IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧 ▶ ダウ コーニング コーポレーションの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】シリコーン皮革
(51)【国際特許分類】
   D06N 3/12 20060101AFI20250117BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20250117BHJP
   C09D 183/05 20060101ALI20250117BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20250117BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20250117BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20250117BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20250117BHJP
   C08G 18/61 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
D06N3/12
C09D183/04
C09D183/05
C09D5/00 D
B32B5/24
B32B27/00 101
B32B27/12
C08G18/61
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533292
(86)(22)【出願日】2021-12-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2021141888
(87)【国際公開番号】W WO2023122928
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ユーシェン
(72)【発明者】
【氏名】シー、チン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、リユン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユ
(72)【発明者】
【氏名】グオ、イー
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ジホア
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055AA11
4F055AA18
4F055AA21
4F055BA13
4F055FA27
4F055FA34
4F055FA39
4F055GA32
4F100AB24D
4F100AK25D
4F100AK51D
4F100AK52B
4F100AK52C
4F100AK52D
4F100AK52E
4F100AK54D
4F100AK68D
4F100AK71D
4F100AK80D
4F100AL05B
4F100AL05C
4F100AL05D
4F100AL09D
4F100AN02B
4F100AN02C
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CA16C
4F100CA16E
4F100CA23D
4F100CC00D
4F100CC00E
4F100DE01D
4F100DG12A
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EH46D
4F100EJ08B
4F100EJ08C
4F100EJ08D
4F100EJ08E
4F100EJ42D
4F100GB33
4F100GB41
4F100GB66
4F100GB72
4F100GB74
4F100GB81
4F100HB00
4F100JK07D
4F100JK09
4F100JK12B
4F100JK12C
4F100YY00B
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
4J034BA03
4J034BA08
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB07
4J034CC03
4J034DB04
4J034DB07
4J034DM01
4J034DM08
4J034HA07
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034QC03
4J034RA03
4J034RA12
4J034RA14
4J038DL041
4J038DL051
4J038FA281
4J038HA446
4J038KA04
4J038NA11
4J038PB02
4J038PB06
4J038PC09
(57)【要約】
本開示は、改善された耐摩耗性を有するシリコーン皮革複合材料に関する。また、当該シリコーン皮革複合材料の製造方法並びに当該シリコーン皮革複合材料の使用も開示する。シリコーン皮革複合材料は、
(i)テキスタイル支持層、
(ii)シリコーンバインダ、
(iii)シリコーンスキン層、及び
(iv)シリコーントップコート層
と共に、
シリコーンスキン層(iii)とシリコーントップコート層(iv)との間にシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン皮革複合材料であって、
(i)テキスタイル支持層と、
(ii)シリコーンバインダであって、前記テキスタイル支持層(i)及びスキン層(iii)に接着するように設計された2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物であり、ASTM D2240に従って測定される20~40のショアA硬度を有する、シリコーンバインダと、
(iii)シリコーンスキン層であって、接着促進剤を含む2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物であり、ASTM D2240に従って測定したときに50以上(≧)のショアA硬度を有する、シリコーンスキン層と、
(iv)シリコーントップコート層であって、接着促進剤を含む2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートの硬化物である、シリコーントップコート層と、を含み、
前記シリコーンバインダ(ii)が、テキスタイル支持体(i)と前記スキン層(iii)との間に接着されており、前記スキン層(iii)が、前記シリコーンバインダ層(ii)と前記シリコーントップコート層(iv)との間にあり、
ASTM D882に従って荷重伸び曲線の最初の直線部分を使用して弾性率を計算して決定される10MPa以上の弾性率を有するシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)が、前記シリコーンスキン層(iii)と前記シリコーントップコート層(iv)との間の前記シリコーン皮革複合材料中に提供されることを特徴とする、シリコーン皮革複合材料。
【請求項2】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)が、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の硬化物であり、前記組成物が、
(v)(a)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマーと、
(v)(b)任意の硬化シリコーンエラストマー粉末と、
(v)(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリレートコポリマー(EAA)、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)、又はポリウレタンポリマーのうちの少なくとも1つから選択される任意のケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子と、(v)(d)前記組成物の1重量%~10重量%の量で存在する、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンと、
(v)(f)1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、ASTM-D4274-11に従って測定したときに100mgKOH/gを超えるヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールと、
(v)(g)白金族金属系触媒と、を含む、請求項1に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項3】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、ポリウレタン硬化触媒(v)(e)を更に含む、請求項2に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項4】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、(v)(b)前記硬化シリコーンエラストマー粉末、並びに、(v)(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリレートコポリマー(EAA)、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)、又はポリウレタンポリマーのうちの少なくとも1つから選択される前記ケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子、のうちの一方又は両方を含有する、請求項2又は3に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項5】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の平均乾燥コート厚さが、本明細書に開示される方法を使用して10μm~50μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項6】
前記シリコーントップコート層(iv)が、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の硬化物であり、前記組成物が、
成分(iv)(a)1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーであって、不飽和基がアルケニル基、アルキニル基、又はそれらの混合物から選択され、25℃で100~500,000mPa・sの粘度を有する、オルガノポリシロキサンポリマーと、
成分(iv)(b)任意に疎水化処理されたシリカ補強充填剤と、
成分(iv)(c)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンと、
成分(iv)(d)ヒドロシリル化触媒と、
成分(iv)(e)接着促進剤であって、前記組成物の1~5重量%の量のジルコニウムアセチルアセトネートを、
前記組成物の1~6重量%の量の1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、及び/又は1つ以上の次式のエポキシシランであって、
【化1】

式中、Rが1~6個の炭素を有するアルキル基であり、Rが1~6個の炭素を有するアルコキシ基であり、z=0、1若しくは2である、エポキシシラン、又はそれらの混合物との組み合わせと共に含む、接着促進剤と、
成分(iv)(f)エコ溶媒と、任意選択で、
成分(iv)(g)硬化シリコーン粉末と、を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項7】
スキン層(iii)を生成するために提供される前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物中の前記1つ以上の接着促進剤が、少なくとも1つのイソシアナトアルキルシラン及び/又は1つのエポキシシランを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項8】
前記シリコーンスキン層(iii)の平均乾燥コート厚さが70μm~200μmであり、及び/又は
前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート(iv)の平均乾燥コート厚さが5~20μmであり、及び/又は前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の平均乾燥コート厚さが10μm~50μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のシリコーン皮革複合材料を調製するための方法であって、
(a)剥離紙をシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の層でコーティングし、前記組成物を硬化させて、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を提供する工程と、
(b)前記硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上にシリコーンスキン組成物の層を塗布し、前記シリコーンスキン組成物を硬化させて、シリコーンスキン層(iii)を提供する工程と、
(c)硬化したシリコーンスキン層(iii)上にシリコーンバインダ組成物の層を塗布し、前記シリコーンバインダ組成物上にテキスタイル層(i)を適用し、前記組成物を硬化及び/又は積層して、前記テキスタイル支持層(i)と前記スキン層(iii)との間にシリコーンバインダ層(ii)を形成する工程と、
(d)前記硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)から前記剥離紙を除去する工程と、
(e)前記硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上に2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の層を塗布し、前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を硬化させて、シリコーントップコート層(iv)を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項10】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物を120℃~180℃の温度で2~10分間硬化させて、本明細書に記載の方法を使用して10μm~50μmの平均乾燥コート厚さを得る、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を130℃~160℃の温度で2~8分間硬化させて、本明細書に開示される方法を使用して5~20μmの平均乾燥コート厚さを有するシリコーントップコート(v)を形成する、請求項9又は10に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載のシリコーン皮革複合材料における耐摩耗性の改善のための、ASTM D882に従って荷重伸び曲線の最初の直線部分を使用して弾性率を計算して決定される10MPa以上の弾性率を有するシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の使用。
【請求項13】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、
(v)(a)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマーと、
(v)(b)任意の硬化シリコーンエラストマー粉末と、
(v)(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリレートコポリマー(EAA)、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)、又はポリウレタンポリマーのうちの少なくとも1つから選択される任意のケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子と、
(v)(d)前記組成物の1重量%~10重量%の量で存在する、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンと、
(v)(f)1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、ASTM-D4274-11に従って測定したときに100mgKOH/gを超えるヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールと、
(v)(g)白金族金属系触媒と、を含む、請求項12に記載のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の使用。
【請求項14】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、ポリウレタン硬化触媒(v)(e)を更に含む、請求項12に記載のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の使用。
【請求項15】
家具、装飾、ハンドバッグ、バインダ、旅行かばん、衣類、電話カバー、電子商品用カバー、ブックカバー、履物、自動車の内装、自動車のシート、ウェアラブルデバイス、及び/若しくは医療用ベッド/シートにおける又はこれらのための、請求項1~8のいずれか一項に記載のシリコーン/ポリウレタン複合皮革材料中の、又は請求項8に記載の方法に従って調製された、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の層の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善された耐摩耗性を有するシリコーン皮革複合材料に関する。また、当該シリコーン皮革複合材料の製造方法並びに当該シリコーン皮革複合材料の使用も開示する。
【0002】
