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特表2025-501873口腔内スキャナ、口腔内スキャニングシステム、口腔内スキャン方法及びコンピュータプログラム製品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】口腔内スキャナ、口腔内スキャニングシステム、口腔内スキャン方法及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/245 20060101AFI20250117BHJP
   A61C 9/00 20060101ALI20250117BHJP
   G06T 7/593 20170101ALI20250117BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20250117BHJP
【FI】
G01B11/245 H
A61C9/00 Z
G06T7/593
G03B35/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534120
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2022084873
(87)【国際公開番号】W WO2023104929
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】21212940.7
(32)【優先日】2021-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506030918
【氏名又は名称】ソプロ エスエー
【住所又は居所原語表記】ZAC Ath▲e▼lia IV,Avenue desGen▲e▼vriers,F-13705 La Ciotat Cedex FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジアーニ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ピナレロ ジョルダーノ
(72)【発明者】
【氏名】バイリニ アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ナソン フランチェスカ
(72)【発明者】
【氏名】セザラット アンナ
【テーマコード(参考)】
2F065
2H059
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065BB05
2F065CC16
2F065FF05
2F065FF09
2F065GG04
2F065GG12
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065LL08
2F065LL10
2H059AA08
2H059AA24
2H059AB13
2H059CA04
5L096AA06
5L096AA09
5L096BA06
5L096BA13
5L096CA05
5L096CA17
5L096DA01
5L096FA66
5L096GA55
5L096HA11
5L096MA07
(57)【要約】
【課題】口腔内スキャナ、口腔内スキャニングシステム、口腔内スキャン方法及びコンピュータプログラム製品を提供すること。
【解決手段】口腔内ステレオビジョンのための口腔内スキャナ(3)が提案されている。口腔内スキャナ(3)は、ドットパターン(6)を撮像対象に投影するためのプロジェクタ(4)であって、放射光源と、前記放射光線源から放射される放射光からドットパターン(6)を生成する光学系とを有するプロジェクタ(4)と、撮像対象(2)上に投影されたパターン(6)を撮像するための少なくとも2台のカメラ(7,8)であって、前記撮像対象上で重複する視野を有するように配置されるカメラ(7,8)と、を備える。ドットパターン(6)は基板上に非周期的に配置された2次元マイクロレンズアレイによって生成される非周期的なドットパターンであり、前記マイクロレンズアレイは、放射方向についての前記撮像対象の前の最終のビーム整形光学素子である。口腔内スキャナ(3)は、口腔内スキャニングシステム及び口腔内スキャンに基づいて歯列(2)の3次元モデルを生成する方法に使用できる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化パターンを撮像対象に投影するためのプロジェクタであって、放射光源と、前記放射光線源から放射される放射光から前記構造化パターンを生成する光学系とを有するプロジェクタと、
前記撮像対象上に投影されたパターンを撮像するための少なくとも2台のカメラであって、前記撮像対象上で重複する視野を有するように配置されるカメラと、
を備え、
前記パターンは基板上に非周期的に配置された2次元マイクロレンズアレイによって生成される非周期的なドットパターンであり、
前記マイクロレンズアレイは、放射方向についての前記撮像対象の前の最終のビーム整形光学素子である、
口腔内スキャナ。
【請求項2】
マイクロレンズに到達するビームの光線はコリメートされていない、
請求項1に記載の口腔内スキャナ。
【請求項3】
ビームはマイクロレンズにより形成されたサブビームを含み、前記サブビームは前記マイクロレンズアレイの前記撮像対象側に収束する、
請求項1又は2に記載の口腔内スキャナ。
【請求項4】
ドットのサイズが最小となる作動距離はマイクロレンズの焦点距離よりも大きく、ここで、前記作動距離と前記焦点距離はそれぞれ、放射方向について、基板の表面における前記マイクロレンズの底面から測定される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔内スキャナ。
【請求項5】
