(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】モータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品
(51)【国際特許分類】
H02P 29/62 20160101AFI20250116BHJP
【FI】
H02P29/62
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532538
(86)(22)【出願日】2023-03-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 CN2023081045
(87)【国際公開番号】W WO2023174202
(87)【国際公開日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】202210264853.0
(32)【優先日】2022-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523284996
【氏名又は名称】威睿電動汽車技術(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIRIDI E-MOBILITY TECHNOLOGY (NINGBO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 198, Yinwan East Rd., Hangzhou Bay New Zone, Ningbo, Zhejiang China
(71)【出願人】
【識別番号】522320305
【氏名又は名称】極▲ケ▼汽車(寧波杭州湾新区)有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZEEKR Automobile (Ningbo Hangzhou Bay New Zone) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 688, Binhai 6th Road, Hangzhou Bay New District, Ningbo City, Zhejiang Province, 315336 China
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang310000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100127247
【氏名又は名称】赤堀 龍吾
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】黎明福
(72)【発明者】
【氏名】徐循進
(72)【発明者】
【氏名】張云輝
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501BB20
5H501CC04
5H501HA07
5H501HB16
5H501JJ03
(57)【要約】
モータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品を提供する。方法は、熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信するステップと、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップと、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにするステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信するステップと、
前記加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップと、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値を決定し、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、前記三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップと、を含む、
ことを特徴とするモータの能動加熱方法。
【請求項2】
前記加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップは、
前記モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ前記加熱電力に基づいて、各加熱電力と位相差との対応関係を含む予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得るステップと、
前記対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モータの鉄損失電力を検出するステップは、
電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ前記出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数1】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記三相パルスの位相差を調整するステップの後、さらに、
前記三相パルスの位相差が最大値に達し、且つ前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が前記予め設定された値より大きい場合、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が前記予め設定された値より小さいまで、前記モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げるステップを含む、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信するステップの後、さらに、
前記加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップと、
前記三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させるステップと、
実際の銅損失電力を測定し、且つ前記実際の銅損失電力及び前記加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させるステップと、
銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ前記総損失電力と前記加熱電力との差分値を決定し、前記総損失電力と前記加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、前記総損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、前記三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップは、
電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数2】
【数3】
式において、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
実際の銅損失電力を測定するステップは、
自体の電流値及び電圧値を測定し、自体の電流値及び電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップ、又は、
電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ前記出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定するステップ、を含む、
ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記実際の銅損失電力及び前記加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整するステップは、
前記実際の銅損失電力と前記加熱電力との差分値を計算し、且つ前記実際の銅損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、各実際の銅損失電力と前記加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含む第2の対照表から検索して対応する位相差を得るステップと、
前記対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信することに用いられるコマンド受信モジュールと、
前記加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整することに用いられる第1の調整モジュールと、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値を決定し、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、前記三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにすることに用いられる第2の調整モジュールと、を含む、
ことを特徴とするモータの能動加熱装置。
【請求項12】
電子機器であって、プロセッサと、前記プロセッサに通信接続されたメモリと、を含み、
前記メモリにコンピュータ実行コマンドが記憶され、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されているコンピュータ実行コマンドを実行し、それにより、前記プロセッサに請求項1~10のいずれか一項に記載のモータの能動加熱方法を実行させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にコンピュータ実行コマンドが記憶され、前記コンピュータ実行コマンドは、プロセッサによって実行されるとき、請求項1~10のいずれか一項に記載のモータの能動加熱方法を実現することに用いられる、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
コンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムを含み、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、請求項1~10のいずれか一項に記載のモータの能動加熱方法が実現される、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電気自動車の分野に関し、特にモータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在電気自動車技術は急速に発展し、電気自動車は従来のガソリン自動車の地位を徐々に代替しつつあるが、現在電気自動車の発展も多くの困難に直面し、例えば冬季に電気自動車は気温が低いために電池性能が低下する。電池を能動的に加熱することは電池性能を向上させる重要な手段の1つである。
【0003】
現在、関連技術において電池を能動的に加熱し、一般的にモータ三相電流における1つのデューティ比を変更することにより、モータ銅損失の増加を実現し、それによりモータの発熱を実現し、さらにモータの熱量を電池に伝送すれば電池の昇温を実現することができ、電池性能を向上させるという目的を達成する。
【0004】
しかしながら、発明者は関連技術に少なくとも以下の技術的問題が存在することを発見し、デューティ比を向上させることによってモータ発熱を実現し、発熱効率が低く、電池の昇温が遅いことを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、電池の昇温が遅いという問題を解決し、モータの昇温速度を向上させるために、モータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本願により提供されるモータの能動加熱方法は、
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信するステップと、
加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップと、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップと、を含む。
上記技術的内容に基づいて、加熱コマンドを受信した後、モータの三相パルスの位相を変更することにより、モータの鉄損失を増加してモータを加熱する目的を実現することができ、且つ三相パルスの位相を変更した後、得られた鉄損失電力と加熱コマンドに含まれる加熱電力との差分値が要求に達するか否かを判断し続け、それにより位相差を調整し続け、モータの鉄損失電力を加熱電力に接近させ、モータの加熱効率を継続的に向上させ、さらに電池の昇温速度を向上させる効果を実現する。
【0007】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップは、モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ加熱電力に基づいて、予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得るステップであって、予め設定された第1の対照表は各加熱電力と位相差との対応関係を含むステップと、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む。
【0008】
さらに、第1の対照表から加熱電力に対応する位相差を検索することにより、加熱電力に近いか又は等しい位相差を直接取得し、鉄損失電力の不足のためその後に位相調整を複数回行う時間を削減する。
【0009】
1つの可能な実現形態では、モータの鉄損失電力を検出するステップは、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップを含む。
【0010】
さらに、得られた電気駆動システム冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定することにより、モータの鉄損失電力を決定し、位相を調整しやすい。
【0011】
1つの可能な実現形態では、出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数1】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である。
【0012】
さらに、冷却液の比熱容量、冷却液の密度、冷却液の流量、出入口の温度差及び定数によりモータの鉄損失電力を計算し、位相を調整しやすく、モータの能動加熱速度を向上させる。
【0013】
1つの可能な実現形態では、三相パルスの位相差を調整するステップの後、さらに、三相パルスの位相差が最大値に達し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より大きい場合、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げるステップを含む。
