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特表2025-501965シリコーン変性ポリウレアコーティング組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】シリコーン変性ポリウレアコーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/00 20060101AFI20250117BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20250117BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20250117BHJP
   B63B 59/04 20060101ALN20250117BHJP
【FI】
C09D175/00
C09D183/04
B32B33/00
B63B59/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539638
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-08-14
(86)【国際出願番号】 US2022078884
(87)【国際公開番号】W WO2023129767
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】63/294,871
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン、チャンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ミレオ、ジュニア、エドワード アール.
(72)【発明者】
【氏名】ホイ、チンミン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、チーピン
(72)【発明者】
【氏名】モラベック、スコット ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】サハ、ゴビンダ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン、ザ サード、ウェルズ ビー.
【テーマコード(参考)】
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AA20B
4F100AB01A
4F100AB02A
4F100AB03A
4F100AB10A
4F100AB18A
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4F100AK01A
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4F100YY00B
4J038DG062
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4J038GA09
4J038JC32
4J038JC41
4J038NA03
4J038NA05
4J038NA11
4J038PB05
4J038PB07
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC04
4J038PC06
4J038PC08
4J038RA14
(57)【要約】
本出願は、付着物剥離及び/又は除氷性能と柔軟性及び耐久性とを組み合わせたコーティング組成物に関する。コーティング組成物は、ポリウレア成分と、ポリシロキサン成分と、を含む。ポリウレア成分は、イソシアネート成分、アミン官能性樹脂、及び脂肪族コポリマーを含む。基材をコーティングするための対応する方法も取り上げる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、
イソシアネート成分、アミン官能性樹脂、及び脂肪族コポリマーを含むポリウレア成分と、
ポリシロキサン成分と、を含む、コーティング組成物。
【請求項2】
前記イソシアネート成分と前記アミン官能性樹脂の当量比が、1.01:1~1.4:1の範囲である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記アミン官能性樹脂が、16~43重量%の範囲である、請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記脂肪族コポリマー成分が、シリコーンコポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記脂肪族コポリマー成分が、シリコーンポリエーテルコポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート成分が、イソホロンジイソシアネート及びポリエーテルジアミンから形成されるプレポリマーを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記アミン官能性樹脂が、二官能性アミン、トリアミン、脂肪族ジアミン鎖延長剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記二官能性アミンが、アスパラギン酸エステルを含む、請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
前記トリアミンが、ポリエーテルアミンを含む、請求項7又は8に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
前記脂肪族ジアミン鎖延長剤が、エチルシアニドを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
前記ポリシロキサン成分が、前記組成物の総固体重量に基づいて、最大60重量%を構成する、請求項1~10のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
前記ポリシロキサン成分が、アミン官能性シリコーン、シリコーンポリエーテルコポリマー、フェニルシリコーン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
前記ポリシロキサン成分が、ポリジメチルシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、ポリフェニルメチルジメチルシロキサン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
スズ化合物を更に含み、前記スズ化合物が、任意選択的に、有機スズ化合物を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