サブビームは、放射方向に関して、前記マイクロレンズアレイの前及び/又は後に配置された少なくとも1つのミラーによって横方向に偏向される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔内スキャナ。
【請求項6】
前記ミラーは、入射光を前記カメラに向かって偏向する、
請求項5に記載の口腔内スキャナ。
【請求項7】
マイクロレンズはハニカム構造に配置され、各マイクロレンズの中心は、ランダムに選択された距離及び方向だけ、対応するハニカムセルの中心からずらされる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の口腔内スキャナ。
【請求項8】
前記放射光源はレーザダイオードであり、前記レーザダイオードから出射されるビームの発散は、前記レーザダイオードと前記マイクロレンズアレイの間に配置された光学素子によって均一化(ホモジナイズ)される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の口腔内スキャナ。
【請求項9】
前記カメラが同じ方向を向いている、
請求項1~8のいずれか1項に記載の口腔内スキャナ。
【請求項10】
前記マイクロレンズアレイの中心は前記カメラ間のベースラインから離れた位置に配置される、
請求項1~9のいずれか1項に記載の口腔内スキャナ。
【請求項11】
前記マイクロレンズアレイは、ビームのビーム軸に対して垂直な軸に向かって角度αだけ傾けられた、
請求項1~10のいずれか1項に記載の口腔内スキャナ。
【請求項12】
前記角度αは、一般に、マイクロレンズの底面を形成する基板の前面に沿って見た場合、ビーム軸と前記カメラの視野の軸との間の角度βの半分より大きい、
請求項11に記載の口腔内スキャナ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の口腔内スキャナであって、前記カメラの各々が歯列上に投影されるパターンの一連の画像を生成する、口腔内スキャナと、
各カメラによって生成された同期した前記一連の画像を用いて生成された視差マップに基づいて前記歯列の3次元モデルを生成するための前記口腔内スキャナに接続されたデータ処理ユニットと、
を備えたアクティブステレオビジョンに基づいて歯列の3次元モデルを生成する口腔内スキャニングシステム。
【請求項14】
前記データ処理ユニットは、次の動作:
少なくとも2台のカメラを用いて一連の同期画像を取得すること、
同期された画像のペアであって、各画像が異なるカメラから撮影されたものである、画像のペアに基づいて視差マップを生成すること、
前記視差マップに基づいて深度マップを生成すること、
前記深度マップを登録すること、
撮像された歯列の表面を定める点のメッシュを生成すること、
を実行するように構成された、
請求項13に記載の口腔内スキャニングシステム。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか1項に記載の口腔内スキャナから歯列の一連の画像を取得すること、
各カメラによって生成された前記一連の画像を用いて生成された視差マップに基づいて歯列の3次元モデルを生成するために、前記口腔内スキャナに接続されたデータ処理ユニットを使用すること、
を備えたアクティブステレオビジョンに基づいて歯列の3次元モデルを生成する方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法を実装するためのプログラムコードを含む、
コンピュータプログラム製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内スキャナであって、構造化パターンを撮像対象に投影するためのプロジェクタであって、放射光源と、前記放射光線源から放射される放射光から前記構造化パターンを生成する光学系とを有するプロジェクタと、前記撮像対象上に投影されたパターンを撮像するための少なくとも2台のカメラであって、前記撮像対象上で重複する視野を有するように配置されるカメラと、を備える口腔内スキャナに関する。
【0002】
本発明はさらに、口腔内スキャニングシステム、口腔内スキャン方法、及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1は、パターンを生成するためにマイクロレンズアレイを使用する口腔内スキャナを開示しており、当該パターンはさらなる光学系によって歯列上に結像される。当該口腔内スキャニングシステムは、三角測量によって歯列の3次元モデルを生成するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/236934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知の口腔内スキャナの欠点は、口腔内スキャナを製造するために多数の部品を組み立てなければならない複雑さである。
【0006】
この関連技術に基づいて、本発明は、少なくとも従来の口腔内スキャナと同等の精度で歯列の3次元モデルを生成できる、複雑さを軽減した口腔内スキャナ及び関連する口腔内スキャニングシステムを提供することを目的とする。本発明はさらに、対応する方法及びコンピュータプログラム製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、独立請求項に係る特徴を備えた口腔内スキャナ、口腔内スキャニングシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品によって達成される。有利な実施形態及び改良点は、従属請求項に特定されている。
【0008】
