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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】美容カロテノイド組成物の製造
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/81 20060101AFI20250117BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 31/045 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 31/047 20060101ALI20250117BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20250117BHJP
【FI】
A61K36/81
A61K31/12
A61P17/00
A61P27/02
A61P17/14
A61P43/00 121
A61P31/10
A61K31/045
A61K31/047
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537010
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-25
(86)【国際出願番号】 US2023010486
(87)【国際公開番号】W WO2023137015
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/298,804
(32)【優先日】2022-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524230712
【氏名又は名称】ユニバー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNIBAR CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】メータ,セヴァンチ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018MD07
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF04
4B018MF06
4B018MF14
4C088AB50
4C088AC04
4C088BA08
4C088BA10
4C088BA11
4C088CA06
4C088CA07
4C088CA22
4C088MA02
4C088MA37
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA33
4C088ZA89
4C088ZA92
4C088ZB22
4C088ZB35
4C088ZC20
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA13
4C206CB15
4C206KA01
4C206KA17
4C206KA18
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA57
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZA89
4C206ZA92
4C206ZB22
4C206ZB35
4C206ZC20
(57)【要約】
トウガラシ抽出物組成物(600)は、1~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5~1%の範囲のゼアキサンチン、および0.1~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含む。組成物は、少なくとも部分的に、向流抽出を用いてカロテノイドを精製することから消費される材料から生成され、組成物は、皮膚、眼または毛髪を強化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トウガラシ抽出物組成物(600)であって、
1%~1.5%の範囲のカプサンチン、
0.5%~1%の範囲のゼアキサンチン、および
0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチン
を含み、
前記組成物が、少なくとも部分的に、向流抽出を使用してカロテノイドを精製することから消費された材料から生成され、
前記組成物は、皮膚、眼、または毛髪を強化する
ことを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記カプサンチンは、トランス-カプサンチン(3R,3’S,5’R)-3,3’-ジヒドロキシ-β,κ-カロテン-6’-オン)を含み、前記ゼアキサンチンは、トランス-ゼアキサンチン(3R,3’R-β,β-カロテン-3,3’-ジオール)を含み、前記クリプトキサンチンは、ベータ-クリプトキサンチン(3R、6’R)-4’,5’-ジデヒドロ-5’,6’-ジヒドロ-β,β-カロテン-3-オールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、チロシナーゼを阻害することによってメラニン阻害を助けることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、マラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスに対する抗真菌剤およびマラセチア酵母に対する抗酵母剤であることによってフケの除去および予防に役立つことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、ヒトケラチノサイト(HaCaT)において遺伝子発現を誘導することによって発毛を助けることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物は、AQP-3 mRNAのレベルを増加させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、経口投与されると、涙液層破壊時間を増加させ、涙液産生量を増加させ、涙液浸透圧を低下させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、経口投与されると、角膜上皮における欠損および擦過傷を減少させ、酸化ストレスを減少させることによって眼表面への損傷を減少させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、経口投与されると、血清MMP-2およびMMP-9レベルを低下させることによって角膜における変性およびアポトーシス細胞死を低下させることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、IL-2、IL-6、およびMMP-9遺伝子の発現を減少させ、TNF-αおよびIL-4遺伝子の発現を下方制御することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の製造方法(100)であって、
使用済み材料からカロテノイドを抽出する工程(102)であって、前記使用済み材料は、溶媒を用いた向流抽出を使用してトウガラシ果実からカロテノイドを精製する工程から生成される、工程;
超臨界流体抽出を使用して前記抽出されたカロテノイドを濃縮する工程(106);および
前記組成物が皮膚、眼、または毛髪を強化するように、向流抽出を用いて前記濃縮されたカロテノイドを精製する工程(11)
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記カロテノイドを抽出する工程は、4時間~8時間の範囲の期間、40℃~90℃の範囲の温度でカロテノイドを抽出する工程を含み、前記カロテノイドを濃縮する工程は、40℃~60℃の範囲の温度で超臨界流体抽出を用いてカロテノイドを濃縮する工程を含み、前記カロテノイドを濃縮する工程は、25mPa~50mPaの範囲の圧力で超臨界流体抽出を用いてカロテノイドを濃縮する工程を含み、前記カロテノイドを精製する工程は、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルを含む向流抽出用の溶媒を用いてカロテノイドを精製する工程を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記濃縮されたカロテノイドを精製する工程は、少なくとも50%のカプサンチンを含む有機層を除去する工程、および、酸を介して残りの水性層のpHを調整する工程を含み、
