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特表2025-501579サイトカイン放出症候群を検出するためのウェアラブルガイド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】サイトカイン放出症候群を検出するためのウェアラブルガイド
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20250115BHJP
   G16H 50/50 20180101ALI20250115BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H50/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537907
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 IB2022062653
(87)【国際公開番号】W WO2023119208
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/293,492
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ドウアティ,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】フィッツジェラード,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,デニス・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ホアン,キャロライン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フダ,アーサン
(72)【発明者】
【氏名】ランブロー,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン,プリティ
(72)【発明者】
【氏名】ラビチ,ソロモン
(72)【発明者】
【氏名】レイズマン,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ウェイクス,オファー
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、骨髄腫患者のための二重特異性抗体治療(例えば、Pfizerのエルラナタマブ)の副作用を予測および軽減するためのデジタル医療サポートを提供し得る。副作用は、サイトカイン放出症候群(CRS)、感染症(例えば、敗血症)、神経毒性(例えば、末梢神経障害)、血球減少(例えば、好中球減少)などを含み得る。これらの副作用は、患者ウェアラブルからのデータの受動収集、ヘルスケアアプリケーション上の患者入力データ、および血液検査データなどの他のデータに基づいて予測され得る。訓練した機械学習モデルは、副作用を予測するために使用され得る。副作用がそれらの発症の前に予測され得るため、予防的介入が、骨髄腫患者のためのヘルスケア結果を改善するために実現可能であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装の方法であって、
治療前に、患者コンピューティングデバイスによって実行される所定のアプリケーション上に患者によって入力される第1の健康データを取得するステップと、
前記治療前に、所定のウェアラブルデバイスによって受動的に収集される第2の健康データを取得するステップと、
前記患者が前記治療後にサイトカイン放出症候群を経験しそうであるかどうかを決定するために、前記第1の健康データおよび前記第2の健康データに対して機械学習モデルを展開するステップと、
前記患者が前記サイトカイン放出症候群を経験しそうであるという前記決定に応答して、医師ダッシュボード上に通知をトリガするステップと、
を含む、コンピュータ実装の方法。
【請求項2】
前記モデルを通じて患者コホートのラベル付きデータを通過させることによって、教師あり手法を使用して機械学習モデルを訓練するステップをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項3】
前記機械学習モデルは、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項4】
前記第1の健康データおよび前記第2の健康データは、前記治療前に、既定の時間期間にわたって定期的に受信される、請求項1に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項5】
前記患者が前記サイトカイン放出症候群を経験しそうであるという前記決定は、前記治療を受けた後の既定の時間期間についてである、請求項1に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項6】
前記第1のデータは、病歴、検査結果、または患者プロファイルのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のデータは、温度、心拍数、血圧、または酸素飽和度のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記医師ダッシュボード上に前記通知をトリガするステップは、前記通知を電子カルテ(EHR)システムに提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ実装の方法であって、
治療後に、患者コンピューティングデバイスによって実行される所定のアプリケーション上に患者によって入力される第1の健康データを取得するステップと、
前記治療後に、所定のウェアラブルデバイスによって受動的に収集される第2の健康データを取得するステップと、
前記患者が前記治療後に悪い健康状態を経験しそうであるかどうかを決定するために、前記第1の健康データおよび前記第2の健康データに対して機械学習モデルを展開するステップと、
前記患者が前記悪い健康状態を経験しそうであるという前記決定に応答して、医師ダッシュボード上に通知をトリガするステップと、
を含む、コンピュータ実装の方法。
【請求項10】
前記モデルを通じて患者コホートのラベル付きデータを通過させることによって、教師あり手法を使用して機械学習モデルを訓練するステップをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項11】
前記悪い健康状態は、サイトカイン放出症候群、感染症、神経毒性、または血球減少のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項12】
前記機械学習モデルは、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項13】
前記治療後に、前記患者の血液検査データを取得するステップと、
前記患者が前記悪い健康状態を経験しそうであるかどうかを決定するために、前記第1の健康データ、前記第2の健康データ、および前記血液検査データに対して前記機械学習モデルを展開するステップと、
前記患者が前記悪い健康状態を経験しそうであると決定することに応答して、前記1つまたは複数の通知をトリガするステップと、
をさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項14】
前記医師ダッシュボード上の前記通知は、前記医師が前記患者に連絡するべきであるという指示、処方薬の用量が調節されるべきであるという指示、または前記患者が入院すべきであるという指示のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項15】
前記患者が前記悪いヘルスケア状態を経験しそうであると決定することに応答して、前記所定のアプリケーションへの第2の通知をトリガするステップをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項16】
前記第2の通知は、前記患者が前記医師に連絡するべきであるという指示、前記患者が薬局で薬を受け取るべきであるという指示、または前記患者が救急サービスに連絡すべきであるという指示のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のコンピュータ実装の方法。
【請求項17】
システムであって、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記システムに動作を実行させるコンピュータプログラム命令を格納する非一時的な記憶媒体とを備え、前記動作は、
患者コンピューティングデバイスによって実行される所定のアプリケーション上に、二重特異性抗体治療を受けている患者によって入力される第1の健康データを取得することと、
前記患者によって装着される所定のウェアラブルデバイスによって受動的に収集される第2の健康データを取得することと、
前記患者が前記治療後に悪い健康状態を経験しそうであるかどうかを決定するために、前記第1の健康データおよび前記第2の健康データに対して機械学習モデルを展開することと、
前記患者が前記悪い健康状態を経験しそうであるという前記決定に応答して、1つまたは複数の通知をトリガすることと、
を含む、システム。
【請求項18】
前記動作は、前記モデルを通じて患者コホートのラベル付きデータを通過させることによって、教師あり手法を使用して前記機械学習モデルを訓練することをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記機械学習モデルは、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数の通知は、前記所定のアプリケーション上の患者通知および医師ダッシュボード上の医師通知のうちの少なくとも1つを含む、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2021年12月23日に出願の米国仮出願第63/293,492号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書に提示される主題は、骨髄腫治療をモニタリングするためのシステムおよび方法を対象とする。具体的には、骨髄腫の治療と関連付けられたサイトカイン放出症候群などの副作用をモニタリングするためのシステムおよび方法。
【背景技術】
【0003】
多発性骨髄腫とも称される骨髄腫は、形質細胞の癌である。癌性の形質細胞は、急速な成長をし、赤血球、血小板、およびその他白血球などの正常細胞を押しのけ得る。骨髄腫治療の形態は、二重特異性抗体を含み得る。二重特異性抗体は、一度に2つの異なる標的に関わり得る:抗体の一方のアームは、癌細胞上の特異抗原に直接結合し得、他方のアームは、癌細胞を殺すために免疫系から患者の独自のT細胞を活性化して近づけ得る。しかしながら、二重特異性抗体治療には副作用が存在し得る:患者は、一般的には二重特異性抗体治療の開始後48時間以内にサイトカイン放出症候群(CRS)を発症する可能性を有し得、二重特異性抗体治療後に感染症(例えば、敗血症)、神経毒性(例えば、末梢神経障害)、および血球減少(例えば、好中球減少)などの他の病態も発症し得る。
【0004】
二重特異性抗体治療のための従来の副作用管理は、無駄が多く、また不十分である。例えば、従来のCRS管理は、二重特異性抗体治療のセッション後に最低48時間の入院を伴う。しかしながら、二重特異性抗体治療-Pfizerのエルラナタマブ-の臨床試験は、患者のうち50~70%のみが何らかのCRSを経験し得るということを発見した。より具体的には、約25~35%は、グレード1 CRSを経験し得、25~35%は、グレード2 CRSを経験し得、30~50%は、いかなるCRSも全く経験しない。グレード2 CRSのみ、すなわち、患者のうちの25~35%のみが、病院レベルの介入を必要とし得る。従来、すべての患者は、CRSの任意の発症を観察するために入院させられる。したがって、患者のうちの65~75%、すなわち、単に軽い介入を必要とするグレード1 CRSを発症する25~35%の患者、およびいかなるCRSも発症しない30~50%の入院は無駄である。