当該口腔内スキャナにおいて、パターンは基板上に非周期的に配置された2次元マイクロレンズアレイによって生成される非周期的なドットパターンであり、このマイクロレンズアレイは、放射方向についての撮像対象の前の最終のビーム整形光学素子である。このような不規則なマイクロレンズの配列は、放射光源により放射される放射光がドットパターンの生成に全て使用されるため、口腔内の組織の表面を測定するのに特に有用である。そのため、カメラで撮影した画像において、パターンのドットが明瞭に視認できる。マイクロレンズが高密度に配列されているため、ドットパターンも非常に密になり、歯列の形状を高精度に決定することができる。マイクロレンズの横方向の広がりが小さいため、マイクロレンズアレイによって、深さ方向の高解像度が得られる。したがって、マイクロレンズアレイと撮像対象との間にさらなるビーム整形光学系は必要なく、口腔内スキャナの複雑さは従来の口腔内スキャナと比較して大幅に軽減される。
【0009】
本出願の文脈では、ミラー又は平板窓はビーム整形光学素子とはみなされないことに留意されたい。
【0010】
マイクロレンズに到達するビームの光線は一般にコリメートされていないため、ドットのサイズが最小になる作動距離はマイクロレンズの焦点距離よりも大きくなる。ここで、作動距離と焦点距離はそれぞれ、放射方向について、基板の表面におけるマイクロレンズの底面から測定される。
【0011】
サブビームは、撮像対象上のドットパターンのサイズについての要求に応じて、放射方向に関して、マイクロレンズアレイの前及び/又は後に配置された少なくとも1つのミラーによって横方向に偏向され得る。ミラーがマイクロレンズアレイの後に配置されている場合、ドットパターンは、ミラーがマイクロレンズアレイの前に配置されている場合に得られるドットパターンよりも大きくなり得るが、後者の場合、口腔内スキャナはよりコンパクトになる。
【0012】
ミラーは、ドットパターンの拡大されたサイズに応じて視野が拡大されるように、入射光をカメラに向かって偏向することもできる。
【0013】
一実施形態では、マイクロレンズはハニカム構造に配置され、各マイクロレンズの中心は、ランダムに選択された距離及び方向だけ、対応するハニカムセルの中心からずらされる。これにより、外形がほぼ円形のマイクロレンズの密度を最大化することができる。
【0014】
放射光源は一般にレーザダイオードであり、レーザダイオードから出射されるビームの発散は、レーザダイオードとマイクロレンズアレイの間に配置された光学素子によって均一化(ホモジナイズ)される。
【0015】
カメラは同じ回路基板上に容易に並べて取り付けることができるため、通常は同じ方向を向いている。カメラが同じ方向を向いている場合、深さ方向の解像度も最大になる。
【0016】
カメラの視野が十分に重なり合うように、カメラは互いに隣り合って配置され、マイクロレンズアレイの中心はカメラ間のベースラインから離れた位置、通常はカメラの下方に配置される。
【0017】
マイクロレンズアレイは、マイクロレンズと撮像対象の表面との間の距離を等しくするために、ビームのビーム軸に対して垂直な軸に向かって角度αだけ傾けることができる。
【0018】
角度αは、一般に、マイクロレンズの底面を形成する基板の前面に沿って見た場合、ビーム軸とカメラの視野の軸との間の角度βの半分より大きい。
【0019】
アクティブステレオビジョンを使用して歯列の3次元モデルを生成する口腔内スキャニングシステムは、上述のような口腔内スキャナを備え、各カメラが歯列上に投影される一連の画像パターンを生成する。口腔内スキャニングシステムは、各カメラによって生成された同期した一連の画像を用いて生成された視差マップに基づいて歯列の3次元モデルを生成するための口腔内スキャナに接続されたデータ処理ユニットをさらに備える。
【0020】
口腔内スキャニングシステムのデータ処理ユニットは、特に次の動作を実行するように構成される:
-少なくとも2台のカメラを用いて一連の同期画像を取得すること、
-同期された画像のペアであって、各画像が異なるカメラから撮影されたものである、画像のペアに基づいて視差マップを生成すること、
-視差マップに基づいて深度マップを生成すること、
-深度マップを登録すること、
-撮像された歯列の表面を定める点のメッシュを生成すること。
【0021】
アクティブステレオビジョンに基づいて歯列の3次元モデルを生成するための対応する方法は、以下の動作を含むことができる:
-上述の口腔内スキャナから歯列の一連の画像を取得すること、
-口腔内スキャナの各カメラによって生成された一連の画像を用いて生成された視差マップに基づいて歯列の3次元モデルを生成するために、口腔内スキャナに接続されたデータ処理ユニットを使用すること。
【0022】
コンピュータプログラム製品には、データ処理装置上で実行する際に当該方法を実装するためのプログラムコードが含まれている。
【0023】
本発明のさらなる利点及び特性は、本発明の例示的な実施形態が図面に基づいて詳細に説明される以下の説明で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】口腔内スキャンシステムを示す図である。
図2図1の口腔内スキャナのいくつかの内部構成要素の斜視図である。
図3】口腔内スキャナのプロジェクタ及びカメラの正面斜視図である。
図4】プロジェクタのレーザダイオードによって照射される放射光ビームのビーム経路の斜視図である。
図5】ビーム形成マイクロレンズアレイに入射する光線のビーム経路を示す図であり、ビーム経路はレーザダイオードの放射光放射領域の面内に示されている。
図6】ビーム形成マイクロレンズアレイに入射する光線のビーム経路を示す図であり、ビーム経路はレーザダイオードの放射光放射領域の面に対して垂直な面内に示されている。
図7】ビーム形成マイクロレンズの外形と空間配置を示す図である。
図8】口腔内スキャナのカメラシステムの上面図である。
図9】口腔内スキャナのプロジェクタ及びカメラシステムの側面図である。
図10】ステレオビジョンの基本原理を示す図である。
図11】作動距離8mmでのステレオビジョンを示す図である。
