(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】酸化型グルタチオン及びその結晶形並びに不純物の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07K 5/037 20060101AFI20250115BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20250115BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250115BHJP
A61P 39/02 20060101ALI20250115BHJP
C07K 1/02 20060101ALI20250115BHJP
C07K 7/02 20060101ALI20250115BHJP
C07K 1/107 20060101ALI20250115BHJP
C07K 5/023 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C07K5/037
A61K38/08
A61P43/00 105
A61P39/02
C07K1/02
C07K7/02
C07K1/107
C07K5/023
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538126
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 CN2022140269
(87)【国際公開番号】W WO2023116664
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】202111573909.2
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211572513.0
(32)【優先日】2022-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520098501
【氏名又は名称】シェンヤン シンチ ファーマシューティカル カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENYANG XINGQI PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ジードン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チィアン
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ユ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,ジンソン
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA23
4C084CA59
4C084DC31
4C084ZC011
4C084ZC012
4C084ZC371
4C084ZC372
4H045AA10
4H045AA20
4H045BA13
4H045EA15
4H045EA20
4H045FA10
4H045GA40
4H045HA31
(57)【要約】
以下のステップ、ジメチルスルホキシド(DMSO)を酸化剤として使用して還元型グルタチオンを粗酸化型グルタチオンに参加するステップ、及び精製水中で再結晶及び精製して酸化型グルタチオンの高純度の七水和物結晶を得るステップを含む、酸化型グルタチオン及びその新しい結晶形並びに不純物を調製する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物の七水和物の結晶。
【請求項2】
°2θで少なくとも以下の特性ピーク:8.238±0.2,16.338±0.2及び24.551±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
°2θで少なくとも以下の特性ピーク:10.619±0.2,19.539±0.2,26.806±0.2及び34.618±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項2に記載の結晶。
【請求項4】
°2θで少なくとも以下の特性ピーク:9.750±0.2,22.738±0.2及び23.200±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項3に記載の結晶。
【請求項5】
図5に実質的に示されているX線粉末回折パターンを特徴とする、請求項1に記載の結晶。
【請求項6】
169±2℃の融点を有することを更に特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項7】
熱重量分析において50~100℃で約14±1%の重量減少、及び100~160℃で約3±1%の重量減少を更に特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項8】
図6に示されている熱重量分析図を有することを更に特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の結晶。
【請求項9】
式(II)
【化2】
の化合物をDMSOで酸化して式(I)の化合物を得るステップを含む、
式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項10】
DMSOの式(II)の化合物に対するモル比が、2:1~25:1、あるいは2.5:1~5:1、さらにあるいは2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1又は5:1である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式(II)の化合物の溶解を促進するために、極性溶媒を前記反応に更に添加し、任意で、前記極性溶媒は、水、ホルムアミド、トリフルオロ酢酸、アセトニトリル、DMF、ヘキサメチルホスホラミド、メタノール、エタノール、酢酸、イソプロパノール、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、アセトン、トリエチルアミン、n-ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ギ酸メチル、トリブチルアミン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、トリオクチルアミン、炭酸ジメチル及びジエチルエーテル、又はそれらの化合物、更にあるいは水からなる群から選択される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記極性溶媒の式(II)の化合物に対する比率は、100gの式(II)の化合物あたり200~2000mL、あるいは250mL~1000mL、更にあるいは250mL、300mL、500mL、750mL又は1000mLの極性溶媒である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記反応のpHは、2~9、あるいは3~7、更にあるいは5~7、例えば、5、5.5、6、6.5、7、8又は9に調整される、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応は、-10℃~60℃、あるいは25℃などの5℃~30℃、40℃又は室温で行われる、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応は、5~60時間、あるいは10~48時間、例えば、10時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間又は45時間行われる、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記反応が完了した後、pHを酸化型グルタチオンの等電点(pH2.75~2.90)に調整し、攪拌による結晶化を少なくとも5時間、あるいは少なくとも10時間実行する、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記攪拌による結晶化を5℃~40℃、あるいは5℃、10℃、15℃、20℃又は室
