(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】BDD電極に基づく電解アセンブリ及び水処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20250117BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20250117BHJP
B01F 25/30 20220101ALI20250117BHJP
C02F 1/50 20230101ALI20250117BHJP
C25B 11/043 20210101ALI20250117BHJP
C25B 11/02 20210101ALI20250117BHJP
C25B 1/13 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
B01F23/231
B01F25/30
C02F1/50 531R
C02F1/50 540A
C02F1/50 550D
C02F1/50 550C
C02F1/50 550H
C02F1/50 560Z
C02F1/50 560F
C25B11/043
C25B11/02 306
C25B1/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024527573
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 CN2022113836
(87)【国際公開番号】W WO2023138048
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210064023.3
(32)【優先日】2022-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524175077
【氏名又は名称】江西欣▲遠▼新材料科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524175066
【氏名又は名称】中材人工晶体研究院(山▲東▼)有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】524175055
【氏名又は名称】山▲東▼欣▲遠▼新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 玉宝
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 小玻
(72)【発明者】
【氏名】徐 金昌
(72)【発明者】
【氏名】曹 延新
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲曉▼玲
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲シン▼▲維▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 明昭
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 敬群
(72)【発明者】
【氏名】▲ジ▼ 蓬
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲傳▼奇
(72)【発明者】
【氏名】魏 ▲華▼▲陽▼
【テーマコード(参考)】
4D061
4G035
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4D061DA02
4D061DB09
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4D061EB04
4D061EB05
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4D061EB20
4D061EB29
4D061EB30
4D061EB31
4D061EB33
4D061EB39
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4D061GC01
4D061GC02
4D061GC16
4G035AB06
4G035AC22
4G035AE13
4K011AA23
4K011BA12
4K011DA11