殺生物剤を更に含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
コーティング組成物であって、
ポリウレア成分であって、
イソシアネート成分、
16~43重量%のアミン官能性樹脂、及び
脂肪族コポリマーを含む、ポリウレア成分と、
最大60重量%のポリシロキサン成分と、を含み、
前記イソシアネート成分と前記アミン官能性脂の当量比が、1.01:1~1.4:1の範囲である、コーティング組成物。
【請求項17】
前記アミン官能性樹脂が、
8~25重量%の二官能性アミン、
5~15重量%のトリアミン、及び
3.6~12重量%の脂肪族ジアミン鎖延長剤を含む、請求項16に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
最大30重量%の量の添加剤を更に含み、前記添加剤が、湿潤剤、分散剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、有機粘土誘導体、フュームドシリカ、顔料、殺生物剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項16又は17に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
コーティング組成物であって、
ポリウレア成分であって、
イソシアネート成分、
8~25重量%の二官能性アミン、
5~15重量%のトリアミン、
3.6~12重量%の脂肪族ジアミン鎖延長剤、及び
脂肪族コポリマーを含む、ポリウレア成分と、
最大60重量%のポリシロキサン成分と、を含み、
前記イソシアネート成分と、二官能性アミン、トリアミン、及び脂肪族ジアミン鎖延長剤の総量の当量比が、1.01:1~1.4:1の範囲である、コーティング組成物。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のコーティング組成物を含む、基材。
【請求項21】
前記コーティングされた基材が、着氷試験に供された場合、400Nの最大平均負荷力を示し、フジツボ除去剥離試験に供された場合、0.2MPaの最大フジツボ付着力を示し、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、C.lyticaについて少なくとも30%の最小平均除去を示し、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、N.incertaについて少なくとも50%の最小平均除去を示し、かつ/又はASTM D4060-14によって測定される耐摩耗性について60mgの最大損失を示す、請求項20に記載の基材。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の基材を含む、物品。
【請求項23】
基材をコーティングするための方法であって、前記基材の少なくとも一部分に、請求項21又は22に記載のコーティング組成物を塗布することを含む、方法。
【請求項24】
前記基材が、金属、プラスチック、コンクリート、アスファルト、木材、ジオテキスタイル、ガラス繊維複合材料、及び/又は炭素繊維複合材料を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記金属基材が、鉄、鋼、鋼合金、亜鉛めっき金属、及び/又はアルミニウムを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記基材の少なくとも一部分が、第1のコーティング及び/又はプライマーを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記コーティング組成物を塗布する前に、前記基材の少なくとも前記一部分を準備することを更に含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記基材の少なくとも前記一部分を準備することが、前記基材の少なくとも一部分に対してグリットブラスト、サンドブラスト、プライミング、電着塗装、及び/又は離型剤の塗布を行うことを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コーティング組成物を塗布することが、押出及び/又は噴霧を含み、任意選択的に、噴霧が、エアパージスプレー、機械的パージスプレー、霧化エアスプレー、非霧化エアスプレー、霧化エアレススプレー、又は非霧化エアレススプレーを含む、請求項23~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記コーティングされた基材が、着氷試験に供された場合、400Nの最大平均負荷力を示し、フジツボ除去剥離試験に供された場合、0.2MPaの最大フジツボ付着力を示し、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、C.lyticaについて少なくとも30%の最小平均除去を示し、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、N.incertaについて少なくとも50%の最小平均除去を示し、かつ/又はASTM D4060-14によって測定される耐摩耗性について60mgの最大損失を示す、請求項23~29のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する声明
本開示は、政府契約番号NCMS FY2017船舶コーティング201853の下で、政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本開示の態様において特定の権利を有する場合がある。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月30日に出願された米国仮特許出願第63/294,871号の優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
基材に塗布するためのコーティング組成物、及び基材をコーティングする方法を本明細書に記載する。
【背景技術】
【0004】
