(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】ワイヤレス電力レシーバで使用するための差動整流器および電力信号を整流する方法
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20250115BHJP
H02M 7/06 20060101ALI20250115BHJP
H02M 7/12 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
H02J50/12
H02M7/06 E
H02M7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538199
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 CA2022051886
(87)【国際公開番号】W WO2023115219
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516389019
【氏名又は名称】ソレース・パワー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サメル・アルダヘル
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ロバート・コーヴ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・シーリー
(72)【発明者】
【氏名】アハマド・エム・アルムダラル
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA02
5H006CA07
5H006CA13
5H006CB03
5H006CB05
5H006CB07
5H006CC08
(57)【要約】
誘導結合によってワイヤレス電力を受け取るためのレシーバにおいて使用するための差動整流器であって、第1および第2のコンデンサと、第1および第2のスイッチング要素と、第1および第2のインダクタとを備える。第1のコンデンサおよび第1のインダクタは、電気的に直列に接続され、第2のコンデンサおよび第2のインダクタは、電気的に直列に接続される。第1のスイッチング要素は、第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に並列に接続され、第2のスイッチング要素は、第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続される。第1のコンデンサは、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの端子に電気的に接続され、第2のコンデンサは、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの別の端子に電気的に接続される。第1および第2のスイッチング要素は、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルのタップに電気的に接続される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導結合によってワイヤレス電力を受け取るためのレシーバにおいて使用するための差動整流器であって、前記整流器が、第1および第2のコンデンサと、第1および第2のスイッチング要素と、第1および第2のインダクタとを備え、
前記第1のコンデンサおよび第1のインダクタが、電気的に直列に接続され、前記第2のコンデンサおよび第2のインダクタが、電気的に直列に接続され、
前記第1のスイッチング要素が、前記第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、前記第2のスイッチング要素が、前記第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、
前記第1のコンデンサが、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの端子に電気的に接続され、前記第2のコンデンサが、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの別の端子に電気的に接続され、
前記第1および第2のスイッチング要素が、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルのタップに電気的に接続される、差動整流器。
【請求項2】
前記第1および第2のスイッチング要素のうちの一方に電気的に並列に接続されたコンデンサをさらに備える、請求項1に記載の差動整流器。
【請求項3】
前記コンデンサが、0.175を動作周波数で割り、出力負荷を掛けたものに等しい静電容量を有する、請求項2に記載の差動整流器。
【請求項4】
前記差動整流器が、受動整流器である、請求項1から3のいずれか一項に記載の差動整流器。
【請求項5】
前記差動整流器が、電流駆動である、請求項1から4のいずれか一項に記載の差動整流器。
【請求項6】
前記差動整流器が、負荷に依存しない一定のDC電流を提供するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の差動整流器。
【請求項7】
ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのレシーバであって、前記レシーバが、誘導結合によって電力を受け取るためのものであり、
請求項1から6のいずれか一項に記載の差動整流器と、
生成された界から誘導結合によって電力を抽出するためのコイルと
を備える、レシーバ。
【請求項8】
前記コイルが、少なくとも2つの巻線を備え、
第1の巻線の外側の巻きおよび第2の巻線の内側の巻きが、前記コイルの第1のサブコイルを形成し、
前記第1の巻線の内側の巻きおよび前記第2の巻線の外側の巻きが、前記コイルの第2のサブコイルを形成する、
請求項7に記載のレシーバ。
【請求項9】
第1の端子が、前記第1の巻線の前記外側または内側の巻きの終端に形成され、第2の端子が、前記第2の巻線の前記外側または内側の巻きの終端に形成され、
前記コイルを前記第1のサブコイルおよび前記第2のサブコイルに分割するために、前記タップが、前記第1の端子と前記第2の端子との間に形成される、
請求項8に記載のレシーバ。
【請求項10】
前記第1および第2のスイッチング要素が、前記タップに電気的に接続される、請求項9に記載のレシーバ。
【請求項11】
前記第1のインダクタおよび/または前記第1のコンデンサが、前記第1の端子に電気的に接続される、請求項9または10に記載のレシーバ。
【請求項12】
前記第2のインダクタおよび/または前記第2のコンデンサが、前記第2の端子に電気的に接続される、請求項9から11のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項13】
前記第1のコンデンサおよび前記第1のインダクタが、前記第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に電気的に並列に接続された前記第1のスイッチング要素と、電気的に直列に接続され、および/または
前記第2のコンデンサおよび前記第2のインダクタが、前記第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続された前記第2のスイッチング要素と、電気的に直列に接続される、
請求項9から12のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項14】
前記コイルの前記端子の1つまたはタップに電気的に接続された少なくとも1つの追加のインダクタをさらに備える、請求項7から13のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項15】
前記第1の端子に電気的に接続された第3のインダクタと、前記第2の端子に電気的に接続された第4のインダクタとをさらに備える、請求項14に記載のレシーバ。
【請求項16】
前記タップに電気的に接続された第3のインダクタをさらに備える、請求項14に記載のレシーバ。
【請求項17】
前記整流器が同期整流器であり、
前記コイルの前記タップおよび前記コイルの前記第1の端子に電気的に接続された第1のトランジスタと、
前記コイルの前記タップおよび前記コイルの前記第2の端子に電気的に接続された第2のトランジスタと
をさらに備える、請求項9から16のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項18】
前記第1のトランジスタを駆動するためのパルス信号を生成するために前記第1のトランジスタに電気的に接続された第1の信号生成器と、
前記第2のトランジスタを駆動するためのパルス信号を生成するために前記第2のトランジスタに電気的に接続された第2の信号生成器と
をさらに備える、請求項17に記載のレシーバ。
【請求項19】
前記コイルの前記第1の端子に電気的に接続された第1の遅延線であって、前記第1のトランジスタの動作を同期するためのものである、第1の遅延線と、
前記コイルの前記第2の端子に電気的に接続された第2の遅延線であって、前記第2のトランジスタの動作を同期するためのものである、第2の遅延線と
をさらに備える、請求項17または18に記載のレシーバ。
【請求項20】
前記整流器に電気的に接続された負荷
をさらに備える、請求項7から19のいずれか一項に記載のレシーバ。
【請求項21】
前記インダクタと負荷との間に電気的に並列に接続されたコンデンサをさらに備え、前記コンデンサが、前記整流器によって出力される電力信号をフィルタ処理するためのものである、請求項20に記載のレシーバ。
【請求項22】
誘導結合によって電力を伝送するためのワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのコイルであって、前記コイルが、少なくとも2つの巻線を備え、
第1の巻線の外側の巻きおよび第2の巻線の内側の巻きが、前記コイルの第1のサブコイルを形成し、
前記第1の巻線の内側の巻きおよび前記第2の巻線の外側の巻きが、前記コイルの第2のサブコイルを形成し、
第1の端子が、前記第1の巻線の前記外側または内側の巻きの終端に形成され、第2の端子が、前記第2の巻線の前記外側または内側の巻きの終端に形成され、
前記コイルを前記第1のサブコイルおよび前記第2のサブコイルに分割するために、前記第1の端子と前記第2の端子との間にタップが形成され、前記タップが、電気的にグランドに接続される、コイル。
【請求項23】
前記第1および第2のサブコイルが、電気的にバランスがとれている、請求項22に記載のコイル。
【請求項24】
前記第1のサブコイルの静電容量が、前記第2のサブコイルの静電容量にほぼ等しい、請求項22または23に記載のコイル。
【請求項25】
前記第1の巻線の前記外側の巻きが、前記第2の巻線の前記外側の巻きに少なくとも部分的に重なっている、請求項22から24のいずれか一項に記載のコイル。
【請求項26】
前記第1の巻線の前記内側の巻きが、前記第2の巻線の前記内側の巻きに少なくとも部分的に重なっている、請求項22から25のいずれか一項に記載のコイル。
【請求項27】
前記少なくとも1つの巻線が、内側の巻きと外側の巻きとの間に1つまたは複数のさらなる巻きを含む、請求項22から25のいずれか一項に記載のコイル。
【請求項28】
電気的干渉から前記コイルを保護するために、前記コイルに隣接して配置されたシールドをさらに備える、請求項22から27のいずれか一項に記載のコイル。
【請求項29】
前記シールドが、前記コイルに静電容量を追加するように構成される、請求項28に記載のコイル。
【請求項30】
スイッチモードゼロ電圧スイッチング(ZVS)増幅器を備える負荷非依存インバータであって、
回路のペアであって、
並列に配置された少なくとも1つのトランジスタおよび少なくとも1つのコンデンサと、
前記トランジスタおよびコンデンサと直列に配置された少なくとも1つのインダクタと
を備える、回路のペアと、
回路の前記ペアに電気的に接続されたただ1つのZVSインダクタと、
前記ZVSインダクタに電気的に接続されたインピーダンス変換段と、
前記インピーダンス変換段に電気的に接続され、少なくとも1つのインダクタおよび少なくとも1つの抵抗器と直列に配置された少なくとも1つのコンデンサと
を備える、インバータ。
【請求項31】
前記インバータが、一定の電流出力を有する、請求項30に記載のインバータ。
【請求項32】
ワイヤレス電力伝送システムのレシーバで受け取られる電力信号を整流する方法であって、
AC電力信号を生成するためにコイルにおいて誘導結合によって、生成された界から電力を抽出するステップと、
差動整流器を用いて、前記AC電力信号を整流するステップであって、前記差動整流器が、第1および第2のコンデンサと、第1および第2のスイッチング要素と、第1および第2のインダクタとを備える、ステップと
を含み、
前記第1のコンデンサおよび第1のインダクタが、電気的に直列に接続され、前記第2のコンデンサおよび第2のインダクタが、電気的に直列に接続され、
前記第1のスイッチング要素が、前記第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、前記第2のスイッチング要素が、前記第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、
前記第1のコンデンサが、前記コイルの端子に電気的に接続され、前記第2のコンデンサが、前記コイルの別の端子に電気的に接続され、
前記第1および第2のスイッチング要素が、前記コイルのタップに電気的に接続される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にワイヤレス電力伝送に関し、詳細には、誘導結合によってワイヤレス電力を受け取るためにレシーバで使用するための差動整流器、ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのレシーバおよびコイル、負荷非依存インバータ、ならびにワイヤレス電力伝送システムのレシーバで受け取った電力信号を整流する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス充電などのワイヤレス電力伝送システムは、次世代のデバイスを差動させるためにますます重要な技術になっている。この技術によって与えられる潜在的な利益および利点は、ますます多くの製造業者および企業がこの技術に投資していることによって明らかである。
【0003】