4K021AB15
4K021DB18
4K021DB53
(57)【要約】
本発明は、BDD電極に基づく電解アセンブリを提供し、電解アセンブリは水流案内モジュールと、水流案内モジュール内に設けられる電解モジュールとを含み、電解モジュールはBDD電極を含み、BDD電極は、本体部と、本体部の両側に設けられた複数の分岐部とを含み、本体部及び分岐部はフィッシュボーン状構造を構成する。本発明の電解アセンブリのBDD電極はフィッシュボーン状構造であり、従来のオリフィス板電極構造よりも電解時に生じたガスが孔を塞ぐことがなく、水流案内モジュールの共同作用によりガスを容易に押し流して排出し、ガス生成物の効率的な排出を実現し、粒子状物質で塞がれる確率を低下させ、有効な電解反応面積を保証し、電解効率及び水処理効率を向上できる。本発明は、電解アセンブリを含む水処理システムを更に提供し、当該システムは、濾過アセンブリ及び気液混合アセンブリと協働して、処理効果を効果的に向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
BDD電極に基づく電解アセンブリであって、水流案内モジュール及び電解モジュールを含み、
前記電解モジュールは、水流案内モジュール内に設けられ、
前記電解モジュールは、BDD電極を含み、前記BDD電極は、本体部と、前記本体部の両側に設けられた複数の分岐部とを含み、前記本体部及び前記本体部の両側の複数の分岐部は、フィッシュボーン状構造を構成する、ことを特徴とする電解アセンブリ。
【請求項2】
隣接する分岐部の間の間隔は、0.05mm~2.5mmであり、各分岐部の幅は、0.05mm~10mmであり、各分岐部と本体部との間の、フィッシュボーン状構造の尾部に向かう夾角は、0~90°である、ことを特徴とする請求項1に記載の電解アセンブリ。
【請求項3】
前記BDD電極は、フィッシュボーン状構造の基板にホウ素ドープダイヤモンド膜を堆積して製造されたものであり、基板の材質は、チタン、ニオブ、タンタル、ニッケル、単結晶シリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素単結晶、炭化ケイ素セラミック、窒化ケイ素単結晶、窒化ケイ素セラミックから選ばれる1種であり、前記基板は、ダイヤモンドワイヤカット法で加工されてなる、ことを特徴とする請求項1に記載の電解アセンブリ。
【請求項4】
前記BDD電極は、陽極であるBDD電極と、陰極であるBDD電極とを含み、陽極であるBDD電極と陰極であるBDD電極との間にイオン膜が設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電解アセンブリ。
【請求項5】
前記水流案内モジュールは、主入水案内管と、主入水案内管に連通し、かつ側面が主入水案内管に垂直であるキャビティと、キャビティ及び主入水案内管に連通し、かつキャビティとの連通端がキャビティの上下面に垂直である分岐入水案内管と、を含み、
前記電解モジュールは、キャビティ内に設けられ、かつキャビティの上下面に平行であり、フィッシュボーン状構造のBDD電極の尾部は、主入水案内管から離れる、ことを特徴とする請求項1に記載の電解アセンブリ。
【請求項6】
前記分岐入水案内管と主入水案内管との管径比は、1:1~1:20である、ことを特徴とする請求項5に記載の電解アセンブリ。
【請求項7】
前記分岐入水案内管の水流は、パルス制御特性を有するスイッチによって制御される、ことを特徴とする請求項5に記載の電解アセンブリ。
【請求項8】
前記分岐入水案内管のキャビティと連通する端は、円管式、ダックビル式又は分液式構造である、ことを特徴とする請求項5に記載の電解アセンブリ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電解アセンブリを含み、濾過アセンブリ及び気液混合アセンブリを更に含み、前記電解アセンブリは、前記濾過アセンブリと前記気液混合アセンブリとの間に位置し、前記濾過アセンブリと入水通路を介して連通し、前記気液混合アセンブリと出水通路を介して連通する、ことを特徴とする水処理システム。
【請求項10】
前記濾過アセンブリは、逆洗機能を有する濾過アセンブリであり、濾過膜の孔径が0.2~75μmであり、
前記気液混合アセンブリの気液混合方式として、微細孔曝気及び/又は螺旋式ガス混合を用い、
