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特表2025-501748好中球エラスターゼ阻害剤としてのトリアゾロン誘導体塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】好中球エラスターゼ阻害剤としてのトリアゾロン誘導体塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20250116BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20250116BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20250116BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20250116BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20250116BHJP
   A61P 11/08 20060101ALI20250116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
C07D487/04 146
C07D487/04 CSP
A61K31/519
A61K9/14
A61P11/06
A61P11/00
A61P11/08
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537881
(86)(22)【出願日】2022-12-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022087169
(87)【国際公開番号】W WO2023118258
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21217142.5
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】591095465
【氏名又は名称】キエシ・フアルマチエウテイチ・ソチエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】アマーリ,ガブリエーレ
(72)【発明者】
【氏名】カパルディ,カルメリダ
(72)【発明者】
【氏名】アルマーニ,エリザベッタ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA30
4C076CC15
4C076FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA43
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA61
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、一般に、好中球エラスターゼ阻害剤として特に有用な新規トリアゾロン誘導体塩および医薬としてのその使用に関する。本発明はまた、新規トリアゾロン誘導体塩と1つ以上の薬学的に許容される担体および/またはその賦形剤とを含む医薬組成物、ならびに医薬としてのそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物 (2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩。
【化1】
(I)
【請求項2】
請求項1の式(I)の化合物および1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項3】
乾燥粉末の形態で製剤化された、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
医薬としての使用のための、請求項1の式(I)の化合物。
【請求項5】
医薬としての使用のための、請求項2および3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置における使用のための、請求項1の式(I)の化合物。
【請求項7】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置における使用のための、請求項2および3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性肺気腫、および嚢胞性線維症から選択される、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置における使用のための、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
炎症性または閉塞性呼吸器疾患が、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性肺気腫、および嚢胞性線維症から選択される、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置における使用のための、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
式(II)のトリアゾロン誘導体を式(III)のパモ酸塩と反応させることによる、請求項1に記載の式(I)の化合物の調製のための方法であって、
【化2】
1)式(II)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチルアンモニウムの水溶性塩を水に溶解させる
【化3】
(II)
(ここで、X-は有機または無機アニオンである)、および、
2)式(III)のパモ酸塩の溶液を加える
【化4】
(III)
(ここで、Y+はアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンである)
工程を含む、方法。
【請求項11】
式(II)の化合物と式(III)のパモ酸塩とのモル比が2:1である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
