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特表2025-501906絶縁膜パターン形成方法、パターン形成に用いられる前駆体及び半導体素子
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  • 特表-絶縁膜パターン形成方法、パターン形成に用いられる前駆体及び半導体素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】絶縁膜パターン形成方法、パターン形成に用いられる前駆体及び半導体素子
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/42 20060101AFI20250117BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C23C16/42
H01L21/316 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538131
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2022019298
(87)【国際公開番号】W WO2023128331
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192643
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515068085
【氏名又は名称】ドンジン セミケム カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DONGJIN SEMICHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】ユン ハギョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジェウ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュニョン
(72)【発明者】
【氏名】ヨ ソジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ ハンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ピルス
(72)【発明者】
【氏名】シム チャングン
(72)【発明者】
【氏名】ポク チョイギュ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030BA44
4K030BB14
4K030CA01
4K030CA12
4K030JA01
4K030JA10
5F058AC10
5F058AE02
5F058AE10
5F058AF01
5F058AH04
5F058BA20
5F058BB06
5F058BC02
5F058BE01
5F058BE10
5F058BF02
5F058BF12
5F058BF22
5F058BF23
5F058BF29
5F058BF30
5F058BF36
5F058BF37
5F058BJ04
(57)【要約】
本発明は、異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板を提供する段階と、前記基板上に遮断膜が形成された第1領域と遮断膜が形成されないか、または比較的少なく形成された第2領域とを含むように、遮断膜を選択的に形成する段階を含む絶縁膜パターン形成方法として、前記第1領域と第2領域との水接触角差は、7~50度(Deg)の範囲内である絶縁膜パターン形成方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板を提供する段階と、
前記基板上に遮断膜が形成された第1領域と遮断膜が形成されないか、または比較的少なく形成された第2領域とを含むように、遮断膜を選択的に形成する段階を含む絶縁膜パターン形成方法であって、
前記第1領域と第2領域との水接触角差は、7~50度(Deg)の範囲内である絶縁膜パターン形成方法。
【請求項2】
前記遮断膜を形成しないか、または比較的少なく形成された第2の領域上にシリコンオキシド絶縁膜を形成する段階をさらに含む、請求項1に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項3】
前記遮断膜を選択的に形成する段階の前に、
前記基板を前処理する段階をさらに含む、請求項1に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項4】
前記第1領域と第2領域との水接触角差は22~40度の範囲内である、請求項3に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項5】
前記基板を前処理する段階は、
HF水溶液に浸漬するか、HFガス雰囲気中で熱アニールすることである、請求項3に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項6】
前記基板を前処理する段階は、
N2、H2、アンモニア、ヒドラジンまたはこれらの混合ガス雰囲気中での熱アニールまたはそれらのプラズマ処理により行われる、請求項3に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項7】
前記基板の誘電体膜表面は、アミン終端シリコン領域とヒドロキシ終端シリコン領域とを含む、請求項1に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項8】
前記基板の誘電体膜は、シリコン窒化膜領域とシリコン酸化膜領域とを含む、請求項1に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項9】
