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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】液圧アキュムレータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 1/24 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
F15B1/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520005
(86)(22)【出願日】2023-01-18
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2023051122
(87)【国際公開番号】W WO2023147997
(87)【国際公開日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】102022000382.1
(32)【優先日】2022-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト ベーバー
【テーマコード(参考)】
3H086
【Fターム(参考)】
3H086AA12
3H086AB03
3H086AD01
3H086AD07
3H086AD16
3H086AD56
3H086AD70
3H086AF11
3H086AF22
(57)【要約】
具体的にはピストンアキュムレータの形態を成す液圧アキュムレータであって、分離エレメント10を有しており、分離エレメントが、アキュムレータハウジング14内に配置された2つの流体空間16,18を互いに、具体的には作業ガスを有する閉じられたアキュムレータ空間20を、液圧油のような作動液を有する液体空間22から流体密に分離しており、流体接続部24が、流体空間のうちの一方18と流体案内接続されている形式のものにおいて、流体接続部24を有するアキュムレータハウジング14の部分内に、磁界発生装置42が収容されていて、アキュムレータハウジング14の前記部分と分離エレメント10との間にその都度位置する流体から、磁化可能な粒子を、清浄化する形で磁界発生装置42の方向に分離し、磁界発生装置に堆積し得るようになっていることを特徴とする、液圧アキュムレータ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
具体的にはピストンアキュムレータの形態を成す液圧アキュムレータであって、分離エレメント(10)を有しており、前記分離エレメントが、アキュムレータハウジング(14)内に配置された2つの流体空間(16,18)を互いに、具体的には作業ガスを有する閉じられたアキュムレータ空間(20)を、液圧油のような作動液を有する液体空間(22)から流体密に分離しており、前記流体接続部(24)が、前記流体空間のうちの一方(18)と流体案内接続されている形式のものにおいて、
前記流体接続部(24)を有する前記アキュムレータハウジング(14)の部分内に、磁界発生装置(42)が収容されていて、前記アキュムレータハウジング(14)の前記部分と前記分離エレメント(10)との間にその都度位置する流体から、磁化可能な粒子を、清浄化する形で前記磁界発生装置(42)の方向に分離し、前記磁界発生装置に堆積し得るようになっていることを特徴とする、液圧アキュムレータ。
【請求項2】
前記磁界発生装置(42)を有する前記アキュムレータハウジング(14)の前記部分が、ハウジングカバー(28)であり、前記ハウジングカバーが、前記アキュムレータハウジング(14)の管状壁部分の、液体側に向いた端部を閉鎖していることを特徴とする、請求項1に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項3】
前記液体側の流体接続部(24)が中心に且つ前記アキュムレータハウジング(14)の長手軸線(30)に対して同軸的に延びた状態で、前記ハウジングカバー(28)を貫通しており、そして磁界発生装置(42)はこれに対して中心から外れて前記ハウジングカバー(28)内に配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項4】
前記ハウジングカバー(28)が分離エレメント(10)の方向に、平らに延びる上面(44)を有しており、前記上面に対して収容部(46)内で沈め込まれた状態で、前記磁界発生装置(42)が前記ハウジングカバー(28)内に配置されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項5】
