(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】生体に生理学的効果をもたらすための非侵襲性送達機構
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20250117BHJP
G01N 27/02 20060101ALI20250117BHJP
G01N 27/72 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61B5/00 L
G01N27/02 D
G01N27/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539373
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-21
(86)【国際出願番号】 US2022053970
(87)【国際公開番号】W WO2023129510
(87)【国際公開日】2023-07-06
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524241844
【氏名又は名称】エミュレート セラピューティクス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィゲロア、ザビエル、エイ.
(72)【発明者】
【氏名】バターズ、ベネット、マイケル
【テーマコード(参考)】
2G053
2G060
4C117
【Fターム(参考)】
2G053BA08
2G053BC14
2G053CA03
2G053CA17
2G053DA01
2G060AA15
2G060AD06
2G060AF06
4C117XB01
4C117XB02
4C117XC11
4C117XE13
4C117XE15
4C117XE23
4C117XE26
4C117XE38
(57)【要約】
模擬刺激に応答して生体に対して生理学的効果をもたらすためのシステム及び方法。このシステムは、所望の生理学的効果をもたらすためにヒトに対して薬物模擬信号を送達するためのウェアラブル・デバイスを備える。これらのウェアラブル・デバイスは、生体の1つ又は複数の領域に対して電磁場又は磁場を印加することによって生理学的効果を誘発し、ユーザの健康に関するデータを収集するために使用され得る。このデータは、1つ又は複数のコグネートを選択し、印加される電力量とヒトに対して送達される薬物模擬信号の曝露持続時間とを調節するために、処理され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に対する薬物の生理学的効果をシミュレートするための薬物模擬信号を生成する方法であって、
前記薬物の影響下における前記生体の生理学的システムに関連する静電ポテンシャルを計測するステップと、
前記生理学的システムの前記静電ポテンシャルの計測値をクローズド・システムのメモリに記録するステップと、
前記生理学的システムの前記静電ポテンシャルの前記計測値の前記記録に基づき構成される前記薬物模擬信号を発生させるステップであって、
前記薬物模擬信号は、前記クローズド・システムの増幅回路を用いて制御され、
前記薬物模擬信号は、前記生体に対する前記薬物の効果をシミュレートするように構成された電磁信号を含む、ステップと、
前記薬物模擬信号で放射されている間に、所望の生理学的効果をもたらすために、前記生理学的システムに関連する静電ポテンシャルの計測値を含むフィードバックに基づき前記クローズド・システムの前記増幅回路に前記薬物模擬信号を操作させるステップと、
前記フィードバックに応答して及び前記クローズド・システム内の前記メモリに格納されたコンピュータ・プログラムに基づき、前記クローズド・システム内において前記薬物模擬信号の送達を制御するステップと、
前記クローズド・システムにより収集されたフィードバックに応答して、前記薬物模擬信号の有効性を前記所望の生理学的効果へと動的に適合化するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記クローズド・システムは、ウェアラブル・デバイス、ハンドヘルド・デバイス、又は前記ウェアラブル・デバイス及び前記ハンドヘルド・デバイスの組合せを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記薬物模擬信号は、前記薬物模擬信号の一部分をフィルタリング及び/又は切捨てすることにより強調され、前記一部分は、前記生理学的効果をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生理学的効果をもたらす前記薬物模擬信号は、6kHzフィルタ及び/又は7kHzフィルタを介してフィルタリングされる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記生理学的効果を生じさせる前記薬物模擬信号は、(1)約44.1kHz~11kHz以下へとダウン・サンプリングされ、(2)44.1kHzへとアップ・サンプリングされる、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ローパス・フィルタ及びダウン・サンプリングが、前記薬物模擬信号の送達の最中に前記生体に対して放射される不要な高周波(RF)エネルギーを除去することにより、前記生理学的効果をもたらす、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記不要なRFエネルギーは、前記生理学的効果に関与する周波数と競合する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ローパス・フィルタ及び前記ダウン・サンプリングは、前記薬物模擬信号のファイル・サイズを縮小する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
生体に対する薬物模擬信号の送達後に取得されたデータに基づき薬物模擬信号を最適化する方法であって、
前記生体に対して送達された前記薬物模擬信号の有効性を検出するステップであって、
前記生体に対して送達する1つ又は複数の薬物模擬信号を発生させること、及び
前記送達された薬物模擬信号の前記生体に対する生理学的効果をセンサにより計測すること
によって、検出するステップと、
前記生体に対する前記送達された薬物模擬信号の前記有効性を機械学習モデルにより改善するステップであって、前記機械学習モデルは、
前記センサにより収集された前記生理学的効果のデータからトレーニング・データセットを作成すること、
前記薬物模擬信号が前記トレーニング・データセットに基づき予測又は決定を行うことを可能にすること、及び
前記薬物模擬信号の前記有効性を改善するために動的適合化を行うこと
を含む、改善するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記生体内に前記生理学的効果をもたらすために前記送達された薬物模擬信号の前記有効性を改善する前記ステップは、前記センサによって収集された薬物及び/又は他の物質の静電ポテンシャルの記録を処理するように構成されたシミュレータを備えるシステムによって実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記薬物模擬信号は、前記生理学的効果をもたらす電磁信号に相当する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記静電ポテンシャルは、
化学分子、
生化学分子、
及び生物分子
からなる群より選択される分子から発生される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記生体に対して送達するための1つ又は複数の薬物模擬信号を発生させるステップは、信号発生器により実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記センサは、前記送達された薬物模擬信号が前記生理学的効果の下でもたらした前記生体の物理的特性を計測する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項15】
前記生体の前記物理的特性は、前記薬物模擬信号の前記生理学的効果を示す特性を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬物模擬信号の前記生理学的効果を示す前記特性は、前記生体の温度である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
通信チャネルが、前記生体と前記シミュレータとの間において前記薬物模擬信号を通信する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記センサは、
磁力計、
近接センサ、
気圧計、
ジャイロスコープ、及び
加速度計
からなる群より選択される1つ又は複数のセンサを備える、請求項9、10、又は14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記薬物模擬信号の前記有効性を改善するために前記センサにより収集された前記生理学的効果のデータから前記トレーニング・データセットを作成する前記ステップは、モデリング・コンポーネントにより実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記モデリング・コンポーネントは、前記薬物模擬信号の前記有効性に関する予測判定を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記予測判定は、シミュレーション・コンポーネントによるシミュレーションされた変化に基づく、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シミュレータは、ネットワーク・ポータルを管理する分析コンポーネントをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記分析コンポーネントは、過去のパフォーマンスの継続的な反復探索及び調査により、種々のイベントの最中における将来のパフォーマンスを予測することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
生体に対して放射されることにより前記生体に生理学的効果をもたらす薬物模擬信号を送達するように構成されたデバイスであって、
複数の集積回路チップ、
複数のセンサ、
無線通信プロトコルをサポートするように構成された通信回路、又は
前記複数の集積回路チップ、前記複数のセンサ、及び前記通信回路の任意の組合せ
を備える、デバイス。
【請求項25】
前記複数のセンサは、
磁力計、
近接センサ、
気圧計、
ジャイロスコープ、及び
加速度計
からなる群より選択される1つ又は複数のセンサを備える、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記デバイスは、サポート無線通信プロトコルを介して適切な薬物模擬信号を選択することによって前記生体において前記生理学的効果を実現するように構成される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
前記サポート無線通信プロトコルは、ブルートゥース、Wi-Fi、衛星ナビゲーション、又は前記ブルートゥース、前記Wi-Fi、及び前記衛星ナビゲーションの任意の組合せを備える、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記デバイスはウェアラブル・デバイスである、請求項24に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイスは、
スマート・ウォッチ、
スマート・アイウェア、及び
ウェアラブルズ・ディスプレイ・デバイス
からなる群より選択される1つ又は複数のデバイスを備える、請求項28に記載のデバイス。
【請求項30】
信号発生器に対する薬物模擬信号の分配及び調整を行うコントローラであって、
ハウジング、
プロセッサ、
メモリ、
ビジュアル・オーディオ・インターフェース、又は
前記ハウジング、前記プロセッサ、前記メモリ、並びに前記ビジュアル・オーディオ・インターフェースの任意の組合せ
を備える、コントローラ。
【請求項31】
前記コントローラは、マイクロコントローラ回路及び信号発生回路をさらに備える、請求項30に記載のコントローラ。
【請求項32】
前記マイクロコントローラ回路は、前記コントローラを操作するように構成される、請求項31に記載のコントローラ。
【請求項33】
前記マイクロコントローラ回路は、
マイクロプロセッサ、
リセット回路、及び
揮発性メモリ
を備える、請求項31に記載のコントローラ。
【請求項34】
前記マイクロプロセッサは、前記ハウジングの内部及び外部に通信するための複数のアナログ及び/又はデジタル通信ピンを備える、請求項33に記載のコントローラ。
【請求項35】
前記マイクロプロセッサは、
USBコネクタ、
ビジュアル・インターフェースに対するディスプレイ・コネクタ、及び
オーディオ・インターフェースに対するオーディオ・コネクタ
をさらに備える、請求項34に記載のコントローラ。
【請求項36】
前記信号発生回路は、前記薬物模擬信号でコイル及びケーブル・アセンブリを駆動するように構成される、請求項31に記載のコントローラ。
【請求項37】
前記信号発生回路は、
オーディオ・コーダ-デコーダ、
出力増幅器、及び
電流モニタ
を備える、請求項36に記載のコントローラ。
【請求項38】
前記オーディオ・コーダ-デコーダは、前記出力増幅器に対してアナログ出力薬物模擬信号を出力するように構成される、請求項37に記載のコントローラ。
