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特表2025-501987表面処理されたフィルター材料上でエアフィルター処理された病原体の不活化のためのナノ濾過装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】表面処理されたフィルター材料上でエアフィルター処理された病原体の不活化のためのナノ濾過装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/20 20060101AFI20250117BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20250117BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20250117BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20250117BHJP
   B01D 46/54 20060101ALI20250117BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20250117BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L9/16 F
A61L9/01 E
B01D46/52 C
B01D46/54
B01D39/16 A
A61L2/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024539957
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2024-08-28
(86)【国際出願番号】 SK2021000007
(87)【国際公開番号】W WO2023128878
(87)【国際公開日】2023-07-06
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524246850
【氏名又は名称】ヴィスクムニイ ウスタフ パピエラ ア セルロージー アクチオヴァ スポレチノスト
【氏名又は名称原語表記】VYSKUMNY USTAV PAPIERA A CELULOZY, A.S.
【住所又は居所原語表記】Dubravska cesta 14, 84104 Bratislava Slovakia
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(74)【代理人】
【識別番号】100149799
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボハーチェク,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】スーシュ,ルボミール
(72)【発明者】
【氏名】トース,マルセラ
(72)【発明者】
【氏名】スタンコフスカ,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】パジトニー,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】イフナット,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】クニャ,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】バルベリク,ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,イジー
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4D019
4D058
【Fターム(参考)】
4C058BB07
4C058KK02
4C058KK42
4C058KK46
4C180AA07
4C180DD03
4C180DD09
4C180EA24X
4C180EA27X
4C180EA30X
4C180EA39X
4C180EB30Y
4C180HH05
4C180HH11
4C180JJ01
4C180LL04
4D019AA01
4D019AA02
4D019BA12
4D019BB05
4D019BC05
4D019BC06
4D019BC13
4D019BD01
4D019CA02
4D019CB01
4D058JA10
4D058JB03
4D058JB13
4D058JB26
4D058JB50
4D058KA15
4D058KC39
4D058NA01
4D058QA03
4D058QA21
4D058SA01
4D058TA02
4D058TA08
(57)【要約】
