(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】視覚ターゲット支援型トレーニング機器
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20250115BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
A63B69/00 A
A63B69/00 C
A63B71/06 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541112
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-07-19
(86)【国際出願番号】 IN2022051098
(87)【国際公開番号】W WO2023131968
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】202221001096
(32)【優先日】2022-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524256550
【氏名又は名称】ハイパーラブ スポーテック プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HYPERLAB SPORTECH PRIVATE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ヒタルト パリーク
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ニール メータ
(57)【要約】
本発明(101)は相互作用型運動マシンの分野に関するものである。具体的には、本発明(101)は、室内でも屋外でも使用することができる視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。本発明(101)は、ユーザがそれに向かって走るための視覚ターゲットとして画像を投影して、トレーニングの経過中のユーザの位置を測定する。本発明(101)は、ユーザがトレーニング中に進んだ距離、及びその距離を進むのに要した時間も計算し、これにより、ユーザが自分の加速度、速度、スタミナ、及び反射神経を計算することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)であって、電源(113)に接続された小型で携帯可能な前記機器(101)が、
支持構造(108)上の投影手段(102)と、
ホルダ(105)と、
記憶手段(110)と、
入力手段(111)と、
前記ホルダ(105)の内部のビデオ捕捉手段(114)と、
処理手段(115)とを具え、
前記投影手段(102)は、視覚ターゲットを投影し、該視覚ターゲットに基づいてユーザの位置を測定するように構成され、
前記支持構造(108)は、前記投影手段(102)の、高さのある基台であり、
前記投影手段(102)は光源(103)を具え、該光源は、一方の端がセンサ(104)に接続され、他方の端が複数のモータであるモータX(106)及びモータY(107)に接続され、複数の前記視覚ターゲットを、位置を変化させて前記ユーザ用に投影するように構成され、
前記センサ(104)は、前記ユーザと前回投影されている視覚ターゲットとの間の距離、並びに前記支持構造(108)を基準とした前記ユーザの距離をリアルタイムで測定し、前記ユーザが前記視覚ターゲットに到達したか否かをリアルタイムで確認し、前記ユーザがトレーニング中に進んだ距離、及び該距離を進むのに要した時間を測定するように構成され、
前記ホルダ(105)は、前記光源(103)と前記センサ(104)とが平行な視野を有するように前記光源(103)及び前記センサ(104)を保持して、前記光源(103)の投影の位置を規定し、
前記複数のモータである前記モータX(106)及び前記モータY(107)は、前記センサ(104)及びコントローラ(109)に接続されて、前記光源(103)を、それぞれ第1軸及び第2軸の周りに回転させるように構成され、
前記コントローラ(109)は、一方の端が前記光源(103)及び前記センサ(104)に接続され、他方の端が前記モータX(106)及び前記モータY(107)に接続され、前記複数のモータ(106,107)の回転を制御し、それに応じて前記視覚ターゲットを投影するように構成され、
前記記憶手段(110)は、前記コントローラ(109)に接続され、前記複数のモータ(106,107)の回転の角度に関連する前記視覚ターゲットの投影情報を記憶するように構成され、
前記入力手段(111)は、無線手段(112)を通して前記コントローラ(109)に接続され、事前設定された練習を伝える前記ユーザと前記機器(101)との通信を促進し、前記トレーニング中の前記ユーザの心拍数、脈拍をリアルタイムで監視するように構成され、
前記無線手段(112)は、前記コントローラ(109)及び前記入力手段(111)を通して前記機器(101)と通信するための無線接続であり、
前記ビデオ捕捉手段(114)は、前記コントローラ(109)に接続され、前記トレーニングの経過中の前記ユーザのビデオを捕捉するように構成され、