【0005】
さらには、感染症、神経毒性、血球減少などの他の病態のための従来の副作用管理は、散在的な臨床面談に基づき、患者と医師の対面時間は限られる。散在的な臨床面談は、多くの場合、患者からの偏った情報(例えば、思い出しバイアス)に基づいて、患者の病態の不完全な像を提供するにすぎない。したがって、従来の臨床面談は、適時にリスクを適切に検出しない。例えば、骨髄腫患者-特に二重特異性抗体治療後-は、免疫系が弱っていることがあり、これが敗血症などの感染症を起こしやすくし得る。感染症は、特にtriple class refractory多発性骨髄腫を患う患者にとっては、死の主な原因であることが分かっている。早期介入は、一般的には、感染症を軽減するのに効果的であり得るが、散在的な臨床面談は、感染症の発症を検出してそのような早期介入を導くには不十分な場合がある。
【0006】
神経毒性および関連した末梢神経障害は、一般的には二重特異性抗体治療の前に摂取される、他の骨髄腫の薬、例えば、プロテアソーム阻害剤、免疫調節剤(IMiD)から発症し得る。これらの疾病の発症は、必ずしも早発性および急激ではないため、患者が比較的より軽い症状を医師に報告するには十分な回数の臨床面談がない場合がある。たとえ複数の臨床面談があったとしても、患者は、必ずしも(例えば、思い出しバイアスにより)これらの比較的より軽い症状を報告しない場合がある。血球減少は、二重特異性抗体治療レジメン全体を通して発生し得る。血球減少は、その識別のために頻繁な血液検査を必要とするため、患者にさらなる負担をかける。頻繁な血液検査は、典型的には、骨髄腫患者にとって都合が良いものではなく、それは、検査室への複数の訪問を必要とし得る。散在的な臨床面談および散在的な血液検査は、血球減少の適時検出には不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの実施形態において、本開示は、骨髄腫のための二重特異性抗体治療のデジタル医療ガイドに関する。本開示は、二重特異性抗体治療と関連付けられた副作用を予測すること、および予測した副作用を予防的に管理することにさらに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例えば、機械学習モデルが、患者が二重特異性抗体治療(例えば、Pfizerのエルラナタマブ)後にCRSを発症する可能性を予測するために使用され得る。その目的のため、患者からのヘルスケアデータは-患者がアプリケーションにデータを入力することにより能動的に、および/またはデバイスがヘルスケアデータを補足することにより受動的に-二重特異性抗体治療に関連して収集され得る。血液検査データなどの追加データも収集され得る。データの収集期間は、治療前の既定の時間に(例えば、数日前から)開始し得る。収集したデータを使用して、機械学習モデルは、患者がCRSを発症する可能性を出力し得、通知が医師のダッシュボードのために生成され得る。通知は、CRSを発症する可能性に基づいて、患者が入院すべきか、または在宅モニタリングのために退院してもよいかどうか、臨床決定サポートを提供し得る。
【0009】
追加的または代替的に、二重特異性抗体治療と関連付けられた他の副作用が予測され、予防的に管理され得る。自宅でモニタリングされている患者は、ヘルスケアアプリケーション(例えば、スマートフォンにインストールされる)にヘルスケアデータを能動的に入力し得る。ウェアラブルおよびインビジブルセンサなどの他のデバイスは、ヘルスケアデータを受動的に収集し得る。追加的に、在宅血液モニタリングシステム(例えば、患者の自宅に郵送される血液収集キット)が、血液関連のデータを提供し得る。これらの異なるタイプの収集データを使用して、機械学習モデルは、患者がCRS、神経毒性、または血球減少などの副作用を発症しそうであるかどうかを予測し得る。予測に基づいて、1つまたは複数のアラート通知が、患者向けインターフェース(例えば、患者に担当医に連絡することを奨励するため)、および/または医師インターフェース(例えば、医師に患者に連絡することを奨励するため)に送信され得る。
【0010】
一実施形態において、コンピュータ実装の方法が提供され得る。本方法は、治療前に、患者コンピューティングデバイスによって実行される所定のアプリケーション上に患者によって入力される第1の健康データを取得するステップと、治療前に、所定のウェアラブルデバイスによって受動的に収集される第2の健康データを取得するステップと、患者が治療後にサイトカイン放出症候群を経験しそうであるかどうかを決定するために、第1の健康データおよび第2の健康データに対して機械学習モデルを展開するステップと、患者がサイトカイン放出症候群を経験しそうであるという決定に応答して、医師ダッシュボード上に通知をトリガするステップとを含み得る。
【0011】
別の実施形態において、別のコンピュータ実装の方法が提供され得る。本方法は、治療後に、患者コンピューティングデバイスによって実行される所定のアプリケーション上に患者によって入力される第1の健康データを取得するステップと、治療後に、所定のウェアラブルデバイスによって受動的に収集される第2の健康データを取得するステップと、患者が治療後に悪い健康状態を経験しそうであるかどうかを決定するために、第1の健康データおよび第2の健康データに対して機械学習モデルを展開するステップと、患者が悪い健康状態を経験しそうであるという決定に応答して、医師ダッシュボード上に通知をトリガするステップとを含み得る。
【0012】
さらに別の実施形態において、システムが提供される。本システムは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、システムに動作を実行させるコンピュータプログラム命令を格納する非一時的な記憶媒体とを含み得、該動作は、患者コンピューティングデバイスによって実行される所定のアプリケーション上に、二重特異性抗体治療を受けている患者によって入力される第1の健康データを取得することと、患者によって装着される所定のウェアラブルデバイスによって受動的に収集される第2の健康データを取得することと、患者が治療後に悪い健康状態を経験しそうであるかどうかを決定するために、第1の健康データおよび第2の健康データに対して機械学習モデルを展開することと、患者が悪い健康状態を経験しそうであるという決定に応答して、1つまたは複数の通知をトリガすることとを含む。
【0013】
本開示の他の目的および利点は、添付の図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明および添付のクレームを読む際に当業者に明白になるものとし、同じ参照番号は、同じ要素を指定するために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態を用いるための例証的な動作環境のブロック図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、1つまたは複数の機能を実施し得る例証的なコンピューティングデバイスのアーキテクチャのブロック図である。
図3】本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態が用いられ得る、動作環境の例証的なアーキテクチャのブロック図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、CRS予測のための予測モデルを訓練する例証的な方法のフロー図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、CRS予測のための予測モデルを展開する例証的な方法のフロー図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態による、ベースライン健康行動ためのモデルを生成する例証的な方法のフロー図である。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、最近のヘルスケアデータをベースライン健康行動と比較する例証的な方法のフロー図である。
図8A】本開示のいくつかの実施形態による、二重特異性抗体治療のためのCRS予測の例証的なプロセスフローを示す図である。
図8B】本開示のいくつかの実施形態による、二重特異性抗体治療を受けている患者の在宅モニタリングの例証的なプロセスフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図は、例示的な実施形態を例証する目的のためであり、本開示は、図面に示される配置および手段に限定されないということを理解されたい。図において、同一の参照番号は、少なくとも全体的に同様の要素を識別する。
【0016】
本明細書に開示される実施形態は、骨髄腫患者のための二重特異性抗体治療(例えば、Pfizerのエルラナタマブ)の副作用を予測および軽減するためのデジタル医療サポートを提供し得る。副作用は、サイトカイン放出症候群(CRS)、感染症(例えば、敗血症)、神経毒性(例えば、末梢神経障害)、血球減少(例えば、好中球減少)などを含み得る。これらの副作用は、患者ウェアラブルおよび/またはインビジブルからのデータの受動収集、ヘルスケアアプリケーション上の患者入力データ、ならびに血液検査データなどの他のデータに基づいて予測され得る。訓練した機械学習モデルは、副作用を予測するために使用され得る。副作用がそれらの発症の前に予測され得るため、予防的介入が、骨髄腫患者のためのヘルスケア結果を改善するために実現可能であり得る。
【0017】
予測は、入院観察環境および在宅モニタリング環境の両方のために使用され得る。例えば、二重特異性抗体治療の投与に至るまでおよびその周辺で収集されるヘルスケアデータは、患者がCRSを発症しそうであり得るかどうかを予測するために使用され得る。予測は、患者が(例えば、CRSの低い可能性が理由で)在宅モニタリングのために退院してもよいかどうか、または患者が(例えば、CRSの高い可能性が理由で)観察のために病院に留まるべきであるかどうかに関する臨床決定をサポートし得る。在宅モニタリング中、1つまたは複数の病状の予測が、受動的に収集したデータ、患者入力データ、および/または血液検査データなどの他のデータに基づいて行われ得る。悪い病態が予測される場合、アラート通知が、適時介入により悪い病態を軽減するため、患者および/または医師へとトリガされ得る。
【0018】
図1は、本開示の1つまたは複数の実施形態を用いるための例証的な動作環境100のブロック図を示す。本明細書に説明されるこの配置および他の配置は、単に例として明記されるということを理解されたい。他の配置および要素(例えば、マシン、インターフェース、機能、順序、および機能のグループ)が、図1ならびに他の図に示されるものに加えて、またはこれらの代わりに使用され得、いくつかの要素は、明瞭性のために完全に省略され得る。さらには、本明細書に説明される要素の多くは、個別もしくは分散コンポーネントとして、または他のコンポーネントと併せて、および任意の好適な組み合わせまたは場所で実装され得る機能エンティティである。本明細書に説明される様々な機能および動作は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、およびそれらの組み合わせを含む、1つまたは複数のエンティティによって実施されている。例えば、いくつかの機能は、メモリに格納される命令を実行するプロセッサによって実行され得る。
【0019】
