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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20250117BHJP
   B62D 21/02 20060101ALI20250117BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20250117BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20250117BHJP
【FI】
B62D21/00 A
B62D21/02
B62D25/20 D
B62D25/20 F
B62D25/20 G
B62D25/20 H
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538326
(86)(22)【出願日】2023-03-31
(85)【翻訳文提出日】2024-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2023085391
(87)【国際公開番号】W WO2023186071
(87)【国際公開日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】202210346551.8
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100198650
【弁理士】
【氏名又は名称】小出 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】廉玉波
(72)【発明者】
【氏名】衣本▲鋼▼
(72)【発明者】
【氏名】凌和平
(72)【発明者】
【氏名】▲閻▼▲軍▼▲飛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲騰▼涌
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA31
3D203AA33
3D203BA12
3D203BB12
3D203BB16
3D203BB17
3D203BB24
3D203BB25
3D203CA23
3D203CA26
3D203CA29
3D203CA43
3D203CB35
3D203DB05
3D235AA01
3D235BB05
3D235BB06
3D235BB17
3D235BB18
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235FF03
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF12
3D235HH22
3D235HH25
(57)【要約】
車両を開示し、該車両は、下部車体と、リアサブフレームと、電池パックと、を含む。該リアサブフレームは、下部車体に接続される。該電池パックは、該下部車体に接続されるとともに、下部車体の下側に設けられる。該リアサブフレームの前端面は、該電池パックの後方に延在するストッパ面として形成され、該電池パックの少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部車体(10)と、リアサブフレーム(70)と、電池パック(20)と、を含み、
前記リアサブフレーム(70)は、前記下部車体(10)に接続され、
前記電池パック(20)は、前記下部車体(10)に接続されるとともに、前記下部車体(10)の下側に設けられ、
前記リアサブフレーム(70)の前端面(701)は、前記電池パック(20)の後方に延在するストッパ面として形成され、前記電池パック(20)の少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成される、ことを特徴とする車両(1)。
【請求項2】
前記電池パック(20)の後端面(201)と前記リアサブフレーム(70)の前記前端面(701)との間の最小距離は、Lであり、前記Lは、10mm≦L≦100mmを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の車両(1)。
【請求項3】
前記下部車体(10)は、
第1サイドシル(18)と、第2サイドシル(18’)と、をさらに含み、
前記第2サイドシル(18’)と前記第1サイドシル(18)とは、車体の幅方向に対向して設けられ、前記電池パック(20)が前記第1サイドシル(18)及び第2サイドシル(18’)に接続されることにより、前記第1サイドシル(18)及び前記第2サイドシル(18’)が電池パック取付ビームとして形成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両(1)。
【請求項4】
前記下部車体(10)は、
2つのリアサイドメンバー(17)をさらに含み、2つの前記リアサイドメンバー(17)は、車体の幅方向に間隔をあけて設けられ、前記リアサイドメンバー(17)の前段の底面の、前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の頂面の、前記車両(1)の高さ方向における高さよりも高い、ことを特徴とする請求項3に記載の車両(1)。
【請求項5】
前記下部車体(10)は、リアクロスメンバー(11)をさらに含み、
前記リアクロスメンバー(11)は、前記車両(1)の幅方向に沿って延在するとともに、前記リアサイドメンバー(17)、前記第1サイドシル(18)及び前記第2サイドシル(18’)に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の車両(1)。
【請求項6】
前記リアクロスメンバー(11)は、電池パック取付ビームとして形成され、前記リアクロスメンバー(11)の下面と前記電池パック(20)の頂面とは、垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成する、ことを特徴とする請求項5に記載の車両(1)。
【請求項7】
前記リアクロスメンバー(11)は、
リアクロスメンバー左接続板(112)と、
リアクロスメンバー右接続板(112’)と、
リアクロスメンバー本体(111)と、を含み、
前記リアクロスメンバー左接続板(112)、前記リアクロスメンバー本体(111)及び前記リアクロスメンバー右接続板(112’)は、順に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載の車両(1)。
【請求項8】
前記リアサイドメンバー(17)は、
左リアサイドメンバー(1701)と、右リアサイドメンバー(1701’)と、を含み、前記左リアサイドメンバー(1701)は、前記リアクロスメンバー左接続板(112)に接続され、
前記右リアサイドメンバー(1701’)は、前記リアクロスメンバー右接続板(112’)に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載の車両(1)。
【請求項9】
前記リアクロスメンバー左接続板(112)は、前記左リアサイドメンバー(1701)の前段に設けられ、前記リアクロスメンバー右接続板(112’)は、前記右リアサイドメンバー(1701’)の前段に設けられ、
前記リアクロスメンバー左接続板(112)は、前記リアクロスメンバー本体(111)の左段及び前記第1サイドシル(18)の両方に接続され、
前記リアクロスメンバー右接続板(112’)は、前記リアクロスメンバー本体(111)の右段及び前記第2サイドシル(18’)の両方に接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の車両(1)。
【請求項10】
前記リアクロスメンバー左接続板(112)に第1ボス(1121)が設けられ、前記リアクロスメンバー右接続板(112’)に第2ボス(1121’)が設けられ、
前記第1ボス(1121)及び第2ボス(1121’)には、いずれもリアサブフレーム取付部(P)が設けられ、前記第1ボス(1121)、前記第2ボス(1121’)は、前記リアクロスメンバー本体(111)の車両(1)の長手方向に沿った後側に設けられ、
前記第1ボス(1121)の下側面、前記第2ボス(1121’)の下端面の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記リアクロスメンバー本体(111)の下側面の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項8又は9に記載の車両(1)。
【請求項11】
前記下部車体(10)は、リアシートフロントクロスメンバー(12)をさらに含み、前記リアシートフロントクロスメンバー(12)は、前記車両(1)の幅方向に沿って延在するとともに、前記リアサイドメンバー(17)、前記第1サイドシル(18)及び前記第2サイドシル(18’)に接続され、前記リアシートフロントクロスメンバー(12)の下面の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の上面の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項10に記載の車両(1)。
【請求項12】
前記リアシートフロントクロスメンバー(12)の両端は、それぞれ前記左リアサイドメンバー(1701)と右リアサイドメンバー(1701’)に接続され、
前記リアシートフロントクロスメンバー(12)、前記左リアサイドメンバー(1701)、前記リアクロスメンバー(11)及び前記右リアサイドメンバー(1701’)は、周方向に沿って接続されて密閉フレーム構造を構成する、ことを特徴とする請求項11に記載の車両(1)。
【請求項13】
前記左リアサイドメンバー(1701)は、左リアサイドメンバー前段(17011)を含み、前記左リアサイドメンバー前段(17011)は、前部が前記リアシートフロントクロスメンバー(12)に接続され、後部が前記リアクロスメンバー左接続板(112)に接続され、前記左リアサイドメンバー前段(17011)の底部の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の上面の高さよりも高く、
前記右リアサイドメンバー(1701’)は、右リアサイドメンバー前段(17011’)を含み、前記右リアサイドメンバー前段(17011’)は、前部が前記リアシートフロントクロスメンバー(12)に接続され、後部が前記リアクロスメンバー右接続板(112’)に接続され、前記右リアサイドメンバー前段(17011’)の底部の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の上面の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項11又は12に記載の車両(1)。
【請求項14】
前記下部車体(10)は、
第1サイドシル(18)と、第2サイドシル(18’)と、を含み、
前記第2サイドシル(18’)と、前記第1サイドシル(18)とは、車体の幅方向に対向して設けられ、
前記車両(1)の長手方向において、前記電池パック(20)の後端面(201)は、前記第1サイドシル(18)の後端面及び前記第2サイドシル(18’)の後端面を超えている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両(1)。
【請求項15】
フロントサブフレーム(30)をさらに含み、前記フロントサブフレーム(30)は、前記下部車体(10)に接続され、
前記フロントサブフレーム(30)の後端面は、前記電池パック(20)の前方に延在するストッパ面として形成される、ことを特徴とする請求項1~14のいずれか一項に記載の車両(1)。
