(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】ワクチンにおけるアジュバントとしてのインターフェロンの使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/19 20060101AFI20250116BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20250116BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20250116BHJP
C12N 15/45 20060101ALI20250116BHJP
C12N 15/44 20060101ALI20250116BHJP
C12N 15/47 20060101ALI20250116BHJP
C12N 15/50 20060101ALI20250116BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20250116BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20250116BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20250116BHJP
A61K 39/155 20060101ALI20250116BHJP
A61K 39/145 20060101ALI20250116BHJP
A61K 39/205 20060101ALI20250116BHJP
A61K 39/23 20060101ALI20250116BHJP
A61K 39/245 20060101ALI20250116BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250116BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20250116BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250116BHJP
A01K 61/13 20170101ALI20250116BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20250116BHJP
【FI】
C12N15/19 ZNA
C12N15/33
C12N15/62 Z
C12N15/45
C12N15/44
C12N15/47
C12N15/50
C12Q1/686 Z
C12N15/63 Z
C12Q1/02
A61K39/155
A61K39/145
A61K39/205
A61K39/23
A61K39/245
A61P31/14
A61P31/22
A61P43/00 171
A01K61/13
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537378
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 US2022081916
(87)【国際公開番号】W WO2023122526
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ハウグランド,オイビンド
(72)【発明者】
【氏名】カルセン,マリウス・アンドレ・デ・フェイテル
(72)【発明者】
【氏名】ハウゲ,リンダ・ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】ロウデ,マリト
【テーマコード(参考)】
2B104
4B063
4B065
4C085
【Fターム(参考)】
2B104AA02
2B104BA14
4B063QA13
4B063QQ08
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4C085AA03
4C085BA55
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4C085BA64
4C085BA75
4C085BA78
4C085CC08
4C085DD62
4C085EE01
(57)【要約】
魚ワクチンにおけるアジュバントとして有用なサケインターフェロン配列が開示される。また、当該インターフェロン配列を利用した魚ワクチン、及びこれらのワクチンを利用した魚の感染の予防のための方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号6若しくは50、又は配列番号6若しくは配列番号50に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列であって、前記核酸配列が、配列番号18に対して65~90%同一、又は配列番号19に対して65~90%同一であり、コドン頻度が、前記核酸配列中に保存される、核酸配列。
【請求項2】
前記核酸配列が、配列番号18又は配列番号19に対して70~79%同一である、請求項1に記載の核酸配列。
【請求項3】
前記アミノ酸配列が、配列番号6又は配列番号50に対して少なくとも98%同一である、請求項1又は2に記載の核酸配列。
【請求項4】
配列番号6又は配列番号50と異なるアミノ酸の少なくとも50%が、保存的置換である、請求項1~3のいずれか一項に記載の核酸配列。
【請求項5】
配列番号20又は配列番号17に対して少なくとも90%同一である、請求項1に記載の核酸配列。
【請求項6】
配列番号20又は配列番号17に対して少なくとも95%同一である、請求項5に記載の核酸配列。
【請求項7】
第2のプロモーターの作動可能な制御下の、請求項1~6のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、発現カセット。
【請求項8】
前記第2のプロモーターが、サイトメガロウイルス(CMV)最初期エンハンサー及びプロモーターである、請求項7に記載の発現カセット。
【請求項9】
抗原をコードする核酸配列を更に含む、請求項7又は8に記載の発現カセット。
【請求項10】
前記抗原が、非エンベロープウイルスの構造タンパク質、又は前記構造タンパク質の部分を含み、前記部分が、防御免疫応答を誘発することができる、請求項9に記載の発現カセット。
【請求項11】
前記抗原が、融合タンパク質であって、
a)前記抗原の前記アミノ酸配列の上流の分泌タンパク質又は第1の膜結合タンパク質のN末端分泌シグナル配列、
b)前記抗原の前記アミノ酸配列の下流の第2の膜結合タンパク質の膜貫通ドメインを含む、融合タンパク質として発現する、請求項10に記載の発現カセット。
【請求項12】
前記第1及び第2のタンパク質が、タイセイヨウサケパラミクソウイルス融合タンパク質、伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)のヘマグルチニン(HE)タンパク質、及びウイルス性出血性敗血症ウイルスG-タンパク質(VHSV-G)からなる群から独立して選択される、請求項11に記載の発現カセット。
【請求項13】
前記第1の膜結合タンパク質が、前記第2の膜結合タンパク質と同一である、請求項11又は12に記載の発現カセット。
【請求項14】
前記膜結合タンパク質が、ウイルス性出血性敗血症ウイルスG-タンパク質(VHSV-G)である、請求項13に記載の発現カセット。
【請求項15】
前記N末端分泌シグナル配列が、配列番号7若しくは48に対して少なくとも90%同一であるか、又は前記分泌シグナル配列が、配列番号48、若しくは配列番号48に対して少なくとも90%同一の配列の部分を含み、前記部分が、配列番号7、若しくは配列番号7に対して少なくとも90%同一である配列を含む、請求項14に記載の発現カセット。
【請求項16】
前記N末端分泌シグナルにおける異なるアミノ酸の少なくとも半分が、保存的置換である、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項17】
前記膜貫通ドメインが、配列番号8若しくは49に対して少なくとも90%同一であるか、又は前記膜貫通断片が、配列番号49、若しくは配列番号49に対して少なくとも90%同一の配列の部分を含み、前記部分が、配列番号8、若しくは配列番号8に対して少なくとも90%同一である配列を含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項18】
前記膜貫通ドメインにおける異なるアミノ酸の少なくとも半分が、保存的置換である、請求項17に記載の発現カセット。
【請求項19】
前記構造タンパク質が、カプシドタンパク質である、請求項10~18のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項20】
前記非エンベロープウイルスが、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)である、請求項10~18に記載の発現カセット。
【請求項21】
前記抗原が、配列番号1、又はそれに対して95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の発現カセット。
【請求項22】
魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原が、N末端からC末端に、
a.配列番号又は配列番号35に対して少なくとも90%同一、若しくは少なくとも91%同一、若しくは少なくとも92%同一、若しくは少なくとも93%同一、若しくは少なくとも94%同一、若しくは少なくとも95%同一、若しくは少なくとも96%同一、若しくは少なくとも97%同一、若しくは少なくとも98%同一、若しくは少なくとも99%同一、若しくは100%同一である配列と、
b.配列番号25~33のうちのいずれか1つに対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列と、を含み、
i)前記魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号15、若しくは配列番号15に対して少なくとも90%同一の配列を欠き、かつ/又は
ii)配列番号1と比較して、前記魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、少なくとも4つの連続したアミノ酸長である内部欠失を含む、請求項20に記載の発現カセット。
【請求項23】
前記抗原が、配列番号15、又はそれに対して少なくとも90%同一の配列と、配列番号4、5、25、26、27、29、30、32のうちのいずれか1つ、又は配列番号4、5、25、26、27、29、30、若しくは32に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、を含み、配列番号1と比較して、前記タンパク質が、少なくとも4つの連続したアミノ酸長である内部欠失を含み、任意選択的に、前記タンパク質が、前記内部欠失の代わりにリンカーを含む、請求項21に記載の発現カセット。
【請求項24】
配列番号25に対して少なくとも95%同一である配列を含み、配列番号14、又は配列番号14に対して少なくとも90%同一である配列を欠く、請求項22に記載の魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原。
【請求項25】
前記抗原が、配列番号11又は配列番号12又は配列番号46に対して少なくとも95%同一である、請求項22に記載の発現カセット。
【請求項26】
前記抗原と配列番号11又は配列番号12又は配列番号46との間で異なるアミノ酸の少なくとも50%が、保存的置換である、請求項25に記載の発現カセット。
【請求項27】
前記抗原が、エンベロープウイルスの外表面タンパク質、又は前記外表面タンパク質の断片であり、前記断片が、防御免疫応答を誘発することができる、請求項9に記載の発現カセット。
【請求項28】
前記エンベロープウイルスが、コロナウイルスであり、前記外表面タンパク質が、スパイクタンパク質である、請求項27に記載の発現カセット。
【請求項29】
前記抗原が、フナムシの中腸由来のタンパク質又はその断片を含み、前記断片が、配列番号21に対して少なくとも90%同一である、請求項9に記載の発現カセット。
【請求項30】
前記抗原をコードする前記核酸配列が、第1のプロモーターの作動可能な制御下にある、請求項9~29のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項31】
前記第1のプロモーターが、サイトメガロウイルス(CMV)最初期エンハンサー及びプロモーターである、請求項30に記載の発現カセット。
【請求項32】
請求項9~31のいずれか一項に記載の発現カセットを含む、ワクチン。
【請求項33】
請求項7又は8に記載の発現カセットを含み、抗原を更に含む、ワクチン。
【請求項34】
感染に対してサケ科の魚にワクチン接種する方法であって、請求項32又は33に記載のワクチンを前記サケ科の魚に投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記ベクターが、前記抗原をコードする前記核酸配列を含む発現カセットを含み、前記抗原が、非エンベロープウイルスである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記非エンベロープウイルスが、PMCVである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記サケ科の魚が、15~200グラムの重量がある、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記サケ科の魚が、40~110グラムの重量がある、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記サケ科の魚が、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、又はギンザケ(Oncorhynchus kisutch)である、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記サケ科の魚が、Salmo salarである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
アジュバントとしてのI型インターフェロンの効率を評価する方法であって、前記方法が、
a)インターフェロンをコードする核酸配列を供給源細胞にトランスフェクションすることと、
b)前記供給源細胞を培養することであって、前記インターフェロンが、供給源細胞培地中に分泌される、培養することと、
c)培養された標的細胞を前記供給源細胞培地の少なくとも部分と接触させることであって、前記標的細胞が、インターフェロンに応答してMx遺伝子を自然に発現させる、接触させることと、かつ
d)Mx遺伝子発現を測定することと、を含む、方法。
【請求項42】
前記1型インターフェロンが、インターフェロンBである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
インターフェロンをコードする前記核酸が、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸配列である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記供給源細胞が、CHH-1細胞である、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記標的細胞が、TO-細胞である、請求項41~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記Mx遺伝子発現を測定する工程が、RT-PCRを含む、請求項41~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
同じI型インターフェロンをコードするN個の配列(N>1)の群におけるどの核酸配列が、より効率的な発現を付与するかを決定する方法であって、前記方法が、N個の配列の群の各メンバーについて、
a)インターフェロンをコードするN番目の核酸配列を供給源細胞のN番目のバッチにトランスフェクションすることと、
b)前記N番目のバッチの供給源細胞を培養することであって、前記インターフェロンが、供給源細胞培地に分泌される、培養することと、
c)培養された標的細胞のN番目のバッチを、前記供給源細胞の前記N番目のバッチからの前記供給源細胞培地の少なくとも部分と接触させることであって、前記標的細胞が、インターフェロンに応答してMx遺伝子を自然に発現させる、接触させることと、
d)前記標的細胞の前記N番目のバッチにおけるMx遺伝子発現を測定することと、