【0014】
さらに、位相差が最大値に達し、モータの鉄損失電力が加熱電力に達せず、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が大きい場合に電流を上げることにより、モータの発熱効率をさらに向上させるという効果を実現する。
【0015】
1つの可能な実現形態では、熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信するステップの後、さらに、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップと、三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させるステップと、実際の銅損失電力を測定し、且つ実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させるステップと、
銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ総損失電力と加熱電力との差分値を決定し、総損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、総損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップと、を含む。
【0016】
さらに、デューティ比を調整する方法を先に用いて加熱し、デューティ比を調整することで必要な加熱電力に達していない場合には、位相を調整する方法を用いて熱量補充を行う方法により、電池の昇温速度をさらに向上させるという効果を実現することができる。
【0017】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップは、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップを含む。
【0018】
さらに、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係により各相の電流値を得、初期の電流値を大きく取ることができ、温度をより速く上昇させることに有利である。
【0019】
1つの可能な実現形態では、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数2】
【数3】
ここで、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である。
【0020】
さらに、予め設定された公式及び三相パルスの電流関係を結合することにより、各相の電流値を算出し、初期電流をより高くさせ、それにより加熱速度を向上させる。
【0021】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力を測定するステップは、自体の電流値及び電圧値を測定し、自体の電流値及び電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップ、又は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定するステップを含む。
【0022】
さらに、自体の電流値及び電圧値に基づいて実際の銅損失電力を計算し、又は電気駆動システム冷却液の出入口の温度差と冷却液の流量に基づいて実際の銅損失電力を計算し、総損失と加熱電力との差分値を正確に決定しやすく、加熱電力をより正確に調整しやすい。
【0023】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整するステップは、実際の銅損失電力と加熱電力との差分値を計算し、且つ実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、第2の対照表から検索して対応する位相差を得るステップであって、第2の対照表は各実際の銅損失電力と加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含むステップと、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む。
【0024】
さらに、対応関係を検索することによって実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に対応する位相差を得、且つ得られた位相差を採用して三相パルスの位相を調整し、モータ加熱速度を加速するという効果を実現する。
【0025】
第2の態様では、本願により提供されるモータの能動加熱装置は、
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信することに用いられるコマンド受信モジュールと、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整することに用いられる第1の調整モジュールと、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにすることに用いられる第2の調整モジュールと、を含む。
【0026】
第3の態様では、本願により提供される電子機器はプロセッサと、プロセッサに通信接続されたメモリと、を含み、メモリにコンピュータ実行コマンドが記憶され、プロセッサは、メモリに記憶されているコンピュータ実行コマンドを実行し、それにより、プロセッサに上記第1の態様に記載のモータの能動加熱方法を実行させる。
【0027】
第4の態様では、本願はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にコンピュータ実行コマンドが記憶され、コンピュータ実行コマンドは、プロセッサによって実行されるとき、上記第1の態様に記載のモータの能動加熱方法を実現することに用いられる。
【0028】
第5の態様では、本願はコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、当該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されるとき、上記第1の態様に記載のモータの能動加熱方法を実現する。
【発明の効果】
【0029】
本願により提供されるモータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品は、加熱コマンドを受信した後、モータの三相パルスの位相を変更することにより、モータの鉄損失を増加してモータを加熱するという目的を実現することができ、且つ三相パルスの位相を変更した後、得られた鉄損失電力と加熱コマンドに含まれる加熱電力との差分値が要求に達するか否かを判断し続け、それにより位相差を調整し続け、モータの鉄損失電力を加熱電力に接近させ、モータの加熱効率を継続的に向上させ、さらに電池の昇温速度を向上させるという効果を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法の適用シートの概略図である。
【
図2】本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例により提供される三相パルス位相の概略図である。
【
図4】本願の実施例により提供される三相パルスデューティ比の概略図である。
【
図5】本願の実施例により提供されるモータの能動加熱装置の概略図である。
【
図6】本願の実施例の電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
例示的な実施例をここで詳細に説明し、その例を添付の図面に示す。以下の説明が図面に言及している場合、特に明記しない限り、異なる図面の同じ番号は、同じ又は類似の要素を示す。以下の例示的な実施例に記載の実施形態は、本願と一致するすべての実施形態を表すわけではない。それどころか、それらは、添付の特許請求の範囲に詳述されているように、本願のいくつかの態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0032】
現在、電気自動車技術の発展が急速であり、都市街で常に電気自動車の姿を見ることができる。電気自動車は騒音が低く、構造が簡単で及びゼロエミッション等の利点を有する。それと同ときに、電気自動車も多くのチャレンジに直面し、例えば充電杭数の向上が期待され、及び低温状況で電池性能が低下する等の問題である。
【0033】
電池性能が低下する問題に対し、現在の主な解決方法はモータにおける三相電流のうちのある相のデューティ比を調整し、モータ銅損失の増加を実現し、それによりモータの加熱を実現し、さらに冷却液が取り付けられた管路等の装置によってモータの熱量を電池に伝達し、電池の加熱を実現することである。しかし、現在デューティ比を用いてモータの発熱を実現する方法は発熱効率が低く、電池温度を上昇させる速度が遅い。
【0034】
上記技術的問題に対し、本願は以下の技術的思想を提供し、加熱コマンドを受信した後にモータに三相パルスを入力することにより、三相パルスの位相差を変更してモータの鉄損失を増加させ、モータの能動加熱を実現する。
【0035】
図1は本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法の適用シートの概略図である。
図1に示すように、該シーンにおいて、熱管理システム101、電気自動車の電子制御102及びモータ103を含む。
【0036】
具体的な実現プロセスにおいて、熱管理システム101は、電気自動車の電子制御102に加熱コマンドを送信することに用いられ、加熱コマンドは温度がある予め設定された温度より低い場合に送信されてもよく、又は外部機器の制御コマンドを受信した後に送信されてもよく、外部接続機器は例えばサーバ、コンピュータ、携帯電話等である。
【0037】
電気自動車の電子制御102は、加熱コマンドを受信した後、モータ103に電流を入力し、且つ三相パルスの位相差を調整することに用いられる。三相パルスの位相差を調整した後にモータの鉄損失電力を継続的に検出し、鉄損失電力と加熱電力との差が予め設定された値を超えると、鉄損失電力と加熱電力との差が予め設定された値より小さいまで、三相パルスの位相差を調整し続け、且つ最終的にヒートポンプ等の装置によって熱量を電池に伝送する。
【0038】
理解されるように、本願の実施例に示される構造はモータの能動加熱方法に対する具体的な限定を構成しない。本願の他の実施可能な実施形態では、上記アーキテクチャは図示より多いか又は少ない部品を含んでもよく、又はいくつかの部品を組み合わせ、又はいくつかの部品を分割し、又は異なる部品を配置し、具体的には実際の応用シーンに基づいて決定されてもよく、ここでは限定しない。
図1に示した部品は、ハードウェア、ソフトウェア、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。
【0039】
以下は具体的な実施例を参照し、本願の技術案及び本願の技術案が上記技術的問題をいかに解決するかについて詳細に説明する。以下のいくつかの具体的な実施例を互いに組み合わせることができ、同一又は類似の概念又はプロセスについていくつかの実施例では説明を省略する可能性がある。以下、図面を参照して本願の実施例について説明する。
【0040】
図2は本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法のフローチャートである。本願の実施例の実行主体は
図1における電気自動車の電子制御102であってもよい。
図2に示すように、当該方法は、S201~S203を含む。
【0041】
S201において、熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信する。
【0042】
本ステップでは、加熱コマンドはさらに加熱を開始するコマンドを含んでもよく、加熱電力は予め設定されたものであってもよく、また環境温度に基づいて得られたものであってもよく、本願はこれについて特に限定しない。
【0043】
S202において、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整する。
【0044】
本ステップでは、モータに電流を入力することは、予め設定された大きさの電流を入力してもよく、大きさが加熱電力に比例する電流をモータに入力してもよい。三相パルスの位相を調整することは、予め設定された位相値で三相パルスのある相の位相を調整し、調整された相の位相差が予め設定された位相値になるようにすることであってもよい。三相パルスの位相を調整することは、加熱電力に比例した位相値で三相パルスのある相の位相を調整し、三相パルスの位相差を加熱電力の増加に応じて増加させることであってもよい。
【0045】
ここで、予め設定された位相値は10°、15°又は30°等であってもよい。
【0046】
図3は本願の実施例により提供される三相パルス位相の概略図である。
図3の左側の図に示すように、三相パルスはA、B、Cの三相で構成され、それら自体の位相が同じであり、位相差がゼロである。A相の位相を調整することを例とする。
図3の中間図に示すように、そのうちのA相の位相を調整した後、三相パルスにおけるA相の位相が変化し、三相の位相差が0ではなく、三相が重ならない部分が増加し(
図3の太い部分に示す)、A相電圧が電池電圧に等しく、B、C相電圧が0であるとき、電流が増加し、A相電圧が0であり且つB、C相電圧が電池電圧であるとき、電流が急速に低下し、三相パルスが重なるときに電流がループ抵抗を克服し、電流が緩やかに低下し、電流波形はパルス波形の下方に示すように、最高電流は例えば10Aであり、本願は電流が達成する最大値について限定しない。位相差最大調整範囲は
図3の右側の図に示すとおりであり、この場合A相の位相が1/2周期調整され、位相差が180°であり、三相パルスの重ならない太線部分が最も長い。A相電圧が電池電圧であるときに電流が増加し、A相電圧が0である場合、B、C相電圧が電池電圧であり、電流が急速に低下し、この状況は
図3の中間の状況に対して電流ピーク値がより高く、20Aとして図示しており、本願は当該状況の電流の最大値について限定しない。
【0047】
S203において、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにする。
【0048】
本ステップでは、モータの鉄損失電力を検出することは、モータの温度変化を検出することにより、又は電気駆動システムにおける冷却液の温度変化を検出することにより、さらに温度変化に対応する熱量を計算することによりモータの鉄損失電力を得てもよい。検出された温度変化は実際の電力と乖離する可能性があるため、定数を加味して補正してもよい。モータの鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値が予め設定された値より大きい場合、位相差を減少し、モータの鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値の絶対値が予め設定された値より大きく、且つ差分値が予め設定された値より大きくない場合、モータの鉄損失電力が加熱電力より小さいことを示し、位相差を増加する。予め設定された値は1つの固定値であってもよく、加熱電力の一定の割合で算出されたものであってもよい。
