(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-23
(54)【発明の名称】コロナウイルスワクチン
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20250116BHJP
C12N 15/50 20060101ALI20250116BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250116BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20250116BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20250116BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20250116BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20250116BHJP
A61K 31/7115 20060101ALI20250116BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20250116BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20250116BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20250116BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20250116BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/50
C12N5/10
C12N7/01
A61K9/51
A61P37/04
A61P31/14
A61K31/7115
A61K31/7088
A61K47/28
A61K47/24
A61K47/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538501
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2022020354
(87)【国際公開番号】W WO2023121131
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0185374
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ソン ス
(72)【発明者】
【氏名】パク、ダ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ウ リム
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】シン、ソン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リム、チャン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チョン ソ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チェ ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ホン、スン ヒ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA45
4C076AA65
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB25
4C076BB27
4C076CC07
4C076CC35
4C076DD50
4C076DD63
4C076DD70
4C076FF31
4C076FF68
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB33
(57)【要約】
非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)及び3’非翻訳領域ヌクレオチド、並びにその用途を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドであり、前記ポリヌクレオチドは、ポリデオキシリボヌクレオチドであり、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、それに作動可能に連結された上流プロモーター領域ヌクレオチド配列、前記プロモーターに作動可能に連結された転写可能なヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)配列の下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)配列と作動可能に連結されたものであり、
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号ヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列と、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)配列の上流において、作動可能に連結されたものであり、
前記転写可能なヌクレオチド配列は、配列番号42のアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するものであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と、70%以上の配列同一性を有するものを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15または20のヌクレオチド配列と、80%以上の配列同一性を有するものを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列のうちから選択されたものを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34~40のヌクレオチド配列、及び配列番号109~115のヌクレオチド配列を含む配列のうちから選択されたものを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列のうちから選択されたものを含み、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34~40のヌクレオチド配列を含む配列のうちから選択されたものを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22または31のヌクレオチド配列であるものを含み、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号40のヌクレオチドであるものを含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号49~55のヌクレオチド配列のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有するものを含む、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体は、配列番号42~48のアミノ酸配列のうちいずれか1つのアミノ酸配列をさらに含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号49~55のヌクレオチド配列のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列をコーディングする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
発現構造体またはベクターである、請求項1~11のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
テンプレートとして、請求項1~12のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを使用した転写によって得られる、RNA。
【請求項14】
非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドであり、
前記ポリヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドであり、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を含み、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチドの下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)と作動可能に連結されており、
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列の下流において、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列と作動可能に連結されており、
前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号42のアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するものであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項15】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と、70%以上の配列同一性を有するものを含む、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1~12のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含む、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15または20のヌクレオチド配列と、80%以上の配列同一性を有するものを含む、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14~20のヌクレオチド配列、及び配列番号102~108のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含む、請求項17に記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1~12のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含むものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14~20のヌクレオチド配列、及び配列番号102~108のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含む、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1または10のヌクレオチド配列によってなるものを含むものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号20のヌクレオチド配列によってなるものを含む、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
【請求項21】
前記ポリヌクレオチドのうち1以上のUが、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものを含む、請求項20に記載のポリヌクレオチド。
【請求項22】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号56~62のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有するものを含む、請求項20に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体は、配列番号42~48のアミノ酸配列のうちいずれか1つのアミノ酸配列を有する、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号56~62のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートヌクレオチド配列をさらに含む、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項27】
5’末端は、5’キャップ構造を有する、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
1以上の変形されたヌクレオチドを含む、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
前記変形されたヌクレオチドは、Uの代わりに、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)を含む、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項1~13のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドをテンプレートにし、RNAを転写する段階を含む、RNAを得る方法。
【請求項31】
請求項1~13のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む細胞を培養し、前記ポリヌクレオチドのRNA転写体を生産する段階を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項30に記載の方法によって得られたRNAを翻訳する段階を含む、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体を得る方法。
【請求項33】
請求項1~13のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む細胞を培養し、前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体を生産する段階を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
活性成分として、請求項14~29のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体を個体に伝達するための組成物。
【請求項35】
SARS-CoV-2に対する免疫反応を誘導するためのものである、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
活性成分として、請求項14~29のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、SARS-CoV-2に対する免疫反応を誘導するための組成物。
【請求項38】
SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
活性成分として、請求項14~29のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、及び脂質ナノ粒子(LNP)を含む、SARS-CoV-2に対する免疫反応を誘導するための組成物。
【請求項40】
SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
請求項14~29のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する段階を含む前記ポリヌクレオチドを利用する、方法。
【請求項42】
前記ポリヌクレオチドは、RNAであり、前記宿主細胞は、樹枝状細胞を含む抗原提供細胞、モノサイトまたはマクロファージである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項14~29のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを個体に投与する段階を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記個体を、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体に対して免疫化する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記個体において、SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR:untranslated region)及び3’非翻訳領域(3’-UTR:untranslated region)、並びにその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸ワクチンは、DNAまたはRNAによってコーディングされた抗原に依存する。DNAワクチンは、真核細胞プロモーター調節下として、バクテリアプラスミドに挿入された抗原コーディング遺伝子を一般的に含む。なお、RNAワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)、または他の抗原コーディングRNAを利用する。タンパク質ワクチンと類似して、核酸ワクチンは、筋肉、皮下、粘膜または経皮の伝達のような多様な経路を介して伝達されうる。
