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特表2025-501826ガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】ガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/187 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
C03B5/187
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580934
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2023084877
(87)【国際公開番号】W WO2024130884
(87)【国際公開日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】202211658948.7
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522124873
【氏名又は名称】彩虹顕示器件股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】李孟虎
(57)【要約】
本発明はガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法及びシステムを開示し、ガラス基板製造の分野に属し、本方法は参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータを取得して、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係をそれぞれ確立し、対応関係に応じて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出することにより、実際の撹拌システムの設計を完了し、本方法は撹拌羽根の掃引高さ、撹拌羽根の直径、撹拌槽内径の設計基準を確立するとともに、撹拌軸クリープとシステムコスト最適化とを両立させ、高効率及び高均質撹拌効果の技術的要件を満足することができる。
【選択図】図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法であって、
標準撹拌システムを参照撹拌システムとして選択して、参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータをそれぞれ取得するステップと、
撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径及び撹拌機回転速度に基づいて剪断応力等価関係を確立するステップと、
撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクに基づいて撹拌効果等価関係を確立するステップと、
参照撹拌システム、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係に基づいて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出して、実際の撹拌システムの設計を完了するステップと、を含むことを特徴とするガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項2】
前記剪断応力等価関係の具体的な公式は、
であり、
但し、Nが実際の撹拌機回転速度であり、Dが実際の撹拌機羽根の直径であり、Dが実際の撹拌槽内径であり、Nが撹拌機回転速度であり、DY0が撹拌機羽根の直径であり、DB0が撹拌槽内径であることを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項3】
前記剪断応力等価関係による剪断応力τは、
の関係を満足し、
但し、ηがガラスの粘度であり、Cが撹拌機羽根と撹拌槽内壁との隙間であることを特徴とする請求項2に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項4】
撹拌機羽根と撹拌槽内壁との隙間Cは、
の関係を満足することを特徴とする請求項3に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項5】
前記撹拌効果等価関係の具体的な公式は、
又は、
であり、
但し、Tが実際の撹拌機トルクであり、Pが実際の撹拌機出力であり、Hが実際の撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが実際の引き出し量であり、Tが撹拌機トルクであり、Pが撹拌機出力であり、Hが撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが引き出し量であることを特徴とする請求項4に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項6】
前記撹拌効果等価関係による撹拌効果Eは、
の関係を満足することを特徴とする請求項5に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項7】
前記実際の撹拌機羽根の掃引高さHの計算公式は、
