(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】船外船舶推進システムの船内高電圧バッテリ充電システム
(51)【国際特許分類】
B63H 21/38 20060101AFI20250117BHJP
B63H 20/14 20060101ALI20250117BHJP
B63H 20/00 20060101ALI20250117BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20250117BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20250117BHJP
F16H 1/28 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
B63H21/38 A
B63H20/14 100
B63H20/00 610
H02K7/14 Z
H02K7/116
F16H1/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538987
(86)(22)【出願日】2023-01-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-26
(86)【国際出願番号】 US2023010586
(87)【国際公開番号】W WO2023137055
(87)【国際公開日】2023-07-20
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522466854
【氏名又は名称】フラックス マリーン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソーキン,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ロード,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ズロテア,リンデン
【テーマコード(参考)】
3J027
5H607
【Fターム(参考)】
3J027FA28
3J027FB18
3J027FB19
3J027GA01
3J027GB03
3J027GC13
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD07
3J027GD08
3J027GD12
3J027GD13
3J027GE05
3J027GE11
3J027GE21
3J027GE29
5H607AA02
5H607BB01
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE28
5H607EE33
5H607HH00
5H607JJ05
5H607JJ10
(57)【要約】
リザーバと、リザーバに流体的に結合されたポンプと、ポンプに流体的に結合され、かつ複数の流体フローに結合されたスプリッタと、を含む熱伝達装置。熱伝達装置は、ポンプとスプリッタとの間に配置された第1の温度センサを含み、複数の流体フローの各々について、調整可能なバルブと、調整可能なバルブに流体的に結合されたモータと、モータに統合された第2の温度センサと、モータの後ろに配置された第3の温度センサと、を含む。熱伝達装置は、流体フローの各々に流体的に結合されたコンバイナと、コンバイナの後ろに配置された第4の温度センサと、コンバイナ及びリザーバに流体的に結合されたヒートシンクと、を含み、第2の温度センサは、制御信号を制御ユニットに提供して、調整可能なバルブを通る流体フローを制御するように構成されている。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝達装置であって、
作動流体を収容するように構成されたリザーバと、
前記リザーバに流体的に結合されたポンプと、
前記ポンプに流体的に結合され、かつ複数の流体フローに結合されたスプリッタと、
前記ポンプと前記スプリッタとの間に配置された第1の温度センサであって、前記作動流体の第1の温度を測定するように構成されている、第1の温度センサと、を備え、
前記複数の流体フローのうちの少なくとも1つが、
調整可能なバルブと、
前記調整可能なバルブに流体的に結合されたモータと、
前記モータに統合された第2の温度センサであって、前記モータの第2の温度を測定するように構成されている、第2の温度センサと、
前記モータの下流に配置された第3の温度センサであって、前記作動流体の第3の温度を測定するように構成されている、第3の温度センサと、
前記複数の流体フローの各々に流体的に結合され、かつ前記複数の流体フローの各々を組み合わせるように構成されたコンバイナと、
前記コンバイナの後ろに配置された第4の温度センサであって、前記作動流体の第4の温度を測定するように構成されている、第4の温度センサと、
前記コンバイナ及び前記リザーバに流体的に結合されたヒートシンクと、を備え、
前記第2の温度センサが、制御信号を制御ユニットに提供して、それによって、前記調整可能なバルブのうちの少なくとも1つを通る流体フローを制御するように構成されている、熱伝達装置。
【請求項2】
前記熱伝達装置が、船舶推進システムに統合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つのモータが、インバータに結合されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つのモータが、充電器に結合されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ヒートシンクの下流に配置された第5の温度センサであって、前記作動流体の第5の温度を測定するように構成されている、第5の温度センサを更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記調整可能なバルブが、連続的に調整可能なバルブである、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記作動流体が、冷媒である、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記作動流体が、水-グリコール混合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記スプリッタが、マニホールドである、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記スプリッタの複数の出力が各々、調整可能なバルブに結合されており、前記調整可能なバルブの各々が、フローセンサを更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記調整可能なバルブの各々が、個別に制御される、請求項1~10に記載の装置。
【請求項12】
ギアリングシステムであって、
シャフトを有するモータであって、前記シャフトが、前記モータから前記モータの外部の端子端まで延在する、モータと、
サンギア、キャリアに結合された2つ以上のプラネタリギア、及びリングギアを備える、プラネタリギアセットであって、前記プラネタリギアセットが、前記モータに向かって面する近位側及び前記モータから離れて面する遠位側を有し、前記サンギアが、前記遠位側に配置されている、プラネタリギアセットと、
前記プラネタリギアセットを囲むハウジングであって、前記リングギアに結合されている、ハウジングと、を備え、
アクスルが、前記ハウジング及び前記プラネタリギアセットを少なくとも部分的に通って延在しており、前記シャフトが、前記サンギアに結合されており、
前記シャフトが第1の回転数/分(RPM)で回転するとき、前記ハウジングが、前記第1のRPM未満である第2のRPMで回転する、ギアリングシステム。
【請求項13】
前記シャフト上に、かつ前記プラネタリギアセットと前記モータとの間に配置されたスペーサを更に備える、請求項12に記載のギアリングシステム。
【請求項14】
前記キャリアが、前記スペーサに結合されている、請求項12又は13に記載のギアリングシステム。
【請求項15】
前記第1のRPMと前記第2のRPMとの間の比が2である、請求項12~14のいずれか一項に記載のギアリングシステム。
【請求項16】
システムであって、
モータと、
前記モータから端子端まで延在する入力シャフトと、
前記リザーバに隣接し、かつ接触するプラネタリギアセットであって、前記プラネタリギアセットが、サンギア、キャリアに結合された2つ以上のプラネタリギア、リングギア、及び出力シャフトを備え、前記入力シャフトが、前記サンギアに結合されており、前記出力シャフトが、前記キャリアに結合されている、プラネタリギアセットと、
前記モータと前記プラネタリギアセットとの間に配置されたリザーバであって、前記リザーバが、前記入力シャフトの周りにトロイダル形状を備え、前記リザーバが、前記シャフト及び前記プラネタリギアセットから流体的に隔離されている、リザーバと、を備える、システム。
【請求項17】
船舶推進装置であって、
第1の駆動シャフトと、
前記第1の駆動シャフトに対して固定された引き上げプレートと、
中央部上部カラーと、
近位端から遠位端に延在する第1のストラット及び近位端から遠位端に延在する第2のストラットであって、前記第1のストラット及び前記第2のストラットの各々が、内部ベルト空隙を有し、前記第1のストラットが、前記第2のストラットと整列し、前記第1のストラットが、前記第2のストラットから離間し、前記第1のストラット及び前記第2のストラットの前記近位端が、前記中央部上部カラーに結合されている、第1のストラット及び第2のストラットと、
前記第1のストラット及び前記第2のストラットの前記遠位端に結合された下部ユニットであって、前記下部ユニットが、第2の駆動シャフトを有し、前記中央部上部カラーが、前記第2の駆動シャフトに対して固定されている、下部ユニットと、
前記第1の駆動シャフトを前記第2の駆動シャフトに回転可能に結合するベルトであって、前記ベルトの第1の部分が、前記第1のストラットの前記内部ベルト空隙内に配置されており、前記ベルトの第2の部分が、前記第2のストラットの前記内部ベルト空隙内に配置されている、ベルトと、
前記引き上げプレートを前記中央部上部カラーに結合する1つ以上の引き上げねじであって、前記1つ以上の引き上げねじを調整することが、前記引き上げプレートと前記中央部上部カラーとの間の距離を変化させ、それによって、前記ベルトの張力を調整する、1つ以上の引き上げねじと、
前記1つ以上の引き上げねじの各々に配置されたアクチュエータと、を備える、船舶推進装置。
【請求項18】
前記引き上げプレートと前記中央部上部カラーとの間に配置された引き上げプラットフォームと、
前記引き上げプレート及び前記引き上げプラットフォームに接触するロードセルと、
を更に備える、請求項17に記載の船舶推進装置。
【請求項19】
システムであって、
電気ボートモータと、
前記電気ボートモータに結合された下部ユニットであって、プロペラを備える、下部ユニットと、
インバータと、
前記インバータ及び1つ以上の高電圧バッテリに結合された船内バッテリ充電器と、
熱伝達回路であって、
作動流体を有するリザーバと、
ポンプと、
バルブと、
前記リザーバを前記ポンプに流体的に結合する第1のチューブと、
前記ポンプを前記バルブに流体的に結合する第2のチューブと、
前記バルブを前記インバータに流体的に結合する第3のチューブと、
前記バルブを前記船内バッテリ充電器に流体的に結合する第4のチューブと、
前記インバータを前記モータに流体的に結合する第5のチューブと、
モータを前記下部ユニットに流体的に結合する第6のチューブと、
前記船内バッテリ充電器を前記第6のチューブに流体的に結合する第7のチューブと、
前記下部ユニットを前記リザーバに流体的に結合する第8のチューブと、
を備える、熱伝達回路と、を備え、
充電構成にあるとき、前記バルブは、作動流体が前記第4のチューブを通って前記船内バッテリ充電器に流れることを可能にし、
動作構成にあるとき、前記バルブは、作動流体が前記第4のチューブを通って流れることを可能にしない、システム。
【請求項20】
電気ボートを再充電する方法であって、
船体、前記船体に結合された船外機、及び前記船体内に配置された1つ以上の充電式バッテリを有する、電気ボートを提供することであって、前記船外機が、電気機及び船内バッテリ充電器を備える、提供することと、
前記船内バッテリ充電器を交流源に結合し、それによって、前記1つ以上の充電式バッテリを充電させることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年1月11日に提出された米国仮特許出願第63/298504号、同第63/298521号、同第63/298498号、同第63/298511号、同第63/298518号に対する優先権の利益を主張する。これらの出願の各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、船舶推進システムを対象とする。より具体的には、船舶推進システムの冷却による動力伝達、最適化された熱伝達、潤滑、及びバッテリ充電のためのハウジング構造。
【背景技術】
【0003】
船舶推進機関は、歴史的に3つの一般的なタイプ、すなわち、船内船舶推進システム、船外船舶推進システム、及び船内外機、又は船内/船外船舶推進システムに分類されている。
【0004】
船内推進システムは、エネルギー源を使用してエネルギーを1つのシャフト又は複数のシャフトの回転運動に変換する原動機、その回転力を船体の底部から突出するプロペラシャフトに伝達するトランスミッションを備える。プロペラは、その水中シャフトの端部に固定され、通常、プロペラの後部に位置する舵によって指示される推力を生成する。船外機は、一般に、原動機を有するパワーヘッドと、プロペラ及びシャフトを収容する下部ユニット又はギアケースと、パワーヘッドと下部ユニットとの間の物理的接続を提供しながら、動力伝達デバイスが原動機からプロペラシャフトに動力を伝送することを可能にする中央部と、を備える。船外機の全体が、ボートのトランサムに装着されており、取り外すことができる。船内/船外、又は駆動システムとも呼ばれる船内外機システムは、ボートの内部に原動機を収容する。原動機のシャフトは、下部ユニット又はギアケースに電力を伝達するアウトドライブトランスミッションに接続されている。