【0049】
具体的には例えば、検出して得られたモータの鉄損失電力が10kWであり、加熱電力が20kWであれば、モータの鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値が-10kWであり、予め設定された値が5kWであれば、差分値の絶対値が予め設定された値より大きく、且つ差分値が予め設定された値より小さく、位相差を増加する必要があると説明する。検出して得られたモータの鉄損失電力が18kWであり、加熱電力が20kWであれば、モータ鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値が-2kWであり、予め設定された値が5kWであれば、差分値と差分値の絶対値がいずれも予め設定された値より小さく、要求を達成すると説明し、位相差を変更しなくてもよい。予め設定された値は上記5kWであってもよく、3kW又は2kW等であってもよく、また加熱電力の所定割合であってもよく、例えば加熱電力の10%、7%又は5%等である。
【0050】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、加熱コマンドを受信した後、モータの三相パルスの位相を変更することにより、モータの鉄損失を増加してモータを加熱するという目的を実現することができ、且つ三相パルスの位相を変更した後、得られた鉄損失電力と加熱コマンドに含まれる加熱電力との差分値が要求に達するか否かを判断し続け、それにより位相差を調整し続け、モータの鉄損失電力を加熱電力に接近させ、モータの加熱効率を継続的に向上させ、さらに電池の昇温速度を向上させるという効果を実現する。
【0051】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整する上記ステップS202は具体的には、S2021及びS2022を含む。
【0052】
S2021において、モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ加熱電力に基づいて、予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得、そのうち予め設定された第1の対照表は各加熱電力と位相差との対応関係を含む。
【0053】
本ステップでは、予め設定された大きさの電流は、電流値が予め設定された大きさであってもよく、電圧値が予め設定された大きさであってもよく、本願はこれについて特に限定しない。予め設定された第1の対照表は予め実験テストによって得られたものであってもよい。
【0054】
S2022において、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整する。
【0055】
本ステップは、三相パルスの位相を調整し、三相パルスの出現する位相差を上記対応する位相差の大きさと同じにしてもよい。
【0056】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は位相を調整する具体的な方式を提供し、第1の対照表から加熱電力に対応する位相差を検索することにより、加熱電力に近いか又は等しい位相差を直接取得し、鉄損失電力の不足のためその後に位相調整を複数回行う時間を削減する。
【0057】
1つの可能な実現形態では、モータの鉄損失電力を検出する上記ステップS203は具体的には、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップを含む。
【0058】
1つの可能な実現形態では、出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数4】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である。
【0059】
電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差を測定することは、温度センサにより測定してもよく、冷却液の流量は流量計測器を用いて測定してもよく、冷却液を流すポンプの電力から推定してもよい。
【0060】
ここで、温度センサは接触式温度センサであっても非接触式温度センサであってもよい。定数Aは、単位を統一することに用いられてもよく、経験値に基づいて誤差を解消するように調整してもよい。冷却液の密度Dは1.0559kg/m3であってもよく、冷却液の比熱容量Cは3.13であってもよく、異なる冷却液は異なる密度及び比熱容量を有してもよく、本願はこれについて限定しない。冷却液の流量は10L/minであってもよく、当該流量の単位及び数値は状況に応じて調整されてもよく、ここでは例に過ぎない。
【0061】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、得られた電気駆動システム冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定することにより、モータの鉄損失電力を決定し、位相を調整しやすい。
【0062】
1つの可能な実現形態では、三相パルスの位相差を調整する上記ステップS203の後、
三相パルスの位相差が最大値に達し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より大きい場合、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げるステップS204をさらに含む。
【0063】
本ステップでは、電流値を上げることは、予め設定された値に基づいて電流値を上げてもよく、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて電流の上げる必要な大きさを決定してもよい。
【0064】
具体的には、予め設定された第3の対照表において、対応する上げる必要な電流値を検索して得てもよく、第3の対照表にはモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値と、電流値との関係が記憶されている。本ステップにおける「モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで」は上記ステップS203と類似しており、ここで説明を省略する。
【0065】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、位相差が最大値に達し、モータの鉄損失電力が加熱電力に達せず、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が大きい場合に電流を上げることにより、モータの発熱効率をさらに向上させるという効果を実現する。
【0066】
1つの可能な実現形態では、熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信する上記ステップS201の後、さらにS202A~S205Aを含む。
【0067】
S202Aにおいて、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定する。
【0068】
本ステップでは、加熱電力とモータ及び電気自動車の電子制御の性質に基づいて、三相パルスの各相の電流値を算出してもよい。また予め設定された第4の対照表から検索して三相パルスの各相の電流値を得てもよく、そのうち第4の対照表に加熱電力と三相パルスの各相との関係が記憶されている。
【0069】
S203Aにおいて、三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させる。
【0070】
本ステップでは、対称変調方法によりデューティ比を変更することができ、三相パルスのうち一相のデューティ比が他の2相と異なる場合、三相パルスが重ならないため、重ならない部分で電流が増加し、重なる部分で電流が徐々に減少する。
図4は本願の実施例により提供される三相パルスのデューティ比の概略図である。
図4に示すように、三相パルスの重なっていない太い部分では電流が増加し、デューティ比の変化は通常小さく、電流の増加は少なく、三相パルスが重なっている部分では三相の電圧は同じであり、回路にインピーダンスがあるため、電流は徐々に低下し、この時電流の最大値は小さく、例えば図中の2Aであり、この時鉄損失は少ない。
【0071】
S204Aにおいて、実際の銅損失電力を測定し、且つ実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させる。
【0072】
本ステップでは、実際の同一番号の電力を測定する方法は、上記ステップS203に用いられる方法と類似してもよく、いずれも冷却液の温度変化を測定して実際の電力を得てもよい。
【0073】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力を測定するステップは具体的には、
自体の電流値及び電圧値を測定し、自体の電流値及び電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップ、又は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定するステップを含む。
【0074】
ここで、自体の電流値及び電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数5】
P
cは実際の銅損失電力であり、I
dcは自体の電流値であり、U
dcは自体の電圧値である。
【0075】
出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定する方法は上記ステップS203と類似し、ここで説明を省略する。
【0076】
S205Aにおいて、銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ総損失電力と加熱電力との差分値を決定し、総損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、総損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにする。
【0077】
本ステップは上記ステップS203と類似し、ここで説明を省略する。
【0078】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、デューティ比を調整する方法を先に用いて加熱し、デューティ比を調整することで必要な加熱電力に達していない場合には、位相を調整する方法を用いて熱量補充を行う方法により、電池の昇温速度をさらに向上させるという効果を実現することができる。
【0079】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定する上記ステップS204Aは具体的には、
電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップを含む。
【0080】
1つの可能な実現形態では、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数6】
【数7】
式において、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である。ここでは、
【数8】
は三相パルスの電流関係を示している。内蔵パワートランジスタは電気自動車の電子制御に内蔵されたパワートランジスタであってもよい。
【0081】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は三相パルスの各相の電流値の計算方法を提供し、初期の電流値を大きく取ることを実現でき、温度を上昇させることに有利である。
【0082】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整する上記ステップS204Aは、S204A1及びS204A2を含む。
【0083】
S204A1において、実際の銅損失電力と加熱電力との差分値を計算し、且つ実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、第2の対照表から検索して対応する位相差を得、そのうち第2の対照表は各実際の銅損失電力と加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含む。
【0084】
本ステップは上記ステップS2021と類似し、ここで説明を省略する。
【0085】
S204A2において、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整する。
【0086】
本ステップは上記ステップS2022と類似し、ここで説明を省略する。
【0087】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、対応関係を検索することによって実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に対応する位相差を得、且つ得られた位相差を採用して三相パルスの位相を調整し、モータ加熱速度を加速する効果を実現する。
【0088】
図5は本願の実施例により提供されるモータの能動加熱装置の概略図である。
図5に示すように、モータの能動加熱装置500は、
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信することに用いられるコマンド受信モジュール501と、
加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整することに用いられる第1の調整モジュール502と、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにすることに用いられる第2の調整モジュール503と、を含む。
【0089】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0090】
1つの可能な実現形態では、第1の調整モジュール502は具体的には、モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ加熱電力に基づいて、各加熱電力と位相差との対応関係を含む予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得ること、及び対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整すること、に用いられる。
【0091】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0092】
1つの可能な実現形態では、第2の調整モジュール503は具体的には、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定することに用いられる。
【0093】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0094】
1つの可能な実現形態では、第2の調整モジュール503は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定し、採用した計算式は以下のとおりであってもよく、