であることを特徴とする請求項6に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項8】
前記実際の撹拌機羽根の直径Dの計算公式は、
であることを特徴とする請求項7に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項9】
前記実際の撹拌槽内径Dの計算公式は、
であることを特徴とする請求項8に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法のステップを実現するためのガラス基板の製造における撹拌システムの設計システムであって、
標準撹拌システムを参照撹拌システムとして選択して、参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータをそれぞれ取得するための取得モジュールと、
撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径及び撹拌機回転速度に基づいて剪断応力等価関係を確立するための剪断応力モジュールと、
撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクに基づいて撹拌効果等価関係を確立するための撹拌効果モジュールと、
参照撹拌システム、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係に基づいて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出して、実際の撹拌システムの設計を完了するための設計モジュールと、を備えることを特徴とするガラス基板の製造における撹拌システムの設計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス基板製造の分野に関し、特にガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なTFT-LCD(薄膜トランジスタディスプレイ)やPDP(プラズマディスプレイ)などのフラットパネルディスプレイ製造の分野において使用されるガラス基板はオーバーフローダウンドロー法により製造されたものであって、成形工程においてガラス溶解炉にて溶解されたガラス液を溶融オーバーフローダウンドロー成形装置に供給することで製造されたものである。ガラスの化学的均一性及び熱均一性はガラスの形成操作が良好であるかどうかを判断する重要な要素である。液晶基板ガラスの生産において、企業収益及び生産高に悪影響を与える主な要素はガラス欠陥であり、基板ガラスの主な品質欠陥は気泡、節、脈理などがある。その中で気泡は清澄不良による気泡、二次気泡、混入気泡などに分けられ、節は主に白金ロジウム節であり、脈理は主に溶融ガラス液中の成分の不均一によるものである。液晶基板ガラスの生産において、溶融ガラス液中の成分を均質化するために、通路中の撹拌装置がガラスの均一性を向上させる有効な手段である。溶融ガラスが撹拌室の頂部から底部に流れる過程において、羽根は溶融ガラスを混合させる役割を果たす。高温及びガラスの化学腐食に耐えられるように、撹拌機と撹拌室が一般的に高融点金属により製造される。
【0003】
ガラス撹拌装置中の揮発性酸化物はガラス及び撹拌装置に存在する任意の元素で形成されてもよい。ガラスの自由表面とは撹拌装置内の大気に露出するガラス溶湯の表面を指す。ガラスの自由表面の上方の大気(大気が上記揮発性物質の1種又は全部を含む)は撹拌装置の外部の大気よりも熱いため、上向きに自然に流れる傾向で任意の開口(例えば、撹拌機軸と撹拌容器蓋との間の環状空間)を通すことができる。撹拌機軸は撹拌機軸とガラス溶湯の自由表面との間の距離が増加するにつれてより寒くなり、温度が上記酸化物の露点よりも低くなると、撹拌装置の大気に含まれる揮発性酸化物は前記軸の表面に凝結することができる。凝結物は限界寸法に達すると、脱落してガラスに入ってガラス製品中の介在物又は気泡欠陥を形成してしまう。ガラスの自由表面の上方の軸を加熱することはガラス溶湯中の粒子状不純物を減少させる面で効果の一部を奏するだけであり、凝結による成層をもたらすだけであることが証明された。撹拌プロセスを改善することは白金族欠陥を低減するためのより効果的な方法である。
【0004】
一般的に、ガラス撹拌システムは最も高い剪断応力に応じて設計したものであり、合理的な撹拌機の耐用年数と一致できるようにする。実際に、通常の設計において、このようなシステムは低速で動作しても高い剪断応力を発生させることもできる。撹拌システムを製造する際によく使用される高融点金属(例えば、白金族金属及びその合金)はコストが高いため、最も小さな撹拌システムにより最大限の撹拌を実現することを望んでいる。一般的には、羽根の速度を増加させて撹拌機羽根と撹拌室壁との間の隙間(結合距離)を減少させてガラスの温度を降下させ、又はこれらの措置を組み合わせることにより、剪断応力を増加させることができる。物理実験において、撹拌効果の評価は1つの難点であり、研究者は試験において模擬流体を染色する方法で撹拌効果を直感的に示す場合が多いが、このような方法は実験データを定量的に比較できず、又は、実験者は完成品の局所密度を測定する方法で撹拌効果を評価するが、このような方法は撹拌前後の密度を比較できず、一定の誤差がある。近年以来、生産ラインの効率を向上させるために、ガラス基板は寸法がますます大きくなり、引き出し量がますます高くなる。より高い世代及びより高い引き出し量のニーズを満足するために、撹拌システムの設計はガラス基板製造設備全体の設計の中核要素の1つとなる。
