(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】コネクタの自動的なプラグ差込みを目的として電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/70 20230101AFI20250117BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20250117BHJP
H04N 23/73 20230101ALI20250117BHJP
H04N 23/76 20230101ALI20250117BHJP
H04N 23/75 20230101ALI20250117BHJP
【FI】
H04N23/70
H04N23/60 500
H04N23/73
H04N23/76
H04N23/75
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538468
(86)(22)【出願日】2022-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2022088101
(87)【国際公開番号】W WO2023131577
(87)【国際公開日】2023-07-13
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521468682
【氏名又は名称】ロクシス ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】ROCSYS B.V.
【住所又は居所原語表記】Delftweg 65,2289 BA Rijswijk,the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ファン ドゥールツェン カンター
(72)【発明者】
【氏名】ヒジェ トビー ヨハネス
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA42
5C122FF01
5C122FF03
5C122FF09
5C122FF15
5C122FH01
5C122FH09
5C122FH11
5C122FH14
5C122GA01
5C122GA23
5C122HB06
(57)【要約】
本発明は、コネクタの自動的なプラグ差込みを目的として電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための方法に関し、方法は、設定可能パラメータを有するカメラを用いて、ソケットの存在が見込まれる領域のデジタルカメラ画像を提供することと、特徴認識アルゴリズムを使用して、デジタルカメラ画像内の基準特徴の位置を認識することと、デジタルカメラ画像内の基準特徴に基づいて、ソケットの位置および/または方向を決定することとを含み、基準特徴が特徴認識アルゴリズムにとって認識可能であるように、デジタルカメラ画像を提供するための少なくとも1つのカメラパラメータを設定することを特徴とし、基準特徴がソケットの接続機能の部分である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタの自動的なプラグ差込みを目的として電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための方法であって、前記ソケットが接続機能を備え、前記方法が、
少なくとも1つの設定可能パラメータを有するカメラを用いて、前記ソケットの存在が見込まれる領域のデジタルカメラ画像を提供することと、
特徴認識アルゴリズムを使用して、前記デジタルカメラ画像内の基準特徴の位置を認識することであって、前記基準特徴が前記ソケットの前記接続機能の部分である、認識することと、
前記デジタルカメラ画像内の前記基準特徴に基づいて、前記ソケットの位置および/または方向を決定することと
を含む、方法において、
前記デジタルカメラ画像内で前記基準特徴が前記特徴認識アルゴリズムにとって認識可能であるように、前記デジタルカメラ画像を提供するための少なくとも1つのカメラパラメータを設定すること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのカメラパラメータが露光時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのカメラパラメータが、前記カメラが備える感光セルから到来するアナログ信号の線形増幅利得である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのカメラパラメータがカメラの絞りのサイズである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのカメラパラメータがガンマ補正であり、デジタル信号が係数ガンマで指数関数的に増幅される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのカメラパラメータを設定することが、光センサからの信号、一定照明条件に対して較正された値、または