【請求項16】
前記下部車体(10)は、フロントサイドメンバー(50)をさらに含み、前記フロントサイドメンバー(50)の後端の底面と前記電池パック(20)の頂面とは、垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成し、或いは、
前記下部車体(10)は、フロントクロスメンバー(12)と、フロントサイドメンバー(50)と、対向して設けられたAピラーとをさらに含み、前記フロントクロスメンバー(12)の両端は、Aピラーに接続され、前記フロントサイドメンバー(50)は、前記フロントクロスメンバー(12)に接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の車両(1)。
【請求項17】
前記電池パック(20)は、
電池パック上部ハウジング(2011)と、
電池パック下部ハウジング(2012)と、
少なくとも1つのセル(202)と、を含み、
前記電池パック上部ハウジング(2011)と前記電池パック下部ハウジング(2012)は、収容空間(2013)を形成し、少なくとも1つの前記セル(202)は、前記収容空間(2013)に設けられ、前記電池パック上部ハウジング(2011)の少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成され、前記セル(202)は、前記電池パック上部ハウジング(2011)に固定接続され、前記セル(202)の頂面は、前記電池パック上部ハウジング(2011)に接着され、前記電池パック下部ハウジング(2012)は、冷却板であり、前記セル(202)の底面は、熱伝導性接着剤(204)により前記電池パック下部ハウジング(2012)に接着される、ことを特徴とする請求項1~16のいずれか一項に記載の車両(1)。
【請求項18】
前記電池パック(20)は、複数の前記セル(202)を含み、複数の前記セル(202)の長手方向は、前記車両(1)の長手方向に一致し、複数の前記セル(202)は、前記車両(1)の幅方向に沿って並設される、ことを特徴とする請求項17に記載の車両(1)。
【請求項19】
前記下部車体(10)に密封板アセンブリ(60)が設けられ、前記電池パック(20)の上面は、前記密封板アセンブリ(60)に密封接続され、
前記密封板アセンブリ(60)は、
環状の密封板(6001)と、
少なくとも1つの密封部材(6002)と、を含み、前記密封部材(6002)は、前記密封板(6001)と前記電池パック(20)との間に設けられ、
前記密封板(6001)は、第1平面部(6001a)を有し、前記電池パック(20)は、第2平面部(2014)を有し、前記第1平面部(6001a)と前記第2平面部(2014)とは、対向し、前記密封部材(6002)は、前記第1平面部(6001a)と前記第2平面部(2014)との間に設けられ、前記下部車体(10)の左側に第1サイドシル(18)が設けられ、前記下部車体(10)の右側に第2サイドシル(18’)が設けられ、
前記密封板(6001)は、左密封板段(6001b)及び右密封板段(6001b’)を含み、前記左密封板段(6001b)の左端に左フランジ(6001c)を有し、前記左密封板段(6001b)は、前記左フランジ(6001c)により前記第1サイドシル(18)に接続され、前記右密封板段(6001b’)の右端に右フランジ(6001c’)を有し、前記右密封板段(6001b’)は、前記右フランジ(6001c’)により前記第2サイドシル(18’)に接続され、前記密封板(6001)は、前密封板段(6001d)及び後密封板段(6001f)をさらに含み、前記前密封板段(6001d)は、前記フロントサイドメンバー(16)に接続され、前記後密封板段(6001f)は、前記リアクロスメンバー(11)に接続される、ことを特徴とする請求項16に記載の車両(1)。
【請求項20】
前記下部車体(10)には、幅方向に沿って延在するシートクロスメンバー(13)が設けられ、
前記電池パック(20)には、幅方向に沿って延在する電池パック補強ビーム(2015)が設けられ、前記電池パック補強ビーム(2015)は、前記シートクロスメンバー(13)に接続される、ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2022年3月31日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202210346551.8で、名称が「車両」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は、参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、車両の分野に関し、特に車両に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、従来の新エネルギー自動車では、電池パックを取り付けるために、一般的には、車体のフロアの下方に電池パック取付サイドメンバーを設ける。しかしながら、下部車体の構造により、電池パックに利用可能な空間が小さく、電池パックと車体のフロアとの間に大きな隙間が形成されるので、車両の航続距離に影響を与えるだけでなく、車両の通過性に影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決しようとする。このため、本開示は、空間利用率が高く、安全性能に優れている車両を提供する。
【0005】
本開示の実施例に係る車両は、下部車体と、リアサブフレームと、電池パックと、を含み、前記リアサブフレームは、前記下部車体に接続され、前記電池パックは、前記下部車体に接続されるとともに、前記下部車体の下側に設けられ、前記リアサブフレームの前端面は、電池パックの後方に延在するストッパ面として形成され、前記電池パックの少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成される。
【0006】
本開示の実施例の車両によれば、リアサブフレームの前端面を、電池パックの後方に延在するストッパ面として形成することにより、電池パックの前後方向における寸法を増加させ、空間利用率を向上させることができ、そして、電池パックを力伝達構造として力を伝達して、車両の安全性能を向上させることができる。電池パックの少なくとも一部の上面を車体のフロアとして形成することにより、車両の上下方向の空間を向上させることができ、空間利用率及び乗員空間が向上する。
【0007】
いくつかの実施例では、前記電池パックの後端面と前記リアサブフレームの前記前端面との間の最小距離は、Lであり、前記Lは、10mm≦L≦100mmを満たす。
【0008】
いくつかの実施例では、前記下部車体は、第1サイドシルと第2サイドシルをさらに含む。前記第2サイドシルと前記第1サイドシルとは、車体の幅方向に対向して設けられ、前記電池パックが前記第1サイドシル及び第2サイドシルに接続されることにより、前記第1サイドシル及び前記第2サイドシルが電池パック取付ビームとして形成される。
【0009】
いくつかの実施例では、前記下部車体は、2つのリアサイドメンバーを含む。2つの前記リアサイドメンバーは、車体の幅方向に間隔をあけて設けられ、前記リアサイドメンバーの前段の底面の前記車両の高さ方向における高さは、前記電池パックの頂面の前記車両の高さ方向における高さよりも高い。
【0010】
いくつかの実施例では、前記下部車体は、リアクロスメンバーをさらに含む。前記リアクロスメンバーは、前記車両の幅方向に沿って延在するとともに、前記リアサイドメンバー、前記第1サイドシル及び前記第2サイドシルに接続される。
【0011】
いくつかの実施例では、前記リアクロスメンバーは、電池パック取付ビームとして形成される。前記リアクロスメンバーの下面と前記電池パックの頂面とは、垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成する。
【0012】
いくつかの実施例では、前記リアクロスメンバーは、リアクロスメンバー左接続板と、リアクロスメンバー右接続板と、リアクロスメンバー本体と、を含む。前記リアクロスメンバー左接続板、前記リアクロスメンバー本体及び前記リアクロスメンバー右接続板は、順に接続される。
【0013】
いくつかの実施例では、前記リアサイドメンバーは、左リアサイドメンバーと、右リアサイドメンバーと、を含む。前記左リアサイドメンバーは、前記リアクロスメンバー左接続板に接続され、前記右リアサイドメンバーは、前記リアクロスメンバー右接続板に接続される。
【0014】
いくつかの実施例では、前記リアクロスメンバー左接続板は、前記左リアサイドメンバーの前段に設けられ、前記リアクロスメンバー右接続板は、前記右リアサイドメンバーの前段に設けられる。前記リアクロスメンバー左接続板は、前記リアクロスメンバー本体の左段及び前記第1サイドシルの両方に接続され、前記リアクロスメンバー右接続板は、前記リアクロスメンバー本体の右段及び前記第2サイドシルの両方に接続される。
【0015】
いくつかの実施例では、前記リアクロスメンバー左接続板に第1ボスが設けられ、前記リアクロスメンバー右接続板に第2ボスが設けられる。
【0016】
前記第1ボス及び第2ボスには、いずれもリアサブフレーム取付部が設けられ、前記第1ボス、前記第2ボスは、前記リアクロスメンバー本体の車両の長手方向に沿った後側に設けられる。前記第1ボスの下側面、前記第2ボスの下端面の前記車両の高さ方向における高さは、前記リアクロスメンバー本体の下側面の高さよりも高い。
【0017】
いくつかの実施例では、前記下部車体は、リアシートフロントクロスメンバーをさらに含み、前記リアシートフロントクロスメンバーは、前記車両の幅方向に沿って延在するとともに、前記リアサイドメンバー、前記第1サイドシル及び前記第2サイドシルに接続され、前記リアシートフロントクロスメンバーの下面の前記車両の高さ方向における高さは、前記電池パックの上面の高さよりも高い。
【0018】
いくつかの実施例では、前記リアシートフロントクロスメンバーの両端は、それぞれ前記左リアサイドメンバーと右リアサイドメンバーに接続される。前記リアシートフロントクロスメンバー、前記左リアサイドメンバー、前記リアクロスメンバー及び前記右リアサイドメンバーは、周方向に沿って接続されて密閉フレーム構造を構成する。
【0019】
いくつかの実施例では、前記左リアサイドメンバーは、左リアサイドメンバー前段を含み、前記左リアサイドメンバー前段は、前部が前記リアシートフロントクロスメンバーに接続され、後部が前記リアクロスメンバー左接続板に接続され、底部の前記車両の高さ方向における高さは、前記電池パックの上面の高さよりも高い。前記右リアサイドメンバーは、右リアサイドメンバー前段を含み、前記右リアサイドメンバー前段は、前部が前記リアシートフロントクロスメンバーに接続され、後部が前記リアクロスメンバー右接続板に接続され、底部の前記車両の高さ方向における高さは、前記電池パックの上面の高さよりも高い。
【0020】
いくつかの実施例では、前記下部車体は、第1サイドシルと第2サイドシルを含む。前記第2サイドシルと、前記第1サイドシルとは、車体の幅方向に対向して設けられる。前記車両の長手方向において、前記電池パックの後端面は、前記第1サイドシルの後端面及び前記第2サイドシルの後端面を超えている。
【0021】
いくつかの実施例では、前記車両は、フロントサブフレームをさらに含み、前記フロントサブフレームは、前記下部車体に接続される。前記フロントサブフレームの後端面は、前記電池パックの前方に延在するストッパ面として形成される。
【0022】
いくつかの実施例では、前記下部車体は、フロントサイドメンバーをさらに含み、前記フロントサイドメンバーの後端底面と前記電池パックの頂面とは、垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成する。
