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特表2025-501902血管系の病気及び非血管系の病気を治療するためのシステムのような液圧作動式のカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】血管系の病気及び非血管系の病気を治療するためのシステムのような液圧作動式のカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20250117BHJP
【FI】
A61M25/00 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537472
(86)(22)【出願日】2023-01-16
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2023050840
(87)【国際公開番号】W WO2023135286
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】22151791.5
(32)【優先日】2022-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512238276
【氏名又は名称】バイオトロニック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メフラビ、アーズアーデフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルンリ、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ウェッセルマン、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】クイント、ボド
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267BB02
4C267BB06
4C267BB12
4C267BB26
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC09
4C267EE08
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、巻膜1を備えるカテーテルに関連し、巻膜は患者の血管に沿って長手方向に巻かれるように適合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)を備える、好適には狭窄又は慢性完全閉塞をクロッシングするためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態になるように適合され、前記カテーテルが、内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)、並びに、任意選択の案内要素(5、6)をさらに備え、前記カテーテルが、80cmから200cmまでのカテーテル長さを有し、前記巻膜(1)が、1.5mmから5.0mmの間の外径を有し、前記巻膜(1)が、4cmから60cmの間の、好適には4cmから20cmの間の、長さを有する、カテーテル。
【請求項2】
前記カテーテルが前記案内要素(5、6)を備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)を備えるカテーテルにおいて、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態になるように適合される、カテーテルであって、前記カテーテルが、内側シャフト(8)、及び任意選択の外側シャフト(10)をさらに備え、前記内側シャフト(8)が前記巻膜(1)に取り付けられ、医療デバイス、及び/又は医療デバイス送達システム、及び/又は薬剤、及び/又は薬剤送達システム、及び/又は造影液、及び/又は吸引システムが、前記内側シャフト(8)内に配置される、ことを特徴とする、カテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルが、ステント、ステント構造、案内要素(5、6)、又はガイドワイヤ(9)を備えない、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記医療デバイスが、センサー、植込み型除細動器電極、植込み型除細動器リード、神経刺激デバイス、神経刺激デバイス、血管内コイル、スコアリング要素、スコアリング・バルーン、血管内砕石術デバイス、吸引デバイス、動脈瘤塞栓術デバイス、ニードル、血管内超音波法(IVUS)システム、カメラ、カテーテル、好適にはマイクロカテーテル、アブレーション・カテーテル、ガイディング・カテーテル、又はバルーン・カテーテルを備える、請求項3又は4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記カテーテルが前記外側シャフト(10)を備える、請求項3から5までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
巻膜を有するカテーテルであって、前記カテーテルが内側シャフト(8)を備えない、カテーテル。
【請求項8】
前記カテーテルが外側シャフト(10)を備えない、請求項7に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、請求項7又は8に記載のカテーテル。
【請求項10】
巻膜を有するカテーテルであって、前記カテーテルが外側シャフト(10)を備えない、カテーテル。
【請求項11】
前記カテーテルが内側シャフト(8)を備える、請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、請求項10又は11に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)に取り付けられる、請求項1から7までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)の少なくとも遠位端領域に取り付けられる、請求項1から7までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)より可撓性がある、請求項1から7まで又は13から14までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)より小さい壁の厚さを有する、請求項1から7まで又は13から15までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記外側シャフト(10)が、好適には、金属ブレード、金属合金ブレード、ポリマー・ブレード、又は強化用繊維により、補強される、請求項1から7まで又は13から16までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記巻膜(1)が前記内側シャフト(8)に取り付けられ、好適には前記内側シャフト(8)の少なくとも遠位端領域に取り付けられる、請求項1から6まで又は10から17までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記巻膜(1)が前記内側シャフト(8)より小さい壁の厚さを有する、請求項1から6まで又は10から17までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記巻膜(1)が前記内側シャフト(8)より可撓性がある、請求項1から6まで又は10から19までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記内側シャフト(8)が、好適には、金属ブレード、金属合金ブレード、ポリマー・ブレード、又は強化用繊維により、補強される、請求項1から6まで又は10から20までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記カテーテルがハンドルをさらに備える、請求項1から21までの一項に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記ハンドルが、前記巻膜(1)の前記長手方向の前進及び/又は前記巻膜(1)の回転を回避するように構成されたストッパ又はロック機構を備える、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記ハンドルがマーカー又はルーラーを備える、請求項22又は23に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記カテーテルが前記案内要素(5、6)を備える、請求項1から3まで又は5から24までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記案内要素(5、6)が前記巻膜(1)の前記内側ボリューム部分(3)内に配置される、請求項1から3まで又は5から25までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記案内要素(5、6)がガイドワイヤ(9)であり、好適には湾曲するガイドワイヤである、請求項1から3まで又は5から26までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記案内要素(5、6)が前記内側シャフト(8)内に配置される、請求項10から24までのいずれか一項に差し戻す場合の請求項1から3まで又は5から27までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記案内要素(5、6)が、異なる剛性及び/又は粗さの領域を有する、請求項1から3まで又は5から28までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記案内要素(5、6)が非外傷性の遠位側先端部を有する、請求項1から3まで又は5から29までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記カテーテルの外径が、挿入される血管(14)の内径と同じであるか又はそれより小さい、請求項1から30までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記巻膜(1)が、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有する、請求項1から31までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記巻膜(1)がその外側表面にスパイクを有する、請求項1から32までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記巻膜(1)が、その外側表面に、外周溝、好適には螺旋状に配置された溝を有する、請求項1から33までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項35】
前記巻膜(1)が、その外側表面に、外周ピーク、好適には螺旋状に配置されたピークを有する、請求項1から34までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項36】
前記広がった状態における、前記巻膜(1)の前記長手方向に沿う前記巻膜の外径が、前記巻膜(1)の近位端から前記巻膜(1)の遠位端まで連続的に又は段階的に縮小する、請求項1から35までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項37】
前記広がった状態における、前記巻膜(1)の前記長手方向に沿う前記巻膜の外径が、前記巻膜(1)の近位端から前記巻膜(1)の遠位端まで連続的に又は段階的に拡大する、請求項1から35までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項38】
前記巻膜(1)が、薬剤を備えるか、又は薬剤コーティング層により少なくとも部分的に覆われる、請求項1から37までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項39】
前記巻膜(1)が、有機ポリマー、好適には熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマで作られる、請求項1から38までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項40】
前記巻膜(1)が、ポリアミド、ポリ(ドデカノ-12-ラクタム)、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性ポリウレタンで作られる、請求項1から39までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項41】
前記巻膜(1)が、加圧されるとき、径方向においてよりも長手方向においてより大きく延伸可能である、請求項1から40までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項42】
前記内側シャフト(8)が前記巻膜(1)の前記内側ボリューム部分内に少なくとも部分的に位置する、請求項1から6まで又は10から41までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項43】
前記巻膜(1)が二重壁巻膜である、請求項1から42までのいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項44】
内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)を有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、薬剤送達で、慢性完全閉塞のクロッシングで、狭窄のクロッシングで、消化器インターベンションで、インターベンショナル・オンコロジーで、血管内砕石術で、石灰化の治療で、シースを用いるPVI処置で、血栓切除術で、急性心筋梗塞の治療で、動脈瘤の治療で、腎臓の脱神経で、静脈閉塞の治療で、塞栓保護デバイスの送達で、リエントリー・カテーテル処置で、植込み型除細動器電極の送達で、好適には冠動脈インターベンション又は末梢血管インターベンションである、血管インターベンションで、或いは、好適には尿道ストリクチャの治療である、泌尿器学で、使用されるためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【請求項45】
内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)を有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素(5、6)を備え、アクセス・カテーテル、サポート・カテーテル、ガイディング・カテーテル、ガイド・エクステンション・カテーテル、リエントリー・カテーテル、イントロテューサ・シース、又はスコアリング・バルーン・カテーテルとして使用されるためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【請求項46】
内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)を有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素(5、6)を備え、病変部位に接近すること、病変部位の準備を整えること、前記病変部位を予拡張すること、前記病変部位を拡張すること、前記病変部位をクロッシングすること、前記病変部位を治療すること、を可能にするオールインワンのデバイスとして使用されるためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【請求項47】
請求項1から46までのいずれか一項に記載のカーテル及び使用説明書を備える、キット。
【請求項48】
請求項1から47までのいずれか一項に記載のカテーテルを動作させるための方法であって、巻膜(1)の内側ボリューム部分が流体を用いて加圧される、方法。
【請求項49】
請求項1から48までのいずれか一項に記載のカテーテルを使用して狭窄を治療するための方法であって、巻膜(1)の内側ボリューム部分が流体を用いて加圧され、その結果、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となり、患者の血管内の前記狭窄が拡張される、方法。
【請求項50】
内側シャフト及び/又は外側シャフト(10)を有するか又は有さず、巻膜を備えるカテーテルを用いて、狭い狭窄又は慢性完全閉塞を治療するための方法であって、前記カテーテルが血管の中に挿入され、前記巻膜(1)が流体を用いて加圧され、その結果、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となり、患者の血管内の前記狭窄が拡張される、方法。
【請求項51】
前記流体が生体適合性流体であり、好適には生理食塩水又は造影液である、請求項49から50までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
請求項1から43までのいずれか一項に記載のカテーテルを使用して慢性完全閉塞に沿う内膜下空間からの通路を得ることにより真の動脈ルーメンに再び入るための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管系の病気及び非血管系の病気を治療するためのシステムのような液圧作動式のカテーテルと、システムのような液圧作動式のカテーテルを動作させるための方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数年、一年間で必要となる血管インターベンションの回数が増加している。これは、老齢人口と、人々の生活習慣の悪い方への変化(例えば、高脂肪の栄養素)と、によって少なくとも部分的に説明され得、これらは共に、血管系の病気/血管病変の増加に寄与し得、血管系の病気/血管病変は、しばしば、上で言及した血管インターベンションを必要とする可能性がある。一年間で必要となる血管インターベンションの回数の増加に加えて、必要な血管インターベンションの指標範囲(例えば、インターベンションを必要とする異なる血管系の病気の数)及びその複雑さも増しており、それにより、関連する医療スタッフの負担が増えている。定期的な血管インターベンションに加えて、有名ではあるが支配的というわけではない代表的な血管インターベンションとして、経皮冠動脈インターベンション(PCI:percutaneous coronary intervention)を挙げることができる。PCIは、患者の血管系の中にカテーテルを経皮的に挿入して、患者の血管系を通して血管系の病気の位置までカテーテルを前方に延ばすことに基づくことができる。しかし、上記の従来のPCI中、医師はしばしば、血管インターベンションの増大する複雑さの一部として、クロッシング不可である病変部位に出くわすことがあり、このクロッシング不可の病変部位はガイドワイヤを用いてクロッシング(cross)され得ず(技術的失敗の最も一般的な原因)、及び/又はバルーン・カテーテルを用いてクロッシングされ得ない(技術的失敗の二番目に一般的な原因)。上で言及した複雑さは、一般に、入り組んでいる石灰化動脈さらには慢性完全閉塞(CTO:chronical total occlusion)で見られる。ガイドワイヤを用いて病変部位をクロッシングすることが可能となり得る(所定の手法で及び/又はPCIインターベンションで)シナリオでも、バルーン・カテーテルを用いては病変部位自体をクロッシングすることができないことが起こる可能性がある。これにより、PCIの複雑さが増す可能性があり、付随する医療スタッフの時間的負荷(time effort)も増大する可能性がある。(例えば、カテーテルの最新の位置を特定するために)患者が曝露される可能性がある放射線量が増大する場合に上で言及した技術的失敗の別の欠点が見られる可能性があり、この場合、コントラストの程度(contrast volume)が増すが、それに付随して処置の成功の可能性が一般には低下する。
【0003】