前記濾過アセンブリと電解アセンブリとの間の入水通路の断面積と、電解アセンブリと気液混合アセンブリとの間の出水通路の断面積との比は、1:3~20:1である、ことを特徴とする請求項9に記載の水処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学の技術分野に関し、具体的には、BDD電極に基づく電解アセンブリ及び水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホウ素ドープダイヤモンド(BDD)電極は、気相堆積法を用いて基板にホウ素ドープダイヤモンド膜を堆積して製造されたものであり、BDD電極が通電後に水中で水を電解して発生した有効成分は、オゾン及びヒドロキシルラジカルであり、ウイルス、細菌、有機汚染物質などを酸化処理することができる。BDD電極は、酸素発生電位が高く、電極触媒活性が高いなどの利点を有するほか、優れた化学的安定性を有し、長期間の電解応用過程において電気化学的腐食による電極消耗に耐え、例えば、噴射ポット、加湿器、野菜洗機、洗濯機、空気清浄機、浄水機、脱臭器、下水処理機などの消毒殺菌及び水処理に広く応用される。
【0003】
しかしながら、従来のBDD電極技術には、以下の問題がある。
【0004】
1、従来のBDD電極の構造形態は、二次元平板状であり、一般的にサンドブラスト、レーザー穿孔切断、ウォータージェット、化学エッチングなどの加工方法を用いて表面及び構造形態を加工して表面積を増加させ、反応効率を向上させるが、これらの加工方法は、通常、加工応力(例えば、レーザー穿孔切断による加工応力)が生じやすく、機械的強度に影響を与え、加工効率が低い。
【0005】
2、二次元平板状のBDD電極の常用の電極構造は、一般的に単純な平板、オリフィス板など(
図1に示す)であり、応用時に水流方向が排気方向に垂直であり(
図2に示す)、電解アセンブリの動作中に発生した水素ガス及びオゾンなどが適時に排出されにくく、有効動作面積を低減し、電解反応の効率的な進行を阻害する。また、被処理水に粒子状物質が含まれたり、電気化学的反応過程において不純物が堆積したりした場合、排気孔(又は溝)を塞ぎやすく、電解効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のBDD電極の電解中に発生した水素ガス、オゾン及び酸素ガスなどのガスが適時に排出されにくく、有効動作面積を低減し、電解反応の効率的な進行を阻害し、被処理水に粒子状物質が含まれたり、電気化学的反応過程において不純物が堆積したりした場合、排気孔(又は溝)を塞ぎやすく、電解効率を低下させるなどの問題を解決するために、BDD電極に基づく電解アセンブリ及び水処理システム提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明に係るBDD電極に基づく電解アセンブリは、水流案内モジュール及び電解モジュールを含み、前記電解モジュールは、水流案内モジュール内に設けられ、前記電解モジュールは、BDD電極を含み、前記BDD電極は、本体部と、本体部の両側に設けられた複数の分岐部とを含み、前記本体部及びその両側の複数の分岐部は、フィッシュボーン状構造を構成する。
【0008】
従来の技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。本発明のBDD電極は、本体部と、本体部の両側に設けられた複数の分岐部とを含み、本体部と分岐部は、フィッシュボーン状構造を構成し、従来のオリフィス板電極構造に比べて、フィッシュボーン状構造により、隣接する分岐部の間のサイドスリットに止まり端がなく、電解時に発生したガスが孔を塞ぐことがなく、水流案内モジュールの共同作用により、水流が電解モジュールを通過するとき、ガスを容易に押し流して排出し、堆積した不純物を容易に除去し、ガス生成物の効率的な排出を実現し、粒子状物質で塞がれる確率を低下させ、有効な電解反応面積を保証し、電解効率及び水処理効率を向上させることができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、隣接する分岐部の間の間隔は、0.05mm~2.5mmであり、各分岐部の幅は、0.05mm~10mmであり、各分岐部と本体部との間の、フィッシュボーン状構造の尾部に向かう夾角は、0~90°である。
【0010】
