(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】自動シフトチェンジ制御方法、装置、機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
F16D 48/06 20060101AFI20250117BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20250117BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20250117BHJP
B60K 6/38 20071001ALI20250117BHJP
B60K 6/52 20071001ALI20250117BHJP
B60W 10/02 20060101ALI20250117BHJP
B60W 10/08 20060101ALI20250117BHJP
B60W 20/40 20160101ALI20250117BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F16D28/00 A
B60K6/48 ZHV
B60K6/547
B60K6/38
B60K6/52
B60W10/02 900
B60W10/08 900
B60W20/40
F16D48/06 102
B60L15/20 K
B60L15/20 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530526
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 CN2022137676
(87)【国際公開番号】W WO2024119453
(87)【国際公開日】2024-06-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523284985
【氏名又は名称】浙江極▲け▼智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG ZEEKR INTELLIGENT TECHNOLOGY CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】523284996
【氏名又は名称】威睿電動汽車技術(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIRIDI E-MOBILITY TECHNOLOGY (NINGBO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 198, Yinwan East Rd., Hangzhou Bay New Zone, Ningbo, Zhejiang China
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang310000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沈 克清
(72)【発明者】
【氏名】陳 東
(72)【発明者】
【氏名】董 喬
(72)【発明者】
【氏名】劉 文亮
(72)【発明者】
【氏名】馬 迎国
(72)【発明者】
【氏名】施 鄒云
(72)【発明者】
【氏名】陳 啓苗
(72)【発明者】
【氏名】孫 輝安
(72)【発明者】
【氏名】顧 斌
(72)【発明者】
【氏名】阮 鴎
(72)【発明者】
【氏名】李 常珞
【テーマコード(参考)】
3D202
3J057
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA08
3D202BB01
3D202BB14
3D202BB16
3D202BB37
3D202BB65
3D202BB66
3D202CC21
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3J057AA02
3J057BB01
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3J057JJ01
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC11
5H125BA00
5H125BE05
5H125CA01
5H125CA08
5H125EE08
(57)【要約】
本願は、自動シフトチェンジ制御方法、装置、機器及び記憶媒体を提供し、駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行い、車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行い、可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、可動アセンブリの噛合方向と分離制御を行い、可動アセンブリを脱離方向において完全離脱位置まで動かせ、車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを完了する。脱離/結合装置の可動アセンブリが四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替える時の速度差を減少又は解消することができ、可動アセンブリの衝突を回避し、可動アセンブリの非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を達成し、脱離/結合装置は、無衝撃と無騒音で脱離することができ、無感知の自動シフトチェンジ制御を実現し、車両の運転体験を向上させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップであって、前記駆動切り替え要求は、前記車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられる、ステップと、
前記弾性ブリードオフ操作において前記車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うステップと、
前記位置自己適応操作を行う際に、前記可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御し、前記可動アセンブリを脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせるステップと、を含む、ことを特徴とする自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項2】
前記可動アセンブリが前記脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動いた後、
前記可動アセンブリを前記脱離方向において前記完全離脱位置から脱離ロック位置に動かせるように制御するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項3】
前記可動アセンブリを前記完全離脱位置から前記脱離ロック位置に動かせるように制御した後、
前記車両の第1のモータのロータの回転速度をゼロの回転速度になるように制御し、前記第1のモータの運動エネルギーを電気エネルギーに変換して貯蔵又は給電するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項4】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップは、
前記駆動切り替え要求に応答して、前記車両の第1の走行データに基づいて、トルクと弾性アンロード時間、第1の制御トルク及び前記車両の第2のモータのトルクを含む弾性アンロードデータを決定するステップと、
前記トルクと弾性アンロード時間内に前記第1の制御トルクと前記第2のモータのトルクに基づき、前記車両を制御して前記弾性ブリードオフ操作を行うステップと、を含み、
ここで、前記弾性ブリードオフ操作において前記第1の制御トルクがゼロになるまで、前記第1のモータのトルクをアンロードし完了する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項5】
前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うステップは、
伝動システムの剛性に基づいて自己適応制御時間を決定し、及び前記第1のモータの能動減衰トルクに基づいて第2の制御トルクを決定するステップと、
前記自己適応制御時間に、前記第2の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリを制御して前記位置自己適応操作を行うステップと、を含み、
ここで、前記位置自己適応操作過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第2の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、運転者要求トルクであり、前記位置自己適応操作が終了する時、前記可動アセンブリの回転速度は、前記定常状態に達する、ことを特徴とする請求項4に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項6】
前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御するステップは、
前記可動アセンブリが前記脱離/結合装置の完全結合位置から前記完全離脱位置に動く開始時刻である前記定常状態の達する時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップと、
前記噛合方向の制御を完了した後、前記可動アセンブリが前記脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置に動くまで、前記噛合方向の制御終了時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップと、を含み、
ここで、前記走行状態は、加速状態、減速状態及び非加速且つ非減速状態を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項7】
前記定常状態の達する時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップは、
前記定常状態の達する時刻に基づいて噛合方向制御時間を決定し、及び前記車両の走行状態に基づいて第3の制御トルクを決定するステップと、