【0023】
いくつかの実施例では、前記電池パックは、電池パック上部ハウジングと、電池パック下部ハウジングと、少なくとも1つのセルと、を含む。前記電池パック上部ハウジングと前記電池パック下部ハウジングは、収容空間を形成し、少なくとも1つのセルは、前記収容空間に設けられる。前記電池パック上部ハウジングの少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成され、前記セルは、前記電池パック上部ハウジングに固定接続され、前記セルの頂面は、前記電池パック上部ハウジングに接着され、前記電池パック下部ハウジングは、冷却板であり、前記セルの底面は、熱伝導性接着剤により前記電池パック下部ハウジングに接着される。
【0024】
いくつかの実施例では、前記電池パックは、複数の前記セルを含み、複数の前記セルの長手方向は、前記車両の長手方向に一致し、複数の前記セルは、前記車両の幅方向に沿って並設される。
【0025】
いくつかの実施例では、前記下部車体に密封板アセンブリが設けられ、前記電池パックの上面は、前記密封板アセンブリに密封接続される。前記密封板アセンブリは、環状の密封板と、少なくとも1つの密封部材と、を含む。前記密封部材は、前記密封板と前記電池パックとの間に設けられる。前記密封板は、第1平面部を有し、前記電池パックは、第2平面部を有し、前記第1平面部と前記第2平面部とは、対向し、前記密封部材は、前記第1平面部と前記第2平面部との間に設けられる。前記下部車体の左側に第1サイドシルが設けられ、前記下部車体の右側に第2サイドシルが設けられる。前記密封板は、左密封板段及び右密封板段を含み、前記左密封板段の左端に左フランジを有し、前記左密封板段は、前記左フランジにより前記第1サイドシルに接続され、前記右密封板段の右端に右フランジを有し、前記右密封板段は、前記右フランジにより前記第2サイドシルに接続される。前記密封板は、前密封板段及び後密封板段をさらに含み、前記前密封板段は、前記フロントサイドメンバーに接続され、前記後密封板段は、前記リアクロスメンバーに接続される。
【0026】
いくつかの実施例では、前記下部車体には、幅方向に沿って延在するシートクロスメンバーが設けられる。前記電池パックには、幅方向に沿って延在する電池パック補強ビームが設けられ、前記電池パック補強ビームは、前記シートクロスメンバーに接続される。
【0027】
本開示の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の実施例に係る車体構造の上面図である。
図2】本開示の実施例に係る車体の前部構造の右側面図である。
図3】本開示の実施例に係る車体の部分構造の概略図である。
図4】本開示の実施例に係る車体の前部構造の概略図であり、フロントクロスメンバーの底面を示す。
図5】本開示の実施例に係る車体の前部構造の底面図である。
図6】本開示の実施例に係る車体の後部構造の右側面図である。
図7】本開示の実施例に係る車体の後部構造の概略図である。
図8図7のA-A線に沿った断面図である。
図9】本開示の実施例に係る車体の部分構造の断面図である。
図10】本開示の実施例に係る車体の部分構造の断面図である。
図11】本開示の実施例に係る電池パックの分解図である。
図12】本開示の実施例に係る部分車体の分解図である。
図13】本開示の実施例に係る密封板アセンブリの概略構成図である。
図14】本開示の実施例に係る右密封板端の断面図である。
図15】本開示の実施例に係る前密封板端の断面図である。
図16】本開示の実施例に係る電池パックの断面図である。
図17】本開示の実施例に係る密封板及びシートクロスメンバーの概略構成図である。
図18】本開示の実施例に係る車体の後部構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本開示の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものである。以下、図1図18を参照して、本開示の実施例に係る車両1を説明し、車両1は、下部車体10、リアサブフレーム70及び電池パック20を含む。X方向とは、車両1の長手方向、即ち前後方向を指し、Y方向とは、車両1の幅方向、即ち左右方向を指し、Z方向とは、車両1の高さ方向、即ち上下方向を指す。
【0030】
具体的には、図7図8に示すように、リアサブフレーム70は、下部車体10に接続され、電池パック20は、下部車体10に接続されるとともに、下部車体10の下側に設けられる。リアサブフレーム70の前端面701は、電池パック20の後方に延在するストッパ面として形成され、つまり、電池パック20は、リアサブフレーム70の前端面701まで延在することができる。
【0031】
従来技術における車体のフロアは、乗員室の耐荷重構造であり、下部車体に密封接続される。下部車体と電池パックは、個別に設計された2つの部材であり、電池パックは、一般的に、車体のフロアの下方に設けられるとともに車体に固定接続される。したがって、電池パックは、取り付けられると、車両の上下方向に車体構造との間に一定の組立隙間が形成されるため、電池パックと車体のフロアとの間にも一定の隙間が形成される。該隙間により車両の上下方向にルーフと電池パックの底部との間の高さが増加するため、車両の最低地上高が減少して車両の通過性が低くなったり、車両の車高が増加して車両の重心が上がって車両に一定の操縦安定性の問題を与えたり、車両の乗員室の高さが減少して車両のユーザ体験に影響を与えたりすることになる。本願の車両1では、電池パック20の上部ハウジングと車体のフロアを一体的に統合して、電池パックの上部ハウジングを車両1のフロアとし、従来技術における車体のフロアを省略するため、車体のフロアと電池パックとの間の取付隙間が減少し、それにより、車両の空間利用率を効果的に向上させ、車両の最低地上高を効果的に向上させ、乗員室の高さを増加させ、乗客の体験を改善し、重心の上がりを防止することができる。そして、電池パック20は、力を伝達することができるため、車両1に後部衝突が発生したとき、力伝達構造として後部衝突力を伝達することができる。車両1に後部衝突が発生したとき、リアサブフレーム70は、作用力を受けた後、前向きに電池パック20の後端面201に接触することにより、電池パック20は、力の伝達に関与して力を前方に伝達する。したがって、電池パック20は、力に耐え該力を分散させる役割を果たして、車両1の安全性能を向上させることができる。
【0032】
本開示の実施例の車両1によれば、電池パック20の少なくとも一部の上面が車体のフロアとなるように、電池パック20と下部車体10を接続することにより、車両1の空間利用率を向上させ、電池パック20の取付空間を拡大して電池パック20の容量を向上させ、車両1の空間利用率を向上させ、車両の高さを低減し、車両1の通過性能を向上させる。リアサブフレーム70の前端面701を、電池パック20の後方に延在するストッパ面として形成することにより、電池パック20の取付空間を後方に拡大することができ、それにより、電池パック20の容量を効果的に向上させるとともに、電池パック20とリアサブフレーム70との間の距離を減少させることができ、そして、電池パック20の前後方向への投影とリアサブフレーム70の前後方向への投影とが少なくとも部分的に重なって、電池パック20が車両1の力伝達構造とすることができる。車両1の後部が衝突されたとき、リアサブフレーム70は、衝突力を電池パック20に伝達することができるため、車両1の安全性を向上させる。
【0033】
いくつかの実施例では、図6に示すように、電池パック20の後端面201とリアサブフレーム70の前端面701との間の最小距離は、Lであり、Lは、10mm≦L≦100mmを満たす。このように設けると、電池パック20の取付隙間を保証するとともに、電池パック20の取付空間を効果的に増加させることができ、電池パック20の後端面201を後方に拡張させ、電池パック20の容量を向上させることができる。そして、このように設けると、車両1の後部が衝突されたとき、リアサブフレーム70が電池パック20に接触して、電池パック20により後部衝突力を前方に伝達することができ、車両1の安全性が向上する。また、電池パック20の後端面201とリアサブフレーム70の前面との干渉を回避することができる。また、電池パック20を取り付けるとき、リアサブフレーム70の前端面701と電池パック20とが直接接続されず、一定の間隔を有するため、電池パック20を容易に取り付け、それにより、車両1の組立速度が向上する。
【0034】
いくつかの実施例では、図1及び図3に示すように、下部車体10は、車体の幅方向に対向して設けられた第1サイドシル18と第2サイドシル18’をさらに含む。電池パック20が第1サイドシル18及び第2サイドシル18’に接続されることにより、第1サイドシル18及び第2サイドシル18’が電池パック取付ビームとして形成される。
【0035】
従来技術において、車体のフロアの下側には、サイドシルとは独立した電池パック取付ビームが設けられ、該電池パック取付ビームが車両の2つのサイドシルの間に設けられることにより、電池パックが該電池パック取付ビームにより2つのサイドシルの間に設けられる。しかしながら、このような設計では、電池パックの車両の幅方向における延在が制限され、電池パックの容量を大幅に減少させ、電池パックが車両の力伝達経路に効果的に組み込むことができない。
【0036】
本願の車両1の電池パック20の主体の左側面は、第1サイドシル18の右側まで延在することができ、電池パック20の主体の右側面は、第2サイドシル18’の左側まで延在することができる。このように、電池パック20をY方向において両側に延在させるとともに、電池パック取付部を第1サイドシル18及び第2サイドシル18’に接続することにより、電池パック20の収容空間を増加させ、電池パック20の容量を向上させる。そして、車両のサイドシル(第1サイドシル18及び第2サイドシル18’)が電池パック取付ビームとして形成され、電池パック20が車両のサイドシル(第1サイドシル18及び第2サイドシル18’)に固定接続されるため、サイドシルが力を伝達するとき、電池パック20は、力の伝達に効果的に関与することができ、それにより、車両1の力伝達経路を増加させるとともに、電池パック20の体積が大きく、面積が大きいという利点を利用して、力伝達過程における単位面積当たりの力を低減し、損傷を低減し、車両1の安全性能を向上させることができる。要するに、上記のように設けることにより、電池パック20のY方向における寸法を増加させ、電池パック20の電力量を増加させるとともに、車両1の航続距離を向上させることができる。また、車両1が衝突されたとき、電池パック20は、力の伝達に関与することができるため、車両1の安全性能が向上する。
【0037】
いくつかの実施例では、図1及び図2に示すように、下部車体10は、車体の幅方向に対向して設けられた第1サイドシル18と第2サイドシル18’を含む。例えば、第1サイドシル18は、車体の幅方向における左側に位置し、第2サイドシル18’は、車体の幅方向における右側に位置し、車両1の長手方向において、電池パック20の後端面201は、第1サイドシル18の後端面及び第2サイドシル18’の後端面を超えている。このように設けると、電池パック20の長さを効果的に増加させることができ、車両1の長手方向における電池パック取付空間が十分であり、それにより、電池パック20の容量を効果的に向上させることができる。そして、電池パック20をリアサブフレーム70にできるだけ近接させることにより、電池パック20が力の伝達に関与しやすく、車両1の安全性を向上する。当然のことながら、別のいくつかの実施例では、車両1の長手方向において、電池パック20の後端面201は、第1サイドシル18の後端面及び第2サイドシル18’の後端面と面一であってもよく、ここでは、限定しない。
【0038】