【数9】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である。
【0095】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0096】
引き続き
図5を参照する。
図5に示すように、1つの可能な実現形態では、モータの能動加熱装置500はさらに、
三相パルスの位相差が最大値に達し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より大きい場合、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げることに用いられる電力アップモジュール504を含む。
【0097】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0098】
引き続き
図5を参照する。1つの可能な実現形態では、
図5に示すように、モータの能動加熱装置500はさらに、
加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定することに用いられる電流決定モジュール505と、
三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させることに用いられる第3の調整モジュール506と、
実際の銅損失電力を測定し、且つ実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させることに用いられる第4の調整モジュール507と、
銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ総損失電力と加熱電力との差分値を決定し、総損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、総損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにすることに用いられる第5の調整モジュール508と、を含む。
【0099】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0100】
1つの可能な実現形態では、上記電流決定モジュール505は具体的には、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定することに用いられる。
【0101】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0102】
1つの可能な実現形態では、上記電流決定モジュール505が採用した計算式は以下のとおりであり、
【数10】
【数11】
式において、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である。
【0103】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0104】
1つの可能な実現形態では、第4の調整モジュール507は具体的には、自体の電流値及び電圧値を測定し、自体の電流値及び電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定すること、又は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定することに用いられる。
【0105】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0106】
1つの可能な実現形態では、第4の調整モジュール507は具体的には、実際の銅損失電力と加熱電力との差分値を計算し、且つ実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、各実際の銅損失電力と加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含む第2の対照表から検索して対応する位相差を得ること、及び対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整することに用いられる。
【0107】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0108】
本願の実施例は、上記の実施例を実現するために、電子機器をさらに提供する。
【0109】
図6を参照し、それは本願の実施例を実現するための電子機器600の構造概略図を示し、当該電子機器600は電気自動車におけるデータ処理機器であってもよい。
図6に示した電子機器は一例であり、本願の実施例の機能及び使用範囲を限定するものではない。
【0110】
図6に示すように、電子機器600は、処理装置(例えば、中央処理装置、グラフィックプロセッサ等)601を含んでもよく、それは、リードオンリメモリ(Read Only Memory、ROMと略称する)602に記憶されたプログラム、又は記憶装置608からランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAMと略称する)603にロードされたプログラムに従って様々な適切な動作及び処理を実行することができる。RAM603には、電子機器600の動作に必要な各種のプログラムやデータも記憶されている。処理装置601、ROM602及びRAM603は、バス604を介して相互に接続されている。入力/出力(I/O)インタフェース605もバス604に接続されている。
【0111】
通常、タッチスクリーン、タッチパネル、キーボード、マウス、カメラ、マイク、加速度計、ジャイロ等を含む入力装置606、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCDと略称する)、スピーカ、バイブレータ等を含む出力装置607、例えば、磁気テープやハードディスク等を含む記憶装置608、及び通信装置609は、I/Oインタフェース605に接続されてもよい。通信装置609は、電子機器600が他の機器と無線又は有線で通信を行い、データを送受信することを許可する。
図6は、各種の装置を有する電子機器600を示すが、図示された装置の全てを実施するか又は備える必要はなく、より多くの又はより少ない装置を実施するか又は備えるようにしてもよいことを理解されたい。
【0112】
特に、本願の実施例によれば、フローチャートを参照して上記で説明されたプロセスは、コンピュータソフトウェアプログラムとして実施されてもよい。例えば、本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な媒体に載置されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、当該コンピュータプログラムは、フローチャートで示される方法を実行することに用いられるプログラムコードを含む。このような実施例では、当該コンピュータプログラムは、通信装置609によってネットワークからダウンロード及びインストールされてもよく、又は記憶装置608からインストールされてもよく、又はROM602からインストールされてもよい。当該コンピュータプログラムは、処理装置601によって実行されるとき、本願の実施例の方法に限定される上記機能を実行する。
【0113】
なお、本願において上記で説明されたコンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体又はコンピュータ記憶媒体、あるいは2つの任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又はデバイス、あるいはそれらの任意の組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例としては、1つ以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせが挙げられる。本願において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体はプログラムを含むか又は記憶する任意の有形媒体であってもよく、当該プログラムは命令実行システム、装置又はデバイスに使用され又はそれらと組み合わせて使用されてもよい。本願において、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードが格納されたコンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンド、あるいは搬送波の一部として伝搬されるデータ信号を含んでもよい。このような伝播されたデータ信号は、電磁信号、光信号、又は前述の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な形態をとることができる。コンピュータ読み取り可能な信号媒体はまた、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためにプログラムを送信、伝播、又は輸送することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に含まれるプログラムコードは、電線、光ケーブル、RF(無線周波数)等、又は上述した任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体で伝送されてもよい。
【0114】
上記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記電子機器に含まれてもよく、単独で存在し、当該電子機器に組み込まれていなくてもよい。
【0115】
上記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は1つ又は複数のプログラムを担持し、上記1つ又は複数のプログラムが当該電子機器に実行されるとき、当該電子機器に上記実施例に示される方法を実行させる。
【0116】
1つ又は複数のプログラミング言語で本願の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードを書くことができ、上記プログラミング言語は、Java、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語が含まれ、また「C」言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語が含まれる。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、一部はユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行されてもよく、一部はユーザのコンピュータ上で一部はリモートコンピュータ上で実行されてもよく、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。リモートコンピュータの場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LANと略称する)又はワイドエリアネットワーク(Wide Area Network、WANと略称する)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用してインターネット経由で接続する)に接続されてもよい。
【0117】
添付図面のフローチャート及びブロック図は、本願の様々な実施例のシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点、フローチャート又はブロック図における各ブロックは1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができ、当該モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は1つ又は複数の所定の論理機能を実現するための実行可能なコマンドを含む。なお、いくつかの代替としての実現において、ブロックに記載された機能は図面に記載された順序と異なる順序で発生してもよい。例えば、2つの連続して表されるブロックは、実際には、関連する機能に応じて、基本的に並行して実行されてもよいし、場合によってはその逆の順序で実行されてもよい。なお、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現してもよく、又は専用のハードウェア及びコンピュータコマンドの組み合わせで実現してもよい。
【0118】
本願の実施例を説明するときに言及されるモジュールは、ソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアで実現されてもよい。ここで、モジュールの名称はある場合に当該モジュール自体を限定するものではなく、例えば、第1の調整モジュールはさらに「三相パルス位相調整モジュール」と記述してもよい。
【0119】
本明細書で説明した機能は少なくとも部分的に1つ又は複数のハードウェアロジック部品によって実行されてもよい。例えば、限定されず、使用可能な例示的なハードウェアロジック部品は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用集積回路(ASIC)、専用標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)及び複雑プログラマブルロジックデバイス(CPLD)等を含む。
【0120】
本願において、機械読み取り可能な媒体は有形の媒体であってもよく、それはコマンド実行システム、装置又は機器に使用され又はコマンド実行システム、装置又は機器と組み合わせて使用されるプログラムを含む又は記憶することができる。機器読み取り可能な媒体は、機器読み取り可能な信号媒体又は機器読み取り可能な記憶媒体であってもよい。機器読み取り可能な媒体は、電気、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又は機器、あるいはそれらの任意の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。機器読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例としては、1つ以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせが挙げられる。
【0121】
以上の記述は、本願の好適な実施例及び使用された技術原理に対する説明にすぎない。当業者であれば、本願に係る開示範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせによる技術案に限定されず、上記の開示の構想から逸脱しない範囲内に含まれている場合、上記の技術的特徴又はそれらの同等の特徴を任意に組み合わせることにより形成された他の技術案を含むべきであると理解するであろう。例えば、上記の特徴と、本願に開示されている(但し、これらに限定されない)類似する機能を有する技術的特徴とを互に置き換えて形成する技術案である。
【0122】