液滴で媒介される病原体の不活化するためのナノ濾過装置を提供することを目的とする。微小液滴は、汚染された空気を濾過することで、保有残留水中に抗菌金属イオン及びアジュバントを含むナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースで表面処理されたフィルター材料/ペーパー上に捕らえられる。空気は、装置の下部に位置するナノ濾過装置の開口系に吸い込まれ、フィルターカートリッジの真中の空間に入っていき、そこには電磁波波長スペクトルのUV-C範囲の放射線を放射する殺菌放射体が取り付けられている。その後空気は抗菌金属塩を含むフィルターペーパーを通って、放射体の中心から外へ、フィルターカートリッジに密閉されて挿入されているフィルターペーパーを通って流れる。フィルターペーパーは調和して折り重ねられ、表面は最大限に、完全にUV-C放射線で照射されている。抗菌イオンは汚染された微小液滴の中に拡散し、UV-C放射線と共にウイルスを不活化し、細菌を消毒する。その後液滴は乾燥し、不活性化されたウイルス及び細菌は空気に運ばれ、アジュバントとともに人体に入り、集団免疫を増進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース担体上の残留水中に無機添加剤を含むフィルターを通じて、エアフィルター処理された病原体を不活化するための、円筒又は角柱形状のナノ濾過装置(1)であって、
穴の開いた基部/土台(2)を通じて周囲と接続された平らな基部及び電磁波波長スペクトルのUV-C範囲の放射線の作用に対して長期間安定した材料で仕切られ、前記装置の内部空間に長手方向に円筒形状に置かれ、前記装置の前記内部空間に長手方向に円筒形状に位置する内部空間(3)を有し、
前記内部空間(3)の真中に円筒又はU字管の形状の殺菌放射体(4)が長手方向(軸方向)にあり、
前記殺菌放射体(4)はUV-C放射線を放射し、フィルターカートリッジ(6)の内部に流入する気流の方向に平行に置かれ、
前記フィルターカートリッジ(6)は前記内部空間(3)の下部において密閉されていて、前記装置の下部の開口を通じて周囲から吸い込まれた空気はカートリッジの中央のみに達し、最上部は密閉されていて気流はフィルターペーパーシート(5)のアコーディオン形状の整列した多孔壁を通るよう方向づけられ、
前記ナノ濾過装置(1)はトウモロコシ類の蒸留所廃棄物由来のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、溶解度限界以下の濃度で添加したアジュバント(アルミニウム化合物:AlPO、Al(OH)、(Al)POSOOH及びキトサン)、並びに溶解度限界以下の濃度のCu(NO、Zn(NO、Ca(NO及びMg(NOの硝酸塩又はCu、Zn、Ca及びMgの他の可溶性の塩を含み、
前記フィルターペーパーシート(5)は前記フィルターカートリッジ(6)にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供することを特徴とする、ナノ濾過装置。
【請求項2】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のZn(NO、Ca(NO及びMg(NOの硝酸塩又はZn、Ca及びMgの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項3】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のCu(NO、Ca(NO及びMg(NOの硝酸塩又はCu、Ca及びMgの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項4】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のCu(NO、Zn(NO及びCa(NOの硝酸塩又はCu、Zn及びCaの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項5】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のCu(NO、Zn(NO及びMg(NOの硝酸塩又はCu、Zn及びMgの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項6】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のCu(NO、Zn(NOの硝酸塩又はCu、及びZnの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項7】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のCu(NO、Ca(NOの硝酸塩又はCu、及びCaの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項8】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のCu(NO、Mg(NOの硝酸塩又はCu及びMgの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項9】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のCa(NO、Zn(NOの硝酸塩又はCa及びZnの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【請求項10】
