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特表2025-501813バルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】バルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/17 20060101AFI20250117BHJP
   H03H 9/54 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H9/54 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571497
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2023074927
(87)【国際公開番号】W WO2024130823
(87)【国際公開日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】202211663396.9
(32)【優先日】2022-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520296211
【氏名又は名称】見聞録(浙江)半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】JWL (ZHEJIANG) SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】BUILDING 3, NO.55, DACHUANWAN ROAD, LONGXI SUB-DISTRICT, HUZHOU, ZHEJIANG 313000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】リ リンピン
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA07
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE13
5J108FF02
5J108KK02
(57)【要約】
本発明は、バルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器を提供し、当該バルク音響共振器によって定義される有効共振領域のエッジにフレーム構造を設置し、フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きく、寄生横波を効果的に抑制できる。なお、当該フレーム構造は二重パッシベーション層構造が採用され、横波への抑制を実現すると同時に、余分の共振によるクラッタ(Clutter)を減少する。同時に、二重パッシベーション層構造の採用は、応力を低減し、構造安定性及びQ値を向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク音響共振器であって、
基板と、前記基板の上方に積層設置された底部電極、圧電層、及び頂部電極と、を含み、前記基板と前記底部電極との間に音響反射構造が設置されており、前記底部電極、圧電層、頂部電極と、音響反射構造との重なり領域は、バルク音響共振器の有効共振領域として定義され、
有効共振領域のエッジに設置されたフレーム構造をさらに含み、前記フレーム構造は、前記頂部電極の上方に積層設置された第2パッシベーション層、第1材料層、及び第1パッシベーション層を含み、前記フレーム構造は一端が有効共振領域内に位置し、他端が少なくとも、前記有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、前記フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい、
ことを特徴とするバルク音響共振器。
【請求項2】
前記第1材料層は金属材質である、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項3】
前記第1材料層は非金属材質である、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項4】
前記第1材料層は第2パッシベーション層と一体成形される、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項5】
前記フレーム構造は、前記第1材料層と前記第1パッシベーション層との間に設置された第2材料層をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項6】
前記第2材料層の材質は第1パッシベーション層の材質と異なり、前記第2材料層の材質は第2パッシベーション層の材質と異なる、
ことを特徴とする請求項5に記載のバルク音響共振器。
【請求項7】
前記第2材料層の材質は金属である、
ことを特徴とする請求項5に記載のバルク音響共振器。
【請求項8】
前記第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層はともに、有効共振領域を覆う、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項9】
前記第1パッシベーション層は有効共振領域を覆い、第2パッシベーション層は有効共振領域のエッジに設置され、或いは、第2パッシベーション層は有効共振領域を覆い、第1パッシベーション層は有効共振領域のエッジに設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項10】
第2パッシベーション層の音響インピーダンスは、第1パッシベーション層の音響インピーダンスよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項11】
前記フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の領域の音響インピーダンス以上である、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項12】
前記音響反射構造は、ブラッグ反射層、またはキャビティである、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項13】
前記キャビティは、基板の内部または基板の上方に設置される、
ことを特徴とする請求項12に記載のバルク音響共振器。
【請求項14】
第1誘電体層と第2誘電体層とをさらに含み、前記第1誘電体層は、底部電極と第2誘電体層との間に設置され、前記第1誘電体層と第2誘電体層との間に第3材料層が設置されており、前記第3材料層は有効共振領域のエッジに設置され、前記第3材料層は一端が有効共振領域の内部に位置し、他端が少なくとも、前記有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、前記第3材料層に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、第3材料層以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項15】
前記第3材料層は前記第1誘電体層と一体成形される、
ことを特徴とする請求項14に記載のバルク音響共振器。
【請求項16】
前記第1材料層の上面が、凹凸面として設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のバルク音響共振器。
【請求項17】
前記第2材料層の上面が、凹凸面として設置される、
ことを特徴とする請求項5に記載のバルク音響共振器。
【請求項18】
前記第1パッシベーション層の第1材料層に対応する部分の上面が、凹凸面として設置され、かつその凹凸位置が、第1材料層の凹凸上面の凹凸位置と交互に設置される、
ことを特徴とする請求項16に記載のバルク音響共振器。
【請求項19】
前記第1パッシベーション層の第2材料層に対応する部分の上面が、凹凸面として設置され、かつその凹凸位置が、第2材料層の凹凸上面の凹凸位置と交互に設置される、
