(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】キャンドルフィルタ構成部材
(51)【国際特許分類】
B01D 29/13 20060101AFI20250117BHJP
B01D 29/50 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B01D29/14 A
B01D29/24 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535909
(86)(22)【出願日】2023-01-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2023050323
(87)【国際公開番号】W WO2023135079
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストラッサー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォゲラー、ユールゲン
(72)【発明者】
【氏名】アイズリー、ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】アハマー、ドミニク
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA01
4D116BB01
4D116BC17
4D116BC76
4D116DD05
4D116EE02
4D116FF13B
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4D116FF18B
4D116KK06
4D116QA22C
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4D116QB02
4D116RR01
4D116RR12
4D116RR15
4D116RR25
(57)【要約】
本発明は、圧力容器内に設置するため、又は大気に開放されたタンク又は水槽内に実施されるためのキャンドルフィルタ構成部材に関する。キャンドルフィルタ構成部材の主要部分は、ハウジングとの接続のための固定装置、支持体と固定装置とを接続する結合部、一体型の浸漬流路を備えた、フィルタ材料の支持体、及び底部である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と当該支持体の周囲に敷設される濾布とを備え、前記支持体は、中央に配置された浸漬流路と、外側長手方向流路とを備えている、フィルタ構成部材。
【請求項2】
前記支持体が、連続プロファイルで形成され、好ましくは連続押出プロファイルで形成され、さらに好ましくは、熱可塑性材料、セラミック材料、又は金属を含む、請求項1記載のフィルタ構成部材。
【請求項3】
前記支持体の外輪郭は、円形、星形、クリケットのバット形状、又は楕円形である、請求項1記載のフィルタ構成部材。
【請求項4】
中央管が前記浸漬流路を形成し、長尺棒状材が中央管に取り付けられている、請求項1記載のフィルタ構成部材。
【請求項5】
前記外側長手方向流路は、丸みを帯びた外縁を有する前記支持体の材料内の長手方向壁によって形成され、また濾布によって覆われている、請求項1記載のフィルタ構成部材。
【請求項6】
浸漬流路容量は、全ての外側長手方向流路の総差分容量よりも少なくとも1%より大きい、請求項1記載のフィルタ構成部材。
【請求項7】
前記濾布は、布固定要素によって、特に前記キャンドルフィルタ構成部材の、前記長手方向流路領域の下端における1つの布固定要素と前記長手方向流路領域の上端における1つの布固定要素とによって前記フィルタ構成部材に固定されており、前記布固定要素は、前記フィルタ室を前記供給室に対してシールしている、請求項1記載のフィルタ構成部材。
【請求項8】
前記フィルタ構成部材は、さらに、前記支持体と前記固定装置との間に結合部を備えるとともに、フィルタ装置内で前記フィルタ構成部材を最適配置するためのピンを備えている、請求項1記載のフィルタ構成部材。
【請求項9】
前記濾布は、前記結合部の上方に固定されて、前記ピン及び前記結合部材を覆う、請求項8記載のフィルタ構成部材。
【請求項10】
前記熱可塑性材料は、カーボン繊維又はガラス繊維のような安定性を向上させる添加剤を含む複合材料である、請求項2記載のフィルタ構成部材。
【請求項11】
フィルタ装置が容器であり、前記未濾過の流体はヘッド板によって前記濾過された流体から分離される、フィルタ装置における請求項1記載のフィルタ構成部材の使用。