前記ナノ濾過装置はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース、アジュバント並びに溶解度限界以下の濃度のMg(NO及びZn(NOの硝酸塩又はMg及びZnの他の可溶性の塩を含み、
フィルター材料が前記フィルターカートリッジ内にアコーディオン形状で折り重ねられており、表面が最大で、UV-C放射線で完全に放射され、
1つ又は複数のファン(10)が前記フィルターカートリッジ(6)の下方及び/又は上方に設置され、アコーディオン形状に折り重ねられたフィルターシートの孔を通る空気の強制的な流れを提供する、
請求項1に記載の基部/土台(2)を通じて周囲の環境と接続された平らな基部を有し、セルロース担体上の無機添加剤によって空気から濾過された病原体を不活化するための、ナノ濾過装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保有残留水中に抗菌金属イオン及びアジュバントを含むナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースの層で処理された表面を有するフィルター材料/ペーパー上に捕らえられた、液滴の形で運ばれる、エアフィルター処理された病原体の不活性化のためのナノ濾過装置に関する。この装置では、ナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースと銀、銅、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムの硝酸塩を有する混合材料による空気濾過の不活性化及び消毒効果と電磁波波長スペクトルのUV-C範囲の放射線を放射する殺菌放射体が組み合わされている。この提示した空気中の病原体を不活性化する装置は、家庭等だけでなく、ショッピングセンター、待合室、空港、スーパーマーケット及び大規模なスーパーマーケット、病院、公共交通機関の駅及び停留所、学校、保育園及び幼稚園、教会、博物館及び美術館、劇場、映画館、ジム、競技場、屋外プール、屋内プール、ホテル、飲食店、兵舎、公共交通機関などのウイルスの出現率の高い混雑した場所に使用することが出来る。
【0002】
[背景技術]
現在病原体の濃度を減らすために使用されている装置は、殺ウイルス及び殺細菌の効果を有し、比較的容易に利用できるが、空気中に含まれる塵粒子の表面及び液滴中に存在する細菌の完全な除去及びウイルスの完全な不活性化を保証していない。さらに、それらは主に特に医療産業用に製造されている。同時にそれらはまた通常、出入り口エリア、待合室、救急車、病院ホール及び感染リスクが高い、又は環境の清浄度に対する高い要求があるその他の病院の部屋及び外来患者用室などの部屋で医療を提供する病院及び医療用建物を組み込む、又は組み込まれている産業用施設に適用されている。
【0003】
この装置はまた、空気中に存在するいかなる病原体にも影響されやすい製造、例えば、医薬品又は医薬品の前駆体及び生化学製品の製造並びにその他の製造にも有益である。市販の装置は空気中の病原体の不活性化に効果がなく、又は病原体を不活化する、活性化された表面を含んでいない。病原体としては、病原性ウイルス、微視的な菌類の胞子、菌類、菌類の胞子及び細菌等が挙げられ、空気中の生物エアロゾル-バイオエアロゾルの形の微粒子上に認められる。バイオエアロゾル中に認められる多くのウイルス及び細菌はなお部分的に活性で、それぞれ生きており、液滴及び塵粒子の形状の好適な材料上で複製及び増加し続けることができる。これらの微粒子に加えて、バイオエアロゾルはまた花粉粒、植物の種、木材の塵粒子、動物の毛髪の破片、動物の浸出物、昆虫、昆虫の分泌物及びその他の生物材料などの、生きている生物由来の他の粒子(これらは有害な病原体の繁殖場の役割をする)を含む。前述の粒子は空気中に単独で存在でき、その場合短い間だけ活性であり、存続する、又は、塵粒子及び、いわゆる液滴感染を引き起こす液滴の形状の好適な担体上でも存在する。液滴感染は空気中の粘液及び唾液の汚染された液滴の「霧」中のウイルス(鼻炎、インフルエンザ、いわゆる豚インフルエンザ及び鳥インフルエンザを含む、コロナウイルス等)及び細菌(結核等)の蔓延である。その他の例はレジオネラ症で、レジオネラ症の原因因子、レジオネラ・ニューモフィラ菌が加湿器又は空調システムからのバイオエアロゾルで広がる(X.Gong等、mip遺伝子、SBT及びFAFLP法を用いた、空調冷却水からのレジオネラ・ニューモフィラの分子タイピング、Journal of Microbiological Methods 139 (2017) p.1-7)。したがって、空調装置の使用若しくは使用の強度を検討すること又は空調ユニットの排出口及び空調ユニットに有害な病原体を不活性化する有効な装置を付け加えることが必要である。
