(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】イオン化可能なアミン脂質及び脂質ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C07C 219/04 20060101AFI20250116BHJP
C07D 211/22 20060101ALI20250116BHJP
C07D 295/15 20060101ALI20250116BHJP
C07D 207/16 20060101ALI20250116BHJP
C07D 211/62 20060101ALI20250116BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250116BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20250116BHJP
A61K 9/127 20250101ALI20250116BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20250116BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20250116BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20250116BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20250116BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20250116BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250116BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20250116BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
C07C219/04 CSP
C07D211/22
C07D295/15
C07D207/16
C07D211/62
A61K47/18
A61K47/22
A61K9/127
A61K9/51
C12N15/88 Z
C12N15/11 Z
C12P21/02 C
C12N5/071
C12N5/10
C12Q1/02
C07K14/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536420
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-31
(86)【国際出願番号】 US2022053209
(87)【国際公開番号】W WO2023121975
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520439645
【氏名又は名称】ビーム セラピューティクス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】サゴ、 コリー デイン
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン、 グレゴリー ローレンス
【テーマコード(参考)】
4B063
4B064
4B065
4C076
4H006
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QR77
4B063QS34
4B063QS40
4B064AG01
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA05
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA19
4C076AA65
4C076BB13
4C076CC06
4C076CC07
4C076CC50
4C076DD15F
4C076DD15H
4C076DD49F
4C076DD49H
4C076DD60F
4C076DD60H
4C076DD63F
4C076DD63H
4C076DD70F
4C076DD70H
4C076EE23F
4C076EE23H
4C076FF16
4C076FF21
4C076FF43
4C076FF65
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006BP90
4H006BT12
4H006BT60
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、組成物、調製物、ナノ粒子(脂質ナノ粒子など)、及び/又はナノ材料、並びにそれらを使用する方法について記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物:
【化1】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、
L
1及びL
1’の各々が、独立して、C
1-6アルキレンであり、
L
2及びL
2’の各々が、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NR
b-で置き換えられ、
Y
1及びY
1’の各々が、独立して、-C(O)-又は-C(O)O-であり、
Y
2及びY
2’の各々が、独立して、存在しないか、-OC(O)-、-C(O)O-、又は-OC(O)O-であり、
R及びR’の各々が、独立して、水素、
【化2】
であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基であり、
L
3a及びL
3a’の各々が、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NR
b-で置き換えられ、
R
a及びR
a’の各々が、独立して、水素であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基であり、
X
1が、存在しないか、-O-、-S-、又は-NR
b-であり、
X
2が、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-
12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-、-NR
b-、又は-Cy
A-で置き換えられ、
Cy
Aが、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のカルボシクリレン、フェニレン、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレン、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される、任意選択的に置換された環であり、
X
3が、水素であるか、又は3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、フェニル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のヘテロシクリル、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリールから選択される、任意選択的に置換された基であり、
各R
bが、独立して、水素、又は任意選択的に置換されたC
1-
6脂肪族基である、化合物、若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記化合物が、式I-Aの化合物:
【化3】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、式I-A-aの化合物:
【化4】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、式I-A-bの化合物:
【化5】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、式I-A-cの化合物:
【化6】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
L
1が、C
1-4アルキレンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
L
1’が、C
1-4アルキレンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
L
2が、存在しない、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
L
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-10炭化水素鎖である、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
L
2’が、存在しない、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
L
2’が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-10炭化水素鎖である、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
Y
1が、-C(O)-である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
Y
1’が、-C(O)-である、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
Y
2が、存在しない、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
Y
2が、-C(O)O-である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
Y
2が、-OC(O)-である、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
Y
2’が、存在しない、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
Y
2’が、-C(O)O-である、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
Y
2’が、-OC(O)-である、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
Rが、
【化7】
である、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
Rが、任意選択的に置換されたC
9-20脂肪族である、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
R’が、
【化8】
である、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
R’が、任意選択的に置換されたC
9-20脂肪族である、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
-L
2-Y
2-R及び-L
2’-Y
2’-R’の各々が、独立して、
【化9】
である、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項25】
各L
3aが、存在しない、請求項1~24のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
各L
3a’が、存在しない、請求項1~25のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
各R
aが、任意選択的に置換されたC
6-12脂肪族である、請求項1~26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
各R
a’が、任意選択的に置換されたC
6-12脂肪族である、請求項1~27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
-L
3a-R
a及び-L
3a’-R
a’の各々が、独立して、
【化10】
である、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
X
1が、存在しない、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
X
1が、-O-である、請求項1~29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
X
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-6炭化水素鎖であり、1つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-NR
b-で置き換えられる、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
X
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-6炭化水素鎖であり、1つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-Cy
A-で置き換えられる、請求項1~31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
Cy
Aが、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレンである、請求項1~33のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項35】
X
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-6炭化水素鎖である、請求項1~34のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項36】
X
3が、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである、請求項1~35のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項37】
X
3が、1~2つの窒素を有する、任意選択的に置換された5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである、請求項1~36のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項38】
-X
2-X
3が、
【化11】
である、先行請求項のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項39】
各R
bが、独立して、任意選択的に置換されたC
1-6脂肪族である、請求項1~38のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項40】
表1から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
請求項1~40のいずれか一項に記載のイオン化可能な脂質を含む、脂質ナノ粒子(LNP)調製物。
【請求項42】
請求項1~40のいずれか一項に記載のイオン化可能な脂質と、
リン脂質と、
ステロールと、
コンジュゲート-リンカー脂質(例えば、ポリエチレングリコール脂質)と、を含む、脂質ナノ粒子(LNP)調製物。
【請求項43】
治療剤及び/又は予防剤を更に含む、請求項41又は42に記載のLNP調製物。
【請求項44】
前記治療剤及び/又は予防剤が、1つ以上の核酸であるか、又はそれらを含む、請求項43に記載のLNP調製物。
【請求項45】
前記1つ以上の核酸が、RNAであるか、又はそれを含む、請求項44に記載のLNP調製物。
【請求項46】
前記1つ以上の核酸が、DNAであるか、又はそれを含む、請求項44に記載のLNP調製物。
【請求項47】
前記LNP調製物が、前記治療剤及び/又は予防剤を標的細胞に送達するために製剤化される、請求項43~46のいずれか一項に記載のLNP調製物。
【請求項48】
前記標的細胞が、脾臓細胞(例えば、脾臓B細胞、脾臓T細胞、脾臓単球)、肝臓細胞(例えば、肝細胞)、骨髄細胞(例えば、骨髄単球)、免疫細胞、腎臓細胞、筋肉細胞、心臓細胞、肺細胞、若しくは中枢神経系における細胞であるか、又はそれらを含む、請求項47に記載のLNP調製物。
【請求項49】
前記標的細胞が、造血幹細胞(HSC)であるか、又はそれを含む、請求項48に記載のLNP調製物。
【請求項50】
請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
【請求項51】
治療剤及び/又は予防剤の投与を必要とする対象にそれらを投与するための方法であって、前記方法が、請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物又は請求項50に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項52】
疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、前記方法が、請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物又は請求項50に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含み、前記治療剤及び/又は予防剤が、前記疾患の治療に有効である、方法。
【請求項53】
疾患又は障害の進行の遅延及び/又は停止を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、前記方法が、請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物又は請求項50に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含み、前記治療剤及び/又は予防剤が、前記疾患の治療に有効である、方法。
【請求項54】
対象に由来する哺乳類細胞に治療剤及び/又は予防剤を送達する方法であって、前記方法が、請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物又は請求項50に記載の薬学的組成物を投与されている前記対象の前記細胞を接触させることを含む、方法。
【請求項55】
哺乳類細胞において目的のポリペプチドを産生する方法であって、前記方法が、前記細胞を請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物、又は請求項50に記載の薬学的組成物と接触させることを含み、前記治療剤及び/又は予防剤が、mRNAであるか、又はそれを含み、前記mRNAが、前記目的のポリペプチドをコードし、それによって、前記mRNAが、前記細胞中で翻訳されて、前記目的のポリペプチドを産生することが可能である、方法。
【請求項56】
哺乳類細胞において目的のポリペプチドの産生を阻害する方法であって、前記方法が、前記細胞を請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物、又は請求項50に記載の薬学的組成物と接触させることを含み、前記治療剤及び/又は予防剤が、RNAであるか、又はそれを含み、それによって、前記RNAが、前記目的のポリペプチドの産生を阻害することが可能である、方法。
【請求項57】
治療剤及び/又は予防剤を哺乳類の臓器、組織、細胞、又は細胞集団に特異的に送達する方法であって、前記方法が、哺乳類の臓器、組織、細胞、又は細胞集団を請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物、又は請求項50に記載の薬学的組成物と接触させることを含み、それによって、前記治療剤及び/又は予防剤が、前記臓器、組織、細胞、又は細胞集団に送達される、方法。
【請求項58】
対象に、請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物、又は請求項50に記載の薬学的組成物を前記対象に投与することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項41~49のいずれか一項に記載のLNP調製物、又は請求項50に記載の薬学的組成物を投与することによって、ワクチン接種する方法。
【請求項60】
対象において獲得免疫応答を誘導する方法であって、少なくとも1つのRNAを含む有効量の組成物を前記対象に投与することを含み、前記組成物が、請求項1~40のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、LNP調製物を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月20日に出願された米国出願第63/291,639号、及び2022年6月22日に出願された米国出願第63/354,627号に対する優先権及び利益を主張し、各々の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
化学、生物学、及び医学の分野において、薬物送達系の送達は、問題を抱えている。例えば、系の分子特性が組織への送達をどのように制御し、薬物有効性をどのように付与するかについての理解が不十分であることに起因して、薬物送達系は、進歩していない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料、並びにそれらを使用する方法に対する必要性を認識している。とりわけ、本開示は、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の構造的特徴が、インビボ、インビトロ、及びエクスビボでの機能的応答に影響を与えることを認識している。例えば、本開示は、とりわけ、本明細書に記載の1つ以上の構成成分の選択及び組み合わせが、脂質ナノ粒子の機能的活性に影響を及ぼすことについて記載している。一部の実施形態では、例えば、機能的活性は、所望のトロピズム、安定化、及び/又は薬物送達有効性を指し得る。一部の実施形態では、とりわけ、本開示は、1つ以上の構成成分の比が異なることによって、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の1つ以上の機能的活性に影響を及ぼすことについて記載している。
【0004】
更に、とりわけ、本開示は、脂質の化学構造が、参照脂質構造と比較して、改善された特性を付与することを認識している。例えば、一部の実施形態では、本開示は、式Iの化合物:
【化1】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、L
1、L
1’、L
2、L
2’、Y
1、Y
1’、Y
2、Y
2’、R、R’、X
1、X
2、及びX
3の各々が、本明細書で定義されるとおりである、化合物若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩について記載する。
【0005】
とりわけ、本明細書に記載されるように、本開示は、三価コア(例えば、二級トリオールに由来する)特徴を含むイオン化可能な脂質、並びにそれらの組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料(例えば、LNP、並びに/又はLNPを含有する組成物、調製物、ナノ粒子、及び/若しくはナノ材料)の驚くべき属性(例えば、治療剤又は予防剤などのカーゴの予想外のトロピズム、安定化、及び送達有効性)、並びにそれらを使用する方法を示す。
【0006】
とりわけ、本開示は、1つ以上のイオン化可能な脂質を含む脂質ナノ粒子(LNP)組成物を認識している。例えば、本開示は、予想外のトロピズムを付与した開示のイオン化可能な脂質のうちの1つ以上を含むLNPの組成物及び/又は調製物を提供する。
【0007】
一部の実施形態では、提供される組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、疾患若しくは障害を治療する方法、ポリペプチドを送達、産生する方法、又は疾患若しくは障害の進行を遅延/停止する方法で使用するためのものである。
【0008】
一部の実施形態では、提供される組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、製造する方法で使用するためのものである。
【0009】
一部の実施形態では、提供される組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、特徴評価する方法で使用するためのものである。
【0010】
本発明の一態様を含む実施形態の要素(例えば、方法)は、本発明の他の態様を含む実施形態に適用され得、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態による、LNP調製物の例示的なmRNAスクリーニングシステムを示す。
【0012】
【
図2】本開示の実施形態による、LNP調製物の例示的なsiRNAスクリーニングシステムを示す。
【0013】
定義
約:本明細書で使用される場合、「約」又は「およそ」という用語は、値に関して本明細書で使用される場合、参照される値に関連して、同様である値を指す。一般に、文脈に精通した当業者は、その文脈における「約」又は「およそ」によって包含される関連する程度の相違を理解するであろう。例えば、一部の実施形態では、「約」という用語は、別段の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は参照値のいずれかの方向(より大きいか、又はより小さい)に収まる値の範囲を包含し得る(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0014】
投与:本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、典型的には、対象又は系への組成物の投与を指す。当業者は、適切な状況下で、対象、例えば、ヒトへの投与に利用することができる様々な経路を認識するであろう。例えば、一部の実施形態では、投与は、眼、経口、非経口、局所などであり得る。一部の特定の実施形態では、投与は、気管支(例えば、気管支滴下による)、頬側、真皮(例えば、真皮、皮内、皮間、経皮などの局所的なもののうちの1つ以上であり得るか、又はそれらを含み得る)、経腸、動脈内、皮内、胃内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、静脈内、心室内、特定の臓器内(例えば、肝内)、粘膜、鼻腔、経口、直腸、皮下、舌下、局所的、気管(例えば、気管内滴下による)、膣、硝子体などであり得る。一部の実施形態では、投与は、断続的(例えば、時間を空けて複数の用量)及び/又は定期的(例えば、同じ期間を空けて個々の用量)投与である投与を伴う。一部の実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間の連続投与(例えば、灌流)を伴い得る。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子を含む薬学的組成物は、非経口(筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)、又は皮下注射)、経皮(受動的に、又はイオン泳動若しくは電気穿孔を使用してのいずれか)、若しくは経粘膜(鼻、膣、直腸、又は舌下)の投与経路、又は生体侵食性インサートを使用することによる投与のために製剤化され得、各投与経路に適切な剤形で製剤化され得る。
【0015】
脂肪族:「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、本明細書で使用される場合、完全に飽和しているか、若しくは1つ以上の不飽和単位を含有する直鎖(すなわち、分岐していない)若しくは分岐した、置換若しくは非置換の炭化水素鎖、又は完全に飽和しているか、若しくは1つ以上の不飽和単位を含有するが、(本明細書では「炭素環」、「炭素環式」、「脂環式」、又は「シクロアルキル」とも称される)芳香族ではなく、分子の残りの部分への結合点を1つ有する、単環式炭化水素若しくは二環式炭化水素を意味する。別段の定めがない限り、脂肪族基は、1~6つの脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~5つの炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~4つの炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~3つの炭素原子を含有し、一部の実施形態では、脂肪族基は、1~2つの炭素原子を含有する。一部の実施形態では、「炭素環式」(又は「脂環式」、又は「炭素環」、又は「シクロアルキル」)は、任意選択的に置換された単環式C3-C8炭化水素、又は完全に飽和しているか、若しくは1つ以上の不飽和単位を含有するが、芳香族ではなく、分子の残りの部分に単一の結合点を有する、任意選択的に置換されたC6-C12二環式炭化水素を指す。好適な脂肪族基としては、限定されないが、線状又は分岐状の、置換又は非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル基、並びに(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、又は(シクロアルキル)アルケニルなどのそれらのハイブリッドが挙げられる。
【0016】
アルケニル:本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を有する、本明細書で定義されるアルキル基を指す。一部の実施形態では、単独で又はより大きな部分の一部として使用される「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を有し、かつ(別段の定めがない限り)2~20、2~18、2~16、2~14、2~12、2~10、2~8、2~6、2~4、又は2~3つの炭素原子(例えば、C2-20、C2-18、C2-16、C2-14、C2-12、C2-10、C2-8、C2-6、C2-4、又はC2-3)を有する、任意選択的に置換された直鎖又は分岐した炭化水素鎖を指す。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、及びヘプテニルが挙げられる。
【0017】
アルケニレン:「アルケニレン」という用語は、二価のアルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、1つ以上の水素原子が置換基で置き換えられた、少なくとも1つの二重結合を含有するポリメチレン基である。好適な置換基としては、置換脂肪族基について以下に記載されるものが挙げられる。
【0018】
アルキル:本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、当該技術分野においてその通常の意味を与えられ、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を挙げることができる。一部の実施形態では、アルキルは、1~100個の炭素原子を有する。ある特定の実施形態では、直鎖又は分岐鎖アルキルは、その骨格に約1~20個の炭素原子(例えば、直鎖ではC1-C20、分岐鎖ではC2-C20)、及び代替的に、約1~10個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、シクロアルキル環は、そのような環が、単環式又は二環式である場合その環構造に約3~10個の炭素原子を有し、代替的に、環構造に約5、6、又は7つの炭素を有する。一部の実施形態では、アルキル基は、低級アルキル基であり得、低級アルキル基が、1~4つの炭素原子(例えば、直鎖低級アルキルではC1-C4)を含む。
【0019】
アルキレン:「アルキレン」又は「アルキレニル」という用語は、直鎖(すなわち、分岐していない)又は分岐した、置換又は非置換である二価のアルキル基(すなわち、二価の飽和炭化水素鎖)を指す。上記の一価のアルキル基のうちのいずれかは、アルキルから第2の水素原子を抜き取ることによってアルキレンになり得る。一部の実施形態では、「アルキレン」は、ポリメチレン基、すなわち、-(CH2)n-であり、nが、正の整数、好ましくは、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~5、又は4~8である。置換アルキレンは、1つ以上のメチレン水素原子が置換基で置き換えられたポリメチレン基である。好適な置換基としては、置換脂肪族基について以下に記載されるものが挙げられる。
【0020】
アルキニル:本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、1つ以上の三重結合を有する、本明細書で定義されるアルキル基を指す。一部の実施形態では、単独で又はより大きな部分の一部として使用される「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を有し、かつ(別段の定めがない限り)2~20、2~18、2~16、2~14、2~12、2~10、2~8、2~6、2~4、又は2~3つの炭素原子(例えば、C2-20、C2-18、C2-16、C2-14、C2-12、C2-10、C2-8、C2-6、C2-4、又はC2-3)を有する、任意選択的に置換された直鎖又は分岐した鎖炭化水素基を指す。例示的なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、及びヘプチニルが挙げられる。
【0021】
アミノ酸:最も広い意味では、本明細書で使用される場合、例えば、1つ以上のペプチド結合の形成を通じて、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る任意の化合物及び/又は物質を指す。一部の実施形態では、アミノ酸は、一般構造H2N-C(H)(R)-COOHを有する。一部の実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。一部の実施形態では、アミノ酸は、非天然アミノ酸であり、一部の実施形態では、アミノ酸は、D-アミノ酸であり、一部の実施形態では、アミノ酸は、L-アミノ酸である。「標準アミノ酸」は、天然に存在するペプチドに通常見出される20個の標準的なL-アミノ酸のうちのいずれかを指す。「非標準アミノ酸」は、それが合成的に調製されるか、又は天然源から得られるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。一部の実施形態では、ポリペプチド中のカルボキシ及び/又はアミノ末端アミノ酸を含むアミノ酸は、上の一般構造と比較して、構造修飾を含有し得る。例えば、一部の実施形態では、アミノ酸は、一般構造と比較して、メチル化、アミド化、アセチル化、ペグ化、グリコシル化、リン酸化、及び/又は置換(例えば、アミノ基、カルボン酸基、1つ以上のプロトン、及び/又はヒドロキシル基)によって修飾され得る。一部の実施形態では、そのような修飾は、例えば、同一の非修飾アミノ酸を含有するポリペプチドと比較して、修飾アミノ酸を含有するポリペプチドの循環半減期を変化させることができる。一部の実施形態では、そのような修飾は、同一の非修飾アミノ酸を含有するポリペプチドと比較して、修飾アミノ酸を含有するポリペプチドの関連する活性を顕著に変化させない。文脈から明らかであろうように、一部の実施形態では、「アミノ酸」という用語は、遊離アミノ酸を指すために使用され得、一部の実施形態では、ポリペプチドのアミノ酸残基を指すために使用され得る。
【0022】
動物:本明細書で使用される場合、動物界の任意のメンバーを指す。一部の実施形態では、「動物」は、いずれかの性別の、発達の任意の段階にあるヒトを指す。一部の実施形態では、「動物」は、発達の任意の段階にある非ヒト動物を指す。ある特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳類(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、霊長類、及び/又はブタ)である。一部の実施形態では、動物としては、限定されないが、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、及び/又は寄生虫が挙げられる。一部の実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作動物、及び/又はクローンであってもよい。
【0023】
アプタマー:本明細書で使用される場合、「アプタマー」という用語は、特定の分子標的(例えば、アンブレラトポロジーグリカン)に緊密に結合する核酸(例えば、RNA、DNA)で構成される巨大分子を指す。特定のアプタマーは、線状ヌクレオチド配列によって記載することができ、典型的には、約15~60ヌクレオチド長である。いかなる理論に拘束されることを望むものではないが、アプタマー中のヌクレオチド鎖は、分子を複雑な三次元形状に折り畳む分子内相互作用を形成し、この三次元形状によって、アプタマーをその標的分子の表面に緊密に結合することを可能にすることが企図される。全ての可能なヌクレオチド配列の分野内に存在する分子形状の並外れた多様性を鑑みると、タンパク質及び小分子を含む幅広い分子標的のためのアプタマーを得ることができる。高い特異性に加えて、アプタマーは、典型的には、その標的に対して非常に高い親和性(例えば、タンパク質に対するピコモルから低ナノモルの範囲の親和性)を有する。多くの実施形態では、アプタマーは、化学的に安定であり、活性を喪失することなく沸騰又は凍結させることができる。アプタマーは、合成分子であるので、特定の用途のための機能を最適化することができる様々な修飾に適している。例えば、アプタマーは、インビボ用途で使用するために、血液中の酵素による分解に対する感受性を劇的に低減するように修飾され得る。加えて、アプタマーは、それらの生体内分布又は血漿滞留時間を変化させるように修飾され得る。
【0024】
アリール:「アリール」という用語は、合計6~14個の環メンバー(例えば、C6-14)を有する単環式及び二環式環系を指し、系中の少なくとも1つの環が、芳香族であり、系中の各環が、3~7つの環メンバーを含有する。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と互換的に使用され得る。一部の実施形態では、「アリール」は、1つ以上の置換基を担持し得る、限定されないが、フェニル、ナフチル、アントラシルなどを含む、芳香族環系を指す。別段の定めがない限り、「アリール」基は、炭化水素である。
【0025】
会合した:一方の存在、レベル、程度、種類、及び/又は形態が、他方のものと相関する場合にこの用語が本明細書で使用される場合、2つの事象又は実体は、互いに「会合している」。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝物、微生物)は、その存在、レベル、及び/又は形態が、(例えば、関連する集団全体にわたって)疾患、障害、又は状態の発生率及び/又は感受性と相関する場合、特定の疾患、障害、又は状態と関連するとみなされる。一部の実施形態では、2つ以上の実体が、直接的又は間接的に相互作用する場合、それらが互いに物理的に近接している、及び/又は物理的近接を維持するように、互いに物理的に「会合している」。一部の実施形態では、互いに物理的に会合している2つ以上の実体は、互いに共有結合しており、一部の実施形態では、互いに物理的に会合している2つ以上の実体は、互いに共有結合していないが、例えば、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性、及びそれらの組み合わせによって、非共有結合的に会合している。
【0026】
生体適合性:「生体適合性」という用語は、本明細書で使用される場合、生組織と、例えばインビボで接触して配置されると、そのような組織に顕著な害を引き起こさない材料を指す。ある特定の実施形態では、材料は、細胞に毒性がない場合、「生体適合性」である。ある特定の実施形態では、材料は、インビトロでの細胞への添加が、20%以下の細胞死をもたらす場合、及び/又はインビボでのそれらの投与が、顕著な炎症又は他のそのような有害作用を誘導しない場合、「生体適合性」である。
【0027】
生分解性:本明細書で使用される場合、「生分解性」という用語は、細胞に導入されると、細胞に顕著な毒性作用を及ぼすことなく、細胞を再利用するか又は処分することができる構成成分へと(例えば、酵素分解、加水分解、及び/又はそれらの組み合わせによるなどの細胞機構によって)分解される材料を指す。ある特定の実施形態では、生分解性材料の分解によって生成される構成成分は、生体適合性であり、したがって、インビボで顕著な炎症及び/又は他の有害作用を誘導しない。一部の実施形態では、生分解性ポリマー材料は、それらの構成成分モノマーへと分解される。一部の実施形態では、(例えば、生分解性ポリマー材料を含む)生分解性材料の分解は、エステル結合の加水分解を伴う。代替的又は追加的に、一部の実施形態では、(例えば、生分解性ポリマー材料を含む)生分解性材料の分解は、ウレタン結合の切断を伴う。例示的な生分解性ポリマーとしては、例えば、限定されないが、ポリ(ヒドロキシル酸)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)を含む、乳酸及びグリコール酸などのヒドロキシ酸のポリマー、並びにPEG、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシアルカン酸塩、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)とのコポリマー、それらのブレンド及びコポリマーが挙げられる。また、例えば、アルブミン、コラーゲン、ゼラチン、及びプロラミン、例えばゼインなどのタンパク質、並びにアルギン酸塩、セルロース誘導体、及びポリヒドロキシアルカン酸塩、例えば、ポリヒドロキシ酪酸塩ブレンド、及びそれらのコポリマーなどの多糖類を含む、多くの天然ポリマーが、生分解性である。当業者は、そのようなポリマーが、それらの生体適合性及び/又は生分解性の誘導体である場合(例えば、当該技術分野において既知である特定の化学基の置換又は付加においてのみ異なる実質的に同一の構造によって、親ポリマーに関連する場合)を理解するか、又は決定することが可能であろう。
【0028】
生物学的に活性:本明細書で使用される場合、目的の薬剤又は実体によって達成される観察可能な生物学的効果又は結果を指す。例えば、一部の実施形態では、特異的結合相互作用は、生物学的活性である。一部の実施形態では、生物学的経路又は事象の調節(例えば、誘導、増強、又は阻害)は、生物学的活性である。一部の実施形態では、生物学的活性の存在又は程度は、目的の生物学的経路又は事象によって産生される直接的又は間接的生成物の検出を通じて評価される。
【0029】
生体試料:本明細書で使用される場合、「生体試料」という用語は、典型的には、本明細書に記載の目的の生物学的源(例えば、組織、又は生物、又は細胞培養物)から得られるか、又はそれらに由来する試料を指す。一部の実施形態では、目的の供給源は、動物又はヒトなどの生物を含む。一部の実施形態では、生体試料は、生体組織又は生物流体であるか、あるいはそれを含む。一部の実施形態では、生体試料は、骨髄、血液;血液細胞;腹水;組織又は細針生検試料;細胞含有体液;遊離浮遊核酸;痰;唾液;尿;脳脊髄液、腹腔液;胸水;糞便;リンパ;婦人科液体;皮膚スワブ;膣スワブ;口腔スワブ;鼻腔スワブ;乳管洗浄液又は気管支肺胞洗浄液などの洗浄液(washing)又は洗浄液(lavage);吸引物;擦過物;骨髄検体;組織生検検体;外科検体;糞便、他の体液、分泌物、及び/若しくは排泄物;並びに/又はそれらからの細胞などであり得るか、又はそれらを含む。一部の実施形態では、生体試料は、個体から得られる細胞であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、得られる細胞は、試料が得られる個体由来の細胞であるか、又はこれらを含む。一部の実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られる「一次試料」である。例えば、一部の実施形態では、一次生体試料は、生検(例えば、細針吸引又は組織生検)、手術、体液(例えば、血液、リンパ、糞便など)の収集などからなる群から選択される方法によって得られる。一部の実施形態では、文脈から明らかであろうように、「試料」という用語は、一次試料の処理によって(例えば、1つ以上の構成成分の除去及び/又は1つ以上の薬剤の添加によって)得られる調製物を指す。例えば、半透過性膜を使用して濾過すること。そのような「処理された試料」は、例えば、試料から抽出されたか、又はmRNAの増幅若しくは逆転写、ある特定の構成成分の単離及び/若しくは精製などの技法を一次試料に施すことによって得られた、核酸又はタンパク質を含み得る。
【0030】
二価:本明細書で使用される場合、「二価」という用語は、2つの結合点を有する化学部分を指す。例えば、「二価のC1-8(又はC1-6)飽和又は不飽和の直鎖又は分岐した炭化水素鎖」は、本明細書で定義される直鎖又は分岐した二価のアルキレン、アルケニレン、及びアルキニレン鎖を指す。
【0031】
架橋二環式:本明細書で使用される場合、「架橋二環式」、「架橋二環」、「架橋二環式」及び「架橋二環式環」という用語は、少なくとも1つの架橋を有する、飽和又は部分的に不飽和の任意の二環式環系、すなわち、炭素環式又は複素環式を指す。IUPACによって定義されるように、「架橋」は、2つの橋頭を接続する、複数の原子又は1つの原子又は原子価結合の非分岐鎖であり、「橋頭」は、3つ以上の骨格原子(水素を除く)に結合する環系の任意の骨格原子である。一部の実施形態では、架橋二環式基は、7~12個の環員を有し、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する。そのような架橋二環式基は、当該技術分野において周知であり、各基が、任意の置換可能な炭素又は窒素原子で分子の残りの部分に結合している、以下に記載の基が挙げられる。別段の定めがない限り、架橋二環式基は、脂肪族基について記載の1つ以上の置換基で任意選択的に置換される。追加的又は代替的に、架橋二環式基の任意の置換可能な窒素は、任意選択的に置換される。例示的な架橋二環式としては、限定されないが、以下が挙げられる。
【化2】
【0032】
がん:「がん(cancer)」、「悪性腫瘍」、「新生物」、「腫瘍」、及び「がん(carcinoma)」という用語は、細胞増殖の制御の顕著な喪失を特徴とする異常な成長表現型を示すように、比較的異常な、制御不能な、及び/又は自律的な増殖を示す細胞を指すために本明細書で使用される。一部の実施形態では、腫瘍は、前がん性(例えば、良性)、悪性、転移前、転移性、及び/又は非転移性である細胞であり得るか、又はそれらを含む。本開示は、その教示が特に関連し得るある特定のがんを特異的に同定する。一部の実施形態では、関連するがんは、固形腫瘍を特徴とし得る。一部の実施形態では、関連するがんは、血液腫瘍を特徴とし得る。一般に、当該技術分野において既知の異なる種類のがんの例としては、例えば、白血病、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、骨髄腫、及び骨髄増殖性障害を含む造血がん;肉腫、黒色腫、腺腫、固形組織のがん、口、喉、喉頭、及び肺の扁平上皮がん、肝臓がん、前立腺、子宮頚、膀胱、子宮、及び子宮内膜がんなどの生殖器がん、並びに腎細胞がん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、皮膚又は眼球内黒色腫、内分泌系がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、頭頸部がん、乳がん、胃腸がん、並びに神経系がん、乳頭腫などの良性病変などが挙げられる。
【0033】
担体:本明細書で使用される場合、組成物とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。一部の例示的な実施形態では、担体としては、例えば、水、並びに、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物、又は合成起源の油を含む油などの滅菌液体を挙げることができる。一部の実施形態では、担体は、1つ以上の固体構成成分であるか、又はそれを含む。
【0034】
カルボシクリル:本明細書で使用される「カルボシクリル」、「炭素環」、及び「炭素環式環」という用語は、3~14個のメンバーを有する、本明細書に記載の飽和又は部分的に不飽和の環式脂肪族単環式、二環式、又は多環式環系を指し、脂肪族環系は、本明細書に記載のように任意選択的に置換される。炭素環式基としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ノルボルニル、アダマンチル、及びシクロオクタジエニルが挙げられる。一部の実施形態では、「カルボシクリル」(又は「脂環式」)は、任意選択的に置換された単環式C3-C8炭化水素、又は完全に飽和しているか、若しくは1つ以上の不飽和単位を含有するが、芳香族ではなく、分子の残りの部分に単一の結合点を有する、任意選択的に置換されたC6-C12二環式炭化水素を指す。「シクロアルキル」という用語は、約3~約10個の環炭素原子の任意選択的に置換された飽和環系を指す。一部の実施形態では、シクロアルキル基は、3~6つの炭素を有する。例示的な単環式シクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、かつ約3~約10個の炭素原子を有する、任意選択的に置換された非芳香族単環式又は多環式環系を指す。例示的な単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルが挙げられる。
【0035】