溶媒を用いて前記カロテノイドを精製する工程は、抽出物が1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~15%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含むように、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルを含む向流抽出用の溶媒を用いて前記カロテノイドを精製する工程を含む
ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物は、経口投与されると、涙液層破壊時間を増加させ、涙液の浸透圧を低下させることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物は、経口投与されると、涙液産生量を増加させることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物は、経口投与されると、角膜上皮における欠損および擦過傷を減少させることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物は、経口投与されると、酸化ストレスを低減することによって眼表面への損傷を低減することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物は、経口投与されると、血清MMP-2およびMMP-9レベルを低下させることによって、角膜における変性およびアポトーシス細胞死を低下させることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物は、IL-2、IL-6およびMMP-9遺伝子の発現を減少させ、TNF-αおよびIL-4遺伝子の発現を下方制御することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
組成物の製造方法(100)であって、
使用済み材料からカロテノイドを抽出する工程(104)であって、前記使用済み材料は、溶媒を用いた向流抽出を使用してトウガラシ果実からカロテノイドを精製する工程から生成される、工程;
超臨界流体抽出を使用して前記抽出されたカロテノイドを濃縮する工程(106);および
前記組成物が、1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~15%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含み、前記組成物が皮膚、眼、または毛髪を強化するように、向流抽出を用いて加水分解されたカロテノイドを精製する工程(110)
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年1月12日出願の、Sevanti Mehtaによる「Manufacture of Cosmetic Carotenoid Compositions」と題された米国仮特許出願第63/298,804号に対する優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
トウガラシ(capsicum annum)抽出物組成物は、1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~1%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含む。組成物は、少なくとも部分的に、向流抽出を使用してカロテノイドを精製することから消費された材料から生成され、組成物は、皮膚、眼、または毛髪を強化する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
組成物を製造するための方法は、使用済み材料からカロテノイドを抽出する工程を含み、使用済み材料は、溶媒を使用する向流抽出を使用してトウガラシ果実からカロテノイドを精製することによって生成される。本方法はさらに、超臨界流体抽出を使用して抽出されたカロテノイドを濃縮する工程を含む。本方法はさらに、組成物が皮膚、眼、または毛髪を強化するように向流抽出を用いて濃縮カロテノイドを精製する工程を含む。
【0004】
組成物を製造するための方法は、使用済み材料からカロテノイドを抽出する工程を含み、使用済み材料は、溶媒を使用する向流抽出を使用してトウガラシ果実からカロテノイドを精製することによって生成される。本方法はさらに、超臨界流体抽出を使用して抽出されたカロテノイドを濃縮する工程を含む。本方法はさらに、組成物が1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~15%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含み、組成物が皮膚、眼、または毛髪を強化するように、向流抽出を用いて加水分解カロテノイドを精製する工程を含む。
【0005】
したがって、組成物および方法は、以下の実施例の1つまたは複数に従って提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】組成物を製造する例示的な方法を示す図
図2】眼圧の低下を示す例示的な棒グラフ
図3】抗肥満効果を評価する試験の結果を示す例示的な図
図4】抗肥満効果を評価する試験の結果を示す例示的な図
図5】抗肥満効果を評価する試験の結果を示す例示的な図
図6】例示的な組成物を示す図
図7】メラニン阻害を示す例示的な棒グラフ
図8】チロシナーゼ阻害を示す例示的な棒グラフ
図9】倍数増加についての遺伝子転写物の遺伝子発現分析を示す例示的な棒グラフ
【発明を実施するための形態】
【0007】
しかしながら、図面およびその詳細な説明に与えられる特定の実施形態は、本開示を限定しないことを理解されたい。それどころか、それらは、添付の特許請求の範囲において所与の実施形態のうちの1つまたは複数とともに包含される代替形態、均等物、および改変を当業者が認識するための基礎を提供する。
【0008】
特定の用語は、以下の説明および特許請求の範囲全体を通して、特定のシステム構成要素および構成を称するために使用される。当業者が理解するように、企業は、異なる名称で構成要素を称することがある。本明細書では、名称が異なるが機能は異ならない構成要素を区別することを意図していない。以下の議論および特許請求の範囲において、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語は、非限定的な様式で使用され、したがって、「~を含むがこれに限定されない」を意味すると解釈されるべきである。
【0009】
カロテノイドは、植物および動物において広く見出され、8つのイソプレン単位からなる長い脂肪族ポリエン鎖によって化学的に特徴付けられるカロテンなどの様々な色素のいずれかである。カプサンチンはカロテノイドであり、β-カロテン、リコペン、ルテインおよびゼアキサンチンと同様である。これらの色素は、赤色、橙色、黄色、および緑色の果物および野菜に見出される。カロテノイドは、抗酸化テトラテルペノイドであり、身体の病気予防メカニズムを助ける。
【0010】
カプシクムは、野菜、スパイスおよび/または着色料として使用される広く消費される天然食材であり、パプリカ抽出物は、カプシクム属の果実の抽出物である。中南米原産の属は、ナス科に属し、マイルドなピーマンからスパイシーなハバネロまで全てのペッパーを含む。アンヌウム(annum)、フルテッセンス(frutescens)、キネンセ(chinense)、プベセンス(pubescens)およびバッカツム(baccatum)の5つの栽培化された種が存在し、最も広く普及しているのは、アンヌウム、フルテッセンスおよびキネンセである。世界で最初に導入されたのは、メキシコ原産のアンヌウムであった。以前は、スイート(またはマイルドな)ペッパーおよびホット(またはチリ)ペッパーの2つのカテゴリーに分けられたが、現代の植物育種によりその区別はなくなった。現在、アンヌウムは、家庭での消費および工業的加工の観点から最も広く普及している。
【0011】
アンヌウムは、食品着色のためのパプリカ抽出物を製造するために使用される品種である。着色抽出物は、スパイス剤として使用される抽出物と比較して、カプサイシン含有量が低い。赤色品種において、カプサンチンおよびカプソルビンは、赤色を担う主要な化合物である。アンヌウム果実に由来する純粋なカロテノイド結晶には、カプサンチン、ゼアキサンチンおよびクリプトキサンチンなどのキサントフィルが含まれる。カロテノイドの化学構造は、色素がどのような潜在的な生物学的機能を有し得るかを最終的に決定する。カロテノイドのポリエン骨格における交互の単結合および二重結合の特有のパターンは、それらが他の分子から過剰なエネルギーを吸収することを可能にする一方で、カロテノイド上の特定の末端基の性質は、それらの極性に影響を及ぼし得る。カプサンチンおよびカプソルビンに存在するカルボニル基は、ルテインおよびゼアキサンチンなどの他のカロテノイドと比較した場合、それらを特有のものにする。