【0004】
気体相又は液体相のアンモニア、水、硫化水素、及びリン化水素などのいくつかの極性化合物が、繊維の表面が負の電気を帯びているセルロースとの高い親和性を有することは専門文献で知られている(A.Onur等、濾過性能向上のための、セルロースナノファイバーのトップコートを有するセルロース繊維―パーライトデプスフィルター、Colloids and Surfaces A:Physicochemical and Engineering Aspects 583 (2019) 123997)。これらの化合物の中で空気中の病原体のもっとも一般的な担体は水である。したがって水はエアロゾルの本質的な部分である。水だけでなく、汚染された空気中に存在する前述の極性化合物によって、有害な細菌及びウイルスは空気中でより長く生存し、病院、外来患者区域、検疫所など、人が多く集まる場所では、曝露時間がより多くの人々の感染に影響する。
【0005】
セルロースの負の電気を帯びた表面は正の電気を帯びた粒子を引き付ける。一方で水素原子を含む水分子及び極性化合物の場合、これらは正の分数電荷を有する水素原子であり、水分子及び適切な極性化合物はセルロースフィルム表面の中及び外側の負の分数電荷を有する酸素原子に方向づけられる。追加の水分子及び任意の極性化合物は続いて同じ方向に配置される。酸素原子は2つの自由電子対を含み、又は任意の他の負の電荷を有する要素も自由電子対を含むため、追加の水素結合が形成されるからである。生物工学では有孔性などの特定の性質を修正しながら、生きている生物の天然の繊維網状組織由来のナノセルロースを処理する方法も使用している(Ashrafi等、バクテリアナノセルロースマトリックスにおける生物工学的調整可能有孔性、Soft Matter 15 (45) (2019) 9359-9367)。このように作成されたナノセルロースから得られた膜は病原体を含む微粒子に対する機械的及び物理化学的な防壁としても使用できる。
【0006】
微生物は成育場所又はコロニーが作られた表面から水性分散液によって空気中に放たれる。バイオエアロゾルはSARS(重症急性呼吸器症候群)などの新興の液滴感染だけでなく感染性疾患の蔓延、急性中毒、アレルギー、喘息及び前癌疾患の蔓延の一因となりうる。空気を消毒及び滅菌するために、上述の病原性微生物を不活性化するために様々なオゾンを基にした装置が使用されている(J.Arlemark(SE):WO2013/110782 A1)。消毒及び脱臭に用いられる、波長範囲が315nmから400nmの紫外線のUV-A群を用いた装置も知られている(SJ Palackal(IN)等、WO2019/073474 A1)。Dealに認可され2013年に公表された発明の特許のUV-C滅菌器と呼ばれる装置は病原性粒子の消毒又は不活性化の処理を行い(JL Deal(US)UV-C滅菌器、EP2 174 670 B1)、UV-C放射を使用し病原性粒子を殺菌又は不活性化するが、不活性化の別の可能性を提供していない。有害な病原体を含む微粒子、それぞれの病原性粒子の数はまた相対湿度に依存し、相対湿度は空気中の水蒸気の部分的圧力、気温及び気圧に影響される。相対湿度は気流中の水蒸気含有量に依存する(A.Pazitny(SK)、S.Bohacek(SK)、P.Medo(SK)、Z.Brezaniova(SK)、A.Russ(SK)、M.Stankoska、V.Ihnat(SK)、J.Schwartz(SK)、J.Gigac(SK)、J.Balbercak(SK)、U字管凝縮水排水統合を伴うスパイラルに基づく回収装置、SK 50043‐2016 A3)。
【0007】
