(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】液体処理装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20250115BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538464
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-23
(86)【国際出願番号】 EP2022087661
(87)【国際公開番号】W WO2023118540
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522046494
【氏名又は名称】オスラー ダイアグノスティックス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Osler Diagnostics Limited
【住所又は居所原語表記】King Charles House, Park End Street, Oxford, OX1 1JD, UK
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラクストン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】リリス,バリー
(72)【発明者】
【氏名】ハイランド,マーク
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC08
2G058DA07
2G058EA08
2G058EA14
2G058EB11
2G058GA12
(57)【要約】
本明細書に記載された実施形態は、剛性層と、液体処理装置内に配置された複数の液体貯蔵カプセルとを備え、剛性層が、作動可能部分が複数の液体貯蔵カプセルを変形させない第1の位置から、作動可能部分が複数の液体貯蔵カプセルのうちの2つ以上を変形させる第2の位置まで作動可能な作動可能部分を備える、液体処理装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体処理装置であって、
剛性層と、
前記液体処理装置内に配置された複数の液体貯蔵カプセルと
を備え、
前記剛性層が、作動可能部分であって、前記作動可能部分が前記複数の液体貯蔵カプセルを変形させない第1の位置から、前記作動可能部分が前記複数の液体貯蔵カプセルのうちの2つ以上を変形させる第2の位置まで作動可能な作動可能部分を備える、
液体処理装置。
【請求項2】
前記作動可能部分が複数の突起を備え、前記複数の突起の各々が、前記複数の液体貯蔵カプセルのうちの1つに向かって延在し、前記複数の突起の各々が、前記作動可能部分が前記第2の位置にあるときに前記液体貯蔵カプセルの対応する部分に力を加えるように構成される、請求項1に記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記複数の突起が、前記作動可能部分が前記第2の位置にあるときに前記複数の液体貯蔵カプセルのうちの前記2つ以上の各々の2つの異なる部分に係合するように構成される、請求項2に記載の液体処理装置。
【請求項4】
前記作動可能部分が複数の凹状領域を備え、前記複数の凹状領域の各々が、前記複数の突起のうちの2つの間に位置する、請求項2または請求項3に記載の液体処理装置。
【請求項5】
前記複数の突起が第1の複数の突起であり、前記作動可能部分が第2の複数の突起をさらに備え、前記第1の複数の突起の各々が、前記第2の複数の突起の各々よりも前記作動可能部分から遠くに延在する、請求項2~4のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項6】
前記第2の複数の突起の各々が、前記複数の液体貯蔵カプセルのうちの1つに向かって延在し、前記第2の複数の突起の各々が、前記作動可能部分が第3の位置にあるときに前記液体貯蔵カプセルの対応する部分に力を加えるように構成され、前記第3の位置が前記第2の位置の向こうにある、請求項5に記載の液体処理装置。
【請求項7】
前記剛性層が、前記作動可能部分に結合された1つまたは複数の弾性的に変形可能な部材を備え、前記1つまたは複数の弾性的に変形可能な部材が、前記作動可能部分を前記第2の位置から離れるように付勢するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項8】
前記1つまたは複数の弾性的に変形可能な部材の各々が、前記剛性層と同じ材料から形成される、請求項7に記載の液体処理装置。
【請求項9】
前記剛性層が2つ以上の弾性的に変形可能な部材を備える、請求項7または請求項8に記載の液体処理装置。
【請求項10】
前記2つ以上の弾性的に変形可能な部材のうちの第1の弾性的に変形可能な部材が、前記作動可能部分の第1の縁部に接続され、前記2つ以上の弾性的に変形可能な部材のうちの第2の弾性的に変形可能な部材が、前記作動可能部分の第2の縁部に接続され、前記第2の縁部が前記第1の縁部とは異なる、請求項9に記載の液体処理装置。
【請求項11】
前記第2の縁部が前記第1の縁部の反対側にある、請求項10に記載の液体処理装置。
【請求項12】
前記作動可能部分が、前記作動可能部分の外面に設けられた複数の平坦領域を備える、請求項1~11のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項13】
流体層の厚さの少なくとも一部を通って延在する複数の開口部を備える前記流体層をさらに備え、
前記複数の液体貯蔵カプセルの各々が、前記複数の開口部のうちの対応する1つの上に配置され、
前記複数の液体貯蔵カプセルの各々について、前記作動可能部分による前記液体貯蔵カプセルの前記変形が、前記液体貯蔵カプセルの一部を前記複数の開口部のうちの前記対応する1つの中に変形させる、
請求項1~12のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項14】
前記剛性層が第1の剛性層であり、前記流体層が前記第1の剛性層と第2の剛性層との間に配置され、
前記第2の剛性層が、前記作動可能部分の作動中に前記流体層に接触するように配置された複数のカプセル支持領域を備え、前記複数のカプセル支持領域の各々が、前記複数の開口部のうちの対応する1つと位置合わせされる、
請求項13に記載の液体処理装置。
【請求項15】
前記作動可能部分が、前記剛性層の面に対して作動可能である、請求項1~14のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項16】
前記作動可能部分が剛性である、請求項15に記載の液体処理装置。
【請求項17】
前記作動可能部分が、前記剛性層の前記面に垂直な方向に作動可能である、請求項15または請求項16に記載の液体処理装置。
【請求項18】
前記作動可能部分が、前記作動可能部分が前記第1の位置にあるときに前記複数の液体貯蔵カプセルのうちの1つまたは複数の基部に平行であり、前記作動可能部分が、前記作動可能部分が前記第2の位置にあるときに前記複数の液体貯蔵カプセルのうちの前記1つまたは複数の前記基部に平行である、請求項1~17のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項19】
前記液体処理装置が診断カートリッジである、請求項1~18のいずれかに記載の液体処理装置。
【請求項20】
前記診断カートリッジがマイクロ流体カートリッジである、請求項19に記載の液体処理装置。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の液体処理装置と、
前記液体処理装置の前記作動可能部分を前記第1の位置から前記第2の位置まで作動させ、それによって前記2つ以上の液体貯蔵カプセルを変形させるように構成されたアクチュエータと、
前記2つ以上の液体貯蔵カプセルのうちの少なくとも1つに空気圧を供給するように構成された空気圧供給システムと
を備える、液体処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体処理装置、液体処理システム、および液体処理装置内で液体を移動させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポイントオブケア診断装置は、通常、生体試料(全血、血清、または血漿など)に対して免疫測定などの診断検査を実行するために使用される。そのような診断検査を実行するために、生体試料は診断装置に移送される必要がある。診断装置は、その後、診断検査を行うために、診断装置内の流体(例えば、生体試料、試薬、緩衝液など)の動きを制御し、バイオマーカーの測定を行う分析装置(または機器)に挿入される。
【0003】
ポイントオブケア検出は、簡便かつ即座に診断検査を患者にもたらし、より良好かつ迅速な臨床判断が行われることを可能にする。しかしながら、診断検査をポイントオブケア装置またはシステムに統合することは困難である。免疫測定のための試料の調製は、容積および混合時間の正確な制御を伴う、複数の溶液および試薬の混合を必要とする場合がある。さらに、装置は、理想的には、医療専門家が存在する必要性をなくすために自動化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、ポイントオブケア診断検査で使用するための液体処理動作を実行することが可能な改良された液体処理装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、詳細な説明でより詳細に記載される概念を紹介する。それは、特許請求される主題の本質的な特徴を識別するためにも、特許請求される主題の範囲を限定するためにも使用されるべきではない。概要の同じ段落に複数の記述を含めることは、そのような記述の間に構造的または機能的な関係が存在することを意味するものではない。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、第1の剛性層および第2の剛性層と、第1の剛性層と第2の剛性層との間に配置された流体層であって、流体層がエラストマーから形成され、流体層がチャネルのネットワークを備える、流体層と、複数の導管を備える流体ネットワークであって、複数の導管が、流体層内のチャネルのネットワークによって少なくとも部分的に画定される、流体ネットワークとを備える、液体処理装置が提供される。
【0007】
エラストマー層に設けられたチャネルを使用すると、ネットワークを封止するために使用される接着プロセス(例えば、感圧接着剤(PSA:pressure-sensitive adhesive)テープ、レーザ溶接など)に関係なく、流体ネットワークの封止が改善される。これは、エラストマー層が別の層に対して封止されているときに柔軟層として機能するからである。加えて、柔軟なエラストマー層にチャネルを設けることにより、液体処理装置にバルブを設けるためにチャネルが圧縮されることが可能になる。したがって、液体処理装置内の液体の流れは、液体処理装置のバルブを閉じるエラストマー層内のチャネルを圧縮することによって制御することができる。チャネルのネットワークに単一の層を使用することにより、液体処理装置の構築も簡単になる。
【0008】
液体処理装置は、複数のバルブをさらに備える場合がある。複数のバルブの各々は、複数の導管のうちの対応する1つを閉じるように構成される場合がある。バルブは、液体処理装置内の液体の流れが制御されることを可能にする。
【0009】
複数のバルブの各々は、流体層に設けられた変形可能なバルブ領域を備える場合がある。各変形可能なバルブ領域は、複数の導管のうちの対応する1つが塞がれる変形された状態に変形可能であり得る。流体層内に変形可能なバルブ領域を設けることにより、流体層が装置の導管および装置のバルブの両方を実装するので、液体処理装置の構築が簡単になる。
【0010】
流体層は、第1の剛性層に面するように構成された第1の面と、第2の剛性層に面するように構成された第2の面とを備える場合がある。チャネルのネットワークの少なくとも一部は、第2の面に設けられる場合がある。各変形可能なバルブ領域は、流体層の第1の面に窪みを備える場合がある。窪みは、第2の面に設けられたチャネルのネットワークの少なくとも一部の対応するチャネルと位置合わせされる場合がある。流体層の第1の面に窪みを設けることにより、液体処理装置の各バルブを閉じるために変形する必要がある材料の体積が減少する。これにより、各バルブを閉じるために必要な力が低減される。
【0011】
チャネルのネットワークのサブセットは、第1の面に設けられる場合がある。流体層の両面にチャネルを設けることは、チャネルの周りにそれぞれの接着領域を設けるための利用可能な領域を増加させることを意味し、それは、小さいサイズのポイントオブケア装置に起因する、流体層上で利用可能な限られた面積の観点から特に重要である。第1の面にチャネルを設けることはまた、流体層のチャネルが交差することを可能にし、チャネルのより複雑なネットワークが実装され得ることを意味する。
【0012】
第1の剛性層は、複数の開口を備える場合がある。各変形可能なバルブ領域は、複数の開口のうちの1つを通ってアクセス可能であり得る。剛性層に開口を設けることは、液体処理装置が、(例えば、分析装置のアクチュエータからの)外力の印加によってバルブが作動することを可能にしながら、剛性ハウジングを有することを意味する。
【0013】
液体処理装置は、流体層の厚さの少なくとも一部を通って延在する複数の開口部をさらに備える場合がある。複数の開口部の各々は、複数の導管のうちの1つと流体連通することができる。複数の開口部は、第1の複数の開口部および第2の複数の開口部を含む場合がある。第2の複数の開口部は、第1の複数の開口部とは異なる場合がある。複数の開口部は、流体層内の流体(すなわち、液体、または空気圧供給システムから供給される空気のいずれか)が他の層内の流体構成要素と連通することを可能にする。
【0014】
液体処理装置は、空気圧インターフェースに対してシールを提供するように構成された複数のポートをさらに備える場合がある。複数のポートの各々は、流体層の表面から突出する突起と、第1の複数の開口部のそれぞれ1つとを備える場合がある。第1の複数の開口部のそれぞれ1つは、突起を通って延在することができる。エラストマー流体層にポートを実装することにより、ポートが空気圧インターフェースとのシールを形成することが可能になる。これは、空気圧インターフェース(例えば、空気圧供給システムの空気圧アクチュエータ)によってポートに力が加えられると、流体層が柔軟層として機能するからである。チャネルのネットワークと同じ流体層にポートを設けることにより、液体処理装置の構築も簡単になる。ポートと導管との間の流体連通は、ポートを介して空気圧を加えることにより、導管内で液体が移動することを可能にする。
【0015】
各突起は、円錐台形状を有する場合がある。突起の円錐台形状は、ポートと空気圧インターフェースとの間のシールの形成を助ける。これは、円錐台形状により、表面上の高さが高くなるにつれて、突起の断面が狭くなるからである。別の言い方をすれば、円錐台形状は、円錐台形状によって提供される傾斜壁のおかげで、突起の基部よりも突起の上部の材料が少なくする。突起の上部における断面の縮小は、ポートの周りにシールを提供するために、空気圧インターフェースによって変形させられる必要がある材料がより少ないことを意味する。変形する材料が少ないことは、ポートを圧縮するためにより少ない量の力を加えるだけでよいことを意味する。
【0016】
第1の複数の開口部の各々は、流体層の表面上の高さが高くなるにつれて大きくなる直径を有する場合がある。これにより、突起の上部の材料の量がさらに減少し、その結果、ポートを変形させるために必要な力がより小さくなる。
【0017】
各突起は、突起の開放端の周りに環状リムを備える場合がある。環状リムは、突起の最小断面積の領域を画定することができる。環状リムは、突起の上部の材料の量をさらに減少させ、それは、突起を変形させるために必要な力が減少することを意味する。
【0018】
複数のポートのうちの1つまたは複数は、複数の支持リブをさらに備える場合がある。複数の支持リブの各々は、突起と突起が突出する流体層の表面との間に延在する場合がある。支持リブは、空気圧インターフェースによってポートに力が加えられたときにポートの過度の変形を防止するのに役立つ。
【0019】
第1の剛性層は、複数の開口を備える場合がある。各ポートは、複数の開口のうちの1つを通ってアクセス可能であり得る。剛性層に開口を設けることは、液体処理装置が、外部空気圧インターフェース(例えば、分析装置の空気圧アクチュエータ)を使用してポートに空気圧が加えられることを可能にしながら、剛性ハウジングを有することを意味する。
【0020】
複数のポートの各々は、第2の剛性層内の対応するトラフを介して複数の導管のうちの1つと流体連通することができる。トラフは、空気圧インターフェースに接続するポートに液体が到達することを防止する。したがって、トラフは、特に液体の吸引中に、液体が空気圧インターフェースに到達することを防止する。そのような液体は、(例えば、分析装置内の)空気圧インターフェースを潜在的に汚染または損傷する可能性がある。詳細には、トラフの底部における吸引プールの間の流体層内のチャネルから引き込まれたいかなる液体も、ポートに到達しない。したがって、チャネルから引き込まれたいかなる液体も、ポートを介して空気圧インターフェースに引き込まれない。
【0021】
液体処理装置は、第2の複数の開口部のうちの2つの上に配置された少なくとも1つの液体貯蔵カプセルをさらに備える場合がある。開口部の上に液体貯蔵カプセルを配置することにより、流体ネットワークが液体貯蔵カプセルとインターフェースすることが可能になる。これにより、カプセル内に開口部を形成するために、カプセルが開口部内に変形させられることも可能になる。
【0022】
流体層は、1つまたは複数のチャンバを備える場合がある。1つまたは複数のチャンバの各々は、複数の導管のうちの1つと流体連通している。流体層内にチャンバを設けることにより、液体処理装置の構築が簡単になる。詳細には、流体層内に1つまたは複数のチャンバを設けることにより、流体層の機能が拡大する。
【0023】
流体層は、流体層の面から延在する突部を備える場合がある。突部は、複数の空洞を備える場合がある。1つまたは複数のチャンバの各々は、複数の空洞のうちの対応する1つによって少なくとも部分的に画定される場合がある。流体層の面から延在する突部を設けることは、チャンバの容積が流体層の厚さによって制限されないことを意味する。したがって、増大したチャンバ容量を提供することができる。
【0024】
液体処理装置は、封止フィルムをさらに備える場合がある。複数の導管は、流体層内のチャネルのネットワークおよび封止フィルムによって画定される場合がある。エラストマー流体層の柔軟性は、チャネルが封止フィルムによって封止されるのを助ける。
【0025】
各チャネルは、表面に設けられた溝を備える。したがって、各チャネルは開放断面を有する。言い換えれば、各チャネルの断面は封止されていない。各導管は、(i)(例えば、封止層によって)封止されたチャネルを備え、それによって閉じた断面が提供されるか、または(ii)本体を少なくとも部分的に通って延在する孔もしくはトンネルを備える。
【0026】
本開示の第2の態様によれば、第1の剛性層および第2の剛性層と、複数の導管を備える流体ネットワークと、第1の剛性層と第2の剛性層との間に配置された流体層であって、流体層がエラストマーから形成され、流体層が、空気圧インターフェースに対してシールを提供するように構成された複数のポートを備え、複数のポートの各々が、流体層の表面から延在する突起、ならびに突起および流体層の厚さの少なくとも一部を通って延在する開口部であって、開口部が複数の導管のうちの1つまたは複数と流体連通している、開口部を備える、流体層とを備える、液体処理装置が提供される。
【0027】
各突起は、円錐台形状を有する場合がある。突起の円錐台形状は、ポートと空気圧インターフェースとの間のシールの形成を助ける。これは、円錐台形状により、表面上の高さが高くなるにつれて、突起の断面が狭くなるからである。別の言い方をすれば、円錐台形状は、円錐台形状によって提供される傾斜壁のおかげで、突起の基部よりも突起の上部の材料が少なくする。突起の上部における断面の縮小は、ポートの周りにシールを提供するために、空気圧インターフェースによって変形させられる必要がある材料がより少ないことを意味する。変形する材料が少ないことは、ポートを圧縮するためにより少ない量の力を加えるだけでよいことを意味する。
【0028】
第1の複数の開口部の各々は、流体層の表面上の高さが高くなるにつれて大きくなる直径を有する場合がある。これにより、突起の上部の材料の量がさらに減少し、その結果、ポートを変形させるために必要な力がより小さくなる。
【0029】
各突起は、突起の開放端の周りに環状リムを備える場合がある。環状リムは、突起の最小断面積の領域を画定することができる。環状リムは、突起の上部の材料の量をさらに減少させ、それは、突起を変形させるために必要な力が減少することを意味する。
【0030】
複数のポートのうちの1つまたは複数は、複数の支持リブをさらに備える場合がある。複数の支持リブの各々は、突起と突起が突出する流体層の表面との間に延在する場合がある。支持リブは、空気圧インターフェースによってポートに力が加えられたときにポートの過度の変形を防止するのに役立つ。
【0031】
第1の剛性層は、複数の開口を備える場合がある。各ポートは、複数の開口のうちの1つを通ってアクセス可能であり得る。剛性層に開口を設けることは、液体処理装置が、外部空気圧インターフェース(例えば、分析装置の空気圧アクチュエータ)を使用してポートに空気圧が加えられることを可能にしながら、剛性ハウジングを有することを意味する。
【0032】
複数のポートの各々は、第2の剛性層内の対応するトラフを介して複数の導管のうちの1つと流体連通することができる。トラフは、空気圧インターフェースに接続するポートに液体が到達することを防止する。したがって、トラフは、特に液体の吸引中に、液体が空気圧インターフェースに到達することを防止する。そのような液体は、(例えば、分析装置内の)空気圧インターフェースを潜在的に汚染または損傷する可能性がある。詳細には、トラフの底部における吸引プールの間の流体層内のチャネルから引き込まれたいかなる液体も、ポートに到達しない。したがって、チャネルから引き込まれたいかなる液体も、ポートを介して空気圧インターフェースに引き込まれない。
【0033】
第2の剛性層は、複数の支持体を備える場合がある。複数の支持体の各々は、複数のポートのうちの対応する1つに力が加えられたときに複数の支持体の各々が流体層の表面の変形を防止するように、複数のポートのうちの対応する1つと位置合わせされる場合がある。これは、ポートが空気圧インターフェースとのシールを形成するのを助ける。
【0034】
流体層は、チャネルのネットワークを備える場合がある。複数の導管の各々は、流体層内のチャネルのネットワークによって少なくとも部分的に画定される場合がある。エラストマー層に設けられたチャネルを使用すると、ネットワークを封止するために使用される接着プロセス(例えば、感圧接着剤(PSA:pressure-sensitive adhesive)テープ、レーザ溶接など)に関係なく、流体ネットワークの封止が改善される。これは、エラストマー層が別の層に対して封止されているときに柔軟層として機能するからである。加えて、柔軟なエラストマー層にチャネルを設けることにより、液体処理装置にバルブを設けるためにチャネルが圧縮されることが可能になる。したがって、液体処理装置内の液体の流れは、液体処理装置のバルブを閉じるエラストマー層内のチャネルを圧縮することによって制御することができる。チャネルのネットワークおよびポートに単一の層を使用することにより、液体処理装置の構築も簡単になる。
【0035】
第1の態様または第2の態様による液体処理装置の流体層は、熱可塑性エラストマーから形成される場合があり、熱可塑性エラストマーは、任意選択で、シリコン系熱可塑性エラストマーまたはスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンである。そのような材料は、流体層の過度の変形を防止するのに十分な硬度、および加えられた力が取り除かれたときに流体層の構成要素(すなわち、ポート、チャネル)がそれらの元の形態に戻るのを可能にするのに十分な緩和時間を有するように(例えば、適切な等級を選択することによって)選択されるべきである。
【0036】
本開示の第3の態様によれば、剛性層と、液体処理装置内に配置された複数の液体貯蔵カプセルとを備え、剛性層が、作動可能部分であって、作動可能部分が複数の液体貯蔵カプセルを変形させない第1の位置から、作動可能部分が複数の液体貯蔵カプセルのうちの2つ以上を変形させる第2の位置まで作動可能な作動可能部分を備える、液体処理装置が提供される。
【0037】
