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  • 特表-高純度アラビノース結晶の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】高純度アラビノース結晶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 3/02 20060101AFI20250117BHJP
   C07H 1/06 20060101ALI20250117BHJP
   B01D 9/02 20060101ALI20250117BHJP
   B01D 15/02 20060101ALI20250117BHJP
   B01J 39/18 20170101ALI20250117BHJP
   B01J 41/12 20170101ALI20250117BHJP
   B01J 47/14 20170101ALI20250117BHJP
   B01D 25/12 20060101ALI20250117BHJP
   B01D 36/00 20060101ALI20250117BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C07H3/02
C07H1/06
B01D9/02 601G
B01D9/02 602A
B01D9/02 602E
B01D9/02 608A
B01D9/02 606
B01D9/02 610Z
B01D9/02 615A
B01D9/02 625A
B01D9/02 625B
B01D9/02 625E
B01D9/02 617
B01D9/02 625F
B01D15/02 102
B01J39/18
B01J41/12
B01J47/14
B01D25/12 U
B01D36/00
B01D61/14 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535670
(86)(22)【出願日】2023-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2023096370
(87)【国際公開番号】W WO2024124812
(87)【国際公開日】2024-06-20
(31)【優先権主張番号】202211628377.2
(32)【優先日】2022-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】韓 新峰
(72)【発明者】
【氏名】李 東旭
(72)【発明者】
【氏名】楊 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】廖 承軍
(72)【発明者】
【氏名】秦 淑芳
(72)【発明者】
【氏名】羅 家星
【テーマコード(参考)】
4C057
4D006
4D017
4D116
【Fターム(参考)】
4C057AA05
4C057AA12
4C057AA14
4C057BB02
4D006GA07
4D006KA02
4D006KA72
4D006KB11
4D006KB12
4D006KB18
4D006KB20
4D006KB30
4D006KE15R
4D006KE16R
4D006MA22
4D006PA01
4D006PB13
4D006PC11
4D006PC41
4D017AA07
4D017CA03
4D017CB01
4D017DA07
4D017EA03
4D017EB10
4D116CC41
4D116KK05
4D116QA25B
4D116QA25G
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4D116QA41G
4D116QA42A
4D116QA42G
4D116QA52B
4D116QA52G
4D116QA57B
4D116QA57G
4D116QA60B
4D116QA60G
4D116UU20
4D116VV30
(57)【要約】
本発明は、低含有量アラビノース結晶に対して溶解、調合、イオン交換、脱色濾過、精密ろ過、蒸発濃縮、結晶化、遠心分離、乾燥などの処理工程を順次施すステップを含む高純度アラビノース結晶の製造方法に関する。アラビノース結晶の製造中に材料のpHを4.3~7.5、温度を70℃以下に制御することによって、高温で雑糖へのアラビノースの転化が促進されることによる純度低下を回避し、製造されたアラビノース結晶の純度を向上させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度アラビノース結晶の製造方法であって、
溶解:低含有量アラビノース結晶を溶解して溶解糖液を得るステップであって、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量が96~97%である、ステップ1と、
調合:チューブを介して溶解糖液を調合タンクに入れ、調合タンク内にステップ8のアラビノース遠心母液を加えて調合し、調合後のpH値を4.3~5.0の範囲内、ドライベース濃度を50~60%、調合後のアラビノース含有量を94±0.5%とした調合糖液を得る、ステップ2と、