いくつかの実施例では、図6及び図7に示すように、下部車体10は、車体の幅方向に間隔をあけて設けられた2つのリアサイドメンバー17を含み、リアサイドメンバー17の前段の底面の車両の高さ方向における高さは、電池パック20の頂面の車両1の高さ方向における高さよりも高い。なお、ここでの「高さ」とは、寸法関係ではなく、位置関係を指す。リアサイドメンバー17の前段の底面は、車両1のZ方向において、電池パック20の上面の上方に位置し、ここで、上方は、斜め上であってもよく、真上であってもよく、ここでは、限定しない。このように設けると、リアサイドメンバー17の前端が電池パック20の取付及び後方への延在を妨げることを回避することができ、電池パック20が下部車体10の下側に設けられやすく、それにより、車両1の前後方向における電池パック取付空間を効果的に増加させ、電池パック20の容量を向上させ、車両1の組立速度を向上させ、車両1の高速生産を容易に実現することができる。
【0039】
いくつかの実施例では、図1及び図6に示すように、車両1は、フロントサブフレーム30をさらに含み、フロントサブフレーム30は、下部車体10に接続される。フロントサブフレーム30の後端面は、電池パック20の前方に延在するストッパ面として形成される。このように設けると、電池パック20は、フロントサブフレーム30の後端面まで延在することができ、電池パック20の前後方向における延在寸法が増加する。そして、電池パック20は、フロントサブフレーム30まで延在することができるため、車両1に前側衝突が発生したとき、電池パック20は、力伝達構造として力を伝達することができる。
【0040】
例えば、フロントサブフレーム30の後端面は、電池パック20の前方に延在するストッパ面として形成される。車両1が正常に走行するとき、フロントサブフレーム30の後端面と電池パック20の前端面とは、間隔をあけて設けられ、車両1に前面衝突が発生したとき、フロントサブフレーム30は、後向きの作用力を受けた後、電池パック20の前端面に接触することにより、電池パック20は、力の伝達に関与するため、電池パック20は、力に耐え該力を分散させる役割を果たして、車両1の安全性能を向上させることができる。換言すれば、このように設けると、電池パック20のX方向における寸法を増加させ、空間利用率を向上させ、電池パック20の容量を向上させることができる一方では、電池パック20は、前面衝突力を分散させる役割を果たして、車両1の安全性能を向上させることができる。
【0041】
いくつかの実施例では、図2に示すように、電池パック20の前端面とフロントサブフレーム30の後端面との間に取付隙間が少なくとも設けられる。このように設けると、電池パック20の前端面とフロントサブフレーム30の後端面との間の距離が大きすぎることを防止することにより、電池パック20のX方向における延在空間を増加させ、電池パック20の収容空間を拡大するとともに、フロントサブフレーム30が電池パック20に接触して力を伝達しやすく、電池パック20が取り付けられるときに車両1と干渉することを効果的に防止することができる。
【0042】
いくつかの実施例では、図4及び図5に示すように、下部車体10は、フロントクロスメンバー16と、対向して設けられたAピラー14とをさらに含み、フロントクロスメンバー16は、2つのAピラー14の間に設けられ、フロントクロスメンバー16の左右両端は、それぞれ2つのAピラー14に接続される。車両1に衝突が発生したとき、フロントクロスメンバー16は、車両1からの前面衝突力を分散させて2つのAピラー14に伝達するか、又は側面衝突力を一方のAピラー14から他方のAピラー14に伝達することにより、車両1の力伝達経路を効果的に増加させ、衝突による車両1の破壊を減少させ、さらに車両1の安全性を向上させることができる。いくつかの実施例では、図2図4及び図5に示すように、下部車体10は、2つのフロントサイドメンバー50をさらに含み、車両1の前側からの衝突力をフロントサイドメンバー50によりフロントクロスメンバー16に伝達し、さらにフロントクロスメンバー16によりAピラー14及びフロントクロスメンバー16に接続されたセンタトンネル40に伝達することができるように、フロントサイドメンバー50の後段は、フロントクロスメンバー16に接続され、それにより、前側からの衝突力がフロントクロスメンバー16により効果的に分散し、複数の力伝達経路が形成されるため、車両1の衝突力による損害が減少し、車両1の構造安定性が向上し、車両1の安全性能が向上する。
【0043】
いくつかの実施例では、図2及び図4に示すように、下部車体10は、フロントサイドメンバー50をさらに含み、フロントサイドメンバー50の後端底面と電池パック20の頂面とは、垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成する。密封構造がフロントサイドメンバー50と電池パック20との間に設けられやすいように、フロントサイドメンバー50の後端底面と電池パック20の頂面とは、間隔をあけて設けられる。そして、フロントサイドメンバー50と電池パック20とが間隔をあけて設けられるため、電池パック20がフロントサイドメンバー50の方向に延在するとき、フロントサイドメンバー50が電池パック20を妨げずに、電池パック20と干渉せず、電池パック20の取付が妨げられることを回避し、それにより、車両1の前後方向における電池パック取付空間を効果的に増加させ、さらに、電池パック20の容量を向上させ、電池パック20の取付が容易になる。
【0044】
いくつかの実施例では、図3及び図4に示すように、フロントサイドメンバー50は、サイドシル及びセンタトンネル40に接続される。該サイドシルは、第1サイドシル18及び第2サイドシル18’を含み、第1サイドシル18は、車両1の左側に位置し、第2サイドシル18’は、車両1の右側に位置し、センタトンネル400は、車両1の第1サイドシル18と第2サイドシル18’との間に位置してもよい。このように設けると、車両1が衝突されたとき、作用力がフロントサイドメンバー50により第1サイドシル18、第2サイドシル18’及びセンタトンネル40に伝達することができるため、複数の力伝達経路を効果的に形成し、車両1の力伝達能力を向上させることができる。
【0045】
いくつかの実施例では、図3図4及び図6図7に示すように、下部車体10は、リアクロスメンバー11と、間隔をあけて設けられた2つのリアサイドメンバー17とをさらに含む。リアクロスメンバー11は、車両1の幅方向に沿って延在するとともに、リアサイドメンバー17及びサイドシル(具体的には、第1サイドシル18及び第2サイドシル18’)に接続され、即ち、リアクロスメンバー11は、両端がそれぞれ第1サイドシル18及び第2サイドシル18’に接続されるとともに、リアサイドメンバー17の前段に接続される。リアクロスメンバー11の下面の高さは、電池パック20の上面の高さよりも高く、リアサイドメンバー17の前段は、リアクロスメンバー11の電池パック20から離れた側に設けられる。このように設けると、電池パック20の延在と電池パック20の取付空間の拡大を妨げることを回避することができ、そして、車両1が衝突力を受けた場合、リアサイドメンバー17の受けた力を全てリアクロスメンバー11に伝達し、さらにリアクロスメンバー11によりサイドシルに伝達することができ、それにより、力伝達経路が増加し、力伝達効率が向上する。
【0046】
リアクロスメンバー11はまた、電池パック取付ビームとなるように構成され、即ち、リアクロスメンバー11は、電池パック20に固定接続される。したがって、リアクロスメンバー11の受けた力は、接続部品により電池パック20に伝達されて、電池パック20を力伝達経路に取り込むことができる。また、電池パック20の面積が大きいという特性により、力伝達効果を効果的に向上させることができる。理解できるように、リアサイドメンバー17からリアクロスメンバー11に伝達された力は、リアクロスメンバー11により両側の第1サイドシル18及び第2サイドシル18’に伝達することができる一方では、リアクロスメンバー11により電池パック20に伝達することができ、それにより、複数の力伝達経路が形成される。そして、電池パック20により、力伝達構造の面積が増加し、これは、車両1の衝突による損傷を効果的に低減することができる。
【0047】
いくつかの実施例では、図7に示すように、リアクロスメンバー11は、電池パック取付ビームとして形成される。電池パック20の後端は、接続部品によりリアクロスメンバー11に接続することができる。また、電池パック20の上面は、リアクロスメンバー11の下面と垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成することができる。電池パック20がリアクロスメンバー11に接続される場合、電池パック20とリアクロスメンバー11との間には、密封を形成するように密封部材6001が設けられて、異物が乗員室に入ることを効果的に回避することができる。電池パック20がリアクロスメンバー11に取り付けられると、電池パック20の長手方向における収容空間を拡大することができるため、電池パック20の容量を向上させ、車両1の航続距離を向上させる。
【0048】
いくつかの実施例では、図7及び図8に示すように、リアクロスメンバー11は、リアクロスメンバー左接続板112、リアクロスメンバー右接続板112’及びリアクロスメンバー本体111を含む。リアクロスメンバー左接続板112、リアクロスメンバー本体111及びリアクロスメンバー右接続板112’は、順に接続される。リアクロスメンバー左接続板112は、リアクロスメンバー本体111の左端の少なくとも一部の表面に適合することができ、リアクロスメンバー右接続板112’は、リアクロスメンバー本体111の右端の少なくとも一部の表面に適合することができる。このように設けると、リアクロスメンバー左接続板112及びリアクロスメンバー右接続板112’により、リアクロスメンバー11とリアサイドメンバー17との接続信頼性を向上させることができ、車両1の安全性が向上する。
【0049】
いくつかの実施例では、図7及び図8に示すように、リアサイドメンバー17は、左リアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’を含み、左リアサイドメンバー1701は、リアクロスメンバー左接続板112に接続され、右リアサイドメンバー1701’は、リアクロスメンバー右接続板112’に接続される。左リアサイドメンバー1701は、リアクロスメンバー左接続板112に接続され、リアクロスメンバー左接続板112は、リアクロスメンバー本体111の左端に接続され、右リアサイドメンバー1701’は、リアクロスメンバー右接続板112’に接続され、リアクロスメンバー右接続板112’は、リアクロスメンバー本体111の右端に接続される。このように設けると、リアクロスメンバー左接続板112及びリアクロスメンバー右接続板112’は、車両1の後端が衝突されたとき、後部衝突力を車両1の後端からリアサイドメンバー17により前方に伝達して、リアクロスメンバー左接続板112、リアクロスメンバー右接続板112’及びリアクロスメンバー本体111に伝達して衝突力を車両1の幅方向に伝達するように案内し、車両1が後側に衝突された時に受けた力を分散させることができるため、後部衝突力を緩和する役割を果たし、車両1が後部衝突力を受けて変形することを回避し、それにより、車両1の耐荷重性が向上し、車両1の安全性が向上する。
【0050】
いくつかの実施例では、図7及び図8に示すように、リアクロスメンバー左接続板112は、左リアサイドメンバー1701の前段に設けられ、リアクロスメンバー右接続板112’は、右リアサイドメンバー1701’の前段に設けられる。リアクロスメンバー左接続板112は、リアクロスメンバー本体111の左端及び第1サイドシル18の両方に接続され、リアクロスメンバー右接続板112’は、リアクロスメンバー本体111の右端及び第2サイドシル18’の両方に接続される。