前記処理手段(115)は、前記コントローラ(109)及び前記記憶手段(110)に接続され、前記ビデオ捕捉手段(114)が捕捉したビデオを以前に捕捉したビデオと比較して、前記トレーニング中の前記ユーザのフォーム及びテクニックの正確性を保証するように構成されている
視覚ターゲット支援型トレーニング機器。
【請求項2】
前記センサ(104)が、距離感応カメラまたは深度カメラセンサ、好適にはLiDARセンサである、請求項1に記載の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)。
【請求項3】
前記複数のモータ(106,107)が、サーボモータまたはアクチュエータである、請求項1または2に記載の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)。
【請求項4】
前記モータX(106)の前記第1軸が、前記光源(103)からの投影の距離を定めるように設定され、前記支持構造(108)の長軸に直交する、請求項1~3のいずれかに記載の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)。
【請求項5】
前記モータY(107)の前記第2軸が、前記視覚ターゲットを投影する位置を同時に定めるように設定され、前記支持構造(108)の長軸である、請求項1~4のいずれかに記載の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)。
【請求項6】
前記入力手段(111)が、スマート機器、スマートホン、またはタブレット、またはスマートウォッチ、またはラップトップ型コンピュータである、請求項1~5のいずれかに記載の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)。
【請求項7】
前記コントローラ(109)を、複数の前記入力手段(111)に接続して、往復同時の通信を同時に生成すること、及び前記複数の入力手段(111)及び前記機器(101)の間で同期した動作を確立することができる、請求項1~6のいずれかに記載の視覚ターゲット支援型トレーニング機器。
【請求項8】
前記視覚ターゲットを、地面または床面に限定されない面上に投影する、請求項1~7のいずれかに記載の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は相互作用型トレーニング機器の分野に関するものである。本発明は視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。更に、本発明は、画像を視覚ターゲットとして投影し、室内でも屋外でも使用することができる視覚ターゲット支援型トレーニング機器も提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
多忙でストレスの多いライフスタイルの今の時代には、大勢の人が、自分の肉体的及び精神的健康を維持するために、エアロビクス運動に目を向けている。運動は、ライフスタイル改善の重要な部分の1つである。運動は、体重増加、肥満を減らし、筋肉量を維持し、疲労を減らし、心臓血管系を強化し、肺の健康状態を改善し、エネルギーレベルを向上させ、そして特定の慢性的な健康状態を防止または低減することに役立つことができることが知られている。運動は、不安、気持ちの落ち込み、及び抑鬱気分を減らすことによって、そして自負心及び認識機能を向上させることによって、メンタルヘルス(精神的健康状態)も改善する。更に、運動は、抗酸化保護をもたらすことができ、老化の兆候を遅らせることができ、脳の健康に役立ち記憶力を強化する。
【0003】
日常の身体トレーニングは、競技者及びスポーツ選手が自分の日常の練習を実行して自分自身を向上させるためにも重要である。しばしば、ユーザは、自分の日常のトレーニングのための特定の機器を所有したがり、あるいはオンライン教室に自分を登録したがる。多数の屋内運動施設も利用可能であり、こうした施設では、素人/競技者が適切な機器を得ることができ、そしてプロのトレーナーの助力でトレーニングすることができる。しかし、これらの方法は、しばらくしてから飽きが来て退屈になり、ユーザの一貫性を低減する。ユーザは常に、創造的で革新的な運動の形態により自分の精神及び身体を刺激することの絶え間ない必要性に直面している。従って、自分が運動をすることを楽しむ/運動をして楽しく過ごすのであれば、運動をライフスタイルの習慣的部分によりし易くなる。更に、競技者は、自主的に、あるいは屋内運動施設内でトレーニングしながら、敏捷性、反射神経、及びスタミナ(持久力)のような自分の技能の詳細な報告及び分析(SWOT(strengths, weakness, opportunities, threats:強み、弱み、機会、脅威)分析)を得ることができない。
【0004】
市場では異なる種類の相互作用型マシンが利用可能であるが、これらの大部分は、視覚ターゲットを提供してマシンをユーザフレンドリに(使い勝手を良く)する様式で、ユーザと具体的にリアルタイムで相互作用しない。従来から利用可能なマシンの多数は、コーン(錐体)及びポッドのような物理的ターゲットの方を選び、このことはターゲット位置及び練習の数のフレキシビリティ(柔軟性)を減少させる。従来から利用可能な相互作用型運動マシンの一部は、追加的なレンズ及び壁面式プロジェクタ(投影機)を用いてターゲットを投影しており、このことは最終的にこれらのマシンをより高価にする。
