(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】リニアモータエレベータ用の定置型機械的ブレーキ
(51)【国際特許分類】
B66B 5/18 20060101AFI20250117BHJP
B66B 9/02 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B66B5/18 Z
B66B9/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558571
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 TR2021051616
(87)【国際公開番号】W WO2023128896
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523323321
【氏名又は名称】デサード タサリム アルゲ アノニム シルケティ
(71)【出願人】
【識別番号】523323332
【氏名又は名称】株式会社リニアリティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコン、サンドル アンドラス
(72)【発明者】
【氏名】オナト、アフメト
(72)【発明者】
【氏名】カザン、エンデル
(72)【発明者】
【氏名】ウズノグラーリ、エムレ
【テーマコード(参考)】
3F301
3F304
【Fターム(参考)】
3F301BA16
3F301BC02
3F304DA47
3F304DA49
(57)【要約】
本発明は、リニアモータエレベータに安全で信頼性が高いブレーキを提供する定置型機械的ブレーキシステムに関する。定置型機械的ブレーキシステムは、直線的な、曲線的な、又は分岐する経路上で動作するシングルカー又はマルチカーのリニアモータエレベータにも使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
・エレベータキャビンに取り付けられた少なくとも1つのブレーキプレート、
・ブレーキばねに取り付けられ、ソレノイドによって開放される少なくとも1対のブレーキパッド、及び
・前記ブレーキプレートの不在時に前記ブレーキパッドを開位置にとどめるための少なくとも1対のブレーキエクステンダ
を備える、リニアモータエレベータに適した定置型機械的ブレーキシステム。
【請求項2】
前記ブレーキエクステンダは、前記ソレノイドが電力遮断されているとき、前記ブレーキプレートの不在時に互いに接触して、前記ブレーキパッドが閉止することを防止することができる2つのフラップを有する、請求項1に記載の定置型機械的ブレーキシステム。
【請求項3】
前記ブレーキプレートの存在又は不在を検出するための1つ又は複数の光センサ及び/又は磁気センサを備える、請求項1または2に記載の定置型機械的ブレーキシステム。
【請求項4】
・複数のエレベータキャビンが同じ昇降路に据え付けられ、
・それらのそれぞれがブレーキプレートを備えており、
・前記ブレーキプレートのそれぞれが、同じ組の定置型ブレーキによって保持又は解放されるように構成されている、
請求項1から3のいずれか一項に記載の定置型機械的ブレーキシステム。
【請求項5】
・少なくとも1つの請求項1から4のいずれか一項に記載の定置型機械的ブレーキシステム、
・リニアモータ駆動システム、及び
・エレベータキャビン
を備える、ロープレスなリニアモータエレベータシステム。
【請求項6】
・少なくとも1つの請求項1から4のいずれか一項に記載の定置型機械的ブレーキシステム、
・リニアモータ駆動システム、及び
・複数のエレベータキャビン
を備える、ロープレスなマルチカーリニアモータエレベータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータエレベータに安全で信頼性が高いブレーキを提供する定置型機械的ブレーキシステムに関する。定置型機械的ブレーキシステムは、直線的な、曲線的な、又は分岐する経路上で動作するシングルカー又はマルチカーのリニアモータエレベータによっても使用される。
【背景技術】
【0002】
リニアモータエレベータは自走式であり、いくつかのエレベータを同じ昇降路で独立して動作させる能力、及び場合によっては曲線的な進行路で動作させる能力などの様々な利益を提供する。同時に、それらは従来のトラクション駆動式又は油圧式エレベータと同じか又はそれより高い安全要件を満たさなければならない。新しい解決策を必要としている特定の領域の1つは、定置型機械的ブレーキシステムの提供である。
