(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】音場制御方法、装置、デバイスおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
H04R3/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023532436
(86)(22)【出願日】2023-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 CN2023090929
(87)【国際公開番号】W WO2024130925
(87)【国際公開日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】202211653554.2
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522237667
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ (ナンジン) カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Technologies (Nanjing) Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】曹南
(72)【発明者】
【氏名】叶利剣
(72)【発明者】
【氏名】王洪興
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA05
5D220AB06
(57)【要約】
本発明は、音場制御方法、装置、デバイスおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。目標音場パラメータを取得し、目標音場パラメータに従って音発生装置の制御パラメータを計算し、制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御する。本発明の技術的解決策によれば、合理的な目標音場パラメータが設定され、目標音場パラメータに基づいて、音発生装置の各音発生ユニットが相互に連携するように制御されることで、音場の分割制御を実現できる。これによって、音発生装置によって放出された音が各目標領域において所需の音場を形成し、異なる領域の複数の目標ユーザーの音声信号受信要件を同時に満たすことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子設備に適用する音場制御方法であって、前記電子設備は音発生装置を含み、前記音場制御方法は、
目標音場パラメータを取得するステップであって、前記目標音場パラメータは目標領域の音声特徴パラメータを含む目標音場パラメータを取得するステップと、
前記目標音場パラメータに基づいて前記音発生装置の制御パラメータを計算するステップと、
前記制御パラメータに基づいて前記音発生装置の動作を制御するステップと、を含むことを特徴とする音場制御方法。
【請求項2】
前記目標音場パラメータを取得するステップは、前記電子設備の機能使用状態をリアルタイムで監視するステップと、前記機能使用状態が切り替わったことを検知されると、切り替わった目標機能使用状態に従って対応する目標音場パラメータを決定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の音場制御方法。
【請求項3】
前記電子設備の制御可能な領域は、複数の予め設定される領域を含み、
前記目標音場パラメータを取得するステップは、目標ユーザーの位置情報を取得するステップと、前記位置情報に基づいて複数の予め設定される領域から対応する前記目標領域を決定するステップと、前記目標領域に対応する目標制御点に基づいて前記目標音場パラメータを決定するステップとを含むことを特徴とする請求項1に記載の音場制御方法。
【請求項4】
前記目標ユーザーは、第1目標ユーザーと第2目標ユーザーとを含み、前記目標領域は、前記第1目標ユーザーに対応する許容知覚領域および前記第2目標ユーザーに対応する音場相殺領域を含み、前記目標領域に対応する目標制御点に基づいて前記目標音場パラメータを決定するステップは、前記許容知覚領域に対応する第1目標制御点に従って目標出力音声信号に対応する音場増強特徴パラメータを決定し、また、前記音場相殺領域に対応する第2目標制御点に従って音場相殺音波に対応する音場相殺特徴パラメータを決定するステップを含み、前記音場増強特徴パラメータおよび前記音場相殺特徴パラメータは前記目標音場パラメータを構成する、ことを特徴とする請求項3に記載の音場制御方法。
【請求項5】
前記音発生装置は、1つまたは複数の音発生ユニットを備え、前記制御パラメータは、各前記音発生ユニットの前記目標制御パラメータを含み、前記目標音場パラメータに基づいて前記音発生装置の制御パラメータを計算するステップは、予め設定された制約に従って、前記目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して最適解を求め、前記音発生装置の目標音発生ユニットの前記目標制御パラメータを得るステップを含み、前記計算式が以下の式で表される、ことを特徴とする請求項3に記載の音場制御方法。
