(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】液化ガスを貯蔵するための設備及び方法
(51)【国際特許分類】
F17C 6/00 20060101AFI20250117BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
F17C6/00
B63B25/16 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538413
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022084798
(87)【国際公開番号】W WO2023143793
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴンドランド,セシル
(72)【発明者】
【氏名】デュランド,ファビアン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB11
3E172AB14
3E172AB15
3E172AB20
3E172BB02
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172EA03
3E172EA13
3E172EA48
3E172HA08
3E172KA03
3E172KA19
(57)【要約】
【解決手段】 それぞれ液化ガスを含有するように構成された複数の別個の貯蔵タンク(2、3、4、5)を備える、液化ガスを貯蔵するための設備及び方法であって、引き抜いた流体流を冷却するための、冷凍装置(7)と、引抜ライン(6)と、タンク(2、3、4、5)のそれぞれに向かう複数の第1の注入ライン(8)とを備えた冷却回路を備え、タンク(2、3、4、5)は脱気ライン(10)を備え、設備(1)は、少なくとも冷却回路内に配置された制御弁(16、18)のセットを備え、第1のタンク(2)は液体を含有し、少なくとも1つの他のタンク(3、4、5)は空であり、本質的にボイルオフガスを含有し、すなわち液体をほとんど又はまったく含まず、ここで、第1のタンク(2)に含有された液体の冷却、第1のタンク(2)への再注入、冷凍装置(7)によって冷却された液体の少なくとも1つの他の空タンクへの注入、他のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスの第1のタンク(2)への移送が行われる、設備及び方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス、例えば液化天然ガス用の、特に船舶上の貯蔵設備であって、前記液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンク(2、3、4、5)を備え、各タンクは、液体状態の前記液化ガスを含有するように意図された下部と、前記液化ガスからの蒸気を含有するように意図された上部とを備え、前記設備(1)は、冷凍装置(7)を備えた冷却回路を備え、前記冷却回路は、第1のタンク(2)の下部に開口する第1の端部と、前記冷凍装置(7)の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ライン(6)を備え、前記冷凍装置(7)は前記入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計され、前記冷却回路は、前記冷凍装置(7)の前記出口を各タンク(2、3、4、5)にそれぞれ接続する複数の第1の注入ライン(8)を備え、前記タンク(2、3、4、5)のそれぞれが、前記タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーン(11)に接続された第2の端部とを備える脱気ライン(10)を備え、前記第1のタンク(2)の前記脱気ライン以外の各タンク(3、4、5)の前記脱気ライン(10)は、前記第1のタンク(2)の上部に接続された第3の端部を備え、前記設備(1)は、少なくとも前記冷却回路に配置された制御弁(16、18)のセットと、前記弁のための電子制御部材(12)とを備え、前記制御部材(12)は、前記第1のタンク(2)から液体を引き抜き、この引き抜いた液体を前記冷凍装置(7)内で冷却し、この液体を前記第1のタンク(2)に再注入することによって、前記第1のタンク(2)内に含有された流体を前記冷却回路を介して冷却するために前記弁の開閉を命令するように構成され、前記制御部材(12)はさらに、前記第1のタンクから引き抜かれ、前記冷凍装置(7)で冷却されたこの液体を、1つ又は複数の前記第1の注入ライン(8)を介して少なくとも1つの他の空のタンク(3、4、5)に注入し、この又はこれらの他の空のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを、前記脱気ライン(10)の1つ又は複数の前記第3の端部を介して前記第1のタンク(2)に移送するように構成されている、貯蔵設備。
【請求項2】
各第1の注入ライン(8)が、前記冷凍装置(7)の前記出口に接続された第1の端部と、タンク(2、3、4、5)の上部に開口する第2の端部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記冷却回路が、前記冷凍装置(7)の前記出口を前記第1のタンク(2)の下部に接続する第2の注入ライン(9)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記制御部材(12)が、冷却された液体を前記第1の注入ライン(8)及び/又は前記第2の注入ライン(9)を介して再注入することによって、前記第1のタンク(2)内に含有された流体を冷却するために前記弁のセットの開閉を命令するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の設備。
