(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】バッテリーアセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20250117BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20250117BHJP
H01M 50/553 20210101ALI20250117BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20250117BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20250117BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/50 201Z
H01M50/553
H01M50/284
H01M50/204 401H
H01M50/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539694
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2023051973
(87)【国際公開番号】W WO2023144287
(87)【国際公開日】2023-08-03
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524080427
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・クリーン・エナジー・システムズ・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・デランジェール
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ドシー
【テーマコード(参考)】
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AA28
5H040AT04
5H040DD10
5H040LL01
5H043AA19
5H043CA08
5H043FA02
5H043FA05
5H043FA22
5H043HA11D
5H043JA06D
5H043KA08D
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのバッテリーセル(11、13)から形成される第1のセルパッケージ(7)と、少なくとも1つのバッテリーセル(15、17)から形成される第2のセルパッケージ(9)と、プリント回路基板(5)と、セルパッケージ(7)のバッテリーセル(17)の電極(17-)とプリント回路基板(5)との間に配置される導電性ストリップ(19)と、を特に含み、導電性ストリップ(19)が、一端が電極(17-)に、他端がプリント回路基板(5)に溶接され、ストリップ(19)の中央部が湾曲され、両端が平坦であり、かつ互いに平行に延びる、バッテリーアセンブリ(3、3’)の製造方法に関する。本発明は、かかる方法によって得られるバッテリーアセンブリ(3、3’)、およびこのように得られた少なくとも2つのバッテリーアセンブリ(3、3’)を含むバッテリーシステムにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーアセンブリ(3、3’、33)の製造方法であって、
- パウチ型のバッテリーセル(11、13、15、17)を提供するステップであって、各バッテリーセル(11、13、15、17)が、互いに対向する2つの電極(11-、11+、13-、13+、15-、15+、17-、17+)を含む、ステップと、
- 少なくとも1つのバッテリーセル(11、13)から形成される第1のセルパッケージ(7、37)を製作するステップと、
- 少なくとも1つのバッテリーセル(15、17)から形成される第2のセルパッケージ(9、39)を製作するステップと、
- 前記第1のセルパッケージ(7、37)および前記第2のセルパッケージ(9、39)を整列させ、前記第1のセルパッケージ(7、37)のバッテリーセル(13)の電極(13+)および前記第2のセルパッケージ(9、39)のバッテリーセル(17)の反対符号の電極(17-)が重ねられ、これら2つの電極(13+、17-)を互いに直接溶接し、前記第1のセルパッケージ(7、37)および前記第2のセルパッケージ(9、39)が電気的に直列に接続されるようにし、かつ前記第1のセルパッケージ(7、37)および前記第2のセルパッケージ(9、39)を互いに折り畳み、これら2つの電極(13+、17-)の折り畳みを製作するようにするステップと、
- プリント回路基板(5)を提供するステップと、
- セルパッケージ(7、37)のバッテリーセル(17)の電極(17-)と前記プリント回路基板(5)との間に導電性ストリップ(19)を配置するステップと、
