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特表2025-501922カルチノイド症候群の治療のためのソマトスタチンモジュレータの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】カルチノイド症候群の治療のためのソマトスタチンモジュレータの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4709 20060101AFI20250117BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20250117BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 35/00 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
A61K31/4709
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/34
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/20
A61P1/12
A61P17/00
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538962
(86)(22)【出願日】2023-01-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2023010493
(87)【国際公開番号】W WO2023137018
(87)【国際公開日】2023-07-20
(31)【優先権主張番号】63/298,551
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519006414
【氏名又は名称】クリネティックス ファーマシューティカルズ,インク.
【住所又は居所原語表記】6055 Lusk Blvd. SanDiego, California 92121 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラギャスト,ヒャルマー
(72)【発明者】
【氏名】クラスナー,アラン エス.
(72)【発明者】
【氏名】ユーシスキン,キース エス.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC16
4C076CC26
4C076DD23
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD67
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE38
4C076EE42
4C076GG09
4C076GG12
4C076GG14
4C076GG16
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA72
4C086ZA73
4C086ZB26
(57)【要約】
カルチノイド症候群の治療におけるソマトスタチンモジュレータ3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル、又はその薬学的に許容される塩の使用が本明細書に記載される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有する前記ヒトに、約40mg/日~約160mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与することを含む、方法。
【請求項2】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約110mg/日、又は約120mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する量を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
治療が、約40mg/日又は80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒトにおけるカルチノイド症候群を治療することが、カルチノイド症候群の症状を管理することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記カルチノイド症候群の症状が、下痢の重症度、紅潮エピソードの頻度及び強度、又はそれらの組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記下痢の重症度が、1日当たりの排便の回数、ブリストル便スケールによって測定した水様便の回数、又はその両方を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒトにおけるカルチノイド症候群を治療することが、カルチノイド症候群のブレークスルー症状の頻度を低減させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレークスルー症状が、連続した2日間で≧4回の排便(BM)/日、又は少なくとも1日間で≧3回の紅潮エピソード/日の紅潮頻度を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を経口投与することを含み、
カルチノイド症候群を有する前記ヒトが、治療ナイーブであるか、又は
カルチノイド症候群を有する前記ヒトが、ソマトスタチオンアナログで以前に治療され、ソマトスタチンアノログによる治療が終了し、前記ソマトスタチンアノログが前記ヒトからウォッシュアウトされることを可能にするのに十分な期間が経過しており、
治療が、少なくとも約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、方法。
【請求項10】
カルチノイド症候群を有する前記ヒトが、ソマトスタチンアノログ療法に対して治療ナイーブであり、かつ活動的症候性である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
活動的症候性が、2週間の期間にわたる、少なくとも2日間で≧4回の排便(BM)/日の平均又は≧2回の紅潮エピソードを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ソマトスタチオンアナログで以前に治療された前記ヒトにおける前記カルチノイド症候群が、前記ソマトスタチオンアナログで症候制御された、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
症候制御が、2週間の期間にわたる、1日≦5回の排便(BM)で、<4回のBM/日の平均、及び平均≦2回の紅潮エピソード/日を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ソマトスタチオンアナログが、オクトレオチド、ランレオチド、又はパシレオチドである、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
治療が、約40mg/日又は80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ブレークスルー症状が観察される場合、前記1日用量が、約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量の量だけ増加される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ブレークスルー症状が、連続した2日間で≧4回の排便(BM)/日、又は少なくとも1日間で≧3回の紅潮エピソード/日の紅潮頻度を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有する前記ヒトに、約40mg/日~約80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与することを含み、カルチノイド症候群を治療することが、前記カルチノイド症候群の症状を管理することを含む、方法。
【請求項19】
前記カルチノイド症候群の前記症状を管理することが、1日の排便、下痢のエピソード、便失禁のエピソード、皮膚紅潮、又はそれらの組み合わせの頻度を低減させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カルチノイド症候群の前記症状を管理することが、前記ヒトにおける下痢、紅潮エピソード、又はその両方を治療することを含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記下痢が、重度の下痢である、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記カルチノイド症候群の前記症状を管理することが、前記排便(BM)の回数を、連続した2日間で4回未満のBM/日に低減すること、前記紅潮頻度を、少なくとも1日間で3回未満の紅潮エピソード/日に低減すること、又はその両方を含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mg又は約80mgの化合物A-一塩酸塩に相当する、請求項18~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量による治療中に前記下痢、紅潮エピソード、又はその両方の重症度が前記重症度において減少しない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加され、治療が、約80mg又は約120mgの化合物A-一塩酸塩に相当する化合物A、又はその薬学的に許容される塩の1日量で継続される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
カルチノイド症候群を有するヒトにおける重度の下痢、紅潮エピソード、又はその両方を治療する方法であって、それを必要とする前記ヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩の初期の1日用量を経口投与することを含む、方法。
【請求項28】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記初期の1日用量が、約40mg又は約80mgの化合物A-一塩酸塩に相当する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記初期の1日用量による治療中に重度の下痢、紅潮エピソード、又はその両方の重症度が前記重症度において減少しない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記初期の1日用量が、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の前記初期の1日用量が、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項31】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加され、治療が、約80mg又は約120mgの化合物A-一塩酸塩に相当する化合物A、又はその薬学的に許容される塩の1日量で継続される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項32】
前記重度の下痢の前記重症度が、1日当たりの排便の回数、ブリストル便スケールによって測定した水様便の回数、又はその両方によって測定される、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記紅潮エピソードの前記重症度が、尿中5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)レベル、血漿セロトニンレベル、又はその両方を測定することによって評価される、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有する前記ヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与することを含み、カルチノイド症候群を有するヒトが、ソマトスタチオンアナログで以前に治療され、
治療が、約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、方法。
【請求項35】
カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有する前記ヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩の1日用量を経口投与することを含み、カルチノイド症候群を有するヒトが、ソマトスタチオンアナログで以前に治療され、
治療が、約80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、方法。
【請求項36】
カルチノイド症候群を有する前記ヒトが、ソマトスタチオンアナログに応答し、ソマトスタチオンアナログによる治療に忍容性があった、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
カルチノイド症候群の症状が、オクトレオチド又はランレオチド療法において以前に制御された、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
カルチノイド症候群を有する前記ヒトが、ソマトスタチオンアナログによる治療に対して不応性であり、前記ソマトスタチオンアナログが、オクトレオチド、ランレオチド、又はパシレオチドである、請求項34~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
カルチノイド症候群を治療することが、前記カルチノイド症候群の前記症状を管理することを含む、請求項34~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記カルチノイド症候群の前記症状を管理することが、1日の排便、下痢のエピソード、便失禁のエピソード、皮膚紅潮、又はそれらの組み合わせの頻度を低減させることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記カルチノイド症候群の前記症状を管理することが、前記ヒトにおける下痢、紅潮エピソード、又はその両方を治療することを含む、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記下痢が、重度の下痢である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記下痢の重症度が、1日当たりの排便の回数、ブリストル便スケールによって測定した水様便の回数、又はその両方を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記カルチノイド症候群の前記症状を管理することが、前記排便(BM)の回数を、連続した2日間で4回未満のBM/日に低減すること、前記紅潮頻度を、少なくとも1日間で3回未満の紅潮エピソード/日に低減すること、又はその両方を含む、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量による治療中に前記下痢、紅潮エピソード、又はその両方の重症度が前記重症度において減少しない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される、請求項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される、請求項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加され、治療が、約80mg又は約120mgの化合物A-一塩酸塩に相当する化合物A、又はその薬学的に許容される塩の1日量で継続される、請求項34~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
化合物Aで治療する前の前記ヒトにおける前記血清5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)濃度が、約>280μmol/L超である、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ヒトが、化合物A、又はその薬学的に許容される塩に忍容性がない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩による治療が中止される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記ヒトが、化合物A、又はその薬学的に許容される塩に忍容性がない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が低減される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記ヒトが、化合物A、又はその薬学的に許容される塩に忍容性がない場合、化合物A又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量が、約40mgの化合物A-一塩酸塩に相当する量だけ低減される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩が、その3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩の噴霧乾燥固体分散体と、
1つ以上の追加の薬学的に許容される成分と、
任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む1つ以上の錠剤の形態で投与される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記噴霧乾燥固体分散体が、
(a)その3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩と、
(b)薬学的に許容されるポリマーと、を含み、
その3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩が、前記薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記1つ以上の薬学的に許容される成分が、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される、請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
前記1つ以上の薬学的に許容される成分が、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプンクロスカルメロースナトリウムクロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含む、請求項52~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
各錠剤が、約2重量%~約20重量%のその3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩を含む、請求項52~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
各錠剤が、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、又は約80mgのその3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩を含む、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
各錠剤が、約10mgのその3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩を含む、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
各錠剤が、約20mgのその3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩を含む、請求項52~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記1つ以上の錠剤が、食事の少なくとも30分前に投与される、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記1つ以上の錠剤が、食事の少なくとも60分前に投与される、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記1つ以上の錠剤が、食事の少なくとも30分前に空腹の状態でコップ1杯の水と一緒に投与される、請求項52~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
その3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩のバイオアベイラビリティが、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、又は制酸剤の同時投与による影響を実質的に受けない、請求項52~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩が、上部胃腸(GI)管のpHを変化させる薬物と同時投与されない、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩が前記上部胃腸(GI)管のpHを変化させる薬物と同時投与される場合、投与される化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量の量が増加される、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩の前記1日用量の量が、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する量だけ増加される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
上部胃腸(GI)管のpHを変化させる前記薬物が、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、又は制酸剤を含む、請求項64~66のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2022年1月11日に出願された米国仮特許出願第63/298,551号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
カルチノイド症候群の治療で使用するためのソマトスタチンモジュレータを含む薬学的組成物及び薬剤が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0003】
ソマトスタチンは、内分泌系を調節し、Gタンパク質共役ソマトスタチン受容体との相互作用、及び多数の二次ホルモンの放出の阻害を介して、神経伝達及び細胞増殖に影響を与えるペプチドホルモンである。6つのサブタイプのソマトスタチン受容体タンパク質が特定されており(SSTR1、SSTR2a、SSTR2b、SSTR3、SSTR4、SSTR5)、5つの異なるソマトスタチン受容体遺伝子によってコードされる。特定のサブタイプのソマトスタチン受容体又はそれらの組み合わせの調節は、ソマトスタチン活性を調節することから利益を得るであろう病態、疾患、又は障害の治療には魅力的である。カルチノイド症候群は、通常、高分化NETによって引き起こされ、そのほぼ90%がソマトスタチン受容体(SSTR)を発現する。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、ヒトにおけるカルチノイド症候群の治療における、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)若しくは溶媒和物の使用が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)若しくは溶媒和物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)若しくは溶媒和物は、ヒトにおけるカルチノイド症候群の症状を治療する。
【0005】
一態様では、ヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約40ng/mL、少なくとも約45ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約55ng/mL、又は少なくとも約60ng/mLの化合物Aのトラフ血漿濃度を達成するのに十分な、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量を経口投与することを含む、方法が本明細書に記載される。化合物Aのトラフ血漿濃度が、少なくとも20ng/mL、少なくとも21ng/mL、少なくとも22ng/mL、少なくとも23ng/mL、少なくとも24ng/mL、少なくとも25ng/mL、少なくとも26ng/mL、少なくとも27ng/mL、少なくとも28ng/mL、少なくとも29ng/mL、少なくとも30ng/mL、少なくとも31ng/mL、少なくとも32ng/mL、少なくとも33ng/mL、少なくとも34ng/mL、少なくとも35ng/mL、少なくとも36ng/mL、少なくとも37ng/mL、少なくとも38ng/mL、少なくとも39ng/mL、少なくとも40ng/mL、少なくとも41ng/mL、少なくとも42ng/mL、少なくとも43ng/mL、少なくとも44ng/mL、少なくとも45ng/mL、少なくとも46ng/mL、少なくとも47ng/mL、少なくとも48ng/mL、少なくとも49ng/mL、少なくとも50ng/mL、少なくとも51ng/mL、少なくとも52ng/mL、少なくとも53ng/mL、少なくとも54ng/mL、少なくとも55ng/mL、少なくとも56ng/mL、少なくとも57ng/mL、少なくとも58ng/mL、少なくとも59ng/mL、又は少なくとも60ng/mLである、請求項1に記載の方法。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量は、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約110mg/日、又は約120mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量は、約40mg/日、約80mg/日、又は約120mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。
【0006】
別の態様では、カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)若しくは溶媒和物の初期の1日用量を経口投与することと、ヒトにおける化合物Aの血漿トラフ濃度を決定することと、ヒトが化合物Aの少なくとも閾値トラフ血漿濃度を有しない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量を増加させることと、を含む、方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、化合物Aの閾値トラフ血漿濃度は、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約21ng/mL、少なくとも約22ng/mL、少なくとも約23ng/mL、少なくとも約24ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約26ng/mL、少なくとも約27ng/mL、少なくとも約28ng/mL、少なくとも約29ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約31ng/mL、少なくとも約32ng/mL、少なくとも約33ng/mL、少なくとも約34ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約36ng/mL、少なくとも約37ng/mL、少なくとも約38ng/mL、少なくとも約39ng/mL、少なくとも約40ng/mL、少なくとも約41ng/mL、少なくとも約42ng/mL、少なくとも約43ng/mL、少なくとも約44ng/mL、少なくとも約45ng/mL、少なくとも約46ng/mL、少なくとも約47ng/mL、少なくとも約48ng/mL、少なくとも約49ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約51ng/mL、少なくとも約52ng/mL、少なくとも約53ng/mL、少なくとも約54ng/mL、少なくとも約55ng/mL、少なくとも約56ng/mL、少なくとも約57ng/mL、少なくとも約58ng/mL、少なくとも約59ng/mL、又は少なくとも約60ng/mLである。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量は、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、約110mg/日、又は約120mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する量を含む。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量を増加させることは、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、又は約80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する量だけ1日用量を増加させることを含む。
