(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】血小板活性化因子受容体アンタゴニストとしてのシクロペンタチオフェンカルボキサミド誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 495/14 20060101AFI20250116BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20250116BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20250116BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20250116BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20250116BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20250116BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20250116BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20250116BHJP
A61K 31/5517 20060101ALI20250116BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20250116BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20250116BHJP
【FI】
C07D495/14 CSP
A61P1/16
A61P3/06
A61P17/04
A61P27/02
A61P29/00
A61P37/08
A61P43/00 121
A61K31/5517
C07D519/00 301
C07D519/00
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538239
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022086670
(87)【国際公開番号】W WO2023117914
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100179925
【氏名又は名称】上出 真紀
(72)【発明者】
【氏名】エックハルト マティアス
(72)【発明者】
【氏名】コンテス フェレンツ
(72)【発明者】
【氏名】タウターマン クリストファー ジークフリード
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーデンマイヤー ディーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヴァッハー マリナ クリスティナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA23
4C084MA31
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA55
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA60
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZA75
4C084ZA89
4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZC33
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB26
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA75
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZC33
4C086ZC75
(57)【要約】
式(I)のシクロペンタチオフェンカルボキサミド(R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、本記載及び特許請求の範囲に定義される通りである)、及び薬学的に許容されるその塩は、血小板活性化因子受容体によって媒介される活性を拮抗することによって影響を受け得る疾患を処置する方法に使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】
(式中、
R
1は、C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)及びC
3-4-シクロアルキルからなるR
1-G1群から選択され、
nは、0、1、2及び3からなるn-G1群から選択され、
R
2は、R
2-G1群から独立して選択され、R
2-G1群は、F、Cl、Br、I、C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよいか、又は1つの-CN、1つのOH若しくは1つのO-C
1-4-アルキルにより置換されていてもよい)からなり、C
3-4-シクロアルキル、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、NH
2、OH、-O-C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)からさらになり、-S(O)
r-C
1-4-アルキル(r=0、1又は2)からなり、
R
3は、H、及び1~5個のFにより置換されていてもよいC
1-4-アルキルからなるR
3-G1群から選択され、
R
4は、C
1-6-アルキルからなるR
4-G1a群から選択され、C
1-6-アルキルは、
1~3個のFにより置換されていてもよく、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及び-O-C
1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4は、-C
0-3-アルキレン-C
3-10-シクロアルキル及び-C
0-3-アルキレン-C
3-10-ヘテロシクリルからなるR
4-G1b群から選択され、
前記アルキレンは、F及びCH
3から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよく、
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化2】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルは、N、NH、>N(C
1-4-アルキル)、>NCO(C
1-4-アルキル)、>NCOO(C
1-4-アルキル)、>NS(=O)
2(C
1-4-アルキル)、>N-フェニル、>N-ピリジニル、>N-ピリミジニル及びOから独立して選択される1~2つの環員を含有し、>C=O、>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、OH、-O-C
1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、>S(=O)
2-C
1-4-アルキル及びC
1-4-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN、OH、-O-C
1-4-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4は、-C
0-3-アルキレン-フェニル及び-C
0-3-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G1c群から選択され、
前記アルキレンは、F及びCH
3から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよく、
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化3】
部分若しくは
【化4】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基は、
【化5】
部分若しくは
【化6】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールは、N、NH、O及びSから選択される1つの環員を含有する5員の単環であって、1~2つの環員Nをさらに含有してもよい、5員の単環、又は1~2つの環員Nを含有する6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、C
3-4-シクロアルキル、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、-NHCO-C
1-4-アルキル、-NHS(=O)
2-C
1-4-アルキル、-S(=O)
r-C
1-4-アルキル(r=0、1又は2)、-O-C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、及びC
1-4-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN、OH及び-O-C
1-4-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~3つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4は、7員~12員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR
4-G1d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-、>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~2つの環員を含有してもよく、
C=O及びS(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよい、1つの非芳香族環
及び
フェニル、ピロール、フラン及びチオフェンから選択される、1つの芳香族環であって、これらの各々において、1~2つのCH環員は、Nにより置き換えられていてもよい、1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~4個のFにより置換されていてもよい1~4つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-、NH
2、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及びC
1-3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)からなる群から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、3員~8員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G1a群から選択され、3員~8員の飽和単環式ヘテロシクリルは、
>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~2つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~4つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及びC
1-3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、5員~12員の飽和二環式ヘテロシクリルを形成する、R
3/4-G1b群から選択され、5員~12員の飽和二環式ヘテロシクリルは、
>N-、>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~3つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~6個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~4つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及びC
1-3-アルキル-O-から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい)
又はその塩。
【請求項2】
R
1が、CH
3、CH
2CH
3、CH
2CH
2CH
3、CHF
2、CF
3及びシクロプロピルからなるR
1-G2群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
R
2が、R
2-G2群から独立して選択され、R
2-G2群が、
F、Cl、Br、C
1-3-アルキル(2個又は3個のFにより置換されていてもよい)からなり、シクロプロピル、-CN、-C
1-3-アルキレン-OH、-C
1-2-アルキレン-O-C
1-2-アルキル、NH
2、OH、-O-C
1-3-アルキル(2個又は3個のFにより置換されていてもよい)からさらになり、-S-C
1-3-アルキルからなる、請求項1~2のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
R
3が、H、及び1~3個のFにより置換されていてもよいC
1-3-アルキルからなるR
3-G2群から選択され、
R
4が、C
1-6-アルキルからなるR
4-G2a群から選択され、C
1-6-アルキルは、
1~3個のFにより置換されていてもよく、
-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-2-アルキル)、-CON(C
1-2-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-2-アルキル、C
1-2-アルキル-CO-NH-、C
1-2-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及び-O-C
1-2-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、-C
0-2-アルキレン-C
3-8-シクロアルキル及び-C
0-2-アルキレン-C
3-9-ヘテロシクリルの群から選択され、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルが、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルが、N、NH、>NCOCH
3、>NCOO(C
1-2-アルキル)、>NS(=O)
2CH
3、>N-ピリミジニル、O及び>S(=O)
2から選択される1つの環員を含有し、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルが、1~2個のFにより置換されていてもよく、-CN、OH、-OCH
3、>S(=O)
2CH
3及びC
1-3-アルキル(2~3個のFにより、又は-CN、OH、-O-C
1-4-アルキルから選択される1つの基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、-C
0-2-アルキレン-フェニル及び-C
0-2-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G2c群から選択され、
前記アルキレンが、1~2つのCH
3により置換されていてもよく、
前記アルキレンの1つの>CH
2基が、
【化7】
部分若しくは
【化8】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基が、
【化9】
部分若しくは
【化10】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールが、N、NH、O及びSから選択される1つの環員を含有する5員の単環であって、1つの環員Nをさらに含有してもよい、5員の単環、又は1~2つの環員Nを含有する6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールが、F、Cl、Br、-CN、-O-C
1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、及びC
1-3-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN及び-O-C
1-2-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される、1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、8員~11員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR
4-G2d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-、>NH、>NCH
3、>NCOCH
3、>NS(=O)
2CH
3及びOから選択される1つの環員を含有してもよく、
C=O及びS(=O)
2から選択される1つの環員を含有してもよい、非芳香族環
及び
フェニル、ピロール、フラン及びチオフェンから選択される、1つの芳香族環であって、これらの各々において、1つのCH環員が、Nにより置き換えられていてもよい、1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルが、1~2個のFにより置換されていてもよく、
1~2個のFにより置換されていてもよい1~2つのC
1-2-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONHCH
3、-CON(CH
3)
2、-COOH、-COO-C
1-2-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、CH
3-O-C
1-3-アルキレン-、NH
2、CH
3-CO-NH-、CH
3-S(=O)
2-NH-、OH及びCH
3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、4員~7員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G2a群から選択され、4員~7員の飽和単環式ヘテロシクリルが、
>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから選択される1つの環員をさらに含有してもよく、>C=O及び>S(=O)
2から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、
2~3個のFにより置換されていてもよい1~2つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CON(C
1-3-アルキル)
2、-COO-C
1-3-アルキル、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-及びC
1-3-アルキル-O-から選択される1つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、6員~11員の飽和二環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G2b群から選択され、6員~11員の飽和二環式ヘテロシクリルが、
>N-、>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから選択される1つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、O-S結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~3つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及びC
1-3-アルキル-O-から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい、
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
R
3が、H、及び1~3個のFにより置換されていてもよいC
1-3-アルキルからなるR
3-G2群から選択され、
R
4が、C
1-4-アルキルからなるR
4-G3a群から選択され、C
1-4-アルキルが、
1~3個のFにより置換されていてもよく、
-CN、-CONH
2、-COOH、OH及び-O-C
1-2-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、-C
0-1-アルキレン-C
3-7-シクロアルキル及びC
3-9-ヘテロシクリルからなるR
4-G3b群から選択され、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルが、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルが、N、NH、>NCOCH
3、>NCOO(C
1-2-アルキル)、>NS(=O)
2CH
3、>N-ピリミジニル、O及び>S(=O)
2から選択される1つの環員を含有し、
前記シクロアルキルが、1~2個のFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH
3基により置換されていてもよいか、又はCH
2CH
3、-CN、CH
2OH、C(CH
3)
2OH、CHF
2、CF
3、OH、-OCH
3及び>S(=O)
2CH
3から選択される1つの置換基により置換されていてもよく、
前記ヘテロシクリルが、2つのFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH
3基により置換されていてもよいか、又はCH
2CH
3及びC(CH
3)
2Hから選択される1つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、-C
1-2-アルキレン-フェニル及びC
0-1-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G3c群から選択され、
前記アルキレンの1つの>CH
2基が、
【化11】
部分若しくは
【化12】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基が、
【化13】
部分若しくは
【化14】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールが、1つの環員=N-を含有する5~6員の単環であって、=N-及びOから独立して選択される1つの環員を含有してもよい、5~6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールが、F、Cl、OCH
3及びCH
3から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、9員~10員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR
4-G3d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルが、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-及びOから選択される1つの環員を含有してもよい、1つの非芳香族環
及び
フェニル、ピリジン、ピラゾール及びチアゾールから選択される1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルが、F、CH
3、CH
2CH
3、-CN、NH
