(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】チロキサポールの合成法
(51)【国際特許分類】
C07C 43/23 20060101AFI20250115BHJP
C07C 39/11 20060101ALI20250115BHJP
C07C 37/20 20060101ALI20250115BHJP
C07C 37/16 20060101ALI20250115BHJP
C07C 39/15 20060101ALI20250115BHJP
C07C 41/03 20060101ALI20250115BHJP
C08G 65/28 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C07C43/23 D
C07C39/11 CSP
C07C37/20
C07C37/16
C07C39/15
C07C41/03
C08G65/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537936
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-20
(86)【国際出願番号】 CN2022140268
(87)【国際公開番号】W WO2023116663
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111571701.7
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211599865.5
(32)【優先日】2022-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520098501
【氏名又は名称】シェンヤン シンチ ファーマシューティカル カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENYANG XINGQI PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ジードン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チィアン
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ユ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン,ボー
【テーマコード(参考)】
4H006
4J005
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC25
4H006AC41
4H006AC43
4H006BB11
4H006BB31
4H006BC10
4H006BC31
4H006FC52
4H006FE11
4H006FE13
4H006GN06
4H006GP03
4J005AA12
4J005BA00
4J005BB00
(57)【要約】
本発明は、式(I)のチロキサポールの合成方法を提供し、この方法は、まず、アルカリ性条件下で、式(III)のp-tert-オクチルフェノールとホルムアルデヒドとを反応させて、式(IV)の2,5-ジメチロールp-tert-オクチルフェノールを得る工程、次いで、酸性条件下で、2,5-ジメチロールp-tert-オクチルフェノールと式(III)のp-tert-オクチルフェノールとを反応させて、式(II)のフェノール樹脂を得る工程、並びに最後に、式(II)のフェノール樹脂をエチレンオキシドと反応させて、式(I)のチロキサポールを得る工程、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、nは、6、7、8、9、10、11、又は12であり、別の選択肢として、nは、8、9、又は10であり、さらに別の選択肢として、nは、9である、式(I)の化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
【化2】
式(II)の化合物をエチレンオキシドと反応させて式(I)の化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項3】
式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比が、1:19~1:37であり、別の選択肢として1:25~1:32、別の選択肢として1:27~1:29、さらに別の選択肢として1:28である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
式(II)の化合物とエチレンオキシドとの前記反応が、非プロトン性溶媒中で、別の選択肢として非プロトン性非極性溶媒中で実施され、別の選択肢として、前記溶媒は、n-ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、及びトルエンなどのアルカンであり、なお別の選択肢として、トルエンである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記反応が、60℃以上の温度で(60~120℃など)、別の選択肢として80℃以上の温度で(80~100℃など)、なお別の選択肢として100℃の温度で実施される、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記反応が、0.2~0.8MPaの圧力で、別の選択肢として0.3~0.8MPaの圧力で、さらに別の選択肢として0.3~0.5MPaの圧力で実施される、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記反応が、少なくとも3時間、別の選択肢として少なくとも5時間にわたって実施される、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記反応が、トルエン中、80~100℃の温度及び0.3~0.5MPaの圧力で、少なくとも5時間にわたって実施され、式(II)の化合物と前記エチレンオキシドとのモル比が、1:28である、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(II)の化合物。