X-が臭化物である、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
X-がメタンスルホン酸である、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項14】
X-がプロピオン酸である、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項15】
Y+がナトリウムまたはカリウムである、請求項10から14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、好中球エラスターゼ阻害剤として特に有用な新規トリアゾロン誘導体塩および医薬品としてのその使用に関する。本発明はまた、新規トリアゾロン誘導体塩および1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物、ならびに医薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト好中球エラスターゼ(HNE)は、好中球のアズール顆粒に見られる32kDaのセリンプロテイナーゼである。HNEは、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、III型およびIV型コラーゲン、ならびにエラスチンなどを含む、幅広い細胞外マトリックスタンパク質の分解における役割を担っている(Bieth, G. In Regulation of Matrix accumulation, Mecham, R.P. (Eds), Academic Press, NY, USA 1986, 217-306)。HNEは、組織構造タンパク質の分解を介した損傷組織の修復と処理を通じて、恒常性維持に重要な役割を果たすと長い間考えられてきた。HNEはまた、細菌体の分解による細菌侵入に対する防御にも関与する。マトリックス組織への影響に加え、HNEは、IL-8遺伝子発現のアップレギュレーションにも関与しており、肺の上皮細胞からのIL-8放出も誘導する。たばこ煙曝露による慢性閉塞性肺疾患の動物モデルにおいて、HNEの小分子阻害剤とタンパク質阻害剤の両方が、炎症反応および肺気腫の発症を抑制した(Wright, J.L. et al. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2002, 166, 954-960、および、Churg, A. et al. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2003, 168, 199-207)。したがって、HNEは、好中球の流入が特徴的である慢性呼吸器疾患において、マトリックスの破壊と炎症反応の増幅の両方で役割を果たしている可能性がある。実際に、HNEは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症(CF)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、肺炎、および肺線維症を含む、いくつかの肺疾患において役割を果たしていると考えられている。また、例えば心不全および急性心筋梗塞後の虚血性組織傷害の発生における、組織のリモデリングが関与するいくつかの心血管系疾患にも関連している。
【0003】
過剰なHNE活性は、気管支拡張症(BE)を含む炎症性肺疾患の病理に関与するとされ、したがって、このタンパク質が薬剤開発の標的として特定されている(B. Schaaf, A. Wieghorst, S.-P. Aries, K. Dalhoff, J. Braun, Respiration, 67 (1) (2000), 52-59)。
【0004】
当技術分野では、これまでに、いくつかのヒト好中球阻害剤が開示されてきた。
【0005】
特に、国際特許出願WO 2011/110858およびWO 2011/110859には、ヒト好中球エラスターゼ阻害特性を有するいくつかのピリミジン誘導体、および治療におけるそれらの使用が記載されている。
【0006】
WO 2014/095700には、ヒト好中球エラスターゼ阻害特性を有するトリアゾロン誘導体、および治療におけるそれらの使用、特に、強力な好中球エラスターゼ阻害剤としての化合物(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムのいくつかの塩が記載されている。
【0007】
上記のとおり、これまでにいくつかのHNE阻害剤が開示されているが、さらなるHNE阻害剤が依然として求められている。
【0008】
患者の忍容性および局所有害作用プロファイルの点においても、投与に適した、より安全なプロファイルを持つ、さらなる有効なHNE阻害剤を同定することができれば、特に有利である。
【0009】
本発明は、本発明の化合物である式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩を提供することにより、上記の要求に対処する。
【発明の概要】
【0010】
第一の態様では、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩を提供する。
【化1】
(I)
【0011】
第二の態様では、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩ならびに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
さらなる態様では、本発明は、医薬としての使用のための、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩を提供する。
【0013】