示されるように、動作環境100は、患者向けユーザデバイス102a~102n(まとめてデバイス102と称されるか、または共通してデバイス102と称される)、血液モニタリングデバイス110、サーバ106、電子カルテ(EHR)システム104、ネットワーク110、病院デバイス140、データストア150、および医師ユーザデバイス108を含み得る。デバイスの単数または複数の説明は、説明における明瞭性のためにすぎず、制限と見なされるべきではないということも理解されたい。例えば、サーバ106は、複数のサーバを含み得、医師ユーザデバイス108は、複数のユーザデバイスを含み得る。動作環境100内の異なるデバイスは、ネットワーク110を通じて相互接続され得る。
【0020】
患者向けユーザデバイス102は、患者がやり取りし得る任意のタイプのコンピューティングおよび/またはセンシングデバイスを含み得る。動作環境100内に示される非限定的な例としては、スマートウォッチ102a、モバイルデバイス102b(例えば、スマートフォン)、他のスマートセンサ102c(例えば、スマートリング、モーションセンサなどのインビジブルセンサなど)、フィットネストラッカ102d、および他の患者向けユーザデバイス102n(例えば、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートスピーカ、スマートホームシステムなど)を挙げることができる。患者向けユーザデバイス102は、受動的に収集するか、または患者に二重特異性抗体治療と関連付けられた副作用の管理と関連付けられたデータを入力することを能動的に促すかのいずれかであり得る。
【0021】
例えば、スマートウォッチ102aは、患者からデータを受動的に収集するために複数のセンサを有し得る。複数のセンサは、加速度計、ジャイロスコープ、および/または患者の身体的活動を追跡し得る他のタイプのモーションセンサを含み得る。スマートウォッチ102aは、体温、心拍数、血糖値、血中酸素飽和度、および/または任意の他のタイプの生体パラメータなど、生体パラメータを検出するためにセンサをさらに含み得る。生体パラメータは、スマートウォッチ102aによって-例えば、患者が収集に明白に関わることなく-継続的および/または定期的に収集され、動作環境内の他のコンポーネント(例えば、サーバ106)に提供され得る。
【0022】
モバイルデバイス102bは、健康関連データを能動的に入力するために患者によって使用され得る。例えば、モバイルデバイス102dは、スマートフォンであり得、スマートフォンの中には、ヘルスケアアプリケーション、例えば、電子的患者報告アウトカム(ePRO)アプリケーションがインストールされていてもよい。ヘルスケアアプリケーションは、患者に健康関連データを入力することを促し得る。例えば、ヘルスケアアプリケーションは、患者が所与の時間点においてどのように感じているかに関して患者がデータを入力するようにプッシュ通知を生成し得る。このプロンプトは、「今朝の具合はどうですか?」であり得、患者は、「とても調子が良いです」と入力し得る。ヘルスケアアプリケーションはまた、動作環境100がCRS、血球減少、好中球減少などの起こり得るリスクがあることを決定するときに生成され得るアラート通知を表示し得る。ヘルスケアアプリケーションによって表示される別のタイプのアラート通知は、患者の現在の疾患挙動が確立されたベースライン挙動から著しく逸脱するときであり得る。それに応じて、ヘルスケアアプリケーションはさらに、患者が医師と同期または非同期的に通信することを可能にし得る。
【0023】
他のセンサ102cは、スマートリング、皮膚パッチ、体内摂取可能センサ、および/または任意の他のタイプの身体装着型もしくは非身体装着型センサ(一般的には、インビジブルまたはインビジブルデバイス/センサと称される)などのデバイスを含み得る。他のセンサ102cは、生体または非生体データを検出し得る。例えば、他のセンサ102cは、患者の体温を測定するスマートファブリックを含み得る。別の例として、他のセンサ102cは、家の温度および/または湿度を測定するスマートホームセンサを含み得る。さらに別の例として、他のセンサ102cは、室内での動きを検出/測定し得るモーションセンサを含み得る。他の患者デバイス102nは、患者と関連付けられた任意の他のタイプのデバイスを含み得る。例えば、他の患者デバイス102nは、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、および/または患者と関連付けられ、ネットワーク110に接続される。
【0024】
血液モニタリングデバイス110は、患者の血液試料を収集および分析し得る任意の種類の血液モニタリングデバイスおよび/またはサービスを含み得る。例えば、血液モニタリングデバイス110は、患者が採血をして、血液分析のためにキットを検査室に送り返すことを可能にし得る、自宅郵送血液収集キットを含み得る。他の場合において、血液モニタリングデバイス110は、血液分析自体の少なくとも一部分を実施し得る自宅郵送血液収集キットを備え得、患者向けデバイス102および/またはサーバ106のうちの1つまたは複数において分析の結果を提供する。血液モニタリングデバイス110は、検査環境において、または自宅訪問環境において、医師によって使用されるモニタリングデバイスを含むものとさらに理解されるべきである。したがって、患者血液試料を収集し、生体パラメータの試料を分析するために使用される任意のタイプの技術および/またはサービスは、本開示の範囲内と見なされるべきである。血液モニタリングデバイス110によって測定される生体パラメータの例としては、白血球数を挙げることができ、より低い白血球数は、血球減少の発症を示し得る。
【0025】
ネットワーク110は、任意の種類の通信ネットワークを含み得る。例えば、ネットワーク110は、TCP/IPなどのプロトコルに対応するパケットスイッチングネットワークを含み得る。ネットワーク110はまた、有線電話およびワイヤレス電話の両方に対応する回路スイッチングネットワークを含み得る。したがって、ネットワーク110は、ワイヤ、ワイヤレス送信機、ワイヤレス受信機、信号中継器、信号増幅器、スイッチ、ルータ、通信衛星、ならびに/または任意の他のタイプのネットワークおよび通信デバイスなどのコンポーネントを含み得る。ネットワーク110のいくつかの非限定的な例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)などを挙げることができる。これらは、ネットワーク110の単に数少ない例にすぎず、動作環境100の異なるコンポーネント間の任意の種類の通信連携が、本開示の範囲内と見なされるべきである。
【0026】
サーバ106は、1つまたは複数の機械学習モデルを訓練および展開する、ならびに/または統計分析モデルを確立および展開する分析機能を提供し得る任意のタイプのコンピューティングデバイスを含み得る。例えば、サーバ106は、CRS進行、例えば、二重特異性抗体治療を受けている患者がCRSを発症するかどうか、および/または二重特異性抗体治療を受けている患者がCRSを発症する可能性はどれくらいか、を予測するための予測モデルを訓練し得る。予測モデルは、ラベル付きグラウンドトゥルースデータを用いた教師あり訓練手法を使用して訓練され得る。予測モデルは、例えば、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークを含み得る。同じ予測モデルまたは別の予測モデルが、患者が他の悪い健康状態を発症するかどうかを決定するために訓練され得る。
【0027】
上に説明される機械学習ベースの予測モデルは、単に例であり、他の統計モデルが、本開示の範囲内と見なされるべきである。例えば、サーバ106はまた、継続的に収集した時系列ヘルスケアデータに基づいて分析モデルを確立し得、分析モデルは、ベースライン健康行動を示し得る。新規ヘルスケアデータが受信されると、サーバ106は、受信したデータを分析モデルと(例えば、ベースライン健康行動に対して)比較して、新規ヘルスケアデータがベースライン健康行動から著しい逸脱を示すかどうかを決定し得る。サーバ106はまた、例えば、患者および/または医師に対して、患者が1つもしくは複数の悪い病態(例えば、CRS、血球減少、好中球減少など)を発症しそうであること、および/または患者の健康行動がベースライン行動から著しく逸脱していたことを示す1つまたは複数のアラート通知を生成し得る。
【0028】
電子カルテ(EHR)104は、患者の健康記録を格納し得る。健康記録は、例えば、患者の継続した病態(例えば、骨髄腫)、処方薬、臨床面談の概要、および/または患者と関連付けられた任意の他のヘルスケア関連のデータを含み得る。いくつかの実施形態において、EHR104は、ヘルスケア提供施設(例えば、病院システム)によって管理され得る。
【0029】
データストア150は、動作環境100内の様々なソースから収集されるデータを格納する任意の種類のデータベースを含み得る。例えば、データストア150は、患者向けデバイス102から、受動的に収集されるデータおよび能動的に収集されるデータの両方を格納し得る。データストア150は、血液モニタリングデバイス110から収集されるデータも格納し得る。追加的に、データストア150は、EHR104から供給されるデータを格納し得る。したがって、データソース150は、動作環境100内の任意の種類のデータを格納すると理解されるべきである。
【0030】
医師ユーザデバイス108は、医師ダッシュボードを示す任意の種類のコンピューティングデバイスであり得る。医師ユーザデバイス108の非限定的な例としては、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、および/または任意の他のタイプのコンピューティングデバイスを挙げることができる。医師ダッシュボードは、情報(例えば、人口統計情報、場所情報)、および/または様々な患者と関連付けられた1つもしくは複数のアラートを示し得る。
【0031】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、本明細書に説明される1つまたは複数の機能を実施し得る例証的なコンピューティングデバイス200のブロック図を示す。しかしながら、コンピューティングデバイス200は、好適なコンピューティング環境の1つの例であり、本開示の実施形態の使用または機能の範囲に関していかなる限定も示唆することは意図されない。コンピューティングデバイス200は、例証されるコンポーネントの任意の1つまたは組み合わせに関連していかなる依存関係または要件も有するものと解釈されるべきではない。
【0032】
本開示の実施形態は、パーソナルデータアシスタント、スマートフォン、タブレットPC、またはスマートウォッチなどの他のハンドヘルドもしくはウェアラブルデバイスなど、コンピュータまたは他のマシンによって実行される、プログラムモジュールなどの、コンピュータ使用可能またはコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータコードまたはマシン使用可能命令の一般的文脈において説明され得る。一般的に、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、および同様のものを含め、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施し得るか、または特定のデータタイプを実装し得るコードを指す。本開示の実施形態は、ハンドヘルドデバイス、家電製品、汎用コンピュータ、またはより専門的なコンピューティングデバイスを含め、様々なシステム構成において実践され得る。本開示の実施形態はまた、通信ネットワークを通じてリンクされる遠隔処理デバイスによってタスクが実施される分散型コンピューティング環境において実践され得る。分散型コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、メモリストレージデバイスを含むローカルおよび遠隔コンピュータ記憶媒体の両方に位置し得る。
【0033】