2及びOHから選択される1つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、4員~6員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G3a群から選択され、4員~6員の飽和単環式ヘテロシクリルが、
アミドN原子に隣接していない、1つの環員Oをさらに含有してもよく、
前記ヘテロシクリルが、1~2個のFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH
3により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、6員~11員の飽和な架橋二環式ヘテロシクリル又はスピロ二環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G3b群から選択され、6員~11員の飽和な架橋二環式ヘテロシクリル又はスピロ二環式ヘテロシクリルが、
アミドN原子に隣接していない、>N-、>NH、>N(C
1-4-アルキル)及びOから選択される1つの環員をさらに含有してもよく、
前記ヘテロシクリルが、1~2個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~2つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CON(C
1-3-アルキル)
2、-COO-C
1-3-アルキル、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-及びC
1-3-アルキル-O-から選択される1つの置換基により置換されていてもよい、
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
R
3が、H、及び1~3個のFにより置換されていてもよいC
1-3-アルキルからなるR
3-G2群から選択され、
R
4が、F及びOCF
3から選択される1つの基により置換されていてもよいC
1-4-アルキルからなるR
4-G4a群から選択されるか、
又は
R
4が、-C
0-1-アルキレン-C
3-7-シクロアルキル及びC
3-9-ヘテロシクリルからなるR
4-G3b群から選択され、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルが、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルが、N、NH、>NCOCH
3、>NCOO(C
1-2-アルキル)、>NS(=O)
2CH
3、>N-ピリミジニル、O及び>S(=O)
2から選択される1つの環員を含有し、
前記シクロアルキルが、1~2個のFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH
3基により置換されていてもよいか、又はCH
2CH
3、-CN、CH
2OH、C(CH
3)
2OH、CHF
2、CF
3、OH、-OCH
3及び>S(=O)
2CH
3から選択される1つの置換基により置換されていてもよく、
前記ヘテロシクリルが、2つのFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH
3基により置換されていてもよいか、又はCH
2CH
3及びC(CH
3)
2Hから選択される1つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、-C
1-2-アルキレン-フェニル及びC
0-1-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G3c群から選択され、
前記アルキレンの1つの>CH
2基が、
【化15】
部分若しくは
【化16】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基が、
【化17】
部分若しくは
【化18】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールが、1つの環員=N-を含有する5~6員の単環であって、=N-及びOから独立して選択される1つの環員を含有してもよい、5~6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールが、F、Cl、OCH
3及びCH
3から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4が、9員~10員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR
4-G3d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルが、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-及びOから選択される1つの環員を含有してもよい、1つの非芳香族環
及び
フェニル、ピリジン、ピラゾール及びチアゾールから選択される1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルが、F、CH
3、CH
2CH
3、-CN、NH
2及びOHから選択される1つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、4員~6員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G3a群から選択され、4員~6員の飽和単環式ヘテロシクリルが、
アミドN原子に隣接していない、1つの環員Oをさらに含有してもよく、
前記ヘテロシクリルが、1~2個のFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH
3により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、アミドN原子に隣接していない1つの環員Oを含有してもよい、6員~8員の飽和な架橋二環式ヘテロシクリル又はスピロ二環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G4b群から選択される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
R
3が、H、CH
3、CH
2CH
3及びCH
2CH
2CH
3からなるR
3-G3群から選択され、
R
4が、
【化19】
からなるR
4-G5a群から選択されるか、
又は
R
4が、
【化20-1】
【化20-2】
からなるR
4-G4b群から選択されるか、
又はR
4が、
【化21】
からなるR
4-G4c群から選択されるか、
又はR
4が、
【化22】
からなるR
4-G4d群から選択されるか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G4a群から選択され、ヘテロシクリルが、
【化23】
からなる群から選択されるか、
又は
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G5b群から選択され、ヘテロシクリルが、
【化24】
からなる群から選択される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
R
3及びR
4が、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G7a群から選択され、ヘテロシクリルが、
【化25】
からなる群から選択される、
請求項7に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
以下:
【化26】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載の1種又は複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい、医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の1種又は複数の化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び1種又は複数の追加の治療剤を含む医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい、医薬組成物。
【請求項13】
1種又は複数の追加の治療剤が、抗糖尿病剤、過体重及び/又は肥満の処置のための薬剤、高血圧、心不全及び/又はアテローム性動脈硬化の処置のための薬剤、眼疾患の処置のための薬剤、並びにアレルギー及び炎症に関連する状態及び疾患の処置のための薬剤からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
医薬として使用するための、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
処置を必要とする患者における、眼疾患、好ましくは、糖尿病性黄斑浮腫、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性、地図状萎縮及び非滲出性脈絡膜血管新生を処置するための、並びにアレルギー及び炎症に関連する状態及び疾患、好ましくはじんましん及びNASHを処置するための方法であって、患者に、請求項1~9のいずれか1項に記載の1種又は複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、方法。
【請求項16】
眼疾患、好ましくは、糖尿病性黄斑浮腫、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性、地図状萎縮及び非滲出性脈絡膜血管新生を処置するための、並びにアレルギー及び炎症に関連する状態及び疾患、好ましくはじんましん及びNASHを処置するための方法に使用するための、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
眼疾患、好ましくは、糖尿病性黄斑浮腫、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性、地図状萎縮及び非滲出性脈絡膜血管新生を処置するための、並びにアレルギー及び炎症に関連する状態及び疾患、好ましくはじんましん及びNASHを処置するための医薬の調製における、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板活性化因子受容体アンタゴニストである、新規なシクロペンタチオフェンカルボキサミド誘導体及び薬学的に許容されるその塩に関する。さらに、本発明は、前記化合物を含む医薬組成物及び組合せ、並びに血小板活性化因子受容体を拮抗することによって影響を受け得る疾患を処置する方法におけるそれらの使用に関する。特に、本発明の医薬組成物は、眼疾患、アレルギー及び炎症に関連する状態並びに疾患、特に、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性、地図状萎縮、じんましん及びNASHの予防並びに/又は治療に好適である。
【背景技術】
【0002】
血小板活性化因子(PAF)は、エーテル-リン脂質であり、既知の最も強力な脂質メディエータである。PAFは、血小板、マクロファージ、単球、好中球、好塩基球、好酸球、肥満細胞及び内皮細胞のような様々な細胞によって構成的に、又は特定の刺激下で合成される。PAF、PAF様脂質(PAFLL)、及び一部の酸化されたリン脂質は、PAF受容体(PAFR)の構造が明確なリガンドである、Gタンパク質-共役型受容体である。PAFRの発現は、免疫、止血システム及び炎症システムの特定の標的細胞では限定的である。PAFのシグナル伝達機能は、実質的にすべての器官において、急性炎症及び慢性炎症と大部分が関わっている。
PAFは、いくつかの炎症性障害においてある役割を果たすと考えられており、眼疾患、心血管疾患、がん、神経学的障害及び神経変性障害、腎障害、肝疾患及びアレルギーにおいて、大きな関連性を有することができる。したがって、例えば、PAFRアンタゴニストによるPAFR活性化の抑制は、例えば、本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に言及されている通り、PAFRを拮抗することによって影響を受け得る、幅広い範囲の障害の処置に有用であると考えられる。特に、PAFRアンタゴニストは、眼疾患、例えば、萎縮型又は滲出型加齢黄斑変性、及び地図状萎縮又はアレルギー、及び炎症-関連障害、例えばじんましん及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防又は処置に有用となるはずである。
治療的使用に好適なPAFRアンタゴニストは、強力かつ高い選択性でPAFRに結合するはずである。PAFRアンタゴニストは、胃腸管から十分に吸収されて、十分な代謝安定性があり、有利な薬物動態特性を有するはずである。それらは、非毒性であるべきであり、副反応がまったく又はほとんどないことが実証されている。
【0003】
例えば、Weber et al. (Med. Res. Rev.1989, 9, 181-218), Miyazawa et al. (Chem. Pharm. Bull. 1991, 39, 3215-3220)及びSummers et al. (Curr. Pharm. Des. 1995, 1, 161-190)によって、欧州特許出願公開第0194416号、欧州特許出願公開第0254245号、欧州特許出願公開第0368175号及び欧州特許出願公開第0480455号に記載されている化合物である低分子量PAFRアンタゴニストが、当分野において公知である。これらに開示されているチエノトリアゾロジアゼピンのクラスの化合物は、酸性溶液中で加水分解を受けることが報告されている(例えば、Gallo et al., J. Heterocyclic Chem. 1988, 25, 867-869; Legouin et al., J. Heterocyclic Chem. 2000, 37, 127-129)。
【0004】
前記化合物及び関連化合物の合成及び特徴付けに有用なさらなる方法が、欧州特許出願公開第0388789号、Sung et al. (Archiv der Pharmazie 1996, 329, 291-300), Fier et al. (Org. Lett. 2017, 19, 1454-1457)、Brenna et al. (Green Chem. 2017, 19, 5122-5130), Filippakopoulos et al. (Nature 2010, 468, 1067-1073)、Syeda at al. (Tetrahedron Lett. 2015, 56, 3454-3457)及びYeo et al. (Br. J. Clin. Pharmacol. 2004, 57, 687-688)に開示されている。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物
【化1】
(式中、
R
1は、C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)及びC
3-4-シクロアルキルからなるR
1-G1群から選択され、
nは、0、1、2及び3からなるn-G1群から選択され、
R
2は、R
2-G1群から独立して選択され、R
2-G1群は、F、Cl、Br、I、C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよいか、又は1つの-CN、1つのOH若しくは1つのO-C
1-4-アルキルにより置換されていてもよい)からなり、C
3-4-シクロアルキル、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、NH
2、OH、-O-C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)からさらになり、-S(O)
r-C
1-4-アルキル(r=0、1又は2)からなり、
R
3は、H、及び1~5個のFにより置換されていてもよいC
1-4-アルキルからなるR
3-G1群から選択され、
R
4は、C
1-6-アルキルからなるR
4-G1a群から選択され、C
1-6-アルキルは、
1~3個のFにより置換されていてもよく、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及び-O-C
1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4は、-C
0-3-アルキレン-C
3-10-シクロアルキル及び-C
0-3-アルキレン-C
3-10-ヘテロシクリルからなるR
4-G1b群から選択され、
前記アルキレンは、F及びCH
3から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよく、
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化2】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルは、N、NH、>N(C
1-4-アルキル)、>NCO(C
1-4-アルキル)、>NCOO(C
1-4-アルキル)、>NS(=O)
2(C
1-4-アルキル)、>N-フェニル、>N-ピリジニル、>N-ピリミジニル及びOから独立して選択される1~2つの環員を含有し、>C=O、>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、OH、-O-C
1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、>S(=O)
2-C
1-4-アルキル及びC
1-4-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN、OH、-O-C
1-4-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4は、-C
0-3-アルキレン-フェニル及び-C
0-3-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G1c群から選択され、
前記アルキレンは、F及びCH
3から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよく、
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化3】
部分若しくは
【化4】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基は、
【化5】
部分若しくは
【化6】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールは、N、NH、O及びSから選択される1つの環員を含有する5員の単環であって、1~2つの環員Nをさらに含有してもよい、5員の単環、又は1~2つの環員Nを含有する6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、C
3-4-シクロアルキル、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、-NHCO-C
1-4-アルキル、-NHS(=O)
2-C
1-4-アルキル、-S(=O)
r-C
1-4-アルキル(r=0、1又は2)、-O-C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、及びC
1-4-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN、OH及び-O-C
1-4-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~3つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
4は、7員~12員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR
4-G1d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-、>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~2つの環員を含有してもよく、
C=O及びS(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよい、非芳香族環
及び
フェニル、ピロール、フラン及びチオフェンから選択される、1つの芳香族環であって、これらの各々において、1~2つのCH環員は、Nにより置き換えられていてもよい、1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~4個のFにより置換されていてもよい1~4つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-、NH
2、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及びC
1-3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)からなる群から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、3員~8員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G1a群から選択され、3員~8員の飽和単環式ヘテロシクリルは、
>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~2つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~4つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及びC
1-3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよいか、
又は
R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、5員~12員の飽和二環式ヘテロシクリルを形成する、R
3/4-G1b群から選択され、5員~12員の飽和二環式ヘテロシクリルは、
>N-、>NH、>N(C
1-4-アルキル)、>N(CO-C
1-3-アルキル)、>N(S(=O)
2-C
1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~3つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~6個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~4つのC
1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、HO-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-O-C
1-3-アルキレン-、C
1-3-アルキル-CO-NH-、C
1-3-アルキル-S(=O)
2-NH-、OH及びC
1-3-アルキル-O-から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよく、
本明細書のこれ以前に言及されるいずれの定義においても、特に指定されない場合、いずれのアルキル基又はアルキレン基も直鎖であってもよいし、又は分岐であってもよい)
異性体、立体異性体、互変異性体、代謝産物、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、及びそれらの塩、特に薬学的に許容されるそれらの塩又はそれらの組合せ
に関する。
【0006】
第2の態様では、本発明は、本明細書のこれ以前若しくは本明細書のこれ以降に定義される1つ又は複数の式(I)の化合物、或いは薬学的に許容されるその塩を含む、医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい、医薬組成物に関する。