図12】作動距離10mmでのステレオビジョンを示す図である。
図13】作動距離12mmでのステレオビジョンを示す図である。
図14】作動距離14mmでのステレオビジョンを示す図である。
図15】作動距離16mmでのステレオビジョンを示す図である。
図16】作動距離18mmでのステレオビジョンを示す図である。
図17】口腔内スキャナのデータ処理ユニットによって実行されるデータ処理の流れ図を示す。
図18】前処理の詳細を示す図である。
図19】コアデータ処理の詳細を示す図である。
図20】データ処理中に実行されるモデル生成の詳細を示す図である。
図21】口腔内スキャナによって得られた表面解像度を実証する図である。
図22】実施形態の変形例の先端領域の斜視図である。
図23】実施形態の更なる変形例の先端領域の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、歯列2の3次元モデルを生成するために使用できる口腔内スキャニングシステム1を示す。口腔内スキャニングシステム1は、長手方向軸Lに沿って延びる口腔内スキャナ3を備える。スキャナ3内に配置されたプロジェクタ4は放射光5を放射し、歯列2上にドットパターン6を投影する。ドットパターン6は、第1のカメラ7と第2のカメラ8によって同期して撮像される。プロジェクタ4、第1のカメラ7、及び第2のカメラ8の動作は、スキャナ3のハンドル10内に配置され得る制御ユニット9によって制御され得る。第1のカメラ7及び第2のカメラ8によって生成されたデジタル画像は、データ処理ユニット11に転送される。データ処理ユニット11は、データバス12、プロセッサ13、およびデジタル画像および本明細書で説明するデジタル画像の処理に使用されるであろうコンピュータプログラムなどのデータを記憶する記憶手段14を備える。データ処理装置11には、キーボードやマウスなどの通常の入力手段15や、ディスプレイ16などの通常の出力手段が設けられていてもよい。
【0026】
図2は、口腔内スキャナ3のいくつかの内部構成要素の斜視図である。口腔内スキャナ3の先端には、プロジェクタ4が配置されている。プロジェクタ4には、口腔内スキャナ3の先端に向かって長手方向に放射光5を放射するレーザダイオード17からなる放射光源が設けられる。放射光5はミラー18によって横方向に偏向される。偏向された放射光は、マイクロレンズアレイ19に入射する。当該マイクロレンズアレイ1は、ドットパターン6のための放射光5が通過して口腔内スキャナ3から出る窓を形作るものであってよい。
【0027】
レーザダイオード17は、典型的には20~100mWの出力範囲で動作し、400~500nmの波長範囲の放射光を放射するものであってよい。波長が短いほど空間精度が向上することが知られている。レーザダイオード17は、450nm±5nm又は405nm±5nmの範囲の波長、又は好ましくは約450nm若しくは405nmの波長で放射光5を放射するものであってよい。カメラ7及び8の感度を考慮すると、450nm±5nm、特に450nmの波長を使用することが有利であり得る。これは、カメラ7および8がこれらの波長でより感度が高くなる傾向があり、空間精度ごとの信号対雑音比は、この波長で最大になるからである。
【0028】
プロジェクタ4には、追加の放射光を歯列2に照射するための二次放射光源をさらに設けてもよい。この二次放射光源は図1と2には示されていない。二次放射光源は、歯列2のカラー写真を撮るため、または虫歯を検出するため、特に米国特許出願公開第2006/0227216A1号に記載されているようにして虫歯を検出するために使用することができ、キセノンランプは近紫外線範囲内の放射光を放射するLEDに置き換えてもよい。
【0029】
口腔内スキャナ3はさらにベースプレート20を備え、その上に第1のカメラ7及び第2のカメラ8が取り付けられる。ベースプレートには制御ユニット9が搭載されていてもよい。ベースプレート20には、口腔内スキャナ3をデータ処理ユニット11に接続するためのコネクタ21が搭載される。
【0030】
図3は、プロジェクタ4と2つのカメラ7及び8の正面斜視図である。プロジェクタ4は、レーザダイオード17を備えている。また、プロジェクタ4には、後述するようにビーム整形光学系として用いられるロッドレンズ22が設けられている。ミラー18および最終マイクロレンズアレイ19は、放射光5の経路に沿ってロッドレンズ22の後ろに設けられる。
【0031】
図4は、レーザダイオード17からドットパターン6が投影される撮像対象24の表面23までの放射光5の経路を示す。放射光5は、楕円形の断面を有する放射光ビーム25としてレーザダイオード17から出射する。ロッドレンズ22は、ビーム発散が全方向についてより均一になるように、放射光ビーム25のビーム発散を一方向に広げる。ロッドレンズ22によって整形された放射光ビーム25はミラー18に入射し、ミラー18は放射光ビーム25をマイクロレンズアレイ19に向かって横方向に偏向させる。
【0032】
マイクロレンズアレイ19は、口腔内スキャナ3の長手方向軸Lと平行に位置決めされている。したがって、ドットパターン6は、第1のカメラ7の視野27と第2のカメラ8の視野28の重複領域によって画定される走査領域26内に位置するように、スキャナ3の長手方向軸Lに関して横方向に投影され、走査領域26がドットパターン6の少なくとも一部をカバーするように、視野27および視野28も横方向に位置決めされている。
【0033】
図4では、放射光ビーム25がビーム軸29に沿って進むように示されている。図5は、レーザダイオード17の放射光放射領域30の面におけるビーム軸29に沿った放射光ビーム25の断面図である。この放射光放射領域30は、レーザダイオード17のpn接合面であってもよい。
【0034】
簡略化のため、図5ではミラー18を省略している。
【0035】
