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特表2025-501585液体コーヒー抽出製品の生成プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】液体コーヒー抽出製品の生成プロセス
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/24 20060101AFI20250115BHJP
   A23F 5/28 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
A23F5/24
A23F5/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537943
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2022086973
(87)【国際公開番号】W WO2023118131
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2118988.1
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512183563
【氏名又は名称】コニンクレイク ダウエ エフベルツ ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーホーベン,マールテン
(72)【発明者】
【氏名】マーマン,マリア ヘンドリカ
(72)【発明者】
【氏名】ルース,エレン
(72)【発明者】
【氏名】スミッツ,ヨハネス フベルトゥス ペトルス マリア
(72)【発明者】
【氏名】リース,ジャック
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB24
4B027FC01
4B027FC05
4B027FE06
4B027FK01
4B027FK10
4B027FQ07
4B027FQ09
4B027FQ11
4B027FQ20
(57)【要約】
本発明は、液体コーヒー抽出製品の生成プロセスであって、プロセスが、a)高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を生成するために、焙煎して挽いたコーヒーを抽出工程の対象とする工程と、b)液体コーヒー抽出製品を得るために、低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にする工程を含み、方法が、低芳香性コーヒー抽出物のpHを、5.5を超えないpHまで上昇させる工程を更に含み、低芳香性コーヒー抽出物が、工程b)よりも前は110℃未満の温度に維持される液体コーヒー抽出製品の生成プロセスに関する。本発明はまた、コーヒー抽出製品が、6ヶ月間のチルド条件で保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は少なくとも30mgの量の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含む液体コーヒー抽出製品にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体コーヒー抽出製品の生成プロセスであって、前記プロセスが、
a)高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を生成するために、焙煎して挽いたコーヒーを抽出工程の対象とする工程と、
b)液体コーヒー抽出製品を得るために、前記低芳香性コーヒー抽出物と前記高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にする工程を含み、
前記方法が、前記低芳香性コーヒー抽出物のpHを、5.5を超えないpHまで上昇させる工程を更に含み、前記低芳香性コーヒー抽出物が、工程b)よりも前は110℃未満の温度に維持される液体コーヒー抽出製品の生成プロセス。
【請求項2】
工程a)の後でかつ工程b)の前に、前記プロセスが、低芳香性コーヒー抽出濃縮物を生成するために、前記低芳香性コーヒー抽出物を濃縮する工程を更に含み、工程b)が、液体コーヒー抽出製品を得るために、前記低芳香性コーヒー抽出濃縮物と前記高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にする工程を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
工程a)の後でかつ工程b)の前に、混合物を形成するために、前記低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の一部が、前記高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされ、工程b)が、前記混合物を前記低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の残りに添加することを含む請求項1又は請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記低芳香性コーヒー抽出物又は前記低芳香性コーヒー抽出濃縮物の少なくとも2重量%が、前記混合物を形成するように、前記高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされる請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記低芳香性コーヒー抽出物又は前記低芳香性コーヒー抽出濃縮物の2~40重量%が、前記混合物を形成するように、前記高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされる請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記低芳香性コーヒー抽出物又は前記低芳香性コーヒー抽出濃縮物の5~15重量%が、前記混合物を形成するように、前記高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされる請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記混合物が、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との間に、少なくとも0.2:1の比を有する請求項3乃至6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記混合物が、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との間に、0.35:1~0.7:1の比を有する請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記pHを上昇させる前記工程が、前記pHを4.5~5.5に上昇させ得る請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記pHを上昇させる前記工程が、前記pHを4.8~5.2に上昇させ得る請求項1乃至9のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記pHを上昇させる前記工程が、前記pHを0.1~0.8だけ上昇させ得る請求項1乃至10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記pHを上昇させる前記工程が、前記低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒーの滴定酸度を、250mmol/kgを超えない量だけ上昇させることを含む請求項1乃至11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の滴定酸度が、40~340mmol/kgだけ上昇し得る請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の滴定酸度が、50~140mmol/kgだけ上昇し得る請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の滴定酸度が、70~110mmol/kgだけ上昇し得る請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記pHを上昇させる前記工程が、イオン交換プロセスを使用して実行される請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記イオン交換プロセスが、イオン交換樹脂及び/又は吸着剤の前記添加を含む請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記イオン交換樹脂が、ポリアクリレート又はポリスチレン系である請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の少なくとも50重量%が、前記pH上昇工程の対象となる請求項1乃至18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の70~98重量%が、前記pH上昇工程の対象となる請求項19に記載のプロセス。
【請求項21】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載のプロセスによって得られるpHが5.5を超えない液体コーヒー抽出製品。
【請求項22】
前記液体コーヒー抽出製品が、液体コーヒー濃縮物である請求項21に記載の製品。
【請求項23】
前記コーヒー抽出製品が、チルド条件で6ヶ月間保存された後、前記コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は少なくとも30mgの量の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含む請求項21又は22に記載の製品。
【請求項24】
4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含む液体コーヒー抽出製品であって、前記コーヒー製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量が、チルド条件で6ヶ月間保存された後、前記コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は少なくとも30mgである液体コーヒー抽出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チルド(child)温度及び周囲温度において改善された保存安定性を有する液体コーヒー抽出製品の生成プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