【請求項39】
前記出力増幅器はローパス・フィルタを備える、請求項37に記載のコントローラ。
【請求項40】
前記出力増幅器はプログラミング可能なものである、請求項37に記載のコントローラ。
【請求項41】
前記出力増幅器は、前記コイル及びケーブル・アセンブリのコイルにより受信される入力薬物模擬信号の強度レベルを調節するようにさらに構成される、請求項37に記載のコントローラ。
【請求項42】
前記電流モニタは、前記コイル及びケーブル・アセンブリの電気特性を判定する、請求項37に記載のコントローラ。
【請求項43】
前記電流モニタは、薬物模擬信号レベルが指定された周波数閾値内に留まることを確認する、請求項37に記載のコントローラ。
【請求項44】
生体における生理学的効果をシミュレートするための薬物模擬信号の非侵襲性送達の最中に使用するためのコイル及びケーブル・アセンブリを製造するための方法であって、
可撓性複合材料内にコイルをカプセル化するステップと、
前記コイルに対してコネクタを結合するステップと、
前記コイル、前記コネクタ、及びケーブルに対して集積回路を結合するステップと、
前記集積回路にメモリ・ストレージを組み込むステップと
を含む、方法。
【請求項45】
前記ケーブルに対して前記集積回路を結合する前記ステップは、前記コネクタと前記コイルとの間において信号を送達するための複数の導体に対して機械的張力逃がしを与えるステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記メモリ・ストレージは、前記集積回路、前記コネクタ、前記ケーブル、及び/又は前記コイルの電気特性を識別するように構成される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記コイル及びケーブル・アセンブリは、ウェアラブル・デバイス内にカプセル化されるように構成される、請求項44に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年12月27日に出願された米国仮特許出願第63/294,054号の利益及び優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
生体は、典型的な条件及び非典型的な条件下において様々な生理学的効果を継続的に被る。例えば、ヒトは外部刺激により誘発されるストレスに反応して、ヒトの身体機能に影響を及ぼす特定のホルモンを生成することができる。ヒトは、その環境又は刺激が変化すると、ある生理学的状態から別の生理学的状態へと移行し得る。この刺激は、有益な生理学的効果を有する場合がある。例えば、ヒトは、様々な疾患及び健康状態の悪化というすぐれない症状を緩和する薬剤を摂取することが可能であり、又はそのような緩和をもたらす物理的相互作用を被り得る。例えば、ジアゼパムは、摂取されるとヒトの生理機能に対して影響を及ぼして不安、発作などを軽減し得る薬物である。この薬剤は、経口摂取、直腸挿入、筋注射、静脈注射、又は鼻スプレーとしての使用が可能である。この薬物のこれらの効果は、薬剤が摂取される形態に応じてそれぞれ異なる時点にて現れ始める。
【0003】
医薬品の様々な摂取方法が存在する1つの理由は、薬物の効果が、個別のヒトによるその薬物の処理方法によって決定され得るからである。例えば、静脈中に投与される場合には、薬物の効果は1分~5分以内に現れ始まり、1時間にわたり持続し得る。経口投与の場合には、効果は投薬後の15分~60分の間に現れ始まり得る。さらに、一部の人々は、ある摂取形態を好む場合があり、又はある摂取形態に対して身体的嫌悪感を抱く場合がある。しかしながら依然として、薬剤の摂取を完全に避けつつも同一の生理学的利益を享受したいという要望が存在している。さらには、いかなる薬剤も例えば自殺願望、呼吸低下、興奮などの副作用を有する。したがって、薬剤の副作用を軽減又は防止しつつ、その薬剤のあらゆる利益を享受できることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,724,188号
【特許文献2】米国特許第6,995,558号
【特許文献3】米国特許第6,952,652号
【特許文献4】米国特許第7,081,747号
【特許文献5】米国特許第7,412,340号
【特許文献6】米国特許第7,575,934号
【特許文献7】米国特許第9,417,257号
【特許文献8】米国特許第10,046,172号
【特許文献9】米国特許第11,103,721号
【特許文献10】PCT/US2009/002184
【発明の概要】
【0005】
以下の図面を参照することにより、本技術の多数の態様がさらによく理解されよう。図中の構成要素は、縮尺どおりであるとは必ずしも限らない。むしろ、本技術の原理を明確に示すことに重点が置かれる。したがって、読み取りやすさを向上させるために様々な要素が任意に拡大される場合がある。参照の容易化を目的として、本開示全体にわたり、同一の参照番号が、同一の又は少なくともほぼ類似若しくは近似する構成要素又は特徴を識別するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】所望の生理学的効果をシミュレートするために、ヒト又は対象に対して薬物模擬信号を送達するためのウェアラブルズを備えるシステムを示す図である。
【
図2A】製造の最中におけるケーブル及びコイル・アセンブリの概略図である。
【
図2B】製造の最中におけるケーブル及びコイル・アセンブリの概略図である。
【
図3】ケーブル及びコイル・アセンブリのコネクタ・コアの一実装例を示す図である。
【
図4】コイル及びケーブル・アセンブリの製造方法を示す図である。
【
図5】薬物模擬信号を強調するための方法を示す図である。
【
図6】非侵襲性、非温熱性、及び移動性の磁場療法を提供するように構成されたシステムを操作する方法を示す図である。
【
図7】コイル同士の間に位置する物体に向けて薬物模擬信号を照準設定することが可能な、それらのコイルを備えるヘルムホルツ構成を示す図である。
【
図8】車両内に位置する信号発生器を備えるデバイスの不均一な配列を示す概略図である。
【
図9】薬物模擬信号の有効性を向上させる機械学習(ML:machine learning)機能を備えるシステムを示すブロック図である。
【
図10】本明細書おいて説明される少なくともいくつかの操作を実装し得るコンピュータ・システムの一実例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の技術は、生体に生理学的効果をもたらすための非侵襲性送達機構を含む。この技術は、対象生体(「身体」)に取り込まれた場合又は他の様式で導入された場合に生理学的効果をもたらす医薬品又は他の物質を送達するための従来の方法の欠点を解消する。従来の方法の欠点としては、侵襲的である点が挙げられ、物質自体が望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。本開示の技術は、記録された化合物の身体に対する生理学的効果をシミュレートするように生体の組織に対して放射される電磁信号を含む。これらの記録された信号は、本明細書においては「薬物模擬信号」又は「コグネート」と呼ばれ、これらは記録された物理的分子に反応して生成される体内の特定の分子又は化合物の静電ポテンシャルをシミュレートするように設計される。すなわち、コグネートは、1つ又は複数の所定の化学分子、生化学分子、及び/又は生物分子から発せられる磁場をほぼ再現する信号を含む。
【0008】
より一般的には、システムが、化学分子、生化学分子、若しくは生物分子に関連する信号を、又は化学的作用物質、生化学的作用物質、又は生物学的作用物質からの信号を記録し得る。これらの記録は、生理学的効果をもたらすために使用される化学分子若しくは化学的作用物質、生化学的分子若しくは生化学的作用物質、又は生物分子又は生物学的作用物質の静電ポテンシャルに相当する。一実装例では、磁力計が磁場を検出し得る。分子によりもたらされる電荷の動きが、磁力計によって検出可能である磁場を生成する。この磁場は、超伝導量子干渉素子(SQUID:superconducting quantum interference device)増幅器内において電圧を誘発し、それ以降は定電圧を維持する。この電圧は記録され得る。
【0009】
場合によっては、物質が、不快感又は他の悪化した健康状態に対する中和作用をもたらし得る。一実装例では、形質導入技術が、ブルートゥース(登録商標)(又は他の通信技術)を介してスマート・ウォッチなどの生体センサ技術を備えるデバイスに対して結合される。一実装例では、独立型のバイオセンサが、生体の睡眠パターンをモニタリングし、ブルートゥース接続を介して適切な信号又はコグネートを選択しこれを発信することにより、例えばより良好な睡眠などの所望の効果を達成することができる。別の実装例では、バイオセンサが、心拍数、脈拍、及び血圧の上昇により例えられる不安のバイオメトリクス的徴候を検出する。このセンサは、形質導入デバイスと通信することにより不安を軽減するための適切な信号又はコグネートを送達し得る。
【0010】
本明細書において開示されるシステム及び方法は、化学的作用物質、生化学的作用物質、又は生物学的作用物質をヒト又は他の対象に送達することによって生じる生理学的効果と同様の生理学的効果を、薬物を使用せずにもたらす又は模倣的に再現するように構成され得る。例えば、いくつかの技術は、化学物質、生化学物質、又は生物製剤の信号をシミュレートする電磁場又は磁場を含む効能を有する場を発生させることを含み得る。したがって、本技術のシステム及び方法により、ヒトは、例えばボタンをクリックすることなどによって電子的「処方」を、すなわち電磁エネルギー又は高周波(RF:radio frequency)エネルギーの投与を受けることが可能となる。したがって、本説明の技術は、非侵襲性、非温熱性であり、移動性を有し得る。
【0011】
本明細書において、「薬物」という用語は、医薬品、タンパク質、RNA配列及びDNA配列、又は生理学的効果を引き起こし得る任意の他の物質若しくは作用物質を含む、あらゆる化学的分子、生化学的分子、又は生物分子を広く示し得る。さらに、本明細書においては、及び以降においてさらに詳細に説明されるように、「磁場」及び「電磁場」などの用語は、例えば有益な効果をもたらし有害な健康上の効果に対処することなどが可能な生理学的効果をもたらすために、生物の選択された領域に対してエネルギーを照準設定することを指して互換的に使用される。さらに、RFエネルギーは、特定の薬物の効果をシミュレートする特性を有する。
【0012】
いくつかの実装例では、誘発されるこれらの生理学的効果は、疼痛を和らげる、又は例えばうつ病、不安、心的外傷後ストレス障害などの中枢神経系(CNS:central nervous system)の障害を緩和することが可能であり、さらには運動障害の症状を緩和し得る。薬物模擬信号は、例えばカフェイン又は他の興奮剤若しくは鎮静剤などの他の生理学的効果をもたらすことが可能である。さらには、薬物模擬信号を組み合わせることにより、所望の生理学的効果をもたらすことが可能である。
【0013】
この信号の強度は、効能を有する場を生成する範囲内において上下に調節され得る。すなわち、ある信号についてそのごく狭い範囲のみが効能的効果を生じさせることが可能であり、したがってこの強度を上限閾値超へ上昇させても又は下限閾値未満へ低下させても、身体は所望の生理学的効果を生じさせることはない。これは、身体の形状及びサイズにかかわらず真となり得る。例えば、200ポンドの体重を有する男性と150ポンドの体重を有する女性との両方に対して所望の生理学的効果を生じさせるためには、同一の狭い範囲の強度が必要となる。
【0014】
図1は、薬物模擬信号をヒトに対して送達することにより所望の生理学的効果を生じさせるためのウェアラブル・デバイス(以降においては「ウェアラブルズ」)を備えるシステム100を示す。図示するように、このウェアラブルズは、例えば抗うつ薬などの薬物の効果を選択的に誘発するためにシステムとして又は個別に動作することが可能である。したがって、このウェアラブルズは、生体の1つ又は複数の領域に対して電磁場又は磁場を印加することによって、その向精神薬の生理学的効果を誘発することができる。これらの場は、この薬物をシミュレートする信号で身体の特定領域を曝露するために誘発又は発生される。当然のことではあるが、ヒトが示される一方において、本明細書において論じる当技術は、例えば動物などの他の生物と共に使用することにより快適なエクスペリエンスをもたらす、不快感を緩和する、などが可能である。薬物をシミュレートするために使用される生物学的信号に関する所見は、本願の譲受人が共同所有する特許出願及び特許においてさらに詳細に論じられている。これらの特許及び特許出願としては、米国特許第6,724,188号、米国特許第6,995,558号、米国特許第6,952,652号、米国特許第7,081,747号、米国特許第7,412,340号、米国特許第7,575,934号、米国特許第9,417,257号、米国特許第10,046,172号、米国特許第11,103,721号、及びPCT出願であるPCT/US2009/002184が含まれる。これらの特許及び特許出願はいずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0015】
このウェアラブルズは、所望の生理学的効果をもたらす物質を送達する侵襲的形態に比して様々な利点を提供し得る。例えば、ウェアラブルズは、可搬性を有し、自宅で、職場で、学校で、及びレクリエーションの最中にヒトが治療を受けることを可能にする。さらに、このウェアラブルズにより、医療施設へ訪れることなく、長期にわたる回復時間を招くことなく、並びに場合によっては例えば吐き気、疲労、食欲不振、及び感染症発症などの副作用を被ることなく、薬物摂取効果をシミュレートすることが可能となり得る。さらには、これらの信号は、従来の薬物では容易には可能でなかった様式において、生理学的効果を最適化するように調整されることが可能である。