風力タービン、橋梁、タワー、タンク、パイプなどの屋外構造物、及び鉄道車両などのフリート車両は、常に風雨にさらされており、時間がかかりかつ費用がかかり得る著しい損傷又は定期的なメンテナンスの必要なしに、極端な温度変化、ウィンドシア、降水、着氷及び他の環境ハザードに耐えるように設計されなければならない。同様に、船体及び海洋石油リグ及び風力タービンなどの海洋構造物も、海水並びに極端な天候及び環境条件にさらされているため、腐食、海洋付着物、摩耗、及び衝撃を受けやすい。これらの産業構造物の仕様要件を満たすために、より効果的な処理及びコーティングシステムが継続的に模索されている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、コーティング組成物を対象とする。コーティング組成物は、イソシアネート成分、アミン官能性樹脂、及び脂肪族コポリマーを含むポリウレア成分と、ポリシロキサン成分と、を含み得る。本開示は更に、基材をコーティングするための方法も対象とする。方法は、基材の少なくとも一部分に、本明細書に記載のコーティング組成物を塗布することを含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書において、付着物剥離及び/又は除氷性能の改善のために基材に塗布され得るコーティング組成物及び方法が提供される。本開示は、付着物剥離及び除氷性能と柔軟性及び耐久性とを組み合わせることができるコーティング組成物に関する。いくつかの場合、本明細書に記載のコーティングは、迅速に形成され得、基材を再コーティングするために必要な時間を大幅に短縮することができ、これにより、ダウンタイムが短縮され、製品のサービス復帰時間が短縮され得る。
【0007】
従来の付着物剥離/除氷コーティングの多くは柔らかく、摩耗や衝撃からの保護をほとんど提供しない。多くの従来のエポキシコーティングは、摩耗及び衝撃からいくらかの保護を提供し得るが、海洋付着物剥離及び着氷を防止又は最小化することができない。本明細書に記載のコーティング組成物は、高い接触角(水及びジヨードメタン)、低着氷強度、高い海洋付着物剥離、高い耐摩耗性、及び高いヤング率などの優れた耐久性及び望ましい特性を示し得る。
【0008】
イソシアネート成分とアミン官能性樹脂の当量比が1.01:1~1.4:1の範囲である、ポリウレア成分とポリシロキサン成分とを含み得るコーティング組成物が本明細書に記載される。ポリウレア成分は、イソシアネート成分と、アミン官能性樹脂と、脂肪族コポリマーと、を含み得る。アミン官能性樹脂は、二官能性アミンと、トリアミンと、脂肪族ジアミン鎖延長剤と、を含み得る。脂肪族コポリマー成分は、シリコーンコポリマーを含み得る。イソシアネート成分は、イソホロンジイソシアネート及びポリエーテルジアミンから形成されるプレポリマーを含み得る。
【0009】
本明細書に記載のコーティング組成物は、16~43重量%(例えば、20~40重量%、18~32重量%、又は30~35重量%)の量でアミン官能性樹脂を含み得る。組成物は、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%,25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%,35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、又は43%のアミン官能性樹脂を含み得る。アミン官能性樹脂の全ての割合は、組成物の総固体重量に基づいて、重量%で表される。いくつかの場合では、アミン官能性樹脂は、二官能性アミン、トリアミン、脂肪族ジアミン鎖延長剤、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0010】
いくつかの場合では、コーティング組成物は、当量比が1.01:1~1.4:1(例えば、1.08:1、1.13:1、又は1.25:1)のイソシアネート成分とアミン官能性樹脂を含み得る。組成物は、当量比が1.01:1、1.02:1、1.04:1、1.05:1、1.06:1、1.08:1、1.1:1、1.12:1、1.14:1、1.15:1、1.16:1、1.18:1、1.2:1、1.22:1、1.24:1、1.25:1、1.26:1、1.28:1、1.3:1、1.32:1、1.34:1、1.35:1、1.36:1、1.38:1、又は1.4:1のイソシアネート成分とアミン官能性樹脂を含み得る。
【0011】
本明細書に記載のコーティング組成物は、8~25重量%(例えば、10~22%、12~18%、又は15~20%)の量で二官能性アミンを含み得る。組成物は、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、又は25%の二官能性アミンを含み得る。二官能性アミンの全ての割合は、組成物の総固体重量に基づいて、重量%で表される。いくつかの場合では、二官能性アミンは、アスパラギン酸エステルを含み得る。
【0012】
本明細書に記載のコーティング組成物は、5~15重量%(例えば、5~12%、10~15%、又は8~14%)の量でトリアミンを含み得る。組成物は、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%のトリアミンを含み得る。トリアミンの全ての割合は、組成物の総固体重量に基づいて、重量%で表される。いくつかの場合では、トリアミンは、ポリエーテルアミンを含み得る。
【0013】
本明細書に記載のコーティング組成物は、3.6~12重量%(例えば、4~10%、6~9.5%、又は8.5~9%)の量で脂肪族ジアミン鎖延長剤を含み得る。組成物は、3.6%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、又は12%の脂肪族ジアミン鎖延長剤を含み得る。脂肪族ジアミン鎖延長剤の全ての割合は、組成物の総固体重量に基づいて、重量%で表される。いくつかの場合では、脂肪族ジアミン鎖延長剤は、エチルシアニドを含み得る。
【0014】
本明細書に記載のコーティング組成物は、最大60重量%(例えば、最大15%、最大30%、又は最大50%)の量でポリシロキサン成分を含み得る。組成物は、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%のポリシロキサン成分を含み得る。ポリシロキサン成分の全ての割合は、組成物の総固体重量に基づいて、重量%で表される。ポリシロキサン成分は、アミン官能性シリコーン、シリコーンポリエーテルコポリマー、フェニルシリコーン、又はそれらの組み合わせを含み得る。アミン官能性シリコーン流体は、単官能性、二官能性、又は三官能性アミンを含み得る。任意選択的に、ポリシロキサン成分は、ポリジメチルシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、ポリフェニルメチルジメチルシロキサン、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0015】
ポリウレア成分は、スズ化合物を更に含み得る。いくつかの例では、スズ化合物は、有機スズ化合物を含み得る。いくつかの例では、スズ化合物は、組成物の総固体重量に基づいて、組成物の1重量%未満(例えば、最大0.8%、最大0.5%、又は最大0.2%)を含み得る。組成物は、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、又は最大1%のスズ化合物を含み得る。スズ化合物の全ての割合は、組成物の総固体重量に基づいて、重量%で表される。任意選択的に、スズ化合物は、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBDL)及び/又は二酢酸ジブチルスズ(DBDA)を含み得る。いくつかの例では、組成物は、スズ又は有機スズ化合物を含んでいなくてもよい。