コンピューティングデバイス200は、以下の例となるデバイス:メモリ212、1つまたは複数のプロセッサ214、1つまたは複数の提示コンポーネント216、1つまたは複数の入力/出力(I/O)ポート218、1つまたは複数のI/Oコンポーネント220、および電源222を直接的または間接的に結合し得るバス210を含み得る。コンピューティングデバイス200のいくつかの実施形態は、1つまたは複数の無線機224をさらに含み得る。バス210は、1つまたは複数のバスが何であり得るか(アドレスバス、データバス、またはそれらの組み合わせなど)を表す。図2の様々なブロックは、明瞭性のために線を伴って示されるが、これらのブロックは、論理コンポーネントを表し得、必ずしも実際のコンポーネントを表さない。例えば、表示デバイスなどの提示コンポーネント216をI/Oコンポーネントであると見なす場合もある。また、プロセッサ214は、それらのメモリを有し得る。さらには、「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、または「ハンドヘルドデバイス」などのカテゴリ間に区別はなく、すべて図2の範囲内で、また「コンピューティングデバイス」に関連して、企図される。
【0034】
コンピューティングデバイス200は、様々なコンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、コンピューティングデバイス200によりアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得、揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体の両方を含み得る。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を備え得る。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報の格納のための任意の方法または技術で実装される、揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体の両方を含み得る。コンピュータ可読媒体のいくつかの非限定的な例としては、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくは他の光学ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶デバイス、または所望の情報を格納するために使用され得、コンピューティングデバイス200によりアクセスされ得る任意の他の媒体を挙げることができる。通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波もしくは他の搬送機構などの変調データ信号の他のデータを具現化し得、任意の情報伝達媒体を含む。「変調データ信号」という用語は、信号内の情報を符号化するような方法で設定または変更されるその特徴のうちの1つまたは複数を有する信号に言及し得る。限定ではなく例として、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続など、有線媒体、ならびに音響、RF、赤外線、および他のワイヤレス媒体など、ワイヤレス媒体を含み得る。上記のうちのいずれかの組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものとする。
【0035】
メモリ212は、揮発性および/または不揮発性メモリの形態にあるコンピュータ記憶媒体を含み得る。メモリ212は、取り外し可能、取り外し不可能、またはそれらの組み合わせであり得る。メモリ212のためのハードウェアデバイスのいくつかの非限定的な例としては、固体メモリ、ハードドライブ、光学ディスクドライブなどが挙げられる。
【0036】
コンピューティングデバイス200は、メモリ212またはI/Oコンポーネント220などの様々なエンティティからデータを読み出す1つまたは複数のプロセッサ214を含み得る。提示コンポーネント216は、ユーザまたは他のデバイスにデータを示すものを提示し得る。例示的な提示コンポーネントは、ディスプレイデバイス、スピーカ、印刷コンポーネント、および同様のものを含み得る。
【0037】
I/Oポート218は、コンピューティングデバイス200が、I/Oコンポーネント220など、他のデバイスに論理的に結合されることを可能にし得、他のデバイスのいくつかは内蔵され得る。I/Oコンポーネント220の非限定的な例としては、マイク、ジョイスティック、ゲームパッド、パラボラアンテナ、スキャナ、プリンタ、またはワイヤレスデバイスを挙げることができる。I/Oコンポーネント220は、ユーザにより生成されるエアジェスチャ、音声、または他の生理的入力を処理するナチュラルユーザインターフェース(NUI)を提供し得る。いくつかの場合において、入力は、さらなる処理のために適切なネットワーク素子へ伝送され得る。NUIは、音声認証、タッチおよびスタイラス認証、顏認証、生体認証、画面上または画面近くの両方でのジェスチャ認証、エアジェスチャ、頭部および視線追跡、ならびにコンピューティングデバイス200上のディスプレイと関連付けられたタッチ認証の任意の組み合わせを実装し得る。コンピューティングデバイス200には、ジェスチャ検出および認証のため、立体カメラシステム、赤外線カメラシステム、RGBカメラシステム、およびこれらの組み合わせなど、カメラが装備され得る。追加的に、コンピューティングデバイス200には、動きの検出を可能にする加速度計またはジャイロスコープが装備され得る。
【0038】
コンピューティングデバイス200のいくつかの実施形態は、1つまたは複数の無線機224(または、同様のワイヤレス通信コンポーネント)を含み得る。無線機は、無線またはワイヤレス通信を伝送および受信し得る。コンピューティングデバイス200は、様々なワイヤレスネットワークを介して通信および媒体を受信するように適合されるワイヤレス端末であり得る。コンピューティングデバイス200は、他のデバイスと通信するために、符号分割多重アクセス(「CDMA」)、汎欧州デジタルセルラーシステム(「GSM」)、または時分割多重アクセス(「TDMA」)などのワイヤレスプロトコル、ならびに他のものを介して通信し得る。無線通信は、近距離接続、長距離接続、または近距離および長距離両方のワイヤレス電気通信接続の組み合わせであり得る。
【0039】
図3は、本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態が用いられ得る、動作環境300の例証的なアーキテクチャのブロック図を示す。示されるアーキテクチャは、図1に示される動作環境100のより多くのコンポーネント/デバイス(例えば、図2に示されるコンピューティングデバイス200)のうちの1つによって実装され得る。しかしながら、示されるアーキテクチャは、単に一例にすぎず、追加の、代替的な、またはより少ない数のコンポーネントを伴うアーキテクチャもまた、本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。単一コンポーネントまたは複数コンポーネントとして示されるコンポーネントもまた、単なる例であり、単一コンポーネントは、同じコンポーネントの複数反復または複数の構成サブコンポーネントを含み得、複数コンポーネントの機能は、単一コンポーネントによって達成され得るということをさらに理解されたい。
【0040】
動作環境300は、二重特異性抗体治療(例えば、Pfizerのエルラナタマブ)を受けている患者の継続的またはほぼ継続的なデジタルモニタリング、ならびに必要に応じて患者および/または医師へのアラート通知をトリガすることのために使用され得る。さらには、動作環境300は、患者と医師との間のシームレスかつ継続的な接続性を提供し得る。この継続的またはほぼ継続的なモニタリングは、二重特異性抗体治療と関連付けられた副作用の予防的管理を可能にし得、機械学習モデルが、1つまたは複数の病態の発症を予測し得、以て、医師によるそれらの病態に対する早期介入を促進し得る。動作環境300は、臨床決定サポート、例えば、在宅モニタリングのために患者を退院させるべきかどうか、または二重特異性抗体治療セッション後に観察のために患者を病院環境に留まらせるべきかどうか、のためにさらに使用され得る。これらおよび他の機能を実施するため、動作環境300は、患者からヘルスケアデータおよび他のデータを集めるため、患者および/または医師にアラート通知を提供するため、ならびに医師と患者との間の通信を促進するために、患者向けデバイス(例えば、ウェアラブルデバイス302a、患者ユーザデバイス302b、他のセンサ302cなど)を含み得る。患者向けデバイスおよび他のソース(例えば、血液モニタリングデータソース340)から集められるデータは、ストレージ370(例えば、個人記録380)に格納され得る。分析コンポーネント(例えば、CRS予測器350、疾患進行トラッカ360)は、CRSを予測するため、および/または骨髄腫の二重特異性抗体治療と関連付けられた副作用(例えば、感染症、神経毒性、血球減少など)の進行を追跡するために、格納したデータおよび他のデータを使用し得る。分析に基づいて、アラート通知が医師に送信され得る(例えば、医師ユーザデバイス308を通じて)。動作環境300のコンポーネントは、ネットワーク310を通じて相互接続され得る。
【0041】
患者向けデバイス302に関して、これらのデバイスは、例えば、ウェアラブルデバイス302a、患者ユーザデバイス302b、および他のセンサ302cを含み得る。ウェアラブルデバイス302aは、任意の種類のウェアラブルデバイスを含み得、非限定的な例としては、スマートウォッチ、フィットネストラッカ、スマートリングなどが挙げられる。いくつかの実施形態において、ウェアラブルデバイス302aは、ヘルスケアアプリケーション322を含み得る。ウェアラブルデバイス302aまたはそこにインストールされた任意のアプリケーション(例えば、ヘルスケアアプリケーション322)は、動作環境300内の医学的に規定されたコンポーネントであり得る。ヘルスケアアプリケーション322は、ヘルスケアデータを収集し、いくつかの場合においては、収集したデータの事前処理を実施し、データを患者ユーザデバイス302bに、または遠隔サーバ(例えば、CRS予測器350、疾患進行トラッカ360、および/またはストレージ370のうちの1つまたは複数を実装するサーバ)に伝送するために、ウェアラブルデバイス302aにインストールされるコンピュータプログラムであり得る。特に、ヘルスケアアプリケーション322は、センサ324からデータを集めるためにウェアラブルデバイスのオペレーティングシステムと(例えば、API呼び出しを通じて)インターフェースをとり得る。
【0042】
センサ324は、ウェアラブルデバイス302aを装着している患者からデータを継続的または定期的に集め得る任意のタイプのセンサを含み得る。例えば、センサ324は、体温を測定するために温度センサ(温度センサは、非生体であり得、周囲温度を測定し得るということを理解されたい)、心拍計、患者により促されるとき心電データを収集するために心電センサ、グルコースモニタ、汗モニタ、血中酸素飽和度モニタ、血圧モニタ、および/または任意の他のタイプの生体センサなど、生体センサを含み得る。センサ324はまた、指向性運動を決定するために加速度計、配向を検出するためにジャイロスコープ、および/または位置もしくは動きデータを集めるために任意の他のタイプのセンサを含み得る。これらのセンサ324は、対応するデータを収集するためにヘルスケアアプリケーション322によって(例えば、ウェアラブルデバイス302aのオペレーティングシステムに対するAPI呼び出しを通じて)トリガされ得る。代替的に、ウェアラブルデバイス302aは、ヘルスケアアプリケーション322を有さなくてもよく、トリガは、患者ユーザデバイス302bから(例えば、そのヘルスケアアプリケーション332から)、またはネットワーク310を通じて遠隔に、受信され得る。他の実施形態において、ウェアラブルデバイス302aはそれ自体が、センサ324を継続的または定期的に活性化していてもよく、収集したセンサデータを、ヘルスケアアプリケーション324(および/またはヘルスケアアプリケーション332、もしくはネットワーク310を介して接続される遠隔デバイス)に伝え得る。センサ324によって収集される生体データおよび動きデータは、まとめて、または共通して、ヘルスケアデータ(または健康データ)と称され得る。