様々なワイヤレス電力伝送システムが知られている。一般的なワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス電力トランスミッタに電気的に接続された電源と、負荷に電気的に接続されたワイヤレス電力レシーバとを含む。
【0004】
磁気誘導システムでは、トランスミッタは、電源からレシーバへ電気エネルギーを伝送する、あるインダクタンスをもつトランスミッタコイルを有し、レシーバは、あるインダクタンスをもつレシーバコイルを有する。電力伝送は、トランスミッタおよびレシーバのコイルまたはインダクタ間の磁界の結合により行われる。これらの磁気誘導システムの範囲は限られており、トランスミッタおよびレシーバのコイルまたはインダクタは、密に結合され、すなわち、0.5を上回る結合係数を有し、効率的な電力伝送のために最適な位置合わせでなければならない。
【0005】
トランスミッタおよびレシーバのコイルまたはインダクタ間の磁界の結合により電力が伝送される、共振磁気システムも存在する。トランスミッタおよびレシーバのインダクタは、緩く結合されてもよく、すなわち、0.5を下回る結合係数を有してもよい。しかしながら、共振磁気システムでは、インダクタは少なくとも1つのコンデンサを使用して共振される。さらに、共振磁気システムでは、トランスミッタは自己共振し、レシーバは自己共振する。共振磁気システムにおける電力伝送の範囲は、磁気誘導システムのそれを超えて増大し、位置合わせ問題は縮小する。磁気誘導および共振磁気システムで電磁エネルギーが生成される間、電力伝送の大部分は、磁界によって行われる。電気誘導または共振電気誘導によって伝送される電力は、たとえあったとしても、ほとんどない。
【0006】
電気誘導システムでは、トランスミッタおよびレシーバは、容量性電極を有する。電力伝送は、トランスミッタおよびレシーバの容量性電極間の電界の結合により行われる。共振磁気システムと同様に、少なくとも1つのインダクタを使用してトランスミッタおよびレシーバの容量性電極が作成される、共振電気システムが存在する。インダクタは、コイルであってもよい。共振電気システムでは、トランスミッタは、自己共振しており、レシーバは自己共振している。共振電気システムは、電気誘導システムのものと比較して電力伝送の範囲が増大し、位置合わせ問題が修正される。電気誘導および共振電気システムで電磁エネルギーが生成される間、電力伝送の大部分は、電界によって行われる。磁気誘導または共振磁気誘導によって伝送される電力は、たとえあったとしても、ほとんどない。
【0007】
いくつかのワイヤレス電力伝送システムが知られているが、改善が望まれる。したがって、新規のワイヤレス電力伝送トランスミッタ、レシーバ、システム、および電力をワイヤレスに伝送する方法を提供することが目的である。
【0008】
この背景は、当業者が以下の簡潔で詳細な説明をより良く諒解できるように、単に状況を設定するのに役立つ。したがって、上記の説明のいずれも、必ずしも説明が最新技術の一部である、または周知の一般的な事実であるという承認として解釈されるべきではない。以下で説明する1つまたは複数の態様/実施形態は、背景問題の1つまたは複数に対処する可能性があり、またはしない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0083634A1号
【特許文献2】米国特許第9,653,948号
【特許文献3】米国特許第11,139,690号
【特許文献4】米国特許出願第17/472,002号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、一態様では、電力をワイヤレスに受け取るためのレシーバで使用するための差動またはプッシュプル整流器が提供される。電力は、誘導または磁気結合によって受け取られてもよい。誘導結合は、磁界からの電磁誘導による電流の生成である。ワイヤレス電力伝送では、トランスミッタが、磁界を生成してもよく、生成された界内にレシーバが置かれると、磁界がレシーバに電流を誘導する。
【0011】
レシーバで受け取られる信号は、差動交流(AC)信号である。多くの適用例では、レシーバの負荷は、直流(DC)信号を必要とする。受け取られたAC信号を必要とされるDC信号に整流するために、整流器が使用される。
【0012】
説明する差動整流器は、従来の整流器と比べて効率および性能を改善し得る。さらに、説明する差動整流器は、従来の整流器よりも少ない構成要素を含み得る。これは、サイズを縮小した整流器を実現する可能性があり、したがってより多様な適用例において役立つ。
【0013】
差動整流器は、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバのレシーバコイルとともに使用するためのものであってもよい。コイルは、生成された界から誘導または磁界結合によって電力を抽出するためのものであってもよい。コイルは、共振磁界結合によって電力を抽出してもよい。コイルは、センタータップ付きであってもよい。
【0014】
差動整流器は、容量性要素のペアと、スイッチング要素のペアと、誘導性要素のペアとを備えてもよい。各容量性要素は、コンデンサを含んでもよい。各スイッチング要素は、能動スイッチ、ダイオードまたは電界効果トランジスタ(FET)などのスイッチを含んでもよい。各誘導性要素は、インダクタを含んでもよい。
【0015】
差動整流器は、わずか2つのスイッチング要素またはダイオードを備えてもよい。わずか2つのダイオードは、従来の整流器よりも少ないダイオードを有し、したがって、より小さい空間を占める整流器を提供し得る。この整流器はしたがって、サイズ制約がある適用例において有用であり得る。
【0016】
インダクタは、鉄芯インダクタを含んでもよい。インダクタは、空芯インダクタを含んでもよい。
【0017】
ダイオードは、ショットキーダイオードを含んでもよい。
【0018】
第1のコンデンサおよび第1のインダクタは、電気的に直列に接続されてもよい。第2のコンデンサおよび第2のインダクタは、電気的に直列に接続されてもよい。第1のスイッチング要素は、第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に電気的に並列に接続されてもよい。第2のスイッチング要素は、第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続されてもよい。第1のコンデンサは、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの端子に電気的に接続されてもよい。第2のコンデンサは、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの別の端子に電気的に接続されてもよい。第1および第2のスイッチング要素は、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルのタップに電気的に接続されてもよい。
【0019】
差動整流器は、第1および第2のスイッチング要素のうちの一方に電気的に並列に接続されたコンデンサをさらに備えてもよい。コンデンサは、整流器における電圧リンギングを減衰または低減させ得る。電圧リンギングは、負荷が安定した電力信号を受け取らないので、電力伝送に悪影響を及ぼすおそれがある。したがって、電圧リンギングを低減または減衰させると、負荷で受け取られる電力信号の安定性が向上し得る。
【0020】
コンデンサは、0.175を動作周波数で割り、出力負荷を掛けたものに等しい静電容量を有し得る。動作周波数は、差動整流器の動作周波数であってもよい。言い換えれば、コンデンサの静電容量は、以下の式によって与えられ得る。
【0021】
【0022】
整流器は、受動整流器であってもよい。
【0023】
整流器は、電流駆動であってもよい。整流器に入力される、すなわち受信コイルによって出力されるAC電流は、負荷にかかわらず一定の振幅を有し得る。
【0024】
整流器は電流駆動であるので、整流器は、負荷に依存しない一定のDC電流を提供し得る。整流器の出力は一定のDC電流であるので、整流器と負荷との間にDC/DCコンバータは必要ではない可能性がある。これは、縮小された空間をもたらし、整流器を特定の適用例またはより広範囲の適用例に適したものにし得る。
【0025】
別の態様によれば、ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのレシーバが提供され、このレシーバは、誘導結合によって電力を受け取るためのものである。
【0026】
レシーバは、説明した差動整流器のいずれかを備えてもよい。
【0027】
レシーバは、生成された界から誘導結合によって電力を抽出するためのコイルをさらに備えてもよい。
【0028】
コイルは、少なくとも2つの巻線を含んでもよく、第1の巻線の外側の巻きおよび第2の巻線の内側の巻きが、コイルの第1のサブコイルを形成し、第1の巻線の内側の巻きおよび第2の巻線の外側の巻きが、コイルの第2のサブコイルを形成する。
【0029】
巻線は、外側の巻きと内側の巻きの両方を含むと理解される。さらに、巻線は、内側の巻きと外側の巻きとの間に1つまたは複数の巻きを含んでもよい。たとえば、巻線は、外側の巻きと、n個の巻きと、内側の巻きとによって定められてもよい。
【0030】
巻きは、取り囲まれた面積または体積の周りの円周ループまたは経路を定めると理解される。
【0031】
コイルは、3つ以上の巻線を含んでもよい。各巻線が、たとえば、4、6、8、またはそれ以上の巻きなど、3つ以上の巻きを含んでもよい。巻きは、巻線によって画定される平面の中心軸を中心として巻きが鏡像化されるように相互接続されてもよい。たとえば、4つの巻きが存在する場合、第1の巻きは、第3の巻きに接続されてもよく、第2の巻きは、第4の巻きに接続されてもよい。
【0032】
コイルは、概ね平面であってもよい。言い換えれば、コイルの巻線の巻きは、同じ平面にあってもよい。巻線は概ね同じ平面にあるが、巻線の一部分が、巻きを接続するために平面外にある場合があることを当業者は認識するであろう。たとえば、巻線は、プリント回路板(PCB)の同じ層内にある場合があるが、巻きは、同じPCBの隣接する層で接続される。
【0033】
コイルは、コイルの第1の巻線の外側の巻きおよびコイルの第2の巻線の外側の巻きを備える第1のサブコイルと、第1の巻線の内側の巻きおよび第2の巻線の内側の巻きを備える第2のサブコイルとを備えてもよい。
【0034】
第1の端子は、第1の巻線の外側または内側の巻きの終端に形成されてもよく、第2の端子は、第2の巻線の外側または内側の巻きの終端に形成される。
【0035】
コイルを第1のサブコイルおよび第2のサブコイルに分割するために、タップまたは第3の端子が、第1の端子と第2の端子との間に形成されてもよい。タップは、コイルのほぼ中心にあってもよく、すなわち、センタータップであってもよい。
【0036】
差動整流器の第1および第2のスイッチング要素は、タップに電気的に接続されてもよい。
【0037】
第1のインダクタは、第1の端子に電気的に接続されてもよい。第1のコンデンサは、第1の端子に電気的に接続されてもよい。
【0038】
第2のインダクタは、第2の端子に電気的に接続されてもよい。第2のコンデンサは、第2の端子に電気的に接続されてもよい。
【0039】
第2のコンデンサおよび第2のインダクタは、第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続された第2のスイッチング要素と、電気的に直列に接続されてもよい。
【0040】
第1のコンデンサおよび第1のインダクタは、第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に電気的に並列に接続された第1のスイッチング要素と、電気的に直列に接続されてもよい。
【0041】
第2のインダクタは、第2の鉄芯または空芯インダクタを備えてもよい。
【0042】
第2のスイッチング要素は、能動スイッチなどのスイッチ、ショットキーダイオードなどのダイオード、またはFETを含んでもよい。
【0043】
コイルは、少なくとも2つの巻線を含んでもよく、第1の巻線の外側の巻きおよび第2の巻線の内側の巻きが、コイルの第1のサブコイルを形成し、第1の巻線の内側の巻きおよび第2の巻線の外側の巻きが、コイルの第2のサブコイルを形成し、第1の端子が、第1の巻線の外側または内側の巻きの終端に形成され、第2の端子が、第2の巻線の外側または内側の巻きの終端に形成され、コイルを第1のサブコイルおよび第2のサブコイルに分割するために、第1の端子と第2の端子との間にタップが形成され、タップは、電気的にグランドに接続される。
【0044】
少なくとも1つの巻線は、内側の巻きと外側の巻きとの間に1つまたは複数のさらなる巻きを含んでもよい。巻線は、内側の巻きと外側の巻きとの間にn個のさらなる巻きを含んでもよく、ただしnは、1以上の正の整数である。
【0045】
コイルは、1つまたは複数のさらなる巻線を含んでもよい。コイルは、n個のさらなる巻線を含んでもよく、ただしnは、1以上の正の整数である。
【0046】
レシーバは、コイルの端子の1つまたはタップに電気的に接続された少なくとも1つの追加のインダクタをさらに備えてもよい。追加のインダクタは、有益にはひずみを最小にし、および/または整流器の性能を改善し得る。
【0047】
追加のインダクタは、コイルの第1の端子、第2の端子、またはタップに、電気的に接続されてもよい。
【0048】
ダイオードは、オフ状態のとき、ひずみを生じる可能性がある。ひずみは、さらなる2次および/または3次高調波を含み得る。ひずみの結果として、整流器は、必要とされる出力電流をもはや生成することができないことがあり、すなわち、電流は、負荷によって必要とされるよりも小さいまたは大きいことがある。
【0049】
追加のインダクタは、ひずみを最小限に抑え、したがって、整流器性能へのそれの影響を減らし得る。インダクタのインダクタンスの値は、ダイオードの接合容量に基づいて選択され得る。値は、最高100nHであってもよい。
【0050】
レシーバは、コイルの第1の端子に電気的に接続された第3のインダクタと、コイルの第2の端子に電気的に接続された第4のインダクタとをさらに備えてもよい。第3および第4のインダクタは、スイッチ要素の(ダイオードの)非線形接合容量の容量性インピーダンスの一部をネゲートする誘導性インピーダンスを導入し得る。
【0051】
追加のインダクタ、たとえば、第3および第4のインダクタは、ひずみを最小限に抑え、したがって整流器性能へのそれの影響を減らし得る。追加のインダクタは、ダイオードの非線形接合容量の容量性インピーダンスの一部をネゲートするインピーダンスを導入する。追加のインダクタのインダクタンスの値は、ダイオードの接合容量の値によって決まる。値は、最高100nHであってもよい。
【0052】
