(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-22
(54)【発明の名称】シクロプロパンアミド含有化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/04 20060101AFI20250115BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20250115BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20250115BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20250115BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20250115BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20250115BHJP
A61K 31/541 20060101ALI20250115BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20250115BHJP
【FI】
C07D471/04 108Q
C07D471/04 CSP
C07D471/04 108A
C07D471/04 101
A61K31/437
A61P1/00
A61P17/00
A61P19/02
A61P35/00
A61K31/541
A61P37/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024541788
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2024-07-11
(86)【国際出願番号】 CN2023072506
(87)【国際公開番号】W WO2023138550
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210052435.5
(32)【優先日】2022-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520255698
【氏名又は名称】シージーンテック (スーチョウ, チャイナ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王▲とう▼
(72)【発明者】
【氏名】▲はお▼岩
(72)【発明者】
【氏名】徐余冬
(72)【発明者】
【氏名】余強
(72)【発明者】
【氏名】丁炬平
(72)【発明者】
【氏名】王永聖
(72)【発明者】
【氏名】陳彬
(72)【発明者】
【氏名】趙家宏
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZA89
4C086ZB07
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本願は、医薬品化学の分野に関し、具体的には、式(I)で表されるシクロプロパンアミド含有化合物及びその使用に関する。当該シクロプロパンアミド含有化合物は、自己免疫疾患及び骨髄増殖性腫瘍類疾患に対して大きな医療価値及び市場の可能性を有する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化1】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
ここで、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
1、Z
2及びZ
3は、それぞれ独立して、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。]
【請求項2】
一般式(II)で表される構造を有する、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化2】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
1、Z
2及びZ
3は、それぞれ独立して、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、そして、Yが水素である場合、Z
2は-S(O)
2-ではなく、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。]
【請求項3】
一般式(III)で表される構造を有する、請求項1に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化3】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、
R′は、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択される。]
【請求項4】
一般式(IV)で表される構造を有する、請求項2に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化4】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
1は、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。]
【請求項5】
一般式(V)で表される構造を有する、請求項2に記載の般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化5】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
2は、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、そして、Yが水素である場合、Z
2は-S(O)
2-ではなく、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。]
【請求項6】
一般式(VI)で表される構造を有する、請求項2に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化6】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
3は、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。]
【請求項7】
一般式(VII)で表される構造を有する、請求項3に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化7】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。]
【請求項8】
一般式(VIII)で表される構造を有する、請求項3に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【化8】
[式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
R′は、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択される。]
【請求項9】
Yは、H又はFから選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
一般式における
から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
前記一般式(IV)において、Z
1は、-CH(SO
2R′)-から選択され、R′は、非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択される、請求項4に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
前記一般式(V)において、Yが水素である場合、Z
2は、-CR
3R
4-、又は-CH(S(O)
2R′)-から選択され、さらに、ここで、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、R′は、C
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択され、Yがハロゲンである場合、Z
2は、-SO
2-から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択される、請求項5に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
前記一般式(VI)において、Z
3は、-SO
2-、又は-S(O)-から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択される、請求項6に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