単一の作動可能部分が複数の液体貯蔵カプセルのうちの2つ以上を変形させることが可能であると仮定すると、作動可能部分の第2の位置への作動は、2つ以上のカプセルの各々の同時変形を引き起こす。その結果、液体処理装置内の複数のカプセルは、作動可能部分の単一の動きを使用して穿刺することができる。単一の作動可能部分を使用して2つ以上の液体貯蔵カプセルを変形させることはまた、いくつかの異なる構成の液体貯蔵カプセルを作動可能部分によって穿刺することができることを意味する。したがって、剛性層および作動可能部分は、様々な構成の液体貯蔵カプセルを実装する流体ネットワークとともに使用することができる。
【0038】
作動可能部分は、複数の突起を備える場合がある。複数の突起の各々は、複数の液体貯蔵カプセルのうちの1つに向かって延在する場合がある。複数の突起の各々は、作動可能部分が第2の位置にあるときに、液体貯蔵カプセルの対応する部分に力を加えるように構成される場合がある。突起は、液体貯蔵カプセルを穿刺するために液体貯蔵カプセルを変形させるための機構を提供する。
【0039】
複数の突起は、作動可能部分が第2の位置にあるときに、複数の液体貯蔵カプセルのうちの2つ以上の各々の2つの異なる部分に係合するように構成される場合がある。これは、カプセルの2つの異なる部分を同時に変形させることができることを意味し、液体貯蔵カプセルに2つの開口部(例えば、入口および出口)を同時に作成することができることを意味する。
【0040】
作動可能部分は、複数の凹状領域を備える場合がある。複数の凹状領域の各々は、複数の突起のうちの2つの間に位置する場合がある。各凹状領域は、作動可能部分が第2の位置にあるときに対応する液体貯蔵カプセルの主チャンバを収容するように構成することができる。これは、作動可能部分が第2の位置にあるときに主チャンバが作動可能部分によって変形しないことを意味する。したがって、凹状領域は、提供され得る液体貯蔵カプセルの容量を最大化する。
【0041】
複数の突起は、第1の複数の突起であり得る。作動可能部分は、第2の複数の突起をさらに備える場合がある。第1の複数の突起の各々は、第2の複数の突起の各々よりも作動可能部分から遠くに延在することができる。第2の複数の突起の各々は、複数の液体貯蔵カプセルのうちの1つに向かって延在することができる。第2の複数の突起の各々は、作動可能部分が第3の位置にあるときに液体貯蔵カプセルの対応する部分に力を加えるように構成される場合がある。第3の位置は、第2の位置を越える場合がある。これは、液体貯蔵カプセルの2段階での穿刺を可能にし、それは、他のカプセルが穿刺される前に一部のカプセルから液体を放出することができることを意味する。
【0042】
剛性層は、作動可能部分に結合された1つまたは複数の弾性的に変形可能な部材を備える場合がある。1つまたは複数の弾性的に変形可能な部材は、作動可能部分を第2の位置から離れるように付勢するように構成される場合がある。これは、弾性的に変形可能な部材が作動可能部分をカプセルとの係合から離し、それにより、作動可能部分がその元の位置に戻ることが可能になり、作動可能部分がカプセルに出入りする流体の流れを妨げることを防止することを意味する。
【0043】
1つまたは複数の弾性的に変形可能な部材の各々は、剛性層と同じ材料から形成される場合がある。これにより、作動可能部分および弾性的に変形可能な部材を含む剛性部品の製造が簡略化される(例えば、射出成形によって製造される)ことが可能になる。
【0044】
剛性層は、2つ以上の弾性的に変形可能な部材を備える場合がある。複数の弾性的に変形可能な部材を設けることにより、作動可能部分が垂直方向に作動することが可能になり、それは、作動可能部分が第1の部分にあるとき、および作動可能部分が第2の位置にあるとき、作動可能部分が各液体貯蔵カプセルの基部(すなわち、封止層)に平行であることを意味する。作動可能部分の垂直移動は、(例えば、作動可能部分の突起を介して)液体貯蔵カプセルに一貫した力が加えられることを可能にする。2つ以上の弾性的に変形可能な部材のうちの第1の弾性的に変形可能な部材は、作動可能部分の第1の縁部に接続される場合があり、2つ以上の弾性的に変形可能な部材のうちの第2の弾性的に変形可能な部材は、作動可能部分の第2の縁部に接続される場合があり、第2の縁部は第1の縁部とは異なる。第2の縁部は、第1の縁部の反対側にあり得る。
【0045】
作動可能部分は、作動可能部分の外面に設けられた複数の平坦領域を備える場合がある。作動可能部分の平坦面は、作動可能部分を移動させるために特定の形状のアクチュエータを必要とせずに、(例えば、分析装置のアクチュエータによって)作動可能部分が第1の位置から第2の位置に容易に移動することを可能にする。
【0046】
液体処理装置は、流体層の厚さの少なくとも一部を通って延在する複数の開口部を備える流体層をさらに備える場合がある。複数の液体貯蔵カプセルの各々は、複数の開口部のうちの対応する1つの上に配置される場合がある。複数の液体貯蔵カプセルの各々について、作動可能部分による液体貯蔵カプセルの変形は、液体貯蔵カプセルの一部を複数の開口部のうちの対応する1つの中に変形させることができる。開口部の上に液体貯蔵カプセルを配置することにより、カプセル内に開口部を作成するために、カプセルが作動可能部分によって開口部の中に変形することが可能になる。
【0047】
剛性層は、第1の剛性層であり得る。流体層は、第1の剛性層と第2の剛性層との間に配置される場合がある。第2の剛性層は、作動可能部分の作動中に流体層に接触するように配置された複数のカプセル支持領域を備える場合がある。複数のカプセル支持領域の各々は、複数の開口部のうちの対応する1つと位置合わせされる場合がある。これは、作動可能部分によって複数のカプセルに力が加えられたとき、流体層が対応するカプセル支持領域によって変形することが防止されることを意味する。
【0048】
作動可能部分は、剛性層の面に対して作動可能であり得る。作動可能部分は剛性であり得る。作動可能部分は、剛性層の面に垂直な方向に作動可能であり得る。作動可能部分は、作動可能部分が第1の位置にあるときに複数の液体貯蔵カプセルのうちの1つまたは複数の基部に平行であり得、作動可能部分が第2の位置にあるときに複数の液体貯蔵カプセルのうちの1つまたは複数の基部に平行であり得る。
【0049】
本開示の第4の態様によれば、本開示の第3の態様による液体処理装置と、液体処理装置の作動可能部分を第1の位置から第2の位置まで作動させ、それによって2つ以上の液体貯蔵カプセルを変形させるように構成されたアクチュエータと、2つ以上の液体貯蔵カプセルのうちの少なくとも1つに空気圧を供給するように構成された空気圧供給システムとを備える、液体処理システムが提供される。これは、単一の液体処理システムが、液体貯蔵カプセルを穿刺し、液体貯蔵カプセルから液体を移動させるために使用され得ることを意味する。
【0050】
本開示の第5の態様によれば、チャネルのネットワークを備える流体層と、複数の導管を形成するためにチャネルのネットワークを封止するように配置された封止層であって、封止層が開口を備える、封止層と、複数の導管のうちの少なくとも1つと流体連通する測定チャンバであって、測定チャンバが封止層内の開口によって部分的に画定される、測定チャンバとを備える、液体処理装置が提供される。
【0051】
チャネルのネットワークを封止し、測定チャンバを部分的に画定する開口を有する封止層を実装することにより、液体が測定チャンバ内に残る傾向が低減される。これは、流体層内のチャネルと測定チャンバとの間に狭窄がないからである。チャネルのネットワークを封止するために使用される層も測定チャンバを設けるために利用されるので、液体処理装置の構築も簡略化される。
【0052】
封止層は、流体層を覆うように配置される場合がある。流体層を覆うと、チャネルのネットワークを囲む接着領域が増大する。封止層は、流体層に直接接触することができる。
【0053】
封止層の厚さは、測定チャンバの高さを画定することができる。これにより、測定チャンバの容積は、封止層および封止層の両側の層によって画定されることが可能になる。
【0054】
測定チャンバは、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを備える場合がある。複数の導管のうちの第1の導管は、測定チャンバの第1の端部と流体連通することができる。複数の導管のうちの第2の導管は、測定チャンバの第2の端部と流体連通することができる。これにより、測定チャンバを通って(例えば、廃棄チャンバに)液体が輸送されることが可能になる。
【0055】
測定チャンバは、測定チャンバの第1の端部と中央部分との間に延在する第1のテーパ部分を備える場合がある。測定チャンバは、中央部分と第2の端部との間に延在する第2のテーパ部分をさらに備える場合がある。第1のテーパ部分では、測定チャンバの壁と、測定チャンバを通って延びる長手方向中心線との間の角度は、30度未満であり得る。同様に、第2のテーパ部分では、測定チャンバの壁と、測定チャンバを通って延びる長手方向中心線との間の角度は、30度未満であり得る。30度未満のテーパ角は、測定チャンバを満たすかまたは空にする間に気泡が形成される傾向を低減する。30度未満のテーパ角はまた、測定チャンバを空にした後に残留液が測定チャンバ内に残る傾向を低減する。
【0056】
第1のテーパ部分では、測定チャンバの壁と長手方向中心線との間の角度は、約15度と約25度との間であり得る。同様に、第2のテーパ部分では、測定チャンバの壁と長手方向中心線との間の角度は、約15度と約25度との間であり得る。この領域内のテーパ角は、測定チャンバの内部と、測定チャンバの内部と流体連通するセンサ表面との間に有用な接触領域を依然として提供しながら、満たすかまたは空にする間に気泡が形成される傾向、および空にした後に残留液が残る傾向を低減する。
【0057】
複数の導管のうちの第2の導管は、測定チャンバを通って延びる長手方向中心線と位置合わせされる場合がある。複数の導管のうちの第2の導管を長手方向中心線と位置合わせすることにより、測定チャンバを空にした後に測定チャンバ内に残る液体の容積が最小限に抑えられ、一方、測定チャンバを通って流れる流れ懸濁液内の粒子(例えば、血液または官能性ビーズ)の損失も低減される。
【0058】
複数の導管のうちの第2の導管と長手方向中心線との間の角度は、150度以上、より好ましくは約180度であり得る。150度以上の角度は、測定チャンバを空にした後に測定チャンバ内に残る液体の容積を最小限に抑える。180度の角度は、測定チャンバを空にした後に測定チャンバ内に残る液体の容積を低く抑え、一方、測定チャンバを通って流れる流れ懸濁液内の粒子(例えば、血液または官能性ビーズ)の損失も低減される。
【0059】
液体処理装置は、複数の測定チャンバを備える場合がある。封止層は、複数の開口を備える場合がある。複数の測定チャンバの各々は、封止層内の複数の開口のうちの対応する1つによって部分的に画定される場合がある。
【0060】
本開示の第6の態様によれば、チャネルのネットワークを備える流体層と、複数の導管を形成するためにチャネルのネットワークを封止するように配置された封止層であって、封止層が複数の孔を備える、封止層と、開口を備えるフローセル層であって、封止層が流体層とフローセル層との間に配置される、フローセル層と、複数の孔のうちの1つを介して複数の導管のうちの少なくとも1つと流体連通する測定チャンバであって、測定チャンバがフローセル層内の開口によって部分的に画定される、測定チャンバとを備える、液体処理装置が提供される。
【0061】
複数の孔の各々は、チャネルのネットワークのそれぞれ1つの一端と位置合わせされる場合がある。これは、孔が流体層内のチャネルとフローセル層内の開口によって部分的に画定された測定チャンバとの間の流体接続を提供することを意味する。
【0062】
フローセル層の厚さは、測定チャンバの高さを画定することができる。これにより、測定チャンバの容積がフローセル層および封止層の両側の層によって画定されることが可能になる。
【0063】
測定チャンバは、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを備える場合がある。複数の導管のうちの第1の導管は、複数の孔のうちの第1の孔を介して測定チャンバの第1の端部と流体連通することができる。複数の導管のうちの第2の導管は、複数の孔のうちの第2の孔を介して測定チャンバの第2の端部と流体連通することができる。これにより、測定チャンバを通って(例えば、廃棄チャンバに)液体が輸送されることが可能になる。
【0064】
測定チャンバは、測定チャンバの第1の端部と中央部分との間に延在する第1のテーパ部分を備える場合がある。測定チャンバは、中央部分と第2の端部との間に延在する第2のテーパ部分をさらに備える場合がある。第1のテーパ部分では、測定チャンバの壁と、測定チャンバを通って延びる長手方向中心線との間の角度は、30度未満であり得る。同様に、第2のテーパ部分では、測定チャンバの壁と、測定チャンバを通って延びる長手方向中心線との間の角度は、30度未満であり得る。30度未満のテーパ角は、測定チャンバを満たすかまたは空にする間に気泡が形成される傾向を低減する。30度未満のテーパ角はまた、測定チャンバを空にした後に残留液が測定チャンバ内に残る傾向を低減する。
【0065】
第1のテーパ部分では、測定チャンバの壁と長手方向中心線との間の角度は、約15度と約25度との間であり得る。同様に、第2のテーパ部分では、測定チャンバの壁と長手方向中心線との間の角度は、約15度と約25度との間であり得る。この領域内のテーパ角は、測定チャンバの内部と、測定チャンバの内部と流体連通するセンサ表面との間に有用な接触領域を依然として提供しながら、満たすかまたは空にする間に気泡が形成される傾向、および空にした後に残留液が残る傾向を低減する。
【0066】
複数の導管のうちの第2の導管は、測定チャンバを通って延びる長手方向中心線と位置合わせされる場合がある。複数の導管のうちの第2の導管を長手方向中心線と位置合わせすることにより、測定チャンバを空にした後に測定チャンバ内に残る液体の容積が最小限に抑えられ、一方、測定チャンバを通って流れる流れ懸濁液内の粒子(例えば、血液または官能性ビーズ)の損失も低減される。
【0067】
複数の導管のうちの第2の導管と長手方向中心線との間の角度は、150度以上であり得る。150度以上の角度は、測定チャンバを空にした後に測定チャンバ内に残る液体の容積を最小限に抑える。複数の導管のうちの第2の導管と長手方向中心線との間の角度は、約180度であり得る。180度の角度は、測定チャンバを空にした後に測定チャンバ内に残る液体の容積を低く抑え、一方、測定チャンバを通って流れる流れ懸濁液内の粒子(例えば、血液または官能性ビーズ)の損失も低減される。
【0068】
第1の端部は、第1の一定の曲率を有する第1の丸みを帯びた端部であり得る。第2の端部は、第2の一定の曲率を有する第2の丸みを帯びた端部であり得る。複数の孔のうちの第1の孔の半径は、第1の一定の曲率の半径と等しい場合がある。複数の孔のうちの第2の孔の半径は、第2の一定の曲率の半径と等しい場合がある。孔の半径を曲率の半径と一致させることにより、測定チャンバを空にした後の測定チャンバおよび孔に残っている液体の合わせた容積が最小限に抑えられる。孔の半径を曲率の半径と一致させることはまた、液体処理装置の層の組み立て中の任意の位置ずれに対する許容度を高める。
【0069】
複数の孔のうちの第1の孔の原点は、第1の一定の曲率の原点と一致する場合がある。複数の孔のうちの第2の孔の原点は、第2の一定の曲率の原点と一致する場合がある。孔および曲率の原点を位置合わせすることにより、測定チャンバを空にした後の測定チャンバおよび孔に残っている液体の合わせた容積が最小限に抑えられる。
【0070】
液体処理装置は、複数の測定チャンバを備える場合がある。フローセル層は、複数の開口を備える場合がある。複数の測定チャンバの各々は、フローセル層内の複数の開口のうちの対応する1つによって部分的に画定される場合がある。
【0071】
本開示の第7の態様によれば、第1のウェルおよび第2のウェルを備える剛性層と、液体処理装置の外部への流体接続を提供するように配置された通気口であって、第2のウェルが通気口と流体連通している、通気口と、第1のウェルと第2のウェルとの間に延在する複数の溝であって、複数の溝の各々が第1のウェルと第2のウェルとの間に流体接続を提供する、複数の溝とを備える、液体処理装置が提供される。
【0072】
第1のウェルと第2のウェルとの間に液体の流れのための2つ以上の経路を設けることにより、第1のウェルと第2のウェルとの間の液体閉塞の可能性が低減される。第1のウェルと第2のウェルとの間の液体閉塞を回避することにより、第1および第2のウェルが液体の吸引のための流体回路の一部として使用されることが可能になる。これは、第1のウェルと流体連通している流体構成要素からの液体の吸引中に、永久通気口から第2のウェルを介して第1のウェルに空気を引き込むことができるからである。
【0073】
複数の溝のうちの1つまたは複数は、第1のウェルの基部の上に配置される場合がある。第1のウェルの深さは、複数の溝のうちの1つまたは複数の最大深さよりも大きい場合がある。これは、液体が第1のウェルの基部と1つまたは複数の溝の基部との間の段差を越えて流れる必要があることを意味し、段差は1つまたは複数の溝への液体の流れを阻止する。
【0074】
複数の溝のうちの1つまたは複数は、第2のウェルの基部の上に配置される場合がある。第2のウェルの深さは、複数の溝のうちの1つまたは複数の最大深さよりも大きい場合がある。これは、第2のウェル内の任意の液体が、第2のウェルの基部と1つまたは複数の溝の基部との間の段差を越えて流れる必要があることを意味し、段差は1つまたは複数の溝への液体の流れを阻止する。
【0075】
複数の溝のうちの1つまたは複数は、第1のウェルに隣接する第1の端部と、第2のウェルに隣接する第2の端部とを備える。第2の端部は、第1の端部の上に配置される場合がある。第1の端部の深さは、第2の端部の深さよりも大きい場合がある。複数の溝のうちの1つまたは複数は、第1の端部と第2の端部との間に延在する傾斜基部を備える場合がある。傾斜基部の効果は、液体が1つまたは複数の溝に流入する場合でも、1つまたは複数の溝から液体を除去するために必要な圧力が低減されることを意味する。これは、1つまたは複数の溝の傾斜基部が、重力下で第1のウェルに向かって液体を流れさせるからである。言い換えれば、溝は、第1のウェルに負圧が加えられたときに空になりやすい。傾斜形状はまた、毛細管停止として機能し、液体が第2のウェルに進むのを防止するのに役立つ。
【0076】
液体処理装置は、第2のウェルおよび通気口と流体連通する第3のウェルをさらに備える場合がある。第2のウェルは、第3のウェルを介して通気口と流体連通することができる。液体処理装置は、第2のウェルと第3のウェルとの間に延在するコネクタチャネルをさらに備える場合がある。第3のウェルおよびコネクタチャネルは、第2のウェルと通気口との間にさらなる流体構成要素を提供し、それは第2のウェルと通気口との間の液体の流れに対するさらなる抵抗をもたらす。これにより、液体が通気口を通って液体処理装置内から漏れる可能性が低減される。
【0077】
コネクタチャネルは、第2のウェルの基部の上に配置される場合がある。第2のウェルの深さは、コネクタチャネルの深さよりも大きい場合がある。コネクタチャネルは、第2のウェルと第3のウェルとの間に延在する複数の溝を備える場合がある。第2のウェルの基部の上にコネクタチャネルを設けることは、第2のウェル内の任意の液体が、第2のウェルの基部とコネクタチャネルの基部との間の段差を越えて流れる必要があることを意味し、段差はコネクタチャネルへの液体の流れを阻止する。複数の溝の形態でコネクタチャネルを設けることにより、第2のウェルと第3のウェルとの間に複数の流体流路が設けられ、それにより、第2のウェルと第3のウェルとの間の液体閉塞の可能性が低減される。
【0078】
液体処理装置は、第3のウェルから延在する通気チャネルをさらに備える場合がある。第3のウェルは、通気チャネルを介して通気口と流体連通することができる。通気チャネルは、第3のウェルと流体連通する第1の端部と、通気口と流体連通する第2の端部とを備える場合がある。通気口は、剛性層内に孔を備える場合がある。通気チャネルは、第3のウェルから第1の方向に延在する場合がある。孔は、剛性層を通って剛性層の外面まで第2の方向に延在する場合があり、第2の方向は第1の方向とは異なる。第2の方向は、第1の方向に対して垂直であり得る。
【0079】
液体処理装置は、第3のウェルと通気口との間に延在する通気チャネルをさらに備える場合がある。通気チャネルは、第3のウェルと流体連通する第1の端部と、通気口と流体連通する第2の端部とを備える場合がある。通気口は、通気チャネルの第2の端部にある剛性層内の孔を備える場合がある。
【0080】
複数の溝は、第1の複数の溝であり得る。液体処理装置は、第1のウェルと流体連通する第4のウェルと、第4のウェルと第1のウェルとの間に延在する第2の複数の溝とをさらに備える場合がある。第2の複数の溝の各々は、第4のウェルと第1のウェルとの間に流体接続を提供することができる。コネクタチャネルは、第1のコネクタチャネルであり得る。液体処理装置は、第4のウェルと第3のウェルとの間に延在する第2のコネクタチャネルをさらに備える場合がある。第2のコネクタチャネルは、第1のウェルと通気口との間に代替流路を提供する。第1のウェル内に閉塞が存在する場合、塞がれていない流路を介して通気口を通して空気を引き込むことができる。同様に、第2のコネクタチャネルは、第1の複数の溝の各々が塞がれた場合に代替流路を提供する。第2の複数の溝は、第1のウェルと第4のウェルとの間に液体の流れのための2つ以上の経路を提供し、それにより、第1のウェルと第4のウェルとの間の液体閉塞の可能性が低減される。
【0081】
本開示の第8の態様によれば、複数の導管およびチャンバを備える流体ネットワークと、複数の空気圧ポートとを備える液体処理装置が提供され、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートはチャンバと流体連通し、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートは複数の導管のうちの導管と流体連通し、導管はチャンバと流体連通し、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートは、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートが通気されている間に正の空気圧または負の空気圧を受けるように構成される。
【0082】
複数の空気圧ポートを使用することにより、液体処理装置における恒久的な通気口の必要性が低減される。したがって、液体が液体処理装置から漏れる可能性が低減される。
【0083】
複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートは、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートが通気されている間に正の空気圧または負の空気圧を受けるようにさらに構成される場合がある。これにより、液体処理装置を使用して実行することができる流体操作の範囲が拡大する。
【0084】
複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートおよび複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートの各々は、選択的に、正の空気圧または負の空気圧を受け、通気口に接続されるように構成される場合がある。これにより、液体処理装置を使用して実行することができる流体操作の範囲がさらに拡大する。
【0085】
液体処理装置は、第1の剛性層と第2の剛性層との間に配置された流体層をさらに備える場合があり、使用時に、第2の剛性層は流体層の下に配置される。流体層は、チャネルのネットワークを備える場合がある。複数の導管は、流体層内のチャネルのネットワークによって少なくとも部分的に画定される場合がある。流体層は、複数の空気圧ポートを備える場合がある。同じ流体層にポートおよびチャネルを設けることにより、液体処理装置の構築が簡単になる。
【0086】
第2の剛性層は、複数のトラフを備える場合がある。複数の空気圧ポートの各々は、第2の剛性層内の複数のトラフのうちの1つを介して流体ネットワークと流体連通することができる。トラフは、空気圧インターフェースに接続する空気圧ポートに液体が到達することを防止する。したがって、トラフは、特に液体の吸引中に、液体が空気圧インターフェースに到達することを防止する。そのような液体は、(例えば、分析装置内の)空気圧インターフェースを潜在的に汚染または損傷する可能性がある。詳細には、トラフの底部における吸引プールの間の流体層内のチャネルから引き込まれたいかなる液体も、空気圧ポートに到達しない。したがって、チャネルから引き込まれたいかなる液体も、空気圧ポートを介して空気圧インターフェースに引き込まれない。
【0087】
チャンバは、廃棄チャンバであり得る。したがって、廃棄チャンバの通気状態を制御することができる。第2の剛性層は、廃棄チャンバを備える場合がある。したがって、液体処理装置は、液体処理装置の異なる層における流体動作が制御されることを可能にする。
【0088】
流体ネットワークは、導管と流体連通する測定チャンバをさらに備える場合がある。廃棄チャンバは、測定チャンバから廃液を受け取るように構成される場合がある。したがって、測定チャンバの通気状態を制御することができる。