なおさらなる態様では、本発明は、医薬としての使用のための、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩ならびに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置のための医薬の製造における、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置のための医薬の製造における、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩ならびに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0016】
別の態様では、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩の有効量を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患を予防および/または処置するための方法を提供する。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩ならびに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患を予防および/または処置するための方法を提供する。
【0018】
別の態様では、本発明は、式(II)のトリアゾロン誘導体を式(III)のパモ酸塩と反応させることによる、式(I)の化合物の調製のための方法であって、
【化2】
1)式(II)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチルアンモニウムの水溶性塩を水に溶解させる
【化3】
(II)
(ここで、X-は、有機または無機アニオンである)、および、
2)式(III)のパモ酸塩の溶液を加える
【化4】
(III)
(ここで、Y+は、アルカリまたはアルカリ土類金属カチオンである)
工程を含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0020】
「本発明の化合物」という用語は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩を指す。
【0021】
「ヘミ-パモ酸塩」という用語は、2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム カチオンとパモ酸ジアニオンとの化学量論比が2:1である、パモ酸ジアニオンをもつ塩を指す。
【0022】
「アルカリまたはアルカリ土類金属カチオン」という用語は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムから選択される金属元素のカチオンを示すことを意図する。
【0023】
本発明の化合物は、1つの立体異性中心(すなわち*印を伴う炭素原子(1)で以下に表される)を有し、したがって、光学的立体異性体として存在し得る。
【化5】
【0024】
炭素原子(1)上に好ましい(R)配置を示す式(I)の本発明の化合物のほかに、ラセミ体およびエナンチオマー(S)も本発明の範囲に包含されることが理解される。
【0025】
医薬組成物などにおける「組成物」という用語は、有効成分および任意の薬学的に許容される賦形剤または担体を含む製品、ならびに、2つ以上の成分の組み合わせ、複合化もしくは凝集、または1つ以上の成分の解離、または1つ以上の成分の他の種類の反応もしくは相互作用から、直接的または間接的に生じる任意の製品を包含することを意図する。
【0026】
したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容される賦形剤および/または担体とを混和することにより製造される任意の組成物を包含する。
【0027】
式(I)で示されるヘミ-パモ酸塩は、患者の忍容性および局所有害作用プロファイルの点においても、投与に特に適した物理化学的特性を有することを特徴とする。
【0028】
この点において、有利なことに、本発明の式(I)の化合物によるヘミ-パモ酸塩は、
1)生物学的アッセイの実施例2.1に記載されているとおり、乾燥粉末として投与した場合、薬力学モデルにおいて、メタンスルホン酸塩に対して低い溶解度を考慮すると予想外に、メタンスルホン酸塩に対して優れた活性を示し、そして
2)本実施例2.2に記載および評されているとおり、乾燥粉末として投与した場合、メタンスルホン酸塩、臭化物塩、およびプロピオン酸塩と比較して、意識下ラットのHOP(ヘッドアウトプレチスモグラフィー)試験において非常に良好な刺激性プロファイルを示し、したがって、ヒトにおいてもより安全なプロファイルを示す可能性が示唆される。
【0029】
以上のことを考慮すると、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムのヘミ-パモ酸塩は、メタンスルホン酸塩に対して溶解度が低いにもかかわらず、インビボでのHNE阻害に良好な有効性を維持し、乾燥粉末製剤として投与した場合にも良好な有効性を維持する。
【0030】
さらに、ヘッドアウトプレチスモグラフィー(HOP)アッセイでは、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムのメタンスルホン酸塩、臭化物塩、およびプロピオン酸塩の他の塩とは反対に、式(I)のヘミ-パモ酸塩は肺機能パラメーターの改善を示し、患者の忍容性および局所有害作用プロファイルの点においても、この塩が投与に特に適していることが示唆された。
【0031】
本発明はまた、式(I)の化合物ならびに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物も対象とする。
【0032】
適切な賦形剤は当技術分野の中から選択することができ、担体、希釈剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、コーティング剤、充填剤、流動促進剤、滑沢剤、崩壊剤、保存剤、界面活性剤、pH緩衝物質などを含み得る。賦形剤およびそれらの使用の例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, 5th ed. (2006), Ed. Rowe et al., Pharmaceutical Pressに記載される。
【0033】
