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特表2025-501799オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器
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  • 特表-オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器 図1
  • 特表-オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器 図2
  • 特表-オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器 図3
  • 特表-オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器 図4
  • 特表-オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器 図5
  • 特表-オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】オーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532247
(86)(22)【出願日】2023-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2023072710
(87)【国際公開番号】W WO2024138813
(87)【国際公開日】2024-07-04
(31)【優先権主張番号】202211726957.5
(32)【優先日】2022-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523182360
【氏名又は名称】エーエーシー アコースティック テクノロジーズ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】裴詩雨
(72)【発明者】
【氏名】マァン ズァン イォウ
(72)【発明者】
【氏名】曹夢雅
(72)【発明者】
【氏名】鄭亜軍
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA34
(57)【要約】
【課題】本発明は、オーディオ技術分野に関し、特にオーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器に関する。
【解決手段】前記方法は、オリジナルオーディオデータを取得することと、予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行うことと、前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成することと、前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力することと、を含む。従来技術と比べて、本発明では、オーディオ自体に応じて振動駆動信号振幅を動的に調整し、オーディオのリアルタイム振動フィードバックを完成させ、オーディオデータによってマッチングする振動フィードバックをリアルタイムで取得する技術的効果を実現し、振動フィードバックのユーザー体験を高める。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナルオーディオデータを取得することと、
予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って信号振動閾値を取得することと、
前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成することと、
前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力することと、を含む、
ことを特徴とするオーディオによる動的調整振動フィードバック方法。
【請求項2】
予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って、信号振動閾値を取得するステップは、
第iフレームでは、前記予め設定された信号振動閾値はT(1)であり、前記オリジナルオーディオデータの第t時刻において、前記予め設定された信号振動閾値をT(t)、前記オーディオ瞬時電力エンベロープを追跡することで得られる前記瞬時電力特性をC(t)とすることと、
比率rを設定し、前記比率によって前記瞬時電力特性C(t)を調整することで、第2瞬時電力特性C`(t)を取得し、ここで、C`(t)=r・C(t)であることと、
前記第2瞬時電力特性C`(t)と第t-1時刻の信号振動閾値T(t-1)の大きさを比較し、T(t)に対して自己適応調整を行い、ここで、C`(t)がT(t-1)より大きい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を上方に調整し、C`(t)がT(t-1)より小さい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を下方に調整することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法。
【請求項3】
前記比率rの範囲は[0,1]である、
ことを特徴とする請求項2に記載のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法。
【請求項4】
前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成するステップは、
前記オリジナルオーディオデータの中で、C`(t)とT(t)を比較し、ここで、C`(t)がT(t)より大きい場合、対応する第t時刻が位置する時間領域を前記振動範囲に分割することと、
バイブレータの共振周波数をf、定格電圧をvrmsとし、領域の長さと領域内の電力の大きさによって、前記共振周波数f、定格電圧vrmsの単一周波数の短長信号を対応する前記振動範囲に充填し、そして前記オーディオ瞬時電力エンベロープによって前記振動信号振幅エンベロープを調整して、前記振動範囲内の前記振動駆動信号を生成することと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法。
【請求項5】
前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力するステップは、