天然皮革に代わる、ポリウレタン(PU)又はポリ塩化ビニル(PVC)系材料が主に使用されている多様な合成代替物が開発されている。それらは、家具、装飾、ハンドバッグ、旅行かばん、衣服、履物、自動車の内装、自動車のシートなどを含む多種多様な用途で使用されている。しかしながら、合成皮革として利用するには、一層厳しくなる安全規制を満たすために、例えば、難燃性、煙濃度に関する厳しい物性要件を満たすことが必要とされ、使用時にコーティング層が剥がれ落ちないようにするための好適な接着強度、耐熱性、耐汚染性、耐溶媒性、耐加水分解性などが必要とされる。PU及び/又はPVC系材料は、上述の物性要件の1つ以上を満たすことができない場合が多い。
【0003】
シリコーン系皮革複合材料は、天然皮革に代わる更なる合成代替物を提供する。そのようなシリコーン系皮革複合材料は、上述のPU及び/又はPVC系合成皮革材料に比べていくつかの利点を有し得る。例えば、それらは、概して、製造後の合成PU及び/又はPVC皮革製品中に少なくとも部分的に残留することが多い可塑剤、毒性重金属、又はジメチルホルムアミド(DMF)などの環境的に問題のある溶媒を使用せず、より環境に優しい製造方法を使用して調製することができる。
【0004】
シリコーン系皮革複合材料は、いくつかの経路を介して作製することができるが、概して、テキスタイル支持層と、ヒドロシリル化硬化性液体シリコーンゴム組成物の2つ以上の層と、剥離紙とを使用して製造される。例えば、第1の液体シリコーンゴム(LSR)組成物が、剥離紙上にコーティングされ得、次いで硬化されて、第1の層又はスキン層を形成し得る。通常は第1の層とは異なる物性を有する第2のLSR組成物が、硬化された第1の層に接着されて接着層を形成し、テキスタイル支持層が、第2のLSR層に硬化前に接着され、その後、第2のLSR組成物が硬化されて、スキン層とテキスタイル支持層との間に位置するバインダ層を形成する。シリコーン系皮革複合材料を形成するために適切であるとみなされる場合、剥離紙とテキスタイル層との間にヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー組成物の1つ以上の追加の層を適用してもよい。例えば、スキン層の上に保護トップコートとして第3の層が提供される場合がある。必要に応じてかつ必要なとき、その後、剥離紙が取り除かれる。
【0005】
そのようなシリコーン系皮革複合材料は、例えば、広い温度範囲にわたるより良好な柔軟性、並びに優れた耐UV性、耐熱性、及び難燃性を提供する能力により、物性の観点から従来のPU及びPVC合成皮革よりも優れた性能を発揮することが可能である。トップコートは、防汚性などの有利な特性を提供するのに役立つだけでなく、ヒトの肌に優しいとともに使用者に優れた手触りを提供するため、特に重要である。
【0006】
しかしながら、ポリシロキサン鎖間の分子間相互作用が本質的に弱いために、シリコーン製品は、機械的強度が不十分であり、したがって耐摩耗性が不十分であるという欠点を有する。したがって、シリコーン皮革複合材料の使用は、耐摩耗性要件が低い用途シナリオに限定される傾向があり、一方、PU及びPVC合成皮革は、自動車の内装などの良好な耐摩耗性を必要とする用途に使用されることが多い。
【0007】
したがって、PU及びPVC系合成皮革と比較して物理的特性の利点を保ちながら、改善された耐摩耗性を有するシリコーン皮革複合材料を提供する必要が依然としてある。
【0008】
シリコーン皮革複合材料であって、
(i)テキスタイル支持層と、
(ii)シリコーンバインダであって、テキスタイル支持層(i)及びスキン層(iii)に接着するように設計された2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物であり、ASTM D2240に従って測定される20~40のショアA硬度を有する、シリコーンバインダと、
(iii)シリコーンスキン層であって、接着促進剤を含む2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物であり、ASTM D2240に従って測定したときに50以上(≧)のショアA硬度を有する、シリコーンスキン層と、
(iv)シリコーントップコート層であって、接着促進剤を含む2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の硬化物である、シリコーントップコート層と、を含み、
シリコーンバインダ(ii)は、テキスタイル支持体(i)とスキン層(iii)との間に接着されており、スキン層(iii)は、シリコーンバインダ層(ii)とシリコーントップコート層(iv)との間にあり、
ASTM D882に従って荷重伸び曲線の最初の直線部分を使用して弾性率を計算して決定される10MPa以上の弾性率を有するシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)が、シリコーンスキン層(iii)とシリコーントップコート層(iv)との間のシリコーン皮革複合材料中に提供されることを特徴とする、シリコーン皮革複合材料が提供される。
【0009】
また、上記のシリコーン皮革複合材料を調製するための方法であって、
(a)剥離紙をシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の層でコーティングし、当該組成物を硬化させて、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を提供する工程と、
(b)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上にシリコーンスキン組成物の層を塗布し、当該組成物を硬化させて、シリコーンスキン層(iii)を提供する工程と、
(c)硬化したシリコーンスキン層(iii)上にシリコーンバインダ組成物の層を塗布し、シリコーンバインダ組成物上にテキスタイル層(i)を適用し、当該組成物を硬化及び/又は積層して、当該テキスタイル支持層(i)と当該スキン層(iii)との間にシリコーンバインダ層(ii)を形成する工程と、
(d)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)から剥離紙を除去する工程と、及び
(e)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上に2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の層を塗布し、当該トップコート組成物を硬化させて、シリコーントップコート層(iv)を形成する工程と、を含む、方法も提供される。
【0010】
テキスタイル支持層(i)
テキスタイル支持層(i)は、任意の好適なテキスタイル材料、例えば、綿、麻、絹、及び羊毛などのセルロース繊維などの天然繊維、及び/又は合成繊維、及び/又はマイクロファイバから作製された織布、編布、又は不織布から作製することができる。合成繊維及び/又はマイクロファイバとしては、ポリエステル、ビスコースレーヨン、ナイロンなどのポリアミド繊維、ポリウレタン、アクリル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン;並びに弾性繊維材料、例えば、スパンデックス、アセテート、ポリ乳酸、ガラス繊維、及び炭素繊維を挙げることができるが、これらに限定されず、上記の任意の2つ以上の混合物として使用することができる。テキスタイル支持層(i)は、シリコーン皮革複合材料の機械的強度を高めるように設計されている。
【0011】
シリコーンバインダ層(ii)
シリコーンバインダ層(ii)は、テキスタイル支持層(i)及びスキン層(iii)に接着するように設計された好適な2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物である。選択されたシリコーンバインダ層(ii)は、ASTM D2240に従って測定される20~40の比較的低いショアA硬度を有する。シリコーンバインダ層(ii)は、任意の所望の平均乾燥コート厚さ、例えば、50μm~1mmの厚さ、あるいは50~750μm、あるいは50~500μm、あるいは100~500μm、あるいは100~300μmの厚さのものであってよい。好ましい一実施形態では、シリコーンバインダ層(ii)は、高い破断点伸び、例えば、ASTM D412に従って決定される少なくとも600%の破断点伸び、あるいはASTM D412に従って決定される少なくとも750%の破断点伸びを有する。それは、任意の好適な温度、例えば、100~200℃、あるいは125~180℃、あるいは130~170℃、あるいは135~160℃で、20分以下、あるいは1~10分、あるいは1.5分~5分、あるいは1.5分~4分の好適な時間で硬化され得る。
【0012】
バインダ層として機能するように設計された好適なヒドロシリル化硬化性液体シリコーンゴム組成物の商業的な例は、Dow Silicones Corporation製のDowsil(商標)LCF 8400 Binderである。Dowsil(商標)LCF 8400 Binderは、早期硬化を回避するために2液型で顧客に提供され、使用前にDowsil(商標)LCF 8400 Binderの2つの部分を1:1の比で一緒に混合する。SILASTIC LCF 8400 Binderを布地に塗布し、100~200℃の温度で1~10分間硬化させる。
【0013】
前述したように、シリコーンバインダ(ii)は、テキスタイル支持層(i)とスキンコーティング層(iii)との間に挟まれ、それらの両方に接着するように設計されている。
【0014】
シリコーンスキン層(iii)
シリコーンスキン層(iii)は、接着促進剤を含む2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物であり、シリコーンスキン層は、ASTM D2240に従って測定したときに50以上(≧)のショアA硬度を有する。好ましい一実施形態では、シリコーンスキン層(iii)は、ASTM D412に従って決定される500%未満、あるいは200~400%の破断点伸びを有する。シリコーンスキン層(iii)は、シリコーンバインダ(ii)に通常は接着される保護合成皮革を形成するように設計され、そうでなければ、通常は単独で(すなわちトップコートなしで)使用されるか、又はシリコーンバインダ(ii)と適切なトップコートとの間に挟まれるかのいずれかであるが、本明細書に開示されるように、シリコーンスキン層(iii)は、シリコーンバインダ(ii)とシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)との間に挟まれている。上記の要件を満たせば、接着促進剤を含む任意の好適な2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物を利用して、シリコーンスキン層(iii)を形成することができる。シリコーンスキン層(iii)は、ASTM D2240に従って測定したときに50以上(≧)、あるいは50~90、あるいは60~90のシリコーンバインダ(ii)よりも大きいショアAデュロメータを有する。
【0015】
シリコーンスキン層(iii)はまた、接着促進剤を含む。例えば、接着促進剤は、1つ以上のアクリルオキシシラン、イソシアナトアルキルシラン、メタクリレート、及び/又は分子中にエポキシ基を有するアルコキシシランを含んでもよい。
【0016】
アクリルオキシシランとしては、3-アクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-メチルジメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-ジメチル-メトキシシラン、3-アクリルオキシプロピル-トリエトキシシラン、又は類似のアクリルオキシ置換アルキル含有アルコキシシランが挙げられ得る。
【0017】
イソシアナトアルキルシランは、1分子当たり少なくとも1つのイソシアナトアルキル基、例えば、イソシアナトプロピル基を含む必要があり、例えば、(イソシアナトアルキル)トリアルコキシシラン又は(イソシアナトプロピル)ジアルコキシ(アルキル)シランであってもよく、各場合において、各アルキル基は、1~6個の炭素、あるいは1~4個の炭素を含有し、各アルコキシ基は、1~6個の炭素、あるいは2~4個の炭素を含有する。具体例としては、(3-イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン、(3-イソシアナトプロピル)トリメトキシシラン、(3-イソシアナトプロピル)ジメトキシ(メチル)シラン、(3-イソシアナトプロピル)ジエトキシ(メチル)シラン、(3-イソシアナトプロピル)ジメトキシ(エチル)シラン、及び(3-イソシアナトプロピル)ジエトキシ(エチル)シランが挙げられる。
【0018】
メタクリレートは、メタクリル基を含有するアルコキシシラン、例えば、メタクリルオキシメチルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、
3-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、
3-メタクリルオキシイソブチルトリメトキシシラン、又は類似のメタクリルオキシ置換アルコキシシランを含むことができる。
【0019】
接着促進剤として使用することができる分子中にエポキシ基を有するアルコキシシランの例は、次式を有していてもよく、
【0020】
【化1】

式中、各Rは、同一であるか又は異なり、1~6個の炭素を有するアルキル基であり、各Rは、同一であるか又は異なり、1~6個の炭素を有するアルコキシ基であり、z=0、1若しくは2であり、又はそれらの混合物であり、組成物の1~6重量%の量である。あるいは、各Rは、1~3個の炭素、あるいは1~2個の炭素を有するアルキル基である。あるいは、各Rは、1~3個の炭素、あるいは1~2個の炭素を有するアルコキシ基である。好ましくは、zは0又は1であり、あるいはzは0である。具体的な例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0021】
あるいは、接着促進剤は、以下の混合物及び/又は反応生成物を含んでもよい。
i)上記で定義した分子中にエポキシ基を有する1つ以上のアルコキシシラン、
(ii)有機アルミニウム化合物又は有機ジルコニウム化合物を含む有機金属縮合反応触媒、及び
(iii)1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基又はアルコキシ基を含有する直鎖状オルガノポリシロキサンオリゴマー。
【0022】
有機アルミニウム化合物又は有機ジルコニウム化合物を含む有機金属縮合反応触媒(ii)は、ジルコネート、有機アルミニウムキレート、及び/又はジルコニウムキレートを含む有機金属触媒から選択され得る。
【0023】
ジルコネート系触媒は、一般式Zr[OR[式中、各Rは同じであっても、又は異なっていてもよく、1~20個の炭素原子、あるいは1~10個の炭素原子を含有する状若しくは分岐状であり得る一価の、第一級、第二級又は第三級脂肪族炭化水素基を表す]による化合物を含んでもよい。任意に、ジルコネートは、部分不飽和基を含有してもよい。Rの好ましい実施例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、三級ブチル基及び分岐状二級アルキル基、例えば2,4-ジメチル-3-ペンチル基が挙げられるが、これらに限定されない。各Rが同じである場合、好ましくは、Rは、イソプロピル基、分岐状二級アルキル基又は三級アルキル基、特に三級ブチル基である。具体的な例としては、ジルコニウムテトラプロピレート並びにジルコニウムテトラブチレート、テトラ-イソプロピルジルコネート、ジルコニウム(IV)テトラアセチルアセトネート(ジルコニウムAcAcと呼ばれることもある)、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオルアセチルアセトネート、ジルコニウム(IV)トリフルオロアセチルアセトネート、テトラキス(エチルトリフルオロアセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)ジブトキシビス(エチルアセトネート)、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシビス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンチオネート)ジルコニウム、又は配位子として使用されるβ-ジケトン(それらのアルキル置換及びフッ素置換された形態を含む)を有する類似のジルコニウム錯体が挙げられる。
【0024】
好適なアルミニウム系縮合触媒としては、Al(OC、Al(OC(CCOCHCOC1225)、Al(OC(OCOCH)、及びAl(OC(OCOC1225)のうちの1つ以上が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0025】
有機金属縮合反応触媒(ii)は、組成物の0.1~5重量%、あるいは0.1~3重量%、あるいは組成物の0.1~2重量%の量で組成物中に存在し得る。接着促進剤が(i)、(ii)及び(iii)の累積量を含む場合、組成物の約0.3~6重量%、あるいは組成物の0.3~4重量%を含むことができる。
【0026】
1分子当たり少なくとも1つのアルケニル基及び少なくとも1つのヒドロキシ基又はアルコキシ基を含有する直鎖状オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)は、例えば、両方の分子鎖末端がジメチルヒドロキシシロキシ単位であるメチルビニルポリシロキサン、又は両方の分子鎖末端がジメチルヒドロキシシロキシ単位であるメチルビニルシロキサンとジメチルシロキサン単位とのコポリマーであり得る。
【0027】
オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)は、オルガノポリシロキサン分子の混合物であり得、そのいくつかは、両方の分子鎖末端にシラノール末端基を有し、そのいくつかは、一方のみにジメチルヒドロキシシロキシ末端単位などのシラノール基を有し、もう一方の末端単位は、例えば、ジメチルメトキシシロキシ単位、トリメチルシロキシ単位、又はジメチルビニルシロキシ単位である。好ましくは、オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)の50重量%超、より好ましくは60~100%は、両方の分子鎖末端にシラノール末端基を有する分子を含む。
【0028】
オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)は、好ましくは、少なくとも3重量%、より好ましくは少なくとも5重量%のビニル基を含有し、最大35又は40重量%のビニル基を含有し得る。最も好ましくは、オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)は、5~30重量%のビニル基を含有する。オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)は、好ましくは、試験GB/T 21863-2008を用いるゲル浸透クロマトグラフィを使用して測定したときに100~10,000g/molの数平均分子量を有する。オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)は、好ましくは0.1~300mPa・s、あるいは0.1~200mPa・s、あるいは1~100mPa・sの粘度を有する。(25℃でBrookfield DV 3T Rheometerを使用して測定)。オルガノポリシロキサンオリゴマー(iii)は、組成物の0.1~5重量%、あるいは0.1~3重量%、あるいは組成物の0.1~2重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0029】
シリコーンスキン層(iii)は、任意の好適な平均乾燥コート厚さのものであってよく、例えば、バインダ層は、任意の所望の厚さ、例えば、50μm~1mmの厚さ、50~750μm、あるいは50~500μm、あるいは50~350μm、あるいは50~250μmの厚さのものであってよい。それは、任意の好適な温度、例えば、100~150℃、あるいは110~135℃、あるいは110~125℃で、30秒~5分、あるいは30秒~2.5分の時間で硬化され得る。
【0030】
上記の好適な接着促進剤を導入する必要を除いて、スキン層(iii)として機能するように硬化可能な好適な液体シリコーンゴム組成物の商業的な例は、いずれもDow Silicones Corporation製のDowsil(商標)LCF 8300 Skin及びDowsil(商標)LCF 8500 Skinであり、これらはいずれもヒドロシリル化硬化性液体シリコーンゴム組成物であることに鑑みて、使用前の保管中に早期硬化するのを回避するために、使用前に一緒に混合される2液型でユーザに提供される。
【0031】
Dowsil(商標)LCF 8300 Skin及びDowsil(商標)LCF 8500 Skinは、いずれも65~70の高いショアAデュロメータ値を有し、Dowsil(商標)LCF 8300 Skinは、Dowsil(商標)LCF 8500 Skinと比べて比較的低い粘度を有する。Dowsil(商標)LCF 8500 Skinは、高い機械的強度を有する前者のヒュームドシリカ強化版であるので、はるかに高い粘度である。したがって、必要に応じて、Dowsil(商標)LCF 8300 SkinとDowsil(商標)LCF 8500 Skinとの混合物をシリコーンスキン層(iii)として利用してもよい。
【0032】
シリコーントップコート層(iv)
任意の2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を利用して、本明細書に記載のシリコーン皮革複合材料のためのシリコーントップコート層(iv)を調製することができる。2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物は、接着促進剤、例えば、上記のシリコーンスキン層(iii)に好適であるとみなされる接着促進剤のうちの1つを含む必要がある。
【0033】
好適なシリコーントップコート(iv)の例は、以下のものを含む組成物の硬化物であってもよい。
成分(iv)(a)1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーであって、不飽和基は、アルケニル基、アルキニル基、又はそれらの混合物から選択され、25℃で100~500,000mPa・sの粘度を有する、オルガノポリシロキサンポリマー;
成分(iv)(b)任意に疎水化処理されたシリカ補強充填剤;
成分(iv)(c)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサン;
成分(iv)(d)ヒドロシリル化触媒;
成分(iv)(e)シリコーンスキン層(iii)に関して上述したような接着促進剤、又は組成物の1~5重量%の量のジルコニウムアセチルアセトネートと、
組成物の1~6重量%の量の1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、及び/又は1つ以上の次式のエポキシシランであって、
【0034】
【化2】

式中、Rは1~6個の炭素を有するアルキル基であり、Rは1~6個の炭素を有するアルコキシ基であり、z=0、1若しくは2である、エポキシシラン、又はそれらの混合物との組み合わせ;及び
成分(iv)(f)エコ溶媒;並びに任意選択で、
成分(iv)(g)硬化シリコーン粉末。
【0035】
このような組成物において:
(iv)(a)オルガノポリシロキサンポリマー
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の成分(iv)(a)は、1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーであり、不飽和基は、アルケニル基、アルキニル基、又はそれらの混合物から選択され、25℃で100~500,000mPa・sの粘度を有する。
【0036】
オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)は、式(I)の複数の基を有し、
SiO(4-a)/2 (I)
式中、前提数の不飽和基を含む限り、各Rは、独立して、脂肪族ヒドロカルビル基、芳香族ヒドロカルビル基、又はオルガニル基(すなわち、官能基の種類とは無関係に、炭素原子において1つの自由原子価を有する、任意の有機置換基)から選択される。基は、ペンダント位置(D又はTシロキシ基上)にあっても、末端(Mシロキシ基上)にあってもよい。飽和脂肪族ヒドロカルビルは、一価飽和炭化水素基、すなわち、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルなどの典型的には1~20個の炭素原子を含有するアルキル基、並びにシクロヘキシルなどのシクロアルキル基によって例示されるが、それらに限定されない。不飽和脂肪族ヒドロカルビルは、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、イソプロペニル、5-ヘキセニル、シクロヘキセニル、及びヘキセニルなどの2~10個の炭素原子を有するアルケニル基、並びにアルキニル基によって例示される。芳香族炭化水素基としては、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、スチリル、及び2-フェニルエチルが例示されるが、それらに限定されない。オルガニル基としては、クロロメチル、及び3-クロロプロピルなどのハロゲン化アルキル基、アミノ基、アミド基、イミノ基、イミド基などの窒素含有基、ポリオキシアルキレン基、カルボニル基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基などの酸素含有基によって例示されるが、これらに限定されない。更なるオルガニル基としては、硫黄含有基、リン含有基、及び/又はホウ素含有基が挙げられ得る。下付き文字「a」は、0、1、2又は3であってもよいが、典型的には主に2又は3である。
【0037】
シロキシ基は、Rが有機基、典型的にはメチル基である場合、省略(略記)命名法、すなわち、「M」、「D」、「T」、及び「Q」によって記載され得る。M単位は、式中a=3であるシロキシ基、すなわち、RSiO1/2に相当し、D単位は、式中a=2であるシロキシ基、すなわち、RSiO2/2に相当し、T単位は、式中a=1であるシロキシ基、すなわち、RSiO3/2に相当し、Q単位は、式中a=0であるシロキシ基、すなわち、SiO4/2に相当する。
【0038】
オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)の分子構造は、典型的には直鎖状であるが、分子内の(前述の)T基の存在のために、いくつかの分枝が存在し得る。
【0039】
前述のように2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を硬化させることによって調製されたシリコーントップコート層において有用なレベルの物性を達成するためには、オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)の粘度は、25℃で少なくとも100mPa・sである必要がある。オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)の粘度の上限は、25℃で最大500,000mPa・sの粘度に制限される。
【0040】
存在する不飽和基の量(重量%)は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して求められる。成分(iv)(a)は、25℃で100mPa・s~500,000mPa・s、あるいは25℃で200mPa・s~150,000mPa・s、あるいは25℃で200mPa・s~125,000mPa・s、あるいは25℃で200mPa・s~100,000mPa・s、あるいは25℃で測定して200mPa・s~80,000mPa・sの粘度を有する。粘度は、スピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa.sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計又は1000mPa・s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計のいずれかで好適な回転速度を使用して測定し得る。オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)は、例えばアルケニル基及び/又はアルキニル基を含有するポリジメチルシロキサン、アルキルメチルポリシロキサン、アルキルアリールポリシロキサン、又はそれらのコポリマーから選択されてもよく、任意の好適な末端基を有してもよく、例えば、それらはトリアルキル末端、アルケニルジアルキル末端であってもよく、又は、各オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)が1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を含有するという条件で、任意の他の好適な末端基の組み合わせで終端されてもよい。
【0041】
したがって、オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)は、例としては、ジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサン、ジメチルビニル末端ジメチルメチルフェニルシロキサン、トリアルキル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサン、又はジアルキルビニル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンコポリマーであってよいが、高レベルのビニル基などのアルケニル及び/又はアルキニル基が存在することを考慮すると、トリアルキル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサン又はジアルキルビニル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンコポリマーが好ましいことがある。
【0042】
例えば、2つの末端にアルケニル基及び/又はアルキニル基から選択される不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)は、一般式(II)によって表すことができる。
R’R’’R’’’SiO-(R’’R’’’SiO)-SiR’’’R’’R’ (II)
【0043】
式(II)中、各R’は、典型的には2~10個の炭素原子を含有するアルケニル基又はアルキニル基であってよい。アルケニル基としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、アルケニル化シクロヘキシル基、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、又は同様の直鎖状及び分岐状アルケニル基、並びにアルケニル化芳香族環構造が挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、アルキニル化シクロヘキシル基、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル、又は同様の線状及び分岐アルケニル基、並びにアルケニル化芳香族環構造から選択され得るが、これらに限定されない。
【0044】
R’’は、エチレン性不飽和を含有せず、各R’’は、同一であっても、異なっていてもよく、典型的には1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基、及び典型的には6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から個別に選択される。R’’は、非置換であってもよく、又はハロゲン原子などの本明細書に記載の2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の硬化に干渉しない1つ以上の基によって置換されていてもよい。R’’’はR’又はR’’であり、mは整数である。
【0045】
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の成分(iv)(a)は、25℃で100~500,000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)を1つよりも多く含むことができる。成分(iv)(a)にオルガノポリシロキサンポリマーの混合物を使用する場合、少なくとも1つ、あるいは1つは、1分子当たりポリマーの少なくとも5重量%、あるいは1分子当たりポリマーの5~15重量%、あるいは1分子当たりポリマーの6~15重量%、あるいは1分子当たりポリマーの7~15重量%のアルケニル基、アルキニル基、又はそれらの混合物から選択される不飽和基を含むことができ、これはASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定することができる。
【0046】
成分(iv)(a)は、典型的には、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の3重量%あるいは10重量%から組成物の50重量%あるいは45重量%までの量で存在し、例えば、オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)は、組成物の10~50重量%、あるいは10~45重量%の範囲で存在し得る。
【0047】
(iv)(b)補強充填剤
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の成分(iv)(b)は、補強シリカなどの補強充填剤である。多くの場合、シリカ及び他の補強充填剤(iv)(b)は、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の加工中における「クレーピング」又は「クレープ硬化(crepe hardening)」と呼ばれる現象を防止するために、1つ以上の既知の疎水化充填剤処理剤で処理される。
【0048】
微粉化された形態のシリカが、補強充填剤(iv)(b)として好ましい。沈降シリカ及び/又はヒュームドシリカ、あるいはヒュームドシリカは、典型的には少なくとも50m2/g(ISO9277:2010に従ったBET法)である比較的大きい表面積から、特に好ましい。一般的には、50~450m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)、代替的に50~300m/g(ISO9277:2010に従ったBET法)の表面積を有する充填剤を使用する。いずれの種類のシリカも市販されている。
【0049】
本明細書の2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物中の補強充填剤(iv)(b)の量は、5~40重量%、あるいは5~30wt%である。場合によっては、補強充填剤の量は、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の重量に基づいて、7.5~30重量%、あるいは組成物の10~30重量%、あるいは組成物の重量に基づいて15~30重量%であってよい。
【0050】
補強充填剤(iv)(b)がもともと親水性である場合(例えば、未処理のシリカ充填剤)、典型的にはそれを処理剤で処理して疎水性にする。表面処理によって充填剤がオルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)に易濡れ性になるので、これらの表面改質された補強充填剤(iv)(b)は、凝集せず、オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)に均質に組み込まれ得る。その結果、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物及びそれから硬化されて得られる硬化材料の室温での機械的特性が改善される。
【0051】
表面処理は、組成物への導入前に行ってもよく、又はその場(in situ)で(すなわち、充填剤が完全に処理されるまでこれらの成分を室温以上で一緒にブレンドすることにより、本明細書における組成物の他の成分のうちの少なくとも一部の存在下で)行ってもよい。典型的には、未処理の補強充填剤(iv)(b)は、オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)の存在下においてその場で処理剤で処理され、混合された後、シリコーンゴムベース材料が得られ、それに他の成分を添加してよい。
【0052】