追加のインダクタは、電力損失をもたらすおそれがある。したがって、コイルのタップに電気的に接続された単一の追加のインダクタが、電力損失の低減をもたらすとともに、依然としてひずみを最小限に抑え、整流器性能へのそれの影響を減らし得る。
【0053】
したがって、レシーバは、コイルのタップに電気的に接続された第3のインダクタを備えてもよい。
【0054】
整流器は、同期整流器であってもよい。
【0055】
整流器は、コイルのタップおよびコイルの第1の端子に電気的に接続された第1のトランジスタと、コイルのタップおよびコイルの第2の端子に電気的に接続された第2のトランジスタとをさらに備えてもよい。
【0056】
整流器は、第1のトランジスタを駆動するためのパルス信号を生成するために第1のトランジスタに電気的に接続された第1の信号生成器と、第2のトランジスタを駆動するためのパルス信号を生成するために第2のトランジスタに電気的に接続された第2の信号生成器とをさらに備えてもよい。
【0057】
整流器は、コイルの第1の端子に電気的に接続された第1の遅延線または第1のRC遅延回路であって、第1の遅延線が、第1のトランジスタの動作を同期するためのものである、第1の遅延線または第1のRC遅延回路と、コイルの第2の端子に電気的に接続された第2の遅延線または第2のRC遅延回路であって、第2の遅延線が、第2のトランジスタの動作を同期するためのものである、第2の遅延線または第2の遅延回路とをさらに備えてもよい。
【0058】
第1および/または第2のトランジスタの動作を同期することは、コイルからの出力を遅延させることを含み得る。
【0059】
レシーバは、整流器に電気的に接続された負荷をさらに備えてもよい。
【0060】
レシーバは、インダクタと負荷との間に電気的に並列に接続されたコンデンサをさらに備えてもよく、コンデンサは、整流器によって出力される電力信号をフィルタ処理するためのものである。
【0061】
レシーバは、電気的干渉からコイルを保護するために、コイルに隣接して配置されたシールドをさらに備えてもよい。
【0062】
シールドは、コイルに静電容量を追加するように構成され得る。
【0063】
コイルに沿ったタップまたは第3の端子の位置は、コイルからシールドの距離に基づいてもよく、コイルおよびシールドの寸法および形状に基づいてもよい。
【0064】
別の態様によれば、誘導結合によって電力を伝送するためのワイヤレス電力伝送システムにおけるコイルが提供される。
【0065】
コイルは、コイルの第1の巻線の外側の巻きおよびコイルの第2の巻線の外側の巻きを備える第1のサブコイルと、第1の巻線の内側の巻きおよび第2の巻線の内側の巻きを備える第2のサブコイルとを備えてもよい。
【0066】
コイルは、コイルの第1のサブコイルを形成する、第1の巻線の外側の巻きおよび第2の巻線の内側の巻きと、コイルの第2のサブコイルを形成する、第1の巻線の内側の巻きおよび第2の巻線の外側の巻きとを備えてもよく、第1の端子が、第1の巻線の外側または内側の巻きの終端に形成され、第2の端子が、第2の巻線の外側または内側の巻きの終端に形成され、コイルを第1のサブコイルおよび第2のサブコイルに分割するために、第1の端子と第2の端子との間にタップが形成され、タップは、電気的にグランドに接続される。
【0067】
巻線は、外側の巻きと内側の巻きの両方を含むと理解される。さらに、巻線は、内側の巻きと外側の巻きとの間に1つまたは複数の巻きを含んでもよい。たとえば、巻線は、外側の巻きと、n個の巻きと、内側の巻きとによって定められてもよい。
【0068】
巻きは、取り囲まれた面積または体積の周りの円周ループまたは経路を定めると理解される。
【0069】
コイルは、3つ以上の巻線を含んでもよい。各巻線が、たとえば、4、6、8、またはそれ以上の巻きなど、3つ以上の巻きを含んでもよい。巻きは、巻線によって画定される平面の中心軸を中心として巻きが鏡像化されるように相互接続されてもよい。たとえば、4つの巻きが存在する場合、第1の巻きは、第3の巻きに接続されてもよく、第2の巻きは、第4の巻きに接続されてもよい。
【0070】
コイルは、概ね平面であってもよい。言い換えれば、コイルの巻線の巻きは、同じ平面にあってもよい。巻線は概ね同じ平面にあるが、巻線の一部分が、巻きを接続するために平面外にある場合があることを当業者は認識するであろう。たとえば、巻線は、プリント回路板(PCB)の同じ層内にある場合があるが、巻きは、同じPCBの隣接する層で接続される。
【0071】
タップは、コイルをほぼ半分のコイルに分割するセンタータップであってもよい。第1のサブコイルは、第1のハーフコイルを形成し得る。第2のサブコイルは、第2のハーフコイルを形成し得る。
【0072】
第1および第2のサブコイルは、電気的にバランスがとれていてもよい。
【0073】
第1のサブコイルの静電容量は、第2のサブコイルの静電容量にほぼ等しくてもよい。
【0074】
第1の巻線の外側の巻きは、第2の巻線の外側の巻きに少なくとも部分的に重なってもよい。
【0075】
第1の巻線の内側の巻きは、第2の巻線の内側の巻きに少なくとも部分的に重なってもよい。
【0076】
少なくとも1つの巻線は、内側の巻きと外側の巻きとの間に1つまたは複数のさらなる巻きを含んでもよい。巻線は、内側の巻きと外側の巻きとの間にn個のさらなる巻きを含んでもよく、ただしnは、1以上の正の整数である。
【0077】
コイルは、1つまたは複数のさらなる巻線を含んでもよい。コイルは、n個のさらなる巻線を含んでもよく、ただしnは、1以上の正の整数である。
【0078】
コイルは、電気的干渉からコイルを保護するために、コイルに隣接して配置されたシールドをさらに備えてもよい。
【0079】
シールドは、コイルに静電容量を追加するように構成され得る。
【0080】
サブコイルは、物理的に同一であってもよい。サブコイルは、物理的に同一でなくてもよい。サブコイルは、同数の巻き、または異なる数の巻きを有してもよい。
【0081】
コイルに沿ったタップまたは第3の端子の位置は、コイルからシールドの距離に基づいてもよく、コイルおよびシールドの寸法および形状に基づいてもよい。
【0082】
別の態様によれば、負荷非依存インバータが提供される。インバータは、負荷にかかわらず一定の出力電圧(一定の振幅および位相)を提供するように適合され得る。インバータは、説明したコイル、整流器、およびレシーバとともに使用するのに好適であり得る。整流器は、一定のDC電流を提供し、したがって、一定の出力電圧を提供するインバータとの適合性を向上させ得る。
【0083】
インバータは、スイッチモードゼロ電圧スイッチング(ZVS)増幅器を備えてもよく、スイッチモードZVS増幅器は、並列に配置された少なくとも1つのトランジスタおよび少なくとも1つのコンデンサと、トランジスタおよびコンデンサと直列に配置された少なくとも1つのインダクタとを備える回路のペアと、回路のペアに電気的に接続されたただ1つのZVSインダクタと、ZVSインダクタに電気的に接続されたインピーダンス変換段と、インピーダンス変換段に電気的に接続され、少なくとも1つのインダクタおよび少なくとも1つの抵抗器と直列に配置された少なくとも1つのコンデンサとを備える。
【0084】
インバータは、一定の電流出力を有してもよい。
【0085】
別の態様によれば、ワイヤレス電力伝送のためのシステムが提供され、このシステムは、説明したコイルのいずれか、およびコイルに電気的に接続された説明した差動整流器のいずれかを備えるレシーバと、説明したコイルのいずれか、およびトランスミッタのコイルに電気的に接続された説明したインバータを備えるトランスミッタとを備え、トランスミッタおよびレシーバのコイルは、トランスミッタからレシーバに電力を伝送するために誘導的に結合するように適合される。
【0086】
レシーバは、整流器に電気的に接続された負荷を追加として備えてもよい。
【0087】
トランスミッタは、インバータに電気的に接続された電源を追加として備えてもよい。
【0088】
別の態様によれば、ワイヤレス電力伝送システムのレシーバで受け取った電力信号を整流する方法が提供される。この方法は、負荷に依存しない一定のDC電流を提供し得る。出力は一定のDC電流であるので、DC/DCコンバータは必要ではない可能性がある。したがって、この方法は、空間の縮小を必要とする電力信号を整流する方法を提供し得る。
【0089】
この方法は、AC電力信号を生成するためにコイルにおいて誘導結合によって、生成された界から電力を抽出するステップと、差動整流器を用いて、AC電力信号を整流するステップとを含んでもよく、差動整流器は、第1および第2のコンデンサと、第1および第2のスイッチング要素と、第1および第2のインダクタとを備え、第1のコンデンサおよび第1のインダクタは、電気的に直列に接続され、第2のコンデンサおよび第2のインダクタは、電気的に直列に接続され、第1のスイッチング要素は、第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、第2のスイッチング要素は、第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、第1のコンデンサは、コイルの端子に電気的に接続され、第2のコンデンサは、コイルの別の端子に電気的に接続され、第1および第2のスイッチング要素は、コイルのタップに電気的に接続される。
【0090】
別の態様によれば、レシーバで使用するための整流器を製造するための方法が提供され、この方法は、整流器を形成する回路を集積または製造するステップを含み、差動整流器の回路は、第1および第2のコンデンサと、第1および第2のスイッチング要素と、第1および第2のインダクタとを備え、第1のコンデンサおよび第1のインダクタは、電気的に直列に接続され、第2のコンデンサおよび第2のインダクタは、電気的に直列に接続され、第1のスイッチング要素は、第1のコンデンサと第1のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、第2のスイッチング要素は、第2のコンデンサと第2のインダクタとの間に電気的に並列に接続され、第1のコンデンサは、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの端子に電気的に接続され、第2のコンデンサは、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルの別の端子に電気的に接続され、第1および第2のスイッチング要素は、誘導結合によってワイヤレスに電力を受け取るためにコイルのタップに電気的に接続される。
【0091】
回路は、付加製造によって製造されてもよい。付加製造の一般的な例は、3次元(3D)プリンティングであるが、付加製造の他の方法が利用可能である。高速試作または高速製造もまた、付加製造プロセスを説明するために使用される場合がある用語である。
【0092】
本明細書で使用される、付加製造は、一般に、3次元構成要素を層ごとに「蓄積する」または「付加的に作製する」ために材料の連続層が互いの上に設けられる製造プロセスを指す。これは、部品を作製するために材料が連続的に取り除かれるいくつかの除去製造方法(ミーリングまたはドリリングなど)と比較される。連続層は、一般に融合して、様々な一体のサブ構成要素を有し得るモノリシック構成要素を形成する。詳細には、製造プロセスは、本開示の一例が一体的に形成され、以前の製造方法を使用すると可能ではない様々な特徴を含むことを可能にし得る。
【0093】
本明細書で説明する付加製造方法は、以前の製造方法を使用して可能ではあり得なかった様々な特徴を有する任意の好適なサイズおよび形状への製造を可能にする。付加製造は、いずれかの種類のツール、型、または固定具を使用せずに、および廃棄物がほとんどまたはまったくなしに、複雑な形状を作り出すことができる。それの大部分が切り取られ、廃棄される、プラスチックまたは金属の中実ビレットから構成要素を機械加工するのではなく、付加製造で使用される唯一の材料は、部品を成形するために必要とされるものである。
【0094】
本開示による好適な付加製造技法は、たとえば、熱溶解積層法(FDM)、選択的レーザー焼結(SLS)、光造形法(SLA)などによる3Dプリンティング、直接選択的レーザー焼結(DSLS)、電子ビーム焼結(EBS)、電子ビーム溶解(EBM)、レーザー直接積層法(LENS)、電子ビーム付加製造(EBAM)、レーザーネットシェイプ製造(LNSM)、直接金属積層(DMD)、デジタル光処理(DLP)、連続デジタル光処理(CDLP)、直接選択的レーザー溶融(DSLM)、選択的レーザー溶融(SLM)、直接金属レーザー溶融(DMLM)、直接金属レーザー焼結(DMLS)、材料噴射(MJ)、ナノ粒子噴射(NPJ)、ドロップオンデマンド(DOD)、結合剤噴射(BJ)、マルチジェットフュージョン(MJF)、積層オブジェクト製造(LOM)を含む。
【0095】
本明細書で説明する付加製造プロセスは、任意の好適な材料を使用して構成要素を形成するために使用され得る。
【0096】
上述のように、本明細書で開示する付加製造プロセスは、単一の構成要素が複数の材料から形成されることを可能にする。たとえば、構成要素は、異なる材料、プロセスを使用して、および/または異なる付加製造機械で形成される複数の層、セグメント、または部品を含んでもよい。このようにして、何らかの特定の適用例の要求に応じるために、異なる材料および材料特性を有する構成要素が構築され得る。加えて、本明細書で説明する構成要素は、もっぱら付加製造プロセスによって構築されるが、代替実施形態では、これらの構成要素の全部または一部が、鋳造、機械加工、および/または任意の他の好適な製造プロセスによって形成され得ることを諒解されたい。実際、材料および製造方法の任意の好適な組合せが、これらの構成要素を形成するために使用され得る。
【0097】
付加製造プロセスは、一般に、構成要素の3D情報、たとえば3次元コンピュータモデル(または設計ファイル)に基づいて構成要素を作製する。
【0098】
設計ファイルは、いずれかの現在知られている、または後に開発されるファイルフォーマットを採用することができる。たとえば、設計ファイルは、3D Systemsの光造形CADプログラムのために作成された光造形法すなわち「標準テッセレーション言語」(.stl)フォーマットであってもよく、またはアメリカ機械学会(ASME)規格であり、どんなCADソフトウェアも任意の付加製造プリンタで作製される任意の3次元オブジェクトの形状および組成を記述することを可能にするように設計された拡張マークアップ言語(XML)ベースのフォーマットである、付加製造ファイル(.amf)フォーマットであってもよい。
【0099】