【0051】
このように設けると、リアクロスメンバー左接続板112及びリアクロスメンバー右接続板112’は、車両1の後端が衝突されたとき、後部衝突力を車両1の後端からリアサイドメンバー17により前方に伝達して、リアクロスメンバー左接続板112、リアクロスメンバー右接続板112’及びリアクロスメンバー本体111に伝達して衝突力を車両1の幅方向に伝達するように案内するとともに、リアクロスメンバー左接続板112と第1サイドシル18との接続箇所、及びリアクロスメンバー右接続板112’と第2サイドシル18’との接続箇所により、衝突力を第1サイドシル18及び第2サイドシル18’に伝達することができ、それにより、車両1が後側に衝突されたときに受けた力を分散させることができるため、後部衝突力を緩和し、車両1の耐荷重性及び安全性が向上する。
【0052】
いくつかの実施例では、図7及び図8に示すように、リアクロスメンバー左接続板112に第1ボス1121が設けられ、リアクロスメンバー右接続板112’に第2ボス1121’が設けられる。第1ボス1121及び第2ボス1121’には、いずれもリアサブフレーム取付部Pが設けられ、第1ボス1121と第2ボス1121’は、リアクロスメンバー本体111の車両1の長手方向に沿った後側に設けられる。第1ボス1121及び第2ボス1121’は、車両1の長手方向においてリアクロスメンバー本体111から突出してもよく、突出する部分の幅方向における断面積が徐々に減少してもよい。
【0053】
本開示のいくつかの実施例では、リアクロスメンバー11は下方に、リアサブフレーム70と取り付けられるリアサブフレーム取付部Pを有し、リアクロスメンバー11とリアサブフレーム70とは、ボルトによりリアサブフレーム取付部Pに取付固定される。リアサブフレーム取付部Pに力伝達構造がバックルで締められることにより、リアサイドメンバー17、電池パック20が力伝達領域Qを形成し、これは、後部の力伝達の有効性を保証することができ、車両1の安全性が向上する。
【0054】
リアクロスメンバー左接続板112に第1ボス1121が設けられ、リアクロスメンバー右接続板112’に第2ボス1121’が設けられ、第1ボス1121及び第2ボス1121’には、いずれもリアサブフレーム取付部Pが設けられ、第1ボス1121と第2ボス1121’は、リアクロスメンバー本体111の車両1の長手方向に沿った後側に設けられる。
【0055】
いくつかの実施例では、図7及び図8に示すように、第1ボス1121の下端面、第2ボス1121’の下端面の車両1の高さ方向における高さは、リアクロスメンバー11の下端面の高さよりも高い。なお、ここでの「高さ」とは、寸法関係ではなく、位置関係を指す。このように設けると、第1ボス1121及び第2ボス1121’は、リアサブフレーム70とリアサイドメンバー17との間の干渉を回避するとともに、第1ボス1121及び第2ボス1121’の構造強度を向上させ、第1ボス1121及び第2ボス1121’とリアサイドメンバー17との接続信頼性を向上させ、力伝達領域Qの耐荷重性を向上させ、後部の力の伝達の有効性を保証し、車両1の安全性を向上させることができる。
【0056】
いくつかの実施例では、図7に示すように、左リアサイドメンバー1701は、左リアサイドメンバー前段17011を含み、左リアサイドメンバー前段17011は、前部がリアシートフロントクロスメンバー12に接続され、後部がリアクロスメンバー左接続板112に接続され、底部の車両1の高さ方向における高さは、電池パック20の上面の高さよりも高い。右リアサイドメンバー1701’は、右リアサイドメンバー前段17011’を含み、右リアサイドメンバー前段17011’は、前部がリアシートフロントクロスメンバー12に接続され、後部がリアクロスメンバー右接続板112’に接続され、底部の車両1の高さ方向における高さは、電池パック20の上面の高さよりも高い。なお、ここでの「高さ」とは、寸法関係ではなく、位置関係を指す。このように設けると、左リアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’は、電池パック20の上方に位置することができるため、電池パック20の上面を上げて左リアサイドメンバー前段17011の底部及び右リアサイドメンバー前段17011’の底部の下方まで拡張し、電池パック20の高さ方向における収容空間が増加し、空間利用率及び乗員空間が向上し、車両の高さが低減される。
【0057】
いくつかの実施例では、図7及び図6に示すように、下部車体10は、リアシートフロントクロスメンバー12をさらに含み、リアシートフロントクロスメンバー12は、車両1の幅方向に沿って延在するとともに、リアサイドメンバー17、第1サイドシル18及び第2サイドシル18’に接続される。車両1の乗員シートは、リアシートフロントクロスメンバー12に設けられてもよく、リアシートフロントクロスメンバー12は、車両1の幅方向に沿って延在する。リアシートフロントクロスメンバー12は、左端が左リアサイドメンバー1701及び第1サイドシル18の後端に接続されてもよく、右端が右リアサイドメンバー1701’及び第2サイドシル18’の後端に接続されてもよい。このように設けると、リアシートフロントクロスメンバー12は、車両1の後側が衝突されたとき、後部衝突力をリアサイドメンバー17によりリアシートフロントクロスメンバー12に伝達することができるため、後部衝突力を緩和し分散させて、車両1の耐荷重性を向上させ、車両1の安全性を向上させる。
【0058】
また、車両1の左側又は右側が衝突されたとき、リアシートフロントクロスメンバー12は、力の伝達に関与することができるため、側面衝突力を緩和し、集中力による車両1の損傷を回避し、車両1の安全性を向上させることができる。
【0059】
いくつかの実施例では、図7に示すように、リアシートフロントクロスメンバー12の下面の車両1の高さ方向における高さは、電池パック20の上面の高さよりも高い。なお、ここでの「高さ」とは、寸法関係ではなく、位置関係を指す。リアシートフロントクロスメンバー12の下面のZ方向における高さが電池パック20の上面の高さよりも高いため、リアシートフロントクロスメンバー12が設けられて電池パック20のZ方向における延在を妨げることを回避することができ、電池パック20のZ方向における寸法を増加させ、空間利用率を向上させ、車両1の航続距離を向上させる。
【0060】
いくつかの実施例では、図7及び図18に示すように、リアサイドメンバー17は、左リアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’を含み、リアシートフロントクロスメンバー12の両端は、それぞれ左リアサイドメンバー1701と右リアサイドメンバー1701’に接続される。左リアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’は、車両1の長手方向に沿って延在し、リアシートフロントクロスメンバー12の両端は、それぞれ左リアサイドメンバー1701と右リアサイドメンバー1701’に接続される。車両1の後側が衝突されたとき、後部衝突力をリアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’によりリアシートフロントクロスメンバー12に伝達することができるため、後部衝突力を緩和し分散させて、車両1の後側の耐荷重性を向上させ、車両1の安全性を向上させる。
【0061】
本開示のいくつかの実施例では、リアシートフロントクロスメンバー12の下面の車両の高さ方向における高さは、対応する接続箇所でのリアサイドメンバー17の高さよりも高い。
【0062】
本開示のいくつかの実施例では、リアシートフロントクロスメンバー12、左リアサイドメンバー1701、リアクロスメンバー11及び右リアサイドメンバー1701’は、周方向に沿って接続されて密閉フレーム構造を構成する。リアシートフロントクロスメンバー12、左リアサイドメンバー1701、リアクロスメンバー11及び右リアサイドメンバー1701’は、相互に接続されて口字状の構造を構成し、該構造は、車両1の後側の力伝達能力を大幅に向上させることができ、そして、該構造は、第1サイドシル18及び第2サイドシル18’に接続されるため、力伝達経路を効果的に増加させ、側面衝突力、前面衝突力及び後部衝突力を分散させて伝達し、力伝達能力を向上させ、衝突による損害を効果的に減少させることができる。
【0063】
本開示のいくつかの実施例では、下部車体10は、車体の幅方向に対向して設けられた第1サイドシル18と第2サイドシル18’を含む。車両の長手方向において、電池パック20の後端面201は、第1サイドシル18の後端面及び第2サイドシル18’の後端面を超えている。車両の長手方向の後方に、電池パック20の後端面201は、第1サイドシル18の後端面及び第2サイドシル18’の後端面を超えている。このように設けると、電池パックの容量を効果的に向上させ、電池パックの長さを増加させることができるため、車両の航続距離を向上させる。
【0064】
いくつかの実施例では、図9図10及び図11に示すように、電池パック20は、電池パック上部ハウジング2011、電池パック下部ハウジング2012及び少なくとも1つのセル202を含む。電池パック上部ハウジング2011と電池パック下部ハウジング2012は、収容空間2013を形成し、少なくとも1つのセル202は、収容空間2013に設けられ、電池パック上部ハウジング2011の少なくとも一部の上面が車体のフロアを形成する。理解できるように、本願の一実施例では、電池パック上部ハウジング2011と車体のフロアとが一体的に統合され、即ち、車体のフロアを省略し、電池パック上部ハウジング2011で車体のフロアを代わり、これは、部品の数を効果的に減少させ、車体の重量を効果的に低減することができるため、車両の航続距離をある程度向上させることができる。
【0065】
車両1のY方向において、電池パック20が車体10に取り付けられるように、電池パック上部ハウジング2011の左右両端の取付部は、それぞれ第1サイドシル18と第2サイドシル18’に固定接続される。即ち、電池パック上部ハウジング2011の左延在部20111は、第1サイドシル18に固定接続され、電池パック上部ハウジング2011の右延在部20111’は、第2サイドシル18’に固定接続される。左延在部及び右延在部には、それぞれ複数の貫通孔が設けられてもよく、2つのサイドシル18及び18’の対応する部位に複数の貫通孔が設けられ、ボルト19又はねじがこれらの貫通孔を貫通して取付孔に固定接続されることにより、電池パック20がサイドシル18及び18’に効果的に固定接続することができる。好ましくは、電池パック20が車両1によりよく接続されるように、左延在部及び右延在部の複数の貫通孔は、車両1の長手方向に沿って間隔をあけて設けられる。
【0066】
以下、第1サイドシル18が左延在部20111に接続されることを例として説明する。第1サイドシル18の第1サイドシルハウジング1801には、車両1の長手方向に沿って間隔をあけて設けられた取付孔(図示せず)が設けられ、左延在部20111の第1サイドシルハウジング1801に対応する部位には、延在部接続貫通孔(図示せず)が設けられ、第1サイドシル18と左延在部20111とは、接続ボルト19により接続される。これにより、第1サイドシル18の接続信頼性を向上させることができ、車両1の安全性が向上する。
【0067】
