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  • 特表-レバウジオシドの製造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】レバウジオシドの製造
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/10 20060101AFI20250115BHJP
   C12P 19/04 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20250115BHJP
   C12P 7/40 20060101ALI20250115BHJP
   C12N 9/26 20060101ALN20250115BHJP
【FI】
C12N9/10
C12P19/04 Z ZNA
C12N1/19
C12N1/21
C12P7/40
C12N9/26 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538436
(86)(22)【出願日】2022-12-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2022021326
(87)【国際公開番号】W WO2023121426
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0187435
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コ,ヒョクジン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ブス
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AD07
4B064AF11
4B064BA10
4B064BB01
4B064BB11
4B064BB21
4B064CA19
4B064CA21
4B064CC24
4B064DA10
4B065AA26X
4B065AA77X
4B065AA79X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BD11
4B065CA27
4B065CA41
(57)【要約】
本明細書は、UDP-グリコシル転移酵素とUGT76G1を含む生触媒を利用してレバウジオシドMを高純度に含むステビオール配糖体を製造するための組成物、およびこれを利用したステビオール配糖体の製造方法に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移する第1UDP-グリコシル転移酵素(uridine diphosphate-glucosyltransferase)とUGT76G1を含む生触媒、および反応基質を含み、
レバウジオシドMが、ステビオール配糖体反応生成物の10重量%以上で含まれる、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物。
【請求項2】
前記第1UDP-グリコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列、または配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から201番目および202番目のアミノ酸からなる群より選択された少なくとも一つ以上のアミノ酸が、セリンおよびバリンからなる群より選択された1種以上のアミノ酸で置換されたアミノ酸を含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記生触媒は、スクロース合成酵素(sucrose synthase)タンパク質を追加的に含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記スクロース合成酵素は、第1UDP-グルコシル転移酵素およびUGT76G1酵素からなる群より選択された1種以上の酵素と、直接またはリンカーを介して連結された融合タンパク質で提供されるものである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
レバウジオシドMが、ステビオール配糖体反応生成物の50重量%以上で含まれる請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記生触媒は、前記酵素タンパク質、前記微生物の菌体、前記微生物の培養物、前記微生物の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移する第1UDP-グリコシル転移酵素(uridine diphosphate-glucosyltransferase)とUGT76G1を含む生触媒、および反応基質を含み、
前記生触媒は、前記酵素タンパク質を産生する微生物の菌体、および前記菌体の乾燥物からなる群より選択された1種以上である、
レバウジオシドMが、ステビオール配糖体反応生成物の10重量%以上で含まれる、請求項1に記載のレバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物。
【請求項8】
前記菌体の乾燥物が、Reb M転換率とReb Dの合計転換率が30%以上を有するものである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記菌体の乾燥物が、常温で9週間保管後、菌体の酵素活性が、乾燥直後菌体のレバウジオシドM転換活性の90%以上である請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記凍結乾燥菌体は、-60~40℃の温度および減圧条件で凍結乾燥された乾燥物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、エチレンジアミンテトラ酢酸を追加的に含む請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記エチレンジアミンテトラ酢酸の濃度は、1~20mMである請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記反応基質は、ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上のステビオール配糖体を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記反応基質は、15~150g/Lで提供される請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記生触媒は、大腸菌、サッカロマイセス属菌株またはピキア属菌株である請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記微生物は、invertase酵素をコードするSUC2遺伝子が欠失されたサッカロマイセス属微生物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物は、MgCl2またはMnCl2を追加的に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
uridine diphosphate(UDP)およびスクロースからなる群より選択された1種以上を追加的に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記スクロースを500~2000mMの濃度で含む請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記反応基質は、pH4~9である、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上を含む反応基質と、第1UDP-グリコシル転移酵素とUGT76G1を含む生触媒を反応する工程を含む、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法であって、
前記第1UDP-グリコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移するUDP-グリコシル転移活性を有する酵素タンパク質(uridine diphosphate-glucosyltransferase)であり、
レバウジオシドMが、ステビオール配糖体反応生成物の10重量%以上で含まれる、方法。
【請求項22】
前記生触媒は、前記酵素タンパク質、前記微生物の菌体、前記微生物の培養物、前記微生物の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上を含む反応基質と、第1UDP-グリコシル転移酵素とUGT76G1を含む生触媒を反応する工程を含む、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法であって、
前記第1UDP-グリコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移するUDP-グリコシル転移活性を有する酵素タンパク質(uridine diphosphate-glucosyltransferase)であり、
前記生触媒は、前記酵素タンパク質を産生する微生物の菌体、および前記菌体の乾燥物からなる群より選択された1種以上である、
請求項21に記載のレバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法。
【請求項24】
前記反応温度は、20~60℃であり、反応pHは、pH4~9で行われる請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記反応基質は、15~150g/Lで提供される請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記菌体の乾燥物が、Reb M転換率とReb Dの合計転換率が30%以上を有する、請求項23に記載の方法
【請求項27】
前記菌体の乾燥物が、常温で9週間保管後、菌体の酵素活性が、保管開始時点菌体のレバウジオシドM転換活性の90%以上である請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記菌体の乾燥物は、-60~40℃の温度および減圧条件で凍結乾燥された乾燥物である、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記反応する工程は、エチレンジアミンテトラ酢酸を1~20mM濃度で添加して行う、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生触媒反応を利用したレバウジオシド製造、例えばレバウジオシド製造用微生物、およびこれを利用したレバウジオシド製造方法に関し、より詳細にはUDP-glycosyltransferaseを含むレバウジオシド製造用組換え微生物と、前記微生物を利用して高濃度ステビア抽出物からレバウジオシドを製造する方法に関する。
また、本発明は、改善されたレバウジオシドの製造方法に関し、特に長期間安定的に酵素活性を維持する凍結乾燥菌体を利用した、レバウジオシド製造用微生物およびこれを利用したレバウジオシド製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
甘味料は、食品、飲料、または菓子産業で最も一般的に利用される成分として知られている。甘味料は、製造の間、最終食品産物に組み込まれたり、または単独用途で適切に希釈させた際に、食卓甘味料またはベ-キングにおける砂糖の代用品として家庭で利用することができる。甘味料は例えば、スクロース、高果糖コーンシロップ、糖蜜、メープルシロップ、および蜂蜜のような天然甘味料や、アスパルテーム、サッカリン、スクラロース(sucralose)のような人工甘味料を含む。
【0003】
ステビア(Stevia)抽出物は、多年生低木、ステビアレバウジアナ(Stevia rebaudiana)から抽出できる天然甘味料である。様々なレベルで精製されたステビア抽出物は、食品およびブレンドで高感度調味料として使用されたり単独で食卓甘味料として市販されている。
【0004】
ステビア植物の抽出物は、レバウジオシドおよび甘味に寄与するその他ステビオール配糖体を含有するが、従来の市販製品は、主にレバウジオシドAであり、少量のレバウジオシドC、D、およびFのようなその他グリコシド(配糖体)がある。植物から抽出したステビア抽出物は、異臭(off-flavors)の原因となる誘導された化合物のような汚染物質を含有し得る。このような異臭は、選択された食品システムまたは用途によっては、問題になる可能性がある。
【0005】
また、ステビア抽出物の組成物は、植物が成長する土壌および気候によって非常に多様である。原料植物、気候条件、および抽出工程に応じて、商業的製造過程でレバウジオシドAの量は総ステビオールグリコシド含有量の20~97%と多様であると報告されている。また他のステビオールグリコシドがステビア抽出物内に様々な量で存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
但し、ステビア植物から製造されたステビア抽出物は、多数のステビオール配糖体と異臭の原因になる化合物を含有しており、回収および精製が労働集約的で非効率的であるため、Reb DおよびReb Mのようなステビオール配糖体を高収率で製造するおよび蓄積できる製造システムが求められている。