【0016】
図示するように、このウェアラブルズは、生理学的効果をもたらすために集合的又は独立的に動作する構成要素パーツであることが可能である。これらの構成要素パーツには、種々のウェアラブルズが含まれる。これらの種々のウェアラブルズは、皮膚の表面付近及び又は皮膚の表面上に着用されるスマート電子デバイス(例えばマイクロコントローラなど)であり、この位置においてこれらのスマート電子デバイスは、例えば身体信号(バイタルサインなど)及び又は周囲データなどに関する情報を検出、分析、及び送信し、着用者に対してバイオフィードバックを与えることを可能にする。アクティビティ・トラッカーなどのウェアラブルズは、人間の介入を必要とせずにオブジェクト同士が製造業者、オペレータ、及び/又は他の接続デバイスとの間においてインターネット経由によりデータ交換することを可能にする、電子機器、ソフトウェア、センサ、及び/又は接続能力を備えるインターネット・オブ・シングス(IoT:Internet of Things)デバイスの一実例である。
【0017】
ウェアラブルズは、心拍数、消費カロリー、歩数、血圧、特定の生化学物質の放出、運動時間、発作、肉体的緊張など、ユーザの健康に関するデータを収集するために使用され得る。ウェアラブルズにより収集されたデータは、例えば気分、ストレス、及び健康状態における変化の予測、血中アルコール濃度の計測、運動パフォーマンスの計測、ユーザの疾患度合いのモニタリング、心臓及び循環器に障害を有するヒトの長期モニタリングの実施、並びに健康リスク評価の実施などを行うために使用され得る。このデータを処理することにより、1つ又は複数のコグネートを選択し、印加される電力量とヒトに対して送達される薬物模擬信号の曝露持続時間とを調節することができる。さらに、ウェアラブルズは、信号を即座に送達し、身体に対して放射される「投与量」を動的に変更する(例えば薬物模擬信号に対する曝露持続時間を調節する)ことが可能である。
【0018】
図示する例では、このウェアラブルズは、スマート・ウォッチ102、スマート・グラス104、及び前腕上のウェアラブルズ・ディスプレイ・デバイス106を備える。スマート・ウォッチ102は、日常使用向けのローカル・タッチスクリーン・インターフェースを提供することが可能であり、スマートフォン(図示せず)上の関連するモバイル・アプリケーションが、管理及びテレメトリ(例えば生体モニタリング)を提供する。スマート・ウォッチ102は、アプリケーション、モバイル・オペレーティング・システム、及びWi-Fi(登録商標)/ブルートゥース接続能力を備えることが可能である。スマート・グラス104は、着用者の見ているものに並行して情報を追加する。代替的には、スマート・グラス104は、実行時に光学特性を変更することが可能である。視界に対して情報を重畳することは、光学式ヘッドマウント・ディスプレイ(HMD:head-mounted display)グラス又は透明なヘッドアップ・ディスプレイ(HUD:heads-up display)若しくは拡張現実(AR:augmented reality)オーバーレイを備えた埋込み型ワイヤレス・グラスによって実現される。近年のスマート・グラスは、事実上において独立型のモバイル・アプリケーションを実行することが可能なウェアラブルズ・コンピュータである。それらの一部はハンズフリー式であり、自然言語の音声コマンドを介してインターネットと通信し得る一方で、他のものはタッチ・ボタンを使用する。
【0019】
一実例では、スマート・グラス104は、信号発生器(例えばコイルなど)をヒトの頭蓋骨の周囲に位置決めするために使用され得るヘッドギアの一部である。このヘッドギアは、通気性メッシュと、弾性ストラップと、ヒトの頭蓋骨の周囲にコイルを保持、固定、又は位置決めするための快適な装置を提供し得るバンドとを備え得る。さらに、ヘッドギアは、コイルの上にバンドを固定するための留め具を備えてもよい。これらの留め具は、ベルクロ(登録商標)、スナップ、又は他のタイプの固定デバイスと共に機能するものであってもよい。
【0020】
ウェアラブルズ・ディスプレイ・デバイス106は、携帯電話及びコンピューティング機能を1つのユニットに組み合わせたスマートフォンと同様に機能することが可能である。ウェアラブルズ・ディスプレイ・デバイス106における他のスマート・デバイスとの違いは、より強力なハードウェア機能及び広範なモバイル・オペレーティング・システムを有することにより、コア機能に加えてより多様なソフトウェア、インターネット、及びマルチメディア機能を活用できるようにする点である。このウェアラブルズは、例えば磁力計、近接センサ、気圧計、ジャイロスコープ、及び加速度計などの様々なセンサを備える複数の集積回路(IC:integrated circuit)チップを備え、無線通信プロトコル(例えばブルートゥース、Wi-Fi、又は衛星ナビゲーションなど)をサポートすることが可能である。
【0021】
いくつかの実装例によれば、ウェアラブルズ又は他のデバイスが、例えばテープ、弾性包帯、又はガーゼなどの留め具を使用することによりヒトに対して固定され得る。ウェアラブルズを備えるシステムが、コントローラ及びバッテリ充電デバイスを備え得る。様々なセキュリティ上の理由により、各構成要素が、ハウジングが容易には開けることができないように製造され得る。ヒトがコグネートの効果を継続的に被ることを可能にするために、1つ又は複数の追加構成要素を用意することにより、これらのウェアラブルズのいずれかが動作不能である場合にもヒトがこの効果を享受することが可能となる。一実例では、システムのこれらの構成要素が使い捨て式である、或いはこれらの1つ又は複数の構成要素を備えるシステム全体が使い捨て式である。
【0022】
一実装例では、各構成要素が、特定の構成要素が着用されるヒトの箇所に対して向けられる電磁信号を含む、効能を有する場を発生させるための信号発生器を備える。一実例では、信号発生器が、生体に対する薬物の生理学的効果をシミュレートした薬物模擬信号を生成するために磁場又は電磁場を発生させるように構成された1つ又は複数の導体を有するコイル及び/又は送信機を備える。この信号発生器は、様々な電磁特性を有するように構成され得る。さらに、この信号発生器は、コイル(例えば信号発生器)の巻線の保護と着用者に対する快適な接触面提供との両方を目的として、プラスチック又は他の複合材料で囲まれてもよい。この信号発生器は、可撓性及び可鍛性を有することが可能であり、様々な形状を有することが可能であり、種々のサイズ又はタイプを有することが可能であり、さらには剛性コイルを備えることも可能である。有利には、これらの信号発生器は、人体内に皮下挿入するのとは対照的に人体の外部に固定することによって薬物模擬信号を送信することができる。
【0023】
この信号発生器は、種々の形状及び/又はサイズを有することが可能である。例えば、信号発生器が、小型円形カプセル化コイル、大型円形カプセル化コイル、矩形カプセル化コイル、及び/又は実質的に正方形のカプセル化コイルを備えることが可能である。各形状は、人体の特定の部分に対して作用するための利点を提供し得る。多様なサイズの領域に対して薬物模擬信号をより効果的に印加するために、様々な寸法の信号発生器を製造することができる。各信号発生器は、様々な実装例に応じてわずか数センチメートルから数フィートに及ぶ内径及び/又は外径或いは長さを有し得る。
【0024】
一実装例では、ウェアラブルズが、コイルに対して様々な信号を送信するためにコントローラに対してコイルを接続するケーブルを有する。このケーブルは、2つ以上の導体と強度付与部材とを備え得る。これらの導体及び部材のそれぞれが、特定の機能を実行し得る。例えば、いくつかの導体が、コイルの各端部に対して電気的に接続されてコイルに対して電流が流れる及びコイルから電流が流れることを可能にすることによって、コイルを作動、誘発、誘導、又は他の方法で励起することが可能である。シールド導体が、接地に対して結合され、導体に対して電磁シールドを提供するように構成されることが可能である。強度部材は、コイル及びコネクタに対して固定されることにより、導体に対して張力逃がしをもたらし得る。いくつかの実装例では、強度部材は、コイルとコネクタとの間に印加される張力の大部分を強度部材が受けるように、他の導体よりも短い長さで製造される。
【0025】
このシステム及び/又はその構成要素部品は、暗号化を利用して通信することにより、例えばハッキングを阻止することが可能である。すなわち、このシステムは、信号データを保護するために複数タイプの暗号化プロトコルを実装することが可能である。一実例では、このシステムは、鍵ペアすなわち秘密鍵及び公開鍵を採用した非対称暗号化を利用する。また、暗号化及び復号に対して同一鍵を使用する対称暗号化を使用することも可能であるが、安全性がさらに低下する可能性がある。さらに、ハッシングを利用して信号データの整合性を確認することが可能である。ハッシングは、信号の記録を備えるファイルに関連する固定のレングス・ヴァリュー(length value)を発生させる。
【0026】
薬物模擬信号を生成するためにウェアラブルズにより処理されるファイル又はこれらの信号自体が、前処理又は後処理を支援するためのメタデータを含むことが可能である。例えば、ファイル又は信号が、信号源の示唆、期待される生理学的効果、或いは例えばサンプル調製、濃度、及び/又は溶媒データに関する情報などの他の変数を、各記録のヘッダー情報に含むことが可能である。ヘッダーに含み得る他のメタデータとしては、トラッキング用シリアル番号及び信号最適化のために微調整された変数が含まれる。
【0027】
ウェアラブルズが、ケーブルを介してコントローラに対して結合される信号発生器(例えばコイル)を組み込むことが可能である。これらの構成要素はいずれも、又はその一部が、ウェアラブルズの内部に又は外部に備えられ得る。例えば、
図2A及び
図2Bは、製造の最中におけるケーブル及びコイルのアセンブリの概略図を示す。ケーブル204は、コイル202をコネクタ206に対して接続し、これによりコントローラ(図示せず)は、ケーブル204を介してコイル202に対して様々な信号を送信することが可能となる。ケーブル204は、導体208a、208b、シールド208c、及び強度付与部材208d(これらを総称して「導体208」と呼ぶ)を備える。各導体208は、特定の機能を実行するように構成される。例えば、導体208は、コイル202の各端部に対して電気的に接続されてコイル202に対して電流が流れる及びコイル202から電流が流れることを可能にすることによって、コイル202を作動、誘発、誘導、又は他の方法で励起することが可能である。シールド導体208cは、接地に対して結合され、導体208a及び208bに対して電磁シールドを提供するように構成されることが可能である。強度部材208dは、コイル202及びコネクタ206に対して固定されることにより、導体208a~208cに対して張力逃がしをもたらし得る。いくつかの実装例では、強度部材208dは、コイル202とコネクタ206との間に印加される張力の大部分を強度部材が受けるように、他の導体よりも短い長さで製造される。
【0028】
図2Bに示すように、コネクタ206は3つのパーツを、すなわち(1)コネクタ・コア207、(2)コネクタ・ハウジング210a、及び(3)第2のコネクタ・ハウジング210bを有する。コネクタ・ハウジング210a及び210bは、コネクタ・コア206をカプセル化することにより、コネクタ・コア207によって保持されるトレース及び電子デバイスを保護する。
図3は、コネクタ・コア207の一実装例を示す。コネクタ・コア206は、コントローラ端部302及びケーブル端部304を有する。コントローラ端部302は、コントローラに対合的に結合するように構成され、ケーブル端部304は、導体208のためのインターフェースを提供するように構成される。いくつかの実装例では、強度部材208dは、張力逃がしをもたらすために1つ又は複数の穴306に対して固定される。さらに、導体コア207は、コントローラとの通信を容易にするために導体208が電気的に結合されるトレース308を有してもよい。
【0029】
このコイル及びケーブル・アセンブリの1つのセキュリティ特徴として、コネクタ・コア207は集積回路310を有し得る。この集積回路310は、マイクロプロセッサであることが可能であり、又はスタンドアロン・メモリ・デバイスであってもよい。集積回路310は、例えばI2C及び1-Wireなどの通信プロトコルを利用してコントローラ・エンド302を介してコントローラと通信するように構成することができる。集積回路310は、コネクタ・コア306に関連付けられたコイルのデジタルIDを備えてもよい。集積回路310に格納されたデジタルIDにより、例えばインピーダンス、インダクタンス、及び静電容量などのコイルの電気的特性を確認することが可能となり得る。さらに、集積回路310は、例えばコイルの導体の長さ、コイルの物理的寸法、及びコイルの巻線数などの追加的な情報を格納及び提供するように構成されてもよい。
【0030】
いくつかの実装例では、集積回路310は、盗難又は偽造システムでの再利用を防止するために、例えば固有識別子、暗号化データ、暗号化情報などの情報を備える。例えば、集積回路310の情報としては、コイルの計測可能特性及び又は集積回路の識別子を表す暗号化識別子が含まれてもよい。暗号化識別子が、例えばコイル及びケーブル・アセンブリの不正な製造業者などによりコピーされ別の集積回路に保存されただけである場合には、コントローラは、この暗号化識別子が正規のものではないと認識し、信号送信を阻止することができる。いくつかの実装例では、この集積回路は、公開鍵インフラストラクチャ、デジタル・コピー保護スキームなどに関連する通信及び/又はセキュリティ特徴を有効にするために、1つ又は複数の暗号化キー、デジタル署名、速記データ、又は他の情報を格納する。