比較可能な:本明細書で使用される場合、「比較可能な」という用語は、互いに同一ではない場合があるが、それらの間の比較が許容されるほどに十分に同様であるので、当業者は、観察される相違又は類似性に基づいて結論を合理的に引き出すことができることを理解するであろう、2つ以上の薬剤、実体、状況、一連の条件などを指す。一部の実施形態では、比較可能な一連の条件、状況、個体、又は集団は、複数の実質的に同一の特徴及び1つ又は少数の変動する特徴を特徴とする。当業者は、文脈に応じて、2つ以上のそのような薬剤、実体、状況、一連の条件などが比較可能であるとみなされるために、任意の所与の状況でどの程度の同一性が必要であるかを理解するであろう。例えば、当業者は、一連の状況、個体、又は集団は、異なる一連の状況、個体、又は集団の下で、又はそれらを用いて得られた結果又は観察された現象の違いが、変動するそれらの特徴の変動によって引き起こされるか、又は特徴の変動を示す合理的な結論を保証するのに十分な数及び種類の実質的に同一の特徴によって特徴評価される場合、互いに比較可能であることを理解するであろう。
【0036】
組成物:当業者は、「組成物」という用語が、1つ以上の定められた構成成分を含む別個の物理的実体を指すために使用され得ることを理解するであろう。一般に、別段の定めがない限り、組成物は、任意の形態、例えば、気体、ゲル、液体、固体などのものであり得る。
【0037】
含むこと:1つ以上の列挙される要素又はステップを「含む」として本明細書に記載される組成物又は方法は、オープンエンドであり、列挙される要素又はステップが必須であることを意味するが、他の要素又はステップが、組成物又は方法の範囲内に追加され得る。また、冗長性を回避するために、1つ以上の列挙される要素又はステップを「含む(comprising)」(又は「含む(comprises)」)と記載される任意の組成物又は方法はまた、同じ列挙される要素又はステップ「から本質的になる(consisting essentially of)」(又は「本質的にからなる(consists essentially of)」)、対応する、より限定的な組成物又は方法について記載しており、組成物又は方法が、列挙される必須の要素又はステップを含み、また、組成物又は方法の基本的かつ新規の特徴(複数可)に物質的に影響を及ぼさない追加の要素又はステップを含み得ることを意味することも理解される。また、1つ以上の列挙される要素又はステップを「含む」か又は「本質的にそれらからなる」として本明細書に記載の任意の組成物又は方法は、任意の他の列挙されていない要素又はステップを除外するように、列挙される要素又はステップ「からなる(consisting of)」(又は「からなる(consists of)」)、対応する、より限定的かつクローズエンドな組成物又は方法について記載していることも理解される。本明細書に開示の任意の組成物又は方法において、任意の列挙される必須要素又はステップの既知又は開示の同等物は、その要素又はステップで置換され得る。
【0038】
「改善する」、「増加させる」、「阻害する」、又は「低減する」:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加させる」、「阻害する」、「低減する」という用語、又はそれらの文法的同等物は、ベースライン又は他の参照測定値と比較した値を指標とする。一部の実施形態では、適切な参照測定値は、特定の薬剤若しくは治療(の前及び/又は後)に存在しない比較可能な条件下で、又は適切な比較可能な参照薬剤の存在下で、特定の系(例えば、単一の個体)における測定値であり得るか、又はそれを含み得る。一部の実施形態では、適切な参照測定値は、関連する薬剤又は治療の存在下で、特定の方式で応答することが既知であるか又は予想される比較可能な系における測定値であり得るか、又はそれを含み得る。
【0039】
決定する:本明細書に記載の多くの方法論は、「決定する」ステップを含む。当業者は、本明細書を読むと、そのような「決定する」ことが、例えば本明細書に明示的に言及される特定の技術を含め、当業者が利用可能な様々な技術のいずれかの使用を通して利用され得るか、又は達成され得ることを理解するだろう。一部の実施形態では、決定することは、物理的な試料の操作を伴う。一部の実施形態では、決定することは、例えば、関連する分析を行うように適合されたコンピュータ又は他の処理ユニットを利用した、データ又は情報の検討及び/又は操作を伴う。一部の実施形態では、決定することは、供給源から関連情報及び/又は資料を受信することを伴う。一部の実施形態では、決定することは、試料又は実体の1つ以上の特徴を、比較可能な参照物と比較することを伴う。
【0040】
カプセル化された:「カプセル化された」という用語は、別の材料によって完全に囲まれている物質を指すために本明細書で使用される。
【0041】
賦形剤:本明細書で使用される場合、例えば、所望の一貫性又は安定化効果を提供するか、又はそれに寄与するために、薬学的組成物に含まれ得る非治療剤を指す。好適な薬学的賦形剤としては、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。
【0042】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」という用語は、核酸配列からの任意の遺伝子産生物の生成を指す。一部の実施形態では、遺伝子産生物は、転写産物であり得る。一部の実施形態では、遺伝子産生物は、ポリペプチドであり得る。一部の実施形態では、核酸配列の発現は、以下のうちの1つ以上を伴う:(1)DNA配列からのRNAテンプレートの産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/又は3’末端形成による)、(3)ポリペプチド若しくはタンパク質へのRNAの翻訳、及び/又は(4)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。
【0043】
ハロ脂肪族:「ハロ脂肪族」という用語は、1つ以上のハロゲン原子(例えば、1、2、3、4、5、6、又は7つのハロ、例えば、フルオロ、ヨード、ブロモ、又はクロロ)によって置換された脂肪族基を指す。一部の実施形態では、ハロ脂肪族基は、1~7つのハロゲン原子を含有する。一部の実施形態では、ハロ脂肪族基は、1~5つのハロゲン原子を含有する。一部の実施形態では、ハロ脂肪族基は、1~3つのハロゲン原子を含有する。
【0044】
ハロアルキル:「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン原子(例えば、1、2、3、4、5、6、又は7つのハロ、例えば、フルオロ、ヨード、ブロモ、又はクロロ)によって置換されたアルキル基を指す。一部の実施形態では、ハロアルキル基は、1~7つのハロゲン原子を含有する。一部の実施形態では、ハロアルキル基は、1~5つのハロゲン原子を含有する。一部の実施形態では、ハロアルキル基は、1~3つのハロゲン原子を含有する。
【0045】
ヘテロアルキレン:本明細書で使用される場合、「ヘテロアルキレン」又は「ヘテロアルキレニル」という用語は、炭素原子に加えて、1~5つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された直鎖(すなわち、分岐していない)又は分岐した二価のアルキル基(すなわち、二価の飽和炭化水素鎖)を示す。「ヘテロ原子」という用語について、以下に記載する。一部の実施形態では、ヘテロアルキレン基は、2~10個の炭素原子を含有し、1~3つの炭素原子が、任意選択的に、かつ独立して、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられる。一部の実施形態では、ヘテロアルキレン基は、2~8つの炭素原子を含有し、1~3つの炭素原子が、任意選択的に、かつ独立して、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられる。一部の実施形態では、ヘテロアルキレン基は、4~8つの炭素原子を含有し、1~3つの炭素原子が、任意選択的に、かつ独立して、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられる。一部の実施形態では、ヘテロアルキレン基は、2~5つの炭素原子を含有し、1~2つの炭素原子が、任意選択的に、かつ独立して、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられる。更に他の実施形態では、ヘテロアルキレン基は、1~3つの炭素原子を含有し、1つの炭素原子が、任意選択的に、かつ独立して、酸素、窒素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置き換えられる。好適なヘテロアルキレン基としては、限定されないが、-CH2O-、-(CH2)2O-、-CH2OCH2-、-O(CH2)2-、-(CH2)3O-、-(CH2)2OCH2-、-CH2O(CH2)2-、-O(CH2)3-、-(CH2)4O-、-(CH2)3OCH2-、-CH2O(CH2)3-、-(CH2)2O(CH2)2-、-O(CH2)4-が挙げられる。別段の定めがない限り、Cxヘテロアルキレンは、ヘテロ原子で置き換えられる前に、x個の炭素原子を有するヘテロアルキレンを指す。
【0046】
ヘテロアリール:「ヘテロアリール」、及び単独で又はより大きな部分、例えば、「ヘテロアラルキル」若しくは「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用される「ヘテロアル-」という用語は、5~10個の環原子(例えば、5~6員の単環式ヘテロアリール又は9~10員の二環式ヘテロアリール)を有し、6、10、又は14個のπ電子を環式アレイで共有し、炭素原子に加えて1~5つのヘテロ原子を有する、単環式又は二環式環基を指す。例示的なヘテロアリール基としては、限定されないが、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリドニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリミジニル、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、チエノピリミジニル、トリアゾロピリジニル、及びベンゾイソオキサゾリルが挙げられる。「ヘテロアリール」及び「ヘテロアル-」という用語はまた、本明細書で使用される場合、複素芳香族環が、1つ以上のアリール、脂環式、又はヘテロシクリル環に縮合され、ラジカル又は結合点が、複素芳香族環(すなわち、1~3つのヘテロ原子を有する二環式ヘテロアリール環)上に存在する基を含む。非限定的な例としては、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オン、及びベンゾイソオキサゾリルが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、又は「ヘテロ芳香族」という用語と互換的に使用され得、これらの用語のうちのいずれも、任意選択的に置換された環を含む。
【0047】
ヘテロ原子:「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素のうちの1つ以上(窒素、硫黄、リン、若しくはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形態、又は;複素環式環の置換可能な窒素、例えばN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるように)、NH(ピロリジニルにおけるように)、又はNR+(N-置換ピロリジニルにおけるように)を含む)を意味する。
【0048】
複素環:「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」、及び「複素環式環」という用語は、本明細書において互換的に使用され、飽和又は部分的に不飽和のいずれかであり、炭素原子に加えて、上に定義される1~4つなどの1つ以上のヘテロ原子を有する、安定した3~8員の単環式、7~12員の二環式、又は10~16員の多環式複素環式部分を指す。複素環の環原子に関して使用される場合、「窒素」という用語は、置換された窒素を含む。一例として、酸素、硫黄、又は窒素から選択される0~3つのヘテロ原子を有する飽和又は部分的に不飽和の環では、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるように)、NH(ピロリジニルにおけるように)、又はNR
+(N置換ピロリジニルにおけるように)であり得る。複素環式環は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子又は炭素原子でそのペンダント基に結合され得、環原子のうちのいずれかは、任意選択的に置換され得る。そのような飽和又は部分的に不飽和の複素環式ラジカルの例としては、限定されないが、アゼチジニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、ピペリジニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル、チアモルホリニル、及び
【化3】
が挙げられる。ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式、又は多環式、好ましくは単環式、二環式、又は三環式、より好ましくは単環式又は二環式であり得る。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルによって置換されたアルキル基を指し、アルキル部分及びヘテロシクリル部分が、独立して、任意選択的に置換される。二環式複素環式環はまた、複素環式環が、1つ以上のアリール、ヘテロアリール、又は脂環式環に縮合されている基を含む。例示的な二環式複素環基としては、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾジオキソリル、1,3-ジヒドロイソベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、及びテトラヒドロキノリニルが挙げられる。二環式複素環式環はまた、スピロ環式環系(例えば、炭素原子に加えて、上に定義される1つ以上のヘテロ原子(例えば、1、2、3、又は4つのヘテロ原子)を有する7~11員のスピロ環式縮合複素環式環)であり得る。二環式複素環式環はまた、架橋した環系(例えば、1、2、又は3つの架橋原子を有する7~11員の架橋した複素環式環)であり得る。
【0049】
阻害剤:本明細書で使用される場合、「阻害剤」という用語は、その存在、レベル、又は程度が、標的のレベル又は活性の減少と相関する実体、状態、又は事象を指す)。一部の実施形態では、阻害剤は、直接的に作用し得(この場合、例えば、標的に結合することによって、その標的に直接影響を及ぼす)、一部の実施形態では、阻害剤は、間接的に作用し得る(この場合、標的のレベル及び/又は活性が低減するように、標的の調節因子と相互作用する、及び/又は標的の調節因子を変化させることによってその影響を及ぼす)。一部の実施形態では、阻害剤は、特定の参照レベル又は活性と比較して低減された(例えば、既知の阻害剤の存在、又は問題の阻害剤の非存在などの適切な参照条件下で観察される)標的レベル又は活性と、存在又はレベルが相関するものである。
【0050】
インビトロ:本明細書で使用される「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境、例えば、試験管又は反応容器内、細胞培養物中などにおいて生じる事象を指す。
【0051】
単離された:本明細書で使用される場合、(1)(自然界及び/又は実験的環境で)最初に産生されるときに関連する構成成分のうちの少なくとも一部から分離された、並びに/又は(2)人間の手によって設計され、産生され、調製され、及び/若しくは製造された物質及び/又は実体を指す。単離された物質及び/又は実体は、それらが最初に関連する他の構成成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超から分離され得る。一部の実施形態では、単離された薬剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の構成成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。一部の実施形態では、当業者によって理解されるであろうように、物質は、例えば、1つ以上の担体又は賦形剤など(例えば、緩衝液、溶媒、水など)のある特定の他の構成成分と組み合わせた後に、依然として「単離された」か又は更には「純粋」であるとみなされ得、そのような実施形態では、物質の単離又は純度のパーセントは、そのような担体又は賦形剤を含まずに計算される。一例を挙げると、一部の実施形態では、自然界で生じるポリペプチド又はポリヌクレオチドなどの生体ポリマーは、a)その起源又は誘導源が、自然界でその天然の状態でそれに付随する構成成分の一部又は全てと関連しないことに基づいて、b)自然界でそれを産生する種からの同じ種の他のポリペプチド又は核酸を実質的に含まない場合、c)自然界でそれを産生する種のものではない細胞又は他の発現系からの構成成分によって発現されるか、又は関連する場合、「単離された」とみなされる。したがって、例えば、一部の実施形態では、化学的に合成されるか、又は自然界でそれを産生するものとは異なる細胞系で合成されるポリペプチドは、「単離された」ポリペプチドであるとみなされる。代替的又は追加的に、一部の実施形態では、1つ以上の精製技法を施されているポリペプチドは、a)それが自然界で関連する他の構成成分、及び/又はb)最初に産生されたときに関連していた他の構成成分から分離されている程度まで、「単離された」ポリペプチドであるとみなされ得る。
【0052】
インビボ:本明細書で使用される場合、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物内で生じる事象を指す。細胞ベースのシステムの文脈では、該用語は、(例えば、インビトロシステムとは対照的に)生細胞内で生じる事象を指すために使用され得る。
【0053】
リンカー:本明細書で使用される場合、異なる要素を互いに接続する多要素薬剤のその部分を指すために使用される。例えば、当業者は、その構造に2つ以上の機能的又は組織的ドメインを含むポリペプチドが、多くの場合、それらを互いに連結するそのようなドメイン間の一続きのアミノ酸を含むことを理解する。一部の実施形態では、リンカー要素「L」を含むポリペプチドは、一般形態S1-L’-S2の全体的な構造を有し、S1及びS2が、同じであっても異なっていてもよく、リンカーによって互いに会合している2つのドメインを表し得る。一部の実施形態では、ポリペプチドリンカーは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100以上のアミノ酸長である。一部の実施形態では、リンカーは、剛性の三次元構造を採用する傾向がなく、むしろポリペプチドに柔軟性を提供することを特徴とする。当該技術分野において既知のポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を操作する場合に適切に使用することができる様々な異なるリンカー要素(例えば、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448、Poljak,R.J.,et al.(1994)Structure 2:1 121-1123を参照されたい)。
【0054】
ナノ粒子:本明細書で使用される場合、「ナノ粒子」という用語は、1000ナノメートル(nm)未満の直径を有する粒子を指す。一部の実施形態では、ナノ粒子は、National Science Foundationによって定義されるように、300nm未満の直径を有する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、National Institutes of Healthによって定義されるように、100nm未満の直径を有する。一部の実施形態では、ナノ粒子は、ミセル膜によってバルク溶液から分離された密閉区画を含むという点でミセルであり、典型的には、(例えば、管腔を画定するように)空間又は区画を囲み、封入する両親媒性実体で構成される。一部の実施形態では、ミセル膜は、例えば、生体適合性及び/又は生分解性のポリマーなどの少なくとも1つのポリマーで構成される。一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約30~約170nmの平均流体力学的直径を有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、平均流体力学的直径を有し得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、50nm~100nmの平均流体力学的直径を有する。
【0055】
ナノ粒子組成物:本明細書で使用される場合、「ナノ粒子組成物」という用語は、少なくとも1つのナノ粒子と、少なくとも1つの追加の薬剤又は構成成分とを含有する組成物を指す。一部の実施形態では、ナノ粒子組成物は、本明細書に記載の実質的に均一なナノ粒子の集合体を含有する。
【0056】
核酸:本明細書で使用される場合、その最も広い意味で、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、又は組み込まれ得る任意の化合物及び/又は物質を指す。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合を介してオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、又は組み込まれ得る化合物及び/又は物質である。文脈から明らかであろうように、一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/又はヌクレオシド)を指し、一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、RNAであるか、又はそれを含み、一部の実施形態では、「核酸」は、DNAであるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上の天然核酸残基であるか、1つ以上の天然核酸残基を含むか、又は1つ以上の天然核酸残基からなる。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上の核酸類似体であるか、1つ以上の核酸類似体を含むか、又は1つ以上の核酸類似体からなる。一部の実施形態では、核酸類似体は、ホスホジエステル骨格を利用しない点において核酸と異なる。例えば、一部の実施形態では、核酸は、当該技術分野において既知であり、ホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を骨格に有する1つ以上の「ペプチド核酸」であるか、それを含むか、又はそれからなり、本発明の範囲内であるとみなされる。代替的又は追加的に、一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合ではなく、1つ以上のホスホロチオ酸塩及び/又は5’-N-ホスホラミダイト結合を有する。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン及びデオキシシチジン)であるか、1つ以上の天然ヌクレオシドを含むか、又は1つ以上の天然ヌクレオシドからなる。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上のヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレートした塩基、及びそれらの組み合わせ)であるか、それらを含むか、又はそれらからなる。一部の実施形態では、核酸は、天然核酸中の糖類と比較して、1つ以上の修飾された糖類(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース及びヘキソース)を含む。一部の実施形態では、核酸は、RNA又はタンパク質などの機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、1つ以上のイントロンを含む。一部の実施形態では、核酸は、天然源からの単離、(インビボ又はインビトロでの)相補的テンプレートに基づく重合による酵素的合成、組換え細胞又は系における再産生、及び化学的合成のうちの1つ以上によって調製される。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000以上の残基の長さである。一部の実施形態では、核酸は、部分的又は完全に一本鎖であり、一部の実施形態では、核酸は、部分的又は完全に二本鎖である。一部の実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードするか、又はポリペプチドをコードする配列の相補である少なくとも1つの要素を含むヌクレオチド配列を有する。一部の実施形態では、核酸は、酵素活性を有する。
【0057】
操作可能に連結された:本明細書で使用される場合、記載された構成成分が、それらが意図された様式で機能することを可能にする関係にある並置を指す。機能的要素に「操作可能に連結された」制御要素は、機能的要素の発現及び/又は活性が、制御要素と適合性である条件下で達成されるような様式で、機能的要素に会合している。一部の実施形態では、「操作可能に連結された」制御要素は、目的のコード要素と連続しており(例えば、共有結合している)、一部の実施形態では、制御要素は、目的の機能的要素にトランスで、又は目的の機能的要素で作用する。
【0058】
本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics,75th Edに従って同定される。追加的に、有機化学の一般原則は、それらの内容全体が参照により本明細書に援用される、“Organic Chemistry”,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999、及び“March’s Advanced Organic Chemistry”,5thEd.,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley&Sons,New York:(2001))に記載されている。
【0059】
非経口:本明細書で使用される「非経口投与」及び「非経口投与される」という語句は、通常、注射による腸内及び局所投与以外の投与様式を指す、それらの当該技術分野において理解される意味を有し、限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心室内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、及び胸骨内の注射及び注入が挙げられる。
【0060】
患者:本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、提供される組成物が、例えば、実験的、診断的、予防的、美容的、及び/又は治療的目的のために投与されるか、又は投与され得る任意の生物を指す。典型的な患者としては、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、及び/又はヒトなどの哺乳類)が挙げられる。一部の実施形態では、患者は、ヒトである。一部の実施形態では、患者は、1つ以上の障害又は状態を患っている、又はそれらにかかりやすい。一部の実施形態では、患者は、障害又は状態の1つ以上の症状を示す。一部の実施形態では、患者は、1つ以上の障害又は状態を有すると診断されたことがある。一部の実施形態では、障害又は状態は、がん、又は1つ以上の腫瘍が存在するか、又はそれらを含む。一部の実施形態では、患者は、疾患、障害、又は状態を診断及び/又は治療するためのある特定の療法を受けているか、又は受けたことがある。
【0061】
薬学的組成物:本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された活性薬剤を指す。一部の実施形態では、活性薬剤は、関連する集団に投与されると、所定の治療効果を達成する統計的に顕著な確率を示す治療レジメンでの投与に適切な単位用量の量で存在する。一部の実施形態では、薬学的組成物は、固体又は液体の形態での投与のために特別に製剤化され得、経口投与、例えば、ドレンチ(水性又は非水性の溶液又は懸濁液)、錠剤、例えば、口腔、舌下、及び全身吸収を標的とするもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌に適用するためのペースト;例えば、無菌溶液若しくは懸濁液、若しくは持続放出製剤として非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内、若しくは硬膜外注射;例えば、クリーム、軟膏、若しくは制御放出パッチ、若しくは皮膚、肺、若しくは口腔に適用されるスプレーとして局所適用;例えば、ペッサリー、クリーム、若しくはフォームとして膣内若しくは直腸内;舌下;眼;経皮;又は鼻、肺、及び他の粘膜表面に適合するものが挙げられる。
【0062】
薬学的に許容される:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織と接触する使用に好適であり、合理的な利益/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形のものを指す。
【0063】
薬学的に許容される担体:本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、対象化合物を体のある臓器又は部分から体の別の臓器又は部分へと運搬又は輸送することに関与する、液体又は固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、又は溶媒をカプセル化する材料などの薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合するという意味で「許容され」、患者に害を及ぼさない必要がある。薬学的に許容される担体として機能することができる材料の一部の例としては、ラクトース、グルコース、及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロース、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースなどのその誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ酸無水物;並びに薬学的製剤に用いられる他の非毒性の適合する物質が挙げられる。
【0064】
薬学的に許容される塩:「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的文脈での使用に適切であるそのような化合物の塩、すなわち、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずに、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、合理的な利益/リスク比に見合う塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、S.M.Berge,et al.は、薬学的に許容される塩についてJ.Pharmaceutical Sciences,66:1-19(1977)に詳述している。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩としては、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及び過塩素酸などの無機酸で、又は酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸などの有機酸で、又はイオン交換などの当該技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である、非毒性の酸付加塩が挙げられる。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩としては、限定されないが、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンフォレート(camphorate)、カンファスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。一部の実施形態では、薬学的に許容される塩としては、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1~6つの炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを使用して形成される非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、及びアミンカチオンが挙げられる。
【0065】
防止する又は防止:本明細書で使用される場合、疾患、障害、及び/又は状態の発生に関連して使用される場合、疾患、障害、及び/若しくは状態を発症するリスクを低減すること、並びに/又は疾患、障害、若しくは状態の1つ以上の特徴若しくは症状の発症を遅延させることを指す。防止は、事前に定義された期間の間、疾患、障害、又は状態の発症を遅延させた場合、完了したとみなすことができる。
【0066】
タンパク質:本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合によって互いに連結された少なくとも2つのアミノ酸の鎖)を指す。タンパク質は、アミノ酸以外の部分(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカンなどであり得る)を含み得、かつ/又は処理若しくは修飾され得る。当業者は、「タンパク質」は、細胞によって産生される(シグナル配列の有無にかかわらず)完全なポリペプチド鎖であり得るか、又はその特徴的な部分であり得ることを理解するであろう。当業者は、タンパク質が、時折、例えば、1つ以上のジスルフィド結合によって連結されるか、又は他の手段によって会合した、2つ以上のポリペプチド鎖を含み得ることを理解するであろう。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、又はその両方を含有し得、当該技術分野において既知の様々なアミノ酸修飾又は類似体のうちのいずれかを含有し得る。有用な修飾としては、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが挙げられる。一部の実施形態では、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組み合わせを含み得る。「ペプチド」という用語は、一般に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、又は10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すために使用される。一部の実施形態では、タンパク質は、抗体、抗体断片、その生物学的に活性な部分、及び/又はその特徴的な部分である。
【0067】
ポリペプチド:「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、少なくとも3アミノ酸のポリマーのその技術分野において認識されている意味を有する。当業者は、「ポリペプチド」という用語が、本明細書に列挙される完全な配列を有するポリペプチドだけでなく、そのような完全なポリペプチドの機能的断片(すなわち、少なくとも1つの活性を保持する断片)を表すポリペプチドも包含するのに十分に一般的であることを意図することを理解するであろう。更に、当業者は、タンパク質配列が、一般に、活性を破壊することなく、いくつかの置換を許容することを理解している。したがって、活性を保持し、通常、少なくとも約30~40%の全体的な配列同一性、多くの場合、約50%、60%、70%、又は80%超の、更には通常、多くの場合、90%、又は更には、95%、96%、97%、98%、若しくは99%超の非常に高い同一性の少なくとも1つの領域を含む、少なくとも3~4つ、多くの場合最大20個以上のアミノ酸を包含する、1つ以上の高度に保存された領域を、同じ部類の別のポリペプチドと共有する任意のポリペプチドは、本明細書で使用される「ポリペプチド」という関連用語内に包含される。ポリペプチドは、L-アミノ酸、D-アミノ酸、又はその両方を含有し得、当該技術分野において既知の様々なアミノ酸修飾又は類似体のうちのいずれかを含有し得る。有用な修飾としては、例えば、末端アセチル化、アミド化、メチル化などが挙げられる。一部の実施形態では、タンパク質は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、合成アミノ酸、及びそれらの組み合わせを含み得る。「ペプチド」という用語は、一般に、約100アミノ酸未満、約50アミノ酸未満、20アミノ酸未満、又は10アミノ酸未満の長さを有するポリペプチドを指すために使用される。一部の実施形態では、タンパク質は、抗体、抗体断片、その生物学的に活性な部分、及び/又はその特徴的な部分である。
【0068】
防止:「防止」という用語は、本明細書で使用される場合、特定の疾患、障害、又は状態の1つ以上の症状の発症を遅延させること、並びに/又は頻度及び/若しくは重症度の低減を指す。一部の実施形態では、防止は、疾患、障害、又は状態にかかりやすい集団において、疾患、障害、又は状態の1つ以上の症状の発症、頻度、及び/又は強度の統計的に顕著な減少が観察される場合、薬剤が、特定の疾患、障害、又は状態を「防止する」とみなされるように、集団に基づいて評価される。防止は、事前に定義された期間の間、疾患、障害、又は状態の発症を遅延させた場合、完了したとみなすことができる。
【0069】
保護基:本明細書で使用される「保護基」という語句は、望ましくない化学的変換から潜在的に反応性官能基を保護する一時的な置換基を指す。そのような保護基の例としては、それぞれ、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、並びにアルデヒド及びケトンのアセタール及びケタールが挙げられる。「Si保護基」は、Si-トリアルキル(例えば、トリメチルシリル、トリブチルシリル、t-ブチルジメチルシリル)、Si-トリアリール、Si-アルキル-ジフェニル(例えば、t-ブチルジフェニルシリル)、又はSi-アリール-ジアルキル(例えば、Si-フェニルジアルキル)などのSi原子を含む保護基である。一般に、Si保護基は、酸素原子に結合される。保護基化学の分野が、考察されている(Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,2nd ed.;Wiley:New York,1991)。そのような保護基(及び関連する保護される部分)を、以下に詳述する。
【0070】
保護されるヒドロキシル基は、当該技術分野において周知であり、その全体が参照により本明細書に援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley&Sons,1999に詳述されているものが挙げられる。好適に保護されるヒドロキシル基の例としては、限定されないが、エステル、炭酸塩、スルホン酸塩、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテル、及びアルコキシアルキルエーテルが更に挙げられる。好適なエステルの例としては、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ペンタン酸塩、クロトン酸塩、及び安息香酸塩が挙げられる。好適なエステルの具体的な例としては、ギ酸塩、ギ酸ベンゾイル、クロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メトキシ酢酸塩、トリフェニルメトキシ酢酸塩、p-クロロフェノキシ酢酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、4-オキソペンタン酸塩、4,4-(エチレンジチオ)ペンタン酸塩、ピバル酸塩(トリメチル酢酸塩)、クロトン酸塩、4-メトキシ-クロトン酸塩、安息香酸塩、p-ベンジル安息香酸塩、2,4,6-トリメチル安息香酸塩が挙げられる。好適な炭酸塩の例としては、9-フルオレニルメチル、エチル、2,2,2-トリクロロエチル、2-(トリメチルシリル)エチル、2-(フェニルスルホニル)エチル、ビニル、アリル、及び炭酸p-ニトロベンジルが挙げられる。好適なシリルエーテルの例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリルエーテル、及び他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。好適なアルキルエーテルの例としては、メチル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、トリチル、t-ブチル、及びアリルエーテル、又はそれらの誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、メトキシメチル、メチルチオメチル、(2-メトキシエトキシ)メチル、ベンジルオキシメチル、ベータ-(トリメチルシリル)エトキシメチル、及びテトラヒドロピラン-2-イルエーテルなどのアセタールが挙げられる。好適なアリールアルキルエーテルの例としては、ベンジル、p-メトキシベンジル(MPM)、3,4-ジメトキシベンジル、O-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、p-ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、p-シアノベンジル、2-及び4-ピコリルエーテルが挙げられる。
【0071】
保護されるアミンは、当該技術分野において周知であり、Greene(1999)に詳述されているものが挙げられる。好適なモノ保護アミンとしては、限定されないが、アラルキルアミン、カルバミン酸塩、アリルアミン、アミドなどが更に挙げられる。好適なモノ保護アミノ部分の例としては、t-ブチルオキシカルボニルアミノ(-NHBOC)、エチルオキシカルボニルアミノ、メチルオキシカルボニルアミノ、トリクロロエチルオキシカルボニルアミノ、アリルオキシカルボニルアミノ(-NHAlloc)、ベンジルオキソカルボニルアミノ(-NHCBZ)、アリルアミノ、ベンジルアミノ(-NHBn)、フルオレニルメチルカルボニル(-NHFmoc)、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、ジクロアセトアミド、トリクロアセトアミド、フェニルアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、ベンズアミド、t-ブチルジフェニルシリルなどが挙げられる。好適なジ保護(di-protected)アミンとしては、モノ保護アミンとして上述したものから独立して選択される2つの置換基で置換されたアミンが挙げられ、更に、フタルイミド、マレイミド、スクシンイミドなどの環式イミドが挙げられる。また、好適なジ保護アミンとしては、ピロールなど、2,2,5,5-テトラメチル-[1,2,5]アザジシロリジンなど、及びアジドが挙げられる。
【0072】
保護されるアルデヒドは、当該技術分野において周知であり、Greene(1999)に詳述されているものが挙げられる。好適に保護されるアルデヒドとしては、限定されないが、非環式アセタール、環式アセタール、ヒドラゾン、イミンなどが更に挙げられる。そのような基の例としては、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジイソプロピルアセタール、ジベンジルアセタール、ビス(2-ニトロベンジル)アセタール、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、セミカルバゾン、及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0073】
保護されるカルボン酸は、当該技術分野において周知であり、Greene(1999)に詳述されているものが挙げられる。好適な保護されるカルボン酸としては、限定されないが、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族エステル、任意選択的に置換されたアリールエステル、シリルエステル、活性化エステル、アミド、ヒドラジドなどが更に挙げられる。そのようなエステル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ベンジル、及びフェニルエステルが挙げられ、各基は、任意選択的に置換される。追加の好適な保護されるカルボン酸としては、オキサゾリン及びオルトエステルが挙げられる。
【0074】
保護されるチオールは、当該技術分野において周知であり、Greene(1999)に詳述されているものが挙げられる。好適に保護されるチオールとしては、限定されないが、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオ炭酸塩、及びチオカルバミン酸塩などが更に挙げられる。そのような基の例としては、限定されないが、ほんの数例を挙げれば、アルキルチオエーテル、ベンジル、及び置換ベンジルチオエーテル、トリフェニルメチルチオエーテル、並びにトリクロロエトキシカルボニルチオエステルが挙げられる。
【0075】
タンパク質:「タンパク質」という用語は、本明細書で使用される場合、別個の単位として機能する1つ以上のポリペプチドを指す。単一のポリペプチドが別個の機能単位であり、別個の機能単位を形成するために他のポリペプチドとの永続的又は一時的な物理的会合を必要としない場合、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、互換的に使用され得る。別個の機能的単位が、互いに物理的に会合する2つ以上のポリペプチドで構成される場合、「タンパク質」という用語は、物理的に会合し、かつ別個の単位として一緒に機能する複数のポリペプチドを指すために使用され得る。一部の実施形態では、タンパク質は、アミノ酸以外の部分(例えば、糖タンパク質、プロテオグリカンなどであり得る)を含み得、かつ/又は処理若しくは修飾され得る。当業者は、一部の実施形態では、「タンパク質」という用語が、細胞によって産生される完全なポリペプチド鎖(例えば、シグナル配列を含むか又は含まない)、及び/又は細胞内で活性である形態(例えば、切断された形態又は複合体化された形態)を指し得ることを理解するであろう。タンパク質が複数のポリペプチド鎖で構成される一部の実施形態では、そのような鎖は、例えば、1つ以上のジスルフィド結合によって、互いに共有結合的に会合し得るか、又は他の手段によって会合し得る。
【0076】
純粋:本明細書で使用される場合、薬剤又は実体は、他の構成成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。例えば、特定の薬剤又は実体を約90%超含有する調製物は、典型的には、純粋な調製物であるとみなされる。一部の実施形態では、薬剤又は実体は、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%純粋である。
【0077】
参照:本明細書で使用される場合、基準又は対照について記載しており、それらと比較して比較が行われる。例えば、一部の実施形態では、目的の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、又は値は、参照又は対照薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、又は値と比較される。一部の実施形態では、参照又は対照は、目的の試験若しくは決定と実質的に同時に試験され、かつ/又は決定される。一部の実施形態では、参照又は対照は、歴史的な参照又は対照であり、任意選択的に、有形媒体で具現化される。典型的には、当業者に理解されるように、参照又は対照は、評価されるものと同等の条件若しくは状況下で決定されるか、又は特徴評価される。当業者は、特定の可能な参照若しくは対照に対する信頼及び/又は比較を正当化するのに十分な類似性がいつ存在するかを理解するだろう。
【0078】
試料:本明細書で使用される場合、「試料」という用語は、典型的には、本明細書に記載の目的の源から得られるか、又はそれに由来する材料のアリコートを指す。一部の実施形態では、目的の源は、生物学的又は環境的源である。一部の実施形態では、目的の源は、細胞、又は微生物、植物、若しくは動物(例えば、ヒト)などの生物であり得るか、又はそれらを含み得る。一部の実施形態では、目的の源は、生体組織又は流体であるか、又はそれらを含む。一部の実施形態では、生体組織又は流体は、羊水、房水、腹水、胆汁、骨髄、血液、母乳、脳脊髄液、耳垢、乳糜、チャイム(chime)、射精液、内リンパ液、滲出液、糞便、胃酸、胃液、リンパ、粘液、心嚢水、外リンパ液、腹腔液、胸膜液、膿、目ヤニ、唾液、皮脂、精液、血清、恥垢、痰、滑液、汗、涙、尿、膣分泌物、硝子体、嘔吐物、及び/又はそれらの組み合わせ若しくは構成成分(複数可)であり得るか、又はそれらを含み得る。一部の実施形態では、生体液は、細胞内液、細胞外液、血管内液(血漿)、間質液、リンパ液、及び/又は細胞間液であり得るか、又はそれらを含み得る。一部の実施形態では、生体液は、植物滲出物であり得るか、又はそれを含み得る。一部の実施形態では、生体組織又は試料は、例えば、吸引、生検(例えば、細針生検又は組織生検)、スワブ(例えば、口腔、鼻、皮膚、又は膣スワブ)、擦過、手術、洗浄又は洗浄(例えば、気管支肺胞、乳管、鼻、眼、口腔、子宮、膣、又は他の洗浄又は洗浄)によって得ることができる。一部の実施形態では、生体試料は、個体から得られた細胞であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、試料は、任意の適切な手段によって目的の供給源から直接得られる「一次試料」である。一部の実施形態では、文脈から明らかであろうように、「試料」という用語は、一次試料を処理することによって(例えば、1つ以上の構成成分を除去することによって及び/又は1つ以上の薬剤を添加することによって)得られる調製物を指す。例えば、半透過性膜を使用して濾過すること。そのような「処理された試料」は、例えば、試料から抽出されたか、又は核酸の増幅若しくは逆転写、ある特定の構成成分の単離及び/若しくは精製などの1つ以上の技法を一次試料に施すことによって得られた、核酸又はタンパク質を含み得る。
【0079】