特に、Reb Mは、砂糖の200~350倍の甘味を有し、後味が少し苦いか甘草の香りがするすっきりした甘味を有している。近年、食品添加物および香料に関するEFSAパネルは、Reb Mが食品添加物として安全であると発表した。Reb Mは、ブレンドに適して様々な食品および飲料製品に適用可能であるため、大きな関心を集めることができ、グローバル食品産業の天然甘味料として持続的な需要を呼び起こることができる。
また、ステビオール配糖体の転換活性を有する酵素を産生する微生物の菌体のような生触媒に含まれた水分を除去する製造工程および条件を確立して、転換活性が維持される保管性および流通性に優れた生触媒を提供し、前記生触媒を利用したステビオール配糖体、特にレバウジオシドMの大量製造工程が切実に必要な実情である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一例は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移する第1UDP-グルコシル転移酵素(uridine diphosphate-glucosyltransferase)とUGT76G1を含む生触媒、および反応基質を含み、レバウジオシドMが、ステビオール配糖体反応生成物の10重量%以上で含まれる、ステビオール配糖体製造用組成物、またはその製造方法に関する。
【0008】
本発明の一例は、新規なTriticum aestivum由来のUDP-glycosyltransferaseを含むレバウジオシド製造用組換え微生物、好ましくはUDP-glycosyltransferaseおよびUDP-glycosyltransferase76G1を含むか、より好ましくはUDP-glycosyltransferase、UDP-glycosyltransferase76G1およびスクロース合成酵素を含有する生触媒を含む、高純度レバウジオシドMを製造するための組成物を提供する。
【0009】
本発明の一例は新規なTriticum aestivum由来のUDP-glycosyltransferaseを含むレバウジオシド製造用組換え微生物、好ましくはUDP-glycosyltransferase、UDP-glycosyltransferase76G1を含むか、より好ましくはUDP-glycosyltransferase、UDP-glycosyltransferase76G1およびスクロース合成酵素を含有する生触媒を含む、レバウジオシドMがステビオール配糖体反応生成物の50重量%以上で含まれる、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物に関する。
【0010】
本発明の追加一例は、ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上を含む反応基質と、Triticum aestivum由来の第1UDP-グリコシル転移酵素とUGT76G1を含む生触媒を反応する工程を含む、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法に関する。
【0011】
本発明の追加例は、微生物が有している酵素活性を乾燥状態で長期間安定して維持できる凍結乾燥微生物菌体を利用したレバウジオシド製造用微生物およびこれを利用したレバウジオシド製造方法に関する。
【0012】
本発明の追加例は、ステビオール配糖体、特にレバウジオシドMの転換活性を有する微生物菌体またはその乾燥菌体であってもよい。
【0013】
本発明の追加例は、ステビオール配糖体、特にレバウジオシドMの転換活性を有する微生物菌体またはその乾燥菌体を含むステビオール配糖体、特にレバウジオシドMの製造用組成物またはステビオール配糖体、特にレバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、外来TaUGTm、SrUGT76G1およびスクロース合成酵素(Sucrose synthase)からなる群より選択された1種以上の酵素を発現する、ステビアからレバウジオシドM(Rebaudioside M)転換活性を有する、形質転換微生物、およびこれを利用したレバウジオシドMの製造方法に関し、前記形質転換微生物は高いレバウジオシドM生産性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一例に係るTaUGTm酵素を産生する酵母菌株の製造のためのベクターの開裂地図(cleavage map)である。
図2】本発明の一例に係るTaUGTm酵素の反応生成物をHPLC分析で分析して得られた結果グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、新規なTriticum aestivum由来のUDP-glycosyltransferaseを含むレバウジオシド製造用組換え微生物、好ましくはUDP-glycosyltransferase、UDP-glycosyltransferase76G1を含むか、より好ましくはUDP-glycosyltransferase、UDP-glycosyltransferase76G1およびスクロース合成酵素を含有する生触媒を利用して、レバウジオシドMを高純度で含むステビオール配糖体製造用組成物、およびこれを利用したステビオール配糖体の製造方法に関する。
【0017】
本願の一例は、Triticum aestivum由来のUDP-glycosyltransferase、具体的に配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移する第1UDP-グリコシル転移酵素(uridine diphosphate-glucosyltransferase)とUGT76G1を含む生触媒、および反応基質を含み、レバウジオシドMがステビオール配糖体反応生成物の50重量%以上で含まれる、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物に関する。
【0018】
本願の追加例は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移する第1UDP-グリコシル転移酵素(uridine diphosphate-glucosyltransferase)とUGT76G1を含む生触媒、および反応基質を含み、
前記生触媒は、前記酵素タンパク質を産生する微生物の菌体、および前記菌体の乾燥物からなる群より選択された1種以上である、
レバウジオシドMがステビオール配糖体反応生成物の10重量%以上で含まれる、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物に関する。
【0019】
また、前記レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物を使用して転換反応を行うる場合、例えばReb Aおよびステビオシドを含む原料基質を使用する場合、レバウジオシドMが、ステビオール配糖体反応生成物の10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、86重量%以上、87重量%以上、または90重量%以上であってもよい。前記レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物は、Reb M転換率とReb Dの合計転換率が30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上または50重量%以上であってもよい。
【0020】
前記組成物は、好ましくはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)を追加的に含むことができ、例えば1~20mM、3~20mM、4~20mM、1~15mM、3~15mM、4~15mM、1~10mM、3~10mM、または4~10mMであってもよい。前記レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物がEDTAを含む場合、前記レバウジオシドMを含むステビオール配糖体製造用組成物を使用して転換反応を行うる場合、例えばReb Aおよびステビオシドを含む原料基質を使用する場合、レバウジオシドMが、ステビオール配糖体反応生成物の50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、86重量%以上、87重量%以上、または90重量%以上であってもよい。
【0021】
前記組成物は、ステビア抽出物、uridine diphosphateglucose(UDP)およびスクロースからなる群より選択された1種以上を含む反応原料物質を追加的に含むことができる。一実施様態で、前記ステビオール配糖体製造用組成物でreb Aのreb Dへの転換にはMgCl2および/またはMnCl2を追加的に含むことができる。
【0022】
本願のさらに他の例は、ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上を含む反応基質と、Triticum aestivum由来の第1UDP-グリコシル転移酵素とUGT76G1を含む生触媒を反応する工程を含む、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法であって、
前記第1UDP-グリコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移するUDP-グリコシル転移活性を有する酵素タンパク質(uridine diphosphate-glucosyltransferase)である、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法に関する。
【0023】
本発明の一例は、第1UDP-グルコシル転移酵素タンパク質、前記酵素タンパク質を発現する組換え微生物、前記微生物の菌体、前記微生物の菌体破砕物、前記微生物の培養物、およびこれらの抽出物からなる群より選択された1種以上と、ステビオシドおよびReb Aからなる群より選択された1種以上の基質をグルコースドナーの存在下で反応してReb DおよびReb Eからなる群より選択された1種以上のステビオール配糖体を製造する工程、および
前記製造されたステビオール配糖体、第2UDP-グルコシル転移酵素タンパク質、前記酵素タンパク質を発現する組換え微生物、前記微生物の菌体、前記微生物の菌体破砕物、前記微生物の培養物およびこれらの抽出物からなる群より選択された1種以上と、グルコースドナーの存在下で反応する工程を含む、ステビオール配糖体のReb Mの製造方法に関する。
【0024】
本発明のさらに他の一例は、ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上を含む反応基質と、第1UDP-グリコシル転移酵素とUGT76G1を含む生触媒を反応する工程を含む、レバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法であって、
前記第1UDP-グリコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移するUDP-グリコシル転移活性を有する酵素タンパク質(uridine diphosphate-glucosyltransferase)であり、
前記生触媒は、前記酵素タンパク質を産生する微生物の菌体、および前記菌体の乾燥物からなる群より選択された1種以上である、
レバウジオシドMを含むステビオール配糖体の製造方法に関する。
【0025】
前記Reb Mの製造工程で使用された第2UDP-グルコシル転移酵素タンパク質は、UGT76G1などであってもよい。
【0026】
本発明に係るステビオール配糖体の製造方法は、製造周期を顕著に短縮し、製造能力を向上させ、コストが低く、より高純度の製品を提供できるため、食品、飲料業界によって経済的に利用することができる。
【0027】
本発明において、反応生成物であるレバウジオシドMを含むステビオール配糖体で、レバウジオシドMの純度は50重量%以上であってもよい。
【0028】
前記反応基質は、ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上のステビオール配糖体を含むものであり、または15~200g/Lで提供されるものである。前記反応基質は、ステビオールモノシド、ルブソシド、レバウジオシドE、レバウジオシドC1、レバウジオシド1、ステビオシド、レバウジオシドD、合成ステビオールグリコシド、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された1種以上を追加的に含むことができる。
【0029】
S.rebaudianaでステビオール配糖体の多様性は、活性化したドナー(donor)、主にウリジン二リン酸(UDP)-グルコースで、収容体分子に糖残基を伝達するUDP-グリコシルトランスフェラーゼ(UGT、UDP-グルコシル転移酵素)によって触媒されるグリコシル化反応に起因する。RebaudiosideM(Reb M)は、ステビアレバウジアナ(Stevia rebaudiana)の葉に含有量が非常に少ない好ましい天然無カロリー高効能甘味料である。本発明に係るステビオール配糖体製造用組成物またはステビオール配糖体の製造方法によれば、Reb Mを高純度および高い転換率で製造することができる。
【0030】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に係るステビオール配糖体製造用組成物またはステビオール配糖体の製造方法は、新規第1UDP-グリコシル転移酵素と第2UDP-グリコシル転移酵素であるUGT76G1を含む生触媒を使用することができる。前記生触媒は、追加的に「スクロース合成酵素(Sucrose synthase)を含むことができ、第1UDP-グリコシル転移酵素および/またはUDP-グリコシル転移酵素と融合タンパク質を含むことができる。
【0031】