別の欠点として、複雑な冠動脈の病変部位の従来の血管形成術では、冠動脈インターベンションは、通常、ガイドワイヤ及び/又はガイディング・カテーテルの挿入、並びに、その後の、ガイドワイヤに沿って押され得る第2のバルーン・カテーテル及び/又はステント送達システムの挿入、を含むツーステップ・プロセスで実施される。したがって、少なくともツーステップ・プロセスで患者の身体に挿入される少なくとも2つのカテーテルが必要となり、それにより、血管インターベンションで必要となる医療器具の所要量が増大し、さらには、血管インターベンションを実施するのに必要となる処置時間(procedural time)も増大する。さらに、血管形成術を成功させるには、通常、ガイドワイヤを選定するということも最優先の必須条件とみなされ、ガイドワイヤに対しての要求条件は非常に厳しいものであり、ガイドワイヤは、十分な可撓性と、ねじれに対しての抵抗性のための及び患者の動脈系を通しての押し込み性のための十分な剛性と、を有する必要がある。ガイドワイヤを適切に選定するというこの追加の仕事は、従来の血管インターベンションを担当する医師によって実行され、ここでは、血管インターベンションを実施するのに必要である全体の処置時間に対しての個別の影響が存在する。経皮経管冠動脈形成術(PTCA:経皮経管冠動脈形成)では、通常、ガイディング・カテーテルがガイドワイヤと共にアクセス・シースの中に挿入され、ガイディング・カテーテルが定位置にくると、ガイドワイヤがガイディング・カテーテルから押し出されて冠動脈の内部に入って狭窄を通過させられ、次いで、ガイド・エクステンション・カテーテルがガイディング・カテーテルの中に導入されて、ガイドワイヤに沿って進むことにより血管の中にたどり着く。一般的なガイド・エクステンション・カテーテルはモノレール・システムとなり得る。ガイド・エクステンション・カテーテル(GEC)又はガイド・カテーテル・エクステンションでは、ガイド・エクステンション(例えば、25cmの長さを有する)は迅速に入れ替わるかたちでガイディング・カテーテルの上を通過さ得られ得、ガイディング・カテーテルの遠位端を越えて延在することができる。ガイド・エクステンション・カテーテルは、例えば1Frだけ、ガイディング・カテーテルより細くてよく、冠動脈の外傷を最小にするように設計され得る。ガイド・エクステンション・カテーテルの近位端が細いステンレス鋼プッシュロッドに取り付けられ得、細いステンレス鋼プッシュロッドが、ガイディング・カテーテルとは無関係にガイド・エクステンション・カテーテルを押したり引いたりするのに使用され得る。しかし、現代のガイド・エクステンション・カテーテルでも、依然として、石灰化動脈をクロッシングすることにおいて難点が存在し、これは具体的には、過度の摩擦力により180度の湾曲部が存在する場合などである。この場合、医師は、このような湾曲部をクロッシングすることを目的としてガイド・エクステンション・カテーテルを支援するためにバルーン・カテーテルを使用することができる。この処置は、ガイド・エクステンション・カテーテルの遠位側にバルーンを配置して次いでバルーンを膨張させて、次いで、バルーン・カテーテルを収縮させながらバルーン・カテーテルの上でガイディング・カテーテルを押すことを必要とする。しかし、一部の事例では、バルーン・カテーテル及びガイディング・カテーテルは血管壁に対して移動する可能性があり、過度の剪断力により内膜を損傷させる可能性がある。
【0004】
当技術分野で既知の従来の血管インターベンション中に医師らが一般に直面するこれらの複数の欠点を鑑みて、これらの欠点のうちの少なくとも一部の欠点を少なくとも部分的に克服するために従来の血管インターベンションを改善することが求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
態様によると、この要求は、巻膜(rolling membrane)を備えるカテーテル(以降、巻膜カテーテルとも称される)により少なくとも部分的に満たされる。
【0006】
巻膜は、例えば少なくとも5センチメートル、患者の血管に沿って長手方向に巻かれる(roll)ように適合され得る。例えば少なくとも5センチメートル延在することができる巻膜により、カテーテルの操向が単純化され得、その理由は、医師によって提供される案内の要求も一切なしで、及び/又は、血管インターベンションの患者の先行ステップにおいて患者の血管の中に挿入される可能性があるようなガイディング・カテーテルの存在なしで、血管に沿ってそれ自体で一定程度広がることが可能となり得るからである。したがって、本発明の上記の態様は「オールインワン」カテーテルの解決策を可能にすることができる。これは、具体的には、医師によって提供される操向の必要性が低減され得てさらには処置ステップ(procedural step)が最小にされ得る(例えば、いかなるガイディング・カテーテルも必要なくすることができるため)ことを理由として、その複雑さを低減することにより血管インターベンション全体を単純化することができる。さらに、(長い)巻膜を使用することにより、良好な配備性を確保しながら同時に、(長い)長手方向範囲にわたって向上した可撓性を有するカテーテルを提供することができる。
【0007】
巻膜は、広がった(roll out)状態で血管の長手方向に実質的に沿って配置され得る(可撓性)ホースの少なくとも一部分を形成するものとして理解され得る。巻膜又はホースは、好適には、(ホースの長手方向の延在方向に対して垂直な切断面で見た場合には)円形状断面を有し、(ホースの長手方向の/長さの延在方向における)第1の端部及び反対側の第2の端部を有する。第2の端部は、外部シャフトに取り付けられ得るか、又は患者の外部の位置まで延在することができる。第1の端部は密閉され得る。したがって、広がった状態では、巻膜又はホースは第1の端部から近位方向に向かって延在する内側ボリューム部分を形成することができ、内側ボリューム部分はホースの外周の例えば円筒(可撓性)壁によって包囲され得る。巻膜又はホースの(例えば第1の端部の)少なくとも一部分は内側に折り返し可能となり得、その結果、ホースの(例えばその外壁の)少なくとも一部分がカテーテルの中へ後退させられ得る。巻膜によって形成された内側ボリューム部分を(例えば第2の端部を)後退させること及び/又は前方に押すこと、並びに/或いは加圧することにより、巻膜は、実質的に(血管に関して)摩擦なしで、(近位側に)後退させられ得、及び/又は前方に(遠位側に)移動させられ得る。したがって、巻膜が巻かれることは、例えば患者の血管に沿う長手方向における、ホースの少なくとも一部分の外側(又は、内側)への対応する折り返しとして理解され得る。巻膜は、調査中及び/又は例えば血管インターベンションなどの治療中、例えば小孔に沿って(小孔から測定して)、長手方向において、10cm超、20cm超、最高30cm、又はさらには最高40cm以上で、広がるように適合されることが可能となり得る。したがって、カテーテルの実質的に摩擦なしの配備が実現され得、ここでは任選選択でさらに、外側シャフトが用いられず(長い巻膜がシャフトに取って代わることができる)、及び/又は内側シャフトが用いられず(巻膜の第2の端部を移動させるのに単純なワイヤが使用され得る)、並びに/或いはガイドワイヤが用いられない。
【0008】
巻膜カテーテルは内側シャフト及び/又は外側シャフトを備えることができる。しかし、内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さない巻膜カテーテルが提供され得る。
【0009】
内側シャフト及び/又は外側シャフトは、好適には、金属、金属合金、又はポリマー・ブレードによって補強され得る。したがって、内側シャフト及び/又は外側シャフトは、編組内側シャフト及び/又は編組外側シャフト或いは繊維強化内側シャフト及び/又は繊維強化外側シャフトとなり得る。
【0010】
巻膜の概念は血管インターベンションのみに限定されない可能性があり、神経学カテーテル(神経血管の分野)、腫瘍学、耳、鼻、及び喉の薬、内視鏡検査、泌尿器学、胃腸病学、婦人科学、肺臓学、又は鼻涙管、でも使用され得る。
【0011】
本発明の別の態様は、追加して又は代替として:加圧され得る内側ボリューム部分を画定する巻膜、及び/又は患者の血管に沿って巻膜を案内するために内側ボリューム部分に配置された案内要素、を備えることができるカテーテルに関連する。案内要素は、巻膜を押すのを可能にする任意の要素となり得る。案内要素は、例えば(適切な)金属又は金属合金或いは(適切な)ポリマーで作られた、ガイドワイヤとなり得る。
【0012】
巻膜の(例えば、巻膜を形成するホースの)第2の端部(遠位端)が、結果としてホースの内側ボリューム部分を形成するように、一時的に又は永久的に密閉され得ることが可能となり得る。したがって、例えばメンブレン(又は、メンブレンを形成するホース)の第1の端部を介して、例えば(加圧)ガス及び/又は(加圧)液体などの流体が巻膜の内側ボリューム部分の中に挿入されるのを可能にすることが促進され得る。
【0013】
巻膜の内側ボリューム部分は、追加して又は代替として、追加の操向性を許容するための案内要素を有することができる。追加の操向性は、具体的には、巻膜が処理されるべき病変部位に到達する前に1つ又は複数の脈管分岐部を通過する必要があるという状況で有益となり得る。案内要素は、巻膜に関連付けられたホースの第1の端部(近位端)を通って巻膜から外に出ることができ、患者の身体の外部から医師によって操作されるように適合され得る。
【0014】
したがって、本発明のカテーテルにより、追加の案内カテーテルが回避され得、したがって血管インターベンションが単純化され、必要となる医療器具の数が低減される。
【0015】
案内要素は、巻膜の内側に対して摺動可能となるように適合され得、その結果、巻膜が広げられるときに案内要素が巻膜の遠位側部分に留まることができる。巻膜の内側に対して摺動可能となるように案内要素を適合させることにより、巻膜の正確な広がる量に関係なく、巻膜に対して案内要素を接触させることができる領域を、案内要素による巻膜の操向性を最大限に高めるような巻膜の位置(例えば、巻膜の遠位側部分)に留めることが促進され得る。案内要素を後方に摺動させることは、拍動的な液圧を加えることによって可能となり得る。巻膜の非加圧フェーズ又は低圧フェーズ中、張力下にある(例えば、患者の外部のばね様要素を用いて係止された)案内要素が自動で案内要素を後方に引くことができる。
【0016】
巻膜の遠位側部分は、カテーテルの長手方向の延在方向において反対側にある、カテーテルを操作する医師により近くてよい巻膜の近位側部分と比較して、カテーテルを操作する医師からさらに離れた巻膜の一部分として理解され得る。完全に広がった状態では、遠位側部分がメンブレンの第2の端部を含む。部分的のみの広がった状態では、メンブレンの第2の端部はある程度後退させられることになり、したがって、一般に、メンブレンの遠位側部分に対して近位側に位置する。
【0017】
巻膜が短い距離(例えば、5cm未満)だけ広がるように適合されるいくつかのシナリオでは、代替として、巻膜の内側に一体に接続されるように(摺動可能に配置されることの代わりに)案内要素を適合させることが可能となり得る。
【0018】
案内要素は湾曲するワイヤを備えることができる。湾曲するワイヤを有する案内要素を提供することにより巻膜の操向性をより容易にするのを促進することができる。なぜなら、患者の身体の外部から湾曲するワイヤを操作する医師が、例えば、湾曲するワイヤの長手方向軸を中心として一定の角度量で湾曲するワイヤを回転させることにより、巻膜の遠位側部分に対して一定の力を伝達することができるからである。
【0019】
力の伝達は、ワイヤの曲率を適切に選定することにより血管インターベンションのそれぞれの要求に合わせて最適化され得、例えば大きい曲率は、より小さい曲率を有するワイヤと比較して巻膜の遠位側部分に対してのより大きい力の伝達に関連付けられ得る。いくつかのシナリオでは、曲率は湾曲するワイヤの長手方向の延在方向に沿って非一様となり得、すなわち、有効曲げ半径が湾曲するワイヤの隣り合う微小的に小さい部分の間で変化することができる。案内要素は、湾曲するワイヤを備えることができ、湾曲するワイヤ及び案内要素の力の伝達が促進されるように巻膜に摺動可能に接触する摺動要素をさらに備えることができる。
【0020】
本発明の別の態様は、追加して又は代替として:巻膜の広がった状態から巻膜を後退させるための後退要素を備えることができる巻膜を備えることができるカテーテルに関連する。後退要素は内側ルーメンを備えない可能性がある。後退要素は、常に、張力下にあってよく、押し込み可能な材料(pushable material)で作られる必要はない。後退要素は、巻膜の裏返しを防止するのに十分な引張強度を有する任意の要素となり得、後退要素は巻膜をシャフトの中まで後方に引くのを可能にしなければならない。したがって、後退ワイヤは、糸、フィラメント、又は棒(微調整棒(fine rod))となり得る。
【0021】
後退要素を有するカテーテルの巻膜を提供することにより、必要である場合に巻膜が容易に後退させられるのを(患者の身体の外部から)可能にすることが促進され得る。巻膜の潜在的な減圧のみでは、すべてのシナリオにおいて、巻膜を容易に及び/又は完全に後退させるのに十分となるというわけではない可能性がある。内側ルーメンを有する後退要素を提供することを避けることにより、後退要素は、後退要素の可撓性を向上させることができさらにはその重量を低減することができる単線ワイヤの一部片として実装され得る。
【0022】
一実施の形態では、メンブレンの端部分は、巻膜が広げられるときにカテーテルの遠位側先端部を形成するように適合され得る。端部分はメンブレンの第1の端部を含むことができる。上記端部分は巻膜の中へ内側に折り返され得ることから、内側に折り返された状態(すなわち、巻膜が広がっていない状態)では、カテーテルの、及び具体的には巻膜の、全体寸法が最小にされ得る。したがって、長い巻膜で可能性として見られ得るような必要以上の取り扱いの困難さが、コンパクトなデザインにより回避され得る。
【0023】
後退要素は巻膜の端部分に取り付けられ得る。後退要素を巻膜の端部分に取り付けることにより、巻膜の広がった部分の最適化された後退が促進され得る。好適には、(上で概説したように、ホースの第1の端部に関連付けられ得る)巻膜の端部分は、最後に広げられる巻膜の部分となり得る。したがって、端部分は、最初に後退させられ得る巻膜の部分である。これにより、巻膜が内側に折り返される/後退させられるときに巻膜の側壁が望まれずに重なることを完全に回避することができる。これはカテーテルの取り扱いを単純化することに寄与する。
【0024】
後退要素は、巻膜が広げられるときに血管に沿って巻膜を操向するように適合され得る。巻膜を操向するのを可能にするように後退要素を適合させることにより、巻膜を(例えば、ガイドワイヤの必要性がない)患者の血管に沿う長手方向に広げるときに後退要素(のみ)により巻膜を(排他的に)操向することも可能となることから、カテーテルの複雑さがさらに低減される。
【0025】
いくつかのシナリオでは、後退要素は、湾曲するワイヤを備えることができるか、又は少なくとも、湾曲する遠位端を有するワイヤを備えることができる。このような事例では、巻膜の展開を行うことができる方向は、患者の身体の外部から医師によって決定され得る。
【0026】
いくつかのシナリオでは、後退要素は、(任意選択の)案内要素に加えて、巻膜の案内を追加的に支援するように適合され得る。後退要素及び案内要素が2つの異なる位置で巻膜に接触する場合、巻膜の操向の自由度を上げることができる。したがって、カテーテルの可撓性及び操向性が改善され得る。
【0027】
いくつかのシナリオでは、カテーテル(及び/又は、巻膜)の外径は患者の血管の内径より小さくてよい。
【0028】
患者の血管の内径より小さくてよい直径を有するカテーテルを提供することにより、カテーテルが例えば処理される病変部位まで延びるときに血液がカテーテルを容易に通過することが可能となるのを確実なものとすることができる。十分な血流がカテーテルを通過するのを確実なものとすることにより、カテーテルの最も遠位側の部分のさらに遠位側にある組織又は患者の外傷部位(patient trauma)を避けることができ、これは、具体的には、非常に時間を要する血管インターベンションが必要であるような事例に関連し得る。さらに、患者の血管の直径より小さい直径を有するカテーテルを提供することにより、患者の血管に沿ってカテーテルをより容易に延ばすことが促進され得る。
【0029】
カテーテルは、患者の血管の長手方向に沿って螺旋の様な形状又は螺旋形状を確保するように適合され得る。例えば、螺旋の半径及び/又は螺旋のピッチは非一様となり得る。
【0030】
カテーテルが患者の血管の長手方向に沿って螺旋形状を確保するように適合される場合、カテーテルにより十分な血液が通過するのを可能しながら、(例えば、カテーテルが少なくとも局部的に動かなくなるのを確実なものとするために)1つ又は複数の異なる位置でカテーテルの巻膜が患者の血管の内壁に接触するのを可能にすることが促進され得る。上で概説したように、これは、カテーテルのさらに遠位側にある組織又は患者の外傷部位を避けることができる。
【0031】
螺旋はコルク栓抜き形状及び螺旋階段と同様の形状を含むものとして理解され得る。螺旋の半径及び/又はピッチは、血管の長手方向軸に沿って円滑に変化することができる。螺旋の半径は内径として理解され得、例えば、螺旋の撚り合わせの中心である例えば血管の長手方向軸からカテーテルの長手方向の中心軸までの、すなわち長手方向軸を中心とした螺旋を形成する巻膜の長手方向の中心軸までの、最短距離として理解され得る。螺旋のピッチは、螺旋の長手方向軸に平行に測定される、完全な螺旋の1回転の高さとして理解され得る。
【0032】
代替的なシナリオでは、螺旋の半径及び/又は螺旋のピッチの少なくとも一方がカテーテルの長手方向の延在方向に沿って一様である(すなわち、一定である)ことが可能となり得る。
【0033】
いくつかのシナリオでは、巻膜が、例えば固有の製造プロセスにより、上で言及した螺旋の様な形状を形成するための性質的な傾向を有することが可能となり得、及び/又は、好適には患者の身体の外部から医師が操作する(例えば、カテーテルを捻回する、回転させる、及び/又は後退させる)ことの結果として螺旋の様な形状が確保(又は強化)され得ることが可能となり得る。例えば、巻膜の長手方向の延在方向が妨害を受ける場合、巻膜は強制的に螺旋形状をとらされる。裏返し中に後退要素に対しての張力が増大すると、巻膜の形状がより螺旋状になる。巻膜の螺旋形状は、巻膜を螺旋形状に熱成形することによっても、確保され得る。巻膜の螺旋形状は、例えば巻膜の押し出しプロセス中に誘発されることとして、壁の厚さの外周の分布を意図的に非一様にすることによっても、確保され得る。加えて、管材は引かれるときに回転させられ得る。これにより、巻膜は金型から出されるときに螺旋形状を得るように熱成形される。
【0034】
本発明の別の態様はカテーテルに関連し、ここでは、カテーテルは、加圧され得る内側ボリューム部分を画定することができる巻膜を備えることができる。巻膜は、本明細書で説明される別の態様に対して追加して又は代替として、内側ボリューム部分を加圧することにより、巻膜による拡張を介して患者の血管(blood vessel)内の狭窄が拡張されるのを可能にするように、適合される。
【0035】
加圧され得る内側ボリューム部分を画定することができる巻膜を有するカテーテルを提供することにより、血管(blood vessel)に対して巻膜が接触する位置において巻膜が患者の血管の内壁に対して径方向の力を加えるのを可能にすることが促進され得る。巻膜の内側ボリューム部分を十分に加圧することにより、血管(blood vessel)の少なくとも局部的な拡張が促進され得、それにより患者の血管(blood vessel)の拡張位置で狭窄を少なくとも局部的に除去するのを可能にすることができる。
【0036】
一般に、巻膜は、加圧されるときに巻膜が、長手方向においてより大きい程度で、且つ、径方向(例えば、巻膜が広げられる長手方向に対して垂直である)においてより小さい程度で、延在するように、構成され得る。いくつかの事例では、巻膜が、その最大長さうちの一定の長さで広げられるときに(例えば、巻膜が、その全長の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%で広げられる場合)、(実質的に)長手方向のみに延在することが可能となるように構成される、ことが可能となり得る。
【0037】
しかし、一実施の形態では、巻膜が、巻膜の広がった部分の(少なくとも)一部分が、長手方向に沿ってはより小さい程度のみで、主として径方向(巻膜が広げられる長手方向に対して垂直である)において(すなわち、径方向においてより大きい程度で)展開するように、さらに適合されることが可能となり得る。いくつかの事例では、巻膜が、その最大長さのうちの一定の長さで広げられるときに(例えば、巻膜が、その全長の少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%で広げられる場合)、(少なくとも)一部分を実質的に径方向にのみ展開させることが可能となるように適合される、ことが可能となり得る。
【0038】
カテーテル(例えば、巻膜)の外径は、径方向において患者の血管を実質的に埋めるように適合され得る。患者の血管を実質的に埋めるのを可能にするようにカテーテルを提供することにより、特定の位置において血管に対してカテーテルを動かなくすることが促進され得る。これにより、例えば、狭窄を少なくとも局部的に拡張するような、径方向における巻膜から血管の内壁の特定の位置に対して所定の圧力を伝達することが可能となり得る。さらに、局部的に動かなくなることにより、固定化の位置において後続の治療ステップがその準備を整えられ得る及び/又は実行され得るのを確実なものとすることができる。
【0039】
患者の血管を実質的に埋めることは、カテーテルが(少なくとも特定の位置において)患者の血管とほぼ同じ直径を有するというシナリオとして理解され得る(カテーテルの製造公差によって生じる場合の、非一様なカテーテルの直径に対しての非一様な血管の直径により生じる小さいずれは無視する)。
【0040】
カテーテル自体により患者の血管を実質的に埋めること(すなわち、巻膜がまだ(完全には)広がっていない状態において)、及び/又は、巻膜を特定の程度で広げて次いで径方向に拡張することの結果としてカテーテルにより患者の血管を本質的に埋めること、が可能となり得る。
【0041】
巻膜は、患者の身体の内部で巻膜が広がっているときに巻膜の近位端を患者の身体の外部に位置させるのを可能にするように、適合され得る。患者の身体の外部まで延在することが可能となるように巻膜を提供することにより、巻膜が患者の血管系に沿って延在するカテーテルの部分のみとなり得ることから、カテーテルの複雑さがさらに低減され得る。
【0042】
このようなシナリオでは、カテーテルは、任意選択で、巻膜を広げるのを開始することができる位置である患者の血管内の特定の位置に巻膜を送達することができる任意の追加のカテーテル要素を有さない可能性がある。
【0043】
