(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】物品へのマーキングのための高速レーザプロセス
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20250116BHJP
【FI】
B23K26/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536297
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2022079911
(87)【国際公開番号】W WO2023114598
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ クレッグ レスター
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー ママク
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ヘンリー ヌレ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー オッグ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アンドリュー サウィン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AA01
4E168AA02
4E168AD18
4E168CB04
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA32
4E168DA40
4E168DA45
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA15
4E168FD01
4E168JA17
(57)【要約】
ユーザ読み取り可能、機械読み取り可能、又はその両方である、壁部上にマーキングされる所定の特徴部を有するレーザマーキング物品。また、レーザマーキングによってマーキングされた物品を作製する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザによってマーキングされた表面を有する物品であって、前記表面が、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む所定のパターンの位置を含み、
前記所定のパターンが、テキストの形態の英数字を含み、
前記碁盤目パターンが、2つ以上の列に位置決めされた複数個の位置を含み、前記2つ以上の列は実質的に平行であり、前記2つ以上の列のうちのいずれかに沿った前記複数個の位置のうちの各隣接対の位置が、X距離だけ離れており、前記2つ以上の列の各隣接対が、Y距離だけ離れており、
前記パルスレーザが、連続したマークが形成されるときに、約8m/s、好ましくは14m/s、より好ましくは18m/s、更により好ましくは22m/sを超える一定の表面速度で前記列を横切って移動するビームを有する、物品。
【請求項2】
前記パルスレーザの前記ビームが、前記レーザビームが第1の方向の第1の列及び第2の方向の第2の列に沿って移動するように、双方向プロファイルで移動する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第1の列及び前記第2の列が隣接する列である、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記テキストが、6pt~10ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは1.7倍、更により好ましくは2倍である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記テキストが、11pt~16ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも2倍、好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、更により好ましくは4倍である、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記パルスレーザビームの前記ビームが、各々がミラー及びガルボメータを備える2つのガルボセットによって方向付けられ、少なくとも1つのガルボセットの回転の角速度が、約40rad/秒を超える、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記パルスレーザの前記ビームが、約100kHzを超える繰り返しレートを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
パルスレーザによってマーキングされた表面を有する物品であって、前記表面が、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む所定のパターンの位置を含み、
前記所定のパターンが、テキストの形態の英数字を含み、
前記碁盤目パターンが、2つ以上の列に位置決めされた複数個の位置を含み、前記2つ以上の列が実質的に平行であり、前記2つ以上の列のうちのいずれかに沿った前記複数個の位置のうちの各隣接対の位置が、X距離だけ離れており、前記2つ以上の列の各隣接対が、Y距離だけ離れており、
前記パルスレーザの前記ビームが、連続したマークが形成されるときに、約8m/s、好ましくは14m/s、より好ましくは18m/s、更により好ましくは22m/sを超える一定の表面速度で前記列を横切って移動し、
英数字のミスマークされた平均%が、約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、更により好ましくは約5%未満である、物品。
【請求項9】
前記テキストが、6pt~10ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは1.7倍、更により好ましくは2倍である、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記テキストが、11pt~16ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも2倍、好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、更により好ましくは4倍である、請求項8に記載の物品。
【請求項11】
パルスレーザによってマーキングされた表面を有する物品であって、前記表面が、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む第1の所定のパターンの位置と、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む第2の所定のパターンの位置とを含み、
前記第1の所定のパターンが、テキストの形態の英数字を含み、
第1の碁盤目パターン及び第2の碁盤目パターンが、2つ以上の列に位置決めされた複数個の位置を含み、前記2つ以上の列が実質的に平行であり、前記2つ以上の列のうちのいずれかに沿った前記複数個の位置のうちの各隣接対の位置が、X距離だけ離れており、前記2つ以上の列の各隣接対が、Y距離だけ離れており、
前記第1の碁盤目パターン及び前記第2の碁盤目パターンは、前記X距離及び前記Y距離のうちの少なくとも一方において異なり、
前記第1の所定のパターン内の前記英数字のミスマークされた平均%が、約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、更により好ましくは約5%未満であり、及び
前記パルスレーザが、連続したマークが形成されるときに、約8m/s、好ましくは14m/s、より好ましくは18m/s、更により好ましくは22m/sを超える一定の表面速度で前記列を横切って移動するビームを有する、物品。
【請求項12】
前記第2の所定のパターンが非英数字画像を含み、好ましくは、前記非英数字画像が、UPCコード又はQRコードなどの機械可読画像を含む、請求項11に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品をレーザマーキングするためのプロセス、及びそのような物品をマーキングするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
短パルスレーザ装飾は、様々な波長及びエネルギーにわたるナノ、ピコ及びフェムト短パルスレーザからのエネルギーを利用して、製品及び/又はパッケージなどの物品上に装飾パターンをマーキングする。製品及び/又はパッケージに適用され得る任意の及び全ての他の装飾技術(すなわち、ラベル、スクリーン印刷、デジタル印刷など)は、様々な装飾的及び機能的効果を達成するためにレーザマーキングと一緒に使用され得る。短パルスレーザマーキングに使用されるレーザ技術は、重要なことに、レーザビームが、電子的/機械的に制御されたミラー(すなわち、「ガルボ」セット)及びレンズ(すなわち、Fシータ及び類似のレンズ)によって、マーキングされる製品又はパッケージに向けられる、固定レーザ源を使用する高スループット技術である。これらのミラー及びレンズは、レーザがデジタル画像(例えば、PDFファイルなどのコンピュータファイルからの)などの画像をパッケージ又は製品の表面に付与することができるように、物品の表面を横切ってレーザビームを操向する(この操向は「走査」とも呼ばれる)。この手法は、デジタル画像の使用が装飾のカスタマイズ及びパーソナル化を可能にするという点で、他の装飾技法に勝る更なる利点を有する。
【0003】
短パルスレーザマーキングによるなどレーザマーキング物品によって提示される可能性には、大きな関心が寄せられている。例えば、ポリマー容器上の接着ラベルを交換することは、経済的に有益であるだけでなく、生態学的にも有益である。ポリマー容器上の接着ラベルを除去することは、例えば、パッケージング材料の総重量を減少させ、これは、パッケージ当たりの石油由来材料の量を低減し、パッケージングの重量を低減し、それによって輸送のために必要な燃料をより少なくする。更に、リサイクルの流れに取り込まれ得る潜在的な不純物のためにリサイクル前に接着ラベルを除去する必要があることが多いため、接着ラベルが存在しないことにより、ポリマー容器をより容易にリサイクルすることが可能になる。
【0004】
小さい物品(すなわち、ゴルフボールなど)及び/又は物品上の小さい領域(すなわち、完成したパッケージの日付コード、アドレスラベル)のレーザマーキングが知られている。レーザは改善されつつあり、より新しいレーザは様々なエネルギー及び波長を有するが、これらのマーキングプロセスは依然として遅く、高価であることがある。更に、それらは、英数字からなる小さいフォントのテキスト(すなわち、使用手順、成分リスト)などの高精密度を必要とする小さい文字をマーキングする能力を有していない。例えば、日付コードは、相対的に簡易なレーザによってパッケージ上にマーキングされるが、それらは、大きい、不正確な、又は不均等に離間されたスポット(直径250μm~800μmを上回る範囲内)の単一線及び相対的に大きいフォント文字を用いる。これは、いくつかの目的には適切であるが、消費者が読むことは困難であり、機械が読むことはほとんど不可能であるスティック図形を印刷することと同等である。より具体的には、大きい、不正確な、又は不均等に離間されたスポットの単一線は、現在、物品上にUPC又はQRコードなどの高精密度の小さいフォントテキスト又は機械読み取り可能グラフィックスをマーキングするために使用することができない。
【0005】
レーザマーキングプロセスの現在の最新技術は、「ラスタ」マーキングプロセス及び「ベクトル」マーキングプロセスを含み、これらは、高速であるが精密度及び解像度が低いか又は低速であるが精密度及び解像度が高いかのいずれかである。高速と高精密度との組み合わせは、先行技術には存在しない。この問題は、物品の少なくとも1つの面上に提供される全てのテキスト及び/又はグラフィック(その多くは規制目的のために必要とされる)がレーザマーキングを介して提供される、他の装飾技術の完全な代替としてレーザマーキングを使用するときなど、物品上の広い領域にマーキングするときに特に顕著である。
【0006】
ラスタレーザマーキングプロセスは、個々のレーザマークを碁盤目に置き、画像は、レーザによって列ごと、点ごとにマーキングされる。パルスの各々は、パルスが画像の暗いピクセルに対してのみ発射され、パルスが画像の明るいピクセルに対して発射されない(又はその逆)ように「ゲート制御」される。パルスの各々は、個別にゲート制御され、各パルスのパルスエネルギーは、グレースケールを生じさせるように変化させることができる。最先端のラスタマーキングプロセスは、レーザのオン/オフ機能(すなわち、「ゲーティング」)をシグナリングする際の約10usの更新レートの実用限界を考慮すると、約100kHzの繰り返しレートを有するレーザに事実上限定され、パルス間隔を増加させることによってのみより高速化することができ、これは、小さいフォントのテキスト及びグラフィックスをマーキングするために必要とされるような微細な細部を犠牲にすることがある。