【0005】
以上から分かるように、従来の撹拌システムの設計方法により剪断応力と撹拌効果との均衡点を見つけることが困難であり、このため、高効率及び高均質撹拌効果の技術的要件を満足できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明はガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法及びシステムを提供し、高効率及び高均質撹拌効果の技術的要件を満足することができ、これにより、より高い世代及びより高い引き出し量のニーズを満足する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を用いる。
【0008】
ガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法であって、
標準撹拌システムを参照撹拌システムとして選択して、参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータをそれぞれ取得するステップと、
撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径及び撹拌機回転速度に基づいて剪断応力等価関係を確立するステップと、
撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクに基づいて撹拌効果等価関係を確立するステップと、
参照撹拌システム、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係に基づいて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出して、実際の撹拌システムの設計を完了するステップと、を含む。
【0009】
更に、前記剪断応力等価関係の具体的な公式は、
であり、
但し、Nが実際の撹拌機回転速度であり、Dが実際の撹拌機羽根の直径であり、Dが実際の撹拌槽内径であり、Nが撹拌機回転速度であり、DY0が撹拌機羽根の直径であり、DB0が撹拌槽内径である。
【0010】
更に、前記剪断応力等価関係による剪断応力τは、
の関係を満足し、
但し、ηがガラスの粘度であり、Cが撹拌機羽根と撹拌槽内壁との隙間である。
【0011】
更に、撹拌機羽根と撹拌槽内壁との隙間Cは、
の関係を満足する。
【0012】
更に、前記撹拌効果等価関係の具体的な公式は、
又は、
であり、
但し、Tが実際の撹拌機トルクであり、Pが実際の撹拌機出力であり、Hが実際の撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが実際の引き出し量であり、Tが撹拌機トルクであり、Pが撹拌機出力であり、Hが撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが引き出し量である。
【0013】
更に、前記撹拌効果等価関係による撹拌効果Eは、
の関係を満足する。
【0014】
更に、前記実際の撹拌機羽根の掃引高さHの計算公式は、
である。
【0015】
更に、前記実際の撹拌機羽根の直径Dの計算公式は、
である。
【0016】
更に、前記実際の撹拌槽内径Dの計算公式は、
である。
【0017】
上記ガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法のステップを実現するためのガラス基板の製造における撹拌システムの設計システムであって、
標準撹拌システムを参照撹拌システムとして選択して、参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータをそれぞれ取得するための取得モジュールと、
撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径及び撹拌機回転速度に基づいて剪断応力等価関係を確立するための剪断応力モジュールと、
撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクに基づいて撹拌効果等価関係を確立するための撹拌効果モジュールと、
参照撹拌システム、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係に基づいて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出して、実際の撹拌システムの設計を完了するための設計モジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べて、本発明が有する有益な効果は以下のとおりである。
【0019】
本発明はガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法を提供し、本方法は参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータを取得して、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係をそれぞれ確立し、対応関係に応じて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出することにより、実際の撹拌システムの設計を完了し、本方法は参照撹拌システム並びに剪断応力及び撹拌効果等価関係に基づいて撹拌羽根の掃引高さ、撹拌羽根の直径、撹拌槽内径の設計基準を確立するとともに、撹拌軸クリープとシステムコスト最適化とを両立させ、高効率及び高均質撹拌効果の技術的要件を満足することができ、これにより、より高い世代及びより高い引き出し量のニーズを満足する。