【0031】
図4は、非侵襲性、非温熱性、及び移動性のシステムを提供するために使用するための、例えば上記のようなコイル及びケーブル・アセンブリなどのコイル及びケーブル・アセンブリを製造する方法400を示す。
【0032】
ブロック402では、電気コイルが可撓性複合材料内にカプセル化される。この可撓性複合材料により、電気コイルは、磁場療法(例えば薬物模擬信号など)を提供するために患者の身体に対して快適に固定されることが可能となる。
【0033】
ブロック404では、電気コイルは、コネクタと電気コイルとの間の確実な転送を助長するためにケーブルを介してコネクタに対して結合される。ケーブルは複数の導体を備えてもよく、これらの導体は、コネクタと電気コイルとの間において信号を送達すると共に、これらの信号伝送導体に対して機械的な張力逃がしをもたらし得る。
【0034】
ブロック406では、集積回路が、コネクタ、ケーブル、又は電気コイルに対して結合される。この集積回路は、例えば電気コイルに結合される場合も又は結合されない場合もある1つ又は複数の電気導体を介してコネクタに対して結合されてもよい。ブロック406では、例えばスマート・アイウェア構成要素などの他の構成要素が、コイル、コネクタ、及び集積回路に対して追加、組込み、又は結合され得る。
【0035】
ブロック408では、集積回路、コネクタ、ケーブル、及び/又は電気コイルの個別電気特性又は組合せの電気特性を識別又は固有識別するための情報が、集積回路に格納される。この情報は、集積回路及び/又はコイル及びケーブル・アセンブリの他の部分に固有のものとなり得る情報に基づいたハッシュ又は他の暗号的固有識別子であってもよい。このセキュリティ機能は、この治療システムのコントローラと互換性を有するコイル及びケーブル・アセンブリを不正に再製造することを防止又は抑止するために使用され得る。本明細書では(例えば治療システムのコントローラの動作に関連してなど)、さらなるセキュリティ特徴について説明する。
【0036】
コイル及びケーブル・アセンブリは、ウェアラブルズが生体に対して薬物模擬信号を送達するためのクローズド・システムとして動作するように、ウェアラブルズ内にカプセル化され得る。このクローズド・システムによる薬物模擬信号の送達は、ウェアラブルズのメモリに格納されたプログラムによって制御される。さらに、このプログラムは、ウェアラブルズにより収集されたフィードバックに応答するように動作可能である。いくつかの実装例では、クローズド・システムは増幅回路を備える。このクローズド・システムは、増幅回路の出力信号の少なくとも一部分がその入力に戻ることを可能にすることによって、フィードバックを生成する。かような実装例は、出力の制御を改善することができる。例えば、増幅回路の実際の出力が所望の出力と比較された場合に、その比較を利用することにより所望の出力を達成するように出力を微調整し得る。
【0037】
他の実装例では、この増幅回路は、生体に送信される薬物模擬信号の強度及び/又は振幅を調節するようにプログラミング可能である。かかる実装例では、この信号は、生体において所望の生理学的効果を達成するためにある特定の範囲に維持されるか、又は調節されることが可能である。さらに、フィードバックにより、このクローズド・システムは、所望の生理学的効果を達成するように必要な任意の要件に対して動的に適応することが可能となる。
【0038】
代替的には、ハンドヘルド・デバイス(例えばスマートフォン)が、ウェアラブルズに対してワイヤレス結合され、薬物模擬信号を送達するようにウェアラブルズ内の信号発生器を制御することが可能である。この場合には、ウェアラブルズに組み込まれた信号発生器アセンブリは、薬物模擬信号に基づき生理学的効果をもたらすシステムの一部として他のデバイスに対してワイヤレス結合することができる。
【0039】
システム・コントローラ
このコントローラは、信号発生器に対して薬物模擬信号の分配及び調整を行い、薬物模擬信号の不正コピー及び/又は分配を防止するためのインターフェースをヒトに提供することができる。様々な実装例によれば、コントローラは、例えばハウジング、プロセッサ、メモリ、ビジュアル・インターフェース、及びオーディオ・インターフェースなどの様々な特徴に加えて、簡略化のために本明細書においては図示又は説明しない他の特徴を備えることが可能である。一実装例では、このコントローラを操作するためのマイクロコントローラ回路が構成される。この回路は、マイクロプロセッサ、リセット回路、及び揮発性メモリを備え得る。マイクロコントローラは、標準的なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、若しくは他の同様のプロセッサであることが可能であり、又は代替的にはセキュリティを改善するための耐タンパー性プロセッサであることが可能である。このマイクロプロセッサは、ハウジングの外部及び内部の両方に位置する電子機器との通信を支援するための複数のアナログ及び/又はデジタル通信ピンを備え得る。マイクロプロセッサは、(1)USBプロトコルによる通信を支援するUSBコネクタと、(2)ビジュアル・インターフェースと通信するためのディスプレイ・コネクタと、(3)オーディオ・インターフェースを提供するためのオーディオ・コネクタとに加えて、他のデータ通信ピンを備えてもよい。
【0040】
このマイクロコントローラは、コネクタ又は無線を介して1つ又は複数の外部デバイスから処方ファイルを安全に受信することができる。この処方ファイルを暗号化することにより、処方ファイルの内容のセキュリティが向上する。暗号化システムは、鍵配送問題として知られている問題に定期的に悩まされる。暗号化コミュニティにおける標準的な想定は、攻撃者が暗号化及び復号のアルゴリズムを知ることになる(又は容易に発見することができる)というものである。暗号化されたファイルを復号し、そのプライベート・コンテンツを暴露するために必要となるものは鍵だけである。情報の正当なユーザは、この鍵を有さなければならない。鍵を安全な方法で配送することにより、鍵配送問題が緩和される。
【0041】
いくつかの実施例では、このマイクロコントローラは、高度暗号化標準(AES:Advanced Encryption Standard)を使用するように構成される。AESは、米国国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)によって確立された電子データの暗号化の仕様であり、機関間における金融取引のために使用される。これは、対称暗号化規格(同一の鍵が暗号化及び復号に対して使用される)であり、鍵配送セキュリティが維持される一方で、安全性を有し得る。いくつかの実装例では、マイクロコントローラは、各コントローラに固有であり不揮発性メモリに格納される128ビットAESキーを使用する。暗号化キーは、偽造、ハッキング、又はリバース・エンジニアリングの可能性を低下させるためにランダムなものであることが可能である。暗号化キーは、製造プロセスの最中又はコントローラがカスタマー(医師若しくは患者)に対して配送される前に、不揮発性メモリにロードすることができる。AES暗号化を利用することにより、様々なコントローラへの選択的送達を容易化するために、処方ファイルを暗号化して1つ又は複数のサーバにアップロードすることが可能になる。
【0042】
例えば、医師又は他の医療専門家が、患者用の処方ファイルをコントローラにダウンロードするための承認を取得することが可能である。医師が、処方ファイルを取得するためにサーバにコンタクトしログインするときに、この医師は、最初に特定の情報を提供することが必要となり得る。例えば、この医師は、サーバがデータベースにおいて標的デバイスを検索し、コントローラと互換性を有するキーで暗号化された処方ファイルを提供することが可能となるように、サーバに対して標的デバイス(コントローラ)を識別する(例えばコントローラに格納されたグローバル固有ID(GUID:globally unique ID)によって)ことが必要となり得る。次いで、暗号化された処方ファイルは、USB又は別の通信プロトコルを利用してマイクロコントローラを介して不揮発性メモリにロードされ得る。代替的には又は追加的には、暗号化された処方ファイルは、処方ファイルが傍受される可能性を低下させるために製造プロセスの最中に、及びハウジングの前方部分及び後方部分が共に封止される前に、不揮発性メモリに対して直接的に格納されてもよい。
【0043】
また、このマイクロコントローラは、患者による治療システムの使用のログを記録するように構成することも可能である。このログは、不揮発性メモリに記憶され、例えばこのコントローラの規定割当時間に達した後になど、患者が処方を行う医療専門家にこのコントローラを返却した場合に医療専門家によってダウンロードされる。このログは、医療専門家がコントローラのアクティビティ・レポートを表示し得るように、例えば区切り数値、テキスト・ファイル、又はスプレッドシートなどの様々なデータ形式又はファイルにおいて記憶され得る。いくつかの実装例では、マイクロコントローラは、コイル接続に関連するエラー、経時的なコイルの電気特性、治療システムの使用日時、バッテリの充電期間及び放電トラディション、並びに患者の身体と接触状態に配置されたコイルのインダクタンス測定値又は他の示度に関する情報のログを記録するように構成される。このマイクロコントローラは、USBポート又は他の通信モードを使用して医療専門家に対してログ・データ又はログ・ファイルを提供することが可能であり、これにより医療専門家は、治療システムの品質及び/又は機能を、並びに患者による治療システムの量及び/又は使用を評価することができる。とりわけ、このマイクロコントローラは、信号送達におけるあらゆる中断のログを記録するように構成されることが可能であり、コントローラのユーザ・インターフェース(例えばLCD画面など)を介してユーザに対して提供されるエラー、ステータス・メッセージ、又は他の情報のログを記録することが可能である。
【0044】
このマイクロコントローラは、揮発性メモリを使用して処方ファイルのコンテンツを保護するように構成することが可能である。いくつかの実装例では、処方ファイルは、マイクロコントローラが外部ソースから不揮発性メモリに処方ファイルを転送するときに暗号化される。さらに、マイクロコントローラは、処方ファイルのコンテンツの復号バージョンのみを揮発性メモリに記憶するように構成することが可能である。復号されたコンテンツの記憶を揮発性メモリに限定することにより、マイクロコントローラ及びしたがってコントローラは、電源がマイクロコントローラ回路から除去された場合に復号されたコンテンツが確実に消失するようにすることができる。
【0045】
このマイクロコントローラは、未承認ユーザが処方ファイルのコンテンツを入手する可能性を低下させるために追加的なセキュリティ対策を実行するように構成することが可能である。例えば、マイクロコントローラは、公認又は正規のコイル及びケーブル・アセンブリがコントローラに対して接続されたことを確認した後に初めて処方ファイルを復号するように構成することが可能である。前述のように、このコイル及びケーブル・アセンブリは、コイル及びケーブル・アセンブリの1つ又は複数の暗号化された又は暗号化されていない識別子を格納し得る集積回路を備えることが可能である。いくつかの実装例では、マイクロコントローラは、公認の又は処方されたコイル及びケーブル・アセンブリがコントローラに対して接続されることを確認するように構成される。このマイクロコントローラは、コイル及びケーブル・アセンブリの集積回路からの識別子を、揮発性メモリ又は不揮発性メモリのいずれかの中のルックアップ・テーブルに格納された1つ又は複数のエントリと比較することによって、コイル及びケーブル・アセンブリが正規のものであることを検証してもよい。他の実装例では、マイクロコントローラは、集積回路のシリアル番号を取得し、コイル及びケーブル・アセンブリの電気特性を計測し、これらのシリアル番号と電気的特性の組合せに対してハッシュ関数などの暗号化機能を実行するように構成される。そうすることにより、未承認ユーザが、コイル及びケーブル・アセンブリの集積回路のコンテンツを、コイル及びケーブル・アセンブリの不正コピーに関連付けられた複製集積回路へとコピーすることを抑止又は防止してもよい。
【0046】
このマイクロコントローラは、1つ又は複数の所定の条件が満たされたことに応答して、揮発性メモリ及び不揮発性メモリから処方ファイルを削除するように構成することができる。例えば、このマイクロコントローラは、コントローラが例えば14日間などの特定の期間にわたり処方薬物模擬信号を送達した後に、メモリから処方ファイルを削除するように構成することが可能である。他の実施例では、このマイクロコントローラは、コイル及びケーブル・アセンブリを収容するデバイスがハッキングされたことがコントローラにより検出された後に、メモリから処方ファイルを削除するように構成される。マイクロコントローラは、不正なコイル及びケーブル・アセンブリとのわずか1回の接続後に処方ファイルを削除するように構成することも可能であり、又は不正なコイル及びケーブル・アセンブリとの所定回数の接続後に処方ファイルを削除するように構成することも可能である。いくつかの実装例では、マイクロコントローラは、内部タイマをモニタリングし、例えば処方ファイルのコントローラ上へのインストール後から1か月、2か月、又はそれ以上経過した後にこの処方ファイルを削除するように構成される。
【0047】