前記一般式(VII)において、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、フッ素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基又はシクロペンチル基から選択される、請求項7に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
前記一般式(VIII)において、R′は、置換又は非置換のメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択される、請求項8に記載の一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
下式で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
下式で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
治療有効量の、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩、又は請求項18に記載の医薬組成物の、JAKシグナル伝達経路異常に関連する疾患を治療するための医薬品の製造における使用。
【請求項20】
前記疾患は、自己免疫疾患であり、
好ましくは、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎又は全身性紅斑性狼瘡から選択される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記疾患は、骨髄増殖性腫瘍類疾患であり、
好ましくは、前記骨髄増殖性腫瘍類疾患は、本態性血小板増加症、真性赤血球増加症又は原発性骨髄線維症の疾患から選択される、請求項19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2022年1月18日に提出された、出願番号が202210052435.5で、発明名称が「シクロプロパンアミド(cyclopropanamide)含有化合物及びその使用」である中国特許出願の優先権を主張しており、その内容のすべては、援用で本明細書に取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、医薬品化学の分野に関し、具体的には、シクロプロパンアミド含有化合物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼは、タンパク質中の特定残基のリン酸化を触媒する酵素ファミリーであり、かつ広義にはチロシン及びセリン/トレオニンキナーゼに分類される。突然変異、過剰発現又は不適切な調節、調節異常又は調節不全、及び、成長因子やサイトカインの過剰産生又は産生不足による不適切なキナーゼ活性は、癌、心血管疾患、過敏反応、喘息及び他の呼吸器疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝障害、及び、神経障害と神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)を含むがこれらに限定されない多くの疾患に関する。したがって、プロテインキナーゼは、すでに、治療的に介入する標的スポットとしての重要な酵素の一種になっている。
【0004】
Janusキナーゼ(JAK)ファミリーは、非受容体型タンパク質チロシンキナーゼの一種であり、シグナル伝達兼転写活性化因子(signal transducer and activator of transcription、STATと略称)との間の相互作用により、サイトカイン受容体シグナル伝達経路において重要な役割を果たす。STATは、標的遺伝子調節領域DNAと結合可能な細胞質タンパク質の1つのグループである。STATは、JAKの下流基質として、外部シグナルの刺激下で、チロシンリン酸化が発生して活性化され、その後、細胞核に入って遺伝子の転写を調節する。
【0005】
アレルギー、喘息、(異種)移植拒絶反応、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症及び多発性硬化症等の自己免疫疾患や、骨髄増殖性障害、白血病及びリンパ腫等の血液学的悪性腫瘍などの多くの異常な免疫応答の調節は、いずれもJAK/STATシグナル伝達経路に関連する。
【0006】
Janusキナーゼ(JAK)ファミリーには、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2の4つのメンバーが含まれる。JAK1、JAK2及びTYK2は、様々な組織及び細胞に広く存在する一方、JAK3は、主にリンパ球に分布している。
【0007】
JAK1は、IL-10、IL-19、IL-20、IL-22、IL-26、IL-28、IFN-а、IFN-γ、gp130ファミリーのIL-6、及びγc含有の他の受容体等と結合することができる(RodigS.J.,etal.Cell,1998,93:373-383)。JAK1は、免疫関連疾患、炎症性及び癌等の疾患分野の新規標的スポットである。JAK1阻害剤は、白血病、リンパ腫、黒色腫、関節炎、乾癬、紅斑性狼瘡、後天性免疫不全症候群(HouS.,etal.,HμM.Genet.,2013,132:1049-1058)等のような自己免疫疾患炎症性(HornakovaT.,etal.,Blood,2010,115:3287-3295)の治療/予防に使用できる。
【0008】
JAK2は、IL-3、IFN-γ、EPO、GH等を含む複数の受容体シグナルの調節過程において重要な役割を果たす(LevyD.E.,etal.,Nat.Rev.Mol.CellBiol.,2002,3:651-662)。JAK2阻害剤は、骨髄線維症、固形腫瘍及び血液腫瘍等の疾患の治療に対して、大きな医療価値及び市場の可能性を有する。
【0009】
JAK3は、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-21等のサイトカイン受容体複合体中の共通γ鎖(γc)と結合することにより、細胞のシグナル伝達を調節する。JAK3阻害剤は、T細胞の活性化を阻止し、且つ移植手術後の移植拒絶反応を防ぐことができる。さらに、JAK3阻害剤は、リンパ球、マクロファージ及び肥満細胞の機能を調節することもできる。JAK3阻害剤は、リンパ球、マクロファージ又は肥満細胞の機能に関連する複数の疾患の治療又は予防への使用が期待される。
【0010】
トルファチニブは、最初のFDA認証を取得した新規経口JAK阻害剤であり、JAK1及びJAK3に作用し、関節リウマチ(RA)の治療に用いられる。ただし、トルファチニブは、RA症状を緩和するとともに、一部の副反応をもたらし、一定の感染、悪性腫瘍及びリンパ腫の発生を引き起こす。研究により、トルファチニブによる感染及び死亡率の全体的なリスクは、生物製剤でRAを治療するリスクに似ていることを分かった。JAKの多くの調節伝達経路及び免疫過程における多面作用を考慮すると、非選択的JAK阻害剤は不良反応のリスクをもたらすため、選択的JAK阻害剤は、すでに、現在研究の重要な方向になっている。
【0011】
ベルギーGalapagos会社のFilgotinibは、トルファチニブによる貧血又は感染のリスクを低下させた新世代JAK1選択的阻害剤である。しかし、Filgotinibは、活性が比較的弱く、JAK1のIC50が10nMより大きいことに対して、臨床投与量も比較的高い(Expert Opin.Investig .Drugs.2016,25,1355)。
【0012】
市場には、すでに一連のJAK阻害剤が開示されているが、依然として、より良い薬効及びJAK選択性を有する新規化合物を開発する必要があり、本願は、継続的な努力により、一般式(I)で表される構造を有する化合物を開発し、且つ、このような構造を有する化合物が優れた効果を示すことを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願は、シクロプロパンアミド含有化合物を提供することを目的とする。前記シクロプロパンアミド含有化合物は、一般式(I)で示される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩から選択される。前記立体異性体には、エナンチオマー、ジアステレオマー、メソ化合物又はラセミ体等が含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願は、上記の目的を達成するために、次のような技術的解決手段を用いる。
【0015】
本願は、一般式(I)で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【化1】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
ここで、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
1、Z
2及びZ
3は、それぞれ独立して、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。
【0016】