典型的には、補強充填剤(ii)は、処理中の2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物のクレーピングを防止するために、適用可能な当技術分野で開示されている任意の低分子量有機ケイ素化合物で表面処理され得る。例えば、充填剤を疎水性にして、それによって取り扱いをより容易にし、他の成分との均質な混合物を得るようにするための、オルガノシラン、オルガノポリシロキサン、又はヘキサアルキルジシラザンなどのオルガノシラザン、短鎖シロキサンジオール、又は脂肪酸、又はステアリン酸エステルなどの脂肪酸エステルである。具体的な例としては、シラノール末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ジメチルシラノール末端ビニルメチル(ViMe)シロキサン、テトラメチルジ(トリフルオロプロピル)ジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン、シラノール末端MePhシロキサン、各分子に平均2~20個のジオルガノシロキサンの繰り返し基を含有する液体ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザンが挙げられるが、これらに限定されない。少量の水が、加工助剤としてシリカ処理剤と一緒に添加され得る。
【0053】
充填剤は、当該充填剤及びオルガノポリシロキサンポリマーを含むマスターバッチ又は基剤の形態で、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物に導入され得る。マスターバッチ又は基剤に使用されるオルガノポリシロキサンポリマーは、成分(iv)(a)と類似の構造のものであってもよいが、あるいは、成分(iv)(a)と同じ範囲の粘度を有し、但しポリマーの<5重量%のアルケニル及び/又はアルキニル含有量を有するオルガノポリシロキサンポリマーであってもよい。必要な場合、マスターバッチの調製中に混合物に好適な疎水化剤を導入することによって、ヒュームドシリカをその場で疎水性に処理してもよい。
【0054】
本明細書に記載の2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物は、1分子当たり2個以上、あるいは3個以上のケイ素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(iv)(c)と、ヒドロシリル化触媒(iv)(d)と、を含む、ヒドロシリル化硬化パッケージを使用して硬化される。
【0055】
(iv)(c)オルガノハイドロジェンポリシロキサン
成分(iv)(c)は、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンの形態の架橋剤である。
【0056】
通常、成分(iv)(c)は、3つ以上の-Si-H基を含有し、それにより、水素原子が成分(iv)(a)中の不飽和のアルケニル基又はアルキニル基と反応して、それらとネットワーク構造を形成することにより、組成物を硬化し得る。あるいは、特に成分(iv)(a)が1分子当たり2つ超(>)のアルケニル基又はアルキニル基を有する場合、成分(iv)(c)のいくつか又は全てが1分子当たり2つの-Si-H基を有してもよい。
【0057】
1分子当たり少なくとも2つ又は3つのSi-H基を含有するポリオルガノシロキサン(iv)(c)の分子構成は、特に制限されず、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、又はシリコーン樹脂系であり得る。
【0058】
成分(iv)(c)で使用されるケイ素結合有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブテニル、ペンテニル、ヘキシルなどのアルキル基と、フェニル、トリル、キシリルなどのアリール基と、3-クロロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル基と、によって例示され得、好ましくはメチル基及びフェニル基である。
【0059】
1分子当たり少なくとも2つ又は3つのケイ素結合水素基を含有するポリオルガノシロキサン(iv)(c)の例としては、
(a)分岐及び/又は鎖延長ジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
(b)ジメチル水素シロキシ末端ジメチルシロキサン-メチル水素シロキサンコポリマー、
(c)(CHHSiO1/2単位、(CHSiO1/2単位、及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(d)(CHHSiO1/2単位及びSiO4/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、
(e)(CHHSiO1/2単位、SiO4/2単位及び(CSiO1/2単位からなるコポリマー及び/又はシリコーン樹脂、並びにメチルがフェニル基又は他のアルキル基によって置換された代替物、
(f)(CHHSiO1/2基などのSi-H基、(CHSiO2/2基、及びSiO4/2基を含むか又はそれらからなるシリコーン樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
上記のシリコーン樹脂はまた、T基及び/又はD基、あるいはT基を含み得る。他の潜在的な架橋剤(iv)(c)としては、
(g)1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、
(h)1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、
(i)トリス(水素ジメチルシロキシ)メチルシラン、
(j)トリス(水素ジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチル水素シクロポリシロキサン、
(k)トリメチルシロキシ末端ブロックメチル水素ポリシロキサン、
(l)トリメチルシロキシ末端ブロックジメチルシロキサン/メチル水素シロキサンコポリマー、
(m)ジメチル水素シロキシ末端ブロックジメチルポリシロキサン、
(n)ジメチル水素シロキシ末端ブロックジメチルシロキサン/メチル水素シロキサンコポリマー、
(o)トリメチルシロキシ末端ブロックメチル水素シロキサン/ジフェニルシロキサンコポリマー、
(p)トリメチルシロキシ末端ブロックメチル水素シロキサン/ジフェニルシロキサン/-ジメチルシロキサンコポリマー、
(q)トリメチルシロキシ末端ブロックメチル水素シロキサン/メチルフェニルシロキサン/-ジメチルシロキサンコポリマー、
(r)ジメチル水素シロキシ末端ブロック/ジメチルシロキサン/-ジフェニルシロキサンコポリマー、及び/又は
(s)ジメチル水素シロキシ末端ブロックメチル水素シロキサン/ジメチルシロキサン/-メチルフェニルシロキサンコポリマーが挙げられ得、
(t)その他のものとしては、テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、末端化水素化物、ポリフェニルメチルシロキサン末端化水素化物、ポリフェニル-(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、又はフェニルトリス(ジメチルシロキシ)シラン等が挙げられる。あるいは、架橋剤である成分(iv)(c)は、充填剤、例えば、上記のうちの1つで処理されたシリカであってもよい。
【0061】
一代替形態では、架橋剤(iv)(c)は、上記の代替形態(c)、(d)、及び/又は(e)などの、25℃で10~5000mPa・s、あるいは25℃で10~1000mPa・s、あるいは25℃で10~500mPa・sの粘度を有するQ基、T基、D基、及び/又はM基の混合物を含むシリコーン樹脂であってもよい。
【0062】
1分子当たり少なくとも2つ又は3つの-Si-H基を含有するポリオルガノシロキサン(iv)(c)は、典型的には、成分(iv)(c)中のケイ素結合水素原子と、組成物中の全ての不飽和基のものとのモル比が、0.5:1~20:1、あるいは0.5:1~5:1、あるいは0.6:1~3:1となるような量で、添加される。この比が0.5:1未満である場合、十分に硬化した組成物が得られない。この比が20:1を超える場合、加熱された場合に、硬化した組成物の硬度が増加する傾向がある。
【0063】
成分(iv)(c)のケイ素結合水素(Si-H)含有量は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して求められる。本発明において、ケイ素結合水素とアルケニル(ビニル)及び/又はアルキニルとの比は、ヒドロシリル化硬化プロセスに依存する場合に重要である。一般に、これは、組成物中のアルケニル基、例えばビニル[V]の総重量%と、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物中のケイ素結合水素[H]の総重量%とを計算することによって決定され、ここで、水素の分子量を1、ビニルの分子量を27として、ビニルに対するケイ素結合水素のモル比は27[H]/[V]である。
【0064】
この成分の分子量は特に制限されないが、粘度は、Brookfield DV 3T Rheometerにより、又はスピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計若しくは1000mPa・s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計のいずれかで10rpmの回転速度を使用して、典型的には25℃で15~50,000mPa・sである。
【0065】
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の成分(iv)(c)は、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンであり、これは、後述する成分(iv)(d)の触媒活性下で、成分(iv)(c)中のケイ素結合水素原子と成分(iv)(a)中のアルケニル基及び/又はアルキニル基との付加反応によって、ポリマー(iv)(a)の架橋剤として機能する。成分(iv)(c)は、この成分のケイ素結合水素原子が、成分(iv)(a)のアルケニル基及び/又はアルキニル基、典型的にはアルケニル基、特にビニル基と十分に反応して、これらと共に網状構造を形成し、それによって組成物を硬化させることができるように、少なくとも5,000百万分率(ppm)のケイ素結合水素(Si-H)、あるいは少なくとも7000ppm、あるいは7000~12,000ppmのケイ素結合水素、あるいは8000ppm~11,000ppmのケイ素結合水素を含有する。存在するケイ素結合水素の量も、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して求められる。
【0066】
成分(iv)(c)は、典型的には、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物全体中に組成物の5~30重量%、5~20重量%、あるいは10~20重量%の量で存在するが、存在する量は、典型的には、上述したように、成分(iv)(c)中のケイ素結合水素原子の、全ての不飽和基、例えばアルケニル及びアルキニル基、多くの場合ビニル基の総数に対するモル比によって求められる。
【0067】
(iv)(d)ヒドロシリル化触媒
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物は、白金族金属、すなわち白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、及びパラジウムから選択される金属、又はそのような金属の化合物であるヒドロシリル化(付加硬化)触媒(iv)(d)によって触媒される、ヒドロシリル化(付加)反応を介して硬化される。ヒドロシリル化反応でのこれらの触媒の高い活性レベルから、白金及びロジウム化合物が好ましい。
【0068】
ヒドロシリル化触媒(iv)(d)は、白金族金属;担体、例えば活性炭、酸化アルミニウム若しくは二酸化ケイ素等の金属酸化物、シリカゲル若しくは粉末状木炭上に堆積された白金族金属;又は白金族金属の化合物若しくは錯体であり得る。好ましくは、白金族金属は、白金である。
【0069】
好ましいヒドロシリル化触媒(iv)(d)の例は、白金系触媒、例えば白金黒、酸化白金(Adams触媒)、様々な固体支持体上の白金、塩化白金酸、例えばヘキサ塩化白金酸(Pt酸化状態IV)(Speier触媒)、アルコール、例えばイソオクタノール又はアミルアルコールの溶液中の塩化白金酸(Lamoreaux触媒)、並びに塩化白金酸とエチレン性不飽和化合物、例えばオレフィン、及びエチレン性不飽和ケイ素結合炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの錯体、例えばテトラ-ビニル-テトラメチルシクロテトラシロキサン-白金錯体(Ashby触媒)である。使用可能な可溶性白金化合物としては、例えば、式(PtCl.(オレフィン)及びH(PtCl.オレフィン)の白金-オレフィン錯体を挙げることができ、この文脈では、エチレン、プロピレン、ブテンの異性体及びオクテンの異性体など、2~8個の炭素原子を有するアルケン、又はシクロペンテン、シクロヘキセン、及びシクロヘプテンなど、5~7個の炭素原子を有するシクロアルカンの使用が好ましい。他の可溶性白金触媒は、例えば、式(PtClの白金-シクロプロパン錯体であり、ヘキサクロロ白金酸の、アルコール、エーテル、及びアルデヒド、若しくはこれらの混合物との反応生成物、又はヘキサクロロ白金酸及び/若しくはその変換生成物と、メチルビニルシクロテトラシロキサンなどのビニル含有シロキサンとのエタノール性溶液中の重炭酸ナトリウムの存在下での反応生成物である。リン、硫黄、及びアミン配位子を有する白金触媒、例えば、(PhP)PtCl、及びsym-ジビニルテトラメチルジシロキサンなど、ビニルシロキサンとの白金の錯体も、使用することができる。
【0070】
したがって、(iv)(d)の好適な白金系触媒の具体的な例としては、
(i)米国特許第3,419,593号に記載されている、塩化白金酸と、エチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの錯体、
(ii)六水和物形態又は無水形態のいずれかの塩化白金酸、
(iii)塩化白金酸をジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物と反応させることを含む方法によって得られる白金含有触媒、
(iv)(COD)Pt(SiMeCl(式中、「COD」は1,5-シクロオクタジエンである)などの米国特許第6,605,734号に記載されているアルケン-白金-シリル錯体、及び/又は
(v)典型的にはビニルシロキサンポリマー中に、典型的には約1重量%の白金を含有する、白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である、Karstedtの触媒、が挙げられる。トルエンなどの有機溶媒のような溶媒は、歴史的に代替物として使用されてきたが、ビニルシロキサンポリマーの使用がはるかに好ましい選択である。これらは、米国特許第3,715,334号及び米国特許第3,814,730号に記載されている。好ましい一実施形態では、成分(iv)(d)は、白金の配位化合物から選択され得る。一実施形態では、ヘキサクロロ白金酸及びビニル含有シロキサンとのその変換生成物、Karstedtの触媒、並びにSpeier触媒が好ましい。
【0071】
ヒドロシリル化触媒の触媒量は、概ね、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の重量に基づいて百万部当たりの白金族金属の重量部(ppm)で0.01ppm~10,000ppm、あるいは0.01~5000ppm、あるいは0.01~3,000ppm、あるいは0.01~1,000ppmである。特定の実施形態では、触媒の触媒量は、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の重量に基づいて、0.01~1,000ppm、あるいは0.01~750ppm、あるいは0.01~500ppm、あるいは0.01~100ppmの範囲に及んでもよい。範囲は、指定されたように、触媒内の金属含有量のみ、又は触媒全体(その配位子を含む)に関連し得るが、典型的には、これらの範囲は、触媒内の金属含有量のみに関連する。触媒は、単一種として、又は2つ以上の異なる種の混合物として添加され得る。典型的には、例えば、ポリマー又は溶媒中において触媒が提供される形態/濃度に応じて、存在する成分(iv)(d)の量は、組成物の0.001~3.0重量%、あるいは組成物の0.001~2.5重量%、あるいは2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の0.01~2.0重量%の範囲内である。
【0072】
成分(iv)(e)接着促進剤
成分(iv)(e)は、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)へのシリコーントップコート(iv)の接着を補助するために使用される接着促進剤である。成分(iv)(e)は、上記の接着促進剤のいずれかであってもよい。しかしながら、成分(iv)(e)として使用するのに特に好ましい1つの接着促進剤は、接着促進剤が、組成物の1~6重量%の量の上記で定義されるような分子中にエポキシ基を有する1つ以上のアルコキシシラン及び/又は1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンと、組成物の1~5重量%の量のジルコニウムアセチルアセトネートとの組み合わせである場合である。
【0073】
一実施形態では、分子中にエポキシ基を有する当該アルコキシシランは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及び/又は3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランから選択される。
【0074】
成分(iv)(f)エコ溶媒