空気中の水を無毒化するほかの方法は病原体又は病原体を含む粒子に接触して吸収する担体に殺生剤を添加することである。しかしながら、この方法は主に凝縮した状態の水、すなわち液体形状の汚染された及び生物学的に有害な水に対して開発されており、空気中の水滴への適用に対してではない。カルシウム、鉄、炭酸塩、塩化物、硝酸塩、リン酸塩及び硫酸塩のイオンなどのイオン含有組成物は殺生剤として使用されている(NA.Samad(US)、DD.Back(US)、金属リガンド複合体を使用した水の消毒法 US 5,632,904 A)。しかしながら空気中に硫化水素が存在する場合は銀塩又は銅塩が使用できる(P.R.Warburton(US)、R.S.Sawtelle(US)、気体センサー用フィルター、US 6 284 545B1)。銀塩又は銅塩の水溶液は殺生効果を有する。銅、マグネシウム、亜鉛又はその塩を含む殺菌組成物もいくつか知られており、1986年以来試験されている(本間保男、有本裕、見里朝正、鳥山朋美、伴野広太郎、農園芸用殺菌剤組成物 特開昭61-233606)。空気を吸う織布の清浄機もグラスマイクロファイバーからなり、複数回折り返してあるHEPAフィルター(「高効率微粒子空気」フィルター)を含んでいる。HEPAフィルターは清浄設備において塵を捕らえる装置の入り口からの順番で最後のフィルターの位置を占める。HEPAフィルターの務めは塵、花粉、たばこの煙、ダニ又はカビの排泄物などの、紙袋又はその前のフィルターが捕らえられない最も細かい粒子でさえ捕らえることである。しかしながら、HEPAフィルターは様々な他のフィルターと組合わすことができ、HEPAフィルターで形成されている清浄装置に取り付けられたフィルター層は他の活性化フィルター材料の前又は後ろに置くことが出来る。HEPAフィルターのフィルター層は、2016年に公表されているような活性炭又は銀カチオンナノ粒子を含む層など有機又は無機材料を含む様々なフィルター層と組み合わせることができる(M.Gu(CN)、遠隔制御可能な空気精製水製造機、CN 105735416 A)。異なる活性フィルター層の追加はかなりHEPAフィルターの濾過効果を増進させる。
【0008】
[課題を解決するための手段]
本発明の本質は病原性微生物及びその残渣を捕らえ、消毒し、不活性化する能力にあり、病原性微生物及びその残渣は汚染された空気中に存在し、周囲の空間からの空気中の液滴及び塵でナノ濾過装置の入り口の開口系に注入される。ナノ濾過装置の開口系は装置の下部に位置し、空気はそこに吸い込まれ、フィルターカートリッジの真中の空間に入っていき、そこには電磁波波長スペクトルのUV-C範囲の放射線を放射する殺菌放射体が取り付けられている。したがって照射された空気は抗菌金属塩を含むフィルターシートを通って、放射体の中心から外へ、フィルターカートリッジに密閉されて挿入されている複合フィルター材料を通って流れる。フィルター材料はアコーディオン形状に折り重ねられ、表面は、全表面はUV-C放射線で照射されている。特に処理されたフィルターペーパーの表面上の粘着性の液滴、親水性力及び水素結合が液滴で媒介される腸内ウイルス及び細菌で汚染された唾液の微小液滴を捕らえ、微小液滴はUV-C放射線を持続的に照射され、フィックの拡散の法則により濃度勾配のため抗菌金属カチオン及びアジュバントは確実に微小液滴に移動し、UV-Cの作用とともにウイルスを不活性化し、存在する細菌を殺す。この原理に基づきナノ濾過装置はエアフィルター処理された病原体の不活化を、主に保有残留水中の無機添加物によりもたらす。精製された空気はフィルターペーパーを通って流れ、フィルターカートリッジと装置の外側の壁の間の空間に入り、ファン10で上方に向けられ、平均的な人の気道の高さで排出される。照射線及び気流の組み合わせによる金属カチオン、塩アニオン及びUV-C放射線の消毒効果の作用の最適時間後、液滴は乾燥し、不活性化されたウイルス及び死んだ細菌は空気に運ばれ、続いてアジュバントとともに人体に入り、集団免疫を増進する。
【0009】
ナノ濾過装置のフィルターシートはナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバント並びに銀、銅、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムの硝酸塩を含む。病原体の不活性化は上述のフィルターペーパー及び電磁波波長スペクトルのUV-C範囲の放射線を放射する殺菌放射体の複合効果によって実行される。特定の含有量のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びに銀、銅、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムの硝酸塩を有するシートは気流中の病原体を含む微小液滴に対する機械的及び物理化学的防壁を形成する。ナノ濾過装置の真中に位置する殺菌放射体は好ましくは250.0nmから280.0nm(極端な場合210.0nmまで)の範囲のUV-C電磁波波長スペクトルの放射線を放射し、有害なオゾンは形成せず、装置はヒト、動物及び植物の存在下でも使用できる。
【0010】