前記噛合方向制御時間内に前記第3の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップと、を含み、
ここで、前記噛合方向に対する制御過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第3の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、前記運転者要求トルクである、ことを特徴とする請求項6に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項8】
前記噛合方向の制御終了時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップは、
前記噛合方向の制御終了時刻及び前記完全離脱位置に基づいて分離制御時間を決定するステップと、
前記車両の走行状態に基づいて第4の制御トルクを決定するステップと、
前記分離制御時間内に前記第4の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップと、を含み、
ここで、前記可動アセンブリを分離制御する過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第4の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、前記運転者要求トルクである、ことを特徴とする請求項6に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項9】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップの前に、
前記車両の第2の走行データを取得し、且つ前記第2の走行データに基づいて前記車両の現在の駆動モードを決定するステップと、
前記現在の駆動モードが前記四駆動力モードであり、且つ前記二駆動力モードの実行要求を受信すれば、前記駆動切り替え要求を生成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項10】
前記車両は、電気自動車又はハイブリッド自動車を含み、
前記車両が前記電気自動車である場合、前記第1のモータと前記第2のモータは、それぞれ発電機を含み、
前記車両が前記ハイブリッド自動車である場合、前記第1のモータは、発電機を含み、前記第2のモータは、エンジンを含む、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項11】
前記脱離/結合装置の構造方式は、シンクロメッシュ式、ドッグギヤ式及びクラッチ式のいずれか1つを含み、
前記構造方式は、前記シンクロメッシュ式又はドッグギヤ式である場合、前記可動アセンブリは、被動歯及び駆動歯を含む、ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項12】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うために用いられる第1の制御モジュールであって、前記駆動切り替え要求は、前記車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられる、第1の制御モジュールと、
前記弾性ブリードオフ操作において前記車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うために用いられる第2の制御モジュールと、
前記位置自己適応操作を行う際に、前記可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御し、前記可動アセンブリを脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせるために用いられる第3の制御モジュールと、を含む、ことを特徴とする自動シフトチェンジ制御装置。
【請求項13】
プロセッサ、及び前記プロセッサと通信可能に接続されたメモリを含み、
前記メモリは、コンピュータ実行命令を記憶し、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータ実行命令を実行し、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法を実現する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項14】
コンピュータ実行命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ実行命令がプロセッサによって実行されるときに請求項1乃至11のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法を実現するために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、車両技術の分野に関し、特に自動シフトチェンジ制御方法、装置、機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギー自動車の動力性と経済性の二重指標を満たすために、現在、脱離/結合機能付きの自動変速機を用いて二駆と四駆の動力切り替えを実現する。
【0003】
例えば、動力性要求(例えばアクセルの大動力)又は四駆要求(例えば後輪の空回り、非舗装路面など)が存在する場合に四駆モードを用いて車両の動力性、通過性及び安全性を向上させ、動力性要求又は四駆要求が存在しない場合に二駆モードを用いて動力システムのエネルギー消費を低減させる。ここで、一般的にモータ又は電磁機構を同時に採用して脱離/結合機能に対する自動制御を実現する。
【0004】
しかしながら、現在既存の脱離/結合機能付きの装置が二駆と四駆の切り替えを実現する車両は、脱離/結合装置が脱離を発生してシフトチェンジ走行時に一般的に伝動システムに衝撃と騒音が存在することを実現し、例えばシフトを外す時に入力軸と出力軸は、依然として回転速度の相対震動が存在し、それにより脱離/結合装置が脱離する時に脱離/結合装置の噛合歯が歯打ちを発生し、それにより衝撃を発生し、さらに運転体験に深刻な影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、自動シフトチェンジ制御方法、装置、機器及び記憶媒体を提供し、四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替え時に脱離/結合装置の噛合歯が歯打ちを発生することによる伝動システムに衝撃と騒音が存在して運転体験に影響を与えるという技術的問題を解決するために用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本願は、自動シフトチェンジ制御方法を提供し、
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップであって、前記駆動切り替え要求は、前記車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられる、ステップと、
前記弾性ブリードオフ操作において前記車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うステップと、
前記位置自己適応操作を行う際に、前記可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御し、前記可動アセンブリを脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせるステップと、を含む。
【0007】
1つの可能な設計において、前記可動アセンブリが前記脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動いた後、
前記可動アセンブリを前記脱離方向において前記完全離脱位置から脱離ロック位置に動かせるように制御するステップをさらに含む。
【0008】
1つの可能な設計において、前記可動アセンブリを前記完全離脱位置から前記脱離ロック位置に動かせるように制御した後、
前記車両の第1のモータのロータの回転速度をゼロの回転速度になるように制御し、前記第1のモータの運動エネルギーを電気エネルギーに変換して貯蔵又は給電するステップをさらに含む。
【0009】
1つの可能な設計において、駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップは、
前記駆動切り替え要求に応答して前記車両の第1の走行データに基づいて弾性アンロードデータを決定するステップであって、前記弾性アンロードデータは、トルクと弾性アンロード時間、第1の制御トルク及び前記車両の第2のモータのトルクを含むステップと、
前記トルクと弾性アンロード時間内に前記第1の制御トルクと前記第2のモータのトルクに基づき、前記車両を制御して前記弾性ブリードオフ操作を行うステップと、を含み、
ここで、前記弾性ブリードオフ操作において前記第1の制御トルクがゼロになるまで、前記第1のモータのトルクをアンロードし完了する。
【0010】
1つの可能な設計において、前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うステップは、
伝動システムの剛性に基づいて自己適応制御時間を決定し、及び前記第1のモータの能動減衰トルクに基づいて第2の制御トルクを決定するステップと、
前記自己適応制御時間に、前記第2の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリを制御して前記位置自己適応操作を行うステップと、を含み、
ここで、前記位置自己適応操作過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第2の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、運転者要求トルクであり、前記位置自己適応操作が終了する時、前記可動アセンブリの回転速度は、前記定常状態に達する。
【0011】
1つの可能な設計において、前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御するステップは、
前記可動アセンブリが前記脱離/結合装置の完全結合位置から前記完全離脱位置に動く開始時刻である前記定常状態の達する時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップと、