好ましくは、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩は、一般式(II)で表される構造を有する。
【化2】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
1、Z
2及びZ
3は、それぞれ独立して、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、そして、Yが水素である場合、Z
2は、-S(O)
2-ではなく、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。
【0017】
好ましくは、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩は、一般式(III)で表される構造を有する。
【化3】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、
R′は、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択される。
【0018】
好ましくは、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩は、一般式(IV)で表される構造を有する。
【化4】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
1は、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。
【0019】
好ましくは、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩は、一般式(V)で表される構造を有する。
【化5】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
2は、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、そして、Yが水素である場合、Z
2は-S(O)
2-ではなく、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。
【0020】
好ましくは、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩は、一般式(VI)で表される構造を有する。
【化6】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
mは1~4の整数であり、
Rは、水素、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6アルコキシ基又はハロゲンから選択され、
Z
3は、-C(R
3R
4)-、-S(O)
2-、-S(O)-、-CH(S(O)
2R′)-、又は-CH(S(O)
2NR′R′′)-から選択され、
R′及びR′′は、それぞれ独立して、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択され、
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。
【0021】
好ましくは、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩は、一般式(VII)で表される構造を有する。
【化7】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1~C
6アルキル基、C
1~C
6ハロアルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択される。
【0022】
好ましくは、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩は、一般式(VIII)で表される構造を有する。
【化8】
式中、
Xは、-CH又はNから選択され、
Yは、水素又はハロゲンから選択され、nは1又は2であり、
R′は、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル基又はC
3~C
7シクロアルキル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C
1~C
6アルコキシ基、C
1~C
6アルキルチオ基、C
3~C
7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC
1~C
6アルキル基及びN(C
1~C
6アルキル基)
2からなる群から選択される。
【0023】
好ましくは、上記のYは、H又はFから選択される。
【0024】
好ましくは、上記の一般式における
から選択される。
【0025】
好ましくは、上記の一般式(IV)において、Z1は、-CH(SO2R′)-から選択され、ここで、R′は、非置換のC1~C6アルキル基又はC3~C7シクロアルキル基から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択される。
【0026】
好ましくは、上記の一般式(V)において、Yが水素である場合、Z2は、-CR3R4-、又は-CH(S(O)2R′)-から選択され、さらに、ここで、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~C6アルキル基、C1~C6ハロアルキル基又はC3~C7シクロアルキル基から選択され、R′は、C1~C6アルキル基又はC3~C7シクロアルキル基から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択され、Yがハロゲンである場合、Z2は、-SO2-から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択される。
【0027】
好ましくは、上記の一般式(VI)において、Z3は、-SO2-、又は-S(O)-から選択され、Rは、水素、メチル基、メトキシ基又はハロゲンから選択される。
【0028】
好ましくは、上記の一般式(VII)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、フッ素、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基又はシクロペンチル基から選択される。
【0029】
好ましくは、上記の一般式(VIII)において、R′は、置換又は非置換のメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基から選択され、前記置換の基は、ハロゲン、C1~C6アルコキシ基、C1~C6アルキルチオ基、C3~C7シクロアルキル基、ヒドロキシ基、アミノ基、NHC1~C6アルキル基及びN(C1~C6アルキル基)2からなる群から選択される。
【0030】
さらに、本願は、下式で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩をさらに提供する。
【0031】
さらに、本願は、下式で表される化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩をさらに提供する。
【0032】
さらに、本願は、治療有効量の、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩成分、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物をさらに提供する。
【0033】
さらに、本願は、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩、又は上記の医薬組成物の、JAKシグナル伝達経路異常に関連する疾患を治療するための医薬品の製造における使用をさらに提供する。
【0034】
好ましくは、上記の疾患は、自己免疫疾患である。
【0035】
さらに好ましくは、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎又は全身性紅斑性狼瘡から選択される。
【0036】
好ましくは、上記の疾患は、骨髄増殖性腫瘍類疾患である。
【0037】
さらに好ましくは、前記骨髄増殖性腫瘍類疾患は、本態性血小板増加症、真性赤血球増加症又は原発性骨髄線維症の疾患から選択される。
【0038】
さらに、本願は、JAKシグナル伝達経路異常に関連する疾患を治療する方法をさらに提供し、前記方法は、必要のある被験者に、上記の化合物、その立体異性体又はその薬学的に許容可能な塩、又は上記の医薬組成物を治療有効量投与することを含む。
【0039】
好ましくは、上記の疾患は、自己免疫疾患である。
【0040】
さらに好ましくは、前記自己免疫疾患は、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、アトピー性皮膚炎又は全身性紅斑性狼瘡から選択される。
【0041】
好ましくは、上記の疾患は、骨髄増殖性腫瘍類疾患である。
【0042】