外部システムからの情報などの外部情報に基づいて行われる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デジタルカメラ画像内の、前記ソケットの少なくとも1つの基準特徴を含む関心領域を決定することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのカメラパラメータを設定することが、以前に記録されたデジタルカメラ画像に基づいて行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記以前に記録されたデジタルカメラ画像内の関心領域を決定することであって、前記関心領域が、ソケットが検出されるエリアである、決定することを含み、前記少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、前記関心領域からの情報に限定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
デジタルカメラ画像を提供するステップが、グレースケール画像を提供するかまたは取得された画像をグレースケール化することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記グレースケール画像が、暗色から明色へと大きくなる値を有する、ビット範囲などの表現によって決まる区間上のビット値として表現された画素から成り、所定のターゲット数の画素がターゲットビット値以上のビット値を有するように、前記少なくとも1つのカメラパラメータが調整される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
所定のターゲット数の画素が少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%になるように、前記少なくとも1つのカメラパラメータが調整され、前記ターゲットビット値が、最大ビット値の、好ましくは少なくとも6.25%であり、より好ましくは少なくとも12.5%であり、最も好ましくは少なくとも25%である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記関心領域内で、前記ソケットの前記接続機能の導電性の部分を示す画素を除き、最も明色の画素と最も暗色の画素との間の絶対ビット値の絶対差が、20よりも大きく、より好ましくは30よりも大きく、最も好ましくは40よりも大きくなるように、前記少なくとも1つのカメラパラメータが調整される、請求項9および11に記載の方法。
【請求項14】
前記特徴認識アルゴリズムによって認識可能であるべき前記基準特徴の、エッジやラインなどの態様の全体または部分を含む画素のサンプルを取得するとき、前記サンプル内の最も明色の画素と最も暗色の画素との間の絶対ビット値の差が、好ましくは10よりも大きく、より好ましくは20よりも大きく、最も好ましくは30よりも大きくなるように、前記少なくとも1つのカメラパラメータが調整される、請求項9および11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、前記ソケットの前記基準特徴からの情報に限定される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、前記ソケットの実質的に非反射性の領域からの情報に限定される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、前記ソケットの実質的に非導電性の領域からの情報に限定される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、前記ソケットの、より暗色の領域からの情報に限定される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ソケットの前記決定された位置および/または方向に基づいて、前記コネクタの位置および/または方向を制御することを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための装置であって、
設定可能パラメータを有するカメラと、
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された、マイクロプロセッサなどの処理手段と、
電気車両に充電する目的でコネクタを移動させるための作動機構であって、前記ソケットの前記決定された位置および/または方向に基づいて、前記コネクタの位置および/または方向を制御するように適合された、作動機構と