- 前記導電性ストリップ(19)の一端を前記電極(17-)に、他端を前記プリント回路基板(5)に溶接するステップであって、前記ストリップ(19)の中央部が湾曲し、両端が平坦であり、かつ互いに平行に延びる、ステップと、
を含む、バッテリーアセンブリ(3、3’、33)の製造方法。
【請求項2】
前記プリント回路基板(5)が、少なくとも1つのスロット(21、21’)を含み、前記ストリップ(19)は、前記プリント回路基板(5)のスロット(21、21’)の縁部に溶接される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ストリップ(19)の前記溶接ステップ後、前記ストリップ(19)の両端が同一平面上にある、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
各セルパッケージ(7、9)の前記製作ステップの際に、前記セルパッケージ(7、9)が、積層軸Eに沿った複数のバッテリーセル(11、13、15、17)の積層によって製作され、かつ前記セルパッケージ(7、9)の前記バッテリーセル(11、13、15、17)の同じ符号の電極(11-、13-、11+、13+、15-、17-、15+、17+)は、互いに直接溶接される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各セルパッケージ(7、9)の前記製作ステップの際に、第2のバッテリーセル(13、17)の電極(13+、17-)の一端部が自由な状態に留まるように、第1のバッテリーセル(11、15)の一方の電極(11+、15-)が折り畳まれ、前記第2のバッテリーセル(13、17)の同じ符号の前記電極(13+、17-)の中央部に対して接触し、次に直接溶接され、かつ前記第1のバッテリーセル(11、15)の電極(11-、15+)の一端部が自由な状態に留まるように、前記第2のバッテリーセル(13、17)の他方の電極(13-、17+)が折り畳まれ、前記第1のバッテリーセル(11、15)の同じ符号の前記電極(11-、15+)の中央部に対して接触し、次に直接溶接される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各セルパッケージ(7、9)は、積層軸Eに沿った複数のバッテリーセル(11、13、15、17)の積層によって製作され、圧縮性材料層および/または放熱板は、前記セルパッケージ(7、9)の各バッテリーセル(11、13、15、17)が圧縮性材料層および放熱板によって最大限に囲まれるように、隣接した2つのバッテリーセル(11、13、15、17)間に挿入される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記バッテリーセル(11、13、15、17)は同一であり、前記セルパッケージ(7、9、37、39)は同一である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のセルパッケージ(7、37)および前記第2のセルパッケージ(9、39)を電気的に直列に接続するために、前記第1のセルパッケージ(7、37)のバッテリーセル(13)の電極(13+)の一端は、前記第2のセルパッケージ(9、39)のバッテリーセル(17)の反対符号の電極(17-)の一端に直接溶接される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ストリップ(19)が金属板である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ストリップ(19)が銅製である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ストリップ(19)が、フレキシブルプリント回路基板の一部を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ストリップ(19)の前記中央部が、ループ形状に湾曲される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法によって得られるバッテリーアセンブリ(3、3’、33)であって、
- 少なくとも1つのバッテリーセル(11、13)から形成される第1のセルパッケージ(7、37)と、
- 少なくとも1つのバッテリーセル(15、17)から形成される第2のセルパッケージ(9、39)と、を含み、
各バッテリーセル(11、13、15、17)はパウチ型であり、互いに対向する2つの電極(11-、11+、13-、13+、15-、15+、17-、17+)を含み、
前記第1のセルパッケージ(7、37)および前記第2のセルパッケージ(9、39)が電気的に直列に接続されるように、前記第1のセルパッケージ(7、37)のバッテリーセル(13)の電極(13+)および前記第2のセルパッケージ(9、39)のバッテリーセル(17)の反対符号の電極(17-)は互いに直接溶接され、