e)1~Nの前記標的細胞の各バッチにおける前記Mx遺伝子発現を比較することと、を含む、方法。
【請求項48】
前記1型インターフェロンが、インターフェロンBである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
インターフェロンをコードする前記核酸が、請求項1~5のいずれか一項に記載の核酸配列である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記供給源細胞が、CHH-1細胞である、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記標的細胞が、TO-細胞である、請求項47~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記Mx遺伝子発現を測定する工程が、RT-PCRを含む、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
サケ科の魚を感染から保護する方法で使用するための、請求項32又は33に記載のワクチン。
【請求項54】
前記ベクターが、前記抗原をコードする前記核酸配列を含む発現カセットを含み、前記抗原が、非エンベロープウイルスである、請求項53に記載のワクチン。
【請求項55】
前記非エンベロープウイルスが、PMCVである、請求項54に記載のワクチン。
【請求項56】
前記サケ科の魚が、15~200グラムの重量がある、請求項53~55のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項57】
前記サケ科の魚が、40~110グラムの重量がある、請求項53~55のいずれか一項に記載のワクチン。
【請求項58】
前記サケ科の魚が、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、又はギンザケ(Oncorhynchus kisutch)である、請求項53~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記サケ科の魚が、Salmo salarである、請求項58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、水産養殖ワクチンの分野におけるものである。
【背景技術】
【0002】
水産養殖は、生産の観点から大幅な成長を遂げており、1990年~2018年の期間で527%超を占めている。2018年には、水産養殖は、世界の水生生物の総生産量(179Mトン)の約46%、並びに人間の消費のための魚介類(魚類、甲殻類、軟体動物、並びに水生哺乳動物、爬虫類、海藻、及び他の水生植物を除く他の水生動物)の52%に寄与した。
【0003】
商業的水産養殖は、主に細菌、ウイルス、寄生虫、及びそれほどではないが真菌によって引き起こされる感染性疾患の影響を受ける。細菌性疾患は、著しい生物学的損失、したがって、経済的損失を与える可能性がある。これらは通常、抗生物質で制御可能であるが、これらの医薬品の見境のない使用は、細菌種(そのうちのいくつかは、ヒト病原体でもある)の間での耐性機序の発達及び伝達により、最終的にはヒトの健康への脅威である。
【0004】
魚のワクチン接種は、疾患の蔓延を予防又は軽減することができ、多くの関連する病原体に対する有効性が証明されている。より効率的なワクチンを設計する際の障害の1つは、好適なアジュバントの欠如である。ほとんどの場合、油中水型エマルジョンが使用されるが、このアジュバントタイプは、全てのワクチンに好適なわけではない。近年、インターフェロン(IFN)が、伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)に対するDNAワクチンと組み合わせて、強力なアジュバント活性を示したことが報告されている。
【0005】
哺乳動物と同様に、ウイルス感染に応答する異なるサケI型インターフェロン(IFN-I)の発現は、それらのプロモーター、ウイルスの特性、並びに核酸受容体及びインターフェロン調節因子(IRF)の細胞の発現に依存している。IFNaが主に局所抗ウイルス活性を示す一方で、IFNb及びIFNcは、全身性抗ウイルス活性を示す。加えて、サケは、異なるIFN-Iの結合における選択性を示すいくつかのIFN-I受容体を有するようである。IFN-I及び受容体におけるこの複雑さは、サケIFN-Iの機能における大きな変動を可能にする。
【0006】
タイセイヨウサケ及び他の養殖魚の疾患と闘うためのより効率的なワクチンを設計するために、I型インターフェロンの免疫調節効果を更に研究する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、本出願は、配列番号6若しくは配列番号50、又は配列番号6若しくは50に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列を提供し、当該核酸配列は、配列番号18に対して65~90%同一、又は配列番号19に対して65~90%同一であり、コドン頻度は、当該核酸配列中に保存される。ある特定の実施形態では、当該核酸配列は、配列番号18又は配列番号19に対して70~79%同一である。
【0008】
ある特定の実施形態では、本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも40%の頻度は、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から30%を超えて逸脱せず、かつ/又は本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも30%の頻度は、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から25%を超えて逸脱せず、かつ/又は本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも25%の頻度は、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から20%を超えて逸脱しない。
【0009】
ある特定の実施形態では、核酸配列は、配列番号20又は配列番号17に対して少なくとも90%同一、又は少なくとも95%同一、又は少なくとも99%同一、又は100%同一である。
【0010】
ある特定の実施形態では、本発明による核酸配列によってコードされたアミノ酸配列は、配列番号6に対して少なくとも97%同一、又は配列番号6に対して少なくとも99%同一である。ある特定の実施形態では、配列番号6における対応するアミノ酸と異なるアミノ酸の少なくとも50%(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%)は、保存的置換である。
【0011】
ある特定の実施形態では、本発明による核酸配列によってコードされたアミノ酸配列は、配列番号50に対して少なくとも97%同一、又は配列番号50に対して少なくとも99%同一である。ある特定の実施形態では、配列番号50における対応するアミノ酸と異なるアミノ酸の少なくとも50%(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%)は、保存的置換である。
【0012】
第2の態様では、発現カセットが提供され、当該発現カセットは、第2のプロモーターの作動可能な制御下で、第1の態様のいずれかの実施形態による核酸配列を含む。ある特定の実施形態では、第2のプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)最初期エンハンサー及びプロモーターである。ある特定の実施形態では、発現カセットは、第1のプロモーターの作動可能な制御で、抗原をコードする核酸配列を更に含む。ある特定の実施形態では、第1のプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)最初期エンハンサー及びプロモーターである。
【0013】
ある特定の実施形態では、抗原は、ウイルス起源である。ある特定の実施形態では、ウイルスは、非エンベロープウイルスである。特定の一連の実施形態では、ウイルスは、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)であり、抗原は、ORF-1によってコードされたアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列の断片であり、当該断片は、防御免疫応答を誘発することができる。
【0014】
ある特定の実施形態では、抗原は、配列番号1、又はそれに対して95%同一であるアミノ酸配列である。
【0015】
いくつかの他の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、N末端からC末端に、
a.配列番号34又は配列番号35に対して少なくとも90%同一、若しくは少なくとも91%同一、若しくは少なくとも92%同一、若しくは少なくとも93%同一、若しくは少なくとも94%同一、若しくは少なくとも95%同一、若しくは少なくとも96%同一、若しくは少なくとも97%同一、若しくは少なくとも98%同一、若しくは少なくとも99%同一、若しくは100%同一である配列と、
b.配列番号25~33のうちのいずれか1つに対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列と、を含み、
i)当該魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号15、若しくは配列番号15に対して少なくとも90%同一の配列を欠き、かつ/又は
ii)配列番号1と比較して、当該魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、少なくとも4つの連続したアミノ酸長である内部欠失を含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号11又は配列番号12又は配列番号46に対して少なくとも90%同一である。
【0017】
他の実施形態では、抗原は、細菌起源であり、当該細菌の外表面上に存在するタンパク質、又は防御免疫応答を誘発することができる当該タンパク質の断片を含む。
【0018】
他の実施形態では、抗原は、寄生起起源であり、Caligidae科のフナムシの腸由来のタンパク質である。ある特定の実施形態では、抗原は、配列番号21、又はそれに対して少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む。
【0019】
第3の態様では、本開示は、本発明の第2の態様のいずれかの実施形態による発現カセットを含む、ベクターを提供する。ある特定の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。他の実施形態では、ベクターは、プラスミドベクターである。好ましい実施形態のセットでは、ベクターは、実施例に記載されるように、NTC9385R(Nature Technology Corporation)又はそのバリアントである。
【0020】
第4の態様では、本開示は、本発明の第3の態様のいずれかの実施形態によるベクターを含む、ワクチンを提供する。
【0021】
第5の態様では、本開示は、サケ科の魚を感染から保護する方法を提供し、方法は、それを必要とするサケ科の魚に、本発明の第4の態様のいずれかの実施形態によるワクチンを投与することを含む。
【0022】
ある特定の実施形態では、サケ科の魚は、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、又はギンザケ(Oncorhynchus kisutch)からなる群から選択される。一連の実施形態では、サケ科の魚は、タイセイヨウサケである。
【0023】
ある特定の実施形態では、サケ科の魚は、約25~約200グラム、好ましくは約15~約200グラムの重量である。
【0024】
第6の態様では、本発明は、アジュバントとしてのインターフェロンの効率を評価する方法を提供し、方法は、
a)インターフェロンをコードする核酸配列を供給源細胞にトランスフェクションすることと、
b)当該供給源細胞を培養することであって、当該インターフェロンが、供給源細胞培地中に分泌される、培養することと、
c)培養された標的細胞を当該供給源細胞培地の少なくとも部分と接触させることであって、当該標的細胞が、インターフェロンに応答してMx遺伝子を自然に発現させる、接触させることと、かつ
d)Mx遺伝子発現を測定することと、を含む。
【0025】
第7の態様では、本発明は、同じI型インターフェロンをコードする配列群におけるどの核酸配列が、より効率的な発現を付与するかを決定する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1Aは、Totiviridaeの一般的なビリオン構造である。
図1Bは、PMCVのゲノム構造の図である。ゲノムは、3つの大きなORFを含む。
【
図2】
図2Aは、細胞表面上の発現のためにワクチン抗原をルーティングするための戦略図である。
図2Bは、分泌抗原を促進するための戦略図である
【
図3】
図3Aは、透過処理されていない細胞におけるPMCV ORF1の検出を示す写真である。
図3Bは、完全長PMCV ORF-1を細胞表面にルーティングするために使用した異なる発現カセットで得られた結果を示す。
【
図4】
図4Aは、トランスフェクトされたCHH-1細胞のIF染色による、切断カプシドバリアントの蛍光強度の評価である。
図4Bは、免疫沈降による膜画分からのウェスタンブロッティング検出(IP-ウェスタン)によるタンパク質発現の図である。2つのブロットは、2つの異なる実験を表す。
【
図5】トランスフェクトされたCHH-1細胞の全細胞溶解物からの免疫沈降及びウェスタンブロッティングによる、5つの異なるプラスミド骨格におけるタンパク質発現の評価である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0031]本発明をよりよく説明するために、以下の定義が提供される。
【0028】
[0032]参照数字に適用される「約」という用語は、当該値のプラス又はマイナス10パーセントの参照数字を指す。
【0029】
[0033]「コドン頻度は、当該核酸配列中に保存される」という用語は、本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも50%の頻度が、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から40%を超えて逸脱しない、核酸配列を説明する。例えば、宿主ゲノム中の所与のコドンの頻度が、例えば、20%であるとき、本発明による核酸配列中の同じコドンの頻度が、12%(20%よりも40%少ない)~28%(20%よりも40%多い)である場合、このコドンは、頻度が宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から40%を超えて逸脱しないコドンの少なくとも50%の1つに数えられる。
【0030】
[0034]例えば、タイセイヨウサケ(Salmo salar)のゲノム中のコドン頻度が、表1に提供される。
【表1-1】
【表1-2】
【0031】
[0035]コドンCGCは、頻度20.08%%でアルギニンをコードし、すなわち、Salmo salarのゲノム中のアルギニン残基の20.08%が、CGCによってコードされる。アルギニン残基の12.048%~28.112%の核酸配列が、CGCによってコードされる場合、コドンCGCは、頻度がSalmo salarのゲノム中の同じコドンの頻度から40%を超えて逸脱しないコドンの少なくとも50%の1つに数えられる。
【0032】
[0036]「治療有効量」は、ウイルス又は細菌などの病原体による感染によって引き起こされた、健康への悪影響又はその合併症を含む、疾患の徴候又は症状を予防又は軽減するのに十分である、抗原又はワクチンを受けた対象において免疫応答を誘導するであろう抗原又はワクチンの量を指す。液性免疫若しくは細胞媒介免疫、又は液性免疫及び細胞媒介免疫の両方が、誘導され得る。ワクチンに対する動物の免疫原性応答は、例えば、抗体力価の測定、リンパ球増殖アッセイを通して間接的に、又は野生型株による攻撃接種(challenge)後の徴候及び症状のモニタリングを通して直接的に評価され得る。ワクチンによって付与される防御免疫は、例えば、対象の死亡率、罹患率、体温、全体的な身体状態、並びに全体的な健康及び能力などの臨床的徴候の軽減を測定することによって評価され得る。治療上有効であるワクチンの量は、使用される特定のアジュバント、使用される特定の抗原、又は対象の状態に応じて変化し得、当業者によって決定され得る。
【0033】
[0037]「治療すること」は、そのような用語が適用される障害、状態、若しくは疾患を予防すること、又はそのような障害、状態、若しくは疾患の1つ以上の症状を予防若しくは軽減することを指す。