【0003】
DNAワクチンは、ペプチドワクチン、細胞ワクチン、ウイルスベクターワクチン及びRNAワクチンに比べ、免疫反応を少なく誘導すると知られている。また、該DNAワクチンは、免疫原性が低いだけではなく、宿主ゲノムに挿入され、癌誘発(oncogenesis)を誘導する可能性がある。それにより、RNA基盤ワクチンに対する要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一態様は、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0005】
他の態様は、テンプレートとして、前述の第1態様のポリヌクレオチドを使用した転写によって得られるRNAを提供する。
【0006】
他の態様は、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0007】
他の態様は、前記ポリヌクレオチドをテンプレートにし、RNAを転写する段階を含む、RNAを得る方法を提供する。
【0008】
他の態様は、前記方法によって得られたRNAを翻訳する段階を含む、ポリペプチドを得る方法を提供する。
【0009】
他の態様は、前記ポリヌクレオチドを含む前記ポリヌクレオチドを個体に伝達するための組成物を提供する。
【0010】
他の態様は、前記ポリヌクレオチドを含む前記ポリヌクレオチドに対する免疫反応を誘導するための組成物を提供する。
【0011】
他の態様は、前記ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する段階を含む前記ポリヌクレオチドを利用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドと係わり、用語「同一性(identity)」は、配列を比較して決定される2以上のポリペプチドまたはポリヌクレオチドの配列間の関係を示す。前記同一性は、2以上のアミノ酸残基またはヌクレオチド残基のストリング(string)間のマッチング数によって決定される配列関連度(sequence relatedness)の程度を示す。関連するポリペプチドまたはポリヌクレオチドの同一性は、周知の方法によって計算されうる。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドに適用される「%同一性」は、候補のアミノ酸配列またはヌクレオチド配列につき、第2配列との最大パーセント同一性を得るために、整列(aligning)させ、必要であるならば、ギャップを導入した後、該第2配列の残基と同一である候補配列中の残基の百分率として定義される。前記整列のための方法及びプログラムは、周知である。前記プログラムは、例えば、BLAST、Smith-Waterman algorithmまたはNeedleman-Wunsch algorithmでもある。
【0013】
本明細書において、「5’非翻訳領域(5’-UTR:untranslated region)」は、ポリペプチドをコーディングしない開始コドン、すなわち、リボソームによって翻訳されるmRNA転写体の最初コドンから、直接上流(すなわち、5’)であるmRNAの領域を示す。
【0014】
本明細書において、「3’非翻訳領域(3’-UTR:untranslated region)」は、ポリペプチドをコーディングしない中断コドン(stop codon)、すなわち、翻訳終結(termination)を合図をするmRNA転写体のコドンから、直接下流(すなわち、3’)であるmRNAの領域を示す。
【0015】
本明細書において、「オープンリーディングフレーム(ORF:open reading frame)」は、開始コドン、例えば、メチオニンコドン(ATG)によって始まり、中断コドン、例えば、TAA、TAGまたはTGAで終わり、ポリペプチドをコーディングするDNAの連続領域を示す。
【0016】
本明細書において、「ポリアデニレート配列(polyadenylate sequence)」または「ポリAテール(polyA tail)」は、複数の連続したアデノシンモノホスフェートを含む3’UTRから下流、例えば、直接下流(すなわち、3’)にあるmRNAの領域を示す。前記ポリAテールは、10~300個のアデノシンモノホスフェートを含むものでもある。例えば、前記ポリAテールは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290または300個のアデノシンモノホスフェートを含むものでもある。前記ポリAテールは、例えば、50~250個のアデノシンモノホスフェートを含むものでもある。細胞または個体のような生体内において、前記ポリAテールは、酵素、例えば、細胞質にある酵素攻撃からmRNAを保護し、転写終結、核からのmRNA排出(export)、及び翻訳を助ける役割が行うことができる。
【0017】
本明細書において、用語「作動的に連結された(operatively linked)」は、1つの機能が他のものによって影響を受けるように、単一核酸断片上において、ヌクレオチド配列が連結されていることを示す。例えば、プロモーターは、コーディング配列の発現に影響を及ぼしうる場合(すなわち、コーディング配列が、前記プロモーターの転写調節下にある場合)、コーディング配列(例えば、オープンリーディングフレーム(ORF))に作動可能に連結されているのである。該コーディング配列は、センス方向またはアンチセンス方向に、調節配列に作動可能に連結されてもいる。
【0018】
本明細書において、ヌクレオチド配列の位置と係わり、取り立てての言及がなければ、 5’末端から3’末端の方向に連結されるか、あるいは位置することを示す。
【0019】
本明細書において、用語「ベクター(vector)」または「核酸構造体(nucleic acid construct)」は、遺伝子、あるいはオープンリーディングフレーム(ORF)またはDNA断片を細胞に運ぶことができる任意の核酸を示す。前記ベクターは、例えば、細胞で複製されうるものでもある。前記ベクターは、ウイルス、バクテリオファージ、プロウイルス、プラスミド、ファージミド、トランスポゾン、または酵母人工染色体(YAC:yeast artificial chromosome)・バクテリア人工染色体(BAC:bacterial artificial chromosome)・植物人工染色体(PLAC:plant artificial chromosome)のような人工染色体(artificial chromosome)でもある。
【0020】
第1態様は、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
前述の分離されたポリヌクレオチドは、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及び非天然3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチドを含むものでもある。前述の分離されたポリヌクレオチドは、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及び天然3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチドを含むものでもある。
【0022】
前述の分離されたポリヌクレオチドは、ポリデオキシリボヌクレオチドでもある。
【0023】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、非天然ヌクレオチド配列を含むものでもある。前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と、70%以上、例えば、80%以上、90%以上または95%以上の配列同一性を有するものでもある。前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12、またはその組み合わせを含むものでもある。これら5’非翻訳領域(5’-UTR)は、ポリリボヌクレオチドでもある。前記非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33、またはその組み合わせを含むものでもある。これら配列は、ポリデオキシリボヌクレオチドでもある。
【0024】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、非天然ヌクレオチド配列または天然ヌクレオチド配列を含むものでもある。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15のヌクレオチド配列と、70%以上、例えば、80%以上、90%以上または95%以上の配列同一性を有するもの、または配列番号20のヌクレオチド配列と、70%以上、例えば、80%以上、90%以上または95%以上の配列同一性を有するものでもある。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14,15,16,17,18,19,20、またはその組み合わせを含むものでもある。前記非天然3’非翻訳領域(3’-UTR)または前記天然3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34,35,36,37,38,39,40またはその組み合わせを含むものでもある。
【0025】
前記非天然非翻訳領域(3’-UTR)または前記天然3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、制限酵素認識配列を追加して含むものでもある。前記制限酵素は、XhoI、NheI、またはXhoI及びNheIでもある。
【0026】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された上流プロモーター領域ヌクレオチド配列をさらに含むものでもある。
【0027】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチドの下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)と作動可能に連結されたものでもある。
【0028】
前記転写可能なヌクレオチド配列は、ポリペプチドまたはRNAをコーディングする配列であるものでもある。前記ポリペプチドは、抗原性ポリペプチドまたは治療的ポリペプチドでもある。前記抗原性ポリペプチドは、ウイルス抗原性ポリペプチドでもある。前記ウイルス抗原性ポリペプチドは、1以上のBetaCoV(Betacoronavirus)抗原性ポリペプチド、1以上のRSV(respiratory syncytial virus)抗原性ポリペプチド、1以上のMeV(measles virus)抗原性ポリペプチド、1以上のhMPV(human Metapneumovirus)抗原性ポリペプチド、1以上のPIV(human parainfluenza virus)抗原性ポリペプチド、それらの抗原性断片、またはそれらの組み合わせでもある。前記BetaCoVは、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-NL、HCoV-NH、HCoV-HKU1、それらの変異体、またはその組み合わせでもある。SARS-CoV-2は、2019年に確認されたものであり、COVID-19とも言う。前記抗原性ポリペプチドは、BetaCoVのスパイクタンパク質、またはその免疫原性断片でもある。前記治療的ポリペプチドは、例えば、抗体、ホルモン、サイトカイン、酵素、その誘導体、またはそれらの組み合わせでもある。
【0029】
前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列は、クローニングサイトでもある。前記クローニングサイトは、多重クローニングサイトでもある。該クローニングサイトは、制限酵素の認識部位、切断部位、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0030】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及び転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列は、インビトロまたはインビボで転写される場合、共通の転写体を形成するように連結されたものでもある。
【0031】
前述のプロモーター、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及び転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列は、インビトロまたはインビボで転写される場合、共通の転写体を形成するように連結されたものでもある。
【0032】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号(poly(A) attachment signal)ヌクレオチド配列をさらに含むものでもある。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列は、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列の上流において、3’非翻訳領域(3’-UTR)と作動可能に連結されたものでもある。
【0033】
前記転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及びポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号は、インビトロまたはインビボで転写される場合、共通の転写体を形成するか、あるいは共通の転写体の3’非翻訳領域(3’-UTR)下流に、ポリAテールを添加するように連結されたものでもある。
【0034】
前記ポリヌクレオチドにおいて、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)配列の下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)配列と作動可能に連結されたものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号ヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列と、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)配列の上流において、作動可能に連結されたものでもある。例えば、前記ポリヌクレオチドは、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列またはクローニングサイトヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及びポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号ヌクレオチド配列の順序で連結されたものでもある。
【0035】
前記ポリヌクレオチドにおいて、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列のうちから選択されたものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34~40のヌクレオチド配列を含む配列のうちから選択されたものでもある。その場合、前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号49~55のヌクレオチド配列のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有するものでもある。
【0036】
前記ポリヌクレオチドにおいて、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22または31のヌクレオチド配列を含むものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号40のヌクレオチド配列を含むものでもある。その場合、前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号49~55のヌクレオチド配列のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有するものでもある。また、前記ポリアデニレートヌクレオチド配列は、配列番号41のヌクレオチド配列を含むものでもある。
【0037】
前記ポリヌクレオチドは、配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列をコーディングするものでもある。