【0012】
加齢黄斑変性症(「AMD」)は、一般的な医学的眼疾患であり、50歳を超える人々の間で失明の主な原因である。これは、鋭敏な中央視野のために使用される網膜の中心付近の楕円形の色素沈着領域である黄斑に対する損傷を含む。AMDは、乾燥(萎縮型)または湿潤(滲出型)の2つのタイプであり得る。加齢に加えて、高い血圧、酸化ストレス、ブルーライト曝露、肥満などもAMDを引き起こし得る。黄斑内のカロテノイドは、いずれも眼細胞に有害である、太陽光の青色波長を濾過し、網膜付近のフリーラジカルを減少させる助けをする。ルテインおよびゼアキサンチンは網膜に存在するカロテノイドであり、眼細胞を光酸化損傷から保護する。具体的には、AMDの主な原因であるブルーライトへの慢性的曝露は、錐体密度および錐体感受性の低下を引き起こし、ゼアキサンチンは、ブルーライトを吸収することによってAMDを予防し得る。
【0013】
スキンケアは、美容上の課題であるだけでなく、特に日光に著しく暴露される高齢化人口を考慮すると、主要な健康上の関心事でもある。スキンケア製品は、人体の様々な外部部位と接触することを意図した治療用製剤であり、変性皮膚疾患から保護する。様々な化粧品製剤に使用される合成化学物質は、望ましくない、時には不可逆的な副作用を伴い、また皮膚アレルギーを引き起こす。パラベンおよびフタル酸エステル類などの石油系化学物質は、健康を害するものとして認識されており、そのため、消費者は、天然のハーブ系成分を求めている。さらに、合成フレグランスは、生殖毒性、癌、および内分泌攪乱に関連している。したがって、天然物は望ましくない副作用がないので、合成化学物質よりも天然物由来の化粧品が好ましい。カプサンチンの化粧品としての皮膚科学的適用は、サンプロテクションファクター(「SPF」)、メラニン阻害活性、チロシナーゼ阻害活性、微生物によって引き起こされるニキビおよびフケに対する有効性、およびヒトケラチノサイト細胞株におけるアクアポリン3(「AQP-3」)の遺伝子発現の誘導などのインビトロ実験を介して開示されている。
【0014】
SPFは、紫外線(「UV」)放射に対する保護の有効性を実験室で測定したものである。UV放射への曝露は、日焼けおよび色素沈着過剰を引き起こす。インビトロSPFは分光光度法によって測定され、SPFが高いほど、UV放射に対する保護は大きくなる。メラニン色素は、メラニン細胞によって産生され、周囲のケラチノサイトに移される。特殊な細胞であるメラニン細胞は、表皮の基層に位置する。メラニンは、主に皮膚色素沈着の原因であり、UV放射誘発性皮膚損傷の予防において極めて重要な役割を有する。酵素チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質1(「TRP1」)、およびドーパクロムトートメラーゼ(「DCT」)は、チロシンのメラニンへの酵素的変換を担う。メラニンの合成は、UV放射およびcAMPを上昇させるコレウス・フォルスコリ(Coleus forskohlii)由来のフィトケミカルであるフォルスコリンを含む様々な因子によって促進される。メラニンの異常な生合成は、肝斑、そばかす、色素沈着過剰、および加齢斑などの重大な美容上の問題を引き起こし得る。したがって、開示される組成物および方法は、メラニン生合成の阻害によって皮膚を明るくする特性を示す。具体的には、脱色素は、メラニン細胞の増殖を減少させるか、または、銅含有酵素であるチロシナーゼを阻害することによってメラニンの生合成を阻害することによって達成される。
【0015】
親油性のマラセチア・ファーファー(Malassezia furfur)は、ヒトおよび動物の皮膚に典型的に見出される真菌の単系統属に属する。ヒト皮膚真菌集団の80%超がマラセチア・ファーファーを構成し、感染宿主および健常宿主の両方においてしばしば単離される。マラセチア属は、癜風、脂漏性皮膚炎、およびマラセチア毛包炎を含むいくつかの一般的な皮膚疾患に関連している。マラセチアは、アトピー性皮膚炎および乾癬などの他の皮膚疾患にも寄与し得る。皮膚状態は、抗真菌剤を用いてマラセチアの数を減少させることによって改善することができる。例えば、フケは、ぱさぱさの、かゆみのある頭皮を特徴とし、マラセチア属による皮膚のコロニー形成を伴う皮膚疾患である。最も一般的でよく研究されている疾患を引き起こすカンジダ属はカンジダ・アルビカンスであり、これは健康なヒトの皮膚、腸粘膜および生殖器に自然にコロニー形成する。特に入院患者における重篤な感染のために、高い罹患率および死亡率が報告されている。
【0016】
本明細書に開示されるように、赤パプリカとしても知られる、赤いピーマン果実から得られる2種類のカプサンチン抽出物は、上記の全ての状態に対して皮膚保護を提供する。カプサンチン抽出物は、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)によって特徴付けられる。具体的には、赤パプリカ果実から得られるカプサンチンは、UV保護、メラニン阻害、美白、チロシナーゼ阻害、およびヒトケラチノサイト細胞株(HaCaT)におけるアクアポリン3(AQP-3)の遺伝子発現の誘導に有効である。カプサンチン50% w/w結晶(「CAP-50CR」)およびカプサンチン1.5% w/w軟抽出物(「CAP-1.5SE」)はいずれもこれらの効果を示す。
【0017】
図1は、2つの物質を製造する方法100を示す。具体的には、上記の利点を有するいくつかの例示的な実施形態によるカロテノイド組成物である。本明細書にはまた、有機有害溶媒の痕跡を残さず、トウガラシ果実から、トランス-カプサンチン、トランス-ゼアキサンチンおよびβ-クリプトキサンチンなどのカロテノイドの特定の組成物を含有するカロテノイドを単離および精製するための方法が開示される。方法100は、アンヌウム・チリ品種の高着色組成物の選択、溶媒抽出、超臨界流体抽出(「SCFE」)濃縮、無水アルコールによるカロテノイドエステルのアルカリ加水分解、向流抽出器を用いた精製、濃縮、および乾燥を含む。得られる結晶は、化粧品、栄養補助食品、食品添加物などに適した組成物である。
【0018】
102において、特定の種類のトウガラシ果実が選択される。一実施形態では、トウガラシ果実は、例えば以下の、ビャダギトウガラシ(Bydagi chili)品種、または色価の高い他のトウガラシから、単独でまたは組み合わせて選択される:Bydagi-Kaddi、Bydagi-Dyavnoor、Bydagi-Dabbi、KDL高色価トウガラシ、5531高色価トウガラシ、および/または4431高色価トウガラシ。一実施形態では、組み合わせの比率は、(1)Bydagi-Kaddi:(1)Bydagi-Dyavnoor:(1)Badagi-Dabbi(1:1:1の比率)である。他の実施形態では、Bydagi-Kaddi:Bydagi-Dyavnoor:Bydagi-Dabbiが1:2:2および1:1:2の比率を使用して、予期せぬ結果が見出された。さらに、KDL高色価、5531高色価、および4431高色価をそれぞれ1:1:2の比率で用いて、予期せぬ結果が見出された。様々な実施形態では、ビャダギトウガラシまたは他の高色価トウガラシの米国香辛料貿易協会(「ASTA」)の色価は、2000~2600単位の範囲内または2000~2400単位の範囲内で選択される。
【0019】
104において、適切な溶媒を用いて果実からカロテノイドを抽出する。一実施形態では、乾燥させ、種子を除去し、フレーク状にしたトウガラシの果実を、40℃~90℃の範囲の温度で、好ましくは60℃で、4時間~8時間、好ましくは6時間、溶媒を用いて抽出する。次いで、溶媒抽出物を真空下で濃縮して、カロテノイドエステルを含有するカプシクム・オレオレジンを生成する。様々な実施形態において、抽出溶媒は、メタノール、エタノール、および/またはイソプロピルアルコールの1つまたはそれらの組合せでもよい。
【0020】
例えば、2000~2400単位のASTA色価を有する、250キログラムの、種子を除去したフレーク状のトウガラシ果実を、撹拌機を備えた2000リットルの容量の反応器に入れることができる。ある体積のメタノール(1000L)を添加してもよく、混合物を60℃で6時間撹拌してもよい。メタノール層を濾過し、回収してもよい。このメタノール抽出は、効率の目的のために3回繰り返すことができる。別の例として、乾燥赤ピーマンフレーク(トウガラシ)をn-ヘキサンで40℃~60℃で6時間抽出し、濾過し、真空下で濃縮することができる。
【0021】
106において、カロテノイドは、超臨界流体抽出を使用して濃縮される。一実施形態では、二酸化炭素が溶媒として使用され、超臨界流体抽出の温度は40℃~60℃の範囲であり、好ましくは50℃である。ある実施形態では、超臨界流体抽出に使用される圧力は、25~50mPaの範囲であり、好ましくは35mPaである。
【0022】