【0016】
本明細書に記載されるコーティング組成物は、殺生物剤を更に含み得る。殺生物剤は、コーティングされた基材上の細菌の増殖を制限し、かつ/又は基材上の細菌を破壊し得る。いくつかの例では、殺生物剤は、銀又は銅含有化合物を含み得る。いくつかの例では、組成物は、殺生物剤を含んでいなくてもよい。
【0017】
コーティング組成物は、最大30重量(例えば、1~3%、2~10%、又は5~25%)の量の添加剤を更に含み得る。組成物は、1%、2%、4%、5%、6%、8%、10%、12%、14%、15%、16%、18%、20%、22%、24%、25%、26%、28%、又は30%の添加剤を含み得る。添加剤の全ての割合は、組成物の総固体重量に基づいて、重量%で表される。添加剤は、湿潤剤、分散剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、有機粘土誘導体、フュームドシリカ、顔料、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0018】
本明細書に記載のコーティング組成物は、ポリウレア成分とポリシロキサン成分とを含み得、イソシアネート成分とアミン官能性樹脂の当量比が、1.01:1~1.2:1の範囲である。いくつかの例では、ポリシロキサン成分は、組成物の最大60重量%を構成し得る。ポリウレア成分は、イソシアネート成分と、アミン官能性樹脂と、脂肪族コポリマーと、を含み得る。いくつかの例では、組成物は、16~43重量%のアミン官能性樹脂を含み得る。アミン官能性樹脂は、二官能性アミンと、トリアミンと、脂肪族ジアミン鎖延長剤と、を含み得る。いくつかの例では、アミン官能性樹脂は、8~25重量%の二官能性アミン、5~15重量%のトリアミン、及び3.6~12重量%の脂肪族ジアミン鎖延長剤を含み得る。脂肪族コポリマー成分は、シリコーンコポリマーを含み得る。任意選択的に、脂肪族コポリマー成分は、シリコーンポリエーテルコポリマーを含み得る。イソシアネート成分は、イソホロンジイソシアネート及びポリエーテルジアミンから形成されるプレポリマーを含み得る。
【0019】
いくつかの例では、コーティング組成物は、イソシアネート成分、16~43重量%のアミン官能性樹脂、及び脂肪族コポリマーを含むポリウレア成分と、最大60重量%のポリシロキサン成分と、を含み得、イソシアネート成分とアミン官能性樹脂の当量比が、1.01:1~1.2:1の範囲であり、アミン官能性樹脂が、8~25重量%の二官能性アミン、5~15重量%のトリアミン、及び3.6~12重量%の脂肪族ジアミン鎖延長剤を含む。任意選択的に、コーティング組成物は、添加剤の1重量%未満及び/又は最大10重量%の量の有機スズ化合物を更に含み得、添加剤は、湿潤剤、分散剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、有機粘土誘導体、フュームドシリカ、顔料、殺生物剤、又はそれらの組み合わせを含む。
【0020】
基材をコーティングするための方法も本明細書に開示する。好適な基材の例としては、金属、プラスチック、コンクリート、アスファルト、木材、ジオテキスタイル、ガラス繊維複合材料、及び/又は炭素繊維複合材料を挙げることができる。いくつかの例では、金属基材は、鉄、鋼、鋼合金、亜鉛めっき金属、及び/又はアルミニウムを含み得る。基材をコーティングする方法は、基材の少なくとも一部分に本明細書に記載のコーティング組成物を塗布することを含み得る。いくつかの例では、基材の少なくとも一部分は、第1のコーティング及び/又はプライマーを含み得る。
【0021】
任意選択的に、本方法は、コーティング組成物を塗布する前に、基材の少なくとも一部分を準備することを更に含み得る。いくつかの例では、基材の少なくとも一部分を準備することは、基材の少なくとも一部分に対してグリットブラスト、サンドブラスト、プライミング、及び/又は電着塗装を行うことを含み得る。いくつかの例では、基材の少なくとも一部分を準備することは、基材の少なくとも一部分に離型剤を塗布することを含み得る。
【0022】
コーティング組成物を塗布するための方法は、押出及び/又は噴霧を含み得る。コーティングは、エアパージスプレー、機械的パージスプレー、霧化エアスプレー、非霧化エアスプレー、非霧化エアレススプレー、非霧化エアレススプレー、又は当業者に既知の他の手段によって噴霧され得る。
【0023】
基材は、本明細書に記載のコーティング組成物を含み得る。本明細書に記載の方法で使用するための好適な基材としては、金属、プラスチック、コンクリート、アスファルト、木材、ジオテキスタイル、ガラス繊維複合材料、及び/又は炭素繊維複合材料が挙げられる。好適な金属基材は、例えば、鉄金属、アルミニウム、アルミニウム合金、並びに他の金属及び合金基材。本開示の実施において使用される鉄金属基材は、鉄、鋼、及びそれらの合金を含み得る。有用な鋼材料の非限定的な例としては、熱間圧延鋼及び冷間圧延鋼、亜鉛めっき(亜鉛コーティング)鋼、電気亜鉛めっき鋼、ステンレス鋼、酸洗鋼、及びそれらの組み合わせが挙げられる。鉄金属と非鉄金属との組み合わせ又は複合体もまた、使用され得る。
【0024】
基材は、車両、構造体、又は産業保護構造物(例えば、電気ボックスエンクロージャ、変圧器ハウジング、モータ制御エンクロージャ、鉄道車両コンテナ)、トンネル、橋、石油又はガス工業コンポーネント(例えば、プラットフォーム、パイプ、タンク、容器、及びそれらの支持体)、船舶コンポーネント、車体部品、航空宇宙コンポーネント、パイプライン、貯蔵タンク、風力タービンコンポーネント、屋根構造コンポーネント、杭、アバットメント、防潮堤、及び一般鋼試料を構成し得る。物品は、本明細書に記載のコーティング組成物を含む基材を含み得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「構造物」は、建物、橋梁、石油リグ、石油プラットフォーム、給水塔、送電塔、支持構造物、風力タービン、壁、桟橋、ドック、堤防、ダム、輸送用コンテナ、トレーラー、及び腐食性環境に曝露される任意の金属構造物を指す。「車両」は、最も広い意味で、限定されないが、車、トラック、バス、トラクター、ハーベスター、ヘビーデューティ機器、バン、ゴルフカート、オートバイ、自転車、鉄道車両、飛行機、ヘリコプター、全サイズのボートなどの全種類の車両を指す。
【0026】