【0007】
最先端のベクトルマーキングプロセスは、レーザビームがマーキングされるベクトル線の形状に(ミラーによって)「操向」されている間、パルスが典型的にゲートオープンされるので、100kHzを超えて実行することができる。テキストを含むベクトルマーキングされた物品は、多くの場合、マーキングされた線が典型的には1パルス幅であり(塗りつぶされていない限り)、パルスが角の近傍でともに近づき、そこではレーザビームの表面速度が角を曲がるにつれて遅くなるので、認識することができる。しかしながら、ベクトルマーキングによるマークの配置の精度は、レーザビームの表面速度が非常に高い場合に損なわれることが見出されている。
【0008】
現在、ポリゴンスキャナ(例えば、Next Scan Technology(Evergem,Belgium)製のHigh Throughput Raster Processing Polygonスキャナシステム)によって、ある程度高速のレーザマーキングを達成することができ、これは、高速及び高精度のために最適化することができる。ポリゴンスキャナシステムは、列走査のために回転ポリゴンミラーを用いる。これらのスキャナは、典型的には、規則的なパターンの全面処理に使用される。具体的には、視界は典型的には正方形であり、これは印刷規格によって相対的に大きくなり、繰り返されるパターンは、その全体がその後の物品に何度も繰り返してマーキングされる。これらのスキャナの正方形の視界構成は、小さい文字、英数字、ロゴ、絵などのようなものの正確なマーキングには向いていない。
【0009】
そのため、より高速で、より経済的で、より正確なレーザマーキングの必要性の余地が残っている。レイジングデバイスを制御するハードウェア及びソフトウェアの両方を改善することができ、これらの改善されたレイジングデバイスを使用する方法も改善することができる。更に、精密度及び速度の両方を提供するために、物品上のレーザマークの配置を改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、改善されたレイジングデバイスと一緒に、レイジングデバイスを動作させるためのソフトウェアと、高速かつ高精密度(ラベル情報、美的特徴部及び機能的特徴部を直接再現するなど)で物品にマーキングするプロセスとを提供することが望ましい。これらの改善は、プロセスを高速、単純、費用効果が高く、大量生産に拡張可能にし、得られる物品が、他の利点の中でもとりわけ、ラベル及び接着剤に取って代わることができる消費者読み取り可能なかつ機械読み取り可能な特徴部を有することを可能にするはずである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、先行技術の欠点のうちの1つ以上に対する解決策、並びに他の利点を提供する。明細書、特許請求の範囲、及び図面は、テキストの形態の英数字を含む所定の碁盤目パターンを含むパルスレーザによってマーキングされた表面を有する物品を含む、本発明の様々な特徴及び実施形態を説明する。碁盤目パターンは、2つ以上の列に位置決めされた複数個の位置を有し、2つ以上の列は実質的に平行であり、2つ以上の列のうちのいずれかに沿った複数個の位置のうちの各隣接対の位置は、X距離だけ離れており、2つ以上の列の各隣接対は、Y距離だけ離れている。パルスレーザは、連続したマークが形成されるにつれて、約8m/sを超える、好ましくは約10m/sを超える、更により好ましくは約15m/sを超える、最も好ましくは約18m/sを超える、又は約22m/s以上の、又は約32m/s以上の、又は約45m/s以上の、又は約60m/s以上の、又は約75m/s以上の、又は約90m/s以上の一定の表面速度で列を横切って移動するビームを有する。好ましくは、Y距離はX距離を超え、標準偏差はY距離について10%未満である。同様に、英数字は、約150%未満、好ましくは約120%未満、好ましくは約100%未満、より好ましくは約70%未満、更により好ましくは約50%未満の平均%変位を有してもよい。また、英数字のミスマークされた平均%は、約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、更により好ましくは約5%未満であり得る。更に、テキストを構成する英数字は、約0.040未満、好ましくは約0.034未満、好ましくは約0.028未満、より好ましくは約0.010未満、更により好ましくは約0.005未満のY距離標準偏差を有する。
【0012】
本発明の別の実施形態では、パルスレーザのビームは、レーザビームが、物品をマーキングしながら、第1の方向に碁盤目の第1の列に沿って物品の面を横切って移動し、第2の方向に碁盤目の第2の列に沿って移動するように、双方向プロファイルで移動する。交番は、残りの列について継続し得る。好ましくは、第1の列及び第2の列は隣接する列である。
【0013】
テキストは、6pt~10ptの範囲内のフォントサイズを有することができ、Y距離は、X距離の少なくとも1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは1.7倍、更により好ましくは2倍である。或いは、テキストは、11pt~16ptの範囲内のフォントサイズを有することができ、Y距離は、X距離の少なくとも2倍、好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、更により好ましくは4倍である。
【0014】
本発明の更に別の実施形態では、パルスレーザビームのビームは、各々がミラー及びガルボを備える2つのガルボセットによって方向付けられ、少なくとも1つのガルボセットの回転の角速度は、約40rad/秒を超え、パルスレーザのビームは、約100kHzを超える繰り返しレートを有し、パルスレーザのビームは、約10μJ~約1000μJのパルスエネルギーを有し、パルスレーザのビームは、約100ナノ秒未満のパルス持続時間を有する。
【0015】
本発明の別の実施形態では、物品は、本体部分と、内部空間と流体連通する開口部と、基部と、を有し、本体部分が、開口部から基部まで延在して内部空間を取り囲む1つ以上の壁部を有する、容器である。更に、本体部分は、第1の面及び第2の面を備え、少なくとも1つの面が、インク、接着剤及び/又はラベルを有さず、レーザマーキングの所定の碁盤目パターンを備える。
【0016】
本発明は、先行技術に勝る多くの利点を提供する。なぜなら、レーザマーキングは、例えば、消費者が読み取り可能な英数字、文章、段落、及び従来のラベルを必要とせずに物品上にマーキングすることができる他の視覚的通信方法であり得るからである。具体的には、本発明のプロセス及び物品は、ラベル及び接着剤を使用することなく、高速で費用効果の高い方法で、成分リスト、使用説明書、UPCコードなどでマーキングすることができる。これは、費用を削減し、環境に優しく(パッケージ上の無駄なステッカーが少なくなる)、消費者に伝達されるメッセージの瞬時の変更を可能にする。例えば、配合において成分が変更される場合、レーザ装置へのコンピュータ命令において変更を行うことができるとすぐに、新しい成分ラベルを物品上にマーキングすることができる。新たなラベルは不要である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】英数字が碁盤目パターンでマーキングされた本発明による物品である。
【
図2】本開示によるレイジング装置の概略図である。
【
図3】本開示による碁盤目であり、隣接する平行な列の位置が積み重ねられている。
【
図4】本開示による碁盤目であり、隣接する平行な列の中の位置がオフセットされている。
【
図5】本発明による碁盤目パターンでマーキングされた英数字である。
【
図6A】本発明に従ってマーキングされた碁盤目パターンの英数字である。
【
図6B】先行技術のプロセスに従ってマーキングされた碁盤目パターンの英数字である。
【
図7】本発明のレーザ及びプロセスによって印刷された業界標準UPCコードである。
【
図8】先行技術のベクトルレーザプロセスによってレーザ印刷された標準化矩形パターンを、本発明に従ってレーザ印刷された同じパターンと比較して示す。
【
図9】本発明による標準化矩形の例示的碁盤目である。
【
図10】ミスマークされた%計算を示すための
図5の修正版である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
物品
本明細書で使用される際、「物品」は、材料又は組成物を収容するのに好適な容器など、消費者使用のための物体などの個々の物体を指す。物品は、容器であり得、その非限定的な例としては、ボトル、チューブ、フィルム、ラミネート、バッグ、ラップ、ドラム、ジャー、カップ、キャップなどが挙げられる。そのような容器に収容される組成物は、洗剤(例えば、洗濯洗剤、布地柔軟剤、食器洗い、スキンケア、及びヘアケア)、飲料、粉末、紙(例えば、ティッシュ、ワイプ)、おむつ、美容ケア組成物(例えば、化粧品、ローション)、医薬、口腔ケア(例えば、歯磨き粉、マウスウォッシュ)などを含むが、これらに限定されない様々な組成物のうちのいずれかであり得る。容器は、その中に収容される材料及び/又は組成物を貯蔵、輸送、及び/又は分注するために使用され得る。物品は、以下のものを含む任意の様々な一般的な材料のいずれかで作製することができる。PET、PETG、HDPE、PP、PVOH、LDPE、LLDPE、鋼、ガラス、アルミニウム、セルロース、パルプ、紙など。
【0019】
図1は、碁盤目16としてレーザマーキングされた所定の特徴部17を有する物品10を示している。所定の特徴部17は、消費者読み取り可能、機械読み取り可能、又はその両方とすることができる。所定の特徴部17は、例えば、英数字、会社ロゴ、図面、アートワーク、UPC又はQRコードなどとすることができる。この事例では、マーキングされた位置12は英数字14を構成し、これはこの場合数字2、「2」である。碁盤目16の中のマーキングされていない位置11は、例解目的のみで示されており、最終的なマーキングされた物品10上には現れない。物品10は、容器として示されており、開口部11と、内部空間15へのアクセスを提供する首部13と、を有する。
【0020】
本発明による物品は、単一の熱可塑性材料若しくは樹脂から、又は1つ以上の態様において、互いに異なる2つ以上の材料から形成され得る。2つ以上の材料は、物品内の層を構成し得る。物品が異なる層を有する場合、層の各々を構成する材料は、任意の他の層と同じ又は異なり得る。例えば、物品は、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(polyethylene terephthalate glycol、PETG)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、ポリ塩化ビニル(polyvinylchloride、PVC)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphthalate、PEN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(polycyclohexylenedimethylene terephthalate、PCT)、グリコール変性PCTコポリマー(glycol-modified PCT copolymer、PCTG)、シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸とのコポリエステル(copolyester of cyclohexanedimethanol and terephthalic acid、PCTA)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBCT)、アクリロニトリルスチレン(acrylonitrile styrene、AS)、スチレンブタジエンコポリマー(styrene butadiene copolymer、SBC)、又はポリオレフィン、例えば、低密度ポリエチレン(low-density polyethylene、LDPE)、線状低密度ポリエチレン(linear low-density polyethylene、LLPDE)、高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE)、プロピレン(propylene、PP)、及びそれらの組み合わせのうちの1つからなる群から選択される、熱可塑性樹脂の1つ以上の層を含み得る。物品はまた、パルプ又は紙などのセルロース系材料を含み得る。セルロース系材料は、追加の第2の材料とともに含まれ得、追加の第2の材料は、第2のセルロース系材料であり得るか、又は熱可塑性材料若しくは水/溶媒系コーティングを含む樹脂を含み得る。