マイクロコントローラは、1つ又は複数のセンサ(例えばウェアラブルズの)からの入力に応答して揮発性メモリ及び不揮発性メモリから処方ファイルを削除することができる。センサが、コントローラのハウジングの物理的破壊に応答することにより、マイクロコントローラに対して信号を送信することが可能である。例えば、このセンサは、電磁スペクトル内の可視波長及び非可視波長を検出する光センサであり得る。例えば、このセンサは、赤外線、可視光、及び/又は紫外線を検出するように構成され得る。ハウジング内において光が検出された場合にこれはハウジング内への侵入を示唆するものになり得るため、マイクロコントローラは、センサから信号を受信すると処方ファイルを削除及び/又は破損するように構成することが可能である。いくつかの実装例では、このセンサは光センサである。他の実装例では、このセンサは、圧力センサ、静電容量センサ、湿度センサ、又は温度センサなどである。
【0048】
コントローラの不正使用の検出に応答して、又は治療システムのユーザ・フレンドリ性を向上させるために、このマイクロコントローラは、ユーザに情報を提供するために様々なインジケータ又はインターフェースを使用することが可能である。一実例としては、ディスプレイ・デバイス上のグラフィック・アイコン及び可聴音声が含まれ得る。マイクロコントローラは、ユーザのエラー、不正タンパーに応答して、又は治療システムの使用予定からの逸脱についてのフレンドリ・リマインダを提供するために、グラフィック・アイコンを表示し可聴音声を発動させ得る。さらに、様々なタイプ又は色の複数の視覚インジケータ(LEDなど)を利用することも可能である。追加的には、音声発生器は、振動モータ、又は視覚障害者によるシステム利用を容易にするための可聴コマンドを送達するスピーカであることが可能である。
【0049】
このマイクロコントローラは、ユーザと対話するためのインターフェースを操作することが可能である。このインターフェースは、マイクロコントローラから様々なコマンドを受領することが可能である。マイクロコントローラから受領した入力に応答して、画面が、ユーザに対して様々なメッセージを表示するように構成され得る。いくつかの実装例では、この画面は、バッテリ状態、処方薬の使用期間、投与される処方薬のタイプに関する情報、エラーメッセージ、又はコイル及びケーブル・アセンブリの識別などに関するメッセージを表示する。例えば、この画面は、残りのバッテリ電力のパーセンテージ又は持続時間を提示することができる。さらに、この画面は、バッテリの充電量が少ないこと又はバッテリがほぼ放電されていることをユーザに通知するテキストベース・メッセージを提供することもできる。さらに、この画面は、処方薬の名称(例えば対応する物理的薬物の名称)及び又はその処方薬が使用される身体部分を提示するように再構成することも可能である。さらに、この画面は、処方薬の投与に関する経過時間又は残り時間の通知も提示することができる。処方薬時間の追加が認可されていない場合には、この画面は、ユーザが医療専門家に連絡をとるように通知することができる。
【0050】
この画面は、コイルとコントローラと間の接続状態に関する示唆を継続的に又は定期的に提示するように構成することが可能である。いくつかの実装例では、この画面は、「コイル接続済み」、「コイル未接続」、「コイル識別済み」、「コイル認識できず」、又は「コイル再接続」などのステータス又は命令を表示するように構成することが可能である。いくつかの実装例では、画面は、コイルのグラフィック表示を提示し、コイルが適切に又は不適切に接続される場合にこのコイルを点滅させることができる。代替的には又は追加的には、コントローラは、コイルの変化、コイルの取外しの可能性、又は治療対象領域からのコイルの紛失を検出するためにコイルからのインピーダンスをモニタリングし、対応するエラーメッセージを提供することができる。他の実装例では、インターフェースは、ユーザからの命令又はコマンドの受領に加えてユーザへの情報の提供を行うタッチ・センシティブ・スクリーンである。いくつかの実装例では、マイクロコントローラは、例えばコントローラの電源をオン又はオフに切り替えるためなどに、ハードウェア・ボタン及びスイッチからの入力を受信するように構成され得る。デバイス上のこのスイッチにより、治療のオン/オフ性がもたらされ、これによって患者は必要に応じて自身の治療を選択的にオン/オフへと切り替えることができる。
【0051】
信号発生回路が、薬物模擬信号を用いてコイル及びケーブル・アセンブリを駆動するために使用されてもよい。この回路は、オーディオ・コーダ-デコーダ、出力増幅器、及び電流モニタを備え得る。オーディオ・コーダ-デコーダは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はマイクロコントローラから受領したデジタル入力を、コイル及びケーブル・アセンブリの駆動に有用なアナログ出力信号へと変換するために使用され得る。オーディオ・コーダ-デコーダは、出力増幅器に対してアナログ出力信号を出力するように構成され得る。いくつかの実装例では、この出力増幅器は、そのためコイルに送信される信号の強度又は振幅が人に処方された治療に応じて変更され得るように、プログラミング可能である。
【0052】
このコントローラが、種々のサイズ、形状、及び巻線数を有するコイルとの接続が可能であるため、出力増幅器は、ある特定の処方に対して各コイルが異なるコイル間においても均一な薬物模擬信号を送達するように、コイルに対して送達される信号の強度レベルを調節するように構成することが可能である。コイルの寸法及び電気特性は、磁場の集中の深さ及び幅を決定することが可能であり、したがって、出力増幅器の出力強度をプログラム的に調節することにより均一な薬物模擬信号を送達することにより、有利には、医療専門家は、処方を誤って変更してしまう心配を持つことなく、ある特定の患者の身体又は治療領域に対して適したコイルを選択することが可能になる。上述のように、コントローラは、集積回路からかかる情報を読み取ることによりコイルの寸法及び電気特性を判定することができる。この信号発生回路は、コイルから取得した寸法及び電気特性の情報を使用することにより、出力増幅器によって出力される信号の強度レベルをプログラム的に調節するように構成することが可能である。
【0053】
この出力増幅器は、例えば50kHzなどよりも高い周波数を有する出力信号を大幅に低減又は除去するローパス・フィルタを備えることが可能である。他の実装例では、ローパス・フィルタは、ある閾値範囲(例えば0~25kHz)よりも高い周波数を有する出力信号を大幅に低減又は除去するように構成することが可能である。この信号発生回路は、コイル及びケーブル・アセンブリの電気特性を判定する及び/又は出力信号レベルが指定の閾値の範囲内に留まることを確認するために、電流モニタを使用する。また、信号発生回路は、コイル及びケーブル・アセンブリのコネクタと対合するコネクタをさらに備えてもよい。このコネクタは、マイクロコントローラとコイル及びケーブル・アセンブリとの間の電気接続部を提供し得る。
【0054】
一実装例では、このシステムは、ユーザ又はオペレータが、所望のファイル、ファイルの再生時間、プレーバック用の「プレイリスト」を提供するためにファイル同士を混合又は連結できるか否かなどを選択することができるようにするためのインターフェースを備える。したがって、このインターフェースにより、再生時間に加えて、複数の異なるコグネートを個別に又はグループとして選択することが可能となる。いくつかの実施例では、このインターフェースは、連続的に発信されるように意図された特定のコグネート又はコグネート・セットに対して固定されたアプリケーションを提供する。出力電力は、固定であり、意図しない生理学的影響を回避するためにエンド・ユーザによる調節は不可能である。
【0055】
薬物模擬信号の強調
本開示の実施例は、薬物模擬信号の有効性を改善する及び/又は最も効果的な信号を発見するための技術を含む。すなわち、特定の薬物をシミュレートした信号が、非常にノイズの多い環境内にある場合がある。この場合には、ノイズの存在にかかわらず信号の検出を行い、これらの信号の中からヒトに対して生理学的影響をもたらすのに最も効果的な信号を識別することが有益となり得る。
【0056】
一実装例では、信号が、0~6kHzの間のスペクトルにわたり1デシベル、2デシベル、又はそれを上回るデシベルの電力によって強調され、次いでノイズ・フロアまで低下し得る。この実装例では、対象信号の非線形構造は、その帯域幅内に存在する。そのため、例えば6kHz未満などの競合信号又は干渉信号を除去することが望ましい場合がある。
【0057】
図5は、薬物模擬信号を強調するための方法500を示す。このシステムは、元の信号の特定部分のみを強調するようにフィルタリング及び/又は切捨てを実施することが可能であり、この特定部分が、所望の生理学的効果をもたらす。
【0058】
502では、信号は、6kHz及び/又は7kHzのフィルタを通過し、これにより信号の有効性が大幅に改善される。504では、信号が約44.1kHzから11kHz以下へとダウン・サンプリングされ、次いで506では、この結果が最大で44.1kHzまでアップ・サンプリングされる。これを行うことにより、サンプリング周波数のノイズ閾値を上回る信号内のコンテンツが除去される。さらに、これにより、79デシベルにて急激なロール・オフがもたらされ、結果として得られる信号がより高い有効性を有する。したがって、この強調された信号は、もたらされる生理学的効果の発現及び知覚が上昇し得る。
【0059】
一実例では、サンプリング・レートとしては、11,025サンプル/秒(s/s)、16,384s/s、22,050s/s、又は44,100s/sが含まれる。信号は「切捨て」をされることが可能であり、すなわちこれは、信号がより高いサンプリング・レートからより低いサンプリング・レートへと、44,100サンプル/秒から22,050サンプル/秒へと、及びさらには11,025サンプル/秒の低さまでダウン・サンプリングされることを意味する。さらに、いくつかの実施例は、4極~8極のバターワース・フィルタを備えるアナログ・フィルタ又はデジタル・フィルタを使用して、5kHz及び6kHzにて様々な信号をローパス・フィルタリングすることを含み得る。
【0060】
残りのファイルにより必要な情報がさらに提供されることを前提とする場合には、信号ごとのファイル・サイズは、このローパス・フィルタ及びダウン・サンプリングを使用することによって削減される。この場合に、ローパス・フィルタ及びダウン・サンプリングは、生体システム中に送信される不要な高周波(RF)エネルギーを除去することができる。より高い周波数にある不要な高周波エネルギーが、対象の生理学的効果に関与する周波数と競合し得る可能性がある。一実例では、この不要なRFエネルギーは、「ノイズ」と呼ばれる場合があり、電磁干渉を誘発し、結果的に対象の生理学的効果のパフォーマンスを損なう可能性がある。さらに、目標周波数を上回る増幅されたノイズが、目標周波数の信号対雑音比を低下させる場合がある。
【0061】
低サンプリング・レートの二次的な利点は、ファイル・サイズの大幅な縮小である。一実例では、静的オフセットがノイズを軽減するために使用される。いくつかの実施例は、電力及び生物学的活動の上昇に関与する約6kHz未満の電力を上昇させるために、広帯域フーリエ解析を利用する。いくつかの実装例では、このシステムは、信号をダウン・サンプリングし、この信号を44,100Hzのレートへと再サンプリングする必要がある。例えば、いくつかの実装例は、44,100Hz未満のサンプリング・レートを有する信号をエンコード及び/又はデコードすることができない。他の実施例は、複数のサンプル・レート及びビット・レートを許容するようにエンコードされ得る信号を含む。
【0062】
他の実装例では、及び上記のように、信号発生回路は、インダクタンス検出回路をさらに備えることが可能である。このインダクタンス検出回路は、コイルのインダクタンスの変化を検出するように構成され得る。コイルのインダクタンスは、コイルが患者の身体に近づくと変化する。コイルのインダクタンスをモニタリングすることにより、信号発生回路及びコントローラは、患者による治療システムの使用を追跡及び記録(すなわちログ記録)することができる。例えば、医療専門家が10時間の治療システム使用を指示したにもかかわらず、3時間のみの治療システム100の使用のログしかコントローラにより記録されていない場合には、医療専門家は、患者の改善状態、非改善状態、又は悪化状態の評価をより有利に行うことができる。いくつかの実装例では、インダクタンス検出回路は、ソース・フォロワ回路として実装される。
【0063】
このコントローラは、コントローラへの電力を受領及び調整するための電力制御回路を備え得る。この電力制御回路は、電力入力回路及び電力調整回路を備える。電力入力回路は、バッテリを再充電するために外部ソースから電力を受領するためのコネクタ(例えばマイクロUSBコネクタ)を備えることが可能である。電力入力回路は、充電回路をさらに備えることが可能であり、この充電回路は、バッテリの電圧レベルをモニタリングし、バッテリが十分に充電されたときにコネクタからバッテリを電気的に結合解除する。電力調整回路は、コントローラの様々な回路が使用するための低電圧へとバッテリの電圧レベルを変換するために使用され得る。例えば、完全に充電された場合には、バッテリは、約4.2~5ボルトの間の電圧を有し得る一方で、マイクロコントローラは、3.5ボルトの上限電圧閾値を有し得る。電力調整回路は、バッテリの高電圧(例えば4.2ボルト)を、コントローラの電子デバイスによる使用が可能な低電圧(例えば3.3ボルト)へと変換するように構成され得る。
【0064】
図6は、非侵襲性、非温熱性、及び移動性の磁場療法を提供するように構成されたシステムを操作する方法600を示す。
【0065】