【化3】
【請求項10】
式(II)の化合物の製造方法であって、
【化4】
酸性条件下、式(III)の化合物を式(IV)の化合物と反応させて式(II)の化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項11】
式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比が、1:2未満、別の選択肢として1:2.1~1:3、さらに別の選択肢として1:2.1~1:2.3であり、1:2.1、1:2.2、又は1:2.3などである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記反応が、シュウ酸、酢酸、硫酸、又は塩酸中で、別の選択肢としてシュウ酸中で実施される、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応が、80℃以上、別の選択肢として80~100℃、なお別の選択肢として100℃で実施される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応が、少なくとも5時間、別の選択肢として5~8時間、別の選択肢として少なくとも6時間、なお別の選択肢として6時間にわたって実施される、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応の条件が、
1)酸性条件下(シュウ酸、酢酸、硫酸、又は塩酸中など)、80℃以上の温度で少なくとも5時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2未満である;
2)氷酢酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である;
3)2mol/Lの硫酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である;
4)2mol/Lのシュウ酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である;
5)32%の塩酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である、
のうちの1つである、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
式(IV)の化合物の製造方法であって、
【化5】
アルカリ性条件下、式(III)の化合物をホルムアルデヒドと反応させて式(IV)の化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項17】
式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比が、1:2未満、別の選択肢として1:2.1~1:5、さらに別の選択肢として1:2.1~1:2.3であり、1:2.1、1:2.2、又は1:2.3などである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式(III)の化合物対塩基のモル比が、1:1未満、別の選択肢として1:2~1:4、別の選択肢として1:2~1:3、さらに別の選択肢として1:2.5である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記反応が、無機塩基の存在下で、別の選択肢として、水酸化リチウム、水酸化ナトリ
ウム、又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の存在下で実施される、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記反応が、60℃以上の温度で、別の選択肢として80~100℃の温度で実施される、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記反応が、少なくとも2時間、別の選択肢として少なくとも3時間、別の選択肢として少なくとも4時間にわたって実施される、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記反応の条件が、
1)無機塩基(別の選択肢としてアルカリ金属水酸化物)の存在下、60℃以上で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2未満であり、式(III)の化合物対無機塩基のモル比は、1:1未満である;
2)水酸化カリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化カリウムのモル比は、1:2.5である;
3)水酸化ナトリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化ナトリウムのモル比は、1:2.5である、
のうちの1つである、請求項16~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
式(I)の化合物の製造方法であって、