【0038】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された上流プロモーター領域ヌクレオチド配列、前記プロモーターに作動可能に連結された転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)配列の下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)配列と作動可能に連結されたものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号ヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列、または前記転写可能なヌクレオチド配列を導入するためのヌクレオチド配列と、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)配列の上流において、作動可能に連結されたものでもある。例えば、前記ポリヌクレオチドは、プロモーター、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列またはクローニングサイトヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及びポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号ヌクレオチド配列の順序で連結されたものでもある。
【0039】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列またはクローニングサイトヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及びポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号は、インビトロまたはインビボで転写される場合、共通の転写体を形成するか、あるいは形成された共通の転写体の3’非翻訳領域(3’-UTR)下流に、ポリAテールを添加するように連結されたものでもある。
【0040】
前述のプロモーター、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列またはクローニングサイトヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及びポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号は、インビトロまたはインビボで転写される場合、共通の転写体を形成するか、あるいは形成された共通の転写体の3’非翻訳領域(3’-UTR)下流に、ポリAテールを添加するように連結されたものでもある。
【0041】
前記ポリヌクレオチドは、核酸構造体またはベクターでもある。本明細書において、「ポリアデニレート付着信号」は、未成熟mRNAにポリアデニレートを添加させるヌクレオチド配列でもある。前記核酸構造体またはベクターは、前記ポリヌクレオチドを発現するのに必要な調節配列を含むものでもある。前記発現は、転写、翻訳、またはその組み合わせでもある。
【0042】
第2態様は、テンプレート(template)として、前述の第1態様のポリヌクレオチドを使用した転写によって得られるRNAを提供する。前記RNAは、mRNAでもある。前記mRNAは、信号配列を含むものでもある。前記mRNAは、配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を含むものでもある。
【0043】
前記mRNAは、前記配列において、1以上のヌクレオシドまたはヌクレオチド変形を含むものでもある。変形されたポリヌクレオチドは、細胞または個体に導入される場合、変形されていないポリヌクレオチドに比べ、細胞または個体において、低減された分解を示しうる。また、変形されたポリヌクレオチドは、細胞または個体に導入される場合、変形されていないポリヌクレオチドに比べ、細胞または個体において、低減された免疫原性(例えば、低減された先天反応(innate response))を示しうる。
【0044】
変形されたシトシンを有するヌクレオシドは、ac4C(N4-acetyl-cytidine )、m5C(5-methyl-cytidine )、5-ハロシチジン(5-halo-cytidine)(例:5-ヨードシチジン(5-iodo-cytidine))、hm5C(5-hydroxymethyl-cytidine)、1-メチル-シュードイソシチジン(1-methyl-pseudoisocytidine)、s2C(2-thio-cytidine)、2-チオ-5-メチル-シチジン(2-thio-5-methyl-cytidine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0045】
変形されたアデニンを有するヌクレオシドは、7-デアザ-アデニン(7-deaza-adenine)、m1A(1-methyl-adenosine)、m2A(2-methyl-adenine)、m6A(N6-methyl-adenosine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0046】
変形されたグアニンを有するヌクレオ塩基またはヌクレオシドは、I(inosine)、m1I(1-methyl-inosine)、imG(wyosine)、mimG(methylwyosine)、7-デアザ-グアノシン(7-deaza-guanosine)、preQ0(7-cyano-7-deaza-guanosine)、preQ1(7-aminomethyl-7-deaza-guanosine)、m7G(7-methyl-guanosine)、m1G(1-methyl-guanosine)、8-オキソ-グアノシン(8-oxo-guanosine)、7-メチル-8-オキソ-グアノシン(7-methyl-8-oxo-guanosine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0047】
前記化学的変形を有するヌクレオチドは、シュードウリジン(pseudouridine)、N1-メチルシュードウリジン(N1-methylpseudouridine)、N1-エチルシュードウリジン(N1-ethylpseudouridine)、2-チオウリジン(2-thiouridine)、4’-チオウリジン(4’-thiouridine)、5-メチルシトシン(5-methylcytosine)、5-メチルウリジン(5-methyluridine)、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン(2-thio-1-methyl-1-deaza-pseudouridine)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン(2-thio-1-methyl-pseudouridine)、2-チオ-5-アザ-ウリジン(2-thio-5-aza-uridine)、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン(2-thio-dihydropseudouridine)、2-チオ-ジヒドロウリジン(2-thio-dihydrouridine, )、2-チオ-シュードウリジン(2-thio-pseudouridine)、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン(4-methoxy-2-thio-pseudouridine)、4-メトキシ-シュードウリジン(4-methoxy-pseudouridine)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン(4-thio-1-methyl-pseudouridine)、4-チオ-シュードウリジン(4-thio-pseudouridine)、5-アザ-ウリジン(5-aza-uridine)、ジヒドロシュードウリジン(dihydropseudouridine)、5-メトキシウリジン(5-methoxyuridine)、2’-O-メチルウリジン(2’-O-methyluridine)、またはそれらの組み合わせでもある。前記化学的変形は、ウラシルの5位置にありうる。前記化学的変形は、ウラシルのN1-メチルシュードウリジン(N1-methylpseudouridine)への変形でもある。前記化学的変形は、ウラシルのN1-エチルシュードウリジン(N1-ethylpseudouridine)への変形でもある。
【0048】
前記mRNAは、前記配列において、1以上のUが、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものでもある。前記mRNAにおいて、5’末端のGAは、m7(3’OMeG)(5’)ppp(5’)(2’OMeA)のキャップ構造を有するものでもある。前記mRNAにおいて、すべてのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されてもいる。前記mRNAは、すべてのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されており、5’末端のGAは、m7(3’OMeG)(5’)ppp(5’)(2’OMeA)のキャップ構造を有するものでもある。
【0049】
第3態様は、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列、非天然3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列または天然3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0050】
第3態様のポリヌクレオチドにおいて、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と、70%以上、例えば、80%以上、90%以上または95%以上の配列同一性を有するものでもある。前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12、またはその組み合わせを含むものでもある。前記非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0051】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15のヌクレオチド配列と、70%以上、例えば、80%以上、90%以上または95%以上の配列同一性を有するもの、または配列番号20のヌクレオチド配列と、70%以上、例えば、80%以上、90%以上または95%以上の配列同一性を有するものでもある。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14,15,16,17,18,19,20、またはその組み合わせを含むものでもある。前記非天然3’非翻訳領域(3’-UTR)または前記天然3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34,35,36,37,38,39,40、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0052】
第3態様のポリヌクレオチドは、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)と天然3’非翻訳領域(3’-UTR)とを含むものでもある。
【0053】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を含み、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチドの下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)と作動可能に連結されたものでもある。前記ポリペプチドは、抗原性ポリペプチドまたは治療的ポリペプチドでもある。前記抗原性ポリペプチドは、ウイルス抗原性ポリペプチドでもある。前記ウイルス抗原性ポリペプチドは、1以上のBetaCoV抗原性ポリペプチド、1以上のRSV抗原性ポリペプチド、1以上のMeV抗原性ポリペプチド、1以上のhMPV抗原性ポリペプチド、1以上のPIV抗原性ポリペプチド、それらの抗原性断片、またはそれらの組み合わせでもある。前記BetaCoVは、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-NL、HCoV-NH、HCoV-HKU1、それらの変異体、またはその組み合わせでもある。前記抗原性ポリペプチドは、BetaCoVのスパイクタンパク質またはその免疫原性断片でもある。前記BetaCoVのスパイクタンパク質は、SARS-CoV-2の天然スパイクタンパク質または変異体でもある。前記変異体は、アルファ(α)変異体、ベータ(β)変異体、ガンマ(γ)変異体、デルタ(δ)変異体、エプシロン(ε)変異体及びオミクロン(ο)変異体を含む。SARS-CoV-2の天然スパイクタンパク質、またはそのアルファ(α)変異体、ベータ(β)変異体、ガンマ(γ)変異体、デルタ(δ)変異体、エプシロン(ε)変異体及びオミクロン(ο)変異体は、それぞれ配列番号42~48のアミノ酸配列を含むものでもある。前記治療的ポリペプチドは、例えば、抗体、ホルモン、サイトカイン、酵素、その誘導体、またはそれらの組み合わせでもある。
【0054】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列、及びポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、共通の転写体として連結されたものでもある。
【0055】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートヌクレオチド配列をさらに含むものでもある。該ポリアデニレートヌクレオチド配列は、例えば、20個以上、40個以上、80個以上、または100個以上、及び500個以下、400個以下、300個以下、200個以下、または150個以下のアデニルヌクレオチドを含むものでもある。
【0056】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を含み、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列の上流において、3’非翻訳領域(3’-UTR)と作動可能に連結されたものでもある。前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、リボヌクレオチド配列、例えば、mRNAでもある。
【0057】
前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列、及び3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、共通の転写体として連結されたものでもある。
【0058】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を含み、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)配列の下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)配列と作動可能に連結されたものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートヌクレオチド配列を含み、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列と、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)配列の上流において、作動可能に連結されたものでもある。
【0059】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列、及びポリAは、共通の転写体として連結されたものでもある。
【0060】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)または前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、天然5’非翻訳領域(5’-UTR)、及び/または天然3’非翻訳領域(3’-UTR)が使用された場合に比べ、翻訳効率、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列の安定性、またはその組み合わせを増加させる活性を有するものでもある。
【0061】
前記ポリヌクレオチドは、RNA、例えば、mRNAでもある。前記ポリヌクレオチドは、5’キャップを含むものでもある。用語「5’キャップ(5’-cap)」は、mRNA分子の5’末端で発見されるキャップ構造を示す。前記5’キャップは、異例な(unusual)5’に対する5’トリホスフェート連結(triphosphate linkage)を介し、mRNAに連結されたグアノシンヌクレオチドを含むものでもある。前記グアノシンは、7位置にメチル化されたもの、例えば、m7G、または3’-O-Me-m7Gでもある。用語「一般的5’キャップ(conventional 5’-cap)」は、天然に存在するRNA 5’キャップ、例えば、m7G(7-メチルグアノシン)を示す。本明細書において、用語「5’キャップ」は、RNAキャップ構造に類似しており、RNAに付着する場合、例えば、インビボ及び/または細胞において、RNAを安定化させる能力を有するように変形された5’キャップアナログを含む。RNAへの、5’キャップまたは5’キャップアナログの提供は、DNAテンプレートを、5’キャップまたは5’キャップアナログの存在下においてインビトロ転写し、前記5’キャップまたは5’キャップアナログが生成されるRNA鎖に共同転写(co-transcriptionally)挿入によって行われるか、あるいは5’キャップまたは5’キャップアナログを転写した後(post-transcriptionally)、キャッピング酵素、例えば、ワクシニアウイルスのキャッピング酵素を使用して生成されうる。前記5’末端キャップ構造は、例えば、7mG(5’)ppp(5’)ImpNp、3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G、m7(3’OMeG)(5’)ppp(5’)(2’OMeA)またはm7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pGでもある。