前記第1のセルパッケージ(7、37)および前記第2のセルパッケージ(9、39)は、これら2つの電極(13+、17-)の折り畳みが製作されるように、互いに折り畳まれ、
前記バッテリーアセンブリ(3、3’、33)はさらに、
- プリント回路基板(5)と、
- セルパッケージ(7、37)のバッテリーセル(17)の電極(17-)とプリント回路基板(5)との間に溶接される導電性ストリップ(19)と、
を含み、前記導電性ストリップ(19)は、一端が前記電極(17-)に、他端が前記プリント回路基板(5)に溶接され、前記ストリップ(19)の中央部が湾曲し、両端が平坦であり、かつ互いに平行に延びることを特徴とするバッテリーアセンブリ(3、3’、33)。
【請求項14】
2つのバッテリーアセンブリ(3、3’、33)が、唯一のプリント回路基板(5)を共有する、請求項13に記載の少なくとも2つのバッテリーアセンブリ(3、3’、33)を含むバッテリーシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーアセンブリの製造方法、かかるバッテリーアセンブリ、および2つのバッテリーアセンブリを含むバッテリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術、例えば特許文献1または特許文献2において、パウチ型のバッテリーセルを各々が含む複数のバッテリーモジュールを含むバッテリーアセンブリがすでに知られている。一般に、各バッテリーモジュール内で、バッテリーセルは、積層軸に沿って積層され、かつ同様に積層軸に沿って延びるバスバー、すなわち英語で「busbars」によって互いに電気的に接続される。しかしながら、これらのバッテリーモジュールの製造および組み立ては、特にパウチ型のバッテリーセルが、連続した充放電サイクル中の膨張、次に収縮によって変形するので、比較的複雑である。
【0003】
これらの短所を解消するために、パウチ型の複数のバッテリーセルを含むバッテリーサブモジュールを製作することが知られている。しかしながら、これらのバッテリーサブモジュールの組み立ては、特に、バッテリーセルの監視および/または制御に特に使用される、プリント回路基板およびバスバーのような周辺要素との各バッテリーセルの電気接続に関して、比較的複雑である。実際に、これらの要素を互いに正確に位置決めし、かつ同時に、バッテリーセルの膨張、次に収縮によりこれらの要素に加えられ得る充放電サイクルによる大きな応力を補償可能にすることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0259157号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2018/0175346号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バッテリーアセンブリの製造を簡易にすることを特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、バッテリーアセンブリの製造方法を対象とし、この方法は、
- パウチ型のバッテリーセルを提供するステップであって、各バッテリーセルが、互いに対向する2つの電極を含む、ステップと、
- 少なくとも1つのバッテリーセルから形成される第1のセルパッケージを製作するステップと、
- 少なくとも1つのバッテリーセルから形成される第2のセルパッケージを製作するステップと、
- 第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージを整列させ、第1のセルパッケージのバッテリーセルの電極および第2のセルパッケージのバッテリーセルの反対符号の電極が重ねられ、これら2つの電極を互いに直接溶接し、第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージが電気的に直列に接続されるようにし、かつ第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージを互いに折り畳み、これら2つの電極の折り畳みを製作するようにするステップと、
- プリント回路基板を提供するステップと、
- セルパッケージのバッテリーセルの電極とプリント回路基板との間に導電性ストリップを配置するステップと、
- 導電性ストリップの一端を電極に、他端をプリント回路基板に溶接するステップであって、ストリップの中央部が湾曲し、両端が平坦であり、かつ互いに平行に延びる、ステップと、
を含む。
【0007】