ことを特徴とする請求項17に記載のバルク音響共振器。
【請求項20】
バルク音響共振器の製造方法であって、
基板を提供し、前記基板の上方に底部電極、圧電層、頂部電極を順次形成し、前記基板と前記底部電極との間に音響反射構造を形成するステップであって、前記底部電極、圧電層、頂部電極と、音響反射構造との重なり領域は、バルク音響共振器の有効共振領域として定義されるステップを含み、
有効共振領域のエッジに形成されたフレーム構造をさらに含み、前記フレーム構造は、前記頂部電極の上方に順次形成された第2パッシベーション層、第1材料層、及び第1パッシベーション層を含み、前記フレーム構造は一端が有効共振領域内に位置し、他端が少なくとも、前記有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、前記フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい、
ことを特徴とするバルク音響共振器の製造方法。
【請求項21】
フィルタであって、請求項1~19のいずれか1項に記載のバルク音響共振器を含む、
ことを特徴とするフィルタ。
【請求項22】
電子機器であって、請求項1~19のいずれか1項に記載のバルク音響共振器を含む、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体という技術的分野に関し、特にバルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器に関する。本出願は、2022年12月23日にて中国特許庁に提出され、出願番号が202211663396.9であり、発明の名称が「バルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
バルク音響共振器の基本構造は、底部電極、圧電層、及び頂部電極が積層されてなる「サンドイッチ」構造であり、高周波の電気的信号が頂部電極、底部電極の間に印加される場合、圧電層の逆圧電効果により、圧電層の厚さ方向に沿って伝搬するバルク音響波(Bulk Acoustic Wave、BAW)が圧電層内に励起される。バルク音響波の伝送路長は、頂部電極、底部電極、圧電層の厚さの和であり、バルク音響波の波長と伝搬路長との間が一定の関係を満たす場合、定在波振動が発生し、この場合、信号は材料内部で共振が発生し、デバイスの等価インピーダンスに極値が現れる。ハイバンド(1GHz以上)でのバルク音響波の表現を最適化するために、最適な解決策は、「サンドイッチ」構造をブロック構造から薄膜構造に縮小することである。
【0003】
現在、バルク音響共振器の構造は、ブラッグ反射層構造を採用した固体実装型(SMR、Solidly Mounted Resonator)音響共振器、及び空気を反射媒体として採用したバックエッチング型(Back-etching Type)、エアギャップ型(Air-gap Type)音響共振器に分けられる。厳密に言うと、空気を反射媒体として採用したバックエッチング型、エアギャップ型音響共振器は、薄膜バルク音響共振器(FBAR)と呼ばれ、ブラッグ反射層を採用した音響共振器は一般的にSMR-BAWと呼ばれる。
【0004】
無線周波数デバイスとして、FBARは、パワーソースになるために、2つの電極に印加された1つの無線周波数電圧が必要であり、無線周波数電圧の作用により、圧電層は交流電界が発生し、逆圧電効果により、圧電層はひずみが発生し、微視的にはフォノンの振動として表現され、巨視的には音波が形成され、この音波は圧電体内部のバルク音響波であり、このような過程により、電気エネルギーは力学的エネルギーに変換される。バルク音響波は、頂部電極、底部電極の間で往復反射し、定在波の形成条件に応じて、音波の伝搬距離が半波長、または半波長の奇数倍であるときに定在波振動が発生し、正圧電効果により、往復振動するバルク音響波はさらに無線周波数電気信号を励振し、さらに力学的エネルギーから電気エネルギーへの変換を完了し、電気信号の共振を形成する。
【0005】
バルク音響波の偏波方向と伝搬方向との関係に応じて、FBARの振動モードを、縦モード及び横モードに分けることができる。縦モードは主共振であり、当該モードでは、縦波は電極の間で周期的に逆方向に動き、電極のすべての位置で同じ位相を呈示し、縦波はFBARの圧電層のZ軸方向に沿って伝搬し、基板と底部電極との間にキャビティ構造を設置することにより、底部電極と空気との境界で縦波を共振エリアに反射し戻させることで音響波エネルギーの損失を回避する。横モードは寄生モードであり、共振器は、縦波が発生すると同時に、横波も発生し、横波の振動により、共振器の有効領域の境界でエネルギーが漏れ、エネルギーの損失を引き起こし、これにより、Q値に悪影響を与える。
【0006】
横モードがQ値に与える影響を減少するために、頂部電極の有効共振領域内のエッジ位置でフレーム構造を設置することができ、当該フレーム構造は通常、頂部電極と同じ材質で形成され、つまり、フレーム構造は実際に、頂部電極の一部である。上記のフレーム構造はQ値に対して、確かに有益な効果をもたらす。しかし、同時に、頂部電極に電気的に接続された金属フレーム構造自体が有効共振領域内にあるため、それが横波を抑制すると同時に新たなスプリアス信号を導入し、縦モードに悪影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、如何に横モードがQ値に与える影響を減少しつつ騒音を回避するかは、フィルタの設計エンジニアが重点的に考慮する必要がある問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これに鑑みて、本発明の実施例は、横モードがQ値に与える影響を減少しつつ騒音を回避する目的を実現するように、バルク音響共振器及びその製造方法、フィルタ、電子機器を提供する。
【0009】
上記目的を実現するために、本発明の実施例は以下のような技術案を提供する。
【0010】
本発明の実施例の第1態様は、バルク音響共振器を開示し、
基板と、前記基板の上方に積層設置された底部電極、圧電層、及び頂部電極と、を含み、前記基板と前記底部電極との間に音響反射構造が設置されており、前記底部電極、圧電層、頂部電極と、音響反射構造との重なり領域は、バルク音響共振器の有効共振領域として定義され、
有効共振領域のエッジに設置されたフレーム構造をさらに含み、前記フレーム構造は、前記頂部電極の上方に積層設置された第2パッシベーション層、第1材料層、及び第1パッシベーション層を含み、前記フレーム構造は一端が有効共振領域内に位置し、他端が少なくとも、前記有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、前記フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい。
【0011】
選択可能に、前記第1材料層は金属材質である。
【0012】
選択可能に、前記第1材料層は非金属材質である。
【0013】
選択可能に、前記第1材料層は第2パッシベーション層と一体成形される。
【0014】
選択可能に、前記フレーム構造は、前記第1材料層と前記第1パッシベーション層との間に設置された第2材料層をさらに含む。
【0015】
選択可能に、前記第2材料層の材質は第1パッシベーション層の材質と異なり、前記第2材料層の材質は第2パッシベーション層の材質と異なる。
【0016】
選択可能に、前記第2材料層の材質は金属である。
【0017】
選択可能に、前記第1パッシベーション層及び第2パッシベーション層はともに、有効共振領域を覆う。
【0018】
選択可能に、前記第1パッシベーション層は有効共振領域を覆い、第2パッシベーション層は有効共振領域のエッジに設置され、或いは、第2パッシベーション層は有効共振領域を覆い、第1パッシベーション層は有効共振領域のエッジに設置される。
【0019】
選択可能に、第2パッシベーション層の音響インピーダンスは、第1パッシベーション層の音響インピーダンスよりも大きい。
【0020】