前記噛合方向の制御を完了した後、前記可動アセンブリが前記脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置に動くまで、前記噛合方向の制御終了時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップと、を含み、
ここで、前記走行状態は、加速状態、減速状態及び非加速且つ非減速状態を含む。
【0012】
1つの可能な設計において、前記定常状態の達する時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップは、
前記定常状態の達する時刻に基づいて噛合方向制御時間を決定し、及び前記車両の走行状態に基づいて第3の制御トルクを決定するステップと、
前記噛合方向制御時間内に前記第3の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップと、を含み、
ここで、前記噛合方向に対する制御過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第3の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、前記運転者要求トルクである。
【0013】
1つの可能な設計において、前記噛合方向の制御終了時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップは、
前記噛合方向の制御終了時刻及び前記完全離脱位置に基づいて分離制御時間を決定するステップと、
前記車両の走行状態に基づいて第4の制御トルクを決定するステップと、
前記分離制御時間内に前記第4の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップと、を含み、
ここで、前記可動アセンブリを分離制御する過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第4の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、前記運転者要求トルクである。
【0014】
1つの可能な設計において、駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップの前に、
前記車両の第2の走行データを取得するステップと、
前記第2の走行データに基づいて前記車両の現在の駆動モードを決定するステップと、
前記現在の駆動モードが前記四駆動力モードであり、且つ前記二駆動力モードの実行要求を受信すれば、前記駆動切り替え要求を生成するステップと、をさらに含む。
【0015】
1つの可能な設計において、前記車両は、電気自動車又はハイブリッド自動車を含み、
前記車両が前記電気自動車である場合、前記第1のモータと前記第2のモータは、それぞれ発電機を含み、
前記車両が前記ハイブリッド自動車である場合、前記第1のモータは、発電機を含み、前記第2のモータは、エンジンを含む。
【0016】
1つの可能な設計において、前記脱離/結合装置の構造方式は、シンクロメッシュ式、ドッグギヤ式及びクラッチ式のいずれか1つを含み、
前記構造方式は、前記シンクロメッシュ式又はドッグギヤ式である場合、前記可動アセンブリは、被動歯及び駆動歯を含む。
【0017】
第2の態様において、本願は、自動シフトチェンジ制御装置を提供し、
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うために用いられる第1の制御モジュールであって、前記駆動切り替え要求は、前記車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられる、第1の制御モジュールと、
前記弾性ブリードオフ操作において前記車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うために用いられる第2の制御モジュールと、
前記位置自己適応操作を行う際に、前記可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御し、前記可動アセンブリを脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせるために用いられる第3の制御モジュールと、を含む。
【0018】
第3の態様において、本願は、電子機器を提供し、プロセッサ、及び前記プロセッサと通信可能に接続されたメモリを含み、
前記メモリは、コンピュータ実行命令を記憶し、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータ実行命令を実行し、第1の態様にて提供されるいずれかの可能性のある自動シフトチェンジ制御方法を実現する。
【0019】
第4の態様において、本願は、コンピュータ実行命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ実行命令がプロセッサに実行される時に第1の態様にて提供されるいずれかの可能性のある自動シフトチェンジ制御方法を実現するために用いられる。
【発明の効果】
【0020】
本願は、自動シフトチェンジ制御方法、装置、機器及び記憶媒体を提供し、まず駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行い、駆動切り替え要求は、車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられ、続いて弾性ブリードオフ操作において車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行い、さらに位置自己適応操作を行う際に可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、可動アセンブリの噛合方向を制御し及び可動アセンブリを分離制御し、可動アセンブリを脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせる。弾性ブリードオフ操作により第1のモータのトルクをアンロードさせ、さらに位置自己適応操作により脱離/結合装置の可動アセンブリの回転速度を定常状態に達させ、可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した後に噛合方向制御及び分離制御を行うことにより可動アセンブリの脱離方向における精確な制御を実現し、可動アセンブリの非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を達成し、それにより脱離/結合装置の可動アセンブリが四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替える時の速度差を減少又は解消することができ、可動アセンブリの衝突を回避する。脱離/結合装置は、無衝撃と無騒音で脱離することができ、無感知の自動シフトチェンジ制御を実現し、車両の運転体験を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願の実施例にて提供される車両の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例にて提供される変速差動装置の構造概略図である。
【
図3】本願の実施例にて提供される脱離/結合装置の構造概略図である。
【
図4】本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法のフローチャートである。
【
図5】本願の実施例にて提供される別の自動シフトチェンジ制御方法のフローチャートである。
【
図6】本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御のタイムチャートである。
【
図7】本願の実施例にて提供される別の自動シフトチェンジ制御のタイムチャートである。
【
図8】本願の実施例にて提供されるさらに別の自動シフトチェンジ制御のタイムチャートである。
【
図9】本願の実施例にて提供される駆動歯と被動歯の相対位置の概略図である。
【
図10】本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御装置の構造概略図である。
【
図11】本願の実施例にて提供される電子機器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本願の実施例における図面を参照し、本願の実施例における技術的解決手段を明確、完全に説明し、明らかに、説明された実施例は、本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づき、当業者が創造的な労力を行わない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0023】
本願の明細書と特許請求の範囲及び上記図面における用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など(存在すれば)は、類似する対象を区別するために用いられ、特定の順序又は前後順番を説明するために用いられる必要がない。このように使用されるデータは、本明細書に説明される本願の実施例が、例えば、本明細書に図示又は説明されるもの以外の順序で実施され得るように、適宜交換され得ることが理解されるべきである。また、「含む」及び「有する」という用語ならびにそれらの任意の変形は、非排他的包含、例えば、一連のステップ又はユニットを含む過程、方法、システム、製品又は機器が、必ずしも明確に列挙されたそれらのステップ又はユニットに限定されるわけではなく、明確に列挙されない、又はそのような過程、方法、製品又は機器に固有の他のステップ又はユニットを含み得ることを包含することが意図される。
【0024】
現在脱離/結合機能付きの自動変速機を用いて二駆と四駆の動力切り替えを実現する時、脱離/結合装置は、脱離を発生する時に一般的に伝動システムの衝撃と騒音が存在し、例えばシフトを外す時に入力軸と出力軸は、依然として回転速度の相対震動が存在し、それにより脱離/結合装置が脱離する時に脱離/結合装置の2つの噛合歯が歯打ちを発生し、それにより衝撃を発生し、さらに運転体験に深刻な影響を与える
【0025】
