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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】送達のための脂質及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/12 20060101AFI20250117BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20250117BHJP
   A61K 9/127 20250101ALI20250117BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20250117BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20250117BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C07C229/12 CSP
A61K47/18
A61K9/127
A61K9/51
A61K31/7105
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024539654
(86)(22)【出願日】2022-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2022143074
(87)【国際公開番号】W WO2023125738
(87)【国際公開日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】202111638123.4
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210651178.7
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516174219
【氏名又は名称】江蘇恒瑞医薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521567756
【氏名又は名称】上海森輝医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI SENHUI MEDICINE CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor 4, No.14 Building, No.3728 Jinke Road, Free Trade Pilot Zone, Pudong New Area, Shanghai 201203, China
(71)【出願人】
【識別番号】520392096
【氏名又は名称】上海盛迪医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI SHENGDI PHARMACEUTICAL CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.1288 Haike Road, Zhangjiang Town, Pudong New District, Shanghai 201210, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】祝 令建
(72)【発明者】
【氏名】石 健宇
(72)【発明者】
【氏名】劉 崇懿
(72)【発明者】
【氏名】姜 軍
(72)【発明者】
【氏名】黄 建
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4H006
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA65
4C076CC50
4C076DD14F
4C076DD14H
4C076DD50F
4C076DD50H
4C076DD63F
4C076DD63H
4C076DD70F
4C076DD70H
4C076EE23F
4C076EE23H
4C076FF16
4C076FF21
4C076FF36
4C076FF43
4C076FF65
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA24
4C086MA38
4C086MA66
4C086NA13
4C086ZA15
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB32
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006AB21
4H006AB22
4H006AB28
4H006AB29
4H006BN10
4H006BP10
4H006BT12
(57)【要約】
送達のための脂質及び組成物。具体的には、式Iに示される化合物又はその塩、そのうち、R1~R3、H1~H3、L1、L2は、明細書で定義される通りである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される化合物又はその塩であって、
【化1】
そのうち、L及びLは、それぞれ独立して-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-、-OC(O)O-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(O)S-、-SC(O)-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-NRC(O)NR-、-NRC(O)O-、-OC(O)NR-又は結合から選ばれ、Rは水素又はC1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、
及びHは、それぞれ独立してC1-12ヘテロアルキレン基、C1-12アルキレン基、C2-12アルケニレン基から選ばれ、且つH及びHの少なくとも1つは、C1-12ヘテロアルキレン基であり、
は、C1-24アルキレン基、C2-24アルケニレン基、C3-8シクロアルキレン基又はC3-8シクロアルケニレン基から選ばれ、
及びRは、それぞれ独立してC1-24アルキル基又はC2-24アルケニル基から選ばれ、
は、水素、-CN、-C(O)OR、-OC(O)R、-OR又は-NRC(O)Rから選ばれ、Rは、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、Rは、水素、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、
xは、0、1又は2から選ばれる、
化合物又はその塩。
【請求項2】
は、C1-12ヘテロアルキレン基、好ましくはC2-9ヘテロアルキレン基から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
及びLは、それぞれ独立して-C(O)O-、-OC(O)-又は結合から選ばれる、
請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
及びRは、それぞれ独立してC2-24アルキル基、好ましくはC4-18アルキル基から選ばれ、或いはR及びRは、それぞれ独立してC2-24アルケニル基、好ましくはC4-18アルケニル基から選ばれる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
式Iに示される化合物は、
【化2】
であり、そのうち、H、H、H、R、R及びRは、請求項1に定義される通りである、
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
は、C2-24アルケニレン基、C3-8シクロアルキレン基又はC3-8シクロアルケニレン基、好ましくはC3-8シクロアルキレン基から選ばれ、或いはHは、C2-24アルキレン基から選ばれる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
式Iに示される化合物は、
【化3】
であり、そのうち、Rは、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、nは、1~12の間の整数、例えば、2、3、4、5又は6から選ばれ、H、H、R、R及びRは、請求項1に定義される通りである、
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
は、-CN又はヒドロキシ基から選ばれ、或いはRは、-C(O)OR、-OC(O)R又は-NHC(O)Rから選ばれ、Rは請求項1に定義される通りであり、更に、Rは、好ましくはC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基又はプロピル基である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
式Iに示される化合物は、
【化4】
であり、そのうち、Xは、-N(R)-又は-O-であり、oは、1~11の間の整数から選ばれ、pは、1~5の間の整数から選ばれ、且つo+pは、12以下であり、Rは、水素、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、R、R、R10、R11は、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、L、L、H、H、R、R及びRは、請求項1に定義される通りである、
請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
pは1又は2から選ばれる、
請求項9に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
は、C3-7アルキレン基又はC3-7アルケニレン基から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
式Iに示される化合物は、
【化5】
であり、そのうち、H、R、R及びRは請求項1に定義される通りであり、R及びnは請求項7に定義される通りであり、R、R、R10、R11、X、o及びpは請求項9に定義される通りである、
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項13】
は、
【化6】
から選ばれる、
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項14】
式Iに示される化合物は、
【化7】
【化8】
から選ばれる、
請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物の同位体置換物であって、好ましくは、重水素原子置換である、
同位体置換物。
【請求項16】
脂質粒子であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含み、活性薬剤、好ましくはポリヌクレオチド又は核酸、例えばmRNAを更に含む、
脂質粒子。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の脂質粒子と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、
医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又はその塩、或いは請求項15に記載の同位体置換物、或いは請求項16に記載の脂質粒子、或いは請求項17に記載の医薬組成物の、がん、感染症、自己免疫疾患、神経変性疾患及び炎症を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬分野に属し、送達のための脂質及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メッセンジャーRNA(mRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、プラスミドなどの核酸類ベースの薬物は、広範囲の応用の見込みを有し、体内の標的器官及び標的細胞にいかに安全且つ効率的に送達するかが、この技術の発展を制約する困難な問題である。
【0003】
現在、核酸薬物送達システムは、ウィルスベクターシステムと非ウィルス系の2つに大別され、脂質ナノ粒子を介した核酸薬物送達は、非ウィルス送達システムに属する主な方法である。
【0004】
遺伝子治療及びワクチン応用において、脂質ナノ粒子は、様々な疾患を治療するための核酸の優れたベクターであることが既に証明された。カチオン性脂質及び他のヘルパー脂質、例えばコレステロール、リン脂質及びPEG化脂質から形成された脂質ナノ粒子は、核酸を被包し、核酸を分解から保護し、そして細胞の摂取を促進し、免疫応答を低下させる。また、脂質ナノ粒子は、生物活性成分の細胞伝達を行うことで、標的指向性が良く、副作用が少なく、安定性が良く、トランスフェクション効率が高いなどの他の利点を有する。
【0005】
核酸類分子による治療分野の急速な発展に基づき、核酸類薬物の送達に対する需要が高まっており、そのため効率的で安全な核酸送達ベクターの開発が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本開示(The disclosure)は、式Iに示される化合物又はその塩を提供し、