【請求項6】
予め設定された制約に従って、前記目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して最適解を求め、前記音発生装置の目標音発生ユニットの前記目標制御パラメータを得るステップは、前記目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して計算を行い、複数の関数値を得るステップと、前記目標関数の最小関数値を制約条件とし、最小関数値に対応する制御パラメータを前記音発生装置の目標音発生ユニットの前記目標制御パラメータとして決定するステップとを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の音場制御方法。
【請求項7】
前記制御パラメータに基づいて前記音発生装置の動作を制御するステップの後に、
各前記目標制御点の実際の音場パラメータを収集し、各前記実際の音場パラメータと対応する前記目標音場パラメータとの間の異評価指数を計算し、前記異評価指数と予め設定されたしきい値とを比較し、前記異評価指数が予め設定されたしきい値以上である場合、前記異評価指数に従って前記制御パラメータを調整し、調整された前記制御パラメータに基づいて前記音発生装置の動作を制御する、ことを特徴とする請求項3に記載の音場制御方法。
【請求項8】
電子設備に適用する音場制御装置であって、前記電子設備は音発生装置を備え、前記音場制御装置は、取得モジュールと演算モジュールと制御モジュールとを備え、
前記取得モジュールは、目標音場パラメータを取得するために使用され、前記目標音場パラメータは目標領域の音声特徴パラメータを含み、
前記演算モジュールは、前記目標音場パラメータに基づいて前記音発生装置の制御パラメータを計算するために使用され、
前記制御モジュールは、前記制御パラメータに従って前記音発生装置の動作を制御するために使用される、ことを特徴とする音場制御装置。
【請求項9】
音発生装置、処理部および記録部を備える電子設備であって、
前記処理部は、前記記録部に格納されるコンピュータプログラムを実行するために使用され、
前記処理部が前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の前記方法に含まれるステップを実行することを特徴とする電子設備。
【請求項10】
コンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータプログラムが処理部によって実行されると、請求項1~請求項7のいずれか1つの記載の前記方法に含まれるステップを実行することを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声学の技術分野に属し、特に、音場制御方法、装置、デバイスおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
音場とは媒質内で音波が存在する領域のことで、音発生装置から発せられた音波が周囲に伝播することで周囲に音場が形成される。音場を表す物理量には、音の強さ、音圧、粒子の振動速度などがある。
【0003】
現在、一般的な音声装置は、動作時に固定された音場しか形成できない。複数の音声ユニットを備えた音声装置の場合、複数の音声ユニットが同時に動作すると、形成された重畳音場は、異なる音場で増強または弱化効果を生み出す。音声生成デバイスは同時に複数のユーザーに音声を提供するとき、複数のユーザーが異なる空間位置にいる可能性があるので、異なるユーザーが同じ音声を聞いていても、音声の強度が異なる。ユーザーの実際のニーズに応じて、特定の領域に特定の強度の音場を形成できない
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術において出力される音声信号によって生成される音場を分割制御することが困難であるという問題を解決することができる、音場制御方法、装置、デバイスおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の実施形態は、電子設備に適用する音場制御方法であって、前記電子設備は音発生装置を含み、前記音場制御方法は、目標音場パラメータを取得するステップであって、前記目標音場パラメータは目標領域の音声特徴パラメータを含む目標音場パラメータを取得するステップと、前記目標音場パラメータに基づいて前記音発生装置の制御パラメータを計算するステップと、前記制御パラメータに基づいて前記音発生装置の動作を制御するステップとを含む音場制御方法を提供する。
【0006】
本発明の第2の実施形態は、電子設備に適用する音場制御装置であって、前記電子設備は音発生装置を備え、前記音場制御装置は、取得モジュールと演算モジュールと制御モジュールとを備え、前記取得モジュールは、目標音場パラメータを取得するために使用され、前記目標音場パラメータは目標領域の音声特徴パラメータを含み、前記演算モジュールは、前記目標音場パラメータに基づいて前記音発生装置の制御パラメータを計算するために使用され、前記制御モジュールは、前記制御パラメータに従って前記音発生装置の動作を制御するために使用される音場制御装置を提供する。
【0007】
本発明の第3の実施形態は、音発生装置、処理部および記録部を備える電子設備であって、