図5から分かるように、放射光ビーム25は、マイクロレンズアレイ19のマイクロレンズ32によって形成される多数のサブビーム31を含む。マイクロレンズ32は、レーザダイオード17によって放射される放射光5に対して透明な基板33上に配置される。マイクロレンズ32は基板33の前面34上に形成され、前面34は撮像対象24に面する側の面である。マイクロレンズアレイ19のマイクロレンズ32は平凸レンズであり、その平坦な底面が基板33の前面34上に配置され、その湾曲面が撮像対象24に面している。曲率半径は典型的には2~3mmの範囲で、これは焦点距離4~6mmに相当する。曲率半径は例えば2.5mmであってよく、これは5mmの焦点距離に相当する。マイクロレンズアレイ19は、その総面積が20~70mmであってよい。マイクロレンズ32の密度は、1cm当たり1200個から6000個の範囲であってよい。
【0036】
マイクロレンズ32は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリカーボネート(PC)製であってよい。なぜなら、両方とも適切な成形性を示すからである。曲率半径は、必要な焦点距離およびマイクロレンズ32の形成に使用される材料の種類に依存する。曲率半径の範囲2~3mmについても、材料に応じて変化する。
【0037】
各マイクロレンズ32は、レーザダイオード17の射出瞳を撮像対象24の表面23上で分離した領域に結像し、これにより、撮像対象24の表面23上にドットパターン6を生成する。ドットパターン6の投影像は、各サブビーム31が収束してドット36となる場所として定義される投影面35に結像する。これは、それぞれのサブビーム31の断面の横方向の広がりが最小となっていることを意味する。すべてのマイクロレンズ32が同じ焦点距離を有する場合、投影面35は一般に平面である。
【0038】
投影面35上のドットパターン6の各ドット36は、レーザダイオード17の射出瞳の像である。各サブビーム31においてマイクロレンズ32に入射する光線は平行ではなく発散しているため、マイクロレンズ32の焦点距離は物体距離Dよりも短い。ここで、物体距離Dは、ビーム軸29に沿った、投影面37の基板33の前面34からの距離である。。
【0039】
マイクロレンズ32以外の唯一のビーム整形光学素子は、マイクロレンズアレイ19とレーザダイオード17との間に配置されたロッドレンズ22である。放射光放射領域30の面内では、ロッドレンズ22はサブビーム31を変化させずそのままにする。したがって、放射光放射領域30の面内において、ロッドレンズ22は平板窓としての効果のみを有する。
【0040】
本出願の文脈では、ミラーまたは平板窓はビーム整形光学素子とはみなされないことに留意されたい。したがって、実施形態の変形例では、マイクロレンズアレイ19は、マイクロレンズアレイ19と撮像対象24との間に位置する出射窓によって保護され得る。実施形態の更なる変形例では、放射光ビーム25は、放射光5の方向についてマイクロレンズアレイ19の後ろに配置されたミラーによって横方向に偏向されてよい。このミラーは、ミラー18とは異なる追加のミラーであってもよいし、ミラー18を置き換えるものであってもよい。
【0041】
マイクロレンズ32の横方向の広がりが小さいため、マイクロレンズアレイ19の撮像対象側のサブビーム31の形状を定めるエッジ光線37の方向は、小さな角度で収束するものとなる。したがって、サブビーム31の断面はビーム軸29に沿って緩やかに変化する。その結果、ドットパターン6は大きな深さ方向の解像度を備え、これは、口腔内スキャナ3が歯列から常に所定の距離に保持されるわけではなく、投影面35は一般に撮像対象24の表面23と一致しないという事実に対して有利に働く。さらに、撮像対象24の表面23は一般に平面を構成しない。
【0042】
マイクロレンズアレイ19はさらに、ドットパターン6を生成するために放射光を吸収し止めるマスクが必要ないため、レーザダイオード17によって照射された放射光5がドットパターン6の生成に全て使用されるという利点を有する。
【0043】
図6は、放射光放射領域の面に対して垂直な面内の個々のマイクロレンズ32に関連付けられたサブビーム31のビーム経路を示す。図5と同様に、簡略化のためにミラー18は省略されている。
【0044】
図6から、ロッドレンズ30は、レーザダイオード17から放射される放射光ビーム25の発散を増加させ、ビーム25がマイクロレンズアレイ19を完全に照らすことが分かる。
【0045】
上述したように、レーザダイオード17のビーム25は、楕円形の断面を有する。これは、レーザダイオード17の放射光放射領域30の面内でのビーム発散が、放射光放射領域30の面に対して垂直な方向におけるビーム発散よりも大きいためである。ロッドレンズ22は、放射光放射領域30の面に対して垂直な方向におけるビーム発散を増加させ、ビーム25の発散を均一化する。したがって、ロッドレンズ22の長手方向軸は、レーザダイオード17の放射光放射領域30の面内に位置する。
【0046】
マイクロレンズ32は必ずしも基板33の前面34に配置される必要はないことに留意されたい。代わりに、マイクロレンズ32は、レーザダイオード17に面する基板33の反対側の後面38に配置されてもよい。この場合、マイクロレンズ32の焦点距離は、基板33の表面と投影面35に結像されるレーザダイオード17の射出瞳との間の距離よりも短くなければならない。
【0047】
図7は、マイクロレンズアレイ19を上から見た図である。マイクロレンズ32は、ハニカム構造39を形成する六角形のグリッド上に配置されており、六角形のハニカム境界40がハニカムセル41を画定している。
【0048】