前記オリジナルオーディオデータの時間領域内で、フレーム毎に前記振動信号振幅エンベロープの短長信号を充填し、前記オリジナルオーディオデータに完全に対応する前記振動駆動信号を取得するとともに、各フレームの最終ビットの電力特性と閾値を次のフレームの初期値として留保することと、
前記振動駆動信号をバイブレータに出力して、振動フィードバックを発生させることと、を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法。
【請求項6】
前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、予め設定された時間間隔で前記オリジナルオーディオデータを分割し、各前記予め設定された時間間隔に対応する前記オリジナルオーディオデータを1フレームとする、
ことを特徴とする請求項1に記載のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法。
【請求項7】
前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータの最初のフレームがシングルチャネルデータであるか否かを判断し、
シングルチャネルデータである場合、次の各フレームデータを直接取得し、
シングルチャネルデータでない場合、次の各フレームデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータにおける異なるチャネルのデータの平均値を取って取得する、
ことを特徴とする請求項6に記載のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法。
【請求項8】
オリジナルオーディオデータを取得するためのオーディオ取得モジュールと、
予め設定された信号振動閾値を設定し、前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行い、信号振動閾値を取得するための閾値調整モジュールと、
前記瞬時電力特性と前記信号振動閾値によって前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを調整して、振動駆動信号を生成するための振幅調整モジュールと、
前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力するための振動フィードバックモジュールと、を含む、
ことを特徴とするオーディオによる動的調整振動フィードバックシステム。
【請求項9】
プロセッサと、メモリと、前記メモリに記憶されかつ前記プロセッサで実行できるコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する時に、請求項1~7のいずれか1項に記載の前記オーディオによる動的調整振動フィードバック方法におけるステップを実現する、
ことを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項10】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時に、請求項1~7のいずれか1項に記載の前記オーディオによる動的調整振動フィードバック方法におけるステップを実現する、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ技術分野に関し、特にオーディオによる動的調整振動フィードバック方法、システム及び関連機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
音楽振動フィードバックは着信音、音楽再生ソフト、ビデオ音楽再生などに徐々に応用されており、音楽は伝統的な音声再生をもとに、より豊かで面白い触覚体験を持つようになっている。
【0003】
従来技術では、音楽振動フィードバックはニューラルネットワークによる実現方法を採用することが多く、モデルの占有スペースが大きく、変換時間が長く、応用時に変換済みライブラリから振動ファイルを呼び出して音楽振動フィードバックを完成させる必要があり、市場のリアルタイムシーンのニーズを満たすことが困難である。
【0004】
したがって、リアルタイムで精確な振動フィードバックのニーズを満たすために、リアルタイムのオーディオ振動フィードバック方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、音楽にマッチングできる振動出力をリアルタイムで生成することができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、第1面では、本発明には、オーディオによる動的調整振動フィードバック方法が提供され、前記振動フィードバック方法は、オリジナルオーディオデータを取得することと、予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って信号振動閾値を取得することと、前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成することと、前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力することと、を含む。
【0007】
好ましくは、予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って、信号振動閾値を取得するステップは、
第iフレームでは、前記予め設定された信号振動閾値はT(1)であり、前記オリジナルオーディオデータの第t時刻において、前記予め設定された信号振動閾値をT(t)、前記オーディオ瞬時電力エンベロープを追跡することで得られる前記瞬時電力特性をC(t)とすることと、
比率rを設定し、前記比率によって前記瞬時電力特性C(t)を調整することで、第2瞬時電力特性C`(t)を取得し、ここで、C`(t)=r・C(t)であることと、
前記第2瞬時電力特性C`(t)と第t-1時刻の信号振動閾値T(t-1)の大きさを比較し、T(t)に対して自己適応調整を行い、ここで、C`(t)がT(t-1)より大きい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を上方に調整し、C`(t)がT(t-1)より小さい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を下方に調整することと、を含む
【0008】
好ましくは、前記比率rの範囲は[0,1]である。
【0009】
好ましくは、前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成するステップは、
前記オリジナルオーディオデータの中で、C`(t)とT(t)を比較し、ここで、C`(t)がT(t)より大きい場合、対応する第t時刻が位置する時間領域を前記振動範囲に分割することと、