【化6】
1)式(III)の化合物とホルムアルデヒドとを、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させる工程であって、
式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化ナトリウム/水酸化カリウムのモル比は、1:2.5である、工程、
2)式(III)の化合物と式(IV)の化合物とを、2mol/Lのシュウ酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させる工程であって、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である、工程、
3)式(II)の化合物とエチレンオキシドとを、トルエン中、100℃の温度及び0.3~0.5MPaの圧力で、少なくとも5時間にわたって反応させる工程であって、式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比は、1:28である、工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学合成の分野に属し、詳細には、チロキサポールの合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チロキサポールは、高分子ポリマー(以下に示す)であり、アルキル芳香族ポリエーテルアルコール型の非イオン液体界面活性剤であり、疎水性芳香族基は、この分子の油中への溶解性を向上させ、一方多数の親水性基であるエーテルアルコールは、この分子の水中への溶解性を高める。したがって、チロキサポールは、水/油型及び油/水型エマルジョンの乳化剤として用いられる。
【化1】
【0003】
チロキサポールは、エマルジョン、クリーム、及び他の製剤の調製のための乳化剤として用いられることに加えて、その良好な可溶化及び分散効果から、点鼻薬、点眼薬、混合剤などの液体製剤、及び錠剤、丸薬などの固形製剤の調製にも広く用いられ、錠剤における崩壊時間を短縮し、溶解性を改善することができる。
【0004】
鎮咳及び去痰製剤の有効成分として、チロキサポールは、表面張力を低下させ、粘液を液化して痰を排出しやすくするために用いられる。チロキサポールはまた、製剤中の添加剤として、乳化及び浸透促進の役割も果たす。また、チロキサポールは眼球洗浄剤(洗眼剤)に用いられ、良好な脱汚染及び洗浄効果を有することも報告されている。医薬品添加剤として用いられる濃度は、特定の処方、剤形、使用目的に応じて決定されるべきである。一般的に、使用時の濃度は、0.1~0.5%である。
【0005】
現在、チロキサポールの合成プロセスは、主として以下の通りである。1)まず、tert-オクチルフェノールとエチレンオキシドとを、水酸化ナトリウムの存在下、高温及び高圧で反応させて重合フェノールを生成し、次いで、この重合フェノールを、酸触媒の存在下、加熱条件下でホルムアルデヒドと共に縮合させてチロキサポールを調製する;2)まず、ホルムアルデヒドをp-tert-オクチルフェノールと重合させて、適正な分子量のフェノール樹脂を得た後、この適正なフェノール樹脂をエチレンオキシドと反応させて、チロキサポールを合成する。これら2つの経路は、フェノールアルデヒド重合時に重合度6超(薬局方規格はm<6)であるポリマーを生成しやすく、特定の温度での留分を保持するために高温(160℃超)の減圧蒸留を必要とする。これは、パイロット設備及び公共のプロジェクトにとって大きな課題である。
【0006】
したがって、本技術分野において、重合度m<6、特にm=1のチロキサポール及びその製造方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の合成法の欠点に鑑み、本開示は、新たな合成法を提案し、m=1のチロキサポールを製造する。本開示の方法は、操作が簡単であり、得られる生成物は、高純度であることから、工業生産にとって有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
具体的には、本開示は以下の技術的解決策に関する。
【0009】
1.式(I)の化合物であり、
【化2】
式中、nは、6、7、8、9、10、11、又は12であり、別の選択肢として、nは、8、9、又は10であり、さらに別の選択肢として、nは、9である。
【0010】
2.実施形態1の式(I)の化合物の製造方法であり、
【化3】
式(II)の化合物をエチレンオキシドと反応させて式(I)の化合物を得る工程を含む。
【0011】
3.式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比が、1:19~1:37であり、別の選択肢として1:25~1:32、別の選択肢として1:27~1:29、さらに別の選択肢として1:28である、実施形態2に記載の方法。
【0012】
4.式(II)の化合物とエチレンオキシドとの反応が、非プロトン性溶媒中で、別の選択肢として非プロトン性非極性溶媒中で実施され、別の選択肢として、溶媒は、n-ヘ
キサン、ヘプタン、ベンゼン、及びトルエンなどのアルカンであり、なお別の選択肢として、トルエンである、実施形態2又は3に記載の方法。
【0013】
5.反応が、60℃以上の温度で(60~120℃など)、別の選択肢として80℃以上の温度で(80~100℃など)、なお別の選択肢として100℃の温度で実施される、実施形態2~4のいずれか1つに記載の方法。
【0014】
6.反応が、0.2~0.8MPaの圧力で、別の選択肢として0.3~0.8MPaの圧力で、さらに別の選択肢として0.3~0.5MPaの圧力で実施される、実施形態2~5のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