【0007】
別の態様では、カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、約40mg又は約80mgの化合物A-一塩酸塩に相当する3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量を初期の期間にわたって経口投与することと、初期の期間の間に、カルチノイド症候群の症状の頻度が低減したかどうかを決定することと、初期の期間の間にカルチノイド症候群の症状の頻度が低減した場合、初期の期間の間に投与された化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日量を、同じ化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日量で継続することと、又は初期の期間の間にカルチノイド症候群の症状の頻度が低減しなかった場合、初期の期間の間に投与された化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日量を、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の増分1日量だけ増加させることと、続いて、その後、ヒトに、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の増加した1日量を投与することと、を含む、方法が本明細書に記載される。
【0008】
いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状は、下痢の重症度、紅潮エピソードの頻度及び強度、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、下痢の重症度は、1日当たりの排便の回数、ブリストル便スケールによって測定した水様便の回数、又はその両方を含む。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量は、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量は、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の増加した1日量は、約80mg又は約120mgの化合物A-一塩酸塩に相当する。
【0009】
別の態様では、カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む薬学的組成物を経口投与することを含み、カルチノイド症候群を有するヒトが、治療ナイーブであるか、又はカルチノイド症候群を有するヒトが、ソマトスタチオンアナログで以前に治療され、ソマトスタチンアノログによる治療が終了し、ソマトスタチンアノログがヒトからウォッシュアウトされることを可能にするのに十分な期間が経過しており、治療が、少なくとも約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、方法が本明細書に記載される。
【0010】
いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群を有するヒトは、ソマトスタチンアノログ療法に対して治療ナイーブであり、活動的症候性である。いくつかの実施形態では、活動的症候性は、2週間の期間にわたる、少なくとも2日間で≧4回の排便(BM)/日の平均又は≧2回の紅潮エピソードを含む。いくつかの実施形態では、ソマトスタチオンアナログで以前に治療されたヒトにおけるカルチノイド症候群が、ソマトスタチオンアナログで症候制御された。いくつかの実施形態では、症候制御が、2週間の期間にわたる、1日≦5回の排便(BM)で、<4のBM/日の平均、及び平均≦2の紅潮エピソード/日を含む。いくつかの実施形態では、ソマトスタチオンアナログは、オクトレオチド、ランレオチド、又はパシレオチドである。いくつかの実施形態では、治療は、約40mg/日又は80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される。いくつかの実施形態では、ブレークスルー症状が観察される場合、1日用量は、約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量の量だけ増加される。いくつかの実施形態では、ブレークスルー症状は、連続した2日間で≧4回の排便(BM)/日、又は少なくとも1日間で≧3回の紅潮エピソード/日の紅潮頻度を含む。
【0011】
別の態様では、カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量を経口投与することを含み、カルチノイド症候群を治療することが、カルチノイド症候群の症状を管理することを含む、方法が本明細書に記載される。
【0012】
いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状を管理することは、1日の排便、下痢のエピソード、便失禁のエピソード、皮膚紅潮、又はそれらの組み合わせの頻度を低減させることを含む。いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状を管理することは、ヒトにおける下痢、紅潮エピソード、又はその両方を治療することを含む。いくつかの実施形態では、下痢は、重度の下痢である。いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状を管理することは、排便(BM)の回数を、連続した2日間で4回未満のBM/日に低減すること、紅潮頻度を、少なくとも1日間で3回未満の紅潮エピソード/日に低減すること、又はその両方を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量は、約40mg又は約80mgの化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量による治療中に下痢、紅潮エピソード、又はその両方の重症度が減少しない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量が、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量は、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩の1日用量は、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加され、治療が、約80mg又は約120mgの化合物A-一塩酸塩に相当する化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日量で継続される。
【0014】
別の態様では、カルチノイド症候群を有するヒトにおける重度の下痢、紅潮エピソード、又はその両方を治療する方法であって、それを必要とするヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量を経口投与することを含む、方法が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量は、約40mg又は約80mgの化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量による治療中に重度の下痢、紅潮エピソード、又はその両方の重症度が重症度において減少しない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量は、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の初期の1日用量は、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量は、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加され、治療が、約80mg又は約120mgの化合物A-一塩酸塩に相当する化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日量で継続される。
【0015】
いくつかの実施形態では、重度の下痢の重症度は、1日当たりの排便の回数、ブリストル便スケールによって測定した水様便の回数、又はその両方によって測定される。いくつかの実施形態では、紅潮エピソードの重症度は、尿中5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)レベル、血漿セロトニンレベル、又はその両方を測定することによって評価される。
【0016】
別の態様では、カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量を経口投与することを含み、カルチノイド症候群を有するヒトが、ソマトスタチオンアナログで以前に治療され、治療が、約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、方法が本明細書に記載される。
【0017】
別の態様では、カルチノイド症候群を有するヒトにおけるカルチノイド症候群を治療する方法であって、カルチノイド症候群を有するヒトに、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル(化合物A)、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量を経口投与することを含み、カルチノイド症候群を有するヒトが、ソマトスタチオンアナログで以前に治療され、治療が、約80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する1日用量で開始される、方法が本明細書に記載される。
【0018】
いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群を有するヒトは、ソマトスタチオンアナログに応答し、かつソマトスタチオンアナログによる治療を許容した。いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状は、オクトレオチド又はランレオチドのデポ単独療法において以前に制御された。いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群を有するヒトは、ソマトスタチオンアナログによる治療に対して不応性である。いくつかの実施形態では、ソマトスタチオンアナログは、オクトレオチド、ランレオチド、又はパシレオチドである。
【0019】
いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群を治療することは、カルチノイド症候群の症状を管理することを含む。いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状を管理することは、1日の排便、下痢のエピソード、便失禁のエピソード、皮膚紅潮、又はそれらの組み合わせの頻度を低減させることを含む。いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状を管理することは、ヒトにおける下痢、紅潮エピソード、又はその両方を治療することを含む。いくつかの実施形態では、下痢は、重度の下痢である。いくつかの実施形態では、下痢の重症度は、1日当たりの排便の回数、ブリストル便スケールによって測定した水様便の回数、又はその両方を含む。いくつかの実施形態では、カルチノイド症候群の症状を管理することは、排便(BM)の回数を、連続した2日間で4回未満のBM/日に低減すること、紅潮頻度を、少なくとも1日間で3回未満の紅潮エピソード/日に低減すること、又はその両方を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量による治療中に下痢、紅潮エピソード、又はその両方の重症度が減少しない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量が、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。
【0021】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量は、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩の1日用量は、約40mg/日に相当する増分1日用量だけ増加され、治療が、約80mg又は約120mgの化合物A-一塩酸塩に相当する化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日量で継続される。
【0022】
いくつかの実施形態では、ヒトにおける神経内分泌腫瘍(NET)は、グレード1又はグレード2である。いくつかの実施形態では、ヒトにおける神経内分泌腫瘍(NET)は、陽性SSTR腫瘍状態を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、化合物Aで治療する前のヒトにおける血清5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)濃度は、約>280μmol/L超である。
【0024】
いくつかの実施形態では、ヒトが化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に忍容性がない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物による治療が中止される。
【0025】
いくつかの実施形態では、ヒトが化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物に忍容性がない場合、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量が低減される。いくつかの実施形態では、ヒトが化合物A、又はその薬学的に許容される塩に忍容性がない場合、化合物A又はその薬学的に許容される塩の1日用量が、約40mgの化合物A-一塩酸塩に相当する量だけ低減される。
【0026】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、その3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩の噴霧乾燥固体分散体と、1つ以上の追加の薬学的に許容される成分と、任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む1つ以上の錠剤の形態で投与される。
【0027】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、(a)3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物と、(b)薬学的に許容されるポリマーとを含み、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散される。
【0028】
いくつかの実施形態では、1つ以上の薬学的に許容される成分は、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の薬学的に許容される成分は、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプンクロスカルメロースナトリウムクロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、コロイド状二酸化ケイ素、又はステアリン酸マグネシウムを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、各錠剤は、約2重量%~約20重量%のその3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、各錠剤は、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14%重量%、又は約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、各錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約35重量%のポリマーマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、各錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックス中に分散した約2重量%~約15重量%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物を含み、ポリマーマトリックス中の分散された3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物は、約20重量%~約35重量%の錠剤と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される約40重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、である。いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した約20重量%~約40%の3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物の噴霧乾燥分散体と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の崩壊補助剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、本噴霧乾燥分散体は、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85~約35/65である。
【0032】
いくつかの実施形態では、各錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物の約20重量%~約35%の噴霧乾燥分散体であって、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85~約35/65である、噴霧乾燥分散体と、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、各錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩又はその溶媒和物の約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の噴霧乾燥分散体であって、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85又は約35/65である、噴霧乾燥分散体と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の崩壊補助剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、本錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックスに分散した、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩又はその溶媒和物の約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の噴霧乾燥分散体であって、3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルモ一塩酸塩、又はその溶媒和物と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)又はポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)のポリマーマトリックスとの比が、約15/85又は約35/65である、噴霧乾燥分散体と、微結晶性セルロース、マンニトール、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、塩化ナトリウム、1:1の塩化ナトリウム:塩化カリウム、二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムからなる群から選択される約60重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、各錠剤は、約10mg、約20mg、約40mg、約60mg、又は約80mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、各錠剤は、約10mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、各錠剤は、約20mgの3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つ以上の錠剤は、食事の少なくとも30分前に投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の錠剤は、食事の少なくとも60分前に投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の錠剤は、食事の少なくとも30分前に空腹の状態でコップ1杯の水と一緒に投与される。
【0037】
いくつかの実施形態では、その3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩、又はその溶媒和物のバイオアベイラビリティは、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、又は制酸剤の同時投与による影響を実質的に受けない。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物は、上部胃腸(GI)管のpHを変化させる薬物と同時投与されない。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物が上部胃腸(GI)管のpHを変化させる薬物と同時投与される場合、投与される化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量の量が増加される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の1日用量の量は、約10mg/日、約20mg/日、約30mg/日、又は約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する量だけ増加される。いくつかの実施形態では、上部胃腸(GI)管のpHを変化させる薬物は、プロトンポンプ阻害剤、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、又は制酸剤を含む。
【0038】
本明細書に記載される化合物、方法、及び組成物の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の精神及び範囲内の様々な変更及び修正は、この詳細な説明から当業者に明白になるため、詳細な説明及び特定の実施例は、特定の実施形態を示すが、例示としてのみ与えられることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】化合物A-HClのHMGカプセル製剤又はSDD錠剤製剤を投与したヒトにおいて観察された用量比例性を示す。
図2】ペンタガストリン前処理を伴うか又は伴わない、イヌにおける化合物A-HClのHMGカプセル製剤及びSDD錠剤製剤の性能を示す。
図3】アクロバットエッジ(Acrobat Edge)臨床試験の一次分析集団で観察されたホルモンレベルを示す。
図4】アクロバットエッジ及びエボルブ(Evolve)臨床試験で観察された用量応答の証拠を示す。
図5】治療効果に必要な推定トラフ血漿パルツソチン(paltusotine)濃度、及びSDD錠剤製剤に予測される用量比例効果の予測を示す。
図6】PPIを服用していない先端巨大症患者の予測されたトラフ血漿パルツソチン濃度、及び40mgのHMGカプセル製剤(投与後2時間絶食)にある先端巨大症患者のトラフ血漿パルツソチン濃度と比較した、60mgのSDD錠剤(投与後1時間絶食)にあるPPIを服用している先端巨大症患者の予測されたトラフ血漿パルツソチン濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ソマトトロピン放出抑制因子(SRIF)としても既知のソマトスタチン(SST)は当初、ヒツジの視床下部からの14のアミノ酸ペプチドとして単離された(Brazeau et al.,Science 179,77-79,1973)。14のアミノ酸ソマトスタチンに類似する生物学的活性を有するN末端が延長された28のアミノ酸ペプチドを、その後単離させた(Pradayrol et,al.,FEBS Letters,109,55-58,1980、Esch et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U S A,77,6827-6831,1980)。SSTは、他の神経ペプチド、神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン、及び成長因子に応答していくつかの細胞型によって産生された調節ペプチドである。SSTは、その標的細胞に影響を与えるために内分泌経路とパラクリン経路との両方を介して作用する。これらの効果の多くは、他のホルモン、最も顕著には成長ホルモン(GH)の分泌の阻害に関連する。SSTは、中枢神経系(CNS)及び腸内の様々な細胞型によって産生され、成長ホルモン(GH)、インスリン、グルカゴン、及び抗増殖性である他の多くのホルモンの分泌の調節を含む複数の機能を有する。
【0041】
ソマトスタチンのこれらの多面的な作用は、6つのソマトスタチン受容体タンパク質(SSTR1、SSTR2a、SSTR2b、SSTR3、SSTR4、SSTR5)によって媒介される。6つのソマトスタチン受容体タンパク質は、5つの異なるソマトスタチン受容体遺伝子によってコードされる(Reisine and Bell,Endocr Rev.16,427-442,1995、Patel and Srikant,Trends Endocrinol Metab 8,398-405,1997)。全ての受容体は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーのクラスAのサブグループのメンバーである。SST2A受容体は、ヒトの腫瘍中で最も広範に発現されるサブタイプであり、GH分泌が抑制される優性受容体である。特に明記しない限り、SSTR2という用語は、SSTR2aを意味する。
【0042】
ソマトスタチン受容体サブタイプのうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを選択的に調節することが可能である。いくつかの実施形態では、他のソマトスタチン受容体サブタイプに対してソマトスタチン受容体サブタイプのうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを選択的に調節することは、様々な臨床用途において有用である。いくつかの実施形態では、他のソマトスタチン受容体サブタイプに対してソマトスタチン受容体サブタイプのうちのいずれか1つを選択的に調節することは、様々な臨床用途における望ましくない副作用を低減させる。
【0043】
例えば、SSTR2活性の調節は、下垂体前葉からの成長ホルモン(GH)放出、及び膵臓からのグルカゴン放出の阻害を媒介する。SSTR2はまた、これらに限定されないが、細胞増殖、侵害受容、炎症、及び血管新生などの他の多くの生物学的機能に関与している。いくつかの実施形態では、選択的SSTR2モジュレータは、先端巨大症、腸神経内分泌腫瘍、疼痛、神経障害、腎症、及び炎症、並びに異常な血管成長から生じる網膜症の治療に使用される。
【0044】
いくつかの実施形態では、SSTR3アゴニストは、インスリン分泌を阻害する。いくつかの実施形態では、SSTR4アゴニストは、抗炎症効果及び抗侵害受容効果を示す。いくつかの実施形態では、SSTR5アゴニストは、インスリン分泌を阻害する。加えて、SSTR5は、成長ホルモンの放出を調節することにも関与している。
【0045】
いくつかの実施形態では、ソマトスタチンモジュレータ3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩(化合物A)は、広範囲の治療用途にわたって有用性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレータは、限定されないが、先端巨大症、神経内分泌腫瘍、網膜症及び他の眼障害、神経障害、腎症、呼吸器疾患、がん、疼痛、神経変性疾患、炎症性疾患、並びに精神障害及び神経変性障害などの様々な疾患又は状態の治療に使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレータは、哺乳動物における先端巨大症、神経内分泌腫瘍、又は両方の治療において使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレータは、哺乳動物における先端巨大症の治療において使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるソマトスタチン受容体モジュレータは、神経内分泌腫瘍の治療において使用される。