【0021】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PCRPET)、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、PCRHDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、PCRLDPE)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PIRPET)、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、PIRHDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、PIRLDPE)などの、例えば、使用済みリサイクル(「post-consumer recycled、PCR」)材料、使用済みリサイクル(「post-industrial recycled、PIR」)材料、及びリグラインド材料などのリサイクルされた熱可塑性プラスチック及び/又はセルロース系材料も使用され得る。
【0022】
熱可塑性材料は、再生可能な資源に由来するモノマー及び/又は非再生可能な(例えば、石油)資源に由来するモノマー又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、熱可塑性樹脂は、全てバイオ由来モノマーから製造されたポリマーを含み得るか、又は部分的にバイオ由来モノマーから製造され、部分的に石油由来モノマーから製造されたポリマーを含み得る。
【0023】
顔料、着色剤、及びレーザ吸収添加剤が、本発明の物品の材料に添加され得る。顔料/着色剤/添加剤と組み合わせたレーザ波長の好適な選択は、物品の好適なマーキングを提供し得る。マーキングのコントラスト又は速度が十分でない場合、これらの顔料/着色剤/添加剤は、レーザエネルギーの吸収を促進し、それによってレーザ吸収添加剤として機能することができる。当業者に知られているレーザ吸収添加剤は、レーザマークの形成を促進することができ、レーザマーキングをより鮮明にし、ユーザ及び機械によってより容易に読み取り、並びに物品にマーキングすることができるレートを増加させることができる。これらのレーザ吸収添加剤は、概して、レーザ波長に特異的なレーザエネルギーを吸収し、続いて周囲のマトリックスへの色変化を開始する(炭化すること、発泡することなどを引き起こす局所加熱を介して)か、又はレーザ吸収添加剤自体が化学的又は物理的な変化を受ける。二酸化チタン及びカーボンブラックは、内容物を光の影響から保護するために容器を不透明化するのに一般的に使用される顔料であり、使用されるレーザの波長に応じてレーザ吸収添加剤としても機能することができる。レーザ吸収添加剤の追加の実施例としては、二酸化チタン(TiO2)、酸化アンチモンスズ(antimony tin oxide、ATO)、マイカなどのATO被覆基板、Sb2O3、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、黒鉛状炭素、酸化ビスマス、混合金属酸化物、金属窒化物、ドープされた金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、酸化タングステン、ドープされた酸化タングステン、真珠光沢顔料、アルミニウムなどのゼロ価金属、及びそれらの混合物が挙げられる。レーザマーキングレーザ吸収添加剤の実施例は、ドイツのダルムシュタットのMerck KGaAによって商品名「Iriotec(登録商標)」で一般に販売されているものである。
【0024】
レーザ及びレイジング装置
本発明による物品をマーキングするために、短パルスレーザなどのパルスレーザが使用され得る。本発明で使用するためのレーザは市販されており、ナノ秒、ピコ秒、及びフェムト秒のレーザを含む。これらの短パルスレーザは、高いエネルギー密度及び高い繰り返しレートで印加されるパルスを放射することができ、高いエネルギー及び高い繰り返しレートは、高速で物品にレーザマーキングすることを可能にするために重要である。レーザマーク自体は、酸化すること、還元すること、アブレーションすること、エッチングすること、発泡すること、及び炭化することによって、製品又はパッケージなどの物品に作製されるマークを含む。
【0025】
物品10をマーキングするために、任意の好適なレーザを使用することができる。
図2は、本発明に従って物品にマーキングするのに有用なレーザ20を備えるレイジング装置200の一実施例を示している。レイジング装置200は、レーザ20であって、1W~60Wの範囲の出力及び355ナノメートルのレーザ波長を有するUVレーザ、又は1W~300W、更には500Wの範囲の出力及び1064ナノメートルのレーザ波長を有するIRマーキングレーザなど、物品にマーキングするのに十分なエネルギーを生成することができる任意のレーザとし得る、レーザ20を含む。そのようなレーザは、IPG Photonics(Oxford,MA,United States)から入手可能なIPG ULPN-355-10-1-3-Mマーカ又はYLPN-1-1x350-50-3M MOPAモジュールを含む、様々な供給業者から入手可能である。他の形式及びタイプのレーザも可能であり、異なる出力範囲及びセッティングが使用され得る。レイジング装置は、必要に応じて、レーザビームを方向付けるために、及び/又はレーザビーム28のエネルギー密度及び/又はスポットサイズを変更することなどによってレーザビームを修正するために使用することができる、光学系を含むことができる。
【0026】
Hzで測定される周波数又は繰り返しレートは、単一のレーザが1秒間に送達することができるレーザパルスの数である。例えば、1MHzのレーザは、1,000,000パルス/秒を送達し、100kHzの繰り返しレートのレーザは、100,000パルス/秒を送達する。繰り返しレートは、短時間で特定のレイジングジョブ(すなわち、高速レーザマーキング)を処理するために重要であり得る。利用可能な単位時間当たりのより多くのパルスは、特定のジョブについて所与の列をマーキングするのに必要な時間にほぼ線形に(逆)相関する。
【0027】
パルスエネルギーは、単一レーザパルスが含むエネルギーの量であり、典型的にはμJ又はmJで測定される。典型的には、パルスエネルギーは、5uJ~2000uJ(2mJ)の範囲、好ましくは7μJ~1000μJの範囲、より好ましくは10uJ~300μJの範囲である。次いで、レーザの平均出力は、パルスエネルギー×繰り返しレートとして与えられる。
平均出力=パルスエネルギー(J)*繰り返しレート(Hz又は1/秒)。
【0028】
ピーク出力は、パルスエネルギーをパルス持続時間で除算したものに等しく、パルス持続時間は、100ナノ秒未満、50ナノ秒未満、20ナノ秒未満、10ナノ秒未満、又は1ナノ秒未満であり得る。したがって、パルスエネルギー及びパルス持続時間は、ピーク出力に線形に関連する。ナノ秒、ピコ秒及びフェムト秒のレーザで達成可能なより短いパルス持続時間は、物品をマーキングする能力に役立つ非常に高いピーク出力を可能にする。
【0029】
図2に描写されるレイジング装置200において、レーザ20は、X-ガルボ21によって回転されるX-ミラー22上にレーザビーム28を投射する。Xミラー22及びXガルボ21は、集合的にXガルボセットを形成する。次いで、レーザビーム28を、Y-ガルボ23によって回転されるY-ミラー24上に投射する。Yミラー24及びYガルボ23は、Yガルボセットを集合的に形成する。Xミラー22及びYミラー24は、それぞれ、所望のマーク29が物品27上にマーキングされるべき位置にレーザビーム28を向けるように協働する。レーザビーム28は、物品27に到達する前に、典型的にはレンズ26を通過することになる。レンズ26から物品27までの距離は、焦点距離25である。
【0030】
レイジング装置の組み合わされた光学系は、連続するパスで物品の表面を横切ってレーザビームを掃引するように機能し得る。レーザビームは、パルスを放射(又は省略)しながら、Xミラーによって方向付けられて、X方向の碁盤目内の第1の列に沿って物品を横切って掃引し得る。レーザビームの表面速度とも呼ばれる、物品の表面を横切るレーザビームの掃引速度と、レーザパルスの繰り返しレートとの組み合わせが、X方向に沿ったマークの間隔を決定する。
X間隔*繰り返しレート=表面速度
【0031】
レーザは、所与の位置で物品を横切って掃引しながら1つ以上のパルスを放射し、それによってマーキングされた位置(又は複数)をもたらし得、又はレーザは、所与の位置で物品を横切って掃引しながらパルスを省略し、それによってマーキングされていない位置(すなわち、ボイド)をもたらし得る。レーザビームは、パルスを放射及び/又は省略しながら、一定の表面速度で物品を横切って掃引され得る。表面速度又は掃引速度は、上で規定されている。レーザビームは、その後、パルスを放射(又は省略)しながら、碁盤目の第2の列(第1の列に隣接する列など)に沿って物品を横切って掃引し得る。レーザビームは、同じ方向又は反対方向に第1の列及び第2の列を横切って掃引し得る。例えば、レーザビームは、第1の列を「左から右」に横切って掃引し、後続の/隣接する列を「右から左」に横切って掃引し得る。
【0032】
当業者には、物品がマーキングされるためには、レーザエネルギーが物品の材料によって吸収されなければならないことが理解されよう。レーザエネルギーは、物品の基材によって、又は物品に組み込まれたレーザ吸収添加剤によって吸収され得る。レーザの波長は、物品の基材又は物品に組み込まれたレーザ吸収添加剤のうちの少なくとも1つのUV-vis-NIR-IRスペクトルにおける吸収帯、バンドギャップエネルギー、又は表面プラズモン/プラズマ共鳴周波数と一致し得る。例えば、355nm(UV)を利用するパルスレーザは、物品に添加されたTiO2によって吸収され得、532nm(緑色)は、金、銀、及び銅のような貴金属ナノ粒子によって吸収され得る。1030nm~1064nm又は9~12μm(赤外線)などの他のレーザ波長は、物品の基材であり得るPETによって吸収され得る。レーザ波長と、物品の基材又はレーザ吸収添加剤との他の組み合わせが存在し、本明細書において企図される。
【0033】
レーザマーキング
本発明の物品は、典型的には、発泡、炭化、アブレーション、エッチング、還元、酸化、及び/又は相変化のプロセスによってマーキングされる。発泡することという用語は、レーザビームが材料の一部を溶融及び蒸発させて、溶融樹脂内に捕捉され、冷却されると光を拡散反射する気泡を生み出すプロセスを意味する。発泡することは、概して、レーザがマーキングした領域により明るいマーキングを生じさせることになり、この方法は、プラスチック又は半透明材料などの暗色材料に最も一般的に使用される。「半透明」という用語は、本明細書で使用される際、測定される材料、層、物品、又は物品の一部が、0%超かつ90%以下の全視感透過率を有することを意味する。「不透明」という用語は、本明細書で使用される際、測定される材料、層、物品、又は物品の一部が、約0%の全視感透過率を有することを意味する。全視感透過率は、ASTM D1003に従って測定される。
【0034】
炭化ベースのマーキングは、明るい表面上に強い暗コントラストを生じさせるプロセスであり、炭素含有ポリマー又はバイオポリマー又は皮革及び木材及びパルプベースの材料などの天然材料上で一般に使用される。材料を炭化するとき、レーザは、材料の表面を加熱し(概して、最低100℃まで)、酸素、水素、又は分解生成物の組み合わせを放射する。炭化することは、概して、元の材料に対してより高い炭素含有量を有する暗いマークにつながり、それをより明るい色の物品のための良好な選択にするが、コントラストは、より暗い材料上ではむしろ最小限に示される。
【0035】
還元及び酸化は、レーザエネルギーが、レーザ吸収添加剤又は不透明化顔料などの物品の構成要素のうちの少なくとも1つの酸化状態を変化させ、マークとして視認される変色又は色変化をもたらすことを伴う。例えば、理論に束縛されるものではないが、UVレーザから付与されるエネルギーは、TiO2の還元を促進して、チタンの酸化状態が+4未満に還元された亜酸化チタンを形成することができ、それによって、この還元は、白色/無色から青色、暗青色から黒色への色変化をもたらす。
【0036】
物品をマーキングする追加の方法がある。例えば、アニーリングは、金属及び他の材料に利用可能な固有のレーザプロセスである。レーザビームからのエネルギーは、材料の表面下に酸化プロセスを生み出し、これは、材料表面上の色の変化をもたらす。
【0037】
色付けは、レーザビームのエネルギーが印加されるときに材料上に生み出される化学反応の結果として達成可能な別のマーキングプロセスである。色合いの変化は、着色される材料の組成に依存することになる。例えば、明るい色のプラスチック材料は、多くの場合、レーザエッチングプロセス中に変色し、生じたスート粒子から暗いマーキングをもたらすことがある。
【0038】
