(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2025-01-24
(54)【発明の名称】電気化学セルの膜の動作性能を監視する方法および電気化学システム
(51)【国際特許分類】
C25B 15/00 20060101AFI20250117BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20250117BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20250117BHJP
C25B 13/08 20060101ALI20250117BHJP
C25B 15/023 20210101ALI20250117BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20250117BHJP
【FI】
C25B15/00 302A
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B13/08 302
C25B15/023
C25B15/08 302
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024540053
(86)(22)【出願日】2023-02-03
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 US2023012281
(87)【国際公開番号】W WO2023150270
(87)【国際公開日】2023-08-10
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524236518
【氏名又は名称】エレクトリック ハイドロジェン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テンジン ナンチュン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド イーグルシャム
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BB03
4K021BC01
4K021CA06
4K021CA08
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】電気化学セルまたはスタックの効率および耐用年数を延長することができる電気方法およびシステムを提供する。
【解決手段】電気化学または電解セルおよびその構成要素が開示される。より具体的には、洗浄組成物(例えば、酸性組成物)を電気化学セルへの給水に導入することによって、電気化学セルの膜から金属イオンを除去するための方法およびシステムが開示される。電気化学セル(複数可)の膜(複数可)から金属イオンを除去するためのこれらのシステムおよび方法は、電気化学セル又はスタックの効率および耐用年数を有利に延長することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルの膜から金属イオンを洗浄する方法であって、
前記電気化学セルに供給される水源に洗浄組成物を添加する工程と、
前記電気化学セルの前記膜で前記洗浄組成物と前記金属イオンとを反応させる工程と、
前記洗浄組成物と前記金属イオンとの反応の生成物を前記膜および前記電気化学セルから移動させ、前記電気化学セルの前記膜から前記金属イオンの少なくとも一部を除去する工程とを備える、方法。
【請求項2】
前記洗浄組成物が、前記金属イオンと反応して酸-金属化合物を形成する酸性組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸性組成物がクエン酸を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸性組成物が、3~5の範囲のpHを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
さらに、電圧センサによって、第1の時間に前記電気化学セルの第1の動作電圧を測定する工程と、
前記電圧センサによって、第2の時間に前記電気化学セルの第2の動作電圧を測定する工程と、
プロセッサによって、前記第1の動作電圧と前記第2の動作電圧との間の差を前記第1の時間と前記第2の時間との間の差で除算することによって定義される期間にわたる前記電気化学セルの動作電圧の変化を計算する工程と、
前記プロセッサによって、前記動作電圧の変化を閾値と比較する工程と、
前記動作電圧の前記変化が前記閾値以上である場合に、前記プロセッサによって、通知もしくは警報を提供し、および/または前記水源への前記洗浄組成物の前記添加を自動的にトリガする工程とを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセッサによって、オペレータからの入力を受信し、定義された時間に前記洗浄組成物を前記水源に添加する工程をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記添加すること、前記反応させること、および前記移動させることに続いて、
前記第1の動作電圧の測定、前記第2の動作電圧の測定、前記動作電圧の変化の計算、および前記動作電圧の変化の比較を繰り返して、前記洗浄組成物が前記動作電圧の変化を前記閾値未満に減少させたか否かを判定する工程と、
前記動作電圧の変化が前記閾値以上のままである場合には、前記添加すること、前記反応させること、および前記移動させることを再度行う工程とを繰り返す反復工程をさらに備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記洗浄組成物の前記添加が、前記電気化学セルの動作中、前記電気化学セルの始動手順中、または前記電気化学セルのシャットダウン手順中に現場で行われる、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記電気化学セルが、電気化学スタック内に複数の電気化学セルを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
電気化学セルの膜の動作性能を監視する方法であって、
電圧センサによって、第1の時間に前記電気化学セルの第1の動作電圧を測定する工程と、
前記電圧センサによって、第2の時間に前記電気化学セルの第2の動作電圧を測定する工程と、
プロセッサによって、前記第1の動作電圧と前記第2の動作電圧との間の差を前記第1の時間と前記第2の時間との間の差で除算することによって定義される期間にわたる前記電気化学セルの動作電圧の変化を計算する工程と、
前記プロセッサによって、前記動作電圧の変化を閾値と比較する工程と、
前記プロセッサによって、前記動作電圧の前記変化が前記閾値以上であるときに、通知またはアラームを提供する工程とを備える、方法。
【請求項11】
前記電気化学セルに供給される水源に洗浄組成物を添加する工程と、
前記電気化学セルの膜で、前記洗浄組成物と金属イオンとを反応させる工程と、
前記洗浄組成物と前記金属イオンとの反応の生成物を前記膜および前記電気化学セルから移動させ、前記電気化学セルの前記膜から前記金属イオンの少なくとも一部を除去する工程とをさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記動作電圧の変化が前記閾値以上であるという通知に続いて、前記洗浄組成物が自動的に添加される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電気化学セルの前記膜を洗浄するというオペレータの指令入力を前記プロセッサが受け取った後に、前記洗浄組成物が添加される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記洗浄組成物が、前記金属イオンと反応して酸-金属化合物を形成する酸性組成物である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記酸性組成物がクエン酸を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酸性組成物が、3~5の範囲のpHを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記添加すること、前記反応させること、および前記移動させることに続いて、
