(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】ピルビン酸キナーゼモジュレーターとしてのフタラジン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 403/14 20060101AFI20250116BHJP
C07D 403/06 20060101ALI20250116BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20250116BHJP
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A61P 27/04 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
C07D403/06
C07D405/14
A61K31/502
A61P3/04
A61P3/10
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A61P9/10 101
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A61P21/04
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A61P21/00
A61P31/20
A61P31/22
A61P31/18
A61P27/06
A61P27/14
A61P27/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538069
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-16
(86)【国際出願番号】 GB2022053355
(87)【国際公開番号】W WO2023118875
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/GB2022/052781
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521476034
【氏名又は名称】シトリクス・セラピューティクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Sitryx Therapeutics Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド カズン
(72)【発明者】
【氏名】オスカー バルバ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
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4C086BC41
4C086GA02
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4C086ZA02
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4C086ZA21
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4C086ZA33
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4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA70
4C086ZA75
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4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZC35
(57)【要約】
本発明は、6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンである式(I)
【化1】
の化合物;又はその塩及び/もしくは溶媒和物;並びに炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害の治療又は予防におけるその使用に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンである式(I):
【化1】
の化合物又はその塩及び/もしくは溶媒和物。
【請求項2】
式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物である、請求項1記載の化合物又はその塩及び/もしくは溶媒和物。
【請求項3】
請求項2記載のその医薬として許容し得る塩及び溶媒和物。
【請求項4】
請求項2記載の医薬として許容し得る塩。
【請求項5】
請求項2記載の医薬として許容し得る溶媒和物。
【請求項6】
請求項1記載の化合物。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1項記載の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、並びに1種以上の医薬として許容し得る希釈剤又は担体を含む医薬組成物。
【請求項8】
医薬品としての使用のための、請求項2~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、又は請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態の治療又は予防における使用のための、請求項2~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、又は請求項7記載の医薬組成物。
【請求項10】
PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態を治療又は予防するための医薬品の生産における、請求項2~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、又は請求項7記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態の対象の治療の方法であって、該対象に、有効量の請求項2~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、又は請求項7記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害の治療又は予防における使用のための、請求項2~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、又は請求項7記載の医薬組成物。
【請求項13】
炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を治療又は予防するための医薬品の生産における、請求項2~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、又は請求項7記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害の対象の治療の方法であって、該対象に、有効量の請求項2~6のいずれか1項記載の化合物もしくはその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物、又は請求項7記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項15】
前記炎症性疾患又は望ましくない免疫応答に関連する疾患が:乾癬(慢性尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬、滴状乾癬、インバース乾癬、及び爪乾癬を含む)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD、慢性気管支炎及び肺気腫を含む)、心不全(左室不全を含む)、心筋梗塞、狭心症、他のアテローム性動脈硬化症及び/又はアテローム血栓症関連障害(末梢血管疾患及び虚血性脳卒中を含む)、ミトコンドリア性及び神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性、又はミトコンドリア性脳筋症など)、自己免疫性傍腫瘍性網膜症、移植拒絶反応(抗体介在性及びT細胞介在性の形態を含む)、多発性硬化症、横断性脊髄炎、虚血再灌流障害(例えば、冠動脈バイパス移植のための心肺バイパス術又は他の心臓手術などの待機的手術の間のもの、経皮的冠動脈形成術後のもの、急性のST上昇型心筋梗塞もしくは虚血性脳卒中の治療、臓器移植、又は急性コンパートメント症候群後のもの)、AGE誘発性ゲノム損傷、炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、PSC-自己免疫性肝炎オーバーラップ症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患(非アルコール性脂肪性肝炎)、リウマチ性、環状肉芽腫、皮膚エリテマトーデス(CLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、薬剤誘発性ループス、自己免疫性の心筋炎又は心筋心膜炎、ドレッスラー症候群、巨細胞性心筋炎、心膜切開後症候群、薬剤誘発性過敏症症候群(過敏性心筋炎を含む)、湿疹、サルコイドーシス、結節性紅斑、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、視神経脊髄炎スペクトラム障害、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)抗体関連障害(MOG-EMを含む)、視神経炎、CLIPPERS(ステロイドに反応する橋血管周囲増強を伴う慢性リンパ球性炎症)、びまん性ミエリン破壊性硬化症(diffuse myelinoclastic sclerosis)、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、他の脊椎関節炎(乾癬、炎症性腸疾患、反応性関節炎、もしくは若年性発症形態に関連する末梢脊椎関節炎を含む)、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、類天疱瘡(水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、妊娠性疱疹又は妊娠性類天疱瘡、眼部瘢痕性類天疱瘡を含む)、線状IgA病、ベーチェット病、セリアック病、シャーガス病、皮膚筋炎、I型糖尿病、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群及びそのサブタイプ(急性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー、AIDP、急性運動性軸索型ニューロパチー(AMAN)、急性運動感覚性軸索型ニューロパチー(AMSAN)、咽頭-頸部-上腕型、ミラー・フィッシャー型、及びビッカースタッフ脳幹脳炎を含む)、進行性炎症性ニューロパチー、橋本病、化膿性汗腺炎、封入体筋炎、壊死性ミオパチー、川崎病、IgA腎症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、エバンス症候群、間質性膀胱炎、混合性結合組織病、未分化結合組織病、モルフェア、重症筋無力症(MuSK抗体陽性及び血清陰性型を含む)、ナルコレプシー、神経性筋強直症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性胆管炎(別名:原発性胆汁性肝硬変)、関節リウマチ、回帰性リウマチ、統合失調症、自己免疫性(髄膜)脳炎症候群、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、リウマチ性多発筋痛、巨細胞動脈炎(側頭動脈炎)、高安動脈炎、結節性多発動脈炎、川崎病、多発血管炎性肉芽腫症(GPA;かつてのウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA;かつてのチャーグ・ストラウス症候群)、顕微鏡的多発動脈炎/多発血管炎、低補体血症性蕁麻疹様血管炎、過敏性血管炎、クリオグロブリン血症、閉塞性血栓血管炎(バージャー病)、血管炎、白血球破壊性血管炎、白斑、急性散在性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、アルパース病(Alper's disease)、バロー同心円硬化症又はマールブルグ病、特発性器質化肺炎(かつての閉塞性細気管支炎性器質化肺炎)、カナバン病、中枢神経系血管炎症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー(CIDP)、糖尿病性網膜症、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、移植片対宿主病(GVHD)(急性及び慢性の形態並びに腸GVHDを含む)、C型肝炎(HCV)感染症又は合併症、単純ヘルペスウイルス感染症又は合併症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症又は合併症、扁平苔癬、平山病、線維症、嚢胞性線維症、肺動脈性肺高血圧症(PAH、特発性PAHを含む)、肺サルコイドーシス、特発性肺線維症、腎線維症、小児喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、鼻炎、副鼻腔炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、乾性角結膜炎、ドライアイ、眼球乾燥症、緑内障、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、黄斑変性(乾性及び/又は湿性加齢黄斑変性、AMDを含む)、白内障術後炎症、ブドウ膜炎(後部、前部、中間部、及び汎ブドウ膜炎を含む)、虹彩毛様体炎、強膜炎、角膜移植及び角膜縁細胞移植拒絶反応、グルテン過敏性腸症(セリアック病)、疱疹状皮膚炎、好酸球性食道炎、食道通過障害、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、大動脈炎及び大動脈周囲炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、ベーチェット病、(特発性)キャッスルマン病、コーガン症候群、IgG4関連疾患、後腹膜線維症、全身性若年性特発性関節炎(スチル病)を含む若年性特発性関節炎、成人発症スチル病、木質性結膜炎、モーレン潰瘍、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(PLEVA、別名:ムッハ・ハーベルマン病)、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、小児急性発症精神神経症候群(PANS)(連鎖球菌感染に伴う小児自己免疫性精神神経障害(PANDAS)を含む)、傍腫瘍性症候群(傍腫瘍性小脳変性症、ランバート・イートン筋無力症症候群、辺縁系脳炎、脳幹脳炎、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調症候群、抗NMDA受容体脳炎、胸腺腫関連多臓器自己免疫を含む)、静脈周囲脳脊髄炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、精子及び精巣自己免疫、スザック症候群、トロサ・ハント症候群、フォークト・小柳・原田病、抗シンテターゼ症候群、自己免疫性腸症、X連鎖免疫調節異常・多発性内分泌障害腸疾患(IPEX)、顕微鏡的大腸炎、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性多腺性内分泌不全症-カンジダ症-外胚葉ジストロフィー症候群(APEX)、痛風、偽痛風、アミロイド(AA又は続発性アミロイドーシスを含む)、好酸球性筋膜炎(シュールマン症候群)、プロゲステロン過敏症(プロゲステロン皮膚炎を含む)、家族性地中海熱(FMF)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連周期性発熱症候群(TRAPS)、周期性発熱症候群を伴う高グロブリンD血症(HIDS)、PAPA(化膿性関節炎、壊疽性膿皮症、重症嚢胞性ざ瘡)症候群、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏症(DIRA)、インターロイキン-36-受容体アンタゴニストの欠乏症(DITRA)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)(家族性寒冷自己炎症性症候群[FCAS]、マックル・ウェルズ症候群、新生児期発症多臓器性炎症性疾患[NOMID]を含む)、NLRP12関連自己炎症性障害(NLRP12AD)、周期性発熱アフタ性口内炎(PFAPA)、リポジストロフィー及び高熱を伴う慢性非定型好中球性皮膚症(CANDLE)、マジード症候群、ブラウ症候群(別名:若年性全身性肉芽腫症)、マクロファージ活性化症候群、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、家族性寒冷自己炎症性症候群、変異型アデノシンデアミナーゼ2及び単一遺伝子インターフェロン症(アイカルディ・グティエール症候群、脳白質ジストロフィーを伴う網膜脈管障害、脊椎内軟骨異形成症、乳児期発症STING[インターフェロン遺伝子の刺激因子]関連脈管障害、プロテアソーム関連自己炎症性症候群、家族性凍瘡状ループス、遺伝性対側性色素異常症を含む)、シュニッツラー症候群;家族性円柱腫症、先天性B細胞リンパ球増加症、OTULIN関連自己炎症性症候群、2型糖尿病、インスリン抵抗性及びメタボリックシンドローム(肥満関連炎症を含む)、アテローム硬化性障害(例えば、心筋梗塞、狭心症、虚血性心不全、虚血性腎障害、虚血性脳卒中、末梢血管疾患、大動脈瘤)、腎炎症性障害(例えば、糖尿病性腎症、膜性腎症、微小変化群、半月体形成性糸球体腎炎、急性腎障害、腎移植)からなる群から選択される疾患であるか、又はそれと関連する、請求項12~14のいずれか1項記載の使用のための化合物、使用のための医薬組成物、使用又は方法。