巻膜は、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有することができる。例えば、非一様な外側表面は、患者の血管に対しての摩擦を少なくとも局所的に増大させるように、及び/又は狭窄を少なくとも局部的に切除するように、適合され得る。非一様な外側表面を有する巻膜を提供することにより、患者の血管に接触するときの巻膜の摩擦特性が局所的に強化され得るか又は低減され得、それにより、患者の血管内での巻膜の調整される固定化能力(例えば、巻膜上の指定のエリアが、隣接する指定のエリアと比較してより大きい摩擦又はより小さい摩擦を提供することができるような表面を有することができる)を提供することができる。さらに、非一様な外側表面は、巻膜の非一様な外側表面との接触により生じる狭窄(スコアリング・バルーン又はカッティング・バルーンの概念と同様の)又は巻膜を加圧する場合の狭窄を少なくとも局部的に除去するための医療ツールとしても使用され得る。巻膜の外側表面に配置された巻膜のピーク又はスパイクに対して圧力を加えることにより、局所的な最大圧力により狭窄を破壊することができる。非一様な外側表面は、血管壁に対して巻膜を付着させるのにも使用され得、それにより巻膜が血管の中へさらに前進するのを支援する。非一様な外側表面は、突出部及び/又は凹部などのパターンを備えることができる。パターンは、巻膜の外側表面全体を覆うことができる。代替形態として、非一様な外側表面は1つの表面領域を備えることができるか、又は、それぞれ異なるパターンを有することができる2つ以上の別個の表面領域を備えることができる。追加して又は代替として、巻膜の表面全体の一部分のみがパターンを有することができる。
【0044】
追加して又は代替として、巻膜の半径及び/又は直径は、広がった状態において、巻膜の長手方向に沿って多様となり得る。巻膜の長手方向に沿って非一様となり得る半径及び/又は直径を有する巻膜を提供することにより、先細である患者の血管の部分にアクセスすることが促進され得る。このような事例では、巻膜の遠位側部分及び/又は遠位端が、より近位側の位置に位置することができる巻膜の部分と比較してより小さい直径を有することができる。したがって、遠位側部分又は遠位端は、巻膜のより近位側の部分と比較して血管のより狭い領域に入ることが可能となり得る。より大きい半径を有する巻膜の部分は、血管の先細領域の前方で巻膜を局所的に動かなくするのに使用され得るように適合され得る。その長手方向に沿って非一様な直径を有する巻膜は、巻き戻されたり広げられたりする場合に加えて軸方向に変位させられる場合にも血管内の特定の位置において任意の直径に達することができる。したがって、典型的な手法により巻膜の直径が血管にとっては大きくなり過ぎると、巻膜が広がることが停止され、巻膜が(少なくとも部分的に)収縮され、カテーテルが後方に引かれ、巻膜が再び広げられる。
【0045】
いくつかのシナリオでは、巻膜の最も遠位側の部分が、より近位側に位置する巻膜の領域と比較してより大きい直径を有することも可能となり得る。
【0046】
別の態様は、追加して又は代替として、細長い主部分及び遠位端部分を形成するように広げられるように適合された巻膜を備えることができるカテーテルに関連する。細長い主部分は非一様な断面を有するように適合され得る。非一様な断面を有する細長い主部分を提供することにより、巻膜が患者の血管の先細領域に入ることができる。いくつかのシナリオでは、巻膜は、巻膜の広がりの程度を変化させることにより非一様な断面に付随の直径を変化させるのを可能にするように、適合され得る。いくつかのシナリオでは、巻膜の直径は、巻膜がさらに広げられるとき、拡大することができる。他のシナリオでは、巻膜の直径は、巻膜がさらに広げられるときに、縮小することができる。
【0047】
別の態様がカテーテルに関連し、ここでは、カテーテルが巻膜を備えることができ、ここでは、追加して又は代替として、巻膜の少なくとも一部分が内側に折り返され得、それにより内側の壁を形成することができ、内側の壁が薬剤層を備えることができる。薬剤層は、巻膜を広げることにより遠位側に移送されるように、適合され得る(ひいては、巻膜の外側表面の一部分を形成することができる)。薬剤層を有する巻膜を提供することにより、巻膜の内部の薬剤を、例えば患者の(巻膜によって保護される)血管の中などの、人間又は動物の身体の中の特定の位置に送達することが促進され得る。薬剤層を外側に折り返すことにより、例えば患者の血管の中などの、人間又は動物の身体の中の所望の位置で薬剤が放出され得る。したがって、例えば患者の血管の内部などの、人間又は動物の身体の中での標的とされる薬剤送達が促進され得、それぞれの薬剤の医療効果が上記所望の位置でのみ実現され得る。さらに、人間又は動物の身体内で例えば血管などに対して薬剤が塗布されるエリアの長さは、巻膜をより大きい程度で又はより小さい程度で広げることによって変化され得る。さらに、薬剤が血液と混合することの結果として薬剤が希釈される(それにより薬剤の医療効果が抑制される)ことが大幅に低減され得る。
【0048】
本発明の別の態様はカテーテルに関連し、ここでは、カテーテルは巻膜を備えることができ、巻膜は、追加して又は代替として、非一様な外側表面を有することができる。
【0049】
態様が、血管の断面より小さくてよい断面を有する細長い主部分を形成するような、広げられるように適合され得る巻膜を備えることができるカテーテルに関連する。巻膜は、細長い主部分の中心線が血管の中心線に撚り合わせられる(twine around)ように適合されるように、さらに適合され得る。これにより、細長い主部分が血管の中心線の中心とした螺旋形状の曲率を実質的に必要とすることが可能となり得、それにより、患者の血管内での十分な血流を可能にしながら巻膜の少なくとも細長い主部分を係止させるのを改善することが可能となる。
【0050】
いくつかのシナリオでは、巻膜が、血管の中心線に撚り合わせられないが代わりに患者の血管の長手方向に沿って真っ直ぐに延在することができる遠位側部分をさらに形成することが可能となり得る。
【0051】
別の態様が巻膜カテーテルに関連し、ここでは、カテーテルが内側シャフトを備えない。内側シャフトを有さないカテーテルを提供することにより、(通常、高い硬い/剛性のある)内側シャフトが必要ないことを理由としてカテーテルの複雑さがさらに低減され得る。したがって、カテーテルの可撓性及び操向性が改善され得、カテーテルの取り扱いが単純化され得る。
【0052】
別の態様が巻膜を備えることができるカテーテルに関連し、ここでは、巻膜が、追加して又は代替として、巻膜の内側に折り返された部分によって少なくとも部分的に形成されたルーメン内に配置された機能的要素に対して力を加えるように適合され得る。巻膜のルーメン内に配置された機能的要素に対して力を加えるように巻膜を適合させることにより、機能的要素が、例えば機能的要素に対して力が加えられることの結果として、巻膜によって保護され得るようになり、患者の血管の内部の特定の位置まで送達され得るようになり、それぞれの位置において放出され得る。機能的要素は、(ガイド)ワイヤの一部片、ステント、マイクロカテーテルなどとなり得る。
【0053】
巻膜は、巻膜が遠位方向に少なくとも部分的に広げられるときにこの力によりカテーテルの遠位方向に機能的要素を押すのを可能にするように、さらに適合され得る。
【0054】
巻膜が機能的要素に対して力を加えるようにさらに適合され得ることから、機能的要素に対して巻膜の例えば保持力又は押し込み力が追加的に供給されることの結果として、患者の血管内の障害物(例えば、狭窄)が機能的要素によって乗り越えられ得る。したがって、この場合、従来技術で既知のカテーテルでは貫通され得ないような狭窄でも乗り越えられ得る。巻膜の遠位端が障害物に当たる場合、機能的要素(例えば、ガイドワイヤ)が裏返しの巻膜より迅速に前進することができ、したがって、機能的要素によって既にクロッシングされた隙間の中へ摩擦を介して裏返しの巻膜を引き入れることができる。これにより、複雑な病変部位を治療することが可能となる。巻膜により機能的要素に対して加えられる力は径方向(保持力)及び/又は長手方向(押し込み力)に沿うように方向付けられ得る。
【0055】
巻膜は、10μmから90μm、好適には15μmから60μm、70~90μm、の壁の厚さを有することができる。外側シャフトは、100μmから500μmの壁の厚さを有することができる。
【0056】
巻膜は、インフレーション・フィルム押出、押出チューブのブロー成形、又はマイクロ押出によって作製され得る。内側シャフト及び外側シャフトに対してエラストマ・チューブを取り付けること(例えば、接着又は溶接により)、及びエラストマ・チューブを外側シャフトの中へ後方に引くことが可能であり、それにより適合性を有する巻膜が作り出される。
【0057】
別の態様が、血管内の狭窄を拡張するための方法に関連する。本方法は、巻膜を有するカテーテルを血管の中に挿入することを含むことができる。さらに、本方法は、巻膜を狭窄に近接させるように配置するような巻膜を少なくとも部分的に広げるステップを含むことができる。さらに、本方法は、結果として狭窄が拡張されるように巻膜を加圧することを含むことができる。巻膜を狭窄に近接させるように配置するために巻膜を少なくとも部分的に広げることにより、巻膜がさらに広げられて次いで加圧されることの結果として、巻膜がそれ自体で実際の狭窄の中まで延在することができる。したがって、狭窄及び実際の狭窄の位置まで巻膜を案内するのに必要となる外部から押す力が低減され、巻膜を加圧することの結果として増大する主として径方向に作用する力が、非常に顕著である狭窄であってもそれを拡張するのを支援するのに使用され得る。
【0058】
別の態様は、案内要素を血管のCTO領域の中に強制的に押し込むための方法に関連する。本方法は、巻膜を有するカテーテルを血管の中に挿入することを含むことができ、ここでは、案内要素の少なくとも一部分が、巻膜の内側に折り返された部分によって少なくとも部分的に形成されたルーメン内に配置される。巻膜を加圧することにより保持力を提供することができ、それにより、案内要素を定位置で維持することができる(及び、可能性として、案内要素が座屈することが防止され得る)。さらに、本方法は、結果的に案内要素が遠位方向においてCTO領域の中に強制的に押し込まれるように、巻膜の少なくとも一部分をカテーテルの遠位方向に広げることを含むことができる。
【0059】
以下の図は本発明を理解するのを支援するために提供される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1a】内側シャフト/外側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図1b】内側シャフト/外側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図1c】内側シャフト/外側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、カテーテルを示す図である。
図2a】内側シャフト/外側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図2b】内側シャフト/外側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図2c】内側シャフト/外側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図3a】内側シャフトを有し、外側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図3b】内側シャフトを有し、外側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図3c】内側シャフトを有し、外側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図4a】内側シャフトを有し、外側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図4b】内側シャフトを有し、外側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図4c】内側シャフトを有し、外側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図5a】外側シャフトを有し、内側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図5b】外側シャフトを有し、内側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図5c】外側シャフトを有し、内側シャフトを有さず、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図6a】外側シャフトを有し、内側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図6b】外側シャフトを有し、内側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図6c】外側シャフトを有し、内側シャフトを有さず、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図7a】外側シャフトを有し、内側シャフトを有し、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図7b】外側シャフトを有し、内側シャフトを有し、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図7c】外側シャフトを有し、内側シャフトを有し、患者の血管と同じ直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図8a】外側シャフトを有し、内側シャフトを有し、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図8b】外側シャフトを有し、内側シャフトを有し、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図8c】外側シャフトを有し、内側シャフトを有し、患者の血管より小さい直径を有する、巻膜カテーテルを示す図である。
図9a】例示の巻膜表面のデザインを示す図である。
図9b】例示の巻膜表面のデザインを示す図である。
図9c】例示の巻膜表面のデザインを示す図である。
図10】例示の螺旋の様な巻膜のデザインを示す図である。
図11a】例示の先細メンブレンのデザインを示す図である。
図11b】例示の先細メンブレンのデザインを示す図である。
図11c】例示の先細メンブレンのデザインを示す図である。
図12a】例示の段差状メンブレンのデザインを示す図である。
図12b】例示の段差状メンブレンのデザインを示す図である。
図12c】例示の段差状メンブレンのデザインを示す図である。
図12d】例示の段差状メンブレンのデザインを示す図である。
図13a】巻膜ベースのバルーン血管形成術を示す図である。
図13b】巻膜ベースのバルーン血管形成術を示す図である。
図13c】巻膜ベースのバルーン血管形成術を示す図である。
図13d】巻膜ベースのバルーン血管形成術を示す図である。
図14a】巻膜ベースの薬剤コーテッド・バルーン血管形成術を示す図である。
図14b】巻膜ベースの薬剤コーテッド・バルーン血管形成術を示す図である。
図14c】巻膜ベースの薬剤コーテッド・バルーン血管形成術を示す図である。
図14d】巻膜ベースの薬剤コーテッド・バルーン血管形成術を示す図である。
図15a】巻膜ベースのCTOクロッシングを示す図である。
図15b】巻膜ベースのCTOクロッシングを示す図である。
図16a】巻膜ベースの局部的薬剤放出/物体吸引を示す図である。
図16b】巻膜ベースの局部的薬剤放出/物体吸引を示す図である。
図17a】巻膜ベースの可撓性バルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図17b】巻膜ベースの可撓性バルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図17c】巻膜ベースの可撓性バルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図17d】巻膜ベースの可撓性バルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図17e】巻膜ベースの可撓性バルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図18a】巻膜ベースの予め装填されるバルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図18b】巻膜ベースの予め装填されるバルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図18c】巻膜ベースの予め装填されるバルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図18d】巻膜ベースの予め装填されるバルーン・カテーテル送達システムを示す図である。
図19】巻膜ベースのマイクロカテーテル送達システムを示す図である。
図20a】巻膜ベースのSXステント送達システムを示す図である。
図20b】巻膜ベースのSXステント送達システムを示す図である。
図20c】巻膜ベースのSXステント送達システムを示す図である。
図20d】巻膜ベースのSXステント送達システムを示す図である。
図20e】巻膜ベースのSXステント送達システムを示す図である。
図21a】巻膜ベースの可撓性BEステント送達システムを示す図である。
図21b】巻膜ベースの可撓性BEステント送達システムを示す図である。
図21c】巻膜ベースの可撓性BEステント送達システムを示す図である。
図21d】巻膜ベースの可撓性BEステント送達システムを示す図である。
図21e】巻膜ベースの可撓性BEステント送達システムを示す図である。
図22a】巻膜ベースの予め装填されるBEステント送達システムを示す図である。
図22b】巻膜ベースの予め装填されるBEステント送達システムを示す図である。
図22c】巻膜ベースの予め装填されるBEステント送達システムを示す図である。
図22d】巻膜ベースの予め装填されるBEステント送達システムを示す図である。
図23a】アテローム切除術のための巻膜ベースのデュアル・ルーメン・カテーテル示す図である。
図23b】アテローム切除術のための巻膜ベースのデュアル・ルーメン・カテーテル示す図である。
図24a】巻膜カテーテルのための特別なガイドワイヤ操向の概念を示す図である。
図24b】巻膜カテーテルのための特別なガイドワイヤ操向の概念を示す図である。
図24c】巻膜カテーテルのための特別なガイドワイヤ操向の概念を示す図である。
図24d】巻膜カテーテルのための特別なガイドワイヤ操向の概念を示す図である。
図24e】巻膜カテーテルのための特別なガイドワイヤ操向の概念を示す図である。
図25a】病変部位の潜在的な位置を示す概略図である。
図25b】病変部位の潜在的な位置を示す概略図である。
図25c】病変部位の潜在的な位置を示す概略図である。
図25d】病変部位の潜在的な位置を示す概略図である。
図25e】病変部位の潜在的な位置を示す概略図である。
図25f】病変部位の潜在的な位置を示す概略図である。
図25g】病変部位の潜在的な位置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の詳細な説明は本発明の可能な例示の実施の形態を概説する。
【0062】
図1a~図1cはカーテルの第1の可能な実施の形態を示す。この第1の実施の形態では、カテーテルは、その中にカテーテルが挿入され得る患者の血管と同じサイズを有する直径を有することができる。
【0063】
図1aは、初期状態にある巻膜1を備える、患者の大動脈内に位置するカテーテルを示す。例示の初期状態では、巻膜1は、巻膜の少なくとも一部分がそれ自体で内側に特定の程度で折り返され得るような状態となり得る(ホースと同様であり、ホースの場合では、上でさらに説明されるように、ホースの一方の端部の少なくとも一部分がそれ自体で内側に折り返される)。参照符号2は、巻膜1の第1の端部に対して後退要素4が接合されるポイントを指す。巻膜1は、内側ボリューム部分3を形成するように実装され得る。巻膜1は、例えばガス又は液体により、内側ボリューム部分3に対して圧力(液圧)を加えることによって広げられ得る。圧力を加えることの結果として(圧力は近位方向Pから巻膜1に対してくわえられ得る)、巻膜1はそれ自体で遠位方向Dに広げることができる。医師は、インターベンションの要求に応じて、巻膜1の膨張(広がり)(及び/又は、さらには、収縮、後退)を調整することができる。
【0064】
カテーテルは、例えばワイヤを備える(例えば内側ルーメンを有さない)、後退要素4をさらに備えることができる。巻膜1の最も内側に折り返された位置において、巻膜が後退要素4に接続され得る。後退要素4は患者の身体の外部まで延在することができる。後退要素4を(例えば患者の身体の外部から)近位方向Pに引くことの結果として、遠位方向Dに広げられ得る巻膜1の少なくとも一部分が、再び、少なくとも部分的に内側に折り返された状態まで後退させられ得る。同様に、少なくとも適切な圧力が加えられるときに、遠位方向Dに押すことにより、巻膜を遠位側にさらに延在させることができる。したがって、医師は、後退要素4により、及び/又は圧力を加えることにより、例えば、広げられる巻膜1の長さを制御することができる。上で概説したように、一部の状況下では、後退要素4は、少なくとも、巻膜1の操向性に寄与することもできる。一部の状況下では、巻膜1を少なくとも部分的に収縮させることが有利となり得る。後退要素4を遠位方向Dに押すことにより、巻膜1は所望の方向に操向され得る。