【0043】
言い換えると、センサ324は、患者の積極的な関与なしに、受動的にヘルスケアデータを収集していてもよい。例えば、センサ324は、センサ324がウェアラブルデバイス302a内にあり、したがって、患者に継続的に装着されることから、患者の生体データおよび/または身体的な動きをモニタリングしていてもよい。ヘルスケアデータのこのような受動的収集は、患者の患者の連続的注意を必要とせず、したがって、負担がより少ない。
【0044】
患者ユーザデバイス302bは、患者により使用される任意の種類のコンピューティングデバイスを含み得る。例えば、患者ユーザデバイス302bは、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットデバイス、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、および/または任意の他のタイプのコンピューティングデバイスを含み得る。ヘルスケアアプリケーション332(例えば、ePRO)は、患者ユーザデバイス302bにインストールされ得る。ヘルスケアアプリケーション332は、スタンドアロンアプリケーション(例えば、スマートフォンアプリ)またはウェブベースのアプリケーション(例えば、ブラウザを使用してアクセスされる)を含むと理解されたい。ヘルスケアアプリケーション332もまた、医学的に規定され得るということをさらに理解されたい。ヘルスケアアプリケーション332は、患者がアラート通知を閲覧し、医師と通信し、および/またはヘルスケアデータ(例えば、患者が特定の時間点においてどのように感じているか)を能動的に入力するためのインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)を提供し得る。
【0045】
例として、ヘルスケアアプリケーション332は、ウェアラブルデバイスのセンサ324によって収集されるデータに基づいた予測に関するさらなる情報を集めるために使用され得る。例えば、受動的に収集したデータを使用して、疾患進行トラッカ360は、二重特異性抗体治療の副作用の発症を予測し得る。例えば、ウェアラブルデバイス302aのセンサ324が、確立したベースラインと比較して少ない身体の動きを測定し得、疾患進行トラッカ360は、神経毒性の発症を予測し得る。この予測に応答して、アラート通知が(例えば、通信促進器368により)ヘルスケアアプリケーション332に送信され得る。アラート通知は、例えば、「低い活動レベルを検出しました。疲労感がありますか?」であり得、患者に返答を促す。応答のため、ヘルスケアアプリケーション332は、「極度の疲労」、「中程度の疲労」、または「疲労を感じていない」などの選択肢を提供し得る。別の例として、ウェアラブルデバイス302aのセンサ324は、通常よりも低い心拍数を測定し得る。この決定に応答して、サーバは、別のアラート通知をヘルスケアアプリケーション332に伝送し得る。アラート通知は、例えば、「低い心拍数を検出しました。目まいがしますか?」であり得、患者に返答を促す。応答のため、ヘルスケアアプリケーション332は、「極度の目まい」、「中程度の目まい」、または「目まいなし」などの選択肢を提供し得る。これらは、患者へのアラート通知の単にいくつかの例にすぎず、他のタイプのアラート通知も本開示の範囲内と見なされるべきである。
【0046】
アラート通知に対応するプロンプトに加えて、ヘルスケアアプリケーション332は、定期的に(例えば、データ入力のトリガなしに)ヘルスケアデータを入力することをユーザに要求し得る。例えば、ヘルスケアアプリケーション332は、患者に毎日、朝昼晩どんな調子であるか入力することを促し得る。能動的に入力したデータの他の非限定的な例としては、体温(ウェアラブルデバイス302aのセンサ324によって収集されない場合)、便通、経験した痛みのレベル、ストレスレベル、不安レベル、処方薬の摂取の時間、運動活動(ウェアラブルデバイス302aによって捕捉されない場合)、二重特異性抗体治療の観察した副作用、および/または任意の他のタイプのヘルスケアデータが挙げられる。
【0047】
アラート通知に加えて、ヘルスケアアプリケーション332は、患者と医師との間の双方向接続性も提供し得る。患者と医師との間の双方向接続性は、CRS予測器の通信促進器358および疾患進行トラッカ360の通信促進器368のうちの1つまたは複数によって促進され得る。双方向接続性は、患者が医師との同期(例えば、音声またはビデオ通話)または非同期(例えば、メッセージ交換)をいつでも確立することを可能にし得る。双方向接続性は、アラート通知に応答して開始され得る。例えば、疾患進行トラッカ360は、血球減少の発症を予測し得、対応する通信促進器368が、ヘルスケアアプリケーション332上に提供されるアラートを生成していてもよい。患者がアラート通知(例えば、通知バッジ)を選択すると、患者が医師との通信セッション(例えば、医師にメッセージ送信すること、または電話をかけること)を開始するために、インターフェースがヘルスケアアプリケーションによって提供され得る。例えば、患者は、ヘルスケアアプリケーション332自体を通じて質問を投げかけることができ、医師の返答は、ヘルスケアアプリケーション332内に表示され得る。双方向接続性はまた、患者に教育マテリアルを提供するために活用され得る。いくつかの実施形態における教育マテリアルは、行動変容奨励マテリアルに基づいた認知行動療法(CBT)を含み得る。これらのマテリアルは、ウェアラブルデバイス302aによって受動的に収集され、患者ユーザデバイス302bによって能動的に収集され、疾患進行トラッカ360によって分析されるヘルスケアデータに基づいて患者に提供され得る。CBTベースのマテリアルは、音声、ビデオ、および/またはテキストの形態であり得、二重特異性抗体治療を受けながら、食事、休息および運動、ストレス管理、ならびに/または良好な生活の質を維持することと関連付けられた任意の他の測定基準について、より健康的な選択をすることを患者に奨励し得る。
【0048】
患者ユーザデバイス302b内のセンサ334は、心拍数センサ(例えば、患者が患者ユーザデバイス302bを身体の近くに持ってくるとき)、グルコースモニタ(例えば、赤外線カメラを使用)、加速度計、ジャイロスコープなど、任意のタイプのセンサを含み得る。一般的に、任意のタイプの生体および/または動きセンサが、本発明の範囲内と見なされるべきである。例えば、患者ユーザデバイス302bがモバイルデバイス(例えば、スマートフォン)である場合、患者ユーザデバイス302bもまた、センサ334を使用してユーザの動きをモニタリングし得る。センサ334は、一日を通して患者が歩いた歩数、および/または一日を通して患者により実施される他の活動(例えば、運動)を検出し得る。言い換えると、センサ334もまた、患者の動きデータを受動的に収集するために使用され得る。いくつかの実施形態において、センサ334は、能動的データ収集を可能にし得る。例えば、センサ334は、赤外線カメラを含み得、患者ユーザデバイス302bは、血糖値、血中酸素飽和度などの生物学的属性を検出するために、患者に指をカメラにかざすことを促し得る。別の例において、センサ334は、患者の身体に近づけられたときに、患者の心拍数を測定し得る心拍数センサを含み得る。
【0049】
カメラ336は、患者がヘルスケア関連の写真を撮るために使用し得る光学カメラを含み得る。写真は、関連性のある身体部分、例えば、皮膚の状態を示す患者の手の写真であり得る。写真は、ストレージ370に送信および/または医師に提供され得る。医師は、この写真を、診断目的(例えば、特定の副作用が改善しているか、悪化しているかを決定するため)、および/または治療目的(例えば、患者が摂取している薬の用量を調節すべきかどうかを決定するため)で使用し得る。
【0050】
他のセンサ302cは、患者の1つまたは複数の生物学的または身体的属性を測定する任意の種類のセンサであり得る。他のセンサ302cの例は、二重特異性抗体治療および/または他の関連処方薬の消化活動に対する効果を測定し得る体内摂取可能センサであり得る。別の例は、パッチセンサが装着される身体部分の皮膚温度および/または動きなどの属性を測定するために、皮膚に装着され得るパッチセンサであり得る。センサ302cは、患者ユーザデバイス302bまたは動作環境300内の任意の他のデバイスに測定値を通信し得る血圧モニタをさらに含み得る。センサ302cの他の例としては、スマートファブリック、スマートベルト、皮下センサなどを挙げることができる。これらは、単にセンサのいくつかの例にすぎず、任意のタイプの身体装着型または非身体装着型センサが本開示の範囲内と見なされるべきである。非身体装着型センサは、インビジブルまたはインビジブルセンサ/デバイスと称され得る。
【0051】
血液モニタリングデータソース340は、任意の種類の血液分析デバイスまたはシステムであり得る。例えば、血液モニタリングデータソース340は、在宅血液収集キットを含み得る。在宅血液収集キットは、患者の自宅に郵送され、検査室に送られるべき血液検体を収集するために患者によって使用され得る。そして、検査室が、血液分析を実施し(例えば、白血球数を決定し)、ネットワーク310を通じて動作環境300の他のコンポーネント(例えば、ストレージ370)に分析データを提供し得る。他の実施形態において、自宅収集キットは、患者ユーザデバイス302bと組み合わせていくつかの血液分析能力を有し得、例えば、キット内の分析コンポーネントは、測定したデータを提供するために患者ユーザデバイス302bと接続し得る。
【0052】
血液モニタリングデータソース340は、検査室、診察室、ならびに/または血液試料を収集および分析するための任意のタイプの設備および/もしくは施設など、他のタイプのソースをさらに含み得る。そのタイプにかかわらず、血液モニタリングデータソース340は、動作環境300内の他のコンポーネントに(例えば、ネットワーク310を通じて)測定したデータを提供し得る。
【0053】
上に説明されるように、ウェアラブルデバイス302a、患者ユーザデバイス302b、他のセンサ302c、および血液モニタリングデータソース340のうちの1つまたは複数によって-受動的または能動的のいずれかで-収集されるデータは、ネットワーク310を通じて動作環境内の他のコンポーネントによって受信され得る。ネットワーク310は、任意の種類の通信ネットワークを含み得る。例えば、ネットワーク310は、TCP/IPなどのプロトコルに対応するパケットスイッチングネットワークを含み得る。ネットワーク310はまた、有線電話およびワイヤレス電話の両方に対応する回路スイッチングネットワークを含み得る。したがって、ネットワーク310は、ワイヤ、ワイヤレス送信機、ワイヤレス受信機、信号中継器、信号増幅器、スイッチ、ルータ、通信衛星、ならびに/または任意の他のタイプのネットワークおよび通信デバイスなどのコンポーネントを含み得る。ネットワーク310のいくつかの非限定的な例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、インターネットなどの広域ネットワーク(WAN)などを挙げることができる。これらは、単に数少ない例にすぎず、動作環境の異なるコンポーネント間の任意の種類の通信連携が、本開示の範囲内と見なされるべきである。
【0054】