【0005】
船内外機及び船外船舶推進システムは、従来、直角ベベルギアのセットを使用して、原動機からプロペラに回転動力を伝達する。燃焼機関の場合、回転の反転を可能にするために追加のギアセットが使用される。
【0006】
ベルト又はチェーン伝達配設を含む種々の送電方法は、従来技術から既知である。同期ベルトは、強く、かつ耐久性があるものになってきており、より高い動力の船舶エンジントランスミッションでの潜在的な使用を可能にする。そのようなベルト技術の実装は、物理的なハウジング配設及び機械的アセンブリにおける課題を提示する。船舶推進システムの浸水された部分の正面エリア及び流体力学的形状は、システムの抗力及び効率に影響を与え得る。回転軸とギアを収容するように設計された従来の物理的なアーキテクチャでベルト駆動技術を適用させることは、全体的に効率的な設計にハードルを生み出している。
【0007】
動力生成と動力伝達の副産物は、廃熱である。廃熱を十分に放散しないと、熱暴走又はシステムのシャットダウンを含むがこれらに限定されない、壊滅的な故障につながる可能性がある。歴史的に、電気自動車の熱管理システムは、能力が制限されていたか、過度に複雑であったか、又はその両方であった。例えば、初期世代の電気自動車は、多くの場合、複数の独立した熱管理サブシステムを使用していた。そのようなアプローチは、各熱管理サブシステムがそれ自体のコンポーネント(例えば、ポンプ、バルブ、冷媒システムなど)を必要とするため、本質的に非効率的である。これは、総システム効率に直接インピーダンスを有し、したがって、電気自動車の場合、範囲を有する。代替的に、各コンポーネントを有する単一のループを互いに直列に接続することができる。この方法は、緊急の必要性にかかわらず、特定のコンポーネントに永続的な優先順位を付け、システムの全体的な背圧を増加させるため、循環ポンプに追加の動力を必要とする。典型的には、推進システムは、クローズドループシステム又はオープンループシステムのいずれかを利用している。オープンループシステムは、外部の水体から流体を取り込み、選択したコンポーネントの周りを循環して熱を放散する。オープンループシステムは、熱交換器を使用する内部クローズドループ冷却回路を含み得る。他の推進システムは、完全クローズドループ冷却システムを利用している。クローズドループシステムは、一般に、いくつかの数の廃熱生成コンポーネント、少なくとも1つの熱交換器、ポンプ、バルブ、及びリザーバの冷却水フローループを含む。オープンループシステムとクローズドループシステムは共に、利点と欠点を有する。
【0008】
オープンシステムは、廃棄熱エネルギーをコンポーネントからオープンソース冷却水ループに直接伝送するため、より単純である。オープンシステムの欠点として、吸気口が覆われると遮断される傾向があり、その油又は他の汚染物質が容易に冷却水の流れに入ることができ、それによって環境への影響を引き起こすことが挙げられる。更に、塩水を冷却に使用すると、敏感なコンポーネントを急速に腐食させる可能性がある。したがって、定期的に洗い流すことが一般的な要件である。クローズドループシステムの利点として、自動車及び航空宇宙などの船舶用途以外の推進システムへの適用性が挙げられる。他の利点としては、特定の作動液を使用する能力が挙げられる。欠点としては、ヒートシンクが廃熱生成に応じてスケーリングする必要があるため、放熱をスケーリングする能力が制限されることが挙げられる。比較すると、オープンシステムは、流量を増加させることのみを必要とする。
【0009】
本開示の実施形態は、上記の課題及び他の課題に対処することを意図している。
【0010】
ギア減速システムは、牽引駆動及び他の推進システムにおいて共通して必須である。ギア減速システムは、原動機のトルク/動力曲線を出力軸の速度要件に合わせるのに役立つ。燃焼及び電気モータの場合、システムの低RPM範囲で動作している間、動力出力は制限されている。次いで、ギア減速は、同じ出力トークに対してより高いトークを提供する。一般的な例としては、出力シャフトの制御を維持しながらエンジンを効率的なRPMで動作させるように設計された自動車用トランスミッションが挙げられる。
【0011】
エピシクリックギアボックス又はギアボックス(「ギアセット」とも称される)は、一般に、回転入力を、より多くのトルクでのより遅い回転シャフト又はより低いトルクでのより速い回転シャフトのいずれかに変換する。一部のギアボックスでは、ストレートカットスパーギアがインボリュート歯で使用されている。他のギアリングシステムは、異なる歯形又は非スパーギアを使用し得る。電気モータは、より高いRPMで回転することによって、より高い動作効率を達成することができる。ギア減速とペアリングすることで、低速で十分なトルクを維持しながら、モータの高効率を実現することができる。減速比は、現在のギアの相対歯数によって決定される。
【0012】
ギア減速システムは、牽引駆動及び他の推進システムにおいて共通して必須である。ギア減速システムは、原動機のトルク/動力曲線を出力軸の速度要件に合わせるのに役立つ。燃焼及び電気モータの場合、システムの低RPM範囲で動作している間、動力出力は制限されている。次いで、ギア減速は、同じモータ出力トークに対してより高いトークを提供する。一般的な例としては、出力シャフトの制御を維持しながらエンジンを効率的なRPMで動作させるように設計された自動車用トランスミッションが挙げられる。
【0013】
エピシクリックギアボックスは、アウターリングギア、セントラルサンギア、小さいプラネットギア、及びプラネットキャリアを備える。ギアボックスの機能は、より多くのトルクでの遅い回転シャフト又はより低いトルクでのより速い回転シャフトに回転入力を変換することである。動力伝達中の損失は避けられない。損失の例として、1)転がり損失、2)スライド損失、3)グライド損失、4)ベアリング損失がある。システムの損失を低減することは、駆動トレインのシステム効率を増加させる。発生する損失は、典型的には、廃熱の形態を採る。この廃熱は、過熱によって生じる損傷を防ぐために、ギアボックスから十分に排出されなければならない。ギアボックス冷却のためのいくつかの解決策は、1)ファン冷却(外側ハウジング上を空気が流れ続けるように高速シャフトに装着される)、2)水冷(ラジアルハウジングにウォータジャケットが装着される)、3)油水冷却(ギアから油への廃熱を水に伝達するために別の熱交換器を使用する)のいずれかを使用し得る。これらの方法は、徐々により効果的であるが、各々は、以前よりも複雑である。
【0014】
シャフトによって伝達される動力は、加えられるトルクと回転速度(RPM)に比例する。エピシクリックギア減速には、2つの主な制限要因による上限動力がある。1つは、最大トルクを制限し、2つ目は、最大回転数を制限することである。材料特性には、伝達されるトルクに制限がある。トルク制限を超えると、材料が変形して破損する。これは、負荷が最も高いギア又はスプラインの歯で発生する可能性が高い。熱負荷は、RPMを無限に増加させる能力を制限する。一般に、ベアリングは、最大RPMに制限を設ける最初のコンポーネントである。ベアリングが過熱すると、摩擦溶接が行われ、潤滑油を燃焼させ、油量を低減させ、及び/又は潤滑能力を低減させる可能性がある。これらの課題に対する現在の解決策として、複雑な熱処理プロセスを使用して、材料の強度、及び、したがってトルク能力を増加させることが挙げられる。他の解決策としては、非常に耐熱性の高いセラミックなどの高度な材料を使用することが挙げられる。これは、速度が100,000RPMを超え、温度が1000Kに達する可能性があるガスタービンベアリングなどの用途で使用される。これらの解決策の過度に高い代償は、大量採用を制限する。ギア減速機を冷却及び潤滑する典型的な方法は、油に浸し、ラジエータ又はヒートシンクを通して油を循環させることである。これは、それ自体の循環システムを必要とするため、非効率的である。
【0015】
駆動シャフト、ベルト、チェーン、又はダイレクト駆動伝達配設を含む種々の動力伝達方法が存在する。船内外機及び船外船舶推進システムは、従来、直角ベベルギアのセットを有する駆動シャフトを使用して、原動機からプロペラに回転動力を伝送する。燃焼機関の場合、回転の反転を可能にするために追加のギアセットが使用される。底部にベベルギアを有する駆動シャフトは、パワーヘッドからの垂直動力出力を特に促し、大型機関を下部ユニットの上に中心に配置することを可能にする。しかしながら、駆動シャフトはまた、他の方法よりも高い摩擦損失を被る。ダイレクト駆動システムは、モータが下部ユニット内に装着されており、プロペラに直接接続されている多くの小型の電力船外システムで一般的である。これは、電気モータのサイズが燃焼機関と比較して小さいために可能であるが、この機関の幾何学的形状は、浸水されたモータの正面エリア及び流体力学的形状が大きい抗力を引き起こすため、より大きく、より強力なモータの場合に問題を提示する。
【0016】
同期ベルトは、強く、かつ耐久性があるものになってきており、より高い動力の船舶エンジントランスミッションでの潜在的な使用を可能にする。そのようなベルト技術の実装は、物理的なハウジング配設及び機械的アセンブリにおける課題を提示する。船外機でベルト駆動を使用するときに克服すべき2つの重要なハードルは、ベルトを張力下に保つ必要性、及びシャフトが適正に整列されていない場合にベルトがプーリに沿ってシフトする傾向である。張力は、プーリを物理的に離すこと、又はアイドラプーリでベルトを偏向させることのいずれかによって、ベルトがプーリ間を進まなければならない距離を増加させることによって、ベルトに追加され得る。荷重がかかっているときに歯を滑らせ又は飛ばすのを防止するために、ベルトに張力が必要である。ベルトが適切に機能するために必要な張力の量は、スプロケットに加えられるトルクとスプロケットのサイズに比例する。追加された摩擦にもかかわらず、アイドラプーリは、これまでのところ、シャフトの整列又は防水のいずれかを犠牲にすることなく、プロペラシャフト又は原動機及びパワーヘッドのいずれかを移動させることが困難であることに起因して、船舶推進用途におけるベルト駆動の場合に偏在的になっている。
【0017】
同期ベルトの主な損失は、ベルトとスプロケットとの間の摩擦、並びに原動機とプロペラシャフトが回転するベアリング内の摩擦によるものである。ベルトの張力は、駆動トレインが受ける摩擦を増加させる大きい半径方向の負荷を追加する。この問題は、より大きい直径及びより多くの歯を有するスプロケットを使用していくらか緩和することができるが、これは、流体力学的損失につながる可能性があるため、しばしば非実用的である。
【0018】
バッテリ電気自動車のバッテリ充電器は、配電網によって供給される交流(AC)電力を取り、それをバッテリに貯蔵することができる直流(DC)電力に変換する役割を果たす。配電網は、伝送を容易にするために交流電力を使用しているが、化学バッテリには直流電力のみを貯蔵することができる。電気自動車内の機器の量を減らすことが望ましい状況において、又は充電器のサイズ及びコストが電気自動車内に含めることが実行不可能になる高電力用途のために、別個のバッテリ充電器が使用される。
【0019】
動力生成、動力変換、及び動力伝達の副産物は、廃熱である。廃熱を十分に放散しないと、熱暴走又はシステムのシャットダウンを含むがこれに限定されない壊滅的な故障につながる可能性がある。歴史的に、船舶電気自動車の車外熱管理システムは、主に、車外エンジン内に見られるモータ及びインバータを冷却するのに役立つ。バッテリ及びバッテリ充電器は、一般的に、独自の熱管理システムを有するか、又はアクティブ冷却を必要としないかのいずれかである。ある非常に一般的な設計では、バッテリ充電器は、使用中にのみ船舶推進システムに接続される別個のコンポーネントとして使用される。これには、充電器を残して重量を減らすことができるという利点がある。欠点は、この追加の機器がなければバッテリを充電することができないことであり、この機器は、持ち込むと統合された同等物よりも重くなる。取り外したバッテリ充電器は、放熱がバッテリにどれだけの電力を供給できるかの主要な要因であることが多いため、独自の熱管理システムを有する必要がある。
【0020】
本開示の実施形態は、上記の課題及び他の課題に対処することを意図している。
【発明の概要】
【0021】
本開示の主題の目的及び利点は、以下の説明に記載され、以下の説明から明らかであり、本開示の主題の実施により習得される。本開示の主題の追加の利点が、文書での本明細書及びその特許請求の範囲において特に指摘される方法及びシステムにより、並びに添付の図面から、実現され、成し遂げられる。
【0022】
これら及び他の利点を達成するために、並びに開示の主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、本開示の主題は、作動流体を含むように構成されたリザーバと、リザーバに流体的に結合されたポンプと、ポンプに流体的に結合され、かつ複数の流体フローに結合されたスプリッタと、ポンプとスプリッタとの間に配置された第1の温度センサであって、作動流体の第1の温度を測定するように構成されている、第1の温度センサと、を含む熱伝達装置を含む。複数の流体フローの各々について、調整可能なバルブと、調整可能なバルブに流体的に結合されたモータと、モータに統合された第2の温度センサであって、モータの第2の温度を測定するように構成されている、第2の温度センサと、モータの後ろに配置された第3の温度センサであって、作動流体の第3の温度を測定するように構成されている、第3の温度センサと、複数の流体フローの各々に流体的に結合され、かつ複数の流体フローの各々を組み合わせるように構成されたコンバイナと、コンバイナの後ろに配置された第4の温度センサであって、作動流体の第4の温度を測定するように構成されている、第4の温度センサと、コンバイナ及びリザーバイヤに流体的に結合されたヒートシンク。第2の温度センサは、制御信号を制御ユニットに提供して、それによって、調整可能なバルブを通る流体フローを制御するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、熱伝達装置は、船舶推進システムに統合されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのモータが、インバータに結合されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのモータが、充電器に結合されている。