7.反応が、少なくとも3時間、別の選択肢として少なくとも5時間にわたって実施される、実施形態2~6のいずれか1つに記載の方法。
【0016】
8.反応が、トルエン中、80~100℃の温度及び0.3~0.5MPaの圧力で、少なくとも5時間にわたって実施され、式(II)の化合物とエチレンオキシドとのモル比が、1:28である、実施形態2~7のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
【0018】
10.式(II)の化合物の製造方法であり、
【化5】
酸性条件下、式(III)の化合物を式(IV)の化合物と反応させて式(II)の化合物を得る工程を含む。
【0019】
11.式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比が、1:2未満、別の選択
肢として1:2.1~1:3、さらに別の選択肢として1:2.1~1:2.3であり、1:2.1、1:2.2、又は1:2.3などである、実施形態10に記載の方法。
【0020】
12.反応が、シュウ酸、酢酸、硫酸、又は塩酸中で、別の選択肢としてシュウ酸中で実施される、実施形態10又は11に記載の方法。
【0021】
13.反応が、80℃以上、別の選択肢として80~100℃、なお別の選択肢として100℃で実施される、実施形態10~12のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
14.反応が、少なくとも5時間、別の選択肢として5~8時間、別の選択肢として少なくとも6時間、なお別の選択肢として6時間にわたって実施される、実施形態10~13のいずれか1つに記載の方法。
【0023】
15.反応の条件が、以下のうちの1つである、実施形態10~14のいずれか1つに記載の方法。
1)酸性条件下(シュウ酸、酢酸、硫酸、又は塩酸中など)、80℃以上の温度で少なくとも5時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2未満である。
2)氷酢酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である。
3)2mol/Lの硫酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である。
4)2mol/Lのシュウ酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である。
5)32%の塩酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である。
【0024】
16.式(IV)の化合物の製造方法であり、
【化6】
アルカリ性条件下、式(III)の化合物をホルムアルデヒドと反応させて式(IV)の化合物を得る工程を含む。
【0025】
17.式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比が、1:2未満、別の選択肢として1:2.1~1:5、さらに別の選択肢として1:2.1~1:2.3であり、1:2.1、1:2.2、又は1:2.3などである、実施形態16に記載の方法。
【0026】
18.式(III)の化合物対塩基のモル比が、1:1未満、別の選択肢として1:2~1:4、別の選択肢として1:2~1:3、さらに別の選択肢として1:2.5である、実施形態16又は17に記載の方法。
【0027】
19.反応が、無機塩基の存在下で、別の選択肢として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の存在下で実施される、実施形態16~18のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
20.反応が、60℃以上の温度で、別の選択肢として80~100℃の温度で実施される、実施形態16~19のいずれか1つに記載の方法。
【0029】
21.反応が、少なくとも2時間、別の選択肢として少なくとも3時間、別の選択肢として少なくとも4時間にわたって実施される、実施形態16~20のいずれか1つに記載の方法。
【0030】
22.反応の条件が、以下のうちの1つである、実施形態16~20のいずれか1つに記載の方法。
1)無機塩基(別の選択肢としてアルカリ金属水酸化物)の存在下、60℃以上で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2未満であり、式(III)の化合物対無機塩基のモル比は、1:1未満である。
2)水酸化カリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化カリウムのモル比は、1:2.5である。
3)水酸化ナトリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化ナトリウムのモル比は、1:2.5である。
【0031】
23.式(I)の化合物の製造方法であり、
【化7】
1)式(III)の化合物とホルムアルデヒドとを、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させる工程であって、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化ナトリウム/水酸化カリウムのモル比は、1:2.5である、工程、
2)式(III)の化合物と式(IV)の化合物とを、2mol/Lのシュウ酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させる工程であって、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である、工程、