前記磁界発生装置(42)が永久磁石から成っていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項6】
前記永久磁石が磁石ねじ(48)として形成され、非磁性の挿入体(56)内に固定可能、具体的にはねじ込み可能であり、そして有利には前記挿入体(56)と一緒に、前記ハウジングカバー(28)内の所属の収容部(46)内へ挿入可能、具体的にはねじ込み可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項7】
前記挿入体(56)が、前記ハウジングカバー(28)の、前記分離エレメント(10)とは反対側の下面(64)から前記収容部(46)内へ挿入されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項8】
前記挿入体(56)と前記ハウジングカバー(28)の前記平らな下面(64)との間の第1凹部(66)によって、そして前記磁石ねじ(48)と、前記挿入体(56)の前記磁石ねじ(48)に対向する自由端面との間の第2凹部(68)によって、段付きの収容空間(70)が形成されており、前記収容空間の自由な直径が、前記ハウジングカバー(28)の前記平らな下面(64)に向かって段を成して拡大していることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項9】
前記磁石ねじ(48)が検出装置(72)を有しており、前記検出装置は、磁化可能な粒子汚染物の規定可能な量(74)を超えると応答することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の液圧アキュムレータ。
【請求項10】
前記検出装置(72)が電圧源(76)を有しており、前記電圧源が、前記磁石ねじ(48)の、極として形成された磁石部分(78)に接続されており、前記磁化可能な粒子汚染物によって、前記磁石ねじ(48)の2つの極(78)と極(80)の間に電気的な接続が形成されるとすぐに、前記磁石部分(78)が、さらなる極としての導体(80)に対して間隔を保持した状態で、評価ユニット(84)へ信号を伝送することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の液圧アキュムレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的にはピストンアキュムレータの形態を成す液圧アキュムレータであって、分離エレメントを有しており、前記分離エレメントが、アキュムレータハウジング内に配置された2つの流体空間を互いに、具体的には作業ガスを有する閉じられたアキュムレータ空間を、液圧油のような作動液を有する液体空間から流体密に分離しており、前記流体接続部が、前記流体空間のうちの一方と流体案内接続されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
液圧アキュムレータ、例えば(液圧空気圧)ピストンアキュムレータを液圧システム内で使用することにより、加圧下の液体、例えば液圧油の所定の体積を収容し、必要時にはシステムへ戻す。ピストンが、窒素のような作業ガスを収容する前記アキュムレータハウジング内に閉じ込められたアキュムレータ空間から、油側の液体空間を分離する、一般的に使用される液圧空気圧ピストンアキュムレータの場合、ピストンの位置が液圧アキュムレータの運転中に変化するので、液圧アキュムレータは圧力が上昇すると液圧油を収容し、これと同時に作業ガスが別の流体空間又はアキュムレータ空間内で圧縮される。圧力が降下すると、このように圧縮されたガスは再び膨張し、そして蓄積された液圧油を押し退けて液圧回路内へ戻す。これにより運転中に作業空間の容積が変化することによって、アキュムレータハウジング内部のピストンはその都度対応して軸線方向運動することになる。
【0003】