【0026】
いくつかの実施形態では、ヒートシンクの後ろに配置された第5の温度センサであって、作動流体の第5の温度を測定するように構成されている、第5の温度センサ。いくつかの実施形態では、調整可能なバルブは、連続的に調整可能なバルブである。いくつかの実施形態では、作動流体は、冷媒である。いくつかの実施形態では、作動流体は、水-グリコール混合物である。いくつかの実施形態では、スプリッタは、マニホールドである。いくつかの実施形態では、スプリッタの複数の出力は各々、調整可能なバルブに結合されており、調整可能なバルブの各々は、フローセンサを更に備える。いくつかの実施形態では、調整可能なバルブの各々は、個別に制御される。
【0027】
これら及び他の利点を達成するために、並びに開示の主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、本開示の主題は、シャフトを有するモータであって、シャフトは、モータからモータの外部の端末端まで延在する、モータと、サンギア、キャリアに結合された2つ以上のプラネタリギア、及びリングギアを含むプラネタリギアセットであって、プラネタリギアセットは、モータに面する近位側と、モータから背を向く遠位側とを有し、サンギアは、遠位側に配置されている、プラネタリギアセットと、プラネタリギアセットを囲むハウジングであって、リングギアに結合されたハウジングと、を含む、ギアリングシステムを含む。アクスルは、ハウジング及びプラネタリギアセットを少なくとも部分的に通って延在しており、シャフトは、サンギアに結合されており、シャフトが第1の回転数/分(RPM)で回転するとき、ハウジングは、第1のRPM未満の第2のRPMで回転する。
【0028】
いくつかの実施形態では、ギアリングシステムは、シャフト上に、かつプラネタリギアセットとモータとの間に配置されたスペーサを更に備える。
【0029】
いくつかの実施形態では、キャリアは、スペーサに結合されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のRPMと第2のRPMとの間の比は、2である。
【0031】
これら及び他の利点を達成するために、並びに本開示の主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、本開示の主題は、システムであって、モータと、モータから端末端まで延在する入力シャフトと、リザーバに隣接し、かつリザーバと接触するプラネタリギアセットであって、サンギア、キャリアに結合された2つ以上のプラネタリギア、リングギア、及び出力シャフトを含む、プラネタリギアセットと、を含む、システムを含む。入力シャフトは、サンギアに結合されており、出力シャフトは、キャリアに結合されており、モータとプラネタリギアセットとの間に配置されたリザーバであって、入力シャフトの周りにトロイダル形状を備え、かつシャフト及びプラネタリギアセットから流体的に隔離されている、リザーバ。
【0032】
これら及び他の利点を達成するために、並びに本開示の主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、本開示の主題は、第1の駆動シャフトと、第1の駆動シャフトに対して固定された引き上げプレートと、中央部上部カラーと、近位端から遠位端まで延在する第1のストラット及び近位端から遠位端まで延在する第2のストラットであって、第1のストラット及び第2のストラットの各々は、内部ベルト空隙を有し、第1のストラットは、第2のストラットと整列されており、
第1のストラットは、第2のストラットから離間されており、第1のストラット及び第2のストラットの近位端は、中央部上部カラーに結合されている、第1のストラット及び第2のストラットと、第1のストラット及び第2のストラットの遠位端に結合された下部ユニットであって、下部ユニットは、第2の駆動シャフトを有し、中央部上部カラーは、第2の駆動シャフトに対して固定されている、下部ユニットと、第1の駆動シャフトを第2の駆動シャフトに回転可能に結合するベルトであって、ベルトの第1の部分は、第1のストラットの内部ベルト空隙内に配置されており、ベルトの第2の部分は、第2のストラットの内部ベルト空隙内に配置されている、ベルトと、引き上げプレートを中央部上部カラーに結合する1つ以上の引き上げねじであって、1つ以上の引き上げねじを調整することにより、引き上げプレートと中央部上部カラーとの間の距離を変化させて、それによって、ベルトの張力を調整する、1つ以上の引き上げねじと、1つ以上の引き上げねじの各々に配置されたアクチュエータと、を含む、船舶推進装置を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、船舶推進システムは、引き上げプレートと中央部上部カラーとの間に配置された引き上げプラットフォームと、引き上げプレート及び引き上げプラットフォームに接触するロードセルと、を更に含む。
【0034】
これら及び他の利点を達成するために、並びに本開示の主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、本開示の主題は、システムであって、電気ボートモータ、電気ボートモータに結合された下部ユニットであって、プロペラを備える、下部ユニットと、インバータと、インバータ及び1つ以上の高電圧バッテリに結合された船内バッテリ充電器と、熱伝達回路と、を更に含む、システムを含む。熱伝達回路は、作動流体を有するリザーバと、ポンプと、バルブと、リザーバをポンプに流体的に結合する第1のチューブと、ポンプをバルブに流体的に結合する第2のチューブと、バルブをインバータに流体的に結合する第3のチューブと、バルブを船内バッテリ充電器に流体的に結合する第4のチューブと、インバータをモータに流体的に結合する第5のチューブと、船内バッテリ充電器を第6のチューブに流体的に結合する第6のチューブと、船内バッテリ充電器を第6のチューブに流体的に結合する第7のチューブと、下部ユニットをリザーバに流体的に結合する第8のチューブと、を含む。充電構成にあるとき、バルブは、作動流体が第4のチューブを通って船内バッテリ充電器に流れることを可能にし、動作構成にあるとき、バルブは、作動流体が第4のチューブを通って流れることを可能にしない。
【0035】
これら及び他の利点を達成するために、並びに本開示の主題の目的に従って、具体化され、広く記載されるように、本開示の主題は、電気ボートを再充電する方法であって、船体、船体に結合された船外機、及び船体内に配置された1つ以上の充電式バッテリ、を有する電気ボートを提供することであって、船外機は、電気機及び船内バッテリ充電器を含む、提供することと、船内バッテリ充電器を交流源に結合して、それによって1つ以上の充電式バッテリを充電させることと、を含む、方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本開示の実施形態による船外機の等角図を例解する。
【
図2】本開示の実施形態による、推進システム全体とデュアルストラット下部ユニットとの間のコンポーネントレベルの相互作用を表すブロック図。
【
図3】本開示の実施形態による、概ね
図1の線1-1の下で取った、デュアルストラット及び下部ユニットの弾丸アーキテクチャの部分側面図を例解する。
【
図4】本開示の実施形態による、概ね
図1の線1-1の下で取った、部分正面図を例解する。
【
図5】本開示の実施形態による、概ね
図3の線3-1の下で取った、断面側面図を例解する。
【
図6】本開示の実施形態による、概ね
図3の線3-1の下で取った、断面上面図を例解する。
【
図7】本開示の実施形態による、概ね
図3の線3-1の下で取った、断面正面図を例解する。
【
図8】本開示の実施形態による、船外動力伝送システムの概略図を例解する。
【
図9】本開示の実施形態による、ベルト駆動伝送システムの概略図を例解する。
【
図10A】本開示の実施形態による、デュアルストラット及びシングルストラットの計算流体力学の可視化を例解する。
【
図10B】本開示の実施形態による、デュアルストラット及びシングルストラットの計算流体力学の可視化を例解する。
【
図11】本開示の実施形態による、シングルストラット(右)と比較した、デュアルストラット(左)の初期の計算流体力学的抗力の結果のグラフィック表現を例解する。
【
図12】本開示の一実施形態による、3つの発熱コンポーネントを並列に有する冷却ループシステムの図を例解する。
【
図13】本開示の一実施形態による、充電モードで高温充電器を冷却するように動作する冷却ループシステムの図を例解する。
【
図14】本開示の一実施形態による、高温モータ及びインバータを冷却するように動作して、充電器をバイパスする冷却ループシステムの図を例解する。
【
図15】本開示の一実施形態による、リングギアを拘束するときの、3:1のギア比を有するプラネタリギアセットの断面図を例解する。
【
図16】本開示の一実施形態による、ギアボックス及びモータの断面図を例解する。
【
図17】本開示の一実施形態による、プラネタリギアセット及びスペーサの隔離された、分解された、半断面図を例解する。
【
図18】本開示の一実施形態による、明確にするために、入力モータ及びスペーサが除去された状態のギア減速アセンブリの等角半断面図を例解する。
【
図19】本開示の一実施形態による、プラネタリギアボックスを例解する。
【
図20A】本開示の一実施形態による、モータ200の外部に結合されたスペーサを有するシャフトを有するモータを例解する。
【
図20B】本開示の一実施形態による、プラネタリギアセット、スペーサ、及びモータを例解する。
【
図21A】本開示の一実施形態による、プラネタリギアセット、スペーサ、及びモータの断面図を例解する。
【
図21B】本開示の一実施形態による、キャリアに結合されたギアセットハウジング及びモータの断面図を例解する。
【
図22A】本開示の一実施形態による、プラネタリギアセットの断面図を例解する。
【
図22B】本開示の一実施形態による、プラネタリギアセット及びギアセットスペーサの断面図を例解する。
【
図23】本開示の一実施形態による、出力スプラインが強調表示されたギアボックスハウジングを例解する。
【
図24】本開示の一実施形態による、プラネタリギアボックスを例解する。
【
図25】本開示の一実施形態による、ギアボックス及びモータの断面図を例解する。
【
図26】本開示の一実施形態による、明確さのために隠された入出力シャフトを有するギアボックスの等角断面図を例解する。
【
図27】本開示の一実施形態による、引張機構、パワーヘッド、中央部の一部、ベルト、及びプロペラシャフトを含む側面図を例解する。
【
図28A】本開示の一実施形態による、電力電子機器が取り外された状態のパワーヘッド及び中央部上部カラーの上面図を例解する。
【
図28B】本開示の一実施形態による、ベルト及びモータシャフトの断面図を例解する。
【
図29】本開示の一実施形態による、センサ及びアクチュエータを備えた引き上げねじの拡大図を例解する。
【
図30】本開示の一実施形態による、冷却ループを例解するために、様々なコンポーネントが取り外された状態の船外機の等角図を例解する。
【
図31】本開示の一実施形態による、冷却ループを例解するために、様々なコンポーネントが取り外された状態の船外機駆動ヘッドの等角図を例解する。
【
図32】本開示の一実施形態による、船内バッテリ充電器(OBC)及び強調表示された高電圧バッテリを備えた船外機及びボートの等角図を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0037】
船外機のパワートレインは、一般に、燃焼機関又は電気モータ、垂直駆動シャフト、ベベルギア、クラッチ、及びプロペラシャフト(プロペラが取り付けられている)などの原動機を含む。ベベルギアは、ギアの歯当たり面が円錐形状である、2つの交差シャフト間のギアである。ベベルギアは、他のギアの選択肢よりも高い効率を提供し、交差するシャフト間のギア減速を可能にし得る。クラッチは、原動機が単一の方向に動作することを可能にするために使用されるが、プロペラシャフトが時計回り及び反時計回りの両方の方向に回転することも可能にし得る。様々な実施形態では、船外機は、ドッグクラッチを使用して、フォワード、ニュートラル、及びリバースを切り替えることができる。これは、シフトギアの係合及び係合解除を必要とし、ギアの歯の早期摩耗につながる。この摩耗を最小化するために、アセンブリ全体は、環境に有害であり、廃棄が困難である可能性がある油又は潤滑剤に浸漬され得る。原動機、ギア及びベアリングを含むがこれらに限定されない主要コンポーネントからの放熱は、このタイプの船外機の信頼性の高い動作に不可欠であり得る。船外機は、流体の塊(例えば、海)から流体(例えば、海水)を取り込むことができ、ここで、システムの周りに流体を循環させ、コンポーネントを冷却するように動作する。しかしながら、この外部流体取り込みは、摩耗及び腐食プロセスを促進する可能性がある塩、砂、及び/又は泥を含むが、これらに限定されない、汚染物質を持ち込む可能性がある。いくつかの実施形態では、原動機は、水位線の下の下部ユニット内に収容され得る。この構成は、単純化の利点をもたらすが、熱伝達能力を制限する可能性がある。様々な実施形態では、垂直駆動シャフト及びベベルギアの代わりの動力伝達の他の手段は、例えば、チェーン駆動及びベルト駆動システムを含む。様々な実施形態では、同期ベルトは、強くて耐久性があり得、より高い動力の船舶エンジントランスミッションでの潜在的な使用を可能にする。様々な実施形態では、そのようなベルト又はチェーン技術の実装は、船舶推進システムの浸水された部分の正面エリア及び流体力学的形状がシステムの抗力及び効率に大きく影響するため、物理的なハウジング配設及び機械的アセンブリにおける課題を提示し得る。