さらに好ましくは、前記骨髄増殖性腫瘍類疾患は、本態性血小板増加症、真性赤血球増加症又は原発性骨髄線維症の疾患から選択される。
【0043】
前記「治療有効量」は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法等によって差異が存在し、剤形の種類、投与方法、患者の年齢及び体重、患者の症状等を考慮して、医師の判断により決定することができる。
【発明の効果】
【0044】
1)本願の化合物は、良好なJAK1、JAK2又はJAK3キナーゼ阻害活性を有し、且つ、本願の化合物は、JAK1、JAK2又はJAK3キナーゼに対して明らかな選択性を有する。
【0045】
2)本願の化合物は、明らかな薬物動態学的利点を有し、JAKシグナル伝達経路異常に関連する疾患の予防及び/又は治療のためにより多くの選択肢を提供し、良好な臨床応用の見通しを持っている。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例における技術的解決手段を明確で、完全に説明するが、明らかに、説明される実施例は、本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働なしに取得したすべての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0047】
なお、逆の説明がない限り、明細書及び特許請求の範囲で使用される用語は、以下の意味を有する。
【0048】
「アルキル基」という用語は、飽和脂肪族炭化水素基をいい、1~20個の炭素原子の直鎖及び分枝鎖基を含む。好ましくは1~10個の炭素原子を含有するアルキル基であり、より好ましくは1~6個の炭素原子を含有するアルキル基であり、最も好ましくは1~4個の炭素原子を含有するアルキル基であり、最適はメチル基である。
【0049】
非限定的な実施例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、及びその様々な分枝鎖異性体などが含まれる。より好ましくは、1~6個の炭素原子を含有する低級アルキル基であり、非限定的な例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル等が含まれる。アルキル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換された場合、置換の基は、いずれの使用可能な連結点で置換されることができ、前記置換の基は、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基アミノ基、ハロゲン、スルフヒドリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、複素環アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、複素環アルコキシ基、シクロアルキルチオ基、複素環アルキルチオ基、オキソ基、アミノ基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基又はカルボン酸エステル基から独立して選択される1つ以上の基である。
【0050】
「シクロアルキル基」という用語は、飽和又は部分不飽和単環式又は多環式の環状炭化水素置換の基をいい、3~20個の炭素原子を含み、好ましくは3~12個の炭素原子を含み、より好ましくは3~10個の炭素原子を含み、最も好ましくは3~7個の炭素原子を含み、最適にはシクロプロピル基又はシクロペンチル基である。単環式シクロアルキル基の非限定的な例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテン基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプタトリエン基(シクロヘプタトリエニル)、シクロオクチル基等、好ましくはシクロプロピル基、シクロペンチル基が含まれる。多環式シクロアルキル基には、スピロ環、縮合環及び橋かけ環のシクロアルキル基が含まれる。シクロアルキル基は、任意に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、置換の基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基アミノ基、ハロゲン、スルフヒドリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、複素環アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、複素環アルコキシ基、シクロアルキルチオ基、複素環アルキルチオ基、オキソ基、アミノ基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基又はカルボン酸エステル基から独立して選択される1つ以上の基である。
【0051】
「アルコキシ基」という用語は、-O-(アルキル基)及び-O-(非置換のシクロアルキル基)をいい、ここで、アルキル基、シクロアルキル基の定義は、上記のとおりである。非限定的な例には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が含まれる。アルコキシ基は、任意に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合、置換の基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキル基アミノ基、ハロゲン、スルフヒドリル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、複素環アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、複素環アルコキシ基、シクロアルキルチオ基、複素環アルキルチオ基、アミノ基、ハロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基又はカルボン酸エステル基から独立して選択される1つ以上の基である。
【0052】
「ハロアルキル基」は、アルキル基が1つ以上のハロゲンによって置換されたものをいい、ここで、アルキル基の定義は、上記のとおりである。
【0053】
「ヒドロキシ基」は、-OH基をいう。
【0054】
「ヒドロキシアルキル基」は、ヒドロキシ基によって置換されたアルキル基をいい、ここで、アルキル基の定義は、上記のとおりである。
【0055】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素をいい、好ましくはフッ素又はヨウ素である。
【0056】
「アミノ基」は、-NH2をいう。
【0057】
「シアノ基」は、-CNをいう。
【0058】
「ニトロ基」は、-NO2をいう。
【0059】
「オキソ基」は、=Oをいう。
【0060】
「カルボキシル基」は、-C(O)OHをいう。
【0061】
「カルボン酸エステル基」は、-C(O)O(アルキル基)又は(シクロアルキル基)をいい、ここで、アルキル基、シクロアルキル基の定義は、上記のとおりである。
【0062】
「任意に」又は「任意選択的に」とは、その後に説明される事件又は環境が発生してもよいが、発生しなくてもよいことを意味し、当該説明には、当該事件又は環境が発生した場合又は発生しなかった場合が含まれる。例えば、「アルキル基によって置換された任意選択の複素環アルキル基」は、アルキル基が存在してもよいが、存在が必須ではないことを意味し、当該説明には、複素環アルキル基がアルキル基によって置換された状況及び複素環アルキル基がアルキル基に置換されない状況が含まれる。
【0063】
「置換された」とは、基中の1つ以上の水素原子、好ましくは最大で5個、より好ましくは1~3個の水素原子が互いに独立して対応する数の置換の基により置換されることを意味する。いうまでもなく、置換の基は、それらの可能な化学的位置にのみ存在し、当業者は、多くの努力を払わずに(実験又は理論により)可能又は不可能な置換を確定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノ基又はヒドロキシ基は、不飽和(例えば、アルケン)結合を有する炭素原子と結合するとき、不安定である場合がある。
【0064】
以下、具体的な実施例を参照しつつ、本願の技術的解決手段についてさらに説明する。特に明記しない限り、下記の実施例に使用される計器、消耗材及び試薬等は、いずれも従来の商業的手段で取得でき、実施例に具体的な条件を明記しなかった実験方法は、従来の方法及び条件に従うか、又は商品の説明書に従って選択する。
【0065】
実施例1:化合物1~11の合成
化合物1~11が所属する一般式化合物(IX)の合成経路
ステップ1:
シアノメチルホスホン酸ジエチル(177mg、1mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、氷浴下で、水素化ナトリウム(60mg、1.5mmol)を加え、1時間撹拌した後、対応するアルデヒド(1mmol)を加えた。室温で一晩撹拌反応させた。反応終了後、飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)を加えてクエンチングし、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。残留物を次のステップで直接使用した。