【0007】
第3の態様では、本発明は、本明細書のこれ以前若しくは本明細書のこれ以降に定義される1つ又は複数の式(I)の化合物、或いは薬学的に許容されるその塩、及び1種又は複数の追加の治療剤を含む、医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい、医薬組成物に関する。
【0008】
第4の態様では、本発明は、医薬として使用するための、本明細書のこれ以前若しくは本明細書のこれ以降に定義される式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0009】
第5の態様では、本発明は、それを必要とする患者における、血小板活性化因子受容体を拮抗することによって影響を受け得る疾患又は状態の処置のための方法であって、患者に、本明細書のこれ以前若しくは本明細書のこれ以降に定義される1つ又は複数の式(I)の化合物、或いは薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、方法に関する。
さらに、本発明は、血小板活性化因子受容体を拮抗することによって影響を受け得る疾患又は状態を処置するための医薬の製造における、本明細書のこれ以前若しくは本明細書のこれ以降に定義される1つ又は複数の式(I)の化合物、或いは薬学的に許容されるその塩の使用に関する。
さらに、本発明は、それを必要とする患者において、血小板活性化因子受容体を拮抗することによって影響を受け得る疾患又は状態を処置する方法に使用するための、本明細書のこれ以前若しくは本明細書のこれ以降に定義される式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩に関する。
本発明のさらなる態様は、上述及び下記並びに実施例から直接、当業者に明白となろう。
【0010】
一般的な用語及び定義
本明細書において具体的に定義されていない用語は、本開示及び文脈に照らし合わせて、当業者によりこれらの用語に与えられていると思われる意味が与えられているはずである。しかし、本明細書に使用されている場合、反対に指定されていない限り、以下の用語が表示されている意味を有しており、以下の慣習に従う。
用語「本発明による化合物」、「式(I)の化合物」、「本発明の化合物」などは、本発明による式(I)の化合物であって、それらの互変異性体、立体異性体及びそれらの混合物、及びそれらの塩、特に薬学的に許容されるその塩、並びにこのような化合物の溶媒和物、水和物及び共結晶を含めた式(I)の化合物を意味し、このような互変異性体、立体異性体及びそれらの塩の溶媒和物、水和物及び共結晶を含む。
【0011】
同様に、特に具体的に示さない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲全体にわたり、所与の化学式又は名称は、互変異性体、並びにすべての立体異性体、光学異性体及び幾何異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、E/Z異性体など)、並びにそれらのラセミ体、並びに個々の鏡像異性体の異なる割合の混合物、ジアステレオマーの混合物、又はこのような異性体及び鏡像異性体が存在する上述の形態のいずれかの混合物、並びに塩(薬学的に許容されるその塩を含む)、並びにその溶媒和物(例えば、本遊離化合物の溶媒和物又は本化合物の塩の溶媒和物を含めた水和物など)を包含するものとする。
「薬学的に許容される」という言い回しは、妥当な医療的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題、又は合併症なしに、ヒト及び動物の組織に接触して使用するのに好適な、妥当な利益/リスク比に見合う化合物、物質、組成物及び/又は剤形を指すために本明細書において使用される。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、親化合物が、その酸塩又は塩基塩を作製することにより修飾されている、開示化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、以下に限定されないが、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などを含む。
【0012】
例えば、このような塩には、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、ゲンチジン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、4-メチル-ベンゼンスルホン酸、リン酸、サリチル酸、コハク酸、硫酸、及び酒石酸からの塩を含む。
本発明の薬学的に許容される塩は、慣用的な化学方法により、塩基性部分又は酸性部分を含有する、親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸又は遊離塩基の形態を、水中、又はエーテル、EtOAc、EtOH、イソプロパノール若しくはMeCN、又はそれらの混合物などの有機希釈液中で、十分量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製することができる。
例えば、本発明の化合物を精製又は単離するために有用な上記のもの以外の酸の塩(例えば、トリフルオロ酢酸塩)もまた、本発明の一部を構成する。
本発明の化合物が、化学名の形態で、かつ式として図示される場合に、なんらかの相違がある場合、式が優先するものとする。
【0013】
以下に定義される基、ラジカル又は部分において、炭素原子数は、多くの場合、その基の前に指定されており、例えば、C1-6-アルキルとは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基又はラジカルを意味する。
アスタリスクは、定義されるコア分子に結合している結合を示すために、部分式中に使用することができ、例えば、部分式中の、1つ超の結合点、すなわち1つ超のアスタリスクがある場合、これらのアスタリスクは、コア分子の結合部分の括弧内の表示によってさらに指定され得る。
置換基の原子の命名は、置換基が結合しているコア又は基に最も近い原子から開始する。
【0014】
例えば、用語「3-カルボキシプロピル基」は、以下の置換基を表す:
【化7】
(式中、カルボキシ基は、プロピル基の3番目の炭素原子に結合している)。用語「1-メチルプロピル-」、「2,2-ジメチルプロピル-」又は「シクロプロピルメチル-」基は、以下の基を表す:
【化8】
用語「置換されている」とは、本明細書で使用する場合、指定されている原子上の1個又は複数の水素が、置換基の定義されている基から選択される化学基によって置き換えられていることを意味し、ただし、指定される原子の正常な価数を超過しないこと、及び置換により許容可能な程度に安定な化合物をもたらすことを条件とする。同様に、用語「置換されている」とは、単一原子の代わりの化学部分、例えば、「置換アルキル」、「置換アリール」などと関連して使用されてもよい。
【0015】
基の定義において、「X、Y及びZ基はそれぞれが、~により置換されていてもよい」などの用語は、X基のそれぞれ、Y基のそれぞれ及びZ基のそれぞれのいずれかが、それぞれ個別の基として又はそれぞれが構成される基の一部として、定義される通りに置換されていてもよいことを意味する。例えば、定義「Rexは、H、C1-3-アルキル、C3-6-シクロアルキル、C1-3-アルキル-C3-6-シクロアルキレン-又はC1-3-アルキル-O-を意味し、各アルキル基は、1つ又は複数のLexにより置換されていてもよい」などは、用語アルキルを含む上述の基の各々において、すなわち基C1-3-アルキル、C1-3-アルキル-C3-6-シクロアルキレン-及びC1-3-アルキル-O-の各々において、アルキル部分が、定義されるLexにより置換されていてもよいことを意味する。
【0016】
用語「C1-n-アルキル」(nは、1より大きい整数である)は、単独で、又は別のラジカルと組み合わせてのどちらかで、1~n個の炭素原子を有する、線状又は分岐状非環式飽和炭化水素ラジカルを意味する。例えば、用語C1-5-アルキルは、H3C-、H3C-CH2-、H3C-CH2-CH2-、H3C-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH(CH3)-CH2-、H3C-C(CH3)2-、H3C-CH2-CH2-CH2-CH2-、H3C-CH2-CH2-CH(CH3)-、H3C-CH2-CH(CH3)-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH2-CH2-、H3C-CH2-C(CH3)2-、H3C-C(CH3)2-CH2-、H3C-CH(CH3)-CH(CH3)-及びH3C-CH2-CH(CH2CH3)-を含む。
用語「C1-n-アルキレン」(nは1より大きい整数である)は、単独で、又は別のラジカルと組み合わせてのどちらかで、1~n個の炭素原子を有する、二価の線状又は分岐状非環式飽和アルキルラジカルを意味する。例えば、用語C1-4-アルキレンには、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-C(CH3)2-、-CH(CH2CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-C(CH3)2-、-C(CH3)2-CH2-、-CH(CH3)-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)-、-CH(CH2CH3)-CH2-、-CH(CH2CH2CH3)-、-CH(CH(CH3))2-及び-C(CH3)(CH2CH3)-が含まれる。
【0017】
用語「C3-n-シクロアルキル」(nは、3より大きい整数である)は、単独で、又は別のラジカルと組み合わせてのどちらかで、3~n個の炭素原子を有する、非分岐状の、環式飽和炭化水素ラジカルを意味する。環式基は、単環式、二環式、三環式、又はスピロ環式であってもよく、最も好ましくは単環式である。このようなシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロドデシル、ビシクロ[3.2.1.]オクチル、スピロ[4.5]デシル、ノルピニル、ノルボニル、ノルカリル、アダマンチルなどが含まれる。
【0018】
用語「ヘテロシクリル」は、N、O又はS(O)
r(r=0、1又は2)から選択される1個又は複数のヘテロ原子を含有し、3~14個の環原子からなる芳香族環を含んでもよい、飽和若しくは不飽和な単環式又は多環式環系であって、ヘテロ原子のいずれも、芳香族環の一部ではない、飽和若しくは不飽和な単環式又は多環式環系を意味する。用語「ヘテロシクリル」は、可能な異性体のすべてを含むことが意図されている。
したがって、用語「ヘテロシクリル」は、以下の例示的な構造を含む。それらは、各形態が、適切な価数を維持している限り、あらゆる原子への共有結合を介して結合していてもよいので、ラジカルとして図示されていない:
【化9-1】
【化9-2】
【0019】
用語「アリール」は、本明細書で使用する場合、単独で、又は別のラジカルと組み合わせてのどちらかで、6個の炭素原子を含有する炭素環式芳香族単環式基であって、芳香族、飽和若しくは不飽和な、第2の5員又は6員の炭素環式基にさらに縮合していてもよい、炭素環式芳香族単環式基を意味する。アリールには、以下に限定されないが、フェニル、インダニル、インデニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、テトラヒドロナフチル及びジヒドロナフチルが含まれる。
【0020】
用語「ヘテロアリール」は、N、O又はS(O)r(r=0、1又は2)から選択される1個又は複数のヘテロ原子を含有し、5~14個の環原子からなる少なくとも1つの芳香族環を含む単環式又は多環式環系であって、ヘテロ原子の少なくとも1個が、芳香族環の一部である、単環式又は多環式環系を意味する。用語「ヘテロアリール」は、可能な異性体をすべて含むことが意図されている。
したがって、用語「ヘテロアリール」は、以下の例示的な構造を含む。それらは、各形態が、適切な価数を維持している限り、あらゆる原子への共有結合を介して結合していてもよいので、ラジカルとして図示されていない:
【0021】
【0022】
用語「二環式環系」は、スピロ環式環系、縮合環系及び架橋環系を含めた、2つが一緒になった環式部分構造からなる基を意味する。
上に提示された用語の多くは、式又は基の定義において繰り返し使用されていることがあり、各場合において、上に提示された意味の1つを互いに独立して有する。
用語「処置」及び「処置すること」は、本明細書で使用する場合、治療的、すなわち治癒的及び/又は緩和的な処置と、予防的すなわち防止的処置の両方を包含する。
【0023】
治療的処置とは、発症形態、急性形態又は慢性形態にある前記状態の1つ又は複数を既に発症している患者の処置を指す。治療的処置は、特定の兆候の症状を軽減するための対症処置、又は兆候の状態を反転若しくは部分的に反転させる、又は疾患の進行を停止若しくは減速させるための原因処置とすることができる。
予防的処置(「予防」)とは、前記状態の1つ又は複数を発症リスクにある患者を、前記リスクを低減するために、疾患の臨床的な発生前に処置することを指す。
【0024】
用語「処置」及び「処置すること」は、症状若しくは合併症の発生を予防する又は遅延させるため、及び疾患、状態若しくは障害の発症を予防する又は遅延させるため、及び/或いは疾患、状態若しくは障害をなくす又は制御するため、並びに疾患、状態若しくは障害に関連する症状又は合併症を軽減するために、1種又は複数の活性化合物を投与することを含む。
本発明が、処置を必要とする患者を指す場合、本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける処置に主に関する。
用語「治療有効量」は、(i)特定の疾患若しくは状態を処置又は予防する、(ii)特定の疾患若しくは状態の1つ又は複数の症状を弱化する、改善する或いはなくす、或いは(iii)本明細書に記載されている特定の疾患若しくは状態の1つ又は複数の症状の発生を予防する或いは遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、以下に限定されないが、眼疾患及び炎症関連状態並びに疾患、特に、地図状萎縮、滲出型加齢黄斑変性、アレルギー及びNASHを含めた、PAFR拮抗作用によって影響を受け得る疾患及び/若しくは状態を予防又は処置する医薬としてそれらを使用するための、有効な血小板活性化受容体(PAFR)アンタゴニストであり、かつ好適な薬理学的及び薬物動態特性を有する、新規なシクロペンタチオフェンカルボキサミド誘導体を開示する。
【0026】
本発明の化合物は、効力の増大、高い代謝安定性及び/又は化学安定性、高い選択性、安全性及び耐容性、溶解度の増大、透過性の増大、所望の血漿タンパク質結合、生体利用率の向上及び薬物動態プロファイルの改善などのいくつかの利点を実現することができる。
【0027】
本発明の化合物
本発明の第1の態様では、式(I)の化合物
【化11】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に定義される)は、PAFRの強力なアンタゴニストであり、選択性、安全性及び耐容性、代謝安定性及び/又は化学安定性、薬物動態特徴及び物理化学的特徴、溶解度、透過性、血漿タンパク質結合、並びに生体利用率の点で、有利な特性を示し得ることが見出されている。特に、それらは、PAFRアンタゴニストとしてインビトロにおいて高い効力を驚くべきことにもたらし、それらは、脈絡膜血管新生の動物モデルにおいて、インビボで良好な効力を示す。さらに、本発明による化合物は、特に、低いpHの値において、有利な化学的安定性を示す。それらは、有利なことに低い細胞毒性及びバランスのとれた代謝を示し、すなわち、それらの代謝は、CYP3A4のような1つの単一シトクロムP450(CYP)酵素によって主に媒介されず、したがって、関連する薬物-薬物相互作用のリスクは低い。同時に、その腎クリアランスは、依然として適度に低いままである。
【0028】
したがって、本明細書のこれ以前若しくは本明細書のこれ以降に定義される式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩は、PAFR拮抗作用によって影響を受け得る疾患及び/又は状態の処置に有用となることが期待される。
驚くべきことに、式(I)の化合物は、メラニンに独占的に結合することも示され得、このことは、この化合物の生体内分布及び薬物動態特性に影響を及ぼす;特に、これによって、眼内に上記化合物が蓄積されて、薬物保持の長期化がもたらされる。したがって、本発明の化合物は、特に、眼疾患の処置に好適となり得る。
したがって、本発明の一態様によれは、式(I)の化合物
【化12】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4及びnは、本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に定義される)
並びに異性体、立体異性体、互変異性体、代謝産物、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、共結晶、及びそれらの塩、特に薬学的に許容されるそれらの塩が、提供される。
【0029】
特に明記しない限り、基、残基及び置換基、特に、R1、R2、R3、R4及びnは、本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に定義される。式(I)の化合物の、置換基R1、R2、R3、R4及びn、並びにフェニル置換パターンの好ましい意味の一部は、本発明の実施形態として、本明細書のこれ以降に提示される。これらの定義及び実施形態のいずれも、互いに組み合わされてもよい。
【0030】
R1:
一実施形態によれば、R1は、
C1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)及びC3-4-シクロアルキル
からなるR1-G1群から選択される。
別の実施形態によれば、R1は、
CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3、CHF2、CF3及びシクロプロピル
からなるR1-G2群から選択される。
別の実施形態によれば、R1は、
CH3及びCH2CH3
からなるR1-G3群から選択される。
別の実施形態によれば、R1は、CH3からなるR1-G4群から選択される。
別の実施形態によれば、R1は、CH2CH3から選択されるR1-G5群から選択される。
【0031】
n:
一実施形態によれば、nは、0、1、2及び3からなるn-G1群から選択される。
別の実施形態によれば、nは、0、1及び2からなるn-G2群から選択される。
別の実施形態によれば、nは、0からなるn-G3群である。
別の実施形態によれば、nは、1からなるn-G4群である。
別の実施形態によれば、nは、2からなるn-G5群である。
【0032】
R2:
1つ超の置換基R2が式(I)の化合物に存在する場合、すなわちn=2又は3である場合、R2はそれぞれ、本明細書のこれ以降に定義される実施形態及びR2-G1群~R2-G6群から互いに独立して選択される。
一実施形態によれば、R2は、R2-G1群から独立して選択され、R2-G1群は、
F、Cl、Br、I、C1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよいか、又は1つの-CN、1つのOH若しくは1つのO-C1-4-アルキルにより置換されていてもよい)からなり、C3-4-シクロアルキル、-CN、-CONH2、-CONH(C1-4-アルキル)、-CON(C1-4-アルキル)2、-COOH、-COO-C1-4-アルキル、NH2、OH、-O-C1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)からさらになり、-S(O)r-C1-4-アルキル(r=0、1又は2)からなる。
【0033】
別の実施形態によれば、R2は、R2-G2群から独立して選択され、R2-G2群は、
F、Cl、Br、C1-3-アルキル(2個又は3個のFにより置換されていてもよい)からなり、シクロプロピル、-CN、-C1-3-アルキレン-OH、-C1-2-アルキレン-O-C1-2-アルキル、NH2、OH、-O-C1-3-アルキル(2個又は3個のFにより置換されていてもよい)からさらになり、-S-C1-3-アルキルからなる。
別の実施形態によれば、R2は、R2-G3群から独立して選択され、R2-G3群は、
Cl、Br、CH3、-CN、NH2、OH及びOCH3からなる。
別の実施形態によれば、R2は、Cl、Br及び-CN、好ましくはClからなるR2-G4群から独立して選択される。
【0034】
別の実施形態によれば、R2は、CH3及びOCH3からなるR2-G5群から独立して選択される。
別の実施形態によれば、R2は、NH2及びOHからなるR2-G6群から独立して選択される。
【0035】
フェニル置換パターン:
式(I)において示されるフェニル環の置換パターンを記載する場合、以下の炭素原子の番号付けを使用する:
【化13】
一般に、n個の置換基R
2は、それぞれ、炭素原子C-2~C-6のいずれか、及びそれらのあらゆる組合せに結合することができる。
n=1の場合、一実施形態によれば、R
2は、炭素原子2に結合している。
n=2の場合、一実施形態によれば、R
2の1つは、炭素原子2に結合しており、もう一方のR
2は、炭素原子5に結合している。
【0036】
R
2、n及びフェニル置換パターン:
一実施形態によれば、R
2、n及びフェニル置換パターンは、式(I)に示される生じた置換フェニル環が、以下
【化14】
からなるPh-G1群から選択されるように、選択される。
別の実施形態によれば、R
2、n及びフェニル置換パターンは、式(I)に示される生じた置換フェニル環が、以下
【化15】
からなるPh-G2群から選択されるように、選択される。
別の実施形態によれば、R
2、n及びフェニル置換パターンは、式(I)に示される生じた置換フェニル環が、以下
【化16】
好ましくは
【化17】
からなるPh-G3群から選択されるように、選択される。
【0037】
別の実施形態によれば、R
2、n及びフェニル置換パターンは、式(I)に示される生じた置換フェニル環が、以下
【化18】
からなるPh-G4群から選択されるように、選択される。
別の実施形態によれば、R
2、n及びフェニル置換パターンは、式(I)に示される生じた置換フェニル環が、以下
【化19】
からなるPh-G5群から選択されるように、選択される。
【0038】
R3及びR4:
一実施形態によれば、R3は、
H、及び1~5個のFにより置換されていてもよいC1-4-アルキル
からなるR3-G1群から選択される。
別の実施形態によれば、R3は、
H、及び1~3個のFにより置換されていてもよいC1-3-アルキル
からなるR3-G2群から選択される。
別の実施形態によれば、R3は、H、CH3、CH2CH3及びCH2CH2CH3からなるR3-G3群から選択される。
別の実施形態によれば、R3は、HからなるR3-G4群から選択される。
別の実施形態によれば、R3は、CH3、CH2CH3及びCH2CH2CH3からなるR3-G5群から選択される。
一実施形態によれば、R4は、C1-6-アルキルからなるR4-G1a群から選択され、C1-6-アルキルは、
1~3個のFにより置換されていてもよく、
-CN、-CONH2、-CONH(C1-4-アルキル)、-CON(C1-4-アルキル)2、-COOH、-COO-C1-4-アルキル、C1-3-アルキル-CO-NH-、C1-3-アルキル-S(=O)2-NH-、OH及び-O-C1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0039】
別の実施形態によれば、R4は、C1-6-アルキルからなるR4-G2a群から選択され、C1-6-アルキルは、
1~3個のFにより置換されていてもよく、