レーザ彫刻は、ワークピース表面がレーザビームによって溶融及び蒸発される際に材料を除去することを含む別のプロセスであり、これは、彫刻される表面に圧痕を生じさせる。材料を除去することは、エッチングすること又はアブレーションすることと称されることもある。レーザエッチングは、レーザビームが、基板の最上面、又は物品の基板に以前に塗布されたコーティングを除去するプロセスである。コントラストは、トップコート及び基板の異なる色、又はエッチングされた領域対隣接する領域の異なるトポグラフィ及びテクスチャの結果として生じる。材料を除去することによってレーザマーキングされる一般的な材料としては、陽極酸化アルミニウム、被覆金属、箔及びフィルム、又はラミネートが挙げられる。「エッチング」という用語は、本明細書で名詞として使用される際、材料が表面から除去されるときに形成される空洞を指す。動詞として、「エッチング」及び「エッチングする」という用語は、表面から材料を除去する作用を指す。エッチングすることは、機械的に、化学的に、及び熱的に(例えば、レーザで)行うことができる。エッチングの最大又は最小の深さに特定の制限はないが、エッチングする深さは、典型的には、約0.01mm~約2.0mmの範囲であり、例えば、0.010mm、0.075mm、0.100mm、0.200mm、0.300mm、0.400mm、0.500mm、1.0mm、1.5mmなどの範囲内の任意の深さを含む。
【0039】
漂白すること又は光漂白すること(色落ちすると呼ばれることもある)は、発色団(顔料若しくは染料中など)又はフルオロフォア分子の、その固有の色が永久的に失われる、かつ/或いは蛍光を発することができないような、光化学的変化である。これは、発色団/フルオロフォアと周囲の分子との間の共有結合の切断又は非特異的反応によって引き起こされ、レーザマーキングが影響することもある。
【0040】
スポットサイズは、本発明のレーザマーキングの重要なパラメータであり、レーザビームが物品に接触する集束領域に関連する。「スポットサイズ」は、円形スポットの直径である。スポットは円形であるが、物品に対してレーザビーム光学系を制御することによって楕円形スポットを達成することが可能である。スポットサイズは、レーザビームを集束又は脱集束することによって修正することができるが、スポット内の「フルエンス」(=単位面積当たりのエネルギー)は、スポットが拡大又は脱集束されるにつれて減少する。理論的には、任意のレーザで達成可能な最小スポットサイズは、レーザ自体の波長である。実際問題として、パルスレーザで達成可能な最小スポットサイズは、約7~20μmである。本発明のレーザマーキングのスポットサイズは、約10μm~約150μm、好ましくは約20μm~約100μm、より好ましくは約30μm~約80μm、更により好ましくは約40μm~約60μmの範囲内であり得る。背景技術で考察されるように、日付コードなどの従来のレーザマーキング(例えば、CO2レーザを使用する)のスポットサイズは、最小250μmであり、800μmを超え得る。マーキングの文脈においてスポットサイズについて考える別の方法は、画家が絵を描くために使用しているペイントブラシのサイズである。非常に細かい詳細を望む場合には、より小さいスポットサイズが利用される。カバーされるべきより大きい領域は、より大きいスポットサイズを好み得る。しかしながら、レーザマーキング機構は、所望のマークを達成するために最小フルエンスを必要とし、したがって、パルスエネルギー、パルス持続時間、パルスオーバーラップ、及びスポットサイズの均衡が重要である。
【0041】
更に、マーキングの過程で加熱され得るレーザ接触スポットの周りの領域が存在するが、材料はほとんど又は全くマーキングされない。この「熱影響ゾーン」は、依然として、目標材料の外観及び/又は性能に影響を及ぼし得る結晶化などの効果をもたらすことがある。短パルスレーザ(例えば、ナノ秒レーザ)は、いくらかの熱影響ゾーンを有するが、マイクロ秒パルスレーザ又はCW型レーザ(例えば、CO2、より長いパルスIRレーザなど)よりも実質的に小さい。ピコ秒及びフェムト秒のレーザは、しばしば「超短パルス」と呼ばれ、熱影響ゾーンをほとんど又は全く有しない。この能力は、マーキングの熱効果を制御するのに役立つ。
【0042】
マーク間隔の幾何学的形状は、物品に提供されるサイクル時間及びフルエンス(又は単位面積当たりのエネルギー)に対する主要な寄与因子である。例えば、マーク間の間隔は、マークが全くオーバーラップせず、0%のオーバーラップを有するようなものであり得る。0%のオーバーラップでは、各個々のレーザパルスは、物品をマーキングするために提供されるエネルギーに関与する。レーザが所望のマークを達成するのに十分なパルスエネルギー又はピーク出力を有していない場合、スポットがX方向及びY方向のいずれか一方又は両方でオーバーラップする点までパルス間隔を減少させることができる。スポットをオーバーラップさせることは、スポットが重なる物品の領域に2つ以上のレーザパルスを提供することを含み、これは、物品のその部分に単位面積当たりのより高いフルエンス又はエネルギーを提供する。加えて、パルス間隔はサイクル時間の主要なレバーである。レーザが固定された繰り返しレート又はパルス周波数を有する場合、最も低いプロセス時間(サイクル時間とも呼ばれる)を達成するために、所望のマークタイプ及びマークコントラストを依然として達成しながら、パルスを可能な限り拡散させることが望まれる。本発明の一実施形態では、パルスは、オーバーラップしない。
【0043】
パルス持続時間は、パルスが連続的にその最大値の半分を超えたままである時間の長さである。パルスが短いほど、一般的な平均出力でより高いピーク出力を生み出すことができる。これは、平均出力=パルスエネルギー(J)*繰り返しレート(Hz又は1/秒)であるためである。ピーク出力は、パルスエネルギーをパルス持続時間で除算したものに等しい。したがって、パルス持続時間が著しく小さくなると、結果として生じるピークパルス出力は著しく高くなる。このピーク出力は、マーキングされる目標上の改善された炭化、発泡、酸化、還元などを可能にする。短パルスレーザは、この現象を利用して物品にマーキングし、典型的にはより長いパルスレーザでは見出されないマーキング機構を可能にする。
【0044】
レーザマークを生み出す際にレーザの出力/フルエンス出力を変更することは、ディザリングとしても知られるグレースケールを生み出すためにマーキング中に操作することもできる。このようなプロセスは、レーザマーキングのラスタプロセスの既知の態様である。理論に束縛されるものではないが、レーザマーキング中のそのようなディザリングはまた、各レーザパルスが異なる出力/フルエンスを放射するように信号伝達されなければならないという点で、プロセス時間を増加させると考えられる。本発明の一実施形態では、レーザパルスは、一定出力である。レーザが列全体内をマーキングしている間、又はマーキングされたパターン全体にわたってレーザが列間をマーキングしている間でさえ、一定出力が維持され得る。
【0045】
碁盤目
本明細書で使用される際、「碁盤目」又は「ビットマップ碁盤目」は、複数個のマークを含み得る位置の規則的な周期的アレイを意味するものと解釈される。アレイの周期性は、X方向及びY方向の両方における周期性を含む。碁盤目内の複数個のマークは、碁盤目内の位置の各々に存在する場合又は存在しない場合がある。すなわち、マークは、碁盤目内の位置に形成され得るか、又はその位置に存在しない場合がある(すなわち、ボイド)。言及されるように、レイジング装置は、レーザパルスがレーザから放射されているか、又はパルスが放射されていないかのいずれかである間に、物品を横切ってレーザビームを掃引する。マーキングされた位置は、レーザが所与の位置にパルスを放射するときに生じ、マーキングされていない位置は、レーザが所与の位置にパルスを放射しないときに生じる。レーザビームは、レーザの繰り返しレートが一定である間、一定の表面速度で物品を横切って掃引され得、したがって、位置の周期性は、マーキングされた位置の間隔が等しくなくても、マーキングされていない位置の可能性を考慮すると、レーザビームが物品を横切って掃引される方向(すなわち、X方向)において規則的(すなわち、X距離)であることになる。マークされていない位置の場合、同じ方向(すなわち、X方向)に沿った任意のマーキングされた位置間の距離は、その方向(すなわち、X方向)におけるマーク間で測定された最小距離の整数(すなわち、2x、3x以上)であり得る。
【0046】
レーザビームは、後続の列において物品を横切って掃引され得る。レーザビームは、左から右へ、若しくは右から左へ掃引され得、列から列へ移動される際、同じ方向に掃引され得る(例えば、ラスタプロセスにおけるようなタイプライタ上のキャリッジリターンのように)か、又は、列から列へ移動される際、交互の方向に掃引され得る。サイクル時間を低減する主要な寄与要因は、レーザビームが列から列へ移動する際に、レーザビームを交互の方向に掃引することを含む。列は、互いに略平行であり得る。隣接する列間の距離は、Y距離である。隣接する列の位置は、互いの真上/真下にあり得るか、又は互いに対してオフセットされ得る。X距離に等しいオフセットは、列間の位置の再位置合わせをもたらすことが理解される。
【0047】
英数字は文字又は数字であり、例えば、英語では、文字は大文字及び小文字を含むA~Zであり、ユニバーサルナンバーは0~9及びそれらの組み合わせである。英数字は、任意の特定のスタイル又はフォントに限定されない。中国語、日本語(例えば、漢字、カタカナ)、ロシア語、アラビア語、及び他の言語は、本発明によるパルスレーザでマーキングすることができる異なる英数字を有する。
【0048】
当業者には、印刷された、又はこの場合はマーキングされた英数字のサイズがそのフォントによって測定されることが理解されよう。マーキングされた物品上で消費者が読み取り可能であるものとして概して受け入れられている最小フォントは、約6ptである。フォントサイズは非常に大きいサイズに増加させることができるが、消費者パッケージの面をマーキングするとき、例えば、20を超えるフォントは、数文字がパッケージ全体を満たすことがあるので、実用的ではない。消費者パッケージの「面」は、典型的にはパッケージの前面又は背面であり、これらの面は、典型的には異なるマーキングを有する。例えば、製品名及び一般的な製品説明(シャンプー、コンディショナー、石鹸など)は、典型的には前面に見られるが、成分リスト、UPCコード及び使用説明書は、通常は背面に見られる。円筒形パッケージの場合、仮想垂直面は、前面が仮想面の一方の側にあり、背面が仮想面の反対側にある状態で、ボトルの下方に引くことができる。
【0049】
先で考察されるように、レーザマークは、所与のパターンをマーキングするのに必要とされる時間(すなわち、「マーキングまでの時間」)を低減するために、オーバーラップしない場合がある。マーキングまでの時間は、X方向及び/又はY方向のうちのいずれか又は両方にマークを間隔をあけて配置することによって更に低減することができるが、この間隔の増加は、所定のパターンを構成するいかなる英数字の不良な判読性にもつながり得る。例えば、X距離を増加させることは、(一定の繰り返しレートで)所与の列をマーキングするときに、物品の表面を横切るレーザビームのより速い表面速度を可能にする。Y距離を増加させることは、所与の所定のパターンをマーキングする過程において、より少ない反転を可能にする。
【0050】
驚くべきことに、ある特定の所定のパターンの場合、Y距離を増加させること(より少ない反転)は、X距離を増加させること(より速い表面速度)よりも、マーキングまでの時間を低減させることに対してより大きい影響を有し得ることが見出されている。従来のラスタマーキングプロセスは、等しいX間隔及びY間隔を含むが、本発明は、X距離を超えるY距離を含み得る。本発明の一定の表面速度(CV)ビットマッププロセスによってマーキングされた英数字の判読性は、文字のフォントサイズの関数としてのX間隔及びY間隔に依存し得ることが更に見出されている。X距離は、好ましくは、約0.005mm~約0.500mmの範囲である。より好ましくは約0.010mm~約0.100mm、更により好ましくは約0.040~約0.075mmである。Y距離は、好ましくは、約0.010mm~約2.0mmの範囲である。より好ましくは約0.050mm~約0.150mm、更により好ましくは約0.060mm~約0.075mmである。
【0051】
所定の英数字が6pt~10ptの範囲内のフォントサイズを有する場合、Y距離は、X距離の少なくとも1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは1.7倍、更により好ましくは2倍であり得る。所定の英数字特徴部が11pt~16ptの範囲内のフォントサイズを有する場合、Y距離は、X距離の少なくとも2倍、好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、更により好ましくは4倍である。
【0052】
図3、
図4及び
図5は全て、本発明による碁盤目の様々な描写を示している。より具体的には、
図3は、本発明による碁盤目39であり、X方向30、Y方向32、X距離31及びY距離33を例解している。潜在的なマーキング位置36は、碁盤目を構成する空の円によって描写されている。更に、
図3において、平行な列38の間の位置36は、2つの潜在的なマーキング位置の間でY方向に描かれた隣接する列34の中の位置とX方向30との間の角度35が約90度であるときに、「積み重ねられる」。言い換えれば、アレイからの隣接するマークを接続して平行四辺形(すなわち単位セル)を形成するためにベクトルを使用する場合、平行四辺形の内角が約90度であるとき、位置は積み重ねられる。平行四辺形の内角が90度(すなわち、120度及び60度)と異なる場合、位置はオフセットされる。X距離は、1つの位置の中心からX方向に隣接する位置の中心まで測定される。
【0053】