【0005】
従って、視覚的ターゲットを提供する様式でユーザとリアルタイムで相互作用し、素人または競技者がターゲット支援型トレーニング用に用いることができる、ユーザと相互作用する相互作用型運動マシンを提供する必要性が存在し、これらのターゲットは物理的ターゲットの代わりに光源によって投影される画像であり、レンズまたは壁面型プロジェクタを必要とせず、これにより相互作用型運動マシンを手頃な価格で小型にする。
【0006】
従来技術及びその欠点
米国特許第6430997号明細書(特許文献1)は、多次元空間内で運動能力を追跡して評価するシステム及び方法を開示している。この発明は、センシング電子機器、及びコンピュータ制御のスポーツに特化したキューイング(合図)を用いることによって、演技構成を定量化して教え込むためのスポーツの正確なシミュレーションを提供し、これらのセンシング電子機器は、選手の三次元位置変化を基本的にリアルタイムで3つ以上の自由度(三次元)で測定し;上記のキューイングは、有意味な演技の兆候を提供するために測定される、選手からのスポーツ特有の応答を呼び起こすか促す。スポーツ特有のキューイングは、選手にリアルタイムで応答して選手とリアルタイムで相互作用する仮想的な対戦相手として特徴付けられる。仮想的な対戦相手は、選手にとって現実的な挑戦の動きを生成するための刺激を連続的に届け、こうした刺激に連続的に応答する。
【0007】
しかし、この発明は、視覚ターゲットをユーザに提供し、ユーザの位置を測定してユーザの動きを追跡するマシンは提供していない。この発明は、レーザーターゲットを投影するための投影スクリーンまたは壁面の必要性も解消していない。それに加えて、この発明は、トレーニングを実行しながらユーザのフォームを捕捉していない。
【0008】
他のこうした米国特許出願公開第2022/074716号明細書(特許文献2)は、ターゲット内に配置された投影体の位置を検出することができ、その後に、検出した投影体の位置に応答して、ターゲット上に表示されている画像を変化させることができるターゲットシステムを提供する。このターゲットシステムは、センサ、画像源、携帯電子機器、及びコンピュータ装置を具えている。センサをターゲット上に配置して、ターゲットの表面上の投影体の位置を検出することができる。画像源は、ターゲットの表面上に画像を投影することができる。携帯電子機器は、ユーザからの入力を受信して、ターゲット上に表示された画像を読み取ることができる。コンピュータ装置は、センサ、画像源、及び携帯電子機器に通信結合することができ、そしてターゲットシステムに投影体の位置を検出させ、その後に、この位置に応答して、ターゲット上に表示されている画像を変化させることができる。
【0009】
ここに記載されている発明は、画像がターゲットとして表示されていることに言及しているが、投影スクリーンまたは壁面を必要とせずに視覚ターゲットをユーザに提供していない。この発明は、ユーザの位置を測定して追跡する相互作用型運動マシンも提供していない。それに加えて、この発明は、競技者の敏捷性及び反射神経を分析しておらず、競技者の詳細な技能分析報告を競技者に提供していない。
【0010】
従来技術の欠点
視覚ターゲット支援型トレーニング機器用に用いられる既存の技術には、以下に記述する欠点の全部またはいずれかの問題がある:
・従来から利用可能なマシンは、視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の大部分は、視覚ターゲットをユーザ用に投影する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の大部分は、何らかの投影スクリーンまたは壁面を必要とせずにユーザ用の視覚ターゲットを投影する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の大部分は、ユーザの距離をリアルタイムで測定して追跡する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の多数は、ユーザとリアルタイムで相互作用し、それに応じて連続的な視覚ターゲットを投影する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の多数は、ユーザが、トレーニングの経過中に当該ユーザの加速度及び速度を計算することを可能にする視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の多数は、トレーニングの経過中にユーザのフォームを捕捉する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の多数は、ユーザの敏捷性及び反射神経を分析して、当該ユーザの詳細な技能分析報告を当該ユーザに提供する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の多数は、トレーニング中のユーザのフォーム及びテクニックの正確性を保証する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の多数は、あらゆるスマート機器に接続することができ、従ってユーザフレンドリである視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