【化1】
そのうち、L及びLは、それぞれ独立して-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)-、-OC(O)O-、-O-、-S(O)-、-S-S-、-C(O)S-、-SC(O)-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-NRC(O)NR-、-NRC(O)O-、-OC(O)NR-又は結合から選ばれ、Rは水素又はC1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、
及びHは、それぞれ独立してC1-12ヘテロアルキレン基、C1-12アルキレン基、C2-12アルケニレン基から選ばれ、且つH及びHの少なくとも1つは、C1-12ヘテロアルキレン基であり、
は、C1-24アルキレン基、C2-24アルケニレン基、C3-8シクロアルキレン基又はC3-8シクロアルケニレン基から選ばれ、
及びRは、それぞれ独立してC1-24アルキル基又はC2-24アルケニル基から選ばれ、
は、水素、-CN、-C(O)OR、-OC(O)R、-OR又は-NRC(O)Rから選ばれ、Rは、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、Rは、水素、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、
xは、0、1又は2から選ばれる。
【0007】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるH及びHの少なくとも1つは、ヘテロアルキレン基であり、上記ヘテロアルキレン基は、O、N及びSから選ばれる少なくとも1つのヘテロ原子を含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるHは、C1-12ヘテロアルキレン基、好ましくはC2-9ヘテロアルキレン基から選ばれる。幾つかの実施形態において、ヘテロアルキレン基は、少なくとも1つの酸素原子を含むヘテロアルキレン基である。幾つかの実施形態において、ヘテロアルキレン基は、2つの酸素原子を含むヘテロアルキレン基である。幾つかの実施形態において、ヘテロアルキレン基は、少なくとも1つの窒素原子を含むヘテロアルキレン基である。幾つかの実施形態において、ヘテロアルキレン基は、少なくとも1つの酸素原子を含むヘテロアルキレン基である。
【0009】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるL及びLは、それぞれ独立して-C(O)O-、-OC(O)-又は結合から選ばれる。
【0010】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるL及びLは、それぞれ独立して-C(O)-、-OC(O)O-、-O-又は結合から選ばれる。
【0011】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるL及びLは、それぞれ独立して-S(O)-、-S-S-、-C(O)S-、-SC(O)-又は結合から選ばれる。
【0012】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるL及びLは、それぞれ独立して-NRC(O)-、-C(O)NR-、-NRC(O)NR-、-NRC(O)O-又は結合から選ばれる。
【0013】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるL及びLは、それぞれ独立して-NRC(O)NR-、-NRC(O)O-、-OC(O)NR-又は結合から選ばれる。
【0014】
別の態様では、幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR及びRは、それぞれ独立してC2-24アルキル基(Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、Cアルキル基、C10アルキル基、C11アルキル基、C12アルキル基、C13アルキル基、C14アルキル基、C15アルキル基、C16アルキル基、C17アルキル基、C18アルキル基、C19アルキル基、C20アルキル基、C21アルキル基を含むが、これらに限定されない)から選ばれる。別の幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR及びRは、それぞれ独立してC4-18アルキル基から選ばれる。
【0015】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR及びRは、それぞれ独立して分岐鎖C4-18アルキル基から選ばれる。
【0016】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR及びRは、それぞれ独立して直鎖C4-18アルキル基から選ばれる。
【0017】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるRは、直鎖C4-18アルキル基から選ばれ、Rは、分岐鎖C4-18アルキル基から選ばれる。
【0018】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるRは、分岐鎖C4-18アルキル基から選ばれ、Rは、分岐鎖C4-18アルキル基から選ばれる。
【0019】
幾つかの実施形態により提供される式Iに示される化合物又はその塩において、R及びRは、それぞれ独立してC2-24アルケニル基(Cアルケニル基、Cアルケニル基、Cアルケニル基、Cアルケニル基、Cアルケニル基、Cアルケニル基、Cアルケニル基、Cアルケニル基、C10アルケニル基、C11アルケニル基、C12アルケニル基、C13アルケニル基、C14アルケニル基、C15アルケニル基、C16アルケニル基、C17アルケニル基、C18アルケニル基、C19アルケニル基、C20アルケニル基、C21アルケニル基を含むが、これらに限定されない)から選ばれる。別の幾つかの実施形態により提供される式Iに示される化合物又はその塩におけるR及びRは、それぞれ独立してC4-18アルケニル基から選ばれる。
【0020】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR及びRは、それぞれ独立して分岐鎖C4-18アルケニル基から選ばれる。
【0021】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR及びRは、それぞれ独立して直鎖C4-18アルケニル基から選ばれる。
【0022】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるRは、直鎖C4-18アルケニル基から選ばれ、Rは、分岐鎖C4-18アルケニル基から選ばれる。
【0023】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるRは、分岐鎖C4-18アルケニル基から選ばれ、Rは、分岐鎖C4-18アルケニル基から選ばれる。
【0024】
更に、幾つかの実施形態により提供される式Iに示される化合物は、
【化2】
であり、そのうち、H、H、H、R、R及びRは、上記で定義される通りである。
【0025】
幾つかの実施形態において、式I若しくはIIa若しくはIIbに示される化合物又はその塩におけるHは、C2-24アルケニレン基、C3-8シクロアルキレン基又はC3-8シクロアルケニレン基から選ばれ、或いはHは、C1-24アルキレン基から選ばれる。別の幾つかの実施形態において、式I若しくはIIa若しくはIIbに示される化合物又はその塩におけるHは、C3-8シクロアルキレン基から選ばれる。
【0026】
幾つかの実施形態において、C2-24アルケニレン基は、Cアルケニレン基、Cアルケニレン基、Cアルケニレン基、Cアルケニレン基、Cアルケニレン基、Cアルケニレン基、Cアルケニレン基、Cアルケニレン基、C10アルケニレン基、C11アルケニレン基、C12アルケニレン基、C13アルケニレン基、C14アルケニレン基、C15アルケニレン基、C16アルケニレン基、C17アルケニレン基、C18アルケニレン基、C19アルケニレン基、C20アルケニレン基、C21アルケニレン基、C22アルケニレン基又はC23アルケニレン基を含むが、これらに限定されない。
【0027】
幾つかの実施形態において、C2-24アルキレン基は、Cアルキレン基、Cアルキレン基、Cアルキレン基、Cアルキレン基、Cアルキレン基、Cアルキレン基、C10アルキレン基、C11アルキレン基、C12アルキレン基、C13アルキレン基、C14アルキレン基、C15アルキレン基、C16アルキレン基、C17アルキレン基、C18アルキレン基、C19アルキレン基、C20アルキレン基、C21アルキレン基、C22アルキレン基又はC23アルキレン基を含むが、これらに限定されない。
【0028】
別の幾つかの実施形態により提供される式I若しくはIIa若しくはIIbに示される化合物は、
【化3】
であり、そのうち、Rは、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、nは、1~12の間の整数(2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12を含むが、これらに限定されない)から選ばれ、H、H、R、R及びRは、式Iに示される化合物に定義される通りである。
【0029】
幾つかの実施形態において、式IIIa若しくはIIIbに示される化合物又はその塩におけるnは、2、3、4、5又は6である。
【0030】
幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIIa若しくはIIIbに示される化合物又はその塩におけるRは、-CN又はヒドロキシ基から選ばれる。幾つかの実施形態において、式I若しくは式IIIa若しくはIIIbに示される化合物又はその塩におけるRは、-C(O)OR、-OC(O)R又は-NHC(O)Rから選ばれ、Rは、上記に定義される通りである。
【0031】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるRは、メチル基、エチル基又はプロピル基を含むがこれらに限定されないC1-6アルキル基から選ばれる。
【0032】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物は、
【化4】
であり、そのうち、Xは、-N(R)-又は-O-であり、oは、1~11の間の整数から選ばれ、pは、1~5の間の整数から選ばれ、且つo+pは、12以下であり、Rは、水素、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、R、R、R10、R11は、それぞれ独立して水素、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基又はC2-6アルケニル基から選ばれ、L、L、H、H、R、R及びRは、式Iに示される化合物に定義される通りである。
【0033】
幾つかの実施形態において、式IIc若しくはIIdに示される化合物又はその塩におけるpは、1又は2から選ばれる。
【0034】
幾つかの実施形態において、式IIc若しくはIIdに示される化合物又はその塩におけるoは、4、5、6、7又は8から選ばれる。
【0035】
幾つかの実施形態において、式IIc若しくはIIdに示される化合物又はその塩におけるXは、-O-である。
【0036】
幾つかの実施形態において、式IIc若しくはIIdに示される化合物又はその塩におけるR、R、R10、R11は、それぞれ独立して水素から選ばれる。
【0037】
幾つかの実施形態において、式IIc若しくはIIdに示される化合物又はその塩におけるR10、R11は、それぞれ独立してC1-6アルキル基から選ばれる。
【0038】
幾つかの実施形態において、式IIc若しくはIIdに示される化合物又はその塩におけるRは、ヒドロキシ基から選ばれる。
【0039】
別の幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物は、
【化5】
であり、H、R、R及びRは式Iに示される化合物に定義される通りであり、R、R、R10、R11、X、o及びpは式IIcに示される化合物に定義される通りである。
【0040】
幾つかの実施形態において、式I若しくはIIIc若しくはIIIdに示される化合物又はその塩におけるHは、C3-7アルキレン基又はC3-7アルケニレン基から選ばれる。
【0041】
幾つかの実施形態により提供される式Iに示される化合物は、
【化6】
であり、そのうち、H、R、R及びRは式Iに示される化合物に定義される通りであり、R、R、R10、R11、X、o及びpは式IIcに示される化合物に定義される通りであり、R及びnは上記に定義される通りである。
【0042】
別の態様では、幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR、Rは、それぞれ以下の構造:
【化7】
を有し、そのうち、R12a、R12b、R12cは、それぞれ独立して水素、C1-12アルキル基又はC2-12アルケニル基から選ばれ、kは、2~12の間の整数である。
【0043】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるR12cは、水素から選ばれる。