これに関連して、このような液圧アキュムレータは液圧装置、例えば作業シリンダの運転の枠組みの中で、液圧作業回路に接続されている。液圧作業回路は基本的には粒子汚染物を清浄化して、作業流体、例えば液圧油から除去するために、フィルタエレメントを備えたフィルタ装置を有している。フィルタエレメントは必要な場合に新しいエレメントと交換することができる。このようなフィルタ装置があるにもかかわらず、汚染粒子が流体の清浄側に達し、次いで液圧アキュムレータ内に到着すると、このようなアキュムレータ及びその構成部分の損傷を招くことは避けられない。また、フィルタエレメントは貫流能力に関して制限されているので、体積流が極めて高く、これに伴って流体圧も高い場合には、フィルタエレメントを常に使用できるとは限らない。具体的には、ピストンアキュムレータの使用時には、粒子汚染物は、不所望に分離ピストンのシールシステム内へ達する。このことは、アキュムレータ、及びこれと接続されている液圧装置の故障を招くおそれがある。発生する粒子汚染物はしばしば、液圧装置の摩耗によって生じるので、このような装置は通常は金属の性質を有しており、そして具体的には機械的な故障時には、発生するこのような粒子は、分離ピストンに設けられたシール装置のエラストマー材料が密でなくなるか、又はそればかりか破壊されるような、かなりの大きさを有することもある。
【0004】
特許文献1(独国特許出願公開第102016007798号明細書)によって液圧空気圧ピストンアキュムレータが公知であり、アキュムレータハウジングが設けられており、アキュムレータハウジングは、長手軸線を定義するシリンダ管を有しており、シリンダ管は両端部で、それぞれ1つのハウジングカバーによって密封状態で閉じられ、シリンダ管内でピストンが分離エレメントとして長手方向に移動可能に案内されており、ピストンはハウジング内で作業ガスのような圧縮可能な流体のための流体空間を、液圧油のような圧縮不能の流体のためのさらなる流体空間から分離しており、さらにハウジング内のピストンの位置を非接触式に検出する距離測定装置が設けられており、距離測定装置は非磁性の測定管を有しており、測定管は、ピストン内に形成された貫通部を通して長手軸線に沿って、一方のハウジングカバーから他方のハウジングカバーへ向かって延び、ハウジングの内部空間に対してシールされている。管自体内には、位置センサが移動可能に案内されており、位置センサは、位置センサとピストンとの間に作用する磁力によって、測定管内でピストン運動に追従する。測定管内の位置センサの追従運動を強制する磁力を発生させるために、永久磁石がピストンに設けられている。アキュムレータの運転中に分離ピストンと一緒に連続的に運動するこのような永久磁石は、圧縮可能な作業ガスを有する流体空間内に収容されている。
【0005】
特許文献2(独国特許出願公開第4116482号明細書)には、ガス圧アキュムレータ内の作業ガスの圧力を測定する方法並びに装置が公知であり、ガス圧アキュムレータは、液圧作業回路に接続することができ、そしてガス圧アキュムレータにおいて、作業ガスがエラストマーアキュムレータ・ブラダの形態を成す分離エレメントを介して、運転液又は作業液から分離されている。アキュムレータ・ブラダが規定可能な位置にあるときには、アキュムレータ・ブラダにこのような位置で割り当てられ得るガス圧が、流体側に配置された圧力値センサによって測定され、このために、アキュムレータのディスク弁の位置が監視装置によって監視されている。このために、ディスク弁はアキュムレータの流体接続部内に、永久磁石を備えた切り換え部材を有しており、所属のセンサは、磁石によって作動可能なスイッチから成り、あるいは切り換え部材がディスク弁の作動位置に応じて、このようなセンサの傍らを通り過ぎてセンサを発動させるとすぐに、いわゆるホール効果を活用する。
【0006】
このようにアキュムレータの運転中に常に往復運動する立方体状の磁石は、アキュムレータハウジングのガス側に位置するリング磁石と同様に、アキュムレータ内で液体側に発生する粒子汚染を有効に阻止するにはあまり適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016007798号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4116482号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがってこのような従来技術から出発して、本発明の根底を成す課題は、公知の液圧アキュムレータ解決手段をさらに改善して、金属粒子汚染が発生した場合にも故障事例を排除し得るようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題は、請求項1の特徴を有する液圧アキュムレータが解決する。
【0010】