【0065】
カテーテルは、巻膜1が遠位方向Dに広げられるときに巻膜1を所望の方向に案内するのに使用され得る、巻膜1の内側ボリューム部分3内にある案内要素5をさらに備えることができる。案内要素5は、患者の外部まで延在することができて医師によって操作され得る湾曲するワイヤを備えることができる。案内要素5は、巻膜の遠位側部分に配置され得る摺動スポット6で巻膜1の内側に摺動可能に接触した状態となるように又は巻膜1の内側に摺動可能に接触させられるように適合され得る。摺動スポットは案内要素の先端部によって形成され得る。したがって、医師は、案内要素5により巻膜1を実質的に所望の方向に押すことにより、巻膜1を操向することができる。操向性は、追加的に(部分的に)巻膜を膨張及び/又は収縮させることによって強化され得る。巻膜1は、例示的に、巻膜1が遠位方向Dに沿って広げられるときに巻膜1がその中まで展開することができる小孔7の前方に位置する。
【0066】
図1bは、図1aの程度より小さい特定の程度で遠位方向Dに沿って巻膜1が広げられた(つまり、図1aより遠位側に位置する)状態にある図1aのカテーテルを示す。したがって、巻膜1の遠位端は、血管インターベンションを受けることができる小孔領域7の中まで延びている。
【0067】
図1bと同様に、図1cは、巻膜1がさらに小孔7の中へ広げられた状態であるさらなる広がった状態にある、図1a及び図1bのカテーテルを示す。
【0068】
巻膜1が広げた程度に関係なく、案内要素5に関連付けられた摺動スポット6が巻膜1の遠位側部分(遠位側先端部分)に留まることができることが強調される。参照符号2は、巻膜1の第1の端部に対して後退要素4が接合されるポイントである。巻膜1は、例えば、少なくとも5cm、少なくとも10cm、少なくとも20cm、或いは少なくとも30又は40cm、広げられるように適合され得る。例えば、巻膜1は、患者の外部から、又は患者の身体の皮膚面に近い患者内部の位置から、小孔7まで、広げられ得る。
【0069】
図2a~図2cはカテーテルの第2の可能な実施の形態を示す。この第2の実施の形態では、カテーテルは、その中にカテーテルが挿入される患者の血管の直径より小さい直径を有することができる。カテーテルの直径を除いて、カテーテルは、図1a~図1cを参照して上で説明したカテーテルと同じように実装され得る。具体的には、図2a~図2cは、小孔7に入るように遠位方向Dに広げられるときの、多様な状態にある巻膜1を示す。
【0070】
図3a~図3cはカテーテル第3の実施の形態を示す。この第3の実施の形態では、カテーテルは、その中にカテーテルが挿入され得る患者の血管の直径と同じ直径を有する直径を有することができる。
【0071】
図3aは、巻膜1の少なくとも一部分が特定の程度でそれ自体の中へと内側に折り返され得る初期状態にある巻膜1を備える、患者の大動脈内に位置するカテーテルを示す。巻膜1は、図1及び図2を参照して上で概説されるのと同じように内側ボリューム部分3をさらに備えることができる。参照符号20は、巻膜1の第1の端部に対して内側シャフト8が接合されるポイントを指す。内側に折り返される巻膜1の一部分がその分だけ内側シャフト8に取り付けられ得る。内側シャフト8は好適には円筒形状を有するように実装され得、内側シャフト8は好適には内側ルーメンを有することができる。内側ルーメン8は患者の身体の外部まで延在することができる。好適な実装形態では、内側シャフト8は、曲げ可能となり得るように、さらには、患者の血管に沿って遠位方向Dに沿って押されるときに患者の血管に沿って進むことが可能となるように、可撓性材料から作られ得る。
【0072】
この第3の実施の形態によるカテーテルは、(例えば、巻膜1が十分な剛性を提供する場合、及び、巻膜1の必要な案内角度が巻膜にとって過度に大きいわけではない場合)巻膜1の中央領域内に及び内側シャフト8内に位置することができるガイドワイヤ9を備えることができる。ガイドワイヤ9は患者の身体の外部まで延在することができ、好適には、(例えば湾曲する先端部を有する)ワイヤを備えることができる。ガイドワイヤ9は、巻膜1が遠位方向Dに沿って広げられて例えば小孔7に入るときに巻膜1を案内するのを実現することができる。一般に、ガイドワイヤ9は、巻膜1の動作機構により巻膜1より迅速に移動することができる(巻膜より2倍迅速に移動することができる)。したがって、ガイドワイヤ9は、巻膜1を延ばすときに定期的に後退させられることに必要となる可能性がある。一部の状況下では、巻膜1が広げられるときに巻膜1から生じる曲げ力に耐えることが可能となるように、ガイドワイヤ9が特定の程度の剛性を有することが必要となる可能性がある。必要である場合、ガイドワイヤ9は内側シャフト8によって交換され得る。
【0073】
代替として、医師はガイドワイヤ9の使用を排除することができ、広がった状態のみにおいて操向のために内側シャフト8を使用することができる。この事例では、内側シャフトDの遠位端は(わずかに)湾曲していてよい。この事例では、巻膜1が部分的に収縮させられ得、内側シャフト8が、巻膜1をさらに広げるために巻膜1を再膨張させる前に巻膜1を操向するのに所望される位置まで前方に押され得る。
【0074】
図3bは、巻膜1が遠位方向Dに沿って少なくとも部分的に広げられる状態にある図3aと同じカテーテルを示す。
【0075】
図3cは、巻膜1がほぼ完全な広がった状態までさらに広げられる状態にある、図3a及び図3bに描かれて図3a及び図3bを参照して説明されたものと同じカテーテルを示す。巻膜1を広げることの結果として、内側シャフト8が巻膜9の遠位端まで引かれて、それにより、患者の外部からアクセスされ得る内側チャンネルを巻膜1の中央領域に形成する、ことが強調される。
【0076】
図4a~図4cは第4の実施の形態によるカテーテルに関連する。第4の実施の形態によるカテーテルは、上記の図3a~図3cを参照して説明した第3の実施の形態によるカテーテルと同じように実装され得る。しかし、異なる点として、第4の実施の形態のカテーテルの直径は患者の血管の直径より小さくてよい。
【0077】
図5a~図5cは第5の実施の形態によるカテーテルを描く。図5a~図5cは、第5の実施の形態に従って、初期状態(図5a)と、巻膜1が少なくとも部分的に広げられる状態(図5b及び図5c)と、にある、巻膜を示す。第5の実施の形態では、カテーテル及び具体的には巻膜は、患者の血管の直径と同じサイズを有する直径を有することができる。
【0078】
図5aは、上記の図1図4を参照して説明された実施の形態のうちの任意の実施の形態による巻膜1と概略的に同様であってよい巻膜1を備えるカテーテルを示す。初期状態では、巻膜1は一定の程度で内側に折り返され得、内側ボリューム部分3を形成することができる。第5の実施の形態による巻膜1は、後退要素4と、巻膜1の摺動スポット6に摺動可能に配置され得る(巻膜1の内側ボリューム部分3内に位置する)案内要素5と、をさらに有することができる。参照符号2は、巻膜1の第1の端部に対して後退要素4が接合されるポイントを指す。
【0079】
しかし、第5の実施の形態によると、巻膜1の第2の端部(遠位端)が外側シャフト10に取り付けられ得る。外側シャフト10は、好適には、内側に折り返される巻膜1の量を受け入れるような、内側ルーメンを備える円筒形状を有することができる。外側シャフト10はさらに、後退要素4及び案内要素5も受け入れることができる。外側シャフト10は曲げ可能である可撓性材料から作られ得、巻膜1を小孔7の近傍に送達するのに使用され得、巻膜1は小孔7から遠位方向Dに沿って広げられ得る。図5に示されるように、巻膜1は外側シャフト10の直径より大きい直径を有するように適合され、例えば、その中に巻膜1が挿入される患者の血管とほぼ等しい直径を有するように適合され、対して、外側シャフト10は血管より小さい直径を有する。代替的な実施の形態では、外側シャフト10は、巻膜1の直径より大きい直径を有するか又は巻膜1の直径より大きい直径から構成され、例えば、その中に巻膜1が挿入される血管の直径とほぼ等しいか又は血管の直径より小さい直径を有するか又はこのような直径から構成される。外側シャフトDの遠位端は(わずかに)湾曲していてよい。
【0080】
図6a~図6cは第6の実施の形態によるカテーテルを示す。第6の実施の形態によるカテーテルは、上記の図5a~図5cを参照して説明した第5の実施の形態によるカテーテルと同じように実装され得る。しかし、第6の実施の形態による巻膜1は、その中に巻膜1が挿入される患者の血管の直径より小さい直径を有することができる。それでも、巻膜の直径は、図6a~図6cに示されるように、外側シャフト10の直径より例えば約5~500%又は10~50%大きくてよい。他の例では、巻膜1は外側シャフト10とほぼ同じ直径を有することができる。代替的な実施の形態では、外側シャフト10は巻膜1の直径より大きい直径を有するか又は巻膜1の直径より大きい直径から構成され、例えば、その中に巻膜1が挿入される血管の直径とほぼ等しいか又はそれより小さい直径を有するか又はこのような直径から構成される。外側シャフトDの遠位端は(わずかに)湾曲していてよい。
【0081】
図6b及び図6cは、巻膜1が、少なくとも部分的に(図6b)、又はほぼ完全に(図6c)広げられた状態にある、図6aのカテーテルを示す。
【0082】
図7a~図7cは、第7の実施の形態に従って、初期状態(図7a)と、巻膜1が少なくとも部分的に又は完全に広げられた2つの別の状態(図7b及び図7c)と、にある巻膜を備えるカテーテルを示す。第7の実施の形態では、カテーテル、及び具体的には巻膜は、患者の血管の直径と同じサイズ又は同等のサイズの直径を有することができる。一般に、巻膜1の直径が患者の血管の直径と同等である実施の形態では、患者の血管の内壁に対して巻膜1をより良好に係止させることが達成され得る。
【0083】
第7の実施の形態による巻膜1は、図1図5を参照して上で説明した実施の形態の巻膜1と同様に実装され得る。巻膜1は内側ボリューム部分3を形成するようにさらに適合され得、ガイドワイヤ9に沿って広げられ得、ここでは、ガイドワイヤ9は第3の実施の形態(図3)及び第4の実施の形態(図4)に関連して上で概説した場合と同様に実装され得る。第7の実施の形態では、巻膜1の第1の端部(例えば一定の程度で、内側に折り返し可能である)が内側シャフト8に接続され得る。巻膜1の第2の端部が外側シャフト10に接続され得る。参照符号20は、巻膜1の第1の端部に対して内側シャフト8が接合されるポイントを指す。
【0084】
図8a~図8cは第8の実施の形態によるカテーテルを示す。第8の実施の形態によるカテーテルは、上記の図7a~図7cを参照して説明した第7の実施の形態によるカテーテルと同様に実装され得る。しかし、第7の実施の形態による巻膜1は、患者の血管の直径より小さい直径を有することができる。巻膜1の直径が患者の血管の直径より小さい事例では、血管インターベンション中に妨害を受けない血流が達成され得る。それでも、巻膜1の直径は、図8a~図8cに示されるように、外側シャフト10の直径より大きくてよい(例えば、約5~500%又は10~50%)。他の例では、巻膜1は外側シャフト10とほぼ同じ直径を有することができる。
【0085】
図8b及び図8cは図8aのカテーテルを示し、ここでは、巻膜1がさらに広げられている。上で言及した8つの実施の形態に関して、実施の形態の各々が、(巻膜1が径方向に展開可能となり得るため)案内カテーテル又はガイドワイヤの機能性をバルーン・カテーテルの機能性に組み合わせると要約することができる。したがって、上で言及した各々の実施の形態によるカテーテルの全体の複雑さが低減され得る。上で言及した各々の実施の形態では単一のカテーテルしか必要とならないことから、単一のカテーテルしか患者の血管系の中に挿入されることが必要とならず、血管インターベンションを実施するのに必要となる処置時間も短縮され得る。巻膜1は、各々の実施の形態において、好適には、広がりが実質的に摩擦なしで行われるように(巻膜1がそれぞれの血管と同等の直径を有する場合でも)、実装され得る。さらに、上で言及した実施の形態を考えると、(血管の直径より小さいか又は血管の直径と等しく、完全な膨張時に達せられ得る)固定の直径を有することができるような巻膜1が提供され得ることが可能となり得る。しかし、(例えば、比較的小さいヤング係数を有する弾性巻膜を提供することにより)巻膜1の直径を血管インターベンションの具体的な要求に対して適合させるのを可能とするように巻膜1の直径をある程度可変にし得ることも可能となり得る。
【0086】
カテーテルが外側シャフト10を備える上で言及した実施の形態のうちの任意の実施の形態で、外側シャフト10は、カテーテルが患者の血管系を通して例えば小孔7まで押されるときに近位側カテーテル・エリアを支持するのに使用され得る。さらに、巻膜1が小孔7まで送達されるときに内側に折り返されて外側シャフト10の中に入れられることから、外側シャフトは巻膜1を保護することもできる。
【0087】
上で言及した実施の形態のうちの任意の実施の形態で、巻膜1は、血管造影図において可視となり得るX線不透過性溶液を充填され得る。巻膜1の広がりの距離の指示を医師に与えることを目的とした、巻膜1の内側シャフト8及び/又は巻膜1の表面のいずれにも位置することができる1つ又は複数のx線マーカーにより、可視性がさらに改善され得る。1つ又は複数のx線マーカーの間の距離が予め画定され得る。医師は、CT画像に基づいて、狭窄の位置を確定することができ、ひいては、患者の血管内の所望の位置に到達するのに広げる必要がある巻膜1の長さを制御することができる。さらに、1つ又は複数のx線マーカーの補助により、カテーテルが十分に広げられるのを確実なものとすることができる。
【0088】
図9a~図9cは、独立して使用され得るが本明細書で説明される他の態様のうちの任意の態様と併せても使用され得る巻膜1の潜在的な態様を示す。巻膜1は一般に一様な/滑らかな表面を有することができるか、或いは、図9a~図9cに示されるように、少なくとも部分的に非一様な表面を有することができる。非一様な表面を使用することにより、具体的には、患者の血管の内側に対しての巻膜1の摩擦を少なくとも局所的に増大させるという利点を提供することができる。
【0089】
図9aによると、巻膜1は、その表面上に1つ又は複数の(スパイクの様な)突出部11を備えることができる。突出部は規則的なパターンに従って配置され得、及び/又は互いに等しくなり得る。突出部は、例えば、別個に作製され得、メンブレンに取り付けられ得る。
【0090】
別の実装態様では、巻膜1は、巻膜1の非一様な表面が1つ又は複数の外周溝12(図9b)或いは1つ又は複数の外周ピーク13(図9c)を有することができるように、熱成形され得る。突出部はサイズ及び形状が多様となり得る。しかし、突出部が互いに等しくなり得ることも考えられ得る。いずれの場合も、突出部は表面上の規則的なパターンに従って配置され得る。
【0091】
巻膜1の非一様な表面が、有利には、バルーン内部の液圧を増大させるときに広がるような石灰化狭窄内の複数の亀裂をより早期に発生させるためのスコアリング要素として使用され得ることに留意されたい。
【0092】
図10は、本明細書で説明される別の態様のうちの任意の態様から独立して使用され得るが併せても使用され得る巻膜1の別の態様を示す。巻膜1は患者の血管(blood vessel)14内に位置し、血管の少なくとも一部の領域の患者の血管の直径より小さい直径を有することができる。巻膜1は、例えば血管(blood vessel)14の中心軸15を中心とした、コルク栓抜き及び/又は撚り糸と同様の螺旋の様な形状を確保するように適合され得る。巻膜1のこの実装形態は、患者の血管(blood vessel)の内壁に対して巻膜1をある程度係止させるのを確実なものとしながら、妨害を受けない血流を可能にすることができる。
【0093】
図11a~図11cは、上で言及した実施の形態及び実装形態の細部に従う巻膜1の別の実装態様を示し、ここでは、巻膜1は、血管の長手方向の延在方向に沿って狭くなることができる血管(blood vessel)14に入るように適合され得る。巻膜は、遠位側に広げられるときに先細の直径を備えるように適合され得る。例えば、巻膜は、その近位端で1.5mmから5.0mmの間の直径を有することができ、その遠位端で1.33mmまで縮小する直径を有することができる。
【0094】
図11aを参照すると、巻膜1を血管の中へさらに延ばすためには血管(blood vessel)14の直径が巻膜1にとって小さすぎるような血管(blood vessel)14内の位置16に巻膜1が到達する場合(このような位置16は血管造影図で可視となり得る)、巻膜1を(少なくとも部分的に)収縮させることが可能となり得、カテーテル17(例えば、外側シャフトにより)が一定の距離で後方に引かれ得(図11b)、巻膜1が再び広げられ得る(図11c)。この収縮/膨張ステップは、より大きい距離で巻膜1がカテーテル17(及び/又は、外側シャフト10)から離れるのを可能にすることができ、したがって、膨張時の径方向の展開をより小さくすることができる(しかし、長手方向においては大きくすることができる)。したがって、長手方向の距離が増すにつれて狭くなっていく患者の血管(blood vessel)14の部分も、本出願の態様によるカテーテルにより血管インターベンションを受けることができる。したがって、多様なサイズの血管にアクセスするのに単一のカテーテルが使用され得る。図11では直径が連続的に変化するが、巻膜1の複数の部分にほぼ一定の直径を有させるように、直径が段階的に変化することも考えられ得ることに留意されたい。
【0095】
上記の図11aを参照して説明される態様に対しての代替形態として、巻膜1が遠位側に広げられるときに拡大する直径を有する巻膜1を提供することも可能となり得る。
【0096】
図12a~図12dは段差状の直径を有する対応する例を示す。図12aに描かれるように、巻膜1は、そこから巻膜1が広げられる位置から、巻膜1の最も遠位側の位置まで、段階的に拡大する直径を有することができる。図11a~図11cに示されるような連続的な変化も可能である。血管(blood vessel)の遠位方向Dに沿って巻膜1をさらに延ばすためには血管(blood vessel)14の直径が小さすぎるような患者の血管(blood vessel)14内の位置16に巻膜1が到達する場合、巻膜1は少なくとも部分的に収縮され得、カテーテル17から巻膜1を広げる距離が短縮され得、巻膜1が再び膨張され得る。したがって、巻膜1がカテーテル17からより短い距離で広げられることを理由として、巻膜1はより小さい直径を有することができる。したがって、巻膜1は、患者の血管(blood vessel)14のより狭いセクションにもアクセスすることができる。同様に、患者の血管(blood vessel)14の多様な直径を有するセクションにアクセスするのに単一のカテーテルしか必要とされなくすることが促進され得る。
【0097】
上記の図11及び図12を参照して説明されるような巻膜1の潜在的な特別な設計の実装形態は、さらに、巻膜1の少なくとも一部分の収縮/膨張及び後退のステップに少なくとも部分的に基づいて血管の解剖学的構造を医師が確定するのを可能にすることができる。
【0098】
以下では、上で概説される1つ又は複数の実施の形態及び態様に依存することができる潜在的な用途のシナリオをさらに詳細に説明する。
【0099】
図13a~図13dは、実施の形態及び/又は態様によるカテーテルにより患者の血管(blood vessel)14内の少なくとも局部的な狭窄Sを拡張するためのバルーン血管形成術のプロセスを示す。下記で説明される処置が、内側シャフト8及び/又は外側シャフト10を有するか又は有さないカテーテルを用いて実施され得ることに留意されたい。
【0100】
図13aは患者の血管(blood vessel)14内の狭窄Sを描く。(患者の血管(blood vessel)14の直径と同等の直径を有する)巻膜1が(省かれてもよい)ガイドワイヤ9の補助により既に狭窄Sの近傍まで広げられている。巻膜1の内側ボリューム部分3内の圧力が増大すると、医師によるさらなる操作を一切用いずにそれ自体により、或いは巻膜を加圧すること及び/又はガイドワイヤを前方に移動させたり後退させたりすることの相互作用を介して、巻膜1がさらに広げられ得、患者の血管(blood vessel)14内の収縮部位(constriction)すなわち狭窄の中へ巻かれることができる。巻膜1の内側ボリューム部分3内の圧力が血管インターベンションの要求に適合され得ることを理由として、巻膜1の小さいセクションしか狭窄に入ることができない場合でも、巻膜1が狭窄Sを拡張することが可能となり得る。したがって、巻膜は文字通りに狭窄の中へ巻かれることができ、同時に、巻膜が遠位側に巻かれるときに狭窄を徐々に拡張することができる。
【0101】
図13bは、本発明の実施の形態によるカテーテルに基づく血管形成術の例示の結果を示す。図13bでは、(例えばさらなる治療のために)さらなる妨害なしでその時点において巻膜1が血管(blood vessel)14を通って巻かれるのを可能にする十分な程度まで狭窄Sが拡張されている。狭窄Sが十分な程度まで拡張されていることから、血管(blood vessel)14内での妨害を受けない血流が(同様に)支援され得る。
【0102】
図13c及び図13dは、上記の図13a及び図13bを参照して説明される血管形成術と同様の狭窄Sの血管形成術を示す。図13c及び図13dによる例示の説明図では、巻膜1の直径は、血管(blood vessel)14の直径より小さくなるように選定される。このようなシナリオでは、巻膜1はより狭い病変部位の中へも巻かれることができ、狭窄Sを少なくとも部分的に拡張することができる(図13d)。血管(blood vessel)14の直径より小さい直径を有する巻膜1を用いて非常に狭い病変部位でも少なくとも部分的に拡張され得るようにすることも可能となり得る。後続のステップで、巻膜1は、上記の図13a及び図13bを参照して説明されるように狭窄Sを完全に拡張するような、(例えば、図11及び図12を参照して概説されるような巻膜により)血管14の直径と同等の直径を有することができる。