ドットパターン6内の投影パターンのサブパターンを識別できるようにするために、マイクロレンズ32は非周期的に配置されている。各マイクロレンズ32の中心は、ランダムに選択された方向にランダムに選択された量だけ直線的にシフトされ、シフトの量は、選択された方向におけるハニカム中心42からハニカム境界40までの距離よりも小さい。シフトの量は通常、ハニカム中心42からハニカム境界40までの距離の10~20%の範囲である。シフトの方向および量は、変位矢印43によって例示的に示されている。したがって、デジタル画像データと、検索されたドットパターン6のサブパターンとの相関関数を計算することにより、デジタル画像におけるドットパターン6のサブパターンの位置を特定することができる。検索されたサブパターンの位置が特定された後は、個々のドット36の位置さえも決定することができる。
【0049】
マイクロレンズ32の寸法、特にその厚さおよび曲率半径は、マイクロレンズ32が互いに当接し、マイクロレンズ32間に隙間が残らないように選択される。したがって、ハニカム構造39内では、マイクロレンズアレイ19の外面におけるマイクロレンズ32の輪郭は、通常、基板33の前面34から離れている。
【0050】
マイクロレンズ32をハニカム構造39に配置する利点は、マイクロレンズ32のハニカム境界40がほぼ円形であることである。長方形の格子上に配置されたマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイと比較して、マイクロレンズの中心から離れた位置、特に輪郭の角付近、で最も顕著となるレンズ誤差が減少する。さらに、ハニカム構造39により、ドットパターン6におけるドット36の密度を最大化することができる。
【0051】
図8は、カメラ7および8とそれぞれの視野27及び28を上から見た図である。カメラ7及び8は両方とも、視野27および28のそれぞれの軸44および45が同じ方向を向くようにベースプレート20上に実装されてよい。両方のカメラ7および8には、ドットパターン6を含む撮像対象24をセンサ47上に撮像するカメラ光学系46が設けられており、センサ47は、一般に、撮像対象24およびドットパターン6のデジタル画像を生成するセンサチップである。
【0052】
両方のカメラ7及び8の視野27及び28は、両方の視野27および28の長辺が、2つのカメラ7及び8のセンサ47の中心間に延びる長さbのベースライン48に沿って延びる長方形の形状を有する。ベースライン48の長さbは、両方のカメラ7および8の視野27および28が重なるように選択される。両方の視野27及び28の重なり合う領域は走査領域26であり、典型的には幅が9~20mmであり、高さが7.5~16mmである。
【0053】
カメラ7および8には、撮像対象24から来てセンサ47に入射する放射光の光路に配置された波長フィルタ49がさらに設けられてもよい。波長フィルタ49は、例えば、カメラ光学系46の前に配置され得る。かかる波長フィルタは、米国特許出願公開第2006/0227216号明細書に詳細に記載されているように、虫歯又はう蝕を検出するのに有用であり得る。
【0054】
口腔内スキャナ3は2つの別個の動作モードで動作できることに留意されたい。上述の二次放射光源がオンになり、レーザダイオード17がオフになる第1の動作モードでは、歯列2のカラー画像を撮影することができる。この動作モードは、歯列2の虫歯またはう蝕を検出するために使用することもできる。第2の動作モードでは、歯列2の3次元モデルを生成するためにレーザダイオード17が使用される。
【0055】
以下、3次元モデルを生成する第2の動作モードについて説明する。
【0056】
マイクロレンズアレイ19は、カメラ7及び8とプロジェクタ4のマイクロレンズアレイ19の側面図を示す図9に示すように、2台のカメラ7および8の下方で2台のカメラ7及び8の間に配置される。マイクロレンズアレイ19は、投影されたドットパターン6が、作動距離WDの広い範囲にわたって、カメラ7及び8の走査領域26内に少なくとも部分的に入るように配置される。作動距離WDは、カメラ7及び8のうちの1つの入射瞳と、カメラ7又は8の視野27又は28の軸44又は45に沿って測定された走査領域26との間の距離である。マイクロレンズアレイ19は、マイクロレンズ32と撮像対象24の表面23との間の距離を均等にするために、ビーム25のビーム軸29に対して垂直方向の軸に向かって20°から30°の範囲の角度αだけ傾けられる。角度αは、一般に、マイクロレンズ32の底面を形成する基板33の前面34に沿って見た場合、ビーム軸29と視野44および45の軸のうちの1つとの間の角度βの半分より大きい。
【0057】
図10は、コンピュータステレオビジョンの基本原理を示す。撮像対象24の表面23上の点は、位置x1で第1のカメラ7のセンサ47上に結像され、位置x2で第2のカメラ8のセンサ47上に結像される。これらの画像上の点は、両方のデジタル画像においてホモローグ点と呼ばれることもある。両方のセンサ47の中心は、ベースラインbだけ離れている。カメラ光学系46によって形成される入射瞳の中心も、長さbの距離だけ離れている。入射瞳とセンサ表面との間の距離がfに等しい場合、ドット36の位置と入射瞳との間の距離dは、中心投影の原理に基づいて次のように計算できる。
【数1】
【0058】
+xの合計がいわゆる視差である。したがって、視差はドット36の距離dに反比例する。走査領域26内で、走査領域26内の各画像上の点の視差を示す、いわゆる視差マップを生成することができる。視差マップのグラフィック表現は通常、グレースケールでエンコードされ、グレーレベルは視差に反比例する。これは、より小さい作動距離WDにおける撮像対象24の表面23上の点は、より大きな作動距離WDにおける物体24の表面23上の点よりも明るく見えることを意味する。
【0059】
図11は、作動距離8mmにおけるプロジェクタ4とカメラ7及び8の間の空間的な関係を示す。上の図には、第1のカメラ7で撮影されたドットパターン6の左のデジタル画像と、第2のカメラ8で撮影された右のデジタル画像が含まれている。
【0060】
