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特表2025-501685非接触型の交換可能なバッテリーシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】非接触型の交換可能なバッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250116BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20250116BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20250116BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20250116BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/12
H02J50/80
H02J7/00 P
B60L53/80
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533782
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 US2022052189
(87)【国際公開番号】W WO2023107587
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/265,084
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】514287443
【氏名又は名称】インダクトイーブイ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダガ、アンドリュー ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン、フランシス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォード、マシュー エル.
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA12
5H125AC13
5H125BC08
5H125BC18
5H125BC26
5H125CC01
5H125EE27
5H125EE29
5H125FF04
(57)【要約】
【要約】
非接触型バッテリーシステム(図1)は、密閉可能なケース(102)と、前記密閉可能なケース内に配置されたバッテリーユニット(101)と、前記バッテリーユニットに接続され、前記密閉可能なケース内に配置された少なくとも1つのワイヤレス電力伝送カプラー(103、105)とを含む。前記バッテリーユニットは、所定数のバッテリーセルバンクにおいて直列に接続されたバッテリーセルの配列(209)を含み、設定された電圧および電流を供給するものである。前記ワイヤレス電力伝送カプラーは、前記密閉可能なケースの少なくとも1つの面に対して配置され、前記バッテリーユニットによる充電、放電、および通信のための磁気誘導信号送信を可能にするものである。バッテリー管理コントローラ(216)が前記非接触型バッテリーシステムおよび電動機器と双方向に通信して充電を制御する。配布システムが、少なくとも1つの管理ユニットの制御下で、消耗した非接触型バッテリーシステムを保管、充電、または交換するように適合された複数のデポへの前記非接触型バッテリーシステムの配布を管理する。

【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型バッテリーシステムであって、
密閉可能なケースと
前記密閉可能なケース内に配置されたバッテリーユニットであって、所定数のバッテリーセルバンクにおいて直列に接続されたバッテリーセルの配列を有し、設定された電圧および電流を供給するものである、バッテリーユニットと、
少なくとも1つのワイヤレス電力伝送カプラーであって、前記バッテリーユニットに接続され、前記密閉可能なケース内に配置されているものであり、前記少なくとも1つのワイヤレス電力伝送カプラーは、前記密閉可能なケースの少なくとも1つの面に対して配置され、前記バッテリーユニットによる充電、放電、および通信のための磁気誘導信号送信を可能にするものである、前記少なくとも1つのワイヤレス電力伝送カプラーと
を有する非接触型バッテリーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリーシステムにおいて、さらに、前記バッテリーセルを直列または並列の少なくとも一方の方法で選択的に接続するスイッチングマトリックスを有するものである、バッテリーシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のバッテリーシステムにおいて、さらに、前記バッテリーユニットの出力電圧レベルを前記設定された電圧に調整するDC/DCコンバータを有するものである、バッテリーシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のバッテリーシステムにおいて、各バッテリーセルは、化学電池、容量電池、燃料電池、または化学電池、容量電池、および燃料電池のうちの少なくとも2つのハイブリッドアレイを有するものである、バッテリーシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のバッテリーシステムにおいて、さらに、前記密閉可能なケース内に誘導通信リンクインターフェースを有するものであり、前記誘導通信リンクインターフェースは前記バッテリーユニットと放電ステーションおよび充電ステーションの少なくとも1つとの間の無線通信を可能にするものである、バッテリーシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のバッテリーシステムにおいて、さらに、前記密閉可能なケース内に通信コントローラを有するものであり、前記通信コントローラは、暗号化キーを用いた認証なしでの前記バッテリーユニットへの通信アクセスを阻止するものである、バッテリーシステム。
【請求項7】
バッテリー管理コントローラであって、
請求項1に記載の複数の非接触型バッテリーシステムを保持するための複数のスロットを有するラックであって、各スロットは、当該各スロットに設けられた非接触型バッテリーシステムの少なくとも1つのアンテナと双方向に通信する送受信アンテナを有する誘導通信インターフェースを有するものである、前記ラックと、
各スロットの前記誘導通信インターフェースおよび電動機器と双方向に通信して前記電動機器の充電を制御するバッテリー管理システムと
を有する、バッテリー管理コントローラ。
【請求項8】
請求項7に記載のバッテリー管理コントローラにおいて、前記バッテリー管理システムは、少なくとも1つの前記非接触型バッテリーシステムの問い合わせメッセージングを開始するものであり、前記問い合わせメッセージングは、ID要求、認証チャレンジ、または健全性、ステータス、および能力要求のうちの少なくとも1つを有するものである、バッテリー管理コントローラ。
【請求項9】
請求項8に記載のバッテリー管理コントローラにおいて、問い合わせを受けた非接触型バッテリーシステムは、格納されている値および計算された値のうちの少なくとも1つを提供し、または、前記問い合わせを受けた非接触型バッテリーシステムのバッテリーセルの健全性、ステータス、および能力を判定するための組み込みテストを開始することにより、問い合わせメッセージに応答するものである、バッテリー管理コントローラ。
【請求項10】
請求項7に記載のバッテリー管理コントローラにおいて、前記バッテリー管理システムは、少なくとも1つの前記非接触バッテリーシステムに要求された電力の一部を送達するように指示することにより、前記電動機器からの電力要求に応答するものである、バッテリー管理コントローラ。
【請求項11】
請求項10に記載のバッテリー管理コントローラにおいて、前記バッテリー管理システムは、前記要求された電力が利用可能なときに前記電動機器に応答を提供するものであり、前記応答は、少なくとも1つの前記非接触型バッテリーシステムの充電状態、実行時間の推定値、または電力容量の推定値のうちの少なくとも1つを含むものである、バッテリー管理コントローラ。
【請求項12】
請求項10に記載のバッテリー管理コントローラにおいて、前記バッテリー管理システムは、前記要求された電力を供給するよう前記バッテリーセルの充電状態に基づき少なくとも1つの前記非接触型バッテリーシステムのバッテリーセルの接続を再構成するもことにより、前記電力要求に応答するものである、バッテリー管理コントローラ。
【請求項13】
請求項12に記載のバッテリー管理コントローラにおいて、少なくとも1つの非接触型バッテリーシステムは、前記バッテリーセルの接続を再構成し、DC/DC変換を提供することによって、または調整可能なリアクタンスを提供することによって、電圧低下を補償するものである、バッテリー管理コントローラ。
【請求項14】
請求項1に記載の複数の非接触型バッテリーシステムを配布する非接触型バッテリー配布システムであって、
消耗した非接触型バッテリーシステムを保管、充電、または充電された非接触型バッテリーシステムと交換することの少なくとも1つに適合された複数のデポと、
前記複数のデポに関連付けられた少なくとも1つの管理ユニットであって、前記複数の非接触型バッテリーシステムの倉庫保管、輸送管理、および出荷のための物流管理および制御機能を提供するものである、管理ユニットと
を有し、
前記少なくとも1つの管理ユニットは、バッテリーモデルおよびシリアル番号、バッテリー充電状態、電力貯蔵および供給能力定格、利用可能な冷却設定、電圧および電流能力、経過年数、または推定耐用年数の少なくとも1つを含む非接触型バッテリーシステム情報を格納し分析するものであり、
前記少なくとも1つの管理ユニットは、各充電器の待機時間、使用率、使用中インジケータ、充電電力レベル、物理的サイズ、電力源、または冷却配置のうち少なくとも1つを含む充電器情報を格納するものである、
非接触型バッテリー配布システム。
【請求項15】
請求項14に記載の非接触型バッテリー配布システムにおいて、前記少なくとも1つの管理ユニットは、機械学習技術を用いて、配布のための非接触型バッテリーシステムを事前配置すること、非接触型バッテリーシステムの配布を最適化すること、傾向分析を提供すること、在庫切れの予測若しくは警告を提供すること、在庫切れリダイレクト修正を提供すること、電気および輸送の価格を裁定すること、配達レベルを契約すること、または利用可能な充電リソースに基づいて充電時間に対する部分充電を評価することのうちの少なくとも1つを行うプログラム可能なエキスパートシステムを有するものである、非接触型バッテリー配布システム。
【請求項16】
請求項14に記載の非接触型バッテリー配布システムにおいて、前記少なくとも1つの管理ユニットは、顧客が移動経路に沿って非接触型バッテリーシステムを予約し、またはデポで非接触型バッテリーシステムの利用可能な在庫を確認することを可能にするものである、非接触型バッテリー配布システム。
【請求項17】
請求項14に記載の非接触型バッテリー配布システムにおいて、さらに、データネットワークを有するものであり、前記少なくとも1つの管理ユニットは、前記データネットワークを介して前記非接触型バッテリーシステムの暗号化、認証、またはアクセス制御のうちの少なくとも1つに対するソースおよび変更制御を提供するものである、非接触型バッテリー配布システム。
【請求項18】
請求項17に記載の非接触型バッテリー配布システムにおいて、前記少なくとも1つの管理ユニットは前記データネットワークを介して前記非接触型バッテリーシステムからテレメトリデータおよび警告データを収集するものである、非接触型バッテリー配布システム。
【請求項19】
請求項18に記載の非接触型バッテリー配布システムにおいて、前記少なくとも1つの管理ユニットは非接触型バッテリーシステムの診断データを収集し、前記警告データを収集、表示、および格納するものである、非接触型バッテリー配布システム。
【請求項20】
請求項14に記載の非接触型バッテリー配布システムにおいて、前記少なくとも1つの管理ユニットは、電気料金に応じた非接触型バッテリーシステムの充電、輸送、または在庫の再配置のうちの少なくとも1つの動作の分析に基づいて電力分配を制御するものである、非接触型バッテリー配布システム。
【請求項21】
請求項14に記載の非接触型バッテリー配布システムにおいて、さらに、