液体コーヒー濃縮物のような液体コーヒー抽出製品は、商業的及び/又は工業的目的のためにますます需要が高まっている。液体コーヒー抽出製品、例えばコーヒー自動販売機において使用するための液体コーヒー濃縮物の生成及び販売のためには、十分な貯蔵寿命を有する液体コーヒーを提供することが望ましい。現在まで、このような液体コーヒー抽出製品は、凍結形態で保存されていることがほとんどで、冷蔵保存されていることもある。非冷蔵保存の場合は、サプライチェーンコストを減少させることができる。しかしながら、非冷蔵保存用に販売されているほとんどの製品は、依然として貯蔵寿命が短く望ましくない。
【0003】
一般的に言えば、液体コーヒー抽出製品(濃縮物又は抽出物など)は、時間の経過とともに不安定になり、室温では次第に酸性になる。当業者に知られているように、pHの低下は、微生物作用並びに化学反応、例えばエステル及びラクトンなどのいくつかの化合物のゆっくりとした加水分解反応、カルボニル基含有化合物の酸化又は多糖類及びタンパク質の間で起こるメイラード反応でさえも引き起こす場合がある。pH4.8は、味覚受容性の下限とみなされていることが文献を通じた共通認識である。そのpHレベルよりも酸性側では、抽出されたコーヒーは飲めなくなる。微生物による酸性化を克服するために、液体コーヒーは、多くの場合、UHT(Ultra High Temperature、超高温)で処理される。特に好適なUHT処理は、120℃で数秒間である。
【0004】
液体コーヒーの貯蔵寿命に関する参考文献は、欧州特許第1374690号である。この参考文献において、抽出されたコーヒーは、本質的に調製直後に塩基又はアニオン性樹脂を添加して、pHを5.5よりも上昇させることによって、酸性度の補正が実現される。得られた抽出物には、低温殺菌が行われる。低温殺菌は、抽出されたコーヒーの官能的特性に影響を及ぼさない保持時間及び温度を題材にして本参考文献中で考察されている。典型的な温度範囲は、1分以内の保持時間では100℃~140℃である。この方法でも、十分な貯蔵寿命及び品質の製品を生成することができない。
【0005】
液体コーヒーの安定化に関する別の参考文献は、欧州特許第1182936号である。この参考文献は、保存中の酸の形成を説明しているか又は酸の形成を低減させることを述べていると思われる。これは、アルカリの添加又はイオン交換によって行われるのであろう。通常、pHは、9よりも上げられる。この方法であっても、十分な貯蔵寿命及び品質の製品を生成することができない。
【0006】
本発明の目的は、液体コーヒー抽出製品の保存の向上と、フレーバー及び品質の向上とを一緒に達成するプロセスを提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、フレーバー又は品質の顕著な低減なしに、チルド及び/又は周囲条件下で保存可能な液体コーヒー抽出製品を提供することでもある。
【0008】
また、本発明の実施形態の目的は、本明細書に明示的に開示されているかどうかに関わらず、先行技術の少なくとも1つの問題を克服することでもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、液体コーヒー抽出製品の生成プロセスであって、本プロセスが、
a)高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を生成するために、焙煎して挽いたコーヒーを抽出工程の対象とする工程と、
b)液体コーヒー抽出製品を得るために、低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にする工程を含み、
本方法が、低芳香性コーヒー抽出物のpHを、5.5を超えないpHまで上昇させる工程を更に含み、低芳香性コーヒー抽出物が、工程b)よりも前は110℃未満の温度に維持される液体コーヒー抽出製品の生成プロセスが提供される。
【0010】
驚くべきことに、液体コーヒー抽出製品のpHの上昇が、チルド及び周囲条件下での保存中の結合酸の放出に起因する劣化を防止することが見出されている。pHの上昇は、保存中の酸の形成の原因となり又は酸の形成を減少させる。有益なことに、これによって、液体コーヒー抽出製品は、芳香に顕著な影響を及ぼすことなく、6ヶ月を超える貯蔵寿命を有することが可能になる。
【0011】
更に、驚くべきことに、液体コーヒー抽出製品のpHの上昇が5.5を超えないと、芳香プロファイルの不均衡を防止することが見出されている。理論に束縛されるものではないが、コーヒーのpHと、気相(カップの上方のヘッドスペース)と液相(抽出液中)との間の芳香化合物の分配との間には何らかの関係が存在すると考えられる。例えば、本発明者らは、コーヒー抽出製品のpHを、5.5を超えるまで増加させると、ヘッドスペース中の2-フルフリルチオール(焙煎の香り(note))の濃度が減少し、コーヒーの香りがより平坦に感じられるようになることを見出した。一方、ピリジン(魚のような匂い)などの芳香化合物は、逆の効果を示す。言い換えれば、5.5を超えるほどのpHの上昇は、ヘッドスペース中のピリジンの濃度を増加させ、異臭(off-flavor)を感じさせるようになることをもたらすことが観察されている。
【0012】
したがって、驚くべきことに、本発明者らは、pHが5.5を超えないまで上昇すると、芳香プロファイルの不均衡を減少させ、得られる製品の感覚的品質がより良好になることを見出した。
【0013】
また、驚くべきことに、工程b)の前に温度を110℃未満に維持することによって、液体コーヒー抽出製品の品質が改善され、製造プロセスにおけるコスト及びエネルギー必要量が低減されることも見出した。
【0014】
驚くべきことに、本発明者らは、pH上昇工程においてpHが5.5を超えないところまで上昇するので、低芳香性コーヒー抽出製品は、結合酸を放出するために、110℃を超える温度で熱処理する必要がないことを見出した。これによって、液体コーヒー濃縮物の味覚及び品質が改善されることが観察された。
【0015】
本プロセスは、低芳香性コーヒー抽出濃縮物を生成するために、低芳香性コーヒー抽出物を濃縮する工程を更に含んでもよい。
【0016】
低芳香性コーヒー抽出物を濃縮する工程は、工程a)の後でかつ工程b)の前に実施されてもよい。
【0017】
この実施形態では、工程b)は、液体コーヒー抽出製品を生成するために、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にすることを含む。
【0018】
濃縮物は、水の蒸発などの実質的な水除去工程を受けていたことによって、抽出物と区別される。低芳香性コーヒー濃縮物は、一般に、少なくとも4重量%、好ましくは4~75重量%、より好ましくは10~60重量%の乾燥物質固形成分を有する。本発明のいくつかの実施形態では、低芳香性コーヒー濃縮物は、15~40重量%の乾燥物質固形成分を有していてもよい。本発明の他のいくつかの実施形態では、低芳香性コーヒー濃縮物は、50~60重量%の乾燥物質固形成分を有していてもよい。
【0019】
本発明のプロセスは、低芳香性コーヒー抽出物の一部が、混合物を形成するように、高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされる工程と、混合物を低芳香性コーヒー抽出物の残りに添加する更なる工程とを更に含んでいてもよい。
【0020】
本プロセスが低芳香性コーヒー抽出物を濃縮する工程を含む実施形態では、本プロセスは、混合物を形成するために、低芳香性コーヒー抽出濃縮物の一部が、高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされる工程と、混合物を低芳香性コーヒー抽出濃縮物の残りに添加する更なる工程とを更に含んでいてもよい。
【0021】
本発明者らは、驚くべきことに、混合物を形成するために、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の少なくとも一部が高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされることによって、品質に悪影響を及ぼすことなく、高芳香性抽出物をより長期間保存することが可能になることを発見した。
【0022】
典型的に、既存のプロセスでは、高芳香性抽出物は、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と混合することなく、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と一緒にされる。したがって、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物が、遠心分離及び/又はpH処理などの更なる処理工程の対象とされ、高芳香性コーヒー抽出物が長期間保存される場合は、高芳香性コーヒー抽出物は、高芳香性抽出物を低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にすると、コーヒー抽出物又はコーヒー濃縮物に観察される否定的な性質を発症させるかもしれない。
【0023】
更に、混合物の形成は、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の濃度を損なうことなく、高芳香性抽出物が低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされることを可能にする。例えば、混合物を形成することによって、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、混合物が既に低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の一部を含んでいるので、混合物を戻す際に最小限に希釈される。
【0024】
工程c)において、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、又は7重量%が、混合物を形成するように、高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされる。いくつかの実施形態では、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、又は10重量%以下が、混合物を形成するように、高芳香コーヒー抽出物と一緒にされてもよい。
【0025】
低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物の好ましくは2~40重量%、より好ましくは5~40重量%、より好ましくは5~25重量%、より好ましくは5~15重量%、最も好ましくは10重量%が、混合物を形成するように、高芳香性コーヒー抽出物と一緒にされる。
【0026】