【請求項12】
前記フィルタ構成部材がコレクタ管としての1以上の共通フィルタヘッダに取り付けられている、フィルタ装置における請求項1記載のフィルタ構成部材の使用。
【請求項13】
前記フィルタ構成部材が、好ましくは前記フィルタ構成部材が管ヘッダに取り付けられるとともに開放された容器内に収容された供給物内に浸漬され、濾過を行うのに必要な差圧がこのような管ヘッダ内の吸引によって作り出されるシステム構成において使用される、請求項1記載のフィルタ構成部材の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力容器内に設置するため、又は大気に開放されたタンク又は水槽内に実施されるためのキャンドルフィルタ構成部材に関する。キャンドルフィルタ構成部材の主要部分は、ハウジングとの接続のための固定装置、支持体と固定装置とを接続する結合部、一体型の浸漬流路を備えた、フィルタ材料の支持体、及び底部である。
【背景技術】
【0002】
本発明は、固液分離の分野、より具体的にはケーキ濾過において使用される。ケーキ濾過は、懸濁液からの粒子がフィルタ材料、例えば濾布の表面に堆積し、濾過ケーキを形成することを特徴とする。一般的に、濾布は、不織布又は織布、若しくは透過膜で作られ、本発明のこの目的のためのものはすべて、濾布と称される。
【0003】
支持体は、キャンドルフィルタ構成部材の主要構成要素として、濾布を支持する役割を果たし、既にドイツ国特許明細書第3249756,C2号から知られている。この従来技術では、支持体は、穴あき円筒本体であるが、圧力容器の供給室の内側に垂直に取り付けられる。濾布は、ホース形状を有しているが、円筒本体の外部に取り付けられ、円筒本体の下端と上端に締結されている。フィルタキャンドルは、下端が閉鎖されており、上端は開放されている。フィルタキャンドルの開放上端は、フィルタ室と呼ばれる濾液を受ける部屋と(懸濁液)供給室とを分離する穴あき板体に取り付けられ、それによりフィルタ室への開放接続を有する。この接続により、濾過された流体が、濾過ケーキと濾布を通過した後に、キャンドル内部からフィルタ室内へ流れることが可能となる。逆洗の手順中、流れは逆転されるが、それにより、濾過された流体が濾液チャンバからキャンドルに流れ、濾布を逆方向/反対方向に通過する。流れを逆転させるこの処理は、濾過ケーキを濾布から除去すること、及び多孔性濾布内の細孔の内部から粒子を除去することを目的とするが、これはその後、濾布の目詰まりにつながり、それにより、長期間にわたる流れを妨げることになる。一部のプロセス設計では、加圧ガスを使用することで逆洗をサポートし、濾布を通して濾過された流体又は流体と気体の混合物の増加量を推進する。
【0004】
このような濾過システムの重要な設計パラメータは、濾過システムに収容できるフィルタ領域である。フィルタキャンドルの長さを長くするだけでなく、フィルタキャンドルの直径を小さくすることにより、所与の直径のフィルタ容器に収容できるフィルタ領域が増大し、それにより、フィルタ領域当たりのコストが低下し、その結果、濾過される流体流れ当たりのコストが低下する。フィルタキャンドル長は1-2.5m、フィルタキャンドル直径は25-120mmが技術水準である。
【0005】
最も重要な性能パラメータの一つは逆洗効率であるが、これは濾布からフィルタケーキを、及び濾布の細孔の内部にトラップされた粒子を完全に除去する能力を意味する。逆洗効率は、逆洗中のフィルタキャンドルの全表面を通じた流体流れに比例して上昇する。
【0006】
従来技術のフィルタキャンドルにおいては、逆洗中の流体の流れは、直径に対する長さの比率によって、また濾過された流体がフィルタキャンドルに流入する、フィルタキャンドルの上部からフィルタキャンドルの最下部にかけて発生する圧力損失によって制限される。 試験では、直径80mmのフィルタキャンドルでは、当該フィルタキャンドルを水溶液で洗浄するのに合理的な流体流れが、フィルタキャンドルの上部300mmでのみ生じることが実証された。フィルタキャンドルの残りの長さは、濾布を恒久的に清掃するのに合理的に十分な濾液の流れを得ることはないであろう。これは、濾布の頻繁な変更を必要とするが、それにより、濾布及び濾布の交換作業時間のための運用コストが高くなることにつながる。
【0007】