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、コネクタの自動的なプラグ差込みを目的として電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための方法に関する。車両ソケット内への電気充電コネクタの自動的なプラグ差込みは、ここ数年の間、大規模フリートの所有者にとっての新たな目標となっている。多くの電気車両が、IEC62196による車両ソケットなど、手動によりプラグ差込みするための車両ソケットを有する。コネクタと車両ソケットとの組合せは、典型的には、密に嵌合する幾何形状を有する。したがって、コネクタの自動的なプラグ差込みには、コネクタの位置決めおよび方向決めの、ある程度の精度が必要となる。自動充電ステーションにおいて、乗用車などの典型的な車両によって、さまざまな充電インスタンスにわたって車両ソケットが配置される精度は、車両のソケットの位置および方向を決定することなく自動的なプラグ差込みを円滑にするには、不十分である。精度の欠如の一因となる要因は、例えば、駐車の際の車両の運動精度や、例えば懸架装置の摩耗およびセッティングによる、1台の車両の経時的な複数の接続サイクルにわたる、または一般には車両間の、ソケットの高さおよび方向のばらつきである。
【0002】
充電ステーションにおける1つまたは複数のコネクタは、作動機構によって保持され、この作動機構は、静止している車両のソケットに向かってコネクタを移動させること、および同機構の助けを借りてコネクタのプラグ差込みができるように、コネクタの位置および方向を適合させることができる。そのようにすることができるためには、プラグ差込みする前に、ソケットの位置および方向が決定されなければならない。明らかに、これは自動的にも行われるべきである。これは、さまざまな手段を用いてさまざまな方法で達成することができる。
【0003】
しかし、ソケットの、物理的接続機能に寄与する部分、例えば、導電性のピンおよび非導電性の本体のみを考慮するとき、ソケットの位置および方向を見いだすことは困難である。ソケットの非導電性の部分は通常、黒色の周縁部によって取り囲まれた黒色の特徴から成り、それが、特別厄介な問題として、常時またはある瞬間において、照明の乏しい環境または状況であり、別の位置または別の瞬間において、非常に明るい環境にあることがある。これらの要因により、特徴認識を通じたソケットの位置および方向の決定が特別複雑なものになっている。
【0004】
これまでのところ当技術分野においていくつかの解決策が提案されてきた。韓国特許公開KR20190113697Aでは、第1のランプおよび第1の照度センサを含む第1の光制御ユニットと、充電コネクタを基準として第1の光制御器とは反対側に設置され、第2のランプおよび第2の照度センサを含む、第2の光制御器と、第1のランプおよび第2のランプを撮影するように動作するカメラとを開示している。国際特許出願WO2021061354A1では、電荷を供給して電気車両のバッテリを再充電するために充電ヘッドが車両の充電インレットに接続されるシステムを開示している。充電ヘッドは接続装置に取り付けられ、この接続装置が充電ヘッドを充電インレットに移動させる。車両から放出される光を感知するために、複数の光検出器が充電ヘッド上に設けられる。ドイツ特許公開DE102011080456A1では、例えば目の不自由なユーザのためにコンピュータ端末のプラグ接続の確立を支援するための構成であって、コンポーネント内へのプラグの適切なセットまたは挿入を検出するための検出ユニットと、ユーザに情報を出力する出力ユニットとを有する構成を開示している。米国特許出願公開第2013293366A1号では、要求信号を規定の範囲に向かって定期的に送信する通信ユニットを開示している。要求信号を受信することのできる範囲内にトランスミッタが存在するとき、トランスミッタは、応答する形で識別情報を送出する。
【0005】
Panら、XP006092988では、複雑な環境中の電気車両充電ポートのための自動認識および位置特定システムについて記載している。このシステムは、充電ポートの姿勢を画像処理を通じて取得し、ロボットアームとの組み合わせで挿入運動を実施して、自動充電リンクの充電ガン挿入を完了させるものである。Panらは、ソケットの内部の5つの金属コアを模倣する5つの円形特徴の使用について記載している。Panらは、前記5つの円形特徴をマーキングした高反射性材料の使用について記載しており、それによって、それらのマーカに基づいて充電ポートの認識および位置特定が学習される。画像は後に、前記マーカをより良好に認識するために、明るさおよびノイズ低減の点で処理される。5つの円形特徴は、ソケット幾何形状の外部にあるか、またはソケットの内部の5つの金属コアを模倣するように追加されるが、接続機能を有するものとはみなされない。
【0006】
上述したシステムは全て、光などのマーカを導入することのような、ソケットの位置および方向の検出および推定を容易にするための手段を、車両に追加しなければならないという欠点を有する。これにより、システムが、それらの解決策に対する準備が整っていないかまたはそれらの解決策に合わせて最適化されていない車両にとって不適切なものとなる。さらに、ソケットの位置および方向を決定しようとして、カメラを利用してそのビューを記録しているシステムは、ソケットが、黒色の正面または平面と、やはり黒色の穴とから成り、したがって、その未加工のデータから直接取得できる情報がごくわずかである、という困難に遭遇する。この問題を解決することを目的とする多くの解決方針では、ソケットを固定のまたは動的な光源で照明することによって画像を向上させようと試みている。これらの解決方針では、暗色のソケットを、カメラを従来の設定を用いて従来通りに機能させるために照明を必要とするオブジェクトとして扱う。これは、場合によっては助けになるが、多くのばらつきを許容するものではない。