患者向けデバイス(例えば、ウェアラブルデバイス302a、患者ユーザデバイス302b、他のセンサ302cなど)および他のソース(例えば、血液モニタリングデータソース340)から受信されるデータは、ストレージ370に格納され得る。ストレージ370は、ハードドライブストレージ、固体ストレージ、データサーバストレージなど、任意の種類のストレージ技術を含み得る。単一のストレージ370が説明の明瞭性のために示されるが、ストレージ370は、複数の地理的に分散したコンポーネントを含むと理解されるべきである。例えば、ストレージ370は、複数のデータセンターに分散され、複数の冗長性レベルを組み込み得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、ストレージ370は、対応する患者のためのデータを含む個人記録380を格納し得る。言い換えると、個人記録380は、患者と関連付けられ得る。しかしながら、この個人記録380ベースのデータ整理は、単に例であり、限定と見なされるべきではないということを理解されたい。任意の種類のデータ整理(例えば、リレーショナル、オブジェクト指向)が本開示の範囲内と見なされるべきである。
【0056】
示されるように、患者の個人記録380は、プロファイル/健康データ(例えば、電子カルテ(EHR)データ)381、センサデータ382、患者入力データ383、文脈データ384、および過去事象ログ385を含み得る。しかしながら、これらは、個人記録380内のデータタイプのいくつかの例にすぎず、追加の、代替的な、またはより少ないデータタイプもまた、本開示の範囲内と見なされるべきである。さらには、本明細書に示される別個のデータタイプも同様に単に例であり、データタイプは、他のデータタイプの側面を含み得る。例えば、プロファイル/健康データは、過去事象ログ385を組み込み得る。
【0057】
プロファイル/健康データ381は、対応する患者の電子カルテを含み得る。したがって、プロファイル/健康データ381は、人口統計情報、包括的な病歴、家族歴、アレルギー、継続した病態、臨床面談の記録、医師からの他の覚書、処方薬、検査結果、および/または患者についての任意の他のタイプのヘルスケアデータを含み得る。例えば、プロファイル/ヘルスケアデータ381は、二重特異性抗体を使用した治療レジメン、および二重特異性抗体を投与する際の任意の観察した副作用に関する情報を含み得る。いくつかの実施形態において、プロファイル/健康データ381は、他のエンティティからストレージ370に供給され得る。例えば、プロファイル/健康データ381は、ヘルスケア提供施設(例えば、病院)によって管理され得、動作環境300は、ヘルスケア提供施設からデータを取得し得る。
【0058】
センサデータ382は、ウェアラブルデバイス302aのセンサ324、患者ユーザデバイス302bのセンサ334、および/または他のセンサ302cなど、患者向けセンサからのデータであり得る。したがって、センサデータ382は、生体センサ(例えば、心拍数モニタ、血液パルス酸素濃度計)、動きセンサ(例えば、加速度計および/またはジャイロスコープ)、および/または任意の他のタイプのセンサからのデータを含み得る。センサデータ382は、データが収集されたときのタイムスタンプと関連して格納され得る。タイムスタンプは、動作環境300が一日を通して患者の活動および状態を検出することを可能にし得る。本明細書で使用される場合、センサデータ382は、一般的に、任意の種類の受動的に収集したデータ(例えば、ウェアラブルにより受動的に検出される動き)、またはセンサと能動的に関与する患者(例えば患者は、様々な生物学的属性を測定するために赤外線カメラの上に指を置く)によって捕捉されるデータを含むと理解されるべきである。
【0059】
患者入力データ383は、患者によって能動的に入力される(例えば、ヘルスケアアプリケーション332を通じて)任意の種類のデータを含み得る。したがって、患者入力データ383は、特定の時間点において調子はどうであったか(例えば、「疲労状態」、「鬱状態」、「良好」など)に関する患者の入力を含み得る。別の例として、患者入力データ383は、ヘルスケアアプリケーション332によって提供される様々なアラート通知に対する患者の反応を含み得る。患者入力データ383は、センサ(例えば、センサ324、334、および/または302c)によって捕捉されない他の生体データをさらに含み得る。例えば、そのような生体データは、動作環境300内で能動的なユーザ関与により動作するデバイス(例えば、外部血圧モニタ)によって捕捉される血糖値、血中酸素飽和度、血圧などを含み得る。センサデータ382と同様、患者入力データ383もまた、タイムスタンプを使用して整理され得る。言い換えると、タイムスタンプは、センサデータ382および患者入力データ383を相関させるために使用され得る。
【0060】
文脈データ384は、センサデータ382および/または患者入力データ383にさらなる文脈を提供し得る任意の種類の情報を含み得る。例えば、文脈データは、血液モニタリングデータソース340からのデータを含み得る。別の例として、文脈データは、患者に関する地理的情報(例えば、患者が国のどの地域に住んでいるか)、患者と類似したコホートの病状に関する情報を含み得る。一般的に、動作環境300内に追加データ点を生成する任意のタイプの情報が、文脈データ384と見なされるべきである。センサデータ382および患者入力データ383と同様、文脈データ384もまた、タイムスタンプが押され得るため、さらなる分析(例えば、CRS予測器350および/または疾患進行トラッカ360による)の間、これらの3つのタイプのデータは時間的に相関され得る。
【0061】
過去事象ログ385は、患者と関連付けられた事象の記録を含み得る。例えば、過去事象ログ385は、臨床面談、処方箋調合および再調合、ならびに/または二重特異性抗体治療の副作用を管理することと関連付けられた任意の他のタイプの事象に関する他の情報を含み得る。過去事象ログ385もまた、タイムスタンプが押され得、その結果として、これらのログは、センサデータ382、患者入力データ383、または文脈データ384のうちの1つまたは複数と時間的に相関され得る。
【0062】
分析コンポーネント(例えば、CRS予測器350および疾患進行トラッカ360)は、1つまたは複数の機械学習モデル(および/または任意の他のタイプの分析モデル)を生成/訓練するためにストレージ370内の個人記録380(および/または他のタイプのデータ)を使用し、次いでCRSの発症および/または二重特異性抗体治療と関連付けられた他の副作用の発症を予測することの1つまたは複数のために、訓練したモデルを展開し得る。
【0063】
CRS予測器350は、二重特異性抗体治療を受けている患者におけるCRSの可能性を予測し得る。そのような予測は、モデル訓練器354によって訓練され、モデルデプロイヤ356によって展開され得る予測モデル352を使用することに基づき得る。予測モデルは、例えば、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークを含み得る。
【0064】
モデル訓練器354は、訓練データセットを使用して予測モデルを訓練し得る。その目的のため、モデル訓練器354は、訓練データセットを取得し、訓練データセットを事前処理し、教師ありまたは教師なし訓練手法のうちの1つまたは複数を使用するなど、訓練データを使用して予測モデル352を訓練し得るコンピュータプログラム命令を含み得る。教師あり訓練手法を使用した訓練の例において、モデル訓練器354は、ラベル付き訓練データセットを取得し得る。ラベル付けは、過去の観察に基づいて人間によって行われていてもよい。例えば、ラベル付きデータセットは、ウェアラブルセンサ、インビジブルセンサなどによって受動的に収集されるデータ、患者ユーザデバイスを実行するアプリケーションに対する能動的な患者関与により収集されるデータ、および/または検査結果(例えば、血液検査)のデータなど、ヘルスケアデータ入力のセットを有し得る。これらの入力は、観察された出力と関連付けられ得、例えば、入力の第1のセットと関連付けられた患者がCRSを発症した場合、そのデータは、CRSと関連付けられるものとしてラベル付けされる人間であり得る。同様に、入力の第2のセットと関連付けられた患者がCRSを発症しなかった場合、対応するデータは、CRSと関連付けられないものとしてラベル付けされる人間であり得る。
【0065】
したがって、ラベル付きデータセットを使用して(例えば、出力のグラウンドトゥルースが入力とともに提供される)、モデル訓練器354は、予測モデル352を訓練し得る。しかしながら、教師あり訓練手法は単に1つの手法にすぎず、限定と見なされるべきではないということを理解されたい。モデル訓練器354は、モデルを訓練するために、他の手法、例えば、教師なし訓練手法を使用し得る。
【0066】
予測モデル352は、機械学習モデルとして本明細書では説明されるが、予測モデル352は、統計モデルを含み得るということを理解されたい。統計モデルの場合、モデル訓練器354は、統計モデルを生成するためにモデル生成器として機能し得る。統計モデルは、入力変数(例えば、様々なソースからのヘルスケアデータ)のどの組み合わせが「CRS」出力を生じる可能性がより高く、入力変数のどの組み合わせが「CRSなし」出力を生じる可能性がより高いかを予測するために使用され得る。
【0067】
モデル訓練器354は、予測モデル352を継続的に訓練し得るということを理解されたい。例えば、グラウンドトゥルースが予測のために利用可能である場合(例えば、グラウンドトゥルースは、予測が正確であったか、不正確であったかを示し得る)、モデル訓練器354は、そのような正確または不正確な予測を使用して、予測モデル352を継続的に訓練し、またこれを改善し得る。
【0068】
モデルデプロイヤ356は、受信した入力データからCRSの可能性を予測するために、訓練した予測モデル352を使用するソフトウェアモジュールであり得る。例えば、新規ヘルスケアデータが、二重特異性抗体治療を受けている患者について受信され得る。新規ヘルスケアデータは、例えば、ウェアラブルデバイス302aから受動的に収集したデータ、患者ユーザデバイス302bから患者関与により収集されるデータ、他のセンサ302cから収集されるデータ、血液モニタリングデータソース340から収集されるデータなどを含み得る。ヘルスケアデータは、例えば、心拍数、皮膚温度、血圧、血中酸素飽和度などを含み得る。このようなヘルスケアデータが訓練された予測モデル352に提供されるとき、予測モデルは、CRSの可能性を出力し得る。可能性は、確率的出力、例えば、85%CRSを発症しそうである、または15%CRSを発症しなそうであるとして表現され得る。代替的または追加的に、可能性は、二項分類、例えば、「CRSを発症しそうである」および「CRSを発症しなそうである」として表現され得る。二項分類は、基本となる確率的出力により決定され得、しきい値を使用し得る。例えば、二項分類は、確率的出力が「55%CRSを発症しそうである」しきい値を越えるとき、「CRSを発症しそうである」を出力し得る。しきい値は、予測モデル352が継続的に訓練および精緻化されると、調節され得る。
【0069】
通信促進器358は、CRSのより高い可能性を示す訓練した予測モデル352に基づいて1つまたは複数の通知を生成し得る。通知は、医師ダッシュボード342に提供され得る。いくつかの場合において、通知は、患者がCRSを発症する確率的可能性を提供し得る。他の場合において、通知は、患者がCRSを発症しそうであるか否かの二値出力であり得る。ダッシュボードアプリケーション342は、患者のプロファイル/健康データ381のビューを示していてもよく、通知は、ビュー内に提示され得る。医師ダッシュボード342への通知に加えて、通信促進器358は、患者ユーザデバイス302b上で実行するヘルスケアアプリケーション332へ別の通知を伝送し得る。患者への通知は、必ずしもCRSの可能性を示さなくてもよく、単純に、医師がヘルスケア問題について経過観察していることを示し得る。これらの通知のうちの1つまたは複数は、患者と医師との間の双方向接続性も確立し得る。
【0070】