【0044】
幾つかの実施形態において、式Iに示される化合物又はその塩におけるRは、
【化8】
から選ばれる。
【0045】
式Iに示される典型的な化合物又はその薬学的に許容される塩は、
【化9】
【化10】
を含むが、これらに限定されない。
【0046】
本開示は、上記化合物又はその塩の同位体置換物を更に提供し、好ましくは、上記同位体置換物は、重水素原子置換である。
【0047】
本開示では、上記化合物又はその塩を含む脂質粒子を更に提供する。更に、幾つかの実施形態において、上記脂質粒子は活性薬剤を更に含む。
【0048】
幾つかの実施形態において、上記活性薬剤は、ポリヌクレオチド又は核酸(例えば、リボ核酸又はデオキシリボ核酸)から選ばれる。
【0049】
幾つかの実施形態において、上記活性薬剤はmRNAから選ばれる。本開示はまた、上記脂質粒子及び薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を更に提供する。ある実施形態において、組成物の総重量に基づき、上記医薬組成物は、0.01%~99.99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.1%~99.9%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、0.5%~99.5%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、1%~99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。ある実施形態において、上記医薬組成物は、2%~98%の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0050】
本開示は、対象における免疫応答を誘発する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、上記化合物若しくはその塩、又は同位体置換物、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物の使用を更に提供する。
【0051】
本開示は、ポリペプチドの過剰発現に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、上記化合物若しくはその塩、又は同位体置換物、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物の使用を更に提供する。
【0052】
本開示は、ポリペプチドの不十分な発現に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、上記化合物若しくはその塩、又は同位体置換物、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物の使用を更に提供する。
【0053】
幾つかの実施形態において、上記疾患又は病状は、がん、感染症、自己免疫疾患、神経変性疾患及び炎症を含むが、これらに限定されない。
【0054】
本開示は、対象における免疫応答を誘導する疾患又は病状を予防及び/又は治療する方法であって、上記化合物若しくはその塩、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物を上記患者に投与することを含む方法を更に提供する。
【0055】
本開示は、ポリペプチドの過剰発現に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療する方法であって、上記化合物若しくはその塩、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物を上記患者に投与することを含む方法を更に提供する。
【0056】
本開示は、ポリペプチドの不十分な発現に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療する方法であって、上記化合物若しくはその塩、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物を上記患者に投与することを含む方法を更に提供する。
【0057】
別の態様では、本開示は、対象における免疫応答を誘導する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための、上記化合物若しくはその塩、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物を更に提供する。
【0058】
本開示は、ポリペプチドの過剰発現に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための、上記化合物若しくはその塩、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物を更に提供する。
【0059】
本開示は、ポリペプチドの不十分な発現に関連する疾患又は病状を予防及び/又は治療するための、上記化合物若しくはその塩、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物を更に提供する。
【0060】
本開示は、がん、感染症、自己免疫疾患、神経変性疾患及び炎症を予防及び/又は治療するための薬剤の調製における、上記化合物若しくはその塩、又は同位体置換物、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物の使用を更に提供する。
【0061】
本開示は、がん、感染症、自己免疫疾患、神経変性疾患及び炎症を予防及び/又は治療する方法であって、上記化合物若しくはその塩、又は上記脂質粒子、又は上記医薬組成物を上記患者に投与することを含む方法を更に提供する。
【0062】
本開示に記載される化合物塩は、「酸」付加塩及び「塩基」付加塩を含む。例えば、塩基性基(アミノ基)の酸ー塩基反応によって形成される塩であり、上記酸は、有機酸又は無機酸を含む。また、上記化合物塩は、塩基性基(アミノ基)との四級化によって形成される塩を更に含み、上記四級化剤は、直鎖又は分岐鎖状の塩素化炭化水素を含む。
【0063】
本開示に係る化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態があってもよい。本開示は、シス異性体及びトランス異性体、(-)-と(+)-エナンチオマー、(R)-と(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物と他の混合物、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマーに富む混合物を含み、このような化合物の全てが本開示の範囲に含まれることを意図する。アルキル基などの置換基には、他の不斉炭素原子があってもよい。このような異性体及びそれらの混合物の全ては、本開示の範囲に含まれる。本開示に係る不斉炭素原子を含む化合物は、光学活性純品の形態又はラセミ形態で単離されることができる。光学活性純品の形態は、ラセミ混合物から分割され、或いはキラル原料又はキラル試薬を使用することにより合成されてもよい。
【0064】
キラル合成又はキラル試薬又は他の通常の技術により、光学活性の(R)-と(S)-異性体及びDとL異性体を調製することができる。本開示のある化合物の1つのエナンチオマーを得るには、不斉合成又はキラル助剤を有する誘導作用により調製してもよく、そのうち、得られたジアステレオマー混合物を単離し、且つ基の分裂を補助することにより、必要なエナンチオマーの純品を提供する。或いは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合、適当な光学活性の酸又は塩基と共にジアステレオマーの塩を形成し、そして本分野でよく知られている通常の方法によりジアステレオマー分割を行い、その後、回収してエナンチオマーの純品を得る。なお、エナンチオマーとジアステレオマーの単離は、一般的にクロマトグラフィーを使用することにより完成され、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を採用し、且つ任意選択的に化学誘導法と組み合わせる(例えば、アミンからカルバメートを生成する)。
【0065】
本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化11】
という結合は配置が指定されていないことを示し、即ち、化学構造にキラル異性体が存在する場合、
【化12】
という結合は
【化13】
であってもよく、或いは
【化14】
という2つの配置を同時に含んでもよい。本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化15】
という結合は、配置が指定されておらず、即ち、Z配置又はE配置であってもよく、或いは2つの配置を同時に含んでもよい。
【0066】
本開示に係る化合物と中間体は更に、異なる互変異性体形態で存在してもよく、且つ、このような形態の全ては本開示の範囲内に含まれる。「互変異性体」又は「互変異性体形態」という用語は、低いエネルギー障壁により相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトン移動互変異性体ともいう)は、例えば、ケト-エノール及びイミン-エナミン、ラクタム-ラクチム異性化などのプロトリシスによる相互変換を含む。ラクタム-ラクチム平衡の実例は、以下に示すようなAとBの間である。
【0067】
【化16】
本開示における化合物の全ては、A型又はB型に描かれることができる。全ての互変異性形態は本開示の範囲にある。化合物の命名は、何れの互変異性体も排除しない。
【0068】
本開示は、本願に記載されるものと同じであるが、1つ又は複数の原子が、自然界で通常見られる原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子で置換された同位体標識の幾つかの本開示の化合物を更に含む。本開示の化合物に結合可能な同位体の実例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素及び塩素の同位体を含み、例えば、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36Clなどである。
【0069】
特に説明のない限り、1つの位置が特に重水素(D)と指定される場合、当該位置は、重水素の天然存在度(0.015%である)よりも少なくとも1000倍高い存在度を有する重水素(即ち、少なくとも10%の重水素が組み込まれた)であると理解すべきである。例における化合物の、重水素の天然存在度よりも高い存在度を有することは、少なくとも1000倍の存在度の重水素、少なくとも2000倍の存在度の重水素、少なくとも3000倍の存在度の重水素、少なくとも4000倍の存在度の重水素、少なくとも5000倍の存在度の重水素、少なくとも6000倍の存在度の重水素又はそれ以上の存在度の重水素であってもよい。本開示は、種々の重水素化形態の式(I)の化合物を更に含む。炭素原子に連結されるそれぞれの利用可能な水素原子は、独立的に重水素原子で置換されてもよい。当業者は、関連文献を参照して重水素化形態の式(I)の化合物を合成することができる。重水素化形態の式(I)の化合物は、調製する場合、市販の重水素化出発物質を使用してもよく、或いは、通常の技術により重水素化試薬で合成されてもよく、重水素化試薬は、重水素化ボラン、三重水素化ボランテトラヒドロフラン溶液、重水素化水素化アルミニウムリチウム、重水素化ヨードエタン及び重水素化ヨードメタンなどを含むが、これらに限定されない。
【0070】
「任意選択的に」又は「任意選択的」は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよいが、生じなくてもよいことを意味し、この説明は、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「任意選択的にハロゲン又はシアノ基で置換されるC1-6アルキル基」は、ハロゲン又はシアノ基が存在してもよいが、存在しなくてもよいことを意味し、この説明は、アルキル基がハロゲン又はシアノ基で置換された場合と、アルキル基がハロゲン及びシアノ基で置換されていない場合とを含む。
用語の説明:
【0071】
「医薬組成物」は、1種若しくは複数種の本願に記載される化合物又はその生理学的に薬用可能な塩若しくはプロドラッグと他の化学成分との混合物と、生理学的に薬用可能なベクター及び賦形剤などの他の成分とを含むものを示す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与して更に生物活性を発揮するためのものである。
【0072】
「薬学的に許容される賦形剤」は、アメリカ食品医薬品局によって承認された、ヒト又は家畜動物への使用が許容される任意の助剤、ベクター、賦形剤、流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、着香剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0073】