他の実施形態において、第3のUDP-グルコシルトランスフェラーゼとして、レバウジオシドAに少なくとも一つのグルコース単位を付加してレバウジオシドDを形成することができる酵素、例えばUDP-グルコシルトランスフェラーゼは、UGT91D2を追加的に含むことができる。
【0032】
本明細書において、前記酵素を含む生触媒は、前記酵素タンパク質、前記微生物の菌体、前記微生物の培養物、前記微生物の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0033】
本明細書において、第1UDP-グリコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移するUDP-グリコシル転移活性を有する酵素タンパク質(uridine diphosphate-glucosyltransferase)であってもよい。
【0034】
前記第1UDP-グリコシル転移酵素は、ステビオシド(STE)をReb Eに転換および/またはReb AをRed Dに転換して、Reb Dおよび/またはReb Eを製造することができる。
【0035】
詳しくは、本発明に係る第1UDP-グルコシル転移酵素は、グルコースドナーの存在下で、ステビオシドおよびReb Aからなる群より選択される1種以上の基質からステビオール配糖体、例えばReb DおよびReb Eからなる群より選択される1種以上に転換する活性を有し、さらに詳しくは、Reb AをReb Dに転換し、ステビオシドをReb Eに転換することができ、Reb Aおよびステビオシドの単独基質または混合基質に対してはいずれも転換活性を有する。
【0036】
また、Reb AからReb Dへの転換は、ステビオール環(Steviol ring)でbeta1-2glycosidic bondの結合により、グルコースを転移するもので、主にステビオール環の19番位置で糖化が起こる。ステビオール配糖体は、グルコース(Glucose)がβ結合で1~3個が結合したものである。
【0037】
Reb AからReb Dへの転換反応は、グルコースが1分子さらに添加される反応で、UGT酵素によって起きる。この反応に必要なグルコースは、活性形態であるUDP-グルコースが必要であり、UGT酵素がUDP-グルコースからグルコースを転移してステビオール配糖体を製造する。
【0038】
前記第1UDP-グルコシル転移酵素は、Triticum aestivum(小麦)に由来した酵素(Triticum aestivum UDP-glycosyltransferase)(以下、TaUGTという)、またはその変異酵素(以下、TaUGTmという)であってもよい。詳しくは、前記第1UDP-グルコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列と92%以上のアミノ酸配列同一性(identity)を有し、ステビオール配糖体基質にグルコースを転移するUDP-グリコシル転移活性を有する酵素タンパク質であり、配列番号1のアミノ酸配列を有する酵素タンパク質は野生型酵素であってもよい。
【0039】
本発明の野生型TaUGTの核酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列を暗号化する核酸配列であることもありながら、具体的に配列番号2の核酸配列であるが、これに制限されない。
【0040】
前記第1UDP-グルコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列と配列同一性が92%以上、95%以上、97%以上、99%以上または99.5%以上のアミノ酸配列を含むことができ、酵素タンパク質と同等の効能を示すアミノ酸配列であれば、一部の配列が欠失、変形、置換または付加されたアミノ酸配列を含む変異型酵素タンパク質も含む。
【0041】
前記第1UDP-グルコシル転移酵素を暗号化するポリヌクレオチド配列と配列同一性が40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上または99%以上のポリヌクレオチド配列によって暗号化されるものであってもよい。
【0042】
前記において、用語「相同性」または「一致性」は、与えられたアミノ酸配列または塩基配列と一致する程度を意味し、百分率で表される。本明細書において、与えられたアミノ酸配列または塩基配列と同一または類似の活性を有するその相同性配列が「%相同性」または「%同一性」で表される。
【0043】
前記変異型第1UDP-グルコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列を含む野生型酵素のレバウジオシドA(Reb A)基質をレバウジオシドD(Reb D)に転換する活性100%を基準に、101%以上、例えば101%~200%の活性を有するものであってもよい。すなわち、酵素の活性向上のために、突然変異による酵素改良を実施して、Reb DとReb Eの製造速度を向上させ、第2UDP-グルコシル転移酵素、例えばステビア由来のUGT76G1と反応して、レバウジオシドM(Reb M)を製造することができる。これにより、酵素転換反応を通じたReb DとReb Eの生産性を増加させて、これを利用してReb Mという高機能性糖を高い生産性で製造することができる。
【0044】
前記変異型第1UDP-グルコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から201番目のトレオニンがセリンに置換、202番目のバリンがロイシンに置換または201番目のトレオニンがセリンに置換と202番目バリンがロイシンに置換を含むものであり、さらに詳しくは配列番号3のアミノ酸配列を含むことができる。
【0045】
また、前記変異酵素を暗号化する核酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列でN-末端から201番目のトレオニンがセリンに置換、202番目のバリンがロイシンに置換または201番目のトレオニンがセリンに置換と202番目バリンがロイシンに置換を含むものであり、さらに詳しくは配列番号3のアミノ酸配列によって暗号化される核酸配列を含むことができる。配列番号3のアミノ酸配列または前記アミノ酸配列を暗号化する核酸配列を含む変異酵素で、前記アミノ酸配列を暗号化する核酸配列は、配列番号3の核酸配列であってもよい。
【0046】
本発明に係る変異酵素TaUGTm(T201S)は、配列番号1の野生型酵素アミノ酸配列でN-末端から201番に位置するThrがSerに置換されたものであり、例えばACCがTCAに置換され、TaUGTm(V202L)は、201番に位置するValがLeuに置換されたものであり、例えばGTAがTTAに置換されたもので、またはTaUGTm(T201SV202L)は、配列番号1の野生型酵素アミノ酸配列でN-末端から201番および202番のアミノ酸に該当するThr-ValがSer-Leuに置換されたものであり、さらに詳しくは配列番号2のポリヌクレオチド配列でACCGTAがTCATTAに置換されるものであってもよい。
【0047】
本発明に係る変異型第1UDP-グルコシル転移酵素は、2時間~24時間酵素反応で、Reb Aの45重量%以上がReb Dに転換する活性を有し、具体的にReb Aの45重量%以上、50重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上または95重量%以上が、Reb Dに転換する活性を有し、好ましくは0重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上または95重量%以上がReb Dに転換する活性を有する。さらに詳しくは前記酵素の転換活性は30℃、pH7.2および150rpmの条件で測定されたものである。前記Reb D転換率(%)は、下記数式1に従って計算され、詳細は実施例4に記載されている。
Reb D転換率(%)=Reb DのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式1)
【0048】
本発明に係る変異型第1UDP-グルコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型酵素に比べて、2時間~24時間の酵素反応で、Reb A基質をReb Dに転換する活性として、Reb Dの相対転換率が101%以上、103%以上、105%以上、107%以上、108%以上、109%以上、または110%以上を有し、さらに好ましくは105%以上、107%以上、108%以上、109%以上、110%以上、115%以上、120%以上または125%以上を有する。前記酵素の転換活性は、30℃、pH7.2および150rpmの条件で測定されたものである。前記酵素のReb A単独基質からRed Dに転換する前記酵素のReb D転換率は、数式1に従って計算する。詳しい測定基準は下記実施例4に記載されている。
【0049】
また、第1変異型UDP-グルコシル転移酵素は、ステビオシドおよびReb Aを含む混合基質で2時間~24時間酵素反応で、Reb Aおよびステビオシドを含む混合基質の50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、79重量%以上、80重量%以上、81重量%以上、82重量%以上、83重量%以上、85重量%以上、または87重量%以上がReb DおよびReb Eに転換する活性(Reb D/E合計転換率)を有する。さらに詳しくは前記酵素の転換活性は、30℃、pH7.2および150rpm条件で測定されたものである。
【0050】
本発明に係る変異型第1UDP-グルコシル転移酵素は、配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型酵素に比べて、ステビオシドおよびReb Aを含む混合基質で2時間~24時間酵素反応で、Reb Aおよびステビオシドを含む混合基質の50重量%以上がReb DおよびReb Eに転換する活性(Reb D/E合計転換率)をReb A基質をReb Dに転換する活性とステビオシドをReb Eに転換する活性の合計活性として、Reb D/Eの相対転換率が103重量%以上、105重量%以上、106重量%以上、108重量%以上、109重量%以上、または110重量%以上を有する。さらに詳しくは前記酵素の転換活性は、30℃、pH7.2および150rpm条件およびrebaudiosideA:STE(stevioside)=40:60を有する混合基質を使用して測定されたものである。前記酵素のReb D/E合計相対転換率は、野生型酵素のReb D/E転換率100重量%を基準に換算した野生型酵素のReb D/E転換率を意味する。すなわち、混合基質に対するReb D/Eに転換する前記酵素のReb D/E合計転換率は。下記数式2に従って計算し、酵素のReb D/Eの相対的合計転換率は、野生型酵素のReb D/E合計転換率100重量%を基準に換算した変異型TaUGT酵素のReb D/E合計転換率を意味する。
Reb D/E転換率(%)=Reb D/EのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式2)
【0051】
本発明に係る第1UDP-グルコシル転移酵素の野生型酵素は、植物由来の酵素を探索して得られた、Triticum aestivum由来の酵素に関する。前記タンパク質の機能を明らかにしてUGT酵素活性を確認し、ステビオシドまたはReb Aを、それぞれReb EまたはReb Dに転換する酵素活性を確認した。
【0052】
高甘味度を有するReb Dは、ステビア植物体に少量存在する糖であり、Reb Aから生成され、この生成過程に関与する既知の酵素は、ステビアのUGT91D2である。これと類似の活性を有する酵素が、米に存在するEUGT11酵素である。ステビアのUGT91D2の場合、ステビオールグリコシドのReb AをReb Dに転換する活性を有するが、転換活性が低く高濃度のReb Mを高収率で製造することは困難がある。
【0053】
また、従来知られているUGT酵素としては、ステビア(Stevia rebaudiana)に由来するUGT(以下、SrUGT)、稲(Oryza sativa)に由来するUGT(以下、EUGT11という)、大麦(Hordeum vulgare)に由来するUGT(以下、HvUGTという)がある。本発明に係るUDP-グルコシル転移酵素、従来知られているEUGT11およびHvUGTに比べて、ステビオール配糖体の複数の基質に作用する基質特異性を有し、反応副産物を作らない長所がある。前記EUGT11酵素のアミノ酸配列を配列番号12で表し、ポリヌクレオチド配列は配列番号13で表している。
【0054】
前記HvUGT酵素のアミノ酸配列を配列番号14で表し、ポリヌクレオチド配列は配列番号15で表している。
【0055】
前記配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型酵素は、HvUGTおよびEUGT11とアミノ酸配列と配列同一性を分析した結果、HvUGTとは91%、EUGTとは66%のアミノ酸配列同一性を有し、ポリヌクレオチド配列同一性を分析した結果、HvUGTとは36%、EUGT11とは37%のポリヌクレオチド配列同一性を有することが分析された。
【0056】
本発明に係るステビオール配糖体製造用組成物またはステビオール配糖体の製造方法は、第1UDP-グリコシル転移酵素と共に第2UDP-グリコシル転移酵素であるUGT76G1を含む生触媒を使用することができる。本発明のSrUGT76G1はSrUGTの一種で、76G1のファミリー番号を有する酵素で、配列番号31のアミノ酸配列であるが、これに制限されない。前記SrUGT76G1の核酸配列は、配列番号31のアミノ酸配列を暗号化する核酸配列であり、具体的に配列番号32の核酸配列であるが、これに制限されない。
【0057】