【0038】
したがって、抗力を低減し(例えば、流体力学的性質を改善する)、放熱を改善しながら、ベルト駆動及びチェーン駆動モータに合わせて最適化される船舶推進システムが必要である。本開示の実施形態は、上記の課題及び他の課題に対処することを意図している。
【0039】
様々な実施形態では、船内外機又は船外船舶推進システムは、同期ベルトを通じて被駆動シャフトに動力を伝達する原動機、アンチベンチレーションプレート、下部ユニットハウジング、下部ユニットハウジングの底部から延在する1つ以上のスケグ、並びに下部ユニットハウジングをアンチベンチレーションプレート及びカウリング上の取り付け点(及び/又はカウリング内のフレーム構造)に接続するストラットのセット(例えば、2つのストラット)を含む。様々な実施形態では、ストラットのセットは、互いに実質的に整列され得る(例えば、平行)。様々な実施形態では、各ストラットは、取り外し可能に取り付け可能でモジュール式の後縁部の片の1つ以上(例えば、複数)を含み得る。様々な実施形態では、取り外し可能に取り付け可能な後縁部の片は、流体力学的特性の微調整を可能にし得る。
【0040】
様々な実施形態では、取り付け点は、船外船舶推進システムの実施形態では、中央部を下部ユニット及び原動機に接続するか、又は船内外機船舶推進システムの場合には、下部ユニット及びアウトドライブに接続する。様々な実施形態では、システムの特定の可変部分は、ベルト駆動技術のより低い抗力、より高い性能、及び効率的な適応を可能にする。様々な実施形態では、船舶推進システムのコンポーネントは、モジュール式、交換可能であり、及び/又は一体化された冷却チャネルを有するように構築され得る。様々な実施形態では、マルチストラット(例えば、デュアルストラット)アーキテクチャへの放熱機能の一体化は、複数のストラットから増加した表面積を提供して、熱伝達能力を最適化し得る。様々な実施形態では、複数のストラット(例えば、2つのストラット)は、水と接触するストラットの表面積を増加させ、それによって(フィンの熱伝送と同様に)水との熱伝送(例えば、伝導)を改善する。当業者は、この目的のために利用され得るセット内のストラットの構成があることを理解するであろう。例えば、2つ、4つ、6つ、又は8つのストラット構成。様々な実施形態では、構造専用のストラットと、モータを駆動するための1つ以上のベルト又はチェーンを収容するように動作するストラットと、があり得る。
【0041】
様々な実施形態では、船舶推進システムの浸水された部分の正面エリア及び流体力学的形状は、システムの抗力及び効率に影響を与え得る。船舶推進システムに対する抗力を低減することは、システムの正味効率に対する直接の改善を有する。様々な実施形態では、ストラットのセットは、使用中に浸水され得るため、ストラットのセットは、任意の好適な流体力学的形状を有し、それによって抗力を低減及び/又は最適化し得る。例えば、各ストラットは、翼の前縁部がストラットの前側に対応する翼形を含み得る。様々な実施形態では、ストラットは、断面又は部分の船体形状又は涙滴形状などの流体力学的に最適化され得る。
【0042】
動作時には、ベルトは、張り側及び緩み側を有する。様々な実施形態では、ベルトは、モータが動作する周囲の水塊から隔離(すなわち、密封)され得る。様々な実施形態では、ベルトの両側は、ベルトに張力を提供するように支持され得る。様々な実施形態では、ベルトに張力を提供することは、周囲の水からの汚染を低減(例えば、停止)し得る。様々な実施形態では、船舶推進システムは、とりわけ、連続ループ動力伝達デバイスを含み得る。例えば、原動機は、ベルト又はチェーンを介してプロペラに機械的に(例えば、回転的に)結合され得る。連続ループ送電デバイスは、単独で、又は組み合わせて、システムを介して電力を伝達するために、1つ以上のベルト又はチェーンを含み得る。ベルト及び/又はチェーンは、効率を維持するためなど、選択的又は能動的に緩み制御され得る。
【0043】
様々な実施形態では、各ストラットは、互いから所定の距離に位置決めされ、それによってストラット間の流体の流れを可能にし得る。例えば、デュアルストラット配設において、様々な実施形態では、ストラットは、互いから約2~約24インチに位置決めされ得る。様々な実施形態では、ストラットは、互いから約1.5~6インチに位置決めされ得る。様々な実施形態では、より大きい用途(例えば、ヨット、タグボートなど)では、ストラットは、数フィート離れて位置決めされ得る。様々な実施形態では、ストラットは、約12フィートまで離れて位置決めされ得る。様々な実施形態では、ストラットの間隔は、例えば、(1)ストラット間の流体力学的相互作用及び/又は(2)下部ユニットの流体力学的抗力などの1つ以上の性能要因に依存し得る。様々な実施形態では、ストラットは、水平方向に離間され得る。様々な実施形態では、ストラットは、水平方向及び長手方向(すなわち、モータの移動方向)の両方が離間又はオフセットされ得る。様々な実施形態では、ストラットは、ストラットのセットが、セット間の異なる流体力学を含むように、様々なサイズ及び形状であり得る。様々な実施形態では、ストラットの形状は、その垂直長さに沿って変化し得、その結果、ストラットの断面形状は、ストラット上の深さ又は垂直位置に従って変化する。様々な実施形態では、ストラットが広くなるにつれて、複数のストラット間の流体相互作用が少なくなり得る(干渉)。様々な実施形態では、より広いストラットは、特定の性能要因を改善し得る。様々な実施形態では、下部ユニットのサイズ(例えば、抗力エリア)は、最小化され、それによって抗力を最小化し得る。様々な実施形態では、下部ユニットのサイズは、下部ユニットの小さい正面エリアを提供することによって最小化され得る。様々な実施形態では、下部ユニットのサイズは、ストラットのサイズに比例し得る。例えば、より広いストラットの場合、より大きい下部ユニットが提供され得る。様々な実施形態では、ストラットは、平行ではない可能性がある。例えば、ストラットは、非線形であり得るか、又は水平線(水平面)に対してある角度(例えば、「V」形状)で配置され得る。
【0044】
様々な実施形態では、各ストラットは、水を通る抗力を最小化する垂直ストラットの断面プロファイルを含み得る。様々な実施形態では、断面プロファイルは、連続ループ(例えば、ベルト又はチェーン)を収容するのに十分な空隙空間を可能にしながら、抗力エリアを低減(例えば、最小化)し得る。様々な実施形態では、各ストラットは、翼形を含み得る。様々な実施形態では、任意のストラット(例えば、いくつか又は全てのストラット)は、その長さに沿って実質的に均一な形状を有し得る。様々な実施形態では、任意のストラット(例えば、いくつか又は全てのストラット)は、そのそれぞれの長さに沿って変化する形状を有し得る。例えば、ストラットは、前縁部から後縁部まで、より広い翼(より高い抗力エリアを有する)からより薄い翼(より低い抗力エリアを有する)まで、テーパ状であるか又はその逆であり得る。様々な実施形態では、任意のストラット(例えば、いくつか又は全てのストラット)は、ストラットの長さに沿って(流れの方向に)実質的に均一な幅を有し得る。例えば、翼形は、ストラットの全長に沿って実質的に同様の(例えば、等しい)コード長及び/又は反り曲線を有し得る。様々な実施形態では、任意のストラット(例えば、いくつか又は全てのストラット)は、ストラットの長さに沿って(流れの方向に)変化する幅を有し得る。例えば、翼形は、ストラットの全長に沿って変化するコード長及び/又は反り曲線を有し得る。ストラットは、ストラットを通過する中心軸を中心に対称的である鏡像形状を有することができ、代替的に、各ストラットは、隣接するストラットに対して独自の形状/プロファイルで形成され得る。様々な実施形態では、ストラットは、ビーム又はウェビングなどの内部構造的特徴を含み得る。様々な実施形態では、ストラットは、付加的に製造され得る(例えば、3Dプリントされ得る)。様々な実施形態では、ストラットは、金属ストックから機械加工され得る。様々な実施形態では、ストラットは、鋳造され得、成形され得、又は複合材若しくは別の材料から形成され得る。
【0045】
様々な実施形態では、各ストラットは、連続ループの各側(すなわち、緩み側及び張り側)を収容するように構成された別個の空隙空間を含み得る。様々な実施形態では、垂直ストラットのうちの1つか又は全てかのいずれかの内部の別個の空隙空間は、流体(例えば、熱伝送流体)を船外機全体に伝送するように構成され得る。
【0046】
様々な実施形態では、ストラットのうちの1つ以上は、分割線を含み得、それによって、ストラットを2つ以上の片に分離する。様々な実施形態では、分割線は、連続ループ(例えば、チェーン又はベルト)が製造中又は製造後に(例えば、修理のために)設置又は取り外され得るように、アクセスの容易さを可能にする。分割線(複数可)は、ストラットの全体の部分に沿って(例えば、ノーズコーンとアンチベンチレーションプレートとの間に)延在し得る。
【0047】
図1は、船外船舶推進システム100の等角図を例解する。様々な実施形態では、船舶推進システム100(例えば、船外機)は、パワーヘッドセクション、原動機カウリング、ベルト駆動部、アンチベンチレーションプレート、デュアルストラット伝達ハウジング、プロペラを有する下部ユニット、及びスケグを含み得る。様々な実施形態では、船外船舶推進システム100は、ボートのトランサムを、トランサム装着パッド103を介して船外中央部102に解放可能に結合するように構成された装着部101を含む。様々な実施形態では、船外機は、ステアリングブラケット104に装着され、ステアリングチューブ105の軸の周りで船外機を回転させるケーブル、プーリ、油圧及び/又は電気機械式アクチュエータを含むがこれらに限定されない、種々の方法を通して操舵され得る。様々な実施形態では、船外機の角度、したがって推進角度も、傾斜軸106の周りで制御することができる。様々な実施形態では、原動機コンポーネントは、電気的に又は液体燃料で動力供給されるかにかかわらず、上部カウリング107の下に位置している。様々な実施形態では、ボートのトランサムに面するカウリング107の側面は、フェースプレート108を含み得る。様々な実施形態では、原動機の駆動シャフトは、同期駆動ベルト(図示せず)を介してプロペラシャフト109に接続されている。様々な実施形態では、同期駆動ベルトは、次に、プロペラ110を駆動し、船舶推進システム100が添着されているボートを推進するための運動量を生み出す。他の実施形態では、プロペラは、インペラ、ウォータジェット、又は他の推進デバイスによって置き換えられ得る。この実施形態では、プロペラテールコーン111及びテールフェアリング112が、乱流損失を最小化し、効率を最大化するために、プロペラの幾何学的プロファイルに適合する。他の実施形態では、プロペラテールコーン111及びテールフェアリング112の形状は、異なるプロペラに適合するように調整することができる。スプロケット(下部ユニット内に配置される)が、プロペラシャフト109に同心円状に装着されており、下部ユニット114内に収容されている。様々な実施形態では、下部ユニット114は、その先端部分にノーズコーン115を含み得る。1つ以上のストラット116は、ベルトが、上部カウリング107の下で原動機に取り付けられたスプロケットから、プロペラシャフト109上のスプロケットに動力を伝達するための開放経路を提供する。別個のストラット116本体は、追加の転動コンポーネントなしでベルトが動作することを可能にし、可能な限り高い効率を可能にする。1つ以上のストラット116は、従来技術で要求されているようにベルトが障害物又は形状の周りに誘導される必要がないように離間している。ストラット本体は、プロペラ110への抗力を低減し、層流を最大化する、流体力学的ストラット前縁部117及びストラット後縁部118を有する。ストラット116は、中央部底部カラー121に締結されているアンチベンチレーションプレート120に接続している。これは、次に、中央部の底部に締結されている。様々な実施形態では、中央部上部カラー122が、中央部102と上部カウリング107との間の境界部を提供し得る。様々な実施形態では、1つ以上のスケグ124が、下部ユニットの下に配置されている。2つ以上のスケグが提供される様々な実施形態では、各スケグは、下部ユニット114の周りに等間隔に位置決めされ、プロペラの上流に位置し得る。
【0048】
図2は、推進システム全体とデュアルストラット下部ユニットとの間のコンポーネントレベルの相互作用を表すブロック
図200を例解する。コンポーネントブロックは、概して、船内又は船外のいずれかに位置しており、凡例によって示されるように、機械的又は電気的に接続されている。様々な実施形態では、オペレータは、制御舵を介してシステムを制御し、制御舵は、船内通信信号を使用してエネルギー貯蔵システムとインターフェースし、追加の通信ケーブルを使用して船外の電力電子機器とインターフェースする。シリアル、CANバス、SPI、アナログ、及びデジタルを含むがこれらに限定されない通信プロトコルを使用することができる。様々な実施形態では、エネルギー貯蔵システムは、DCバスを介して電力電子機器ブロックに接続される。様々な実施形態では、DCバスは、12Vから900Vを超える範囲であり得る。様々な実施形態では、電力電子機器ブロックは、概して、原動機を駆動するためにDC電圧を使用することが必要な全ての電力段及び制御コンポーネントを包含する。様々な実施形態では、制御舵からの信号に基づいて、電力電子機器は、DCバスを通じてエネルギー貯蔵システムからエネルギーを引き出し、原動機を制御し得る。様々な実施形態では、原動機は、位相電力及びフィードバック信号を通じた、電気モータであり得る。様々な実施形態では、原動機は、駆動シャフトを通じて同期ベルトに機械的に結合されている。様々な実施形態では、ベルトは、下部ユニット内に位置する被駆動シャフトを回転させ、それによってプロペラに動力を供給する。
【0049】
図3は、概ね