請求項1の特徴部に基づき、前記流体接続部を有する前記アキュムレータハウジングの部分内に、磁界発生装置が収容されていて、前記アキュムレータハウジングの前記部分と前記分離エレメントとの間にその都度位置する流体から、磁化可能な粒子を、清浄化する形で前記磁界発生装置の方向に分離し、前記磁界発生装置に堆積し得るようになっていることにより、強力な、定置に配置された磁界をアキュムレータハウジングの流体領域内に発生させて、磁化可能な、具体的には金属の粒子が、これらがアキュムレータの液体側に達するようになっている限りは、中心個所に集められ、ひいては流体から除去されて、損傷を招かず、具体的には分離ピストンのような分離エレメントの損傷を招かないことが可能になる。具体的には、粒子汚染物は、液圧空気圧ピストンアキュムレータのシールリング及びガイドバンドを備えた分離ピストンのシール側へ達することはない。さもなければ、シールの問題の他に、分離ピストンがアキュムレータハウジングの内部で、摩擦によって「摩滅(fressen)」するおそれも生じ、その結果、分離ピストンはもはや運動できなくなり、これにより、全体的に見て液圧アキュムレータを役に立たないものにしてしまう。具体的には、フィルタ装置がその限界を見出す流体流が形成されると、金属の磁化可能な粒子が液圧アキュムレータの磁気分離によって、流体流から信頼性高く除去されるようになっている。
【0011】
本発明の液圧アキュムレータの有利な実施形態では、前記磁界発生装置を有する前記アキュムレータハウジングの前記部分が、ハウジングカバーであり、前記ハウジングカバーが、前記アキュムレータハウジングの管状壁部分の、液圧アキュムレータの液体側に向いた端部を閉鎖している。このようになっていると低廉に、第1作業工程において、ハウジングカバーをアキュムレータハウジングの円筒形壁部分内へ挿入することができ、続いて第2作業工程において、磁界発生装置がハウジングカバー内へ導入される。
【0012】
本発明の液圧アキュムレータのさらなる有利な実施形態では、前記液体側の流体接続部が中心に且つ前記アキュムレータハウジングの長手軸線に対して同軸的に延びた状態で、前記ハウジングカバーを貫通しており、そして磁界発生装置はこれに対して中心から外れて前記ハウジングカバー内に配置されている。このようになっていると、場所節約的に流体接続部も、磁界発生装置も、ハウジングカバー内に収納することができる。さらなる有利な実施形態では、複数の磁界発生装置がハウジングカバー内に導入されることも考えられる。しかしいずれの場合にも、磁界発生装置は流体接続部の近くに、ひいては流体の流入領域内に収納されているので、流体からの粒子除去が直接に即時に可能になる。
【0013】
本発明による液圧アキュムレータのさらなる有利な実施形態では、前記ハウジングカバーが分離エレメントの方向に、平らに延びる上面を有しており、前記上面に対して収容部内で沈め込まれた状態で、前記磁界発生装置が前記ハウジングカバー内に配置されている。磁界発生装置が沈め込まれた状態で、アキュムレータハウジングの部分としてのハウジングカバー内に配置されていることにより、収集空間が形成されている。この収集空間内へは、場合によっては発生する粒子が、ハウジングカバーの上面に留まることなしに堆積することができる。さもなければ、ピストン状の分離エレメントが通常の運転の枠組みの中でハウジングカバーの上面へ衝撃状に衝突するようになっている限りは、損傷を招くおそれがある。
【0014】
本発明による液圧アキュムレータのさらなる有利な実施形態では、前記磁界発生装置が永久磁石から成っている。しかし、このような装置を給電可能な磁石から形成することもできる。このことは液圧アキュムレータへの相応のエネルギー供給を前提としる。
【0015】
本発明による液圧アキュムレータのさらなる有利な実施形態では、前記永久磁石が磁石ねじとして形成され、非磁性の挿入体内に固定可能、具体的にはねじ込み可能であり、そして有利には前記挿入体と一緒に、前記ハウジングカバー内の所属の収容部内へ挿入可能、具体的にはねじ込み可能である。このようになっていると、有利な組み付け構成において、挿入体は磁石ねじと一緒に、ハウジングカバーの、分離エレメントとは反対側の下面から、収容部内へ挿入することができる。このようになっていると、メンテナンスの枠組みの中で、磁石ねじを交換し且つ/又は磁化可能な粒子汚染物を解放することができる。
【0016】
本発明による液圧アキュムレータのさらなる有利な実施形態では、前記挿入体と前記ハウジングカバーの前記平らな下面との間の第1凹部によって、そして前記磁石ねじと、前記挿入体の前記磁石ねじに対向する自由端面との間の第2凹部によって、段付きの収容空間が形成されており、前記収容空間の自由な直径が、前記ハウジングカバーの前記平らな下面に向かって段を成して拡大している。両方の前記凹部によって、拡大された導入空間が生じる。このことは、下側ハウジングカバー内への挿入体並びに磁石ねじの組み付け、並びに後で行われる、清浄化目的の磁石ねじの取り外しを容易にする。