本開示に記載される「有効量」又は「有効治療量」は、医学病状の症状又は病状の改善や予防に十分な量を含む。有効量は、更に、診断の許容又は促進に十分な量を指す。特定の患者又は獣医学対象に用いられる有効量は、例えば、治療すべき病状、患者の全体的な健康状況、投与の方法経路と用量及び副作用の重症度などの要因によって変化することができる。有効量は、顕著な副作用又は毒性作用が回避される最大用量又は投与計画であってもよい。
【0074】
「核酸」という用語は、ヌクレオチド、例えばデオキシリボヌクレオチド(DNA)又はリボヌクレオチド(RNA)からなるポリマーである。
【0075】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、長さ2~100ヌクレオチドの一本鎖又は二本鎖ヌクレオチド多量体を意味する。「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドモノマーから構成される一本鎖又は二本鎖ポリマーを指す。幾つかの実施形態において、ポリヌクレオチドは、長さ100以上のヌクレオチドからなる。
【0076】
別の幾つかの実施形態において、例示的なポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボ核酸(RNA、メッセンジャーRNAを含む)、RNA干渉誘導剤(RNAi-inducing agents)、shRNA、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA及び類似体を含むが、これらに限定されない。
【0077】
「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指すことができる。この用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学類似体であるアミノ酸ポリマーに、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用される。
【0078】
「白血球」という用語は、骨髄中の多能性造血幹細胞から産生され、且つそれに由来する白血球(WBC)に関する。白血球は細胞核を有し、且つ機能的又は物理的特性に基づいて、白血球のタイプは、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球及び単球を含む5つの主要なタイプに分類され得る。
【0079】
「アルキル基」は、直鎖及び分岐鎖アルキル基を含む、飽和脂肪族炭化水素基を指す。幾つかの実施形態において、アルキル基は、1~4個の炭素を有し、C1-4アルキル基とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、アルキル基は、10~22個の炭素を有し、C10-22アルキル基とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、アルキル基は、4~22個の炭素を有し、C4-22アルキル基とも呼ばれる。
【0080】
アルキル基は、非置換の、又はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、オキソ、アルキル基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、チオ及びチオアルキル基から選ばれる1つ又は複数の基で置換されていてもよい。
【0081】
「ヘテロアルキル基」は、鎖中に好ましくは1~14個の炭素、より好ましくは2~10個の炭素を有し、そのうち1つ又は複数の炭素がS、O及びNから選ばれるヘテロ原子で置換される直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。例示的なヘテロアルキル基は、アルキルエーテル、第二級アルキルアミン及び第三級アルキルアミン、アミド、硫化アルキル(alkyl sulfide)などを含む。
【0082】
ヘテロアルキル基は、非置換の、又はハロゲン、ヒドロキシ基、アルキル基、アミノ基、オキソ、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、チオ及びチオアルキル基から選ばれる1つ又は複数の基で置換されていてもよい。
【0083】
「アルケニル基」は、直鎖及び分岐鎖アルケニル基を含む、不飽和脂肪族炭化水素基を指す。幾つかの実施形態において、アルケニル基は、1~4個の炭素を有し、C1-4アルケニル基とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、アルケニル基は、10~22個の炭素を有し、C10-22アルケニル基とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、アルケニル基は、4~22個の炭素を有し、C4-22アルケニル基とも呼ばれる。例示的なアルケニル基は、ビニル基、プロペニル基、n-ブテニル基、イソブテニル基、3-メチルブタ-2-エニル、n-ペンテニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、シクロヘキシル-ブテニル及びデセニル基を含む。
【0084】
アルケニル基は、非置換の、又はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、オキソ、アルキル基、アルケニル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、アルキルアミド基、ジアルキルアミド基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシ基、チオ及びチオアルキル基から選ばれる1つ又は複数の基で置換されていてもよい。
【0085】
「一価基」とは、1つの化合物から「形態上」で1個の一価を除去した原子又は基である。「サブユニット」とは、化合物から「形態上」で2個の一価又は1個の二価を除去した原子又は原子団である。
【0086】
「アルキレン基」という用語は、アルカン分子から2個の水素原子を除いた残りの部分を意味し、幾つかの実施形態において、アルキレン基は、1~4個の炭素を有し、C1-4アルキレン基とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、アルキル基は、10~22個の炭素を有し、C10-22アルキレン基とも呼ばれる。幾つかの実施形態において、アルキル基は、4~22個の炭素を有し、C4-22アルキレン基とも呼ばれる。
【0087】
同様に、「アルキレンオキシ基」、「アルケニレン基」、「アルケニレンオキシ基」、「シクロアルキレン基」、「ヘテロシクロアルキレン基」の定義は「アルキレン基」の通りである。
【0088】
「ヒドロキシ基」という用語は、-OH基を指す。
【0089】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0090】
「シアノ基」という用語は、-NHを指す。
【0091】
「オキソ」という用語は、=O置換基を指す。
【0092】
「置換される」とは、基の中の1つ又は複数の水素原子、好ましくは5個以下、より好ましくは1~3個の水素原子が互いに独立的に対応する数の置換基で置換されることを指す。無論、置換基は、それらの化学的に可能な部位にしか位置せず、当業者はそれほど努力せずに(実験又は理論により)可能又は不可能な置換を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】肝細胞増殖因子mRNA脂質ナノ粒子を筋肉注射したマウスにおけるタンパク質発現量
図2】ルシフェラーゼmRNA脂質ナノ粒子のマウス尾静脈内注射により検出された蛍光強度
図3】mRNA脂質ナノ粒子を尾静脈内注射したマウスの肝臓におけるカチオン性脂質濃度
図4】mRNA脂質ナノ粒子を尾静脈内注射したマウスの脾臓におけるカチオン性脂質濃度
図5】mRNA脂質ナノ粒子を尾静脈内注射したマウスの血漿におけるカチオン性脂質濃度
図6】mRNA脂質ナノ粒子を尾静脈内注射したマウスの血清におけるインターロイキン-6(IL-6)濃度の検出。
【発明を実施するための形態】
【0094】
以下、実施例と合わせて本開示を更に説明するが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものではない。
【0095】
本開示中の実施例において具体的な条件が明示されていない実験方法は、一般的に通常の条件、又は原料や商品メーカーに勧められた条件に従う。具体的な供給源が明示されていない試薬は、市販される通常の試薬である。
【0096】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)又は/及び質量分析(MS)によって決定される。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)の単位で示されている。NMRの測定には、核磁気共鳴装置Bruker AVANCE-400が使用され、測定溶媒は重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノール(Methanol-d)であり、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。
【0097】
HPLCの測定には、Agilent1100高圧液体クロマトグラフィー、GAS15B DAD紫外線検出器、Water Vbridge C18 150×4.6mm 5μmカラムが使用された。
【0098】
MSの測定には、Agilent6120トリプル四重極質量分析計、G1315D DAD検出器、Waters Xbridge C18 4.6×50mm、5μmカラムが使用され、正/負イオンモードで走査し、質量走査範囲は80~1200である。
【0099】
薄層クロマトグラフィー用シリカゲル板としては、煙台黄海HSGF254シリカゲル板が使用され、薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用されたシリカゲル板用の仕様は、0.2mm±0.03mmであり、薄層クロマトグラフィーによる生成物の分離精製用の仕様は0.4~0.5mmである。
【0100】
フラッシュカラム精製系には、Combiflash Rf150(TELEDYNE ISCO)又はIsolara one(Biotage)が使用された。
【0101】
順相カラムクロマトグラフィーには、一般的に煙台黄海シリカゲル200~300メッシュ又は300~400メッシュのシリカゲルがベクターとして使用され、或いは、常州三泰予充填超高純度順相シリカゲルカラム(40~63μm、60g、24g、40g、120g又は他の仕様)が使用された。
【0102】
本開示における既知の出発原料は、この分野で知られている方法で、又はそれに従って合成されてもよく、或いは上海泰坦科技、ABCR GmbH&Co.KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学科技(Accela ChemBio Inc)、畢得医薬などの会社から購入されてもよい。
【0103】
実施例において特に説明のない限り、反応は何れも窒素雰囲気で行うことができる。
【0104】
窒素雰囲気は、反応フラスコに容積が約1Lの窒素バルーンが連結されていることを指す。
【0105】
水素雰囲気は、反応フラスコに容積が約1Lの水素バルーンが連結されていることを指す。
【0106】
水素ガスは、上海全浦科学機器公司のQPH-1L型水素発生装置により製造される。
【0107】
窒素雰囲気又は水素雰囲気は、通常、真空引き、窒素ガス又は水素ガスの導入を3回繰り返す。
【0108】
実施例において、特に説明のない限り、溶液は水溶液を指す。
【0109】
実施例において、特に説明のない限り、反応温度は室温であり、20~30℃である。
【0110】
実施例における反応進行のモニターには薄層クロマトグラフィー(TLC)が採用され、反応に使用された展開溶媒、化合物を精製するためのカラムクロマトグラフィーの溶離剤系及び薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系は、溶媒の体積比が化合物の極性によって調整され、少量のトリエチルアミンと酢酸などの塩基性又は酸性試薬を加えて調整してもよい。
【実施例
【0111】
実施例1
【化17】
【0112】
ステップ1)
【化18】
6-アミノカプロン酸(21.5g、100mmol)を秤量してエタノール及び水の混合液(EtOH/HO、v/v=2:1、200mL)に溶解し、CsOH・HO(4.0g、100mmol)を加え、ベンジルオキシブロモエタン(13.1g、100mmol)を加え、室温で40h反応させ、エタノールの大部分を濃縮により除去し、残留物を直接逆相カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル/水/0.1%トリフルオロ酢酸)により直接濃縮し、吸引乾燥して、白色固体5.6gを得て、収率は21%であった。
MS:266.2[M+H]
H NMR (400 MHz, DO) δ 7.36 (s, 5H), 4.53 (s, 2H), 3.72 - 3.67 (m, 2H), 3.20 - 3.14 (m, 2H), 2.95 - 2.88 (m, 2H), 2.10 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.57 (dd, J = 15.3, 7.7 Hz, 2H), 1.47 (dd, J = 15.0, 7.5 Hz, 2H), 1.30 - 1.22 (m, 2H).