【0103】
まとめると、巻膜1の液圧補助の摩擦なしに巻かれる能力により、非常に狭い病変部位を通過して拡張することが促進され得る。さらに、バルーン長さすなわち巻膜1の径方向膨張部分の長さは、血管インターベンションの要求に応じて変化可能となり得る。
【0104】
図14a及び図14bはカテーテルの潜在的な用途を示しており、ここでは、巻膜1は、上で言及した実施の形態のうちの任意の実施の形態に従って、巻膜1の最も遠位側のスポットに薬剤15を送達するように適合され得る。下記で説明される処置が、内側シャフト8及び/又は外側シャフト10を有するか又は有さないカテーテルを用いて実施され得ることに留意されたい。
【0105】
図14aは、例えば(省かれてもよい)ガイドワイヤ9に沿って狭窄Sの近傍まで広げられた巻膜1を描く。巻膜1は、1つ又は複数の位置において、薬剤15でコーティングされ得る。薬剤15で巻膜1をコーティングすることができる位置は、好適には、巻膜1の内側に折り返された部分によりその位置を保護するように、及び、例えば狭窄Sなどの病変部位の近傍でのみ薬剤15が放出され得るように、選定され得る。したがって、薬剤15は、薬剤15が有用となり得てさらには例えば図14bに示されるように血流によって拡張されない可能性がある位置まで送達され得る。図14bは、狭窄Sが存在するか又は狭窄Sが存在したかもしなれない血管14の側壁に隣接して位置するように薬剤15が外側に折り返されるように、巻膜1が広げられた状況を示す。適切な薬剤は、例えば、再狭窄を防止することができる薬剤又は血栓を溶解させることができる薬剤(すなわち、抗血栓剤)となり得る。適切な薬剤は、例えばパクリタキセル薬剤又はシロリムス薬剤などの、抗増殖剤となり得る。いくつかの用途では、病変部位(例えば、狭窄S)が本明細書で説明される(例えば、薬剤は低圧状態で巻膜1によって送達され得、次いで、巻膜1が加圧され得る)カテーテルによる機械的な拡張によって治療される前に薬剤15を用いて治療され得ることが可能となり得る。いくつかの用途では、病変部位(例えば、狭窄S)が、最初に機械的に拡張されて、後続のステップで、狭窄の位置まで直接に送達され得る薬剤15によってさらに治療されることも可能となり得る。巻膜1を広げる長さにより、薬剤15を外側に折り返すことができる(したがって、薬剤15を放出することができる)位置が実質的に決定されることを理由として、薬剤有効範囲(drug impact range)を調整可能とすることができる。したがって、患者の血管(blood vessel)14内の特定の位置までそれ自体で延びることもできる薬剤コーテッド・バルーン・カテーテルが提供され得る。巻膜カテーテルのハンドル上にあるノブ/ストッパが内側シャフトの最大の長手方向の移動を制限するのに使用され得、それにより巻膜の裏返し可能である長さを制御することもできる。
【0106】
図15a~図15bは、本明細書で説明される実施の形態による、血管(blood vessel)の慢性完全閉塞(CTO:chronic total occlusion)をクロッシングするのに使用され得るカテーテルの別の用途を示す。
【0107】
図15aは、巻膜1がCTOつまり血管(blood vessel)14の完全閉塞の近傍へ広げられている例示の状況を示す。
【0108】
いくつかの実装形態では、巻膜1は、例えばガイドワイヤ9(巻膜1の中央部分内に位置することができる)に力を加えるように適合され得る表面を有することができる。巻膜1をさらに外側に折り返すことの結果として(例えば、巻膜1の内側ボリューム部分3を加圧することの結果として)、巻膜1から巻膜1の中央領域に位置するガイドワイヤ9の少なくとも一部分に対しての潜在的な力の伝達が促進され得る。したがって、ガイドワイヤ9は遠位方向Dに沿う長手方向の押し込み力を受けることができる。巻膜の内側ボリューム部分3に加えられる圧力が十分であってガイドワイヤ9と巻膜の表面セクションとの間の摩擦が十分に大きい場合、液圧補助の押し込み力Fの結果としてCTOであってもクロッシングされ得、ガイドワイヤ9のいかなる逆方向への折れ(buckling back)も防止され得る。巻膜1がガイドワイヤ9に対して十分な力を加えるのを可能にするために患者の血管(blood vessel)14の内壁に対いて十分に係止されることが好適である可能性があることにさらに留意されたい。これは、本明細書で説明される別の態様によって促進され得る。
【0109】
図15bは図15aに関連し、ガイドワイヤ9によりCTOが成功裏にクロッシングされた後続の段階にあるCTOを示す。
【0110】
図16a~図16bは、カテーテルが少なくとも内側シャフト8を備えることができるような、上で概説されるように内側シャフトに関連するそれぞれの実施の形態に従うことができる別の用途を示す。初期の内側への折り返しの程度(図16に描かれない)にある巻膜1をそこに接続することができるとこである内側シャフト8を有するカテーテルを提供することにより、流体送達システムが図16aに描かれるように支援され得る。巻膜1は、内側シャフト8の遠位端が巻膜1の最も遠位側の位置まで引かれ得るように、広げられ得る。好適な用途では、巻膜1は、特定の流体を放出する必要がある位置に配置され得る(好適には、係止され得る)。内側シャフト8が患者の身体の外部まで延在するルーメンを提供することができることを理由として、医師は特定の流体(例えば、薬剤、造影剤)を内側シャフトの中に挿入することができ、次いで流体がカテーテル(巻膜1)の最も遠位側の位置まで移送されて放出され得る。
【0111】
巻膜1が患者の血管(blood vessel)14と同じ直径を有する用途では、放出された薬剤が血流によってわずかでも希釈されることを回避することが可能となり得、その結果、放出される薬剤の医療効果が増大され得る。対象の位置で(例えば、「局所療法」を促進することが可能となるように病変部位の近傍で)薬剤が直接に放出され得ることで薬剤の全体の投与量が低減され得るという別の有利な効果も見られ得る。このような薬剤送達システムの潜在的な用途は、例えば、癌治療、STセグメント上昇型心筋梗塞(STEMI:ST-segment elevation myocardial infarction)のための遠位溶解療法(distal lysis treatment)などでも見られ得る。同じことが、患者の潜在的な健康リスクを低減することができる造影剤の例示の使用法にも当てはまる。
【0112】
いくつかの用途シナリオでは、図16bに描かれるように、内側シャフト8は、巻膜1の最も遠位側の部分の非常に近傍に位置する特定の物体を(例えば、内側シャフト8の内側ルーメンに対して陰圧を加えることにより)吸引するのにも使用され得る。吸引される対象の物体は、例えば、(柔らかい)血栓、並びに/或いは、アテローム切除処置又は任意の他の種類の処置により発生するデブリとなり得る。同じことが、薬剤及び造影剤などの残余物にも当てはまり得る。
【0113】
図16a~図16bではガイドワイヤ9が示されるが、ガイドワイヤ9は省かれてもよい。
【0114】
図17a~図17eは上で言及した実施の形態のうちの任意の実施の形態によるカテーテルの別の用途を示し、ここでは、カテーテルがデバイス送達システムとして使用され得る。
【0115】
図17aはカテーテルの例示の用途を示し、ここでは、例えば任意選択のガイドワイヤ9により巻膜1が狭窄Sの近傍まで広げられている。巻膜1は狭窄Sの中へさらに広げられ得(図17b)、膨張され得、その結果、(例えば図13を参照して、上で説明したように)狭窄Sが少なくとも部分的に拡張され得る。いくつかの用途では、巻膜1の最も遠位側の部分まで内側シャフト8が引かれるのを可能にするように巻膜1が完全に広げられることが有利となり得る。(後でさらに説明されるように)デバイス(例えば医療デバイスなどの、機能的デバイス)16を後で送達することを考えると、この処置は、例えば送達されるデバイス16に少なくとも部分的に基づいて、その後で狭窄を完全に拡張することが潜在的に行われるような予拡張として理解され得る。
【0116】
いくつかの用途では、デバイス16は、図17cに描かれるように、内側シャフト8の中に挿入され得、巻膜1の最も遠位側の部分まで前方に押され得る。必要な押し込み力は、医師により、患者の身体の外部から加えられ得る。いくつかのシナリオでは、デバイス16は、巻膜1の内側ボリューム部分3の加圧の結果として、巻膜1の中央で保持され得る。したがって、巻膜からデバイス16がさらに押し出されるのを可能にするように、このような圧力差により巻膜を収縮させること(図17d)が必要となる可能性がある。デバイス16を狭窄Sの位置に配置するために、巻膜1をいくらかの距離で後退させることが必要となる可能性もある。結果として、デバイス16がカテーテル及び巻膜1から切り離され得るようになり、したがって、例えば(図17eに示されるように狭窄Sを拡張するような)後続の治療のために、特定の位置に配置され得る。例として、デバイス16は、例えば狭窄Sを完全に拡張することができるような、(管及びバルーンのみを備えることができる)単純なバルーン・カテーテルとなり得る。いくつかの事例では、それぞれのバルーン・カテーテルは、バルーン・カテーテルを(流体力学的に)膨張させるのを可能にするための、患者の身体の外部まで延在することができるそれ自体のシャフトを備えることができる。デバイス16を送達するためのこの処置は可撓性タイプのデバイス送達としても称され得る。
【0117】
多様なデバイス16が巻膜1の内側シャフト8を介して送達され得る。内側シャフト8を介して送達され得るデバイス16の例の一部は、例えば、単純なバルーン・カテーテル、標準的なバルーン・カテーテル、高圧バルーン・カテーテルなどの、任意の種類のカテーテルである。バルーン・カテーテルの送達は、特には、特定の直径のバルーン・カテーテルが必要であるような事例に関連し得る。さらに、ベイルアウト・デバイス、塞栓保護デバイス、スコアリング要素又はカッティング要素、自己拡張型ステント、ガイドワイヤ、コイル、フロー・ダイバーターなども送達され得る。いくつかの用途では、内視鏡検査のためのカメラなどのデバイス16を送達すること又は生検針を送達することも可能となり得る。本明細書で説明される実施の形態によるカテーテルにより、単一のカテーテルのみを用いて、患者の血管(blood vessel)14内の特定の位置までデバイス16を送達すること及び/又は患者の血管(blood vessel)14内の特定の位置からデバイス16を取り外すことが促進され得る。いくつかの用途では、例えば後続のステップにおいて、患者の血管(blood vessel)14の特定の位置まで2つ以上のデバイスが送達されることも可能となり得る。いくつかの事例では、例えば血管インターベンション中にデバイス16が予期せずに外に出て追加の高圧バルーン・カテーテルが必要となり得るような事例では、自然発生的にデバイス16を病変部位に送達することが可能となり得る。これは、PCI又はPVI(percutaneous ventricular intervention)或いは脳血管内処置の全体を単純化することができ、それらの所要時間を短縮することができる。
【0118】
図18a~図18dは代替のデバイス送達処置を示し、この代替のデバイス送達処置中では、送達されることにあるデバイス16が巻膜1の内側シャフト又は中央領域の中に予め装填され得る。巻膜1は、患者の血管14の内径より小さい外径を有する。図18a~図18dに描かれる送達ステップは上で説明される図17a~図17eと同様であると理解され得る。具体的には、デバイス16は、図17a~17eを参照して上で例示的に説明されるデバイスのうちの1つ又は複数のデバイスと等しくなり得る。
【0119】
しかし、上記の図17a~図17eを参照して説明される送達プロセスから逸脱して、デバイス16が内側シャフト18の中に予め装填され得ることが可能となり得る。言い換えると、デバイス16が内側シャフト8を通して巻膜1の最も遠位側の部分まで押され得ないが、巻膜1が広げられることの結果として、予め装填されたデバイス16が巻膜1の最も遠位側の部分まで実質的に引かれることも可能となり得る。
【0120】
カテーテルが内側シャフト8を備えないことも可能となり得る。このような事例では、デバイス16は巻膜1の中央領域の中に予め装填され得、その結果、デバイス16が巻膜の中央で巻膜1の内側に折り返された部分によって包囲される。デバイス16と巻膜1の内側に折り返された部分との間で十分な摩擦が生じる場合、巻膜が広げられることの結果としてデバイスが巻膜1の最も遠位側の部分まで引かれ得る。この送達方法は予装填モードとも称され得る。(カテーテルが内側シャフトを有さない巻膜のみを有することから)内側シャフトに対して巻膜1が取り付けらないような用途も可能となり得ることにさらに留意されたい。このような事例では、送達されるデバイス16は、巻膜の内側に折り返された部分によって形成され得る巻膜の中央領域内に配置される。
【0121】
図19はカテーテルのための別の用途シナリオを示し、ここでは、カテーテルは、血管インターベンション中にマイクロカテーテル17を特定の位置に送達するのに使用され得る。以下で説明されるカテーテルは、カテーテルが内側シャフト8を有するような本明細書で説明される実施液体に従って理解され得る。図19は、結果として内側シャフト8が巻膜1の最も遠位側の端部まで引かれるように巻膜1が(完全に)広げられるシナリオを示す。この場合、例えばマイクロカテーテル17などの第2の小さいカテーテルを、内側シャフト8を通して(母子法)巻膜1の最も遠位側の位置において巻膜1から外へ押すことが可能となり得る。このような用途は、主血管14から小さい血管18が分岐する患者の血管系の分岐までマイクロカテーテル17が送達され得るのを可能にすることができ、ここでは、小さい血管18は巻膜1によってアクセス可能とならない可能性がある。マイクロカテーテルは、例えば、マイクロカテーテル17及び巻膜1の両方を通って延在することができるガイドワイヤ9により小さい血管18の中まで案内され得る。したがって、分岐する小さい血管18もカテーテルによってアクセスされ得る。マイクロカテーテル17が内側シャフト8を通して押され得ることを理由として、患者の血管系を通して別のカテーテルを押すことを必要とせずに、マイクロカテーテル17のための送達システムとして「より大きい」主カテーテル(巻膜1を備える)を使用することのみを必要とすることができる。さらに、マイクロカテーテル17は、小さい血管18が分岐する分岐位置まで内側シャフト8を通して押されることから、主カテーテルによって保護され得る。巻膜は、その意図される配備位置の近くでマイクロカテーテル17を支持するのを実現することもできる。いくつかの別の用途では、薬剤のための専用の送達システムとしてマイクロカテーテル17を使用することも可能となり得、したがって、薬剤は小さい血管17まで送達され得る。これは、特には、STEMIの患者のために有利となり得る。
【0122】
図20a~図20eは、自己拡張型ステント(SXステント)19のための送達システムとしてカテーテルがさらに使用されるような実施の形態によるカテーテルの別の用途を示す。
【0123】
図20aは、上記の図17aを参照して説明される状況と等しくてよい初期状況を示すが、巻膜1は、患者の血管14の内径と同じであるか又はそれより小さい外径を有することができる。巻膜1は内側シャフト8に取り付けられ得る。さらに、SXステント19は、巻膜1のまだ完全には展開されていない状態において巻膜の内側に折り返された部分の結果として形成され得る巻膜1の中央領域の中に予め装填され得る。巻膜1は狭窄Sの中までさらに巻かれることができ、狭窄Sを少なくとも部分的に拡張するように狭窄Sの中で展開され得る(図20b)。(例えば狭窄Sを拡張するために)巻膜1をさらに広げることの結果として、SXステント19が巻膜1の遠位側部分まで引かれ得る。結果としてSXステント19が容易に放出され得て巻膜1の最も遠位側の部分まで送達され得るように特定の大きさの圧力により巻膜を収縮させること(図20c)がさらに必要となる可能性がある。巻膜1の内側ボリューム部分内の液圧が低下するとすぐに、SXステント19が巻膜1の内側を巻膜1及び/又は血管14の外側の方へ展開させることになり、摩擦がさらなる動きを完全に防止することができる。患者の血管14内の所望の位置にSXステント19を配置するような巻膜1を特定の距離だけ後退させることが必要となる可能性もある。この場合、SXステントをつぶす圧力を超えるように巻膜1を膨張させることが必要となる。この場合に巻膜1を後退させることが可能となる。この場合、SXステント19は巻膜から部分的に切り離され得、それ自体で展開するのを開始することができる(図20d)。巻膜1をさらに後退させることによりSXステント19が完全に展開されるとすぐに(図20e)、患者の血管14が少なくともSXステント19により開けられた状態/非閉塞状態で維持され得る。いくつかの例では、巻膜1は、巻膜によって依然として包囲されるSXステント19の部分に対して圧縮力を加えるように適合され得、その結果、展開することによりSXステント19が突然に遠位方向に押し出されることが回避される。
【0124】
さらに、内側シャフト8の存在なしで巻膜1によりSXステント19が送達され得るような用途も可能となり得ることに留意されたい。
【0125】
この用途の例は、上で説明される実施の形態によるカテーテルが、単一のカテーテルを用いてSXステント19を所望の位置まで送達するのに及び処置時間を最小にするのに使用され得ることを示す。さらに、巻膜1のこの特別な摩擦なしのデザインは摩擦なしでSXステントを放出するのを確実なものとする。
【0126】
図21a~図21eは実施の形態によるカテーテルの別の用途シナリオを示し、ここでは、カテーテルは、患者の血管(blood vessel)14内の所望の位置までバルーン拡張ステント(BEステント)を送達するのに使用され得る。以下で説明される用途シナリオは、上記の図17を参照して説明される送達処置と同様であると理解され得、したがって以下では簡単にのみ扱われる。
【0127】
図21aは、上記の図20aを参照して説明される状況と同じ初期状況を示すが、BEステント20は予め装填されない可能性がある。巻膜1が狭窄Sの中まで巻かれ得(図21b)、膨張され得、したがって、狭窄Sを少なくとも部分的に拡張することができる。巻膜1が(完全に)広がることの結果として、内側シャフト8が巻膜の最も遠位側の部分まで引かれ得、その結果、カテーテルを通るルーメンが形成され得る。この場合、巻膜1の最も遠位側の部分に達するまでルーメンを通してBEステント20を押すことが可能となり得る(図21c)。一部の状況下では、結果としてBEステント20が狭窄の位置に配置されるのを可能にするように(図21d)、近位方向において巻膜を一定の距離だけ後退及び/又は収縮させることが必要となる可能性がある。次いで、BEステント20が、BEステント20から患者の身体の外部までのルーメンを提供するそれぞれのシャフトにより患者の身体の外部から膨張され得る(図21e)。次いで、BEステント20が、BEステント20が配置されて膨張された位置において、潜在的な狭窄を完全に拡張することができる。
【0128】
代替的な実施の形態において、BEステント20を送達するのに内側シャフト8が必要とならない可能性があることに留意されたい。巻膜が裏返しの後で完全に開いた状態になる場合に巻膜の中央ルーメンを通してBEステント20が押され得ることも可能となり得る。このような送達システムは、上記の図17を参照して説明される利点と同様の利点を提供することができる。
【0129】
図22a~図22dは、カテーテルにBEステント20が予め装填され得るような実施の形態によるカテーテルの用途シナリオに関連する。予装填モードにおいてBEステント20を装填する処置は図17に関連して上で概説されるものと同様の処置ステップを含むことができるが、(単純な)バルーン・カテーテル16とは異なり、予め装填されるBEステント20が送達される点が例外である。したがって、本発明の実施の形態によるカテーテルのこのような用途の利点は、上記の図17に関連して概説される利点と同様となり得る。
【0130】
図23a及び図23bはカテーテルの別の実施の形態を示し、ここでは、巻膜1が内側シャフト8に取り付けられ、アテローム切除術に適し得る。
【0131】
図23aは、巻膜1が狭窄Sの近傍の中へ(完全に)広げられた例示の状況を示す。巻膜が完全に広げられることで、内側シャフト8が巻膜1の最も遠位側の部分まで引かれて、それによりカテーテルを通る内側ルーメンを形成する。このようにして形成された内側ルーメンは患者の外部まで延在することができ、その結果、流体が、巻膜1の最も遠位側の部分まで送達され得る内側ルーメンまで挿入され得る(図16を参照して上で説明した場合と同様に)。図16を参照して説明される送達能力に加えて、巻膜1の内側ルーメンを通して噴射水を案内することも可能となり得る。噴射水は、所定の断面積に限定され得る水の加圧「ビーム」として理解され得る。このような噴射水はカテーテルを用いるアテローム切除術を可能にすることができる。噴射水により、狭窄Sに対しての噴射水のみの衝撃により狭窄Sを(完全に)開けることが可能となり得る。いくつかのシナリオでは、水噴射を加える前に特定の薬剤を狭窄Sに予め送達することが必要となる可能性がある。追加して又は代替として、狭窄Sに対して水噴射を加えた後で特定の薬剤を狭窄に送達することが可能となり得る。いくつかのシナリオでは、カテーテルはデュアル・ルーメンを備えることができ、ここでは、巻膜1の内側ルーメンが2つの別個のルーメンへと分割され得、その結果、内側ルーメンの一部分が狭窄Sに対して特定の流体を供給するのに使用され得る一方で、内側ルーメンのそれぞれの残りの部分が狭窄Sの近傍から流体及び/又は固体(例えば、デブリ)を吸引するのに使用され得る。このような実装形態では、特定の薬剤を狭窄Sに送達することが可能となり得る(それにより、例えば狭窄Sを溶解させることができる)。薬剤送達の後、狭窄のデブリ及び/又は事前に供給された薬剤の潜在的な残余物を吸引することが可能となり得る。