設計ファイルのさらなる例は、AutoCAD(.dwg)ファイル、Blender(.blend)ファイル、Parasolid(.x_t)ファイル、Manufacturing Format(.3mf)ファイル、Autodesk(3ds)ファイル、Collada(.dae)ファイル、およびWavefront(.obj)ファイルを含むが、多くの他のファイルフォーマットが存在する。
【0100】
設計ファイルは、モデリング(たとえば、CADモデリング)ソフトウェアを使用して、および/または製品の表面形状を測定するために製品の表面をスキャンして、生成され得る。
【0101】
取得されると、設計ファイルは、コンピュータ実行可能命令のセットに変換されてもよく、このコンピュータ実行可能命令が、プロセッサによって実行されると、設計ファイルにおいて指定された幾何学的配置に従って製品を生成するようにプロセッサに付加製造装置を制御させる。変換は、設計ファイルを、付加製造装置によって順次形成されるスライスまたは層に変換し得る。命令(場合によっては幾何学的コードまたは「Gコード」として知られる)は、特定の付加製造装置に合わせて調整されてもよく、製造プロセスの各段階で形成される材料の正確な位置および量を指定してもよい。上記で説明したように、形成は、積層による、または焼結による、またはいずれか他の形式の付加製造方法による場合がある。
【0102】
コードまたは命令は、異なるフォーマット間で翻訳され、データ信号のセットに変換されて、送信され、データ信号のセットとして受信されて、コードに変換され、必要に応じて記憶されるなどの場合がある。命令は、付加製造システムへの入力であってもよく、部品設計者、知的財産(IP)提供者、設計会社、オペレータ、もしくは付加製造システムの所有者から、または他のソースから来てもよい。付加製造システムは、本明細書で開示する技術または方法のいずれかを使用して製品を作製するために命令を実行してもよい。
【0103】
設計ファイルまたはコンピュータ実行命令は、生産される製品を表す、コードまたはコンピュータ可読命令を記憶する(一時的または非一時的)コンピュータ可読記憶媒体(たとえば、メモリ、ストレージシステムなど)に記憶されてもよい。述べたように、製品を定義するコードまたはコンピュータ可読命令は、付加製造システムによってコードまたは命令が実行されると、オブジェクトを物理的に生成するように使用され得る。たとえば、命令は、製品の正確に定義された3Dモデルを含んでもよく、AutoCAD(登録商標)、TurboCAD(登録商標)、DesignCAD 3D Maxなどの、多種多様なよく知られているコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムのいずれからも生成され得る。代替的に、構成要素のモデルまたはプロトタイプは、構成要素の3次元情報を決定するためにスキャンされてもよい。
【0104】
したがって、コンピュータ実行可能命令に従って付加製造装置を制御することによって、付加製造装置は、整流器またはレシーバの1つまたは複数の部品をプリントアウトするように命令され得る。これらは、組み立てられた形態、または組み立てられていない形態のいずれかで、プリントされ得る。たとえば、レシーバの異なる部分は、(組み立てられていない部品のキットとして)別個にプリントされ、次いでその後に組み立てられる。代替的に、異なる部品は、組み立てられた形態でプリントされてもよい。
【0105】
上記に照らして、実施形態は、付加製造による製造の方法を含む。これは、整流器またはレシーバを表す設計ファイルを取得するステップと、設計ファイルに従って組み立てられた形態または組み立てられていない形態で整流器またはレシーバを製造するよう付加製造装置に命令するステップとを含む。付加製造装置は、設計ファイルを、整流器またはレシーバの製造を制御するためのコンピュータ実行可能命令に自動的に変換するように構成されたプロセッサを含んでもよい。これらの実施形態では、設計ファイル自体が、付加製造デバイスに入力されると、整流器またはレシーバの生産を自動的に引き起こすことができる。したがって、この実施形態では、設計ファイル自体が、付加製造装置に製品を製造させるコンピュータ実行可能命令と考えられてもよい。代替的に、設計ファイルは、外部のコンピューティングシステムによって命令に変換されてもよく、得られたコンピュータ実行可能命令が、付加製造デバイスに提供される。命令は、プロセッサによる実行、および非一時的コンピュータ可読記憶媒体への記憶に適している。
【0106】
本明細書では、一般的には垂直方向にポイントごと、層ごとにオブジェクトを構築することによって複雑なオブジェクトの作製を可能にすると付加製造技術を説明するが、作製の他の方法が可能であり、本開示の範囲内である。たとえば、本明細書での説明は、連続する層を形成するための材料の追加に言及するが、本明細書で開示する方法および構造は、付加製造技法または他の製造技術を用いて実践され得ることを当業者は諒解するであろう。
【0107】
別の態様では、プロセッサによって実行されると、説明した方法のいずれかを実施する命令を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。命令は、説明した方法を実施するためにコントローラを動作させてもよい。コントローラは、比例積分微分(PID)コントローラを含んでもよい。
【0108】
別の態様では、プロセッサによって実行されると、説明した整流器、レシーバ、またはコイルのいずれかを製造するためにプロセッサに付加製造装置を制御させる命令を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0109】
別の態様では、付加製造によりデバイスを製造する方法が提供され、この方法は、製品の形状を表す電子ファイルを取得するステップであって、製品が、説明したレシーバ、整流器、またはコイルのいずれかである、ステップと、1つまたは複数の付加製造ステップにわたって、電子ファイルにおいて指定された形状に従って製品を製造するために付加製造装置を制御するステップとを含む。
【0110】
この方法は、説明したシステムに関して論じた利点のいずれかをもたらす可能性があり、その逆も同様である。
【0111】
コンピュータ可読媒体は、非一時的なものであってもよい。コンピュータ可読媒体は、伝搬信号を除く記憶媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、不揮発性RAM(NVRAM)、読取り専用メモリ(ROM)、またはフラッシュメモリなど、どんな好適なメモリまたはストレージデバイスを含んでもよい。
【0112】
プロセッサは、シリコン、ポリシリコン、高K誘電体、銅などから構成された単一コアプロセッサまたは複数コアプロセッサを有する場合がある。
【0113】
上記に鑑みて、本開示で説明する主題の実装形態および動作の設計および製造は、デジタル電子回路を使用して、または、整流器およびレシーバおよびそれらの構造的均等物を含む、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアにおいて、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せにおいて実現され得る。たとえば、ハードウェアは、プロセッサ、マイクロプロセッサ、電子回路、電子構成要素、集積回路などを含む場合がある。本開示で説明する主題の実装形態は、データ処理装置による実行のために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、コンピュータ記憶媒体上に符号化された1つまたは複数のコンピュータプログラム、すなわち、コンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールを使用して実現され得る。代替的に、または追加として、プログラム命令は、データ処理装置による実行のために好適なレシーバ装置に送信するための情報を符号化するために生成される、人工的に生成された伝搬信号、たとえば機械で生成された電気信号、光信号、または電磁信号上に符号化され得る。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリアレイもしくはデバイス、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せであるか、またはそれらに含まれることがある。さらに、コンピュータ記憶媒体は、伝搬信号ではないが、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号に符号化されたコンピュータプログラム命令の供給元または宛先であることがある。コンピュータ記憶媒体はまた、1つまたは複数の別個の物理構成要素または媒体(たとえば、複数のCD、ディスク、または他のストレージデバイス)であるか、またはそれらに含まれることがある。媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体であってもよい。
【0114】
1つの態様、例、または実施形態に関して説明する特徴は、本開示の他の態様、例、または実施形態に関して使用される場合もあることを理解されるべきである。本開示の他の利点は、以下の図面に関連する詳細な説明から当業者には明らかになり得る。
【0115】
次に、添付の図面を参照しながら実施形態をより十分に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【
図1】ワイヤレス電力伝送システムのブロック図である。
【
図2】ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのコイルの斜視図である。
【
図3】シールドを付けた
図2のコイルの斜視図である。
【
図4】
図2のコイルのタッピングを示す概略図である。
【
図5a】ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのコイルの別の実施形態の斜視図である。
【
図6a】ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのコイルの別の実施形態の平面図である。
【
図7】電流駆動差動整流器を備えたレシーバの概略図である。
【
図9】
図7のレシーバの整流器のダイオードの1つの両端間のラジアン単位の時間に対する正規化された電圧のグラフである。
【
図10】
図7のレシーバの整流器のダイオードの1つの両端間のラジアン単位の時間に対する正規化された電圧の別のグラフである。
【
図11】
図7のレシーバの整流器のダイオードの1つの両端間のラジアン単位の時間に対する正規化された電圧の別のグラフである。
【
図12】電流駆動差動整流器の別の実施形態を備えたレシーバの概略図である。
【
図13】電流駆動差動整流器の別の実施形態を備えたレシーバの概略図である。
【
図14】電流駆動差動整流器の別の実施形態を備えたレシーバの概略図である。
【
図15】
図14のレシーバの整流器のダイオードの1つの両端間のラジアン単位の時間に対する正規化された電圧のグラフである。
【
図16】電流駆動差動整流器の別の実施形態を備えたレシーバの概略図である。
【
図17】電流駆動差動整流器の別の実施形態を備えたレシーバの概略図である。
【
図18】バッテリーに接続された
図14の電流駆動差動整流器を備えたレシーバの概略図である。
【
図19】ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのコイルの別の実施形態の平面図である。
【
図20】ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのレシーバの上面斜視図である。
【
図24】電流供給インバータを備えたトランスミッタの一部分の概略図である。
【
図25】電流供給インバータを備えたトランスミッタの別の実施形態の一部分の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
上記の概要、ならびにいくつかの例の以下の詳細な説明は、添付の図面とともに読まれると、より良く理解されるであろう。本明細書で使用される、単数形で導入され、「a」または「an」という語が前に付く要素または特徴は、複数の要素または特徴を必ずしも排除しないと理解されるべきである。さらに、「一例」または「一実施形態」への言及は、説明した要素または特徴を同じく組み込むさらなる例または実施形態の存在を排除すると解釈されることを意図していない。さらに、明示的にそうでないとの記載がない限り、特定の性質を有する要素または特徴または複数の要素または特徴を「備える」または「有する」または「含む」例または実施形態は、その性質を有しないさらなる要素または特徴を含む可能性がある。また、「備える」、「有する」、「含む」という用語は、「含むがこれに限定されないこと」を意味し、「備えること」、「有すること」、および「含むこと」は、同等の意味を有することが諒解されよう。同様の参照符号が、説明および図面全体にわたって同様の要素を指すために使用されることもまた諒解されよう。
【0118】
本明細書で使用される、「適合される」および「構成される」という用語は、要素、構成要素、または他の主題が、所与の機能を行うように設計されおよび/または意図されることを意味する。したがって、「適合される」および「構成される」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、または他の主題が、単に所与の機能を行う「ことができる」ことを意味するように解釈されるべきではなく、その要素、構成要素、および/または他の主題が、その機能を行うために具体的には選択され、作成され、実装され、利用され、および/または設計されることを意味するように解釈されるべきである。特定の機能を行うように適合されると説明される要素、構成要素、および/または主題が、追加または代替として、その機能を行うように構成されると説明され得ることもまた本出願の範囲内であり、その逆も同様である。同様に、特定の機能を行うように構成されると説明される主題は、追加または代替として、その機能を行うように動作可能であると説明され得る。
【0119】
要素が別の要素「上に」ある、それに「取り付けられる」、それに「接続される」、それと「結合される」、それと「接する」などと言及されるとき、この要素は他の要素のまさに上にある、それに取り付けられる、それに接続される、それと結合される、またはそれと接する可能性があり、あるいは介在要素が存在する場合もあることを理解されよう。
【0120】
「例示的な」という語の使用は、特に明記されていない限り、好ましいまたは最適な設計または実装形態を意味するのではなく、「例として」または「一例」を意味することを理解されるべきである。
【0121】
次に
