(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】高い流速でオンラインの良質の注入可能な腹膜透析液を供給するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20250116BHJP
【FI】
A61M1/28 105
A61M1/28 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538280
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022082269
(87)【国際公開番号】W WO2023122747
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524235968
【氏名又は名称】ビョニクス メディカル デバイシズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(74)【代理人】
【識別番号】100220423
【氏名又は名称】榊間 城作
(72)【発明者】
【氏名】ケンリー,ロドニー,エス.
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA06
4C077DD12
4C077DD17
4C077DD26
4C077EE03
4C077EE04
4C077GG09
4C077GG14
4C077LL02
4C077NN14
4C077NN15
(57)【要約】
システムは、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された装置、供給透析液を貯蔵するように構成された供給チャンバ、供給チャンバから供給透析液を受け取り、供給透析液から汚染物質を除去するように構成されている、第1のフィルタ、第2のフィルタ、および1つまたは複数の弁であって、第1の構成では、第2のフィルタが、患者排出ラインから使用された透析液を受け取り、使用された透析液から生物学的成分を捕捉して、使用された透析液がシステム排出ラインを介して分注されることを可能にし、第2の構成では、第2のフィルタが供給透析液を受け取り、供給透析液からさらなる汚染物質を除去して、供給透析液および生物学的成分が患者充填ラインを介して分注されるようにすることを可能にする、1つまたは複数の弁、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析のためのシステムであって、
水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された混合装置、
前記供給透析液を貯蔵するように構成された供給チャンバ、
第1のポートおよび第2のポートを含む第1のフィルタであって、前記第1のフィルタは、前記第1のポートにおいて前記供給チャンバから前記供給透析液を受け取り、前記供給透析液から汚染物質を除去するように構成されている、第1のフィルタ、
第3のポートおよび第4のポートを含む第2のフィルタ、
前記第3ポートに接続された患者排出ライン、
前記第3のポートに接続された患者充填ライン、
前記第4のポートに接続されたシステム排出ライン、および
1つまたは複数の弁であって、
第1の構成では、前記第2のフィルタが、前記第3のポートで前記患者排出ラインから使用された透析液を受け取り、前記使用された透析液から生物学的成分を捕捉して、前記使用された透析液が前記システム排出ラインを介して分注されることを可能にし、
第2の構成では、前記第2のフィルタが前記第4のポートで前記第2のポートから前記供給透析液を受け取り、前記供給透析液からさらなる汚染物質を除去して、前記供給透析液および前記生物学的成分が前記患者充填ラインを介して分注されるようにすることを可能にする、1つまたは複数の弁、
を含む、システム。
【請求項2】
前記混合装置が、前記システムの外部の供給源から前記水を受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記混合装置が、制御された量の前記水を前記供給チャンバに供給するように構成された容積式計量ポンプを備える、請求項1~2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記混合装置が、制御された量の前記酸/電解質濃縮物を前記供給チャンバに供給するように構成された定量ポンプを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記混合装置が、制御された量の前記浸透圧濃縮物を前記供給チャンバに供給するように構成された定量ポンプを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記混合装置が、制御された量の前記中和緩衝液を前記供給チャンバに供給するように構成された定量ポンプを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記供給チャンバが、
剛性ハウジング、および
前記剛性ハウジング内に配置された可撓性コンテナであって、前記可撓性コンテナは、前記供給透析液を貯蔵するように構成され、前記剛性ハウジングは、前記可撓性コンテナを圧縮または膨張させるために圧力を加えるように構成され、それによって前記供給透析液を前記可撓性コンテナから排出するか、または前記供給透析液を前記可撓性コンテナ内に引き込む、可撓性コンテナ
を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のフィルタおよび/または前記第2のフィルタが脱酸素フィルタを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のフィルタおよび/または前記第2のフィルタが、50ダルトン~80,000ダルトンの範囲内の90%保持率および10
5以上の発熱物質除去係数によって定義される分子量カットオフ(MWCO)を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のフィルタおよび前記第2のフィルタが、エンドトキシンおよびペプチドグリカンを保持するように構成される、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記使用された透析液から前記生物学的成分を捕捉するために、前記使用された透析液を前記第3のポート内に、次いで前記第2のフィルタを通って移動させること、
前記混合装置を介して、前記水、前記酸/電解質濃縮物、前記浸透圧濃縮物、および前記中和緩衝液を混合して、前記供給透析液を生成すること、
前記供給透析液から前記汚染物質を除去するために、前記供給透析液を前記第1のポート内に移動させること、
前記供給透析液から前記さらなる汚染物質を除去するために、前記供給透析液を前記第2のポートから前記第4のポート内に、次いで前記第2のフィルタを通って移動させること、および
前記患者充填ラインを介して前記第3のポートから前記供給透析液および前記生物学的成分を分注すること、
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステムを動作させる方法。
【請求項12】
前記システム排出ラインを介して前記使用された透析液を分注することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記使用された透析液を前記第3のポート内に移動させる前に、患者の腹膜から前記使用された透析液を受け取ることをさらに含む、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記供給透析液および前記生物学的成分を分注することが、前記供給透析液および前記生物学的成分を前記腹膜内に分注することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記使用された透析液を前記第3のポート内に移動させる前に、前記使用された透析液を腹膜透析サイクラーから受け取ることをさらに含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記供給透析液および前記生物学的成分を分注することが、前記供給透析液および前記生物学的成分を前記腹膜透析サイクラー内に分注することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記中和緩衝液が、重炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムを含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記浸透圧濃縮物がグルコースおよび/またはイコデキストリンを含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記汚染物質がエンドトキシンおよび/またはペプチドグリカンを含む、請求項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記酸/電解質濃縮物が、無水グルコース、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、重炭酸塩、および/または乳酸塩を含む、請求項11~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記水の導電率が閾値未満であると判定することをさらに含み、
前記混合することが、前記判定を行うことに応答して行われる、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記供給透析液が第1の閾値よりも大きくて第2の閾値よりも小さい導電率を有すると判定することをさらに含み、
前記供給透析液を前記第1のポート内に前記移動させることは、前記判定が行われたことに応じて行われる、請求項11~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記混合することが、前記供給透析液が前記供給チャンバ内で実質的に均一になるように混合することを含む、請求項11~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記混合することが、前記水、前記酸/電解質濃縮物、前記浸透圧濃縮物、および前記中和緩衝液が100°F未満の温度にある間に混合することを含む、請求項11~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記浸透圧濃縮物が右旋性グルコースを含む、請求項11~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記浸透圧濃縮物が無菌的に充填されたグルコースを含む、請求項11~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記混合することが、7.1より大きく7.5未満である水素の電位(pH)で混合することを含む、請求項11~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