-CN、-CONH2、-CONH(C1-2-アルキル)、-CON(C1-2-アルキル)2、-COOH、-COO-C1-2-アルキル、C1-2-アルキル-CO-NH-、C1-2-アルキル-S(=O)2-NH-、OH及び-O-C1-2-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1つの置換基により置換されていてもよい。
別の実施形態によれば、R4は、C1-4-アルキルからなるR4-G3a群から選択され、C1-4-アルキルは、
1~3個のFにより置換されていてもよく、
-CN、-CONH2、-COOH、OH及び-O-C1-2-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1つの置換基により置換されていてもよい。
別の実施形態によれば、R4は、C1-4-アルキルからなるR4-G4a群から選択され、C1-4-アルキルは、
F及びOCF3から選択される1つの基により置換されていてもよい。
【0040】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化20】
からなるR
4-G5a群から選択される。
【0041】
一実施形態によれば、R
4は、-C
0-3-アルキレン-C
3-10-シクロアルキル及び-C
0-3-アルキレン-C
3-10-ヘテロシクリルからなるR
4-G1b群から選択され、
前記アルキレンは、F及びCH
3から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよく、
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化21】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルは、N、NH、>N(C
1-4-アルキル)、>NCO(C
1-4-アルキル)、>NCOO(C
1-4-アルキル)、>NS(=O)
2(C
1-4-アルキル)、>N-フェニル、>N-ピリジニル、>N-ピリミジニル及びOから独立して選択される1~2つの環員を含有し、>C=O、>S(=O)
r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)
r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、Cl、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、OH、-O-C
1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、>S(=O)
2-C
1-4-アルキル及びC
1-4-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN、OH、-O-C
1-4-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0042】
別の実施形態によれば、R4は、-C0-2-アルキレン-C3-8-シクロアルキル及び-C0-2-アルキレン-C3-9-ヘテロシクリルからなるR4-G2b群から選択され、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルは、N、NH、>NCOCH3、>NCOO(C1-2-アルキル)、>NS(=O)2CH3、>N-ピリミジニル、O及び>S(=O)2から選択される1つの環員を含有し、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、-CN、OH、-OCH3、>S(=O)2CH3及びC1-3-アルキル(2~3個のFにより、又は-CN、OH、-O-C1-4-アルキルから選択される1つの基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0043】
別の実施形態によれば、R4は、-C0-1-アルキレン-C3-7-シクロアルキル及びC3-9-ヘテロシクリルからなるR4-G3b群から選択され、
前記シクロアルキル及びヘテロシクリルは、飽和の単環式又は二環式環系であり、
前記ヘテロシクリルは、N、NH、>NCOCH3、>NCOO(C1-2-アルキル)、>NS(=O)2CH3、>N-ピリミジニル、O及び>S(=O)2から選択される1つの環員を含有し、
【0044】
前記シクロアルキルは、1~2個のFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH3基により置換されていてもよいか、又はCH2CH3、-CN、CH2OH、C(CH3)2OH、CHF2、CF3、OH、-OCH3及び>S(=O)2CH3から選択される1つの置換基により置換されていてもよく、
前記ヘテロシクリルは、2個のFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH3基により置換されていてもよいか、又はCH2CH3及びC(CH3)2Hから選択される1つの置換基により置換されていてもよい。
別の実施形態によれば、R4は、
【0045】
【化22-1】
【化22-2】
からなるR
4-G4b群から選択される。
【0046】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化23】
からなるR
4-G5b群から選択される。
【0047】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化24】
からなるR
4-G6b群から選択される。
【0048】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化25】
からなるR
4-G7b群から選択される。
【0049】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化26】
からなるR
4-G8b群から選択される。
【0050】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化27】
からなるR
4-G9b群から選択される。
【0051】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化28】
からなるR
4-G10b群から選択される。
【0052】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化29】
からなるR
4-G11b群から選択される。
【0053】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化30】
からなるR
4-G12b群から選択される。
【0054】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化31】
からなるR
4-G13b群から選択される。
【0055】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化32】
からなるR
4-G14b群から選択される。
一実施形態によれば、R
4は、-C
0-3-アルキレン-フェニル及び-C
0-3-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G1c群から選択され、
前記アルキレンは、F及びCH
3から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよく、
【0056】
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化33】
部分若しくは
【化34】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
【0057】
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基は、
【化35】
部分若しくは
【化36】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールは、N、NH、O及びSから選択される1つの環員を含有する5員の単環であって、1~2つの環員Nをさらに含有してもよい、5員の単環、又は1~2つの環員Nを含有する6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、C
3-4-シクロアルキル、-CN、-CONH
2、-CONH(C
1-4-アルキル)、-CON(C
1-4-アルキル)
2、-COOH、-COO-C
1-4-アルキル、-NHCO-C
1-4-アルキル、-NHS(=O)
2-C
1-4-アルキル、-S(=O)
r-C
1-4-アルキル(r=0、1又は2)、-O-C
1-4-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、及びC
1-4-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN、OH及び-O-C
1-4-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される1~3つの置換基により置換されていてもよい。
【0058】
別の実施形態によれば、R
4は、-C
0-2-アルキレン-フェニル及び-C
0-2-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G2c群から選択され、
前記アルキレンは、1~2つのCH
3により置換されていてもよく、
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化37】
部分若しくは
【化38】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
【0059】
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基は、
【化39】
部分若しくは
【化40】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールは、N、NH、O及びSから選択される1つの環員を含有する5員の単環であって、1つの環員Nをさらに含有してもよい、5員の単環、又は1~2つの環員Nを含有する6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールは、F、Cl、Br、-CN、-O-C
1-3-アルキル(1~3個のFにより置換されていてもよい)、及びC
1-3-アルキル(1~3個のFにより、又は-CN及び-O-C
1-2-アルキルから選択される1つの置換基により置換されていてもよい)から独立して選択される、1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0060】
別の実施形態によれば、R
4は、-C
1-2-アルキレン-フェニル及びC
0-1-アルキレン-ヘテロアリールからなるR
4-G3c群から選択され、
前記アルキレンの1つの>CH
2基は、
【化41】
部分若しくは
【化42】
部分によって置き換えられていてもよいか、又は
【0061】
前記アルキレンの1つの-CH
2-CH
2-基は、
【化43】
部分若しくは
【化44】
部分によって置き換えられていてもよく、
前記ヘテロアリールは、1つの環員=N-を含有する5~6員の単環であって、=N-及びOから独立して選択される1つの環員を含有してもよい、5~6員の単環であり、
前記フェニル及びヘテロアリールは、F、Cl、OCH
3及びCH
3から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0062】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化45】
からなるR
4-G4c群から選択される。
【0063】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化46】
からなるR
4-G5c群から選択される。
【0064】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化47】
からなるR
4-G6c群から選択される。
【0065】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化48】
からなるR
4-G7c群から選択される。
【0066】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化49】
からなるR
4-G8c群から選択される。
【0067】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化50】
からなるR
4-G9c群から選択される。
【0068】
一実施形態によれば、R4は、7員~12員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR4-G1d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-、>NH、>N(C1-4-アルキル)、>N(CO-C1-3-アルキル)、>N(S(=O)2-C1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~2つの環員を含有してもよく、
C=O及びS(=O)r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよい、1つの非芳香族環
及び
フェニル、ピロール、フラン及びチオフェンから選択される、1つの芳香族環であって、これらの各々において、1~2つのCH環員は、Nにより置き換えられていてもよい、1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~4個のFにより置換されていてもよい1~4つのC1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH2、-CONH(C1-4-アルキル)、-CON(C1-4-アルキル)2、-COOH、-COO-C1-4-アルキル、HO-C1-3-アルキレン-、C1-3-アルキル-O-C1-3-アルキレン-、NH2、C1-3-アルキル-CO-NH-、C1-3-アルキル-S(=O)2-NH-、OH及びC1-3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)からなる群から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0069】
別の実施形態によれば、R4は、8員~11員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR4-G2d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-、>NH、>NCH3、>NCOCH3、>NS(=O)2CH3及びOから選択される1つの環員を含有してもよく、
C=O及びS(=O)2から選択される1つの環員を含有してもよい、1つの非芳香族環
及び
フェニル、ピロール、フラン及びチオフェンから選択される、1つの芳香族環であって、これらの各々において、1つのCH環員は、Nにより置き換えられていてもよい、1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、
1~2個のFにより置換されていてもよい1~2つのC1-2-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH2、-CONHCH3、-CON(CH3)2、-COOH、-COO-C1-2-アルキル、HO-C1-3-アルキレン-、CH3-O-C1-3-アルキレン-、NH2、CH3-CO-NH-、CH3-S(=O)2-NH-、OH及びCH3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0070】
別の実施形態によれば、R4は、9員~10員の縮合二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルからなるR4-G3d群から選択され、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、
式(I)におけるアミドN原子に結合している、1つの非芳香族環であって、>N-及びOから選択される1つの環員を含有してもよい、1つの非芳香族環
及び
フェニル、ピリジン、ピラゾール及びチアゾールから選択される1つの芳香族環からなり、
前記二環式アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、F、CH3、CH2CH3、-CN、NH2及びOHから選択される1つの置換基により置換されていてもよい。
【0071】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化51】
からなるR
4-G4d群から選択される。
【0072】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化52】
からなるR
4-G5d群から選択される。
【0073】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化53】
からなるR
4-G6d群から選択される。
【0074】
別の実施形態によれば、R
4は、
【化54】
からなるR
4-G7d群から選択される。
【0075】
一実施形態によれば、R3及びR4は、R3とR4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、3員~8員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成する、R3/4-G1a群から選択され、3員~8員の飽和単環式ヘテロシクリルは、
>NH、>N(C1-4-アルキル)、>N(CO-C1-3-アルキル)、>N(S(=O)2-C1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~2つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~4つのC1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH2、-CONH(C1-4-アルキル)、-CON(C1-4-アルキル)2、-COOH、-COO-C1-4-アルキル、HO-C1-3-アルキレン-、C1-3-アルキル-O-C1-3-アルキレン-、C1-3-アルキル-CO-NH-、C1-3-アルキル-S(=O)2-NH-、OH及びC1-3-アルキル-O-(1~3個のFにより置換されていてもよい)から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0076】
一実施形態によれば、R3及びR4は、R3とR4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、4員~7員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成するR3/4-G2a群から選択され、4員~7員の飽和単環式ヘテロシクリルは、
>NH、>N(C1-4-アルキル)、>N(CO-C1-3-アルキル)、>N(S(=O)2-C1-3-アルキル)及びOから選択される1つの環員をさらに含有してもよく、>C=O及び>S(=O)2から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-S(=O)r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、
2~3個のFにより置換されていてもよい1~2つのC1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CON(C1-3-アルキル)2、-COO-C1-3-アルキル、C1-3-アルキル-O-C1-3-アルキレン-及びC1-3-アルキル-O-から選択される1つの置換基により置換されていてもよい。
【0077】
一実施形態によれば、R3及びR4は、R3とR4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、4員~6員の飽和単環式ヘテロシクリルを形成するR3/4-G3a群から選択され、4員~6員の飽和単環式ヘテロシクリルは、
アミドN原子に隣接していない、1つの環員Oをさらに含有してもよく、
前記ヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよいか、又は1~2つのCH3により置換されていてもよい。
【0078】
一実施形態によれば、R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G4a群から選択され、ヘテロシクリルは、
【化55】
からなる群から選択される。
【0079】
一実施形態によれば、R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリル
【化56】
を形成するR
3/4-G5a群から選択される。
【0080】
一実施形態によれば、R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリルであって、
【化57】
からなる群から選択される、ヘテロシクリルを形成する、R
3/4-G6a群から選択される。
【0081】
一実施形態によれば、R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリルを形成するR
3/4-G7a群から選択され、ヘテロシクリルは、
【化58】
からなる群から選択される。
【0082】
一実施形態によれば、R3及びR4は、R3とR4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、5員~12員の飽和二環式ヘテロシクリルを形成する、R3/4-G1b群から選択され、5員~12員の飽和二環式ヘテロシクリルは、
>N-、>NH、>N(C1-4-アルキル)、>N(CO-C1-3-アルキル)、>N(S(=O)2-C1-3-アルキル)及びOから独立して選択される1~3つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、N-N、N-O及びN-S(=O)r=1,2以外のヘテロ原子-ヘテロ原子結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~6個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~4つのC1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH2、-CONH(C1-4-アルキル)、-CON(C1-4-アルキル)2、-COOH、-COO-C1-4-アルキル、HO-C1-3-アルキレン-、C1-3-アルキル-O-C1-3-アルキレン-、C1-3-アルキル-CO-NH-、C1-3-アルキル-S(=O)2-NH-、OH及びC1-3-アルキル-O-から選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0083】
一実施形態によれば、R3及びR4は、R3とR4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、6員~11員の飽和二環式ヘテロシクリルを形成するR3/4-G2b群から選択され、6員~11員の飽和二環式ヘテロシクリルは、
>N-、>NH、>N(C1-4-アルキル)、>N(CO-C1-3-アルキル)、>N(S(=O)2-C1-3-アルキル)及びOから選択される1つの環員をさらに含有してもよく、
>C=O及び>S(=O)r(r=0、1又は2)から選択される1つの環員を含有してもよく、
ただし、前記ヘテロシクリルは、環員の間に、O-S結合をまったく含有せず、