当業者には、碁盤目の単位セルが、水平、垂直、及び2つの対角線の4つの対称軸を有することが理解されよう。本明細書で考察されるレーザマーキングは、これら4つの軸のうちのいずれかに沿って行うことができる。簡単にするために、
図5に示される垂直方向及び水平方向が説明される。
図5は、45度回転させることができ、対角線は垂直及び水平になる。再び、
図5に示されるように、レーザマーキングは、1つの列を横切って生じ、次いで、レーザは、上又は下の列に上又は下に移動し、反対方向にマーキングする。
【0054】
図4は、本発明による別の碁盤目49であり、隣接する平行な列48の間にオフセット距離47を有するオフセット44を示している。オフセット44は、1つの列48の中の位置46と、隣接する列48の中の最も近い位置46との間の角度45によって画定され、オフセット44は、角度45が90度よりも大きいか又は小さいときに存在する。
図4は、X方向40、X距離41、Y方向42、及びY距離43を更に示している。
【0055】
図5は、碁盤目50上にマーキングされた英数字52を示している。英数字は数字「2」であり、マーキングされていない位置56とは対照的に、レーザマーキングされた位置54によってマーキングされている。複数の英数字、例えば、単語、文、又は段落が印刷されるとき、テキストの同じ列を共有する文字は、レーザマーキングの同じ水平列53も共有することになる。すなわち、レーザ装置は、1つの列を横切って進み、個々の英数字に必要な位置をマーキングし、次いで、文字間に必要な数のマーキングされていない位置を残して、マーキングがその列内の複数個の文字に関連付けられている列を形成することになる。この方法によって、単語、文、及び段落をマーキングすることができ、消費者又は機械にとって明確に判読可能である。
【0056】
水平な列53及び垂直な列55が、碁盤目50を画定する。水平な列53の中のマーキングされた位置54又はマーキングされていない位置56の間の距離は、X距離51を画定する。更に、垂直な列55の中のマーキングされた位置54又はマーキングされていない位置56の間の距離は、Y距離57を画定する。X距離51及びY距離57は、マーキングされたインディシア、この場合は数字「2」の、それぞれ水平の向き(53)及び垂直の向き(55)に対して画定されることに留意することが重要である。しかし、マーキングされた位置54は、水平方向59又は垂直方向58にマーキングすることができる。より具体的には、水平方向59にマーキングするとき、レーザは、各位置(それぞれ54及び56)をマーキングするか又はマーキングされないままにするかのいずれかで、水平な列53を横切って移動する。次いで、レーザは、1つのY距離だけ下又は上に移動し、先にマーキングされた列の上又は下の別の列を横切って走行し始める。同様に、垂直方向58にマーキングするとき、レーザは、各位置(それぞれ54及び56)をマーキングするか又はマーキングしないままにするかのいずれかで、垂直な列55を上又は下に移動する。次いで、レーザは、1つのX距離を横切って移動し、先にマーキングされた垂直な列に隣接する垂直な列を上又は下に走行し始める。
【0057】
数字又は文字のアスペクト比は、その高さ対その幅の比である。
図5に示される数字「2」のアスペクト比は、その高さがその幅よりも大きいので、1よりも大きい。垂直方向58に数字「2」をマーキングすることは、水平方向59にマーキングすることよりも少ない反転しか必要としないことが容易に分かる。これにより、このインディシアをマーキングすることは、垂直方向58にマーキングしながらレーザビームを掃引するときにより速くなり得る。水平方向又は垂直方向にマーキングすることを決定するとき、多くの考慮が行われることになる。しかし、英数字の相対的な間隔及びフォントサイズを考慮するとき、X距離51及びY距離57は常に、マーキングされるインディシアに対して、それぞれ水平方向及び垂直方向に対して画定されることになる。
【0058】
碁盤目を構成する位置の周期性は、X方向の周期性及びY方向の周期性を含む。X方向及びY方向は、互いに略直交し得る。
図3及び
図4に描写されるように、碁盤目39及び49は、それぞれ、連続する平行な列に沿って均等に離間された形態を採り得る。連続する平行な列に平行な方向をX方向(30、40)とし、X方向に略垂直な方向をY方向(32、42)とする。任意の平行な列(例えば、X方向の)に沿った隣接する位置間の間隔は、X距離(31、41)と見なされ、隣接する平行な列間の距離は、Y距離(33、43)と見なされる。
【0059】
碁盤目39は、
図3に描写されるような積み重ねられた碁盤目であり得る。積み重ねられた碁盤目では、第1の列に沿ってマークが付けられ得る位置は、第1の列の真下の第2の列に沿った位置の真上である。別の言い方をすれば、第1の列に沿った第1の位置を第1の列に沿った隣接位置と接続する列セグメントと、第1の位置を第2の列に沿ったその最も近い位置と接続する列セグメントとの間に形成される角度35は、90
oである。積み重ねられた碁盤目では、X軸に沿った隣接する位置の間の間隔はX距離31に等しく、隣接するX軸間の隣接する位置の間の最短間隔はY距離33である。
【0060】
碁盤目は、
図4に描写されるようなオフセット碁盤目であり得る。オフセット碁盤目49では、マークが第1のX軸に沿って付けられ得る位置は、第1のX軸のすぐ下の第2のX軸に沿った位置のすぐ上にはない。別の言い方をすれば、第1のX軸に沿った第1の位置を第1のX軸に沿った隣接する位置と接続する列セグメントと、第1の位置を第2のX軸に沿ったその最も近い位置と接続する列セグメントとの間に形成される角度45は、90
oよりも大きいか又は小さい。
【0061】
当業者には、X方向及びY方向が所定のパターンに対してある程度任意に選択されることが理解されよう。例えば、
図6Bは、レーザマーキングによって作製された「2」の実施例を描写しており、X方向は、マーキングされた「2」61に対して垂直である。当業者には、X方向が、マーキングされた「2」61に対して容易に水平であり得ることが理解されよう。
【0062】
当業者には、碁盤目(例えば、39及び49)及び隣接する位置の間の規則的な間隔が物品の平坦な表面を想定していることが理解されよう。物品表面が湾曲している場合、間隔は、表面の曲率とともに変化し得る。
【0063】
X距離は、碁盤目を構成する全ての平行な列間で同一であり得る。すなわち、X距離は、所与の列のX方向に沿って変化せず、所定のパターンを含む碁盤目の列間でも変化しない。代替的に、所定のパターンは、各領域内のX間隔が同一であるが領域間で異なる複数の領域を含み得る。例えば、1つのX距離は、英数字をマーキングするときに一貫して使用され得、異なるX距離は、UPCコードなどの機械読み取り可能コードをマーキングするときに使用され得る。同様に、Y距離は、所定のパターン内で変化しない場合があるか、又は所定のパターン内の領域の間で変化する場合がある。レーザビームの表面速度及び/又はマーキング方向(すなわち、上/下又は左右)も、領域間で異なり得る。例えば、ベクトルマーキングプロセス(すなわち、本発明のCVビットマップマーキングプロセスに対して)を使用してレーザマーキングされた物品は、概して、物品をマーキングする過程に沿ってレーザが加速する(マークをより遠くに離間させる)及び/又は減速する(マークをより近くに離間させる)につれて、それらのマーキングされた方向のうちのいずれかに沿って位置/マークの可変間隔を呈することに留意されたい。本発明のレーザマーキングは、典型的には、レーザがマーキングしているときに一定速度で行われる。レーザビームの移動は、X方向に沿った1つの列の終了後に停止し、Y方向に沿って次の列に上又は下に移動し、次いで、同様に一定速度で新しい列のマーキングを開始する。この速度はまた、所定のパターンのマーキング全体を通して同一であり得る。CVビットマップ碁盤目マーキングプロセスでマーキングされた物品は、マークの規則的な周期性によって、及び多くの場合、マーキングされた領域を画定する輪郭又は「境界」が存在しないことによって、ベクトルマーキングプロセスでマーキングされた物品と区別することができる(例えば、
図6Bの境界63参照)。
【0064】
図6A及び
図6Bは、本発明のCVビットマッププロセス6Aによるビットマップ碁盤目マーキングを介したレーザマーキングと、先行のベクトルマーキングプロセス6Bとの間の差異を例解しており、両方の場合において、英数字60及び61(すなわち、数字「2」)がレーザでマーキングされている。英数字60は、きれいでくっきりしたエッジを有し、漂遊マーキングが非常に少ない状態で実質的により良好に画定されている。
図6Bは、非常に対照的であり、大部分が未画定のエッジと、英数字61の境界の外側のかなりの数の漂遊マーキング62と、を有する。文字60及び61の両方が、ほぼ同じ時間量でマーキングされた。
【0065】
レーザマーキングレートの改善
考察されるように、本発明は、先行のプロセスよりも高速かつ高精密度で物品にレーザマーキングすることができる。既存のラスタプロセスは、非常に遅いが、相対的に正確であり、一方、ベクトルレーザマーキングプロセスは、低速ではより速く正確であるが、高速では非常に粗雑であり、消費者又は機械が読み取ることが困難な不明瞭なマーキングをもたらす。ラスタ及びベクトルは、レーザ処理の異なるモードを必要とする異なるグラフィックファイルタイプである。各タイプをレーザ処理するために必要とされるモード間の主な違いは、ガルボの移動、又はレーザビーム操向、及び使用されるパラメータにある。
【0066】
ベクトル経路は、典型的には、画像の場合、複数の固定された短い開始点及び停止点が、ガルボセットに、ユーザ設定最大表面速度(パルス間隔に繰り返しレートを乗じることによって決定される)及びベクトル距離の長さまで加速する時間を費やすことを要求するために、より遅くなる。長いベクトル距離は、ベクトルレイジング装置がその最大表面速度に達することを可能にし、一方、より短いベクトル距離は、レイジング装置を絶えず加速及び減速させ、決して最大表面速度に達しないようにし、その結果、マーキングサイクル時間が長くなる。
【0067】
ベクトルプロセスはまた、レーザビームを操向するガルボの加速/減速に起因して、高速ではCVビットマッププロセスよりも正確ではない。具体的には、各レーザマークの位置は、コンピュータ駆動ソフトウェアからレーザマーキング装置に通信されなければならず、そのような通信は、所定のパターンのマーキング中に、例えば、レーザビームが所与の列を横断する際に更新されなければならない。この通信のための典型的な更新周波数は約10μsであり、したがって、100kHzの繰り返しレートを有するパルスを出力するレーザは、碁盤目内の個々の位置ごとに通信における更新を可能にする。これはまた、グレースケールを達成する手段(例えば、ディザリング)として各パルスに対するパルス出力の変化を更に含み得る、ラスタレーザマーキングプロセスにも当てはまる。物品の表面を横切るレーザビームの表面速度が増加するにつれて、列内の所望のX間隔を達成するために100kHzを超える繰り返しレートが必要とされ、ソフトウェアからの各更新は、複数のレーザマーキング(又は空隙/非マーク)の位置を通信しなければならない。計算はほぼ瞬時に行うことができるが、高速レーザマーキングの極めて速い時間領域では、ガルボはそれほど迅速に応答することができず、ベクトルプロセスの加速/減速形状は、本発明の一定の表面速度プロファイルに対して、所与の列内にかなりの数の誤配置されたマークをもたらすと考えられる。
【0068】
図6Bは、英数字を含むテキストをマーキングするときにベクトル型プロセスを高速で実行することの効果と、列内のマークの誤配置と、を描写している。この図は、互いにずれた多くの行を示しており、マーキングの開始が早すぎるか遅すぎるかのいずれかで、英数字の輪郭がギザギザになり、全体的な外観が不鮮明になり、判読できなくなる可能性がある(例えば、「8」を「0」と区別することができない)。
【0069】
対照的に、本発明のプロセス及び結果として得られるパターンは、一定の表面速度(CV)ビットマップ経路によって生み出すことができる。CVビットマップレーザマーキングプロセスは、列内に開始点及び停止点が存在せず、むしろ、パルスを印加又はマーキングしている間、一定であるユーザ定義の最大表面速度(再び、パルス間隔に繰り返しレートを乗じたもの)が存在するため、速度の増加及び精密度の増加を可能にする。更に、本発明のレイジング装置は、相対的に長い距離(X距離に対して)にわたってマーキングしないときに速度を増加させることができる。例えば、1列のマークの中のマーキング間に2~3mm(又はそれ以上)の距離がある場合、レイジング装置は、精度を失うことなく加速することができ、そうでなければ、レーザビームをパルス化しながら一定の表面速度で移動させる。これは、本発明のマーキングシステムが先行のデバイスよりも高速かつ正確であることの、更に別の理由である。
【0070】