【0003】
トラクションエレベータは、通常はトラクションシーブ又はモータのシャフトに取り付けられた少なくとも1つの機械的ブレーキシステムを備えている。このブレーキシステムは、普通はブレーキばねによって閉止され、ソレノイドによって電気的に開放されて、エレベータの走行を可能にする。それには、エレベータ制御装置による安全な動作を目的として、ブレーキの開放又は閉止状態を検証するマイクロスイッチも備えられている。ソレノイド及びブレーキ動作検知マイクロスイッチへの電気的接続は、エレベータ制御装置及び定置型ブレーキシステムの間の固定配線によって提供される。
【0004】
ロープレスなリニアモータエレベータの場合、トラクションエレベータとの同等性を維持するために、それぞれのキャビンがその機械的ブレーキシステムを所持する必要があるはずである。キャビンが走行している間、そのブレーキはソレノイドによって開放され;それが停止するとソレノイドの電流が遮断され、ブレーキが係合して、リニアモータによる推進力を必要とすることなしにキャビンを保持する。電力損失又は他の異常な状況の場合、同じ機械的ブレーキシステムにより、キャビンが静止したままになること、又は非常ブレーキによってそれが停止されることが確実となる。しかし、キャビンはエレベータ制御装置への有線接続部を有さず、動力伝達及び通信は無線通信又は摺動コネクタによって動作させられる必要がある。これらは大半の目的においては有用であるが、一方でブレーキ動作などの安全用途では、それらの信頼性を保証することは困難である。例えば、最高速度で走行している間に電力が瞬間的に損失すると、照明又は空調などのキャビンの他の装置に著しい影響は生じないはずであるが、ブレーキが瞬間的に係合し、急な減速を生じさせ、乗員を危険にさらす可能性がある。
【0005】
結果として、現在の応用例では技術分野における課題を解決することができないので、改善を施すことが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、現況技術からの着想を用いて構築される、上に述べた定置型機械的ブレーキシステムの負の側面に対する解決策をもたらすことを目的とする。
【0007】
本発明の主な目的は、エレベータキャビンの存在又は不在を検出しながらブレーキを開放又は閉止するために、リニアモータエレベータに定置型ブレーキ用のシステムを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、リニアモータエレベータに安全で信頼性が高い機械的定置型ブレーキの解決策を提供することである。開示されている定置型機械的ブレーキシステムは、シングルカー又はマルチカーのリニアモータエレベータにも使用される。
【0009】
下の図面、及びこれらの図を参照することによってなされる詳細な説明に略述される本発明の構造的で特徴的な機能及びすべての利点は明確に理解されることになり、したがって評価はこれらの図及び詳細な説明を考慮に入れることによってなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】好ましい実施形態の一部の概要を示す図である。これは乗り場のうちの1つでの定置型ブレーキ組立体の側面図であり、エレベータキャビンは停止され、静止して保持されており、ソレノイドは通電されていない状態である。
【0011】
【
図2】好ましい実施形態の一部の概要を示す図である。これは乗り場のうちの1つでの定置型ブレーキ組立体の側面図であり、エレベータキャビンは走行の準備が整っており、リニアモータ(図示せず)によって保持され、ソレノイドは通電された状態である。
【0012】
【
図3】ブレーキエクステンダの完全な機械的な実施形態を示す図である。ブレーキプレートが存在しないとき、ブレーキエクステンダのフラップは水平であり、プランジャが電力遮断されている場合でも、ブレーキエクステンダはブレーキパッドが閉位置に来るのを防止することになる。
【0013】
【
図4】ブレーキプレートが上から進入している状態のブレーキエクステンダを示す図である。上部側フラップは下方に曲げられているが、ブレーキパッドは下部フラップによって開位置に保持されている。したがって、ブレーキプレートはブレーキパッドの間に進入し続けることができる。
【0014】
【
図5】ブレーキプレートが上からそれを通過している状態のブレーキエクステンダを示す図である。上部側フラップ及び下部フラップの両方が下方に曲げられており、したがってブレーキパッドは、通電されている場合はプランジャによって開位置に保持される。プランジャが電力遮断されている場合、この状態はブレーキパッドがブレーキプレート上へと閉止する前の瞬間的なものである。