前記ヘテロシクリルは、1~4個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~3つのC1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CONH2、-CONH(C1-4-アルキル)、-CON(C1-4-アルキル)2、-COOH、-COO-C1-4-アルキル、HO-C1-3-アルキレン-、C1-3-アルキル-O-C1-3-アルキレン-、C1-3-アルキル-CO-NH-、C1-3-アルキル-S(=O)2-NH-、OH及びC1-3-アルキル-O-から独立して選択される1~2つの置換基により置換されていてもよい。
【0084】
一実施形態によれば、R3及びR4は、R3とR4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、6員~11員の飽和な架橋二環式ヘテロシクリル又はスピロ二環式ヘテロシクリルを形成するR3/4-G3b群から選択され、6員~11員の飽和な架橋二環式ヘテロシクリル又はスピロ二環式ヘテロシクリルは、
アミドN原子に隣接していない、>N-、>NH、>N(C1-4-アルキル)及びOから選択される1つの環員をさらに含有してもよく、
前記ヘテロシクリルは、1~2個のFにより置換されていてもよく、
1~3個のFにより置換されていてもよい1~2つのC1-3-アルキルにより置換されていてもよく、
Cl、-CN、-CON(C1-3-アルキル)2、-COO-C1-3-アルキル、C1-3-アルキル-O-C1-3-アルキレン-及びC1-3-アルキル-O-から選択される1つの置換基により置換されていてもよい。
【0085】
一実施形態によれば、R3及びR4は、R3とR4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、アミドN原子に隣接していない、1つの環員Oを含有してもよい、6員~8員の飽和な架橋二環式ヘテロシクリル又はスピロ二環式ヘテロシクリルを形成する、R3/4-G4b群から選択される。
【0086】
一実施形態によれば、R
3及びR
4は、R
3とR
4が、それらが結合しているアミドN原子と一緒になって、ヘテロシクリルであって、
【化59】
からなる群から選択される、ヘテロシクリルを形成する、R
3/4-G5b群から選択される。
【0087】
さらに好ましい式(I)の化合物の下位の実施形態は、以下の表1における実施形態(I-a)~(I-z)として説明され、この場合、上記の置換基の定義が使用される。例えば、列R1及び行(I-a)中の項目R1-G1は、実施形態(I-a)において、置換基R1が、R1-G1と表示される定義から選択されることを意味する。同じことが、一般式に組み込まれている他の変数に同様に該当する。
【0088】
【0089】
特に、実施形態(I-s)~(I-z)が、好ましい。
特に好ましい化合物、その塩、又はそのあらゆる溶媒和物若しくは水和物は、実施例の項目及び実験データに記載されているものである。
【0090】
調製
本発明による化合物及びその中間体は、当業者に公知の合成方法、及び有機化学の文献、例えば、有機化学、特に有機合成の基礎的、応用的及び専門的主題を網羅する、標準教科書、モノグラフ並びに概説書に記載されている合成方法を使用して得ることができる。好ましくは、本化合物は、特に、実験項目に記載されている、本明細書のこれ以降に一層完全に説明されている調製方法と同様に得られる。一部の場合、反応スキームを実施する際に採用される順序は、様々となり得る。当業者に公知であるが、本明細書において詳細に記載されていないこれらの反応の変形も使用されてもよい。本発明による化合物を調製するための一般方法は、以下に続くスキームを検討すると、当業者に明白となろう。出発化合物は市販されているか、又は文献若しくは本明細書において記載されている方法によって調製することができるか、又は類似の又は同様の方法で調製することができる。反応を実施する前に、出発化合物中の対応するあらゆる官能基を、従来的な保護基を使用して保護することができる。これらの保護基は、当業者が精通している方法、及び有機合成における保護基の使用を対象とする文献に記載されている方法を使用して、反応順序内での好適な段階で再度、切断させてもよい。
【0091】
有利には、本発明による化合物は、不斉的に置換されていない7員環を含んでおり、こうして、構造的に関連する化合物(Filippakopoulos et al. (Nature 2010, 468, 1067-1073); Syeda at al. (Tetrahedron Lett. 2015, 56, 3454-3457))において、不斉的に一置換されている7員環の場合に観察されるような、合成の間のこの部分のラセミ化が起こり得ず、それに起因するさらに面倒な合成を回避することができる。
【0092】
スキーム1:
【化60】
スキーム1:式(I)の化合物は、好適な溶媒(例えば、DCM、THF、1,4-ジオキサン、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド及び1-メチル-2-ピロリジノン)中、-20℃~100℃において、好適なカップリング剤(例えば、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルロニウム-ヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルロニウムテトラフルオロ-ボレート(TBTU)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリ-ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、カルボジイミド試薬など)、及び塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピル-エチルアミン、ピリジンなど)を使用することによって、式(II)のそれぞれの酸(遊離酸、又はLi
+、Na
+、K
+などの好適な金属陽イオンとのカルボン酸塩のどちらか一方として)、及び式(III)の好適なアミン(遊離アミン、又は塩酸塩、臭化水素酸塩などの塩のどちらか一方として)から調製することができる。スキーム1中のR
1、R
2、R
3、R
4及びnは、本明細書のこれ以前に定義される意味を有する。代替的に、個々のカルボン酸をカルボン酸塩化物(例えば、DCM中で塩化オキサリル又は塩化チオニルを使用する)に変換し、このまま、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピル-エチルアミン、ピリジンなど)の存在下で、アミン(III)とカップリングする。
【0093】
式(I)の化合物は、化合物(II)とそれらの鏡像異性体の混合物から、上記の手順に従い、キラル相上でのクロマトグラフィー、結晶化及び酵素による誘導体化などの当業者に公知の方法による2つの鏡像異性体生成物を分離することによって得ることもできる。
【0094】
スキーム2
【化61】
スキーム2:式(II)の酸(R
1、R
2及びnは、本明細書のこれ以前に定義される意味を有する)は、R’の性質に応じて、加水分解又は水素化分解により、対応するエステル(III)から好ましくは調製される。エチルエステル又はメチルエステルなどの低級アルキル基のエステルは、周囲温度又は高温で、水と好適な混和性溶媒(例えば、THF、MeOH、EtOH、1,4-ジオキサン、又はこれらの混合物)との混合物中、NaOH、LiOH又はKOHなどの水酸化物塩で加水分解することによって好ましくは開裂される。酸は、金属陽イオンとの塩として、又はカルボン酸としてのどちらか一方で単離することができる。tert-ブチルエステルは、好適な溶媒(例えば、DCM、1,4-ジオキサン、MeOH、EtOH、THF、水又はこれらの混合物)中、酸(例えば、塩酸又はTFA)により処理することによって好ましくは開裂される。ベンジルエステルは、水素雰囲気下(好ましくは、1~5bar)、好適な溶媒(例えば、EtOH、MeOH、THF、DCM又はEtOAc)中、好適な触媒(例えば、炭素担持パラジウム)による水素化分解によって好ましくは開裂される。
【0095】
式(II)の化合物は、化合物(III)とそれらの鏡像異性体の混合物から、上記の手順に従い、キラル相上でのクロマトグラフィー、結晶化及び酵素による誘導体化などの当業者に公知の方法により2つの鏡像異性体生成物を分離することによって得ることもできる。
【0096】
【0097】
スキーム3:式(III)のエステル(R1、R2及びnは、本明細書のこれ以前に定義される意味を有する)は、様々な合成戦略を使用して、アミド(IV)から調製されてもよい。より好ましい手順は、(IV)中のアミド基を、適切な溶媒(例えば、THF、1,4-ジオキサンなど)中、中度の温度(好ましくは、0℃~40℃の間)において、塩基(例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン(DBU))の存在下、クロロリン酸ジエチルを使用して、対応する塩化イミドイル又はリン酸エステル無水物に変換することを含む。続いて、こうして修飾したアシルヒドラジン(R1-CO-NHNH2)をこのような活性化アミドに添加して、N-アシルアミノアミジン誘導体を得て、これを加熱(場合によって、最大で140℃まで)することによって、トリアゾールに変換することができる。
【0098】
代替的に、トリアゾール(III)は、アミド(IV)のチオアミドを経て3工程手順を適用することによって得ることができ、続いて、このチオアミドは、ヒドラジンにより処理し、対応するN-アミノアミジンを与え、次に、これを適切なオルトエステル(R1-C(OC1-2-アルキル)3)による処理によってトリアゾールに変換される。この手順、その変形、及び代替合成経路は、有機化学の文献に報告されており、当業者に公知である(例えば、欧州特許出願公開第0388789号及び欧州特許出願公開第0254245号を参照されたい)。
式(III)の化合物は、化合物(IV)とそれらの鏡像異性体の混合物から、上記の様々な手順に従い、キラル相上でのクロマトグラフィー、結晶化及び酵素による誘導体化などの当業者に公知の方法による2つの鏡像異性体生成物を分離することによって得ることもできる。
【0099】
【0100】
スキーム4:式(IV)のエステル(R2及びnは、本明細書のこれ以前に定義されている意味を有する)は、1つ、2つ又は3つの個別の合成工程で、ケトン(V)から調製されてもよい。化合物(IV)の十分に確立された合成は、適切な溶媒(例えば、1,4-ジオキサン)中、0℃~80℃において、化合物(V)を1-アミノシクロプロパン-1-カルボニルクロリドの塩化水素塩により処理することによって得ることができる、化合物(V)のN-(1-アミノシクロプロピル)カルボニル誘導体を経由して行われる。次に、0℃~130℃の間の温度において、適切な溶媒中、適した添加物(例えば、トルエン中のシリカゲル、HOAc中のピリジン、1,4-ジオキサン中のピリジン及びメタンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸(triluoromethanesulfonic acid))の手助けを得て、アミノ基をケト基と反応させることによって7員環が形成されて、化合物(IV)が得られる。
【0101】
化合物(IV)はまた、Org. Lett. 2017, 19, 1454-1457に報告されている通り、化合物(V)からわずか1反応工程で得ることもできる。
式(IV)の化合物は、化合物(V)とそれらの鏡像異性体の混合物から、上記の様々な手順に従い、キラル相上でのクロマトグラフィー、結晶化及び酵素による誘導体化などの当業者に公知の方法による2つの鏡像異性体生成物を分離することによって得ることもできる。
【0102】
スキーム5
【化64】
スキーム5:式(V)の化合物は、いわゆるGewald反応に関して報告されているプロトコールに従い、シアノケトン(VI)及びケトン(VII)から調製することができる;スキーム6中のR
2及びnは、本明細書のこれ以前に定義される意味を有する。したがって、化合物(VI)及び(VII)は、一緒にされて、溶媒(例えば、MeOH、EtOH、DMF、1,4-ジオキサンなど)中、0℃~120℃において、元素硫黄の存在下、塩基(例えば、NEt
3、HNEt
2、モルホリン、ピペリジン、ピリジンなど)で処理される。
【0103】
代替的に、この変換は、第1の工程(Knoevenagel反応)における化合物(VI)及び(VII)からの縮合生成物、並びに第2の工程における元素硫黄及び塩基との処理時に生成物(V)を形成する、2つの個別の工程で行われてもよい。
これらの手順の変形は、有機化学の文献に報告されている。
化合物(VI)は、公知化合物であるか、又は前者と同様に調製することができる。ラセミ化合物(VII)又は鏡像異性体に富む又は純粋な化合物(VII)への主要な及び特定の入手経路は、有機化学の文献に報告されている(例えば、欧州特許出願公開第EP0388789号、Archiv der Pharmazie 1996, 329, 291-300及びGreen Chem. 2017, 19, 5122-5130を参照されたい)。ラセミ混合物は、結晶化又はキラル相上のクロマトグラフィーなどの、当業者に公知の手順を使用して、その純粋な鏡像異性体に分割することができる。
【0104】
【0105】
スキーム6:式(VI)のシアノケトン(R2及びnは、本明細書のこれ以前に定義される意味を有する)は、適切な溶媒(例えば、THF、トルエン、MeCN、DMF、DMSO、1,4-ジオキサンなど)中、-78℃~100℃において、対応するエステル(VIII)及び脱プロトン化されたアセトニトリル(NCCH2
-)種から好ましくは調製される。脱プロトン化されたアセトニトリル種は、好ましくは、使用される塩基に応じて、-78℃~40℃において、エステル(VIII)との後続反応に使用される1種の溶媒中、適切な塩基(例えば、NaH、LiNiPr2、LiN(SiMe3)2、KOtBuなど)による脱プロトン化によってアセトニトリルから調製される。式(VI)の化合物を調製するためのさらなる合成経路及び手順は、有機化学の文献に報告されている。
式(I)の化合物は、以下に言及されている、それらの立体異性体に分割することができる。すなわち、例えば、シス/トランス混合物は、そのシス異性体及びトランス異性体に分割されてもよく、ジアステレオマー混合物は、それらのジアステレオマーに分離されてもよく、ラセミ化合物は、それらの鏡像異性体に分離されてもよい。
【0106】
シス/トランス混合物は、例えば、クロマトグラフィーによって、そのシス異性体及びトランス異性体に分割することができる。立体異性体として生じる式(I)の化合物は、それ自体公知の方法によって、すなわちそれ自体公知の方法、例えば、クロマトグラフィー及び/又は分別結晶化を使用する、立体異性体の異なる物理化学的性質を利用することによって、一般式(I)の純粋な立体異性体に分割することができる。
【0107】
ラセミ体は、キラル相上のカラムクロマトグラフィーにより、或いは光学活性な溶媒からの結晶化により、或いはラセミ化合物との塩又はエステル若しくはアミドなどの誘導体を形成する、光学活性な物質との反応によって、好ましくは分割される。塩は、塩基性化合物の場合、鏡像異性体として純粋な酸と、及び酸性化合物の場合、鏡像異性体として純粋な塩基と形成され得る。ジアステレオマー誘導体は、鏡像異性体として純粋な補助化合物、例えば、酸、その活性化誘導体又はアルコールと形成される。こうして得られた塩又は誘導体のジアステレオマー混合物の分離は、その様々な物理化学的性質、例えば、溶解度の差異を利用することにより達成することができる。遊離対掌体は、純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から、好適な作用剤の作用によって遊離され得る。このような目的に一般的に使用される光学活性な酸、及び補助残基として適用可能な光学活性アルコールは、当業者に公知である。
上記の通り、式(I)の化合物は、塩、特に医薬品に使用するため、薬学的に許容される塩に変換することができる。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」とは、親化合物が、その酸塩又は塩基塩を作製することにより修飾された、開示化合物の誘導体を指す。
本発明による化合物は、以下に続く実施例に記載されている方法を使用して、有利なことに、やはり得ることができることができ、実施例は、文献から当業者に公知の方法を用いて、この目的のためにやはり組み合わせることができる。
【0108】
医薬品用途に関する薬理学的活性及び適性
本発明の化合物の活性、及び医薬品用途に関するその適性は、以下のアッセイを使用して実証することができる:
生物学的方法
PAF C-16リガンド(PAF)によるPAF受容体(PAFR)の活性化を阻害する、式(I)の化合物の能力を、アッセイ用緩衝液(1×HBSS、20mM Hepes、pH7.4、50mM LiClであり、及び0.1%(w/v)BSAを含有)中、以下の細胞HTRF IP1アッセイ(CisbioI製のIP1 Gqアッセイキット、カタログ番号:62IP1APEJ)を使用して決定する。
エンドポイントアッセイを使用する、PAFR活性化の阻害の評価
【0109】
ヒトPAFRを過剰発現するHEK293細胞(社内で生成)を、ポリ-D-リシンをコーティングした、蓋付きの384ウェル白色細胞培養マイクロタイターアッセイ用プレートに播種する(ウェルあたり15,000個の細胞)。続いて、このプレートを、37℃/5%CO2において、一晩、インキュベートする。翌日に、細胞を洗浄し、続いて、Echo555アコースティックリキッドハンドラーにより、様々な濃度の試験化合物(100%DMSO中の化合物;ウェルにおけるDMSOの最終濃度は、1%である)をアッセイ用プレートに加える。次に、プレートを37℃/5%CO2において、90分間、蓋をしてインキュベートする。これ以降、PAFリガンド(Cayman Chemical Company、物品番号:60900)を11nMの最終濃度で加える。次に、プレートを37℃/5%CO2において、60分間、蓋をしてインキュベートする。次に、このプレートのすべてのウェルに、ウェルあたり5μlの抗IP1-抗体-クリプテート溶液、及びウェルあたり5μlのIP1-d2溶液を加え、このプレートを、室温で光から保護して、さらに60分間、インキュベートする。Envision読取り装置(PerkinElmer)を使用して、620nm及び665nm(励起波長:320nm)における発光を測定する。
本発明による化合物のIC50値は、以下の表に示される。化合物の番号は、実験項目中の実施例の番号に対応する。
【0110】
【0111】
本発明による化合物の総合的に高い効果は、先行技術によって提示される教示を考慮すれば、特に驚くべきことである。
例えば、欧州特許出願公開第0368175号は、7員環の>CH2がR5によって一置換されているヘトラゼピンを開示しており、これは、特に、R5=メチルである一般式Iaの(-)-鏡像異性体は、(+)-鏡像異性体よりもかなり高い薬理学的効力を示すことが、驚くべきことに見出された。
【0112】
具体的には、WEB2086(アパファント)のメチル置換誘導体である実施例1の場合、(-)-鏡像異性体(1B)が、(+)-鏡像異性体(1A)よりもPAFRに対して35倍、強く結合すること観察されている。これは、S立体配置の鏡像異性体が、ラセミ体よりも数倍、強いRAFアンタゴニスト活性を有するという、欧州特許出願公開第0480455号(その中の化合物B)における知見と一致する。留意すべきことに、ラセミ体としての実施例1のPAFR親和性は、欧州特許出願公開第0368175号において、16nMと報告されており、これは、無置換WEB2086の親和性と同じ範囲である(15nM;Weber et al. (Med. Res. Rev.1989, 9, 181-218)を参照されたい)。これらの知見から、メチル化アパファントの1つの鏡像異性体は、無置換アパファントよりも高い親和性を有する一方、他の鏡像異性体は、無置換アパファントよりも低い親和性を有すると結論付けられる。
【0113】
【0114】
同様に、欧州特許出願公開第0368175号は、実施例9dとして、WEB2170(ベパファント)並びにその4つのジアステレオマーである(-)9dA、(+)9dA、(-)9dB及び(+)9dBを開示しており、それらに関するPAFR結合親和性は、それぞれ、70nM、400nM、8nM及び3000nMと報告されている。ベパファントの鏡像異性体に関すると、それぞれ、14nM及び660nMの親和性が、文献(Weber et al. (Med. Res. Rev.1989, 9, 181-218))に記載されている。同様に、この実施例の場合、1つだけメチル置換された異性体の親和性は改善されるが、もう一方は、無置換親化合物に比べて、親和性が低いことが文献データから導き出され得る。
【0115】
【表4】
実際に、この結論は、上記のアッセイの手助けを得て、S-ベパファント及びそのメチル化誘導体のユートマーの場合に実証され得る。一メチル置換異性体は、S-ベパファントに比べて活性が改善している一方、他のメチル置換異性体の活性は著しく低いことが確認された。
【0116】
【0117】
Miyazawa et al. (Chem. Pharm. Bull. 1991, 39, 3215-3220)における関連化合物クラスに関して同様の結果が報告されており、1つだけメチル置換された異性体は一層強いPAFR結合を示す一方、他の異性体は、無置換親化合物よりも弱いPAFR結合を示すことがやはり示された:
【0118】
【0119】
これらの知見の結果として、ジメチル置換化合物及びジエチル置換化合物もまた、無置換親化合物よりもかなり弱い結合を示すことが記載されている:
【表7】
【0120】
まとめると、先行技術によって、7員環の>CH2基のH原子の1つが一メチル置換されると、ヘトラゼピン化合物に対して一層高いPAFR結合親和性がもたらされ得ること、及び対照的に、他のH原子が一メチル置換されると、結合親和性が低下することが教示される。したがって、前記>CH2基が二置換されている場合、一層弱い結合親和性がやはり予想される。
【0121】
このような背景に対し、本発明によるシクロプロピレン置換化合物は、優れた効力を示すことは驚くべきことである。この点に関し、シクロプロピレン置換基の並外れた特徴は、S-ベパファントのジメチルアナログ及びシクロブチレンアナログは、シクロプロピレンアナログ(実施例114)よりも低い効力を示すという観察によってさらに裏付けられる。
【0122】
【表8】
シクロプロピレン及びジメチルメチレン誘導体のさらなる一対の比較
【0123】
【0124】
BROWN NORWAYラットにおける、レーザー誘発性脈絡膜血管新生の動物モデルにおけるインビボでの効力の評価
160g~180gの間の体重を有する雄のBrown Norwayラット(BN/Crl)を、Charles River Labs (Sulzfeld、ドイツ)から入手する。動物は、12時間/12時間の明/暗サイクル(6AMに点灯)で群用ハウジングに維持し、検討を開始する前の1週間、慣れさせる。動物は、標準飼料(Provimi Kliba番号3438)及び水道水を自由摂取させる。動物は、2週間、1日1回の強制経口投与によって、試験化合物の投与を受ける。
【0125】
麻酔下で、1日目に、動物を、画像の中央に視神経を位置付けるように眼底カメラの前面に置く。レーザー処理は、Micron IVシステム(Phoenix Research Laboratories、Pleasanton、CA)を使用して、532nmの波長の緑色アルゴンレーザー(Merilas)を用いて行う。レーザービームの直径を、視神経の直径と一致させ、400mWのエネルギーを有するレーザーパルス及び150ミリ秒の時間を使用して眼あたり4つの病変を発生させる。病変は、視神経からその直径の約2倍の距離にある大血管の間に設ける。Bruch膜が首尾よく破壊されたことは、レーザービームの直後に気泡が形成したことによって認識され、OCT(光干渉断層撮影)スキャンによって確認する。
【0126】