前記シリコンオキシド絶縁膜を形成する段階は、
スパッタ、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相蒸着)又はALD(Atomic Layer Deposition、原子層蒸着方法)方法を利用する、請求項2に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項10】
シリコンオキシド絶縁膜の形成に用いられる前駆体は、SiH、ジイソピルアミノシラン(DIPAS)、ビス-ジエチルアミノシラン(BDEAS)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(TDMAS)、ビス(t-ブチラミノ)シラン(BTBAS)、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項2に記載の絶縁膜パターン形成方法。
【請求項11】
異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板上に選択的に遮断膜を形成するために用いられる前駆体であって、
前駆体は、下記化学式1または化学式2で表される前駆体;
[化学式1]

[化学式2]

(前記化学式1において、
Rは、置換または非置換のC1~C30のアルキル基、置換または非置換のC2~C30のアルケニル基、置換または非置換のC1~C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1~C30のスルフィド基、置換または非置換のC6~C50のアリール基、置換または非置換のC7~C50のアラルキル基または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリール基であり、ただし、前記アルキル基がC10個以上の場合、1個以上の水素がハロゲンで置換されたアルキル基であり、
Lは、置換または非置換C1~C30のアルキレン基、置換または非置換C2~C30のアルケニレン基、置換または非置換C1~C30のアルキレンオキシ基、置換または非置換C1~C30のスルフィド基、置換または非置換C3~C50のシクロアルキレン基、置換または非置換C6~C50のアリーレン基、置換または非置換C2~C50のヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせである。)
【請求項12】
前記置換基は、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、ニトロソ基、スルファモイル基、イソチオシアネート基、チオシアネート基、カルボキシル基、C1~C30のアルキル基、C1~C30のアルキルスルフィニル基、C1~C30のアルキルスルホニル基、C1~C30のアルキルスルファニル基、C1~C12のフルオロアルキル基、C2~C30のアルケニル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C12のN-アルキルアミノ基、C2~C20のN,N-ジアルキルアミノ基、C1~C30のスルフィド基、C1~C6のN-アルキルスルファモイル基、C2~C12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、C3~C30のシリル基、C3~C20のシクロアルキル基、C3~C20のヘテロシクロアルキル基、C6~C50のアリール基及びC2~C50のヘテロアリール基からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項11に記載の前駆体。
【請求項13】
異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板と、
前記基板上に形成されたシリコンオキシド絶縁膜とを含む半導体素子であって、
前記シリコンオキシド絶縁膜は、シリコンオキシド絶縁膜が選択的に形成された第2領域と、シリコンオキシド絶縁膜が形成されていないかまたは比較的少なく形成された第1領域を含み、第1領域と第2領域上に形成されたシリコンオキシド絶縁膜との厚さ差が0.8nm以上の半導体素子。
【請求項14】
前記第1領域と第2領域上に形成されたシリコンオキシド絶縁膜の厚さ差は2.2nm以上である、請求項13に記載の半導体素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜パターン形成方法、パターン形成に用いられる前駆体及び半導体素子に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン素材ベースの半導体素子は、従来のトップダウン((Top-down) パターニング技術の飛躍的な発展と三次元構造化により微細線幅の持続的な減少を達成し、ナノ構造の大量生産製造を可能にする方法で支配的に使用なってきた。
【0003】
従来のトップダウン方式の光学リソグラフィーは、薄膜上にフォトレジスト(PR)塗布及び熱処理、パターンマスクアライメント、露光によるPRパターニング、PRパターンによる下部薄膜エッチング工程など複雑な種々の工程段階があり、これにより、パターンサイズが減少するほど、多くのプロセス時間とコストが必要です。
【0004】
特に10nm以下超微細パターン形成のためには、新しい光源である極紫外線(extreme ultraviolet, EUV)露光装置の導入に数百万ドル以上の莫大なコストがかかっているが、パターン線幅(critical dimension, CD)および整列(overlay)のムラも、パターンローディング効果および表面粗さ(ラインエッジ粗さ(LER)、ライン幅粗さ(LWR))問題、低いペリクル効率などの技術的問題でパターン形成の超微細化および精密化に限界をもたらしている。
【0005】