【0089】
チャンバは、第1の混合チャンバであり得る。したがって、第1の混合チャンバの通気状態を制御することができる。
【0090】
流体層は、流体層の面から延在する突部を備える場合がある。突部は空洞を備える場合がある。第1の混合チャンバは、突部内の空洞によって少なくとも部分的に画定される場合がある。流体層の面から延在する突部を設けることは、第1の混合チャンバの容積が流体層の厚さによって制限されないことを意味する。
【0091】
流体ネットワークは、導管および第1の混合チャンバと流体連通する第2の混合チャンバをさらに備える場合がある。第2の混合チャンバを設けることは、2つの混合チャンバ間で溶液を前後に移送することによって溶液を混合することができることを意味する。
【0092】
複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートは、流体ネットワークと流体連通することができる。複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートは、選択的に、正の空気圧または負の空気圧を受け、通気口に接続されるように構成される場合がある。第3の空気圧ポートを設けることにより、実装され得る流体ネットワークの複雑さがさらに増大する。
【0093】
液体処理装置は、液体貯蔵カプセルをさらに備える場合がある。液体処理装置は、液体貯蔵カプセルが開封されると、複数の空気圧ポートのうちの1つから液体貯蔵カプセルに正の空気圧を伝達するように構成される場合がある。
【0094】
本開示の第1、第2、第3、第5、第6、第7、または第8の態様による液体処理装置は、診断カートリッジであり得る。診断カートリッジは、マイクロ流体カートリッジであり得る。
【0095】
本開示の第9の態様によれば、本開示の第8の態様による液体処理装置と、空気圧供給システムであって、可変圧力源と、液体処理装置の複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを空気圧供給システム内の通気口に接続するように構成された第1の空気圧供給導管と、第1の空気圧供給導管が複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から液体処理装置の複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正圧または負圧を供給するように構成された第2の空気圧供給導管とを備える、空気圧供給システムとを備える、液体処理システムが提供される。
【0096】
第2の空気圧供給導管は、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートを通気口に接続するようにさらに構成される場合がある。第1の空気圧供給導管は、第2の空気圧供給導管が複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートに正圧または負圧を供給するようにさらに構成される場合がある。これにより、液体処理装置を使用して実行することができる流体操作の範囲が拡大する。
【0097】
第1の空気圧供給導管および第2の空気圧供給導管の各々は、選択的に、可変圧力源からそのそれぞれの空気圧ポートに正圧または負圧を供給し、そのそれぞれの空気圧ポートを通気口に接続するように構成される場合がある。これにより、液体処理装置を使用して実行することができる流体操作の範囲がさらに拡大する。
【0098】
液体処理装置のチャンバは、廃棄チャンバであり得る。空気圧供給システムは、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正圧を供給して、導管から廃棄チャンバに液体を分注するように構成される場合がある。したがって、廃棄チャンバの通気状態を制御することができる。
【0099】
液体処理装置の流体ネットワークは、導管と流体連通する測定チャンバをさらに備える場合がある。液体処理装置の廃棄チャンバは、測定チャンバから廃液を受け取るように構成される場合がある。空気圧供給システムは、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正圧を供給して、測定チャンバから廃棄チャンバに液体を分注するように構成される場合がある。したがって、測定チャンバの通気状態を制御することができる。
【0100】
液体処理装置は、流体ネットワークと流体連通する通気式試料入口チャンバを備える場合がある。空気圧供給システムは、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの1つに負圧を供給して、試料入口チャンバから流体ネットワークに液体を吸引するように構成される場合がある。
【0101】
液体処理装置のチャンバは、第1の混合チャンバであり得る。空気圧供給システムは、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正圧を供給して、第1の混合チャンバに液体を分注するように構成される場合がある。したがって、第1の混合チャンバの通気状態を制御することができる。
【0102】
液体処理装置の流体ネットワークは、導管および第1の混合チャンバと流体連通する第2の混合チャンバをさらに備える場合がある。空気圧供給システムは、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正圧を供給して、第2の混合チャンバから第1の混合チャンバに液体を分注し、かつ/または複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに負圧を供給して、第1の混合チャンバから第2の混合チャンバに液体を吸引するように構成される場合がある。したがって、2つの混合チャンバ間で溶液を前後に移送することによって溶液を混合することができる。
【0103】
液体処理装置の複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートは、流体ネットワークと流体連通することができる。複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートは、選択的に、正の空気圧または負の空気圧を受け、通気口に接続されるように構成される場合がある。空気圧供給システムは、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートに正圧を供給し、かつ/または複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートを通気口に接続しながら、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートに負圧を供給するように構成される場合がある。第3の空気圧ポートを設けることにより、実装され得る流体ネットワークの複雑さがさらに増大する。
【0104】
液体処理装置は、液体貯蔵カプセルをさらに備える場合がある。液体処理装置は、液体貯蔵カプセルが開封されると、複数の空気圧ポートのうちの1つから液体貯蔵カプセルに正の空気圧を伝達するように構成される場合がある。液体処理装置は、作動可能部分であって、作動可能部分が液体貯蔵カプセルを変形させない第1の位置から、作動可能部分が液体貯蔵カプセルを変形させる第2の位置まで作動可能な作動可能部分をさらに備える場合がある。液体処理システムは、液体処理装置の作動可能部分を作動させ、それによって液体貯蔵カプセルを変形させるように構成される場合がある。
【0105】
本開示の第10の態様によれば、流体ネットワークを備える液体処理装置内で液体を移動させる方法が提供され、流体ネットワークは複数の導管およびチャンバを備え、方法は、液体処理装置の複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気することであって、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートがチャンバと流体連通している、第1の空気圧ポートを通気することと、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、液体処理装置の複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正の空気圧を供給することであって、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートが複数の導管のうちの導管と流体連通し、導管がチャンバと流体連通している、第2の空気圧ポートに正の空気圧を供給することとを含み、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正の空気圧を供給することは、導管からチャンバに液体を分注する。
【0106】
方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートを通気することと、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに負の空気圧を供給して、チャンバから液体を吸引することとをさらに含む場合がある。
【0107】
チャンバは、廃棄チャンバであり得る。方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正の空気圧を供給して、廃棄チャンバ内に液体を分注することをさらに含む場合がある。
【0108】
流体ネットワークは、測定チャンバをさらに備える場合がある。方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正の空気圧を供給して、測定チャンバから廃棄チャンバに液体を分注することをさらに含む場合がある。
【0109】
液体処理装置は、流体ネットワークと流体連通する通気式試料入口チャンバを備える場合がある。方法は、複数の空気圧ポートのうちの1つに負の空気圧を供給して、試料入口チャンバから流体ネットワーク内に液体を吸引することをさらに含む場合がある。
【0110】
チャンバは、混合チャンバであり得る。方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正の空気圧を供給して、導管から混合チャンバに液体を分注することをさらに含む場合がある。
【0111】
混合チャンバは、第1の混合チャンバであり得る。流体ネットワークは、導管および第1の混合チャンバと流体連通する第2の混合チャンバをさらに備える場合がある。方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正圧を供給して、第2の混合チャンバから第1の混合チャンバに液体を分注することをさらに含む場合がある。
【0112】
方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、可変圧力源から複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに負圧を供給して、第1の混合チャンバから第2の混合チャンバに液体を吸引することをさらに含む場合がある。
【0113】
方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、可変圧力源から流体ネットワークと流体連通している複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートに正圧を供給することをさらに含む場合がある。
【0114】
方法は、複数の空気圧ポートのうちの第1の空気圧ポートの通気中に、可変圧力源から流体ネットワークと流体連通している複数の空気圧ポートのうちの第3の空気圧ポートに負圧を供給することをさらに含む場合がある。
【0115】
方法は、液体処理装置の作動可能部分を作動させて、液体処理装置に収容された液体貯蔵カプセルを変形させることをさらに含む場合がある。
【0116】
本開示の第11の態様によれば、第9の態様で定義された空気圧供給システムのプロセッサによって実行されると、空気圧供給システムに第10の態様の方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0117】
上述された態様の特徴は、異なる態様間で組み合わされる場合があることが理解されよう。一例として、第1、第2、第3、第5、第6、第7、および第8の態様のいずれか1つによる液体処理装置の特徴は、これらの態様の他のいずれかに関連して記載された1つまたは複数の特徴と組み合わされる場合がある。別の例として、第4および第9の態様のいずれか1つによる液体処理システムの特徴は、他の態様に関連して記載された1つまたは複数の特徴と組み合わされる場合がある。
【0118】
特定の実施形態が、単なる例として、添付の図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【
図2】
図1の液体処理装置の構成要素を示す分解図である。
【
図3】
図1に示された液体処理装置を通る上面断面図である。
【
図4】
図1に示された液体処理装置の第1の剛性層の等角下面図である。
【
図5】
図4に示された第1の剛性層の上面図である。
【
図6A】
図4に示された第1の剛性層の底面図である。
【
図7】
図4に示された第1の剛性層の作動可能部分の液体貯蔵カプセルとの係合を示す側面断面図である。
【
図8】
図4に示された第1の剛性層の作動可能部分の液体貯蔵カプセルとの係合を示す端面断面図である。
【
図9A】作動位置にある作動可能部分を示す、
図4に示された第1の剛性層の等角図である。
【
図9B】作動位置にある作動可能部分を示す、
図4に示された第1の剛性層を通る断面図である。
【
図10】
図1に示された液体処理装置の第2の剛性層の等角図である。
【
図12】第2の剛性層の第1の複数の溝および第2の複数の溝の拡大等角図を伴う、
図10に示された第2の剛性層の一部の上面図である。
【
図13】
図1に示された液体処理装置の流体層と、
図1に示された液体処理装置の封止層とを備える、流体アセンブリの等角図である。
【
図14A】フローセルが封止層内の孔を介してアクセスされる流体アセンブリのフローセル内に残っている液体容積が、フローセルからの出口導管の角度が変化するにつれてどのように変化するかを示す図である。
【
図14B】フローセルが封止層内の孔を介してアクセスされる流体アセンブリのフローセル内に残っている液体容積が、封止層内の孔およびフローセルの位置ずれとともにどのように変化するかを示す図である。
【
図14C】フローセルが封止層内の孔を介してアクセスされる流体アセンブリのフローセル内に残っている液体容積が、封止層内の孔のサイズとともにどのように変化するかを示す図である。
【
図15】
図1に示された液体処理装置の流体層と、代替の封止層とを備える、代替の流体アセンブリの等角図である。
【
図16】フローセルが封止層内に設けられた流体アセンブリのフローセル内の液体の流れのシミュレーションを示す図である。
【
図17A】
図1に示された液体処理装置の流体層の底面図である。
【
図17B】
図1に示された液体処理装置の流体層の底面図である。
【
図18A】
図1に示された液体処理装置に実装され得る代替の流体層の上面図である。
【
図21】外部バルブアクチュエータによって係合されているバルブ領域を示す、
図17A~
図17Cに示された流体層のバルブ領域を通る断面図である。
【
図22A】外部バルブアクチュエータがバルブ領域と非係合位置にある、
図21に示された外部バルブアクチュエータおよびバルブ領域の係合のシミュレーションである。
【
図22B】外部バルブアクチュエータがバルブ領域と部分的な係合位置にある、
図21に示された外部バルブアクチュエータおよびバルブ領域の係合のシミュレーションである。
【
図22C】外部バルブアクチュエータがバルブ領域と係合位置にある、
図21に示された外部バルブアクチュエータおよびバルブ領域の係合のシミュレーションである。
【
図23B】
図23Aに示された外部空気圧アクチュエータおよび空気圧ポートの係合のシミュレーションである。
【
図24A】流体層の代替の空気圧ポートを通る断面図である。
【
図24B】
図24Aに示された外部空気圧アクチュエータおよび代替の空気圧ポートの係合のシミュレーションである。
【
図25】外部空気圧アクチュエータによる係合中の空気圧ポートの変形に対する異なる空気圧ポート形状の影響を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0120】
本開示の実装形態は、診断検査を実行するために使用されるマイクロ流体カートリッジを特に参照して以下に説明される。しかしながら、本明細書に記載された実装形態は、他の目的に使用されるマイクロ流体カートリッジに適用可能であることが理解されよう。本明細書に記載された実装形態は、マイクロ流体に限定されず、様々な目的に使用される様々なサイズの液体処理装置に適用可能であることがさらに理解されよう。
【0121】
図1は、診断カートリッジ100(例えば、マイクロ流体カートリッジ)の形態の液体処理装置の等角図である。カートリッジ100は、
図2に示された分解図から分かるように、いくつかの構成要素を備える。
【0122】
具体的には、カートリッジ100は、各々が剛性材料から形成された第1の部分200および第2の部分500を備える。使用時(すなわち、カートリッジ100が
図1に示された向きにあるとき)、第1の部分200は上部であり、第2の部分500は下部である。第1の部分200および第2の部分500は共に、カートリッジ100のハウジングを画定する。具体的には、第1の部分200は、カートリッジ100の上面を画定する剛性面250を備える。同様に、第2の部分500は、カートリッジ100の下面を画定する(
図7に最もよく示された)剛性面570を備える。
図2に戻ると、第1の部分200は、剛性面250に接合された側壁252をさらに備え、第2の部分500は、剛性面570に接合された側壁572をさらに備えることが分かる。第1の部分200の側壁252および第2の部分500の側壁572は共に協働して、カートリッジ100の側壁を画定する。
【0123】
カートリッジ100は、第1の部分200および第2の部分500によって画定されたハウジング内に配置された流体層300をさらに備える。具体的には、流体層300は、第1の部分200の剛性面250と第2の部分500の剛性面570との間に配置される。したがって、流体層300は、剛性面250の形態の第1の剛性層と剛性面570の形態の第2の剛性層との間に配置される。流体層300は、熱可塑性エラストマー(TPE:thermoplastic elastomer)、例えばシリコンベースTPEもしくはスチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS:styrene-ethylene-butylene-styrene)などのエラストマー材料、ポリジメチルシロキサン(PDMS:polydimethylsiloxane)、または液体シリコーンゴム(LSR:liquid silicone rubber)から形成される。
【0124】
以下により詳細に記載されるように、流体層300の第1の表面308は、(例えば、
図13に示された)複数のバルブ領域302を備える。カートリッジ100は、流体層300のバルブ領域302に力を加えて、カートリッジ100内の(
図21に示された)1つまたは複数の導管600を閉じるアクチュエータ700を備える分析装置内に受け入れられる。流体層300に使用される材料の特性は、アクチュエータ700によって流体層300のバルブ領域302に加えることができる利用可能な力に依存する。重要な2つの特性は、材料の硬度、および材料の緩和時間(すなわち、材料が変形後にその元の形態に戻るための時間)である。適切な材料の例には、上記に列挙されたエラストマー材料が含まれる。いくつかの実装形態では、流体層300は、診断検査または診断分析で使用される試薬との流体層300の反応を防止するために、医療用材料であり得る。
【0125】
以下により詳細に記載されるように、流体層300は、第1の表面308と反対の流体層300の第2の表面310に(少なくとも部分的に)設けられた(
図17Bに示された)チャネル304のネットワークを備える。カートリッジ100はまた、流体層300内のチャネル304のネットワークによって少なくとも部分的に画定された複数の導管600を備える流体ネットワークを備える。具体的には、導管600は、(i)流体層300内のチャネル304のネットワーク、(ii)流体層300の第2の表面310内のチャネル304を封止するように構成された(
図2に示された)封止層400、および任意選択で(iii)第1の表面308に設けられたネットワークの任意のチャネル304を封止するように構成された封止層(図示せず)によって画定される。
【0126】
エラストマー流体層300にチャネル304を設けることにより、チャネル304のネットワークを封止するために使用される接着プロセス(例えば、感圧接着テープ、レーザ溶接など)に関係なく、流体層の封止が改善される。これは、エラストマー流体層300が別の層(例えば、封止層400)に対して封止されているときに柔軟層として機能するからである。加えて、流体層300にエラストマー材料を使用することは、それぞれの導管600を閉じるためにチャネル304を圧縮することができることを意味する。これは、チャネル304およびバルブ(すなわち、バルブ領域302)を実装するために単一の層を利用することができ、それによって簡単なカートリッジ構造が提供されることを意味する。
【0127】
図2に示された分解図に戻ると、カートリッジ100は、第1の部分200の剛性面250の少なくとも一部を覆うように配置されたラベル110と、流体層300と第1の面250との間のカートリッジ100内に配置された複数の液体貯蔵カプセル120と、流体層300内の(
図13に最もよく示された)1つまたは複数のチャンバ332を封止するように配置された封止テープ130とをさらに備えることが分かる。
【0128】
図2はまた、カートリッジ100が、各々がカートリッジ100の対応する測定チャンバ610を部分的に画定する複数の開口142を備えるフローセルストリップ140と、複数のセンサを備えるセンサストリップ150であって、各センサが測定チャンバ610のそれぞれ1つと流体連通している、センサストリップ150と、各々が第2の部分500に設けられた対応する廃棄チャンバ508a、508b内に嵌合するように配置された1対の吸収性廃棄物パッド160とをさらに備えることを示す。(例えば、
図15に示された)いくつかの実装形態では、フローセルストリップ140は存在せず、測定チャンバ610を部分的に画定する開口454が代わりに代替の封止層450に設けられる。
【0129】
図1および
図2に示されたように、第1の部分200は、採血管(例えば、Becton,Dickinson and Company of Franklin Lakes,NJ,USA製のVacutainer(登録商標)採血管)などの液体貯蔵容器の一部を受け入れるように構成されたシリンダ202の形態のレセプタクルを備える。採血管は、通常、ある容積の液体(例えば血液)と、ある体積の気体を含むヘッドスペースとを含む。
【0130】
図3の断面図に示されたように、カートリッジ100は、(
図3に示された)第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成までシリンダ202内で作動可能なピストン204の形態の作動可能液体抽出機構をさらに備える。
【0131】
シリンダ202は、第1の円筒形内部容積を画定する第1のシリンダ部分202aと、第2の円筒形内部容積を画定する第2のシリンダ部分202bとを備える。第2の円筒形内部容積は、第1の円筒形内部容積から延在する。第2の円筒形内部容積の断面積は第1の円筒形内部容積の断面積よりも小さく、その結果、第2の円筒形内部容積は第1の円筒形内部容積よりも狭い。環状フランジ212がシリンダ202内に配置され、第1の円筒形内部容積を第2の円筒形内部容積に接合する。環状フランジ212は、第1の円筒形内部容積のための端壁として機能する。
【0132】
シリンダ202はまた、第1の円筒形内部容積内に配置された第3のシリンダ部分202cを備える。第3のシリンダ部分202cは、第3の円筒形内部容積を画定する。第3の円筒形内部容積の断面積は、第1の円筒形内部容積の断面積と第2の円筒形内部容積の断面積との間にある。第3のシリンダ部分202cは、第2のシリンダ部分202bが延在する方向とは反対の方向に環状フランジ212から突出する。第3のシリンダ部分202cの直径は、第1の円筒形内部容積の直径よりも小さく、それは、第1のシリンダ部分202aと第3のシリンダ部分202cとの間に環状間隙が存在することを意味する。第3のシリンダ部分202cの高さは、第1のシリンダ部分202aの高さよりも低く、それは、第3のシリンダ部分202cが第1の円筒形内部容積の途中まで突出することを意味する。
【0133】