前記第1の動作電圧の測定、前記第2の動作電圧の測定、前記動作電圧の変化の計算、および前記動作電圧の変化の比較を繰り返して、前記洗浄組成物が前記動作電圧の変化を前記閾値未満に減少させたか否かを判定する工程と、
前記動作電圧の変化が前記閾値以上のままである場合には、前記添加すること、前記反応させること、および前記移動させることを再度行う工程とを繰り返す反復工程をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記洗浄組成物の前記添加が、前記電気化学セルの動作中、前記電気化学セルの始動手順中、又は前記電気化学セルのシャットダウン手順中に現場で行われる、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記電気化学セルが、電気化学スタック内に複数の電気化学セルを含む、請求項10~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
電気化学システムであって、
少なくとも1つの電気化学セルと、
第1の時間に前記少なくとも1つの電気化学セルのそれぞれの電気化学セルの第1の動作電圧を測定し、第2の時間に前記電気化学セルの第2の動作電圧を測定するように構成された少なくとも1つの電圧センサと、
プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記少なくとも1つの電圧センサから、前記第1の時間における前記測定された第1の動作電圧および前記第2の時間における前記第2の動作電圧を受信し、
前記第1の動作電圧と前記第2の動作電圧との間の差を前記第1の時間と前記第2の時間との間の差で除算することによって定義される期間にわたる前記それぞれの電気化学セルの動作電圧の変化を計算し、
前記動作電圧の変化を閾値と比較し、
前記動作電圧の変化が前記閾値以上である場合、通知またはアラームを提供するように構成されている、電気化学システム。
【請求項21】
前記プロセッサは、さらに、
前記少なくとも1つの電気化学セルの膜における金属イオンを除去するために、前記少なくとも1つの電気化学セルに供給される水源に洗浄組成物を添加する命令を提供するように構成されている、請求項20に記載の電気化学システム。
【請求項22】
前記洗浄組成物は、前記動作電圧の前記変化が前記閾値以上であるという前記通知に続いて自動的に添加される、請求項21に記載の電気化学システム。
【請求項23】
前記プロセッサは、さらに、
前記少なくとも1の電気化学セルを洗浄するために洗浄組成物を添加するというオペレータによる入力を受信し、
前記少なくとも1つの電気化学セルの膜における金属イオンを除去するために、前記少なくとも1つの電気化学セルに供給される水源に前記洗浄組成物を添加する命令を提供するように構成されている、請求項20に記載の電気化学システム。
【請求項24】
前記洗浄組成物が、前記金属イオンと反応して酸-金属化合物を形成する酸性組成物である、請求項21~23のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【請求項25】
前記酸性組成物がクエン酸を含む、請求項24に記載の電気化学システム。
【請求項26】
前記酸性組成物が、3~5の範囲のpHを有する、請求項24に記載の電気化学システム。
【請求項27】
前記洗浄組成物の添加に続いて、前記プロセッサは、
前記第1の動作電圧の測定、前記第2の動作電圧の測定、前記動作電圧の変化の計算、および前記動作電圧の変化の比較を繰り返して、前記洗浄組成物が前記動作電圧の変化を前記閾値未満に減少させたか否かを判定し、
前記動作電圧の前記変化が前記閾値以上のままである場合、追加の洗浄組成物を追加する追加の命令を提供するように構成されている、請求項21~23のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【請求項28】
前記洗浄組成物の添加が、前記少なくとも1つの電気化学セルの動作中、前記少なくとも1つの電気化学セルの始動手順中、または前記少なくとも1つの電気化学セルのシャットダウン手順中に現場で行われる、請求項21~23のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの電気化学セルが、電気化学スタック内に複数の電気化学セルを含む、請求項21~23のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2022年2月4日に出願された米国仮特許出願第63/306,592号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
以下の開示は、プロトン交換膜から金属イオンを洗浄することに関する。
【背景技術】
【0003】
電解槽システムは、化学反応を駆動するために電気エネルギーを使用する。例えば、水は水素と酸素に分解される。生成物は、後の使用のためのエネルギー源として使用することができる。近年、動作効率の改善により、電解槽システムは、エネルギー貯蔵、生成、および/または輸送のための競争力のある市場解決策となっている。例えば、生成コストは、場合によっては水素1キログラム当たり10ドル未満であり得る。効率の向上および/または動作の改善は、電解槽システムの設置を推進し続ける。
【0004】
水電解槽(PEMWE)用のプロトン交換膜の性能は、多くの要因、例えば水質に依存する。水中の金属イオンは、膜の細孔内に捕捉され、セル内の水分解の効率を低下させる。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、電気化学セルの膜から金属イオンを洗浄する方法が提供される。本方法は、電気化学セルに供給される水源に洗浄組成物を添加することと、電気化学セルの膜において洗浄組成物を金属イオンと反応させることと、洗浄組成物と金属イオンとの反応の生成物を膜および電気化学セルから移動させ、電気化学セルの膜から金属イオンの少なくとも一部を除去することと、を含む。
【0006】
別の実施形態では、電気化学セルの膜の動作性能を監視する方法が提供される。方法は、電圧センサによって、第1の時間に電気化学セルの第1の動作電圧を測定することと、電圧センサによって、第2時間に電気化学セルの第2の動作電圧を測定することと、プロセッサによって、第1の動作電圧と第2の動作電圧との間の差を第1の時間と第2の時間との間の差で除算することによって定義される期間にわたる電気化学セルの動作電圧の変化を計算することと、プロセッサによって、動作電圧の変化を閾値と比較することと、プロセッサによって、動作電圧の変化が閾値以上であるときに通知またはアラームを提供することとを含む。
【0007】
さらに別の実施形態では、電気化学システムが提供される。システムは、少なくとも1つの電気化学セルと、第1の時間に少なくとも1つの電気化学セルのそれぞれの電気化学セルの第1の動作電圧を測定し、第2の時間に電気化学セルの第2の動作電圧を測定するように構成された少なくとも1つの電圧センサと、少なくとも1つの電圧センサから第1の時間に測定された第1の動作電圧および第2の時間に測定された第2の動作電圧を受信し、第1の動作電圧と第2の動作電圧との間の差を第1の時間と第2の時間との間の差で割ったものとして定義される期間にわたるそれぞれの電気化学セルの動作電圧の変化を計算し、動作電圧の変化を閾値と比較し、動作電圧の変化が閾値以上であるときに通知またはアラームを提供するように構成されたプロセッサとを含む。いくつかの例では、システムは、少なくとも1つの電気化学セルの膜における金属イオンを除去するために、少なくとも1つの電気化学セルに供給される水源に洗浄組成物を添加または注入する命令を提供するようにさらに構成される。
【0008】
この概要は、詳細な説明において以下でさらに説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介するために提供される。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として使用されることを意図するものでもない。