混合物は、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との間に、少なくとも0.2:1、0.3:1、0.35:1、0.4:1、又は0.5:1の比を有していてよい。いくつかの実施形態では、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との比は、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、又は0.6:1を超えない比であってもよい。
【0027】
好ましくは、混合物は、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との比が0.35:1~0.7:1、より好ましくは0.4:1~0.65:1、より好ましくは0.5:1~0.6:1、最も好ましくは0.55:1である。
【0028】
上記の比は、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物中のコーヒー固形物と高芳香性コーヒー抽出物との質量比であってもよい。
【0029】
高芳香性コーヒー抽出物は、混合物の形成の前及び/又は後に保存されてもよい。
【0030】
一般的に、残りの低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物を、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との混合物と一緒にする工程は、任意の更なる複数の処理工程及び包装の前に工場内で行われる。
【0031】
工場では、一時的な、好ましくは冷却された、好ましくは10℃未満での保存後、混合物は、更に処理されることなく、低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物に直接添加されてもよい。低芳香性コーヒー抽出物又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物に添加するために、混合物は、可能な限り短時間保存され、かつ冷却されることが好ましく、これらの工程により、芳香の損失及び芳香の複数の分解反応が、可能な限り制限される。
【0032】
pHを上昇させる工程は、pHを5.4、5.2、5.3、5.2、5.1、5.0、4.9、4.8、又は4.7を超えないpHに上昇させてもよい。いくつかの実施形態では、pHを上昇させる工程は、pHを少なくとも4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又は5.0に上昇させてもよい。
【0033】
pHを上昇させる工程は、pHを4.5~5.5、4.6~5.5、4.7~5.5、4.8~5.5、4.9~5.5、又は5.0~5.5に上昇させてもよい。
【0034】
低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは、少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、又は0.6だけ上昇してもよい。いくつかの実施形態では、コーヒー抽出物及び/又はコーヒー抽出濃縮物のpHは、0.8、0.7、0.6、又は0.5を超えないだけ上昇してもよい。
【0035】
低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは、上昇開始時のpHよりも0.1~0.8、0.1~0.7、0.1~0.6、0.1~0.5、又は0.1~0.4単位だけ高く上昇してもよい。
【0036】
この上昇は、上昇開始時のpHに対するものである。すなわち、上昇開始時のpHが4である場合、pHが上昇しても、依然として酸性であり、例えば5であってよい。しかしながら、コーヒーストリームの開始時のpHは、好ましくは4.5~5.5、より好ましくは4.8~5.5である。
【0037】
pHを上昇させる工程において、低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の滴定酸度は、250mmol/kg、225mmol/kg、200mmol/kg、175mmol/kg、150mmol/kg、140mmol/kg、130mmol/kg、120mmol/kg、110mmol/kg、105mmol/kg、100mmol/kg、95mmol/kg、90mmol/kg、又は85mmol/kgを超えない量だけ上昇させてもよい。いくつかの実施形態では、低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の滴定酸度は、少なくとも40mmol/kg、50mmol/kg、60mmol/kg、65mmol/kg、70mmol/kg、75mmol/kg、80mmol/kg、又は85mmol/kgだけ上昇してもよい。
【0038】
滴定酸度は、40~250mmol/kg、40~225mmol/kg、40~200mmol/kg、40~175mmol/kg、40~150mmol/kg、40~140mmol/kg、40~130mmol/kg、40~120mmol/kg、40~110mmol/kg、50~110mmol/kg、60~110mmol/kg、好ましくは70~110mmol/kgだけ上昇してもよい。
【0039】
「滴定酸度」は、本明細書において、低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の全酸濃度を指すために使用され、乾燥コーヒー物質のmmol/kgで測定される。
【0040】
驚くべきことに、本発明者らは、より低い程度の脱酸が芳香プロファイルの不均衡を防止することを見出した。
【0041】
pHは、任意の好適な手順を使用して上昇されてもよい。
【0042】
本発明の一実施形態では、アルカリを低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物に添加して、pHを上昇させてもよい。
【0043】
アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム及び重炭酸ナトリウムからなる群から選択されてよい。
【0044】
あるいは、pH上昇工程は、アルカリを添加せずに実行される。
【0045】
有益なことに、種々の異物の添加を回避することによって、処理後の製品が、多くの管轄区域における適用可能ないくつかの食品法に従って「コーヒー」であることに変わりがないと保証される。このような管轄区域では、抽出から得られた物質以外の物質の添加は、コーヒーとして示されることが許されない製品となるであろう。このような製品は、消費者にとって異なる知覚として受け取られるかもしれないことが理解されるであろう。
【0046】
好ましくは、pHを上昇させる工程は、イオン交換プロセスを使用して実行される。
【0047】
有益なことに、イオン交換プロセスの使用は、添加剤が低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物に添加されないことを意味する。
【0048】
このような実施形態では、好ましくは、pH上昇工程は、アルカリを添加せずに実行される。
【0049】
イオン交換プロセスは、イオン交換樹脂及び/又は吸着剤の添加によって実行されてよい。
【0050】
吸着剤は、炭素系、ポリアクリレート系、又はポリスチレン系であってよい。市販の吸着剤の例としては、Purolite(登録商標) MN200、Purolite(登録商標) MN202及びLewatit(登録商標) AF5が挙げられる。
【0051】
イオン交換樹脂は、強塩基性又は弱塩基性アニオン交換樹脂であってよい。好ましくは、イオン交換樹脂は、弱塩基性アニオン交換樹脂である。
【0052】
イオン交換樹脂は、ポリアクリレート又はポリスチレンがベースにされてよい。
【0053】
好ましくは、イオン交換樹脂は、ポリアクリレートがベースにされてよい。
【0054】
イオン交換樹脂は、1つ以上のアミン官能基を有していてよい。アミン官能基は、一級、三級及び四級アミン基、並びにポリアミン基であってもよい。好ましくは、アミン官能基は三級アミンである。
【0055】
市販のイオン交換樹脂の例が、以下の表に列挙されている。
【0056】
【表1】
低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、80重量%、又は90重量%が、pH上昇工程の対象とされてよい。いくつかの実施形態では、低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の98重量%、95重量%、90重量%、85重量%、又は80重量%以下が、pHを上昇させる工程の対象とされてよい。
【0057】
低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー濃縮物の好ましくは60~98重量%、より好ましくは70~98重量%、最も好ましくは85~95重量%が、pH上昇工程の対象とされてよい。
【0058】
工程a)における抽出のために選択されるコーヒーは、任意のタイプの焙煎コーヒーであってかまわない。焙煎コーヒーを選ぶことは、当業者に周知である。例えば、出発材料は、いくつかの工業的抽出プロセスのための通常のコーヒー豆原材料であってよく、コーヒーの原材料は、通常の方式で焙煎される。原則として、その目的のために、いくつかの異なるタイプのコーヒーの原材料の混合物が使用される。焙煎されたコーヒー豆は挽かれ、一般に、粉砕の程度によって、可能な限り大きな表面を残すことと抽出セルにわたる可能な限り低い圧力降下とすることとの間で妥協が求められている。挽いた豆は、平均サイズが2.0ミリメートルであってよい。
【0059】
コーヒーの芳香をより良好に保存するために、本発明のpH上昇工程は、低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物に対して実行される。これは、a)コーヒー抽出物を得るために、焙煎して挽いたコーヒーを、水を用いる1つ以上の抽出工程の対象として、a)における1またはそれ以上の抽出工程中の分留又は工程a)の後の芳香回収のいずれかによって、コーヒー抽出物を分離して(すなわち、分離のためにコーヒー抽出物を対象にして)、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を得ることができる。
【0060】
当業者は、分留による分離が抽出物の分留収集をもたらすこと、及び他の分離方法、又は例えば抽出物の分留収集と芳香回収との組み合わせが、利用可能であることを理解するであろう。工程a)の後の芳香回収の例としては、蒸気ストリッピング、超臨界CO2抽出及び浸透気化法が挙げられる。
【0061】