【0015】
【
図6】ブレーキプレートがブレーキパッドによって係合された状態のブレーキエクステンダを示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ブレーキプレート
2 ブレーキパッド
3 ブレーキアクチュエータ
4 ブレーキばね
5 ブレーキエクステンダ
【発明を実施するための形態】
【0017】
このセクションでは、主題をより良く理解するために、限定する効果が存在しないように定置型機械的ブレーキシステムの好ましい実施形態を明らかにする。この部分は、本発明の原理を示すための、例示的な実施形態の詳細な説明である。
【0018】
用語「ブレーキ」は、キャビンに据え付けられた構成要素及び建物に据え付けられた構成要素の間で摩擦力によってエレベータキャビンを保持することが可能な機械装置である。ブレーキは、通常は、ばね力によって加圧される1対又は複数対のブレーキパッド、及びブレーキプレート、ディスク、又はブレーキパッドの間に位置付けられる他の同様の構成要素からなる。
【0019】
用語「ブレーキシステム」は、ブレーキ、その動作電気アクチュエータ、その電気的状態検知スイッチ、及び場合によっては他の構成要素からなる電気機械的システムである。
【0020】
用語「定置型ブレーキシステム」は、ブレーキパッド及びその動作電気アクチュエータが建物側に据え付けられているブレーキシステムである。
【0021】
用語「定置型ブレーキ」は、ディスクタイプのブレーキ及びドラムタイプのブレーキを含むがこれらに限定されない;キャビンに取り付けられたブレーキプレートに係合してそれを保持することが可能な任意の種類のブレーキシステムを含むように広く定義される。
【0022】
用語「ブレーキエクステンダ」は、ブレーキプレートの存在を検出し、ブレーキプレートが存在することが検出されないときはブレーキの閉止を不能にすることが可能な機械的又は電気機械的装置である。
【0023】
用語「リニアモータエレベータ駆動装置」は、エレベータキャビン又は複数のエレベータキャビンを一緒になって保持及び移動させることが可能な固定子又は複数の固定子及び可動子又は複数の可動子を集合的に定義する。
【0024】
本発明は、リニアモータエレベータに安全で信頼性が高いブレーキを提供する定置型機械的ブレーキシステムに関する。定置型機械的ブレーキシステムは、エレベータキャビンに固定されており、またエレベータの全重量を保持することが可能な少なくとも1つのブレーキプレート(1)を備える。ブレーキプレート(1)は、従来技術におけるブレーキディスクに相当する。
【0025】
定置型機械的ブレーキシステムには、少なくとも1対のブレーキパッド(2)が存在する。ブレーキパッド(2)のそれぞれは、ブレーキプレート(1)のそれぞれの側に位置付けられている。また、ブレーキパッド(2)は建物側に固定されている。
【0026】
定置型機械的ブレーキシステムは、少なくとも1対のブレーキばね(4)も備える。それぞれのブレーキばね(4)はそれぞれのブレーキパッド(2)に取り付けられている。ブレーキばね(4)によってブレーキプレート(1)へと押圧されると、ブレーキプレート(1)との摩擦により、エレベータが静止位置で保持される。ブレーキばね(4)は建物側に固定されており、少なくとも1つのブレーキアクチュエータ(3)が通電されていない(通常の状態である)とき、ブレーキプレート(1)にブレーキパッド(2)を押圧し、ブレーキプレート(1)、したがってエレベータキャビンを固定位置に保持する。ブレーキアクチュエータ(3)は建物側に固定されている。通電されると、ブレーキアクチュエータ(3)はブレーキプレート(1)からブレーキパッド(2)を係合解除し、エレベータキャビンが自由に動くことを可能にする。
【0027】
定置型機械的ブレーキシステムは、ブレーキプレート(1)の不在時にブレーキパッド(2)を開位置にとどめるための、少なくとも1対のブレーキエクステンダ(5)も備える。ブレーキエクステンダ(5)は、ブレーキパッド(2)の両側に位置付けられる。
【0028】