図1の線1-1の下で取った、デュアルストラット及び下部ユニットの弾丸アーキテクチャの部分側面図を例解する。線1-1は、いくつかの実施形態では、動作中の船外機付きボートの水位線である。動作時に、水位線1-1の下の全てのコンポーネントが浸水され、システムの流体力学的抗力に寄与する。背景において説明したように、船内外機及び船外船舶推進システムは、ギアケースをパワーヘッドに接続するシングルストラットハウジングを使用し得る。追加的に、ほぼ全ての燃焼船外機は、シャフト及びベベルギアシステムを使用して、燃焼又は電気パワーヘッドからプロペラに動力を伝送する。そのタイプの下部ユニットでは、フォワードからニュートラルへリバースまで切り替えるための機械的機構が必要とされる。このタイプの動力伝送は、ギアを潤滑するための一貫したメンテナンスを必要とし、ゼロでない回転速度でシフトするために速く摩耗し、15%の効率損失をもたらす可能性がある。ベベルギアはまた、著しいノイズを生成する。
【0050】
材料技術の最近の進歩により、効率を増加させ、ノイズを減少させ、メンテナンスを低減し、コストを低下させる潜在性を有する、より堅牢な同期ベルト駆動部の開発が可能になった。本開示は、ベルトの各側が異なるストラットを通って進むマルチストラット本体配設を通じて、船舶推進システムにおける同期ベルトの使用を可能にする。追加的に、本開示はまた、電気原動機からの電子反転を使用するための方法を提供し、それにより、複雑な機械的シフトの解決策に対する必要性を排除する。
【0051】
様々な実施形態では、マルチストラット設計は、移動中のプロペラへの流体の流れの妨げを最小化する。様々な実施形態では、マルチストラット(例えば、デュアルストラット)設計は、システム全体の堅牢性を増加させながら、抗力を誘発する正面エリア(すなわち、抗力エリア)を低減する。様々な実施形態では、ストラット116及びアンチベンチレーションプレート120の境界部は、一体的に形成されている。様々な実施形態では、ストラット116及びアンチベンチレーションプレート120の境界部は、(例えば、ボルト及びナットを用いて)機械的に締結されている。様々な実施形態では、ストラットの底部は、下部ユニット114と一体的に形成され得る。様々な実施形態では、下部ユニット114は、弾丸形状(弾丸+弾丸ケーシング)であり得る。様々な実施形態では、同期ベルト130の第1の部分(例えば、張り側)及び第2の部分(例えば、緩み側)は、第1及び第2のストラット116内の空隙空間内の水及び/又は外部流体から保護されている。したがって、ベルト130は、第1のストラット116を通って、下部ユニット114内に(動作時には垂直に)延在し、そこで、プロペラ110に係合してフォワード/リバース)駆動し、第2のストラット116を通って上に延在し、カウリング107内に戻る。
【0052】
様々な実施形態では、抗力は、ストラット116の前縁部117及び後縁部118に適用される流体力学的形状を通じて低減され得る。様々な実施形態では、前縁部117と後縁部118との間のストラット116の側面の凸状表面が、形状抗力及び波の生成を低減する。様々な実施形態では、凸状表面のプロファイルは、ストラット間で対称である必要はなく、異なる用途のために変更され得る(すなわち、全てのストラットが同一の形状である必要はない)。様々な実施形態では、ストラット116は、互いの鏡像であり得る(例えば、第1のストラットは、第2のストラットの鏡像であり得る)。様々な実施形態では、ストラット116の側面は、実質的に平行であり、同等の長さであり得る。様々な実施形態では、ストラットは、非平行であり得る。様々な実施形態では、ストラット間の空間は、ストラットの高さにわたって増加又は減少し得る。
【0053】
様々な実施形態では、ストラット116の側面は、凹面を有していない場合がある。様々な実施形態では、前縁部117は、ストラット116と一体的に形成され得る。様々な実施形態では、前縁部117は、別個に製造され、ストラット116に取り外し可能に締結され得る。様々な実施形態では、後縁部118は、ストラット116と一体的に形成され得る。様々な実施形態では、後縁部118は、別個に製造され、例えば、ストラット取り付け点を介して(例えば、ねじ、ボルトなどを用いて)ストラット116に取り外し可能に締結され得る。様々な実施形態では、前縁部117及び/又は後縁部118は、モジュール式であり、性能最適化のために入れ替え可能であり得る。追加的又は代替的に、ストラット(複数可)は、ベルトの修理及び検査を可能にするためにアクセスパネルを含むことができる。アクセスパネルは、前縁部/後縁部から離間させることができ、ストラット(複数可)の概ね平面状のセクション内に位置することができる。
【0054】
様々な実施形態では、ストラット(複数可)は、動作中の前縁部及び/又は後縁部の表面形状の能動的な制御を含み得る。例えば、電子制御(例えば、リアルタイム又は手動)は、翼形の反り又はコード長を変更し得る。別の例では、電子制御(例えば、リアルタイム又は手動)は、連続ループ(例えば、ベルト)が空隙空間内で動作するのに十分な余地を有するように、翼形の幅(例えば、抗力エリア)を変更し得る。
【0055】
流体力学的な抗力低減及び推進効率の増加を更に支援するのは、アーキテクチャの全体的な形状である。様々な実施形態では、流入する流体の流れは、最初にノーズコーン115と相互作用する。様々な実施形態では、ノーズコーン115の幾何学的形状は、ノーズコーン115からノーズコーン/下部ユニット境界部にわたって下部ユニット114への滑らかな遷移を有して設計され得る。様々な実施形態では、ノーズコーン115は、取り外し可能であり、入れ替え可能である。様々な実施形態では、ノーズコーン115は、任意の好適な形状を含み得る。例えば、ノーズコーン115は、鈍角の弾丸のような形状を含み得る。様々な実施形態では、下部ユニット114の中央部分113が、実質的に円筒形状(例えば、弾丸ケーシング形状)を有し得る。別の実施例では、ノーズコーン115は、より鋭利な先端を有する実質的に円錐形であり得る。様々な実施形態では、流体の流れが下部ユニット114を通過するとき、境界層の分離が乱流を引き起こし得、したがって推進システム100上の圧力抗力を増加させるため、テールフェアリング112は、テールフェアリング/下部ユニット境界部上の損失を誘発する境界層の分離を最小化し得る。様々な実施形態では、テールフェアリング112は、テールフェアリング/プロペラハブ境界部がプロペラハブと流体力学的に噛み合い、プロペラに入る流れを最適化するように形状設定されている。したがって、ストラット116、下部ユニット114、ノーズコーン115、及びテールフェアリング112は、サイズ/形状/直径に急激な変化がない事実上シームレスな設計で構成することができ、これらのコンポーネントのアセンブリは、抗力を最小化するために連続的な外部表面エリアを形成する。
【0056】
様々な実施形態では、テールフェアリングは、中央部分113におけるより大きい直径からプロペラ110におけるより小さい直径までテーパ状である円錐台形状であり得る。様々な実施形態では、プロペラ110がスピンし、高圧及び低圧の領域を生成すると、流れは、プロペラテールコーン111にわたって方向付けられ、乱流を低減し、したがって、推進システム100上の抗力を更に最小化する。典型的な燃焼型船舶エンジンでは、エンジン排気は、概して、単一の部分を通って下に方向付けられ、プロペラの中心を通って外に方向付けられる。本開示は、このスタイルの排気を排除し、より効率的な全体的な流体力学的アプローチを可能にする。
【0057】
様々な実施形態では、1つ以上のスケグ124は、下部ユニット114の中央部分113に取り付けられ得る。様々な実施形態では、中央部分113は、1つ以上のスケグ124の取り付けを可能にするように構成された1つ以上のスケグ取り付け点を含み得る。様々な実施形態では、スケグ124は、概ねフィンのような形状を有し得る。様々な実施形態では、スケグ124は、その長さに沿って一定の厚さを有し得る。様々な実施形態では、スケグ124は、その長さに沿って変化する深さを有し得る。例えば、スケグ124は、第1のより大きい深さd1から第2のより小さい深さd2までテーパ状であり得る。様々な実施形態では、スケグ124の一方の側は垂直であり得、一方、他方の側はテーパ状であり得る。様々な実施形態では、スケグ124の両側がテーパ状であり得る。様々な実施形態では、スケグ124は、ストラット116と同様の、曲線状又は翼形を有し得る。様々な実施形態では、スケグ124は、スケグ/下部ユニット境界部で取り外し可能であり、交換可能である。様々な実施形態では、スケグ124は、スケグ/下部ユニット境界部において一体的に形成され得る。様々な実施形態では、スケグ124は、プロペラ110に進入する流れの乱れを最小化する後縁部を有することによって、安定性及び流体力学的流れの相互作用に寄与する。様々な実施形態では、スケグ124の最下縁部は、プロペラ110のブレードよりも低くあり得、物理的な物体の衝突からのプロペラ110の保護を提供する。追加的又は代替的に、スケグ124の場所は、下部ユニット114に対して上流/下流に調整することができる。
【0058】
図4は、概ね
図1の線1-1の下で取った、部分正面図を例解する。
図4に示されるように、原動機128は、駆動シャフト(図示せず)を介してベルト130に回転可能に結合されている。原動機が回転すると、ベルト130の左側130a又はベルト130のライド側130bのいずれかが、プロペラとの間で回転力を伝送し得る。示された例では、ベルト130が反時計回りに(原動機128の観点から)回転している場合、ベルトの左側130aは緩み側であり、ベルト130の右側130bは張り(すなわち、張力)側である。様々な実施形態では、2つのストラット116間の隙間の幅(各ストラットの内側縁部間の距離によって測定される)は、流体(例えば、海水)の通過を可能にし、ベルト130のライド側130bとベルト130の左側130aとを互いに平行に保ちながら、より大きい又は小さい全体的なコンポーネントの寸法に適応するように変更することができる。様々な実施形態では、ストラット116の内側縁部間の距離d
gapは、例えば、正面(抗力)エリアを低減するために、理想的な性能メトリックに基づいて変えることができる。様々な実施形態では、外側縁部間の距離d
outerも、例えば、より厚い勾配のあるベルトに適応するために変えることができる。様々な実施形態では、ストラット/下部ユニット境界部は、水がストラット116を通ってプロペラ110に進むときに流れの乱れを最小化するために、緩やかな流体力学的形状を有し得る。様々な実施形態では、プロペラ110は、ストラット116の前に配置され得る。様々な実施形態では、アンチベンチレーションプレート120は、ストラット116の上部(すなわち、近位端部)に接続し得、プロペラが表面から空気を吸い込むのを防止し得る。アンチベンチレーションプレートは、口語的に「キャビテーションプレート」と称され得る。ストラット116の上部端部は、カウリング107に直接接続することができ、追加的又は代替的に、ストラット116の上部端部は、カウリング107を受容する装着プレート/フレームに接続することができる。
【0059】
図5は、概ね
図3の線3-1の下で取った、部分的に断面の部分側面図を例解する。様々な実施形態では、スプロケット126は、プロペラシャフト119に同心円状に固定されており、プロペラシャフト119は、テールフェアリング112を通して下部ユニットの弾丸を出る。様々な実施形態では、下部ユニット114の内側は、シャフトシールのセットを含む、全ての縁部及び境界部上のシールを通じて海水から保護されている。様々な実施形態では、ストラット116の両方の前縁部117は、冷却水がそこを通って流れることを可能にするように冷却水通路117aを含む。様々な実施形態では、冷却水は、冷却水ポートを通して各ストラットに入ることができ、次いで、冷却水通路117aを通って流れることができ、これが、伝導を通じて冷却水から熱を除去する。したがって、本開示は、閉回路流体冷却システムを提供し、この場合、冷却水循環経路が、ストラット116、ノーズコーン115、及びアンチベンチレーションプレート120内に保持される。したがって、冷却水システムは、動作時に周囲の水の吸入に依存する必要はない。様々な実施形態では、各ストラットの冷却水通路(複数可)117aは、冷却水をノーズコーン空隙115aに流入させることを可能にし、ノーズコーン空隙115aは、浸水された、排熱リザーバとして作用する。様々な実施形態では、ノーズコーン空隙115aは、熱伝送流体の乱流を増加させ、したがって排熱能力を増加させるように構成された1つ以上のノーズコーンターブレータ115b(例えば、起伏のある構造/壁/ストリップ)を含む。任意選択的に、冷却水通路117aは、アンチベンチレーションプレート120全体に延在し得る。
【0060】
様々な実施形態では、冷却水は、ストラット116を通って、及び冷却水通路117aを介して熱回路140に双方向に流れることができる。様々な実施形態では、冷却水通路117aは、チューブ類、ホース類、パイプ、及び/又は他の流体伝送方法を含み得る。様々な実施形態では、熱回路は、電力電子機器及び原動機を含むが、これらに限定されない、電子コントローラポンプ及び/又は発熱コンポーネントを含み得る。様々な実施形態では、一組の冷却水ポートシールが、熱伝送流体が汚染されないことを確実にする。様々な実施形態では、追加の空隙が、後縁部(複数可)118、ベルト収納空隙131、テールフェアリング112、及び/又は下部ユニット114に提供され得、追加の冷却水通路に使用することができる。様々な実施形態では、ベルト収納空隙131の長手方向の幅は、異なるサイズのベルトに合わせて変えることができる。様々な実施形態では、後縁部118は、固着パネル118b(例えば、Tブロック)に固着するように構成された後縁部締結具118aのセットによって機械的に締結され得る。様々な実施形態では、この取り付け方法は、ベルト130の設置及び取り外しのために、後縁部118をストラット116から分離することを可能にする。様々な実施形態では、ベルト収納空隙131は、空隙のサイズ(例えば、空隙空間の幅)が最小化されるように最適化され得る。様々な実施形態では、より少ない空隙空間は、流体力学的な観点からより良好であり得る(例えば、より少ない抗力エリア)。様々な実施形態では、ベルト収納空隙131は、ベルト130の両側で約1/8インチであり得る。様々な実施形態では、スプロケット間隙125は、同様の1/8インチの間隙を有し得る。様々な実施形態では、スプロケット間隙125は、ベルトがスプロケット126の周りでそれほど多くの動きを有しない可能性があるため、ベルト130とベルト収納空隙131の内側との間の空間よりも小さくあり得る。様々な実施形態では、ベルト収納空隙131は、ベルトの両側に約0.01インチ~約0.25インチの間隔(例えば、幅)を含み得る。例えば、ベルト130の両側の0.25インチは、ベルト収納空隙131の全幅に対して0.25インチ+0.25インチ+ベルト厚さ(インチ)をもたらす。様々な実施形態では、ベルト収納空隙131は、ベルトの両側に約0.01インチ~約6インチの間隔(例えば、幅)を含み得る。様々な実施形態では、間隔は、システムサイズに対応し得る。様々な実施形態では、間隔(例えば、幅)は、ベルトの両側で約12インチであり得る。