安定なナノ粒子組成物:「安定な」という用語は、本明細書の組成物に適用される場合、組成物が、一定期間にわたって、それらの物理的構造(例えば、粒子のサイズ範囲及び/又は分布)の1つ以上の態様を維持することを意味する。一部の実施形態では、安定なナノ粒子組成物は、平均粒径、最大粒径、粒径の範囲、及び/又は粒径の分布(すなわち、指定されたサイズを上回る、及び/又は指定されたサイズの範囲外の粒子のパーセンテージ)が、定められた条件下で一定期間維持されるものである。一部の実施形態では、安定な提供される組成物は、生物学的に関連する活性が一定期間維持されるものである。一部の実施形態では、期間は、少なくとも約1時間であり、一部の実施形態では、期間は、約5時間、約10時間、約1(1)日、約1(1)週間、約2(2)週間、約1(1)か月、約2(2)か月、約3(3)か月、約4(4)か月、約5(5)か月、約6(6)か月、約8(8)か月、約10(10)か月、約12(12)か月、約24(24)か月、約36(36)か月、又はそれ以上である。一部の実施形態では、期間は、約1(1)日~約24(24)か月、約2(2)週間~約12(12)か月、約2(2)か月~約5(5)か月などの範囲内である。例えば、ナノ粒子の集団が、長期間の保管、温度変化、及び/又はpH変化を施され、組成物中のナノ粒子の大部分が、記載の範囲内の直径を維持する場合、ナノ粒子組成物は、安定である。一部の実施形態では、安定な組成物は、周囲条件で安定である。一部の実施形態では、安定な組成物は、生物学的条件下で(すなわち、リン酸緩衝生理食塩水中37℃で)安定である。
【0080】
ステロリル:「ステロリル」という用語は、本明細書で使用される場合、飽和又は部分的に不飽和であり、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されており、任意の置換可能な炭素又は酸素原子で分子の残りの部分に単一結合点を有する17員縮合多環式環部分を指す。一部の実施形態では、ステロリル基は、コレステロリル基、又はそのバリアント若しくは誘導体である。一部の実施形態では、コレステロリル基は、修飾されている。一部の実施形態では、コレステロリル基は、酸化された(例えば、ベータ環構造又は炭化水素尾部構造で酸化された)コレステロリル基である。一部の実施形態では、コレステロリル基は、エステル化コレステロリル基である。一部の実施形態では、ステロリル基は、フィトステロリル基である。例示的なステロリル基としては、限定されないが、25-ヒドロキシコレステロリル(25-OH)、20α-ヒドロキシコレステロリル(20α-OH)、27-ヒドロキシコレステロリル、6-ケト-5α-ヒドロキシコレステロリル、7-ケトコレステロリル、7β-ヒドロキシコレステロリル、7α-ヒドロキシコレステロリル、7β-25-ジヒドロキシコレステロリル、ベータ-シトステロリル、スティグマステロリル、ブラシカステロリル(brassicasterolyl)、及びカンペステロリル(campesterolyl)が挙げられる。
【0081】
対象:本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、生物、典型的には、哺乳類(例えば、一部の実施形態では、出生前のヒト形態を含むヒト)を指す。一部の実施形態では、対象は、関連する疾患、障害、又は状態を患っている。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態にかかりやすい。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態の、1つ以上の症状又は特徴を示す。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態の、症状又は特徴を何ら示さない。一部の実施形態では、対象は、疾患、障害、又は状態にかかりやすいか、又はかかりやすいリスクがある特徴を1つ以上有する者である。一部の実施形態では、対象は、患者である。一部の実施形態では、対象は、診断及び/又は治療が実施されるか、及び/又は実施された個体である。
【0082】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴又は性質の全体若しくはほぼ全体の程度又は度合いを示す定性的な状態を指す。生物学の当業者は、生物学的現象及び化学的現象が、完全に終了すること、及び/又は完全に終了することに向けて進むこと、又は絶対的な結果を達成するか、又は回避することは、もしあるとしてもまれであることを理解するだろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物学的現象及び化学的現象に内在する潜在的に完全に終了することはないことを捕捉するために本明細書で使用される。
【0083】
置換されたか又は任意選択的に置換された:本明細書に記載の本開示の化合物は、任意選択的に置換された及び/又は置換された部分を含有し得る。一般に、「置換された」という用語は、「任意選択的に」という用語が前に付されるか否かにかかわらず、指定された部分の1つ以上の水素が好適な置換基で置き換えられることを意味する。「置換された」は、1つ以上の水素に適用され、構造から明示的又は暗示的のいずれかである(例えば、
【化4】
は、少なくとも
【化5】
を指し、
【化6】
は、少なくとも
【化7】
を指す)。別段の指示がない限り、「任意選択的に置換された」基は、基の各々の置換可能な位置に好適な置換基を有してもよく、任意の所与の構造内の2つ以上の位置が、特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、置換基は、全ての位置で同じであっても異なってもよい。本開示によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な又は化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。「安定」という用語は、本明細書で使用される場合、それらの産生、検出、並びにある特定の実施形態では、それらの回収、精製、及び本明細書に開示の目的のうちの1つ以上での使用を可能にする条件を施される場合、実質的に変化しない化合物を指す。「置換された」と記載される基は、1~4つの置換基、より好ましくは1~2つの置換基を有することが好ましい。「任意選択的に置換された」と記載される基は、上に記載されるように、非置換であっても、「置換されて」いてもよい。
【0084】
好適な一価の置換基としては、ハロゲン;-(CH2)0-4R°;-(CH2)0-4OR°;-O(CH2)0-4Ro、-O-(CH2)0-4C(O)OR°;-(CH2)0-4CH(OR°)2;R°で置換され得る-(CH2)0-4Ph;R°で置換され得る-(CH2)0-4O(CH2)0-1Ph;R°で置換され得る-CH=CHPh;R°で置換され得る-(CH2)0-4O(CH2)0-1-ピリジニル;-NO2;-CN;-N3;-(CH2)0-4N(R°)2;-(CH2)0-4N(R°)C(O)R°;-N(R°)C(S)R°;-(CH2)0-4N(R°)C(O)NR°2;-N(R°)C(S)NR°2;-(CH2)0-4N(R°)C(O)OR°;-N(R°)N(R°)C(O)R°;-N(R°)N(R°)C(O)NR°2;-N(R°)N(R°)C(O)OR°;-(CH2)0-4C(O)R°;-C(S)R°;-(CH2)0-4C(O)OR°;-(CH2)0-4C(O)SR°;-(CH2)0-4C(O)OSiR°3;-(CH2)0-4OC(O)R°;-OC(O)(CH2)0-4SR°-;-SC(S)SR°;-(CH2)0-4SC(O)R°;-(CH2)0-4C(O)NR°2;-C(S)NR°2;-C(S)SR°;-SC(S)SR°;-(CH2)0-4OC(O)NR°2;-C(O)N(OR°)R°;-C(O)C(O)R°;-C(O)CH2C(O)R°;-C(NOR°)R°;-(CH2)0-4SSR°;-(CH2)0-4S(O)2R°;-(CH2)0-4S(O)2OR°;-(CH2)0-4OS(O)2R°;-S(O)2NR°2;-(CH2)0-4S(O)R°;-N(R°)S(O)2NR°2;-N(R°)S(O)2R°;-N(OR°)R°;-C(NH)NR°2;-P(O)2R°;-P(O)R°2;-OP(O)R°2;-OP(O)(OR°)2;-SiR°3;-OSiR°3;-(C1-4直鎖若しくは分岐したアルキレン)O-N(R°)2;又は-(C1-4直鎖若しくは分岐したアルキレン)C(O)O-N(R°)2が挙げられ、各R°が、以下に定義されるように置換され得、独立して、水素、C1-6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、-CH2-(5~6員のヘテロアリール環)、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和の環、若しくはアリール環であるか、あるいは、上に定義されてはいるが、独立した2つのR°の出現が、それらの介在する原子と一緒になって、以下に定義されるように置換され得る窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する3~12員の飽和、部分的に不飽和の環、又はアリール単環式若しくは二環式環を形成する。
【0085】
R°(又は独立した2つのR°の出現が、介在する原子と一緒になって形成する環)上の好適な一価の置換基は、独立して、ハロゲン、-(CH2)0-2R●、-(ハロR●)、-(CH2)0-2OH、-(CH2)0-2OR●、-(CH2)0-2CH(OR●)2;-O(ハロR●)、-CN、-N3、-(CH2)0-2C(O)R●、-(CH2)0-2C(O)OH、-(CH2)0-2C(O)OR●、-(CH2)0-2C(O)NH2、-(CH2)0-2C(O)NHR●、-(CH2)0-2C(O)NR●
2、-(CH2)0-2SR●、-(CH2)0-2SH、-(CH2)0-2NH2、-(CH2)0-2NHR●、-(CH2)0-2NR●
2、-NO2、-SiR●
3、-OSiR●
3、-C(O)SR●
、-(C1-4直鎖若しくは分岐したアルキレン)C(O)OR●、又は-SSR●であり、各R●が、非置換であるか、あるいは「ハロ」が先行する場合、1つ以上のハロゲンでのみ置換され、C1-4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和の環、若しくはアリール環から独立して選択される。R°の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基としては、=O及び=Sが挙げられる。
【0086】
好適な二価の置換基としては、以下:=O、=S、=NNR*
2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R*
2))2-3O-、又は-S(C(R*
2))2-3S-が挙げられ、各々独立したR*の出現が、水素、以下に定義されるように置換され得るC1-6脂肪族、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和の環、若しくはアリール環から選択される。「任意選択的に置換された」基の近位の置換可能な炭素に結合する好適な二価の置換基としては、-O(CR*
2)2-3O-が挙げられ、各々独立したR*の出現が、水素、以下に定義されるように置換され得るC1-6脂肪族、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和の環、若しくはアリール環から選択される。
【0087】
R*の脂肪族基上の好適な置換基としては、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2、又は-NO2が挙げられ、各R●が、非置換であるか、あるいは「ハロ」が先行する場合、1つ以上のハロゲンでのみ置換されており、独立して、C1-4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和の環、若しくはアリール環である。
【0088】
一部の実施形態では、置換可能な窒素上の好適な置換基としては、-R†、-NR†
2、-C(O)R†、-C(O)OR†、-C(O)C(O)R†、-C(O)CH2C(O)R†、-S(O)2R†、-S(O)2NR†
2、-C(S)NR†
2、-C(NH)NR†
2、又は-N(R†)S(O)2R†が挙げられ、各R†が、独立して、水素、以下に定義されるように置換され得るC1-6脂肪族、非置換の-OPh、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和、部分的に不飽和の環、若しくはアリール環であるか、あるいは、上に定義されてはいるが、独立した2つのR†の出現が、介在する原子(複数可)と一緒になって、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する非置換の3~12員の飽和、部分的に不飽和の環、又はアリール単環式若しくは二環式環を形成する。
【0089】
R*の脂肪族基上の好適な置換基は、独立して、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2、又は-NO2であり、各R●が、非置換であるか、あるいは「ハロ」が先行する場合、1つ以上のハロゲンでのみ置換されており、独立して、C1-4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0-1Ph、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する5~6員の飽和、部分的に不飽和の環、若しくはアリール環である。
【0090】
別段の記載がない限り、本明細書に示される構造はまた、構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び幾何学的(又は立体構造))形態、例えば、各非対称中心のR及びS構成、Z及びE二重結合異性体、並びにZ及びE立体異性体を含むことを意味する。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体、並びに鏡像異性体、ジアステレオマー、及び幾何学的(又は立体構造)混合物は、本発明の範囲内である。別段の記載がない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。追加的に、別段の記載がない限り、本明細書に示される構造は、1つ以上の同位体的に濃縮された原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことも意図される。例えば、重水素若しくはトリチウムに水素を置き換えること、又は13C若しくは14Cが濃縮された炭素に炭素を置き換えることを含む、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、分析ツールとして、生物学的アッセイのプローブとして、又は本発明による治療剤として有用である。
【0091】
かかりやすい:疾患、障害、又は状態に「かかりやすい」個体は、疾患、障害、又は状態を発症するリスクがある。一部の実施形態では、疾患、障害、又は状態にかかりやすい個体は、疾患、障害、又は状態のいかなる症状も示していない。一部の実施形態では、疾患、障害、又は状態にかかりやすい個体は、疾患、障害、及び/又は状態を有すると診断されたことがない。一部の実施形態では、疾患、障害、又は状態にかかりやすい個体は、疾患、障害、又は状態の発症に関連する状態に曝されたことがある個体である。一部の実施形態では、疾患、障害、及び/又は状態を発症するリスクは、集団に基づくリスク(例えば、疾患、障害、又は状態を患っている個人の家族)である。
【0092】
全身性:本明細書で使用される「全身投与」、「全身投与される」、「末梢投与」、及び「末梢投与される」という語句は、レシピエントの系に入るように、化合物又は組成物の投与を指すそれらの技術分野において理解される意味を有する。
【0093】
互変異性形態:本明細書で使用される「互変異性形態」という語句は、容易な相互変換が可能である有機化合物の異なる異性体形態について記載するために使用される。互変異性体は、単結合及び隣接する二重結合のスイッチを伴う、水素原子又はプロトンの形態的な移動を特徴とし得る。一部の実施形態では、互変異性体は、プロトトロピック互変異性(すなわち、プロトンの再配置)から生じ得る。一部の実施形態では、互変異性体は、原子価互変異性(すなわち、結合電子の急速な再編成)から生じ得る。そのような全ての互変異性形態は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。一部の実施形態では、化合物の互変異性形態は、別々の物質を調製する試みが混合物の形成をもたらすように、互いに移動平衡で存在する。一部の実施形態では、化合物の互変異性形態は、分離可能かつ単離可能な化合物である。本開示の一部の実施形態では、化合物の単一の互変異性形態の純粋な調製物であるか、又はそれを含む化学組成物が提供され得る。一部の実施形態では、化学組成物は、化合物の2つ以上の互変異性形態の混合物として提供され得る。ある特定の実施形態では、そのような混合物は、等量の異なる互変異性形態を含有し、ある特定の実施形態では、そのような混合物は、異なる量の少なくとも2つの異なる互変異性形態の化合物を含有する。本開示の一部の実施形態では、化学組成物は、化合物の全ての互変異性形態を含有し得る。本開示の一部の実施形態では、化学組成物は、化合物の全てよりも少ない互変異性形態を含有し得る。本開示の一部の実施形態では、化学組成物は、相互変換の結果として経時的に変動する量で、1つ以上の互変異性形態の化合物を含有し得る。本開示の一部の実施形態では、互変異性は、ケト-エノール互変異性である。ケト-エノール互変異性体は、化学技術分野において既知の任意の好適な試薬を使用して「捕捉」(すなわち、「エノール」形態であり続けるように化学的修飾)されて、その後、当該技術分野において既知の1つ以上の好適な技法を使用して単離され得るエノール誘導体を提供することができることを、当業者は認識するであろう。別段の指示がない限り、本開示は、純粋な形態であるか、又は互いに混合しているかにかかわらず、関連する化合物の全ての互変異性形態を包含する。
【0094】
治療剤:本明細書で使用される場合、「治療剤」という語句は、対象に投与されると、治療効果を有し、並びに/又は所望の生物学的及び/若しくは薬理学的効果を誘発する薬剤を指す。一部の実施形態では、治療剤は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状又は特徴の緩和、改善、軽減、阻害、防止、それらの発症の遅延、重症度の低減、及び/又は発生率の低減のために使用され得る任意の物質である。
【0095】
治療有効量:本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、治療レジメンの一部として投与されると、所望の生物学的応答を誘発する物質(例えば、治療剤、組成物、及び/又は製剤)の量を意味する。一部の実施形態では、物質の治療有効量は、疾患、障害、及び/又は状態を患っているか、又はそれらにかかりやすい対象に投与されると、疾患、障害、及び/又は状態の治療、診断、阻害、改善、防止、及び/又はそれらの発症の遅延に十分な量である。当業者によって理解されるであろうように、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される物質、標的細胞又は組織などのそのような要因に応じて変動し得る。例えば、疾患、障害、及び/又は状態を治療するための製剤中の化合物の有効量は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状又は特徴を緩和、改善、軽減、阻害、防止する、それらの発症を遅延させる、重症度を低減する、及び/又は発生率を低減する量である。一部の実施形態では、治療有効量は、単回用量で投与され、一部の実施形態では、治療有効量を送達するために、複数の単位用量が必要である。正確な投与量は、対象に応じた変数(例えば、年齢、免疫系の健康状態など)、疾患、及び実施される治療などの様々な要因に応じて変動するであろう。
【0096】
「組織」及び/又は「臓器」:本明細書で使用される場合、「組織」及び/又は「臓器」という用語は、別段の定めがない限り、凝集体形態、例えば、臓器の小部分、並びに分散した細胞、例えば、骨髄細胞及び子孫細胞、血液産生幹細胞及び子孫、並びに様々な他の血液要素を含む、筋肉、心筋、肝臓、又は腎臓から分散、単離、及び/又は成長した細胞における生存可能な細胞材料を指す。一部の実施形態では、組織及び/又は臓器は、腎臓、心臓肝臓、胃、脾臓、膵臓、肺、脳、眼、腸、膀胱、皮膚又は皮膚組織、血管、静脈、動脈、心臓弁、精子、及び卵母細胞(複数可)を指す。本明細書で使用される場合、「臓器」という用語は、固体臓器、例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、並びに臓器の機能的部分、例えば、皮膚の一部、動脈、静脈、移植可能な肝葉、腎臓、肺の切片などの両方を包含する。
【0097】
治療:本明細書で使用される場合、「治療」(また、「治療する」又は「治療すること」)という用語は、特定の疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状、特徴、及び/又は原因を部分的に又は完全に緩和、改善、軽減、阻害する、それらの発症を遅延させる、重症度を低減する、及び/又は発生率を低減する療法の加療を指す。一部の実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害、及び/若しくは状態の兆候を示していない対象、並びに/又は疾患、障害、及び/若しくは状態の早期兆候のみを示している対象の治療であり得る。代替的又は追加的に、そのような治療は、関連する疾患、障害及び/又は状態の1つ以上の確立された兆候を示す対象のものであってもよい。一部の実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態を患っていると診断された対象の治療であり得る。一部の実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態の発症のリスクの増加と統計的に相関する、1つ以上の感受性因子を有することが分かっている対象の治療であり得る。したがって、一部の実施形態では、治療は、予防的であり得、一部の実施形態では、治療的であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本開示は、記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の構成成分のうちの1つ以上の選択及び組み合わせが、所望のトロピズム、安定化、及び薬物送達有効性などの脂質ナノ粒子の機能的活性に影響を与えることについて記載する。とりわけ、本発明は、標的細胞及び/又は組織への治療剤及び/又は予防剤の送達のための組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。例えば、本開示は、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料に使用するための脂質化合物について記載する。一部の実施形態では、組成物、調製物、及び/又はナノ材料は、指定された標的細胞、組織、及び/又は臓器にカーゴを運搬するLNPを含む。
【0099】
I.脂質ナノ粒子(LNP)
本発明は、脂質ナノ粒子を含む組成物、調製物、及び/又はナノ材料を提供する。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、1つ以上の構成成分を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、化合物、イオン化可能な脂質、ステロール、コンジュゲート-リンカー脂質、及びリン脂質などの1つ以上の構成成分を含む。とりわけ、本開示は、本明細書に記載の構成成分のうちの1つ以上の選択及び組み合わせが、直径、pKa、安定化、及びイオン化性などの脂質ナノ粒子の特徴に影響を与えることについて記載する。
【0100】
とりわけ、本開示は、本明細書に記載の構成成分のうちの1つ以上の選択及び組み合わせが、トロピズム、安定化、及び薬物送達有効性などの脂質ナノ粒子の機能的活性に影響を与えることについて記載する。例えば、本開示は、構成成分の組み合わせが、siRNAの送達により良好に適し得ることについて記載する。別の例として、本開示は、構成成分の組み合わせが、mRNAの送達により良好に適し得ることについて記載する。別の例として、本開示は、構成成分の組み合わせが、DNAの送達により良好に適し得ることについて記載する。
【0101】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の1つ以上の化合物を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の1つ以上のイオン化可能な脂質を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の1つ以上のステロールを含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の1つ以上のコンジュゲート-リンカー脂質を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、本明細書に記載の1つ以上のリン脂質を含む。
【0102】
A.化合物
とりわけ、本開示は、本明細書に記載の1つ以上の化合物を含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。
【0103】
一部の実施形態では、本開示は、式Iの化合物:
【化8】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、
L
1及びL
1’の各々が、独立して、C
1-6アルキレンであり、
L
2及びL
2’の各々が、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NR
b-で置き換えられ、
Y
1及びY
1’の各々が、独立して、-C(O)-又は-C(O)O-であり、
Y
2及びY
2’の各々が、独立して、存在しないか、-OC(O)-、-C(O)O-、又は-OC(O)O-であり、
R及びR’の各々が、独立して、水素、
【化9】
であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基であり、
L
3a及びL
3a’の各々が、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NR
b-で置き換えられ、
R
a及びR
a’の各々が、独立して、水素であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基であり、
X
1が、存在しないか、-O-、-S-、又は-NR
b-であり、
X
2が、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-
12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-、-NR
b-、又は-Cy
A-で置き換えられ、
Cy
Aが、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のカルボシクリレン、フェニレン、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレン、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される、任意選択的に置換された環であり、
X
3が、水素であるか、又は3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、フェニル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のヘテロシクリル、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリールから選択される、任意選択的に置換された基であり、
各R
bが、独立して、水素、又は任意選択的に置換されたC
1-
6脂肪族基である、化合物、若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0104】
一部の実施形態では、本開示は、式I-Aの化合物:
【化10】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、L
1、L
1’、L
2、L
2’、Y
2、Y
2’、R、R’、X
1、X
2、及びX
3の各々が、本明細書に記載のクラス及びサブクラスで、単一で、及び組み合わせての両方で、上に記載されるとおりである、化合物、若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0105】
一部の実施形態では、本開示は、式I-A-aの化合物:
【化11】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、L
1、L
1’、L
2、L
2’、L
3a、L
3a’、Y
2、R、R
a、R
a’、X
1、X
2、及びX
3の各々が、本明細書に記載のクラス及びサブクラスで、単一で、及び組み合わせての両方で、上に記載されるとおりである、化合物、若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0106】
一部の実施形態では、本開示は、式I-A-bの化合物:
【化12】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、L
1、L
1’、L
2、L
2’、L
3a、L
3a’、Y
2’、R’、R
a、R
a’、X
1、X
2、及びX
3の各々が、本明細書に記載のクラス及びサブクラスで、単一で、及び組み合わせての両方で、上に記載されるとおりである、化合物、若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0107】
一部の実施形態では、本開示は、式I-A-cの化合物:
【化13】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、L
1、L
1’、L
2、L
2’、L
3a、L
3a’、R
a、R
a’、X
1、X
2、及びX
3の各々が、本明細書に記載のクラス及びサブクラスで、単一で、及び組み合わせての両方で、上に記載されるとおりである、化合物、若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
【0108】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、L1は、C1-6アルキレンである。一部の実施形態では、L1は、C1-4アルキレンである。一部の実施形態では、L1は、C1-3アルキレンである。一部の実施形態では、L1は、-(CH2)2-、-(CH2)3-、又は-(CH2)4-である。
【0109】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、L1’は、C1-6アルキレンである。一部の実施形態では、L1’は、C1-4アルキレンである。一部の実施形態では、L1’は、C1-3アルキレンである。一部の実施形態では、L1’は、-(CH2)2-、-(CH2)3-、又は-(CH2)4-である。
【0110】
一部の実施形態では、L1及びL1’は、同じである。一部の実施形態では、L1及びL1’は、異なる。
【0111】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、L2は、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L2は、存在しない。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC2-7炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-5炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-3炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC2-7炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC1-5炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC1-3炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2は、-(CH2)2-である。一部の実施形態では、L2は、-(CH2)4-、-(CH2)6-、又は-(CH2)7-である。
【0112】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、L2’は、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L2’は、存在しない。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC2-7炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-5炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-3炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC2-7炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC1-5炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、任意選択的に置換された二価の飽和した直鎖又は分岐したC1-3炭化水素鎖である。一部の実施形態では、L2’は、-(CH2)2-である。一部の実施形態では、L2’は、-(CH2)4-、-(CH2)6-、又は-(CH2)7-である。
【0113】
一部の実施形態では、L2及びL2’は、同じである。一部の実施形態では、L2及びL2’は、異なる。
【0114】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、Y1は、-C(O)-、又は-C(O)O-である。一部の実施形態では、Y1は、-C(O)-である。一部の実施形態では、Y1は、-C(O)O-である。Y1が-C(O)O-である場合、Y1のカルボニルは、式Iに示される酸素に結合し、Y1の酸素は、カーボネート部分(例えば、-O-C(O)-O-L2-)が形成されるように、L2に結合することが理解されるであろう。
【0115】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、Y1’は、-C(O)-、又は-C(O)O-である。一部の実施形態では、Y1’は、-C(O)-である。一部の実施形態では、Y1’は、-C(O)O-である。Y1’が-C(O)O-である場合、Y1’のカルボニルは、式Iに示される酸素に結合し、Y1’の酸素は、カーボネート部分(例えば、-O-C(O)-O-L2’-)が形成されるように、L2’に結合することが理解されるであろう。
【0116】
一部の実施形態では、Y1及びY1’は、同じである。一部の実施形態では、Y1及びY1’は、異なる。
【0117】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、Y2は、存在しないか、-OC(O)-、-C(O)O-、又は-OC(O)O-である。一部の実施形態では、Y2は、存在しない。一部の実施形態では、Y2は、-OC(O)-、-C(O)O-、又は-OC(O)O-である。一部の実施形態では、Y2は、-OC(O)-又は-C(O)O-である。一部の実施形態では、Y2は、-OC(O)-である。一部の実施形態では、Y2は、-C(O)O-である。一部の実施形態では、Y2は、-OC(O)O-である。
【0118】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、Y2’は、存在しないか、-OC(O)-、-C(O)O-、又は-OC(O)O-である。一部の実施形態では、Y2’は、存在しない。一部の実施形態では、Y2’は、-OC(O)-、-C(O)O-、又は-OC(O)O-である。一部の実施形態では、Y2’は、-OC(O)-又は-C(O)O-である。一部の実施形態では、Y2’は、-OC(O)-である。一部の実施形態では、Y2’は、-C(O)O-である。一部の実施形態では、Y2’は、-OC(O)O-である。
【0119】
一部の実施形態では、Y2及びY2’は、同じである。一部の実施形態では、Y2及びY2’は、異なる。
【0120】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、Rは、水素、
【化14】
であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基である。一部の実施形態では、Rは、
【化15】
である。一部の実施形態では、Rは、任意選択的に置換されたC
6-20脂肪族である。一部の実施形態では、Rは、任意選択的に置換されたC
9-20脂肪族である。一部の実施形態では、Rは、任意選択的に置換されたC
15-20脂肪族である。一部の実施形態では、Rは、C
6-20脂肪族である。一部の実施形態では、Rは、C
9-20脂肪族である。一部の実施形態では、Rは、C
15-20脂肪族である。一部の実施形態では、Rは、C
6-20アルキルである。一部の実施形態では、Rは、C
9-20アルキルである。一部の実施形態では、Rは、C
15-20アルキルである。一部の実施形態では、Rは、C
6-20アルケニルである。一部の実施形態では、Rは、C
9-20アルケニルである。一部の実施形態では、Rは、C
15-20アルケニルである。
【0121】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、R’は、水素、
【化16】
であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基である。一部の実施形態では、R’は、
【化17】
である。一部の実施形態では、R’は、任意選択的に置換されたC
6-20脂肪族である。一部の実施形態では、R’は、任意選択的に置換されたC
9-20脂肪族である。一部の実施形態では、R’は、任意選択的に置換されたC
15-20脂肪族である。一部の実施形態では、R’は、C
6-20脂肪族である。一部の実施形態では、R’は、C
9-20脂肪族である。一部の実施形態では、R’は、C
15-20脂肪族である。一部の実施形態では、R’は、C
6-20アルキルである。一部の実施形態では、R’は、C
9-20アルキルである。一部の実施形態では、R’は、C
15-20アルキルである。一部の実施形態では、R’は、C
6-20アルケニルである。一部の実施形態では、R’は、C
9-20アルケニルである。一部の実施形態では、R’は、C
15-20アルケニルである。
【0122】
一部の実施形態では、R及びR’は、同じである。一部の実施形態では、R及びR’は、異なる。
【0123】
一部の実施形態では、-L
2-Y
2-R及び-L
2’-Y
2’-R’の各々は、独立して、
【化18】
である。
【0124】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、各L3aは、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L3aは、存在しない。一部の実施形態では、L3aは、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L3aは、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖である。
【0125】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、各L3a’は、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L3a’は、存在しない。一部の実施形態では、L3a’は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、L3a’は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-10炭化水素鎖である。
【0126】
一部の実施形態では、L3a及びL3a’は、同じである。一部の実施形態では、L3a及びL3a’は、異なる。
【0127】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、各Raが、独立して、水素であるか、又はC6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基である。一部の実施形態では、Raは、任意選択的に置換されたC6-20脂肪族である。一部の実施形態では、Raは、任意選択的に置換されたC6-12脂肪族である。一部の実施形態では、Raは、任意選択的に置換されたC7-9脂肪族である。一部の実施形態では、Raは、C6-20脂肪族である。一部の実施形態では、Raは、C6-12脂肪族である。一部の実施形態では、Raは、C7-9脂肪族である。一部の実施形態では、Raは、C6-20アルキルである。一部の実施形態では、Raは、C6-12アルキルである。一部の実施形態では、Raは、C7-9アルキルである。一部の実施形態では、Raは、C6-20アルケニルである。一部の実施形態では、Raは、C6-12アルケニルである。一部の実施形態では、Raは、C7-9アルケニルである。
【0128】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、各Ra’が、独立して、水素であるか、又はC6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基である。一部の実施形態では、Ra’は、任意選択的に置換されたC6-20脂肪族である。一部の実施形態では、Ra’は、任意選択的に置換されたC6-12脂肪族である。一部の実施形態では、Ra’は、任意選択的に置換されたC7-9脂肪族である。一部の実施形態では、Ra’は、C6-20脂肪族である。一部の実施形態では、Ra’は、C6-12脂肪族である。一部の実施形態では、Ra’は、C7-9脂肪族である。一部の実施形態では、Ra’は、C6-20アルキルである。一部の実施形態では、Ra’は、C6-12アルキルである。一部の実施形態では、Ra’は、C7-9アルキルである。一部の実施形態では、Ra’は、C6-20アルケニルである。一部の実施形態では、Ra’は、C6-12アルケニルである。一部の実施形態では、Ra’は、C7-9アルケニルである。
【0129】
一部の実施形態では、Ra及びRa’は、同じである。一部の実施形態では、Ra及びRa’は、異なる。
【0130】
一部の実施形態では、-L
3a-R
a及び-L
3a’-R
a’の各々は、独立して、
【化19】
である。
【0131】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、X1は、存在しないか、-O-、-S-、又は-NRb-である。一部の実施形態では、X1は、存在しない。一部の実施形態では、X1は、-O-、-S-、又は-NRb-である。一部の実施形態では、X1は、-O-である。一部の実施形態では、X1は、-S-である。一部の実施形態では、X1は、-NRb-である。
【0132】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、X2は、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC1-12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-、-NRb-、又は-CyA-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、存在しない。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-、-NRb-、又は-CyA-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-6炭化水素鎖であり、1つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和の直鎖又は分岐したC1-6炭化水素鎖であり、1つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-NRb-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-CyA-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-6炭化水素鎖であり、1つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-CyA-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和の直鎖又は分岐したC1-6炭化水素鎖であり、1つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-CyA-で置き換えられる。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-12炭化水素鎖である。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC1-6炭化水素鎖である。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和の直鎖又は分岐したC1-12炭化水素鎖である。一部の実施形態では、X2は、任意選択的に置換された二価の飽和の直鎖又は分岐したC1-6炭化水素鎖である。
【0133】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、CyAは、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のカルボシクリレン、フェニレン、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレン、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される、任意選択的に置換された二価の環である。一部の実施形態では、CyAは、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレンである。一部の実施形態では、CyAは、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する、5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレンである。一部の実施形態では、CyAは、1~2つの窒素を有する、5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレンである。一部の実施形態では、CyAは、1~2つの窒素を有する、5~6員の飽和のヘテロシクリレンである。一部の実施形態では、CyAは、ピロリジン又はピペリジン環である。
【0134】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、X3は、水素であるか、あるいは3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、フェニル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のヘテロシクリル、又は窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリールから選択される、任意選択的に置換された基である。一部の実施形態では、X3は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、X3は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~2つのヘテロ原子を有する、任意選択的に置換された5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、X3は、1~2つの窒素を有する、任意選択的に置換された5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、X3は、1~2つの窒素を有する、任意選択的に置換された5~6員の飽和ヘテロシクリル(例えば、1~2つの窒素を有し、1つ以上のC1-6アルキルで任意選択的に置換された、5~6員の飽和ヘテロシクリル)である。一部の実施形態では、X3は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、X3は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~2つのヘテロ原子を有する、5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、X3は、1~2つの窒素を有する、5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、X3は、1~2つの窒素を有し、1つ以上のC1-6アルキルで任意選択的に置換された、5~6員の飽和のヘテロシクリルである。一部の実施形態では、X3は、1つ以上のC1-6アルキル(例えば、メチル又はエチル)で任意選択的に置換されたピロリジン又はピペリジンである。
【0135】
一部の実施形態では、-X
2-X
3は、
【化20】
である。
【0136】
本明細書に記載のいずれかの式の一部の実施形態では、各Rbは、独立して、水素、又は任意選択的に置換されたC1-6脂肪族基である。一部の実施形態では、Rbは、水素である。一部の実施形態では、Rbは、任意選択的に置換されたC1-6脂肪族である。一部の実施形態では、Rbは、任意選択的に置換されたC1-3脂肪族である。一部の実施形態では、Rbは、C1-6アルキルである。一部の実施形態では、Rbは、C1-3アルキルである。一部の実施形態では、Rbは、-CH3又は-CH2CH3である。
【0137】
「[化合物/式]若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、i)それぞれの化合物若しくは式、又はii)そのような化合物若しくは式のN-オキシドの、薬学的に許容される塩を指すことが理解されるであろう。
【0138】
一部の実施形態では、本開示は、表1から選択される化合物を提供する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