非接触型バッテリーシステムの場所の追跡、非接触型バッテリーシステムのユーザ予約、および非接触型バッテリーシステムを事前配置するための各デポでの非接触型バッテリーシステムの需要予測を行う在庫サーバを有するものである、非接触型バッテリー配布システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、充電および放電のために非接触の磁気誘導結合を用いる交換可能なバッテリーパックの構造、使用、配布、およびサービスについて記載するものである。
【背景技術】
【0002】
交換可能なバッテリーの概念は、1800年にアレッサンドロ・ボルタが電堆を発明して以来存在している。
【0003】
独自仕様でない取り換え可能なバッテリーに対する消費者のニーズは、体積サイズ、電圧、および端子(接点)の標準化につながった。これらの規格には、例えば、米国規格協会(ANSI)規格C18.1M、「水性電解液を用いた携帯型一次電池およびバッテリーに関する国家規格」が含まれる。
【0004】
磁気共鳴誘導によるワイヤレス電力伝送は19世紀に導入されたが、電導性チャネルを形成する大気の能力を誤解しために商業的には失敗した。磁気インダクタンスのための平コイルの使用については、1894年1月9日に発行された米国特許第512,340号「電磁石用コイル」に詳述されている。
【0005】
1982年のSF書籍「フライデー」でロバートA.ハインラインが書いたように、「問題は、エネルギーの不足ではなく、エネルギーの輸送にあった。エネルギーは、太陽光、風、渓流、あらゆる場所の温度勾配、石炭、化石石油、放射性鉱石、緑の植物など、いたるところにある。特に深海や宇宙空間では、人間の理解を超えた膨大な量のエネルギーを自由に取り入れることができる。「エネルギー不足」や「エネルギー節約」について語る者たちは単に状況を理解していなかったのである。空は「スープの雨が降っており」、必要なのはそれを運ぶバケツだった」。携帯可能なエネルギー貯蔵についてのハインラインの架空のイメージは「シップストーン」と呼ばれていた。
【0006】
リチウムイオン(Li-ion)バッテリーは(様々な構成および化学において)エネルギー貯蔵におけるその価値が認められ、そのバッテリーの発明者等は2019年のノーベル化学賞を受賞している。しかしながら、リチウムイオンバッテリーを含むバッテリーの使用は、それらの架空のものとは異なり、大規模な電力供給の用途において依然として問題が残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、諸概念の選択を簡略化した形で紹介するために様々な例を説明するが、それらは下記の詳細な説明でさらに説明されている。概要は、特許請求される主題の主要な若しくは本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定するのに用いることを意図したものでもない。
【0008】
非接触型バッテリーシステムは、密閉可能なケースと、前記密閉可能なケース内に配置されたバッテリーユニットと、前記バッテリーユニットに接続され、前記密閉可能なケース内に配置された少なくとも1つのワイヤレス電力伝送カプラーとを含む。前記バッテリーユニットは、所定数のバッテリーセルバンクにおいて直列に接続されたバッテリーセルの配列を含み、設定された電圧および電流を供給するものである。前記ワイヤレス電力伝送カプラーは、前記密閉可能なケースの少なくとも1つの面に対して配置され、前記バッテリーユニットによる充電、放電、および通信のための磁気誘導信号送信を可能にするものである。バッテリー管理コントローラが、前記非接触型バッテリーシステムおよび電動機器と双方向に通信して充電を制御するものである。配布システムが、少なくとも1つの管理ユニットの制御下で、消耗した非接触型バッテリーシステムを保管、充電、または交換するように適合された複数のデポへの前記非接触型バッテリーシステムの配布を管理する。
【0009】
方法が前記装置によって実行されてもよく、さらに前記方法のさらなる特徴が前記装置の機能性から生じる。また、各態様およびその実装について提供されている説明は、他の態様およびそれらに対応した実装にも同様に適用される。様々な構成は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実施することができる。また、前述の例のいずれか1つを、他の前述の例のいずれか1若しくはそれ以上と組み合わせて、本開示の範囲内で新たな構成を作成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に記載される主題の上記およびその他の有益な特徴ならびに利点は、添付の図面と関連した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1図1は、サンプル構成における非接触型バッテリーユニットの例を示す。
図2図2は、サンプル構成における密閉された非接触型バッテリーユニットの内部機能サブシステムと放電ステーションを示す。
図3図3は、充電クレードル内の非接触型バッテリーユニットのサンプル構成を示す。
図4図4は、サンプル構成における非接触型バッテリーユニットの例示的な水平クラスタ配置を示す。
図5図5は、サンプル構成における非接触型バッテリーユニットの例示的な垂直クラスタ配置を示す。
図6a図6aは、サンプル構成における非接触型バッテリーユニットの車両への適用を示す。
図6b図6bは、サンプル構成における非接触型バッテリーユニットを用いて建設車両の燃料補給を行うサンプル構成を示す。
図7図7は、ハンドリング用に構成された非接触型バッテリーユニットのサンプル構成を示す。
図8図8は、サンプル構成における使用モデルに対するバッテリー寿命の例をグラフ化して示す。
図9図9は、単純な双方向電力を供給するための機能ブロックを示す。
図10図10は、例示的構成に従って方法を実行し、処理機能を実装するための回路を示すブロック図である。
図11A図11Aは、単一電圧の非接触型交換式バッテリーパックのサブシステム図を示す。
図11B図11Bは、単一電圧のデュアル非接触型交換式バッテリーパックのサブシステム図を示す。
図11C図11Cは、電圧を選択可能なデュアル非接触型交換式バッテリーパックのサブシステム図を示す。
図11D図11Dは、動的に選択可能な非接触型交換式バッテリーパックのシステム図を示す。
図12図12は、非接触型交換式バッテリー設置の制御構造を示す。
図13図13は、サンプル構成における非接触型交換式電力システムの主要なサブシステム間の情報のフローを示す。
図14図14は、非接触型交換式バッテリーユニットのための配送システムにおける、輸送、製造、倉庫保管、事前配置、保管、充電、交換、および補充のための例示的な配布ネットワークを示す。
図15図15は、バッテリー交換ネットワークにある物理的資産および情報資産を監視および制御するための例示的なネットワークの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電動車両の充電に用いるためのサンプル構成を図1図15に関して説明するが、当業者であれば、本明細書で提供される教示を他の非車両の共鳴磁気誘導ワイヤレス電力伝送システムにも用い得ることを理解するであろう。このような構成は本開示の範囲内であることが意図される。
【0012】
本明細書に記載の非接触型交換可能(交換式)バッテリーユニットは、磁気誘導結合を用いて、システム要素の充電、放電、およびシステム要素間の通信を実行し、頑丈な防塵防水の容器に恒久的に密閉される非接触型バッテリーユニットを可能にする。
【0013】
物理的な接触がなければ、電圧および電流に触れることができないため、バッテリーは本質的に安全である。また、導電性材料がないということは接触摩耗がなくなることを意味する。非接触型交換可能バッテリーのケースは、ワイヤレス共振カプラー間のスタンドオフ距離を提供する。また、前記バッテリーモジュールはシステムの非接触性により固有のガルバニック絶縁の利点もある。
【0014】
回路ブレーカー、遮断器、またはヒューズをバッテリーユニットのハウジング内に組み込むことができるが、ワイヤレス電力伝送を使用すると、導電性雰囲気中または淡水若しくは海水中の用途でも取り扱い時のショートや接地障害を防止することができる。
【0015】
バッテリーユニットの密閉態様は、水やほこりの浸入を防ぎ、濡れた環境やほこりの多い環境、爆発性雰囲気の環境でもバッテリーの使用を可能にする。密閉態様はまた、物理的および電子的な内部(ケースへの)侵入検知システムの配備を可能にする。前記侵入検知は、セカンドライフバッテリー市場でのバッテリーユニットの価値を高めようとする、不適切なバッテリー交換の試みや、使用状況および充電記録を含む電子機器への攻撃を検出するために用いることができる。
【0016】
近い将来、前記密閉された非接触型バッテリーユニットおよび充電ステーションについて大規模(数キロワット時(kWh))な車両および地上拠点への展開が予見されている。一方、電子機器が小型化し続けるにつれて、ほとんどまたは全ての交換可能なバッテリー用途に密閉された非接触型バッテリーユニットを含めることが可能になる。
【0017】
図1
図1は、サンプル構成における密閉された非接触型バッテリーユニット101の例を示す。頑丈な密閉ケース102はバッテリーユニット101の内部構成要素を保護する。密閉ケース102の材料は、非導電性材料(例えば、グラスファイバー、ケブラー(登録商標)複合材)または金属であってよい。ケースが金属製の場合、ワイヤレス電力伝送(WPT)カップリング103および105と周囲のガードバンド104および106を覆う領域は非導電性でなければならない。図1では、追加の2つのワイヤレス電力伝送カプラーがバッテリーユニット101の他方側に示されていないことに留意されたい。バッテリーユニット101が供給することを意図する電圧、電流、または電力に応じて、WPTカップリング103の数は1からn×mまで変えることができ、ここで、nは密閉ケース102の平坦な側面の数であり、mは平坦な側面あたりのカプラー設置数である(利用可能な平坦な側面の面積とカプラー面積の比に基づく)。バッテリーユニット101の形状は、追加の平坦な側面ごとに変えることができ、追加のWPTカプラーの設置を可能にする。また、バッテリーユニット101のサイズは用途に応じて変えてもよく、また、したがって、各平坦な面の利用可能な領域に追加のカプラーを設置することもできる。また、磁気誘導カプラーのサイズおよびカプラー表面積を変えて、バッテリーユニット101あたり所望の数のカプラーが得られるようにしてもよい。
【0018】
各カプラーは、バッテリーケースの非導電性充電面部分の下に保護された関連回路(例えば、フィルタ、整流器、電圧コンバータ、電圧レギュレータ)を備えた1若しくはそれ以上の平コイルアセンブリを含む。カプラーは再充電時の充電と電力供給時の放電のために交互に使用できる点で双方向性がある。
【0019】
図1に示すように、保持要素107がバッテリーユニット101の密閉ケース102の各横方向に含まれている。保持要素107は、交換(挿入および取り外し)を支援するとともに、使用中または充電中の横方向の振動を最小限に抑えるためにバッテリーユニット101をしっかりと保持する役割を果たす。図1に示す例は、ソケットレセプタクルのスロットに合う縁部取付スライドとして示されているが、その他の動力付きまたは動力なしの機械要素(例えば、スライド、レール、ローラー、リニアボールおよびローラーベアリング(再循環型および非再循環型のいずれか)、ラックアンドピノン、ローラーベアリングプレート、ねじ付きおよびねじなしロッドなど)、およびケースフレームへの配置(またはケースフレームへの統合)は、バッテリーユニットの交換を容易にし、バッテリーユニット101を十分に振動が減衰された状態で保持することを想定している。
【0020】
ロック保持要素108がバッテリーユニット101の後端に含まれていてもよい。ロック保持要素108は使用および充電のためにバッテリーユニット101を所定の位置に固定する。また、ロック保持要素108は不注意または悪意によるバッテリーユニット101の取り外しを抑止する役割も果たす。この例では、修正されたロックロッドアセンブリとして示されているが、保持機能およびロック機能を提供または可能にする他の機械的、磁気油圧式、電磁気的、および電気機械的な保持要素が有効にされまたは作動される構造も実現可能である。
【0021】
環境制御要素109がバッテリーユニット101の後端に示されている。環境制御要素109は、使用時または充電時に利用可能な外部冷却要素および/または加熱要素に対して、バッテリーユニット101の内部冷却要素および/または内部加熱要素用のコネクションレス型インターフェースを提供する。追加の熱伝導面を、ケース上の他の要素(例えば、WPTカプラーの充電面など)が占めていない位置であればどこにでも配置できることに留意されたい。