この不充分な逆洗を改善する手段は、アメリカ合衆国特許第4,604,201号に記載されている。これは、フィルタキャンドル内部の浸漬管を導入するものであるが、それは開放された最下部まで達しそれによりフィルタキャンドルの内部の部屋に接続されている。この浸漬管の上側は、フィルタキャンドルからの濾過された流体の導出口を形成するフィルタヘッダに接続される。逆洗中には、フィルタヘッダ内部の濾過された流体は、フィルタヘッダに加圧ガスを印加することで反転させられる。この加圧ガスは、流体を、浸漬管を降下するように、また浸漬管を囲むキャンドルの自由空間を通って上昇し、濾布を通過して内側から外側に送り出される。流体レベルが浸漬管の最低点に達した時は、浸漬管中のガスの耐圧性が低いため、非常に高流量が達成される。この高流量は、フィルタキャンドル構成部材の底部に導入された加圧ガスによって達成される高乱流と共に、従来の技術と比較して、逆洗をより成功させることにつながる。
【0008】
この特許に示されている支持体は、個別の外形からなる長尺棒状材で作られており、補強は、これを浸漬管に取り付ける横木によって行われている。この設計の欠点は、この支持構造が、長尺棒状材の数とその製造上の複雑さ(例えば、溶接等によってそれぞれの単一の棒を浸漬管上固定すること)によって制限されることである。しかしながら、濾布のための充分な支持構造は、仮に2つの長尺棒状材間の間隔が広すぎると破損するであろう濾布の寿命に対して重要である。
【0009】
上記システムによる欠点の改善が、アメリカ合衆国特許第4,473,472号に記載されている。有孔管の束が濾布の支持体として使用される。しかし、逆洗中の有孔管を通る圧降下によって送り出すこの設計でも、逆洗能率には限度がある。この段階で、濾液は、有孔管を通過してから濾布を通過する逆方向に再度流れる。有孔管を介した圧力損失は、濾液の流速を低下させ、その結果、濾布を通過する速度も低下させる。しかし、最良の逆洗効果を得るためには、上述のように、高速の流れ速度が必要である。
【0010】
効率的な逆洗を保証する別のパラメータは、逆洗中に十分な濾液容積を提供することである。従来技術では、逆洗は、濾液の流れとそれに引き続くガス流との組み合わせである。濾布の一部の領域は濾液で洗浄されており、残りの部分はガス流で洗浄される。これは、濾布の長さにわたって逆洗効率が異なることにつながる。これを防止するために、本発明は、逆洗中に完全に膨張した濾布とその支持体との間に生じる容積を補償するのに十分な大きさの浸漬管の容積内部を有することを提案するものである。換言すれば、浸漬管内の容積は、逆洗に起因する上述の空間の大容積化を補償しなければならない。
【0011】
従来技術の設計では、フィルタキャンドル内の効率的な逆洗を行うために必要な量の濾液をバッファリングすることは不可能である。
【0012】
濾布から固体を除去する手順の別の工程は、乾式ケーキ排出及び布地洗浄工程を含むが、ここで、乾式ケーキの排出のために加圧ガスを懸濁液側から導入して、残りの流体をフィルタ容器及びフィルタキャンドルから送り出し、フィルタキャンドル上の濾過ケーキをさらに乾燥させる。その後、濾液側から逆流方向にフィルタキャンドル構成部材に加圧ガスを印加する。これは、濾布の直径の増大という形で、濾布の急激な動きにつながる。この動きによって濾過ケーキが濾布から離脱し、濾過ケーキが下降し、底部仕切弁を介してフィルタ容器から排出されることが可能になる。丸い形状から外れた支持体は、濾布からの濾過ケーキの離脱を促進する。これは、濾布が、膨張中に動くことに起因するものである。
【0013】
これを考慮した一実施形態がアメリカ合衆国特許第4,473,472号に示されているが、そこでは、濾布の形状が、濾過中に、6個の有孔管の支持によって与えられる星のような形状から、内部からの加圧ガスの印加によって丸い形状へと変化する。
【0014】
第2の実施形態は、アメリカ合衆国特許第4,968,424号に記載されているが、そこでは、フィルタキャンドルがクリケットのバットの形状の断面を有しておりそれはまた、濾過中の濾布の形状と、内部からの加圧ガスの印加によって強制されて丸い形状となる以前の濾布の動きの開始点とを決定する。
【0015】
従来技術によれば、全てのシステムは、圧力に安定した構造を形成するために、支持体の複雑な設計を有する。これらの設計は、多くの労力と材料を必要とし、場合によっては、優れた耐食性のために非常に貴重で高級な材料を必要とするが、今日では、貴重な資源を守ることが極めて重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】ドイツ国特許明細書第3249756,C2号
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第4,604,201号