602では、電磁トランスデューサがコントローラにより作動される。この電磁トランスデューサは、治療対象の不快部位のサイズ又は症状に応じて選択される様々な形状及びサイズを有するコイルを備え得る。
【0066】
604では、電磁トランスデューサは、治療対象となるヒトのある領域に対して固定される。トランスデューサは、ウェアラブルズが固定されることにより固定されるか、又は弾性包帯、ガーゼ、若しくはテープなどの使用により固定され得る。
【0067】
606では、このコントローラは、電磁トランスデューサに対する適切な接続に関して確認を行う。コントローラは、例えばトランスデューサの抵抗又はインピーダンスなどの電磁トランスデューサの同一性又は電気特性を検証することにより、適切なトランスデューサが発生器に対して結合されることを確保するように構成され得る。いくつかの実装例では、コントローラは、適切な接続が維持されることを確保するために、電磁トランスデューサの電気特性を定期的にモニタリングするように構成される。例えば、信号発生器が抵抗の上昇又はインダクタンスの低下を検出した場合に、この信号発生器は、電磁トランスデューサへの信号送達を停止するように構成され得る。信号発生器は、予期しない電気特性が検出される場合には、患者の健康及び安全を保護し発生された信号を取得しようとする不正な試みを防止するために、信号の送達を停止し得る。上述のように、信号発生器は、電磁トランスデューサの電気特性の定期的な確認のログを記録するように構成され、調査のために医療専門家に対してログ・データを提供することが可能である。他のセキュリティ・チェックは、本明細書において説明されるように実施され得る。一実装例では、シリアル番号又はPINが、2要素認証又は3要素認証のセキュリティ・チェックとして必要になる。接続されたスマート・デバイスがスケジューリング・ソフトウェアを有することも可能であり、このスケジューリング・ソフトウェアは、発信を押す又は信号使用を拒否するようにユーザに促すことができる。また、送達システムに関連するプログラムは、医師又は医療従事者が患者又はユーザに対してアクセス・コードを提供することを要求することも可能な場合がある。
【0068】
608では、コントローラは、電磁トランスデューサと信号発生器との間に適切な接続が存在することが確認できたことに応答して、コントローラにより格納された信号を復号する。
【0069】
610では電磁トランスデューサは、ヒトのある領域に向けられる磁気信号を発生させる。この磁気信号は、信号発生器に格納された治療信号に相当する。様々な実施例によれば、この磁気信号は、0~22kHzの範囲内の周波数を有する。
【0070】
いくつかの実施例では、薬物、生物製剤、又は他の分子(化学分子、生化学分子、生物分子)のサンプルからの信号が、電磁シールド構造内にサンプルを配置し、磁力計に結合された少なくとも1つのSQUIDの近傍にサンプルを配置することにより取得され得る。薬物サンプルは、磁気シールド及び電磁シールドの両方を有する容器内に配置され、そこで薬物サンプルは、分子信号の信号源として機能する。別の信号が存在しない場合には、ノイズが、別の信号源から確率共鳴を発生させるのに十分なノイズ振幅にて薬物サンプルに注入されることが可能であり、この場合にこのノイズは、複数の周波数にわたって実質的に均一な振幅を有する。SQUID又は磁力計を使用して、薬物サンプルからの出力放射が検出され、他の発生信号が存在しない場合に注入されるノイズに重畳された薬物サンプル源放射から構成される電磁時間領域信号として記録される。ノイズ注入及び放射検出は、薬物サンプル源放射が注入されたノイズに対して識別可能になるまで、選択されたノイズ・レベル範囲内の複数のノイズ・レベルのそれぞれにて反復されてもよい。いくつかの実施例では、SQUIDは、極低温ヘリウムのボイル・オフを低速化するために使用される熱バッフルを有する。ある用途では、SQUIDは、3~6dBの追加の電磁隔離を追加することにより追加の電磁シールド層をさらに提供する。
【0071】
薬物模擬信号を送達するためのヘルムホルツ構成
薬物模擬信号は、コイル同士の間の領域を標的とする信号を付加的に生成するように構成された複数の信号発生器(例えばコイル)を有するヘルムホルツ構成を有するシステムを介してヒトに対して送達され得る。この信号発生器のアレイは、ヒトに対して生理学的効果を引き起こすのに十分な信号エネルギーを集合的に生成することが可能な信号を発生させる及び/又は送信するためのコントローラによって調整される。ヘルムホルツ構成を使用することによる付加的な及び目標とされる効果には、ヒトと物理的接触状態にない種々の箇所にて信号発生器を配置することが含まれ得る。さらに、ヒトが受領する薬物模擬信号がより低い強度の信号の組合せの結果として得られ得るため、対象となるヒトから物理的に遠くに位置する場合であっても任意の1つの信号発生器の信号強度を比較的低く抑えることが可能となる。
【0072】
図7は、薬物模擬信号を照準設定し得る信号発生器のヘルムホルツ構成を示す。図示するように、ヘルムホルツ構成700が、両コイルが相互に同位相で動作するように1半径距離だけ離間されて位置決めされた、平行に配向された2つの同一の電磁コイル702-a及び702-b又は2つのソレノイドを有する。この設計は、ヒト704が位置決めされるコイル同士の間の空間の内部体積全体にわたり高い磁場均一性を実現する。ヘルムホルツ構成は、距離の二乗に反比例して磁場が急激に低下する単一コイルの場合と比較して広い領域にわたる磁場の均一性をもたらすという利点を有する。
【0073】
ヘルムホルツ構成は、ヘルムホルツ・アレイの中央に追加のコイルを追加することによりさらにより大きな体積の均一性を生じさせることが可能性である。複数の中央コイルの追加は、体積をさらに増大させるために、又は均一性の物理的長さを延長させるために適用され得る(例えばマクスウェル・コイル)。一実装例では、ヘルムホルツ・アレイは、人々が集まる小部屋の各側部又は部屋の複数部分にコイルを設置することにより、極超長波高周波エネルギー(ulRFE:ultra-low Radio Frequency Energy)場を印加するために使用することが可能である。より小型のアレイは、人々が動き回る部屋又は領域の全体にわたり反復的に位置決めされることにより、人々が動き回るときに単一のコグネート又はエクスペリエンスを被る時間を長くすることができる。例えば、ヘルムホルツ・アレイが、ulRFEコグネートと共に使用されることにより、リラックス感、幸福感、又はその場に留まり買い物をしたいと思わせる他の感情をもたらすことによる、デパート店内の顧客における精神状態の変化を生じさせ得る。また、ヘルムホルツ・アレイは、群衆の興奮を緩和するために、又は人々があるエリアから立ち去ることを促し得る感情を生じさせるためにも使用し得る。
【0074】
さらに、モーション検出器706(例えばカメラ)がヒト704の位置を追跡するために使用されることが可能であり、これにより、複数の信号発生器がヒト704の位置に基づき動的に適応され、それによって個々の信号発生器の信号強度を比較的低く抑えることが可能になり、空間全体を一定の信号で満たす必要がなくなる。
【0075】
図8は、車両802に配置された信号発生器を備えるデバイスの配列を示す概略
図800である。信号発生器804-a、804-b、及び804-c(これらを総称して「信号発生器804」と呼ぶ)は、運転者806によって物理的に着用されないが、依然として運転者806に対して薬物模擬信号を送達。図示するように、信号発生器804は、運転者806により運転される車両802の3つの箇所に位置決めされる。これらの箇所としては、フロント・ガラス、リア・ガラス、及び助手席側窓が含まれる。コイルは、回転及び移動することにより正確な位置づけを可能にし、薬物模擬信号を誘導するように設計され得る。例えば、信号発生器804は、1つ又は複数のアレイの構成要素として、ドライバー806又は乗員などのヒトに対して薬物模擬信号を誘導することができる。そのため、いくつかの実施例は、カフェインの生理学的効果を生じさせることにより運転者806に警戒状態を保たせ得る薬物模擬信号を送達することが可能である。車両内に示される間。他の実施例では、デバイス・アレイを他の構造物中に位置決めすることができる。例えば、ヘルムホルツ構成のコイルは、椅子などの構造物に組み込むことが可能である。ヘルムホルツ・コイルを取り付けられた椅子が、CNS障害の治療を提供することができる。これらの構造又は同様の構造は、CNS障害治療以外にも有用性を有し得る。例えば、椅子又はリクライニング・チェアが、一般的な健康推進及び娯楽を目的としてヘルムホルツ・アレイを備えてもよい。
【0076】
機械学習機能
図9は、薬物模擬信号の有効性を向上させる機械学習(ML)機能を備えるシステムを示すブロック図である。図示するように、システム900は、薬物又は他の物質により引き起こされる生理学的効果に関連する化学分子、生化学分子、又は生物分子の静電ポテンシャルの記録を処理するように構成されたシミュレータ902を備える。
【0077】
システム900は、ヒト906の上又は付近に配設されたセンサ及び/又は信号発生器904-a、904-b、及び904-cの組合せを備え得る。これらのセンサ及び/又は信号発生器904-a~904-cは、薬物模擬信号を発生させる、及び/又はヒト906の物理的特性を計測する。この物理的特性としては、例えば温度と、薬物又は薬物模擬信号の生理学的効果を示す他の計測値とが含まれる。例えば、センサ・データは、ヒト906の特定の生理学的状態を示す数値を判定するために使用され得る。
【0078】
これらの薬物模擬信号及びセンサ・データは、ヒト906とシミュレータ902との間の通信チャネルを介して通信される。センサ・データは、センサ904-a~904-cにより定期的に生成され得る、及び/又はシミュレータ902に対して定期的に通信され得る。このシミュレータ902は、例えば標準化を含むデータ・マイニングなどを実行するように構成され、したがって薬物模擬信号に対するヒト906の生理学的効果のシミュレーションに基づく分析を可能にする。そのため、シミュレータ902はデータ・マイニング・コンポーネント908を含み、このデータ・マイニング・コンポーネント908はデータセット内のパターンを抽出及び発見するプロセスを実装する。データ・マイニング・コンポーネント908は、データセットからデータを抽出することによりこの抽出データを変換して将来的な利用のために理解しやすい構造を有する情報に変えるという全般的な目標を有する。また、データ・マイニングは、データベース及びデータの管理、データの前処理、モデル考察及び推論考察、メトリック処理、複雑性考察、発見された構造の後処理、視覚化などをさらに含み得る。
【0079】
データ・マイニング・コンポーネント908は、データを標準化することによって、共通フォーマットを有することを又は共通タキソノミーを使用することを可能にする。さらに、センサ・データは、ある特定のパフォーマンス・メトリックに関して分類され得る。例えば、データ・マイニング・コンポーネント908は、温度計測値を抽出し、温度測定値をキャプチャしたセンサ904-a~904-cの位置に関して、ヒト906の特性若しくは人口統計学に関して、及び/又はこのデータの分類に使用可能な他のディメンジョンに関してセンサ・データを分類することができる。別の実装例では、データ・マイニング・コンポーネント908は、データセットから抽出され組み合わされたデータをコンパイルして、シミュレータ902の他の構成要素による処理を最適化するために新しいデータセットを用意するためのデータ集約を実行する。
【0080】
シミュレータ902は、MLモデリング・アルゴリズムなどのモデリング・コンポーネント910を備える。このモデリング・コンポーネント910は、経験及び追加データにより自動的に改善されるコンピュータ・アルゴリズムを構築する。例えば、MLアルゴリズムは、サンプル・センサ・データに基づきモデル又はトレーニング・データセットを構築して、シミュレーションされた変更に基づいて薬物模擬信号の有効性に関して予測することを、又は予想若しくは決定を行うことを可能にし得る。別の実装例では、モデリング・コンポーネント910は、センサ・データに基づき手動により生成及び更新されるカタログ機能を含む。これにより、センサ・データ・カタログに対してデータを比較し、補間、又は他の数値的方法、計算的方法、又は統計的方法を実施して、ある変化が薬物模擬信号のパフォーマンスに対してどのように影響するかを推定する場合に、標的となる生理学的システムに対する薬物模擬信号の影響を予想することが可能となる。
【0081】
シミュレータ902はシミュレーション・コンポーネント912を備える。このシミュレーション・コンポーネント912は、1つ又は複数の生理学的システムの状態を、それらのシステムのいずれかにおける変化又は薬物模擬信号のいずれかの変化に応答することにより引き起こすように構成される。例えば、シミュレーション・コンポーネント912は、同一の薬物模擬信号が種々の体重又は年齢の人々に対して及ぼす影響をシミュレートすることができる。これらのシミュレーションは、モデル・コンポーネント910により発生されたモデルを使用する必要があり、このモデルは、対象となる生理学的システム又はプロセスの重要な特性又は挙動に相当する。その一方でこのシミュレーションは、経時的な又は変化に応じたモデルの進化に相当する。
【0082】