上記更なる技術手段を用いると、以下の有益な効果を有する。加工装置がいずれも一定の規格を備え、隣接する分岐部の間の間隔(即ちサイドスリット幅)の範囲は、加工装置の規格に適用して、フィッシュボーン状構造の加工を容易にするために設定され、サイドスリット幅の設計に基づいて、各分岐部の幅範囲は、0.05mm~10mmであり、電解モジュールにおけるBDD電極と水とが接触する場合の反応面積を保証し、電解効率を保証することができる一方、BDD電極の強度を保証することができ、更に、該幅範囲は、電解反応により発生したガスの排出に有利であり、各分岐部と本体部との間の、フィッシュボーン状構造の尾部に向かう夾角が0~90°に設計されると、水流と協働して、電解過程における隣接する分岐部の間のサイドスリットに発生したガスを押し流すことに有利である。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態では、BDD電極は、フィッシュボーン状構造の基板にホウ素ドープダイヤモンド膜を堆積して製造されたものであり、基板の材質は、チタン、ニオブ、タンタル、ニッケル、単結晶シリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素単結晶、炭化ケイ素セラミック、窒化ケイ素単結晶、窒化ケイ素セラミックから選ばれる1種であり、基板は、ダイヤモンドワイヤカット法で加工されてなる。
【0012】
上記更なる技術手段を用いると、以下の有益な効果を有する。BDD電極のフィッシュボーン状構造は、基板のフィッシュボーン状構造に由来し、フィッシュボーン状構造の基板にホウ素ドープダイヤモンド膜を堆積すれば、フィッシュボーン状構造のBDD電極を得る。基板の材料選択は、ホウ素ドープダイヤモンド膜の堆積に有利であり、ホウ素ドープダイヤモンド膜が脱落しにくい。ダイヤモンドワイヤカットを用いてBDD電極の基板に対してサイドカット加工を行ってフィッシュボーン状構造を得ることは、従来の加工方法、例えばレーザー穿孔切断加工(レーザー高熱影響領域が存在するため、熱膨張の問題により大きな残留応力が発生し、加工後に加工位置の周囲に微小なクラックが発生しやすい)に比べて、加工応力が小さく、基板の強度が高く、試験で実証したところ、ダイヤモンドワイヤカット加工の加工効率が最も高く、加工効率を効果的に向上させることができる。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、前記BDD電極は、陽極であるBDD電極と、陰極であるBDD電極とを含み、陽極であるBDD電極と陰極であるBDD電極との間にイオン膜が設けられる。
【0014】
上記更なる技術手段を用いると、以下の有益な効果を有する。イオン膜と、陽極であるBDD電極と、陰極であるBDD電極とがBDDサンドイッチ構造を形成し、1つの電解槽を構成する。イオン膜は、イオンに対して選択透過性を有し、電荷を帯びたイオンの通過を許容し、イオン膜という高速チャネルにより、BDD電極が水を電解して発生した水素イオンは、イオン膜を高速に透過し、それにより電解効率の要求を満たす。イオン膜を設けずに水中のイオンのみによって電解を実現することに比べて、イオン膜を設ける場合の電解効率がより高い。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、前記水流案内モジュールは、主入水案内管と、主入水案内管に連通し、かつ側面が主入水案内管に垂直であるキャビティと、キャビティ及び主入水案内管に連通し、かつキャビティとの連通端がキャビティの上下面に垂直である分岐入水案内管とを含み、前記電解モジュールは、キャビティ内に設けられ、かつキャビティの上下面に平行であり、フィッシュボーン状構造のBDD電極の尾部は、主入水案内管から離れる。
【0016】
上記更なる技術手段を用いると、以下の有益な効果を有する。本発明の水流案内モジュールの主入水案内管が水流の主水流の方向を制御し、分岐入水案内管が水流の分岐水流の方向を制御する。キャビティの側面が主入水案内管に垂直であるため、主水流の方向は、フィッシュボーン状構造のBDD電極の首部から尾部への方向と一致し、分岐入水案内管とキャビティとの連通端がキャビティの上下面に垂直であるため、分岐水流の方向は、フィッシュボーン状構造のBDD電極に垂直であり、即ち分岐水流は、隣接する分岐部の間のサイドスリットを押し流して、サイドスリットにおけるガスを追い出し、主水流の作用により、押し流されたガスが除去され、更にフィッシュボーン状構造のBDD電極を含む電解モジュールと水流案内モジュールとの相互協働を実現し、ガス排出効率及び堆積物排出効率を向上させ、有効な電解反応面積を保証し、電解効率を保証する。