【0132】
図23bは、デュアル・ルーメンの潜在的な実施の形態の3つの別個の構成を示す。したがって、(血栓及び/又はデブリが比較的大きい粒子である可能性があるので)吸引のための内側ルーメンの主断面積(i)が提供され得る。一部の状況では、デュアル・ルーメンのルーメンの断面積がほぼ同等の断面積を有することが好適である可能性がある(ii)一方で、別の実施の形態では、流体供給のために提供される面積は吸引のために提供される断面積と比較してより小さくてよく、吸引のために提供される面積の縁部に配置されない可能性がある(iii)。
【0133】
図24a~24eは、巻膜1が広げられるときに巻膜1を特定の方向に操向するための代替の操向デザインを示す。
【0134】
図24a及び図24bは例示の状況を示し、ここでは、巻膜1が患者の血管14を通って延びることができる。さらに、巻膜1が分岐する血管21に入ることが望ましい可能性があり(この用途は分岐する血管のみに限定されず、小さい曲げ半径を必要とする他の用途でも使用され得ることに留意されたい)、これは、分岐する血管21に入るためには例えば(大動脈内の一般的な曲げ半径と比較して)小さい曲げ半径を必要とする可能性がある。このような小さい曲げ半径は、上で説明したように、案内要素5又はガイドワイヤ9により常に可能になるというわけではない可能性がある。対照的に、より小さい曲げ半径を可能とすることできるような操向技術が必要となる。
【0135】
図24cは、さらに小さい曲げ半径を可能にすることができる、巻膜1のための操向技術のための例を示す。この操向は、一般にガイドワイヤとして機能することができるが、巻膜1との大きい摩擦を生じさせ得る表面を有することができる特殊な湾曲するワイヤ22に基づくことができる。巻膜を所望に方向に操向することは、巻膜を加圧すること及び/又はガイドワイヤを前方に移動さたり後退させたりすることの相互作用に基づくことができる。追加して又は代替として、湾曲するワイヤ22は、巻膜1の前方においてむらのある/非一様な摩擦を生じさせることを目的として、異なる表面粗さを有する領域或いは異なる表面材料の領域を有することができる。追加して又は代替として、(例えば、図24eに描かれるように)特殊なガイドワイヤ22の先端部分は拡大直径部分を有する形状を有することができる。最適化された手法で巻膜との相互作用を行うために、ガイドワイヤの曲げセクションの中央領域が、使用される血管造影的技術により、明瞭に可視化され得ることが考えられる。これは、ガイドワイヤがこのエリアではより高い剛性を有することが許容されることを理由として、局所的な材料量により又はより強くx線を低減する材料(stronger x-ray extenuating material)を使用することにより達成され得る。操向するためには、特殊な湾曲するワイヤ22の高摩擦部分が、この特殊なガイドワイヤ22及び/又は先端部分の湾曲するデザインにより巻膜1の前方に個別の径方向のむらのある(例えば、片側の)摩擦を生じさせるように巻膜1の遠位側部分に位置づけられ得る。特殊なガイドワイヤ22の先端部分の操向ためには及び十分な摩擦の精巧な形成のためには、巻膜1が完全に収縮され得、それにより、特殊な湾曲するワイヤ22を所望の方向に手動で案内することが可能となる。後続のステップで、巻膜1が、巻膜1が膨張して再び広がるときに特殊な湾曲するワイヤ22の高摩擦部分に接触するように、再び膨張され得る。高摩擦が実現されることで、メンブレンは図24c)の上側と比較して、例えば位置23などの、図24c)の下側でより大きく広がる傾向を有することができ、それにより、湾曲するワイヤ22の曲げの程度を増大させることができる。結果として、巻膜1はより小さい曲げ半径を達成するのに使用され得る。例えば図24e)に示されるように、巻膜が広がるときに接触する先端部分を利用する場合も同様の結果が達成され得る。加えて、必要な摩擦を生じさせること目的として巻膜1の移動に対して特殊なガイドワイヤ22の移動の速度を低下させることが必要となる可能性がある。
【0136】
加えて、巻膜1の遠位端の少なくとも一部分が、好適には、粘弾性材料から作られ得る。上で説明される径方向のむらのある摩擦は、曲線の内側において、膨張されて加圧された巻膜1のバルーンの径方向の張力を巻膜1により制限することができる。その好適な粘弾性特性による巻膜1の圧力依存の長さの増大に関連する巻膜1の特性によっては、高い圧力時の巻膜1の遠位側部分の少なくとも部分的な塑性変形が位置23で促進される可能性がある。上記の変形が巻膜の湾曲の動きを引き起こし得ることに加えて、巻膜1が病変部位の方向に塑性的に形成される可能性もある。言い換えると、巻膜1が広がるときに(つまり、巻膜1が膨張されるときに)巻膜1の内側の粘弾性部分に対して非一様な摩擦(ひいては、非一様な力)を加えることにより、非一様な力が作用する巻膜1の部分が例えば長手方向においてさらに展開することが阻害され得る。しかし、巻膜1の好適な粘弾性特性により巻膜1の粘弾性的変形が起こり得、それにより、巻膜1のさらなる展開の方向を変化させることができる。この事例では、巻かれる動きの増大した摩擦の影響をそれほど強くは受けるわけではないエリアが(塑性的にも)より大きく展開することになり、したがって巻膜1の湾曲の動きが強化される。これにより、特定の病変部位のための操向がより容易となり、病変部位に対して所望の力を加えることが可能となる。この操向性は、巻膜1内の圧力を低下させることによってさらに向上され得る。さらに、一部の状況下では、特殊なガイドワイヤ22は、血管造影中に特殊なガイドワイヤの可視性を向上させるための1つ又は複数のx線マーカーをさらに有することができる。
【0137】
図24dは、特殊な(ガイド)ワイヤ22の詳細図を示す。特殊なガイドワイヤ22は、巻膜1との非常に強化された摩擦を実現する領域24を備えることができる。
【0138】
図25は、本発明によるカテーテルによりアクセス可能であることを必要とする可能性がある病変部位の潜在的な位置の概略図を示す。通常、巻膜1は、「真っ直ぐに」延びるのに十分な剛性を有する。しかし、真っ直ぐな延び方向から逸脱するためには、本明細書で説明される追加の操向概念が必要となる可能性がある。留意すべきこととして、病変部位は、分岐の手前のスポット(prebranch spot)(図25a)、分岐の奥のスポット(図25b)、親血管のみ(図25c)、分岐(図25d)、入口部(図25e)、分岐の手前の位置及び入口部(図25f)、又は分岐の奥の位置及び入口部(図25g)、に位置することができる。参照符号4、5、6、8、9、10、16、19、20に関連する破線及び/又は点線が製図の観点において実線としてみなされ得、破線及び/又は点線が単に線を良好に差別化するためのものであることが理解されよう。
【0139】
これらの図を通して、Dは遠位方向を意味し、Pは近位方向を意味する。遠位方向は、カテーテルの長手方向の延在方向において、カテーテルを操作する医師からより離れる方向として理解される。近位方向は、カテーテルの長手方向の延在方向において、カテーテルを操作する医師により近づく方向として理解される。遠位方向は近位方向の反対となり得る。
【0140】
本開示のさらなる例が以下に提供される。
【0141】
1.巻膜を備えるカテーテルであって、巻膜が、患者の血管に沿って長手方向に(例えば、少なくとも1mm、又は1cmから20cm)巻かれるように適合される、カテーテル。
【0142】
2.加圧され得る内側ボリューム部分を画定する巻膜と;内側ボリューム部分内に配置された案内要素(患者の血管に沿って巻膜を案内するための)と、を備える、カテーテル。
【0143】
3.案内要素は巻膜の内側に対して摺動可能となるように適合され、その結果、案内要素が、巻膜が広げられるときに、巻膜の遠位側部分に留まることができる、例2のカテーテル。
【0144】
4.案内要素は湾曲するワイヤを備える、例2又は3のカテーテル。
【0145】
5.巻膜と、巻膜の広がった状態から巻膜を後退させるための、内側ルーメンを有さない後退要素と、を備える、カテーテル。
【0146】
6.巻膜の端部分が、巻膜が広げられるときに、カテーテルの遠位側先端部を形成するように適合される、上記例のいずれか1つのカテーテル。
【0147】
7.後退要素が巻膜の端部分に取り付けられる、例5及び6のカテーテル。
【0148】
8.案内要素が、巻膜が広げられるときに血管に沿って巻膜を操向するように適合される、例7のカテーテル。
【0149】
9.カテーテルの外径が血管の直径より小さい、例1から8までのいずれか1つのカテーテル。
【0150】
10.巻膜が、血管の長手方向に沿って螺旋の様な形状を形成するように適合される、例9のカテーテル。
【0151】
11.加圧され得る内側ボリューム部分を確定する巻膜を備えるカテーテルであって、巻膜が、内側ボリューム部分を加圧することにより、巻膜による拡張を介して患者の血管(blood vessel)内の狭窄が拡張されるのを可能にするように、適合される、カテーテル。
【0152】
12.カテーテルの外径が、径方向において患者の血管を実質的に埋めるように適合される、上記例のいずれか1つのカテーテル。
【0153】
13.巻膜が、患者の身体の内部で巻膜が広げられるときに巻膜の近位端が患者の身体の外部に位置するのを可能にするように、適合される、上記例のいずれか1つのカテーテル。
【0154】
14.巻膜が、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有する、上記例のいずれか1つのカテーテル。
【0155】
15.巻膜の半径が、広がった状態において、巻膜の長手方向に沿って変化する、上記例のいずれか1つのカテーテル。
【0156】
16.細長い主部分及び遠位端部分を形成するような、広げられるように適合された巻膜を備えるカテーテルであって、細長い主部分が非一様な断面を有するように適合される、カテーテル。
【0157】
17.巻膜を備えるカテーテルであって、巻膜の少なくとも一部分が内側の壁を形成するように内側に折り返され得、内側の壁が薬剤層を備え、その結果、巻膜を広げることにより薬剤層が遠位側に移送される、カテーテル。
【0158】
18.巻膜を備えるカテーテルであって、巻膜が、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有する、カテーテル。
【0159】
19.血管の断面より小さい断面を有する細長い主部分を形成するように広げられるように適合された巻膜を備えるカテーテルであって、細長い主部分の中心線が血管の中心線に撚り合わせられるように適合される、カテーテル。
【0160】
20・巻膜を有するカテーテルであって、カテーテルが内側シャフトを備えない、カテーテル。
【0161】
21.巻膜を備えるカテーテルであって、巻膜が、巻膜の内側に折り返された部分により少なくとも部分的に形成されたルーメン内に配置された機能的要素に力を加えるように適合される、カテーテル。
【0162】
22.巻膜が、巻膜が遠位方向に広げられるときに、力により機能的要素をカテーテルの遠位方向に押すように適合される、例21のカテーテル。
【0163】
23.血管内の狭窄を拡張するための方法であって、本方法が:巻膜を有するカテーテルを血管の中に挿入するステップと;巻膜を狭窄に近接させるように配置するような巻膜の少なくとも一部分を広げるステップと;結果として狭窄が拡張されるように巻膜を加圧するステップと、を含む、方法。
【0164】
24.血管の狭窄領域の中に案内要素を強制的に押し込むための方法であって、本方法が:巻膜を有するカテーテルを血管の中に挿入するステップであって、案内要素の少なくとも一部分が、巻膜の内側に折り返された部分により少なくとも部分的に形成されたルーメン内に配置される、カテーテルを挿入するステップと;結果的に案内要素が遠位方向において狭窄領域の中に強制的に押し込まれるように、巻膜の少なくとも一部分をカテーテルの遠位方向に広げるステップと、を含む、方法。
【0165】
25.加圧され得る内側ボリューム部分を画定する巻膜と、案内要素と、任意選択の外側シャフトと、任意選択の後退要素と、を備えるか又はこれらから構成されるカテーテルであって、(巻膜が、好適には患者の血管に沿って、広がった状態において長手方向に広げられるように適合され)、案内要素が、患者の血管に沿って巻膜を案内するために内側ボリューム部分内に配置される、カテーテル。
【0166】
26.カテーテルが、(巻膜の広がった状態から、好適には巻膜の広がっていない状態又は部分的に広がった状態にするように)巻膜を後退させるための後退要素を備える、例25のカテーテル。
【0167】
27.案内要素が巻膜に取り付けられ、好適には巻膜の内側表面に取り付けられる、例25又は26のカテーテル。
【0168】
28.案内要素及び/又は後退要素が、巻膜の端部分(遠位端部分)に取り付けられる、例25から27までのいずれか1つのカテーテル。
【0169】
29.案内要素及び後退要素が、巻膜の端部分(遠位端部分)の多様な位置に取り付けられる、28のカテーテル。
【0170】
30.カテーテルが、挿入される血管と同じであるか又はそれより小さい外径を有する、例25から29までのいずれか1つのカテーテル。
【0171】
31.巻膜が、有機ポリマー、好適には熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマで作られる、例25から30までのいずれか1つのカテーテル。
【0172】
32.巻膜が、ポリアミド、ポリ(ドデカノ-12-ラクタム)、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性ポリウレタンで作られる、例25から31までのいずれか1つのカテーテル。
【0173】
33.案内要素及び/又は後退要素が内側ルーメンを備えない、例25か32までのいずれか1つのカテーテル。
【0174】
34.案内要素がガイドワイヤであり、好適には湾曲するガイドワイヤである、例25から33までのいずれか1つのカテーテル。
【0175】
35.案内要素及び/又は後退要素が巻膜を貫通したり又は突き破ったりしない、例25から34までのいずれか1つのカテーテル。
【0176】
36.巻膜が、耐圧的に及び/又は液密的に、案内要素及び/又は後退要素に取り付けられる、例25から35までのいずれか1つのカテーテル。
【0177】
37.巻膜が、案内要素及び/又は後退要素に溶接又は接着される、例25から36までのいずれか1つのカテーテル。
【0178】
38.案内要素は巻膜の内側に対して摺動可能となるように適合され、その結果、案内要素が、巻膜が広がった状態にあるときに、巻膜の遠位側部分の留まることができる、例25から37までのいずれか1つのカテーテル。
【0179】
39.メンブレンの端部分が、巻膜が広がった状態にあるときに、カテーテルの遠位側先端部を形成するように適合される、例25から28までのいずれか1つのカテーテル。
【0180】
40.案内要素及び/又は後退要素が、巻膜が広がった状態にあるときに、血管に沿って巻膜を操向するように適合される、例25から39までのいずれか1つのカテーテル。
【0181】
41.巻膜が、血管の長手方向に沿って螺旋の様な形状を形成するように適合される、例25か40までのいずれか1つのカテーテル。
【0182】
42.カテーテルの外径が、径方向において患者の血管を埋めるように適合される、例25から41までのいずれか1つのカテーテル。
【0183】
43.巻膜が、巻膜が広がった状態にあるときに巻膜の近位端が患者の身体の外部に位置するのを可能にするように、適合される、例25から42までのいずれか1つのカテーテル。
【0184】
44.巻膜が、巻膜が広がった状態にあるときに巻膜の遠位端が患者の身体の内部に位置するのを可能にするように、適合される、例25から43までのいずれか1つのカテーテル。
【0185】
45.巻膜が、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有する、例25から44までのいずれか1つのカテーテル。
【0186】
46.巻膜がその外側表面にあるスパイクを有する、例25から45までのいずれか1つの例のカテーテル。
【0187】
47.巻膜が、その外側表面に、(熱成形された)外周溝、好適には螺旋状に配置された溝を有する、例25から45までのいずれか1つのカテーテル。
【0188】
48.巻膜が、その外側表面に、(熱成形された)外周ピーク、好適には螺旋状に配置されたピークを有する、例25から45までのいずれか1つのカテーテル。
【0189】
49.巻膜の外径が、広がった状態において、巻膜の長手方向に沿って変化する、例25から41又は43から48までのいずれか1つのカテーテル。
【0190】
50.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで縮小する、例25から41又は43から49までのいずれか1つのカテーテル。
【0191】
51.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで縮小する連続的に縮小する、例50のカテーテル。
【0192】
52.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで縮小する段階的に縮小する、例50のカテーテル。
【0193】
53.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで拡大する、例25から41又は43から49までのいずれか1つのカテーテル。
【0194】
54.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで連続的に拡大する、例53のカテーテル。
【0195】
55.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで段階的に拡大する、例53のカテーテル。
【0196】
56.広がった状態における巻膜の外径が、0.5mmから8.6mm、0.66mmから3.3mm、又は0.99mmから1.98mmの間である、例25から55までのいずれか1つのカテーテル。
【0197】
57.巻膜が薬剤コーテッド・巻膜である、例25から56までのいずれか1つのカテーテル。
【0198】
58.巻膜が二重壁巻膜である、例25から57までのいずれか1つのカテーテル。
【0199】
59.巻膜が、加圧されるとき、径方向においてよりも長手方向においてより大きく延伸可能である、例25から58までのいずれか1つのカテーテル。
【0200】
60.カテーテルが内側シャフトを有さない、例25から69までのいずれか1つのカテーテル。
【0201】
61.加圧され得る内側ボリューム部分を画定する巻膜と、案内要素と、内側シャフトと、任意選択の外側シャフトと、任意選択の後退要素と、を備えるか又はこれらから構成されるカテーテルであって、(巻膜が、好適には患者の血管に沿って、長手方向に広がって広がった状態となるように適合され)、案内要素が内側シャフト内に配置され、内側シャフトが巻膜に取り付けられる、カテーテル。
【0202】
62.内側シャフトが、金属、金属合金、又はポリマー・ブレードによって補強され得る、例61のカテーテル。
【0203】
63.案内要素が巻膜に取り付けられ、好適には巻膜の内側表面に取り付けられる、例61又は62のカテーテル。
【0204】
64.案内要素及び/又は後退要素が、巻膜の端部分(遠位端部分)に取り付けられる、例61から63までのいずれか1つのカテーテル。
【0205】
65.案内要素及び後退要素が、巻膜の端部分の多様な位置に取り付けられる、例64のカテーテル。
【0206】
66.カテーテルが、挿入される血管と同じであるか又はそれより小さい外径を有する、例61から65までのいずれか1つのカテーテル。
【0207】
67.巻膜が、有機ポリマー、好適には熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマで作られる、例61から66までのいずれか1つのカテーテル。
【0208】
68.巻膜が、ポリアミド、ポリ(ドデカノ-12-ラクタム)、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性ポリウレタンで作られる、例61から67までのいずれか1つのカテーテル。
【0209】
69.案内要素及び/又は後退要素が内側ルーメンを備えない、例61から68までのいずれか1つのカテーテル。
【0210】
70.案内要素がガイドワイヤであり、好適には湾曲するガイドワイヤである、例61から69までのいずれか1つのカテーテル。
【0211】
71.案内要素及び/又は後退要素が巻膜を貫通したり又は突き破ったりしない、例61から70までのいずれか1つのカテーテル。
【0212】
72.巻膜が、耐圧的に及び/又は液密的に、案内要素及び/又は後退要素に取り付けられる、例61から71までのいずれか1つのカテーテル。
【0213】
73.巻膜が、案内要素及び/又は後退要素に溶接又は接着される、例61から72までのいずれか1つのカテーテル。
【0214】
74.案内要素(5、6)は巻膜の内側に対して摺動可能となるように適合され、その結果、案内要素が、巻膜が広がった状態にあるときに、巻膜の遠位側部分の留まることができる、例61から73までのいずれか1つのカテーテル。
【0215】
75.メンブレンの端部分が、巻膜が広がった状態にあるときに、カテーテルの遠位側先端部を形成するように適合される、例61から74までのいずれか1つのカテーテル。
【0216】