イオン交換:調合糖液をイオン交換して、イオン交換糖液を得て、イオン交換フィード用熱交換器によって材料の温度を45~50℃に制御し、イオン交換糖液のpHを5.5~6.5に安定化するステップ3と、
脱色濾過:チューブを介してイオン交換糖液を脱色タンクに入れ、脱色の温度を60~65℃、pHを5.5~7.5に制御して脱色して濾過し、脱色糖液を得るステップ4と、
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、精密ろ過過程で温度を50~65℃、pH値を5.0~7.5に制御して脱色糖液を精密ろ過し、精密ろ過糖液を得るステップ5と、
蒸発濃縮:精密ろ過糖液をMVR蒸発器に入れて、温度を65~70℃、pH値を5.0~7.5に制御して蒸発濃縮し、濃縮糖液を得るステップ6と、
結晶化:濃縮糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して結晶化するステップ7と、
遠心分離:ステップ7で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、チューブを介してアラビノース含有量が89~91%のアラビノース遠心母液を調合タンクに導入してステップ2の操作に供するステップ8と、
乾燥:固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、アラビノース含有量が99.8%以上の高純度アラビノース結晶を得るステップ9と、を含む、ことを特徴とする高純度アラビノース結晶の製造方法。
【請求項2】
ステップ3では、前記イオン交換処理にはイオン交換カラムが使用され、イオン交換カラムでは、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂との割合が7:10である、ことを特徴とする請求項1に記載の高純度アラビノース結晶の製造方法。
【請求項3】
ステップ4では、前記脱色濾過処理は、脱色タンク内に1.2~1.4Kg/トンのドライベースで脱色のための活性炭を加えて、110rpmで30~45min撹拌して脱色し、その後、プレート-フレームフィルタープレスによって濾過し、活性炭を除去することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高純度アラビノース結晶の製造方法。
【請求項4】
ステップ7では、前記結晶化処理は、濃縮糖液の過飽和度が1.01~1.02の間になると、ドライベースの万分の二の割合で300~400メッシュのアラビノース種結晶を加えて真空蒸発し、結晶周期を8時間、撹拌回転数を80rpmに制御して結晶化することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高純度アラビノース結晶の製造方法。
【請求項5】
ステップ8では、前記遠心分離処理は、水洗時間を10s、水の温度を55~60℃に制御することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高純度アラビノース結晶の製造方法。
【請求項6】
ステップ9では、前記乾燥処理は、水分を0.15~0.3%に制御し、所望の水分になると、12~15℃のクリーンな冷風で完成品を20~24℃に冷却することをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の高純度アラビノース結晶の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖アルコール製造の技術分野に属し、特に高純度アラビノース結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アラビノースは、医薬や健康食品などの分野で広範に応用されており、低純度アラビノース結晶製品は顧客の需要を満たすことができないため、価格が安く、高純度アラビノース結晶製品は、プロセスが複雑で、生産難度が高いため、販売価格は比較的に高く、しかし、いくつかの特殊な顧客のプロセス処方の需要を満たすことができるので、市場の将来性が大きく期待できる。
【0003】
従来技術の生産プロセスにおいて、L-アラビノースは、高温や低pH条件による影響を受ける特性のため、例えば、異性化反応を起こしてキシロースに転化する、分解反応を起こして、五炭素以下の小分子に分解する、重合反応を起こして、マルトトリオースを生成するなど、反応を起こして他の物質に転化するため、アラビノースの生産過程、特に脱色、蒸発、クロマトグラフィー分離過程では、その含有量が絶えず低下し、生産した結晶アラビノースの純度は99.5%以上に達しにくい。
【0004】
公開番号CN112079886Aの特許は、クロマトグラフィー分離によりキシロースとアラビノースの純度を高める方法を開示しているが、同様に脱色、クロマトグラフィー分離などの工程において高い温度と低いpHがアラビノースの転化率を低下させるという問題も考慮されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、製造過程のpH値及び温度を制御することで、異性化反応、分解反応、及び重合反応の発生を防止することにより、アラビノース結晶の純度を向上させる、高純度アラビノース結晶の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のように達成される。高純度アラビノース結晶の製造方法であって、