【0017】
本発明による液圧アキュムレータのさらなる有利な実施形態では、前記磁石ねじが検出装置を有しており、前記検出装置は、磁化可能な粒子汚染物の規定可能な量を超えると応答する。このために有利には、前記検出装置が電圧源を有しており、前記電圧源が、前記磁石ねじの、極として形成された磁石部分に接続されており、前記磁化可能な粒子汚染物によって、前記磁石ねじの磁石部分と導体との間に電気的な接続が形成されるとすぐに、前記磁石部分が、さらなる極としての導体に対して間隔を保持した状態で、評価ユニットへ信号を伝送する。信号閾値を定めることができ、閾値を超えて初めて、粒子汚染が妨害的なものであるとして信号化され、この場合、メンテナンス作業の枠組みの中で磁石ねじの清浄化が必要なものとして実施されるようになっている。
【0018】
通常は閉じた液圧回路において、金属粒子は、鋭敏な構成部分、例えば弁、ピストンアキュムレータシールなどを損傷するおそれがある。まさに建設機械の液圧装置内では、アクティブなエレメント、例えば弁、シリンダ、アクチュエータなどの故障又は摩擦によって、金属摩耗物が生じることがある。金属摩耗物は次いで回路を通って液圧アキュムレータまで「フラッシング」される。相応の液圧アキュムレータ、具体的にはピストンアキュムレータはしばしばブレーキシステム内に使用されるので、粒子汚染に起因してピストンシールが破壊されることによって、ブレーキの機能は制限され、又はそればかりか完全に停止する。市販の磁石ねじのような磁性エレメントを使用することにより、このような粒子を液圧流体から引き出し、そしてこれにより液圧回路の構成部分の寿命を著しく長くすることができる。磁石ねじを使用することによっていずれの場合にも得られる利点は、その都度のねじを粒子の廃棄のためにメンテナンス作業の枠組みの中で、手によってねじ外し、交換又は清浄化し得ることである。検出装置としての前述の汚染スイッチを用いて、磁化可能な金属粒子が信号を発しながら所属の電流回路又は切り換え回路を閉じることにより、汚染を表示することができる。
【0019】
図面に示された実施例に基づいて、本発明による液圧アキュムレータを以下に詳述する。原理的な、そして原寸に比例していない図が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、液圧アキュムレータを示す長手方向断面図である。
図2図2は、図1に基づく液圧アキュムレータを示す端面の下面図である。
図3図3は、図1及び2に基づく液圧アキュムレータ解決手段において使用されるような磁石ねじにおける汚染を示すための、汚染スイッチの使用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示された、いわゆるピストンアキュムレータの形態を成す本発明による液圧アキュムレータは、分離エレメント10として分離ピストン12を有している。分離ピストン12は、アキュムレータハウジング14内に配置されて、2つの流体空間16,18を互いに分離している。図1で見て上側の流体空間16は、例えば窒素ガスのような作業ガスを収容するための閉じられたアキュムレータ空間20を形成している。下側の流体空間18は、例えば液圧油のような作動液を収容する目的で液体空間22を形成している。このような流体空間18あるいは液体空間22は、流体接続部24を備えている。この流体接続部を介してアキュムレータは、詳しくは示されていないが、一般的な形式の液圧作業回路に接続することができる。
【0022】
アキュムレータハウジング14は円形の中空シリンダ又はシリンダ管の形式で形成されている。中空シリンダ又はシリンダ管の両方の自由端部は、それぞれ1つのねじ込まれたハウジングカバー26,28によって密に閉じられている。これらのハウジングカバーの間で、分離ピストン12は、ハウジング長手軸線30に沿って同軸的に自由に移動可能に案内されている。
【0023】