ピストン204は、第1および第2の環状(例えばOリング)シール210a、210bの形態の2つの封止要素を含む。第1のOリングシール210aは、ピストン204と第3のシリンダ部分202cの内壁との間にシールを提供するように構成される。第2のOリングシール210bは、ピストン204と第2のシリンダ部分202bの内壁との間にシールを提供するように構成される。ピストン204、環状フランジ212、ならびに第2のシリンダ部分202bおよび第3のシリンダ部分202cの内壁は共に、第1のOリングシール210aおよび第2のOリングシール210bによって封止されたチャンバ214を画定する。シリンダは、ピストン204が第2の構成にあるときに空気が第2のOリングシール210bの周りを流れることを可能にすることにより、第2のOリングシール210bによって提供される封止を損なうように構成されたシリンダ出口216を含む。シリンダ出口216はまた、液体が採血管から抽出されると、液体がシリンダ202内から除去されることを可能にする。シリンダ出口216は、カートリッジ100内の通気式流体配置への接続を提供する(以下でさらに記載される)試料入口チャネル230と流体連通している。それにより、シリンダ出口216は、シリンダ202内の構成要素からカートリッジ100の他の流体構成要素に液体が移送されることを可能にする。
【0134】
ピストン204は、穿刺要素の形態の採血管界面などの液体貯蔵容器界面を備える。穿刺要素は、針206の形態で
図3に示されている。針206は、液体貯蔵容器が針206に接続されたときに、液体貯蔵容器内の液体の容積(例えば、採血管内の血液の容積)への流体接続を提供するように構成される。針206は、ピストン204が第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成まで作動するにつれて針206がシリンダ202内で移動するように、ピストン204に固定して取り付けられる。針206は、採血管から抽出された液体が流れることができる液体抽出出口208を備える。液体抽出出口208は、ピストン204が第2の構成にあるときに針206とシリンダ出口216との間の流体接続を提供する。
【0135】
(
図3に示された)第1の液体抽出機構構成では、ピストン204は、シリンダ202内のシリンダ出口216の上に位置する(すなわち、シリンダ202の第2のOリングシール210bと端壁218との間に間隙が存在する)。
【0136】
採血管が針206に接続した後、チャンバ214の容積は、ピストン204が第1の液体抽出機構構成から第2の液体抽出機構構成まで作動するにつれて減少する。チャンバ214の容積の減少は、チャンバ214がOリングシール210a、210bによって封止されているので、チャンバ214内の空気の圧力の上昇をもたらす。チャンバ214内の空気圧の上昇は、針206を通って採血管内に空気を押し込み、それにより、採血管内のガスの体積の圧力が上昇する。チャンバ214および採血管内の空気の圧力の上昇は、ピストン204が第2の構成に向かって作動するにつれて継続する。
【0137】
ピストン204が第2の構成になると、第2のOリングシール210bはシリンダ出口216と位置合わせされ、その結果損なわれ、それは、チャンバ214内の圧搾空気がシリンダ出口216を通って流れることができることを意味する。これにより、チャンバ214と流体連通する液体抽出出口208の圧力が低下し、それにより、採血管内のガスの体積と液体抽出出口208との間に圧力差が生じる。この圧力差は、針206を介して採血管から液体を押し出し、シリンダ出口216と位置合わせされた液体抽出出口208を介して試料入口チャネル230に液体を押し込む。
【0138】
カートリッジ100は、(
図3に示された)第1の安全機構構成から第2の安全機構構成までシリンダ202内で作動可能な作動可能安全機構220をさらに備える。安全機構220は、安全機構220が第1の安全機構構成にあるときに、液体貯留容器界面(すなわち、針206)を隠すように構成され、安全機構220が第2の安全機構構成にあるときに、液体貯留容器界面を見せるように構成される。
【0139】
安全機構220は、少なくとも1つの球状遮断要素222を備える(2つの球状遮断要素222が
図3に示されている)。遮断要素222のうちの少なくとも1つは、シリンダ202が(水平方向などの)第1の向きにあるときに、第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への安全機構220の作動を防止する。遮断要素222のうちの少なくとも1つはまた、シリンダ202が(垂直方向などの)第2の向きにあるときに、第1の安全機構構成から第2の安全機構構成への安全機構220の作動を可能にする。
【0140】
カートリッジ100は、ばね224の形態で
図3に示された弾性的に変形可能な要素をさらに備える。ばね224は、安全機構220がピストン204に向かって移動するときに(すなわち、安全機構220が第1の安全機構構成から第2の安全機構構成まで作動するときに)変形する。ばね224は、ばね224を圧縮するために加えられた力が解放されると、安全機構220をピストン204から離れるように付勢するように構成される。したがって、ばね224は、安全機構220を第2の安全機構構成から離れて第1の安全機構に向かって付勢し、それにより、液体貯蔵容器からの液体の抽出後に針206が再び隠される。
【0141】
カートリッジ100は、十分な量の液体が液体貯蔵容器(例えば、採血管)から抽出されたという視覚的指示をユーザに提供する(
図4により明確に示された)試料適合性制御チャンバ236をさらに備える。詳細には、試料適合性制御チャンバ236は、特定の診断検査に十分な容積の液体が抽出されたという視覚的指示を提供することができる。例えば、
図1に示されたように、試料適合性制御チャンバ236は、シリンダ202が垂直方向にあるときに(すなわち、カートリッジ100が液体貯蔵容器から液体を抽出するために使用されるときに)、上方に配置されたカートリッジ100の側壁内の光学的に透明な窓238を通して視覚的指示を提供するように構成される。
【0142】
図3に示された試料適合性制御チャンバ236は、試料入口チャネル230と流体連通する第1の流路の一部を形成する。
図3および
図4に示されたように、カートリッジ100はまた、特定の容積の液体を貯蔵するように構成された計量チャンバ232を含む。例えば、計量チャンバ232は、特定の診断検査に必要な容積の液体を貯蔵することができる。第1の流路は、計量チャンバ232と、計量チャンバ232と試料適合性制御チャンバ236との間の流体接続を提供するコネクタチャネル234と、試料適合性制御チャンバ236と、(
図13に示された)封止層400内の廃棄物出口401を介して試料適合性制御チャンバ236と流体連通する試料廃棄チャンバとを含む。試料廃棄チャンバは、第2の部分500内に第1のウェル504の形態で設けられ、
図10~
図12に最もよく示されている。以下でより詳細に記載されるように、第1のウェル504によって画定された試料廃棄チャンバは通気されている。
【0143】
カートリッジ100は、計量チャンバ232内の出口ポート(図示せず)から延在する(同様に
図10~
図12に最もよく示された)計量チャンバ出口チャネル502を備える第2の流路をさらに備える。計量チャンバ出口チャネル502は、封止層400内の(
図13に示された)孔402を介して計量チャンバ232と流体連通している。計量チャンバ出口チャネル502は、液体がカートリッジ100の他の流体構成要素に吸引されることを可能にする。代替の実装形態は、計量チャンバ232またはコネクタチャネル234を含まない場合があり、その場合、計量チャンバ出口チャネル502は、液体の特定の容積を計量するように構成された試料適合性制御チャンバ内の出口ポートから延在する。
【0144】
(計量チャンバ出口チャネル502を含む)第2の流路は、(試料適合性制御チャンバ236と、任意選択で計量チャンバ232およびコネクタチャネル234とを含む)第1の流路よりも高い油圧抵抗を提供する。これは、第1の流路を通る液体の流量が第2の流路を通る流量よりも高いことを意味する。第1の流路を通るより高い流量は、液体が試料適合性制御チャンバ236に流入して、計量チャンバ出口チャネル502を完全に満たすことなく、十分な容積の液体が受け取られたという視覚的指示を提供することを意味する。
【0145】
カートリッジが組み立てられると、試料入口チャネル230、コネクタチャネル234、および計量チャンバ出口チャネル502の各々は、封止層400によって封止された対応する導管を画定する。
【0146】
図3はまた、カートリッジ100内の複数の液体貯蔵カプセル120の配置を示す。詳細には、液体貯蔵カプセル120は、封止テープ180を使用して流体層300に封止される。
図3は、封止テープ180が、流体層300の上方に突出する特徴(すなわち、
図13を参照してさらに詳細に記載される、空気圧ポート312およびチャンバ332を画定する突部330)を可能にする開口を含むことを示す。
図3に示されたように、各液体貯蔵カプセル120は、入口チャンバ122と、液体試薬などの液体を貯蔵する主チャンバ124と、出口チャンバ126とを備える。封止層(例えば、封止箔)は、各液体貯蔵カプセル120のチャンバ122、124、126を封止するために使用される。入口チャンバ122および出口チャンバ126は、各々(
図7および
図8に最もよく示されたように)チャンバの上面に対応する凹部128a、128bを備える。
【0147】
図3に示された液体貯蔵カプセル120は、2つの小さい液体貯蔵カプセル120aと、2つの大きい液体貯蔵カプセル120bとを含む。小さい液体貯蔵カプセル120aは、小さい貯蔵カプセル120aの凹部128a、128bがすべて直線状になるように位置合わせされる。大きい液体貯蔵カプセル120bの各々は、大きい液体貯蔵カプセル120bが互いに平行になるように、対応する小さい液体貯蔵カプセル120aに対して垂直に配置される。
【0148】
以下でより詳細に説明されるように、液体貯蔵カプセル120の各々は、流体層300内の2つの開口部350の上に配置される。具体的には、液体貯蔵カプセル120の入口チャンバ122は、開口部350のうちの第1の開口部を覆い、液体貯蔵カプセル120の出口チャンバ126は、開口部350のうちの第2の開口部を覆う。液体貯蔵カプセル120の凹部128a、128bに力が加わると、液体貯蔵カプセル120の材料が開口部350の各々の中に変形する。十分な力が加えられると、液体貯蔵カプセル120の開口部350の中への変形は、カプセル120を封止するために使用される封止層(例えば、箔)の破裂を引き起こす。
【0149】
代替の実装形態では、入口チャンバ122および出口チャンバ126は、凹部128を含まない場合がある。代わりに、液体貯蔵カプセル120を変形させるために、入口チャンバ122および出口チャンバ126の一部に力が直接加えられる場合がある。
【0150】
図4は、第1の部分200の等角下面図である。
図4~
図6に示されたように、第1の部分200は、作動可能部分240が液体貯蔵カプセル120を変形させない第1の位置から、作動可能部分240が液体貯蔵カプセル120を変形させる第2の位置まで作動可能な作動可能部分240(例えば、作動可能プラットフォーム)を備える。作動可能部分240は、(
図9Aおよび
図9Bに最もよく示されているように)第1の部分200の剛性面250に対して作動可能であり、第1の部分200の剛性面250に垂直な方向に作動可能である。作動可能部分240は剛性である。
【0151】
作動可能部分240は、液体貯蔵カプセル120の各々に向かって変形することができるように、U字形である。作動可能部分240のU字形はまた、作動可能部分240が流体層300の第1の表面308から延在する(
図13に示された)突部330の周りを通ることを可能にする。
【0152】
図4に示されたように、作動可能部分240の下面は、(
図6Bの断面図に示された)4対の突起242を備える。各対の突起242は、液体貯蔵カプセル120に向かって延在し、液体貯蔵カプセル120のうちの1つの凹部128a、128bと位置合わせされる。したがって、作動可能部分240が第2の位置に移動すると、突起242はカプセル120の凹部128a、128bと係合する。代替の実装形態では、液体貯蔵カプセル120は凹部128a、128bを含まない場合があり、その場合、突起242は、各液体貯蔵カプセル120の入口チャンバ122および出口チャンバ126の一部(例えば、入口チャンバ122および出口チャンバ126の平坦またはドーム状の上面)と係合することができる。
【0153】
図6Bに示されたように、作動可能部分240の下面はまた、4つの凹状領域244を含む。各凹状領域244は、突起242うちの2つの間に位置する。各凹状領域244は、作動可能部分240が第2の位置にあるときにその対応する液体貯蔵カプセル120の主チャンバ124を収容するように構成される。これは、作動可能部分240が第2の位置にあるときに主チャンバ124が作動可能部分240によって変形しないことを意味する。
【0154】
突起242が単一の作動可能部分240から延在すると仮定すると、作動可能部分242の第2の位置への作動は、複数のカプセル120の各々の同時変形を引き起こす。その結果、カートリッジ100内のすべてのカプセル120は、作動可能部分240の単一の動きを使用して穿刺することができる。
【0155】
代替の実装形態では、作動可能部分240は、突起242の2つのセット:各々が液体貯蔵カプセル120の凹部128に向かって第1の距離だけ延在する突起の第1のセット、および各々が液体貯蔵カプセル120の凹部128に向かって第2の距離だけ延在する突起の第2のセットを備える場合があり、第2の距離は第1の距離よりも小さい。
【0156】
この代替の実装形態は、二段階での液体貯蔵カプセル120の穿刺を可能にする。突起の第1のセットと位置合わせされたカプセル120は、(上述されたように)作動可能部分240が第2の位置に移動すると、最初に穿刺される。しかしながら、突起の第2のセットと位置合わせされたカプセル120を穿刺するために、作動可能部分240は、(突起の第2のセットの方が短いので)第2の位置を越えて第3の位置まで作動する。したがって、この代替の実装形態は、他のカプセルが穿刺される前に液体(例えば、液体試薬)がいくつかのカプセルから放出されることを可能にする。
【0157】
したがって、例えば、第1および第2のカプセルに貯蔵された液体試薬を伴う流体ワークフロー工程は、(例えば、第3および第4のカプセル内の液体試薬が流体ワークフローの後の段階で必要とされる場合)第3および第4のカプセルから液体試薬を放出する前に完了する場合がある。カプセル120からの液体の放出をさらに調整するために、作動可能部分240から異なる距離だけ延在する突起の追加のセットが実装される場合がある。
【0158】
図5および
図6Bに示されたように、作動可能部分240の上面(すなわち、外面)は、平坦である(または複数の平坦領域を含む)。作動可能部分240の平坦面は、作動可能部分240を移動させるために特定の形状のアクチュエータを必要とせずに、作動可能部分240が第1の位置から第2の位置まで容易に移動することを可能にする。
【0159】
図4および
図5はまた、剛性面250が複数の開口254を含むことを示す。複数の開口254は、流体層300のバルブ領域302と位置合わせされた開口254aと、流体層300の第1の空気圧ポート312aと位置合わせされた開口254bと、流体層300の第1の表面308から延在する突部330とともに、流体層300の第2の空気圧ポート312bおよび第3の空気圧ポート312cのための開口部を提供する開口254cとを含む。
図13を参照して、ポート312および突部330が記載される。
【0160】
剛性面250内の開口254aは、(例えば、
図21に示されたように)流体層300のバルブ領域302が外部バルブアクチュエータによってアクセスされることを可能にする。同様に、開口254bおよび254cは、(例えば、
図23Aに示されたように)流体層300の空気圧ポート312が外部空気圧アクチュエータによってアクセスされることを可能にする。
【0161】
図6Bおよび
図7はまた、作動可能部分240を第1の部分200に結合する弾性的に変形可能な部材246を示す。弾性的に変形可能な部材246は、作動可能部分240を第2の位置から離れるように(すなわち、第1の位置に向かって)付勢するように構成される。したがって、弾性的に変形可能な部材246は、作動可能部分を液体貯蔵カプセル120の凹部128a、128bとの係合から離れるように強制する。
【0162】
各弾性的に変形可能な部材246は、弾性的に変形可能な部材246が作動可能部分240の第2の位置への移動中に弾性変形を受けることを可能にする湾曲した(具体的には、U字形の)輪郭を有する。
図9Bは、作動可能部分240が第2の位置にあるときの弾性的に変形可能な部材246の変形を示し、
図9Aは、作動可能部分240が第2の位置にあるときの第1の部分200に対する作動可能部分240の位置を示す。
【0163】
弾性的に変形可能な部材246は、作動可能部分240および第1の部分200と同じ材料から形成される。言い換えれば、弾性的に変形可能な部材246は、各々が弾性的なリビングヒンジの形態で設けられた第1の部分200および作動可能部分240と一体である。これにより、作動可能部分240および弾性的に変形可能な部材246を含む第1の部分200の製造が簡略化される(例えば、射出成形によって製造される)ことが可能になる。
【0164】
図4~
図6Aに示されたように、第1の部分200は、複数の弾性的に変形可能な部材246を含む(
図4~
図6Aに示された例では、4つの弾性的に変形可能な部材246が示されている)。複数の弾性的に変形可能な部材246を設けることにより、作動可能部分240が垂直方向に作動することが可能になり、それは、作動可能部分240が第1の部分にあるとき、および作動可能部分240が第2の位置にあるとき、作動可能部分240が各液体貯蔵カプセル120の基部(すなわち、封止層)に平行であることを意味する。作動可能部分240の垂直移動は、特定の液体貯蔵カプセル120の凹部128に同じ力が加えられることを可能にする。
【0165】
詳細には、
図5に示されたように、弾性的に変形可能な部材246のうちの第1の部材は、作動可能部分240の第1の縁部256aに接続され、弾性的に変形可能な部材246のうちの第2の部材は、第1の縁部256aの反対側にある作動可能部分240の第2の縁部256bに接続され、弾性的に変形可能な部材246のうちの第3の部材も、作動可能部分240の第1の縁部256aに接続されるが、弾性的に変形可能な部材246のうちの第1の部材の接続点から離間し、弾性的に変形可能な部材246のうちの第4の部材は、同様に第1の縁部256aの反対側にある作動可能部分240の第3の縁部256cに接続される。
【0166】
図7および
図8は、作動可能部分240が第1の位置にあるときの、液体貯蔵カプセル120の凹部128a、128bとの突起242の位置合わせを示す。作動可能部分240をその第2の位置に向かって移動させるために力が作動可能部分240に加えられると、突起242は凹部128a、128bと係合し、液体貯蔵カプセル120の入口チャンバ122および出口チャンバ126の変形を引き起こすことが理解されよう。具体的には、入口チャンバ122の下側にある封止層は、開口部350のうちの第1の開口部の中に変形し、出口チャンバ126の下側にある封止層は、開口部350のうちの第2の開口部の中に変形する。入口チャンバ122および出口チャンバ126の変形は、入口チャンバ122および出口チャンバ126の下側にある材料の破裂を引き起こし、それは、入口チャンバ122および出口チャンバ126の各々に開口部が作成されることを意味する。
【0167】
入口チャンバ122および出口チャンバ126の下側にある材料の破裂は、凹部128a、128bに力を加えることによって実現され、その力は入口チャンバ122および出口チャンバ126の下側にある材料と凹部128を接触させる。これにより、入口チャンバ122および出口チャンバ122の下側にある材料が開口部350の中に変形する。カプセル120の上面は、凹部128の変形を可能にするために、塑性変形が可能な材料から形成される。
【0168】
図10は、第2の部分500を示す。上述されたように、第2の部分500は、計量チャンバ232と流体層300との間の流体接続を提供する計量チャンバ出口チャネル502を含む。第2の部分500はまた、第1のウェル504によって画定された試料廃棄チャンバを含む。試料廃棄チャンバは、カートリッジ100内の試料の受け取り中に第1の部分200内の試料適合性制御チャンバ236から溢れる過剰な試料を受け取る。試料廃棄チャンバは、第2の部分500に孔の形態で設けられた(
図12に最もよく示された)永久通気口506と流体連通している。試料廃棄チャンバおよび永久通気口506は、
図12を参照して以下により詳細に記載される。
【0169】
第2の部分500は、2つのさらなる廃棄チャンバ(第1の廃棄チャンバ508aおよび第2の廃棄チャンバ508b)をさらに備え、それらの各々は、剛性面570の内面に2つの細長い凹部の形態で設けられる。2つの廃棄チャンバ508a、508bは、第1の廃棄チャンバ508aと第2の廃棄チャンバ508bとの間に延在する横方向チャネル512を介して互いに流体連通している。
【0170】
第2の部分500は、剛性面570の内面に半環状溝の形態の第1のトラフ514aと、剛性面570の内面に環状溝の形態の第2のトラフ514bと、剛性面570の内面に追加の半環状溝の形態の第3のトラフ514cとをさらに備える。トラフ514の各々は、以下により詳細に記載されるように、流体層300内の空気圧ポート312と流体層300の1つまたは複数のチャネル304との間の流体接続を提供する。具体的には、
図17Aおよび
図17Bを参照して記載されるように、いくつかのチャネル304は、封止層400内の孔を介してトラフ514に流体接続される。
【0171】
第2の部分500は、第1のトラフ514aを形成する半環状溝の起点に設けられた第1の空気圧ポート支持体516aと、第2のトラフ514bを形成する環状溝の起点に設けられた第2の空気圧ポート支持体516bと、第3のトラフ514cを形成する半環状溝の起点に設けられた第3の空気圧ポート支持体516cとをさらに備える。空気圧ポート支持体516の各々は、平坦な上面を有する円錐台(または半円錐台)の形状を有する。空気圧ポート支持体516の各々は、カートリッジ100が組み立てられたときに、流体層300の対応する空気圧ポート312の下に配置される。
【0172】
第1の空気圧ポート支持体516aは、その平坦な上面にチャネル518aを備える。チャネル518aは、第1の空気圧ポート支持体516aの中心から第1のトラフ514aまで延在する。同様に、第2の空気圧ポート支持体516bは、その平坦な上面にチャネル518bを備える。チャネル518bは、第2の空気圧ポート支持体516bの中心から第2のトラフ514bまで延在する。同様に、第3の空気圧ポート支持体516cは、その平坦な上面にチャネル518cを備える。チャネル518cは、第3の空気圧ポート支持体516cの中心から第3のトラフ514cまで延在する。カートリッジ100が組み立てられると、(封止層400を介して)各空気圧ポート312の開口部316と対応する空気圧ポート支持体516のチャネル518との間に流体接続が存在する。
【0173】
ポート支持体516は、流体層300の第2の表面310内のチャネル304を封止するために使用される封止層400の下側と接触している。これは、(
図13を参照して記載される)流体層300の空気圧ポート312に力が加えられると、封止層400とポート支持体516との間の接触が、加えられた力に対する反力を提供し、それによって封止層400の下方への変形が防止されることを意味する。これは、空気圧ポート312が空気圧アクチュエータとのシールを形成するのを助ける。
【0174】
第2の部分500内のトラフ514は、分析装置の空気圧アクチュエータ712に接続する空気圧ポート312に液体が到達することを防止する。したがって、トラフ514は、特に液体の吸引中に、液体が分析装置に到達することを防止する。そのような液体は、分析装置を潜在的に汚染または損傷する可能性がある。空気圧は、ポート支持体516の平坦な上面上のチャネル518を介して供給される。チャネル518がトラフ514の基部の上に配置されると仮定すると、流体層300内のチャネル304から引き込まれたいかなる液体も、トラフ514の底部に溜まり、チャネル518に到達しない。したがって、流体層300内のチャネル304から引き込まれたいかなる液体も、チャネル518を通って、空気圧ポート312を介して空気圧アクチュエータ710に引き込まれない。
【0175】
第2の部分500は、第2のトラフ514bと、2つの廃棄チャンバ508a、508bを接続する横方向チャネル512との間に延在する長手方向チャネル522をさらに備える。したがって、第2のトラフ514bおよびチャネル518bは、長手方向チャネル522および横方向チャネル512を介して2つの廃棄チャンバ508a、508bと流体連通している。
【0176】
横方向チャネル512および長手方向チャネル522は、2つの廃棄チャンバ508が空気圧ポート312(具体的には、第2の空気圧ポート312b)と流体連通することを可能にする。流体連通は、第2のポート支持体516b内の第2のトラフ514bおよびチャネル518bによって提供される。廃棄チャンバ508と第2の空気圧ポート312bとの間の流体連通は、廃棄チャンバ508の通気状態が制御されることを可能にする。これは、以下でより詳細に記載されるように、第2の空気圧ポート312bを通気することができるからである。