より小さいガルボセット(例えば、より低質量のミラーを含む)は、より高い加速度がこのユーザ定義の最大表面速度に達することを可能にする。これらのガルボを、ミラーがより短い時間でその所望の角速度に達することを可能にする高い加速度値に調整することができる。興味深いことに、これらの値は、ベクトル処理に対してより高い値でのビットマップ処理のために具体的に調整することができる。加えて、ベクトルレーザソフトウェアでは、レーザマーキングがそれらの所望の命令された位置に近くなるように設定された最大マーキング表面速度制限がある。最大表面速度閾値が増加するにつれて、レーザパルスは、ベクトル処理におけるそれらの所望の位置に対してより多くの誤差を有する。CVビットマップマーキングモードでは、表面速度(例えば、ミラーの角速度及びレーザビームの表面速度の両方)がマーキングプロセス中に一定であるので、最大表面速度閾値を大幅に増加させて、全体的により低いマーキングサイクル時間対ベクトルを達成し、依然としてパルスをそれらの所定の位置に維持することができることに留意されたい。
【0071】
ガルボセットの角速度は、物品を横切るレーザビームの表面速度に直接関係するので、ジョブサイクル時間にとって重要である。レーザビームの表面速度は、ガルボ/ミラー対の角速度及びレイジング装置の焦点距離によって設定される。
表面速度=ガルボ角速度(rad/秒)*焦点距離(mm)
【0072】
所与の列内にレーザマークを生じさせるときの表面速度は、主にXガルボ/ミラーセットによって制御される。ジョブサイクル時間は、Y方向よりもX方向のレーザ表面速度に依存することがあり、Xガルボ/ミラーセットは、Yガルボ/ミラーセットよりも応答性が高い場合がある。例えば、Xガルボ/ミラーセット上のミラーは、より小さくあり得る(すなわち、より低い質量、より小さいミラーサイズ、より低い慣性、より高い加速モータ能力)。
【0073】
現在のCVビットマッププロセスにおける物品の表面を横切るレーザビームの表面速度は、ラスタマーキングプロセス及びベクトルマーキングプロセスなどの現在利用可能なレーザマーキングプロセスで達成可能なものよりもはるかに速い。現在のプロセスは、典型的には、1~2m/s以下のオーダーの表面速度のよい例とある。本発明のCVビットマッププロセスは、8m/sを超える表面速度、更には10m/s、15m/s、18m/s、22.5m/s、32.5m/s、45m/s、60m/s以上、更には90m/s以上の表面速度を提供する。
【0074】
物品の表面を横切るレーザビームの掃引経路はまた、サイクル時間の低減に寄与することができる。従来のラスタレーザマーキングプロセスは、レーザビームを、単方向としても知られる、右から左又は左から右のいずれかの方向に列を横切って掃引し、後続の列を開始するために各列をマーキングした後にレーザビームを「ジャンプ」して戻す(タイプライタのキャリッジリターンのように)。このようにして、後続の列を容易に整合する(すなわち、積み重ねる)ことができ、この同一の開始点に基づいて碁盤目位置を整列させることができる。ジャンプ距離を除去し、マーキングされた各列の間の時間を低減するために、現在のCVビットマッププロセスは、マーキングを双方向(すなわち、マーキングは、第1の列では左から右に、後続の列では右から左に行われる)に交互に行われ得る「双方向」プロセスを使用する。
【0075】
パルスの列を整列させておくために、レイジング装置は、パルスを整列させておくための交互の列ごとの遅延関数であるレーザオンアジャストを組み込むようにプログラムされ得る。例えば、約22.5m/秒のマーキング表面速度では、8マイクロ秒の遅延が交互の列に対して使用される。典型的なビットマップレーザソフトウェアセットアップは、X方向及びY方向の両方において共通である単一のパルス間隔又はピッチを選択することを可能にする。異なるX距離及びY距離を生み出すことによって、ヒト判読可能(例えば、テキスト)及び機械読み取り可能(例えば、UPC、QRコード)オブジェクトの両方に対して同様のコントラストを生み出すことができる。
【0076】
レーザオンアジャストは、レーザビーム掃引経路の反転形状の要素である。反転形状は、レーザビームが列の間で反転している(すなわち、列を左から右にマーキングした後、次の列を右から左にマーキングするために反転している)間に、ガルボセットがレーザビームを方向付けることによって辿られる経路を指す。レーザは、典型的には、反転中にオフである(すなわち、パルスを放射しない)。レーザオンアジャストは、隣接する列内のマークを位置合わせするのに役立つ。例えば、碁盤目が積み重ねられた碁盤目である場合、レーザオンアジャストは、隣接する列のマークが積み重ねられたままであることを確実にする。オフセットされた碁盤目が使用される場合、レーザオンアジャストは、碁盤目がオフセットされたままであること、及びオフセットの量が相対的に一定のままであることを確実にする。レーザオンアジャストは、実験的に決定され得、概して、ガルボセットの角速度とともに変化する。
【0077】
列を完成した後のレーザビームの反転形状もまた、サイクル時間の低減に寄与することができる。先で考察したように、レーザビームは、ガルボセットによって操向され、ガルボセットが加速及び減速する能力は、他の(例えば、ベクトル)マーキングプロセスにおけるレーザマーキングの速度及び精度に対する既知の制限である。現在のCVビットマッププロセスは、これらの制限を克服する。例えば、現在のCVビットマッププロセスは、レーザがパルスを放射している(すなわち、レーザマークを作成している)間、レーザビームを加速又は減速しない。代わりに、レーザビームは、レーザが物品をマーキングしていない間、例えば、レーザビームが複数のボイド(又は列全体)をスキップしているとき、又はレーザビームが列の終わりで次の列をマーキングする前に反転している間のみ、加速/減速されている。反転形状は、対称又は非対称であり得る。レーザビームが物品の表面を横切って掃引する速度が高速である場合、非対称の反転形状が好ましい場合がある。
【0078】
先で言及されるように、マーク間隔の幾何学的形状は、サイクル時間に対する主要な寄与因子である。考察されるように、碁盤目内の位置を広げる(すなわち、X距離及びY距離を増加させる)ことにより、サイクル時間を減少させることをもたらすことができる。列内では、X距離は、レーザ表面速度がレーザ繰り返しレート及びX距離によって決定されるという点でサイクル時間に寄与する。Y距離を増加させることは、ガルボセットが行わなければならない反転の数(すなわち、所定の特徴部を備える列の数)を低減することによってサイクル時間を改善し、これは、高速で総サイクル時間の最大30~70%を占め得る。例えば、低減された全体のサイクル時間において、類似に見える画像を得るために、X距離を小さくし、Y距離を大きくすることができる。更に、Y距離を増加させると同時にX距離を低減することは、マーキングされた特徴部のより速いサイクル時間及び改善された判読性を提供することが見出されている。
【0079】
先で考察されるように、X距離及びY距離並びにそれらの比は、高速(すなわち、低サイクル時間)で判読可能な小さいフォントのテキスト又は画像をレーザマーキングすることに寄与することができる。X間隔及びY間隔はまた、グラフィックスなどの画像をマーキングするとき、特に画像がグレースケールを含むときに重要であることがある。ラスタマーキングの既知のプロセスが、個々のレーザパルスのエネルギーを変化させることによってグレースケールを生み出すのに対して、CVビットマッププロセスは、代わりに、あまりにも速く実行し、これらのパルスエネルギーを個々に変化させず、グレースケールを出現させるために異なるパターンでフルエネルギーパルスを離間させることによってグレースケールを達成する。
【0080】
マーキング方向の向きの選択は、特に高い(又は低い)アスペクト比を有する特徴部をマーキングするときに、ジョブサイクル時間に影響を及ぼすことがある。特徴部のアスペクト比は、概して、特徴部の高さ対幅の比と見なされる。高さ及び幅がほぼ同様である場合、アスペクト比は1に近く、特徴部の寸法に対してマーキング方向を選択することの(ジョブサイクル時間に対する)影響は最小であり得る。しかしながら、高いアスペクト比(例えば、高さ>>幅)又は低いアスペクト比(例えば、幅>>高さ)を有する特徴部の場合、特徴部の寸法に対してマーキング方向を選択することによって、ジョブサイクル時間を低減することができる。例えば、マーキング方向は、特徴部の長い方の寸法(すなわち、長軸)に略平行になるように選択され得るか、又はマーキング方向は、特徴部の短い方の寸法(すなわち、短軸)に略平行になるように選択され得る(再び
図5参照)。ジョブサイクル時間に影響を及ぼす多くの要因が存在するが、マーキング方向を特徴部の長軸に対応させることは、特徴部をマーキングするときに必要とされる反転の数を低減し、それによってジョブサイクル時間を低減すると考えられる。
【0081】
マーキング方向の向きの選択はまた、非常に高い表面速度でのジョブサイクル時間に影響を及ぼすことがある。非常に高い表面速度では、反転時間は、ジョブサイクル時間を支配する点まで増加することがある。マーキング方向を特徴部の長い方の寸法に略平行に選択することにより、反転が最小限に抑えられ、ジョブサイクル時間を低減することができる。先で考察されるように、X距離及びY距離は、異なり得、この差はジョブサイクルの低減に寄与することができ、英数字などの特徴部の画像の鮮明度の損失は、Y距離を増加させながらX距離を低減させることによって補償することができる。
【0082】
先で考察されるように、マーキングされた物品上で消費者が読み取り可能であるものとして概して受け入れられている最小フォントは、約6ptである。フォントサイズは非常に大きいサイズに増加させることができるが、消費者パッケージの面をマーキングするとき、例えば、20を超えるフォントは、数文字がパッケージ全体を満たすことがあるので、実用的ではない。所定の英数字が6pt~10ptの範囲内のフォントサイズを有する場合、X距離は、Y距離の少なくとも1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは1.7倍、更により好ましくは2倍であり得る。所定の英数字特徴部が11pt~16ptの範囲内のフォントサイズを有する場合、X距離は、Y距離の少なくとも2倍、好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、更により好ましくは4倍である。考察されるように、X距離及びY距離のこれらの比は、レーザビームの掃引方向がインディシアに対して垂直であるか又は水平であるかにかかわらず、マーキングされているインディシアに対してそれぞれ水平方向及び垂直方向に対して規定される。
【0083】
本発明のレーザマーキングプロセスでは、レーザ源は静止しており、レーザビームは、アルゴリズムによって制御される一連のレンズ及びミラーを含むレイジング装置によって誘導される。アルゴリズムは、所望のマークパターンのデジタル画像を(例えば、所望の画像のPDFファイルから)読み取り、その画像を目標上のマークパターンに置き換えることができる。レンズ/ミラーシステム及びアルゴリズムは、IPG Photonics(50 Old Webster Road,Oxford,MA 01540,USA)によって提供される。
【0084】
顕微鏡法
多数の物品が本発明の方法に従ってマーキングされ、比較物品が既存の方法でマーキングされた。これらの比較の結果を表1、表2及び表3、並びに
図7及び
図8に示す。これらの比較データを得るために、サンプルを、ユーティリティナイフ及びはさみを使用してTiO
2を含有するレーザマーキングされたHDPEブロー成形ボトルから切断する。切断されたサンプルが好適に平坦でない場合、サンプルは、テープ又はフレームを使用して顕微鏡ステージ上に平坦化される。Cold-light source CL 6000 LEDランプ(Carl Zeiss Microscopy,LLC、Thornwood,NY)などのLEDリングライト及び光源で達成されるような反射光照明を使用してサンプルの対象の文字、数字及び画像を撮像するために、Axiocam 305(5メガピクセルCMOS,Carl Zeiss Microscopy,LLC、Thornwood,NY)などのカラーカメラを装備した電動Zeiss SteREO Discovery.V20(Carl Zeiss Microscopy,LLC、Thornwood,NY)などの立体顕微鏡が使用される。最大光強度の80~100%の典型的な光強度が使用される。対象の文字、数字、又は画像を形成するために組み合わされる個々のレーザマーキングは、Achromat S 1.5x FWD 28mm(Carl Zeiss Microscopy,LLC、Thornwood,NY)などの対物レンズを使用して、総倍率が10倍~345倍であるようなズーム倍率と組み合わせて、好適な倍率を使用して解像される。実施例として、10ptのフォントサイズを有する文字、数字、又は画像では、総倍率は約40倍である。対象の数字がカメラの視野内に入った後、文字、数字、又は画像は、手動スキルを使用して、又は好ましくは、ユーザインターフェースプラットフォーム(Zen Autofocusモジュールを伴うZen V2.6 Blue Edition以上、Carl Zeiss Microscopy,LLC、Thornwood,NYなど)を介して、自動焦点モジュールを使用して、焦点が合わせられる。文字、数字、又は画像の画像を収集する前に、ランプ強度とともにユーザインターフェースプラットフォームからの自動露出オプションを使用することによって、撮像セッティングが最適化される。画像は、ZVIなどの可能な最高解像度フォーマットで収集され、次いで、約2464×2056ピクセルの解像度を有するTiffファイルとしてエクスポートされる。更に、文字、数字、又はアートワークのマーキングされた列は、画像の水平境界とほぼ平行であるべきである。必要であれば、文字、数字又は画像の全領域を包含するために、より高い倍率で撮影された複数の画像が正確につなぎ合わされ得る。