従来技術に存在する上記問題について、本願は、自動シフトチェンジ制御方法、装置、機器及び記憶媒体を提供する。本願にて提供される自動シフトチェンジ制御方法の発明構想は以下の通りである。車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの駆動切り替え要求に応答し、まず弾性ブリードオフ操作を行い、第1のモータのトルクをアンロードし、さらに第1のモータのトルクアンロードを完了する時に車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行い、可動アセンブリの回転速度を定常状態に達させ、ひいては可動アセンブリの回転速度が定常状態に達する時、可動アセンブリの噛合方向及び分離を制御し、可動アセンブリを脱離方向に脱離/結合装置の完全離脱位置に動かせる。ここで、弾性ブリードオフ操作と位置自己適応操作は、可動アセンブリが四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替える時の速度差を減少又は解消することができ、可動アセンブリの衝突を回避し、可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した後に噛合方向及び分離制御を制御することにより可動アセンブリの脱離方向における精確な制御を実現し、可動アセンブリの非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を達成し、脱離/結合装置は、無衝撃と無騒音で脱離することができ、無感知の自動シフトチェンジ制御を実現し、車両の運転体験を向上させることである。
【0026】
図1は、本願の実施例にて提供される車両の構造概略図であり、
図2は、本願の実施例にて提供される変速差動装置の構造概略図である。
図1に示すように、第1のモータ、第1のモータ制御駆動装置、変速差動装置は、第1の動力源を構成し、第2のモータ、第2のモータ制御駆動装置、減速差動装置は、車両の第2の動力源を構成する。選択的に、車両は、電気自動車又はハイブリッド自動車であってもよく、車両が電気自動車である場合、第1のモータ及び第2のモータは、それぞれ発電機であってもよく、車両がハイブリッド自動車である場合、第1のモータは、発電機であってもよく、第2のモータは、エンジンであってもよく、例えばエンジン、変速機、差動装置、エンジンコントローラ、変速機コントローラは、第2の動力源を構成する。
【0027】
ここで、車両のコントローラは、本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法を実行できるように配置され、当該コントローラは、例えば
図1に示す電子制御ユニット(Electronic Control Unit、ECU)であってもよく、車両が四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替える時、脱離/結合装置の可動アセンブリの衝突を回避し、可動アセンブリの噛合方向及び分離制御を行うことにより可動アセンブリの脱離方向における精確な制御を実現し、可動アセンブリの非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を達成し、脱離/結合装置は、無衝撃と無騒音で脱離することができ、無感知の自動シフトチェンジ制御を実現し、車両の運転体験を向上させる。
【0028】
図1及び
図2に示すように、脱離/結合装置は、第1のモータから差動装置までの間の機械的構造を切断又は接続することによりトルクを伝達し及びトルクの伝達を遮断する。例えば、脱離/結合装置は、モータの出力軸又は第2の軸、又は第3の軸に設置されてもよく、そのうち第3の軸は、変速差動装置における差動装置に接続され、変速差動装置は、変速機をさらに含む。
【0029】
図2に示す脱離/結合装置は、例えば
図3に示すように、
図3は、本願の実施例にて提供される脱離/結合装置の構造概略図である。
図3に示すように、フォークは、フォーク溝34によりスリーブ33を押して結合歯(被動歯)31方向又は逆方向に移動させて脱離/結合装置の結合又は脱離を実現し、ハブ(駆動歯)32は、スリーブ33に位置する。脱離/結合装置が結合する時にハブ(駆動歯)32は、結合歯(被動歯)31と噛み合い、第1のモータと第1のドライブシャフト、第2のドライブシャフトとの機械的接続を実現し、脱離/結合装置が脱離する時にハブ(駆動歯)32と結合歯(被動歯)31が離脱する。選択的に、脱離/結合装置の構造方式は、シンクロメッシュ式、ドッグギヤ式、クラッチ式のいずれか1つであってもよく、
図3は、シンクロメッシュ式を例として示される。ここで、
図3に示すような結合歯(被動歯)31とハブ(駆動歯)32は、脱離/結合装置の可動アセンブリと総称される。
【0030】
なお、上記
図1から
図3は、単に概略的に示され、本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法が適用される車両、変速差動装置及び脱離/結合装置は、上記図示したものを含むがそれらに限定されるものではない。
【0031】
図4は、本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法のフローチャートである。
図4に示すように、本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法は、以下を含む。
【0032】
S101において、駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行う。
【0033】
ここで、駆動切り替え要求は、車両が四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替えることを指示するために用いられる。
【0034】
駆動切り替え要求は、車両が四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替えることを指示するために用いられ、動力システムのエネルギー消費を低減させる。これにより、駆動切り替え要求が生成した後、駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行う。選択的に、弾性ブリードオフ操作は、車両の第1のモータのトルク及び伝動システムにおける弾性力に対してアンロードを実現し及び第2のモータのトルクに対してロードを実現することができる。例えば、第1の動力源、第1のドライブシャフト、第2のドライブシャフト及びそれに対応する車輪で構成される伝動システム(
図1に示される)に対し、当該伝動システムの伝達トルクの減少は、その弾性変形の回復を実現することができ、それにより弾性力のアンロードを実現する。
【0035】
S102において、弾性ブリードオフ操作において車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行う。
【0036】
弾性ブリードオフ操作中に車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作段階に入ることができ、可動アセンブリの位置に対する自己適応制御を実現し、例えば可動アセンブリ(例えば被動歯及び可動歯)の回転速度を定常状態に達させる。つまり、位置自己適応操作が終了した時に可動アセンブリの回転速度が定常状態に達する。ここで、定常状態に対応する回転速度の具体的な数値は、実際の動作状況に基づいて設置することができ、これに対して本願の実施例は限定しない。
【0037】
弾性ブリードオフ操作は、伝動システムの弾性力をアンロードさせることができ、伝動システムが弾性的にリリースされ、弾性的なリリースは、可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯の回転速度変動と相対速度差を減衰させることができ、それにより弾性ブリードオフ操作と位置自己適応操作により可動アセンブリの回転速度変動と相対速度差に対する減衰の制御を実現し又はそれに自然減衰の特性を備えさせ、脱離/結合装置の可動アセンブリの速度差、例えば駆動歯と被動歯との間の速度差を効果的に減少し又は解消し、脱離時に可動アセンブリの衝突を回避し、即ち駆動歯と被動歯との間の衝突を回避する。
【0038】
S103において、位置自己適応操作を行う際に、可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、可動アセンブリの噛合方向を制御し及び可動アセンブリを分離制御し、可動アセンブリを脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせる。
【0039】
位置自己適応操作中に、可動アセンブリの回転速度が定常状態に達する時、位置自己適応操作が終了し、可動アセンブリに対して噛合方向の制御及びさらに分離制御を行い始める。そのうち、可動アセンブリに対して噛合方向の制御を行う実質は、所望の目標に応じて噛合方向を制御することであり、後続に行われる分離制御に事前条件を提供し、分離制御の精度を容易にする。
【0040】
噛合方向の制御を完了した後にさらに可動アセンブリに対して分離制御を行い、具体的には可動アセンブリの位置、例えば駆動歯と被動歯の両者の相対位置を制御することを指し、脱離/結合装置が脱離する時の歯位置の精確な制御を行うことにより、つまり可動アセンブリが脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置に動く過程に対して正確な制御を行い、例えば時間、時間内のトルクなどのパラメータにより噛合方向と分離制御に対して正確な制御を実現し、それにより可動アセンブリ例えば駆動歯と噛合歯に対して非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を実現し、可動アセンブリに歯打ちなどの衝突を回避し、それにより無衝撃及び無騒音の脱離制御を実現する。可動アセンブリは、具体的には被動歯が脱離/結合位置の完全離脱位置に動く時に四駆動力モードから二駆動力モードへの自動シフトチェンジを完了することができる。
【0041】
理解されるように、上記各ステップで説明した弾性ブリードオフ操作、位置自己適応操作及び噛合方向の制御及び分離制御の各ステップの発生は、いずれも車両走行中においてシフトを外す前に行われる。
【0042】
本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法は、弾性ブリードオフ操作により第1のモータのトルクをアンロードさせて伝動システムの弾性力のアンロードに達し、さらに位置自己適応操作により脱離/結合装置の可動アセンブリの回転速度を定常状態に達させ、それにより脱離/結合装置の可動アセンブリが四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替える時の速度差を減少又は解消することができ、可動アセンブリの衝突を回避する。可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した後に噛合方向の制御及び分離制御により可動アセンブリの脱離方向における精確な制御を実現し、可動アセンブリの非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を達成し、脱離/結合装置が無衝撃と無騒音で脱離することができ、無感知の自動シフトチェンジ制御を実現し、車両の運転体験を向上させる。