【0062】
前記ポリヌクレオチドは、RNAであり、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1~12のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14~20のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものでもある。前記RNAは、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1または10のヌクレオチド配列によってなるものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号20のヌクレオチド配列によってなるものでもある。前記RNAは、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列は、配列番号1または10のヌクレオチド配列を含むものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号20のヌクレオチド配列を含むものであり、前記ポリアデニレートヌクレオチド配列は、配列番号101のヌクレオチド配列を含むものでもある。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、制限酵素認識配列を追加して含むものでもある。前記制限酵素は、XhoI、NheI、またはXhoI及びNheIを含むものでもある。
【0063】
前記ポリヌクレオチド中のUのうち1以上が、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものでもある。
【0064】
前記ポリヌクレオチドは、配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を含むものであり、前記ポリヌクレオチド中のUのうち1以上が、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものでもある。前記ポリヌクレオチドは、そのうち全てのUが、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものでもある。
【0065】
また、前記ポリヌクレオチドは、5’末端に、m7(3’OMeG)(5’)ppp(5’)(2’OMeA)キャップ構造を有するものでもある。
【0066】
第4態様は、第1態様のポリヌクレオチドをテンプレートにし、RNAを転写する段階を含む、RNAを得る方法を提供する。前記転写は、インビトロ転写、エクスビボ転写またはインビボ転写を含むものでもある。前記インビボ転写は、個体内転写を含むものでもある。前記RNAは、mRNAでもある。前記mRNAは、配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を含むものでもある。前記mRNAは、前記配列において、1以上のヌクレオシドまたはヌクレオチド変形を含むものでもある。変形されたポリヌクレオチドは、細胞または個体に導入される場合、変形されていないポリヌクレオチドに比べ、細胞または個体において、低減された分解を示しうる。また、変形されたポリヌクレオチドは、細胞または個体に導入される場合、変形されていないポリヌクレオチドに比べ、細胞または個体において、低減された免疫原性(例えば、低減された先天反応(innate response))を示しうる。
【0067】
変形されたシトシンを有するヌクレオシドは、ac4C(N4-acetyl-cytidine )、m5C(5-methyl-cytidine )、5-ハロシチジン(5-halo-cytidine)(例:5-ヨードシチジン(5-iodo-cytidine))、hm5C(5-hydroxymethyl-cytidine)、1-メチル-シュードイソシチジン(1-methyl-pseudoisocytidine)、s2C(2-thio-cytidine)、2-チオ-5-メチル-シチジン(2-thio-5-methyl-cytidine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0068】
変形されたアデニンを有するヌクレオシドは、7-デアザ-アデニン(7-deaza-adenine)、m1A(1-methyl-adenosine)、m2A(2-methyl-adenine)、m6A(N6-methyl-adenosine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0069】
変形されたグアニンを有するヌクレオ塩基またはヌクレオシドは、I(inosine)、m1I(1-methyl-inosine)、imG(wyosine)、mimG(methylwyosine)、7-デアザ-グアノシン(7-deaza-guanosine)、preQ0(7-cyano-7-deaza-guanosine)、preQ1(7-aminomethyl-7-deaza-guanosine)、m7G(7-methyl-guanosine)、m1G(1-methyl-guanosine)、8-オキソ-グアノシン(8-oxo-guanosine)、7-メチル-8-オキソ-グアノシン(7-methyl-8-oxo-guanosine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0070】
前記化学的変形を有するヌクレオチドは、シュードウリジン(pseudouridine)、N1-メチルシュードウリジン(N1-methylpseudouridine)、N1-エチルシュードウリジン(N1-ethylpseudouridine)、2-チオウリジン(2-thiouridine)、4’-チオウリジン(4’-thiouridine)、5-メチルシトシン(5-methylcytosine)、5-メチルウリジン(5-methyluridine)、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン(2-thio-1-methyl-1-deaza-pseudouridine)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン(2-thio-1-methyl-pseudouridine)、2-チオ-5-アザ-ウリジン(2-thio-5-aza-uridine)、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン(2-thio-dihydropseudouridine)、2-チオ-ジヒドロウリジン(2-thio-dihydrouridine, )、2-チオ-シュードウリジン(2-thio-pseudouridine)、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン(4-methoxy-2-thio-pseudouridine)、4-メトキシ-シュードウリジン(4-methoxy-pseudouridine)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン(4-thio-1-methyl-pseudouridine)、4-チオ-シュードウリジン(4-thio-pseudouridine)、5-アザ-ウリジン(5-aza-uridine)、ジヒドロシュードウリジン(dihydropseudouridine)、5-メトキシウリジン(5-methoxyuridine)、2’-O-メチルウリジン(2’-O-methyluridine)、またはそれらの組み合わせでもある。前記化学的変形は、ウラシルの5位置にありうる。前記化学的変形は、ウラシルのN1-メチルシュードウリジン(N1-methylpseudouridine)への変形でもある。前記化学的変形は、ウラシルのN1-エチルシュードウリジン(N1-ethylpseudouridine)への変形でもある。前記変形は、Uが、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものでもある。前記mRNAにおいて、5’末端のGAは、m7(3’OMeG)(5’)ppp(5’)(2’OMeA)のキャップ構造を有するものでもある。前記mRNAにおいて、全てのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されてもいる。前記mRNAは、全てのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されており、5’末端のGAは、5’-[1,2-[(3’-O-メチル)m7G-(5’→5’)-ppp-Am]]のキャップ構造を有するものでもある。前記構造において、Amは、2’-O-メチルアデノシンを示す。しかしながら、前記mRNAの5’キャップ構造は、該構造に限定されるものではなく、周知の天然5’キャップ構造または5’キャップアナログで置換されうる。
【0071】
用語「インビトロ転写」または「RNAインビトロ転写」は、無細胞システム、すなわち、インビトロにおいて、mRNAを含むRNAが合成される過程を示す。プラスミドDNAベクターを含むクローニングベクターDNAが、RNA転写体生成のためのテンプレートとして適用されうる。それらクローニングベクターは、一般的に、転写ベクター(transcription vector)とも言う。RNAは、適切なDNAテンプレートのDNA依存性インビトロ転写によって得られる。前記DNAテンプレートは、線形化されたプラスミドDNAテンプレートでもある。RNAインビトロ転写を制御するプロモーターは、DNA依存性RNAポリメラーゼのための任意のプロモーターでもある。前記DNA依存性RNAポリメラーゼは、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、またはその組み合わせでもある。該RNAインビトロ転写のためのDNAテンプレートは、核酸をクローニングし、それをRNAインビトロ転写のためのベクターに導入して得られる。前記DNAは、インビトロ転写される各RNAに対応するcDNAを含むものでもある。前記RNAインビトロ転写のためのベクターは、環状プラスミドDNAでもある。前記cDNAは、mRNAの逆転写または化学合成によって得られる。
【0072】
前記転写ベクターは、プロモーター、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、ポリペプチドをコーディングする配列、例えば、オープンリーディングフレーム(ORF)、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及びポリAを含むものでもある。前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列のうち1以上を含むものでもある。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34~40のヌクレオチド配列のうち1以上を含むものでもある。前記転写ベクターは、また大腸菌複製原点ColE1 ori、選択マーカー遺伝子、またはその組み合わせを含むものでもある。前記プロモーターは、T7プロモーターでもある。前記選択マーカーは、抗生物質、例えば、カナマイシン抵抗性酵素でもある。
【0073】
前記インビトロ転写は、前記転写ベクターを、宿主細胞、例えば、大腸菌に導入して形質転換された宿主細胞を得て、得られた宿主細胞を培養し、mRNAのテンプレートになるプラスミドDNAを含んでいる宿主細胞を増殖させる段階を含むものでもある。前記インビトロ転写は、増殖された宿主細胞、例えば、大腸菌から、前記プラスミドDNAを分離する段階を含むものでもある。前記プラスミドDNAを分離する段階は、培養物のうちから細胞層を分離し、細胞からプラスミドDNAを分離することを含むものでもある。該細胞層分離は、遠心分離、分離、沈澱、またはその組み合わせによって行われうる。細胞からのプラスミドDNA分離は、周知の方法、例えば、アルカリ抽出法、親和性クロマトグラフィ、HPLC、電気泳動、またはその組み合わせによって行われうる。
【0074】
前記RNAを得る方法は、第1態様のポリヌクレオチドを含む細胞を培養し、前記ポリヌクレオチドのRNA転写体を生産する段階を含むものでもある。前記RNA転写体は、mRNAでもある。前記mRNAは、配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を含むものでもある。前記mRNAは、前記配列において、1以上のUが、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものでもある。前記mRNAにおいて、5’末端のGAは、5’-[1,2-[(3’-O-メチル)m7G-(5’→5’)-ppp-Am]]のキャップ構造を有するものでもある。前記mRNAにおいて、全てのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されてもいる。前記mRNAにおいて、全てのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されており、5’末端のGAは、5’-[1,2-[(3’-O-メチル)m7G-(5’→5’)-ppp-Am]]のキャップ構造を有するものでもある。しかしながら、前記mRNAの5’キャップ構造は、該構造に限定されるものではなく、周知の天然5’キャップ構造または5’キャップアナログで置換されうる。
【0075】
第5態様は、第3態様のRNA、または第4態様の方法によって得られたRNAを翻訳する段階を含む、ポリペプチドを得る方法を提供する。第3態様のRNA、または第4態様の方法によって得られたRNAは、例えば、mRNAでもある。
【0076】
前記方法は、第1態様のポリヌクレオチドを含む細胞を培養し、前記ポリペプチドを生産する段階を含むものでもある。
【0077】
第6態様は、活性成分(active ingredient)として、第3態様のポリヌクレオチドを含むポリペプチドを個体に伝達するための組成物を提供する。第3態様のポリヌクレオチドは、RNA、例えば、mRNAでもある。第3態様のポリヌクレオチドは、第4態様の方法によって得られたRNAでもある。
【0078】
第7態様は、活性成分として、第3態様のポリヌクレオチドを含む前記ポリペプチドに対する免疫反応を誘導するための組成物を提供する。第3態様のポリヌクレオチドは、RNA、例えば、mRNAでもある。第3態様のポリヌクレオチドは、第4態様の方法によって得られたRNAでもある。
【0079】
第6態様及び第7態様において、前記組成物は、免疫原性または疾病を治療するためのものでもある。前記疾病は、選択されたポリペプチドによって異なりうる。前記疾病は、例えば、ウイルスまたは外来細胞による感染症、癌、代謝性疾患、抗炎症、胃腸菅疾患、内分泌疾患、敗血症または自己免疫疾患でもある。前記疾病は、ハンター症侯群、ゴーシェ病(Gaucher disease)、ファブリー病(Fabry disease)のように、酵素欠乏によって生じ、酵素代替療法で治療が可能な疾患でもある。前記疾病において、前記外来細胞は、原核細胞または真核細胞でもある。前記外来細胞は、バクテリアでもある。
【0080】
前記ポリヌクレオチドは、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を含むものでもある。前記ポリペプチドは、抗原性ポリペプチドまたは治療的ポリペプチドでもある。前記抗原性ポリペプチドは、ウイルス抗原性ポリペプチドでもある。前記ウイルス抗原性ポリペプチドは、1以上のBetaCoV抗原性ポリペプチド、1以上のRSV抗原性ポリペプチド、1以上のMeV抗原性ポリペプチド、1以上のhMPV抗原性ポリペプチド、1以上のPIV抗原性ポリペプチド、それらの抗原性断片、またはそれらの組み合わせでもある。前記BetaCoVは、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-NL、HCoV-NH、HCoV-HKU1、それらの変異体、またはその組み合わせでもある。前記抗原性ポリペプチドは、BetaCoVのスパイクタンパク質またはその免疫原性断片でもある。前記治療的ポリペプチドは、例えば、抗体、ホルモン、サイトカイン、酵素、その誘導体、またはそれらの組み合わせでもある。前記組成物は、個体において、症状または感染を予防、治療または診断するためのものでもある。前記個体は、ヒトを含む哺乳動物でもある。前記感染は、バクテリア感染またはウイルス感染でもある。前記ウイルスは、BetaCoV、RSV、MeV、hMPV、またはPIVでもある。前記BetaCoVは、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-NL、HCoV-NH、HCoV-HKU1、それらの変異体、またはその組み合わせでもある。前記組成物は、免疫エフェクタ細胞(immune effector cell)をプライミング(priming)するのに使用されうる。例えば、前記組成物は、末梢血液単核細胞(PBMC)をエクスビボ活性化させ、個体に注入する(infuse)のに使用されうる。前記組成物は、SARS-CoV-2またはその変異体に対する免疫反応を誘導するのに使用するためのものでもある。前記組成物は、SARS-CoV-2またはその変異体の感染症を予防するのに使用するためのものでもある。