最適な投与量は、任意の既知の適切な方法で決定することができる。しかしながら、任意の特定の患者に対する具体的な投与量は、式(I)の化合物の活性、患者の年齢、体重、食習慣、一般的な健康状態および性別、投与時間、投与経路、排泄速度、何らかの他の薬剤の使用、ならびに処置される疾患の重症度を含む様々な要因に依存することが理解される。
【0034】
吸入による送達のために、式(I)の活性化合物は、好ましくは微粒子の形態である。これらは、噴霧乾燥、凍結乾燥、および微粒子化を含む様々な技術によって調製され得る。
【0035】
ある実施態様では、本発明の組成物は、ネブライザーからの送達に適した懸濁液または、さらに好ましくは加圧噴霧式定量吸入器(PMDI)での使用に適した液体噴射剤中のエアゾールとして調製される。pMDIでの使用に適した噴射剤は当業者に知られており、HFA-227、好ましくはHFA-134a、さらに好ましくはHFA152aが挙げられる。
【0036】
ある好ましい実施態様では、本発明の組成物は、ドライパウダー吸入器(DPI)を使用して送達するための乾燥粉末形態である。
【0037】
投与による送達のための微粒子は、送達および放出を助ける賦形剤とともに製剤化され得る。例えば、乾燥粉末製剤では、微粒子はDPIから肺への流入を助ける大きな担体粒子とともに製剤化され得る。適切な担体粒子は当技術分野で知られており、例えば、ラクトース粒子を含む。
【0038】
本発明の薬剤は、吸入形態で投与され得る。エアゾール生成は、例えば、圧力駆動ジェット噴霧器、または超音波噴霧器、好ましくは噴射剤駆動定量エアゾール、または例えば吸入カプセルもしくはその他の「乾燥粉末」送達システムからの、式(I)の微粒子化活性化合物の噴射剤不使用投与を用いて実施することができる。
【0039】
上記のとおり、本発明は、医薬として使用するための一般式(I)の化合物も対象とする。
【0040】
ある好ましい実施態様によれば、本発明は、炎症性または閉塞性肺疾患、好ましくは、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性肺気腫、および嚢胞性線維症から選択される疾患の処置のための、医薬の調製のための式(I)のヘミ-パモ酸塩の使用を示す。
【0041】
本発明はまた、医薬として使用するための、式(I)の化合物ならびに1種以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物も対象とする。
【0042】
ある好ましい実施態様では、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための式(I)の化合物を対象とする。
【0043】
別の好ましい実施態様では、本発明は、炎症性または閉塞性呼吸器疾患の予防および/または処置に使用するための、式(I)の化合物ならびに1種以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
【0044】
さらに好ましい実施態様では、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩の有効量を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患を予防および/または処置するための方法を提供する。
【0045】
別の好ましい実施態様では、本発明は、式(I)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩ならびに1つ以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物の有効量を投与することを含む、炎症性または閉塞性呼吸器疾患を予防および/または処置するための方法を提供する。
【0046】
なおさらに好ましい実施態様では、上記の炎症性または閉塞性呼吸器疾患は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、慢性気管支炎、肺線維症、特発性肺線維症、肺炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺気腫、喫煙誘発性肺気腫、および嚢胞性線維症から選択される。
【0047】
哺乳動物、特にヒトに、式(I)の化合物の有効量を提供するために、任意の適切な投与経路を用いることができる。
【0048】
式(I)の化合物の予防的または治療的用量の程度は、当然、処置される状態の性質または重症度およびその投与経路によって異なり、一般に、製薬分野で要求されるとおり、臨床試験によって決定される。
【0049】
それはまた、個々の患者の年齢、体重、および反応によっても異なる。
【0050】
治療的使用において、式(I)の化合物は、任意の簡便な、適切な、または有効な経路で投与され得る。
【0051】
適切な投与経路は周知であり、経口、静脈内、直腸、非経腸、局所、眼、鼻、頬側、および肺(吸入)などを含む。
【0052】
式(I)の活性化合物は、使用される吸入器システムに応じて、記載されるとおり投与され得る。活性化合物に加えて、投与形態は、例えば、噴射剤(例えば、定量エアゾールの場合にはフリゲン)、界面活性物質、乳化剤、安定剤、保存剤、香料、充填剤(例えば、粉末吸入剤の場合にはラクトース)などの賦形剤、または適切な場合にはさらなる活性化合物をさらに含み得る。
【0053】
吸入の目的で、患者に適した吸入技術を用いて、最適な粒子径のエアゾールを生成および投与できるシステムが数多く利用できる。定量エアゾール、特に粉末吸入器の場合、アダプター(スペーサー、エキスパンダー)、洋ナシ型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、およびパッファスプレーを放出する自動装置(Autohaler(登録商標))の使用に加え、多数の技術的解決策が利用できる(例えばDiskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)、または例えばEP-A-0505321に記載されている吸入器)。
【0054】