本発明の一実施例では、第2パッシベーション層の音響インピーダンスが第1パッシベーション層の音響インピーダンスよりも大きいことは、音響損失を減少でき、寄生横波の抑制に有利になる。
【0021】
選択可能に、前記フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の領域の音響インピーダンス以上である。
【0022】
選択可能に、前記音響反射構造は、ブラッグ反射層、またはキャビティである。
【0023】
選択可能に、前記キャビティは、基板の内部または基板の上方に設置される。
【0024】
選択可能に、第1誘電体層と第2誘電体層とをさらに含み、前記第1誘電体層は、底部電極と第2誘電体層との間に設置され、前記第1誘電体層と第2誘電体層との間に第3材料層が設置されており、前記第3材料層は有効共振領域のエッジに設置され、前記第3材料層は一端が有効共振領域の内部に位置し、他端が少なくとも、前記有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、前記第3材料層に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、第3材料層以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい。
【0025】
選択可能に、前記第3材料層は前記第1誘電体層と一体成形される。
【0026】
選択可能に、前記第1材料層の上面が、凹凸面として設置される。
【0027】
選択可能に、前記第2材料層の上面が、凹凸面として設置される。
【0028】
選択可能に、前記第1パッシベーション層の第1材料層に対応する部分の上面が、凹凸面として設置され、かつその凹凸位置が、第1材料層の凹凸上面の凹凸位置と交互に設置される。
【0029】
選択可能に、前記第1パッシベーション層の第2材料層に対応する部分の上面が、凹凸面として設置され、かつその凹凸位置が、第2材料層の凹凸上面の凹凸位置と交互に設置される。
【0030】
第1パッシベーション層、第1材料層及び/又は第2材料層の上面を凹凸上面として設置することにより、fs付近の微小な寄生横波を除去、または改善できる。
【0031】
本発明の実施例の第2態様は、バルク音響共振器の製造方法を開示し、
基板を提供し、前記基板の上方に底部電極、圧電層、頂部電極を順次形成し、前記基板と前記底部電極との間に音響反射構造を形成するステップであって、前記底部電極、圧電層、頂部電極と、音響反射構造との重なり領域は、バルク音響共振器の有効共振領域として定義されるステップを含み、
有効共振領域のエッジに形成されたフレーム構造をさらに含み、前記フレーム構造は、前記頂部電極の上方に順次形成された第2パッシベーション層、第1材料層、及び第1パッシベーション層を含み、前記フレーム構造は一端が有効共振領域内に位置し、他端が少なくとも、前記有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、前記フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい。
【0032】
本発明の実施例の第3態様は、フィルタを開示し、本発明の実施例の第1態様に開示されたバルク音響共振器を含む。
【0033】
本発明の実施例の第4態様は、電子機器を開示し、本発明の実施例の第1態様に開示されたバルク音響共振器を含む。
【0034】
本発明の実施例では、当該バルク音響共振器によって定義される有効共振領域のエッジにフレーム構造を設置し、フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きく、寄生横波を効果的に抑制できる。なお、当該フレーム構造は二重パッシベーション層構造が採用され、横波への抑制を実現すると同時に、余分の共振によるクラッタ(Clutter)を減少する。同時に、二重パッシベーション層構造の採用は、応力を低減し、構造安定性及びQ値を向上させることができ、当該二重パッシベーション層構造における第1パッシベーション層は周波数変調層であり、周波数変調過程中の当該フレーム構造に対する劣化を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本発明の実施例または従来技術における技術案をより明らかに説明するために、以下は実施例または従来技術の説明にとって必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載における図面は本発明の実施例であり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、提供された図面に応じて他の図面を取得し得る。
図1】本発明の実施例が提供するバルク音響共振器の断面模式図である。
図2】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図3図2に基づいてエミュレートし得られた、クラッタ(Clutter)の数に関する周波数インピーダンスグラフである。
図4図2に基づいてエミュレートし得られた、クラッタ(Clutter)の振幅値に関する周波数インピーダンスグラフである。
図5図2に基づいてエミュレートし得られた、Rs値に関する周波数インピーダンスグラフである。
図6図2に基づいてエミュレートし得られた、Rp値に関する周波数インピーダンスグラフである。
図7図2に基づいてエミュレートし得られた、fpに関する周波数インピーダンスグラフである。
図8】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図9】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図10】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図11】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図12】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図13】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図14】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図15】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図16】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図17図16に基づいてエミュレートし得られた、クラッタ(Clutter)の数に関する周波数インピーダンスグラフである。
図18図16に基づいてエミュレートし得られた、クラッタ(Clutter)の振幅値に関する周波数インピーダンスグラフである。
図19図16に基づいてエミュレートし得られた、Rs値に関する周波数インピーダンスグラフである。
図20図16に基づいてエミュレートし得られた、Rp値に関する周波数インピーダンスグラフである。
図21】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図22】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
図23】本発明の実施例が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施例における技術案を、本発明の実施例における図面を結合して明確かつ完全に記載する。明らかに、記載した実施例は本発明のすべての実施例ではなく、一部のみである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提で得られるすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0037】