動物は、麻酔下での頸椎脱臼によってレーザー処置の14日後に犠牲にする。眼を摘出し、鋸状縁に沿って切る。角膜、虹彩、レンズ、硝子体及び網膜を取り除き、残りの眼杯(PRE、脈絡膜及び強膜からなる)を4℃で1時間、PFA(4%)に固定し、次に、0.1%Triton X-100を含有するPBSに4℃で1時間、移す。FITC標識したイソレクチンB4(生理食塩水中の10μg/ml;Sigma Aldrichから入手、カタログ番号L9381)で眼杯を暗所中、一晩、室温で染色し、PBSで3回、洗浄する。眼杯をスライドガラスに移し、4回、切込みを入れて、平坦なクローバーの葉のような構造にする。この組織をマウンティング用媒体(DAPIを含有するVectashield H-1200)により覆い、カバーガラスを上に置いて、RPE/脈絡膜/強膜のフラットマウント(flatmount)を得る(RPE側を上にする)。フラットマウントは分析するまで、暗所中、4℃で保管する。
【0127】
この試料をLSM700共焦点レーザー走査型顕微鏡(Carl Zeiss、Jena;gain650、レーザー強度2%)を用いて、488nmの波長で分析し、病変の画像を得る。病変サイズの測定は、Zen Blueソフトウェアを用いて行う。効力の読み出しは、RPE脈絡膜のフラットマウントにおけるイソレクチンB4によって染色された病変サイズとする。
【0128】
化合物のメラニンへの結合の評価
化合物がメラニンに結合する能力は、アッセイ用緩衝液(リン酸緩衝液、pH6.5、0.9%(w/v)NaCl)中、Sepia officinalis(Sigma-Aldrich、カタログ番号:M2649)製のメラニンを使用するインビトロでのアッセイを使用して決定する。結合を測定するため、1mg/mL(w/v)メラニン懸濁液及び0.1%(w/v)BSA溶液(対照緩衝液)をアッセイ用緩衝液中に調製する。化合物を、1μMの最終化合物濃度(DMSO:アッセイ用緩衝液(40:60)中の化合物をプレートに加える:最終DMSO濃度は1%である)で、対照緩衝液中、1mg/mLのメラニン懸濁液(遊離化合物濃度を決定するため)と共に、及びメラニンを使用しないで(全化合物濃度を決定するため)、マイクロタイタープレートでインキュベートする。このプレートを900rpmのオービタルシェーカーを用い、37℃で2時間、インキュベートする。インキュベート後、プレートを遠心分離して、メラニン及び結合した化合物をペレットにする。メラニン及び対照のウェルの両方の上清の試料を採取し、濃度をLC-MSを用いて測定する。結合濃度は、全化合物濃度から遊離化合物濃度を減算することによって計算する。
【0129】
化学安定性の評価
溶液状態の安定性検討の範囲内で、温度、pH及び光への曝露の影響を解析する。加水分解経路、酸化経路又は光分解経路を経由する、考えられる化学分解の速やかなシグナルを得るため、ストレス条件を適用する。
【0130】
典型的な条件は、以下である:
- 水性0.1N HCl中、40℃又は60℃で3日間
- 水性緩衝液(pH2.2)中、40℃又は60℃で3日間
- 水性緩衝液(pH4.0)中、40℃又は60℃で3日間
- 水性緩衝液(pH6.0)中、40℃又は60℃で3日間
- 水性緩衝液(pH7.4)中、40℃又は60℃で3日間
- 水性緩衝液(pH10.0)中、40℃又は60℃で3日間
- 0.1N NaOH水溶液中、40℃又は60℃で3日間
- 0.3%H2O2溶液(それ自体のpH)中、室温で3日間
- Atlas製Suntest CPS+システムを使用する、水中(それ自体のpH)での溶液の24時間の紫外線照射(波長:300~800nm、出力:200W/m2)
【0131】
水性媒体への溶解度に乏しい化合物の場合、有機の共溶媒(通常、最大で50体積%までのアセトニトリル)の添加が可能である。
安定性を示すキラル又はアキラルHPLC法によって、ストレスをかけた/保管した試料を適宜、分析する。
分解検討を使用して、胃腸管の酸性部における化合物の化学安定性を模倣する。本発明の化合物は、酸性水性媒体(pHの値は約1.2)中で高い化学安定性があることを示し、これによって、本発明の化合物の適用に、ヒト疾患を処置するための医薬として、それほどの制限にも問題にもならない。
【0132】
pHの値が約1.2の本発明の化合物の化学安定性は、以下の通り決定する:
化合物をHPLCバイアルのアセトニトリル/0.1M水性HCl(比:2:3;pH約1.2)の混合物に溶解し、ほぼ0.25mg/mlの濃度を得る。次に、このバイアルをHPLCオートサンプラーシステムに移し、例えば、40℃の所望の温度に維持する。第1の試料を採取し、UV DAD検出器を備える標準HPLCシステムに直ちに注入する。さらなる試料を24時間後に注入する。分解した化合物の量は、HPLC標準グラジエント法を使用して、24時間の注射の間の化合物の回収率[%]を決定することによって測定する。すなわち、最初の注射(AUt0)の主要ピークのピーク面積を求め、100%と設定する。主要ピークのピーク面積を、24時間の注射に関しても求め(AU24h)、(AU24h)/(AUt0)[%]の割合として表す。同様に、1日間を超える間、例えば、3日間、安定性試験を実施した場合の分解した化合物の量を求める。
上記と同様の手順に従い、酸性条件下での本発明による例示的な化合物の化学安定性を試験した。それらのすべてに関して、分解した化合物の量は、せいぜい5%以下であることが分かった。
【0133】
以下の表は、代表的な本発明の化合物の分解程度を示す。それぞれの化合物の番号は、実験項目中の実施例の番号に対応している。
【表10】
さらに、シクロプロピレン置換されている代わりに不斉的に一置換された7員環を含有する、本発明による化合物のアナログは、塩基性の保管条件(0.1N NaOH水溶液中、40℃で3日間)下、7員環の不斉炭素原子において、ある程度、エピメリ化することが観察される。しかし、このような異性化は、一般的な品質の見地から望ましくないだけではなく、特に、結合親和性の顕著な低下にも関係する(上記の効力の知見を参照されたい)。
【0134】
対照的に、本発明による化合物は、不斉置換されていない7員環を含んでおり、こうして、この部分のエピメリ化は起こり得ず、このようなエピメリ化の有害作用が回避される。
【0135】
透過性の評価
Caco-2細胞(1~2×105個の細胞/1cm2の面積)をフィルターインサート(Costar transwellポリカーボネート製又はPET製フィルター、0.4μmの細孔サイズ)上に播種し、10~25日間、培養する(DMEM)。
化合物は、適切な溶媒(DMSOのような、1~20mMの保存溶液)に溶解する。保存溶液をHTP-4緩衝液(128.13mM NaCl、5.36mM KCl、1mM MgSO4、1.8mM CaCl2、4.17mM NaHCO3、1.19mM Na2HPO4×7H2O、0.41mM NaH2PO4×H2O、15mM HEPES、20mM グルコース、pH7.2)により希釈し、輸送溶液(0.1~300μMの化合物、最終DMSO<=0.5%)を調製する。輸送用溶液(TL)は、A-B又はB-A透過性をそれぞれ測定するために(3回のフィルター反復数)、頂端ドナー側又は基底ドナー側に適用する。レシーバー側は、2%BSAを補給したHTP-4緩衝液を含有する。HPLC-MS/MS又はシンチレーション計数による濃度測定を行うため、実験の開始時及び終了時、及び最大で2時間の様々な時間間隔で、ドナー側から、同様にレシーバー側からも試料を採取する。サンプリングしたレシーバーの分量を、新しいレシーバー溶液と交換する。
【0136】
ヒト又はラット肝臓ミクロソームにおける代謝安定性の評価
試験化合物の代謝分解は、プールしたヒト又はラットの肝臓ミクロソームを用いて37℃でアッセイする。時間点あたり100μlとなる最終インキュベート分量は、室温において、TRIS緩衝液(pH7.6)(0.1M)、塩化マグネシウム(5mM)、ミクロソームタンパク質(1mg/mL)及び1μMの最終濃度の試験化合物を含有する。
37℃で短期間の事前インキュベートの後に、還元型のベータ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH、1mM)を添加することによってこの反応を開始し、様々な時間点後に、一定分量を溶媒に移送することにより終了させる。さらに、NADPHに無関係の分解を、NADPHを含まないインキュベートにおいてモニタリングし、最後の時間点に終了させる。クエンチ後のインキュベート物を、遠心分離(10000g、5分間)によってペレットにする。親化合物の量について、上清の一定分量をLC-MS/MSによってアッセイする。半減期(t1/2 INVITRO)は、濃度-時間プロファイルの半対数プロットの傾きによって求まる。
【0137】
ヒト又はラット肝細胞における代謝安定性の評価
試験化合物の代謝分解を肝細胞懸濁液中でアッセイする。肝細胞(通常、冷凍保存されている)を、5%血清種を含有する適切な緩衝系(例えば、ダルベッコの改変イーグル培地、及び3.5μgのグルカゴン/500mL、2.5mgのインスリン/500mL及び3.75mgのヒドロコルチゾン/500mL)中でインキュベートする。
インキュベータ(37℃、10%CO2)中での30分(通常)の事前インキュベート後、5μLの試験化合物溶液(80μM;培地により1:25に希釈したDMSO保存溶液中の2mMから)を、395μLの肝細胞懸濁液(0.25~5ミオ細胞/mL、通常、1ミオ細胞/mLの範囲の細胞密度;試験化合物の最終濃度1μM、最終DMSO濃度0.05%)に加える。
細胞を6時間、インキュベートし(インキュベータ、オービタルシェーカー)、試料(25μL)を0、0.5、1、2、4及び6時間時に採取する。試料をACNに移送し、遠心分離(5分間)によりペレットにする。上清を新しい96ディープウェルプレートに移送し、窒素下で溶媒蒸発させて、再懸濁する。
親化合物の減少は、HPLC-MS/MSによって分析する。CLintは、以下の通り計算する。CL_INTRINSIC=用量/AUC=(C0/CD)/(AUD+clast/k)×10/60。C0:インキュベートにおける初期濃度[μM]、CD:生存細胞の細胞密度[10e6細胞/mL]、AUD:データ下面積[μMx時]、clast:最後のデータ点の濃度[μM]、k:親の減少に関する回帰直線の傾き[h-1]。
【0138】
反応表現型アッセイ
表現型アッセイを行い、試験化合物の代謝変換を担う代謝酵素を特定する。
試験化合物の代謝分解及び代謝産物の形成の評価は、Supersome(バキュロウイルスを感染させた昆虫細胞において発現されたヒトCYP)を使用して行う。CYPアイソエンザイム1A1、1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2J2、3A4、3A5及びFMO3に対する化合物の基質親和性を試験する。
TRIS緩衝液(0.1M、pH7.6、5mM塩化マグネシウムを補給)中でのインキュベートは、200pmol/mLのそれぞれSupersomalタンパク質及び10μMの試験化合物からなる。
【0139】
37℃で15分間の短期間の事前インキュベートの後に、還元型のベータ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH、1mM)を添加することによってこの反応を開始する。
37℃で60分後、アセトニトリルに一定分量の試料を移すことによって、インキュベートを終了する。HPLC-MS/MSによって、試料の代謝産物の形成を分析する。
並行して、試験化合物の代謝分解及び代謝産物の形成の評価を、ヒト肝細胞を使用して行う。凍結保存から回収した後に、ヒト肝細胞をダルベッコ改変イーグル培地(3.5μgのグルカゴン/500mL、2.5mgのインスリン/500mL、3.75mgのヒドロコルチゾン(hydrocortison)/500mL及び5%ヒト血清を補給)に希釈して、試験化合物の代謝回転率に応じて、1.0×106細胞/mL又は4.0×106細胞/mLの最終細胞密度を得る。細胞培養インキュベータ(37℃、10%CO2)中で30分間の事前インキュベート後、試験化合物溶液を肝細胞懸濁液にスパイクし、最終試験化合物濃度10μM及び最終DMSO濃度0.05%を得る。
【0140】
この細胞懸濁液を37℃でインキュベートする(細胞培養インキュベータ、水平型振とう器)。インキュベート時間(最大で6時間)の終了時に、試料をアセトニトリル(内部標準を含有)でクエンチし、遠心分離によりペレットにする。HPLC-MS/MSによって親化合物の減少量を分析するため、上清を96ディープウェルプレートに移して調製する。
ヒト肝細胞における各代謝産物のインビトロでの形成、及びYeo et al. (Br. J. Clin. Pharmacol. 2004, 57, 687-688)に従うスケール因子に基づいた肝臓における各酵素の相対存在量を考慮して、CYPアイソエンザイムの各々に対して代謝された画分(fm)を計算する。
【0141】
血漿中タンパク質結合の評価
この平衡透析(ED)技法を使用して、血漿中タンパク質への試験化合物のインビトロでの結合率の概数を求める。Dianormテフロン(登録商標)透析細胞(マイクロ0.2)を使用する。セルはそれぞれ、5kDaの分子量カットオフを有する超薄層半透性膜によって分離されたドナーチャンバ及びアクセプタチャンバからなる。各試験化合物の保存溶液は、DMSO中に1mMで調製し、1.0μMの最終濃度まで希釈する。次の透析溶液は、雄及び雌のドナーからのプールしたヒト又はラットの血漿(NaEDTAを含む)中で調製する。200μLとなる一定分量の透析緩衝液(100mMのリン酸カリウム、pH7.4)を緩衝液チャンバに分注する。200μLの一定分量の試験化合物の透析溶液を血漿チャンバに分注する。インキュベートは、37℃において、回転下で2時間、行う。
透析期間の終了時に、透析液を反応管に移送する。緩衝液フラクション用のチューブは、0.2mLのACN/水(80/20)を含有する。25μLとなる一定分量の血漿透析液をディープウェルプレートに移送し、25μLのACN/水(80/20)、25μLの緩衝液、25μLの較正溶液及び25μLの内部標準溶液と混合する。タンパク質の沈殿は、200μLのACNを加えることにより行う。
50μLとなる一定分量の緩衝透析液をディープウェルプレートに移送し、25μLのブランク血漿、25μLの内部標準溶液及び200μLのACNと混合する。
試料は、HPLC-MS/MSシステムで測定し、Analystソフトウェアで評価する。
結合率は、以下の式を用いて計算する:結合%=(血漿中濃度-緩衝液濃度/血漿中濃度)×100
【0142】
溶解度の評価
試験化合物の水溶解度は、緩衝液に溶解した量とACN/水(1/1)溶液中での量を比較することにより求める。10mM DMSO保存溶液から始め、一定分量をACN/水(1/1)又は緩衝液によりそれぞれ希釈する。24時間の振とう後、この溶液をろ過し、LC-UVによって分析する。緩衝液に溶解した量を、ACN溶液中の量と比較する。
溶解度は、通常、2.5%のDMSO濃度で、0.001~0.125mg/mLと測定される。化合物が90%を超えて緩衝液に溶解する場合、この値は、「>」と記す。
【0143】
げっ歯類における薬物動態特徴の評価
試験化合物を、給餌ラットに静脈内に、又は空腹ラットに経口によってのどちらかで投与する。試験化合物の施用後のいくつかの時間点において、血液試料を採取し、抗凝固処理を行い、遠心分離にかける。
分析対象の濃度、すなわち投与した化合物及び/又は代謝産物は、LC-MS/MSによって、血漿試料において定量する。腎クリアランスを決定するため、尿試料を静脈内投与後、24時間にわたり採取し、投与した化合物の尿濃度をLC-MS/MSによって定量する。
PKパラメータは、ノンコンパートメントPK解析(NCA)を使用して計算する。台形法則を適用し(線形上昇-対数減少(lin up-log down))、時間0から最終測定濃度(AUC
0-tz)までの個々の曲線下面積を求める。AUC
0-Infは、終末期を外挿し、AUC
tz-∞をAUC
0-tzに加算することよって計算する。個々のCL値は、式1に従って計算する。
【数1】
(式中、CL
totは、総クリアランス(腎+非腎)であり、用量は、投与した用量であり、AUC
0-Infは、計算した曲線下面積であり、1000は係数を表して、クリアランス(mL/分/kg)をもたらし、これは、文献に一般に報告されている単位である)。
第2のステップにおいて、式2を使用して各動物に関する薬物特異的腎クリアランスを計算する。
【数2】
(式中、CL
renは、腎クリアランスであり、A
e,尿は、静脈内薬物投与後24時間にわたり尿中に排泄された用量の割合である)。
【0144】
細胞毒性の評価
ヒト肝臓マイクロ組織(hLIMT-3D)の14日間の反復用量アッセイ:細胞のATP含有量
【0145】
実験手順
共培養したhLIMTをInSpheroによって得る。それらは、凍結保存したヒト肝細胞及び凍結保存したヒト非実質細胞を、肝臓マイクロ組織培地において、96ウェルスフェロイドプレートに播種することによって形成する。マイクロ組織が形成するまで、細胞を37℃、5%CO2でインキュベートし、次に、化合物処理する。試験化合物をビヒクル(DMSO)に希釈し、希釈液を肝臓マイクロ組織培地中の0.5%ビヒクル中で作製する。次に、化合物を定期的に再投与しながら、14日間、8種の濃度の試験化合物を三連又は四連でインキュベートする。クロルプロマジン及び/又は他の公知の細胞毒性物質をポジティブ対照として使用する。インキュベート期間の終了時に、CellTiter-Glo(登録商標)(Promega)を使用して、細胞のATP含有量を測定する。
【0146】
データ分析。
ビヒクル対照ウェルを使用して、通常のATP含有量を求め、次に、これを100%に設定する。対照に対する比を各化合物濃度に対して計算する。4パラメータ非線形曲線あてはめを使用して、用量応答曲線を記載する。EC50をこの用量応答曲線から計算する。さらに、ビヒクル対照ウェルを使用して、有意下限値を求める。用量応答曲線と有意下限値との交差により、最低有効濃度(LEC)*が求まる。有意下限値を超える最低試験濃度(平均値、及び下限値外の標準偏差)を第一有効濃度(FEC)**として求める。
*LEC=有意下限値又は有意上限値及び用量応答曲線の交差点から計算した最低有効濃度
**FEC=有意下限値未満の第一有効濃度(標準偏差を含む)
【0147】
処置の方法
本発明の別の態様では、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、治療に使用するため、すなわち医薬として使用するための好適な特性を有する。特に、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、並びにこれを含有する医薬組成物は、患者において、血小板活性化因子受容体(PAFR)を拮抗することによって影響を受け得る、例えば、PAFRの望ましくない活性にとって媒介される、又はPAFRの拮抗作用が有益となる、疾患又は状態の処置に有用となり得る。
PAFRを拮抗することによって影響を受け得る、例えば、PAFRの望ましくない活性によって媒介される、又はPAFRの活性の拮抗作用が有益となる疾患並びに状態は、眼疾患、心血管疾患、がん、神経学的障害及び神経変性障害、腎障害、肝疾患及びアレルギーを包含する。これらの障害には、以下に限定されないが、網膜症又は糖尿病性網膜症、増殖性及び非増殖性網膜症、糖尿病性黄斑虚血(DMI)、地図状萎縮、シュタルガルト病、緑内障における網膜変性、近視性黄斑変性、慢性汎ぶどう膜炎、網膜色素変性、網膜静脈閉塞症(中心部、分岐部又は半側網膜静脈閉塞など)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、臨床的に有意な黄斑浮腫(CSME)、嚢胞様黄斑浮腫(CME)、水晶体摘出後CME、冷凍療法により誘発されるCME、ぶどう膜炎により誘発されるCME、眼内炎、血管閉塞後CME(例えば、網膜中心静脈閉塞症、網膜分枝静脈閉塞症又は半側網膜静脈閉塞)、網膜浮腫、糖尿病性網膜症における白内障手術関連合併症、高血圧性網膜症、網膜外傷、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、脈絡膜血管新生(CNV;例えば、非滲出性脈絡膜血管新生)、網膜下線維症(例えば、非滲出性又は滲出性脈絡膜血管新生に関連する)、後部硝子体剥離(PVD)、例えば組織及び/又は器官の移植に伴うすべての種類の状況における虚血再灌流傷害、手術誘発性脳損傷、局所大脳虚血、全脳虚血、神経膠腫関連浮腫、脊髄損傷、疼痛、虚血、局所脳虚血、神経脱落症状及び失認、深部静脈血栓、脳卒中、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化、後天性血管浮腫、遺伝性血管浮腫(HAE)、薬物関連性(ACE阻害剤)浮腫、高地脳浮腫、細胞傷害性脳浮腫、浸透性脳浮腫、閉塞性水頭症、放射線照射誘発性浮腫、リンパ液浮腫、外傷性脳損傷、出血性脳卒中(例えば、脳卒中又はクモ膜下脳卒中)、脳内出血、虚血性脳卒中の出血性変化、損傷又は手術に関連する脳外傷、脳脊髄炎、筋萎縮性側索硬化症、神経障害性疼痛、脳動脈瘤、動静脈奇形、手術(例えば、心肺バイパス又は冠状動脈バイパス移植などの心臓胸部手術)中の血液喪失の低減、血栓症などの血液凝固障害、皮癬、炎症性成分による障害(多発性硬化症など)、てんかん、脳炎、アルツハイマー病、日中の過度の眠気、本態性高血圧、糖尿病又は高脂血症に伴う血圧上昇、腎不全、腎障害(慢性腎疾患を含む)、間質性膀胱炎/膀胱痛症候群、心不全、微量アルブミン尿症、アルブミン尿、尿タンパク、血管透過性の上昇に伴う障害(例えば、網膜血管透過性の向上、脚部、足部、足関節の血管透過性の増大)、脳内出血、深部静脈血栓、線維素溶解処置後に起因する凝固、狭心症、血管浮腫、敗血症、関節炎(例えば、関節リウマチ、骨関節炎、感染性関節炎)、潰瘍性大腸炎、膵臓炎、ループス、痛風、乾癬、炎症性大腸、糖尿病、糖尿病合併症、メタボリックシンドロームに起因する合併症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アレルギー、細菌及びウイルス感染症(HIV感染を含む)、アナフィラキシー、敗血症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、歯周炎、乾癬、じんましん、UVB誘発性皮膚炎、星状細胞活性化関連疾患(例えば、アルツハイマー病又は多発性硬化症)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、クロイツフェルトヤコブ病、脳卒中、てんかん及び外傷(例えば、脳外傷)、アレルギー性浮腫、例えば慢性アレルギー性副鼻腔炎又は通年性鼻炎における気道閉塞;急性喘息における気道閉塞;全身性エリテマトーデス(SLE)に関連する漿膜炎、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、がん(乳がん、大腸がん、食道がん、肺がん、肝臓がん、膵臓がん、皮膚がん(黒色腫を含む)、子宮頚がんなど)及び他の疾患が含まれる。
【0148】
したがって、本発明による本化合物及び医薬組成物は、糖尿病性網膜症、増殖性及び非増殖性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、地図状萎縮、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)及び脈絡膜血管新生(CNV;例えば、非滲出性脈絡膜血管新生)を含めた、眼疾患の処置に特に好適である。
さらに、本発明による化合物及び医薬組成物は、じんましん及びNASHなどのアレルギー及び炎症に関連する状態並びに疾患の処置に特に好適である。
【0149】
本発明による化合物及び医薬組成物は、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、地図状萎縮、非滲出性脈絡膜血管新生(CNV)、じんましん及びNASHの処置に最も特に好適である。
1日あたりに適用可能な式(I)の化合物の用量範囲は、通常、体重1kgあたり0.01mg~10mgである。
実際の治療有効量又は治療投与量は、当然ながら、患者の年齢及び体重、投与経路及び疾患の重症度などの、当業者により公知の因子に依存する。いずれの場合でも、本化合物又は組成物は、患者の固有の状態に基づいて治療有効量を送達することが可能な投与量及び方法で投与される。
【0150】