【0081】
前記組成物は、個体に投与され、RNAポリヌクレオチド(例えば、mRNA)は、インビボで翻訳され、抗原性ポリペプチドを生産しうる。
【0082】
抗原性ポリペプチドをコーディングする1以上の翻訳可能な領域を有するポリヌクレオチドを含む「効果量(effective amount)」の前記組成物は、細胞、組織または個体と接触されうる。
【0083】
前記効果量は、標的組織、標的細胞、投与手段、ポリヌクレオチドの物理的特性(例えば、大きさ、及び変形されたヌクレオシドの含量など)、並びに組成物の他の成分に基づいて定められうる。一般的に、効果量の前記組成物は、細胞において、抗原生産の関数として誘導されたり(induced)ブスートされたり(boosted)する免疫反応を引き起こさせうる。
【0084】
前記組成物は、他の予防的または治療的な化合物と共に投与されうる。前述の予防的または治療的な化合物は、例えば、アジュバントまたはブースター(booster)でもある。本明細書において、ワクチンのような、予防的組成物を参照するとき、用語「ブースター(booster)」は、前記予防的組成物の追加的投与を示す。ブースターまたはブースターワクチンは、前記予防的組成物の早い投与後に与えられうる。前記予防的組成物の初期投与と、前記ブースターとの間の投与時間は、1週、2週、3週、1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月、6ヵ月または1年でもある。また、前記組成物は、アジュバントを含まないものでもある。
【0085】
前記組成物は、筋肉内、皮下、皮内、鼻腔または肺に投与されうる。
【0086】
前記組成物は、1以上の薬剤学的に許容可能な賦形剤を含むものでもある。前記組成物においてポリヌクレオチドは、前記賦形剤と剤形化されるか、あるいは複合体化されてもいる。前記賦形剤は、当業界に周知のものでもある。
【0087】
本明細書において、用語「活性成分(active ingredient)」は、前記組成物、またはそれに含まれたポリヌクレオチド、例えば、mRNAを含むRNAポリヌクレオチドを示す。前記RNAポリヌクレオチドは、例えば、抗原性ポリペプチドまたは治療的ポリペプチドをコーディングするものでもある。
【0088】
前記組成物に含まれる活性成分、薬剤学的に許容可能な賦形剤、及び/または他の付加的成分の相対的量は、治療される個体のアデンティティ(identity)、大きさ及び/または条件、並びに投与される経路によって異なりうる。例えば、前記組成物は、0.1%~100%、例えば、0.5%~50%、1.0%~30%、5.0%~80%、または80%(w/w)以上の活性成分を含むものでもある。
【0089】
前記組成物において、前記ポリヌクレオチドは、mRNAでもある。前記mRNAは、5’非翻訳領域(5’-UTR)及び/または3’非翻訳領域(3’-UTR)を含む安定化エレメントを含むものでもある。前記mRNAは、5’キャップ構造または3’ポリAテールのような追加の構造をさらに含むものでもある。5’非翻訳領域(5’-UTR)及び3’非翻訳領域(3’-UTR)は、一般的に、ゲノムDNAから転写され、未成熟mRNAのエレメントである。5’キャップ及び3’ポリAテールのような成熟したmRNAの構造的特徴(feature)は、mRNA加工過程間に転写された(未成熟)mRNAに、一般的に添加される。前記ポリAテールは、一般的に、転写されたmRNAに添加されたアデニンヌクレオチドの領域(stretch)である。前記ポリAテールは、例えば、400個アデニンヌクレオチド以下を含むものでもある。一部具体例において、前記3’ポリAテールの長さは、個別mRNAの安定性において、必須エレメントでもある。
【0090】
前記組成物は、ナノ粒子として剤形化されたものでもある。前記ナノ粒子は、mRNAのようなポリヌクレオチドを細胞に伝達するためのものとして周知のものでもある。例えば、前記ナノ粒子は、COVID-19に対する免疫反応を誘導するために使用されるワクチン、例えば、RNAワクチンに使用される周知のナノ粒子でもある。前記ナノ粒子は、リピドナノ粒子(LNP:lipid nanoparticle)でもある。前記組成物は、リピドナノ粒子(LNP)として剤形化されたもの、またはリピドナノ粒子(LNP)に結合されているものでもある。前記結合は、リピドナノ粒子(LNP)内またはその表面に結合するものを含む。例えば、前記組成物は、リピドポリ陽イオン(lipid polycation)複合体内に剤形化されたもの、または該リピドポリ陽イオン複合体に結合されているものでもある。前記リピドポリ陽イオン複合体は、陽イオン性リピドナノ粒子(cationic lipid nanoparticle)とも言う。前記ポリ陽イオンは、MC3、Lipid 319、C12-200、5A2-SC8、306Oi10、Moderna Lipid 5、Acuitas A9、SM-102、ALC-0315、Arcturus Lipid 2,2 (8,8) 4C CH3、Genevant CL1、ポリリシン、ポリオルニチン及び/またはポリアルギニンのような陽イオン性ポリペプチドを含むものでもある。また、前記組成物は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、1,2-ジステアロイル-Sn-グリセロール-3-ホスホコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、コレステロールのようなステロール、またはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)のような非陽イオン性リピドを含むリピドナノ粒子に剤形化されるか、あるいは結合されてもいる。また、前記組成物は、PEG2000-DMG(1,2-dimyristoyl-rac-glycero-3-methoxypolyethylene glycol-2000)、ALC-0159(2-[(polyethylene glycol)-2000]-N,N-ditetradecylacetamide)、PEG-DMA(polyethylene glycol dimethacrylate)のようなPEGリピドを含むリピドナノ粒子に剤形化されるか、あるいは結合されてもいる。
【0091】
リピドナノ粒子剤形は、陽イオン性脂質、リン脂質、コレステロールのようなステロール、PEG脂質、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。該リピドナノ粒子剤形は、例えば、陽イオン性脂質、リン脂質、コレステロールのようなステロール、及びPEG脂質を含むものでもある。また、該リピドナノ粒子は、PEG変形されたリピド、非陽イオン性リピド、ステロール、及びイオン化可能なリピド、またはそれらの組み合わせを含むものでもある。前記リピドナノ粒子は、0.5~15mol% PEG変形されたリピド、5~25mol%非陽イオン性リピド、25~55mol%ステロール、及び20~60mol%イオン化可能なリピドを含むものでもある。前記PEG変形されたリピドは、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロールメトキシポリエチレングリコール(PEG2000-DMG)であり、該非陽イオン性リピドは、1,2-ジステアロイル-Sn-グリセロール-3-ホスホコリン(DSPC)であり、該ステロールは、コレステロールであり、前記イオン化可能な陽イオン性リピドは、下記構造の化合物1でもある。
【0092】
【0093】
前記PEG変形されたリピドは、下記構造の化合物2(ALC-0159)であり、非陽イオン性リピドは、1,2-ジステアロイル-Sn-グリセロール-3-ホスホコリン(DSPC)であり、ステロールは、コレステロールであり、前記イオン化可能な陽イオン性リピドは、下記構造の化合物3(ALC-0315)でもある。
【0094】
【0095】
【0096】
前記組成物は、活性成分として、前記ポリヌクレオチド、及び脂質ナノ粒子(LNP)を含むSARS-CoV-2またはその変異体に対する免疫反応を誘導するための組成物でもある。前記組成物は、SARS-CoV-2またはその変異体の感染症を予防するためのものでもある。
【0097】
第8態様は、第3態様のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する段階を含む、前記ポリヌクレオチドを利用する方法を提供する。第3態様のポリヌクレオチドは、RNA、例えば、mRNAでもある。第3態様のポリヌクレオチドは、第4態様の方法によって得られたRNAでもある。
【0098】
前記方法において、前記ポリヌクレオチドは、mRNAを含むRNAでもある。前記宿主細胞は、個体由来の任意の細胞でもある。前記個体は、ヒトを含む哺乳動物でもある。前記細胞は、例えば、幹細胞、生殖細胞または体細胞でもある。前記方法において、前記ポリヌクレオチドは、RNAであり、前記宿主細胞は、樹枝状細胞を含む抗原提供細胞、モノサイトまたはマクロファージでもある。
【0099】
前記方法は、第3態様のポリヌクレオチドを個体に投与する段階を含むものでもある。前記投与は、非経口投与または経口投与でもある。前記投与は、筋肉内、皮下、皮内、鼻腔または肺内への投与でもある。前記個体は、ヒトを含む哺乳動物でもある。
【0100】
前記方法は、個体を、前記ポリペプチドに対して免疫化するものでもある。また、前記方法は、個体において、疾病を治療するものでもある。前記ポリペプチドは、BetaCoVの抗原タンパク質でもある。前記BetaCoVは、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-NL、HCoV-NH、HCoV-HKU1、それらの変異体、またはその組み合わせでもある。前記方法は、個体において、BetaCoV、例えば、そのスパイクタンパク質またはその変異体、あるいはサブユニットに対して免疫反応を誘導するものでもある。前記方法は、個体において、BetaCoV、例えば、MERS-CoV、SARS-CoV、SARS-CoV-2、HCoV-OC43、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-NL、HCoV-NH、HCoV-HKU1、それらの変異体、またはその組み合わせの感染症を予防するものでもある。
【0101】
前述の第3態様~第8態様において、前記ポリヌクレオチドは、5’末端キャップを含むものでもある。前記5’末端キャップは、7mG(5’)ppp(5’)ImpNp、3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G、またはm7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pGでもある。
【0102】
前述の第3態様~第7態様において、前記ポリヌクレオチドは、1以上の化学的変形を有するヌクレオチドを含むものでもある。前記変形は、前記ヌクレオチドにわたり、均一に(uniformly)なされたものでもある。本明細書において、「化学的変形(chemical modification)」及び「化学的に変形された(chemically modified)」は、アデノシン(A)、グアノシン(G)、ウリジン(U)、チミン(T)またはシチジン(C)のリボヌクレオチドまたはジオキシヌクレオチドに対するそれらの位置、パターン、百分率または母集団(population)のうち1以上における変形を示す。一般的に、それら用語は、天然に存在する5’末端mRNAキャップモイエティにおいて、リボヌクレオチド変形を示さない。
【0103】
ポリヌクレオチド、例えば、mRNAを含むRNAは、1以上の他の変形を含むものでもある。該ポリヌクレオチドの特定領域は、1以上のヌクレオシドまたはヌクレオチド変形を含むものでもある。変形されたポリヌクレオチドは、細胞または個体に導入される場合、変形されていないポリヌクレオチドに比べ、細胞または個体において、低減された分解を示しうる。また、変形されたポリヌクレオチドは、細胞または個体に導入される場合、変形されていないポリヌクレオチドに比べ、細胞または個体において、低減された免疫原性(例えば、低減された先天反応(innate response))を示しうる。
【0104】
変形されたシトシンを有するヌクレオシドは、ac4C(N4-acetyl-cytidine )、m5C(5-methyl-cytidine )、5-ハロシチジン(5-halo-cytidine)(例:5-ヨードシチジン(5-iodo-cytidine))、hm5C(5-hydroxymethyl-cytidine)、1-メチル-シュードイソシチジン(1-methyl-pseudoisocytidine)、s2C(2-thio-cytidine)、2-チオ-5-メチル-シチジン(2-thio-5-methyl-cytidine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0105】
変形されたアデニンを有するヌクレオシドは、7-デアザ-アデニン(7-deaza-adenine)、m1A(1-methyl-adenosine)、m2A(2-methyl-adenine)、m6A(N6-methyl-adenosine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0106】
変形されたグアニンを有するヌクレオ塩基またはヌクレオシドは、I(inosine)、m1I(1-methyl-inosine)、imG(wyosine)、mimG(methylwyosine)、7-デアザ-グアノシン(7-deaza-guanosine)、preQ0(7-cyano-7-deaza-guanosine)、preQ1(7-aminomethyl-7-deaza-guanosine)、m7G(7-methyl-guanosine)、m1G(1-methyl-guanosine)、8-オキソ-グアノシン(8-oxo-guanosine)、7-メチル-8-オキソ-グアノシン(7-methyl-8-oxo-guanosine)、またはその組み合わせを含むものでもある。
【0107】
前記化学的変形を有するヌクレオチドは、シュードウリジン(pseudouridine)、N1-メチルシュードウリジン(N1-methylpseudouridine)、N1-エチルシュードウリジン(N1-ethylpseudouridine)、2-チオウリジン(2-thiouridine)、4’-チオウリジン(4’-thiouridine)、5-メチルシトシン(5-methylcytosine)、5-メチルウリジン(5-methyluridine)、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン(2-thio-1-methyl-1-deaza-pseudouridine)、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン(2-thio-1-methyl-pseudouridine)、2-チオ-5-アザ-ウリジン(2-thio-5-aza-uridine)、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン(2-thio-dihydropseudouridine)、2-チオ-ジヒドロウリジン(2-thio-dihydrouridine, )、2-チオ-シュードウリジン(2-thio-pseudouridine)、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン(4-methoxy-2-thio-pseudouridine)、4-メトキシ-シュードウリジン(4-methoxy-pseudouridine)、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン(4-thio-1-methyl-pseudouridine)、4-チオ-シュードウリジン(4-thio-pseudouridine)、5-アザ-ウリジン(5-aza-uridine)、ジヒドロシュードウリジン(dihydropseudouridine)、5-メトキシウリジン(5-methoxyuridine)、2’-O-メチルウリジン(2’-O-methyluridine)、またはそれらの組み合わせでもある。前記化学的変形は、ウラシルの5位置にありうる。前記化学的変形は、ウラシルのN1-メチルシュードウリジン(N1-methylpseudouridine)への変形でもある。前記化学的変形は、ウラシルのN1-エチルシュードウリジン(N1-ethylpseudouridine)への変形でもある。
【発明の効果】
【0108】
一態様による非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、非天然3’非翻訳領域(3’-UTR)または天然3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドは、mRNAを安定化させ、それにより、翻訳効率を上昇させるのに使用されうる。
【0109】
他の態様によるRNAは、相対的に安定して翻訳効率が高く、RNAを効率的に翻訳するのに使用されうる。
【0110】
他の態様による分離されたポリヌクレオチドは、相対的に安定して翻訳効率が高く、RNAを効率的に翻訳するのに使用されうる。
【0111】