上側ハウジングカバー26は貫通流体通路32を有している。貫通流体通路は図1によれば閉鎖ねじ34によって閉じられている。このような配置32,34を介して、必要な場合には、アキュムレータの空間16内の作業ガスを、例えばメンテナンスの目的で空にすることができるが、しかしまた、作業ガスが欠乏しているときには空間16にこれを充填することもできる。分離ピストン12自体は、流体空間16の側の有効ガス体積を拡大する目的で、いわゆる中空ピストンとして構成されている。外周側では、分離ピストン12は、少なくとも1つのシールリング36並びに少なくとも1つのガイドバンド38を介して、円筒形のアキュムレータハウジング14の内面40に沿って案内されている。実際の実施形態を実現する枠組みの中で、複数のこのようなシールリング及びガイドバンドが相互に組み合わされて、分離ピストン12の外周に取り付けられていてもよい。
【0024】
ここではピストンアキュムレータの形態を成す、このような液圧アキュムレータの従来の構造は一般的なものであり、したがってこれ以上詳述することはせず、本発明の理解のために必要な場合にのみ説明する。このように、流体接続部又は液体接続部24を有する、アキュムレータハウジング14の部分としての下側ハウジングカバー28内には、磁界発生装置42が収容されている。磁界発生装置は、磁化可能な、具体的には金属の粒子を、アキュムレータハウジング14の部分としての下側ハウジングカバー28と、分離ピストン12の形態を成す分離エレメント10との間にその都度位置する流体から、清浄化する形で前記磁界発生装置42の方向に分離し、前記磁界発生装置に堆積し得るようになっている。流体空間18内もしくは液体空間22内に位置する流体は、ピストンアキュムレータの運転状態に応じて、種々異なる体積を占める。具体的には図1で見て、分離エレメント10あるいは分離ピストン12が下側ハウジングカバー28の方向に下方運動すると、流体は流体接続部24から戻されて液体回路内へ達し、そして空間18,22内に場合によっては存在する磁化可能な粒子が、ハウジングカバー28の底部の磁界発生装置42の方向に導かれてその場所で収集される。しかしながら流体が流体接続部24を介して空間18,22内へ流入した時に既に、磁界発生装置42の磁力は強力なので、場合によっては発生する磁化可能な粒子を有効に引き付け、装置42のところに収集することもできる。
【0025】
具体的には図1及び2から判るように、液圧回路(図示せず)の配管が割り当てられた、液圧アキュムレータの液体側に所属する流体接続部24は、中心に且つアキュムレータハウジング14の長手軸線30に対して同軸的に下側ハウジングカバー28内で延び、そして下側ハウジングカバー28を完全に貫通した状態で組み込まれている。これに対して、磁界発生装置42はハウジングカバー28の中心から外れて配置されている。このようになっていると、妨げなしに流体は流体接続部24を介して空間18,22内へ流入し、そして空間18,22から再び液体回路の方向に流出することができ、この場合このような自由な流れは、磁界を発生させる、中心から外れて位置する装置42によって妨げられることはない。磁界発生装置42はこうして、所属の流体流から磁性粒子を分離するためにだけ役立つ。必要な場合には、上記形式の複数の装置42がハウジング長手軸線30の周りで群を成した状態で、ハウジングカバー28内に収容されていてよい。
【0026】
さらに図1から判るように、ハウジングカバー28は分離エレメント10の方向に、平らに延びる上面44を有しており、この上面に対して、円筒形の収容部46内で沈め込まれた状態で、磁界発生装置42がハウジングカバー28内に配置されている。磁界発生装置42は有利には永久磁石から成っている。しかしこの代わりに、ハウジングカバー28内の液体側に、給電可能な電磁石を使用することも可能である。しかしこの場合には、永久磁石はいわゆる磁石ねじ48として、つまり雄ねじ山50とねじ頭52とを備えた一般的なねじから形成されている。このねじは完全に磁性材料から成っているか、又は材料成分としてこのような材料を有している。磁石ねじ48の雄ねじ山50は、挿入体56の所属の雌ねじ山54内に固定されている。挿入体56は、頭側の拡張部に形成された雄ねじ山58によって、下側ハウジングカバー28の所属の雌ねじ山60内へ固定することができる。図1がさらに示しているように、挿入体56の自由な端面端部領域は、流体空間18の方向に、シールリング62の形態を成すシールを有している。磁石ねじ48を有する挿入体56は、下側ハウジングカバー28の、分離エレメント10とは反対側の平らに延びる下面64から前記収容部46内へ挿入されている。第1凹部66が挿入体56とハウジングカバー28の平らな下面64との間に形成されており、そしてさらなる第2凹部68が、磁石ねじ48と、挿入体56の、磁石ねじ48に対向する自由端面との間に設けられている。このように、段付きの収容空間70が形成されている。収容空間の自由な直径は、ハウジングカバー28の平らな下面64に向かって段を成して拡大しており、そしてこのようになっていると、特に組み付けし易い形で、挿入体56内への磁石ねじ48のねじ込み、もしくは挿入体56からの磁石ねじ48のねじ外しが可能になる。このようになっていると、液圧アキュムレータの液体を空にするときに、磁石ねじ48を、捕捉された磁性粒子と一緒にハウジングカバー28から取り外し、そして粒子を除去した後、粒子を液体から引き付けて捕捉する位置へ再びもたらすことができる。