好ましくは、コーヒー抽出物は、抽出工程a)中に分留される。それから得られる高芳香性コーヒー抽出物中に存在する特定のコーヒー芳香は、工程a)の後の完全抽出物から蒸気ストリッピングによって回収されたコーヒー芳香と比較して、より自然なコーヒー特性を有する。高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が得られる。当業者に知られているように、高芳香性コーヒー抽出物は、半揮発性フレーバー化合物と比較して、比較的多量の揮発性フレーバー化合物を有することによって、高芳香性コーヒー抽出物自身を低芳香性コーヒー抽出物と区別している。このような化合物は、例えば、Clarke R.J.and Vitzthum O.G.,Coffee Recent Developments,2001(ISBN 0-632-05553-7),p.71,table3.3から知られている。この表(table3.3)から、一方では、プロパナール、メチルプロパナール及び2,3ブタンジオンは、測定可能な揮発性フレーバー化合物であることが明らかである。他方、ピラジン化合物及びグアイアコール化合物は、半揮発性フレーバー化合物である。
【0062】
2,3-ブタンジオンを揮発性コーヒーフレーバー化合物の例として、グアイアコール、4エチルグアイアコール及び2-アセチルピラジンを半揮発性コーヒーフレーバー化合物の例として、それぞれ取り上げると、揮発性コーヒーフレーバー化合物と半揮発性コーヒーフレーバー化合物との重量:重量比は、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を特徴付けるために使用することができる。
【0063】
低芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンとグアイアコールの重量:重量比は、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.4:1を超えず、又は0.3:1を超えないようにすることがよい。
【0064】
低芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンとグアイアコールの重量:重量比は、0.06:1~0.3:1、0.07:1~0.29:1、0.08:1~0.28:1、0.09:1~0.27:1、0.10:1~0.26:1、又は0.11:1~0.25:1であってよい。
【0065】
高芳香性抽出物中の2,3-ブタンジオンとグアイアコールの重量:重量比は、少なくとも2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1であってよい。
【0066】
高芳香性抽出物中の2,3-ブタンジオンとグアイアコールの重量:重量比は、2.10:1~12.90:1、2.20:1~12.80:1、2.30:1~12.70:1、2.40:1~12.60:1、又は2.44:1~12.59:1であってよい。
【0067】
低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性抽出物との混合物中の2,3-ブタンジオンとグアイアコールの重量:重量比は、少なくとも2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、又は少なくとも15:1であってよい。
【0068】
低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性抽出物との混合物中の2,3-ブタンジオンとグアイアコールの重量:重量比は、2.50:1~18.90:1、2.60:1~18.80:1、2.70:1~18.70:1、2.75:1~18.60:1、又は2.76:1~18.60:1であってよい。
【0069】
低芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンと4-エチルグアイアコールの重量:重量比は、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.4:1を超えず、又は0.3:1を超えないようにすることがよい。
【0070】
低芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンと4-エチルグアイアコールの重量:重量比は、0.20:1~1.70:1、0.25:1~1.65:1、0.30:1~1.60:1、0.35:1~1.55:1、又は0.37:1~1.51:1であってよい。
【0071】
高芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンと4-エチルグアイアコールの重量:重量比は、少なくとも1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1であってよい。
【0072】
高芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンと4-エチルグアイアコールの重量:重量比は、2.30:1~28.0:1、2.40:1~27.95:1、2.50:1~27.90:1、2.60:1~27.85:1、又は2.62:1~27.83:1であってよい。
【0073】
低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性抽出物との混合物中の2,3-ブタンジオンと4-エチルグアイアコールの重量:重量比は、少なくとも2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1、31:1、32:1、33:1、34:1、35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、又は少なくとも40:1であってよい。
【0074】
低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性抽出物との混合物中の2,3-ブタンジオンと4-エチルグアイアコールの重量:重量比は、2.70:1~43.50:1、2.75:1~43.40:1、2.80:1~43.30:1、2.85:1~43.20:1、2.90:1~43.10:1、2.95:1~43.05:1、又は2.97:1~43.04:1であってよい。
【0075】
低芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンと2-アセチルピラジンの重量:重量比は、1:1、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.4:1を超えず、又は0.3:1を超えないようにすることがよい。
【0076】
低芳香性コーヒー中の2,3-ブタンジオンと2-アセチルピラジンの重量:重量比は、0.1:1~0.7:1、0.15:1~0.65:1、0.20:1~0.60:1、又は0.25:1~0.60:1であってよい。
【0077】
高芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンと2-アセチルピラジンの重量:重量比は、少なくとも10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、25:1、26:1、27:1、又は少なくとも28:1であってよい。
【0078】
高芳香性コーヒー抽出物中の2,3-ブタンジオンと2-アセチルピラジンの重量:重量比は、10:1~30:1、11:1~30:1、12:1~30:1、12.1:1~29.9:1、12.2:1~29.8:1、12.3:1~29.7:1であってよい。
【0079】
低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性抽出物との混合物中の2,3-ブタンジオンと2-アセチルピラジンの重量:重量比は、17.00:1~35.70:1、17.05:1~35.65:1、17.10:1~35.60:1、17.15:1~35.55:1、17.20:1~35.50:1、17.25:1~35.45:1、又は17.27:1~35.45:1であってよい。
【0080】
高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を生成するための抽出工程は、当業者に既知の任意の好適な方法であってよい。高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を生成するための複数の抽出工程は、コーヒー生成分野において周知されている。本プロセスは、液体コーヒー抽出製品中の微生物増殖を低減するための1つ以上の低温殺菌工程を更に含んでいてよい。
【0081】
低温殺菌工程は、熱処理を含んでいてもよい。
【0082】
熱処理は、60℃~120℃の温度で、1~100秒の保持時間で実行されてよい。熱処理は、60℃~95℃の温度で、20~70秒の保持時間で実行されてよい。熱処理は、100~120℃の温度で、1~5秒の保持時間で実行されてよい。
【0083】
本プロセスは、液体コーヒー抽出製品を6℃未満の温度に冷却する(chilling)工程を更に含んでよい。好ましくは、液体コーヒー濃縮物を冷却する(chilling)工程は、濃縮物の温度を4℃から6℃未満に低減させる。
【0084】
液体コーヒー抽出製品を冷却する(chilling)工程は、当技術分野において既知の任意の好適な冷蔵方法によって実施されてよい。
【0085】
驚くべきことに、本発明のプロセスによって生成された液体コーヒー抽出製品は、良くない品質効果を伴うことなく、チルド製品として保存しておいてよいことが観察された。このような方法で、本発明のプロセスは、同じ期間保存された既存の凍結液体コーヒー抽出製品と比較した場合、実質的な差がない期間保存され得るチルド液体コーヒー抽出製品を提供することが可能である。有益なことに、これは、本発明のプロセスによって生成された液体コーヒー抽出製品が、チルドサプライチェーンにおいて使用に好適であり、それによって顧客の利便性を改善することを意味する。
【0086】
本プロセスは更に、同様に添加されてもよい通常の液体又は複数の乾燥充填剤成分の添加を含んでもよい。1つの充填剤成分は、第1の一次抽出物の顕著なフレーバー特性をある程度中和するために使用されることがある。充填剤は、好ましくは高収率コーヒー製品である。充填剤は、pH上昇工程の前又は後に、低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物に添加されてもよい。
【0087】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様によるプロセスによって得られるような、pHが5.5を超えない液体コーヒー抽出製品が提供される。
【0088】
液体コーヒー抽出製品は、液体コーヒー濃縮物であってもよい。
【0089】
驚くべきことに、本発明者らは、本発明のプロセスによって得られるような液体コーヒー抽出製品が、改善された貯蔵寿命を有し、周囲温度(一般的に5℃~25℃、好ましくは冷蔵装置を必要としない温度を示す)で、少なくとも6ヶ月間腐敗することなく保存され得ることを見出した。