前述のとおり、本発明はまた、上記に示すとおり式(II)のトリアゾロン誘導体を式(III)のパモ酸塩と反応させることによる、式(I)の化合物の調製のための方法も示し、前記の方法は、
1)式(II)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチルアンモニウムの水溶性塩を水に溶解させる(ここで、X-は有機または無機アニオンである)、および、
2)式(III)のパモ酸塩の水溶液を加える(ここで、Y+はアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンである)
工程を含む。
【0055】
別の好ましい実施態様では、本発明は、式(II)の化合物を反応させることによる(ここで、X-は臭化物である)、式(I)の化合物の調製のための方法を提供する。
【0056】
別の好ましい実施態様では、本発明は、式(II)の化合物を反応させることによる(ここで、X-はメタンスルホン酸である)、式(I)の化合物の調製のための方法を提供する。
【0057】
さらに好ましい実施態様では、本発明は、式(III)のパモ酸塩を反応させることによる(ここで、Y+はナトリウムまたはカリウムであり、ナトリウムがより好ましい)、式(I)の化合物の調製のための方法を提供する。
【0058】
なおさらに好ましい実施態様では、本発明はまた、式(II)の化合物を式(III)のパモ酸塩と反応させることによる(ここで、(II)と(III)とのモル比は2:1である)、式(I)の化合物の調製のための方法を提供する。
【0059】
より好ましい実施態様では、以下のスキームAで報告される一般的な合成経路に従って、2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム カチオンとパモ酸ジアニオンの化学量論比が2:1である、式(I)の化合物の調製のための方法が提供される。
【化6】
【0060】
ここで、X-は有機または無機アニオンであり、好ましくはメタンスルホン酸、プロピオン酸、および臭化物からなる群より選択され、Y+はアルカリまたはアルカリ土類金属カチオンであり、好ましくはナトリウムおよびカリウムからなる群から選択される。
【0061】
式(I)の本発明の化合物は、実施例1,2で報告されるとおり、それぞれ例えばWO 2014/095700に記載されている手順に従って得られる式(II)の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの臭化物塩もしくはメタンスルホン酸塩(ここでXは、臭化物もしくはメタンスルホン酸である)から調製され得る、または、実施例1.3に報告されるとおりプロピオン酸を好ましくは水などの水性または有機溶媒に溶解し、機械的攪拌下で、適切な水性または有機溶媒(好ましくは水)中の式(III)のヘミ-パモ酸のナトリウム塩またはカリウム塩の溶液を添加することによって調製され得る。
【0062】
同様に、式(I)の本発明の化合物の塩は、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの任意の水溶性塩を用いて得ることができる。
【0063】
例に記載および報告される利用可能な方法は、本発明の化合物の調製のために用いられる合成法の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0064】
出発物質または中間体として使用される化合物は市販のものであっても、それらの調製が文献に具体的に記載されているものであっても、文献から入手できる方法および当業者に周知の方法に従って調製されるものであってもよい。
【0065】
記載された方法は、本発明の所望の化合物を得るために当業者に知られる任意の適する変更により適切に調整されやすいので、特に有利である。このような変更は、本発明の範囲内に含まれる。
【0066】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例
【0067】
核磁気共鳴分光法(1H NMR)
すべての1H NMRスペクトルは、600MHz(プロトン周波数)で作動するBruker AVANCE III HD 600分光計で実施した。この分光計には、5 mmのTCI INVERSE TRIPLE RESONANCE CRYOPROBE H-C/N-D-0.5-Z ATMAが装備されていた。このプローブは、アクティブシールドされた単軸Zグラジエントを備え、13Cおよび15Nなどの複数のX-核の同時デカップリングならびに自動チューニングおよびマッチングを可能にした。
【0068】
実施例1
実施例1.1
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩
【化7】
WO 2014/095700に記載されるとおりに調製された(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム 臭化物(500 mg; 0.8 mmol)を水(25 ml)に溶解させ、機械的攪拌下で、水(8 ml)中のパモ酸ナトリウム(174 mg, 0.4 mmol)溶液を加え、ヘミ-パモ酸塩を固体として得た。(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムカチオンとパモ酸ジアニオンの化学量論比が2:1であることは、NMRによって確認される。
【0069】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.32 (s, 1 H) 8.19 (d, J=8.55 Hz, 1 H) 8.12 (s, 2 H) 7.87 - 7.97 (m, 2 H) 7.69 - 7.87 (m, 4 H) 7.59 (d, J=7.89 Hz, 1 H) 7.08 (t, J=7.12 Hz, 1 H) 6.97 (t, J=6.91 Hz, 1 H) 6.26 (s, 1 H) 4.65 (s, 1 H) 3.92 - 4.02 (m, 1 H) 3.64 - 3.79 (m, 2 H) 3.53 (s, 3 H) 3.33 - 3.46 (m, 1 H) 3.21 (s, 9 H) 2.16 (s, 3 H).