【請求項5】
前記タンク内に圧力センサ(20)のセットを備え、前記制御部材(12)が、前記圧力センサのセットによって測定された圧力レベルに応じて、前記第1の注入ライン(8)と前記第2の注入ライン(9)との間で前記第1のタンク(2)に再注入される冷却された液体の流れを分配するために、前記弁の開閉を命令するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の設備。
【請求項6】
前記タンク内の流体のための温度センサ(21)のセットを備え、前記制御部材(12)が、前記温度センサ(21)のセットによって測定された温度レベルに応じて前記弁の開閉を命令するように構成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の設備。
【請求項7】
液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンク(2、3、4、5)を備える液化ガス貯蔵設備内のタンクを冷却する方法であって、各タンクは、前記液化ガスを液体状態で含有するように意図された少なくとも下部と、前記液化ガスからの蒸気を含有するように意図された少なくとも上部とを備え、前記設備(1)は、冷凍装置(7)を備えた冷却回路を備え、前記冷却回路は、第1のタンク(2)の前記下部に開口する第1の端部と、前記冷凍装置(7)の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ライン(6)を備え、前記冷却回路は、前記冷凍装置(7)の出口を前記各タンク(2、3、4、5)にそれぞれ接続する複数の第1の注入ライン(8)を備え、前記冷凍装置(7)は、その入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計され、前記タンク(2、3、4、5)のそれぞれは、前記タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーン(11)に接続された第2の端部とを備える脱気ライン(10)を備え、前記第1のタンク(2)の脱気ライン以外の各タンク(3、4、5)の前記脱気ライン(10)は、前記第1のタンク(2)の上部に接続された第3の端部を備え、前記設備(1)は、少なくとも前記冷却回路に配置された制御弁(16、18)のセットを備え、前記第1のタンク(2)は液体を含有し、少なくとも1つの他のタンク(3、4、5)は空であり、本質的にボイルオフガスを含有し、すなわち液体をほとんど又は全く含有せず、
- 前記第1のタンク(2)から液体を引き抜き、この液体を前記冷凍装置(7)で冷却し、この液体を前記第1のタンク(2)に再注入することによって、前記冷却回路を介して前記第1のタンク(2)内に含有された前記流体を冷却するステップと、
- 前記冷凍装置(7)で冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入するステップと、
- 他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送するステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記冷却ステップの間、前記第1のタンク(2)内に含有された流体が、前記タンク内の圧力における前記流体の飽和温度以下の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送する前記ステップが、均圧によって、及び/又は圧縮機などのポンプ部材を介して実施されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップと、前記他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送する前記ステップが、少なくとも部分的に同時に実施されることを特徴とする、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップが、前記他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)内の流体が所与の温度、例えば、前記タンク内の圧力における前記流体の飽和温度以下の低い温度であり得る温度に達するまで実施されることを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップの後に、前記他のタンクの少なくとも1つに前記液化ガスを充填するステップを含むことを特徴とする、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流体が液化天然ガスであることを特徴とする、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス、例えば液化天然ガスを貯蔵するための設備及び方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、例えばメタンタンカー上での液化天然ガスの貯蔵及び輸送に関する。
【0003】
本発明は、より具体的には、液化ガス、例えば液化天然ガス用の、特に船舶上の貯蔵設備であって、液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンクを備え、各タンクは、液体状態の液化ガスを含有するように意図された下部と、液化ガスからの蒸気を含有するように意図された上部とを備え、設備は、冷凍装置を備えた冷却回路を備え、冷却回路は、第1のタンクの下部に開口する第1の端部と、冷凍装置の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ラインを備え、冷却回路は、冷凍装置の出口を各タンクにそれぞれ接続する複数の第1の注入ラインを備え、冷凍装置は、その入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計されている、設備に関する。