【0090】
本発明者らはまた、本発明のプロセスによって得られるような液体コーヒー抽出製品が、改善された貯蔵寿命を有し、チルド温度(一般的に4℃~6℃の温度を示す)で、少なくとも6ヶ月間腐敗することなく保存され得ることも発見した。
【0091】
液体コーヒー抽出製品は、周囲条件によって、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18ヶ月の貯蔵寿命である。
【0092】
液体コーヒー抽出製品は、チルド条件によって、少なくとも6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18ヶ月の貯蔵寿命である。
【0093】
「貯蔵寿命」とは、液体コーヒー抽出製品が官能プロファイルに顕著な悪影響を与えることなしに保存されるであろう期間を意味する。より具体的には、「貯蔵寿命」という用語は、液体コーヒー抽出製品が実質的な酸化を起こすことなく保存されるであろう期間を指していればよい。
【0094】
液体コーヒー抽出製品は、4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含んでいてよい。
【0095】
このような実施形態では、コーヒー抽出製品が、チルド条件で6ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30mgの量の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含んでいてよい。
【0096】
チルド条件とは、2~8℃の温度で保存することを意味する。
【0097】
コーヒー抽出製品が、チルド条件で6ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、30~80、30~79、30~78、30~77、30~76、30~75、30~74、30~73、30~72、30~71、30~70、30~69、又は30~68mgの量の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含んでいてよい。
【0098】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で9ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30mgであってもよい。
【0099】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で9ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、30~80、30~79、30~78、30~77、30~76、30~75、30~74、30~73、30~72、30~71、30~70、30~69、30~68、30~67、30~66、30~65、30~64、30~63、30~62、30~61、30~60、30~59、30~58、30~57、30~56、30~55、30~54、30~53、30~52、又は30~51mgであってよい。
【0100】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で12ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30mgであってもよい。
【0101】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で12ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、30~80、30~79、30~78、30~77、30~76、30~75、30~74、30~73、30~72、30~71、30~70、30~69、30~68、30~67、30~66、30~65、30~64、30~63、30~62、30~61、30~60、30~59、30~58、30~57、30~56、30~55、30~54、30~53、又は30~52mgであってもよい。
【0102】
驚くべきことに、本発明者らは、本発明のプロセスによって得られるようなコーヒー製品が、保存中はるかに高いレベルの4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを有することを見出した。本発明者らは、より高いレベルの4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドが苦味成分として作用することを見出した。これは、保存することを通してコーヒー製品に必要とされる苦味を保ち、コーヒー製品の貯蔵寿命の改善に寄与する。
【0103】
液体コーヒー抽出製品は、6重量%~80重量%のコーヒー固形分(すなわち、乾燥物質)、好ましくは10重量%~65重量%、より好ましくは15重量%~50重量%を含んでいてよい。
【0104】
液体コーヒー抽出製品は、周囲条件での保存に好適かもしれない。このような実施形態では、液体コーヒー抽出製品は、5℃~25℃の温度で保存されてよい。
【0105】
このような実施形態では、本発明の液体コーヒー抽出製品は、液体コーヒー抽出製品の感覚プロファイルにおいて顕著な低減なしに周囲条件で保存されてよい。
【0106】
液体コーヒー抽出製品は、チルド条件で保存されることに好適であろう。このような実施形態では、液体コーヒー抽出製品は、2℃~8℃、好ましくは4℃~6℃の温度で保存されるとよい。
【0107】
このような実施形態では、本発明の液体コーヒー抽出製品は、液体コーヒー抽出製品の官能プロファイルにおいて顕著な低減なしにチルド条件で保存されてよい。
【0108】
液体コーヒー抽出製品は、任意の好適な包装、例えば、パウチ、バッグ、カートン、又はボトルに包装されてよい。
【0109】
本発明の更なる態様によれば、4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含む液体コーヒー抽出製品であって、コーヒー製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量が、チルド条件で6ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20mgである液体コーヒー抽出製品が提供される。
【0110】
チルド条件とは、2~8℃の温度で保存することを意味する。
【0111】
コーヒー製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で6ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は少なくとも30mgであってよい。
【0112】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で6ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、30~80、30~79、30~78、30~77、30~76、30~75、30~74、30~73、30~72、30~71、30~70、30~69、又は30~68mgであってよい。
【0113】
本発明のまた更なる態様では、4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含む液体コーヒー抽出製品であって、コーヒー製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量が、チルド条件で9ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20mgである液体コーヒー抽出製品が提供される。
【0114】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で9ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、30mgであってよい。
【0115】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で9ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、30~80、30~79、30~78、30~77、30~76、30~75、30~74、30~73、30~72、30~71、30~70、30~69、30~68、30~67、30~66、30~65、30~64、30~63、30~62、30~61、30~60、30~59、30~58、30~57、30~56、30~55、30~54、30~53、30~52、又は30~51mgであってよい。
【0116】
本発明のまた更なる態様では、4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含む液体コーヒー抽出製品であって、コーヒー製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量が、チルド条件で12ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20mgである液体コーヒー抽出製品が提供される。
【0117】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で12ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30mgであってよい。
【0118】
コーヒー抽出製品中の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドの量は、チルド条件で12ヶ月間保存された後、コーヒー製品の乾燥物質1kg当たり、30~80、30~79、30~78、30~77、30~76、30~75、30~74、30~73、30~72、30~71、30~70、30~69、30~68、30~67、30~66、30~65、30~64、30~63、30~62、30~61、30~60、30~59、30~58、30~57、30~56、30~55、30~54、30~53、又は30~52mgであってよい。
【0119】
本発明者らは、高レベルの4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドを含むコーヒー製品が、6ヶ月、9ヶ月又は12ヶ月の保存後に、改善された味覚を示し、改善された貯蔵寿命を有することを見出した。
【0120】
本発明の更なる態様によれば、液体コーヒー濃縮物の生成プロセスであって、本プロセスが、
a)高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物を生成するために、焙煎して挽いたコーヒーを抽出工程の対象とする工程と、
b)低芳香性コーヒー抽出濃縮物を生成するために、低芳香性コーヒー抽出物を濃縮する工程と、