図1を参照すると、全体的に参照番号100によって識別されるワイヤレス電力伝送システムが示されている。ワイヤレス電力伝送システム100は、送信要素116に電気的に接続された電源112を含むトランスミッタ110と、負荷128に電気的に接続された受信要素124を含むレシーバ120とを含む。電力は、電源112から送信要素116へ伝送される。電力は次いで、共振または非共振の電界結合または磁界結合により、送信要素116から受信要素124へ伝送される。電力は次いで、受信要素124から負荷128へ伝送される。例示的なワイヤレス電力伝送システム100は、出願人の米国特許出願公開第2021/0083634A1号に記載する高周波誘導ワイヤレス電力伝送システム、または出願人の米国特許第9,653,948号に記載する共振容量結合ワイヤレス電力伝送システムを含み、それらの関連部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
共振または非共振磁界(誘導)電力伝送システムでは、送信要素116および受信要素124は各々、コイルを備える。コイルは、磁気結合インダクタを形成し、それを通して電力信号が伝送/抽出される。例示的なコイルが、
図2に示され、全体的に参照番号200によって識別される。コイル200は一般に、概ね同心のリング状に配置されたある長さのワイヤを含む。図示した配置では、コイル200は、誘導(磁界結合)ワイヤレス電力伝送システム用の非平面コイルである。コイル200は、平面230に沿って対称である。
【0123】
詳細には、コイル200は、直列に接続されたワイヤの少なくとも2つの巻きを含む。巻きは、内側の巻きまたは外側の巻きのいずれかである。図示した配置では、対称非平面コイル200は、4つの巻きを含む。巻きのうちの2つが外側の巻きであり、2つが内側の巻きである。コイル200は、2つの端子を有し、すなわち、第1の端子201と、第2の端子202とを有する。端子は、コイル200を形成するワイヤの両端に位置している。
【0124】
図3に示すように、コイル200は、シールド250とともに使用されてもよい。シールド250は、それの関連部分が参照により本明細書に組み込まれる、出願人の米国特許第11,139,690号に記載するパッシブ電極を含んでもよい。
図3に示すように、シールド250の主面によって形成される平面は、コイル200の主面によって形成される平面に概ね平行である。言い換えれば、シールド250は、コイル200に平行である。シールド250は、コイル200に極めて近接して配置される。シールド250は、コイルに及ぼす環境の影響を少なくとも部分的に除去するためにコイル200を覆うと言われている。
【0125】
本開示において、シールド250は、以下のうちの少なくとも1つのとき、コイル200を覆うと言われる。(i)コイル200の外周によって画定される面積が、シールド250の面積に投影される場合、投影が完全にシールド250の面積内にある、(ii)コイル200の投影される面積が、シールド250の面積によって囲まれる、(iii)シールド250の面積が、コイル200の外周によって画定される総面積よりも、少なくともコイル200の内側の巻きによって画定される内側の面積の分だけ大きい。
【0126】
使用中、シールド250は、ワイヤレス電力伝送システム100の静電容量を増加させ得る。シールド250は、共振を実現するために必要とされるインダクタンスを低下させ得る。
【0127】
特定のコイル200について説明しているが、スプリット型またはタップ付きである代替コイルを提供することが有利であることがある。コイルにタップを付けることは、一般に、コイルの終点または端子の中間でコイルにさらなる端子を追加することを指す。さらなる端子は、タップと呼ばれる第3の端子を形成する。コイル200にタップを付けるプロセスは、
図4に示されている。コイル200は、タップを付けられて、それの終点に端子301、302を有し、第1および第2の端子301、302の中間に第3の端子またはタップ303有するコイル300を形成する。端子301、302、303は、説明するようにレシーバ120の構成要素に接続され得る。
【0128】
図示した配置では、タップ303は、コイル300のほぼ中間点に位置し、それによってセンタータップを形成する。そのようなタップを形成するプロセスは、センタータッピングと呼ばれる。タップ303は、コイル300を2つの等しくバランスのとれたサブコイル310、320に均等に分割する。サブコイル310、320は、タップ303で互いに電気的に結合され、電気的にバランスがとれている。
【0129】
コイル300は、
図5aおよび
図5bにさらに示されている。図示した配置では、コイル300は、2つの巻線、すなわち外側の巻きおよび内側の巻きを含む第1の巻線と、内側の巻きおよび外側の巻きを含む第2の巻線とを含む。
【0130】
巻きは、取り囲まれた面積または体積の周りの円周ループまたは経路を画定すると理解される。
【0131】
図示した配置では、第1のサブコイル310は、第1の巻線の外側の巻きと、第2の巻線の内側の巻きとを含む。第2のサブコイル320は、第1の巻線の内側の巻きと、第2の巻線の外側の巻きとを含む。
【0132】
第1の端子301は、第1の巻線の外側の巻きの終端にあり、第2の端子302は、第2の巻線の外側の巻きの終端にある。タップ303は、第1の端子301と第2の端子302との間にある。図示していないが、使用中にタップ303は、電気的にグランドに接続される。
【0133】
図5bは、線330に沿って作られたコイル300の断面斜視図である。
【0134】
センタータップ303は、非平面コイル300をサブコイル310、320に効果的に分割し、サブコイル310、320は理論上、電気的にバランスがとれている(等しい静電容量)。
【0135】
センタータップ付き非平面コイル300における「センター」という語および関連する図は、タップ303が
図2および
図3からの非平面コイル200を、2つの同一の、対称なコイル310および320を含むセンタータップ付き非平面コイル300に物理的に分割することを示し得るが、これは必ずしもそうではない。第3の端子303またはタップは、2つのサブコイル310および320が電気的に同一である(すなわち、同じインダクタンスを有する、L
RXa = L
RXb)ように、位置している。コイル300の2つの電気的に同一のサブコイル310および320は、物理的に同一および/または対称である、またはない場合がある。一方のサブコイルが、他方のサブコイルと物理的に同一でないことがあり得る。
【0136】
たとえば、一方のサブコイルは、他方のサブコイルよりも大きく、および/もしくはより多くの巻きを有することがあり、またはその逆も同様である。第3の端子またはタップ303の正確な位置は、コイル300の寸法および形状に基づいて決定される。
【0137】
図4の概略図において識別されるように、タッピングより前のコイル200のインダクタンスは、L
RXとして与えられ、サブコイル310、320のインダクタンスは、それぞれL
RXaおよびL
RXbとして与えられる。タップ303の場所は、各コイル310、320のインダクタンスが等しいように、すなわちL
RXa=L
RXbのように、選択されてもよい。コイル310、320間の結合係数は、k
abとして与えられる。以下の式1および式2は、L
RX、L
RXa、およびL
RXbの間の関係を説明する。
L
RX=L
RXa+L
RXb+2M
ab (式1)
【0138】
【0139】
ただし、Mabは、サブコイル310、320間の相互インダクタンスであり、kabは、サブコイル310、320間の結合係数である。
【0140】
図4の概略図は、結合係数k
abが正であることを示すドットのルール(dot convention)を使用する。
【0141】
センタータップ付き非平面コイル300の特定の実施形態が示されているが、他の構成もまた可能である。たとえば、別の実施形態では、第1のサブコイル210および第2のサブコイル220の巻きは、同じ平面にあって、平面センタータップ付きコイルと呼ばれる。センタータップ付きコイル300の平面のバージョンを使用すると、必要な体積がより小さくなり、したがって関連するトランスミッタまたはレシーバのサイズが全体的に縮小されることを可能にするという利点がある。
【0142】
次に
図6aおよび
図6bを参照すると、平面センタータップ付きコイル300'が示されている。コイル300'は、後ろに「'」を付けた参照符号とともに、説明したコイル300の要素のすべてを含む。
【0143】
平面センタータップ付きコイル300'は、同じ平面の少なくとも2つの巻きと、3つの端子301'、302'、303'とを含む。コイル300'は、2つの巻線を含む。図示した配置では、コイル300'は、巻き間の空隙で等しく間隔をあけた4つの巻きを含み、第1の端子301'がコイル300'の一方の端部にあり、第2の端子302'があるコイル300'の反対側の端部にある。各巻線が、2つの巻きを有する。第3の端子またはタップ303'が、コイル300'の内側の巻きのタッピングポイントにある。前に説明した2層非平面コイル300と同様に、第3の端子またはタップ303'は、コイル300'を2つの電気的にバランスのとれたサブコイル310'、320'に電気的に分割する。
【0144】
サブコイル310、320をもつ非平面コイル300とは異なり、平面コイル300'のサブコイル310'、320'は、それらの平面配置により視覚的に区別できない。平面コイル300'の第1のサブコイル310'は第1の端子301'から始まり、第3の端子またはタップ303'で終わる。同様に、平面コイル300'の第2のサブコイル320'は第2の端子302'から始まり、第3の端子またはタップ303'で終わる。
図6aおよび
図6bに示すように、端子301'、302'、303'は、コイル300'の巻きによって形成される平面に垂直である同じ方向に伸びている。
【0145】
図示した配置では、第1の巻き300'aが、第1のサブコイル310'の最も外側の巻きである。第1の巻き300'aは、第1の巻き300'aによって囲まれている第2の巻き300'bと電気的に接続されるか、それと一体である。この文脈では、囲まれるは、第1の巻き301'aが同じxy平面において第2の巻き300'bを少なくとも部分的に取り囲むことを指す。
【0146】
第3の巻き300'cが、第2のサブコイル320'の最も外側の巻きである。第3の巻き300'cは、第4の巻き300'dと電気的に接続されるか、それと一体であり、第4の巻き300'dは第3の巻き300'cによって囲まれている。この文脈では、囲まれるは、第3の巻き300'cが同じxy平面において第4の巻き300'dを少なくとも部分的に取り囲むことを指す。
【0147】
第1の巻き300'aは、それの中間点で第3の巻き300'cの上を横切るか、またはその逆である。第2の巻き300'bは、それの中間点で第4の巻き300'dの上を横切るか、またはその逆である。第1の巻き300'aの終わり/第2の巻き300'bの始めは、第3の巻き300'cの終わり/第4の巻き300'dの始めの上を横切るか、またはその逆である。
【0148】
第2および第4の巻き300'b、300'dは、第3の端子またはタップ303'で接続される。
【0149】
次に
図6cを参照すると、コイル300'は、コイル300'に隣接した、前に説明したシールド250とともに示されている。端子301'、302'、303'は、説明するように、レシーバ120の他の構成要素への電気的接続のために、シールド250の開口を通り抜けて伸びている。
【0150】
前に説明したように、第1のサブコイル310および第2のサブコイル320は、互いに電気的に結合され、それぞれLRXaおよびLRXbのインダクタンスを有する。第3の端子またはタップ303をコイル300に追加すると、シールド250の存在によって引き起こされる電気的不均衡を補償し得る。
【0151】
第3の端子またはタップ303は、コイル300の中心になくてもよい。第3の端子またはタップ303の正確な位置は、コイル300からシールド250の距離に基づいて決定されてもよく、コイル300およびシールド250構造の寸法および形状によって決定されてもよい。これは、シールド250の配置が、シールド250に対するコイル300のサイズおよび近接度に応じて様々に、コイル300の巻きの静電容量に影響を及ぼすからである。たとえば、第1のサブコイル310の外側の巻きは、第2のサブコイル320の外側の巻きよりもシールド250により近くなる。同様に、第1のサブコイル310の内側の巻きは、第2のサブコイル320の内側の巻きよりもシールド250により近くなる。シールド250までのサブコイル310、320間の距離におけるこのわずかな差異が、シールド250の存在下で、サブコイル310、320の各々の電気的バランスにわずかな変化を引き起こす可能性がある。非平面コイル200の対称な物理的分割が、したがって、2つの電気的に不均衡なサブコイル310、320を有するセンタータップ付きコイル300を生じる可能性がある。
【0152】
真空で動作する間は、およびシールド250がない間は、非平面コイル200の物理的に対称な分割は、理論的には電気的にバランスのとれた第1のサブコイル310と第2のサブコイル320とからなるセンタータップ付きコイル300を生じるであろう。センタータップ付きコイル300およびそれのサブコイル310、320に近接したシールド250または他の構造体の導入は、コイル300の物理的に対称な分割の電気的バランスを変え、2つの電気的に不均衡なサブコイル310、320を生じる可能性がある。
【0153】
上記の説明は、コイル300に関して提示したが、
図6aから
図6cに示すコイル300'に等しく適用可能である。
【0154】
送信要素116または受信要素124は、説明したコイル300、300'を備えてもよい。さらに、レシーバ120の受信要素124によって受信される信号は、差動AC信号であってもよい。多くの適用例では、レシーバ120の負荷128は、直流(DC)信号を必要とする。受信されたAC信号を必要とされるDC信号に整流するために、整流器が使用され得る。
【0155】
コイル300、300'はセンタータップ付きであるので、受信/抽出したAC電力信号を整流するために特定の整流器が必要とされる。詳細には、コイル300、300'は、AC電源のように作用し、したがってAC電源に適合する整流器が必要とされる。
【0156】
次に
図7を参照すると、ワイヤレス電力伝送システムにおいて使用するためのレシーバの一部分が、全体的に参照番号400によって識別されている。レシーバ400は、電流駆動差動整流器402に電気的に接続された非平面センタータップ付きコイル300を備える。整流器402は、負荷404に電気的に接続される。
【0157】
レシーバ400は非平面センタータップ付きコイル300を備えるが、以下の説明は、説明した平面センタータップ付きコイル300'に等しく適用可能である。