【0004】
本発明は、特に、液化天然ガスの積込み作業(充填)中に、(複数の貯蔵タンクを備える)メタンタンカーを冷却する操作に関する。
【背景技術】
【0005】
欧州特許出願公開第3510317A1号明細書を参照する。
【0006】
本発明は、この操作中のボイルオフガスの発生を低減又は防止することを目的とする。
【0007】
既知の解決策は、満タン又は残液のあるタンクから汲み上げた液化ガスを空タンクに注入することを伴う。しかしながら、これにより、冷却される空タンク内にボイルオフガスが発生する。これらのボイルオフガスは、失われるか(通気口から排出されるか、船舶の推進に使用されるか、又はフレアで燃焼される)、又はタンクの1つに再注入されるように液化ユニットに搬送されなければならない。
【0008】
第1の解決策では製品の損失が発生し、第2の解決策ではコストがかかり、特にボイルオフガスを再液化するためにボイルオフガス圧縮機の設置が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の1つの目的は、先行技術の上述の欠点の一部又は全部を緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明による設備は、それ以外は上記の前提部で与えられた一般的な定義に一致するが、以下のことを本質的に特徴とする、すなわち、タンクのそれぞれが、タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーンに接続された第2の端部とを含む脱気ラインを備え、第1のタンクの脱気ライン以外の各タンクの脱気ラインは、第1のタンクの上部に接続された第3の端部を備え、設備は、少なくとも冷却回路に配置された制御弁のセットと、前記弁のための電子制御部材とを備え、制御部材は、第1のタンクから液体を引き抜き、この引き抜いた液体を冷凍装置内で冷却し、この液体を第1のタンクに再注入することによって、第1のタンク内に含有された流体を冷却回路を介して冷却するために弁の開閉を命令するように構成され、制御部材はさらに、冷凍装置で冷却された液体を、1つ又は複数の第1の注入ラインを介して少なくとも1つの他の空のタンクに注入し、この又はこれらの他の空のタンクで発生したボイルオフガスを、脱気ラインの1つ又は複数の第3の端部を介して第1のタンクに移送するように構成されていることを本質的に特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る:
- 各第1の注入ラインが、冷凍装置の出口に接続された第1の端部と、タンクの上部に開口する第2の端部とを備える、
- 冷却回路が、冷凍装置の出口を第1のタンクの下部に接続する第2の注入ラインを備える、
- 制御部材が、冷却された液体を第1の注入ライン及び/又は第2の注入ラインを介して再注入することによって、第1のタンク内に含有された流体を冷却するために弁のセットの開閉を命令するように構成され、
- 設備が、タンク内に圧力センサのセットを備え、制御部材が、圧力センサのセットによって測定された圧力レベルに応じて、第1の注入ラインと第2の注入ラインとの間で第1のタンクに再注入される冷却された液体の流れを分配するために、弁の開閉を命令するように構成される、
- 設備が、タンク内の流体のための温度センサのセットを備え、制御部材が、温度センサのセットによって測定された温度レベルに応じて弁の開閉を命令するように構成される。
【0012】
本発明はまた、液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンクを備える液化ガス貯蔵設備内のタンクを冷却する方法であって、各タンクは、液化ガスを液体状態で含有するように意図された少なくとも下部と、液化ガスからの蒸気を含有するように意図された少なくとも上部とを備え、設備は、冷凍装置を備えた冷却回路を備え、冷却回路は、第1のタンクの下部に開口する第1の端部と、冷凍装置の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ラインを備え、冷却回路は、冷凍装置の出口をタンクのそれぞれにそれぞれ接続する複数の第1の注入ラインを備え、冷凍装置は、その入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計され、タンクのそれぞれは、タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーンに接続された第2の端部とを備える脱気ラインを備え、第1のタンクの脱気ライン以外の各タンクの脱気ラインは、第1のタンクの上部に接続された第3の端部を備え、設備は、少なくとも冷却回路に配置された制御弁のセットを備え、第1のタンクは液体を含有し、少なくとも1つの他のタンクは空であり、本質的にボイルオフガスを含有し、すなわち液体をほとんど又は全く含有せず、方法は、第1のタンクから液体を引き抜き、この液体を冷凍装置で冷却し、この液体を第1のタンクに再注入することによって、冷却回路を介して第1のタンク内に含有された流体を冷却するステップと、冷凍装置で冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入するステップと、他の1つ又は複数のタンクで発生したボイルオフガスを第1のタンクに移送するステップとを含む方法に関する。
【0013】
可能な特定の特徴によれば、
- 冷却ステップの間、第1のタンク内に含有された流体が、タンク内の圧力における流体の飽和温度以下の温度まで冷却される、
- ボイルオフガスを第1のタンクに移送するステップが、均圧によって、及び/又は圧縮機などのポンプ部材を介して実施される、