【0009】
以下に、図面を参照して例示的な実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】電気化学セルまたは電解セルのさらなる例を示す。
【
図3】電解スタックを有するシステムのセクションの一例を示す。
【
図4】現場(in situ)での膜金属イオン洗浄の方法のフローチャートの一例を示す。
【
図5】接続されたネットワークを介した、電解スタックとコントローラを有するコンピューティングデバイスとの間の例示的な通信システムを示す図である。
【
図6】コントローラを有するコンピューティングデバイスの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、水の分解によって水素ガスおよび酸素ガスを生成するための電解セルの例を示す。電解セルは、カソード、アノード、およびカソードとアノードとの間に配置された膜を含む。水分解電解反応内では、一方の界面が酸素発生反応(OER)を行い、他方の界面が水素発生反応(HER)を行う。例えば、アノード反応は、H
2O→2H
++1/2O
2+2eであり、カソード反応は、2H
++2e→H
2である。水電解反応は、近年、脱炭素化された「水素経済」の潜在的基礎として非常に重要であると考えられ、注目を集めている。
【0012】
電解セルは、セルの電極間に配置された追加の構成要素/層を含むことができる。例えば、セルは、電極(例えば、カソードまたはアノード)と膜との間に配置された多孔質輸送層(PTL)またはガス拡散層(GDL)を含み得る。特定の例では、電解セル内の膜は、水電解槽用プロトン交換膜(PEMWE)と呼ばれることがある。
【0013】
図2は、電気化学セルまたは電解セルのさらなる例を示す。具体的には、
図2は、カソード流れ場202と、アノード流れ場204と、カソード流れ場202とアノード流れ場204との間に配置された膜206とを有する電気化学セル200の一部を示す。特定の例では、膜206は、1000ミクロン、500ミクロン、100ミクロン、50ミクロン、10ミクロンなど未満の全体的な厚さを有することができる。
【0014】
特定の例では、追加の層が電気化学セル200内に存在してもよい。例えば、1つ以上の追加の層208が、カソード流れ場202と膜206との間に配置されてもよい。特定の例では、これは、カソード流れ場202と膜206との間に配置され得るガス拡散層(GDL)208を含み得る。これは、多層膜の一方の側のカソードに隣接して水素拡散バリアを提供して、アノード側への水素クロスオーバーを軽減するのに有利であり得る。換言すれば、GDLは、カソード側流れ場への気体水素の輸送を担う。湿式カソードPEM動作の場合、アノード側からの熱除去に加えて、GDLを横切る液体水輸送が熱除去のために必要とされる。
【0015】
特定の例では、GDLは、カーボン紙又は炭素織布から作製される。GDLは、水素ガスの流れがそれを通過することを可能にするように構成される。GDLの厚さは、例えば、100~1000ミクロンの範囲内であってもよい。本明細書で使用される場合、フィルムを特徴付ける「厚さ」は、フィルム層の平面に垂直な方向におけるフィルムの上面と底面との間の距離、または測定された距離の中央値を指す。本明細書で使用される場合、フィルムの上面および底面は、最大表面積を有するフィルムの平面の平行方向に延在するフィルムの両側面を指す。
【0016】
同様に、1つ以上の追加の層210が、膜206とアノード204との間の電気化学セル内に存在してもよい。特定の例では、これは、膜206(例えば、触媒被覆膜(catalyst coated membrane)206のアノード触媒層208)とアノード流れ場204との間に配置された多孔質輸送層(PTL)を含むことができる。
【0017】
ある実施例では、PTLは、チタン(Ti)メッシュ/フェルトから作製される。本明細書で使用される場合、Tiメッシュ/フェルトは、微孔性Ti繊維から作製された構造を指し得る。Tiフェルト構造体は、繊維の一部を互いに融合させることによって互いに焼結することができる。Tiフェルトは、特殊な置き方プロセス(laying process)および特殊な超高温真空焼結プロセスによって作製することができる。Tiフェルトは、優れた三次元網目構造、多孔質構造、高い気孔率、大きな表面積、均一な孔径分布、特殊な圧力、および耐食性を有することができ、圧延および加工することができる。
【0018】
GDLと同様に、PTLは、アノード触媒層への反応水の輸送を可能にし、生成された酸素ガスを除去し、効果的な電子伝導のための良好な導電性を提供するように構成される。すなわち、アノード流れ場を流れる液体水は、PTLを透過してCCM(catalyst coated membrane:触媒被覆膜)に到達するように構成されている。さらに、ガス状副生成物酸素は、PTLから流れ場に除去されるように構成される。このような構成では、液体水は、セルのアノード側で反応物質および冷却剤の両方として機能する。
【0019】
PTLの厚さは、例えば、100~1000ミクロンの範囲内であってもよい。厚さは、PTLの耐久性/変形性および電気/熱伝導性だけでなく、セル内の物質輸送にも影響を及ぼし得る。換言すれば、より厚いPTL(例えば、1mm)と比較してより薄いPTLは、より良好な質量輸送を提供し得る。しかしながら、PTLが薄すぎる(例えば、100ミクロン未満)場合、PTLは、同様に不十分な二相流効果に悩まされ得る。PTLは、GDLと比較して変形しにくい。PTLの厚さは、チャネル間のランドに沿った横方向の電子伝導抵抗にも影響を及ぼし得る。
【0020】
いくつかの実施例では、アノード触媒コーティング層は、アノード204とPTLとの間に位置付けられてもよい。
【0021】
セルのカソード202およびアノード204は、流体が膜に向かって内側に、またはセルから外に流れることを可能にするために、プレートに機械加工、スタンピング加工、またはエッチング加工された一組のチャネルを有する金属、炭素、または複合材料から構成されたフローフィールドプレート(flow field plate)を個々に含むことができる。
【0022】
単一の電解セルの性能は、多くの使用事例に適していない場合があるので、複数のセルを一緒に配置して、セルの「スタック」を形成することができ、これは、電解槽スタック、電解スタック、電気化学スタック、または単にスタックと呼ぶことができる。一例では、スタックは、50~1000個のセル、50~100個のセル、500~700個のセル、または1000個を超えるセルを含むことができる。任意の数のセルがスタックを構成してもよい。
【0023】
図3は、水から水素ガスおよび酸素ガスを生成するための電気分解システムの一部の例を示す。システムは、
図1または
図2のセルなどの複数の電気化学または電解セルを含むスタックを含む。スタックは、アノード入口を通して水を受け取るように構成される。システムは、スタックの出口にカソード出口をさらに含む。カソード出口は、電解セルから生成された水素ガスを、さらなる処理のためにさらなる下流の構成要素に移送する。特定の構成では、水副生成物もカソード出口で提供される(水は、生成された水素ガスのための冷却剤として使用され得る)。カソード出口に続く追加の下流構成要素は図示されていないが、水-ガス分離器、浄化器、熱交換器、循環ポンプ、圧力調整器などを含むことができる。
図3では、カソード圧力調整器がカソード出口に示されている。この圧力調整器は、水-ガス分離器または浄化器などの1つ以上のさらなる構成要素の後にカソード出口からさらに下流に配置されてもよいが、簡略化のために
図3の特定の位置に示されている。
【0024】
さらに、電解システムは、スタック内の電気化学セルから生成された酸素ガスならびに未反応の水副生成物を、さらなる処理のためにさらなる下流構成要素に移送するアノード出口を含む。ここでも、アノード出口に続く追加の下流構成要素は示されていないが、水-ガス分離器、浄化器、熱交換器、循環ポンプ、圧力調整器などを含むことができる。
図3では、アノード圧力調整器がアノード出口に示されている。この圧力調整器は、水-ガス分離器または浄化器などの1つまたは複数のさらなる構成要素の後にアノード出口からさらに下流に配置されてもよいが、簡単にするために
図3の特定の位置に示されている。
【0025】