【0177】
第2の部分500はまた、(
図11に破線で示された)複数のバルブ支持領域524a~524lを備える。
図10および
図11に示された例では、12個のバルブ支持領域524が示されている。バルブ支持領域524の各々は、流体層300内の対応するバルブ領域302と位置合わせされる。バルブ支持領域524の各々は、流体層300の第2の表面310内のチャネル304を封止するために使用される封止層400の下側と接触している。これは、(
図21に示された)アクチュエータ700によって流体層300のバルブ領域302に力が加えられると、バルブ領域302がアクチュエータ700と対応するバルブ支持領域524との間で圧縮されることを意味する。これは、廃棄チャンバ508a、508bが流体層300のバルブ領域302の下に延在しないことを意味する。
【0178】
第2の部分500は、(同様に
図11に破線で示された)複数のカプセル支持領域526a~526hをさらに備える。
図10および
図11に示された例では、8個のカプセル支持領域526が示されている。カプセル支持領域526の各々は、複数のカプセル120のうちの1つの入口チャンバ122または出口チャンバ126と位置合わせされた流体層300内の対応する開口部350と位置合わせされる。カプセル支持領域526の各々は、流体層300の第2の表面310内のチャネル304を封止するために使用される封止層400の下側と接触している。これは、作動可能部分240の対応する突起242によって複数のカプセル120のうちの1つの凹部128に力が加えられると、流体層300が対応するカプセル支持領域526によって変形させられることが防止されることを意味する。これは、廃棄チャンバ508a、508bが流体層300内の開口部350の下に延在しないことを意味する。
【0179】
図12に示されたように、試料廃棄チャンバは、第1の部分500の剛性面570内に第1のウェル504の形態で設けられる。第1のウェル504は、カートリッジ100が組み立てられたときに封止層400と接触する、第1のウェル504の基部530と剛性面570の封止面574との間の距離によって画定される深さを有する。
【0180】
剛性面570はまた、第2のウェル532の基部534と封止面574との間の距離によって画定される深さを有する第2のウェル532を含む。以下により詳細に説明されるように、第2のウェル532は、永久通気口506と流体連通している。詳細には、第2のウェル532は第1のウェル504と永久通気口506との間に配置され、その結果、第1のウェル504は第2のウェル532を介して永久通気口506と流体連通している。
【0181】
第1のウェル504と第2のウェル532との間には、第1の複数の溝536(例えば、
図12に示されたように、3つの溝536)が設けられる。溝536の各々は、傾斜基部538を有する。各溝536は、傾斜基部538と封止面574との間の距離によって画定される深さを有する。溝536の基部538は、第1のウェル504に隣接する溝536の第1の端部540aにある溝536の最大深さと、第2のウェル532に隣接する溝536の第2の端部540bにある溝536の最小深さとの間で傾斜している。言い換えれば、各溝536の第2の端部540bは、各溝536の第1の端部540aの上に配置される。これは、各溝536の第1の端部540aの深さが各溝536の第2の端部540bの深さよりも大きいことを意味する。
【0182】
第1のウェル504と第2のウェル532との間の液体の流れのための2つ以上の経路により、第1のウェル504と第2のウェル532との間の液体閉塞の可能性が低減される。
【0183】
溝536の傾斜基部538は、第1のウェル504の基部530の上および第2のウェル532の基部534の上に配置される。これは、(第1のウェル504によって画定される)試料廃棄チャンバの深さが各溝536の最大深さよりも大きいことを意味する。同様に、第2のウェル532の深さも、各溝536の最大深さよりも大きい。
【0184】
傾斜基部538の効果は、液体が溝536のうちの1つに流入する場合でも、溝536から液体を除去するために必要な圧力が低減されることを意味する。これは、溝536の傾斜基部538が重力下で第1のウェル504に向かって液体を流れさせるからである。言い換えれば、溝536は、第1のウェル504によって画定されたサンプル廃棄チャンバに負圧が加えられたときに空になりやすい。傾斜形状は毛細管停止としても機能し、液体が第2のウェル532に進むのを防止するのに役立つ。
【0185】
第2のウェル532は、第2のウェル532と第3のウェル542との間に延在する第1のコネクタチャネル544を介して第3のウェル542と流体連通している。第3のウェル542は、第2のウェル532と永久通気口506との間に配置される。第1のコネクタチャネル544は、第1のコネクタチャネル544の基部546と封止面574との間の距離によって画定される深さを有する。第1のコネクタチャネル544の基部546は、第2のウェル532の基部534の上に配置され、それは、第2のウェル532の深さが第1のコネクタチャネル544の深さよりも大きいことを意味する。
【0186】
図12に示されたように、コネクタチャネル544は単一のチャネルであり得る。代替の実装形態では、コネクタチャネル544は、第2のウェル532と第3のウェル542との間に延在する複数の溝を備える場合がある。複数の溝は、第1のウェル504と第2のウェル532との間に延在する複数の溝536と同様の構造内にあり得る。
【0187】
第3のウェル542は、第3のウェル542から延在する通気チャネル548と流体連通している。第3のウェル542は、通気チャネル548を介して永久通気口506と流体連通している。具体的には、通気チャネル548は、第3のウェル542と永久通気口506との間に延在する。通気チャネル548は、第3のウェル542に隣接する(すなわち、流体連通する)第1の端部と、永久通気口506に隣接する(すなわち、流体連通する)第2の端部とを有する。上記で説明されたように、永久通気口506は、剛性面570を通って延在する第2の部分500内の孔の形態で設けられる。
【0188】
図12は、通気チャネル548が第3のウェル542から第1の方向(すなわち、封止面574に平行)に延在し、孔が剛性面570を通って第2の方向に延在する(すなわち、第2の方向が第1の方向に垂直になるように、封止面574から離れて、より詳細には封止面574に垂直に延在する)ことを示す。孔は剛性面570の外面まで延在する。
【0189】
第2の部分500は、第4のウェル552も含む。第4のウェル552は、第1のウェル504と流体連通し、第1のウェル504の第2のウェル532とは反対側の端部に位置する。第4のウェル552は、第4のウェル552の基部554と封止面574との間の距離によって画定される深さを有する。第1のウェル504と第4のウェル552との間には、第2の複数の溝556(例えば、
図12に示されたように、2つの溝556)が延在する。第1の複数の溝536と同様に、第2の複数の溝556の各々は、第1のウェル504の基部530の上および第4のウェル552の基部554の上に配置された傾斜基部558を有する。これは、各溝556の最大深さが第1のウェル504の深さよりも小さく、また第4のウェル552の深さよりも小さいことを意味する。
【0190】
第4のウェル552は、第4のウェル552から延在する第2のコネクタチャネル560を介して第3のウェル542と流体連通している。第4のウェル552は、第2のコネクタチャネル560を介して永久通気口506と流体連通している。具体的には、第2のコネクタチャネル560は、第4のウェル552と第3のウェル542との間に延在する。したがって、流体回路は、(試料廃棄チャンバを画定する)第1のウェル504、第1の複数の溝536、第2のウェル532、第1のコネクタチャネル544、第3のウェル542、第2のコネクタチャネル560、第4のウェル552、および第2の複数の溝556から構成される。
【0191】
流体の移動に対する第1の複数の溝536および第2の複数の溝556の効果は、
図26に示された流体回路を参照してより詳細に記載される。
【0192】
図13は、カートリッジ100のフローセル(すなわち、測定チャンバ610)の第1の実装形態における、流体層300、封止層400、およびフローセルストリップ140を示す分解図である。封止層400は、流体層300の第2の表面310内のチャネル304を封止するように配置される。例えば、封止層400は、流体層300の第2の表面310を覆うように配置される場合があり、それにより、封止層400と流体層300の第2の表面310との間の直接接触を提供する。
【0193】
図13は、カートリッジの複数のバルブ領域302を示し、それらの各々は流体層300内に窪みの形態で設けられる。これは、流体層300がバルブ領域302の各々において縮小された厚さを有することを意味する。対応するチャネル304と位置合わせされる縮小された厚さの領域を設けることにより、バルブ領域302を変形させ、対応するチャネル304を閉じるために必要な力が低減される。
【0194】
図13には、流体層300の第1の表面308から延在する突部330も示されている。突部330は、
図20を参照してより詳細に記載されるように、複数のチャンバ332を画定する空洞を含む。流体層300の第1の表面308から延在する突部330を実装することは、突部330によって画定されるチャンバ332の容積が、その第1の表面308と第2の表面310との間の流体層300の厚さによって制限されないことを意味する。流体層300は、流体層300の厚さを通って延在する複数の開口部350をさらに備える。
【0195】
図13に示されたように、流体層300は、複数の空気圧ポート312(例えば、
図13に示された3つの空気圧ポート312a、312b、および312c)をさらに備える。各空気圧ポート312は、第1の表面308から延在する突起314を備える。以下でより詳細に記載されるように、各突起314は、円錐台状の形状(すなわち、円錐台形状)を有する。
【0196】
各ポート312は、(
図19Dおよび
図19Eに最もよく示されたように)突起314および流体層の厚さの少なくとも一部を通って延在する開口部316をさらに備える。
図13に示された例では、開口部316は流体層300の厚さ全体を通って延在する。
【0197】
したがって、流体層300は、開口部の2つのセット:液体貯蔵カプセル120の真下に配置され、作動可能部分240上の突起242と位置合わせされた第1の複数の開口部350、および各々が空気圧ポート312の対応する突起314を通って延在する第2の複数の開口部316を備える。開口部のこれらのセットは、流体層300内のチャネル304のネットワークとカートリッジ100の他の流体構成要素(例えば、カプセル120および空気圧ポート312)との間の連通を可能にする。
【0198】
各空気圧ポート312は、複数の支持リブ318(例えば、
図17Cに示されたように、8つの支持リブ318)をさらに備える。各支持リブ318は、第1の表面308と突起314のうちの1つとの間に延在する。支持リブ318は、(例えば、
図23Bおよび
図24Bに示された)空気圧アクチュエータ710によって空気圧ポート312に力が加えられたときに、空気圧ポート312の過度の変形を防止するのに役立つ。空気圧アクチュエータ710は、カートリッジ100が受け入れられた分析装置の構成要素であり得る。
【0199】
加えて、各突起314は、突起314の開放端(すなわち、第1の表面308から最も遠い突起の端部)に(
図23A~
図25に最もよく示された)環状リム320を備える。以下でさらに記載されるように、環状リム320の形状は、(
図23Bおよび
図24Bに示された)空気圧アクチュエータ710によって空気圧ポート312に力が加えられたときに、環状リム320が内側に変形するか外側に変形するかを部分的に決定する。
【0200】
上述された流体層300のすべての構成要素は流体層300と一体であり、それは、それらがすべて流体層300と同じエラストマー材料から形成されることを意味する。より具体的には、突部330、突起314、支持リブ318、および環状リム320は、すべて流体層300と一体であり、流体層300と同じエラストマー材料から形成される。
【0201】
フローセルストリップ140の各開口142は、カートリッジ100の(
図14Aに概略的に示された)対応する測定チャンバ610を部分的に画定する。詳細には、各開口142は、測定チャンバ610の内壁を画定する。したがって、測定チャンバ610の高さは、フローセルストリップ140の厚さによって画定される。各測定チャンバ610の上部内面は、封止層400によって提供される。各測定チャンバ610の下部内面は、(
図2に示された)センサストリップ150の1つまたは複数の電極(図示せず)および誘電体層(図示せず)を備えるセンサ表面によって提供される。したがって、各開口142の境界は、対応する測定チャンバ610の周囲を提供し、それは、開口142が測定チャンバ610の領域を画定することを意味する。
【0202】
図13に示されたように、フローセルストリップ140の各開口142は、(
図17に示された)流体層300内のチャネル304から、封止層400内の対応する対のバイア(すなわち、孔)404を通ってアクセス可能である。対応する対のバイア404の各々は、流体層300内の対応するチャネル304の一端と位置合わせされる。これは、バイア404の各対が、対応する測定チャンバ610の上部内面に設けられることを意味する。
【0203】
図13は、封止層400が複数の非接着領域406(すなわち、バルブ領域302の各々の下にある12個の円)を備えることをさらに示す。バルブ領域302の下の封止層400の上面に非接着領域406を設けることにより、バルブ領域302に力が加えられたときにチャネル304は封止層400に接着しない。その結果、非接着領域406は、力が取り除かれるとバルブが閉じたままになること、または力が取り除かれるとゆっくり開くことを防止する。
【0204】
封止層400はまた、第2の部分内の廃棄チャンバ508への流体接続を提供する流体層300のチャネル304と位置合わせされた廃棄孔(図示せず)を含むことが理解されよう。例えば、
図17Bを参照すると、封止層400は、第15のチャネル304oの端部および第18のチャネル304rの端部と位置合わせされた廃棄孔を含む場合がある。
【0205】
図14A~14Cは、測定チャンバを空にした後に残っている液体の量が、(i)出口導管の角度を変えること、(ii)バイアの測定チャンバの端部との位置ずれ、および(iii)バイアのサイズを変えることによってどのように変化するかを示す。
【0206】
図14A~
図14Cの測定チャンバ610は、
図14Aに概略的に示されたように、丸みを帯びた第1の端部612aから延在する第1のテーパ部分614a、丸みを帯びた第2の端部612bに向かって先細になる第2のテーパ部分614b、および第1のテーパ部分614aと第2のテーパ部分614bとの間に延在する一定断面の非テーパ中央部分612cの3つの部分を含む。
【0207】
第1のテーパ部分614aは、測定チャンバ610の壁(すなわち、対応する開口142の周囲)と測定チャンバ610を通る長手方向中心線との間に画定されるテーパ角を有する。同様に、第2のテーパ部分614bは、測定チャンバ610の壁と測定チャンバ610を通る長手方向中心線との間に画定されるテーパ角を有する。第1のテーパ部分614aおよび第2のテーパ部分614bのテーパ角は、テーパ角が大きいほど、測定チャンバ610を満たすかまたは空にする間に気泡が形成され、測定チャンバ610を空にした後に残留液が残ることになるので、30度未満であることが好ましい。流体層300内の流れの膨張がないので、30度未満のテーパ角も好ましい。
図14Aに示されたように、流体層300内の導管600は固定幅であり、それは流体層300内の流れの膨張がないことを意味する。代わりに、流体が測定チャンバ610に到達すると、流体の流れは外側に膨張する。30度未満のテーパ角は、測定チャンバ610内の流れの膨張の結果として気泡が形成される可能性を低減する(それは、例えば、45度などのより高いテーパ角で起こる可能性がある)。非常に小さいテーパ角は、(所与の長さの測定チャンバに対して)測定チャンバ610の設置面積が小さくなり、センサストリップ150の電極との接触面積が小さくなるので、望ましくないことが理解されよう。これらの考慮事項に照らして、第1のテーパ部分614aおよび第2のテーパ部分614bのテーパ角の好ましい範囲は、15度と25度との間である。25度未満のテーパ角は、測定チャンバ610内の流れの膨張の結果として気泡が形成される可能性をさらに低減する。
【0208】
測定チャンバ610の丸みを帯びた端部612は、各々一定の曲率を有する。したがって、丸みを帯びた端部612の各々の曲率は、曲率の原点および曲率の一定の半径に関して定義することができる。言い換えれば、測定チャンバ610の各丸みを帯びた端部612は、特定の半径を有する円弧の形態で設けられる。1つの例示的な実装形態では、丸みを帯びた第1の端部612aの半径は0.5mmであり、丸みを帯びた第2の端部の半径は0.5mmである。
【0209】
図14Aはまた、各々が封止層400によって封止された第2の表面310内の対応するチャネル304によって画定される、入口導管600aおよび出口導管600bを概略的に示す。加えて、
図14Aは、液体が測定チャンバ610に流入および流出することを可能にするバイア404の対を概略的に示す。バイア404の各対の一方は、測定チャンバ610の丸みを帯びた第1の端部612aと位置合わせされ、バイア404の各対の他方は、測定チャンバ610の丸みを帯びた第2の端部612bと位置合わせされる。したがって、入口導管600aは、丸みを帯びた第1の端部612aと流体連通し、出口導管600bは、丸みを帯びた第2の端部612bと流体連通する。
図14Aに示された例では、導管600はバイア404よりも小さい幅を有し、バイア404は測定チャンバ610の丸みを帯びた端部612と位置合わせされる。
【0210】
図14Aの出口導管角度は、出口導管600bを通る中心線と測定チャンバ610を通る中心線との間に画定される。
図14Aは、出口角度の変化が測定チャンバ610を空にすることにどのように影響するかを示す。測定チャンバ610内に残っているいかなる液体も、測定チャンバ610内に続いて取り込まれる液体に対して実行される測定に影響を及ぼす可能性があるので、測定チャンバ610内に残っている液体の容積を減少させることが望ましい。例えば、残りの液体は、後続の液体と反応する可能性があり、またはそうでない場合後続の液体を汚染する可能性がある。一実装形態では、測定チャンバ610から液体を押し出すために、(例えば、空気圧アクチュエータ710を介して)空気が測定チャンバ610に供給される。
【0211】
図14Aには、0度、45度、90度、135度、および180度の5つの出口導管角度が示されている。0度の角度では、液体は、測定チャンバ610を通って流れ、対応するバイア404を通って出口導管600bに入り、その後、測定チャンバ610を通る流れの方向とは反対の方向に流れる。180度の角度では、液体は、測定チャンバ610を通って流れ、対応するバイア404を通って出口導管600bに入り、その後、測定チャンバ610を通る流れの方向と同じ方向に流れる。
【0212】
45度、90度、または135度の出口導管角度では、出口導管600bの角度は、測定チャンバ610の設置面積が出口導管600bの設置面積を越えて延在する(
図14Aにおいて黒色で示された)よどみ領域をもたらす。よどみ領域は、バイア404と比較して出口導管600bのサイズが小さい結果として生じる。よどみ領域内のいかなる液体も圧力下で出口導管600bを通って押し出すことができないので、よどみ領域により、液体が測定チャンバ610内に捕捉される(すなわち、フローセル層140内に捕捉される)ことになる。対照的に、0度および180度の出口導管角度では、x方向における測定チャンバ610の端点は、出口導管600bの設置面積と重なる。これは、測定チャンバ610のいかなる部分も出口導管600bの設置面積を越えて延在せず、より大きい割合の液体が圧力下で出口導管600bを通って押し出されることを可能にすることを意味する。したがって、
図14Aに示された5つの出口導管角度のうち、0度および180度の出口導管角度は、測定チャンバ610を空気で掃除した後に測定チャンバ610内に残っている液体の容積が最も少なくなる。
【0213】
実験データは、0度および180度の出口導管角度での改善された性能を検証するために示されているが、少なくとも150度の出口導管角度で液体のより少ない残りの容積が達成されることも示している。したがって、出口導管600bは、測定チャンバ610と位置合わせされる(すなわち、測定チャンバ610を通る長手方向中心線と位置合わせされる)ことが好ましい。詳細には、出口導管角度は、測定チャンバ610内に残っている液体の容積を最小にするために、150度以上であることが好ましい。より好ましくは、出口導管角度は、測定チャンバ610を通って流れる流れ懸濁液(例えば、血液または官能性粒子/ビーズ)内の粒子の損失を低減するために、約180度である。あるいは、測定チャンバ610およびバイア404内に残っている液体の容積を減少させるために、0度の出口導管角度を実装することができる。
【0214】
図14Bは、測定チャンバ610およびバイア404の位置ずれが、測定チャンバ610内に残っている液体の容積にどのように影響するかを示す。
図14Bに示された測定チャンバの場合、バイア404の直径は1mmであり、各丸みを帯びた端部612は、1mmの直径(0.5mmの半径)を有する一定の曲率を有する。バイア404および丸みを帯びた端部612の位置ずれにより、液体がバイア404内(すなわち、封止層400内)に捕捉されることになる。測定チャンバ610およびバイア404内に残っている液体は、黒色で塗りつぶされた領域として示されている。
【0215】
図14Bの最上部の測定チャンバは、x方向およびy方向の各々におけるバイア404の+0.25mmの位置ずれの影響を示す。
図14Bの2番目の測定チャンバは、x方向およびy方向の各々におけるバイア404の-0.25mmの位置ずれの影響を示す。
図14Bの3番目の測定チャンバは、測定チャンバから外側へのx方向におけるバイア404の0.25mmの位置ずれ(すなわち、x方向における入口バイアの-0.25mmの位置ずれ、およびx方向における出口バイアの+0.25mmの位置ずれ)の影響を示す。
図14Bの最下部の測定チャンバは、測定チャンバに向かって内側へのx方向におけるバイア404の-0.25mmの位置ずれ(すなわち、x方向における入口バイアの+0.25mmの位置ずれ、およびx方向における出口バイアの-0.25mmの位置ずれ)の影響を示す。
【0216】
図14Bの最上部の測定チャンバは、バイア404および測定チャンバ610の丸みを帯びた端部612の位置ずれの結果として、バイア404内に(具体的には、測定チャンバ610の設置面積と重ならないバイア404の領域内に)よどみ領域が存在することを示す。
【0217】
同様の影響が、
図14Bの2番目の測定チャンバにおいて示されている。しかしながら、x方向の出口バイアの負の位置ずれは、測定チャンバ610内に(すなわち、フローセル層140内に)さらなるよどみ領域をもたらす。このさらなるよどみ領域は、測定チャンバ610の設置面積がx方向に出口バイアを越えて延在するので生じる。さらなるよどみ領域の結果として、
図14Bの2番目の測定チャンバ内には、
図14Bの最上部の測定チャンバよりも多くの液体が残る。
【0218】
図14Bの3番目の測定チャンバは、(
図14Bの最上部の測定チャンバと同様に)バイア404が測定チャンバ610の設置面積を越えて延在するので、バイア404内によどみ領域をもたらす。
【0219】
図14Bの4番目の測定チャンバは、バイア404が測定チャンバの設置面積内に入るので、バイア404内によどみ領域をもたらさない。しかしながら、測定チャンバの設置面積がx方向に両方のバイア404を越えて延在するにつれて、測定チャンバ610内に(すなわち、測定チャンバ610の両端部に)2つのよどみ領域が形成される。
【0220】
図14Bに示された仮想の位置ずれの各々は、バイア404および測定チャンバ610の任意の位置ずれにより、空気を使用してフローセルを掃除した後に液体が測定チャンバ610および/またはバイア404内に残る結果になることを示す。
図14Bに示された位置ずれはまた、液体が測定チャンバ610から流出するための段階(すなわち、測定チャンバ610と出口バイアとの間の第1の段階、および出口バイアと出口導管600bとの間の第2の段階)をもたらす。段階の結果、測定チャンバ610内を掃除するときに液切れが発生し、測定チャンバ610内への液体の落下につながる可能性がある。測定チャンバ610からの出口に保持される任意の液体は、(ここでは湿潤表面である)測定チャンバ610がその後異なる液体で満たされたときに気泡形成をもたらす可能性があるので問題となる。これは、後続の液体のメニスカスが測定チャンバ610内に保持された液体に接合し、気泡を捕捉するときに発生する。気泡は、測定チャンバ610内の溶液に対して実行される測定を妨げる可能性がある。例えば、気泡が測定チャンバ610内の電極の1つに配置された場合、電気化学測定は誤った読取り値を提供する可能性がある。