【0022】
この構成において、バッテリーユニット101と(不図示の)充電または放電クレードルとの間の誘導二重通信を送受信するための磁気ループアンテナは、ワイヤレス電力伝送(WPT)カプラー103および105と非導電性表面領域を共有する。また、異なるアンテナ配置が望ましい場合、専用の非導電性表面が用いられてもよい。
【0023】
図2
図2は、(図1のバッテリーユニット101を含み得る)密閉された非接触型バッテリーユニット201の内部機能サブシステムと、放電ステーション202を示す。バッテリーユニット201は放電ステーション202に近接した所定の位置に挿入され、または保持される。バッテリーユニットカプラー206と放電ステーションカプラー204との間の隙間205は、ケースの厚さ、またはケースの厚さと放電ステーションカバーの組み合わせによって調整することができる。スタンドオフまたはバッテリーユニット201の保持要素107を用いてカップリング204とカップリング206間に追加の空隙205を設けてもよい。
【0024】
放電ステーション202は磁気共振インダクタンスを用いてバッテリーユニット201に接続する。磁気放電信号に加えて、誘導結合通信システム信号が存在する可能性もある。
【0025】
電力接続212は、放電ステーションカップリング204によって生成された電気を伝達し、また、電力管理システム203によって調整される。放電カップリング204は、1若しくはそれ以上の平コイル電磁石と、その関連回路(例えば、フィルタ、整流器、電圧コンバーターレギュレータなど)で構成されている。
【0026】
放電ステーション202と電力供給ステーション(例えば、車両、充電クレードル、電力貯蔵デポ、または企業や住宅の据付場所など)との間の二重通信リンクインターフェース214は、放電ステーション202への誘導通信リンク215を介してバッテリーユニット201との間でデジタル情報を伝達する。
【0027】
環境制御接続213は、放電ステーション202に所望の冷却媒体または加熱媒体を供給する。バッテリーユニット101は密閉されているため、バッテリーユニット201の放射表面領域211は伝導または対流熱伝達を介して供給される加熱または冷却と相互作用することができる。バッテリーユニット201の内部には内部の冷却資源(例えば、空気、液体冷却剤、相変化物質など)を管理し分配する役割を果たす環境制御システム210がある。環境制御システム210は、バッテリーアレイ209および搭載電子機器207および208全体にわたって加熱または冷却を提供する。バッテリーアレイ209は異なるセルからなり、それぞれのセルが、電力管理システム208、バッテリー管理システム207、および環境制御システム210に接続されている。前記異なるセルは、化学電池、容量電池(例えば、ウルトラキャパシタ)、可逆燃料電池、またはそれらの混合物であり、ハイブリッドアレイを形成する。
【0028】
バッテリーユニット通信コントローラ216は、ファイアウォールセキュリティを備えたゲートウェイルータであり、放電ステーション202の通信コントローラ217によって提供される適切なキーなしでのバッテリーユニット201の内部ネットワークへのアクセスを防止する。バッテリーユニット通信コントローラ216はまた、バッテリーユニット201の内部構成を外部のプロービングから隠す役割も果たす。外部に利用可能な情報(例えば、電子シリアル番号、充電状態、品質スコア、使用ログ情報の要約または公に利用可能な部分など)は、バッテリーユニット通信コントローラ216にローカルに保持される。
【0029】
放電ステーション通信コントローラ217は、全ての外部ネットワークと内部WPT対応通信ネットワーク間のブリッジルータである。一構成において、すべてのネットワーク接続に安全なインターネット通信プロトコル(例えば、トランスポート層セキュリティなど)が必要とされる。インターネット仮想プライベートネットワーク「トンネル」内では、放電ステーション202とバッテリーユニット201の両方にアクセスするのに、データ暗号化を用いた追加の認証およびアクセス制御を必要としてもよい。
【0030】
図2に示すように、電力管理システム208は、機械的に強化されたハードウェアセキュリティモジュール(HSM)218と、ログ記録のための安全なメモリ219とを含む。安全な暗号化された不揮発性メモリ219は、バッテリーユニット201に組み込まれた全てのセンサの安全な永久記録を記録するために用いられる。これらのセンサには、時間、温度、電圧、電流、圧力、および加速度が含まれる。電力管理システム208はまた、HSM218によって保持される暗号化鍵ボールトへのアクセスを制限する役割も果たす。
【0031】
電力管理システム208は、全ての通信セッション、物理的な侵入、およびソフトウェアアクセス/攻撃の試みを記録することができる。電力管理サブシステム208は、バッテリーユニット201の内部の暗号化された安全なネットワークのみにインターフェースする(不図示の)通信プロセッサを含む。電力制御サブシステム208通信リンクを介して、前記バッテリーユニット201の内部へ、および前記バッテリーユニット通信制御装置216を介して外部ソースとの間の両方で転送される全てのデータは、内部(電力管理システム208へ)ファイアウォールによってスクリーニングされる。
【0032】
バッテリーユニット201は恒久的に密閉されることを意図しているため、バッテリーユニット201の内部のメンテナンスは困難となることが意図される。交換イベントが記録されるという点でメーカーレベルのメンテナンス(例えば、バッテリーアレイ209の故障したバッテリーセルの交換など)に対する準備がなされている。
【0033】
鍵ボールトに埋め込まれた暗号化鍵を用いることで、非接触型バッテリーユニットのメーカーレベルのメンテナンスのログ記録が可能になる。鍵を用いると、信頼できる施設がメンテナンスを行ったことが保証される。対称鍵と非対称(公開鍵)ストレージの両方がHSM218に保持されてよい。
【0034】
電力管理システム208は、外部ソフトウェア若しくは物理的攻撃、またはバッテリーユニット201の内部システム障害などの壊滅的な障害が発生した場合にシャットダウン前にセンサデータを記録できるようにサイズ設定されたバッテリーバックアップを有する。
【0035】
図3
図3は、充電クレードル内の非接触型バッテリーユニット201のサンプル構成を示す。交換可能な密閉された非接触型バッテリーユニット201の利点の1つは、用途に応じて、オフサイトで、または電気自動車の外で充電できることである。前記オフサイトの場所では電力と冷却にアクセスすることができ、最適な制御可能な充電条件が可能になる。
【0036】
この例における充電ステーション301は、充電ポイント202を天候から遮蔽し分離する周囲の筐体302を含む。充電ステーション301にはそれぞれの充電ポイント202に電力接続212と環境制御(例:冷却剤)接続213が備えられている。この例では、バッテリーユニット201にワイヤレスで接続する4つの充電ポイント202が使用される。各充電ポイント202は充電電圧を最適化するように独立して制御可能である。図3の充電ステーション構成において、磁気結合二重通信215を実行するために、外部通信リンクインターフェース214は1つの充電ポイント202でのみ必要である。冗長性のために追加の通信リンクが提供されてもよく、または様々なセクションを制御するために内部接続が提供されてもよい。
【0037】
有線電力接続212、ワイヤレス電力接続214、および無線通信リンク215は双方向であるため、充電ステーション301は、図2に示す放電ステーション202として動作可能に用いることができる。
【0038】
バッテリーユニット201は、異なる者が所有する可能性のある任意の充電ステーションで充電できるため、バッテリーユニットのHSM218によって提供される暗号化サービスは、データの機密性、通信の整合性、支払いの否認防止、所有者の識別、充電ステーション301およびバッテリーユニット201の認証に用いることができる。
【0039】
バッテリーユニット201は、車両に搭載された状態でも、その他の車両外の場所でも充電することができる。一構成において、充電器は冷却および電力需要を減らすために低電圧を用いてゆっくりと充電する。
【0040】
高電力での短時間充電の場合、充電ステーション301は、どのような構成であっても、電力と冷却を供給することができる。その電力および冷却需要は、誘導通信システムを介して充電ステーション301に提供されるこれまでの耐用期間の充電履歴から生成されてもよい。
【0041】
車両から取り外されて充電ステーション301に設置される場合、冷却液への完全または部分的な浸漬は、ケース温度(したがって内部バッテリー温度)を調節するのに用いることができるが、ワイヤレス電力伝送システムでアース接地が必要なアーキテクチャや密閉されたバッテリーケースの一部が液体との接地接点として機能するアーキテクチャでは、アース接地への電気的接続として用いることもできる。恒久的に密閉されたケースは、ほこりや水の侵入を防ぎ、NEMA6またはIP67の要件を満たす(またはそれを超える)。
【0042】
車両以外の主な用途に対しても、(例えば、現地での充電、またはオフサイトで充電のために取り外すなど)同じ充電シナリオが適用される。
【0043】
図4
図4は、サンプル構成における交換可能な密閉された非接触型バッテリーユニット401の例示的な水平スタックを示す。バッテリーユニット402、403、および404は、独立して交換可能であり、一般的に、交換中に電力レベルを維持するためにn+1アレイに配置される。一方、前記ユニットが機能していない間に全てのバッテリーが交換されるシナリオもある。図4の例では、放電ステーションは底部トレイ405と一体化されているが、当該底部トレイ405はまた、バッテリーユニット402、403、および404を所定の位置に保持して(不図示の)底部カップリングユニットの位置合わせを保証する役割も果たす。水平配置において、側面に取り付けられたカップリング412(図4の視点では1つしか見えていないことに留意されたい)が、アクティブになり、各バッテリーユニット402、403、および404の電力負荷または容量が均等になるように電力を分配してもよい。振動または横方向の負荷(車両の動き、地震など)を伴う展開では、水平アレイ401に垂直支持部406が装備されてもよい。これらの垂直支持部406はまた、バッテリーユニット401の追加の列を支持し安定させるのに用いることもできる。追加の列が下側の列と接続し、整列した下から上への連結配置を介して電力および通信を供給する(または供給を受ける)ことができる。ロックおよび保持構成要素407は、各バッテリーユニット402、403、および404をトレイ405上の所定の位置に保持する。
【0044】
図4に示す構成において、共通の環境制御インターフェース411がバッテリーユニット402、403、および404に必要とされる加熱または冷却を供給する一方、単一の通信インターフェース410が外部通信のための接続を提供する。単一の電力接続409が上記使用例に応じて電力を供給または送達するのに用いられる。必要に応じて、(それぞれ冷却、帯域幅、または負荷のためなど)追加の環境、通信、および電力インターフェースを配置可能である。共通環境交換構成要素408は、個々のバッテリーユニット402、403、および404の交換を可能にするための独立した接続を可能にする。いくつかの配置では、バッテリーユニット402、403、および404への個々の冷却または加熱接続も用いられる。
【0045】
図5
図5は、サンプル構成における例示的な垂直バッテリーユニットアレイ501を示す。図5に示す垂直バッテリーユニットアレイ501は、独立して交換可能な密閉された非接触型バッテリーユニット502、503、および504が相互接続されて積み重ねられたクラスタの例である。バッテリーユニットアレイ501は、電力513、通信515、および環境制御514のために外部接続へのリンクを提供する底部トレイ505に載置されている。機械的支持システム511がバッテリーユニット502、503、および504を所定の位置に適切な配向で保持し、一方、機械的保持およびロックシステム512が交換を容易にし、動きに対する追加の機械的支持を提供する。環境交換システム510は、各バッテリーユニット502、503、および504とインターフェースし、各バッテリーユニット502、503、または504の個別の交換および外部環境接続514を可能にする。
【0046】
(バッテリーケース内部)の最下部のバッテリーユニット503および504の上部と底部にある(不図示の)ワイヤレスカップリングアセンブリは、通信および電力伝送を可能にする。最上部のバッテリーユニット502は、その底部に取り付けられた(不図示の)ワイヤレスカップリングアセンブリを通信および電力伝送のために用い、その上部のワイヤレスカップリングアセンブリ509はこの例の設置では使用されず、電源供給されない。