又はその薬学的に許容される塩。
【0139】
式I、I-A、I-A-a、I-A-b、及びI-A-cのうちのいずれかの上述の定義によって別段の定め又は禁止がない限り、上に定義され、本明細書のクラス及びサブクラスに記載されるように、変数L1、L1’、L2、L2’、Y1、Y1’、Y2、Y2’、R、R’、L3a、L3a’、Ra、Ra’、CyA、Rb、X1、X2、及びX3の実施形態は、単一で、及び組み合わせての両方で、式I、I-A、I-A-a、I-A-b、及びI-A-cのうちのいずれかの化合物に適用されることが理解されるだろう。
【0140】
一部の実施形態では、提供される化合物は、式I、I-A、I-A-a、I-A-b、及びI-A-cのうちのいずれかの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩である。
【0141】
一部の実施形態では、提供される化合物は、塩形態(例えば、薬学的に許容される塩形態)で提供され、及び/又は利用される。本明細書で提供される化合物への言及は、別段の指示がない限り、その塩への言及を含むことが理解される。
【0142】
本開示全体を通じて、別段の指示がない限り、式Iの化合物への言及は、式I-A、I-A-a、I-A-b、及びI-A-cのうちのいずれか、並びに本明細書に開示のそのような式の化合物種も含むことが意図されることが理解されるであろう。
【0143】
一部の実施形態では、本開示は、提供される化合物が、例えば、参照化合物又は他の既知の化合物と比較して、ある特定の望ましい特徴を示すという認識を包含する。例えば、一部の実施形態では、提供される化合物は、本明細書に記載の1つ以上の実験において、様々な細胞型へのより強力な送達を示し、かつ/又はそれらを、他の既知の化合物よりも、治療剤若しくは予防剤などのカーゴの送達により好適にする1つ以上の他の特徴を有する。任意の特定の理論に拘束されることを望むものではないが、本開示は、三価コア(例えば、二級トリオールに由来する)特徴を含む提供される化合物が、同じ三価コア特徴を欠く対応する化合物よりもある特定のより望ましい特徴(例えば、本明細書に記載の1つ以上の実験における様々な細胞型へのより強力な送達)を示すという認識を包含する。
【0144】
B.提供される化合物の調製
提供される化合物は、一般に、後に続くスキーム及び実施例に記載のプロセスによって作製することができる。
【0145】
C.イオン化可能な脂質
とりわけ、本開示は、本明細書に記載の1つ以上のイオン化可能な脂質を含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。
【0146】
とりわけ、異なる比のイオン化可能な脂質が、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の所望のトロピズム、安定化、及び薬物送達有効性などの1つ以上の機能的活性に影響を及ぼすことが驚くべきことに見出された。例えば、本開示は、当該技術分野において記載される量とは異なるイオン化可能な脂質の量(それらの両方の内容全体が参照により本明細書に援用される、例えば、米国特許第8,058,069B2号を参照するか、又は例えば、米国特許第9,364,435号を参照されたい)が、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の1つ以上の機能的活性に重要である、及び/又は影響を及ぼすという驚くべき発見を示す。例えば、一部の実施形態では、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、約50molパーセント以下であるイオン化可能な脂質を有する組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、本明細書に記載の所望のトロピズム、安定化、及び薬物送達有効性などの脂質ナノ粒子の機能的活性に有用及び/又は重要であることが見出された。
【0147】
一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、頭部基上にアミン含有基を含み得る。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、本明細書に記載の化合物であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、脂質ナノ粒子(LNP)調製物中に約30モルパーセント~約70モルパーセント存在する。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、約33molパーセント~約60モルパーセント存在する。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、約34molパーセント~約55モルパーセント存在する。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、約33molパーセント~約51モルパーセント存在する。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、約34.7モルパーセントで存在する。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、約50モルパーセントで存在する。
【0148】
とりわけ、一部の実施形態では、脂質ナノ粒子組成物は、イオン化可能な脂質を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子調製物は、イオン化可能な脂質と、リン脂質と、コンジュゲート-リンカー脂質と、コレステロールとを含む。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、本明細書に記載の化合物による構造であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、イオン化可能な脂質は、脂質ナノ粒子の構成成分の総モルに基づいて、LNP調製物中に約30モルパーセント~約70モルパーセント存在する。
【0149】
D.ステロール
とりわけ、本開示は、本明細書に記載の1つ以上のステロールを含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。
【0150】
一部の実施形態では、ステロールは、コレステロール、又はそのバリアント若しくは誘導体である。一部の実施形態では、コレステロールは、修飾されている。一部の実施形態では、コレステロールは、酸化コレステロールである。一部の実施形態では、コレステロールは、エステル化コレステロールである。未修飾コレステロールは、酵素によって作用して、酸化された側鎖又は環であるバリアントを形成し得る。一部の実施形態では、コレステロールは、ベータ-環構造又は炭化水素尾部構造上で酸化され得る。一部の実施形態では、ステロールは、フィトステロールである。本開示の脂質ナノ粒子での使用が考慮される例示的なステロールとしては、限定されないが、25-ヒドロキシコレステロール(25-OH)、20α-ヒドロキシコレステロール(20α-OH)、27-ヒドロキシコレステロール、6-ケト-5α-ヒドロキシコレステロール、7-ケトコレステロール、7β-ヒドロキシコレステロール、7α-ヒドロキシコレステロール、7β-25-ジヒドロキシコレステロール、ベータ-シトステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、又はそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、側鎖酸化コレステロールは、他のコレステロールバリアントと比較して、カーゴ送達を増強し得る。一部の実施形態では、コレステロールは、未修飾コレステロールである。
【0151】
一部の実施形態では、LNP組成物は、約20molパーセント~約50molパーセントのステロールを含む。一部の実施形態では、LNP組成物は、約38molパーセントのステロールを含む。一部の実施形態では、LNP組成物は、約38.5molパーセントのステロールを含む。一部の実施形態では、LNP組成物は、約33.8molパーセントのコレステロールを含む。
【0152】
E.コンジュゲート-リンカー脂質
とりわけ、本開示は、本明細書に記載の1つ以上のコンジュゲート-リンカー脂質を含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。
【0153】
一部の実施形態では、コンジュゲート-リンカー脂質は、ポリエチレングリコール(PEG)脂質又はPEG修飾脂質であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、PEG又はPEG修飾脂質は、PEG化脂質又はPEG脂質と代替的に称され得る。インビトロでの脂質ナノ粒子コロイド安定性及びインビボでの循環時間を増強するために、PEG化脂質を含めることが使用され得る。一部の実施形態では、PEG部分が、血液循環中に徐々に放出されるという点で、PEG化は可逆的である。例示的なPEG脂質としては、限定されないが、C6-C20の長さを有する飽和又は不飽和アルキル鎖にコンジュゲートされたPEGが挙げられる。PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド(PEG-CER)、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール(PEG-DAG)、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びそれらの混合物。例えば、一部の実施形態では、PEG脂質は、PEG-c-DOMG、PEG-DMG、PEG-DLPE、PEG-DMPE、PEG-DPPE、PEG-DSG、又はPEG-DSPE脂質であり得る。
【0154】
一部の実施形態では、コンジュゲート-リンカー脂質は、ポリエチレングリコール脂質を含む。一部の実施形態では、コンジュゲート-リンカー脂質は、ジミスチルグリセロール(DMG)、1,2-ジパルミトイル-rac-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(DPG-PEG)、又は1,2-ジステアロイル-rac-グリセロ-3-メチルポリオキシエチレン(DSG-PEG)を含む。一部の実施形態では、コンジュゲート-リンカー脂質は、約500Da~約5000Daの平均分子量を有する。一部の実施形態では、コンジュゲート-リンカー脂質は、約2000Daの平均分子量を有する。一部の実施形態では、LNP組成物は、約0molパーセント~約5molパーセントのコンジュゲート-リンカー脂質を含む。一部の実施形態では、LNP組成物は、約1.5molパーセントのコンジュゲート-リンカー脂質を含む。一部の実施形態では、LNP組成物は、約3molパーセントのコンジュゲート-リンカー脂質を含む。
【0155】
F.リン脂質
とりわけ、本開示は、本明細書に記載の1つ以上のリン脂質を含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。一部の実施形態では、本開示は、1つ以上の(ポリ)不飽和脂質を含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。
【0156】
一部の実施形態では、1つ以上のリン脂質は、1つ以上の脂質二重層へと組み立てられ得る。一部の実施形態では、1つ以上のリン脂質は、リン脂質部分を含み得る。一部の実施形態では、1つ以上のリン脂質は、1つ以上の脂肪酸部分を含み得る。一部の実施形態では、1つ以上のリン脂質は、リン脂質部分と、1つ以上の脂肪酸部分とを含み得る。一部の実施形態では、リン脂質部分としては、限定されないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、2-リゾホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンが挙げられる。一部の実施形態では、脂肪酸部分としては、限定されないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファリノレン酸、エルカ酸、フィタン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ベヘン酸、ドコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。また、分岐、酸化、環化、及びアルキンを含む修飾及び置換を有する天然種を含む非天然種も企図される。例えば、リン脂質は、1つ以上のアルキン(例えば、1つ以上の二重結合が三重結合で置き換えられたアルケニル基)で官能化又は架橋され得る。適切な反応条件下では、アルキン基は、アジドへの曝露時に銅触媒環化付加を受け得る。そのような反応は、ナノ粒子組成物の脂質二重層を官能化して、膜透過若しくは細胞認識を容易にすること、又はナノ粒子組成物を、標的化又は撮像部分(例えば、染料)などの有用な構成成分にコンジュゲートすることに有用であり得る。
【0157】
例示的なリン脂質としては、限定されないが、1,2-ジステアロイル-snグリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロホスホコリン(DUPC)、l-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイルl-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシルsnグリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME16.0PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1、2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、ジステアロイル-ホスファチジル-エタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイルホスホエタノールアミン(DMPE)、1-ステアロイル-2-オレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、1-ステアロイル-2オレオイルホスファチジルコリン(SOPC)、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。一部の実施形態では、リン脂質は、DSPCである。一部の実施形態では、リン脂質は、DMPCである。
【0158】
一部の実施形態では、リン脂質は、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)(スクシニルPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、コレステロール、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(スクシニル)(スクシニル-DPPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC))、又はそれらの組み合わせを含む。
【0159】
G.直径
とりわけ、本開示は、約30~約220nmの平均流体力学的直径を有する組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、195nm、200nm、205nm、210nm、215nm、220nm、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、平均流体力学的直径を有する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、50nm~200nmの平均流体力学的直径を有する。
【0160】
一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約30~約220nmの平均流体力学的直径を有する。一部の実施形態では、本明細書に脂質ナノ粒子は、約30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nm、95nm、100nm、105nm、110nm、115nm、120nm、125nm、130nm、135nm、140nm、145nm、150nm、155nm、160nm、165nm、170nm、175nm、180nm、185nm、190nm、195nm、200nm、205nm、210nm、215nm、220nm、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、平均流体力学的直径を有する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、50nm~200nmの平均流体力学的直径を有する。
【0161】
H.多分散性
とりわけ、本開示は、約0.01~約0.3の多分散性指数(PDI)を有する組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する、任意の範囲であるPDIを有する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、約0.05~約0.2、約0.06~約0.1、又は約0.07~約0.09のPDIを有する。
【0162】
一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約0.01~約0.3のPDIを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、PDIを有する。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約0.05~約0.2、約0.06~約0.1、又は約0.07~約0.09のPDIを有する。
【0163】
I.カプセル化効率
とりわけ、本開示は、提供される組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料のカプセル化効率が、約80%~約100%である、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料のカプセル化効率は、約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、100%、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料のカプセル化効率は、約90%~約100%、約95%~約100%、約95%~約98%、又は約95.5%~約97.5%である。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料のカプセル化効率は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%である。
【0164】
一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子のカプセル化効率は、約80%~約100%である。一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子のカプセル化効率は、約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%、100%、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子のカプセル化効率は、約90%~約100%、約95%~約100%、約95%~約98%、又は約95.5%~約97.5%である。一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子のカプセル化効率は、少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%である。
【0165】
J.pKa
とりわけ、本開示は、約5~約9のpKaを有する組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料について記載する。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、約5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、pKaを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、pKaを有する。
【0166】
一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約5~約9のpKaを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、pKaを有する。一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、又は前述の値のうちのいずれか2つによって定義される終点を有する任意の範囲である、pKaを有する。
【0167】
II.例示的なLNP調製物
本発明は、脂質ナノ粒子を含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子調製物は、約30モルパーセント~約70モルパーセントのイオン化可能な脂質と、約5モルパーセント~約25モルパーセントのリン脂質と、約25モルパーセント~約45モルパーセントのコレステロールと、約0モルパーセント~約5モルパーセントのコンジュゲート-リンカー脂質とを含む。
【0168】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子調製物は、約45モルパーセントのイオン化可能な脂質と、約9モルパーセントのリン脂質と、約44モルパーセントのコレステロールと、約2モルパーセントのコンジュゲート-リンカー脂質とを含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子調製物は、約50モルパーセントのイオン化可能な脂質と、約9モルパーセントのリン脂質、約38モルパーセントのコレステロールと、約3モルパーセントのコンジュゲート-リンカー脂質とを含む。
【0169】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子調製物は、約40モルパーセント~約60モルパーセントの任意の提供される化合物のイオン化可能な脂質と、約5モルパーセント~約15モルパーセントの1-2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンと、約1モルパーセント~約5モルパーセントのC14PEG2000と、約30モルパーセント~約47モルパーセントのコレステロールとを、これら4つの成分の総モルに基づいて含む。
【0170】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)調製物は、約2:1~及び50:1の質量比の(イオン化可能な脂質、コレステロール、脂質-PEG、及びリン脂質):mRNAを含む。一部の実施形態では、LNP調製物は、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約21:1、約22:1、約23:1、約24:1、約25:1、約26:1、約27:1、約28:1、約29:1、約30:1、約31:1、約32:1、約33:1、約34:1、約35:1、約36:1、約37:1、約38:1、約39:1、約40:1、約41:1、約42:1、約43:1、約44:1、約45:1、約46:1、約47:1、約48:1、約49:1、約50:1の質量比の(イオン化可能な脂質、コレステロール、脂質-PEG、及びリン脂質):mRNAを含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)調製物は、約11.7:1~及び19:1の質量比の(イオン化可能な脂質、コレステロール、脂質-PEG、及びリン脂質):mRNAを含む。
【0171】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子調製物は、約2:1~及び50:1の質量比の(イオン化可能な脂質、コレステロール、脂質-PEG、及びリン脂質):siRNAを含む。一部の実施形態では、LNP調製物は、約2:1、約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1、約21:1、約22:1、約23:1、約24:1、約25:1、約26:1、約27:1、約28:1、約29:1、約30:1、約31:1、約32:1、約33:1、約34:1、約35:1、約36:1、約37:1、約38:1、約39:1、約40:1、約41:1、約42:1、約43:1、約44:1、約45:1、約46:1、約47:1、約48:1、約49:1、約50:1の質量比の(イオン化可能な脂質、コレステロール、脂質-PEG、及びリン脂質):mRNAを含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子(LNP)調製物は、約11.7:1~及び19:1の質量比の(イオン化可能な脂質、コレステロール、脂質-PEG、及びリン脂質):mRNAを含む。
【0172】
一部の実施形態では、LNP調製物は、RNAなどの1つ以上の核酸を含む。一部の実施形態では、LNP調製物中の1つ以上の核酸(例えば、RNA)、脂質、及びそれらの量を選択して、特定のN/P比を提供してもよい。N/P比は、約1~約30から選択することができる。N/P比は、約2~約12から選択することができる。一部の実施形態では、N/P比は、約0.1~約50である。一部の実施形態では、N/P比は、約2~約8である。一部の実施形態では、N/P比は、約2~約15、約2~約10、約2~約8、約2~約6、約3~約15、約3~約10、約3~約8、約3~約6、約4~約15、約4~約10、約4~約8、約4~約6、又は約5~約7である。一部の実施形態では、N/P比は、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約9、又は約10である。一部の実施形態では、N/P比は、約4~約6である。一部の実施形態では、N/P比は、約4、約4.5、約5、約5.5、又は約6である。
【0173】
本明細書で使用される場合、「N/P比」は、脂質(又は複数の脂質)中の(例えば、生理学的pH範囲内で)イオン化可能な窒素原子と核酸分子実体(又は複数の核酸分子実体)中の、例えば脂質構成成分及びRNAを含むナノ粒子組成物中の、リン酸基とのモル比である。イオン化可能な窒素原子は、例えば、約pH1、約pH2、約pH3、約pH4、約pH4.5、約pH5、約pH5.5、約pH6、約pH6.5、約pH7、約pH7.5、又は約pH8、又はそれ以上でプロトン化することができる窒素原子を含み得る。生理学的pH範囲は、例えば、異なる細胞区画(臓器、組織、及び細胞など)及び体液(血液、CSF、胃液、乳、胆汁、唾液、涙、及び尿など)のpH範囲を含み得る。ある特定の具体的な実施形態では、生理学的pH範囲は、哺乳類における血液のpH範囲、例えば、約7.35~約7.45を指す。同様に、1つ以上のイオン化可能な窒素原子を有するリン酸電荷中和剤について、N/P比は、核酸中のリン酸基に対するリン酸電荷中和剤中のイオン化可能な窒素原子のモル比を指し得る。一部の実施形態では、イオン化可能な窒素原子は、5~14のpHの範囲内でイオン化可能な窒素原子を指す。
【0174】
III.薬学的組成物
本発明は、薬学的組成物を含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。とりわけ、一部の実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に記載の脂質ナノ粒子及び脂質ナノ粒子調製物を含む。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子及び脂質ナノ粒子調製物は、薬学的組成物として全体的又は部分的に製剤化され得る。
【0175】
一部の実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に記載の1つ以上のナノ粒子組成物を含み得る。例えば、薬学的組成物は、限定されないが、異なる種類の1つ以上の核酸を含む1つ以上の異なる治療薬及び/若しくは予防薬を含む1つ以上のナノ粒子組成物を含み得るか、又は異なる薬剤をコードし得る。一部の実施形態では、薬学的組成物は、限定されないが、薬学的に許容される担体を含む、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤又は補助成分を含む。
【0176】
薬学的組成物は、対象に投与され得る。一部の実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に記載のように投与される。一部のインビボアプローチでは、本明細書に開示のナノ粒子組成物は、本明細書に記載の治療有効量で対象に投与される。
【0177】
一部の実施形態では、当業者は、レシピエントの治療的背景、年齢、及び一般的な健康状態を考慮して、様々な患者の様々な状態の治療のために、本明細書に記載の薬学的組成物を使用して、適切な投与量レベル及び投与レジメンを考案することが可能であろう。例えば、一部の実施形態では、選択された投与量は、所望の治療効果、投与経路、及び所望の治療期間に依存する。一部の実施形態では、一般に、体重kg当たり約0.001mg~約5mgの核酸の投与量レベルが、各投与量を哺乳類に投与される。より具体的には、一部の実施形態では、開示のナノ粒子内の核酸の優先用量は、約0.1mg/kg~約1.0mg/kgである。開示のナノ粒子では、一般に、約0.2mg~約100mgの4つの構成成分(イオン化可能な脂質、コレステロール、コンジュゲート-リンカーコンジュゲート、及びリン脂質)/体重のkgの投与量レベルが、哺乳類に投与される。より具体的には、一部の実施形態では、開示のナノ粒子の優先用量は、約0.5mg/kg~約5mg/kgの4つの構成成分/体重のkgである。
【0178】
一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、例えば、治療される部位に直接注射することによって、局所的に投与される。典型的には、注射は、全身投与によって達成され得るものよりも高い、組成物の局所的濃度の増加を引き起こす。一部の実施形態では、本明細書に記載の薬学的組成物は、本明細書に記載のマトリックスと組み合わせて、治療される部位からのポリペプチドの受動的拡散を低減することによって、ポリペプチド組成物の局所的濃度の増加を作り出すことを支援することができる。
【0179】
A.非経口投与のための調製物
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子を含有するものを含む、本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、水溶液中で非経口注射によって投与される。一部の実施形態では、調製物はまた、懸濁液又はエマルションの形態であり得る。一般に、有効量の脂質ナノ粒子を含む薬学的組成物が提供され、任意選択的に、薬学的に許容される希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤、アジュバント、及び/又は担体を含む。そのような組成物は、任意選択的に、希釈剤、滅菌水、様々な緩衝液含有量の緩衝生理食塩水(例えば、トリス-HCl、酢酸、リン酸)、pH、及びイオン強度;並びに洗剤及び可溶化剤(例えば、TWEEN20(ポリソルベート-20)、TWEEN80(ポリソルベート-80))、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、及び防腐剤(例えば、Thimersol、ベンジルアルコール)、及び増量物質(例えば、ラクトース、マンニトール)などの添加剤のための1つ以上を含む。非水性溶媒又はビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えば、オリーブ油及びトウモロコシ油、ゼラチン、並びに注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルである。製剤は、凍結乾燥され、使用直前に再溶解/再懸濁され得る。製剤は、例えば、細菌保持フィルタに通す濾過によって、滅菌剤を組成物中に組み込むことによって、組成物を照射することによって、又は組成物を加熱することによって滅菌され得る。
【0180】
B.制御送達ポリマーマトリックス
一部の実施形態では、本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料はまた、制御放出製剤中で投与され得る。一部の実施形態では、制御放出ポリマーデバイスは、ポリマーデバイス(ロッド、シリンダー、フィルム、ディスクなど)又は注射(微粒子など)の移植後に全身に長期放出するために作製され得る。一部の実施形態では、マトリックスは、マイクロスフェアなどの微粒子の形態であり得る。一部の実施形態では、薬剤は、固体ポリマーマトリックス又はマイクロカプセル内に分散される。一部の実施形態では、コアは、記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料のうちのいずれかのポリマーシェルとは異なる材料のものである。一部の実施形態では、ペプチドは、記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料のうちのいずれかの、本質的に液体又は固体であり得るコア中に分散又は懸濁される。本明細書で別段の具体的な定義がない限り、微粒子、マイクロスフェア、及びマイクロカプセルは、互換的に使用される。一部の実施形態では、ポリマーは、ナノメートルから4センチメートルの範囲の薄いスラブ若しくはフィルム、粉砕若しくは他の標準的な技法によって生成される粉末、又は更にはヒドロゲルなどのゲルとしてキャスト成形され得る。
【0181】
一部の実施形態では、非生分解性マトリックスは、記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の送達に使用される。一部の実施形態では、生分解性マトリックスは、記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の送達に使用される。一部の実施形態では、生分解性マトリックスが好ましい。一部の実施形態では、生分解性マトリックスは、天然又は合成ポリマーを含む。一部の実施形態では、分解プロファイル及び放出プロファイルのより良好な特徴評価に起因して、合成ポリマーが好ましい。一部の実施形態では、ポリマーは、放出が望まれる期間に基づいて選択される。一部の実施形態では、線形放出が最も有用であり得るが、他の実施形態では、パルス放出又は「バルク放出」が、より効果的な結果を提供し得る。一部の実施形態では、ポリマーは、(典型的には、最大約90重量%の水分を吸収する)ヒドロゲルの形態であり得、多価イオン又はポリマーと任意選択的に架橋させてもよい。
【0182】
マトリックスは、溶媒蒸発、噴霧乾燥、溶媒抽出、及び当業者に既知の他の方法によって形成され得る。生体侵食性(Bioerodible)マイクロスフェアは、例えば、それらの開示全体が参照により本明細書に援用される、Mathiowitz and Langer,J.Controlled Release,5:13-22(1987)、Mathiowitz,et al.,Reactive Polymers,6:275-283(1987)、及びMathiowitz,et al.,J.Appl.Polymer Sci.,35:755-774(1988)によって記載の薬物送達のためのマイクロスフェアを作製するために開発された方法のうちのいずれかを使用して調製され得る。
【0183】
一部の実施形態では、記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を、局所放出用に製剤化して、移植又は注射の領域を治療することができ、典型的には、体全体の治療又は全身送達のための投与量よりもはるかに少ない投与量を送達するであろう。これらは、皮下、筋肉、脂肪へと埋め込まれるか若しくは注射してもよいか、又は飲み込まれてもよい。
【0184】
C.カーゴ
とりわけ、本発明は、本明細書に記載のカーゴを含む組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象への送達のための治療剤又は予防剤を含む。一部の実施形態では、治療剤又は予防剤は、脂質ナノ粒子によってカプセル化される。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、1つ以上の核酸を充填される。
【0185】
D.治療剤及び/又は予防剤
LNP組成物を介して送達されるカーゴは、生物学的に活性な薬剤であり得る。一部の実施形態では、カーゴは、mRNA、ガイドRNA(gRNA)、核酸、RNAガイドDNA結合剤、発現ベクター、テンプレート核酸、抗体(例えば、モノクローナル、キメラ、ヒト化、ナノボディ、及びそれらの断片など)、コレステロール、ホルモン、ペプチド、タンパク質、化学療法剤及び他の種類の抗新生物剤、低分子量薬、ビタミン、補因子、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、酵素核酸、アンチセンス核酸、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド、アンチセンスDNA又はRNA組成物、キメラDNA:RNA組成物、アロザイム、アプタマー、リボザイム、それらのデコイ及び類似体、プラスミド及び他の種類のベクター、並びに小核酸分子、RNAi剤、短い干渉核酸(siNA)短い干渉RNA(siRNA)、二重鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、並びに(レプリカーゼ酵素活性をコードし、インビボでのそれ自体の複製又は増幅を誘導することが可能な)「自己複製RNA」分子、ペプチド核酸(PNA)、ロック核酸リボヌクレオチド(LNA)、モルホリノヌクレオチド、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、sisiRNA(低分子内部セグメント化干渉RNA)、並びにiRNA(非対称干渉RNA)などの1つ以上の生物学的に活性な薬剤であるか、又はそれらを含む。生物学的に活性な薬剤の上のリストは、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。そのような化合物は、精製又は部分精製され得、天然に存在するか又は合成され得、化学的に修飾され得る。
【0186】
LNP組成物を介して送達されるカーゴは、目的のタンパク質をコードするmRNA分子などのRNAであり得る。例えば、一部の実施形態では、緑色蛍光タンパク質(GFP)、RNAガイドDNA結合剤、又はCasヌクレアーゼなどのタンパク質を発現するためのmRNAが本明細書に記載される。Cas9又はCpflタンパク質などのクラス2Casヌクレアーゼの細胞内での発現を可能にするCasヌクレアーゼmRNA、例えば、クラス2CasヌクレアーゼmRNAを含むLNP組成物が提供される。更に、カーゴは、1つ以上のガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸を含有し得る。例えば、修復又は組換えのためのテンプレート核酸もまた、組成物に含まれ得るか、又はテンプレート核酸は、本明細書に記載の方法で使用され得る。一部の実施形態では、カーゴは、任意選択的に、Streptococcus pyogenes Cas9をコードするmRNAと、S.pyogenes gRNAとを含む。一部の実施形態では、カーゴは、任意選択的に、Neisseria meningitidis Cas9をコードするmRNAと、nme gRNAとを含む。
【0187】
「mRNA」は、ポリヌクレオチドを指し、ポリペプチドに翻訳することができる(すなわち、リボソーム及びアミノ-アシル化tRNAによって翻訳するための基質として機能することができる)オープンリーディングフレームを含む。mRNAは、リボース残基又はその類似体、例えば、2’-メトキシリボース残基を含む、リン酸-糖骨格を含み得る。一部の実施形態では、mRNAリン酸糖骨格の糖は、リボース残基、2’-メトキシリボース残基、又はそれらの組み合わせから本質的になる。一般に、mRNAは、実質的な量のチミジン残基(例えば、0個の残基又は30、20、10、5、4、3、若しくは2個未満のチミジン残基;又は10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.2%、若しくは0.1%未満のチミジン含有量)を含有しない。mRNAは、そのウリジン位置のいくつか又は全てに修飾ウリジンを含有することができる。
【0188】
E.CRISPR/Casカーゴ
一部の実施形態では、開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、CasヌクレアーゼなどのRNAガイドDNA結合剤をコードするmRNAを含む。特定の実施形態では、開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、S.pyogenes Cas9などのクラス2CasヌクレアーゼをコードするmRNAを含む。
【0189】
本明細書で使用される場合、「RNAガイドDNA結合剤」は、RNA及びDNA結合活性を有するポリペプチド若しくはポリペプチドの複合体、又はそのような複合体のDNA結合サブユニットを意味し、DNA結合活性は、配列特異的であり、RNAの配列に依存する。例示的なRNAガイドDNA結合剤には、Casクリバーゼ(cleavase)/ニッカーゼ及びその不活性化形態(dCas DNA結合剤」)が含まれる。「Casヌクレアーゼ」は、本明細書で使用される場合、Cas切断酵素、Casニッカーゼ、及びdCas DNA結合剤を包含する。Cas切断酵素/ニッカーゼ及びdCas DNA結合剤としては、III型CRISPRシステムのCsm又はCmr複合体、そのCaslO、Csml、又はCmr2サブユニット、I型CRISPRシステムのカスケード複合体、そのCas3サブユニット、及びクラス2Casヌクレアーゼが挙げられる。本明細書で使用される場合、「クラス2Casヌクレアーゼ」は、RNAガイドDNA結合活性を有する単鎖ポリペプチドである。クラス2Casヌクレアーゼとしては、RNAガイドDNA切断酵素又はニッカーゼ活性を更に有するクラス2Cas切断酵素/ニッカーゼ(例えば、H840A、D10A、又はN863Aバリアント)、及び切断酵素/ニッカーゼ活性が不活性化されているクラス2dCas DNA結合剤が挙げられる。クラス2Casヌクレアーゼとしては、例えば、Cas9、Cpfl、C2cl、C2c2、C2c3、HF Cas9(例えば、N497A、R661A、Q695A、Q926Aバリアント)、HypaCas9(例えば、N692A、M694A、Q695A、H698Aバリアント)、eSPCas9(1.0)(例えば、K810A、K1003A、R1060Aバリアント)、及びeSPCas9(1.1)(例えば、K848A、K1003A、R1060Aバリアント)タンパク質及びそれらの修飾物が挙げられる。Cpfl protein,Zetsche et al.,Cell,163:1-13(2015)は、Cas9と相同であり、RuvC様ヌクレアーゼドメインを含有する。ZetscheのCpfl配列は、それらの全体が参照により本明細書に援用される。例えば、Zetscheの表Sl及びS3を参照されたい。例えば、それらの内容全体が本明細書に援用される、Makarova et al.,Nat Rev Microbiol,13(11):722-36(2015)、Shmakov et al.,Molecular Cell,60:385-397(2015)を参照されたい。
【0190】
本明細書で使用される場合、「リボ核タンパク質」(RNP)又は「RNP複合体」は、RNAガイドDNA結合剤、例えば、Casヌクレアーゼ、例えば、Casクリバーゼ、Casニッカーゼ、又はdCas DNA結合剤(例えば、Cas9)とともに含むガイドRNAを指す。一部の実施形態において、ガイドRNAは、Cas9などのRNAガイドDNA結合剤を標的配列へとガイドし、ガイドRNAは、標的配列とハイブリダイズし、薬剤が標的配列に結合し、その場合、この薬剤はクリバーゼ又はニッカーゼであり、結合の後に切断又はニッキングを行うことができる。
【0191】
一部の実施形態では、LNP組成物のカーゴは、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9などのCasヌクレアーゼ)であり得るRNAガイドDNA結合剤を標的DNAへと誘導するガイド配列を含む少なくとも1つのガイドRNAを含む。gRNAは、Casヌクレアーゼ又はクラス2Casヌクレアーゼを標的核酸分子上の標的配列に誘導し得る。一部の実施形態では、gRNAは、クラス2 Casヌクレアーゼと結合し、それによる切断の特異性を提供する。一部の実施形態では、gRNA及びCasヌクレアーゼは、リボ核タンパク質(RNP)、例えば、CRISPR/Cas9複合体などのCRISPR/Cas複合体を形成し得る。一部の実施形態では、CRISPR/Cas複合体は、II型CRISPR/Cas9複合体であり得る。一部の実施形態では、CRISPR/Cas複合体は、Cpfl/ガイドRNA複合体などのV型CRISPR/Cas複合体であり得る。Casヌクレアーゼ及び同族のgRNAは対になってもよい。各クラス2Casヌクレアーゼと対合するgRNA足場構造は、特定のCRISPR/Casシステムによって変動する。
【0192】
「ガイドRNA」、「gRNA」、及び単に「ガイド」は、crRNA(CRISPR RNAとしても知られる)、又はcrRNA及びtrRNAの組み合わせ(tracrRNAとしても知られる)のいずれかを指すために、本明細書で互換的に使用される。ガイドRNAは、本明細書に記載されるような修飾RNAを含み得る。crRNA及びtrRNAは、一本鎖RNA分子(シングルガイドRNA、sgRNA)として会合し得るか、又は2つの別々のRNA分子(デュアルガイドRNA、dgRNA)において会合し得る。「ガイドRNA」又は「gRNA」は、各種類を指す。trRNAは、天然に存在する配列、又は天然に存在する配列と比較して修飾若しくは変異を有するtrRNA配列であり得る。
【0193】
本明細書で使用される場合、「ガイド配列」は、標的配列に対して相補的であり、RNAガイドDNA結合剤による結合又は修飾(例えば、切断)のための標的配列に対してガイドRNAを指向させるように機能する、ガイドRNA内の配列を指す。「ガイド配列」は、「標的化配列」又は「スペーサー配列」とも称され得る。ガイド配列は、例えば、Streptococcus pyogenes(すなわち、Spy Cas9)及び関連するCas9ホモログ/オルソログの場合、20塩基対の長さであり得る。例えば、15、16、17、18、19、21、22、23、24、又は25ヌクレオチド長のような、より短い配列又はより長い配列もまたガイドとして使用できる。一部の実施形態では、標的配列は、例えば、遺伝子内又は染色体上にあり、ガイド配列に相補的である。一部の実施形態では、ガイド配列とその対応する標的配列との間の相補性又は同一性の程度は、約又は少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%であり得る。一部の実施形態では、ガイド配列及び標的領域は、少なくとも15、16、17、18、19、又は20個の連続したヌクレオチドの領域にわたって100%相補的又は同一であり得る。他の実施形態では、ガイド配列及び標的領域は、少なくとも1つのミスマッチを含有し得る。例えば、ガイド配列及び標的配列は、1、2、3、又は4つのミスマッチを含有し得、標的配列の全長が、少なくとも17、18、19、20個以上の塩基対である。一部の実施形態では、ガイド配列及び標的領域は、1~4つのミスマッチを含有し得、ガイド配列が、少なくとも17、18、19、20個以上のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ガイド配列及び標的領域は、1、2、3、又は4つのミスマッチを含有し得、ガイド配列が、20個のヌクレオチドを含む。
【0194】
Casタンパク質などのRNAガイドDNA結合タンパク質の標的配列は、Casタンパク質の核酸基質が二本鎖核酸であるので、ゲノムDNAの陽性鎖及び陰性鎖の両方(すなわち、所与の配列及び配列の逆の相補物)を含む。したがって、ガイド配列が、「標的配列に対して相補的」であると言われる場合、標的配列の逆相補体に結合するようにガイドRNAを指向させ得ると理解されるべきである。したがって、一部の実施形態において、ガイド配列が、標的配列の逆相補体に結合する場合、ガイド配列は、ガイド配列におけるUのTへの置換を除いて、標的配列の特定のヌクレオチド(例えばPAMを含まない標的配列)と同一である。
【0195】
標的化配列の長さは、使用するCRISPR/Casシステム及び構成成分に依存し得る。例えば、異なる細菌種に由来する異なるクラス2 Casヌクレアーゼは、変動する最適な標的化配列を有する。したがって、標的化配列は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、又は50超のヌクレオチド長を含んでもよい。一部の実施形態では、標的化配列長は、天然に存在するヌクレオチド配列のガイド配列よりも、0、1、2、3、4、又は5ヌクレオチド長いか又は短い。
【0196】
ある特定の実施形態では、Casヌクレアーゼ及びgRNA足場は、同じCRISPR/Casシステムに由来するであろう。一部の実施形態では、標的化配列は、18~24ヌクレオチドを含み得るか、又はそれからなり得る。一部の実施形態では、標的化配列は、19~21ヌクレオチドを含み得るか、又はそれからなり得る。一部の実施形態では、標的化配列は、20ヌクレオチドを含んでもよく、又はそれからなってもよい。
【0197】
一部の実施形態では、sgRNAは、Cas9タンパク質によるRNAガイドDNA切断を媒介することが可能な「Cas9 sgRNA」である。一部の実施形態では、sgRNAは、Cpflタンパク質によるRNAガイドDNA切断を媒介することが可能な「Cpfl sgRNA」である。一部の実施形態では、gRNAは、Cas9タンパク質との活性な複合体を形成し、RNAガイドDNA切断を媒介するのに十分なcrRNA及びtracrRNAを含む。一部の実施形態では、gRNAは、Cpflタンパク質との活性な複合体を形成し、RNAガイドDNA切断を媒介するのに十分なcrRNAを含む。Zetsche 2015を参照されたい。