【請求項16】
式(II):
【化2】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物。
【請求項17】
式(III):
【化3】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物。
【請求項18】
式(IV):
【化4】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物。
【請求項19】
式(V):
【化5】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物。
【請求項20】
式(II):
【化6】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物を酸化することを含む、請求項1~6のいずれか1項記載の式(I)の化合物又はその塩及び/もしくは溶媒和物の調製のための方法。
【請求項21】
式(IV):
【化7】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物を酸化することを含む、請求項1~6のいずれか1項記載の式(I)の化合物又はその塩及び/もしくは溶媒和物の調製のための方法であって、該酸化の条件下で、テトラヒドロピラン環が除去される、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、化合物、並びに炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害の治療又は予防におけるその使用、並びに関連する組成物、方法、及び中間体化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ピルビン酸キナーゼ(PK)は、解糖の最終律速段階を担う酵素であり、ホスホエノールピルビン酸(PEP)及びADPがピルビン酸及びATPとなるのを触媒する。哺乳動物では、2つの別個の遺伝子に由来する4種のPKアイソフォームが存在する(Alves-Filhoらの文献、2016)。Pklr遺伝子の産物であるPKL及びPKRは、それぞれ、肝臓及び赤血球で発現される。PKM1及び2は、Pkm遺伝子の選択的スプライシング産物である。PKM1は、心臓、筋肉、及び脳などのエネルギー需要の高い組織で発現され、PKM2は、胚組織、がん細胞、並びにリンパ球及び腸上皮細胞などの正常な増殖細胞で発現される。PKM1が、常時活性な酵素であるのに対して、PKM2は、複数の内在性制御因子、例えば、上流の解糖中間体であるフルクトース-1,6-二リン酸(FBP)によるアロステリック活性化に依存する低活性酵素である。これらのアロステリック制御因子の結合は、立体構造の変化を誘導し、これは、PKM2の四量体形成を促進して、解糖の最終律速段階の増加をもたらす。ピルビン酸は、ミトコンドリアでのTCAサイクルに入り、そこで、それは、酸化的リン酸化によってATPを生成するのに用いられる。アロステリックな活性化がない場合、PKM2は、酵素活性が低い二量体又は単量体の形態をとり、活性化された又は増殖性の細胞の生合成前駆体に対する需要を満たす解糖中間体の蓄積をもたらす。また、二量体PKM2は、核に移行することができ、そこで、それは、好気的解糖をさらに促進すること、及び転写活性を調節することができ、転写因子及びヒストンを標的とするプロテインキナーゼとして働く。
【0003】
がん細胞は、主に、細胞のエネルギー及び生合成中間体を生み出すのに解糖を利用しており(これは、ワールブルク効果と名付けられている)、PKM2は、解糖においてがん細胞増殖の栄養需要を達成する支配的な役割を果たしている(Chhipaらの文献、2018)。PKM2は、ほとんど全てのがんにおいて過剰発現されており、腫瘍細胞の増殖及び転移を促進することが示されている。解糖流量(glycolytic flux)を制御することに加えて、この共活性化因子及びプロテインキナーゼとしてのPKM2の非代謝的役割は、腫瘍形成の一因となっている(Dongらの文献、2016)。PKM2は、ヒストンH3に直接結合し、それをリン酸化し、c-Myc及びCyclin D1の発現並びにがん細胞の増殖をもたらす。小分子によるPKM2四量体の活性化は、がんにおいて二量体PKM2の非代謝的機能を妨げることによって腫瘍成長を食い止めるための魅力的な療法となり得る。
【0004】
活性化又は炎症性の刺激後に、PKM2は、マクロファージ及びT細胞を含む多くの免疫細胞において上方制御される(Palsson-McDermottらの文献、2020)。二量体PKM2の非代謝的役割が、免疫応答を調節することが示されている。即ち、PKM2は、Hif-1α、b-カテニン、及びSTAT3の転写共活性化因子として働き、IL-1β及びTNFαなどの炎症促進性サイトカインの発現をもたらす。小分子によってPKM2を活性化して核移行を防ぐことは、関節リウマチ、炎症性腸疾患、炎症性皮膚症状、冠動脈疾患、及び多発性硬化症などの炎症性及び自己免疫性の状態の範囲において治療的利益を有する可能性がある。
【0005】
糖尿病では、PKM2は、グルコース応答性膵β細胞機能を調節し、代謝ストレスを防ぐ(Abuliziらの文献、2020; Lewandowskiらの文献、2020)。二量体PKM2は、異常な解糖においてHIF-1αの蓄積を促進することによって役割を果たしており、糖尿病性腎症では、PKM2は、線維症に繋がる糸球体の損傷及び上皮間葉転換における病原性の役割と関連づけられている(Liuらの文献、2020)。PKM2活性化が、インスリン放出を増大させ、インスリン感受性を向上させ、糖尿病性の糸球体の症状及び腎線維症の進行を防ぐことが示されている(Liuらの文献、2020; Abuliziらの文献、2020; Lewandowskiらの文献、2020; Qiらの文献、2017)。
【0006】
肥満症は、健康に対するリスクを呈する異常な又は過度の脂肪蓄積と定義され、2型糖尿病及び心血管系疾患の発生率の上昇と関連づけられている。この代謝障害は、肥満対象におけるインスリン抵抗性並びにグルコースの代謝及び処理に対する有害な影響と強く関連している(Barazzoniらの文献、2018)。さまざまなレベルのインスリンに曝露させた3T3-L1脂肪細胞に関する研究では、培地中のグルコースのレベルに非依存性の、PKM2 mRNAレベルの著しい増加がもたらされた(Puckettらの文献、2021)。変化したPKM2リン酸化状態及び結果として生じる触媒活性の低下の影響に関する研究によって、PKM2が脂肪組織におけるインスリン抵抗性に対する寄与因子でありそうであることが確認され、ヒトにおける代謝状態と結び付けられた(Bettaiebらの文献、2013)。小分子アロステリック活性化因子を用いてPKM2活性を回復させることによって、インスリン感受性が向上することが示されており(Abuliziの文献、2020; Lewandowskiの文献、2020)、肥満症における薬理学的介入の新規の標的としてのさらなる調査を正当化する。
【0007】
ピルビン酸キナーゼ欠乏症(PKD)は、赤血球において最もよくみられる酵素欠陥の1つであり、これは、赤血球の加速度的な破壊である溶血性貧血として現れる(Bianchiらの文献、2020)。成熟した赤血球は、細胞の完全性及び機能の維持を解糖に全面的に依存しており、従って、ピルビン酸キナーゼは、赤血球の代謝及び生存において極めて重要な役割を果たす。PKR酵素における遺伝性の変異は、その触媒活性の調節不全を招き、低下したピルビン酸キナーゼ酵素活性、ATPレベルの低下、及び上流代謝産物の蓄積によって証拠が示されるように、赤血球内の細胞エネルギーの不足を引き起こす。また、PKR活性の低下は、赤血球の形態及び細胞膜表面の変化と関連づけられており、この細胞の全寿命におけるこの酵素のより広い関与を示唆している(Cancadoらの文献、2018)。PK欠乏赤血球は、脾臓によって加速された溶血を通じて循環から成熟前に取り除かれ、鉄の蓄積をもたらす。PKR活性の準基礎レベルへの増加及び/又は回復が、PK欠乏症関連合併症を治療する可能性を有すると考えられている。現行のPKDの標準治療は、輸血、脾摘出術、鉄過剰症に対処するキレート療法、及び/又は他の治療関連及び疾患関連の病的状態に対する治療介入などを含む支持的なものである。PK欠乏症の根底にある原因を治療するための承認された療法は存在しない。小分子アロステリック活性化因子を用いるPKR酵素の活性化は、PK酵素活性を増加させ、PK欠乏症の患者由来の赤血球における解糖を亢進させた(Kungらの文献、2017)。
【0008】
TEPP-46及びDASA-58などの小分子アゴニストを用いることによる薬理学的介入が、インビトロ及びインビボの生物学的設定で広く利用され、アロステリック調節によってPK活性を強化することによって提供される利益の可能性がいくつか示されている(Yiらの文献、2021)。これらの化合物は、良好なレベルのインビトロ活性を示すものの、それらのADME及び薬物動態学的/薬力学的プロファイルが、該化合物がヒト疾患の治療のために開発されることを阻んできた。TEPP-46の構造は、以下:
【化1】
の通りである。
【0009】
臨床の現場で広く試験されている最も進んだPK活性化因子は、対応する野生型赤血球よりも低い触媒活性を示すPK変異形態に起因するいくつかの血液障害の治療に関して調査されているPKM2及びPKLR活性化因子であるミタピバット(AG-348)である(Kungらの文献、2017)。この薬剤は、PK欠乏症を呈する患者に投与された場合に、基礎ヘモグロビンレベルを増加させることによって適切なレベルの有効性を示している。しかしながら、この有望な結果にもかかわらず、有効性を達成するのに必要とされる高用量レジメン及びBID(1日2回)の投薬頻度が、より有利な薬物動態学的及び向上した安全性プロファイルを有するより有効な化合物を開発する必要性を際立たせている(Graceらの文献、2019)。ミタピバットの構造は、以下の通りである。
【化2】
【0010】
WO2020/167976A1(Agios Pharmaceuticals社)には、PK活性を調節すると言われている、がん、肥満症、及び糖尿病関連障害の治療用の化合物が記載されている。
【0011】
PK機能障害と関連づけられているいくつかのアンメット・メディカル・ニーズを満たす新規の疾患修飾性PKモジュレーターを特定し開発する必要性、特に、好適な物理的・化学的パラメーターを有しながらも適当な活性を示す化合物を開発する必要性が依然として存在する。PKモジュレーター、特に、PKM2及び/又はPKLRモジュレーター、特に、PKM2及び/又はPKLR活性化因子として本明細書に記載される化合物は、向上したADME及びPKプロファイルとともに、より良好な全体的な物理的/化学的性質を有しながら、PK酵素、特に、PKM2及び/又はPKLRに対する適当な親和性及び機能活性を示すことにより、該化合物をピルビン酸キナーゼ酵素の発現及び/又は活性の機能変化と関連づけられているヒト疾患の治療に適したものとして上述のアンメット・ニーズに対処している。
【発明の概要】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンである式(I):
【化3】
の化合物;又はその塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
式(I)の化合物に関して本明細書に記載される実施態様及び選択物は、本発明の医薬組成物、使用のための化合物、使用、方法(method)、及び方法(process)の態様にも同様に当てはまる。
【0014】
6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンである式(I):
【化4】
の化合物が提供される。
【0015】
式(I)の化合物は、後述の実施例セクションに示されるように合成され得る。
【0016】
特に、式(II):
【化5】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物が提供される。
【0017】
また、式(III):
【化6】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物も提供される。
【0018】
また、式(IV):
【化7】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物も提供される。
【0019】
また、式(V):
【化8】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物も提供される。
【0020】
また、式(II):
【化9】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物を酸化することを含む、本明細書に記載されるような式(I)の化合物又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物の調製のためのプロセスも提供される。
【0021】
また、式(IV):
【化10】
の化合物;又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物を酸化することであって、該酸化の条件下で、テトラヒドロピラン環が除去される、前記酸化することを含む、本明細書に記載されるような式(I)の化合物又はその塩(例えば、医薬として許容し得る塩)及び/もしくは溶媒和物の調製のためのプロセスも提供される。
【0022】
当業者は、本明細書に記載される合成スキームの全体にわたって保護基を用いて、上記化合物のいずれかの保護された誘導体を得ることができることを認めるであろう。保護基及びそれらの除去のための手段は、John Wiley & Sons社により出版されているTheodora W. Greene及びPeter G. M. Wutsの文献「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」;第4改訂版、2006、ISBN-10: 0471697540に記載されている。窒素保護基の例としては、トリチル(Tr)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、アセチル(Ac)、ベンジル(Bn)、及びパラ-メトキシベンジル(PMB)が挙げられる。酸素保護基の例としては、アセチル(Ac)、メトキシメチル(MOM)、パラ-メトキシベンジル(PMB)、ベンジル、tert-ブチル、メチル、エチル、テトラヒドロピラニル(THP)、並びにシリルエーテル及びエステル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)、及びトリイソプロピルシリル(TIPS)エーテル及びエステルなど)が挙げられる。カルボン酸保護基の具体例としては、アルキルエステル(C1-6アルキル、例えば、C1-4アルキルエステルなど)、ベンジルエステル、及びシリルエステルが挙げられる。
【0023】
療法における使用のためには、式(I)の化合物の塩が、医薬として許容し得るものであるべきであることが認識されるであろう。適当な医薬として許容し得る塩は、当業者には明らかであろう。医薬として許容し得る塩としては、酸付加塩、好適には、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、又はリン酸と形成されるアミノ基などの塩基性基を含む本発明の化合物の塩が挙げられる。また、有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及び1,5-ナフタレンジスルホン酸と形成される塩も挙げられる。他の塩、例えば、シュウ酸塩又はギ酸塩を、例えば、式(I)の化合物の単離に用いてもよく、これらも本発明の範囲内に含まれ、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、及び他の金属塩などの塩基性付加塩も同様である。
【0024】
また、医薬として許容し得る塩は、塩基性アミンなどの有機塩基、例えば、アンモニア、メグルミン、トロメタミン、ピペラジン、アルギニン、コリン、ジエチルアミン、ベンザチン、又はリジンとも形成され得る。
【0025】
一実施態様において、医薬として許容し得る塩などの塩の形態の式(I)の化合物が提供される。あるいは、遊離酸の形態の式(I)の化合物が提供される。化合物が、塩基性基及び遊離酸を含む場合、それは、双性イオンとなり得る。
【0026】