他の態様によるRNAを得る方法によれば、RNAを効率的に得ることができる。
【0112】
他の態様によるポリペプチドを得る方法によれば、ポリペプチドを効率的に得ることができる。
【0113】
他の態様による免疫原性組成物は、個体を効率的に免疫化するのに使用されうる。
【0114】
他の態様によるポリヌクレオチドを利用する方法は、個体を効率的に免疫化するのに使用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【
図1】作製されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするmRNAを生産するためのベクターを示した図である。
【
図2A】生産されたmRNAを、クロマトグラフィを介して分析した結果を示した図である。
【
図2B】生産されたmRNAを、クロマトグラフィを介して分析した結果を示した図である。
【
図2C】生産されたmRNAを、クロマトグラフィを介して分析した結果を示した図である。
【
図3】生産されたmRNA-LNPが細胞に導入される場合、スパイクタンパク質が発現されることをウェスタンブロット(Western blot)を介して確認した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0116】
以下、本発明について、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかしながら、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【0117】
実施例1:mRNAをコーディングする遺伝子の発現を増大させる5’非翻訳領域(5’-UTR)配列
mRNAをコーディングする遺伝子の発現を増大させる5’非翻訳領域(5’-UTR)配列を設計した。
【0118】
その結果、配列番号1~12のヌクレオチド配列を有する12個の非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)配列を得た。配列番号2のヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列において、安定したヘアピン構造を形成する配列(GUCCCUCUGA(配列番号13))の位置を前方に移動させた配列である。配列番号3のヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列において、グアニン一部をウリジンで置換した配列である。
【0119】
配列番号4のヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列において、一部を、連続されたウリジンで置換した配列である。配列番号5,6,7及び8のヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号1のヌクレオチド配列において、一部を、アデニンが豊富な配列で置換した配列である。配列番号9,10及び11のヌクレオチド配列は、配列番号6のヌクレオチド配列において、一部を、ランダムに他のヌクレオチドで置換した配列である。
【0120】
配列番号12のヌクレオチド配列は、配列番号5のヌクレオチド配列において、グアニンを追加した配列である。
【0121】
配列番号1~12のヌクレオチド配列において、各ヌクレオチドは、天然型から変形されたものでもある。例えば、前記配列において、1以上のUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されうる。前記配列において、全てのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されうる。
【0122】
実施例2:mRNAをコーディングする遺伝子発現を増大させる3’非翻訳領域(3’-UTR)配列
mRNAをコーディングする遺伝子の発現を増大させる3’非翻訳領域(3’-UTR)配列を設計した。
【0123】
その結果、配列番号14~20のヌクレオチド配列を有する7個の3’非翻訳領域(3’-UTR)配列を得た。
【0124】
配列番号14のヌクレオチド配列は、miRNA結合予測部位を含まない配列でもある。配列番号15及び18のヌクレオチド配列は、CUリッチエレメント(UCCACCCCCCCAUCUCC(配列番号21))を含むものでもある。
【0125】
配列番号16及び19のヌクレオチド配列は、抗原R結合エレメント(UUGGUUU)を含むものでもある。
【0126】
配列番号14~20のヌクレオチド配列において、各ヌクレオチドは、天然型から変形されたものでもある。例えば、前記配列において、1以上のUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されうる。前記配列において、全てのUは、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されうる。
【0127】
実施例3:非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)配列及び3’非翻訳領域(3’-UTR)配列を使用したテンプレートベクター作製
実施例1及び実施例2で得られた配列番号1~12のヌクレオチド配列を含む非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列をコーディングする配列のうち1以上、配列番号14~20のヌクレオチド配列を含む3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列をコーディングする配列のうち1以上、及びポリペプチドをコーディングする遺伝子を作動可能に連結して製造されたベクターを製造した。
【0128】
具体的には、前記ベクターは、プロモーター、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、ポリペプチドをコーディングするオープンリーディングフレーム(ORF)、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及びポリAが連結されたものでもある。前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列のうち1以上を使用した。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号109~115のヌクレオチド配列のうち1以上を使用した。配列番号109~115のヌクレオチド配列は、それぞれ5’末端に、XhoI酵素認識配列を含み、3’末端に、NheI酵素認識配列を含む配列番号34~40のヌクレオチド配列に該当する配列である。
【0129】
前記ポリAをコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号41のヌクレオチド配列を有する。前記ベクターは、また大腸菌複製原点ColE1 ori及び選択マーカー遺伝子を含むものでもある。前記プロモーターは、T7プロモーターでもある。前記選択マーカーは、カナマイシン抵抗性酵素でもある。
【0130】
選抜された非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、及び/または3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列が、ポリペプチドをコーディングする配列と連結された場合、前記ポリペプチド生産が増大するだけではなく、非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)配列、ポリペプチドをコーディングする配列、及び3’非翻訳領域(3’-UTR)を含むmRNAの安定性が顕著に増大した。前記ポリペプチドは、配列番号42~48のアミノ酸配列をそれぞれ有するSARS-CoV-2スパイクタンパク質、またはそのアルファ(α)変異体、ベータ(β)変異体、ガンマ(γ)変異体、デルタ(δ)変異体、エプシロン(ε)変異体及びオミクロン(ο)変異体でもある。前記SARS-CoV-2スパイクタンパク質、またはそのアルファ(α)変異体、ベータ(β)変異体、ガンマ(γ)変異体、デルタ(δ)変異体、エプシロン(ε)変異体及びオミクロン(ο)変異体をコーディングするポリヌクレオチドは、配列番号49~55のヌクレオチド配列を有するものであり、そのmRNAは、それぞれ配列番号56~62のヌクレオチド配列を有するものでもある。前記ポリペプチド、例えば、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするmRNAのクローニング過程は、次の通りである。
【0131】
(1)SARS-CoV-2スパイクタンパク質及びその変異体mRNA生産のためのテンプレートベクター作製
設計された12個5’非翻訳領域(5’-UTR)配列をコーディングするヌクレオチドのうち一つ、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列のうち一つ、7個3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列のうち一つ、及びポリAを含むSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体mRNA、並びに/またはそのタンパク質産物の生産用ベクターを作製し、該ベクターを微生物細胞に導入して得られた微生物細胞を培養し、クローニングベクターを生産した。生産されたベクターをテンプレートにしたインビトロ転写を介し、mRNAを生産した。前記変異体は、アルファ(α)変異体、ベータ(β)変異体、ガンマ(γ)変異体、デルタ(δ)変異体、エプシロン(ε)変異体及びオミクロン(ο)変異体を含む。
【0132】
具体的には、まず、pUC57-AmpRベクター(Addgene社)から、抗生物質抵抗遺伝子をカナマイシン抵抗性遺伝子で置換されたベクターpUC57-KanRを作製した。作製されたpUC57-KanRベクターを、制限酵素HindIII及び制限酵素EcoRIで処理して切断した後、切断されたベクターを、合成作製されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするポリヌクレオチドとリガーゼ(ligase)とを使用して連結し、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列が挿入されたpUC57-KanRベクターを得た。SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするポリヌクレオチドは、配列番号49~55のヌクレオチド配列を有する。挿入されたスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするポリヌクレオチドは、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列と、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列とを含んでおり、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のヌクレオチド配列の5’から879番目ヌクレオチドには、BamHI制限酵素認識配列が存在し、追って、該認識配列を切断し、前記設計された5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列を導入するのに使用した。
【0133】
(2)5’非翻訳領域(5’-UTR)配列と、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列との連結
前記作製されたテンプレートベクターの5’非翻訳領域(5’-UTR)配列を、配列番号1~12の5’非翻訳領域(5’-UTR)配列をコーディングするヌクレオチド配列で置換するために、当該配列を含むプライマー、及び前記SARS-CoV-2スパイクタンパク質のBamHI制限酵素認識部位配列を含むプライマーをプライマーセットにし、前記テンプレートベクターをテンプレートにしたPCR反応を介し、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列含有DNA断片を得た。5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列含有DNA断片を、さらに安定して確保するために、1つの配列当たり、PCR反応を2段階にわたって進めた。一次プライマーを利用し、PCRを進めた後、得られた遺伝子をテンプレートにし、二次プライマーを使用し、2回目PCRを遂行し、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列含有DNA断片を得た。そこに使用されたプライマー配列は、配列番号77~100のポリヌクレオチドであった。
【0134】
PCR反応を介して確保された前記12個5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列含有DNA断片それぞれと、(1)で作製されたテンプレートベクターとを、制限酵素HindIIIと制限酵素BamHIとで処理して切断し、それら切断された配列を、リガーゼを使用して連結した。その結果、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列が、配列番号1~12のそれぞれ5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列で置換されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするベクターを作製した。
【0135】
(3)3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列の連結
(2)で作製された5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列が、配列番号22~33のそれぞれ5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列で置換されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするベクターにおいて、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列の3’末端に、配列番号109~115のそれぞれ3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチドを連結した。配列番号109~115のそれぞれヌクレオチド配列は、各5’末端に、XhoI酵素認識配列を含み、3’末端に、NheI酵素認識配列を含む配列番号34~40のヌクレオチド配列に該当する配列である。
【0136】
具体的には、配列番号109~115のそれぞれ3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、合成を介して確保した。配列番号102~108の配列は、配列番号109~115の配列に対応するRNA配列である。
【0137】
確保された配列と、(2)で作製された前記テンプレートベクターとを、XhoI制限酵素及びNheI制限酵素で切断した後、その産物を、DNAリガーゼを利用して連結した。その結果、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングする配列-SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列-3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列の構造を含むベクターを作製した。ここで、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングする配列は、配列番号22~33のそれぞれ5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングする配列を示す。前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列は、配列番号109~115のそれぞれ3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列を示す。SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列は、配列番号42~48のそれぞれSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体のアミノ酸配列を示す。
【0138】
(4)連続されたアデニンヌクレオチドの連結
(3)で作製された5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングする配列-SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列-3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列の構造を含むベクターにおいて、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列の3’末端部分に連続されたアデニンヌクレオチド配列を連結した。
【0139】
配列番号41の連続されたアデニレート配列において、5’末端と3’末端とに、それぞれNheI配列とEcoRI配列とが追加されたポリアデニレートを、合成を介して得た。確保された配列とテンプレートベクターとを、NheI制限酵素及びEcoRI制限酵素でそれぞれ切断し、切断された産物をDNAリガーゼを使用して連結した。