【0034】
[0038]第1の態様では、本発明は、配列番号6若しくは配列番号50、又は配列番号6(Salmo salarのインターフェロンB)若しくは配列番号50(Salmo salarのインターフェロンB)に対して少なくとも95%同一である配列をコードする核酸配列を提供し、当該核酸配列は、配列番号18に対して65~90%同一、又は配列番号19に対して65~90%同一であり、コドン頻度は、当該核酸配列中に保存される。
【0035】
[0039]ある特定の実施形態では、本発明の核酸配列は、配列番号6又は配列番号50に対して96、97、98、99、又は100%同一であるアミノ酸配列をコードする。差は、挿入、欠失、又は置換の形態であり得る。好ましくは、変異は、置換であり、より好ましくは、これらの置換の少なくともいくつかは、保存的置換である。
【0036】
[0040]当業者は、コードするタンパク質のアミノ酸配列の改変をもたらす核酸配列の変化が、タンパク質の結果として生じる三次元構造に、あったとしてもほとんど影響を及ぼさない可能性があることを更に認識するであろう。例えば、アミノ酸アラニン、疎水性アミノ酸のコドンは、グリシンなどの別のより疎水性の低い残基、又はバリン、ロイシン、若しくはイソロイシンなどのより疎水性の高い残基をコードするコドンによって置換され得る。同様に、グルタミン酸の代わりにアスパラギン酸など、1つの負に荷電した残基をもう1つの代わりに、又はアルギニンの代わりのリジンなど、1つの正に荷電した残基をもう1つの代わりに置換することをもたらす変化はまた、実質的に同じ機能活性を有するタンパク質を産生することが予想され得る。
【0037】
[0041]以下の6つの群は各々、互いにとって典型的な保存的置換であるアミノ酸を含有する:[1]アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、[2]アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、[3]アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、[4]アルギニン(R)、リジン(K)、ヒスチジン(H)、[5]イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、及び[6]フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)(例えば、米国特許公開第2010/0291549号を参照されたい)。
【0038】
[0042]ある特定の実施形態では、参照配列と異なるアミノ酸の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は100%全てが、保存的置換である。
【0039】
[0043]タンパク質及び/又は核酸配列同一性は、当該技術分野で既知の様々な配列比較アルゴリズム及びプログラムのうちのいずれかを使用して評価され得る。配列比較のために、典型的には1つの配列が、参照配列(例えば、本明細書に開示される配列)として機能し、これに対して試験配列が比較される。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列と比較して試験配列について配列同一性パーセントを計算する。
【0040】
[0044]2つのアミノ酸又は2つの核酸配列の同一性パーセントは、例えば、コンピュータプログラムGAP、すなわち、Genetics Computer Group(GCG、Madison,WI)Wisconsinパッケージバージョン10.0プログラム、GAP(Devereux et al.(1984),Nucleic Acids Res.12:387-95)を使用して、配列情報を比較することによって決定され得る。パーセント同一性を計算する際に、比較される配列は、典型的には、配列間で最大の一致を与える方式で整列される。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメータは、以下を含む:(1)ヌクレオチドについての単項比較マトリックス(同一性に対して1及び非同一性に対して0の値を含有する)のGCG実行、並びにAtlas of Polypeptide Sequence and Structure,Schwartz and Dayhoff,eds.,National Biomedical Research Foundation,pp.353-358(1979)に記載されるようなGribskov and Burgess((1986)Nucleic Acids Res.14:6745)の加重アミノ酸比較マトリックス、又は他の同等の比較マトリックス、(2)アミノ酸配列について、各ギャップに対して8のペナルティ及び各ギャップ中の各記号に対して2の追加ペナルティ、又は核酸配列について、各ギャップに対して50のペナルティ及び各ギャップ中の各記号に対して3の追加ペナルティ、(3)最後のギャップに対してペナルティなし、並びに(4)長いギャップに対して最大ペナルティなし。
【0041】
[0045]配列同一性及び/又は類似性はまた、Smith and Waterman,1981,Adv.Appl.Math.2:482の局所配列同一性アルゴリズム、Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443の配列同一性アラインメントアルゴリズム、Pearson and Lipman,1988,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.85:2444の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実行(the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Drive、Madison,Wis.のBESTFIT、FASTA、及びTFASTA)を使用することによって決定され得る。
【0042】
[0046]有用なアルゴリズムの別の例は、PILEUPである。PILEUPは、漸進的ペアワイズアラインメントを使用して関連配列の群から多数の配列アラインメントを作成する。これは、アラインメントを作成するために使用されるクラスタリング関係を示すツリーをプロットすることもできる。PILEUPは、Feng&Doolittle,1987,J.Mol.Evol.35:351-360の漸進的アラインメント法の単純化を使用し、この方法は、Higgins and Sharp,1989,CABIOS 5:151-153によって記載された方法と類似している。3.00のデフォルトギャップ重み、0.10のデフォルトギャップ長重み、及び重み付けエンドギャップを含む、有用なPILEUPパラメータ。
【0043】
[0047]有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403-410、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402、及びKarin et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:5873-5787に記載される、BLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al.,1996,Methods in Enzymology 266:460-480から得られるWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2は、いくつかの検索パラメータを使用し、そのうちのほとんどが、デフォルト値に設定される。調整可能なパラメータは、以下の値:オーバーラップスパン=1、オーバーラップフラクション=0.125、ワード閾値(T)=IIで設定される。HSP S及びHSP S2パラメータは、動的値であり、特定の配列の組成、及び目的の配列が検索されている特定のデータベースの組成に応じて、プログラム自体によって確立されるが、これらの値は、感度を高めるために調整され得る。
【0044】
[0048]追加の有用なアルゴリズムは、Altschul et al.,1993,Nucl.Acids Res.25:3389-3402によって報告されたようなギャップ付きBLASTである。ギャップ付きBLASTは、BLOSUM-62置換スコアを使用し、閾値Tパラメータは、9に設定され、ギャップなし伸長をもたらすツーヒット法は、kのギャップ長に10+kのコストを課し、Xuは、16に設定され、Xgは、データベース検索段階では40に、及びアルゴリズムの出力段階では67に設定される。ギャップ付きアラインメントは、約22ビットに対応するスコアによってもたらされる。
【0045】
[0049]本発明の核酸配列は、配列番号18又は配列番号19に対して65~90%同一であり、ただし、コドン頻度が、インターフェロンをコードする当該核酸配列中に保存されることを条件とする。ある特定の実施形態では、本発明のアミノ酸は、配列番号18又は配列番号19に対して70~79%又は73~77%同一であり、ただし、コドン頻度が、当該核酸配列中に保存されることを条件とする。
【0046】
[0050]上記に開示されるように、本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも50%の頻度は、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から40%を超えて逸脱しない。ある特定の実施形態では、本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも40%の頻度は、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から30%を超えて逸脱せず、かつ/又は本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも30%の頻度は、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から25%を超えて逸脱せず、かつ/又は本発明の核酸配列中のコドンの少なくとも25%の頻度は、宿主のゲノム中の同じコドンの頻度から20%を超えて逸脱しない。宿主が、Salmo salarである場合、Salmo salar中のコドン頻度が、表1に提供される。
【0047】
[0051]本発明のこの第1の態様のある特定の実施形態では、核酸配列は、配列番号17若しくは配列番号20を含むか、又は配列番号17若しくは配列番号20のうちの1つに対して少なくとも90%同一(すなわち、91%超同一、92%超同一、93%超同一、94%超同一、95%超同一、96%超同一、97%超同一、98%超同一、若しくは99%超同一)であり、当該核酸配列は、上記のように、配列番号6若しくは50、又は配列番号6若しくは50に対して少なくとも95%同一のアミノ酸配列。
【0048】
[0052]第2の態様では、発現カセットが開示され、カセットは、第2のプロモーターの作動可能な制御下で、本発明の第1の態様による実施形態のいずれかによる核酸配列を含む。概して、第2のプロモーターは、宿主生物における転写を開始することができるはずである。宿主が、Salmo salarなどのサケ科の魚である実施形態では、好適なプロモーターとしては、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)、ヒトユビキチンCプロモーター(UBC)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1A)、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーター(PGK)、及びCMV初期エンハンサーと結合したニワトリβ-アクチンプロモーター(CAGG)が挙げられるが、これらに限定されない。概して、本発明の発現カセットはまた、本発明の核酸配列の転写を終結させるポリアデニル化シグナルを含む。
【0049】
[0053]ある特定の実施形態では、この第2の態様による発現カセットは、第1のプロモーターの作動可能な制御で、抗原をコードする核酸配列を更に含む。第2のプロモーターと同様に、第1のプロモーターは、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、サイトメガロウイルス最初期プロモーター(CMV)、ヒトユビキチンCプロモーター(UBC)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1A)、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーター(PGK)、及びCMV初期エンハンサーと結合したニワトリβ-アクチンプロモーター(CAGG)などの例示的なプロモーターから選択され得る。概して、本発明の発現カセットはまた、抗原をコードする核酸配列の転写を終結させるポリアデニル化シグナルを含む。
【0050】
[0054]複数の抗原が、本明細書に記載されるカセットに好適であり得る。一般に、抗原は、ウイルス、細菌、原虫、又は寄生虫起源を有し得る。好適なウイルスとしては、PMCV、ISA、IPNV、ASPV(タイセイヨウサケポックスウイルス)、IHNV(伝染性造血器壊死ウイルス)、VHSV(ウイルス性出血性敗血症ウイルス)、及びPRVが挙げられる。エンベロープウイルス及び非エンベロープウイルス由来の抗原が含まれ得る。ある特定の実施形態では、抗原は、ウイルス構造タンパク質若しくはカプシドタンパク質、又は外表面タンパク質である。防御免疫応答を誘発することができるこれらのタンパク質の断片もまた、好適である。
【0051】
[0055]ある特定の実施形態では、抗原は、配列番号1、又は配列番号1に対して少なくとも90%同一、例えば、配列番号1に対して少なくとも95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、若しくは少なくとも99%同一である配列を含むタンパク質などの、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原である。配列は、配列番号1と、欠失、挿入、又は置換によって異なり得る。好ましくは、少なくともいくつかの置換は、保存的置換である。ある特定の実施形態では、置換されたアミノ酸の少なくとも50%(すなわち、少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%、又は100%)は、保存的置換である。
【0052】
[0056]本発明者らは、配列番号1のN末端部分、すなわち、配列番号1のアミノ酸1~約399、又はより好ましくはアミノ酸1~425、又はより好ましくはアミノ酸1~450、又はより好ましくはアミノ酸1~475、又は最も好ましくは配列番号1のアミノ酸1~499が、抗原を細胞表面に標的化するために必要かつ十分であることを発見した。
【0053】
[0057]同時に、本発明者らは、以下である場合、本発明による抗原が、ウイルス負荷及び/又は組織学スコアによって測定されたとき、よりよい免疫応答を誘発することを驚くべきことに発見した
a)配列番号27、配列番号28、若しくは配列番号31が保持されている一方で、配列番号25(intDel14、15)は、欠失している、又は
b)配列番号25が保持されている一方で、配列番号27、配列番号28、若しくは配列番号31は、欠失している、又は
c)配列番号32が保持されている一方で、配列番号14は、欠失している。
【0054】
[0058]また、配列番号32が欠失していた場合、配列番号15の存在が、適切な免疫応答を付与するのに十分ではなかったことも発見されている。
【0055】
[0059]したがって、ある特定の実施形態では、抗原は、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原であって、N末端からC末端に、
a)配列番号34又は配列番号35に対して少なくとも90%同一、若しくは少なくとも91%同一、若しくは少なくとも92%同一、若しくは少なくとも93%同一、若しくは少なくとも94%同一、若しくは少なくとも95%同一、若しくは少なくとも96%同一、若しくは少なくとも97%同一、若しくは少なくとも98%同一、若しくは少なくとも99%同一、若しくは100%同一である配列と、かつ
b)配列番号25~33のうちのいずれか1つに対して少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であるアミノ酸配列と、を含む魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原であり、