【0198】
本発明のある特定の実施形態はまた、本明細書に記載のgRNAをコードする核酸、例えば、発現カセットを提供する。「ガイドRNA核酸」は、1つ以上のガイドRNAをコードする核酸であるガイドRNA(例えば、sgRNA又はdgRNA)及びガイドRNA発現カセットを指すために本明細書で使用される。
【0199】
本開示のある特定の実施形態はまた、本明細書に記載のLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用するアデニン塩基エディター(「ABE」)の送達を提供する。ABE及びそれを使用する方法は、例えば、各々の内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第10,113,163号及び米国特許公開第2021/0130805号に記載されている。
【0200】
本開示のある特定の実施形態はまた、本明細書に記載のLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用するシトシン塩基エディター(「CBE」)の送達を提供する。ABE及びそれを使用する方法は、例えば、各々の内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第10,167,457号及び同第9,840,699号に記載されている。
【0201】
「塩基エディター(BE)」又は「核酸塩基エディター(NBE)」という用語は、核酸配列(例えば、DNA又はRNA)内の塩基(例えば、A、T、C、G、又はU)に修飾を行うことが可能であるポリペプチドを含む薬剤を指す。一部の実施形態では、塩基エディターは、核酸内の塩基を脱アミノ化することが可能である。一部の実施形態では、塩基エディターは、DNA分子内の塩基を脱アミノ化することが可能である。一部の実施形態では、塩基エディターは、DNAのアデニン(A)を脱アミノ化することが可能である。一部の実施形態では、デアミナーゼは、シトシンデアミナーゼ又はシチジンデアミナーゼである。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼに融合された、核酸プログラム型DNA結合タンパク質(napDNAbp)を含む融合タンパク質である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼに融合されたCas9タンパク質である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼに融合されたCas9ニッカーゼ(nCas9)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、アデノシンデアミナーゼに融合されたヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)である。一部の実施形態では、塩基エディターは、塩基除去修復の阻害因子(例えば、UGIドメイン、又はdISNドメイン)に融合される。一部の実施形態では、融合タンパク質は、デアミナーゼに融合されたCas9ニッカーゼと、塩基除去修復の阻害因子(例えば、UGIドメイン又はdISNドメイン)と、を含む。「核酸プログラム型DNA結合タンパク質」又は「napDNAbp」という用語は、napDNAbpを特定の核酸配列に誘導するガイド核酸などの核酸(例えば、DNA又はRNA)と会合するタンパク質を指す。例えば、Cas9タンパク質は、ガイドRNAに対する相補性を有する特異的DNA配列にCas9タンパク質を誘導するガイドRNAと会合することができる。一部の実施形態では、napDNAbpは、クラス2の微生物CRISPR-Casエフェクターである。一部の実施形態では、napDNAbpは、Cas9ドメイン、例えば、ヌクレアーゼ活性型Cas9、Cas9ニッカーゼ(nCas9)、又はヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)である。核酸プログラム型DNA結合タンパク質の例としては、限定されないが、Cas9(例えば、dCas9及びnCas9)、CasX、CasY、Cpf1、C2c1、C2c2、C2C3、及びアルゴノートが挙げられる。しかしながら、核酸プログラム型DNA結合タンパク質はまた、RNAに結合する核酸プログラム型タンパク質を含み得ることが理解されるべきである。例えば、napDNAbpは、napDNAbpをRNAに誘導する核酸と会合し得る。他の核酸プログラム型DNA結合タンパク質はまた、本開示の範囲内であるが、それらは本開示に具体的に列挙されていない場合がある。
【0202】
F.修飾RNA
ある特定の実施形態では、開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、修飾RNAを含む修飾核酸を含む。
【0203】
修飾されたヌクレオシド又はヌクレオチドは、RNA、例えば、gRNA又はmRNAに存在することができる。例えば、1つ以上の修飾されたヌクレオシド又はヌクレオチドを含むgRNA又はmRNAは、「修飾された」RNAと呼ばれ、標準的なA残基、G残基、C残基、及びU残基の代わりに又はそれらに加えて使用される1つ以上の非天然の及び/又は天然に存在する構成成分又は配置の存在を説明する。一部の実施形態において、修飾されたRNAは、非標準的なヌクレオシド又はヌクレオチドによって合成され、本明細書では「修飾された」と呼ばれる。
【0204】
修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドとしては、(i)ホスホジエステル骨格結合における、非結合リン酸酸素及び/又は結合リン酸酸素のうちの1つ以上のうちの1つ又は両方の改変、例えば、置き換え(例示的な骨格修飾)、(ii)リボース糖の成分、例えば、リボース糖上の2’ヒドロキシルの改変、例えば、置き換え(例示的な糖修飾)、(iii)リン酸部分の「デホスホ」リンカーによる大量の(wholesale)置き換え(例示的な骨格修飾)、(iv)非カノニカル核酸塩基を含む、天然に存在する核酸塩基の修飾又は置き換え(例示的な塩基修飾)、(v)リボース-リン酸骨格の置き換え又は修飾(例示的な骨格修飾)、(vi)オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端の修飾、例えば、末端リン酸基の除去、修飾、若しくは置き換え、又は部分、キャップ、若しくはリンカーのコンジュゲーション(そのような3’又は5’キャップ修飾は、糖及び/又は骨格修飾を含み得る)、並びに(vii)糖の修飾又は置き換え(例示的な糖修飾)のうちの1つ以上を挙げることができる。ある特定の実施形態は、mRNA、gRNA、又は核酸に対する5’末端修飾を含む。ある特定の実施形態は、mRNA、gRNA、又は核酸に対する3’末端修飾を含む。修飾されたRNAは、5’末端及び3’末端修飾を含有し得る。修飾されたRNAは、非末端位置に1つ以上の修飾された残基を含有し得る。ある特定の実施形態では、gRNAは、少なくとも1つの修飾残基を含む。ある特定の実施形態では、mRNAは、少なくとも1つの修飾残基を含む。
【0205】
非修飾核酸は、例えば、細胞内ヌクレアーゼ又は血清中に見られるものによる分解を受けやすい場合がある。例えば、ヌクレアーゼは核酸のホスホジエステル結合を加水分解し得る。したがって、一態様では、本明細書に記載のRNA(例えば、mRNA、gRNA)は、例えば、細胞内又は血清に基づくヌクレアーゼに対する安定性を導入するために、1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含有し得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の修飾gRNA分子は、インビボ及びエクスビボの両方で、細胞集団に導入されると、低減した自然免疫応答を示し得る。「自然免疫応答」という用語は、サイトカイン(特にインターフェロン)発現及び放出の誘導及び細胞死を含む、一本鎖核酸を含む外来性核酸に対する細胞応答を含む。
【0206】
したがって、一部の実施形態では、本開示の本開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料中のRNA又は核酸は、例えば、インビボでのヌクレアーゼ消化に対する耐性の改善を含む、増加又は増強された安定性を核酸に付与する、少なくとも1つの修飾を含む。本明細書で使用される場合、「修飾」及び「修飾された」という用語は、そのような用語が、本明細書で提供される核酸に関連する場合、好ましくは、RNA又は核酸の野生型又は天然に存在するバージョンよりも、安定性を増強し、RNA又は核酸をより安定にする(例えば、ヌクレアーゼ消化に耐性にする)、少なくとも1つの改変を含む。本明細書で使用される場合、「安定な」及び「安定性」という用語は、そのような用語が、特にRNAに関する本発明の核酸に関連する場合、例えば、そのようなRNAを通常分解することが可能であるヌクレアーゼ(すなわち、エンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼ)による分解に対する、増加又は増強された耐性を指す。増加された安定性としては、例えば、標的細胞又は組織内の内因性酵素(例えば、エンドヌクレアーゼ又はエキソヌクレアーゼ)又は条件による加水分解又は他の破壊に対する低い感受性を挙げることができ、それによって、標的細胞、組織、対象、及び/又は細胞質におけるそのようなRNAの存在を増加又は増強する。本明細書で提供される安定化されたRNA分子は、それらの天然に存在する非修飾の対応物(例えば、mRNAの野生型バージョン)と比較して、より長い半減期を示す。また、「修飾」及び「修飾された」という用語によって企図されるのは、そのような用語が、本明細書に開示のLNP組成物のmRNAに関連する場合、例えば、タンパク質翻訳の開始において機能する配列(例えば、Kozacコンセンサス配列)を含めることを含む、mRNA核酸の翻訳を改善又は増強する改変である。(その内容全体が参照により本明細書に援用される、Kozak,M.,Nucleic Acids Res 15(20):8125-48(1987))。
【0207】
一部の実施形態では、本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料のRNA又は核酸は、それをより安定にするために化学的又は生物学的修飾を受けている。RNAに対する例示的な修飾としては、塩基の枯渇(例えば、欠失による、又は1つのヌクレオチドを別のヌクレオチドへ置換することによる)、又は塩基の修飾、例えば、塩基の化学的修飾が挙げられる。本明細書で使用される「化学的修飾」という語句は、天然に存在するRNAに見られるものとは異なる化学的性質を導入する修飾、例えば、修飾ヌクレオチドの導入(例えば、ヌクレオチド類似体、又はそのようなRNA分子に天然に見出されないペンダント基を含めること)などの共有結合修飾を含む。
【0208】
骨格修飾の一部の実施形態では、修飾残基のリン酸基は、1つ以上の酸素を異なる置換基によって置き換えることによって修飾され得る。更に、修飾残基、例えば修飾核酸中に存在する修飾残基は、本明細書において記載されるように、非修飾リン酸部分の修飾リン酸基による大規模な置き換えを含み得る。一部の実施形態では、リン酸骨格の骨格修飾は、帯電していないリンカー又は非対称な電荷分布を有する帯電したリンカーのいずれかをもたらす改変を含み得る。修飾リン酸基の例は、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノリン酸、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキル又はアリールホスホネート、及びホスホトリエステルを含む。非修飾リン酸基中のリン酸原子は、アキラルである。しかしながら、非架橋酸素のうちの1つの、上述の原子又は原子群のうちの1つによる置き換えは、リン原子をキラルにすることができる。立体リン原子は、「R」配置(本明細書においてRp)又は「S」配置(本明細書においてSp)のいずれかを有し得る。骨格は、架橋酸素(すなわち、リン酸をヌクレオシドに連結する酸素)の、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素(架橋メチレンホスホネート)による置き換えによってもまた修飾できる。置き換えは、いずれかの架橋酸素又は両方の架橋酸素において生じ得る。リン酸基は、ある骨格修飾において、非リン含有連結基によって置き換えることができる。一部の実施形態では、帯電したリン酸基は、中性部分によって置き換えられ得る。リン酸基を置き換えることのできる部分の例は、非限定的に、例えば、メチルホスホン酸、ヒドロキシルアミノ、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スフホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ(methylenehydrazo)、メチレンジメチルヒドラゾ(methylenedimethylhydrazo)、メチレンオキシメチルイミノ(methyleneoxymethylimino)を含み得る。
【0209】
G.mRNA
一部の実施形態では、本開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、本明細書に記載のCasヌクレアーゼ又はクラス2CasヌクレアーゼなどのRNAガイドDNA結合剤をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含む、mRNAを含む。一部の実施形態では、Casヌクレアーゼ又はクラス2 CasヌクレアーゼなどのRNAガイドDNA結合剤をコードするORFを含むmRNAが提供されるか、使用されるか、又は投与される。mRNAは、5’キャップ、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、及びポリアデニン尾部のうちの1つ以上を含み得る。mRNAは、例えば、核局在化配列をコードするために、又はタンパク質をコードする代替コドンを使用するように修飾された、オープンリーディングフレームを含み得る。
【0210】
開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料中のmRNAは、例えば、通常分泌される分泌ホルモン、酵素、受容体、ポリペプチド、ペプチド、又は目的の他のタンパク質をコードし得る。本発明の一実施形態では、mRNAは、例えば、そのようなmRNAの安定性及び/若しくは半減期を改善するか、又はタンパク質産生を改善するか若しくは促進する、化学的又は生物学的修飾を任意選択的に有し得る。
【0211】
加えて、好適な修飾は、コドンが、同じアミノ酸をコードするが、mRNAの野生型バージョンに見られるコドンよりも安定であるような、コドンの1つ以上のヌクレオチドにおける改変を含む。例えば、RNAの安定性とより多い数のシチ ジン(C)及び/又はウリジン(U)残基との間の逆関係が示されており、C残基及びU残基を欠くRNAは、ほとんどのRNaseに対して安定であることが見出されている(その開示全体が参照により本明細書に援用される、Heidenreich,et al.J Biol Chem 269,2131-8(1994))。一部の実施形態では、mRNA配列中のC残基及び/又はU残基の数が、低減される。別の実施形態では、特定のアミノ酸をコードする1つのコドンを、同じか又は関連するアミノ酸をコードする別のコドンに置換することによって、C残基及び/又はU残基の数が、低減される。本発明のmRNA核酸への企図される修飾としてはまた、シュードウリジンの組み込みが挙げられる。本発明のmRNA核酸へのシュードウリジンの組み込みは、インビボでの免疫原性の減少と同様に、安定性及び翻訳能力を増強させ得る。例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、Kariko,K.,et al.Molecular Therapy 16(11):1833-1840(2008)を参照されたい。本発明のmRNAに対する置換及び修飾は、当業者に容易に知られる方法によって行われ得る。
【0212】
配列中のC残基及びU残基の数を低減することに対する制約は、未翻訳領域と比較して、mRNAのコード領域内でより大きい可能性が高いであろう(すなわち、所望のアミノ酸配列をコードするメッセージの能力を依然として保持しながら、メッセージに存在するC残基及びU残基の全てを排除することは可能ではない可能性が高いであろう)。しかしながら、遺伝コードの縮重は、同じコード能力を維持しながら、配列に存在するC残基及び/又はU残基の数を低減する機会を提示する(すなわち、どのアミノ酸がコドンによってコードされるかに応じて、RNA配列の修飾のためのいくつかの異なる可能性が可能であり得る)。
【0213】
修飾という用語はまた、例えば、本発明のmRNA配列への非ヌクレオチド結合又は修飾ヌクレオチドの組み込み(例えば、機能的分泌タンパク質又は酵素をコードするmRNA分子の3’及び5’末端の一方又は両方への修飾)を含む。そのような修飾としては、mRNA配列への塩基の付加(例えば、ポリA尾部又はより長いポリA尾部を含めること)、3’UTR又は5’UTRの改変、mRNAを薬剤(例えば、タンパク質又は相補的核酸分子)と複合体化すること、及びmRNA分子の構造を変化させる(例えば、二次構造を形成する)要素を含めることが挙げられる。
【0214】
ポリA尾部は、自然のメッセンジャーを安定させると考えられている。したがって、一実施形態では、長いポリA尾部がmRNA分子に付加され得、したがって、mRNAをより安定にすることができる。ポリA尾部は、当該技術分野において認識された様々な技法を使用して付加することができる。例えば、長いポリA尾部は、ポリAポリメラーゼを使用して合成又はインビトロで転写mRNAに付加することができる(その内容全体が参照により本明細書に援用される、Yokoe,et al.Nature Biotechnology.1996;14:(1252-1256)。転写ベクターはまた、長いポリA尾部をコードすることができる。加えて、ポリA尾部は、PCR産生物から直接転写によって付加することができる。一実施形態では、ポリA尾部の長さは、少なくとも約90、200、300、400、少なくとも500ヌクレオチドである。一実施形態では、ポリA尾の長さは、本発明の修飾mRNA分子の安定性、したがって、タンパク質の転写を制御するように調整される。例えば、ポリA尾部の長さは、mRNA分子の半減期に影響を及ぼし得るので、ポリA尾部の長さを調整して、ヌクレアーゼに対するmRNAの耐性のレベルを改変し、それによって、細胞内のタンパク質発現の時間経過を制御することができる。一実施形態では、安定化されたmRNA分子は、(例えば、ヌクレアーゼによる)インビボ分解に対して十分に耐性があるので、転移ビヒクルを用いずに標的細胞に送達され得る。
【0215】
一部の実施形態実施形態では、mRNAは、野生型mRNAに天然では見出されない3’及び/又は5’の非翻訳(UTR)配列の組み込みによって修飾することができる。一実施形態では、修飾するために、天然ではmRNAに隣接し、第2の無関係のタンパク質をコードする3’及び/又は5’の隣接配列が、治療的又は機能的タンパク質をコードするmRNA分子のヌクレオチド配列に組み込まれ得る。例えば、センスmRNA分子の安定性を増加させるために、安定であるmRNA分子(例えば、グロビン、アクチン、GAPDH、チューブリン、ヒストン、又はクエン酸回路酵素)からの3’又は5’配列が、センスmRNA核酸分子の3’及び/又は5’領域に組み込まれ得る。例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、US2003/0083272を参照されたい。mRNA修飾のより詳細な記載は、その内容全体が参照により本明細書に援用される、US2017/0210698A1、57~68ページに見出すことができる。
【0216】
H.テンプレート核酸
本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料、並びに方法は、テンプレート核酸を含み得る。Casヌクレアーゼ、例えば、クラス2CasヌクレアーゼなどのRNAガイドDNA結合タンパク質の標的部位又はその付近の核酸配列を改変又は挿入するために、テンプレートが使用され得る。一部の実施形態では、本方法は、テンプレートを細胞に導入することを含む。一部の実施形態では、単一のテンプレートが提供されてもよい。一部の実施形態では、2つ以上の標的部位で編集を行うことができるように、2つ以上のテンプレートが提供され得る。例えば、異なるテンプレートが、細胞内の単一の遺伝子、又は細胞内の2つの異なる遺伝子を編集するために提供されてもよい。
【0217】
一部の実施形態では、テンプレートは、相同組換えで使用され得る。一部の実施形態では、相同組換えにより、テンプレート配列又はテンプレート配列の一部が標的核酸分子に組み込まれてもよい。一部の実施形態では、テンプレートは、相同性によって誘導される修復(homology-directed repair)に使用することができ、これは、核酸の切断部位でのDNA鎖の侵入を伴う。一部の実施形態では、相同性によって誘導される修復は、編集された標的核酸分子にテンプレート配列を含めることをもたらし得る。一部の実施形態では、テンプレートは、非相同末端結合によって媒介される遺伝子編集で使用され得る。一部の実施形態では、テンプレート配列は、切断部位付近の核酸配列と類似性を有しない。一部の実施形態では、テンプレート又はテンプレート配列の一部が組み込まれる。一部の実施形態では、テンプレートは、隣接する反転末端反復(ITR)配列を含む。
【0218】
一部の実施形態では、テンプレート配列は、標的細胞の内因性配列に対応するか、それを含むか、又はそれからなり得る。テンプレート配列は、また、又は代替的に、標的細胞の外因性配列に対応するか、それを含むか、又はそれからなってもよい。本明細書で使用される場合、「内因性配列」という用語は、細胞に固有の配列を指す。「外因性配列」という用語は、細胞に固有ではない配列、又は細胞のゲノム内の固有の位置が異なる位置にある配列を指す。一部の実施形態では、内因性配列は、細胞のゲノム配列であってもよい。
【0219】
一部の実施形態では、内因性配列は、染色体配列であっても染色体外配列であってもよい。一部の実施形態では、内因性配列は、細胞のプラスミド配列であってもよい。
【0220】
一部の実施形態では、テンプレートは、隣接する反転末端反復(ITR)配列を含有するssDNA又はdsDNAを含有する。一部の実施形態では、テンプレートは、ベクター、プラスミド、ミニサークル、ナノサークル、又はPCR産生物として提供される。
【0221】
一部の実施形態では、核酸は、精製される。一部の実施形態では、核酸は、沈殿法(例えば、LiCl沈殿法、アルコール沈殿法、又は例えば、本明細書に記載の同等の方法)を使用して精製される。一部の実施形態では、核酸は、HPLCに基づく方法又は(例えば、本明細書に記載の)同等の方法などのクロマトグラフィーに基づく方法を使用して精製される。一部の実施形態では、核酸は、沈殿法(例えば、LiCl沈殿法)及びHPLCに基づく方法の両方を使用して精製される。一部の実施形態では、核酸は、タンジェントフロー濾過(TFF)によって精製される。
【0222】
IV.LNPを製造する方法
脂質ナノ粒子を製造する方法は、当該技術分野において既知である。一部の実施形態では、記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、マイクロ流体を使用して製造される。例えば、マイクロ流体を使用して脂質ナノ粒子を形成する例示的な方法は、それらの開示全体が参照により本明細書に援用される、Leung,A.K.K,et al.,J Phys Chem,116:18440-18450(2012)、Chen,D.,et al.,J Am Chem Soc,134:6947-6951(2012)、及びBelliveau,N.M.,et al.,Molecular Therapy- Nucleic Acids,1:e37(2012)によって記載されている。
【0223】
簡潔に言えば、本明細書に記載のカーゴなどのカーゴを、第1の緩衝液中で調製する。他の脂質ナノ粒子構成成分(イオン化可能な脂質、コンジュゲート-リンカー脂質、コレステロール、及びリン脂質など)を、第2の緩衝溶液中で調製する。一部の実施形態では、シリンジポンプによって、2つの溶液をマイクロ流体デバイスに導入する。2つの溶液は、マイクロ流体デバイス内で接触して、カーゴを封入する脂質ナノ粒子を形成する。
【0224】
開示の脂質ナノ粒子をスクリーニングする方法は、その全体が参照により本明細書に援用される、国際特許出願第PCT/US2018/058171号に記載されている。一部の実施形態では、スクリーニング方法は、ビヒクル送達調製物を特徴評価して、所望のトロピズムを有し、機能的カーゴを特定の細胞の細胞質に送達する調製物を同定する。一部の実施形態では、スクリーニング方法は、細胞に送達されると検出され得る機能性を有するレポーターを使用する。例えば、細胞内で機能的レポーターを検出することによって、LNP調製物が機能性カーゴを細胞に送達することが示される。とりわけ、一部の実施形態では、各々異なる送達ビヒクル製剤に特異的な化学組成を追跡し続ける化学組成識別子が、各々異なる送達ビヒクル製剤に含まれる。一部の実施形態では、化学組成物識別子は、核酸バーコードである。一部の実施形態では、充填されるLNP調製物を製剤化するために使用された化学構成成分と核酸バーコードの配列が対合されるので、核酸バーコードが配列決定されると、バーコードを送達した送達ビヒクルの化学組成が同定される。代表的なバーコードとしては、限定されないが、その開示全体が参照により本明細書に援用される、Sago、2018 PNAS、Sago、JACS2018に記載のバーコードが挙げられる。代表的なレポーターとしては、限定されないが、siRNA、mRNA、ヌクレアーゼタンパク質、ヌクレアーゼmRNA、小分子、エピジェネティック修飾子、及び表現型修飾子が挙げられる。DNA(ゲノム及びDNAバーコード)は、QuickExtract(Lucigen)を使用して単離され、その開示全体が参照により本明細書に援用されるSago et al.PNAS 2018、Sago et al.JACs 2018、Sago,Lokugamage et al.Nano Letters 2018によって記載されるようにIllumina MiniSeqを使用して配列決定することができる。
【0225】
V.使用する方法
とりわけ、本開示は、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用する方法について記載する。例えば、一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用して、特定の細胞、組織、又は臓器にカーゴを送達する方法について記載する。別の例として、一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用して、疾患又は障害を治療する方法、並びに/又は進行を遅延及び/若しくは停止する方法について記載する。一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、医学での使用のためのものである。
【0226】
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、治療剤又は予防剤を必要とする対象における特定の細胞又は臓器にそれを送達する。一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、標的化リガンドの非存在下で、治療剤又は予防剤を必要とする対象における特定の細胞又は臓器にそれを送達する。一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、疾患の治療又は防止を必要とする対象においてそれを行うのに有用である。
【0227】
A.細胞、組織、又は臓器にカーゴを送達する方法
とりわけ、一部の実施形態では、本明細書に開示される組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、特定の種類又はクラスの細胞(例えば、特定の臓器又はその系の細胞)、組織、細胞集団、又は臓器を標的とする。一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載の1つ以上のカーゴを必要とする対象に、それを送達する方法を提供する。一部の実施形態では、そのような方法は、インビボ及び/又はインビトロ送達を含む。一部の実施形態では、そのような方法は、インビボ送達を含む。一部の実施形態では、そのような方法は、インビトロ送達を含む。一部の実施形態では、本開示は、1つ以上の治療核酸及び/又は予防核酸を必要とする対象に、それを送達する方法を提供する、が本明細書に記載される。
【0228】
一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象における肝臓細胞に特異的に送達され得る、目的の治療薬及び/又は予防薬を含む。例示的な肝臓細胞としては、限定されないが、肝細胞が挙げられる。
【0229】
一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象における肺細胞に特異的に送達され得る、目的の治療薬及び/又は予防薬を含む。
【0230】
一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象における脾臓細胞に特異的に送達され得る、目的の治療薬及び/又は予防薬を含む。例示的な脾臓細胞としては、限定されないが、脾臓単球、脾臓T細胞、脾臓メモリーB細胞、又は脾臓B細胞が挙げられる。
【0231】
一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象における骨髄細胞に特異的に送達され得る、目的の治療薬及び/又は予防薬を含む。例示的な骨髄細胞としては、限定されないが、骨髄単球、骨髄B細胞、骨髄メモリーB細胞、又は骨髄T細胞が挙げられる。
【0232】
一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象における免疫細胞に特異的に送達され得る、目的の治療薬及び/又は予防薬を含む。例示的な免疫細胞としては、限定されないが、CD8+、CD4+、又はCD8+CD4+細胞が挙げられる。
【0233】
一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象における中枢神経系の細胞に特異的に送達され得る、目的の治療薬及び/又は予防薬を含む。
【0234】
一部の実施形態では、組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、対象における造血幹細胞に特異的に送達され得る、目的の治療薬及び/又は予防薬を含む。別段の定めがない限り、「造血幹細胞(HSC)」及び「造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)」という用語は、本開示において互換的に使用されることが理解される。
【0235】
一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、標的化リガンドの非存在下で、哺乳類肝臓肝細胞、肝臓免疫細胞、脾臓T細胞、又は肺内皮細胞に送達されるように製剤化され得る。特定のクラス又は種類の細胞への特異的な送達は、より高い割合の脂質ナノ粒子が、標的の種類又はクラスの細胞に送達されることを示す。一部の実施形態では、特異的な送達は、従来のナノ粒子系(例えば、MC3含有LNP)を使用する送達と比較して、2倍、5倍、10倍、15倍、又は20倍超をもたらし得る。
【0236】
B.ポリペプチドを産生する方法
とりわけ、一部の実施形態では、本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用する方法は、ポリペプチドを産生する方法に使用される。とりわけ、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、標的細胞内でポリペプチドを産生することを必要とする対象においてそれを行うために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、標的細胞内でポリペプチドを産生することを必要とする対象においてそれを行うために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料は、細胞に送達される1つ以上の核配列を含む。
【0237】
一部の実施形態では、1つ以上の核酸が、細胞内で発現される。一部の実施形態では、核酸配列の発現は、以下のうちの1つ以上を伴う:(1)DNA配列からのRNAテンプレートの産生(例えば、転写による)、(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/又は3’末端形成による)、(3)ポリペプチド若しくはタンパク質へのRNAの翻訳、及び/又は(4)ポリペプチド又はタンパク質の翻訳後修飾。
【0238】
C.遺伝子調節の方法
とりわけ、一部の実施形態では、本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用する方法は、遺伝子調節のために使用される。とりわけ、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、標的細胞における遺伝子発現の低減及び/又は増加を必要とする対象においてそれを行うために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、標的化リガンドを用いずに、対象における標的細胞に1つ以上の核酸を送達することができる。一部の実施形態では、核酸は、阻害剤核酸である。一部の実施形態では、阻害性核酸は、siRNAである。一部の実施形態では、核酸は、本明細書に記載の核酸である。別の例として、一部の実施形態では、本明細書に記載の脂質ナノ粒子は、標的化リガンドを用いずに、対象における標的細胞にカーゴを送達することができる。一部の実施形態では、カーゴは、本明細書に記載の任意のカーゴである。
【0239】
とりわけ、一部の実施形態では、細胞内の遺伝子を編集することを必要とする対象においてそれを行うための、本明細書に開示の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を使用する方法。
【0240】
一部の実施形態では、遺伝子調節のために標的とされる細胞は、免疫細胞である。免疫細胞は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、又はT制御性細胞などのT細胞であり得る。遺伝子編集のための他の例示的な免疫細胞としては、限定されないが、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、又はナチュラルキラー細胞が挙げられる。一部の実施形態では、肝細胞における遺伝子調節のために標的とされる細胞。
【0241】
標的とされ得る例示的な遺伝子としては、限定されないが、T細胞受容体、B細胞受容体、CTLA4、PD1、FOXO1、FOXO3、AKTs、CCR5、CXCR4、LAG3、TIM3、キラー免疫グロブリン様受容体、GITR、BTLA、LFA-4、T4、LFA-1、Bp35、CD27L受容体、TNFRSF8、TNFRSF5、CD47、CD52、ICAM-1、LFA-3、L-セレクチン、Ki-24、MB1、B7、B70、M-CSFR、TNFR-II、IL-7R、OX-40、CD137、CD137L、CD30L、CD40L、FasL、TRAIL、CD257、LIGHT、TRAIL-R1、TRAILR2、TRAIL-R4、TWEAK-R、TNFR、BCMA、B7DC、BTLA、B7-H1、B7-H2、B7-H3、ICOS、VEGFR2、NKG2D、JAG1、GITR、CD4、CCR2、GATA-3、MTORC1、MTORC2、RAPTOR、GATOR、FOXP3、NFAT、IL2R、及びIL7が挙げられる。標的とされ得る他の例示的な遺伝子としては、限定されないが、OCT、G6Pase、Mut、PCCA、PCCB、PCSK9、ALAS1、及びPAHが挙げられる。T細胞によって認識され、標的化のために企図される例示的な腫瘍関連抗原としては、限定されないが、MAGE1、MAGE3、MAGE6、BAGE、GAGE、NYESO-1、MART1/Melan A、MC1R、GP100、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、PSA、CEA、Cyp-B、Her2/Neu、hTERT、MUC1、PRAME、WT1、RAS、CDK-4、MUM-1、KRAS、MSLN、及びβ-カテニンが挙げられる。
【0242】
D.治療される対象
一部の実施形態では、治療される対象は、がん、自己免疫疾患、感染疾患、臓器移植、臓器不全、タンパク質欠乏症、又はそれらの組み合わせを経験している哺乳類である。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、ある特定のタンパク質を肝細胞に翻訳させることを引き起こし得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上のDNA、mRNA、sgRNA、又はsiRNAを肝細胞に送達するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上のDNA、mRNA、sgRNA、又はsiRNAを脾臓T細胞に送達するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上のDNA、mRNA、sgRNA、又はsiRNAを脾臓B細胞に送達するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上のDNA、mRNA、sgRNA、又はsiRNAを脾臓単球に送達するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上のDNA、mRNA、sgRNA、又はsiRNAを骨髄細胞に送達するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つ以上のDNA、mRNA、sgRNA、又はsiRNAを肺細胞に送達するために使用され得る。
【0243】
本発明が操作可能なままである限り、ある特定の動作を行うためのステップの順序又は順序は重要ではないことが理解されるべきである。更に、2つ以上のステップ又は動作は、同時に実行され得る。
【0244】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して具体的に示され、記載されているが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更が、本発明の趣旨及び範囲の中で行われ得ることが、当業者に理解されるべきである。
【0245】
例示的な実施形態
以下の付番された実施形態は、非限定的であるが、本開示のある特定の態様の例示である。
1.以下の式の化合物:
【化21】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩であって、式中、
L
1及びL
1’の各々が、独立して、C
1-6アルキレンであり、
L
2及びL
2’の各々が、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NR
b-で置き換えられ、
Y
1及びY
1’の各々が、独立して、-C(O)-、又は-C(O)O-であり、
Y
2及びY
2’の各々が、独立して、存在しないか、-OC(O)-、-C(O)O-、又は-OC(O)O-であり、
R及びR’の各々が、独立して、水素、
【化22】
であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基であり、
L
3a及びL
3a’の各々が、独立して、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-10炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-又は-NR
b-で置き換えられ、
R
a及びR
a’の各々が、独立して、水素であるか、又はC
6-20脂肪族、3~12員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0~4つのヘテロ原子を有する7~12員の飽和若しくは部分的に不飽和の架橋したビシクリル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、ステロリル、及びフェニルから選択される、任意選択的に置換された基であり、
X
1が、存在しないか、-O-、-S-、又は-NR
b-であり、
X
2が、存在しないか、又は任意選択的に置換された二価の飽和若しくは不飽和の直鎖若しくは分岐したC
1-
12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-O-、-NR
b-、又は-Cy
A-で置き換えられ、
Cy
Aが、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のカルボシクリレン、フェニレン、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリレン、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレンから選択される、任意選択的に置換された環であり、
X
3が、水素であるか、又は3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のカルボシクリル、フェニル、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する3~7員の飽和若しくは部分的に不飽和のヘテロシクリル、並びに窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリールから選択される、任意選択的に置換された基であり、
各R
bが、独立して、水素、又は任意選択的に置換されたC
1-
6脂肪族基である、化合物、若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩。
2.化合物が、式I-Aの化合物:
【化23】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、実施形態1に記載の化合物。
3.化合物が、式I-A-aの化合物:
【化24】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、実施形態1又は2に記載の化合物。
4.前記化合物が、式I-A-bの化合物:
【化25】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の化合物。
5.化合物が、式I-A-cの化合物:
【化26】
若しくはそのN-オキシド、又はそれらの薬学的に許容される塩である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の化合物。
6.化合物が、式I、I-A、I-A-a、I-A-b、及びI-A-cのうちのいずれかの化合物、又はそれらの薬学的に許容される塩である、先行実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
7.L
1’が、C
1-3アルキレンである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の化合物。
8.L
1が、-(CH
2)
2-又は-(CH
2)
3-である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の化合物。
9.L
1’が、C
1-3アルキレンである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の化合物。
10.L
1’が、-(CH
2)
2-又は-(CH
2)
3-である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の化合物。
11.L
2が、存在しない、実施形態1~10のいずれか1つに記載の化合物。
12.L
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-10炭化水素鎖である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の化合物。
13.L
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-5炭化水素鎖である、実施形態1~10及び12のいずれか1つに記載の化合物。
14.L
2が、-(CH
2)
2-である、実施形態1~10、12、及び13のいずれか1つに記載の化合物。
15.L
2’が、存在しない、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物。
16.L
2’が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-10炭化水素鎖である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の化合物。
17.L
2’が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-5炭化水素鎖である、実施形態1~14及び16のいずれか1つに記載の化合物。
18.L
2’が、-(CH
2)
2-である、実施形態1~14、16、及び17のいずれか1つに記載の化合物。
19.Y
1が、-C(O)-である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の化合物。
20.Y
1’が、-C(O)-である、実施形態1~19のいずれか1つに記載の化合物。
21.Y
2が、存在しない、実施形態1~20のいずれか1つに記載の化合物。
22.Y
2が、-C(O)O-である、実施形態1~21のいずれか1つに記載の化合物。
23.Y
2’が、存在しない、実施形態1~22のいずれか1つに記載の化合物。
24.Y
2’が、-C(O)O-である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の化合物。
25.Rが、
【化27】
である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の化合物。
26.Rが、任意選択的に置換されたC
6-20脂肪族である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の化合物。
27.Rが、任意選択的に置換されたC
9-20脂肪族である、実施形態1~24及び26のいずれか1つに記載の化合物。
28.R’が、
【化28】
である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の化合物。
29.R’が、任意選択的に置換されたC
6-20脂肪族である、実施形態1~27のいずれか1つに記載の化合物。
30.R’が、任意選択的に置換されたC
9-20脂肪族である、実施形態1~27及び29のいずれか1つに記載の化合物。
31.-L
2-Y
2-R及び-L
2’-Y
2’-R’の各々が、独立して、
【化29】
である、先行実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
32.各L
3aが、存在しない、実施形態1~31のいずれか1つに記載の化合物。
33.各L
3a’が、存在しない、実施形態1~32のいずれか1つに記載の化合物。
34.各R
aが、任意選択的に置換されたC
6-20脂肪族である、実施形態1~33のいずれか1つに記載の化合物。
35.各R
aが、任意選択的に置換されたC
6-12脂肪族である、実施形態1~34のいずれか1つに記載の化合物。
36.各R
a’が、独立して、任意選択的に置換されたC
6-20脂肪族である、実施形態1~35のいずれか1つに記載の化合物。
37.各R
a’が、任意選択的に置換されたC
6-12脂肪族である、実施形態1~36のいずれか1つに記載の化合物。
38.-L
3a-R
a及び-L
3a’-R
a’の各々が、独立して、
【化30】
である、実施形態1~37のいずれか1つに記載の化合物。
39.X
1が、存在しない、実施形態1~38のいずれか1つに記載の化合物。
40.X
1が、-O-である、実施形態1~38のいずれか1つに記載の化合物。
41.X
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-12炭化水素鎖であり、1~3つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-NR
b-で置き換えられる、実施形態1~40のいずれか1つに記載の化合物。
42.X
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-6炭化水素鎖であり、1つのメチレン単位が、任意選択的に、かつ独立して、-NR
b-で置き換えられる、実施形態1~41のいずれか1つに記載の化合物。
43.X
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-12炭化水素鎖である、実施形態1~41のいずれか1つに記載の化合物。
44.X
2が、任意選択的に置換された二価の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐したC
1-6炭化水素鎖である、実施形態1~43のいずれか1つに記載の化合物。
45.X
3が、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択される1~3つのヘテロ原子を有する、3~7員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである、実施形態1~44のいずれか1つに記載の化合物。
46.X
3が、1~2つの窒素を有する、5~6員の飽和又は部分的に不飽和のヘテロシクリルである、実施形態1~45のいずれか1つに記載の化合物。
47.-X
2-X
3が、
【化31】
である、先行実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
48.各R
bが、独立して、任意選択的に置換されたC