また、本発明のフィッシュボーン状構造のBDD電極を含む電解モジュールと水流案内モジュールとの相互協働により、電解モジュールに対する水流の冷却効率が相対的に高くなり、電解過程におけるBDD電極が発熱するという問題を解決することができ、従来の技術に比べて、電極の単位面積当たりの電流密度がより高く、より高い電解効率を得ることができる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、前記分岐入水案内管と主入水案内管との管径比は、1:1~1:20である。
【0018】
上記更なる技術手段を用いることで、以下の有益な効果を有する。本発明では、分岐入水案内管と主入水案内管との管径比を1:1~1:20に設計することにより、主分岐路の水流量の大きさを効果的に制御し、更に各水流の流速を制御し、ガスの効率的な排出を実現する。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、前記分岐入水案内管の水流は、パルス制御特性を有するスイッチによって制御される。
【0020】
上記更なる技術手段を用いることで、以下の有益な効果を有する。分岐入水案内管にスイッチを設けることにより、分岐水流の開閉及び水流量の大きさを制御することができ、パルス制御特性が分岐入水案内管のスイッチング周波数によって実現され、パルス水流は、BDD電極に発生した気泡の離脱と排出により有利である。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、前記分岐入水案内管のキャビティと連通する端は、円管式、ダックビル式又は分液式構造である。
【0022】
上記更なる技術手段を用いることで、以下の有益な効果を有する。分岐入水案内管のキャビティと連通する端は、円管式、ダックビル式又は分液式構造に設計され、フィッシュボーン状構造の分岐部に対応し、分岐入水案内管から導入された水流が隣接する2つの分岐部の間のサイドスリットを押し流すことに有利であり、特に分液式構造は、その各分岐管が1つのサイドスリットに対応し、スリット押し流し効果がより良く、ガス排出効率がより高い。
【0023】
別の態様では、本発明に更に係る水処理システムは、上記いずれか一項に記載の電解アセンブリを含み、濾過アセンブリ及び気液混合アセンブリを更に含み、電解アセンブリは、濾過アセンブリと気液混合アセンブリとの間に位置し、濾過アセンブリと入水通路を介して連通し、気液混合アセンブリと出水通路を介して連通する。
【0024】
従来の技術に比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。本発明の水処理システムは、本発明の電解アセンブリ、濾過アセンブリ及び気液混合アセンブリを含む。水流が電解アセンブリに入る前に濾過アセンブリによって予め濾過され、いくつかの粒子と懸濁物が濾過し除去され、電解アセンブリが電解処理を行うときに、これらの粒子と懸濁物が電気化学的に凝集して大粒子になり、2つの隣接する分岐部の間のサイドスリットを塞ぐことを回避することができ、水流が電解アセンブリを通過した後に気液混合アセンブリによって気液混合することにより、電解反応によって発生したオゾンと水をより十分に混合し、処理後の水中のオゾン濃度を効果的に向上させ、消毒殺菌及び処理効果を向上させる。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、前記濾過アセンブリは、逆洗機能を有する濾過アセンブリであり、濾過膜の孔径が0.2~75μmであり、前記気液混合アセンブリの気液混合方式としては、微細孔曝気及び/又は螺旋式ガス混合を用い、前記濾過アセンブリと電解アセンブリとの間の入水通路の断面積と、電解アセンブリと気液混合アセンブリとの間の出水通路の断面積との比は、1:3~20:1である。
【0026】