i)当該魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号15、若しくは配列番号15に対して少なくとも90%同一の配列を欠き、かつ/又は
ii)配列番号1と比較して、当該魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、少なくとも4つの連続したアミノ酸長である内部欠失を含む。
【0056】
[0060]実施形態の全てにおいて、参照配列との差(配列番号25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35など)は、欠失、挿入、又は置換であり得る。好ましくは、少なくともいくつかの置換は、保存的置換である。ある特定の実施形態では、置換されたアミノ酸の少なくとも50%(すなわち、少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%、又は100%)は、保存的置換である。
【0057】
[0061]魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原が、配列番号15を欠く実施形態では、より大きな欠失、例えば、C末端切断もまた、抗原において作製され得ることが理解されるべきである。ある特定の実施形態では、そのようなより大きなC末端切断は、配列番号13を含むか、又はそれからなる。
【0058】
[0062]ある特定の実施形態では、上記の魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号25、又は配列番号25に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、当該PMCV ORF-1抗原は、配列番号4、若しくは配列番号5、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15、又は配列番号4、若しくは配列番号5、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0059】
[0063]他の実施形態では、上記の魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号29に対して少なくとも95%同一である配列(又は配列番号29に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列)を含み、当該PMCV ORF-1抗原は、配列番号5、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15、又は配列番号5、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0060】
[0064]他の実施形態では、上記の魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号32に対して少なくとも95%同一である配列、又は配列番号32に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、当該PMCV ORF-1抗原は、配列番号14若しくは配列番号15、又は配列番号14若しくは配列番号15に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0061】
[0065]他の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号26、又は配列番号26に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、配列番号5、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15、若しくは配列番号24、又は配列番号5、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15、若しくは配列番号24に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0062】
[0066]他の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号30、又は配列番号30に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、配列番号14、若しくは配列番号15、若しくは配列番号24、又は配列番号14、若しくは配列番号15、若しくは配列番号24に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0063】
[0067]他の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号33、又は配列番号33に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、配列番号24、又は配列番号24に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0064】
[0068]他の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号27、又は配列番号27に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、配列番号3、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15、若しくは配列番号24、又は配列番号3、若しくは配列番号14、若しくは配列番号15、若しくは配列番号24に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0065】
[0069]他の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号31、又は配列番号31に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、配列番号3若しくは配列番号24、又は配列番号3若しくは配列番号24に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0066】
[0070]他の実施形態では、魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、配列番号28、又は配列番号28に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含み、配列番号3、若しくは配列番号4、若しくは配列番号14、又は配列番号3、若しくは配列番号4、若しくは配列番号14に対して少なくとも90%同一である配列を欠く。
【0067】
[0071]他の実施形態では、タンパク質は、配列番号15、又はそれに対して少なくとも90%同一の配列、及び配列番号4、5、25、26、27、29、30、32のうちのいずれか1つ(又は配列番号4、5、25、26、27、29、30、若しくは32に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列)を含み、配列番号1と比較して、当該タンパク質は、少なくとも4つの連続したアミノ酸長である内部欠失を含み、任意選択的に、当該タンパク質は、当該内部欠失の代わりにリンカーを含む。
【0068】
[0072]更に他の実施形態では、タンパク質は、配列番号13、又は配列番号13に対して少なくとも90%同一である配列を欠き、配列番号25、又は配列番号25に対して少なくとも95%、若しくは96%、若しくは97%、若しくは98%、若しくは99%同一の配列を含有する。
【0069】
[0073]配列番号1と比較して、当該魚類心筋炎ウイルス(PMCV)ORF-1抗原は、少なくとも4つの連続したアミノ酸長である内部欠失を含み得る。一般に、内部欠失は、最大250アミノ酸長であり得る。好ましくは、内部欠失は、約10アミノ酸長、又は10~250アミノ酸長、又は25~250アミノ酸長、又は50~250アミノ酸長、又は100~250アミノ酸長、又は150~250アミノ酸長、又は10~200アミノ酸長、又は25~200アミノ酸長、又は50~200アミノ酸長、又は100~200アミノ酸長、又は150~200アミノ酸長、又は約200アミノ酸長、又は約50アミノ酸長、又は50~150アミノ酸長、又は50~100アミノ酸長、又は約100アミノ酸長である。ある特定の実施形態では、内部欠失は、配列番号2、配列番号3、又は配列番号14を含むか、又はそれらからなる。
【0070】
[0074]ある特定の実施形態では、リンカーは、当該内部欠失の代わりに存在し得る。内部欠失及びリンカーの長さは、同じである必要はない。例えば、リンカーは、3~50アミノ酸長、又は3~40アミノ酸長、又は3~30アミノ酸長、又は3~20アミノ酸長、又は3~10アミノ酸長、又は約5アミノ酸長、又は約10アミノ酸長、又は約20アミノ酸長であり得る。リンカーの正確な配列は、あまり重要ではない。一般に、好ましいアミノ酸は、天然にコードされたアミノ酸の約50%を構成する、極性の非荷電又は荷電残基である。より具体的には、スレオニン、セリン、及びグリシンが、それらの小さいサイズにより良好な柔軟性を提供し得、また、水との水素結合の形成を通して、水性溶媒中のリンカー構造の安定性を維持するのに役立ち得る。ある特定の実施形態では、リンカーは、グリシン及び/又はセリンが豊富である。ある特定の実施形態では、リンカーは、5アミノ酸長であり、配列番号36を含み得る。配列番号36は、配列番号37によってコードされ得る。
【0071】
[0075]他の実施形態では、抗原は、配列番号11若しくは配列番号12若しくは配列番号46、又は配列番号11若しくは配列番号12若しくは配列番号46に対して少なくとも90%、若しくは少なくとも91%、若しくは少なくとも92%、若しくは少なくとも93%、若しくは少なくとも94%、若しくは少なくとも95%、若しくは少なくとも96%、若しくは少なくとも97%、若しくは少なくとも98%、若しくは少なくとも99%、若しくは100%同一であるアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、差は、置換であり、より好ましくは、置換されたアミノ酸の少なくとも50%(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも99%)は、保存的置換である。
【0072】
[0076]好適な細菌としては、Aeromonas salmonicida亜種Salmonicida、Vibrio(Listonella)anguillarum、Vibrio salmonicida、Moritella viscosa、及びYersinia ruckeriが挙げられるが、これらに限定されない。この場合もやはり、細菌の外表面上に存在するタンパク質、並びに防御免疫応答を誘発することができるこれらのタンパク質は、好ましい。
【0073】
[0077]好適な寄生虫としては、フナムシ(Caligidae科、好ましくはLepeophtheirus属又はCaligus属)が挙げられる。フナムシに由来し、防御免疫応答を誘発することができるタンパク質が記載されており、配列番号21、又はそれに対して少なくとも90%同一の配列が挙げられるがこれらに限定されない、腸ペプチド又はその断片を含む。
【0074】
[0078]ある特定の実施形態では、本発明による抗原は、標的細胞表面に操作され得る。したがって、そのような操作された抗原は、それらが宿主の免疫系によって認識され得る細胞表面に有利に局在化し、したがって、防御免疫応答が生成されるであろう。
【0075】
[0079]ある特定の実施形態では、抗原は、融合タンパク質であって、N末端からC末端に、
a)分泌タンパク質又は第1の膜結合タンパク質のN末端分泌シグナル配列、
b)非エンベロープウイルス、好ましくは、上記の実施形態のいずれかによるPMCV ORF-1抗原を含む、例えば、PMCVなどの魚に感染するようなウイルスのうちの1つに由来する抗原、
c)第2の膜結合タンパク質の膜貫通ドメイン、を含む融合タンパク質として提示され得る。
【0076】
[0080]ある特定の実施形態では、当該第1のタンパク質は、インターフェロンa、インターフェロンb、インターフェロンc、インターフェロンd、インターフェロンガンマ、インターロイキン-2、インターロイキン4、インターロイキン-12からなる群から選択され得る。第1及び第2のタンパク質は、互いに同一であり得るか又は異なり得る。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のタンパク質は、タイセイヨウサケパラミクソウイルスの融合タンパク質であり得、その分泌シグナル伝達配列及び膜貫通ドメイン配列は、それぞれ配列番号38及び39である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のタンパク質は、伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)のヘマグルチニン(HE)タンパク質であり得、その分泌シグナル伝達配列及び膜貫通ドメイン配列は、それぞれ配列番号40及び41である。
【0077】
[0081]いくつかの実施形態では、第1の膜タンパク質は、第2の膜タンパク質に対して同一であり、ウイルス性出血性敗血症ウイルスG-タンパク質(VHSV-G)であり、その分泌シグナル伝達ペプチド配列及び膜貫通ドメイン配列は、それぞれ配列番号7及び8である。
【0078】
[0082]したがって、いくつかの実施形態では、当該N末端分泌シグナル配列は、配列番号7に対して少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は100%同一である。
【0079】
[0083]上記のように、好ましくは、配列番号7との差につながる変異は、置換である。ある特定の有利な実施形態では、当該N末端分泌シグナルにおける異なるアミノ酸の少なくとも半分(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%)は、保存的置換である。
【0080】
[0084]実施形態では、VHSV-Gタンパク質が、N末端分泌シグナル及び膜貫通ドメインの両方の供給源である場合、当該膜貫通ドメインは、配列番号8に対して少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は100%同一である。
【0081】
[0085]上記のように、好ましくは、配列番号7及び8との差につながる変異は、置換である。ある特定の有利な実施形態では、当該膜貫通ドメインにおける異なるアミノ酸の少なくとも半分(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%)は、保存的置換である。
【0082】
[0086]第1及び/又は第2のタンパク質の追加の断片もまた含まれ得る。したがって、ある特定の実施形態では、配列番号7、又は配列番号7に対して少なくとも90%同一であるタンパク質は、配列番号48、又は配列番号48に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又はその断片内に含まれ得る。当該断片が、配列番号7、又は配列番号7に対して少なくとも90%同一である配列を含むであろうことを理解されたい。
【0083】
[0087]独立して、配列番号8、又は配列番号8に対して少なくとも90%同一であるタンパク質は、配列番号49、又は配列番号49に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列、又はその断片内に含まれ得る。当該断片が、配列番号8、又は配列番号8に対して少なくとも90%同一である配列を含むであろうことを理解されたい。
【0084】
[0088]配列番号7及び8と同様に、配列番号48及び49との差につながる変異は、置換である。ある特定の有利な実施形態では、当該N末端分泌シグナル伝達配列及び/又は膜貫通ドメインにおける異なるアミノ酸の少なくとも半分(又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%)は、保存的置換である。
【0085】
[0089]第3の態様では、本出願は、本発明の第2の態様の実施形態のいずれかによるカセットを含む、ベクターを開示する。
【0086】
[0090]プラスミドベクター及びウイルスベクターの両方を含む、本発明に好適な異なるベクターが、当該技術分野で既知である。好適なプラスミドとしては、pUCベースのベクター、pVAXベクター、pcDNAベクター、NTCベクターが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態のセットでは、ベクターは、実施例に記載されるように、NTC9385R(Nature Technology Corporation)又はそのバリアントである。