1つまたは複数のプロセッサ、および
前記1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、前記システムに請求項11~25のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を格納するコンピュータ可読媒体、
をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムによって実行されると、前記システムに請求項11~27のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を格納するコンピュータ可読媒体。
【請求項30】
腹膜透析のためのシステムであって、
水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された混合装置、
前記供給透析液を貯蔵するよう構成された供給チャンバ、
排出ライン、
フィルタ、および
第1の構成では、前記フィルタが、使用された透析液内の生物学的成分を捕捉するために、前記フィルタの第1のポートにおいて前記排出ラインから前記使用された透析液を受け取ることを可能にし、第2の構成では、前記フィルタが、前記供給透析液から汚染物質を除去するために、前記フィルタの第2のポートにおいて前記供給チャンバから前記供給透析液を受け取ることを可能にする、1つまたは複数の弁
を含む、システム。
【請求項31】
腹膜透析を行うための方法であって、
(i)請求項1~10のいずれか一項に記載のシステムを設けること、
(ii)前記混合装置を介して、前記水、前記酸/電解質濃縮物、前記浸透圧濃縮物、および前記中和緩衝液を混合して、前記供給透析液を生成すること、
(iii)前記供給透析液から前記汚染物質を除去するために、前記供給透析液を前記第1のポート内に前記第1のフィルタを通って移動させること、
(iv)前記供給透析液から前記さらなる汚染物質を除去するために、前記供給透析液を前記第2のポートから前記第4のポート内に、次いで前記第2のフィルタを通って移動させること、
(v)使用された透析液を生成しながら、腹膜透析のために前記精製された透析液を患者の腹膜腔に所定の時間移動させること、
(vi)前記使用された透析液を前記第3のポート内に移動させ、次いで前記第2のフィルタを通って移動させて、前記使用された透析液から前記生物学的成分を捕捉し、枯渇した使用された透析液を生成し、前記枯渇した使用された透析液を排出すること、および
(vii)前記捕捉された生物学的成分を前記患者に戻して導入するために前記第2のフィルタから排出しながら、さらなる腹膜透析のために前記供給透析液を分注するため、(ii)~(vi)のステップを繰り返すこと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本願は、2021年12月23日に出願された米国仮特許出願第63/293,257号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]腎代替療法を必要とする患者を支援するために使用される2つの主要な透析方法、血液透析および腹膜透析がある。腹膜透析は、半透膜として患者自身の腹膜を利用する。腹膜は、中に埋め込まれている多数の血管および毛細血管のために、天然の半透膜として作用することができる、横隔膜と骨盤との間の器官のすべてを取り囲む体腔の膜性内層である。
【0003】
[0003]腹膜透析では、滅菌透析液が留置カテーテルを介して腹膜腔に注入される。これは、重力によって手動で、またはサイクラーとして知られる機械を使用して達成することができる。透析液を腹膜腔に十分な時間(例えば4時間)滞留させて、毒素および水の正味の除去をもたらし、その後、透析液を排出して新鮮な透析液と交換する。
【0004】
[0004]血液透析では、流体の除去は、血液透析装置を用いて膜貫通圧を生成することによって達成されるが、これは腹膜透析では不可能であり、患者から過剰な流体を除去するための異なる戦略を必要としている。腹膜透析では、血液と透析液との間に静水圧勾配を作り出す代わりに、腹膜透析液に浸透圧作用因子を含めることによって浸透圧勾配を生成する。腹膜透析液の大部分に使用される浸透圧作用因子はグルコースである。後述するように、グルコースは本願において重大な問題を呈するが、40年を超える研究は、毎日の交換の際に使用するための適切な実用的な代替物を生み出していない。
【0005】
[0005]腹膜透析液にグルコースを含めることの主な困難は、最終滅菌中(例えば、オートクレーブ処理によって)に遭遇する。腹膜のような影響されやすい体腔に注入されるいずれかの溶液は、理想的には生理学的pH(例えば7.2~7.4)であるが、生理学的pHでグルコース含有溶液を最終的に滅菌することは不可能である。腹膜透析液(同様にまた、グルコースを含有する他の医薬溶液、例えば、デキストロース5水または総非経口栄養)は、細菌およびその胞子の完全な不活化を確実にするために、および沸騰を防止するために圧力下で、一般に120℃で約2時間、普遍的に最終的に加熱滅菌(すなわち、オートクレーブ処理)される。オートクレーブ条件下で、溶液のpHが生理学的範囲に維持されると、溶液のグルコースは変色(カラメル化)し、またグルコース分解生成物(GDP)として総称される複数の反応生成物に変換する。
【0006】
[0006]3-デオキシグルコソン(3-DG)、3,4-ジデオキシグルコソン-3-エン(3,4-DGE)、グリオキサール、メチルグリオキサール、5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)、2-フルアルデヒド(2-FA)、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドなどのこれらのGDPのいくつかは、腹膜透析液(PDF)において同定されている。GDPは、タンパク質中の高度に反応性の終末糖化生成物(AGEs)の前駆体である。AGEsは、還元された炭水化物(グルコースなど)がアミノ酸またはヌクレオチドと反応するときの化学反応から生じる。1912年、Louis Maillardは、「メイラード反応」として知られるこの非酵素的反応を最初に記載した。上記のGDPの中で、5-HMFおよび2-FAは、分解の重要な指標と考えられており、これらは滅菌条件下でのグルコース分解プロセスに現れる可能性がある。
【0007】
[0007]慢性疾患患者に投与されるGDPおよびAGEsについての毒性の正確な閾値はまだ知られていないが、高いレベルのGDPおよびAGEsは、細胞の恒常性に影響を及ぼし、酸化ストレスに関与し、細胞の阻害に関連し、ヒトの白血球および腎上皮細胞においてアポトーシスを誘導し、中皮細胞および腹膜特性の分解を引き起こし、心血管系に影響を及ぼし、心血管罹患率の増加および腎機能の低下に関連付けられ、または腎臓の損傷を引き起こすことが示されてきた。他の研究は、真性糖尿病に罹患している患者におけるAGEsの蓄積が、糖尿病性網膜症または糖尿病性血管合併症などの微小血管合併症をもたらし得ることを示している。非常に高レベルの5-HMFは急性毒性をもたらし得る。
【0008】
[0008]したがって、PDFの製造業者は、これらの溶液を準生理学的pHで滅菌して、カラメル化およびGDPの形成を最小限に抑える必要がある。しかしながら、より低いpHレベルで産生および注入されたPDFは、腹膜腔に存在する不十分な宿主防御物の一時的な低下をもたらし、細菌の侵入に応答する患者の能力を低下させることに寄与し、ひいては、腹膜透析の主要な合併症の1つである、より高い腹膜炎の発生率をもたらすことも示されている。また、低いpHでのPDFは、多くの患者において注入時に痛みを引き起こし、代わりに患者が血液透析を行うことを選択すること、または患者がモダリティでのある期間の後に腹膜透析から脱落することに寄与する。そのすべてが、臨床提供者に対するコストの増加をもたらし、患者にとって最適でない臨床転帰をもたらす。
【0009】
[0009]したがって、PDFの製造業者は、滅菌中のGDPの形成を最小限に抑えることと、低いpHによって引き起こされる合併症との間で妥協しなければならなかった。公開された調査では、滅菌中にpHが2.0~2.6の範囲まで低下した後にのみGDPの産生が最小化されると判定されているにもかかわらず(3.0で滅菌された溶液はGDP濃度がわずかに高いだけであったが)、この妥協により、大部分のPDFが5.2~5.5のpHで産生された。
【0010】
[0010]過去数年以内に、低いpHでのグルコースの滅菌および貯蔵を可能にする二重チャンババッグシステムを特徴とするいくつかの低いGDPのPDFが市販されている。低い濃度のGDPと組み合わせた中性pHの細胞生存率および腹膜宿主防御に対する有益な効果は、文献に豊富に記載されている。しかしながら、このようにして製造されたPDFは、各交換中の患者による増分操作、患者の追加の訓練、および製品を製造するためのコストの増加を必要とする製品をもたらし、そのすべてが透析療法の臨床提供者によるこれらの製品の採用を不十分にしている。
【0011】
[0011]腹膜透析の別の主な欠点、および患者がこの治療法で維持できない主な理由は、不適切性である。不適切性は、患者から適切な量の尿毒症毒素または適切な量の水を除去できないこと(限外濾過)のいずれかまたは両方として現れ得る。
【0012】
[0012]腹膜透析(PD)には、連続携帯式腹膜透析(CAPD)および連続サイクリング腹膜透析(CCPD、別名APD、自動腹膜透析)という2つの主要な形態がある。
【0013】
[0013]CAPDでは、患者は、最終的に滅菌されたプラスチックバッグから、移送セットおよび留置カテーテルを介して透析液を腹膜腔に注入する。注入される量は、患者のサイズに合わせて調整され、2リットルが最も典型的である。しかしながら、患者が大きいほど、より多くの毒素および水を除去しなければならないので、注入量を増加させなければならず、時には3リットルまで増加させなければならない。
【0014】
[0014]溶液が注入されると、毒素および水が血液から移動する間、溶液は腹膜腔に留まることができる。典型的な滞留時間は4時間である。毒素および水分の除去は、血液と透析液との間の濃度勾配が最大である滞留の開始時に最も速い。血液と透析液が平衡に達すると、除去速度はゼロに近づく。この時点で、かなりの量のグルコースが血流に吸収されている。
【0015】
[0015]滞留期間の後、患者は、腹膜の内容物を注入に使用された空のバッグに戻し、それを切り離して廃棄し、新しいバッグを取り付け、別の充填/滞留/排出サイクルを開始する。CAPD患者は、この「交換」を1日に4回または5回、午前中に1度、昼に1度、夕食時に1度、就寝直前に1度行う。この最後の夜間での交換は約8時間留置され、その間、腹膜内に引き込まれた水の多くは、はるかに高い濃度のグルコースが使用されない限り、例えば昼間の交換では1.5%に対して4.25%でない限り、それを引き付けるために使用されたグルコースと共に再吸収される。これは、患者に吸収されるグルコースの量を劇的に増加させ、PDの別の大きな欠点につながる。全透析患者の約半数が糖尿病に続発する末期腎不全に罹患し、透析液からの糖を糖尿病患者に蓄積することが問題になる。
【0016】
