IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メシチャニーノフ, ミハイル アレクサンドロビッチの特許一覧 ▶ アガサロフ, ドミトリー ヤノビッチの特許一覧 ▶ セルゲイブ, アントン ヴィクトロヴィッチの特許一覧

<>
  • 特表-生活ゴミを低温処理する方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】生活ゴミを低温処理する方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/70 20220101AFI20250115BHJP
   C02F 11/06 20060101ALI20250115BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20250115BHJP
   B09B 3/32 20220101ALI20250115BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20250115BHJP
【FI】
B09B3/70
C02F11/06 A ZAB
H05H1/24
B09B3/32
B09B101:70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539931
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2022060911
(87)【国際公開番号】W WO2023126707
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】2021140063
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524246159
【氏名又は名称】メシチャニーノフ, ミハイル アレクサンドロビッチ
【氏名又は名称原語表記】MESHCHANINOV, Mikhail Aleksandrovich
【住所又は居所原語表記】ul. Gagarina, d. 38, k. 2, kv. 33 Zhukovskiy, 140184 (RU)
(71)【出願人】
【識別番号】524246160
【氏名又は名称】アガサロフ, ドミトリー ヤノビッチ
【氏名又は名称原語表記】AGASAROV, Dmitrii Yanovich
【住所又は居所原語表記】Anrapetutyan Street, d.62, apt.95 0010, Yerevan (AM)
(71)【出願人】
【識別番号】524246171
【氏名又は名称】セルゲイブ, アントン ヴィクトロヴィッチ
【氏名又は名称原語表記】SERGEEV, Anton Viktorovich
【住所又は居所原語表記】ul. im. Ivana Kiyashko, d. 18, Krasnodar, 350078 (RU)
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】メシチャニーノフ, ミハイル アレクサンドロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】アガサロフ, ドミトリー ヤノビッチ
【テーマコード(参考)】
2G084
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
2G084AA20
2G084CC08
2G084CC22
2G084CC33
2G084CC34
2G084DD12
4D004AA02
4D004CA03
4D004CA34
4D004CA43
4D004CB01
4D004CB04
4D004CC03
4D004DA03
4D004DA07
4D004DA20
4D059AA07
4D059BC10
(57)【要約】
本発明は生活ゴミの管理方法に関し、特にプラズマ化学破壊の方法によりゴミを処理する方法に関する。本発明は、環境温度と同じくらいの低温処理下で生活ゴミを破壊する方法を提供することにより、技術案の範囲を広げた技術的効果を得ることを目的とする。該技術的効果は破壊方法により得られる。家庭の廃棄物は送入口から反応器中に供給され、さらに大気の空気が反応器中に進入するのを制限する。反応器は密閉空洞の形式で提供され、その内表面は完全又は部分的に導電であり、接地される。電極は反応器中に突出し、さらに該電極は接地表面と離される。電極に高圧パルスが提供される。パルスにより、電極と反応器の導電表面との間の間隙中にコロナ放電流が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活ゴミを送入口から反応器に送り、大気が反応器に進入するのを制限し;反応器が密閉空洞の形式を呈し、その内表面がすべて又は部分的に導電であり、接地され;電極が反応器に進入し、前記電極が接地表面と離され、電極に高圧パルスが提供され、パルスにより電極と反応器の導電面との間の間隙にコロナ放電流が形成されることを特徴とする、生活ゴミを低温処理する方法。