ストリップの中央部は、ストリップの両端の間に位置するストリップの一部である。このようにして、ストリップの中央部が湾曲しているため、充放電サイクル中のバッテリーセルの変位を補償できるようになり、かつこのようにして電極とプリント回路基板との間の電気接続を維持する。換言すると、湾曲した中央部、および平坦で、互いに平行に延びる両端の組み合わせは、充放電サイクル中の電気接続の維持を保証可能にする。その上、バッテリーセル間の電気接続は、バスバーのような追加要素を必要とせず、互いに溶接された電極によって直接製作されることで簡略化される。したがって、バッテリーアセンブリの製造は、簡略化される。
【0008】
「パウチ型のバッテリーセル」、英語で「pouch cell battery」とは、バッテリーの分野におけるこの表現の通常の意味において、電解質および電極が、パウチ型のバッテリーセルの内部空間内に受け入れられ、パウチ型のエンベロープがこの内部空間を取り囲むことを特に理解せねばならない。エンベロープは、例えば外部絶縁層、金属層、および場合により内部接着層を含む。外部絶縁層は、外部の湿気および/または気体の透過を妨げ、かつ例えばポリマー材料からなる。金属層は、エンベロープの機械抵抗を改善可能にする。金属層は、例えばアルミニウムから形成される。あるいは、金属層は、例えば鉄、炭素、クロムおよびマンガン合金によるか、鋼鉄によるか、ニッケルによるか、ニッケル合金によるか、アルミニウムによって形成される。電極は、伝導性舌片の形状でエンベロープの外に突き出して延び、エンベロープは、これらの伝導性舌片のまわりに封止され、パウチ型のバッテリーセルが組み立てられる時に、パウチ型のバッテリーセルの電極をこのようにして形成する。好ましくは、パウチ型のバッテリーセルの形状は、長方形である。
【0009】
単独または組み合わせて選択される、バッテリーアセンブリの製造方法の他の任意の特徴によれば、
- プリント回路基板は、少なくとも1つのスロットを含み、ストリップは、プリント回路基板のスロットの縁部に溶接される。このようにしてプリント回路基板に対するストリップの位置決め、次に溶接が、簡略化される。
- 溶接ステップは、レーザー溶接によって行われる。このようにして、特にレーザー溶接がオートメーション化増加を可能にするので、製造が簡略化される。
- 各電極は、当初、換言すると各セルパッケージの製作前に、パウチ型のバッテリーセルの主面と平行に延びる舌片によって形成される。
- 各正極は、アルミニウムで製作され、かつ各負極は、銅で製作される。
- 第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージは、積層軸Eに沿って互いに折り畳まれる。
- バッテリーアセンブリにおいて、バッテリーセルは、積層軸Eに沿って積層される。
- 英語の「Printed Circuit Board」の略語PCBでも知られるプリント回路基板は、バッテリーアセンブリの監視および/または制御回路の一部を形成する。
- バッテリーセルは、プリント回路基板に対して積層軸Eに沿って摺動自在に取り付けられる。
- ストリップは、金属を主成分とし、好ましくはストリップは、銅製である。
- ストリップは、金属板である。このようにして金属板の使用は、製造を簡略化し、かつ充放電サイクル中の電極とプリント回路基板との間の電気接続の維持を特に簡単に保証できるようにする。
- ストリップは、フレキシブルプリント回路基板の一部を形成する。このようにしてストリップの製造は、特に簡易で、かつ安価であり、かつストリップの位置決めおよび溶接は、簡略化される。
- ストリップの溶接ステップ後、ストリップの両端は、互いに平行に延びる。好ましくは、互いに平行に延びるストリップの両端は、同一平面上にある。
- ストリップは、一端が負極に溶接される。このようにして、ストリップおよび負極の材料が類似する、すなわち銅である時、溶接が簡略化される。
- ストリップの両端は、積層軸Eと垂直に延びる。このようにして、充放電サイクル中のバッテリーセルの膨張、次に収縮によるバッテリーセルおよびプリント回路基板の相対移動の補償は、ストリップの中央部によって最適に行われる。
- ストリップの中央部は、積層軸Eに沿ったバッテリーセルの移動が、中央部の湾曲によって補償されるように、専ら撓んで湾曲される。
- ストリップの中央部は、ループ形状に湾曲される。かかるループは、バッテリーセルの熱膨張を特に簡易に吸収することを機能とする。
- 導電性ストリップは、プリント回路基板では、温度センサに接続され、好ましくは温度センサは、英語の「Negative Temperature Coefficient」の略語NTCでも知られる負温度係数サーミスタである。
- 各セルパッケージは、複数のバッテリーセルの積層によって製作される。
- 各セルパッケージの製作ステップの際に、セルパッケージは、積層軸Eに沿った複数のバッテリーセルの積層によって製作され、かつセルパッケージのバッテリーセルの同じ符号の電極は、互いに直接溶接される。