ブレーキエクステンダ(5)は建物側に固定されている。ブレーキパッド(2)の間にブレーキプレート(1)が存在しないとき、ブレーキアクチュエータ(3)が通電されていないときでも、ブレーキエクステンダ(5)によりブレーキばね(4)がブレーキパッド(2)を閉止することが防止され;したがって定置型ブレーキシステムが時期尚早に閉止することが防止される。ブレーキエクステンダ(5)は、ブレーキプレート(1)が存在しないときにブレーキパッド(2)が閉止することを防止するように機能する。この意味において、ブレーキエクステンダ(5)は、ブレーキアクチュエータ(3)が通電されていないときにシステムを開位置にとどめるように機能する。ブレーキばね(4)がブレーキパッド(2)を閉止するのを防止することにより、エレベータキャビンが移動しており且つブレーキプレート(1)がまだブレーキパッド(2)の間でない位置に存在している間にブレーキアクチュエータ(3)がブレーキパッド(2)を解放する原因となる急な電力損失又は他のイベントの場合に、定置型機械的ブレーキシステムが正しく動作することが可能になる。こうした状況では、エレベータキャビンはしばらくしてから下方に移動し始めることになり、ブレーキプレート(1)はしばらくしてブレーキパッド(2)の間に到着することになる。その時点で、ブレーキパッド(2)の両側のブレーキエクステンダ(5)がブレーキプレート(1)の存在を検出した後、それらはブレーキパッド(2)を解放することになり、ブレーキばね(4)はそれらをブレーキプレート(1)上で閉じることになる。ブレーキエクステンダ(5)がなければ、上述の状況では、ブレーキパッド(2)はブレーキプレート(1)がそれらの間に存在しなくても閉止するはずである。いよいよブレーキプレート(1)が到着すると、それはブレーキパッド(2)の縁部と衝突することになり、突然の急な減速を被るか、又はブレーキパッド(2)を破壊して落下し続ける。両方の結果は望ましくなく、ブレーキエクステンダ(5)はこうした事故を防止するように機能する。
【0029】
定置型ブレーキは、適当な場所に据え付けられてエレベータキャビンを停止させる。キャビンに据え付けられたブレーキプレート(1)は、任意の2つの連続するブレーキの間の距離よりも長い長さを有し、したがってブレーキプレート(1)は、任意の位置において少なくとも1つのブレーキの範囲内に存在する。キャビンが静止しているとき、ブレーキソレノイドは電力遮断されており、ブレーキは係合してキャビンを保持する(
図1)。ブレーキアクチュエータ(3)の従属構成要素であるソレノイドは、ブレーキを開放及び閉止するブレーキアクチュエータ(3)の内側の電気部品である。通常動作中、エレベータキャビンが移動する必要があるときはいつでも、リニアモータには、キャビンの全重量に等しい推進力を提供するまで電力が供給される。この状態ではブレーキへの負荷はなく、それはソレノイドに通電することによって開放され得る(
図2))。その後、キャビンの走行路に沿ったすべてのブレーキも開放され、キャビンはその目的地へと自由に移動され得る。しかし、走行している間に停電が生じた場合、ブレーキソレノイドは電力遮断され、ブレーキパッド(2)は閉止することになる。そのとき、エレベータキャビンのブレーキプレート(1)は次のブレーキと衝突し、機器を損傷させ、急な減速で乗員を危険にさらすことになる。これを防止するために、定置型ブレーキには、上部及び下部にブレーキエクステンダ(5)が備えられる(
図3)。
【0030】
本発明のブレーキエクステンダ(5)は、ソレノイドが電力遮断されているとき、ブレーキプレート(1)の不在時に互いに接触することができる2つのフラップを有して、ブレーキパッド(2)が閉止することを防止する。ブレーキプレート(1)がブレーキパッド(2)の間に進入するとき、それはブレーキエクステンダ(5)のうちの最初の1つを偏向させ(
図4、上部ブレーキエクステンダ)、次いで他方を偏向させる(
図5、下部ブレーキエクステンダ)。この状況では、定置型ブレーキシステムは通常動作が可能になり、ソレノイドが通電されているときは開放されたままになり、ソレノイドが電力遮断されると係合する(
図6)。
【0031】
ブレーキエクステンダ(5)を据え付けることにより、定置型機械的ブレーキシステムは要求されるすべての動作を実施することができる:
・停止フロアでの係合及び係合解除
・途中のフロアにおいて、通過するエレベータカーの邪魔にならないところにとどまる
・停電の場合、エレベータを捕らえ、減速させる。
【0032】
(図に示されていない)ブレーキエクステンダ(5)の実施形態のうちの1つでは、拡大されたストロークが開放プランジャに使用され、それは完全に開放されたブレーキシステムにより、ブレーキプレート(1)がそれらの間を通過するのに十分なだけブレーキエクステンダ(5)のフラップが開放されるのに十分な大きさである。この実施形態により、通常動作中にブレーキプレート(1)がエクステンダのフラップにぶつかることが防止されることになり;一方で停電の場合には、ブレーキフラップにより、ブレーキプレート(1)がそれらの間に到着するまでブレーキパッド(2)が閉止するのが防止されることになる。しかし、この場合、ブレーキフラップの形状は、閉止する(すなわちソレノイドを電力遮断する)瞬間にブレーキプレート(1)が既にそれらの間に存在した場合、それらがブレーキパッド(2)の閉止を防止しないような形で設計されなければならない。