下の図は、左のデジタル画像と右のデジタル画像が重複する走査領域26に基づいて計算された結果として得られる視差マップを示す。
【0061】
続く図12から16は図11に対応する図であり、その作動距離は10mm、12mm、14mm、16mm、及び18mmである。視差マップでは、視差はより暗くなり、作動距離の増加に応じて視差の値がより小さくなることが示されている。作動距離が大きくなると視差は減少するが、十分な精度で距離を決定するにあたっては依然として十分に大きい。
【0062】
2台のカメラ7および8によって撮影されたデジタル画像は、アクティブステレオビジョン(ASV)の原理に従って処理され、それ自体は当技術分野で周知の方法である。この方法では、構造化光が撮像対象24上に投影され、3次元の撮像対象24は、異なる位置に配置された少なくとも1対のカメラによって撮影されたデジタル画像の対に基づいて、重複する走査領域26内の視差を決定することによって再構成される。
【0063】
図17は、第1のカメラ7及び第2のカメラ8によって撮影されたデジタル画像に基づいて3次元画像を再構成する方法の主なステップを示している。この方法は、カメラ7及び8によって記録されたデジタル画像に基づいてデータ処理ユニット11のプロセッサ13によって実行されてよい。以降では、これらのデジタル画像はフレームとも呼ばれる。この方法は、カメラ7及び8によって生成された高密度画質のトゥルーカラーの一連のデジタル画像を取得する方法ステップである画像取り込み50で始まる。デジタル画像またはフレームは、第1のカメラ7及び第2のカメラ8によって同期して撮影される。フレームレートは典型的には、50~80フレーム/秒の範囲である。
【0064】
後続の前処理ステップ60では、フレームが前処理される。例えば、撮像された組織が自動的に分類されてよい。軟組織に関連する画像領域はフレームから削除され、さまざまな撮像対象間の余白(マージン)が自動的に検出される。これらのタスクは、ニューラルネットワークまたは他の形式の人工知能によって実行されてよい。
【0065】
コア方法70では、スキャンされた歯列2の3次元形状に関する情報が画像から抽出される。例えば、視差マップに基づいて深度マップが生成され、口腔内スキャナ3の異なる位置に関する個々の深度マップが結合され、歯列2の表面を定めるメッシュが形成される。
【0066】
さらなるモデル生成ステップ80において、歯列2の3次元モデルが生成される。
【0067】
視覚化ステップ90では、構築された3次元モデルを最終的にデータ処理ユニット11のディスプレイ16上に視覚化することができる。
【0068】
オプションの後処理ステップ100では、オペレータによって3次元モデルが編集され、仕上げがなされる。
【0069】
図18は、前処理60のさらなる詳細を示す。
【0070】
前処理はフレーム検証61から始まる。このステップでは、フレームが口腔を示していることを確認するために、フレームが分析されて、期待される情報内容が含まれているかどうかが検証される。
【0071】
フレーム検証61の後に、フレーム調整62が続く。このステップでは、次の処理ステップに向けてフレームが整えられる。フレームは解像度変更(リスケール)、切抜き(クロップ)、傾き補正(デスキュー)又は平準化(イコライズ)される。
【0072】
フレーム調整62の後、セグメンテーションステップ63でフレーム内に撮影された組織の種類がセグメント化される。
【0073】
図19は、この方法のコアをさらに示している。
【0074】
最初のステップとして、修正71が実行される。修正71は、同じ時点に第1のカメラ7と第2のカメラ8によって生成された対応するフレームに適用される。2つのフレーム内のホモローグ点が水平線上に位置するように、両方のフレームは再マッピングされる。後続の深度マップ生成72では、2つのフレーム内のホモローグ点が照合され、それらの間の視差が視差マップに格納される。視差マップから、図10に関連して上述したステレオビジョンの原理に従って、当該シーンの深度マップが得られる。
【0075】
新しいフレームのペアごとに、新しく生成された深度マップが、深度マップのホモローグな3次元点のマッチングに基づく登録アルゴリズムを使用して、登録73において以前のものに追加され、グローバル点群が形成される。
【0076】
結果として得られる点群には、プログレッシブメッシング74が適用される。プログレッシブメッシング74により、徐々に成長する3次元シーンをディスプレイ16上でリアルタイムに視覚化することができる。
【0077】
図20は、後続のモデル生成80の詳細を示している。
【0078】
外れ値の除去81では、最終メッシュ上のノイズを低減するために、シーンの表面に属さない孤立した無関係な点が点群から除去される。
【0079】
セグメンテーションおよびクラスタの除去82によって、表面32に属さないクラスタを表す点のグループが認識され、最終メッシュから突き出すことを避けるために点群から除去される。
【0080】
点群内の点の数は引き続き削減される。重複の除去82では、ユークリッド距離がゼロとなる点群内の頂点同士が統合される。
【0081】
必要に応じて、さらなるフィルタが適用される。空間フィルタ84を適用することができ、これは元の点群と同じトポロジを維持するが、元の点のごく一部のみを含む。
【0082】
次に、フィルタリングされ数を大幅に減らされた点群は、3Dメッシュ再構成85で使用され、点の位置および表面法線に基づいて、いわゆる防水メッシュ表面が得られる。
【0083】
次いで、メッシュクロッピング86が防水メッシュ表面上で実行され、元の点群の拡がりを制限するとともに、最終的に孤立したポリゴンを除去する。
【0084】
カラーマッピング87により、シーンのカラー画像に含まれるカラー情報をメッシュ全体のメッシュ表面に再割り当てしてよい。
【0085】
最後に、メッシュ平滑化88を使用して、表面を正規化し、ポリゴンノイズを低減してよい。