当業者は、本明細書に開示される明細書を検討し、実施した後、本願の他の実施形態を容易に考えるであろう。本願は、本願の任意の変形、使用、又は適応変化をカバーすることを意図している。これらの変形、使用、又は適応変化は、本願の一般原則に従い、且つ本願に開示されていない本技術分野における公知技術の常識又は慣用技術手段を含む。明細書及び実施例は、例示としてのみ見なされるべきであり、本願の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって指摘される。
【0123】
本願は、上記で説明し、図面に示した正確な構造に限定されず、その範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解されたい。本願の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0124】
本願は、2022年03月17日に中国知識財産局に提出された、出願番号が202210264853.0で、出願の名称が「モータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容が参照により本願に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信するステップと、
前記加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップと、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値を決定し、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、前記三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップと、を含む、
ことを特徴とするモータの能動加熱方法。
【請求項2】
前記加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップは、
前記モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ前記加熱電力に基づいて、各加熱電力と位相差との対応関係を含む予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得るステップと、
前記対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モータの鉄損失電力を検出するステップは、
電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ前記出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数1】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記三相パルスの位相差を調整するステップの後、さらに、
前記三相パルスの位相差が最大値に達し、且つ前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が前記予め設定された値より大きい場合、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が前記予め設定された値より小さいまで、前記モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げるステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップは、具体的に、
前記加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップと、
前記三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させるステップと、
実際の銅損失電力を測定し、且つ前記実際の銅損失電力及び前記加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させるステップと、を含み、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値を決定し、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、前記三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップは、具体的に、
銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ前記総損失電力と前記加熱電力との差分値を決定し、前記総損失電力と前記加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、前記総損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、前記三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップ、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップは、
電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数2】
【数3】
式において、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
実際の銅損失電力を測定するステップは、
電気自動車の電子制御ユニットから前記モータに入力された電流値及び電圧値を測定し、前記電流値及び前記電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップ、又は、
電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ前記出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定するステップ、を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記実際の銅損失電力及び前記加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整するステップは、
前記実際の銅損失電力と前記加熱電力との差分値を計算し、且つ前記実際の銅損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、各実際の銅損失電力と前記加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含む第2の対照表から検索して対応する位相差を得るステップと、
前記対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信することに用いられるコマンド受信モジュールと、
前記加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整することに用いられる第1の調整モジュールと、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値を決定し、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、前記モータの鉄損失電力と前記加熱電力との差分値に基づいて、前記三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにすることに用いられる第2の調整モジュールと、を含む、
ことを特徴とするモータの能動加熱装置。
【請求項12】
電子機器であって、プロセッサと、前記プロセッサに通信接続されたメモリと、を含み、
前記メモリにコンピュータ実行コマンドが記憶され、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されているコンピュータ実行コマンドを実行し、それにより、前記プロセッサに請求項1~10のいずれか一項に記載のモータの能動加熱方法を実行させる、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にコンピュータ実行コマンドが記憶され、前記コンピュータ実行コマンドは、プロセッサによって実行されるとき、請求項1~10のいずれか一項に記載のモータの能動加熱方法を実現することに用いられる、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、請求項1~10のいずれか一項に記載のモータの能動加熱方法が実現される、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電気自動車の分野に関し、特にモータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在電気自動車技術は急速に発展し、電気自動車は従来のガソリン自動車の地位を徐々に代替しつつあるが、現在電気自動車の発展も多くの困難に直面し、例えば冬季に電気自動車は気温が低いために電池性能が低下する。電池を能動的に加熱することは電池性能を向上させる重要な手段の1つである。
【0003】
現在、関連技術において電池を能動的に加熱し、一般的にモータ三相電流における1つのデューティ比を変更することにより、モータ銅損失の増加を実現し、それによりモータの発熱を実現し、さらにモータの熱量を電池に伝送すれば電池の昇温を実現することができ、電池性能を向上させるという目的を達成する。
【0004】
しかしながら、発明者は関連技術に少なくとも以下の技術的問題が存在することを発見し、デューティ比を向上させることによってモータ発熱を実現し、発熱効率が低く、電池の昇温が遅いことを引き起こす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、電池の昇温が遅いという問題を解決し、モータの昇温速度を向上させるために、モータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本願により提供されるモータの能動加熱方法は、
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信するステップと、
加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップと、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップと、を含む。
上記技術的内容に基づいて、加熱コマンドを受信した後、モータの三相パルスの位相を変更することにより、モータの鉄損失を増加してモータを加熱する目的を実現することができ、且つ三相パルスの位相を変更した後、得られた鉄損失電力と加熱コマンドに含まれる加熱電力との差分値が要求に達するか否かを判断し続け、それにより位相差を調整し続け、モータの鉄損失電力を加熱電力に接近させ、モータの加熱効率を継続的に向上させ、さらに電池の昇温速度を向上させる効果を実現する。
【0007】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップは、モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ加熱電力に基づいて、予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得るステップであって、予め設定された第1の対照表は各加熱電力と位相差との対応関係を含むステップと、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む。
【0008】
さらに、第1の対照表から加熱電力に対応する位相差を検索することにより、加熱電力に近いか又は等しい位相差を直接取得し、鉄損失電力の不足のためその後に位相調整を複数回行う時間を削減する。
【0009】
1つの可能な実現形態では、モータの鉄損失電力を検出するステップは、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップを含む。
【0010】
さらに、得られた電気駆動システム冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定することにより、モータの鉄損失電力を決定し、位相を調整しやすい。
【0011】
1つの可能な実現形態では、出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数1】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である。
【0012】
さらに、冷却液の比熱容量、冷却液の密度、冷却液の流量、出入口の温度差及び定数によりモータの鉄損失電力を計算し、位相を調整しやすく、モータの能動加熱速度を向上させる。
【0013】
1つの可能な実現形態では、三相パルスの位相差を調整するステップの後、さらに、三相パルスの位相差が最大値に達し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より大きい場合、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げるステップを含む。
【0014】
さらに、位相差が最大値に達し、モータの鉄損失電力が加熱電力に達せず、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が大きい場合に電流を上げることにより、モータの発熱効率をさらに向上させるという効果を実現する。
【0015】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整するステップは、具体的に、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップと、三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させるステップと、実際の銅損失電力を測定し、且つ実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させるステップと、を含み、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップは、具体的に、銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ総損失電力と加熱電力との差分値を決定し、総損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、総損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにするステップ、を含む。
【0016】
さらに、デューティ比を調整する方法を先に用いて加熱し、デューティ比を調整することで必要な加熱電力に達していない場合には、位相を調整する方法を用いて熱量補充を行う方法により、電池の昇温速度をさらに向上させるという効果を実現することができる。
【0017】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップは、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップを含む。