【0061】
図6は、概ね
図3の線3-1の下で取った、部分的に断面の部分上面図を例解する。様々な実施形態では、ノーズコーン115は、周囲の流体塊との付着した流れを維持する(例えば、境界層の分離を低減する/防止する)外部輪郭を有する。様々な実施形態では、ノーズコーン115は、円錐形状を有する。様々な実施形態では、ノーズコーン115は、先端が鈍角であり得るか、又は丸みを帯び得る。様々な実施形態では、輪郭は、異なる動作条件に合うように変更することができる。様々な実施形態では、下部ユニット114は、円筒形形状であり、両方のストラットに接続され得る。様々な実施形態では、後縁部118は、Tブロック118bに固着された締結具を通じてストラット116に接続され得る。次に、Tブロックは、デュアルストラット本体の壁によって保持される。様々な実施形態では、前縁部117は、円形の直径を有する冷却水通路117aを含み得る。様々な実施形態では、冷却水通路117aは、熱回路140を通して実質的に一定の直径を有し得る。
【0062】
図7は、概ね
図3の線3-1の下で取った、部分的に断面の部分正面図を例解する。
図7に示されるように、下部ユニット114及びストラット116は、ベルト130が通過し得るベルト収納空隙を含む。様々な実施形態では、ストラット116は、ストラット内側壁及びストラット外側壁を含む。様々な実施形態では、ストラット内側壁及びストラット外側壁は、任意の好適な材料で作製され得、ストラット本体の残りの部分と一体的に形成されることができるが、必須ではない。様々な実施形態では、ストラット壁の厚さは、堅牢性を増加させるか、又は抗力を減少させるかのいずれかのために、用途に基づいて選択され得る。様々な実施形態では、下部ユニット114内で、ベルト駆動スプロケット126は、プロペラシャフト119と同心である。様々な実施形態では、キー溝127が、スプロケット126とプロペラシャフト119との間でトルクを伝送するために使用される。様々な実施形態では、スプラインを使用することができるか、又はスプロケット126及びプロペラシャフト119を一体的に形成することができる。様々な実施形態では、ベルト130の厚さに適応するために、空気充填スプロケット間隙125が下部ユニット114内に存在する。様々な実施形態では、デュアルストラット構成に起因して、ベルト130は、下部ユニット114のいずれの他の部分にも物理的に接触することなく、スプロケット126を中心に回転可能である。様々な実施形態では、この非接触動作は、ベルト又は伝達コンポーネントが油充填浴内で動作することを必要とする他のモータと比較して、無潤滑動作を可能にする。ベルト130は、スプロケットのおよそ180度の回転にわたるそれぞれの表面間の係合を伴って、スプロケット126に巻き付くことができる。スプロケット126は、示されるように、隆起した歯を含むことができ、ベルトとの摩擦係合を増加させ、より大きいトルクを生成する。
【0063】
図8は、従来の船外動力伝達システムの概略図を例解する。様々な実施形態では、これは、垂直に延在する駆動シャフト808を有する原動機807を利用する。様々な実施形態では、動力は、ギアを使用して、垂直駆動シャフト及び水平プロップシャフトから伝達される。様々な実施形態では、ピニオンギア809が、クラウンギア811及び813と併せて使用され、回転速度を被駆動シャフトに伝送する。多くの実施形態では、クラッチが、時計回り又は反時計回りのクラウンギアのいずれかと係合することができる摺動カラー812と共に使用される。様々な実施形態では、この機構は、原動機の駆動方向を維持しながら、プロペラシャフトの回転方向の変更を可能にする。
【0064】
図9は、ベルト駆動伝達システムの概略図を例解する。様々な実施形態では、これは、原動機901と下部被駆動シャフト905との間の動力伝達の代替手段についての特定の実施形態の概略図である。様々な実施形態では、原動機は、連続ループ904を介してベルトを下部スプロケット又はギア906に駆動可能な、スプロケット又はギア902を支持する、水平に延在する駆動シャフト903を利用する。
【0065】
様々な実施形態では、任意のストラットは、非線形形状を含み得る。様々な実施形態では、非線形形状に適応するために、ベルトは実質的に真っ直ぐなままであり得るが、ベルト収納空隙131の幅(ベルトとストラット空隙の内側壁との間の空間)は変わり得る。様々な実施形態では、ストラットは、ベルト130が追従する曲線を生じるように構成されたプーリ(例えば、ローラプーリ)を含み得る。様々な実施形態では、低摩擦パッドが、ベルト収納空隙131内の任意の好適な位置に位置決めされることができる。様々な実施形態では、上記3つの方法の任意の組み合わせは、非線形ストラット形状を達成するために一緒に働くことができる。様々な実施形態では、ストラットの前縁部は、不均一なプロファイル(上から下に見て)を含み得る。
【0066】
本明細書に開示される様々なコンポーネント(例えば、ストラット、ノーズコーン、フェアリング、スケグ)は、金属(例えば、アルミニウム、鋼、チタンなど)剛性ポリマー及びプラスチック、木材などを含む種々の材料から形成することができる。様々な実施形態では、様々なコンポーネントは、複合材料(例えば、炭素繊維、ガラス繊維など)を含み得る。様々な実施形態では、様々なコンポーネントは、ゴムを含み得る。様々な実施形態では、様々なコンポーネントは、熱可塑性樹脂を含み得る。様々な実施形態では、様々なコンポーネントは、任意の好適な金属ベースの合金を含み得る。様々な実施形態では、様々なコンポーネントは、高い熱伝導性及び高い耐食性を有する材料を含み得る。様々な実施形態では、様々なコンポーネントは、1つ以上のコーティング(陽極酸化、粉末コート、化学気相堆積、塗料など)を含み得る。様々な実施形態では、様々なコンポーネントは、2つ以上の材料から形成され得る(すなわち、ノーズコーンは、ゴムベースの先端部を有する主にアルミニウムであり得る)。
【0067】
図10A~
図10Bは、開示されたデュアルストラット(上部)及び従来のシングルストラット(底部)の計算流体力学の可視化を例解する。様々な実施形態では、シングルストラットと比較したデュアルストラットの予備的な流体力学的効果及び意味を理解するために、この半体分析を使用した。
図10A~
図10Bのプロットは、流体流量値の大部分が均一な陰影によって証明されるような層流を示している(
図10Bのプロットのより暗い部分は水位線の上にある)。
【0068】
図11は、従来のシングルストラット(右)(反復150でおよそ45,500ニュートン)と比較した、開示されたデュアルストラット(左)(反復150でおよそ37,500ニュートン)の初期の計算流体力学的抗力の結果のグラフィック表現を例解する。このシミュレーションは、シングルストラットと比較して、デュアルストラットの流体力学的利点を証明している。
【0069】
可変経路冷却水フローのフィードバック制御
本開示はまた、副産物として廃熱を生成する推進システムのための効率的な熱管理システムを提供する。インテリジェントな可変流路冷却ループは、少なくともリザーバ、ポンプ、駆動モジュール、パススルーバルブ、及び作動流体がポンピングされるラジエータを含む。内部冷却パイプラインは、直列及び並列な流路の組み合わせによって各コンポーネントを接続する。様々な実施形態では、アクティブフィードバックループは、様々な入力及びセンサからのデータを使用して、異なるコンポーネントの相対冷却要件にアクセスし、それに応じてフローを方向付ける。様々な実施形態では、熱電対は、流体及び周囲領域の温度を測定するためにシステムに埋め込まれる。様々な実施形態では、温度計は、上記温度を測定するために利用される。様々な実施形態では、センサは、メンテナンスのために外部からアクセス可能である。様々な実施形態では、センサは、パイプラインの製造に埋め込まれる。単一の入出力バルブ又はマニホールドを使用して、フローメータと連携して、パイプラインを、自動的に調整することができる複数のループに接続する。各ループは、コンポーネントの要件及びループ内の各コンポーネントの作動状態に従って、様々な程度に選択的に開くことができる。このシステムは、省エネ性と放熱効率に優れている。様々な実施形態では、ループは、ボートの船体又は下部ユニットの魚雷のような、動いている乗り物のモータ又は前縁部などの発熱システムに近接して配置される。
【0070】
様々な実施形態では、作動流体は、冷却水凍結のリスクを低減し、流体が感受性の高い成分を通過する制御を追加するための水-グリコール混合物である。様々な実施形態では、作動流体は、水(例えば、脱イオン水)である。様々な実施形態では、作動流体は、有機化合物(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、鉱油、シリコーン油、エタノール、メタノール、燃料など)である。様々な実施形態では、作動流体は、冷媒(例えば、アンモニア、R-12、R-22、R-134A、R-744、R-717、HCFC、HCS、R-407C、R-404A、R-410A、R-448A、R-449Aなど)である。様々な実施形態では、流体は、本明細書に記載のシステムに加えて、又はその代わりに、1つ以上の冷凍式システムによって能動的に冷却される。例えば、様々な実施形態によれば、流体は、本明細書に記載されるようにヒートシンクを通過するときに熱を放出するか、又はR-134Aのような冷媒と併せてコンデンサ又は他の既知の冷凍技術を利用して能動的に冷却され得る。
【0071】
異なる廃熱生成コンポーネントへの相対的なフローを制御するシステムは、より効率的に熱を放散し、ポンプを稼働させるための追加の動力要件を最小化することができる。本開示は、冷却要件を評価し、必要に応じて、作動流体の相対フローを方向付けるために、温度、圧力及び流量センサの配列を使用する。更に、スロットルパーセンテージなどのユーザ入力データに基づいて、システムは、温度ゲインを遅くするために特定のコンポーネントに先制的にフローを方向付けることができる。例えば、特定の1つ以上のモータがスロットルアップしている場合、システムは、追加の作動流体(例えば、作動流体容量流量を増加させる)を特定のモータ(複数可)に方向付け得る。様々な実施形態では、システムは、上記スロットルアップコンポーネント(複数可)の冷却を補助するために、1つ以上の近接ループをオンにし得る。例えば、スロットルアップしているモータを取り囲む、又はそのモータ若しくはハウジング内に配置される3つのループがあり得る。システムは、低い初期温度を検出し、作動流体を有しないか、又は上記モータを能動的に冷却する単一のループを有し得る。温度は、モータが動作するにつれて上昇する可能性があり、ピトーチューブ(船体若しくはモータハウジングに配置されている)又はフローメータなどの他のセンサの中でも、温度センサを利用して、システムは、次いで、第2のループに、作動流体をモータに流すように命令し得る。同じ実施例では、モータ温度が上昇し続けるか、又は温度閾値を超える場合、システムは、第3のループをオンにして、作動流体をモータに向かって送り、それを冷却しようとして戻し得る。別の実施例では、システムは、複数のループを能動的に命令するだけでなく、能動冷媒システムに、より高い速度で流体を冷却するか、又はモータ(若しくは他の比較的高温のコンポーネント)を冷却するために作動温度を低下させるように命令し得る。様々な実施形態では、及び前述の実施例の続きにおいて、システムは、3つのループ全てに、熱くなったモータに近接する作動流体を流すように命令し得る。温度が上昇し続ける、又は故障が経験される場合でも、システムは、次いで、作動流体を正常以下の作動温度に能動的に冷却し得、それによって、より大きい容量増加だけでなく、温度変動を伴って、モータから熱エネルギーを吸収する能力を増加させる。総システムフローもまた、ポンプからの動力消費を最小化するために放熱要件が低減されるときに低減することができる。
【0072】