1-6脂肪族である、実施形態1~47のいずれか1つに記載の化合物。
49.各R
bが、独立して、-CH
3又は-CH
2CH
3である、実施形態1~48のいずれか1つに記載の化合物。
50.化合物が、表1から選択されるか、又はその薬学的に許容される塩である、実施形態1に記載の化合物。
51.実施形態1~50のいずれか1つに記載のイオン化可能な脂質を含む、脂質ナノ粒子(LNP)調製物。
52.実施形態1~50のいずれか1つに記載のイオン化可能な脂質と、
リン脂質と、
ステロールと、
コンジュゲート-リンカー脂質(例えば、ポリエチレングリコール脂質)と、を含む、脂質ナノ粒子(LNP)調製物。
53.治療剤及び/又は予防剤を更に含む、実施形態51に記載のLNP調製物。
54.治療剤及び/又は予防剤が、1つ以上の核酸であるか、又はそれらを含む、実施形態53に記載のLNP調製物。
55.1つ以上の核酸が、RNAであるか、又はそれを含む、実施形態54に記載のLNP調製物。
56.1つ以上の核酸が、DNAであるか、又はそれを含む、実施形態54に記載のLNP調製物。
57.LNP調製物が、治療剤及び/又は予防剤を標的細胞に送達するために製剤化される、実施形態53~56のいずれか1つに記載のLNP調製物。
58.標的細胞が、脾臓細胞(例えば、脾臓B細胞、脾臓T細胞、脾臓単球)、肝臓細胞(例えば、肝細胞)、骨髄細胞(例えば、骨髄単球)、免疫細胞、腎臓細胞、筋肉細胞、心臓細胞、若しくは中枢神経系における細胞であるか、又はそれらを含む、実施形態57に記載のLNP調製物。
59.標的細胞が、造血幹細胞(HSC)であるか、又はそれを含む、実施形態58に記載のLNP調製物。
60.実施形態51に記載のLNP調製物と、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、薬学的組成物。
61.治療剤及び/又は予防剤の投与を必要とする対象にそれらを投与するための方法であって、本方法が、実施形態51に記載のLNP調製物又は実施形態60に記載の薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法。
62.疾患又は障害の治療を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、本方法が、実施形態51に記載のLNP調製物又は実施形態60に記載の薬学的組成物を対象に投与することを含み、治療剤及び/又は予防剤が、疾患の治療に有効である、方法。
63.疾患又は障害の進行の遅延及び/又は停止を必要とする対象においてそれを行うための方法であって、本方法が、実施形態51に記載のLNP調製物又は実施形態60に記載の薬学的組成物を対象に投与することを含み、治療剤及び/又は予防剤が、疾患の治療に有効である、方法。
64.対象に由来する哺乳類細胞に治療剤及び/又は予防剤を送達する方法であって、本方法が、実施形態51に記載のLNP調製物又は実施形態60に記載の薬学的組成物を投与されている対象の細胞を接触させることを含む、方法。
65.哺乳類細胞において目的のポリペプチドを産生する方法であって、本方法が、細胞を実施形態51に記載のLNP調製物又は実施形態60に記載の薬学的組成物と接触させることを含み、治療剤及び/又は予防剤が、mRNAであるか、又はそれを含み、mRNAが、目的のポリペプチドをコードし、それによって、mRNAが、細胞中で翻訳されて、目的のポリペプチドを産生することが可能である、方法。
66.哺乳類細胞において目的のポリペプチドの産生を阻害する方法であって、本方法が、細胞を実施形態51に記載のLNP調製物又は実施形態60に記載の薬学的組成物と接触させることを含み、治療剤及び/又は予防剤が、RNAであるか、又はそれを含み、それによって、RNAが、目的のポリペプチドの産生を阻害することが可能である、方法。
67.治療剤及び/又は予防剤を哺乳類臓器に特異的に送達する方法であって、本方法が、哺乳類臓器を実施形態51に記載のLNP調製物又は実施形態60に記載の薬学的組成物と接触させることを含み、それによって、治療剤及び/又は予防剤が、臓器に送達される、方法。
68.対象に、実施形態51に記載のLNP調製物、又は実施形態60に記載の薬学的組成物を対象に投与することを含む、実施形態67に記載の方法。
69.実施形態51に記載のLNP調製物、又は実施形態60に記載の薬学的組成物を投与することによって、ワクチン接種する方法。
70.対象において獲得免疫応答を誘導する方法であって、少なくとも1つのRNAを含む有効量の組成物を対象に投与することを含み、組成物が、実施形態1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む、LNP調製物を含む、方法。
【実施例】
【0246】
例示
本開示は、本明細書に記載の組成物、調製物、製剤、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を例示する。本開示はまた、本明細書に記載の組成物、調製物、製剤、製剤、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を調製、特徴評価、及び検証する方法を例示する。
【0247】
実施例1:材料及び方法
本実施例は、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を調製、特徴評価、及び検証する、例示的な材料及び方法を提供する。
【0248】
LNP調製物
とりわけ、本実施例は、例示的なLNP調製物を提供する。
【0249】
脂質ナノ粒子構成成分を、定められた脂質構成成分モル比で100%エタノール中に溶解させる。10mMのクエン酸塩、100mMのNaCl、pH4.0に核酸(NA)カーゴを溶解させ、およそ0.22mg/mLのNAカーゴの濃度が生じる。一部の実施形態では、NAカーゴは、1:10~10:1の機能的NA対バーコードの質量比で混合した、機能的NA及びレポーターDNAバーコードの両方を含む。本明細書に記載されるように、NAは、siRNA、アンチセンス、発現DNA、又はmRNAであり得る。
【0250】
11.7の総脂質対NAの質量比でLNPを調製する。製造業者のプロトコルに従って、Precision Nanosystems NanoAssemblr Spark又はBenchtop series Instrumentsを使用して、脂質及びNA溶液のマイクロ流体混合によって、LNPを形成する。異なる流量を使用する混合中に、およそ2:1又は3:1の水性溶媒対有機溶媒の比を維持する。混合後、LNPを収集し、PBS(およそ1:1v/v)に希釈する。PBS中4℃で4~24時間の間、20kDaフィルタに対する透析を使用して、更なる緩衝液交換を実行する。この最初の透析の後、動的光散乱(DLS)を介して各個々のLNP調製物を特徴評価して、サイズ(例えば、直径)及び多分散性を測定する。加えて、LNPの亜集団のpKaを、2-(p-トルイジノ)-6-ナフタレンスルホン酸(TNS)アッセイを介して測定する。比直径及び多分散性範囲内にあるLNPをプールし、100kDa透析カセットに対して4℃で1~4時間の間、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に対して更に透析する。第2の透析の後、0.22μMフィルタを使用してLNPを滅菌濾過し、更なる使用のために4℃で保管する。
【0251】
LNP特徴評価
DLS-高スループット動的光散乱(DLS)(DynaPro plate reader II、Wyatt)を使用して、LNP流体力学的直径及び多分散性指数(PDI)を測定する。適切な濃度まで1倍のPBSにLNPを希釈し、分析する。
【0252】
濃度及びカプセル化効率
製造業者の説明書に従って、Qubit microRNAキット(siRNA用)又はHS RNAキット(mRNA用)によって、NAの濃度を決定する。未溶解のLNP及び溶解したLNP中の核酸濃度を測定することによって、カプセル化効率を決定する。
【0253】
pKa
10mMのHEPES(Sigma Aldrich)、10mMのMES(Sigma Aldrich)、10mMの酢酸ナトリウム(Sigma)、及び140nMの塩化ナトリウム(Sigma Aldrich)のストック溶液を調製し、塩化水素及び水酸化ナトリウムを使用して約pH4~10の範囲までpHを調整する。各pH値で4回の繰り返しを使用して、96ウェルプレートに、140μLのpH調整緩衝液を添加し、続いて5μLの2-(p-トルイジノ)-6-ナフタレンスルホン酸(60μg/mL)を添加する。各ウェルに5μLのLNPを添加する。穏やかな振盪下での5分のインキュベーションの後、325nmの励起波長及び435nmの発光波長を使用して、蛍光を測定する(BioTek Synergy H4 Hybrid)。
【0254】
LNP投与
本実施例によって記載される研究のために、およそ8~12週齢の雄及び雌マウスを使用する。各マウスを一時的に拘束し、プールしたLNPを、実験ごとに最大5匹の動物に尾部静脈注射を介して静脈(IV)投与した。また、年齢が一致するマウスを使用して、実験ごとに最大3匹の動物に尾部静脈注射を介してビヒクル(1倍のPBS)を投与する。投与後72時間で、肝臓、脾臓、骨髄、腎臓、肺、筋肉、及び血液を含む組織を分析のために収集する。
【0255】
フロー
肝臓、腎臓、肺、及び筋肉組織を、機械によって、次いで、プロテイナーゼの混合物を使用して酵素によって消化させ、次いで、70uMフィルタに通して、単一細胞懸濁液を生成する。脾臓組織を機械によって消化させて、単一細胞懸濁液を生成する。全ての組織を(アンモニウム-塩化物-カリウム)ACK緩衝液で処理して赤血球を溶解させ、次いで、フローサイトメトリー及び蛍光活性化細胞選別(FACS)のために蛍光標識抗体で染色する。市販の抗体を使用する。BD FACSMelody(Becton Dickinson)を使用して、フローサイトメトリーを介して試料を取得し、選別前にゲートを生成する。一般に、ゲーティング構造は、サイズ→単一細胞→生細胞→目的の細胞である。T細胞は、CD45+CD3+と定義し、単球は、CD45+CD11b+と定義し、B細胞は、CD45+CD19+と定義する。内皮細胞は、CD31+、単球及びKupffer細胞は、CD45+CD11b+、肝細胞は、CD31-/CD45-と定義する。siRNA研究では、標的遺伝子の下方制御をゲート化する。mRNA研究では、標的遺伝子の上方制御をゲート化する。ビヒクルを投与したマウスからの組織を使用して、選別のためのゲートを設定する。正しい表現型を有する各細胞サブセットの最大100万個の細胞をPBS中で選別する。選別の後、遠心分離を介して細胞をペレット化し、製造業者のプロトコルに従って、Quick Extract DNA Extraction Solution(Lucigen)を使用してDNAを抽出する。DNA抽出に続いて、DNAを-20℃で保管する。
【0256】
バーコード配列決定
QuickExtract(Lucigen)を使用してDNA(ゲノム及びDNAバーコード)を単離し、本明細書に記載されるようにIllumina MiniSeqを使用して配列決定し、FACS単離された試料中のDNAバーコード数の頻度を、注射された投薬量における頻度に対して正規化する。これらのデータは、「正規化投薬量倍数(Normalized Fold Above Input)」としてプロットする(データは示さず)。
【0257】
確認
提供されたLNPの構造的及び機能的特徴は、本明細書に記載のプロトコルに基づいて確認する。
【0258】
LNP調製物
脂質ナノ粒子構成成分を、定められた脂質構成成分モル比で100%エタノール中に溶解させる。10mMのクエン酸塩、100mMのNaCl、pH4.0に核酸(NA)カーゴを溶解させ、およそ0.22mg/mLのNAカーゴの濃度が生じる。一部の実施形態では、NAカーゴは、1:10~10:1の機能的NA対バーコードの質量比で混合した、機能的NA及びレポーターDNAバーコードの両方を含む。11.7の総脂質対NAの質量比でLNPを製剤化する。製造業者のプロトコルに従って、Precision Nanosystems NanoAssemblr Spark又はBenchtop series Instrumentsを使用して、脂質及びNA溶液のマイクロ流体混合によって、LNPを形成する。異なる流量を使用する混合中に、2:1又は3:1の水性溶媒対有機溶媒の比を維持する。混合の後、LNPを収集し、PBS(およそ1:1v/v)に希釈し、PBS中4℃で8~24時間の間、20kDaフィルタに対する透析を使用して、更なる緩衝液交換を実行する。この最初の透析の後、DLSを介して各個々のLNP製剤を特徴評価して、サイズ及び多分散性を測定し、TNSアッセイを介してLNPの亜集団のpKaを測定する。透析の後、0.22ミクロン滅菌フィルタを使用してLNPを滅菌濾過し、更なる使用のために4℃で保管する。
【0259】
LNP特徴評価
DLS
高スループット動的光散乱(DLS)(DynaPro plate reader II、Wyatt)を使用して、LNP流体力学的直径及び多分散性指数(PDI)を測定する。適切な濃度まで1倍のPBSにLNPを希釈し、分析する。
【0260】
濃度及びカプセル化効率
製造業者の説明書に従って、Qubit microRNAキット(siRNA用)又はHS RNAキット(mRNA用)によって、NAの濃度を決定する。未溶解のLNP及び溶解したLNPを測定することによって、カプセル化効率を決定する。
【0261】
pKa
10mMのHEPES(Sigma Aldrich)、10mMのMES(Sigma Aldrich)、10mMの酢酸ナトリウム(Sigma)、及び140nMの塩化ナトリウム(Sigma Aldrich)のストック溶液を調製し、塩化水素及び水酸化ナトリウムを使用して約pH4~10の範囲までpHを調整する。各pHで4回の繰り返しを使用して、96ウェルプレートに、140μLのpH調整緩衝液を添加し、続いて5μLの2-(p-トルイジノ)-6-ナフタレンスルホン酸(60μg/mL)を添加する。各ウェルに5μLのLNPを添加する。穏やかな振盪下での5分のインキュベーションの後、325nmの励起波長及び435nmの発光波長を使用して、蛍光を測定する(BioTek Synergy H4 Hybrid)。
【0262】
LNP投与
本実施例によって記載される研究のために、およそ8~12週齢の雄及び雌マウスを使用する。各マウスを一時的に拘束し、プールしたLNPを、実験ごとに最大5匹の動物に尾部静脈注射を介してIV投与する。また、年齢が一致するマウスを使用して、実験ごとに最大3匹の動物に尾部静脈注射を介してビヒクル(1倍のPBS)を投与する。また、脳室心房(ICV)、大槽内マンガ(ICM)、髄腔内(IT)、筋肉内(IM)、噴霧、鼻腔内(IN)、皮下(SC)、関節内、及び皮内(ID)を含む追加の投与経路を行ってもよい。投与後72時間で、肝臓、脾臓、骨髄、及び血液を含む組織を分析のために収集する。
【0263】
フロー
肝臓、腎臓、肺、及び筋肉(例えば、骨格筋及び心筋)組織を、機械によって、次いで、プロテイナーゼの混合物を使用して酵素によって消化させ、次いで、70uMフィルタに通して、単一細胞懸濁液を生成する。脾臓組織を機械によって消化させて、単一細胞懸濁液を生成する。組織をACK緩衝液で処理して赤血球を溶解させ、次いで、フローサイトメトリー及び蛍光活性化細胞選別(FACS)のために蛍光標識抗体で染色する。本実施例では、市販の抗体を使用する。BD FACSMelody(Becton Dickinson)を使用して、フローサイトメトリーを介して試料を取得し、選別前にゲートを生成する。一般に、ゲーティング構造は、サイズ→単一細胞→生細胞→目的の細胞であった。T細胞は、CD45+CD3+と定義し、単球は、CD45+CD11b+と定義し、B細胞は、CD45+CD19+と定義する。それぞれ、内皮細胞は、CD31+、単球及びKupffer細胞は、CD45+CD11b+と定義し、肝臓及び筋肉における肝細胞及び筋細胞は、CD31-/CD45-と定義する。ビヒクルを投与したマウスからの組織を使用して、選別のためのゲートを設定する。
【0264】
hEPO発現
ヒトEPO(hEPO)タンパク質発現のために、マウスを一時的に拘束し、投与後6時間で(尾部静脈を介して)採血する。血液をヘパリンチューブに収集し、血漿へと処理し、使用準備が整うまで-80℃で保管する。製造業者の説明書に従ってR&DシステムELISAキット(DuoSet;DY286-05)を使用して、血漿の適切な希釈物を使用してhEPOタンパク質を測定する。
【0265】
耐容性
ALT/AST定量化
ラットアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)及びアラニントランスアミナーゼ(ALT)の定量化については、ラットを一時的に拘束し、投与後2、4、6、24、48、及び72時間で採血する。血液をヘパリンチューブに収集し、血漿へと処理し、使用準備が整うまで-80℃で保管する。製造業者の説明書に従って、ASTは、AST/GOT試薬(ThermoFisher、TR70121)を使用して定量し、ALTは、ALT/GPT試薬(ThermoFisher、TR71121)を使用して定量化する。
【0266】
ラットMCP-1 ELISA
ラット単球化学誘引タンパク質-1(MCP-1)タンパク質発現については、ラットを一時的に拘束し、投与後2、4、6、24、48、及び72時間で採血する。血液をヘパリンチューブに収集し、血漿へと処理し、使用準備が整うまで-80℃で保管する。製造業者の説明書に従ってR&DシステムELISAキット(DuoSet;DY3144-05)を使用して、血漿の適切な希釈物を使用してMCP-1タンパク質を測定する。
【0267】
スクリーニング実験
本明細書に記載の複数のLNP(例えば、300超のLNP調製物)を、単一のスクリーニング実験において同時に試験することができる。一部の実施形態では、300超のLNPが、単一のマウスでスクリーニングされる。一部の実施形態では、850超のLNPが、単一のマウスでスクリーニングされる(
図1及び
図2を参照されたい)。スクリーニング実験を使用して、本明細書に記載されるように、細胞及び組織へのmRNA又はsiRNA送達を測定する。
【0268】
mRNA送達のために、Cre mRNA及び本明細書に記載のバーコードを担持するように各LNP調製物を製剤化する。本明細書に記載の方法(
図1を参照されたい)に従って、各LNP調製物をLSL-tdTomマウス(Ai14)に投与する(また
図1を参照されたい)。
図1を参照すると、1つ以上の構成成分、バーコード配列、及びCre mRNAを各々含むLNP調製物のライブラリを、Cre-LoxPレポーターマウスに投与する。本明細書に記載されるように、細胞が、tdTom-であったか、又はtdTom+であったかに基づいて、FACSを使用してマウス細胞を選別する。次いで、本明細書に記載されるように、選別したtdTom+細胞を配列決定する。
【0269】
siRNA送達のために、siGFP及び本明細書に記載のバーコードを担持するように各LNP調製物を製剤化する。本明細書に記載の方法(
図2を参照されたい)に従って、各LNP調製物をGFPマウスに投与する(また
図2を参照されたい)。
図2を参照すると、1つ以上の構成成分、バーコード配列、及びsiGFPを各々含むLNP調製物のライブラリを、GFPレポーターマウスに投与する。本明細書に記載されるように、GFP発現に基づいて、FACSを使用して細胞を選別する。次いで、本明細書に記載されるように、選別した細胞を配列決定する。
【0270】
本明細書に記載の化合物又は比較化合物を使用して、LNP調製物を製剤化する。対照としてMC3を使用して、LNP調製物を製剤化する。以下の測定を行う:LNP調製物の直径、LNP調製物の多分散性、細胞型及び組織型の任意の組み合わせに対する「正規化送達効率」、LNP調製物のpKA(脂質pKAに関連するが、同じではない)、脂質pKA、及びLNP調製物のイオン化性。LNP調製物の各プールに対して、カプセル化効率及び送達効力も測定する。hEPO発現及びCre発現測定は、本明細書に記載されるように行う。
【0271】
実施例2:スクリーン当たりの効力
本実施例は、例示的な組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料、並びに本明細書に記載のそのような組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料の効力をスクリーニングするための材料及び方法を提供する。
【0272】
実施例1に記載の例示的なLNPスクリーニングを使用して、LNPの各プールが多くの組織にわたって非常に強力であることを示すことができる。
【0273】
実施例3:様々な細胞型への強力な送達を有する例示的なLNP調製物
本実施例は、本明細書に記載の様々な細胞型への強力な送達のための、例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本実施例は、一部の実施形態では、提供された脂質が様々な細胞型への強力な送達を示すことを示すために使用することができる。
【0274】
実施例1のスクリーニングに由来する結果に基づいて、脾臓送達で使用するための、特にB細胞送達で使用するための、例示的なLNP調製物を同定する。これらの同定された脂質をLNP調製物へと製剤化し、本明細書に記載のCreレポーターシステムを使用してスクリーニングする。群当たり3匹のAi14マウスを使用する。ペイロードは、0.3mg/kgのCre mRNAを含む。注射後168時間にデータを収集する。結果を、対照としてのMC3-LNP調製物と比較する。
【0275】
実施例4:例示的なLNP調製物を様々な細胞型へと送達する。
本実施例は、本明細書に記載の様々な細胞型への強力な送達を有する、例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本実施例は、提供された脂質が様々な細胞型にわたって強力な送達を示すことを示すために使用することができる。
【0276】
LNP調製物を選択して、本明細書に記載のCreレポーター系及びAi14マウスモデルを使用して、有効性結果を確認する。各実験において、群当たり3匹のAi14マウスを使用する。注射後72時間にデータを収集する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームが、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定して、どの種類のLNP調製物が特定の細胞型に対して最も強力であるかを決定することができる。
【0277】
実施例5:例示的なLNP調製物は、機能的mRNAを送達する。
本実施例は、機能的mRNAを様々な細胞型に送達する例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本実施例は、脂質が、マウスにおいて機能的mRNAを送達することが可能であることを示すことができる。
【0278】
マウスにおいて機能的mRNAを静脈送達する各調製物の能力を決定するために、LNP調製物を選択する。LNP調製物は、各々0.15mg/kgのhEPO mRNAを担持し、2~3匹のC57BL6マウスにおいて11.7及び19の質量比で投与する。血漿中のhEPO発現を、LNP調製物の注射の6時間後に測定する。
【0279】
実施例6:耐容性及び有効性実験
本実施例は、本明細書に記載の組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を調製、特徴評価、及び検証する、例示的な材料及び方法を提供する。本実施例を使用して、提供される脂質が、マウスにおいて機能的mRNAを送達することが可能であることを示すことができる。
【0280】
本明細書に記載されるように、ラットにおけるhEPO mRNA送達の耐容性及び有効性を決定するために、例示的なLNP調製物を選択する。1.0mg/kgのhEPO mRNAを含有する各LNP調製物を、Sprague-Dawleyラット(N=2)に注射する。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)を、各例示的なLNP調製物の注射の24時間後のラットの血漿から収集する(U/L)。単球化学誘引タンパク質-1(MCP-1)を、各LNP調製物の注射の6時間後のラットの血漿から収集する(ng/mL)。生理食塩水を対照として使用する。ビヒクル(対照)及び例示的なLNP調製物を投与した後、注射後の様々な時点(0、2、4、6、24、48、及び96時間)にわたって、hEPOの量をラットの血漿から収集する(ng/mL)。
【0281】
実施例7:イオン化可能な脂質の合成
本実施例は、本明細書に記載のイオン化可能な脂質を調製、特徴評価、及び検証する、例示的な材料及び方法を提供する。以下の実施例に記載されるように、ある特定の例示的な実施形態では、化合物は、以下の一般手順に従って調製される。一般方法は、本開示のある特定の化合物の合成を示すが、以下の一般方法及び当業者に既知の他の方法は、本明細書に記載の全ての化合物並びにこれらの化合物の各々のサブクラス及び種に適用することができることが理解されるであろう。
【0282】
一般注意事項:別段の記載がない限り、磁気撹拌を伴うフラスコ又はバイアル内の窒素雰囲気下で、無水グレードの溶媒を使用して全ての反応を実施した。無水溶媒は、Sigma-Aldrichから購入し、受け取ったままで使用した。予め充填されているシリカゲルカートリッジとともにBiotage Selekt又はTeledyne-Isco Combiflash Nextgen300+を使用して、フラッシュカラムクロマトグラフィーを行った。Merckシリカゲル60プレートを使用して薄層クロマトグラフィーを行い、ヨウ素を使用して化合物を可視化した。Varian INOVA 500MHz又はBruker AVANCE 400MHz分光計のいずれかを使用して、核磁気共鳴(NMR)分光法を行った;化学シフトは、CDCl3試料に対するδ=0.00ppmでのテトラメチルシランを参照してδ百万分率(ppm)で、及びDMSO試料に対する残留溶媒ピーク(δ=2.50ppm)で報告する。以下の方法のうちの1つを使用して、QDa検出器(ESI+)を備えるWaters Acquity UPLC HクラスPlusを使用して、超高速液体クロマトグラフィー-質量分析(UPLC-MS)を行った:
【0283】
方法A:5分間実施、カラム:XTERRA RP 18(4.6×50mm)、5μm、移動相:開始時50%[水中0.1%のHCOOH]及び50%[(70:30)ACN:THF中0.1%のHCOOH]、次いで、2%[水中0.1%のHCOOH]及び98%[(70:30)ACN:THF中0.1%のHCOOH]を2.65分のこの移動相組成を最大3.75分間保持し、最終的に開始状態、すなわち、50%[水中0.1%のHCOOH]及び50%[(70:30)ACN:THF中0.1%のHCOOH]、を4.90分間のこの移動相組成を最大5.10分間保持した。流量=1.2mL/分。
【0284】
方法B:12分間実施、カラム:XTERRA RP 18(4.6×50mm)、5μm、移動相:開始時80%[水中0.1%のHCOOH]及び20%[(70:30)ACN:THF中0.1%のHCOOH]、のこの開始時状態を0.75分間保持し、次いで、65%[水中0.1%のHCOOH]及び35%[(70:30)ACN:THF中0.1%のHCOOH]を3.0分間、次いで、2%[水中0.1%のHCOOH]及び98%[(70:30)ACN:THF中0.1%のHCOOH]を6.0分のこの移動相組成を最大9.0分間保持し、最終的に開始状態、すなわち、80%[水中0.1%のHCOOH]及び20%[(70:30)ACN:THF中0.1%のHCOOH]、を11.00分間のこの移動相組成を最大12.10分間保持した。流量=1.2ml/分。
【0285】
略語のリスト
ACN:アセトニトリル
d:二重線
CDI:1,1’-カルボニルジイミダゾール
DCC:N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM:ジクロロメタン
DIBAL-H:水素化ジイソブチルアルミニウム
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP:4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMSO:ジメチルスルホキシド
EDC:N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩
Equiv:当量
Et:エチル
i-Pr:イソプロピル
m:多重線
Me:メチル
p:五重線
PPTS:p-トルエンスルホン酸ピリジニウム
q:四重線
Rt:保持時間
s:単一線
t:三重線
TBAF:フッ化テトラブチルアンモニウム
TBDMSCl:tert-ブチルジメチルシリルクロリド
TEA:トリエチルアミン
THF:テトラヒドロフラン
【0286】
【化32】
実施例7-1:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
【化33】
ステップ1:4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタンニトリル
一般手順A:
ピリジニウム p-トルエンスルホネート(0.12g、0.48mmol、0.05当量)を含有するバイアルに、4,4-ジエトキシブタンニトリル(1.5g、9.5mmol、1当量)、及びシス-5-オクテン-1-オール(3.7g、29mmol、3当量)を添加した。バイアルをしっかりとキャップし、得られた混合物を105℃で72時間加熱した。この時間の後、混合物を室温まで冷却した。粗物質を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(100gのシリカ、20分間ヘキサン中0~100%のジクロロメタン)によって精製した。4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタンニトリル(1.14g、37%)を無色の油として単離した。
1H NMR(500MHz,クロロホルム-d)δ 5.43-5.27(m,4H),4.56(t,J=5.3Hz,1H),3.61(dt,J=9.3,6.6Hz,2H),3.44(dt,J=9.3,6.6Hz,2H),2.42(t,J=7.4Hz,2H),2.12-1.91(m,9H),1.66-1.54(m,5H),1.49-1.36(m,4H),0.96(t,J=7.6Hz,6H).
【0287】
【化34】
ステップ2:4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸
一般手順B:
4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタンニトリル(1.14g、3.54mmol、1当量)を含有するバイアルに、水酸化カリウム(0.60g、10.6mmol、3当量)、続いてエタノール(3.5mL)及び水(3.5mL)を添加した。バイアルをしっかりとキャップし、反応混合物を110℃まで18時間加熱した。この時間の後、混合物を室温まで冷却した。混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、1MのHClを添加することによってpHを約5まで調整した。生じた二相性混合物を分離し、水相を酢酸エチル(2×20mL)で更に2回抽出した。有機抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸を粘着性の白色の固体として得た(1.16g、収率96%)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 5.41-5.24(m,4H),4.45(t,J=5.6Hz,1H),3.51(dt,J=9.0,6.7Hz,2H),3.39(dt,J=9.0,6.7Hz,2H),2.17(t,J=7.6Hz,2H),2.08-1.98(m,8H),1.81(q,J=7.3Hz,2H),1.59-1.52(m,4H),1.44-1.32(m,4H),0.94(t,J=7.5Hz,6H).
【0288】
【化35】
ステップ3:ジエチル 3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタンジオエート
DCM(20mL)中のジエチル 3-ヒドロキシペンタンジオエート(2g、9.80mmol)の撹拌溶液に、TBDMSCl(1.77g、11.75mmol)及びイミダゾール(1.33g、19.58mmol)を0℃で添加した。反応混合物を25℃で17時間撹拌した。完了したら、反応混合物を濾過し、濃縮した。このようにして得られた粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン中の10%の酢酸エチルで溶出して、ジエチル 3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタンジオエート(1.9g、61%)を無色の油として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.05(s,6H),0.83(s,9H),1.23-1.27(m,6H),2.52-2.56(m,4H),4.07-4.15(m,4H),4.52-4.56(m,1H)
【0289】
【化36】
ステップ4:3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジオール
DCM(20mL)中のジエチル 3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタンジオエート(1.9g、6.96mmol)の撹拌溶液に、THF中のDIBAL-H 1M溶液(5.4mL、5.4mmol)を0℃で添加した。反応混合物を25℃で17時間撹拌した。完了したら、反応混合物をMeOHでクエンチし、温度を0℃に保った。固体材料を濾別した。濾液を濃縮した。このようにして得られた粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、10%のMeOH-DCMで溶出して、3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジオール(600mg、43%)を無色の油として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.03(s,6H),0.85(s,9H),1.50-1.60(m,4H),3.40-3.46(m,4H),3.88-3.91(m,1H),4.28(t,J=4.9Hz,2H).
【0290】
【化37】
ステップ5:3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート
一般手順C:
DCM(5mL)中の4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸(240mg、0.70mmol)の撹拌溶液に、DCC(218mg、1.05mmol)及びDMAP(26mg、0.21mmol)を0℃で添加した。反応混合物を30分間撹拌した。次いで、3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジオール(165.2mg、0.70mmol)を反応混合物に添加した。反応混合物を25℃で8時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で蒸発させて粗化合物を得た。粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、溶出液として10%酢酸エチル-ヘキサンで溶出して、3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート(200mg、51%)を淡黄色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.06-0.08(m,6H),0.88-0.96(m,14H),1.30-2.10(m,24H),2.36(t,J=7.3Hz,2H),3.36-3.80(m,6H),4.02-4.15(m,3H),4.48(t,J=5.5Hz,1H),5.20-5.40(m,4H).
【0291】
【化38】
ステップ6:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
一般手順D:
DCM(10mL)中のリノール酸(85mg、0.30mmol)の撹拌溶液に、EDC・HCl(75.56mg、0.39mmol)、DMAP(7.8mg、0.06mmol)及び3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート(185mg、0.33mmol)及び無水DIPEA(0.21mL、1.2mmol)を添加した。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。完了したら、反応混合物を濃縮し、DCM(25mL)で希釈し、飽和NaHCO
3溶液(2×25mL)で抽出した。有機層を、水(2×25mL)及びブライン(2×15mL)で洗浄した。有機部分を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、10%の酢酸エチル-ヘキサンで溶出して、5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(135mg、54%)を無色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.10(s,6H),0.87-0.96(m,19H),1.24-1.43(m,23H),1.58-2.10(m,18H),2.20-2.40(m,4H),2.70-2.80(m,2H),3.30-3.60(m,4H),3.90-4.20(m,5H),4.40-4.50(m,1H),5.20-5.40(m,8H).
【0292】
【化39】
ステップ7:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
一般手順E:
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(135mg、0.16mmol)の撹拌溶液に、THF中の1M TBAF溶液(0.2mL、0.2mmol)を添加した。反応混合物を25℃で6時間撹拌した。完了したら、反応混合物を濃縮し、DCM(15mL)で希釈した。反応混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機部分を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(145mg、粗)を無色の油として得て、これを次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.85-0.96(m,16H),1.29-2.10(m,37H),2.20-2.40(m,3H),2.70-2.80(m,2H),3.30-3.80(m,5H),4.10-4.50(m,5H),5.20-5.40(m,8H)
【0293】
【化40】
ステップ8:1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート
一般手順F:
トルエン(1mL)中の5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(50mg、0.07mmol)の撹拌溶液に、CDI(45.95mg、0.28mmol)及びKOH(0.23mg、0.004mmol)を添加し、70℃で4時間撹拌した。完了したら、反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(10mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート(55mg、粗)を得て、これを次のステップに使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.81-0.95(m,9H),1.24-1.85(m,23H),1.85-2.40(m,16H),2.70-2.80(m,1H),3.30-3.60(m,3H),3.90-3.50(m,4H),5.20-5.40(m,5H),7.06-7.10(m,4H),7.40(d,J=9.2Hz,1H),7.67(s,2H),8.12(d,J=7.2Hz,1H).
【0294】
ステップ9:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(実施例7-1)
一般手順G:
乾燥トルエン(2mL)中の化合物1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート(50mg、0.062mmol、1.0当量)の撹拌溶液に、KOH(1mg、0.016mmol、0.25当量)を添加した後、(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノール(11mg、0.074mmol、1.2当量)を不活性雰囲気下で添加した。反応混合物を70℃で4時間加熱した。完了したら、反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(30mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料を、コンビフラッシュカラム精製によって精製し、10%のMeOH-DCMで溶出し、5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(37%、3ステップ)を無色の液体として得た。UPLC-MS(方法A):保持時間2.35分、m/z計算値[M+H]:874.7、実測値874.8.
【0295】
【化41】
実施例7-2:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-(((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離26mg、30%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.35分、m/z計算値[M+H]:862.7、実測値862.8.
【0296】
【化42】
実施例7-3:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-(((3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(エチル(メチル)アミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離21mg、33%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.18分、m/z計算値[M+H]:848.7、実測値848.7.
【0297】
【化43】
実施例7-4:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジメチルアミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離38mg、37%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.88(t,J=6.8Hz,3H),0.94(t,J=7.4Hz,6H),1.19-1.50(m,14H),1.50-1.67(m,6H),1.82-2.16(m,24H),2.28(t,J=7.6Hz,2H),2.32-2.45(m,8H),2.62(s,2H),2.76(t,J=6.5Hz,2H),3.34-3.46(m,2H),3.50-3.63(m,2H),4.00-4.25(m,6H),4.47(t,J=5.4Hz,1H),4.82-4.98(m,1H),5.24-5.43(m,8H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.12分、m/z計算値[M+H]:834.6、実測値834.7.
【0298】
【化44】
実施例7-5:5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
一般手順H:
DCM(2mL)中の4-(ピロリジン-1-イル)ブタン酸(15mg、0.078mmol)の撹拌溶液に、EDC・HCl(19.31mg、0.10mmol)、DMAP(2mg、0.02mmol)、DIPEA(0.054mL、0.31mmol)及び5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(60.12mg、0.08mmol)を添加した。反応混合物を25℃で12時間撹拌した。完了したら、反応混合物を濃縮し、DCM(25mL)で希釈し、飽和NaHCO
3溶液(2×25mL)で抽出した。有機層を、水(2×25mL)及びブライン(2×15mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料を、コンビフラッシュカラム精製によって精製し、10%のMeOH-DCMで溶出し、5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(48mg、73%)を無色の液体として得た。UPLC-MS(方法A):保持時間2.12分、m/z計算値[M+H]:834.6、実測値834.7.
【0299】
【化45】
実施例7-6:3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
【化46】
ステップ1:3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
一般手順J:
DCM(5mL)中の4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸(240mg、0.70mmol)の撹拌溶液に、DCC(218mg、1.05mmol)及びDMAP(26mg、0.21mmol)を0℃で添加した。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。次いで、3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジオール(165.2mg、0.70mmol)を添加し、25℃で更に8時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下で蒸発させて粗化合物を得た。粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出して、3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)(30mg、11%)を淡黄色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.03(s,6H),0.87(s,9H),0.92-1.05(m,11H),1.24-1.43(m,8H),1.76-2.06(m,24H),2.34-2.38(m,4H),3.36-3.42(m,5H),3.53-3.59(m,5H),3.80-4.15(m,6H),4.48(t,J=5.6Hz,1H),5.28-5.37(m,7H).
【0300】
【化47】
ステップ2:3-ヒドロキシペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Eに従って調製。単離230mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.90-1.00(m,12H),1.24-2.10(m,41H),2.30-2.40(m,4H),3.36-3.80(m,9H),4.10-4.40(m,4H),4.48(t,J=5.5Hz,2H),5.28-5.37(m,8H).
【0301】
【化48】
ステップ3:3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを3-ヒドロキシペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Fに従って調製。単離170mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.85-0.96(m,13H),1.24-1.42(m,12H),1.57-1.59(m,2H),1.85-2.10(m,21H),2.28-2.32(m,4H),3.35-3.57(m,8H),4.17(t,J=6.3Hz,3H),4.43-4.46(m,2H),5.28-5.37(m,8H),7.00-7.10(m,2H),7.39(s,1H),8.10(s,1H).
【0302】
ステップ4:3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)(実施例7-6)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離20mg、30%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.27分、m/z計算値[M+H]:934.7、実測値934.7.
【0303】
【化49】
実施例7-7:3-(((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離16mg、15%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.05分、m/z計算値[M+H]:922.7、実測値922.6.
【0304】
【化50】
実施例7-8:3-(((3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(エチル(メチル)アミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離21mg、20%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.08分、m/z計算値[M+H]:908.7、実測値908.6.
【0305】
【化51】
実施例7-9:3-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジメチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離14mg、17%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.07分、m/z計算値[M+H]:894.7、実測値894.6.