いくつかの実施例では、電池パック上部ハウジング2011と電池パック下部ハウジング2012は、少なくとも1つのセル202を収容できる収容空間2013を形成し、少なくとも1つのセル202は、収容空間2013に設けられる。電池パック上部ハウジング2011の少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成される。本開示の一実施例では、電池パック上部ハウジング2011は、金属ハウジングであり、鋼又は他の金属製のハウジングであってもよい。このように、電池パック20の一部の上面が車体のフロアとして形成されると、耐荷重構造をよりよく形成して、電池パック20の構造強度が低すぎることを防止することができるとともに、電池パック20をよりよく保護して、セル202をよりよく保護することができ、セル202の安全性が向上し、寿命が向上する。電池パック上部ハウジング2011の少なくとも一部の上面を車体のフロアとして形成することにより、電池パック20と車体との間の隙間を減少させ、走行ノイズを低減するとともに、車両1の電池パック取付空間を効果的に増加させることができるため、電池パック20の電気容量が大きく、電池パック20の総電力量が増加し、車両1の航続距離が向上する。また、車両の重心を下げ、車両のドライバビリティを向上させ、車内の乗員室の空間を増加させるとともに、顧客体験を効果的に向上させることができる。そして、材料を節約し、車両1の総重量を低減し、車両1の軽量化設計を容易に実現することができる。
【0068】
いくつかの実施例では、図11図12に示すように、セル202は、電池パック上部ハウジング2011に固定接続される。セル202の頂面は、電池パック上部ハウジング2011に接着され、電池パック下部ハウジング2012は、冷却板であってもよく、セル202の底面は、熱伝導性接着剤204により電池パック下部ハウジング2012に接着される。該構造では、従来の電池パック構造中の電池パック底部ハウジングを省略し、冷却板で代わることにより、電池パック20の重量を効果的に低減し、電池パック20のエネルギー密度を向上させることができる。また、電池20の車両1のZ方向における高さを低減し、車両の最低地上高を向上させ、通過性を提供することができる。また、冷却板をセル202の下側に設けることにより、電池パック20の熱管理による乗員室への影響を効果的に回避することができるため、乗車体験を向上させる。そして、セル202の上側を電池パック上部ハウジング2011に接着することにより、セル202を効果的に固定することができるとともに、電池パック上部ハウジング2011のモード及び強度を効果的に向上させることができ、それにより、乗員室から電池パック上部ハウジング2011に負荷された重量を支えることができ、さらに車両1の力の伝達に効果的に関与することができる。具体的には、車両1に側面衝突が発生したとき、サイドシル18及び18’に作用する力が電池パック上部ハウジング2011に伝達されるとき、電池パック上部ハウジング2011に接着されたセル202を効果的に利用して力を伝達することができる。セル202の下側が冷却板に接着されることにより、セル202を効果的に固定することができるとともに、セル202と冷却板との間の熱伝達を向上させ、熱伝達効率を向上させ、熱管理効率を向上させることができる。電池パック上部ハウジング2011が電池パック下部ハウジング2012に密封接続されて、異物が電池パック20の内部に入って電池パック20の寿命又は電池パック20の安全性に影響を与えることを防止する。
【0069】
本願における電池パック20では、電池パック上部ハウジング2011を車体のフロアとすることにより、電池パック20が大きな力を受けたときに、セル202は、電池パック上部ハウジング2011から離れることなく、セル202の接続安定性を向上させ、電池パック20の安全性を保証することができる。
【0070】
いくつかの実施例では、図10図11及び図16に示すように、電池パック20は、少なくとも1つのセル202を含んでもよく、セル202の長手方向は、車両1の長手方向に一致する。少なくとも1つのセル202は、電池パック20の収容空間2013に設けられ、セル202の長手方向は、車両1の長手方向に沿うように設定される。このように設けると、電池パック20は、エネルギー密度を向上させるとともに、セル202を効果的に利用して力を伝達することができ、車両1に側面衝突が発生したとき、セル202の面積が大きい部分が衝突力を受けるため、圧力を効果的に低減し、セル202の構造的破壊を防止することができるとともに、力伝達面積を増加させ、力を車両1の長手方向に分散させ、局所的損傷が大きすぎることを防止することができる。
【0071】
図10及び図11に示すように、電池パック20は、複数のセル202を含み、複数のセル202は、車両1の幅方向に沿って並設される。このように設けると、電池パック20では、セル202が車両1の側面衝突時の力の伝達に関与することが容易になり、そして、電池パック20の空間利用率を向上させ、電池パック20に収容されるセル202の数を増加させやすいため、電池パック20の総電力量が増加し、車両1の航続距離が向上する。
【0072】
いくつかの実施例では、図12に示すように、下部車体10に密封板アセンブリ60が設けられ、電池パック20の上面は、密封板アセンブリ60に密封接続される。密封板アセンブリ60は、車両1の下部車体10に設けられ、電池パック20の頂面とフロントサイドメンバー50、上記フレーム構造、リアクロスメンバー11のうちの少なくとも1つとの接続箇所を密封する。密封板アセンブリ60は、下部車体10と電池パック20との間に位置し、このように設けると、密封板アセンブリ60は、車両1の密封性を向上させることができる。
【0073】
いくつかの実施例では、図9及び図13に示すように、密封板アセンブリ60は、環状の密封板6001と、少なくとも1つの密封部材6002と、を含み、密封部材6002は、密封板6001と電池パック20との間に設けられる。本開示の一実施例では、密封板アセンブリ60は、フロントサイドメンバー50の後側、リアクロスメンバー11の前側、及び2つのサイドシルの間に設けられて環状を形成し、該密封板アセンブリ60はまた、フロントサイドメンバー17、リアクロスメンバー及び2つのサイドシルに接続されるため、電池パック20と密封を効果的に形成することができ、それにより、電池パック上部ハウジング2011により乗員室を完全に密封して、車両外部の物質が電池パック20と車体との間の隙間から乗員室に入ることを防止することができる。密封部材6002は、環状に構成され、2つ以上であってもよく、2つ以上の密封部材6002は、環状の密封板6001と電池パック20との間に設けられて、多層密封を形成することにより、より高い密封効果を提供することができる。2つ以上の密封部材も環状の密封部材であり、環状に設けられ、即ち、隣接する2つの密封部材は、一方が内側に設けられ、他方が外側に設けられ、両者が間隔をあけて設けられて、密封部材6002の密封効果を向上させる。
【0074】
密封板6001は、一体成形された環状の密封板であってもよく、複数のサブ密封板が接続されて形成した環状の密封板であってもよい。
【0075】
図9に示すように、密封板6001は、第1平面部6001aを有し、電池パック20は、第2平面部2014を有し、第1平面部6001aと第2平面部2014とは、対向し、密封部材6002は、第1平面部6001aと第2平面部2014との間に設けられる。第1平面部6001aが第2平面部2014に対応するように設けられ、少なくとも1つの密封部材6002は、第1平面部6001aと第2平面部2014との間に付着されることで、密封板6001の密封効果を保証し、車両1の密封性を向上させることができる。
【0076】
いくつかの実施例では、密封部材6002は、シリコーンフォーム部材である。シリコーンフォーム部材は、軽量、変形可能、優れた遮音性、優れた断熱性などの特性を有する。密封部材6002をフォーム部材とすることにより、密封部材6002は、水、空気などの物質を遮断することができるとともに、車両1の遮音性を向上させ、乗客の快適性を向上させることができる。シリコーンフォーム部材は、密封効果を保証するために、ある程度密封圧縮されてもよい。また、シリコーンフォーム部材は、密封板6001の断熱性を向上させ、電池パック20の温度が高すぎて上方に伝達されることを防止することにより、電池パック20の安全性及び信頼性を保証することができ、車両1の安全性が向上する。また、シリコーンフォーム部材は、熱伝達を阻止することにより、熱を密封するという効果を向上させることができる。
【0077】
いくつかの実施例では、図9図10図14及び図15に示すように、下部車体10は、左側に第1サイドシル18が設けられ、右側に第2サイドシル18’が設けられる。密封板6001は、左密封板段6001b及び右密封板段6001b’を含み、左密封板段6001bの左端に左フランジ6001cを有し、左密封板段6001bは、左フランジ6001cにより第1サイドシル18に接続され、右密封板段6001b’の右端に右フランジ6001c’を有し、右密封板段6001b’は、右フランジ6001c’により第2サイドシル18’に接続される。
【0078】
以下、第1サイドシル18が左密封板段6001bに接続されることを例として説明する。左密封板段6001bの左側には、垂直方向に沿って延在する左フランジ6001cが設けられる。好ましくは、左フランジ6001cは、上方に延在するフランジであってもよく、下方に延在するフランジであってもよい。左フランジ6001cが第1サイドシル18に固定接続されることにより、左密封板6001bは、第1サイドシル18に効果的に固定することができ、密封板6001と第1サイドシル18との接続信頼性を保証するとともに、密封板6001と車両1との間の密封性を効果的に向上させることができるため、車両1の信頼性が保証される。また、密封板6001はまた、細塵が車両1の内部に入ることを防止し、車両1の乗車快適性を向上させることができる。
【0079】
いくつかの実施例では、図13及び図15に示すように、密封板6001は、前密封板段6001d及び後密封板段6001fをさらに含み、前密封板段6001dは、フロントサイドメンバー50に接続され、後密封板段6001fは、リアクロスメンバー11に接続される。密封板6001は、前密封板段6001d及び後密封板段6001fを含んでもよく、前密封板段6001dには、フロントサイドメンバー50に接続された前フランジ6001eが設けられ、前密封板段6001dは、前フランジ6001eによりフロントサイドメンバー50に固定接続され、後密封板段6001fには、リアクロスメンバー11に接続された後フランジが設けられ、後密封板段6001fは、後フランジによりリアクロスメンバー11に固定接続される。このような接続構造は、密封板6001の接続信頼性を効果的に向上させることができるとともに、密封性を向上させることができる。
【0080】
理解できるように、密封板アセンブリ60に設けられた平面部及び電池パック20に設けられた平面部により、密封をよりよく実現することができ、対向する平面部により、密封部材6002が対向する位置で密封をよりよく実現して、密封効果を向上させることができる。
【0081】
いくつかの実施例では、図12図16及び図17に示すように、下部車体10には、左右方向に沿って延在するシートクロスメンバー13が設けられる。電池パック20には、幅方向に沿って延在する電池パック補強ビーム2015が設けられ、電池パック20は、電池パック補強ビーム2015によりシートクロスメンバー13に接続される。
【0082】
下部車体10には、左右方向に沿って延在するシートクロスメンバー13が設けられてもよく、シートは、シートクロスメンバー13の上側に設けられることが好適であり、電池パック20は、シートクロスメンバー13に対応する部位には、幅方向に沿って延在する電池パック補強ビーム2015が設けられてもよく、電池パック20は、電池パック補強ビーム2015によりシートクロスメンバー13に接続される。シートクロスメンバー13は、電池パック2と下部車体10との接続信頼性を向上させることができ、そして、車両1が側面衝突力を受けた場合、側面衝突力を電池パック補強ビーム2015により車両1の幅方向に沿って伝達して、車両1及び電池パック20の信頼性を保証するという役割を果たすことができる。