【0046】
化合物3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩(化合物A)、又はその溶媒和物は、ソマトスタチンモジュレータによる治療を必要とする哺乳動物への経口投与に適している選択的非ペプチドSST2バイアスアゴニストである。いくつかの実施形態では、ソマトスタチンモジュレータによる治療を必要とする哺乳動物は、神経内分泌腫瘍(NET)と診断を受けている。いくつかの実施形態では、ソマトスタチンモジュレータによる治療を必要とする哺乳動物は、高分化NETと診断を受けている。いくつかの実施形態では、ソマトスタチンモジュレータによる治療を必要とする哺乳動物は、カルチノイド症候群と診断を受けている。
【0047】
神経内分泌腫瘍(NET)は、神経系及びホルモン産生細胞の両方の特性を有する腸クロム親和性細胞から生じる腫瘍の不均一な群である。NETは、主に、発現部位、グレード、及びステージ、並びに機能状態によって特徴付けられる。ほとんどのNETは胃腸(GI)管に見られるが、NETは、肺を含む他の部位に生じる場合がある。GI管内で、最も一般的な部位は、小腸、直腸、及び結腸であり、続いて、膵臓、胃、及び虫垂である。
【0048】
高分化NETは、一般に、臨床医及び患者によって一般的に使用される用語である「カルチノイド腫瘍」と称される。腫瘍特性評価及び病期分類への様々なアプローチを統一することで報告におけるより大きな国際的な一貫性を可能にするために、「カルチノイド腫瘍」を認識しないThe World Health Organization(WHO)の分類システムが開発された。
【0049】
神経内分泌腫瘍(NET)のグレーディングスキームは、有糸分裂数、細胞増殖に関連付けられる核タンパク質Ki-67のレベル、及び壊死の評価を使用する。WHO及びEuropean Neuroendocrine Tumor Society(ENETS)はともに、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)の分類のために、有糸分裂数及びKi-67増殖を組み込む。
【0050】
腫瘍は、以下の3つのグレードのうちの1つに分類される。
●G1:高分化ヒストロジー、低グレード
●G2:高分化ヒストロジー、中間グレード
●G3:低分化ヒストロジー、高グレード
【0051】
NETの病期分類は、同じオリジン部位を有するより一般的ながんのAmerican Joint Committee on Cancerの病期分類からであるが、他の病期分類システムも使用される。
【0052】
神経内分泌腫瘍は、機能的又は非機能的であり得、各々が異なる臨床プロファイルを有する。機能性NETは、それらが分泌する生物学的に活性な化合物によって引き起こされる症状によって特徴付けられる。神経内分泌腫瘍は、特徴的な症状に関与するペプチド及びホルモンを産生する。高分化NETの既知の生成物としては、アミン(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン(5-HTP)、ノルエピネフリン、ドーパミン、ヒスタミン)、ポリペプチド(例えば、カリクレイン、膵臓ポリペプチド、ブラジキニン、モチリン、ソマトスタチン、血管作用性小腸ペプチド、ニューロペプチドK、物質P、ニューロキニンA及びB)、並びにプロスタグランジン(例えば、プロスタグランジンE及びF)が挙げられる。
【0053】
機能性非膵臓NETは、過剰なセロトニン及び他のホルモン活性生成物(ヒスタミン、タキキニン、カリクレイン、及びプロスタグランジンを含む)を放出し、カルチノイド症候群(Vinik A、Hughes M、Feliberti E、et al.Carcinoid Tumors)Endotext[Internet].Copyright(著作権)MDText.com,Inc;2000~2021。2018)と総称される症状をもたらす。これらの症状は、最も一般的には、皮膚紅潮(85%で見られる)、及び再発性の水様下痢、及びけいれん(75%~85%で見られる)を含む。カルチノイド症候群は、血清セロトニン又はセロトニン代謝産物5ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)の上昇の文書によって生化学的に確認される。
【0054】
非機能性NETは、異常なホルモン分泌と関連付けられず、検出が困難であり、しばしば進行段階において二次的な非特異的症状を示す。非機能性小腸NETを有する患者の最大50%~75%が、診断時に転移性疾患を呈する。
【0055】
CSを有するほとんどの患者は、ほとんどの患者における外科治癒を非常に困難にする肝転移を伴う腸NETを有する。
【0056】
CSの下痢を有する患者は、1日に複数回の水様軟便を経験し、時にはかなりの緊急性を伴い、管理が非常に困難な場合がある。CSに加えて、NETを有する患者は、下痢の他の原因を有する場合がある。場所に応じて、NETは、過敏性腸症候群、クローン病、消化性潰瘍疾患、胃炎、他の消化器疾患、喘息、又は肺炎などの一般的な病態と同様の症状を引き起こし得る。これらの理由から、NETは進行段階で初めて診断されることが多く、よく誤診される。診断は、組織病理学、イメージング、及び循環バイオマーカーに基づく。
【0057】
カルチノイド症候群バイオマーカーとしては、血漿5-HIAA及びパンクレアスタチン、血清クロモグラニンA、及びセロトニンが挙げられる。パンクレアスタチンは、神経内分泌腫瘍の疾患状態バイオマーカーであり、単独で、又は血漿5HIAA、クロモグラニンA及びセロトニンレベルと組み合わせて、カルチノイド症候群対象におけるパルツソチンの効果の探索的評価に使用することができる。
【0058】
CSの症状は非特異的であることが多いため、診断の遅れがよくある。早期に検出されると、NETは手術で治癒し得ることが多いが、残念ながら、多くは術後5~10年以下で最終的に再発することが多い。ほとんどのNETは、進行性転移性疾患と診断されるが、その時点で外科治癒は不可能であり、治療は症状管理に焦点が置かれる。
【0059】
排便、下痢、便失禁、及び皮膚紅潮頻度の増加は、生活の質(QoL)の低下と相関する。非NETがん集団及び集団標準と比較して、NETを有する患者は、うつ病及び認知障害、全体的な身体機能の低下、睡眠障害、疲労、及び不安を高い割合で有する。
【0060】
下痢は、身体的、感情的、及び社会的な健康に対して特に顕著な悪影響を有する。個々の日常活動及び生産性を改善するための介入は、健康関連のQoLを改善し、NETを有する患者のストレスを軽減し得る。
【0061】
カルチノイド症候群の下痢は、主にセロトニンの腫瘍分泌の結果である。健康な個体では、セロトニンは主にGI管内に見出され、そのほとんどは、NETの細胞源である腸クロム親和性細胞によって分泌される。循環セロトニンは、GI管のみに由来し、正常な腸機能の重要な構成成分である。過剰なセロトニンは、蠕動を増加させ、水分及び電解質の吸収が低下して下痢につながる。CSを有する患者は、セロトニン血漿レベルの有意な増加を示し、その結果、水溶性尿代謝産物5-HIAAのレベルの増加を示す。5-HIAAのレベルの低下に反映されるセロトニン産生の低減は、CSの下痢の改善と関連付けられる。
【0062】
CSに関連付けられた下痢は、最初の1回又は2回の排便後に水様である傾向があり、排便の頻度は1日に2~5回から20回を超えることがあり、これは非常に衰弱させ、QoLに有害となり得る。皮膚顔面紅潮と関連付けられる水様下痢の存在(特にセロトニン血中レベルの上昇の証拠と関連付けられる場合)、及び悪性腫瘍の証拠となるX線像は、常にほとんどの場合CSの下痢の診断である。
【0063】
下痢は、排便の頻度の増加又は便の一貫性の低下であり、水様軟便の排出を引き起こすと説明される。下痢の重症度は、一定期間内に通過した便の大きさ及び数によって決定される。
【0064】
重度の下痢は、1日(24時間)に10回超の水様便を有することを意味する。中等度の下痢は、1日に数回、ただし10回以下の下痢便を有することを意味する。軽度の下痢は、1日に数回の下痢便を有することを意味する。
【0065】
いくつかの実施形態では、臨床症状の改善は、ブリストル便スケールによる便の一貫性のベースラインからの変化として測定される。ブリストル便スケールは、水っぽさの増加に応じて糞便を1~7の尺度で分類するように設計された医療補助手段である。
【0066】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-HCl)は、CSを有するヒトにおける生活の質(QoL)を改善するために使用される。いくつかの実施形態では、QoLの改善は、CSに関連付けられたホルモン過剰の症状を管理することを含む。いくつかの実施形態では、QoLの改善は、排便の頻度を減少させること、下痢の頻度を減少させること、便失禁の頻度を減少させること、皮膚紅潮の頻度を減少させること、又はそれらの組み合わせを含む。
【0067】
CSを引き起こす高分化NETのほぼ90%がソマトスタチン受容体(SSTR)を発現し、カルチノイド症候群を有する患者の80%がオクトレオチドに応答する。オクトレオチドの優勢な標的は、ソマトスタチン2型受容体(SST2)である。したがって、ソマトスタチン受容体イメージングは、CT又はMRIで視覚化されないNETを局在化し、腫瘍負荷の全身画像を提供し、SRLによる治療前のソマトスタチン受容体の腫瘍発現を文書化するのに有用であり得る。現在、小さな腫瘍の検出のための増加した空間分解能及び感度のために、111インペンテトレオチドイメージングと比較して、CTと組み合わせたSSTRイメージング(例えば、68Ga-Dotatate及び68Ga-Dotatoc、並びに64Cu-Dotatate)のための陽電子放射断層撮像装置(PET)トレーサーが好ましい。
【0068】
長時間作用型ソマトスタチン受容体リガンド(SRL)療法は、カルチノイド症候群の主要な治療であるが、標識された用量でのカルチノイド症候群の症状の緩和は、多くの患者にとって不適切である。長時間作用型SRL療法はまた、非機能性、転移性、良好又は中程度に分化した腸膵NETを有する患者における無増悪生存期間の延長の有効性を実証している。長時間作用型SRL療法は、注射技術に関連する用量曝露変動性に対する顕著な用量曝露変動性と関連付けられ得る。例えば、MD Anderson Cancer Centerの看護師は、コンピュータ断層撮影によって評価した場合、328のオクトレオチド長時間作用性反復(LAR)デポ注射の52%のみを筋肉内空間に首尾よく送達した(Boyd AE、DeFord LL、Mares JE,et al.Improving the success rate of gluteal intramuscular injections.Pancreas.2013;42(5):878-882。長時間作用型SRL療法、特にオクトレオチドLARの慢性注射による、注射部位の痛み又は痛みを含む負の経験は、カルチノイド症候群を有する患者においても特定されている(Adams JR,Ray D,Willmon R,Pulgar S,Dasari A.Living With Neuroendocrine Tumors:Assessment of Quality of Life Through a Mobile Application.JCO Clin Cancer Inform.2019;3:1-10)。
【0069】
選択的ソマトスタチンアナログ(SSA)による療法開始後に進行する下痢はよくあり、不完全に制御されたCSに起因することが最も一般的である。そのような状況では、下痢は、治療の開始前の下痢の特徴を保持するが、それほど頻繁には生じない。
【0070】
CSの管理及び制御のためにUS Food and Drug Administration(FDA)によって承認されたSSAの使用は、下痢の悪化に寄与し得る。SSAの慢性使用のより一般的な有害反応の1つは、脂肪便であり、ランレオチド(用量関連)については26%~65%、オクトレオチドについては36%~61%の頻度である。SSAに関連付けられた脂肪便は、膵臓からの食事刺激された消化酵素の阻害から生じる。
【0071】
SSAの使用にもかかわらず、患者は、治療に対して不応性になり、症状の進行を経験し得る。不応性CSの臨床診療において使用される治療選択肢としては、SSA用量の漸増、インターフェロン、並びに外科的、塞栓性、及び放射線療法が挙げられる。これらの治療戦略にもかかわらず、患者は、CSの下痢症状の進行を経験し続け、1日4回以上の排便を有し続ける可能性が高い。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩は、CSを有するヒトにおけるCSの治療に使用され、CSを有するヒトは、ソマトスタチンアナログ(SSA)による治療に対して不応性である。
【0072】
化合物Aなどの毎日の経口治療は、カルチノイド症候群の症状を引き起こす血管作用物質の最も一般的な供給源である肝臓におけるより高い薬物濃度を達成し得る。化合物A、経口投与された非ペプチドソマトスタチン2型受容体(SST2)アゴニストは、治療成績を改善する可能性を有し、痛みを伴う注射を排除しながら、症状制御を達成する。
【0073】
化合物Aは、本明細書に記載される治療方法において有用であるソマトスタチンモジュレータである。
【0074】
化合物A
本明細書で使用される場合、化合物Aは、以下に示される化学構造を有する、3-(4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル)-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリルを指す。
【0075】
【化1】
【0076】
化合物Aは、「パルツソチン」としても既知である。他の名称が化合物Aに既知又は与えられてもよい。
【0077】
化合物Aは、選択的非ペプチドSST2バイアスアゴニストである。臨床研究では、化合物Aは、約70%の推定バイオアベイラビリティ及び約42~約50時間の観察された半減期を有することが示された。いくつかの実施形態では、化合物Aは、先端巨大症、神経内分泌腫瘍、又は両方を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、化合物Aは、先端巨大症を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、化合物Aは、神経内分泌腫瘍を治療するために使用される。
【0078】
いくつかの実施形態では、化合物Aの遊離塩基形態は、本明細書に記載される製剤に組み込まれる。いくつかの実施形態では、化合物Aは、薬学的に許容される塩として本明細書に記載される製剤に組み込まれる。いくつかの実施形態では、化合物Aは、薬学的に許容される溶媒和物として本明細書に記載される製剤に組み込まれる。
【0079】
本明細書で使用される「薬学的に許容される」は、担体又は希釈剤などの材料を指し、これは、化合物の生物学的活性又は特性を抑止せず、比較的無毒であり、すなわち、材料は望ましくない生物学的効果を引き起こさずに、又は材料を含有する組成物の構成成分のいずれかと有害な様式で相互作用せずに、個体に投与される。
【0080】
「薬学的に許容される塩」という用語は、好適なアニオンと組み合わせた治療的に活性な薬剤のカチオン形態、又は代替的な実施形態では、好適なカチオンと組み合わせた治療的に活性な薬剤のアニオン形態からなる、治療的に活性な薬剤の形態を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use.International Union of Pure and Applied Chemistry,Wiley-VCH 2002。S.M.Berge,L.D.Bighley,D.C.Monkhouse,J.Pharm.Sci.1977,66,1-19。P.H.Stahl and C.G.Wermuth,editors,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,Weinheim/Zurich:Wiley-VCH/VHCA,2002。薬学的な塩は典型的に、非イオン性種よりも溶解性であり、かつ胃液及び腸液中でより急速に溶解性であり、したがって固体の剤形において有用である。更に、それらの溶解度がしばしばpHの関数であるため、消化管の1つの部分又は別の部分における選択的溶解が可能であり、この能力は、遅延放出及び持続放出の挙動の一態様として操作され得る。また、塩成形分子が中性形態と平衡になり得るため、生体膜の通過を調整することができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容される塩は、本明細書に開示される化合物を酸と反応させることによって得られる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物(すなわち、遊離塩基形態)は、塩基性であり、有機酸又は無機酸と反応する。無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、及びメタリン酸が含まれるが、これらに限定されない。有機酸には、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、及びウンデシレン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの実施形態では、化合物Aは、化合物A塩酸塩及び化合物Aメタンスルホン酸から選択される薬学的に許容される塩形態として、本明細書に記載される製剤に組み込まれる。いくつかの実施形態では、化合物A塩形態は、化合物A一塩酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物A塩形態は、化合物A二塩酸塩である。いくつかの実施形態では、化合物A塩形態は、化合物Aモノメタンスルホン酸である。いくつかの実施形態では、化合物A塩形態は、化合物Aジメタンスルホン酸である。
【0083】
一態様では、化合物A一塩酸塩(化合物A-HCl)は、本明細書に記載される薬学的組成物に組み込まれる。3-[4-(4-アミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-キノリン-6-イル]-2-ヒドロキシ-ベンゾニトリル一塩酸塩及びパルツソチン一塩酸塩としても既知の化合物A一塩酸塩(化合物A-HCl)は、以下の構造を有する。
【0084】
【化2】
【0085】
いくつかの実施形態では、化合物A塩形態は、非晶質である。いくつかの実施形態では、化合物A一塩酸塩は、非晶質である
【0086】
いくつかの実施形態では、化合物A塩形態は、結晶性である。いくつかの実施形態では、化合物A一塩酸塩は、結晶性である。
【0087】
薬学的に許容される塩への言及が、溶媒付加形態を含むことが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、溶媒和物は、化学量論的又は非化学量論的量のいずれかの溶媒を含有し、例えば水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を用いる結晶化のプロセス中に形成される。溶媒が水であるときに水和物が形成され、あるいは溶媒がアルコールであるときにアルコラートが形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセス中に便利に調製又は形成される。加えて、本明細書で提供される化合物は、任意選択で、非溶媒和及び溶媒和形態で存在する。
【0088】
ヒトなどの哺乳動物に投与可能な治療剤は、規制ガイドラインに従って調製しなければならない。そのような政府規制ガイドラインは、製造管理及び品質管理に関する基準(Good Manufacturing Practice)(GMP)と称される。GMPガイドラインは、例えば、最終製品中の残留溶媒の量などの活性治療剤の許容可能な汚染レベルを概説する。好ましい溶媒は、GMP施設での使用に好適であり、産業安全上の懸念と合致する溶媒である。溶媒のカテゴリーは、例えば、International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use(ICH),“Impurities:Guidelines for Residual Solvents,Q3C(R3),(2005年11月)に定義されている。
【0089】
溶媒は、3つのクラスに分類される。クラス1の溶媒は、毒性であり、回避すべきものである。クラス2の溶媒は、治療剤の製造中に使用が制限される溶媒である。クラス3の溶媒は、毒性の可能性が低く、ヒトの健康に対するリスクがより低い溶媒である。クラス3の溶媒についてのデータは、急性又は短期の研究で毒性が低く、遺伝毒性研究で陰性であることを示す。
【0090】
回避すべきクラス1の溶媒には、ベンゼン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエテン、及び1,1,1-トリクロロエタンが含まれる。
【0091】
クラス2の溶媒の例は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N-メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、及びキシレンである。
【0092】
低毒性を保有するクラス3の溶媒には、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、及びテトラヒドロフランが含まれる。
【0093】
医薬品有効成分(API)中の残留溶媒は、APIの製造に由来する。ほとんどの場合、溶媒は、実用的な製造技法によって完全には除去されない。APIの合成のための溶媒の適切な選択は、収率を増強するか、又は結晶形態、純度、及び溶解度などの特性を決定することができる。したがって、溶媒は合成プロセスにおいて重要なパラメータである。
【0094】
いくつかの実施形態では、化合物A-HClを含む組成物は、残留量の有機溶媒を含む。いくつかの実施形態では、化合物A-HClを含む組成物は、残留量のクラス2又はクラス3の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、化合物A-HClを含む組成物は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、tert-ブチルメチルエーテル、ヘプタン、イソプロパノール、メタノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、2-メチルテトラヒドロフラン、トルエン、及びエタノールから選択される残留量の溶媒を含む。
【0095】
特に明記しない限り、本出願で使用される以下の用語は、以下に示される定義を有する。「含む(including)」という用語、並びに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(included)」などの他の形態の使用は、限定されない。本明細書で使用されるセクション見出しは、整理の目的のみのものであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0096】
本明細書で使用される「調節する」という用語は、標的の活性を変化させるように、標的を直接的又は間接的に相互作用させることを意味し、これには、単なる例として、標的の活性を増強すること、標的の活性を阻害すること、標的の活性を制限すること、又は標的の活性を延長することが含まれる。
【0097】
本明細書で使用される「モジュレータ」という用語は、標的と直接的又は間接的に相互作用させる分子を指す。相互作用には、アゴニスト、部分アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、デグレーダ、又はそれらの組み合わせの相互作用が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、モジュレータは、アゴニストである。
【0098】
「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、本明細書で使用される場合、生物学的作用の所望の部位への化合物又は組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口投与経路を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物及び方法とともに用いることができる投与技術に精通している。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物及び組成物は、経口投与される。
【0099】
「同時投与」などの用語は、本明細書で使用される場合、選択された治療剤の単一の患者への投与を包含することを意味し、薬剤が同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる時間で投与される、治療レジメンを含むことが意図される。
【0100】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指し、これは、治療される疾患又は病態の症状のうちの1つ以上をある程度緩和する。その結果は、疾患の徴候、症状、又は原因の低減及び/又は軽減、又は生体系の任意の他の所望の変化を含む。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患症状の臨床的に顕著な減少をもたらすために必要な、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々の症例における適切な「有効」量は、任意選択で、用量漸増研究などの技術を使用して決定される。
【0101】
本明細書で使用される「増強する」又は「増強すること」という用語は、所望の効果の効力又は持続時間のいずれかを増加又は延長することを意味する。したがって、治療剤の効果を増強することに関して、「増強すること」という用語は、システムに対する他の治療剤の効果を、効力又は持続時間のいずれかで増加又は延長する能力を指す。本明細書で使用される「増強する有効量」は、所望のシステムにおける別の治療剤の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0102】
本明細書で使用される「薬学的組み合わせ」という用語は、2つ以上の活性成分の混合又は組み合わせから生じる生成物を意味し、活性成分の固定した組み合わせ及び非固定の組み合わせの両方を含む。「固定した組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び補助剤の両方が、単一の実体又は投与量の形態で同時に患者に投与されることを意味する。「非固定の組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば、本明細書に開示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び補助剤が、具体的な干渉する時間制限なしで、同時、同時発生的又は経時的のいずれかで、別個の実体として患者に投与されることを意味し、そのような投与は、患者の体内に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3つ以上の活性成分の投与にも適用される。
【0103】
「製品」及び「キット」という用語は、同義語として使用される。
【0104】
「対象」又は「患者」という用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人猿及びサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜(farm)動物;ウサギ、イヌ、及びネコなどの家畜(domestic)動物;ラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などが含まれるが、これらに限定されない。一態様では、哺乳動物は、ヒトである。
【0105】
「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」、又は「治療(treatment)」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患又は病態の少なくとも1つの症状を緩和、軽減、又は改善すること、追加の症状を予防すること、疾患又は病態を阻害すること、例えば、疾患又は病態の進行を妨げること、疾患又は病態を軽減すること、疾患又は病態の退行を引き起こすこと、疾患又は病態によって引き起こされた病態を軽減すること、あるいは予防的及び/又は治療的のいずれかで疾患又は病態の症状を停止することを含む。
【0106】