本化合物及び組成物は、本発明による1種又は複数の追加の治療剤とのあらゆる組合せを含め、経口、硝子体内、経皮、吸入、非経口又は舌下での経路により投与することができる。可能な投与方法のうち、経口投与又は硝子体内投与、特に経口投与が好ましい。硝子体内注射の場合、好ましい用量は、片眼あたり5mgを超えるべきではない。
処置される患者は、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒト患者である。
したがって、別の態様では、本発明は、医薬として使用するための、薬学的に許容されるその塩を含めた、式(I)の化合物を提供する。
【0151】
別の態様では、本発明は、それを必要とする患者において、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくは血小板活性化因子受容体の拮抗作用が有益な、疾患又は状態を処置する方法を提供する。
同様に、本発明は、それを必要とする患者において、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくは血小板活性化因子受容体の拮抗作用が有益な、疾患又は状態を処置する方法に使用するための、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
同様に、本発明は、それを必要とする患者において、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくは血小板活性化因子受容体の拮抗作用が有益な、疾患又は状態を処置する方法に使用する医薬の製造における、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
同様に、本発明は、それを必要とする患者において、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくは血小板活性化因子受容体の拮抗作用が有益な、疾患又は状態を処置する方法における、式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0152】
一実施形態によれば、処置の方法は、患者に、式(I)の1種若しくは複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を投与するステップ、好ましくは、患者に、治療有効量の式(I)の1種若しくは複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む。
別の実施形態によれば、処置の方法は、患者に本発明による医薬組成物を投与するステップを含む。
一実施形態によれば、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくは血小板活性化因子受容体の拮抗作用が有益な、疾患又は状態は、糖尿病性網膜症、増殖性及び非増殖性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、地図状萎縮、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)及び脈絡膜血管新生(CNV)などの眼適応症から選択される。
別の実施形態によれば、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくは血小板活性化因子受容体の拮抗作用が有益な、疾患又は状態は、じんましん及びNASHなどのアレルギー及び炎症に関連する状態並びに疾患から選択される。
別の実施形態によれば、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくは血小板活性化因子受容体の拮抗作用が有益な、疾患又は状態は、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性黄斑虚血及び増殖性糖尿病性網膜症などの、糖尿病性網膜症に関連する糖尿病合併症から選択される。
一実施形態によれば、患者は、ヒト患者である。
【0153】
医薬組成物
本発明の別の態様では、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、医薬組成物中の活性成分として使用されてもよいことが記載される。
【0154】
本発明の化合物を投与するための好適な調製物であって、1種又は複数のさらなる治療剤と組み合わせてもよい調製物は、当業者に明白であり、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、坐剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、溶液剤、シロップ剤、エリキシル剤、サシェ剤、注射剤、吸入剤、散剤などを含む。経口用製剤、特に、例えば錠剤又はカプセル剤などの固体形態が好ましい。硝子体内注射の場合、溶液剤が好ましい。薬学的活性化合物の含有量は、全体として、組成物の0.1~90質量%、例えば1~70質量%の範囲にあるのが有利である。
【0155】
好適な錠剤は、式(I)による1種又は複数の化合物を、公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤、担体、崩壊剤、アジュバント、界面活性剤、結合剤及び/又は滑沢剤と、例えば混合することによって得ることができる。錠剤はまた、いくつかの層からなっていてもよい。所望の調製物に好適な具体的な賦形剤、担体及び/又は希釈剤は、専門家の知識に基づいて、当業者に精通されていよう。好ましいものは、特定の製剤及び望ましい投与方法に好適なものである。本発明による調製物又は製剤は、本発明による少なくとも1つの式(I)の化合物又はこのような化合物の薬学的に許容される塩と、1種又は複数の賦形剤、担体及び/又は希釈剤とを例えば混合することによる、又は一緒にすることによるなどの、当業者が精通しているそれ自体が公知の方法を使用して調製することができる。
したがって、本発明の別の態様によれば、1つ又は複数の式(I)の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい、医薬組成物が提供される。
【0156】
同様に、上記化合物の1つ若しくは複数、又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物は、それを必要とする患者において、PAFRの望ましくない活性によって媒介される、若しくはPAFRの拮抗作用が有益な疾患又は状態の処置の方法に使用するために提供される。
特に、本発明は、糖尿病性網膜症、増殖性及び非増殖性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、網膜静脈閉塞症、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、地図状萎縮、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)及び脈絡膜血管新生(CNV;例えば、非滲出性脈絡膜血管新生)などの眼適応症、並びにじんましん及びNASHなどのアレルギー及び炎症に関連する状態並びに疾患を処置する方法に使用するための、本発明による医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、患者、好ましくはヒトにおける、PAFRの望ましくない活性によって媒介される疾患又は状態を処置するための、本発明による医薬組成物の使用に関する。
同様に、本発明は、患者、好ましくはヒトにおいて、PAFRの拮抗作用が有益な疾患又は状態を処置するための、本発明による医薬組成物の使用に関する。
【0157】
一実施形態によれば、式(I)の1種若しくは複数の化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び1種又は複数の追加の治療剤を含む医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物が提供される。
例えば、この組成物は、1つの式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び1種又は複数の追加の治療剤を含む。
【0158】
併用療法
本発明の化合物は、1種又は複数の、好ましくは1種の追加の治療剤とさらに組み合わされてもよい。
一実施形態によれば、追加の治療剤は、本明細書のこれ以前に記載されている疾患又は状態、特に、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、地図状萎縮、非滲出性脈絡膜血管新生(CNV)、じんましん及びNASHなどの眼疾患、アレルギー及び炎症に関連する状態並びに疾患、又は例えば糖尿病、肥満、糖尿病合併症、高血圧症及び高脂血症などの代謝性疾患又は条件の処置に有用な治療剤の群から選択される。
そのような組合せに好適な追加の治療剤は、特に、言及されている適応症の1つに関する1つ又は複数の活性物質の治療作用を、例えば賦活するもの、及び/又は1つ又は複数の活性物質の投与量の低減を可能にするものを含む。
したがって、本発明の化合物は、抗糖尿病剤、過体重及び/又は肥満の処置のための薬剤、高血圧、心不全及び/又はアテローム性動脈硬化の処置のための薬剤、眼疾患の処置のための薬剤、並びにアレルギー及び炎症に関連する状態並びに疾患の処置のための薬剤からなる群から選択される1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせてもよい。
【0159】
抗糖尿病剤は、例えば、メトホルミン、スルホニルウレア、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン、PPAR-(アルファ、ガンマ又はアルファ/ガンマ)アゴニスト又はモジュレーター、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、DPPIV阻害剤、SGLT2阻害剤、インスリン及びインスリンアナログ、GLP-1及びGLP-1アナログ、又はアミリン及びアミリンアナログ、GLP-1活性とグルカゴン又はGIP活性とを一緒に含むデュアルアゴニスト、cycloset、11β-HSD阻害剤である。他の好適な組合せパートナーは、例えば、グルコース-6-ホスファターゼ又はフルクトース-1,6-ビスホスファターゼ、グリコーゲンホスホリラーゼの阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、及びホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ若しくはピルビン酸デヒドロキナーゼの阻害剤、アルファ2-アンタゴニスト、CCR-2アンタゴニスト又はグルコキナーゼ活性化剤などの、肝臓におけるグルコース産生の調節解除に影響を及ぼす物質である、タンパク質チロシンホスファターゼ1の阻害剤である。1種又は複数の脂質低下剤もまた、例えば、HMG-CoA-レダクターゼ阻害剤、フィブラート、ニコチン酸及びそれらの誘導体、PPAR-(アルファ、ガンマ又はアルファ/ガンマ)アゴニスト又はモジュレーター、PPAR-デルタアゴニスト、ACAT阻害剤、又は回腸の胆汁酸輸送体の阻害剤などの胆汁酸結合性物質などのコレステロール吸収阻害剤、MTP阻害剤、又はCETP阻害剤若しくはABC1調節因子などのHDL上昇性化合物などの組合せパートナーとして好適である。
【0160】
過体重及び/又は肥満を処置するための治療剤は、例えば、カンナビノイド1受容体のアンタゴニスト、MCH-1受容体アンタゴニスト、MC4受容体アゴニスト、NPY5又はNPY2アンタゴニスト、β3-アゴニスト、レプチン又はレプチン模倣体、5HT2c受容体のアゴニスト、GLP-1とグルカゴン受容体とのデュアルアゴニストである。
高血圧、慢性心不全及び/又はアテローム性動脈硬化の処置のための治療剤は、例えば、A-IIアンタゴニスト又はACE阻害剤、ECE阻害剤、利尿薬、β-遮断薬、Ca-アンタゴニスト、中枢作用性抗高血圧薬(centrally acting antihypertensive)、アルファ-2-アドレナリン受容体のアンタゴニスト、中性エンドペプチダーゼの阻害剤、血小板活性阻害剤などであるか、又はそれらの組合せが好適である。アンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、好ましくは、ヒドロクロロチアジドなどの利尿剤と多くの場合に組み合わされる、高血圧、及び糖尿病の合併症の処置又は予防に使用される。
【0161】
眼疾患の処置向けの治療剤は、例えば、硝子体内に投与されるコルチコステロイド、硝子体内に投与される抗VEGF治療、抗Ang2阻害剤、デュアル抗VEGF/抗Ang2阻害剤、抗PDGF、デュアル抗VEGF/抗PDGF、VAP-1(AOC3)阻害剤、補体阻害剤(例えば、補体因子3、5、B及びD阻害剤)、ブラジキニン受容体1アンタゴニスト、CCR-2アンタゴニスト、PKK阻害剤を含むことができる。
眼疾患の追加の処置は、レーザー凝固治療法を含むことができる。
じんましんを処置する治療剤は、例えば、抗ヒスタミン薬、コルチゾンなどのステロイド、エピネフリン、免疫グロブリンEに対する抗体、シクロスポリンAなどの免疫抑制剤、及びロイコトリエン受容体アンタゴニストを含むことができる。
【0162】
NASHを処置する治療剤は、例えば、FXRアゴニスト、FXR/TGR5アゴニスト、THR-βアゴニスト、ACC阻害剤、TGF-b1アンタゴニスト、LTA4ヒドロラーゼ阻害剤、SGLT阻害剤、アクチビン2型受容体アンタゴニスト、NLRP3阻害剤、avβ1インテグリン阻害剤、cGAS/STING阻害剤、GLP-1Rアゴニスト、FGF21アゴニスト、GLP-1/グルカゴン受容体デュアルアゴニスト、GLP-1/GIP受容体デュアルアゴニスト、GLP-1/FGF21受容体デュアルアゴニスト、GLP-1/GIP/グルカゴン受容体トリプルアゴニスト、AOC3阻害剤、JNK1阻害剤、CCR2/5阻害剤、ACC阻害剤、DGAT阻害剤、KHK阻害剤、PPARα/δアゴニスト、FGF19アゴニスト、β-クロト/FGFR1cアゴニスト、PNPLA3阻害剤、NLRP3阻害剤、THR-βアゴニスト、HSD17β13阻害剤、ガレクチン-3阻害剤、SCD1阻害剤、ASK1阻害剤、エンドセリン受容体Aアンタゴニスト、FASN阻害剤、カルパイン阻害剤、オートタキシン阻害剤、TREM2アゴニスト、sGC阻害剤、PKK阻害剤、RORc阻害剤、TLR4阻害剤及びIL11阻害剤を含むことができる。
【0163】
本発明の化合物、及び/又は本発明の化合物を含む医薬組成物であって、1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせて含んでもよい医薬組成物は、運動及び/又は食事と連携して投与されてもよい。
上記の組合せパートナーのための投与量は、通常、推奨される最低用量の1/5から、通常、推奨される用量の1/1までであるのが通常である。
追加の治療剤と組み合わせた、本発明による化合物の使用は、同時に、又は時間差を設けて行われてもよい。
【0164】
本発明による化合物、及び1種又は複数の追加の治療剤はどちらも、1つの製剤、例えば、錠剤若しくはカプセル剤で一緒に、又は2つの同一若しくは異なる製剤で、例えば、いわゆるキットオブパーツとして個別に存在してもよい。
したがって、別の態様によれば、本発明は、本発明による1種又は複数の化合物、及び本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤を含む医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物に関する。
別の態様によれば、本発明は、それを必要とする患者における、血小板活性化因子受容体の望ましくない活性によって媒介される、若しくはPAFRの拮抗作用が有益な疾患又は状態を処置する方法であって、患者に、式(I)の1種若しくは複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせて投与するステップ、
好ましくは、患者に、治療有効量の式(I)の1種若しくは複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に記載されている治療有効量の1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む、方法を提供する。
同様に、本発明は、それを必要とする患者において、PAFRの望ましくない活性によって媒介される、若しくはPAFRの拮抗作用が有益な、疾患又は状態を処置する方法に使用するための、本明細書のこれ以前又は本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせた式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
同様に、本発明は、それを必要とする患者において、PAFRの望ましくない活性によって媒介される、若しくはPAFRの拮抗作用が有益な、疾患又は状態を処置する方法に使用する医薬の製造における、本明細書のこれ以前又は本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせた式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
同様に、本発明は、それを必要とする患者において、PAFRの望ましくない活性によって媒介される、若しくはPAFRの拮抗作用が有益な、疾患又は状態を処置する方法における、本明細書のこれ以前又は本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせた式(I)の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0165】
一実施形態によれば、処置の方法は、患者に、式(I)の1種若しくは複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせて投与するステップ、
好ましくは、患者に、治療有効量の式(I)の1種若しくは複数の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を、治療有効量の本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤と組み合わせて投与するステップを含む。
【0166】
別の実施形態によれば、処置の方法は、患者に、本発明による1種又は複数の化合物、並びに本明細書のこれ以前及び本明細書のこれ以降に記載されている1種又は複数の追加の治療剤を含む医薬組成物であって、1種若しくは複数の不活性担体及び/又は希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物を投与するステップを含む。
一実施形態によれば、1種又は複数の追加の治療剤は、抗糖尿病剤、過体重及び/又は肥満の処置のための薬剤、高血圧、心不全及び/又はアテローム性動脈硬化の処置のための薬剤、並びに眼疾患の処置のための薬剤から、特に上に具体的に言及されているそのような薬剤から選択される。
【0167】
一実施形態によれば、PAFRの望ましくない活性によって媒介される、若しくはPAFRの拮抗作用が有益な、疾患又は状態は、糖尿病性網膜症、増殖性及び非増殖性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、萎縮型及び滲出型加齢黄斑変性(AMD)、地図状萎縮、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)及び脈絡膜血管新生(CNV)などの眼適応症から、じんましん又はNASHなどのアレルギー及び炎症に関連する状態並びに疾患から、並びに糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性黄斑虚血及び増殖性糖尿病性網膜症などの糖尿病性網膜症に関連する糖尿病合併症から選択される。
一実施形態によれば、患者は、ヒト患者である。
本発明の他の特徴及び利点は、例として、本発明の原理を例示している、以下の一層詳細な実施例から明白となろう。
【0168】
実施例及び実験データ
以下の実施例は、本発明の例示目的のために過ぎず、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【0169】
略称
Ac アセチル
ACN アセトニトリル
ATP アデノシン三リン酸
BPR 背圧レギュレータ-
BSA ウシ血清アルブミン
d 日数
DAD ダイオードアレイ検出器
DAPI 4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール
dba ジベンジリデンアセトン
DCM ジクロロメタン
ジオキサン 1,4-ジオキサン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMEM ダルベッコ改変イーグル培地
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸塩
ESI エレクトロスプレーイオン化(MS)
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FITC フルオレセインイソチオシアネート
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IPA イソプロパノール
KHMDS カリウムビス(トリメチルシリル)アミド
LC 液体クロマトグラフィー
LC-MS 連結液体クロマトグラフィー - 質量分析法
M モル濃度(mol/L)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分間
MS 質量分析法
NMR 核磁気共鳴
OAc アセテート
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PET ポリエチレンテレフタレート
pet. 石油
RPE 網膜色素上皮
rt 室温
tR 保持時間(HPLC/LC)
Sc 超臨界
SFC 超臨界流体クロマトグラフィー
TBTU O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルロニウムテトラフルオロボレート
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
Tol-BINAP 2,2’-ビス(ジ-p-トリルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル
UV 紫外線
XPhos ジシクロヘキシル[2’,4’,6’-トリス(プロパン-2-イル)[1,1’-ビフェニル]-2-イル]ホスファン
【0170】
用語「周囲温度」及び「室温」は、互換的に使用され、約20℃、例えば、15~25℃の温度を表す。
一般に、1H-NMR及び/又は質量スペクトルは、調製した化合物に対して取得する。
【0171】
別段の指定がない限り、キラル中心を含有する化合物は、図示される立体化学を有する。立体化学の帰属は、既知の立体化学のキラルな出発原料の使用によって、既知の立体化学の立体選択的合成によって、又は生物活性によってのいずれかで行う。
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
中間体の合成:
中間体1
(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸
【化66】
【0181】
工程1:メチル2-アミノ-3-(2-クロロベンゾイル)-4H,5H,6H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
3-(2-クロロフェニル)-3-オキソプロパンニトリル(126g)、3-オキソシクロペンタン-1-カルボン酸メチル(100g)、硫黄(22.5g)、モルホリン(61.8mL)及びMeOH(800mL)からなる混合物を4時間、還流して撹拌する。室温まで冷却した後、この反応混合物を濃縮する。粗生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(石油エーテル/DCM50:50)によって精製し、次に、MeOHから再結晶すると、表題化合物が得られる。
【0182】