したがって、10nm以下の多次元構造内で所望の領域に選択的に精密なパターン形成が可能であり、工程段階の簡素化を通じた工程時間およびコスト削減が可能な新しいパターニングパラダイム技術が必要であり、ALD工程の表面反応特性を効果的に活用したがって、多色パターン(すなわち、様々な基層材料を有するパターン)の上の選択的領域にボトムアップで原子レベル厚の精密薄膜を形成することができる領域選択的原子層堆積法(Area-Selective Atomic Layer Deposition, AS-ALD, aka. ASD)が次世代代替パターニングプロセスとして 研究されている。
【0006】
したがって、AS-ALDプロセスは、成長を望まない領域に選択的に表面改質を達成し、基板表面特性を改質した後、後続のALD堆積プロセスで使用される前駆体と反応器との選択的反応によって成長領域のみに選択的に薄膜堆積を達成して超微細ナノ構造パターンを作ることができる方法だ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、原子層蒸着などの乾式技術を用いて極めて均一で高密度な単分子の選択的遮断膜および絶縁膜を得ることができる絶縁膜パターン形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、従来の遮断膜形成方式であるディップコート(Dip-coating)方式は、最小数時間を要する点に比べて、本技術は外部露出なしに同じ絶縁膜形成装置で数分以内に選択的遮断膜及び絶縁膜を形成することができるので、したがって、コスト的および品質的利点を得ることができる絶縁膜パターン形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、シリコン窒化物及びシリコン酸化物等の2種類以上の誘電体膜に別途のマスクなしに優れた選択性で絶縁膜パターンを形成できる絶縁膜パターン形成方法と工程中に用いられる遮断膜形成用前駆体とを提供することを目的とする。
また、高選択性で絶縁膜パターンを備えた半導体素子を提供することを目的とする。
上記の課題および追加の課題について以下に詳細に説明する。
【技術的解決方法】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、
本発明は、異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板を提供する段階と、前記基板上に遮断膜が形成された第1領域と遮断膜が形成されないか、または比較的少なく形成された第2領域とを含むように、遮断膜を選択的に形成する段階を含む絶縁膜パターン形成方法として、前記第1領域と第2領域との水接触角差は、7~50度(Deg)の範囲内である絶縁膜パターン形成方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板上に選択的に遮断膜を形成するために使用される前駆体であって、前記前駆体は、下記化学式1または化学式2で表される前駆体を提供する。
【0012】
[化学式1]
[化学式2]
【0013】
(前記化学式1において、
Rは、置換または非置換のC1~C30のアルキル基、置換または非置換のC2~C30のアルケニル基、置換または非置換のC1~C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1~C30のスルフィド基、置換または非置換のC6~C50のアリール基、置換または非置換のC7~C50のアラルキル基または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリール基であり、ただし、前記アルキル基がC10個以上の場合、1個以上の水素がハロゲンで置換されたアルキル基であり、
Lは、置換または非置換C1~C30のアルキレン基、置換または非置換C2~C30のアルケニレン基、置換または非置換C1~C30のアルキレンオキシ基、置換または非置換C1~C30のスルフィド基、置換または非置換C3~C50のシクロアルキレン基、置換または非置換C6~C50のアリーレン基、置換または非置換C2~C50のヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせである。)
【0014】
本発明はまた、異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板と、前記基板上に形成されたシリコンオキシド絶縁膜とを含む半導体素子であって、前記シリコンオキシド絶縁膜は、シリコンオキシド絶縁膜が選択的に形成された第2領域と、シリコンオキシド絶縁膜が形成されていないかまたは比較的少なく形成された第1領域を含み、第1領域と第2領域上に形成されたシリコンオキシド絶縁膜との厚さ差が0.8nm以上の半導体素子を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、原子層蒸着などの乾式技術を遮断膜形成に用いるため、極めて均一で高密度な単分子の遮断膜を得ることができる。
【0016】
また、従来の遮断膜形成方式であるディップコート(Dip-coating)方式は、最小数時間を要する点に比べて、本発明は、外部暴露なしに同一の絶縁膜形成装置で数分以内に遮断膜を形成できるため、これにより、コスト的および品質的利点を得ることができる。
また、シリコン窒化物、シリコン酸化物などの2種類以上の誘電体膜に別途のマスクなしに優れた選択性で絶縁膜パターンを形成することができる。
【0017】
前記の効果および追加の効果について、以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による絶縁膜パターン形成方法の工程手順図である。
【発明の実施のための最善の形態】
【0019】
以下に本発明を詳細に説明する前に、本明細書で使用された用語は、特定の実施形態を記述するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、他に記載がない限り、技術的に通常の技術を有する者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0020】