【0158】
説明するように、整流器402の固有のトポロジーは、整流器402を効率的に動作させるために必要とされるダイオードの数の大幅な削減を可能にする。たとえば、旧来の全波ブリッジ整流器設計と比較すると、必要とされるダイオードの数は、50パーセント(50%)削減される。
【0159】
電流駆動差動整流器402は、静電容量C1を各々有する第1および第2のコンデンサ410、412と、図示した配置で第1および第2のダイオード414、416(D1、D2)を含む第1および第2のスイッチング要素と、インダクタンスLを各々有する第1および第2のインダクタ418、420とを備える。
【0160】
第1のコンデンサ410および第1のインダクタ418は、電気的に直列に接続される。第2のコンデンサ412および第2のインダクタ420は、電気的に直列に接続される。第1のダイオード414は、第1のコンデンサ410と第1のインダクタ418との間に電気的に並列に接続される。第2のダイオード416は、第2のコンデンサ412と第2のインダクタ420との間に電気的に並列に接続される。第1のコンデンサ410は、コイル300の第1の端子301に電気的に接続される。第2のコンデンサ412は、コイル300の第2の端子302に電気的に接続される。第1および第2のダイオード414、416は、コイル300の第3の端子またはタップ303に電気的に接続される。
【0161】
図示した配置では、整流器402は、第1のインダクタ418と負荷404との間に電気的に並列に接続されたコンデンサ422をさらに備える。コンデンサ422は、整流器402によって出力された電力信号をフィルタ処理するためのものである。コンデンサ422は、オプションである。
【0162】
整流器402は、電流駆動であり、コイル300によって供給されるAC電流は、負荷404に依存しない一定の振幅を有することを意味する。従来のワイヤレス電力伝送システムでは、システムのレシーバのコイルは、一定のAC電圧を供給する。したがって、整流器が負荷に依存しないほぼ一定のDC電圧を提供する従来の整流器設計とは対照的に、整流器402は、負荷404に依存しないほぼ一定の出力DC電流を提供する。
【0163】
実際には、出力DC電流は、非線形効果による負荷404の変化に基づいてわずかに変動する場合がある。したがって、式によって導出される整流器402の電気成分の値は、実験に基づいて調整されなければならない場合がある。
【0164】
図7によれば、コンデンサ410、412の各々の静電容量値C
1は、コンデンサ410、412が非平面レシーバコイル300の総インダクタンスL
RXと共振するように調整され、ただし、L
RXは、それぞれサブコイル310、312のインダクタンスL
RXa+L
RXbに等しい。静電容量値C
1は、以下の式3によって与えられる。
【0165】
【0166】
使用中、ワイヤレス電力は、コイル300によって抽出され、整流器402によって供給される。詳細には、コイル300は、一定のAC電流を整流器402に供給する。AC電流は、ほぼ一定の出力DC電流を負荷404に供給するために整流器402によって整流され、コンデンサ422によってフィルタ処理される。
【0167】
前に述べたように、整流器402は、電流駆動である。
図8は、レシーバ400のより詳細な概略図を示す。
図8は、ダイオード414、416のボンドワイヤがL
intのインダクタンスを有し、ループインダクタンスがL
loopの値を有することによる、ダイオード414、416の内部インダクタンスを表す追加のインダクタ430、432を含む。
図8は、C
jの静電容量を有するダイオード内部接合容量を表すコンデンサ434、436をさらに含む。さらに、
図8は、整流器402が形成された回路板による外部寄生容量を表すコンデンサ438、440を含む。コンデンサ438、440は、C
parasiticの静電容量を有する。
【0168】
電流駆動差動整流器402では、内部インダクタ430、432および寄生コンデンサ438、440は、インピーダンスネットワークを形成し、したがって、(コイル300からの)一定の電流によって駆動されると、電圧リンギングおよび振動を生じる可能性がある。詳細には、各ダイオード414、416の内部インダクタンス、ダイオードのそれぞれの接合容量(値Cjによって与えられる)、および外部寄生容量(値Cparasiticによって与えられる)により、ダイオード414、416がオン状態からオフ状態へ遷移すると、ダイオード414、416の両端で著しい電圧リンギングが発生する可能性がある。
【0169】
電圧リンギングは、リンギングおよび振動に起因して電圧がダイオード414、416の最大定格電圧を超える可能性があるので、整流器402の望ましくない副次的作用である。さらに、リンギングおよび振動は、電磁干渉(EMI)の著しい増加を引き起こす可能性もある。電流は、電圧の関数であり、電圧駆動整流器ではそれぞれのダイオードの内部および寄生ネットワークに電流は送り込まれないので、電圧リンギングは、従来の電圧駆動整流器ではあまり大きな問題ではない可能性がある。
【0170】
電圧リンギングおよび振動、ならびにレシーバ400の他の特徴を例示するために、説明したレシーバ400を備えた実験的ワイヤレス電力伝送システムをテストした。
【0171】
実験的セットアップでは、非平面コイル300は、4つの巻き、すなわち、80×60mmの寸法を有する2つの大きい外側の巻きと、68.6mm×48.6mmの寸法を有する2つの内側の巻きとを含む。各巻き間の距離は、xおよびy方向が4mm、z方向が3mmである。非平面コイル300は、6.78MHzにおいて861nHの合計インダクタンス値LRXを有する。各サブコイル310、320のインダクタンスLRXAおよびLRXBは、6.78MHzにおいて298nHである。6.78MHzにおける同調容量は、同調コンデンサのQ値が1000では2170pFである。したがって、相互インダクタンスは、前に説明した式により、6.78MHzにおいて132.5nHであると計算され得る。
【0172】
レシーバ400では、レシーバコイルは、シールド250が存在する場合、2つのレシーバサブコイルを電気的にバランスのとれた(同じインダクタンスを有する)ものにするために、タップを3mm右に移動したセンタータップ付きである。
【0173】
実験的セットアップでは、シールド250は、コイル300から3mm間隔をあけた。
【0174】
送信側では、トランスミッタは、特に明記されていない限り同じ値をもつ同様の送信コイルおよびシールドを備える。シールド付きのトランスミッタコイルのインダクタンスは、900nHであり、6.78MHzにおけるそれの同調容量は、同調コンデンサのQ値が1000では2170pFである。トランスミッタ共振器のQ値は132であり、トランスミッタの自己共振は108MHzである。
【0175】
説明した実験的セットアップを使用して、電流駆動整流器402においてオン状態からオフ状態への遷移中にダイオード414、416の両端間で生じる電圧リンギングは、
図9ではダイオード414、416の一方のみについて示されている。詳細には、
図9は、整流器402のダイオード414、416の一方の両端間の時間(単位ラジアン)に対する正規化された電圧を示している。
【0176】
単一のダイオード414の両端間の理論上の電圧波形は、実線で示され、ダイオード414の両端間の実際の電圧波形は、破線で示されている。
図9に示すように、実際の電圧波形は、理論上の電圧波形の値を超えて望ましくない電圧リンギングを呈している。
【0177】
寄生コンデンサ438、440、内部およびループインダクタンス(インダクタ430、432)、ならびにダイオード414、416の非線形接合容量(コンデンサ434、436)の別の影響は、それらがオフ状態であるときのダイオード414、416の両端間の電圧波形のひずみである。このひずみは、さらなる2次および/または3次高調波を含み得る。
図10および
図11は、ひずんだ波形の2つの例を示している。
【0178】
ダイオード414、416の非線形接合容量Cjが大きいほど、ひずみが大きいことに留意されるべきである。
【0179】
説明したリンギングおよび/またはひずみの結果として、整流器402は、必要とされる出力電流を生成することができない場合がある。言い換えれば、出力電流は、負荷404に必要とされるものよりも大きいまたは小さい場合がある。
【0180】
ひずみを最小にし、整流器の性能へのひずみの影響を低減するために、追加のインダクタが、コイル300の出力端子(端子301、302)の各々に含まれてもよい。この実施形態は、
図12に示している。図示した配置では、レシーバ500は、コイル300と、整流器502と、負荷404とを備える。整流器502は、整流器402と同じ要素を備え、同様の特徴が100ずつ増えた参照番号を有する。整流器502は、コイル300の端子301、302に接続された追加のインダクタを備える。詳細には、整流器502は、第1のコンデンサ510を介して第1の端子301に電気的に接続された第3のインダクタ550を備える。第3のインダクタ550は、第1のコンデンサ510に電気的に直列に接続され、第1のインダクタ518に電気的に直列に接続される。第1のダイオード514は、第1および第3のインダクタ518、550に電気的に並列に接続される。
【0181】
整流器502は、第2のコンデンサ512を介して第1の端子302に電気的に接続された第4のインダクタ552をさらに備える。第4のインダクタ552は、第2のコンデンサ512に電気的に直列に接続され、第2のインダクタ520に電気的に直列に接続される。第2のダイオード516は、第2および第4のインダクタ520、552に電気的に並列に接続される。
【0182】
第3および第4のインダクタ550、552は、L1のインダクタンスを有する。第3および第4のインダクタ550、552は、ダイオード514、516の非線形接合容量、すなわちCjの容量性インピーダンスの一部をネゲートする誘導性インピーダンスを導入する。これらの2つの追加のインダクタ550、552のインダクタンスL1は、ダイオード514、516の接合容量Cjの値によって決まる。この実施形態では、インダクタ550、552のインダクタンスL1は、最高100nHである可能性がある。
【0183】
第3および第4のインダクタ550、552は、電力損失をもたらし、結果として差動整流器502の効率を下げる可能性がある。したがって、インダクタ550、552は取り除かれ、単一の追加のインダクタがコイルの第3の端子またはタップに電気的に接続されてもよい。そのような配置を、
図13に示している。図示した配置では、レシーバ600は、コイル300と、整流器602と、負荷404とを備える。整流器602は、整流器402と同じ要素を備え、同様の特徴が200ずつ増えた参照番号を有する。整流器602は、コイル300の端子またはタップ303に接続された追加のインダクタを備える。詳細には、整流器602は、第3の端子またはタップ303に電気的に接続された第3のインダクタ654を備える。第3のインダクタ654は、第1および第2のダイオード614、616に電気的に接続される。
【0184】
第3のインダクタ654は、依然として差動整流器602に電力損失をもたらす可能性があるが、その電力損失は、第3および第4のインダクタ550、552によって差動整流器502にもたらされる電力損失と比較してより小さくなる。
【0185】
第3のインダクタ654は、ダイオード614、616の接合容量Cjによって決まるインダクタンスL1を有する。この実施形態では、インダクタ654のインダクタンスL1は、最高100nHである可能性がある。
【0186】
説明した電圧リンギングをさらに最小限に抑えるために、電流駆動差動整流器は、第1および第2のスイッチング要素のうちの一方に電気的に並列に接続されたコンデンサをさらに備えてもよい。コンデンサは、整流器における電圧リンギングを減衰または低減させ得る。電圧リンギングは、負荷が安定した電力信号を受け取らないので、電力伝送に悪影響を及ぼし得る。したがって、電圧リンギングを低減または減衰させると、負荷で受け取られる電力信号安定性が向上し得る。
【0187】
さらなるコンデンサを
図14に示し、参照番号700によって全体的に識別されるレシーバの別の配置を示している。整流器702は、特に明記されていない限り、整流器402と同じ要素を備え、同様の特徴が300ずつ増えた参照番号を有する。図示した配置では、整流器702は、第1のダイオード714に電気的に並列に接続された、第3のコンデンサ756と、第2のダイオード716に電気的に並列に接続された、第4のコンデンサ758とを備える。第3および第4のコンデンサ756、758は、静電容量C
2を有する。
【0188】
コンデンサ756、758の静電容量C2は、動作周波数と、動作電圧および電流とによって決まる。E級整流器とは対照的に、静電容量C2を決定するために直ちに利用可能な特定の式はない。しかしながら、一般的な法則として、シミュレーションおよび実験的テストに基づいて、静電容量C2は以下の式4によって与えられると仮定され得る。
【0189】
【0190】
追加された第3および第4のコンデンサ756、758は、ダイオード714、716がオン状態からオフ状態への遷移中に電流の大部分を伝導するように、ダイオード714、716の両端間のリンギングを減衰させる。それぞれLint.+loop、CjおよびCparasiticの値を有する、内部および寄生インダクタ、ならびにコンデンサは、コンデンサ756、758を追加して、無視できる値まで低減されている。
【0191】
前に説明した実験的セットアップを使用した、電流駆動整流器702においてオン状態からオフ状態への遷移中にダイオード714、716の両端間で生じる電圧リンギングの低減は、ダイオード714、716の一方のみについて、
図15に示されている。詳細には、
図15は、整流器702のダイオード714、716の一方の両端間の時間(単位ラジアン)に対する正規化された電圧を示している。
図15に示すように、理論上の電圧波形は、ダイオード714の両端間の実際の電圧波形と整合している。電圧リンギングは観測されない。得られた波形は、E級整流器で見られる波形と非常に似ている。
【0192】
説明した電流駆動差動整流器は、受動整流器である。すなわち、整流器は、ダイオードのみの整流器である。低出力電圧または高出力電流で作動される受動整流器は、ダイオードの順方向電圧降下に関連する電力損失のために、効率が下がる可能性がある。これは、高速の充電速度を必要とする適用例においてそのような受動整流器の使用を制限する場合がある。
【0193】