前記処理部は、前記記録部に格納されるコンピュータプログラムを実行するために使用され、
前記処理部が前記コンピュータプログラムを実行すると、上述した本発明の第1実施形態の音場制御方法に含まれる各ステップを実行する電子設備を提供する。
【0008】
本発明の第4の実施形態は、コンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記コンピュータプログラムが処理部によって実行されると、上述した本発明の第1実施形態の音場制御方法に含まれる各ステップを実行するコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明の実施形態によって提供される音場制御方法、装置、デバイスおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、目標音場パラメータを取得でき、目標音場パラメータに従って音発生装置の制御パラメータを計算し、制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御することができる。本発明の技術的解決策によれば、合理的な目標音場パラメータが設定され、目標音場パラメータに基づいて、音発生装置の各音発生ユニットが相互に連携するように制御されることで、音場の分割制御を実現できる。これによって、音発生装置によって放出された音が各目標領域において所需の音場を形成し、異なる領域の複数の目標ユーザーの音声信号受信要件を同時に満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態によって提供される音場制御方法の概略フローチャート図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によって提供される音発生装置の原理の概略図である。
【
図3】本発明第2実施形態によって提供される音場制御方法の詳細フローチャート図である。
【
図4】本発明第3実施形態によって提供される音場制御装置のプログラムモジュールの概略図である。
【
図5】本発明の第4実施形態によって提供される電子設備の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の目的、特徴、および利点をより明確かつ理解しやすくするために、本発明の実施形態における技術的解決策は、本発明の実施形態における添付の図面と併せて、以下で明確かつ完全に説明される。以下に記載された実施形態は、本発明の実施形態の一部にすぎず、すべての実施形態ではない。本発明の実施形態に基づいて、創造的な努力をすることなく当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0012】
本発明の実施形態の説明において、用語「長さ」、「幅」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「縦」、「横」、「上」、「下」、「内」、「外」およびその他の向きまたは位置関係は、図面に示される向きまたは位置関係に基づくものであり、本発明の実施形態を説明するために使用された便宜上の記載であり、デバイスまたは構成要素が特定の向きを有し、特定の向きで構築され、特定の向きで動作しなければならないことではなく、本願発明を限定するものではない。
【0013】
さらに、「第1」および「第2」という用語は、説明のみを目的として使用されており、相対的な重要性を示したり、技術的特徴の量を指定したりするものとして解釈されない。したがって、「第1」および「第2」として定義された特徴は、これらの特徴が1つまたは複数を含むことができる。また、本発明の実施形態の説明において、「複数」は、特に断りのない限り、2つ以上を意味する。
【0014】
本発明の実施形態において、「設置」、「接続」、「連結」および「固定」などの用語は、別段の明確な指定および限定がない限り、広い意味で解釈されるべきである。例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または、一体化された接続に解釈できる。また、機械的な接続、電気的な接続、直接接続またはほかの構成を介した間接接続、2つの構成の内部通信、または2つの構成間の相互作用関係にも解釈できる。当業者は、特定の状況に応じて、本発明の実施形態における上記の用語の特定の意味を理解することができる。
【0015】
ユーザーの需要に応じて、音発生装置が出力した音声信号によって生成された音場を分割して制御できない従来技術における問題を解決するために、本発明の第1実施形態は、電子設備に適用される音場制御方法を提供する。電子設備は、音発生装置を含む。
図1は、本実施形態によって提供される音場制御方法の概略フローチャート図である。当該音場制御方法は、以下のステップを含む。
【0016】
ステップ101:目標音場パラメータを取得する。
【0017】
具体的に、目標音場パラメータは、目標領域での音声特徴パラメータを含み、音声特徴パラメータは、音の強さ、音圧、音場比など予め設定されたパラメータである。本実施形態のいくつかの他の実施例では、目標音場パラメータは、固定パラメータであってもよく、可変パラメータであっても良く、音場特性を特徴付けるために使用される伝達関数であっても良い。
【0018】