【0306】
【化52】
実施例7-10:3-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを3-ヒドロキシペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Hに従って調製。単離31mg、55%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.26分、m/z計算値[M+H]:904.7、実測値904.8.
【0307】
【化53】
実施例7-11:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
【化54】
ステップ1:4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタンニトリル
シス-5-オクテン-1-オールを1-オクタノールに置換して、一般手順Aに従って調製。単離1.45g、39%。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.87(d,J=6.9Hz,6H),1.21-1.30(m,20H),1.53-1.58(m,4H),1.90(q,J=7.2Hz,2H),2.41(t,J=7.3Hz,2H),3.39-3.44(m,2H),3.56-3.61(m,2H),4.54(t,J=5.2Hz,1H).
【0308】
【化55】
ステップ2:4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタン酸
4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタンニトリルを4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタンニトリルに置換して、一般手順Bに従って調製。単離1.8g、84%。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 0.85(d,J=6.8Hz,6H),1.21-1.30(m,20H),1.43-1.48(m,4H),1.69(q,J=6.8Hz,2H),2.21(t,J=7.2Hz,2H),3.35-3.39(m,2H),3.44-3.50(m,2H),4.44(t,J=5.5Hz,1H),12.06(bs,1H).
【0309】
【化56】
ステップ3:3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート
4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸を4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタン酸に置換して、一般手順Cに従って調製。単離130mg、40%。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 0.01-0.04(m,6H),0.83-0.87(m,12H),1.17-1.24(m,16H),1.44-1.76(m,10H),2.27-2.32(m,2H),3.34-3.50(m,6H),3.89-4.09(m,3H),4.33-4.50(m,2H)
【0310】
【化57】
ステップ4:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートを3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエートに置換して、一般手順Dに従って調製。単離625mg、53%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.10(s,6H),0.85-0.87(m,15H),1.19-1.29(m,36H),1.76-2.04(m,9H),2.21-2.38(m,5H),2.75(t,J=5.9Hz,2H),3.36-3.58(m,6H),3.90-4.14(m,5H),4.10-4.14(m,5H),4.47(t,J=5.3Hz,1H),5.32-5.35(m,4H).
【0311】
【化58】
ステップ5:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換して、一般手順Eに従って調製。単離540mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.81-0.87(m,9H),1.26-1.29(m,34H),1.52-2.40(m,22H),2.70-2.80(m,2H),3.30-3.40(m,4H),4.0-4.50(m,5H),5.20-5.40(m,4H)
【0312】
【化59】
ステップ6:1-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換して、一般手順Fに従って調製。単離110mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.84-0.87(m,9H),1.26-1.30(m,32H),1.53-1.61(m,6H),1.85-2.40(m,14H),2.75(t,J=6.0Hz,2H),3.36-3.54(m,4H),4.10-4.18(m,3H),4.43-4.44(m,1H),5.28-5.37(m,4H),7.05-7.39(m,3H),8.10(s,1H).
【0313】
ステップ7:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(実施例7-11)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離30mg、30%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.41分、m/z計算値[M+H]:878.7、実測値878.8.
【0314】
【化60】
実施例7-12:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-(((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離29mg、30%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.42分、m/z計算値[M+H]:866.7、実測値866.7.
【0315】
【化61】
実施例7-13:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-(((3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(エチル(メチル)アミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離24mg、32%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.38分、m/z計算値[M+H]:852.7、実測値852.8.
【0316】
【化62】
実施例7-14:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジメチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離93mg、45%。UPLC-MS(方法B):保持時間5.49分、m/z計算値[M+H]:838.7、実測値838.7.
【0317】
【化63】
実施例7-15:5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを5-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換して、一般手順Hに従って調製。単離31mg、55%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.32分、m/z計算値[M+H]:848.7、実測値848.7.
【0318】
【化64】
実施例7-16:3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
【化65】
ステップ1:3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸を4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタン酸に置換して、一般手順Jに従って調製。単離600mg、12%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.10(s,6H),0.80-0.90(m,21H),1.12-1.38(m,41H),1.50-1.55(m,6H),1.73-2.03(m,8H),2.34-2.38(m,4H),3.36-3.58(m,8H),3.89-3.92(m,1H),4.06-4.18(m,4H),4.47(t,J=5.5Hz,2H)
【0319】
【化66】
ステップ2:3-ヒドロキシペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Eに従って調製。単離50mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.85-0.92(m,14H),1.26-1.28(m,40H),1.50-1.94(m,20H),2.36-2.41(m,4H),3.36-3.41(m,4H),3.52-3.57(m,4H),3.70-3.80(m,1H),4.10-4.32(m,3H),4.47(t,J=5.5Hz,2H).
【0320】
【化67】
ステップ3:3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを3-ヒドロキシペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Fに従って調製。単離45mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.84-0.86(m,1H),1.20-1.30(m,5H),1.80-2.40(m,1H),3.20-3.50(m,1H),4.02(s,3H),7.06(s,1H),7.40-7.50(m,1H),8.12(s,1H)
【0321】
ステップ4:3-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)(実施例7-16)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離37mg、35%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.52分、m/z計算値[M+H]:942.8、実測値942.8.
【0322】
【化68】
実施例7-17:3-(((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離16mg、33%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.43分、m/z計算値[M+H]:930.8、実測値930.8.
【0323】
【化69】
実施例7-18:3-(((3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(エチル(メチル)アミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離67mg、38%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.50分、m/z計算値[M+H]:916.7、実測値916.8.
【0324】
【化70】
実施例7-19:3-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジメチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを3-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離68mg、45%。UPLC-MS(方法B):保持時間5.49分、m/z計算値[M+H]:902.7、実測値902.8.
【0325】
【化71】
実施例7-20:3-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを3-ヒドロキシペンタン-1,5-ジイル ビス(4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Hに従って調製。単離62mg、65%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.47分、m/z計算値[M+H]:912.7、実測値912.8.
【0326】
【化72】
実施例7-21:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
【化73】
ステップ1:ヘプタン-1,4,7-トリオール
THF(40mL)中のジエチル 4-オキソヘプタンジオエート(4g、17.37mmol))の撹拌溶液に、 THF中の2.4(M)のLAH(36.18mL、86.85mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を25℃で2時間撹拌した。完了したら、Na
2SO
4・10H
2Oでクエンチし、得られた沈殿物を濾過し、MeOHで洗浄する。有機層を減圧下で濃縮して、ヘプタン-1,4,7-トリオール(2.1g、70%)を半固体化合物として得た。
1H NMR(400MHz、メタノール-d
4)δ 1.39-1.68(m,7H),3.30-3.33(m,2H),3.47-3.57(m,4H)。
【0327】
【化74】
ステップ2:4,7-ジヒドロキシヘプチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジオールをヘプタン-1,4,7-トリオールに置換して、一般手順Cに従って調製。単離500mg、23%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.90-1.0(m,6H),1.20-1.50(m,9H),1.60-1.70(m,3H),1.90-2.10(m,11H),2.37(t,J=7.4Hz,2H),3.36-3.69(m,10H),4.09(t,J=6.4Hz,2H),4.48(t,J=5.5Hz,2H),5.26-5.36(m,5H).
【0328】
【化75】
ステップ3:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートを4,7-ジヒドロキシヘプチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートに置換して、一般手順Dに従って調製。単離300mg、32%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.86-0.96(m,9H),1.24-2.10(m,48H),2.20-2.40(m,4H),2.70-2.80(m,2H),3.50-3.70(m,3H),4.08(t,J=6.4Hz,4H),4.40-4.50(m,1H),5.28-5.39(m,9H).
【0329】
【化76】
ステップ4:1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-7-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ヘプタン-4-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換して、一般手順Fに従って調製。単離110mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.70-1.00(m,11H),1.20-2.10(m,44H),2.20-2.50(m,4H),2.74-2.75(m,2H),3.30-3.60(m,4H),4.00-4.20(m,5H),4.40-4.50(m,1H),5.00-5.40(m,10H),7.07(s,1H),7.40(s,1H),8.11(s,1H).
【0330】
ステップ5:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(実施例7-21)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-7-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ヘプタン-4-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離22mg、29%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.17分、m/z計算値[M+H]:902.7、実測値902.7.
【0331】
【化77】
実施例7-22:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-(((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-7-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ヘプタン-4-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離26mg、30%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.12分、m/z計算値[M+H]:890.7、実測値890.6.
【0332】
【化78】
実施例7-23:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-(((3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(エチル(メチル)アミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-7-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ヘプタン-4-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離58mg、40%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:876.7、実測値876.7.
【0333】
【化79】
実施例7-24:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジメチルアミノ)プロパン-1-オールに置換し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-7-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ヘプタン-4-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離74mg、46%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.88(t,J=6.9Hz,3H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.18-1.46(m,14H),1.46-1.77(m,19H),1.80-1.96(m,4H),1.96-2.09(m,11H),2.21-2.31(m,8H),2.33-2.45(m,4H),2.76(t,J=6.5Hz,2H),3.34-3.45(m,2H),3.51-3.62(m,2H),4.01-4.09(m,4H),4.17(t,J=6.5Hz,2H),4.48(t,J=5.6Hz,1H),4.66-4.83(m,1H),5.24-5.42(m,8H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:862.7、実測値862.6.
【0334】
【化80】
実施例7-25:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換して、一般手順Hに従って調製。単離22mg、55%。UPLC-MS(方法A):保持時間2.19分、m/z計算値[M+H]:872.7、実測値872.7.
【0335】
【化81】
実施例7-26:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ヘプチル((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)スクシネート
【化82】
ステップ1:(Z)-4-(ノナ-2-エン-1-イルオキシ)-4-オキソブタン酸
DCM(12mL)及びTHF(5mL)中の無水コハク酸(1.5g、10.55mmol)の撹拌溶液に、DMAP(11.861g、97.09mmol)を添加した後、(Z)-ノナ-2-エン-1-オール(2.11g、21.10mmol)を添加した。反応混合物を25℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を30%のHCl水溶液(30mL)で洗浄し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を減圧下で蒸発させて粗化合物を得た。粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、15%の酢酸エチル-ヘキサンで溶出して、(Z)-4-(ノナ-2-エン-1-イルオキシ)-4-オキソブタン酸(1.17g、34%)を無色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 0.84-0.85(m,3H),1.15-1.30(m,8H),1.98-2.06(m,2H),2.40-2.49(m,4H),4.57(d,J=6.3Hz,2H),5.44-5.75(m,2H),12.19(s,1H).
【0336】
【化83】
ステップ2:(Z)-4,7-ジヒドロキシヘプチル ノナ-2-エン-1-イルスクシネート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-1,5-ジオールをヘプタン-1,4,7-トリオールに置換し、4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸を(Z)-4-(ノナ-2-エン-1-イルオキシ)-4-オキソブタン酸に置換して、一般手順Cに従って調製。単離235mg、15%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.85-0.88(m,3H),1.25-1.80(m,17H),2.00-2.10(m,2H),2.50-2.70(m,4H),2.80-2.90(m,1H),3.60-3.70(m,3H),4.10-4.20(m,2H),4.63(d,J=6.8Hz,2H),5.51-5.65(m,2H).
【0337】
【化84】
ステップ3:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)スクシネート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートを(Z)-4,7-ジヒドロキシヘプチル ノナ-2-エン-1-イルスクシネートに置換して、リノール酸を4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸に置換して、一般手順Dに従って調製。単離225mg、45%。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.85-0.96(m,9H),1.26-1.41(m,14H),1.54-2.08(m,21H),2.35-2.38(m,2H),2.59-2.62(m,4H),3.38-3.66(m,6H),4.07-4.13(m,4H),4.48-4.64(m,4H),5.31-5.70(m,6H).
【0338】
ステップ4:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ヘプチル((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)スクシネート(実施例7-26)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル((Z)-ノナ-2-エン-1-イル)スクシネートに置換して、一般手順Hに従って調製。単離62mg、65%。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.87(t,J=7.0Hz,3H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.17-1.46(m,19H),1.48-1.59(m,8H),1.71-1.82(m,4H),1.79-1.96(m,4H),1.96-2.13(m,10H),2.36(q,J=7.3Hz,4H),2.42-2.56(m,5H),2.61(s,4H),3.34-3.45(m,2H),3.51-3.61(m,2H),3.93-4.19(m,4H),4.48(t,J=5.6Hz,1H),4.63(d,J=6.8Hz,2H),4.91(s,1H),5.24-5.42(m,4H).UPLC-MS(方法A):保持時間1.92分、m/z計算値[M+H]:834.6、実測値834.7.
【0339】
【化85】
実施例7-27:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル(3-ペンチルオクチル)アジペート
【化86】
ステップ1:3-ペンチルオクタン酸メチル
臭化銅(I)(0.1当量)及び塩化リチウム(0.2当量)を、炎によって乾燥させたフラスコにアルゴン雰囲気下で添加した。次いで、乾燥THF(20mL)を添加し、混合物を10分間撹拌し、その間、固体を溶解させた。反応混合物を氷浴に入れ、5分間撹拌した。その後、(E)-オクタ-2-エン酸メチル(1.0当量)及びクロロトリメチルシラン(1.1当量)を添加し、混合物を15分間撹拌した。次いで、臭化ペンチルマグネシウム(THF中18%w/v)(1.4当量v)を滴加し、反応物を0℃で更に1時間撹拌した。溶液を飽和NH
4Cl溶液(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、ブライン(50mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗物質を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、1~2%の酢酸エチル-ヘキサンで溶出して、3-ペンチルオクタン酸メチルを黄色の油として得た(1.0g、68%)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.87(t,J=6.8Hz,6H),1.06-1.46(m,19H),1.82(s,1H),2.22(d,J=6.9Hz,2H),3.64(s,2H).
【0340】
【化87】
ステップ2:3-ペンチルオクタン-1-オール
THF(10mL)中の3-ペンチルオクタン酸メチル(1当量)の撹拌溶液に、水素化アルミニウムリチウム(THF中2M)(3.0当量)を0℃で添加し、25℃で2時間撹拌した。次いで、反応物を0℃の硫酸ナトリウム十水和物でクエンチし、Celite(登録商標)に通して濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、3~5%の酢酸エチル-ヘキサンによって溶出して、3-ペンチルオクタン-1-オールを無色の油として得た(580mg、65%)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.87(t,J=6.9Hz,6H),1.13(t,J=5.4Hz,1H),1.17-1.35(m,15H),1.38-1.44(m,1H),1.51(t,J=6.8Hz,2H),3.65(q,J=6.5Hz,2H),5.29(s,1H).
【0341】
【化88】
ステップ3:6-オキソ-6-((3-ペンチルオクチル)オキシ)ヘキサン酸
一般手順K:DCM(20mL)中のアジピン酸(365mg、2.5mmol、5.0当量)の撹拌溶液に、EDC(144mg、0.75mmol、1.5当量)、DMAP(31mg、0.25mmol、0.5当量)、及びDIPEA(194mg、1.5mmol、3.0当量)を添加した。反応混合物を25℃で30分間撹拌した。次いで、3-ペンチルオクタン-1-オール(100mg、0.50mmol、1.0当量)を添加し、25℃で16時間更に撹拌した。水(50mL)を添加し、DCM(2×100mL)で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発させた。このようにして得られた粗材料を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、30~50%のEtOAc-ヘキサンで溶出して、6-オキソ-6-((3-ペンチルオクチル)オキシ)ヘキサン酸を得た(87mg、53%)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 0.85(t,J=7.0Hz,6H),1.13-1.33(m,16H),1.32-1.42(m,1H),1.44-1.58(m,6H),2.20(t,J=6.8Hz,2H),2.27(t,J=6.8Hz,2H),4.02(t,J=6.6Hz,2H),12.00(s,1H).
【0342】
【化89】
ステップ4:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル(3-ペンチルオクチル)アジペート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートを4,7-ジヒドロキシヘプチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートに置換し、リノール酸を6-オキソ-6-((3-ペンチルオクチル)オキシ)ヘキサン酸に置換して、一般手順Dに従って調製。単離255mg、43%。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.87(t,J=6.9Hz,6H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.24-1.28(m,11H),1.37-1.46(m,6H),1.52-1.58(m,14H),1.63-1.69(m,6H),1.74-1.83(m,2H),1.89-1.95(m,2H),2.00-2.09(m,8H),2.31(d,J=4.7Hz,4H),2.37(t,J=7.6Hz,2H),3.35-3.44(m,2H),3.52-3.60(m,2H),3.62-3.66(m,2H),4.08(q,J=7.2Hz,6H),4.48(t,J=5.4Hz,1H),5.29-5.39(m,4H).
【0343】
【化90】
ステップ5:4-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)-7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)ヘプチル(3-ペンチルオクチル)アジペート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル(3-ペンチルオクチル)アジペートに置換して、一般手順Fに従って調製。単離280mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.87(t,J=6.9Hz,7H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.18-1.30(m,20H),1.36-1.42(m,4H),1.53-1.58(m,6H),1.61-1.65(m,4H),1.88-1.92(m,7H),2.00-2.07(m,8H),2.30(s,4H),2.37(t,J=7.4Hz,2H),3.36-3.43(m,2H),3.53-3.59(m,2H),3.60-3.66(m,1H),4.01-4.11(m,6H),4.43-4.52(m,1H),5.22-5.41(m,4H),7.05-7.13(m,2H),7.71(s,1H).
【0344】
ステップ6:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル(3-ペンチルオクチル)アジペート(実施例7-27)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを4-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)-7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)ヘプチル(3-ペンチルオクチル)アジペートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離110mg、35%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:950.7、実測値951.2.
【0345】
【化91】
実施例7-28:1-(7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル)8-(3-ペンチルオクチル)オクタンジオエート
【化92】
ステップ1:8-オキソ-8-((3-ペンチルオクチル)オキシ)オクタン酸
アジピン酸をスベリン酸に置換して、一般手順Kに従って調製。単離990mg、56%。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ 0.85(t,J=6.9Hz,6H),1.18-1.29(m,20H),1.35-1.40(m,1H),1.44-1.53(m,6H),2.18(t,J=7.4Hz,2H),2.25(t,J=7.1Hz,2H),4.02(t,J=6.7Hz,2H),11.84-12.07(m,1H).
【0346】
【化93】
ステップ2:1-(7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル)8-(3-ペンチルオクチル)オクタンジオエート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートを4,7-ジヒドロキシヘプチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートに置換し、リノール酸を8-オキソ-8-((3-ペンチルオクチル)オキシ)オクタン酸に置換して、一般手順Dに従って調製。単離310mg、43%。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.87(t,J=6.9Hz,6H),0.92-0.97(m,6H),1.22-1.26(m,14H),1.28-1.34(m,9H),1.50-1.62(m,19H),1.74-1.93(m,5H),2.00-2.07(m,8H),2.24-2.29(m,4H),2.34-2.39(m,1H),2.57-2.65(m,1H),2.76-2.82(m,1H),3.35-3.42(m,1H),3.53-3.58(m,1H),3.61-3.65(m,2H),4.04-4.11(m,6H),5.26-5.36(m,4H).
【0347】
【化94】
ステップ3:1-(4-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)-7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)ヘプチル)8-(3-ペンチルオクチル)オクタンジオエート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを1-(7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル)8-(3-ペンチルオクチル)オクタンジオエートに置換して、一般手順Fに従って調製。単離340mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.87(t,J=6.7Hz,6H),0.94(t,J=7.6Hz,6H),1.22-1.26(m,11H),1.30-1.42(m,9H),1.53-1.62(m,9H),1.68-1.92(m,12H),2.01-2.08(m,12H),2.25-2.30(m,4H),2.33-2.39(m,2H),3.37-3.42(m,2H),3.51-3.58(m,2H),4.01-4.13(m,6H),4.47(s,1H),5.09-5.16(m,1H),5.26-5.37(m,4H),7.11-7.15(m,2H),8.12(s,1H).
【0348】
ステップ4:1-(7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル)8-(3-ペンチルオクチル)オクタンジオエート(実施例7-28)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-(4-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)-7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)ヘプチル)8-(3-ペンチルオクチル)オクタンジオエートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離112mg、31%(2ステップ)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.87(t,J=6.9Hz,6H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.21-1.25(m,14H),1.29-1.43(m,13H),1.53-1.69(m,26H),1.86-1.96(m,3H),1.97-2.07(m,9H),2.23-2.32(m,5H),2.36(t,J=7.6Hz,3H),2.49-2.54(m,1H),2.84-3.15(m,2H),3.34-3.44(m,2H),3.51-3.61(m,2H),3.94-3.99(m,1H),4.48(t,J=5.5Hz,1H),4.71-4.76(m,1H),5.24-5.41(m,4H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:978.8、実測値979.3.
【0349】
【化95】
実施例7-29:7-((7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル)オキシ)-7-オキソヘプチル 2-ブチルオクタノエート
【化96】
ステップ1:7-ヒドロキシヘプチル2-ブチルオクタノエート
DCM中の2-ブチルオクタン酸(1当量)の撹拌溶液(5mL/0.5mmol)に、DIPEA(3当量)、EDC(1.5当量)、及びDMAP(0.5当量)を25℃で添加した。反応混合物を15分間撹拌し、次いで1,7-ヘプタンジオール(3.0当量)を添加し、更に25℃で16時間撹拌した。完了したら、反応混合物をDCM(2×50mL)で希釈し、飽和NaHCO
3溶液(2×25mL)、続いて水及びブライン(25mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4に通過させ、回転蒸発器下で乾燥させた。このようにして得られた粗物質を、コンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、15~20%のEtOAc-ヘキサンで溶出して、7-ヒドロキシヘプチル 2-ブチルオクタノエート(1.5g、49%)を無色の油として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.82-0.91(m,6H),1.18-1.33(m,12H),1.36-1.74(m,15H),2.24-2.36(m,1H),3.64(t,J=6.4Hz,2H),4.08(t,J=6.5Hz,2H).
【0350】
【化97】
ステップ2:7-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)ヘプタン酸
アセトン(30mL)中の7-ヒドロキシヘプチル 2-ブチルオクタノエート(1.0当量)の撹拌溶液を0℃まで冷却し、これに、Jones試薬(H
2SO
4中2M溶液、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物を25℃で17時間撹拌した。完了したら、これにイソプロパノールを添加し、混合物をCelite(登録商標)を通して濾過し、アセトンで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。粗塊を水で希釈し、水層のpHを約6まで調整し、混合物をDCM(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して、7-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)ヘプタン酸(1.45g、92%)を淡黄色のガム状物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO)δ 0.82-0.86(m,6H),1.20-1.30(m,16H),1.40-1.53(m,8H),2.16-2.21(m,2H),2.25-2.31(m,1H),3.99-4.03(m,2H),11.96(s,1H).
【0351】
【化98】
ステップ3:7-((7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル)オキシ)-7-オキソヘプチル 2-ブチルオクタノエート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートを4,7-ジヒドロキシヘプチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートに置換し、リノール酸を7-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)ヘプタン酸に置換して、一般手順Dに従って調製。単離730mg、49%。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.83-0.89(m,6H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.18-1.27(m,16H),1.34-1.43(m,10H),1.53-1.61(m,14H),1.74-1.79(m,1H),1.89-1.95(m,2H),1.98-2.06(m,8H),2.25-2.33(m,3H),2.37(t,J=7.6Hz,2H),3.36-3.43(m,2H),3.51-3.64(m,3H),4.01-4.12(m,6H),4.48(t,J=5.4Hz,1H),5.25-5.40(m,4H).
【0352】
【化99】
ステップ4:(Z)-32-ブチル-10-(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)-13,23,31-トリオキソ-9,14,22,30-テトラオキサオクタトリアコンタ-3-エン-18-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを7-((7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル)オキシ)-7-オキソヘプチル 2-ブチルオクタノエートに置換して、一般手順Fに従って調製。単離350mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.84-0.88(m,6H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.23-1.26(m,8H),1.33-1.43(m,10H),1.53-1.62(m,10H),1.72-1.82(m,11H),1.91(q,J=7.4Hz,3H),2.00-2.06(m,8H),2.24-2.32(m,3H),2.34-2.40(m,2H),3.34-3.44(m,2H),3.53-3.60(m,2H),4.02-4.10(m,6H),4.47(t,J=5.5Hz,1H),5.07-5.17(m,1H),5.24-5.41(m,4H),7.04-7.14(m,1H),7.41(d,J=1.3Hz,1H),8.12(s,1H).
【0353】
ステップ5:7-((7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル)オキシ)-7-オキソヘプチル 2-ブチルオクタノエート(実施例7-29)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを(Z)-32-ブチル-10-(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)-13,23,31-トリオキソ-9,14,22,30-テトラオキサオクタトリアコンタ-3-エン-18-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離130mg、35%(2ステップ)。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 0.84-0.89(m,6H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.06-1.28(m,34H),1.34-1.44(m,10H),1.61-1.68(m,9H),1.76-1.80(m,1H),1.88-1.94(m,2H),1.99-2.06(m,7H),2.28(t,J=7.5Hz,3H),2.36(t,J=7.6Hz,2H),3.37-3.42(m,2H),3.51-3.61(m,3H),3.65-3.73(m,1H),3.99-4.10(m,7H),4.48(t,J=5.6Hz,1H),4.68-4.76(m,1H),5.27-5.39(m,4H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.08分、m/z計算値[M+H]:950.7、実測値951.2.
【0354】
【化100】
実施例7-30:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル 8-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)オクタノエート
【化101】
ステップ1:8-ヒドロキシオクチル2-ブチルオクタノエート
DCM中の2-ブチルオクタン酸(1当量)の撹拌溶液(5mL/0.5mmol)に、DIPEA(3当量)、EDC(1.5当量)、及びDMAP(0.5当量)を25℃で添加した。反応混合物を15分間撹拌し、次いで1,8-オクタンジオール(3.0当量)を添加し、更に25℃で16時間撹拌した。完了したら、反応混合物をDCM(2×50mL)で希釈し、飽和NaHCO
3溶液(2×25mL)、続いて水及びブライン(25mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4に通過させ、回転蒸発器下で乾燥させた。このようにして得られた粗物質を、コンビフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、15~20%のEtOAc-ヘキサンで溶出して、7-ヒドロキシヘプチル 2-ブチルオクタノエート(1.6g、49%)を無色の油として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.82-0.91(m,6H),1.13-1.47(m,25H),1.49-1.69(m,4H),2.24-2.36(m,1H),3.63(q,J=5.8Hz,2H),4.05(t,J=6.6Hz,2H).
【0355】
【化102】
ステップ2:8-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)オクタン酸
アセトン(30mL)中の8-ヒドロキシオクチル 2-ブチルオクタノエート(1.0当量)の撹拌溶液を0℃まで冷却し、これに、Jones試薬(H
2SO
4中2M溶液、1.5当量)を滴下して加えた。反応混合物を25℃で17時間撹拌した。完了したら、イソプロパノールを添加し、混合物をCelite(登録商標)を通して濾過し、アセトンで洗浄した。濾液を減圧下で濃縮した。粗塊を水で希釈し、水層のpHを約6まで調整し、混合物をDCM(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して、8-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)オクタン酸(1.42g、96%)を淡黄色のガム状物として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 0.84(t,J=6.9Hz,6H),1.17-1.32(m,18H),1.33-1.56(m,8H),2.18(t,J=7.4Hz,2H),2.22-2.34(m,1H),4.01(t,J=6.4Hz,2H),11.94(s,1H).
【0356】
【化103】
ステップ3:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル 8-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)オクタノエート
3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-ヒドロキシペンチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートを4,7-ジヒドロキシヘプチル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエートに置換し、リノール酸を8-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)オクタン酸に置換して、一般手順Dに従って調製。単離720mg、48%。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.83-0.90(m,6H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.15-1.28(m,13H),1.29-1.35(m,7H),1.35-1.55(m,18H),1.66-1.93(m,6H),1.98-2.06(m,8H),2.24-2.32(m,3H),2.37(t,J=7.5Hz,2H),3.34-3.44(m,2H),3.53-3.59(m,2H),3.62-3.67(m,1H),4.02-4.10(m,6H),4.48(t,J=5.6Hz,1H),5.22-5.38(m,4H).
【0357】
【化104】
ステップ4:(Z)-33-ブチル-10-(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)-13,23,32-トリオキソ-9,14,22,31-テトラオキサノナトリアコンタ-3-エン-18-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-ヒドロキシヘプチル 8-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)オクタノエートに置換して、一般手順Fに従って調製。単離355mg、粗製物を次のステップに直接使用した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 0.84-0.89(m,6H),0.94(t,J=7.5Hz,6H),1.18-1.28(m,14H),1.29-1.33(m,6H),1.38-1.42(m,4H),1.52-1.62(m,10H),1.66-1.80(m,8H),1.98-2.03(m,10H),2.23-2.32(m,3H),2.36(t,J=7.6Hz,2H),3.36-3.42(m,2H),3.52-3.59(m,2H),4.02-4.11(m,6H),4.47(t,J=5.5Hz,1H),5.08-5.19(m,1H),5.24-5.41(m,4H),7.11-7.14(m,2H),8.12(s,1H).
【0358】
ステップ5:7-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-4-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ヘプチル 8-((2-ブチルオクタノイル)オキシ)オクタノエート(実施例7-30)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを(Z)-33-ブチル-10-(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)-13,23,32-トリオキソ-9,14,22,31-テトラオキサノナトリアコンタ-3-エン-18-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離168mg、41%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.10分、m/z計算値[M+H]:964.7、実測値965.3.
【0359】
【化105】
実施例7-31:5-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
【化106】
ステップ1:3-(2,6-ジオキソシクロヘキシル)プロパン酸エチル
エタノール(100mL)及びH
2O(50mL)中のシクロヘキサン-1,3-ジオン(10g、89.24mmol)の撹拌溶液に、K
2CO
3(12.3g、89.24mmol)及びアクリル酸エチル(10.4mL、98.17mmol)を添加した。反応混合物を16時間還流した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、水(20mL)とEtOAc(250mL)とに分配した。水層をEtOAc(8×100mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮して、粗化合物を得た。粗生成物を、溶出液として酢酸エチル-ヘキサン(30%)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、3-(2,6-ジオキソシクロヘキシル)プロパン酸エチル(6.5g、46%)を結晶性無色固体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 1.25(t,J=7.2Hz,3H),1.80-2.02(m,2H),2.31(t,J=6.8Hz,2H),2.37-2.66(m,6H),4.17(q,J=7.0Hz,2H),9.53(s,1H).
【0360】
【化107】
ステップ2:5-オキソノナン二酸
6NのHCl水溶液(50mL)中の3-(2,6-ジオキソシクロヘキシル)プロパン酸エチル(2.8g、13.20mmol)の撹拌溶液を、還流下で16時間撹拌した。全ての揮発物を減圧下で蒸発させて、5-オキソノナン二酸(2.3g、92%)を黄色の固体として得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ 1.53-1.73(m,4H),2.17(t,J=7.0Hz,4H),2.42(t,J=7.0Hz,4H),12.02(s,2H).
【0361】
【化108】
ステップ3:5-オキソノナン二酸ジメチル
MeOH(50mL)中の5-オキソノナン二酸(2.7g、13.36mmol)の撹拌溶液に、H
2SO
4(0.4mL、6.68mmol)を添加した。反応混合物を16時間還流加熱した。完了したら、全ての揮発物を減圧下で蒸発させた。粗化合物をDCM(100mL)に溶解し、重炭酸塩溶液(50mL)で洗浄し、続いてブライン(50mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発させ、粗化合物を得た。粗化合物を、フラッシュクロマトグラフィー、溶出液30%酢酸エチル-ヘキサンによって精製して、5-オキソノナン二酸ジメチル(1.8g、53%)を褐色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 1.81-1.94(m,4H),2.31(t,J=7.1Hz,4H),2.46(t,J=7.2Hz,4H),3.61-3.71(m,6H).
【0362】
【化109】
ステップ4:ノナン-1,5,9-トリオール
乾燥THF(5mL)中の5-オキソノナン二酸ジメチル(0.3g、1.30mmol)の撹拌溶液に、LAH(THF中2.4Mの溶液)(3.2mL、7.82mmol)を氷冷条件下で添加した。反応混合物を25℃で1時間撹拌した。フィッシャー処理を行い、濾液を減圧下で蒸発させて、ノナン-1,5,9-トリオール(210mg、72%)を無色の液体として得た。
1H NMR(400MHz、重水素酸化物)δ 1.25-1.80(m,12H),3.64(t,J=6.4Hz,4H),3.68-3.86(m,1H)。
【0363】
【化110】
ステップ5:5-ヒドロキシノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
DCM(20mL)及びDMF(2mL)の混合物中のノナン-1,5,9-トリオール(1.2g、3.62mmol)の撹拌溶液に、EDC・HCl(1.1g、5.76mmol)、DMAP(81mg、0.65mmol)及び4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸(290mg、1.64mmol)及び無水DIPEA(1.7mL、9.87mmol)を添加した。反応混合物を25℃で16時間撹拌した。完了したら、反応混合物をDCM(100mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄した。水層をDCM(2×50mL)で抽出した。有機層を、ブライン(2×15mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、30%の酢酸エチル-ヘキサンで溶出して、5-ヒドロキシノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)(563mg、39%)を無色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.94(t,J=7.5Hz,12H),1.25-1.78(m,30H),1.81-2.14(m,20H),2.37(t,J=7.6Hz,4H),3.34-3.45(m,4H),3.49-3.65(m,4H),4.06(t,J=6.5Hz,4H),4.48(t,J=5.6Hz,2H),5.12-5.54(m,8H).
【0364】
【化111】
ステップ6:5-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
トルエン(2mL)中の5-ヒドロキシノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)(232mg、0.28mmol)の撹拌溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール(138mg、0.84mmol)及びKOH(1mg、0.14mmol)を添加し、70℃で16時間加熱した。完了したら、反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(10mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、5-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)(178mg、粗)を得て、これを次のステップに使用した。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.94(t,J=7.4Hz,12H),1.33-1.50(m,12H),1.52-1.73(m,17H),1.85-1.97(m,4H),1.96-2.09(m,16H),2.36(q,J=7.2Hz,4H),3.34-3.45(m,4H),3.51-3.62(m,4H),4.06(q,J=6.1Hz,4H),4.48(q,J=5.2Hz,2H),5.24-5.42(m,8H),7.08(s,1H),7.41(s,1H),8.14(s,1H).
【0365】
ステップ7:5-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)(実施例7-31)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを5-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換し、(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジメチルアミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離40mg、22%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.12分、m/z計算値[M+H]:950.7、実測値951.0.
【0366】
【化112】
実施例7-32:5-(((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを5-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換し、(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離53mg、29%(2ステップ)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.94(t,J=7.6Hz,12H),0.98-1.22(m,4H),1.33-1.46(m,12H),1.48-1.69(m,26H),1.91(q,J=7.3Hz,4H),1.96-2.09(m,16H),2.36(t,J=7.6Hz,4H),3.34-3.45(m,4H),3.51-3.61(m,4H),4.03(t,J=6.7Hz,4H),4.18(t,J=6.2Hz,2H),4.48(t,J=5.6Hz,2H),4.61-4.75(m,1H),5.24-5.42(m,8H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.14分、m/z計算値[M+H]:978.8、実測値979.0.
【0367】
【化113】
実施例7-33:5-(((3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを5-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(エチル(メチル)アミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離43mg、23%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:964.7、実測値965.0.
【0368】
【化114】
実施例7-34:5-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを5-((1H-イミダゾール-1-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Gに従って調製。単離143mg、43%(2ステップ)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.94(t,J=7.5Hz,12H),1.01-1.22(m,4H),1.31-1.45(m,12H),1.48-1.69(m,14H),1.68-1.83(m,4H),1.92(q,J=7.4Hz,7H),1.96-2.13(m,18H),2.36(t,J=7.6Hz,4H),2.74-3.17(m,2H),3.34-3.45(m,4H),3.51-3.61(m,4H),3.90-4.15(m,7H),4.48(t,J=5.6Hz,2H),4.61-4.74(m,1H),5.24-5.42(m,8H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.14分、m/z計算値[M+H]:990.8、実測値991.0.