本発明において、第2UDP-グリコシル転移酵素のUGT76G1は、S.rebaudianaで、Reb M製造を担当する主要酵素であるUDP-グリコシルトランスフェラーゼUGT76G1(Stevia glycosyltransferase UGT76G1)であり、Reb DからReb M生合成について報告された唯一の酵素である。UGT76G1は広範囲な基質特異性を有することが知られており、具体的にステビオール配糖体の生合成で8種類の異なる反応を触媒することが明らかになり、これらは全てステビオールC13およびC19結合グルコースの1,3-グルコシル化を含む。例えば、UGT76G1は、ステビオシド(STE)をRebaudiosideA(Reb A)に転換、RebaudiosideD(Red D)をReb Mに転換、RebaudiosideE(Reb E)をReb Mに転換することができる。
前記SrUGT76G1は、レバウジオシドAをレバウジオシドIに転換させる活性を有し、レバウジオシドIは、レバウジオシドMに転換が困難であるため、ステビア(例えば、ステビア抽出物)および/またはレバウジオシドAから高い収率でレバウジオシドMを収得するために、レバウジオシドEおよび/またはレバウジオシドAをレバウジオシドDに転換させる活性を有するTaUGTmを共に使用し、高い収率でレバウジオシドMを収得することができる。
【0058】
本発明に係るステビオール配糖体製造用組成物またはステビオール配糖体の製造方法は、第1UDP-グリコシル転移酵素および第2UDP-グリコシル転移酵素であるUGT76G1に加えて、Sucrose Synthase(SUS)酵素を追加的に含む生触媒を使用することができる。
【0059】
Sucrose Synthase(SUS)酵素は、スクロースを分解してフルクトースとUDP-グルコースを作る酵素である。したがってReb AからReb Dに転換する反応、あるいはステビオシドからReb Eに転換する反応にSUS酵素を導入し、UGT酵素にUDP-Glucoseを供給すれば、より経済的にUDP-Glucoseを供給し反応を進めることができる。SUS酵素を生触媒に含む場合、酵素を産生する微生物は、invertase酵素をコードするSUC2遺伝子が欠失したサッカロマイセス属微生物であることがさらに好ましい。
【0060】
前記sucrose synthaseは、Arabidopsis thaliana、Solanum lycopersicum、Glycine max、Nicotiana tabacum、およびThermosynechococcus elongatusからなる群より選択された1種以上の微生物由来sucrose synthaseであるが、これに限定されず、当業界に知られているsucrose synthaseを全て本発明に適用することができる。さらに詳しくは前記sucrose synthaseは、Arabidopsis thaliana由来SUS1酵素であり、例えば配列番号4のアミノ酸配列を含むことができ、配列番号4のアミノ酸配列によって暗号化される核酸配列、または配列番号5の核酸配列を有するものであってもよい。また、Glycine maxから由来した前記sucrose synthaseであり、例えば配列番号33のアミノ酸配列を含むことができ、配列番号33のアミノ酸配列によって暗号化される核酸配列mまたは配列番号34の核酸配列を有するものであってもよい。
【0061】
具体的な一例において、UGTにSUSを融合タンパク質で製造して前記転換反応を行うと、二つの反応が一つのチャンネルを形成して酵素反応が一つで起こるため、効果的な転換反応を起こすことができる。
【0062】
例えば、UGTにSUSを融合タンパク質で製造して前記転換反応を行うと、二つの反応が一つのチャンネルを形成して酵素反応が一つで起こるため、効果的な転換反応を起こすことができる。
【0063】
また、TaUGT_SUS融合酵素を利用する場合、基質に対して1/10のUDPを使用して転換が可能で、UDPの場合、RA40に対して1/100より低い量を利用した反応が可能である。融合酵素を利用した転換反応を通じて経済的な酵素転換が可能であり、高濃度基質反応を通じたステビオール配糖体を生成することができる。
【0064】
さらに詳しくは、本発明に係る第1UDP-グルコシル転移酵素および第2UDP-グルコシル転移酵素(例、UGT76G1酵素)からなる群より選択された1種以上の酵素と、直接またはリンカーを介してsucrose synthaseと融合することができ、前記リンカーは、アミノ酸4~15個で構成されたペプチドであり、さらに詳しくはG(Gly)、S(Ser)およびP(Pro)からなる群より選択された1種以上のアミノ酸を4~15個で含むものあり、具体的にGGGS(配列番号7)、GGGGS(配列番号8)、GGGSGGGGS(配列番号9)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号10)、またはGGGGPSPGGGGS(配列番号11)である。
【0065】
本発明の具体的な一例において、前記第1UDP-グルコシル転移酵素と、リンカー(GGGGSG)を介してArabidopsis thaliana由来SUS1酵素と連結する融合タンパク質であり、具体的に配列番号7のアミノ酸配列を含むか、または配列番号7のアミノ酸配列によって暗号化される核酸配列または配列番号8の核酸配列を有することができる。
【0066】
本明細書に記載の具体的酵素配列を下記表1に例示的に示し、下記表1において、変異酵素TaUGTmはUGT(T201S/V202L)を示す。
【0067】
【表1-1】
【0068】
【表1-2】
【0069】
【表1-3】
【0070】
【表1-4】
【0071】
【表1-5】
【0072】
本明細書において、前記酵素を含む生触媒は、前記酵素タンパク質、前記微生物の菌体、前記微生物の培養物、前記微生物の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0073】
前記生触媒は、第1UDP-グリコシル伝達酵素を含む組換え微生物に関し、追加的にUDP-glycosyltransferase76G1(SrUGT76G1)およびスクロース合成酵素(Sucrose synthase)からなる群より選択された1種以上の酵素を発現する、組換え微生物、前記微生物の菌体、前記微生物の培養物、前記微生物の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上である。また、前記生触媒は、TaUGTまたはTaUGTm、SrUGT76G1およびスクロース合成酵素を全て発現し、ステビアからレバウジオシドM転換活性を有する、形質転換微生物、前記微生物の菌体、前記微生物の培養物、前記微生物の破砕物、および前記破砕物または培養物の抽出物からなる群より選択された1種以上である。
【0074】
前記破砕物は、UDP-グルコシル転移酵素を産生する微生物の菌体を破砕した破砕物、または前記破砕物を遠心分離して得られた上澄み液を意味し、前記UDP-グルコシル転移酵素を産生する微生物から産生された酵素を含むものである。
【0075】
前記菌株の培養物は、前記UDP-グルコシル転移酵素を産生する微生物から産生された酵素を含むもので、前記微生物菌体を含むか、または含まない無細胞(cell-free)形態であってもよい。本明細書において、特に記載しない限り、使用されるUDP-グルコシル転移酵素を産生する微生物は、前記菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌体の破砕物、前記破砕物の上澄み液、およびこれらの抽出物からなる群より選択された1種以上を含むことを意味する。
【0076】
本発明に係る生触媒は、酵素活性を有する微生物菌体またはその乾燥菌体であってもよい。本発明に係る乾燥菌体は、水分含有量が低く、保管安定性および高い転換活性を有する。前記乾燥菌体は、同一重量の菌体が有する水分含有量が減少することで、保管および流通が容易で、長期間安定的に転換活性を維持し、特に大量生産に適している。
【0077】
本発明に係る酵母菌体乾燥粉末は、組換え酵母の転換活性を乾燥状態で長期間安定して維持することができる。すなわち、室温で保存しても、乾燥時の酵素力価を過度に低下させることなく保管、維持できるものである。
【0078】
また、本発明に係るステビオール配糖体の製造は、ステビオール配糖体、特にレバウジオシドMの転換活性を有する微生物菌体またはその乾燥菌体そのものを利用する全細胞反応で行うことができる。前記生触媒は、ステビオール配糖体、特にレバウジオシドMの転換活性を有するだけでなく、前細胞転換反応で高い転換率でステビオール配糖体、特にレバウジオシドMを製造することができる。
【0079】
本発明に係るステビオール配糖体、特にレバウジオシドMの転換活性を有する微生物が酵母である場合、厚い細胞壁により全細胞反応で低い転換活性を示すため、微生物培養で分離した菌体自体に比べて乾燥菌体を利用した全細胞反応の高い転換率を有する。さらに、全細胞転換反応は、転換対象基質を含む液状原料で提供可能で、前記液状原料と菌体または乾株菌体を混合して行うことができるため、菌体の細胞壁が液状基質に対する高い透過性を有するように菌体に処理したり、組換え酵母菌体の細胞壁透過性を増加させることができる物質を添加することができる。菌体の細胞壁が液状基質に対する高い透過性を有するように菌体に処理する方法の一例は、乾燥処理を行うことである。本発明方法は、このような微生物の生存性を高めて維持するなどの目的はなく、むしろ、微生物自体は死滅して、微生物が有していた酵素活性のみが保存されることが好ましい。
【0080】
本発明の一例において、菌体の乾燥方法を特に限定されず、例えば凍結乾燥、空気または風を利用した熱風乾燥、噴霧乾燥などを使用することができるがこれに限られない。前記菌体乾燥処理として、液状基質に対する高い透過性を有する乾燥処理がさらに好ましく、例えば凍結乾燥であってもよい。熱風乾燥または噴霧乾燥の場合、乾燥機の入口および出口の温度は酵素の活性が顕著に低くならない範囲で行うことができる。
【0081】
前記菌体の凍結乾燥は、通常の凍結乾燥方法で行うことができるが、酵素の転換活性を維持することが重要であるため、-90~40℃、または-90℃~-5℃の温度範囲、好ましくは-60~40℃、-50~40℃、-60~20℃、-50~20℃の温度範囲で凍結し、10mtorr未満の圧力下で-60℃~40℃の温度範囲で乾燥することが好ましい。また、菌体の凍結乾燥処理工程において、凍結防止剤などを添加しなくてもよい。凍結乾燥期で凍結したビーズの水分を完全除去して乾燥されたビーズを製造した。
【0082】
本発明で得られる微生物菌体乾燥粉末は、常温(25℃)で保存しても、1年以上にわたって乾燥直後の微生物が有していた転換活性を維持したり、少なくとも90%以上維持することができる長所がある。すなわち、乾燥直後の菌体の転換活性100%を基準に、9週間常温で保管した場合、保管開始時点の菌体のステビオール配糖体転換活性100%を基準に、90%以上、95%以上、97以上、または98%以上を有するこができる。これにより、本発明に係る凍結乾燥菌体は、長期間高い転換活性を維持することができる。これとは異なり、細胞破砕液またはこれから得られた助酵素液は、細胞破砕後24時間が経過すると、酵素活性がほとんど失活し、残存活性が10%以下に減少するようになる。
【0083】
本願に記載された組換え微生物は、真菌類細胞またはバクテリア細胞を含む。一態様において、バクテリア細胞は、エシェリキア属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、コルネバクテリウム属、アセトバクター属、アシネトバクター属、アスペルギルス(Aspergillus)属、またはシュドモナス属微生物を含む。前記真菌類細胞は酵母細胞であり、例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、ヤロウィア(Yarrowia)属、カンジダ(Candida)属、アシュィビア(Ashbya)属、シベルリンドネラ(Cyberlindnera)属、ピキア(Pichia)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属微生物などを含む。具体的に、前記微生物は、大腸菌(E.coli)、サッカロマイセス属菌株(例えば、サッカロマイセスセレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))またはピキア属菌株(例えば、Pichia pastoris)などを含むが、これに限られない。
【0084】
本発明が提供する形質転換微生物は、TaUGTm、SrUGT76G1および/またはスクロース合成酵素(Sucrose synthase)発現のために、外来TaUGTm、SrUGT76G1および/またはスクロース合成酵素(Sucrose synthase)の遺伝子が形質転換されたものであってもよい。前記TaUGTまたはTaUGTm、SrUGT76G1および/またはスクロース合成酵素(Sucrose synthase)の遺伝子は、ベクターでクローニングされて微生物に形質転換されるものであるが、これに制限されない。
【0085】
本明細書において、用語「形質転換」は、標的タンパク質を暗号化する核酸を含むベクターを宿主細胞内に導入して、宿主細胞内で前記核酸が暗号化するタンパク質が発現できるようにすることを意味する。形質転換された核酸は、宿主細胞内で発現することができる限り、宿主細胞の染色体内に挿入されて位置するか、染色体外に位置するかに関係なしにこれら全てを含むことができる。また、前記核酸は、標的タンパク質を暗号化するDNAおよびRNAを含む。前記核酸は、宿主細胞内に導入されて発現できるものであれば、いかなる形態で導入されてもよい。例えば、前記核酸は、自ら発現するのに必要なすべての要素を含む遺伝子構造体の発現カセット(expression cassette)の形態で宿主細胞に導入される。前記発現カセットは、通常前記核酸に作動可能に連結されているプロモーター(promoter)、転写終結シグナル、リボソーム結合部位および翻訳終結シグナルを含むことができる。前記発現カセットは、自己複製が可能な発現ベクター形態であってもよい。また、前記核酸は、それ自体の形態で宿主細胞に導入され、宿主細胞での発現に必要な配列と作動可能に連結されているものであり、これに限られない。