【0085】
画像分析
顕微鏡からの画像は灰色に見えるが、カラーで取り込まれる。画像は、NTSCプロトコルを用いてグレースケールに変換される。好適な画像分析ソフトウェアが、このステップ及びいくつかの他の画像処理ステップを行うために必要とされる。The Mathworks,Inc.(Natick,MA)から入手可能なMATLABによって実装される分析機能が、この方法の説明において参照される。
【0086】
顕微鏡法及びその後の画像分析は、1つ以上の所定のパターン、所定のパターンの一部、又はグラフィック若しくは英数字などの所定のパターン内の個々の画像にわたって追跡され得る。画像分析が所定のパターンの一部に対して行われる場合、分析の前に、その部分(個々のグラフィック又は英数字など)は、任意の周囲の画像、文字又はアートワークから分離されなければならない。マスクは、所定のパターンで対象の文字又は画像の周りに描かれ得る。マスクは、文字又は画像を、他の部分的な文字、数字、バーコード、アートワーク、汚れ、又は画像の中に生じ得る他の欠陥から分離する。
【0087】
画像分析は、まず、画像を構成するレーザマークを識別することに依存する。レーザマークは、任意の妥当な手段によって識別することができる。例えば、顕微鏡からのグレースケール画像を繰り返し閾値処理することによる。開始閾値は、マーキングのうちのいくつかに入る数個のピクセルのみを取り込むように設定される。次いで、閾値は徐々に変化し、マークの増加し続ける領域を取り込む。プログレッシブ閾値化は、開始閾値から停止閾値まで継続する。停止閾値は、MATLABの「multithresh」関数(すなわち、大津の方法)を使用することなどによって自動的に決定され得る。プログレッシブ閾値化は、マーキングの領域がオーバーラップし、かつ/又は融合し得、背景が完全に均一でない場合があるため、分析において有利であり得る。相対的に明るい背景に対して暗いマーキング、又は相対的に暗い背景に対して明るいマーキングを識別するために、閾値進行の方向(すなわち、明から暗へ、又は暗から明へ)を使用することができる。提示される実施例では、相対的に明るい背景に対して暗いマークが識別される。
【0088】
次いで、領域がある特定のサイズに達すると、接続された構成要素が、個々のマークを識別するために使用され得る。接触ピクセルをブロブにグループ化するために、各新しい閾値を用いて連結成分アルゴリズムが実行される。ブロブがマークの面積の50%に達すると、それは、マークとして識別される。マークの中心座標は、MATLABの「regionprops」関数で実装される重心法を使用して見出される。中心は、その後、列内の隣接するマーク間の間隔(例えば、X距離)及びマークの隣接する列間の間隔(例えば、Y距離)を決定するために使用される(以下参照)。
【0089】
観察されたX距離及びY距離並びに標準偏差を決定する。
X距離及びY距離、並びにそれらの標準偏差を決定するための例示的な手段はまた、画像分析を使用して行われ得るが、当業者は、これらの距離及び標準偏差を決定する任意の手段が使用され得ることを理解する。画像分析によってこれらの値を決定する1つの手段は、「ドロネー三角形」の使用を含む。ドロネー三角形法の場合、マークの中心座標は、中心点に基づいて三角形分割を作成するMATLABの「ドロネー三角形分割」関数に渡される。ドロネー三角形分割のエッジは決して交差せず、中心点は最近傍で接続される。
【0090】
X距離は、碁盤目内の所与の列に沿った隣接するマーキングされた位置間の距離としてとられる。所与の列に沿った隣接するマーキングされた位置は、ドロネー三角形分割データ構造内の水平エッジをもたらす。これらの水平エッジは、エッジの角度を計算することによって三角形分割において他のエッジから分離することができる。碁盤目の列内の水平エッジは、画像の水平エッジの+/-10度以内である。碁盤目は、列に沿った位置の周期的な間隔からなるので、X間隔は比較的一貫している(例えば、低い標準偏差を有する)はずである。この分析では、プログラムされた距離の2倍を超える長さを有する水平エッジは、非隣接位置を示すものとして考慮から除外することができる。英数字などの画像を分析するときに決定される観察されたX距離は、所与の画像又は文字内の全てのマーク/列についての隣接するマーク間の水平エッジの平均長さとしてとられる。次いで、巨視的画像内の複数の文字についてのX距離を更に平均して、所与のマーキング条件及び所与の画像又は所定のパターンについての平均X距離を提供することができる。表1は、一連のマーキング条件について示されたUPCコードに関連付けられた文字/数字について観察されたX距離を示す。
【0091】
Y距離は、隣接する列間の垂直距離として決定することができる。ドロネー三角形分割では、水平エッジは2つの隣接する三角形の一部であり得る。各ベースエッジは、各三角形に2つの頂点を与え、第3の頂点は、ベースエッジの上又は下のいずれかの隣接する列内の最近傍マークである。
【0092】
ベースエッジの各々について、ベースエッジの上下の最も近いマークまでの垂直距離が決定される。これら2つの距離の最小値(すなわち、最も近い)のみが記録される。最小距離のみを使用することは、列が隣接していることを確実にするのに役立ち、列の二重計数を防止するのに役立つ。次いで、所与の画像にわたるこれらの垂直距離の平均及び標準偏差が、画像の平均Y距離及び標準偏差としてとられる。文字/数字の最上列及び最下列は、隣接する列が1つしかないので、測定された三角形のベースとして使用されない。次に、所定のパターン又はその一部における複数の画像のY距離を更に平均して、所与の所定のパターン又はその一部(所与の英数字など)の平均Y距離及び標準偏差を提供することができる。表1は、一連のマーキング条件について、示されたUPCコード(
図7)に関連付けられた文字/数字について観察された平均Y距離及び標準偏差を示す。
【0093】
図6Bに示されるように、高速でのベクトルレーザマーキングプロセスは、列内のマーク又は空隙の実質的な変位又はオーバーハングをもたらす可能性があり、ギザギザの輪郭を有する不鮮明な画像(英数字など)をもたらす。本発明のレーザマーキングプロセス及びそれによってマーキングされた物品は、そのような実質的な変位及び不鮮明さを生じない。単純な目視検査を含む多数の手段のいずれかを使用して、列内の変位を表すことができる。例えば、そのような手段は、単に文字(又は所定のパターンの他の要素)を観察し、意図されたマーキングされたパターン(例えば英数字)の事前知識が与えられた場合に、それが判読可能であるか否かを評価することを含み得る。また、変位も定量化することができる。重要なことに、ヒト及び機械読み取り可能パターンは、概して、(
図6Bに示されるギザギザの輪郭に対して)「滑らかな」輪郭を含む。別の言い方をすれば、ユーザ読み取り可能パターン及び機械読み取り可能パターンの場合、所与の列又は列のマーキングされた部分内の最も左側及び最も右側のマーキングされた位置は、一般に、X距離に対して隣接する列(上及び下)内の最も左側及び最も右側のマークされた位置(それぞれ)から(X方向に)実質的に変位しない。マーキングされた位置のこの変位は、不鮮明で不明確なパターンをもたらし、意図されたものよりも大きなパターン/文字を生成し、ユーザ及び機械の可読性の両方を低下させる。
【0094】
変位の定量化では、所与の文字又はパターン要素の列内の各マーキングされた部分の開始点が最も左のマークと見なされ、列内の各マーキングされた部分の終了点が最も右のマークと見なされる。列内の各マーキングされた部分に対する開始点及び終了点は、その上及びその下の隣接する列の対応する開始点及び終了点(それぞれ)に対して決定される。考慮中の列は、上の列及び下の列の両方の開始点が測定された列の開始点の左である場合、文字/パターン要素の左側に「変位」していると決定され、考慮中の列は、上の列及び下の列の両方の終了点が測定された列の終了点の右である場合、右側に「変位」していると決定される。列の開始点(及び終了点)から上及び下の列の開始点(及び終了点それぞれ)までの水平距離が決定され、変位は、これら2つの距離の短い方としてとられる。左側変位は開始点によって決定される変位であり、右側変位は終了点によって決定される変位である。列内のマーキングされた部分は、変位を含まないか、左側又は右側変位を含むか、又は左側及び右側変位の両方を含み得る。分析される画像(すなわち英数字)を含む最上列及び最下列は、2つの隣接する列を有さないので、分析から省略される。各列の開始点及び終了点を識別する1つの手段は、X距離及びY距離並びに標準偏差を決定するために、前述のドロネー三角形分割分析を使用する。
【0095】
英数字などの所与の画像に対する「%変位」は、文字を構成する列の数によって除算された文字を含む列に対する変位の合計である。
%変位=(文字内の全変位)/(文字内の列数)*100
【0096】
テキストとして複数の英数字を含む所定のパターンについての「A%D」又は平均%変位は、単に、サンプルセット中の各文字についての%変位の合計を、サンプル中の文字の数「n」で除算したものである。
【0097】
本発明の高速レーザマーキングの精密度を定量化する更に別の方法は、ミスマークされた位置のパーセント、すなわち「ミスマークされた%」である。ここで
図10を参照すると、
図10は例示目的のための
図5の修正版である。
図5は、本発明による碁盤目パターンでマーキングされた英数字「2」を示す。約130個のマーキングされた位置54がある。
図10では、マーキングされた位置であるべき8つの空隙101がある。更に、空隙であるべき4つのマーキングされた位置100がある。明らかなように、マーキングされた位置であるべき空隙と、空隙であるべきマーキングされた位置との両方は、ミスマークされたミスであり、したがって、それらは一緒に加算され、マーキングされた位置の数と比較される。
図10の例では、合計130個の所望のマーキングされた位置のうち12個(8+4)のミスがある。ミスマークされた%=ミスの数を所望のマーキングされた位置の数で除算し、100倍したもの、((12/130)
*100)=9.23%、である。
図6Bは、ミスマークされた%が20%を超える、著しくミスマークされた英数字(「2」)を示す。
【0098】
テキストとして複数の英数字を含む所定のパターンに対する「ミスマークされた平均%」は、単純に、各英数字に対するミスマークされた%の合計を英数字の数で除算したものである。英数字から構成されるテキストの所望の可読性を達成するために、英数字のミスマークされた平均%は、約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、更により好ましくは約5%未満である。%精密度の計算及び標準偏差の提供の両方について、以下の基準を使用して平均を計算する。文字フォントは6pt以上でなければならず、それらは文字当たり少なくとも10個のマーキングされた列でなければならない。
【0099】
サンプル及びデータ
表1は、4つの異なる物品に同じパターンをレーザマーキングし、次いで、上で説明される方法を使用してそれらを分析することによって得られたデータを表示している。この場合のマーキングは、業界標準UPCコードであった。当業者には、UPCスキャナがコードを迅速かつ正確に読み取るために、消費者が購入した全ての商品に表示されなければならないUPCが、より明るい、好ましくは白い背景に対して明確に画定された黒いバー及び英数字を有していなければならないことが理解されよう。別の言い方をすれば、UPCコードは、スキャナ又は人によって正確に読み取られるように、精密度で印刷又はマーキングされなければならない。実施例として、
図7は、本発明のプロセスに従ってレーザマーキングされたUPCコード70を示している。UPCコード70は、様々な幅のバー72と英数字74との混合体である。
【0100】
本発明の以前には、ベクトルレーザマーキングは、利用可能な最速のレーザマーキングシステムであったが、表1は、ベクトルマーキングの速度が増加するにつれて、マーキングの精密度が実質的に低下することを明確に示している。より具体的には、ベクトルマーキングは、15.6、350、及び1000ラジアン/秒の最大ガルボ角速度で試験され、1000ラジアン/秒の最大表面速度での本発明のCVビットマップマーキングと比較された。目標Y距離は、第1の列に提供され、n個のサンプルの各々に対する実際のY距離が測定され(mm単位)、次いで平均化された。より重要なことに、シグマσ、標準偏差を、標準数式を使用してn個のサンプルについて計算した。標準偏差は、個々のサンプルが目標Y距離からどれだけ離れて逸脱したかの尺度である。例えば、2つのサンプルのみが0.150の目標Y距離で実行され、一方のサンプルが0.200であり、他方が0.100であった場合、それらの平均は正確に0.150、目標値となる。しかし、精密度は致し方ないであろう。この実施例における標準偏差は、それらの平均が狙い通りであるように見えるこれらの2つの仮想サンプルについての精密度の欠如を示す大きい数である。