バイブレータの共振周波数をf、定格電圧をvrmsとし、領域の長さと領域内の電力の大きさによって、前記共振周波数f、定格電圧vrmsの単一周波数の短長信号を対応する前記振動範囲に充填し、そして前記オーディオ瞬時電力エンベロープによって前記振動信号振幅エンベロープを調整して、前記振動範囲内の前記振動駆動信号を生成することと、を含む。
【0010】
好ましくは、前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力するステップは、
前記オリジナルオーディオデータの時間領域内で、フレーム毎に前記振動信号振幅エンベロープの短長信号を充填し、前記オリジナルオーディオデータに完全に対応する前記振動駆動信号を取得するとともに、各フレームの最終ビットの電力特性と閾値を次のフレームの初期値として留保することと、
前記振動駆動信号をバイブレータに出力して、振動フィードバックを発生させることと、を含む。
【0011】
好ましくは、前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、予め設定された時間間隔で前記オリジナルオーディオデータを分割し、各前記予め設定された時間間隔に対応する前記オリジナルオーディオデータを1フレームとする。
【0012】
好ましくは、前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータの最初のフレームがシングルチャネルデータであるか否かを判断し、
シングルチャネルデータである場合、次の各フレームデータを直接取得し、
シングルチャネルデータでない場合、次の各フレームデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータにおける異なるチャネルのデータの平均値を取って取得する。
【0013】
第2面では、本発明には、オーディオによる動的調整振動フィードバックシステムがさらに提供され、オリジナルオーディオデータを取得するためのオーディオ取得モジュールと、予め設定された信号振動閾値を設定し、前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行い、信号振動閾値を取得するための閾値調整モジュールと、前記瞬時電力特性と前記信号振動閾値によって前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを調整して、振動駆動信号を生成するための振幅調整モジュールと、前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力するための振動フィードバックモジュールと、を含む。
【0014】
第3面では、本発明には、コンピュータ装置がさらに提供され、プロセッサと、メモリと、前記メモリに記憶されかつ前記プロセッサで実行できるコンピュータプログラムと、を含み、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する時に、上記のいずれか1項に記載の前記オーディオによる動的調整振動フィードバック方法におけるステップを実現する。
【0015】
第4面では、本発明には、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体がさらに提供され、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時に、上記のいずれか1項に記載の前記オーディオによる動的調整振動フィードバック方法におけるステップを実現する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比べて、本発明のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法では、フレーム毎にオーディオを読み込み、データを解析してその電力エンベロープ特性を取得し、取得された特性に基づいて自己適応的な振動閾値調整を行い、さらに特性と閾値の関係を判断して振動範囲に対応して振動駆動信号をマッチングする。これにより、オーディオ自体に応じて振動駆動信号振幅を動的に調整し、オーディオのリアルタイム振動フィードバックを完成させ、オーディオデータによってマッチングする振動フィードバックをリアルタイムで取得する技術的効果を実現し、振動フィードバックのユーザー体験を高めている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができ、そのうち、
図1図1は、本発明の実施例によって提供されたオーディオによる動的調整振動フィードバック方法のフローチャートである。
図2図2は、本発明の実施例によって提供された瞬時電力エンベロープと、瞬時電力特性と、予め設定された信号振動閾値との関係を示すグラフである。
図3図3は、本発明の実施例によって提供された振動駆動信号の増幅を示すグラフである。
図4図4は、本発明の実施例ではオリジナルオーディオデータによって得られた振動駆動信号の概略図である。
図5図5は、本発明の実施例によって提供されたオーディオによる動的調整振動フィードバックシステムの構成を示す図である。
図6図6は、本発明の実施例によって提供されたコンピュータ装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら本発明の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明における実施例に基づいて進歩的な労働をしない前提に得られた他の全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0019】
図1は、本発明の実施例によって提供されたオーディオによる動的調整振動フィードバック方法のフローチャートであり、図1に示すように、前記振動フィードバック方法は、以下のステップを含む。
【0020】
S1:オリジナルオーディオデータを取得する。
【0021】
具体的に、本発明の実施例における前記オリジナルオーディオデータを取得する方法は、既存のオーディオデータから取得したり、テープレコーダーやビデオ撮影などの方法でリアルタイムで抽出した後、独立したオーディオデータファイルなどに変換したりする方法を含むが、これらに限定されるものではない。
【0022】
好ましくは、前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、予め設定された時間間隔で前記オリジナルオーディオデータを分割し、各前記予め設定された時間間隔に対応する前記オリジナルオーディオデータを1フレームとし、例えば、200msを間隔として前記オリジナルオーディオデータを分割し、前記オリジナルオーディオデータを、200msを1フレームとする処理部分に分割する。