【0087】
[0091]他の実施形態では、比較的新しい「ドギーボーン」又はDBDNA(商標)プラスミドが、ベクターとして使用され得る。DBDNA(商標)プラスミド並びにこれらのプラスミドを作製するプロセスは、少なくともWO2018/033730、WO2016/034849、WO2019/193361、WO2012/017210、及びWO2021/161051に記載されている。このアプローチの利点は、ベクターが無細胞プロセスで合成され得、したがって、製造効率が改善されることである。無細胞プロセスは、好ましくは、鎖置換複製を介した鋳型の増幅を伴う。この合成は、一本鎖DNAを放出し、これが次いで、ポリメラーゼを使用して、二本鎖DNAにコピーされ得る。代替的に、鎖置換は、DNAポリメラーゼ及び別個のヘリカーゼを供給することによって達成され得る。複製ヘリカーゼは、二本鎖DNAを開き、リーディング鎖ポリメラーゼの前進を促進し得る。結果として生じる二本鎖DNAコンカテマーが酵素的に切断され、ライゲーションされ、したがって、ドギーボーン様形状のDNA構築物を形成する。
【0088】
[0092]好適なウイルスベクターとしては、SAVなどのアルファウイルス、VHSV及びIHNVなどのラブドウイルス、ASPなどのパラミクソウイルス、アデノウイルス、サケエラポックスウイルスなどのポックスウイルスなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらのウイルスは、複製に関与するウイルスゲノムの部分を除去するために遺伝子改変され得る。したがって、結果として生じるウイルスは、魚細胞に感染し、抗原の産生に好適であるが、病原性ではないであろう。
【0089】
[0093]ある特定の実施形態では、ベクターは、上記の発現カセット及び追加の抗原、例えば、サケ科の魚アルファウイルス抗原を含有し得る。ベクターが、インターフェロンの異なるバリアントをコードする追加の核酸配列を含有する可能性もある
【0090】
[0094]当業者は、それぞれ本発明の第1、第2、及び第3の態様に記載される核酸、発現カセット、及びベクターを作製するための複数の方法が存在することを理解するであろう。例えば、核酸配列は、ソフトウェアツール、例えば、CLC Main Workbenchを使用して設計され、人工的に合成されるか、又は標的変異誘発を使用して生成され得る。これらの配列は、当業者に広く利用可能な遺伝子工学技法を使用して、発現カセット及びベクターにサブクローニングされ得る。例えば、Molecular cloning:a laboratory manual(Sambrook & Russell:2000,Cold Spring Harbor Laboratory Press;ISBN:0879695773)、及びCurrent protocols in molecular biology(Ausubel et al.,1988+ updates,Greene Publishing Assoc.,New York;ISBN:0471625949)を参照されたい。
【0091】
[0095]第4の態様では、本出願は、本発明の第3の態様の実施形態のいずれかによるベクターを含む、ワクチンを開示する。ワクチンは、一価又は多価であり得る。概して、一価ワクチンの1用量は、第3の態様の実施形態のいずれかによる少なくとも1μgのベクターを含有し得る。ある特定の実施形態では、ワクチンの1用量は、1μg~約25μgのベクターを含有し得る。他の実施形態では、ワクチンの1用量は、1~約20μgのベクター、又は約5~約20μgのベクター、又は約5~約15μgのベクター、又は約10~約20μgのベクター、又は約5~約10μgのベクターを含有し得る。
【0092】
[0096]本発明によるワクチンに好適な複数の抗原が、上に記載されている。これらの抗原は、上記のベクター及び発現カセットを含むDNAワクチンの形態で投与され得る。他の実施形態では、これらの抗原は、サブユニット(すなわち、精製された又は部分的に精製されたタンパク質)の形態で投与され得る。更に他の実施形態では、抗原は、不活性化又は弱毒化生物を含み得る。
【0093】
[0097]抗原に加えて、本発明のワクチンは、配列番号6若しくは配列番号50のインターフェロン、又は配列番号6若しくは50に対して95%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列に加えて、アジュバント、すなわち、免疫応答を増強又は調節する物質を更に含み得る。そのようなアジュバントは、当該技術分野で周知である。好適な非限定的なアジュバントとしては、サポニン(例えば、Quil A)、ミョウバン、CpGオリゴヌクレオチド、ポリI:C、オリゴリボヌクレオチド、サイトカイン、BAY(登録商標)1005などの糖脂質、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(以下、「DDA」)などの四級アミンが挙げられる。サポニン、ステロール(例えば、コレステロール)、及び任意選択的に、リン脂質を含む複合体は、当該技術分野において記載されている。CpGオリゴヌクレオチド及びサポニン、CpG及びコレステロール、並びにCpG及びミョウバンの組み合わせは、相乗効果を誘発することが報告されている。
【0094】
[0098]抗原及び任意選択的な追加のアジュバントに加えて、ワクチンは、好適な薬学的担体も含み得る。適切な担体は、当業者には明白であり、大部分が投与経路に依存するであろう。本発明において存在し得る追加の成分は、アジュバント、防腐剤、表面活性剤、化学的安定剤、懸濁化剤又は分散剤である。典型的には、安定剤、アジュバント、及び防腐剤は、標的対象における有効性のための最良の製剤を決定するように最適化される。
【0095】
[0099]ある特定の実施形態では、ワクチンは、細胞膜にわたるベクターの輸送を促進し、したがって、抗原及び/又は分子免疫調節因子の発現の増加をもたらすための、リポソームアジュバント及び/又は担体を含み得る。そのようなリポソームアジュバント/担体系の好適な非限定的な例は、例えば、米国特許第10,456,459号に記載されている。
【0096】
[00100]したがって、第5の態様では、本出願は、サケ科の魚を感染から保護する方法を開示し、方法は、それを必要とするサケ科の魚に、本発明の第4の態様の実施形態のいずれかによるワクチンを投与することを含む。したがって、本開示はまた、サケ科の魚を感染から保護する際に使用するための、第4の態様の実施形態のいずれかによるワクチンを提供する。
【0097】
[00101]抗原(複数可)がワクチン中に存在する感染が、ワクチンが保護するであろう発明を決定づけることは、当業者には明らかであるはずである。したがって、例えば、限定されないが、ワクチンがPMCV抗原をコードする核酸配列を含む場合、ワクチンは、PMCVによって引き起こされる感染に対して使用されるであろう。
【0098】
[00102]本発明によるワクチンは、筋肉内を含むがこれに限定されない、様々な経路によってサケ科の魚に投与され得る。好ましくは、ワクチンは、1用量の体積が500μl未満、又は400μl未満、又は300μl未満、又は200μl未満、又は約100μl、又は約100μl未満、又は約50μl、又は約25μlであるようなマイクロドーズで投与される。
【0099】
[00103]本明細書に開示されたワクチンは、複数のサケ科の種を感染から保護する際に使用され得る。好適なサケ科の魚としては、タイセイヨウサケ(Salmo salar)、ギンザケ(Oncorhynchus kisutch)、ニジマス(Oncorhynchus mykiss)、ベニザケ(Oncorhynchus nerka)、マスノスケ(Oncorhynchus tshawytscha)、及び他の種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
[00104]異なる年齢(又は重量)のサケ科の魚が、本発明に従ってワクチン接種され得る。ある特定の実施形態では、サケ科の魚は、ワクチン接種時に約15~約200グラムの重量である。したがって、ワクチン接種時のサケ科の魚の重量は、約15~約200グラム、又は約40~約110グラム、又は約50~約100グラムであり得る。
【0101】
[00105]第6の態様では、本発明は、アジュバントとしてのI型インターフェロンの効率を評価する方法を提供する。「アジュバントとしてのI型インターフェロンの効率を評価すること」という語句は、所与の核酸配列からのインターフェロンタンパク質についてのアミノ酸の発現レベル及びインターフェロンのアジュバント活性の両方を指す。この試験の原理は、RT-qPCRによってMx発現(IFN誘導性遺伝子)を定量化することである。Mxタンパク質は、広範囲のRNAウイルスに対する抗ウイルス活性を有する大きなGTPaseのスーパーファミリーに属する。インビボでは、Mx遺伝子の発現は、I型インターフェロン(IFN)の存在によって厳密に調整され、それらの誘導は、いくつかのウイルス感染中に記載されている。
【0102】
[00106]一般に、本方法は、
a)インターフェロンをコードする核酸配列を供給源細胞にトランスフェクションすることと、
b)当該供給源細胞を培養することであって、当該インターフェロンが、供給源細胞培地中に分泌される、培養することと、
c)培養された標的細胞を当該供給源細胞培地の少なくとも部分と接触させることであって、当該標的細胞が、インターフェロンに応答してMx遺伝子を自然に発現させる、接触させることと、かつ
d)Mx遺伝子発現を測定することと、を含む。
【0103】
[00107]本方法では、より高いMx遺伝子発現は、アジュバントとしての試験されたI型インターフェロンのより高い効率を示す。インターフェロンA(アルファインターフェロンとしても知られる)及びインターフェロンB(ベータインターフェロンとしても知られる)、及びインターフェロンCを含むがこれらに限定されない、複数のI型インターフェロンが、本方法で試験されるのに適している。タイセイヨウサケにおいて、11個のIFN遺伝子が、2つのIFNa(IFNal及びIFNa3)、4つのIFNb(IFNb1~b4)、及び5つのIFNc(IFNc1~c4)遺伝子をコードする同じゲノム領域において特定された。例えば、EP2950816Bを参照されたい。
【0104】
[00108]ある特定の実施形態では、1型インターフェロンは、本発明の第1の態様による核酸配列によってコードされたインターフェロンを含むがこれらに限定されない、IFNbインターフェロンである。
【0105】
[00109]当該1型インターフェロンをコードする核酸配列は、供給源細胞における発現を可能にするプロモーターの制御下で、発現カセット、又は概して上記のプラスミドベクター若しくはウイルスベクターなどのベクターにクローニングされ得る。そのようなプロモーターは、上記にも記載されており、CMV初期後期プロモーターを含むが、これらに限定されない。トランスフェクション技法もまた周知であり、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム、及び例えばLIPOFECTAMINE(登録商標)などの脂質ベースの化合物を含むが、これらに限定されない。
【0106】
[00110]本方法は、標的細胞を容易にトランスフェクトすることができない状況、若しくは供給源細胞がI型インターフェロンによる刺激に応答してMxを発現させない状況、又はその両方において特に適している。
【0107】
[00111]水産養殖ワクチンの文脈におけるインターフェロンのアジュバント可能性を試験するに特に好適なある特定の実施形態では、供給源細胞は、魚の心血管CHH-1細胞であり、標的細胞は、CHH-1細胞がIFNb刺激に応答してMxを発現させず、TO-細胞を容易にトランスフェクトすることができないようなTO-細胞である。TO細胞及びCHH-1細胞の両方が、文献に記載されている。CHH-1細胞は、Sigma-Aldrichから市販されている。このアッセイでは、他の細胞株も使用され得る。供給源細胞の好適な非限定的な例は、CHSE細胞であり、標的細胞の好適な非限定的な例は、SHK及びASK細胞である。
【0108】
[00112]Mx遺伝子の発現は、複数の方法で測定され得る。例えば、イムノアッセイを使用してタンパク質の量を測定することができるか、又は定量的RT-PCRなどの増幅ベースのアッセイを使用してMx RNAの量を測定することができる。Mx遺伝子の核酸配列が既知であるため、当業者は、当該技術分野で既知の技法を使用して、Mx mRNAを増幅及び検出するためのプライマー及び/又はプローブを設計することができる。
【0109】
[00113]第7の態様では、本発明は、同じI型インターフェロンをコードする配列群におけるどの核酸配列が、より効率的な発現を付与するかを決定する方法を提供する。本方法は、試験されるのに好適なインターフェロン、当該インターフェロンをコードする核酸配列、好適なベクター、供給源細胞、標的細胞、トランスフェクション技法、及びMx遺伝子発現のレベルを測定するための方法を含む、上記の本発明の第6の態様に記載される技法を利用する。
【0110】
[00114]簡潔に述べると、同じI型インターフェロンアミノ酸配列をコードするN(N>1)個の核酸配列の群がある場合、試験されている核酸配列においてのみ異なるN個のベクターを調製する。次いで、同じ量のこれらのN個のベクターが、同じ技法を使用して、同じ条件下で培養した同じ供給源細胞のN個のバッチにトランスフェクトされる。
【0111】
[00115]次いで、培養された供給源細胞からの同じ体積の培地(N個の試料)を標的細胞のN個のバッチと接触させ、これらの標的細胞の各バッチは、同一条件下で培養される。第1の試料を標的細胞の第1のバッチと接触させ、第2の試料を標的細胞の第2のバッチと接触させるなどである。N番目の試料を標的細胞のN番目のバッチと接触させる。次いで、N個のバッチにおけるMx遺伝子のそれぞれの発現レベルを決定する。
【実施例】
【0112】
実施例1.表面標的化発現系の調製
[00116]タイセイヨウサケ用の全てのDNAワクチンの成功は、エンベロープウイルスに由来しており、膜結合抗原に基づく。したがって、細胞の表面上の抗原の曝露は、有効性のために重要であり得る。
【0113】
[00117]PMCVは、3つの予測されるオープンリーディングフレームを有する6.7kbのdsRNAゲノムを含有する裸のウイルスである(
図1)。カプシドタンパク質(CP)が、ORF1から翻訳される一方、ORF2は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)をコードする。ORF3タンパク質の機能は、まだ不明であるが、細胞培養で過剰発現したときに細胞毒性効果を有するタンパク質をコードし、ウイルス粒子の集合に必要ではない。
【0114】
[00118]PMCV ORF1(カプシドタンパク質)及びPMCV ORF3(機能未知タンパク質)を発現させるDNAワクチンは、保護を提供することなく既に試験されていた(データは示さず)。PMCVは、PMCV ORF1タンパク質について予測された膜貫通領域を有しない裸のウイルスであり、PMCV ORF1タンパク質が細胞内でのみ発現することが実証されたため(データは示さず)、発現したORF1カプシドタンパク質が細胞膜に標的化される場合、応答が誘発され得るという仮説が立てられた。
【0115】
[00119]この実験の目的は、PMCVカプシドタンパク質(又はその一部)を細胞表面発現抗原として発現するDNAワクチンを構築することであった。この戦略は、配列番号7によるウイルス出血性敗血症ウイルスG-タンパク質(VHSV-G)のN末端分泌シグナルペプチドを、PMCV ORF1抗原N末端の上流で融合させることであった。追加的に、
図2Aに示されるように、配列番号8によるVHSV-GのC末端膜貫通ドメインを、抗原C末端の下流で融合させて、細胞表面において抗原を組み込んだ(von Gersdorff Jorgensen et al.,2012)。ワクチン抗原の分泌バージョンも、N末端分泌シグナルペプチドのみを使用し、C末端膜貫通ドメインの使用を省略して調製した(
図2B)。
【0116】
[00120]代わりに、タイセイヨウサケパラミクソウイルス融合タンパク質のシグナルペプチド配列及び膜貫通ドメイン配列(それぞれ配列番号38及び39)、又は伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)のヘマグルチニン(HE)タンパク質(それぞれ配列番号40及び41)を使用した場合を除き、追加の構築物を
図2Aに示される構築物と同様に調製した。
【0117】