- 各セルパッケージの製作ステップの際に、第2のバッテリーセルの電極の一端部が自由な状態に留まるように、第1のバッテリーセルの一方の電極は、折り畳まれ、第2のバッテリーセルの同じ符号の電極の中央部に対して接触し、次に直接溶接され、かつ第1のバッテリーセルの電極の一端部が自由な状態に留まるように、第2のバッテリーセルの他方の電極は、折り畳まれ、第1のバッテリーセルの同じ符号の電極の中央部に対して接触し、次に直接溶接される。
- 各セルパッケージは、積層軸Eに沿った複数のバッテリーセルの積層によって製作され、圧縮性材料層および/または放熱板は、セルパッケージの各バッテリーセルが圧縮性材料層および放熱板によって最大限に囲まれるように、隣接した2つのバッテリーセル間に挿入される。「圧縮性材料層」とは、圧縮性材料層が、セルパッケージの他の要素、すなわち第1のバッテリーセルおよび第2のバッテリーセルよりも積層軸Eに沿って圧縮可能であることを特に理解せねばならない。
- 方法は、以下のステップ、すなわち、バッテリーアセンブリの各バッテリーセルが、圧縮性材料層および放熱板によって囲まれるように、圧縮性材料層および/または放熱板を、第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージの間に挿入され、かつ第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージの互いの折り畳みステップ前に、配置するステップを含む。
- バッテリーセルは、同一であり、かつセルパッケージは、同一である。このようにして、バッテリーセルまたはセルパッケージを選別する必要がないので、製造が簡略化される。
- 第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージを電気的に直列に接続するために、第1のセルパッケージのバッテリーセルの電極の一端は、第2のセルパッケージのバッテリーセルの反対符号の電極の一端に直接溶接される。
【0010】
本発明は、先に定義されたような方法によって得られるバッテリーアセンブリを同様に対象とする。かかるバッテリーアセンブリは、このようにして、
- 少なくとも1つのバッテリーセルから形成される第1のセルパッケージと、
- 少なくとも1つのバッテリーセルから形成される第2のセルパッケージと、
各バッテリーセルはパウチ型であり、互いに対向する2つの電極を含み、
第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージが電気的に直列に接続されるように、第1のセルパッケージのバッテリーセルの電極および第2のセルパッケージのバッテリーセルの反対符号の電極は互いに直接溶接され、
第1のセルパッケージおよび第2のセルパッケージは、これら2つの電極の折り畳みが製作されるように、互いに折り畳まれ、
- プリント回路基板と、
- セルパッケージのバッテリーセルの電極とプリント回路基板との間に溶接される導電性ストリップと、
を含み、導電性ストリップは、一端が電極に、他端がプリント回路基板に溶接され、ストリップの中央部が湾曲し、両端が平坦であり、かつ互いに平行に延びる。
【0011】
単独または組み合わせて選択される、バッテリーアセンブリの他の任意の特徴によれば、
- バッテリーアセンブリは、セルパッケージを受け入れるハウジングを含む。
- プリント回路基板は、ハウジングに対して固定して取り付けられる。
- ハウジングは、バッテリーセルの圧縮手段を含む。
- 各セルパッケージは、電気的に並列に接続される2つのバッテリーセルを含む。
- 各セルパッケージは、バッテリーセルを含む。
- バッテリーアセンブリは、少なくとも2つのセルパッケージを含み、好ましくはバッテリーアセンブリは、20を超えるセルパッケージを含み、さらに好ましくはバッテリーアセンブリは、電気的に直列に接続される、24のセルパッケージを含む。
- 各バッテリーセルによって与えられる公称電圧は、約4Vである。
【0012】
本発明は、先に定義されたような少なくとも2つのバッテリーアセンブリを含むバッテリーシステムであって、2つのバッテリーアセンブリが、唯一のプリント回路基板を共有するバッテリーシステムも対象とする。このようにして、1つだけのプリント回路基板が、2つのバッテリーアセンブリに共通なので、製造が簡略化される。
【0013】
単独または組み合わせて選択される、バッテリーシステムの他の任意の特徴によれば、
- バッテリーシステムは、「Energy Static Storage」の英語の略語ESSでも知られる、電気エネルギー静的貯蔵システムである。
- バッテリーシステムによって与えられる公称電圧は、約1500Vである。
【0014】
本発明は、専ら例として与えられ、かつ添付図面を参照してなされる、以下に続く説明を読めばより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態による2つのバッテリーアセンブリを含むバッテリーシステムの略正面図である。
【
図2】
図1に示されるバッテリーシステムの略平面図である。
【