上記の例に続き、全てのメタノール層を合わせ、真空下で濃縮することができる。22kgのオレオレジンを得て、超臨界流体抽出バッグ中で約11kgの炭酸カルシウムと配合することができる。抽出バッグを抽出チャンバに入れ、50℃および35mPaで抽出することができる。濃縮されたオレオレジンの収量は、約11kgであり得る。
【0023】
108において、カロテノイドエステルが加水分解される。一実施形態において、濃縮オレオレジンは、アルコール性水酸化カリウムで加水分解されて、遊離カロテノイドを生成する。一実施形態では、ヒドロキシル化のための塩基は、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、またはそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、加水分解のための溶媒媒体は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、またはそれらの組合せである。一実施形態では、加水分解剤の濃度は、10%~30%の範囲である。一実施形態では、加水分解の温度は70℃~85℃の範囲であり、好ましくは80℃である。一実施形態では、加水分解に必要な時間は、1時間~3時間の範囲であり、好ましくは2時間である。カロテノイドが加水分解されて遊離形態になると、より生物学的に利用可能になる。
【0024】
上記の例に続き、濃縮オレオレジンを500Lガラス内張り反応器に入れることができる。別の容器において、5kgの水酸化カリウムを撹拌しながら40Lのエチルアルコールに加えてもよい。アルコール性KOHは、80℃で2時間撹拌しながら、濃縮オレオレジンにゆっくりと添加することができる。
【0025】
110において、加水分解されたカロテノイドを、向流抽出を用いて精製する。一実施形態では、向流抽出に使用される溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたはその組合せである。一実施形態において、非混和性水相は、水または塩酸で酸性化された水(pH3~4)、好ましくは酸性化された水である。
【0026】
上記の例に続き、HPLCによって鹸化度が99%を超えることを確実にした後、70℃の温度に維持された脱塩熱水40リットルを、10分間撹拌しながら反応塊に添加することができる。カロテノイド結晶を含む希釈塊は、結晶を回収するためにフィルタプレスに供給することができる。約250リットルの追加の熱水が、フィルタプレスを通して供給され、不要な不純物を洗浄し、排水のpHを約7.0の中性に下げてもよい。中和を確実にした後、正圧の窒素をフィルタプレスに印加して、フィルタ内に捕捉された結晶を絞り出すことができる。次いで、約6.7kgの重量を有する湿った結晶をフィルタプレスから回収し、60Lの酢酸エチルに溶解し、向流抽出器に投入することができる。100Lの水を使用し、pHを希塩酸で3または4に調整してもよい。酸性化された水は、向流抽出器に底部供給することができる。
【0027】
別の例として、得られたオレオレジンを超臨界流体抽出によってさらに精製し、40%エタノール性苛性カリを用いて鹸化することができる。次いで、鹸化抽出物を濃縮してエタノールを除去し、酢酸エチル/水混合物によってさらに精製することができる。
【0028】
112において、トウガラシ抽出物を賦形剤とブレンドする。様々な実施形態において、賦形剤は、ヒマワリ油、ベニバナ油、大豆レシチン、ヒマワリレシチン、ヒマワリまたは大豆由来のホスファチジルコリン、デンプン、デキストリン、ラクトース、リン酸二カルシウム、コロイド状二酸化ケイ素、および/またはこれらの組合せである。他の実施形態では、賦形剤は、造粒剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、甘味剤、流動化剤、付着防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、ガム、コーティング剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、可塑剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤、植物セルロース系材料、球状化剤、および/またはこれらの組合せである。一実施形態において、カロテノイドは、1つまたは複数の溶媒の添加、イオン性樹脂の添加、クエンチング、濾過、抽出、および/またはイオン交換樹脂によってさらに単離および/または精製される。
【0029】
上記の例に続き、酢酸エチル層を除去し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮することができる。組成物の収量は約1.1kgであり得る。分光光度計によって測定されるカロテノイド含量は、約95.34%であり得、HPLCによる全トランスカプサンチン、全トランス-ゼアキサンチン、および全β-クリプトキサンチンは、それぞれ98.71%、8.31%、および2.63%である。最終生成物は、約0.2%の水分含量を含んでもよく、ガスクロマトグラフィー分析によって検出される残留メタノールおよび酢酸エチルの痕跡はない。
【0030】
別の例として、酢酸エチル層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、カプサンチン50%結晶(「CAP-50CR」)を得ることができる。水層、通常は産業廃棄物は、少量のカプサンチンを含有し得る。水層のpHを希塩酸で5.5~7.0に調整してもよく、酢酸エチルを添加し、55~60℃に加熱してもよい。分離した酢酸エチル層を除去し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、カプサンチン1.5%軟抽出物(「CAP-1.5SE」)を得ることができる。
【0031】
図2は、動物における眼内圧(「IOP」)の低下のために開示された組成物を使用する研究の結果を示し、以下の任意の工程が、様々な実施形態における方法100の一部であり得る。高い眼内圧は、小柱網を通る房水の排出に対する抵抗の増加から生じる。房水の持続的な増加は、房水の形成の増加、房水の排出の困難さ、または強膜上静脈における圧力の上昇に起因し得る。この研究では、IOPを硝子体内注射によって誘導した。図2は、6つの群(G1~G6)、ならびに各群の左眼および右眼IOPを示す棒グラフを示す。最初の2つの群(G1~G2)は、IOP低下組成物を導入しなかった対照群である。G1ではIOPは誘導されず、G2ではIOPが誘導された。次の群(G3~G6)について、各眼の左のバーは、一実施形態において本明細書に開示される組成物の導入前のIOPを表す。各眼の右のバーは、組成物の導入後のIOPを表す。結果は、組成物の導入により、IOPを誘導しなかった群(G1)とほぼ等しいレベルまでIOPが低下し、組成物を導入しなかった群(G2)よりも有意に低いレベルまでIOPが低下したことを示す。
【0032】
図3~5は、図においてCapsiClearと称される、本明細書に開示される組成物の抗肥満効果を評価するための研究の結果を示し、以下の任意の工程が、様々な実施形態における方法100の一部であり得る。「HFD」は、肥満を誘発するために使用される高脂肪食を指す。この研究では、G1-G6の6つの群を使用した。G1は通常食を与えた群を指し、G2は高脂肪食を与えた群を指し、G3は低用量の組成物を用いた高脂肪食を与えた群を指し、G4は中用量の組成物を用いた高脂肪食を与えた群を指し、G5は高用量の組成物を用いた高脂肪食を与えた群を指し、G6は参照薬物オルリスタットを用いた高脂肪食を与えた群を指す。
【0033】
図3において、y軸は体重を示し、x軸は時間を日数で示す。図から分かるように、体重の31%の有意な減少が80mg/kgの高用量で観察された。
【0034】
図4は、研究における異なる測定の結果を示す3つのチャート402、404、406を含み、以下の任意の工程が、様々な実施形態における方法100の一部であり得る。402では、組成物を与えられた群において肝臓質量が減少した。404において、脂肪組織重量は、高用量の組成物を与えられた群において有意に減少した。406において、精巣上体脂肪体重量は、低用量および高用量の組成物の群において有意に減少した。
【0035】
図5は、研究における異なる測定の結果を示す4つのチャート502、504、506、508を含み、以下の任意の工程が、様々な実施形態における方法100の一部であり得る。502において、アディポネクチンは、中用量および高用量の組成物を与えられた群において有意に増加した。アディポネクチンの増加は、インスリン抵抗性および体重の減少を引き起こす。504、506、および508において、血漿レプチン、血漿遊離脂肪酸、およびインスリンはそれぞれ、組成物を与えられた全ての群において有意に減少した。インスリンの低下は体重の低下を引き起こし、血漿遊離脂肪酸の低下はミトコンドリア機能および全身インスリン感受性の改善を引き起こし、血漿レプチンの低下は視床下部レプチン感受性の回復、体重増加の減少およびインスリン感受性の強化を引き起こす。したがって、上記すべてに基づいて、組成物は、他の利点と共にまたは組み合わせて、減量目的のために効果的に使用され得る。