上記更なる技術手段を用いることで、以下の有益な効果を有する。濾過アセンブリは、逆洗機能を有し、濾過膜の孔が塞がれることを防止し、濾過された濾過物を適時に排出し、濾過後の液体の流出速度を保証することができ、濾過膜の孔径が0.2~75μmであると、粒径がこの範囲内にある粒子と懸濁物を濾過し除去することができ、電解アセンブリが電解処理を行うときに、これらの粒子と懸濁物が電気化学的に凝集して大粒子になり、2つの隣接する分岐部の間のサイドスリットを塞き、スリット押し流しによる大粒子の排出が困難であるなどの問題を回避することができる。微細孔曝気及び/又は螺旋式ガス混合を用いると、気液混合がより十分になることに有利である。濾過アセンブリと電解アセンブリとの間の入水通路の断面積と、電解アセンブリと気液混合アセンブリとの間の出水通路の断面積との比を1:3~20:1に設計することは、電解アセンブリと気液混合アセンブリとの処理効率に合わせて、電解処理、気液混合をより効率的にすると共に、水処理システム全体の処理効率を保証するためである。
【0027】
本発明の実施例における技術手段をより明確に説明するために、以下、本発明の実施例に使用する必要がある図面について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来の技術における二次元平板状BDD電極の常用の電極構造の概略図である。
【
図2】従来の技術における二次元平板状BDD電極構造の電解時の水流方向と排気方向の概略構成図である。
【
図3】本発明の一実施例の水処理システムの概略構成図である。
【
図4】本発明の一実施例の電解アセンブリの電解モジュールの概略構成図である。
【
図5】本発明の一実施例の電解アセンブリの水流案内モジュールの分岐入水案内管とキャビティとの連通端の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下、具体的な実施例を参照して、本発明に係る各態様を詳細に説明するが、これらの具体的な実施例は、例として本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲及び実質的な内容を限定するものではない。
【0030】
本発明の実施例は、BDD電極に基づく電解アセンブリ及び水処理システムを提供する。
図3は、本実施例の水処理システムの概略構成図を示し、
図4は、本実施例の電解アセンブリの電解モジュールの概略構成図を示し、
図5は、本実施例の電解アセンブリの水流案内モジュールの分岐入水案内管とキャビティとの連通端の概略構成図を示す。
【0031】
図3~4に示すように、本実施例の電解アセンブリ1は、水流案内モジュール11及び電解モジュール12を含む。電解モジュール12は、水流案内モジュール11内に設けられる。電解モジュール12は、BDD電極121を含み、BDD電極121は、本体部1211と、本体部1211の両側に設けられた複数の分岐部1212とを含み、本体部1211及びその両側の複数の分岐部1212は、フィッシュボーン状構造を構成する。
【0032】
本実施例では、隣接する分岐部1212の間の間隔(即ちサイドスリット幅)は、0.05mm~2.5mmであり、各分岐部1212の幅は、0.05mm~10mmであり、各分岐部1212と本体部1211との間の、フィッシュボーン状構造の尾部に向かう夾角αは、0~90°である。本実施例では、フィッシュボーン状構造は、魚の頭を除いた後の魚骨構造に類似し、フィッシュボーン状構造の尾部は、魚尾の方向にあり、フィッシュボーン状構造の首部は、魚尾から離れる方向にあり、夾角αは、通常、分岐部1212と本体部1211との間がなす鋭角の角度を指し、夾角が最大90°である(即ち、分岐部1212と本体部1211との間に形成される2つの角が等しい(いずれも90°である))。
【0033】
本実施例では、BDD電極121は、フィッシュボーン状構造の基板にホウ素ドープダイヤモンド膜を堆積して製造されたものであり、基板の材質は、チタン、ニオブ、タンタル、ニッケル、単結晶シリコン、多結晶シリコン、炭化ケイ素単結晶、炭化ケイ素セラミック、窒化ケイ素単結晶、窒化ケイ素セラミックから選ばれる1種であり、基板は、ダイヤモンドワイヤカット法で加工されてなる。本実施例では、ダイヤモンドワイヤカット法によりフィッシュボーン状構造の基板を加工した後、基板をダイヤモンド微粉末の濃縮懸濁液に入れて超音波処理を行い、超音波によりダイヤモンド微粉末を基板の表面に衝突させて表面処理を行って表面積を増加させ、その後に厚さ0.5~100μmのホウ素ドープダイヤモンド膜を堆積し、フィッシュボーン状構造のBDD電極を得る。
【0034】
本発明の実施例では、BDD電極121は、陽極であるBDD電極と、陰極であるBDD電極とを含み、陽極であるBDD電極と陰極であるBDD電極との間にイオン膜122が設けられる。イオン膜122の上下両側のBDD電極のうち、どれが陽極であるか、どれが陰極であるかを図示していないが、陽極と陰極は、BDD電極と外部電池(キャビティ112外に位置し、図示せず)の正負極との接続方式に基づいて決定される。