【0007】
従来技術の欠点を取り除く、または従来技術に代わる有用な手段を少なくとも成す、充電ステーションのコネクタの自動的なプラグ差込みを目的として電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための方法およびシステムを提案することが、本発明の目的である。
【0008】
本発明はそれに対して、コネクタの自動的なプラグ差込みを目的として電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための方法を提案し、ソケットは接続機能を備え、方法は、少なくとも1つの設定可能パラメータを有するカメラを用いて、ソケットの存在が見込まれる領域のデジタルカメラ画像を提供することを含み、方法は、特徴認識アルゴリズムを使用して、デジタルカメラ画像内の基準特徴の位置を認識するステップであって、基準特徴がソケットの接続機能の部分である、ステップと、デジタルカメラ画像内の基準特徴に基づいて、ソケットの位置および/または方向を決定するステップと、デジタルカメラ画像内で基準特徴が特徴認識アルゴリズムにとって認識可能であるように、デジタルカメラ画像を提供するための少なくとも1つのカメラパラメータを設定するステップとを含む。
【0009】
基準特徴は、ソケットの接続機能とするか、またはその部分を成すものとすることができ、基準特徴は、この文脈では、例えばIEC62196などの国際標準または別の設計仕様書に定義された文書化された幾何形状を有する充電ソケットの、記録物内で可視である特徴を備えることができる。これらの基準特徴を検出する特徴認識アルゴリズムの出力に基づいて、姿勢推定アルゴリズムが、ソケットの位置および/または方向を決定することができる。基準特徴は、一般に、それらの形状、コントラスト、色などによって認識可能とすることができる。この特定の場合、適切な態様は、典型的には、穴もしくはピン(の)曲線部もしくは隅部または他の複雑な視覚的特徴を構成することのできる、勾配または急峻な遷移(エッジ)である。接続機能は、コネクタを電気的および/または機械的および/または物理的に結合するためのソケット部分から形成されるかまたはそれを備えることができる。電気絶縁部分が含まれてもよい。一般にはコネクタを受け入れるための(逆)形状、ならびに具体的には導電性のピンおよび非導電性の本体は、接続機能と考えることができる。パッチなどの外側のマーカは一般に、接続機能を有するものとはみなされない。
【0010】
複数のアルゴリズムが、基準特徴を認識するのに適し得る。数ある中でも、畳み込みニューラルネットワークアルゴリズムまたは「You Only Look Once」(YOLO)モデルが、その例である。
【0011】
ソケットの位置および/または方向を決定することは、姿勢推定のための任意の適切なアルゴリズムの助けを借りて行うことができる。数ある中でも、SolvePnPまたはRansacが、適用できる例である。
【0012】
本発明による方法は、第1の利点として、車両側のいかなる変更も必要とすることなく本方法が全ての車両(ソケット)に適したものであることを可能にする。それに加えて、本方法では、画像から、特に暗色のオブジェクトの特徴認識にとりわけ有用であるが他のことには必ずしも有用であるとは限らない画像から、向上した情報を取得することができるという事実を利用する。ソケットの存在が見込まれる領域のデジタルカメラ画像は、本方法を使用するために、コネクタを操るアセンブリ上もしくはその近くに特別に設置された、カメラからの画像とすることができ、またはそのデジタルカメラ画像は、電気車両を充電するための駐車場、もしくは一般にソケットが求められ得る任意のロケーションを監視するカメラからのものとすることができる。車両の存在は、駐車場付近の検出システム、外部システムによって、または車両との通信によって、または本発明にも使用されるカメラを使用することによって、自動的に告知することができる。
【0013】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのカメラパラメータを変更することが、カメラの露光時間を変更することとして実施される。ここで、本出願全体を通して、単一のデジタル画像、デジタル画像の連続、またはデジタル画像のストリームを出力するデジタルカメラに特に言及されることに留意されたい。アナログの写真技術、フィルム技術、またはビデオ技術に由来する用語は、ここでは、それらのデジタルの同等物として解釈することができる。
【0014】
画像を取得するときにカメラが適用する露光時間が長いほど、画像がより「明色」になる。画像内のいくつかの明色のエリアでは、その結果として飽和が生じることがあるが、以前に黒色またはほぼ黒色とみなされていた、より暗色のエリアでは、この結果としてより明色の色調(例えばより明色のグレーの色調)が生じることがある。これらの値は、ソケットの位置および/または方向を決定するのにより良好な情報をもたらすことが分かっている。