【0036】
図6は、医薬品、栄養補助食品、および/または美容食品の目的のためのカプセルの実施形態において、上述のように製造されたカプサンチン、ゼアキサンチンおよびクリプトキサンチンを含むトウガラシ抽出物の組成物600を示す。他の実施形態において、組成物は、錠剤、注射剤、クリーム、ゲル、軟膏、ローション、溶液、飲料、菓子、エマルジョン、フォーム、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁液、油性懸濁液、パッチ、歯磨剤、スプレー、ドロップ、粉末、顆粒、シロップ、エリキシル、食品、および/またはこれらの組合せとして実施される。好ましい実施形態では、組成物は、錠剤、ソフトゼラチンカプセル、ハードゼラチンカプセル、クリーム、ゲル、ローション、および/またはそれらの組合せを含む。
【0037】
一実施形態において、組成物は、様々な実施形態において、局所投与、経口投与、静脈内投与、関節内投与、筋肉内投与、および/またはそれらの組合せによって投与され得る。好ましい実施形態では、投与様式は、経口、局所、静脈内筋肉内、および/またはそれらの組合せである。さらに、亜麻仁、亜麻仁油、ベジタリアンオイルまたは植物油および他の油などの材料を組成物と組み合わせて、活性成分を安定化させることができる。組成物と組み合わされる材料の量にかかわらず、カロテノイドの総量に対するカロテノイドの割合は、少なくともいくつかの実施形態において同じままである。
【0038】
12週間の無作為化プラセボ対照パイロット臨床試験は、組成物が、以下を行い得ることを示す: 黄斑色素密度(「MPOD」)を増加させ、これはより良好な視覚性能に関連する、明るい光への曝露後の回復時間を短縮する、および、既に記載された利点に加えて、異なる光条件(白色光およびブルーライトの両方)下での読み取りを改善する。
【0039】
組成物は、1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~1%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含み得る。組成物は、少なくとも部分的に、向流抽出を使用してカロテノイドを精製することから消費される材料から作製されてもよく、組成物は、皮膚、眼、または毛髪を強化する。上記のプロセスの結果として、一実施形態では、カロテノイドの組成物は、以下の範囲である:50%~80%のカプサンチン、5%~15%のゼアキサンチン、1%~5%のクリプトキサンチン、および微量の他のカロテノイド。これらのパーセンテージおよび本明細書における全てのパーセンテージは、実際のパーセンテージおよび表示規制によって許容されるパーセンテージの両方を指す。一実施形態において、総カロテノイドの組成物は、90%~99%の範囲である。別の実施形態では、組成物は、10%~99%の範囲の総カロテノイドを含み得る。一実施形態では、カロテノイドは、トランス-カプサンチン:(3R,3’S,5’R)-3,3’-ジヒドロキシ-β,κ-カロテン-6’-オン;トランス-ゼアキサンチン:3R,3’R-β,β-カロテン-3,3’-ジオール;および、ベータ-クリプトキサンチン:(3R、6’R)-4’,5’-ジデヒドロ-5’,6’-ジヒドロ-β,β-カロテン-3-オールである。カプサンチンは、トランス-カプサンチン(3R,3’S,5’R)-3,3’-ジヒドロキシ-β,κ-カロテン-6’-オンを含んでもよく、ゼアキサンチンは、トランス-ゼアキサンチン(3R,3’R-β,β-カロテン-3,3’-ジオール)を含んでもよく、クリプトキサンチンは、ベータ-クリプトキサンチン(3R、6’R)-4’,5’-ジデヒドロ-5’,6’-ジヒドロ-β,β-カロテン-3-オールを含んでもよい。
【0040】
一実施形態では、カロテノイドの色価は、800,000~1,250,000の範囲である。したがって、本組成物は、リップスティック、チャップスティック、液体グロス、リップスティックペースト、チーク、リップライナー、ファンデーション、コンシーラー、アイ・コントゥアー、アイライナー、マスカラ、マニキュア、アイシャドウ、ボディメイクアップなどの化粧品に色および肌強化機能を提供するのに理想的である。WHOFAO、JECFA、およびHPLC分析を実施して、参照標準を使用し、CAP-50CRおよびCAP-1.5SE中のカプサンチンを同定および定量することができる。参照標準中のカプサンチンの保持時間のHPLCクロマトグラムにおいて、CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは同一であり、これはカプサンチンの存在を確認する。様々な実施形態では、方法100は、任意の以下の工程を含む。
【0041】
現在、世界中で報告されている非黒色腫皮膚癌には、太陽紫外線の定常的な増加が関与している。太陽光に存在するUV放射は、その主な原因として関与している。UV放射は、過剰な活性酸素種(「ROS」)を引き起こし、それによって酸化ストレスを増加させ、皮膚損傷および非黒色腫皮膚癌を誘発することが知られている。したがって、ROSおよび酸化ストレスの低減は、皮膚損傷および癌から皮膚を予防するために重要である。
【0042】
生物学におけるポリエン化合物の主要なクラスであるカロテノイド、および分子中に存在する長いポリエン結合は、励起された分子を消光することによってフリーラジカルを消去する。カプサンチンは、その構造中に11個の共役ジエンと結合したケト基が存在するため、非常に強力なカロテノイドである。共役ジエンは、それらのラジカル消去能および一重項酸素消光能に関与する。カプサンチンによって示される皮膚保護、抗癌、抗炎症、抗肥満、抗コレステロール、および抗脂肪生成作用は、その強力なラジカル消光能の結果である。
【0043】
日焼け防止剤の有効性は、サンプロテクションファクター(「SPF」)によって決定される。効果的な日焼け止め剤は、皮膚をUV放射および皮膚損傷から保護するために、広い範囲の吸光度(290および400nm)を有する必要がある。米国食品医薬品局(FDA)によれば、日焼け止め剤は、最低でも15 SPFを有しなければならない。本明細書に開示される組成物であるCAP-50CRおよびCAP-1.5SEについてのSPF値は、それぞれ34.44および20.63である。これらの値により、CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは、それぞれ高および中程度の日焼け防止剤として適格となる。以下の表は、SPFの試験および平均値を示す。CAP-50CRについて、測光SPF値は、3回の試験で34.58、33.62および35.13と測定され、平均値は34.44であった。CAP-1.5SEについて、測光SPF値は、3回の試験で21.96、19.96および19.97と測定され、平均値は20.63であった。
【表1】
【0044】
SPFに加えて、組成物はまた、以下の表に示すように抗真菌特性を示す。マラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスに対するCAP-50CRおよびCAP-1.5SEの抗真菌活性を、最小発育阻止濃度(「MIC」)法によって抗真菌薬ケトコナゾールと比較する。
【0045】
マラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスに対するCAP-50CRおよびCAP-1.5SEの阻害効果アッセイは、培養微量希釈標準法に従って実施することができる。抗真菌薬であるケトコナゾールを標準として使用することができる。凍結乾燥したカンジダ・アルビカンス(ATCC-10231)およびマラセチア・ファーファー(ATCC-14521)株も同様に使用することができる。マラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスの白金耳量(loopful)培養物をSDA(Sabouraud Dextrose Agar)上に画線培養し、それぞれ35±2℃および25±2℃で48~72時間インキュベートすることができる。最後に、細胞をRPMI 1640培地に懸濁して、1×10CFU/mLの最終濃度を得ることができる。阻害活性の評価のために、CAP-50CRおよびCAP-1.5SEの効果を、96ウェルマイクロプレート中でそれぞれ35±2℃および25±2℃の異なる濃度で48~72時間培養したマラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスの株に対して調べることができる。
【0046】
