(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61L 29/08 20060101AFI20250117BHJP
A61L 29/16 20060101ALI20250117BHJP
A61L 29/06 20060101ALI20250117BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20250117BHJP
A61L 29/14 20060101ALI20250117BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20250117BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20250117BHJP
A61K 31/727 20060101ALI20250117BHJP
A61K 38/58 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61L29/08
A61L29/08 100
A61L29/16
A61L29/06
A61L29/04
A61L29/14
A61K31/436
A61K31/337
A61K31/727
A61K38/58
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541503
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 CN2023071403
(87)【国際公開番号】W WO2024130800
(87)【国際公開日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】202211657951.7
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523255930
【氏名又は名称】上海百心安生物技▲術▼股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI BIO-HEART BIOLOGICAL TECHNOLOGY CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 302, Floor 3, Building 4, No. 590, Ruiqing Road, Zhangjiang High Tech Park, Shanghai, 200120, China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】汪立
(72)【発明者】
【氏名】蔡涛
(72)【発明者】
【氏名】王君毅
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲漢▼▲陽▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼晨朝
【テーマコード(参考)】
4C081
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C081AC08
4C081BB06
4C081CA162
4C081CA182
4C081CA192
4C081CC02
4C081CC08
4C081CD082
4C081CD092
4C081CD31
4C081CE02
4C081CE05
4C081DC03
4C081DC06
4C081EA02
4C081EA06
4C084AA02
4C084BA44
4C084CA51
4C084MA05
4C084MA55
4C084NA12
4C084ZA542
4C086AA01
4C086BA02
4C086CB22
4C086EA27
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA12
(57)【要約】
本発明は、医薬品の分野に属し、具体的には、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング及びその調製方法に関する。本発明は、リン脂質及びPEGの2種類の両親媒性添加剤を選択し、外層のリン脂質は、バルーン送達中にコーティング層が血液によって洗い流されることを防止し、細胞膜との親和性により、標的位置での薬剤の滞留を実現し、生体適合性を向上させ、親水性の賦形剤であるPEGにより、薬剤コーティングの表面とバルーンの表面を易剥離状態にし、薬剤コーティングの表面をバルーンの表面から剥離することができ、接着と剥離のとの釣り合いを実現し、本発明は、また、創造的には、特定の分子量のmPEG-PLGAブロック共重合体を加え、薬剤の制御放出を実現し、mPEGの分子量を調整することにより、薬剤の放出速度が調整可能な薬剤コーティングを得て、薬剤コーティングの適用範囲を拡大する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングであって、その調製原料は、重量部で、20~80重量部の薬剤、10~70重量部のリン脂質、5~60重量部の賦形剤、及び5~60重量部の共重合賦形剤を含むことを特徴とする、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項2】
前記薬剤は、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、タキソール、ヘパリン及びヒルジンのうちの1種以上から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項3】
前記リン脂質は、大豆レシチン又はレシチンから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項4】