[0016]いずれのPD患者にとってもまさに問題となるのは、患者が透析液からの糖の取り込みを介してかなりの数のカロリーを吸収しているという事実であり、これはタンパク質に対する食欲を低下させ、栄養不良になりやすくさせ得て、これは患者が死亡する、またはこの治療法から脱落する理由の1つである。
【0017】
[0017]このタンパク質の摂取不足を悪化させるのは、アミノ酸およびタンパク質も血液から透析液に移動し、各排出で身体から除去されるという事実である。
【0018】
[0018]各排出で失われる望ましいアミノ酸およびタンパク質の結合は、いずれかの腹膜炎を引き起こす細菌の侵入と戦うために腹膜内に移動したかもしれない宿主防御/免疫応答のあらゆる成分(例えば、マクロファージ、走化性成分)である。これは、当然、腹膜炎の症例の増加をもたらす。
【0019】
[0019]最後に、CAPDの脱落は、処置に固有の2つの他の原因を有する。1つは、一生毎日4~5回の交換を行う単調性による「燃え尽き」である。他方は、毎月患者の自宅に受け入れて貯蔵しなければならない比較的膨大な量の供給物である。
【0020】
[0020]CCPDでは、日中の交換は、器具(サイクラー)によって制御された透析液の流入および流出で、単純に8時間の睡眠に切り替えられる。これは、患者の起きている時間にこれらの交換を行う患者の退屈を軽減するように設計されている。典型的には、サイクラーは、患者が目覚める直前に最終充填量を患者に残しており、これは、患者が排水を行う昼食時間付近まで腹膜に残される。次いで、患者は、その日の夜まで「水分補給なしの」ままである選択肢を有し、これは、低いpH/高い浸透圧の溶液の絶え間ない攻撃から腹膜を回復させる利点を有し、または、より多くの毒素および水の除去を必要とする場合、その日の残りの間、別の充填量を注入することができる。
【0021】
[0021]CCPDはCAPDの欠点のいくつかを解決するが、多くは残っている。典型的には(血液透析への)脱落または死亡につながるこれらの欠点は、以下のように要約することができる。
【0022】
[0022]不適切性:これは、24時間でどれだけの透析液を患者に流すかの限界から直接導かれる、すなわち、PDは低い透析液流量(Qdと略す)によって制限される。現在の技術でQdを増加させる試みは、交換回数および/または透析液の量を増加させることを含む。これにより、ひいては、燃え尽き、必要な貯蔵スペースが増加し、コストが増加する。これらのすべては、患者と提供者の両方にとって、大概耐えられないものである。
【0023】
[0023]グルコース取り込み:これは糖尿病患者にとってかなり望ましくなく、タンパク質の栄養不良をもたらす。これは、a)透析液および血液が平衡に達することを可能にする滞留時間(低いQdの別の分岐)、およびb)長い滞留中の4.25%グルコースの使用に起因する。
【0024】
[0024]限外濾過不全および腹膜炎:低いpH、高い浸透圧、ならびにGDPおよびAGEsの存在は、腹膜の瘢痕化に寄与し、水の透過に対するその透過性を低下させ、宿主防御物の成分を不活性化し、炎症を増加させる。
【0025】
[0025]各排出でのアミノ酸、タンパク質、および白血球の損失:これは、使用された透析液が排出のために直接送られることに起因する。これは、タンパク質栄養不良およびより高い腹膜炎の発生率に寄与する。
【0026】
[0026]燃え尽き:これは、避けられず面倒な毎日のCAPD交換ルーチンまたはサイクラーの設定/破棄に起因する。
【0027】
[0027]家での供給物の量の負担:これは主に、最終的に滅菌された溶液のバッグ、それらの関連するチューブセットおよびコネクタ、ならびに無菌の接続/切断を実行するために必要な補助物資でPDを実行した結果である。
【0028】
[0028]したがって、腹膜透析の前述の欠点を克服する必要がある。
【発明の概要】
【0029】
[0029]第1の例は、腹膜透析のためのシステムであって、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された混合装置、供給透析液を貯蔵するように構成された供給チャンバ、第1のポートおよび第2のポートを含む第1のフィルタであって、第1のフィルタは、第1のポートにおいて供給チャンバから供給透析液を受け取り、供給透析液から汚染物質を除去するように構成されている、第1のフィルタ、第3のポートおよび第4のポートを含む第2のフィルタ、第3ポートに接続された患者排出ライン、第3のポートに接続された患者充填ライン、第4のポートに接続されたシステム排出ライン、および1つまたは複数の弁であって、第1の構成では、第2のフィルタが、第3のポートで患者排出ラインから使用された透析液を受け取り、使用された透析液から生物学的成分を捕捉して、使用された透析液がシステム排出ラインを介して分注されることを可能にし、第2の構成では、第2のフィルタが第4のポートで第2のポートから供給透析液を受け取り、供給透析液からさらなる汚染物質を除去して、供給透析液および生物学的成分が患者充填ラインを介して分注されるようにすることを可能にする、1つまたは複数の弁、を含む、システムを含む。
【0030】
[0030]第2の例は、使用された透析液から生物学的成分を捕捉するために、使用された透析液を第3のポート内に、次いで第2のフィルタを通って移動させること、混合装置を介して、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して、供給透析液を生成すること、供給透析液から汚染物質を除去するために、供給透析液を第1のポート内に移動させること、供給透析液からさらなる汚染物質を除去するために、供給透析液を第2のポートから第4のポート内に、次いで第2のフィルタを通って移動させること、および患者充填ラインを介して第3のポートから供給透析液および生物学的成分を分注すること、を含む、第1の例のシステムを動作させる方法を含む。
【0031】
[0031]第3の例は、第1の例のシステムによって実行されると、システムに第2の例の方法を実行させる命令を格納するコンピュータ可読媒体を含む。
【0032】
[0032]第4の例は、腹膜透析のためのシステムであって、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された混合装置、供給透析液を貯蔵するよう構成された供給チャンバ、排出ライン、フィルタ、および第1の構成では、フィルタが、使用された透析液内の生物学的成分を捕捉するために、フィルタの第1のポートにおいて排出ラインから使用された透析液を受け取ることを可能にし、第2の構成では、フィルタが、供給透析液から汚染物質を除去するために、フィルタの第2のポートにおいて供給チャンバから供給透析液を受け取ることを可能にする、1つまたは複数の弁を含む、システムを含む。
【0033】
[0033]第5の例は、腹膜透析を行うための方法であって、第1の例または第4の例のシステムを設けること、混合装置を介して、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して、供給透析液を生成すること、供給透析液から汚染物質を除去するために、供給透析液を第1のポート内に第1のフィルタを通って移動させること、供給透析液からさらなる汚染物質を除去するために、供給透析液を第2のポートから第4のポート内に、次いで第2のフィルタを通って移動させること、使用された透析液を生成しながら、腹膜透析のために精製された透析液を患者の腹膜腔に所定の時間移動させること、使用された透析液を第3のポート内に移動させ、次いで第2のフィルタを通って移動させて、使用された透析液から生物学的成分を捕捉し、枯渇した使用された透析液を生成し、枯渇した使用された透析液を排出すること、および捕捉された生物学的成分を患者に戻して導入するために第2のフィルタから排出しながら、さらなる腹膜透析のために供給透析液を分注するため、(ii)~(vi)のステップを繰り返すことを含む、方法を含む。
【0034】
[0034]「実質的に」または「約」という用語が本明細書で使用される場合、列挙された特性、パラメータ、または値が正確に達成される必要はないが、例えば公差、測定誤差、測定精度限界、および当業者に知られている他の要因を含む偏差または変動が、特性がもたらそうとした効果を排除しない量で発生し得ることを意味する。本明細書に開示されるいくつかの例では、「実質的に」または「約」は、列挙された値の+/-0~5%以内を意味する。
【0035】
[0035]これら、ならびに他の態様、利点、および代替形態は、添付の図面を適切に参照して以下の詳細な説明を読むことによって、当業者にとって明らかになるであろう。さらに、この概要ならびに本明細書で提供される他の説明および図は、例としてのみ本発明を説明することを意図しており、したがって、多数の変形が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、例による方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、例による、コンピューティングデバイスのブロック図である。
【
図3】
図3は、例による、使用された透析液から生物学的成分を捕捉するための構成のシステムの概略図である。
【
図4】
図4は、例による、供給透析液および捕捉された生物学的成分が患者充填ラインを介して分注されるように、供給透析液から汚染物質を除去するための構成のシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[0042]本開示は、腹膜透析に使用される先行のシステムおよび方法のいくつかの欠点を軽減するのに役立ち得る例を含む。腹膜透析のための従来の方法は、一部のタンパク質および宿主防御物が、尿毒症毒素などの代謝老廃物と共に、患者から排出される使用された透析液に達する可能性があるため、患者の血中のタンパク質および宿主防御物(例えば、白血球、マクロファージおよび/または走化性成分)を枯渇したレベルにさせる可能性がある。宿主防御物の喪失は腹膜炎に寄与し得、タンパク質の喪失は栄養失調に寄与し得る。したがって、患者は、腹膜透析中に典型的に失われるタンパク質および宿主防御物を保持することによって利益を得るであろう。
【0038】
[0043]本開示は、腹膜透析溶液の調製および処理システムの例を提供する。システムに含まれる構成要素およびそれらの機能は、以下のように、システムを通って流れる流体が最初に接触する順序で大まかに以下に描写される。
【0039】
[0044]混合装置への入口にある三方弁V1は、別個の上流の浄水システムからの水が混合装置に入ることを可能にする。この弁V1は、弁V1とV16との間の消毒バイパス流体経路を通るデバイスの全流体経路内部で流体を再循環させるために、交互に使用される。
【0040】
[0045]入口の下流の第1の伝導率セルC1は、混合装置に引き込まれている水が、システムのメモリのソフトウェアルックアップテーブルに設定されている安全な伝導率の上限以下であることを保証するために使用される。
【0041】
[0046]伝導率セルC1の下流に圧力センサP1が設置されて、水ポンプPU1の入口側に提示される水圧が脱気およびキャビテーションを防止するのに十分に高いことを保証する。
【0042】