本出願では、「からなる」、「含む」、または他のそれらの変化形等の用語は、非排他的に含むことを意味する。一連の素子を含むプロセス、方法、製品または機器は、それらの素子ばかりでなく、明示的に列挙されていない他の素子をも含む、あるいは、さらに、そのようなプロセス、方法、製品または機器内に既に存在していた素子を含む。さらにより多い制限がない限り、語句「1つの...を含む」によって定義される素子は、プロセス、方法、製品または機器内にさらに他の同じ素子が存在することから除外しない。
【0038】
以下、本発明の実施例が関する複数の技術案を、本発明の実施例における図面を結合して明確かつ完全に記載する。
【0039】
実施例1
図1に示すように、本発明の実施例1が提供するバルク音響共振器の断面模式図である。当該バルク音響共振器は、
基板1と、基板1の上方に積層設置された底部電極2、圧電層3、及び頂部電極4と、を含み、基板1と底部電極2との間に音響反射構造5が設置されている。底部電極2、圧電層3、頂部電極4と、音響反射構造5との重なり領域は、バルク音響共振器の有効共振領域として定義される。
【0040】
なお、有効共振領域のエッジに設置されたフレーム構造6をさらに含み、フレーム構造6は、頂部電極4の上方に積層設置された第2パッシベーション層7、第1材料層8、及び第1パッシベーション層9を含み、第2パッシベーション層7は、第1パッシベーション層9と頂部電極4との間に設置される。第1材料層8は、第1パッシベーション層9と第2パッシベーション層7との間に設置される。
【0041】
フレーム構造6は一端が有効共振領域内に位置し、他端が少なくとも、有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、フレーム構造6に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造6以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きく、これにより、寄生横波を効果的に反射、または抑制する。
【0042】
本発明の実施例1では、当該フレーム構造6は具体的に、有効共振領域のエッジで、頂部電極4の上方に積層された第2パッシベーション層7、第1材料層8、及び第1パッシベーション層9である。
【0043】
具体的には、フレーム構造6の一端が有効共振領域内に位置し、フレーム構造6の他端が頂部電極4または底部電極2の端部エッジと揃えるようにしてもよく、フレーム構造6の両端が、それぞれに頂部電極4または底部電極2の端部エッジの両側に位置してもよく、これにより、フレーム構造6に対応する有効共振領域の音響インピーダンスが、フレーム構造6以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きくなるように、底部電極2または頂部電極4の境界にマッチングする環状突起構造のフレームまたは多角形突起構造のフレームを形成する。
【0044】
本発明の実施例1における音響反射構造5はキャビティであり、当該キャビティは基板1の内部に設置される。第1パッシベーション層9及び第2パッシベーション層7はともに、有効共振領域へ延在して有効共振領域を覆う。
【0045】
なお、バルク音響共振器では、Rsは、デバイス自体の抵抗損とリード損失の和を表し、Rpは、バルク音響共振器デバイスのエネルギーファクターを示し、Rpが高いほど、Rsが表す音響損失が少なくなり、主共振に参加するバルク音響共振器のエネルギーが多くなり、よって、Rpが高いほど、デバイスのQ値が高くなり、相応するデバイスの音響構造が優れている。従って、バルク音響共振器デバイスを設計する場合、同じ周波数で、好ましくはRsが小さいほどよくなり、Rpが大きいほどよくなる。
【0046】
本発明の実施例1のフレーム構造6は、従来技術における金属材質の突起構造と異なり、フレーム構造6は頂部電極4から電気的に分離され、ひいては完全に非金属材料によって構成され、良好な横波抑制効果を形成でき、従来技術において頂部電極に電気的に接続される金属材質の突起構造と異なり、従来の突起構造は一般的に、蒸着後、lift-off(剥離プロセス)加工を行って形成され、頂部電極との間に結合力の信頼性という問題が存在し、階層化のリスクがある。本発明において、パッシベーション層について一般的に、CVDプロセスまたはPVDプロセスが使用されるため、良好な結合力を形成でき、同時に、本発明のフレーム構造6は、振動スタックで形成された余分の振動を減少することにより、fs付近のクラッタ(Clutter)を減少する。
【0047】
本発明の一実施例では、当該第1材料層8は第2パッシベーション層7と材質が同じであり、一体成形することができる。
【0048】
本発明の実施例1の第1パッシベーション層9は周波数変調層であり、周波数変調過程中にフレーム構造6に対して劣化が発生することを回避でき、周波数変調機能は、第1パッシベーション層9によって実現され、横波損失の減少機能は、第2パッシベーション層7及び第1材料層8によって実現され、このような設置は、周波数変調過程によるフレーム構造6の劣化を回避でき、つまり、異なる機能を実現するために現れるプロセス上の矛盾を回避する。
【0049】
第1材料層8の材質は、第1パッシベーション層9または第2パッシベーション層7と異なる非金属であってもよい。
【0050】
第1パッシベーション層9及び第2パッシベーション層7に、以下の媒体材料からなるものを採用することができ、当該媒体材料は例えば、SiO、Si、AlN、Si、SiC、Ta、Al、TiO、HfO、ZrO、MgOまたはDLC(dimond like carbon)等を含むが、これらに限定されない。
【0051】
第1パッシベーション層9及び第2パッシベーション層7を構成する媒体材料を具体的に選択する過程において、縦波方向の音響インピーダンス(本出願書類における音響インピーダンスは、余分の説明がない状況で、いずれも縦波方向の音響インピーダンスを意味する)が一般的に10~100MRaylsの範囲の間にあることを考慮すると、第1パッシベーション層9及び第2パッシベーション層7について、デバイスのモデルに応じて最適に選択でき、例えば、音響インピーダンスの高いSi、TaまたはSiCを選択することができ、Siの音響インピーダンスは36MRaylsであり、Taの音響インピーダンスは39MRaylsであり、SiCの音響インピーダンスは91MRaylsであり、特に、媒体材料のSiCの音響インピーダンスは、一般的な媒体材料よりもはるかに高くなる。
【0052】
本発明の1つの実施例では、第2パッシベーション層7は、多層の異なる音響インピーダンスの材料から構成されてもよい。
【0053】
第1パッシベーション層9及び第2パッシベーション層7に高音速材料を採用してもよく、例えば、音速11200m/sのAlN、音速13000m/sのSiC、音速10520m/sのAlまたは音速11000m/sのSi(以上の音速データは、文献によって測定結果が僅かに異なる)である。
【0054】
高音速材料を採用した第1パッシベーション層9、第2パッシベーション層7は、各自の厚さを低減させるのに有利になり、即ち、パッシベーション層全体の厚さを低減させ、同時に、デバイス構造全体の縦方向の総厚さに占める第1パッシベーション層9及び第2パッシベーション層7の厚さの割合を低減し、実効的電気機械結合係数を保証し、デバイスの性能をアップする。
【0055】
本発明の実施例1及び以下の他の実施例では、フレーム構造6の幅及び厚さは、デバイスの性能に応じて最適に設置できる。
【0056】
本発明の一実施例では、フレーム構造6の幅の取り得る値の範囲が1μm~5μmであり、厚さの取り得る値の範囲が10nm~200nmである。高音響インピーダンスの材料について、その厚さが薄いが、fs付近でスプリアスモードを励起し、デバイスの性能を低減させる。最適なフレーム構造6の幅は周波数に関連し、同時に厚さとも関連性があり、協調最適化を行って最適な設置を選択できる。
【0057】