76.案内要素(5、6)及び/又は後退要素(4)が、巻膜が広がった状態にあるときに、血管(14)に沿って巻膜を操向するように適合される、例61から75までのいずれか1つのテーテル。
【0217】
77.巻膜が、血管(14)の長手方向に沿って螺旋の様な形状を形成するように適合される、例61か76までのいずれか1つのカテーテル。
【0218】
78.カテーテルの外径が、径方向において患者の血管(14)を埋めるように適合される、例61から77までのいずれか1つのカテーテル。
【0219】
79.巻膜が、巻膜が広がった状態にあるときに巻膜の近位端が患者の身体の外部に位置するのを可能にするように、適合される、例61から78までのいずれか1つのカテーテル。
【0220】
80.巻膜が、巻膜が広がった状態にあるときに巻膜の遠位端が患者の身体の内部に位置するのを可能にするように、適合される、例61から79までのいずれか1つのカテーテル。
【0221】
81.巻膜が、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有する、例61から80までのいずれか1つのカテーテル。
【0222】
82.巻膜がその外側表面にあるスパイクを有する、例61から81までのいずれか1つのカテーテル。
【0223】
83.巻膜が、その外側表面に、(熱成形された)外周溝、好適には螺旋状に配置された溝を有する、例61から82までのいずれか1つのカテーテル。
【0224】
84.巻膜が、その外側表面に、(熱成形された)外周ピーク、好適には螺旋状に配置されたピークを有する、例61から83までのいずれか1つのカテーテル。
【0225】
85.巻膜の外径が、広がった状態において、巻膜の長手方向に沿って変化する、例61から77又は79から84までのいずれか1つのカテーテル。
【0226】
86.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで縮小する、例61から77又は79から85までのいずれか1つのカテーテル。
【0227】
87.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで縮小する連続的に縮小する、例86のカテーテル。
【0228】
88.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで縮小する段階的に縮小する、例86のカテーテル。
【0229】
89.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで拡大する、例61から77又は79から85までのいずれか1つのカテーテル。
【0230】
90.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで連続的に拡大する、例89のカテーテル。
【0231】
91.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う、巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで段階的に拡大する、例89のカテーテル。
【0232】
92.広がった状態における巻膜の外径が、0.5mmから8.6mm、0.66mmから3.3mm、又は0.99mmから1.98mmの間である、例61から91までのいずれか1つのカテーテル。
【0233】
93.巻膜が薬剤コーテッド巻膜である、例61から92までのいずれか1つのカテーテル。
【0234】
94.巻膜が二重壁巻膜である、例61から93までのいずれか1つのカテーテル。
【0235】
95.巻膜が、加圧されるとき、径方向においてよりも長手方向においてより大きく延伸可能である、例61から94までのいずれか1つのカテーテル。
【0236】
96.巻膜が内側シャフトに取り付けられる、例61から95までのいずれか1つのカテーテル。
【0237】
97.案内要素が、異なる剛性及び/又は粗さの領域を有する、例61から96までのいずれか1つのカテーテル。
【0238】
98.案内要素が非外傷性の遠位側先端部を有する、例61から97までのいずれか1つのカテーテル。
【0239】
99.巻膜が内側シャフトの少なくとも遠位端領域に取り付けられる、例61から98までのいずれか1つのカテーテル。
【0240】
100.内側シャフトが巻膜の内側ボリューム部分内に(少なくとも部分的に)位置する、例61から99までのいずれか1つのカテーテル。
【0241】
101.巻膜が、巻膜の内側ボリューム部分を通して案内され得るが内側シャフトまでは案内され得ない流体によって加圧可能である、例61から100までのいずれか1つのカテーテル。
【0242】
102.カテーテルが外側シャフトを備える、例25から101までのいずれか1つのカテーテル。
【0243】
103.巻膜が外側シャフトに取り付けられる、例102のカテーテル。
【0244】
104.巻膜が外側シャフトの少なくとも遠位端領域に取り付けられる、例102又は103のカテーテル。
【0245】
105.巻膜が外側シャフトより可撓性がある、例102から104までのいずれか1つのカテーテル。
【0246】
106.外側シャフトが、金属、金属合金、又はポリマー・ブレードによって補強され得る、例102から105までのいずれか1つのカテーテル。
【0247】
107.巻膜が外側シャフトより小さい壁の厚さを有する、例102から105までのいずれか1つのカテーテル。
【0248】
108.巻膜が、10μmから90μmの、好適には15μmから60μm、70μm~90μm、の壁の厚さを有する、例25から106までのいずれか1つのカテーテル。
【0249】
109.外側シャフトが、100μmから500μmの壁の厚さを有する、例102から108までのいずれか1つのカテーテル。
【0250】
110.カテーテルが冠動脈カテーテル又は末梢カテーテルである、例25から109までのいずれか1つのカテーテル。
【0251】
111.カテーテルが、20cmから200cmの間の長さを有する、例110のカテーテル。
【0252】
112.例61から110までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通して流体を用いてフラッシングを行うためのフラッシング・ユニットと、を備えるカテーテル・システムであって、フラッシング・ユニットが内側シャフトに流体連通される、カテーテル・システム。
【0253】
113.例61から112までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通して、カテーテルの周囲から、流体、血餅、又はデブリを吸い込むための吸い込みユニットと、を備えるカテーテル・システムであって、吸い込みユニットが内側シャフトに流体連通される、カテーテル・システム。
【0254】
114.例61から113までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通して少なくとも1つの薬剤を送達するための薬剤送達システムと、を備えるカテーテル・システムであって、薬剤送達システムが内側シャフトに流体連通される、カテーテル・システム。
【0255】
115.例61から114までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通してステントを案内するためのステント送達システムと、を備える、カテーテル・システム。
【0256】
116.例61から115までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通してスコアリング要素を案内するためのスコアリング要素送達システムと、を備える、カテーテル・システム。
【0257】
117.例61から116までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通してマイクロカテーテルを案内するためのマイクロカテーテル送達システムと、を備える、カテーテル・システム。
【0258】
118.例61から117までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通してバルーン・カテーテルを案内するためのバルーン・カテーテル送達システムと、を備える、カテーテル・システム。
【0259】
119.例61から118までのいずれか1つのカテーテルと、内側シャフトを通して塞栓保護フィルターを案内するための塞栓保護フィルター送達システムと、を備える、カテーテル・システム。
【0260】
120.例25から111までのいずれか1つのカテーテル、又は例112から119までのいずれか1つのカテーテル・システムを動作させるための方法であって、巻膜の内側ボリューム部分が、流体、好適には生体適合性流体、より好適には生理食塩水を用いて加圧される、方法。
【0261】
121.例25から111までのいずれか1つのカテーテル又は例112から120までのいずれか1つのカテーテル・システムを使用して狭窄を除去するための方法であって、巻膜の内側ボリューム部分が、長手方向における巻膜の延伸により患者の血管(blood vessel)内の狭窄が拡張されるように、加圧される、方法。
【0262】
122.インフレーション・フィルム押出、押出チューブのブロー成形、マイクロ押出、又は、内側シャフト及び外側シャフトに対してエラストマ・チューブを取り付けてエラストマ・チューブを後方に引いて外側シャフトに入れることにより、巻膜を作製するステップを含む、例25から111までのいずれか1つのカテーテルを製造するための方法。
【0263】
123.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜を備える、(クロッシング)カテーテルを用いて狭い狭窄を治療するための方法であって、カテーテルが血管の中に挿入され、巻膜が流体を用いて加圧され、その結果、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となる、方法。
【0264】
124.流体が、生体適合性流体、好適には生理食塩水又は造影剤である、例123の方法。
【0265】
125.巻膜が、有機ポリマー、好適には熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマで作られる、例123又は124の方法。
【0266】
126.巻膜が、ポリアミド、ポリ(ドデカノ-12-ラクタム)、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性ポリウレタンで作られる、例123から125までのいずれか1つの方法。
【0267】
127.巻膜が二重壁巻膜である、例123から126までのいずれか1つの方法。
【0268】
128.広がった状態における巻膜の外径が、0.5mmから2.7mm、0.66mmから2.0mm、又は0.99mmから1.98mmの間である、例123から127までのいずれか1つの方法。
【0269】
129.巻膜が、10μmから90μmの、好適には15μmから60μm、70μm~90μmの、壁の厚さを有する、例123から128までのいずれか1つの方法。
【0270】
130.カテーテルが外側シャフトを有し、外側シャフトが100μmから500μmの壁の厚さを有する、例の方法。
【0271】
131.巻膜の内側ボリューム部分が、流体を用いて、1000kPa(10バール)から3000kPa(30バール)の圧力で加圧される、方法。
【0272】
132.加圧される内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)を備えるカテーテルにおいて、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテルであって、カテーテルが、外側シャフト、内側シャフト、及び案内要素を備えないことを特徴とする、カテーテル。
【0273】
133.加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)を備えるカテーテルであって、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合され、カテーテルが内側シャフト(8)及び/又は外側シャフトをさらに備え、内側シャフト(8)及び/又は外側シャフトが、金属ブレード又は強化用繊維によって補強される、カテーテル。
【0274】
134.加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜を備える、好適には狭窄又は慢性完全閉塞をクロッシングするための、カテーテルであって、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合され、カテーテルが、内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト、並びに任意選択の案内要素をさらに備え、カテーテルが80cmから200cmのカテーテル長さを有し、巻膜が1.5mmから5.0mmの間の外径を有し、巻膜が、4cmから60cmの間の、好適には4cmから20cmの間の、長さを有する、カテーテル。
【0275】
135.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)と、任意選択の案内要素と、を備える、医療用途(挿管を除く)のためのカテーテルであって、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合され、カテーテルが最高200cmのカテーテル長さを有し、巻膜が、0.5mmから1.20cmの間の、好適には0.5mmから1.00cmの間の、より好適には1.0mmから5.0mmの間の、外径を有し、巻膜が最高100cmの長さを有し、好適には4cmから60cmの間の長さを有する、カテーテル。
【0276】
136.加圧される得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)を備えるカテーテルにおいて、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテルであって、カテーテルが、内側シャフト(8)、及び任意選択の外側シャフト(10)をさらに備え、内側シャフト(8)が巻膜(1)に取り付けられ、医療デバイス、及び/又は医療デバイス送達システム、及び/又は薬剤、及び/又は薬剤送達システム、及び/又は造影液、及び/又は吸引システムが、内側シャフト(8)内に配置される/位置するか、又は内側シャフト(8)を通して案内され得る、ことを特徴とする、カテーテル。
【0277】
137.カテーテルが、ステント、ステント構造、案内要素、又はガイドワイヤを備えない、例136のカテーテル。
【0278】
138.医療デバイス又は医療デバイス送達システムが、センサー、植込み型除細動器電極、植込み型除細動器リード、神経刺激デバイス、血管内超音波法(IVUS:intravascular ultrasound)システム、血管内コイル、スコアリング要素、スコアリング・バルーン、血管内砕石術デバイス、吸引デバイス、動脈瘤塞栓術デバイス、ニードル、カメラ、好適にはマイクロカテーテルである、カテーテル、アブレーション・カテーテル、ガイディング・カテーテル、又はバルーン・カテーテルを備える、例136又は137のカテーテル。
【0279】
139.カテーテルが外側シャフトを備える、例136から138までのいずれか1つのカテーテル。
【0280】
140.巻膜を有するカテーテルであって、カテーテルが内側シャフトを備えない、カテーテル。
【0281】
141.カテーテルが外側シャフトを備えない、例140のカテーテル。
【0282】
142.巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、例140又は141のカテーテル。
【0283】
143.巻膜を備えるカテーテルであって、カテーテルが外側シャフトを備えない、カテーテル。
【0284】
144.カテーテルが内側シャフトを備える、例143のカテーテル。
【0285】
145.巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、例143又は144のカテーテル。
【0286】
146.巻膜が外側シャフトに取り付けられる、例133から142までのいずれか1つのカテーテル。
【0287】
147.巻膜が外側シャフトの少なくとも遠位端領域に取り付けられる、例133から142までのいずれか1つのカテーテル。
【0288】
148.巻膜が外側シャフトより可撓性がある、例133から142までのいずれか1つのカテーテル。
【0289】
149.巻膜が外側シャフトより小さい壁の厚さを有する、例133から142までのいずれか1つのカテーテル。
【0290】
150.外側シャフトが、好適には、金属ブレード、金属合金ブレード、ポリマー・ブレード、又は強化用繊維によって補強される、例133から142までのいずれか1つのカテーテル。
【0291】
151.巻膜が内側シャフトに取り付けられ、好適には、内側シャフトの少なくとも遠位端領域に取り付けられる、例133から150までのいずれか1つのカテーテル。
【0292】
152.巻膜が内側シャフトより小さい壁の厚さを有する、例133から151までのいずれか1つのカテーテル。
【0293】
153.巻膜が内側シャフトより可撓性がある、例133から152までのいずれか1つのカテーテル。
【0294】
154.内側シャフトが、好適には、金属ブレード、金属合金ブレード、ポリマー・ブレード、又は強化用繊維によって補強される、例176から195までのいずれか1つのカテーテル。
【0295】
155.カテーテルがハンドルをさらに備える、例132から154までのいずれか1つのカテーテル。
【0296】
156.ハンドルが、巻膜の長手方向の前進及び/又は巻膜の回転を回避するように構成されたストッパ又はロック機構を備える、例155のカテーテル。
【0297】
157.ハンドルがマーカー又はルーラーを備える、例155又は156のカテーテル。
【0298】
158.カテーテルが案内要素を備える、例155から157までのいずれか1つの例のカテーテル。
【0299】
159.案内要素(5、6)が巻膜(1)の内側ボリューム部分(3)内に配置される、例133から136まで又は138から158までのいずれか1つのカテーテル。
【0300】
160.案内要素がガイドワイヤであり、好適には湾曲するガイドワイヤである、例133から136まで又は138から159までのいずれか1つのカテーテル。
【0301】
161.案内要素(5、6)が内側シャフト(8)内に配置される、例133から136まで又は138から160までのいずれか1つのカテーテル。
【0302】
162.案内要素が、異なる剛性及び/又は粗さの領域を有する、例133から136まで又は138から161までのいずれか1つのカテーテル。
【0303】
163.案内要素が非外傷性の遠位側先端部を有する、例133から136まで又は138から162までのいずれか1つのカテーテル。
【0304】
164.カテーテルの外径が、挿入される血管(14)の内径と同じであるか又はそれより小さい、例132から163までのいずれか1つのカテーテル。
【0305】
165.巻膜(1)が、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有する、例132から164までのいずれか1つのカテーテル。
【0306】
166.巻膜がその外側表面にスパイクを有する、例132から165までのいずれか1つのカテーテル。
【0307】
167.巻膜が、その外側表面にある、外周溝、好適には螺旋状に配置された溝を有する、例132から166までのいずれか1つのカテーテル。
【0308】
168.例132から167までのいずれか1つの例のカテーテルであって、巻膜が、その外側表面にある、外周ピーク、好適には螺旋状に配置されたピークを有する。
【0309】
169.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで連続的に又は段階的に縮小する、例132から168までのいずれか1つのカテーテル。
【0310】
170.広がった状態における、巻膜の長手方向に沿う巻膜の外径が、巻膜の近位端から巻膜の遠位端まで連続的に又は段階的に拡大する、例132から169までのいずれか1つのカテーテル。
【0311】
171.巻膜が薬剤を備えるか、又は薬剤コーティング層により少なくとも部分的に覆われる、例132から170までのいずれか1つのカテーテル。
【0312】
172.巻膜が、有機ポリマー、好適には熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマで作られる、例132から171までのいずれか1つのカテーテル。
【0313】
173.巻膜が、ポリアミド、ポリ(ドデカノ-12-ラクタム)、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性ポリウレタンで作られる、例132から172までのいずれか1つのカテーテル。
【0314】
174.巻膜が、加圧されるとき、径方向においてよりも長手方向においてより大きく延伸可能である、例132から173までのいずれか1つのカテーテル。
【0315】
175.内側シャフトが巻膜の内側ボリューム部分内に少なくとも部分的に位置する、例133から174までのいずれか1つのカテーテル。
【0316】
176.巻膜が二重壁巻膜である、例132から175までのいずれか1つのカテーテル。
【0317】