【0047】
右側面に取り付けられたワイヤレスカップリングアセンブリ506、507、および508は、必要に応じて、左側面に取り付けられた(不図示の)ワイヤレスカップリングアセンブリと同様に、他の垂直スタックへの相互接続に利用可能である。相互接続されていないワイヤレスカップリングアセンブリは全て電力供給されないままとなる。
【0048】
図6
図6aは、電動建設車両601における、独立して交換可能な密閉された非接触型バッテリーユニット群の車両への適用を示す。建設車両601は化学的/電気的ハイブリッドであってよい。図示のように、車両(例えば、ダンプトラック)601にはバッテリーユニットソケットアレイ602が設置され、バッテリーユニット201の積み下ろしのための容易なアクセスを可能にする。この図示の例では、バッテリーユニットの挿入のために8つの個別のソケット603が利用可能である。1若しくはそれ以上のWPTカップリングアセンブリをソケットアレイ602の各平坦な側に構築することができる。車両ソケットおよびバッテリーユニットの一側のアセンブリが一致しない場合、車両601の他のバッテリーユニットまたはワイヤレス伝送カプラーと幾何学的に位置合わせされたカップリングのみがワイヤレス電力伝送に有効になる。
【0049】
図6
図6bは、サンプル構成の非接触型バッテリーユニットを用いて、例えば図6aの例示的なダンプトラック601などの建設車両の燃料補給を行うサンプル構成を示す。図示のように、交換用バッテリーユニット604は、電力およびデータの通信のためにバッテリーユニット604の平らな側に取り付けられた1若しくはそれ以上のカップリングアセンブリ605を有する。環境インターフェース606が交換用バッテリーユニット604の両端(ワイヤレスカップリングアセンブリが占有していないところ)に取り付けられている。
【0050】
バッテリーユニットソケットアレイ602は、バッテリーユニットソケットへの簡単なアクセスを可能にする。この例では、バッテリーユニットソケットアレイ602は二次アクセス607を備えている。608で交換用バッテリーユニット604を挿入することにより、以前に取り付けられ、消耗していると推定されるバッテリーユニットが、二次アクセス607を介して609でバッテリーソケットから押し出されれる。この例における前記環境インターフェースは、周囲の空気冷却またはバッテリーユニットソケットアレイ602のハッチの接続に依存する。
【0051】
図7
図7は、ハンドリング用に構成された非接触型バッテリーユニットのサンプル構成を示す。図7は、密閉された非接触型バッテリーユニット101のカスタマイズの可能性を示す。この例では、バッテリーユニット101は、バッテリーユニット101の本体にビア701および702を備えており、これにより、軽量に変更された従来のハンドリング装置(例えば、フォークリフトなど)による運搬および設置が可能になる。バッテリーユニットの質量中心を通るビア701および702の平行管状構造により、傾いたり転がったりすることなくソケットに挿入するための位置決めが可能になる。
【0052】
一度設置されると、バッテリーユニットを通るビアも再利用でき、追加の伝導冷却を提供し、設置されている他の環境制御インターフェース109を補強する。
【0053】
図8
図8は、サンプル構成における使用モデルに対するバッテリー寿命の例をグラフ化して示す。バッテリー品質モデルの具体例を図8に示す。x軸803は時間を表し、y軸801は詳細な多変量バッテリー品質モデルとの相関関係から決定されたバッテリー品質802を示す。バッテリーの品質を決定する変数をグラフ形式で表すため、簡略化された線形バッテリー寿命モデルが示されている。特定の設計の交換可能な密閉されたバッテリーユニットが価値を失う値を示す品質閾値811が示されている。その他の閾値があってもよく、例えば、バッテリーの品質が車両ベースの用途に適さなくなる場合などである。図示の例は全て時間経過に対し線形の関係を示しているが、より正確なモデルでは、時間経過に伴う容量変動への影響をより良く一致させるために、時間経過に対し異なる線形セグメント(すなわち、傾きの変化)を含むことができる。
【0054】
バッテリー品質を推定する最も単純な例は、充電され保管されているバッテリーユニットの場合について示されている。ここで、保管施設の温度が品質の主な決定要因であり、より低温の施設では、より高温で保管されたバッテリーユニットの品質推定値805よりも高い品質推定値804が得られる。
【0055】
通常の動作プロファイル(急速充電(過電圧)や深放電のない通常の定期的な充電)の簡略化されたモデルの場合、推定値806は充電状態80%から充電状態20%への放電サイクルの結果、高い品質を示し、一方で推定値807は充電状態90%から充電状態10%への放電サイクルによる相対的影響を示す。
【0056】
壊滅的な事象が品質モデル810に与える影響を示す。このモデルでは、事象(例えば、内部短絡、内部開回路、内部冷却剤の減圧、高加速(衝撃)など)によってバッテリーユニットが損傷し、品質が即座に低下するまで、バッテリーの品質は時間経過とともに直線的に低下する。
【0057】
急速充電および/または深刻な消耗の影響を示す品質モデルをモデル808および809で示す。モデル808を生じるバッテリーユニットは、定期的に深く(例えば、現在の充電容量の2%未満まで)駆動され、その後、一晩充電される。モデル809を生じるバッテリーユニットは、定期的に深く例えば、現在の充電容量の2%未満まで)駆動され、その後、急速充電器を用いて充電される。相対的な品質レベルは、バッテリーアレイに対する深刻な消耗と急速充電の影響の両方を示す。
【0058】
バッテリーの熱管理
バッテリーユニット101は、密閉された外部ケース102に結合された内部熱管理システムを支持する。密閉された外部ケース102は、当該密閉されたバッテリーケース102を貫通することなく、冷却または加熱を供給する車両601または充電ステーション301の要素と接触することができる。バッテリーユニット101はまた、内部バッテリーアレイを予熱する内部電気加熱システムを有していてもよい。
【0059】
センサと履歴
バッテリーユニット101の密閉された恒久的性質は、バッテリー使用の履歴プロファイルを生成するのに使用される電圧、電流、温度、および運動加速度計のための恒久的な内部センサの配置を可能にする。温度、電圧レベル、電流レベル、および3軸加速度に関する情報を個々のセルレベルまで生成し、保持することができる。この履歴プロファイルにより、バッテリーユニット101の将来の機能に関する予測が可能になる。これらの予測により、中古車の走行距離(オドメーターの読み取り値)と同様に、バッテリーの二次市場に対する評価を策定することができる。
【0060】
ワイヤレス接続を有する恒久的に密閉された非接触型バッテリーユニット101は、バッテリーアレイおよび密閉された区画に恒久的に組み込まれた計測機器(電圧、電流、内部および外部温度、加速度)を有することによって、保管、充電および放電事象の耐用期間にわたる履歴を保持する。
【0061】
バッテリーユニット101ごとに過去の使用プロファイル(充電、放電、電圧、温度、保管、加速度)を作成してもよい。乱暴な取り扱いを検知する加速荷重も考えられる。この耐用期間プロファイルにより、バッテリーユニットの品質測定を定式化することができる。また、(中古車の走行距離計と同様の)品質に関する「一目でわかる」単一の数値の作成も含む、全履歴が利用可能になる。
【0062】
バッテリーユニットのセンサによって取得され、バッテリーバックコントローラによって保存された記録情報を用いて、一度充電された、未使用の、保存されていない、未放電のバッテリーモデルとの相関関係を作成することができる。完璧な充電履歴を有する(例えば、新しく製造され、すぐに使用できる状態の)バッテリーは、1Daga(ダガ、注:新しい測定単位)の相関関係がある。バッテリーユニットが時間経過に伴い反復使用されるにつれ、価値は減少し、ユーザ/所有者にバッテリー寿命の推定値と、2次および3次ライフ市場への価値が提供される。例えば、定格が600ミリダガス(md)のバッテリーは、フリート使用施設から(グリッド増強などの)2次ライフ用途に移される。車両使用における600md(または0.600D)の閾値は一例であり、市場の要望、所有者の好み、規制要件によって変わり得る。
【0063】
明らかなように、バッテリーを損傷させる過充電、過熱、急速放電は前記モデルからの逸脱としてより低いDagaスコアで考慮される。衝撃を測定する加速度計もDagaスコアに寄与するであろう。ケースメント侵入検出も前記バッテリーユニットコントローラに対するサイバー攻撃の検出と同様にDagaスコアの計算に貢献する。
【0064】
価値のある項目として、Dagaスコアはバッテリーユニット101内の安全なストレージに保管され、充電クレードルで充電するときにネットワーク(例えば、インターネットに接続されたサーバベースなどの)ストレージにアップロードすることができる。
【0065】
バッテリーユニットのセンサデータをアップロードできるため、使用プロファイルまたは使用プロファイルの更新は、推定やラボテストによるのではなく、配備されたバッテリーユニットの集団からのデータを集約することによって生成できる可能性がある。特定の再充電式バッテリー化学組成(例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム(NiCdまたはNi-Cad)、ニッケル水素(NiMH)、アルカリ(主に亜鉛(Zn)と二酸化マンガン(MnO2)ベース)、ならびにリチウムイオン、リチウム硫黄、およびリチウムポリマー(例えば、リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト酸化物(NMC)、リチウム・ニッケル・コバルト・アルミニウム(NCA)、リチウムリン酸鉄(LFP)、およびリチウムチタン酸塩(LTO)など)))、固体バッテリー、バッテリーアナログ(ウルトラキャパシタ、可逆燃料電池)の各々に対し、また、2以上の技術または化学組成が用いられるハイブリッドエネルギー貯蔵システムの各々に対し、異なる品質モデル対使用法が存在しうることに留意されたい。
【0066】
Daga品質メトリックはまた、バッテリーユニットの負荷試験の代わりにバッテリーユニットの健全性のスナップショットを生成するのに用いることもできる。
【0067】
通信と制御
磁気誘導通信(例えば、「静的および動的共鳴誘導ワイヤレス充電で使用するための近距離全二重データリンク"と題する米国特許第10,135,496号および2019年9月13日に出願された同じく「静的および動的共振誘導ワイヤレス充電で使用するための近距離全二重データリンク」と題する米国特許出願第16/570,801号に詳述されている)は、バッテリーの状態、充電の状態、過去の充電、放電データを交換し、また、充電信号のクローズドループ制御を可能にする、安全で高度な通信を可能にする。これらの特許文献の説明は参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
短距離送受信機(例えば、RFID、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbeeなど)をバッテリーユニットに追加することで、代替または補足的な通信手段を使用することも、特定の配置構成において、または顧客や規制上の要件を満たすために有用である。同理由で、バッテリーユニット101または放電クレードル202に追加すれば、セルラー無線などの長距離通信手段を用いることもできる。
【0069】
双方向使用
バッテリーのワイヤレス充電ユニットは双方向使用が可能で、バッテリーの充電と放電の両方をサポートする。ワイヤレス充電システムは、1若しくはそれ以上のワイヤレスカプラーで構成され、放電のために再利用することができる。任意選択的に、個別のワイヤレス誘導カップリングを用いて、それぞれ予想される電力伝送速度用にサイズ設定された状態で充電および放電を行ってもよい。
【0070】
図9
図9は、サンプル構成における双方向ワイヤレス電力伝送システムによる電力フロースルーおよび変換の例示的な高レベル機能図を示す。特定の構成要素は、本質的に双方向かつ対称的に動作し(例えば、オープンコア型変圧器としても知られている共振誘導回路など)、共有することができるが、順方向(充電)および逆方向(放電)の電力伝送経路は、分岐された単信回線アーキテクチャに依存することとなり、順方向(充電)および逆方向(放電)の使用シナリオごとに、電力伝送経路をアクティブ化し完了するための、スイッチ909、(不図示の)制御ロジック、および(不図示の)通信リンクが必要になる。