【0086】
図21は、本明細書に記載の口腔内スキャニングシステムを用いて実施した試験の結果を示す。口腔内スキャニングシステムは、合計1800個のマイクロレンズ32を有するマイクロレンズアレイ19を使用して、10mmの作動距離で歯の表面を走査することによって、試験された。
【0087】
灰色の陰影は、再構成された3次元モデルの精度を示している。平均精度は14μmの範囲にある。3次元モデル全体の精度は、13μmの範囲の分散σを持つ分布に従って異なる値を示した。
【0088】
本明細書で説明されるシステム及び方法は、アクティブステレオビジョン(ASV)の原理に基づいている。ただし、画像は構造化光ステレオ(SLS)の原理に基づいて評価することもできることに注意すべきである。この方法では、本明細書で説明したように、アクティブステレオビジョンの原理に従って画像のペアの差が評価される。さらに、各カメラの画像は、基準距離における基準画像からの偏差に基づいて評価される。これらの差から深度マップが計算できる。当技術分野では、この追加的な評価方法は三角測量とも呼される。しかしながら、三角測量の1つの問題は、参照画像のキャリブレーションである。したがって、三角測量によって追加的な深度情報を取得するには、相当程度の労力が必要とされる。
【0089】
図22は、口腔内スキャナ3の実施形態の変形例の一部を示す。図22は、特に、ハンドル10の先端部分203を示しており、先端部分203は、ミラー18が省略されていることを除き、プロジェクタ4と同じ構成要素を備える変形型プロジェクタ204を備えている。これにより、プロジェクタ204は、長手方向軸Lに沿ってドットパターン6を投影する。先端部分203には、プロジェクタ204の周囲に配置されるとともに、カラー画像及び/又はグレースケール画像を撮影できる第1のカメラ207、第2のカメラ208、及び第3のカメラ209がさらに設けられる。先端部分203には、例えばUV光で歯列2を照明するためのLED210がさらに設けられてもよい。プロジェクタ204、第1のカメラ207、第2のカメラ208、及び第3のカメラ209は、上述したようなアクティブステレオビジョンを、パッシブステレオビジョン又は三角測量と同様に使用することができる。先端部分203には、中空のチップ211が設けられてもよい。チップ211の遠位端212には、ビーム25を横方向に偏向するミラー218が設けられている。チップ211は、ハンドル10から取り外し可能であってもよい。チップ211はさらにオートクレーブ可能であり、ミラー218の曇りを抑制するための加熱素子及び/又は適切なコーティングを備えていてもよい。
【0090】
図1~16の実施形態よりも光路が長く、ビーム軸29に対して垂直方向のドットパターン6の横方向の広がりが大きいため、チップ211によってドットパターン6のサイズを拡大することができる。プロジェクタ204に使用されるマイクロレンズ32の焦点距離は、対応して、図1~16に示される実施形態よりも長くなければならず、マイクロレンズ32の曲率半径は大きくなければならない。図22の実施形態は、光路長および作動距離WDを50mmにまで延長可能である。
【0091】
図23は、口腔内スキャナ3の実施形態の更なる変形例を示す。図23には、ハンドル10の先端部分203が再度示されている。先端部分203は、ハンドル10の先端部分203から取り外すことができるスリーブ状のチップ219によって覆われている。図22に示される実施形態と比較して、図23の実施形態は、より短い光路および20mmを超える作動距離WDを可能にする。
【0092】
歯列2のカラー画像を生成するために、レーザダイオード17および二次放射光源を交互に作動させてもよく、対応する画像をカメラ7及び8によって撮影してもよい。次に、二次放射光源による照明の下で撮影された画像は、歯列2の表面が着色された三次元モデルを生成するためのカラーマッピング87に使用され得る。
【0093】
データ処理ユニット11は、少なくとも1つの物理プロセッサまたは論理プロセッサ13を有するコンピュータであり得る。データ処理ユニット11は、複数の物理コンピュータ上に実装することもできるし、ディスプレイ16を含む統合デバイスとすることもできる。
【0094】
コードがデータ処理ユニット11又は何らかの他の装置内のプロセッサによって実行される場合、本方法は、本明細書に記載の方法を実装するためのコードを含むコンピュータプログラム製品によって実装できることにも留意されたい。実施形態によっては、コンピュータプログラム製品は、ディスク、コンパクトディスク、又はデジタル多用途ディスク(DVD)などのコンピュータ可読データ記憶媒体に格納されたコードであってもよい。他の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、サーバ又はサーバアレイ上のデータ記憶ユニットに記憶されたコードであってもよい。かかるデータ記憶ユニットは、ハードディスクまたはハードディスクアレイなどであってもよい。さらなる実施形態では、データキャリアは、サーバからコードを転送するために使用できる電気搬送信号であってもよく、プログラムコードをクライアントにダウンロードするために使用できる。
【0095】
本明細書の記載および特許請求の範囲を通じ、文脈上特に必要がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上特に必要がない限り、明細書は単数だけでなく複数も考慮しているものとして理解されるべきである。
【0096】
本発明の特定の側面、実施形態、又は実施例に関連して説明される構成、整数、構造、化合物又は基は、矛盾のない限り、本明細書に記載される任意の他の側面、実施形態、又は実施例に適用可能であると理解されるべきである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
【国際調査報告】