いくつかの例では、コーティングされた基材は、望ましい付着物剥離特性を有し得る。船体に海洋生物が付着する生物付着は、海洋船舶及び船舶にとって不利になる可能性がある。付着した海洋生物は、船舶の表面の粗さを増加させ、摩擦抵抗を増加させ、船舶の移動を妨げる可能性がある。生物は船体を損傷させ、船体の腐食速度を増加させる可能性がある。いくつかの例では、コーティングされた基材は、以下に記載されるように、フジツボ除去剥離試験を受けた場合、0.2MPaの最大フジツボ付着力を示し得る。例えば、最大フジツボ付着力は、0.1MPa、0.15MPa、又は0.2MPaであり得る。フジツボ除去剥離試験では、基材は、30日間などの特定の期間、フジツボ付着に好ましい条件さらされ得る。フジツボを除去するために必要な力は、最大平均負荷力として記録され得る。フジツボ除去剥離試験は、記録された除去力が、フジツボの基材への付着力ではなく、フジツボの不良箇所によるものではないことを確認するためのフジツボ破損試験を含み得る。
【0027】
いくつかの例では、コーティングされた基材は、望ましい除氷特性を有し得る。風力タービンブレードなどの表面に氷が堆積すると、性能が損なわれ、タービンの過負荷及び/又はローター不均衡を引き起こす可能性がある。氷の飛散、構造物からの氷の大きな薄片の落下は、周囲に危険をもたらす。いくつかの例では、コーティングされた基材は、以下に記載される着氷試験に供した場合、400Nの最大平均負荷力を示し得る。例えば、最大平均負荷力は、250N、275N、300N、325N、350N、375N、又は400Nであり得る。
【0028】
基材上のコーティングは、製造及びサービス中の摩耗によって損傷を受ける可能性がある。いくつかの例では、本明細書に記載のコーティングは、耐久性があり得、コーティングされた基材は、摩耗に抵抗し得る。コーティングされた基材は、ASTM D4060-14によって測定される耐摩耗性について、コーティングに対して60mg未満の損失を有し得る。例えば、コーティング損失は、ASTM D4060-14によって測定される耐摩耗性について、20mg、35mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、又は60mg未満であり得る。
【0029】
いくつかの例では、コーティングされた基材は、望ましい海洋生物付着除去特性を有し得る。細菌の薄いシートであるバイオフィルムは、海洋船舶の表面に形成され得る。バイオフィルムは、鉄及び非鉄金属の微生物の影響による腐食、抗力の増加、及び生物付着活動からの効率の低下などの材料の劣化をもたらし得る。いくつかの例では、コーティングされた基材は、以下に記載されるように、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供した場合、Cellulophaga lytica(C.lytica)について少なくとも30%、及びNavicula incerta(N.incerta)について少なくとも50%の最小平均除去を示し得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、別段明示的に指定されない限り、値、範囲、量、又はパーセンテージを表すものなどの全ての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という語によって前置きされているかのように読み取られ得る。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に含まれる全ての部分範囲を含むことが意図される。複数は単数を包含し、その逆も同様である。例えば、本開示は、「ある」アミン官能性樹脂に関して説明されているが、かかる樹脂の混合物も使用され得る。また、本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、プレポリマー、オリゴマー、及びホモポリマーとコポリマーとの両方を指すことを意味し、「ポリ」という接頭辞は、2つ以上を指す。同様に、本明細書で使用される場合、「上に」、「上/上に(on/over)塗布された」、「上/上に形成された」、「上/上に堆積された」、「重層された」、及び「上/上に提供された」という用語は、それぞれ、表面に塗布される、形成される、堆積される、重層される、又は提供されるが、必ずしも表面と接触しない表面を意味する。例えば、基材を「上に形成される」コーティング層は、形成されるコーティングと基材との間に位置する、同じ又は異なる組成物の他のコーティング層の存在を排除しない。
【0031】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値ではあるが、特定の実施例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準的なばらつきから必然的に生じる特定の誤差を本質的に含有する。範囲が与えられている場合、それらの範囲の任意のエンドポイント及び/又はそれらの範囲内の任意の数値を、本開示の範囲内で組み合わせることができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、及び「the」の意味は、文脈が他に明確に指示しない限り、単数及び複数の指示対象を含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」という用語は、特に明記しない限り、オープンエンド用語として解釈され(すなわち、「を含むが、これに限定されない」を意味する)、任意の変形又は付加を除外するように特許請求される開示を限定しない。本発明の様々な実施形態は、「含む」という観点から記述されてきたが、本質的にからなるか又はからなる実施形態も、本発明の範囲内である。この文脈において、「から本質的になる」とは、任意の追加の構成成分が、組成物の粘度又は他の特性に物質的に影響を及ぼさないことを意味する。
【0034】
上述及び以下の特徴及び例、並びにそれらの組み合わせの各々は、本開示に包含されると言える。
【0035】
以下の実施例は、本開示を更に説明することを意図している。本明細書に記載される開示は、必ずしもこのセクションに記載される実施例に限定されないことが理解される。本開示で使用するための好適な代替材料として本明細書の他の場所に記載されているが、以下の実施例では示されていない成分は、示された対応物と比較可能な結果を提供することが期待される。
【実施例
【0036】
本開示の広範な範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値ではあるが、特定の実施例で示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準的なばらつきから必然的に生じる特定の誤差を本質的に含有する。
【0037】
除氷及び付着物剥離コーティング組成物の比較例及び実施例を用意し、性能について評価した。評価した組成物を、表1に列挙する。実施例1及び2は、比較例である。実施例3~4は、本明細書に記載のコーティング組成物の実施例である。
【表1】
【0038】