【0070】
実施例1.2
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩
【化8】
WO 2014/095700に記載されるとおりに調製された(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸(19.1 g, 30 mmol)を水(1000 ml)に溶解させ、機械的攪拌下で、水(250 ml)中のパモ酸ナトリウム(6.5 g, 15 mmol)溶液を加え、ヘミ-パモ酸塩を固体として得た。該固体を濾過し、水(50 ml)で洗浄した後、湿った固体をフラスコに移し、アセトン(500 ml)を加えた。スラリーを50℃で2時間攪拌した後、冷蔵し、5℃で一晩放置した。固体を濾過し、アセトンで洗浄し、45℃で真空乾燥した。18 gの固体が得られた。化合物は、実施例1の臭化物塩から出発して得られたものと同一であった。
【0071】
同様に、2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの任意の他の水溶性塩を、該臭化物塩または該メタンスルホン酸塩の代わりに用いることで、ヘミ-パモ酸塩が得られる。
【0072】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムのさらなる可溶性塩は、本明細書の以下に記載するとおりに得られるプロピオン酸塩であり得る。
【0073】
実施例1.3
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム プロピオン酸-方法a
水(25 mL)中の2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸(1 g, 1.57 mmol)溶液に、5 mLの洗浄したAmberlyst A26 OH樹脂を加え、混合物を室温で1時間回転させた。反応混合物を濾過し、樹脂を水(25 mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を混ぜ合わせて凍結乾燥し、ベタイン生成物を固体として得た(738 mg, 87%)。
【0074】
1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 7.93 (1H, s), 7.89-7.82 (1H, m), 7.82-7.73 (3H, m), 7.68 (1H, dd, J = 8.3, 1.7 Hz), 7.53 (1H, d, J = 7.9 Hz), 5.98 (1H, s), 4.67 (1H, t, J = 11.1 Hz), 3.80 (1H, td, J = 12.4, 3.5 Hz), 3.59 (1H, td, J = 12.0, 6.1 Hz), 3.51 (3H, s), 3.32 (9H, br s), 3.27-3.22 (1H, m), 2.14 (3H, s).
【0075】
水(5 mL)中のベタイン(738 mg, 1.37 mmol)溶液に、プロピオン酸(0.11 mL, 1.50 mmol)を加え、混合物を室温で5分間攪拌した。反応混合物を凍結乾燥し、生成物を固体として得た(840 mg, 100%)。
【0076】
1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 8.1 (1H, s), 7.95-7.87 (2H, m), 7.85-7.78 (2H, m), 7.75 (1H, dd, J = 8.0, 1.8 Hz), 7.68 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.22 (1H, s), 4.13-4.01 (1H, m), 3.78-3.65 (2H, m), 3.52 (3H, s), 3.42-3.31 (1H, m), 3.21 (9H, s), 2.16 (3H, s), 1.83 (2H, q, J = 7.6 Hz), 0.86 (3H, t, J = 7.6 Hz).
【0077】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム プロピオン酸-方法b
水(120 mL)中の2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸(32.58 g, 51.2 mmol)に、165 mLの洗浄したAmberlyst A26 OH樹脂(約150 mmol 当量 OH)を加え、混合物を室温で1時間回転させた。反応混合物を濾過し、樹脂を水(約250 mL)で洗浄した。濾液と洗浄液を混ぜ合わせてプロピオン酸(4 mL, 53.7 mmol)を加え、混合物を室温で5分間攪拌した。溶液を凍結乾燥し、生成物を固体として得た(26.1 g, 83%)。
【0078】
1H NMRにより、このサンプルは1.15当量のプロピオン酸を含むことが示された。1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 8.1 (1H, s), 7.98-7.86 (2H, m), 7.86-7.78 (2H, m), 7.75 (1H, dd, J = 8.0, 1.8 Hz), 7.68 (1H, d, J = 8.3 Hz), 6.22 (1H, s), 4.12-4.00 (1H, m), 3.79-3.65 (2H, m), 3.53 (3H, s), 3.42-3.30 (1H, m), 3.21 (9H, s), 2.16 (3H, s), 1.85 (2H, q, J = 7.6 Hz), 0.86 (3H, t, J = 7.6 Hz).