【0020】
本発明はガラス基板の製造における撹拌システムの設計システムを更に提供し、本システムにより上記設計方法のステップを実現することができ、より高い世代及びより高い引き出し量のニーズを満足する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明の実施例による撹拌システムの幾何モデルの構造模式図である。
図2図2は本発明の実施例による撹拌システムの断面設計寸法の模式図である。
図3図3は本発明の実施例による撹拌システムの模擬撹拌効果の模式図である。
図4図4は本発明に係るガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明はガラス基板の製造における撹拌システムの設計方法を提供し、図4に示すように、
標準撹拌システムを参照撹拌システムとして選択して、参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータをそれぞれ取得するステップと、
撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径及び撹拌機回転速度に基づいて剪断応力等価関係を確立するステップと、
撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクに基づいて撹拌効果等価関係を確立するステップと、
参照撹拌システム、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係に基づいて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出して、実際の撹拌システムの設計を完了するステップと、を含む。
【0023】
具体的に、剪断応力等価関係の具体的な公式は、
であり、
但し、Nが実際の撹拌機回転速度であり、Dが実際の撹拌機羽根の直径であり、Dが実際の撹拌槽内径であり、Nが撹拌機回転速度であり、DY0が撹拌機羽根の直径であり、DB0が撹拌槽内径である。
【0024】
特に、剪断応力等価関係による剪断応力τは、
の関係を満足し、
但し、ηがガラスの粘度であり、Cが撹拌機羽根と撹拌槽内壁との隙間である。
【0025】
且つ、撹拌機羽根と撹拌槽内壁との隙間Cは、
の関係を満足し、
具体的に、撹拌効果等価関係の具体的な公式は、
又は、
であり、
但し、Tが実際の撹拌機トルクであり、Pが実際の撹拌機出力であり、Hが実際の撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが実際の引き出し量であり、Tが撹拌機トルクであり、Pが撹拌機出力であり、Hが撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが引き出し量である。
【0026】
特に、撹拌効果等価関係による撹拌効果Eは、
の関係を満足する。
【0027】
上記実際の撹拌機羽根の掃引高さHの計算公式は、
である。
【0028】
上記実際の撹拌機羽根の直径Dの計算公式は、
である。
【0029】
上記実際の撹拌槽内径Dの計算公式は、
である。
【0030】
本発明はガラス基板の製造における撹拌システムの設計システムを更に提供し、該設計システムは取得モジュール、決定モジュール、剪断応力モジュール、撹拌効果モジュール及び設計モジュールを備え、取得モジュールは、標準撹拌システムを参照撹拌システムとして選択して、参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクなどのパラメータをそれぞれ取得するためのものであり、剪断応力モジュールは、撹拌槽内径、撹拌機羽根の直径及び撹拌機回転速度に基づいて剪断応力等価関係を確立するためのものであり、撹拌効果モジュールは、撹拌機羽根の掃引高さ、引き出し量、撹拌機羽根の直径、撹拌機出力、撹拌機回転速度及び撹拌機トルクに基づいて撹拌効果等価関係を確立するためのものであり、設計モジュールは、参照撹拌システム、剪断応力等価関係及び撹拌効果等価関係に基づいて実際の撹拌システムにおける実際の撹拌槽内径、実際の撹拌機羽根の直径及び実際の撹拌機羽根の掃引高さを算出して、実際の撹拌システムの設計を完了するためのものである。
【0031】
実施例
図1に示すように、撹拌システムは入口端1、出口端2、撹拌槽3、撹拌軸5及び複数の撹拌羽根4を備え、撹拌槽3が円柱状空洞であり、入口端1が撹拌槽3の側壁の上部に設置され、出口端2が撹拌槽3の底部に設置され、撹拌軸5が撹拌槽3の頂部に挿入設置され、複数の前記撹拌羽根4が撹拌軸5の軸体に沿って撹拌槽3内に設置される。
【0032】