本実施形態のある実施例では、上述した目標音場パラメータを取得するステップは、電子設備の機能使用状態をリアルタイムで監視するステップと、機能使用状態が切り替わったことを検出されると、切り替わった目標機能使用状態に応じて、対応する目標音場パラメータを決定する。
【0019】
具体的に、電子設備が動作しているとき、イヤホンまたはスピーカーを使用して音声信号を出力することができる。機能使用状態は、スピーカー機能使用状態とイヤホン機能使用状態とを含む。異なる機能使用状態に対応して異なる目標音場パラメータが設定され、機能使用状態が切り替わったことを検出されると、目標機能使用状態に対応する目標音場パラメータを取得し、対応する音発生装置が目標領域において必要な音場を形成する。音声信号は、例えば、ボイス信号や音楽信号などの任意の音声信号でありえる。
【0020】
本実施形態の別の実施例では、電子設備の制御可能な領域は、複数の予め設定された領域を含む。上述した目標音場パラメータを取得するステップは、目標ユーザーの位置情報を取得するステップと、位置情報に基づいて複数の予め設定された領域から目標領域を決定するステップと、目標領域に対応する目標制御点に基づいて目標音場パラメータを決定するステップとを含む。
【0021】
具体的に、電子設備の制御可能な領域は、電子設備が音場を制御できる領域を指す。本実施形態では、目標ユーザーが電子設備の制御可能な領域内に位置し、1つまたは複数の目標ユーザーが存在しえる。電子設備の制御可能な領域は、予めに複数の予め設定される領域に分割される。目標ユーザーの位置情報に基づいて、目標ユーザーがどの予め設定される領域内に位置しているかを決定することができ、その後、目標ユーザーが位置している予め設定される領域を目標領域として決定される。また、本実施形態のある実施例では、目標ユーザーが2つの隣接する領域の共通の境界が位置する領域にいる場合、対応の2つの隣接する領域の両方が目標領域として決定される。本実施形態における各予め設定される領域は、制御点に対応し、目標領域が決定された後、各目標領域に対応する目標制御点に従って対応の目標制御パラメータを決定することができる。
【0022】
本実施形態の別の実施例では、目標ユーザーは、第1目標ユーザーと第2目標ユーザーとを含み、目標領域は、第1目標ユーザーに対応する許容知覚領域と、第2目標ユーザーに対応する音場相殺領域とを含む。上述した目標領域に対応する目標制御点に基づいて目標音場パラメータを決定するステップは、許容知覚領域に対応する第1目標制御点に基づいて目標出力音声信号に対応する音場増強特徴パラメータを決定するステップと、音場相殺領域に対応する第2目標制御点に基づいて音場相殺音波に対応する音場相殺特徴パラメータを決定するステップとを含む。ここでは、音場増強特徴パラメータおよび音場相殺特徴パラメータは、目標音場パラメータを構成する。
【0023】
具体的に、プライバシーとセキュリティのため、本実施形態のいくつかの実施例では、音発生装置が動作しているとき、一部のユーザーが出力された音声信号を受信でき、この部分のユーザーを除く他のユーザーが当該音声信号を受信できないようにするために、複数の音発生ユニットを備えた音発生装置を用いて音場制御を行う。まず、音場増強特徴パラメータと音場相殺特徴パラメータとで構成された目標音場パラメータを取得し、目標音場パラメータに基づいて対応する制御パラメータを計算し、制御パラメータによって複数の音発生ユニットから出力される音声信号を許容知覚領域において互いに重ね合わせて音場を形成し、音場相殺領域で互いに相殺するように制御することで、音場制御しの目的を達成する。本実施形態における第1目標ユーザーは、音発生装置から出力された音声信号を受信できる目標ユーザーであり、第2目標ユーザーは、当該音声信号を受信させないまたは受信する必要がない目標ユーザーであり、第1目標ユーザーに対応する目標領域での音場増強特徴パラメータおよび第1目標ユーザーに対応する目標領域での音場相殺特徴パラメータを決定した後、当該音場増強特徴パラメータおよび音場相殺特徴パラメータに基づいて目標領域での制御パラメータを計算し、音発生装置の動作を制御する。これによって、当該音声信号を受信する必要な第1目標ユーザーが音発生装置から出力された音声信号を受信でき、当該音声信号を受信させないまたは受信する必要がない第2目標ユーザーは、音発生装置から出力された音声信号を知覚することができない。
【0024】
ステップ102:目標音場パラメータに従って音発生装置の制御パラメータを計算する。
【0025】
具体的に、目標音場パラメータを取得した後、本実施形態では、時間領域システムまたは周波数領域システムを介して音発生装置の制御パラメータを計算することができる。本実施形態における音発生装置は、携帯電話やスマートイヤホンなどのデバイス上の音発生装置である。
【0026】
本実施形態のある実施例では、音発生装置は、1つまたは複数の音発生ユニットを備える。制御パラメータは、各音発生ユニットの目標制御パラメータを含む。上述した目標音場パラメータに基づいて音発生装置の制御パラメータを計算するステップは、予め設定された制約に従って、目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して最適解を求め、音発生装置中の目標音発生ユニットの目標制御パラメータを取得する。計算式は次の式で表される。
【0027】