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の成分(iv)(f)は、エコ溶媒である。任意の好適なエコ溶媒を利用することができ、例としては、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソノナデカン、及びこれらの混合物、又は25℃で5mPa・s以上(≧)~25℃で100mPa・s以下(≦)の粘度を有するトリメチル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。25℃で<5mPa・sの粘度を有するトリメチル末端ポリジメチルシロキサンを使用すると、実際にはストレッチマークが白くなる皮革材料を生じるように見えることが指摘されている。一実施形態では、エコ溶媒は、イソヘキサデカンを含むか又はそれからなる。エコ溶媒は、組成物を希釈する手段として組成物中に存在し、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の30~70重量%の量で組成物中に存在する。それは、所望又は必要に応じて、部分A及び部分Bのいずれか又は両方に存在してもよい。
【0075】
成分(iv)(g)任意の硬化シリコーンエラストマー粉末
必要に応じて、任意の好適な硬化シリコーンエラストマー粉末を、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物に利用してもよい。一代替形態では、硬化シリコーンエラストマー粉末(iv)(g)は、例えば、要求に応じて公に利用可能であるDow Silicone Corporation Corporate Test Method CTM 1138を使用して測定したときに0.01~100μm、あるいは0.01~50μm、あるいは0.01~25μmの平均粒径を有する。それらは、化学的官能基、例えば、エポキシ基(メタ)アクリロキシ基を含有していてもよく、又は例えばシリカ処理されたコーティングでコーティングされてもよい。
【0076】
硬化シリコーンエラストマー粉末は、好適な硬化性シリコーン組成物から作製される。硬化性シリコーン組成物としては、例えば、付加(ヒドロシリル化)反応硬化するシリコーン組成物、縮合反応硬化するシリコーン組成物、有機パーオキサイド硬化するシリコーン組成物、及び紫外線硬化するシリコーン組成物が挙げられ得る。付加反応硬化する及び縮合反応硬化するシリコーン組成物は、それらの取り扱いの容易さのために好ましい。
【0077】
シリコーンエラストマー粉末は、一般に、硬化性シリコーン組成物を、まず水又は界面活性剤水溶液に分散させることによって、次いでホモジナイザ、コロイドミルなどの撹拌機、又は超音波バイブレータなどの混合デバイスの作用をこの分散液に施すことによって、硬化性シリコーン組成物の均質な水系エマルションを作製することによって調製される。硬化性シリコーン組成物が小さい平均粒子直径を有する非常に安定なエマルションを得るために、水系硬化性シリコーンエマルションは、好ましくは、界面活性剤を使用して調製される。次いで、水系エマルション中に存在する硬化性シリコーンを硬化させることによって、硬化されたシリコーン粉末の水系分散液は生成される。この硬化は、当該水系エマルションを室温で静置することによって、又は水系エマルションを加熱することによって影響を受け得る。水系硬化性シリコーンエマルションを加熱する場合、好ましい加熱温度は、100℃を超えてはならず、特に好ましい温度は、40℃~95℃の範囲にある。水系硬化性シリコーンエマルションを加熱するための技法は、水系エマルションを直接加熱することによるか、又は水系エマルションを熱水に添加することによるものである。成分(iv)(g)として利用することができる商業的な例としては、例えば、Dow Silicones Corporation製のDowsil(商標)23N Additive、Dowsil(商標)603T additive、及びDowsil(商標)9701 Cosmetic Powderが挙げられる。
【0078】
硬化シリコーンゴム粉末は、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物中、すなわち、部分A及び部分Bを一緒に混合するとき、組成物の2.5~20重量%、あるいは組成物の2.5~15重量%、あるいは当該組成物の2.5~10重量%の量で存在する。
【0079】
任意選択の添加剤
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物は、1つ以上の添加剤を含んでもよい。これらの任意の添加剤の例としては、硬化抑制剤、無機非補強性充填剤、導電性添加剤、可使時間延長剤、潤滑剤、難燃剤、顔料、着色剤、鎖延長剤、熱安定剤、圧縮永久歪改善添加剤、きしみ防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防汚剤、及び光安定剤、凍結防止剤、及び/又は殺生物剤、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0080】
抑制剤
ヒドロシリル化硬化系が利用されているので、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物のより長い作用時間又は可使時間を得るために、任意選択で、好適な抑制剤を組成物に組み込んで、触媒の活性を遅延又は抑制してもよい。
【0081】
白金金属系触媒、全般的には白金族金属系触媒の抑制剤は、当技術分野で周知である。ヒドロシリル化又は付加反応抑制剤としては、ヒドラジン、トリアゾール、ホスフィン、メルカプタン、有機窒素化合物、アセチレンアルコール、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シランなどのシリル化アセチレンアルコール、マレエート、フマレート、エチレン性又は芳香族不飽和アミド、エチレン性不飽和イソシアネート、オレフィンシロキサン、不飽和炭化水素モノエステル及びジエステル、共役エン-イン、ハイドロパーオキシド、ニトリル、並びにジアジリジンが挙げられる。米国特許第3,989,667号に記載されているようなアルケニル置換シロキサンを使用してもよく、そのうち、環状メチルビニルシロキサンが好ましい。
【0082】
白金触媒の抑制剤として知られている別の分類としては、米国特許第3,445,420号に開示されているアセチレン化合物が挙げられる。2-メチル-3-ブチン-2-オールなどのアセチレン系アルコールは、25℃で白金含有触媒の活性を抑制する好ましい種類の抑制剤を構成する。これらの抑制剤を含有するヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー組成物は、典型的には、実用的な速度で硬化させるために70℃以上の温度に加熱する必要がある。
【0083】
アセチレンアルコール及びその誘導体の例としては、1-エチニル-1-シクロヘキサノール(ETCH)、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-ブチン-1-オール、3-ブチン-2-オール、プロパルギルアルコール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-エチニルシクロペンタノール、1-フェニル-2-プロピノール、3-メチル-1-ペンテン-4-イン-3-オール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0084】
場合によっては、存在するとき、触媒(iv)(d)の金属1モル当たり抑制剤1モル程度の低い抑制剤濃度は、満足な保管安定性及び硬化速度をもたらす。他の場合では、触媒(iv)(d)の金属1モル当たり最大500モルの抑制剤の抑制剤濃度が必要とされる。所与の組成物における、所与の抑制剤に対する最適な濃度は、日常的な実験によって容易に決定される。組成物中に存在するとき、選択された抑制剤が提供される/市販されている濃度及び形態に応じて、抑制剤は、典型的には、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の0.0125~10重量%の量で存在する。上記の混合物もまた使用され得る。
【0085】
2つ以上の理由から例えば非補強性シリカ充填剤及び難燃剤として任意選択の添加剤を使用してもよい場合、存在するとき、それらは両方の役割で機能することができる。存在するとき又は存在する場合、前述の追加成分は、累積で、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の0.1~30重量%、あるいは0.1~20重量%の量で存在する。
【0086】
保管中の早期硬化を防ぐために、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物は、使用前に部分A及び部分Bの2つの部分で保管されるであろう。典型的には、部分Aは、オルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)及び補強充填剤(iv)(b)の一部、並びにヒドロシリル化触媒(iv)(d)を含有し、部分Bは、残りのオルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)及び補強充填剤(iv)(b)と共に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン架橋剤(iv)(c)、並びに通常、存在する場合、抑制剤を含有するが、これは、使用される抑制剤の選択に応じて変わり得る。2液型組成物は、部分Bのオルガノポリシロキサンポリマー(iv)(a)及び補強充填剤(iv)(b)の量に応じて任意の好適な比で一緒に混合されるように設計してよく、したがって、15:1~1:2の部分A:部分Bの重量比で混合してよいが、好ましくは2:1~1:2、あるいは1.5:1~1:1.5、あるいは1:1の部分A:部分Bの重量比で混合される。
【0087】
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物は、混合後に120℃~175℃、あるいは130℃~160℃の温度で2~8分間硬化される。2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートの平均乾燥コート厚さは、5~20μmである。
【0088】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)
本明細書に記載のシリコーン皮革複合材料は、ASTM D882に従って決定される10MPa以上、あるいはASTM D882に従って決定される20MPa以上、あるいはASTM D882に従って決定される30MPa以上の弾性率を有するシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を含有し、いずれの場合も弾性率を計算するために荷重伸び曲線の最初の直線部分を使用する。シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)は、シリコーンスキン層(iii)とシリコーントップコート(iv)との間のシリコーン皮革複合材料中に提供される。このような層の追加により、シリコーン皮革複合材料に耐摩耗性の著しい改善がもたらされることが見出された。
【0089】
誤解を避けるために、ポリウレタンプレポリマーと同様に、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマーは、全てのヒドロキシル末端基がイソシアネート基と反応して、ヒドロキシルの代わりに末端にイソシアネート官能基が残っているものであると理解されるべきである。
【0090】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)は、好適なシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物を硬化することによって提供される。組成物は適切な溶媒中で調製され、溶媒は加熱硬化プロセス中に蒸発する。好適なシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の潜在的な成分の以下の考察は、組成物の重量%を考察する場合、溶質成分の重量%を指し、溶媒が本明細書に記載のシリコーン皮革複合材料の得られたシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の一部を形成しない場合、溶媒の存在を無視する。シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物は、得られるシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)が、シリコーンゴム複合材料に関して本明細書で必要な特定の要件を満たせば、任意の所望の方法で調製することができる。
【0091】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物に好適なシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマーは、例えば、2つ又は3つの成分を使用して調製することができる。-
成分1は、ASTM-D4274-11に従って測定される40mgKOH/g以上のヒドロキシル価を有するカルビノール末端ポリジアルキルシロキサンポリマーである。
【0092】
典型的には、カルビノール末端ポリジアルキルシロキサンポリマーは、カルビノール末端ポリジメチルシロキサンポリマーである。誤解を避けるために、末端カルビノール(C-OH)基は、適切な非加水分解性有機結合を介して末端ケイ素に結合したC-OHであり、例えば、以下のものである。
-Z z’-D-OH
式中、Zは1~6個の炭素、あるいは2~6個の炭素、あるいは2~4個の炭素を含む二価アルキレン基であり、z’は0又は1であり、Dは平均式(-O-Cn’2n’)を有する繰り返し単位を含む1つ以上の直鎖又は分岐ポリエーテルであり、式中、n’は2~6の整数であり、dは1~6、あるいは2~4の整数である。好適な市販のカルビノール末端ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、Dow Silicones corporation製のDOWSIL(商標)BY16-201、並びにShin-Etsu Chemical Co.Ltd製のKF 6000及びKF-6001が挙げられる。
成分2は、ポリイソシアネート、例えば、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族若しくは脂環式ポリイソシアネートであり、又はそれらの2つ以上の混合物を使用してもよい。脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートは、例えば、IPDIが好ましい。また、任意選択で、
成分3は、1分子当たり2~6個の炭素を有する短鎖有機ジオール、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、及び/又は1,4-ブタンジオールである。成分3のヒドロキシル含有量はまた、存在する場合、ASTM-D4274-11に従って測定することができる。
【0093】
一実施形態では、成分1、2、及び存在する場合に成分3中のNCO基対OH基の比は、少なくとも0.95:1、あるいは0.95~1.05であり、NCO含有量は、
ASTM D5155に従って測定され、NCO/OH比は、成分2のNCO含有量と成分1及び3(存在する場合)の累積ヒドロキシル価から計算される。
【0094】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を提供するために硬化されるシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の溶質成分(すなわち、溶媒を除く成分)は、例えば、以下のものを含み得る。
(v)(a)成分1、2、及び任意選択で成分3、好ましくは成分1、2、及び3の反応から得られるプレポリマー反応生成物;
(v)(b)任意の硬化シリコーンエラストマー粉末であって、上記成分(iv)(g)に関して記載したものと同じ粒子から選択することができるもの;
(v)(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリレートコポリマー(EAA)、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)、又はポリウレタンポリマーのうちの少なくとも1つから選択される任意のケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子;あるいは、ケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子(v)(c)は、PMMA及び/又はポリウレタン粒子及び/又は微粒子から選択される。誤解を避けるために、ケイ素不含有機粒子又は微粒子は、ケイ素を含まず、微量の夾雑しか許容しない、すなわち、ケイ素不含有機微粒子は、ケイ素原子もケイ素含有化合物も実質的に含有しない。一代替形態では、ケイ素不含有機粒子又は微粒子は、Thermo Fisher Scientific製のFEI Nova NanoSEM(商標)630走査電子顕微鏡などの電界放射型走査電子顕微鏡を使用して決定される0.5~500μmの数平均粒径を有する。例えば、粒子の電界放射型走査電子顕微鏡写真を撮影し、次いで、写真から無作為に10個の粒子を選択し、画像中の各粒子の直径を測定することによって、これを達成することができる。次いで、選択された粒子について平均直径を計算する。ケイ素不含有機粒子又は微粒子は、好ましくは、少なくとも180℃の温度まで熱的に安定である。それらは、典型的には80℃~180℃の温度で保持される硬化プロセス全体を通して熱的に安定であることが必要とされる。「熱的に安定である」とは、ケイ素不含有機粒子又は微粒子が180℃以下の温度で熱的に分解しないことを意味する。これは、ケイ素不含有機粒子又は微粒子のサンプルを好適な容器に入れ、次いで、容器を、180℃の温度及び大気圧で予熱したオーブンに30分間入れることによって判定される。オーブンに30分間入れた後、サンプルを視覚的に評価して、粒子又は微粒子がその元の形態であるように見えるかどうか、この場合、180℃の温度まで熱的に安定であるとみなされる(合格)かどうか、又は視覚的に明らかである何らかの方法で、例えば、凝集、液化、炭化、及び/若しくは分解によって視覚的に分解されているかどうかを判定する。
(v)(d)は、上記(iv)(c)で定義された架橋剤のいずれか1つから選択することができる、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンであり、典型的には、前述のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を調製するために使用される組成物の1重量%~10重量%の量で存在するが、好ましくは樹脂性架橋剤である;