【請求項2】
前記反応器空洞の内表面の導電部分が予め一層の含水液により覆われることを特徴とする、請求項1に記載の生活ゴミを低温処理する方法。
【請求項3】
前記電極と、前記空洞の内表面における少なくとも1つの導電部分との間の間隙寸法が、5~50ミリメートルの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の生活ゴミを低温処理する方法。
【請求項4】
前記電極と、前記空洞内表面の導電部分を覆う前記含水液表面との間の間隙寸法が、5~50ミリメートルの範囲内であることを特徴とする、請求項2に記載の生活ゴミを低温処理する方法。
【請求項5】
前記生活ゴミが定量の方式で前記反応器中に供給されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の生活ゴミを低温処理する方法。
【請求項6】
前記生活ゴミが圧縮形式で前記反応器中に供給され、さらに大気の空気が前記反応器に進入するのを制限することを特徴とする、請求項5に記載の生活ゴミを低温処理する方法。
【請求項7】
前記反応器内の圧力が大気圧より0.1~1.0Pa低下することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の生活ゴミを低温処理する方法。
【請求項8】
前記反応器の送出口部分に真空が形成されることを特徴とする、請求項7に記載の生活ゴミを低温処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生活ゴミの管理方法に関し、特にプラズマ化学破壊の方法によりゴミを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロシア国特許出願公開第2741004号明細書(2021年1月22日公開)の装置で実施される固体の有機廃棄物を処理する既知の方法において、固体の有機廃棄物は蒸気プラズマガス化により変換され、合成ガスを生成して処理される。高温プラズマ反応器により処理を行い、このうち水蒸気をプラズマサポートガスとして用い、反応領域の温度は約1600~2000°である。
【0003】
この種の方法の欠点は、大量に加熱を行わなければならないことであり、さらに固体の有機生活ゴミの処理が徹底的でなく、処理後に生成される合成ガスも処理する必要があることである。このほか、生活ゴミ中の非有機物質はこの種の方法で処理することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ロシア国特許出願公開第2741004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、環境温度と同じくらいの低い処理温度で生活ゴミを破壊する方法を提供することにより、技術的解決案の範囲を拡大した技術的効果を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
該技術的効果は破壊方法により得られる。生活ゴミは送入開口を介して反応器中に供給され、さらに大気の空気が反応器中に進入するのを制限する。反応器は密閉空洞の形式で提供され、その内表面は完全又は部分的に導電であり、接地される。電極は反応器中に突出し、さらに該電極は接地表面と離される。電極に高圧パルスが提供される。パルスにより、電極と反応器の導電表面との間の間隙中にコロナ放電流が形成される。
【0007】
参考文献1に基づくと、各パルスは電極の先端付近に大量のプラズマ流を形成する。プラズマ流は倍増し始めて、反応器空洞の接地された導電表面に向かって拡散し、次第に電極間の間隙に充填され、コロナ放電が形成される。コロナ放電流のプラズマは負荷廃棄物中に含まれる水に作用し、水分子の分解HO→OH・+H・によりラジカルが形成される。このほか、その他の活性物質はコロナ放電により反応器中でO、O(aΔ)、H、OH、O(P)、NO、HNO及びHNOを形成する。コロナ放電は紫外線(UV)放射も引き起こす。上記活性物質及びUV放射は生活ゴミに含まれるいかなる有機及び無機物質も破壊し、完全に破壊して無害の気体反応生成物、すなわち水及び二酸化炭素を形成する。生活ゴミの非有機物質は酸により破壊される。有機物質の水中における酸化過程は連鎖反応である(参考文献2)。低速の連鎖反応は大気の酸素及びオゾンにより誘発することができる。高速の連鎖反応はヒドロキシラジカルにより誘発される。言い換えると、該方法により廃棄物中に含まれる有機及び無機物質をプラズマ化学破壊することを提供している。
【0008】
該方法の1つの実施例において、反応器空洞の内表面の導電部分は、予め一層の含水液により覆われ、これは反応器内で活性粒子を形成するのを助ける。
【0009】
好ましくは、電極と、反応空洞の内表面又は該部分を覆う含水液表面における導電部分の少なくとも1つとの間の間隙寸法が、5~50ミリメートルの範囲内に設定される。