好適には、式(I)の化合物は、塩の形態ではなく、例えば、医薬として許容し得る塩の形態ではない。
【0027】
好適には、式(I)の化合物が、塩の形態である場合、医薬として許容し得る塩は、(例えば、HClなどの無機酸と形成される)アンモニウム塩などの酸付加塩である。
【0028】
式(I)の化合物は、結晶性又は非結晶性の形態で調製され得、結晶性の場合、任意に、例えば、水和物として溶媒和されていてもよい。本発明は、その範囲に、化学量論溶媒和物(例えば、水和物)及び変動する量の溶媒(例えば、水)を含む溶媒和物を含む。好適には、式(I)の化合物は、医薬として許容し得る溶媒和物などの溶媒和物ではない。
【0029】
一実施態様において、医薬として許容し得る溶媒和物などの溶媒和物の形態の式(I)の化合物が提供される。
【0030】
本発明は、式(I)の化合物の医薬として許容し得るプロドラッグなどのその医薬として許容し得る誘導体に及ぶ。従って、一実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得るプロドラッグとして提供される。別の実施態様において、式(I)の化合物は、医薬として許容し得るプロドラッグとして提供されない。
【0031】
本発明が、式(I)の化合物の全ての異性体を包含することを理解すべきである。特に、本発明は、式(I)の化合物の全ての互変異性形態に及ぶ。
【0032】
また、本発明は、本明細書で提供される化合物の全ての同位体形態を、(i)所与の原子番号の全ての原子が、自然界で優勢である質量数(又は質量数の混合物)を有する形態(本明細書では、「天然同位体形態」と称される)であろうと、(ii)1つ以上の原子が、同じ原子番号を有するが、自然界で優勢である原子の質量数とは異なる質量数を有する原子によって置き換えられている形態(本明細書では、「非天然バリアント同位体形態」と称される)であろうと含む。原子が、質量数の混合物として天然に存在する場合があることが理解される。また、「非天然バリアント同位体形態」という用語は、天然にあまり見られない質量数を有する所与の原子番号の原子(本明細書では、「まれな同位体」と称される)の比率が、天然に存在するものと比較して例えば、当該原子番号の原子の数で>20%、>50%、>75%、>90%、>95%、又は>99%のレベルまで増加している実施態様も含む(後者の実施態様は、「同位体濃縮されたバリアント形態」と呼ばれる)。また、「非天然バリアント同位体形態」という用語は、まれな同位体の比率が、天然に存在するものと比較して低下している実施態様も含む。同位体形態は、放射活性形態(すなわち、これは、放射性同位元素を組み入れている)及び非放射活性形態を含み得る。放射活性形態は、通常、同位体濃縮されたバリアント形態であろう。
【0033】
従って、化合物の非天然バリアント同位体形態は、1つ以上の原子において重水素(2H又はD)、炭素-11(11C)、炭素-13(13C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、窒素-15(15N)、酸素-15(15O)、酸素-17(17O)、酸素-18(18O)、リン-32(32P)、硫黄-35(35S)、塩素-36(36Cl)、塩素-37(37Cl)、フッ素-18(18F)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ素-125(125I)などの1種以上の人工の又はまれな同位体を含んでいてもよく、又は1つ以上の原子において自然界で優勢である比率と比較して増加した比率の該同位体を含んでいてもよい。
【0034】
放射性同位元素を含む非天然バリアント同位体形態は、例えば、薬物及び/又は基質組織分布研究に使用され得る。放射性同位元素であるトリチウム、すなわち、3H、及び炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組み込みの容易さ及び検出の手段が整っていることを考慮するとこの目的のために特に有用である。重水素、すなわち、2H又はDを組み込んでいる非天然バリアント同位体形態は、より高い代謝安定性、例えば、増加したインビボ半減期又は低下した必要用量に起因するある種の治療的利点をもたらすことがあり、従って、ある状況においては好ましいことがある。さらに、11C、18F、15O、及び13Nなどの陽電子放出同位体を組み込んでおり、基質受容体占有率を調査するための陽電子放出組織分布(PET)研究に有用であろう非天然バリアント同位体形態が、調製され得る。
【0035】
一実施態様において、式(I)の化合物は、天然同位体形態で提供される。一実施態様において、式(I)の化合物は、非天然バリアント同位体形態で提供される。具体的な実施態様において、非天然バリアント同位体形態は、式(I)の化合物の1つ以上の原子において化学構造で水素が指定されているところに重水素(すなわち、2H又はD)が、組み込まれている形態である。一実施態様において、式(I)の化合物の原子は、放射活性ではない同位体形態である。一実施態様において、式(I)の化合物の1つ以上の原子は、放射活性である同位体形態である。好適には、放射性同位元素は、安定同位体である。好適には、非天然バリアント同位体形態は、医薬として許容し得る形態である。
【0036】
一実施態様において、化合物の単一の原子が、非天然バリアント同位体形態で存在する式(I)の化合物が提供される。別の実施態様において、2つ以上の原子が、非天然バリアント同位体形態で存在する式(I)の化合物が提供される。
【0037】
非天然同位体バリアント形態は、一般に、当業者に公知の従来技術によって又は本明細書に記載される方法、例えば、天然同位体形態を調製するための付随の実施例に記載されているものに類似の方法によって調製することができる。従って、非天然同位体バリアント形態は、実施例で採用される通常の試薬の代わりに適切な同位体バリアント(又は標識化)試薬を用いることによって調製され得る。式(I)の化合物は、医薬組成物における使用のために意図されているために、これらはそれぞれ、好ましくは、実質的に純粋な形態で、例えば、少なくとも60%純度、より好適には、少なくとも75%純度、及び、好ましくは、少なくとも85%、特に、少なくとも98%純度で提供されることが容易に理解されるであろう(%は、重量対重量ベースである)。化合物の純粋でない調製物を、医薬組成物において用いられるより純粋な形態を調製するのに用いてもよい。
【0038】
(治療効能)
式(I)の化合物は、療法における使用のため、特に、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を治療又は予防するためのものである。後述の生物学的実施例1に示されるように、実施例1は、ミタピバットと比較して向上したPKM2モジュレーター活性を示した。後述の生物学的実施例2に示されるように、実施例1は、ここでも、ミタピバットを対照薬として用いて向上したPKLRモジュレーター活性を示した。後述の生物学的実施例3に示されるように、実施例1は、CD4+ T細胞ピルビン酸キナーゼアッセイにおいて、ここでもミタピバットを対照薬として用いて向上したピルビン酸キナーゼ活性を示した。
【0039】
従って、さらなる態様において、本発明は、医薬品としての使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。また、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を含む医薬組成物も提供される。そのような医薬組成物は、式(I)の化合物及び1種以上の医薬として許容し得る希釈剤又は担体を含有する。
【0040】
さらなる態様において、本発明は、PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又は医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。さらなる態様において、本発明は、PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用を提供する。さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態を治療又は予防する方法を提供する。
【0041】
さらなる態様において、本発明は、PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態に関連する症状治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又は医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。さらなる態様において、本発明は、PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態に関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用を提供する。さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、PK、特に、PKM2及び/又はPKLRの機能に関連する疾患、障害、又は状態に関連する症状を治療又は予防する方法を提供する。
【0042】
一実施態様において、式(I)の化合物は、PKM2のモジュレーターである。別の実施態様において、式(I)の化合物は、PKM2の活性化因子である。一実施態様において、式(I)の化合物は、PKLRのモジュレーターである。別の実施態様において、式(I)の化合物は、PKLRの活性化因子である。化合物は、それが、例えば、適当なアッセイ(PKM2についての生物学的実施例1及びPKLRについての生物学的実施例2など)において生じるATPの濃度を決定することによって定量化できる酵素の活性を増加させる場合に、PK(例えば、PKM2及び/又はPKLR)の「活性化因子」である。
【0043】
さらなる態様において、本発明は、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。さらなる態様において、本発明は、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用を提供する。さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を治療又は予防する方法を提供する。
【0044】
さらなる態様において、本発明は、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を提供する。さらなる態様において、本発明は、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用を提供する。さらなる態様において、本発明は、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状を治療又は予防する方法を提供する。
【0045】
本発明の全ての態様について、好適には、化合物は、それを必要としている対象に投与され、該対象は、好適には、ヒト対象である。
【0046】
一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害の治療における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を治療するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を治療する方法が提供される。
【0047】
一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状の治療における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状を治療するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状を治療する方法が提供される。
【0048】
一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害の予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害を予防する方法が提供される。
【0049】
一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状の予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状を予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患、望ましくない免疫応答に関連する疾患、がん、肥満症、糖尿病性疾患、又は血液障害に関連する症状を予防する方法が提供される。
【0050】
一実施態様において、炎症性疾患の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、炎症性疾患を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患を治療又は予防する方法が提供される。
【0051】
一実施態様において、炎症性疾患に関連する症状の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、炎症性疾患に関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患に関連する症状を治療又は予防する方法が提供される。
【0052】
一実施態様において、炎症性疾患に関連する炎症の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、炎症性疾患に関連する炎症を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、炎症性疾患に関連する炎症を治療又は予防する方法が提供される。
【0053】
一実施態様において、望ましくない免疫応答に関連する疾患の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、望ましくない免疫応答に関連する疾患を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、望ましくない免疫応答に関連する疾患を治療又は予防する方法が提供される。
【0054】
一実施態様において、望ましくない免疫応答に関連する疾患に関連する症状の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、望ましくない免疫応答に関連する疾患に関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、望ましくない免疫応答に関連する疾患に関連する症状を治療又は予防する方法が提供される。
【0055】
一実施態様において、望ましくない免疫応答に関連する疾患に関連する炎症の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、望ましくない免疫応答に関連する疾患に関連する炎症を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、望ましくない免疫応答に関連する疾患に関連する炎症を治療又は予防する方法が提供される。
【0056】
一実施態様において、がんの治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、がんを治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、がんを治療又は予防する方法が提供される。
【0057】
一実施態様において、がんに関連する症状の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、がんに関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、がんに関連する症状を治療又は予防する方法が提供される。
【0058】
一実施態様において、肥満症の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、肥満症を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、肥満症を治療又は予防する方法が提供される。
【0059】
一実施態様において、肥満症に関連する症状の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、肥満症に関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、肥満症に関連する症状を治療又は予防する方法が提供される。
【0060】
一実施態様において、糖尿病性疾患の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、糖尿病性疾患を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、糖尿病性疾患を治療又は予防する方法が提供される。
【0061】
一実施態様において、糖尿病性疾患に関連する症状の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、糖尿病性疾患に関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、糖尿病性疾患に関連する症状を治療又は予防する方法が提供される。