【0086】
本出願で使用されるベクターは特に限定されず、当業界に知られている任意のベクターを利用することができる。通常使用されるベクターの例としては、天然状態または組換え状態のプラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージが挙げられる。細胞内染色体挿入用ベクターを介して目的ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを染色体内に挿入することができる。前記ポリヌクレオチドの染色体内への挿入は、当業界に知られている任意の方法、例えば、相同組換え(homologous recombination)によって行われるが、これに限定されない。前記染色体挿入の有無を確認するための選別マーカ(selection marker)を追加的に含むことができる。
【0087】
また、前記において用語「作動可能に連結」されたとは、本発明の目的タンパク質を暗号化する核酸の転写を開始および媒介するようにするプロモーター配列と前記遺伝子配列が機能的に連結されていることを意味する。
【0088】
本発明の一例によるステビオール配糖体にグルコースを転移する糖転移酵素タンパク質を暗号化する核酸分子を含む組換えベクターの一例は、図1の開裂地図に示されている。例えば、本発明に係る酵素を暗号化する核酸分子と、前記核酸分子に連結されて作動可能な転写調節配列としてGAL10プロモーターおよびCYC1ターミネーターなどを含むことができる。前記転写プロモーターは、GAL10、GAL1、GAL2、TEF1、GPD1、およびTDH3プロモーターなどを含むことができ、前記転写ターミネーターは、CYC1、TEF1およびPGK1などを含むことができる。
【0089】
本発明のベクターを形質転換させる方法は、核酸を細胞内に導入するある方法も含まれ、宿主細胞に応じて、当分野に公知の通り適した標準技術を選択して行うことができる。例えば、電気穿孔法(electroporation)、リン酸カルシウム(CaPO4)沈澱、塩化カルシウム(CaCl2)沈澱、マイクロインジェクション法(microinjection)、ポリエチレングリコール(PEG)法、DEAE-デキストラン法、カチオン性リポソーム法、および酢酸リチウム-DMSO法などがあるが、これに制限されない。
【0090】
本発明において、ステビオール配糖体製造用組成物またはステビオール配糖体の製造方法は、高い基質濃度に転換反応を行って、レバウジオシドMでの転換率が高く、産業的に大量生産が可能である。
【0091】
本明細書において、ステビオール配糖体製造のための転換反応に使用される反応基質(反応原料)は、ステビオシドおよびレバウジオシドAからなる群より選択された1種以上のステビオール配糖体基質を含むものであり、例えばステビオシドまたはReb A単独基質、またはこれらの混合基質であってもよい。前記混合基質は、ステビオシドまたはReb Aを混合したり、ステビオシドまたはReb Aを含むステビア抽出物であってもよい。
【0092】
本明細書における「ステビア」は、ステビア抽出物を意味し、具体的にレバウジオシドAがステビア抽出物に含まれているステビオール配糖体の全体質量基準に、30(w/w)%以上、35(w/w)%以上、40(w/w)%以上、50(w/w)%以上、55(w/w)%以上、58(w/w)%以上、60(w/w)%以上、70(w/w)%以上、または80(w/w)%以上であり、具体的に50~99.5(w/w)%、50~99(w/w)%、50~95(w/w)%、50~90(w/w)%、50~85(w/w)%、50~80(w/w)%、50~70(w/w)%、50~65(w/w)%、50~62(w/w)%、55~99.5(w/w%、55~99(w/w)%、55~95(w/w)%、55~90(w/w)%、55~85(w/w)%、55~80(w/w)%、55~70(w/w)%、55~65(w/w)%、55~62(w/w)%、58~99.5(w/w)%、58~99(w/w)%、58~95(w/w)%、58~90(w/w)%、58~85(w/w)%、58~80(w/w)%、58~70(w/w)%、58~65(w/w)%、58~62(w/w)%、例えば、60(w/w)%の含有量を含むことができ、ステビオシドが、ステビア抽出物全体体積基準に前記レバウジオシドA含有量以外の含有量で含まれ、具体的にステビオール配糖体100重量%を基準に30~50(w/w)%、30~45(w/w)%、30~42(w/w)%、35~50(w/w)%、35~45(w/w)%、35~42(w/w)%、38~50(w/w)%、38~45(w/w)%または38~42(w/w)%、例えば、40(w/w)%の含有量で含まれるが、これに制限されない。
【0093】
本発明は多量の反応基質を使用する産業的に適用可能な大量生産工程において、高い転換率と生産性でReb Mを高い純度で製造することができる。本明細書において、ステビオール配糖体製造のための転換反応に使用される反応基質は、液状で提供することができ、15g/L以上、20g/L以上、25g/L以上、50g/L以上、75g/L以上または100g/L以上であり、例えば15~200g/L、20~200g/L、30~200g/L、40~200g/L、50~200g/L、60~200g/L、70~200g/L、80~200g/L、90~200g/L、15~150g/L、20~150g/L、30~150g/L、40~150g/L、50~150g/L、60~150g/L、70~150g/L、80~150g/L、または90~150g/Lの量で提供することができる。
【0094】
ステビア抽出物、uridine diphosphateglucose(UDP)およびスクロースからなる群より選択された1種以上を含む反応原料物質を追加的に含むことができる。一実施様態で、前記ステビオール配糖体製造用組成物でreb AのReb Dへの転換にはMgCl2および/またはMnCl2を追加的に含むことができる。
【0095】
本発明のステビア抽出物は、ステビオール配糖体を80~99(w/w)%、80~97(w/w)%、80~96(w/w)%、80~95(w/w)%、85~99(w/w)%、85~97(w/w)%、85~96(w/w)%、85~95(w/w)%、90~99(w/w)%、90~97(w/w)%、90~96(w/w)%、90~95(w/w)%、93~99(w/w)%、93~97(w/w)%、93~96(w/w)%、93~95(w/w)%、94~99(w/w)%、94~97(w/w)%、94~96(w/w)%、94~95(w/w)%、95~99(/w)%、95~97(w/w)%、または95~96(w/v)%、例えば、95(w/wv)%の含有量で含むことができるが、これに制限されない。前記ステビオール配糖体は、レバウジオシドAとステビオシドを含むものであってもよい。
【0096】
本発明が提供するレバウジオシドM製造用組成物の反応原料物質および/または本発明が提供するレバウジオシドMの製造方法で使用された反応原料物質は、反応原料溶液であり、スクロースを、前記反応原料物質を基準に500~2000mM、500~1500mM、500~1200mM、500~1100mM、500~1050mM、500~1000mM、600~2000mM、600~1500mM、600~1200mM、600~1100mM、600~1050mM、600~1000mMの濃度で含むが、これに制限されない。
【0097】
前記組成物は、ステビア抽出物、uridine diphosphateglucose(UDP)およびスクロースからなる群より選択された1種以上を含む反応原料物質を追加的に含むことができる。一実施様態で、前記ステビオール配糖体製造用組成物でreb AのReb Dへの転換にはMgCl2および/またはMnCl2を追加的に含むことができる。
【0098】
本発明において、反応生成物であるレバウジオシドMを含むステビオール配糖体で、レバウジオシドMの純度は、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上または85重量%以上であり、具体的に、50重量%~99重量%、55重量%~99重量%、60重量%~99重量%、65重量%~99重量%、70重量%~99重量%、75重量%~99重量%、80重量%~99重量%、85重量%~99重量%、または87~99重量%であってもよい。
【0099】
前記反応原料物質に含まれるステビア抽出物重量対比本発明が提供するレバウジオシドM製造用組成物および/または本発明が提供するレバウジオシドMの製造方法によって生産および/または製造されるレバウジオシドMへの転換率は、110%~200%、115%~200%、120%~200%、125%~200%、130%~200%または135%~200%、例えば、125%、129%、135%または136%であるが、これに制限されない。
【0100】
本発明が提供するレバウジオシドM製造用組成物および/または本発明が提供するレバウジオシドMの製造方法によって製造されたステビオール配糖体内レバウジオシドMの含有量は80~99重量%、85~99重量%、87~99重量%、90~99重量%、94~99重量%または95~99重量%であり、例えば、87.7重量%、90.2重量%、94.8重量%または95.重量4%であってもよい。
【0101】
本発明に係る転換反応温度20~60℃およびpH4~9の水系中で行うことができる。好ましくは、反応温度25~40℃およびpH6.0~8.0の水系(aqueoussystem)中で、より好ましくは反応を温度30℃およびpH7.2の水系中で行うことができる。発明の好ましい一例によれば、反応をpH7.2のリン酸緩衝液中で行うことができる。
【0102】
本発明が提供するレバウジオシドM製造用組成物の反応原料物質に含まれたステビア抽出物のpHはまたは転換反応のpHは、pH4~9、pH4~8.5、pH4~8.2、pH4~8、pH4~7.8、pH4~7.5、pH4~7、pH4~6.7、pH4~6.5、pH4~6.3、pH4~6.2、pH5~7、pH5~6.7、pH5~6.5、pH5~6.3、pH5~6.2、pH5.5~7、pH5.5~6.7、pH5.5~6.5、pH5.5~6.3、pH5.5~6.2、pH5.7~7、pH5.7~67、pH5.7~6.5、pH5.7~6.3、pH5.7~6.2、pH5.9~7、pH5.9~6.7、pH5.9~6.5、pH5.9~6.3、pH5.9~6.2、pH6.0~7、pH6.0~6.7、pH6.0~6.5、pH6.0~6.3、pH6.0~6.2であるが、これに制限されない。
【0103】
本明細書において、本発明に係るステビオール配糖体製造用組成物またはステビオール配糖体の製造方法で、反応温度は20~60℃、20~50℃、20~45℃、20~40℃、20~37℃、20~35℃の温度条件で行われてもよい。
【実施例
【0104】
本発明は、下記実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、下記実施例により権利範囲が限定されない。
【0105】
実施例1
野生型酵素を発現する微生物作製
1-1: 野生型酵素を発現するベクター作製
Triticum aestivum由来配列番号1のアミノ酸配列を有する野生型酵素タンパク質をコードする遺伝子を合成(Gblock synthesis)し、合成された遺伝子のポリヌクレオチド配列は配列番号2に示す。合成された遺伝子は発現が可能な形態を作るためにS.cerevisiaeで発現するplasmidにsubcloningした。
具体的に、タンパク質の活性を確認するために製造したvectorはS.cerevisiaeで選別が可能なUraauxotrophic marker(選別マーカ)を含むpRS426 vectorを使用し、promoterとしては、GAL10 promoterを使用し、terminatorはCYC1を使用した。
このplasmidに新しく合成した(IDT、gBlock)配列番号2の遺伝子をクローニングした。TaUGT遺伝子のクローニングのために、GAL10 promoter(配列番号16)とcyc1 terminatorB(配列番号17)と重なるようにプライマー対(配列番号19および配列番号19)を作製し、PCR増幅を通じて酵素遺伝子を増幅し、Gibson assembly(HIFi DNA master mix、NEW ENGLAND BIOLABS)を通じて遺伝子をサブクローニングし、使用されたプライマー情報を下記表2に示した。
サブクローニングしたプラスミド形態の遺伝子は、大腸菌(DH5a)に形質転換して選別および増幅し、増幅されたプラスミドの配列を分析して当該酵素の発現遺伝子が正確にサブクローニングされたことを確認した。
【0106】
【表2】
【0107】
S.cerevisiae CENPK2-1c(Euroscarf)に遺伝子を導入する形質転換方法は、LiAc(Lithium Acetatee)を0.1M処理して熱衝撃により導入した。導入された菌株は、SC_Ura培地で選別し、選別されたコロニーは培養を通じて酵素の活性を確認した。
製造された組換えプラスミドをS.cerevisiae CENPK2-1c(Euroscarf)菌株に形質転換した。SC-Ura固体培地(SC_Ura培地+2%agar)で選別マーカを通じて遺伝子カセット挿入された組換え菌株を選別した。SC-Ura固体培地の組成は、YNB6.7g/L、Drop out mix0.7g/L、Glucose50g/Lおよびagar20g/Lを含み、pHを6.0に調整した。