3)式(II)の化合物とエチレンオキシドとを、トルエン中、100℃の温度及び0.3~0.5MPaの圧力で、少なくとも5時間にわたって反応させる工程であって、式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比は、1:28である、工程、
を含む。
【発明の効果】
【0032】
本開示の有益な効果
【0033】
本開示の新たな方法は、操作が簡単、反応条件が穏和、反応生成物の純度が高い、収率が高いなどの利点を有し、工業生産に有益である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
【0035】
「非プロトン性溶媒」は、非プロトン移動溶媒(non-proton transfer solvent)又は
非プロトン性溶媒(non-protonic solvent)とも称される。このような溶媒の自動プロトン分解反応は、極めて弱い、又は自動プロトン分解の傾向を有しない。非プロトン性溶媒は、n-ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、四塩化炭素などのアルカンなどの非プロトン性非極性溶媒と、アミド、ケトン、ニトリル、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトンなどの
非プロトン性極性溶媒とに分けることができる。
【0036】
「酸性条件」とは、通常は酸を添加することによって実現される、系のpHが7未満である条件を意味する。酸としては、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、カルボン酸(R-COOH)、スルホン酸(R-SO3H)、スルフィン酸(R-SOOH)、チオカルボン酸(R-SH)などが挙げられ、酢酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸などであり、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
【0037】
「アルカリ性条件」とは、通常は塩基を添加することによって実現される、系のpHが7超である条件を意味する。塩基としては、有機塩基及び無機塩基が挙げられ、有機塩基としては、アミン化合物及び窒素含有ヘテロ環化合物が挙げられ、また、ナトリウムメトキシド、カリウムエトキシド、及びカリウムtert-ブトキシドなどのアルコールのアルカリ金属塩、ブチルリチウム及びフェニルリチウムなどのアルキルリチウム化合物、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなどのリチウムアミド化合物などの一般的な有機塩基が挙げられ、無機塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素セシウムなどが挙げられる。
【0038】
本開示の技術的解決策を、実施例を参照して以下で明確かつ完全に記載する。明らかに、記載される実施例は、本開示を例示するために用いられるに過ぎず、本開示を限定するものではない。本開示の実施例に基づいて、創造的な取り組みを行うことなく当業者によって得られる他のすべての実施例は、本開示の保護範囲に含まれる。
【0039】
チロキサポールの合成法は以下の通りであり、
【化8】
式中、nは、6、7、8、9、10、11、又は12であり、別の選択肢として、nは、8、9、又は10であり、さらに別の選択肢として、nは、9である。
【0040】
工程1:アルカリ性条件下、式(III)の化合物をホルムアルデヒドと反応させて、式(IV)の化合物を得る。
【0041】
工程2:酸性条件下、式(IV)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(II)の化合物を得る。
【0042】
工程3:式(II)の化合物をエチレンオキシドと反応させて、式(I)の化合物を得る。
【実施例】
【0043】
実施例1
2,5-ジヒドロキシメチルp-tert-オクチルフェノールの合成
103.0gのp-tert-オクチルフェノール及び33gのホルムアルデヒドを反応瓶に入れた。500mLの水を反応瓶に添加し、50.0gの水酸化ナトリウムを、数回に分けて反応瓶に添加した。添加の終了後、温度を100℃に上げ、反応物を3時間にわたって撹拌した。反応の終了後、反応溶液をジクロロメタンで抽出して、有機相を得た。有機相を、清浄な水及び飽和食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄し、蒸発乾固して、117.6gの黄色液体を収率88.4%で得た。ESI-MS[M+H]+=267.5。
【0044】
試験1:式(IV)の化合物の製造に対する異なる塩基による影響
【0045】
表1:式(IV)の化合物の製造に対する異なる塩基による影響の検討
【表1】
【0046】
表2:式(IV)の化合物の製造に対する異なる塩基による影響の結果
【表2】
【0047】
用いられる塩基のアルカリ度が弱い場合、反応を正常に進行させることができない。したがって、アルカリ金属水酸化物が、別の選択肢として水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられ得る。
【0048】
試験2:式(IV)の化合物の製造に対する異なる反応温度による影響
【0049】
表3:式(IV)の化合物の製造に対する異なる反応温度による影響の検討
【表3】
【0050】
表4:式(IV)の化合物の製造に対する異なる反応温度による影響の結果
【表4】
【0051】