- 冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入するステップと、他の1つ又は複数のタンクで発生したボイルオフガスを第1のタンクに移送するステップは、少なくとも部分的に同時に実施される、
- 冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入するステップが、他の1つ又は複数のタンク内の流体が所与の温度、例えば、タンク内の圧力における流体の飽和温度以下の低い温度であり得る温度に達するまで実施される、
- 方法は、冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入するステップの後に、他のタンクの少なくとも1つに液化ガスを充填するステップを含む、
- 流体が液化天然ガスである。
【0014】
本発明はまた、特許請求の範囲内の上記又は下記の特徴の任意の組合せを含む任意の代替的な装置又は方法にも関連し得る。
【0015】
他の特徴及び利点は、図を参照して与えられる以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1の動作構成における本発明による設備の構造及び動作の可能な例示的な実施形態を示す概略的な部分図である。
【
図2】
図2は、第2の動作構成における設備の同様の図である。
【
図3】
図3は、第3の動作構成における設備の同様の図である。
【
図4】
図4は、第4の動作構成における設備の同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
示された液化ガス貯蔵設備1は、液化ガス、特に液化天然ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンク2、3、4、5を備える(この非限定的な例では4つである)。
【0018】
各タンク2、3、4、5は、通例、液化ガスを液体状態で含有することを意図した下部と、液化ガスからの蒸気を収容することを意図した上部とを備える。
【0019】
設備1はさらに、冷凍装置7を備えた冷却回路を備えている。この冷却回路は、第1のタンク2の下部に開口する第1の端部と、冷凍装置7の入口に接続された第2の端部とを備える少なくとも1つの引抜ライン6を備える。
【0020】
引抜ライン6は、特に、第1のタンク2内の液体を吸引することを意図したポンプ26を含み得る。
【0021】
冷却回路は、冷凍装置7の出口を各タンク2、3、4、5にそれぞれ接続する冷却流体注入ライン8を備える。
【0022】
冷凍装置7は、その入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように、特に適用可能であればサブクール(subcool)するように設計されている。
【0023】
例えば、冷凍装置7は、作動回路内のサイクルガスの冷凍サイクルを有する極低温冷凍機を備える。サイクルガスは、例えば、純ガス又は混合ガス(例えば、窒素、ネオン、アルゴン、ヘリウム、水素又はこれらの混合)を含む。冷凍機7の作動回路は、サイクルガス圧縮部材(例えば1つ又は複数の電動圧縮機)、サイクルガス冷却部材(例えば1つ又は複数の冷却熱交換器)、サイクルガス膨張部材(1つ又は複数のタービン及び/又は膨張弁)、及びサイクルガス加熱部材(1つ又は複数の熱交換器)を備える。タービンの少なくとも1つの仕事は、好ましくは、共通のドライブシャフトを介して圧縮機に伝達される。特に、加熱及び冷却は、少なくとも部分的に、サイクルガスの2つの異なる部分が異なる熱力学的条件(特に温度)下に循環する1つ又は複数の向流交換器によって提供され得る。
【0024】
換言すると、冷凍機の作動回路は、作動ガスを、作動回路の一端において、1つ又は複数の熱交換器を介して冷却される流体回路に伝達される冷却能力を生成する熱力学的サイクルに供するように構成することができる。冷凍装置7は、特に、本出願人によって販売されている「ターボ・ブレイトン」装置であり得る。
【0025】
示されているように、タンク2、3、4、5のそれぞれは、タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーン11(例えば、大気への及び/又はエンジン若しくはガス燃焼部材の入口への通気口)に接続された第2の端部とを備える脱気ライン10を備える。
【0026】
第1のタンク2の脱気ライン以外の各タンク3、4、5の脱気ライン10は第1のタンク2の上部にも(第3の端部を介して)接続されている。
【0027】
示されているように、各タンク2、3、4、5の脱気ライン10は、共通のラインを介して並列に回収ゾーン11に接続することができる。これはまた、脱気ライン10を介した全てのタンク2、3、4、5の上部間の流体リンクを提供する(これは、必要な場合、後述するように、1つのタンクから別のタンクへのボイルオフガスの移送を可能にする)。
【0028】
設備1は、少なくとも冷却回路に配置された、弁16、18、例えば制御弁のセットを備える。この弁のセットは特に、タンク2、3、4の的を絞った冷却を可能にするように構成されている。弁のセットは、例えばマイクロプロセッサを備える電子制御部材12によって制御(開閉)されるのが好ましい。
【0029】
制御部材12は、特に、冷却回路を介して第1のタンク2内に含有された流体を冷却するために弁の開閉を命令するように構成され得る。
【0030】
この冷却は、引抜ライン6を介して第1のタンク2から液体を引き抜き、次にこの引き抜いた液体を冷凍機7の低温部分との熱交換によって冷却し、次にこの冷却した液体を注入ライン8を介して第1のタンク2に再注入することによって実行することができる。示されているように、注入ライン8は、冷凍装置7の出口に接続された第1の端部と、タンク2の上部に開口する第2の端部とを備え、第2の端部は、例えば、タンクの上部に開口する1つ又は複数のノズルの形態である。換言すると、注入部材は、サブクールされた液化ガスを蒸気相に、すなわち液体状態の液化ガスのレベルよりも上方に注入する。