177.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、薬剤送達で、慢性完全閉塞のクロッシングで、(狭い)狭窄のクロッシングで、消化器インターベンションで、インターベンショナル・オンコロジーで、血管内砕石術で、石灰化の治療で、シースを用いるPVI処置で、血栓切除術で、急性心筋梗塞の治療で、腎臓の脱神経で、静脈閉塞の治療で、塞栓保護デバイスの送達で、リエントリー・カテーテル処置で、植込み型除細動器電極の送達で、好適には冠動脈インターベンション又は末梢血管インターベンションである、血管インターベンションで、或いは、好適には尿道ストリクチャ(urethra stricture)の治療である、泌尿器学で、使用されるためのカテーテルであって、巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【0318】
178.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、薬剤送達で、慢性完全閉塞のクロッシングで、(狭い)狭窄のクロッシングで、消化器インターベンションで、インターベンショナル・オンコロジーで、血管内砕石術で、石灰化の治療で、シースを用いるPVI処置で、血栓切除術で、急性心筋梗塞の治療で、腎臓の脱神経で、静脈閉塞の治療で、塞栓保護デバイスの送達で、リエントリー・カテーテル処置で、植込み型除細動器電極の送達で、好適には冠動脈インターベンション又は末梢血管インターベンションである、血管インターベンションで、或いは、好適には尿道ストリクチャの治療である、泌尿器学で、使用されるためのカテーテルの使用であって、巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテルの使用。
【0319】
179.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、アクセス・カテーテル、サポート・カテーテル、ガイディング・カテーテル、ガイド・エクステンション・カテーテル、リエントリー・カテーテル、イントロデューサ・シース、又はスコアリング・バルーン・カテーテルとして使用されるためのカテーテルであって、巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【0320】
180.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、アクセス・カテーテル、サポート・カテーテル、ガイディング・カテーテル、ガイド・エクステンション・カテーテル、リエントリー・カテーテル、イントロテューサ・シース、又はスコアリング・バルーン・カテーテルとして使用されるためのカテーテルの使用であって、巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテルの使用。
【0321】
181.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、病変部位に接近すること、病変部位の準備を整えること、病変部位を予拡張すること、病変部位を拡張すること、病変部位をクロッシングすること、病変部位を治療すること、を可能にするオールインワンのデバイスとして使用されるためのカテーテルであって、巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【0322】
182.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、病変部位に接近すること、病変部位の準備を整えること、病変部位を予拡張すること、病変部位を拡張すること、病変部位をクロッシングすること、病変部位を治療すること、を可能にするオールインワンのデバイスとして使用されるためのカテーテルの使用であって、巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテルの使用。
【0323】
183.上記例のうちのいずれか1つのカテーテル及び使用説明書を備える、キット。
【0324】
184.例132から176までのいずれか1つのカテーテルを動作させるための方法であって、巻膜の内側ボリューム部分が流体を用いて加圧される、方法。
【0325】
185.例132から176までのいずれか1つのカテーテルを使用して狭窄を治療するための方法であって、巻膜の内側ボリューム部分が流体を用いて加圧され、その結果、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となり、患者の血管(blood vessel)内の前記狭窄が拡張される、方法。
【0326】
186.内側シャフト及び/又は外側シャフトを有するか又は有さず、巻膜を備えるカテーテルを用いて、狭い狭窄又は慢性完全閉塞を治療するための方法であって、カテーテルが血管の中に挿入され、巻膜が流体を用いて加圧され、その結果、巻膜が長手方向(D)に広がって広がった状態となり、患者の血管(blood vessel)内の狭窄が拡張される、方法。
【0327】
187.例132から176までのいずれか1つのカテーテルを使用して慢性完全閉塞に沿う内膜下空間からの通路を得ることにより真の動脈ルーメンに再び入るための方法。
【0328】
188.流体が生体適合性流体であり、好適には生理食塩水(0.9wt%のNaClを含有する水溶液である)又は造影液である、例184から186までのいずれか1つの方法。
【0329】
189.巻膜(1)が、300nmから1000nmの間の、好適には380nmから780nmの間の、電磁放射線を透過させる、例132から176までのいずれか1つのカテーテル。
【0330】
190.巻膜が側枝を有さない、例132から176までの又は189までのいずれか1つのカテーテル。
【0331】
本出願の文脈の狭窄は、中空器官、或いは、例えば、血管(blood vessel)、気管、尿管若しくは尿道、又は胆管などの、体腔の狭い部位(narrowing)又は収縮部位である。場合によっては、このような狭い部位は、例えば尿道ストリクチャの事例では、ストリクチャ(stricture)と呼ばれる。血管(blood vessel)の事例では、狭窄は動脈硬化症を原因とする可能性があり、ここでは、動脈が病変を発症し、それにより、粥状斑の蓄積を原因として動脈の狭い部位を発生させる。粥状斑は、大抵は、マクロファージ細胞又はデブリ、脂質、カルシウム、及び線維性結合組織を含む。狭窄は、一定の長さ及び重症度(硬さ)を有し、さらには、元の体腔又は中空器官の直径又は容積より一定の割合で小さくなる狭窄レベルを有する。狭い狭窄は、元の体腔又は中空器官の直径又は容積の50%以上であるが100%未満である狭い部位を有する狭窄である。血管(blood vessel)の事例では、粥状斑から構成される血管壁の断面積の50%以上である場合に狭窄とみなされ得る。
【0332】
慢性完全閉塞(CTO)は冠動脈の完全な障害物である(冠動脈の直径又は容積の100%である狭い部位)。初期状態において柔らかいCTOキャップを有するCTOは老化し始め得、時間と共に硬い線維性のCTOキャップを有し得る。
【0333】
アクセス・カテーテル又はクロッシング・カテーテルは、病変部位又は狭窄をクロッシングするのに使用されるカテーテルである。アクセス・カテーテルは、押し込み性を有さないことから、CTOのみをクロッシングする能力を有さない。
【0334】
クロッシング完全遮閉法カテーテル(crossing total occlusion catheter)は、好適には真の管腔を介してCTOを再疎通することにより、CTOをクロッシングするのに使用されるカテーテルである。クロッシング完全遮閉法カテーテルは、アクセス・カテーテルより高い押し込み性を有する。クロッシング完全遮閉法カテーテルは、腔内デバイス、内膜下デバイス、又はリエントリー・デバイスに分類され得る。再入クロッシング完全遮閉法カテーテル(re-entry crossing total occlusion catheter)は、慢性完全閉塞において、ガイドワイヤと組み合わされて/ガイドワイヤと組み合わされずに、内膜下空間から真の管腔に入る。
【0335】
サポート・カテーテルはカテーテル(イントロデューサ)シースである。サポート・カテーテルは6cmから8cmの長さを有することができ、6Frから9Frの直径を有することができる(1Fr(フレンチ)は1/3mmとして定義される)。サポート・カテーテルは単一のルーメン・カテーテルとなり得る(通常、中心静脈内に配置される)。巻膜カテーテルと穿刺針の組み合わせがイントロデューサ・シースとして定義される。サポート・カテーテルは、末梢血管インターベンション(PVI:peripheral vascular intervention)処置中に、病変部位をクロッシングするのを可能にするためにガイドワイヤを支持するのにさらにはガイドワイヤを交換するのに使用されるカテーテルである。
【0336】
ガイディング・カテーテルは、冠動脈インターベンション中に、冠動脈入口部にアクセスするのを実現するのに及び装置の送達を支援するのに使用されるカテーテルである。経皮冠動脈インターベンション(CVI:percutaneous coronary intervention)でのガイディング・カテーテルの選定は、血管の直径、ねじれ、石灰化の程度、上行大動脈のサイズ、入口部の向き、及びインターベンションの計画での複雑さ、に基づく。
【0337】
ガイド・エクステンション・カテーテルは、ガイディング・カテーテルの長さを延伸するのに使用されるカテーテルである。ガイド・エクステンション・カテーテルは、ガイディング・カテーテルの直径より1Fr小さい直径を有することができる。
【0338】
血管内砕石術デバイスは、冠動脈及び末梢血管内でのカルシウム破砕を介して石灰化病変部位を修正するデバイスである。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図9c
図10
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図12c
図12d
図13a
図13b
図13c
図13d
図14a
図14b
図15a
図15b
図16a
図16b
図17a
図17b
図17c
図17d
図17e
図18a
図18b
図18c
図18d
図19
図20a
図20b
図20c
図20d
図20e
図21a
図21b
図21c
図21d
図21e
図22a
図22b
図22c
図22d
図23a
図23b
図24a
図24b
図24c
図24d
図24e
図25a
図25b
図25c
図25d
図25e
図25f
図25g
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)を備える狭窄又は慢性完全閉塞をクロッシングするためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態になるように適合され、前記カテーテルが、内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)、並びに、任意選択の案内要素(5、6)をさらに備え、前記カテーテルが、80cmから200cmまでのカテーテル長さを有し、前記巻膜(1)が、1.5mmから5.0mmの間の外径を有し、前記巻膜(1)が、4cmから60cmの間の、好適には4cmから20cmの間の、長さを有する、カテーテル。
【請求項2】
加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定する巻膜(1)を備えるカテーテルにおいて、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態になるように適合される、カテーテルであって、前記カテーテルが、内側シャフト(8)、及び任意選択の外側シャフト(10)をさらに備え、前記内側シャフト(8)が前記巻膜(1)に取り付けられ、医療デバイス、及び/又は医療デバイス送達システム、及び/又は薬剤、及び/又は薬剤送達システム、及び/又は造影液、及び/又は吸引システムが、前記内側シャフト(8)内に配置され、前記カテーテルが、ステント、ステント構造、案内要素(5、6)、又はガイドワイヤ(9)を備えない、カテーテル。
【請求項3】
前記医療デバイスが、センサー、植込み型除細動器電極、植込み型除細動器リード、神経刺激デバイス、神経刺激デバイス、血管内コイル、スコアリング要素、スコアリング・バルーン、血管内砕石術デバイス、吸引デバイス、動脈瘤塞栓術デバイス、ニードル、血管内超音波法(IVUS)システム、カメラ、カテーテル、好適にはマイクロカテーテル、アブレーション・カテーテル、ガイディング・カテーテル、又はバルーン・カテーテルを備える、請求項に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルが前記外側シャフト(10)を備える、請求項に記載のカテーテル。
【請求項5】
巻膜を有するカテーテルであって、前記カテーテルが内側シャフト(8)を備えない、カテーテル。
【請求項6】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)に取り付けられる、請求項1または4に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)の少なくとも遠位端領域に取り付けられる、請求項1または4に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)より可撓性がある、請求項1または4に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記巻膜(1)が前記外側シャフト(10)より小さい壁の厚さを有する、請求項1または4に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記外側シャフト(10)が、好適には、金属ブレード、金属合金ブレード、ポリマー・ブレード、又は強化用繊維により、補強される、請求項1または4に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記巻膜(1)が前記内側シャフト(8)に取り付けられ、好適には前記内側シャフト(8)の少なくとも遠位端領域に取り付けられる、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記巻膜(1)が前記内側シャフト(8)より小さい壁の厚さを有する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記巻膜(1)が前記内側シャフト(8)より可撓性がある、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記内側シャフト(8)が、好適には、金属ブレード、金属合金ブレード、ポリマー・ブレード、又は強化用繊維により、補強される、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記カテーテルがハンドルをさらに備える、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記ハンドルが、前記巻膜(1)の前記長手方向の前進及び/又は前記巻膜(1)の回転を回避するように構成されたストッパ又はロック機構を備える、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記ハンドルがマーカー又はルーラーを備える、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記カテーテルが前記案内要素(5、6)を備える、請求項1または5に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記案内要素(5、6)が前記巻膜(1)の前記内側ボリューム部分(3)内に配置される、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記案内要素(5、6)がガイドワイヤ(9)であり、好適には湾曲するガイドワイヤである、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記案内要素(5、6)が、異なる剛性及び/又は粗さの領域を有する、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記案内要素(5、6)が非外傷性の遠位側先端部を有する、請求項18に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記カテーテルの外径が、挿入される血管(14)の内径と同じであるか又はそれより小さい、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記巻膜(1)が、少なくとも部分的に、非一様な外側表面を有する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記巻膜(1)がその外側表面にスパイクを有する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記巻膜(1)が、その外側表面に、外周溝、好適には螺旋状に配置された溝を有する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記巻膜(1)が、その外側表面に、外周ピーク、好適には螺旋状に配置されたピークを有する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記広がった状態における、前記巻膜(1)の前記長手方向に沿う前記巻膜の外径が、前記巻膜(1)の近位端から前記巻膜(1)の遠位端まで連続的に又は段階的に縮小する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項29】
前記広がった状態における、前記巻膜(1)の前記長手方向に沿う前記巻膜の外径が、前記巻膜(1)の近位端から前記巻膜(1)の遠位端まで連続的に又は段階的に拡大する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項30】
前記巻膜(1)が、薬剤を備えるか、又は薬剤コーティング層により少なくとも部分的に覆われる、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項31】
前記巻膜(1)が、有機ポリマー、好適には熱可塑性プラスチック又は熱可塑性エラストマで作られる、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項32】
前記巻膜(1)が、ポリアミド、ポリ(ドデカノ-12-ラクタム)、ポリエーテルブロックアミド、又は熱可塑性ポリウレタンで作られる、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項33】
前記巻膜(1)が、加圧されるとき、径方向においてよりも長手方向においてより大きく延伸可能である、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項34】
前記内側シャフト(8)が前記巻膜(1)の前記内側ボリューム部分内に少なくとも部分的に位置する、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項35】
前記巻膜(1)が二重壁巻膜である、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項36】
内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)を有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素を備え、薬剤送達で、慢性完全閉塞のクロッシングで、狭窄のクロッシングで、消化器インターベンションで、インターベンショナル・オンコロジーで、血管内砕石術で、石灰化の治療で、シースを用いるPVI処置で、血栓切除術で、急性心筋梗塞の治療で、動脈瘤の治療で、腎臓の脱神経で、静脈閉塞の治療で、塞栓保護デバイスの送達で、リエントリー・カテーテル処置で、植込み型除細動器電極の送達で、好適には冠動脈インターベンション又は末梢血管インターベンションである、血管インターベンションで、或いは、好適には尿道ストリクチャの治療である、泌尿器学で、使用されるためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【請求項37】
内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)を有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素(5、6)を備え、アクセス・カテーテル、サポート・カテーテル、ガイディング・カテーテル、ガイド・エクステンション・カテーテル、リエントリー・カテーテル、イントロテューサ・シース、又はスコアリング・バルーン・カテーテルとして使用されるためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【請求項38】
内側シャフト(8)及び/又は外側シャフト(10)を有するか又は有さず、巻膜(1)及び任意選択の案内要素(5、6)を備え、病変部位に接近すること、病変部位の準備を整えること、前記病変部位を予拡張すること、前記病変部位を拡張すること、前記病変部位をクロッシングすること、前記病変部位を治療すること、を可能にするオールインワンのデバイスとして使用されるためのカテーテルであって、前記巻膜(1)が加圧され得る内側ボリューム部分(3)を画定し、前記巻膜(1)が長手方向(D)に広がって広がった状態となるように適合される、カテーテル。
【請求項39】
請求項1または2に記載のカーテル及び使用説明書を備える、キット。
【国際調査報告】