特定の例では、アノード出口の下流の電解システムは、以下により詳細に記載される洗浄プロセスにおいて、膜から洗い流されるアノード出口流内の金属イオン、酸性金属化合物、塩、または未反応洗浄組成物のうちの1つ以上を分離するように構成された1つ以上の分離器ユニットを含む。
【0026】
別の実施形態では、直列/並列の複数のセルスタックを備えた構成が提供される。
【0027】
図3に示すように、電解システムは、システム内の特定のセル、セルのグループ、またはスタックの動作電圧を測定するように構成された少なくとも1つの電圧センサまたはモニタをさらに含む。電圧センサは、測定された電圧(および記録時間)を電解システムに関連する監視システムに送信するように構成されてもよい。この信号伝達は、電気化学セル/スタックと関連する監視システムとの間の接続されたネットワークを介して行われてもよい。
【0028】
図1および
図2で上述したように、各セルは、セルのアノード側とカソード側との間に配置され、セルのアノード側とカソード側とを分離する膜を含む。各電解セル内の膜は、水電解槽用プロトン交換膜(PEMWE)と呼ばれることがある。
【0029】
PEMWEの性能は様々な要因に依存し、その1つは水質である。特定の例では、水からの金属イオンは、膜の細孔内に捕捉され得る。これらの捕捉された金属イオンは、水分解の効率を低下させ得る。例えば、金属イオンが膜に蓄積するにつれて、セル内で電気分解を行うために必要な電圧は、時間とともに増加し得る。この蓄積は、ペルフルオロスルホン酸および/またはポリテトラフルオロエチレン(Nafion(商標)膜など)または他の材料から作製された膜で起こり得る。金属イオンの蓄積によって引き起こされる電圧の増加は、金属蓄積のないセルについて予想される、典型的な、または仕様内のものよりも経時的に大きくなり得る。
【0030】
したがって、PEMWE膜を(例えば、現場で)洗浄して、セルの性能を改善すること、ならびにセルおよび/または複数のセルを有するスタックの寿命を延ばすことを可能にする必要がある。以下の開示は、膜水分解性能特性を有利に維持または改善し、および/またはセル/スタックの寿命を延ばすための現場での膜洗浄の例を提供する。
【0031】
PEMWE膜は、高いプロトン親和性のために金属イオンを捕捉することができる。膜での金属イオンの蓄積は、性能損失を著しく加速させるカスケードまたは複合の問題を引き起こし得る。例えば、膜に存在する金属イオンの濃度は、電池の耐用年数の経過にわたって追加の浸出事象により増加し得る。特定の例では、金属イオンは、浸出事象中に水流に入り得る。浸出は、プラントまたはシステムレベルでパイプおよび他の構成要素(例えば、温水器タンク)の金属溶解から起こり得る。浸出はまた、バイポーラプレートなどのセル構成要素も劣化、より急速には多孔質輸送層(例えば、層が酸性膜に近いため)の劣化からも起こり得る。浸出中、Fe,Al,Cuまたは他の元素を含むイオンは、電解セルの電極または他の部分が損なわれると水に入ることがある。Feイオンが水に入る場合、フェントン試薬による反応が起こり得る。溶液中のFeイオンは、膜中に存在するものなどの有機化合物の酸化を引き起こし、それによって膜の解離を引き起こし、膜の薄化をもたらす可能性がある。
【0032】
膜におけるそのような金属イオンの堆積または反応の結果として、膜は経時的に劣化し、薄くなることがある。最終的に、フェントン試薬または他の金属イオンの反応によって引き起こされる膜への損傷は、セル内のアノードとカソードとの間のソフトな短絡(例えば、部分的または軽微な短絡)またはハードな短絡(完全な短絡)をもたらし、セルの性能を低下させるか、またはセルを電解/水分解反応を実行できなくする可能性がある。加えて、または代替として、水中の金属イオンは、電気分解中に生成される電子に結合し、それによって、電気分解に利用可能な電子を減少させ、セルの性能を低下させ得る。電解プロセスは、金属イオンを除去または希釈しないため、電解性能に対する悪影響もまた、経時的に増加し得る。
【0033】
したがって、電気化学セルまたは電解セルの膜から金属イオンを洗浄または除去する方法が必要とされている。
【0034】
図4は、電気化学セル(水電解槽セルなど)またはセルのスタックの現場での膜金属イオン洗浄のための方法のフローチャートの例を示す。この方法は、セルまたはスタックの性能および耐用寿命を有利に増加させる。いくつかの例では、
図4の動作のうちの1つまたは複数がスキップまたは省略され得る。例えば、動作102および/又は104は省略されてもよい。他の例では、追加の動作が、現場でセル/スタックを洗浄するプロセスに含まれてもよい。
【0035】
動作102において、動作電圧のデータは、個々のセル、電気化学スタック内の全てのセルよりも少ない複数のセルの1つ以上のグループ、または電気化学スタック内の全てのセルについて、ある期間にわたって測定または受信され得る。例えば、特定のセル、セルのグループ、またはスタックについての第1の電圧測定値は、第1の時間に記録され得、同じセル、セルのグループ、またはスタックについての第2の電圧測定値は、第2の時間に記録され得る。
【0036】
特定の例では、電解システム(
図3に示されるような)は、特定の期間にスタック内の1つ以上のセルまたはセルのグループの動作電圧(s)を取得または監視するように構成された1つ以上のセンサまたは電圧モニタを含む。監視された電圧(s)は、さらなる処理のために、電解システム内または電解システムの外部のメモリまたはデータベースに転送されてもよい。具体的には、ある期間にわたる電圧測定値は、電気分解システム内または電気分解システムの外部のプロセッサまたはコントローラによって処理され得る。
【0037】
いくつかの例では、行為102において、プロセッサまたはコントローラは、第1の時間と第2の時間との間の差で除算された、記録された2つの測定値の間の差に基づいて、電気化学スタック内のセル、セルのグループ、またはセルのすべての中の経時的な電圧の変化(dV/dt)を計算、測定、または識別し得る。dV/dt計算のための電圧測定間の期間は、特定の期間、例えば、1分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間などについて予め定義されてもよく、あるいは、電気化学システムのオペレータは、収集された電圧データを見て、分析のための特定の期間を選択してもよい(例えば、電気化学システムの入力デバイスを介して入力する)。
【0038】
特定の例では、これは、セルまたはセルスタック内の複数の電圧モニタから得られる平均dV/dtを計算することを含み得る。いくつかの例では、このdV/dt計算は、例えば、スタック内の特定のセンサまたはモニタの測定位置に基づいて、セルスタック内の他の電圧モニタよりも特定の電圧モニタを優先して重み付けされてもよい。
【0039】
動作104において、特定のセル、グループ/複数のセル、またはセルスタック全体の中の電圧の決定された変化は、閾値dV/dt値と比較され得る。例えば、閾値は、ある期間にわたる電解セルまたはスタックの仕様、設計、または予想される性能から決定または事前定義され得る。例えば、所定の閾値以上の期間にわたる電圧の変化は、電解セル、複数のセル、またはスタックの動作に関する問題を示し得る。この動作上の問題は、膜における金属イオンの蓄積が始まっているか、または悪化しており、特定されたセル、複数のセル、またはスタックにおける電気分解の効率を低下させていることを示し得る。したがって、計算されたdV/dtがそのような所定の閾値に達するかまたはそれを超えると、介入がトリガされ得る。この介入は、セルの動作ウィンドウ内で膜に蓄積した金属イオンの(例えば、現場での)洗浄を行うようにオペレータに指示を提供することを含み得る。あるいは、介入は、特定の時間に膜を自動的に洗浄して金属イオンの蓄積を除去するための信号または命令を電気化学システムに提供することを含み得る。
【0040】