【0031】
他のタンク3、4、5の一部又は全部も、好ましくは、冷凍装置7の出口に接続されたこのような注入ライン8と、タンク2の上部に開口する第2の端部とを備える。
【0032】
[
図1]に示す構成において、第1のタンク2はまだ液体を含有しているが、他のタンク3、4、5は空であり、比較的温度が高い(液体がほとんど又は全くない)。液化天然ガスの場合、これら他の空のタンク3、4、5内のガスの温度は、-130℃より高く、例えば-130℃~+30℃の間であり得る。これらのタンク2、3、4、5のそれぞれにおいて、圧力は、安全弁(簡略化のため図示せず)の設定圧力よりも低い。通常、各タンク内の圧力は、大気圧より約数百ミリバール(ゲージ圧)高い所与の値又は数バール(タンクの性質に依存する)未満に維持される。
【0033】
第1の段階又はステップにおいて、第1のタンク2の内容物は、上述したように冷却又はサブクールされ得る。
【0034】
液体は、引抜ライン6を介して第1のタンク2から汲み上げられ、次いで、冷凍機7によって冷却され、次いで、注入ライン8を介して第1のタンク2に再注入され得る(対応する弁16、18は開いている)。
【0035】
すなわち、好ましくは、他の空タンク3、4、5の冷却が始まる前に、液体をまだ含有している第1のタンク2が完全に冷却され、好ましくは飽和温度以下まで冷却される。例えば、冷凍装置7は、タンク2から来る液化ガスを35K~150Kの間の温度、例えば110K又は80Kまで冷却するように設計され得る(例えば5m3/h~50m3/hの流量で)。
【0036】
このステップの間、第1のタンク2内で起こり得るボイルオフガスの発生を回避又は制限するために、再注入された冷却(サブクール)された液体の流れは、タンク2の上部及び/又は下部の間で分配することができる。
【0037】
この目的のために、また示されているように、設備1は、冷凍装置7の出口を第1のタンク2の内部に接続する、例えば第1のタンク2の下部に開口する第2の注入ライン9を(少なくとも第1のタンク2に対して)有し得る。さらに、弁のセットは、第1の注入ライン8及び/又は第2の注入ライン9を介した冷却された液体の再注入を制御するように構成された少なくとも1つの弁を備える([
図1]参照)。
【0038】
第2の注入ライン9は、冷却された(又は過冷却された(supercooled))液体をこの又はこれらの他のタンクに注入できるように設計されていてもよい(すなわち、1つの他の複数の別個の第2の注入ライン9が設けられていてもよい)ことに留意されたい。
【0039】
タンク2内の圧力が過度に上昇した場合(例えば、所与のレベルを超えて)、冷却された液体は、主に又は排他的に([
図2]参照)タンク2の上部に(第1の注入ライン8を介して)再注入される。一方、圧力が低下した場合(例えば所与のレベルを超えて)、冷却された液体は、例えば主に又は排他的にタンク2の下部に再注入される(第2の注入ライン9を介して)。
【0040】
好ましくは、第1のタンク2のこの冷却段階の開始時に、冷却された液体流の約10%が第1の注入ライン8を介して再注入される。
【0041】
この圧力レベル及び/又はその変動の検出は、タンク2内の圧力を測定する少なくとも1つのセンサ20によって、例えば脱気ライン10において行うことができる。
【0042】
第1のタンク2が十分に冷却されると(飽和温度以下)、第1のタンク2内に含有された冷却(サブクール)された液体を、他の1つ又は複数の空のタンクに注入して前記タンクを冷却することができる(同時又は連続的に)。
【0043】
[
図3]に示されるように、冷凍装置7を出た冷却された液体は、それぞれの第2の注入ライン8(対応する弁18は開いている)を介して、第1のタンク2及び他のタンクの一部又は全部に同時に注入することができる。
【0044】
このようにして、設備1は、空でない第1のタンク2から引き抜かれたサブクールされた液体を、空のタンク3、4、5に注入することを可能にする。冷たい液体が空のタンクに注入される際に発生するボイルオフガスは吸引され、第1のタンクに戻されるが、第1のタンクは液体を含有しサブクールされている。この解決策は、サブクールされた液体をタンク3、4、5のそれぞれに別々に戻す選択肢を提供する。これは、各タンクに分配弁を使用するか、又は他の適切な手段を使用することによって行うことができる。
【0045】
空のタンク3、4、5に冷たい液体を注入すると、比較的温度の高いタンク3、4、5でボイルオフガスが発生する。これらのボイルオフガスは、第1のタンク2に接続された脱気ライン10を介して低温の第1のタンク2に戻される。これらのボイルオフガスは、圧力差によって第1のタンク2によって吸引される(又は必要に応じて強制される)。これらのボイルオフガスは、第1のタンク2の低温環境において、少なくとも部分的に冷却され、再凝縮される。
【0046】
高温のタンク3、4、5に注入される冷却された液体流は、これらのタンクの圧力の関数として調節することができる。
【0047】
例えば、圧力が上昇し過ぎると(例えば、所与のレベルを超えて)、注入される液体流は相対的に減少させることができる。圧力が相対的に低いか低下している場合、注入される液体流は相対的に増加させることができる。
【0048】
タンク3、4、5を冷却するこのプロセスは、冷却すべき空のタンクが十分に低い温度、例えば飽和温度以下、例えば-130℃以下になるまで続けることができる。
【0049】
この温度レベル及び/又はその変動の検出は、1つ又は複数のタンク内の温度を測定する少なくとも1つのセンサ21によって、例えば脱気ライン10において実施することができる。
【0050】