【0071】
順方向では、電力は名目上、電力系統901から供給される。電力は系統連系(gridconnection)に応じて、単相交流(AC)、直流(DC)、または多相交流であってよい。電力系統901は高電圧送電線からの電圧を下げるのに必要な任意の変圧器を含む。この例では、力率が約1(単位)に調整されるように十分な静電容量が存在する単相ACが電力系統901によって送達される。
【0072】
AC電力はAC/DC902コンバータによってDCに変換されてもよい。この機能は、アクティブ(スイッチベース)またはパッシブ(ダイオードベース)整流器によって実現することができる。
【0073】
DC/ACコンバータ903は入力DC電力を受け取り、それを高周波AC(この構成では名目上85kHz)正弦波信号に変換する。DC/ACコンバータ903によるDC/AC変換動作はインバータを用いて実行することができる。
【0074】
AC電力信号は、上記カップリング、一次コイルおよび二次コイルを有する共振空芯変圧器904に渡されてもよい。前記AC電力は一次側で磁束に変換され、二次側と誘導結合される。二次コイルは受けた磁束をAC電力信号に変換する。
【0075】
前記AC電力信号はAC/DCコンバータ905に渡される。AC/DC変換機能は、アクティブ(スイッチベース)またはパッシブ(ダイオードベース)整流器によって実現することができる。
【0076】
結果として得られるDC信号はエネルギー貯蔵デバイス906を充電するのに用いられ、名目上、再充電可能な化学電池であるが、コンデンサバンク、可逆燃料電池、固体バッテリー、または前述のハイブリッドの組み合わせのうちの1若しくはそれ以上とすることもできる。また、前記DC信号は電気機器に直接的に電力供給するのに使用することもできる。
【0077】
双方向であるため、エネルギー貯蔵デバイス906は貯蔵された電力を直流として逆伝送経路に出力することができる。前記DC電力はDC/ACインバータ907によって必要なAC電力信号に変換される。
【0078】
このAC電力信号は共振誘導回路904に入力される。この逆経路のシナリオでは、コイルの動作は順経路と逆になる。前記AC電力は、二次コイルと誘導結合されたオープンコア型変圧器904の一次コイルで磁束に変換される。二次コイルは受けた磁束をAC電力信号に変換する。得られたAC電力は、AC/ACコンバータ908によって周波数が調整される。一構成において、AC/DC/ACコンバータがAC/ACコンバータ908として用いられ、AC/AC周波数調整操作はAC/DC整流器を用いて実行され、その後、インバータ回路によって必要な周波数でDCからACに変換される。この例における電力系統901は、AC電力を所望の電圧に変換するために必要な変圧器と、必要に応じて系統から供給される電力と接続するためのAC/DC変換とを含む。
【0079】
図10
図10は、例示的構成に従って方法を実行し、処理機能を実装するための回路を示すブロック図である。例えば、図10の処理回路を用いて、前記通信コントローラの暗号化処理機能、前記熱および電力管理機能、前記侵入検知機能、ならびに前記過去の使用プロファイルおよび品質モデルの管理を実装してもよい。種々の構成において全ての構成要素を用いる必要はない。
【0080】
図10は、処理ユニット1002と、メモリ1004と、取り外し可能なストレージ1006と、取り外し不可能なストレージ1008とを含むことができるコンピュータ1000の形態のコンピューティングデバイスの一例を示す。例示のコンピューティングデバイスはコンピュータ1000として図示され説明されているが、前記コンピューティングデバイスは異なる構成において異なる形態になっていてもよい。例えば、コンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ、または図10に関して図示され説明されているものと同じまたは類似の要素を含むその他のコンピューティングデバイスであってもよい。スマートフォン、タブレット、およびスマートウォッチなどのデバイスは、一般的に総称してモバイルデバイスまたはユーザ装置といわれる。さらに、様々なデータストレージ要素がコンピュータ1000の一部として示されているが、前記ストレージはまた、インターネットやサーバベースのストレージなど、ネットワーク経由でアクセス可能なクラウドベースのストレージを含んでもよい。
【0081】
メモリ1004は、揮発性メモリ1010、および不揮発性メモリ1012を含み得る。コンピュータ1000はまた、揮発性メモリ1010および不揮発性メモリ1012、取り外し可能なストレージ1006および取り外し不可能なストレージ1008などの様々なコンピュータ可読媒体を含んでもよく、またはそのようなものを含むコンピューティング環境にアクセス可能であってもよい。コンピュータのストレージは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、若しくはその他のメモリ技術、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CDROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、若しくはその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、若しくはその他の磁気ストレージデバイス、またはコンピュータ可読命令を格納可能なその他の媒体を含む。
【0082】
コンピュータ1000は、さらに、入力インターフェース1014、出力インターフェース1016、および通信インターフェース1018を含むコンピューティング環境を含んでもよく、またはそのようなものを含むコンピュータ環境にアクセスすることができる。出力インターフェース1016は、タッチスクリーンなどの表示デバイスを含んでもよく、それは入力デバイスとしても機能し得る。入力インターフェース1014は、タッチスクリーン、タッチパッド、マウス、キーボード、カメラ、1若しくはそれ以上のデバイス固有のボタン、コンピュータ1000に統合されているか、またはコンピュータ1000への有線または無線データ接続を介して結合されている1若しくはそれ以上のセンサ、およびその他の入力デバイスの1若しくはそれ以上を含んでもよい。
【0083】
コンピュータ1000は、通信インターフェース1018を用いて1若しくはそれ以上のリモートコンピュータに接続し、ネットワーク環境で動作することもできる。前記リモートコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス、またはその他の一般的なネットワークスイッチなどを含んでもよい。通信インターフェース1018を介してアクセスされる前記通信接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、セルラー、Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee、またはその他のネットワークを含んでもよい。一構成において、コンピュータ1000の様々な構成要素はシステムバス1020に接続される。
【0084】
コンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ可読命令は、プログラム1022など、コンピュータ1000の処理ユニット1002によって実行可能である。いくつかの構成におけるプログラム1022は、処理ユニット1002によって実行されると、本明細書に含まれる構成のいずれかに従って動作を実行するソフトウェアを有する。ストレージデバイスなどの非一時的コンピュータ可読媒体を含む物品の例としては、ハードドライブ、CD-ROM、およびRAMがある。コンピュータ可読媒体およびストレージデバイスという用語は、搬送波が一過性であると考えられる程度の搬送波は含まない。ストレージは、ストレージエリアネットワーク(SAN)などのネットワークストレージも含むことができる。コンピュータプログラム1022を用いて、処理ユニット1002に本明細書に記載の1若しくはそれ以上の方法または機能を実行させることができる。
【0085】
さらに、本開示の工程のいずれかまたは全てを参照して上述した処理および動作を容易にする1若しくはそれ以上のコンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアは、本明細書に記載の1若しくはそれ以上のバッテリーユニットまたは放電ユニットにインストールされ、それらとともに販売され得ることを理解されたい。代替的に、前記ソフトウェアは、例えばソフトウェア作成者が所有するサーバから、またはソフトウェア作成者が所有していないが使用するサーバからなど、物理媒体または配布システムを通じてソフトウェアを取得することを含め、本開示に合う方法で取得され、1若しくはそれ以上のバッテリーユニットまたは放電ユニットにロードされてもよい。例えば、前記ソフトウェアはインターネット経由で配布するためにサーバに格納されてもよい。
【0086】
また、当業者であれば、本開示は、その適用において、上記説明に記載された、または図面に示された構成の詳細および構成要素の配置に限定されるものではないことを理解するであろう。本明細書の諸構成は、他の構成も可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。また、本明細書で用いられている表現および用語は説明を目的とするものであり、限定的なものとみなされるべきではないことが理解されよう。本明細書における「含む」、「有する」、若しくは「備える」、およびそれらの変形は、その後に列挙される項目およびそれらの均等物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0087】
例示した構成において用いられている例示的なデバイス、システム、および方法の構成要素は、少なくとも部分的に、デジタル電子回路、アナログ電子回路、若しくはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装され得る。これらの構成要素はまた、例えば、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、または複数のコンピュータなどのデータ処理装置によって実行されるか、あるいは前記動作を制御するために、情報キャリアまたは機械可読ストレージデバイスに有形に具体化されたコンピュータプログラム、プログラムコード、またはコンピュータ命令などのコンピュータプログラム製品として実装され得る。
【0088】
コンピュータプログラムは、コンパイル言語やインタープリタ言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、また、それは、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適したその他のユニットとしてなど、任意の形式で配備され得る。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータで、または、1つの拠点で、若しくは複数の拠点に分散され通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータで実行されるように配備され得る。また、本明細書に記載のシステムおよび方法を実現するための機能プログラム、コード、およびコードセグメントは、本開示に係る技術分野の熟練したプログラマには本開示の範囲内であると容易に解釈され得る。例示的な構成に関連付けられた方法の諸工程は、(例えば、入力データに対して動作し、出力を生成することにより)機能を実行するためのコンピュータプログラム、コード、または命令を実行する1若しくはそれ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行されてもよい。方法の諸工程はまた、例えばFPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)やASICなどの専用ロジック回路によって実行されてもよく、また装置が、そのような回路として実装されてもよい。
【0089】
本明細書に開示の構成に関連して説明される種々の例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、またはその他のプログラマブルロジックデバイス、個別のゲート若しくはトランジスタロジック、個別のハードウェア構成要素、あるいは本明細書に記載された機能を実行するように設計されたそれらの任意の組み合わせにより実装または実行されてよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサとすることができるが、代替的に、当該プロセッサは、従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1若しくはそれ以上のマイクロプロセッサ、またはその他の同様の構成として実装することもできる。