・従来技術の多数は、費用効率の高い視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供していない。
【0011】
従って、視覚ターゲット支援型トレーニング機器、より具体的には、室内でも屋外でも使用することができる視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する目的を満足する発明を開発する必要性が存在する、というのは、こうした視覚ターゲット支援型トレーニング機器は投影スクリーンまたは壁面の必要性を解消するからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6430997号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/074716号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明の目的
従って、本発明の目的は、視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにある。1つの態様では、本発明は、室内でも屋外でも使用することができる視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
【0014】
本発明の他の目的は、視覚ターゲットをユーザ用に投影する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにある。
【0015】
更に他の目的では、本発明は視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供し、この視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、当該視覚ターゲット支援型トレーニング機器を基準として、ユーザの位置をリアルタイムで測定して追跡する。
【0016】
更に他の目的では、本発明は、ユーザの位置を追跡して連続的な視覚ターゲットを提供し、これによりユーザとリアルタイムで相互作用する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
【0017】
更に他の目的では、本発明は、トレーニング中にユーザの加速度、速度、敏捷性、及び反射神経を計算することによってユーザの技能をリアルタイムで分析する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
【0018】
更に他の目的は、本発明が、トレーニングを実行しながらユーザのフォームを捕捉/記録する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにある。
【0019】
更に他の目的は、本発明が、トレーニング中のユーザのフォーム及びテクニックの正確性を保証する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにある。
【0020】
本発明の更に他の目的は、視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにあり、この視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、あらゆるスマート機器に接続して、当該視覚ターゲット支援型トレーニング機器の動作を制御することができる。従って、本発明の目的は、ユーザフレンドリな視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにある。
【0021】
本発明の更に他の目的は、ターゲットを投影するための追加的なレンズの必要性を解消することによって、費用効率の高い視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにある。
【0022】
本発明の更に他の目的は、小型で携帯可能であり、どこへでも持ち運ぶことができる視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
発明の概要
本発明は、相互作用型運動マシンに関するものであり、視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。本発明は、ユーザ用の視覚ターゲットとして画像を投影する。ターゲットは、面の向きの制限なしに投影され、従って、本発明の機器は、投影面を必要とせずに室内でも屋外でも使用することができる。また本発明は、ユーザの位置をリアルタイムで測定し、トレーニングの経過中にユーザが進んだ距離、及びその距離を進むために要した時間を測定し、従って、ユーザの速度、加速度、反射神経、及びスタミナを計算する。更に、本発明は、トレーニング全体を通してユーザのフォームを記録する手立てを促進し、この記録を以前に記録したビデオと比較し、こうして、トレーニング中のユーザのフォームの正確性を保証する。本発明は、これにより、単純で、ユーザフレンドリで、費用効果的で、小型で携帯可能な視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器のユーザによる操作を示す図である。