空のタンクが十分に冷却されると、追加の液体をその中に注入することにより、液体はこれらのタンク内で現れる、又は量が増加する([
図4]参照)。
【0051】
有利なことに、空のタンク3、4、5を冷却するこのステップは、液化ガスの放出後、及びそれに続く設備1の1つ又は複数のタンクの充填前に実施される。
【0052】
弁の一部又は全部は、設備内の圧力センサ20及び/又は温度センサ21からの信号に応答して、制御部材12によって制御される弁であり得る。
【0053】
本発明は、液化天然ガス又は例えば-100℃未満に液化する他の極低温ガス又は適切な混合ガスを貯蔵する設備に適用することができる。例えば、バイオメタン、窒素、酸素、アルゴン及びそれらの混合物。
【0054】
本発明はまた、液化ガス、例えば液化天然ガスを輸送するための輸送用乗り物、例えば輸送船であって、このような設備を備える輸送用乗り物に関する。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガス、例えば液化天然ガス用の、特に船舶上の貯蔵設備であって、前記液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンク(2、3、4、5)を備え、各タンクは、液体状態の前記液化ガスを含有するように意図された下部と、前記液化ガスからの蒸気を含有するように意図された上部とを備え、前記設備(1)は、冷凍装置(7)を備えた冷却回路を備え、前記冷却回路は、第1のタンク(2)の下部に開口する第1の端部と、前記冷凍装置(7)の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ライン(6)を備え、前記冷凍装置(7)は前記入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計され、前記冷却回路は、前記冷凍装置(7)の前記出口を各タンク(2、3、4、5)にそれぞれ接続する複数の第1の注入ライン(8)を備え、前記タンク(2、3、4、5)のそれぞれが、前記タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーン(11)に接続された第2の端部とを備える脱気ライン(10)を備え、前記第1のタンク(2)の前記脱気ライン以外の各タンク(3、4、5)の前記脱気ライン(10)は、前記第1のタンク(2)の上部に接続された第3の端部を備え、前記設備(1)は、少なくとも前記冷却回路に配置された制御弁(16、18)のセットと、前記弁のための電子制御部材(12)とを備え、前記制御部材(12)は、前記第1のタンク(2)から液体を引き抜き、この引き抜いた液体を前記冷凍装置(7)内で冷却し、この液体を前記第1のタンク(2)に再注入することによって、前記第1のタンク(2)内に含有された流体を前記冷却回路を介して冷却するために前記弁の開閉を命令するように構成され、前記制御部材(12)はさらに、前記第1のタンクから引き抜かれ、前記冷凍装置(7)で冷却されたこの液体を、1つ又は複数の前記第1の注入ライン(8)を介して少なくとも1つの他の空のタンク(3、4、5)に注入し、この又はこれらの他の空のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを、前記脱気ライン(10)の1つ又は複数の前記第3の端部を介して前記第1のタンク(2)に移送するように構成されている、貯蔵設備。
【請求項2】
各第1の注入ライン(8)が、前記冷凍装置(7)の前記出口に接続された第1の端部と、タンク(2、3、4、5)の上部に開口する第2の端部とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記冷却回路が、前記冷凍装置(7)の前記出口を前記第1のタンク(2)の下部に接続する第2の注入ライン(9)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記制御部材(12)が、冷却された液体を前記第1の注入ライン(8)及び/又は前記第2の注入ライン(9)を介して再注入することによって、前記第1のタンク(2)内に含有された流体を冷却するために前記弁のセットの開閉を命令するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の設備。
【請求項5】
前記タンク内に圧力センサ(20)のセットを備え、前記制御部材(12)が、前記圧力センサのセットによって測定された圧力レベルに応じて、前記第1の注入ライン(8)と前記第2の注入ライン(9)との間で前記第1のタンク(2)に再注入される冷却された液体の流れを分配するために、前記弁の開閉を命令するように構成されることを特徴とする、請求項4に記載の設備。
【請求項6】
前記タンク内の流体のための温度センサ(21)のセットを備え、前記制御部材(12)が、前記温度センサ(21)のセットによって測定された温度レベルに応じて前記弁の開閉を命令するように構成されることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の設備。
【請求項7】