抗真菌標準ケトコナゾールは、マラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスの両方に対して0.00048mg/mLのMIC値を示した。マラセチア・ファーファーに対するCAP-50CRおよびCAP-1.5SEのMICは、それぞれ0.625mg/mLおよび5mg/mLであることが見出された。CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは、カンジダ・アルビカンスに対して同じMIC値を示し、2.5mg/mLであった。注目すべきことに、CAP-50CR抽出物は中程度の抗真菌活性を示し、CAP-1.5SEは抗真菌薬ケトコナゾールと比較して穏やかな抗真菌活性を示した。したがって、組成物は発毛を助けることができ、また組成物はフケの除去および予防を助けることができる。
【表2】
【0047】
無菌性および増殖制御もまた使用され得る。酵母増殖は、酵素結合免疫吸着アッセイマイクロプレートリーダーにおいて530nmで測定することができる。最小発育阻止濃度(MIC50)は、対照と比較して50%の真菌増殖の減少をもたらすCAP-50CRおよびCAP-1.5SEの最低濃度として定義され得る。したがって、組成物はさらに、マラセチア酵母に対する抗酵母剤であり得る。
【0048】
組成物は、図7に示すようにメラニン阻害を助けることができる。マウス皮膚黒色腫細胞株B16F10は、コンフルエントになるまで37℃で5%COの加湿雰囲気下で、10%不活化ウシ胎仔血清(「FBS」)、ペニシリン(100lU/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、およびアンホテリシンB(5μg/mL)を補充したDMEM-HG培地中で培養することができる。細胞をTPVG溶液(PBS中、0.2%トリプシン、0.02%EDTA、0.05%グルコース)で解離させることができる。ストック培養物は、25cm培養フラスコ中で増殖させることができ、96ウェルマイクロタイタープレートを使用することができる。
【0049】
単層細胞培養物をトリプシン処理してもよく、10%FBSを含有するDMEM-HG培地を用いて細胞数を1.0×10細胞/mLに調整してもよい。0.1mLの希釈細胞懸濁液を各ウェルに添加し、24時間維持した。単層が形成された後、上清をとばし、培地で洗浄してもよく、異なる濃度の試験物質100μlを添加し、5%CO雰囲気中で、37℃で48時間インキュベートしてもよい。顕微鏡検査を実施してもよく、観察を24時間毎に記録することができる。
【0050】
細胞生存率は、MTT還元アッセイによって評価することができる。72時間のインキュベーション後、薬剤溶液を廃棄してもよく、PBS中の50μlのMTTを各ウェルに添加してもよい。プレートを穏やかに振盪し、5%CO雰囲気中、37℃で3時間インキュベートしてもよい。上清を除去してもよく、100μlのDMSOを添加してもよい。プレートを穏やかに振盪して、形成されたホルマザンを可溶化することができる。吸光度は、マイクロプレートリーダーを用いて540nmの波長で測定することができる。細胞の増殖を50%阻害するために必要な試験物質の濃度(CTC50)を計算することができる。
【0051】
B16F10細胞株におけるCAP-50CRおよびCAP-1.5SEの細胞毒性を評価して、CTC50値を決定することができる。70~80%コンフルエントであり得る24時間細胞培養物を使用して、メラニン阻害を決定し得る。細胞は、非毒性濃度の試験物質およびフォルスコリン(200μM)で48時間処理され得る。
【0052】
インキュベーション期間の終わりに、上清をウェルから吸引してもよく、培養物を温PBSで2回洗浄してもよい。トリプシン処理によって細胞を回収してもよく、細胞懸濁液を2500rpmで15分間遠心分離してもよい。細胞ペレットをPBSで洗浄し、遠心分離し、10%DMSOを含有する400μLの1N NaOHで処理することができる。試料を60℃で1時間加熱し、冷却し、細胞溶解物の吸光度を450nmで分光光度計により評価することができる。
【0053】
CAP-50CRおよびCAP-1.5SEのインビトロ細胞毒性は、MTTアッセイによって皮膚黒色腫細胞(B16F10)において評価することができる。1000μg/mL~7.8μg/mLの範囲の異なる濃度を使用して、B16F10細胞に対する増殖阻害パーセンテージを決定することができる。CAP-50CRは、B16F10細胞株上で98.44±2.55μg/mLのCTC50値を示すが、CAP-1.5SEは1000μg/mL超のCTC50値を示す。さらに、非毒性濃度は、フォルスコリン誘導性メラニン阻害活性について評価され得る。物質の細胞毒性特性を表3に示し、メラニン阻害のパーセンテージを図7に示す。CAP-50CRについて、7および3μg/mLの非毒性濃度は、それぞれ48.73±0.75%および42.29±5.2%のメラニン阻害を示す。CAP-1.5SEについてのメラニン阻害は、50および25μg/mLの非毒性濃度について、それぞれ55.84%±1.47および46.44%±1.05である。
【0054】
組成物は、図8に示すようにチロシナーゼを阻害することができる。CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは、非毒性濃度で高いチロシナーゼ阻害活性を示した。したがって、それらは、化粧品および医薬品用途のための色素脱失剤である。具体的には、メラニンの過剰産生は、異常なメラニン形成による色素沈着症をもたらし、チロシナーゼは、色素異常の治癒剤および美白を開発するための重要なマーカーである。
【0055】
チロシナーゼ阻害活性は、分光光度法で測定したキノコチロシナーゼのDOPAオキシダーゼ活性を用いて測定することができる。10μLのDMSOを96ウェルマイクロプレートにとり、氷上で60μLの50mmol/Lリン酸緩衝液(pH6.8)と混合することができる。次に、リン酸緩衝液中20μLの0.9mg/mLのL-DOPAを添加してもよい。最後に、10μLのチロシナーゼ(リン酸緩衝液中500U/mL)を混合物に加え、27℃で10分間インキュベートすることができる。インキュベーション後、反応混合物中のドーパクロムの生成量は、マイクロプレートリーダーにおいて450nm(OD450)で分光光度計により測定され得る。50mmol/Lリン酸緩衝液に溶解したコウジ酸(5~100μmol/L)を陽性対照として使用することができる。50%阻害濃度(IC50)を決定することができる。
【0056】
CAP-50CR抽出物は、CAP-1.5SEよりも大きいチロシナーゼ阻害活性を示す。CAP-50CR抽出物は、7および3μg/mLの濃度で、それぞれ43.78%および39.37%の阻害を示す。CAP-1.5SEは、50および25μg/mLの濃度について、それぞれ34.6%および22.9%を示す。したがって、CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは、チロシナーゼを阻害することによる美白効果を示す。
【0057】
組成物は、図9に示されるように、ヒトケラチノサイト(HaCaT)において遺伝子発現を誘導し得る。表皮を含むケラチノサイトは、ロリクリン、インボルクリン、およびフィラグリンを産生して、ケラチンフィラメントを組み合わせ、角化細胞エンベロープを形成する。さらに、ケラチノサイトに存在するヒアルロン酸は、皮膚における保湿バリアとして作用する。皮膚および他の器官の水分保持率は、アクアポリン(AQP)、すなわち疎水性の小さいタンパク質分子によって調節される。現在、哺乳動物において、ほぼ13種類のAQPが同定されている。AQP3の機能は、グリセロールおよび水の輸送に関与するので、皮膚にとって重要であると考えられる。皮膚損傷に応答して、AQPはダウンレギュレートされる。したがって、AQPは、皮膚機能の回復に重要な役割を果たし、ヒアルロン酸(HA)の生合成に関与する。皮膚におけるHAの減少は、しわ、弾力性の喪失、および早期老化をもたらす。HaCaT細胞におけるAQP3をコードする遺伝子の発現に対するCAP-50CRおよびCAP-1.5SEの効果は、RT-PCRを用いて調べることができる。
【0058】
ストック細胞は、コンフルエントになるまで37℃で5%COの加湿雰囲気下で、10%不活化ウシ胎仔血清(FBS)、ペニシリン(100IU/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、およびアンホテリシンB(5μg/mL)を補充したDMEM中で培養することができる。細胞をTPVG溶液(PBS中、0.2%トリプシン、0.02%EDTA、0.05%グルコース)で解離させることができる。
【0059】