図12は、船舶推進システムを冷却するための単一のポンプ、マルチ流路冷却チャネルの概略図を描画する。様々な実施形態では、本明細書に記載されるように、複数のポンプ及び任意の他のコンポーネントが存在し得る。例えば、作動流体からの冷却時間に基づいて、一次及び二次リザーバ、又はマルチリザーバシステムが存在し得る。リザーバ461は、電力電子機器用のヒートシンクとして使用される作動流体(例えば、水)を貯蔵する。リザーバに直接に直列に接続されているのは、ポンプ462である。ポンプは、システムを通して正の圧力勾配を提供し、冷却水を循環させる。ポンプは、中央冷却制御ユニット4613に接続された1つ以上の一体型フローメータを含む。チューブを介してポンプの出力に接続されているのは、温度センサ463である。温度センサは、それが任意の発熱コンポーネントに達する前に、冷却水の定常状態温度を測定する。温度センサを通過した後、流路は、単一のフローからマルチフロー出力に分割される。いくつかの実施形態では、これは、1つの入力及び複数の出力を有する単一の可変バルブを使用し得る。様々な実施形態では、これは、非限定的な入力及び出力の1つ以上のマニホールドに接続された複数のバルブを使用して達成され得る。この実施例のこれらのバルブの各々は、調整可能なバルブであり得る。様々な実施形態では、バルブのサブセットは、調整可能なバルブである(すなわち、選択可能な距離、パーセンテージ、量、又は同様の測定値を開閉する)。様々な実施形態では、バルブの全ては、調整可能なバルブである。いくつかの実施形態では、フロースプリッタは、スプリッタの各出力に接続された調整可能なバルブ464と共に使用される。バルブ464は、専用の流路を通る質量流量を計算するための統合されたフローセンサを有する。様々な実施形態では、フローメータは、追加的又は代替的に、流量及び/又は単一のセンサ又はセンサスイートに埋め込まれた上記流体の温度を容量的に測定し得る。各経路は、冷却される1つ以上の指定されたコンポーネントを有する。この実施形態では、モータ465は、インバータ4611及び充電器4612と並列に接続されている。モータ465は、遠隔に又は有線接続を介して中央冷却制御ユニット4613に出力する一体型熱電対466を有する(例えば、熱電対466は、モータハウジングに取り付けることができるか、又はモータの固定子/回転子上に配置することができる)。一体型熱電対466からの出力は、経路に沿った相対フロー要件を計算するために使用される。温度が所定の限界を超える場合、バルブ464は、更に開かれて流量が増加する。熱電対467の出力に接続されているのは、流路の各々を結合するためのスプリッタ468である。インバータ4611及び充電器4612については、各冷却水流路の温度及びフローを測定するための熱電対及びバルブの複製アレイがある。スプリッタ468は、フローを一緒に結合するためのマルチ入力の単一の出力方向を有する。スプリッタの単一の出力に接続されているのは、中央冷却制御ユニット4613にも接続されている追加の熱電対469である。フローに加えられる総熱エネルギーは、熱電対463と熱電対469との間の温度の変化を測定することによって計算することができる。流路に加えられる総熱エネルギーは、システムを通る損失及び全体的な熱効率の値を与える。次いで、全てのフローは、ヒートシンクデバイス4610を通過する。ヒートシンクは、過剰な熱エネルギーを周囲の水体に放射して、循環した流体を定常状態の温度に戻す。繰り返しになるが、ホース又はチューブを介して接続すると、流体がリザーバに戻され、システムの周りに再循環することができる。
【0073】
図13は、充電モードで高温充電器を冷却するために動作する冷却ループシステムの一実施形態の概略図である。充電モードが有効化されると、中央冷却制御ユニット4649は、充電器を通過する以外の各流路を閉じる。ヒートシンクとして機能する所定量の作動流体(例えば、水)を保持するリザーバ4641は、最初にポンプ4642に、次に熱電対4643に直列に接続されている。充電モードにあるとき、バルブ4644のみが開いており、冷却水が流れることを可能にする。充電器4645は、一体型熱電対を有し、充電の速度を出力する。充電器を通過した後、冷却水は、中央冷却制御ユニット4649に接続された追加の熱電対4646を通過する。充電器によって生成された総廃熱は、熱効率を判定するために計算される。充電器の温度は、定常状態の温度を見つけるために経時的にマッピングされる。充電器の温度が所定の限界を超えて上昇し続ける場合、システムは、ポンプへの動力を増加させて、流量を増加させ、したがって放熱を増加させる。充電器の温度が上昇し続けると、充電の速度は、充電器の限界を下回る定常状態温度に達する点まで低下する。リザーバ4641に戻る前に、冷却水は、ヒートシンク4647を通過して、充電器によってフローに加えられている熱を放散する。最後に、この実施形態では、ヒートシンクによって放散される総熱エネルギーを計算するために、追加の熱電対4648が追加される。
【0074】
図14は、高温モータ及びインバータを冷却するように動作して、充電器をバイパスする冷却ループシステムの概略図である。ある容量の作動流体(例えば、冷却水)がリザーバ4611内に保持される。リザーバの出力に接続されているのは、ポンプ4612及び熱電対4613であり、システムを通して圧力勾配を提供し、総熱エネルギーを計算する。バルブ4614及び4610は、それぞれのループ内の発熱コンポーネントの相対温度に基づいて個別に制御される。所与の動作シナリオでは、モータ4614及びインバータ4619の両方が安全な動作温度範囲内にある場合、ポンプ4612への動力を低減して、全体的なシステム効率を改善することができる。モータ4615又はインバータ4619のいずれかが追加の放熱を必要とする場合、バルブ4614及び4610を調整することによって、必要に応じてフローのより大きい割合を誘導することができる。これにより、ポンプ4612は、システムがより効果的にフローを必要とする場所に流すにつれて、動力要件を低減することができる。各発熱コンポーネントからのフローは、追加の熱電対4616を通過する前に一緒に戻され、フローへの総熱入力を測定する。リザーバ4611に戻る前に、フローは、ヒートシンク4617を通過し、追加された熱エネルギーを周囲の水体に散逸させる。
【0075】
ギア比が低下した統合されたモータギアボックス
本開示は、3:1の減速を有する標準的なギアセットを使用して2:1のギア減速比を達成するために、プラネタリギアボックスセットのプラネットキャリアを制約する方法を詳細に説明する。サンギア又はプラネットキャリアのいずれかを制約する新しい設計を使用することで、ギア減速比の低減を達成することができる。様々な実施形態では、ギアセットは、十分な冷却及び潤滑を確実にするために、油に完全に含まれ、密封されている。様々な実施形態では、ハウジングは、モータギアボックス駆動トレインに追加される追加の直径がないように設計されている。単一のステージを使用する場合は、3:1~10:1の比率にすることができる。比率を増加させるために、追加のステージを追加することができる。
【0076】
図15は、プラネタリギアセット56100の断面図を示す。外側リングギア56101は、典型的にはリングを拘束するために使用される貫通孔の円形パターンを有する。リングギア56101の歯は、プラネットギア56102の各々と噛み合う。プラネットギア56102は、互いに等間隔であり、プラネットキャリア56105の周りに等角に配置することができる。プラネットギア56102はまた、中央サンギア56104と噛み合う。サンギア56104、プラネットギア56102、及びリングギア56101の間の歯数の比は、ギアボックスの出力比を決定する。様々な実施形態では、止めねじは、プラネットキャリア56105の外径を、別のコンポーネント(例えば、出力シャフト)に結合するように構成された出力スプラインに固定して、それによって、回転運動を入力シャフトから出力スプラインに伝送する。
【0077】
図16は、ギア減速アセンブリに沿ったモータの側面プロファイル半断面図を示す。モータシャフト561は、モータ56200の後部にベアリング562、及びモータの前部に第2のベアリング563と共に固定される。2つ以上のボルト564は、装着穴569を介して、モータ本体に対してスペーサ5612を取り付ける。様々な実施形態では、スペーサは、接続点5613で固定されたプラネットキャリアを保持するように構成されている。モータからのシャフト561は、ベアリングキャリアの中心を通過し、サンギア56104と噛み合い、スナップリング56104を使用して軸方向に拘束される。ギアセットは、サンギア56104がプラネタリギアセット56100の入力側ではなく、出力側にあるように180度反転される。モータスペーサ5612は、回転本体の剛性を増加させるために外径上に押されたベアリング565を有する。ベアリング565は、ギアセットハウジング567の入力側のポケットボアに保持される。ギアセットハウジング567の入出力の半分の両方が、各本体間の精度を維持するための位置決めダウエル568を有する。様々な実施形態では、ギアセットハウジング567の出力部分は、中心回転軸との半径方向の整列を確実にするための追加のベアリング5610を有する。様々な実施形態では、プラネタリギアセット56100は、ギアセットハウジング567内の閉じた容積に含まれる。様々な実施形態では、プラネタリギアセット56100は、潤滑及び冷却のために油に浸される。少なくとも1つの入力シール566及び少なくとも1つの出力シール5611は、シャフト561に沿った任意の油損失を制限するために、入力側及び出力側のシャフトの周りに追加される。
【0078】
図17は、プラネタリギアセット56100及びプラネタリキャリア56105を拘束するために使用されるスペーサ5612の隔離された、分解された断面図を示す。皿穴569の円形パターンは、入力モータに位置合わせ及び固定するために使用される。ギアセット56100は、2つの内部スプラインを有し、1つは、中央サンギア56104内にあり、2つ目は、スペーサ5612と噛み合う。スペーサ5612は、プラネットキャリア56105と噛み合うように対応する雄スプライン5615を有する。プラネットキャリアスプラインの外径を固定するための追加の止めねじ56106がある。この構成では、外側リング56101は、モータによって駆動されるサンギア56104と共に自由に回転することができる。
【0079】
図18は、明確にするために入力モータとモータスペーサを取り外した状態の断面図を示す。モータシャフト561は、入力サンギア56104と噛み合うようにスプライン566されている。シャフトは、プラネットキャリア56105のより大きい雌スプラインを通過する。外部ハウジングは、自由に回転することができ、ベアリング565及び5610を備えたシャフトに半径方向に位置している。ベアリング565の内径は、モータシャフト561に直接装着されている。入力側ベアリング565は、一貫した整列を確実にするために、モータスペーサに半径方向に位置している。
【0080】
図19は、プラネタリギアセットの簡略化されたラベル付き概略図を示す。モータ(入力)シャフト561は、中央サンギアに接続されている。プラネットの各々は、プラネットキャリア562によって出力シャフト5614に接続されている。
【0081】
図20Aは、モータ56200の外部に結合されたスペーサ5612を備えたシャフト561を有するモータ56200を例解する。
図20Bは、プラネタリギアセット56100、スペーサ5612、及びモータ56200を例解する。
【0082】
図21Aは、プラネタリギアセット、スペーサ、及びモータの断面図を例解する。
図21Bは、キャリア及びモータに結合されたギアセットハウジングの断面図を例解する。
【0083】
図22Aは、プラネタリギアセット56100の断面図を例解する。
図22Bは、プラネタリギアセット及びギアセットスペーサ56812の断面図を例解する。
図22A及び
図22Bに示されるように、プラネタリギアセット56100は、ギアセットハウジングの近位部分56807a及び遠位部分56807b(まとめて、56807)を含む。様々な実施形態では、ギアセットハウジング56807は、プラネタリギアセット56100を実質的に囲む。様々な実施形態では、ギアセットハウジング56807は、プラネタリギアセット56100を冷却及び/又は潤滑するように構成された流体を含む。
【0084】
図23は、出力スプライン56920が強調表示されたギアセットハウジング56907を例解する。様々な実施形態では、ギアセットハウジング56907は、プラネタリギアセット(図示せず)のキャリアに結合され、モータからの入力シャフトとは異なる(例えば、より低い)RPMで回転するように構成されている。
図23に示されるように、ハウジングは、概して円筒形であり、遠位(モータから離れた)側にスプライン56920を含む。様々な実施形態では、スプライン56920は、ギアセットハウジング56907をシステムの別の回転コンポーネント(例えば、軸)に回転可能に結合するように構成されている。様々な実施形態では、スプライン56920は、ギアセットハウジング56907の表面から外向きに突出する(例えば、押し出される)雄スプラインを含む。様々な実施形態では、スプライン56920は、ギアセットハウジング56907の表面に(例えば、押し出しカット)形成される雌スプラインを含む。様々な実施形態では、スプライン56920は、モータの入力シャフトと整列した中央ボアを有するように形成されている。様々な実施形態では、モータの入力シャフトは、スプライン56920を通って延在している。様々な実施形態では、スプライン56920は、ギアセットハウジング56907から別の回転コンポーネントに回転運動を伝送するように構成された任意の好適な形状を含み得る。例えば、
図23に示されるように、スプライン56920は、プラス形状を含む。
【0085】
能動的に冷却されたエピシクリックギアリング
本開示は、ヒートシンクの形状のための新しい設計を使用して、プラネタリギアボックスからより効果的に熱を放散するためのシステム及び方法を詳細に説明する。改善された放散は、ギアボックスがより高い毎分回転数(RPM)で連続的な状態で動作することを可能にして、それによって、経時的により多くの動力を伝達する。プラネタリギアボックスのギアセット内では、プラネットギアの各々のベアリングは、局所的な熱集中の点である。ベアリングに空間的に近いヒートシンクを使用し、外径だけでなくギアの表面に冷却水を流すことで、ギアからより多くの熱を引き出すことができる。更なる利点は、よりコンパクトな設計及びより低い重量を含み、動力対重量比を増加させる。このシステムは、複雑さを軽減するために、既存の冷却水ループにシームレスに統合することができる。様々な実施形態では、システムは、ボートモータ内に実装され得る。様々な実施形態では、システムは、ボートトランスミッションに配置され得る。様々な実施形態では、システムは、トランスミッション、より大きいギアボックス、又は駆動トレインの複数のインスタンスなど、船舶上の1つ以上の場所で実装され得る。様々な実施形態では、プラネタリギアボックスは、全体のギアボックスに対して水平、垂直、ある角度で配置されるなど、空間内の複数の方向に配置され得る。
【0086】
図24は、プラネタリギアセットの簡略化されたラベル付き概略図を示す。入力シャフト661は、中央サンギアに接続されている。プラネットの各々は、プラネットキャリアによって出力シャフト662に接続されている。様々な実施形態では、中央サンギアは、固定され、1つ以上の他のコンポーネントは、上記固定点に対して回転及び/又は周回するように構成されている。様々な実施形態では、リングギアは固定され得、他のコンポーネントは、上記リングギアに対して回転及び/又は周回するように構成され得る。様々な実施形態では、システムが取り付けられている別のコンポーネントは、空間に固定され得、プラネタリギアボックスは、上記外側点に対して周回し、回転するように構成され得る。