【
図2】本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器において使用する投影手段の概略図である。
【
図3】本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器の仕組みを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の説明
本発明は、視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。本発明は、室内でも屋外でも使用することができる視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。更に、本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、単純で、ユーザフレンドリで、費用効率が高く、小型で携帯可能な機器である。従って、本発明は、従来技術の課題に対する、技術的に先進的で大幅に高効率な解決策を提供する。
【0026】
図1~3を参照すれば、本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)は次のもので構成される:
・投影手段(102)
・支持構造(108)
・コントローラ(109)
・記憶手段(110)
・入力手段(111)
・無線手段(112)
・電源(113)
・ビデオ捕捉手段(114)
・処理手段(115)。
【0027】
ここで:
投影手段(102)は支持手段(108)上に配置されている。投影手段(102)は、視覚ターゲットの投影を促進して、このターゲットに基づいてユーザの位置を測定する。
【0028】
図2を参照すれば、投影手段(102)は更に次のもので構成される:
・光源(113)
・センサ(104)
・ホルダ(105)
・モータX(106)
・モータY(107)。
【0029】
ここで:
光源(103)はレーザー光プロジェクタ及びビデオプロジェクタであり、但しこれらに限定されない。光源(103)は、一方の端がセンサ(104)に接続され、他方の端が複数のモータ、即ちモータX(106)及びモータY(107)に接続されている。光源(103)は、複数の視覚ターゲットをユーザにとって異なる位置に投影する。これらの視覚ターゲットは、地面及び/または床面(但しこれらに限定されない)のようなあらゆる表面上に投影され、従って投影スクリーン及び/または壁面の必要性を解消する。
【0030】
センサ(104)は、LiDAR(light detection and ranging:光検出及び測距)センサ、距離感応カメラ、及び深度カメラセンサ(但しこれらに限定されない)であり、ユーザと前回投影した視覚ターゲットとの間の距離、並びに支持構造(108)を基準としたユーザの距離を常に測定する。センサ(104)は光源(103)に接続されている。センサ(104)は、トレーニング中のユーザの位置をリアルタイムで測定する。センサ(104)は、ユーザが視覚ターゲットに到達したか否かを確認する。センサ(104)は、ユーザがトレーニングの経過中に進んだ距離、及びその距離を進むために要した時間を測定する。
【0031】
ホルダ(105)は、光源(103)とセンサ(104)とが平行な視野を有するように光源(103)及びセンサ(104)を保持し、これにより光源(103)の投影の位置を規定する。
【0032】
複数のモータ、即ちモータX(106)及びモータY(107)は、サーボモータ(但しこれに限定されない)、あるいは他のあらゆるモータ及び/またはアクチュエータである。これら複数のモータは、電源(113)に接続され、モータX(106)による第1軸及びモータY(107)による第2軸の周りの、光源(103)の回転運動の提供を促進する。
【0033】
モータX(106)はセンサ(104)及びコントローラ(109)に直接接続されている。モータX(106)は、光源(103)の、第1軸の周りの回転運動を促進し、第1軸は支持構造(108)の長軸に直交する。モータX(106)は、光源(103)からの投影の距離を決定する。
【0034】
モータY(107)は、センサ(104)及びコントローラ(109)に接続されている。モータY(107)は、光源(103)の、第2軸の周りの回転運動を促進し、第2軸は、支持構造(108)の長軸と共線で(同一直線上に)ある。モータY(107)はターゲットを同時に投影する位置を決定する。
【0035】
支持構造(108)は、高さのある基台を投影手段(102)に提供する。
【0036】
コントローラ(109)は動作を制御し、これらの動作は、センサ(104)の読取り値によりユーザがターゲットに到達したか否かを解明すること、及び同時に、次の視覚ターゲットを所望位置に投影するようにモータの回転を制御することであり、但しこれらに限定されない。コントローラ(109)は、一方の端が光源(103)及びセンサ(104)に接続され、他方の端はモータX(106)及びモータY(107)に接続されている。
【0037】