[0047]圧力センサP1の下流の粒状活性炭カートリッジ(GAC)は、処理をしている間にこのデバイスに水を供給する別個の浄水システムの塩素/クロラミン除去装置を通って破壊された可能性があるいずれかの塩素またはクロラミンを除去するために使用される。この成分は、上流の浄水システムで実施される塩素/クロラミン除去の方法に応じて、必要である場合もない場合もある。
【0043】
[0048]2つの関連する温度センサを有するインライン流体用ヒータがGACの下流に配置される。ヒータの上流側の1つのセンサ(T1)および下流側の1つのセンサ(T2)は、オンボード回路およびソフトウェアと組み合わせて、ヒータを通過する水の温度を制御するために使用される。
【0044】
[0049]ヒータの下流の水計量ポンプPU1は、システムの下流構成要素への水の流れを正確に制御する。
【0045】
[0050]水計量ポンプPU1の下流の定量ポンプPU2は、ソフトウェアに存在する透析液の処方に従って酸/電解質濃縮物の量を正確に計量する。
【0046】
[0051]ポンプPU2の下流の定量ポンプPU3は、ソフトウェアに存在する透析液の処方に従って中和緩衝液の量を正確に計量する。
【0047】
[0052]ポンプPU3の下流の定量ポンプPU4は、ソフトウェアに存在する透析液の処方に従って浸透圧濃縮物の量を正確に計量する。
【0048】
[0053]可撓性供給チャンバは、弁V2を介して大気に排出することができる剛性エンクロージャによって囲まれている。開放弁V2を介して排出されるとき、供給チャンバは、下流弁V3およびV4がこのチャンバからのいずれかの流出を防止するように配向されている限り、供給透析液の成分を供給チャンバ内に送達するポンプPU1、PU2、PU3、およびPU4によって生成される正圧下で、剛性エンクロージャの物理的寸法によって制限されるように、その最大容積まで拡張することができる。この供給チャンバはまた、弁V2を閉じ、弁V15を開くことにより、空気圧縮機(AC)によって生成されて剛性の正圧リザーバ(PPR)に貯蔵された正の空気圧が、供給チャンバを取り囲む剛性エンクロージャの中に送達されることを可能にし、その内容物を下流に送達するために使用することができる。供給チャンバの内容物は、システムソフトウェアの制御下にある下流弁が内容物の流出を可能にするように正しく配向されている限り、下流に送達される。
【0049】
[0054]供給チャンバの下流に、冗長伝導率セルC2およびC3が含まれており、一方がプライミングセンサで、他方がプライミングを検証するためにソフトウェアの安全システム側に配置されている。それらの目的は、透析液が、患者の医師によって設定され、またソフトウェアにロードされた透析液の処方のためのソフトウェアルックアップテーブルに配置されているように、予想される伝導率の周りの安全な範囲で構成されることを保証することである。
【0050】
[0055]伝導率センサと同様に、一方がプライミング用であり、他方が安全用である冗長的な温度センサT3およびT4が含まれている。それらの目的は、患者に送達されている透析液が生理学的に安全な範囲にあることを保証することである。
【0051】
[0056]三方弁V3は、流体を弁V5(PF2)およびV6(排出)のいずれかに向けて、または第1のパイロジェンフィルタPF1内に向けることを可能にする。PF1および/またはPF2は、Medica DiaPure(登録商標)フィルタおよび/またはNephros(登録商標)DSU-Dフィルタの形態をとることができる。
【0052】
[0057]供給透析液が患者の腹膜腔に到達する前に通過しなければならない第1のパイロジェンフィルタPF1は、供給透析液からいずれかの発熱物質および微生物を除去するように設計されている。水がその繊維束を通して灌流されている間に、弁V4を閉じた状態(排水およびPF2のために)で(大気に対する)弁V7を開くことによって、PF1の中空繊維から空気が除去される。これにより、空気はV7を通過し、0.2ミクロンの滅菌フィルタを通って大気に押し出される。弁V7を閉じ、弁V4を開くことにより繊維束をプライミングした後、繊維束と、繊維束を封入する剛性ケースとの間の空間の空気が除去され、流体が繊維を通って流れ、ケースを充填し、PF1の流出ポートを弁V6およびV16を通って流れる排出ラインに接続する流体経路を通って流れることを可能にする。
【0053】
[0058]第2の(冗長)パイロジェンフィルタPF2はまた、最初にPF1を通過した透析液が患者の腹膜腔に入る前に通過しなければならない。PF2は、(排水に対する)弁V6および(患者の充填に対する)弁V9が閉じている間に、(PF2に対する)弁V5および(大気に対する)弁V8を開くことによって、PF1と同様にプライミングされ、空気が0.2ミクロンの滅菌フィルタを通って出ることを可能にする。PF2のケースは、V8およびV9を閉じ、(患者の排出および/または排出チャンバに対する)弁V11および(システム排出に対する)弁V12を開くことによってプライミングされ、流体がケースを満たし、V16を通って排出ラインを下って出ることを可能にする。
【0054】
[0059]圧力センサP2は、PF1のすぐ上流に位置し、圧力センサP3は、弁V4と弁V5との間のPF1の下流に位置する。それらの目的は、PF1の繊維にわたる膜貫通圧(TMP)を計算および監視して、TMPが製品の添付文書に示されているようなそのブランドのパイロジェンフィルタに指定された最大値を決して超えないことを保証することである。同様に、圧力センサP4は、PF2のTMPをP3およびP4から計算することができるように、PF2のすぐ下流および弁V9およびV11の上流に配置される。
【0055】
[0060]透析液は、透析液溶液の調製および処理システムの外部にあるチューブ流体経路を通って患者に導かれ、患者から導かれる。この流体経路は、患者充填ラインおよび患者排出ラインによって画定される。
【0056】
[0061]PF2のTMPを計算するために使用されることに加えて、P4はまた、患者に流入する透析液の圧力がソフトウェアで設定された陽圧の安全な上限を決して超えないことを保証するためにも使用される。
【0057】
[0062]患者の腹膜腔で終端する留置型腹膜透析カテーテルが位置不良であるかまたはねじれて、透析液の流れを制限することが時々起こる。これを検出するために、流量センサFM1が患者接続ライン(PCL)の上流に配置される。流量がソフトウェアで設定された減少して警報限界を下回った場合、またはP4が圧力の突然の増加を検出した場合、またはその両方の場合、警報は閉塞を解決するように患者に警告する。
【0058】
[0063]患者排出ラインは、機械の面の嵌合レセプタクルに接続される。この嵌合レセプタクルは、順次、弁V10、流量センサFM2を通って排出チャンバに流入する流体経路に接続される。供給チャンバと同様に、排出チャンバは、剛性エンクロージャによって囲まれた可撓性コンテナである。しかしながら、その膨張および崩壊は、正圧リザーバPPRおよび負圧リザーバNPRからそれぞれ弁V13およびV14を介して正または負の空気圧を導くことによって制御されるので、排出チャンバは大気に排気させる必要はない。これらのリザーバに存在する圧力は、圧力センサP5およびP6によって制御され、その読み取り値は、ソフトウェアで設定された正圧および負圧の安全限界を決して超えないように、いつACをオンまたはオフにするかを指示するソフトウェアで監視される。これにより、患者の腹膜に過剰な圧力を加えることが決してできないことが保証される。
【0059】
[0064]流量センサFM2は、ねじれたまたは閉塞したカテーテル、PCL、または患者排出ライン(PDL)によって引き起こされる排出段階の間に、患者からの透析液の流れの制限を監視するために使用される。そのような制限が検出された場合、患者を目覚めさせることなく閉塞を解決しようと試みるために、透析液の流れが反転して最初に排出チャンバから患者の腹膜に戻される。一連の逆流および順方向の流れの後に、制限を解決することができない場合、警報が患者を覚醒させて、体勢を変化させる。
【0060】
[0065]排出チャンバの排水のために2つの流路が設けられる。V10およびV11を閉じ、V12およびV16を開くことによって1つの流路が形成され、V16は排水への直接的な経路を設ける。他の経路は、処理中に使用されることが意図される経路である。この流路は、V10、V12を閉じ、V11、V6、V16を開くことで形成される。そうすることによって、患者から排出チャンバ内に排出された透析液は、排出チャンバに正圧が加えられたときに、PF2を通って後方に導かれる。タンパク質、アミノ酸のポリペプチド鎖、および白血球のような宿主防御物の成分は、パイロジェンフィルターメンブレンを通過するには大きすぎるため、それらは膜の患者に面する側に捕捉され、その後、次の充填サイクルで患者に再注入することができる。
【0061】
[0066]様々な動作段階中に流れの制限を検出するために、流量センサFM3がV6とV16との間の排出ラインに配置される。
【0062】
[0067]伝導率センサC4は、気泡を検出し、新たに作られた透析液の質を保証するのを助けるために、V16の上流の排出ラインに配置される。
【0063】
[0068]弁V16は、すべての流路を介した消毒剤の再循環を可能にするために、流れを直接排水するかまたは消毒バイパス流路を介して導く三方弁である。
【0064】
[0069]
図1に示すように、デバイスが単一の腹膜透析処理を実行するときに通過する主な動作モードのシーケンスを示すフローチャートが設けられている。
【0065】
[0070]腹膜透析溶液の調製および処理システムは、初期に、これがシステムの最初の動作であり、これが空気で満たされていて空気の除去を必要としていると仮定される第1の動作段階にある。これは、V1、混合装置、供給チャンバ、V3、V6、およびシステム排出ラインを含む第1の流路を通して、別個の浄水システムから高度に精製された水を灌流することによって達成される。
【0066】
[0071]次に、第1のパイロジェンフィルタPF1の繊維束を、0.2ミクロンフィルタを通して空気を除去することによってプライミングする。すなわち、V1、混合装置、供給チャンバ、V3、PF1、およびV7を水が流れる。
【0067】
[0072]次に、PF1のケース内部の毛細管外空間は、弁V4、V6、およびV16を通って流れる流体経路を介してプライミングされる。
【0068】
[0073]次に、第2のパイロジェンフィルタPF2の繊維束を、0.2ミクロンフィルタを通して空気を除去することによってプライミングする。すなわち、V1、混合装置、供給チャンバ、V3、V5、PF2、およびV8を水が流れる。
【0069】
[0074]次に、PF2のケース内部の毛細管外空間は、弁V11およびV16を通って流れる流体経路を介してプライミングされる。
【0070】
[0075]次に、透析液が患者に出入りすることを可能にする配管回路は、V1から混合装置および供給チャンバ、V3、V5、PF2、V9、FL、PCL、PDL、V10、排出チャンバ、V12、およびV16を通って流れる水でプライミングされる。
【0071】
[0076]次に、統合ソフトウェアに記録されているような、最終透析液の処方の濃度に比例して、ポンプPU1、PU2、PU3、およびPU4に対して、供給チャンバの水、酸/電解質濃縮物、中和緩衝液、および浸透圧濃縮物それぞれを計量させて入れさせることによって、腹膜透析液を処方し、供給チャンバで混合する。