シミュレータ902は、ネットワーク・ポータルを発生させ得る及び/又は管理し得る分析コンポーネント914を備える。一実例は、オンラインWebベースのポータルを含む。このポータルは、シミュレーション又は関連データを視覚化又は他のユーザ・フレンドリな特徴により表示することができる。このユーザ・フレンドリな特徴により、エンド・ユーザ916は、シミュレーションを調査し、薬物模擬信号の有効性を改善するための手順を学習することが可能となる。分析コンポーネント914は、過去のパフォーマンスの継続的な反復探索及び調査により、種々のシナリオにおける将来のパフォーマンスを予測することを可能にする。分析コンポーネント914は、統計的手法を利用することにより、対象の生理学的システム及び関連システムのデータ駆動型の理解をもたらし、複数の生理学的システムのパフォーマンスに関する新たな見識を展開させる。分析コンポーネント914は、ツールと、説明モデリング及び予測モデリングを含む解析モデリング及び数値解析と、さらには事実ベース管理とを広範に活用することにより、意思決定を促進する。
【0083】
エンド・ユーザ916は、シミュレータ902によって処理されるコンポーネント又はデータにアクセスする権限を有するユーザ又はコンピューティング・デバイスによって操作可能なあらゆるエンド・ユーザ・デバイスを含む。一実例では、エンド・ユーザ916は、シミュレータ902のコンポーネントの中の1つ、いずれか、又はすべてに対するアクセスを許可するロールが割り当てられる。例えば、レビュアのロールを有するエンド・ユーザが、分析コンポーネント914へのアクセスのみが許可される一方で、管理者ロールを有するエンド・ユーザは、シミュレータ902のすべてのコンポーネントに対するアクセスが許可され、それにより例えばモデリング・コンポーネント910のモデルを編集し、データ・マイニング・コンポーネント908によってデータセットが集約される方式を変更することが可能になる。
【0084】
テスト・シナリオでは、各生物が種々のタイプの薬物模擬信号に又は種々のタイプの組合せに対して、及び種々の強度に対して曝露される環境において、種々の薬物模擬信号がプロトタイプ化され、それにより所望の生理学的効果を達成するための信号の有効性が判定される。各生物をモニタリングし、特定の条件下におけるそれらの生物の状態に関するフィードバックを提供するように、カメラを位置決めすることが可能である。そのようにして、システム900は、最も高い効能を有する薬物模擬信号を決定するように最適化され得る。システム900には、分子の表面電位に関する3D変調をシミュレートするための3D環境測定に必要な複数のセンサ904-a~904-c(例えば8個のセンサ)を備えることが可能である。そのようにして、システム900は、最も効能の高い信号の発見を自動化し、信号のバッチ処理を自動化する改良された後処理を実現することが可能である。テストの場合には、例えば、システム900は、6kHz以下の帯域間のいずれの信号が最も高い効能を有する生理学的効果を引き起こしたかについての判定を行うために、バッチ処理にて複数の信号を処理し得る。
【0085】
図10は、本明細書おいて説明される少なくともいくつかの操作を実装し得るコンピュータ・システム1000の一実例を示すブロック図である。図示するように、コンピュータ・システム1000は、1つ又は複数のプロセッサ1002、メイン・メモリ1006、不揮発性メモリ1010、ネットワーク・インターフェース・デバイス1012、ビデオ・ディスプレイ・デバイス1018、入出力デバイス1020、制御デバイス1022(例えばキーボード及びポインティング・デバイス)、記憶媒体1026を備えるドライブ・ユニット1024、並びに信号発生デバイス1030を備えることが可能であり、これらはバス1016に対して通信可能に接続される。バス1016は、適切なブリッジ、アダプタ、又はコントローラにより接続される、1つ又は複数の物理バス及び/又はポイント・ツー・ポイント接続部に相当する。さらに、コンピュータ・システム1000は、キャッシュ・メモリ(図示せず)などの共通の構成要素を備えてもよい。追加的には、コンピュータ・システム1000は、図面の実例に関連して図示又は説明される構成要素及び本明細書において説明される任意の他の構成要素が実装され得るハードウェア・デバイスを示すように意図される。
【0086】
コンピュータ・システム1000は、任意の適切な物理的形態をとることが可能である。例えば、コンピューティング・システム1000は、サーバ・コンピュータ、パーソナル・コンピュータ(PC:personal computer)、タブレット・コンピュータ、携帯電話、ゲーム・コンソール、音楽プレーヤー、ウェアラブルズ電子デバイス、ネットワーク接続(「スマート」)デバイス(例えばテレビ若しくはホーム・アシスタント・デバイス)、AR/VRシステム(例えばヘッドマウント・ディスプレイ)、又はコンピューティング・システム1000により実行されるアクションを指定する命令セットを実行することが可能な任意の電子デバイスと同様のアーキテクチャを共有し得る。いくつかの実装例では、コンピュータ・システム1000は、組込み式コンピュータ・システム、システム・オン・チップ(SOC:system-on-chip)、シングルボード・コンピュータ・システム(SBC:single-board computer system)、若しくは例えばコンピュータ・システムのメッシュなどの分散システムであることが可能であり、又は1つ又は複数のネットワークに1つ又は複数のクラウド・コンポーネントを備えることが可能である。適切な場合には、1つ又は複数のコンピュータ・システム1000が、リアルタイム、ほぼリアルタイム、又はバッチモードで動作を実施することが可能である。
【0087】
ネットワーク・インターフェース・デバイス1012は、コンピューティング・システム1000が、コンピューティング・システム1000及び外部エンティティによりサポートされる任意の通信プロトコルを介して、コンピューティング・システム1000の外部のエンティティとの間においてネットワーク1014内のデータを仲介することを可能にする。ネットワーク・インターフェース・デバイス1012の実例としては、ネットワーク・アダプタ・カード、ワイヤレス・ネットワーク・インターフェース・カード、ルータ、アクセス・ポイント、無線ルータ、スイッチ、マルチレイヤ・スイッチ、プロトコル・コンバータ、ゲートウェイ、ブリッジ、ブリッジ・ルータ、ハブ、デジタル・メディア・レシーバ、及び/又はリピータ、並びに本明細書において指摘されるすべての無線要素が含まれる。
【0088】
メモリ(例えばメイン・メモリ1006、不揮発性メモリ1010、機械可読媒体1026)は、ローカル型、リモート型、又は分散型であることが可能である。機械可読媒体1026は、単一の媒体として図示されるが、1つ又は複数の命令セット1028を格納する複数の媒体(例えば集中型/分散型データベース及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を備えることが可能である。機械可読(ストレージ)媒体1026は、コンピューティング・システム1000により実行される命令セットを格納、エンコード、又は運ぶことが可能な任意の媒体を備えることが可能である。機械可読媒体1026は、非一時的なものであることが可能であり、又は非一時的デバイスを備えることが可能である。このような文脈において、非一時的ストレージ媒体は有形であるデバイスを備えることが可能であり、すなわちこれは、このデバイスが具体的な物理的形態を有するが、その物理的状態が変化し得ることを意味する。例えば、非一時的という用語は、この状態変化があった場合でも、デバイスが有形のままに留まることを意味している。
【0089】
完全に機能するコンピューティング・デバイスという文脈において実装例を説明したが、様々な実例は、様々な形式でプログラム製品として配布されることが可能である。機械可読記憶媒体、機械可読媒体、又はコンピュータ可読媒体の実例としては、(1)揮発性及び不揮発性メモリ・デバイス1010などの記録可能媒体、(2)リムーバブル・フラッシュ・メモリ、(3)ハードディスク・ドライブ、(4)光ディスク、並びに(5)例えばデジタル通信リンク及びアナログ通信リンクなどの伝送タイプ媒体が含まれる。
【0090】
一般的に、本明細書において実例を実施するために実行されるルーチンは、オペレーティング・システム、又は特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、若しくは命令シーケンス(総称して「コンピュータ・プログラム」と呼ぶ)の一部として実装されることが可能である。典型的には、これらのコンピュータ・プログラムは、コンピューティング・デバイス内の様々なメモリ及びストレージ・デバイスに様々な時点において設定される1つ又は複数の命令(例えば命令1004、1008、1028)を備える。これらの命令は、プロセッサ1002により読み取られ実行されると、本開示の様々な態様を伴う要素を実行するためのオペレーションをコンピューティング・システム1000に実施させる。
【0091】
定義
以下の用語は、別様の指摘がない限り一般的に以下の定義を有する。かような定義は、簡潔なものではあるが、関連技術の当業者が本明細書において提示される詳細な説明に基づき本発明の態様をより十分に理解する補助となろう。他の定義は上述を参照されたい。かような定義は、かかる定義のみによらず、本発明の説明の全体(特許請求の範囲を含む)によってさらに定義される。
【0092】
「高周波エネルギー」は、約0Hz~22kHzの範囲の周波数を有する磁場を示す。
【0093】
「磁気シールド」は、シールド材料の磁気透過性の結果として磁束の通過を低下、抑制、又は防止するシールドを示す。
【0094】
「電磁シールド」は、標準的なファラデー電磁シールド、又は電磁放射の通過を低減させるための他の方法を示す。
【0095】
「ファラデー・ケージ」は、不要な電磁放射を接地するための電気経路を提供し、それにより電磁環境を静める電磁シールド構成を示す。
【0096】
「時間領域信号」又は「時系列信号」は、経時変化する過渡信号特性を有する信号を示す。
【0097】
「サンプル源放射」は、磁場内における分子双極子の回転などのサンプルの分子運動の結果として生じる磁束又は電磁束放出を示す。サンプル源放射は、注入された磁場刺激の存在下において生成され得るため、「注入された磁場刺激に重畳されたサンプル源放射」とも呼ばれる場合がある。
【0098】
「刺激磁場」又は「磁場刺激」は、以下の複数の電磁信号の中の1つを、サンプルを包囲する磁気コイルに対して注入(印加)することによって生成される磁場を示す。その複数の電磁信号としては、(i)0~1G(ガウス)の間で選択された磁場をサンプルにて生成するように計算された電圧レベルで注入されるホワイト・ノイズ、(ii)0~1Gの間で選択された磁場をサンプルにて生成するように計算された電圧レベルで注入されるDCオフセット、及び/又は(iii)少なくとも0~1kHzの間の掃引範囲にわたり連続的に注入され0~1Gの間で選択された磁場をサンプルにて生成するように計算された注入電圧で注入される低周波範囲にわたる掃引が含まれ得る。このサンプルにて生成される磁場は、注入コイルの形状及び巻線数、コイルに対する印加電圧、並びに注入コイルとサンプルとの間の距離が分かれば、既知の電磁関係を利用して容易に計算され得る。
【0099】
「選択された刺激磁場条件」は、ホワイト・ノイズ若しくはDCオフセット信号に対する選択された印加電圧、又は印加される掃引刺激磁場の選択された掃引範囲、掃引周波数、及び電圧を示す。
【0100】
「ホワイト・ノイズ」は、ランダム・ノイズ、又は複数の周波数を同時に有する信号(例えばホワイト・ランダム・ノイズ又は確定的ノイズ)を示す。ホワイト・ノイズ及び他のノイズの複数のバリエーションが使用されてもよい。例えば、「ガウス・ホワイト・ノイズ」は、ガウス出力分布を有するホワイト・ノイズである。
【0101】
「定常ガウス・ホワイト・ノイズ」は、予測可能な将来成分を有さないランダム・ガウス・ホワイト・ノイズである。
【0102】
「構造化ノイズ」は、スペクトルのある領域から別の領域へとエネルギーをシフトする対数特性を含み得る、又は振幅が一定に留まる状態においてランダム時間要素を提供するように設計され得るホワイト・ノイズである。これらの2つは、予測可能な将来成分をまったく有さない真のランダム・ノイズと比較した場合にピンク均一ノイズを有する。
【0103】
「均一ノイズ」は、ガウス分布ではなく矩形分布を有するホワイト・ノイズを示す。
【0104】
「周波数領域スペクトル」は、時間領域信号のフーリエ周波数プロットを示す。
【0105】
「スペクトル成分」は、周波数、振幅、及び/又は位相領域において計測可能な時間領域信号内の単独の又は反復される特性を示す。典型的には、スペクトル成分は、周波数領域に存在する信号を示す。
【0106】
「実例」
1. 生体に対する薬物の生理学的効果をシミュレートするための薬物模擬信号を生成する方法であって、
薬物の影響下における生体の生理学的システムに関連する静電ポテンシャルを計測するステップと、
生理学的システムの静電ポテンシャルの計測値をクローズド・システムのメモリに記録するステップと、
生理学的システムの静電ポテンシャルの計測値の記録に基づき構成される薬物模擬信号を発生させるステップであって、
薬物模擬信号がクローズド・システムの増幅回路を用いて制御され、
薬物模擬信号が生体に対する薬物の効果をシミュレートするように構成された電磁信号を含む、ステップと、
薬物模擬信号で放射されている間に、所望の生理学的効果をもたらすために、生理学的システムに関連する静電ポテンシャルの計測値を含むフィードバックに基づきクローズド・システムの増幅回路に薬物模擬信号を操作させるステップと、
フィードバックに応答して及びクローズド・システム内のメモリに格納されたコンピュータ・プログラムに基づき、クローズド・システム内において薬物模擬信号の送達を制御するステップと、
クローズド・システムにより収集されたフィードバックに応答して、薬物模擬信号の有効性を所望の生理学的効果へと動的に適合化するステップと
を含む、方法。