【0062】
一実施態様において、血液障害の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、血液障害を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、血液障害を治療又は予防する方法が提供される。
【0063】
一実施態様において、血液障害に関連する症状の治療又は予防における使用のための、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物が提供される。本発明の一実施態様において、血液障害に関連する症状を治療又は予防するための医薬品の生産における、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物の使用が提供される。本発明の一実施態様において、本明細書で定義されるような式(I)の化合物又はその医薬として許容し得る塩及び/もしくは溶媒和物を投与することを含む、血液障害に関連する症状を治療又は予防する方法が提供される。
【0064】
望ましくない免疫応答は、典型的には、病態を生じさせる免疫応答であろう。すなわち、これは、病的免疫応答又は反応である。
【0065】
一実施態様において、前記炎症性疾患又は望ましくない免疫応答に関連する疾患は、自己免疫疾患である。
【0066】
一実施態様において、前記炎症性疾患又は望ましくない免疫応答に関連する疾患は:乾癬(慢性尋常性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬、滴状乾癬、インバース乾癬、及び爪乾癬を含む)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD、慢性気管支炎及び肺気腫を含む)、心不全(左室不全を含む)、心筋梗塞、狭心症、他のアテローム性動脈硬化症及び/又はアテローム血栓症関連障害(末梢血管疾患及び虚血性脳卒中を含む)、ミトコンドリア性及び神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性、又はミトコンドリア性脳筋症など)、自己免疫性傍腫瘍性網膜症、移植拒絶反応(抗体介在性及びT細胞介在性の形態を含む)、多発性硬化症、横断性脊髄炎、虚血再灌流障害(例えば、冠動脈バイパス移植のための心肺バイパス術又は他の心臓手術などの待機的手術の間のもの、経皮的冠動脈形成術後のもの、急性のST上昇型心筋梗塞もしくは虚血性脳卒中の治療、臓器移植、又は急性コンパートメント症候群後のもの)、AGE誘発性ゲノム損傷、炎症性腸疾患(例えば、クローン病又は潰瘍性大腸炎)、原発性硬化性胆管炎(PSC)、PSC-自己免疫性肝炎オーバーラップ症候群、非アルコール性脂肪性肝疾患(非アルコール性脂肪性肝炎)、リウマチ性、環状肉芽腫、皮膚エリテマトーデス(CLE)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、薬剤誘発性ループス、自己免疫性の心筋炎又は心筋心膜炎、ドレッスラー症候群、巨細胞性心筋炎、心膜切開後症候群、薬剤誘発性過敏症症候群(過敏性心筋炎を含む)、湿疹、サルコイドーシス、結節性紅斑、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、視神経脊髄炎スペクトラム障害、MOG(ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質)抗体関連障害(MOG-EMを含む)、視神経炎、CLIPPERS(ステロイドに反応する橋血管周囲増強を伴う慢性リンパ球性炎症)、びまん性ミエリン破壊性硬化症(diffuse myelinoclastic sclerosis)、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、他の脊椎関節炎(乾癬、炎症性腸疾患、反応性関節炎、もしくは若年性発症形態に関連する末梢脊椎関節炎を含む)、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、類天疱瘡(水疱性類天疱瘡、粘膜類天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、妊娠性疱疹又は妊娠性類天疱瘡、眼部瘢痕性類天疱瘡を含む)、線状IgA病、セリアック病、シャーガス病、皮膚筋炎、I型糖尿病、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群及びそのサブタイプ(急性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー、AIDP、急性運動性軸索型ニューロパチー(AMAN)、急性運動感覚性軸索型ニューロパチー(AMSAN)、咽頭-頸部-上腕型、ミラー・フィッシャー型、及びビッカースタッフ脳幹脳炎を含む)、進行性炎症性ニューロパチー、橋本病、化膿性汗腺炎、封入体筋炎、壊死性ミオパチー、川崎病、IgA腎症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、特発性血小板減少性紫斑病、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、エバンス症候群、間質性膀胱炎、混合性結合組織病、未分化結合組織病、モルフェア、重症筋無力症(MuSK抗体陽性及び血清陰性型を含む)、ナルコレプシー、神経性筋強直症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性胆管炎(別名:原発性胆汁性肝硬変)、関節リウマチ、回帰性リウマチ、統合失調症、自己免疫性(髄膜)脳炎症候群、強皮症、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、リウマチ性多発筋痛、巨細胞動脈炎(側頭動脈炎)、高安動脈炎、結節性多発動脈炎、川崎病、多発血管炎性肉芽腫症(GPA;かつてのウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA;かつてのチャーグ・ストラウス症候群)、顕微鏡的多発動脈炎/多発血管炎、低補体血症性蕁麻疹様血管炎、過敏性血管炎、クリオグロブリン血症、閉塞性血栓血管炎(バージャー病)、血管炎、白血球破壊性血管炎、白斑、急性散在性脳脊髄炎、副腎白質ジストロフィー、アレキサンダー病、アルパース病(Alper's disease)、バロー同心円硬化症又はマールブルグ病、特発性器質化肺炎(かつての閉塞性細気管支炎性器質化肺炎)、カナバン病、中枢神経系血管炎症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、中枢神経系ミエリン形成不全を伴う小児運動失調、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー(CIDP)、糖尿病性網膜症、グロボイド細胞白質ジストロフィー(クラッベ病)、移植片対宿主病(GVHD)(急性及び慢性の形態並びに腸GVHDを含む)、C型肝炎(HCV)感染症又は合併症、単純ヘルペスウイルス感染症又は合併症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症又は合併症、扁平苔癬、平山病、線維症、嚢胞性線維症、肺動脈性肺高血圧症(PAH、特発性PAHを含む)、肺サルコイドーシス、特発性肺線維症、腎線維症、小児喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、鼻炎、副鼻腔炎、結膜炎、アレルギー性結膜炎、乾性角結膜炎、ドライアイ、眼球乾燥症、緑内障、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、黄斑変性(乾性及び/又は湿性加齢黄斑変性、AMDを含む)、白内障術後炎症、ブドウ膜炎(後部、前部、中間部、及び汎ブドウ膜炎を含む)、虹彩毛様体炎、強膜炎、角膜移植及び角膜縁細胞移植拒絶反応、グルテン過敏性腸症(セリアック病)、疱疹状皮膚炎、好酸球性食道炎、食道通過障害、自己免疫性自律神経障害、自己免疫性脳脊髄炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性精巣炎、自己免疫性膵炎、大動脈炎及び大動脈周囲炎、自己免疫性網膜症、自己免疫性蕁麻疹、ベーチェット病、(特発性)キャッスルマン病、コーガン症候群、IgG4関連疾患、後腹膜線維症、全身性若年性特発性関節炎(スチル病)を含む若年性特発性関節炎、成人発症スチル病、木質性結膜炎、モーレン潰瘍、急性痘瘡状苔癬状粃糠疹(PLEVA、別名:ムッハ・ハーベルマン病)、多巣性運動ニューロパチー(MMN)、小児急性発症精神神経症候群(PANS)(連鎖球菌感染に伴う小児自己免疫性精神神経障害(PANDAS)を含む)、傍腫瘍性症候群(傍腫瘍性小脳変性症、ランバート・イートン筋無力症症候群、辺縁系脳炎、脳幹脳炎、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調症候群、抗NMDA受容体脳炎、胸腺腫関連多臓器自己免疫を含む)、静脈周囲脳脊髄炎、反射性交感神経性ジストロフィー、再発性多発性軟骨炎、精子及び精巣自己免疫、スザック症候群、トロサ・ハント症候群、フォークト・小柳・原田病、抗シンテターゼ症候群、自己免疫性腸症、X連鎖免疫調節異常・多発性内分泌障害腸疾患(IPEX)、顕微鏡的大腸炎、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性多腺性内分泌不全症-カンジダ症-外胚葉ジストロフィー症候群(APEX)、痛風、偽痛風、アミロイド(AA又は続発性アミロイドーシスを含む)、好酸球性筋膜炎(シュールマン症候群)、プロゲステロン過敏症(プロゲステロン皮膚炎を含む)、家族性地中海熱(FMF)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連周期性発熱症候群(TRAPS)、周期性発熱症候群を伴う高グロブリンD血症(HIDS)、PAPA(化膿性関節炎、壊疽性膿皮症、重症嚢胞性ざ瘡)症候群、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏症(DIRA)、インターロイキン-36-受容体アンタゴニストの欠乏症(DITRA)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)(家族性寒冷自己炎症性症候群[FCAS]、マックル・ウェルズ症候群、新生児期発症多臓器性炎症性疾患[NOMID]を含む)、NLRP12関連自己炎症性障害(NLRP12AD)、周期性発熱アフタ性口内炎(PFAPA)、リポジストロフィー及び高熱を伴う慢性非定型好中球性皮膚症(CANDLE)、マジード症候群、ブラウ症候群(別名:若年性全身性肉芽腫症)、マクロファージ活性化症候群、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、家族性寒冷自己炎症性症候群、変異型アデノシンデアミナーゼ2及び単一遺伝子インターフェロン症(アイカルディ・グティエール症候群、脳白質ジストロフィーを伴う網膜脈管障害、脊椎内軟骨異形成症、乳児期発症STING[インターフェロン遺伝子の刺激因子]関連脈管障害、プロテアソーム関連自己炎症性症候群、家族性凍瘡状ループス、遺伝性対側性色素異常症を含む)、シュニッツラー症候群;家族性円柱腫症、先天性B細胞リンパ球増加症、OTULIN関連自己炎症性症候群、2型糖尿病、インスリン抵抗性及びメタボリックシンドローム(肥満関連炎症を含む)、アテローム硬化性障害(例えば、心筋梗塞、狭心症、虚血性心不全、虚血性腎障害、虚血性脳卒中、末梢血管疾患、大動脈瘤)、腎炎症性障害(例えば、糖尿病性腎症、膜性腎症、微小変化群、半月体形成性糸球体腎炎、急性腎障害、腎移植)からなる群から選択される疾患であるか、又はそれと関連する。
【0067】
一実施態様において、前記炎症性疾患又は望ましくない免疫応答に関連する疾患は、以下の自己炎症性疾患:家族性地中海熱(FMF)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連周期性発熱症候群(TRAPS)、周期性発熱症候群を伴う高グロブリンD血症(HIDS)、PAPA(化膿性関節炎、壊疽性膿皮症、及び重症嚢胞性ざ瘡)症候群、インターロイキン-1受容体アンタゴニストの欠乏症(DIRA)、インターロイキン-36-受容体アンタゴニストの欠乏症(DITRA)、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)(家族性寒冷自己炎症性症候群[FCAS]、マックル・ウェルズ症候群、及び新生児期発症多臓器性炎症性疾患[NOMID]を含む)、NLRP12関連自己炎症性障害(NLRP12AD)、周期性発熱アフタ性口内炎(PFAPA)、リポジストロフィー及び高熱を伴う慢性非定型好中球性皮膚症(CANDLE)、マジード症候群、ブラウ症候群(別名:若年性全身性肉芽腫症)、マクロファージ活性化症候群、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)、家族性寒冷自己炎症性症候群、変異型アデノシンデアミナーゼ2及び単一遺伝子インターフェロン症(アイカルディ・グティエール症候群、脳白質ジストロフィーを伴う網膜脈管障害、脊椎内軟骨異形成症、乳児期発症STING[インターフェロン遺伝子の刺激因子]関連脈管障害、プロテアソーム関連自己炎症性症候群、家族性凍瘡状ループス、遺伝性対側性色素異常症を含む)、並びにシュニッツラー症候群から選択される疾患であるか、又はそれと関連する。
【0068】
一実施態様において、前記炎症性疾患又は望ましくない免疫応答に関連する疾患は、過剰のNF-κBもしくはNF-κBシグナル伝達経路における機能獲得が介在するか、又はそれらからの異常な病態形成への多大な寄与(非標準的NF-κBシグナル伝達を含む)が存在する以下の疾患:家族性円柱腫症、先天性B細胞リンパ球増加症、OTULIN関連自己炎症性症候群、2型糖尿病、インスリン抵抗性及びメタボリックシンドローム(肥満関連炎症を含む)、アテローム硬化性障害(例えば、心筋梗塞、狭心症、虚血性心不全、虚血性腎障害、虚血性脳卒中、末梢血管疾患、大動脈瘤)、腎炎症性障害(例えば、糖尿病性腎症、膜性腎症、微小変化群、半月体形成性糸球体腎炎、急性腎障害、腎移植)、喘息、COPD、1型糖尿病、関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)、並びにSLEから選択される疾患であるか、又はそれと関連する。
【0069】
一実施態様において、前記疾患は、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)、アトピー性皮膚炎、線維症、ブドウ膜炎、クリオピリン関連周期性症候群、マックル・ウェルズ症候群、若年性特発性関節炎、慢性閉塞性肺疾患、及び喘息からなる群から選択される。
【0070】
一実施態様において、前記疾患は、多発性硬化症である。
【0071】
一実施態様において、前記疾患は、乾癬である。
【0072】
一実施態様において、前記疾患は、喘息である。
【0073】
一実施態様において、前記疾患は、慢性閉塞性肺疾患である。
【0074】
一実施態様において、前記疾患は、全身性エリテマトーデスである。
【0075】
一実施態様において、前記疾患は、関節リウマチである。
【0076】
一実施態様において、前記疾患は、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)である。
【0077】
一実施態様において、前記疾患は、アトピー性皮膚炎である。
【0078】
一実施態様において、前記疾患は、線維症である。
【0079】