単層細胞培養物をトリプシン処理してもよく、10%FBSを用いて細胞数を100,000細胞/mLに調整してもよく、希釈した細胞懸濁液の0.1mLを96ウェルマイクロタイタープレートに採取してもよい。単層の形成後、上清をとばし、培地で洗浄し、異なる濃度の100μlの試験物質を添加し、5%CO雰囲気中、37℃で72時間インキュベートすることができる。72時間後、試験溶液を廃棄してもよく、PBS中の50μlのMTTを各ウェルに添加してもよい。プレートを穏やかに振盪し、5%CO雰囲気中、37℃で3時間インキュベートしてもよい。上清を除去してもよく、100μlのDMSOを添加してホルマザンを溶解してもよい。吸光度は、マイクロプレートリーダーを用いて540nmの波長で測定することができる。細胞増殖を50%阻害するために必要な増殖阻害パーセンテージおよび試験物質の濃度(CTC50)を計算することができる。
【0060】
HaCaT細胞は、TriExtract試薬で処理することによって細胞溶解に供され得る。クロロホルムを添加し、遠心分離して、試料から全RNAを単離することができる。上層を回収し、等容量のイソプロパノールで希釈し、-20℃で10分間インキュベートすることができる。インキュベーション後、遠心分離し、適切な容量のエタノールを添加して再懸濁することができる。単離されたRNAペレットを風乾してもよく、TAE緩衝液を添加してもよい。第1鎖cDNAは、オリゴdTプライマーと、それに続く逆転写酵素処理を用いてRNAから合成することができる。cDNAは、AQP-3およびGAPDHの増幅のためのPCRのために供され得る。
【0061】
AQP-3のmRNA発現レベルは、半定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)手順を使用することによって決定することができる。AQP-3は、以下のプライマーを用いて増幅することができる。I鎖合成について:オリゴdTプライマー。II鎖合成について:フォワード:5’-GCTGTCACTCTGGCATCCTG-3’およびリバース:5’-GCGTCTGTGCCAGGGTGTAG-3’。増幅反応は、以下のスキームで実施することができる:95℃で5分間、続いて、95℃で30秒間の変性、アニーリング温度で30秒間、および72℃で45秒間の35サイクル、72℃で10分間の10分間最終伸長。
【0062】
CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは、HaCaT細胞上で、それぞれ76.59±3.25μg/mLおよび664.95±2.88μg/mLのCTC50値を示す。さらに、非毒性濃度において、CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは、半定量的RT-PCR手順において、対照と比較して、より低い濃度およびより高い濃度でAQP-3 mRNAのレベルの増加を示す。図9は、遺伝子転写物の半定量的遺伝子発現分析の倍数増加のグラフであり、AQP-3遺伝子発現の相対レベルはGAPDHに対して正規化される。値を平均値±SEM(n=2)として表し、統計的有意性を対照群と他の処理群(CAP-50CR 7.5μg/mL、CAP-50CR 15μg/mL、CAP-1.5SE 125μg/mLおよびCAP-1.5SE 250μg/mL)との間で比較する(***p<0.0001、統計的に有意)。いずれの物質も、半定量的RT-PCR手順において、対照と比較して、より低い濃度およびより高い濃度でAQP-3 mRNAのレベルの増加を示した。
【0063】
上記に基づいて、組成物は、ヒアルロン酸の生合成を増加させることによって皮膚機能を回復させ、皮膚保湿を助けることができる。組成物は、AQP-3 mRNAのレベルを増加させ得る。組成物は、紫外線放射、UVA放射、およびUVB放射から皮膚を保護するのに役立ち得る。組成物は、少なくとも20のサンプロテクションファクター(SPF)を提供し得る。組成物は、経口投与されると、ドライアイ症候群を予防および治療し得る。組成物は、経口投与されると、涙液層破壊時間を増加させ、涙液の浸透圧を低下させることができる。組成物は、経口投与されると、涙液産生量を増加させ得る。組成物は、経口投与されると、角膜上皮における欠損および擦過傷を減少させ得る。組成物は、経口投与されると、酸化ストレスを低減することによって眼表面への損傷を低減し得る。組成物は、経口投与されると、血清MMP-2およびMMP-9レベルを低下させることによって、角膜における変性およびアポトーシス細胞死を低下させ得る。組成物は、経口投与されると、眼のムチン層を回復し得る。組成物は、IL-2、IL-6およびMMP-9遺伝子の発現を低下させ得る。組成物は、TNF-αおよびIL-4遺伝子の発現を下方制御し得る。
【0064】
CAP-50CRおよびCAP-1.5SEは、UV放射および色素沈着過剰からの皮膚保護特性を示す。それらはまた、抗真菌特性、美白特性、抗しわ特性、および保湿特性を示す。これらの結果は、赤ピーマン果実由来のカプサンチンが、スキンガード製剤中の化粧品活性成分として、および様々な皮膚科学的疾患のための潜在的な治療剤として使用され得ることを示す。
【0065】
本開示の追加の実施形態および特徴は、本明細書に提供される説明に基づいて、当業者に明らかであろう。本明細書の実施形態ならびにその様々な特徴および有利な詳細は、本明細書における非限定的実施形態を参照して説明される。本明細書で使用される実施例は、単に、本明細書の実施形態が実施され得る方法の理解を促進し、さらに、当業者が本明細書の実施形態を実施することを可能にすることを意図する。したがって、以下の実施例は、本明細書における実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0066】
いくつかの態様において、組成物および方法は、以下の実施例の1つまたは複数に従って提供される。
【0067】
実施例1:トウガラシ抽出物組成物は、1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~1%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含む。組成物は、少なくとも部分的に、向流抽出を使用してカロテノイドを精製することから消費された材料から作製され、組成物は、皮膚、眼、または毛髪を強化する。
【0068】
実施例2:組成物を製造するための方法は、使用済み材料からカロテノイドを抽出する工程を含み、使用済み材料は、溶媒を使用する向流抽出を使用してトウガラシ果実からカロテノイドを精製することによって作製される。本方法は、超臨界流体抽出を使用して抽出されたカロテノイドを濃縮する工程をさらに含む。本方法は、組成物が皮膚、眼、または毛髪を強化するように、向流抽出を用いて濃縮カロテノイドを精製する工程をさらに含む。
【0069】
実施例3:組成物を製造するための方法は、使用済み材料からカロテノイドを抽出する工程を含み、使用済み材料は、溶媒を使用する向流抽出を使用してトウガラシ果実からカロテノイドを精製することによって作製される。本方法は、超臨界流体抽出を使用して抽出されたカロテノイドを濃縮する工程をさらに含む。本方法は、組成物が1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~15%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含み、組成物が皮膚、眼、または毛髪を強化するように、向流抽出を用いて加水分解カロテノイドを精製する工程をさらに含む。
【0070】
以下の特徴は、上述の様々な実施形態に組み込むことができ、そのような特徴は、他の特徴の1つまたは複数に個々に組み込まれるか、または他の特徴の1つまたは複数と併せて組み込まれる。
【0071】
カプサンチンは、トランス-カプサンチン(3R,3’S,5’R)-3,3’-ジヒドロキシ-β,κ-カロテン-6’-オンを含んでもよく、ゼアキサンチンは、トランス-ゼアキサンチン(3R、3’R-β,β-カロテン-3,3’-ジオール)を含んでもよく、クリプトキサンチンは、ベータ-クリプトキサンチン(3R,6’R)-4’,5’-ジデヒドロ-5’,6’-ジヒドロ-β,β-カロテン-3-オールを含んでもよい。カロテノイドの色価は、800,000~1,250,000の範囲であり得る。組成物は、加齢黄斑変性症状、例えば、ぼやけた視力、歪んだ視力、中心視力の低下、および低光レベルの採用の困難性の管理に役立ち得る。組成物は、酸化および小胞体ストレスを減少させることによって、ブルーライト誘発性網膜症から保護することができる。組成物は、リップスティック、チャップスティック、液体グロス、リップスティックペースト、チーク、リップライナー、ファンデーション、コンシーラー、アイ・コントゥアー、アイライナー、マスカラ、マニキュア、アイシャドウ、またはボディメイクアップなどの化粧品に色を提供することができる。組成物は、ブルーライト損傷に対する光受容体の機能的および形態学的保存を提供し得る。組成物は、緊張性緑内障、原発性開放隅角緑内障、および閉塞隅角緑内障に関連する眼圧を低下させることができる。組成物は、体重を低下させ得る。組成物は、インスリンを低下させ、それによって体重を低下させ得る。