【0079】
実施例2
生物学的アッセイ
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの種々の塩の有効性は、ヒト好中球エラスターゼ(HNE)によって誘導されるインビボ肺損傷モデルで評価された。
【0080】
さらに、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムの各塩の潜在的な局所有害作用を比較するために、種々の(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム塩の肺機能パラメーターへの影響もまた、ヘッドアウトプレチスモグラフィーによりラットにおいて評価した。
【0081】
実施例2.1/比較
HNE誘発肺損傷アッセイ
雄Sprague Dawleyラットに、溶媒(生理食塩水中1 % tween80)、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩、または(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩のいずれかを気管内に(i.t.)投与し、3時間後にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(対照群、PBS単独処置動物)またはHNE気管内投与(100U/ラット)した。その後、PBSまたはHNE投与1時間後に動物を屠殺し、気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、ヘモグロビン濃度として測定されるHNE誘発肺損傷を評価した。BAL液サンプルを4℃で、800 gで15分間遠心分離した。上清を回収し、ペレットを3 mLの蒸留水に再懸濁した。溶解した血液細胞の幹(stem)溶液から、既知量の溶解した血液細胞を用いた標準曲線を作成した。150 μLの標品およびサンプルを96ウェルプレートにデュプリケートで移し、ODを412 nmで測定した。化合物の有効率(%)(BALF中のHNE誘発ヘモグロビン含量の阻害として評価)は、以下の式に従って算出した: 100-[(HNEに曝露した試験化合物処置ラットのヘモグロビン濃度の平均値)-(PBSに曝露した溶媒処置ラットのヘモグロビン濃度の平均値)]/[(HNEに曝露した溶媒処置ラットのヘモグロビン濃度の平均値)-(PBSに曝露した溶媒処置ラットのヘモグロビン濃度の平均値)]x100。
【0082】
結果
このモデルでは、対照群と比較すると、HNE i.t.投与はヘモグロビン含量の有意な増加を引き起こした(対照群では0 g/dLおよびHNE群では0.19 g/dL、p<0.001)。
【0083】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩およびヘミ-パモ酸塩を湿潤製剤として3つの異なる用量(メタンスルホン酸塩およびヘミ-パモ酸塩について3、30 および300 μg/kg)でi.t.投与した場合、BAL液のヘモグロビン含量は用量依存的に阻害された。特に、メタンスルホン酸塩は、HNEで処置した溶媒対照群と比較して、3 μg/kgで19%、30 μg/kgで30%、および300 μg/kgで73%までの範囲の阻害を示した(p<0.001)。同様に、ヘミ-パモ酸塩は、HNEで処置した溶媒対照群と比較して、3 μg/kgで30%、30 μg/kgで43%(p<0.05)、および300 μg/kgで80%(p<0.001)までの範囲でBAL液のヘモグロビン含量の減少を引き起した。
【0084】
これらのデータは、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウムはインビボでHNEを阻害することができ、驚くべきことに、このモデルではメタンスルホン酸塩よりもヘミ-パモ酸塩の方が、溶解度が低いにもかかわらず、わずかに優れた効果を示す。
【0085】
さらに、このモデルにおける(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-dddyl]-フェニル}-エチル)-トリメチルアンモニウム ヘミ-パモ酸塩の有効性は、該化合物を乾燥粉末製剤として投与したときに維持された。具体的には、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩を乾燥粉末としてi.t.投与した結果、HNE処置賦形剤(乳糖)対照群と比較して、BAL液ヘモグロビン量の用量依存的阻害が30 μg/kgで4%、300 μg/kgで54%(p<0.05)、および600 μg/kgで60%(p<0.01)であった。
【0086】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩の水への溶解度
200 mgの(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩を、室温で1 mLの水に入れた。物質の完全な溶解を、目視で観察した。
【0087】
前記即時溶解の目視観察は、式(I)のメタンスルホン酸塩が200 mg/mlを超える溶解度(>200 mg/ml)を有するという指標であった。
【0088】
(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩の水への溶解度