【0113】
ステップ2)
【化19】
6-((2-(ベンジルオキシ)エチル)アミノ)ヘキサン酸(5.6g、21.1mmol)をフラスコに秤量し、1,4-ジオキサン(80mL)、水酸化ナトリウム水溶液(42.2mL、1.0M)を加え、BocO(5.5g、25.2mmol)を滴下し、室温で1h反応させ、LC-MSが反応の完了を示し、ジオキサンを濃縮し、水相を希塩酸でpHを5程度に調整し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、乾燥させ、濃縮して、ほぼ無色のゲル状物7.2gを得て、収率は93%であった。そのまま次の反応に用いた。
MS:366.2[M+H]
【0114】
ステップ3)
【化20】
6-((2-(ベンジルオキシ)エチル)(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサン酸(6.1g、16.7mmol)をフラスコに秤量し、ジクロロメタン(150mL)を加え、氷浴し、ウンデカノール(2.73g、15.9mmol)、DMAP(408mg、3.34mmol)及びDIPEA(4.3g、33.4mmol)を順次加え、EDCI(3.84g、20.0mmol)を加え、10分間撹拌し、氷浴を取り除き、室温で一晩反応させ、TLCでモニタリングし、反応を完了させ、反応液に水(100mL)を加え、分液し、有機相を希塩酸、水、炭酸水素ナトリウムで順次洗浄し、乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=20:1~10:1)により、ほぼ無色のゲル状物6.8gを得て、収率は82%であった。
MS:520.4[M+H]
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.30 - 7.20 (m, 5H), 4.44 (s, 2H), 3.98 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.51 (d, J = 18.6 Hz, 2H), 3.32 (d, J = 21.5 Hz, 2H), 3.16 (s, 2H), 2.21 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.55 (tt, J = 13.3, 6.8 Hz, 6H), 1.36 (d, J = 8.4 Hz, 9H), 1.21 (d, J = 15.5 Hz, 18H), 0.81 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0115】
ステップ4)
【化21】
6-((2-(ベンジルオキシ)エチル)(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ヘキサン酸ウンデシル(7.6g、14.6mmol)を秤量してジクロロメタンに溶解し、TFA(20mL)を加え、室温で2h反応させ、そのまま濃縮し、残留物をジクロロメタン(100mL)で溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム(100mL)を加え、分液し、有機相を乾燥させ、濃縮してゲル状物を得て、再びジクロロメタンで溶解し、HCl/dioxane(4.0M、4mL)を加え、そのまま濃縮して、白色固体5.0gを得て、収率は81%であった。
MS:420.3[M+H]
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 9.51 (s, 2H), 7.39 - 7.28 (m, 5H), 4.57 (s, 2H), 4.03 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.88 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.18 (s, 2H), 3.03 (d, J = 3.4 Hz, 2H), 2.28 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.02 (s, 1H), 1.93 - 1.84 (m, 2H), 1.61 (dd, J = 13.8, 6.7 Hz, 4H), 1.42 - 1.17 (m, 18H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0116】
ステップ5)
【化22】
2-((5-(ベンジルオキシ)ペンチル)オキシ)酢酸(文献Chemical and Pharmaceutical Bulletin、1992、vol.40、#3、p.617~623に参照して調製)(7.6g、30.12mmol)をフラスコに秤量し、ジクロロメタン(150mL)を加え、氷浴し、ヘプタデカ-9-オール(文献WO2020/219876に参照して調製)(6.18g、24.1mmol)、DMAP(3.68g、30.12mmol)を順次加え、EDCI(6.93g、36.14mmol)を加え、10分間撹拌し、氷浴を取り除き、室温で一晩反応させ、TLCでモニタリングし、反応を完了させ、反応液に水(100mL)を加え、分液し、有機相を希塩酸、水、炭酸水素ナトリウムで順次洗浄し、乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=50:1~10:1)により、ほぼ無色のゲル状物10.9gを得て、収率は92%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.36 - 7.31 (m, 4H), 7.30 - 7.26 (m, 1H), 4.96 (p, J = 6.3 Hz, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.04 (s, 2H), 3.52 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.47 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 1.69 - 1.61 (m, 4H), 1.56 (d, J = 16.5 Hz, 6H), 1.25 (s, 24H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 6H).
【0117】
ステップ6)
【化23】
ヘプタデカン-9-イル2-((5-(ベンジルオキシ)ペンチル)オキシ)アセテート(4.0g、8.15mmol)を秤量し、THF(100mL)に溶解し、Pd(OH)/C(400mg、20%)を加え、水素ガスを流し、室温で2h反応させ、TLCでモニタリングし、反応を完了させた。ろ過し、濃縮した。無色のゲル状物3.2gを得て、収率は98%であった。そのまま次の反応に用いた。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.97 (dd, J = 12.4, 6.1 Hz, 1H), 4.04 (s, 2H), 3.66 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 3.54 (t, J =6.5 Hz, 2H), 1.71 - 1.57 (m, 4H), 1.56 - 1.42 (m, 6H), 1.25 (s, 24H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 6H).
【0118】
ステップ7)
【化24】
ヘプタデカン-9-イル 2-((5-ヒドロキシペンチル)オキシ)アセテート(2.4g、6.0mmol)を秤量してジクロロメタン(100mL)に溶解し、氷浴下、DMP(3.82g、9.0mmol)を加え、室温で1.5h反応させ、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を加え、30分間撹拌し、分液し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL×2)で洗浄し、乾燥させ、濃縮し、淡黄色のゲル状物2.5gを得て、そのまま次の反応に用いた。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 9.78 (s, 1H), 4.96 (p, J = 6.3 Hz, 1H), 4.04 (s, 2H), 3.55 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 2.49 (td, J = 7.2, 1.5 Hz, 2H), 1.81 - 1.72 (m, 2H), 1.68 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 1.60 - 1.48 (m, 4H), 1.26 (s, 24H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0119】
ステップ8)
【化25】
ヘプタデカン-9-イル 2-((5-オキソペンチル)オキシ)アセテート(2.4g、6mmol)を秤量してジクロロメタン(50mL)に溶解し、6-((2-(ベンジルオキシ)エチル)アミノ)ヘキサン酸ウンデシル塩酸塩(2.46g、5.4mmol)を加え、DIPEA(1.16g、9.0mmol)、酢酸(1.08g、18.0mmol)を加え、清澄になるように撹拌し、氷浴し、NaBH(OAc)(3.18g、15.0mmol)を加え、室温で一晩反応させ、TLCでモニタリングし、反応を完了させ、水(100mL)を加え、分液し、有機相を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL×1)で洗浄し、乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=5:1~2:1)により、無色の液体4.1gを得て、収率は85%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.33 (d, J = 4.5 Hz, 4H), 7.30 - 7.26 (m, 1H), 4.99 - 4.91 (m, 1H), 4.52 (s, 2H), 4.08 - 4.02 (m, 4H), 3.57 - 3.47 (m, 4H), 2.68 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.45 (s, 4H), 2.28 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.67 - 1.57 (m, 6H), 1.48 (dd, J = 37.5, 6.0 Hz, 6H), 1.38 - 1.18 (m, 46H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 9H)。
【0120】
ステップ9)
【化26】
ウンデシル6-((2-(ベンジルオキシ)エチル)(5-(2-(ヘプタデカン-9-イルオキシ)-2-オキソエトキシ)ペンチル)アミノ)ヘキサノエート(1g、1.25mmol)をフラスコに秤量し、エタノールを加えて溶解し、Pd(OH)/C(500mg、20%)を加え、水素ガスを流し、室温で一晩反応させ、TLCでモニタリングし、反応を完了させた。ろ過し、濃縮した。無色のゲル状物を得て、カラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=10:1)により無色のゲル状物450mgを得て、収率は51%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 5.00 - 4.89 (m, 1H), 4.09 - 4.01 (m, 4H), 3.61 (s, 2H), 3.52 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.68 (s, 2H), 2.57 (s, 4H), 2.30 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.70 - 1.59 (m, 6H), 1.53 (s, 8H), 1.43 - 1.18 (m, 44H), 0.88 (t, J = 6.7 Hz, 9H)。
【0121】
実施例2
【化27】
【0122】
ステップ1)
【化28】
化合物2-2(50.4g、331mmol)を秤量してTHF(400mL)に溶解し、n-BuLi(206mL、1.6M)をドライアイスエタノール浴下でに徐々に滴下し、恒温で1時間撹拌した。化合物2-1(20.0g、110mmol)をTHF(100mL)に溶解し、ドライアイスエタノール浴下で反応系に徐々に滴下し、恒温で1時間撹拌し、次いで室温で一晩撹拌した。試料をLC-MSで検出し、出発原料を完全に反応した。1Lの水を加え、酢酸エチル1L×3で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1)により、黄色の油状物9.00gを得て、収率は32.3%であった。