【0140】
その結果、5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングする配列-SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列-3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列-ポリAの構造を含むベクターを作製した。ここで、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングする配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列については、前述の通りである。また、ポリAは、配列番号41のヌクレオチド配列を有する。
【0141】
図1は、作製されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするmRNAを生産するためのベクターを示した図面である。
【0142】
実施例4:非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)配列及び3’非翻訳領域(3’-UTR)配列を使用した遺伝子産物の生産
実施例3で作製された5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングする配列-SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列-3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングする配列-ポリAの構造を含むベクターを大腸菌に導入して形質転換された大腸菌を得て、得られた大腸菌を培養し、mRNAのテンプレートになるプラスミドDNAを含んでいる大腸菌を増殖させた。増殖された大腸菌は、高速遠心分離を介して培養液と分離された後、既存に周知のアルカリ抽出法を使用し、細胞由来テンプレートDNAを確保した。確保されたテンプレートDNAは、ポリA末端に位置した制限酵素認識配列を利用して線形化させた。線形化された細胞由来テンプレートDNAを利用し、インビトロ転写を介し、5’非翻訳領域(5’-UTR)-SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列-3’非翻訳領域(3’-UTR)-ポリAのヌクレオチド配列を有するmRNAを生産した。ここで、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)、3’非翻訳領域(3’-UTR)、ポリA、及びSARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体をコーディングする配列については、前述の通りである。
【0143】
具体的には、線形化されたプラスミドDNA 10ng/μl、CleanCap(登録商標) Reagent AG 4mM、NTP 5mM、N1-メチルシュードウリジン5mM、マグネシウムイオン塩20mM、DTT 10mM、無機ピロリン酸分解酵素(inorganic PPase(pyrophosphatase))0.01U/μl、及びRNA分解酵素抑制剤1U/μl含有水性溶液に、T7 RNA重合酵素5U/μlを添加して得られた反応混合物を、37℃で1時間以上インキュベーションし、インビトロ転写反応が進められるようにした。CleanCap(登録商標) Reagent AGは、mRNA転写との同時キャッピング(co-transcriptional capping)のための試薬であり、m7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pGキャップ構造が形成されるようにする。反応物をDNA分解酵素で処理し、Monarch(登録商標) RNA Cleanup Kit(New England Biolabs社)を介してRNAを精製した。その結果、配列番号63~76のヌクレオチド配列を有するmRNAを生産した。それらmRNAに含まれた5’非翻訳領域(5’-UTR)、SARS-CoV-2スパイクタンパク質またはその変異体配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)、及びポリAのヌクレオチド配列構成は、以下の表1の通りである。
【0144】
【0145】
図2A、
図2B及び
図2Cは、生産されたmRNAにおいて、配列番号67,70,及び76のヌクレオチド配列を有するmRNAを、クロマトグラフィを介して分析した結果を示した図面である。
図2A、
図2B及び
図2Cにおいて、最大のピーク(main)が、それぞれ配列番号67,70及び76のヌクレオチド配列を有するmRNAを示す。
図2A、
図2B及び
図2Cに示されているように、配列番号67,70及び76のヌクレオチド配列を有するmRNAの純度は、それぞれ83.0%、81.9%及び83.1%であった。
【0146】
実施例5:遺伝子産物mRNAがローディングされた脂質ナノ粒子の製造
イオン化可能な脂質として、ALC-0315、((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート)(((4-hydroxybutyl)azanediyl)bis(hexane-6,1-diyl)bis(2-hexyldecanoate))(BLDpharm Ltd.(中国))、リン脂質として、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC(distearoylphosphatidylcholine))(Avanti(米国))、コレステロールとして、Synthechol(Sigma(米国))、脂質PEG接合体として、ALC-0159(2-[(polyethylene glycol)-2000]-N,N-ditetradecylacetamide)(SINOPEG(中国))を、46.3:9.4:42.7:1.6のモル比でエタノールに溶かし、脂質複合体溶液を準備した。
【0147】
実施例4で作られたmRNA 0.3mgを、100mM酢酸ナトリウムに、0.08mg/mLになるように希釈させ、mRNA含有溶液を得た。得られたmRNA溶液と、前記脂質複合体溶液とを、mRNAと脂質との複合体の重量比1:25.4になるように、5:1の体積比で、マイクロ流体装置(microfluidic device)(Ignite Nanoassemblr(PNI(カナダ)))の各マイクロチャネルに、12mL/分の流速で注入させ、mRNA溶液と前記脂質複合体溶液とを混合させた。前記混合により、脂質複合体溶液において、エタノールは、臨界エタノール濃度(critical ethanol concentration)に希釈され、mRNAローディングされた脂質ナノ粒子が形成されることになる。該マイクロ流体装置は、2個マイクロチャネルが収束されて形成されたマイクロチャネルを含み、1つのマイクロチャネルにmRNA溶液を流し、他のマイクロチャネルに脂質複合体溶液を流し、2つの溶液が流れながら混合されるようにする装置である。該マイクロ流体装置のマイクロチャネルを介して溶出された混合物は、mRNAがローディングされた脂質ナノ粒子(LNP:mRNA loaded LNP(lipid nanoparticle))である。
【0148】
製造されたmRNAローディングされたリピドナノ粒子(LNP)を10,000Daの遠心分離フィルタに積載し、0.45mM塩化カリウム、0.24mM一塩基性リン酸カリウム、20.53mM塩化ナトリウム、1.31mM二塩基性リン酸ナトリウム及び2%スクロース(pH6.9~7.9)含有のバッファでバッファ交換をさせた。その後、前記バッファにおいて、mRNAローディングされたリピドナノ粒子(LNP)溶液を、0.2μmフィルタで濾過し、最終mRNAローディングされたリピドナノ粒子(LNP)を製造した。
【0149】
実施例6:脂質ナノ粒子の特性確認
(1)脂質ナノ粒子のカプセル化効率の確認
実施例5で製造されたmRNAローディングされたリピドナノ粒子(LNP)(以下、「mRNA-LNP」ともいう)のローディング効率またはカプセル化効率(encapsulation efficiency(%))は、Quant-iT RiboGreen RNA Kit(Invitrogen(米国))を、製造メーカー指針によって使用して確認した。具体的には、前記キット中のTriton Xと、mRNAローディングされたリピドナノ粒子(LNP)とを混合し、リピドナノ粒子(LNP)を変性させ、mRNAが放出されるようにした。前記混合溶液を、Ribogreen試薬が含有されたウェルに添加し、Ribogreen試薬から放出される蛍光を検出し、放出されたmRNAを検出した。カプセル化効率は、下記数式によって計算した。
【0150】
【0151】
【0152】
表2に示されているように、野生型S、デルタ(δ)S及びオミクロン(ο)S mRNA-LNPは、高いカプセル化効率でもって、mRNAをローディングしていることを確認した。
【0153】
(2)脂質ナノ粒子の大きさ確認
実施例5で製造されたmRNA-LNPの粒子サイズと多分散指数(PDI:polydispersity index)とを、Zetasizer NanoZS(Malvern Instruments(英国))を利用して確認した。Zetasizerは、動的光散乱技術を利用し、粒子サイズと粒度分布とを定める装置である。表3は、粒子サイズと多分散指数との測定結果を示した表である。
【0154】
【0155】
表3に示されているように、野生型S,デルタ(δ)S及びオミクロン(ο)S mRNA-LNPの粒子サイズ、は80nm~100nmの範囲であった。
【0156】
実施例7:HEK293T細胞におけるmRNA発現の確認
実施例5で製造されたmRNA含有脂質ナノ粒子を、HEK293T細胞に伝達し、mRNA発現を確認した。そのために、以下のように、試験管内(in vitro)実験を進めた。
【0157】
6ウェルプレートに、HEK293T細胞を、6x105細胞/2mL/ウェルでシーディング(seeding)した後、24時間後、脂質ナノ粒子それぞれを、0.5μgあるいは2μgを添加し、24時間培養した。該培養は、培地内において、37℃で遂った。培養終了後、破裂バッファ(lysis buffer)、M-PER(商標)(mammalian protein extraction reagent)(Cat No. 78501(Thermo Scientific(商標)))160μl/ウェルをウェルに添加し、細胞を破裂させ、タンパク質を抽出した後、Pierce(商標)BCA Protein Assay Kit(Cat No. 23225(Thermo Scientific(商標)))を使用し、BCAタンパク質定量を実施した。得られた試料を、破裂バッファ及び5x還元染料(reducing dye)(10% SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロール、0.5%2-メルカプトエタノール、250mM tris(pH6.8))に希釈し、タンパク質濃度を同一にした。得られた希釈された試料につき、Anti-SARS-CoV-2 Spike S1 Subunit monoclonal antibody(Cat No. MAB105403(R&D systems))を利用し、ウェスタンブロット(Western blot)実験を行った。
【0158】
図3は、生産されたmRNA-LNPが細胞に導入される場合、スパイクタンパク質が発現することを、ウェスタンブロットを介して確認した結果を示す図面である。
図3に示されているように、Sタンパク質は、mRNA-LNP処理濃度上昇によって発現が増大した。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0158
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0158】
図3は、生産されたmRNA-LNPが細胞に導入される場合、スパイクタンパク質が発現することを、ウェスタンブロットを介して確認した結果を示す図面である。
図3に示されているように、Sタンパク質は、mRNA-LNP処理濃度上昇によって発現が増大した。
本願発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1>
非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドであり、前記ポリヌクレオチドは、ポリデオキシリボヌクレオチドであり、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、それに作動可能に連結された上流プロモーター領域ヌクレオチド配列、前記プロモーターに作動可能に連結された転写可能なヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)配列の下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)配列と作動可能に連結されたものであり、
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号ヌクレオチド配列を含み、前記転写可能なヌクレオチド配列と、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)配列の上流において、作動可能に連結されたものであり、
前記転写可能なヌクレオチド配列は、配列番号42のアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するものであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
<2>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と、70%以上の配列同一性を有するものを含む、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<3>
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15または20のヌクレオチド配列と、80%以上の配列同一性を有するものを含む、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<4>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列のうちから選択されたものを含む、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<5>
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34~40のヌクレオチド配列、及び配列番号109~115のヌクレオチド配列を含む配列のうちから選択されたものを含む、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<6>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列のうちから選択されたものを含み、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34~40のヌクレオチド配列を含む配列のうちから選択されたものを含む、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<7>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22または31のヌクレオチド配列であるものを含み、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号40のヌクレオチドであるものを含む、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<8>
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号49~55のヌクレオチド配列のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有するものを含む、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
<9>
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体は、配列番号42~48のアミノ酸配列のうちいずれか1つのアミノ酸配列をさらに含む、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<10>
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号49~55のヌクレオチド配列のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<11>
配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列をコーディングする、<1>に記載のポリヌクレオチド。
<12>
発現構造体またはベクターである、<1>~<11>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
<13>