【特許文献3】アメリカ合衆国特許第4,473,472号
【特許文献4】アメリカ合衆国特許第4,968,424号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明が解決する課題は、上述の欠点を解消し、このような構成部材の設計を簡素化し、製造コストを低減し、濾布からのケーキ排出及び粒子の逆洗の効率を改善するキャンドルフィルタ構成部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、支持体と、当該支持体の周囲に敷設される濾布とを備えるフィルタ構成部材を提供することであり、当該支持体は、中央に配置された浸漬流路と外側長手方向流路とを備える。
【0019】
好ましくは、本発明に係るフィルタ構成部材の支持体は、連続プロファイルで形成され、さらに好ましくは、連続押出しプロファイルであり、好ましくは熱可塑性材料を含む。その代わりに、押出しプロファイルは、別の押出し材料、例えば金属(アルミ、鋼など)又はガラスで作られてもよい。原理的には、セラミック材料でも適している。
【0020】
好ましくは、本発明によるフィルタ構成部材の支持体の外輪郭は、円形、星形、クリケットのバット形状、又は楕円形であってもよい。
【0021】
好ましくは、請求項1に係るフィルタ構成部材は、中央管が浸漬管を形成しており、長尺棒状材がその中央管に取り付けられている。
【0022】
本発明の好適実施形態では、外側長手方向流路は、丸みを帯びた外縁を有する支持体の材料内の長手方向壁によって形成され、また濾布によって覆われている。
【0023】
好ましくは、浸漬流路容量は、同じフィルタ構成部材の全外側長手方向流路の総差分容量よりも、少なくとも1%以上大きく、好ましくは、1%から5%の間で大きい。
【0024】
本発明の好適実施形態では、濾布は、ホース状濾布である。好ましくは、それは、布固定要素によって、特にキャンドルフィルタ構成部材の長手方向流路領域の下端における1つの布固定要素と長手方向流路領域の上端における1つの布固定要素とによってフィルタ構成部材に固定される。本発明のこの実施形態では、布固定要素はまた、フィルタ室を供給室に対してシールしている。
【0025】
好ましくは、フィルタ構成部材は、さらに、支持体と固定装置との間に結合部を備えるとともに、フィルタ装置内でフィルタ構成部材を最適配置するためのピンを備えている。
【0026】
好ましくは、濾布は、結合部の上方に固定されて、ピン及び結合部の底部を覆う。
【0027】
本発明によるフィルタ構成部材の熱可塑性材料は、カーボン繊維又はガラス繊維のような安定性を向上させる添加剤を含む複合材料であってもよい。
【0028】
本発明の別の目的は、フィルタ装置における本発明に係るフィルタ構成部材の使用であって、前記フィルタ装置が容器であり、未濾過の流体はヘッド板によって濾過された流体から分離される。
【0029】
本発明の好適実施形態では、このフィルタ装置のフィルタ構成部材は、コレクタ管としての1以上の共通フィルタヘッダに取り付けられる。
【0030】
本発明の別の好適実施形態では、本フィルタ構成部材は、好ましくは、フィルタ構成部材が管ワークヘッダに取り付けられ(即ち、閉鎖されたフィルタ容器内にはない)、代わりに開放された容器内に収容された供給物内に浸漬され、濾過を行うのに必要な差圧がこのような管ワークヘッダ内の吸引によって作り出されるシステムで使用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明に係るキャンドルフィルタ構成部材の縦断面を示す。
【
図2】
図2は、供給懸濁液から濾過された粒子を含む濾過ケーキ、及び濾布を備えた押出し支持体の細部を示す。
【
図3】
図3は、本発明に係る湿式ケーキ排出用フィルタキャンドル構成部材の好ましいデザインを示す。
【
図4】
図4は、連続的に押出された外形が星形に似ている、別の実施形態の断面を示す。
【
図5】
図5は、連続的に押出された外形がクリケットのバットに似ている、別の実施形態の断面を示す。
【
図6】
図6は、長尺棒状材が本体に取り付けられている、別の実施形態の断面を示す