[00121]様々なDNAワクチン構築物を用いたCHH-1細胞のトランスフェクションの6日後の免疫蛍光(IF)染色によって、抗原発現のルーティングを研究した。トランスフェクションは、12ウェルプレート中でLIPOFECTAMIN(登録商標)3000キット(Thermo Fisher)を使用して行った。この実験では、pVAX1発現ベクター(Invitrogen)を利用して、DNAワクチンを構築し、1μgのプラスミドDNAをトランスフェクションに使用した。細胞を、表面抗原発現のために3.7%ホルムアルデヒドのみで固定したか、又は3.7%ホルムアルデヒドで固定した後、細胞内発現タンパク質の染色のために0.1%のTriton X-100を使用して細胞を透過処理した。ワクチン抗原を、PMCV ORF1に対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の両方を使用して検出した。適切な蛍光標識二次抗体(ウサギ抗マウスFITC(DAKO F0261)又はポリクローナルヤギ抗ウサギAlexa Fluor Plus 488(Invitrogen A32731)を、検出のために使用した。透過処理された細胞を染色して、細胞内発現抗原を検出することを、プロトコルの陽性対照として日常的に含んだ。
【0118】
[00122]
図3に示されるように、VHSV G-タンパク質の使用は、PMCV ORF-1抗原の発現を細胞表面にルーティングするために使用され得る。伝染性サケ貧血ウイルスのヘマグルチニン(HE)タンパク質からのシグナルタンパク質及び膜貫通ドメインの使用はまた、PMCV ORF1タンパク質の膜染色をもたらしたが、タイセイヨウサケパラミクソウイルスの融合タンパク質からの領域の使用は、成功しなかった。
【0119】
[00123]次の実験では、タイセイヨウサケ(Salmo salar)におけるインビボ試験を行った。抗原の2つのバリアントである完全長カプシドタンパク質(G-ORF1)、及びカプシドタンパク質の前半(配列番号16のPMCV ORF1位置1~1293)を発現させる切断カプシドタンパク質(G-ORF1-デルタD)を試験した。両方の抗原を、標準発現ベクター(pcDNA3.1)において、及びサケ科の魚アルファウイルス3(SAV-3)に基づくアルファウイルスレプリコンワクチンとして発現させた。PBS及びpcDNA-eGFPを、陰性ワクチン対照群として含んだ。
【0120】
[00124]本研究における全てのワクチンについて、抗原コード遺伝子を、真核発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen)中のCMVプロモーターの下流に挿入した。全てのプラスミドを、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgの総用量を受けた。2つの非免疫化対照群を含み、1つの群は、20μgの対照ワクチン(pcDNA3.1中のeGFP)を受け、1つの群は、2×50μlのPBSを受けた。
【表2】
【0121】
[00125]魚(1群当たりn=45)は、淡水で保持され、48グラムの平均重量を有した。ワクチン接種の前に、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12℃(明:暗12:12)で49日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された脾臓(単離体ID AL V1223脾臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚を、攻撃接種の10日後、20日後、及び50日後の3つの時点でサンプリングした(1サンプリング時点当たり、1群当たりn=15)。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(50日目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Bergen,Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Bergen,Norwayによって提供されたサービス)。
【0122】
[00126]細胞表面にルーティングされたPMCVの完全長ORF1を発現させるワクチンは、対照群と比較して、攻撃接種に対する顕著な保護を示した(心房における組織構造についてのダネットの事後検定を伴う一元配置ANOVA、p<0.0001)。これは、感染後早期の腎臓及び心臓におけるCt値の増加(結果は示さず)、及び感染の50日後の組織病理学スコアの低減の両方として示された(表3)。カプシドタンパク質の前半(G-ORF1-デルタD、PMCV ORF1位置1~1293)に基づく抗原は、保護を提供することができず、標準発現ベクターとは対照的に、サケアルファウイルスレプリコンを使用して、保護の更なる増加は提供されなかった。
【表3】
【0123】
[00127]完全長抗原を細胞表面に標的化するDNAワクチン候補は、組織病理学的スコアの約50%の低減をもたらし、腎臓及び心臓におけるウイルス負荷(qPCR)の低減を伴った。
【0124】
[00128]フォローアップインビボ試験は、細胞表面発現抗原、分泌抗原、又は細胞内発現抗原として、PMCV ORF1完全長タンパク質を発現させるDNAワクチンの有効性を比較した。加えて、配列番号45によってコードされた完全長カプシドタンパク質のコドン最適化バージョンを含んだ。この研究は、タイセイヨウサケの5つの群を各々有する2つの並行免疫タンクを含有した(1タンク当たり、1群当たりn=30)。
【0125】
[00129]本研究における全てのワクチンについて、抗原コード遺伝子を、真核発現ベクターNTC9385R(Nature Technology Corporation)中のCMVプロモーターの下流に挿入した。全てのプラスミドを、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgの総用量を受けた。非免疫化対照群が含まれ、表4に要約されるように、2×50μlのPBSを受けた。
【表4】
【0126】
[00130]魚は、淡水で保持され、ワクチン接種時に26グラムの平均重量を有した。試験ワクチンの投与中、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で39日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID AL V1273心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1時点当たり、1群当たりn=15)を、攻撃接種の21日後及び56日後にサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(56日目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0127】
[00131]結果は、PMCV感染に対する顕著な保護が、細胞表面にルーティングされたPMCVの完全長ORF1を発現させるワクチン(G-ORF1及びG-ORF1コドン最適化)を用いて達成されたことを示した。PMCV ORF1のその天然型(細胞内タンパク質)における発現は、検出可能な保護を提供しなかった。分泌による発現は、ある程度の保護を提供した(20日目に腎臓で差は検出されなかった。表5、6を参照されたい)。
【表5】
【表6】
【0128】
実施例2:CMS抗原の調製及び抗原活性の決定
[00132]細胞膜上でPMCV ORF1完全長タンパク質を発現させることは、攻撃接種モデルにおいて部分的な保護を提供した。この発見にもかかわらず、インビトロでは、抗原の発現レベルが、対照GFP構築物の発現レベルよりも著しく低いことが観察された。このプロジェクトは、領域を欠失させることによってカプシドタンパク質の切断されたバージョンを発現させることが、ワクチン抗原の発現レベル及び免疫原性を高めることができるかどうかを調査した。
【0129】
[00133]実施例1に記載された発現系(VHSV-Gシグナルペプチド及び膜貫通ドメイン配列を使用して)を、PMCV ORF-1抗原に基づいて異なる構築物で調製した。
【0130】
[00134]VHSV-G発現カセットから膜結合PMCVカプシド抗原を発現させる最初の研究は、PMCV ORF1タンパク質配列の第1の部分を含むことが、成功のために極めて重要であったことを示した。カプシドタンパク質を3分割した場合、膜結合タンパク質は、最初の3分の1を含む構築物についてのみ成功裏に達成された(データは示さず)。
【0131】
[00135]PMCV ORF1カプシド欠失バリアントの構築後、これらを、IF染色及びトランスフェクション細胞のウェスタンブロットによって試験した。全ての欠失構築物について、欠失したPMCV ORF1配列をGGGGSリンカー(配列番号36)で置き換えた。様々な欠失バリアントを作製するための戦略は、以下の通りであった。
(1)第1のラウンドでは、比較的大きな欠失を試験した(IntDel1~7。162アミノ酸長であったIntDel7を除き、100アミノ酸によって重複する200アミノ酸長)。あるN末端配列の包含が、細胞膜への発現タンパク質のルーティングの成功に必要であることが見出されたため、第1の欠失(IntDel1)を、PMCV ORF1(配列番号16)内のヌクレオチド位置298~897で作製した。
(2)第2のラウンドでは、IntDel4~7によってカバーされる領域に焦点を当てて、より小さな欠失バリアントを作製した(IntDel11~18、IntDel4内で開始する、隣接した非重複50アミノ酸長)。これらの欠失のうちの最初(IntDel11)を、PMCV ORF1(配列番号16)内のヌクレオチド位置1384~1533で構築した。
(3)第3のラウンドでは、非常に小さい隣接した重複欠失を有する抗原バリアントを作製した(IntDel21~42。2アミノ酸によって重複する10アミノ酸長)。これらの欠失のうちの最初(IntDel21)を、PMCV ORF1(配列番号16)内のヌクレオチド位置1936~1965で構築した。
【0132】
[00136]IF染色及びウェスタンブロットによる、CHH-1細胞中のPMCV ORF1カプシド欠失バリアントの発現。細胞の免疫蛍光染色のための手順は、以下の通りであった:CHH-1細胞をトリプシン処理し、12ウェルプレート(1ウェル当たり150000細胞及び1mlの細胞培地)に播種した。細胞を、CO2インキュベーター(5%CO2)中、15℃ ONでインキュベートした。細胞を、製造業者の指示に従って、1μgのプラスミド/ウェル及びLIPOFECTAMIN(登録商標)3000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、播種の翌日にトランスフェクトした。細胞の免疫染色前に、細胞をCO2インキュベーター(5%CO2)中、15℃で5日間インキュベートした。細胞培地を全てのウェルから注意深く除去し、全てのウェルをPBSで注意深く洗浄した。細胞を、室温で15分間、3.7%ホルムアルデヒド(PBS中で希釈)でインキュベートすることによって固定した。次いで、細胞を、PBS中の5%脱脂粉乳で1時間ブロックした。マウス抗HIS(1:1500希釈の6x-His Tagモノクローナル抗体(4A12E4)Fisher scientific、カタログ番号37-2900、及びマウス抗PMCV ORF1モノクローナル抗体(mAb番号10、1:200希釈)の両方を、一次抗体として使用し、室温で1時間インキュベートした。FITCコンジュゲートポリクローナルウサギ抗マウス免疫グロブリン(DAKO F0261)を、二次抗体として1:1000の希釈で使用し、更に1時間インキュベートした。細胞の染色を蛍光顕微鏡によって評価した。
【0133】
[00137]ウェスタンブロッティングによるPMCV ORF1欠失構築物の発現レベルの評価を、以下のように行った:CHH-1細胞をトリプシン処理し、6ウェルプレート(1ウェル当たり1000000細胞及び3mlの細胞培地)に播種した。細胞を、CO2インキュベーター(5%CO2)中、15℃ ONでインキュベートした。細胞を、製造業者の指示に従って、2.5μgのプラスミド/ウェル及びLIPOFECTAMIN(登録商標)3000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、播種の翌日にトランスフェクトした。細胞を密封袋に戻し入れ、CO2インキュベーター(5%CO2)中、15℃で6日間インキュベートした後、更なる分析を行った。次いで、プレートを氷上に置き、培地を除去した。細胞を、最初に氷冷PBSで2回洗浄した。膜溶解物を調製するために、最初に、プロテアーゼ阻害剤を含む200μlの20mM Tris-HCl、pH7.5を添加して細胞を採取し、細胞を注意深く擦り取り、細胞懸濁液を予め冷却されたチューブに移した。次いで、ウェルを、更に100μl、及び1トランスフェクション当たり合計300μlの細胞懸濁液で洗い流した。これは、洗剤を含まない緩衝液であるため、細胞をシリンジ先端(25G、約5回)に通すことによって、細胞を溶解し、12000rpmで10分間、4℃で遠心分離した。上清を廃棄し、膜ペレットを1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを用いて、300μlのRIPA溶解緩衝液(Abcam、番号156034)中に溶解して、膜結合タンパク質を放出した。チューブを軽く叩くことによってペレットを時々再懸濁しながら、試料を4℃で30分間インキュベートした。チューブを12000rpmで10分間、4℃で遠心分離し、膜画分溶解物を新鮮なチューブに移し、免疫沈降まで氷上で保持した。氷上で、1μgのマウスIgG1抗6x-Hisモノクローナル抗体4E3D10H2/E3(Fisher Scientific番号15442890、1mg/ml)を各試料に添加し、ローテーター上で一晩、4℃でインキュベートした。約1mlの冷PBSTで3~5回、固定化ビーズを洗浄することによって、タンパク質G結合ビーズを調製し(25μl/試料)、1アリコート当たりプロテアーゼ阻害剤を含む25μlのPBST中に再懸濁した。氷上で、25μlの予め平衡化されたビーズを各試料に添加し、試料-ビーズ混合物を回転させながら室温で1時間インキュベートした。プロテアーゼ阻害剤を含む500μlの氷冷PBSTで3~5回、ビーズを洗浄して、各洗浄の間にビーズを穏やかに混合して、非特異的結合を除去した。最後の洗浄後、できるだけ多くの緩衝液をビーズから除去し、40μlの1x Laemmli Sample Buffer(BioRad番号161-0737)を添加した(20μlの2x Laemmli Sample Bufferを2μlのβ-メルカプトエタノール及び18μlのdH2Oと混合することによって調製した)。試料を70℃で10分間インキュベートし、迅速に遠心分離及び磁化し、溶離液を新しいバイアルに移動させた。4~20%のCriterion(商標)TGX Stain-Free(商標)Gel上に充填する前に、全ての試料を98℃で5分間変性させた。ゲルを、約45分間、200Vで泳動し、TRANS-BLOT(登録商標)TURBO(商標)Transfer System(BioRad)、及びTRANS-BLOT(登録商標)TURBO(商標)Midi PVDF Transfer Packs番号170-4157を使用してブロットした。7分間のターボプログラムを使用した。膜を直ちにブロッキング緩衝液(PBST中の5%脱脂乳)に入れた。ブロッキングを室温で1時間実施した。ブロットを、1%の脱脂乳/PBST中で1:500希釈した一次抗体ウサギ抗デルタPMCV ORF1と、ローテーターで一晩、4℃でインキュベートした。翌日、ブロットをPBSTで2×15分洗浄し、2%脱脂乳中で1:1000希釈した二次抗体ポリクローナルブタ抗ウサギ(DAKO番号P0217)免疫グロブリンHRP及びPRECISION PROTEIN(商標)StrepTactin-HRP Conjugate 1:10000(ラダーを可視化するため)と、室温で1時間インキュベートした。Clarity western ECL基質(BioRad番号170-5060)によるシグナルの検出前に、ブロットをPBSTで2×15分間洗浄した。
【0134】
[00138]結果は、以下のように要約することができる。第1のラウンド(200アミノ酸長の欠失)の後、細胞膜での発現は、構築物IntDel4~7からの抗原でのみ達成された。したがって、N末端部分は、抗原を細胞膜にルーティングするために必要である。したがって、第2のラウンド(50アミノ酸長の欠失)で作製された構築物は、IntDel4~7によってカバーされた領域に焦点を当てた。IntDel18(配列番号15に記載されるアミノ酸配列を欠く構築物)について、細胞表面発現がより低かったことを除き、これらの構築物は全て、細胞膜での抗原の発現に成功した。欠失構築物(IntDel15~17)は、膜発現レベルの上昇をもたらした。第1のラウンドからのIntDel6(配列番号1のアミノ酸500~699を欠く構築物)もまた、より高い発現レベルを有することが見出された。他のものよりもわずかに優れているIntDel42(配列番号14に記載されるアミノ酸を欠く構築物)を除き、それ以上の候補は、第3のラウンドでは明らかにされなかった。結果は、