本発明では、周波数変調過程が周波数を修正するプロセスであるため、このプロセスはエッチングプロセスと基本的に似ており、区別は、周波数変調過程は、ウエハ(wafer)全体を一度にエッチングすることではなく、例えば、蛇形軌跡でウエハ全体をスイープすることであり、異なるエッチング量または修整量をウエハ全体の異なる領域に印加する可能性がある。周波数変調過程の原理は、粒子ビームにより物理的衝撃を行って薄膜の厚さを薄くすることであり、同時に物理的衝撃と化学反応により薄膜の厚さを薄くすることを実現するようにしてもよい。従って、周波数変調後、異なる領域の第1パッシベーション層9の厚さはいずれも、設計目標周波数を達成するように異なる除去量を有するが、フレーム構造6の他の部分の厚さ及び幅はそのまま変化せず、これにより、デバイスの音響物理モデルが変化しないことを保証し、デバイスの性能の整合性を保証し、歩留まりをアップすることができる。
【0058】
本発明の実施例1及び以下の他の実施例では、有効共振領域内の頂部電極4の上側に、音響インピーダンスの異なる第1パッシベーション層9、第2パッシベーション層7が形成されている。
【0059】
本発明の一実施例では、頂部電極4に近い第2パッシベーション層7の音響インピーダンスは、第1パッシベーション層9の音響インピーダンスよりも大きい。
【0060】
これに基づいて、第2パッシベーション層7にSiCを選択することができ、第1パッシベーション層9にAlを選択することができる。或いは、第2パッシベーション層7が正の応力、第1パッシベーション層9が負の応力であるように設置し、相互に応力を相殺して構造の信頼性をアップし、底部電極2、頂部電極4及び圧電層3が成長する場合、応力バランスを達成するために応力を設置するとデバイスの性能に影響を与え、この場合、応力、性能を同時に両立することができない。よって、第1パッシベーション層9と第2パッシベーション層7の両パッシベーション層の複合設置により応力バランスを実現でき、さらに構造安定性及びQ値を向上させる。
【0061】
つまり、フレーム構造6は両パッシベーション層で設置され、即ち、第1パッシベーション層9及び第2パッシベーション層7が同時に設置されていると、応力バランスを実現でき、この場合、底部電極2、頂部電極4及び圧電層3の応力設置は、最良の性能を保証できればよい。
【0062】
本発明の実施例1に開示されたバルク音響共振器において、当該バルク音響共振器によって定義された有効共振領域のエッジにフレーム構造6を設置し、当該フレーム構造6の設置は、応力の低減に有利になると同時に、バルク音響共振器デバイスのキャビティ内での犠牲層が解放されたあと、底部電極2、頂部電極4及び圧電層3の間の残留応力をゼロに近くさせ、バルク音響共振器デバイスの動作寿命及び安定性を向上させる。一方、その音響インピーダンス係数に応じて厚さの割合を最適化することは、横波を抑制し、最良の性能を実現することに有利になる。
【0063】
さらには、二重パッシベーション層を有するフレーム構造6は、SMR構造のBAWフィルタに適用され、即ち、ブラッグ反射層は音響反射構造5として底部電極2の下方に設置され、ブラッグ反射層は、高インピーダンス材料と低インピーダンス材料とが交互に積層されて構成されたものである。SMR-BAWの共振器において、フレーム構造6を頂部電極4上に設置することは、以上に記載のRp性能を向上させる作用を奏することができる。
【0064】
実施例2
図2のように、本発明の実施例2が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0065】
本発明の実施例2と本発明の実施例1との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例2では、キャビティは基板1の表面の上方に設置され、フレーム構造6は有効共振領域のエッジで終わる。具体的には、図2に示すように、フレーム構造6は一端が有効共振領域内に位置し、他端が頂部電極4のエッジと面一になる。
【0066】
第1材料層8が金属材質である場合と、非金属材質である場合の共振器性能に対する影響を比較するために、出願人は本発明の実施例2の構造をエミュレーションデバイス構造として比較検証を行った。対照群における第1材料層8はMo金属であり、かつ実施例2における第2パッシベーション層7の代わりにMo金属層を採用し、実験群における第1材料層8、第2パッシベーション層7は材質が同じであり、それぞれ炭化ケイ素、窒化アルミニウム、または窒化ケイ素である。
【0067】
対照群、実験群におけるエミュレーションデバイスの底部電極2及び頂部電極4の材料がともにモリブデンであり、底部電極2及び頂部電極4の厚さがともに0.3μmであり、圧電層3の材料が窒化アルミニウムであり、圧電層3の厚さが0.8μmであり、第1パッシベーション層9の材料が窒化アルミニウムであり、第1パッシベーション層9の厚さが0.29μmであり、第1材料層8及び第2パッシベーション層7の厚さがともに0.05μmであり、第1材料層8の幅が2μmである。
【0068】
具体的には、図3図7に示すように、対照群及び実験群の性能パラメータのエミュレーション結果である。
【0069】
図3及び図4に示すように、対照群と比較すると、実験群は周波数インピーダンス曲線において、直列共振周波数付近のクラッタ(Clutter)の数が少なく、振幅値(本出願書類において、振幅値はいずれも、クラッタ(Clutter)領域の最大箇所と最小箇所の差を示す)が小さい。
【0070】
具体的には、フレーム構造6において、第1材料層8にモリブデンを採用した場合に振幅値が15であり、第1材料層8に非金属材質の炭化ケイ素、窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素を採用した場合、振幅値が10である。
【0071】
振幅値が小さいほどデバイスの性能が優れているため、フレーム構造6の第1材料層8に非金属材質の炭化ケイ素、窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素を採用した場合、クラッタ(Clutter)に対する抑制効果は明らかに、頂部電極4に電気的に接続されたモリブデン材質の第1材料層8よりも優れている。
【0072】
表1は、モリブデン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素及び窒化ケイ素の材料属性を示す。
【0073】
異なる材料の第1パッシベーション層9を採用して形成されたフレーム構造6の音響インピーダンスは異なり、具体的には、音響インピーダンスの算出式はZ=ρvであり、ρが材料密度を示し、vが縦波音速を示す。
【0074】
なお、モリブデン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素及び窒化ケイ素の関連パラメータは、従来の文献において僅かに異なる。
【0075】
【表1】
【0076】
同時に、図5に示すように、直列共振周波数fs付近では、対照群と比較すると、実験群のRs及びfsは基本的に変化しなく、つまり、モリブデン、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素に対応するRs値は、直列共振周波数fsに近い。即ち、異なる材質に対応するRs値は近く、いずれも1.1Ω程度にあり、fsも近く、いずれも2.231GHz程度にあり、直列共振周波数での性質係数Qsの維持に有利になる。
【0077】
図6及び図7に示すように、並列共振周波数付近では、対照群と比較すると、実験群のRpは明らかに向上される。
【0078】
具体的には、第1材料層8の採用する材質が異なると、得られるRp値は異なる。第1材料層8に炭化ケイ素を採用した場合に得られたRp値は4010Ωであり、第1材料層8に窒化アルミニウムを採用した場合に得られたRp値は3991Ωであり、第1材料層8に窒化ケイ素を採用した場合に得られたRp値は3928Ωであり、第1材料層8にモリブデンを採用した場合に得られたRp値は3512Ωである。
【0079】
Rp値が大きいほど、デバイスの性能がよくなるため、つまり、炭化ケイ素を採用したフレーム構造6は、窒化アルミニウムを採用したフレーム構造6よりも優れており、窒化アルミニウムを採用したフレーム構造6は、窒化ケイ素を採用したフレーム構造6よりも優れており、窒化ケイ素を採用したフレーム構造6は、対照群のフレーム構造6よりも優れている。
【0080】
このように、同じ設置条件では、実験群は、対照群よりも高いRp性能を実現でき、デバイスの性能が著しく向上し、例えば、フレーム構造6における第1材料層8に炭化ケイ素材質を採用し、対照群のRpと比較すると、14%向上する。