c)混合物を形成するために、低芳香性コーヒー抽出濃縮物の一部を、高芳香コーヒー抽出物と一緒にする工程と、
d)混合物を低芳香性コーヒー抽出濃縮物の残りに添加する工程と、を含み、
本方法が、低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHを、5.5を超えないpHまで上昇させる工程を更に含むプロセスが提供される。
【0121】
低芳香性コーヒー抽出物及び/又は低芳香性コーヒー抽出濃縮物及び/又は液体コーヒー濃縮物の温度は、プロセス工程a)、b)、c)及びd)を通して110℃未満の温度に維持されるとよい。
【0122】
本発明の更なる態様は、本明細書に記載される本発明の他の態様の特徴のいずれかを、必要に応じて又は適宜に組み込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0123】
本発明がより明確に理解され得るように、本発明の1つ以上の実施形態について、以下に示すいくつかの実施例及び図面を参照して、例としてのみここで説明する。
図1】本発明の好ましい実施形態のプロセススキームを示す図である。
図2】本発明の製品及び既存の製品に含まれる4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニド(4-O-caffeoyl-muco-γ-quinide、4-CmQ)の濃度を比較するチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0124】
本発明の好ましい実施形態の1つが図1に例示されている。焙煎されたコーヒーが抽出されて、高芳香性コーヒー抽出物と低芳香性コーヒー抽出物とに分けられる。次いで、低芳香性抽出物が蒸発されて、低芳香性コーヒー抽出濃縮物が得られる。低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、pH調整(アニオン交換による)される。次いで、低芳香性コーヒー抽出濃縮物が高芳香性抽出物と一緒にされて、本発明の液体コーヒー濃縮物が得られる。
【0125】
参考実施例1:
抽出
100%ロブスタコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0126】
蒸発
機械的蒸気再圧縮(mechanical vapour recompression、MVR)蒸発器又は熱蒸気再圧縮(thermal vapour recompression、TVR)蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0127】
処理
次いで、前記低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0128】
芳香加減(addback)
高芳香コーヒー抽出物を低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にして、液体コーヒー濃縮物を生成した。
【0129】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、5.01であった。
【0130】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0131】
-20℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.93であった。
【0132】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。実施例2~4の比較官能基準として、このサンプルが使用された。
【0133】
実施例2
抽出
100%ロブスタコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0134】
高芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が2.44:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が2.62:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が22.59:1であった。
【0135】
低芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が0.11:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が0.37:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が0.58:1であった。
【0136】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0137】
混合物の形成
低芳香性コーヒー抽出濃縮物の約10重量%を高芳香性抽出物と一緒にして、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との比が0.55:1の混合物を形成する。
【0138】
処理
低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、分離の対象とされた。
【0139】
次いで、得られた低芳香性コーヒー抽出濃縮物をアニオンカラム(Lewatit(登録商標) XA 945)に通すことによって、低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは4.99~5.27に調整された。アニオンカラムは、ポリアクリレート系のイオン交換樹脂を含んでいた。低芳香性コーヒー抽出濃縮物の滴定酸度は、72mmol/kgだけ上昇した。
【0140】
芳香加減(addback)
pHが処理された後、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にしたことで形成された混合物は、液体コーヒー濃縮物を形成するために、pHが処理された低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされる。
【0141】
次いで、液体コーヒー濃縮物は、乳酸菌の除去のために、77℃で21秒の保持時間の間熱処理された。
【0142】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、5.20であった。
【0143】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0144】
4~6℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.84であった。
【0145】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって、参考実施例1に記載された凍結液体コーヒー濃縮物と比較された場合、際立った官能的差異を有するとはみなされなかった。更に、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。
【0146】
実施例3
抽出
100%ロブスタコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0147】
高芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が2.44:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が2.62:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が22.59:1であった。
【0148】
低芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が0.11:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が0.37:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が0.58:1であった。
【0149】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0150】
混合物の形成
低芳香性コーヒー抽出濃縮物の約10重量%を高芳香性抽出物と一緒にして、低芳香性コーヒー濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との比が0.55:1の混合物を形成する。
【0151】
混合物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が2.76:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が2.97:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が28.53:1であった。
【0152】
処理
低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0153】
次いで、得られた低芳香性コーヒー抽出濃縮物をアニオンカラム(Lewatit(登録商標) XA 945)に通すことによって、低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは4.99~5.38に調整された。アニオンカラムは、ポリアクリレート系のイオン交換樹脂を含んでいた。低芳香性コーヒー抽出濃縮物の滴定酸度は、94mmol/kgだけ上昇した。
【0154】
芳香加減(addback)
pHが処理された後、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にして形成された混合物は、液体コーヒー濃縮物を形成するために、pHが処理された低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされる。
【0155】
次いで、液体コーヒー濃縮物は、乳酸菌の除去のために、77℃で21秒の保持時間の間熱処理された。
【0156】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、5.22であった。
【0157】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0158】
4~6℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.86であった。
【0159】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって、参考実施例1に記載された凍結液体コーヒー濃縮物と比較された場合、際立った官能的差異を有さないとみなされた。更に、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。