2. クローズド・システムは、ウェアラブル・デバイス、ハンドヘルド・デバイス、又は前記ウェアラブル・デバイス及び前記ハンドヘルド・デバイスの組合せを備える、実例1に記載の方法。
3. 薬物模擬信号は、薬物模擬信号の一部分をフィルタリング及び/又は切捨てすることにより強調され、この一部分が、生理学的効果をもたらす、実例1に記載の方法。
4. 生理学的効果をもたらす薬物模擬信号は、6kHzフィルタ及び/又は7kHzフィルタを介してフィルタリングされる、実例1から3までのいずれか一実例に記載の方法。
5. 生理学的効果を生じさせる薬物模擬信号は、(1)約44.1kHz~11kHz以下へとダウン・サンプリングされ、(2)44.1kHzへとアップ・サンプリングされる、実例1から3までのいずれか一実例に記載の方法。
6. ローパス・フィルタ及びダウン・サンプリングが、薬物模擬信号の送達の最中に生体に対して放射される不要な高周波(RF)エネルギーを除去することにより、生理学的効果をもたらす、実例1から5までのいずれか一実例に記載の方法。
7. 不要なRFエネルギーは、生理学的効果に関与する周波数と競合する、実例6に記載の方法。
8. ローパス・フィルタ及びダウン・サンプリングは、薬物模擬信号のファイル・サイズを縮小する、実例6に記載の方法。
9. 生体に対する薬物模擬信号の送達後に取得されたデータに基づき薬物模擬信号を最適化する方法であって、
生体に対して送達された薬物模擬信号の有効性を検出するステップであって、以下のことによって、すなわち
生体に対して送達する1つ又は複数の薬物模擬信号を発生させること、及び
送達された薬物模擬信号の生体に対する生理学的効果をセンサにより計測すること
によって、検出するステップと、
生体に対する送達された薬物模擬信号の有効性を機械学習モデルにより改善するステップであって、機械学習モデルが、
センサにより収集された生理学的効果のデータからトレーニング・データセットを作成すること、
薬物模擬信号がトレーニング・データセットに基づき予測又は決定を行うことを可能にすること、及び
薬物模擬信号の有効性を改善するために動的適合化を行うこと
を含む、改善するステップと
を含む、方法。
10. 生体内に生理学的効果をもたらすために送達された薬物模擬信号の有効性を改善するステップは、センサによって収集された薬物及び/又は他の物質の静電ポテンシャルの記録を処理するように構成されたシミュレータを備えるシステムによって実施される、実例9に記載の方法。
11. 薬物模擬信号は、生理学的効果をもたらす電磁信号に相当する、実例10に記載の方法。
12. 静電ポテンシャルは、
化学分子、
生化学分子、
及び生物分子
からなる群より選択される分子から発生される、実例11に記載の方法。
13. 生体に対して送達するための1つ又は複数の薬物模擬信号を発生させるステップは、信号発生器により実施される、実例9に記載の方法。
14. センサは、送達された薬物模擬信号が生理学的効果の下でもたらした生体の物理的特性を計測する、実例9又は10に記載の方法。
15. 生体の物理的特性は、薬物模擬信号の生理学的効果を示す特性を含む、実例14に記載の方法。
16. 薬物模擬信号の生理学的効果を示す特性は、生体の温度である、実例15に記載の方法。
17. 通信チャネルが、生体とシミュレータとの間において薬物模擬信号を通信する、実例10に記載の方法。
18. センサは、
磁力計、
近接センサ、
気圧計、
ジャイロスコープ、及び
加速度計
からなる群より選択される1つ又は複数のセンサを備える、実例9、10、又は14のいずれか一実例に記載の方法。
19. 薬物模擬信号の有効性を改善するためにセンサにより収集された生理学的効果のデータからトレーニング・データセットを作成するステップは、モデリング・コンポーネントにより実施される、実例9に記載の方法。
20. モデリング・コンポーネントは、薬物模擬信号の有効性に関する予測判定を含む、実例19に記載の方法。
21. 予測判定は、シミュレーション・コンポーネントによるシミュレーションされた変化に基づく、実例20に記載の方法。
22. シミュレータは、ネットワーク・ポータルを管理する分析コンポーネントをさらに備える、実例10に記載の方法。
23. 分析コンポーネントは、過去のパフォーマンスの継続的な反復探索及び調査により、種々のイベントの最中における将来のパフォーマンスを予測することを含む、実例22に記載の方法。
24. 生体に対して放射されることにより生体に生理学的効果をもたらす薬物模擬信号を送達するように構成されたデバイスであって、
複数の集積回路チップ、
複数のセンサ、
無線通信プロトコルをサポートするように構成された通信回路、又は
複数の集積回路チップ、複数のセンサ、及び通信回路の任意の組合せ
を備える、デバイス。
25. 複数のセンサは、
磁力計、
近接センサ、
気圧計、
ジャイロスコープ、及び
加速度計
からなる群より選択される1つ又は複数のセンサを備える、実例24に記載のデバイス。
26. デバイスは、サポート無線通信プロトコルを介して適切な薬物模擬信号を選択することによって生体において生理学的効果を実現するように構成される、実例24に記載のデバイス。
27. 通信プロトコルは、ブルートゥース、Wi-Fi、衛星ナビゲーション、又はブルートゥース、Wi-Fi、及び衛星ナビゲーションの任意の組合せを備える、実例26に記載のデバイス。
28. デバイスはウェアラブル・デバイスである、実例24に記載のデバイス。
29. デバイスは、
スマート・ウォッチ、
スマート・アイウェア、及び
ウェアラブルズ・ディスプレイ・デバイス
からなる群より選択される1つ又は複数のデバイスを備える、実例28に記載のデバイス。
30. 信号発生器に対する薬物模擬信号の分配及び調整を行うコントローラであって、
ハウジング、
プロセッサ、
メモリ、
ビジュアル・オーディオ・インターフェース、又は
ハウジング、プロセッサ、メモリ、並びにビジュアル・オーディオ・インターフェースの任意の組合せ
を備える、コントローラ。
31. コントローラは、マイクロコントローラ回路及び信号発生回路をさらに備える、実例30に記載のコントローラ。
32. マイクロコントローラ回路は、コントローラを操作するように構成される、実例31に記載のコントローラ。
33. マイクロコントローラ回路は、
マイクロプロセッサ、
リセット回路、及び
揮発性メモリ
を備える、実例31に記載のコントローラ。
34. マイクロプロセッサは、ハウジングの内部及び外部に通信するための複数のアナログ及び/又はデジタル通信ピンを備える、実例33に記載のコントローラ。
35. マイクロプロセッサは、
USBコネクタ、
ビジュアル・インターフェースに対するディスプレイ・コネクタ、及び
オーディオ・インターフェースに対するオーディオ・コネクタ
をさらに備える、実例34に記載のコントローラ。
36. 信号発生回路は、薬物模擬信号でコイル及びケーブル・アセンブリを駆動するように構成される、実例31に記載のコントローラ。
37. 信号発生回路は、
オーディオ・コーダ-デコーダ、
出力増幅器、及び
電流モニタ
を備える、実例36に記載のコントローラ。
38. オーディオ・コーダ-デコーダは、出力増幅器に対してアナログ出力薬物模擬信号を出力するように構成される、実例37に記載のコントローラ。
39. 出力増幅器はローパス・フィルタを備える、実例37に記載のコントローラ。
40. 出力増幅器はプログラミング可能なものである、実例37に記載のコントローラ。
41. 出力増幅器は、コイル及びケーブル・アセンブリのコイルにより受信される入力薬物模擬信号の強度レベルを調節するようにさらに構成される、実例37に記載のコントローラ。
42. 電流モニタは、コイル及びケーブル・アセンブリの電気特性を判定する、実例37に記載のコントローラ。
43. 電流モニタは、薬物模擬信号レベルが指定された周波数閾値内に留まることを確認する、実例37に記載のコントローラ。
44. 生体における生理学的効果をシミュレートするための薬物模擬信号の非侵襲性送達の最中に使用するためのコイル及びケーブル・アセンブリを製造するための方法であって、
可撓性複合材料内にコイルをカプセル化するステップと、
コイルに対してコネクタを結合するステップと、
コイル、コネクタ、及びケーブルに対して集積回路を結合するステップと、
集積回路にメモリ・ストレージを組み込むステップと
を含む、方法。
45. ケーブルに対して集積回路を結合するステップは、コネクタとコイルとの間において信号を送達するための複数の導体に対して機械的張力逃がしを与えるステップとをさらに含む、実例44に記載の方法。
46. メモリ・ストレージは、集積回路、コネクタ、ケーブル、及び/又はコイルの電気特性を識別するように構成される、実例44に記載の方法。
47. コイル及びケーブル・アセンブリは、ウェアラブル・デバイス内にカプセル化されるように構成される、実例44に記載の方法。
【0107】
結論
本明細書において説明するシステムは、ある特定の電荷経路をもたらすようにある特定の分子信号を変換し、薬物、代替療法などを用いることなく患者に対して化学的、生化学的、又は生物学的療法の効果を送達し、悪化した健康状態を治療するように構成され得る。例えば、このシステムは、上方調整及び下方調整の両方において代謝経路及びタンパク質生成を調製するためにRNA配列信号を変換することができる。
【0108】
このシステムは、多数の他の利点をもたらす。このシステムは、患者の様々な領域に対する治療を提供できるように拡張可能である。コイル、ケーブル、及びコネクタは使い捨てであり、又はコントローラを含むデバイス全体は好ましくは限定された治療セッション及び1つの処方に対して提供され、こうすることによりデバイス及びコイルの再利用が不可能となり、したがって交差汚染などが防止される。デバイス上のスイッチにより、治療のオン/オフ性がもたらされ、これによって患者は必要に応じて自身の治療を選択的にオン/オフへと切り替えることができる。
【0109】
文脈上他の解釈を明らかに必要としない限り、本説明及び特許請求の範囲の全体を通じて、「備える」及び「備えている」などの語は、排他的又は包括的な意味ではなく非排他的な意味において解釈されるべきであり、すなわち「~を備えるがこれらに限定されない」という意味において解釈されるべきである。本明細書で一般的に使用される場合の「結合」という語は、2つ以上の要素が、直接的に連結され得るか、又は1つ又は複数の中間要素を介して連結され得るかのいずれかを示す。さらに、本願において使用される場合に、「本明細書中」、「上記」、「下記」という語及び同様の趣旨の語は、本出願全体を指すものとし、本出願のいかなる特定の部分も指定しない。文脈上許容される場合に、上記の詳細な説明において単数又は複数を使用する語は、それぞれ複数又は単数をさらに含み得る。2つ以上の項目のリストに関する「又は」という語は、その語に関する以下の解釈のすべてを、すなわちリスト内の項目のいずれか、リスト内のすべての項目、及びリスト内の項目の任意の組み合わせを範囲に含む。
【0110】
本発明の実施例の上記の詳細な説明は、包括的なものとなるように又は上記で開示した正確な形態へと本発明を限定するように意図されるものではない。本発明の特定の実施例及び実例は、実例を目的として上述されるが、本発明の範囲内において様々な均等な修正が可能であることが、関連技術の当業者には理解されよう。例えば、プロセス又はブロックが所定の順序で提示されても、代替的な実施例は、ステップを有するルーチンを異なる順序において実施する、又はブロックを有するシステムを異なる順序において使用することができ、いくつかのプロセス又はブロックが、削除、移動、追加、下位分割、結合、及び/又は修正されてもよい。これらの各プロセス又はブロックが、様々な異なる方法で実装されてもよい。また、プロセス又はブロックが、連続的に実施されるように時として示されるが、これらのプロセス又はブロックは、代わりに並列的に実施されても、又は異なる時点にて実施されてもよい。
【0111】
本明細書において提示される本発明の教示は、上述したシステムに必ずしも限定されず他のシステムに対しても適用し得る。上述の様々な実施例の要素及び動作は、組み合わされることによりさらなる実施例を実現することが可能である。
【0112】
添付の出願書類に列挙され得るあらゆるものを含む、上記の特許及び出願並びに他の参考文献はいずれも、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の態様は、上述の様々な参考文献のシステム、機能、及び概念を利用して本発明のさらに他の実施例を実現するために、必要に応じて修正することが可能である。
【0113】
上述の詳細な説明に照らして、これらの及び他の変更を本発明に対して行うことが可能である。上記の説明は、本発明の特定の実施例を詳述し、考えられる最良の態様を説明するが、上記の説明が文中においていかに詳細に提示される場合であっても、本発明は、多数の方法で実施することが可能である。信号処理システムの詳細が、その実装詳細において非常に多様である場合があるが、これらは本明細書において開示される本発明に依然として包含される。
【0114】
上記のように、本発明の特定の特徴又は態様を説明する場合に用いられる使用される特定の用語は、その用語が、その用語に関連する本発明の特定の特性、特徴、又は態様に対して限定されるように本明細書において再定義されることを意味するものとして解釈されるべきではない。一般的には、上記の詳細な説明の章において明確な定義がなされない限りは、添付の特許請求の範囲において用いられる用語は、本明細書において開示される特定の実施例に対して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、本発明の実際の範囲は、本開示の実施例のみならず、特許請求の範囲の下において本発明を実施又は実装するあらゆる均等な方法をさらに包含する。
【国際調査報告】