(v)(e)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物を硬化させるための任意の硬化触媒;
(v)(f)1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、ASTM-D4274-11に従って100mgKOH/g超(>)のヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオール;及び
(v)(g)上記のいずれかのヒドロシリル化触媒(iv)(d)と同じであってもよい白金族金属系触媒であって、白金族金属が白金、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、及びパラジウム、又はそのような金属の化合物であるもの。典型的には、白金族金属系触媒(v)(g)は、白金又はルテニウム系触媒、あるいは(iv)(d)に関して記載した白金系触媒であり、Karstedtの触媒が好ましい。
【0095】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の調製を補助するために、任意の好適な溶媒を利用することができる。前述したように、このような溶媒は、硬化プロセス中に蒸発するように選択される。
【0096】
好ましい実施形態では、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を調製するために使用されるシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物中の粒子の総量は、それらの重量%、すなわち(v)(b)+(v)(c)で、組成物の10重量%~40重量%である。
【0097】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物において、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサン(v)(d)は、例えば、25℃で25mPa・sの粘度及び約9,000ppmのケイ素結合水素含有量を有するSi-Hジメチル末端基ポリシロキサンなどのSi-Hジメチル末端基を有するMQ樹脂であってもよい。
【0098】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の任意のポリウレタン硬化触媒(v)(e)は、スズ、ビスマス、亜鉛、水銀の触媒、すなわちSn、Bi、Zn、Hg触媒などの任意の好適な既知のポリウレタン触媒、好適にはBi/Zn触媒を含んでもよい。例としては、スズ、ビスマス、亜鉛、及び/又は水銀のカルボキシレートが挙げられる。好適なスズ触媒は、例としては、スズトリフレート、有機スズ金属触媒、例えば、トリエチルスズタートレート、スズオクトエート、スズオレエート、スズナフテネート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキソエート、スズブチレート、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエート、及びジオルガノスズ塩、特に、ジオルガノスズジカルボキシレート化合物、例えば、ジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate、DBTDL)、ジオクチルスズジラウレート(dioctyltin dilaurate、DOTDL)、ジメチルスズジブチレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセテート(dibutyltin diacetate、DBTDA)、ジブチルススビス(2,4-ペンタンジオネート)、ジブチルスズジベンゾエート、第一スズオクトエート、ジメチルスズジネオデカノエート(dimethyltin dineodecanoate、DMTDN)、ジオクチルスズジネオデカノエート(dioctyltin dineodecanoate、DOTDN)、及びジブチルスズジオクトエートが挙げられ得る。スズ触媒(v)(e)の市販例は、EvonikからDabco(登録商標)T-12の商品名で市販されているジブチルスズジラウレート系触媒である。
【0099】
あるいは、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物中の任意のポリウレタン硬化触媒(v)(e)は、存在する場合、好適なBi/Zn触媒、すなわち、ポリウレタン生成物のために-NCOs基と-OH基との反応を触媒するように設計された有機ビスマス/亜鉛錯体触媒であってもよく、例えば、Guangzhou Yourun Synthetic Material Co.,Ltd(Guang Dong,China)からBX-EM 23の商品名で市販されている。
【0100】
存在する場合、任意のポリウレタン硬化触媒(v)(e)は、組成物の0.01~3重量%、あるいはシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の0.03~1.5重量%、あるいは組成物の0.03~0.75重量%の量で存在してもよい。
【0101】
ポリエーテルポリオール(v)(f)は、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基、あるいは1分子当たり少なくとも3つのヒドロキシル基を有し、ASTM-D4274-11に従って>100mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。ポリエーテルポリオール(v)(f)は、平均式(-C2n-O-)を有する繰り返し単位を含む1つ以上の直鎖又は分岐ポリエーテルを含んでもよく、式中、nは2~6の整数であり、yは整数、あるいは少なくとも2の整数であり、ポリオキシアルキレン全体にわたって同一である必要はないが、単位ごとに異なっていてもよく、例えば、エチレンオキシド単位(-[CH-CH-O]-)、トリメチレンオキシド単位(-[CH-CH-CH-O]-)、テトラメチレンオキシド単位(-[CH-CH-CH-CH-O]-)、オキシプロピレン単位(-[CH(CH)-CH-O]-)、及び/又はオキシブチレン単位(-[CH(CHCH)-CH-O]-)を含んでいてもよい。ポリエーテルポリオール(v)(f)は、例えば、Dow Chemical社からVORANOL(商標)CP 260 Polyolの商品名で販売されている647~676mgKOH/gのヒドロキシル価を有する市販のポリエーテルトリオール、又はDow Chemical社からVORANOL(商標)CP 450 Polyolの商品名で販売されている370~396mgKOH/gのヒドロキシル価を有する市販のポリエーテルトリオール、及びZhejiang Hengfeng New Material Co.,Ltdから市販されているポリエーテルポリオールHF-302であってもよい。ポリエーテルポリオール(v)(f)の含有量は、前述のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を調製するために使用されるシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物中で10重量%~30重量%である。
【0102】
前述のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を調製するために使用される、上記のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物は、第1部分及び第2部分の2つの部分で保管される。ポリエーテルポリオール(v)(f)及び白金族金属系触媒(v)(g)は、(第2部分中で)保管時に残りの成分から分離されている。前述の任意のスズ又はBi/Zn触媒は、存在する場合、第1部分又は第2部分中に存在してもよく、残りの全成分は、一緒に混合されるまで第1部分中に保持される。
【0103】
前述のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を調製するために使用されるシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物について上述した全ての重量%値は、溶媒の含有量を除外している。
【0104】
溶媒は、成分によって異なるが、任意の好適な溶媒、例えば、エチレングリコールジブチルエーテル、及び/又はグリコールエーテルの1つ以上のエステル、例えば、(限定されないが)エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、及びジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートから選択されるものを含むことができる。
【0105】
組成物は、100℃~200℃の温度で2~10分間硬化され得る。
【0106】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の平均乾燥コート厚さは、10μm~50μmである。これは、剥離紙のサンプルの長さ及び幅を測定し、剥離紙をシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物でコーティングし、それを硬化させ、得られたシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)でコーティングされた剥離紙を秤量し、以下の式に基づいて平均厚さを計算することによって決定された。
層(v)の平均乾燥コート厚さ=層(v)の重量/(密度長さ)
【0107】
示した場合、各層の平均乾燥コート厚さは、それぞれの層の重量を求め、上記の式を使用することによって、層(v)の厚さと同樣に求められた。いずれの場合も、密度はASTM D792に従って求めた。前述したように、本明細書に記載のシリコーン皮革複合材料を調製するための方法も提供される。本プロセスは、
(a)剥離紙をシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の層でコーティングし、当該組成物を硬化させて、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を提供する工程と、
(b)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上にシリコーンスキン組成物の層を塗布し、当該組成物を硬化させて、シリコーンスキン層(iii)を提供する工程と、
(c)硬化したシリコーンスキン層(iii)上にシリコーンバインダ組成物の層を塗布し、シリコーンバインダ組成物上にテキスタイル層(i)を適用し、当該組成物を硬化及び/又は積層して、当該テキスタイル支持層(i)と当該スキン層(iii)との間にシリコーンバインダ層(ii)を形成する工程と、
(d)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)から剥離紙を除去する工程と、及び
(e)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上に2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の層を塗布し、当該トップコート組成物を硬化させて、シリコーントップコート層(iv)を形成する工程と、を含む。
【0108】
プロセスの第1の工程として2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を剥離紙上に塗布し、続いてシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物(v)を塗布した場合、問題に遭遇することが見出されたことから、驚くべきことに、最後の工程として硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上にトップコートを追加することによって問題が回避されたため、上記のプロセスが開発された。
【0109】
製造プロセスの一実施形態では、プロセスは、
(a)剥離紙をシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の層でコーティングし、120℃~180℃の温度で2~10分間硬化させてシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を形成し、上記の方法を使用して10μm~50μmの平均乾燥コート厚さを得る工程と、
(b)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上にシリコーンスキン組成物の層を塗布し、任意の好適な温度、例えば100~150℃で硬化させて、上記の方法を使用して50μm~1mmの厚さ、50~750μm、あるいは50~500μm、あるいは50~350μm、あるいは50~250μmの厚さ、あるいは70μm~200μmの平均乾燥コート厚さを有するシリコーンスキン層(iii)を生成する工程と、
(c)硬化したシリコーンスキン層(iii)上にシリコーンバインダ組成物の層を塗布し、シリコーンバインダ上にテキスタイル層(i)を適用し、当該シリコーンバインダ(ii)を当該テキスタイル支持層(i)と当該スキン層(iii)との間に130℃~180℃の温度で2~8分間硬化及び/又は積層する工程であって、得られる層の厚さは、シリコーン皮革複合材料の厚さ要件及び他の層の厚さによって決定される工程と、
(d)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)から剥離紙を除去する工程と、及び
(e)硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上に2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の層を塗布し、当該トップコートを130℃~160℃で2~8分間硬化させて、上記の方法を使用して5~20μmの平均乾燥コート厚さを有するシリコーントップコート(v)を形成し、シリコーン皮革複合材料を完成させる工程と、を含む。
【0110】
上記の各2液型ヒドロシリル化組成物の個々の部分は、任意の好適な方法で調製することができる。この目的のために、先行技術に記載されている任意の混合技術及び装置を用いることができる。使用する具体的な装置は、成分及びそれぞれの最終硬化性組成物の粘度によって決定される。好適なミキサーとしては、パドルタイプのミキサー、例えば遊星ミキサー、及びニーダータイプのミキサーが挙げられるが、これらに限定されない。混合中に成分を冷却して、組成物の早期硬化を避けることが望ましい場合もある。したがって、プロセスの最初の工程として、各2液型組成物の部分A及び部分Bを一緒に混合し、所望であれば、例えば、2液型ヒドロシリル化組成物の場合、例えば、スキン層及びバインダ層について組成物を脱気してもよい。
【0111】
2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物のヒドロシリル化硬化性シリコーンエラストマー組成物中の成分を混合する順序は、重要ではない。好適な部分A及び部分Bを調製し、次いで、使用直前に、15:1~1:2の所定の重量比、例えば、例としては1:1の比で、部分A及び部分Bを一緒に混合する。
【0112】
調製及び/又は混合後、シリコーン皮革複合材料中のそれぞれの層を提供するために利用される各組成物は、任意の好適な塗布方法、例えば、噴霧、ローリング、ブラッシング、スピンコーティング、ディップコーティング、溶媒キャスティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、ナイフコーティング、又はグラビアコーティングを使用して、上記のプロセスに従って塗布されてもよい。
【0113】
任意の好適な剥離紙、例えば、Japan Asahi社製のスーパーマット剥離紙ARX175DM、Dai Nippon Printing Co.,Ltd(日本)製の剥離紙DE-7、DE-90、DE-43C、DE-73J、又は同じくDai Nippon Printing Co.,Ltd(日本)製のセミマット剥離紙DE-73Mを使用することができる。
【0114】
各硬化工程は、例えば熱風オーブンでの硬化及び乾燥によって好適なオーブンで行っても、又は連続プロセスの場合はコンベヤーオーブンで行ってもよい。
【0115】
所望の場合、最終シリコーン皮革複合材料は、約75℃~180℃の温度で、概ね、但し必ずしもそうではないが、所望の場合、範囲の下限に向かって、例えば、75~120℃で2~48時間、あるいは6~36時間、あるいは10~24時間、後硬化させてもよい。
【0116】
シリコーン皮革複合材料は、異なる層の内容物を考慮して多種多様な特性を有するように設計することができ、例えば、皮革の最終用途の要求に応じて優れた難燃性、煙密度、耐熱性、耐汚染性、耐溶媒性、耐加水分解性などを有し得る。一方、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の提供により、著しく改善された耐摩耗性がもたらされた。
【0117】
想定される最終用途としては、家具、装飾、ハンドバッグ、バインダ、旅行かばん、衣類、電話カバー、電子商品用カバー、ブックカバー、履物、自動車の内装、自動車のシート、医療用ベッド/シート、ウェアラブルデバイスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例
【0118】
以下の実施例及び比較例において、いくつかのシリコーン皮革複合材料を調製し、耐摩耗性を改善する手段としてシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を組み込む利点を示すために試験を行った。全ての粘度は25℃で測定される。粘度は、Brookfield DV 3T Rheometerを使用して、又はスピンドルLV-4(1,000~2,000,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計若しくは1000mPa・s未満の粘度についてはスピンドルLV-1(15~20,000mPa・sの範囲の粘度用に設計)を備えるBrookfield(登録商標)回転粘度計のいずれかで10rpmの回転速度を使用して測定した。
【0119】
存在する不飽和基及び/又はケイ素結合水素の量(重量%)は、ASTM E168に従って定量的赤外線分析を使用して決定した。
【0120】