溶解:低含有量アラビノース結晶を溶解して溶解糖液を得るステップであって、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量が96~97%である、ステップ1と、
調合:電磁流量計、自動調整弁、及びシーメンス社のインテリジェンス制御システムによって、チューブを介して溶解糖液を調合タンクに入れ、調合タンク内にステップ8のアラビノース遠心母液を加えて調合し、調合後のpH値を4.3~5.0の範囲内、ドライベース濃度を50~60%、調合後のアラビノース含有量を94±0.5%とした調合糖液を得る、ステップ2と、
イオン交換:調合糖液をイオン交換して、イオン交換糖液を得て、イオン交換フィード用熱交換器によって材料の温度を45~50℃に制御し、イオン交換糖液のpHを5.5~6.5に安定化するステップ3と、
脱色濾過:チューブを介してイオン交換糖液を脱色タンクに入れ、脱色の温度を60~65℃、pHを5.5~7.5に制御して脱色して濾過し、脱色糖液を得るステップ4と、
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、精密ろ過過程で温度を50~65℃、pH値を5.0~7.5に制御して脱色糖液を精密ろ過し、精密ろ過糖液を得るステップ5と、
蒸発濃縮:精密ろ過糖液をMVR蒸発器に入れて、温度を65~70℃、pH値を5.0~7.5に制御して蒸発濃縮し、濃縮糖液を得るステップ6と、
結晶化:濃縮糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して結晶化するステップ7と、
遠心分離:ステップ7で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、チューブを介してアラビノース含有量が89~91%のアラビノース遠心母液を調合タンクに導入してステップ2の操作に供するステップ8と、
乾燥:固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、アラビノース含有量が99.8%以上の高純度アラビノース結晶を得るステップ9と、を含む、高純度アラビノース結晶の製造方法を提供する。
【0007】
液状材料の処理段階の温度を厳格に70℃に制御することによって、高温で雑糖へのアラビノースの転化が促進されることによる純度低下を回避する。
【発明の効果】
【0008】
従来技術と比べて、本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法は、以下の特徴を有する。
(1)精製前に調合工程を設置することによって、原料液の安定性を確保する。
(2)イオン交換樹脂のカチオンとアニオンとの割合を7:10にし、イオン交換からの排出材料のpHを5.5~6.5に安定化することによって、アルカリ添加による原料液のpH調整操作中に原料液の局部的な過アルカリ化により、原料液の異性化問題を引き起こし、後続生産工程の生産効率及び製品品質に影響を与えることを回避する。
(3)雑糖含有量の高いアラビノース結晶を溶解し、精製して濃縮し、純度99.8%以上のアラビノース結晶を得ることによって、従来の生産プロセスよりも結晶完成品の収率は3.5%以上向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法のステップの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確かつ明瞭にするために、以下では、実施例及び図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明を限定するために使用されないことを理解されたい。
【0011】
図1には、本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法の好適な実施例が示されている。図における矢印が示す方向は、材料の流動方向又はプロセスの進行方向を示すものである。前記製造方法は、以下のステップを含む。
【0012】
ステップ1
溶解:低含有量アラビノース結晶を溶解して溶解糖液を得て、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量が96~97%である。原料液の安定性が確保される。
【0013】
ステップ2
調合:電磁流量計、自動調整弁、及びシーメンス社のインテリジェンス制御システムによってチューブを介して溶解糖液を調合タンクに入れ、調合タンク内にステップ8のアラビノース遠心母液を加えて調合し、調合後のpH値を4.3~5.0の範囲内、ドライベース濃度を50~60%、調合後アラビノース含有量を94±0.5%とした調合糖液を得る。
【0014】
ステップ3
イオン交換:調合糖液をイオン交換して、イオン交換糖液を得て、イオン交換フィード用熱交換器によって材料の温度を45~50℃に制御し、イオン交換糖液のpHを5.5~6.5に安定化する。前記イオン交換処理にはイオン交換カラムが使用され、イオン交換カラムでは、カチオン性樹脂とアニオン性樹脂との割合が7:10である。イオン交換樹脂のカチオンとアニオンとの割合が7:10に調整されることで、イオン交換からの排出材料のpHを5.5~6.5に安定化することによって、pHが低すぎる条件でアラビノースが他の雑糖に転化されることを回避する。