MS:253.1[M+H]
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.40-7.24 (m, 5H), 4.57 (s, 2H), 3.65-3.57 (m, 4H), 3.49 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.39 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.77-1.61 (m, 4H)。
【0123】
ステップ2)
【化29】
化合物2-3(1.00g、3.96mmol)をDCM(20mL)に溶解し、氷水浴下でヘプタン-9-オール(914mg、3.56mmol)、DMAP(96.0mg、786μmol)、DIEA(2.04g、15.8mmol)、EDCI(1.14g、9.95mmol)を順次加え、40℃で一晩撹拌した。試料をLCMSとTLC(PE:EA=10:1)で検出し、出発原料を完全に反応した。100mLの水を加え、酢酸エチル100mL×3で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=20:1)により、無色の油状物1.50gを得て、収率は77.1%であった。
MS:513.3 [M+Na]
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.38-7.24 (m, 5H), 4.90-4.82 (m, 1H), 4.57 (s, 2H), 3.64-3.58 (m, 4H), 3.48 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.31 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.75-1.59 (m, 4H), 1.55-1.45 (m, 4H), 1.34-1.19 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0124】
ステップ3)
【化30】
化合物2-4(1.50g、3.06mmol)を秤量してTHF(30mL)に溶解し、Pd(OH)/C(300mg、20wt%)を加え、水素ガスで置換し、室温で一晩撹拌した。試料をTLC(PE:EA=20:1)で検出し、出発原料を完全に反応した。ろ過し、ろ液を濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=20:1)により、無色の油状物1.10gを得て、収率は89.8%であった。
MS:423.3 [M+Na]
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.91-4.82 (m, 1H), 3.76-3.69 (m, 2H), 3.55-3.46 (m, 4H), 2.32 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.95 (s, 1H), 1.76-1.58 (m, 4H), 1.57-1.44 (m, 4H), 1.36-1.18 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0125】
ステップ4)
【化31】
化合物2-5(120 mg、300μmol)をDCM(4mL)に溶解し、氷水浴下でDMP(190mg、448μmol)を加え、室温で2h撹拌した。試料をTLC(PE:EA=5:1)で検出し、出発原料を完全に反応した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液1mL及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mLを加え、酢酸エチル20 mL×3で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮して淡黄色の油状物80mgを得て、精製処理せずにそのまま次の反応に用いた。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 9.73 (s, 1H), 4.91-4.81 (m, 1H), 4.09 (s, 1H), 4.06 (s, 1H), 3.65-3.44 (m, 2H), 2.33 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.79-1.59 (m, 4H), 1.57-1.43 (m, 4H), 1.36-1.16 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0126】
ステップ5)
【化32】
化合物2-6(1.09g、2.73mmol)をDCM(20mL)に溶解し、2-7(1.12g、2.46mmol)、DIEA(530mg、4.10mmol)、AcOH(492mg、8.19mmol)を順次加え、10min撹拌した後、NaBH(OAc)(1.45g、6.84mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。試料をTLC(純粋なEA)で検出し、出発原料を完全に反応した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100 mLを加え、酢酸エチル100 mL×3で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=2:1)により、淡黄色の油状物290mgを得て、収率は13.2%であった。
MS:802.4 [M+H]
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.39-7.26 (m, 5H), 4.89-4.82 (m, 1H), 4.51 (s, 2H), 4.05 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.67-3.44 (m, 4H), 3.41 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.87-2.37 (m, 6H), 2.33-2.24 (m, 4H), 1.79-1.55 (m, 8H), 1.55-1.43 (m, 6H), 1.38-1.15 (m, 42H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 9H)。
【0127】
ステップ6)
【化33】
化合物2-8(390mg、486μmol)を秤量してEtOH(15mL)に溶解し、Pd(OH)/C(390mg、20wt%)を加え、水素ガスで置換し、室温で一晩撹拌した。試料をTLC(DCM:MeOH=10:1)で検出し、出発原料を完全に反応した。ろ過し、ろ液を濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)により、無色の油状物110mgを得て、収率は31.8%であった。
MS: 712.2[M+H]
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.89-4.81 (m, 1H), 4.05 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.55 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.48 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.43 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.71 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.67 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.59-2.52 (m, 2H), 2.34-2.26 (m, 4H), 1.72-1.56 (m, 8H), 1.53-1.44 (m, 6H), 1.36-1.21 (m, 42H), 0.89-0.85 (m, 9H)。
【0128】
実施例3
【化34】
【0129】
ステップ1)
【化35】
3-2(5.90g、50.0mmol)を秤量してDMF(250mL)に溶解し、氷水浴下でNaH(2.4g、60mmol)を数回に分けて加え、恒温で1時間撹拌した。3-1(12.9g、50.0mmol)を氷水浴下で数回に分けて反応系に加え、室温で一晩撹拌した。水300mLを加え、酢酸エチル300mL×2で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)により、淡黄色の油状物6.20gを得て、収率は42.2%であった。
MS:295.2 [M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.34-7.31 (m, 4H), 7.30-7.26 (m, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.25-4.15 (m, 2H), 3.92 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.59-3.53 (m, 1H), 3.47 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.39-3.33 (m, 1H), 1.68-1.59 (m, 4H), 1.49-1.42 (m, 2H), 1.39 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.28 (t, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0130】
ステップ2)
【化36】
化合物3-3(7.40g、25.0mmol)をMeOH(150mL)に溶解し、氷水浴下でNaOH(4.00g、100mmol)のHO(40mL)溶液を徐々に加え、室温で一晩撹拌した。氷水浴で降温し、濃塩酸でpHを約3程度に調整し、DCM(200mL×3)で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮して、淡黄色の油状物5.50gを得て、収率は82.6%であった。
MS:267.2 [M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.37-7.33 (m, 4H), 7.31-7.26 (m, 1H), 4.51 (s, 2H), 3.99 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.60-3.40 (m, 4H), 1.69-1.61 (m, 4H), 1.50-1.44 (m, 5H)。
【0131】
ステップ3)
【化37】
3-4(5.30g、20.0mmol)及び3-5(5.10g、20.0mmol)を秤量し、DCM(160mL)に溶解し、DMAP(4.90g、40.0mmol)及びEDCI(4.60g、24.0mmol)を秤量し、反応液に順次加え、水素ガスで置換し、室温で一晩撹拌した。順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)により、淡黄色の油状物8.60gを得て、収率は85.9%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.34-7.31 (m, 4H), 7.31-7.27 (m, 1H), 4.96-4.91 (m, 1H), 4.50 (s, 2H), 3.91 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.59-3.53 (m, 1H), 3.47 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.38-3.32 (m, 1H), 1.68-1.60 (m, 4H), 1.54-1.52 (m, 4H), 1.49-1.43 (m, 2H), 1.39 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.35-1.18 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0132】
ステップ4)
【化38】