【0015】
露光時間を変更することは、一般に、画像を露光過多にすることを含むことができ、画像を露光過多にすることとは、いくつかの(特に明)色が、表示することのできる範囲外に最終的に至る、ということを意味する。
【0016】
さらなる一実施形態では、少なくとも1つのカメラパラメータは、カメラが備える感光セルから到来するアナログ信号の線形増幅利得である。
【0017】
増幅器利得を増大させると、感光セルから到来するアナログ信号が拡大される。その結果、露光時間を増大させることなく、結果として得られる画像がより明色になる。
【0018】
利得の特定の一実施形態は、利得補正の異なる複数のデジタルカメラ画像を提供することと、各画素について、それらの画像のうちの1つの画像の最も適切な対応する画素が選択される結果として得られる1つの画像を形成することである。
【0019】
本発明の別の実施形態では、少なくとも1つのカメラパラメータを変更することが、カメラの絞りのサイズを変更することとして実施される。
【0020】
カメラの絞りのサイズを変更することによって、カメラセンサに当たる光の量を変更することができ、それにより、デジタルカメラの明るさの変化が生じる。このようにして、デジタル画像における、露光時間について既に説明したのと同じ効果を得ることができる。
【0021】
別の実施形態では、少なくとも1つのカメラパラメータを変更することが、デジタル信号が係数ガンマで指数関数的に圧縮または拡張される場合のガンマ補正を実施することによって行われ、ガンマ補正を実施することは、デジタルカメラ記録物をデジタル記憶形式で記憶する前とすることができ、それにより、光に対する感度が非線形に変化する。これを使用して、より明色の色調に比べて、より暗色の色調間の相対的な差に対する感度を増大させることができる。
【0022】
実際のところ、多数のカメラパラメータのバランスが取られ、それらによって、基準特徴を認識するのに最適なデジタルカメラ画像が生み出されるようにする。
【0023】
使用されるカメラパラメータ、およびそれらがどのような値を取るべきかは、反復的に、すなわち取得された画像を解析し、修正された設定を用いて新たな画像を撮影することによって決定することもでき、あるいはそれは、光センサなどの外部センサの入力、一定照明条件に対して較正された値、外部システムからの他の情報、またはそれらの組合せに基づくこともできる。
【0024】
一実施形態では、本発明による方法は、獲得されたカメラ画像内の関心領域を決定することであって、関心領域が、ソケットが検出されるエリアである、決定することを含む。一実施形態では、本発明による方法は、デジタルカメラ画像内の、ソケットの基準特徴のうちの1つまたは複数を含む関心領域を決定することを含む。いくつかの場合には、方法は、デジタルカメラ画像内の関心領域を決定することであって、関心領域が、ソケットが検出されるエリアである、決定することを含み、デジタルカメラパラメータが、前記関心領域からの情報に基づいて設定され、特に、少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、関心領域からの情報に限定される。いくつかの場合には、デジタルカメラ画像を調整することが、画像内の関心領域を調整することに限定される。これにより、変更が関心領域にとって特に有用となる。それに加えて、それにより計算時間が節約され得、その結果として、決定プロセスがより高速になり、その結果として、プラグ差込みシーケンスもより高速になる。いくつかの場合には、少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、ソケットの基準特徴からの情報に限定される。いくつかの場合には、少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、ソケットの実質的に非反射性の領域からの情報に限定される。いくつかの場合には、少なくとも1つのカメラパラメータがそれに基づいて設定される情報が、ソケットの実質的に非導電性の領域からの情報に限定される。ソケットの非導電性の領域は、ソケットの本体と、ソケットの導電性の部分すなわちピンを取り囲むケースとを含む。本発明の文脈では、実質的に非反射性とは、光放射を実質的に反射しない領域を指す。本発明の文脈では、非導電性とは非電気伝導性を指す。
【0025】
この文脈では、関心領域(ROI)は、デジタルカメラ画像内の、充電ソケットの基準特徴を含むエリアと考えられる。デジタルカメラ画像は、充電ソケットの、少なくとも1つの基準特徴、2つ以上の基準特徴、または全ての基準特徴を含むことができる。好ましくは、ROIは、基準特徴の部分とみなされる全ての画素を取り囲む凸包を構成する画素のセットとみなすことができる。
【0026】
好ましい一実施形態では、デジタルカメラ画像を提供するステップが、グレースケール画像または画像のグレースケール表現を提供することを含むことができる。いくつかの場合には、グレースケール画像は、暗色から明色へと大きくなる値を有する、ビット範囲などの表現によって決まる区間上のビット値として表現された画素から成り、所定のターゲット数の画素がターゲットビット値以上のビット値を有するように、少なくとも1つのカメラパラメータが調整される。