【0015】
ステップ4
脱色濾過:チューブを介してイオン交換糖液を脱色タンクに入れ、脱色の温度を60~65℃、pHを5.5~7.5に制御して脱色して濾過し、脱色糖液を得る。前記脱色濾過処理は、1.2~1.4Kg/トンドライベースで脱色タンク内に脱色のための活性炭を加え、110rpmで30~45min撹拌して脱色し、その後、プレート-フレームフィルタープレスによって濾過し、活性炭を除去する。
【0016】
ステップ5
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、温度を50~65℃、pH値を5.0~7.5に制御して脱色糖液を精密ろ過し、精密ろ過糖液を得る。
【0017】
ステップ6
蒸発濃縮:精密ろ過糖液をMVR蒸発器に入れて、温度を65~70℃、pH値を5.0~7.5に制御して蒸発濃縮し、濃縮糖液を得る。
【0018】
ステップ7
結晶化:濃縮糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して結晶化する。前記結晶化処理は、濃縮糖液の過飽和度が1.01~1.02の間となると、ドライベースの万分の二の割合で300~400メッシュのアラビノース種結晶を加えて真空蒸発し、結晶周期を8時間、撹拌回転数を80rpmに制御して結晶化することを含む。
【0019】
ステップ8
遠心分離:ステップ7で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、チューブを介してアラビノース含有量が89~91%のアラビノース遠心母液を調合タンクに導入してステップ2の操作に供する。前記遠心分離処理は、水洗時間を10s、水の温度を55~60℃に制御することをさらに含む。
【0020】
ステップ9
乾燥:固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、アラビノース含有量が99.8%以上の高純度アラビノース結晶を得る。前記乾燥処理は、水分を0.15~0.3%に制御し、所望の水分となると、12~15℃のクリーンな冷風で完成品を20~24℃に冷却することをさらに含む。
【0021】
液状材料の処理段階の温度を厳格に70℃に制御することによって、高温で雑糖へのアラビノースの転化が促進されることによる純度低下を回避する。
【0022】
以下、特定の実施例によって本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法をさらに説明する。
【0023】
実施例1:アラビノース含有量に対する温度及びpHの影響の決定
【0024】
本実施例は、以下のステップを含む。
【0025】
L-アラビノースサンプル100gに水を加えて屈折率60%の溶液を調製し、pHを2.7及び4.3に調整し、次に、60℃、65℃、70℃で48h加熱し、そして、24h及び48hのそれぞれにサンプルを採取して検出し、結果を以下の表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
比較の結果、アラビノースの生産過程でpHが低く、加熱温度が高いほど、アラビノースの含有量の経時的な低下が速い。様々な条件におけるアラビノースの変化の傾向を比較した結果、pHは、アラビノース含有量を低下させる主要な要素であり、pHが4.3以上であるとき、材料を75℃で48時間加熱した場合、含有量は2.31%しか低下していないが、pH2.7の条件では、材料を75℃で48時間加熱した場合、アラビノース含有量は、pH4.3の場合の3倍でもある8.9%低下していた。
【0028】
以上より、アラビノース糖液のpHを4.3以上に確実に調整することは、高温がアラビノース含有量に与える影響を低減させ、材料の含有量のために加工温度を下げることで生産効率の低下を招くことを回避する。
実施例2
【0029】
本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法の第1実施例は、以下のステップを含む。
【0030】
ステップ11
溶解:購入した低純度アラビノース結晶を溶解し、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量が96%であった。
【0031】
ステップ12
調合:電磁流量計、自動調整弁、及びシーメンス社のインテリジェンス制御システムによって、チューブを介してステップ11の糖液を調合タンクに入れ、調合タンク内にステップ18のアラビノース遠心母液を加えて調合し、調合後のpH値を5.0、ドライベース濃度を50%、アラビノース含有量を93.84%とした。
【0032】
ステップ13
イオン交換:ステップ12で得た調合後の糖液をイオン交換工程に供し、イオン交換フィード用熱交換器によって糖液の温度を45~50℃に制御し、イオン交換システムのカチオン性樹脂とアニオン性樹脂との割合を7:10に調整し、イオン交換後の液のpHを6.5に安定化した。
【0033】
ステップ14