【0043】
図5は、本願の実施例にて提供される別の自動シフトチェンジ制御方法のフローチャートである。
図5に示すように、本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ方法は、以下を含む。
【0044】
S201において、車両の第2の走行データを取得し、且つ第2の走行データに基づいて車両の現在の駆動モードを決定する。
【0045】
S202において、現在の駆動モードが四駆動力モードであり、且つ二駆動力モードの実行要求を受信すると、駆動切り替え要求を生成する。
【0046】
駆動切り替え要求に応答する前、さらに車両の現在の駆動モードを判断することにより、脱離/結合装置による脱離により自動シフトチェンジを実現するタイミングを決定する必要がある。
【0047】
例えば、まず車両の第2の走行データを収集し、そして収集された第2の走行データに基づいて現在の駆動モードを決定し、決定した現在の駆動モードが四駆動力モードであり、二駆動力モード実行要求を受信した時、四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えのタイミングが到来したことを示し、それにより駆動切り替え要求を生成し、動力モードの切り替えを実現する。ここで、車両の走行中に動力システムのエネルギー消費を低減させる必要がある時に二駆動力モードの実行要求を送信し、車両が脱離/結合装置により行われる脱離操作を指示して自動シフトチェンジを行う。
【0048】
選択的に、収集された車両の第2の走行データは、車速、坂道、アクセルペダル開度、車輪速、第1のモータの回転速度、第2のモータの回転速度、車輪の空回り状態、車輪ロック状態などのパラメータを含むことができ、具体的に車両の現在の駆動モードを決定する。
【0049】
S203において、駆動切り替え要求に応答して車両の第1の走行データに基づいて弾性アンロードデータを決定する。
【0050】
ここで、弾性アンロードデータは、トルク及び弾性アンロード時間、第1の制御トルク及び車両の第2のモータのトルクを含む。
【0051】
S204において、トルクと弾性アンロード時間内に第1の制御トルクと第2のモータのトルクに基づき、車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行う。
【0052】
ここで、弾性ブリードオフ操作において、第1の制御トルクがゼロになるまで、第1のモータのトルクをアンロードし完了する。
【0053】
自動シフトチェンジのタイミングを決定した後、即ち駆動切り替え要求を生成した後、さらに当該駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行う。
【0054】
具体的には、まず駆動切り替え要求に応答して車両の第1の走行データを取得し、さらに第1の走行データに基づいて弾性アンロードデータを決定し、弾性アンロードデータは、トルクと弾性アンロード時間、第1の制御トルク及び車両の第2のモータのトルクを含み、それにより弾性アンロードデータに基づいて弾性ブリードオフ操作を行い、第1の制御トルクがゼロになるまで、第1のモータのトルクをアンロードし完了し、弾性ブリードオフ操作の過程が終了する。
【0055】
選択的に、第1の走行データは、車速、第1のモータの回転速度、第2のモータの回転速度、アクセルペダル開度、ブレーキペダル開度などのパラメータを含むことができる。第1の走行データに基づいてトルクと弾性アンロード時間、第1の制御トルク及び第2のモータのトルクを算出する。そのうち、トルクと弾性アンロード時間は、弾性ブリードオフ操作を制御するための時間であり、第1の制御トルクは、実質的に第1のモータがトルクと弾性アンロード時間内にアンロードする必要があるトルクであり、第2のモータのトルクは、トルクと弾性アンロード時間内にロードする必要があるトルクである。これにより、第1の制御トルクがゼロである時、弾性ブリードオフ操作において第1のモータのトルクをアンロードし完了する。理解されるように、第1の制御トルク及び第2のモータのロードする必要があるトルクは、いずれも動的値であり、即ちトルク及び弾性アンロード時間の経過に伴って変化する。
【0056】
図6乃至
図8は、本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御のタイムチャートであり、そのうち車両の走行状態が加速状態、減速状態及び加速状態でも減速状態でもない弾性ブリードオフ操作、位置自己適応操作及び噛合方向の制御と分離制御の各過程及び各過程に対応する対応パラメータの経時変化の概略図を示し、対応パラメータは、例えば第1のモータのトルク、第2のモータのトルク、第1のモータの回転速度、第2のモータの回転速度、モータ端の車輪速/車速などである。
【0057】
図6乃至
図8に示すように、t
0は、駆動切り替え要求に応答する時刻、即ちトルク及び弾性アンロード時間の開始時刻を示し、t
1は、弾性ブリードオフ操作の終了時刻を示し、t
01は、トルク及び弾性アンロード時間、即ち弾性ブリードオフ操作の継続時間を示す。説明の便宜上、T
F0は、第1のモータのt
0時刻における初期トルクを示し、T
R0は、第2のモータのt
0時刻における初期トルクを示し、T
F01は、第1の制御トルク、即ちt
01時間区間における第1のモータのトルクを示し、T
R01は、第2のモータがロードする必要があるトルク、即ちt
01時間区間における第2のモータのトルクを示す。
【0058】
前述説明したように、第1の動力源、第1のドライブシャフト、第2のドライブシャフト及びその対応する車輪で構成される伝動システムに対し、当該伝動システムの伝達トルクの減少は、その弾性変形の回復を実現すればその弾性力のアンロードを実現することができる。したがって、t01の時間区間内の任意の時刻において、運転者が要求する要求トルクTDは、式(1)を満たす。
【0059】
TD=TF01+TR01 (1)
【0060】
トルク及び弾性アンロード時間t01の具体的な数値は、初期トルクTF0及び第1の制御トルクTF01の変化率により共同で決定され、即ちt1時刻は、初期トルクTF0及び第1の制御トルクTF01により共同で決定される。選択的に、TF01の変化率を1000nm/sよりも小さくしてもよく、トルク変化による回転速度変動を減少させる。
【0061】
以上、ステップS203とステップS204により弾性ブリードオフ操作が完了し、t1時刻で第1のモータのトルクアンロードが完了し、位置自己適応操作に入る。
【0062】
S205において、伝動システムの剛性に基づいて自己適応制御時間を決定し、及び第1のモータの能動減衰トルクに基づいて第2の制御トルクを決定する。
【0063】
S206において、自己適応制御時間に第2の制御トルクに基づいて可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行う。
【0064】
ここで、位置自己適応操作過程において、第1のモータのトルクは、第2の制御トルクであり、且つ第2のモータのトルクは、運転者要求トルクである。
【0065】
第1のモータのトルクアンロードが完了し、即ちTF01が0nmである時、位置自己適応操作の過程に入る。具体的には、自己適応制御時間(t12で示す)及び第2の制御トルクを制御することにより位置自己適応操作の制御過程を行い、可動アセンブリの回転速度を定常状態に達させる。
【0066】
例えば、伝動システムの剛性に基づいてt12の値を決定することができ、例えば、t12の値は、0.5s<t12<5sであってもよく、具体的な値は、実際の動作状況における伝動システムの剛性により決定される。第2の制御トルクは、第1のモータの能動減衰トルクに基づいて決定されることができ、伝動システムの抵抗力減衰により可動モジュール例えば駆動歯と被動歯の回転速度変動を抑制させ、第1のモータの能動減衰トルクは、当該モータの回転速度変動値、回転速度により共同で決定され、第1のモータの出力トルクを増大又は減少させることにより、モータロータと伝動システムの回転速度変動を抑制させる。
【0067】
例えば、第1のモータの出力トルクは、T
F12_reqで示され、T
F12_req=0nmであり、即ち自己適応制御時間内の第1のモータのトルク(T
F12で示される)T
F12=T
F12_req=0nmである。第1のモータの能動減衰トルクは、T
F12_dampingで示され、それが回転速度変動の方向と逆であり、且つ大きさが正比例関係にあり、即ちT
F12=T
F12_req+T
F12_dampingであり、T
F12_req=0nmであるため、T
F12=T
F12_dampingであり、即ち第2の制御トルクは、自己適応制御時間内の第1のモータのトルクである。上記説明から分かるように、位置自己適応操作過程において、第1のモータのトルクは、第2の制御トルクであり、第2のモータのトルクは、ロードされたトルク即ち運転者要求トルク(
図6から
図8に示す)に保持され、T
R12は、第2のモータのt
12時間区間のトルク、即ち第2のモータが弾性ブリードオフ操作過程におけるロードされたトルクを示す。
【0068】
以上、ステップS205及びステップS206により車両の脱離/結合装置の可動アセンブリの位置自己適応操作を完了し、可動アセンブリの回転速度を定常状態に達させる。
【0069】
S207において、定常状態の達する時刻及び車両の走行状態に基づいて可動アセンブリの噛合方向を制御する。
【0070】
そのうち、定常状態の達する時刻は、可動アセンブリが脱離/結合装置の完全結合位置から完全離脱位置へ動く開始時刻である。
【0071】
S208において、前記噛合方向の制御が終了した後、可動アセンブリが脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置に動くまで、噛合方向の制御終了時刻及び車両の走行状態に基づいて可動アセンブリを分離制御する。
【0072】
可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯の回転速度が定常状態に達する時、噛合方向制御の段階に入る。具体的には、定常状態の達する時刻及び車両の走行状態に基づいて可動アセンブリの噛合方向を制御し、分離制御に事前条件を提供する。ここで、定常状態の達する時刻であるt2は、脱離時に可動アセンブリが脱離/結合装置の完全結合位置から完全離脱位置へ動く開始時刻であり、それにより目標方向の歯の噛合を実現する。