【0090】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例えば、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータの若しくはそれ以上のプロセッサを含む。一般的に、プロセッサは読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、またはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの前記要素は、命令を実行するプロセッサと、命令およびデータを格納する1若しくはそれ以上のメモリデバイスである。一般的に、コンピュータはまた、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクなど、データを格納する1若しくはそれ以上の大容量ストレージデバイスからデータを受け取り若しくはデータを転送し、またはその両方を含む、あるいはそのように動作可能に結合されることとなる。コンピュータプログラム命令およびデータを具体化するのに適した情報キャリアは、あらゆる形式の不揮発性メモリを含み、これには、例えば、電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリまたはROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス、およびデータストレージディスク(例えば、磁気ディスク、内部ハードディスク、またはリムーバブルディスク、磁気光ディスク、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、またはデジタル多用途ディスクROM(DVD-ROM)など)などの半導体メモリデバイスが含まれる。プロセッサおよびメモリは、専用ロジック回路によって補完され、または専用ロジック回路に組み込まれてよい。
【0091】
当業者であれば、情報および信号を様々な異なる技術および技法のいずれかを用いて示し得ることを理解する。例えば、上記の説明全体で参照され得るデータ、命令、指示(command)、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁性粒子、光場若しくは光粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表される場合がある。
【0092】
当業者であれば、さらに、本明細書に開示の構成に関連して説明される種々の例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム工程が、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組み合わせとして実装できることを理解できるであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、種々の例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、および工程を、その機能の観点から一般的に上記で説明してきた。このような機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、特定の用途およびシステム全体に課せられる設計上の制約による。熟練した技術者は特定の用途ごとに上述した機能を様々な方法で実装し得るが、そのような実装の決定は、本開示の範囲から逸脱するものと解釈されるべきではない。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ROM、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で知られているその他の形式の記憶媒体に格納され得る。サンプルの記憶媒体がプロセッサに結合され、それにより当該プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ったり記憶媒体に情報を書き込んだりすることができる。代替的に、記録媒体はプロセッサに一体化されてもよい。すなわち、プロセッサと記憶媒体は集積回路内に存在してもよく、または個別の構成要素として実装されてもよい。
【0093】
本明細書において、「機械可読媒体」とは、命令およびデータを一時的または恒久的に格納可能なデバイスを意味し、これらに限定されないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、バッファメモリ、フラッシュメモリ、光媒体、磁気媒体、キャッシュメモリ、その他の種類のストレージ(例えば、EEPROMなど)、およびそれらの適切な組み合わせを含んでよい。「機械可読媒体」という用語には、プロセッサ命令を格納可能な単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型データベース、または関連するキャッシュおよびサーバなど)が含まれるものとする。また、「機械可読媒体」という用語は、1若しくはそれ以上のプロセッサによって実行される命令を格納可能な任意の媒体、または複数の媒体の組み合わせも含まれるものとし、その命令が1若しくはそれ以上のプロセッサによって実行されると、1若しくはそれ以上のプロセッサが本明細書に記載の方法論の1若しくはそれ以上を実行するようになっている。したがって、「機械可読媒体」とは、単一のストレージ装置若しくはデバイスだけでなく、複数のストレージ装置若しくはデバイスを含む「クラウドベース」のストレージシステムまたはストレージネットワークもいう。本明細書で使用される「機械可読媒体」という用語は、信号そのものは含まない。
【0094】
代替構成
外部冷却/加熱供給
電力負荷、充電負荷、外部周囲温度、および/またはバッテリーの化学的性質に応じて、外部供給からの強制空気または液体冷却剤を使用するために、非接触型バッテリーユニットに環境カプラーを追加する必要がある場合がある。密閉ケースが伝導および対流手段による冷却のために接触面を提供し、一方で、バッテリーパックへの限定的なアクセスを可能にする接続ポートが必要とされてもよい。この設置タイプではバッテリーユニットの交換が複雑になるが、バッテリーユニットの内部冷却システムの分離は密閉されたバッテリーユニットの残りの部分へのアクセスを制限する。温度センサネットワークを備えた環境制御電子機器は、空気または液体バルブ接続ポートを介して冷却剤の出入りを可能にするように設計された非接触型バッテリーユニットに圧力センサを追加することで補完される。
【0095】
一部の配置では、加熱された強制空気または液体冷却剤の使用による非接触型バッテリーユニットの外部加熱が同様に装備され、監視される。
【0096】
燃料電池の使用
本明細書で説明する非接触型交換式バッテリーユニット101は、化学電池の代わりに燃料電池と共に用いることができる。オフボード燃料補給は、潜在的に危険な燃料や酸化剤について同様の保管および安全な補給を提供する。非接触な設計は同様に電気的接触をなくす。燃料および酸化剤の投入は必然的に密閉ケースを損なうこととなるが、補給のために開けられる。補充施設を使用拠点から離れたところに設置できるため、車両で用いられる際の運転手や乗客の保護が、または車両以外で用いられる際の近くにいる人々の保護が強化される。
【0097】
供給電圧
図11
図11A図11B図11C、および図11Dは全て、種々のオプションを備えた非接触型バッテリーパックの高レベル構造を示す。
【0098】
図11Aは、非接触型バッテリーケース1101、バッテリーペイロード1102、WPT誘導コイルアセンブリ1103、バッテリーパックコントローラ1104、誘導受信アンテナ1105、および誘導送信アンテナ1106を用いた最も単純な設計を示す。非接触型バッテリーケース1101は、内部の電子機器およびバッテリーを電気的に絶縁し保護する役割を果たす。この例において、バッテリーペイロード1102は、設定された電圧および電流能力を送達するように所定数の並列バンクに直列にセルを配置したものである。
【0099】
図11Bは、第2のWPT誘導電力伝送コイル1108を通じて電流容量を共有できる非接触型交換式バッテリーの例を示す。この設計にはまた、第2の送信アンテナ1107と第2の受信アンテナ1109も含まれている。
【0100】
図11Cは、送信アンテナ1106および1107と受信アンテナ1105および1109をそれぞれ備えた2つのコイルアセンブリ1103および1108を有する非接触型バッテリーパックの例を示す。この例では、バッテリーセルが直列に配線されてバンク1110、1111、1112、および1113が生成され、そして、それはスイッチングマトリックス回路1114を用いて直列または並列に結合され得る。
【0101】
図11Dは、単一の誘導コイルアセンブリ1103を有する非接触型バッテリーパックの例を示し、当該単一の誘導コイルアセンブリ1103は、誘導受信アンテナ1105と送信アンテナ1106の1つのセットによる電力伝送に用いられる。バッテリーセルはバンク1110、1111、1112、および1113において直列に接続されており、当該バンクはスイッチマトリックス1114を用いて組み合わせることができる。DC/DCコンバータ1115は、切り替えられたバッテリーバンクからの出力電圧レベルを調整することができる。
【0102】
バッテリーパック管理システム(BPMS)
図12
図12は、サービス対象の車両、建物、またはその他の電動機器のバッテリー管理システム1203と通信するバッテリーパック管理システム(BPMS)1202の制御下にある非接触型交換式バッテリーパックの設置1201の高レベルの図を示す。図12の例では、設置1201は、5つの非接触型交換式バッテリーパック1204、1205、1206、および1208用のスロット(放電クレードル)を保持するバッテリーパックラックを有する。各スロットは電気バスと冷却接続を有するが、簡潔性のためにそれらは示されていない。各スロットには、非接触型交換式バッテリーパックの対応するアンテナと通信する誘導通信送受信アンテナが装備されている。誘導通信インターフェース1209を用いて、BPMS1202は、(存在する場合)各非接触型交換式バッテリーパック1204、1205、1206、1207、および1208と双方向に通信することができる。この例では、バッテリーパックスロット1207が空であるため、非アクティブな通信インターフェース1210が存在する。
【0103】
この例の構成では、BPMS1202は有線リンクを介してバッテリー管理システム1203と双方向に通信して充電操作を制御するが、無線リンクを用いることもできる。
【0104】
構成情報フロー
図13
図13は、非接触型交換式電力システムの主要なサブシステム間の情報のフローを示す。一部の構成において、これらの情報のフローは、コード付きまたはワイヤレスの充電システムのための既存の標準化されたメッセージング(例えば、ISO15118、SAEJ2847など)に適合またはそれから拡張され得る。
【0105】
複数の非接触型交換式バッテリーパックの制御および調整には、従来のバッテリー管理システム(BMS)1301に大幅な機能追加が必要となる。図13の構成では、これらの追加機能および能力がバッテリーパック管理システム(BPMS)1302に集約され、当該バッテリーパック管理システム(BPMS)1302が車両のBMS1301と非接触型交換式バッテリー(CSB)パックアレイ1303間の情報のフローを橋渡しすることが示されている。
【0106】
図13の構成では、CSBアレイ1303は第1のCSB1304と第2のCSB1305とを含む。CSBアレイ1303は、意図される電力および持続時間を送達するのに十分なバッテリーパックを含むことができ、また、予期しない電力需要に対応したり、交換中(ホットスワップ)に電力レベルを維持したり、バックアップとしての、追加の予備CSBを含んでもよい。CSBアレイ1303のいくつかのスロットは空のままであってよい。
【0107】