脱色濾過:チューブを介してイオン交換後の糖液を脱色タンクに入れ、脱色タンク内に按1.2Kg/トンドライベースで脱色のための活性炭を加え、脱色の温度を60℃、pHを5.0~7.5に制御して、110rpmで30min撹拌して脱色し、その後、プレート-フレームフィルタープレスによって濾過し、活性炭を除去した。
【0034】
ステップ15
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、精密ろ過過程で温度を50~65℃、pH値を5.0~7.5に制御して、ステップ14で脱色後の糖液を精密ろ過した。
【0035】
ステップ16
蒸発濃縮:ステップ15で処理した糖液をMVR蒸発器に入れて、温度を68℃、pH値を5.0~7.5に制御して濃縮した。
【0036】
ステップ17
結晶化:ステップ16で処理した糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して、糖液の過飽和度が1.01~1.02の間となると、ドライベースの万分の二の割合で300~400メッシュの種結晶を加えて真空蒸発し、結晶周期を8時間、撹拌回転数を80rpmに制御して結晶化した。
【0037】
ステップ18
遠心分離:ステップ17で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、水洗時間を10s、水の温度を55~60℃に制御して、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、固体アラビノースをステップ19の操作に供し、チューブを介してアラビノース含有量が89%のアラビノース遠心母液を調合タンクに導入し、ステップ12の操作に供した。
【0038】
ステップ19
乾燥、包装:ステップ18で処理した固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、水分を0.15~0.3%に制御し、所望の水分となると、12~15℃のクリーンな冷風で完成品を20~24℃に冷却し、アラビノース含有量が99.8%以上の高純度アラビノース結晶を得た。処理後のアラビノース結晶を包装機で包装した。
実施例3
【0039】
本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法の第2実施例は、以下のステップを含む。
【0040】
ステップ21
溶解:購入した低純度アラビノース結晶を溶解し、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量が97%であった。
【0041】
ステップ22
調合:電磁流量計、自動調整弁、及びシーメンス社のインテリジェンス制御システムによって、ステップ21の糖液チューブを介して調合タンクに入れ、調合タンク内にステップ28のアラビノース遠心母液を加えて調合し、調合後のpH値を4.3~5.0の範囲内、ドライベース濃度を60%、アラビノース含有量を94.57%とした。
【0042】
ステップ23
イオン交換:ステップ22で得た調合後の糖液をイオン交換工程に供し、イオン交換フィード用熱交換器によって糖液の温度を45~50℃に制御し、イオン交換システムのカチオン性樹脂とアニオン性樹脂との割合を7:10に調整し、イオン交換後の液のPHを6.0に安定化した。
【0043】
ステップ24
脱色濾過:チューブを介してイオン交換後の糖液を脱色タンクに入れ、脱色タンク内に1.4Kg/トンドライベースで脱色のための活性炭を加え、脱色の温度を62℃、pHを5.5~7.5に制御して、110rpmで35min撹拌して脱色し、その後、プレート-フレームフィルタープレスによって濾過し、活性炭を除去した。
【0044】
ステップ25
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、精密ろ過過程で温度を50~65℃、pH値を5.0~7.5に制御して、ステップ24で脱色後の糖液を精密ろ過した。
【0045】
ステップ26
蒸発濃縮:ステップ25で処理した糖液をMVR蒸発器に入れて、温度を68℃、pH値を5.0~7.5に制御して濃縮した。
【0046】
ステップ27
結晶化:ステップ26で処理した糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して、糖液の過飽和度が1.01~1.02の間となると、ドライベースの万分の二の割合で300~400メッシュの種結晶を加えて真空蒸発し、結晶周期を8時間、撹拌回転数を80rpmに制御して結晶化した。
【0047】
ステップ28
遠心分離:ステップ27で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、水洗時間を10s、水の温度を55~60℃に制御して、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、固体アラビノースをステップ29の操作に供し、チューブを介してアラビノース含有量が91%のアラビノース遠心母液を調合タンクに導入し、ステップ22の操作に供した。
【0048】
ステップ29