一実施態様において、がんは、急性リンパ芽球性白血病、成人;急性リンパ芽球性白血病、小児;急性骨髄性白血病、成人;副腎皮質癌;副腎皮質癌、小児;エイズ関連リンパ腫;エイズ関連悪性腫瘍;肛門がん;星細胞腫、小児小脳;星細胞腫、小児大脳;バレット食道(前癌性症候群);胆管がん、肝外;膀胱がん;膀胱がん、小児;骨がん、骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳幹神経膠腫、小児;脳腫瘍、成人;脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小児;脳腫瘍、小脳星細胞腫、小児;脳腫瘍、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、小児;脳腫瘍、上衣腫、小児;脳腫瘍、髄芽腫、小児;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;脳腫瘍、視路及び視床下部神経膠腫、小児;脳腫瘍、小児(その他);乳がん;乳がん及び妊娠;乳がん、小児;乳がん、男性;気管支腺腫/カルチノイド、小児;カルチノイド腫瘍、小児;カルチノイド腫瘍、胃腸;癌、副腎皮質;癌、膵島細胞;原発不明の癌;中枢神経系リンパ腫、原発性;小脳星細胞腫、小児;大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、小児;子宮頸がん;小児がん;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;慢性骨髄増殖性障害;腱鞘の淡明細胞肉腫;結腸がん;結腸直腸がん;結腸直腸がん、小児;皮膚T細胞リンパ腫;子宮内膜がん;上衣腫、小児;上皮がん、卵巣;食道がん;食道がん、小児;ユーイングファミリー腫瘍;頭蓋外胚細胞腫瘍、小児;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;眼がん、眼球内黒色腫;眼がん、網膜芽細胞腫;胆嚢がん;胃がん;胃がん、小児;消化管カルチノイド腫瘍;胚細胞腫瘍、頭蓋外、小児;胚細胞腫瘍、性腺外;胚細胞腫瘍、卵巣;妊娠性絨毛性腫瘍;神経膠腫、小児脳幹;神経膠腫、小児視路及び視床下部;ヘアリー細胞白血病;頭頸部がん;肝細胞(肝臓)がん;肝細胞(肝臓)がん、成人(原発性);肝細胞(肝臓)がん、小児(原発性);食道のがん;ホジキンリンパ腫;ホジキンリンパ腫、成人;ホジキンリンパ腫、小児;ホジキンリンパ腫、妊娠時;下咽頭がん;視床下部及び視路神経膠腫、小児;眼球内黒色腫;島細胞癌(膵内分泌部);内分泌系のがん(例えば、甲状腺、膵臓、副甲状腺、又は副腎のがん);カポジ肉腫;腎臓がん;喉頭がん;喉頭がん、小児;白血病、急性リンパ芽球性、成人;白血病、急性リンパ芽球性、小児;白血病、急性骨髄性、成人;白血病、急性骨髄性、小児;白血病、慢性リンパ球性;白血病、慢性骨髄性;白血病、ヘアリー細胞;リンパ球性リンパ腫;口唇及び口腔がん;肝臓がん、成人(原発性);肝臓がん、小児(原発性);肺がん;肺がん、非小細胞性;肺がん、小細胞性;リンパ芽球性白血病、成人急性;リンパ芽球性白血病、小児急性;リンパ球性白血病、慢性;リンパ腫、エイズ関連;リンパ腫、中枢神経系(原発性);リンパ腫、皮膚T細胞性;リンパ腫、ホジキン、成人;リンパ腫、ホジキン、小児;リンパ腫、ホジキン、妊娠時;リンパ腫、非ホジキン、成人;リンパ腫、非ホジキン、小児;リンパ腫、非ホジキン、妊娠時;リンパ腫、原発性中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性乳がん;悪性中皮腫、成人;悪性中皮腫、小児;悪性胸腺腫;髄芽腫、小児;黒色腫;黒色腫、眼球内;メルケル細胞癌;中皮腫、悪性;原発不明転移性扁平上皮性頸部がん;多発性内分泌腫瘍症候群、小児;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症;骨髄異形成症候群;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性;骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔がん;鼻咽頭がん;鼻咽頭がん、小児;腫瘍性皮膚疾患;神経芽腫;非ホジキンリンパ腫、成人;非ホジキンリンパ腫、小児;非ホジキンリンパ腫、妊娠時;非小細胞性肺がん;中枢神経系の新生物(例えば、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、髄芽腫、脳幹神経膠腫、又は下垂体腺腫);燕麦細胞がん;口腔がん、小児;口腔及び口唇がん;中咽頭がん;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣がん;卵巣がん、小児;卵巣上皮がん;卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;小児悪性腫瘍;膵臓がん;膵臓がん、小児;膵臓がん、膵島細胞;副鼻腔及び鼻腔がん;副甲状腺がん;陰茎がん;褐色細胞腫;松果体及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;下垂体腫瘍;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;妊娠及び乳がん;妊娠及びホジキンリンパ腫;妊娠及び非ホジキンリンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;原発性肝臓がん、成人;原発性肝臓がん、小児;前立腺がん(特に、ホルモン不応性);慢性又は急性白血病;小児期の固形腫瘍;過好酸球増加症;直腸がん;腎細胞(腎臓)がん;腎細胞がん、小児;腎盂及び尿管、移行上皮がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺がん;唾液腺がん、小児;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;肉腫、カポジ;肉腫(骨肉腫)/骨の悪性線維性組織球腫;肉腫、横紋筋肉腫、小児;軟部組織の肉腫;肉腫、軟部組織、成人;肉腫、軟部組織、小児;セザリー症候群;皮膚がん;皮膚がん、小児;皮膚がん(黒色腫);皮膚癌、メルケル細胞;小細胞肺がん;隆起性皮膚線維肉腫;小腸がん;軟部組織肉腫、成人;軟部組織肉腫、小児;頭頸部のがん;原発不明の扁平上皮頸部がん、転移性;胃がん;胃がん、小児;テント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児;T細胞リンパ腫、皮膚;精巣がん;胸腺腫、小児;胸腺腫、悪性;甲状腺がん;甲状腺がん、小児;腎盂及び尿管の移行上皮がん;絨毛性腫瘍、妊娠性;原発部位不明のがん、小児;小児の稀ながん;尿管及び腎盂、移行上皮がん;尿道がん;尿管のがん(例えば、腎細胞癌、腎盂の癌);陰茎のがん;婦人科腫瘍;子宮がん;子宮肉腫;卵管の癌;子宮内膜の癌;膣がん;膣の癌;外陰部の癌;視路及び視床下部神経膠腫、小児;外陰がん;ワルデンストレームマクログロブリン血症;並びにウィルムス腫瘍からなる群から選択される。
【0080】
一実施態様において、がんは、肺がん;NSCLC(非小細胞性肺がん);燕麦細胞がん;骨がん;膵臓がん;皮膚がん;隆起性皮膚線維肉腫;頭頸部のがん;皮膚又は眼球内黒色腫;子宮がん;卵巣がん;結腸直腸がん;肛門がん;胃がん;結腸がん;乳がん;婦人科腫瘍(例えば、子宮肉腫、卵管の癌、子宮内膜の癌、子宮頸部の癌、膣の癌、又は外陰部の癌);ホジキン病;肝細胞がん;食道のがん;小腸がん;内分泌系のがん(例えば、甲状腺、膵臓、副甲状腺、又は副腎のがん);軟部組織の肉腫;尿道がん;陰茎のがん;前立腺がん(特に、ホルモン不応性);慢性又は急性白血病;小児期の固形腫瘍;過好酸球増加症;リンパ球性リンパ腫;膀胱がん;腎臓がん;尿管のがん(例えば、腎細胞癌、腎盂の癌);小児悪性腫瘍;中枢神経系の新生物(例えば、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、髄芽腫、脳幹神経膠腫、又は下垂体腺腫);バレット食道(前癌性症候群)、及び腫瘍性皮膚疾患からなる群から選択される。
【0081】
「肥満症」は、対象が、30以上のボディ・マス・インデックスを有している状態を意味する。ボディ・マス・インデックス(BMI)は、「成人における過体重及び肥満症の識別及び評価、並びに治療に関するNIH臨床ガイドライン(NIH Clinical Guidelines on the Identification及びEvaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults)」(1998)によるものである。
【0082】
一実施態様において、対象への式(I)の化合物の投与は、対象のBMIを30未満、例えば、29未満、28未満、27未満、26未満、25未満、24未満、23未満、22未満、21未満、又は20未満まで低下させる。一実施態様において、式(I)の化合物は、異常又は不適当な体重増加、代謝率、又は脂肪蓄積を治療又は予防するのに用いられ、例えば、食欲不振、過食症、肥満症、糖尿病、又は高脂血症(例えば、トリグリセリド高値及び/又はコレステロール高値)、並びに脂肪又は脂質代謝の障害を治療するのに用いられる。一実施態様において、式(I)の化合物は、メタボリックシンドロームを治療又は予防するのに用いられる。
【0083】
一実施態様において、式(I)の化合物は、プラダー・ウィリー症候群(PWS)に関連する肥満症を治療するのに用いられる。一実施態様において、式(I)の化合物は、PWS関連肥満症の個体において、体脂肪を減少させ、体脂肪の増加を予防し、コレステロール(例えば、総コレステロール及び/もしくはHDLコレステロールに対する総コレステロールの比率)を減少させ、かつ/もしくは食欲を低下させ、かつ/又は糖尿病、心血管系疾患、及び卒中などの併存疾患を減少させるのに用いられる。
【0084】
「糖尿病性疾患」は、糖尿病(diabetes mellitus)(「糖尿病(diabetes)」)又は糖尿病合併症を意味する。糖尿病の2つの主な種類は、(i)インスリンを産生しない膵臓に起因し、通常の治療が、インスリン補充療法である1型糖尿病、及び(ii)患者が、不十分であるインスリンを産生するか又はインスリン抵抗性を有するかのいずれかである2型糖尿病である。糖尿病合併症としては、微小血管及び大血管性合併症が挙げられ、冠動脈疾患、末梢動脈疾患、卒中、糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパチー、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎疾患、及びNASHが含まれる。
【0085】
一実施態様において、「血液障害」は、サラセミア(例えば、β-サラセミア)、遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、無βリポタンパク質血症(又はバッセン・コーンツヴァイク症候群)、発作性夜間ヘモグロビン尿症、後天性溶血性貧血(例えば、先天性貧血(例えば、酵素異常症))、及び慢性疾患の貧血からなる群から選択される。
【0086】
(投与)
通常、式(I)の化合物は、医薬組成物として投与される。従って、一実施態様において、式(I)の化合物、及び1種以上の医薬として許容し得る希釈剤又は担体を含む医薬組成物が提供される。
【0087】
式(I)の化合物は、任意の都合の良い方法によって、例えば、経口、非経口、頬側、舌下、経鼻、直腸、髄腔内、又は経皮投与によって投与され得、医薬組成物を、それに合うように適応させる。
【0088】
式(I)の化合物は、標的器官に局所投与され得、例えば、眼、肺、鼻、又は皮膚に局所投与され得る。従って、本発明は、式(I)の化合物を、1種以上の局所的に許容し得る希釈剤又は担体と任意に組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0089】
経口的所与された場合に活性な式(I)の化合物は、液体又は固体として、例えば、シロップ剤、懸濁剤、乳濁液、錠剤、カプセル剤、又はロゼンジ錠として製剤化することができる。
【0090】
液体製剤は、一般的に、適当な液体担体(複数可)中の式(I)の化合物の懸濁液又は溶液からなるものである。好適には、当該担体は、非水性であり、例えば、ポリエチレングリコール又はオイルである。また、当該製剤は、懸濁化剤、防腐剤、香味料、及び/又は着色料も含有し得る。
【0091】
錠剤の形態の組成物は、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、乳糖、ショ糖、及びセルロースなどの、固体製剤を調製するために通常使用される任意の適当な医薬担体(複数可)を用いて調製することができる。
【0092】
カプセル剤の形態の組成物は、通常用いられるカプセル化手順を用いて調製することができ、例えば、活性成分を含有するペレットを、標準的な担体を用いて調製することができ、次いで、硬質ゼラチンカプセルに充填することができ;あるいは、分散液又は懸濁液を、任意の適当な医薬担体(複数可)、例えば、水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩、又はオイルを用いて調製することができ、次いで、当該分散液又は懸濁液を、軟質ゼラチンカプセルに充填することができる。
【0093】
典型的な非経口組成物は、無菌の水性担体又は非経口的に許容し得るオイル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、レシチン、ラッカセイ油、又はゴマ油中の式(I)の化合物の溶液又は懸濁液からなる。あるいは、当該溶液を、凍結乾燥し、次いで、投与直前に適当な溶媒を用いて再構成することができる。
【0094】
好都合なことに、経鼻投与用の組成物は、エアロゾル剤、滴剤、ゲル剤、及び散剤として製剤化し得る。エアロゾル製剤は、通常、医薬として許容し得る水性又は非水性溶媒中に式(I)の化合物の溶液又は微細懸濁液を含み、通常、密閉容器内に無菌の形態で単回又は複数回量で提供され、噴霧装置を用いる使用のためのカートリッジ又はリフィルの形態をとることができる。あるいは、前記密閉容器は、単回投与鼻吸入器又は計量弁を備えたエアロゾルディスペンサーなどの使い捨ての分注装置であってもよい。剤形が、エアロゾルディスペンサーを含む場合、これは、圧縮気体、例えば、空気、又はクロロフルオロカーボン(CFC)もしくはヒドロフルオロカーボン(HFC)などの有機プロペラントとすることができるプロペラントを含有するであろう。また、エアロゾル剤形は、ポンプ式噴霧器の形態をとることもできる。
【0095】
肺への局所投与は、エアロゾル製剤を用いて達成され得る。エアロゾル製剤は、通常、クロロフルオロカーボン(CFC)又はヒドロフルオロカーボン(HFC)などの適当なエアロゾルプロペラントに懸濁又は溶解された活性成分を含む。
【0096】
また、肺への局所投与は、水溶液又は懸濁液などの非加圧製剤を用いても達成され得る。これらは、ネブライザー、例えば、手で持てる携帯型又は家庭もしくは病院用(すなわち、非携帯型)のネブライザーによって投与され得る。当該製剤は、水、緩衝剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、界面活性剤、及び共溶媒などの賦形剤を含み得る。
【0097】
また、肺への局所投与は、乾燥粉末製剤を用いても達成され得る。当該製剤は、通常、乳糖、グルコース、又はマンニトール(好ましくは、乳糖)などの局所的に許容し得る希釈剤を含有するであろう。
【0098】
また、本発明の化合物は、例えば、水性又は油性の溶液、並びに懸濁液及び乳濁液及び泡を含む坐剤又は浣腸剤の形態で直腸的にも投与され得る。そのような組成物は、当業者に周知の標準的な手順に従って調製される。例えば、坐剤は、活性成分をカカオ脂又は他のグリセリドなどの慣用の坐剤基剤と混合することによって調製することができる。この場合、薬物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸内で融解して、当該薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤と混合される。そのような材料は、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0099】
一般に、点眼薬又は眼軟膏の形態で眼に局所投与されることが意図される組成物の場合、本発明の化合物の総量は、約0.0001%(w/w)から4.0%(w/w)未満までであろう。
【0100】
好ましくは、局所点眼の場合、本発明により投与される組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、及び他の剤形として製剤化されるであろう。
【0101】
また、本発明により投与される組成物は、これらに限定されないが、等張化剤、緩衝剤、界面活性剤、安定化ポリマー、防腐剤、共溶媒、及び粘度上昇剤などのさまざまな他の成分も含み得る。本発明の好適な医薬組成物としては、等張化剤及び緩衝剤と共に製剤化された本発明の化合物が挙げられる。さらに、本発明の医薬組成物は、界面活性剤及び/又は緩和薬剤及び/又は安定化ポリマーを任意に含み得る。
【0102】
眼科用組成物には、さまざまな等張化剤を、組成物の浸透圧を、好ましくは、天然の涙の浸透圧まで調節するのに採用し得る。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、ブドウ糖、フルクトース、ガラクトースなどの単糖、並びに/又は単純に糖アルコール類であるマンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、イソマルチトール、マルチトール、及び加水分解水添デンプンなどのポリオールを、組成物に添加して、生理的浸透圧に近づけ得る。そのような等張化剤の量は、添加される特定の薬剤に応じて変わるものである。しかしながら、一般的には、組成物は、最終組成物に眼科的に許容し得るオスモル濃度(一般に、約150~450mOsm、好ましくは、250~350mOsm、最も好ましくは、約290mOsm)を持たせるのに十分な量の等張化剤を含むであろう。一般に、本発明の等張化剤は、2~4%w/wの範囲で存在するであろう。本発明の好適な等張化剤としては、D-マンニトールなどの前記単糖又は前記糖アルコールが挙げられる。
【0103】
好適な緩衝系(例えば、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、又はホウ酸)を、組成物に添加して、保存条件下でのpHドリフトを防止し得る。特定の濃度は、採用される薬剤に応じて異なるものである。しかしながら、好適には、緩衝剤は、標的pHをpH 5~8の範囲で、より好ましくは、pH 5~7の標的pHに維持するように選択されるであろう。
【0104】