定期的なバックグラウンドタスク1306として、CSBがアレイ1303に追加されるとき、または指示(コマンド)を受けて、BPMS1302は問い合わせメッセージング1306を開始し交換する。問いわせ中1306、BPMS1302は、第2のCSB1305への照会1307と第1のCSB1304への第2の照会1308を開始する。第1の照会1307は、第2の照会1308と同様であってもよく、ID要求、認証チャレンジ、および健全性、ステータス、および機能要求を含むことができる。これらの照会要求は、任意の順序で任意のときに起きてよい。警告(CSB1304および1305またはCSBアレイ1303がBPMS1302要求なしでステータスを更新する場合)、ハートビート、および時間同期メッセージは示さていない。
【0108】
問い合わせを受けたCSB1304または1305は、1312で格納された値、計算された値(例えば、暗号化チャレンジ応答など)を用いて応答してもよく、または組み込みテストを開始して、CSBアレイ1303の第1のCSB1304および第2のCSB1305のバッテリーセルの健全性およびパフォーマンス能力を判定してもよい。応答1310および1311は任意の順序で起きてよい。
【0109】
BMS1301が1313で電力(すなわち、電圧と電流)レベルの送達を要求すると、その情報はBPMS1302に渡され、BPMS1302は1314および1315でCSBアレイ1303にある個々のCSB1304および1305に指示を出して、指示された電力レベルのそれらの部分を送達するように構成(または再構成)する。電力レベルが設定されると、各CSB1304および1305は1316および1317で応答することとなる。BPMS1302は、全ての応答1316および1317を収集し、電力が利用可能になったときに元の電力要求1313に対する応答1318を用いてBMS1301に信号を送る。応答1318はまた、充電状態(SoC)、実行時間の推定値、または電力容量(例えば、キロワット/時)の推定値を含んでもよい。
【0110】
サポートされる例示的なシナリオ
シナリオ1:初期化、容量、使用、およびドレイン補償
例示的なシナリオにおいて、1つのCSBが100個のリチウムイオンセルを含み、セルあたり2000ミリアンペア時である。リチウムイオンセルは、セルあたり4.2ボルトからカットオフ時の3.0ボルトまでの範囲になり得る。この例では10個のCSBが装備されている。
【0111】
バッテリーパック管理コントローラ(BPMC)は、100ボルト、10アンペアの要求を受ける。BPMSの制御下で、個々のCSBスイッチマトリックス(例えば、図11Cおよび図11Dのスイッチマトリックス1114など)は、CSB内の直列および並列セルバンクの直列/並列関係を再構成することができる。この例では、BPMSは個々のCSBをポーリングして、構成内の充電状態(SoC)を検出する。バッテリーセルの経過年数と温度も考慮される。
【0112】
セルあたり3.5ボルトのSoCを用い、そのCSBは出力電圧10.5ボルト用に3個のバンクに33個の並列バンクを有するように配置される。各並列セルバンクは6アンペア時を供給することができる。10アンペアでは、各バンクは303ミリアンペアを供給しなければならない。各CSBのDC/DCコンバータを用いて出力電圧を10ボルトに平準化してもよい。DC/DCコンバータの効率は80%と想定されるため、予想される電流消費量は12A、すなわちバンクあたり363ミリアンペアと予想される。
【0113】
共振時の1:1オープンコア型変圧器の効率は95%と想定され、必要な電流は12.6アンペアに増加する。この効率はインバータと整流段を含む。10個の独立したCSBが電流を供給するため、各CSBからは1.26Aを供給する必要があることとなる。各CSBがそれぞれ3つのセルの33バンクを有する場合、バンクごとに382ミリアンペアが必要になることとなる。この計算を用いると、BPMCは5時間の電力が利用可能であると報告することができる。
【0114】
動作が継続するにつれ、各セルから供給される電圧は低下する。DC/DC変換はそのCSB出力を10ボルトに戻すように調整されることとなる。
【0115】
代替的に、2017年9月5日に発行された共同所有の米国特許第9,754,717号に記載されているように、WPTシステムは、リアクタンスジェネレータを用いて必要な電圧調整を提供して、生成された磁気波の振幅を、したがって出力電力を調整することができる。
シナリオ2:バッテリーパックの故障。
【0116】
バッテリーパックが故障した場合、直ちに交換する必要がある。マルチパック環境では、追加の残りのパックが低電流ではあるものの任意選択的に均一な電圧(Vout)を提供してもよい。例えば、3パックのシステムにおいて1つのパックに重大な故障が生じたとする。1つの選択では、残りの2つのパックがVoutを供給し続け、それぞれの誘導リンクを介して負荷に総電流の2/3を供給する。故障したバッテリーパックは、無効化された誘導電力リンクによって電気的に絶縁される。
【0117】
代替的に、電流レベルと電圧レベルの両方を維持する必要がある場合、残りのバッテリーパックはバッテリーパック間の通信を用いて出力をブーストし、出力を調整して総出力電力を維持することができる。ここで、熱による損傷や(例えば、過剰な電流の引き込みや熱の影響による)バッテリー寿命の消耗などの副作用を防ぐために、追加の制限が存在してもよい。これらの制限に従うための閾値およびルールがバッテリーパック管理コントローラ(BPMC)1302によって保持される。
【0118】
シナリオ3:1つのバッテリーパック内のバッテリーセルの故障
このシナリオでは、バッテリーパック内の故障したバッテリーセルが正常に分離されることとし、さもなくばシナリオ2が適用される。この場合、バッテリーパックのDC/DCコンバータは、同じ電圧を誘導コイルに送り続けるように再構成され、それにより、バッテリーパックが、(マルチパックシステム内の)その同等のパックまたは必要な電力負荷に合わせて電力を供給し続けることができる。
【0119】
その後、バッテリーパックはデポで交換することができる。それは修理または廃止されてもよい。代替的に、バッテリーパックの定格を下げ、再充電し、低容量または低電圧用途向けに提供することができる。そのディレーティングには、充電電圧、充電電流、またはその両方に制限を設けた、より遅い再充電速度が含まれ得る。
【0120】
シナリオ4:中期容量低下
バッテリーパックの経年劣化に伴い、容量は減少するが、その容量は、動作温度における完全充電から閾値(完全充電レベルと閾値レベルは共にバッテリーの化学的性質によって変わる)までの放電電圧降下によって測定することができる。バッテリーパックの充電および放電履歴(それは、バッテリーセルの温度、充電電圧、放電電流、およびバッテリーパックおよび各セルの製造以来の経過年数などのパラメータを有する過去の全ての充電および放電事象を含む)は既知であり、管理センターでの充電セッション中に受け取った以前のアップロードから集約された情報として各バッテリーパックの永続メモリに格納される。
【0121】
充電セッションごとに、経年劣化したバッテリーパックのDagaスコアが閾値と比較される。Dagaスコアが第1の閾値を下回る場合、そのバッテリーパックの定格を下げ、低容量または低電圧用途向けに提供することができる。そのディレーティングは再充電率の上限を含んでもよい。Dagaスコアが第2の閾値を下回る場合、そのバッテリーパックは安全上の理由から廃止される。
【0122】
ディレーティング閾値に達するまで、そのバッテリーパックは、バッテリーセルの再構成、DC/DC変換、および/または調整可能なリアクタンスを含む内部機構を用いて、セル電圧の低下を補正する。
【0123】
シナリオ5:バッテリーの充電切れ
通常の使用では、セルの電子蓄えが枯渇するにつれて、バッテリーセルの出力電圧が低下することとなる。例えば、例示的なリチウムバッテリーセルの出力電圧は、バッテリーパック管理コントローラ(BPMC)1302によってオフラインになる前に、完全に充電された状態の最大の電圧4.2ボルトから底の3.0ボルトまで低下する。非接触型交換式バッテリーパックを用いて、使用期間中、またはセルあたり3.0ボルトの電圧安全底に達する前に、出力電圧を安定した3.5ボルトに制御することができる。
【0124】
フルフィルメントのための物流チェーン
図14
図14は、非接触型交換式バッテリーユニットの配送システムにおける、輸送、製造、倉庫保管、事前配置、保管、充電、交換、および補充のための例示的な配布ネットワークを示す。生産1401により、新しい非接触型交換式バッテリーパックを市場に投入することができる。生産1401はまた、既存の非接触型交換式バッテリーパックを改修および修理して、市場に戻すことを含んでもよい。充電されていないバッテリーパックは、充電設備1402に出荷されてもよく、その場合、それらは充電された状態または未充電の状態で倉庫1403に保管され、あるいは充電されていない状態で充電機能付き倉庫1404に移動されてバッテリーパックを使用できるように準備されてもよい。生産1401は単一の施設または複数の施設であってよい。
【0125】
充電設備1402は、非接触型交換式バッテリーパックの充電を可能にする。充電設備1402は、生産拠点、倉庫内、輸送デポ内、または電力が安価かつ/または豊富な拠点に配置することができる。代替的に、充電設備1402は、十分な電力が利用可能であり、電気料金と輸送料金の総計が低くなる場所に配置されてもよい。特定の発電(風力発電所、水力発電など)に関連する充電設備1402は、バッテリーパックに電気負荷元をラベル付けすることができる。
【0126】
倉庫保管1403を用いて、充電された、未充電の、または部分的に充電されたバッテリーパックを保管することができる。充電設備1404を有する電力倉庫を用いて、充電レベルを監視し、定期的にまたはリリース直前に一杯に充電することで、バッテリーパックを配備可能な状態に保つことができる。
【0127】
配布ネットワーク1405内の地理的に離れている拠点間での新品および再生品のバッテリーパックの輸送は、配送ネットワーク1406を介して行われる。配布ネットワーク1405および配送ネットワーク1406は、サービスネットワーク1408の使用中セグメント1407と共存し、当該使用中セグメント1407を供給する。サービスネットワーク1408は、充電、保管、テスト、および積載機能のためのデポを含む。使用中セグメント1407は、車両、工場、病院、オフグリッド施設、およびその他のバッテリー駆動施設に現在設置されているバッテリーパックを含む。
【0128】
フルデポ1409では、バッテリーパックを保管し、充電し、また、ハンドリング設備を用いて消耗したパックを新しいパックと交換することができる。いくつかの場合、フルデポはロボットハンドリング設備を用いて完全に自動化されてもよい。各フルデポ1409には、有線/無線ネットワーク相互接続を備えた管理ユニット(MU)が期待される。フルデポ1409はどこにでも設置できるが、十分な電力が利用できる交通結節点の近くに設置することが望ましい。
【0129】
交換デポ1405は、消耗したバッテリーパックの交換ポイントとして機能する。倉庫保管ならびに積み込および積み下ろし設備は交換デポ1405で利用可能である。交換デポ1405は、充電されたバッテリーパックの輸送(例えば、はしけ、鉄道、または道路経由)と、消耗したバッテリーパックのバックホーリングによって、ローカル倉庫の補充を行う。
【0130】
再充電ステーション1407は、消耗したバッテリーパックを取り外して交換することなく、バッテリーパックをその場で再充電可能にする。充電ステーションはフルデポ1409と同じ場所に設置されてもよい。専用のモバイル若しくはポータブル充電クレードルにより非接触充電が可能になる。
【0131】
配布、計画、再充電のためのシステム
管理ユニット(MU)は、専用の資産管理システム(ASM)、例えば、(シリアル番号資産の追跡だけでなく、CSBの現在の場所および使用状況、また、充電状態、およびバッテリーパックの健全性などを含む)非接触型交換式バッテリー(CSB)システムの多元的態様に合わせてカスタマイズされたIBMMaximo企業管理システムをベースに、セキュリティ、マルチパーティアクセス制御、冗長データベース、および地理情報システム(GIS)が追加されているものなどである。
【0132】
前記MUは、処理およびストレージの需要に合わせてサイズ調整された汎用の高可用性コンピューティングプラットフォームをベースに、ホスト型(クラウドベース)システムとして、またはオンプレミスのハードウェアおよびソフトウェアシステムとして提供され得る。前記MUは、非接触型交換式バッテリーパックの個別(またはグループ)の倉庫保管、輸送管理、および過去、現在、および計画されている場所への出荷のための物流管理および制御機能を提供するのに用いることができる。前記MUは、バッテリーパックのモデル番号およびシリアル番号、現在の充電状態、電力貯蔵および供給能力の定格、使用可能な冷却設定、電圧および電流の能力、使用年数、推定耐用年数などのバッテリーパック情報を格納および分析するためのプラットフォームを提供する。