乾燥、包装:ステップ28で処理した固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、水分を0.15~0.3%に制御し、所望の水分となると、12~15℃のクリーンな冷風で完成品を20~24℃に冷却し、アラビノース含有量が99.8%以上の高純度アラビノース結晶を得た。処理後のアラビノース結晶を包装機で包装した。
実施例4
【0049】
本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法の第3実施例は、以下のステップを含む。
【0050】
ステップ31
溶解:購入した低純度アラビノース結晶を溶解し、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量が96.5%であった。
【0051】
ステップ32
調合:電磁流量計、自動調整弁、及びシーメンス社のインテリジェンス制御システムによって、ステップ31の糖液チューブを介して調合タンクに入れ、調合タンク内にステップ38のアラビノース遠心母液を加えて調合し、調合後のpH値を4.3~5.0の範囲内、ドライベース濃度を55%、アラビノース含有量を94.50%とした。
【0052】
ステップ33
イオン交換:ステップ32で得た調合後の糖液をイオン交換工程に供し、イオン交換フィード用熱交換器によって糖液の温度を45~50℃に制御し、イオン交換システムのカチオン性樹脂とアニオン性樹脂との割合を7:10に調整し、イオン交換後の液のPHを5.5に安定化した。
【0053】
ステップ34
脱色濾過:チューブを介してイオン交換後の糖液を脱色タンクに入れ、脱色タンク内に1.25Kg/トンドライベースで脱色のための活性炭を加え、脱色の温度を65℃、pHを5.5~7.5に制御して、110rpmで撹拌脱色45min、その後、プレート-フレームフィルタープレスによって濾過し、活性炭を除去した。
【0054】
ステップ35
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、精密ろ過過程で温度を50~65℃、pH値を5.0~7.5に制御して、ステップ34で脱色後の糖液を精密ろ過した。
【0055】
ステップ36
蒸発濃縮:ステップ35で処理した糖液をMVR蒸発器に入れて、温度を70℃、pH値を5.0~7.5に制御して濃縮した。
【0056】
ステップ37
結晶化:ステップ36で処理した糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して、糖液の過飽和度が1.01~1.02の間となると、ドライベースの万分の二の割合で300~400メッシュの種結晶を加えて真空蒸発し、結晶周期を8時間、撹拌回転数を80rpmに制御して結晶化した。
【0057】
ステップ38
遠心分離:ステップ37で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、水洗時間を10s、水の温度を55~60℃に制御して、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、固体アラビノースをステップ39の操作に供し、チューブを介してアラビノース含有量が90.3%のアラビノース遠心母液を調合タンクに導入し、ステップ32の操作に供した。
【0058】
ステップ39
乾燥、包装:ステップ38で処理した固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、水分を0.15~0.3%に制御し、所望の水分となると、12~15℃のクリーンな冷風で完成品を20~24℃に冷却し、アラビノース含有量が99.8%以上の高純度アラビノース結晶を得た。処理後のアラビノース結晶を包装機で包装した。
実施例5
【0059】
本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法の第4実施例は、以下のステップを含む。
【0060】
ステップ41
溶解:購入した低純度アラビノース結晶を溶解し、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量が96.9%であった。
【0061】
ステップ42
調合:電磁流量計、自動調整弁、及びシーメンス社のインテリジェンス制御システムによって、ステップ41の糖液チューブを介して調合タンクに入れ、調合タンク内にステップ48のアラビノース遠心母液を加えて調合し、調合後のpH値を4.3~5.0の範囲内、ドライベース濃度を60%、アラビノース含有量を94.43%とした。
【0062】
ステップ43
イオン交換:ステップ42で得た調合後の糖液をイオン交換工程に供し、イオン交換フィード用熱交換器によって糖液の温度を45~50℃に制御し、イオン交換システムのカチオン性樹脂とアニオン性樹脂との割合を7:10に調整し、イオン交換後の液のPHを6.2に安定化した。
【0063】
ステップ44
脱色濾過:チューブを介してイオン交換後の糖液を脱色タンクに入れ、脱色タンク内に1.38Kg/トンドライベースで脱色のための活性炭を加え、脱色の温度を60℃、pHを5.5~7.5に制御して、110rpmで40min撹拌して脱色し、その後、プレート-フレームフィルタープレスによって濾過し、活性炭を除去した。
【0064】
ステップ45