薬学的組成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、薬学的組成物に製剤化される。薬学的組成物は、薬学的に使用される調製物への活性化合物の処理を容易にする1つ以上の薬学的に許容される不活性成分を使用して、従来の方法で製剤化される。適切な製剤は、選択された投与経路に依存する。本明細書に記載される薬学的組成物の概要は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,Pa.:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania 1975、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker,New York,N.Y.,1980、及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)に見出され、そのような開示のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、単独で、又は薬学的に許容される担体、賦形剤、若しくは希釈剤と組み合わせて、薬学的組成物中で投与される。本明細書に記載される化合物及び組成物の投与は、化合物を作用部位に送達することを可能にする任意の方法によって行うことができる。これらの方法には、限定されないが、経腸経路(経口を含む)投与を介する送達が含まれるが、最も好適な経路は、例えば、レシピエントの病態及び障害に依存し得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、経口投与に好適な薬学的組成物は、各々が所定量の活性成分を含有するカプセル若しくは錠剤などの別個の単位として、又は粉末若しくは顆粒として提示される。
【0109】
経口で使用することができる薬学的組成物には、錠剤、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル剤、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤で作られた密封軟カプセル剤が含まれる。錠剤は、圧縮又は成形によって、任意選択で、1つ以上の副成分を用いて作製することができる。圧縮錠剤は、任意選択で、結合剤、不活性希釈剤、又は潤沢剤、表面活性剤又は分散剤と混合された粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を好適な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を好適な機械で成形することによって作製することができる。いくつかの実施形態では、錠剤は、コーティング又はスコアリングされ、その中の活性成分の持続又は制御放出を提供するように製剤化される。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与に好適な投与量でなければならない。プッシュフィットカプセルは、活性成分を、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの潤沢剤、並びに任意選択で、安定剤との混合物中に含有することができる。軟カプセルでは、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解又は懸濁されてもよい。いくつかの実施形態では、安定剤が添加される。糖衣剤の芯には、好適なコーティングが提供される。この目的には、濃厚な糖溶液を使用することができ、その濃厚な糖溶液は、任意選択で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、並びに好適な有機溶媒又は溶媒混合物を含有することができる。特定のために、又は活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染料又は色素を錠剤に添加してもよい。
【0110】
固体経口剤形を製造するための従来技法には、(1)乾式混合、(2)直接圧縮、(3)粉砕、(4)乾式若しくは非水造粒、又は(5)湿式造粒の方法のうちの1つ又は組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。例えば、Lachman et al.,The Theory and Practice of Industrial Pharmacy(1986)を参照されたい。他の方法には、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶融造粒、造粒、流動化床噴霧乾燥又はコーティング(例えば、ワースターコーティング)、接線コーティング、トップスプレー、打錠、押出などが含まれる。
【0111】
特に上記の成分に加えて、本明細書に記載される化合物及び組成物は、問題になっている製剤の種類を考慮して、当該技術分野で従来の他の薬剤を含み得、例えば、経口投与に好適なものは、香料剤を含み得ることが理解されるべきである。
【0112】
化合物A、又はその薬学的に許容される塩を含む錠剤が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックス中に分散された化合物A-HCl又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、及び1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、(a)化合物A-HCl又はその溶媒和物、及び(b)薬学的に許容されるポリマーを含む噴霧乾燥固体分散体が本明細書に記載され、化合物A-HCl又はその溶媒和物は、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックス中に分散される。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される噴霧乾燥固体分散体で調製した錠剤が、本明細書に記載される。
【0115】
噴霧乾燥固体分散体(SDD)
大部分の小分子薬物についての非晶質状態は、熱力学的に不安定であり、ガラス転移温度(Tg)が十分に高くない限り、動力学的にも不安定である。しかしながら、非晶質状態は、賦形剤マトリックス中の薬物の希釈によって安定化させることができる。非晶質分子が高Tgのマトリックス中に分散している場合、低分子移動度は、保管時の相分離に必要な分子移動度を阻害する拡散バリアを提供する。薬物が豊富なドメインへの相分離は、結晶核を形成し、最終的には広範囲の結晶化の前駆体であり、その結果、溶解度の利点が失われる。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体の調製に使用するための薬学的に許容されるポリマーは、高いTgを有するポリマーである。医薬品有効成分(API)及び賦形剤が、固体状態で互いに熱力学的に混和性ではない場合、噴霧乾燥分散体(SDD)は、吸着水を含む混合物の得られるTgが典型的な保管条件よりも少なくとも10℃~20℃高いように製剤化される。更に、非吸湿性ポリマー又は包装形状のいずれかの選択を通して、保管中の水分取り込みに関して考慮しなければならず、これは、吸着水が分散体を可塑化し、Tgを低下させるためである。
【0116】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される噴霧乾燥固体分散体中の化合物A-HCl又はその溶媒和物は、実質的に非晶質である。
【0117】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、アルキルエーテル、アルキルエステル、フタレートエステルの任意の組み合わせで任意選択で官能化されたセルロース、ビニルアルコール、ビニルアセテート、プロピレングリコール、ピロリドン、ビニルピロリドン、オキシエチレン、オキシプロピレン、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチレングリコール、エチレングリコールグリセリド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、2-エチル-2-オキサゾリン、マレイン酸、メチルビニルエーテル、ビニルカプロラクタム、又はそれらの組み合わせのポリマーを含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールポリビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)、ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート(HPMCP)、メタクリル酸とメチルメタクリレートとのコポリマー、モノ、ジ、及びトリグリセリドと、ポリエチレングリコールのモノ及びジエステルとで構成されるポリエチレングリコールグリセリド、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレンオキシドブロックとプロピレンオキシドブロックとのコポリマー、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(マレイン酸/メチルビニルエーテル)、ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセテート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、エチレンオキシド/プロピレンオキシドテトラ官能性ブロックコポリマー、d-アルファトコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、又はそれらの組み合わせである。
【0119】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥分散体は、分散ポリマーを更に含む。分散ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒプロメロースアセテートスクシネート(ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;HPMCAS、例えば、HPMCAS-H、HPMCAS-L、又はHPMCAS-M)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースアセテート、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールポリビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマー、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドンポリビニルアセテートコポリマー(PVP/VA)、ポリエチレンポリビニルアルコールコポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0120】
HPMCASは、ヒドロキシル上に半ランダムに置換された4種類の置換基:メトキシ、ヒドロキシプロピルオキシ、アセテート、及びスクシネートを有するセルロース系ポリマーである。ポリマーは、HPMCAS分子中のアセチル基及びスクシノイル基の含有量(重量%)に基づいて、3つのグレード:L、M、及びHで利用可能である。グレードL:5~9重量%のアセテート、14~18重量%のスクシネート、20~24重量%のメトキシ、5~9重量%のヒドロキシプロピルオキシ。グレードM:7~11重量%のアセテート、10~14重量%のスクシネート、21~25重量%のメトキシ、5~9重量%のヒドロキシプロピルオキシ。グレードH:10~14重量%のアセテート、4~8重量%のスクシネート、22~26重量%のメトキシ、6~10重量%のヒドロキシプロピルオキシ。
【0121】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、PVP/VA64、PVP30、HPMCAS-L、HPMCAS-M、HPMCAS-H、Eudragit L100-55、ポリ(メタクリル酸-コ-メチルメタクリレート)(PMMAMA、又は商標Eudragit L100)、Eudragit EPO、HPMC E15、HPMC E3、HPMC E5、HPMCP-HP55、及びSoluplusから選択される。
【0122】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、PVP/VA64及びHPMCAS-Mから選択される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、PVP/VA64である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーは、HPMCAS-Mである。
【0123】
いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:10~約10:1である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:1~約1:10である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:3~約1:8である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:4~約1:7である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:4~約1:6である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:5~約1:6である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:10である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:9である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:8である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:7である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:6である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:5である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:4である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:3である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:2である。いくつかの実施形態では、分散ポリマーに対する化合物A-HCl又はその溶媒和物の重量比は、約1:1である。
【0124】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも5重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも10重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも15重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも20重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、少なくとも25重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。%量は、遊離塩基、すなわち、化合物Aに基づいて計算される。
【0125】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、又は約25重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、約20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、又は約35重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約15%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約35%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。%量は、遊離塩基、すなわち、化合物Aに基づいて計算される。
【0126】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約5重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約6重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約7重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約8重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約9重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約10重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約11重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約12重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約13重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約14重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約15重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約16重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約17重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約18重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約19重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約20重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約21重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約22重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約23重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約24重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約25重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約26重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約27重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約28重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約29重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約30重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約31重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約32重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約33重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約34重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、約35重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。%量は、遊離塩基、すなわち、化合物Aに基づいて計算される。
【0127】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、非水性溶媒は、検出可能な量で存在する。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、非水性溶媒を含まない。
【0128】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、tert-ブタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトン、酢酸エチル、アセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、及びそれらの混合物からなる群から選択される非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、メタノール、アセトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される非水性溶媒を更に含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体は、メタノールを更に含む。
【0129】
錠剤
一態様では、錠剤であって、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックス中に分散された化合物A-HCl、又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、及び1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む、錠剤が本明細書に記載される。
【0130】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容されるポリマーから形成されるポリマーマトリックス中に分散された化合物A-HCl又はその溶媒和物は、本明細書に記載される噴霧乾燥固体分散体である。
【0131】
いくつかの実施形態では、錠剤は、約2重量%~約20重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、約2重量%~約15重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約20重量%~約35重量%のポリマーマトリックスを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックス中に分散された、約2重量%~約10重量%の化合物A-HCl又はその溶媒和物を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、錠剤は、薬学的に許容されるポリマーから形成される約10重量%~約30重量%のポリマーマトリックス中に分散された、約2重量%~約10重量%の化合物A-HCl、又はその溶媒和物と、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の流動促進剤からなる群から選択される約40重量%~約80重量%の1つ以上の薬学的に許容される成分と、任意選択で、約5重量%未満の1つ以上のフィルムコーティング剤と、を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体に加えて、錠剤中の追加の賦形剤は、1つ以上の希釈剤、1つ以上の崩壊剤、1つ以上の潤沢剤、1つ以上の流動促進剤、又はそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、噴霧乾燥固体分散体に加えて、錠剤中の追加の賦形剤は、微結晶性セルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤を含む。充填剤/結合剤/希釈剤は、セルロース(微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、及びメチルセルロースなど)、デンプン、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロース、マンニトール、及びラクトースなど)、天然及び合成ガム(アカシア、アルギン酸ナトリウム、パンワーガム(panwar gum)、及びガティガムなど)、ポリビニルピロリジノン、ポリエチレングリコール、ワックス、並びにそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、錠剤は、微結晶性セルロース及びマンニトールを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、総錠剤重量の約20重量%~約80重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、総錠剤重量の約40重量%~約65重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、総錠剤重量の約50重量%~約65重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、総錠剤重量の約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、又は約70重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤は、総錠剤重量の約58重量%を占める。いくつかの実施形態では、総錠剤重量の70重量%未満、65重量%未満、60重量%未満、55重量%未満、又は50重量%未満が、1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤を含む。いくつかの実施形態では、総錠剤重量の60重量%未満が、1つ以上の充填剤/結合剤/希釈剤を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の崩壊剤を含む。崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコール酸ナトリウムデンプン、ビーガムHV、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、セルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、錠剤は、クロスポビドンを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、総錠剤重量の約2重量%~約30重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、総錠剤重量の約5重量%~約20重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、総錠剤重量の約10重量%~約20重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、総錠剤重量の約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の崩壊剤は、総錠剤重量の約15重量%を占める。いくつかの実施形態では、総錠剤重量の20重量%未満が1つ以上の崩壊剤を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の潤沢剤を含む。潤沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、水素添加植物油、ポリエチレングリコール、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、錠剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.1重量%~約5重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.1重量%~約2重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.1重量%~約1重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、又は約1重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.5重量%を占める。いくつかの実施形態では、総錠剤重量の2重量%未満が1つ以上の潤沢剤を含む。いくつかの実施形態では、総錠剤重量の1重量%未満が1つ以上の潤沢剤を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、錠剤は、1つ以上の流動促進剤を含む。流動促進剤は、粉末に、その流動性を改善するために添加される物質である。流動促進剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、デンプン、及びタルクが含まれる。いくつかの実施形態では、錠剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.1重量%~約5重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.1重量%~約2重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.5重量%~約1.5重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、又は約2重量%を占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤中の1つ以上の潤沢剤は、総錠剤重量の約1重量%を占める。いくつかの実施形態では、総錠剤重量の2重量%未満が1つ以上の潤沢剤を含む。いくつかの実施形態では、総錠剤重量の1.5重量%未満が1つ以上の潤沢剤を含む。