【0023】
好ましくは、前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータの最初のフレームがシングルチャネルデータであるか否かを判断し、
シングルチャネルデータである場合、次の各フレームデータを直接取得し、
シングルチャネルデータでない場合、次の各フレームデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータにおける異なるチャネルのデータの平均値を取って取得する。
【0024】
S2:予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って信号振動閾値を取得する。
【0025】
好ましくは、予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って信号振動閾値を取得するステップは、以下のサブステップを含む。
【0026】
S21:第iフレームにおいて、前記予め設定された信号振動閾値はT(1)であり、前記オリジナルオーディオデータの第t時刻において、前記予め設定された信号振動閾値をT(t)、前記オーディオ瞬時電力エンベロープを追跡することで得られる前記瞬時電力特性をC(t)とする。
【0027】
具体的に、図2を参照して、図2は、本発明の実施例によって提供された瞬時電力エンベロープと、瞬時電力特性と、予め設定された信号振動閾値との関係を示す図であり、前記瞬時電力特性C(t)は、少なくとも下記の電力情報、例えば、前記オリジナルオーディオデータにおける第iフレームのデータ、瞬時電力の特徴エネルギーを含み、図2の左下部分にある連続で不規則な振幅形状を構成する。前記オーディオ瞬時電力エンベロープを追跡することで得られる前記瞬時電力特性C(t)は連続的な特性を有し、連続的な曲線として表すことができる。
【0028】
S22:比率rを設定し、前記比率によって前記瞬時電力特性C(t)を調整することで、第2瞬時電力特性C`(t)を取得し、ここで、C`(t)=r・C(t)である。
【0029】
S23:前記第2瞬時電力特性C`(t)と第t-1時刻の信号振動閾値T(t-1)の大きさを比較し、T(t)に対して自己適応調整を行う。
ここで、
`(t)がT(t-1)より大きい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を上方に調整する。
`(t)がT(t-1)より小さい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を下方に調整する。
【0030】
本発明の実施例では、前記信号振動閾値を設定するのは、振動駆動信号が元の前記オリジナルオーディオデータの持つ電力と比べてよりマッチングするようになるためである。したがって、前記予め設定された幅は、前記瞬時電力特性自体の幅に応じて調整することができる。
【0031】
好ましくは、前記比率rの範囲は[0,1]である。
【0032】
S3:前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して振動駆動信号を生成する。
【0033】
好ましくは、前記瞬時電力特性と前記信号振動閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、前記振動駆動信号を生成するステップは、以下のサブステップを含む。
【0034】
S31:前記オリジナルオーディオデータの中で、C`(t)とT(t)を比較し、C`(t)がT(t)より大きい場合、対応する第t時刻が位置する時間領域を前記振動範囲に分割する。
【0035】
S32:バイブレータの共振周波数をf、定格電圧をvrmsとし、領域の長さと領域内電力の大きさによって、前記共振周波数f、定格電圧vrmsの単一周波数の短長信号を対応する前記振動範囲に充填し、そして前記オーディオ瞬時電力エンベロープによって前記振動信号振幅エンベロープを調節して、前記振動範囲内における前記振動駆動信号を生成する。
【0036】
具体的に、図3を参照して、図3は、本発明の実施例によって提供された振動駆動信号の増幅を示す図であり、元のバイブレータの振幅と比べて、共振周波数fの単一周波数信号によって振幅調整を行った後、最終的な前記振動駆動信号はより高い振幅を有するとともに、変化幅も低減され、振動フィードバックがより連続的になる。
【0037】
S4:前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力する。
【0038】
好ましくは、前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力するステップは、以下のサブステップを含む。
【0039】
S41:前記オリジナルオーディオデータの時間領域内で、フレーム毎に前記振動信号振幅エンベロープの短長信号を充填し、前記オリジナルオーディオデータに完全に対応する前記振動駆動信号を取得するとともに、各フレームの最後ビットの電力特性と閾値を次のフレームの初期値として留保する。
【0040】
S42:前記振動駆動信号をバイブレータに出力して、振動フィードバックを発生させる。
【0041】
具体的に、本発明の実施例では、前記触覚フィードバック効果はバイブレータを主とした振動フィードバックシステムによって実現される必要がある。図4を参照して、図4は、本発明の実施例でオリジナルオーディオデータによって得られた振動駆動信号の概略図である。明らかなように、本発明の実施例では、前記オーディオによる動的調整振動フィードバック方法によって得られる前記振動駆動信号は、前記オリジナルオーディオデータに精確に対応することができる。
【0042】
従来技術と比べて、本発明のオーディオによる動的調整振動フィードバック方法では、フレーム毎にオーディオを読み込み、データを解析してその電力エンベロープ特性を取得し、取得された特性に基づいて自己適応的な振動閾値調整を行い、さらに特性と閾値の関係を判断して振動範囲に対応して振動駆動信号をマッチングする。これにより、オーディオ自体に応じて振動駆動信号振幅を動的に調整し、オーディオのリアルタイム振動フィードバックを完成させ、オーディオデータによってマッチングする振動フィードバックをリアルタイムで取得する技術的効果を実現し、振動フィードバックのユーザー体験を高めている。
【0043】
本発明の実施例では、オーディオによる動的調整振動フィードバックシステムをさらに提供する。図5を参照して、図5は、本発明の実施例によって提供されたオーディオによる動的調整振動フィードバックシステム200の構成を示す図である。前記オーディオによる動的調整振動フィードバックシステム200は、