換言すれば、洗浄プロセスのタイミングは、セルまたはスタックの経時的な電圧の指定または所定の変化からの偏差に基づいて決定され得る。電解セルの耐用年数の間、電気分解プロセスの効率は時間とともに低下し、電気分解反応が起こるのに必要な最小電圧が高くなる。この最小電圧未満では、電気分解は起こらない。経時的な膜の性能の規則的なまたは予想される劣化、およびこの予想される膜性能劣化を説明するための経時的な最小電圧の関連する増加を超えて、金属イオンの蓄積は、電気分解の効率をより迅速かつより有意に低下させ得る。例えば、新品のセルでは、電圧V1は電気分解が発生する最小電圧である。セルを使用して電気分解が行われるにつれて、V1より大きい電圧V2は、電気分解が起こる最小電圧であり得る。結果として、膜に蓄積された金属イオンを有するセルは、指定または予想されるよりも、必要な動作電圧の経時的な変化(すなわち、増加)が大きくなり得る。
【0041】
行為106では、洗浄剤または組成物を水流に添加して、膜における(例えば、膜の細孔内の)金属イオンの蓄積を除去して、膜の寿命を有利に延長し、性能を改善する。特定の例では、洗浄組成物は、水分解反応のためにセル又はスタックに供給される入口水流又は供給源に添加される。例えば、洗浄組成物は、
図3に示されるように、セルのスタックのアノード入口に供給される水に添加されてもよい。
【0042】
特定の例では、洗浄組成物は、金属イオンと反応して、膜から洗い流され、その後電解システムから除去される水流内に酸性金属化合物または塩を形成するように構成された組成物である。洗浄組成物は、酸性組成物又は溶液であってもよい。
【0043】
特定の例では、酸性組成物または溶液は、電解中に金属イオンの膜を洗浄するために特定のpHで提供または調製される。膜は動作中に洗浄することができるので、洗浄は、有利には、セルを分解することなくその場(in situ)で行うことができる。特定の例では、その場(現場)での洗浄プロセスは、電気化学セルまたはスタックの標準動作中に実施されてもよく、酸性組成物は、残りの動作変数が同じままで水入口に注入または添加される。あるいは、現場洗浄プロセスは、セルまたはスタックの停止中または始動中に実施されてもよく、生成された酸性金属または塩化合物を含む生成物流は、典型的な下流分離プロセスから迂回される。
【0044】
一つの例示で、前記酸性組成物は、セレン酸、硫酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、硝酸、オルトリン酸、ヒ素酸、亜セレン酸、クロム酸、クエン酸、フッ化水素酸、亜硝酸、イソシアン酸、ギ酸、セレン化水素、モリブデン酸、乳酸、酢酸、炭酸、硫化水素、亜ヒ酸、シアン化水素酸、ホウ酸、ケイ酸、またはこれらの組み合わせなどの酸を含むことができる。特定の一例では、酸性組成物はクエン酸を含む。
【0045】
特定の例では、酸性組成物のpHは、1~7の範囲、2~6の範囲、または3~5の範囲である。酸性組成物のpHおよび特定の組成は、電気化学システムの他の特性に影響を及ぼすことなく、金属イオンと反応し、かつ/または金属イオンを膜から除去する能力に基づいて選択することができる。具体的には、特定のpHレベルの特定の酸性組成物は、不利なことに、他の金属を水溶液中に浸出させ、セル、スタック、またはシステム全体の敏感な要素を損傷する可能性がある。
【0046】
行為108において、添加された洗浄組成物は、膜において金属イオンと反応し、酸-金属化合物が形成され、続いて膜から除去される。給水に添加される洗浄組成物がクエン酸である特定の例では、形成される金属有機化合物又は錯体は、クエン酸第二鉄又はクエン酸と金属イオンとの別の組み合わせを含み得る。
【0047】
洗浄組成物(例えば、酸組成物)をセル又はセルスタックに添加することによって、膜に捕捉された金属イオンは、有利には、セル膜の細孔から解放される。特定の例では、酸-金属化合物は、生成された酸素および水の副生成物と共に、セルのアノード側の膜から移動する。酸素および水からの酸-金属化合物の分離は、1つ以上の分離ユニットにおいて下流で行うことができる。これらの捕捉されたイオンの除去は、セル/スタックを動作させるために必要とされるdV/dtを低減させることによってセル/スタック寿命を著しく増加させ、金属イオンが膜に浸出し、膜を損傷させる複合効果を防止し得る。
【0048】
いくつかの例では、プロセスは、直ちに、または所定の期間繰り返されてもよく、さらなる動作電圧読み取り値がセル/スタックから収集されて、動作問題が軽減されたかどうか(例えば、動作dV/dtがセル/スタックの予想動作値まで閾値未満に低減されたかどうか)を判定する。場合によっては、動作上の問題が依然として存在する範囲で、さらなる洗浄シーケンスが開始されてもよい。このプロセスは、測定された電圧および計算されたdV/dtが許容可能なレベルになるまで継続することができる。
【0049】
図5は、電気化学セルまたはスタックの動作を制御する(例えば、セル、スタック内の複数のセル、またはスタック全体の動作電圧を監視または制御することを含む)ための例示的なシステム120を示す。システム120は、(
図3に示すような)電気化学セル/スタック10と、監視システム121と、ワークステーション128と、ネットワーク127とを含む。追加の、異なる、またはより少ない構成要素が提供されてもよい。
【0050】
このシステム120では、電気化学セル/スタック10に関連する1つまたは複数の電圧センサまたはモニタは、セル/スタック10の動作電圧を監視し、接続されたネットワークを介して動作電圧情報を監視システム121に送信することができる。
【0051】
監視システム121は、サーバ125と、データベース123とを備える。監視システム121は、システムオペレータ(例えば、電気化学セル/スタック10のおぺれーた)のコンピュータシステムおよびネットワークを含むことができる。サーバデータベース123は、電気化学セル/スタック10の性能を最適化するための動作条件または設定点に関する情報を記憶するように構成され得る。
【0052】
監視システム121、ワークステーション128、および電気化学セル/スタック10は、ネットワーク127と結合される。「~と結合される」という語句は、1つまたは複数の中間構成要素に直接接続されるか、または1つまたは複数の中間構成要素を介して間接的に接続されることを意味すると定義される。そのような中間コンポーネントは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアベースのコンポーネントを含み得る。
【0053】
オプションのワークステーション128は、サーバ125に入力を提供するために特化されたプログラミングを含む汎用コンピュータであってもよい。例えば、ワークステーション128は、サーバ125に設定を提供することができる。ワークステーション128は、少なくともメモリ、プロセッサ、および通信インターフェースを含むことができる。
【0054】
図6は、
図5のシステムの例示的なサーバ125を示す。サーバ125は、メモリ301、コントローラまたはプロセッサ302、および通信インターフェース305を含む。サーバ125は、データベース123およびワークステーション128に結合することができる。ワークステーション128は、サーバ125の入力装置として使用することができる。通信インターフェース305は、ワークステーション128または別個の電子デバイスを介して行われた使用入力を示すデータを受信する。
【0055】
コントローラまたはプロセッサ302は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、アナログ回路、デジタル回路、それらの組合せ、または他の現在知られているもしくは後に開発されるプロセッサを含み得る。コントローラまたはプロセッサ302は、ネットワーク、分散処理、またはクラウドコンピューティングに関連付けられるような、単一のデバイスまたはデバイスの組み合わせであってもよい。
【0056】
コントローラまたはプロセッサ302はまた、電気化学セルまたはスタックに、本明細書に記載される方法行為のうちの1つ以上を実行させるように構成されてもよい。例えば、コントローラまたはプロセッサ302は、ある期間にわたって電気化学セル/スタックの1つ以上の電圧センサ/モニタから測定された動作電圧を受信するように構成されてもよい。次いで、プロセッサまたはコントローラは、受信された動作電圧から、電気化学スタック内のセル、セルのグループ、またはセルのすべての中の経時的な電圧の変化(dV/dt)を計算または決定し得る。上述のように、dV/dt計算のための電圧測定間の期間は、特定の期間、例えば、1分、5分、10分、15分、30分、1時間、2時間などについて予め定義されてもよく、あるいは、電気化学システムのオペレータは、収集された電圧データを見て、コントローラまたはプロセッサによる分析のための特定の期間を選択してもよい(例えば、電気化学システムの入力デバイスを介して入力する)。この特定の場合、コントローラまたはプロセッサは、特定のセル、セルのグループ、またはスタック全体のdV/dt値(s)を計算するために、特定の時間窓でオペレータから入力情報をさらに受信してもよい。