水中のヘミ-パモ酸塩の飽和溶液を室温で調製し、理論濃度は約2 mg/mlとした。過剰の固体を濾過で除き、溶液の含量を24時間まで種々のチェックポイントでLC/UVにより定量した。
【0089】
該ヘミ-パモ酸塩の溶解度は0.17 mg/mlである。
【0090】
溶解度試験の結果を以下の表1に要約する。
【表1】

【0091】
上記の表1は、メタンスルホン酸塩の溶解度がヘミ-パモ酸塩に対して、著しく高いことを明確に示す。
【0092】
HNE誘発肺損傷アッセイの結果を以下の表2に要約する。
【表2】

【0093】
上記の表2は、ヘミ-パモ酸塩とメタンスルホン酸塩の両方がインビボでHNEを阻害できることを明確に示しているが、ヘミ-パモ酸塩はメタンスルホン酸塩に対して、溶解度が低いにもかかわらず、上記の薬力学モデルで優れた活性を示している。
【0094】
実施例2.2/比較
ヘッドアウトプレチスモグラフィー(HOP)アッセイ
雄Wistarラットに、鼻部吸入経路により、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩および(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム プロピオン酸塩(それらの合成については実施例1.3に記載されている)、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム 臭化物塩(その合成についてはWO 2014/095700に記載されている)、またはラクトースを乾燥粉末製剤として投与した。エアゾール曝露時間は60分であった。投与当日、動物をプレチスモグラフチューブに少なくとも投与30分前から入れ、その呼吸パラメーター(呼吸数、一回換気量、PenH)を投与前少なくとも30分間、投与(曝露)中60分間、および曝露後90分間、連続で記録した。呼吸パラメーターは、EMMS eDacqシステム(PLY231, EMMS, Bordon, United Kingdom)を用いて、合計3時間にわたり1分ごとに記録された。異なる肺機能パラメーターに対する試験化合物の効果は、賦形剤(乳糖)対照群に対する変化率(%)として測定され、ピーク効果(すなわち観察された最も高い効果)で報告された。
【0095】
結果
乾燥粉末としての(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩(0.6および6 mg/kg)は、分析した3つの呼吸器系パラメーターすべてにおいて統計的に有意な変化をもたらし、これらの影響は主に暴露中に観察された。具体的には、吸入中の呼吸数の有意な増加が両用量で観察され、0.6 mg/kgの用量では32%のピーク効果の増加が観察され、6 mg/kgの用量では54%の最大増加が引き起こされた。(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム メタンスルホン酸塩は、賦形剤対照群と比較して、35%および39%(それぞれ0.6および6 mg/kgでのピーク効果)の一回換気量の有意な減少ならびに低用量で約8倍および高用量で約16倍の有意かつ用量依存的なPenHの増加を示した。
【0096】
同様の効果が(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム 臭化物塩(0.55および5.5 mg/kg)で観察され、吸入中の一回換気量に統計学的に有意な減少をもたらし、高用量群では38%の最大減少を示した。
【0097】
この一回換気量の減少はまた、賦形剤対照群と比較して低用量では約8倍および高用量では20倍のPenH面積の統計的に有意な増加と一致し、吸入中に呼吸数も同様に有意に増加し、賦形剤対照群と比較して低用量では59%の最大効果に達した。同様に、(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム プロピオン酸塩を0.6mg/kg(低用量)および6mg/kg(高用量)で鼻部に単回吸入投与した場合、賦形剤対照群と比較して、両用量ともに一回換気量に統計学的に有意な減少(高用量群では37%の最大減少)および統計的に有意な呼吸数の増加(低用量群では65%の最大効果に達する)をもたらした。
【0098】
3つのすべての(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム塩のピーク効果は、化合物吸入の20~50分後に観察され、投与直後にベースライン値に戻った。
【0099】
反対に、乾燥粉末として0.7および7 mg/kgで鼻のみに単回吸入投与した(2-{5-シアノ-2-[(R)-6-メトキシカルボニル-7-メチル-3-オキソ-8-(3-トリフルオロメチル-フェニル)-2,3,5,8-テトラヒドロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-5-イル]-フェニル}-エチル)-トリメチル-アンモニウム ヘミ-パモ酸塩は、投与中または投与後のいずれにおいても、どの肺機能パラメーターも変化させなかった。
【0100】
ヘッドアウトプレチスモグラフィー(HOP)アッセイの結果を以下の表3に要約する。
【表3】

【0101】
これらのデータは、他の塩とは反対に、キシナホ酸塩はいずれの肺機能パラメーターにも影響を与えないことを示しており、患者の忍容性と局所有害作用プロファイルの点からも、この塩が投与に特に適していることを示唆する。
【国際調査報告】