本明細書および請求の範囲の全般にわたって、別段の断りがない限り、包含(comprise、comprises、comprising)という用語は、記載されたモノ、段階または一群のモノ、および段階を含むことを意味し、任意の他のモノ、段階または一群のモノまたは一群の段階を排除する意味で使用されたものではない。
【0021】
本明細書および請求の範囲の全般にわたって、用語「アリール」は、C5~50の芳香族炭化水素環基、例えば、フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、テルフェニル、フルオレン、フェナントレニル、トリフェニルレニル、ペリレニル、クリセニル、フルオランテニル、ベンゾフルオレニル、ベンゾトリフェニレニル、ベンゾクリセニル、アントラセニル、スチルベニル、ピレニルなどの芳香族環を含むことを意味し、「ヘテロアリール」は、少なくとも1つのヘテロ元素を含むC2~50の芳香族環であって、例えば、ピロリル、ピラジニル、ピリジニル、インドリル、イソインドリル、フリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナントロリニル、チエニル、およびピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、アクリジン環、ピロリジン環、ジオキサン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、カルバゾール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、ベンゾフラン環、チアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチオフェン環、トリアゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラン環、ジベンゾフラン環などから形成されるヘテロ環基を含むことを意味することができる。
【0022】
なお、化学式において、Arx(ここで、xは整数である)は、特に定義されない場合、置換または非置換のC6~C50のアリール基、または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリール基を意味し、Lx(ここで、xは整数である)は、特に定義されない場合、直接結合、置換または非置換のC6~C50のアリーレン基、または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリーレン基を意味し、Rx(ここで、xは整数である)は、特に定義されない場合、水素、重水素、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、置換または非置換のC1~C30のアルキル基、置換または非置換のC2~C30のアルケニル基、置換または非置換のC1~C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1~C30のスルフィド基、置換または非置換のC6~C50のアリール基、または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリール基を意味する。
【0023】
本明細書および請求の範囲の全般にわたって、用語「置換または非置換の」は、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、ニトロソ基、スルファモイル基、イソチオシアネート基、チオシアネート基、カルボキシル基、カルボニル基、またはC1~C30のアルキル基、C1~C30のアルキルスルフィニル基、C1~C30のアルキルスルホニル基、C1~C30のアルキルスルファニル基、C1~C12のフルオロアルキル基、C2~C30のアルケニル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C12のN-アルキルアミノ基、C2~C20のN,N-ジアルキルアミノ基、置換または非置換のC1~C30のスルフィド基、C1~C6のN-アルキルスルファモイル基、C2~C12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、C0~C30のシリル基、C3~C20のシクロアルキル基、C3~C20のヘテロシクロアルキル基、C6~C50のアリール基及びC3~C50のヘテロアリール基などよりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されるか或いは置換されないことを意味することができるが、特にこれに限定されない。また、本明細書全体において、同じ記号は、特に断りのない限り、同じ意味を有することができる。
【0024】
一方、本発明の様々な実施形態は、明確な反対の指摘がない限り、それ以外の任意の他の実施形態と組み合わされることができる。以下、本発明の実施形態及びそれによる効果を説明する。
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施形態による絶縁膜パターン形成方法は、異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板を提供する段階と、前記基板上に遮断膜が形成された第1領域と遮断膜が形成されないか、または比較的少なく形成された第2領域とを含むように、遮断膜を選択的に形成する段階を含む。
【0026】
前記第1領域と第2領域との水接触角差は、7~50度(Deg)の範囲内であり、具体的には7~40度(Deg)の範囲内であり得る。前記範囲内で絶縁膜を高選択性に形成することができる。
【0027】