【0018】
さらに、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係により各相の電流値を得、初期の電流値を大きく取ることができ、温度をより速く上昇させることに有利である。
【0019】
1つの可能な実現形態では、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数2】
【数3】
ここで、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である。
【0020】
さらに、予め設定された公式及び三相パルスの電流関係を結合することにより、各相の電流値を算出し、初期電流をより高くさせ、それにより加熱速度を向上させる。
【0021】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力を測定するステップは、電気自動車の電子制御ユニットからモータに入力された電流値及び電圧値を測定し、前記電流値及び前記電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップ、又は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定するステップを含む。
【0022】
さらに、前記電流値及び前記電圧値に基づいて実際の銅損失電力を計算し、又は電気駆動システム冷却液の出入口の温度差と冷却液の流量に基づいて実際の銅損失電力を計算し、総損失と加熱電力との差分値を正確に決定しやすく、加熱電力をより正確に調整しやすい。
【0023】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整するステップは、実際の銅損失電力と加熱電力との差分値を計算し、且つ実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、第2の対照表から検索して対応する位相差を得るステップであって、第2の対照表は各実際の銅損失電力と加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含むステップと、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整するステップと、を含む。
【0024】
さらに、対応関係を検索することによって実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に対応する位相差を得、且つ得られた位相差を採用して三相パルスの位相を調整し、モータ加熱速度を加速するという効果を実現する。
【0025】
第2の態様では、本願により提供されるモータの能動加熱装置は、
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信することに用いられるコマンド受信モジュールと、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整することに用いられる第1の調整モジュールと、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータを能動的に加熱するようにすることに用いられる第2の調整モジュールと、を含む。
【0026】
第3の態様では、本願により提供される電子機器はプロセッサと、プロセッサに通信接続されたメモリと、を含み、メモリにコンピュータ実行コマンドが記憶され、プロセッサは、メモリに記憶されているコンピュータ実行コマンドを実行し、それにより、プロセッサに上記第1の態様に記載のモータの能動加熱方法を実行させる。
【0027】
第4の態様では、本願はコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にコンピュータ実行コマンドが記憶され、コンピュータ実行コマンドは、プロセッサによって実行されるとき、上記第1の態様に記載のモータの能動加熱方法を実現することに用いられる。
【0028】
第5の態様では、本願はコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、当該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されるとき、上記第1の態様に記載のモータの能動加熱方法を実現する。
【発明の効果】
【0029】
本願により提供されるモータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品は、加熱コマンドを受信した後、モータの三相パルスの位相を変更することにより、モータの鉄損失を増加してモータを加熱するという目的を実現することができ、且つ三相パルスの位相を変更した後、得られた鉄損失電力と加熱コマンドに含まれる加熱電力との差分値が要求に達するか否かを判断し続け、それにより位相差を調整し続け、モータの鉄損失電力を加熱電力に接近させ、モータの加熱効率を継続的に向上させ、さらに電池の昇温速度を向上させるという効果を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法の適用シートの概略図である。
【
図2】本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法のフローチャートである。
【
図3】本願の実施例により提供される三相パルス位相の概略図である。
【
図4】本願の実施例により提供される三相パルスデューティ比の概略図である。
【
図5】本願の実施例により提供されるモータの能動加熱装置の概略図である。
【
図6】本願の実施例の電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
例示的な実施例をここで詳細に説明し、その例を添付の図面に示す。以下の説明が図面に言及している場合、特に明記しない限り、異なる図面の同じ番号は、同じ又は類似の要素を示す。以下の例示的な実施例に記載の実施形態は、本願と一致するすべての実施形態を表すわけではない。それどころか、それらは、添付の特許請求の範囲に詳述されているように、本願のいくつかの態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0032】
現在、電気自動車技術の発展が急速であり、都市街で常に電気自動車の姿を見ることができる。電気自動車は騒音が低く、構造が簡単で及びゼロエミッション等の利点を有する。それと同ときに、電気自動車も多くのチャレンジに直面し、例えば充電杭数の向上が期待され、及び低温状況で電池性能が低下する等の問題である。
【0033】
電池性能が低下する問題に対し、現在の主な解決方法はモータにおける三相電流のうちのある相のデューティ比を調整し、モータ銅損失の増加を実現し、それによりモータの加熱を実現し、さらに冷却液が取り付けられた管路等の装置によってモータの熱量を電池に伝達し、電池の加熱を実現することである。しかし、現在デューティ比を用いてモータの発熱を実現する方法は発熱効率が低く、電池温度を上昇させる速度が遅い。
【0034】
上記技術的問題に対し、本願は以下の技術的思想を提供し、加熱コマンドを受信した後にモータに三相パルスを入力することにより、三相パルスの位相差を変更してモータの鉄損失を増加させ、モータの能動加熱を実現する。
【0035】
図1は本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法の適用シートの概略図である。
図1に示すように、該シーンにおいて、熱管理システム101、電気自動車の電子制御ユニット102及びモータ103を含む。
【0036】
具体的な実現プロセスにおいて、熱管理システム101は、電気自動車の電子制御ユニット102に加熱コマンドを送信することに用いられ、加熱コマンドは温度がある予め設定された温度より低い場合に送信されてもよく、又は外部機器の制御コマンドを受信した後に送信されてもよく、外部接続機器は例えばサーバ、コンピュータ、携帯電話等である。
【0037】
電気自動車の電子制御ユニット102は、加熱コマンドを受信した後、モータ103に電流を入力し、且つ三相パルスの位相差を調整することに用いられる。三相パルスの位相差を調整した後にモータの鉄損失電力を継続的に検出し、鉄損失電力と加熱電力との差が予め設定された値を超えると、鉄損失電力と加熱電力との差が予め設定された値より小さいまで、三相パルスの位相差を調整し続け、且つ最終的にヒートポンプ等の装置によって熱量を電池に伝送する。
【0038】
理解されるように、本願の実施例に示される構造はモータの能動加熱方法に対する具体的な限定を構成しない。本願の他の実施可能な実施形態では、上記アーキテクチャは図示より多いか又は少ない部品を含んでもよく、又はいくつかの部品を組み合わせ、又はいくつかの部品を分割し、又は異なる部品を配置し、具体的には実際の応用シーンに基づいて決定されてもよく、ここでは限定しない。
図1に示した部品は、ハードウェア、ソフトウェア、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。
【0039】
以下は具体的な実施例を参照し、本願の技術案及び本願の技術案が上記技術的問題をいかに解決するかについて詳細に説明する。以下のいくつかの具体的な実施例を互いに組み合わせることができ、同一又は類似の概念又はプロセスについていくつかの実施例では説明を省略する可能性がある。以下、図面を参照して本願の実施例について説明する。
【0040】
図2は本願の実施例により提供されるモータの能動加熱方法のフローチャートである。本願の実施例の実行主体は
図1における電気自動車の電子制御ユニット102であってもよい。
図2に示すように、当該方法は、S201~S203を含む。
【0041】
S201において、熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信する。
【0042】
本ステップでは、加熱コマンドはさらに加熱を開始するコマンドを含んでもよく、加熱電力は予め設定されたものであってもよく、また環境温度に基づいて得られたものであってもよく、本願はこれについて特に限定しない。
【0043】
S202において、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整する。
【0044】
本ステップでは、モータに電流を入力することは、予め設定された大きさの電流を入力してもよく、大きさが加熱電力に比例する電流をモータに入力してもよい。三相パルスの位相を調整することは、予め設定された位相値で三相パルスのある位相の位相値を調整し、調整された相の位相差が予め設定された位相値になるようにすることであってもよい。三相パルスの位相を調整することは、加熱電力に比例した位相値で三相パルスのある位相の位相値を調整し、三相パルスの位相差を加熱電力の増加に応じて増加させることであってもよい。
【0045】
ここで、予め設定された位相値は10°、15°又は30°等であってもよい。
【0046】
図3は本願の実施例により提供される三相パルス位相の概略図である。
図3の左側の図に示すように、三相パルスはA、B、Cの三相で構成され、それら自体の位相が同じであり、位相差がゼロである。A相の位相値を調整することを例とする。
図3の中間図に示すように、そのうちのA相の位相値を調整した後、三相パルスにおけるA相の位相値が変化し、三相の位相差が0ではなく、三相が重ならない部分が増加し(
図3の太い部分に示す)、A相電圧が電池電圧に等しく、B、C相電圧が0であるとき、電流が増加し、A相電圧が0であり且つB、C相電圧が電池電圧であるとき、電流が急速に低下し、三相パルスが重なるときに電流がループ抵抗を克服し、電流が緩やかに低下し、電流波形はパルス波形の下方に示すように、最高電流は例えば10Aであり、本願は電流が達成する最大値について限定しない。位相差最大調整範囲は
図3の右側の図に示すとおりであり、この場合A相の位相が1/2周期調整され、位相差が180°であり、三相パルスの重ならない太線部分が最も長い。A相電圧が電池電圧であるときに電流が増加し、A相電圧が0である場合、B、C相電圧が電池電圧であり、電流が急速に低下し、この状況は
図3の中間の状況に対して電流ピーク値がより高く、20Aとして図示しており、本願は当該状況の電流の最大値について限定しない。
【0047】
S203において、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにする。
【0048】
本ステップでは、モータの鉄損失電力を検出することは、モータの温度変化を検出することにより、又は電気駆動システムにおける冷却液の温度変化を検出することにより、さらに温度変化に対応する熱量を計算することによりモータの鉄損失電力を得てもよい。検出された温度変化は実際の電力と乖離する可能性があるため、定数を加味して補正してもよい。モータの鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値が予め設定された値より大きい場合、位相差を減少し、モータの鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値の絶対値が予め設定された値より大きく、且つ差分値が予め設定された値より大きくない場合、モータの鉄損失電力が加熱電力より小さいことを示し、位相差を増加する。予め設定された値は1つの固定値であってもよく、加熱電力の一定の割合で算出されたものであってもよい。
【0049】
具体的には例えば、検出して得られたモータの鉄損失電力が10kWであり、加熱電力が20kWであれば、モータの鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値が-10kWであり、予め設定された値が5kWであれば、差分値の絶対値が予め設定された値より大きく、且つ差分値が予め設定された値より小さく、位相差を増加する必要があると説明する。検出して得られたモータの鉄損失電力が18kWであり、加熱電力が20kWであれば、モータ鉄損失電力から加熱電力を減算して得られた差分値が-2kWであり、予め設定された値が5kWであれば、差分値と差分値の絶対値がいずれも予め設定された値より小さく、要求を達成すると説明し、位相差を変更しなくてもよい。予め設定された値は上記5kWであってもよく、3kW又は2kW等であってもよく、また加熱電力の所定割合であってもよく、例えば加熱電力の10%、7%又は5%等である。
【0050】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、加熱コマンドを受信した後、モータの三相パルスの位相を変更することにより、モータの鉄損失を増加してモータを加熱するという目的を実現することができ、且つ三相パルスの位相を変更した後、得られた鉄損失電力と加熱コマンドに含まれる加熱電力との差分値が要求に達するか否かを判断し続け、それにより位相差を調整し続け、モータの鉄損失電力を加熱電力に接近させ、モータの加熱効率を継続的に向上させ、さらに電池の昇温速度を向上させるという効果を実現する。
【0051】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整する上記ステップS202は具体的には、S2021及びS2022を含む。
【0052】