【0073】
1つの可能な設計において、本ステップS207の可能な実現方式は、以下を含む。
【0074】
まず、定常状態の達する時刻(t2で示される)に基づいて噛合方向制御時間を決定し、車両の走行状態に基づいて第3の制御トルクを決定し、続いて噛合方向制御時間内に第3の制御トルクに基づいて可動アセンブリの噛合方向を制御する。
【0075】
例えば、噛合方向の制御時間が定常状態の達する時刻と噛合方向の制御終了時刻との間の時間区間であるため、t3が噛合方向の制御終了時刻を示すと仮定すれば、実際の動作状況においてt3時刻は、t2時刻から可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯が離脱する前の任意の時刻にあってもよく、つまり人為的に決定することができる。t3が決定されると噛合方向制御時間が決定され、即ち噛合方向制御時間(t23で示される)は、定常状態の達する時刻に基づいて決定されることができる。t3時刻において、脱離/結合装置は、結合を離脱した直後のロック位置にあるべきであり、つまり可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯に縦方向の分離が発生し始め、且つこの時に駆動歯と被動歯は、依然として噛み合うように保持する。
【0076】
さらに、車両の走行状態に応じて、第3の制御トルク、即ちt23時間区間における第1のモータのトルクを決定する。ここで、走行状態は、加速状態、減速状態及び非加速且つ非減速状態を含む。
【0077】
例えば、車両の走行状態が加速状態である時、即ちt
2時刻において第1のモータの回転速度の加速度(a
F2で示される)が第1の加速度閾値(a
TH1で示される)よりも大きいか、又は第2のモータのトルク(即ち、ロードされたトルク、TR23で示される)が第1のトルク閾値(T
TH1で示される)よりも大きい場合、
図6に示すように、第3の制御トルク(T
F23で示される)は、t
12時間区間の第1のモータのトルクT
F12である。
【0078】
車両の走行状態が減速状態である時、即ち時刻t
2において第1のモータの回転速度加速度(a
F2と示す)が第2の加速度閾値(a
TH2と示す)よりも小さいか、又は第2のモータのトルク(T
R23と示す)が第2のトルク閾値(T
TH2と示す)よりも小さい場合、
図7に示すように、第3の制御トルク(T
F23と示す)は、t
12時間区間の第1のモータのトルクT
F12である。
【0079】
車両の走行状態が加速状態でも減速状態でもない時、第2のモータのトルクT
R23及び第1のモータの回転速度加速度a
F2は、上記2つの条件を満たさず、第3の制御トルクT
F23は、t
2時刻の第1のモータの加速度a
F2により決められる。例えば、a
F2≧0の時、T
F23は、a
TH1とIの積であり、a
F2<0の時、T
F23は、a
TH2とIの積であり、ここで、Iは、第1のモータのロータ及び共通回転部材の総慣性モーメントを示し、
図8に示す。
【0080】
図6乃至
図8に示すように、噛合方向の制御過程において、第1のモータのトルクは、第3の制御トルクであり、且つ第2のモータのトルクは、運転者要求トルクに等しい。
【0081】
選択的に、車両の走行状態に関わらず、第3の制御トルクを0nmと決定してもよい。
【0082】
噛合方向の制御が完了した後、さらに分離制御を行う。具体的には、可動アセンブリが脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置に動くまで、噛合方向の制御終了時刻及び車両の走行状態に基づいて可動アセンブリを分離制御し、脱離操作が完了する。
【0083】
1つの可能な設計において、ステップS208の可能な実現方式は、以下を含む。
【0084】
まず噛合方向の制御終了時刻t3及び完全離脱位置に基づいて分離制御時間を決定し、及び車両の走行状態に基づいて第4の制御トルクを決定し、さらに分離制御時間内に第4の制御トルクに基づいて可動アセンブリを分離制御する。
【0085】
脱離/結合装置が完全結合位置から完全脱離位置に動くのに用いられる時間をt24で示し、その値は、脱離/結合装置のドライバの最大と最小駆動速度により決定される。噛合方向の制御終了時刻t3が決定される場合、t24=t23+t34であるので、分離制御時間(t34と示す)は、t3と完全離脱位置により決定される。選択的に、0.1s<t24<1sである。
【0086】
さらに、車両の走行状態に基づいて第4の制御トルク、即ちt34時間区間内の第1のモータのトルクを決定し、TF34と示す。
【0087】
例えば、車両の走行状態が加速状態である時、即ちt2時刻において第1のモータの回転速度の加速度(aF2で示される)が第1の加速度閾値(aTH1で示される)よりも大きいか、又は第2のモータのトルク(即ち、ロードされたトルク、TR23で示される)が第1のトルク閾値(TTH1で示される)よりも大きい場合、第4の制御トルクは、式(2)により求められる。
【0088】
TF34=aF34_rotor*I=aF34_whl*I+TSeparate (2)
【0089】
ここで、TSeparateは、TF34のトルク成分として示すことができ、次式(3)により求められる。
【0090】
TSeparate=(aF34_rotor-aF34_whl)*I (3)
【0091】
ここで、aF34_rotorは、例えば駆動歯のt34時間区間における回転速度加速度と示すことができ、aF34_whlは、例えば被動歯のt34時間区間における回転速度加速度と示すことができ、aF34_whlは、車輪速又は車速から計算して得られ、t34時間が短いため、aF34_whl及びaF34_rotorは、変わらずに一定であるとほぼ考えられる。
【0092】
選択的に、脱離/結合装置における可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯が分離する時に駆動歯が被動歯のバックラッシュの中間位置にあり、それにより次式(4)乃至(7)を得る。
【0093】
L/K/2<(t34)2/2*(aF34_rotor-aF34_whl)<L*K/2 (4)
即ちL/K/(t34)2<(aF34_rotor-aF34_whl)<L*K/(t34)2 (5)
即ちL*I/K/(t34)2<TSeparate<L*K*I/(t34)2 (6)
即ちL*I/K/(t34)2+aF34_whl*I<TF34<L*K*I/(t34)2+aF34_whl*I (7)
【0094】
選択的に、第4の制御トルクは、さらに次式(8)を満たすことができる。
【0095】
TF34=L*I/(t34)2+aF34_whl*I (8)
【0096】
ここで、Lは、脱離/結合装置における可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯の標準バックラッシュと示すことができ、Kは、脱離/結合装置における可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯のバックラッシュ統計係数と示すことができ、例えば一定数の品質が合格する脱離/結合装置における可動アセンブリのバックラッシュは、L/KとL*Kとの間にあるべきである。また、t
23時間が短いため、a
F23が変わらないとほぼ考えられる。加速状態で、分離制御過程における第4の制御トルク及び第2のモータのトルクは、
図6に示すようにしてもよい。
【0097】
車両の走行状態が減速状態である時、即ち時刻t
2において第1のモータの回転速度加速度(a
F2と示す)が第2の加速度閾値(a
TH2と示す)よりも小さいか、又は第2のモータのトルク(T
R23と示す)が第2のトルク閾値(T
TH2と示す)よりも小さい場合、
図7に示すように、第4の制御トルクは、加速状態と同じであると決定される。選択的に、第4の制御トルクは、次式(9)により求められる。
【0098】
TF34=-L*I/(t34)2+aF34_whl*I (9)
【0099】
車両の走行状態が加速状態でも減速状態でもない時、第2のモータのトルクTR23及び第1のモータの回転速度加速度aF2は、上記2つの条件を満たさず、第4の制御トルクTF34は、t2時刻の第1のモータの加速度aF2により決められる。例えば、aF2≧0及びaF2<0の時、第4の制御トルクは、それぞれ次式(10)及び(11)により求められる。
【0100】
aF2≧0の時、TF34=L*I/(t34)2+aF34_whl*I (10)
【0101】
aF2<0の時、TF34=-L*I/(t34)2+aF34_whl*I (11)
【0102】
加速状態でも減速状態でもない時、分離制御過程における第4の制御トルク及び第2のモータのトルクは、
図8に示すようにしてもよい。
【0103】
選択的に、車両の走行状態に関わらず、第4の制御トルクを0nmと決定してもよい。
【0104】
図6乃至
図8に示すように、可動アセンブリの分離制御の過程において、第1のモータのトルクは、第4の制御トルクであり、第2のモータのトルクは、常に運転者要求トルクに等しい。
【0105】
以上、ステップS207とステップS208により車両の脱離/結合装置の可動アセンブリの噛合方向の制御と分離制御が完了し、可動アセンブリを脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置に動かせ、脱離操作が完了し、自動シフトチェンジを実現する。
図9は、弾性ブリードオフ操作、位置自己適応操作及び噛合方向制御及び分離制御過程における駆動歯及び被動歯の位置変化状況を概略的に示す。
図9及び以上の実施例の説明から分かるように、弾性ブリードオフ操作は、伝動システムの弾性力をアンロードさせることができ、位置自己適応操作は、駆動歯と被動歯の回転速度を定常状態に達させ、それにより脱離/結合装置の噛合している歯車の間の速度差を減少又は解消し、脱離時に脱離/結合装置の噛合している歯車の間の衝突を回避する。その後の噛合方向の制御と分離制御は、歯位置に対して精確な制御を実現することができ、駆動歯と被動歯が非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を可能にし、2つの間の歯打ち問題を回避し、無衝撃と無騒音の脱離操作を実現する。
【0106】