【0081】
同時に、対照群と比較すると、実験群の性質係数Qpは向上され、横波に対する抑制効果はより良くなる。
【0082】
さらには、対照群と比較すると、実験群の並列共振周波数(即ち、ピーク値)はいずれも右にシフトし、かつ基本的に重なり、周波数が2.297GHz程度である。
【0083】
事実的には、対照群(fpが2.295GHzである)と比較すると、実験群の並列共振周波数は、約2MHz向上する。
【0084】
エミュレーション結果に応じて算出すると、その圧電結合係数は以下の通りである。対照群と比較すると、実験群のバルク音響共振器デバイスのKtは、0.2%アップし(元のKt値6.69の2.99%を占める)、即ち、6.69から6.89までアップした。
【0085】
従って、バルク音響共振器デバイスの性能はさらにアップされ、例えば、挿入損失がそのまま変化しない状況では、帯域外抑制をアップでき、例えば、バルク音響共振器デバイスの歩留まりは3%程度アップでき、直接にバルク音響共振器デバイスの大量生産のコストを低減させることができる。
【0086】
他の実施例では、フレーム構造6における第1材料層8に、第2パッシベーション層7、第1パッシベーション層9の両方とも異なる材質を採用してもよい。
【0087】
本発明の実施例2において、非金属材質の第1材料層は、fs付近のクラッタ(Clutter)の幅を低減するだけでなく、良好なRp性能も保証できる。また、対照群と比較すると、第1材料層に高音速材料を採用した場合にKtをさらに向上させることができ、さらにバルク音響共振器デバイスの性能を向上させる。
【0088】
実施例3
図8は、本発明の実施例3が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0089】
本発明の実施例3と本発明の実施例2との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例3におけるフレーム構造6はさらに、第2材料層10を含み、第2材料層10は、第1材料層8と第1パッシベーション層9との間に位置し、第2材料層10は一端が有効共振領域の内部に位置し、他端が有効共振領域のエッジと揃える。
【0090】
第2材料層10の材質は金属であり、または、第1パッシベーション層9、第2パッシベーション層7の両方とも異なる非金属である。
【0091】
本発明の実施例3では、第1材料層と第1パッシベーション層との間に第2材料層を設置することにより、フレーム構造は多層複合構造となり、バルク音響共振器の全体性能をさらに向上させる。
【0092】
実施例4
図9は、本発明の実施例4が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0093】
本発明の実施例4と本発明の実施例1との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例4におけるフレーム構造6は、第1誘電体層11と第2誘電体層12とをさらに含み、第1誘電体層11は、底部電極2と第2誘電体層12との間に設置され、具体的には、第1誘電体層11は、底部電極2及び圧電層3の下方に位置する。
【0094】
第2誘電体層12は、第1誘電体層11の下方に位置し、第1誘電体層11と第2誘電体層12との間に第3材料層13が設置されており、第3材料層13は有効共振領域のエッジに設置され、第3材料層13は一端が有効共振領域の内部に位置し、他端が有効共振領域のエッジを超えて延在し、第3材料層13に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、第3材料層13以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい。
【0095】
本発明の一実施例では、第3材料層13は一端が第1材料層8の端部と面一になり、他端部が有効共振領域のエッジを超える。
【0096】
実際には、第3材料層13が音響反射構造5のエッジに位置するため、前記第3材料層13の他端が底部電極2及び圧電層3に沿って外へ延在する。
【0097】
本発明の一実施例では、第3材料層13は第1誘電体層11と材質が同じであり、一体成形できる。
【0098】
本発明の一実施例では、第1誘電体層11及び第2誘電体層12は、絶縁材料から構成される。
【0099】
実施例5
図10は、本発明の実施例5が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0100】
本発明の実施例5と本発明の実施例1との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例5の音響反射構造は、基板の表面上に位置し、フレーム構造6は、凹凸面14が設置されている。
【0101】
具体的には、凹凸面は、第1材料層8の上面に設置され、或いは、第1材料層8に対応する部分の第1パッシベーション層9の上面を、凹凸面として設置し、或いは、第1材料層8、及び第1材料層8に対応する部分の第1パッシベーション層9の上面をともに、凹凸面として設置し、かつその凹凸位置が第1材料層8の凹凸面の凹凸位置と交互に設置される。
【0102】
凹凸面14により、フレーム構造6における第1材料層8の上面及び/又は第1材料層8に対応する第1パッシベーション層9の上面が、高低起伏状構造に形成される。フレーム構造6における第1材料層8と、それに対応する第1パッシベーション層9上の凹凸面とが相互に交互に設置されることは、フレーム構造6が新たなfs付近の寄生横波を導入することの抑制に有利する。
【0103】
本発明の実施例5では、凹凸面を設置することにより、fs付近の微小な寄生横波を改善、または除去できる。
【0104】
実施例6
図11のように、本発明の実施例6が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0105】
本発明の実施例6と本発明の実施例1との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例6では、キャビティは基板1上に設置されて地上型キャビティが形成され、それに、前記第1材料層8の材質は金属であり、具体的には、タングステン、モリブデン、イリジウム、プラチナ、ルテニウムまたはタンタル等の高音響インピーダンス金属であってもよく、典型的には、縦波方向の音響インピーダンスが50MRaylsよりも大きい金属を選択可能であり、例えば、音響インピーダンスが66MRaylsのモリブデン、音響インピーダンスが99MRaylsのタングステン、または音響インピーダンスが73MRaylsのルテニウムである。
【0106】
本発明の一実施例では、第1材料層8について、さらに高音速の金属が採用されてもよく、選択可能な高音速材料は例えば、音速が12890m/sのベリリウム、音速が7080m/sのリチウムである。
【0107】
実施例7
図12は、本発明の実施例7が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0108】
本発明の実施例7と本発明の実施例1との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例7では、キャビティは基板1上に設置され、本発明の実施例7のフレーム構造6は、第1材料層8と第1パッシベーション層9との間に設置された第2材料層10をさらに含み、前記第2材料層10の材質は金属であり、第2材料層10は一端が有効共振領域内に設置され、他端が有効共振領域のエッジを超えて第1材料層8の外側エッジに沿って延在する。第1材料層8の外側は、第1材料層8の有効共振領域中心から離れた側であり、第1材料層8の内側は、第1材料層8の有効共振領域中心に近い側である。
【0109】
フレーム構造6付近では、第1材料層8、第1材料層8の両側の第1パッシベーション層9、第1材料層8の外側の第2材料層10は、ブラッグ反射層と類似する作用を形成でき、横波を有効共振領域内に制限することに有利になり、また、当該フレーム構造6は、fs付近のクラッタ(Clutter)の抑制にも有利になる。