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的は、支持体と、当該支持体の周囲に敷設される濾布とを備えるフィルタ構成部材を提供することであり、当該支持体は、中央に配置された浸漬流路と外側長手方向流路とを備える。濾布は、支持体に巻き付けてもよい。フィルタ構成部材の運用中、懸濁液によって外側から内側に流れ込む場合、濾布は濾過ケーキを支持する。浸漬流路は、円形、又は、例えば正方形、六角形等の非円形断面を有してもよい。本願発明の文脈における「流路」(channels)とは、支持体の材料によって形成される長手方向の自由空間を意味するが、例えばアメリカ合衆国特許第4,473,472号におけるような筒管を明確に除外するものとする。この浸漬流路の最も簡単な実施形態は、外形(プロファイル:profile)の中央にある円形断面の長手方向自由空間であってもよい。外側長手方向流路は、アメリカ合衆国特許第4,473,472号におけるようにある程度穿孔されているだけではなく、
図2、
図3、
図4、
図5及び
図6に示すように、本質的に、フィルタ構成部材の外側に向かって径方向に完全に開口している。流路のこの特徴は、濾過の実施、及び逆洗中の流体の流れ又はそれぞれのガスの流れに対してより低い抵抗を提供し、それによってより効率的な逆洗が達成される。
【0033】
好ましくは、本発明に係るフィルタ構成部材の支持体は、連続プロファイルで形成され、さらに好ましくは、連続押出しプロファイルであり、好ましくは熱可塑性材料を含む。その代わりに、押出しプロファイルは、別の押出し材料、例えば金属(アルミ、鋼など)又はガラスで作られてもよい。原理的には、セラミック材料でも適している。
【0034】
本発明の文脈における「連続」とは、本体の断面が支持体の全長にわたって同一であることを意味する。本発明の文脈における「押出し」とは、支持体がその全長にわたって、ならびに全長尺棒状材が、押出し工程で連続的に形成されることを意味する。
【0035】
連続した押出しプロファイルは、一般的に、フィルタ流体又は粒子が長時間滞留し、分解、経年変化、細菌増殖等のマイナスの影響を及ぼす可能性のある変化を受ける、縁部、角等のような死角を通常残さないという利点を有する。
【0036】
しかしながら、死角がそれほど危険でない幾つかの適用例に対しては、浸漬流路を形成する中央管と、当該中央管に公知の方法(溶接、ねじ止め、リベット止め等のようなもの)によって取り付けられた長尺棒状材を備える連続プロファイルも好適である。そのような本体は、例えば、液体-空気熱交換器に使用されるような、縦方向フィン付き筒管とすることができる。
【0037】
好ましくは、本発明によるフィルタ構成部材の支持体の外輪郭は、円形、星形、クリケットのバット形状、又は楕円形であってもよい。「楕円形」とは、支持体の断面の長軸と短軸の対称関係を示す2つの対称軸が、1,1:1と20:1の間の、丸くて縁がなく、円ではない外輪郭を意味するものとする。また、本発明の目的のために、クリケットのバットの形状も考えられる。いくつかの適当な外輪郭形状、即ちプロファイル形状は、
図3(丸形)、
図4(星形)、及び
図5(クリケットのバットの形状)から導き出すことができる。
【0038】
本発明の好適実施形態では、外側長手方向流路は、丸みを帯びた外縁を有する支持体の材料内の長手方向壁によって形成され、また濾布によって覆われている。濾過実施中、濾布はこれらの丸みを帯びた外縁上にあり、したがって基本的に縦壁によって支持されている。
【0039】
好ましくは、浸漬流路容量は、同じフィルタ構成部材の全ての外側長手方向流路の総差分容量よりも、少なくとも1%以上大きく、好ましくは、1%から5%の間で大きい。総差分容量は、逆洗位置における濾布内の(濾液にアクセス可能な)全容量から濾過位置における濾布によりカバーされる流路の(濾液にアクセス可能な)容積を引いたものを意味するものとする。
【0040】
本発明の好適実施形態では、濾布は、実質的に円筒状の濾布である。好ましくは、それは、布固定要素によって、特にキャンドルフィルタ構成部材の長手方向流路領域の下端における1つの布固定要素と長手方向流路領域の上端における1つの布固定要素とによってフィルタ構成部材に固定される。本発明のこの実施形態では、布固定要素はまた、フィルタ室を供給室に対してシールしている。布固定要素は、例えば、クランプ、テンションリング、又は当業者に公知の他の適当な装置であってもよい。
【0041】
好ましくは、フィルタ構成部材は、さらに、支持体と固定装置との間に結合部を備えるとともに、フィルタ装置内でフィルタ構成部材を最適配置するためのピンを備えている。
【0042】
好ましくは、濾布は、
図1に示すように、結合部の上方に固定されて、ピン及び結合部の底部を覆う。
【0043】
本発明によるフィルタ構成部材の熱可塑性材料は、カーボン繊維又はガラス繊維のような安定性を向上させる添加剤を含む複合材料であってもよい。そのような材料、ならびにそれらを適切な方法で形成する方法は、当業者には公知である。