カルビノール末端ポリジメチルシロキサンを1,4-ブタンジオール(鎖延長剤)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)と反応させることによって、2つのプレポリマーを調製した。
【0121】
カルビノール末端PDMS1は、25℃で約48mPa・sの粘度及びASTM-D4274-11に従って測定したときに約60mgKOH/gを有する、モノエチレングリコール末端ポリジメチルシロキサンであった。カルビノール末端PDMS1は、Dow Silicones CorporationからDOWSIL(商標)BY16-201の商品名で市販されている。
【0122】
カルビノール末端PDMS2は、25℃で約45mPa・sの粘度及び約62mgKOH/g(供給元情報)を有する、末端ケイ素に結合した-C-0-C-OH直鎖カルビノール基で二重末端化したポリジメチルシロキサンであった。カルビノール末端PDMS2は、Shin-Etsu Chemical Co.LtdからKF-6001の商品名で市販されている。
【0123】
イソホロンジイソシアネート(IPDI)は、以下の構造を有する。
【0124】
【化3】
【0125】
実施例のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマーを製造するための各出発成分の量を表1aに示す。溶媒としてジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DPMA)の存在下で約70℃の温度で3時間反応を行った。得られたプレポリマー生成物は、完了時に溶媒から抽出されないが、組成物の他の成分と溶液中で混合される。一方、溶媒は硬化プロセス中に蒸発する。
【0126】
【表1】
【0127】
次いで、4つのシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物(SPHPT1~4)を、上記の1つ又は他のプレポリマーを利用して調製した。最初に、組成物をそれぞれ、溶媒中にいくつかの溶質成分を含有する2つの部分に調製した。前述のプレポリマー以外の溶質成分は、以下の通りである。
使用したシリコーンエラストマー粉末は、Dow Silicones CorporationからDowsil(登録商標)23N Additiveの商品名で市販されており、2μmの平均粒径及び1~10μmの粒径分布を有し、これらは両方とも、要求に応じて公に利用可能であるDow Silicones Corporationの企業試験方法CTM1138によって決定されており、
組成物に使用したポリウレタン微粒子は、1~10μm(供給元情報)の平均粒径を有し、Dainichiseika Color&Chemicals Mfg.Co.LtdからRHU-5070D Polyurethane微粒子の商品名で市販されており、
ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子は、Soken Chemical&EngineeringによってChemisnow(登録商標)MZ-5HNの商品名で市販されている、平均約5μm(供給元情報)の狭い粒子分布サイズを有する架橋アクリル中分散粒子であり、
使用したスズ触媒は、EvonikからDabco(登録商標)T-12の商品名で市販されているジブチルスズジラウレート系触媒であり、
Bi/Zn触媒は、ポリウレタン生成物のためにNCOs基と-OH基との反応を触媒するように設計された有機ビスマス/亜鉛錯体触媒であり、Guangzhou Yourun Synthetic Material Co.,Ltd(Guang Dong,China)からBX-EM 23の商品名で市販されており、
実施例で使用したポリエーテルトリオールは、260の平均分子量を有し、Dow Chemical社からVORANOL(商標)CP 260 Polyolの商品名で市販されており、
樹脂性SiH架橋剤は、25℃で25mPa・sの粘度及び約9,000ppmのケイ素結合水素含有量を有するSi-Hジメチル末端樹脂性Si-Hポリシロキサンである。
各部分A組成物の溶質成分を表2aに示し、部分B組成物の溶質成分を表2bに示す。各部分A及び部分B組成物の溶質成分を適切な溶媒に溶解し、部分Aの溶質成分及び部分Bの溶質成分の重量%を累積的に合計して重量100%にし、存在する溶媒を除外した。溶媒は、調製、加工、及び特に硬化プロセス中に蒸発した。
【0128】
【表2】
【0129】
【表3】
【0130】
SPHPT1~4の弾性率(MPa)は、部分A及び部分B組成物を適切な溶媒中で調製することによって決定した。2つの部分を一緒に混合し、次いでアルミニウムプレート上にコーティングし、130℃~150℃の温度のオーブンに30分間入れてコーティングを硬化させ、溶媒を蒸発させ、次いで得られた硬化フィルムをプレートから取り外し、それらの弾性率についてASTM D882に従って試験し、荷重伸び曲線の最初の直線部分を使用して弾性率を計算した。弾性率の結果は、SPHPT1が117MPa、SPHPT2が59MPa、SPHPT3が116MPa、及びSPHPT4が39MPaであった。
【0131】
本出願の出願時に未公開であった本出願人のPCT出願であるPCT/CN21/080128に開示されているタイプの2液型シリコーン皮革トップコートを、以下の組成に従って調製し、同じトップコートを全ての実施例に利用した(シリコーン皮革複合材料に含まれる場合)。実施例に使用した配合を以下の表3a及び表3bに示す。
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】
表3a及び表3bの成分は、上記又は以下に定義する通りである。
ビニル末端シロキサンポリマーは、25℃で65,000mPa・sの粘度を有する、約0.08重量%のビニル含有量を有するジメチルビニル末端ポリジメチルシロキサンであり、
高ビニルシロキサンコポリマーは、25℃で15,000mPa・sの粘度及び約8.0重量%のビニル含有量を有するジメチルビニル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンコポリマーであり、
ビニル末端シロキサンコポリマー2は、25℃で300mPa・sの粘度及び約1.15重量%のビニル含有量を有するジメチルビニル末端ジメチルメチルビニルポリシロキサンコポリマーであり、
ヒュームドシリカは、300m/gのBET表面積を有するHDK(登録商標)T30P焼成シリカ(Wacker Chimie)であり、
HMDZは、ヘキサメチルジシラザンであり、
MVD(メチルビニルジオール)は、25℃で約30mPa・sの粘度及び約12.0重量%のビニル含有量を有するジメチルヒドロキシ末端ポリジメチルメチルビニルシロキサンであり、
白金触媒は、組成物の残りに対して約5000ppmの白金金属を有するポリジメチルシロキサンの溶液中の白金触媒であり、
抑制剤は、メチル(トリス(1,1-ジメチル-2-プロピニルオキシ))シランであり、
ZrAcAcマスターバッチは、ビニル末端シロキサンポリマーの50:50マスターバッチ中のジルコニウムアセチルアセトネートであり、
シラン1は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
【0135】
実施例では2つのスキン層を使用した。以下の実施例で使用した配合を表4に示す。
【0136】
【表6】
【0137】
SILASTIC(商標)LCF 8300 Skinは、布地にコーティングされたときに耐摩耗性が更に強くなるように高強度及び高硬度に設計された2成分シリコーン系であり、Dow Silicones Corporation(Midland Michigan USA)から市販されている合成シリコーン皮革のためのスキン層として使用するように設計されている。
SILASTIC(商標)LCF 8500 Skinは、布地にコーティングされたときに耐摩耗性が強くなるように高強度及び高硬度に設計された2成分シリコーン系であり、Dow Silicones Corporation(Midland Michigan USA)から市販されている合成シリコーン皮革のためのスキン層として使用するように設計されている。SILASTIC(商標)LCF 8300 Skin及びSILASTIC(商標)LCF 8500 Skinは、所望であればブレンドするように設計されている。
【0138】
スキン層1は、接着促進剤の添加を除いて、スキン層2と実質的に同じである。
【0139】
布地をスキン層に接着するために利用したシリコーンバインダ層は、Dow Silicones Corporation(Midland Michigan USA)から市販されているテキスタイル基材への高強度接着のために設計された2成分シリコーン系であるSILASTIC(商標)LCF 8400 Binderであった。
【0140】
次いで、比較例(C1~3)及び実施例Ex.1~4の選択は、シリコーンバインダ層(ii)がテキスタイル支持体(i)とスキン層(iii)との間になり、スキン層(iii)がシリコーンバインダ層(ii)とシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)との間になり、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)がスキン層(iii)とシリコーントップコート(iv)との間になるように調製した。全ての実施例で使用した剥離紙は、Dai Nippon Printing Co.Ltdから市販されているタイプDE-73Mであり、布地をスキン層に接着するために利用したシリコーンバインダ層は、SILASTIC(商標)LCF 8400であり、比較例1~3(C1~3)及びEx.1~4のそれぞれの複合材を作製するために使用した他の組成物は、以下の表5に示す。
【0141】
【表7】
【0142】
比較例1~3及び実施例1~4のそれぞれの場合において、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物、スキン層コーティング組成物、及びシリコーンバインダ組成物の部分A及び部分B組成物を混合して、それぞれの層の最終組成物を生成した。得られたスキン層コーティング組成物及びシリコーンバインダ組成物を脱気し、各シリコーン皮革複合材料を以下のように調製した。
【0143】
複合材C.1を得るために行った追加のプロセス工程は、以下の通りであった。
1)シリコーントップコート組成物を剥離紙上に塗布し、150℃で5分間硬化させて、約13μmの平均乾燥コート厚さを有するトップコート層を得た。
2)次いでシリコーンスキン層組成物をトップコート層上に塗布し、次いで120℃で1.5分間硬化させた。得られたスキン層の平均乾燥コート厚さは約125μmであった。
3)接着層組成物をスキン層の上に塗布し、布地層に積層し、次いで140℃で3分間硬化させた。接着層の平均乾燥コート厚さは約250μmであった。
4)次いでこの実施例のために剥離紙を除去した。
【0144】
複合材C.2を得るために行ったプロセスは、以下の通りであった。
1)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物を剥離紙上に塗布し、次いで150℃で3分間硬化させた。得られたシリコーン/PUハイブリッドコーティング層の平均乾燥コート厚さは約20μmであった。
2)次いでシリコーンスキン層組成物をシリコーン/PUハイブリッドコーティング層上に塗布し、120℃で1.5分間硬化させた。得られたスキン層の平均乾燥コート厚さは約125μmであった。
3)次いで接着層組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地層に積層し、140℃で3分間硬化させた。得られた接着層の平均乾燥コート厚さは約250μmであった。
5)次いでこの実施例のために剥離紙を除去した。
【0145】
それぞれの場合において、複合材C.3及び実施例1~4を得るために行ったプロセスの追加の工程は、以下の通りであった。
1)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物を剥離紙上に塗布し、150℃で3分間硬化させた。シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の平均乾燥コート厚さは約20μmであった。
2)次いでシリコーンスキン層組成物をシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の上に塗布し、次いで120℃で1.5分間硬化させた。得られたスキン層の平均乾燥コート厚さは約125μmであった。
3)次いで接着組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地層に積層し、次いで140℃で3分間硬化させた。得られた接着層の平均乾燥コート厚さは約250μmであった。
4)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層から剥離紙を除去し、シリコーントップコート組成物を当該シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層上に塗布し、150℃で5分間硬化させる。各実施例におけるシリコーントップコートの平均乾燥コート厚さは約13μmであった。
【0146】
得られた各シリコーン皮革複合材料の耐摩耗性を、GOODTECHWILL Testing Machines Co.,Ltd製のGakushin Model:GT-7020を用いて試験した。
【0147】
シリコーン皮革複合材料を10×100mmの長方形に切断し、次いで両面テープを用いてGakushin Model:GT-7020の加重試験ヘッドに取り付けた。摩耗作用は、Gakushin機器の可動湾曲プラテン上に配置された綿研磨布片(JIS L3102 6# 30mm×250mm)によって提供される。プラテンは30サイクル/分で前後に移動し、各ヘッドの総重量は1kgである。試験を2000サイクル毎に停止し、皮革複合材の表面に対する影響を観察し、以下の表6a及び表6bに示した。
【0148】
【表8】
【0149】
比較例3は、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)への接着が弱いためにシリコーントップコートを指でもこすり落とすことができたことから試験しなかった。Ex.1~4も摩耗試験後に分析し、試験に合格したと判断された。観察の詳細を以下の表6bに提供する。
【0150】
【表9】
【0151】
Ex.1~Ex.4の各々のシリコーン皮革複合材料は、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートコーティングの学振試験合格後に表面テクスチャに大きな変化はなく、柔らかい手触りを保持した。
【0152】
実施例の第2のバッチでは、本明細書のプロセスに最良の方法を評価する目的で実施例1の組成物を利用した。
【0153】
比較例4:
1)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物(SPHPT1)を剥離紙上に塗布し、次いで120℃で8分間加熱することによって硬化させた。得られた硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の厚さは約70μmであった。
2)次いでスキン層組成物SL1を硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の上に塗布し、130℃で1.5分間硬化させた。乾燥スキン層の平均厚さは約140μmであった。
3)次いでシリコーンバインダ組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地裏層に積層し、150℃で3分間硬化させた。乾燥バインダ層の平均厚さは約250μmであった。
4)最後に、剥離紙を除去し、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートを硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層上に塗布し、150℃で5分間硬化させた。硬化した乾燥シリコーントップコートの平均厚さは約10μmである。
【0154】
比較例5:
1)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物SPHPT1を剥離紙上に塗布し、次いで150℃で3分間加熱することによって硬化させた。得られた硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の厚さは約20μmであった。
2)次いでスキン層組成物SL1を硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の上に塗布し、120℃で1.5分間硬化させた。硬化した乾燥スキン層の平均厚さは約125μmであった。
3)次いでシリコーンバインダ組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地裏層に積層し、次いで140℃で3分間硬化させた。乾燥シリコーンバインダ層の平均厚さは約250μmであった。
4)最後に、剥離紙を除去し、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートを塗布した。剥離紙を除去し、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートを硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層上にコーティングし、150℃で5分間硬化させた。硬化した乾燥シリコーントップコート層の平均厚さは約50μmであった。
【0155】
比較例6:
1)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物SPHPT1を剥離紙上に塗布し、次いで150℃で3分間加熱することによって硬化させた。得られた硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の厚さは約20μmであった。
2)次いでスキン層組成物SL1を、硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の上に塗布し、120℃で1.5分間硬化させた。硬化した乾燥スキン層の平均厚さは約20μmであった。
3)次いでシリコーンバインダ組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地裏層に積層し、次いで140℃で3分間硬化させた。乾燥シリコーンバインダ層の平均厚さは約250μmであった。