【0110】
本発明の実施例7では、第2材料層10に金属材質を採用し、第2パッシベーション層7の存在により、金属材質の第2材料層10と頂部電極4との間は、電気的分離を実現できる。
【0111】
また、第2材料層10の材質について、第2パッシベーション層7の材質と異なる非金属材料、または、第1パッシベーション層9、第2パッシベーション層7の両方の材質とも異なる非金属材料が採用されてもよい。
【0112】
さらには、第2材料層10は第1材料層8の外側エッジに沿って延在したあと、さらに引き続き第2パッシベーション層7の表面に沿って延在して、横波による音響エネルギー量の損失をさらに減少する。その側面構造は、電極を周回する多層反射構造であってもよい。
【0113】
本発明の一実施例では、音響反射構造5は、キャビティであってもよいし、ブラッグ反射構造であってもよい。
【0114】
実施例8
図13は、本発明の実施例8が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0115】
本発明の実施例8と本発明の実施例1との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例8では、フレーム構造6は一端が有効共振領域の内部に位置し、他端が有効共振領域のエッジを超え、第1材料層8及び第2パッシベーション層7の上面の高さがそのまま変化しなく、上面の高さがそのまま変化しないとは、高さが明らかに変化しないが、当分野の合理的な製造誤差を許可することを意味する。
【0116】
実施例9
図14は、本発明の実施例9が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0117】
本発明の実施例9と本発明の実施例1との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例9では、第1パッシベーション層9は有効共振領域を覆い、即ち、本発明の実施例1に対して、第1パッシベーション層9を形成する際に、フレーム構造6の内端の間の第2パッシベーション層を削除し、フレーム構造6の内端は、フレーム構造6の有効共振領域中心に近い端である。
【0118】
実施例10
図15は、本発明の実施例10が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0119】
本発明の実施例10と本発明の実施例9との区別は以下のことにある。即ち、フレーム構造6は一端が有効共振領域内に位置し、他端が頂部電極4のエッジと面一になる。
【0120】
本発明の一実施例では、フレーム構造6の第1材料層8について、第2パッシベーション層7と異なる材質が採用されてもよい。
【0121】
実施例11
図16は、本発明の実施例11が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0122】
本発明の実施例11と本発明の実施例10との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例11のキャビティは基板1上に設置され、かつ本発明の実施例11のフレーム構造6は、第2材料層10をさらに含み、第2材料層10は、第1材料層8と第1パッシベーション層9との間に設置され、第2材料層10は一端が有効共振領域内に位置し、他端が有効共振領域のエッジと揃える。
【0123】
第1材料層8が金属材質である場合と、非金属材質である場合の共振器性能に対する影響を比較するために、出願人は本発明の実施例11の構造をエミュレーションデバイス構造として比較検証を行った。対照群における第1材料層8はMo金属層であり、かつ実施例11における第2パッシベーション層7の代わりにMo金属層を採用し、実験群における第1材料層8、第2パッシベーション層7は材質が同じであり、それぞれに炭化ケイ素、窒化アルミニウム、または窒化ケイ素である。
【0124】
対照群と、実験群におけるエミュレーションデバイスの底部電極2及び頂部電極4の材料がともにモリブデンであり、底部電極2及び頂部電極4の厚さがともに0.3μmであり、圧電層3の材料が窒化アルミニウムであり、圧電層3の厚さが0.8μmであり、第1パッシベーション層9の材料が窒化アルミニウムであり、第1パッシベーション層9の厚さが0.29μmであり、第2パッシベーション層7及び第1材料層8の厚さがともに0.025μmであり、第2材料層10の材質はモリブデンであって厚さが0.05μmであり、第1材料層8及び第2材料層10の幅がともに2μmである。
【0125】
対照群に対応するパラメータは、頂部電極4に電気的に接続された伝統的な金属突起構造を代表し、実験群に対応するパラメータは、本発明の実施例の構造を代表する。
【0126】
図17及び図18に示すように、対照群と比較すると、実験群は周波数-インピーダンス曲線において、直列共振周波数付近のクラッタ(Clutter)の数が少なく、振幅値が小さい。
【0127】
具体的には、対照群の振幅値が15であり、実験群の振幅値が10である。
【0128】
振幅値が小さいほどデバイスの性能が優れているため、実験群のクラッタ(Clutter)に対する抑制効果は、明らかに対照群よりも優れている。
【0129】
同時に、図19に示すように、直列共振周波数fs付近では、対照群と比較すると、実験群のRs及びfsは基本的にそのまま変化しなく、異なる材質に対応するRs値は近く、Rs値はいずれも1.1Ω程度にあり、fsも近く、いずれも2.231GHz程度にあり、直列共振周波数での性質係数Qsの維持に有利になる。
【0130】
図20に示すように、並列共振周波数fp付近では、対照群と比較すると、実験群のRpは明らかに向上する。第1材料層8に窒化アルミニウムを採用しかつ第2材料層10に金属材質のモリブデンを採用した場合、得られたRp値は4218Ωであり、第1材料層8に炭化ケイ素を採用しかつ第2材料層10に金属材質のモリブデンを採用した場合、得られたRp値は4210Ωであり、第1材料層8に窒化ケイ素を採用しかつ第2材料層10に金属材質のモリブデンを採用した場合、得られたRp値は4194Ωであり、対照群が得られたRp値は3512Ωである。
【0131】
Rp値が大きいほど、デバイスの性能がよくなるため、つまり、窒化アルミニウム及びモリブデンを採用したフレーム構造6は、炭化ケイ素及びモリブデンを採用したフレーム構造6よりも優れており、炭化ケイ素及びモリブデンを採用したフレーム構造6は、窒化ケイ素及びモリブデンを採用したフレーム構造6よりも優れており、窒化ケイ素及びモリブデンを採用したフレーム構造6は、モリブデンのみを採用したフレーム構造6よりも優れている。
【0132】
このように、同じ設置条件では、実験群は、対照群よりも高いRp性能を実現でき、デバイスの性能が著しく向上する。
【0133】
同時に、対照群と比較すると、実験群の性質係数Qpは向上され、横波に対する抑制効果はより良くなる。
【0134】
さらには、対照群(fpが2.295GHzである)と比較すると、実験群の並列共振周波数はいずれも右にシフトし、かつ基本的に重なり、周波数が2.296GHz程度にあり、並列共振周波数は、約1MHz向上する。
【0135】
本発明の実施例11における実験群は、本発明の実施例2の実験群の性能と比較すると、Rsは差異がなく、ともに1.1Ω程度であり、fs付近のクラッタ(Clutter)の振幅値は依然として抑制される。しかし、実施例2の実験群よりも、Rpは良好である。
【0136】
本発明の実施例11の実験群Rpは4200付近であるが、実施例2の実験群では、Rpが最も高かったのは、SiC材質を採用したフレーム構造6であり、Rpは4010であり、比較すると5%程度向上し、なお、この場合、クラッタ(Clutter)の振幅値は基本的に変化しない。
【0137】
実施例12
図21は、本発明の実施例12が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0138】