【0160】
実施例4
抽出
100%ロブスタコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0161】
高芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が2.44:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が2.62:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が22.59:1であった。
【0162】
低芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が0.11:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が0.37:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が0.58:1であった。
【0163】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0164】
混合物の形成
低芳香性コーヒー抽出濃縮物の約10重量%を高芳香性抽出物と一緒にして、低芳香性コーヒー濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との比が0.55:1の混合物を形成する。
【0165】
混合物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が2.76:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が2.97:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が28.53:1であった。
【0166】
処理
低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0167】
次いで、得られた低芳香性コーヒー抽出濃縮物をアニオンカラム(Lewatit(登録商標) XA 945)に通すことによって、低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは4.99~5.49に調整された。アニオンカラムは、ポリアクリレート系のイオン交換樹脂を含んでいた。低芳香性コーヒー抽出濃縮物の滴定酸度は、116mmol/kgだけ上昇した。
【0168】
芳香加減(addback)
pHが処理された後、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にしたことで形成された混合物は、液体コーヒー濃縮物を形成するために、pHが処理された低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされる。
【0169】
次いで、液体コーヒー濃縮物は、乳酸菌の除去のために、77℃で21秒の保持時間の間熱処理された。
【0170】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、5.28であった。
【0171】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0172】
4~6℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.88であった。
【0173】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって、参考実施例1に記載された凍結液体コーヒー濃縮物と比較された場合、際立った官能的差異を有さないとみなされた。更に、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。
【0174】
参考実施例5:
抽出
30%アラビカコーヒー豆及び70%ロブスタコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0175】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0176】
処理
次いで、前記低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0177】
芳香加減(addback)
高芳香コーヒー抽出物は、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされて、液体コーヒー濃縮物を形成した。
【0178】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、4.96であった。
【0179】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0180】
-20℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.81であった。
【0181】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。実施例6の比較官能基準として、このサンプルが使用された。
【0182】
実施例6
抽出
30%アラビカコーヒー豆及び70%ロブスタコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0183】
高芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が8.37:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が11.69:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が29.70:1であった。
【0184】
低芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が0.15:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が0.60:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が0.58:1であった。
【0185】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0186】
処理
次いで、低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0187】
次いで、得られた低芳香性コーヒー抽出濃縮物をアニオンカラム(Lewatit(登録商標) XA 945)に通すことによって、低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは4.88~5.10に調整された。アニオンカラムは、ポリアクリレート系のイオン交換樹脂を含んでいた。低芳香性コーヒー抽出濃縮物の滴定酸度は、70mmol/kgだけ上昇した。
【0188】
芳香加減(addback)
pHが処理された後、高芳香性コーヒー抽出物は、液体コーヒー濃縮物を形成するために、pHが処理された低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされる。
【0189】
次いで、液体コーヒー濃縮物は、乳酸菌の除去のために、77℃で21秒の保持時間の間熱処理された。
【0190】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、5.06であった。
【0191】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0192】
4~6℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.81であった。
【0193】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって、参考実施例5に記載された凍結液体コーヒー濃縮物と比較された場合、際立った官能的差異を有さないとみなされた。更に、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。
【0194】
参考実施例7
抽出
100%アラビカコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0195】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0196】
処理
次いで、前記低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0197】
芳香加減(addback)
高芳香コーヒー抽出物は、液体コーヒー濃縮物を形成するために、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされた。
【0198】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、4.80であった。
【0199】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0200】
-20℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.68であった。
【0201】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。実施例8及び9の比較官能基準として、このサンプルが使用された。
【0202】
実施例8
抽出
100%アラビカコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0203】
高芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が12.59:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が27.83:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が12.34:1であった。
【0204】
低芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が0.25:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が1.51:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が0.27:1であった。