【0108】
1-2: 微生物培養
前記実施例1-1で製造されたPlasmidが形質転換された酵母をURA-drop out mixを利用したSC(synthetic complete)培地で選別し、選別された酵母は液体培養を通じて酵素発現を誘導した。
具体的に、SC_Ura固体培地で選別されたコロニーを3mLSC_Ura液体培地が含まれた試験管に接種し、一夜培養した。培養した菌体の濃度を、OD600吸光度を測定して確認し、25mLのSC-Ura液体培地を入れた250mLフラスコにOD600吸光度が最終的に0.1(final)になるように接種し、24時間1次培養(30℃、240rpm)した。
1次培養した菌体の酵素発現を誘導するために、YPG培地を同量添加して24時間2次培養した。前記2次培養した菌体は、遠心分離(4,000rpm、10min)を行って集めた。SC_Ura液体培地の組成は、YNB(yeast nitrogene base)6.7g/L、Drop-out mix0.7g/L、Glucose50g/LおよびMES50mMを含み、NaOHを利用して培地pHを6.0に調整した。前記YPG培地組成は、Bacto peptone20g/L、Yeast Extract10g/L、Galactose20g/LおよびPhosphate buffer(sodium salt)100mMを含み、培地のpHを6.0に調整した。
【0109】
1-3: EUGT11およびHvUGTを発現する微生物製造
既存の活性が知られているOryza sativa由来EUGT11遺伝子(配列番号13)とHordeum vulgare由来HvUGTの遺伝子(配列番号15)を合成(Gblock synthesis)し、TaUGT遺伝子と同様に遺伝子を増幅し、pRS426 vectorにクローニングした。同じ条件で酵素発現を誘導するために、promoterはGAL10 promoterを使用し、terminatorはCYC1を使用した。
具体的に、GAL10 promoterと連結するEUGT11の正方向プライマー(配列番号20)、CYC1 terminatorと連結するEUGT11の逆方向プライマー(配列番号21)、GAL10 promoterと連結するHvUGTの正方向プライマー(配列番号22)、およびCYC1 terminatorと連結するHvUGTの逆方向プライマー(配列番号23)を使用し、使用されたプライマー情報は、前記表2に示し、ScはSaccharomyces cerevisiaeを意味する。
その後、実施例1-1および1-2の方法と実質的に同じ方法でS.cerevisiae CENPK2-1c(Euroscarf)に形質転換し、菌株選別および微生物培養を行った。
【0110】
1-4: 酵素活性評価
前記実施例1-2および実施例1-3で得られた組換え菌株の培養物で菌体を遠心分離(4,000rpm、10min)して回収した。前記回収した菌体を10mL集めて同量の水で2回洗浄した。前記洗浄された菌体を100mM Phosphate buffer(pH7.2)に再懸濁し、OD600値が100になるようにした後、0.4~0.6mm粒径を有するglass bead(Sigma)100mg量をcap tubeに入れ、100mM Phosphate buffer(pH7.2)を1ml添加した。菌体をbead beaterで30秒間5回繰り返して破砕した。前記菌体破砕液を冷蔵状態で遠心分離(13,000rpm、15min)して上澄み液を助酵素液として得た。
酵素活性評価のための反応液は基質Reb A(95%、Sinochem)、MgCl2およびUDP-Glucoseを含み、これに前記助酵素液0.1mLを添加して全体反応体積0.5mLを製造し、前記最終反応液で基質Reb A(95%、Sinochem)が2g/L、MgCl2が3mM、およびUDP-Glucoseが4mMになるようにした。前記製造された反応液に対して温度30℃、pH7.2および150rpm条件で酵素反応を行い、反応開始後、3時間と18時間にそれぞれ試料を採取して、反応時間に応じた反応程度を確認した。
前記酵素反応液を5分間沸騰させて酵素反応を終了し、遠心分離(13,000rpm、10min)して得られた上澄み液を分析して酵素反応生成物を確認した。具体的に、酵素反応生成物の分析は、HPLC-Chromatographyを利用して分析して生成物の転換比率を確認した。前記組換え菌株の菌体破砕物から得られた助酵素液は、Reb A基質をReb Dに転換する活性を示すため、Reb Dの生成比率を確認して活性を測定した。
具体的に、転換生成物のHPLC分析に使用されたcolumnは、UG120(C18250mm×46mm、5um 110 A particle、Shideido)を利用し、分析は210nmで確認した。移動相は0.01%TFA(Trifluoroacetic acid、Sigma)を含む水とアセトニトリルをそれぞれ利用してGradientで分析し、移動相は1mL/minで流し、合計40分分析して確認した。前記HPLC分析条件を下記表3に示した。
【0111】
【表3】
【0112】
前記転換生成物のHPLC分析グラフは表4に示す。下記表4に示されたReb A単独基質からRed Dに転換する前記酵素のReb D転換率は、下記数式1に従って計算し、酵素のReb D相対転換率は、EUGT11のReb D転換率100%を基準に換算したTaUGTまたはHvUGT酵素のReb D転換率を意味する。
Reb D転換率(%)=Reb DのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式1)
【0113】
【表4】
【0114】
表4に示したように、酵素反応による転換率は、初期3時間反応の結果、TaUGTはEUGT11と類似するようにReb AのReb D転換を40~45%転換し、HvUGT(30~35%転換)よりも30%程度の活性向上を有する酵素であることを確認した。
また、18時間の酵素反応液の生成されたReb Dの含有量を分析した結果、3つの酵素の転換率の大きさ順が、3時間反応と類似の傾向を示した。
前記TaUGT酵素の核酸配列を(株)マクロジェンの塩基配列分析サービスによって分析し、塩基配列に基づいてアミノ酸配列を分析し、その結果アミノ酸配列は、配列番号1に、核酸配列は配列番号2に示す。
【0115】
実施例2 酵素変異体を発現する微生物作製
2-1: 酵素変異体発現のためのベクター作製
前記実施例1のTaUGT酵素の突然変異を開発するために、既存のEUGT11遺伝子を基本にして突然変異を探索した。Alignmentを通じてconserved regionを確認し、UGTのN-termのsugar acceptorとC-termのsugar donor機能をするdomainとの間の位置にアミノ酸の差を比較した。そのうち201番残基のトレオニンと202番残基のバリンの場合(EUGT11ではそれぞれセリンとロイシンアミノ酸が位置)、トレオニンはセリンに、バリンはアラニンまたはロイシンに変えた。突然変異方法は、TaUGTの該当位置のprimerを合成(配列番号24および25)し、該当部位の塩基配列を変える突然変異遺伝子増幅(PCR)を実施し、増幅された遺伝子断片をGibson assemblyを通じてpRS426 vectorにクローニングした。
結果として得られたpRS426 vectorにクローニングされた酵素変異体をTaUGTT201S/V202Lと命名した。本実施例で使用したプライマーの配列は下記表5に記載した。
【0116】
【表5】
【0117】
2-2: 酵素変異体発現菌株作製
前記実施例1-2と実質的に同じ方法で、酵素の発現を確認するために、pRS426 vectorにクローニングされたTaUGTT201S/V202Lは、LiAc方法で同様に酵母菌株に形質転換して選別した。形質転換された菌株は、実施例1-2の方法と実質的に同じ方法で培養した。前記実施例2-1で製造されたPlasmidが形質転換された酵母をURA-drop out mixを利用したSC(synthetic complete)培地で選別し、選別された酵母は、液体培養を通じて酵素発現を誘導した。
【0118】
実施例3: 酵素変異体の転換活性評価
実施例2-2で得られた組換え菌株の培養物で菌体を遠心分離(4,000rpm、10min)して回収した。前記回収した菌体を10mL集め、同量の水で2回洗浄した。前記洗浄された菌体を100mM Phosphate buffer(pH7.2)に再懸濁し、OD600値が100になるようにした後、0.4~0.6mm粒径を有するglass bead(Sigma)100mg量をcap tubeに入れ、100mM Phosphate buffer(pH7.2)を1ml添加した。菌体をbead beaterで30秒間5回繰り返して破砕した。前記菌体破砕液を冷蔵状態で遠心分離(13,000rpm、15min)して上澄み液を助酵素液として得た。
酵素活性評価のための反応液は、基質Reb A(95%、Sinochem)、MgCl2およびUDP-Glucoseを含み、これに前記助酵素液0.1mLを添加して全体反応体積0.5mLを製造し、前記最終反応液で基質Reb A(95%、Sinochem)が2g/L、MgCl2が3mM、およびUDP-Glucoseが4mMになるようにした。前記製造された反応液に対して、温度30℃、pH7.2および150rpm条件で酵素反応を行い、反応開始後、3時間と18時間にそれぞれ試料を採取して反応時間に応じた反応程度を確認した。
前記酵素反応液を5分間沸騰させて酵素反応を終了し、遠心分離(13,000rpm、10min)して得られた上澄み液を分析して酵素反応生成物を確認した。具体的に、酵素反応生成物の分析は、前記実施例1-4と実質的に同じ方法でHPLC-Chromatographyを利用して分析して生成物の転換比率を確認した。前記組換え菌株の菌体破砕物から得られた助酵素液は、Reb A基質をReb Dに転換する活性を示すため、Reb Dの生成比率を確認して活性を測定し、HPLC分析グラフを図2に示した。
下記表6に示されたReb A単独基質からRed Dに転換する前記酵素のReb D転換率は、下記数式1に従って計算し、酵素のReb D相対転換率は、野生型酵素のReb D転換率100%を基準に換算したTaUGT変異型酵素のReb D転換率を意味する。
Reb D転換率(%)=Reb DのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式1)
前記TaUGTの変異酵素とReb A基質を含む反応液利用して酵素反応を18時間行い、得られた転換生成物をHPLC分析法で分析した。前記HPLC分析法で利用したTaUGTの変異酵素の活性分析結果は、下記表6および図2に示す。図2は、TaUGTの変異酵素の利用したReb D転換反応の反応生成物を分析したHPLCグラフである。
【0119】
【表6】
【0120】
実施例4 混合基質を利用した転換反応
実施例3と同様に、Reb Aを利用した酵素活性評価の場合、Reb AからReb Dにだけ転換され、酵素の活性確認が明確である。しかし、実際の産業生産で混合基質を使用するため、混合基質を使用した産業用途に酵素の使用の可能性を評価しようとステビオシドおよびReb Aを含む混合基質に対する転換反応を行った。すなわち、混合基質を使用する場合、ステビオシドはReb Eに、Reb AはReb Dに転換する反応が行われる。
混合基質に対する酵素活性を評価しようと、実施例2-2で得られた組換え菌株の菌体を100mM Phosphate buffer(pH7.2)に再懸濁し、OD600値が100になるようにした後、0.4~0.6mm粒径を有するglass bead(Sigma)100mg量をcap tubeに入れ、100mM Phosphate buffer(pH7.2)を1ml添加した。菌体をbead beaterで30秒間5回繰り返して破砕した。前記菌体破砕液を冷蔵状態で遠心分離(13,000rpm、15min)して上澄み液を得て、助酵素液として使用した。
酵素活性評価のための反応液は、基質RA40(Reb A(rebaudiosideA:STE(stevioside)=40:60、Sinochem)、MgCl2およびUDP-Glucoseを含み、これに前記実施例3に係る助酵素液0.2mLを添加して全体反応体積0.5mLを製造し、前記最終反応液で基質RA40(Reb A:STE=40:60、Sinochem)が2g/L、MgCl2が3mM、およびUDP-Glucoseが4mMになるようにした。
前記製造された反応液に対して、温度30℃、pH7.2および150rpm条件で酵素反応を行い、反応開始後18時間に反応程度を確認した。実施例3の方法と実質的に同じ方法で、前記転換生成物はHPLC分析法で分析した。
下記表7に示されたRA40混合基質に対するReb D/Eに転換する前記酵素のReb D/E合計転換率は、下記数式2に従って計算し、酵素のReb D/Eの相対的合計転換率は、EUGT11の全Reb D/E合計転換率100%を基準に換算したTaUGT酵素のReb D/E合計転換率を意味する。
Reb D/E転換率(%)=Reb D/EのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式2)
【0121】
【表7】
【0122】
前記実験結果、Threonine201番をSerineに変えた突然変異酵素の場合、野生型酵素を基準に相対転換率が106%であり、Threonine201番のSerineへ、Valine202番のLeucineへの変形を全て含む2重突然変異酵素は、野生型酵素を基準に相対転換率が114%に増加し、これにより、突然変異によって活性が向上する残基を確認し、活性が増加された変異酵素を確保した。