UV-C放射線による病原性粒子の不活性化処理は、この種のナノ濾過装置における以前の産業上の解決手段と比べて、抗菌無機塩を含む残留水を有するナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースを適用することにより増強されている。ナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースの添加は孔の大きさ及び分散を最適化し、表面上の負の電荷による表面の親水性及び抗菌効果が増進する。化学的に及び物理的に、10nmから25μmの範囲の孔径、20cm.g-1から75m.g-1の範囲の特定の孔の比表面積及び0.05cm.g-1から0.70cm.g-1の範囲の比細孔容積のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースに基づくシートで、所定のパラメータの上述の範囲の表面は有害な又は部分的な病原体を含む微粒子を吸収する能力を有する。シートはまた硝酸塩(AgNO、Cu(NO、Zn(NO、Ca(NO及びMg(NO)の添加された混合添加剤を溶解限度以下の濃度で含んでいる。前述の無機塩の混合添加材を含むナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース繊維上に吸収される、有害な病原体を含む微視的粒子の数も、微視的粒子は通常塵粒子に蓄積し、水の微小液滴に吸収されるため、気流中の相対湿度に依存する。水を含む粒子の蓄積、吸収は、特に、上述の硝酸塩の混合添加剤を有するペーパーシートを適用した場合に非常に効率的であり、この混合添加物は、殺菌放射体によって放射されるUV-C電磁波波長スペクトルの放射線の殺菌効果を増大させる。気流はナノ濾過装置を通過するが、ナノ濾過装置の下部の開口を通って、真中の場所に長手方向に置かれた殺菌放射体がある空間に入り、その周りを流れる。続いて気流はナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースの層並びに銀、銅、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムの硝酸塩で処理された表面を有するシートを通過する。微粒子は強制された空気空間を通って流れる間に部分的に消毒される。殺菌放射体は殺菌放射体が放射する210.0nmから280.0nmの電磁波波長範囲の紫外線の作用により中央に位置する。空気の循環速度を上げる必要がある場合は、出口側の装置の先細部分のフィルター付き電池の上方又は電池への入口に備えられたファン10が、ナノ濾過装置に強制的な気流を供給する。取り入れられた汚染された空気の流れは1つまたは複数のファンの作用でナノフィブリル化したセルロース及び/若しくはナノセルロースの層並びに銀、銅、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムの硝酸塩又は価格及び効果の必要なシェアを得るためにこれらの一つ又は複数を省くことによる様々な組み合わせで表面処理されたシートへ導かれる。この材料の繊維は表面上に、生きている、生物学的に活性の病原性の微粒子及び病原性微生物又は微生物の不活性化されていない部分を含む残留バイオエアロゾルをそれぞれ吸収する能力を有し、ナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース繊維上で不活性化され、硝酸塩が存在する殺生剤が微小液滴中に拡散し病原体に達する。アコーディオン形状に折り重ねられ円筒形状にしたシートはフィルターカートリッジに密閉して挿入されており、活性のある表面は最大化され、UV-C放射線が放射され、気流全体がこの活性のあるフィルター材料を通過する。
【0011】
保有残留水中に抗菌金属イオン及びアジュバントを含むナノフィブリル化したセルロースの層による、表面処理された複合フィルター材料/フィルターペーパー上で、エアフィルター処理された病原体の不活化のためのナノ濾過装置は、ナノフィブリル化した/ナノセルロース及び銀、銅、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムの硝酸塩を添加したフィルターペーパーを用いた空気濾過と殺菌放射体を組み合わせており、電磁波波長スペクトルのUV-C範囲の放射線が得られ、99.99%を超える病原体の不活性化効率を達成する。従来の、空気で運ばれる病原体の不活性化装置と比較して病原体不活性化効率がはるかに高い結果となり、様々な組み合わせ装置として医療用建物及び家庭用建物で使用されることが多い。又は、ナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びに銀、銅、亜鉛、カルシウム及びマグネシウムの硝酸塩を添加した特別なシートを使用しないで空気消毒が必要な場所で、病原体不活性化効率85%から90%で使用される。
【0012】
電磁波波長スペクトルのUV-Cの範囲の殺菌放射体が位置する適切な空間の容積及び位置は、シート中の孔の中の気流の速度が0.01m.s-1から7.9m.s-1の範囲内の程度に達成可能に適応させる。気流はフィルター材料の活性のある壁を通って方向づけられる。気流は装置の出口開口を通って上方又は装置の上部開口部へ出ていく。上部開口部は最適には平均的な人の呼吸開口の高さにある。