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、精密ろ過過程で温度を50~65℃、pH値を5.0~7.5に制御して、ステップ44で脱色後の糖液を精密ろ過した。
【0065】
ステップ46
蒸発濃縮:ステップ45で処理した糖液をMVR蒸発器に入れて、温度を65℃、pH値を5.0~7.5に制御して濃縮した。
【0066】
ステップ47
結晶化:ステップ46で処理した糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して、糖液の過飽和度が1.01~1.02の間となると、ドライベースの万分の二の割合で300~400メッシュの種結晶を加えて真空蒸発し、結晶周期を8時間、撹拌回転数を80rpmに制御して結晶化した。
【0067】
ステップ48
遠心分離:ステップ47で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、水洗時間を10s、水の温度を55~60℃に制御して、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、固体アラビノースをステップ49の操作に供し、チューブを介してアラビノース含有量が89.8%のアラビノース遠心母液を調合タンクに導入し、ステップ42の操作に供した。
【0068】
ステップ49
乾燥、包装:ステップ48で処理した固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、水分を0.15~0.3%に制御し、所望の水分となると、12~15℃のクリーンな冷風で完成品を20~24℃に冷却し、アラビノース含有量が99.8%以上の高純度アラビノース結晶を得た。処理後のアラビノース結晶を包装機で包装した。
【0069】
以下、比較例によって本発明の高純度アラビノース結晶の製造方法の技術的効果をさらに説明する。
比較例
【0070】
通常の製造プロセスを採用し、イオン交換段階のアニオン性樹脂とカチオン性樹脂との割合を1:1とした。
【0071】
ステップ51
溶解:購入した低純度アラビノース結晶を溶解し、溶解タンクシステムに温度センサ、自動調整弁が設けられており、材料溶解中の温度はシーメンス社のDCS自動温度制御システムで監視され、溶解中の溶解液の温度を55~60℃に確保し、前記低純度アラビノース結晶中のアラビノース含有量を97%、ドライベース濃度を55%、pH値を3.5~5.0の範囲とした。
【0072】
ステップ52
イオン交換:ステップ51で得た糖液をイオン交換工程に供し、イオン交換フィード用熱交換器によって糖液の温度を45~50℃に制御し、イオン交換システムのカチオン性樹脂とアニオン性樹脂との割合を1:1に調整し、イオン交換後の液のpHを3.5~4.0に安定化した。
【0073】
ステップ53
脱色濾過:チューブを介してイオン交換後の糖液を脱色タンクに入れ、脱色タンク内に1.4Kg/トンドライベースで脱色のための活性炭を加え、脱色の温度を75~80℃、pHを3.5~4.5に制御して、110rpmで45min撹拌して脱色し、その後、プレート-フレームフィルタープレスによって濾過し、活性炭を除去した。
【0074】
ステップ54
精密ろ過:孔径0.45μmの精密ろ過膜を用いて、精密ろ過過程で温度を50~65℃、pH値を3.5~4.5に制御して、ステップ53で脱色後の糖液を精密ろ過した。
【0075】
ステップ55
蒸発濃縮:ステップ54で処理した糖液を流下膜式蒸発器に入れて、温度を65~98℃、pH値を3.5~4.5に制御して濃縮した。
【0076】
ステップ56
結晶化:ステップ55で処理した糖液を真空糖煮詰めシステムに入れて、温度を63~65℃、真空度を70~90mbarに制御して、糖液の過飽和度が1.01~1.02の間となると、ドライベースの万分の二の割合で300~400メッシュの種結晶を加えて真空蒸発し、結晶周期を8時間、撹拌回転数を80rpmに制御して結晶化した。
【0077】
ステップ57
遠心分離:ステップ56で処理した材料を遠心分離機で遠心分離し、水洗時間を10s、水の温度を55~60℃に制御して、固体アラビノースとアラビノース遠心母液を分離し、固体アラビノースをステップ58の操作に供し、チューブを介してアラビノース遠心母液をステップ51に回収して再利用した。
【0078】
ステップ58
乾燥、包装:ステップ57で処理した固体アラビノースを80℃の熱風で乾燥し、水分を0.15~0.3%に制御し、所望の水分となると、12~15℃のクリーンな冷風で完成品を20~24℃に冷却し、アラビノース結晶を得、処理後のアラビノース結晶を包装機で包装した。
【0079】
【表2】
【0080】
表2より、各実施例で製造したアラビノース結晶では、アラビノース含有量は99.8%よりも大きく、完成品の収率も96%よりも高く、両方のいずれも、比較例で製造されたアラビノース結晶よりも優れており、所望の効果が得られたことは明らかになった。
【0081】
以上は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び原理の範囲内で行われたあらゆる修正、同等の置換、改良等は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
図1
【国際調査報告】