【0144】
追加の賦形剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤は、緩衝剤、流動促進剤、防腐剤、及び着色剤を含むが、これらに限定されない、追加の賦形剤を含む。増量剤、等張剤、及びキレート剤などの追加の賦形剤は、実施形態の範囲内にある。
【0145】
緩衝剤の非限定的な例には、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、マグネシウムグルコメート(magnesium glucomate)、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/重炭酸ナトリウム共沈殿物、アミノ酸と緩衝液との混合物、アルミニウムグリシネートと緩衝液との混合物、アミノ酸の酸塩と緩衝液との混合物、及びアミノ酸のアルカリ塩と緩衝液との混合物が含まれるが、これらに限定されない。追加の緩衝剤には、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、酢酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、及び他のカルシウム塩が含まれる。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤は、防腐剤を含む。防腐剤には、抗菌剤、抗酸化剤、及び無菌性を増強する薬剤が含まれる。例示的な防腐剤には、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、BHA、BHT、クエン酸、エリソルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、パラベン(メチル-、エチル-、ブチル-)、安息香酸、ソルビン酸カリウム、バニリンなどが含まれる。
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される錠剤は、結果として得られる液体形態の同一性及び/又は審美的目的のための着色剤を含む。好適な着色剤には、例示的に、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD&C Red No.40、FD&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green No.5、D&C Orange No.5、カラメル、酸化第二鉄、及びそれらの混合物が含まれる。
【0148】
追加の賦形剤は、錠剤の実施形態で企図される。これらの追加の賦形剤は、機能、及び本明細書に記載される錠剤組成物との適合性に基づいて選択され、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Ed(Easton,PA:Mack Publishing Company,1995)、Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,(Easton,PA:Mack Publishing Co 1975)、Liberman,H.A.and Lachman,L.,Eds.,Pharmaceutical Dosage Forms(New York,NY:Marcel Decker 1980)、及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,Seventh Ed(Lippincott Williams & Wilkins 1999)に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0149】
更なる実施形態では、本明細書に記載される錠剤は、腸溶コーティング錠剤、糖コーティング錠剤、又はフィルムコーティング錠剤などのコーティング錠剤である。
【0150】
一実施形態では、個々の単位投与量はまた、経口摂取時又は希釈剤との接触時に崩壊するフィルムコーティングを含む。一実施形態では、これらの製剤は、従来の技法によって製造される。
【0151】
圧縮錠剤は、上記のバルクブレンド製剤を圧縮することによって調製される固体剤形である。様々な実施形態では、口内で溶解するように設計される圧縮錠剤は、1つ以上の香味剤を含むであろう。他の実施形態では、圧縮錠剤は、最終圧縮錠剤を取り囲むフィルムを含むであろう。いくつかの実施形態では、フィルムコーティングは、患者コンプライアンスを助ける(例えば、Opadry(登録商標)コーティング又は糖コーティング)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的には、錠剤重量の約1%~約5%の範囲である。他の実施形態では、圧縮錠剤は、1つ以上の賦形剤を含む。
【0152】
活性成分(例えば、化合物A-HCl)と、錠剤コアを形成し、その後コアをコーティングするための1つ以上の打錠賦形剤との組み合わせを含む、フィルムコーティング錠剤形態が本明細書に提供される。錠剤コアは、従来の打錠プロセスを使用して生成され、その後、圧縮及びコーティングが行われる。
【0153】
腸溶コーティングは、胃酸の作用には抵抗性であるが、腸内では溶解又は崩壊するコーティングである。
【0154】
一態様では、本明細書に開示される経口固体剤形は、腸溶コーティングを含む。腸溶コーティングには、以下:セルロースアセテートフタレート;メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー;セルロースアセテートスクシネート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(ヒプロメロースアセテートスクシネート);ポリビニルアセテートフタレート(PVAP);メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー;メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテート(並びにそのスクシネート及びフタレートバージョン);スチロールマレイン酸コポリマー;ポリメタクリル酸/アクリル酸コポリマー;ヒドロキシエチルエチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;セルロースアセテートテトラヒドロフタレート;アクリル樹脂;シェラックのうちの1つ以上が含まれる。
【0155】
腸溶コーティングは、錠剤、丸剤、カプセル、ペレット、ビーズ、顆粒、粒子などにコーティングを施すことで、それが小腸に到達するまで溶解しないようにするものである。
【0156】
糖コーティング錠剤は、糖コーティングで取り囲まれた圧縮錠剤であり、この糖コーティングは、不快な味又は臭気を覆い隠し、錠剤を酸化から保護するのに有益であり得る。
【0157】
フィルムコーティング錠剤は、水溶性材料の薄層又はフィルムで覆われた圧縮錠剤である。フィルムコーティングには、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール4000、及びセルロースアセテートフタレートが含まれるが、これらに限定されない。フィルムコーティングは、糖コーティングと同じ一般特性を付与する。複数の圧縮錠剤は、層状錠剤、及びプレスコーティング又は乾燥コーティングされた錠剤を含む、2回以上の圧縮サイクルによって作製される圧縮錠剤である。いくつかの実施形態では、錠剤は、高速の活性放出のための即時の分解を可能にする、水溶性のpH非依存性フィルムコーティング(例えば、Opadry製品)でコーティングされる。
【0158】
錠剤中の投与量
いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約5mg~約100mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約5mg~約80mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約5mg~約60mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約10mg~約40mgである。
【0159】
いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約10mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約20mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約30mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約40mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約50mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約60mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約70mgである。いくつかの実施形態では、錠剤中の化合物A-HCl又はその溶媒和物の量は、約80mgである。
【0160】
投与の方法及び治療レジメン
一実施形態では、本明細書に開示される薬学的組成物は、哺乳動物におけるカルチノイド症候群の治療のための薬剤として使用される。哺乳動物におけるカルチノイド症候群を治療するための方法は、当該哺乳動物に、化合物A、又はその薬学的に許容される塩を含む薬学的組成物を治療有効量で投与することを伴う。
【0161】
長時間作用型ソマトスタチン受容体リグンド(LA-SRL)は、先端巨大症及びカルチノイド症候群(CS)を含む神経内分泌腫瘍(NET)症候群の第一選択療法である。先端巨大症の治療において、2つの第2相研究は、SRLで治療された患者が、化合物Aの1日1回の投与に切り替えることができることを示唆した(Acrombat EDGE(NCT03789656及びAcrobat EVOLVE(NCT03792555)を参照されたい)。健康なボランティアでのEDGE、エボルブからの、及び第1相における用量及び曝露応答データは、1日1回の40mg~60mgの用量範囲が先端巨大症を有する患者において一貫したIGF-1抑制をもたらすことを示唆する。
【0162】
先端巨大症患者のための化合物Aの有効な用量とは対照的に、CS患者は、CSに関連付けられる吸収不良、及びCSと先端巨大症患者との間の化合物Aのクリアランス及び分布体積の潜在的な差異に起因して、より高い用量を必要とし得る。加えて、化合物Aの薬物動態(クリアランス及び分布体積)は、代謝活性に影響を及ぼす肝臓及び体組成の違いのために、カルチノイド症候群の対象では、先端巨大症と比較して異なる場合がある。
【0163】
カルチノイド症候群に対する承認された長時間作用型SRL療法の開始用量は、先端巨大症に対する開始用量と同じかそれ以上である(Sandostatin LAR Prescribing Information,2021;Somatuline Prescribing Information,2018)。40mgの化合物A-モノ-HClに相当する開始用量は、先端巨大症を有する対象の研究においてこの用量が良好に許容されているため、カルチノイド症候群を有する対象のための十分に許容された開始用量であると予想される。
【0164】
一般に、成人のヒトにおけるCSの治療に用いられる用量は、典型的には、化合物Aの1日当たり約40mg~約120mgの範囲である。一実施形態では、所望の用量は、単回用量で、又は同時に、若しくは適切な間隔で、例えば、1日当たり2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量として投与される分割用量で、都合よく提示される。
【0165】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、1日2回投与される。
【0166】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、連続的な投与スケジュールでヒトに経口投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、連続的な毎日の投与スケジュールでヒトに投与される。
【0167】
「連続的な投与スケジュール」という用語は、特定の治療剤を定期的に投与することを指す。いくつかの実施形態では、連続的な投与スケジュールは、特定の治療剤からいかなる休薬期間もなく、特定の治療剤を定期的に投与することを指す。いくつかの他の実施形態では、連続的な投与スケジュールは、サイクルでの特定の治療剤の投与を指す。いくつかの他の実施形態では、連続的な投与スケジュールは、薬物投与のサイクルにおける特定の治療剤の投与に続いて、特定の治療剤からの休薬期間(例えば、薬物が投与されないウォッシュアウト期間又は他のそのような期間)を指す。例えば、いくつかの実施形態では、治療剤は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、週に7回、1日おき、3日おき、4日おき、1週間毎日投与され、続いて1週間にわたって治療剤を投与されず、2週間毎日投与され、続いて1週間又は2週間にわたって治療剤を投与されず、3週間毎日投与され、続いて1週間、2週間、又は3週間にわたって治療剤を投与されず、4週間毎日投与され、続いて1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって治療剤を投与されず、毎週治療剤を投与され、続いて1週間治療剤を投与されず、又は隔週治療剤を投与され、続いて2週間治療剤を投与されない。いくつかの実施形態では、毎日の投与は、1日1回である。いくつかの実施形態では、毎日の投与は、1日2回である。いくつかの実施形態では、毎日の投与は、1日3回である。
【0168】
「連続的な毎日の投与スケジュール」という用語は、毎日ほぼ同じ時間に特定の治療剤を毎日投与することを指す。いくつかの実施形態では、毎日の投与は、1日1回である。
【0169】
ヒトにおける疾患又は病態の状態における改善が観察されないある特定の実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の1日用量が増加される。いくつかの実施形態では、投与の頻度は、より定期的に繰り返し高いCmaxレベルを提供するために増加される(例えば、1日1回の投与スケジュールは、1日2回の投与スケジュールに変更される)。いくつかの実施形態では、投与の頻度は、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)への維持される、又はより規則的な曝露を提供するために増加される。いくつかの実施形態では、投与の頻度は、より定期的に繰り返し高いCmaxレベルを提供するために、かつ化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)への維持される、又はより規則的な曝露を提供するために増加される。
【0170】
一般に、CSを有するヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約20mg/日~約160mg/日、又は約40mg/日~約1200mg/日の範囲内であろう。他の実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約20mg/日、約30mg/日、約40mg/日、約50mg/日、約60mg/日、約70mg/日、約80mg/日、約90mg/日、約100mg/日、又は約110mg/日、約120mg/日、約130mg/日、約140mg/日、約150mg/日、又は約160mg/日であろう。他の実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約40mg/日であろう。他の実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約50mg/日であろう。他の実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約60mg/日であろう。他の実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約70mg/日であろう。他の実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約80mg/日であろう。いくつかの実施形態では、投与量は、1日当たり1回投与される。いくつかの実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約90mg/日であろう。いくつかの実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約100mg/日であろう。いくつかの実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約110mg/日であろう。いくつかの実施形態では、ヒトへの投与のための化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の好適な用量は、約120mg/日であろう。いくつかの実施形態では、上述の量は、化合物A-一塩酸塩の量を指す。
【0171】
いくつかの実施形態では、剤形における1日投与量又は活性剤の量は、個々の治療レジームに関していくつかの変数に基づいて、本明細書に示される範囲よりも低いか、又は高い。様々な実施形態では、1日及び単位投与量は、治療される疾患又は病態、投与様式、個々の対象の要件、治療される疾患又は病態の重症度、ヒトの同一性(例えば、体重)、及び投与される特定の追加の治療剤(該当する場合)、並びに医師の判断を含むが、これらに限定されない、いくつかの変数に応じて変化する。
【0172】
カルチノイド症候群の症状に基づく治療
臨床診療では、CSの治療のための主な治療目標は、排便の頻度、下痢、大便失禁、及び皮膚紅潮などのホルモン過剰の症状を管理することを含む。いくつかの実施形態では、治療目標は、1日の排便、下痢のエピソード、便失禁のエピソード、皮膚紅潮、又はそれらの組み合わせの頻度の低減である。
【0173】
ソマトスタチンは、ホルモンの分泌及びNETの増殖を阻害する。したがって、代謝的に安定したSSAは、その複数のホルモンの分泌の阻害及び疾患進行率の低減のために、NETを有する患者の治療の基礎である。ガイドラインは、CSを有する患者における初期の第一選択治療としてSSA(オクトレオチド又はランレオチド)の使用を推奨しており、長時間作用型及び短時間作用型SSAの両方が症状を効果的に制御するという証拠がある。重度の症状を有する患者の中には、長時間作用型製剤の効果が完全に有効になるまで、短時間作用型オクトレオチドの最初の同時使用が必要になる場合がある。
【0174】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、滴定スケジュールを介して投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の投与に関連付けられる有害事象を最小限に抑えるために、滴定スケジュールを介して投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)による滴定は、対象が、化合物A、若しくはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)を許容すること、化合物A、若しくはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の投与に関連付けられる有害事象を最小限に抑えること、最適化された用量の化合物A、若しくはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)が、対象に投与され、許容されるであろう可能性を最大限にすること、又はそれらの組み合わせを可能にする。いくつかの実施形態では、滴定は、上方滴定を含む。いくつかの実施形態では、CSの1つ以上の症状を管理するためには、上方滴定が必要である。
【0175】
化合物Aによる上方滴定の可能性は、多施設のレトロスペクティブチャートレビューに基づいており、最も一般的なオクトレオチドLARデポの初期用量(4週間毎に40mg~60mg)を、その後4週間毎に最大160mgまで漸増させた(Strosberg JR et al.,Clinical benefits of above-standard dose of octreotide LAR in pateitns with neuroendocrine tumors for control of carcinoid syndrome symptoms:a multicenter retrospective chart study.The Oncologist.2014、19:930~936)。
【0176】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)による治療は、滴定を必要としない。
【0177】
本明細書で使用される場合、対象は、その対象へのその用量の投与が許容できない有害事象又は有害事象の許容できない組み合わせをもたらさない場合、ある用量の化合物を「許容する」と言われている。当業者は、許容が主観的尺度であり、1人の患者に許容可能であり得るものが異なる患者に許容可能であり得ないことを理解するであろう。例えば、1人の対象は、頭痛を許容することができない場合があり、これに対して第2の対象は、軽度の頭痛に許容可能であるが、中等度の頭痛を許容することができない場合があり、これに対して第3の対象は、中等度の頭痛を許容することができるが、重度の頭痛を許容することができない。いくつかの実施形態では、患者は、注射部位の拒絶反応に起因して、注射可能なソマトスタチンアナログによる治療を許容することができない。
【0178】
本明細書で使用される場合、「有害事象」は、化合物A、又はその薬学的に許容される塩による治療に関連付けられる有害な医学的発生である。いくつかの実施形態では、有害事象は、頭痛、疲労、下痢、疼痛、又はそれらの組み合わせである。
【0179】
本明細書で使用される場合、「最適化された用量」は、特定の対象の必要性に最適化された治療用量を指し、任意選択で、対象の医療従事者と協議して、対象によって決定されるように、化合物Aの必要とされる用量に相当し、求められており、対象によって許容され得る対象における生物学的又は医薬的応答を誘発する、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の最も高い用量である。
【0180】
本明細書で使用される場合、化合物の「上方滴定」は、対象が増加した量を許容しなくなるまで化合物の量を増加させることを指す。上方滴定は、1つ以上の用量増分で達成することができ、これは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)を、初期の用量で1日1回、初期の期間にわたって投与し、続いて、その後1日1回、より高い用量の化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)に上方滴定することを含む。いくつかの実施形態では、初期の期間は、1日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、又は約12週間を含む。いくつかの実施形態では、このサイクルは、最適化された用量が達成されるまで繰り返される。
【0181】
いくつかの実施形態では、滴定の方法は、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)を、初期の用量で1日1回、約1週間、約2週間、約3週間、又は約4週間投与し、続いて、その後1日1回、より高い用量の化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)に上方滴定することを含む。いくつかの実施形態では、このサイクルは、最適化された用量が達成されるまで繰り返される。いくつかの実施形態では、用量調整は、毎週、2週間毎、3週間毎、又は4週間毎に行われる。いくつかの実施形態では、一貫したCS症状の管理を達成するために、用量調整が行われる及び/又は繰り返される。
【0182】
いくつかの実施形態では、滴定の方法は、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)を、初期の用量で1日1回、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、又は約8週間投与し、続いて、その後1日1回、より高い用量の化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)に上方滴定することを含む。いくつかの実施形態では、このサイクルは、最適化された用量が達成されるまで繰り返される。いくつかの実施形態では、本方法は、1日1回40mgの化合物A-一塩酸塩を一定期間投与し、続いてその後1日1回、約80mgの化合物A-一塩酸塩に上方滴定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、40mgの化合物A-一塩酸塩を、1日1回、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、又は約8週間投与し、続いて、その後1日1回、約80mgの化合物A-一塩酸塩に上方滴定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、1日1回80mgの化合物A-一塩酸塩を一定期間投与し、続いてその後1日1回、約120mgの化合物A-一塩酸塩に上方滴定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、80mgの化合物A-一塩酸塩を、1日1回、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、又は約8週間投与し、続いて、その後1日1回、約120mgの化合物A-一塩酸塩に上方滴定することを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、滴定の方法は、上方滴定、又は下方滴定、続いて、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)の任意の再上方滴定を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、滴定スケジュールは、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)を、初期の用量で約1週間、2週間、3週間、又は4週間投与することと、患者が初期の用量を許容することを条件に、用量を増分値に等しい量だけ増加させることと、を含む。いくつかの実施形態では、1日用量を増加させるための増分値は、約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。
【0185】
いくつかの実施形態では、初期の用量は、約40mg又は約80mgの化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、初期の用量は、約40mgの化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、初期の用量は、約80mgの化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、初期の1日用量においてCS症状が不適切に管理される場合に化合物A-一塩酸塩の1日用量を40mgだけ増加することは、不適切である。
【0186】
いくつかの実施形態では、滴定スケジュールは、化合物A、又はその薬学的に許容される塩を、増加した用量で約1週間、2週間、3週間、又は4週間投与することと、患者が増加した用量を許容することを条件に、用量を増分値だけ更に増加させることと、を更に含む。いくつかの実施形態では、1日用量を増加させるための増分値は、約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。
【0187】
いくつかの実施形態では、滴定スケジュールは、最適化された用量が得られるまで繰り返される。最適化された用量は、化合物A治療による副作用を最小限に抑えながら治療の有効性を提供する。
【0188】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)による治療は、滴定を必要としない。いくつかの実施形態では、最適化された用量は、滴定なしで投与される。
【0189】
いくつかの実施形態では、最適化された用量は、約40mg/日~約160mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、最適化された用量は、約40mg/日、約60mg/日、約80mg/日、約100mg/日、約120mg/日、約140mg/日、又は約160mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、最適化された用量は、約40mg/日、約80mg/日、約120mg/日、又は約160mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、最適化された用量は、約40mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、最適化された用量は、約80mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、最適化された用量は、約120mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。いくつかの実施形態では、最適化された用量は、約160mg/日の化合物A-一塩酸塩に相当する。