【0087】
図25は、モータ及びギアボックス駆動トレインの中央を下った断面図を示す。様々な実施形態では、モータは、電気モータである。シャフト661は、モータから延在し、ギアボックスの中央サンギアと係合している。様々な実施形態では、
図25に示されるように、サンギアは、スプラインを介してシャフトに直接結合されている。様々な実施形態では、サンギアは、シャフトアダプタ661bを使用して結合されている。環状形状の冷却水リザーバ664は、モータ662に装着されており、ギアボックス661bの入力シャフトを取り囲む。リザーバは、ギアセット666の直径にわたって新鮮な冷却水を循環させるための冷却水ポート663を有する。装着プレート665は、ギアセットを入力シャフト661b上に位置させ、油容積と冷却水容積とを分離するために使用される。半径方向シャフトシール667(例えば、Oリング)は、油をギアセット666に局所的に保ち、冷却水及び潤滑油の混合を防止する。第2の半径方向シャフトシール668は、ギアボックスの出力シャフト6610の周りから漏れることからの油を収容するために使用される。出力ベアリング669は、ギア上の追加の摩耗を最小化するために、入力シャフトと直列に出力シャフトを位置させるために使用される。この設計は、容積664内の冷却水がギアセットにはるかに近づき、より効果的に熱を放散することを可能にする。
【0088】
図26は、統合された冷却水ハウジングを備えたギアボックスの等角図を示す。明確にするために、入力モータ、入力シャフト、及び出力シャフトが取り外されている。ギアボックスの入力側をモータに固定するために、シーリングヘッド661を備えたボルトの円形パターンが使用される。冷却水容積は、入力シャフトがそれを通って延在する中心開孔662を有するトロイダル形状である。トロイダルリザーバ664がプラネタリギアセットに隣接しているが、流体的に分離されている利点は、中央サンギア669を駆動するモータの出力シャフト及びギアボックスの入力シャフトから熱を引き込むために、冷却水を入力シャフトの近くに保つことである。トロイダルリザーバ664は、シール667を備えたセパレータプレート665を有し、入出力ポート6611を除いて冷却水を閉じ込める。セパレータプレート665は、油及び冷却水の流体容量の間の薄い境界6612として使用される。ギアセットは、ボルト6613の円形パターンを使用してセパレータプレート665に保持される。ギアセットの周りの容量は、カバー6612及び出力シャフト668の周りの半径方向シールで密封される。出力シャフトは、ベアリング6610を備えたギアセットの中心に位置している。
【0089】
船舶推進システムの自動動力伝達ベルトテンショニングシステム
原動機とプロペラシャフトとの間の動力伝達のためのベルトの使用を可能にするために、原動機を保持する構造が、引き上げねじのセットによって中央部に対して添着されており、引き上げ又は調整される。引き上げねじの等しい調整は、パワーヘッドを中央部に対して均一に移動させることによってベルトの張力を可能にし、一方、不均一な調整は、パワーヘッドがプロペラシャフトと整列することができるように、軸系を含むパワーヘッドを傾ける。モータを各引き上げねじセットに接続することで、それらを電子的に制御することを可能にする。各引き上げねじの力センサを使用して、ベルトの張力、並びにベルト整列を決定することができる。測定された力からパワーヘッドの重量を差し引いた合計は、張力の2倍に等しい総ベルト引力を与え、センサ間の力の分布を使用して、引き上げねじに対するベルトの位置を計算することができる。次いで、センサ情報を使用して引き上げねじを制御して、適切なベルト張力と整列を確保することができる。
【0090】
図27は、船外機の駆動トレインの側面図を示す。様々な実施形態では、エンジンは、電気ボートモータであり得る。主引き上げプレート761は、中央部上部カラー762から支持される。主引き上げプレート761は、駆動スプロケット764を備えた駆動シャフトを含む、パワーヘッド763を支持する。駆動スプロケット764は、同期ベルト766を介してプロペラシャフトスプロケット765Aに動力を伝達する。様々な実施形態では、プロペラシャフトスプロケット765Aは、プロペラシャフト765に乗る。プロペラシャフト765の位置は、中央部上部カラー762を基準にして固定されている。主引き上げプレート761は、2つ以上の引き上げねじ767を介して支持されている。例えば、引き上げプレート761は、4つの引き上げねじ(各側に2つ)を使用して上部カラー762に結合され得る。更に、主引き上げプレート761及びそれに付随する駆動スプロケット764が、中央部カラー762から離れるように引き上げられるほど、同期ベルト766内の張力が大きくなる。引き上げねじ767の不均一な調整により、駆動スプロケット764とプロペラシャフトスプロケット765Aとの間の整列を変更し得る。駆動スプロケット764及びプロペラシャフトスプロケット765Aが整列されているとき、ベルト766は、いずれかの側に漂流することなく、駆動スプロケット764の中央で走行するようにすることができる。
【0091】
張力ねじ767を介して駆動スプロケット764の高さをインテリジェントに制御することによって、ベルト766内の張力を制御し、所与の動力伝達要件に必要なものだけに設定することができ、したがって、摩擦損失を低減する。
【0092】
図28Aは、引き上げねじ767の明確な視界を提供するためにいくつかのパワーヘッドコンポーネントが隠されたパワーヘッド763及び中央部上部カラー762の上面図を示す。様々な実施形態では、引き上げねじ767は、2つ以上のグループに分割することができる。例えば、引き上げねじは、前部引き上げねじ767A及び後部引き上げねじ767Bに分割することができる。引き上げねじ767A及び767Bの各グループ内で、ねじの移動は、主引き上げプレート761の左右の水平を維持するために同期される。全ての引き上げねじ767上の総荷重と比較して、引き上げねじ767A及び767Bの各セットに配置された荷重を測定することによって、駆動スプロケット764上のベルト766の位置を判定することができる。前部引き上げねじ767A及び後部引き上げねじ767Bの不均一な調整により、駆動スプロケット764がその垂直位置を変更することなく傾斜することを可能にすることができる。一端が上がると、ベルトは離れる。この方法は、プロペラシャフトスプロケット(図示せず)との整列を確実にするために、駆動スプロケット764上でベルトを中央に配置するために使用することができる。
【0093】
図28Bは、ベルト766及びモータシャフト7610の断面図を例解する。様々な実施形態では、モータのシャフト7610がある方向(例えば、時計回り)に回転すると、ベルト766の一方の側766aは、張力のある状態にあり(タイト側)、ベルト766の他方の側766bは、張力のある状態にない(スラック側)。様々な実施形態では、引き上げプレートの下に位置決めされたロードセルは、モータの動作中に実質的に同じ力を受けない(したがって、実質的に同じ荷重を示さない)。様々な実施形態では、ベルト766のタイト側766aに対応する引き上げプレート761の1つの部分(例えば、半分)上のロードセルは、ベルト766のスラック側に対応する引き上げプレート761の別の部分(例えば、半分)上のロードセルと比較して、より高い力(圧縮力)を受ける。これは、(トルクがベルト766に加えられるにつれて)ベルト766の張力によって生成されるモーメントをバランスさせる、ベルトのタイト側の引き上げねじと引き上げプレートとの間の反力によるものである。
【0094】
図29は、アクチュエータとセンサが設置された引き上げねじの拡大図を示す。回転アクチュエータ767Cは、作動時にねじ付きロッド767Dを回転させるように構成されている。様々な実施形態では、アクチュエータ767Cは、双方向であり得る(すなわち、時計回り及び反時計回りに回転することができる)。ねじ付きロッド767Dの回転により、ロッドが中央部上部カラー762にねじ込まれ、又は中央部上部カラー762からねじ出され、主引き上げプレート761が載っている引き上げプラットフォーム767Eの高さが調整される。引き上げプラットフォーム767Eと主引き上げプレート761との間には、主引き上げプレート761によって引き上げプラットフォーム767Eに下向きにどれくらいの力が及ぼされるかを測定するように構成されたロードセル767Fがある。
【0095】
船外推進システムの船内高圧バッテリ充電システム
船内バッテリ充電器(OBC)は、本発明が組み込まれている全ての形態の電気自動車に含めることができる。OBCは、交流電流を受け入れ、充電のために電気ボートに直流電流を提供し、一般に、ACをDCに変換する(例えば、正弦波ACを定数DCに近似するように変換する)インバータを使用する。ボートなどの様々な実施形態では、OBCは、一般に、ドックスリップに組み込まれる(すなわち、ボートに接続されない)別個のコンポーネントである。更に、OBCは一般にファン冷却され、充電中に動作温度を維持(例えば、冷却)するためにかなりのエネルギーを消費する。
【0096】
本開示によって説明される様々な実施形態は、電気ボートの船外機に統合されたOBCを提供する。様々な実施形態では、OBCは、船外機のハウジング内に配置されている。様々な実施形態では、OBCは、船舶推進システムの他の熱生成コンポーネント(例えば、電気モータ、インバータなど)と同じ熱管理システム(例えば、閉じた熱伝送回路)に統合されている。船外機へのOBCの統合により、AC電源を船外機に直接差し込むことができ、バッテリなどの損傷を受ける可能性のあるコンポーネントの近くに追加の廃熱を生じさせない。様々な実施形態では、バッテリは、ボートの船体内に格納されている。
【0097】
このシステムでは、ポンプを使用してインバータ、モータ、及びOBCに冷却水を供給する。様々な実施形態では、AC電源からの充電は、乗り物が静止し、AC電源に差し込まれたときにのみ生じるため、OBCは、インバータ及びモータと同時に冷却を必要としない。様々な実施形態では、熱伝送回路は、OBCへの流れを可能にするか、又はOBCからの冷却水のフローを制限するように構成されたバルブを含む。
【0098】
OBCを冷却するために冷却水が必要な場合(例えば、再充電中)、ポンプは、動力を供給され、バルブは、冷却水がOBCを通って流れることを可能にする。冷却水がOBCによって必要とされない場合(例えば、モータの動作中)、バルブは閉じられ、それによってOBCへの冷却水の流れが制限される。様々な実施形態では、乗り物を充電している間、冷却水は、インバータ及びモータをバイパスする。様々な実施形態では、冷却水は、熱交換器を通って流れ、周囲の水(例えば、海洋)に熱を放出する。OBCを通過する冷却水の一部分のみが、水を通過する乗り物の動きから生じる熱交換器上のフローの不足により、潜在的な冷却能力が低下する可能性がある。様々な実施形態では、OBCは、モータ及びインバータよりも生成する廃熱が少ない。
【0099】
図30は、船外機の冷却ループの等角図を示す。ポンプ861は、船外機のコンポーネント全体にわたって冷却水を移動させる。冷却水は、冷却水リザーバ862からリザーバ-ポンプ-チューブ863Aを通して流れる。ここから、冷却水は、パワーヘッド-下部ユニット-チューブ863Bを通って、アンチベンチレーションプレート(AVP)867、及び周囲の水との熱交換が起こる下部ユニット(LU)868に流れる前に、インバータ864、モータ865、及びOBC866を含む電力電子機器を通って流れる。ここで冷却され、冷却水は、冷却水戻りキューブ863Cを通って、冷却水リザーバ内に流れ戻る。
【0100】
図31は、船外機パワーヘッドの冷却ループの等角図を示す。ポンプ861から、冷却水は、ポンプ-インバータチューブ863Dを介してインバータ864に流れる。インバータ864を通過した後、冷却水は、インバータ-モータチューブ863Eを通ってモータ865に流れる。モータ冷却水出力は、パワーヘッド-LUチューブ863Bに接続されている。充電モードにあるとき、電磁バルブ869が開き、冷却水がポンプ-インバータチューブ863DからOBC-冷側チューブ863FにOBC866を通って流れ、パワーヘッド-LUチューブ863Bの中に入るOBC-熱側チューブ863Gに流れることを可能にする。充電モードでない場合、OBC866を通る代替冷却水経路は閉じられ、冷却水流れを損なわない。電磁バルブ869が開くと、冷却水は、OBC866を通るか、又はインバータ864とモータ865の両方を通るかのいずれかの流れの選択肢を有することになる。OBC866を通って流れる冷却水経路のより低い圧力降下は、熱交換器を通ってリザーバ862に戻る前に、OBC866を通って流れる冷却水フローのより大きい部分を引き起こすことになる。
【0101】
図32は、船外機8611を備えたボート8610の等角図を示す。OBC866及び高電圧バッテリ8612が強調表示されている。ボート8610は、AC電源8613の隣にドッキングされている。AC電源ケーブル8614は、AC電源8613から船外機8611まで延びている。AC電力は、OBC866に配線され、そこで適切なDC電圧に変換され、DC電源ケーブル8615を介して高電圧バッテリ8612に伝送される。その後、高電圧バッテリ8612に貯蔵された電力を使用して、船外機8611を作動させることができる。
【0102】
本開示の様々な実施形態の説明は、例解の目的で提示されてきたが、網羅的であることも、開示される実施形態に限定されることも意図されていない。多くの修飾及び変形は、記載された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見出された技術に対する実用的な用途若しくは技術的改善を最もよく表現するために、又は当業者が本明細書で開示される実施形態を理解することを可能にするために選択された。
【国際調査報告】