【0010】
好ましくは、家庭用廃棄物は定量の方式で反応器中に供給される。
【0011】
好ましくは、生活ゴミの分量は圧縮形式で反応器中に供給され、さらに大気の空気が反応器に進入するのを制限する。
【0012】
好ましくは、大気圧と比較して、反応器内の圧力は0.1~1.0Pa低下する。
【0013】
該方法の1つの実施案において、反応器の送出部分に真空を形成して、反応器内の圧力を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、保護を要求する方法を実施する反応器の垂直横断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
該方法は、接地された導電底部10を有する密閉本体1の形式の反応器を使用することにより実現する。先端9を有する電極6は本体1中に突出する。先端9は本体1の導電底部10と離され、導電底部10に向く。一部の圧縮した廃棄物は装置11から供給され、本体1の送入口2を介して処理される廃棄物が定量、供給され、同時に大気の空気が本体1に進入するのを制限する。高圧パルス源8から電極6に高圧パルスが提供される。参考文献1から既知であるように、各パルスは電極6の先端9付近に大量のプラズマ流を生成する。プラズマ流は本体1の導電底部10に向かって倍増及び拡散し始め、次第に電極間の間隙に充填されてプラズマ流のコロナ放電を形成する。コロナ放電のプラズマは負荷廃棄物中に含まれる水に作用し、さらに水分子を破壊するとき、ラジカルが形成されるHO→OH・+H・。このほか、その他の活性物質はコロナ放電により反応器中でO、O(aΔ)、H、OH、O(P)、NO、HNO及びHNOを形成する。プラズマ中の電子のほとんどすべてのエネルギは、解離する、電子状態を活性化する、並びに反応器中に残った気体の回転及び振動レベルを新たに設定することにより、指定の活性粒子を形成するのに用いられる。これによりプラズマ流のコロナ放電が形成され、そのため大量の気体の加熱が生じない。上記活性物質及びUV放射は処理される廃棄物中に含まれるいかなる有機及び無機物質も破壊し、完全に破壊して無害の気体反応生成物、すなわち水及び二酸化炭素を形成する。廃棄物の非有機物は酸により破壊される。有機物質の水中における酸化過程は連鎖反応である(参考文献2)。低速の連鎖反応は大気の酸素及びオゾンにより誘発することができる。高速の連鎖反応はヒドロキシラジカルにより誘発される。言い換えると、装置中で廃棄物中に含まれる有機及び無機物質はプラズマ化学破壊される。本体1の温度及び送出口3を介して本体1から離れた気体は環境温度に近い。実際に、すべての電気パルスエネルギは消費されて活性粒子が形成され、これは生活ゴミが酸化する自然反応を顕著に加速させている。破壊された気体生成物は反応器の送出口3を通る。
【0016】
従って、環境温度に近い温度下で生活ゴミ中の有機及び非有機物質をプラズマ化学破壊する方法を提供することにより、特定の技術的効果を達成している。
【0017】
-参考文献-
1.Аристова Н.А., Пискарев И.М., Ивановский А.В., Селемир В.Д., Спиров Г.М., Шлепкин С.И. Инициирование химических реакций под действием электрического разряда в системе твердый диэлектрик-газ-жидкость // Журнал физической химии. 2004. Т. 78. No. 7. С. 1326-1331. (Aristova N.A.,Piskarev I.M.,Ivanovskiy A.V.,Selemir V.D.,Spirov G.M.,Shlepkin S.I.誘電体-気体-液体の配置において放電で誘発される化学反応//ジャーナル・オブ・フィジカルケミストリ、2004、Vol.78、#7、1326-1331ページ)
2.Пискарев И.М. Окислительно-восстановительные процессы в воде, инициированные электрическим разрядом над ее поверхностью // Журнал общей химии. 2001. Т. 71. Вып. 10. С. 1622. (Piskarev I.M.水面以上の放電で誘発される水中の酸化-還元過程//ジャーナル・オブ・ジェネラルケミストリ、2001、Vol.71、Issue10、1622ページ)
【符号の説明】
【0018】
1 内部空洞を有する反応器本体
2 送入口
3 送出口
4 反応器空洞の内表面
5 反応器空洞の内表面の導電部分
6 点電極
7 絶縁部材
8 高圧パルス源
9 電極端
10 リアクタの導電底部
11 処理される廃棄物を定量、供給する装置
12 反応器の送出部分に降圧させる抽気ファンを有する静電フィルタ
図1
【国際調査報告】