【0027】
具体的には図3が示すように、磁石ねじ48の変更実施形態において、磁石ねじ48は、全体として符号72で示された検出装置を備えていてよく、検出装置は、磁化可能な粒子汚染物の規定可能な量74を超えると応答する。このように、検出装置72は一般的な電圧源76を有しており、電圧源は磁石ねじ48の、極として形成された磁石部分78に電流案内接続されている。磁石部分78は円筒形の永久磁石から形成されており、永久磁石は端面側で、磁石ねじ48の切り欠き内へ差し込まれている。同軸的な配置関係で、中空円筒形の導電体80が内側の磁石部分78を取り囲んでいる。両構成部分78,80間の短絡を回避するために、非導電性のスリーブ片が分離スリーブ82として導入されており、このようになっていると、これら2つの構成部分78,80が電気的に互いに減結合される。そうでない場合には、磁石ねじ48は、全体的にその雄ねじ山50を介して、カバー部分28内の挿入体56の所属の雌ねじ山54内へねじ込むことができる。
【0028】
電圧源76と、内側の磁石部分78との間の電流路内には、ディスプレイとして役立つリレー84が接続されている。分離スリーブ82が導電体80の方向に粒子汚染物と架橋するような量74の磁化可能な粒子が、磁石ねじ48の磁石部分78に集合するとすぐに、磁石部分78と導体80とが電気的に接続され、その結果としてリレー84が応答する。リレーは切り換えられて、こうして達成された磁石ねじ48における粒子汚染度の表示を操作員へ伝送する。操作員は次いでメンテナンスの枠組みの中で、そして磁石ねじ48の自由端面の清浄化のために、磁石ねじをハウジングカバー28内の挿入体56から取り外し、そして清浄化後に再び挿入することになる。このようになっていると、図3に示された装置を介して、磁石ねじ48における汚染を示すための一種の汚染スイッチが実現される。永久磁石78及び導電体80を除いて、磁石ねじ48のその他の部分はこの事例では、有利には非金属材料から、例えば適宜のプラスチック材料から形成されている。
【0029】
まさに建設機械の場合、アクティブなエレメント、例えば弁、作業シリンダ、あるいはアクチュエータの故障又は摩擦によって、金属摩耗物が生じることがある。金属摩耗物は次いで回路を通って液圧アキュムレータまで「フラッシング」される。このような液圧アキュムレータは通常、このような作業機械、例えば農業機械又は建設機械のブレーキシステム内にも使用される。これにより、金属粒子により分離ピストン12のシールが破壊されることによって、機能は制限され、又はそればかりか完全に阻止される。
【0030】
図3に示された実施形態によれば最も前側の自由端面領域内にのみ永久磁石78を有してもよい、ここでは磁石ねじ48の形態を成すような磁性エレメントを使用することにより、このような磁化可能な金属粒子を液圧流体から引き出し、そしてこれにより構成部分の寿命を長くすることができる。このような粒子を磁界発生装置42によって、分離エレメント10と下側ハウジングカバー28との間の可変のチャンバ容積内で「取り出す(Herausfischen)」ことにより、このような金属粒子が液圧アキュムレータを離れて鋭敏な構成部分、例えば弁、ピストンアキュムレータ、シールなどを損傷することが、閉じられた液圧回路内で阻止されるので、液圧回路のすべての構成部分がこのような損害から保護される。これに相当するものは従来技術にはない。
【0031】
磁化可能な粒子の本発明による分離装置は、前に示したようなピストンアキュムレータ解決手段に限定される必要はなく、それどころか分離エレメントを備えた別のアキュムレータ解決手段、例えばブラダ・アキュムレータ、メンブレン・アキュムレータ、及びベローズ・アキュムレータにおいても使用することができる。さらに、必要な場合には流体接続部24内へ弁、例えば一般的な構造形式のブラダ・アキュムレータのために使用されるディスク弁が挿入されていてもよく、この場合、ハウジングカバー28内に組み込まれた磁界発生装置42の作用を損なうことはない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】