界面活性剤は、より高い濃度の本発明の化合物を送達するように任意に採用され得る。界面活性剤は、化合物を可溶化し、またミセル溶液、マイクロエマルション、乳濁液、及び懸濁液などのコロイド分散液を安定化するように働く。任意に用いられ得る界面活性剤の例としては、ポリソルベート、ポロクサマー、ステアリン酸ポリオシル40(polyosyl 40 stearate)、ポリオキシルヒマシ油、チロキサポール、トリトン、及びモノラウリン酸ソルビタンが挙げられる。本発明で採用されるべき好適な界面活性剤は、トリトンX114及びチロキサポールなど、12.4~13.2の範囲の親水性親油性バランス「HLB」を有しており、眼科での使用に許容し得るものである。
【0105】
本発明の化合物の眼科用組成物に添加し得る追加の薬剤は、安定化ポリマーとして働く粘滑剤である。安定化ポリマーは、局所眼部使用に優先されるイオン性の/荷電した例、より詳細には、物理的安定性のためにその表面に(-)10~50mVのゼータ電位を示すことができる負電荷を有し、かつ水中に分散液を作ることができる(すなわち、水溶性である)ポリマーであるべきである。好適な本発明の安定化ポリマーは、0.1~0.5%w/wでのカルボマー及びPemulen(R)、具体的には、カルボマー974p(ポリアクリル酸)などの架橋ポリアクリレートのファミリーの高分子電解質(単数)、又は2種以上の場合には高分子電解質(複数)であろう。
【0106】
また、担体の粘度を増加させるために、他の化合物も、本発明の化合物の眼科用組成物に添加し得る。増粘剤の例としては:ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸及びその塩、デキストランなどの多糖類、セルロースファミリーのさまざまなポリマー;ビニルポリマー;及びアクリル酸ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
局所眼科製品は、通常、複数回用量形態で包装される。したがって、防腐剤が、使用の間の微生物汚染を防ぐのに必要とされる。好適な防腐剤としては:塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、臭化ベンゾドデシニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸ジナトリウム、ソルビン酸、ポリクオタニウム-1、又は当業者に公知の他の薬剤が挙げられる。そのような防腐剤は、通常、0.001~1.0%w/vのレベルで採用される。本発明の単位用量組成物は、無菌であるが、通常、保存処理されない。従って、そのような組成物は、一般に、防腐剤を含有しない。
【0108】
頬側又は舌下投与に適した組成物としては、式(I)の化合物が、糖、及びアラビアゴム、トラガント、又はゼラチン、及びグリセリンなどの担体を用いて製剤化されている錠剤、ロゼンジ錠、及び香錠(pastille)が挙げられる。
【0109】
経皮投与に適した組成物としては、軟膏剤、ゲル剤、及びパッチが挙げられる。
【0110】
組成物は、投与方法に応じて0.1%~100重量%、例えば、10~60重量%の式(I)の化合物を含有し得る。組成物は、投与方法に応じて0%~99.9重量%、例えば、40%~90重量%の担体を含有し得る。組成物は、投与方法に応じて0.05mg~1000mg、例えば、1.0mg~500mg、1.0mg~50mgなど、例えば、約10mgの式(I)の化合物を含有し得る。組成物は、投与方法に応じて50mg~1000mg、例えば、100mg~400mgの担体を含有し得る。上述の障害の治療で用いられる化合物の用量は、該障害の重篤度、患者の体重、及び他の類似の因子とともに通常の様式で変化するものである。しかしながら、一般的な指針として、適当な単位用量は、0.05~1000mg、より好適には、1.0~500mg、例えば、1.0mg~50mg、例えば、約10mgとすることができ、そのような単位用量は、1日1回を超えて、例えば、1日2回又は3回投与され得る。そのような療法は、数週間又は数か月の期間にわたり得る。
【0111】
本発明の一実施態様において、式(I)の化合物は、さらなる治療用薬剤(単数又は複数)と組み合わせて用いられる。式(I)の化合物が、他の治療用薬剤と組み合わせて用いられる場合、該化合物は、任意の好都合な経路によって順次又は同時のいずれかで投与され得る。あるいは、化合物は、別々に投与され得る。
【0112】
式(I)の化合物が、炎症性疾患又は望ましくない免疫応答に関連する疾患を治療又は予防するために使用される場合、式(I)の化合物と組み合わせて用いられ得る治療用薬剤としては、コルチコステロイド(グルココルチコイド)、レチノイド(例えば、アシトレチン、イソトレチノイン、タザロテン)、アントラリン、ビタミンD類似体(例えば、カシトリオール(cacitriol)、カルシポトリオール)、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス、ピメクロリムス)、光線療法又は光化学療法(例えば、ソラレン紫外線照射、PUVA)又は紫外光放射療法の他の形態、シクロスポリン、チオプリン(例えば、アザチオプリン、6-メルカプトプリン)、メトトレキサート、抗TNFα剤(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ及びバイオシミラー)、ホスホジエステラーゼ-4(PDE4)阻害剤(例えば、アプレミラスト、クリサボロール)、抗IL-17剤(例えば、ブロダルマブ、イキセキズマブ、セクキヌマブ)、抗IL12/IL-23剤(例えば、ウステキヌマブ、ブリアキヌマブ)、抗IL-23剤(例えば、グセルクマブ、チルドラキズマブ)、JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤(例えば、トファシチニブ、ルキソリチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ウパダシチニブ)、血漿交換法、静注用免疫グロブリン(IVIG)、シクロホスファミド、抗CD20 B細胞除去剤(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブ)、アントラサイクリン類似体(例えば、ミトキサントロン)、クラドリビン、スフィンゴシン 1-リン酸受容体モジュレーター又はスフィンゴシン類似体(例えば、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド、エトラシモド)、インターフェロンβ製剤(インターフェロンβ 1b/1aを含む)、グラチラマー、抗CD3療法(例えば、OKT3)、抗CD52標的剤(例えば、アレムツズマブ)、レフルノミド、テリフルノミド、金化合物、ラキニモド、カリウムチャネル遮断薬(例えば、ダルファムプリジン/4-アミノピリジン)、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、プリン類似体(例えば、ペントスタチン)、mTOR(ラパマイシン標的タンパク質)経路阻害剤(例えば、シロリムス、エベロリムス)、抗胸腺細胞グロブリン(ATG)、IL-2受容体(CD25)阻害剤(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ)、抗IL-6受容体又は抗IL-6剤(例えば、トシリズマブ、シルツキシマブ)、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤(例えば、イブルチニブ)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、イマチニブ)、ウルソデオキシコール酸、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、B細胞活性化因子(BAFF、別名:BlyS、Bリンパ球刺激因子)阻害剤(例えば、ベリムマブ、ブリシビモド)、APRIL(増殖誘導性リガンド)及びBlySの双方を標的とする融合タンパク質を含む他のB細胞標的療法(例えば、アタシセプト)、pan阻害剤又はp110δ及び/又はp110γ含有アイソフォームを標的とするものを含むPI3K阻害剤(例えば、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ)、インターフェロンα受容体阻害剤(例えば、アニフロルマブ、シファリムマブ)、T細胞共刺激遮断薬(例えば、アバタセプト、ベラタセプト)、サリドマイド及びその誘導体(例えば、レナリドミド)、ダプソン、クロファジミン、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト)、テオフィリン、抗IgE療法(例えば、オマリズマブ)、抗IL-5剤(例えば、メポリズマブ、レスリズマブ)、長時間作用性ムスカリン性薬物(例えば、チオトロピウム、アクリジニウム、ウメクリジニウム)、PDE4阻害剤(例えば、ロフルミラスト)、リルゾール、フリーラジカルスカベンジャー(例えば、エダラボン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、C5に対するものを含む補体カスケード阻害剤(例えば、エクリズマブ)、免疫吸着剤、抗胸腺細胞グロブリン、5-アミノサリチレート類及びそれらの誘導体(例えば、スルファサラジン、バルサラジド、メサラミン)、α4β1及び/又はα4β7インテグリンを標的とするものを含む抗インテグリン剤(例えば、ナタリズマブ、ベドリズマブ)、抗CD11-α剤(例えば、エファリズマブ)、サリチレート(例えば、アスピリン)、プロピオン酸(例えば、イブプロフェン、ナプロキセン)、酢酸(例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、エトドラク)、オキシカム(例えば、メロキシカム)及びフェナム酸(例えば、メフェナム酸)を含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、選択的又は比較的選択的COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ、エトロキシコキシブ(etroxicoxib)、バルデコキシブ及びエトドラク、メロキシカム、ナブメトン)、コルヒチン、IL-4受容体阻害剤(例えば、デュピルマブ)、局所/接触免疫療法(例えば、ジフェニルシクロプロペノン、スクアリン酸ジブチルエステル)、抗IL-1受容体療法(例えば、アナキンラ)、IL-1β阻害剤(例えば、カナキヌマブ)、IL-1中和療法(例えば、リロナセプト)、クロラムブシル、免疫調節特性及び/又はNRF2を調節する能力を有する特定の抗生物質(例えば、ミノサイクリン、クリンダマイシンを含むテトラサイクリン類、マクロライド系抗生物質)、抗アンドロゲン療法(例えば、シプロテロン、スピロノラクトン、フィナステリド)、ペントキシフィリン、ウルソデオキシコール酸、オベチコール酸、フィブラート、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)モジュレーター、VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ、アフリベルセプト)、ピルフェニドン、並びにミゾリビンが挙げられる。
【0113】
式(I)の化合物が、がんを治療又は予防するために使用される場合、式(I)の化合物と組み合わせて用いられ得る治療用薬剤としては、望まれない副作用を改善する緩和治療として使用される薬剤などのがん療法と併用して使用される活性薬剤が挙げられる。従って、一実施態様において、追加の治療用薬剤は:制吐剤、オピオイドなどの疼痛を軽減することが意図される薬物、アロプリノール又はラスブリカーゼなどの高い血中尿酸レベルを低下させるのに使用される薬物、抗うつ薬、鎮静薬、抗けいれん薬、緩下剤、止痢薬、及び/又は制酸薬からなる群から選択されるものなどの緩和治療として使用される薬剤である。
【0114】
別の実施態様において、追加の治療用薬剤は、化学療法、標的療法、免疫療法、及びホルモン療法などの追加のがん治療である。
【0115】
化学療法剤の例としては、代謝拮抗物質(例えば、葉酸、プリン、及びピリミジン誘導体)並びにアルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、白金、アルキルスルホネート、ヒドラジン、トリアゼン、アジリジン、紡錘体毒、細胞傷害剤、トポシメラーゼ(toposimerase)阻害剤及びその他のもの)が挙げられる。一実施態様において、追加の治療用薬剤は、化学療法剤であり、アクラルビシン、アクチノマイシン、アリトレチノン(Alitretinon)、アルトレタミン、アミノプテリン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アトラセンタン、ベロテカン、ベキサロテン、エンダムスチン(endamustine)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボコン、カルモフール、カルムスチン、セレコキシブ、クロラムブシル、クロルメチン、シスプラチン、クラドリビン、クロファラビン、クリサンタスパーゼ、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、デメコルチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エファプロキシラル、エレスクロモル、エルサミトルシン、エノシタビン、エピルビシン、エストラムスチン、エトグルシド、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル(5FU)、フォテムスチン、ゲムシタビン、ギリアデルインプラント、ヒドロキシカルバミド、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、イロフルベン、イクサベピロン、ラロタキセル、ロイコボリン、リポソームドキソルビシン、リポソームダウノルビシン、ロニダミン、ロムスチン、ルカントン、マンノスルファン、マソプロコール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、アミノレブリン酸メチル、ミトブロニトール、ミトグアゾン、ミトタン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ネダプラチン、ニムスチン、オブリメルセン、オマセタキシン、オルタタキセル、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペグアスパルガーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ピラルビシン、ピクサントロン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、ラニムスチン、ルビテカン、サパシタビン、セムスチン、シチマジーンセラデノベック、サトラプラチン、ストレプトゾシン、タラポルフィン、テガフール-ウラシル、テモポルフィン、テモゾロミド、テニポシド、テセタキセル、テストラクトン、テトラナイトレート、チオテパ、チアゾフリン、チオグアニン、ティピファニブ、トポテカン、トラベクテジン、トリアジコン、トリエチレンメラミン、トリプラチン、トレチノイン、トレオスルファン、トロホスファミド、ウラムスチン、バルルビシン、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフミン(Vinfhmine)、ビノレルビン、ボリノスタット、及びゾルビシンからなる群から選択される。
【0116】
標的療法の例としては、チロシンキナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、モノクローナル抗体、及び融合タンパク質が挙げられる。一実施態様において、追加の治療用薬剤は、アキシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、ゲフィチニブ、ラパチニブ、レスタウルチニブ、ニロチニブ、セマキサニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、バンデタニブ、アルボシジブ、セリシクリブ(seliciclib)、ハーセプチン、リツキシマブ、トシツモマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、ベバシズマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、アフリベルセプト、デニロイキンジフチトクス、及びベキサールからなる群から選択される。
【0117】