温で実行する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
得られた式(I)の化合物の純度は、≧98%、あるいは≧98.5%、あるいは≧99%、あるいは≧99.7%、あるいは≧99.8%、あるいは≧99.9%であり、生成物中の不純物A、不純物B及び不純物Cの合計含有量は、1%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.3%未満、あるいは0.1%未満である、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【表1】
【請求項19】
1)粗酸化型グルタチオンを精製水に溶解するステップであって、前記精製水の量は、前記粗酸化型グルタチオンの重量の3~5倍である、溶解するステップ、
2)前記溶解後、前記溶液を熱時ろ過するステップ、及び
3)結晶化のために前記ろ液を10~25℃、あるいは12~20℃に冷却するステップを含む、
請求項9~18のいずれか一項に記載の酸化型グルタチオンを精製する方法。
【請求項20】
ステップ1)において、前記精製水の温度は、35℃~55℃、あるいは40℃~50℃であり、任意で、残留原料を除去するために塩化鉄(II)溶液を添加し、あるいは酸化型グルタチオンのキログラムあたり100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップ3)において、再結晶の結晶化時間は、3~10時間、あるいは4~6時間であり、任意で、勾配冷却を採用し、冷却速度は、時間あたり10℃である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
請求項9~21のいずれか一項により調製された酸化型グルタチオンを精製水中で再結晶するステップを含み、任意で、前記方法は、以下のステップ、
1)前記酸化型グルタチオンを精製水に溶解し、溶解するまで攪拌するステップ、
2)前記溶解後、前記溶液を熱時ろ過し、次いで標的温度まで勾配冷却するステップ、及び
3)温度管理下で結晶化するステップ
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の酸化型グルタチオン七水和物の結晶を調製する方法。
【請求項23】
ステップ1)において、酸化型グルタチオンのキログラムあたり2L~6L、あるいは3L~6L、更にあるいは3L~5L、更にあるいは4Lの精製水を使用する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ステップ1)において、前記溶解プロセス中の前記精製水の温度は、40~60℃、あるいは40~50℃、更にあるいは50℃である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
ステップ1)において、残留原料を良好に除去するために塩化鉄(II)溶液を添加し、任意で、酸化型グルタチオンのキログラムあたり100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加する、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ステップ2)において、前記冷却勾配は、5~25℃/時間、あるいは5~20℃/時間、あるいは5~15℃/時間、更にあるいは10℃/時間である、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ステップ2)において、標的温度は、5~25℃、あるいは10~25℃、更にあるいは15~25℃である、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ステップ3)において、前記温度は、5~25℃、あるいは10~25℃、更にあるいは15~25℃に制御される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ステップ3)において、結晶化時間は、6~12時間、あるいは6~8時間である、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
【表2】
から選択される化合物。
【請求項31】
【化3】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びCys-GlyをDMSOで酸化することを含む、
請求項30に記載の不純物Aを調製する方法。
【請求項32】
前記DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
1)1:1~1:3のモル比のBoc-Cys(Trt)-OH及びグリシンtert-ブチルエステルを1.5~4当量の縮合剤(例えば、HATU、HBTU、PyBOP、DEPBTなど、あるいはHBTU及びDEPBT)並びに2当量の第三級有機アミン(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及びトリエチルアミン、あるいはN,N-ジイソプロピルエチルアミン)の触媒下縮合するステップであって、その反応がDMF
又はジクロロメタン中で行われるステップ、
2)Trt、Boc及びtBu保護基をトリフルオロ酢酸で除去してCys-Glyを得るステップ、及び
3)1:1のモル比の還元型グルタチオン及びCys-Glyを3~5当量のDMSOで酸化するステップを含む、
請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
【化4】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びGlu-CysをDMSOで酸化することを含む、
請求項30に記載の不純物Bを調製する方法。
【請求項35】
前記DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1)1:1~1:2のモル比のBoc-Glu-OtBu及びH-Cys(Trt)-OtBuを1.5~4当量の縮合剤(例えば、HATU、HBTU、PyBOP、DEPBTなど、あるいはHBTU及びDEPBT)並びに2当量の第三級有機アミン(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及びトリエチルアミン、あるいはN,N-ジイソプロピルエチルアミン)の触媒下縮合するステップ、
2)Boc、Trt、及びtBu保護基をトリフルオロ酢酸で除去してGlu-Cysを得るステップ、及び
3)1:1のモル比の還元型グルタチオン及びGlu-Cysを3~5当量のDMSOで酸化するステップを含む、
請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びシステインをDMSOで酸化するステップを含む、
請求項30に記載の不純物Cを調製する方法。
【請求項38】
前記DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である、請求項37に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、化学合成の分野に属し、特に酸化型グルタチオン及びその七水和物結晶形並びに不純物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化型グルタチオンは、還元型グルタチオンと同様の効果を有するが、酸化型グルタチオンは還元型グルタチオンより安定であり、したがって還元型グルタチオンに代わって健康食品、医薬、化粧品、及び他の製品の活性成分として使用することができる。