図3】第1の実施形態によるバッテリーアセンブリの一部、すなわち2つのセルパッケージの最終仕上げ前の略平面図であり、各セルパッケージは、パウチ型の2つのバッテリーセルからなる。
【
図4】
図3に示された2つのセルパッケージの製作後の略平面図である。
【
図5】
図4に示され、かつ電気的に直列に接続された2つのセルパッケージの略平面図である。
【
図6】
図5に示され、かつ互いに折り畳まれた2つのセルパッケージの略平面図である。
【
図7】第2の実施形態による2つのバッテリーアセンブリを含むバッテリーシステムの略平面図である。
【
図8】第2の実施形態によるバッテリーアセンブリの一部、すなわち2つのセルパッケージの略平面図であり、各セルパッケージは、パウチ型のバッテリーセルからなる。
【
図9】
図8に示され、かつ電気的に直列に接続された2つのセルパッケージの略平面図である。
【
図10】
図9に示された2つのセルパッケージの略平面図である。
【
図11】
図7に示された第2の実施形態の変形形態による2つのバッテリーアセンブリを含むバッテリーシステムの略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全図において、同じ参照符号は、同じ要素に係る。
【0017】
この詳細な説明において、以下の実施形態は例である。説明は、1つ以上の実施形態を参照するが、そのことは、特徴が唯一の実施形態にのみ適用されることを意味しない。様々な実施形態の単なる特徴が、他の実施形態を提供するために同様に組み合わされ、かつ/または入れ替えられ得る。
【0018】
図1および
図2に、第1の実施形態による2つのバッテリーアセンブリ3、3’を含むバッテリーシステム1を示し、その製造ステップは、
図3から
図6に示す。
【0019】
図1は、少なくとも2つのバッテリーアセンブリ3、3’と、プリント回路基板5と、を含むバッテリーシステム1を概略的に示す。バッテリーシステム1は、例えば電気エネルギー静的貯蔵システムである。バッテリーシステムによって与えられる公称電圧は、例えば約1500Vである。この実施例において、2つのバッテリーアセンブリ3、3’が、唯一のプリント回路基板5を共有し、プリント回路基板5は、このようにして2つのバッテリーアセンブリ3に共通する。プリント回路基板5は、バッテリーアセンブリ3、3’の監視および/または制御回路の一部を形成する。あるいは、かつ図示しない変形形態によれば、各バッテリーアセンブリ3、3’は、固有のプリント回路基板を含んでも良い。
【0020】
この実施例において、バッテリーアセンブリ3、3’は、同一であり、かつ各バッテリーアセンブリ3、3’は、特に
図2に示す2つのセルパッケージ7、9を含む。簡略化のために、2つのセルパッケージ7、9のみが、ここに示されるが、当業者なら、各バッテリーアセンブリ3、3’が、より大きな数のセルパッケージ、好ましくは20を超えるセルパッケージ、さらに好ましくは電気的に直列に接続される、24のセルパッケージを含み得ることを容易に理解するであろう。この実施例において、各セルパッケージ7、9は、2つのバッテリーセル11、13、15、17を含む。各バッテリーセル11、13、15、17によって与えられる公称電圧は、例えば約4Vである。
【0021】
第1のセルパッケージ7および第2のセルパッケージ9の実施形態は、以下に提示され、かつ
図3および
図4に示される。第1のセルパッケージ7は、パウチ型の2つのバッテリーセル11、13を含み、かつ第2のセルパッケージは、パウチ型の2つのバッテリーセル15、17を同様に含む。この実施例において、バッテリーセル11、13、15、17は、同一である。各バッテリーセル11、13、15、17は、互いに対向した2つの電極、さらに正確には、「+」と参照される正極またはカソード、および「-」と参照される負極またはアノードを含む。各電極「+」、「-」は、当初、換言すると各セルパッケージ7、9の製作前に、パウチ型のバッテリーセルの主面と平行に延びる舌片によって形成される。各正極「+」は、例えばアルミニウムで製作され、かつ各負極「-」は、例えば銅で製作される。簡略化のために、説明の続きにおいて、バッテリーセルの電極は、バッテリーセルの参照と一緒に、例えばバッテリーセル11の正極「+」に関して電極11+と示される。
【0022】
各セルパッケージ7、9を製作するために、セルパッケージ7、9は、複数のバッテリーセル、この実施例において
図3に示すように2つのバッテリーセル11、13、15、17の積層軸Eに沿った積層によって製作される。
【0023】
次に