前記遮断膜を選択的に形成する段階の後に、前記遮断膜を形成しないか、または比較的少なく形成された第2の領域上にシリコンオキシド絶縁膜を形成する段階をさらに含むことができる。
ここで、選択的とは、ある一方のみが完全に選択された場合と、一方が他方よりも比較的選択性が高い場合との両方を含む意味である。
【0028】
前記基板の異なる2種類以上の誘電体膜領域の表面は、アミン終端シリコン領域とヒドロキシ終端シリコン領域とを含むことができる。本発明の具体的な実施形態は、アミン終端シリコン領域とヒドロキシ終端シリコン領域とを区別して、選択的に遮断膜を形成した後、絶縁膜を選択的に形成することにより絶縁膜パターンを形成することができる。前記アミン終端されたシリコン領域は具体的にはシリコン窒化膜が挙げられ、ヒドロキシ終端されたシリコン領域は具体的にシリコン酸化膜が挙げられる。
【0029】
一方、より選択性を高めるために、前記遮断膜を選択的に形成する段階の前に、誘電体膜領域を含む基板を前処理する段階をさらに含むことができる。このように前処理をすると、前記第1領域と第2領域との水接触角差は22~40度(Deg)の範囲内に増加し、遮断膜形成に使用される前駆体と前記2つの領域との間の表面反応性に大きな差が生じることになる。表面反応性の違いは、前記第1領域に遮断膜をさらに選択的に形成し、前記第2領域に絶縁膜が選択的に形成されることになる。
【0030】
前記基板を前処理する段階は限定されないが、具体的には以下の方法が挙げられる。一例として、基板をHF水溶液に浸漬するか、HFガス雰囲気中で熱アニールする方法が挙げられる。別の例として、基板は、N、H、アンモニア、ヒドラジンまたはそれらの混合ガス雰囲気中での熱アニーリングまたはそれらのプラズマ処理によって実施することができる。
【0031】
上記で気相工程からなる前処理はALDやCVDなどの蒸着装置を用いることができ、基板の温度を0~800℃の範囲内で前処理を進めることができる。
【0032】
遮断膜を選択的に形成する段階は、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相蒸着)、ALD(Atomic Layer Deposition、原子層蒸着法)などの気相反応(Gas-phase reaction)を利用する様々な方法が利用できる。具体的には、遮断膜を選択的に形成する段階は、遮断膜形成用前駆体を供給する1段階とパージの2段階とを含み、2回以上繰り返すことができる。パージは不活性ガスを使用し、不活性ガスは窒素(N)、アルゴン、ネオンおよびヘリウムのうちの1つ以上であり得る。
本発明の一実施形態による遮断膜形成用前駆体は、下記化学式1または下記化学式2で表すことができる。
【0033】
[化学式 1]
[化学式 2]
【0034】
前記化学式1において、
Rは、置換または非置換のC1~C30のアルキル基、置換または非置換のC2~C30のアルケニル基、置換または非置換のC1~C30のアルコキシ基、置換または非置換のC1~C30のスルフィド基、置換または非置換のC6~C50のアリール基、置換または非置換のC7~C50のアラルキル基または置換または非置換のC2~C50のヘテロアリール基であり、ただし、前記アルキル基がC10個以上の場合、1個以上の水素がハロゲンで置換されたアルキル基であり、
Lは、置換または非置換C1~C30のアルキレン基、置換または非置換C2~C30のアルケニレン基、置換または非置換C1~C30のアルキレンオキシ基、置換または非置換C1~C30のスルフィド基、置換または非置換C3~C50のシクロアルキレン基、置換または非置換C6~C50のアリーレン基、置換または非置換C2~C50のヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせである。
【0035】
置換される場合、前記置換基としては、重水素、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、ニトロソ基、スルファモイル基、イソチオシアネート基、チオシアネート基、カルボキシル基、C1~C30のアルキル基、C1~C30のアルキルスルフィニル基、C1~C30のアルキルスルホニル基、C1~C30のアルキルスルファニル基、C1~C12のフルオロアルキル基、C2~C30のアルケニル基、C1~C30のアルコキシ基、C1~C12のN-アルキルアミノ基、C2~C20のN,N-ジアルキルアミノ基、C1~C30のスルフィド基、C1~C6のN-アルキルスルファモイル基、C2~C12のN,N-ジアルキルスルファモイル基、C3~C30のシリル基、C3~C20のシクロアルキル基、C3~C20のヘテロシクロアルキル基、C6~C50のアリール基及びC2~C50のヘテロアリール基などよりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されることができる。
【0036】
具体的には、前記Rは、炭素に結合した少なくとも1つの水素がハロゲンで置換されることができる。具体的には、ハロゲンはフッ素であり得る。
【0037】
具体的には、前記Rは、1個以上のフッ素で置換されたC1~C20のアルキル基、または1個以上のフッ素で置換されたC6~C50のアリール基であり得る。
【0038】
前記遮断膜が形成されないか又は比較的少なく形成された第2領域上にシリコンオキシド絶縁膜を形成する段階は、スパッタ、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相蒸着)又はALD(Atomic Layer Deposition、原子層蒸着方法)方法などが利用できる。
【0039】
具体的には、シリコンオキシド絶縁膜を形成する段階は、酸素供給源としては酸素、過酸化水素、オゾン、一酸化窒素、水プラズマ、酸素プラズマ、チャンバー内残渣又は酸素からなる群から選択される1つ以上を使用することができ、窒素供給源としては、アンモニア、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素プラズマ、窒素と水素の混合ガスによるプラズマ、アンモニアプラズマ、アンモニアと水素の混合ガスによるプラズマ、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上を使用することができる。