US8,691,929(実施例1)に記載のプロセスに従って、イソシアネート官能性プレポリマー#1を合成した。US8,691,929(実施例2)に記載のプロセスに従って、イソシアネート官能性プレポリマー#2を合成した。含まれる他の添加剤:Bentone 34(Akzo Nobel Chemicals(Amsterdam,Netherlands)から入手可能な粘土誘導体)、BYK-9077(BYK Additives and Instruments(Wesel,Germany)から入手可能な無溶剤の湿潤及び分散添加剤)、顔料(例えば、TiO)、親水性フュームドシリカ、UV吸収剤。
【0039】
Bパック(アミン)試料を、最初に50%のアミン官能性樹脂を、該当する場合、BYK-9077分散剤、UV吸収剤、及びDBDLと組み合わせることによって調製した。撹拌下で、顔料を、該当する場合、樹脂ブレンドに添加し、高剪断下でCowlesブレードで30分間粉砕した。粉砕段階が完了したら、アミン官能性樹脂の残りの50%を、アミン官能性シリコーン及びポリシロキサン成分とともに、該当する場合、低剪断下で添加し、10分間混合して、Bパック配合物を完成させた。試料を、全ての塗布作業の前に10分間振盪して、均質な試料を確実にした。
【0040】
Aパック(イソシアネート)を、イソシアネート官能性プレポリマー#1を、該当する場合、総配合物量の0~30%のシリコーンコポリマーと組み合わせることによって調製した。試料を、窒素が豊富な環境下でインペラブレードを使用して撹拌し、混合した。US8,691,929(実施例2)に記載のプロセスを通して合成されたイソシアネート官能性プレポリマー#2を含む代替のAパックも使用した。
【0041】
基材を、コーティングの押出を介してコーティングした。湿試料を、最初に50mL、1:1、2成分カートリッジ(Nordson TAH 50mLカートリッジ)に充填し、Oリングピストン(Nordson EFD EPDM Oリングピストントール)でキャップした。塗布は、6インチの静的混合チップ(Nordson 7701488)を使用して、20~30psiの塗布圧力に設定された空気圧式ガン(CoxA25デュアルコンポーネント 50mL空気圧カートリッジガン)を使用して行った。試料を押出し、その後、約20ミルまで素早く引き抜いた。コーティング厚は、シムを使用してドローダウンしながら制御した。鉄基材(CRS鋼、滑らかな仕上げQ-パネルストック#QD-412、EコーティングCRS-ACT製品#26241)を磁気ボード上に調製して、試料を所定の位置に保持し、平坦な作業面を維持した。非鉄基材(4インチ×8インチプレプライミングアルミニウム:Q-パネルストック#AQ-48)を、真空ドローダウンプレートを使用して調製した。除氷用の試料を、基材の両面にコーティングし、塗布の間に1日の間隔をあけた。任意の試験を行う前に、試料を7日間硬化させた。
【0042】
コーティングを、表面自由エネルギー、水及びジヨードメタン(DM)接触角、除氷力、耐摩耗性、及び付着物剥離特性について評価した。
【0043】
着氷に対する配合変更の有効性を評価するために、着氷試験を開発した。使用した試験方法は、米国陸軍工兵隊技術者研究開発センター文書番号ERDC/CRRELTR-06-11(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されていた。そこに記載されている治具の設計は、既存の試験装置と接続し、約0.032インチ厚の試験パネルを受け入れるように修正された。概して、手順は以下のとおりであった:4インチ幅の試験パネルを、所望のコーティング(複数可)で両側にコーティングした。適切な硬化時間後、試験パネルから5つの1×4インチストリップを切断した。治具を1インチの深さの水で満たすことができるように、試験ストリップを、試験治具の中心に所定の位置にテーピングした。冷水を使用して試験器具を充填し、コーティングされたパネルの両側が1インチの水と接触することを確認した。試験治具全体を、-20℃の冷凍庫に一晩入れた。次いで、試験治具を、-20℃に設定された環境チャンバを備えた引張試験機(例えば、INSTRON5567)に移した。試験治具は、引張試験機の固定端が試験治具に接続され、可動ジョーが試験パネルに接続されるように取り付けた。この試験設定は、試験紙と水から形成された氷との間に相対的な動きを生み出す。試験紙及び水を所定の位置に保持するテープを除去し、一定の伸長速度を使用して、パネルを氷から除去するために必要な最大力を記録した。典型的には、各コーティングバリエーションの5つの試料を試験し、平均最大荷重を報告した。
【0044】
付着物剥離に対する配合変更の有効性を評価するために、フジツボ除去剥離試験を開発した。使用した試験方法は、Stafslien,Shane,et al.,“An improved laboratory reattachment method for the rapid assessment of adult barnacle adhesion strength to fouling-release marine coatings,”J.Coat.Technol.Res.,April 2012に記載されていた。
【0045】
微生物剥離に対する配合変更の有効性を評価するために、20psiのウォータージェットを使用する微生物除去試験を開発した。使用した試験方法は、Stafslien,Shane,et al.,“Combinatorial materials research applied to the development of new surface coatings VI:An automated spinning water jet apparatus for the high-throughput characterization of fouling-release marine coatings,”Am.Inst.Physics,Rev.Scientific Instruments,78,072204,2007、及びCasse,Franck,et al.,“Combinatorial materials research applied to the development of new surface coatings V. Application of a spinning water-jet for the semi-high throughput assessment of the attachment strength of marine fouling algae,”Biofouling,23:2,121,2007に記載されていた。
【0046】
耐摩耗性を、CS-17研磨ディスクを備えたASTM D4060-14に基づくTaber5150機器を使用して、真空下、60RPMで1kgの重量で1000サイクル分収集した。研磨ディスクを、500回の試験サイクルごとに、S-11研磨ディスクで50サイクル再表面処理した。耐摩耗性は、1000回の試験サイクル後のコーティングの重量損失(mg)として記録した。表面自由エネルギー及び接触角を、ASTM 7490-13を介してKruss DSA 100機器を使用して収集した。