前記賦形剤は、PEG、ヒアルロン酸、キトサン、イオプロミド、セラック、タンニン酸、ポリラクチド、及びPLGAのうちの1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項5】
前記PEGの数平均分子量は、8000~30000であることを特徴とする、請求項4に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項6】
前記共重合賦形剤は、mPEG-PLGAブロック共重合体、PEG-PLGAブロック共重合体、及びPEG-ヒアルロン酸共重合体のうちの1種以上から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項7】
前記mPEG-PLGAブロック共重合体のmPEGの数平均分子量は、200~8000、PLGA数平均分子量は、5000~60000であることを特徴とする、請求項6に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項8】
前記リン脂質と賦形剤との質量比は、1~5:1であることを特徴とする、請求項1に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング。
【請求項9】
前記薬剤、リン脂質、賦形剤及び共重合賦形剤を重量部で量った後、有機溶媒内に溶解し、均一に混合し、超音波で薬剤ミセルミクロスフェア溶液を得るステップと、超音波で薬剤ミセルミクロスフェア溶液を拡張可能なバルーンカテーテルのバルーンの表面にスプレーし、薬剤コーディングを得るステップとを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングの調製方法。
【請求項10】
前記薬剤コーディングの厚さは、1~10ミクロンであることを特徴とする、請求項9に記載の拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の分野に属し、特に、IPC分類番号A61L29/12下の被覆カテーテルの複合材料の分野、具体的には、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
拡張可能なバルーンは、新規介入療法機器であり、それは、表面に薬剤コーティングを塗布する形で目標的位置に送達し、「目的地」に到達した後、バルーンが膨らみ拡張することで、薬剤コーティングを血管の内膜に密着させ、効果的な局所薬剤放出を実現する。現在、薬剤コーディングを塗布した拡張可能なバルーンは、「移植を伴わない介入」の代表的な治療選択肢の一つと考えられており、それは、医療機器業界において大きな市場ポテンシャルを持つ「競争分野」となっている。
【0003】
現在、市販の薬剤バルーンの一例は、ブラウン社が開発したSequent pleaseであり、それは、タキソールを活性薬剤として使用し、イオプロミドを担体とし、調製後にバルーンの表面にスプレーすることによって得られる。Admiral Xtreme薬剤バルーン、Lutonix035薬剤バルーンなどもあり、それらのほとんどは、タキソールを活性薬剤として使用し、異なる担体技術を使用して薬剤コーティングを調製する。しかし、従来の薬剤バルーンの利用率が低く、一方で、送達中、血液の洗い流しにより、薬剤コーディングがバルーンの表面から離れることをもたらし、大部分の薬剤は、標的位置に送達される前に失われ、その一方で、拡張段階では、一部の薬剤は依然としてバルーンの表面に残り、血管壁に密着せず、放出しない。なお、介入療法は人体に一定の損傷をもたらすため、短い間隔で複数回の治療を行うことはできず、1回の治療の効果は限られ、大きなが制限性があり、それは、薬剤コーディングの制御放出に対してより高い要件がある。
【0004】
従来技術のCN 110292701Bは、薬剤溶出バルーンカテーテルを開示し、それは、内層にリン脂質内包薬剤と親水性の賦形剤Iを混合し、外層に疎水性の賦形剤IIをスプレーして薬剤コーディングを形成することにより、薬剤の利用率を向上させ、薬剤の迅速放出を実現する。しかし、リン脂質内包薬剤の粒子が血管壁と接触した後、リン脂質は細胞膜と融合しやすく、バースト放出が起こり、長期の徐放効果が得られない。
【発明の概要】
【0005】
従来技術の欠陥に対して、本発明の目的は、薬剤の利用率が高く、調製しやすく、薬剤の制御放出を実現できる拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングを提供することである。
【0006】
一方で、本発明の目的は、条件が温和でプロセスがシンプルである、上記拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングの調製方法を更に提供することである。
【0007】
上記の発明目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を用いる。
【0008】
拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングであって、その調製原料は、重量部で、20~80重量部の薬剤、10~70重量部のリン脂質、5~60重量部の賦形剤、及び5~60重量部の共重合賦形剤を含む。
【0009】
好ましくは、前記薬剤は、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体、タキソール、ヘパリン及びヒルジンのうちの1種以上から選択される。
【0010】
好ましくは、前記リン脂質は、大豆レシチン又はレシチンから選択される。
【0011】
好ましくは、前記賦形剤は、PEG(ポリエチレングリコール)、ヒアルロン酸、キトサン、イオプロミド、セラック、タンニン酸、ポリラクチド、及びPLGA(ポリ(乳酸-co-グリコール酸))のうちの1種以上である。
【0012】