【0083】
なお、本開示の説明において、用語「中心」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「頂部」、「底部」、「内」、「外」、「軸方向」、「半径方向」、「周方向」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本開示を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本開示を限定するものであると理解すべきではない。
【0084】
本開示の説明において、「第1特徴」、「第2特徴」は、1つ以上の該特徴を含んでもよい。本開示の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。本開示の説明において、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが直接接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。本開示の説明において、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」又は「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上及び斜め上にあることを含んでもよく、単に第1特徴の水平高さが第2特徴より高いことだけを表してもよい。
【0085】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例と組み合わせて説明された具体的な特徴、構成、材料又は特性が本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。
【0086】
本開示の実施例を示し説明したが、当業者であれば、本開示の原理及び目的を逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、補正、置換及び変形を行うことができ、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定されることを理解することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 車両
10 下部車体
11 リアクロスメンバー
111 リアクロスメンバー本体
112 リアクロスメンバー左接続板
1121 第1ボス
112’ リアクロスメンバー右接続板
1121’ 第2ボス
12 リアシートフロントクロスメンバー
13 シートクロスメンバー
14 Aピラー
15 リアシートフレーム
16 フロントクロスメンバー
17 リアサイドメンバー
1701 左リアサイドメンバー
17011 左リアサイドメンバー前段
1701’ 右リアサイドメンバー
17011’ 右リアサイドメンバー前段
18 第1サイドシル
18’ 第2サイドシル
19 接続ボルト
20 電池パック
201 後端面
2011 電池パック上部ハウジング
20111 左延在部
20111’ 右延在部
2012 電池パック下部ハウジング
2013 収容空間
2014 第2平面部
2015 電池パック補強ビーム
202 セル
203 構造接着剤
204 熱伝導性接着剤
30 フロントサブフレーム
40 センタトンネル
50 フロントサイドメンバー
60 密封板アセンブリ
6001 密封板
6001a 第1平面部
6001b 左密封板段
6001b’ 右密封板段
6001c 左フランジ
6001c’ 右フランジ
6001d 前密封板段
6001e 前フランジ
6001f 後密封板段
6002 密封部材、
70 リアサブフレーム
701 前端面
Q 力伝達領域
P リアサブフレーム取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部車体(10)と、リアサブフレーム(70)と、電池パック(20)と、を含み、
前記リアサブフレーム(70)は、前記下部車体(10)に接続され、
前記電池パック(20)は、前記下部車体(10)に接続されるとともに、前記下部車体(10)の下側に設けられ、
前記リアサブフレーム(70)の前端面(701)は、前記電池パック(20)の後方に延在するストッパ面として形成され、前記電池パック(20)の少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成される、ことを特徴とする車両(1)。
【請求項2】
前記電池パック(20)の後端面(201)と前記リアサブフレーム(70)の前記前端面(701)との間の最小距離は、Lであり、前記Lは、10mm≦L≦100mmを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の車両(1)。
【請求項3】
前記下部車体(10)は、
第1サイドシル(18)と、第2サイドシル(18’)と、をさらに含み、
前記第2サイドシル(18’)と前記第1サイドシル(18)とは、車体の幅方向に対向して設けられ、前記電池パック(20)が前記第1サイドシル(18)及び第2サイドシル(18’)に接続されることにより、前記第1サイドシル(18)及び前記第2サイドシル(18’)が電池パック取付ビームとして形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両(1)。
【請求項4】
前記下部車体(10)は、
2つのリアサイドメンバー(17)をさらに含み、2つの前記リアサイドメンバー(17)は、車体の幅方向に間隔をあけて設けられ、前記リアサイドメンバー(17)の前段の底面の、前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の頂面の、前記車両(1)の高さ方向における高さよりも高い、ことを特徴とする請求項3に記載の車両(1)。
【請求項5】
前記下部車体(10)は、リアクロスメンバー(11)をさらに含み、
前記リアクロスメンバー(11)は、前記車両(1)の幅方向に沿って延在するとともに、前記リアサイドメンバー(17)、前記第1サイドシル(18)及び前記第2サイドシル(18’)に接続される、ことを特徴とする請求項4に記載の車両(1)。
【請求項6】
前記リアクロスメンバー(11)は、電池パック取付ビームとして形成され、前記リアクロスメンバー(11)の下面と前記電池パック(20)の頂面とは、垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成する、ことを特徴とする請求項5に記載の車両(1)。
【請求項7】
前記リアクロスメンバー(11)は、
リアクロスメンバー左接続板(112)と、
リアクロスメンバー右接続板(112’)と、
リアクロスメンバー本体(111)と、を含み、
前記リアクロスメンバー左接続板(112)、前記リアクロスメンバー本体(111)及び前記リアクロスメンバー右接続板(112’)は、順に接続される、ことを特徴とする請求項6に記載の車両(1)。
【請求項8】
前記リアサイドメンバー(17)は、
左リアサイドメンバー(1701)と、右リアサイドメンバー(1701’)と、を含み、前記左リアサイドメンバー(1701)は、前記リアクロスメンバー左接続板(112)に接続され、
前記右リアサイドメンバー(1701’)は、前記リアクロスメンバー右接続板(112’)に接続される、ことを特徴とする請求項7に記載の車両(1)。
【請求項9】
前記リアクロスメンバー左接続板(112)は、前記左リアサイドメンバー(1701)の前段に設けられ、前記リアクロスメンバー右接続板(112’)は、前記右リアサイドメンバー(1701’)の前段に設けられ、
前記リアクロスメンバー左接続板(112)は、前記リアクロスメンバー本体(111)の左段及び前記第1サイドシル(18)の両方に接続され、
前記リアクロスメンバー右接続板(112’)は、前記リアクロスメンバー本体(111)の右段及び前記第2サイドシル(18’)の両方に接続される、ことを特徴とする請求項8に記載の車両(1)。
【請求項10】
前記リアクロスメンバー左接続板(112)に第1ボス(1121)が設けられ、前記リアクロスメンバー右接続板(112’)に第2ボス(1121’)が設けられ、
前記第1ボス(1121)及び第2ボス(1121’)には、いずれもリアサブフレーム取付部(P)が設けられ、前記第1ボス(1121)、前記第2ボス(1121’)は、前記リアクロスメンバー本体(111)の車両(1)の長手方向に沿った後側に設けられ、
前記第1ボス(1121)の下側面、前記第2ボス(1121’)の下端面の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記リアクロスメンバー本体(111)の下側面の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項8に記載の車両(1)。
【請求項11】
前記下部車体(10)は、リアシートフロントクロスメンバー(12)をさらに含み、前記リアシートフロントクロスメンバー(12)は、前記車両(1)の幅方向に沿って延在するとともに、前記リアサイドメンバー(17)、前記第1サイドシル(18)及び前記第2サイドシル(18’)に接続され、前記リアシートフロントクロスメンバー(12)の下面の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の上面の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項10に記載の車両(1)。
【請求項12】
前記リアシートフロントクロスメンバー(12)の両端は、それぞれ前記左リアサイドメンバー(1701)と右リアサイドメンバー(1701’)に接続され、
前記リアシートフロントクロスメンバー(12)、前記左リアサイドメンバー(1701)、前記リアクロスメンバー(11)及び前記右リアサイドメンバー(1701’)は、周方向に沿って接続されて密閉フレーム構造を構成する、ことを特徴とする請求項11に記載の車両(1)。
【請求項13】
前記左リアサイドメンバー(1701)は、左リアサイドメンバー前段(17011)を含み、前記左リアサイドメンバー前段(17011)は、前部が前記リアシートフロントクロスメンバー(12)に接続され、後部が前記リアクロスメンバー左接続板(112)に接続され、前記左リアサイドメンバー前段(17011)の底部の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の上面の高さよりも高く、
前記右リアサイドメンバー(1701’)は、右リアサイドメンバー前段(17011’)を含み、前記右リアサイドメンバー前段(17011’)は、前部が前記リアシートフロントクロスメンバー(12)に接続され、後部が前記リアクロスメンバー右接続板(112’)に接続され、前記右リアサイドメンバー前段(17011’)の底部の前記車両(1)の高さ方向における高さは、前記電池パック(20)の上面の高さよりも高い、ことを特徴とする請求項11に記載の車両(1)。
【請求項14】
前記下部車体(10)は、
第1サイドシル(18)と、第2サイドシル(18’)と、を含み、
前記第2サイドシル(18’)と、前記第1サイドシル(18)とは、車体の幅方向に対向して設けられ、
前記車両(1)の長手方向において、前記電池パック(20)の後端面(201)は、前記第1サイドシル(18)の後端面及び前記第2サイドシル(18’)の後端面を超えている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両(1)。
【請求項15】