【0057】
コントローラまたはプロセッサ302は、計算されたdV/dtを所定の閾値dV/dt値と比較するようにさらに構成され得る。上述のように、閾値は、ある期間にわたる電解セルまたはスタックの仕様、設計、または予想される性能から決定または事前定義され得る。この比較に基づいて、コントローラまたはプロセッサ302は、計算されたdV/dtが所定の閾値以上であるとき、セル/スタックの潜在的な動作上の問題を識別するように構成され得る。
【0058】
そのような場合、動作上の問題の識別に続いて、コントローラ/プロセッサは、潜在的な問題の警告信号またはメッセージをオペレータに提供することができる。場合によっては、コントローラ/プロセッサは、次いで、行動をとり、dV/dt問題に対処するかどうかに関するオペレータからのさらなる入力を待つことになる。代替的に、コントローラ/プロセッサは、介入を自動的にトリガしてもよく、システムは、指定された期間に膜(複数可)における金属イオンの任意の蓄積を除去するために、セル/スタックの膜(複数可)の洗浄を行うように命令されてもよい。
【0059】
コントローラ/プロセッサは、膜における金属イオンの蓄積の除去を支援するために、洗浄剤/組成物を水蒸気に注入する命令を自動的に(またはオペレータからの命令を介して)提供することができる。上述したように、この注入命令は、例えば、電気化学セル/スタックが動作し続けている間、またはセル/スタックシステムの始動またはシャットダウン中に、その場で行うことができる。
【0060】
いくつかの例では、コントローラ/プロセッサは、特定されたdV/dt問題に基づいて、特定の体積の洗浄組成物を注入する命令を提供することができる。洗浄組成物の量は、dV/dtが閾値を超える高さに基づいてもよく、または計算されたdV/dtの値に関係なく所定の体積であってもよい。
【0061】
特定の例では、コントローラ/プロセッサは、セル/スタックからの追加の電圧読み取り値を受信および分析し続けて、動作上の問題が軽減されたかどうか(例えば、動作dV/dtが閾値を下回ってセル/スタックの予想動作値まで低下したかどうか)を判定することができる。動作上の問題が残っている限り、さらなる洗浄シーケンスを開始することができる。このプロセスは、測定された電圧および計算されたdV/dtが許容可能なレベルになるまで継続することができる。
【0062】
メモリ301は、揮発性メモリであってもよいし、不揮発性メモリであってもよい。メモリ301は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、電子消去可能プログラム読み出し専用メモリ(EEPROM)または他の型のメモリのうちの一つまたは複数を含んでいてもよい。メモリ301は、セキュアデジタル(SD)メモリカードなど、デバイス122から取り外し可能であってもよい。
【0063】
通信インターフェース305は、任意の動作可能な接続を含むことができる。動作可能な接続は、信号、物理的通信、および/または論理的通信が送信および/または受信され得るものであり得る。動作可能な接続は、物理インターフェース、電気インターフェース、および/またはデータインターフェースを含み得る。通信インターフェース305は、任意の現在知られているまたは今後開発されるフォーマットで無線および/または有線通信を提供する。
【0064】
上記の例では、ネットワーク127は、有線ネットワーク、無線ネットワーク、またはそれらの組合せを含み得る。無線ネットワークは、携帯電話ネットワーク、802.11、802.16、802.20、またはWiMaxネットワークであってもよい。さらに、ネットワーク127は、インターネットなどのパブリックネットワーク、イントラネットなどのプライベートネットワーク、またはそれらの組み合わせであってもよく、TCP/IPベースのネットワーキングプロトコルを含むがこれらに限定されない、現在利用可能なまたは後に開発される様々なネットワーキングプロトコルを利用してもよい。
【0065】
非一時的コンピュータ可読媒体は、単一の媒体であるように説明されるが、「コンピュータ可読媒体」という用語は、集中型または分散型データベース、および/または命令の1つ以上のセットを記憶する関連付けられたキャッシュおよびサーバ等の単一の媒体または複数の媒体を含む。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、プロセッサによる実行のための命令のセットを記憶、符号化、または搬送することが可能であるか、またはコンピュータシステムに、本明細書に開示される方法または動作のうちのいずれか1つ以上を行わせる、任意の媒体を含むものとする。
【0066】
特定の非限定的な例では、コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数の不揮発性読取り専用メモリを収容するメモリカードまたは他のパッケージなどのソリッドステートメモリを含むことができる。さらに、コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリまたは他の揮発性書き換え可能メモリとすることができる。さらに、コンピュータ可読媒体は、伝送媒体を介して通信される信号などの搬送波信号を捕捉するためのディスクまたはテープまたは他の記憶デバイスなどの光磁気媒体または光媒体を含むことができる。電子メールまたは他の自己完結型情報アーカイブまたはアーカイブのセットへのデジタルファイル添付は、有形の記憶媒体である配布媒体と考えることができる。したがって、本開示は、データまたは命令が記憶され得るコンピュータ可読媒体または配布媒体ならびに他の等価物および後継媒体のうちの任意の1つまたは複数を含むと考えられる。
【0067】
代替例では、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理アレイ、および他のハードウェアデバイスなどの専用ハードウェア実装が、本明細書で説明される方法のうちの1つまたは複数を実装するように構築され得る。様々な例の装置およびシステムを含み得る用途は、様々な電子およびコンピュータシステムを広く含むことができる。本明細書で説明される1つまたは複数の例は、2つ以上の特定の相互接続されたハードウェアモジュールまたはデバイスを使用して、モジュール間でおよびモジュールを通して通信され得る関連する制御およびデータ信号を用いて、または特定用途向け集積回路の一部として、機能を実装し得る。したがって、本システムは、ソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェア実装を包含する。
【0068】
本開示の様々な実施形態によれば、本明細書で説明される方法は、コンピュータシステムによって実行可能なソフトウェアプログラムによって実装され得る。さらに、例示的で非限定的な実施形態では、実装は、分散処理、コンポーネント/オブジェクト分散処理、および並列処理を含むことができる。あるいは、仮想コンピュータシステム処理は、本明細書に記載の方法または機能の1つまたは複数を実施するように構築することができる。
【0069】
本明細書は、特定の規格およびプロトコルを参照して特定の実施形態において実装され得る構成要素および機能を説明するが、特許請求の範囲は、そのような規格およびプロトコルに限定されない。例えば、インターネットおよび他のパケット交換ネットワーク伝送のための標準(例えば、TCP/IP、UDP/IP、HTML、HTTP、HTTPS)は、最新技術の例を表し、そのような標準は、同様の機能を有するより高速またはより効率的な同等物によって定期的に取って代わられる。したがって、本明細書に開示されるものと同一または類似の機能を有する代替標準およびプロトコルは、その均等物と見なされる。