【0190】
LA-SRLで以前に治療された先端巨大症患者の第2相臨床試験では、化合物A-一塩酸塩の用量の関数としての定常状態IGF-1変化の評価は、1日当たり10及び20mgがベースラインを上回るIGF-1レベルをもたらしたことを示し、ベースラインは、最後のLA-SRL注射で測定されたIGF-1であった。化合物A-一塩酸塩への切り替えは、最後のLA-SRL注射の4週間後に生じた。30/日及び40mg/日の用量は、ベースラインからほぼゼロの変化をもたらし、30/日及び40mg/日の用量が、IGF-1の抑制において注射されたLA-SRLによる以前の単独療法と等しく有効であったことを示した。
【0191】
これらの先端巨大症研究における化合物Aのウォッシュアウト中のIGF-1の上昇の大きさを評価する際に、用量応答関係が観察された。曝露応答モデリングは、最大の薬理学的応答の80%(EC80)が達成される化合物A濃度を推定した。いくつかの実施形態では、約30mg/日~約60mg/日の化合物A-一塩酸塩の量で本明細書に記載されるSDD錠剤を投与することは、EC80を超える1日のトラフ濃度を提供し、先端巨大症を有する患者において一貫したIGF-1抑制をもたらす。
【0192】
いくつかの実施形態では、CS患者における長時間作用型SRLの治療効果と同等の治療効果を提供するのに必要な化合物Aのトラフ濃度は、約20ng/mL~約150ng/mLである。いくつかの実施形態では、CS患者における長時間作用型SRLの治療効果と同等の治療効果を提供するのに必要な化合物Aのトラフ濃度は、約25ng/mL~約80ng/mLである。いくつかの実施形態では、CS患者における長時間作用型SRLの治療効果と同等の治療効果を提供するのに必要な化合物Aのトラフ濃度は、約30ng/mL~約80ng/mLである。いくつかの実施形態では、CS患者における長時間作用型SRLの治療効果と同等の治療効果を提供するのに必要な化合物Aのトラフ濃度は、約30ng/mL~約60ng/mLである。
【0193】
いくつかの実施形態では、CSにおける長時間作用型SRLの治療効果と同等の治療効果を提供するのに必要な化合物Aのトラフ濃度は、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約40ng/mL、又は少なくとも約50ng/mLである。いくつかの実施形態では、パルツソチンは、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約21ng/mL、少なくとも約22ng/mL、少なくとも約23ng/mL、少なくとも約24ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約26ng/mL、少なくとも約27ng/mL、少なくとも約28ng/mL、少なくとも約29ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約31ng/mL、少なくとも約32ng/mL、少なくとも約33ng/mL、少なくとも約34ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約36ng/mL、少なくとも約37ng/mL、少なくとも約38ng/mL、少なくとも約39ng/mL、少なくとも約40ng/mL、少なくとも約41ng/mL、少なくとも約42ng/mL、少なくとも約43ng/mL、少なくとも約44ng/mL、少なくとも約45ng/mL、少なくとも約46ng/mL、少なくとも約47ng/mL、少なくとも約48ng/mL、少なくとも約49ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約51ng/mL、少なくとも約52ng/mL、少なくとも約53ng/mL、少なくとも約54ng/mL、少なくとも約55ng/mL、少なくとも約56ng/mL、少なくとも約57ng/mL、少なくとも約58ng/mL、少なくとも約59ng/mL、少なくとも約60ng/mL、少なくとも約61ng/mL、少なくとも約62ng/mL、少なくとも約63ng/mL、少なくとも約64ng/mL、少なくとも約65ng/mL、少なくとも約66ng/mL、少なくとも約67ng/mL、少なくとも約68ng/mL、少なくとも約69ng/mL、少なくとも約70ng/mL、少なくとも約71ng/mL、少なくとも約72ng/mL、少なくとも約73ng/mL、少なくとも約74ng/mL、少なくとも約75ng/mL、少なくとも約76ng/mL、少なくとも約77ng/mL、少なくとも約78ng/mL、少なくとも約79ng/mL、少なくとも約80ng/mL、少なくとも約81ng/mL、少なくとも約82ng/mL、少なくとも約83ng/mL、少なくとも約84ng/mL、少なくとも約85ng/mL、少なくとも約86ng/mL、少なくとも約87ng/mL、少なくとも約88ng/mL、少なくとも約89ng/mL、少なくとも約90ng/mL、少なくとも約91ng/mL、少なくとも約92ng/mL、少なくとも約93ng/mL、少なくとも約94ng/mL、少なくとも約95ng/mL、少なくとも約96ng/mL、少なくとも約97ng/mL、少なくとも約98ng/mL、少なくとも約99ng/mL、又は少なくとも約100ng/mLであるパルツソチンのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。
【0194】
いくつかの実施形態では、CS患者における治療効果を提供するのに必要な化合物Aのトラフ濃度は、20ng/mL超、25ng/mL超、30ng/mL超、35ng/mL超、又は40ng/mL超である。いくつかの実施形態では、CS患者における治療効果を提供するのに必要な化合物Aのトラフ濃度は、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約40ng/mL、又は少なくとも約50ng/mLである。いくつかの実施形態では、パルツソチンは、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約21ng/mL、少なくとも約22ng/mL、少なくとも約23ng/mL、少なくとも約24ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約26ng/mL、少なくとも約27ng/mL、少なくとも約28ng/mL、少なくとも約29ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約31ng/mL、少なくとも約32ng/mL、少なくとも約33ng/mL、少なくとも約34ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約36ng/mL、少なくとも約37ng/mL、少なくとも約38ng/mL、少なくとも約39ng/mL、又は少なくとも約40ng/mLであるパルツソチンのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、パルツソチンは、少なくとも約32ng/mLであるパルツソチンのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。
【0195】
いくつかの実施形態では、CSの治療は、CS患者における化合物Aのトラフ血漿レベルを得るために、約20ng/mL~約150ng/mLである十分な量の化合物Aを投与することを含む。いくつかの実施形態では、CSの治療は、CS患者における化合物Aのトラフ血漿レベルを得るために、約25ng/mL~約80ng/mLである十分な量の化合物Aを投与することを含む。いくつかの実施形態では、CSの治療は、CS患者における化合物Aのトラフ血漿レベルを得るために、約30ng/mL~約80ng/mLである十分な量の化合物Aを投与することを含む。いくつかの実施形態では、CSの治療は、CS患者における化合物Aのトラフ血漿レベルを得るために、約30ng/mL~約60ng/mLである十分な量の化合物Aを投与することを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、CSの治療は、CS患者における化合物Aのトラフ血漿レベルを得るために、10ng/mL超、15ng/mL超、20ng/mL超、25ng/mL超、30ng/mL超、35ng/mL超、40ng/mL超、45ng/mL超、50ng/mL超、55ng/mL超、60ng/mL超、65ng/mL超、70ng/mL超、75ng/mL超、又は80ng/mL超である十分な量の化合物Aを投与することを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、CSの治療は、CS患者における化合物Aのトラフ血漿レベルを得るために、約10ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約40ng/mL、少なくとも約45ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約55ng/mL、少なくとも約60ng/mL、少なくとも約65ng/mL、少なくとも約70ng/mL、少なくとも約75ng/mL、又は少なくとも約80ng/mL、少なくとも約85ng/mL、少なくとも約90ng/mL、少なくとも約95ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約115ng/mL、少なくとも約120ng/mL、少なくとも約125ng/mL、少なくとも約130ng/mL、少なくとも約135ng/mL、少なくとも約140ng/mL、少なくとも約145ng/mL、少なくとも約150ng/mL、又は少なくとも約150ng/mLである十分な量の化合物Aを投与することを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約31ng/mL、約32ng/mL、約33ng/mL、約34ng/mL、約35ng/mL、約36ng/mL、約37ng/mL、約38ng/mL、約39ng/mL、約40ng/mL、約41ng/mL、約42ng/mL、約43ng/mL、約44ng/mL、約45ng/mL、約46ng/mL、約47ng/mL、約48ng/mL、約49ng/mL、約50ng/mL、約51ng/mL、約52ng/mL、約53ng/mL、約54ng/mL、約55ng/mL、約56ng/mL、約57ng/mL、約58ng/mL、約59ng/mL、約60ng/mL、約61ng/mL、約62ng/mL、約63ng/mL、約64ng/mL、約65ng/mL、約66ng/mL、約67ng/mL、約68ng/mL、約69ng/mL、約70ng/mL、約71ng/mL、約72ng/mL、約73ng/mL、約74ng/mL、約75ng/mL、約76ng/mL、約77ng/mL、約78ng/mL、約79ng/mL、約80ng/mL、約81ng/mL、約82ng/mL、約83ng/mL、約84ng/mL、約85ng/mL、約86ng/mL、約87ng/mL、約88ng/mL、約89ng/mL、約90ng/mL、約91ng/mL、約92ng/mL、約93ng/mL、約94ng/mL、約95ng/mL、約96ng/mL、約97ng/mL、約98ng/mL、約99ng/mL、約100ng/mL、又は約100ng/mL超である化合物Aのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。
【0199】
いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、約32ng/mLである化合物Aのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、少なくとも約32ng/mLのものである化合物Aのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、化合物A、又はその薬学的に許容される塩(例えば、化合物A-一塩酸塩)は、約32ng/mL超である化合物Aのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。
【0200】
いくつかの実施形態では、約40mg~約160mgの合計1日用量の化合物A-一塩酸塩における、本明細書に記載されるSDD錠剤のCS患者への1日1回の投与は、10ng/mL超、15ng/mL超、20ng/mL超、25ng/mL超、30ng/mL超、35ng/mL超、40ng/mL超、45ng/mL超、50ng/mL超、55ng/mL超、60ng/mL超、65ng/mL超、70ng/mL超、75ng/mL超、80ng/mL超、85ng/mL超、90ng/mL超、95ng/mL超、100ng/mL超、115ng/mL超、120ng/mL超、125ng/mL超、130ng/mL超、135ng/mL超、140ng/mL超、145ng/mL超、150ng/mL超、又は150ng/mL超である化合物Aのトラフ濃度を提供する。
【0201】
いくつかの実施形態では、約40mg~約120mgの合計1日用量の化合物A-一塩酸塩における、本明細書に記載されるSDD錠剤のCS患者への1日1回の投与は、約10ng/mL~約150ng/mLの化合物Aのトラフ濃度を提供する。いくつかの実施形態では、約40mg~約120mgの合計1日用量の化合物A-一塩酸塩における、本明細書に記載されるSDD錠剤のCS患者への1日1回の投与は、約20ng/mL~約150ng/mLの化合物Aのトラフ濃度を提供する。
【0202】
前述の態様のうちのいずれかにおいて、化合物が1日1回投与される更なる実施形態を含む、有効量の化合物の単回投与を含む更なる実施形態がある。
【実施例
【0203】
以下の実施例は、例示の目的のためにのみ提供されるものであり、本明細書で提供される特許請求の範囲を制限するものではない。
【0204】
実施例1:経口カプセル
代表的なカプセルを、以下の表1に記載する。
【0205】
【表1】
【0206】
ホットメルト造粒カプセルについての製造プロセスの代表的な説明は以下のとおりである。
【0207】
段階1:高せん断湿式造粒:ビタミンEポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)を溶融させる。化合物A-HCl、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及び二酸化ケイ素を、高せん断湿式造粒機に充填し、混合する。溶融させたビタミンE TPGSを造粒構成成分上に噴霧する。
【0208】
段階2:粉砕:湿式造粒を、適切なサイズのスクリーンを使用して、スクリーニングミルを通して粉砕する。
【0209】
段階3:ブレンド:フマル酸ステアリルナトリウムを、適切なサイズのスクリーンを使用してふるいにかける。粉砕された造粒を、フマル酸ステアリルナトリウムとともに拡散混合器(タンブル)に充填し、ブレンドする。
【0210】
段階4:カプセル化:10mgのカプセルを、自動的にサイズ2のゼラチンカプセルにカプセル化した。
【0211】
実施例2:噴霧乾燥固体分散体
噴霧乾燥固体分散体を、15重量%の化合物A-HCl:15/85の化合物A-HCl/HPMCAS-M及び15/85の化合物A-HCl/PVP VA64の製剤で調製した。製造は、150kg/時の乾燥ガス容量を有するBend Lab DryerであるBLD-150を使用して完了した。変更したパラメータは、ノズルのベアディング(bearding)を低減させるのに役立つHPMCAS-M SDD製剤に対する溶液固体充填量、及び臨床製造中に起こり得る変動のリスクを軽減するためのPVP VA64 SDDについての乾燥機出口温度であった。元のプロセスパラメータスクリーニングプランは、より大きな粒子を生成するためにより大きなオリフィスノズルを用いて、減少した乾燥機出口温度条件を製造することを指定したが、第1の噴霧の結果に基づいて、所望の溶液流量を達成するために必要な微粒化圧力は、より大きなオリフィスで溶液を完全に微粒化するには低すぎると決定した。乾燥機出口温度は、溶液流量よりも変動性が高い傾向があるため、パラメータスクリーンは、液滴の完全な微粒化を確保しながら、乾燥機出口温度のみのリスクを軽減することに焦点を当てるようにシフトした。乾燥機出口温度の変動は、SDD中の残留溶媒レベルに影響を与える可能性があり、これは物理的及び化学的安定性に影響を与え得る。全ての噴霧は、良好な収率で首尾よく完了され、両方の製剤に対して堅牢なプロセススペースを示した。
【0212】
15/85の化合物A HPMCAS-M SDD製剤製造の詳細
15/85の化合物A-HCl/HPMCAS-M SDDの3つのサブバッチを噴霧して、製造プロセススペースを探索し、臨床試験製造のための準備をした。サブバッチを最初に10重量%の固体で噴霧すると、噴霧プルームに影響を及ぼすと思われる顕著なノズルベアディングが溶液上で約45分後に観察された。
【0213】
溶液を8重量%に希釈し、サブバッチを1時間の持続時間で製造して、ベアディングを低減させることを確実にした。溶液上で約50分後、このバッチ中に非常に少量のベアディングが観察されたが、微粒化プルームに影響を及ぼすとは思われなかったため、8重量%の固体の充填量を選択した。
【0214】
2GPM及びおよそ7℃における冷却水を、全ての噴霧を通して噴霧乾燥機の蓋に流して、蓋を冷えた状態に保ち、付着及び褐色化を防止した。製造全体を通じて、顕著な蓋の蓄積又は褐色化は見られなかった。噴霧間の洗浄は行わず、全ての噴霧は、バッチ2A及び2Cの製造前に追加の溶媒を添加した1つの溶液から完了した。3つのサブバッチ全てに使用した製造パラメータの概要を表2に示す。
【0215】
【表2】
【0216】
15/85の化合物A-HCl/PVP VA64 SDD製剤製造の詳細
15/85の化合物A-HCl/PVP VA64 SDD製剤についても、プロセスパラメータスクリーニング噴霧及びFPN実証バッチを完了した。乾燥機出口温度を変更して、プロセスパラメータ変動性のリスクを軽減させ、臨床試験製造を準備した。
【0217】
プロセススペースは、最大乾燥機出口温度、乾燥機出口温度、及び最小の所望の溶液流量によって制限された。噴霧乾燥機の蓋上のSDDの付着又は褐色化を避けるために、160℃の最大入口温度を指定し、十分なスループットを確保するために、最小流量を100g/分に設定した。最小及び最大の乾燥機出口温度を、それぞれ40℃及び65℃であるように選択し、粒子が十分に乾燥し、乾燥機出口温度が湿潤粒子のTgを超えないことを確実にした。
【0218】
PVP VA64製剤についてのプロセスパラメータスクリーニング噴霧は、乾燥機出口温度を変更することによって製造スペースを探索した。これにより、粒子残留溶媒含有量、形態、密度、及び安定性に対する乾燥機相対飽和度の影響の調査が可能となった。
【0219】
蓋の蓄積及び褐色化を防止するために、冷却水を全ての噴霧を通して2GPM及びおよそ7℃で流すと、どちらも観察されなかった。3つの全ての製造を通して、ノズルのベアディングは観察されなかった。全ての噴霧を1つの溶液から完了した。各サブバッチの製造の詳細を表3に要約する。
【0220】
【表3】
【0221】
SDDの特徴付け
粒子特性:粒径分布並びにバルク及びタップ密度を、化合物A-HCl SDDの各バッチについて測定した。HPMCAS-M SDDは、より大きな粒径を有し、これは、HPMCAS-M溶液がPVP VA64溶液よりも粘性が高く、所与のノズル構成に対してより大きな液滴をもたらすためと予想される。ロット2Bの溶液中の固体充填量を増加させることで、粒径がバッチ2A及び2Cよりも大きくなり、これも、噴霧溶液の粘度がより高いことに起因する。全てのPVPVA-64バッチの粒径分布は、予想どおり類似している。
【0222】
2A及び2Cのバルク及びタップ密度は類似しているが、バッチ2Bは、粒子がより大きいことに潜在的に起因して、わずかにより低い密度を有する。全てのPVPVA-64バッチのバルク及びタップ密度は類似しており、粉末特性に対する乾燥機出口温度の影響に関して堅牢なプロセスを示している。
【0223】
残留溶媒及び水分含有量:6つのSDDの残留メタノール及び水を、それぞれGC及びKFを使用して測定した。全てのSDDは、二次乾燥後の0.3重量%というICHガイドラインを下回る残留メタノールを含有し、40℃/15%RHでの十分な乾燥が示唆された。
【0224】
SEMによる形態:6つ全てのSDDの粒子形態を、SEMを介して評価した。各SDDは典型的な形態を示し、不規則な粒子の証拠はなく、試験した全ての条件について十分な微粒化を示唆していた。HPMCAS-M粒子は、主に圧潰球形であったが、PVP VA64 SDDは、より大きな画分の球形粒子を含有する。
【0225】
PXRDによる結晶化度:6つ全てのSDDを、PXRDを使用して結晶化度について評価した。全てのSDDは、PXRDにより非晶質であり、これは、鋭い回折ピークの非存在下で明らかであった。
【0226】
DSCによる熱特性:6つ全てのSDDを、調節されたDSCにより特徴付けた。結果を表4で一覧にした。製造されたSDDは、DSCにより全て非晶質かつ均質であり、これは、逆転の熱信号における単一のガラス転移の存在によって明らかであった。いずれの製剤も、Tg後の結晶化の徴候を示さず、両方の製剤について、それらの温度で化合物Aが結晶化する傾向は低いことを示唆している。更に、両方の製剤が、周囲温度と比較して高いTgを示し、乾燥条件下で物理的安定性リスクが低いことを示唆していた。PVP VA64製剤には、湿度を最小化するための包装が必要となる。
【0227】
【表4】
【0228】
概要
物理的安定性の観察結果:PVP VA64 SDDは、保管の際に潮解するように見え、3ヶ月(40℃/75%RH開放)で結晶が観察された。乾燥剤と一緒に保管することが推奨される。HPMCAS-M SDDは、40℃/75%RH開放で6ヶ月にわたって、物理的に安定であった。
【0229】
化学的安定性の観察:安定性に対するHPMCAS-M製剤における酸触媒による分解の可能性。PVP VA64製剤における一部の分解も同様であるが、HPMCAS-M SDDほど顕著ではない。PVPVA SDDには包装が必要とされ、これは、物理的安定性の懸念によって駆動される。
【0230】
15重量%の化合物A/PVP VA64を、主SDD製剤として選択した。
【0231】
12ヶ月の安定性:15%の化合物A-HCl/PVP-VA64 SDD
12ヶ月のSDD試料を、5℃、25℃/60%RH、及び40℃/75%RHで乾燥剤とともに保持した。カールフィッシャー滴定による水分析用の試料を調製し、直ちに分析した。残りの試料を一晩真空乾燥させて、残留水分を除去し、更なる特徴付けのためにSDDの物理的状態を保持した。特徴付けのために行われた分析試験のリストには、外観、カールフィッシャー滴定による水分含有量、粉末X線回折(PXRD)、走査電子顕微鏡(SEM)、変調示差走査熱量測定(mDSC)による熱特性、微量遠心(MCT)試験による溶解性能、HPLCによるアッセイ及び関連物質が含まれた。
【0232】
12ヶ月のSDD安定性試料に対するPXRD分析からの結論:安定性条件の各々において12ヶ月で保管した試料に結晶化度の証拠はなかった。
【0233】
12ヶ月のSDD安定性試料に対するSEM分析からの結論:12ヶ月で、全ての安定性条件にわたって粒子融合は観察されなかった。安定性条件の各々において12ヶ月で保管した試料に結晶化度の証拠はなかった。
【0234】
12ヶ月のSDD安定性試料に対するSEM分析からの結論:12ヶ月で、全ての安定性条件にわたって粒子融合は観察されない。安定性条件の各々において12ヶ月で保管した試料に結晶化度の証拠はなかった。
【0235】
12ヶ月のSDD安定性試料に対するmDSC分析からの結論:5℃で保持した12ヶ月のSDD試料の繰り返し分析は、再現不可能なサーモグラムを提供し、この結果についての原因は、現時点では分かっていない。5℃の試料は、他の全ての特徴付け技術によって物理的に安定であると決定した。25℃/60%RH及び40℃/75%RHで保持した12ヶ月のSDD試料は、124~125℃で単一の再現可能なTgを示し、これらの条件で乾燥剤とともに12ヶ月保管した後に、SDDが安定であるという結論を裏付けるものであった。
【0236】
12ヶ月のSDD安定性試料に対するMCT溶解分析からの結論:12ヶ月の安定性試料の非シンク溶解性能は、-20℃で保管した初期(t)試料と一致する。
【0237】
35/65の化合物A-HCl/PVP VA64 SDD製剤製造の詳細
噴霧乾燥固体分散体を、35重量%の化合物A-HClで調製した:35/65の化合物A-HCl/PVP VA64製剤。
【0238】
SDDの製造は、SD-180実験用乾燥機を使用して完了した。二次乾燥は、Binder Convection Dryerを使用して完了した。製造詳細を表5に要約する。
【0239】
噴霧を、良好な収率で首尾よく完了した。
【0240】
【表5】
【0241】
実施例3:経口錠剤
代表的な10mg、20mg、30mg、40mg、及び60mgの噴霧乾燥分散体錠剤を、表6、7、8、9、10、11、12、及び13に提示する。
【0242】
錠剤を調製するために使用した典型的な賦形剤には、微結晶性セルロース、マンニトール、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、及びOpadry White 03K184116(フィルムコーティング)が含まれる。
【0243】
【表6】
【0244】
【表7】
【0245】
【表8】
【0246】
【表9】
【0247】
【表10】
【0248】
【表11】
【0249】
【表12】
【0250】
【表13】
【0251】
【表14】
【0252】
SDD錠剤についての製造プロセスの代表的な非限定的な説明は以下のとおりである。
【0253】
段階1:噴霧乾燥:化合物A-HCl及びコポビドンをMeOHに溶解させる。溶液を噴霧乾燥させた。噴霧乾燥分散体(化合物A-HCl SDD)を収集する。
【0254】
段階2:ローラー圧縮:化合物A-HCl SDD、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、及び潤沢剤からなる造粒ブレンドをブレンドする。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl SDD、マンニトール、微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素からなる造粒ブレンドを調製し、ブレンドする。ステアリン酸マグネシウムの顆粒内部分をスクリーニングし、造粒ブレンドに添加する。得られたブレンドをブレンドする。造粒ブレンドをローラー圧縮のホッパーに充填し、圧縮してリボンにする。リボンを、インラインの振動ミルを使用してメッシュスクリーンを通過させて、リボンを破砕し、粉砕して顆粒にする。
【0255】
いくつかの実施形態では、造粒ブレンドは、約20%~約35%(最終錠剤重量のw/w)の化合物A-HCl SDDを含む。いくつかの実施形態では、造粒ブレンドは、約21%、約22%、約28%、29%、約33%、約34%(最終錠剤重量のw/w)の化合物A-HCl SDDを含む。いくつかの実施形態では、化合物A-HCl SDDは、15/85の化合物A-HCl/HPMCAS-M、15/85の化合物A-HCl/PVPVA64、又は35/65の化合物A-HCl/PVPVA 64 SDDを含む。
【0256】
段階3:ブレンド:顆粒内材料を顆粒外賦形剤と混合する。顆粒外賦形剤は、充填剤、崩壊剤、流動促進剤、及び潤沢剤から選択される1つ以上の賦形剤を含む。顆粒外構成成分には、微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素が含まれる。顆粒外潤沢剤であるステアリン酸マグネシウムを、適切なサイズのスクリーンを使用してふるいにかけ、次いで、ブレンドに添加し、混合する。
【0257】
段階4:圧縮:最終ブレンドを圧縮して錠剤にする。
【0258】
段階5:パンコーティング:Opadry White 03K18416.のフィルムコーティング懸濁液を精製水中で調製し、錠剤を有孔コーティングパンにおいてOpadry White 03K18416でコーティングする。
【0259】
実施例4:イヌにおける製剤性能の評価
研究設計
イヌにおける評価した2つの条件:+Pg前処理(ヒトの絶食時の胃を模倣したもの、pH1~2)及び-Pg前処理(PPI又は制酸剤を服用しているヒトを模倣したもの、pH3~5)。(:各条件の間に1週間のウォッシュアウト、Pg=ペンタガストリン。)
【0260】
化合物A-HCl溶液
N=4匹の非ナイーブのイヌ。ビヒクル:プロピレングリコール。条件:-Pg。
【0261】
化合物A-HCl HMGカプセル
N=4匹の非ナイーブのイヌ。条件:+Pg、-Pg。
【0262】
化合物A-HCl噴霧乾燥分散体錠剤:PVPVA
N=6匹の非ナイーブの雄イヌの2つの群。。条件:+Pg、-Pg。
【0263】
この研究からの結果を表15及び16に提示する。
【0264】
【表15】
【0265】
表15及び図2に示すように、ペンタガストリンで前処理していないイヌでは、HMGカプセル製剤は不良な性能を示し、これに対して、噴霧乾燥分散体錠剤は良好な性能を示した。HMGカプセル製剤について、ペンタガストリンを伴わないAUCは、ペンタガストリンを伴うAUCのわずか11%であった(917ng時/mLと比較して98.2ng時/mL)。比較すると、ペンタガストリンを伴わないPVPVA SDD錠剤製剤についてのAUCは、ペンタガストリンの条件を伴うもののそれぞれ185%及び124%であった。これらのデータは、PVPVA SDD錠剤製剤が、高い胃pH環境下で(例えば、PPI又は制酸剤を服用している対象においてそうであるように)優れていることを示す。