液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンク(2、3、4、5)を備える液化ガス貯蔵設備内のタンクを冷却する方法であって、各タンクは、前記液化ガスを液体状態で含有するように意図された少なくとも下部と、前記液化ガスからの蒸気を含有するように意図された少なくとも上部とを備え、前記設備(1)は、冷凍装置(7)を備えた冷却回路を備え、前記冷却回路は、第1のタンク(2)の前記下部に開口する第1の端部と、前記冷凍装置(7)の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ライン(6)を備え、前記冷却回路は、前記冷凍装置(7)の出口を前記各タンク(2、3、4、5)にそれぞれ接続する複数の第1の注入ライン(8)を備え、前記冷凍装置(7)は、その入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計され、前記タンク(2、3、4、5)のそれぞれは、前記タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーン(11)に接続された第2の端部とを備える脱気ライン(10)を備え、前記第1のタンク(2)の脱気ライン以外の各タンク(3、4、5)の前記脱気ライン(10)は、前記第1のタンク(2)の上部に接続された第3の端部を備え、前記設備(1)は、少なくとも前記冷却回路に配置された制御弁(16、18)のセットを備え、前記第1のタンク(2)は液体を含有し、少なくとも1つの他のタンク(3、4、5)は空であり、本質的にボイルオフガスを含有し、すなわち液体をほとんど又は全く含有せず、
- 前記第1のタンク(2)から液体を引き抜き、この液体を前記冷凍装置(7)で冷却し、この液体を前記第1のタンク(2)に再注入することによって、前記冷却回路を介して前記第1のタンク(2)内に含有された前記流体を冷却するステップと、
- 前記冷凍装置(7)で冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入するステップと、
- 他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送するステップと
を含む方法。
【請求項8】
前記冷却ステップの間、前記第1のタンク(2)内に含有された流体が、前記タンク内の圧力における前記流体の飽和温度以下の温度まで冷却されることを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
ボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送する前記ステップが、均圧によって、及び/又は圧縮機などのポンプ部材を介して実施されることを特徴とする、請求項
7又は
8に記載の方法。
【請求項10】
冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップと、前記他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送する前記ステップが、少なくとも部分的に同時に実施されることを特徴とする、請求項
7又は8に記載の方法。
【請求項11】
冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップが、前記他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)内の流体が所与の温度、例えば、前記タンク内の圧力における前記流体の飽和温度以下の低い温度であり得る温度に達するまで実施されることを特徴とする、請求項
7又は8に記載の方法。
【請求項12】
冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップの後に、前記他のタンクの少なくとも1つに前記液化ガスを充填するステップを含むことを特徴とする、請求項
7又は8に記載の方法。
【請求項13】
前記流体が液化天然ガスであることを特徴とする、請求項
7又は8に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
本発明はまた、液化ガス、例えば液化天然ガスを輸送するための輸送用乗り物、例えば輸送船であって、このような設備を備える輸送用乗り物に関する。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 液化ガス、例えば液化天然ガス用の、特に船舶上の貯蔵設備であって、前記液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンク(2、3、4、5)を備え、各タンクは、液体状態の前記液化ガスを含有するように意図された下部と、前記液化ガスからの蒸気を含有するように意図された上部とを備え、前記設備(1)は、冷凍装置(7)を備えた冷却回路を備え、前記冷却回路は、第1のタンク(2)の下部に開口する第1の端部と、前記冷凍装置(7)の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ライン(6)を備え、前記冷凍装置(7)は前記入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計され、前記冷却回路は、前記冷凍装置(7)の前記出口を各タンク(2、3、4、5)にそれぞれ接続する複数の第1の注入ライン(8)を備え、前記タンク(2、3、4、5)のそれぞれが、前記タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーン(11)に接続された第2の端部とを備える脱気ライン(10)を備え、前記第1のタンク(2)の前記脱気ライン以外の各タンク(3、4、5)の前記脱気ライン(10)は、前記第1のタンク(2)の上部に接続された第3の端部を備え、前記設備(1)は、少なくとも前記冷却回路に配置された制御弁(16、18)のセットと、前記弁のための電子制御部材(12)とを備え、前記制御部材(12)は、前記第1のタンク(2)から液体を引き抜き、この引き抜いた液体を前記冷凍装置(7)内で冷却し、この液体を前記第1のタンク(2)に再注入することによって、前記第1のタンク(2)内に含有された流体を前記冷却回路を介して冷却するために前記弁の開閉を命令するように構成され、前記制御部材(12)はさらに、前記第1のタンクから引き抜かれ、前記冷凍装置(7)で冷却されたこの液体を、1つ又は複数の前記第1の注入ライン(8)を介して少なくとも1つの他の空のタンク(3、4、5)に注入し、この又はこれらの他の空のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを、前記脱気ライン(10)の1つ又は複数の前記第3の端部を介して前記第1のタンク(2)に移送するように構成されている、貯蔵設備。