記憶手段(110)はコントローラ(109)に接続されている。記憶手段(110)は、外付けSD(secure digital:セキュアデジタル)カードであり(但しこれに限定されない)、視覚ターゲットを所望位置に投影するための複数のモータ、即ちモータX(106)及びモータY(107)の回転の角度に関連する視覚ターゲットの投影情報の記憶を促進する。
【0038】
入力手段(111)は無線手段(112)を通してコントローラ(109)に接続されている。入力手段(111)はスマート機器であり、スマートホン、タブレット、ラップトップ型コンピュータ、またはスマートウォッチを含み、但しこれらに限定されない。代案として、コントローラ(109)を複数の入力手段(111)に接続して、往復同時の通信を生成し、複数の入力手段(111)の間で同期した動作を確立することができる。入力手段(111)は通信を提供し、この通信は、ユーザが本発明の機器と通信して、接続されたスマート機器に応じて、事前設定された利用可能な練習から選定すること、あるいは自分自身の練習を作成すること、トレーニングの経過中に当該ユーザの心拍数及び/または脈拍を監視することを可能にすることであり、但しこれらに限定されない。これらの練習はトレーニングの方法または指示であり、ここではユーザが時間制限、ターゲットの数、または自分のトレーニングの難易度を決定することができる。
【0039】
無線手段(112)は、Wi-Fi(ワイファイ:登録商標)またはブルートゥース(登録商標)接続であり(但しこれらに限定されない)、コントローラ(109)と入力手段(111)との通信のモードを効率的に展開するための無線接続を提供する。
【0040】
本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器(101)は、電源(113)に接続されている。電源(113)はリチウムイオン電池であり、但しこれに限定されない。電源(113)は、コントローラ(109)、光源(103)、センサ(104)、及び複数のモータ、即ちモータX(106)及びモータY(107)に接続されている。
【0041】
ビデオ捕捉手段(114)は、コントローラ(109)に接続され、トレーニングの経過中のユーザのフォームを捕捉する。ビデオ捕捉手段(114)はホルダ(105)内に配置されている。
【0042】
処理手段(115)は、コントローラ(109)及び記憶手段(110)に接続されている。処理手段(115)は、ビデオ捕捉手段(114)が捕捉したビデオを以前に捕捉したビデオと比較して、トレーニング中のユーザのフォーム及びテクニックの正確性を保証する。
【0043】
発明の実施
ここでは本発明(101)の詳細な段階的な実施を説明する。本発明(101)は、同時かつ並列的に実施され、従って大幅に効率的な視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
・機器のスイッチをオンにする:本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器はオン/オフ・スイッチを有し、このスイッチを用いて機器をオン状態にする。
・機器のスイッチがオンにされると、電源(124)がコントローラ(109)をオン状態にして、光源(103)、センサ(104)、及び複数のモータ(106,107)のような他の構成部分に電力が供給される。
・入力手段を接続する:機器をオン状態にした後に、ユーザは入力手段(111)を、無線手段(116)を通してコントローラ(109)に接続する。次に、ユーザは、入力手段(111)を通して入力を与える。これらの入力は、ユーザの名前を与える、機器及び行うことになっている練習を選択する、という項目の形である。これらの練習は、トレーニング中のターゲットの数、トレーニングの継続時間、またはトレーニングの難易度に基づいて選択することができる。
・パラメータを選択する:選択すべきパラメータは、記憶手段(110)内に事前に入力されており、あるいは入力手段(111)を通したユーザの選定により選択することもできる。
・練習の選択後に、投影手段(102)は、出力を供給するための信号をコントローラ(109)から取得する。入力手段(111)を通してコントローラ(109)に与えられた入力により、光源(103)及びセンサ(104)を起動する。
・視覚ターゲットを投影する:光源(103)は視覚ターゲットを投影し、視覚ターゲットはユーザに指示を与える。視覚ターゲットは、ユーザが到達することになっている場所についての、ユーザに対する指標として機能する。視覚ターゲットは、トレーニングを実行するユーザが追跡する。
・光源(103)及びセンサ(104)は、複数のモータ、即ちモータX(106)及びモータY(107)に接続され、ホルダ(105)によって保持され、ホルダ(105)は光源の位置を規定する。コントローラ(109)は、所望位置に投影するための入力を複数のモータに与えて、モータX(106)を0~270度回転させ、モータY(107)を0~360度回転させる。
・ユーザの位置を追跡する:領域全体を走査する代わりに、センサ(104)は光源(103)がターゲットを投影しているスポット(小領域)のみを走査する、というのは、このスポットはユーザが到達することになっている唯一のスポットであるからである。ユーザがターゲットに到達すると、センサ(104)が複数のモータと通信して、次の視覚ターゲットを投影するためのコントローラ(114)からの入力により、モータX(106)を0~270度回転させ、モータY(107)を0~360度回転させて、ホルダ(105)を移動させる。