【0072】
[0077]次に、供給チャンバにおいて処方されている透析液の組成および温度は、V3、V6およびV16によって画定される流路を介して温度センサT1およびT2ならびに伝導率センサC2およびC3を通って流れることを可能にすることによって保証される。
【0073】
[0078]次に、流体経路から空気をプライミングするために以前に使用されていた水が、透析液に置き換えられる。これは、供給チャンバから両方のパイロジェンフィルタを通り、次いでFL、PCL、PDL、排出チャンバ、DCDL、V12を通り、最後にV16および伝導率センサC4を通る流路を通して透析液を送達することによって、達成される。C4での伝導率がC2/C3に等しいとき、流体経路の透析液プライミングが完了し、患者はPCLに接続されて治療を開始することができる。
【0074】
[0079]次に、患者接続ラインPCLは、器具の面のその嵌合レセプタクルから外され、治療の開始に備えて患者の移送セットに接続され、その第1のステップは、先行する治療から患者の腹膜に存在するあらゆる残留透析液の排出である。これは、V9、V11、およびV12が閉じている間にV10を開き、負圧リザーバNPRから弁V14を介して可撓性排出チャンバを取り囲む剛性エンクロージャに負の空気圧を加えることによって達成される。これにより、FM2によって測定された流量がゼロに近くなり、経時的なFM2流量の統合によって計算されるように除去された透析液の量が、ソフトウェアルックアップテーブルに記録された予想範囲内に入るまで、排出チャンバが拡張して透析液を患者から排する。最初の排出が行われているのと同時に、供給チャンバの透析液の量がシステムソフトウェアで設定された値に達するまで、それまでのように、ポンプPU1、PU2、PU3、およびPU4にそれぞれの成分を供給チャンバ内に送達させることによって流体経路をプライミングするために使用されるものを置き換えるまで、供給チャンバの透析液の量を補充することができる。供給チャンバ内に送達される透析液の体積は、正確な体積測定ポンプPU1、PU2、PU3、およびPU4の各々によって送達される体積を合計することによって計算される。
【0075】
[0080]次に、システムソフトウェアにおいて処方される透析液の量が、前のステップと同じ流路および計算方法を使用して治療中に患者から排出され、唯一の違いは、滞留段階中に典型的に達成されるように、治療内排出段階でより多くの透析液を生成する必要がないことである。
【0076】
[0081]次に、排出段階中に、流量の制限が、FM2によって測定された流量がシステムソフトウェアに設定された警報の限界を下回ることによって検出される。これは、患者がチューブの上で寝返りを打ったこと、または留置カテーテルが透析液の流出を制限している腹膜内の位置に移動したことを示す。患者を覚醒させるために可聴警報を鳴らす前に、器具は最初に、先行して排出されていた透析液を排出チャンバから患者の中に押し戻すことによって、閉塞を解決しようと試みる。この状態が発生したときに、排出チャンバに透析液が存在しない場合、供給チャンバからの新鮮な透析液が、以下のステップに示すように代わりに注入される。そのようなカテーテル非閉塞ステップは、システムソフトウェアの選好に設定されているように数分間にわたって複数回繰り返すことができるが、制限が持続する場合、可聴警報が発せられる。
【0077】
[0082]次は、患者の腹膜に注入された所定の量の新鮮透析液である。これは、弁V3、4、5、および9が開いている間に、弁V15を正圧リザーバPPRに開き、弁V2、6、10、11、および12を閉じることによって、供給チャンバを囲む剛性エンクロージャに正の空気圧を加えることによって達成される。これにより、透析液は、パイロジェンフィルタPF1およびPF2を最初に通過した後にのみ患者に送達される。充填量は、経時的なFM1での流量の全体を計算することによって保証される。
【0078】
[0083]次に、先行する充填段階で患者に注入された透析液を、規定の数分間、腹膜に滞留させる。この滞留段階の間、前の排出段階から排出チャンバに存在する使用された透析液は、V10を閉じ、V13をPPRに開き、排出チャンバを崩壊させることによって、排出ラインに排出される。使用された透析液を排出するために使用される流路は、PF2の膜を通過するには大きすぎる分子サイズであり、望ましくは患者および保存が非常に望ましい白血球などの宿主防御物の成分に保持されている有益な生体分子を含有するこの流体を、弁V5、6、16を通って排水に向かう前にPF2の毛細管繊維を通って逆流させるように、独自に設計されている。滞留期間後の透析液に存在し、大きすぎて膜を通過することができない上述の有益な有機材料は、膜の患者に面する側に捕捉され、各々の次の充填段階で、患者に再注入される。また、滞留段階の間、次の充填段階の準備として、次の充填量の新鮮透析液が供給チャンバで前と同様に混合される。
【0079】
[0084]次に、患者が外した(およびPCLが器具の面のその嵌合レセプタクルに再度取り付けられた)ときに、処理の終了後にシステムの流路に残っているいずれの透析液も、すべての流路を超純水で灌流することによって、完全に洗い流される。この洗い流しは3段階で行われる。浄水システムからの水は、PU1によってV1を通って器具に引き込まれ、V1、混合装置、供給チャンバ、V3、V5、PF2、V11、V12、およびV16を通って洗い流される。この段階では、V3、PF1、V4、およびP3の間の流路、V11を通って流れる導管、およびV6を通って流れる導管は灌流されない。その後、V11セグメントが洗い流され、その後、弁を適切に配向することによってV3~V6のセグメントが洗い流される。
【0080】
[0085]次に、前の洗い流し段階からのすべての流路に存在する超純水は、三方弁V1とV16との間の消毒バイパスセグメントを開くことによって、再循環される。この消毒段階の間、ヒータは、温度センサT1、T2およびシステムソフトウェアの制御下で、ヒータに入る水が少なくとも1時間にわたって80℃~85℃に維持されるように水を加熱する。これにより、すべての流路が高いレベルの消毒を受け、患者接続ライン(FL、PCL、およびPDL)を複数の処理にわたって使用することができ、内部流路にいずれの細菌のコロニー形成もないことが保証される。前の洗い流し段階のように、すべての流路を同時に消毒することができるわけではなく、弁は、濃縮物コンテナに接続された流路ならびに弁V3、V6、およびV11を通過する流路も高レベルの消毒を受けるように、交互に配向されなければならない。
【0081】
[0086]次に、腹膜透析溶液の調製および処理システムによって作製された注入可能な良質の腹膜透析液の患者への流れおよび患者からの流れは、任意の市販の腹膜サイクラーによって制御される。すべてのそのようなサイクラーは、1つのチューブ(供給ライン)が新鮮透析液のバッグに接続し、新鮮透析液を患者の腹膜内に導く関連するチューブセットを有する。別のチューブ(排出ライン)は、使用された透析液を患者から排出バッグに、または直接排出に導く。現在の実施形態の1つにおいて、腹膜透析溶液調製システムは、供給バッグおよび排出バッグを置き換える。代わりに、従来のサイクラーの供給ラインおよび排出ラインは、溶液調製デバイスの面の嵌合レセプタクル(SLCおよびDLC)に直接接続される。
【0082】
[0087]サイクラーが透析液の流れを制御するので、先の実施形態の流量計FM2、排出チャンバまたは負圧リザーバNPRは不要である。第1の使用シナリオでは、この実施形態の流体経路および構成要素に存在する空気は、前の実施形態の動作の第1~第6段階と同様にプライミングされる。
【0083】
[0088]次に、事前の処理の最後に消毒ループ(DL)をSLCとDLCとの間に取り付け、それによって腹膜透析溶液の調製および処理システムのすべての流体経路の間に閉ループを作成する。この構成により、前の処理からの流体経路に残っている透析液を流し出して、超純水と交換し、次いで、上述の動作の前の段階と同様に、温水消毒を行うことができる。
【0084】
[0089]次に、透析液の新しいバッチが供給チャンバで混合され、その組成および温度が保証され、上記の動作段階と同様の方法で、透析液でプライミングされたすべての流体経路が混合される。
【0085】
[0090]次に、サイクラーを腹膜透析溶液の調製および処理システムに接続し、サイクラーの制御下で、ある量の透析液を患者に充填する。サイクラーが腹膜透析溶液の調製および処理システムから流体を引き込もうとすると、圧力センサP6によって検知される負圧が生じる。この負圧がシステムソフトウェアによって識別されると、すべての弁は、それに応じて、供給チャンバに存在する透析液が両方の脱酸素フィルタを通って、サイクラーに、次いで患者に引き込まれることを可能にするように配向される。
【0086】
[0091]前の充填量は、この時点では患者に存在し、サイクラーに存在する処方に従って、そこに留まることができる。この段階の間、P6またはP7のいずれにも圧力が加えられていないとき、腹膜透析溶液の調製および処理システムは、水を計量し、供給チャンバに濃縮し、それに応じてすべての弁を配向することによって、次の充填量を調製する。
【0087】
[0092]滞留時間が経過した後、サイクラーは、排出ラインDLを通して患者から流体を圧送することによって、排出段階を開始する。これにより、圧力センサP7に正圧が記録され、使用された透析液が、排出される途中で脱酸素フィルタPF2を通過することを可能にするように、ソフトウェアに弁を配向させる。
【0088】
[0093]最終的な排出および充填が達成されると、患者は、腹膜透析溶液の調製および処理システムからサイクラーチューブを外し、それを消毒ループDLと交換する。次に、患者は、使用インターフェースのボタンを押すことによって腹膜透析溶液の調製および処理システムにすすぎおよび消毒モードに入るように指示するか、または消毒ループは、腹膜透析溶液の調製および処理システムによって自動的に感知されるように設計され、その後、前の実施形態と同様の方法でそれをトリガしてすすぎおよび消毒モードに入る。
【0089】
[0094]開示の実施形態
【0090】
[0095]実施形態1:腹膜透析システムは、別個の供給源からのほぼゼロの伝導率の水を、医師の処方箋に見合った必須成分を含有する濃縮物と比例配分し、患者に注入される前に、完全に混合されて最終的に構成された透析液を、2つの脱酸素フィルタを通して直列に灌流し、すべての患者処理後に、透析液を患者に運搬するものを含むすべての流体経路を、温度が80℃より高い超純水に1時間より長く再循環させることによって、注射可能な良質の透析液を生成し、それによって、高いレベルの消毒となり、その中の細菌定着の可能性を低減し、患者接続流路を複数の処理にわたって再使用することを可能にする。
【0091】
[0096]実施形態2:患者から排出される使用された透析液は、その経路上で第2の脱酸素フィルタを通って後方に向けられて排出され、それによってフィルタの膜を通過するには大きすぎるいずれかの有機物が捕捉され、その後の充填サイクルでそこから患者に再注入することができる、実施形態1に記載のシステム。
【0092】