【0070】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語を含む任意の形態のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてを含む任意の形態で展開することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに必ずしも対応しない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つまたは複数のスクリプト)、問題のプログラム専用の単一ファイル、または複数の協調ファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または1つのサイトに位置するかもしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0071】
本明細書に記載のプロセスおよび論理フローは、入力データに対して動作し、出力を生成することによって機能を実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサによって実行することができる。プロセスおよび論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(定用途向け集積回路)によって実行することができ、装置はまた、専用論理回路として実装することができる。
【0072】
本出願で使用される場合、「回路(circuitry)」または「回路(circuit)」という用語は、(a)ハードウェアのみの回路実装(アナログおよび/またはデジタル回路のみの実装など)、(b)回路とソフトウェア(および/またはファームウェア)との組み合わせ、例えば(該当する場合)、(i)プロセッサ(複数可)の組み合わせ、または(ii)携帯電話またはサーバなどの装置に様々な機能を実行させるように協働するプロセッサ(複数可)/ソフトウェア(デジタル信号プロセッサ(複数可)を含む)、ソフトウェア、およびメモリ(複数可)の部分、(c)ソフトウェアまたはファームウェアが物理的に存在しない場合でも、動作のためにソフトウェアまたはファームウェアを必要とするマイクロプロセッサ(複数可)またはマイクロプロセッサ(複数可)の部分などの回路のすべてを指す。
【0073】
「回路」のこの定義は、任意の請求項を含む本出願におけるこの用語のすべての使用に適用される。さらなる例として、本出願で使用される場合、「回路」という用語は、単にプロセッサ(または複数のプロセッサ)またはプロセッサの一部およびその(またはそれらの)付随するソフトウェアおよび/またはファームウェアの実装もカバーする。「回路」という用語は、例えば、特定の請求項の要素に適用可能な場合、携帯電話用のベースバンド集積回路もしくはアプリケーションプロセッサ集積回路、またはサーバ、セルラネットワークデバイス、もしくは他のネットワークデバイス内の同様の集積回路も包含する。
【0074】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用および専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶デバイス、たとえば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含むか、またはそれらからデータを受信するか、もしくはそれらにデータを転送するか、もしくはその両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。さらに、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、携帯オーディオプレーヤ、全地球測位システム(GPS)受信機に組み込むことができる。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、たとえば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス、磁気ディスク、たとえば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクを含む、すべての形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補完されるか、または専用論理回路に組み込まれ得る。
【0075】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書で説明される主題の実施形態は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイ、たとえば、CRT(陰極線管)、LCD(液晶ディスプレイ)、またはLED(発光ダイオード)モニタと、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス、たとえば、マウスまたはトラックボールとを有するデバイス上で実装され得る。他の種類のデバイスを使用して、ユーザとの対話を提供することもでき、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックとすることができ、ユーザからの入力は、音響、音声、または触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。
【0076】
本明細書に記載の主題の実施形態は、バックエンドコンポーネントを例えばデータサーバとして含む、またはミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバを含む、またはフロントエンドコンポーネント、例えばユーザが本明細書に記載の主題の実装形態と対話することができるグラフィカルユーザインターフェースもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含む、または1つもしくは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンドコンポーネントの任意の組合せを含むコンピューティングシステムにおいて実装することができる。システムの構成要素は、任意の形態または媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例は、ローカルエリアネットワーク(LAN)およびワイドエリアネットワーク(WAN)、例えばインターネットを含む。
【0077】
コンピューティングシステムは、クライアントおよびサーバを含むことができる。クライアントおよびサーバは、互いに離れていてもよく、通信ネットワークを介して対話してもよい。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0078】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、本明細書では、単に便宜上、本出願の範囲を任意の特定の発明または発明概念に自発的に限定することを意図することなく、「発明」という用語によって個別におよび/または集合的に言及され得る。さらに、本明細書では特定の実施形態を図示および説明してきたが、同じまたは同様の目的を達成するように設計された任意の後続の構成を、示された特定の実施形態に置き換えることができることを理解されたい。本開示は、様々な実施形態のありとあらゆる後続の適応形態または変形形態を包含することを意図している。上記の実施形態の組み合わせ、および本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態は、本明細書を検討すれば当業者には明らかである。
【0079】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0080】
本明細書で使用される場合、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など(such as)」、または「含む(including)」は、より一般的な主題をさらに明確にする例を導入することを意味する。特に明示的に示されない限り、そのような例は、本開示に示される実施形態を理解するための助けとしてのみ提供され、決して限定することを意味しない。これらの語句は、開示された実施形態に対するいかなる種類の選好も示さない。
【0081】