より好ましくは、前記PEGの数平均分子量は、8000~30000である。
【0013】
本発明は、両親媒性添加剤を選択し、外層のリン脂質は、血液中で保護的な役割を果たし、バルーン送達中にコーティング層が血液によって洗い流されることを防止し、リン脂質と細胞膜との構成は類似するため、バルーン拡張の場合、カーディング層が血管壁に接着され、リン脂質細胞膜との親和性により、標的位置での薬剤の滞留を実現し、生体適合性を向上させ、この場合、親水性の賦形剤であるPEGは、血管中で吸水するため、薬剤コーティングの表面とバルーンの表面を易剥離状態にし、薬剤コーティングの表面をバルーンの表面から剥離することができ、接着と剥離のとの釣り合いを実現する。
【0014】
好ましくは、前記共重合賦形剤は、mPEG-PLGAブロック共重合体、PEG-PLGAブロック共重合体、及びPEG-ヒアルロン酸共重合体のうちの1種以上から選択される。
【0015】
好ましくは、前記mPEG-PLGAブロック共重合体のmPEG(メトキシポリエチレングリコール)の数平均分子量は、200~8000であり、PLGAの数平均分子量は、5000~60000であり、より好ましくは、前記mPEG-PLGAブロック共重合体のmPEGの数平均分子量は、550~5000である。
【0016】
本発明は、特異的には、数平均分子量が200~8000、好ましくは、550~5000であるmPEG、及び数平均分子量が5000~60000であるPLGAで構成されたブロック共重合体を共重合賦形剤として選択し、それは、薬剤液滴の表面にカバーを形成し、薬剤が標的位置で分解するにつれて、薬剤の制御放出を実現することができる。本発明者は、mPEGの分子量が小さいほど、薬剤の放出速度が遅くなり、mPEGの分子量が大きいほど、薬剤の放出速度が速くなり、mPEGの分子量が8000に達する場合、明らかなバースト放出があることを予想外に発現する。該創造的な発現に基づいて、本発明の薬剤コーディングは、実際の使用ニーズ及び薬剤性質に応じて、共重合賦形剤のmPEG-PLGAブロック共重合体のmPEGの分子量を調整することにより、薬剤の放出速度への調整を実現し、薬剤コーディングの普遍性を向上させることができる。
【0017】
好ましくは、前記mPEG-PLGAブロック共重合体のmPEGとPLGAとのモル比は、0.1~5:1、より好ましくは、1:1である。
【0018】
好ましくは、前記リン脂質と賦形剤との質量比は、1~5:1である。
【0019】
その一方で、本発明は、上記拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングの調製方法を提供し、該方法は、
前記薬剤、リン脂質、賦形剤及び共重合賦形剤を重量部で量った後、有機溶媒内に溶解し、均一に混合し、超音波で薬剤ミセルミクロスフェア溶液を得るステップと、超音波で薬剤ミセルミクロスフェア溶液を拡張可能なバルーンカテーテルのバルーンの表面にスプレーし、薬剤コーディングを得るステップとを含む。
【0020】
好ましくは、前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、アセトン、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトニトリル、酢酸ブチル、エーテル、及び四塩化炭素のうちの1種以上を含む。
【0021】
好ましくは、前記調製方法では、重量部で、前記有機溶媒は、15000~25000重量部である。
【0022】
好ましくは、前記薬剤コーディングの厚さは、1~10ミクロンである。
【0023】
好ましくは、前記薬剤ミセルミクロスフェアの粒径は、10ミクロン以下である。
【0024】
従来技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0025】
1.本発明による薬剤コーディングでは、外層のリン脂質は、バルーン送達中にコーティング層が血液によって洗い流されることを防止し、細胞膜との親和性により、標的位置での薬剤の滞留を実現し、生体適合性を向上させ、
【0026】
2.本発明の親水性の賦形剤であるPEGは、血管中で吸水するため、薬剤コーティングの表面とバルーンの表面を易剥離状態にし、薬剤コーティングの表面をバルーンの表面から剥離することができ、更に、薬剤の利用率を向上させ、
【0027】
3.本発明の薬剤コーディングは、特定の分子量のmPEG-PLGAブロック共重合体を更に含み、mPEGの分子量が薬剤の放出速度への影響を創造的に発現し、薬剤の制御放出及び長期徐放を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施例1による薬剤コーディングのSEM図である。
【
図2】550(実施例1)、5000(実施例2)及び8000(実施例3)のmPEG分子量を有するmPEG-PLGAブロック共重合体によって調製された薬剤コーティングの経時的な薬剤の放出速度の変化図である。
【
図3】10000(比較例1)及び20000(比較例2)のmPEG分子量を有するmPEG-PLGAブロック共重合体によって調製された薬剤コーティングの経時的な薬剤の放出速度の変化図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施例1)
本実施例は、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングを提供し、その調製原料は、重量部で、40重量部のラパマイシン、60重量部の大豆レシチン、40重量部の賦形剤、60重量部の共重合賦形剤、及び20000部の有機溶媒を含む。
【0030】
前記賦形剤は、PEGであり、その数平均分子量は10000であり、それは、広州西隴精細化工技術有限公司から購入する。
【0031】