【0133】
前記MUはまた、待機時間、使用率、使用中インジケータ、充電電力レベル、物理的サイズ、および冷却配置などの充電器情報を含む。MUはまた、充電器ごとに電力源を含んでもよく、例えば、顧客が全ての電力を再生可能または「カーボンニュートラル」な電源から取得することを希望する場合、バッテリーパックはそのように充電され、MUと内部メモリの両方にラベル付けされる。
【0134】
前記MUは、倉庫またはデポレベルで配置することができ、あるいは管理センター内の地域、国内、または大陸エリアに供するように配備されてもよい。MUは、分散クラスタで、または階層式に構成して、広範囲の地理的サービスエリアまたは使用頻度の高いサービスエリアをカバーすることができる。
【0135】
前記MUまたはMUクラスタは、さらに、機械学習技術を用いるプログラム可能なエキスパートシステムを含んでもよい。エキスパートシステムは、事前配置、バッテリーパック配布の最適化、日次、月次、季節、または年次の傾向、在庫切れの予測、在庫切れの警告、在庫切れのリダイレクト修正、電気料金と輸送裁定、契約された配送レベル、利用可能な充電リソース(例えば、デポまたは地理的エリア内の充電クレードルの数、倉庫にある部分的に充電されたユニットの可用性、到着時間予測による出荷可能なユニットなど)に基づく充電時間に対する部分充電の評価に用いられてもよい。
【0136】
バッテリーサービスの顧客は、MUに接続して在庫を確認し、意図されるルート沿いのバッテリーパックの予約を行うことができる。MUが提供するこのサービスは完全自動運転車両でも利用することができる。
【0137】
指定された管理ユニットがデータネットワークを介して、暗号化、認証、およびアクセス制御のためのソースおよび変更管理を提供する。前記指定されたMUは、その監視下にあるバッテリーパックからのテレメトリおよび警告データを、通信機能を備えた充電クレードル、放電クレードル、再充電ステーションから、または長距離通信機能(例えば、商用セルラー無線ネットワーク経由など)が備わっている場合はバッテリーパック自体から、収集する。
【0138】
前記MUはまた、バッテリーパック診断の制御アクセスポイントであり、バッテリーパックまたは充電クレードルの警告の収集、表示、および記録を実行する。前記MUを用いて、会計ロジック、輸送コスト、および価格設定コストを追加して電力分配を制御してもよい。電気料金、輸送コスト、バッテリーパックの在庫、(契約サービスレベルおよび予約を含む)傾向データを用いて、前記MUは、バッテリー在庫の充電、輸送、再配置の動作を制御および分析して地域または地方の電気料金を活用する。
【0139】
図15
図15は、バッテリー交換ネットワーク内の物理的資産および情報資産を監視および制御する例示的なネットワークを示す。具体的には、図15は、非接触型交換式バッテリー関連(例えば、バッテリーユニット、充電器など)の物理資産、バッテリー関連データ、およびバッテリー生成テレメトリデータの指示ならびに制御のための階層アーキテクチャを用いた充電および交換ネットワークを示す。
【0140】
図15に示すように、管理センター1501は、例示の目的で異なるハードウェアプラットフォーム上に実装されたMUソフトウェアを含む。実際のMUデータストレージおよびソフトウェアは、分散クラウドネットワークまたは冗長コンピューティングハードウェアシステム上で実行することができる。管理センター1501は、各所有者または各生産センターにより実装されてもよく、また、それは、単一拠点での稼働として実装されても、複数の冗長拠点に分散して実装されてもよい。
【0141】
管理センター1501では、スタッフ1502がコンソール1503を介して情報の流れを管理する。この構成では、全ての情報の格納がデータベース1504によって行われる。この非接触型交換式バッテリーパック用データベース1504は、ユーザ、所有者、現在または最後に知られている地理的位置、現在または最後に知られている充電状態、バッテリーパックの健全性、および暗号化キーに関する区分された情報を含む。請求は、管理センター1501によって行われてもよく、または在庫を管理する管理センター1501に迅速に報告してローカルで行われてもよい。データベース1504はまた、全ての充電器、発電施設、および倉庫管理デポの地理的位置、ならびに一般的な地理マッピング情報および輸送ネットワーク情報を含む。この構成では、管理センター1501は安全な内部ローカル・エリア・データ・ネットワーク1505を用いて、ユーザ、バッテリーパック、および所有者の情報を保護する。
【0142】
テレメトリサーバ1506は、データベース1504に格納されているバッテリーパックの使用状況および健全性に関する情報を処理する。使用状況および健全性に関する情報は、バッテリーパック上およびバッテリーパック内のセンサによって生成され、通常はバッテリーパックの充電時にテレメトリとして報告され、データ接続がバッテリーパックの充電器/充電クレードルを通じて実行される。各充電器の位置、状態、使用状況、および暗号化IDも、テレメトリサーバ1506を介してデータベース1504にアップロードされる。
【0143】
セキュリティサーバ1507は、管理センター1501の制御下にある各バッテリーパックおよびバッテリー充電器を保護および認証するために必要な暗号化キーを生成し維持する。
【0144】
在庫サーバ1508は、管理センター1501の管理下にある使用中および倉庫保管中の全てのバッテリーパックを追跡するだけでなく、ユーザによる予約や需要の予測も可能にする。この予測は、個々のユーザ向けにバッテリーユニットを事前配置するのに用いることができるだけでなく、バッテリーパックの観点とユーザまたはユーザグループの観点から、季節的な、カレンダーでの、または時間帯でのバッテリーユニットの交換および使用状況に基づく傾向を判定することもできる。在庫サーバ1508は地理情報サーバ(GIS)を含み、当該地理情報サーバ(GIS)は、データベース1504に地理空間データとして格納されているように在庫に関連する地理データを、格納、視覚化、分析、解釈するのに用いられる。
【0145】
この例では、有線データリンク1509が、パケットデータネットワーク1510(例えば、インターネットなど)を用い、暗号化された仮想プライベートネットワーク(VPN)を介して管理センター1501と他の全ての拠点間のデータ相互接続を提供する。
【0146】
接続された拠点1514は、ローカルセキュアLAN1515を含んでもよい。接続された拠点1514は、名目上、ローカル在庫サーバ1516を収容することとなり、また、ローカルの照会およびデータ入力のためのオペレータ端末1517と、ローカル(格納および転送)テレメトリサーバ1518とを含んでもよい。
【0147】
パケットデータネットワーク1510から(およびセキュリティのためにVPNトンネリングを用いて)、有線データリンク1511を用いて、広域無線地上通信ネットワーク1512(例えば、セルラーネットワークなど)にアクセスしてもよい。
【0148】
また、パブリック・データ・スイッチング・ネットワークまたはプライベート・データ・スイッチング・ネットワーク(例えば、インターネットなど)1510へのデータ相互接続1513を用いて、接続されたMU拠点1514は、デポ、倉庫、修理施設、または交換拠点に備えられてもよい。これらの接続されたMU拠点1514では、ローカル在庫サーバ1516およびローカルテレメトリサーバ1518の両方が、ローカル有線接続1513上の安全な(VPN)データチャネルを介して管理センター1501と情報を交換してもよい。安全なローカルネットワーク1515を用いるオペレータ端末1517の作業者は、内部リソースおよび外部管理センター1501の両方と通信してもよい。安全なローカルエリアネットワーク1515はまた、必要に応じて、ローカルの関連する充電器または保管施設へのデータアクセスを提供するのに用いられてもよい。
【0149】
遠隔拠点1519を十分な有線データ機能がない施設に設置することができる。このような環境では、長距離無線接続1520(例えば、ポイントツーポイントのマイクロ波や公衆(またはプライベート)セルラーデータネットワークなどの無線システム)が、安全な内部ネットワーク1521を介して、ローカル管理システム1522と(この例では)在庫およびテレメトリの統合されたサーバ1523への接続とを提供する。ローカル無線LAN1524は、安全なローカルネットワーク1521と、遠隔拠点1519の貯蔵庫に保持されている(不図示の)取り外されたバッテリーパックとの間のローカル接続を提供する。
【0150】
このような遠隔拠点1519の一例としては、充電電力が利用できない(または不十分な、または高価な)交換専用デポがあり、そのため、その場所には充電クレードルが備えられていない。
【0151】
バッテリーパックの供給準備の整った在庫、倉庫保管されている消耗したバッテリーパック、および再充電された若しくは新品のバッテリーパックの遠隔拠点1519への到着時間に関する在庫情報が、ローカル在庫サーバ1522によって管理される。
【0152】
安全な無線ローカルエリアネットワーク1525が、ローカルの在庫若しくはステータス情報を要求するモバイルデバイス1535への接続に用いられてもよい。
【0153】
さらに、無線リモート管理端末1526が、安全な有線接続1528および無線メッセージング1530を介して、また、衛星地上局1527および軌道衛星1529を介して、管理センター1501に接続してもよい。許可レベルに応じて、これらのリモート管理端末1526は、再充電サービスを要求したり、許可された拠点の在庫レベルを要求したり、バッテリーパックを予約および事前供給したりしてもよい。
【0154】
また、リモート管理端末1526を用いて、管理センターのデータベース1504およびGIS機能を介してネットワーク内の任意のバッテリーパックまたは充電器の場所を判定してもよい。
【0155】
大陸または地球規模の衛星ディッシュネットワーク1527と通信するルート上の端末およびモバイル端末をサポートするために、セキュリティ保護された有線接続1528が提供される。衛星群1529を備えた大陸または地球規模の衛星ディッシュネットワーク1527との有線データリンク接続1528を用いると、無線メッセージング1530を用いて、トラックのモバイルデータ端末1531、衛星アップリンクモバイル1532、データタブレット1533、および衛星ラジオ搭載コンピュータ1534などを含む様々なデバイスに接続することができる。有線管理端末1526と同様に、これらのデバイスは(権限レベルに応じて)サービスおよびバッテリーパックのステータスを要求することができる。
【0156】
結論
当業者であれば、本明細書に含まれる開示は車両への電力供給に関するものであるが、これは多くの可能な用途のうちの1つにすぎず、車両以外の用途を含むその他の構成も可能であることを理解するであろう。例えば、当業者であれば、歯ブラシ、携帯電話、その他のデバイスの充電に使用されるもの(例えば、PowerMat(登録商標))などのコンシューマ向けポータブル電子機器の充電器など、車両以外の誘導充電用途にバッテリーを提供する多くの用途があることを理解するであろう。大容量でありながら携帯性があり、非接触型で交換可能なバッテリーパックは、例えば鉄道で、重要な電力サービスを提供するために自然災害や人為的災害に見舞われた地域に移動させることができる。したがって、これらおよびその他のそのような用途は、以下の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-10-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
リチウムイオン(Li-ion)バッテリーは(様々な構成および化学において)エネルギー貯蔵におけるその価値が認められ、そのバッテリーの発明者等は2019年のノーベル化学賞を受賞している。しかしながら、リチウムイオンバッテリーを含むバッテリーの使用は、それらの架空のものとは異なり、大規模な電力供給の用途において依然として問題が残っている。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 国際公開第2021/087332号
(特許文献2) 米国特許第5,349,668号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2017/0170671号明細書
(特許文献4) 米国特許出願公開第2021/0091436号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2021/0316633号明細書
(特許文献6) 国際公開第2020/089935号
【国際調査報告】