式(I)の化合物が、肥満症を治療又は予防するために使用される場合、該式(I)の化合物と組み合わせて用いられ得る治療用薬剤としては、胃又は膵臓のリパーゼ阻害剤(オルリスタットなど);脂質降下剤(スタチン、フィブラート、ナイアシン、もしくはその誘導体(アシピモックスなど)、レシチン、胆汁酸隔離剤、エゼチミブ、ロミタピド、フィトステロール、オメガ-3補給剤、PCSK9阻害剤など);CB-1アンタゴニスト;リポキシゲナーゼ阻害剤;ソモスタチン(somostatin)類似体;インスリン化合物もしくはインスリン類似体(ヒトインスリン、インスリン・リスプロ、インスリン・アスパルト、インスリン・グルリジン、インスリン・グラルギン、インスリン・デグルデクなど);PPAR-γアゴニスト、PPAR-αアゴニスト、もしくは混合型PPAR-γ/αアゴニストなどのインスリン抵抗性改善剤(メトホルミン、ピオグリタゾン、もしくはロシグリタゾンなど);インスリン分泌促進物質(ナテグリニドもしくはレパグリニドなど、もしくはグリクラジド、グリメペリド(glimeperide)、リメピリド(limepiride)、グリブリドなどのスルホニル尿素);SGLT2阻害剤(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、もしくはエンパグリフロジンなど);アミリン類似体(プラムリンチドなど);DPPIV阻害剤(シタグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、もしくはビルダグリプチンなど);GLP-1アゴニスト(アルビグルチド、デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド、もしくはリキシセナチドなど);α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ミグリトール、もしくはボグリボースなど);ホスホジエステラーゼ阻害剤(ペントキシフィリンなど);グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤;MCH-1アンタゴニスト;グルコキナーゼ活性化因子;グルカゴンアンタゴニスト;インスリンシグナル伝達アゴニスト;PTP1B阻害剤;糖新生阻害剤;GSK阻害剤又はガラニン受容体アゴニストが挙げられる。
【0118】
式(I)の化合物が、糖尿病性疾患を治療又は予防するために使用される場合、該式(I)の化合物と組み合わせて用いられ得る治療用薬剤としては、胃又は膵臓のリパーゼ阻害剤(オルリスタットなど);脂質降下剤(スタチン、フィブラート、ナイアシン、もしくはその誘導体(アシピモックスなど)、レシチン、胆汁酸隔離剤、エゼチミブ、ロミタピド、フィトステロール、オメガ-3補給剤、PCSK9阻害剤など);CB-1アンタゴニスト;リポキシゲナーゼ阻害剤;ソモスタチン(somostatin)類似体;インスリン化合物もしくはインスリン類似体(ヒトインスリン、インスリン・リスプロ、インスリン・アスパルト、インスリン・グルリジン、インスリン・グラルギン、インスリン・デグルデクなど);PPAR-γアゴニスト、PPAR-αアゴニスト、もしくは混合型PPAR-γ/αアゴニストなどのインスリン抵抗性改善剤(メトホルミン、ピオグリタゾン、もしくはロシグリタゾンなど);インスリン分泌促進物質(ナテグリニドもしくはレパグリニドなど、もしくはグリクラジド、グリメペリド(glimeperide)、リメピリド(limepiride)、グリブリドなどのスルホニル尿素);SGLT2阻害剤(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、もしくはエンパグリフロジンなど);アミリン類似体(プラムリンチドなど);DPPIV阻害剤(シタグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、もしくはビルダグリプチンなど);GLP-1アゴニスト(アルビグルチド、デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド、もしくはリキシセナチドなど);α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ミグリトール、もしくはボグリボースなど);ホスホジエステラーゼ阻害剤(ペントキシフィリンなど);グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤;MCH-1アンタゴニスト;グルコキナーゼ活性化因子;グルカゴンアンタゴニスト;インスリンシグナル伝達アゴニスト;PTP1B阻害剤;糖新生阻害剤;GSK阻害剤又はガラニン受容体アゴニストが挙げられる。
【0119】
式(I)の化合物は、以下の望ましい性質:
・PKM2の活性化についての低いEC50値及び/又は高いEmax値;
・PKLRの活性化についての低いEC50値及び/又は高いEmax値;
・PKM2及びPKLRの活性化についての低いEC50値及び/又は高いEmax値;
・細胞増殖の減少についての低いIC50値;
・向上した薬物動態のために低下した用量及び投薬頻度;
・向上した経口全身バイオアベイラビリティ;
・静脈内投薬後の減少した血漿クリアランス;
・増強された細胞透過性;
・適切な治療用量での低い毒性
のうちの1つ以上を示し得る。
【0120】
【実施例】
【0121】
(実施例)
(分析用設備)
NMRスペクトルは、BBFO 5mmプローブを取り付けたBruker 400MHz Avance III(商標)分光計又はBruker 5mm SmartProbe(商標)を取り付けたBruker 500MHz Avance II(商標)I HD分光計を用いて記録された。スペクトルは、別途指示されない限り、298Kで測定され、溶媒の共鳴を基準とした。化学シフトは、百万分率で報告される。データは、Bruker TopSpinソフトウェアを用いて取得された。
【0122】
UPLC/MS分析は、40℃の温度に維持され、化合物の親油性に適したリニアアセトニトリルグラジエントを用いて0.77mL/分の一定流量で3又は10分間溶出させるWaters(商標) Acquity CSH C18又はBEH C18カラム(2.1×30mm)のいずれかを用いるWaters(商標) Acquity UPLCシステムで実施された。移動相の水性部分は、0.1%ギ酸(CSH C18カラム)又は10mM重炭酸アンモニウム(BEH C18カラム)のいずれかとした。LC-UVクロマトグラムは、Waters(商標) Acquity PDA検出器を用いて210~400nmの間で記録された。質量スペクトルは、Waters(商標) Acquity Qda検出器を用い、エレクトロスプレーイオン化を正及び負のイオンモード間で切り替えて記録された。試料濃度は、適切なUV応答が得られるように調整した。
【0123】
LCMS分析は、40℃の温度に維持され、化合物の親油性に適したリニアアセトニトリルグラジエントを用いて2.5mL/分の一定流量で4又は15分間溶出させるWaters(商標) Acquity CSH C18(4.6×30mm)又はBEH C18カラム(4.6×30mm)のいずれかを用いるAgilent LCMSシステムで実施された。移動相の水性部分は、0.1%ギ酸(CSH C18カラム)又は10mM重炭酸アンモニウム(BEH C18カラム)のいずれかとした。LC-UVクロマトグラムは、Agilent VWD又はDAD検出器を用いて254nmで記録された。質量スペクトルは、Agilent MSD検出器を用いてエレクトロスプレーイオン化を正及び負のイオンモード間で切り替えて記録された。試料濃度は、適切なUV応答が得られるように調整した。
【0124】
(市販材料)
出発材料及び溶媒は全て、商業的供給業者から得たか、又は引用文献に従い調製したかのいずれかであった。
【0125】
(実施例1: 6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン)
(合成経路1)
(3-(クロロメチル)-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール塩酸塩の合成)
【化11】
SOCl
2(206μL、2.82mmol、3.00当量)を、DCM(5mL)中の市販の1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メタノール(130mg、941μmol、1当量)の撹拌溶液に0℃で滴加した。生じた混合物を20時間室温で撹拌し、次いで、減圧下蒸発させた。残渣を、トルエンと3回共蒸発させて、表題化合物(0.16g)を暗橙色オイルとして得た。MS(ES
+):157/159(M+H)
+。1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メタノールも、以下で本明細書に記載されるように調製され得る。
【0126】
(6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの合成)
【化12】
(工程1)
DMF(10mL)中の市販の6-ブロモフタラジン-1(2H)-オン(407mg、1当量、1.81mmol)及び炭酸セシウム(2.36g、4.0当量、7.24mmol)の撹拌懸濁液を、85℃に2時間加熱し、次いで、室温まで放冷した。DMF(2mL)中の3-(クロロメチル)-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール塩酸塩(349mg、100重量%、1当量、1.81mmol)の溶液を添加し、反応混合物を、室温で18時間撹拌した。水(50mL)を添加し、生じた固体を濾過によって集め、水で洗浄し、6-ブロモ-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(500mg)を黄色固体として得た。MS(ES
+):345(M+H)
+
【0127】
(工程2)
DMF(8mL)中の6-ブロモ-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(500mg、79重量%、1当量、1.14mmol)の懸濁液を、N2で10分間曝気した。DIPEA(223mg、300μL、1.51当量、1.72mmol)、Xantphos(84mg、0.13当量、0.15mmol)、Pd2(dba)3(66mg、0.063当量、72μmol)、及び2-エチルヘキシル 3-メルカプトプロパノエート(384mg、400μL、1.54当量、1.76mmol)を順次添加した。反応混合物をN2下120℃で1時間撹拌した。反応混合物を、室温まで放冷し、次いで、EtOAc(50mL)と飽和NaHCO3水(50mL)との間に分配した。有機層を集め、水層をEtOAc(50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、50%ブライン(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、2-エチルヘキシル 3-((2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロフタラジン-6-イル)チオ)プロパノエート(630mg)を黄色オイルとして得た。MS(ES+):483(M+H)+
【0128】
(工程3)
THF(10mL)中の2-エチルヘキシル 3-((2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-1-オキソ-1,2-ジヒドロフタラジン-6-イル)チオ)プロパノエート(630mg、88重量%、1当量、1.15mmol)の溶液を、ナトリウムエトキシド(1.04g、1.20mL、21重量%、2.80当量、3.21mmol)で処理した。反応混合物を、室温で15分撹拌し、次いで、水(10mL)を添加した。混合物を、1M HCl(aq)で酸性化し、次いで、EtOAc(3×40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、ブライン(40mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空下濃縮して、粗生成物を橙色固体として得た。粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(379mg)を淡黄色固体として得た。MS(ES+):299(M+H)+
【0129】
(工程4)
窒素を、DMF(1.5mL)中の2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-メルカプトフタラジン-1(2H)-オン(100mg、1当量、335μmol)、tert-ブチル 4-ヨード-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(123mg、1.25当量、419μmol)、1,10-フェナントロリン(24.2mg、0.4当量、134μmol)、及び炭酸カリウム(92.6mg、2当量、670μmol)の混合物に5分間バブリングさせた。ヨウ化銅(I)(12.8mg、0.2当量、67.0μmol)を添加し、混合物を、窒素下100℃で1晩撹拌し、次いで、室温まで放冷した。水及びDCMを添加し、フェーズセパレーターを通して層を分離した。有機層を、ブラインで洗浄し、シリカ上に吸収させた。粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(12gカートリッジ、0~100% 10%MeOH/DCM:DCM)によって精製して、6-((1H-ピラゾール-4-イル)チオ)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンを白色固体(38mg)として得た。水層を、1N HClで酸性化し、DCMで逆抽出した。有機層を、ブラインで洗浄し、次いで、シリカ上に吸収させた。粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(4gカートリッジ、0~100% 10%MeOH/DCM:DCM)によって精製した。双方のバッチを合わせて、6-((1H-ピラゾール-4-イル)チオ)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(74mg、99%純度)を白色固体として得た。MS(ES+):365(M+H)+
【0130】
(工程5)
DMF(1mL)中の6-((1H-ピラゾール-4-イル)チオ)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(74mg、1当量、0.20mmol)及びオキソン(0.26g、2.1当量、0.43mmol)の混合物を、3.5時間撹拌した。水及びDCMを添加し、フェーズセパレーターを通して層を分離した。有機層を、ブラインで洗浄し、次いで、シリカ上に吸収させた。粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィー(4gカートリッジ、0~75% 10% MeOH/DCM:DCM)によって精製して、6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(32.3mg、99%純度)を白色固体として得た。
【化13】
【0131】
(合成経路2)
(1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-チオールの合成)
【化14】
(工程1)
MeCN(3L)中の4-ヨード-1H-ピラゾール(200g、1031mmol)及び3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(130g、1546mmol)の溶液に、TsOH(1.77g、10.3mmol)を室温で添加した。反応混合物を、85℃で16時間撹拌した。LCMSで反応が完了したことが示された後に、混合物を減圧下45℃で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(120g×8、石油エーテル/tert-ブチルメチルエーテル=100:00~83:17)によって精製して、4-ヨード-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール(200g、92.32%純度)を白色固体として得た。MS(ES
+):279.2(M+H)
+
【0132】
(工程2)
DMF(3L)中の4-ヨード-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール(200g、719mmol)、2-エチルヘキシル3-メルカプトプロパノエート(204g、935mmol)、Pd2dba3(16g、18mmol)、及びXantphos(21g、36mmol)の溶液に、DIPEA(278g、2157mmol)を室温で添加した。反応混合物を、100℃で16時間撹拌した。LCMSで反応が完了したことが示された後に、混合物を水(2L)でクエンチし、EtOAc(1600mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、NH4Cl水によって洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、45℃で減圧下濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(120g×10、石油エーテル/tert-ブチルメチルエーテル=100:00~80:20)によって精製して、2-エチルヘキシル 3-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)チオ)プロパノエート(140g、91.91%純度)を黄色オイルとして得た。MS(ES+):369.3(M+H)+
【0133】
(工程3)