ステップ2:
N-(5-(1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾール[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(134mg、0.5mmol)、前のステップの残留物(0.6mmol)及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(2滴)をアセトニトリルに溶解させ、80℃に加熱して、8時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した後、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物を得た。
【0066】
実施例2:化合物1の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1でシクロペンチルホルムアルデヒド(シクロペンタンカルボアルデヒド)を使用して、化合物1(70mg)を取得し、収率は36%であった。LCMS(ESI+):389.42(M+H)+。
【0067】
実施例3:化合物2の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1でシクロプロピルホルムアルデヒド(シクロプロパンカルボキシアルデヒド)を使用して、化合物2(100mg)を取得し、収率は56%であった。LCMS(ESI+):361.42(M+H)+。
【0068】
実施例4:化合物3の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1で2-シクロプロピルアセトアルデヒドを使用して、化合物3(73mg)を取得し、収率は39%であった。LCMS(ESI+):375.38(M+H)+。
【0069】
実施例5:化合物4の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1でプロピオンアルデヒドを使用して、化合物4(80mg)を取得し、収率は41%であった。LCMS(ESI+):349.16(M+H)+。
【0070】
実施例6:化合物5の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1でブチルアルデヒドを使用して、化合物5(79mg)を取得し、収率は43%であった。LCMS(ESI+):363.20(M+H)+。
【0071】
実施例7:化合物6の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1で2-メトキシアセトアルデヒドを使用して、化合物6(55mg)を取得し、収率は30%であった。LCMS(ESI+):365.06(M+H)+。
【0072】
実施例8:化合物7の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1でバレルアルデヒドを使用して、化合物7(72mg)を取得し、収率は38%であった。LCMS(ESI+):377.08(M+H)+。
【0073】
実施例9:化合物8の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1で4-メチルバレルアルデヒドを使用して、化合物8(87mg)を取得し、収率は46%であった。LCMS(ESI+):377.12(M+H)+。
【0074】
実施例10:化合物9の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1で3-メトキシプロピオンアルデヒドを使用して、化合物9(80mg)を取得し、収率は42%であった。LCMS(ESI+):379.09(M+H)+。
【0075】
実施例11:化合物10の合成
実施例1の合成経路にしたがって、ステップ1で4,4,4-トリフルオロブチルアルデヒドを使用して、化合物10(105mg)を取得し、収率は50%であった。LCMS(ESI+):417.16(M+H)+。
【0076】
実施例12:化合物11の合成
ステップ2でN-(5-(1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾール[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミドの代わりにN-(5-(1H-ピラゾール-4-イル)-[1,2,4]トリアゾリル[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミドを使用したこと以外、残りは、いずれも実施例1の合成経路にしたがい、且つ、ステップ1でシクロペンチルホルムアルデヒドを使用して、化合物11(79mg)を取得し、収率は41%であった。LCMS(ESI+):390.25(M+H)+。
【0077】
実施例13:化合物12、13及び14の合成
化合物12、13、14が所属する一般式の化合物(X)の合成経路
ステップ1:
シアノメチルホスホン酸ジエチル(177mg、1mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(10mL)に溶解させ、氷浴下で、水素化ナトリウム(60mg、1.5mmol)を加え、1時間撹拌した後、シクロヘキサノン誘導体(1mmol)を加えた。室温で一晩撹拌反応させた。飽和塩化アンモニウム溶液(20mL)を加えてクエンチングし、酢酸エチルで抽出し(20mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物を次のステップで直接使用した。
ステップ2:
N-(5-(1H-ピラゾール-4-イル)イミダゾール[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(135mg、0.5mmol)、ステップ1で得られた残留物(0.6mmol)及び1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(2滴)をアセトニトリルに溶解させて80℃まで加熱し、8時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、濃縮して大部分のアセトニトリルを除去した後、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製して、化合物を得た。
【0078】
実施例14:化合物12の合成
実施例13の合成経路にしたがって、ステップ1で4,4-ジフルオロシクロヘキサノンを使用して、化合物12(74mg)を取得し、収率は35%であった。LCMS(ESI+):425.02(M+H)+。
【0079】
実施例15:化合物13の合成
実施例13の合成経路にしたがって、ステップ1で4-トリフルオロメチルシクロヘキサノンを使用して、化合物13(113mg)を取得し、収率は49%であった。LCMS(ESI+):457.01(M+H)+。
【0080】
実施例16:化合物14の合成
実施例13の合成経路にしたがって、ステップ1でシクロヘキサノンを使用して、化合物14(99mg)を取得し、収率は50%であった。LCMS(ESI+):389.08(M+H)+。
【0081】
実施例17:化合物15の合成
ステップ1:
(4-(ブロモメチル)フェニル)-ボロン酸(215mg、1mmol)及び3-(メチルスルホン)アゼチジン(135mg、1mmol)をアセトニトリルに溶解させ、次に、炭酸カリウム(207mg、1mmol)をバッチで加え、室温で一晩反応させた。反応物を濾過し、濾液を濃縮した。得られた残留物を次のステップで直接使用した。
ステップ2:
前のステップで得られた残留物(135mg、0.5mmol)、N-(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(140mg、1mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(36mg、0.1mmol)及び炭酸カリウム(138mg、2mmol)をジオキサン(10mL)及び水(10mL)に溶解させ、窒素を3回置換し、110℃で撹拌しながら8時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物15(119mg)を取得し、収率は56%であった。LCMS(ESI+):212.99(M/2+H)
+。
【0082】
実施例18:化合物16の合成
ステップ1:
(4-(ブロモメチル)フェニル)-ボロン酸(108mg、0.5mmol)及び4-(メチルスルホン)ピペリジン(84mg、0.5mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させ、次に、炭酸カリウム(138mg、1mmol)をバッチで加え、室温で一晩反応させ、反応物を濾過し、濾液を濃縮し、得られた残留物を次のステップで直接使用した。
ステップ2:
ステップ1得られた残留物をジオキサン(10mL)及び水(10mL)に溶解させてから、N-(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(140mg、0.5mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(36mg、0.1mmol)及び炭酸カリウム(138mg、2mmol)を加え、窒素を3回置換し、110℃で撹拌しながら8時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物16(108mg)を取得し、収率は48%であった。LCMS(ESI+):227.13(M/2+H)
+。
【0083】
実施例19:化合物17の合成
ステップ1:
テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-オール-1,1-ジオキシド(150mg、1mmol)及びp-トルエンスルホニルクロリド(215mg、1mmol)をピリジン(5mL)に溶解させ、室温で一晩反応させた。濃縮後、残留物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0-50:50)で精製し、化合物である1,1-ジオキソテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル-4-ベンゼンスルホン酸メチルを取得した。
ステップ2:
p-ヒドロキシベンゼンホウ素酸(138mg、1mmol)、N-(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(279mg、1mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(73mg、0.1mmol)及び炭酸カリウム(276mg、2mmol)をジオキサン(10mL)及び水(10mL)に溶解させ、窒素を3回置換し、100℃で8時間撹拌反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物であるN-(5-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾール[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミドを取得した。
ステップ3:
ステップ1で得た1,1-ジオキソテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル-4-ベンゼンスルホン酸メチル(152mg、0.5mmol)、ステップ2で得たN-(5-(4-ヒドロキシフェニル)イミダゾール[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(146mg、0.5mmol)及び炭酸カリウム(138mg、1mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に加え、80℃に加熱して5時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物17(137mg)を取得し、収率は62%であった。LCMS(ESI+):425.98(M+H)
+。
【0084】
実施例20:化合物18の合成
実施例19の合成経路にしたがって、ステップ2においてp-ヒドロキシベンゼンホウ素酸の代わりに2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニルボロン酸を使用して、化合物18(104mg)を取得し、収率は50%であった。LCMS(ESI+):443.98(M+H)
+。
【0085】
実施例21:化合物19の合成
実施例19の合成経路にしたがって、ステップ2においてN-(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミドの代わりにN-(5-ブロモ-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミドを使用して、化合物19(58mg)を取得し、収率は43%であった。LCMS(ESI+):427.15(M+H)
+。
【0086】
実施例22:化合物20の合成
ステップ1:
(2-フルオロ-4-ホルミルフェニル)ボロン酸(168mg、1mmol)、4-(メチルスルホン)ピペリジン(135mg、1mmol)及び酢酸1滴をメタノールに加え、室温で2時間撹拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(126mg、2mmol)を加え、一晩攪拌を続けた。反応物を濃縮した後、水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮し、得られた残留物を次のステップで直接使用した。
ステップ2:
ステップ1の残留物をジオキサン(10mL)及び水(10mL)に直接溶解させてから、N-(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(140mg、0.5mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(36mg、0.05mmol)及び炭酸カリウム(138mg、1mmol)を加え、窒素を3回置換し、100℃で8時間撹拌反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物20(120mg)を取得し、収率は51%であった。LCMS(ESI+):236.13(M/2+H)
+。
【0087】
実施例23:化合物21の合成
ステップ1:
テトラヒドロチオピラン-4-オール(590mg、5mmol)及びp-トルエンスルホニルクロリド(1.1g、6mmol)をピリジン(10mL)に溶解させ、室温で一晩反応させた。濃縮後、残留物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=100:0-50:50)で精製し、化合物であるテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル-4-ベンゼンスルホン酸メチルを得た。
ステップ2:p-ヒドロキシベンゼンホウ素酸(1.38g、10mmol)、N-(5-ブロモ-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(2.81g、10mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(730mg、1mmol)及び炭酸カリウム(2.76g、20mmol)をジオキサン(20mL)及び水(20mL)に溶解させ、窒素を3回置換し、110℃で撹拌しながら8時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(20mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物であるN-(5-(4-ヒドロキシフェニル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミドを得た。
ステップ3:
ステップ1で得たテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル-4-ベンゼンスルホン酸メチル(272mg、1mmol)、ステップ2で得たN-(5-(4-ヒドロキシフェニル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(294mg、1mmol)及び炭酸カリウム(276mg、2mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に加え、80℃に加熱して5時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物であるN-(5-(4-((1-テトラヒドロチオピラン-4-イル)オキシ)フェニル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミドを得た。
N-(5-(4-((1-テトラヒドロチオピラン-4-イル)オキシ)フェニル)-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン-2-イル)シクロプロパンカルボキシアミド(197mg、1mmol)をメタノール(5mL)に溶解させ、氷浴下で、N-ブロムコハク酸イミド(178mg、2mmol)及びカリウムtert-ブトキシド(112mg、2mmol)を加え、室温で一晩反応させた。飽和食塩水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物21(66mg)を取得し、収率は32%であった。LCMS(ESI+):411.03(M+H)
+。
【0088】
実施例24:化合物22の合成