【0266】
【表16】
【0267】
実施例5:化合物Aの2つの製剤の相対的バイオアベイラビリティ、性能、及び安全性を評価するための第1相マルチコホート単回用量研究
本研究は、最大3つのコホートで実施され、各々が特定の主要目的を有する。
【0268】
コホート1:化合物A-HCl塩の噴霧乾燥分散体(SDD)により調製した10mgの錠剤の性能を特徴付けること。
【0269】
コホート2:10mgのSDD錠剤の相対的バイオアベイラビリティを、化合物A-HClホットメルト造粒(HMG)製剤、10mgのカプセルと比較して評価すること。低用量の10mgのSDD錠剤の薬物動態に対する食物投与のタイミングの効果を決定すること。
【0270】
コホート3:20mgより高い用量でのSDD錠剤の薬物動態及び用量比例性に対する食物投与のタイミングの効果を決定すること。投与後の短い絶食期間で、十分な全身曝露をもたらす最適な投与レジメンを決定すること。
【0271】
コホート4:20mgより高い用量でのSDD錠剤の薬物動態に対する食物投与のタイミングの効果を決定すること。低い投与後の絶食期間で、高い全身曝露をもたらすパルツソチンの最適な投与レジメンを決定すること
【0272】
コホート5:60mgの用量のSDD錠剤の薬物動態に対するプロトンポンプ阻害剤(PPI)、ランソプラゾールの効果を決定すること。60mgの用量のSDD錠剤の薬物動態に対する低脂肪食の効果を決定すること。
【0273】
研究設計:
最大36(36)人の健康な男性及び女性の対象を登録した。コホート1~2は各々4つの期間からなり、コホート3は3つの期間からなった。
【0274】
コホート1:
SDD錠剤を評価した。最大12(12)人の健康な男性及び女性の対象を各コホートに登録した。コホート1は4つの期間からなった。期間1では、対象にプロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾール、15mgのBID、3日間(-3日目から)、食事の少なくとも30分前に経口服用、朝1回、及び夕方1回)を投与した。4日目(研究の1日目)に、絶食した対象に、20mgの化合物A(SDD錠剤の2×10mg)の60分前に、ランソプラゾール(15mg)の最終用量を服用させた。期間2では、絶食した対象に、20mgの化合物A(SDD錠剤の2×10mg)を投与した。期間3では、絶食した対象に、20mgの化合物A(SDD錠剤の2×10mg)を、高脂肪高カロリー食とともに投与した。期間4では、絶食した対象に、80mgの化合物A(SDD錠剤の最大8×10mg)を服用させることになる。実際の用量は、期間2からの薬物動態データに基づいて選択した。
【0275】
期間1の場合:投与前の夕(-1日目)に、対象に、15mgのランソプラゾールの夕用量を投与し、ランソプラゾールの投与の少なくとも30分後に夕食を提供し、その後-1日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。1日目に、対象に、化合物A(2×10mgのSDD錠剤)の投与の少なくとも60分前に、朝の用量(最終用量)の15mgのランソプラゾールを投与した。化合物Aの後、対象に2時間の絶食を継続させ、その後、標準食を摂取することを許可した。
【0276】
期間2の場合:対象に、7日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。8日目に、20mgの化合物A(2×10mgのSDD錠剤)を経口投与した。化合物Aの後、対象に2時間の絶食を継続させ、その後、標準食を摂取することを許可した。
【0277】
期間3の場合:対象に、14日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。15日目に、対象に、30分以内に高脂肪高カロリー食を摂取することを許可した。食事の摂取が完了すると、化合物A(2×10mgのSDD錠剤)を投与した(食事の開始後30分以内)。化合物Aの投与後少なくとも4時間、追加の食物を提供しなかった。
【0278】
-1日目の3日前及び研究全体を通して、対象が>30分/日の激しい運動を行うことを許可しなかった。
【0279】
有害事象(AE)モニタリング、臨床検査、バイタルサイン測定、12誘導ECG、ホルター及び遠隔計測モニタリング(期間4のみ)、並びに身体検査を含むPK及び安全性評価を、研究全体を通してスケジュールされた時間に実施した。
【0280】
コホート2:
コホートは4つの期間からなった。各期間において、20mgの化合物A(2×10mgのSDD)の単回用量を経口投与した。
【0281】
期間1の場合:対象に、-1日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。1日目に、20mgの化合物A(2×10mgのHMGカプセル、参照製剤)の投与の2時間後に低脂肪食を与えた。
【0282】
期間2の場合:対象に、7日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。8日目に、対象に、20mgの化合物A(2×10mgのSDD錠剤、試験製剤)の投与の2時間後に低脂肪食を与えた。
【0283】
期間3の場合:対象に、14日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。15日目に、対象に、20mgの化合物A(2×10mgのSDD錠剤)の投与の1時間後に低脂肪食を与えた。
【0284】
期間4の場合:対象に、21日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。22日目に、対象に、20mgの化合物A(2×10mgのSDD錠剤)の投与の0.5時間後に低脂肪食を与えた。
【0285】
最終の研究来院は29日目に行われた。-1日目の3日前及び研究全体を通して、対象が>30分/日の激しい運動を行うことを許可しなかった。有害事象(AE)モニタリング、臨床検査、バイタルサイン測定、12誘導ECG、及び身体検査を含むPK及び安全性評価を、研究全体を通してスケジュールされた時間に実施した。
【0286】
コホート3:
コホートは3つの期間からなった。各期間において、化合物AのSDD(40、60、又は80mg)の単回用量を経口投与した(4×10mgのSDD錠剤、6×10mgのSDD錠剤、又は8×10mgのSDD錠剤)。化合物Aの各用量の間に、少なくとも10日間のウォッシュアウト期間があった。
【0287】
期間1の場合:対象に、-1日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。1日目に、対象に、40mgの化合物A(4×10mgのSDD錠剤)の投与の1時間後に標準食を与えた。
【0288】
期間2の場合:対象に、10日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。11日目に、対象に、80の化合物A(8×10mgのSDD錠剤)の投与の1時間又は2時間後に標準食を与えた。食事のタイミング(化合物Aの投与後1時間又は2時間)は、期間1で決定した平均AUC0-24に依存した。
【0289】
期間3の場合:対象に、20日目に一晩(10時間以上)の絶食を求めた。21日目に、対象に、60又は80mgの化合物A(6×10mgのSDD錠剤又は8×10mgのSDD錠剤)の投与の1時間又は4時間後に標準食を与えた。標準食の用量及びタイミングは、期間2で決定した平均AUC0-24に依存した。
【0290】
最終の研究来院は29日目に行われた。-1日目の3日前及び研究全体を通して、対象が>30分/日の激しい運動を行うことを許可しなかった。有害事象(AE)モニタリング、臨床検査、バイタルサイン測定、12誘導ECG、及び身体検査を含むPK及び安全性評価を、研究全体を通してスケジュールされた時間に実施した。
【0291】
コホート4:
コホート4は、以下のような3つの期間からなった。
【0292】
期間1では、絶食した対象に、40mg(4×10mg)のパルツソチンSDD錠剤の投与の1時間後に標準食を与えた。
【0293】
期間2では、絶食した対象に、80mg(8×10mg)のパルツソチンSDD錠剤の投与の1時間後に標準食を与えた。
【0294】
期間3では、絶食した対象に、80mg(8×10mg)のパルツソチンSDD錠剤の投与の4時間後に標準食を与えた。
【0295】
コホート5:
コホートは3つの期間からなった。3×20mgのSDD錠剤として投与される60mgのパルツソチンのPKを、次の基準:パルツソチンのPKに対する低脂肪食の効果(期間1及び期間3)、及びパルツソチンのPKに対するPPIランソプラゾールの効果(期間2)を使用して、以下のように評価した。
【0296】
期間1では、絶食した対象に、60mg(3×20mg)のパルツソチンSDD錠剤の投与の1時間後に低脂肪食を与えた。低脂肪食:400~500カロリーで、カロリーのうちの25%が脂肪に由来する(11~14グラム)。
【0297】
期間2では、対象に、ランソプラゾール(15mgのBID、3日間、食事の少なくとも30分前に経口服用)を投与した。4日目に、絶食した対象に、60mgのパルツソチン(3×20mgのSDD錠剤)の投与の60分前に、ランソプラゾール(15mg)の最終用量を投与した。パルツソチンの投与後、対象に1時間の絶食を継続させ、その後、対象に低脂肪食を提供した。対象は、用量投与後4時間まで絶食したままであった。
【0298】
期間3では、絶食した対象に、30分以内に低脂肪食を摂取させた。食事の摂取が完了すると(ただし、食事の開始後30分以内)、対象に60mgのパルツソチン(3×20mgのSDD錠剤)を投与した。対象は、用量投与後4時間まで絶食したままであった
【0299】
研究集団:
18~55歳の端点を含む年齢間の、健康な男性又は女性の対象を最大36人登録した。コホート2のみについて、スクリーニング時に18~65歳の端点を含む年齢の男性及び女性の対象。
【0300】
組み入れ基準
各対象は、研究に登録するために以下の組み入れ基準のうちの全てを満たす必要があった:スクリーニング時に18~55歳の端点を含む年齢の男性及び女性の対象。コホート2のみについて、スクリーニング時に18~65歳の端点を含む年齢の男性及び女性の対象。18~30kg/mの端点を含む肥満度指数(BMI)。-1日目の3日前及び研究全体を通して、1日当たり30分超として定義される、激しい不慣れな運動及びスポーツを控える意思があること。対象が異性愛又は両性愛の女性である場合、妊娠可能ではないか、又は非常に有効な、若しくは臨床的に許容される2つの避妊法を使用することに同意しなければならない。
【0301】
除外基準
以下の基準のうちのいずれかを満たす健康な対象を、研究から除外した。化合物Aによる以前の治療。研究参加を危険にするか、又は研究の評価項目の評価を妨げる可能性がある、任意の制御されていない又は活動性の主要な全身性疾患。十分に治療された皮膚の基底細胞がん又は扁平上皮がんを除く、過去5年以内の悪性腫瘍の既往歴又は存在。活動性の急性又は慢性感染症。研究薬物の最初の投与前の、過去60日間又は5半減期のいずれか長い方のうちの任意の治験薬の使用。入院前48時間のタバコ及び/又はニコチン含有製品、快楽薬物、又はアルコールの使用、並びに研究全体を通して使用を控えることへの同意。スクリーニング前の<1年のアルコール乱用歴及び/若しくは他の薬物依存歴又は現在の乱用及び/若しくは依存。-1日目の14日以内に、任意の処方薬又は市販(OTC)薬品又は代替医薬品を使用した。-1日目前の48時間、及び全ての後続期間の各健診日前の48時間の、カフェイン含有飲料又は食物の使用。研究評価が完了するまで、スクリーニング前の7日以内にケシの実を含有する食物を摂取している。中程度の又は強力なCYP3A4阻害剤又は誘導剤を服用している。-1日目の3日前及び研究全体にわたる、>30分/日の激しい運動。入院前3ヶ月以内に、≧500mLの失血があったか、又は献血をした。>2×ULNのアミラーゼ及び/若しくはリパーゼレベル、>2×ULNのアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び/若しくはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、>1.5×ULNの総ビリルビン(既知のギルバート症候群の場合を除く)、並びに/又は正常の上限を超える血清クレアチニンを有する。研究薬物中の任意の賦形剤に対する過敏性反応の既往歴。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、若しくはC型肝炎抗体(HCV-Ab)についてのスクリーニング時の試験で陽性であったか、又は陽性の結果の既往歴を有する。血清妊娠検査が陽性であるか、又は授乳中である女性の対象。コホート1のみについて、CYP2C19の不良代謝者又は超高速代謝者として分類される対象。
【0302】
試験製品、用量、及び投与様式:
10mgの錠剤(SDD)。所与の期間/コホートに指定された用量に応じて、複数の錠剤を水で嚥下させた。
【0303】
20mgの錠剤(SDD)。所与の期間/コホートに指定された用量に応じて、複数の錠剤を水で嚥下させた。
【0304】
参照療法、用量、及び投与様式:
10mgのHMGカプセル製剤を参照製剤として供給した。所与の期間/コホートに指定された用量に応じて、複数のカプセルを水で嚥下させた。
【0305】
血漿薬物動態パラメータ:
血液PK試料を収集して、化合物Aの血漿濃度を評価した。
【0306】
PKパラメータを化合物Aについて計算し、次のものを以下の表に示す。0~24時間の血漿濃度曲線下面積(AUC0-24)、最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度を達成するまでの時間(Tmax)。
【0307】
結果
この臨床試験からの結果は、プロトンポンプ阻害剤の同時投与がSDD錠剤の投与で観察された薬物動態に与える影響はわずかしかなく、SDD錠剤を用いてより短い絶食時間が実現され、SDD錠剤がより良好な用量比例薬物動態を提供することを示した。
【0308】
コホート1からの結果を表17に提示する。
【0309】
【表17】
【0310】
コホート1(異なる条件下でのSDD 10mg×2):PPIを伴うか又は伴わない観察された曝露は、ほとんど同等である。コホート1(SDD 10mg×2対10mg×6):比較的に用量比例的な曝露の増加が観察された。
【0311】
SDD錠剤は、80mgの用量までの合計全身曝露(AUC)の用量比例的な増加を示した。
【0312】
SDD錠剤と比較して、HMGカプセルでは、比較的に用量比例的な曝露の増加は観察されなかった。図1を参照されたい。以前の臨床研究から得られたHMGカプセルについての用量比例性データを、表18に提示する。
【0313】
【表18】
【0314】
コホート2からの結果を表19に提示する。
【0315】
【表19】
【0316】
コホート2(SDD 10mg×2対HMG、及び異なる投与後の絶食期間下):SDD錠剤は、HMGカプセルよりも良好な曝露を有したようには思われず、2つの製剤は比較的同等であった。SDD錠剤については、投与後1時間の絶食後のAUC0-24(吸収の程度の尺度)は、投与後2時間の絶食で観察されるAUCの82%まで減少し、これは比較的小さな曝露の減少である。
【0317】
異なる投与後の絶食期間のシナリオ下でのSDD錠剤の性能と比較して、以前に完了した臨床研究における異なる投与後の絶食期間のシナリオ下で、HMGカプセルは不良な性能を示した。12人の対象(N=4人の男性、N=8人の女性)に20mgの用量(10mgのHMGカプセルx2)を投与した後に得られた薬物動態データを、表20に提示する。
【0318】
【表20】
【0319】
HMGカプセル製剤では、投与後1時間の絶食対投与後2時間の絶食で、およそ30%の吸収の程度の損失が観察された。
【0320】
2時間の絶食を伴うHMGカプセルを、第2相臨床研究で評価した。1時間の絶食は、2時間の絶食よりも望ましい。2時間の絶食と比較して、1時間の絶食では、AUC(0-24)の損失は18%しか観察されなかった。1時間の絶食のSDDを、第3相で利用する。重要なことに、SDD錠剤は、HMGカプセルよりも良好な用量比例性を有すると思われ、これにより、第3相臨床研究で3.0倍用量(すなわち、60mg)を投与することが可能になった。
【0321】
コホート5からの結果を表21に提示する。
【0322】
【表21】
【0323】
化合物Aの曝露(Cmax及びAUC)は、PPIとともに投与された場合、約40%減少したようであった。
【0324】
コホート5からの追加の結果を表22に提示する。
【0325】
【表22】
【0326】
化合物Aの曝露(Cmax及びAUC)は、高脂肪食とともに投与された場合の>80%の減少と比較して、低脂肪食とともに投与された場合に約60%低減したようであった。
【0327】
実施例6:ソマトスタチンアナログベースの治療レジメンで治療された先端巨大症を有する患者における化合物Aを評価するための第2相研究(アクロバットエッジ)
ソマトスタチンアナログ(SSA)ベースの治療レジメンで治療される先端巨大症を有する対象における化合物A(パルツソチンとしても既知である)の安全性、有効性、及び薬物動態を評価するように設計されたオープンラベル探索研究。
【0328】
研究設計:
介入モデル:単一群の割り当て。
遮蔽化:なし(オープンラベル)。
主要目的:治療。
【0329】
試験製品、用量、及び投与様式:
10mgのHMGカプセル製剤。所与の期間/コホートに指定された用量に応じて、複数のカプセルを水で嚥下させた。
【0330】
評価項目の測定
主要評価項目の測定:インスリン様成長因子-1(IGF-1)レベルにおけるベースライン(スクリーニング値の平均)からの変化[時間枠:13週間]。
【0331】
副次評価項目の測定:1)≦正常の上限(ULN)の最後のIGF-1測定値を有する対象の割合[時間枠:13週間]。2)≦1.5×ULNの最後のIGF-1測定値を有する対象の割合[時間枠:13週間]。
【0332】
適格性基準
組み入れ基準
18~70歳の年齢の男性及び女性の対象。プロトコルで定義されたソマトスタチンアナログ療法レジメンに対する部分奏効又は完全奏効のいずれかを伴う先端巨大症の確認された診断。女性は、妊娠していない、及び授乳中ではない、かつ外科的に不妊、閉経後、又は産児制限の有効な方法を使用することのいずれかでなければならない。署名したインフォームドコンセントを提供する意思があること。
【0333】
除外基準
治療ナイーブの先端巨大症の対象。パルツソチンによる以前の治療。スクリーニング前の6ヶ月以内の下垂体手術。放射線療法を受けている対象は、いくつかの制限を伴って適格であり得る。十分に治療された皮膚の基底細胞がん及び扁平上皮がんを除く、過去5年以内の悪性腫瘍の既往歴又は存在。過去30日間又は5半減期のいずれか長い方のうちの任意の治験薬の使用。HIV、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、若しくはC型肝炎抗体(HCV-Ab)についてのスクリーニング時の陽性試験、又は陽性の結果の既往歴を有する。過去12ヶ月におけるアルコール又は物質乱用歴。治験責任医師の意見において、対象の本研究への適切な参加を危険にさらすであろう任意の病態。QTの延長に関連付けられる心血管の病態若しくは薬品、又は対象を心拍異常にする素因となるもの。症候性胆石症を有する対象。スクリーニング期間中に臨床的に顕著な異常所見、及び治験責任医師の意見において、対象の安全性又は研究を完了する能力を危険にさらす可能性のある任意の他の医学的病態又は検査所見を有する対象。40mgより高い用量でのオクトレオチドLAR、又は120mgより高い用量でのランレオチドデポ、又は60mgより高い用量でのパシレオチドLARを服用している対象。通常、オクトレオチドLAR又はランレオチドデポを4週間毎(例えば、6週間又は8週間毎)より少ない頻度で服用する対象。
【0334】
実施例7:先端巨大症の治療のための化合物Aの安全性及び有効性を評価するための第2相研究(アクロバットエボルブ)
第2相二重盲検プラセボ対照無作為化離脱研究は、オクトレオチドLAR又はランレオチドデポへの応答者である先端巨大症を有する対象における化合物Aの安全性、有効性、及び薬物動態を評価するように設計されている。
【0335】
研究設計:
割り付け:無作為化。
介入モデル:並行群間比較。
遮蔽化:三重(参加者、医療提供者、治験責任医師)。
主要目的:治療。
【0336】
試験製品、用量、及び投与様式:
10mgのHMGカプセル製剤。所与の期間/コホートに指定された用量に応じて、複数のカプセルを水で嚥下させた。
【0337】
評価項目の測定
主要評価項目の測定:応答者基準を満たす対象の割合(≦正常の上限[ULN]の2つの連続したインスリン様成長因子-1[IGF-1]測定値の平均に基づく)(時間枠:13週間)。
【0338】
副次評価項目の測定:1)IGF-1レベルの変化[時間枠:10週目~13週目]。2)成長ホルモン(GH)レベルの変化[時間枠:8週目~13週目]。3)先端巨大症の症状を評価した患者の変化[時間枠:10週目~13週目]。個々の先端巨大症の症状の強度の各々(頭痛、関節痛、発汗、疲労、脚の脱力感、腫れ、しびれ又は刺痛)を追加することによって計算した総スコア。
【0339】
適格性基準
組み入れ基準
18~70歳の年齢の男性及び女性の対象。オクトレオチドLAR又はランレオチドデポの安定した用量で制御されている先端巨大症の確認された診断。女性は、妊娠していない、及び授乳中ではない、かつ外科的に不妊、閉経後、又は産児制限の有効な方法を使用することのいずれかでなければならない。署名したインフォームドコンセントを提供する意思があること。
【0340】
除外基準
治療ナイーブの先端巨大症の対象。化合物Aによる以前の治療。研究エントリ前の任意の時点における、スクリーニング又は放射線療法前の6ヶ月以内の下垂体手術。最近文書化されたIGF-1の上昇を伴う下垂体放射線療法(研究エントリ前の3~4年以内又は4年超)は適格である可能性がある。十分に治療された皮膚の基底細胞がん及び扁平上皮がんを除く、過去5年以内の悪性腫瘍の既往歴又は存在。過去30日間又は5半減期のいずれか長い方のうちの任意の治験薬の使用。HIV、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、若しくはC型肝炎抗体(HCV-Ab)についてのスクリーニング時の陽性試験、又は陽性の結果の既往歴を有する。過去12ヶ月におけるアルコール又は物質乱用歴。治験責任医師の意見において、対象の本研究への適切な参加を危険にさらすであろう任意の病態。QTの延長に関連付けられる心血管の病態若しくは薬品、又は対象を心拍異常にする素因となるもの。症候性胆石症を有する対象。スクリーニング期間中に臨床的に顕著な異常所見、及び治験責任医師の意見において、対象の安全性又は研究を完了する能力を危険にさらす可能性のある任意の他の医学的病態又は検査所見を有する対象。以前に次の薬品を服用している対象:ペグビソマント(過去3ヶ月以内)、ドーパミンアゴニスト(過去3ヶ月以内)、及びパシレオチドLAR(過去6ヶ月以内)。40mgより高い用量でのオクトレオチドLAR、又は120mgより高い用量でのランレオチドデポを服用している対象。通常、オクトレオチドLAR又はランレオチドデポを4週間毎(例えば、6週間又は8週間毎)より少ない頻度で服用する対象。
【0341】
第2相試験からの結果
25人の患者を登録した:オクトレオチド又はランレオチドで治療し、ベースラインIGF-1(×ULN):>1及び<2.5の患者。
【0342】
事前指定された一次分析集団:ベースラインで上昇したIGF-1を有するSRL(オクトレオチド又はランレオチド)で治療された患者-臨床診療における大多数の患者を表す。主要な仮説は、群がベースラインに対して13週目で中央値IGF-1の変化を示さないであろうというものであった。
【0343】
図3に示すように、パルツソチンは、注射されたSRLペプチドデポから切り替えた後、IGF-1及びGHレベルを維持した(提示されたデータは、中央値(四分位範囲[IQR]:25パーセンタイル、75パーセンタイル)EoT=13週目(来院14)として定義される治療終了、又は繰り越された治療値における最後(last on treatment value carried forward)(LOCF)である。WD後の週は、17週目、又は最終用量の少なくとも22日後の結果として定義される。注記:p値は、中央値の変化がゼロと異なるかどうかの非パラメトリックのウィルコクソンの符号順位検定に基づいている)。13週間のパルツソチン治療後のIGF-1レベルは、注射されたSRLデポで以前に治療された患者においてベースラインから有意に変化しなかった。経口パルツソチンについての治療活性の大きさを特徴付ける、離脱後(2週間以内)のIGF-1の上昇。13週間のパルツソチン治療後のGHレベルは、患者が注射されたSRLデポで以前に治療された場合、ベースラインレベルから有意に変化しなかった。離脱後のGHの上昇は、経口パルツソチンの治療活性の大きさを特徴付けた。
【0344】
図4は、アクロバット及びエボルブ試験から観察された用量応答の証拠を示す。しかしながら、使用されたHMGカプセル製剤は、40mgを超える用量比例的な薬物動態を欠いていた。
【0345】
図5に示すように、SDD錠剤、40mg/日及び60mg/日の投与は、トラフ濃度を一貫して治療範囲内にもたらすと予測される。
【0346】
いくつかの実施形態では、先端巨大症患者における長時間作用型SRLの治療効果と同等の治療効果を提供するのに必要なパルツソチンのトラフ濃度は、20ng/mL超、25ng/mL超、30ng/mL超、35ng/mL超、又は40ng/mL超である。いくつかの実施形態では、先端巨大症患者における長時間作用型SRLの治療効果と同等の治療効果を提供するのに必要なパルツソチンのトラフ濃度は、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約40ng/mL、又は少なくとも約50ng/mLである。いくつかの実施形態では、パルツソチンは、少なくとも約20ng/mL、少なくとも約21ng/mL、少なくとも約22ng/mL、少なくとも約23ng/mL、少なくとも約24ng/mL、少なくとも約25ng/mL、少なくとも約26ng/mL、少なくとも約27ng/mL、少なくとも約28ng/mL、少なくとも約29ng/mL、少なくとも約30ng/mL、少なくとも約31ng/mL、少なくとも約32ng/mL、少なくとも約33ng/mL、少なくとも約34ng/mL、少なくとも約35ng/mL、少なくとも約36ng/mL、少なくとも約37ng/mL、少なくとも約38ng/mL、少なくとも約39ng/mL、又は少なくとも約40ng/mLであるパルツソチンのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。いくつかの実施形態では、パルツソチンは、少なくとも約32ng/mLであるパルツソチンのトラフ濃度を提供するのに十分な用量で投与される。
【0347】
図6に示すように、60mgのSDD(投与後1時間絶食)にあるPPIを服用している先端巨大症患者の「予測された」定常状態トラフ濃度の中央値は、40mgのHMG(投与後2時間絶食)にある先端巨大症患者の定常状態トラフ濃度の中央値に類似している。
【0348】
実施例8:カルチノイド症候群を有する対象におけるパルツソチン治療の安全性、薬物動態、及び用量反応を評価するための第2相、無作為化、並行群間研究
本研究の目的は、カルチノイド症候群を有する対象におけるパルツソチン治療の安全性、薬物動態(PK)、及び用量反応を評価することである。
【0349】
全体設計
これは、第2相、無作為化、オープンラベル、並行群間、多施設研究である。研究には、最大12週間のスクリーニング期間が含まれる。スクリーニングの完了後、対象は、無作為化治療相と呼ばれる、最大8週間の40mgのQD対80mgのQDのオープンラベル用量群に無作為に割り当てられる。
【0350】
無作為化治療相を完了した対象は、対象が50週間パルツソチンを受ける研究のオープンラベル拡張(OLE)相に入るのに適格であり得る。パルツソチン治療の総持続時間は、最大58週間又は最大15ヶ月である。
【0351】
持続時間及び介入群
研究は、2つの相:無作為化治療相及びOLE相からなる。両方の相に参加する対象は、およそ58~70週間又は14~16ヶ月で研究を完了する。研究は以下からなる。スクリーニング期間:最大12週、無作為化治療相:8週間、1:1で40mg又は80mgに8週間無作為化、OLE相:50週間。
【0352】
研究薬物
パルツソチンは、20mgの錠剤として提供される。無作為化治療相の間、40mgを割り当てられた対象は、20mgの錠剤を1日2錠服用し、80mgを割り当てられた対象は、20mgの錠剤を1日4錠服用する。120mgを必要とする対象は、20mgの錠剤を1日6錠服用する。
【0353】
スクリーニング
スクリーニング期間は、対象が以下に記載される無作為化の適格基準をいつ満たすかに応じて、2~12週の範囲で変化する。
【0354】
SRLに対してナイーブであり、活動的症候性である(2週間の期間にわたる、少なくとも2日間(3日以上連続して)≧4回の排便(BM)/日の平均、又は1日当たり>2回の紅潮エピソード)対象、又は現在症候制御されている(ランレオチド、オクトレオチドLAR、若しくは短時間作用型オクトレオチド(即時放出オクトレオチド注射又は経口オクトレオチド)で治療されている間に、2週間の期間にわたる、1日≦5回の排便(BM)で、<4回のBM/日の平均、及び平均≦2回の紅潮エピソード/日)対象、並びにその薬品をウォッシュアウトする意思がある対象がスクリーニングに適格である。
【0355】
電子症状日記の記入は、スクリーニング全体を通して、及び12週の研究を通して(無作為化治療相及びOLEに4週間を通して)、続いてOLE相の選択された期間毎日継続される。ブリストルスケールに従った便の一貫性及びNRSに従った腹痛もまた、電子症状日記に記録される。いくつかの評価項目は、無作為化治療開始前の最後の7日として定義されるスクリーニング期間から定義されるベースラインを使用する。そうでなければ、ベースラインは、無作為化治療開始前の最後の値として定義される。