【0003】
現在報告されている酸化型グルタチオンを調製する方法は、全て還元型グルタチオンの酸化であり、例えば:
【0004】
経路1:過酸化水素による酸化(Chinese Journal of Pharmaceuticals, 2013, 44, 265)。方法は、以下のステップ、すなわち、還元型グルタチオンを水に溶解するステップ、得られた溶液を適切なpH値に調整するステップ、及びグルタチオンを酸化剤としての過酸化水素で酸化して酸化型グルタチオンを調製するステップを含む。この方法の欠点は、過酸化水素酸化反応の速度は比較的速いが、反応も比較的激しいので、反応条件が比較的過酷で、温度、pH及び反応系中の過酸化水素の量などのプロセスパラメータを厳密に制御する必要があるということである。他の点では、更なる過酸化又は分解不純物が生じ、生成物の純度及び収率に影響を及ぼす。更に、酸化剤、過酸化水素は、爆発物を容易に作製することができる中国の有害化合物であり、したがって過酸化水素の使用は規制されている。更に、過酸化水素は自己分解しやすく、低温で密閉容器中で保存する必要がある。
【0005】
経路2:アルギニンによる触媒作用(RSC Adv., 2014, 4, 33399-33407)。方法は、以下のステップ、すなわち、還元型グルタチオンを水に溶解するステップ、及び酸素ガスを酸化剤として、アルギニンを触媒として使用するステップを含む。反応からは廃棄物が発生せず、環境に配慮し(green)、環境に優しい(environmentally friendly)。更に、酸素ガス及びアルギニンは比較的入手しやすく、したがって原料は比較的入手するのに好都合である。この方法の欠点は:反応プロセス中でアルギニンを触媒として使用する必要があるので、ワークアップ(work-up)プロセス中に残留アルギニンが残りやすいこと、及び反応を50℃まで加熱する必要があるので、生成物、すなわち酸化型グルタチオンが高温条件下で部分分解及びラセミ化を起こす傾向があり、収率が低下し、純度が落ちる。
【0006】
経路3:酵素による触媒作用(日本特許出願公開第5-146279号)。この方法は、生体酵素触媒法であり、触媒としての特定の生体オキシダーゼの使用を必要とし、還元型グルタチオン水溶液を酸化して酸化型グルタチオンを得るために空気を使用する。この方法の欠点は:酵素は比較的入手及び保存しにくく、一般的に使用されている化学試薬ほど良好でないということである。更に、反応が完了した後、酵素を反応溶液から分離する必要があり、これには特定のプロセス技術及び装置が必要とされる。通常の化学原料製薬会社の既存の設備では応用できなくてもよい。
【0007】
経路4:ブロモマロン酸ジエチル方法(Chem. Pharm. Bull. 1986, 34, 486-495)。方法は、以下のステップ、すなわち、還元型グルタチオンをアルカリ性水/エタノール溶液に溶解するステップ、次いでブロモマロン酸ジエチルのエタノール溶液を滴加するステップ、及び-16℃で1時間反応させるステップを
含む。この方法の欠点は:酸化剤はブロモマロン酸ジエチルを使用し、これは比較的高価であり、ブロモマロン酸ジエチルはより多くの副生成物を生じ、操作が複雑なことである。反応プロセスには-16℃という低温が必要となり、工業化に比較的適さない。
【0008】
更に、上記方法により調製された酸化型グルタチオンの結晶形は主に、非結晶性無定形形(CN102858792A)、一水和物結晶形(日本特許第4401775号)、六水和物結晶形(CN102869674A)及び八水和物結晶形(International Union of Crystallography, pp538, 1999)を含む。これらの形では、非結晶性無定形形は水溶性が低く、医薬品産業における応用が制限され、一水和物結晶形は、針状結晶で凝集しやすく、結晶形中の不純物は除去するのが難しいので、結晶分離能力が低く、六水和物結晶形の結晶化プロセス中には、pHを調製する必要があり、結晶化時間が10時間超も長く、したがって操作が比較的厄介で結晶を得るのが難しく、八水和物結晶形は、含水率が不均等で、安定性が低く、結晶を得るのに最大3~4日という長時間を必要とする。更に、酸化型グルタチオン用の既存のプロセスでは、大規模な工業生産を達成したことがない。主要な理由は、反応の穏やかさ(生成物の分解及びラセミ化を低減する)及び経済を同時に達成することが難しいことである。優れたプロセス安定性を達成するには、穏和で、経済的で、容易に利用でき、そして副生成物がほとんどない酸化及び結晶化システムが必要となる。
【0009】
更に、液体クロマトグラフィーによる検出及び質量分析器による構造確認により、酸化型グルタチオンは、以下の3個の不純物を含有する:
【表1】
【0010】
これら3個の不純物の調製方法に関する報告はほとんどなく、使用される原料及び試薬
は市販されていない。したがって、これらの調製方法は実用的価値がない。
【0011】
酸化型グルタチオンの精製プロセスに関する文献報告はない。ポリペプチド化合物は容易に加水分解し、ラセミ化し、そして生分解されるので、一般的に使用される精製方法は、イオン交換樹脂クロマトグラフィー又は分取液体クロマトグラフィーによる分離である。上記方法は、溶媒損失が高く、製造コストが高い。
【0012】
要約すれば、当該技術では、コストが低く、反応条件が温和で、生成物純度が高く、工業生産に適した酸化型グルタチオンの合成方法の必要性がある。
【発明の概要】
【0013】
既存の方法と比較して、本開示により提供される酸化型グルタチオンの合成方法は、上記問題を解決することができる。
【0014】
具体的には、本開示は、以下の実施形態に関する:
【0015】
1.式(I):
【化1】
の化合物の七水和物の結晶。
【0016】
2.°2θで少なくとも以下の特性ピーク:8.238±0.2,16.338±0.2及び24.551±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする、実施形態1に記載の結晶。
【0017】
3.°2θで少なくとも以下の特性ピーク:10.619±0.2,19.539±0.2,26.806±0.2及び34.618±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする、実施形態2に記載の結晶。
【0018】
4.°2θで少なくとも以下の特性ピーク:9.750±0.2,22.738±0.2及び23.200±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする、実施形態3に記載の結晶。
【0019】
5.
図5に実質的に示されているX線粉末回折パターンを特徴とする、実施形態1に記載の結晶。
【0020】
6.169±2℃の融点を有することを更に特徴とする、実施形態1~5のいずれか一項に記載の結晶。
【0021】
7.熱重量分析において50~100℃で約14±1%の重量減少、及び100~160℃で約3±1%の重量減少を更に特徴とする、実施形態1~6のいずれか一項に記載の結晶。
【0022】
8.
図6に示されている熱重量分析図を有することを更に特徴とする、実施形態1~7のいずれか一項に記載の結晶。
【0023】
9.式(II)
【化2】
の化合物をDMSOで酸化して式(I)の化合物を得るステップを含む、
式(I)の化合物を調製する方法。
【0024】
10.DMSOの式(II)の化合物に対するモル比が、2:1~25:1、あるいは2.5:1~5:1、さらにあるいは2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1又は5:1である、実施形態9に記載の方法。