テンプレートとして、<1>~<12>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを使用した転写によって得られる、RNA。
<14>
非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列、3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列、またはその組み合わせを含む分離されたポリヌクレオチドであり、
前記ポリヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドであり、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を含み、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチドの下流において、5’非翻訳領域(5’-UTR)と作動可能に連結されており、
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列の下流において、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列と作動可能に連結されており、
前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号42のアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するものであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
<15>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と、70%以上の配列同一性を有するものを含む、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<16>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1~12のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含む、<15>に記載のポリヌクレオチド。
<17>
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15または20のヌクレオチド配列と、80%以上の配列同一性を有するものを含む、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<18>
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14~20のヌクレオチド配列、及び配列番号102~108のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含む、<17>に記載のポリヌクレオチド。
<19>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1~12のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含むものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14~20のヌクレオチド配列、及び配列番号102~108のヌクレオチド配列によってなる群のうちから選択されたものを含む、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<20>
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1または10のヌクレオチド配列によってなるものを含むものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号20のヌクレオチド配列によってなるものを含む、<19>に記載のポリヌクレオチド。
<21>
前記ポリヌクレオチドのうち1以上のUが、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)で置換されたものを含む、<20>に記載のポリヌクレオチド。
<22>
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号56~62のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有するものを含む、<20>に記載のポリヌクレオチド。
<23>
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体は、配列番号42~48のアミノ酸配列のうちいずれか1つのアミノ酸配列を有する、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<24>
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号56~62のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<25>
配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<26>
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、それに作動可能に連結された下流ポリアデニレートヌクレオチド配列をさらに含む、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<27>
5’末端は、5’キャップ構造を有する、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<28>
1以上の変形されたヌクレオチドを含む、<14>に記載のポリヌクレオチド。
<29>
前記変形されたヌクレオチドは、Uの代わりに、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)を含む、<28>に記載のポリヌクレオチド。
<30>
<1>~<13>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドをテンプレートにし、RNAを転写する段階を含む、RNAを得る方法。
<31>
<1>~<13>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む細胞を培養し、前記ポリヌクレオチドのRNA転写体を生産する段階を含む、<30>に記載の方法。
<32>
<30>に記載の方法によって得られたRNAを翻訳する段階を含む、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体を得る方法。
<33>
<1>~<13>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む細胞を培養し、前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体を生産する段階を含む、<32>に記載の方法。
<34>
活性成分として、<14>~<29>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体を個体に伝達するための組成物。
<35>
SARS-CoV-2に対する免疫反応を誘導するためのものである、<34>に記載の組成物。
<36>
SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、<34>に記載の組成物。
<37>
活性成分として、<14>~<29>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、SARS-CoV-2に対する免疫反応を誘導するための組成物。
<38>
SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、<37>に記載の組成物。
<39>
活性成分として、<14>~<29>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、及び脂質ナノ粒子(LNP)を含む、SARS-CoV-2に対する免疫反応を誘導するための組成物。
<40>
SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、<39>に記載の組成物。
<41>
<14>~<29>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する段階を含む前記ポリヌクレオチドを利用する、方法。
<42>
前記ポリヌクレオチドは、RNAであり、前記宿主細胞は、樹枝状細胞を含む抗原提供細胞、モノサイトまたはマクロファージである、<41>に記載の方法。
<43>
<14>~<29>のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを個体に投与する段階を含む、<41>に記載の方法。
<44>
前記個体を、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体に対して免疫化する、<43>に記載の方法。
<45>
前記個体において、SARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、<43>に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列
、転写可能なヌクレオチド配列、及び3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配
列を含
むポリヌクレオチドであ
って、ここで、
前記ポリヌクレオチドは、
DNAであり、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)
には
、上流プロモーター領域ヌクレオチド配列
が作動可能に連結されており、
前記
転写可能なヌクレオチド配列は、前記上流プロモーター
領域ヌクレオチド配列に作動可能に連結され
ており、前記転写可能なヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)
をコーディングするヌクレオチド配列の下流
側で、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)
をコーディングするヌクレオチド配列と作動可能に連結され
ており、
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)
には
、下流ポリアデニレートまたはポリアデニレート付着信号ヌクレオチド配列
が作動可能に連結されており、
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)
をコーディングするヌクレオチド配列の上流
側で、
前記転写可能なヌクレオチド配列と作動可能に連結されており、
前記転写可能なヌクレオチド配列は、配列番号42のアミノ酸配列
と80%以上の配列同一性を有するものであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列を含
み、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と70%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15または20のヌクレオチド配列と、80%以上の配列同一性を有する
ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号22~33のヌクレオチド配列
からなる群から選択された
ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号34~40のヌクレオチド配列、及び配列番号109~115のヌクレオチド配列
からなる群から選択された
ヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体は、配列番号42~48のアミノ酸配列のうちいずれか1つのアミノ酸配列
を含む、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列をコーディングする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
発現構造体またはベクターである、請求項
1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
非天然5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド配列
、ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列、及び3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配
列を含
むポリヌクレオチドであ
って、
前記ポリヌクレオチドは、
RNAであり、
前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、前記5’非翻訳領域(5’-UTR)ヌクレオチド
配列の下流
側で、5’非翻訳領域(5’-UTR)と作動可能に連結されており、
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配列は、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列の下流
側で、前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列と作動可能に連結されており、
前記ポリペプチドをコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号42のアミノ酸配列と、80%以上の配列同一性を有するものであるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列を含
み、
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1のヌクレオチド配列と70%以上の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1~12のヌクレオチド配列
からなる群から選択された
ヌクレオチド配列を含む、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号15または20のヌクレオチド配列と、80%以上の配列同一性を有する
ヌクレオチド配列を含む、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14~20のヌクレオチド配列、及び配列番号102~108のヌクレオチド配列
からなる群から選択された
ヌクレオチド配列を含む、請求項
10に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記5’非翻訳領域(5’-UTR)は、配列番号1~12のヌクレオチド配列
からなる群から選択された
ヌクレオチド配列を含むものであり、前記3’非翻訳領域(3’-UTR)は、配列番号14~20のヌクレオチド配列、及び配列番号102~108のヌクレオチド配列
からなる群から選択された
ヌクレオチド配列を含む、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体は、配列番号42~48のアミノ酸配列のうちいずれか1つのアミノ酸配列を有する、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
前記SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体をコーディングするヌクレオチド配列は、配列番号56~62のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項15】
配列番号63~76のうちいずれか1つのヌクレオチド配列を有する、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
前記3’非翻訳領域(3’-UTR)ヌクレオチド配
列に作動可能に連結された下流ポリアデニレートヌクレオチド配列をさらに含む、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
5’末端は、5’キャップ構造を有する、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
1以上の変形されたヌクレオチドを含む、請求項
8に記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
前記変形されたヌクレオチドは
、N1-メチル-シュードウリジン(N1-methyl-pseudouridine)を含む、請求項
18に記載のポリヌクレオチド。
【請求項20】
活性成分として、請求項
8~
19のうちいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質またはその変異体を個体に伝達するための組成物。
【請求項21】
SARS-CoV-2に対する免疫反応を誘導するためのものである、
またはSARS-CoV-2感染症を予防するためのものである、請求項
20に記載の組成物。
【請求項22】
さらに脂質ナノ粒子(LNP)を含む、請求項20に記載の組成物。
【国際調査報告】