整流器は、ダイオードをFETに置き換えることによって同期整流器として作動されてもよい。そのような同期整流器は、特に低出力電圧または高出力電流において、説明した受動整流器よりも高い効率を有し得る。FETのデューティサイクルは、常に制御され、50%に維持できるので、同期整流器もまた、負荷範囲全体にわたってより優れた性能を有し得る。これは、ダイオードのデューティサイクルが負荷によって影響を受け、したがってワイヤレス電力伝送システム全体、すなわちトランスミッタおよびレシーバの離調(detuning)を生じる可能性がある受動整流器ではそうではない。
【0194】
次に
図16を参照すると、全体的に参照番号800によって識別されるレシーバの別の配置が示されている。レシーバ800は、コイル300と、整流器802と、負荷404とを備える。整流器802は、特に明記されていない限り、整流器702と同じ要素を備え、同様の特徴が100ずつ増えた参照番号を有する。図示した配置では、整流器802は、第1および第2のFET860、862をさらに含む。第1のFET860は、第1のコンデンサ810および第3の端子またはタップ303を介してコイル300の第1の端子301に電気的に接続される。第2のFET862は、第2のコンデンサ812および第3の端子またはタップ303を介してコイル300の第2の端子302に電気的に接続される。第1のダイオード814は、第1のFET860および第3のコンデンサ856に電気的に並列に接続される。第2のダイオード816は、第2のFET862および第4のコンデンサ858に電気的に並列に接続される。
【0195】
整流器802は、第1の遅延線864aと、第1の信号生成器864bと、第2の遅延線866aと、第2の信号生成器866bとをさらに備える。第1の遅延線864aは、コイル300の第1の端子301および第1の信号生成器864bに電気的に接続される。第1の信号生成器864bは、第1の遅延線864aおよび第1のFET860に電気的に接続される。第1の遅延線864aは、第1のFET860の動作を同期させるためのものである。第1の信号生成器864bは、第1のFET860を駆動するためのパルス信号を生成するためのものである。
【0196】
第2の遅延線866aは、コイル300の第2の端子302および第2の信号生成器866bに電気的に接続される。第2の信号生成器866bは、第2の遅延線866aおよび第2のFET862に電気的に接続される。第2の遅延線866aは、第2のFET862の動作を同期させるためのものである。第2の信号生成器866bは、第2のFET862を駆動するためのパルス信号を生成するためのものである。
【0197】
FET860、862用のスイッチング信号は、自己生成される。センタータップ付きサブコイル310、320の各々の両端間の電圧は、検知され、それぞれの第1および第2の遅延線864a、866aに接続され、次いでそれぞれの第1および第2の信号生成器864b、866bに接続され、第1および第2の信号生成器864b、866bは、それぞれの第1および第2のFET860、862を駆動するためにパルス方形波を生成する。各遅延線864a、866aは、各信号生成器864b、866bが適時にトリガされるように設計され、FET860、862は、FET860、862の両端間のドレイン電圧がゼロに達すると、オンに切り替わる。同期整流のさらなる詳細は、その関連部分が参照により本明細書に組み込まれる、出願人自身の米国特許出願第17/472,002号において見つけられる得る。
【0198】
次に
図17を参照すると、同期整流器の別の配置が示されている。この配置では、整流器802は、前に説明したようにひずみを低減するためにコイルの第3の端子またはタップ303に電気的に接続された追加のインダクタをさらに備える。詳細には、図示した配置では、整流器802は、タップ303およびFET860、862に電気的に接続された第3のインダクタ868をさらに備える。第3のインダクタ868は、インダクタンスL
1を有する。第3のインダクタ868は、FET860、862の非線形の出力静電容量によるFET860、862への電圧のひずみを低減するためのものである。
【0199】
前に述べたように、上記で説明した電流駆動作動整流器は、一定のDC信号を出力する。したがって、整流器は、中間DC/DCコンバータの必要なしに、電池またはバッテリーを充電するのに適している。そのような配置の一例が、
図18に示されている。この配置では、レシーバ700'が、コイル300と、整流器702(
図14に関して説明した)と、バッテリー880とを備える。バッテリー880は、直接整流器702の出力に電気的に接続される。すなわち、バッテリーは、DC/DCコンバータなしに整流器702に直接接続される。
【0200】
特定のコイル300、300'について説明したが、変形形態が可能であることを当業者は諒解するであろう。詳細には、説明したインバータに関して検討した問題の1つまたは複数に対処するために、別のコイルが使用されてもよい。
【0201】
たとえば、
図10は、ひずんだ波形を示している。そのようなひずみは、寄生コンデンサ438、440、内部およびループインダクタンス(インダクタ430、432)、ならびにダイオード414、416がオフ状態であるとき、それらの両端間の電圧波形をひずませる可能性がある、ダイオード414、416の非線形接合容量(コンデンサ434、436)によって引き起こされる可能性がある。このひずみは、さらなる2次および/または3次高調波を含み得る。
【0202】
図10の実際の正規化された電圧波形に示されたひずみは、望ましい理論上の「シングルハンプ」波形に対比して「ダブルハンプ」と呼ばれる場合がある。
図12および
図13において説明し、図示するように、このひずみに対処するために、さらなるインダクタが追加されてもよい。たとえば、追加のインダクタ550、552(
図12)が、コイル300の第1および第2の端子301、302の出力に追加されてもよく、または追加のインダクタ654(
図13)が、コイル300の第3の端子またはタップ303の出力に追加されてもよい。そのような追加のインダクタは、ダイオードにおける2次高調波ひずみが低減されるように、容量性相互リアクタンスの一部をキャンセルする効果を有し得る。これは、
図10に示した「ダブルハンプ」ひずみを除去し得る。
【0203】
しかしながら、そのような追加のインダクタは、説明した作動整流器のサイズを大きくする可能性がある。これは、スペースに制約のある適用例、たとえば、モバイルデバイスでは、問題があり得る。したがって、特定の適用例には代替解決策が望まれる場合がある。
【0204】
次に
図19を参照すると、コイル2300の別の実施形態が示されている。コイル300と同様に、コイル2300は、第1の端子2301と、第2の端子2302とを有する。コイル2300はまた、第1の端子2301および第2の端子2302の中間に第3の端子またはタップ2303を有する。コイル2300は、2つの巻線を含む。図示した配置では、コイル300'は、巻き間の空隙で等しく間隔をあけた4つの巻きを含み、第1の端子2301がコイル2300の一方の端部にあり、第2の端子2302がコイル2300の反対側の端部にある。各巻線が、2つの巻きを有する。
【0205】
第1の端子2301は、第1の巻線の外側の巻きの終端にあり、第2の端子2302は、第2の巻線の外側の巻きの終端にある。タップ2303は、第1の端子2301と第2の端子2302との間にある。図示していないが、使用中にタップ2303は、電気的にグランドに接続される。
【0206】
タップ2303は、コイル2300を2つの等しくバランスのとれたサブコイル2310、2320に均等に分割する。サブコイル2310、2320は、タップ2303で互いに電気的に結合され、電気的にバランスがとれている。
図19に示すように、タップ2303は、線2330に沿ってコイル2300を分割する。線2330は、コイル2300の中心軸を画定し、これを中心として巻線は鏡像化される。
【0207】
図示の配置では、第1の巻き2300aが、第1のサブコイル2310の最も外側の巻きである。第1の巻き2300aは、第2の巻き2300bと電気的に接続されるか、それと一体であり、第2の巻き2300bは第1の巻き2300aによって囲まれている。この文脈では、囲まれるは、第1の2300aが同じxy平面において第2の巻き2300bを少なくとも部分的に取り囲むことを指す。
【0208】
第3の巻き2300cが、第2のサブコイル2320の最も外側の巻きである。第3の巻き2300cは、第4の巻き2300dと電気的に接続されるか、それと一体であり、第4の巻き2300dは第3の巻き2300cによって囲まれている。この文脈では、囲まれるは、第3の巻き2300cが同じxy平面において第4の巻き2300dを少なくとも部分的に取り囲むことを指す。第2および第4の巻き2300b、2300dは、第3の端子またはタップ2303で接続される。
【0209】
第1の巻き2300aは、それの中間点で第3の巻き2300cおよび第4の巻き2300dの上または下を横切る。第2の巻き2300bは、それの中間点で第3の巻き2300cおよび第4の巻き2300dの上または下を横切る。第3の巻き2300cは、それの中間点で第1の巻き2300aおよび第2の巻き2300bの上または下を横切る。第4の巻き2300dは、それの中間点で第1の巻き2300aおよび第2の巻き2300bの上または下を横切る。第2および第3の巻き2300b、2300cは、それらの端点で互いの上または下を横切るか、第1または第4の巻き2300a、2300bは、それらの端点で互いの上または下を横切る。
【0210】
巻きの上または下を横切ることが、
図19において説明され、示されているが、巻きは、全体的に同じxy平面にある。
【0211】
図示したコイル2300は、前に説明したコイル300、300'と比較して相互結合kの低減を示した。しかしながら、説明および図示した巻線パターンは、サブコイル2310、2320間の巻きの重なりを最小限に抑え、それによって相互インダクタンスを最小限に抑える。低減された相互インダクタンスは、前に説明した電圧波形ひずみの低減または除去をもたらす。したがってコイル2300は、説明した電流駆動作動整流器にあるとき、追加のインダクタを必要としない。コイル2300は、スペースに制約のある適用例により適している可能性がある。
【0212】
この低減を示すために、前に説明したコイル300、およびコイル2300の実験的セットアップをテストした。以下のTable 1(表1)は、実験的セットアップのコイル300、2300の構成要素の例示的な値を含んでいる。
【0213】
【0214】
対象とするコイル2300は、コイル300よりも著しく低い相互インダクタンスおよび結合係数を有する。
【0215】
コイル300、2300の実験的セットアップは、送信コイルと位置合わせされると、構築され、テストされた。テストでは、送信コイルは、同調共振であり、ダブルインピーダンス変換器から切り離された。X21を決定するために、12Ωの負荷インピーダンスが使用された。テストの結果は、以下のTable 2(表2)に記載されている。
【0216】
【0217】
値は、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)を使用して決定された。Table 2(表2)に示す値は、トランスミッタとレシーバの両方でのコネクタからの損失を含むことに留意されたい。またX21は、コイル2300でより低いが、電力伝送効率はほぼ同じであることに留意されたい。
【0218】
コイル2300のさらなるテストは、負荷なし、および10Vの整流器電圧で、安定した動作を示し、フル負荷およびゼロ電圧スイッチング(ZVS)を用いて最高21Vの整流器電圧における同様の共振およびZVSの容量で、電圧ひずみを低減した。
【0219】
図20から
図23は、テストの目的で使用される、本明細書で説明する実験的レシーバ2700の様々な図である。レシーバ2700は、前に説明したレシーバ700と同じ要素を備え、同様の特徴が2000ずつ増えた参照番号を有する。整流器2702の構成要素、すなわち、インダクタ、コンデンサ、およびダイオードは、PCB2701に取り付けられる。PCB2701は、アルミニウムで作られる。PCB2701は、
図3および
図6cにそれぞれ示したシールド250または250'に関して説明したように、シールドとして機能する。
【0220】
説明するレシーバは、トランスミッタから誘導結合によって電力を抽出する。トランスミッタおよびレシーバは、それによってワイヤレス電力伝送システムを形成する。ワイヤレス電力伝送システムは、トランスミッタと、レシーバのいずれかとを備える。ワイヤレス電力システムは、非共振であるまたは自己共振していないトランスミッタから、トランスミッタの動作周波数で共振しているレシーバへ、電力を伝送することによって動作する。
【0221】
トランスミッタは、磁気誘導結合によって電力をワイヤレスに送信するように構成される。電界もまた生成される可能性があるが、たとえあったとしても、電界結合により伝送される電力はほとんどない。参照により本明細書にその関連部分が組み込まれる、出願人自身の米国特許出願公開第2021/0083634号において説明するように、トランスミッタは、磁気誘導結合によって電力をワイヤレスに送信し得る。
【0222】
説明したように、説明したレシーバの非平面コイル300は、一定のAC電流を供給する。したがって、トランスミッタの対応するコイルおよびインバータもまた、負荷に依存しない一定の出力電圧(一定の振幅および位相)を供給する。
【0223】
一般に、トランスミッタは、電源と、トランスミッタDC/DCコンバータと、DC/ACインバータと、トランスミッタコイルとを備える。電源は、トランスミッタDC/DCコンバータに電気的に接続される。電源は、DC電力信号を生成するように構成される。電源は、トランスミッタDC/DCコンバータにDC電力信号を出力するように構成される。この実施形態では、DC電力信号は、24~48Vである。トランスミッタDC/DCコンバータは、電源に電気的に接続される。トランスミッタDC/DCコンバータは、DC/ACインバータに電気的に接続される。トランスミッタDC/DCコンバータは、電源をDC/ACインバータにつなぐ。トランスミッタDC/DCコンバータは、電源からのDC電力信号を、DC/ACインバータへ送信するための電圧レベルに変換するように構成される。
【0224】
DC/ACインバータは、トランスミッタDC/DCコンバータに電気的に接続される。DC/ACインバータは、トランスミッタコイルに電気的に接続される。DC/ACインバータは、トランスミッタDC/DCコンバータからのDC電力信号を、正弦波無線周波数(RF)電力信号に変換するように構成される。正弦波RF電力信号は、DC/ACインバータからトランスミッタコイルに出力される。
【0225】