【0044】
本発明の別の目的は、フィルタ装置における本発明に係るフィルタ構成部材の使用であって、前記フィルタ装置が容器であり、未濾過の流体はヘッド板によって濾過された流体から分離される。
【0045】
本発明の好適実施形態では、このフィルタ装置のフィルタ構成部材は、 コレクタ管としての1以上の共通フィルタヘッダに取り付けられる。このようなフィルタヘッダは、例えば、アメリカ合衆国特許第4,604,201号では「導出口流路」(outlet channels)という言葉で説明されている。
【0046】
本発明の別の好適実施形態では、本フィルタ構成部材は、好ましくは、フィルタ構成部材が管ワークヘッダに取り付けられ(即ち、閉鎖されたフィルタ容器内にはない)、代わりに開放された容器内に収容された供給物内に浸漬され、濾過を行うのに必要な差圧がこのような管ワークヘッダ内の吸引によって作り出されるシステム構成で使用される。
【0047】
図1は、キャンドルフィルタ構成部材100の主要部分を示す。支持体1は、一体型の浸漬管2を備えた押出しプロファイル、濾液を集めて流れを方向転換するための底部3、クランプ5が濾布6を締め付けるための支持領域4、フィルタ構成部材をピン8を介して固定装置9に固定する結合部7を含んでいる。固定装置9上には、クランプ5が濾布を締結するための別の支持領域4がある。1つのクランプがフィルタ構成部材の底側にあり、1つがフィルタ構成部材の上側にある。上側では、フィルタ構成部材は、フィルタ構成部材を濾液室に接続するための手段を備えている。
【0048】
本発明によれば、未濾過の流体は、外部入口からキャンドルフィルタ構成部材を通過する。流体は濾布を通過し、外部から内部にかけて一定の差圧が生じる。この差圧によって送り出されると、濾布6は支持体1の表面に貼りつく。これは周の周りにわたってむらなく均等に起こる。濾布の表面で分離した未濾過の流体の粒子は、粒子ブリッジを蓄積し、それによって濾過ケーキ11が形成される(
図2参照)。清浄な濾過された流体は、濾布を通過し、支持体の外側長手方向流路10に集められる。これらの流路10は、支持体1の上側で閉鎖されており、したがって、濾過された流体は、底部3に向かって強制的に下方に流れ、そこで、支持体1の浸漬管2を通って上方に流れ、上側でキャンドルフィルタ構成部材から出るように向け直される。濾過ケーキ11の蓄積が完了すると、フィルタキャンドルは洗浄され、その後、濾過が再開される。洗浄は、2つの異なる方法で行うことができる。濾過ケーキが乾式で排出されることがプロセスに望まれるか、又は濾過ケーキがスラリーとして排出されることが望まれるかによって異なる。
【0049】
逆洗とケーキの排出は、ポンプによって流体の流れを逆転させるか、濾液側からガスを導入することによって引き起こされる。ケーキの排出は、最初に全ての液体をシステムから除去し、底部弁を介して濾過ケーキを落下させることによって乾式で行うか、又は充填された供給室に逆洗し、その後に底部弁からスラリーを排出することによってスラリー形態行うことができる。
【0050】
図3は、本発明に係る湿式ケーキ排出用フィルタキャンドル構成部材の好ましいデザインを示す。濾過ケーキ用の、濾液及び浸漬管用の外側流路を含む支持体1は、すべて1つの連続押出しプロファイルで作られている。したがって、本構成部材は、上部及び底部によって完成されるだけでよく、好ましくは、簡単な機械加工又は射出成形された部品で作られ、したがって、使用される材料及び本構成部材を製造するために必要な時間が最小限に抑えられる。浸漬管の直径は、それにより、逆洗時の濾布の動きによる容積の変化を補償するのに十分な流体を収容できるように設計されている。
【0051】
図4は、連続的に押出された外形(プロファイル)が星形に似ている、別の実施形態の断面を示すが、それにより、内側から圧縮ガスを印加している間に濾布が膨張し、濾過ケーキの離脱を改善する際の、濾布のより大きな動きが可能となる。
【0052】
図5は、連続的に押出された外形(プロファイル)がクリケットのバットに似ている、別の実施形態の断面を示すが、これも、内側から圧縮ガスを印加している間に濾布が膨張する際の、濾布の大きな動きを可能とする。この実施形態は、所与の容器寸法において、より大きな全体積の濾過ケーキを収容することを可能にする追加の利点を有する。
【0053】
図6は、U字形金属プロファイル13を中央管12に溶接(例えば、抵抗溶接)することにより、長尺棒状材が本体に取り付けられている、別の実施例の断面を示す。
【国際調査報告】