【0027】
デジタル画像は、多数の画素を有する。カラー画像では、各画素が3つのビット値によって表現される。赤色、緑色、および青色(RGB)のそれぞれの量または強度や、色相、彩度、および明度/明るさ(HSLおよびHSB)の値など、さまざまな表現が可能である。別法として、グレースケール画像またはカラー画像のグレースケール表現では、画素の明度を表現するために、画素当たり1つのビット値で済む。
【0028】
カラー画像内に含まれる情報は、グレースケール画像内に含まれる情報よりも多いが、単にパターンまたは形状を探すとき、グレースケール画像内の情報で十分である。グレースケール画像の使用には、モデルの複雑さ、したがって複雑なハードウェアおよびソフトウェアの必要性が低減される、という利点がある。とはいえ、場合によっては、本発明の範囲内でカラー画像が利用されてよい。
【0029】
いくつかの場合には、カラー画像は、いくつかの方法を通じてグレースケール画像に変換されてもよい。例えば、RGB値の平均化を使用すること、またはITU-R BT 601もしくはITU-R BT 709勧告における重みを使用してRGB値に重み付けすることである。後者が好ましい。
【0030】
デジタル画像においてホワイトバランスおよび/またはコントラストを解析および調整するとき、さまざまな値を考慮することができる。グレースケールでの記録物のヒストグラムを作成すると、指示的な1つの組合せが視覚化される。このヒストグラムは、グレースケールに沿った画素の分布を示す。
【0031】
2592×1944の8ビット画像では、5038848個の画素がそれぞれ、暗色から明色へと大きくなる0から255までの区間(ビット範囲)上の値を有する。ヒストグラムの横軸は、ビット範囲に沿ったビット値を示し、一方、縦軸は、画素の数を示す。したがって、図上の1点は、所与のビット値を有する画素の数を示す。
【0032】
記録パラメータをそれに基づいて調整することのできる指示的な2つの値は、ビット範囲のパーセンテージとして与えられる少なくともある特定のビット値を有する、画素の総数のパーセンテージとして与えられる画素の数である。
【0033】
通常通りバランスを取られる画像では、その目的はしばしば、画像内のより明色の特徴に適したバランスをもたらすカメラ設定を見いだすことである。当業者なら、その結果を得るために、大きなビット値および低いパーセンテージを選ぶであろう。すなわち、カメラ設定は、少数の画素が比較的高い値を有するように設定されるべきある。典型的な値は、画素の13%が58%以上のビット値を有するべきである、というものである。
【0034】
本発明では、その目的は、より暗色のオブジェクトに適したバランスをもたらすカメラ設定を見いだすことであり、というのも、充電ソケットは、黒色の本体および黒色の穴から成るためである。それに対して、本発明は、少なくとも比較的小さなビット値を有した多数の画素を有する画像を提供することを目的とする。これにより、画像内の最も暗色のオブジェクトに対し、少なくともある特定のビット値を有するように強制し、それにより、より暗色の色調がより良好に区別できるようになる。したがって、充電ソケットの特徴がより容易に検出されることとなる。副作用は、ソケットよりも明色のオブジェクトが露光過多とみなされる可能性がある、というものである。
【0035】
指定のビット値における画素の数は、好ましくは75%を上回り、より好ましくは90%を上回り、最も好ましくは99%を上回るべきである。ビット値は、ビット範囲の、好ましくは6.25%を上回り、より好ましくは12.5%を上回り、最も好ましくは25%を上回るべきである。
【0036】
本発明の別の態様は、特徴が認識可能であるか否かを使用してカメラ設定を調整する、というものである。特徴が認識可能であるためには、特徴を表現する画素間の絶対ビット値の著しい変化があるべきである。すなわち、関心領域内で、ソケットの導電性の部分である画素を除き、最も明色の画素と最も暗色の画素との差は、20よりも大きく、より好ましくは30よりも大きく、または最も好ましくは40よりも大きくあるべきである。
【0037】
ソケットの導電性の部分は、通常は反射性であるので、除外される。本発明の文脈では、それが意味するのは、導電性の部分が通常は露光過多になる、ということである。露光過多になることにより、区別することが困難になる。
【0038】
別法として、特徴の、エッジやラインなどの際立った態様の全体または部分を含む画素のサンプルであって、ソケット上またはソケット内のエリアを表わす、画素のエリアである、サンプルを取得するとき、サンプル内の最も明色の画素と最も暗色の画素との間の絶対ビット値の差は、好ましくは10よりも大きく、より好ましくは20よりも大きく、または最も好ましくは30よりも大きくあるべきである。そのようなエリアは、そのエリア内で基準特徴を検出可能になるようにするのにちょうど十分なサイズを有してよい。そのようなエリアは、例として、1平方mm以上とすることができ、例として3mm×3mm程度とすることができる。