予測モデル352の出力および医師ダッシュボードアプリケーション342への後続の通知に基づいて、医師は、患者が在宅モニタリングのために退院してもよいか、または観察のために病院に留まるべきであるかどうかを決定し得る。例えば、医師は、CRSを発症する可能性がより高い患者は、病院に留まるべきであり、CRSを発症する可能性がより低い患者は、在宅モニタリングのために退院してもよいことを決定し得る。
【0071】
在宅モニタリングは、動作環境360内に提供される別のタイプの分析であり得る疾患進行トラッカ360によって駆動され得る。一般的に、疾患進行トラッカは、予測モデル362(および/または統計モデル)を使用して、在宅モニタリング対象の患者がCRS、感染症、神経毒性、血球減少などの副作用を発症し得るかどうかを決定し得る。その目的のため、疾患進行トラッカ360は、予測モデル362を訓練するためにモデル訓練器364を、予測モデル362を展開するためにモデルデプロイヤ366を、ならびに、1つまたは複数の通知を生成し、および/または予測モデル362の出力に基づいて双方向接続性を確立するために通信促進器368を使用し得る。
【0072】
モデル訓練器364は、ストレージから長期データ(例えば、プロファイル健康データ381、過去事象ログ385など)を取得し得るコンピュータプログラム命令を含み得る。この長期データは、予測モデル362を訓練する(および/または分析モデルを生成する)ために使用され得る。予測モデルは、例えば、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークなどの任意のタイプの機械学習モデルを含むということを理解されたい。モデル訓練器364は、例えば、予測モデル362を訓練するためにラベル付き出力データを用いた、教師あり訓練方法を使用し得る。しかしながら、教師なし手法も教師あり訓練手法を補完するために使用され得るということを理解されたい。
【0073】
いくつかの実施形態において、モデル生成器364は、個々の患者のためにモデルを生成し得る(例えば、予測モデルを訓練する、または分析モデルを生成する)。例えば、モデル生成器364は、個々の患者のための長期データを取得し、次いで対応する訓練した予測モデル362としてベースラインを確立し得る。ベースラインは、例えば、身体的活動、生体データ(例えば、血中酸素飽和度など)、患者によって報告される気持ち(例えば、「疲労感あり」)の正常レベルを含み得る。したがって、これらの属性の正常レベルの組み合わせは、訓練した予測モデル362または生成した分析モデルにおけるベースラインとして確立され得る。展開段階において、新規に受信したヘルスケアデータは、確立したベースラインから著しい量の逸脱があるかどうかを決定するために、ベースラインと比較され得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、モデル生成器364は、集団レベルベースラインを生成し得る。例えば、モデル生成器364は、特定の基準、例えば、年齢、性別、地理的場所、民族性などを有する患者の集団のための長期データを取得し得る。収集したデータを分析して、モデル生成器364は、訓練した予測モデル362(および/または統計モデル)内に集団レベルベースラインを確立し得る。モデルデプロイヤ366は、その後、集団レベルベースラインを使用して、個々の患者の病態が正常レベルから著しく逸脱していたかどうかを決定し得る。
【0075】
通信促進器368は、例えば、ヘルスケアアプリケーション332およびダッシュボードアプリケーション342を使用することによる、患者と患者との間の通信を促進し得る。例えば、分析モデル362が、病態の状態が正常から著しく逸脱していたこと、および患者が副作用(例えば、感染症)を発症しそうであり得ることを決定する場合、通信促進器368は、第1のアラート通知を患者に(例えば、患者ユーザデバイス302bのヘルスケアアプリケーション332に表示されるように)、および第2のアラート通知を医師に(例えば、医師ユーザデバイス308のダッシュボードアプリケーション342に表示されるように)伝送し得る。これらのアラートうちの1つまたは複数は、通信プロンプトを有し得る。例えば、患者への第1のアラートは、プロンプト「メッセージを担当医に送信」を有し得る。医師への第2のアラートは、「患者Aに連絡、感染症を発症している可能性あり」であり得る。これらのプロンプトに応答して、非同期(例えば、テキストメッセージ交換を通じて)または同期(例えば、音声/ビデオチャットを通じて)通信チャネルが、ヘルスケアアプリケーション332とダッシュボードアプリケーション342との間に開かれ得る。この双方向接続性に加えて、医師は、薬を処方すること、教育マテリアルを提供すること、および/または任意の他のタイプの患者ケア行為など、他の行為を実施することができてもよい。
【0076】
ダッシュボードアプリケーション342は、医師により使用され得る任意の種類のユーザデバイスであり得る医師ユーザデバイス308に表示され得る。医師ユーザデバイス308の非限定的な例としては、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータなどを挙げることができる。ダッシュボードアプリケーション342は、インストールされたスタンドアロンアプリケーション、またはブラウザを通じてアクセス可能なウェブベースのアプリケーションであり得る。ダッシュボードアプリケーション342は、個々の患者の疾患進行を示し得る。例えば、ダッシュボードアプリケーション342は、生体データ(例えば、血中酸素飽和度)が時間とともにどのように変化したかを示すチャートを示し得る。ダッシュボードアプリケーションはまた、患者の健康の他の側面、例えば、ストレスおよび不安のレベルなどを示し得る。ダッシュボードアプリケーション342は、患者に処方される薬をさらに示し得る。一般的に、ダッシュボードアプリケーション342は、任意のタイプの臨床データ、ならびに治療および動作環境300内で監視されている患者のための通知を示し得る。
【0077】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、CRS予測のための予測モデルを訓練する例証的な方法400のフロー図を示す。例証的な方法400は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えば、動作環境100内で使用されるようなコンピューティングデバイス200)によって実施され得る。図4に示され、本明細書に説明される方法400のステップは、単に例証であり、追加の、代替的な、またはより少ない数のステップを伴う方法は、本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。
【0078】
ステップ802において、長期訓練入力データセットが取得され得る。長期訓練データセットは、二重特異性抗体治療を受けていた患者の集団についてのヘルスケアデータを含み得る。ヘルスケアデータは、例えば、ウェアラブルから受動的に収集した生体データ(例えば、温度、血中酸素飽和度、心拍数、血圧)、患者デバイスにインストールされるアプリケーションにおける患者関与を通じて収集されるデータ、二重特異性抗体治療セッションに至るまでおよびその周辺の検査分析(例えば、血液検査)からのデータを含み得る。加えて、長期訓練入力データセットは、患者の人口統計情報、病歴、家族歴、および/または二重特異性抗体治療に影響を及ぼす可能性のある任意の他のヘルスケア属性などの他の情報を含み得る。このステップで取得されるデータセットは、予測モデルを訓練するための入力として使用され得る。
【0079】
ステップ404において、ラベル付けデータセットが取得され得る。ラベル付けデータセットは、一般的に、長期訓練入力データセットと関連付けられた患者が実際にCRSを発症したかどうかを示し得る。したがって、ラベル付けデータセットは、様々なソースに由来し得る。例えば、ラベル付けデータセットは、患者の電子カルテ(例えば、図3に示されるEHR381)から供給され得る。いくつかの実施形態において、ステップ404において取得されるラベル付けデータセットは、ステップ402において取得される長期訓練入力データセットを手動でラベル付けするために使用され得る。
【0080】
したがって、長期訓練入力データセットおよびラベル付けデータセットの組み合わせは、ステップ406において予測モデルを訓練するためのラベル付き訓練データセットを提供し得る。ラベル付き訓練データセットを使用して、予測モデルは、教師あり訓練手法を用いて訓練され得る。例えば、各訓練反復は、出力を生成し得、これが予測出力と比較され得(例えば、ラベルによって示されるように)、バックプロパゲーション技術は、予測モデルが予期した出力により近い出力を生成するように、予測モデルを精緻化するために使用され得る。予測モデルのいくつかの非限定的な例としては、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークを挙げることができる。
【0081】
予測モデルを訓練するこのような手法は単に例であり、他の手法もまた、本開示の範囲内と見なされるべきである。例えば、予測モデルは、教師なし訓練手法を使用して訓練され得る。他の例において、予測モデルは、統計モデルであり得、ステップ406は、取得したデータセットを使用して統計モデルを確立し得る。したがって、予測モデルを生成するため、または統計モデルを確立するための任意のタイプのデータ分析が、本開示の範囲内と見なされるべきである。
【0082】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、CRS検出のための訓練された予測モデルを使用する例証的な方法500のフロー図を示す。例証的な方法500は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えば、動作環境100内で使用されるようなコンピューティングデバイス200)によって実施され得る。図5に示され、本明細書に説明される方法500のステップは、単に例証であり、追加の、代替的な、またはより少ない数のステップを伴う方法は、本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。
【0083】
ステップ502において、二重特異性抗体治療を受けている患者についてのヘルスケアデータが受信され得る。治療を受ける前に、患者は、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)および/または患者のユーザデバイスにインストールされるヘルスケアアプリケーションを(例えば、処方箋に基づいて)提供され得る。ウェアラブルデバイスは、動き、血中酸素飽和度、血圧、心拍数、体温などのデータを受動的に捕捉し得る。ヘルスケアアプリケーションは、患者がプロファイルを作成し、病歴などの他のデータを入力することを可能にし得る。追加的に、ヘルスケアデータは、検査室データ(例えば、血液検査の結果)を含み得る。ヘルスケアデータ収集は、二重特異性抗体の投与前の既定の時間に開始し得る。例えば、患者は、二重特異性抗体の投与の数日前にデータ収集デバイス(例えば、ウェアラブル、スマートフォンアプリケーション)を提供され得、データ収集は、投与中および投与後も継続し得る。
【0084】
ステップ504において、受信したデータは、訓練された予測モデルへ供給され得る。予測モデルは、方法400のステップを使用して訓練されていてもよい。訓練された予測モデルは、任意のタイプの確立された統計モデルを含むとも理解されるべきである。予測モデルのいくつかの非限定的な例としては、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークを挙げることができる。場合によっては、統計モデルが使用され得、この場合ステップ504は、受信したデータが起こり得る結果(例えば、CRSを示す結果)に著しく近いかどうかを決定するために、統計値(例えば、z統計値)を比較することを含み得る。しかしながら、これらは単に例にすぎず、他の予測/統計モデルが本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。