[0097]実施形態3:必要な電解質および酸を含有する濃縮物が1つのコンテナに供給され、重炭酸ナトリウムなどの中和緩衝液が第2のコンテナに供給され、例えばオートクレーブされておらず、むしろ無菌的に充填された濃縮グルコースが第3のコンテナに供給され、各コンテナの内容物が超純水の流れに計量され、各流れの流量は、各計量ポンプの流量を正確に制御することによって別個の成分の個々の比率を調整することによって、最終的に構成される透析液の組成をカスタマイズすることができるように正確に制御され、グルコース成分がオートクレーブされていない場合、そのpHは5.2以下の最小値の範囲ではなく中性付近にすることができ、ゼロではない場合、グルコース分解生成物が形成され、透析液が、患者への注入の直前に構成されるので、例えば重炭酸ナトリウムはカルシウムおよび炭酸マグネシウム沈殿物の形成を何ら懸念することなく緩衝剤として使用することができ、注入された透析液の生理学的範囲のpH(7.1~7.5)を達成することができる、実施形態1のシステム。
【0093】
[0098]実施形態4:腹膜透析液の化学成分が、内側可撓性部分の周りに密封された通気性の剛性外側ハウジング内に収容された可撓性混合チャンバ内に計量供給される、腹膜透析システム。このチャンバは二重の目的を果たす;1.)これは、腹膜透析液の化学成分を一緒に均一に混合することができる量を設ける、2.)それは、その内容物を患者の腹膜腔に送達するためのポンプとして機能する。可撓性部分は、化学成分をその中に送達する計量ポンプの正圧下で拡張することが可能であり、一方、剛性外側部分の大気への通気口は開いており、出口導管は弁によって閉塞されており、それによって水と化学物質が一緒に混合することを可能にする。次いで、この可撓性チャンバの内容物は、チャンバの出口で弁を開き、剛性外側部分と可撓性チャンバとの間の空間を空気圧縮機によって生成された正の空気圧に曝しながら、通気口および可撓性チャンバへの入口を閉じることによって患者に送達される。この正の空気圧は、可撓性部分を崩壊させ、透析液を下流に送達させる。
【0094】
[0099]このように、腹膜透析のためのシステムは、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された混合装置を含む。システムはまた、供給透析液を貯蔵するように構成された供給チャンバを含む。システムはまた、第1のポートおよび第2のポートを含む第1のフィルタを含む。第1のフィルタは、第1のポートで供給チャンバから供給透析液を受け取り、供給透析液から汚染物質(例えば、エンドトキシンおよび/またはペプチドグリカン)を除去するように構成される。システムはまた、第3のポートおよび第4のポートを含む第2のフィルタと、第3のポートに接続された患者排出ラインと、第3のポートに接続された患者充填ラインと、第4のポートに接続されたシステム排出ラインとを含む。システムはまた、第1の構成では、第2のフィルタが第3のポートで患者排出ラインから使用された透析液を受け取り、使用された透析液から生物学的成分(例えば、尿毒症毒素の分子量よりも高い分子量を有する傾向があるポリペプチド、タンパク質、糖タンパク質、白血球、マクロファージおよび/または走化性成分)を捕捉することを可能にし、使用された透析液がシステム排出ラインを介して分配されるようにし、第2の構成では、第2のフィルタが第4のポートで第2のポートから供給透析液を受け取り、供給透析液からさらなる汚染物質(例えば、エンドトキシンおよび/またはペプチドグリカン)を除去することを可能にし、供給透析液および生物学的成分が患者充填ライン(例えば、患者の腹膜内に)を介して分配されるようにする、1つまたは複数の弁を含む。
【0095】
[00100]
図2は、コンピューティングデバイス100のブロック図である。コンピューティングデバイス100は、1つまたは複数のプロセッサ102と、非一時的コンピュータ可読媒体104と、通信インターフェース106と、ユーザインターフェース108とを含む。コンピューティングデバイス100の構成要素は、システムバス、ネットワーク、または他の接続機構112によって互いにリンクされる。
【0096】
[00101]1つまたは複数のプロセッサ102は、非一時的コンピュータ可読媒体104に結合された、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル信号プロセッサ、マルチコアプロセッサなどの任意のタイプのプロセッサとすることができる。
【0097】
[00102]非一時的コンピュータ可読媒体104は、一時的または永続的にデータまたはプログラムを格納するために使用される他のデバイスの中でも、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)のような揮発性メモリ、または読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、磁気もしくは光ディスク、もしくはコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)のような不揮発性メモリなどの任意のタイプのメモリとすることができる。
【0098】
[00103]さらに、非一時的コンピュータ可読媒体104は、命令111を格納することができる。命令111は、コンピューティングデバイス100に、本明細書に記載の機能または方法のいずれかを実行させるために、1つまたは複数のプロセッサ102によって、実行可能である。
【0099】
[00104]通信インターフェース106は、コンピューティングデバイス100内および/またはコンピューティングデバイス100と1つもしくは複数の他のデバイスとの間の通信を可能にするハードウェアを含むことができる。ハードウェアは、例えば、任意のタイプの入力および/または出力インターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、PCI Express、送信機、受信機、およびアンテナを含むことができる。通信インターフェース106は、1つまたは複数の有線または無線通信プロトコルに従って、1つまたは複数の他のデバイスとの通信を容易にするように構成することができる。例えば、通信インターフェース106は、電気電子技術者協会(IEEE)801.11の規格、ZigBeeの規格、Bluetoothの規格などの1つまたは複数などの1つまたは複数の無線通信規格に従って、コンピューティングデバイス100のための無線データ通信を促進するように構成することができる。別の例として、通信インターフェース106は、1つまたは複数の他のデバイスとの有線データ通信を促進するように構成することができる。通信インターフェース106はまた、コンピューティングデバイス100がコンピューティングデバイス100または外部デバイスの様々な構成要素を制御するために使用することができるアナログ-デジタル変換器(ADC)またはデジタル-アナログ変換器(DAC)を含むことができる。
【0100】
[00105]ユーザインターフェース108は、データを表示するように構成された任意の種類の表示構成要素を含むことができる。一例として、ユーザインターフェース108は、タッチスクリーンディスプレイを含むことができる。別の例として、ユーザインターフェース108は、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイを含むことができる。ユーザインターフェース108は、コンピューティングデバイス100にデータおよび制御信号を供給するために使用される1つまたは複数のハードウェアを含むことができる。例えば、ユーザインターフェース108は、他の可能な種類のユーザ入力デバイスの中でも、マウスまたはポインティングデバイス、キーボードまたはキーパッド、マイクロフォン、タッチパッド、またはタッチスクリーンを含むことができる。一般に、ユーザインターフェース108は、オペレータがコンピューティングデバイス100(例えば、ユーザインターフェース108によって表示される)によって設けられるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)と対話することを可能にすることができる。
【0101】
[00106]
図3は、腹膜透析のためのシステム200の概略図である。システム200は、水204、酸/電解質濃縮物206、浸透圧濃縮物208、および中和緩衝液210を混合して供給透析液212を生成するように構成された混合装置202を含む。システム200はまた、供給透析液212を貯蔵するように構成された供給チャンバ214を含む。システム200はまた、ポート218およびポート220を含むフィルタ216を含む。フィルタ216は、ポート218で供給チャンバ214から供給透析液212を受け取り、供給透析液212から汚染物質222を除去するように構成される。システム200はまた、ポート226およびポート228を含むフィルタ224と、ポート226に接続された患者排出ライン230と、ポート226に接続された患者充填ライン232と、ポート228に接続されたシステム排出ライン234とを含む。システム200はまた、弁236A、弁236B、弁236C、弁236D、および弁236Eを含み、それらは、
図3に示す構成では、フィルタ224がポート226で患者排出ライン230から使用された透析液238を受け取り、使用された透析液238から生物学的成分240(例えば、タンパク質および宿主防御物、例えば白血球、マクロファージ、および/または走化性成分)を捕捉して、使用された透析液238がシステム排出ライン234を介して分注されるようにすることを可能にする。システム200の様々な構成要素は、可撓性配管または流体を輸送するための他の既知の手段を介して互いに流体連通することができる。
【0102】
[00107]
図4に示され、以下でさらに論じられる構成では、弁236A~Eは、フィルタ224がポート220から供給透析液212をポート228で受け取り、供給透析液212からさらなる汚染物質223を除去して、供給透析液212および生物学的成分240が患者充填ライン232を介して分注されることを可能にする構成にある。
【0103】
[00108]再び
図3を参照すると、混合装置202は、典型的には、逆浸透精製システムなどのシステム200の外部の供給源から水204を受け取るように構成される。混合装置202は、制御された量の水204を供給チャンバ214に供給するように構成された容積式計量ポンプを含む。
【0104】
[00109]混合装置202はまた、制御された量の酸/電解質濃縮物206を供給チャンバ214に供給するように構成された定量ポンプを含む。酸/電解質濃縮物206は、水、無水グルコース、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、重炭酸塩、および/または乳酸塩のうちの1つまたは複数を含む。酸/電解質濃縮物206の電解質成分は、一般に、例えば、約140(mmol/L)のナトリウム、2.5mmol/Lのカルシウム、または0.75mmol/Lのマグネシウムになる。
【0105】
[00110]混合装置202はまた、制御された量の浸透圧濃縮物208を供給チャンバ214に供給するように構成された定量ポンプを含む。浸透圧濃縮物208は、水、グルコース(例えば、無菌充填グルコースおよび/または右旋性グルコース)、および/またはイコデキストリンを含む。