さらに、本実施形態のある実施例では、上述した予め設定された制約に従って、目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して最適解を求め、音発生装置の目標音発生ユニットの目標制御パラメータを得るステップは、目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して計算を行い、複数の関数値を求め、目標関数の最小関数値を制約条件とし、最小関数値に対応する制御パラメータを音発生装置の目標音発生ユニットの目標制御パラメータとして決定するステップを含む。
【0028】
具体的に、音発生装置の振幅値の調整範囲内で、各音発生ユニットに、複数の制御パラメータが予め設定されている。そのうち1つのユニットの目標制御パラメータの最適解を求める過程を例として、前記音発生ユニットに対応する各制御パラメータを予め設定された計算式に入力して計算を行い、各制御パラメータの目標関数値を求めることができる。求めた各目標関数値のうち、数値が最も小さい目標関数値に対応する制御パラメータを当該音発生ユニットの目標制御パラメータとして決定する。
【0029】
ステップ103:制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御する。
【0030】
具体的に、音発生装置が動作しているとき、各音発生ユニットに対応する目標制御パラメータに従って各音発生ユニットの動作を制御し、目標領域において所需の音場を形成する。
【0031】
本実施形態のある実施例では、制御パラメータに従って音発生装置の動作を制御するステップの後、各目標制御点の実際の音場パラメータを収集するステップを含む。これによって、各実際の音場パラメータと対応する目標音場パラメータとの間の異評価指数を計算し、異評価指数と予め設定されたしきい値とを比較し、異評価指数が予め設定されたしきい値以上である場合、異評価指数に基づいて制御パラメータを調整し、調整された制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御する。
【0032】
具体的に、電子設備は監視モジュールをさらに備える。監視モジュールは、目標制御点の実際の音場パラメータを収集することができる。
図2は、本発明の第1実施形態によって提供される音発生装置の原理の概略図である。目標制御点は、デバイス周囲の任意の角度にある制御点であり、目標ユーザーの位置情報に基づいて決定されることができる。例えば、1つの目標制御点を例として、実際の音場パラメータと対応する目標音場パラメータとの間の異評価指数が予め設定されたしきい値以上(すなわち、実際の音場パラメータと対応する目標音場パラメータとの差が大きい)である場合、異評価指数に従って制御パラメータを調整する必要がある。その後、調整された制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御し、音発生デバイスよって出力される音声信号を目標領域において所需の音場を形成させる。
【0033】
上述した本発明の実施形態の技術的解決策に基づいて、目標音場パラメータを取得し、目標音場パラメータに従って、音発生装置の制御パラメータを計算し、制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御することができる。本発明の技術的解決策によれば、合理的な目標音場パラメータが設定され、目標音場パラメータに基づいて、音発生装置の各音発生ユニットが相互に連携するように制御されることで、音場の分割制御を実現できる。これによって、音発生装置によって放出された音が各目標領域において所需の音場を形成し、異なる領域の複数の目標ユーザーの音声信号受信要件を同時に満たすことができる。
【0034】
図3に示す方法は、本発明の第2実施形態によって提供される方法の詳細である。当該音場制御方法が電子設備に適用され、電子設備は音発生装置を備える。当該音場制御方法は、以下のステップを含む。
【0035】
ステップ301:目標ユーザーの位置情報を取得する。
【0036】
ステップ302:位置情報に従って電子設備の複数の予め設定される領域から対応する目標領域を決定する。
【0037】
具体的に、目標ユーザーが電子設備の制御可能な領域内に位置しており、電子設備の制御可能な領域は複数の予め設定される領域を含み、目標ユーザーの位置情報に従って目標ユーザーが所在する予め設定される領域を決定し、かつ目標ユーザーが所在する予め設定される領域を目標領域として決定する。
【0038】
ステップ303:目標領域に対応する目標制御点に従って目標音場パラメータを決定する。
【0039】
ステップ304:目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して計算を行い、複数の関数値を得る。
【0040】
具体的に、予め設定された計算式は次の式で表される。
【0041】
ステップ305:目標関数の最小関数値を制約条件とし、最小関数値に対応する制御パラメータを音発生装置の目標音発生ユニットの目標制御パラメータとして決定する。
【0042】
ステップ306:制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御する。
【0043】