【0039】
本発明による方法は、ソケットの決定された位置および/または方向に基づいて、コネクタの位置および/または方向を制御すること、より具体的には、コネクタをソケットに挿入することをさらに含むことができる。
【0040】
本発明は、電気自動車のソケットの位置および/または方向を決定するための装置であって、カメラと、上述した方法を行うためのプロセッサとを備える、装置にも関する。明らかに、装置は、ソケットにプラグ差込みするためのコネクタをさらに備えることができ、そのコネクタは充電設備に結合することができ、この充電設備もまた、本発明による提案される解決策の一部を成すことができる。
【0041】
そのような装置は、電気車両に充電する目的でコネクタを移動させるための作動機構であって、ソケットの決定された位置および/または方向に基づいて、ソケットの位置および/または方向を制御するように適合された、作動機構をさらに備えることができる。そのような自動プラグ差込みシーケンスを実施するのに非常に適していると分かっている装置については、同出願人の特許出願、具体的には、番号NL2023019、NL2024952、NL2025959、NL2026365、NL2026710、およびNL2028169に記載されている。これらの出願は、参照によりここに組み込まれている。ここに記載された装置は全て、本発明による方法を実施するように構成することができる。
【0042】
本発明について次に、次の図を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】充電接続の確立に関連する特徴を含むソケットの方式を示す図である。
【
図2】画素の13%がビット範囲の少なくとも58%のビット値を有する充電ソケットの画像、および画素の分布を例示するためのヒストグラムを示す図である。
【
図3】画素の50%がビット範囲の少なくとも50%のビット値を有する充電ソケットの画像、および画素の分布を例示するためのヒストグラムを示す図である。
【
図4】画素の75%がビット範囲の少なくとも25%のビット値を有する充電ソケットの画像、および画素の分布を例示するためのヒストグラムを示す図である。
【
図5】画素の99%がビット範囲の少なくとも6.25%のビット値を有する充電ソケットの画像、および画素の分布を例示するためのヒストグラムを示す図である。
【
図6】画素の99%がビット範囲の少なくとも25%のビット値を有する充電ソケットの画像、および画素の分布を例示するためのヒストグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、ソケットの接続機能の部分である基準特徴を含む、充電ソケットの断面図を示す。この特定の場合、特徴認識アルゴリズムにとって認識可能である勾配および急峻な遷移(エッジ)は、正面1、穴2、ピン3、または定められた他の曲線部4の曲線部もしくは隅部を構成することができる。
【0045】
図2は、画像内に明色のオブジェクトと暗色のオブジェクトのどちらもあるときに、従来のターゲット値に達するための設定を使用した結果を示す。
【0046】
図3は、画像内に
図2と同じオブジェクトがある状態で、範囲の中間のターゲット値に達するための設定を使用した結果を示す。
【0047】
図4は、画像内に
図2と同じオブジェクトがある状態で、好ましいターゲットに達するための設定を使用した結果を示す。
【0048】
これらの図を比較すると、従来の平均的な設定は、より明色のオブジェクトの可視性に有利に働き、一方、好ましい設定は、より暗色のオブジェクトの可視性に有利に働くことが分かる。
図2および
図3のヒストグラムでは、これが左側の不均衡なピークとして見られ、一方、
図4のヒストグラムには、右側の不均衡なピークがある。すなわち、従来通りの言い方をすると、
図2および
図3は露光不足であり、一方、
図4は露光過多である。さらに、目視検査により分かるのは、
図2および
図3では、接続機能の基準特徴が認識されないかまたは容易に認識されない、ということである。しかし、
図4では、それらは認識可能である。
【0049】
図5は、好ましいターゲットビット値および最も好ましいターゲット数の画素を取得するようにカメラパラメータを構成した場合の、黒色のオブジェクトのみを有する画像を示す。
【0050】
図6は、最も好ましいターゲットビット値および最も好ましいターゲット数の画素を取得するようにカメラパラメータを構成した場合の、黒色のオブジェクトのみを有する画像を示す。
【0051】
図5と
図6のヒストグラムを比較すると、最も有利なターゲット値では、画素がビット値にわたって、より分散されることが分かる。これは、特徴認識アルゴリズムにとって利用可能なより多くの情報があることを示す。画像およびそれらのヒストグラムから分かるのは、本発明による画像には明確に区別できる特徴があり、一方、それ以外の画像には明確に区別できる特徴がない、ということである。それに加えて、本発明による、より明色のオブジェクトを有する画像は、当該より明色のオブジェクト上で露光過多である。
【国際調査報告】