【0106】
[00111]混合装置202はまた、制御された量の中和緩衝液210を供給チャンバ214に供給するように構成された定量ポンプを含む。中和緩衝液210は、水と、炭酸水素ナトリウム、乳酸ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムなどの中和塩基とを含む。
【0107】
[00112]供給チャンバ214は、剛性ハウジングと、剛性ハウジングの内部に配置された可撓性コンテナ(例えば、ビニール袋)とを含む。可撓性コンテナは、供給透析液212を貯蔵するように構成され、剛性ハウジングは、可撓性コンテナを圧縮または膨張させるために圧力を加えるように構成され、それによって、供給透析液212を、各々、可撓性コンテナからフィルタ216内に放出するか、または供給透析液212を混合装置202から可撓性コンテナ内に引き込む。
【0108】
[00113]フィルタ216およびフィルタ224は、一般に、エンドトキシンおよびペプチドグリカンの形態で汚染物質222およびさらなる汚染物質223を保持するように構成された脱酸素フィルタの形態をとる。いくつかの例では、フィルタ216およびフィルタ224は、50ダルトン~80,000ダルトンの範囲内の90%保持率によって定義される分子量カットオフ(MWCO)を有する。
【0109】
[00114]患者排出ライン230、患者充填ライン232、およびシステム排出ライン234は、可撓性チューブの形態をとることができるが、他の例も可能である。
【0110】
[00115]
図3は、患者の腹膜腔252から使用された透析液238の少なくとも一部を除去した後の状態のシステム200を示す。使用された透析液238は、前は供給透析液212であったが、おそらく腹膜腔252で数時間滞留した後、この供給透析液212は、患者の腹膜を横切って腹膜腔252内に入る毒素および水を吸収し、使用された透析液238になった。
【0111】
[00116]
図3に示すステップの前のステップでは、弁236Aを開くことができ、弁236Bおよび弁236Cを閉じることができ、その結果、排出チャンバ215は腹膜腔252から使用された透析液238を受け取ることができる(例えば、カテーテルを介して)。使用された透析液238は、重力によって排出チャンバ215内に移動することができ、および/または排出チャンバ215は、使用された透析液238を排出チャンバ215内に引き込む負圧を加えるように動作することができる。
【0112】
[00117]いくつかの例では、排出チャンバ215はシステム200の一部として含まれず、代わりに腹膜透析サイクラーが使用される。例えば、システム200は、腹膜透析サイクラーから使用された透析液238を直接受け取り、使用された透析液238は、上述のように弁236Cおよびフィルタ224を通って移動する。
【0113】
[00118]
図3に示すように、次に弁236Aが閉じられ、弁236Cが開かれ、システム200は、使用された透析液238を排出チャンバ215から(または腹膜透析サイクラーから)弁236Cを介してポート226内に移動させ、次いでフィルタ224を通って移動させて、使用された透析液238から生物学的成分240を捕捉する。次いで、システム200は、弁236Dを介してシステム排出ライン234を介して、使用された透析液238(例えば、フィルタ224を通過した尿毒症毒素と共に)を分注する(例えば、処分する)。使用された透析液238は、排出チャンバ215に加えられる陽圧によって、または腹膜透析サイクラーの動作によって移動させることができる。このプロセスは、生物学的成分240が除去された枯渇した使用された透析液238を生成し、これはシステム排出ライン234を介して処分される。
【0114】
[00119]
図4は、供給透析液212および捕捉された生物学的成分240が患者充填ライン232を介して腹膜腔252内に分注されるように、供給透析液212から汚染物質222およびさらなる汚染物質223を除去するための構成のシステム200の概略図である。
【0115】
[00120]フィルタ224が生物学的成分240を捕捉する前に、捕捉するのと同時に、または捕捉した後に、システム200は、混合装置202を介して、水204、酸/電解質濃縮物206、浸透圧濃縮物208、および中和緩衝液210を混合して、供給透析液212を生成する。例えば、制御された量の水204、酸/電解質濃縮物206、浸透圧濃縮物208、および中和緩衝液210は、供給透析液212が供給チャンバ214内で実質的に均一になるように、供給チャンバ214に導入される。混合は、室温で、例えば100°F未満の温度で、7.1を超え7.5未満である水素電位(pH)で行うことができる。
【0116】
[00121](
図3を参照して上述したように)生物学的成分240がフィルタ224によって捕捉された後、システム200は、供給チャンバ214に加えられた正圧を介して供給透析液212をポート218内に移動させ、それにより、フィルタ216が供給透析液212から汚染物質222を除去する。弁236Eを開き、弁236Dを閉じることにより、供給透析液212がポート220からフィルタ224のポート228内に移動する。フィルタ224は、供給透析液212からさらなる汚染物質223を除去する。次いで、システム200は、供給チャンバ214に加えられた陽圧を使用して、供給透析液212および生物学的成分240をポート226から患者充填ライン232を介して腹膜腔252内に分注する。精製された供給透析液212は、腹膜膜を介した患者の血液からの毒素の除去を容易にするために、数時間にわたって腹膜腔252に留まることができる。このプロセスは、毒素を含有する使用された透析液238の生成をもたらす。使用された透析液238を腹膜腔252から除去し、フィルタ224を使用して使用された透析液238内の生物学的成分240を捕捉し、供給透析液212および生物学的成分240を腹膜腔252に再導入するこのサイクルは、数回繰り返すことができる。
【0117】
[00122]いくつかの例では、システム200は様々なインターロック機構を有する。例えば、システム200は、混合装置202によって受け入れられた水204が閾値(例えば、0.055μS/cm+/-10%)未満の導電率を有するという判定を行い、判定に応答して水204、酸/電解質濃縮物206、浸透圧濃縮物208、および中和緩衝液210を混合することができる。伝導率は、混合装置202に入るときに水204をサンプリングするように構成されたセンサを使用して検出することができる。水204は、患者の利益のために、高純度に対応する低い伝導率を有するべきである。
【0118】
[00123]同様に、システム200は、供給透析液212が第1の閾値よりも大きく第2の閾値よりも小さい導電率を有するという判定を行うことができる(例えば、12.2±0.2ms/cmなどの所望の範囲内)。システム200は、判定を行うことに応答して、供給透析液212をポート218内に移動させることができる。供給透析液212は、患者の利益のために、所望の範囲に対応する伝導率を有するべきである。
【0119】
[00124]
図5および
図6は、方法300および方法400のブロック図であり、いくつかの例では、システム200によっておよび/または手作業で実行される。
図5および
図6に示すように、方法300および方法400は、ブロック302、304、306、308、310、402、404、406、408、410、412および414によって示されるように、1つまたは複数の動作、機能、または作用を含む。ブロックは連続した順序で示されているが、これらのブロックはまた、並列に、および/または本明細書に記載された順序とは異なる順序で実行されてもよい。また、様々なブロックは、所望の実装形態に基づいて、より少ないブロックに結合され、追加のブロックに分割され、および/または除去されてもよい。
【0120】
[00125]ブロック302において、方法300は、使用された透析液238をポート226内に移動させ、次いでフィルタ224を通って移動させて、使用された透析液238から生物学的成分240を捕捉することを含む。ブロック302に関連する機能は、
図3を参照して上述されている。
【0121】
[00126]ブロック304において、方法300は、混合装置202を介して、水204、酸/電解質濃縮物206、浸透圧濃縮物208、および中和緩衝液210を混合して、供給透析液212を生成することを含む。ブロック304に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0122】
[00127]ブロック306において、方法300は、供給透析液212から汚染物質222を除去するために供給透析液212をポート218内に移動させることを含む。ブロック306に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0123】
[00128]ブロック308において、方法300は、供給透析液212をポート220からポート228内に移動させ、次いでフィルタ224を通って移動させて、供給透析液212からさらなる汚染物質223を除去することを含む。ブロック308に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0124】
[00129]ブロック310において、方法300は、患者充填ライン232を介してポート226から供給透析液212および生物学的成分240を分注することを含む。ブロック310に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0125】
[00130]ブロック402において、方法400は、システム200を設けることを含む。ブロック402に関連する機能は、
図3および
図4を参照して上述されている。
【0126】
[00131]ブロック404において、方法400は、混合装置202を介して、水204、酸/電解質濃縮物206、浸透圧濃縮物208、および中和緩衝液210を混合して、供給透析液212を生成することを含む。ブロック404に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0127】
[00132]ブロック406において、方法400は、供給透析液212から汚染物質222を除去するために、供給透析液212をポート218内に移動させ、フィルタ216を通過させることを含む。ブロック406に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0128】
[00133]ブロック408において、方法400は、供給透析液212をポート220からポート228内に移動させ、次いでフィルタ224を通って移動させて、供給透析液212からさらなる汚染物質223を除去することを含む。ブロック408に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0129】
[00134]ブロック410において、方法400は、使用された透析液238を生成しながら、腹膜透析のために、精製された透析液212を患者の腹膜腔252に、所定の時間移動させることを含む。ブロック410に関連する機能は、