上述した本実施形態によれば、目標ユーザーの位置情報に従って、音場制御の必要がある目標領域を決定し、目標領域の目標音場パラメータを取得する。目標音場パラメータに従って音発生装置の制御パラメータを算出し、制御パラメータに基づいて音発生装置の動作を制御する。これによって、音場の分割制御を実現でき、ユーザーの音声体験をさらに最適化することができる。
【0044】
なお、本実施形態における各ステップの順番は、ステップを実行するための順序を意味するものではなく、各ステップの実行順序は、それらの機能および内部ロジックによって決定されるべきであり、本発明の実施形態に限定されない。
【0045】
図4は、本発明の第3実施形態によって提供される音場制御装置を示す図である。前記音場制御装置が電子設備に適用され、電子設備は音発生装置を含む。前記音場制御装置は上述した音場制御方法に適用することができる。
図4に示すように、前記音場制御装置は、以下の構成を備える。
【0046】
取得モジュール401:目標音場パラメータを取得するために使用される。目標音場パラメータは、目標領域の音声特徴パラメータを含める。
【0047】
演算モジュール402:目標音場パラメータに従って音発生装置の制御パラメータを計算する。
【0048】
制御モジュール403:制御パラメータに従って音発生装置の動作を制御する。
【0049】
本実施形態のいくつかの実施例では、取得モジュールは、電子設備の機能使用状態をリアルタイムで監視するために使用される。機能使用状態が切り替わったことが検出されると、切り替わった目標機能使用状態に基づいて対応する目標音場パラメータを決定する。
【0050】
本実施形態の他の実施例では、電子設備の制御可能な領域は、複数の予め設定される領域を含む。取得モジュールは、目標ユーザーの位置情報を取得するために使用される。位置情報に従って複数の予め設定される領域から対応する目標領域を決定し、対応する目標領域の目標制御点に従って目標音場パラメータを決定する。
【0051】
本実施形態の他の実施例では、目標ユーザーは、第1目標ユーザーと第2目標ユーザーとを含み、目標領域は、第1目標ユーザーに対応する許容知覚領域と、第2目標ユーザーに対応する音場相殺領域とを含む。取得モジュールは、目標領域に対応する目標制御点に従って目標音場パラメータの機能を実行するとき、許容知覚領域に対応する第1目標制御点に従って目標出力音声信号に対応する音場増強特徴パラメータを決定すること、また、音場相殺領域に対応する第2目標制御点に従って音場相殺音波に対応する音場相殺特徴パラメータを決定することに使用される。ここでは、音場増強特徴パラメータおよび音場相殺特徴パラメータは、目標音場パラメータを構成する。
【0052】
本実施形態のいくつかの実施例では、音発生装置は、1つまたは複数の音発生ユニットを備え、制御パラメータは、各音発生ユニットの目標制御パラメータを含む。演算モジュールは、目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して、予め設定された制約に従って最適解を求め、音発生装置の目標音発生ユニットの目標制御パラメータを得るために使用される。計算式は次の式で表される。
【0053】
さらに、本実施形態のいくつかの実施例では、演算モジュールは、予め設定された制約に従って目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力し最適解を求め、音発生装置の目標音発生ユニットの目標制御パラメータの機能を実行するとき、目標音場パラメータを予め設定された計算式に入力して計算を行い、複数の関数値を求め、目標関数の最小関数値を制約条件とし、最小関数値に対応する制御パラメータを音発生装置の目標音発生ユニットの目標制御パラメータとするために使用される。
【0054】
本実施形態におけるいくつかの実施例では、当該音場制御装置は、調整モジュールをさらに備え、前記調整モジュールは、制御パラメータに従って音発生装置の動作を制御した後、各目標制御点の実際の音場パラメータを収集し、各実際の音場パラメータと対応の目標音場パラメータとの間の異評価指数を計算し、そして、異評価指数と予め設定されたしきい値とを比較し、異評価指数が予め設定されたしきい値以上である場合、異評価指数に従って制御パラメータを調整する。これによって、調整された制御パラメータに従って音発生装置の動作を制御することができる。
【0055】
本発明の実施形態の上述の技術的解決策に基づいて、目標音場パラメータが取得され、目標音場パラメータに基づいて音発生装置の制御パラメータを計算し、制御パラメータに従って音発生装置の動作を制御する。本発明によれば、合理的な目標音場パラメータを設定し、目標音場パラメータに基づいて音発生装置中の各音発生ユニットが相互に連携するように制御されることで、音場の分割制御を実現でき、音発生装置によって放出された音が各目標領域において所需の音場を形成し、異なる領域の複数の目標ユーザーの音声信号受信要件を同時に満たすことができる。
【0056】
図5は、本発明の第4実施形態によって提供される電子設備を示している。当該電子設備は、上述した実施形態における音場制御方法を実現でき、具体的に、音発生装置501と、記録部502と、処理部503と、記録部502に格納され処理部503によって実行されるコンピュータプログラム504とを備え、記録部502と処理部503は電気通信で接続されている。処理部503は当該コンピュータプログラム504を実行すると、上述した実施形態一または二の方法を実現できる。なお、処理部の個数は、1つまたは複数である。