上記の試験結果は、この反応を進行させるためにはより高い温度が必要であり、温度が低すぎる場合、同じ時間内では反応を完全に進行させることができないことを証明するものである。したがって、選択される温度は、60℃以上、別の選択肢として80~100℃とするべきである。
【0052】
試験3:式(IV)の化合物の製造に対するホルムアルデヒドの供給比による影響
【0053】
表5:式(IV)の化合物の製造に対するホルムアルデヒドの供給比による影響の検討
【表5】
【0054】
表6:式(IV)の化合物の製造に対するホルムアルデヒドの供給比による影響の結果
【表6】
【0055】
上記の試験結果は、この反応に必要とされるホルムアルデヒドの量が、収率の安定性を確保するために、標準量の2倍よりも僅かに多い量である必要があることを証明するものである。しかし、ホルムアルデヒドの量をさらに増やしても、収率を大幅に向上させることはできない。したがって、選択されるホルムアルデヒドの量は、2倍超、別の選択肢として2.1~5倍、さらに別の選択肢として2.1~2.3倍とするべきである。
【0056】
試験4:式(IV)の化合物の製造に対する塩基の供給比による影響
【0057】
表7:式(IV)の化合物の製造に対する塩基の供給比による影響の検討
【表7】
【0058】
表8:式(IV)の化合物の製造に対する塩基の供給比による影響の結果
【表8】
【0059】
上記の試験結果は、塩基の量の違いは製品の収率にほとんど影響しないことを示している。反応の完了を確実とするために、式(III)の化合物対塩基のモル比は、1:1未満、別の選択肢として1:2~1:4、別の選択肢として1:2~1:3、さらに別の選択肢として1:2.5とするべきであると判断される。
【0060】
実施例12
フェノール樹脂の合成
66.5gの2,5-ジヒドロキシメチルp-tert-オクチルフェノール及び113.3gのp-tert-オクチルフェノールを反応瓶に入れた。250mLの精製水及び54gのシュウ酸を、この混合物に添加した。添加の終了後、温度を100℃に上げ、反応物を6時間にわたって撹拌した。反応の終了後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でpHを7~8に調整した。この水溶液をジクロロメタンで抽出して、有機相を得た。有機相を、清浄な水及び飽和食塩水でそれぞれ1回ずつ洗浄し、有機相を蒸発乾固して、127.7gの暗黄色液体を収率79.6%で得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.77(s,2H),7.25(d,J=2.5Hz,3H),7.10-6.59(m,5H),3.89(d,J=12.5Hz,3H),1.67(d,J=5.4Hz,6H),1.31(d,J=5.6Hz,18H),0.68(d,J=5.9Hz,27H)。
【0061】
試験5:式(II)の化合物の製造に対する供給比による影響
【0062】
表9:式(II)の化合物の製造に対する供給比による影響の検討
【表9】
【0063】
表10:式(II)の化合物の製造に対する供給比による影響の結果
【表10】
【0064】
上記の試験結果は、供給比率が1:2の場合に、原材料が残留することを示している。この反応に必要とされる供給比は、収率の安定性を確保するために、標準量の2倍よりも僅かに多い量とする必要がある。しかし、供給比をさらに増やしても、収率を大幅に向上させることはできない。したがって、2倍超の、別の選択肢として2.1~3倍の、さらに別の選択肢として2.1倍、2.2倍、又は2.3倍などの2.1~2.3倍の供給比を選択することが適切である。
【0065】
試験6:式(II)の化合物の製造に対する異なる酸による影響
【0066】
表11:式(II)の化合物の製造に対する異なる酸による影響の検討
【表11】
【0067】
表12:式(II)の化合物の製造に対する異なる酸の比による影響の結果
【表12】
【0068】
上記の試験は、酸性条件下において反応がスムーズに進行可能であり、シュウ酸の反応結果が最も優れていることを証明するものである。したがって、シュウ酸が好ましい。
【0069】
試験7:式(II)の化合物の製造に対する反応時間による影響
【0070】
表13:式(II)の化合物の製造に対する反応時間による影響の検討
【表13】
【0071】
表14:式(II)の化合物の製造に対する反応時間による影響の結果
【表14】
【0072】
上記の試験は、反応時間が5時間以上である場合、反応がスムーズに進行可能であることを証明するものである。反応時間を長くした後も、収率は大きく変化していない。したがって、反応を確実に完全に進行させるためには、反応時間は少なくとも5時間、別の選択肢として5~8時間、別の選択肢として少なくとも6時間、さらに別の選択肢として6時間とするべきであることが確認される。
【0073】
実施例22
チロキサポールの合成方法
80.0gのフェノール樹脂及び400.0mLのトルエンを、耐圧反応瓶に入れた。反応物を0℃に冷却した。153.2gのエチレンオキシドを反応物に添加し、反応物を、密閉した反応瓶中で80~100℃に加熱した。この時点で、反応瓶内の圧力は、約0.3~0.5MPaであった。この温度を維持しながら、反応を5時間行った。反応の終了後、反応溶液を0℃に冷却した。反応溶液に400mLの水を添加し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整した。液体を分離して有機相を得た。有機相を、水及び飽和食塩水で、それぞれ1回ずつ洗浄した。有機相を集め、溶媒を蒸発乾固させて、黄色オイルを得た。得られた黄色オイルを減圧蒸留して、76.0gの淡黄色オイル