THF(1.2L)中の2-エチルヘキシル 3-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)チオ)プロパノエート(90g、244mmol)の混合物に、EtONa(195mL、488mmol、溶液EtOHの2.5M)を0℃で添加した。反応物を0℃で0.5時間撹拌した。LCMSで反応が完了したことが示された後に、反応混合物を、HCl(1M)でpHが6となるまでクエンチした。混合物をEtOAc(500mL×3)で抽出した。有機層を、減圧下40℃で濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(120g×3、石油エーテル/tert-ブチルメチルエーテル=100:0-63: 37)によって精製して、1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-チオール(40g、80.54%純度)をオイルとして得た。MS(ES+):185.3(M+H)+
【0134】
(3-(クロロメチル)-1-シクロプロピル-1H-ピラゾールの合成)
【化15】
(工程1)
ジクロロエタン(DCE)(2000mL)中のメチル 1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(100g、793.65mmol)の混合物に、シクロプロピルボロン酸(137.9g、1587.30mmol)、炭酸ナトリウム(133.3g、1587.30mmol)、2,2’-ビピリジン(2,2-biPy)(123.8g、793.65mmol)、及び酢酸銅(144.2g、793.65mmol)を添加した。反応混合物を、酸素雰囲気下70℃で40時間撹拌した。LCMSによって反応が完了していることが示された後に、反応混合物を減圧下45℃で濃縮し、次いで、水(1000mL)でクエンチし、EtOAc(1000mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、飽和HCl(aq.)(1000mL×2)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、45℃で減圧下濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(120gカートリッジ、0~70%石油エーテル/tert-ブチルメチルエーテル、55%で溶出)によって精製して、メチル 1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(48.0g、95.20%純度)を無色オイルとして得た。MS(ES
+):167.4(M+H)
+
【0135】
(工程2)
THF(400mL)中のメチル 1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート(48.0g、289.16mmol)の溶液に、リチウムアルミニウムヒドリド(LAH)(138.8mL、346.99mmol、2.5M)を0℃で添加し、反応混合物を、0℃で1時間撹拌した。LCMSで反応が完了したことが示された後に、混合物を、Na
2SO
4・10H
2Oでクエンチし、濾過し、45℃で減圧下濃縮した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(120g、0~100%石油エーテル/tert-ブチルメチルエーテル、100%で溶出)によって精製して、(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メタノール(28.12g、100%純度)無色オイルとして得た。
【化16】
【0136】
(工程3)
DCM(0.5L)中の(1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メタノール(22.2g、161mmol)の溶液に、SOCl2(19mL、225mmol)を添加し、混合物を室温で30分撹拌した。LCMSによって反応が完了していることが示された後に、混合物を濃縮し、水(100mL)で希釈した。混合物を、K2CO3でpHが8となるまでアルカリ化し、DCM(100mL×3)で抽出した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、減圧下40℃で濃縮して、エチル 3-(クロロメチル)-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール(25g、96%純度)を黄色オイルとして得た。MS(ES+):157.3(M+H)+
【0137】
(6-((1H-ピラゾール-4-イル)スルホニル)-2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの合成)
【化17】
(工程1)
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)(1.3L)中の1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-チオール(40g、217mmol)、市販の6-ブロモフタラジン-1(2H)-オン(34.9g、155mmol)、CuI(4.1g、21.7mmol)、及び1,2,3-ベンゾトリアゾール(5.1g、43.4mmol)の混合物に、t-BuOK(34.7g、310mmol)を室温で添加した。反応物を、窒素雰囲気下100℃で1晩撹拌した。LCMSによって反応が完了していることが示された後に、反応混合物を、水(3L)に添加し、室温で3時間撹拌し、濾過した。残渣を凍結乾燥して、6-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)チオ)フタラジン-1(2H)-オン(45g、97%純度)を緑灰色固体として得た。MS(ES
+):329.2(M+H)
+
【0138】
(工程2)
DMF(150mL)中の6-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)チオ)フタラジン-1(2H)-オン(45g、137mmol)及びCs2CO3(89g、274mmol)の混合物を、70℃で1時間撹拌した。反応混合物を、室温まで冷却し、エチル 3-(クロロメチル)-1-シクロプロピル-1H-ピラゾール(25g、159mmol)を添加し、室温で5時間撹拌した。LCMSで反応が完了したことが示された後に、混合物を水(500mL)で希釈し、EtOAc(600mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を、飽和NH4Cl水(800mL×2)によって洗浄し、45℃で減圧下濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(120g×8、石油エーテル/酢酸エチル=100:0~30:70)によって精製して、2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)チオ)フタラジン-1(2H)-オン(38g、92%純度)を黄色固体として得た。MS(ES+):449.2(M+H)+
【0139】
(工程3)
DMF(150mL)中の2-((1-シクロプロピル-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)-6-((1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)チオ)フタラジン-1(2H)-オン(38g、84.72mmol)の混合物に、オキソン(156.3g、245.2mmol)を室温で添加した。反応物を、60℃で1時間撹拌した。LCMSで反応が完了したことが示された後に、混合物を濾過し、濾過ケーキを、残渣がなくなるまでEtOAcで洗浄した。濾液を、飽和NaHCO
3水(800mL)で希釈し、分離し、EtOAc(700mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、飽和NH
4Cl水(800mL×2)によって洗浄し、45℃で減圧下濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(120g×3、ジクロロメタン/メタノール=100:00~97:3)によって精製して、粗生成物を得た。初めに、粗体を、MeCN(2×300mL)でトリチュレートして、白色固体を得た。残渣を、DMSOに溶解させ、撹拌環しながら対応する溶液を、H
2Oに添加した。沈殿物を集め、乾燥させて、表題化合物(25.5g、100%純度)を白色固体として得た。
【化18】
【0140】
(生物学的実施例1 - ヒトPKM2活性化アッセイ)
(組換えヒトPKM2のインビトロ活性化の測定)
組換えヒトPKM2ピルビン酸キナーゼ活性の化合物活性化を、生化学アッセイによって決定した。N末端Hisタグ化hPKM2は、R&D Systemsから供給され、その基質であるホスホエノールピルビン酸(PEP)及びADPは、それぞれ、Sigma-Aldrich及び2Bscientific社から供給された。Kinase-Glo(登録商標) Plus発光アッセイは、Promegaから入手した。他の全ての試薬は、Sigma-Aldrichから入手した。試験化合物は、10mM DMSOストックとして調製し、希釈系列を、50mMイミダゾール、50mM KCl、7mM MgCl2、0.01% Tween20、0.05% BSAを含むアッセイバッファー(pH 7.2)中への直接希釈用にDMSO中に調製した。
【0141】
(アッセイ手順)
ヒトPKM2を、50mMイミダゾール、50mM KCl、7mM MgCl2、0.01% Tween20、0.05% BSAを含むアッセイバッファー(pH 7.2)中に希釈して5pMの終濃度とした。Enzyme-Assay Bufferミックスを、384ウェル浅ウェル白壁プレート(384-well shallow-well white-walled plate)(PerkinElmer)に分注し、試験化合物を、超音波分注(acoustic dispense)(Echo(登録商標)、Labcyte社)によって添加した。室温で10分間のインキュベーション後、254μM ADP及び53μM ADPの終濃度となるADP+PEP基質の超音波分注によって、酵素反応を開始させた。
【0142】
オービタルシェーカー上での60分間のインキュベーション(300rpm、26℃)後に、生成したATPの発光検出によって、酵素活性を定量化した。Kinase-Glo(登録商標) Plus試薬を各ウェルに添加し、暗所でオービタルシェーカー上でプレートをさらに15分間インキュベート(300rpm、26℃)してから、プレートリーダー(PHERAstar(登録商標) FSX, BMG Labtech)で発光を測定した。
【0143】
蛍光シグナルをプレートのLOW(DMSOビヒクル)及びHIGH(5μM TEPP-46)対照に対して正規化することによって、活性化百分率を計算した。化合物濃度-反応曲線の4パラメーターロジスティックあてはめから、EC50値及びEmax値を決定した。
【0144】
実施例1を試験した。結果を、下記表1に示す。ミタピバットを、比較化合物として試験した。
(表1 - PKM2 EC
50値(μM)及びE
max値(%))
【表2】
*反復実験からのデータ
【0145】
実施例1は、そのPKM2活性化についてのより低いEC50値及びより高いEmax値によって実証されるように、ミタピバットと比較して向上したPKM2モジュレーター活性を示した。
【0146】
(生物学的実施例2 - ヒトPKLR活性化アッセイ)
(組換えヒトPKLRのインビトロ活性化の測定)
組換えヒトPKLRピルビン酸キナーゼ活性の化合物活性化を、生化学アッセイによって決定した。N末端Hisタグ化酵素は、R&D Systemsから供給され、その基質であるホスホエノールピルビン酸(PEP)及びADPは、それぞれ、Sigma-Aldrich及び2Bscientific社から供給された。Kinase-Glo(登録商標) Plus 発光アッセイは、Promegaから入手した。他の全ての試薬は、Sigma-Aldrichから入手した。試験化合物を、10mM DMSOストックとして調製し、希釈系列を、50mMイミダゾール、50mM KCl、7mM MgCl2、0.01% Tween20、0.05% BSAを含むアッセイバッファー(pH 7.2)中への直接希釈用にDMSO中に調製した。
【0147】
(アッセイ手順)
ヒトPKLRを、アッセイバッファー中に希釈して5pMの終濃度とした。Enzyme-Assay Bufferミックスを、384ウェル浅ウェル白壁プレートに分注し、試験化合物を、超音波分注(Echo(登録商標)、Labcyte社)によって添加した。室温で10分間のインキュベーション後に、254μM ADP及び53μM ADPの終濃度となるADP+PEP基質の超音波分注によって酵素反応を開始させた。
【0148】
オービタルシェーカー上での60分間のインキュベーション(300rpm、26℃)後に、生成したATPの発光検出によって、酵素活性を定量化した。Kinase-Glo(登録商標) Plus試薬を各ウェルに添加し、暗所でオービタルシェーカー(300rpm、26℃)上でプレートをさらに15分間インキュベートしてから、プレートリーダー(PHERAstar(登録商標) FSX, BMG Labtech)で発光を測定した。
【0149】
蛍光シグナルをプレートのLOW(DMSOビヒクル)及びHIGH(5μM TEPP-46)対照に対して正規化することによって、活性化百分率を計算した。化合物濃度-反応曲線の4-パラメーターロジスティックあてはめから、EC50値及びEmax値を決定した。
【0150】
実施例1を試験した。結果を下記表2に示す。ミタピバットを、比較化合物として試験した。
(表2 - PKLR EC
50値(μM)及びE
max値(%))
【表3】
*反復実験からのデータ
【0151】
実施例1が、本アッセイで試験され、これは、そのPKLR活性化についてのより低いEC50値及び/又はより高いEmax値によって実証されるように、ミタピバットと比較して向上したPKLRモジュレーター活性を示した。
【0152】
(生物学的実施例3 ― CD4+ T細胞ピルビン酸キナーゼアッセイ)
(ヒトCD4+ T細胞溶解物におけるピルビン酸キナーゼ(PK)活性の測定)
PKM2活性化因子は、組換えヒトPKM2タンパク質及びヒト細胞溶解物中のPKM2双方のピルビン酸キナーゼ活性を増加させる(Kungらの文献、2012)。ヒトCD4+ T細胞溶解物中のピルビン酸キナーゼの化合物活性化を、生化学アッセイによって決定した。本アッセイの疾患関連性を向上させるために、がん細胞株ではなく初代CD4+ T細胞を用いた。PKアッセイは、Abcamから調達した。他の試薬は全て、ThermoFisherから調達した。試験化合物を、10mM DMSOストックとして調製し、10% FBSを含有するRPMI培地中で培養されたインタクトなCD4+ T細胞への添加用に、希釈系列をDMSO中に調製した。
【0153】
(アッセイ手順)
ヒトCD4+ T細胞を、化合物と20分インキュベートし、次いで、1×PBS中で2回洗浄してから、Abcam PK溶解バッファー中に再懸濁させて、細胞溶解物を調製した。OXIRED(商標) PROBEを含む10μl PKアッセイReaction Mixを、各ウェルに添加した。プレートを、BMG Labtech Pherastarプレートリーダーを用いて、OD570nmでキネティックモードで48分間(2分の25サイクル)遮光下25℃で読み取った。
【0154】
(データ解析)
プレートからブランクを差し引き、Δ吸光度を、直線的な範囲内の第1のプレート読み取り値を対象となる時点でのプレート読み取り値から差し引くことによって計算した。PK活性を、Δ吸光度として表し、log[化合物]に対してプロットする。
【0155】
実施例1を試験した。結果を下記表3に示す。ミタピバットを、比較化合物として試験した。
(表3 - CD4+ T細胞ピルビン酸キナーゼ活性)
【表4】
【0156】
実施例1が、本アッセイで試験され、それは、そのEC50値によって実証されるように、ミタピバットと比較して向上したピルビン酸キナーゼ活性を示した。
【0157】
【0158】
(その他)
特許及び特許出願を含む本出願で言及される参考文献は全て、可能な限り最大限に引用により本明細書に組み込まれる。
【0159】
文脈によりそうでないことが必要とされる場合を除き、本明細書及び後続の特許請求の範囲の全体にわたり、「を含む(comprise)」という語、並びに「を含む(comprises)」及び「を含む(comprising)」などの変形形態は、記載されたインテジャー(integer)、工程、インテジャーの群、又は工程の群を含めるが、任意の他のインテジャー、工程、インテジャーの群、又は工程の群を排除しないことを意味するものと理解される。
【0160】
本明細書及び特許請求の範囲がその一部を成す本出願は、任意の後続の出願に関する優先権の基礎として用いられ得る。そのような後続の出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載される特徴のうちの任意の特徴又はそれらの任意の組合せを対象とするものであり得る。それらは、製品、組成物、方法、又は使用の請求項の形態をとり得、また、限定するものではないが、一例として以下の請求項を含み得る。
【国際調査報告】