【0047】
表2に、試験パネルの特性を提供する。
【表2】
【0048】
好適な組成物及び方法の例示的な実施形態
以下で使用されるように、組成物、物品、又は方法への任意の言及は、それらの組成物、物品、又は方法のそれぞれへの言及として分離的に理解される(例えば、「例示的な実施形態1~4は、例示的な実施形態1、2、3、又は4として理解される」)。
【0049】
例示的な実施形態1は、イソシアネート成分、アミン官能性樹脂、及び脂肪族コポリマーを含むポリウレア成分と、ポリシロキサン成分とを含む、コーティング組成物である。
【0050】
例示的な実施形態2は、イソシアネート成分とアミン官能性樹脂の当量比が、1.01:1~1.4:1の範囲である、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0051】
例示的な実施形態3は、アミン官能性樹脂が、16~43重量%の範囲である、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0052】
例示的な実施形態4は、脂肪族コポリマー成分が、シリコーンコポリマーを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0053】
例示的な実施形態5は、脂肪族コポリマー成分が、シリコーンポリエーテルコポリマーを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0054】
例示的な実施形態6は、イソシアネート成分が、イソホロンジイソシアネート及びポリエーテルジアミンから形成されるプレポリマーを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0055】
例示的な実施形態7は、アミン官能性樹脂が、二官能性アミン、トリアミン、脂肪族ジアミン鎖延長剤、又はそれらの組み合わせを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0056】
例示的な実施形態8は、二官能性アミンが、組成物の総固体重量に基づいて、8~25重量%の範囲である、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0057】
例示的な実施形態9は、二官能性アミンが、アスパラギン酸エステルを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0058】
例示的な実施形態10は、トリアミンが、組成物の総固体重量に基づいて、5~15重量%の範囲である、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0059】
例示的な実施形態11は、トリアミンが、ポリエーテルアミンを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0060】
例示的な実施形態12は、脂肪族ジアミン鎖延長剤が、組成物の総固体重量に基づいて、3.6~12重量%の範囲である、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0061】
例示的な実施形態13は、脂肪族ジアミン鎖延長剤が、エチルシアニドを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0062】
例示的な実施形態14は、ポリシロキサン成分が、組成物の総固体重量に基づいて、最大60重量%を構成する、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0063】
例示的な実施形態15は、ポリシロキサン成分が、アミン官能性シリコーン、シリコーンポリエーテルコポリマー、フェニルシリコーン、又はそれらの組み合わせを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0064】
例示的な実施形態16は、ポリシロキサン成分が、ポリジメチルシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン、ポリフェニルメチルジメチルシロキサン、又はそれらの組み合わせを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0065】
例示的な実施形態17は、スズ化合物を更に含み、スズ化合物が、任意選択的にオルガノスズ化合物を含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0066】
例示的な実施形態18は、有機スズ化合物が、組成物の総固体重量に基づいて、組成物の1重量%未満を含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0067】
例示的な実施形態19は、殺生物剤を更に含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0068】
例示的な実施形態20は、殺生物剤が、銀及び/又は銅を含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0069】
例示的な実施形態21は、コーティング組成物であって、イソシアネート成分、16~43重量%のアミン官能性樹脂、及び脂肪族コポリマーを含むポリウレタン成分と、最大60重量%のポリシロキサン成分と、を含み、イソシアネート成分とアミン官能性樹脂の当量比が、1.01:1~1.4:1の範囲である、コーティング組成物である。
【0070】
例示的な実施形態22は、アミン官能性樹脂が、8~25重量%の二官能性アミン、5~15重量%のトリアミン、及び3.6~12重量%の脂肪族ジアミン鎖延長剤を含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0071】
例示的な実施形態23は、1重量%未満の量の有機スズ化合物を更に含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0072】
例示的な実施形態24は、最大30重量%の量の添加剤を更に含み、添加剤が、湿潤剤、分散剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、有機粘土誘導体、フュームドシリカ、顔料、殺生物剤、又はそれらの組み合わせを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0073】