【0040】
シリコンオキシド絶縁膜の形成は、通常のALD段階のような一次原料(Si前駆体)供給-パージ-二次原料(リアクトン)供給?パージの4段階単位工程の繰り返しで行うことができる。さらに、誘電体膜形成プロセスは、所定の厚さを有する膜が達成されるまでサイクルを繰り返すことができる。
【0041】
また、シリコンオキシド絶縁膜形成工程サイクルを繰り返し実行する際に、選択比増加のためにサイクル途中に上述した遮断膜を選択的に形成する段階を追加することができる。
【0042】
前記一次原料としてSi前駆体を使用する場合、Si前駆体の例はシラン類であってもよく、シラン類は具体的にはSiH、ジイソピルアミノシラン(DIPAS)、ビス-ジエチルアミノシラン(BDEAS)、トリス(ジメチルアミノ)シラン(TDMAS)、ビス(t-ブチラミノ)シラン(BTBAS)、またはそれらの組み合わせから選択することができる。前記二次原料として用いるリアクタントは、先に例示した酸素供給源、窒素供給源であり得る。
【0043】
前記シリコンオキシド絶縁膜形成工程中のパージは不活性ガスを用いて行うことができ、遮断膜を選択的に形成する段階に用いられる不活性ガスを用いることができる。
前記シリコンオキシド絶縁膜形成工程の進行中、遮断膜は工程中除去されてもよく、全部または一部が残存してもよい。
【0044】
一方、本発明の一実施形態として、異なる2種類以上の誘電体膜領域を含む基板と、前記基板上に形成されたシリコンオキシド絶縁膜とを含む半導体素子であって、前記シリコンオキシド絶縁膜は、シリコンオキシド絶縁膜が選択的に形成された第2領域と、シリコンオキシド絶縁膜が形成されていないかまたは比較的少なく形成された第1領域を含み、第1領域と第2領域上に形成されたシリコンオキシド絶縁膜との厚さ差が0.8nm以上の半導体素子を提供する。
【0045】
ここで、同じ構成および構造は前述したものと同じであり、これを使用する。本発明の一実施形態に係る半導体素子は、2種類以上の誘電体膜領域に選択的にシリコンオキシド絶縁膜が形成され、絶縁膜の厚さ差が0.8nm以上で別個のマスクパターンを使用せずに非常に選択的な絶縁膜パターンを有することができる。特に基板前処理時の選択性がより優れるため、絶縁膜の厚さ差を2.2nm以上に高めることができる。
【0046】
以下では、具体的な実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲は、下記の例示に限定されるものではない。
【0047】
<実験例1>遮断膜形成方法
本実験例では、トラベリング方式の原子層堆積を導入して遮断膜を形成した。遮断膜形成用前駆体をキャニスターに入れて使用し、安定した供給のためにキャニスター温度を-20~100℃の一定温度に維持した。
【0048】
ALD工程は、[遮断膜形成用前駆体注入-purge]を1サイクルに進行し、パージガスは高純度窒素(300sccm)を使用した。必要に応じてサイクルを1~100回繰り返し実施した。基板は、Si及びSiOウエーファーをそれぞれHF水溶液処理又はこれを省略して使用した。基板の温度は0~500℃の間で調整して実験した。遮断膜形成結果は水接触角分析装置で確認し、その結果を下記表1に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
前記表1に示すように、実施例1~実施例7のように遮断膜を形成する場合、接触角差が8度(Deg)以上であり、具体的には8.6~13.8度(Deg)の範囲で、遮断膜を形成しない比較例1の接触角差3.1度(Deg)と比較して接触角差が著しく大きいことがわかる。また、アルデヒド基が1個でアルキル基の炭素数が10個以上であり、フッ素置換基がない比較例1の場合、接触角差が6.6度(Deg)と比較的小さいことがわかる。
【0051】
また、基板を前処理することにより、前処理していない場合よりも接触角差を22度(Deg)以上に、具体的には22~40度(Deg)の範囲に著しく増加させることができることが分かる。
【0052】
<実験例2>シリコンオキシド絶縁膜形成
本実験例では、トラベリング方式のアトミック層デポジションを導入し、Si前駆体としてDIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)を用い、反応物としてオゾン(O)を用いてSiO成膜評価を進行した。Si前駆体をキャニスターに入れて使用し、別途加熱せずに進行した。
【0053】
ALD工程は、[Si前駆体注入-パージ-反応物注入-パージ]を1サイクルに進め、パージガスは高純度窒素を使用した。一定の厚さに達するまでサイクルを1~200回繰り返し実施し、この間に遮断膜堆積工程を追加することができる。基板は実験例1の遮断膜を形成したSiとSiOウェーハを用いた。基板の温度は25~300℃の間で調整して実験した。薄膜の厚さはエリプソメーター(Ellipsometer)を用いて測定し、その結果を表2に示した。
【0054】
【表2】
【0055】
前記表2に示すように、実施例8~実施例14のように遮断膜を形成する場合、絶縁膜厚差が0.8nm以上、具体的には0.8nm~1.5nmの範囲で、遮断膜を形成しなかった比較例3の絶縁膜厚差0.3nmと比較して絶縁膜厚差が著しく大きいことがわかる。また、アルデヒド基が1個でアルキル基の炭素数が10個以上であり、フッ素置換基がない比較例4の場合、絶縁膜厚差が0.7nmと比較的小さいことがわかる。
【0056】
また、基板を前処理することにより、前処理しなかった場合よりも絶縁膜厚差を2.2nm以上に、具体的には2.8nmから5.0nmの範囲に著しく増加させることができることが分かる。
図1
【国際調査報告】