前記共重合賦形剤は、mPEG-PLGAブロック共重合体であり、ここで、mPEGの数平均分子量は550であり、PLGAの数平均分子量は60000であり、mPEGとPLGAとのモル比は1:1であり、前記mPEG-PLGAブロック共重合体は、贏創特種化学(上海)有限公司から購入する。
【0032】
前記有機溶媒は、アセトンである。
【0033】
本発明は、上記拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティングの調製方法を更に提供する。ラパマイシン、大豆レシチン、PEG、mPEG-PLGAブロック共重合体を上記重量部で量った後、アセトン内に溶解し、均一に混合した後、54kHzの超音波で30分間処理した後、薬剤ミセルミクロスフェア溶液を得て、超音波で薬剤ミセルミクロスフェア溶液を拡張可能なバルーンカテーテルのバルーンの表面にスプレーし、40℃で60分間乾燥し、厚さが10ミクロンの薬剤コーティングを得る。
【0034】
本実施例によって得られた薬剤コーティングにおける薬剤ミセルミクロスフェアの平均粒径は、8ミクロンであり、コーティングの薬剤含有量は7μg/mm
2であり、走査型電子顕微鏡写真は
図1に示される。
(実施例2)
【0035】
本実施例は、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング及びその調製方法を更に提供し、その実施形態は、実施例1と同じであり、その違いは、以下のとおりである。前記共重合賦形剤は、mPEG-PLGAブロック共重合体であり、ここで、mPEGの数平均分子量は5000であり、PLGAの数平均分子量は60000であり、mPEGとPLGAとのモル比は1:1であり、前記mPEG-PLGAブロック共重合体は、贏創特種化学(上海)有限公司から購入する。
【0036】
本実施例によって得られた薬剤コーティングにおける薬剤ミセルミクロスフェアの平均粒径は、10ミクロンであり、コーティング層の薬剤含有量は6μg/mm2である。
(実施例3)
【0037】
本実施例は、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング及びその調製方法を更に提供し、その実施形態は、実施例1と同じであり、その違いは、以下のとおりである。前記共重合賦形剤は、mPEG-PLGAブロック共重合体であり、ここで、mPEGの数平均分子量は8000であり、PLGAの数平均分子量は60000であり、mPEGとPLGAとのモル比は1:1であり、前記mPEG-PLGAブロック共重合体は、贏創特種化学(上海)有限公司から購入する。
【0038】
本実施例によって得られた薬剤コーティングにおける薬剤ミセルミクロスフェアの平均粒径は、5ミクロンであり、コーティングの薬剤含有量は8μg/mm2である。
(比較例1)
【0039】
本比較例は、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング及びその調製方法を更に提供し、その実施形態は、実施例1と同じであり、その違いは、以下のとおりである。前記共重合賦形剤は、mPEG-PLGAブロック共重合体であり、ここで、mPEGの数平均分子量は10000であり、PLGAの数平均分子量は60000であり、mPEGとPLGAとのモル比は1:1であり、前記mPEG-PLGAブロック共重合体は、済南聚福凱生物技術有限公司から購入する。
【0040】
本比較例によって得られた薬剤コーティングにおける薬剤ミセルミクロスフェアの平均粒径は、4ミクロンであり、コーティングの薬剤含有量は8μg/mm2である。
(比較例2)
【0041】
本比較例は、拡張可能なバルーンカテーテル用の薬剤コーティング及びその調製方法を更に提供し、その実施形態は、実施例1と同じであり、その違いは、以下のとおりである。前記共重合賦形剤は、mPEG-PLGAブロック共重合体であり、ここで、mPEGの数平均分子量は20000であり、PLGAの数平均分子量は60000であり、mPEGとPLGAとのモル比は1:1であり、前記mPEG-PLGAブロック共重合体は、済南聚福凱生物技術有限公司から購入する。
【0042】
本比較例によって得られた薬剤コーティングにおける薬剤ミセルミクロスフェアの平均粒径は、4ミクロンであり、コーティングの薬剤含有量は8μg/mm2である。
【0043】
性能試験
【0044】
薬剤放出試験では、分子量が異なるmPEG-PLGAによって調製された薬剤コーディングの徐放効果を検証するために、動物実現により、各実施例におけるコーディングの薬剤の放出速度を検出する。本実験は、ミニブタ動物モデルを使用し、ミニブタ体内には、実施例1~3及び比較例1~2における薬剤コーディングをそれぞれ使用し、0(即時)、1日、7日、14日、30日、60日、及び90日のタイミングを設定する。ブタ血管モデルを取り出すことにより、血管に対して薬剤試験を行う。
【0045】
実験対象は、体重が約25~45kgのミニブタ動物モデルであり、
【0046】
実験品は、薬剤含有量が1~10μg/mm2、実施例1~3及び比較例1~2における分子量が異なるmPEG-PLGAによって調製された薬剤コーディングである。
【0047】
実験方法は、以下のとおりである。
【0048】
(1)1グループごとに7匹のブタ動物モデルを選択し、それぞれ0(即時)、1日、7日、14日、30日、60日、及び90日のタイミングに対応させる。各グループのブタ動物モデルの心臓血管RCA、LCX及びLADには、実施例1~3、比較例1~2における薬剤コーディングがスプレーされた拡張可能なバルーンカテーテルのバルーンをそれぞれ移植する。
【0049】
(2)0(即時)、1日、7日、14日、30日、60日、及び90日のタイミングでは、ブタを殺し、血管を取り出して薬剤含有量を測定する。
【0050】
実験結果は、以下のとおりである。得られた薬剤含有量に基づいて、薬剤放出曲線(
図2及び
図3を参照)を描き、縦軸の薬剤放出率は、血管壁の薬剤含有量と移植前のバルーン表面の薬剤含有量との比である。
【国際調査報告】