ステップ1:t-ブチル(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)カルバメート(311mg、1mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、氷浴下で、トリフルオロ酢酸(5mL)を加え、室温で5時間反応させた後、濃縮した。得られた残留物を次のステップで直接使用した。
ステップ2:ステップ1の残留物をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、トランス2-フルオロシクロプロパンカルボン酸(114mg、1.1mmol)を加え、氷浴下で、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(260mg、2mmol)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(570mg、1.5mmol)を加え、室温で一晩反応させた。反応終了後、反応物に水(20mL)を加え、ジクロロメタンで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物であるトランス-N-(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)-2-フルオロシクロプロパンカルボキサミドを得た。
ステップ3:トランス-N-(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)-2-フルオロシクロプロパンカルボキサミド(149mg、0.5mmol)、4-{[4-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]メチル}チオモルホリン-1,1-ジオン(175mg、0.5mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(36mg、0.05mmol)及び炭酸カリウム(138mg、1mmol)をジオキサン(10mL)及び水(10mL)に溶解させ、窒素を3回置換し、110℃で撹拌しながら8時間反応させた。室温に戻った後、反応物に水(20mL)を加え、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=100:0-100:5)で精製し、化合物22(124mg)を取得し、収率は56%であった。LCMS(ESI+):443.55(M+H)
+。
その後、得られた化合物22を分割し、分割条件は、以下の通りである。すなわち、先に、化合物22をジクロロメタン(濃度10mg/mL)に溶解させてから、エタノールで2.5mg/mLに希釈し、HPLCキラルカラムUniChiral CMD-5H(21.2mm I.Dx250mmL)を使用し、エタノール/ジエチルアミン(100:1)を移動相とし、流速が12mL/minで、UVが254nmで、カラム温度が25℃であり、分割した後、化合物22-1及び化合物22-2をそれぞれ得た。
保持時間:化合物22-1は10.69min(>99%ee)であり、化合物22-2は13.54min(>99%ee)であった。
【0089】
実施例25:化合物23の合成
実施例24の合成経路にしたがって、ステップ1においてt-ブチル(5-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル)カルバメートの代わりにt-ブチル(5-ブロモ-[1,2,4]トリアゾール[1,5-a]ピリジン-2-イル)カルバメートを使用して、化合物23(100mg)を取得し、収率は45%であった。LCMS(ESI+):444.17(M+H)
+。
その後、得られた化合物23を分割し、分割条件は、以下の通りである。すなわち、化合物23をエタノール(4mg/mL)に溶解させ、HPLCキラルカラムUniChiral CMD-5H (21.2mm I.Dx250mmL)を使用し、移動相はエタノールで、流速は12mL/minで、UVは254nmで、カラム温度は25℃であり、分割した後、化合物23-1お及び化合物23-2をそれぞれ得た。
保持時間:化合物23-1は、11.58min(>99%ee)であり、化合物23-2は、16.47min(>99%ee)であった。
【0090】
実施例26:化合物24~33の合成
適切な原材料を利用し、実施例24及び実施例25のような合成経路を参照して、化合物24~33を合成した。
【0091】
具体的に、化合物の番号、構造、合成方法及び特徴データは、次のとおりである。
【0092】
実施例27:JAK1/JAK2/JAK3キナーゼ阻害活性テスト
1.実験消耗材
JAK1:Thermo Fisher PV4774 2059141D
JAK2:Carna 08-045 14CBS-0374 H
JAK3:Carna 08-046 19CBS-0798 B
ATP(10mM):CST 9804
DTT:100mM
MgCl2:1M
MnCl2:1M
HTRF Kinase-TK kit(HTRFチロシンキナーゼキット):cis-bio 62TK0PEC
HTRF 96 well low volume plate (HTRF 96ウェルマイクロプレート):cis-bio 66PL96100
【0093】
2.テスト条件
JAK1:0.32ng/μL、ATP4μM、基質1μM、時間4h
JAK2:0.008ng/μL、ATP4μM、基質1μM、時間2h
JAK3:0.1ng/μL、ATP3μM、基質1μM、時間3h
【0094】
3.JAK1キナーゼ阻害活性テスト
3.1 試薬の調製
1)1×キナーゼ緩衝液の調製:5×キナーゼ緩衝液を滅菌水で1×キナーゼ緩衝液に希釈し、その後、5mMのMgCl2、1mMのMnCl2及び1mMのDTTを加えた。
2)5×JAK1の調製:JAK1母液の濃度は160ng/μLであり、最終濃度の5×、即ち1.6ng/μLに調製し、母液を100倍に希釈すればよい。
3)5×ATPの調製:4μMのATPを、その5×、即ち20μMに調製し、10mMのATPから500倍直接希釈して、必要なATP濃度とした。
4)5×基質の調製:1μMの5×即ち5μMであり、基質濃度は500μMであり、100×、即ち5μMの基質に希釈した。
5)2.5×検出対象の化合物の調製:化合物緩衝液の濃度は10mMであり、処理濃度は10μMから開始し、先に100×の緩衝液、即ち1mMに調製し、10mMから10×に希釈し、その後、1:3勾配で合計10個の濃度に希釈し、希釈後の化合物を2μL取って78μLの1×キナーゼ緩衝液に加えると、2.5×検出対象の化合物になり、陽性対照群及びブランク対照群にジメチルスルホキシド(DMSO)を2μL加えた。
6)1μMのStreptavidin-XL665の調製:Streptavidin-XL665の濃度は16.67μMであり、検出緩衝液を使用して16.67倍に希釈すればよい。
7)1×TK-Antibodyの調製:TK-Antibody貯蔵液は、100×の溶液であり、使用時に検出緩衝液で1×に希釈すればよい。
【0095】
3.2 テスト方法
1)HTRF 96ウェルマイクロプレートに、上記の2.5×検出対象の化合物を4μL加え、次に、ウェルの片側に5×基質を2μL加え、ウェルの別の側に5×JAK1を2μL加え、ブランク対照群に1×キナーゼ緩衝液を2μL加えた。
2)プレートをシールプレートフィルムでシールして、遠心分離機に入れ、1000rpmで2分間遠心分離した。
3)1ウェル当たりに5×ATPを2μL加え、シールプレートフィルムでシールし、1000rpmで1分間遠心分離し、プレートを30℃のインキュベーターに入れて4hインキュベートした。
4)インキュベート終了後、上記の1μMのStreptavidin-XL665及び1×TK-Antibodyを1:1で混合し、1ウェル当たり10μLを加え、1000rpmで1分間遠心分離した。
5)プレートをインキュベーターに入れ戻して、引き続き1hインキュベートし、インキュベート終了後、多機能性マイクロプレートリーダー上からHTRF665/620シグナルを読み取った。
【0096】
4.JAK2キナーゼ阻害活性テスト
4.1 試薬の調製
1)1×キナーゼ緩衝液の調製:5×キナーゼ緩衝液を滅菌水で1×キナーゼ緩衝液に希釈し、その後、5mMのMgCl2及び1mMのDTTを加えた。
2)5×JAK2の調製:JAK2母液の濃度は166ng/μLであり、最終濃度の5×、即ち0.04ng/μLに調製し、先に、母液を1.66ng/μLに希釈し、その後、1.66ng/μLから41.5倍に希釈し、0.04ng/μLに調製した。
3)5×ATPの調製:4μMのATPを、その5×、即ち20μMに調製し、10mMのATPから500倍に直接希釈して、必要なATP濃度とした。
4)5×基質の調製:1μMの5×即ち5μMであり、基質濃度は500μMであり、100×に希釈して、5μMの基質とした。
5)2.5×検出対象の化合物の調製:化合物緩衝液の濃度は10mMであり、処理濃度は、10μMから開始し、先に100×の緩衝液、即ち1mMに調製し、10mMから10×に希釈し、その後、1:3勾配で合計10個の濃度に希釈し、希釈後の化合物を2μL取って78μLの1×キナーゼ緩衝液に加えると、2.5×検出対象の化合物になり、陽性対照群及びブランク対照群にジメチルスルホキシド(DMSO)を2μL加えた。