【0025】
11.式(II)の化合物の溶解を促進するために、極性溶媒をこの反応に更に添加し、あるいは、この極性溶媒は、水、ホルムアミド、トリフルオロ酢酸、アセトニトリル、DMF、ヘキサメチルホスホラミド、メタノール、エタノール、酢酸、イソプロパノール、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、アセトン、トリエチルアミン、n-ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ギ酸メチル、トリブチルアミン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、トリオクチルアミン、炭酸ジメチル及びジエチルエーテル、又はそれらの化合物、更にあるいは水からなる群から選択される、実施形態9又は10に記載の方法。
【0026】
12.この極性溶媒の式(II)の化合物に対する比率は、100gの式(II)の化合物あたり200~2000mL、あるいは250mL~1000mL、更にあるいは250mL、300mL、500mL、750mL又は1000mLの極性溶媒である、実施形態11に記載の方法。
【0027】
13.この反応のpHは、2~9、あるいは3~7、更にあるいは5~7、例えば、5、5.5、6、6.5、7、8又は9に調整される、実施形態9~12のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
14.この反応は、-10℃~60℃、あるいは25℃などの5℃~30℃、40℃又は室温で行われる、実施形態9~13のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
15.この反応は、5~60時間、あるいは10~48時間、例えば、10時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間又は45時間行われる、実施形態9~14のいずれか一項に記載の方法。
【0030】
16.この反応が完了した後、pHを酸化型グルタチオンの等電点(pH2.75~2.90)に調整し、攪拌による結晶化を少なくとも5時間、あるいは少なくとも10時間実行する、実施形態9~15のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
17.この攪拌による結晶化を5℃~40℃、あるいは5℃、10℃、15℃、20℃又は室温で実行する、実施形態16に記載の方法。
【0032】
18.得られた式(I)の化合物の純度は、≧98%、あるいは≧98.5%、あるいは≧99%、あるいは≧99.7%、あるいは≧99.8%、あるいは≧99.9%であり、生成物中の不純物A、不純物B及び不純物Cの合計含有量は、1%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.3%未満、あるいは0.1%未満である、実施形態9~17のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
【0034】
19.1)粗酸化型グルタチオンを精製水に溶解するステップであって、精製水の量は、この粗酸化型グルタチオンの重量の3~5倍である、溶解するステップ、
2)溶解後、この溶液を熱時ろ過するステップ、及び
3)結晶化のためにこのろ液を10~25℃、あるいは12~20℃に冷却するステップを含む、
実施形態9~18のいずれか一項に記載の酸化型グルタチオンを精製する方法。
【0035】
20.ステップ1)において、この精製水の温度は、35℃~55℃、あるいは40℃~50℃であり、任意で、残留原料を除去するために塩化鉄(II)溶液を添加し、あるいは酸化型グルタチオンのキログラムあたり100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加する、実施形態19に記載の方法。
【0036】
21.ステップ3)において、再結晶の結晶化時間は、3~10時間、あるいは4~6時間であり、任意で、勾配冷却を採用し、冷却速度は、時間あたり10℃である、実施形態19又は20に記載の方法。
【0037】
22.実施形態9~21のいずれか一項により調製された酸化型グルタチオンを精製水中で再結晶するステップを含み、この方法は、以下のステップ、
1)この酸化型グルタチオンを精製水に溶解し、溶解するまで攪拌するステップ、
2)溶解後、この溶液を熱時ろ過し、次いで標的温度まで勾配冷却するステップ、及び
3)温度管理下で結晶化するステップ
を含む、実施形態1~8のいずれか一項に記載の酸化型グルタチオン七水和物の結晶を調製する方法。
【0038】
23.ステップ1)において、酸化型グルタチオンのキログラムあたり2L~6L、あるいは3L~6L、更にあるいは3L~5L、更にあるいは4Lの精製水を使用する、実施形態22に記載の方法。
【0039】
24.ステップ1)において、この溶解プロセス中のこの精製水の温度は、40~60℃、あるいは40~50℃、更にあるいは50℃である、実施形態22又は23に記載の方法。
【0040】
25.ステップ1)において、残留原料を良好に除去するために塩化鉄(II)溶液を添加し、任意で、酸化型グルタチオンのキログラムあたり100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加する、実施形態22~24のいずれか一項に記載の方法。
【0041】
26.ステップ2)において、この冷却勾配は、5~25℃/時間、あるいは5~20℃/時間、あるいは5~15℃/時間、更にあるいは10℃/時間である、実施形態22~25のいずれか一項に記載の方法。
【0042】
27.ステップ2)において、標的温度は、5~25℃、あるいは10~25℃、更にあるいは15~25℃である、実施形態22~26のいずれか一項に記載の方法。
【0043】
28.ステップ3)において、この温度は、5~25℃、あるいは10~25℃、更にあるいは15~25℃に制御される、実施形態22~27のいずれか一項に記載の方法。
【0044】
29.ステップ3)において、結晶化時間は、6~12時間、あるいは6~8時間である、実施形態22~28のいずれか一項に記載の方法。
【0045】
【0046】
31.
【化3】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びCys-GlyをDMSOで酸化することを含む、
実施形態30に記載の不純物Aを調製する方法。
【0047】
32.DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である、実施形態31に記載の方法。
【0048】
33.1)1:1~1:3のモル比のBoc-Cys(Trt)-OH及びグリシンtert-ブチルエステルを1.5~4当量の縮合剤(例えば、HATU、HBTU、PyBOP、DEPBTなど、あるいはHBTU及びDEPBT)並びに2当量の第三級有機アミン(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及びトリエチルアミン、あるいは
N,N-ジイソプロピルエチルアミン)の触媒下縮合するステップであって、その反応がDMF又はジクロロメタン中で行われるステップ、
2)Trt、Boc及びtBu保護基をトリフルオロ酢酸で除去してCys-Glyを得るステップ、及び
3)1:1のモル比の還元型グルタチオン及びCys-Glyを3~5当量のDMSOで酸化するステップを含む、
実施形態31又は32に記載の方法。
【0049】
34.
【化4】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びGlu-CysをDMSOで酸化することを含む、
実施形態30に記載の不純物Bを調製する方法。
【0050】