[2] 各第1の注入ライン(8)が、前記冷凍装置(7)の前記出口に接続された第1の端部と、タンク(2、3、4、5)の上部に開口する第2の端部とを備えることを特徴とする、[1]に記載の設備。
[3] 前記冷却回路が、前記冷凍装置(7)の前記出口を前記第1のタンク(2)の下部に接続する第2の注入ライン(9)を備えることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の設備。
[4] 前記制御部材(12)が、冷却された液体を前記第1の注入ライン(8)及び/又は前記第2の注入ライン(9)を介して再注入することによって、前記第1のタンク(2)内に含有された流体を冷却するために前記弁のセットの開閉を命令するように構成されることを特徴とする、[3]に記載の設備。
[5] 前記タンク内に圧力センサ(20)のセットを備え、前記制御部材(12)が、前記圧力センサのセットによって測定された圧力レベルに応じて、前記第1の注入ライン(8)と前記第2の注入ライン(9)との間で前記第1のタンク(2)に再注入される冷却された液体の流れを分配するために、前記弁の開閉を命令するように構成されることを特徴とする、[4]に記載の設備。
[6] 前記タンク内の流体のための温度センサ(21)のセットを備え、前記制御部材(12)が、前記温度センサ(21)のセットによって測定された温度レベルに応じて前記弁の開閉を命令するように構成されることを特徴とする、[1]~[5]のいずれか一項に記載の設備。
[7] 液化ガスを含有するようにそれぞれ設計された複数の別個の貯蔵タンク(2、3、4、5)を備える液化ガス貯蔵設備内のタンクを冷却する方法であって、各タンクは、前記液化ガスを液体状態で含有するように意図された少なくとも下部と、前記液化ガスからの蒸気を含有するように意図された少なくとも上部とを備え、前記設備(1)は、冷凍装置(7)を備えた冷却回路を備え、前記冷却回路は、第1のタンク(2)の前記下部に開口する第1の端部と、前記冷凍装置(7)の入口に接続された第2の端部とを備える引抜ライン(6)を備え、前記冷却回路は、前記冷凍装置(7)の出口を前記各タンク(2、3、4、5)にそれぞれ接続する複数の第1の注入ライン(8)を備え、前記冷凍装置(7)は、その入口と出口との間を循環する流体流を冷却するように設計され、前記タンク(2、3、4、5)のそれぞれは、前記タンクの上部に接続された第1の端部と、少なくとも1つの回収ゾーン(11)に接続された第2の端部とを備える脱気ライン(10)を備え、前記第1のタンク(2)の脱気ライン以外の各タンク(3、4、5)の前記脱気ライン(10)は、前記第1のタンク(2)の上部に接続された第3の端部を備え、前記設備(1)は、少なくとも前記冷却回路に配置された制御弁(16、18)のセットを備え、前記第1のタンク(2)は液体を含有し、少なくとも1つの他のタンク(3、4、5)は空であり、本質的にボイルオフガスを含有し、すなわち液体をほとんど又は全く含有せず、
- 前記第1のタンク(2)から液体を引き抜き、この液体を前記冷凍装置(7)で冷却し、この液体を前記第1のタンク(2)に再注入することによって、前記冷却回路を介して前記第1のタンク(2)内に含有された前記流体を冷却するステップと、
- 前記冷凍装置(7)で冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入するステップと、
- 他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送するステップと
を含む方法。
[8] 前記冷却ステップの間、前記第1のタンク(2)内に含有された流体が、前記タンク内の圧力における前記流体の飽和温度以下の温度まで冷却されることを特徴とする、[6]に記載の方法。
[9] ボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送する前記ステップが、均圧によって、及び/又は圧縮機などのポンプ部材を介して実施されることを特徴とする、[6]又は[7]に記載の方法。
[10] 冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップと、前記他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)で発生したボイルオフガスを前記第1のタンク(2)に移送する前記ステップが、少なくとも部分的に同時に実施されることを特徴とする、[6]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11] 冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップが、前記他の1つ又は複数のタンク(3、4、5)内の流体が所与の温度、例えば、前記タンク内の圧力における前記流体の飽和温度以下の低い温度であり得る温度に達するまで実施されることを特徴とする、[6]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12] 冷却された液体を少なくとも1つの他の空のタンクに注入する前記ステップの後に、前記他のタンクの少なくとも1つに前記液化ガスを充填するステップを含むことを特徴とする、[6]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 前記流体が液化天然ガスであることを特徴とする、[6]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】