図4に示される。
【0135】
[00139]免疫蛍光染色及びウェスタンブロッティングの評価からの組み合わせた結果に基づいて、いくつかの欠失候補が、プロジェクトにおけるいくつかのワクチン試験からの結果に基づいて選択されている。第1の研究における全てのワクチンについて、抗原コード遺伝子を、真核発現ベクターNTC9385R(Nature Technology Corporation)中のCMVプロモーターの下流に挿入した。全てのプラスミドを、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgの総用量を受けた。非免疫化対照群が含まれ、表7に要約されるように、2×50μlのPBSを受けた。
【表7】
【0136】
[00140]淡水で保持され、20グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=30)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で48日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID AL V1273心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1サンプリング時点当たり、1群当たりn=15)を、攻撃接種の19日後及び49日後の2つの時点でサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(49日目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0137】
[00141]攻撃接種の3週間後のウイルス負荷及び攻撃接種の7週間後のヒストスコアの結果は、それぞれ表8及び9に示される。全ての結果の組み合わせたデータは、IntDelバリアント15、16、及び17(それぞれ、抗原が配列番号3、4、又は5に記載されるアミノ酸配列を欠いていた)が、完全長カプシドタンパク質(G-ORF1)よりも良好に機能したことを示した。
【表8】
【表9】
【0138】
[00142]3つの新しい抗原欠失候補を評価するために、追加の臨床試験を実施した。第1の研究における全てのワクチンについて、抗原コード遺伝子を、真核発現ベクターNTC9385R(Nature Technology Corporation)中のCMVプロモーターの下流に挿入した。全てのプラスミドを、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgの総用量を受けた。非免疫化対照群が含まれ、表10に要約されるように、2×50μlのPBSを受けた。
【表10】
【0139】
[00143]淡水の1つのタンクで保持され、28グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=30)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で58日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID AL V1289)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1群当たりn=15)を、攻撃接種の3週間後及び7週間後の2つの時点でサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(7週目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~4にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、4は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0140】
[00144]3週目及び7週目の結果は、それぞれ表11及び12に要約される。
【表11】
【表12】
【0141】
実施例3:ワクチン骨格選択
[00145]ワクチンの有効性を最適化するために、ベクターサイズ及び機能要素などのプラスミド骨格の特性も重要である。3つのベクター候補を、インビトロ抗原発現に関して比較した。候補には、pcDNA3.1、pVAX1(INVITROGEN(商標))、NTC9385R(Nature Technology Corporation)、及び先天性免疫刺激要素を共発現するNTC9385Rの2つのバリアント:I型インターフェロン誘導性アジュバントとして機能するRIG-Iアゴニスト(NTC9385R-eRNA41H)及びRIG-Iアゴニスト、並びにToll様受容体9刺激CpGモチーフ(NTC9385R-eRNA41H-CpG)が含まれた。NTC9385R NANOPLASMID(商標)は、他の従来のベクターよりもサイズが小さく、トランスフェクトされた細胞における改善された取り込み及び持続を可能にし、抗原発現を増強すると主張された改変プロモーターを保有する。これは、製造プロセスにおける抗生物質の使用を置き換えるRNAベースのスクロース選択抗生物質フリーマーカー(RNA-OUT)と、安全性の観点から有益である特定のE.coli産生株でのみ、プラスミドが複製することができることを保証する改変された複製起点と、を含む。より小さなサイズは、トランスフェクション効率、並びに発現のレベル及び持続時間に影響を及ぼし得る。追加的に、耐性マーカー遺伝子のようないくつかの細菌領域タンパク質マーカー遺伝子は、ベクター発現を劇的に低減することが示されている。1キロベースを超える細菌領域は、肝臓などの静止組織における導入遺伝子発現をサイレンシングし、これが、真核領域に広がり、プロモーターを不活性化する、転写されていない細菌領域が媒介するヘテロクロマチン形成に起因する可能性が高いことが示されている(Suschak et al.,2017)。
【0142】
[00146]ウェスタンブロッティングによって、5つの異なるプラスミド骨格におけるワクチン抗原G-ORF1のインビトロ発現レベルを、以下のように評価した:CHH-1細胞をトリプシン処理し、6ウェルプレート(1ウェル当たり1000000細胞及び3mlの細胞培地)に播種した。細胞を、CO2インキュベーター(5%CO2)中、15℃ ONでインキュベートした。細胞を、製造業者の指示に従って、2.5μgのプラスミド/ウェル及びLIPOFECTAMIN(登録商標)3000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、播種の翌日にトランスフェクトした。細胞を密封袋に戻し入れ、CO2インキュベーター(5%CO2)中、15℃で5日間インキュベートした後、更なる分析を行った。次いで、プレートを氷上に置き、培地を除去した。細胞を、最初に氷冷PBSで2回洗浄した。1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche、番号1697498)を含む150μlのNP40溶解緩衝液(Invitrogen、番号FNN021)をウェルに直接添加することによって、全細胞溶解物を調製した。溶解物を予め冷却したエッペンドルフチューブに移し、チューブを時々軽く叩くことによって細胞を再懸濁しながら、4℃で30分間インキュベートし、12000rpmで10分間、4℃で遠心分離し、上清を新鮮なチューブに移し、免疫沈降まで氷上で保持した。氷上で、1μgのマウスIgG1抗6x-Hisモノクローナル抗体4E3D10H2/E3(Fisher Scientific番号15442890、1mg/ml)を各試料に添加し、ローテーター上で一晩、4℃でインキュベートした。約1mlの冷PBSTで3~5回、固定化ビーズを洗浄することによって、タンパク質G結合ビーズを調製し(25μl/試料)、1アリコート当たりプロテアーゼ阻害剤を含む25μlのPBST中に再懸濁した。氷上で、25μlの予め平衡化されたビーズを各試料に添加し、試料-ビーズ混合物を回転させながら室温で1時間インキュベートした。プロテアーゼ阻害剤を含む500μlの氷冷PBSTで3~5回、ビーズを洗浄して、各洗浄の間にビーズを穏やかに混合して、非特異的結合を除去した。最後の洗浄後、できるだけ多くの緩衝液をビーズから除去し、40μlの1x Laemmli Sample Buffer(BioRad番号161-0737)を添加した(20μlの2x Laemmli Sample Bufferを2μlのβ-メルカプトエタノール及び18μlのdH2Oと混合することによって調製した)。試料を70℃で10分間インキュベートし、迅速に遠心分離及び磁化し、溶離液を新しいバイアルに移動させた。4~20%のCRITERION(商標)TGX STAIN-FREE(商標)Gel上に充填する前に、全ての試料を98℃で5分間変性させた。ゲルを、約45分間、200Vで泳動し、TRANS-BLOT(登録商標)TURBO(商標)Transfer System(BioRad)、及びTRANS-BLOT(登録商標)TURBO(商標)Midi PVDF Transfer Packs番号170-4157を使用してブロットした。7分間のターボプログラムを使用した。膜を直ちにブロッキング緩衝液(PBST中の5%脱脂乳)に入れた。ブロッキングを室温で1時間実施した。ブロットを、1%の脱脂乳/PBST中で1:500希釈した一次抗体ウサギ抗デルタPMCV ORF1と、ローテーターで一晩、4℃でインキュベートした。翌日、ブロットをPBSTで2×15分洗浄し、2%脱脂乳中で1:1000希釈した二次抗体ポリクローナルブタ抗ウサギ(DAKO番号P0217)免疫グロブリンHRP及びPRECISION PROTEIN(商標)StrepTactin-HRP Conjugate 1:10000(ラダーを可視化するため)と、室温で1時間インキュベートした。Clarity western ECL基質(BioRad番号170-5060)によるシグナルの検出前に、ブロットをPBSTで2×15分間洗浄した。
【0143】
[00147]本研究における全てのワクチンについて、細胞膜での発現のためにルーティングされた完全長PMCV ORF1カプシド遺伝子(G-ORF1)を、以下の表に従って、異なる真核発現ベクター中のCMVプロモーターの下流に挿入した。全てのプラスミドを、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgの総用量を受けた。非免疫化対照群が含まれ、表13に要約されるように、2×50μlのPBSを受けた。
【表13】
【0144】
[00148]淡水で保持され、29グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=30)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で59日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID AL V1273心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1群当たりn=15)を、攻撃接種の20日後及び48日後の2つの時点でサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(48日目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0145】
[00149]トランスフェクトされたCHH-1細胞のウェスタンブロット分析は、3つ全てのNTC9385Rプラスミドバリアントが、pcDNA3.1及びpVAX1プラスミド骨格と比較して、優れた抗原発現を媒介したことを示した(
図5)。臨床試験は、NTC9385Rベースのワクチンについて、pcDNA3.1/pVAX1に基づくワクチンと少なくとも同等の良好な保護を示した(3週間及び7週間のそれぞれについて表14及び表15を参照されたい)。組み合わせたデータセットは、NTC9385Rベースのワクチン骨格による優れた保護の傾向を示した。免疫刺激要素を有するNTC9385Rプラスミドは、追加の効果を提供しなかった。
【表14】
【表15】
【0146】
実施例4:アジュバント選択
[00150]分子アジュバントは、免疫原性を高めること、及び免疫応答の寿命を延ばすことの両方においてかなりの見込みを示し、サイトカイン、ケモカイン、又は共刺激分子を発現させるこれらの分子アジュバントは、抗原をコードするDNAワクチンプラスミドと共投与され得る。分子アジュバントプラスミドによってトランスフェクトされた細胞は、アジュバントを周囲領域に分泌し、局所抗原提示細胞を刺激する(Suschak et al.,2017)。魚のI型インターフェロンのアジュバント活性は、タイセイヨウサケにおける伝染性サケ貧血ウイルス(ISAV)のウイルスDNAワクチン接種モデルにおいて既に示されている(Chang et al.,2015)。この論文では、I型IFNが、ISAV-ヘマグルチニンタンパク質に対する抗体応答を増強し、ウイルス攻撃接種に対する保護の増加を提供したことが実証された。
【0147】
[00151]以下の分子アジュバント:IFNa、IFNb、IFNc、IFNd、IFNγ、IL-2、IL-4、IL-12、及びVHSV-Gを、候補者の迅速な有効性スクリーニングのためのハイスループットモデルを使用して、アジュバント活性について、完全長PMCV ORF1ワクチン抗原(G-ORF1)とともにインビボで試験した。
【0148】
[00152]このモデルは、攻撃接種の50日後の組織病理学的病変の差が、攻撃接種の20日後の同じ群の心臓及び腎臓におけるウイルスRNAレベルによって予測され得るという驚くべき発見に基づく。したがって、多くの群の迅速なスクリーニングのために、攻撃接種の3週間後の1つのサンプリング時点のみが、使用される必要がある。
【0149】
[00153]アジュバントのインビボスクリーニング研究における全ての群について、ワクチン抗原及びプラスミドコードアジュバントを別個のプラスミド上で投与した。抗原をコードする遺伝子(G-ORF1)及び様々なプラスミドコードアジュバント遺伝子を全て、真核発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen)中のCMVプロモーターの下流に挿入した。プラスミドを、以下の表に従って、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgのプラスミドの総用量を受けた(抗原+アジュバントを与えられた場合、20μgの各プラスミド)を受けた。表16に要約されるように、2つの非免疫化対照群を含み、1つの群は、20μgの対照ワクチン(pcDNA3.1中のeGFP)を受け、1つの群は、2×50μlのPBSを受けた。
【0150】
[00154]淡水で保持され、31グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=15)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で50日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID ALV1223心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1群当たりn=15)を、攻撃接種の21日後にサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。
【0151】
[00155]7週間の免疫化及び3週間の攻撃接種の後、モデルは、アジュバント戦略の大部分が有効性の改善に失敗した一方で、1つのアジュバント、IFNbが、効果のレベルを顕著に高めたことを見出した。結果は、表17に列挙される。
【表16-1】
【表16-2】
【表17】
【0152】
[00156]IFNb及びIFNcを、フォローアップの魚の試験のために選択した。この試験の全ての群について、ワクチン抗原及びプラスミドコードアジュバントを別個のプラスミド上で投与した。抗原をコードする遺伝子(G-ORF1)及びプラスミドコードアジュバント遺伝子(IFNb又はIFNc)を全て、真核発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen)中のCMVプロモーターの下流に挿入した。プラスミドを、以下の表に従って、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgのプラスミドの総用量を受けた(抗原+アジュバントを与えられた場合、20μgの各プラスミド)を受けた。非免疫化対照群が含まれ、表18に要約されるように、2×50μlのPBSを受けた。
【表18】
【0153】