【0033】
(図に示されていない)ブレーキエクステンダ(5)の実施形態のうちの1つでは、先行する段落で説明されたのと同じ目的で、通常動作の場合にそれらを開放したままにするめに、高速で動作する電気アクチュエータが使用される。停電の場合、ブレーキフラップはブレーキパッドが閉止する速度よりも速く通常位置へと戻って、ブレーキプレート(1)が到着するまでそれらが閉止するのを防止することになる。
【0034】
定置型機械的ブレーキシステムの一実施形態では、1つ又は複数の光センサ及び/又は磁気センサを使用して、ブレーキプレート(1)の存在又は不在を検出することができる。
【0035】
実施形態は本発明の態様を示すために提供されているが、本発明はいかなる実施形態にも限定されない。言い換えれば、開示されている実施形態は説明のためのものであり、限定的なものではない。
【0036】
定置型ブレーキシステムの具体的な構成/実施形態を説明してきたが、本発明は多種多様なエレベータシステムに適用され得ることが理解される。本発明に記載の定置型ブレーキシステムは、リニアモータエレベータの非直線的な(曲線的な)移動経路、又はスイッチを備えた分岐する経路に沿った動きにも適している。
【0037】
可動子の動きをブレーキシステムに伝達する異なる機構を有することを含むがこれに限定されない、本発明を実施する多くの代替的な手法が存在する。本発明の完全な理解を実現するために、多くの具体的な詳細が説明に述べられている。しかし、本発明はこれらの具体的な詳細の一部又は全部なしに、特許請求の範囲に従って実践されてもよい。説明を分かり易くするべく、本発明の関連技術分野で公知の技術的内容については、詳細な説明を省略しており、本発明が不要にあいまいにならないようにしている。しかし、示されている実施形態の代わりに多くの他の等価な機構が代用されてもよく、それらの中には機械エンジニアによって容易に選択されるリンク、ラック及びピニオン機構などがある。
【0038】
本発明の範囲は数多くの代替形態、修正形態、及び均等物を包含し;それは特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0039】
本発明のすべての目的を果たし、現況技術の課題を解決するために、本発明は、
・エレベータキャビンに取り付けられた少なくとも1つのブレーキプレート(1)
・ブレーキばね(2)に取り付けられ、ソレノイドによって開放される少なくとも1対のブレーキパッド(2)、及び
・ブレーキプレート(1)の不在時にブレーキパッド(2)を開位置にとどめるための少なくとも1対のブレーキエクステンダ(5)
を備える、リニアモータエレベータに適した定置型機械的ブレーキシステムである。
【0040】
現況技術の課題を解決するために、本発明は、ブレーキエクステンダ(5)が、ソレノイドが電力遮断されているとき、ブレーキプレート(1)の不在時に互いに接触して、ブレーキパッド(2)が閉止することを防止することができる2つのフラップを有する、定置型機械的ブレーキシステムである。
【0041】
現況技術の課題を解決するために、本発明は、ブレーキプレート(1)の存在又は不在を検出するための1つ又は複数の光センサ及び/又は磁気センサを備える定置型機械的ブレーキシステムである。
【0042】
現況技術の課題を解決するために、本発明は、
・複数のエレベータキャビンが同じ昇降路に据え付けられ、
・それらのそれぞれがブレーキプレート(1)を備えており、
・ブレーキプレート(1)のそれぞれが、同じ組の定置型ブレーキによって保持又は解放されるように構成されている、
ブレーキシステムである。
【0043】
現況技術の課題を解決するために、本発明は、
・少なくとも1つの定置型機械的ブレーキシステム、
・リニアモータ駆動システム、及び
・エレベータキャビン
を備える、ロープレスなリニアモータエレベータシステムである。
【0044】
現況技術の課題を解決するために、本発明は、
・少なくとも1つの定置型機械的ブレーキシステム、
・リニアモータ駆動システム、及び
・複数のエレベータキャビン
を備える、ロープレスなマルチカーリニアモータエレベータシステムである。
【国際調査報告】