【0205】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0206】
処理
次いで、低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0207】
次いで、得られた低芳香性コーヒー抽出濃縮物をアニオンカラム(Lewatit(登録商標) XA 945)に通すことによって、低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは4.80~4.98に調整された。アニオンカラムは、ポリアクリレート系のイオン交換樹脂を含んでいた。低芳香性コーヒー抽出濃縮物の滴定酸度は、65mmol/kgだけ上昇した。
【0208】
芳香加減(addback)
pHが処理された後、高芳香性コーヒー抽出物は、液体コーヒー濃縮物を形成するために、pHが処理された低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされる。
【0209】
次いで、液体コーヒー濃縮物は、乳酸菌の除去のために、77℃で21秒の保持時間の間熱処理された。
【0210】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、4.90であった。
【0211】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0212】
4~6℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.68であった。
【0213】
3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月及び12ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって、参考実施例7に記載された凍結液体コーヒー濃縮物と比較された場合、際立った官能的差異を有さないとみなされた。更に、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。
【0214】
実施例9
抽出
100%アラビカコーヒー豆からなる焙煎して挽いたコーヒーの単一バッチから、高芳香性コーヒー抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物が、充填床カラム抽出によって得られる。
【0215】
高芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が12.59:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が27.83:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が12.34:1であった。
【0216】
低芳香性コーヒー抽出物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が0.25:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が1.51:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が0.27:1であった。
【0217】
蒸発
MVR蒸発器又はTVR蒸発器を使用して、低芳香性コーヒー抽出物は、蒸発により58%の乾燥物質固形成分に濃縮される。
【0218】
混合物の形成
低芳香性コーヒー抽出濃縮物の約10重量%を高芳香性抽出物と一緒にして、0.55:1の低芳香性コーヒー濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物との比を有する混合物を形成する。
【0219】
混合物は、2,3-ブタンジオン:グイアコールの重量:重量比が18.60:1であり、2,3-ブタンジオン:4-エチルグイアコールの重量:重量比が43.04:1であり、及び2,3-ブタンジオン:2-アセチルピラジンの重量:重量比が17.27:1であった。
【0220】
処理
低芳香性コーヒー抽出濃縮物は、33%の乾燥物質固形成分に希釈され、遠心分離の対象とされた。
【0221】
次いで、得られた低芳香性コーヒー抽出濃縮物をアニオンカラム(Lewatit(登録商標) XA 945)に通すことによって、低芳香性コーヒー抽出濃縮物のpHは4.68~4.83に調整された。アニオンカラムは、ポリアクリレート系のイオン交換樹脂を含んでいた。低芳香性コーヒー抽出濃縮物の滴定酸度は、68mmol/kgだけ上昇した。
【0222】
芳香加減(addback)
pHが処理された後、低芳香性コーヒー抽出濃縮物と高芳香性コーヒー抽出物とを一緒にして形成された混合物は、液体コーヒー濃縮物を形成するために、pHが処理された低芳香性コーヒー抽出濃縮物と再び一緒にされた。
【0223】
次いで、液体コーヒー濃縮物は、乳酸菌の除去のために、77℃で21秒の保持時間の間熱処理された。
【0224】
最終製品
得られた液体コーヒー濃縮物のpHは、4.77であった。
【0225】
液体コーヒー濃縮物中に検出可能な異臭(off flavour)は検出されなかった。
【0226】
4~6℃の貯蔵温度における12ヶ月の貯蔵寿命の間、液体コーヒー濃縮物のpHは、4.66であった。
【0227】
3ヶ月及び6ヶ月後、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって、参考実施例7に記載された凍結液体コーヒー濃縮物と比較された場合、際立った官能的差異を有さないとみなされた。更に、液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって酸性化されたとは知覚されなかった。
【0228】
実施例2~4、6及び8~9から、本発明のプロセスによって生成された液体コーヒー濃縮物は、複数の官能専門家のチームによって試験された場合、コーヒーの官能プロファイルにおいて顕著な差異を生じることなく、チルド条件下で保存されていてもよいことがわかる。したがって、本プロセスは、顕著な官能的劣化なしに長期間のチルド条件下で保存されていてもよい液体コーヒー濃縮物を提供することがわかる。
【0229】
上記実施例では、高芳香性抽出物、低芳香性抽出物及び低芳香性コーヒー抽出物と高芳香性抽出物との混合物中の、揮発性化合物と半揮発性化合物との重量:重量比を、以下のように決定した。
【0230】
5gの液体コーヒー濃縮物及び50μlの内部標準溶液(1-メチルインドール、1-フェニルエタノール、2-エチルブタナール、4-ヘプタノン、ジエチルジスルフィド、エチルマルトール、エチルバニリン、リナロール-d3、プロピオン-2,2-d2酸、ピラジン-d4を含む)を、硫酸ナトリウム(無水)顆粒の5ml飽和塩溶液中に懸濁した。この懸濁液の5mlのメチルtert-ブチルエーテル(Methyl Tertiary-Butyl ether、MTBE)を用いる液体液体抽出によって、芳香物の単離を実現した。
【0231】
得られた溶液は超音波浴中で40℃にして30分間平衡化され、その後、6℃、3000rpmで15分間遠心分離された。上澄み液(supernatant)は、エッペンドルフバイアルに移され、いくらかの乾燥硫酸ナトリウム(微細)が添加され、混合され、混合物は15分間で沈降された。この混合物は、6℃、100,000rpmで10分間遠心分離された。
【0232】
目的とする抽出された芳香化合物は、キャピラリーガスクロマトグラフィー(Stabilwax DAカラム:30m、ID 0.25mm、及び0.5μmフィルム(Restek Technologies)、注入温度40℃、250℃まで15℃/分の緩やかな温度上昇)によって分離され、SRMモードの質量分析MS-MSによって検出された。定量化は、内部標準に対する相対応答を使用して実現された。
【0233】
図2に示されるように、本発明のプロセスを介して得られたコーヒー製品は、既存の製品と比較した場合、保存中もはるかに高い濃度の4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニド(4-CmQ)を有する。
【0234】
図2のデータを生成するために、5-カフェオイルキナ酸(5-caffeoylquinic acid、5-CQA)はSigma-Aldrichから入手され、およそ2500mg/lの作動溶液(working solution)は、20%のMeOH/MilliQ水(MilliQ water、MQW)中で希釈されることによって得られた。250及び500mg/lの較正溶液(calibration solutions)を得るために、この作動溶液は更にMQWで希釈された。
【0235】
次いで、以下に記載された濃縮コーヒー製品は、0.1%乾燥物質溶液が水で希釈されたものである。
【0236】
次いで、コーヒー製品中の4-CmQは、Phenyl-Hexyl Luna,250mm x 4.6mm,カラムを使用して、35℃においてHPLC-UVで分析され、324nmで検出された。
【0237】
分離は、溶出液(eluents)MeOH(溶出液(eluent)A)及びギ酸アンモニウム緩衝液(0.25mol/l、pH3.5)(溶出液(eluent)B)を使用して、以下の表に示されるプログラムを用いて行われた。
【0238】
【表2】
図2に示されるように、実施例6に従って調製された30%アラビカコーヒー豆及び70%ロブスタコーヒー豆からなる中焙煎ブレンド(medium roast blend、MR)、実施例3に従って調製された100%ロブスタコーヒー豆からなる強焙煎ブレンド(strong roast blend、SR)及び実施例8に従ったプロセスを介して調製された100%アラビカコーヒー豆からなるデリケート焙煎ブレンド(delicate roast blend、DR)は、チルド条件下で製品を12ヶ月間保存した後であっても、乾燥物質コーヒー固形成分が、すべて1kg当たり少なくとも30mgであった。
【0239】
対照的に、Jacobs Douwe Egbertsから提供されるスムース焙煎ブレンドと共に、CAFEA Gruppeから提供されるAromat Cafe Extra direct、Aromat Cafe Gold direct、Aromat Cafe Organic directといった既存製品は、全ての保存期間において、4-O-カフェオイル-ムコ-γ-キニドは、はるかに低いレベルであった。これは、各製品内の時間の経過による味覚プロファイルにおける知覚可能な差異をもたらした。
【0240】
結果として、本発明の製品は、既存の製品と比較した場合、改善された貯蔵寿命及び時間の経過による味覚プロファイルにおける低減された知覚可能な差異を示した。
【0241】
1つ以上の実施形態が、上記において例としてのみ説明されている。添付の特許請求の範囲によって与えられた保護の範囲から逸脱することがなければ、多くの変形形態が、可能である。
図1
図2
【国際調査報告】