4)最後に、剥離紙を除去し、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートを硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層上に塗布し、150℃で5分間硬化させた。硬化した乾燥シリコーントップコート層の平均厚さは約13μmであった。
【0156】
比較例7:
1)2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を剥離紙上に塗布し、150℃で5分間硬化させた。硬化した乾燥シリコーントップコート層の厚さは約13μmであった。
2)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物SPHPT1をシリコーントップコート層上に塗布し、次いで150℃で3分間加熱することによって硬化させた。得られた硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の平均厚さは約20μmであった。
3)次いでスキン層組成物SL1を硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の上に塗布し、120℃で1.5分間硬化させた。硬化したスキン層の厚さは約140μmであった。
4)次いでシリコーンバインダ組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地裏層に積層し、次いで140℃で3分間硬化させた。乾燥シリコーンバインダ層の平均厚さは約250μmであった。
5)剥離紙を除去する。
【0157】
実施例5
1)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物SPHPT1を剥離紙上に塗布し、次いで加熱することによって硬化させ、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層を剥離紙上に塗布し、次いで150℃で3分間加熱することによって硬化させた。得られた硬化した乾燥シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の平均厚さは約20μmであった。
2)次いでスキン層組成物SL1を硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の上に塗布し、120℃で1.5分間硬化させた。硬化した乾燥スキン層の平均厚さは約125μmであった。
3)次いでシリコーンバインダ組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地裏層に積層し、次いで140℃で3分間硬化させた。乾燥シリコーンバインダ層の平均厚さは約250μmであった。
4)最後に、剥離紙を除去し、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層上に塗布し、150℃で5分間硬化させた。シリコーントップコート層の平均厚さは約13μmであった。
【0158】
実施例6:
1)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物SPHPT2を剥離紙上に塗布し、次いで120℃で8分間加熱することによって硬化させた。得られた硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の厚さは約30μmであった。
2)次いでスキン層組成物SL1を硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の上に塗布し、130℃で1.5分間硬化させた。硬化した乾燥スキン層の平均厚さは約70μmであった。
3)次いでシリコーンバインダ組成物をスキン層の上に塗布し、次いで布地裏層に積層し、次いで150℃で3分間硬化させた。乾燥シリコーンバインダ層の平均厚さは約200μmであった。
4)最後に、剥離紙を除去し、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を硬化シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層上に塗布し、150℃で5分間硬化させた。シリコーントップコート層の厚さは約10μmであった。
【0159】
得られた6つの複合材を上記と同様に試験したところ、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層の平均乾燥コート厚さが所望の範囲よりも厚い比較例4の場合、手触りが悪いことが分かった。比較例5の場合、シリコーントップコート層の平均乾燥コート厚さが特定した上限よりも大きく、得られた複合材は光沢及び質感に著しい負の変化をもたらした。比較例6では、スキン層の平均乾燥コート厚さが必要とされる厚さ未満であり、得られた複合材は4000サイクルの学振試験後に著しく損傷しており、したがって学振試験に不合格とみなされた。比較例7の場合、プロセスの工程1として剥離紙上にシリコーントップコート層を直接塗布した。シリコーントップコートの大部分が剥離紙上に残り、結果として紙に残っていることが分かり、学振試験に不合格であった。対照的に、本発明の実施例5は、柔らかい手触りを保持することが観察され、シリコーントップコートコーティング後に表面テクスチャに大きな変化はなく、学振試験に合格し、本発明の実施例6もまた、柔らかい手触りを保持することが観察され、シリコーントップコートコーティングの塗布後に表面テクスチャに大きな変化はなく、学振試験に合格した。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン皮革複合材料であって、
(i)テキスタイル支持層と、
(ii)シリコーンバインダであって、前記テキスタイル支持層(i)及びスキン層(iii)に接着するように設計された2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物であり、ASTM D2240に従って測定される20~40のショアA硬度を有する、シリコーンバインダと、
(iii)シリコーンスキン層であって、接着促進剤を含む2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物の硬化物であり、ASTM D2240に従って測定したときに50以上(≧)のショアA硬度を有する、シリコーンスキン層と、
(iv)シリコーントップコート層であって、接着促進剤を含む2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコートの硬化物である、シリコーントップコート層と、を含み、
前記シリコーンバインダ(ii)が、テキスタイル支持体(i)と前記スキン層(iii)との間に接着されており、前記スキン層(iii)が、前記シリコーンバインダ層(ii)と前記シリコーントップコート層(iv)との間にあり、
ASTM D882に従って荷重伸び曲線の最初の直線部分を使用して弾性率を計算して決定される10MPa以上の弾性率を有するシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)が、前記シリコーンスキン層(iii)と前記シリコーントップコート層(iv)との間の前記シリコーン皮革複合材料中に提供されることを特徴とする、シリコーン皮革複合材料。
【請求項2】
シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)が、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の硬化物であり、前記組成物が、
(v)(a)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマーと、
(v)(b)任意の硬化シリコーンエラストマー粉末と、
(v)(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリレートコポリマー(EAA)、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)、又はポリウレタンポリマーのうちの少なくとも1つから選択される任意のケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子と、(v)(d)前記組成物の1重量%~10重量%の量で存在する、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンと、
(v)(f)1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、ASTM-D4274-11に従って測定したときに100mgKOH/gを超えるヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールと、
(v)(g)白金族金属系触媒と、を含む、請求項1に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項3】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、ポリウレタン硬化触媒(v)(e)を更に含む、請求項2に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項4】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、(v)(b)前記硬化シリコーンエラストマー粉末、並びに、(v)(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリレートコポリマー(EAA)、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)、又はポリウレタンポリマーのうちの少なくとも1つから選択される前記ケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子、のうちの一方又は両方を含有する、請求項2又は3に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項5】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の平均乾燥コート厚さが、本明細書に開示される方法を使用して10μm~50μmである、請求項1、2又は3に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項6】
前記シリコーントップコート層(iv)が、2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の硬化物であり、前記組成物が、
成分(iv)(a)1分子当たり少なくとも2つの不飽和基を有する1つ以上のオルガノポリシロキサンポリマーであって、不飽和基がアルケニル基、アルキニル基、又はそれらの混合物から選択され、25℃で100~500,000mPa・sの粘度を有する、オルガノポリシロキサンポリマーと、
成分(iv)(b)任意に疎水化処理されたシリカ補強充填剤と、
成分(iv)(c)1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンと、
成分(iv)(d)ヒドロシリル化触媒と、
成分(iv)(e)接着促進剤であって、前記組成物の1~5重量%の量のジルコニウムアセチルアセトネートを、
前記組成物の1~6重量%の量の1,3,5-トリス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、及び/又は1つ以上の次式のエポキシシランであって、
【化1】

式中、Rが1~6個の炭素を有するアルキル基であり、Rが1~6個の炭素を有するアルコキシ基であり、z=0、1若しくは2である、エポキシシラン、又はそれらの混合物との組み合わせと共に含む、接着促進剤と、
成分(iv)(f)エコ溶媒と、任意選択で、
成分(iv)(g)硬化シリコーン粉末と、を含む、請求項1、2又は3に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項7】
スキン層(iii)を生成するために提供される前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーンゴム組成物中の前記1つ以上の接着促進剤が、少なくとも1つのイソシアナトアルキルシラン及び/又は1つのエポキシシランを含む、請求項1、2又は3に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項8】
前記シリコーンスキン層(iii)の平均乾燥コート厚さが70μm~200μmであり、及び/又は
前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート(iv)の平均乾燥コート厚さが5~20μmであり、及び/又は前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の平均乾燥コート厚さが10μm~50μmである、請求項1、2又は3に記載のシリコーン皮革複合材料。
【請求項9】
請求項1に記載のシリコーン皮革複合材料を調製するための方法であって、
(a)剥離紙をシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の層でコーティングし、前記組成物を硬化させて、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)を提供する工程と、
(b)前記硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上にシリコーンスキン組成物の層を塗布し、前記シリコーンスキン組成物を硬化させて、シリコーンスキン層(iii)を提供する工程と、
(c)硬化したシリコーンスキン層(iii)上にシリコーンバインダ組成物の層を塗布し、前記シリコーンバインダ組成物上にテキスタイル層(i)を適用し、前記組成物を硬化及び/又は積層して、前記テキスタイル支持層(i)と前記スキン層(iii)との間にシリコーンバインダ層(ii)を形成する工程と、
(d)前記硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)から前記剥離紙を除去する工程と、
(e)前記硬化したシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)上に2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物の層を塗布し、前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を硬化させて、シリコーントップコート層(iv)を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項10】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物を120℃~180℃の温度で2~10分間硬化させて、本明細書に記載の方法を使用して10μm~50μmの平均乾燥コート厚さを得る、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記2液型ヒドロシリル化硬化性シリコーントップコート組成物を130℃~160℃の温度で2~8分間硬化させて、本明細書に開示される方法を使用して5~20μmの平均乾燥コート厚さを有するシリコーントップコート(v)を形成する、請求項9又は10に記載のプロセス。
【請求項12】
請求項1に記載のシリコーン皮革複合材料における耐摩耗性の改善のための、ASTM D882に従って荷重伸び曲線の最初の直線部分を使用して弾性率を計算して決定される10MPa以上の弾性率を有するシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の使用。
【請求項13】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、
(v)(a)シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマーと、
(v)(b)任意の硬化シリコーンエラストマー粉末と、
(v)(c)ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、エチレン-アクリレートコポリマー(EAA)、エチレン-ブチルアクリレートコポリマー(EBA)、エチレン-メチルアクリレートコポリマー(EMA)、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)、又はポリウレタンポリマーのうちの少なくとも1つから選択される任意のケイ素不含有機粒子及び/又は微粒子と、
(v)(d)前記組成物の1重量%~10重量%の量で存在する、1分子当たり少なくとも2つ、あるいは少なくとも3つのケイ素結合水素(-Si-H)基を含有するポリオルガノシロキサンと、
(v)(f)1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、ASTM-D4274-11に従って測定したときに100mgKOH/gを超えるヒドロキシル価を有するポリエーテルポリオールと、
(v)(g)白金族金属系触媒と、を含む、請求項12に記載のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の使用。
【請求項14】
前記シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物が、ポリウレタン硬化触媒(v)(e)を更に含む、請求項12に記載のシリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング組成物の使用。
【請求項15】
家具、装飾、ハンドバッグ、バインダ、旅行かばん、衣類、電話カバー、電子商品用カバー、ブックカバー、履物、自動車の内装、自動車のシート、ウェアラブルデバイス、及び/若しくは医療用ベッド/シートにおける又はこれらのための、請求項1、2若しくは3のいずれか一項に記載のシリコーン/ポリウレタン複合皮革材料中の、又は請求項9に記載の方法に従って調製された、シリコーン/ポリウレタンハイブリッドプレポリマー系コーティング層(v)の層の使用。
【国際調査報告】