ガラス基板の製造において、白金通路の撹拌機能は成分の不均一な溶融ガラス液をより均一にして、ガラス基板完成品の脈理欠陥を低減することである。ガラス均質化は化学的均一性と熱均一性を含む。ガラス溶炉の様々な化学相脈理は溶融過程における耐火材料の溶解、溶湯の分離、ガラスの表面揮発及び温度差によるものである。色又は屈折率に相違がある。ガラスの製造において、寸法が50μmよりも小さな白金ロジウム欠陥は撹拌機の粘性剪断応力による撹拌機及び撹拌槽壁の腐食に起因したものである。ここで、均質化メカニズムは、第(1)として、ガラス溶湯に剪断応力を与えることにより不均一相を薄い脈理に引っ張り、第(2)として、ガラス溶湯の流れ方向に垂直である撹拌機羽根の平面により脈理を短い破片に切断し、第(3)として、全体的な流れ方向に垂直であるガラス溶湯を押動する羽根形状によって、ガラスを径方向に流れさせることで破片を分散させる、ということである。
【0033】
図2に示すように、Hが実際の撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さ(掃引範囲と呼ばれてもよい)であり、Dが実際の撹拌システムにおける撹拌槽の内径であり、Dが実際の撹拌システムにおける撹拌機羽根の撹拌直径である。最も小さな撹拌システムにより最大限の撹拌を実現することで、白金ロジウムなどの貴金属のコストを削減する。撹拌機の速度、撹拌機/撹拌槽の形状及びガラスの粘度の関係を調和させることにより、剪断応力を許容できない白金ロジウム欠陥の形成レベルを下回るまで減少させるとともに、撹拌効率と流量を高い剪断応力でしか実現できないレベルに維持して、剪断応力、流量及び撹拌効率の矛盾を調和させる目的を実現する。
【0034】
ここで、実際の撹拌機羽根の掃引高さHの計算公式は、
である。
【0035】
実際の撹拌機羽根の直径Dの計算公式は、
である。
【0036】
実際の撹拌槽内径Dの計算公式は、
である。
【0037】
Nが実際の撹拌機回転速度であり、Dが実際の撹拌機羽根の直径であり、Dが実際の撹拌槽内径であり、Nが撹拌機回転速度であり、DY0が撹拌機羽根の直径であり、DB0が撹拌槽内径であり、Hが参照撹拌システムにおける撹拌機羽根の掃引高さであり、Tが実際の撹拌機トルクであり、Pが実際の撹拌機出力であり、Hが実際の撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが実際の引き出し量であり、Tが撹拌機トルクであり、Pが撹拌機出力であり、Hが撹拌機羽根の掃引高さであり、Qが引き出し量である。
【0038】
図3に示すように、専用の流体力学数値解析ソフトウェア(例えば、Ansys-Fluent)を用いて、白金通路撹拌システムに対して熱場と流れの結合計算を行う。撹拌タンク内の溶融ガラス液の流れ場及び温度場を研究して、撹拌タンク内のガラス液の流れ状態及び均質化効果の法則を分析することにより、撹拌機の最適な回転速度を取得する。
【0039】
適切(大きすぎることが望ましくない)な剪断応力により低い白金の欠陥率及び高い撹拌(均質化)効率を実現する。撹拌は与えられた流量Qで適度な均質化を実現することを目的とし、剪断応力の減少は撹拌効率を犠牲にすべきではなく、腐食を最大限に減少させることにより撹拌システムの耐用年数を延ばすことができる。与えられた流量Qにおいては、撹拌効率が変化しないように維持し及び剪断応力を減少させるには、一般的に撹拌機の直径又は撹拌体積を増加させてHを定数に維持する必要がある。実際には、これは滞在時間を延ばすことを意味し、撹拌回転速度が遅い場合でも、ガラス溶湯を十分に均質化するように維持することもできる。撹拌温度でトルク応力により撹拌機軸に顕著なクリープが発生することを回避するために、トルクTを十分に低く維持すべきである。
【0040】
具体的な実施過程は以下のとおりである。
【0041】
本実施例に係わる撹拌システムは動作しているとき、撹拌機が伝動機構の駆動によって、設定された回転速度で定速回転し、これにより、入口端1を経て撹拌槽3内に入った溶融ガラス液を撹拌する。溶融ガラス液自体が熱伝導性を有するため、撹拌槽3の後段で溶融ガラス液の温度が既に同じ温度に達している可能性がある。
【0042】
参照撹拌システムは、撹拌槽内径DB0=360mm、撹拌羽根の直径DY0=300mm、撹拌機羽根の掃引高さH=610mm、撹拌機回転速度N=8rpm、引き出し量Q=22T/Dayである。
【0043】
実際の撹拌システムは、実際の撹拌機回転速度N=8rpm、実際の引き出し量Q=28T/Dayであるように設計される。
【0044】
であり、参照撹拌システムと同じモータ及び定格出力Pを用い、参照撹拌システムと同じ回転速度Nを用いると仮定すれば、撹拌槽内径D=460.1mm、撹拌羽根の最大直径D=383.41mm、撹拌機羽根の掃引高さH=732mmである。
【0045】
剪断応力の等価性を検証するために、
が算出され、
撹拌効果の等価性を検証するために、
が算出され、
本実施例の方法によれば、設計した実際の撹拌システムは参照撹拌システムと同じ撹拌効果を有し、撹拌軸クリープとシステムコスト最適化とを両立させ、より高い世代及びより高い引き出し量のニーズに対して高効率及び高均質撹拌効果の技術的要件が満足される。
【0046】
上記実施例は単に本発明の技術案を実現できる実施形態の一例であり、本発明の特許請求する範囲は本実施例により制限されるだけでなく、本発明に開示される技術的範囲内で当業者が容易に想到し得る任意の変更、置換及び他の実施形態も含む。
【符号の説明】
【0047】
1 入口端
2 出口端
3 撹拌槽
4 撹拌羽根
5 撹拌軸
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】