【0085】
ステップ506において、予測モデル(または統計モデル)は、CRSの可能性を示す出力を生成する。CRSの可能性は、供給された入力がCRSと関連付けられる確率およびCRSと関連付けられない確率の対応するものを示し得る。例えば、出力は、CRS90%の確率、およびCRSなし10%の確率であり得る。他の実施形態において、出力は、二値であり得る:例えば、確率的可能性がある特定のしきい値を越える場合、出力は、CRSである可能性が高く、そうでない場合はCRSである可能性は低い。
【0086】
ステップ508において、1つまたは複数の通知は、予測モデルの出力に基づいてトリガされ得る。例えば、予測モデルがCRSのより高い可能性を生成する場合、通知は、医師のダッシュボードへとトリガされ得る。通知は、ある特定の患者がCRSを発症しそうであることを示し得る。この通知は、在宅モニタリングのために患者を退院させるか、または観察のために患者を病院に留めるか、医師に臨床決定サポートを提供し得る。例えば、医師は、CRSの可能性が低い患者には在宅モニタリングを推奨し、CRSの可能性が高い患者には入院観察を推奨し得る。医師への通知に加えて、患者への通知も生成され得る。患者への通知は、医師が重要な臨床情報を伴って患者に連絡することを含み得る。
【0087】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、ベースライン健康行動を確立するためにモデルを訓練する例証的な方法600のフロー図を示す。例証的な方法600は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えば、動作環境100内で使用されるようなコンピューティングデバイス200)によって実施され得る。図6に示され、本明細書に説明される方法600のステップは、単に例証であり、追加の、代替的な、またはより少ない数のステップを伴う方法は、本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。
【0088】
ステップ602において、二重特異性抗体治療を受けている1つまたは複数の患者からのヘルスケアデータが受信され得る。ヘルスケアデータは、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)および/もしくはインビジブルから受動的に収集されるデータ、ならびに/またはヘルスケアアプリケーション(例えば、スマートフォンにインストールされる)を通じて能動的に収集されるデータを含み得る。受動的に収集したデータは、例えば、生体データ(例えば、心拍数)および動きデータを含み得る。能動的に収集したデータは、例えば、患者の気持ちの状態、摂取されている処方薬、および/または患者によって入力される他の生体データを含み得る。別のタイプのヘルスケアデータは、血液検査データを含み得る。
【0089】
したがって、収集したデータは、二重特異性抗体治療と関連付けられた異なる病態(例えば、感染症)の進行を示す時系列データセットであり得る。したがって、このような収集は、モデルを訓練してベースライン健康行動を確立するためにステップ604において使用され得る。ベースライン健康行動は、例えば、生体パラメータ、患者の気持ちの状態(例えば、ストレスおよび不安レベル)、患者の活動レベル、血液検査分析、および/または継続した病態と関連付けられた任意の他の属性などの変数の組み合わせの正規分布を示し得る。ベースラインは、個々の患者レベルで確立され得、および/またはコホート集団レベルにおいて確立され得る。訓練したモデルの非限定的な例としては、回帰モデル、勾配ブースティング回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、ランダムフォレスト回帰モデル、アンサンブルモデル、分類モデル、深層学習ニューラルネットワーク、深層学習のためのリカレントニューラルネットワーク、または深層学習のための畳み込みニューラルネットワークを挙げることができる。
【0090】
ステップ606において、訓練したモデルは、今後のヘルスケアデータとの比較のために格納され得る。ヘルスケアデータが継続して収集されるため、そのような比較は、今後収集したヘルスケアデータが予測した分布範囲内であるか、または予測した分布範囲から著しく逸脱するかの決定を可能にし得る。予期した分布範囲からの著しい逸脱は、臨床介入が必要とされる可能性があることを示し得る。
【0091】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、現在の観察挙動がベースライン疾患挙動から著しく逸脱するかどうかを決定するためにベースラインモデルを展開する例証的な方法700のフロー図を示す。例証的な方法700は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス(例えば、動作環境100内で使用されるようなコンピューティングデバイス200)によって実施され得る。図7に示され、本明細書に説明される方法700のステップは、単に例証であり、追加の、代替的な、またはより少ない数のステップを伴う方法は、本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。
【0092】
ステップ702において、患者(例えば、二重特異性抗体治療を受けている患者)についての最近のヘルスケアデータが受信され得る。最近のヘルスケアデータは、例えば、ウェアラブルまたはインビジブルを通じて、受動的に、例えば、患者にデータをヘルスケアアプリケーションに入力するよう促して、能動的に、ならびに/または血液採集および分析システムなどの他のシステムを通じて、収集され得る。そのような最近のヘルスケアデータは、患者が継続してモニタされ得るため(例えば、在宅モニタリング)、継続的に集められ得る。
【0093】
ステップ704において、最近のヘルスケアデータは、確立したベースラインモデル(例えば、方法600によって生成されるベースラインモデル)と比較され得る。この比較は、最近のヘルスケアデータが、確立したベースライン健康行動(ベースラインモデルによって示されるような)から統計的に著しい逸脱を示すかどうかを決定することを含み得る。
【0094】
ステップ706において、1つまたは複数の通知が比較に基づいてトリガされ得る。例えば、患者ヘルスケア行動が、確立したヘルスケア行動から著しく逸脱していたことが決定される場合、アラート通知が、医師との同期または非同期通信を開始するために患者に送信され得る。追加的または代替的に、別のアラート通知が、患者との同期または非同期通信を開始するために医師に送信され得る。
【0095】
図8Aは、本開示のいくつかの実施形態による、二重特異性抗体治療のためのCRS予測のプロセスフロー800aを示す。プロセスフロー800aのステップは、図3に示される動作環境300の任意のコンポーネントによって実施され得る。プロセスフロー800aのステップは、単に例であり、追加の、代替的な、またはより少ない数のステップを伴うプロセスフローもまた、本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。
【0096】
プロセスフロー800aは、医師が、デジタル薬を処方するときステップ802において開始し得、このデジタル薬を患者がダウンロードして使用し始め得る。デジタル薬は、ウェアラブルデバイスおよび/またはウェアラブルデバイス用のアプリケーション、モバイルデバイス用のアプリケーションなどを含み得る。ステップ804において、患者は、二重特異性抗体治療の開始前に既定の時間の間デジタル薬を使用し得る。既定の時間は、例えば、数日、数時間、および/または任意の他のタイプの時間フレームを含み得る。ステップ806において、患者は、医療センター(例えば、病院)に入院し得、バイタルおよび血液が収集され、二重特異性治療を投与される。ステップ808において、ヘルスケアデータは、CRSリスクスコアを決定するために(例えば、訓練した機械学習モデルを使用することにより)分析される。いくつかの実施形態において、リスクスコアは、患者への治療を投与することなく決定される(例えば、ステップ806は、場合によってはスキップされ得る)。CRSリスクスコアが高い場合、ステップ810に示されるように、患者は、治療のための医療センターに入院し得る。しかしながら、CRSリスクが低い場合、患者は、ステップ812において退院し、ダッシュボード(例えば、医師ダッシュボード)を介して遠隔でモニタリングされ、ステップ814において、異常な結果の場合には連絡を受け得る。在宅モニタリングプロセスフロー800bは、図8Bにおいて示される。
【0097】
図8Bは、本開示のいくつかの実施形態による、二重特異性抗体治療を受けている患者の在宅モニタリングのプロセスフロー800bを示す。プロセスフロー800bのステップは、図3に示される動作環境300の任意のコンポーネントによって実施され得る。プロセスフロー800bのステップは、単に例であり、追加の、代替的な、またはより少ない数のステップを伴うプロセスフローもまた、本開示の範囲内と見なされるべきであるということを理解されたい。
【0098】
プロセスフロー800bは、患者がセンサを装着し、促されたときにヘルスケアアプリケーションおよび血液モニタリングを使用し続ける場合に、ステップ820において開始し得る(プロセスフロー800aからの続きとして)。この継続的な使用は、バイタルおよび症状を継続的に収集し得る。継続的に収集したデータが正常な進行を示す場合(例えば、訓練したベースラインモデルを使用して)、ステップ822において患者は、遠隔経過観察をスケジュールし続け得、後続の治療用量も投与され得る。しかしながら、異常な進行が検出される場合、ステップ824において医師は、CRSの早期サインを示すダッシュボード通知を受信し得、介入のために患者に連絡する。必要な場合、患者は、ステップ826において、医療センターに入院し得る。
【0099】
ステップ822の後のステップは、ステップ828であり得、この場合患者は、予期したCRSリスク期間後、バイタルおよび予期した副作用を遠隔モニタリングし続け得る。プロセスフロー800bは、ステップ828において異常な病態が検出される場合、ステップ824および826へ戻り得る。しかしながら、病態がステップ826において正常であることが検出される場合、ステップ830において患者は、スケジュールした遠隔経過観察を実施し続け、医師の指導に基づいて治療を継続し得る。ステップ832において、患者が療法を継続するため、医師は、患者進行を追跡し、必要に応じて投与量を滴定するために、詳細なデータを有する。
【0100】
本開示がその趣旨および本質的特徴から逸脱することなく他の特定の形態で具現化され得るということは、当業者により理解されるものとする。したがって、ここに開示された実施形態は、あらゆる点に関して例証的であると見なされ、制限されない。本開示の範囲は、先述の説明ではなく、添付のクレームによって示され、その意味および範囲および等価物に伴うすべての変更は、そこに包含されることが意図される。
【0101】
「含む」および「備える」という用語は、「含むが、これに限定されない」を意味するものと解釈されるべきであるということに留意されたい。クレーム内に依然として明示的に明記されない場合、「a(1つの)」は、「少なくとも1つ」と解釈されるべきであり、「その」、「上記」などは「少なくとも1つ」、「上記少なくとも1つ」などとして解釈されるべきである。さらには、「~のための手段」または「~のためのステップ」という表現言語を含むクレームのみが、米国特許法112条(f)の下で解釈されるというのが出願者の意図である。「~のための手段」または「~のためのステップ」という表現を明示的に含まないクレームは、米国特許法112条(f)の下で解釈されないものとする。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】