本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法は、弾性ブリードオフ操作と位置自己適応操作により脱離/結合装置の可動アセンブリが四駆動力モードから二駆動力モードへ切り替える時の速度差を効果的に減少又は解消し、可動アセンブリの衝突を回避する。可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した後に噛合方向の制御及び分離制御により可動アセンブリの脱離方向における精確な制御を実現し、可動アセンブリの非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を達し、脱離/結合装置が無衝撃と無騒音で脱離することができ、無感知の自動シフトチェンジ制御を実現し、車両の運転体験を向上させる。
【0107】
1つの可能な設計において、可動アセンブリが脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置に動いた後、さらに以下のステップを含む。
【0108】
t4時刻において可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯が完全に離脱し、さらに可動アセンブリが脱離方向において動き続けることを制御することにより、具体的には駆動歯を指し、完全離脱位置から歯の脱離ロック位置までの制御を完了し、ロック制御を完了する。
【0109】
例えば、t4時刻以降、駆動歯と被動歯は、接触しておらず、第1のモータのトルクTF45は、伝動システムに伝達することができず、そのためTF45は、動作状況に許容されるいかなるトルク値であってもよいが、制御の合理性、簡便性及び最低エネルギー消費の観点から、TF45=TF34又はTF45=0nmとすることができる。
【0110】
1つの可能な設計において、可動アセンブリを制御して完全離脱位置から脱離ロック位置に動いた後、さらに以下のステップを含むことができる。
【0111】
第1のモータ給電動作を制御することにより第1のモータのロータの運動エネルギーを電気エネルギーに変換して電池(例えば
図1における高圧電池)に貯蔵し又は車両における他の高圧部材に給電し、モータ回転速度調整を完了する。
【0112】
例えば、モータ回転速度調整持続時間(t
56と示す)内において当該時間区間の第1のモータのトルク(T
F56と示す)を制御することにより、第1のモータのロータの回転速度を徐々に0の回転速度に制御し、第1のモータのロータの運動エネルギーを電気エネルギーに変換して電池(例えば
図1における高圧電池)に貯蔵し又は車両の他の高圧部材に給電する。そのうちt
56の値とT
F56の値は、高圧システムの最大許容フィードバック電力、t
5時刻の第1のモータのロータ回転速度により共同で決定される。
【0113】
T
45及びt
56時間区間内の第1のモータのトルクと第2のモータのトルク、及び第1のモータと第2のモータの回転速度並びにモータ端の車輪速/車速は、
図6乃至
図8に示すとおりである。
【0114】
図10は、本願の実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御装置の構造概略図である。
図10に示すように、本実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御装置400は、
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うために用いられる第1の制御モジュール401であって、駆動切り替え要求は、車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられる、第1の制御モジュール401と、
弾性ブリードオフ操作において車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うために用いられる第2の制御モジュール402と、
位置自己適応操作を行う際に、可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、可動アセンブリの噛合方向を制御し及び可動アセンブリを分離制御し、可動アセンブリを脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせるために用いられる第3の制御モジュール403と、を含む。
【0115】
なお、上記各実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御装置は、上記いずれか1つの実施例にて提供される自動シフトチェンジ制御方法における各ステップを実行することができ、具体的な実現方式及び技術的効果は、類似し、ここで説明を省略する。
【0116】
図11は、本願の実施例にて提供される電子機器の構造概略図である。
図11に示すように、当該電子機器500は、プロセッサ501及びプロセッサ501と通信可能に接続されたメモリ502を含むことができる。
【0117】
メモリ502は、プログラムを格納するために用いられる。具体的には、プログラムは、コンピュータ実行命令を含むプログラムコードを含むことができる。
【0118】
メモリ502は、高速RAMメモリを含むことができ、さらに少なくとも1つのディスクメモリなどの不揮発性メモリ(NoN-volatile memory)を含むことができる。
【0119】
プロセッサ501は、メモリ502に記憶されたコンピュータ実行命令を実行するために用いられ、自動シフトチェンジ制御方法を実現する。
【0120】
そのうち、プロセッサ501は、中央処理装置(Central Processing Unit、CPUと略称する)であってもよく、又は特定の集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASICと略称する)であってもよく、又は本願の実施例を実施するように配置された1つ又は複数の集積回路であってもよい。
【0121】
選択的に、メモリ502は、独立してもよく、プロセッサ501と一体に集積されてもよい。メモリ502がプロセッサ501と個別したデバイスである時、電子機器500は、さらに以下を含むことができる。
【0122】
バス503は、プロセッサ501及びメモリ502を接続するために用いられる。バスは、工業標準アーキテクチャ(industry standard architecture、ISAと略称する)バス、外部機器相互接続(peripheral component、PCI)バス又は拡張工業標準アーキテクチャ(extended industry standard architecture、EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、コントロールバスなどに分けることができるが、1本のバス、1種類のバスだけであることを示すものではない。
【0123】
選択的に、具体的な実現において、メモリ502とプロセッサ501が1つのチップに集積されて実現されると、メモリ502とプロセッサ501は、内部インタフェースを介して通信を完了することができる。
【0124】
本願は、さらにコンピュータ可読記憶媒体を提供し、当該コンピュータ可読記憶媒体は、Uディスク、ポータブルハードディスク、リードオンリーメモリ(ROM、Read-Only Memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)、磁気ディスク又は光ディスクなどの様々なプログラムコードを記憶できる媒体を含むことができ、具体的には、当該コンピュータ可読記憶媒体にコンピュータ実行命令が記憶され、コンピュータ実行命令は、上記実施例における方法の各ステップに用いられる。
【0125】
本願は、さらにコンピュータプログラム製品を提供し、コンピュータ実行命令を含み、当該コンピュータ命令がプロセッサに実行される時に上記実施例における方法の各ステップを実現する。
【0126】
本願の他の実施手段は、本明細書を考慮し及び本明細書に開示される発明を実施した後に当業者に容易に想到されるであろう。本願は、本願の一般原理に従い、本願の開示されない本技術分野における通常の知識又はよく使われる技術手段を含む、本発明の任意の変形、用途、又は適応的変化を包含することを意図する。本明細書及び実施例は、単に例示としてみなされるものであり、本願の真の範囲及び精神は、特許請求の範囲により示される。
【0127】
本願は、上記で説明され、図面に示された厳密な構造に限定されず、その範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることを理解すべきである。本願の範囲は、特許請求の範囲によりのみ限定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
噛合方向の制御を完了した後にさらに可動アセンブリに対して分離制御を行い、具体的には可動アセンブリの位置、例えば駆動歯と被動歯の両者の相対位置を制御することを指し、脱離/結合装置が脱離する時の歯位置の精確な制御を行うことにより、つまり可動アセンブリが脱離方向において脱離/結合装置の完全離脱位置に動く過程に対して正確な制御を行い、例えば時間、時間内のトルクなどのパラメータにより噛合方向と分離制御に対して正確な制御を実現し、それにより可動アセンブリ例えば駆動歯と被動歯に対して非接触制御又は接触無トルク伝達の制御を実現し、可動アセンブリに歯打ちなどの衝突を回避し、それにより無衝撃及び無騒音の脱離制御を実現する。可動アセンブリは、具体的には被動歯が脱離/結合装置の完全離脱位置に動く時に四駆動力モードから二駆動力モードへの自動シフトチェンジを完了することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
例えば、まず車両の第2の走行データを収集し、そして収集された第2の走行データに基づいて車両の現在の駆動モードを決定し、決定した現在の駆動モードが四駆動力モードであり、二駆動力モード実行要求を受信した時、四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えのタイミングが到来したことを示し、それにより駆動切り替え要求を生成し、動力モードの切り替えを実現する。ここで、車両の走行中に動力システムのエネルギー消費を低減させる必要がある時に二駆動力モードの実行要求を送信し、車両が脱離/結合装置により行われる脱離操作を指示して自動シフトチェンジを行う。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
選択的に、収集された車両の第2の走行データは、車速、坂道、アクセルペダル開度、車輪速、第1のモータの回転速度、第2のモータの回転速度、車輪の空回り状態、車輪ロック状態などのパラメータを含むことができ、車両の現在の駆動モードを決定する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0122】
