
(式中、Rは水素またはCH
3
であり、R’は炭素数1~4のアルキル基である)
で表されるアクリレートもしくはメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼンなど、またはそれらの混合物の群から選択される化合物からなり、
ステップ3)において、オゾンが、30mg/L~50mg/Lの流速で4時間~6時間バブリングされることを特徴とする、方法。
【請求項7】
前記「反応性溶媒」が、相対凝集エネルギー(RED)が1未満の溶媒からなることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
「反応性溶媒」の量が
、0.5
~30部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤の量が最
大2.5部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項10】
水の量が最大500部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項11】
ステップ2)において、撹拌
が30分間行われ、静置が1時間~24時間行われることを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法によって得られることを特徴とする、リサイクルエラストマー。
【請求項13】
請求項
6に記載の方法によって得られることを特徴とする、リサイクルエラストマー。
【請求項14】
請求項1または
6に記載の方法により得られるリサイクルエラストマーの使用であって、物品を製造するためのバージンエラストマーを含む原料の一部を置き換えることを特徴とする、使用。
【請求項15】
履物、建築、自動車または白物家電産業用の物品を製造するためであることを特徴とする、請求項
14に記載の使用。
【請求項16】
リサイクルエラストマーの使用量が60%以上であることを特徴とする、請求項
14に記載の使用。
【請求項17】
他のポリマーとの混合物であることを特徴とする、請求項
14に記載の使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
本明細書で提案される方法によって達成されるより効率的な脱架橋反応により、60%を超える量のリサイクル材料を使用することが可能であり、配合される物品によっては、最大100%のリサイクルエラストマーを配合することが可能である。さらに、リサイクルエラストマーは、それぞれのポリマーマトリックスとの、および他のポリマーとの混合物への相溶性および混和性が高いという利点を有する。
本発明には以下の態様も含まれる。
(1)
エラストマー廃棄物をリサイクルする方法であって、
1)脱架橋剤を溶媒に溶解し、このようにして形成された溶液を前記エラストマー廃棄物に添加するステップであって、前記脱架橋剤が過酸化物、過硫酸塩、もしくは類似物またはそれらの混合物から選択される、ステップ、
2)撹拌を促進し、その後静置するステップ、
3)水を添加するステップ、および
4)オゾンを添加するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
(2)
脱架橋剤の量が約0.5~約30部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)
過酸化物が、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、オキシビスパーオキサイドなど、またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(4)
前記過硫酸塩が、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなど、またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(5)
前記溶媒が、ハロゲン化もしくは芳香族もしくは類似の有機溶媒、またはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(6)
前記溶媒が、トルエンおよび/またはキシレンであることを特徴とする、(5)に記載の方法。
(7)
溶媒の量が、約4~約10部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(8)
ステップ2)において、撹拌が約30分間行われ、静置が1時間~24時間行われることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(9)
ステップ3)において、水の量が最大500部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(10)
ステップ4)において、オゾンが、約30mg/L~約50mg/Lの流速で4時間~6時間バブリングされることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(11)
エラストマー廃棄物をリサイクルする方法であって、
1)水、界面活性剤および脱架橋剤を含む溶液を調製し、形成された前記溶液をエラストマー残渣に添加するステップであって、前記脱架橋剤が、「反応性溶媒」である、ステップ、
2)撹拌を促進し、その後静置するステップ、ならびに
3)オゾンを添加するステップ
を含むことを特徴とする、方法。
(12)
前記「反応性溶媒」が、REDが1未満の溶媒からなることを特徴とする、(11)に記載の方法。
(13)
前記「反応性溶媒」が、式(I)
【化1】
(式中、Rは水素またはCH
3
であり、R’は炭素数1~4のアルキル基である)
で表されるアクリレートもしくはメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼンなど、またはそれらの混合物の群から選択される化合物からなることを特徴とする、(12)に記載の方法。
(14)
「反応性溶媒」の量が、約0.5~約30部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、(11)に記載の方法。
(15)
前記界面活性剤が、好ましくはラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびエトキシル化もしくは類似のノニルフェノールまたはそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、(11)に記載の方法。
(16)
界面活性剤の量が最大約2.5部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、(11)に記載の方法。
(17)
水の量が最大500部(廃棄物100部あたり)であることを特徴とする、(11)に記載の方法。
(18)
ステップ2)において、撹拌が約30分間行われ、静置が1時間~24時間行われることを特徴とする、(11)に記載の方法。
(19)
ステップ3)において、オゾンが、約30mg/L~約50mg/Lの流速で4時間~6時間バブリングされることを特徴とする、(11)に記載の方法。
(20)
(1)に記載の方法によって得られることを特徴とする、リサイクルエラストマー。
(21)
(11)に記載の方法によって得られることを特徴とする、リサイクルエラストマー。
(22)
(1)または(11)に記載の方法により得られるリサイクルエラストマーの使用であって、物品を製造するためのバージンエラストマーを含む原料の一部を置き換えることを特徴とする、使用。
(23)
履物、建築、自動車または白物家電産業用の物品を製造するためであることを特徴とする、(22)に記載の使用。
(24)
リサイクルエラストマーの使用量が60%以上であることを特徴とする、(22)に記載の使用。
(25)
他のポリマーとの混合物であることを特徴とする、(22)に記載の使用。
【国際調査報告】