【0035】
本実施例では、水流案内モジュール11は、主入水案内管111と、主入水案内管111に連通し、かつ側面が主入水案内管111に垂直であるキャビティ112と、キャビティ112及び主入水案内管111に連通し、かつキャビティ112との連通端がキャビティ112の上下面に垂直である分岐入水案内管113とを含む。本実施例では、電解モジュール12は、キャビティ112内に設けられ、かつキャビティ112の上下面に平行であり、フィッシュボーン状構造のBDD電極121は、尾部が主入水案内管111から離れ、首部が主入水案内管111に向う(即ち、
図4に示すように、フィッシュボーン状構造のBDD電極121の首部から尾部への方向は、主入水案内管111によって形成される主水流の方向と一致する)。
【0036】
本実施例では、分岐入水案内管113と主入水案内管111との管径比は、1:1~1:20である。分岐入水案内管113の水流は、パルス制御特性を有するスイッチ1131によって制御される。
【0037】
本実施例では、
図5に示すように、分岐入水案内管113のキャビティ112と連通する端(即ち連通端)は、円管式、ダックビル式又は分液式構造であり、好ましくは分液式構造である。本実施例では、分液式構造は、複数の分岐管を含み、各分岐管は、1つのサイドスリットに対応し、スリット押し流し効果がより良く、ガス排出効率がより高い。
【0038】
図3に示すように、本実施例の水処理システムは、本実施例の電解アセンブリ1を含む。本実施例の水処理システムは、濾過アセンブリ2及び気液混合アセンブリ3を更に含み、電解アセンブリ1は、濾過アセンブリ2と気液混合アセンブリ3との間に位置し、濾過アセンブリ2と入水通路4を介して連通し、気液混合アセンブリ3と出水通路5を介して連通する。
【0039】
本実施例では、濾過アセンブリ2は、逆洗機能を有する濾過アセンブリであり、濾過膜21の孔径が0.2~75μmである。気液混合アセンブリ3の気液混合方式としては、微細孔曝気及び/又は螺旋式ガス混合を用いる。濾過アセンブリ2と電解アセンブリ1との間の入水通路4の断面積と、電解アセンブリ1と気液混合アセンブリ3との間の出水通路5の断面積との比は、1:3~20:1である。
【0040】
本実施例の水処理システムの動作過程は、以下のとおりである。被処理水を濾過アセンブリ2に導入し、濾過アセンブリ2によって濾過された水が入水通路4を通って主入水案内管111と分岐入水案内管113に入り(分岐入水案内管113にスイッチ1131が設けられているため、必要に応じて分岐入水案内管113の開閉及び分岐入水案内管113の水流の流量の大きさを制御することができる)、更にキャビティ112に入り、キャビティ112内の電解モジュール12が外部電池(キャビティ112外に位置し、図示せず)のエネルギーで水の電解処理を行い(電解時に、一般的に陰極の表面に水中のカルシウム、マグネシウムなどのイオンが堆積しやすく、陽極が電気化学的に腐食されやすく、本実施例では、回路制御により、一定の時間を置いて電池の正負極を反転させて、電解モジュールの陰極と陽極を交換し、元の陰極が陽極になり、元の陽極が陰極になり、元の陰極に堆積した堆積層が反転して陽極になった後に除去され、更に粒子状物質で塞がれる確率を低下させ、電極の耐用年数を延長させ、電解効率を向上させる。)、電解処理後の水が出水通路5を通ってキャビティ112から流出して気液混合アセンブリ3に入り、気液混合アセンブリ3が電解反応によって発生したオゾンと水を十分に混合する。
【0041】
以上、具体的な実施形態を参照して本発明を説明したが、これらの具体的な実施形態は、例示的なものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない限り、様々な修正、変更又は置換を行うことができる。したがって、本発明に基づいて行われる様々な同等の変化は、本発明の範囲に属する。
【符号の説明】
【0042】
1 電解アセンブリ
2 濾過アセンブリ
3 気液混合アセンブリ
4 入水通路
5 出水通路
11 水流案内モジュール
12 電解モジュール
21 濾過膜
111 主入水案内管
112 キャビティ
113 分岐入水案内管
121 BDD電極
122 イオン膜
1131 スイッチ
1211 本体部
1212 分岐部
【国際調査報告】