35.DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である、実施形態34に記載の方法。
【0051】
36.1)1:1~1:2のモル比のBoc-Glu-OtBu及びH-Cys(Trt)-OtBuを1.5~4当量の縮合剤(例えば、HATU、HBTU、PyBOP、DEPBTなど、あるいはHBTU及びDEPBT)並びに2当量の第三級有機アミン(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及びトリエチルアミン、あるいはN,N-ジイソプロピルエチルアミン)の触媒下縮合するステップ、
2)Boc、Trt、及びtBu保護基をトリフルオロ酢酸で除去してGlu-Cysを得るステップ、及び
3)1:1のモル比の還元型グルタチオン及びGlu-Cysを3~5当量のDMSOで酸化するステップを含む、
実施形態34又は35に記載の方法。
【0052】
37.1:1のモル比の還元型グルタチオン及びシステインをDMSOで酸化するステップを含む、
実施形態30に記載の不純物Cを調製する方法。
【0053】
38.DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である、実施形態37に記載の方法。
【0054】
本開示の有利な効果
【0055】
本方法によって得られた粗酸化型グルタチオンは、過酸化不純物を含有せず、加水分解不純物の含有量が比較的低い、そして他の固体副生成物が生じない、他の不純物の構造を分析及び合成した後、酸化型グルタチオンのその後の品質管理の基礎及び保証を提供する。
【0056】
本発明者らは、酸化型グルタチオンの精製プロセス中に少量の塩化鉄(II)水溶液を
添加すると、精製効果を予想外に著しく改善し、生成物の純度を予想外に著しく増加させることができ、酸化型グルタチオン七水和物の結晶を、特定条件下精製水中で再結晶することにより得られることに偶然気づいた。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】
図1は、酸化型グルタチオンのESI-MS図である。
【
図2】
図2は、酸化型グルタチオンの不純物AのESI-MS図である。
【
図3】
図3は、酸化型グルタチオンの不純物BのESI-MS図である。
【
図4】
図4は、酸化型グルタチオンの不純物CのESI-MS図である。
【
図5】
図5は、酸化型グルタチオン七水和物の結晶のX線粉末回折パターンである。
【
図6】
図6は、酸化型グルタチオン七水和物の結晶のTG及びDSC図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
定義
【0059】
「極性溶媒」とは、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシルなどの極性基を含有する溶媒を指す、すなわち、溶媒分子が極性分子なのは、分子中の正及び負電荷の重心が一致しないからであり、これにより分子は極性になる。極性溶媒は、水、ホルムアミド、トリフルオロ酢酸、アセトニトリル、DMF、ヘキサメチルホスホラミド、メタノール、エタノール、酢酸、イソプロパノール、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、アセトン、トリエチルアミン、n-ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ギ酸メチル、トリブチルアミン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、トリオクチルアミン、炭酸ジメチル及びジエチルエーテル、又はそれらの化合物からなる群から選択される。
【0060】
「等電点」は、分子の表面電荷がなくなるpH値である。等電点では、同一電荷のため相互反発がないので、分子は最も不安定であり、最も低い溶解性を有し、静電気引力により迅速に大きな凝集体に迅速に組み合わされてもよく、それにより沈殿する。
【0061】
含水率は、以下のように計算する:
【0062】
含水率=水分子の質量*単一結晶分子中の水分子の数/(水分子の質量*単一結晶分子中の水分子の数+酸化型グルタチオンの分子量)*100%
【0063】
例えば、一水和物の含水率=18.01*1/(18.01*1+612.63)*100%=2.86%、六水和物の含水率=18.01*6/(18.01*6+612.63)=14.99%、七水和物の含水率=18.01*7/(18.01*7+612.63)=17.07%、及び八水和物の含水率=18.01*8/(18.01*8+612.63)=19.04%。
【0064】
本開示の実施形態を、実施例を参照して以下に明確に完全に説明する。明らかに、記載された実施例は本開示を例示するためにのみ使用されるが、本開示を限定するために使用されるものではない。本開示の実施例に基づいて、当業者によって創造的な努力を行わずに得られた全ての他の実施例は、本開示の保護の範囲内に含まれる。
【実施例】
【0065】
(1)酸化型グルタチオンの合成
【0066】
実施例1
【0067】
1.0kgの還元型グルタチオン及び10.0Lの水を三つ口フラスコに添加し、次いで1.0Lのジメチルスルホキシドを三つ口フラスコに添加した。混合物を室温で48時間攪拌しながら反応させた。固体を沈殿させ、この固体をろ過し、乾燥させて950.2gの粗酸化型グルタチオンを得て、収率は95.3%であり、純度は98.4%だった。ESI-MS[M+H]+=613.3。
【0068】
実施例2
【0069】
1.0kgの還元型グルタチオン及び3.0Lの水を三つ口フラスコに添加した。NaOHで混合物のpHを6~7に調整し、次いで500mLのジメチルスルホキシドを添加した。混合物を室温で10時間攪拌した。pHを等電点(2.75~2.90)に調整し、結晶化のために混合物を5℃で10時間攪拌した。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて855.1gの粗酸化型グルタチオンを得て、収率は86.0%であり、純度は99.3%だった。ESI-MS[M+H]+=613.3。
【0070】
実施例3
【0071】
1.0kgの還元型グルタチオン及び2.5Lの水を三つ口フラスコに添加した。NaOHでpHを6.0に調整し、次いで450mLのジメチルスルホキシドを三つ口フラスコに添加した。混合物を40℃で24時間攪拌した。pHを等電点(2.75~2.90)に調整し、混合物を8℃で10時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて892.7gの酸化型グルタチオンを得て、収率は89.5%であり、純度は99.0%だった。ESI-MS[M+H]+=613.3。
【0072】
実施例4
【0073】
1.0kgの還元型グルタチオン及び3.0Lの水を三つ口フラスコに添加した。NaOHでpHを5.5に調整し、次いで550mLのジメチルスルホキシドを三つ口フラスコに添加した。混合物を25℃で48時間攪拌した。pHを等電点(2.75~2.90)に調整し、混合物を5℃で8時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて912.0gの酸化型グルタチオンを得て、収率は91.5%であり、純度は99.2%だった。ESI-MS[M+H]+=613.3。
【0074】
比較例1:過酸化水素による酸化
【0075】
10gの還元型グルタチオン及び30mLの水を三つ口フラスコに添加した。NaOHでpHを5.8に調整し、3.3mLの30%過酸化水素を水浴中室温で三つ口フラスコに添加した。混合物を5時間反応させた。次いでpHを3.0に調整し、50mLの無水エタノールを系に添加した。混合物を10℃で10時間結晶化させ、次いでろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて過酸化物不純物を含有する9.09gの酸化型グルタチオンを得て、収率は91.2%であり、純度は96.2%だった。ESI-MS[M+H]+=613.3。