S2021において、モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ加熱電力に基づいて、予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得、そのうち予め設定された第1の対照表は各加熱電力と位相差との対応関係を含む。
【0053】
本ステップでは、予め設定された大きさの電流は、電流値が予め設定された大きさであってもよく、電圧値が予め設定された大きさであってもよく、本願はこれについて特に限定しない。予め設定された第1の対照表は予め実験テストによって得られたものであってもよい。
【0054】
S2022において、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整する。
【0055】
本ステップは、三相パルスの位相を調整し、三相パルスの出現する位相差を上記対応する位相差の大きさと同じにしてもよい。
【0056】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は位相を調整する具体的な方式を提供し、第1の対照表から加熱電力に対応する位相差を検索することにより、加熱電力に近いか又は等しい位相差を直接取得し、鉄損失電力の不足のためその後に位相調整を複数回行う時間を削減する。
【0057】
1つの可能な実現形態では、モータの鉄損失電力を検出する上記ステップS203は具体的には、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップを含む。
【0058】
1つの可能な実現形態では、出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数4】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である。
【0059】
電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差を測定することは、温度センサにより測定してもよく、冷却液の流量は流量計測器を用いて測定してもよく、冷却液を流すポンプの電力から推定してもよい。
【0060】
ここで、温度センサは接触式温度センサであっても非接触式温度センサであってもよい。定数Aは、単位を統一することに用いられてもよく、経験値に基づいて誤差を解消するように調整してもよい。冷却液の密度Dは1.0559kg/m3であってもよく、冷却液の比熱容量Cは3.13であってもよく、異なる冷却液は異なる密度及び比熱容量を有してもよく、本願はこれについて限定しない。冷却液の流量は10L/minであってもよく、当該流量の単位及び数値は状況に応じて調整されてもよく、ここでは例に過ぎない。
【0061】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、得られた電気駆動システム冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定することにより、モータの鉄損失電力を決定し、位相を調整しやすい。
【0062】
1つの可能な実現形態では、三相パルスの位相差を調整する上記ステップS203の後、
三相パルスの位相差が最大値に達し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より大きい場合、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げるステップS204をさらに含む。
【0063】
本ステップでは、電流値を上げることは、予め設定された値に基づいて電流値を上げてもよく、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて電流の上げる必要な大きさを決定してもよい。
【0064】
具体的には、予め設定された第3の対照表において、対応する上げる必要な電流値を検索して得てもよく、第3の対照表にはモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値と、電流値との関係が記憶されている。本ステップにおける「モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで」は上記ステップS203と類似しており、ここで説明を省略する。
【0065】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、位相差が最大値に達し、モータの鉄損失電力が加熱電力に達せず、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が大きい場合に電流を上げることにより、モータの発熱効率をさらに向上させるという効果を実現する。
【0066】
1つの可能な実現形態では、熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信する上記ステップS201の後、さらにS202A~S205Aを含む。
【0067】
S202Aにおいて、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定する。
【0068】
本ステップでは、加熱電力とモータ及び電気自動車の電子制御ユニットの性質に基づいて、三相パルスの各相の電流値を算出してもよい。また予め設定された第4の対照表から検索して三相パルスの各相の電流値を得てもよく、そのうち第4の対照表に加熱電力と三相パルスの各相との関係が記憶されている。
【0069】
S203Aにおいて、三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させる。
【0070】
本ステップでは、対称変調方法によりデューティ比を変更することができ、三相パルスのうち一相のデューティ比が他の2相と異なる場合、三相パルスが重ならないため、重ならない部分で電流が増加し、重なる部分で電流が徐々に減少する。
図4は本願の実施例により提供される三相パルスのデューティ比の概略図である。
図4に示すように、三相パルスの重なっていない太い部分では電流が増加し、デューティ比の変化は通常小さく、電流の増加は少なく、三相パルスが重なっている部分では三相の電圧は同じであり、回路にインピーダンスがあるため、電流は徐々に低下し、この時電流の最大値は小さく、例えば図中の2Aであり、この時鉄損失は少ない。
【0071】
S204Aにおいて、実際の銅損失電力を測定し、且つ実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させる。
【0072】
本ステップでは、実際の同一番号の電力を測定する方法は、上記ステップS203に用いられる方法と類似してもよく、いずれも冷却液の温度変化を測定して実際の電力を得てもよい。
【0073】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力を測定するステップは具体的には、
電気自動車の電子制御ユニットからモータに入力された電流値及び電圧値を測定し、前記電流値及び前記電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップ、又は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定するステップを含む。
【0074】
ここで、前記電流値及び前記電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数5】
P
cは実際の銅損失電力であり、I
dcは前記電流値であり、U
dcは前記電圧値である。
【0075】
出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定する方法は上記ステップS203と類似し、ここで説明を省略する。
【0076】
S205Aにおいて、銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ総損失電力と加熱電力との差分値を決定し、総損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、総損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにする。
【0077】
本ステップは上記ステップS203と類似し、ここで説明を省略する。
【0078】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、デューティ比を調整する方法を先に用いて加熱し、デューティ比を調整することで必要な加熱電力に達していない場合には、位相を調整する方法を用いて熱量補充を行う方法により、電池の昇温速度をさらに向上させるという効果を実現することができる。
【0079】
1つの可能な実現形態では、加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定する上記ステップS204Aは具体的には、
電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップを含む。
【0080】
1つの可能な実現形態では、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定するステップの計算式は以下のとおりであり、
【数6】
【数7】
式において、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である。ここでは、
【数8】
は三相パルスの電流関係を示している。内蔵パワートランジスタは電気自動車の電子制御ユニットに内蔵されたパワートランジスタであってもよい。
【0081】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は三相パルスの各相の電流値の計算方法を提供し、初期の電流値を大きく取ることを実現でき、温度を上昇させることに有利である。
【0082】
1つの可能な実現形態では、実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整する上記ステップS204Aは、S204A1及びS204A2を含む。
【0083】
S204A1において、実際の銅損失電力と加熱電力との差分値を計算し、且つ実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、第2の対照表から検索して対応する位相差を得、そのうち第2の対照表は各実際の銅損失電力と加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含む。
【0084】
本ステップは上記ステップS2021と類似し、ここで説明を省略する。
【0085】
S204A2において、対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整する。
【0086】
本ステップは上記ステップS2022と類似し、ここで説明を省略する。
【0087】
上記実施例の説明から分かるように、本願の実施例は、対応関係を検索することによって実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に対応する位相差を得、且つ得られた位相差を採用して三相パルスの位相を調整し、モータ加熱速度を加速する効果を実現する。
【0088】
図5は本願の実施例により提供されるモータの能動加熱装置の概略図である。
図5に示すように、モータの能動加熱装置500は、
熱管理システムから送信された、加熱電力を含む加熱コマンドを受信することに用いられるコマンド受信モジュール501と、
加熱電力に基づいて、モータに電流を入力し且つ三相パルスの位相を調整することに用いられる第1の調整モジュール502と、
モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値を決定し、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにすることに用いられる第2の調整モジュール503と、を含む。
【0089】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0090】
1つの可能な実現形態では、第1の調整モジュール502は具体的には、モータに予め設定された大きさの電流を入力し、且つ加熱電力に基づいて、各加熱電力と位相差との対応関係を含む予め設定された第1の対照表から検索して対応する位相差を得ること、及び対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整すること、に用いられる。
【0091】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0092】
1つの可能な実現形態では、第2の調整モジュール503は具体的には、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定することに用いられる。
【0093】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0094】
1つの可能な実現形態では、第2の調整モジュール503は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差及び冷却液の流量に基づいてモータの鉄損失電力を決定し、採用した計算式は以下のとおりであってもよく、
【数9】
ここで、Pはモータの鉄損失電力であり、Cは冷却液の比熱容量であり、Dは冷却液の密度であり、Fは冷却液の流量であり、ΔTは出入口の温度差であり、Aは定数である。
【0095】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0096】
引き続き
図5を参照する。
図5に示すように、1つの可能な実現形態では、モータの能動加熱装置500はさらに、
三相パルスの位相差が最大値に達し、且つモータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より大きい場合、モータの鉄損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、モータの鉄損失電力を継続的に検出し、且つ電流値を上げることに用いられる電力アップモジュール504を含む。
【0097】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0098】
引き続き
図5を参照する。1つの可能な実現形態では、
図5に示すように、モータの能動加熱装置500はさらに、
加熱電力に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定することに用いられる電流決定モジュール505と、
三相パルスにおける少なくとも一相のデューティ比を変更し、銅損失を増加させることに用いられる第3の調整モジュール506と、
実際の銅損失電力を測定し、且つ実際の銅損失電力及び加熱電力に基づいて、三相パルスの位相を調整し、鉄損失を増加させることに用いられる第4の調整モジュール507と、