6)1μMのStreptavidin-XL665の調製:Streptavidin-XL665の濃度は16.67μMであり、検出緩衝液を使用して16.67倍に希釈すればよい。
7)1×TK-Antibodyの調製:TK-Antibody貯蔵液は100×の溶液であり、使用時に検出緩衝液で1×に希釈すればよい。
【0097】
4.2 テスト方法
1)HTRF 96ウェルマイクロプレートに、上記の2.5×検出対象の化合物を4μL加え、次に、ウェルの片側に5×基質を2μL加え、ウェルの別の側に5×JAK2を2μL加え、ブランク対照群に1×キナーゼ緩衝液を2μL加えた。
2)プレートをシールプレートフィルムでシールして、遠心分離機に入れ、1000rpmで2分間遠心分離した。
3)1ウェル当たりに5×ATPを2μL加え、シールプレートフィルムでシールし、1000rpmで1分間遠心分離し、プレートを30℃のインキュベーターに入れて、2hインキュベートした。
4)インキュベート終了後、上記の1μMのStreptavidin-XL665及び1×TK-Antibodyを1:1で混合し、1ウェル当たり10μLを加え、1000rpmで1分間遠心分離した。
5)プレートをインキュベーターに入れ戻して、引き続き1hインキュベートし、インキュベート終了後、多機能性マイクロプレートリーダー上からHTRF665/620シグナルを読み取った。
【0098】
5.JAK3キナーゼ阻害活性テスト
5.1 試薬の調製
1)1×キナーゼ緩衝液の調製:5×キナーゼ緩衝液を滅菌水で1×キナーゼ緩衝液に希釈し、その後、5mMのMgCl2及び1mMのDTTを加えた。
2)5×JAK3の調製:JAK3母液の濃度は124ng/μLであり、最終濃度の5×、即ち0.5ng/μLに調製し、母液を248倍に希釈して、必要なJAK3濃度とした。
3)5×ATPの調製:3μMのATPを、その5×、即ち15μMに調製し、10mMのATPから666.67倍に希釈して、必要なATP濃度とした。
4)5×基質の調製:1μMの5×即ち5μMであり、基質濃度は500μMであり、100×に希釈して5μMの基質とした。
5)2.5×検出対象の化合物の調製:化合物緩衝液の濃度は10mMであり、処理濃度は10μMから開始し、先に100×の緩衝液、即ち1mMに調製し、10mMから10×に希釈し、その後、1:3勾配で合計10個の濃度に希釈し、希釈後の化合物を2μL取って78μLの1×キナーゼ緩衝液に加えると、2.5×検出対象の化合物になり、陽性対照群及びブランク対照群にジメチルスルホキシド(DMSO)を2μL加えた。
6)1μMのStreptavidin-XL665の調製:Streptavidin-XL665の濃度は16.67μMであり、使用時に検出緩衝液で16.67倍に希釈すればよい。
7)1×TK-Antibody調製:TK-Antibody貯蔵液は100×の溶液であり、使用時に検出緩衝液で1×に希釈すればよい。
【0099】
5.2 テスト方法
1)HTRF 96ウェルマイクロプレートに、上記の2.5×検出対象の化合物を4μL加え、次に、ウェルの片側に5×基質を2μL加え、ウェルの別の側に5×JAK3を2μL加え、ブランク対照群に1×キナーゼ緩衝液を2μL加えた。
2)プレートをシールプレートフィルムでシールして、遠心分離機に入れ、1000rpmで2分間遠心分離した。
3)1ウェル当たりに5×ATPを2μL加え、シールプレートフィルムでシールし、1000rpmで1分間遠心分離し、プレートを30℃のインキュベーターに入れて3hインキュベートした。
4)インキュベート終了後、上記の1μMのStreptavidin-XL665及び1×TK-Antibodyを1:1で混合し、1ウェル当たり10μLを加え、1000rpmで1分間遠心分離した。
5)プレートをインキュベーターに入れ戻して、引き続き1hインキュベートし、インキュベート終了後、多機能性マイクロプレートリーダー上からHTRF665/620シグナルを読み取った。
【0100】
6.阻害率の計算及びIC
50
のフィッティング
阻害率=(陽性対照群-検出対象の化合物)/(陽性対照群-ブランク対照群)×100%
検出対象の化合物の異なる濃度でのキナーゼに対する阻害率に応じて、GraphPad Prism6を利用して半抑制濃度(IC50)をフィッティングした。
【0101】
本願の代表的な化合物及び既知の対照薬Filgotinibの、JAK1、JAK2及びJAK3キナーゼに対する阻害活性は、以上の試験により測定し、測定されたIC50値は、表1に示すとおりである。
【0102】
【0103】
表1から分かるように、既知の対照薬(Filgotinib)に比べ、本願の化合物は、良好なJAK1、JAK2又はJAK3キナーゼ阻害活性を有し、且つ本願の化合物はJAK1、JAK2又はJAK3キナーゼに対して明らかな選択性を有する。
【0104】
実施例28:薬物動態学的なテスト
1.実験動物
健康な雄C57マウス3匹は、6~8週齢であり、上海中英Sippr/BKLab動物有限公司から購入した。
【0105】
2.実験方法
マウスに経口投与する前に一晩断食させ、投与してから4時間後に食物供給を再開し、水を自由に飲んだ。10mg化合物/kg体重にしたがって、マウスに胃内投与し、マウス顔面静脈半連続法での採血方法を用いて、全血サンプルを採集し、被検動物に投与してから0.125h、0.25h、0.5h、1h、2h、4h、8h及び24hに、それぞれ約30μL採血し、抗凝固剤ヘパリンナトリウム含有の試験管に入れ、15min以内に遠心分離するまで氷上に置き、6~8℃の遠心分離機において6800gで6min遠心分離し、血液を採集/遠心分離した1時間以内に血漿をラベルの付いた試験管に適切に移し、約-80℃で冷凍保存した。
【0106】
3.クロマトグラフィー及び質量分析の条件
クロマトグラフィーカラムは、Luna(登録商標)Omega ACQUITY UPLC BEH C18(2.1×50mm、1.7μm)であり、移動相AはH2O-0.1%FAであり、移動相BはACN-0.1%FAであり、流速は0.80mL/minであり、勾配溶離手順は、開始には10%B、0.6minには10%B、1.0minには90%B、1.11minには90%B、1.40minには10%Bであり、カラム温度は40℃であり、注入量は2μLである。
質量分析方法:LC-MS/MS-19(TQ5500)(SCIEX、USA)であり、イオン源はESI源であり、検出方式は正イオン検出であり、スキャン方式は多重反応モニタリング(MRM)方式であり、m/z:271.10/172.00Da(トルブタミド、内部標準)であった。
【0107】
4.血漿サンプルの調製
血漿サンプルを10μL取って、内部標準ワーキングソリューション(トルブタミド、100ng/mL)200μLを加え、1minボルテックスし、18000gで10min遠心分離し、200μLの上澄み液を96ウェルマイクロプレートに移し、1μLの上澄み液を取ってLC-MS/MS分析に注入した。
【0108】
5.結果の分析
Phoenix WinNonlin7.0ソフトウェアを使用して、薬物動態学的な(PK)パラメータを計算し、非コンパートメントモデルにより、AUC、Cmax、Tmax、T1/2等を含むマウス経口薬の薬物動態学的なパラメータを推定し、本願の代表的な化合物15及び既知の対照薬Filgotinibのマウス経口薬の薬物動態学的なパラメータの結果を表2に示した。
【0109】
【0110】
表2から分かるように、既知の対照薬(Filgotinib)に比べ、単位用量の本願の化合物15は、より高い全身暴露(systemic exposure)(AUC)を有するので、明らかな薬物動態学的利点を有する。
【0111】
以上では、本願の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本願は、上記の実施形態における具体的な詳細に限定されず、本願の技術的思想範囲内で本願の技術的解決手段に対して様々な簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形はいずれも本願の保護範囲に属する。
【0112】
なお、上記の具体的な実施形態に説明された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない限り、いずれの適切な方式により組み合わせることができ、本願では、不必要な重複を回避するために、様々な可能な組み合わせ方式については、別途説明しない。
【0113】
さらに、本願の様々な異なる実施形態の間には、任意に組み合わせることもでき、本願の趣旨に反しない限り、同様にして、本願に開示される内容と見なすべきである。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本願は、シクロプロパンアミド含有化合物並びにその製造方法及び使用を提供する。本願にて提供されるシクロプロパンアミド含有化合物は、JAK1、JAK2又はJAK3キナーゼに対して良好な阻害活性及び明らかな選択性を有し、且つ、よい薬物動態学的な特徴を有し、JAKシグナル伝達経路異常に関連する疾患(例えば、自己免疫疾患及び骨髄増殖性腫瘍類疾患)に対して、大きな医療価値と市場の可能性を持っている。
【国際調査報告】