本開示の要約書は、米国特許法施行規則第1.72条(b)に準拠するために提供され、特許請求の範囲の意味を解釈または限定するために使用されないという理解の下で提出される。加えて、前述の詳細な説明では、本開示を合理化する目的で、様々な特徴が一緒にグループ化されるか、または単一の実施形態で説明され得る。本開示は、特許請求される実施形態が、各請求項に明示的に記載されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の主題は、開示される実施形態のいずれかの特徴の全てよりも少ないものを対象とし得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個に請求される主題を定義するものとして独立している。
【0082】
前述の詳細な説明は、限定ではなく例示と見なされることが意図され、全ての均等物を含む以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を定義することが意図されることが理解される。特許請求の範囲は、その趣旨で述べられていない限り、記載された順序または要素に限定されると解釈されるべきではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲および趣旨に含まれるすべての実施形態が、本開示として特許請求される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学セルの膜の動作性能を監視する方法であって、
電圧センサによって、第1の時間に前記電気化学セルの第1の動作電圧を測定する工程と、
前記電圧センサによって、第2の時間に前記電気化学セルの第2の動作電圧を測定する工程と、
プロセッサによって、前記第1の動作電圧と前記第2の動作電圧との間の差を前記第1の時間と前記第2の時間との間の差で除算することによって定義される期間にわたる前記電気化学セルの動作電圧の変化を計算する工程と、
前記プロセッサによって、前記動作電圧の変化を閾値と比較する工程と、
前記プロセッサによって、前記動作電圧の前記変化が前記閾値以上であるときに、通知またはアラームを提供する工程とを備える、方法。
【請求項2】
前記電気化学セルに供給される水源に洗浄組成物を添加する工程と、
前記電気化学セルの膜で、前記洗浄組成物と金属イオンとを反応させる工程と、
前記洗浄組成物と前記金属イオンとの反応の生成物を前記膜および前記電気化学セルから移動させ、前記電気化学セルの前記膜から前記金属イオンの少なくとも一部を除去する工程とをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作電圧の変化が前記閾値以上であるという通知に続いて、前記洗浄組成物が自動的に添加される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記電気化学セルの前記膜を洗浄するというオペレータの指令入力を前記プロセッサが受け取った後に、前記洗浄組成物が添加される、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記洗浄組成物が、前記金属イオンと反応して酸-金属化合物を形成する酸性組成物である、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記酸性組成物がクエン酸を含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酸性組成物が、3~5の範囲のpHを有する、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記添加すること、前記反応させること、および前記移動させることに続いて、
前記第1の動作電圧の測定、前記第2の動作電圧の測定、前記動作電圧の変化の計算、および前記動作電圧の変化の比較を繰り返して、前記洗浄組成物が前記動作電圧の変化を前記閾値未満に減少させたか否かを判定する工程と、
前記動作電圧の変化が前記閾値以上のままである場合には、前記添加すること、前記反応させること、および前記移動させることを再度行う工程とを繰り返す反復工程をさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記洗浄組成物の前記添加が、前記電気化学セルの動作中、前記電気化学セルの始動手順中、又は前記電気化学セルのシャットダウン手順中に現場で行われる、
請求項2~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記電気化学セルが、電気化学スタック内に複数の電気化学セルを含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
電気化学システムであって、
少なくとも1つの電気化学セルと、
第1の時間に前記少なくとも1つの電気化学セルのそれぞれの電気化学セルの第1の動作電圧を測定し、第2の時間に前記電気化学セルの第2の動作電圧を測定するように構成された少なくとも1つの電圧センサと、
プロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記少なくとも1つの電圧センサから、前記第1の時間における前記測定された第1の動作電圧および前記第2の時間における前記第2の動作電圧を受信し、
前記第1の動作電圧と前記第2の動作電圧との間の差を前記第1の時間と前記第2の時間との間の差で除算することによって定義される期間にわたる前記それぞれの電気化学セルの動作電圧の変化を計算し、
前記動作電圧の変化を閾値と比較し、
前記動作電圧の変化が前記閾値以上である場合、通知またはアラームを提供するように構成されている、電気化学システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、さらに、
前記少なくとも1つの電気化学セルの膜における金属イオンを除去するために、前記少なくとも1つの電気化学セルに供給される水源に洗浄組成物を添加する命令を提供するように構成されている、
請求項11に記載の電気化学システム。
【請求項13】
前記洗浄組成物は、前記動作電圧の前記変化が前記閾値以上であるという前記通知に続いて自動的に添加される、
請求項12に記載の電気化学システム。
【請求項14】
前記プロセッサは、さらに、
前記少なくとも1の電気化学セルを洗浄するために洗浄組成物を添加するというオペレータによる入力を受信し、
前記少なくとも1つの電気化学セルの膜における金属イオンを除去するために、前記少なくとも1つの電気化学セルに供給される水源に前記洗浄組成物を添加する命令を提供するように構成されている、
請求項11に記載の電気化学システム。
【請求項15】
前記洗浄組成物が、前記金属イオンと反応して酸-金属化合物を形成する酸性組成物である、
請求項12~14のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【請求項16】
前記酸性組成物がクエン酸を含む、
請求項15に記載の電気化学システム。
【請求項17】
前記酸性組成物が、3~5の範囲のpHを有する、
請求項15に記載の電気化学システム。
【請求項18】
前記洗浄組成物の添加に続いて、前記プロセッサは、
前記第1の動作電圧の測定、前記第2の動作電圧の測定、前記動作電圧の変化の計算、および前記動作電圧の変化の比較を繰り返して、前記洗浄組成物が前記動作電圧の変化を前記閾値未満に減少させたか否かを判定し、
前記動作電圧の前記変化が前記閾値以上のままである場合、追加の洗浄組成物を追加する追加の命令を提供するように構成されている、
請求項12~14のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【請求項19】
前記洗浄組成物の添加が、前記少なくとも1つの電気化学セルの動作中、前記少なくとも1つの電気化学セルの始動手順中、または前記少なくとも1つの電気化学セルのシャットダウン手順中に現場で行われる、
請求項12~14のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの電気化学セルが、電気化学スタック内に複数の電気化学セルを含む、
請求項12~14のいずれか1項に記載の電気化学システム。
【国際調査報告】