バス503は、プロセッサ501及びメモリ502を接続するために用いられる。バスは、工業標準アーキテクチャ(industry standard architecture、ISAと略称する)バス、外部機器相互接続(peripheral component interconnect、PCI)バス又は拡張工業標準アーキテクチャ(extended industry standard architecture、EISA)バスなどであってもよい。バスは、アドレスバス、データバス、コントロールバスなどに分けることができるが、1本のバス、1種類のバスだけであることを示すものではない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップであって、前記駆動切り替え要求は、前記車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられる、ステップと、
前記弾性ブリードオフ操作において前記車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うステップと、
前記位置自己適応操作を行う際に、前記可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御し、前記可動アセンブリを脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせるステップと、を含む、ことを特徴とする自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項2】
前記可動アセンブリが前記脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動いた後、
前記可動アセンブリを前記脱離方向において前記完全離脱位置から脱離ロック位置に動かせるように制御するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項3】
前記可動アセンブリを前記完全離脱位置から前記脱離ロック位置に動かせるように制御した後、
前記車両の第1のモータのロータの回転速度をゼロの回転速度になるように制御し、前記第1のモータの運動エネルギーを電気エネルギーに変換して貯蔵又は給電するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項2に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項4】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップは、
前記駆動切り替え要求に応答して、前記車両の第1の走行データに基づいて、トルクと弾性アンロード時間、第1の制御トルク及び前記車両の第2のモータのトルクを含む弾性アンロードデータを決定するステップと、
前記トルクと弾性アンロード時間内に前記第1の制御トルクと前記第2のモータのトルクに基づき、前記車両を制御して前記弾性ブリードオフ操作を行うステップと、を含み、
ここで、前記弾性ブリードオフ操作において前記第1の制御トルクがゼロになるまで、前記第1のモータのトルクをアンロードし完了する、ことを特徴とする請求項1
に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項5】
前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うステップは、
伝動システムの剛性に基づいて自己適応制御時間を決定し、及び前記第1のモータの能動減衰トルクに基づいて第2の制御トルクを決定するステップと、
前記自己適応制御時間に、前記第2の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリを制御して前記位置自己適応操作を行うステップと、を含み、
ここで、前記位置自己適応操作過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第2の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、運転者要求トルクであり、前記位置自己適応操作が終了する時、前記可動アセンブリの回転速度は、前記定常状態に達する、ことを特徴とする請求項4に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項6】
前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御するステップは、
前記可動アセンブリが前記脱離/結合装置の完全結合位置から前記完全離脱位置に動く開始時刻である前記定常状態の達する時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップと、
前記噛合方向の制御を完了した後、前記可動アセンブリが前記脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置に動くまで、前記噛合方向の制御終了時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップと、を含み、
ここで、前記走行状態は、加速状態、減速状態及び非加速且つ非減速状態を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項7】
前記定常状態の達する時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップは、
前記定常状態の達する時刻に基づいて噛合方向制御時間を決定し、及び前記車両の走行状態に基づいて第3の制御トルクを決定するステップと、
前記噛合方向制御時間内に前記第3の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリの噛合方向を制御するステップと、を含み、
ここで、前記噛合方向に対する制御過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第3の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、前記運転者要求トルクである、ことを特徴とする請求項6に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項8】
前記噛合方向の制御終了時刻及び前記車両の走行状態に基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップは、
前記噛合方向の制御終了時刻及び前記完全離脱位置に基づいて分離制御時間を決定するステップと、
前記車両の走行状態に基づいて第4の制御トルクを決定するステップと、
前記分離制御時間内に前記第4の制御トルクに基づいて前記可動アセンブリを分離制御するステップと、を含み、
ここで、前記可動アセンブリを分離制御する過程において、前記第1のモータのトルクは、前記第4の制御トルクであり、且つ前記第2のモータのトルクは、前記運転者要求トルクである、ことを特徴とする請求項6に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項9】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うステップの前に、
前記車両の第2の走行データを取得し、且つ前記第2の走行データに基づいて前記車両の現在の駆動モードを決定するステップと、
前記現在の駆動モードが前記四駆動力モードであり、且つ前記二駆動力モードの実行要求を受信すれば、前記駆動切り替え要求を生成するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1
に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項10】
前記車両は、電気自動車又はハイブリッド自動車を含み、
前記車両が前記電気自動車である場合、前記第1のモータと前記第2のモータは、それぞれ発電機を含み、
前記車両が前記ハイブリッド自動車である場合、前記第1のモータは、発電機を含み、前記第2のモータは、エンジンを含む、ことを特徴とする請求項
4に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項11】
前記脱離/結合装置の構造方式は、シンクロメッシュ式、ドッグギヤ式及びクラッチ式のいずれか1つを含み、
前記構造方式は、前記シンクロメッシュ式又はドッグギヤ式である場合、前記可動アセンブリは、被動歯及び駆動歯を含む、ことを特徴とする請求項1
に記載の自動シフトチェンジ制御方法。
【請求項12】
駆動切り替え要求に応答して車両を制御して弾性ブリードオフ操作を行うために用いられる第1の制御モジュールであって、前記駆動切り替え要求は、前記車両が四駆動力モードから二駆動力モードへの切り替えを指示するために用いられる、第1の制御モジュールと、
前記弾性ブリードオフ操作において前記車両の第1のモータのトルクをアンロードし完了する時、前記車両の脱離/結合装置の可動アセンブリを制御して位置自己適応操作を行うために用いられる第2の制御モジュールと、
前記位置自己適応操作を行う際に、前記可動アセンブリの回転速度が定常状態に達した時、前記可動アセンブリの噛合方向を制御し及び前記可動アセンブリを分離制御し、前記可動アセンブリを脱離方向において前記脱離/結合装置の完全離脱位置まで動かせるために用いられる第3の制御モジュールと、を含む、ことを特徴とする自動シフトチェンジ制御装置。
【請求項13】
プロセッサ、及び前記プロセッサと通信可能に接続されたメモリを含み、
前記メモリは、コンピュータ実行命令を記憶し、
前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたコンピュータ実行命令を実行し、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法を実現する、ことを特徴とする電子機器。
【請求項14】
コンピュータ実行命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ実行命令がプロセッサによって実行されるときに請求項1乃至11のいずれか1項に記載の自動シフトチェンジ制御方法を実現するために用いられる、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】