を、収率77.3%及び純度99.4%で得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.54-6.41(m,8H),4.54(t,J=5.4Hz,3H),4.28-3.78(m,4H),3.69(ddt,J=14.5,9.3,4.1Hz,10H),3.76-3.40(m,98H),1.92-1.45(m,6H),1.36-1.04(m,18H),0.88-0.27(m,27H)。
【0074】
試験8:式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比の探索
【0075】
表15:式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比探索の試験例
【表15】
【0076】
表16:式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比探索の結果
【表16】
【0077】
上記の試験結果は、化合物の重合度を、式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比によって制御可能であることを証明するものである。重合度9の生成物を得るためには、選択肢としての供給比は、1:27~1:29、別の選択肢として1:28である。
【0078】
試験9:反応温度の探索
【0079】
【0080】
【0081】
上記の試験結果は、すべての反応が正常に進行可能であることを示している。したがって、温度は、60℃超であってもよく(60~120℃など)、別の選択肢として80℃超であってもよく(80~100℃など)、又はさらに別の選択肢として100℃であってもよいことが確認される。
【0082】
試験10:反応圧力の探索
【0083】
【0084】
【0085】
上記の結果は、反応を加圧下で行う必要があることを証明するものである。常圧下では、1つのエチレンオキシドしか反応せず、重合を起こすことはできない。したがって、反応は加圧される必要がある。しかし、圧力が高ければ高いほど、反応リスクは大きくなる。検討を通して、最終的には、圧力は、0.2~0.8MPa、別の選択肢として0.3~0.8MPa、さらに別の選択肢として0.3~0.5MPaであってよいことが確認されている。
【0086】
本開示について、好ましい実施例及び代替例に関して上記で開示してきたが、これらは、本開示を限定することを意図するものではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本技術に精通する誰であっても、様々な変更及び改変を行うことができる。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
「酸性条件」とは、通常は酸を添加することによって実現される、系のpHが7未満である条件を意味する。酸としては、有機酸及び無機酸が挙げられる。有機酸としては、カルボン酸(R-COOH)、スルホン酸(R-SO3H)、スルフィン酸(R-SOOH)、チオカルボン酸(RCO-SH)などが挙げられ、酢酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸などであり、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0067】
表12:式(II)の化合物の製造に対する異なる
酸による影響の結果
【表12】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
上記の試験結果は、化合物の重合度を、式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比によって制御可能であることを証明するものである。重合度n=9の生成物を得るためには、選択肢としての供給比は、1:27~1:29、別の選択肢として1:28である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、nは、6、7、8、9、10、11、又は12であり、別の選択肢として、nは、8、9、又は10であり、さらに別の選択肢として、nは、9である、式(I)の化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
【化2】
式(II)の化合物をエチレンオキシドと反応させて式(I)の化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項3】
前記方法が、下記の条件のうちの一以上を満たす、請求項2に記載の方法:
(1)式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比が、1:19~1:37であり、別の選択肢として1:25~1:32、別の選択肢として1:27~1:29、さらに別の選択肢として1:28である
;
(2)式(II)の化合物とエチレンオキシドとの前記反応が、非プロトン性溶媒中で、別の選択肢として非プロトン性非極性溶媒中で実施され、別の選択肢として、前記溶媒
は、n-ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、及びトルエンなどのアルカンであり、なお別の選択肢として、トルエンである;
(3)前記反応が、60℃以上の温度で(60~120℃など)、別の選択肢として80℃以上の温度で(80~100℃など)、なお別の選択肢として100℃の温度で実施される;
(4)前記反応が、0.2~0.8MPaの圧力で、別の選択肢として0.3~0.8MPaの圧力で、さらに別の選択肢として0.3~0.5MPaの圧力で実施される;及び
(5)前記反応が、少なくとも3時間、別の選択肢として少なくとも5時間にわたって実施される。