化合物3-6(5.00g、9.90mmol)をTHF(100mL)に溶解し、窒素ガス保護下でPd(OH)/C(500mg)を加え、水素ガスで置換し、室温で一晩撹拌して水素化した。Pd(OH)/Cをろ過により除去して回収し、ろ液を減圧下で濃縮乾燥し、順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1)により、無色の油状物4.00gを得て、収率は96.4%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.96-4.92 (m, 1H), 3.91 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.65 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.59-3.53 (m, 1H), 3.40-3.36 (m, 1H), 1.68-1.56 (m, 4H), 1.54-1.52 (m, 4H), 1.49-1.41 (m, 2H), 1.39 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.35-1.19 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0133】
ステップ5)
【化39】
化合物3-7(4.10g、10.0mmol)をDCM(80mL)に溶解し、氷水浴で降温し、窒素ガス保護下で、CBr(5.00g、15mmol)及びPPh(3.90g、15.0mmol)を順次加え、恒温で30min撹拌した後、室温で一晩撹拌した。試料をTLC(PE:EA=5:1)で検出し、出発原料を完全に反応した。順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)により、淡黄色の油状物4.30gを得て、収率は90.0%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.97-4.90 (m, 1H), 3.91 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.59-3.53 (m, 1H), 3.43-3.33 (m, 3H), 1.93-1.85 (m, 2H), 1.67-1.59 (m, 2H), 1.57-1.48 (m, 6H), 1.39 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.35-1.19 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0134】
ステップ6)
【化40】
3-8(4.30g、9.00mmol)を秤量して無水EtOH(85 mL)に溶解し、窒素ガス保護下で、エタノールアミン(16.5g、270mmol)を加え、30℃で一晩撹拌した。試料をLC-MSで検出し、出発原料を完全に反応した。溶媒を減圧下で濃縮乾燥し、残留物にEA(200mL)を加え、水(50mL×2)で2回洗浄し、飽和食塩水(50mL×2)で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=10:1)により、無色の油状物3.30gを得て、収率は80.1%であった。
MS:458.4[M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.96-4.88 (m, 1H), 3.90 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.64 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.57-3.51 (m, 1H), 3.38-3.31 (m, 1H), 2.77 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 2.63 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.65-1.57 (m, 2H), 1.56-1.48 (m, 6H), 1.44-1.27 (m, 5H), 1.26-1.19 (m, 24H), 0.86 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0135】
ステップ7)
【化41】
3-9(2.30g、5.00mmol)を秤量して無水EtOH(46mL)に溶解し、窒素ガス保護下で、DIEA(1.90g、15.0mmol)及び3-10(3.50g、10mmol)を加え、80℃で一晩撹拌した。試料をLC-MSで検出し、出発原料はほとんど反応した。溶媒を減圧下に濃縮乾燥し、残留物にEA(100mL)を加え、水(50mL×2)で2回洗浄し、飽和食塩水(50mL×2)で2回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=15:1)により、無色の油状物2.10gを得て、収率は57.9%であった。
MS :726.6[M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.94-4.88 (m, 1H), 4.05 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.90 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.69-3.65 (m, 2H), 3.57-3.50 (m, 1H), 3.39-3.33 (m, 1H), 2.80-2.70 (m, 2H), 2.70-2.60 (m, 4H), 2.30 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 1.65-1.20 (m, 61H), 0.89-0.85 (m, 9H)。
【0136】
実施例4
【化42】
【0137】
ステップ1)
【化43】
NaH(3.63g、0.091mol)を秤量してDMF(200mL)に溶解し、アルゴンガス保護し、0℃に冷却した。4-2(10g、0.076mol)を数回に分けて系に加え、室温で攪拌した。4-1(19.5g、0.076mol)を反応に加え、室温で一晩撹拌した。水100mLを加え、酢酸エチル0.5L×2で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過、減圧濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=6:1)により、無色の油状物5.30gを得て、収率は22.3%であった。
MS:309.2[M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.40-7.25 (m, 5H), 4.50 (s, 2H), 4.18 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 3.47 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.36 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.69-1.55 (m, 4H), 1.48-1.40 (m, 2H), 1.41 (s, 6H), 1.27 (t, J = 6.8 Hz, 3H)。
【0138】
ステップ2)
【化44】
化合物4-3(5.20g、0.017mol)をMeOH(50mL)に溶解し、氷水浴下でNaOH(2.69g、0.067mol)の水(10mL)溶液を加え、室温で一晩撹拌した。メタノールを減圧下で蒸発し、水100mLを加え、1Nの塩酸でpH値(3~4)を調整した。酢酸エチル400mL×2で抽出し、有機相を飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥してろ過し、減圧濃縮して無色の油状物4.80gを得て、収率は100%であった。
MS:281.2 [M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.35-7.25 (m, 5H), 4.51 (s, 2H), 3.50-3.42 (m, 4H), 1.70-1.50 (m, 4H), 1.50-1.40 (m, 8H)。
【0139】
ステップ3)
【化45】
4-4(3.29g、0.012mol)を秤量してDCM(100mL)に溶解し、4-5(2.70g、0.011mol)、EDCI(2.70g、0.014mol)、DMAP(2.86g、0.023mol)、アルゴンガスで置換し、室温で一晩撹拌した。反応液を減圧下で濃縮乾固し、粗製品を順相カラムクロマトグラフィーで精製し(PE:EA=50:1)、無色の油状物4.70gを得て、収率は85.7%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.36-7.20 (m, 5H), 4.93-4.80 (m, 1H), 4.50 (s, 2H), 3.47 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.37 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.70-1.50 (m, 8H), 1.47-1.39 (m, 8H), 1.30-1.15 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0140】
ステップ4)
【化46】
化合物4-6(4.50g、8.67mmol)をTHF(90mL)に溶解し、Pd(OH)/C(0.90g、20wt%)を加え、水素ガスバルーンで置換し、室温で5h撹拌した。反応液を減圧下で濃縮乾固し、粗製品を順相カラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)により、無色の油状物3.19gを得て、収率は85.7%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.93-4.86 (m, 1H), 3.65 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.38 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 1.70-1.50 (m, 8H), 1.48-1.40 (m, 8H), 1.32-1.25 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0141】
ステップ5)
【化47】
化合物4-7(1.50g、3.49mmol)をTHF(30mL)に溶解し、CBr(1.16g、3.49mmol)、PPh(0.92g、3.49mmol)を順次加え、アルゴンガスで保護し、室温で一晩撹拌した。試料をTLC(PE:EA=6:1)で検出し、出発原料を完全に反応した。ろ過し、反応液を減圧下で濃縮乾固し、粗製品を順相カラムクロマトグラフィーで精製し(PE:EA=50:1)、無色の油状物1.50gを得て、収率は87.2%であった。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.92-4.80 (m, 1H), 3.43-3.35 (m, 4H), 1.93-1.80 (m, 2H), 1.65-1.50 (m, 8H), 1.41 (s, 6H), 1.36-1.24 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0142】
ステップ6)
【化48】
4-8(1.25g、2.55mmol)を秤量してEtOH(15mL)に溶解し、エタノールアミン(4.67g、76.5mmol)を加え、アルゴンガスで保護し、25℃で一晩撹拌した。酢酸エチル(200mL)を加え、飽和塩化ナトリウム溶液(100mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、ろ液を濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=10:1)により、無色の油状物0.84gを得て、収率は71.3%であった。
MS Calc:471.4,Found: 472.4[M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.91-4.80 (m, 1H), 3.68 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.37 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.83 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.69 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.62-1.52 (m, 8H), 1.45-1.36 (m, 8H), 1.55-1.24 (m, 24H), 0.87 (t, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0143】