【0221】
したがって、好ましくは、バイア404の1つまたは両方は、バイア404と測定チャンバ610との間に位置ずれがないように、測定チャンバ610の対応する丸みを帯びた端部612の曲率と位置合わせされる。言い換えれば、バイア404の1つまたは両方の原点は、対応する丸みを帯びた端部612の曲率の原点と一致することが好ましい。
【0222】
図14Cは、バイア404が測定チャンバ610の対応する丸みを帯びた端部612の曲率の直径(または半径)よりも大きい直径(または半径)を有する場合に、バイア404の直径を変化させる影響を示す。
図14Cに示された測定チャンバの場合、各丸みを帯びた端部612は、1mmの直径の一定の曲率を有し、バイア404は1.3mmの直径を有する。
【0223】
図14Cは、バイア404の直径が大きいほど、バイア404が測定チャンバ610の設置面積を越えて延在する(黒色で示された)よどみ領域が生じることを示す。これは、
図14Bの3番目の測定チャンバで示された影響と同様である。測定チャンバ610の設置面積がx方向にバイア404を越えて延在する(すなわち、
図14Bの最下部の測定チャンバに示された影響と同様である)場合、丸みを帯びた端部612の曲率に対してバイア404の直径が減少すると、(測定チャンバ610内に)よどみ領域が生じる可能性もあることが理解されよう。
【0224】
したがって、測定チャンバ610の丸みを帯びた端部612の曲率直径に対してバイア404の直径を大きくすると、(バイア404内のよどみ領域の結果として)バイア404内に残っている液体の容積が増加することが
図14Cから分かる。測定チャンバ610の丸みを帯びた端部612の曲率直径に対してバイア404の直径を小さくすると、(測定チャンバ610内のよどみ領域の結果として)同様の影響を有する。したがって、両方のバイア404のうちの1つの直径(または半径)は、測定チャンバ610の対応する丸みを帯びた端部612の曲率の直径(または半径)に等しいことが好ましい。
【0225】
図15は、流体層300および代替の封止層450を示す分解図である。流体層300内のチャンバ332を封止する封止テープ130も
図15に見ることができる。
【0226】
図13に示された封止層400と同様に、封止層450は、(第1の部分200に設けられた)計量チャンバ232と(第2の部分500に設けられた)計量チャンバ出口チャネル502との間の流体連通を提供する孔452を含む。加えて、封止層450は、試料適合性制御チャンバ236と(廃棄チャンバを画定する)第1のウェル504との間の流体連通を提供する廃棄物出口451を含む。封止層450は複数の開口454も含み、それらの各々は、カートリッジ100の対応する測定チャンバ610を部分的に画定する。開口454は、開口454が封止層450に設けられることを除き、封止ストリップ140内の開口142と同じ機能を提供する。したがって、
図15に示された実装形態では、封止層450は、測定チャンバ610と流体連通するためのバイアを含まず、別個のフローセルストリップは必要とされない。
【0227】
入口導管600aおよび出口導管600bと測定チャンバ610との間にバイア404を実装することにより、バイア404と測定チャンバ610との間のいかなる位置ずれの場合にもフローインピーダンスが生じる可能性がある。フローインピーダンスは背圧をもたらし、背圧は残留液が残る領域を提供する。上記で説明されたように、測定チャンバ610内の残留液は、汚染の原因となるので望ましくない。
【0228】
バイアによって提供されるフローインピーダンスは、測定チャンバ610と、(バイア404が設けられた)封止層400の厚さと、導管600a、600bとの間の階段状の影響によって引き起こされる。これらの階段状の影響により、流れが滑らかでなくなり、それにより測定チャンバ610内に液体が残留させられる。
【0229】
バイアがない封止層450の実装形態は、バイアによって提供される狭窄を除去し、測定チャンバ610と導管600a、600bとの間の階段状の影響を低減することにより、液体が測定チャンバ610内に残る傾向が減少する。
【0230】
図16は、バイアがない測定チャンバ610の実装形態を概略的に示す。この実装形態では、(流体層300の第2の表面310内のチャネル304のうちの1つによって提供され、封止層450によって封止された)入口導管600aは、測定チャンバ610の第1の端部612aに重なり、出口導管600bは、測定チャンバ610の第2の端部612bに重なる。開口454が封止層450内に設けられると、開口454の領域は、導管600a、600bが封止されない領域を画定する。これは、入口導管600aおよび出口導管600bが測定チャンバ610と直接流体連通することを意味する。
【0231】
図16はまた、90度、135度、および180度の3つの可能な出口導管角度を示す。
図16に示された測定チャンバ610の好ましい構成は、入口導管600aおよび出口導管600bが流れの方向と位置合わせされること(すなわち、好ましくは少なくとも150度、より好ましくは約180度の出口導管角度)である。言い換えれば、入口導管600aおよび出口導管は、測定チャンバ610を通る長手方向中心線と位置合わせされることが好ましい。これにより、測定チャンバ610を通って流れる流れ懸濁液(例えば、血液または官能性粒子/ビーズ)内の粒子の損失が低減される。
【0232】
加えて、
図16は、測定チャンバ610の第1のテーパ部分614a、第2のテーパ部分614b、および中央部分614cを示す。テーパ部分614a、614bの好ましい角度は、
図14を参照して記載された角度と同じである。
【0233】
図17Aおよび
図17Bは、第1の表面308の反対側にある流体層300の第2の表面310を示す、流体層300の下面図を描写する。バルブ領域302、(突部314および支持リブ318を含む)空気圧ポート312、ならびに第1の表面308上の突部330は、すべて
図17Aに破線で示されている。
図17Aはまた、ポート312の開口部316および開口部350を示し、それらの各々は流体層300の厚さを通って延在する。
図17Bは、第2の表面310内の特定の導管304および導管304間の接合部306を識別する。
【0234】
バルブ領域302の各々は、カートリッジ100の導管600のうちの1つを通る流体の流れが制御されることを可能にする。各バルブは、(それらの各々が対応するチャネル304の上に配置された)バルブ領域302のうちの1つ、および対応するチャネル304を封止する封止層400によって画定される。バルブを閉じるために、(例えば、
図21に示された)バルブ領域302に力が加えられて、対応するチャネル304を封止層400に対して圧縮する。バルブを閉じることにより、対応する導管600を通る流体の流れが防止される。バルブを開けるために、バルブを閉じるためにバルブ領域302に加えられた力が引っ込められる。バルブを開けることにより、流体が対応する導管600を通って流れることが可能になる。
【0235】
導管600を通る流体の流れは、空気圧ポート312に可変圧力を加えることによって制御される。以下により詳細に記載されるように、空気圧ポート312の各々は、(i)対応する空気圧アクチュエータ710を介して正圧を受けるか、(ii)対応する空気圧アクチュエータ710を介して負圧を受けるか、(iii)対応する空気圧アクチュエータ710を介して通気される(すなわち、大気圧に開放される)か、または(iv)空気圧ポート312が空気圧アクチュエータ710から切り離されていることを意味する、閉じられている(すなわち、通気されていない)のいずれかであり得る。(iv)の場合、空気圧ポート312を通る空気流は存在しない。
【0236】
以下に記載されるように、流体層内のいくつかのチャネル304は、第2の部分500内のトラフ514のうちの1つの上に重なる流体層内の点から延在する。これは、例えば、空気圧アクチュエータ710によって第1の空気圧ポート312aに正の空気圧が加えられたことを意味する。圧搾空気は、第1の空気圧ポート312a内の対応する開口部316を通り、封止層400内の対応する孔を通り、第1のポート支持体516a内のチャネル518aを通り、トラフ514aを通り、チャネル304のうちの1つ(具体的には、
図17Bに示されたチャネル番号付けを使用して、第2のチャネル304b、第3のチャネル304c、または第4のチャネル304d)に流入する。負圧も同様に加えられるが、反対の空気流を伴う。
【0237】
この配置は、(例えば、液体を吸引するために負圧を加える間に)液体が空気圧アクチュエータ710に引き込まれるリスクを低減する。これは、チャネル304を通って引き込まれたいかなる液体も重力下でトラフ514aの底部に落下するからである。
図10に示されたように、チャネル518aはポート支持体516aの平坦な上面上にあり、それは、チャネル518aがトラフ514aの基部の上に配置されていることを意味する。したがって、トラフ514a内に留まったいかなる液体も、チャネル518aを通って、第1の空気圧ポート312aを介して空気圧アクチュエータ710に引き込まれない。
【0238】
流体層300は、
図17Aおよび
図17Bを参照して、以下の段落に記載される以下のチャネル304を含む。
【0239】
第1のチャネル304aは、封止層400内の孔402(または封止層450内の孔452)の上に重なる点から延在する。したがって、第1のチャネル304aは、(孔402/452を介して)第2の部分内の計量チャンバ出口チャネル502への流体接続を提供する。第1のチャネル304aは、この点から第1の測定チャンバの上に重なる点まで延在する。第1のチャネル304aは、第1の測定チャンバへの入口を提供する。第1のチャネル304aを通る流体の流れは、第3のバルブ領域302cによって制御される。
【0240】
第2のチャネル304bは、第1のトラフ514aの上に重なる点から第3の開口部350cまで延在する。第3の開口部350cは、開口部350cおよび350dの上に重なる液体貯蔵カプセル120への入口を提供する。
【0241】
第3のチャネル304cは、第1のトラフ514aの上に重なる点から第2の開口部350bまで延在する。第2の開口部350bは、開口部350aおよび350bの上に重なる液体貯蔵カプセル120への入口を提供する。
【0242】
第4のチャネル304dは、第1のトラフ514aの上に重なる点から(以下に記載される)第19のチャネル304sとの第1の接合部306aまで延在する。第4のチャネル304dを通る流体の流れは、第2のバルブ領域302bによって制御される。
【0243】
第5のチャネル304eは、第2のトラフ514bの上に重なる点から突部330によって画定された第1のチャンバ332aまで延在する。第5のチャネル304eを通る流体の流れは、第6のバルブ領域302fによって制御される。
【0244】
第6のチャネル304fは、第3のトラフ514cの上に重なる点から第8の開口部350hまで延在する。第6のチャネル304fは、第6の開口部350fおよび第8の開口部350hの上に重なる液体貯蔵カプセルへの入口を提供する。
【0245】
第7のチャネル304gは、第3のトラフ514cの上に重なる点から突部330によって画定された第4のチャンバ332dまで延在する。第7のチャネル304gを通る流体の流れは、第11のバルブ領域302kによって制御される。
【0246】
第8のチャネル304hは、第3のトラフ514cの上に重なる点から第7の開口部350gまで延在する。第8のチャネル304hは、第5の開口部350eおよび第7の開口部350gの上に重なる液体貯蔵カプセル120への入口を提供する。
【0247】
第9のチャネル304iは、第4の開口部350dから第1のチャネル304aとの第2の接合部306bまで延在する。開口部350cおよび350dの上に重なる液体貯蔵カプセル120から放出された液体は、第9のチャネル304iによって画定された導管600を通って流れる。第9のチャネル304iを通る流体の流れは、第4のバルブ領域302dによって制御される。
【0248】
第10のチャネル304jは、第1の開口部350aから(以下に記載される)第16のチャネル304pとの第3の接合部306cまで延在する。開口部350aおよび350bの上に重なる液体貯蔵カプセル120から放出された液体は、第10のチャネル304jによって画定された導管600を通って流れる。第10のチャネル304jを通る流体の流れは、第1のバルブ領域302aによって制御される。
【0249】
第11のチャネル304kは、第6の開口部350fから第4のチャネル304dとの第4の接合部306dまで延在する。開口部350fおよび350hの上に重なる液体貯蔵カプセル120から放出された液体は、第11のチャネル304kによって画定された導管600を通って流れる。第11のチャネル304kを通る流体の流れは、第7のバルブ領域302gによって制御される。
【0250】
第12のチャネル304lは、第5の開口部350eから第4のチャネル304dとの第5の接合部306eまで延在する。開口部350eおよび350gの上に重なる液体貯蔵カプセル120から放出された液体は、第12のチャネル304lによって画定された導管600を通って流れる。第12のチャネル304lを通る流体の流れは、第5のバルブ領域302eによって制御される。
【0251】
第13のチャネル304mは、突部330によって画定された第2のチャンバ332bと、突部330によって画定された第3のチャンバ332cとの間に延在する。
【0252】
第14のチャネル304nは、第1のチャネル304aとの第6の接合部306fから第13のチャネル304mとの第7の接合部306gまで延在する。第14のチャネル304nを通る流体の流れは、第8のバルブ領域302hによって制御される。
【0253】
第15のチャネル304oは、第1の測定チャンバの上に重なる点から第2の廃棄チャンバ508bの上に重なる点まで延在する。第15のチャネル304oは、第1の測定チャンバからの出口、および第2の廃棄チャンバ508bへの入口を提供する。第15のチャネル304oを通る流体の流れは、第12のバルブ領域302lによって制御される。
【0254】
第16のチャネル304pは、第2の測定チャンバの上に重なる点から第15のチャネル304oとの第8の接合部306hまで延在する。第16のチャネル304pは、第2の測定チャンバからの出口を提供する。
【0255】
第17のチャネル304qは、第3の測定チャンバの上に重なる点から第2の測定チャンバの上に重なる点まで延在する。第17のチャネル304qは、第3の測定チャンバからの出口、および第2の測定チャンバへの入口を提供する。
【0256】
第18のチャネル304rは、第17のチャネル304qとの第9の接合部306iから第1の廃棄チャンバ508aの上に重なる点まで延在する。第18のチャネル304rは、第1の廃棄チャンバ508aへの入口を提供する。第18のチャネル304rを通る流体の流れは、第10のバルブ領域302jによって制御される。
【0257】
第19のチャネル304sは、突部330によって画定された第2のチャンバ332bから第3の測定チャンバの上に重なる点まで延在する。第19のチャネル304sは、第3の測定チャンバへの入口を提供する。第19のチャネル304sを通る流体の流れは、第9のバルブ領域302iによって制御される。
【0258】
図17Cは、第1の表面308を示す、流体層300の上面図である。
図17Cは、バルブ領域302、(突起314、開口部316、および支持リブ318を含む)ポート312、(チャンバ332a~332dを含む)突部330、ならびに開口部350の位置を示す。
図17Cは第1の表面308の上面図を示し、
図17Aは第2の表面310の下面図を示すので、
図17Cにおけるバルブ領域302および開口部350の横方向の順序は、
図17Aと比較すると逆であることが理解されよう。上記で説明されたように、開口部350および開口部316は、流体層300の厚さを通って延在する。
【0259】
接合部306は、流体層300内の液体フロントの既知の位置を提供することができる。例えば、(第1のチャネル304aおよび第15のチャネル304oを介して)第2の廃棄チャンバ508bに液体を吸引することにより、第6の接合部306fに既知の液体フロントが存在する。液体フロントを知った上で、(例えば、チャンバ332のうちの1つの中の)液体を計量することができる。例えば、第6の接合部306fから第2のチャンバ332bまたは第3のチャンバ332c内の所定の充填レベルまで液体を計量するために、空気圧ポート312を介して既知の圧力差を実装することができる。圧力差は、所望の充填レベル(すなわち、計量される容積)、および接合部306とチャンバとの間のチャネル304によって画定された導管600の容積(この例では、第14のチャネル304nの容積)に基づいて計算することができる。
【0260】
図18Aおよび
図18Bに示された流体層の代替の実装形態では、チャネル364は、代替の流体層360の第1の表面368および第2の表面370の両方に設けられる。限られた量の空間内で流体チャネルのネットワークを構成することは困難である。ポイントオブケア装置は小さくなるように設計され、それにより、(すなわち、封止層400に接着するための)それぞれの接着領域を周囲に有するチャネルを敷設するために流体層300上で利用可能な面積が制限される。流体層360の両方の表面368、370にチャネル364を実装することにより、例えば、空気を輸送するため(例えば、測定チャンバを掃除するため、または液体貯蔵カプセル120から液体を移動させるため)に使用されるチャネル364が、液体の流れに影響を与えることなく第1の表面368に移動することが可能になる。第1の表面368内にチャネル364を設けることはまた、流体層360のチャネル364が交差することを可能にし、チャネル364のより複雑なネットワークが実装され得ることを意味する。
【0261】
流体層360の代替の実装形態では、流体層360の第1の表面368にバルブ領域362が依然として設けられている。したがって、第1の表面368内のチャネル364は、バルブ領域362の下を通らないチャネル364(例えば、
図17Bのチャネル304b、304c、304f、304h)、または第1の表面368の第1の部分および第2の表面370の第2の部分を有するチャネル364のいずれかである。例えば、チャネル364の第2の部分は、バルブ領域362の下を通るチャネル364の部分であり得る。これらのチャネル364の2つの部分は、流体層360の厚さを通って延びる垂直導管または傾斜導管によって接続される場合がある。
【0262】
図17Bに示された例を参照すると、第2のチャネル304b、第3のチャネル304c、第6のチャネル304f、および第8のチャネル304hは、すべて流体層300の第2の表面310に移動することができるチャネル304の例である。これは、これらのチャネル304の各々がバルブ領域302の下方を通らず、空気の輸送に使用されるからである。第5のチャネル304eおよび第7のチャネル304gは、両方とも第1の表面308内の第1の部分、および第2の表面310内の第2の部分を有する場合があるチャネルの例である。例えば、第2のトラフ514bの上に重なる点と第6のバルブ領域302fの下流の点との間の第5のチャネル304eの部分を第2の表面310に設けることができ、この部分を通る流体の流れが第6のバルブ領域302fによって制御されることが可能になる。第6のバルブ領域302fの下流の点と第1のチャンバ332aとの間の第5のチャネル304eの残りの部分は、第1の表面308に設けることができる。当然、そのような実装形態では、第5のチャネル304eは、第5のチャネル304eの2つの部分を接続するために、流体層300を通る導管セクションを含むはずである。
【0263】
図18Aおよび
図18Bに戻って参照すると、両方の表面368、370に部分を有するチャネル364の様々な例が示されている。例えば、
図18Aおよび
図18Bのチャネル364aは、第2の表面370に設けられた第1の部分382aと、第1の表面368に設けられた第2の部分382bと、第2の表面370に設けられた第3の部分382cとを有する。第1の部分382aは、第1のトラフ514aの上に重なる点と流体層360内の第1の貫通孔384aとの間に延在する。第2の部分382bは、流体層360内の第1の貫通孔384aと第2の貫通孔384bとの間に延在する。第3の部分382cは、流体層360を備えるカートリッジ100が組み立てられたときに、第2の貫通孔384bと液体貯蔵カプセル120が配置され得る開口部386との間に延在する。両方の表面368、370にチャネル364aの部分を設けることにより、(
図18Bに示されたように)チャネル364bはチャネル364aと交差することができる。
【0264】
図19Aは、
図17Cの線A-Aに沿って流体層300を通る断面である。
図19Aは、バルブ領域302が流体層300の第1の表面308に円形の窪みとして設けられることを示す。言い換えれば、流体層300は、バルブ領域302の各々において縮小された厚さを有する。
図19Aに示されたように、流体層300の厚さと縮小された厚さのバルブ領域302との間に、面取りされた環状面が設けられる。第1の空気圧ポート312aの突起314および支持リブ318も
図19Aから見ることができる。
【0265】
上述されたように、チャネル304によって画定された導管600を通る流体の流れは、バルブ領域302に力を加えることによって制御される。流体の流れが制御されることを可能にするために、バルブ領域302は、それらが流体の流れを制御するチャネル304の真上に設けられる。具体的には、
図19Aは、第9のチャネル304iの直上に設けられた第4のバルブ領域302dと、第1のチャネル304aの直上に設けられた第3のバルブ領域302cと、第4のチャネル304dの直上に設けられた第2のバルブ領域302bと、第10のチャネル304jの直上に設けられた第1のバルブ領域302aとを示す。
図19Aはまた、バルブ領域302a、302b、302c、および302dに力が加えられたときに圧縮されないチャネル304bおよび304cを通る断面を示す。
【0266】
図19Bは、
図17Cの線B-Bに沿って流体層300を通る断面である。具体的には、
図19Bは、第14のチャネル304nの直上に設けられた第8のバルブ領域302hと、第11のチャネル304kの直上に設けられた第7のバルブ領域302gと、第5のチャネル304eの直上に設けられた第6のバルブ領域302fと、第12のチャネル304lの直上に設けられた第5のバルブ領域302eとを示す。
図19Bはまた、バルブ領域302e、302f、302g、および302hに力が加えられたときに圧縮されないチャネル304a、304d、および304jを通る断面を示す。
【0267】
図19Cは、
図17Cの線C-Cに沿って流体層300を通る断面である。この断面は、流体層300の第1の表面308から延在する突部330によって画定された第4のチャンバ332dを通る。第3のトラフ514cの上の点と第4のチャンバ332dとの間に延在する第7のチャネル304gは、
図19Cも見ることもできる。
図19Cはまた、第15のチャネル304oの直上に設けられた第12のバルブ領域302lと、第7のチャネル304gの直上に設けられた第11のバルブ領域302kと、第18のチャネル304rの直上に設けられた第10のバルブ領域302jと、第19のチャネル304sの直上に設けられた第9のバルブ領域302iとを示す。加えて、
図19Cは、バルブ領域302i、302j、302k、および302lに力が加えられたときに圧縮されないチャネル304a、304f、304h、および304jを通る断面を示す。
【0268】
図19Dは、
図17Cの線D-Dに沿って流体層300を通る断面である。
図19Eは、
図19Dの断面の丸で囲んだ部分をより詳細に示す。具体的には、
図19Dおよび
図19Eは、流体層300の第1の表面308から延在する突部330を通る断面を示す。
図19Dおよび
図19Eはまた、第2の空気圧ポート312bおよび第3の空気圧ポート312cを通る断面を示す。これらのポート312および流体層300の厚さを通って延在する開口部316は、
図19Eに具体的に示されたように、これらの図に見ることもできる。
【0269】
突部330は4つのチャンバ332を画定する。以下の段落に記載されるように、チャンバ332の各々は、カートリッジ100の導管600と流体連通している。チャンバ332は、チャネル304を介してチャンバ332に空気圧を加えることによって制御される流体の混合を可能にする。
【0270】
第1のチャンバ332aは、第1のチャンバ332aに接続する第5のチャネル304e、第2のトラフ514b、第2のポート支持体516b内の第2のチャネル518b、および第2の空気圧ポート312bを通って延在する開口部316を介して、第2の空気圧ポート312bと選択的に流体連通している。第1のチャンバ332aと第2の空気圧ポート312bとの間の流体連通は、第6のバルブ領域302fに力を加えることによって制御されるので、選択的である。