【0076】
(2)酸化型グルタチオンの精製
【0077】
比較例2:従来法による純化(Purification)及び精製(refining)
【0078】
上記(1)酸化型グルタチオンの合成の実施例において得られた10gの粗酸化型グル
タチオンを200mLの精製水に溶解した。次いで試料を強酸性陽イオン交換樹脂に注入し、精製水で溶出した。溶離液を集め、次いで無水エタノールを添加することにより固体を沈殿させて、8.43gの酸化型グルタチオンを得て、ワンステップ収率は84.3%であり、純度は99.5%だった。純度の増加率は、0.2%だった。
【0079】
実施例5
上記(1)酸化型グルタチオンの合成の実施例において得られた1.0kgの粗酸化型グルタチオンを50℃で4.0Lの精製水に添加し、100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加した。固体が溶解するまで混合物を攪拌した。混合物を熱時ろ過し、次いで25℃まで時間あたり10℃で徐々に冷却した。最後に、混合物を20℃~25℃の温度に制御し、8時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させた。
【0080】
他の実験例では、以下の表のパラメータを使用し、上記ステップを順次実行した。
【0081】
沈殿時間の探索
【0082】
【0083】
【0084】
上記結果によれば:結晶化時間が短すぎる場合、得られた結晶は含水率が不安定な結晶の混合物であり、結晶化時間が長すぎる場合、不純物が沈殿し、生成物の純度が低下することが分かる。したがって、結晶化時間はあるいは6~12時間、あるいは6~8時間である。
【0085】
精製水の倍量の探索
【0086】
【0087】
【0088】
上記結果によれば:精製水を使用して酸化型グルタチオンを溶解する場合、水の量が収率に大きな影響を及ぼすことが分かる。水の量が多すぎる場合、収率は非常に低くなる。水の量が少なすぎる場合、生成物は完全に溶解することができない、又は溶解及び再沈殿後、攪拌効果があまり働かず、生成物純度が低下する。したがって、水の量は、あるいは2~6倍、あるいは3~6倍、更にあるいは3~5倍である。
【0089】
溶解温度の探索
【0090】
【0091】
【0092】
上記表によれば:温度が40℃より高い場合、全ての実施例は可溶ということが分かるが、温度が60℃より高い場合、ラセミ化現象が起こることも分かる。更に、温度が高いほど、加熱時間が長くなり、ラセミ化現象がより重大になる。生成物のエネルギー消費を考慮すると、選択される温度は、40~60℃、あるいは40~50℃、更にあるいは50℃である。
【0093】
結晶化保持温度の探索
【0094】
【0095】
【0096】
上記実験結果によれば、結晶化温度が低すぎる場合、収率は高いが、多くの不純物も沈殿し、単一の不純物含有率は0.1%を超える。結晶化温度が高すぎる場合、収率は徐々に低下する。上記因子を包括的に考慮すると、選択される結晶化温度は、5~25℃、あるいは10~25℃、更にあるいは15~25℃であってもよい。
【0097】
冷却勾配の探索
【0098】
【0099】
【0100】
上記表によれば:冷却速度が速すぎる場合、結晶化速度が速いが、不純物が含まれ、迅速に沈殿し、生成物の純度が低下することが分かる。冷却速度が遅すぎる場合、結晶化時間が長くなり、エネルギー消費及び人件費が増加する一方、収率はそれほど変化しない。したがって、全ての因子を考慮すると、冷却速度は、5~20℃/時間、あるいは5~15℃/時間、更にあるいは10℃/時間であってもよい。
【0101】
実施例25
上記(1)酸化型グルタチオンの合成の実施例において得られた1.0kgの粗酸化型グルタチオンを40℃で4.0Lの精製水に添加し、固体が溶解するまで混合物を攪拌した。混合物を熱時ろ過し、次いで20℃まで時間あたり10℃で徐々に冷却した。最後に、混合物を15℃~20℃の温度に制御し、8時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて、855.1gの酸化型グルタチオンを得て、ワンステップ収率は85.5%であり、純度は99.7%だった。純度の増加率は、0.5%だった。
【0102】
実施例26
【0103】
上記(1)酸化型グルタチオンの合成の実施例において得られた1.0kgの粗酸化型グルタチオンを45℃で4.0Lの精製水に添加し、100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加した。固体が溶解するまで混合物を攪拌した。混合物を熱時ろ過し、次いで20℃まで、時間あたり10℃で徐々に冷却した。最後に、混合物を15℃~20℃の温度に制御し、7時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて、849.2gの酸化型グルタチオンを得て、ワンステップ収率は84.9%であり、純度は99.9%だった。純度の増加率は、0.7%だった。
【0104】
実施例27
【0105】
上記(1)酸化型グルタチオンの合成の実施例において得られた1.0kgの粗酸化型
グルタチオンを50℃で5.0Lの精製水に添加し、固体が溶解するまで混合物を攪拌した。混合物を熱時ろ過し、次いで20℃まで、時間あたり10℃で徐々に冷却した。最後に、混合物を15℃~20℃の温度に制御し、8時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて、843.3gの酸化型グルタチオンを得て、ワンステップ収率は84.3%であり、純度は99.7%だった。純度の増加率は、0.5%だった。
【0106】
実施例28
【0107】
上記(1)酸化型グルタチオンの合成の実施例において得られた1.0kgの粗酸化型グルタチオンを50℃で5.0Lの精製水に添加し、100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加した。固体が溶解するまで混合物を攪拌した。混合物を熱時ろ過し、次いで20℃まで、時間あたり10℃で徐々に冷却した。最後に、混合物を15℃~20℃の温度に制御し、8時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて、848.6gの酸化型グルタチオンを得て、ワンステップ収率は84.9%であり、純度は99.9%だった。純度の増加率は、0.7%だった。
【0108】
実施例29
【0109】
上記(1)酸化型グルタチオンの合成の実施例において得られた1.0kgの粗酸化型グルタチオンを50℃で4.0Lの精製水に添加し、固体が溶解するまで混合物を攪拌した。混合物を熱時ろ過し、次いで20℃まで、時間あたり10℃で徐々に冷却した。最後に、混合物を20℃~25℃の温度に制御し、6時間結晶化させた。混合物をろ過した。ろ過ケーキをエタノールですすぎ、乾燥させて、851.6gの酸化型グルタチオンを得て、ワンステップ収率は85.2%であり、純度は99.7%だった。純度の増加率は、0.5%だった。
【0110】
実施例30
【0111】