【請求項4】
前記反応が、トルエン中、80~100℃の温度及び0.3~0.5MPaの圧力で、少なくとも5時間にわたって実施され、式(II)の化合物と前記エチレンオキシドとのモル比が、1:28である、請求項
2又は3に記載の方法。
【請求項5】
式(II)の化合物。
【化3】
【請求項6】
式(II)の化合物の製造方法であって、
【化4】
酸性条件下、式(III)の化合物を式(IV)の化合物と反応させて式(II)の化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項7】
前記方法が、下記の条件のうちの一以上を満たす、請求項6に記載の方法:
(1)式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比が、1:2未満、別の選択肢として1:2.1~1:3、さらに別の選択肢として1:2.1~1:2.3であり、
1:2.1、1:2.2、又は1:2.3などである
;
(2)前記反応が、シュウ酸、酢酸、硫酸、又は塩酸中で、別の選択肢としてシュウ酸中で実施される;
(3)前記反応が、80℃以上、別の選択肢として80~100℃、なお別の選択肢として100℃で実施される;及び
(4)前記反応が、少なくとも5時間、別の選択肢として5~8時間、別の選択肢として少なくとも6時間、なお別の選択肢として6時間にわたって実施される。
【請求項8】
前記反応の条件が、
1)酸性条件下(シュウ酸、酢酸、硫酸、又は塩酸中など)、80℃以上の温度で少なくとも5時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2未満である;
2)氷酢酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である;
3)2mol/Lの硫酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である;
4)2mol/Lのシュウ酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である;
5)32%の塩酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させることであり、この場合、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である、
のうちの1つである、請求項
6又は7に記載の方法。
【請求項9】
式(IV)の化合物の製造方法であって、
【化5】
アルカリ性条件下、式(III)の化合物をホルムアルデヒドと反応させて式(IV)の化合物を得る工程を含む、方法。
【請求項10】
前記方法が、下記の条件のうちの一以上を満たす、請求項9に記載の方法:
(1)式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比が、1:2未満、別の選択肢として1:2.1~1:5、さらに別の選択肢として1:2.1~1:2.3であり、1:2.1、1:2.2、又は1:2.3などである
;
(2)式(III)の化合物対塩基のモル比が、1:1未満、別の選択肢として1:2~1:4、別の選択肢として1:2~1:3、さらに別の選択肢として1:2.5である;
(3)前記反応が、無機塩基の存在下で、別の選択肢として、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の存在下で実施される;
(4)前記反応が、60℃以上の温度で、別の選択肢として80~100℃の温度で実施される;及び
(5)前記反応が、少なくとも2時間、別の選択肢として少なくとも3時間、別の選択肢として少なくとも4時間にわたって実施される。
【請求項11】
前記反応の条件が、
1)無機塩基(別の選択肢としてアルカリ金属水酸化物)の存在下、60℃以上で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2未満であり、式(III)の化合物対無機塩基のモル比は、1:1未満である;
2)水酸化カリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化カリウムのモル比は、1:2.5である;
3)水酸化ナトリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させることであり、この場合、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化ナトリウムのモル比は、1:2.5である、
のうちの1つである、請求項
9又は10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
【化6】
1)式(III)の化合物とホルムアルデヒドとを、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下、80~100℃で少なくとも3時間にわたって反応させる工程であって、式(III)の化合物対ホルムアルデヒドのモル比は、1:2.2であり、式(III)の化合物対水酸化ナトリウム/水酸化カリウムのモル比は、1:2.5である、工程、
2)式(III)の化合物と式(IV)の化合物とを、2mol/Lのシュウ酸中、100℃で少なくとも6時間にわたって反応させる工程であって、式(IV)の化合物対式(III)の化合物のモル比は、1:2.2である、工程、
3)式(II)の化合物とエチレンオキシドとを、トルエン中、100℃の温度及び0.3~0.5MPaの圧力で、少なくとも5時間にわたって反応させる工程であって、式(II)の化合物対エチレンオキシドのモル比は、1:28である、工程、
を含む、方法。
【国際調査報告】