例示的な実施形態25は、イソシアネート成分、8~25重量%の二官能性アミン、5~15重量%のトリアミン、3.6~12重量%の脂肪族ジアミン鎖延長剤、及び脂肪族コポリマーを含むポリウレア成分と、最大60重量%のポリシロキサン成分と、を含み、イソシアネート成分と、二官能性アミン、トリアミン、及び脂肪族ジアミン鎖延長剤の総量の当量比が、1.01:1~1.4:1の範囲である、コーティング組成物である。
【0074】
例示的な実施形態26は、1重量%未満の量の有機スズ化合物を更に含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0075】
例示的な実施形態27は、最大10重量%の量の添加剤を更に含み、添加剤が、湿潤剤、分散剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、有機粘土誘導体、フュームドシリカ、顔料、殺生物剤、又はそれらの組み合わせを含む、任意の先行する例示的な実施形態に記載のコーティング組成物である。
【0076】
例示的な実施形態28は、任意の先行する例示的な実施形態に記載のコーティング組成物を含む、基材である。
【0077】
例示的な実施形態29は、コーティングされた基材が、着氷試験に供された場合、400Nの最大平均負荷力を示す、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の基材である。
【0078】
例示的な実施形態30は、コーティングされた基材が、フジツボ除去剥離試験に供された場合、0.2MPaの最大フジツボ付着力を示す、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の基材である。
【0079】
例示的な実施形態31は、コーティングが、ASTM D4060-14によって測定される耐摩耗性について60mg未満の損失を有する、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の基材である。
【0080】
例示的な実施形態32は、コーティングされた基材が、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、C.lyticaについて少なくとも30%の最小平均除去を示す、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の基材である。
【0081】
例示的な実施形態33は、コーティングされた基材が、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、N.incertaについて少なくとも50%の最小平均除去を示す、任意の先行する例示的な実施形態に記載の基材である。
【0082】
例示的な実施形態34は、任意の先行する例示的な実施形態に記載の基材を備える、物品である。
【0083】
例示的な実施形態35は、基材をコーティングするための方法であって、基材の少なくとも一部分に、任意の先行する例示的な実施形態に記載のコーティング組成物を塗布することを含む、方法である。
【0084】
例示的な実施形態36は、基材が、金属、プラスチック、コンクリート、アスファルト、木材、ジオテキスタイル、ガラス繊維複合材料、及び/又は炭素繊維複合材料を含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0085】
例示的な実施形態37は、金属基材が、鉄、鋼、鋼合金、亜鉛めっき金属、及び/又はアルミニウムを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0086】
例示的な実施形態38は、基材の少なくとも一部分が、第1のコーティング及び/又はプライマーを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0087】
例示的な実施形態39は、コーティング組成物を塗布する前に、基材の少なくとも一部分を準備することを更に含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0088】
例示的な実施形態40は、基材の少なくとも一部分を準備することが、基材の少なくとも一部分に対してグリットブラスト、サンドブラスト、プライミング、及び/又は電着塗装を行うことを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0089】
例示的な実施形態41は、基材の少なくとも一部分を準備することが、基材の少なくとも一部分に離型剤を塗布することを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0090】
例示的な実施形態42は、コーティング組成物を塗布することが、押出及び/又は噴霧を含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0091】
例示的な実施形態43は、噴霧が、エアパージスプレー、機械的パージスプレー、霧化エアスプレー、非霧化エアスプレー、霧化エアレススプレー、又は非霧化エアレススプレーを含む、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0092】
例示的な実施形態44は、コーティングされた基材が、着氷試験に供された場合、400Nの最大平均負荷力を示す、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0093】
例示的な実施形態45は、コーティングされた基材が、フジツボ除去剥離試験に供された場合、0.2MPaの最大フジツボ付着力を示す、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0094】
例示的な実施形態46は、コーティングが、ASTM D4060-14によって測定される耐摩耗性について60mg未満の損失を有する、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0095】
例示的な実施形態47は、コーティングされた基材が、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、C.lyticaについて少なくとも30%の最小平均除去を示す、任意の先行する又は後続の例示的な実施形態に記載の方法である。
【0096】
例示的な実施形態48は、コーティングされた基材が、20psiのウォータージェットによる微生物除去試験に供された場合、N.incertaについて少なくとも50%の最小平均除去を示す、任意の先行する例示的な実施形態に記載の方法である。
【0097】
本開示の特定の実施例が、例示の目的で上に記載されてきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細に多数の変更が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。

【国際調査報告】