フロントサブフレーム(30)をさらに含み、前記フロントサブフレーム(30)は、前記下部車体(10)に接続され、
前記フロントサブフレーム(30)の後端面は、前記電池パック(20)の前方に延在するストッパ面として形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両(1)。
【請求項16】
前記下部車体(10)は、フロントサイドメンバー(50)をさらに含み、前記フロントサイドメンバー(50)の後端の底面と前記電池パック(20)の頂面とは、垂直方向に間隔をあけて設けられて、密封隙間を形成し、或いは、
前記下部車体(10)は、フロントクロスメンバー(16)と、フロントサイドメンバー(50)と、対向して設けられたAピラーとをさらに含み、前記フロントクロスメンバー(16)の両端は、Aピラーに接続され、前記フロントサイドメンバー(50)は、前記フロントクロスメンバー(16)に接続される、ことを特徴とする請求項5に記載の車両(1)。
【請求項17】
前記電池パック(20)は、
電池パック上部ハウジング(2011)と、
電池パック下部ハウジング(2012)と、
少なくとも1つのセル(202)と、を含み、
前記電池パック上部ハウジング(2011)と前記電池パック下部ハウジング(2012)は、収容空間(2013)を形成し、少なくとも1つの前記セル(202)は、前記収容空間(2013)に設けられ、前記電池パック上部ハウジング(2011)の少なくとも一部の上面は、車体のフロアとして形成され、前記セル(202)は、前記電池パック上部ハウジング(2011)に固定接続され、前記セル(202)の頂面は、前記電池パック上部ハウジング(2011)に接着され、前記電池パック下部ハウジング(2012)は、冷却板であり、前記セル(202)の底面は、熱伝導性接着剤(204)により前記電池パック下部ハウジング(2012)に接着される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両(1)。
【請求項18】
前記電池パック(20)は、複数の前記セル(202)を含み、複数の前記セル(202)の長手方向は、前記車両(1)の長手方向に一致し、複数の前記セル(202)は、前記車両(1)の幅方向に沿って並設される、ことを特徴とする請求項17に記載の車両(1)。
【請求項19】
前記下部車体(10)に密封板アセンブリ(60)が設けられ、前記電池パック(20)の上面は、前記密封板アセンブリ(60)に密封接続され、
前記密封板アセンブリ(60)は、
環状の密封板(6001)と、
少なくとも1つの密封部材(6002)と、を含み、前記密封部材(6002)は、前記密封板(6001)と前記電池パック(20)との間に設けられ、
前記密封板(6001)は、第1平面部(6001a)を有し、前記電池パック(20)は、第2平面部(2014)を有し、前記第1平面部(6001a)と前記第2平面部(2014)とは、対向し、前記密封部材(6002)は、前記第1平面部(6001a)と前記第2平面部(2014)との間に設けられ、前記下部車体(10)の左側に第1サイドシル(18)が設けられ、前記下部車体(10)の右側に第2サイドシル(18’)が設けられ、
前記密封板(6001)は、左密封板段(6001b)及び右密封板段(6001b’)を含み、前記左密封板段(6001b)の左端に左フランジ(6001c)を有し、前記左密封板段(6001b)は、前記左フランジ(6001c)により前記第1サイドシル(18)に接続され、前記右密封板段(6001b’)の右端に右フランジ(6001c’)を有し、前記右密封板段(6001b’)は、前記右フランジ(6001c’)により前記第2サイドシル(18’)に接続され、前記密封板(6001)は、前密封板段(6001d)及び後密封板段(6001f)をさらに含み、前記前密封板段(6001d)は、前記フロントサイドメンバー(16)に接続され、前記後密封板段(6001f)は、前記リアクロスメンバー(11)に接続される、ことを特徴とする請求項16に記載の車両(1)。
【請求項20】
前記下部車体(10)には、幅方向に沿って延在するシートクロスメンバー(13)が設けられ、
前記電池パック(20)には、幅方向に沿って延在する電池パック補強ビーム(2015)が設けられ、前記電池パック補強ビーム(2015)は、前記シートクロスメンバー(13)に接続される、ことを特徴とする請求項1~19のいずれか一項に記載の車両(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
本開示の実施例の車両1によれば、電池パック20の少なくとも一部の上面が車体のフロアとなるように、電池パック20と下部車体10を接続することにより、車両1の空間利用率を向上させ、電池パック20の取付空間を拡大して電池パック20の容量を向上させ、車両の高さを低減し、車両1の通過性能を向上させる。リアサブフレーム70の前端面701を、電池パック20の後方に延在するストッパ面として形成することにより、電池パック20の取付空間を後方に拡大することができ、それにより、電池パック20の容量を効果的に向上させるとともに、電池パック20とリアサブフレーム70との間の距離を減少させることができ、そして、電池パック20の前後方向への投影とリアサブフレーム70の前後方向への投影とが少なくとも部分的に重なって、電池パック20が車両1の力伝達構造とすることができる。車両1の後部が衝突されたとき、リアサブフレーム70は、衝突力を電池パック20に伝達することができるため、車両1の安全性を向上させる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
いくつかの実施例では、図3及び図4に示すように、フロントサイドメンバー50は、サイドシル及びセンタトンネル40に接続される。該サイドシルは、第1サイドシル18及び第2サイドシル18’を含み、第1サイドシル18は、車両1の左側に位置し、第2サイドシル18’は、車両1の右側に位置し、センタトンネル40は、車両1の第1サイドシル18と第2サイドシル18’との間に位置してもよい。このように設けると、車両1が衝突されたとき、作用力がフロントサイドメンバー50により第1サイドシル18、第2サイドシル18’及びセンタトンネル40に伝達することができるため、複数の力伝達経路を効果的に形成し、車両1の力伝達能力を向上させることができる。

【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
いくつかの実施例では、図7及び図18に示すように、リアサイドメンバー17は、左リアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’を含み、リアシートフロントクロスメンバー12の両端は、それぞれ左リアサイドメンバー1701と右リアサイドメンバー1701’に接続される。左リアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’は、車両1の長手方向に沿って延在し、リアシートフロントクロスメンバー12の両端は、それぞれ左リアサイドメンバー1701と右リアサイドメンバー1701’に接続される。車両1の後側が衝突されたとき、後部衝突力をリアサイドメンバー1701及び右リアサイドメンバー1701’によりリアシートフロントクロスメンバー12に伝達することができるため、後部衝突力を緩和し分散させて、車両1の後側の耐荷重性を向上させ、車両1の安全性を向上させる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
いくつかの実施例では、図11図12に示すように、セル202は、電池パック上部ハウジング2011に固定接続される。セル202の頂面は、電池パック上部ハウジング2011に接着され、電池パック下部ハウジング2012は、冷却板であってもよく、セル202の底面は、熱伝導性接着剤204により電池パック下部ハウジング2012に接着される。該構造では、従来の電池パック構造中の電池パック底部ハウジングを省略し、冷却板で代わることにより、電池パック20の重量を効果的に低減し、電池パック20のエネルギー密度を向上させることができる。また、電池パック20の車両1のZ方向における高さを低減し、車両の最低地上高を向上させ、通過性を提供することができる。また、冷却板をセル202の下側に設けることにより、電池パック20の熱管理による乗員室への影響を効果的に回避することができるため、乗車体験を向上させる。そして、セル202の上側を電池パック上部ハウジング2011に接着することにより、セル202を効果的に固定することができるとともに、電池パック上部ハウジング2011のモード及び強度を効果的に向上させることができ、それにより、乗員室から電池パック上部ハウジング2011に負荷された重量を支えることができ、さらに車両1の力の伝達に効果的に関与することができる。具体的には、車両1に側面衝突が発生したとき、サイドシル18及び18’に作用する力が電池パック上部ハウジング2011に伝達されるとき、電池パック上部ハウジング2011に接着されたセル202を効果的に利用して力を伝達することができる。セル202の下側が冷却板に接着されることにより、セル202を効果的に固定することができるとともに、セル202と冷却板との間の熱伝達を向上させ、熱伝達効率を向上させ、熱管理効率を向上させることができる。電池パック上部ハウジング2011が電池パック下部ハウジング2012に密封接続されて、異物が電池パック20の内部に入って電池パック20の寿命又は電池パック20の安全性に影響を与えることを防止する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
いくつかの実施例では、図9及び図13に示すように、密封板アセンブリ60は、環状の密封板6001と、少なくとも1つの密封部材6002と、を含み、密封部材6002は、密封板6001と電池パック20との間に設けられる。本開示の一実施例では、密封板アセンブリ60は、フロントサイドメンバー50の後側、リアクロスメンバー11の前側、及び2つのサイドシルの間に設けられて環状を形成し、該密封板アセンブリ60はまた、フロントサイドメンバー50、リアクロスメンバー及び2つのサイドシルに接続されるため、電池パック20と密封を効果的に形成することができ、それにより、電池パック上部ハウジング2011により乗員室を完全に密封して、車両外部の物質が電池パック20と車体との間の隙間から乗員室に入ることを防止することができる。密封部材6002は、環状に構成され、2つ以上であってもよく、2つ以上の密封部材6002は、環状の密封板6001と電池パック20との間に設けられて、多層密封を形成することにより、より高い密封効果を提供することができる。2つ以上の密封部材も環状の密封部材であり、環状に設けられ、即ち、隣接する2つの密封部材は、一方が内側に設けられ、他方が外側に設けられ、両者が間隔をあけて設けられて、密封部材6002の密封効果を向上させる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
下部車体10には、左右方向に沿って延在するシートクロスメンバー13が設けられてもよく、シートは、シートクロスメンバー13の上側に設けられることが好適であり、電池パック20は、シートクロスメンバー13に対応する部位には、幅方向に沿って延在する電池パック補強ビーム2015が設けられてもよく、電池パック20は、電池パック補強ビーム2015によりシートクロスメンバー13に接続される。シートクロスメンバー13は、電池パック2と下部車体10との接続信頼性を向上させることができ、そして、車両1が側面衝突力を受けた場合、側面衝突力を電池パック補強ビーム2015により車両1の幅方向に沿って伝達して、車両1及び電池パック20の信頼性を保証するという役割を果たすことができる。
【国際調査報告】