銅損失と鉄損失による総損失電力を継続的に検出し、且つ総損失電力と加熱電力との差分値を決定し、総損失電力と加熱電力との差分値が予め設定された値より小さいまで、総損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、三相パルスの位相差を調整し、それによりモータの能動的加熱を実現するようにすることに用いられる第5の調整モジュール508と、を含む。
【0099】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0100】
1つの可能な実現形態では、上記電流決定モジュール505は具体的には、電動機抵抗、内蔵パワートランジスタのオン電圧降下、内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失、内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数及び三相パルスの電流関係に基づいて、三相パルスの各相の電流値を決定することに用いられる。
【0101】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0102】
1つの可能な実現形態では、上記電流決定モジュール505が採用した計算式は以下のとおりであり、
【数10】
【数11】
式において、I
aはa相電流であり、I
bはb相電流であり、I
cはc相電流であり、Rはモータ抵抗であり、V
ceは内蔵パワートランジスタのオン電圧降下であり、Qは内蔵パワートランジスタの単位電流の単回スイッチング損失であり、Fは内蔵パワートランジスタのスイッチング周波数であり、kは回転子の位置に基づいて決定された定数である。
【0103】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0104】
1つの可能な実現形態では、第4の調整モジュール507は具体的には、電気自動車の電子制御ユニットからモータに入力された電流値及び電圧値を測定し、前記電流値及び前記電圧値に基づいて実際の銅損失電力を決定すること、又は、電気駆動システムの冷却液の出入口の温度差及び冷却液の流量を測定し、且つ出入口の温度差と冷却液の流量に基づいてモータの実際の銅損失電力を決定することに用いられる。
【0105】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0106】
1つの可能な実現形態では、第4の調整モジュール507は具体的には、実際の銅損失電力と加熱電力との差分値を計算し、且つ実際の銅損失電力と加熱電力との差分値に基づいて、各実際の銅損失電力と加熱電力との差分値と、位相差との対応関係を含む第2の対照表から検索して対応する位相差を得ること、及び対応する位相差を採用して三相パルスの位相を調整することに用いられる。
【0107】
本実施例により提供される装置は、上記方法実施例の技術案を実行することに用いられてもよく、その実現原理と技術的効果は類似し、本実施例はここで説明を省略する。
【0108】
本願の実施例は、上記の実施例を実現するために、電子機器をさらに提供する。
【0109】
図6を参照し、それは本願の実施例を実現するための電子機器600の構造概略図を示し、当該電子機器600は電気自動車におけるデータ処理機器であってもよい。
図6に示した電子機器は一例であり、本願の実施例の機能及び使用範囲を限定するものではない。
【0110】
図6に示すように、電子機器600は、処理装置(例えば、中央処理装置、グラフィックプロセッサ等)601を含んでもよく、それは、リードオンリメモリ(Read Only Memory、ROMと略称する)602に記憶されたプログラム、又は記憶装置608からランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAMと略称する)603にロードされたプログラムに従って様々な適切な動作及び処理を実行することができる。RAM603には、電子機器600の動作に必要な各種のプログラムやデータも記憶されている。処理装置601、ROM602及びRAM603は、バス604を介して相互に接続されている。入力/出力(I/O)インタフェース605もバス604に接続されている。
【0111】
通常、タッチスクリーン、タッチパネル、キーボード、マウス、カメラ、マイク、加速度計、ジャイロ等を含む入力装置606、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCDと略称する)、スピーカ、バイブレータ等を含む出力装置607、例えば、磁気テープやハードディスク等を含む記憶装置608、及び通信装置609は、I/Oインタフェース605に接続されてもよい。通信装置609は、電子機器600が他の機器と無線又は有線で通信を行い、データを送受信することを許可する。
図6は、各種の装置を有する電子機器600を示すが、図示された装置の全てを実施するか又は備える必要はなく、より多くの又はより少ない装置を実施するか又は備えるようにしてもよいことを理解されたい。
【0112】
特に、本願の実施例によれば、フローチャートを参照して上記で説明されたプロセスは、コンピュータソフトウェアプログラムとして実施されてもよい。例えば、本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な媒体に載置されたコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を提供し、当該コンピュータプログラムは、フローチャートで示される方法を実行することに用いられるプログラムコードを含む。このような実施例では、当該コンピュータプログラムは、通信装置609によってネットワークからダウンロード及びインストールされてもよく、又は記憶装置608からインストールされてもよく、又はROM602からインストールされてもよい。当該コンピュータプログラムは、処理装置601によって実行されるとき、本願の実施例の方法に限定される上記機能を実行する。
【0113】
なお、本願において上記で説明されたコンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体又はコンピュータ記憶媒体、あるいは2つの任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又はデバイス、あるいはそれらの任意の組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例としては、1つ以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせが挙げられる。本願において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体はプログラムを含むか又は記憶する任意の有形媒体であってもよく、当該プログラムは命令実行システム、装置又はデバイスに使用され又はそれらと組み合わせて使用されてもよい。本願において、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードが格納されたコンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンド、あるいは搬送波の一部として伝搬されるデータ信号を含んでもよい。このような伝播されたデータ信号は、電磁信号、光信号、又は前述の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な形態をとることができる。コンピュータ読み取り可能な信号媒体はまた、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためにプログラムを送信、伝播、又は輸送することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に含まれるプログラムコードは、電線、光ケーブル、RF(無線周波数)等、又は上述した任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない任意の適切な媒体で伝送されてもよい。
【0114】
上記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、上記電子機器に含まれてもよく、単独で存在し、当該電子機器に組み込まれていなくてもよい。
【0115】
上記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は1つ又は複数のプログラムを担持し、上記1つ又は複数のプログラムが当該電子機器に実行されるとき、当該電子機器に上記実施例に示される方法を実行させる。
【0116】
1つ又は複数のプログラミング言語で本願の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードを書くことができ、上記プログラミング言語は、Java、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向プログラミング言語が含まれ、また「C」言語又は同様のプログラミング言語等の従来の手続き型プログラミング言語が含まれる。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、一部はユーザのコンピュータ上で実行されてもよく、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行されてもよく、一部はユーザのコンピュータ上で一部はリモートコンピュータ上で実行されてもよく、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。リモートコンピュータの場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LANと略称する)又はワイドエリアネットワーク(Wide Area Network、WANと略称する)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよく、外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用してインターネット経由で接続する)に接続されてもよい。
【0117】
添付図面のフローチャート及びブロック図は、本願の様々な実施例のシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を示す。この点、フローチャート又はブロック図における各ブロックは1つのモジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部を表すことができ、当該モジュール、プログラムセグメント、又はコードの一部は1つ又は複数の所定の論理機能を実現するための実行可能なコマンドを含む。なお、いくつかの代替としての実現において、ブロックに記載された機能は図面に記載された順序と異なる順序で発生してもよい。例えば、2つの連続して表されるブロックは、実際には、関連する機能に応じて、基本的に並行して実行されてもよいし、場合によってはその逆の順序で実行されてもよい。なお、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行する専用のハードウェアに基づくシステムで実現してもよく、又は専用のハードウェア及びコンピュータコマンドの組み合わせで実現してもよい。
【0118】
本願の実施例を説明するときに言及されるモジュールは、ソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアで実現されてもよい。ここで、モジュールの名称はある場合に当該モジュール自体を限定するものではなく、例えば、第1の調整モジュールはさらに「三相パルス位相調整モジュール」と記述してもよい。
【0119】
本明細書で説明した機能は少なくとも部分的に1つ又は複数のハードウェアロジック部品によって実行されてもよい。例えば、限定されず、使用可能な例示的なハードウェアロジック部品は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用集積回路(ASIC)、専用標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)及び複雑プログラマブルロジックデバイス(CPLD)等を含む。
【0120】
本願において、機械読み取り可能な媒体は有形の媒体であってもよく、それはコマンド実行システム、装置又は機器に使用され又はコマンド実行システム、装置又は機器と組み合わせて使用されるプログラムを含む又は記憶することができる。機器読み取り可能な媒体は、機器読み取り可能な信号媒体又は機器読み取り可能な記憶媒体であってもよい。機器読み取り可能な媒体は、電気、磁気、光学、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置、又は機器、あるいはそれらの任意の組合せを含んでもよいが、これらに限定されない。機器読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例としては、1つ以上のワイヤを有する電気接続、ポータブルディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組み合わせが挙げられる。
【0121】
以上の記述は、本願の好適な実施例及び使用された技術原理に対する説明にすぎない。当業者であれば、本願に係る開示範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせによる技術案に限定されず、上記の開示の構想から逸脱しない範囲内に含まれている場合、上記の技術的特徴又はそれらの同等の特徴を任意に組み合わせることにより形成された他の技術案を含むべきであると理解するであろう。例えば、上記の特徴と、本願に開示されている(但し、これらに限定されない)類似する機能を有する技術的特徴とを互に置き換えて形成する技術案である。
【0122】
当業者は、本明細書に開示される明細書を検討し、実施した後、本願の他の実施形態を容易に考えるであろう。本願は、本願の任意の変形、使用、又は適応変化をカバーすることを意図している。これらの変形、使用、又は適応変化は、本願の一般原則に従い、且つ本願に開示されていない本技術分野における公知技術の常識又は慣用技術手段を含む。明細書及び実施例は、例示としてのみ見なされるべきであり、本願の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって指摘される。
【0123】
本願は、上記で説明し、図面に示した正確な構造に限定されず、その範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解されたい。本願の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0124】
本願は、2022年03月17日に中国知識財産局に提出された、出願番号が202210264853.0で、出願の名称が「モータの能動加熱方法、装置、機器、記憶媒体及びプログラム製品」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容が参照により本願に組み込まれる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】