【0123】
実施例5 TaUGT_SUS融合酵素作製および活性確認
5-1: TaUGT_SUS融合酵素を産生する組換え酵母の製造
実施例3で活性向上が確認されたTaUGT_T201SV202L(TaUGTm)変異酵素を利用したステビオール配糖体の糖転移反応のために、必要なグルコースドナー(UDP-Glucose)を供給しようと、sucrose synthase(SUS1、Arabidopsis thaliana由来)酵素と融合タンパク質を製造した。前記TaUGT_T201SV202L(TaUGTm)変異酵素を暗号化する核酸配列を前記表1の配列番号30の核酸配列であり、sucrose synthase(SUS1、Arabidopsis thaliana由来)は、前記表1の配列番号5の核酸配列を使用した。
融合酵素の作製はprimerを合成してTaUGTmとSUSとの間に連結アミノ酸配列をリンカー(GGGGSG、配列番号8)を使用し、それぞれの遺伝子は該当位置のprimerを合成(配列番号26、配列番号27)して、当該部位の塩基配列増幅(PCR)を実施した。
遺伝子増幅反応(PCR)を実施して増幅された遺伝子断片をGibson assemblyを通じて、pRS426 vectorにクローニングしてpRS426TaUGTm_SUSを作製した。前記使用されたSUS酵素タンパク質のアミノ酸配列は配列番号4に示し、前記酵素タンパク質を暗号化するヌクレオチド配列は、配列番号5に示し、前記融合酵素タンパク質のアミノ酸配列を配列番号6に示す。また、前記融合タンパク質製造に使用されたリンカー配列は、GGGGSG(配列番号8)を有し、前記SUS1酵素タンパク質のアミノ酸およびヌクレオチド配列、および使用されたプライマー情報は下記表8に示す。
【0124】
【表8】
【0125】
前記実施例1-2と同様な方法で、前記作製された融合酵素発現ベクターは酵母に形質転換して、前記融合酵素を発現する組換え酵母を確保した。
【0126】
5-2: 組換え酵母の培養および酵素準備
前記形質転換された菌株は、実施例1-2の方法と実質的に同じ方法で培養した。前記実施例2-1で製造されたPlasmidが形質転換された酵母をURA-drop out mixを利用したSC(synthetic complete)培地で選別し、選別された酵母は、液体培養を通じて酵素発現を誘導した。
実施例3と実質的に同じ方法で、組換え菌株の培養物で遠心分離を利用して回収した菌体を回収し、glass beaderで菌体を破砕した。前記菌体破砕液を冷蔵状態で遠心分離(13,000rpm、15min)して上澄み液を助酵素液として得た。
【0127】
5-3: 融合酵素の転換活性評価
転換反応のための反応原料液は、基質RA40反応基質(90重量%純度)、MgCl2およびUDP、sucroseを混合し、これに前記実施例5-2で準備したTaUGTm_SUS融合酵素の助酵素液をそれぞれ0.1mL添加して全体反応体積0.5mLを製造し、前記最終反応液でRA40反応基質が10g/L、MgCl2が1mM、およびUDPが1mM、Sucroseが125mMになるようにした。前記製造された反応液に対して、温度30℃、pH7.2および150rpm条件で酵素反応を行い、20時間反応して酵素転換を確認した。
前記実施例1-4と実質的に同じ方法で、反応液の転換生成物はHPLC分析法で分析して確認し、融合酵素の場合、UDPを利用したUDP_Glucose供給によってRA40(Reb A:STE=40:60)をReb D/Eに転換したことを確認した。STEはステビオシドを示す。
反応前基質100重量%に対して、初期融合酵素の転換反応で33重量%程度の基質がReb D/Eに転換された。混合基質(RA40(Reb A:STE=40:60))の転換反応により、Reb D(D誘導体含む)とReb Eは、それぞれ21.7%と12.1%に転換された。融合酵素の砂糖を利用したUDP_Glucose生成とこれを利用した基質の糖化により、ステビオール配糖体転換を確認し、基質の量と反応条件最適化により、酵素の転換反応を増加させることが可能であることを確認した。
融合酵素を利用した転換の場合、RA40(Reb A:STE=40:60)の転換のために、10g/L基質の場合、約10mMに該当する基質に転換反応する場合、10~20mM以上のUDP_Glucoseが必要である。したがって、高濃度多量の転換をする場合、高価のUDP_Glucoseの過剰量が必要である。高濃度基質を利用した酵素反応する場合、UDP_Glucoseを過剰に使用すべきで、UDP_Glucose過剰量によって酵素活性を阻害するため好ましくない。
本実験によれば、TaUGT_SUS融合酵素を利用する場合、基質に対して1/10のUDPを使用して転換が可能であり、UDPの場合、RA40に対して1/100よりも低い量を利用した反応が可能である。融合酵素を利用した転換反応を通じて、経済的な酵素転換が可能であり、高濃度基質反応によるステビオール配糖体の生成が誘導されることを確認した。
【0128】
実施例6 UGTおよびSUS酵素を発現する微生物製造
6-1: 酵素遺伝子を導入したベクターの製造
レバウジオシドM転換反応を行うために、TaUGTm、SrUGT76G1およびSucrose synthaseの3種を全て産生する組換え酵母を製造しようと、前記遺伝子が導入されたベクターをまず製造した。
具体的に、実施例5-1と実質的に同じ製造方法、プライマーおよびリンカーを利用して、UGT76G1およびGmSUSの融合酵素に関するベクターとしてpRS423_UGT76G1_GmSUS、およびTaUGTmおよびGmSUSの融合酵素に関するベクターとしてpRS426_TaUGTm_GmSUSベクターを製造した。前記TaUGTmは、実施例5と同様にTaUGT_T201SV202L(TaUGTm)変異酵素であり、ただしスクロース合成酵素(Sucrose synthase)はGlycine max(大豆)由来酵素であり、前記表1の配列番号34の核酸配列を使用した。また、前記使用された酵素SrUGT76G1は、Stevia rebaudiana(ステビア植物)由来UDP-グリコシル伝達酵素(UDP-glycosyltransferase)として、前記表1の配列番号32で表示された核酸配列を利用して融合酵素を暗号化する核酸配列にベクターに導入した。
【0129】
6-2: 宿主細胞の準備
前記製造されたベクターを導入するための宿主細胞の酵母は、酵母細胞に内在するinvertaseによるスクロース分解を防止するために、invertase酵素をコードするSUC2遺伝子を除去し、Saccharomyces cerevisiae CENPK2-1c(Euroscarf)△gal80△SUC2を製造して使用した。
具体的に、前記SUC2遺伝子の除去は酵母の相同組換え方法を利用し、SUC2遺伝子のupstream、downstreamのDNA配列500-bpをそれぞれQ5 DNA polymerase(NEB)を使用し、98℃(1m)-[98℃(10s)-55℃(30s)-72℃(5m)]30cylces-72℃(5m)-16℃(保管)条件でPCRを行って増幅し、使用されたupstreamおよびdownstreamの情報を下記表9に示した。
【0130】
【表9】
【0131】
前記PCRを行って増幅した後、PCR overlap extension法を使用して、それぞれの増幅されたDNAの断片を連結した。連結されたDNAの断片は、pRS26ベクターでクローニングし、LiAc法を使用して酵母形質転換を行い、確保された形質転換菌体をコロニーPCRにより、SUC2遺伝子が除去された菌株を選別した。
【0132】
6-3: 形質転換酵母の製造
実施例5と実質的に同じ方法で、前記6-1で製造されたpRS423_UGT76G1_GmSUSおよびpRS426_TaUGTm_GmSUSベクターを、6-2で製造されたSaccharomyces cerevisiae CENPK2-1c(Euroscarf)△gal80△SUC2にLiAc法によって形質転換した。
前記形質転換された菌株は、実施例1-2の方法と実質的に同じ方法で培養した。前記実施例2-1で製造されたPlasmidが形質転換された酵母をURA-drop out mixを利用したSC(synthetic complete)培地で選別した。
前記選別された形質転換酵母を5L発酵培養により3種の酵素を細胞内で製造した。前記培養時使用された製造培地の容量は2Lであり、前記使用された製造培地組成は、下記表10の通りであり、下記表11の組成を有するfeeding solutionを発酵培養時追加的に添加し、製造培地内ビタミン1000xおよびTrace metal 1000x情報を下記表12および13にそれぞれ示した。
【0133】
【表10】
【0134】
【表11】
【0135】
【表12】
【0136】
【表13】
【0137】
3種の酵素の遺伝子が形質転換された酵母細胞は、発酵培養後最終OD600値が約120/mLになるように菌体量を確保した。その後、遠心分離(4,000rpm、4℃、10分)によって培養液と細胞を分離した。
【0138】
6-4: 助酵素液を利用した転換反応
前記分離された細胞を50mM Sodium Phosphate buffer(pH7.2)500mLに再懸濁し、高圧分散器(GEA Lab Homogenizer Panda PLUS 2000)を使用して細胞を破砕し、破砕された細胞は別途の遠心分離過程なしに直ちに酵素源として使用した。
ステビア抽出物である50g/LのRA60_SG95(Sinochem、China)、750mMスクロース、0.5mMuridine diphosphate glucose(UDP)および3mM MgCl2を、50mMSodium Phosphate buffer(pH7.2)500mLに溶解して転換反応のための反応溶液を製造した。前記RA60_SG95は、有効成分としてステビオール配糖体を95(w/v)%の含有量で含み、ステビオール配糖体100重量%を基準にReb Aの含有量が60(w/w)%であり、ステビオシドの含有量が40(w/w)%で含むステビア抽出物を意味する。
前記酵素を含む細胞破砕物と転換反応のために前記準備した原料物質(反応溶液)を混合して30℃で24時間攪拌してレバウジオシドM転換反応を行った。前記転換反応後反応を止めるために、反応液を5分間沸騰させた後、遠心分離(13,000rpm、10分)し、遠心分離によって得られた上澄み液を分析して生成物を確認した。
生成物分析は、HPLCを利用して定性および定量後、生成されたステビオール配糖体含有量を確認した。HPLCで使用されたcolumnは、UG120(C18250mm×46mm、5um 110 A particle、Shideido)を利用し、分析は210nmで行われた。移動相は、0.01%TFA(Trifluoroacetic acid、Sigma)を含む水と100%アセトニトリル(ACN)をそれぞれ利用して、Gradientで分析し、移動相は1mL/minで流し、合計40分の分析を通じて確認した。前記HPLC分析条件は下記表14に示した。
【0139】
【表14】
【0140】
前記分析結果は、HPLC分析で得られる滞留時間(retention time)は、基質でSTEは15.3分、Reb A15.1分であり、生成物に含まれたReb Eは10.6分、Reb Iは14.7分、Reb D10.9分、Reb Mは11.6分であった。
【0141】
実施例7 転換反応のpH条件確認
実施例6-4で得られた3種酵素を産生する形質転換された酵母細胞の細胞破砕液(助酵素液)を使用して、ステビア抽出物からレバウジオシドM転換反応の反応pH最適化を行った。
具体的に、前記実施例6で製造した転換反応のための原料(反応原料溶液)と同様に製造するが、ただし5NNaOHを利用して前記実施例6の反応溶液のpHを5.8、6.0、6.2または6.5に調節した。
前記pHが調節された反応溶液を利用して、前記実施例6と実質的に同じ方法でレバウジオシドM転換反応を行い、遠心分離して上澄み液を得て、HPLC分析法で生成物のステビオール配糖体含有量を分析した。前記分析結果を下記表15に示した。下記表15の数値は、生成されたステビオール配糖体100重量%を基準に各ステビオール配糖体の組成を重量%に表示したものである。
【0142】
【表15】
【0143】
前記生成物のステビオール配糖体含有量を分析した結果、糖転移酵素によるステビオールでの糖転移位置は、炭素原子13番と19番で行われ、実際反応でpH6.0以上の場合、C19での糖転移速度が速く、pH6.0以下の場合C13での糖転移速度が速いことを確認した。
使用された3種の酵素のTaUGTm、SrUGT76G1、およびスクロース合成酵素を利用した酵素反応で最適pH条件が相補的に作用し、pH6.0~6.2の間にステビア抽出物からレバウジオシドM製造量が最も多いことを確認した。
【0144】
実施例8
転換反応の温度条件確認
実施例6-4で得られた3種酵素を産生する形質転換された酵母細胞の細胞破砕液(助酵素液)を使用してステビア抽出物からレバウジオシドM転換反応の反応温度最適化を行った。
具体的に、実施例6で製造した転換反応のための原料(反応原料溶液)と同様に製造するが、5NNaOHを利用して転換反応のための基質原料のpHを6.0に調節し、実施例6の細胞破砕物を混合して30℃、35℃、40℃または45℃で攪拌した。その他の条件は実施例6と実質的に同じ方法でレバウジオシドM転換反応を行い、遠心分離して上澄み液を得て、HPLC分析法で生成物のステビオール配糖体含有量を分析した。
前記反応時間に応じたステビオール配糖体含有量の分析結果を下記表16に示した。
前記Reb Mの含有量は、HPLC peakでReb M(g/L)のpeakに該当する第3peakの面積を利用して、下記数式3に従って転換率で計算した。
Reb M含有量=([HPLC Area]-6324)/938442 (数式3)