【0013】
[図面の簡単な説明]
発明は2つの図を用いて説明しており、図1は、電磁放射線の波長のUV-C範囲の紫外線放射線を放射する殺菌放射体を有し、抗菌金属イオン及びアジュバントを保有残留水に含んだナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースの層で表面処理された複合フィルター上で、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置に関する空間の配置及び位置並びにナノ濾過装置内の気流を示している。図2は、カートリッジの内側の硝酸塩添加物を含むナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースで表面処理されたフィルター材料/フィルターペーパーシート及びフィルターペーパーシートから装置の上部開口部への気流を示す。
【0014】
[実施例]
実施例1
図1の上部開口部2を通じて周囲の環境に接続している、無機の添加物及びナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースで表面処理されたフィルター材料/フィルター上で、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1は内側部分に形成された空間3を有し、そこにはアコーディオン形状の折り重ねられたフィルターシートを有するフィルターカートリッジの中に円筒又はU型管の形状の殺菌放射体4が備えられている。殺菌放射体4は軸方向に位置し、フィルターカートリッジへ流入する気流の方向と平行であり、ナノ濾過装置の内部の中央部分に長手方向に位置し、400μWから500Wの範囲の放射線量を2秒から7200秒の範囲の暴露値で放射する。放射体からの殺菌電磁波放射線は280.0nmから210.0nmの範囲の波長を有する。ナノ濾過装置1の内部の周壁は電磁波波長スペクトルのUV-C範囲で長期間安定な材料で仕切られ、好ましくは調整可能な出口の高さを有する円錐形の狭窄部(constriction)及び排出管で終わりとなる角柱又は垂直に配置された円筒の形状にすることができる。内部空間3の真中部分にはアコーディオン形状で折り重ねられたフィルターシート5があり、フィルターカートリッジ6の中に密閉されて配置されている。図2によると、フィルターカートリッジはカバー7によって上部部分が密閉されており、取り入れられた空気は全てアコーディオン形状の折り重ねられたフィルターシートを通って濾過される。空気濾過のためのフィルターペーパーシート5は大きさが10.0nm以上の孔径、20cm.g-1の比表面積及び0.10cm.g-1の比細孔容積のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロースの材料で表面処理されている。シートはシート1mにつき合計電荷が5.0gの硝酸塩(AgNO、Cu(NO、Zn(NO、Ca(NO及びMg(NO)の添加された混合添加物及びシート1mにつき0.10gから0.59gの範囲の合計電荷のアジュバントも含んでいる。個々の硝酸塩のモル比AgNO:Cu(NO:Zn(NO:Ca(NO:Mg(NOは1:1:1:1:1である。上述のパラメータのシートの孔の表面は病原性微生物及びその部分を含む微粒子を吸収できる。
【0015】
図1のナノ濾過装置は以下のように働く。ナノ濾過装置1に流れ込む、病原性の微生物の残渣だけでなくウイルス、微視的な菌類の胞子、カビ、菌類の胞子、細菌、藻を含む病原性粒子を含み、ナノ濾過装置1に流入する汚染された空気は穴8のシステムを通って吸い込まれ、台座9を通って流れ、台座9から殺菌放射体4が長手方向に備えられている空間3に配給される。空気が流れる間、殺菌放射体4は流れる空気中に存在する病原性粒子の種類によって、400μWから200Wの範囲の放射線量を2秒から7200秒の範囲の暴露値で放射する。電磁波波長スペクトルのUV-C放射線範囲の放射線処理された空気は強制的に上部部分に流され、そこからフィルムカートリッジの真中のフィルターペーパーシート5に流れる。続いてこのように消毒された空気はナノ濾過装置1の上部部分に位置する開口部2を通ってナノ濾過装置1から排出される。空気はファン10によってナノ濾過装置1の外へ吸い出される。
【0016】
ナノ濾過装置1は、ヒトに有害な、病原性の微生物の残渣だけでなくウイルス、微視的な胞子、菌類、菌類の胞子、細菌及び藻を含む生物学的エアロゾルが蓄積する全ての場合に使用できる。主に医療施設や一般家庭の建物など、空気の殺菌や残留病原体の除去が必要な建物で使用される。
【0017】
実施例2