組成物は、血漿遊離脂肪酸を低下させ、それによってミトコンドリア機能および全身インスリン感受性を改善することができる。組成物は、血漿レプチンを低下させ、それによって視床下部レプチン感受性を回復させ、体重増加を減少させ、インスリン感受性を強化することができる。組成物は、アディポネクチンを増加させ、それによってインスリン抵抗性および体重を減少させ得る。組成物は、脂肪組織重量および精巣上体脂肪体を減少させ得る。組成物は、カプセル剤、錠剤、注射剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、ローション剤、液剤、飲料剤、菓子剤、乳剤、フォーム剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、パッチ剤、歯磨剤、スプレー剤、点滴剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、エリキシル剤、または食品などの形態であり得る。組成物は、10%~99%の範囲の総カロテノイドを含み得る。トウガラシ果実は、それぞれ1:1:2の比率の、KDL高色、5531高色、および4431高色であり得る。トウガラシ果実のASTA色価は、2000~2600単位の範囲であり得る。溶媒は、エタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコールを含み得る。カロテノイドの抽出は、4時間~8時間の範囲の期間、40℃~90℃の範囲の温度で、カロテノイドを抽出することを含み得る。超臨界流体抽出のための溶媒媒体は、二酸化炭素であってもよい。カロテノイドを濃縮することは、40℃~60℃の範囲の温度で超臨界流体抽出を用いてカロテノイドを濃縮することを含み得る。カロテノイドを濃縮することは、25mPa~50mPaの範囲の圧力で超臨界流体抽出を使用してカロテノイドを濃縮することを含み得る。カロテノイドを加水分解することは、KOHおよびNaOHを使用してカロテノイドを加水分解することを含み得る。カロテノイドを加水分解することは、メタノール、エタノール、およびイソプロピルアルコールを使用してカロテノイドを加水分解することを含み得る。カロテノイドを加水分解することは、10%~30%の範囲内の加水分解剤を使用してカロテノイドを加水分解することを含み得る。カロテノイドを加水分解することは、70℃~85℃の範囲内の温度でカロテノイドを加水分解することを含み得る。カロテノイドを加水分解することは、1時間~3時間の範囲内でカロテノイドを加水分解することを含み得る。カロテノイドを精製することは、酢酸エチルおよび酢酸イソプロピルを含む向流抽出のための溶媒を使用してカロテノイドを精製することを含み得る。非混和性水相は、向流抽出水および塩酸(pH3~4)で酸性化された水に使用され得る。本方法は、カロテノイドを、ヒマワリ油、ベニバナ油、大豆レシチン、ヒマワリレシチン、ヒマワリまたは大豆由来のホスファチジルコリン、デンプン、デキストリン、ラクトース、リン酸二カルシウム、またはコロイド状二酸化ケイ素などの賦形剤とブレンドする工程をさらに含み得る。カプサンチンは、トランス-カプサンチン(3R,3’S,5’R)-3,3’-ジヒドロキシ-β,κ-カロテン-6’-オンを含んでもよく、ゼアキサンチンは、トランス-ゼアキサンチン(3R、3’R-β,β-カロテン-3,3’-ジオール)を含んでもよく、クリプトキサンチンは、ベータ-クリプトキサンチン(3R,6’R)-4’,5’-ジデヒドロ-5’,6’-ジヒドロ-β,β-カロテン-3-オールを含んでもよい。組成物は、メラニン阻害を助けることができる。組成物は、チロシナーゼを阻害し得る。組成物は、フケの除去および予防を助けることができる。組成物は、マラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスに対する抗真菌剤であり得る。組成物は、マラセチア酵母に対する抗酵母剤であり得る。組成物は、発毛を助けることができる。組成物は、ヒトケラチノサイト(HaCaT)において遺伝子発現を誘導し得る。組成物は、ヒアルロン酸の生合成を増加させることによって、皮膚機能を回復させ、皮膚保湿を助けることができる。組成物は、AQP-3 mRNAのレベルを増加させ得る。組成物は、紫外線放射、UVA放射、およびUVB放射から皮膚を保護するのに役立ち得る。組成物は、少なくとも20のサンプロテクションファクター(SPF)を提供し得る。組成物は、経口投与されると、ドライアイ症候群を予防および治療し得る。組成物は、経口投与されると、涙液層破壊時間を増加させ、涙液の浸透圧を低下させることができる。組成物は、経口投与されると、涙液産生量を増加させ得る。組成物は、経口投与されると、角膜上皮における欠損および擦過傷を減少させ得る。組成物は、経口投与されると、酸化ストレスを低減することによって眼表面への損傷を低減し得る。組成物は、経口投与されると、血清MMP-2およびMMP-9レベルを低下させることによって、角膜における変性およびアポトーシス細胞死を低下させ得る。組成物は、経口投与されると、眼のムチン層を回復し得る。組成物は、IL-2、IL-6およびMMP-9遺伝子の発現を低下させ得る。組成物は、TNF-αおよびIL-4遺伝子の発現を下方制御し得る。カロテノイドの抽出は、4時間~8時間の範囲の期間、40℃~90℃の範囲の温度でカロテノイドを抽出することを含んでもよく、カロテノイドの濃縮は、40℃~60℃の範囲の温度で、超臨界流体抽出を用いてカロテノイドを濃縮することを含んでもよく、カロテノイドの濃縮は、25mPa~50mPaの範囲の圧力での超臨界流体抽出を用いてカロテノイドを濃縮することを含んでもよく、カロテノイドの精製は、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルを含む向流抽出用の溶媒を用いてカロテノイドを精製することを含み得る。濃縮されたカロテノイドを精製することは、少なくとも50%のカプサンチンを含む有機層を除去すること、および酸を介して残りの水性層のpHを調整することを含んでもよく、溶媒を使用してカロテノイドを精製することは、抽出物が、1%~1.5%の範囲のカプサンチン、0.5%~15%の範囲のゼアキサンチン、および0.1%~0.5%の範囲のクリプトキサンチンを含むように、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピルを含む向流抽出のための溶媒を使用してカロテノイドを精製することを含んでもよい。組成物は、フケの除去および予防を助けることができ、マラセチア・ファーファーおよびカンジダ・アルビカンスに対する抗真菌剤であり得る。組成物は、発毛を助けることができ、ヒトケラチノサイト(HaCaT)における遺伝子発現を誘導する。組成物は、皮膚の保湿を助け、AQP-3 mRNAのレベルを増加させることができる。組成物は、経口投与されると、ドライアイ症候群を予防および治療し得る。組成物は、経口投与されると、涙液層破壊時間を増加させ、涙液の浸透圧を低下させることができる。組成物は、経口投与されると、涙液産生量を増加させ得る。組成物は、経口投与されると、角膜上皮における欠損および擦過傷を減少させ得る。組成物は、経口投与されると、酸化ストレスを低減することによって眼表面への損傷を低減し得る。組成物は、経口投与されると、血清MMP-2およびMMP-9レベルを低下させることによって、角膜における変性およびアポトーシス細胞死を低下させ得る。組成物は、経口投与されると、眼のムチン層を回復し得る。組成物は、IL-2、IL-6およびMMP-9遺伝子の発現を低下させ得る。組成物は、TNF-αおよびIL-4遺伝子の発現を下方制御し得る。
【0072】
特定の実施形態の前述の説明は、本明細書の実施形態の包括的な性質を完全に明らかにするので、他の者は、現在の知識を適用することによって、包括的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途のために容易に修正および/または適合させることができ、したがって、そのような適合および修正は、開示される実施形態の意味および均等物の範囲内で理解されるべきであり、またそのように理解されることが意図される。本明細書で使用される表現または用語は、説明を目的とするものであり、限定を目的とするものではないことを理解されたい。したがって、本開示における実施形態は、好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者は、本明細書の実施形態が、本明細書に説明されるような実施形態の精神および範囲内で修正を伴って実施され得ることを認識するであろう。上記の開示が完全に理解されると、多数の他の修正、均等物、および代替形態が当業者には明らかになるであろう。以下の請求項は、適用可能な場合、全てのそのような修正、均等物、および代替物を包含するように解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】