工程2:メチル2-(1-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}シクロプロパンアミド)-3-(2-クロロベンゾイル)-4H,5H,6H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
DCM(1000mL)中のメチル2-アミノ-3-(2-クロロベンゾイル)-4H,5H,6H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(100g)及び1-tert-ブトキシカルボニルアミノ-シクロプロパンカルボン酸(90g)の撹拌溶液に、ヨウ化2-クロロ-1-メチルピリジニウム(91g)、トリエチルアミン(116mL)及び4-ジメチルアミノピリジン(18g)を加える。得られた混合物を55℃~60℃で2日間、撹拌する。この混合物をMeOH及び水により希釈し、沈殿物をろ過によって分離して、表題化合物を得る。
【0183】
工程3:メチル2-(1-アミノシクロプロパンアミド)-3-(2-クロロベンゾイル)-4H,5H,6H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート
DCM(400mL)中のメチル2-(1-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}シクロプロパンアミド)-3-(2-クロロベンゾイル)-4H,5H,6H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(70g)に、0℃でジオキサン中4M HCl(400mL)を加える。冷却浴を取り除き、この混合物を室温で12時間、撹拌する。この混合物を濃縮すると、粗製表題化合物が得られ、これを次の反応工程にそのまま使用する。
【0184】
工程4:メチル13’-(2-クロロフェニル)-10’-オキソ-7’-チア-9’,12’-ジアザスピロ[シクロプロパン-1,11’-トリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカン]-1’(8’),2’(6’),12’-トリエン-4’-カルボキシレート
トルエン(600mL)中のメチル2-(1-アミノシクロプロパンアミド)-3-(2-クロロベンゾイル)-4H,5H,6H-シクロペンタ[b]チオフェン-5-カルボキシレート(60g)の撹拌溶液に、ピリジン(180mL)及び氷酢酸(60mL)を加える。この混合物を120℃で24時間、撹拌し、次に濃縮する。粗製化合物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(30%EtOAc/70%石油エーテル)によって精製し、表題化合物を得る。
【0185】
工程5:メチル9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボキシレート
THF(300mL)中のメチル13’-(2-クロロフェニル)-10’-オキソ-7’-チア-9’,12’-ジアザスピロ[シクロプロパン-1,11’-トリシクロ[6.5.0.02,6]トリデカン]-1’(8’),2’(6’),12’-トリエン-4’-カルボキシレート(20g)の撹拌溶液を-78℃まで冷却する。カリウムtert-ブトキシド(6.1g)を加え、反応(reation)混合物を-10℃まで、次に室温まで温める。30分間後、得られた混合物を-78℃まで冷却し、クロロリン酸ジエチル(10.3g)を加える。得られた混合物を-10℃で45分間、撹拌する。アセチルヒドラジド(7.4g)を加え、この混合物を室温で45分間、撹拌する。IPA(300mL)を加え、この反応混合物を90℃で1時間、撹拌する。この混合物を濃縮し、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィー(DCM/MeOH96:4)によって精製すると、表題化合物が得られる。
【0186】
工程6:9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸
THF(100mL)及び水(40mL)中のメチル9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボキシレート(10g)に、LiOH*H2O(4.8g)を加える。この混合物を室温で4時間、撹拌する。THFを溶媒蒸発させて、水層を0℃で濃HClにより酸性にする。沈殿物をろ過により分離し、真空で乾燥すると、表題化合物が得られる。
【0187】
工程7:(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸
9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサ-デカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸(ラセミ混合物、2.6g)を、キラル相上のSFC[カラム:Chiralpak IC(30x250mm、5μm);イソクラティック条件:55:45CO2:MeOH;全流量:100g/分;BPR:100bar;ロード/注入:40mg;注入回数:90]によってその鏡像異性体に分割し、表題化合物を得る。
【0188】
実施例の合成:
(実施例1)
(13’S)-N-{ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-イル}-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボキサミド
【化67】
(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサ-デカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸(中間体1;50mg)及びビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-アミン(15mg)をDMF(1mL)に溶解する。DIPEA(41μL)及びTBTU(38mg)を加え、この混合物を室温で1時間、撹拌する。反応混合物をDMFにより希釈し、逆相上のクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/アンモニア水)によって精製すると、表題化合物が得られる。
LC-MS(方法1):t
R=0.93分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=491[M+H]
+。
キラルSFC(方法6):t
R=2.33分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=490.1[M]
+。
【0189】
(実施例2)
4-クロロ-3-[(13’S)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-9’-イル]ベンゾニトリル
【化68】
THF(1mL)中の4-クロロ-3-[(13’S)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-9’-イル]アニリン(実施例6;65mg)に、0℃でH
2O(1mL)及び硫酸(20μL)を加える。H
2O(50μL)に溶解した亜硝酸ナトリウム(11mg)を滴下して加える。
【0190】
別のフラスコに、撹拌子、シアン化カリウム(42mg)及びH2O(500μL)を投入し、0℃まで冷却する。後者のフラスコにCuCN(15mg)、NaHCO3(85mg)及びEtOAc(1mL)を加える。最初の溶液(ジアゾニウム塩)を後者に滴下して加え、得られた混合物を室温で一晩、撹拌する。H2Oを加え、この混合物をEtOAc(3×)により抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、濃縮する。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィー(DCM/MeOH95:5)にかけると、表題化合物が得られる。
LC-MS(方法2):tR=0.83分;質量スペクトル(ESI+):m/z=519[M+H]+。
【0191】
(実施例3)
(13’S)-9’-(2,5-ジクロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン
【化69】
MeCN(2mL)中のCuCl
2(16mg)及び亜硝酸tert-ブチル(17μL)に、0℃でMeCN(1mL)中の4-クロロ-3-[(13’S)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-9’-イル]アニリン(実施例6;50.0mg)を加える。この混合物を室温まで温め、一晩、撹拌する。この混合物を1M水性HClに注ぎ入れて、5分間、撹拌する。1M水性NaOHによる中和後、この混合物をEtOAcにより抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥(Na
2SO
4)し、濃縮する。残留物を逆相上でクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/アンモニア水)にかけると、表題化合物が得られる。
LC-MS(方法1):t
R=0.90分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=528/530[M+H]
+。
【0192】
(実施例4)
(13’S)-9’-(5-ブロモ-2-クロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン
【化70】
MeCN(2mL)中のCuBr
2(26mg)及び亜硝酸tert-ブチル(16μL)に、0℃でMeCN(1mL)中の4-クロロ-3-[(13’S)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-9’-イル]アニリン(実施例6;50mg)を加える。この混合物を70℃まで温め、2時間、撹拌する。この混合物を1M水性HClに注ぎ入れて、5分間、撹拌する。1M水性NaOHによる中和後、この混合物をEtOAcにより抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥(Na
2SO
4)し、濃縮する。残留物を逆相上でクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/アンモニア水)にかけると、表題化合物が得られる。
LC-MS(方法1):t
R=0.91分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=572/574[M+H]
+。
【0193】
参照実施例5
(13’S)-9’-(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン
【化71】
(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン(実施例114;300mg)を硫酸(2mL)に溶解し、0℃まで冷却する。硝酸(47μL)及び硫酸(162μL)の混合物を加え、この混合物を室温で一晩、撹拌する。反応が完了していない場合(TLC又はHPLCによる)、硝酸(30μL)及び硫酸(100μL)の混合物をさらに加え、室温での撹拌を5時間、継続する。この混合物を氷水に注ぎ入れて、得られた混合物をK
2CO
3(pH約8)により中和して、EtOAcにより抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥(Na
2SO
4)し、濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH95:5)によって精製すると、表題化合物が得られる。LC-MS(方法1):t
R=0.86分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=539[M+H]
+。
【0194】
(実施例6)
4-クロロ-3-[(13’S)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-9’-イル]アニリン
【化72】
(13’S)-9’-(2-クロロ-5-ニトロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザ-スピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン(参照実施例5、135mg)、鉄(140mg)、THF(5mL)及びH
2O(1mL)からなる混合物を80℃で4時間、撹拌する。室温まで冷却した後、この混合物をろ過して、ろ液を濃縮する。残留物をシリカゲル上でクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール95:5)にかけると、表題化合物が得られる。LC-MS(方法1):t
R=0.75分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=509[M+H]
+。
【0195】
(実施例7)
実施例7は、実施例1に関して記載されている手順と類似の手順に従うことによって、(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸(中間体1)から得られる。
【0196】
【0197】
(実施例8)
(13’S)-3’-メチル-9’-(2-メチルフェニル)-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン
【0198】
【化73】
(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン(実施例114;50mg)、メチルボロン酸(12mg)及びリン酸カリウム(65mg)をH
2O(200μL)及びトルエン(1.0mL)に溶解する。この混合物に5分間、Arをパージした後、Pd(OAc)
2(1.1mg)及びジシクロヘキシル(2’,6’-ジメトキシビフェニル-2-イル)ホスフィン(SPhos)(4.1mg)を加える。この混合物を140℃で30分間、マイクロ波オーブン中で撹拌する。室温まで冷却した後、この混合物をACNにより希釈し、逆相上のクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/アンモニア水)にかけると、表題化合物が得られる。LC-MS(方法1):t
R=0.78分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=474[M+H]
+。
キラルSFC[カラム:Chiral Art(登録商標)セルロース_SB(4.6mm×250mm、5μm);カラム温度:40℃;流量:4.0mL/分;BPR:2175bar;イソクラティック条件:65:35CO
2:IPA(20mM NH
3)]:t
R=3.65分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=474.0[M+H]
+。
【0199】
(実施例9)
2-[(13’S)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-9’-イル]フェノール
【0200】
【化74】
工程1:(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン(実施例114;50mg)、ビス(ピナコラト)ジボロン(39mg)及び酢酸カリウム(30mg)をジオキサン(1mL)に溶解する。この混合物に5分間、Arをパージした後、Pd
2dba
3(3.0mg)及びXPhos(2.5mg)を加える。この混合物を120℃で30分間、マイクロ波オーブン中で撹拌する。室温まで冷却した後、この混合物をジオキサンにより希釈し、セライトに通してろ過する。分離した固体をジオキサンにより洗浄し、真空で乾燥し、さらに精製することなく、次の反応工程に使用する。
【0201】
工程2:工程1(51mg)からの粗生成物をTHF(1mL)に溶解する。この混合物を0℃まで冷却し、過酸化水素(H2O中の35%;53μL)及び水性4M NaOH(51μL)を加える。この混合物を室温まで加温しながら一晩、撹拌する。この混合物をEtOAcにより希釈し、Na2S2O3水溶液により洗浄する。有機層を乾燥(Na2SO4)して、濃縮する。残留物を逆相上でクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/アンモニア水)にかけると、表題化合物が得られる。LC-MS(方法1):tR=0.81分;質量スペクトル(ESI+):m/z=476[M+H]+。
キラルSFC(方法7):tR=4.78分;質量スペクトル(ESI+):m/z=476.0[M+H]+。
【0202】
(実施例10~103)
実施例1に関して記載されている手順と類似の手順に従うことによって、(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸(中間体1)から、以下の表にまとめられている実施例10~103が得られる。
【0203】
【0204】
(実施例104)
(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-N,N-ジプロピル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボキサミド
【化75】
【0205】
DMSO(2mL)中の(13S)-9-(2-クロロフェニル)-3-メチル-N,N-ジプロピル-16-チア-2,4,5,8-テトラアザテトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカ-1(10),3,5,8,11(15)-ペンタエン-13-カルボキサミド(合成に関しては、欧州特許出願公開第0388789号を参照されたい、100mg)に、室温で、(2-ブロモエチル)ジフェニルスルファニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(184mg)及びKHMDS(THF中の1.0M;830μL)を加える。この混合物を室温で一晩、撹拌する。さらなる(2-ブロモエチル)ジフェニルスルファニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(184mg)及びKHMDS(THF中の1.0M;830μL)を加え、撹拌を2時間、継続する。この混合物をDMFにより希釈してろ過し、逆相上のクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/アンモニア水)にかけると、表題化合物が得られる。
LC-MS(方法1):tR=1.03分;質量スペクトル(ESI+):m/z=508[M+H]+。
【0206】
(実施例105~118)
実施例1に関して記載されている手順と類似の手順に従うことによって、(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸(中間体1)から、以下の表にまとめられている実施例105~118が得られる。
【0207】
【0208】
(実施例119)
(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-エチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン
【0209】
【化76】
THF(1mL)中のジイソプロピルアミン(19μL)に、-78℃でn-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M;76μL)を加える。10分間、撹拌した後、THF(1mL)中の(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロ-プロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン(実施例114;50mg)を加え、この混合物を-78℃で30分間、撹拌する。ヨードメタン(7μL)を加え、この混合物を-78℃で1時間、撹拌する。この反応物をNH
4Cl水溶液でクエンチし、得られた混合物をEtOAcにより抽出する。合わせた有機抽出物を乾燥(Na
2SO
4)し、濃縮する。残留物を逆相上でクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/アンモニア水)にかけると、表題化合物が得られる。
LC-MS(方法1):t
R=0.87分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=508[M+H]
+。
キラルSFC(方法6):t
R=5.41分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=508.2[M+H]
+。
【0210】
(実施例120)
(13’S)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-9’-フェニル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン
【0211】
【0212】
MeOH(8mL)中の(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン(実施例114;75mg)に、室温でラネーニッケル(75.0mg)を加える。この混合物を、水素雰囲気(50psi)下、50℃で6日間、振とうする。この混合物をろ過し、ろ液を濃縮する。残留物を逆相上でクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/水性TFA)にかけると、表題化合物が得られる。
LC-MS(方法1):tR=0.72分;質量スペクトル(ESI+):m/z=460[M+H]+。
【0213】
(実施例121~129)
実施例1に関して記載されている手順と類似の手順に従うことによって、(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン-13’-カルボン酸(中間体1)から、以下の表にまとめられている実施例121~129が得られる。
【0214】
【0215】
(実施例130)
(13’S)-9’-(2-メトキシフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.02,6.011,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン
【0216】
【化78】
トルエン(1mL)中の(13’S)-9’-(2-クロロフェニル)-3’-メチル-13’-(モルホリン-4-カルボニル)-16’-チア-2’,4’,5’,8’-テトラアザスピロ[シクロプロパン-1,7’-テトラシクロ[8.6.0.0
2,6.0
11,15]ヘキサデカン]-1’(10’),3’,5’,8’,11’(15’)-ペンタエン(実施例114;80mg)に、ナトリウムメトキシド(メタノール中、25質量%;53.0mg)を加える。この混合物にArをパージした後に、Pd
2(dba)
3(7.5mg)及びTol-BINAP(13.5mg)を加える。この混合物を130℃で2時間、撹拌し、次に、真空で濃縮する。残留物を逆相上のクロマトグラフィー(HPLC;ACN/水/水性TFA)にかけると、表題化合物が、その鏡像異性体(約3:1)を含む混合物として得られる。
LC-MS(方法1):t
R=0.72分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=490[M+H]
+。
キラルSFC[カラム:Chiral Art(登録商標)アミロース-SA(4.6mm×250mm、5μm);カラム温度:40℃;流量:4.0mL/分;BPR:2175bar;イソクラティック条件:75:25CO
2:IPA(20mM NH
3)]:t
R=4.72分;質量スペクトル(ESI
+):m/z=490.2[M+H]
+。
【国際調査報告】