ステップ7)
【化49】
4-9(0.84g、1.78mmol)を秤量してEtOH(15mL)に溶解し、4-10(0.81g、2.32mmol)、DIPEA(0.46g、3.56mmol)を加え、アルゴンガスで保護し、80℃で一晩撹拌した。反応液を減圧下で濃縮し、順相カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)により、無色の油状物0.61gを得て、収率は46.2%であった。
MS:740.7[M+H]。
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 4.90-4.86 (m, 1H), 4.05 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 3.77 (s, 2H), 3.38 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 2.90-2.70 (m, 6H), 2.31 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.70-1.20 (m, 64H), 0.90-0.85 (m, 9H)。
【0144】
比較例1
【化50】
【0145】
WO2017049245における方法を参照して調製して得た。
【0146】
試験例1:脂質粒子組成物の送達能力
1.1 調製方法
化合物1、化合物2、及び比較化合物1をそれぞれエタノール溶液に溶解し、それぞれエタノールに溶解したDSPC、コレステロール、DMG-PEG溶液と50:10:38.5:1.5のモル比で混合してエタノール脂質溶液を調製した。ヒト成長因子をコードするmRNAをクエン酸塩緩衝液に溶解し、mRNA水溶液を調製した。リポソームは、エタノール脂質溶液とmRNA水溶液とをマイクロ流体で混合し、総脂質とmRNAとの重量比が約20:1となるように調製した。エタノールをPBS溶液で透析して除去し、mRNAを被包したリ脂質ナノ粒子組成物を得た。
【0147】
1.2 脂質粒子組成物の特徴付け
特性付け方法
動的光散乱を使用して、173°後方散乱検出モードでMalvern Zetasizer Nano ZSを使用して、脂質ナノ粒子のナノサイズ及び多分散性係数PDIを検出した。
【0148】
Quant-iT RiboGreen RNA Assay Kit RNA定量検出キットを用いて、リポソーム被包率を検出した。
【0149】
脂質ナノ粒子中のカチオンのpKaは、6-(p-トルイジン)-2-ナフタレンスルホン酸ナトリウム塩(TNS)に基づく蛍光分析を使用して検出した。150mMのNaCl、10mMのリン酸ナトリウム、10mMのクエン酸ナトリウム、10mMのホウ酸ナトリウム、及びpH3~11.5の異なるpHの緩衝液を調製した。300μMのTNS溶液を調製し、緩衝液に加えた。脂質ナノ粒子をそれぞれ異なるpHの緩衝液に加え、十分に混合した後、蛍光プレートリーダーを用いて室温で励起波長325nm、発光波長435nmの蛍光強度を検出した。蛍光データに対してフィッティング分析を行い、pKaは、半最大蛍光強度を生じるpHである。相関データは表1に示される。
【0150】
【表1】
【0151】
1.3 タンパク質発現量の検出による脂質粒子組成物の体内での送達能力の評価
体内でmRNAを効率的に送達し、対応するコードされたタンパク質を発現する脂質ナノ粒子を評価するために、肝細胞成長因子を発現するmRNAで被包された脂質ナノ粒子を、6~8週齢の雌BALB/c大腿筋部位に0.05mg/kgの用量で注射した。24時間後に注射部位の筋肉を摘出し、磨砕溶解後、ELISAキットを用いて肝細胞成長因子タンパク発現量(pg/mg)、即ち、単位筋肉組織総タンパク量に対応する肝細胞成長因子タンパク量を検出した。平均タンパク質濃度の計算を、各化合物に対応する脂質ナノ粒子の少なくとも3セットについて繰り返した。
【0152】
比較化合物1に対応する脂質ナノ粒子を対照として、化合物1及び2に対応する脂質ナノ粒子の体内筋肉注射によるmRNA送達効率を検出した。相関データは図1及び表2に示される。
【0153】
図1において、*即ち統計学的に0.01<P<0.05は、群間に統計学的に有意差があることを示し、**即ち統計学的にP<0.01、***即ち統計学的にP<0.001は、極めて有意差があることを示す。
【0154】
【表2】
【0155】
結論:表2及び図1に示されるタンパク質発現量のように、化合物1に対応する脂質ナノ粒子の体内筋肉注射によるmRNA送達効果は、比較化合物1に比べて顕著に優れていることが分かる。化合物1は、化合物2よりも同様に顕著に優れている。化合物1に対応する脂質ナノ粒子がmRNAを筋肉部位に効率よく送達し、且つタンパク質を発現できることが示唆された。
【0156】
試験例2:脂質粒子組成物の体内尾静脈内注射によるmRNA送達効率の評価
体内でmRNAを効率的に送達し、対応するコードされたタンパク質を発現する脂質ナノ粒子を評価するために、ルシフェラーゼを発現するmRNAで被包された脂質ナノ粒子を、6~8週齢の雌BALB/c尾静脈に0.5mg/kgの用量で注射した。6時間後、各マウスにルシフェラーゼ基質を腹腔内に注射し、IVIS小動物光学バイオイメージング装置(PerkinElme)を用いてマウスの蛍光画像を撮影し、マウス全身の蛍光強度を統計した。蛍光強度の高さはルシフェラーゼタンパク質の発現量の高さ、即ち、脂質ナノ粒子の体内でのmRNA送達効率を反映していることを示している。平均蛍光強度は、各化合物に対応する脂質ナノ粒子の少なくとも3セットについて生物学的反復計算を行い、データを表3及び図2に示した。図2においての蛍光強度は、即ちIVIS小動物光学バイオイメージング装置で撮影統計したマウス全身の蛍光強度である。蛍光強度の高さは、ルシフェラーゼタンパク質発現量の高さ、即ち脂質ナノ粒子の体内でのmRNA送達効率の高さを示す。
【0157】
比較化合物1に対応する脂質ナノ粒子を対照として、化合物1、化合物3及び化合物4に対応する脂質ナノ粒子のマウスの尾静脈内注射によるmRNA送達効率を検出した。
【0158】
図2において、*即ち統計学的に0.01<P<0.05は、群間に統計学的に有意差があることを示し、**即ち統計学的にP<0.01、***即ち統計学的にP<0.001は、極めて有意差があることを示す。
【0159】
【表3】
【0160】
結論:表3及び図2に示される蛍光強度のように、比較化合物1に比べて、化合物1に対応する脂質ナノ粒子の尾静脈内注射によるmRNA送達効率が顕著に優れており、化合物1は比較化合物1に対応する脂質ナノ粒子タンパク質発現量の2.1倍であった。同時に、化合物1に対応する脂質ナノ粒子は比較化合物3よりも顕著に優れており、化合物4に対応する脂質ナノ粒子は比較化合物1よりも顕著に優れている。
【0161】
試験例3:脂質ナノ粒子の体内送達における組織標的指向性の評価
脂質ナノ粒子の体内送達における標的指向性を評価するために、肝細胞成長因子を発現するmRNAを被包した脂質ナノ粒子を、6~8週齢のBALB/c雌マウス尾静脈に0.5mg/kgの用量で注射した。組織サンプルを、脂質ナノ粒子注射後の1時間、2時間、4時間、6時間、24時間及び48時間にそれぞれ収集し、異なる組織における脂質ナノ粒子の分布を評価するために、LC-MS質量分析法を用いて、それぞれの時点での肝臓及び脾臓におけるカチオン性脂質分子の濃度を検出した。組織中の平均カチオン性脂質濃度は、各化合物に対応する脂質ナノ粒子の少なくとも3セットについて生物学的反復計算された。
【0162】
結論:図3に示されるように、肝臓内の様々な時点で採取されたサンプルは、比較化合物1に比べて、化合物1の濃度が顕著に高い。図4に示されるように、脾臓内の化合物1の濃度は、比較化合物1に比べて顕著に低い。化合物1に対応する脂質ナノ粒子は肝臓部により多く分布し、脾臓内により少なく分布することが示唆された。
【0163】
薬物動態パラメータから、投与後48時間の組織中のカチオン性脂質の総濃度を計算して、肝臓及び脾臓内の脂質ナノ粒子の分布を評価した。表は複数のセットについて算出した平均値であり、表4に示されるように、化合物1の濃度は、肝臓中で比較化合物1に比べて顕著に高いが、脾臓中で比較化合物1に比べて顕著に低い。
【0164】
従って、化合物1に対応する脂質ナノ粒子は、比較化合物1に比べて、肝組織をよりよく標的にして核酸を送達することができる。
【0165】
図3及び図4において、*即ち統計学的に0.01<P<0.05は、群間に統計学的に有意差があることを示し、**即ち統計学的にP<0.01、***即ち統計学的にP<0.001は、極めて有意差があることを示す。
【0166】
【表4】
【0167】
試験例4:脂質ナノ粒子の体内薬物動態の評価
脂質ナノ粒子の体内送達における標的指向性を評価するために、肝細胞成長因子を発現するmRNAを被包した脂質ナノ粒子を、6~8週齢のBALB/c雌マウス尾静脈に0.5mg/kgの用量で注射した。脂質ナノ粒子注射後の1時間、2時間、4時間、6時間、24時間及び48時間に血漿、肝臓及び脾臓サンプルを採取し、脂質ナノ粒子の代謝速度及び体内のクリアランス速度を評価するために、LC-MS質量分析法を用いて血漿中のカチオン性脂質分子の濃度をそれぞれの時点で検出した。組織中の平均カチオン性脂質濃度は、各化合物に対応する脂質ナノ粒子の少なくとも3セットについて生物学的反復計算された。
【0168】
結論:図5に示されるように、1時間の血漿中の化合物1の濃度は1163ng/mLであり、濃度が6170ng/mLである比較化合物1よりも顕著に低く、比較化合物1の残存濃度は化合物1の5.3倍であり、化合物1に対応する脂質ナノ粒子が標的組織に迅速に分布でき、それにより血液系内の滞留を減少させることを示している。4時間で化合物1は完全に除去されたが、比較化合物1は6時間でもまだ濃度を検出することができた。化合物1は、血液系におけるより速いクリアランス、及び体内におけるより良好な代謝を有することを示した。
【0169】
薬物動態パラメータから、組織中のカチオン性脂質の半減期を算出し、化合物1の肝臓における平均半減期は34.2時間であり、比較化合物1の半減期61.1時間に比べて顕著に低い。同様に脾臓における化合物1の半減期は31.9時間であり、比較化合物1の半減期37.9時間に比べて顕著に低い。化合物1が組織においてより良好に分解及び代謝されることが示唆された。一方、炎症などの人体に対する脂質ナノ粒子の副作用は、主にカチオン性脂質に由来する。化合物1は、より速い代謝分解を可能にし、比較化合物1に比べてより優れた生体安全性を有する。
【0170】
図5において、*即ち統計学的に0.01<P<0.05は、群間に統計学的に有意差があることを示し、**即ち統計学的にP<0.01、***即ち統計学的にP<0.001は、極めて有意差があることを示す。
【0171】
【表5】
【0172】
試験例5:脂質ナノ粒子の体内免疫原性の評価
哺乳動物の体内への外来物質の進入は、先天性免疫応答を引き起こし、サイトカインの産生を促進する。これらの外来物質は、体内に取り込まれると炎症反応を引き起こし、発熱、浮腫などの生体の不良反応を引き起こしやすい。従って、マウスの脂質ナノ粒子の注射後の血中サイトカイン濃度、例えばインターロイキン6(IL-6)を評価することにより、体内での脂質ナノ粒子の免疫原性を評価する。より低いサイトカイン濃度は、脂質ナノ粒子がより低い免疫原性を有すること、即ちより優れた生体安全性を有することを示している。
【0173】
6~8週齢のBALB/c雌マウスにルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するmRNAを被包した脂質ナノ粒子を0.5mg/kgの用量で尾静脈により注射し、6時間後に採血して血清を分離した。血清中のIL-6濃度を、マウスIL-6 ELISAキットを用いて検出した。血清中のIL-6濃度を、各化合物に対応する脂質ナノ粒子の少なくとも3セットについて生物学的に反復検出し、平均値を計算した。
【0174】
結論:表6及び図6に示されるように、化合物1及び化合物4に対応する脂質ナノ粒子をそれぞれ注射したマウス血清中のIL-6濃度が比較化合物1よりも顕著に低いことが分かる。化合物1及び4に対応する脂質ナノ粒子は、比較化合物1に対応する脂質ナノ粒子と比較して、体内でより低い免疫原性、より良好な生物学的安全性を有することが示唆された。
【0175】
図6において、*即ち統計学的に0.01<P<0.05は、群間に統計学的に有意差があることを示し、**即ち統計学的にP<0.01、***即ち統計学的にP<0.001は、極めて有意差があることを示す。
【0176】
【表6】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】