図4を参照して上述されている。
【0130】
[00135]ブロック412において、方法400は、使用された透析液238をポート226内に移動させ、次いでフィルタ224を通って移動させて使用された透析液238から生物学的成分240を捕捉すること、枯渇した使用された透析液238を生成すること、および枯渇した使用された透析液238を排出することを含む。ブロック410に関連する機能は、
図3を参照して上述されている。
【0131】
[00136]ブロック414において、方法400は、捕捉された生物学的成分240を患者に戻して導入するためにフィルタ224から排出しながら、さらなる腹膜透析のために供給透析液212を分注するためのブロック404~412を繰り返すことを含む。ブロック410に関連する機能は、
図3および
図4を参照して上述されている。
【0132】
[00137]さらなる例示的実施形態
【0133】
[00138]例1は、腹膜透析のためのシステムであって、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された混合装置、供給透析液を貯蔵するように構成された供給チャンバ、第1のポートおよび第2のポートを含む第1のフィルタであって、第1のフィルタは、第1のポートにおいて供給チャンバから供給透析液を受け取り、供給透析液から汚染物質を除去するように構成されている、第1のフィルタ、第3のポートおよび第4のポートを含む第2のフィルタ、第3ポートに接続された患者排出ライン、第3のポートに接続された患者充填ライン、第4のポートに接続されたシステム排出ライン、および1つまたは複数の弁であって、第1の構成では、第2のフィルタが、第3のポートで患者排出ラインから使用された透析液を受け取り、使用された透析液から生物学的成分を捕捉して、使用された透析液がシステム排出ラインを介して分注されることを可能にし、第2の構成では、第2のフィルタが第4のポートで第2のポートから供給透析液を受け取り、供給透析液からさらなる汚染物質を除去して、供給透析液および生物学的成分が患者充填ラインを介して分注されるようにすることを可能にする、1つまたは複数の弁、を含む、システムである。
【0134】
[00139]例2は例1のシステムであり、混合装置がシステムの外部の供給源から水を受け取るように構成される。
【0135】
[00140]例3は、例1~2のいずれか1つのシステムであり、混合装置が、制御された量の水を供給チャンバに供給するように構成された容積式計量ポンプを備える。
【0136】
[00141]例4は例1~3のいずれか1つのシステムであり、混合装置が、制御された量の酸/電解質濃縮物を供給チャンバに供給するように構成された定量ポンプを備える。
【0137】
[00142]例5は、例1~4のいずれか1つのシステムであり、混合装置が、制御された量の浸透圧濃縮物を供給チャンバに供給するように構成された定量ポンプを備える。
【0138】
[00143]例6は例1~5のいずれか1つのシステムであり、混合装置が、制御された量の中和緩衝液を供給チャンバに供給するように構成された定量ポンプを備える。
【0139】
[00144]例7は例1~6のいずれか1つのシステムであり、供給チャンバが、剛性ハウジング、および剛性ハウジング内に配置された可撓性コンテナであって、可撓性コンテナは、供給透析液を貯蔵するように構成され、剛性ハウジングは、可撓性コンテナを圧縮または膨張させるために圧力を加えるように構成され、それによって供給透析液を可撓性コンテナから排出するか、または供給透析液を可撓性コンテナ内に引き込む、可撓性コンテナを備える。
【0140】
[00145]例8は例1~7のいずれか1つのシステムであり、第1のフィルタおよび/または第2のフィルタが脱酸素フィルタを含む。
【0141】
[00146]例9は例1~8のいずれか1つのシステムであり、第1のフィルタおよび/または第2のフィルタが、50ダルトン~80,000ダルトンの範囲内の90%保持率および105以上の発熱物質除去係数によって定義される分子量カットオフ(MWCO)を有する。
【0142】
[00147]例10は、例1~9のいずれか1つのシステムであり、第1のフィルタおよび第2のフィルタが、エンドトキシンおよびペプチドグリカンを保持するように構成される。
【0143】
[00148]例11は、例1~10のいずれか1つのシステムを動作させる方法であり、使用された透析液から生物学的成分を捕捉するために、使用された透析液を第3のポート内に、次いで第2のフィルタを通って移動させること、混合装置を介して、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して、供給透析液を生成すること、供給透析液から汚染物質を除去するために、供給透析液を第1のポート内に移動させること、供給透析液からさらなる汚染物質を除去するために、供給透析液を第2のポートから第4のポート内に、次いで第2のフィルタを通って移動させること、および患者充填ラインを介して第3のポートから供給透析液および生物学的成分を分注すること、を含む。
【0144】
[00149]例12は例11の方法であり、システム排出ラインを介して使用された透析液を分注することをさらに含む。
【0145】
[00150]例13は、例11~から12のいずれか1つの方法であり、使用された透析液を第3のポート内に移動させる前に、患者の腹膜から使用された透析液を受け取ることをさらに含む。
【0146】
[00151]例14は例13の方法であり、供給透析液および生物学的成分を分注することが、供給透析液および生物学的成分を腹膜内に分注することを含む。
【0147】
[00152]例15は、例11~14のいずれか1つの方法であり、使用された透析液を第3のポート内に移動させる前に、使用された透析液を腹膜透析サイクラーから受け取ることをさらに含む。
【0148】
[00153]例16は例15の方法であり、供給透析液および生物学的成分を分注することが、供給透析液および生物学的成分を腹膜透析サイクラー内に分注することを含む。
【0149】
[00154]例17は例11~16のいずれか1つの方法であり、中和緩衝液が、重炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムを含む。
【0150】
[00155]例18は例11~17のいずれか1つの方法であり、浸透圧濃縮物がグルコースおよび/またはイコデキストリンを含む。
【0151】
[00156]例19は、例11~18のいずれか1つの方法であり、汚染物質がエンドトキシンおよび/またはペプチドグリカンを含む。
【0152】
[00157]例20は例11~19のいずれか1つの方法であり、酸/電解質濃縮物が、無水グルコース、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、重炭酸塩、および/または乳酸塩を含む。
【0153】
[00158]例21は、例11~20のいずれか1つの方法であり、水の導電率が閾値未満であると判定することをさらに含み、混合することが、判定を行うことに応答して行われる。
【0154】
[00159]例22は、例11~21のいずれか1つの方法であり、供給透析液が第1の閾値よりも大きくて第2の閾値よりも小さい導電率を有すると判定することをさらに含み、供給透析液を第1のポート内に移動させることは、判定が行われたことに応じて行われる。
【0155】
[00160]例23は例11~22のいずれか1つの方法であり、混合することが、供給透析液が供給チャンバ内で実質的に均一になるように混合することを含む。
【0156】
[00161]例24は例11~23のいずれか1つの方法であり、混合することが、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液が100°F未満の温度にある間に混合することを含む。
【0157】
[00162]例25は例11~24のいずれか1つの方法であり、浸透圧濃縮物が右旋性グルコースを含む。
【0158】
[00163]例26は例11~25のいずれか1つの方法であり、浸透圧濃縮物が無菌的に充填されたグルコースを含む。
【0159】
[00164]例27は例11~26のいずれか1つの方法であり、混合することが、7.1より大きく7.5未満である水素の電位(pH)で混合することを含む。
【0160】
[00165]例28は、例1~10のいずれか1つのシステムであり、1つまたは複数のプロセッサ、および1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、システムに例11~25のいずれか1つの方法を実行させる命令を格納するコンピュータ可読媒体、をさらに含む。
【0161】
[00166]例29は、例28のシステムによって実行されると、システムに例11~27のいずれか1つの方法を実行させる命令を格納するコンピュータ可読媒体である。
【0162】
[00167]例30は、腹膜透析のためのシステムであって、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して供給透析液を生成するように構成された混合装置、供給透析液を貯蔵するよう構成された供給チャンバ、排出ライン、フィルタ、および第1の構成では、フィルタが、使用された透析液内の生物学的成分を捕捉するために、フィルタの第1のポートにおいて排出ラインから使用された透析液を受け取ることを可能にし、第2の構成では、フィルタが、供給透析液から汚染物質を除去するために、フィルタの第2のポートにおいて供給チャンバから供給透析液を受け取ることを可能にする、1つまたは複数の弁を含む、システムである。
【0163】
[00168]例31は、腹膜透析を行うための方法であって、例1~10のいずれか1つのシステムを設けること、混合装置を介して、水、酸/電解質濃縮物、浸透圧濃縮物、および中和緩衝液を混合して、供給透析液を生成すること、供給透析液から汚染物質を除去するために、供給透析液を第1のポート内に第1のフィルタを通って移動させること、供給透析液からさらなる汚染物質を除去するために、供給透析液を第2のポートから第4のポート内に、次いで第2のフィルタを通って移動させること、使用された透析液を生成しながら、腹膜透析のために精製された透析液を患者の腹膜腔に所定の時間移動させること、使用された透析液を第3のポート内に移動させ、次いで第2のフィルタを通って移動させて、使用された透析液から生物学的成分を捕捉し、枯渇した使用された透析液を生成し、枯渇した使用された透析液を排出すること、および捕捉された生物学的成分を患者に戻して導入するために第2のフィルタから排出しながら、さらなる腹膜透析のために供給透析液を分注するため、(ii)~(vi)のステップを繰り返すことを含む、方法である。
【0164】
[00169]様々な例示的な態様および例示的な実施形態が本明細書に開示されてきたが、他の態様および実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書に開示される様々な例示的な態様および例示的な実施形態は、例示を目的としており、限定することを意図するものではなく、真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】