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、AgNOを添加しないで、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量によってCu(NO:Zn(NO:Ca(NO:Mg(NOの比が1:1:1:1から2:1:1:1の範囲の硝酸塩を有するフィルターペーパーシート5を使用する。
【0018】
実施例3
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、Cu(NOを添加しないで、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量によってAgNO:Zn(NO:Ca(NO:Mg(NOの比が1:1:1:1から2:1:1:1の範囲の硝酸塩を有するフィルターペーパーシート5を使用する。
【0019】
実施例4
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、AgNO及びCu(NOを添加しないで、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量によってZn(NO:Ca(NO:Mg(NOの比が1:1:1から2:1:1の範囲の硝酸塩を有するフィルターペーパーシート5を使用する。
【0020】
実施例5
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、AgNO3、Cu(NO及びCa(NOを添加しないで、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量によってZn(NO:Mg(NOの比が1:1から2:1の範囲の硝酸塩を有するフィルターペーパーシート5を使用する。
【0021】
実施例6
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量並びに一般的な感染症の性質によって、AgNOを適用量0.1g.m-2から5.0g.m-2で添加しただけの、フィルターペーパーシート5を使用する。
【0022】
実施例7
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量並びに一般的な感染症の性質によって、Cu(NOを適用量0.1g.m-2から15.0g.m-2で添加しただけの、フィルターペーパーシート5を使用する。
【0023】
実施例8
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量並びに一般的な感染症の性質によって、Zn(NOを適用量0.1g.m-2から15.0g.m-2で添加しただけの、フィルターペーパーシート5を使用する。
【0024】
実施例9
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量並びに一般的な感染症の性質によって、Ca(NOを適用量0.1g.m-2から15.0g.m-2で添加しただけの、フィルターペーパーシート5を使用する。
【0025】
実施例10
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、フィルターペーパーシート5中のナノフィブリル化したセルロース及び/又はナノセルロース並びにアジュバンドの含有量並びに一般的な感染症の性質によって、Mg(NOを適用量0.1g.m-2から15.0g.m-2で添加しただけの、フィルターペーパーシート5を使用する。
【0026】
実施例11
実施例1のセルロース担体に無機添加剤を使用して、エアフィルター処理された病原体を不活化するためのナノ濾過装置1で、フィルターカートリッジ6の真中にある、空気の温度が11.3℃から27.9℃の範囲で、相対湿度が10%から99%の範囲で、気流の速度が0.05m.s-1から7.9m.s-1の範囲のフィルターペーパーシート5を使用する。
【0027】
本研究は契約番号PP-COVID-20-0103でスロバキア研究開発機関により支援された。
【0028】
[産業上の利用可能性]
本発明は、化学産業、食品産業、医薬品産業、電気産業、医療装置産業、生物工学産業及び様々な他の産業領域の分野において利用可能である。また、特に、残留病原体のさらなる除去が必要な場所での微生物学、空中微生物学の分野において、及び家庭だけでなく、ショッピングセンター、待合室、空港、スーパーマーケット及び大規模なスーパーマーケット、病院、公共交通機関の駅及び停留所、学校、保育園及び幼稚園、教会、博物館及び美術館、劇場、映画館、ジム、競技場、屋外プール、屋内プール、ホテル、飲食店、兵舎などウイルスの発現率の高い全ての混雑した場所において、公共交通機関において利用可能である。
【0029】
本発明を適用することにより、病原体不活性化装置の最適な気流設定で、ヒトに有害な、バイオエアロゾルの形状でウイルス、微視的な胞子、菌類、カビの胞子、細菌、藻及び病原性微生物の残渣を含む病原体の不活性化効率99.99%を達成できる。
図1
図2
【国際調査報告】