トランスミッタは、所与の周波数で動作する。この実施形態では、トランスミッタの動作周波数は、13.56MHzである。さらに、この実施形態では、トランスミッタコイルは、レシーバの説明したコイル、たとえば、コイル300またはコイル300'と同一である。
【0226】
トランスミッタについて、トランスミッタDC/DCコンバータを備えると説明したが、他の構成が可能であることを当業者は諒解するであろう。別の実施形態では、トランスミッタは、トランスミッタDC/DCコンバータを備えない。この実施形態では、電源は、DC/ACインバータに電気的に接続される。電源は、DC/ACインバータに許容可能であるDC電力信号を生成するように構成される。
【0227】
レシーバは、磁気誘導結合によってトランスミッタから電力を抽出するように構成される。電界もまた生成される可能性があるが、たとえあったとしても、電界結合により抽出される電力はほとんどない。
【0228】
次に
図24を参照すると、ワイヤレス電力伝送システムのDC/ACインバータ900の概略図が示されている。DC/ACインバータ900は、説明したようにレシーバとともに使用するためのシステムのトランスミッタの一部分を形成する。DC/ACインバータ900は、負荷非依存である。DC/ACインバータ900は、電圧モードの出力を有する。電圧モードの出力は、DC/ACインバータ900が一定の電圧出力を有することを示す。したがって、DC/ACインバータ900およびそれのインピーダンス変換ネットワークは、負荷にかかわらず、一定の出力電圧(一定の振幅および位相)を供給する。
【0229】
図示した配置では、DC/ACインバータ900は、負荷非依存回路902と、インピーダンスインバータ回路904とを備える。DC/ACインバータ900は、電流モードの出力(一定の出力電流)である。
【0230】
負荷非依存回路902は、入力DC信号を出力AC信号に変換するように構成される。負荷非依存回路902は、電圧モードの出力(一定の出力電圧)である。負荷非依存回路902は、電圧Vinを有する入力電圧を受け取る、インダクタンスL1およびL2を有するインダクタ910、930を備える。各インダクタ910、930は、それぞれトランジスタ912、932(Q1およびQ2)とそれぞれコンデンサ914、934の組合せに直列に接続される。コンデンサ914、934は、それぞれ静電容量C1およびC2を有する。詳細には、トランジスタ912およびコンデンサ914は、並列に配置され、インダクタ910に接続される。トランジスタ932およびコンデンサ934は、並列に配置され、インダクタ930に接続される。トランジスタ912、932とコンデンサ914、934の両方のペアが、接地されている。インダクタンスLZVSを有するインダクタ940は、インダクタ910、912間に並列に接続される。
【0231】
インピーダンスインバータ回路904は、負荷非依存回路902を電圧モードの出力(一定の出力電圧)から電流モードの出力(一定の出力電圧)に変換し、次いで電圧モード(一定の出力電圧)に戻すように構成される。すなわち、インピーダンスインバータ回路904は、ダブルインピーダンスネットワークである。
【0232】
インピーダンスインバータ回路904は、Tネットワーク回路構成を有する。インピーダンスインバータ回路904は、インダクタンスL3a、L3b、L4a、L4b、L5a、L5b、およびLTxをそれぞれ有するインダクタ950、952、980、982、984、986、976と、静電容量C3a、C3b、C3a、およびC3bをそれぞれ有するコンデンサ954、956、958、960と、静電容量C4およびC5をそれぞれ有するコンデンサ970、988と、抵抗RLを有する抵抗器980とを備える。
【0233】
式の導出および構成要素の値の評価を簡略化するために、インダクタンスL3およびL4は、インダクタンスL3がインダクタンスL3aおよびインダクタンスL3bの和に等しい(L3 = L3a + L3b)ように導入される。インダクタンスL4は、インダクタンスL4aおよびインダクタンスL4bの和に等しい(L4 = L4a + L4b)。
【0234】
静電容量C3およびC6もまた、静電容量C3が静電容量C3aおよび静電容量C3bの和の半分に等しい(C3 = (C3a + C3b)/2)ように導入される。静電容量C6は、静電容量C6aおよび静電容量C6bの和の半分に等しい(C6 = (C6a + C6b)/2)。
【0235】
各インダクタ950、952は、それぞれコンデンサ954、956に直列に接続される。インダクタ/コンデンサのペア950、954および952、956は、負荷非依存回路902のインダクタ940の両端に接続される。コンデンサ970は、インダクタ940と並列に接続される。インダクタ980、982は、コンデンサ970の両端に接続される。コンデンサ988は、コンデンサ970と並列に接続される。さらに、インダクタ984、コンデンサ958、インダクタ976、抵抗器980、コンデンサ960、およびインダクタ986は、直列に接続され、それらは一緒に、コンデンサ988に並列に接続される。
【0236】
説明した構成要素の値は、以下の式によって決定される。静電容量C1、静電容量C2、およびインダクタンスLZVSの間の関係は、以下の式5によって与えられる。
【0237】
【0238】
インダクタンスL3は、以下の式6によって与えられる。
【0239】
【0240】
インダクタンスL4は、以下の式7によって与えられる。
【0241】
【0242】
インダクタンスL5は、以下の式8によって与えられる。
【0243】
【0244】
さらに、
図24に示すこのDC/ACインバータ900の電圧利得は、抵抗器980の両端間のAC電圧と入力DC電圧の比と定義される。電圧利得は、式9によって与えられる。
【0245】
【0246】
特定のDC/ACインバータ900について説明したが、他の構成が可能であることを当業者は諒解するであろう。次に
図25を参照すると、全体的に参照番号1700によって識別されるDC/ACインバータの別の実施形態の概略配置図が示されている。この実施形態では、DC/ACインバータ1700は、負荷非依存回路1702と、インピーダンスインバータ回路1704とを備える。DC/ACインバータ1700は、電圧モードの出力(一定の出力電圧)である。
【0247】
負荷非依存回路1702は、入力DC信号を出力AC信号に変換するように構成される。負荷非依存回路1702は、電圧モードの出力(一定の出力電圧)である。
【0248】
負荷非依存回路1702は、電圧Vinを有する入力電圧を受け取る、インダクタンスL1およびL2を有するインダクタ1710、1730を備える。各インダクタ1710、1730は、それぞれトランジスタ1712、1732(Q1およびQ2)とそれぞれコンデンサ1714、1734の組合せに直列に接続される。コンデンサ1714、1734は、それぞれ静電容量C1およびC2を有する。詳細には、トランジスタ1712およびコンデンサ1714は、並列に配置され、インダクタ1710に接続される。トランジスタ1732およびコンデンサ1734は、並列に配置され、インダクタ1730に接続される。トランジスタ1712、1732とコンデンサ1714、1734の両方のペアが、接地されている。インダクタンスLZVSを有するインダクタ1740は、インダクタ1710、1712間に並列に接続される。
【0249】
インピーダンスインバータ回路1704は、負荷非依存回路1702を電圧モードの出力(一定の出力電圧)から電流モードの出力(一定の出力電圧)に変換し、電圧モード(一定の出力電圧)に戻すように構成される。インピーダンスインバータ回路904とは対照的に、インピーダンスインバータ回路1704は、piネットワーク回路構成を有する。インピーダンスインバータ回路1704は、インダクタンスL3a、L3b、L4a、L4b、L5a、L5b、およびLTxをそれぞれ有するインダクタ1750、1752、1980、1982、1984、1986、1770と、静電容量C4a、C4b、C3a、C3b、C6a、C6a、およびC5をそれぞれ有するコンデンサ1760、1762、1764、1766、1958、1960、1988と、抵抗RLを有する抵抗器1780とを備える。
【0250】
静電容量C3aを有するコンデンサ1764が、インダクタ1750、1752に並列に接続される。コンデンサ1764はまた、コンデンサ1760および1762に並列に接続される。静電容量C3bを有するコンデンサ1766が、コンデンサ1760、1762に並列に接続される。コンデンサ1766はまた、インダクタ1980および1982に並列に接続される。静電容量C5を有するコンデンサ1988が、インダクタ1980および1982に並列に接続される。コンデンサ1988はまた、インダクタ1984および1986に並列に接続される。インダクタ1984、コンデンサ1958、インダクタ1770、抵抗器1780、コンデンサ1960、およびインダクタ1986が直列に接続され、これらが一緒に、コンデンサ1988に並列に接続される。
【0251】
式の導出および構成要素の値の評価を簡略化するために、インダクタンスL3およびL4は、インダクタンスL3がインダクタンスL3aおよびインダクタンスL3bの和に等しい(L3 = L3a + L3b)ように導入される。インダクタンスL4は、インダクタンスL4aおよびインダクタンスL4bの和に等しい(L4 = L4a + L4b)。インダクタンスL5は、インダクタンスL5aおよびインダクタンスL5bの和に等しい(L5 = L5a + L5b)。
【0252】
静電容量C3およびC6もまた、静電容量C3が静電容量C3aおよび静電容量C3bの和の半分に等しい(C3 = (C3a + C3b)/2)ように導入される。C4は、静電容量C4aおよび静電容量C4bの和の半分に等しい(C4 = (C4a + C4b)/2)。C6は、静電容量C6aおよび静電容量C6bの和の半分に等しい(C6 = (C6a + C6b)/2)。
【0253】
説明した構成要素の値は、以下の式によって決定される。静電容量C1、静電容量C2、およびインダクタンスLZVSの間の関係は、以下の式10によって与えられる。
【0254】
【0255】
インダクタンスL4は、以下の式11によって与えられる。
【0256】
【0257】
インダクタンスL5は、以下の式12によって与えられる。
【0258】
【0259】
インバータ1700の電圧利得は、抵抗器1780の両端間のAC電圧と入力DC電圧の比と定義される。電圧利得は、以下の式13によって与えられる。
【0260】
【0261】
DC/ACインバータ1700は、トランスミッタコイルにおける電圧が、入力DC電圧およびトランスミッタコイルのインダクタンスとは無関係に設定されることを可能にする。
【0262】
特定の図を参照しながら特定の配置について説明したが、配置は組み合わせられてもよいことを当業者は諒解するであろう。たとえば、
図12においてさらなる第3および第4のインダクタ550、552とともに示された配置は、
図15に示される同期整流器配置と組み合わせられてもよい。配置の他の同様の組合せが、本開示の範囲内に含まれる。
【0263】
図を参照しながら実施形態を説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義されるそれらの範囲から逸脱することなく、変型形態および変更形態が作成され得ることを当業者は諒解するであろう。
【符号の説明】
【0264】
100 ワイヤレス電力伝送システム
110 トランスミッタ
112 電源
116 送信要素
120 レシーバ
124 受信要素
128 負荷
200 コイル
201 第1の端子
202 第2の端子
230 平面
250 シールド
300 コイル
301 第1の端子
302 第2の端子
303 第3の端子またはタップ
310 第1のサブコイル
320 第2のサブコイル
330 線
400 レシーバ
402 整流器、電流駆動差動整流器
404 負荷
410 第1のコンデンサ
412 第2のコンデンサ
414 第1のダイオード
416 第2のダイオード
418 第1のインダクタ
420 第2のインダクタ
422 コンデンサ
430 インダクタ、内部インダクタ
432 インダクタ、内部インダクタ
434 コンデンサ
436 コンデンサ
438 コンデンサ、寄生コンデンサ
440 コンデンサ、寄生コンデンサ
500 レシーバ
502 整流器、差動整流器
510 第1のコンデンサ
512 第2のコンデンサ
514 第1のダイオード
516 第2のダイオード
518 第1のインダクタ
520 第2のインダクタ
550 第3のインダクタ
552 第4のインダクタ
600 レシーバ
602 整流器、差動整流器
614 第1のダイオード
616 第2のダイオード
654 第3のインダクタ
700 レシーバ
702 整流器、電流駆動整流器
714 第1のダイオード
716 第2のダイオード
756 第3のコンデンサ
758 第4のコンデンサ
800 レシーバ
802 整流器
810 第1のコンデンサ
812 第2のコンデンサ
814 第1のダイオード
816 第2のダイオード
856 第3のコンデンサ
858 第4のコンデンサ
860 第1のFET
862 第2のFET
864a 第1の遅延線
864b 第1の信号生成器
866a 第2の遅延線
866b 第2の信号生成器
868 第3のインダクタ
880 バッテリー
900 DC/ACインバータ
902 負荷非依存回路
904 インピーダンスインバータ回路
910 インダクタ
912 トランジスタ
914 コンデンサ
930 インダクタ
932 トランジスタ
934 コンデンサ
940 インダクタ
950 インダクタ
952 インダクタ
954 コンデンサ
956 コンデンサ
958 コンデンサ
960 コンデンサ
970 コンデンサ
976 インダクタ
980 インダクタ、抵抗器
982 インダクタ
984 インダクタ
986 インダクタ
988 コンデンサ
1700 DC/ACインバータ
1702 負荷非依存回路
1704 インピーダンスインバータ回路
1710 インダクタ
1712 トランジスタ
1714 コンデンサ
1730 インダクタ
1732 トランジスタ
1734 コンデンサ
1740 インダクタ
1750 インダクタ
1752 インダクタ
1760 コンデンサ
1762 コンデンサ
1764 コンデンサ
1766 コンデンサ
1770 インダクタ
1780 抵抗器
1958 コンデンサ
1960 コンデンサ
1980 インダクタ
1982 インダクタ
1984 インダクタ
1986 インダクタ
1988 コンデンサ
2300 コイル
2301 第1の端子
2302 第2の端子
2303 第3の端子またはタップ
2310 第1のサブコイル
2320 第2のサブコイル
2330 線
2700 レシーバ
2701 プリント回路板(PCB)
2702 整流器
【国際調査報告】