本発明の実施例12と本発明の実施例7との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例12では、第1パッシベーション層9は有効共振領域を覆い、即ち、本発明の実施例7に対して、第1パッシベーション層9を形成する際に、フレーム構造6の内端の間の第2パッシベーション層を削除し、フレーム構造6の内端は、フレーム構造6の有効共振領域中心に近い端である。
【0139】
実施例13
図22は、本発明の実施例13が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0140】
本発明の実施例13と本発明の実施例6との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例13では、第1パッシベーション層9は有効共振領域を覆い、即ち、本発明の実施例6に対して、第1パッシベーション層9を形成する際に、フレーム構造6の内端の間の第2パッシベーション層を削除する。フレーム構造6の内端は、フレーム構造6の有効共振領域中心に近い端である。
【0141】
他の実施例では、第2パッシベーション層7が有効共振領域を覆うようにさせてもよく、即ち、本発明の実施例6に対して、第1パッシベーション層9を形成する際に、第1パッシベーション層9が第2材料層10を包み込んだあと、第1パッシベーション層9の引き続き有効共振領域へ延在する部分を削除する。
【0142】
実施例14
図23は、本発明の実施例14が提供する別のバルク音響共振器の断面模式図である。
【0143】
本発明の実施例14と本発明の実施例8との区別は以下のことにある。即ち、本発明の実施例14では、第1パッシベーション層9は有効共振領域を覆い、即ち、本発明の実施例8に対して、第1パッシベーション層9を形成する際に、フレーム構造6の内端の間の第2パッシベーション層を削除する。フレーム構造6の内端は、フレーム構造6の有効共振領域中心に近い端である。
【0144】
上記本発明の実施例が提供するすべてのバルク音響共振器に基づいて、本発明の実施例は、上記本発明の実施例が提供する任意のバルク音響共振器を製造するために、バルク音響共振器の製造方法を対応して提供し、S11~S14を含む。
S11:基板を提供し、基板上に犠牲層を形成する。
【0145】
S11において、基板は、Si基板、サファイア基板またはガラス基板を含むが、これらに限定されない。
【0146】
犠牲層は、媒体材料を採用して形成されてもよく、媒体材料が、SiO、PSG、Si、SiまたはPIを含むが、これらに限定されない。当該犠牲層は、後続に解放されて音響反射構造が得られる。
【0147】
S12:犠牲層を有する基板の上方に少なくとも、底部電極、圧電層、及び頂部電極を順次形成する。
【0148】
S12において、底部電極の材料について、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)またはニオブ(Nb)が採用されてもよいが、これらに限定されない。
【0149】
圧電層の材料について、AlNまたはAlScN(ScをドープしたALN)が選択されてもよい。
【0150】
圧電層の材料について、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)またはルテチウム(Lu)をドープしたAlN、或いは、Mg、HfまたはZrをドープしたAlN、或いは、薄膜LN(ニオブ酸リチウムLiNbOまたはタンタル酸リチウム(LiTaO)がさらに選択されてもよい。
【0151】
頂部電極の材料は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)またはニオブ(Nb)が採用されてもよいが、これらに限定されない。
【0152】
S12の実行過程において、犠牲層を有する基板上に少なくとも、特定構造の底部電極、圧電層、及び頂部電極を順次形成する。
【0153】
S13:有効共振領域のエッジにフレーム構造を形成する。
【0154】
S13において、底部電極、圧電層、頂部電極と、音響反射構造との重なり領域は、バルク音響共振器の有効共振領域として定義され、フレーム構造は、頂部電極の上方に形成された第2パッシベーション層、第1材料層、及び第1パッシベーション層を含む。
【0155】
フレーム構造は一端が有効共振領域内に位置し、他端が少なくとも、有効共振領域のエッジと面一になるまで延在し、フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きい。
【0156】
第2パッシベーション層の選択可能な材料は、ポリシリコン、窒化アルミニウム、シリカ、ドープシリカ、炭化ケイ素またはアルミナを含むが、これらに限定されない。
【0157】
第1材料層について、金属材質または非金属材質が選択されてもよい。
【0158】
第1パッシベーション層の選択可能な材料は、ポリシリコン、窒化アルミニウム、シリカ、ドープシリカ、炭化ケイ素またはアルミナが含まれるが、これらに限定されない。
【0159】
S13の実行過程において、頂部電極の上方に少なくとも、第2パッシベーション層、第1材料層、及び第1パッシベーション層が形成される。
【0160】
なお、第1パッシベーション層を形成したあと、犠牲層を解放することにより音響反射構造を得る。
【0161】
S14:第1パッシベーション層を薄くし、周波数変調を完了し、物理方式及び/又は化学方式により第1パッシベーション層を薄くすることができ、さらに周波数変調を完了する。
【0162】
本発明の実施例では、当該バルク音響共振器によって定義される有効共振領域のエッジにフレーム構造を設置し、フレーム構造に対応する有効共振領域の音響インピーダンスは、フレーム構造以外の有効共振領域の音響インピーダンスよりも大きく、寄生横波を効果的に抑制できる。なお、当該フレーム構造は二重パッシベーション層構造が採用され、横波への抑制を実現すると同時に、余分の共振によるクラッタ(Clutter)を減少する。同時に、二重パッシベーション層構造の採用は、応力を低減し、構造安定性及びQ値を向上させることができる。
【0163】
上記本発明の実施例が提供するバルク音響共振器に基づいて、本発明の実施例はさらにフィルタを提供し、前記フィルタは、上記本発明の実施例が提供する任意のバルク音響共振器を含む。
【0164】
上記本発明の実施例が提供するバルク音響共振器に基づいて、本発明の実施例はさらに電子機器を提供し、前記電子機器は、上記本発明の実施例が提供する任意のバルク音響共振器を含む。
【0165】
なお、本出願の記載において、用語「上」、「下」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが指示する方位又は位置関係は図面に基づいて示す方位又は位置関係であり、単に本出願の説明及び説明の簡略化の便宜上のものであり、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されなければならないことを示したり暗示したりすることを意図するものではなく、従って、本出願を制限するものと理解されるべきではない。1つのアセンブリが、もう1つのアセンブリに「接続」されると認識される場合、直接にもう1つのアセンブリに接続される可能性があり、又は、同時に中央に配置されたアセンブリが存在する可能性もある。
【0166】
なお、本明細書では、「第一」及び「第二」等の用語は、単に、実体または動作を、他の実体または動作と区別するために使用されるもので、必ずしも、実体または動作間に、この種の実在関係または順位付けが存在することを要求する、あるいは意味するわけではないことにさらに注意すべきである。
【0167】
開示された実施例の上記説明は、当業者が本発明を実現又は使用することを可能にさせる。これらの実施例に対する様々な変更は、当業者にとって自明であり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現される。従って、本出願は、本明細書に示される実施例に限定されず、本明細書に開示される原理及び新規な特徴と一致する最も広い範囲に適合すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
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【国際調査報告】