図4に示すように、セルパッケージ7、9のバッテリーセル11、13、15、17の同じ符号の電極11+、13+、11-、13-、15+、17+、15-、17-は、例えばレーザー溶接によって互いに直接溶接される。さらに正確には、第2のバッテリーセルの電極13+、15+の一端部が自由な状態に留まるように、第1のバッテリーセル11、17の一方の電極11+、17+が折り畳まれ、第2のバッテリーセル13、15の同じ符号の電極13+、15+の中央部に対して接触し、次に直接溶接され、かつ第1のバッテリーセルの電極11-、17-の一端部が自由な状態に留まるように、第2のバッテリーセル13、15の他方の電極13-、15-が折り畳まれ、第1のバッテリーセル11、17の同じ符号の電極11-、17-の中央部に対して接触し、次に直接溶接される。このようにして、各セルパッケージ7、9は、電気的に並列に接続される2つのバッテリーセル11、13、15、17を含む。
【0024】
次に
図5に示すように、第1のセルパッケージ7および第2のセルパッケージ9が、整列され、第1のセルパッケージ7のバッテリーセル13の電極13+および第2のセルパッケージ9のバッテリーセル17の反対符号の電極17-が重ねられ、これら2つの電極13+、17-が、例えばレーザー溶接によって互いに直接溶接される。このようにして、第1のセルパッケージ7および第2のセルパッケージ9が電気的に直列に接続される。さらに正確には、この実施例において、第1のセルパッケージ7および第2のセルパッケージ9を電気的に直列に接続するために、第1のセルパッケージ7のバッテリーセル13の電極13+の一端は、第2のセルパッケージ9のバッテリーセル17の反対符号の電極17-の一端に直接溶接される。
【0025】
その後、第1のセルパッケージ7および第2のセルパッケージ9は、これら2つの電極13+、17-の折り畳みを製作するように互いに折り畳まれる。さらに正確には、第1のセルパッケージ7および第2のセルパッケージ9は、積層軸Eに沿って互いに折り畳まれる。このようにして、バッテリーアセンブリ3、3’において、バッテリーセル11、13、17、15は、積層軸Eに沿って積層される。
【0026】
図示しない変形形態によれば、圧縮性材料層および/または放熱板は、セルパッケージ7、9の各バッテリーセル11、13が圧縮性材料層および放熱板によって最大限に囲まれるように、隣接した2つのバッテリーセル11、13、15、17間に挿入される。圧縮性材料層は、第1のバッテリーセル11、17および第2のバッテリーセル13、15の積層軸Eに沿った拡張を吸収するように構成され、かつ圧縮性材料層は、第1のバッテリーセル11、17および第2のバッテリーセル13、15を互いに熱的に保護するように構成されるように、熱的に絶縁される。このようにして、圧縮性材料層は、バッテリーセル11、13、15、17の拡張吸収機能、およびバッテリーセル11、13、15、17の互いの熱的保護機能を同時に、かつ簡易に満たすことを可能にする。
【0027】
バッテリーアセンブリ3、3’は、セルパッケージ7、9を受け入れる、図示しないハウジングを従来含み、ハウジングは、バッテリーセル11、13、15、17の圧縮手段を含む。プリント回路基板5は、ハウジングに対して固定して取り付けられる。例えば、プリント回路基板5は、ハウジングに対してねじにより固定またはラチェット機構により固定される。その膨張、次に収縮を可能にするために、バッテリーセル11、13、15、17は、プリント回路基板5に対して積層軸Eに沿って摺動自在に取り付けられる。
【0028】
バッテリーセル11、13、15、17をプリント回路基板5に、例えばその制御または監視のために接続するために、導電性ストリップ19は、
図2に示すように、セルパッケージ9のバッテリーセル17の電極17-とプリント回路基板5との間に配置される。例えば、ストリップ19は、金属板である。この実施例において、ストリップ19は、金属を主成分とし、さらに正確にはストリップ19は、銅製である。図示しない変形形態によれば、ストリップ19は、英語で「flexible Printed Circuit Board」について「フレキシブルPCB」としても知られる、フレキシブルプリント回路基板の一部を形成する。
【0029】
次にストリップ19は、一端が電極17-に、他端がプリント回路基板5に、例えばレーザー溶接によって溶接され、ストリップ19の中央部が湾曲し、両端が平坦であり、かつ互いに平行に延びる。さらに正確には、ストリップ19の中央部は、積層軸Eに沿ったバッテリーセル11、13、15、17の移動が、中央部の湾曲によって補償されるように、専ら撓んで湾曲される。その上、この実施例において、特に電極17-が、銅製の負極であり、かつストリップ19が同様に銅製であるので、溶接が簡略化される。このようにして、ストリップ19の溶接ステップ後、ストリップ19の両端は、互いに平行に延び、かつこの実施例において
図2に見られるように、同一平面上にある。その上、ストリップ19の両端は、積層軸Eと垂直に延びる。このようにして、ストリップ19は、積層軸Eに沿った二方向においてバッテリーセル11、13、15、17の最大移動を補償可能にする。このために、プリント回路基板5は、少なくとも1つのスロット21、21’を含み、ストリップ19は、プリント回路基板5のスロット21、21’の縁部に溶接される。
【0030】