[00157]淡水で保持され、29グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=30)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で59日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID ALV1273心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1群当たりn=15)を、攻撃接種の20日後及び48日後の2つの時点でサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(48日目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0154】
[00158]結果は、IFNbがIFNcよりも優れていたことを示した(表19)。2つのアジュバント間の差は、攻撃接種の7週間後のサンプリング時点で最も顕著であった(より早い時点からのデータは示さず)。アジュバントのみを受けた群も部分的に保護され、IFNが先天性免疫応答及び適応免疫応答の両方の重要なエフェクターであることを反映した。
【表19】
【0155】
実施例5-アジュバント送達
[00159]この実験の目的は、抗原及び分子アジュバントを送達する最良の方法を決定することであった。
【0156】
[00160]プラスミドコードアジュバントは、別個のプラスミド上で送達され得るか、又は抗原をコードするものと同じプラスミド上に含まれ得る。抗原と同じプラスミドから発現する場合、これは、例えば、以下の方法で行われ得る。
1.ワクチン抗原とは別個であるが同一のプロモーターから。
2.ワクチン抗原とは別個の同様(だが同一ではない)プロモーターから。
3.自己切断を促進するために、P2Aペプチド配列によって分離された抗原との融合タンパク質として。
【0157】
[00161]本実施例では、アジュバントの異なる送達選択肢を試験した。細胞表面発現PMCV ORF1抗原(G-ORF1)を全ての群に与えた。アジュバントを以下の方法で提供した。
1.別のプラスミド上(G-ORF1+IFNb)
2.抗原とともに発現し、同じCMVプロモーターの下流にあり、自己切断2Aペプチドによって抗原から分離されている(G-ORF1-P2A-IFNb)
3.抗原と同じプラスミド上ではあるが、第2のCMVプロモーターの下流で発現する(G-ORF1-CMV-IFNb)
4.1つの群は、抗原(G-ORF1)のみでアジュバントを受けなかった。
5.PBSを受ける非ワクチン接種対照群も含んだ。
【0158】
[00162]本研究における全てのワクチンについて、遺伝子を、真核発現ベクターpVAX1(Invitrogen)中のCMVプロモーターの下流に挿入した。使用した抗原は、G-ORF1(G-PMCV_ORF1_完全長_1-2583)であった。全てのワクチンを、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、50μlの注入体積当たり10μgに希釈した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射、及び20μgの総用量を受けた。別個のプラスミド上の抗原及びプラスミドコードアジュバントを受ける魚について、各プラスミドの用量は、20μgであった。非免疫化対照群が含まれ、2×50μlのPBSを受けた。加えて、1つの群は、表20に要約されるように、プラスミドコードアジュバントのコドン変化バージョンを受けた。
【表20】
【0159】
[00163]淡水で保持され、25グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=30)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で49日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID ALV1273心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1群当たりn=15)を、攻撃接種の19日後及び47日後の2つの時点でサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(47日目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0160】
[00164]臨床試験からの結果は、攻撃接種の7週間後の心臓からのヒストスコアデータによって例示される(表21)。
【表21】
【0161】
[00165]異なる構築物についての抗原発現レベル及びアジュバント活性も、インビトロで評価されている(結果は示さず)。組み合わせた結果は、好ましいアプローチが、抗原と同一であるが別個のプロモーター下で、抗原と同じプラスミド上でアジュバントを提供することであるが、異なるプラスミド上での送達もまた有効であり得ることを示唆する。
【0162】
実施例6-ワクチン有効性の持続期間
[00166]初期の研究は、アジュバントのみを受ける魚が部分的に保護されたことを示し、IFNが先天性免疫応答及び適応性免疫応答の両方の重要なエフェクターであることを反映している。DNA構築物に分子アジュバントを含むことによって得られる保護の持続時間を研究するために、長期フォローアップワクチン試験を実施した。
【0163】
[00167]本研究における全てのワクチンについて、遺伝子を、Nature Technology Corporation(NTC)からの真核発現ベクター中のCMVプロモーターの下流に挿入した。骨格は、NTC9385R又はNTC9385R-eRNA41H-CpGのいずれかであった。抗原及びプラスミドコードアジュバントの両方を受ける群について、これらを別個のプラスミド(各プラスミド20μg)又は同じプラスミド(20μg)のいずれかで提供した。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射(0.05ml)を受けた。非免疫化対照群が含まれ、2×50μlのPBSを受けた。ワクチン群の詳細については、以下の表22を参照されたい。
【表22】
【0164】
[00168]淡水で保持され、17グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=60)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。次いで、魚を貯蔵タンクで保持し、ここで、免疫を12C(明:暗12:12)で78日間、120日間、又は183日間発達させた。これらの時点の各々において、魚のコホート(78dpv及び183dpvの時点で1群当たりn=15、並びに120dpvの時点で1群当たりn=30)を、攻撃接種タンクに移動させた。魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID ALV1273心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1群当たりn=15)を、攻撃接種の3週後にサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。ワクチン接種の120日後に攻撃接種したコホートについて、攻撃接種の7週間後に追加のサンプリングを行った。RNALATER(登録商標)のための心臓及び腎臓に加えて、心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、この最後のサンプリング時点(7週目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0165】
[00169]ワクチンの有効性を、最大26週間の免疫化後の攻撃接種(免疫化の12、18、及び26週間後の攻撃接種)によって評価した。18週目の攻撃接種を、攻撃接種の20及び50日後の2つのサンプリング時点を用いて50日間追跡し、心臓及び腎臓組織を、qPCRによる分析及び上記の心臓における組織病理の評価のためにサンプリングした。
【0166】
[00170]結果は、PMCV感染に対する顕著な保護の後183日/2196度日後、最後の攻撃接種までに、全てのワクチンで達成されたことを示した。G-ORF1及びIFNbの組み合わせは、別個の2つの成分よりも優れた保護を提供した(表23、24)。全体的な結果は、ワクチンが長期的かつ持続的な保護を提供することを示す。
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【0167】
実施例7-アジュバント効率の最適化
[00171]IFNbのアジュバントの可能性を更に最適化するために、本発明者らは、タイセイヨウサケ及び密接に関連する種において相同遺伝子を特定した。サケ科の魚は、進化的な近年の全ゲノム重複を経験しているため、多くのサケ遺伝子が重複して見られる(分岐したホモログ)。最初に試験したIFNbアジュバントと類似しているが同一ではない3つの新しい遺伝子を選択した(表27)。これらは、以下であった:
-タイセイヨウサケ(Salmo salar)-IFNb1(分岐したパラログ遺伝子)
-ブラウントラウト(Salmo trutta)-IFN a3様遺伝子
-ベニザケ(Onchorhynchus nerka)-IFNa3様遺伝子。
【表27】
【0168】
[00172]相同組換えを通したサケゲノムへのワクチン組み込みが懸念される可能性があるため、アジュバントとサケゲノムとの間の配列類似性を低減することによって、リスク軽減が得られ得る。これを、最初にプラスミドコードアジュバントをタンパク質配列に翻訳することによって行った。その後、これらの配列を、コドン頻度分布(タイセイヨウサケでの使用頻度によって与えられた確率で割り当てられたコドン)に基づいて、タンパク質からヌクレオチド配列に逆翻訳して戻した(逆翻訳)。頻度分布に基づいてコドンを使用するためのソフトウェア設定を伴うCLC Main Workbench(Qiagen)を使用して、逆変換を行った。
【0169】
[00173]この手順の後に返された新しいアジュバント配列は、ヌクレオチドで野生型IFNb配列に対して74~80%同一であった。次いで、インビトロアッセイを使用して、4つのコドン変化バージョン(RTと称される)を含む、4つの元の天然アジュバント候補の活性を比較した。
【0170】
[00174]したがって、IFNbの野生型核酸配列(配列番号18)は、IFNbのRT核酸配列(配列番号17)に対して約76%同一であり、IFNb1の野生型核酸配列(配列番号19)は、IFNb1のRT核酸配列(配列番号20)に対して約78%同一であった
【0171】
[00175]異なるIFNb候補の試験を促進し、それらのアジュバントの可能性を評価するために、インビトロスクリーニングアッセイを確立した。この試験の原理は、RT-qPCRによってMx発現(IFN誘導性遺伝子)を定量化することである。Mxタンパク質は、広範囲のRNAウイルスに対する抗ウイルス活性を有する大きなGTPaseのスーパーファミリーに属する。インビボでは、Mx遺伝子の発現は、I型インターフェロン(IFN)の存在によって厳密に調整され、それらの誘導は、いくつかのウイルス感染中に記載されている。CHH-1細胞は、IFNb刺激に応答してMxを発現せず(受容体を欠く潜在的な結果)、TO細胞を容易にトランスフェクトすることができないため、アッセイは、以下の方法で設定されている。
【0172】
[00176]CHH-1細胞を、非アジュバント構築物を陰性対照として含んだ様々なアジュバント構築物でトランスフェクトすることによって、IFNb遺伝子の機能性/活性を研究した。トランスフェクションの7日後、CHH-1細胞トランスフェクタントから分泌されたIFN分子を含有する細胞培養培地を採取し、異なる希釈で別の魚細胞株(TO細胞)に移した。TO細胞のインキュベーションに使用した馴化培地の最終比は、典型的には1:6、1:60、1:600、及び1:6000であり、インビトロモデルもアジュバント活性の定量的尺度を提供することを可能にする。馴化培地での3日間のインキュベーション後、細胞培養培地を注意深く除去し、細胞からRNAを抽出することによって、TO細胞をサンプリングした。IFNbによって誘導されたMx応答を、以下のプライマー/プローブを使用して、qPCRによって分析した。
配列番号42 Mx順方向:GATGCTGCACCTCAAGTCCTATTA
配列番号43 Mx逆方向:CGGATCACCATGGGAATCTGA
配列番号44 Mxプローブ:6-FAM-CAGGATATCCAGTCAACGTT-MGB
【0173】
[00177]結果は、以下の表28に示される。
【表28】
【0174】
[00178]これらの結果は、RT構築物が、野生型配列と比較してわずかにより高い免疫調節活性を有することを実証する。結果はまた、IFNb1がIFNbよりも高い免疫調節活性を有することを明らかに示す。
【0175】
[00179]インビトロ研究に基づいて、4つのRT INFbアジュバントを、魚におけるワクチンアジュバントとして試験するために選択した(2つの別個のプラスミド上のPMCVカプシド抗原(G-ORF1)及びアジュバントを受ける全ての群)。加えて、1つの群は、陰性アジュバント対照群として、G-ORF1ワクチン抗原+eGFPコードプラスミドを受けた。全ての魚は、魚の両側に1回の筋肉内注射を受けた。全ての魚は、別個のプラスミド上の抗原及びプラスミドコードアジュバントを受け、各プラスミドの用量は、20μgであった。非免疫化対照群が含まれ、表29に要約されるように、2×50μlのPBSを受けた。
【表29】
【0176】
[00180]淡水で保持され、20グラム平均重量を有するタイセイヨウサケ(Salmo salar)(1群当たりn=30)を、Tricain(PHARMAQ)を使用して麻酔し、脂びれ及び/又は上顎の短縮によってタグ付けし、群に割り当て、同じ麻酔期間(魚の両側に1回の注射)の下で、0.05mlの試験ワクチンを2回筋肉内注射した。免疫を12C(明:暗12:12)で48日間発達させた後、魚を、Tricain(PHARMAQ)を使用して再び麻酔し、CMSのノルウェー領域の発生に由来する0.1mlの均質化された心臓(単離体ID ALV1273心臓)の腹腔内注射によって、伝染性PMCVで攻撃接種した。次いで、魚(1群当たりn=15)を、攻撃接種の19日後及び49日後の2つの時点でサンプリングした。心室及び腎臓を、その後のRNA抽出のために、全てのサンプリングされた魚からRNALATER(登録商標)上で採取した。心臓(心室及び心房)も、病理組織学的分析のために、最後のサンプリング時点(49日目)に全ての魚からホルマリンで固定した。RNAを、RNALATER(登録商標)上に保存された全ての試料から抽出し、PMCV RNAの存在について、PHARMAQ Analytiq(Norway)からの市販のサービスを使用して、リアルタイムRT-PCRによって分析した。ホルマリン上に保存された心臓を切片化し、重症度に従って組織病理を0~3にスコアリングし、0は、病理学的所見なしを示し、3は、重度の病理の存在を示す(PHARMAQ Analytiq、Norwayによって提供されたサービス)。
【0177】
[00181]結果は、以下の表30及び31に示される。
【表30】
【表31】
【0178】
[00182]全体的な結論は、試験した全ての試験されたRTアジュバントが、同様の保護を提供するが、IFNb1 RT構築物を使用して誘発された保護が、IFNb RT構築物によって誘発された保護よりもわずかに高かったということである。これらのアジュバントのコドン変化バージョンは、相同組換えのリスクを低減するために好ましい。
【0179】
[00183]アジュバントを送達する最良の方法は、抗原とは別個であるが同一のプロモーターを使用しながらの、抗原と同じプラスミド上での送達であるが、異なるプラスミドを使用した抗原及びアジュバントの送達も有効である。
【0180】
[00184]本明細書に列挙される全ての刊行物、特許刊行物及び非特許刊行物の両方は、本発明が関連する技術分野の当業者の技能レベルを示す。これら全ての刊行物は、各個々の刊行物が参照により組み込まれるものとして具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に、参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【0181】
[00185]本明細書における本発明は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び適用の例示にすぎないことを理解されたい。したがって、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に多数の修正が加えられ得ること、及び他の構成が考案され得ることを理解されたい。
【配列表】
【国際調査報告】