【0271】
第2のチャンバ332bは、第19のチャネル304sを介して第3の測定チャンバと選択的に流体連通している。第2のチャンバ332bと第3の測定チャンバとの間の流体連通は、第9のバルブ領域302iに力を加えることによって制御されるので、選択的である。第2のチャンバ332bはまた、(i)(第2のバルブ領域302bによって制御される)第4のチャネル304dを介して第1の空気圧ポート312aと、(ii)(第5のバルブ領域302eによって制御される)第12のチャネル304lを介して第5の開口部350eと、(iii)(第7のバルブ領域302gによって制御される)第11のチャネル304kを介して第6の開口部350fと選択的に流体連通している。
【0272】
第3のチャンバ332cは、第13のチャネル304mを介して第2のチャンバ332bと流体連通している。第13のチャネル304mは、(例えば、液体の混合を可能にするために)第2のチャンバ332bと第3のチャンバ332cとの間で液体が輸送されることを可能にする。
【0273】
第4のチャンバ332dは、第4のチャンバ332dに接続する第7のチャネル304g、第3のトラフ514c、第3のポート支持体516c内の第3のチャネル518c、および第3の空気圧ポート312cを通って延在する開口部316を介して、第3の空気圧ポート312cと選択的に流体連通している。第4のチャンバ332dと第3の空気圧ポート312cとの間の流体連通は、第11のバルブ領域302kに力を加えることによって制御されるので、選択的である。
【0274】
第1のチャンバ332aは、第1のチャンバ332aを第2のチャンバ332bから分離する壁336aの上部にある第1の開口部334aを介して第2のチャンバ332bと流体連通している。第1の開口部334aによって提供される流体連通は、例えば、第1のチャンバ332aを介して第2の空気圧ポート312bから負圧を加えることにより、(例えば、第3のチャンバ332cから)第2のチャンバ332b内に流体が移動することを可能にする。同様に、第1の開口部334aによって提供される流体連通は、例えば、第1のチャンバ332aを介して第2の空気圧ポート312bから正圧を加えることにより、(例えば、第3のチャンバ332cに)第2のチャンバ332bから流体が移動することを可能にする。第1の開口部334aは、第2のチャンバ332b内に保持され得る液体の容積を最大化するために壁336aの上部に位置し、それにより、液体が第1の開口部334aを通って第1のチャンバ332aに流入する可能性が減少する。
【0275】
同様に、第4のチャンバ332dは、第3のチャンバ332cを第4のチャンバ332dから分離する壁336bの上部にある第2の開口部334bを介して第3のチャンバ332cと流体連通している。これにより、第4のチャンバ332dを介して第3の空気圧ポート312cから可変圧力を加えることにより、流体が第3のチャンバ332cに出入りすることが可能になる。
【0276】
図20は、第3のチャンバ332c内に配置された固体試薬170を示す、突起330を通るさらなる断面である。固体試薬170は凍結乾燥試薬であってもよい。固体試薬170は、第3のチャンバ332c内に液体を移動させることによって液体溶液内に懸濁する場合がある。第3のチャンバ332cからの出口(すなわち、第13のチャネル304m)が流体層330の第2の表面310に設けられると仮定すると、第3のチャンバ332cからの出口は第3のチャンバ332cの基部に設けられる。第3のチャンバ332cからの出口をチャンバの基部に設けることは、任意の未溶解の固体試薬が重力下で第3のチャンバ332cの基部に落下し、続いて懸濁または溶解されるので、第3のチャンバ332cから抽出することができる再懸濁または溶解された試薬の量を最大化する。その結果、かなりの割合の固体試薬170(例えば、固体試薬170の実質的にすべて)を利用することができる。液体は、固体試薬170を再懸濁し均質化するために、第13のチャネル304mを介して第2のチャンバ332bと第3のチャンバ332cとの間で繰り返し輸送される場合がある。
【0277】
言い換えれば、固体試薬170をその基部に出口を有するチャンバ内に配置することにより、懸濁されていない固体試薬が流体ネットワーク内に捕捉され、その結果利用されなくなる可能性が最小限に抑えられる。高い割合の固体試薬170を利用することができるので、固体試薬を組み込む従来のポイントオブケア装置と比較して、より小さい固体試薬を利用することができる。
【0278】
図21は、流体層300のバルブ領域302のうちの1つを通る断面図である。
図21は、流体層300、導管600を形成するために流体層300の第2の表面310内のチャネル304を封止する封止層400、および第2の部分500(具体的には、第2の部分500のバルブ支持領域524)を示す。
【0279】
図21は、流体層300の残りの部分の厚さと比較して縮小された厚さのバルブ領域302を示す。流体層300の厚さと縮小された厚さのバルブ領域302との間の面取りされた環状面を見ることもできる。バルブ領域302内の流体層300の縮小された厚さは、バルブ領域302の下に配置された対応する導管600を閉じるために、バルブ領域302をより簡単に圧縮できることを意味する。
【0280】
図21はまた、チャネル304の上部とバルブ領域302との間の距離が高さHによって定義されることを示す。高さHは、流体層300に使用される材料の特性(例えば、硬度)およびバルブアクチュエータ700からの利用可能な力に依存する。加えて、チャネル304は、流体層300のチャネル304と第2の表面310との間にフィレットを提供する半径Rを含む。フィレット半径Rを設けることにより、バルブ領域302によって画定されたバルブを閉じるために必要な力が低減される。
【0281】
図21に示されたように、導管600を閉じるために、バルブアクチュエータ700によってバルブ領域302に力が加えられる。流体層300のエラストマー特性は、導管600を閉じるために、バルブ領域302内の流体層300の変形を可能にする。流体層300のエラストマー特性はまた、バルブアクチュエータ700によって加えられた力が取り除かれたときにバルブ領域302がそれらの元の形態に戻ることを可能にし、それによって導管600が再び開くことが可能になる。
【0282】
図22A~
図22Cは、対応する導管600を閉じるためにバルブ領域302に力を加えるプロセスを示す。
図22Aに示されたように、バルブアクチュエータ700は最初にバルブ領域302と接触する。
図22Aに示された位置では、バルブアクチュエータ700は非係合位置にあり、その中でバルブアクチュエータ700は、対応する導管600を閉じるためにバルブ領域302に力を加えていない。流体層の変形を容易にするために、バルブアクチュエータ700は丸みを帯びた(例えば半球形の)端部を有する場合がある。
【0283】
次いで、バルブアクチュエータ700を使用してバルブ領域302に力が加えられる。これにより、バルブ領域302で流体層300が圧縮され、導管600が部分的に閉じた状態(
図22B)に変形する。
図22Bに示された位置では、導管600は部分的に閉じており、それは、バルブアクチュエータ700が部分的に係合位置にあることを意味する。
【0284】
バルブ領域302への力の継続的な印加は、バルブ領域302での流体層300のさらなる圧縮をもたらし、第2の部分500の対応するバルブ支持領域524によって支持された封止層400に対して導管600を閉じる(
図22C)。
図22Cに示された位置では、導管600は完全に閉じており、それは、バルブアクチュエータ700が係合位置にあることを意味する。
【0285】
流体層300がエラストマー材料から形成されていると仮定すると、バルブアクチュエータ700によって加えられた力が取り除かれ、バルブアクチュエータ700が
図22Aに示された非係合位置に後退すると、バルブ領域302は
図22Aに示された非押し下げ構成に戻る。
【0286】
図23Aおよび
図23Bは、空気圧アクチュエータ710による空気圧ポート312の圧縮を概略的に示す。上記で説明されたように、ポート312は、流体層300(すなわち、エラストマー層)と同じ材料から形成される。これは、ポート312に力が加えられると、突起314および環状リム320の変形が生じることを意味する。エラストマー材料の柔軟性は、空気圧アクチュエータ710とのシールを形成する。したがって、各ポート312は、エラストマー材料から形成される結果として、(空気圧アクチュエータなどの)空気圧インターフェースとのシールを提供するように構成される。第2の部分500の対応するポート支持体516も、
図23Aおよび
図23Bに概略的に示されている。
【0287】
カートリッジ100と、カートリッジ100が収容される分析装置との間の公差スタックを改善するために、空気圧アクチュエータ710は、空気圧封止面の予想位置よりもわずかに低い位置まで作動するべきである。これは、空気圧アクチュエータ710と空気圧ポート312との間の封止を保証するために、空気圧ポート312が圧縮されなければならないことを意味する。
【0288】
図23Aおよび
図23Bは、突起314の円錐台状の(円錐台)形状も示す。突起314の円錐台形状は、空気圧ポート312と空気圧アクチュエータ710との間のシールの形成を助ける。これは、円錐台形状により、第1の表面308の上の高さが高くなるにつれて、突起314の断面が狭くなるからである。別の言い方をすれば、円錐台形状は、円錐台形状によって提供される傾斜壁のおかげで、突起の基部よりも突起314の上部の材料を少なくする。突起314の上部における断面の縮小は、ポート312の周りにシールを提供するために、空気圧アクチュエータ710によって変形させられる必要がある材料がより少ないことを意味する。変形する材料が少ないことは、空気圧ポート312を圧縮するためにより少ない量の力を加えるだけでよいことを意味する。
【0289】
空気圧ポート312を圧縮するために必要な力の量をさらに低減するために、ポート312を通る開口部316には、第2の表面310の上の高さが増加するにつれて増加する直径が設けられる場合がある。言い換えれば、開口部316の直径は、第2の表面310で最小であり、突起314の上部で最大である。これにより、突起314の上部の材料の量がさらに減少し、その結果、空気圧ポート312を変形させるために必要な力がより小さくなる。
【0290】
環状リム320は、空気圧ポート312を圧縮するために必要な力の量をさらに低減する。これは、環状リム320が、突起の環状断面がさらに小さくなる領域によって画定されるからである。その結果、環状リム320は、突起314の上部の材料の量をさらに減少させ、それは、突起314を変形させるために必要な力が減少することを意味する。
【0291】
環状リム320は、2つの特性:環状リム320の内側と垂直線(または開口部316を通る中心線に平行な線)との間の内角、および環状リム320の外側と垂直線(または開口部316を通る中心線に平行な線)との間の外角によって画定される形状を有する。突起314の断面は重心も有する。
図23Aに示された例では、環状リム320の内角は、(
図23Aに破線で概略的に示されたように)環状リム320の外角よりも大きい。加えて、
図23Aに示された例では、突起314の重心と開口部316を通る中心線との間の距離は、環状リム320の上部と開口部316を通る中心線との間の距離よりも小さい。言い換えれば、突起314の重心は、環状リム320の上部よりもポート312の中心に近い位置にある。
【0292】
環状リム320および突起314のこれらの特性により、(
図23Bに示されたように)空気圧アクチュエータ710によって環状リム320に力が加えられたときに、環状リム320および突起314が外側に曲がる(すなわち、開口部316を通る中心線から離れる)ようになる。環状リム320の外側への曲げは、空気圧ポート312と空気圧アクチュエータ710との間の接触面積を増加させ、それは空気圧アクチュエータ710と空気圧ポート312との間のシールを改善する。
【0293】
図24Aおよび
図24Bは、空気圧ポート312の代替の実装形態を示す。
図24Aおよび
図24Bに示された例では、環状リム320の内角は、(
図24Aに破線で概略的に示されたように)環状リム320の外角よりも小さい。加えて、
図24Aに示された例では、
図23Aおよび
図23Bに示された例よりも、突起314の断面の重心が開口部316を通る中心線からさらに遠い位置にある。実際には、これは、環状リム320によって画定された境界の内側にある突起314の材料が少ないことを意味する。環状リム320によって画定された境界内の突起314の材料の量を減らし、より小さい内角を実装することにより、(
図24Bに示されたように)空気圧アクチュエータ710によって環状リム320に力が加えられると、突起314および環状リム320は内側に曲がる。
【0294】
環状リム320の内側への曲げは、(
図23Aおよび
図23Bに示された例と同様に)空気圧ポート312と空気圧アクチュエータ710との間の接触面積を増加させる。しかしながら、
図24Aおよび
図24Bに示された実装形態はまた、空気圧アクチュエータ710によって圧縮されたときに環状リム320の直径を減少させる。これは、(
図24Bに示されたように)空気圧アクチュエータ710と空気圧ポート312との間にある程度の位置ずれがある場合でも、圧縮された環状リム320を空気圧アクチュエータ710の設置面積内に収めることができることを意味する。
【0295】
空気圧ポート312の圧縮に対する環状リム320の内角および外角の影響が
図25に概略的に示されている。これらの概略図は、突起部分の重心に関連する影響を無視し、代わりに環状リム320の形状を変化させる影響を示す。
【0296】
図25の上図では、環状リム320の内角と外角は等しい。これは、環状リム320の上部を通る垂直線322(すなわち、加えられた力の方向に平行な線)の両側の材料の体積が等しいことを意味する。環状リム320に力が加えられると、線322の両側の材料の等しい体積により、環状リム320は内側または外側に曲がることなく圧縮されることになる。
【0297】
図25の中央の図では、環状リム320の内角は、環状リム320の外角よりも大きい。これは、線322の内側の材料の体積が線322の外側の材料の体積を超えることを意味する。環状リム320に力が加えられると、線322の外側の材料の小さい体積により、(例えば、
図23Bのように)環状リム320が外側に曲がることになる。
【0298】
図25の下図では、環状リム320の内角は、環状リム320の外角よりも小さい。これは、線322の外側の材料の体積が線322の内側の材料の体積を超えることを意味する。環状リム320に力が加えられると、線322の内側の材料の小さい体積により、(例えば、
図24Bのように)環状リム320が内側に曲がることになる。
【0299】
図26~
図30は、上述されたカートリッジ100を使用して実装され得る流体回路を示す。
図26~
図30に示された回路では、矩形はチャンバ、ウェル、または液体貯蔵カプセルを表し、線は導管またはチャネルを表し、バルブ領域は2つの隣接する三角形を使用して示され、流体回路内の開口部(例えば、ポート、通気口)は円によって表される。
【0300】
図26は、計量チャンバ232からチャンバ332のうちの1つへの液体試料の吸引に使用される流体構成要素を示す第1の流体回路である。
図26は、第1の部分200、第2の部分500、および流体層300を概略的に示す。回路の主な流体構成要素も
図26に示されている。簡略化のために、封止層400は
図26には概略的に示されていない。
図26は、どの流体構成要素が流体層300、第1の部分200、および第2の部分500に属するかを概略的に示す。
【0301】
(例えば、希釈または混合のために)計量チャンバ232から流体層300内の第2のチャンバ332b内に液体試料を吸引するために、第2の空気圧ポート312bに負圧が加えられる場合がある。試料は、チャネル304a、304n、および304mを介して吸引され、それは、バルブ領域302cおよび302hが押し下げられていない(すなわち、作動されていない)ことを意味する。
【0302】
試料は、以下の一連の流体構成要素:計量チャンバ232、封止層内の孔402、第2の部分500内の計量チャンバ出口チャネル502、流体層300内の第1のチャネル304a(すなわち、第3のバルブ領域302cが押し下げられていない状態)、流体層300内の第14のチャネル304n(すなわち、第8のバルブ領域302hが押し下げられていない状態)、流体層300内の第13のチャネル304m、および流体層300内の第2のチャンバ332bを介して、第1の部分200内の計量チャンバ232から吸引される。
【0303】
このようにして試料を吸引するために、以下の一連の流体構成要素:第2の空気圧ポート312b、第2のポート支持体516b内の第2のチャネル518b、第2の部分500内の第2のトラフ514b、流体層300内の第5のチャネル304e(第6のバルブ領域302fが押し下げられていない状態)、流体層300内の第1のチャンバ332a、第1のチャンバ332aと第2のチャンバ332bとの間の開口部334a、および第2のチャンバ332bを介して、第1のチャンバ332aに負圧が加えられる。
【0304】
試料が計量チャンバ232から下流に第2のチャンバ332bまで移動するために、計量チャンバ232の上流に通気口がなければならないことが理解されよう。これは、液体が計量チャンバ232から下流に移動するときに真空の形成を防止するためである。
【0305】
上述されたように、通気口は、(
図12に示されたように)第2の部分500に孔の形態で設けられた第2の部分500内の永久通気口506である。したがって、計量チャンバ232は、以下の一連の流体構成要素:(i)永久通気口506、通気チャネル548、第3のウェル542、第1のコネクタチャネル544、第1の複数の溝536、(試料廃棄チャンバを画定する)第1のウェル504、封止層400内の廃棄物出口401、試料適合性制御チャンバ236、第1の部分200内のコネクタチャネル234、および計量チャンバ232、または(ii)永久通気口506、通気チャネル548、第3のウェル542、第2のコネクタチャネル560、第2の複数の溝556、第1のウェル504、廃棄物出口401、試料適合性制御チャンバ236、コネクタチャネル234、および計量チャンバ232のうちの1つを介して通気される。
【0306】
汚染を防止するために、カートリッジ100からの液体試料の漏れを防止することが重要である。したがって、カートリッジ100が乱されるかまたは揺れたときでも、液体試料が永久通気口506から流出することは阻止されるべきである。液体試料が永久通気口506から流出する傾向を低減するために、
図12に示されたように、狭い通気チャネル548が使用される。通気チャネル548に狭い断面を使用することにより、通気チャネル548の油圧抵抗が増大し、それを通る流体の流れが阻止される。
【0307】
永久通気口506を通る試料の流れをさらに阻止するために、第2の狭いチャネル(すなわち、第1のコネクタチャネル544)も実装される。第1のコネクタチャネル544は、(通気チャネル548が接続する)第3のウェル542と第2のウェル532との間の流体連通を提供する。したがって、液体試料は、直列の2つの狭いチャネルに面し、それらの各々は、永久通気口506への流路の油圧抵抗を増大させることに寄与する。
【0308】
液体閉塞の可能性を低減するために、複数の溝536が第1のウェル504と第2のウェル532との間に設けられる。第1のウェル504と第2のウェル532との間の液体の流れのための2つ以上の経路により、第1のウェル504と第2のウェル532との間の液体閉塞の可能性が低減される。例えば、溝のうちの1つを液体が塞ぐ確率が1/xである場合、2つの溝を設けることにより、液体閉塞の確率は1/x2に低減される。さらに、3つの溝を設けることにより、確率は1/x3に低減される。
【0309】
複数の溝536の各々はまた、第1のウェル504に向かって傾斜する傾斜基部538を含む。これは、液体が溝536のうちの1つに流入する場合でも、溝536から液体を除去するために必要な圧力が低減されることを意味する。これは、溝536の傾斜基部538が重力下で第1のウェル504に向かって液体を流れさせるからである。
【0310】
複数の溝536への液体の流れもまた、使用時に各溝536の基部538が第1のウェル504の基部の上に配置されるので阻止される。これは、液体が第1のウェル504の基部と溝538の基部との間の段差を越えて流れる必要があることを意味する。同様に、第1のコネクタチャネル544の基部は、使用時に第2のウェル532の基部の上に設けられ、それは、液体が第2のウェル532と第1のコネクタチャネル544との間の段差を越えて流れる必要があることを意味する。第3のウェル542と通気チャネル548との間に同様の段差が設けられる場合がある。
【0311】
カートリッジ100の容積全体を最小化するために、第1のウェル504は比較的浅い(すなわち、低い深さを有する)場合があり、その結果、試料廃棄チャンバの断面積が小さくなる。第1のウェル504の深さが低いことにより、試料廃棄チャンバ内に液体の栓(すなわち、試料廃棄チャンバの断面積を満たす液体の容積)が生じる可能性がある。試料廃棄チャンバ内の液体のそのような栓は、計量チャンバ232から液体試料を吸引するために必要な圧力を増大させる。
【0312】
計量チャンバ232から液体試料を吸引するために必要な圧力を低減するために、第1のウェル504と永久通気口506との間の代替流路が任意選択で設けられる場合がある。この任意選択の代替流路の構成要素が
図26に点線で示されている。具体的には、任意選択の代替流路は、第2の複数の溝556と、第4のウェル552と、第4のウェル552を第3のウェル542に接続する第2のコネクタチャネル560とを備える。
【0313】
代替流路を提供することは、第1のウェル504と永久通気口506との間に2つの流路:(i)第1の複数の溝536、第2のウェル532、第1のコネクタチャネル544、第3のウェル542、および通気チャネル548を介した第1の流路、ならびに(ii)第2の複数の溝556、第4のウェル552、第2のコネクタチャネル560、第3のウェル542、および通気チャネル548を介した第2の流路が存在することを意味する。
【0314】
第2の流路は、(すなわち、廃棄物出口401と第1の複数の溝536との間の)第1のウェル504によって画定された試料廃棄チャンバ内に液体の栓が存在する場合、または第1の複数の溝536のすべてが塞がれている場合に、代替流路を提供する。同様に、第1の流路も、廃棄物出口401と第2の複数の溝556との間に液体の栓が存在する場合、または第2の複数の溝556が塞がれている場合に、第2の流路に対する代替流路として機能する。
【0315】
永久通気口506を通る液体の流れを阻止するために、第2のコネクタチャネル560は、その油圧抵抗を増大させるために狭い断面を有する。
図12に示されたように、第2のコネクタチャネル560は第1のコネクタチャネル544よりも長く、それは第1のコネクタチャネル544に対する第2のコネクタチャネル560の油圧抵抗をさらに増大させる。
【0316】
第2のコネクタチャネル560内の液体閉塞の可能性を低減するために、第2の複数の溝556が設けられる。さらに、第1のウェル504と第4のウェル552との間の液体の流れのための2つ以上の経路を設けることにより、第1のウェル504と第4のウェル552との間の液体閉塞の可能性が低減される。溝556の傾斜基部558はまた、傾斜基部558が重力下で第1のウェル504への液体の流れを促進するので、閉塞の場合に溝556から液体を除去するために必要な圧力を低減する。
【0317】
溝556の基部558は、使用時に第1のウェル504の基部530の上に位置し、それは、溝556への液体の流れをさらに阻止する第1のウェル504の基部530と各溝556の基部558との間の段差を液体が克服する必要があることを意味する。
【0318】
図27および
図28に示された流体回路は、ポンプマニホールド714に接続されたポンプ716を示す。複数の空気圧供給導管712がポンプマニホールド714に接続される。ポンプ716、ポンプマニホールド714、および空気圧供給導管712は、すべてカートリッジ100が収容される分析装置に含まれる空気圧供給システムの構成要素である。
【0319】
ポンプマニホールド714は、空気圧供給導管712を通る圧力の印加を制御するいくつかのバルブを含む。具体的には、マニホールド714内のバルブは、空気圧供給導管712の各々に正圧もしくは負圧が加えられることを可能にし、空気圧供給導管712の各々が大気圧に開放される(すなわち、通気される)ことを可能にし、または空気圧供給導管712の各々が対応する空気圧ポート312を閉じる(すなわち、塞ぐ)ことを可能にする。空気圧供給導管712の通気はまた、ポンプマニホールド714内の通気口を使用して実現される場合がある。空気圧供給システムは、カートリッジ100の3つの空気圧ポート312に対応する3つの空気圧供給導管712を含む場合がある。
【0320】
図27および
図28は、どの流体構成要素が流体層300に属するか、およびどの流体構成要素が第2の部分500に属するかを概略的に示す。