下記表16の数値はReb Mの含有量(g/L)を示す。
【0145】
【表16】
【0146】
反応温度に応じたレバウジオシドM転換反応を分析した結果、反応温度が増加するほど初期転換反応速度は増加したが、それにより急速に酵素失活が発生して最終的に35℃でレバウジオシドMの転換率が最も高く確認された。
【0147】
実施例9 転換反応のスクロース濃度確認
実施例6-4で得られた3種酵素を産生する形質転換された酵母細胞の細胞破砕液(助酵素液)を使用したレバウジオシドM転換反応の糖転移過程でのUDP-グルコース供給のための基質として使用されるスクロースの濃度に応じた転換反応の阻害程度を確認した。
50g/Lのステビア抽出物に対するレバウジオシドMへの転換に要求される理論的なUDP-グルコース量は、320mM程度と予想されるが、実際転換反応で細胞破砕物内の他の酵素によって200mM程度のスクロース分解が発生するため、転換反応に使用されるスクロースの濃度は、少なくとも500mM以上でスクロース濃度の最適化を開始した。
具体的に、実施例6で使用した転換反応のための原料と同様に製造するが、ただし実施例6の転換反応に使用された750mMのスクロースの代わりに600、800、1000または1200mMのスクロース濃度で使用した反応原料を準備し、5NNaOHを利用して基質原料のpHを6.0に調節した。前記準備された反応原料を、実施例6-4で得られた3種酵素を産生する組換え酵母の細胞破砕液(助酵素液)と混合して35℃で攪拌した。その他の条件を実施例6と実質的に同じ方法でレバウジオシドM転換反応を行い、遠心分離して上澄み液を得て、HPLC分析法で生成物のステビオール配糖体含有量を分析した。前記スクロース使用量に応じたステビオール配糖体含有量の分析結果を下記表17に示した。下記表17の数値はReb Mの転換率(%)を示す。
Reb M転換率(%)=Reb MのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式4)
【0148】
【表17】
【0149】
前記実験結果から、転換反応の原料に含まれたスクロース濃度が1000mMでレバウジオシドMが最も高い転換率を確認し、これ以上の濃度ではsucrose synthase酵素に対する阻害が発生して全体的な転換率が減少した。
【0150】
実施例10 高濃度ステビア抽出物からレバウジオシドM転換反応
実施例6~9で確認した反応条件を基に、高濃度ステビア抽出物からレバウジオシドM転換率を比較した。
実施例6に係る3種の酵素を利用したレバウジオシドM製造での全体的な転換反応式は下記反応式1の通りである。
SUS: Sucrose+UDP+[H+]→Fructose+UDP-glucose
UGT: Steviol glycoside+UDP-glucose→Steviol glycoside-[glucose]+UDP+[H+] (反応式1)
実施例6~9で確認した最適化反応条件で実験を行うために、実施例6で使用された転換反応原料の製造に使用されたRA60_SG95(ステビア抽出物)基質濃度50g/Lの代わりに、25、50、75または100g/Lの4種類濃度で準備して、スクロースを1000mM濃度にして、pHを6.0に調節して原料を準備した。
前記準備された反応原料を、実施例6-4で得られた3種酵素を産生する形質転換された酵母細胞の細胞破砕液(助酵素液)と混合して35℃で攪拌した。その他の条件を実施例6と実質的に同じ方法でレバウジオシドM転換反応を行い、遠心分離して上澄み液を得て、HPLC分析法で生成物のステビオール配糖体含有量と、生成物のステビオール配糖体内成分の含有量比率分析結果を得た。
前記転換反応で得られた、レバウジオシドM製造量(g/L)を下記表18に示した。また、生成物のステビオール配糖体内成分の含有量比率分析結果を表19および図1に示し、下記表19に記載された数値は、STE、Reb A、Reb E、Reb I、Reb D、およびReb Mの合計100重量%を基準に各ステビオール配糖体の含有量比率(重量%)を示す。
【0151】
【表18】
【0152】
【表19】
【0153】
実施例6~9で確認した反応温度、反応pHおよびスクロース濃度条件で高濃度ステビオール抽出物を使用して転換反応を行った結果、レバウジオシドM絶対的製造量は、基質であるステビオール抽出物の濃度が増加するほど増加した。
表19に示したように、25、50、75または100g/Lの4種類基質濃度全てにおいて、6種類ステビオール配糖体の中でReb M製造費率が最も高かった。また全体ステビオール配糖体中のレバウジオシドMの含有量は、基質濃度が増加するほど多少減少するが、産業的に大量生産のための最小濃度である100g/L濃度で87.7%の高い転換率を確認し、高濃度ステビア抽出物での高い転換率を確認した。
また、転換過程を通じて生成されたレバウジオシドMの絶対的な製造量は、基質の濃度が高くなるほど高くなることを確認し、生成物のステビオール配糖体内レバウジオシドMの含有量比率が多少低くなっても、絶対的な製造量は増加して産業的に大量生産のための条件において、本発明に係る組換え微生物は非常に優れた特性を有することを確認した。
25、50、75または100g/Lの4種類の基質濃度において全て反応産物内でレバウジオシドIを含むことを確認し、副産物としてのレバウジオシドIが含まれることは避けられないことを確認した。
前記結果から、ステビア抽出物をステビオール配糖体に転換させる際に、レバウジオシドM転換率側面から、高濃度のステビア抽出物を使用した従来のレバウジオシドM転換反応に見られる低い転換率および低い製造量を克服して大量生産が可能になることを確認した。
【0154】
実施例11 UGTおよびSUS酵素を発現する微生物の凍結乾燥
11-1: UGTおよびSUS酵素を産生する形質転換酵母菌体の準備
UGTおよびSUS酵素を発現する形質転換微生物の菌体は、前記実施例6-1、6-2および6-3の方法で製造して確保した。
【0155】
11-2: 凍結乾燥微生物の製造
微生物菌体に対する基質透過性を高め、常温で保管安定性を増加させるために、前記実施例11-1で準備した微生物菌体を凍結乾燥した。凍結乾燥は、真空を維持しながら、凍結乾燥は-40℃で急速凍結した後、凍結乾燥装置を利用して32時間凍結乾燥した。
【0156】
実施例12: 凍結乾燥菌体の転換活性評価
前記実施例11-2で製造した凍結乾燥菌体を利用した全細胞反応において、反応基質でReb Mの転換反応を行って、凍結乾燥菌体の転換活性を評価した。対照群として、凍結乾燥を行わない前記実施例11-1で培養後回収した形質転換微生物菌体であって、凍結乾燥処理を行わない菌体を準備した。
前記菌体の酵素活性を評価するために、2次蒸溜水(DDW;Double Distilled Water)に、基質RA60(95%、Sinochem)1g/L、UDP1mM、Sucrose250mMを添加して反応原料液1mLを製造した。前記反応原料に実施例11-2で製造した凍結乾燥前細胞を添加して凍結乾燥細胞(実験区)または実施例11-1で製造した凍結乾燥をしない細胞(対照群)を添加してそれぞれ9.2g/Lの濃度になるように準備した。
前記製造された反応液に対して、温度30℃、pH7.0および150rpm条件で転換反応を行い、反応開始1時間後に、全細胞反応液を100℃で5分間沸騰させて転換反応を終了し、遠心分離(13,000rpm、10min)して得られた上澄み液を利用して全細胞反応生成物を分析した。
全細胞反応生成物の分析は、HPLC-Chromatographyで行い、生成物に含まれたステビオール配糖体の転換比率を確認した。具体的に、転換生成物のHPLC分析方法は、前記実施例6-4の方法と実質的に同じにように行った。前記組換え微生物は、Reb A基質をReb Dに転換し、Reb DをReb Mに転換して、Reb DとReb Mの生成比率を確認した。
前記分析結果、RA60基質からRed DとReb Mに転換された転換率は下記表に示した。Reb D転換率とReb M転換率は、下記数式1および4に従って、それぞれ計算した。
Reb D転換率(%)=Reb DのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式1)
Reb M転換率(%)=Reb MのHPLC peak area/全体HPLC peak area (数式4)
【0157】
【表20】
【0158】
Reb D転換率およびReb M転換率を計算した結果、凍結乾燥しない菌体を利用した転換反応で、Reb DとReb Mが製造されず、凍結乾燥された菌体を利用した転換反応でReb DとReb Mが製造されることを確認した。またReb M転換率は14.7%であり、Reb Dの転換率は47.5%であった。凍結乾燥された全細胞がReb DとMを生成することができるのを確認した。前記実施例10で3種酵素を含む細胞破砕液(助酵素液)を使用する場合、生成物のステビオール配糖体内Reb M成分の含有量比率は80%以上であるが、本実施例で前細胞菌体反応を利用した場合、基質の細胞壁透過性が低く、Reb M生成比率が比較的低い傾向を示した。
【0159】
実施例13: 凍結乾燥菌体の安定性
実施例11-2で得られた凍結乾燥微生物の安定性を評価するために、常温(25℃)で9週間保管後酵素の活性を維持しているか確認した。酵素活性維持を確認するために、前記実施例12と実質的に同じ方法で酵素の活性を週1回測定した。
前記保管期間の間凍結乾燥された微生物菌体の酵素活性を確認した結果、全体試験器間である9週間の酵素活性が維持されることを確認し、常温で細胞保管が可能であることを確認した。具体的に、9週間の凍結乾燥細胞を保管した場合、菌体の酵素活性は、保管開始時点の活性100%を基準に97%以上維持されることを確認した。これとは異なり、実施例10で転換反応に使用した細胞破砕液またはこれから得られた助酵素液は、細胞破砕後24時間が経過すると、酵素活性が略失活し、残存活性が10%以下に減少するようになる。
【0160】
実施例14 凍結乾燥菌体を利用した前細胞転換反応の最適化
14-1: 全細胞反応のpH最適化
凍結乾燥された細胞を利用した全細胞反応の最適pHを確認するために、前記実施例11-2で得られた凍結乾燥微生物菌体を利用して、前記実施例12と実質的に同じ方法で前細胞転換反応を行ったが、ただしPotassuim Phosphate bufferを100mM添加してpH6.0~7.4条件下であった。その後、全細胞反応液を100℃で5分間沸騰させて全細胞反応を終了し、遠心分離(13,000rpm、10min)して得られた上澄み液を前記実施例12のHPLC条件でHPLC分析して全細胞反応生成物を確認した。
相対的転換率は全体pH範囲内で、Reb M製造量が最も高い結果を100に定め、残りを相対比率(%)で示した。その結果を下記表に示した。
【0161】
【表21】
【0162】
転換反応のpH条件に応じた全細胞反応の転換率を確認した結果、pH6.0から始まりpHが増加するほど相対的転換率を増加し、pH7.2で転換率が最も高く確認され、凍結乾燥細胞全細胞反応の最適pHは7.2であることを確認した。
【0163】
14-2: 全細胞反応の反応温度最適化
凍結乾燥された細胞を利用した全細胞反応の最適温度を確認するために、前記実施例11-2で得られた凍結乾燥微生物菌体を利用して、前記実施例12と実質的に同じ方法で前細胞転換反応を行ったが、ただし温度30、33、36、39、42、45、48、52または55℃条件でPotassuim Phosphate bufferを100mM添加してpH7.2条件で全細胞反応を行った。
その後、全細胞反応液を100℃で5分間沸騰させて全細胞反応を終了し、遠心分離(13,000rpm、10min)して得られた上澄み液を前記実施例12-2のHPLC条件でHPLC分析して全細胞反応生成物を確認し、全体温度範囲内で、Reb M製造量が最も高い結果を100に定め、残りを相対比率(%)で示した。その結果を下記表に示した。
【0164】
【表22】
【0165】
転換反応の温度条件に応じた全細胞反応の転換率を確認した結果、30℃から約35℃まで温度が増加するほど転換率が増加し、その後約52℃まで安定的に転換反応を行い、45℃で転換率が最も高く確認され、凍結乾燥細胞全細胞反応の最適温度は45℃であることを確認した。
【0166】
実施例15 凍結乾燥菌体を利用した高純度Reb Mの大量生産
実施例11-2で得られた凍結乾燥菌体を利用して高濃度Reb Mを製造できるか否かを試験しようと、全細胞を利用した転換反応を行った。
具体的に、前記高濃度Reb Mの製造のための大量生産工程を行うために、2次蒸溜水(DDW;Double Distilled Water)に基質RA60(95%、Sinochem)75g/L、UDP0.3mM、Sucrose750mM、凍結乾燥細胞45g/L、EDTA5mMを含む全細胞反応液2Lを準備した。
前記準備された反応液に対して、Potassuim Phosphate bufferを5mM添加してpH7.2に調整し、45℃の温度、250rpm条件で全細胞反応を行い、前記全細胞反応液を100℃で5分間沸騰させて全細胞反応を終了し、遠心分離(4000rpm、20min)して上澄み液を得た。前記上澄み液を利用して前記実施例12のHPLC条件でHPLC分析を行い、Reb Mの製造量を確認した。
前記分析結果、Reb M転換率90.4%、製造量97g/Lを得た。Reb M生成量を確認した結果、凍結乾燥細胞を利用して純度90重量%の高濃度Reb Mを得ることができることを確認し、高純度Reb Mの大量生産が可能であることを確認した。たとえ凍結乾燥菌体のReb Mの製造活性評価のための少量の基質溶液を使用し、反応条件が多少異なるが、実施例12のReb Mに比べて本実施例では、非常に増加された転換率を示すことを確認した。
図1
図2
【配列表】
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【国際調査報告】