【0057】
記録部502は、例えば、ディスクメモリなどの高速ランダムアクセスメモリ(RAM,Random Access Memory)記録部であってよく、不揮発性メモリ(non-volatile memory)記録部であっても良い。記録部502は、実行可能なプログラムコードを格納するために使用され、処理部503は記録部502と電気的に接続される。
【0058】
さらに、本発明の実施形態は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供しており、当該コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上述した電子設備に設置されることができ、当該コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上述した
図5に示す実施形態の記録部とすることができる。
【0059】
当該コンピュータ読み取り可能な記録媒体にコンピュータプログラムが格納され、当該プログラムが処理部によって実行されると、上述した実施形態の音場制御方法を実現できる。さらに、コンピュータ可読記録媒体は、USBフラッシュドライブ、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM,Read-Only Memory)、RAM、磁気ディスクまたは光ディスクなどのプログラムコードを記録できる他の媒体であってもよい。
【0060】
本発明によって提供されるいくつかの実施形態では、開示された装置および方法が他の方法で実施され得ることが理解されたい。上記のデバイスの実施形態は例示にすぎず、例えば、モジュールの分割は論理的な機能分割に過ぎず、実際の実装では、他の分割方法、例えば、複数のモジュールまたは構成要素を結合または統合することや、他のシステムに集積されることなどもあり得る。さらに、一部が機能せずまたは実装されなくても良い。説明された電気的な接続は、直接接続、通信接続、またはいくつかのインターフェース、デバイスまたはモジュールを介して間接的に接続してもよい。また接続について、電気的、機械的または他の形態であってもよい。
【0061】
個別の構成要素として説明されているモジュールは、物理的に分離されている場合とされていない場合がある。また、モジュールとして示されている構成要素は、物理的なモジュールである場合とそうでない場合があり、1か所に配置すること、または、複数のネットワーク モジュールに分散して配置してもよい。実際の需要に応じて、一部またはすべてのモジュールを用いてこの実施形態の解決策の目的を達成してもよい。
【0062】
さらに、本発明の各実施形態における各機能モジュールは、1つの処理モジュールに統合されてもよく、各モジュールは物理的に別々に存在してもよく、または2つ以上のモジュールが1つのモジュールに統合されてもよい。上述の統合モジュールは、ハードウェアの形で、またはソフトウェア機能モジュールの形で実装することができる。
【0063】
統合されたモジュールがソフトウェア機能モジュールの形で実現され、独立した製品として販売または使用される場合、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納することができる。この理解に基づいて、本発明の技術的解決策の本質または先行技術に寄与する部分、または技術的解決策の全部または一部をソフトウェア製品の形で具現化することができ、コンピュータソフトウェア製品は可読メモリ媒体は、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワーク装置などであってもよい)に、本発明の様々な実施形態における方法のステップのすべてまたは一部を実行させるためのいくつかのプログラムを格納している。上記可読記録媒体には、USBフラッシュドライブ、モバイルハードディスク、ROM、RAM、磁気ディスク、光ディスク等のプログラムコードを記録可能な各種媒体が含まれる。
【0064】
上述した方法に関する実施形態について、説明を簡単にするために、それらは一連の動作の組み合わせとして表現されているが、当業者は、本発明が記載された動作シーケンスによって限定されないことを理解されたい。なぜなら、本発明によれば、特定のステップを他の順序で、または同時に実行することができるからである。また、当業者は、本明細書に記載された実施形態が好ましい実施形態に過ぎず、記載されている動作およびモジュールは、本発明に必ずしも必要とされないことも理解すべきである。
【0065】
前述の実施形態では、各実施形態の説明には独自の強調点があり、特定の実施形態で詳細に説明されていない部分については、他の実施形態の関連する説明を参照することができる。
【0066】
以上の内容は、本発明によって提供される音場制御方法、装置、機器、および読み取り可能な記録媒体に関する説明であり、当業者にとって、本発明の実施形態より変更および改良を行うことができえる。また、本明細書の内容は、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【国際調査報告】