【0321】
図27および
図28に示された流体回路は、複数の空気圧ポートを使用して流体ネットワーク内の液体の動きがどのように制御され得るかを示す。複数の空気圧ポートを使用することにより、(試料の吸引に使用される永久通気口506は別にして)カートリッジ100内の永久通気口の必要性が低減される。したがって、液体がカートリッジ100から漏れる可能性が低減される。具体的には、流体回路は、(例えば、
図27に示されたように)第2の部分500内の廃棄チャンバ508を介して、または(例えば、
図28に示されたように)流体層300内の混合チャンバを介して通気される場合がある。
図27および
図28に示された例では、空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポート(すなわち、第1の空気圧ポート312a)は、導管600(例えば、第1のチャネル304aによって画定された導管)と流体連通し、空気圧ポート312のうちの第2の空気圧ポート(すなわち、第2の空気圧ポート312b)は、チャンバ(例えば、測定チャンバ610、または突部330内のチャンバ332のうちの1つ)と流体連通する。
【0322】
図27は、液体貯蔵カプセル120から測定チャンバ610への液体試薬の分注を概略的に示す流体回路である。測定チャンバ610に液体試薬を分注するために、第1の空気圧供給導管712aを介して第1の空気圧ポート312aに正圧が加えられ、第2の空気圧ポート312bは第2の空気圧供給導管712bを使用して通気される。正圧は、(例えば、第1の部分200の作動可能部分240を使用して)液体貯蔵カプセル120が穿刺された後に加えられる。
【0323】
第1の空気圧ポート312aを介して正圧を加えることにより、以下の一連の流体構成要素:第2の部分500内の第1のポート支持体516a内のチャネル518a、第2の部分500内の第1のトラフ514a、および流体層300内の第2のチャネル304bを介して、液体貯蔵カプセル120内の液体に正圧が加えられることになる。
【0324】
液体貯蔵カプセル120は、以下の一連の流体構成要素:流体層300内の第9のチャネル304i(第4のバルブ領域302dが押し下げられていない状態)、および流体層300内の第1のチャネル304aを介して、測定チャンバ610と流体連通している。上述されたように、測定チャンバ610は、封止層400内のバイア404を通してアクセスされるフローセルストリップ140内の開口142によって部分的に画定される場合があるか、または代替の封止層450内の開口454によって部分的に画定される場合がある。
【0325】
流体回路内の正圧の積み上げは、以下の一連の流体構成要素:流体層300内の第15のチャネル304o(第12のバルブ領域302lが押し下げられていない状態)、第2の部分500内の第2の廃棄チャンバ508b、第2の部分500内の横方向チャネル512、第2の部分500内の長手方向チャネル522、第2の部分内の第2のトラフ514b、第2の部分500内の第2のポンプ支持体516b内のチャネル518b、および第2の空気圧ポート312bを介して、測定チャンバ610を通気することによって防止される。
【0326】
図28は、液体貯蔵カプセル120から流体層330内の(例えば、混合チャンバとして使用される場合がある)第2のチャンバ332bへの液体試薬の分注を概略的に示す流体回路である。第2のチャンバ332bに液体試薬を分注するために、第1の空気圧供給導管712aを介して第1の空気圧ポート312aに正圧が加えられ、第2の空気圧ポート312bは第2の空気圧供給導管712bを使用して通気される。正圧は、(例えば、第1の部分200の作動可能部分240を使用して)液体貯蔵カプセル120が穿刺された後に加えられる。
【0327】
第1の空気圧ポート312aを介して正圧を加えることにより、以下の一連の流体構成要素:第2の部分500内の第1のポート支持体516a内のチャネル518a、第2の部分500内の第1のトラフ514a、および流体層300内の第2のチャネル304bを介して、液体貯蔵カプセル120内の液体に正圧が加えられることになる。
【0328】
液体貯蔵カプセル120は、以下の一連の流体構成要素:流体層300内の第9のチャネル304i(第4のバルブ領域302dが押し下げられていない状態)、流体層300内の第1のチャネル304a、ならびに流体層300内の第13のチャネル304mおよび第14のチャネル304n(第8のバルブ領域302hが押し下げられていない状態)を介して、第2のチャンバ332bと流体連通している。
【0329】
流体回路内の正圧の積み上げは、以下の一連の流体構成要素:第1のチャンバ332aを第2のチャンバ332bに接続する開口部334a、第1のチャンバ332a、流体層内の第5のチャネル304e(第6のバルブ領域302fが押し下げられていない状態)、第2の部分500内の第2のトラフ514b、第2の部分500の第2のポンプ支持体516b内のチャネル518b、および第2の空気圧ポート312bを介して、第2のチャンバ332bを通気することによって防止される。
【0330】
図27および
図28は、両方とも複数の空気圧ポート312を使用して液体貯蔵カプセル120から流体ネットワークの別の構成要素に液体をどのように移動させることができるかを示す。空気圧ポート312は、チャンバ332から他の流体構成要素に液体を移送するために同様に使用され得ることが理解されよう。例えば、ポート312は、(例えば、
図28に示されたように、液体が液体貯蔵カプセル120から第2のチャンバ332bに移動した後に)チャンバ332のうちの1つから測定チャンバ610に液体を移送するために使用される場合がある。別の例として、ポート312は、第2のチャンバ332bと第3のチャンバ332cとの間で液体を前後に移送するために使用される場合がある。これは、ポート312のうちの第1のポートを介して正(または負)の圧力を加えることにより、かつポート312のうちの別のポートを通気することによって実現される。
【0331】
具体的には、上述された流体層300は、少なくとも以下の段落に記載される流体動作が実行されることを可能にする。
【0332】
液体は、廃棄チャンバ508、測定チャンバ610、または混合チャンバ332などのチャンバに分注される場合がある。これは、空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポート(例えば、第1の空気圧ポート312aまたは第3の空気圧ポート312c)に正圧を供給することによって実現される場合があり、空気圧ポート312のうちの第2の空気圧ポート(例えば、第2の空気圧ポート312bまたは第3の空気圧ポート312c)は通気される。
【0333】
例えば、
図17Bを参照すると、希釈剤は、液体貯蔵カプセル120から(この例では混合チャンバとして使用される)第3のチャンバ332cに分注される場合がある。具体的には、第1の空気圧ポート312aを介して正圧を加えることにより、開口部350cおよび350dの上に配置された液体貯蔵カプセル120に正圧が加えられる。正圧は第2のチャネル304bを介して加えられる。バルブ領域302d、302h、および302kが押し下げられていない(かつすべての他のバルブ領域302が押し下げられている)状態で、希釈剤は、チャネル304i、304a、304n、および304mを通って第3のチャンバ332cに流れる。第3の空気圧ポート312cは通気され、それは、第3のチャンバ332cが開口部334b、第4のチャンバ332d、第7のチャネル304g、および第3の空気圧ポート312cを介して通気されることを意味する。
【0334】
別の例として、溶液は、第3のチャンバ332cから測定チャンバ610に分注される場合がある。具体的には、第3の空気圧ポート312cを介して正圧を加えることにより、第3のチャンバ332c内の液体に正圧が加えられる。正圧は、第11のバルブ領域302kが押し下げられていない状態で第7のチャネル304gを介して加えられる。バルブ領域302i、302j、および302kが押し下げられていない(かつすべての他のバルブ領域302が押し下げられている)状態で、溶液は、第13のチャネル304m、第2のチャンバ332b、および第19のチャネル304sを通って、第17のチャネル304qおよび第19のチャネル304sに接続された測定チャンバ610に流入する。第2の空気圧ポート312bは通気され、それは、この測定チャンバ610が第17のチャネル304q、第18のチャネル304r、第1の廃棄チャンバ508a、チャネル512および522、ならびに第2の空気圧ポート312bを介して通気されることを意味する。継続的な正圧は、測定チャンバ610からチャネル304qおよび304rを通って第1の廃棄チャンバ508aに溶液を押し出し、第1の廃棄チャンバ508aは第2の空気圧ポート312bによって通気される。
【0335】
試料は、計量チャンバ232から測定チャンバ610に吸引される場合がある。具体的には、バルブ領域302cおよび302lが押し下げられていない(かつすべての他のバルブ領域302が押し下げられた)状態で、第2の空気圧ポート312bに負圧が加えられる。負圧は、以下の一連の流体構成要素:第2の部分内のチャネル512および522、第2の廃棄チャンバ508b、第15のチャネル304o、チャネル304aおよび304oに接続された測定チャンバ610、ならびに第1のチャネル304aを介して、計量チャンバ232内の試料に加えられる。第1のチャネル304aは、計量チャンバ232内の試料と流体連通し、計量チャンバ232は永久通気口506と流体連通することが想起されよう。したがって、第2の空気圧ポート312bを介して加えられた負圧は、チャネル304aおよび304oと流体連通している測定チャンバ610に試料を吸引する。
【0336】
試料はまた、(例えば、
図17Aおよび
図17Bに関連して説明されたようにサンプルを計量するために)第3のチャンバ332cに吸引される場合がある。具体的には、バルブ領域302c、302h、および302kが押し下げられていない(かつすべての他のバルブ領域302が押し下げられた)状態で、第3の空気圧ポート312cに負圧が加えられる。負圧は、第7のチャネル304g、第4のチャンバ332d、開口部334b、第3のチャンバ332c、ならびにチャネル304m、304n、および304aを介して試料に加えられる。したがって、第3の空気圧ポート312cを介して加えられた負圧は、(永久通気口506によって通気された)計量チャンバ232から第3のチャンバ332cに試料を吸引する。
【0337】
加えて、溶液は、(この例では混合チャンバとして使用される)チャンバ332bとチャンバ332cとの間で混合される場合がある。これは、第2のチャンバ332bから第3のチャンバ332cに溶液を吸引し、続いて第3のチャンバ332cへの溶液を第2のチャンバ332bに分注することによって実現される場合がある。次いで、溶液をさらに混合するために、これらの工程が繰り返される場合がある。
【0338】
第2のチャンバ332bから第3のチャンバ332cに溶液を吸引するために、第2の空気圧ポート312bが通気され、バルブ領域302fおよび302kが押し下げられていない(かつすべての他のバルブ領域が押し下げられた)状態で、第3の空気圧ポート312cに負圧が加えられる場合がある。負圧は、第7のチャネル304g、第4のチャンバ332d、開口部334b、第3のチャンバ332c、および第13のチャネル304mを介して、第2のチャンバ332b内の溶液に加えられる。第2のチャンバ332bは、第5のチャネル304eおよび第2の空気圧ポート312bを介して通気されている。第3のチャンバ332cから第2のチャンバ332bに溶液を分注するために、第2の空気圧ポート312bが通気され、バルブ領域302の同じ組合せが押し下げられた状態で、第3の空気圧ポート312cに正圧が加えられる場合がある。
【0339】
さらに、測定チャンバ610内の任意の溶液は、空気圧ポート312のうちの1つを介して供給された空気を使用して除去される場合がある。具体的には、チャネル304qおよび304sと流体連通している測定チャンバ610内、ならびにチャネル304pおよび304qと流体連通している測定チャンバ610内のいかなる溶液も、第2の空気圧ポート312bが通気された状態で第1の空気圧ポート312aを介して正圧を加えることによって除去される場合がある。フローセルは、バルブ領域302b、302i、および302lが押し下げられていない(かつすべての他のバルブ領域が押し下げられた)状態で除去される。
【0340】
具体的には、正の空気圧は、第4のチャネル304d、第19のチャネル304s、チャネル304sおよび304qと流体連通している測定チャンバ610、第17のチャネル304q、チャネル304pおよび304qと流体連通している測定チャンバ610、第16のチャネル304p、第2の廃棄チャンバ508b、チャネル512および522、ならびに第2の空気圧ポート312bを通る空気流を提供する。これにより、2つの測定チャンバ610が掃除されることが可能になる。
【0341】
図29は、複数の導管600およびチャンバ(例えば、測定チャンバ610、チャンバ332、廃棄チャンバ508)を備える流体ネットワークを備える液体処理装置(例えば、カートリッジ100)内で液体を移動させる方法900のフローチャートである。液体処理装置は、流体ネットワークと流体連通している複数の空気圧ポート312を備える。
【0342】
方法900は、上述された流体層300を用いて実施され得る様々な流体ワークフローの様々な段階に適用可能である。流体層300および方法900を使用して実現され得る液体移動の例が以下に列挙される。以下に記載されるフローチャートの工程は、実施される流体ワークフローに応じて、(必ずしも以下に記載される順序とは限らない)任意の順序で実行され得ることが理解されよう。
【0343】
910において、方法は、任意選択で、複数の空気圧ポート312のうちの1つに負の空気圧を供給して、試料入口チャンバ(例えば、計量チャンバ232)から流体ネットワーク内に液体を吸引することを含む場合がある。
【0344】
例えば、負圧は第2の空気圧ポート312bに供給される場合があり、第2の空気圧ポート312bは、(第12のバルブ領域302lが押し下げられていない状態で)チャネル304oおよび第2の部分500内の流体構成要素を介してチャネル304aおよび304oと流体連通している測定チャンバ610と流体連通している。この測定チャンバ610は、第3のバルブ領域302cが押し下げられていない状態で第1のチャネル304aを介して試料入口チャンバと流体連通している。第2の空気圧ポート312bに供給された負圧は、測定チャンバ610内に液体を吸引する。
【0345】
別の例として、負圧は第3の空気圧ポート312cに供給される場合があり、第3の空気圧ポート312cは、(第11のバルブ領域302kが押し下げられていない状態で)第7のチャネル304gを介して第3のチャンバ332cと流体連通している。第3のチャンバ332cは、バルブ領域302cおよび302hが押し下げられていない状態で、チャネル304m、304n、および304aを介して試料入口チャンバと流体連通している。第3の空気圧ポート312cに供給された負圧は、第3のチャンバ332c内に液体を吸引する。
【0346】
920において、複数の空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポートが通気される。複数の空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポートは、チャンバと流体連通している。
【0347】
930において、複数の空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポート312のうちの第2の空気圧ポートに正圧が供給される。複数の空気圧ポート312のうちの第2の空気圧ポートは、チャンバと流体連通している導管600と流体連通している。空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポートのうちの第2の空気圧ポートに正圧を供給することは、導管600からチャンバに液体を分注する。
【0348】
例えば、チャンバは第3のチャンバ332cであり得、第3の空気圧ポート312cは、押し下げられていない第11のバルブ領域302kを介して第3のチャンバ332cと流体連通することができ、第3の空気圧ポート312cは通気される場合がある。この例では、第1の空気圧ポート312aは、押し下げられていない第4のバルブ領域302dを介して第9のチャネル304iによって画定された導管600と流体連通することができ、第9のチャネル304iは、押し下げられていない第8のバルブ領域302hを介して第3のチャンバ332cと流体連通することができ、第1の空気圧ポート312aに正圧が加えられる場合がある。これにより、液体貯蔵カプセル120から第3のチャンバ332cに液体が分注される。
【0349】
別の例として、チャンバは(すなわち、チャネル304qおよび304sと流体連通している)測定チャンバ610であり得、第2の空気圧ポート312bは、押し下げられていない第10のバルブ領域302jおよび第2の部分500内の流体構成要素(廃棄チャンバ508a、チャネル512、522)を介して測定チャンバ610と流体連通することができ、第2の空気圧ポート312bは通気される場合がある。この例では、第3の空気圧ポート312cは、押し下げられていない第11のバルブ領域302kを介して第7のチャネル304gによって画定された導管600と流体連通することができ、第7のチャネル304gは、押し下げられていない第9のバルブ領域302iを介して測定チャンバ610と流体連通することができ、第3の空気圧ポート312cに正圧が加えられる場合がある。これにより、チャネル304qおよび304sと流体連通する測定チャンバ610にチャンバ332b/332cから液体が分注される。この例では、方法は、測定チャンバ610から廃棄チャンバ508aに液体を移動させるために、第2の空気圧ポート312bが通気された状態で第3の空気圧ポート312cに正圧を加え続けることをさらに含む場合がある。
【0350】
またさらなる例として、チャンバは第2のチャンバ332bであり得、第2の空気圧ポート312bは、押し下げられていない第6のバルブ領域302fを介して第2のチャンバ332bと流体連通することができ、第2の空気圧ポート312bは通気される場合がある。この例では、第3の空気圧ポート312cは、押し下げられていない第11のバルブ領域302kを介して第13のチャネル304mによって画定された導管600と流体連通することができ、第3の空気圧ポート312cを介して正圧が供給される場合がある。これにより、第3のチャンバ332cから第13のチャネル304mを通って第2のチャンバ332bに液体が分注される。この例では、第2のチャンバ332bは第1の混合チャンバとして機能し、第3のチャンバ332cは第2の混合チャンバとして機能する。したがって、第3の空気圧ポート312cからの正圧は、第3のチャンバ332c内のいずれかの液体に加えられ、それは、第3のチャンバ332cから第2のチャンバ332bに液体が分注されることを意味する。第2のチャンバ332bは第1の混合チャンバとして機能し、第3のチャンバ332cは第2の混合チャンバとして機能するので、これは、第1の混合チャンバから第2の混合チャンバに液体が分注されることを意味する。
【0351】
940において、チャンバが混合チャンバとして使用される第2のチャンバ332bである場合、方法は、任意選択で、第3のチャンバ332cから第2のチャンバ332bに液体を分注した後に、複数の空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポートの通気中に複数の空気圧ポート312のうちの第2の空気圧ポートに負圧を供給して、第2のチャンバ332bから第3のチャンバ332cに液体を吸引することをさらに含む場合がある。したがって、940において、第1の混合チャンバから第2の混合チャンバに液体が吸引される。
【0352】
例えば、第2のチャンバ332bから第3のチャンバ332cに液体を吸引するために、第2の空気圧ポート312bが通気され、バルブ領域302fおよび302kが押し下げられていない状態で、第3の空気圧ポート312cに負圧が加えられる場合がある。
【0353】
950において、方法は、任意選択で、複数の空気圧ポート312のうちの第1の空気圧ポートの通気中に、複数の空気圧ポート312のうちの第3の空気圧ポートに正圧を供給することをさらに含む場合がある。その後に、またはその代わりに、複数の空気圧ポート312のうちの第3の空気圧ポートに負圧が供給される場合がある。
【0354】
例えば、920および930は、第2の空気圧ポート312bが通気された状態で第3の空気圧ポート312cからの正圧を使用して、液体貯蔵カプセル120bのうちの1つから液体を移動させることを伴う場合がある。液体貯蔵カプセル120bからの液体は、(例えば、(カプセル120bに依存する)第11のチャネル304kまたは第12のチャネル304l、第4のチャネル304dおよび第19のチャネル304sを介して)測定チャンバ610に移動する場合がある。
【0355】
次いで、950において、方法は、第2の空気圧ポート312bが通気された状態で、第1の空気圧ポート312aに正圧を供給することによって測定チャンバ610を掃除することを含む場合がある。これは、第4のチャネル304dを介して測定チャンバ610に空気を供給して、測定チャンバを通して流体回路を掃除する。
【0356】
別の例として、920および930は、第2の空気圧ポート312bが通気された状態で、第1の空気圧ポート312aからの正圧を使用して測定チャンバ610を掃除することを含む場合がある。測定チャンバ610からの液体は、廃棄チャンバ508に移動する。
【0357】
次いで、950において、方法は、第2の空気圧ポート312bが通気された状態で、第3の空気圧ポート312cに正圧を供給することにより、液体貯蔵カプセル120bのうちの1つから測定チャンバ610に液体を分注することを含む場合がある。これは、液体貯蔵カプセル120bからの液体を(例えば、(カプセル120bに依存する)第11のチャネル304kまたは第12のチャネル304l、第4のチャネル304d、および第19のチャネル304sを介して)測定チャンバ610に押し出す。
【0358】
当業者は、上述された方法900が、上記の例に記載されたものを超えて、流体層300を使用して実施され得る追加の流体ワークフローに適用可能であることを理解されよう。したがって、方法900は、上記の例に記載された特定の例に限定されない。
【0359】
記載された方法は、コンピュータ実行可能命令を使用して実装される場合がある。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、コンピュータ実行可能命令を含むかまたは記憶することができる。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM:read-only memory)、CD、DVD、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM:random-access memory)、ならびに/または情報が任意の期間(例えば、長期間、恒久的、短時間、一時的なバッファリング用、および/もしくは情報のキャッシュ用)記憶される任意の他の記憶媒体を含む場合がある。コンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能命令を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、有形または非一時的なコンピュータ可読媒体であり得る。「コンピュータ可読」という用語は、「機械可読」を包含する。
【0360】
単数形の用語「a」および「an」は、「唯一の」を意味すると解釈されるべきではない。むしろ、特に明記しない限り、それらは「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」という単語ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprise)」を含むその派生語は、記載された特徴の各々を含むが、1つまたは複数のさらなる特徴の包含を排除しない。
【0361】
本明細書で使用される「チャネル」という用語は、開放断面を有する(すなわち、断面が封止されていない)表面に設けられた溝を指す。本明細書で使用される「導管」という用語は、(i)それによって閉じた断面を提供する、(例えば、封止層によって)封止されているチャネル、または(ii)本体を少なくとも部分的に通って延在する孔もしくはトンネルを指す。
【0362】
上記の実装形態は、例としてのみ記載されており、記載された実装形態は、すべての点で例示的であり、限定的でないものとしてのみ見なされるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実装形態の変形を行うことができることが理解されよう。記載されていないが、添付の特許請求の範囲内にある多くの変形形態が存在することも明らかであろう。
【国際調査報告】