・データを生成する:センサ(104)は、トレーニング中にユーザが進んだ距離、及びその距離を進むのに要した時間を測定する。センサ(104)は、ユーザがターゲットに到達したか否かも判定して、次の視覚ターゲットを投影するための入力を、コントローラ(109)を通して光源(103)に送信する。
・データを送信する:要した時間に関するデータ、及び自分の距離を進むのに要した時間を、記憶手段(110)に記憶して、無線手段(112)を通して入力手段(111)に送信する。
・入力手段(111)は、トレーニング中のユーザの加速度及び速度を計算する。ユーザが視覚ターゲットに向かって速く走るほど、トレーニングが激しくなる。
・データにアクセスする:ユーザは、本発明の機器(101)に接続された入力手段(111)を通して上記のデータにアクセスする。
・ビデオ捕捉手段(114)は、オン状態にされると、トレーニング中のユーザのフォームを捕捉する。ビデオ捕捉手段(114)は、投影されたターゲットに向かって移動しているユーザの動きを分析する。次に、捕捉したビデオを記憶手段(110)に記憶する。
・処理手段(115)は、記憶手段(110)に接続されて、ビデオ捕捉手段(114)によって以前に捕捉したビデオにアクセスする。捕捉したユーザのビデオは、処理手段(115)または入力手段(111)のいずれかによって更に比較及び分析される。
【0044】
【0045】
事前設定された練習を選択して、ユーザAは8秒間で20メートルの距離を進んだのに対し、ユーザBは10秒間で同じ距離を進んだ。トレーニング全体を通してユーザAの速度は一定のままであったので、スタミナは7/10にランク(格付け)された。一方、ユーザBはこのトレーニングを高速で開始したが、次第に速度が低下し、このことによりスタミナは5/10にランクされた。こうして、本発明は、トレーニングの経過中にユーザが進んだ距離、及びその距離を進むのに要した時間を効率的かつ正確に測定し、これにより、ユーザの速度及びスタミナを表1に記すように計算する。
【0046】
本発明の利点
本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、従来技術に対する複数の利点を有する:
・本発明は、室内でも屋外でも使用することができる視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
・本発明は、コーン及び/またはポッドのような物理的ターゲットを用いる代わりに視覚ターゲットを投影し、このことはターゲットの位置及び練習の数におけるフレキシビリティを与える。
・本発明は、光源を基準としたユーザの位置を測定し、従ってユーザがトレーニング中の加速度及び速度を計算することを可能にする視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
・本発明は、ユーザの位置を測定して、次の連続的な視覚ターゲットを提供し、従ってユーザとリアルタイムで相互作用する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
・本発明は、トレーニング中のユーザの加速度、速度、敏捷性、及び反射神経を計算することによってユーザの技能を分析する視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
・本発明は、トレーニングの経過中のユーザのフォームを捕捉し、このフォームを以前に捕捉したビデオと比較して、ユーザのフォーム及び技能の正確性をチェックする視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する。
・本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、ユーザフレンドリな視覚ターゲット支援型トレーニング機器を提供する、というのは、あらゆるスマート機器向けに構成されているからである。
・本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、入力手段と連係して、トレーニングの経過中のユーザの心拍数及び/または脈拍数を監視して、投影したターゲットに応じた分析結果を提供する。
・本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、ターゲット投影用の追加的なレンズの使用を解消し、従って費用効率が高い。
・本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器は、小型で携帯可能であり、どこへでも持ち運ぶことができる。
【符号の説明】
【0047】
101:本発明の視覚ターゲット支援型トレーニング機器
102:投影手段
103:光源
104:センサ
105:ホルダ
106:モータX
107:モータY
108:支持構造
109:コントローラ
110:記憶手段
111:入力手段
112:無線手段
113:電源
114:ビデオ捕捉手段
115:処理手段
【国際調査報告】