この実施例においてさらに正確には、導電性ストリップ19は、プリント回路基板5では、温度センサ23、この実施例においては負温度係数サーミスタに接続される。
【0031】
図7は、第2の実施形態によるバッテリーアセンブリ33を概略的に示し、その製造ステップは、
図8から
図10に示される。第2の実施形態によるこのバッテリーアセンブリ33は、
図8に示すように、その2つのセルパッケージ37、39が、各々パウチ型の唯一のバッテリーセル13、17から形成されることにおいて、先に記載された第1の実施形態によるバッテリーアセンブリ3、3’と異なる。
【0032】
次に、
図9および
図10に示すように、第1のセルパッケージ37および第2のセルパッケージ39が、整列され、第1のセルパッケージ37のバッテリーセル13の電極13+および第2のセルパッケージ39のバッテリーセル17の反対符号の電極17-が重ねられ、これら2つの電極13+、17-が、例えばレーザー溶接によって互いに直接溶接される。このようにして、第1のセルパッケージ37および第2のセルパッケージ39が電気的に直列に接続される。さらに正確には、
図10に見られるこの実施例において、第1のセルパッケージ37および第2のセルパッケージ39を電気的に直列に接続するために、第1のセルパッケージ37のバッテリーセル13の電極13+の一端は、第2のセルパッケージ39のバッテリーセル17の反対符号の電極17-の一端に直接溶接される。
【0033】
その後、第1のセルパッケージ37および第2のセルパッケージ39は、これら2つの電極13+、17-の折り畳みを製作するように互いに折り畳まれる。さらに正確には、第1のセルパッケージ37および第2のセルパッケージ39は、積層軸Eに沿って互いに折り畳まれる。このようにして、バッテリーアセンブリ33において、バッテリーセル13、17は、
図7に示すように、積層軸Eに沿って積層される。
【0034】
バッテリーセル13、17をプリント回路基板5に、例えばその制御または監視のために接続するために、導電性ストリップ19は、
図7に示すように、セルパッケージ39のバッテリーセル17の電極17-とプリント回路基板5との間に配置される。この実施例において、ストリップ19は、金属を主成分とし、さらに正確にはストリップ19は、銅製である。次にストリップ19は、一端が電極17-に、他端がプリント回路基板5に、例えばレーザー溶接によって溶接され、ストリップ19の中央部が湾曲し、両端が平坦であり、かつ互いに平行に延びる。さらに正確には、ストリップ19の中央部は、積層軸Eに沿ったバッテリーセル13、17の移動が、中央部の湾曲によって補償されるように、専ら撓んで湾曲される。その上、この実施例において、特に電極17-が、銅製の負極であり、かつストリップ19が同様に銅製であるので、溶接が簡略化される。このようにして、ストリップ19の溶接ステップ後、ストリップ19の両端は、互いに平行に延び、かつこの実施例において
図7に見られるように、同一平面上にある。その上、ストリップ19の両端は、積層軸Eと垂直に延びる。このようにして、ストリップ19は、積層軸Eに沿った二方向においてバッテリーセル13、17の最大移動を補償可能にする。このために、プリント回路基板5は、少なくとも1つのスロット21を含み、ストリップ19は、プリント回路基板5のスロット21の縁部に溶接される。
【0035】
この実施例においてさらに正確には、導電性ストリップ19は、プリント回路基板5では、温度センサ23、この実施例においては負温度係数サーミスタに接続される。
【0036】
図11は、第2の実施形態の変形形態によるバッテリーアセンブリ33を概略的に示す。第2の実施形態のこの変形形態によるこのバッテリーアセンブリ33は、ストリップ19の中央部が、ループ形状に湾曲されることにおいて、
図7に示され、かつ先に記載されたバッテリーアセンブリ33と異なる。
【0037】
本発明は、示された実施形態に限定されず、かつ当業者には他の実施形態が、明瞭に現れるであろう。簡略化のために、2つのセルパッケージ7、9または37、39のみがここに示されるが、当業者なら、各バッテリーアセンブリ3、3’、33が、より大きな数のセルパッケージ、好ましくは20を超えるセルパッケージ、さらに好ましくは電気的に直列に接続される、24のセルパッケージを含み得ることを容易に理解するであろう。与えられ得る公称電圧を増大させるために、より大きな数のバッテリーアセンブリによりバッテリーシステムを製作すること、または複数のバッテリーシステムを直列に接続することも同様に可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 バッテリーシステム
3、3’ バッテリーアセンブリ
5 プリント回路基板
7、9 セルパッケージ
11、13、15、17 バッテリーセル
19 ストリップ
21、21’ スロット
23 温度センサ
33 バッテリーアセンブリ
37、39 セルパッケージ
E 積層軸
- 負極
+ 正極
【国際調査報告】