【0101】
15.6ラジアン/秒のガルボ角速度でのベクトルマーキング(表1の最初のエントリ)を1000ラジアン/秒でのCVビットマップマーキング(表1の最後のエントリ)と比較すると、平均X距離及び平均Y距離、並びに対応する標準偏差は、試験された4つの目標X距離及びY距離にわたって同様である。ベクトルマーキングのガルボ角速度が1000ラジアン/秒に増加すると、平均X距離及び対応する標準偏差は妥当なままであるが、Y距離標準偏差は許容できなくなり、UPCコードは、バーコードを読み取る機械及び下にある数字を読み取るヒトの両方に関して、最終的に読み取り不可能である。本発明のプロセスによってマーキングされたUPCコードについては、平均X距離及び標準偏差と、平均Y距離及び標準偏差との両方が、1000ラジアン/秒の最大ガルボ角速度においてさえ、非常に良好である。それにより、本発明のCVビットマップレーザマーキングは、先行のベクトルマーキングシステムに勝る速度及び精密度の明確な利点を提供する。
【0102】
【数1】
ここで、S=σ=標準偏差、n=使用されるサンプルの数、x
i=各サンプルについての平均からの個々の偏差、及びx=サンプルの平均又は単純平均である。
【0103】
テキストなどの一連の英数字にわたって平均%変位又はミスマークされた平均%を決定する場合、サンプルサイズは、S、s、R、r、T、t、N、n、A、a、E、e、O、o、U、u、1、2、3、4、5、6、7、8、及び9からなる群から選択される少なくとも6つの異なる英数字を含まなければならず、サンプルサイズは、10個以下の英数字であるべきである。更に、英数字は、6pt~16ptのフォントサイズ(高さ約2.1mm~5.64mm)の範囲内であるべきである。
【0104】
【表1】
*この行は、実際の速度ではなく、使用される機器に利用可能な最大ガルボ速度を表す。最大ガルボ速度が3列目に示されている表3も参照されたい。
**表面速度=22.5m/s、X(目標)=0.045mmX(目標)=0.050mmに対して表面速度=25m/s
【0105】
表2は、UPCコードが判読可能な精密度でレーザマーキングされた別の一組の比較データである。すなわち、各速度及び各目標Y距離及びX距離において、機械読み取り可能UPCを生み出すのに要した時間を測定した。明らかに示されるように、Velocity Maxが連続して増加するごとに、UPCコードを正確な/読み取り可能な方法でレーザマーキングするのに必要な時間は、実際には、ベクトルマーキングプロセスの方が長くかかった
【0106】
【0107】
表3は、
図8に示されるレーザマーキングされたサンプルから得られたデータを含む。表3の一番上の列は、データが
図8(81~85)に示される5つのサンプルのどれに対応するか、各サンプルがどのようにレーザマーキングされたか、及びそれが他のサンプルとどのように比較されるかを示している。
図8は、5mmの正方形88と、サンプルテキスト87(英数字「Abg123」)と、1mmだけ離間された一連の1mm×5mmの長方形86とを示している。繰り返しレートは、700,000rad/秒
2の通常の加速度を使用して500khzである。表3の2行目は、各サンプルがどのようにマーキングされたかを示し、3行目は、レーザマーキングの最大ガルボ角速度であり、4行目及び5行目は、結果の定性的な記述である。5mmの正方形88、テキスト87、及び1mm×5mmの標準化矩形86をマーキングするための実際のデータは、表3の残りの行に示されている。この場合も、本発明のCVビットマップによるレーザマーキングの速度及び精密度は、従来のベクトルマーキングシステムよりはるかに優れていることが明らかである。焦点距離250mmのf-シータレンズを使用した。
【0108】
【0109】
標準化矩形法
標準化矩形法は、任意のレイジング装置の速度及び精度の両方を測定するための標準化された試験である。簡単に言えば、20個の同一の矩形(簡略化されたUPCコードに類似する)を印刷するようにプログラムすることができる任意のレイジング装置を試験することができる。試験の詳細を以下に示すが、当業者には、標準化矩形を印刷するのにかかる時間が本発明の利点を実証するのに重要であることが理解されよう。表3の最後の2行は、今日利用可能な4つのレイジング装置/プロセス及び本発明による1つのレイジング装置/プロセスを用いて標準化矩形を印刷するのに必要な時間の実施例を示している。先行のレイジング装置/プロセスは、標準化矩形を印刷するのに1.5~1.0秒を必要とした。本発明によるレイジング装置/プロセスは、0.185秒しか必要とせず、先行のデバイスよりも500%~800%速かった。
【0110】
図8に示されるように、標準化矩形86は、
図9の一連の20個の同一の矩形91であり、幅95が約1mm、高さ93が約5mmであり、約1mmだけ離間している。矩形の幅95は、0.94mm~1.22mmの範囲内でなければならない。矩形の高さ93は、4.8mm~5.00mmの範囲でなければならない。各矩形は、80~84個の平行な列97を含む。各列は、X方向92に、すなわち、1mm幅98にわたっている。それにより、列の間の距離であるY距離96は、0.24mm~0.26mmの範囲である。各列97には20~24個のマーク99がある。明確にするために、全てのマーク99が示されているわけではないことは明らかである。
【0111】
別途指定されない限り、全ての百分率は、組成物の重量を基準にした重量パーセントである。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。全ての数値範囲は、より狭い範囲を含む。区切られた上下の範囲制限は、明示的に区切られていない更なる範囲を作る上で互換性がある。有効桁数は、指示されている量を限定するものでもなく、測定の精度を限定するものでもない。全ての測定は、約25℃かつ周囲条件で行われるものとして理解され、その場合、「周囲条件」とは、約1気圧及び約50%の相対湿度での条件を意味する。
【0112】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、別途指定のない限り、このような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0113】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるとも見なされず、或いはそれを単独で又はその他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせた場合に、このようないずれの発明も教示、示唆、又は開示するとは見なされない。更に、本文献における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文献においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0114】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を行うことができる点が、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザによってマーキングされた表面を有する物品であって、前記表面が、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む所定のパターンの位置を含み、
前記所定のパターンが、テキストの形態の英数字を含み、
前記碁盤目パターンが、2つ以上の列に位置決めされた複数個の位置を含み、前記2つ以上の列は実質的に平行であり、前記2つ以上の列のうちのいずれかに沿った前記複数個の位置のうちの各隣接対の位置が、X距離だけ離れており、前記2つ以上の列の各隣接対が、Y距離だけ離れており、
前記パルスレーザが、連続したマークが形成されるときに、約8m/s、好ましくは14m/s、より好ましくは18m/s、更により好ましくは22m/sを超える一定の表面速度で前記列を横切って移動するビームを有する、物品。
【請求項2】
前記パルスレーザの前記ビームが、前
記ビームが第1の方向の第1の列及び第2の方向の第2の列に沿って移動するように、双方向プロファイルで移動する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第1の列及び前記第2の列が隣接する列である、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記テキストが、6pt~10ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは1.7倍、更により好ましくは2倍である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記テキストが、11pt~16ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも2倍、好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、更により好ましくは4倍である、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記パルスレー
ザの前記ビームが、各々がミラー及びガルボメータを備える2つのガルボセットによって方向付けられ、少なくとも1つのガルボセットの回転の角速度が、約40rad/秒を超える、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記パルスレーザの前記ビームが、約100kHzを超える繰り返しレートを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
パルスレーザによってマーキングされた表面を有する物品であって、前記表面が、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む所定のパターンの位置を含み、
前記所定のパターンが、テキストの形態の英数字を含み、
前記碁盤目パターンが、2つ以上の列に位置決めされた複数個の位置を含み、前記2つ以上の列が実質的に平行であり、前記2つ以上の列のうちのいずれかに沿った前記複数個の位置のうちの各隣接対の位置が、X距離だけ離れており、前記2つ以上の列の各隣接対が、Y距離だけ離れており、
前記パルスレーザ
のビームが、連続したマークが形成されるときに、約8m/s、好ましくは14m/s、より好ましくは18m/s、更により好ましくは22m/sを超える一定の表面速度で前記列を横切って移動し、
英数字のミスマークされた平均%が、約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、更により好ましくは約5%未満である、物品。
【請求項9】
前記テキストが、6pt~10ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも1.2倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは1.7倍、更により好ましくは2倍である、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記テキストが、11pt~16ptの範囲内のフォントサイズを有し、前記Y距離が、前記X距離の少なくとも2倍、好ましくは2.5倍、より好ましくは3倍、更により好ましくは4倍である、請求項8に記載の物品。
【請求項11】
パルスレーザによってマーキングされた表面を有する物品であって、前記表面が、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む第1の所定のパターンの位置と、碁盤目パターン内にマーク又は空隙を各々含む第2の所定のパターンの位置とを含み、
前記第1の所定のパターンが、テキストの形態の英数字を含み、
第1の碁盤目パターン及び第2の碁盤目パターンが、2つ以上の列に位置決めされた複数個の位置を含み、前記2つ以上の列が実質的に平行であり、前記2つ以上の列のうちのいずれかに沿った前記複数個の位置のうちの各隣接対の位置が、X距離だけ離れており、前記2つ以上の列の各隣接対が、Y距離だけ離れており、
前記第1の碁盤目パターン及び前記第2の碁盤目パターンは、前記X距離及び前記Y距離のうちの少なくとも一方において異なり、
前記第1の所定のパターン内の前記英数字のミスマークされた平均%が、約20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、更により好ましくは約5%未満であり、及び
前記パルスレーザが、連続したマークが形成されるときに、約8m/s、好ましくは14m/s、より好ましくは18m/s、更により好ましくは22m/sを超える一定の表面速度で前記列を横切って移動するビームを有する、物品。
【請求項12】
前記第2の所定のパターンが非英数字画像を含み、好ましくは、前記非英数字画像が、UPCコード又はQRコードなどの機械可読画像を含む、請求項11に記載の物品。
【国際調査報告】