【0369】
【化115】
実施例7-35:5-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを5-ヒドロキシノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換して、一般手順Hに従って調製。単離53mg、35%(2ステップ)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.94(t,J=7.4Hz,12H),1.20-1.46(m,19H),1.48-1.73(m,15H),1.83-2.15(m,24H),2.30-2.48(m,6H),5.26-5.42(m,8H),2.58-3.20(m,5H),0.79-0.91(m,2H),3.34-3.45(m,4H),3.51-3.62(m,4H),4.03(t,J=6.3Hz,4H),4.48(t,J=5.1Hz,2H),4.71-5.03(m,1H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.10分、m/z計算値[M+H]:960.7、実測値961.0.
【0370】
【化116】
実施例7-36:5-((1,3-ジメチルピロリジン-3-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを5-ヒドロキシノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換し、4-(ピロリジン-1-イル)ブタン酸を1,3-ジメチルピロリジン-3-カルボン酸に置換して、一般手順Hに従って調製。単離16mg、42%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.04分、m/z計算値[M+H]:946.7、実測値947.0.
【0371】
【化117】
実施例7-37:5-((1,4-ジメチルピペリジン-4-カルボニル)オキシ)ノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを5-ヒドロキシノナン-1,9-ジイル ビス(4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート)に置換し、4-(ピロリジン-1-イル)ブタン酸を1,4-ジメチルピペリジン-4-カルボン酸に置換して、一般手順Hに従って調製。単離111mg、53%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.07分、m/z計算値[M+H]:960.7、実測値961.0.
【0372】
【化118】
実施例7-38:9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
【化119】
ステップ1:5,9-ジヒドロキシノニル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート
DCM(50mL)及びDMF(5mL)の混合物中のノナン-1,5,9-トリオール(2.5g、7.34mmol)の撹拌溶液に、EDC(2.1g、11.02mmol)、DMAP(180mg、1.46mmol)及び4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタン酸(3.8g、22.04mmol)及び無水DIPEA(4.0mL、22.04mmol)を添加した。反応混合物を25℃で16時間撹拌した。完了したら、反応混合物をDCM(200mL)で希釈し、水(2×100mL)及びブライン(2×50mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。このようにして得られた粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、70%の酢酸エチル-ヘキサンで溶出して、5,9-ジヒドロキシノニル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート(1.2g、39%)を無色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.90-1.02(m,6H),1.29-1.73(m,20H),1.86-2.09(m,10H),2.37(t,J=7.5Hz,2H),3.34-3.46(m,2H),3.51-3.71(m,5H),4.02-4.12(m,2H),4.40-4.55(m,1H),5.26-5.39(m,4H),7.25(d,J=3.0Hz,1H),8.00(s,1H).
【0373】
【化120】
ステップ2:9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-ヒドロキシノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
DCM(10mL)及びDMF(1mL)中の5,9-ジヒドロキシノニル 4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノエート(0.6g、2.14mmol)の撹拌溶液に、EDC・HCl(0.6g、3.21mmol)、DMAP(52mg、0.42mmol)及びリノール酸(1.0g、2.14mmol)及び無水DIPEA(1.1mL、6.42mmol)を添加した。反応混合物を25℃で16時間撹拌した。完了したら、反応混合物をDCM(100mL)で希釈し、水(2×25mL)で洗浄した。有機層を、ブライン(2×15mL)で洗浄した。有機部分を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗材料を、コンビフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、10%の酢酸エチル-ヘキサンで溶出して、9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-ヒドロキシノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(764mg、46%)を無色の液体として得た。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.81-0.93(m,6H),0.94(t,J=7.4Hz,6H),1.18-1.46(m,30H),1.53-1.73(m,7H),1.85-2.15(m,12H),2.28(t,J=7.5Hz,2H),),2.37(t,J=8.0Hz,2H),2.76(t,J=8.2Hz,2H),3.32-3.46(m,2H),3.51-3.62(m,2H),4.06(t,J=6.8Hz,4H),4.44-4.53(m,1H),5.20-5.44(m,8H).
【0374】
【化121】
ステップ3:1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート
トルエン(2mL)中の9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-ヒドロキシノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(0.25g、0.32mmol)の撹拌溶液に、1,1’-カルボニルジイミダゾール(160mg、0.98mmol)及びKOH(1mg、0.01mmol)を添加し、70℃で16時間加熱した。完了したら、反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(10mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート(231mg、粗)を得て、これを次のステップに使用した。
【0375】
ステップ4:9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート(実施例7-38)
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換し、(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジメチルアミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離134mg、42%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.11分、m/z計算値[M+H]:890.7、実測値891.1.
【0376】
【化122】
実施例7-39:9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換し、(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(ジエチルアミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離73mg、41%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:918.7、実測値919.1.
【0377】
【化123】
実施例7-40:9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換し、(1-エチルピペリジン-3-イル)メタノールを3-(エチル(メチル)アミノ)プロパン-1-オールに置換して、一般手順Gに従って調製。単離50mg、38%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.12分、m/z計算値[M+H]:904.7、実測値905.2.
【0378】
【化124】
実施例7-41:9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-((((1-エチルピペリジン-3-イル)メトキシ)カルボニル)オキシ)ノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ペンタン-3-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートを1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレートに置換して、一般手順Gに従って調製。単離48mg、35%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.14分、m/z計算値[M+H]:930.7、実測値931.1.
【0379】
【化125】
実施例7-42:9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-((4-(ピロリジン-1-イル)ブタノイル)オキシ)ノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-ヒドロキシノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換して、一般手順Hに従って調製。単離58mg、54%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.12分、m/z計算値[M+H]:900.7、実測値901.0.
【0380】
【化126】
実施例7-43:1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1,3-ジメチルピロリジン-3-カルボキシレート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-ヒドロキシノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換し、4-(ピロリジン-1-イル)ブタン酸を1,3-ジメチルピロリジン-3-カルボン酸に置換して、一般手順Hに従って調製。単離30mg、43%(2ステップ)。UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:886.7、実測値887.0.
【0381】
【化127】
実施例7-44:1-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-9-(((9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノイル)オキシ)ノナン-5-イル 1,4-ジメチルピペリジン-4-カルボキシレート
5-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-3-ヒドロキシペンチル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートを9-((4,4-ビス(((Z)-オクタ-5-エン-1-イル)オキシ)ブタノイル)オキシ)-5-ヒドロキシノニル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートに置換し、4-(ピロリジン-1-イル)ブタン酸を1,4-ジメチルピペリジン-4-カルボン酸に置換して、一般手順Hに従って調製。単離62mg、55%(2ステップ)。
1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)δ 0.88(t,J=6.9Hz,3H),0.94(t,J=7.6Hz,6H),1.17-1.47(m,26H),1.47-1.71(m,20H),1.91(q,J=7.2Hz,2H),1.98-2.09(m,12H),2.16(d,J=12.9Hz,2H),2.27(t,J=7.6Hz,3H),2.36(t,J=7.6Hz,3H),2.76(t,J=6.1Hz,2H),3.34-3.45(m,2H),3.51-3.62(m,2H),4.03(t,J=6.6Hz,4H),4.48(t,J=5.6Hz,1H),4.80-5.02(m,1H),5.23-5.44(m,8H).UPLC-MS(方法A):保持時間2.13分、m/z計算値[M+H]:900.7、実測値901.0.
【0382】
実施例8:様々な細胞型にわたるLNP調製物のmRNA送達
本実施例は、機能的mRNAを様々な細胞型に送達する例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームは、様々な細胞型にわたる機能的mRNAの送達について、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定することができる。本実施例は、提供される脂質が、ある特定の細胞型への、マウスにおける機能的mRNA、及び/又はレポーターをコードするmRNAの改善された送達(例えば、1.5~2倍の改善)を送達することが可能であることを示すために使用することができる。
【0383】
様々な細胞型にわたって、マウスにおいて機能的mRNAを送達する各調製物の能力を決定するために、LNP調製物を選択する。LNP調製物は、各々、本明細書に記載されるように1.0mg/kgのレポーターmRNAを含有する。本明細書に記載のフローアッセイを使用して、LNP調製物注射の24時間後のレポーター表面発現を測定する。
【0384】
例示的なLNP調製物は、様々なHSC細胞型(Lin-、Sca-1+、LSK細胞、LT-HSC(CD34-Flk2-)、及びLT-HSC(CD150+CD48-))、骨髄(BM)細胞型(生細胞、T細胞、B細胞、CD11b、マクロファージ、NK細胞、CD11c)、脾臓細胞型(T細胞、B細胞、CD11b、マクロファージ、NK細胞、CD11c)、及び肝臓細胞型(CD31、肝細胞、CD45、CD11b、Kupffer細胞、NK細胞、T細胞、B細胞)にわたる、マウスへのレポーターをコードするmRNAの機能的な送達を提供することができ、各LNP調製物が、生理食塩水対照(ビヒクル)と比較して、1.0mg/kgのレポーターmRNAを含有する。
【0385】
本実施例は、提供される脂質が、ある特定の細胞型への、マウスにおける機能的mRNA、及び/又はレポーターをコードするmRNAの改善された送達(例えば、1.5~2倍の改善)を送達することが可能であることを示すために使用することができる。
【0386】
実施例9:脾臓、肝臓、及び骨髄細胞へのLNP調製物のmRNA送達
本実施例は、本明細書に記載の様々な細胞型への強力な送達を有する、例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームが、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定して、どの種類のLNP調製物が特定の細胞型に対して最も強力であるかを決定することができる。
【0387】
本実施例は、イオン化可能な脂質が、マウスの様々な細胞型にわたってmRNAを効果的に送達することを示すために使用することができる。本実施例はまた、提供される脂質が、骨髄樹状細胞、骨髄T細胞、脾臓B細胞、脾臓樹状細胞、及びLSK(Lin-Sca-1+c-Kit+)細胞、HSPC、及びマウスLT-HSCを含む様々な細胞型にわたって強力な送達を示すことを示すために使用することができる。
【0388】
LNP調製物を選択して、本明細書に記載のレポーター系及びC57BL6マウスモデルを使用して、有効性結果を確認する。各実験において、群当たり3匹のC57BL6マウスを使用する。注射後24時間にデータを収集する。
【0389】
ヒートマップを使用して、様々な細胞型(骨髄樹状細胞、脾臓B細胞、及び脾臓樹状細胞)にわたる、例示的な脂質を含有するLNP調製物の平均中央蛍光値に対して正規化された、異なるイオン化可能な脂質を含有する様々なLNP調製物の平均中央蛍光値を示すことができる。各LNP調製物は、1.0mg/kgのレポーターmRNAを含有する。
【0390】
ヒートマップを使用して、異なるイオン化可能な脂質を含有する様々なLNP調製物の正規化された平均レポーター発現%又は正規化された平均中央蛍光値を示すことができる。T細胞(骨髄細胞)又はLSK(Lin-Sca-1+c-Kit+)細胞に送達される例示的な脂質を含有するLNP調製物のレポーター発現%及び平均中央蛍光値に対して、それぞれ、平均レポーター%及び平均中央蛍光値を正規化する。
【0391】
実施例10:Balb/C、C57BL6Jマウス株&ヒト化(NSG-CD34+)免疫マウスへのLNP調製物のmRNA送達
本実施例は、本明細書に記載の様々な細胞型への強力なmRNA送達を有する、例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームを使用して、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定して、どの種類のLNP調製物が特定の細胞型に対して最も強力であるかを決定することができる。本実施例は、提供された脂質が骨髄生細胞、骨髄CD34+細胞、骨髄(LSK細胞)、ヒトLT-HSC、血液細胞(huCD45+)、及び血液細胞(muCD45+)を含む様々な細胞型にわたって強力な送達を示すことを示すために使用することができる。
【0392】
LNP調製物を選択して、本明細書に記載のレポーター系及びヒト化(NSG-CD34+)マウスモデル、又は2つのマウス株(Balb/C、C57BL6J)マウスを使用して有効性結果を確認する。各LNP調製物は、1.0mg/kgのレポーターmRNAを含有する。
【0393】
本明細書に記載の例示的なLNP調製物を、2つのマウス株(Balb/C、C57BL6Jマウス)において、血液細胞、骨髄(生細胞)、及び骨髄(LSK細胞)への送達について試験した。
【0394】
各実験において、群当たり3匹のBalb/Cマウス及び/又はC57BL6J及び/又はNSG-CD34+マウスを使用する。注射後24時間にデータを収集する。
【0395】
実施例11:mRNAを流入領域リンパ節に筋肉内送達するためのLNP調製物
本実施例は、mRNAを流入領域リンパ節に送達する、(例えば、mRNAワクチンとして使用するための)例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームを使用して、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定して、(例えば、mRNAワクチンとして使用するために)どの種類のLNP調製物が、流入領域リンパ節へのmRNA送達について最も強力であるかを決定することができる。したがって、本実施例は、提供された脂質が流入領域リンパ節への強力な送達を示すことを示すために使用することができる。
【0396】
Balb/Cマウスにおいて機能的mRNAを筋肉内送達する各調製物の能力を決定するために、LNP調製物を選択する。各LNP調製物は、10μgのTrilink Fluc mRNAを含有する。注射の6時間後、皮膚-流入領域リンパ節(dLN)を単離し、本明細書に記載の標準的な発光アッセイを使用して、発光を測定する。
【0397】
実施例12:脾臓、肝臓、及び骨髄における塩基編集のためのLNP調製物の利用
本実施例は、様々な細胞型において、(例えば、塩基エディターを使用する)遺伝子編集を付与する例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームを使用して、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定して、どの種類のLNP調製物が、インビボで様々な細胞型の塩基編集に対して最も強力であるかを決定することができる(例えば、マウスで細胞の塩基編集を行うことができる)。本実施例は、提供される脂質が、骨髄、脾臓、及び肝臓を含む様々な細胞型において塩基編集を行うために使用することができること、並びに/又は特定の細胞型へのLNP調製物の送達を改善するために使用することができる。本実施例はまた、その例示的な化合物を含有するLNP調製物とともに含有されるmRNAが、送達中にLNP中でより安定化されることを示すために使用することができる。
【0398】
方法
本明細書に記載のBalb/Cマウスモデルにおいて塩基編集を行う各調製物の能力を決定するために、例示的なLNP調製物を選択する。
【0399】
脂質ナノ粒子構成成分を、定められた脂質構成成分モル比で100%エタノールに溶解させる。アデニン塩基エディターをコードするmRNAと、化学修飾されたsgRNAとを、10mMのクエン酸塩、100mMのNaCl、pH4.0中1:1の質量比で溶解させ、およそ0.22mg/mLのNAカーゴの濃度が生じる。50%のイオン化可能な脂質:38.5%のコレステロール:1.5%のPEG2000-DMG:10%のDSPCのモル比、及び11.7:33の総脂質対NAの質量比でLNP調製物を製剤化する。製造業者のプロトコルに従って、Precision Nanosystems NanoAssemblr Spark又はBenchtop series Instrumentsを使用して、脂質及びNA溶液のマイクロ流体混合によって、LNP調製物を形成する。異なる流量を使用する混合中に、3:1の水性溶媒対有機溶媒の比を維持する。混合の後、LNP調製物を収集し、PBS(およそ2:1v/v)に希釈し、PBS中4℃で8~24時間の間、20kDAフィルタに対する透析を使用して、更なる緩衝液交換を実行する。この最初の透析の後、動的光散乱(DLS)を介して各個々のLNP調製物を特徴評価して、サイズ及び多分散性を測定する。TNSアッセイを介してLNP調製物の亜集団のpKaを測定する。透析の後、0.22ミクロン滅菌フィルタを使用してLNP調製物を滅菌濾過し、更なる使用のために4℃で保管する。一部の実施形態では、LNP調製物は、製造業者のプロトコルに従って、100kDaのAmiconフィルタを使用して濃縮してもよい。
【0400】
LNP特徴評価
DLS-高スループット動的光散乱(DLS)(DynaPro plate reader II、Wyatt)を使用して、LNP調製物流体力学的直径及び多分散性指数(PDI)を測定する。適切な濃度まで1倍のPBSにLNP調製物を希釈し、分析する。
【0401】
濃度及びカプセル化効率
製造業者の説明書に従って、Qubit microRNAキット(siRNA用)又はHS RNAキット(mRNA用)によって、NAの濃度を決定する。未溶解のLNP及び溶解したLNPを測定することによって、カプセル化効率を決定する。
【0402】
LNP投与
本明細書に記載の実験に、およそ8~12週齢の雄Balb/Cマウスを使用する。各マウスを一時的に拘束し、尾部静脈注射を介してLNP調製物をIV投与する。また、年齢が一致するマウスを使用して、尾部静脈注射を介して、対照としてビヒクル(1倍のPBS)を投与する。投与の4~6日後、肝臓、脾臓、及び骨髄を含む組織を収集する。製造業者の説明書に従って、96ウェルプレートNexteraインデックスプライマー(Illumina)を使用して、Nextera DNA Flex Library Prep Kit(Illumina)を使用して、ゲノムDNAを単離し、断片化し、アダプターライゲーションする。Fragment Analyzer(Agilent)によってライブラリのサイズ及び濃度を確認し、Illumina HiSeqを使用する全ゲノム配列決定のために、Novogeneに送る。
【0403】
塩基編集
塩基編集のために、1:1(質量比)のアデニン塩基エディター(ABE)をコードするmRNAと、ALAS1を標的とするガイドRNA(sgRNA)とを、本明細書に記載のLNP調製物内にともにカプセル化する。尾部静脈注射を通じてBalb/cマウスに、3.0mg/kgの総RNAでLNP調製物を投与する。投与4日後にマウスを安楽死させ、肝臓、脾臓、及び骨髄を採取する。抽出したゲノムDNAを使用して、ALAS1標的部位で標的化された深部配列決定分析を行うことによって、塩基編集を決定する。
【0404】
実施例13:例示的なLNP調製物をマウスHSPCへと送達する。
本実施例は、本明細書に記載の様々な細胞型への強力な送達を有する、例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本実施例は、提供された脂質が、トランスフェクトされたHSPCなどの特定の細胞型において、用量依存的な増加を示すことを示すために使用することができる。
【0405】
LNP調製物を選択して、3つの異なる用量(0.1mg/kg、0.3mg/kg、1.0mg/kg)で、本明細書に記載のCreレポーター系及びAi14マウスモデルを使用して、有効性結果を確認する。
【0406】
実施例14:例示的なLNP調製物をマウスHSPCへと送達する。
本実施例は、本明細書に記載の様々な細胞型への強力な送達を有する、例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。
【0407】
LNP調製物を選択して、本明細書に記載のCreレポーター系及びAi14マウスモデルを使用して、複数の時点(例えば、0.3mg/kgのCre mRNAの用量でのLNP送達後2、8、及び16週、又は1.0mg/kgのCre mRNAの用量でのLNP送達後2、8、及び16週)でのHSPC中の%tdTomato+の持続性をモニタリングすることによって、有効性結果を確認する。
【0408】
トランスフェクトされたHSPCの持続性を観察したとき、トランスフェクトされたHSPCを分析して、0.3mg/kg及び1.0mg/kgのCre mRNAを投与したマウスコホートの単球、B細胞、T細胞、及び赤血球における、16週の時点での末梢血中のtdTomato+%存在量を測定することによって、様々な免疫系統及び造血系統を再構築するそれらの能力を決定する。
【0409】
本実施例を使用して、提供される脂質が、HSPCへの持続性のあるLNP送達を生じることを示すことができる。更に、本実施例を使用して、トランスフェクトされたHSPCが造血区画を再構築することができることを示すことができる。
【0410】
実施例15:例示的なLNP調製物をインビトロでヒトCD34+HSPCに送達する。
本実施例は、本明細書に記載の様々な細胞型への強力な送達を有する、例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。したがって、本実施例は、提供される脂質が、ApoEの存在下で特定の細胞型に送達される場合、レポーター発現の増加を生じることを示すために使用することができる。
【0411】
インビトロでのヒトCD34+HSPCにおける有効性結果を確認するために、LNP調製物を選択する。
【0412】
簡潔に言えば、ヒトCD34+細胞を解凍し、次いで、細胞培養プレート中40,000細胞/ウェルで48ウェル組織培養プレートに配置する。細胞を48時間インキュベートして、10%のペニシリン-ストレプトマイシン及びStemSpan CD34+Expansion Supplement(Stem Cell Technologies)を補充したStemSpan細胞培養培地(Stem Cell Technologies)中で恒常性に到達させる。LNPにカプセル化された1000ngのレポーターmRNAを投与し、その後、細胞を300×Gで遠心分離し、前述のように補充した培地に再懸濁させる。LNP取り込みにApoEが必要かどうかを試験するために、目的の各ウェルに、2μLの組換えヒトアポタンパク質E3(ApoE3、R&D Systems)を添加する。24時間後、細胞Fc受容体をヒトTruStain FcX(Biolegend)でブロックし、PBSで洗浄し、レポーター発現のために表現型決定マーカー及び生存可能性染料とともに蛍光染色する。
【0413】
実施例16:LNPの調製及び特徴評価
LNP調製物
とりわけ、本実施例は、例示的なLNP調製物を提供する。
【0414】
脂質ナノ粒子構成成分を、定められた脂質構成成分モル比で100%エタノール中に溶解させた。10mMのクエン酸塩、100mMのNaCl、pH4.0に核酸(NA)カーゴを溶解させ、およそ0.22mg/mLのNAカーゴの濃度が生じた。一部の実施形態では、NAカーゴは、1:10~10:1の機能的NA対バーコードの質量比で混合した、機能的NA及びレポーターDNAバーコードの両方を含む。本明細書に記載されるように、NAは、siRNA、アンチセンス、発現DNA、又はmRNAであり得る。
【0415】
LNPを、47.5%のイオン化可能な脂質(例えば、本明細書で提供される化合物):40%のコレステロール:2.5%のPEG-2000DMG:10%のDPSC、並びに4~8のN/P比の範囲で調製した。製造業者のプロトコルに従って、Precision Nanosystems NanoAssemblr Spark又はBenchtop series Instrumentsを使用して、脂質及びNA溶液のマイクロ流体混合によって、LNPを形成した。異なる流量を使用する混合中に、およそ2:1又は3:1の水性溶媒対有機溶媒の比を維持した。混合の後、LNPを収集し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)又はTris緩衝生理食塩水(TBS)(およそ1:1v/v)で希釈した。PBS又はTBS中4℃で4~24時間の間、20kDaフィルタに対する透析を使用して、更なる緩衝液交換を実行した。この最初の透析の後、動的光散乱(DLS)を介して各個々のLNP調製物を特徴評価して、サイズ(例えば、直径)及び多分散性を測定した。比直径及び多分散性範囲内にあるLNPをプールし、100kDa透析カセットに対して4℃で1~4時間の間、PBS又はTBSに対して更に透析する。第2の透析の後、0.22μMフィルタを使用してLNPを滅菌濾過し、更なる使用のために4℃で保管した。
【0416】
LNP特徴評価
高スループット動的光散乱(DLS)(Stunner、Unchained Labs)を使用して、LNP流体力学的直径及び多分散性指数(PDI)を測定した。適切な濃度まで1倍のTBS又はPBSにLNPを希釈し、分析した。
【0417】
RNA濃度及びカプセル化効率を、Ribogreenアッセイ(BioTek Synergy LXプレートリーダー)によって決定した。
【0418】
提供された脂質を使用して調製されたLNPの特徴評価データを表2にまとめている。
【表2】
【0419】
実施例17:LNPの投与及び生体内分布
本実施例によって記載される研究のために、およそ8~12週齢の雄及び雌マウスを使用した。各マウスを一時的に拘束し、プールしたLNPを、実験ごとに最大5匹の動物に尾部静脈注射を介してIV投与した。また、年齢が一致するマウスを使用して、実験ごとに最大3匹の動物に尾部静脈注射を介してビヒクル(1倍のTBS)を投与した。また、脳室心房(ICV)、大槽内マンガ(ICM)、髄腔内(IT)、筋肉内(IM)、噴霧、鼻腔内(IN)、皮下(SC)、関節内、及び皮内(ID)を含む追加の投与経路を行ってもよい。投与後4時間で、肝臓、脾臓、骨髄、精巣、腓腹筋、大腿四頭筋、肺、心臓、腎臓、及び膵臓を含む組織を分析のために収集してもよい。
【0420】
フロー
肝臓、腎臓、肺、及び筋肉(例えば、骨格筋及び心筋)組織を、機械によって、次いで、プロテイナーゼの混合物を使用して酵素によって消化させ、次いで、70μMフィルタに通して、単一細胞懸濁液を生成してもよい。脾臓組織を機械によって消化させて、単一細胞懸濁液を生成した。組織をACK緩衝液で処理して赤血球を溶解させ、次いで、フローサイトメトリー及び蛍光活性化セルソーティング(FACS)のために蛍光標識抗体で染色した。本実施例では、市販の抗体を使用した。BD FACSMelody(Becton Dickinson)を使用して、フローサイトメトリーを介して試料を取得し、選別前にゲートを生成した。一般に、ゲーティング構造は、サイズ→単一細胞→生細胞→目的の細胞であった。T細胞は、CD45+CD3+と定義し、単球は、CD45+CD11b+と定義し、B細胞は、CD45+CD19+と定義した。それぞれ、内皮細胞は、CD31+、単球及びKupffer細胞は、CD45+CD11b+と定義し、肝臓及び筋肉における肝細胞及び筋細胞は、CD31-/CD45-と定義した。ビヒクルを投与したマウスからの組織を使用して、選別のためのゲートを設定した。
【0421】
組織からのRNAを、Reliaprep RNA抽出キットを使用して抽出し、RNAseqキットを使用してライブラリを調製し、MiSeq又はNextSeq500のいずれかで配列決定した。
【0422】
標的組織への優先的なLNP送達をスクリーニングするために、1つ以上の標的組織における各バーコードの相対的な存在量を測定し、対応する相対的な入力存在量に対する各バーコードの相対的な存在量と比較して、各バーコードの入力上の倍数(FAI)を決定した。標的組織中のバーコードのFAIが、同じ組織中の異なるLNPの閾値を上回るか、又はFAIを上回る場合、LNPは、標的組織に優先的に送達するものとして同定され得る。
【0423】
FAIは、入力におけるその頻度と比較して、選択された試料中のバーコードの正規化された相対的な存在量である。バーコードのFAIは、LNPの存在量がLNPプールの残りの部分に対してどのように変化するかを示す。バーコードのFAI値は、単離された試料中のバーコード配列数における相対的な存在量を、投与入力におけるその相対的な存在量に対して正規化することによって計算した。例えば、FAI値1は、単離された試料において、それが投与プールにおいて行うのと同じ頻度で現れるLNPを表し、それが、その同じ投与プールにおける他のLNP集団と比較して測定された細胞型に対して中立的なトロピズムを示すことを表す。次いで、FAIは、入力LNP組成物に対するLNPの性能を示す。
【0424】
提供された脂質を使用して調製されたLNPの生体内分布データを、表3、表4、及び表5にまとめている。各表は、1つのスクリーニング実験から得られたデータを記載する。
【表3】
【表4】
【表5】
【0425】
実施例18:脾臓、肝臓、及び骨髄における塩基編集のためのLNP調製物の利用
本実施例は、様々な細胞型において、(例えば、塩基エディターを使用する)遺伝子編集を付与する例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームを使用して、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定して、どの種類のLNP調製物が、インビボで様々な細胞型の塩基編集に対して最も強力であるかを決定することができる(例えば、マウスで細胞の塩基編集を行うことができる)。
【0426】
本実施例は、提供される脂質が、骨髄、脾臓、及び肝臓を含む様々な細胞型において塩基編集を行うために使用することができること、並びに/又は特定の細胞型へのLNP調製物の送達を改善するために使用することができる。本実施例はまた、その例示的な化合物を含有するLNP調製物とともに含有されるmRNAが、送達中にLNP中でより安定化されることを示すために使用することができる。
【0427】
方法
本明細書に記載のBalb/Cマウスモデルにおいて塩基編集を行う各調製物の能力を決定するために、例示的なLNP調製物を選択した。
【0428】
脂質ナノ粒子構成成分を、定められた脂質構成成分モル比で100%エタノールに溶解させた。アデニン塩基エディターをコードするmRNAと、化学修飾されたsgRNAとを、50mMのクエン酸塩、pH4.0中1:1の質量比で溶解させ、およそ0.1mg/mLのNAカーゴの濃度が生じた。
【0429】
47.5%のイオン化可能な脂質:40%のコレステロール:2.5%のPEG2000-DMG:10%のDSPCのモル比、及び6:12の総脂質対NAの質量比でLNP調製物を製剤化した。
【0430】
製造業者のプロトコルに従って、Precision Nanosystems NanoAssemblr Ignite series装置を使用して、脂質及びNA溶液のマイクロ流体混合によって、LNP調製物を形成した。
【0431】
異なる流量を使用する混合中に、3:1の水性溶媒対有機溶媒の比を維持した。混合の後、LNP調製物を収集し、TBS(およそ7:1v/v)に希釈し、TBS中4℃で8~24時間の間、20kDAフィルタに対する透析を使用して、更なる緩衝液交換を実行した。この最初の透析の後、動的光散乱(DLS)を介して各個々のLNP調製物を特徴評価して、サイズ及び多分散性を測定した。TNSアッセイを介してLNP調製物の亜集団のpKaを測定した。
【0432】
透析の後、0.22ミクロン滅菌フィルタを使用してLNP調製物を滅菌濾過し、更なる使用のために4℃で保管した。一部の実施形態では、LNP調製物は、製造業者のプロトコルに従って、100kDaのAmiconフィルタを使用して濃縮した。
【0433】
LNP特徴評価
DLS-高スループット動的光散乱(DLS)(DynaPro plate reader II、Wyatt)を使用して、LNP調製物流体力学的直径及び多分散性指数(PDI)を測定した。適切な濃度まで1倍のPBSをLNP調製物を希釈し、分析した。
【0434】
濃度及びカプセル化効率
製造業者の説明書に従って、Qubit microRNAキット(siRNA用)又はHS RNAキット(mRNA用)によって、NAの濃度を測定した。未溶解のLNP及び溶解したLNPを測定することによって、カプセル化効率を決定した。
【0435】
LNP投与
本明細書に記載の実験に、およそ8~12週齢の雄Balb/Cマウスを使用した。各マウスを一時的に拘束し、尾部静脈注射を通じてBalb/Cマウスに、0.15mg/kgの総RNAでLNP調製物を投与した。
【0436】
また、年齢が一致するマウスを使用して、尾部静脈注射を介して、対照としてビヒクル(1倍のTBS)を投与した。投与の4~6日後、肝臓、脾臓、及び骨髄を含む組織を収集した。抽出したゲノムDNAを使用して、ALAS1標的部位で標的化された深部配列決定分析を行うことによって、塩基編集を決定する。製造業者の説明書に従って、96ウェルプレートNexteraインデックスプライマー(Illumina)を使用して、Nextera DNA Flex Library Prep Kit(Illumina)を使用して、ゲノムDNAを単離し、断片化し、アダプターライゲーションした。Fragment Analyzer(Agilent)によってライブラリのサイズ及び濃度を確認し、Illumina HiSeqを使用する全ゲノム配列決定について分析した。
【0437】
この実施例のプロトコルに化合物7~21を使用して、34.1%の塩基編集が、0.15mg/kg用量で、肝臓において観察された。
【0438】
この実施例のプロトコルに化合物7~41を使用して、1.7%の塩基編集が、0.15mg/kg用量で、肝臓において観察された。
【0439】
対照ビヒクルとしてTBSを使用して、肝臓において0.06%の塩基編集が観察された。
【0440】
実施例19:脾臓、肝臓、及び骨髄における塩基編集のためのLNP調製物の利用
本実施例は、様々な細胞型において、(例えば、塩基エディターを使用する)遺伝子編集を付与する例示的なLNP組成物、調製物、ナノ粒子、及び/又はナノ材料を提供する。本明細書に記載のスクリーニングプラットフォームを使用して、いくつかの非常に強力なLNP調製物を同定して、どの種類のLNP調製物が、インビボで様々な細胞型の塩基編集に対して最も強力であるかを決定することができる(例えば、マウスで細胞の塩基編集を行うことができる)。
【0441】
本実施例は、提供される脂質が、骨髄、脾臓、及び肝臓を含む様々な細胞型において塩基編集を行うために使用することができること、並びに/又は特定の細胞型へのLNP調製物の送達を改善するために使用することができる。本実施例はまた、その例示的な化合物を含有するLNP調製物とともに含有されるmRNAが、送達中にLNP中でより安定化されることを示すために使用することができる。
【0442】
方法
本明細書に記載のNBSGWマウスモデルにおいて塩基編集を行う各調製物の能力を決定するために、例示的なLNP調製物を選択する。
【0443】
脂質ナノ粒子構成成分を、定められた脂質構成成分モル比で100%エタノールに溶解させる。アデニン塩基エディターをコードするmRNAと、化学修飾されたsgRNAとを、10mMのクエン酸塩、pH3.0中1:1の質量比で溶解させ、およそ0.2mg/mLのNAカーゴの濃度が生じる。
【0444】
50%のイオン化可能な脂質:38.5%のコレステロール:1.5%のPEG2000-DMG:10%のDSPCのモル比、及び19:1の総脂質対NAの質量比でLNP調製物を製剤化する。
【0445】
製造業者のプロトコルに従って、Precision Nanosystems NanoAssemblr Spark series Instrumentsを使用して、脂質及びNA溶液のマイクロ流体混合によって、LNP調製物を形成する。
【0446】
異なる流量を使用する混合中に、3:1の水性溶媒対有機溶媒の比を維持する。混合の後、LNP調製物を収集し、PBS(およそ2:1v/v)に希釈し、PBS中4℃で8~24時間の間、20kDAフィルタに対する透析を使用して、更なる緩衝液交換を実行する。この最初の透析の後、動的光散乱(DLS)を介して各個々のLNP調製物を特徴評価して、サイズ及び多分散性を測定する。TNSアッセイを介してLNP調製物の亜集団のpKaを測定する。
【0447】
透析の後、0.22ミクロン滅菌フィルタを使用してLNP調製物を滅菌濾過し、更なる使用のために4℃で保管する。一部の実施形態では、LNP調製物は、製造業者のプロトコルに従って、100kDaのAmiconフィルタを使用して濃縮してもよい。
【0448】
LNP特徴評価
DLS-高スループット動的光散乱(DLS)(DynaPro plate reader II、Wyatt)を使用して、LNP調製物流体力学的直径及び多分散性指数(PDI)を測定する。適切な濃度まで1倍のPBSにLNP調製物を希釈し、分析する。
【0449】
濃度及びカプセル化効率
製造業者の説明書に従って、Qubit microRNAキット(siRNA用)又はHS RNAキット(mRNA用)によって、NAの濃度を決定する。未溶解のLNP及び溶解したLNPを測定することによって、カプセル化効率を決定する。
【0450】
LNP投与及び塩基編集
投与の4週間前に、およそ8~12週齢のNBSGWマウスに、5e5ヒトCD34+細胞を生着させ、本明細書に記載の実験に使用する。生着の4週間前に、各マウスを一時的に拘束し、尾部静脈注射を介して3mg/kgでLNP調製物をIV投与する。
【0451】
また、年齢が一致するマウスを使用して、尾部静脈注射を介して、対照としてビヒクル(1倍のPBS)を投与する。投与の4~6日後、肝臓、脾臓、及び骨髄を含む組織を収集する。抽出したゲノムDNAを使用して、ヒトALAS1標的部位で標的化された深部配列決定分析を行うことによって、塩基編集を決定する。製造業者の説明書に従って、96ウェルプレートNexteraインデックスプライマー(Illumina)を使用して、Nextera DNA Flex Library Prep Kit(Illumina)を使用して、ゲノムDNAを単離し、断片化し、アダプターライゲーションする。Fragment Analyzer(Agilent)によってライブラリのサイズ及び濃度を確認し、Illumina HiSeqを使用する全ゲノム配列決定を使用して配列決定する。
【0452】
同等物
当業者であれば、通常範囲を超えない実験を使用して、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの同等物を認識するか、又は確定することができるであろう。本発明の範囲は、上の発明の概要に限定されることを意図せず、むしろ、以下の特許請求の範囲に記載されるとおりである。
【国際調査報告】