オリジナルオーディオデータを取得するためのオーディオ取得モジュール201と、
予め設定された信号振動閾値を設定し、前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行い、信号振動閾値を取得するための閾値調整モジュール202と、
前記瞬時電力特性と前記予め設定された信号振動閾値によって前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成するための振幅調整モジュール203と、
前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力するための振動フィードバックモジュール204と、を含む。
【0044】
本発明の実施例によって提供されたオーディオによる動的調整振動フィードバックシステム200は、上記の実施例におけるオーディオによる動的調整振動フィードバック方法におけるステップを実現することができ、且つ同じような技術的効果を実現することができる。具体的に上記の実施例の説明を参照でき、ここでは繰り返して説明する必要がない。
【0045】
本発明の実施例では、さらにコンピュータ装置を提供する。図6を参照して、図6は、本発明の実施例によって提供されたコンピュータ装置の構成を示す図である。前記コンピュータ装置300は、プロセッサ301と、メモリ302と、前記メモリ302に記憶されかつ前記プロセッサ301で実行できるコンピュータプログラムと、を含む。
【0046】
図1に示すように、前記プロセッサ301は、前記メモリ302に記憶されたコンピュータプログラムを呼び出して、前記コンピュータプログラムを実行する時に、上記の実施例における前記オーディオによる動的調整振動フィードバック方法を実現するステップは、
オリジナルオーディオデータを取得することと、
予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って信号振動閾値を取得することと、
前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成することと、
前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力することと、を含む。
【0047】
好ましくは、予め設定された信号振動閾値を設定し、そして前記オリジナルオーディオデータのオーディオ瞬時電力エンベロープを追跡して、対応する瞬時電力特性を取得するとともに、前記瞬時電力特性によって前記予め設定された信号振動閾値に対して自己適応調整を行って、信号振動閾値を取得するステップは、
第iフレームでは、前記予め設定された信号振動閾値はT(1)であり、前記オリジナルオーディオデータの第t時刻において、前記予め設定された信号振動閾値をT(t)、前記オーディオ瞬時電力エンベロープを追跡することで得られる前記瞬時電力特性をC(t)とすることと、
比率rを設定し、前記比率によって前記瞬時電力特性C(t)を調整することで、第2瞬時電力特性C`(t)を取得することと、
前記第2瞬時電力特性C`(t)と第t-1時刻の信号振動閾値T(t-1)の大きさを比較し、T(t)に対して自己適応調整を行い、ここで、C`(t)がT(t-1)より大きい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を上方に調整し、C`(t)がT(t-1)より小さい場合、前記予め設定された信号振動閾値T(t)を下方に調整することと、を含む。
【0048】
好ましくは、前記比率rの範囲は[0,1]である。
【0049】
好ましくは、前記瞬時電力特性と前記信号振幅閾値によって、前記オリジナルオーディオデータの振動範囲を分割し、そして前記オリジナルオーディオデータの振動信号振幅エンベロープを動的に調整して、振動駆動信号を生成するステップは、
前記オリジナルオーディオデータの中で、C`(t)とT(t)を比較し、ここで、C`(t)がT(t)より大きい場合、対応する第t時刻が位置する時間領域を前記振動範囲に分割することと、
バイブレータの共振周波数をf、定格電圧をvrmsとし、領域の長さと領域内の電力の大きさによって、前記共振周波数f、定格電圧vrmsの単一周波数の短長信号を対応する前記振動範囲に充填し、そして前記オーディオ瞬時電力エンベロープによって前記振動信号振幅エンベロープを調整して、前記振動範囲内の前記振動駆動信号を生成することと、を含む。
【0050】
好ましくは、前記振動駆動信号によって振動フィードバックを出力するステップは、
前記オリジナルオーディオデータの時間領域内で、フレーム毎に前記振動信号振幅エンベロープの短長信号を充填し、前記オリジナルオーディオデータに完全に対応する前記振動駆動信号を取得するとともに、各フレームの最終ビットの電力特性と閾値を次のフレームの初期値として留保することと、
前記振動駆動信号をバイブレータに出力して、振動フィードバックを発生させることと、を含む。
【0051】
好ましくは、前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、予め設定された時間間隔で前記オリジナルオーディオデータを1フレームに分割する。
【0052】
好ましくは、前記オリジナルオーディオデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータの最初のフレームがシングルチャネルデータであるか否かを判断し、
シングルチャネルデータである場合、次の各フレームデータを直接取得し、
シングルチャネルデータでない場合、次の各フレームデータを取得する時に、前記オリジナルオーディオデータにおける異なるチャネルのデータの平均値を取って取得する。
【0053】
本発明の実施例によって提供されたコンピュータ装置300は、上記の実施例におけるオーディオによる動的調整振動フィードバック方法の各ステップを実現することができ、且つ同じ技術的効果を実現することができる。具体的に上記の実施例の説明を参照でき、ここでは繰り返して説明する必要がない。
【0054】
本発明の実施例では、さらにコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される時に、本発明の実施例によって提供されたオーディオによる動的調整振動フィードバック方法における各過程とステップを実現し、且つ同じ技術的効果を実現することができる。重複を避けるため、ここでは繰り返して説明する必要がない。
【0055】
以上説明したものは、本発明の一実施形態に過ぎず、当業者であれば、本発明の創造的思想を逸脱することなく改良も行うが可能であるが、これらはいずれも本発明の保護範囲に含まれることをここで指摘すべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】