【0356】
SRLに対してナイーブである対象:SRLに対してナイーブである対象については、スクリーニング期間中に2回のスクリーニング来院(S1及びS2)がスケジュールされる。S1において最初の適格性評価を完了した後、未治療の症状(BM及び紅潮エピソード)の頻度の2週間の評価が開始される。S1来院では、血漿5HIAAレベルが評価される。血漿5-HIAA結果が≧2×正常の上限(ULN)であり、2週間の評価が完了し、対象が症候性適格基準(2週間の期間にわたる、≧4回のBM/日の平均、又は>1日当たり2回の紅潮エピソード)を満たすことを実証する場合、第1日目の無作為化来院をスケジュールする。
【0357】
試験前のSRL、
ランレオチド又はオクトレオチドLARを使用して症候制御される対象:試験前のランレオチド又はオクトレオチドLARを使用する対象について、2回のスクリーニング来院(S1及びS2)をスクリーニング期間中にスケジュールする。スクリーニング来院1(S1)は、ランレオチド又はオクトレオチドLARの最後の試験前注射とS2との間の間隔が、対象の注射間の通常の間隔よりも長くならないようにスケジュールすべきである。S2は、最後の試験前のランレオチド又はオクトレオチドLAR注射後最大4週間までに生じる。これらの対象は、S1でインフォームドコンセントが与えられた後は、ランレオチド又はオクトレオチドLARを受けない。電子症状日記の記入は、S1の第1日目中に開始しなければならない。
【0358】
S2来院では、試験前のランレオチド又はオクトレオチドLARからの症状制御が評価される。S1とS2との間で症候制御される(2週間の期間にわたる、(3日以上連続して)1日≦5回のBMで、<4回のBM/日の平均、又は>2回の紅潮エピソード/日の平均を有する)対象は、血漿5HIAAレベルを評価され、S2後最大10週間スクリーニング期間を継続させる。この間、対象は、症状適格基準を満たす必要がある(7日間の期間中、S1とS2の間の文書化された期間からの1日の治療平均を上回る≧2回のBMの増加、又は少なくとも1日における≧3回のエピソードの1日平均紅潮エピソードの増加)。対象がS2の10週間以内の第1日目の無作為化来院に適格でない場合、対象はスクリーニングに失敗する。
【0359】
短時間作用型オクトレオチド:カルチノイド症候群の症状予防のために規則的な用量の短時間作用型オクトレオチド(即時放出オクトレオチド注射又は経口オクトレオチド)を使用する対象については、スクリーニング期間中に2回のスクリーニング来院(S1及びS2)をスケジュールする。S1後、治療された症状(BM及び紅潮エピソード)の頻度の2週間評価が開始される。対象は、この期間中、最新の試験前用量及び投与頻度で短時間作用型オクトレオチドの試験前投与を継続する。電子症状日記の記入は、S1でインフォームドコンセントが与えられた後1日以内に開始しなければならない。S2は、S1のおよそ2週間後に生じる。
【0360】
S2来院において、短時間作用型オクトレオチドからの症状制御が評価される。S1とS2との間2週間にわたる、1日≦5回のBMで、<4回のBM/日の平均、又は>2回の紅潮エピソード/日の平均を有する対象の血漿5-HIAAのサンプリングを行い、スクリーニング期間を継続させる。スクリーニング期間中、対象は、症候性適格基準(7日間の期間中、S1とS2の間の文書化された期間からの1日治療平均を上回る≧2回のBMの増加、又は少なくとも1日における≧3回のエピソードの1日平均紅潮エピソードの増加)を満たすことによって、短時間作用型オクトレオチドの適切なウォッシュアウトを実証する必要がある。S2の10週間以内に第1日目をスケジュールすることができない場合、対象はスクリーニング失敗とみなされる。
【0361】
治験責任医師によって推奨されるように、スクリーニング中に下痢止め剤が使用されてもよい。スクリーニング期間中に対象に経口下痢止め剤を推奨するための代表的なガイドラインは以下のとおりである:
【0362】
【表23】
【0363】
ジフェノキシレート又はロペラミドは、短時間作用型オクトレオチドがレスキュー療法に使用されている場合を除き、研究中いつでも、症状制御の改善のために必要に応じて使用され得る。対象を無作為化に適格とする症状基準を満たした対象のスクリーニングにおいて、対象の第1日目の無作為化来院のスケジュールに遅延がある場合、対象は、短時間作用型オクトレオチドを開始することができる。短時間作用型オクトレオチドは、無作為化来院の12時間前までに停止しなければならない。
【0364】
【表24】
【0365】
無作為化治療相
全てのスクリーニング評価が完了し、対象の適格性が検証されると、対象は8週間の無作為化治療相のために40mgのQD対80mgのQDに無作為化される。対象は、第1日目に、40mgのQD又は80mgのQDのための十分なパルツソチン20mg錠剤を14日間提供され、PK評価を実施するために第14日目に施設に戻る。スケジュールされた研究来院は、第28日目、42日目、及び56日目に行われる。第56日目(SOAにおいて第8週と称される)における決定は、OLE相における潜在的な登録についてなされる。
【0366】
無作為化治療相中のブレークスルーカルチノイド症候群の症状のレスキュー治療
【0367】
ジフェノキシレート又はロペラミドは、短時間作用型オクトレオチドがレスキュー療法に使用されている場合を除き、研究中いつでも、症状制御の改善のために必要に応じて使用され得る。研究中に生じるカルチノイド症候群のブレークスルー症状のための可能な治療レジメンを表Cに示す。
【0368】
第1日目、スクリーニング期間中に治験責任医師の指示で、1日3回まで、短時間作用型オクトレオチド200μgの使用方法の指示をまだ受けていない全ての対象は、基準が満たされたときにレスキュー療法の指示を受ける(表D)。短時間作用型オクトレオチドは、バイオマーカー試料採取の少なくとも12時間前に投与してはならない。
【0369】
【表25】
【0370】
【表26】
【0371】
対象が、短時間作用型オクトレオチドレスキューのプロトコル基準を満たすカルチノイド症候群の症状を経験する場合、それぞれの用量は、症候学に基づいて、最初の28日間に1回、80又は120mgのQDの最大用量まで40mgのQDだけ増加され得る。研究の並行群相の残りの4週間を通して、第28日目以降の用量増加は許可されない。表Eは、研究の無作為化、並行群部分の用量調整を要約する。
【0372】
【表27】
【0373】
オープンラベル拡張相
無作為化治療相の最終用量は、8週目の来院時に研究施設で投与される。8週間の無作為化治療相を完了する対象は、治験責任医師の意見において、対象がOLE相参加から利益を得る場合、研究のOLE相を開始し得る。無作為化処置相を完了しないが、治験責任医師がパルツソチンでの治療の継続を推奨する対象は、OLE相への参加に適格であり得る。
【0374】
OLEにロールオーバーする対象について、初期のOLE用量は、レスキュー治療の頻度及び治験薬認容性に基づいて治験責任医師によって選択され、第57日目に開始される(表F)。
【0375】
【表28】
【0376】
ブレークスルーカルチノイド症候群の症状のレスキュー治療
ジフェノキシレート又はロペラミドは、短時間作用型オクトレオチドがレスキュー療法に使用されている場合を除き、研究中いつでも、症状制御の改善のために必要に応じて使用され得る。研究中に発生するカルチノイド症候群のブレークスルー症状のための可能な治療レジメンを表Cに示す。短時間作用型オクトレオチドは、バイオマーカー試料収集前の少なくとも12時間の間投与してはならない。
【0377】
対象が、短時間作用型オクトレオチドレスキューのプロトコル基準を満たすカルチノイド症候群の症状を経験する場合、それぞれの用量は、症候学に基づいて、最初の28日間に1回、80又は120mgのQDの最大用量まで40mgのQDだけ増加され得る。研究の並行群相の残りの4週間を通して、第28日目以降の用量増加は許可されない。表Eは、研究の無作為化、並行群部分の用量調整を要約する。
【0378】
研究の完了及び早期終了
研究の完了及び早期終了(ET)は各々、無作為化治療相及びOLE相について別々に定義される。研究の無作為化治療相及びOLE相の完了は、対象が各相内の最終来院を完了することを必要とする(無作為化治療相及びOLE相の研究終了[EOS]来院)。無作為化治療相を完了しない対象は、治験責任医師の要請により、メディカルモニターとのディスカッションの後に、OLE相に参加するのに適格である場合がある。研究の無作為化治療相又はOLE相から早期に中止した対象は、治験責任医師が推奨する標準治療で治療し、ET来院を受けるべきである。
【0379】
無作為化治療相の終了及び治療の終了
無作為化治療相における最後にスケジュールされた投与の完了は、無作為化治療相の終了(EOR)として定義され、OLE相における最後にスケジュールされた投与の完了は、治療の終了(EOT)として定義される。
【0380】
研究の終了
EOS来院(フォローアップ来院)は、パルツソチンの最後の用量から28日後の安全性データを収集するために行われる。
【0381】
EOS来院は、OLE相に入らない対象について、無作為化治療相の最後の用量の28日後である。OLE相を完了する対象について、EOS来院は、第62週目である。
【0382】
研究の目的及び評価項目
40、80、及び120mgのQD用量におけるパルツソチンの安全性及び忍容性を評価すること。評価項目には、重篤なTEAE及び中止につながるTEAEを含むTEAEの発生率、安全性パラメータ:臨床検査、身体検査所見、バイタルサイン、12誘導ECG、及び24時間連続心臓モニタリング(120mg用量の対象のみ)におけるベースラインからEORへの変化が含まれる。
【0383】
40、80、及び120mgのパルツソチンのPKを評価すること。評価項目には、EORにおける各用量での定常状態トラフレベルが含まれる。
【0384】
無作為化治療相の探索的有効性
異なる用量アームの応答率を導出する。評価項目には、無作為化治療相の最後の週中の用量による、臨床応答者の割合を含む:
●下痢の登録基準:ベースラインと比較して、1日4回未満の平均排便を有する;>20%の1日平均排便の回数の低減を有する、を満たす対象のみにおける。
●紅潮の登録基準:ベースラインと比較して、>30%の1日の平均紅潮エピソード回数の低減を有する、を満たす対象のみにおける。
●下痢及び紅潮エピソードの両方の登録基準:ベースラインと比較して、1日4回未満の平均排便を有する;>20%の1日平均排便の回数の低減を有する;ベースラインと比較して、1日の平均紅潮エピソード回数のベースラインからの低減を有する、を満たす対象における。
【0385】
BM/日の頻度に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、スクリーニングのベースライン期間から無作為化治療相の最後の週までの1日平均BMの変化が含まれる。
【0386】
紅潮エピソード/日の頻度に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、スクリーニングのベースライン期間から無作為化治療相の最後の週までの1日の平均紅潮エピソードの変化が含まれる
【0387】
カルチノイド症候群の生化学的マーカーに対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、ベースラインからEORへの:血漿5-HIAA、血漿パンクレアスタチン、血清クロモグラニンA、血清セロトニンの変化が含まれる。いくつかの対象では、血漿パンクレアスタチンを収集及び分析しない。
【0388】
短時間作用型オクトレオチド注射によるプロトコル定義レスキューの使用に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、短時間作用型オクトレオチドの使用の変化:対象が無作為化治療相の最後の週の短時間作用型オクトレオチドの日数の割合に対する登録基準を満たした後の、スクリーニング期間における短作用型オクトレオチドの日数の割合の変化、対象が無作為化治療相の最後の週の間の短時間作用型オクトレオチドの平均1日用量に対する登録基準を満たした後のスクリーニング期間における短作用型オクトレオチドの平均1日用量の変化が含まれる。
【0389】
失禁に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、スクリーニングのベースライン期間から無作為化治療期間の最後の週までの、1日の平均便失禁エピソード(固形便、液状便、又は粘液を含む意図しない排便の通過として定義される)の変化が含まれる。
【0390】
腹痛の重症度に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、最後の24時間における最悪の腹痛の変化(0~10のNRSを使用)、スクリーニングの平均ベースライン期間から無作為化治療相の最後の週の平均まで、スクリーニング期間のベースライン期間中の最高スコアから無作為化治療相の最後の週の最高スコアまでが含まれる。
【0391】
便の一貫性に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、最後の24時間における最悪(最高)の便スコア(ブリストルスケール)変化、スクリーニングの平均ベースライン期間から無作為化治療相の最後の週の平均まで、スクリーニング期間のベースライン期間中の最高スコアから無作為化治療相の最後の週の最高スコアまでが含まれる。
【0392】
健康関連の生活の質に対するパルツソチン治療の効果を評価すること:ベースラインからEORへの変化:EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-GI.NET21スコア、EQ-5D-5L、FACT-CSI。
【0393】
対象が知覚するカルチノイド症候群の重症度及び変化を評価すること。評価項目には、PGI-S(Patient Global Impression of Status)におけるベースラインからEORへの変化、EORにおけるPGI-C(患者による全般的印象重症度)が含まれる。
【0394】
治療の好みを評価すること。評価項目には、ベースラインからEORへの治療の好みの変化が含まれる。
【0395】
排便の緊急性に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、スクリーニングのベースライン期間から無作為化治療相の最後の週までの、1日の平均緊急性エピソード(対象をトイレに急がせるBMとして定義される)の変化が含まれる。
【0396】
オープンラベル拡張(OLE)相
パルツソチンの安全性及び認容性を評価すること。評価項目には、重篤なTEAE及び中止につながるTEAEを含むTEAEの発生率、安全性パラメータ:臨床検査、身体検査所見、バイタルサイン、及び12誘導ECGにおけるEORからEOTへの変化が含まれる。
【0397】
40、80、及び120mgのパルツソチンのPKを評価すること。評価項目には、EOTにおける各用量における定常状態トラフレベルが含まれる。
【0398】
腫瘍進行に対するパルツソチンの効果を評価すること。評価項目には、パルツソチン投与中の6ヶ月間隔のイメージング評価を使用したEOTにおけるNET進行の発生率が含まれる。
【0399】
パルツソチンの効果の持続性を評価すること。評価項目は以下を含む:a)OLE相の最後の週中の用量による、臨床応答者の割合:i)下痢の登録基準:ベースラインと比較して、1日4回未満の平均排便を有する、及び>20%の1日平均排便の回数の低減を有する、を満たす対象のみにおける。ii)紅潮の登録基準:ベースラインと比較して、>30%の1日の平均紅潮エピソード回数の低減を有する、を満たす対象のみにおける。iii)下痢及び紅潮エピソードの両方の登録基準:ベースラインと比較して、1日4回未満の平均排便を有する、及び>20%の1日平均排便の回数の低減を有する、並びにベースラインと比較して、1日の平均紅潮エピソード回数のベースラインからの低減を有する、を満たす対象における。b)ベースライン前の最後の週の平均から、OLE相参加の最後の週の平均への1日のBM頻度の変化。c)ベースライン前の最後の週の平均からOLE相参加の最後の週の平均への1日の紅潮エピソード頻度の変化。d)カルチノイド症候群の生化学的マーカーにおけるベースラインからEOTへの変化。e)ベースラインからEOTへの変化。EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-GI.NET21スコア、EQ-5D-5L、FACT-CSI。
【0400】
短時間作用型オクトレオチド注射によるプロトコル定義レスキューの使用に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、短時間作用型オクトレオチドで治療される日数の変化、EOTの1週間前と比較したベースライン前の最後の週における短時間作用型オクトレオチドの日数の割合の変化、ベースライン前の最後の週からEOTの1週間前までのオクトレオチドの平均1日用量の変化が含まれる。
【0401】
失禁に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、ベースライン前の最後の週からEOT前の最後の週までの平均1日便失禁エピソード(固形便、液状便、又は粘液を含む意図しない排便の通過として定義される)の変化が含まれる。
【0402】
腹痛の重症度に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、ベースライン前の最後の週の平均からOLEの最後の週への;ベースライン前の最後の週の最高スコアからOLEの最後の週への、最後の24時間における最悪の腹痛の変化(0~10のNRSを使用)が含まれる。
【0403】
排便の緊急性に対するパルツソチン治療の効果を評価すること。評価項目には、ベースライン前の最後の週からEOT前の最後の週までの、1日の平均緊急性エピソード(対象をトイレに急がせるBMとして定義される)の変化が含まれる。
【0404】
対象の数
およそ30人の対象(15人の対象/アーム)が本研究に登録される。スクリーニング時にプロトンポンプ阻害剤(PPI)を服用する対象は、本研究に登録された最大6人の対象に寄与し得る。
【0405】
組み入れ基準
研究関連手順の前に、書面によるインフォームドコンセントを提供する意思及び能力。第1日目の来院前2週間の電子症状日記への少なくとも70%のコンプライアンスを含む、プロトコルに指定された研究手順に従う意思及び能力。
【0406】
スクリーニング時に≧18歳の男性又は女性の対象。
【0407】
少なくとも1回の過去にバイオマーカー上昇の事例を含む、薬物療法を必要とする文書化されたカルチノイド症候群。適格な対象は、以下のいずれかのカテゴリーに分類される:
●SRLに対してナイーブ、及び活動的症候性(2週間の期間にわたる、少なくとも2日間≧4回の便通(BM)の平均、又は≧2回の紅潮エピソード)
ランレオチド、オクトレオチドLAR、又は短時間作用型オクトレオチド(皮下又は経口)で現在治療されている、現在症候制御されている(2週間の期間にわたる、平1日≦5回のBMで、<4回のBM/日の平均、及び平均≦2回の紅潮エピソード/日)、及びそれらの薬品をウォッシュアウトする意思がある対象。対象は、ウォッシュアウト後の症状の悪化を実証しなければならない。
【0408】
局所進行性又は転移性の組織病理学的に確認された高分化NETの評価可能な文書。腫瘍は、World Health Organizationの神経内分泌新生物分類(Rindi G、Inzani F.Neuroendocrine neoplasm update:toward universal nomenclature Endocr Relat Cancer.2020;27(6):R211~R218)に従って、グレード1又はグレード2(Ki-67≦20%、又はKi-67インデックスが利用できない場合、10のハイパワーフィールド当たり≦20の有糸分裂数)でなければならない。グレード3の腫瘍は適格ではない。
【0409】
【表29】
【0410】
治験薬投与開始前の過去6ヶ月以内に標準的なサーベイランスによって文書化された治験責任医師の意見における腫瘍進行の不在。
【0411】
PET又はソマトスタチン受容体シンチグラフィーによる陽性SSTR腫瘍状態の過去の文書。
【0412】
SRLをウォッシュアウトしないナイーブな対象のスクリーニング中の血漿5-HIAA≧2×ULN。
【0413】
異性間性交に従事する女性は、妊娠可能ではないか、少なくとも1年の無月経を伴う閉経後であるか、スクリーニング開始から最終研究来院まで非常に効果的な避妊法を使用することに同意しなければならない。これらの避妊法に加えて、男性パートナーはスクリーニングの開始から最終研究来院までコンドームを使用する必要がある。
【0414】
対象が男性である場合、対象は、性的に活発な場合コンドームを使用するか、又は禁欲することに同意する必要がある。
【0415】
除外基準
病歴及び薬物:カルチノイド症候群(脂肪吸収不良、胆汁酸吸収不良、短腸症候群、膵外分泌不全、感染症、VIPoma、ゾリンジャー・エリソン症候群を含むがこれらに限定されない)以外の任意の病態に起因する下痢。これらに対する例外は、過去に胆嚢切除術又は小腸切除術を受けた対象であるが、ただし、下痢がウォッシュアウト前に制御されているか、又はSRLにネイティブである場合に限る。顕著な体積収縮、脱水、又は低血圧に関連付けられた制御不能/重度の下痢。治験責任医師の意見で、カルチノイド症候群の症状を制御するための第二選択治療(例えば、テロトリスタット)が必要。スクリーニングの<4週間前の腫瘍指向性療法、スクリーニングの<12週間前の肝塞栓療法、放射線療法、ペプチド受容体放射性核種療(PRRT)及び/又は腫瘍減量術による治療。カルノフスキーパフォーマンスステータス<60%。スクリーニング前8週間以内の大きな手術。適格なNET、臨床的に治癒したと考えられる基底細胞若しくは扁平上皮がん、又は上皮内子宮頸がんを除く、悪性腫瘍。スクリーニングから<12ヶ月の平均余命。研究登録前の6週間未満にインスリンで治療されたか、又はスクリーニング前6週間内に>15%の1日の総インスリン用量の変化を伴う真性糖尿病。≧8.5%(すなわち、≧69.5mmol/mol)であるヘモグロビンA1c(HbA1c)、又はHbA1cが評価可能でない場合(例えば、異常ヘモグロビン症に起因して)のフルクトサミンに基づく推定HbA1cを有するものとして定義される制御不良な糖尿病。パルツソチンへの全身曝露を低減する可能性があるための、スクリーニング前2週間以内のシトクロムP450 3A4(CYP3A4)の強力な誘導剤である薬物の現在の使用。短時間作用型オクトレオチド(酢酸オクトレオチド注射)の投与不能。試験材料又は関連化合物のいずれかに対する既知のアレルギー又は過敏症。治験責任医師が判断する、本研究に支障をきたすその他の病態。
【0416】
スクリーニング試験及び評価:SARS-CoV-2PCR検査及び臨床症状に基づいて、活性COVID-19が確認又は疑われる。対象が顕著な刺激(ノイズ、テレビなど)なしに少なくとも10分間仰臥位で静かに休息した後の、各々がおよそ1分間の時間で分離された3つのECGの平均の中央読み取り値に基づき、スクリーニング中、フリデリシアの式を使用した補正QT間隔(QTcF)>480ミリ秒(又は完全脚ブロックの存在下でQTcF>500ミリ秒)、又はPR間隔>240ミリ秒。
【0417】
その他の基準:心血管疾患、推算糸球体濾過値<60mL/分/1.73m、肝硬変、ベースラインAST及び/又はALT>2×ULN、並びに/又は総ビリルビン>1.5×ULNを含むがこれらに限定されない、臨床的に顕著な併発症。他の肝胆道障害を伴わず、かつ総ビリルビン<3.5mg/dL(<51.3μmol/L)に関連付けられる、以前に診断されたギルバート症候群を有する対象は許容される。
【0418】
対象が報告した評価
全ての対象に対して計画された時間点がSOAに記載されている。これらの評価が同じ来院で行われる場合、順序は以下のとおりである。(1)電子症状日記、(2)患者による全般的印象重症度(PGI-S)、(3)患者による全般的印象変化(PGI-C)、(4)EuroQol 5Dimensions 5Level(EQ-5D-5L、(5)EORTC QLQ-C30の生活の質のアンケート、(6)EORTC QLQ-GI.NET21の生活の質アンケート、(7)カルチノイド症候群の症状指数の機能評価(FACT-CSI)(Shaunfield S,Webster K A,Kaiser K,et al.(2021)Development of the Functional Assessment of Cancer Therapy-Carcinoid Syndrome Symptom Index.Neuroendocrinology 111:850-862)、及び(8)治療の好みのアンケート。
【0419】
電子症状日記:対象は、毎日自宅で電子症状日記、短い症状日記を、最初のスクリーニング後に開始して、スクリーニングを通して、第1週から第12週まで(無作為化治療相を通して、及びOLE相の開始まで)記入するように求められ、その後、OLE相の残りの部分では、第18、24、36、48及び58週の来院前に2週間毎日記入しなければならない(又は単に、第17~18週、第23~第24週、第35~36週、第47~第48週、及び第57~58週の間に)。この電子症状日記は、対象の理解とコンプライアンスを評価し、排便(BM)のベースライン症状の頻度と紅潮の頻度、糞便の緊急性及び失禁のエピソード、腹痛の重症度、並びに便の一貫性を測定するために使用される。便の一貫性のベースライン症状は、ブリストルスケール、及びNRSによる腹痛に従って評価される。
【0420】
対象は、上記で指定された期間中の毎晩、ほぼ同じ時間に日記を記入するように指示される。現場スタッフは、電子日記マニュアルに概説されているように、自己申告による電子日記の記入に関する対象のコンプライアンスをレビューする。
【0421】
対象は、毎日の電子症状日記に、全てのブレークスルー症状治療の使用を記録するように求められる。
【0422】
全般的印象変化及び重症度:PGI-Sは、4ポイントの言語評価尺度(症状なし、軽度の症状、中等度の症状、及び重度の症状)を使用して、対象の全体的な疾患の重症度の認識を評価する。PGI-Cは、7ポイントの言語評価尺度(はるかに良好、中程度に良好、やや良好、変化なし、やや悪化、中程度に悪化、及びはるかに悪化)を使用して、疾患の重症度の変化の対象の認識を評価する。
【0423】
EQ-5D-5L:European Quality of Life(EuroQoL)によって開発されたEQ-5D-5L(5つの重症度レベルEQ-5D)は、幅広い健康状態に適用可能な健康評価項目の尺度として使用するための、対象によって完了される標準化された機器である。EQ-5D-5Lは、健康の5つの次元:移動度、セルフケア能力、通常の活動を行う能力、疼痛及び不快感、並びに不安及びうつ病を含む。EuroQoL Groupにより実施された定性的及び定量的研究に基づいて、各ドメインには5つの選択肢(レベル)がある:「問題なし」、「わずかな問題」、「中程度の問題」、「深刻な問題」、及び「不可能/極端な問題」。5つの全ての次元への応答は、値セットを使用することによって、単一の概要インデックス、ユーティリティ(範囲:0~1)に変換することができる。インデックス値が高いほど、より良好な健康状態を表す。
【0424】
EORTC QLQ-C30生活の質アンケート:EORTC QLQ-C30生活の質アンケートは、がんを有する対象における健康関連の生活の質を評価するために使用される。アンケートは、健康関連の生活の質を評価するための28の質問を伴い、各質問は1~4の尺度で回答することができる。スコアが低いほど、より良好な生活の質を示す。2つの追加の質問があり、1つは対象の「過去1週間の全体的な健康」を評価するためのものであり、1つは対象の「過去1週間の全体的な生活の質」を評価するためのものである。これらの2つの質問の各々は、1~7の尺度で回答することができる。スコアが高いほど、より良好な生活の質を示す。
【0425】
EORTC QLQ-GI.NET21生活の質アンケート:EORTC QLQ-GI.NET21生活の質アンケートは、神経内分泌カルチノイドを有する対象における症状のフォローアップに使用される。「過去1週間の間」及び「過去4週間の間」のカテゴリーに分かれた約21の質問があり、対象における症状のフォローアップに使用される。質問の各々は1~4の尺度で回答することができる。スコアが低いほど、より良好な生活の質を示す。
【0426】
FACT-CSI:FACT-CSIは、以下のドメイン:疾患関連の身体的症状、疾患関連の感情的症状、治療の副作用、及び機能的健康からなる単一の多次元症状指標としてスコアリングすることができる24項目の機器である。対象は、0 (まったくない)~4(非常に多い)の範囲の5ポイントのリッカート尺度で、各記述に対する応答を選択する。総スコアが低いほど、より良好な生活の質を示す(Shaunfield S,Webster K A,Kaiser K,et al.(2021)Development of the Functional Assessment of Cancer Therapy-Carcinoid Syndrome Symptom Index.Neuroendocrinology 111:850-862)。
【0427】
治療の好みの質問:治療の好みの質問は、対象が好む治療形態、すなわち、以前に使用された注射、又は経口治験薬(あるいは好みなし)に関する単一の質問である。
【0428】
本明細書に記載される実施例及び実施形態は、例示の目的のみのものであり、当業者に示唆される様々な修正又は変更は、本出願及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】