不純物Aの調製:4.6gのBoc-Cys(Trt)-OH、1.7gのグリシンtert-ブチル塩酸塩及び7.6gのHBTUを30mLのDMFに溶解し、2mLのDIEAを混合物に滴加した。反応は、室温で24時間実行し、次いで100mLの水を添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、有機相を保持し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発乾固させ、次いで残留物を30mLのジクロロメタンで溶解した。Trt、Boc及びtBuなどの保護基を除去するために30mLの30%トリフルオロ酢酸水溶液を添加した。反応が完了した後、層を分離し、水層を保持した。次いで50mLのエタノールを水層に添加して固体を沈殿させた。混合物を吸引ろ過し、ろ過ケーキを分取液相クロマトグラフィーにより精製して、Cys-Glyを得た。次いで1:1のモル比の還元型グルタチオン及びCys-Glyを20mLの水に溶解した。酸化のため、5当量のDMSOを混合物に添加した。反応は、室温で10時間行われ、次いで40mLのエタノールを添加して固体を沈殿させた。生じた固体を5mLの1%トリフルオロ酢酸水溶液に溶解し、混合物を分取液相クロマトグラフィーにより分離した。移動相は、相A:1%トリフルオロ酢酸/水;及び相B:1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリルだった。最後に、凍結乾燥により2.0gの不純物Aを得て、全収率は42%であり、純度は99.7%だった。ESI-MS[M+H]+=484.1。
【0112】
実施例31
【0113】
不純物Bの調製:3.0gのBoc-Glu-OtBu、4.2gのHCl・H-Cys(Trt)-OtBu及び7.6gのHBTUを30mLのDMFに溶解し、3mLの
DIEAを混合物に滴加した。反応は、室温で18時間実行し、次いで100mLの水を添加した。混合物を酢酸エチルで3回抽出し、有機相を保持し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発乾固させ、次いで残留物を30mLのジクロロメタンで溶解した。Trt、Boc及びtBuなどの保護基を除去するために、40mLの30%トリフルオロ酢酸水溶液を添加した。反応が完了した後、水層を分離した。次いで50mLのエタノールを水層に添加して固体を沈殿させた。混合物を吸引ろ過し、ろ過ケーキを分取液相クロマトグラフィーにより精製して、Glu-Cysを得た。次いで1:1のモル比の還元型グルタチオン及びGlu-Cysを20mLの水に溶解した。酸化のため、5当量のDMSOを混合物に添加した。反応は、室温で12時間行われ、次いで40mLのエタノールを添加して固体を沈殿させた。生じた固体を5mLの精製水に溶解し、混合物を分取液相クロマトグラフィーにより分離した。移動相は、相A:1%トリフルオロ酢酸/水;及び相B:1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリルだった。最後に、凍結乾燥により2.3gの不純物Bを得て、全収率は41%であり、純度は99.7%だった。ESI-MS[M+H]+=555.2。
【0114】
実施例32
【0115】
不純物Cの調製:3.1gの還元型グルタチオン及び1.2gのシステインを15mLの水に添加し、酸化のために3.9gのDMSOを添加した。混合物は、室温で9時間攪拌しながら反応させた。反応が完了した後、30mLのエタノールを添加して固体を沈殿させた。生じた固体を5mLの精製水に溶解し、混合物を分取液相クロマトグラフィーにより分離した。移動相は、相A:1%トリフルオロ酢酸/水;及び相B:1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリルだった。最後に、凍結乾燥により2.1gの不純物Cを得て、全収率は49%であり、純度は99.8%だった。ESI-MS[M+H]+=427.1。
【0116】
(3)結晶特性及び解析
【0117】
試験後、得られた結晶の融点は、169℃であり(顕微鏡下融点測定装置X-5、製造業者:Corey Instrument)、報告された結晶の融点とは異なり、この結晶が新しい結晶形であることが証明され、そしてX線粉末回折試験(仕様:D8 ADVANCE、製造業者:Bruker Company, Germany、LynxEye検出器を装備、2θ走査角度3°~40°、走査ステップサイズ0.02°、走査速度0.3秒/ステップ、及び試料測定時の管電圧及び管電流はそれぞれ40KV及び40mAである)により得られる特性ピーク(3個の高ピーク及び8個の高ピーク)も報告された結晶形と一致せず、同時に関連するピーク形状から、結晶形は結晶の混合物ではないことが証明され、そしてTG-DSC試験(仕様モデル:STA 449F5、製造業者:NETZSCH, Germany)後、50~180℃の試料の重量減少を遅い加熱速度(1.0℃/分)により測定し、得られた酸化型グルタチオンの含水率は、17.2%であり、カールフィッシャー(Karl Fischer)水分計(モデル:V20S、製造業者:METTLER TOLEDO)によって測定した試料の含水率(17.2%、3個の平行ランの結果)と基本的に一致した。含水率が上記計算した酸化型グルタチオン七水和物の含水率と一致したので、得られた結晶は、酸化型グルタチオン七水和物と決定された。
【0118】
以下の表11は、上述した酸化型グルタチオン七水和物の結晶及び酸化型グルタチオン一水和物及び六水和物の結晶の飽和溶解度の差を示す。
【0119】
【0120】
同一温度では、七水和物の水溶解度は、一水和物のものより著しく良好で、六水和物のものに匹敵する。更に、静電気を発生し、包装プロセス中に大量の損失を被る傾向がある六水和物の粉末結晶と比較して、得られた七水和物の粒状結晶は、工業生産により適している。
【0121】
【0122】
要約すれば、本開示は、酸化型グルタチオン及びその新しい結晶形並びに不純物を調製
する方法を提供し、これにより酸化型グルタチオンの合成方法が簡素化される。不純物の合成は、その後の酸化型グルタチオンの品質試験に保証を与える。同時に、合成した酸化型グルタチオンを再結晶するために精製水を使用すると、高純度の酸化型グルタチオンが得られるだけでなく、既存の精製方法も簡素化される。既存の結晶形と比較して、新しく発見した七水和物の新しい結晶形は、より簡単な合成方法、良好な水溶解度、良好な安定性を有し、酸化型グルタチオンの工業生産により適している。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物の七水和物の結晶。
【請求項2】
前記結晶が下記の定義のいずれか一つを満たす、請求項1に記載の結晶:
i)°2θで少なくとも以下の特性ピーク:8.238±0.2,16.338±0.2及び24.551±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とす
る;
ii)°2θで少なくとも以下の特性ピーク:8.238±0.2,10.619±0.2,16.338±0.2,19.539±0.2,24.551±0.2,26.806±0.2及び34.618±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする;
iii)°2θで少なくとも以下の特性ピーク:8.238±0.2,9.750±0.2,10.619±0.2,16.338±0.2,19.539±0.2,22.738±0.2,23.200±0.2,24.551±0.2,26.806±0.2及び34.618±0.2を有するCuKα線を使用して得られたX線粉末回折パターンを特徴とする;
iv)図5に実質的に示されているX線粉末回折パターンを特徴とする。
【請求項3】
169±2℃の融点を有することを更に特徴とする、請求項
1に記載の結晶。
【請求項4】
前記結晶が下記の定義のいずれか一つを満たす、請求項1に記載の結晶:
i)熱重量分析において50~100℃で約14±1%の重量減少、及び100~160℃で約3±1%の重量減少を更に特徴とす
る;
ii)図6に示されている熱重量分析図を有することを更に特徴とする。
【請求項5】
式(II)
【化2】
の化合物をDMSOで酸化して式(I)の化合物を得るステップを含む、
式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項6】
前記方法が下記の定義の一以上を満たす、請求項5に記載の方法:
i)DMSOの式(II)の化合物に対するモル比が、2:1~25:1、あるいは2.5:1~5:1、さらにあるいは2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1又は5:1であ
る;
ii)式(II)の化合物の溶解を促進するために、極性溶媒を前記反応に更に添加し、任意で、前記極性溶媒は、水、ホルムアミド、トリフルオロ酢酸、アセトニトリル、DMF、ヘキサメチルホスホラミド、メタノール、エタノール、酢酸、イソプロパノール、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、アセトン、トリエチルアミン、n-ブタノール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ギ酸メチル、トリブチルアミン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、クロロホルム、トリオクチルアミン、炭酸ジメチル及びジエチルエーテル、又はそれらの化合物、更にあるいは水からなる群から選択される;任意で、前記極性溶媒の式(II)の化合物に対する比率は、100gの式(II)の化合物あたり200~2000mL、あるいは250mL~1000mL、更にあるいは250mL、300mL、500mL、750mL又は1000mLの極性溶媒である;
iii)前記反応のpHは、2~9、あるいは3~7、更にあるいは5~7、例えば、5、5.5、6、6.5、7、8又は9に調整される;
iv)前記反応は、-10℃~60℃、あるいは25℃などの5℃~30℃、40℃又は室温で行われる;
v)前記反応は、5~60時間、あるいは10~48時間、例えば、10時間、15時間、20時間、25時間、30時間、35時間、40時間又は45時間行われる;
vi)前記反応が完了した後、pHを酸化型グルタチオンの等電点(pH2.75~2.90)に調整し、攪拌による結晶化を少なくとも5時間、あるいは少なくとも10時間実行する;任意で、前記攪拌による結晶化を5℃~40℃、あるいは5℃、10℃、15℃、20℃又は室温で実行する;
vii)得られた式(I)の化合物の純度は、≧98%、あるいは≧98.5%、あるいは≧99%、あるいは≧99.7%、あるいは≧99.8%、あるいは≧99.9%であり、生成物中の不純物A、不純物B及び不純物Cの合計含有量は、1%未満、あるいは0.5%未満、あるいは0.3%未満、あるいは0.1%未満である。
【表1】
【請求項7】
1)粗酸化型グルタチオンを精製水に溶解するステップであって、前記精製水の量は、前記粗酸化型グルタチオンの重量の3~5倍である、溶解するステップ、
2)前記溶解後、前記溶液を熱時ろ過するステップ、及び
3)結晶化のために前記ろ液を10~25℃、あるいは12~20℃に冷却するステップを含む、
請求項
5に記載の方法により調製された酸化型グルタチオンを精製する方
法であって、任意で、前記方法が下記の定義の一以上を更に満たす、方法:
i)ステップ1)において、前記精製水の温度は、35℃~55℃、あるいは40℃~50℃であり、任意で、残留原料を除去するために塩化鉄(II)溶液を添加し、あるいは酸化型グルタチオンのキログラムあたり100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加する;
ii)ステップ3)において、再結晶の結晶化時間は、3~10時間、あるいは4~6時間であり、任意で、勾配冷却を採用し、冷却速度は、時間あたり10℃である。
【請求項8】
請求項
5~7のいずれか一項により調製された酸化型グルタチオンを精製水中で再結晶するステップを含み、任意で、前記方法は、以下のステップ、
1)前記酸化型グルタチオンを精製水に溶解し、溶解するまで攪拌するステップ、
2)前記溶解後、前記溶液を熱時ろ過し、次いで標的温度まで勾配冷却するステップ、及び
3)温度管理下で結晶化するステップ
を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の酸化型グルタチオン七水和物の結晶を調製する方法。
【請求項9】
前記方法が下記の定義の一以上を満たす、請求項8に記載の方法:
i)ステップ1)において、酸化型グルタチオンのキログラムあたり2L~6L、あるいは3L~6L、更にあるいは3L~5L、更にあるいは4Lの精製水を使用す
る;
ii)ステップ1)において、前記溶解プロセス中の前記精製水の温度は、40~60℃、あるいは40~50℃、更にあるいは50℃である;
iii)ステップ1)において、残留原料を良好に除去するために塩化鉄(II)溶液を添加し、任意で、酸化型グルタチオンのキログラムあたり100mLの5%塩化鉄(II)溶液を添加する;
iv)ステップ2)において、前記冷却勾配は、5~25℃/時間、あるいは5~20℃/時間、あるいは5~15℃/時間、更にあるいは10℃/時間である;
v)ステップ2)において、標的温度は、5~25℃、あるいは10~25℃、更にあるいは15~25℃である;
vi)ステップ3)において、前記温度は、5~25℃、あるいは10~25℃、更にあるいは15~25℃に制御される;
vii)ステップ3)において、結晶化時間は、6~12時間、あるいは6~8時間である。
【請求項10】
【表2】
から選択される化合物。
【請求項11】
【化3】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びCys-GlyをDMSOで酸化することを含む、
請求項
10に記載の不純物Aを調製する方
法であって、任意で、前記方法が下記の定義の一以上を更に満たす、方法:
i)前記DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である;
ii)前記方法が、
1)1:1~1:3のモル比のBoc-Cys(Trt)-OH及びグリシンtert-ブチルエステルを1.5~4当量の縮合剤(例えば、HATU、HBTU、PyBOP、DEPBTなど、あるいはHBTU及びDEPBT)並びに2当量の第三級有機アミン(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及びトリエチルアミン、あるいはN,N-ジイソプロピルエチルアミン)の触媒下縮合するステップであって、その反応がDMF又はジクロロメタン中で行われるステップ、
2)Trt、Boc及びtBu保護基をトリフルオロ酢酸で除去してCys-Glyを得るステップ、及び
3)1:1のモル比の還元型グルタチオン及びCys-Glyを3~5当量のDMSOで酸化するステップを含む、方法である。
【請求項12】
【化4】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びGlu-CysをDMSOで酸化することを含む、
請求項
10に記載の不純物Bを調製する方
法であって、任意で、前記方法が下記の定義の一以上を更に満たす、方法:
i)前記DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である;
ii)前記方法が、
1)1:1~1:2のモル比のBoc-Glu-OtBu及びH-Cys(Trt)-OtBuを1.5~4当量の縮合剤(例えば、HATU、HBTU、PyBOP、DEPBTなど、あるいはHBTU及びDEPBT)並びに2当量の第三級有機アミン(例えば、N,N-ジイソプロピルエチルアミン及びトリエチルアミン、あるいはN,N-ジイソプロピルエチルアミン)の触媒下縮合するステップ、
2)Boc、Trt、及びtBu保護基をトリフルオロ酢酸で除去してGlu-Cysを得るステップ、及び
3)1:1のモル比の還元型グルタチオン及びGlu-Cysを3~5当量のDMSOで酸化するステップを含む、方法である。
【請求項13】
1:1のモル比の還元型グルタチオン及びシステインをDMSOで酸化するステップを
含む、
請求項
10に記載の不純物Cを調製する方
法であって、任意で、前記DMSOの量は、2~10当量、あるいは3~5当量である、方法。
【国際調査報告】